くにさくロゴ
1970/03/04 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第5号
姉妹サイト
 
1970/03/04 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第5号

#1
第063回国会 本会議 第5号
昭和四十五年三月四日(水曜日)
   午後三時二十六分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程第五号
 昭和四十五年三月四日
   午後一時開議
 第一 国家公務員等の任命に関する件
 第二 国務大臣の報告に関する件(昭和四十三
  年度決算の概要について)
 第三 地方自治法の一部を改正する法律案(衆
  議院提出)
 第四 地方公営企業法の一部を改正する法律案
  (衆議院提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、議員派遣の件
 一、日程第一
 一、昭和四十四年度一般会計補正予算(第1
   号)
 一、昭和四十四年度特別会計補正予算(特第1
  号)
 一、日程第二より第四まで
    ―――――――――――――
#2
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 沖繩の現地事情視察のため、来たる九日から十二日まで、塚田十一郎君。川村清一君、渋谷邦彦君、中村喜四郎君、増田盛君、鶴園哲夫君、萩原幽香子君を派遣いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#5
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国家公務員等の任命に関する件。
 内閣から、人事官に佐藤正典君を、
 宇宙開発委員会委員に山縣昌夫君、吉識雅夫君を、
 公正取引委員会委員に柿沼幸一郎君、高橋勝好君を、
 日本銀行政策委員会委員に小島新一君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、人事官、宇宙開発委員会委員、日本銀行政策委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、いずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(重宗雄三君) 次に、公正取引委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
 昭和四十四年度一般会計補正予算(第1号)、
 昭和四十四年度特別会計補正予算(特第1号)、
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長堀本宜実君。
   〔堀本宜実君登壇、拍手〕
#11
○堀本宜実君 ただいま議題となりました昭和四十四年度補正予算一案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この補正予算は、当初予算作成後に生じた事由に基づき、特に緊要となった経費につき補正の措置を講ずるほか、公債金の減額を行なうこととしております。
 一般会計補正予算のおもな内容を申し上げますと、歳出につきましては、国家公務員の給与改善費五百六十六億円、国民健康保険助成費等義務的経費の追加二百七十一億円、診療報酬改定に伴う増加経費五十九億円、米の政府買い入れ増加に伴う食管特別会計繰り入れの追加五百六十億円、地方交付税交付金の増加九百九十四億円等を追加計上するとともに、給与改善費に充てるため三百八十二億円の既定経費の節減と百八十四億円の予備費の減額を行なうこととしております。
 歳入につきましては、所得税、法人税等で二千三百三億円、税外収入で三百四十三億円の増収を見込むとともに、酒税、物品税等で三百三十五億円の減収と、公債金収入で四百億円の減額を行なうこととしております。この結果、昭和四十四年度一般会計予算の規模は、歳入歳出とも千九百十三億円を増加して六兆九千三百八億円となるのであります。
 また、特別会計補正予算は、国立学校特別会計等七特別会計について、それぞれ必要な補正を行なうこととしております。
 これら補正二案は、二月十四日、国会に提出せられ、委員会におきましては、二月二十日、福田大蔵大臣から提案理由の説明を聞き、三月二日、衆議院からの送付を待って、三月三日、四日の二日間にわたり、佐藤内閣総理大臣並びに関係各大臣に対しまして質疑を行なってまいりました。
 以下、これらの質疑のうち、補正予算に直接関連するものを若干御報告申し上げます。
 まず、総合予算主義につきまして、四十三年度予算において、財政の新しい方針として麗々しく補正なしの総合予算主義を打ち出したにもかかわらず、昨年度も補正を出し、今年度も引き続き二千億円に近い追加予算を提出しているが、これは総合予算主義の完全な破綻を意味するのではあるまいかとの質疑がございました。これに対して、福田大蔵大臣より、総合予算主義は、年度当初に各種の経費を総合的に配慮して、経費間のバランスをとって予算を編成するということが基本であって、緊急異常な場合の補正を排除するものではない。その意味で総合予算主義の考え方は今後とも変わりない旨の答弁がございました。
 次に、食管特別会計への追加繰り入れ五百六十億円に関連する質疑として、四十四年産米の政府買い入れ予定七百五十万トンと自主流通米百七十万トンの当初見通しは、ここ二、三年の政府買い入れ実績に照らして少な過ぎる。意図的に低く見込んだのではないか。いまになって買い入れ量の増加を理由に補正を組むのは政府の無定見を示すものではないかとの質疑がございました。これに対し、倉石農林大臣並びに福田大蔵大臣から、政府管理米の当初見通しは、作付面積を前年並みと見て、平均反収をかけて生産見込み量を算出し、出回り比率は最近の最も高い比率を見込んで計算したもので、特に低く押える意図はなかった。政府買い入れ量が増加したのは、天候に恵まれ、米の生産量が予想以上にふえたこと、自主流通米制度が発足間もなく、取り扱い業者も消費者もふなれだったために九十万トン程度しか消化できず、結局、食管会計で百三十六万トン多く買い入れることになったのである。現行食管制度のたてまえでは農家が売ってきた米を全量買い入れに応ずることとしているので、そのために必要な補正は財政法二十九条の緊急要件に該当するものであるとの答弁がございました。
 また、米の生産調整に関する質疑としまして、本年度当初予算に稲作転換対策費三十億円が組まれていたが、十四億五千万円が不用額となり、修正減額されることになっている。これは農民が作付転換を拒否している証拠だと思う。しかるに、本補正で同じ性格の米生産調整特別対策事業費二十億円を計上し、繰り越し明許をつけて四十五年度に繰り越して支出することにしているのは、緊急性という補正予算の要件を欠くばかりか、当初予算の稲作転換対策費の支出状況から見ても多分に疑問があるのではないかとの質疑がございました。これに対し、倉石農林大臣から、当初予算で稲作転換を一万ヘクタール予定していたが、初めての試みであり、ふなれであったため目標の半分程度しか進まなかった。しかし、過剰米の推移から見て、放置すれば食管制度の根幹維持が困難になる事態に直面し、知事、市町村長、農業関係者の認識も深まってきており、今後は生産調整対策が推進されるものと思う。四十五年度から実施する本格的な米の生産調整対策を円滑に進めるためには、作付前のできるだけ早い時期に、転作物の種苗、資材の確保など、各般の対策に着手する必要があるとの諸団体の要望もあるので補正予算に計上した。繰り越し明許をつけたのは、年度内に支出を終わることがむずかしい見通しのため、翌年度に繰り越して使用できる措置をとった旨の答弁がございました。
 最後に、今回の補正で、所得税等の増収に伴う地方交付税の増額のほかに三百八十億円が追加計上されている。これは四十五年度予算の財源対策であり、実体は四十四年度の補正とは言えないのではないかとの質疑がございました。これに対し、福田大蔵大臣並びに秋田自治大臣より、四十四年度当初予算で地方から六百九十億円借りることを予定していたが、その後、税の年度内自然増収が多額に予想されることになったので、三百八十億円を借りずに済まそうというものであって、四十五年度の予算編成とは別個の問題で、財政法上も何らの疑問はないとの答弁がございました。
 質疑は、このほか、繊維の対米輸出規制の問題、日米共同声明、減税、今後の国連外交、核拡散防止条約と査察の問題、総選挙の法定費用及び選挙区定数の是正などにつきまして熱心に行なわれたのでございますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 かくて、本日をもちまして質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して横川委員が反対、自由民主党を代表して木村委員が賛成、公明党を代表して矢追委員が反対、民社党を代表して向井委員が反対、日本共産党を代表して須藤委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、昭和四十四年度補正予算一案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告を申し上げます。(拍手)
#12
○議長(重宗雄三君) 両案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。鈴木強君。
   〔鈴木強君登壇、拍手〕
#13
○鈴木強君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十四年度補正予算二案に対し、反対の討論を行なわんとするものであります。
 以下、その理由を申し上げます。
 まず、第一に指摘したい点は、総合予算主義の欺瞞性と、あくまで総合予算主義の方針を堅持すると国民に約束をしておきながら、二年連続して実行し得なかった政府の責任についてであります。佐藤内閣は、昭和四十三年度より、予算編成の基本方針として、新しく総合予算主義を採用し、従来のような恒常的な予算補正の慣行を排除し、財政の硬直化を防ぎ、体質の改善を行なうことをきめたのであります。昭和四十四年度予算についても、福田蔵相は、財政演説の中で、四十四年度毛引き続き総合予算主義のたてまえを堅持し、補正要因の解消につとめると言明したのでありますが、いま、また、このような補正予算案を提出したのは、国民に対する重大な公約違反と言わなければなりません。
 一体、政府の言う予算編成方針とは何か、また、予算編成の前提となる経済情勢及び基本方針とは何を意味するものか、単なる口頭禅にすぎないものであるのかどうか、公約を実行できなかった責任と根源を追及するものであります。本来、総合予算主義は、こと新しく申し上げるまでもなく、予算編成の基本原則であり、当初予算において、財源と歳出要因を洗いざらい厳正に検討し、整合性をもって配分することは予算編成の常道であります。また、予算編成後に生じた事由に基づき、特に緊急となった経費について、支出の追加あるいは修正措置をすることは財政法上の認めるところであります。したがって、私は、補正予算の編成そのものに反対するものではないのでありまして、ここ数年来、繰り返されている政府の言行不一致の予算編成方針と、これに由来する安易な補正予算の編成態度と、その内容に対し反対するものであります。
 ちなみに、過去五年間における追加補正要因を見れば明らかなとおり、災害対策等の不確定要素に基づく支出はきわめて少なく、大部分は、前もってほぼその輪郭がつかめるものばかりであります。しかるに、政府は、当初予算編成のとき、経済見通しを甘くして税の自然増収を意識的に過小見積もりすることは毎年の例となっております。また、歳出の面でも、義務的経費ばかりでなく、必要経費をも見て見ぬふりをするという態度の繰り返しが、これまでの実情でありまして、その結果として組まざるを得なくなるのが補正予算であります。四十四年度予算の場合も例外ではないのであります。補正予算の性格解釈が近年ルーズになっているばかりでなく、予備費についての正確な解釈も乱れつつあると言わなければなりません。たとえば、国家公務員給与改善費と食管繰り入れ分をあらかじめ控え目に予備費にとっておくことが、はたして予見しがたい予算の不足に充てるための予備費の性格規定に合致するかどうか疑わしいのであります。このように予備費や補正予算のルーズな解釈の上に組み上げられた総合予算主義というものは、政府の御都合主義によるごまかしであり、口で総合予算主義と言っても、その意図するところは本来の原則とは離れて別にあると言わざるを得ないのであります。すなわち、政府はみずから、制度、慣行など財政体質の改善をサボリ、硬直化した財政をそのままにしておきながら、不正確な経済見通しをたてにとって、あえて当初予算で総合予算主義のワクをしいることは、結局のところ、国民が最も望んでいる経費の支出や減税要求を不当に押え、われわれが最も憂慮する安保や防衛体制の強化等を進めるに必要な支出を確保せんとする方便にしていると言われてもいたし方がないのでございます。私は、この際、ただいま政府がとりつつある総合予算主義は破綻していると思いますので、すみやかに再検討を加え、ほんとうに国民が納得できる予算編成を行なっていただきたいことを強く要求するものであります。
 次に、昭和四十四年度補正予算千九百十二億八千万円の支出の中には、必ずしも予算編成後に生じた事由に基づく特に緊急を要する経費とは認めがたいものがかなり計上されており、逆に緊急を要すると思われる経費が見送られているのは残念でございます。そもそも、千九百六十八億円の税収増加があるにかかわらず、公務員給与の改善を人事院勧告どおり実施しないことは、政府みずから勧告尊重の公約を破るものであり、政府不信のこれよりはなはだしきものはないのであります。多年にわたり不当に押えられてきた公務員給与の改善をこの際実行することこそ、緊急を要する補正要因と言うべきでありまして、またもやこれに目をつぶって人事院勧告を値切るという態度に出たことは、まことに遺憾と言わなければなりません。
 昭和四十四年度補正予算で特に問題にしたいことは、四十五年度予算編成のワクからはみ出した支出要因と見られるものが追加補正の中にかなり計上されていることであります。これは、従来の追加補正の概念とは違って、将来の不確定な政策を前提とする経費の前取りが盛り込まれていることであります。当初予算の編成で、税の自然増収を過小に見積もることによって生ずる税の巨額な自然増収を補正予算の財源にするばかりでなく、翌年度当初予算の編成に際しての復活財源の一部に充てようとしたり、翌年度当初予算経費の逆流に補正予算を利用したりする政府の態度は断じて許すことはできないのであります。昭和四十四年度補正予算案には、このごまかし行為が歴然と見えているのであります。たとえば、米生産調整特別対策事業費の二十億円と土地需要緊急調査費一億円は、昭和四十五年度予算の編成途上で、にわかにつくり上げられた米の減産対策のための政治的なつかみ金とも言うべきものでありまして、いわゆる総合農政の全貌も明らかにされず、水田の転用の具体的計画も実質効果も不明のままに四十四年度補正予算に組み込まれていることは明らかに不当であります。特に米生産調整対策費二十億円についてはあらかじめ繰越明許となっていることは、とりもなおさず、明年度予算に計上してもおそくはないことを証明しているものでありまして、財政法の規定する緊急補正の性格に反するものであります。それはまた、昭和四十四年度に十アール当たり二万円の奨励金で一万ヘクタールの減産を予定していたのに、結果は目標の半分に終わった失敗を反省せず、ネコの目のように変わる農政の無策をまたもや農民にしりぬぐいさせようという政府の場当たり的農政の一端が、はしなくも補正予算にあらわれたとも言うべきものであります。
 また、新情勢に即応する国と地方との財源配分のあり方という根本問題の解決には目をつぶり、地方財政が豊かになったという一方的解釈を根拠とし、大蔵、自治両大臣の昨年からの約束をほごにして、またもや国と地方との財源貸し借りや特別措置としての地方交付税交付金の繰り上げ返済などという当面の糊塗策を補正予算を利用することによってごまかすやり方は、もってのほかと言わなければなりません。
 さらにまた、支離滅裂な酪農畜産農政をそのままにしておいて、畜産振興事業団の財源が不足したり、欠損金が生じたからといって、安易に二十五億円もの交付金を交付したり、出資金二十一億円を追加したりすることは、補正予算を隠れみのとするまことに無責任な、うしろ向きの態度と言うべきものであります。なおまた、政府は安易に本補正予算を組んでいるのでありますが、このことによって財政の持つ資源配分機能と景気調整機能をみずからくずしていることを指摘しなければなりません。何回も申し上げておりますように、毎年繰り返して税収を過小評価し、補正の時期に財政が受け身の形で巨額な自然増収を吐き出されることは、経費の効果や資源配分の適正化を目ざす予算のバランスを政府みずからくずすものであります。ことしもわずか四百億円の公債発行削減のほかは、千九百六十八億円にのぼる税の自然増収を、国民に還元することなく、すっかり食いつぶしておりますが、これは、税の持つビルトイン・スタビライザーの年間を通じての機能を阻害する原因ともなっているのであります。税の自然増収は明らかに税の取り過ぎでありますから、これはすみやかに国民に還元すべきものであることは、毎年繰り返しわれわれが主張しているところでありますが、本補正予算でも無視されていることは遺憾であります。このような態度の繰り返しは、結局のところフィスカル・ポリシーの効果を弱め、圧力団体に口実を与えて、財政を放漫化し硬直化させる原因にもなっていることは明らかであります。
 最後に、既定経費の削減と不用額について一言触れておきます。
 補正予算の中には、歳出追加の財源に充てるため既定経費の節減と不用額の減額を、文部省関係の七十二億円を筆頭に、合計約三百八十三億円計上していますが、その内訳を見ると、工場排水規制等事務委託費、産業公害防止対策調査費、食料品流通消費改善対策費補助金、水産物流通対策費補助金、中央卸売市場整備補助金、航空保安照明施設維持費、航路標識修繕費等、国民生活に重大な影響のある項目がずらりと並んでおるのであります。これらはいずれも公害、物価安定、人命保全等の対策費で、絶対に削減してはならないと私は信ずるのであります。それにもかかわらず、この重要経費が軒並み減額補正されていることは言語道断と言わなければならず、絶対に認めるわけにはまいりません。
 以上申し述べましたとおり、昭和四十四年度補正予算二案は、当初予算編成後に生じたやむを得ない緊急経費のための追加支出というのにはあまりにも合理性がなく、また説得力のない組みかえ補正でありますから、私は反対であることをはっきり申し上げまして討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
#14
○議長(重宗雄三君) 山本利壽君。
   〔山本利壽君登壇、拍手〕
#15
○山本利壽君 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和四十四年度補正予算(第1号)及び(特第1号)に対して、賛成の意をあらわしたいと思うものでございます。
 政府はさきに、昭和四十三年度予算にあたって、いわゆる総合予算主義をとることを表明いたしました。しかるに、昭和四十三年度には米の政府買い入れ量が予想をはるかに上回ったため、ついに若干の補正を行なわなければならなかったのであります。それにいたしましても、公務員の給与改善に必要な経費をあらかじめ予備費に見込んでおいたために、補正額も少しにとどまり、実質的には総合予算主義が十分に効果を発揮したのであります。
 昭和四十四年度の予算編成にあたりましても、政府は前年度に引き続き総合予算主義をたてまえとしたのでございますが、生産者米価を据え置いたにもかかわらず、米の生産高は依然として高水準を維持し、そのために食管会計の赤字はさらに増加するに至ったのであります。一方、公務員給与の改善は、七月実施の予定であったのを一カ月繰り上げて六月から実施することになったため、これまた多額の歳出増を必要とするに至ったのであります。ここにおいて政府は、相当額の補正予算を組むこととなり、普通考えられていた総合予算主義がいささかくずれたかの感を呈し、これを非難攻撃して補正予算そのものにも反対する向きがございますが、お米が政府の予想を上回って生産されたことは、その処理に当たる政府当局としてはまことに御苦労なことでございますが、その反対の場合、すなわち政府の予想をはるかに裏切って、はなはだしい不作となり、そのため食糧難にあえぐよりは、国民としては非常にしあわせと言わなければなりません。
 公務員給与の引き上げにいたしましても、政府があくまでも総合予算主義の名にこだわって七月実施を固執した場合を考えれば、補正予算を組んで六月実施にしたほうが公務員にとってはしあわせであったに違いないのであります。もちろん政府も、でき得るならば五月にさかのぼりたかったのでございましょうけれども、その時点においては財源に自信がなかったものと考えます。大蔵大臣も予算委員会において繰り返し説明しておるごとく、総合予算主義とは、絶対に補正予算なしということではなく、できるだけ補正予算を提出しないで済むようにとの配慮のもとに予算を組むことであって、特別の場合には当然補正予算は組むべきであるとのたてまえでございます。われわれはこの弾力性ある政府の態度に対し賛意を表するものでございます。
 さて、今回の補正予算は、一般会計においては歳出の追加額が二千四百七十九億七千万円、修正減少額が五百六十六億九千万円、差し引き一千九百十二億八千万円の予算増額となっております。その内容を見ると、第一は、五百六十六億円にのぼる公務員の給与改善であります。四十四年度の人事院勧告は、給与ベースを一〇・二%引き上げるという、これまでにない大幅の改善を意味するものでございますが、前国会での法律改正によって人事院勧告どおり実施せられることになったのであります。そして、その実施時期も最初の七月予定を六月実施に繰り上げたため、給与改善の所要額は一千八十八億円の巨額にのぼるのであります。しかし、総合予算の立場から、政府は当初予算に四百四十三億円の給与改善を見込んでいたことと、七十八億円の節約が行なわれる結果、歳出の追加は五百六十六億九千万円にとどまっておるのであります。
 歳出項目の第二は、食管会計赤字補てんのための経費五百六十億円であります。これを加えますと、四十四年度の食管会計繰り入れの総額は三千五百三十億円の巨額にのぼり、米の生産調整が緊急の課題であることをよく物語っております。そして、そのために今回の補正にも米の生産調整に関する特別対策事業費として二十億円が計上されておりますが、これが有効に使われて、新年度において生産調整が効を奏し、多額の繰り入れを必要としなくなることを強く期待するものでございます。いま申し上げました二十億円について、これは明年度予算に組んだほうが適当ではないかという意見がございます。しかし、御承知のように、最近国内におきましては植えつけ時期が非常に早まっているところがたくさんあるのでございます。ことに今年におきましては、衆議院選挙等の関係もございまして、三月末までに明年度予算の通過する見込みがないのでございます。これを四月あるいはそれ以後になって通過するといたします場合には、すでに農民に対して給付することができないのでありまして、この際、補正予算に二十億円を組んだことは、真に農民のためを考える措置であると私ども考えます。なおまた、今回の補正では、琉球政府への米穀売り渡しの経費として、食管会計へ五億七千三百余万円を繰り入れることとなっておりますが、これは前の通常国会で成立いたしました特別措置法に基づくものでございまして、適切な財政措置と考えます。
 歳出項目の第三は、義務的経費等の追加二百七十一億円と診療報酬の改定に伴う増加経費五十九億八千万円であります。これらは児童保護費、生活保護費、国民健康保険助成費、国民年金国庫負担金、その他、国として当然支出すべき経費に属するものであります。このうち特に多額にのぼっているのは国民健康保険の経費でございまして、これは医療制度そのものにも原因していると考えます。いま米の生産調整とともに国民が抜本的改正を待ち望んでいるのは、この医療制度の問題であります。この声が起こってからすでに数年を経過しておるのでありますから、幾多困難はありましょうが、政府においては格段の努力を重ね、一日もすみやかにこの問題の解決をはかられるよう要望いたします。
 歳出項目の第四は、地方交付税交付金でありまして、追加額九百九十四億八千万円は金額としては補正項目中最大のものでありますが、所得税と法人税の増収と酒税の減収との差し引き収入見込みに法定率百分の三十二を乗じて得たものでありまして、増収を歳入に計上する以上、当然のことであります。政府は以上の追加を行なう反面、既定経費について節約と不用額の減額を行ない、それによって三百八十二億九千万円を圧縮しておりますが、これはきわめて適切な措置と考えます。
 次に、一般会計の歳入におきましては、法人税と所得税の増収が補正の大部分を占めております。これまた当初予算を組むにあたって、政府が歳入の見込み違いをしておるとか、故意に過小見積もりをしておいたものとか論難する向きもありますが、これは五年目に入った大型景気による予想外の国民所得増加を反映するものであり、われわれとしてはまことに慶賀にたえないところと考えるのであります。なお、歳入面で特に注目すべきことは、公債の発行予定額を四百億円減額していることでありまして、今後一そう公債依存度を引き下げ、財政の健全化をはかるものと期待するわけであります。
 特別会計につきましては、食管会計、交付税及び譲与税配付金特別会計など、七つの特別会計の補正を行なうことにしておりますが、これらは食管の赤字補てんと公務員の給与改善に関係しており、一般会計における補正に照応する措置でありまして、その補正について反対する理由はなく、賛意を表するものでございます。
 以上、簡単に要点だけを申し述べて、私の賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(重宗雄三君) 矢追秀彦君。
   〔矢追秀彦君登壇、拍手〕
#17
○矢追秀彦君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となっております昭和四十四年度補正予算二案に対し、反対の討論を行なうものであります。
 政府は、二年前の昭和四十三年度の予算編成にあたり、財政の硬直化を打開し、今後は恒常的な予算補正の慣行を排除し、もって財政体質改善の第一歩を踏み出すことによって財政が本来の機能を果たし得る基盤を確立することとしたという理由で、いわゆる総合予算主義の名文句を掲げ、従来、例年の補正要因でありました食管対策費と公務員給与改善費を当初予算に計上し、よほどの事態が起こらない限り追加補正はしないと表明したのであります。ところが、同年度にすでにこの原則は破られ、続いて本年度もまたまた追加補正をしなければならなくなり、総合予算主義の原則を堅持するという言明とはうらはらな事態を本年度も招き、総合予算主義の原則は完全にくずれ去ってしまったのであります。
 以下、内容について反対の理由を述べたいと思います。
 反対理由の第一は、昭和四十四年度補正予算二案は、財政法第二十九条に規定されている補正予算編成の要件を満たしていないからであります。その一つは、本補正に計上されている地方交付税交付金、特別会計へ三百八十億円の繰り上げ償還は、四十五年度に国が地方から借り入れる三百億円の見返りの措置であることは明白であり、しかも、これは昨年、大蔵大臣と自治大臣との間にかわされた覚え書きにも二年にわたって反しており。これは明らかに予算の単年度原則を政府みずから破ったことになり、われわれの承服できないところであります。さらに、もう一つ、財政法違反の疑いを持つものは、米生産調整特別対策費二十億円、土地需要緊急調査費一億円でありますが、少なくともこれは四十五年度予算における総合農政に関する諸経費の中に組み込まれてしかるべきものであります。政府の説明によりますと、四十五年度からの米の生産調整対策の実施を円滑に行なうために、都道府県が四十四年度においてあらかじめ実施するための事業補助だとしておりますが、この費目には翌年度に繰り越して使える繰り越し明許をつけております。したがって、補正予算に必要な緊急性というのはどこにも見当たらないのであります。土地需要緊急調査費一億円についても同様であり、これで、はたしてどれだけの調査ができるのか、今年度にいかなる緊急理由でこれが組み込まれたのか、はっきりしないのであります。以上のごとく、本補正予算は、財政法を完全に無視し、しかも四十五年度予算の先食い的性格のするものであり、この点から見て反対をするものであります。
 反対理由の第二は、政府の税収見積もり過小の責任を見のがすわけにはいかないからであります。わが党は、四十四年度当初予算審議の際、政府の租税収入予算は、最大限の安全度を見ても一千億円の税の過小見積もりがあることを強く指摘し、適当な税収見積もりに改めるべきことを内容とした組みかえ予算を衆議院予算委員会に提案したのであります。当時、政府は租税収入の見積もりは適正であると主張していたのでありますが、この補正予算では一千九百六十八億円の租税の増収分を計上しているのであります。このことは、意図的に税収を過小に見積もることによって、国民の強い要望である四十四年度の減税を少なく押えたばかりでなく、財源配分の適正を欠くこととなり、そのために全く国民不在の予算の組み方となってしまっているのであります。このような税収の見積もりの誤りについての政府の責任は、まことに重大と言わざるを得ません。そして、このように税収が伸びているならば、四十四年度における追加減税、あるいは四十五年度においてさらに多額の減税をすべきであったと主張するものであります。
 反対理由の第三は、公務員給与の改善でありますが、このたびの措置は、例によってまたもや人事院勧告の完全実施を怠ったのであります。特に本年度は経済の高度成長により民間給与が一六%ないし一七%も上昇しているおりから、人事院の勧告一〇・二%アップそれ自体、必ずしも十分なものと申すことはできません。それすらもカットするに至っては、政府は多数の公務員の雇用者であるとは言えません。元来、人事院の勧告は、公務員の労働基本権制度の代償として設けられたものであって、勧告の完全実施は政府の法律的義務なのであります。私は、あくまでも公務員の給与改定を人事院勧告どおり五月にさかのぼって完全実施をすべきであると主張するものであります。
 反対理由の第四は、今回の補正予算は、その内容からして緊急性のものは何一つないことであります。補正を組む理由はほとんどないことはいままでに述べたとおりでありますが、もし、どうしても補正を組まなければならないとするならば、いま大きな社会問題となっている物価対策にまず力を注ぐべきであったという点であります。いまや消費者物価の上昇は、政府の年度当初見通し四・八%をはるかに上回って六%に達することがほぼ明らかとなっております。常々物価対策に真剣に取り組むという政府のこれは完全な失敗であります。政府が言うように、物価対策に全力をあげるならば、膨大な自然増収の中から、その一部をどうして物価対策のための経費に充てようとしなかったのか。四十五年度予算に組んでも決しておそくないような項目を組みながら、緊急であり、いま国民が最も頭を痛め、その打開策を願望している物価対策費を全然組み込まないということは、いかに政府の予算編成方針が国民不在のものであるかが明白になっているのであります。このような総合予算主義の原則をくずし、財政法に反し、しかも国民不在の補正予算に対して、私は国民の立場において、絶対に承服できないのであります。
 以上の理由をもって補正予算二案の反対の討論といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(重宗雄三君) 萩原幽香子君。
   〔萩原幽香子君登壇、拍手〕
#19
○萩原幽香子君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま提案されております昭和四十四年度一般会計並びに特別会計補正予算案に対し、四点から反対の理由を申し述べたいと存じます。
 まず、その第一点は、政府の予算に対する無責任な態度を指摘いたしたいと存じます。政府は、一昨年、私たちの反対を強引に押し切って総合予算主義を採用されましたが、昨年には早くも補正予算の提案を余儀なくされ、総合予算主義があえなく崩壊したということは御記憶に新たなところと存じます。にもかかわりませず、今年度の当初予算編成に当たり、またまた総合予算主義をその基本方針として打ち出されたわけでございます。そしてそのたてまえに立って、公務員給与費、食管特別会計繰り入れ等の追加補正をなくし、予備費を例年になく大幅に増額するなどの措置を講じておきながら、またしてもこのたび補正予算を提出されたということは一体どういうことでございましょう。まさに政府の財政に対する無計画、無責任を暴露したという一語に尽きると存じます。このように、「ことばありて行ないなく、公約ありて実現なし」という政治姿勢は、善良な国民の期待を裏切り、政治への失望を招く根源ともなりましょう。この際、政府は、こうした言行不一致の財政政策を改めるために、いわゆる総合予算主義を放棄されるか、でなければ、今後補正予算は出さないと確約されるか、その態度を明らかにしていただきたいと存じます。
 反対の第二点は、大幅な租税増収と、その背景にある経済見通しの根本的な誤りについてでございます。今回の補正予算を見ますと、租税及び印紙収入は当初予算に比較いたしまして千九百六十八億円の増収予定となっており、このうち所得税の増収額は実に九百四十億円にものぼっているのでございます。なぜこのような大幅な増収額が年度末になって出るのでございましょうか。ずばり申しますなら、これは政府の租税政策並びに経済見通しの作為的姿勢にあると考えるわけでございます。すなわち、政府は当初、経済見通しの際、それがいかにも客観的予測であるかのように国民の前に発表されましたが、しかし、その実は、過去の例でも明らかなように、経済実態とははるかにかけ離れた過小見通しを立ててこられたのではございませんか。最高の頭脳を集められた政府が、これほどの見通しの誤りをされるはずはなく、明らかに意図的に誤られたとしか考えられません。つまり、この過小見通しをたてに国民の切実な願いである減税をしない口実にされたという感じが私どもには強いのでございます。もし、この補正予算案に計上されております千九百六十八億円の租税増収が当初において正しく見通され、見積もられていたならば、国民永年の念願である大幅減税は本年度において実現できたのではなかったでしょうか。国民への背信行為、これに過ぎるものはなく、まことに残念でございます。どうぞ、このような弊害を再び繰り返すことなく、国民の信頼にこたえるため、政府は、経済政策の責任を明らかにし、経済見通しの態度を根本的に改めるとともに、事後的な税の自然増収については翌年度に自動的に国民に還元する方途を講じていただきたいと存じます。
 反対の第三点は、既定経費の節減のあり方でございます。補正予算案におきまして既定経費の節減は三百八十三億円で、この点につきましては何ら異議を差しはさむものではございません。しかしながら、この行政事務費の節減は、当初予算におきましてきびしく適正になされておるべきはずにもかかわらず、何ゆえ毎年のように補正予算において既定経費の節減が当然のごとくなされるのでございましょうか、全く理解に苦しむものでございます。四十二年度には二百九十二億円、四十三年度には二百九十三億円、そうして四十四年度では実に三百八十三億円の節減が示されております。これは明らかに既定経費の節減がいまなお的確になされていない証左であり、当初予算において補正予算の計上を前提に操作されたようで、まことに不明朗きわまるものと申すべきでございましょう。
 反対理由の第四は、農業政策があまりにも場当たり的であるということでございます。今回の補正予算案におきまして、政府は食管会計へ五百六十億円の追加繰り入れをされておりますが、これにはいろいろ理由があるごとく発言されておりますけれども、私たちは、政府が当初提唱されました自主流通米制度の破綻を示す以外の何ものでもないと考えるわけございます。今年度の自主流通米として百七十万トンを見込まれたわけでございますが、これは御存じのごとく、まことに不評でございました。最初の計画どおりにいかず、その結果として食管会計では予定もしなかった米の買い入れ増となったことは周知のところでございます。まことに無計画な農政の欠陥がここに象徴的にあらわれたと言わざるを得ません。
 以上四つの点から補正予算案に対する反対の理由を明らかにしてまいりましたが、最後に私は、政府に対し、今後、ただいま申し述べました四点を真剣に御検討をいただき、真に花も実もあるお取り計らいを強く要望いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#20
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。
 両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#21
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#22
○議長(重宗雄三君) 日程第二、国務大臣の報告に関する件(昭和四十三年度決算の概要について)。
 大蔵大臣から発言を求められております。発言を許します。福田大蔵大臣。
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(福田赳夫君) 昭和四十三年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 昭和四十三年度予算は、昭和四十三年四月十五日に成立いたしました本予算と、昭和四十四年二月二十二日に成立いたしました補正予算とからなるものであります。
 まず、昭和四十三年度本予算は、財政による景気抑制機能の実効を期するとともに、総合予算主義をとり、恒例的な予算補正の慣行を排除し、もって財政体質改善の第一歩を踏み出すことによって、財政が本来の機能を十分果たし得る基盤を確立することを基本とし、一般会計予算の規模を極力圧縮すること、一般会計の公債依存度を引き続き引き下げること、総合予算主義の原則により、公務員給与改定に備えて予備費の充実をはかるとともに、食糧管理特別会計への繰り入れについては、年度途中における米価改定等、事情の変更があっても、これより補正財源を必要としない方式を確立すること、財源の適正かつ効率的な配分につとめ、国民福祉向上のための諸施策をきめこまかな配慮をもって推進することとして編成されたものであります。
 なお、本予算成立後、国内米の政府買い入れ数量が著しく増加し、食糧管理特別会計の損失額が大幅に増加するという異常な事態に対処する等のため、食糧管理特別会計への繰り入れの追加等、当初予算編成後に生じた事由に基づき特に緊急に措置を要するもの、その他公債の減額等につきまして、所要の予算補正を行なったのであります。
 昭和四十三年度におけるわが国の経済を顧みますと、昭和四十二年後半から景気調整の影響も比較的軽微に終わり、昭和四十三年度中、全体として大幅な拡大を続け、その実質成長率は、二二・八%に達したのであります。また、昭和四十二年中、毎期赤字幅を拡大していた国際収支も昭和四十三年に入って急速な改善を遂げ、以後、総合収支は大幅な黒字基調となりました。この結果、昭和四十三年度を通じて見ますと、総合収支は前年度の大幅赤字から一転して十六億二千七百万ドルの黒字となり、外貨準備高も初めて三十億ドルをこえるに至ったのであります。このような経済環境の中で、日本銀行は、昭和四十三年八月に公定歩合を一厘引き下げ、同年十月から窓口規制も撤廃しました。財政支出面でも、上期においては警戒的に運営されておりましたが、下期に入って漸次その支出が進捗してまいったのであります。
 国内経済の拡大を需要面から見ますと、その主役は民間企業設備投資及び輸出と海外からの所得でありましたが、個人消費も堅調に伸び、民間住宅投資も大幅に伸びたのであります。このような国内需要の堅調と輸出の好調を反映して、鉱工業生産指数は、前年度に比べて一七・二パーセントの伸びを示し、企業収益も好調に推移し、昭和四十四年三月期で七期連続の増収増益となったのであります。
 このようなわが国経済の状況を背景として昭和四十三年度予算が執行されたのでありますが、以下、その決算の内容を数字をあげて御説明申し上げます。
 まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は六兆五百九十八億円余、歳出の決算額は五兆九千三百七十億円余でありまして、差し引き千二百二十七億円余の剰余を生じました。この剰余金のうち五千万円余は、国有財産特殊整理資金特別会計法及び国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法の一部を改正する法律附則第五項の規定によりまして、特定国有財産整備特別会計の昭和四十四年度の歳入に繰り入れ、残額、千二百二十七億円余は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の昭和四十四年度の歳入に繰り入れ済みであります。なお、昭和四十三年度における財政法第六条の純剰余金は百五十三億円余となっておるのであります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額五兆九千百七十三億円余に比べて千四百二十五億円余の増加となるのでありますが、このうちには、昭和四十二年度の剰余金の受入れが予算額に比べて千三百四十二億円余増加したものを含んでおりますので、これを差し引きますと、昭和四十三年度の歳入の純増加額は八十二億円余となるのであります。これは雑収入等におきまして三百八十四億円余を増加しましたが、公債金等におきまして三百一億円余を減少したためであります。
 一方、歳出につきましては、予算額五兆九千百七十三億円余に、昭和四十二年度からの繰り越し額千六十八億円余を加えました歳出予算現額六兆二百四十二億円余に対しまして、支出済み歳出額は五兆九千三百七十億円余でありまして、その差額八百七十一億円余のうち、昭和四十四年度に繰り越しました額は七百三十五億円余となっており、不用となりました額は百三十五億円余となっております。
 次に、昭和四十四年度への繰り越し額の内訳を申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定によりあらかじめ国会の議決を経て繰り越しましたもの六百九十億円余、財政法第四十二条ただし書きの規定により避けがたい事故のため繰り越しましたもの二十九億円余、財政法第四十三条の二第一項の規定により継続費の年割り額を繰り越しましたもの十五億円余であります。
 次に、予備費でありますが、昭和四十三年度一般会計における予備費の予算額は千二百億円でありまして、その使用総額は千百九十九億円余であります。
 次に、一般会計の国庫債務負担行為について申し上げます。財政法第十五条第一項の規定に基づく国庫債務負担行為の権能額は二千二百四十億円余でありますが、実際に負担いたしました債務額は二千百七十六億円余でありますので、これに既往年度からの繰り越し債務額千五百三十九億円余を加え、昭和四十三年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額千四百六億円余を差し引きいたしました額、二千三百九億円余が、翌年度以降に繰り越された債務額に相なる次第であります。
 財政法第十五条第二項の規定に基づく国庫債務負担行為の権能額は百億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は五十一億円余でありまして、既往年度からの繰り越し債務額及び昭和四十三年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額はありませんので、五十一億円余が、翌年度以降に繰り越された債務額と相なるのであります。
 次に、昭和四十三年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十三でありまして、これらの特別会計の歳入歳出の決算額を合計しますと、歳入決算において十三兆四千八十九億円余、歳出決算において十一兆九千二十七億円余であります。
 次に、昭和四十三年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、資金への収納済み額は五兆五百六億円余でありまして、この資金からの支払い命令済み額及び歳入への組み入れ額は五兆四百億円余でありますので、差し引き百五億円余が、昭和四十三年度末の資金残額と相なるのであります。これは、主として国税にかかわる還付金の支払い決定済み支払い命令未済のものであります。
 次に、昭和四十三年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。
 以上、昭和四十三年度の一般会計、特別会計、国税収納金整理資金及び政府関係機関の決算について、その大要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
#24
○副議長(安井謙君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次、発言を許します。和田静夫君。
   〔和田静夫君登壇、拍手〕
#25
○和田静夫君 私は、日本社会党を代表し、昭和四十三年度決算について若干の質問を行ないます。
 昨年二月二十六日の参議院本会議で、佐藤総理は、国会における決算審査の予算審査に劣らぬ重要性について同意されました。しかるに、政府首脳の決算委員会への出席状況はまことにりょうりょうたるものがあり、総理の参議院決算委員会への出席は、一年度決算につきわずかに二回、時間にして三時間にすぎません。これを予算委員会のそれと比較してみたとき、政府の決算審査軽視はおおうべくもありません。政府は、この事実をいかに考えられますか。
 次に、いわゆる補助金行政についてお聞きいたします。補助金行政が、いかに行政をゆがめているかはいまさら多言を要しません。あの予算編成期に見る利害関係者たちの、すさまじいばかりの跳梁ばっこぶりは何を意味するでありましょうか、総理がもし何もお感じにならないとしたら、それはあなたの政党政治家としての資格を問われることになりましょう。補助金行政は、行政官僚制組織と利益集団との密着をもたらすだけではありません。いや、むしろ反対に、利益集団間及び利益集団内の利害対立の激化という状況を基礎に、行政官僚制はその調停者であると同時に、政策形成過程においてイニシアチブを握るものとして、その機能領域を拡大しつつあるのであります。
 私は、いま、この関係を中央官僚の地方自治体への、いわゆる天下り特権人事との関連で見てみたいと思います。さきの第六十一国会で、私がこれに関し、幾つかの具体的事例を示したとき、当時の野田自治大臣は、その実態について、少し度が過ぎているのじゃないかと、率直に認めました。総理もまた、不適当なことだと述べられました。一体、地方自治体は中央の若い行政官の才能や、社会科学の素養を欲しているのでしょうか。それにしては、彼らはあまりにも一つの自治体に定着せず、一年か二年でポストを渡り歩き過ぎています。地方自治体の側がほしがっているのは、中央官僚の才能などではなく、中央官庁とのコネクションそのものということになります。地方自治体の側にあるのは、中央から派遣された行政官を介して、補助金獲得を少しでも有利に展開しようという意図であり、中央からの派遣要請を断わった場合における仕返しへの恐怖とでも言うべきものでありましょう。このように、中央の行政官僚制の機能拡大が、行政的締めつけによってではなく、補助金行政、つまり財政を媒介として、地方自治体をも巻き込んだ形で進行している事態について、総理はどのようにお考えになりますか。そして、さらにつけ加えたいことは、このようなものとしてある中央官僚の地方自治体への天下りは、天下っていく官僚の善意を越えて、その存在そのものが地方自治の理念とまっこうから矛盾するものだということであります。との天下り特権人事の実態の詳細については、別の機会に私は明らかにするつもりですが、さきの国会で、総理が私の質問に答えて、不適当だと認められたその実態は一向に改善されておりません。総理は、この実態を少しでも改善する意思があるのかどうか。あるとするならば、具体的にどのような形でそれをやられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 ここに水色の、ただ「名簿−昭和四十四年十二月現在」と書かれた名簿があります。これは旧内務省から自治省へと引き継がれたもので、つまり国家公務員の上級職試験にパスした者のうち、さらに自治省試験を受けて通った者が、毎年この名簿に記載されるわけです。ここにその名前を記載されている自治省の幹部職員の数と、定員法との関連はどのようなことになっているのでしょうか。まさか霞が関のあの人事院ビルで働く自治省職員の数は、行政機関職員定員令に違反してはおらないでしょう。しかし、そこにははなはだしい数の自治省職員が県庁などに天下っている前提があるのです。私がここで総理に訴えたいのは、それを前提として定員以上に職員が採用され、それを前提として人事計画が立てられているということであります。たとえば、昭和三十九年に二十名が試験にパスし、自治省の幹部職員としてこの名簿に掲載されました。ところが、ふしぎなことに、三十九年にはこの人たちのうち、だれ一人として自治省に勤務した者はありません。すべて各県の地方課などにまず勤務し、四十一年ないしは四十二年になって自治省に帰ってきています。最近、行政管理庁は、やみ定員といわれる国家公務員の定員外職員の実態調査に乗り出しているそうでありますが、その場合、たとえば各省の職員として採用されながら地方団体などにいわば出向している職員についても、一種のやみ定員として調査対象に加えるよう、総理は指示すべきだと私は思いますがいかがですか。
 さらに続いて総理と行政管理庁長官にお尋ねいたします。
 昭和三十九年九月、かのフーバー委員会の日本版といわれた臨時行政調査会が総理大臣に対して歴史的答申を行なった中で、公庫、公団、事業団等特殊法人の整理、統合の推進が具体的に名前をあげて提案をされたとき、私もまだ議員でありませんでしたが、国民の一人としてきわめてすがすがしい気分を味わったものでした。しかるに、その後、この答申の実現は遅々として進まないばかりか、その廃止または他事業への吸収を勧告された医療金融公庫が理事を一人増員をしております。森林開発公団や畜産振興事業団が業務内容を拡充しているのはどうしたわけですか。総理の弁明をお聞きをしたいと思います。
 また、行政監理委員会は、四十二年八月、「特殊法人の改革に関する第一次意見」をまとめて行政管理庁長官に提出し、その実現方を要望したはずですが、政府は、四十二年十月に郵便募金管理会と魚価安定基金の廃止、漁業協同組合整備基金の四十六年度以降の廃止、日本てん菜振興会の四十七年度以降の廃止を、同年十二月に北海道地下資源開発株式会社の民間企業への改組、日本学校給食会の四十五年度以降の廃止、東北開発株式会社の業務の再検討及び日本蚕糸事業団と糸価安定特別会計の機能の一元化と同会計の廃止を閣議口頭了解しただけで、あとはうやむやにしてしまっています。行政管理庁長官は、この問題を今後どのように扱うつもりでいるのか、お聞かせください。いずれにせよ、近時、行政機構の新設はかなり抑制され、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの原則が貫かれているにもかかわらず、特殊法人のそれについては必ずしもその原則が貫かれておらず、その数は実はふえる一方であります。四十五年度末には実に百十四に達しようとしていることは理解に苦しまざるを得ません。納得のいく答弁を長官から求めたいと思います。
 なお、特殊法人の新設については、行政管理庁の審査を経る必要のない、いわゆる隠れ法人の問題があります。これは、特殊法人が、公社、公庫、銀行、公団、事業団、金庫、基金、その他の法人といったぐあいに、種々広範囲にわたって、名称もさまざまであり、その区別、性格等について基準がないために生ずる問題であります。国家行政組織法の中にその設置基準を明確に規定をし、こうした隠れ法人をなくすことが急務だと思いますが、行政管理庁長官のお考えをお聞かせください。
 自治大臣に尋ねます。
 最近数年における地方財政計画額と決算額との開きを歳出面で見た場合、昭和三十九年度六千八百三十九億、四十年度七千五百三十億、四十一年度八千九百十四億、四十二年度九千五百四十一億円といったぐあいで、次第に拡大をして、四十三年度にはついに一兆円をこすことが予想されております。開きがこのように大きくなるということは、そもそも、あるべき地方財政の姿としての地方財政計画の存在意義が問われることになると私は思うのでありますが、大臣はいかがお考えですか。もちろん、地方財政計画と決算とでは、たとえば、国庫補助職員の給与費は、計画上は給与費に入れずに一般行政費に含めて計算しているのに、決算上は給与関係費の中で処理しているように、費目によって処理方法が異なっています。したがって、費目ごとに計画と決算とを比較するには、どちらかを組みかえて、内容的に同質化をはかることが必要になります。そうしてその結果、自治省はいわゆる超過負担と公営企業への一般会計からの繰り出し金とを、そのきわめて重要な要素としているのであります。しかるに、超過負担の解消について考えてみれば、四十三年度の予算編成にあたって、大蔵、自治両大臣間で覚え書きが取りかわされて、今後三カ年間においてその解消がはかられることになったはずであり、四十五年度はその三年目に当たります。また、自治省も、「超過負担の解消は順調に行なわれている」と何度も言明しているところであります。また、公営企業に対する繰り出し金の取り扱いにしても、昭和四十年の地方公営企業制度調査会の答申に基づき大幅な改正が行なわれ、その改正骨子の大きな柱の一つとして、負担区分の明確化ということが行なわれました。すなわち、一般行政費で負担すべき費用、たとえば、伝染病予防のための費用や消防用の水道使用経費を病院会計や水道会計で支払うのをやめて、一般会計の負担とするとともに、その他の経費は、特別のものを除いて、使用料による独立採算制とするという制度が確立したわけであります。それとともに、地方財政計画に計上される公営企業への繰り出し金の額も、四十一年度二百七十四億、四十二年度三百三十三億、四十三年度六百八十六億、四十四年度は実に一千百四十八億円にものぼっているのであります。とのように自治省の考え方によるところの計画額と決算額との開きを助長する要素は、ますます縮小していっているにもかかわらず、どうしたことか計画額と決算額との開きがいよいよ拡大する趨勢にありますが、自治大臣の明確な説明を求めておきたいと思います。
 農林大臣に一点だけお尋ねし、詳細については、決算委員会質問にゆだねたいと思います。
 群馬県吾妻郡嬬恋村三原にある三原牧野農協が、国から安く払い下げられた放牧場を、県の許可もなく、払い下げた値段の四千倍以上で観光会社に売って、組合員で山分けした問題は、いま世間の反響を呼んでおりますが、このような事例は、過去にもあったようであります。そこでお尋ねしたいのは、農地法の適正な運用に違反したこのような事態について、農地法上の転売規制の問題なり、国有農地払い下げ基準の問題なり、政令価格の適否の問題なり、あるいは罰則の強化なりの問題が、私は考究されなければならないと思いますが、農林大臣の見解を承っておきたいと思います。
 最後に、総理、そして首都圏整備委員長であり、近畿圏並びに中部圏整備本部長である建設大臣にお尋ねをいたします。
 昭和三十一年に首都圏整備法という法律ができた。この法律は、第十五条で、「委員会は、毎年度、内閣総理大臣を経由して国会に対し首都圏整備計画の作成及びその実施に関する状況を報告するとともに、その概要を公表しなければならない。」、こううたっているのであります。もちろん、近畿圏整備法にも、中部圏開発整備法にもこれに相当する条項があります。しかるに、この義務が過去十年以上にわたって怠られてきたということは、私は、さきの国会で指摘をし、その点について前建設大臣も遺憾の意を表せられたところであります。つまり、首都圏整備計画なり、近畿圏整備計画なりの重大な構成要素である毎年つくられるべき事業計画が、過去十有余年間にわたって、法施行以来一度もつくられたことがなかったのであります。これは、いかに抗弁されようとも、政府が、明らかに法で定められた義務を怠ってきたことを示しております。そして、首都圏整備法第十条に、内閣総理大臣は、委員に職務上の義務違反があると認めたときは罷免をするとなっている以上、法を厳密に適用したならば、坪川前建設大臣も、あるいは先ほどまでここにすわっていたその前の保利建設大臣、現官房長官も、当然、佐藤内閣総理大臣の手によって罷免されていたはずなのであります。一九七〇年代は都市問題の時代とも言われるときに、その政策の基本計画の基礎が怠られ続けることは許されません。ともあれ、第六十一国会において、政府側ははっきりと過去をわびて、昭和四十五年度からつくると約束をされました。
 そこで、首都圏整備委員長としての根本建設大臣にお尋ねするわけですが、事業計画とは、その年度の事業計画である以上、前年度末には私はできていなければならないと思います。四十五年度事業計画は、もうできましたでしょうか。できていないとすれば、それはいつごろできるのでしょうか。そして、国会答弁として、過去を振り返りながら、過去をわび、四十五年度からつくることが約束されている以上、私は、まさかとは思いますが、今度また義務不履行がなされた場合、佐藤総理は、首都圏整備法第十条に基づいて、建設大臣を当然罷免すべきだと思いますが、その点、お約束いただけますか。
 以上で私の質問を終わります。説得力のある答弁を求めます。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(佐藤榮作君) 和田君にお答えいたします。
 まず、決算に対する私の姿勢で、おしかりを受けたのでございますが、もちろん、決算を軽視するようなことがあってはなりません。予算の執行が所期の政策目的を果たしているかどうかは、次の予算の編成のためにもきわめて重要なものであり、また、不正不当な事項がないかどうかは、国民の税が適正に使用されるかどうかにつながっている問題として、強く重視するものでございます。これらについては、今後とも、いままでのとおり十分気をつけてまいる考えでございます。
 次に、地方団体への天下りにつきまして、いろいろの御意見もまじえてのお話でございました。和田君は多くの具体例をあげられました。私は、補助金は国民生活の末端につながるものだけに、それだけに、補助金行政の多い中央官庁の職員が、自然、地方行政にも通じやすいという事情から、地方団体からの要請に応じて人事の交流が多く行なわれるということであろうかと思います。決して、補助金そのものと直結していわゆる天下りが行なわれる、あるいは国がその職員を地方団体に押しつける、こういうことをすることではありません。私は、いま申し上げたような事情を背景として、国の職員がその身分を離れて地方団体の職員として地方行政のために尽くすことは、決して地方自治の精神に反するものとは考えておりません。国と地方が、それぞれの立場をよく理解し合う、そういうためにも大いに役立つことかと思います。いまのは国の場合でありますが、そのような意味におきまして、地方団体の職員が国の職員として勤務したいという希望のある場合には、その活躍の場を与えたいと、かように考えるものであります。
 また、公社、公団等の特殊法人の整理統合については、臨時行政調査会の御意見に応じ、昭和四十二年四月から、すべての特殊法人の再点検を行ない、四十三年、四十四年の両年度におきまして、いわゆる五法人の整理、再編成を行なったところであり、さらにまた、日本学校給食会等三法人についても逐次措置する予定であります。しかし、なかなか指摘されましたとおり、まだまだ不十分でございます。これらの法人につきまして、行政機構の簡素化、合理化も引き続いて検討していく考えでございます。
 最後に、首都圏整備法に基づいての措置についてのお話でございました。私は、いわゆる第十条、これを適用することのないような事態が望ましい、かように考えておりますが、ただいま、第十条で罷免しろ、こういうお話でございますが、私は、とくと、そういう場合にこういうことのないように指導したい、こういう考えであります。(拍手)
   〔国務大臣荒木萬壽夫君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。
 私に対する御質問の第一は、臨時行政調査会ないし行政監理委員会から、特殊法人等の整理統合の意見具申ないしは答申があったんだが、あまり成績があがっていないじゃないかというふうな御質問であったと思います。いま総理大臣から包括的な御答弁がございましたので、補足的なことを申し上げさせていただきます。
 もともと、臨時行政調査会設置法が審議されましたときに、衆参両院におきましては、行政機構の改革、整理統合をやるについては、しっかりやらなきゃいかぬけれども、出血整理まかりならぬという附帯決議をつけていただいておるのでありまして、臨調答申そのものも、その線に沿っての答申でございます。したがいまして、いままでやりましたのも、いわゆるスクラップ・アンド・ビルド式の整理をやっておりまして、そのものずばりやめてしまうということは、愛知用水公団程度のものでございまして、実際問題としては、なかなかそのものずばりのことは困難でございます。今後も、したがいまして、出血整理をやらないやり方で、徐々にではございますけれども、前進していこう、こういうかまえでおることをお答え申し上げたいと存じます。
 なお、現在の特殊法人に対して整理するどころか、理事をふやしたり、仕事をふやしたりしているじゃないかという御指摘がございますが、そのとおりにやっているものがございます。ございますが、それはそれなりの理由はあるんだと私は思うのであります。たとえば、日本蚕糸事業団、これに対しましては、糸価安定特別会計を廃止いたしましたために、その関係の仕事の残りを蚕糸事業団に追加することにいたしました結果であります。また、社会福祉事業振興会について同じようなことがございますが、それも心身障害児保険共済事業をこれにあわせて行なわせるということにしましたための結果でもございます。さらにまた、森林開発公団、これにある程度の仕事が加わっておりますことも事実でございますが、それはスーパー林道の開設等をこの森林開発公団にやらせるということにしましたためでございます。その他にもございますが、それなりの理由、必要性はあったろうかと思います。
 それからなお、公社、公団、特殊法人等、特例法人ができるようなことになるわけなんだが、それも結局は何らかの基準が必要じゃないかという意味の御指摘であります。それは私も同感であります。本来、戦争に負けました直後に行政機構その他の基本組織を定めましたのが、御案内の行政組織法であります。これももう二十年以上たっておりまして、占領中のことでございましたので、今日の諸般の環境、条件の変化に応じて再検討をする時期に来てはいないであろうかと存ずる課題でございますが、その検討の一つの課題として御指摘の点もあわせ検討を加えたい、かように存ずることを申し上げてお答えにかえさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣秋田大助君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(秋田大助君) 地方財政計画は、御承知のとおり、単年度の投資ベースにおきまする全地方団体の標準的な歳入歳出の見積もりでございますので、どうしても実際のその財政運営の結果でございまする決算との間にある程度の差が出てくるわけでございます。しこうして、その原因といたしましては、歳入決算におきましては、計画に計上されていない受託事業の収入でありますとか、貸し付け金、回収金、あるいは預金利子、他会計繰り入れ金の諸収入があることのほかに、地方税におきまして超過課税でありますとか、また自然増収があり、また地方債のいわゆるワク外縁故債や繰り越し金なども含まれているためでありますし、また歳出の面におきましては、計画に計上されていない積み立て金とか、単独分の出資金であるとか、貸し付け金、また国の委託事務費等があることと、ただいま御指摘もありましたが、人件費につきましては、計画上は標準的な職員数と国家公務員の給与ベースによって算定しているようなことがあり、そのほか投資的経費につきましては、決算には計画に計上されていない受託事業費やワク外債充当事業費などが含まれているためであります。さきに申し上げましたとおり、地方財政計画の性格から見まして、実際の財政運営の結果でございます決算との間に、ある程度の乖離が生ずるのはやむを得ないといたしましても、ただいま御指摘のとおり、近年その差が拡大の傾向にあることは事実でございまして、今後ともこの点を改めまして、その差を極力縮小をはかるよう努力してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。
 昭和二十七年に群馬県嬬恋村三原牧野農協に売り渡しをいたしました土地は、地元農民が馬を飼育いたしますための採草地として、旧自作農創設特別措置法によって売り渡しをしたものでございます。当時はこの地方はおもな馬産地でございましたので売り渡しの意味はあったのでありますが、その後十数年の間に、馬産の衰退とともに放置されまして山林状況になったものがあります。このような農業事情の著しい変化もございまして、行なわれた土地の処分を農地法そのものによって防止することははなはだ困難でございますが、今後は農業振興地域の制度の適切な運用と相まって、農業上の土地の利用が計画的に行なわれますように十分に指導してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣根本龍太郎君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(根本龍太郎君) お答え申し上げます。
 昭和四十五年度の首都圏の事業計画はいつできるかと、こういうことでございます。現在、首都圏整備委員会において作業を進めつつあります。なるべく早く関係の行政機関、都県並びに首都圏整備審議会の意見を求めまして策定いたしたいと思っております。大体、四十五年度早々にもこれは作成してきめたいと思っております。(拍手)
    ―――――――――――――
#31
○副議長(安井謙君) 沢田実君。
   〔沢田実君登壇、拍手〕
#32
○沢田実君 ただいま議題となりました昭和四十三年度決算につきまして、公明党を代表し、佐藤総理大臣並びに関係大臣に質問をいたします。
 質問の第一は、決算制度のあり方についてであります。決算は、国民のとうとい税金や零細な預金、貯金等を含む予算や財政投融資が正当かつ効率的に執行されているかどうか審議するものであろうと思います。会計検査院の昭和四十三年度決算検査報告によりますと、不当事項は百七十七件、その金額は十二億円を突破しております。しかし、それは要検査個所三万八千五百五十八カ所中二千八百二十七カ所、検査率七・三%の結果なのであります。検査院の多年にわたる経験と重点的な検査の結果でありますので、同じパーセントにならないとは思いますが、いまかりに要検査個所全体に同率の不当事項があると仮定いたしますと。二千四百カ所を上回り、その金額は百六十四億円に達する計算になるのであります。総理大臣は、昨年の衆議院における同趣旨の質問に対し、「重点検査対象については、三年に一度という基本線は維持しておる」と答弁されておりますが、院法第二十二条により、検査院として検査をしなければならない個所について、その検査率が七・三%であって、第二十三条の範囲まで拡大した全検査対象を検査するとすれば、何十年に一度の検査も不可能であるという会計検査の実態を御認識いただきたいと思うものであります。検査院より指摘された不当事項に対しては、各省、各庁から国会に対し説明書が提出されておりますが、検査院において実地検査のできなかった個所に対する同傾向の不当な点について、各省がみずからの手で発見し措置する努力をしておられるのかどうか。さらに、国会からの警告事項に対しても各省は十分徹底した措置をなされているのかどうか、その点に対する政府の基本姿勢について総理の答弁をお願いしたいと思います。
 第二に、決算を承認案件とすることについてお尋ねいたします。申し述べるまでもなく、税とその使途について権力の横暴を許さないということで議会の成立があったわけでありますので、その収支が国民の前に明らかにされなければ、議会はすでに使命を失っているとも言えると思います。われわれは、国家財政運用の効果を大衆福祉に直結させるために最善の努力をしようとするものであります。決算について、その報告の必要がなぜ発生したかといえば、申すまでもなく、金を出した人がその金の使途について会計報告を求めるという当然の要求からなのであります。わが国の予算に対する決算のあり方は、その初歩の道理からも逸脱していると思います。明治憲法下においてさえ、国家の財政に対して国民の側に立とうとした人は、決算は国会がこれを承認したときに初めて磐石不動のものとなるという論陣を張って、決算を国会の承認案件とせよと叫んだ事実があるのであります。憲法上の議論は種々あろうと思いますが、少なくとも主権在民、人間尊重の基本に立ち、歴史的、現実的に創造、補完していくという立場に立つならば、憲法第九十条により決算を議案とせよという主張は憲法に反するものではないと思うものであります。総理の所信をお尋ねいたします。
 さらに、会計検査院の性格、使命については、院法で内閣よりの独立性を宣明しておりますが、実際にはその独立性をそこなうものがありはしないかということであります。一例を申し上げますと、会計検査院が不当事項を決定する際、その基準の一つとして、行政府の内部規則を用いていること等であります。そのために防衛庁のごとき、予算額が毎年急速に増加しているにもかかわらず、不当事項の指摘が一件もないのはおかしいという疑惑が出てくるのであると思います。また、かつての共和製糖事件のとき、国有地と民有地との交換価格の問題について、検査院は林野庁の内部規程どおりであるということで、不当とは言わなかったのでありますが、参議院における追及の結果、内部ルールの不当がはっきりし、林野庁も規程を改正せざるを得なくなったという事実があるのであります。検査官人事についても、検査院の出身者、国会事務局の出身者、大蔵省の出身者で三分している現在の姿がはたして適当なのでありましょうか。内閣とも距離を置き、しかも民間人として財政問題にも明るい有力な人材を求める必要があるのではないでしょうか。会計検査院の体質改善、人事改革の必要性について、総理並びに大蔵大臣の所信をお尋ねいたします。
 第三に、米の生産に対する長期見通しに関してお尋ねいたします。食糧管理特別会計の調整資金に充てるため、一般会計から調整勘定に繰り入れた金額は二千七百八十五億円になっております。この金額は四十二年度に比し三百七十億円の増加であります。さらに四十五年度においては三千億円を突破する多額に達している現状であります。その原因は、政府も予測し得なかった米の大豊作、大増産によるものであり、農林省には責任がないかのごとく表明しておりますが、はたして長期見通しの樹立は期待不可能な問題であったでありましょうか。農林省は、昭和三十七年五月、「農産物の需要と生産の長期見通し」を作成し、公表しております。それによりますと、昭和四十六年には、稲作面積三百二十万ヘクタール、十アール当たり収量四百五十キログラム、一千四百万トンを突破すると見通しております。約十年前から、現在の米の余剰については十分見通しを立てておられたはずであります。しかし、余剰米対策とは反対に、増産を奨励し、新規開田、干拓、増産品種の研究と奨励に努力をなされた農林省の責任はどうなのでありましょうか。総理並びに農林大臣の御答弁をいただきたいのであります。
 さらに、昭和四十四年度の政府方針に協力して作付転換をした面積は、四十五年度の生産調整の減反分に含まないという農林省の方針は、全くまじめな、特に中小農家にとって深刻な問題であります。今年生産調整に協力をしても、来年はどうなるのだと心配する農家の不安は当然のことであると思うものであります。この点について農林大臣に重ねて答弁をお願いいたします。
 最後に、政府関係機関決算書のうち、日本電信電話公社決算書について、郵政大臣にお尋ねいたします。公社の財産目録によりますと、特別専用施設として約二十四億五千万円が計上されております。これは米軍が使用している専用設備でありますが、終戦処理費及び安全保障諸費による施設であります。その使用料未収額は八十億九千万円に達しております。政府は日米合同委員会を通じ外交交渉によって折衝を続けているとのことでありますが、昭和二十七年以来十八年を経過しようとする問題でありますので、米軍との見解の相違があるというだけでは済まされないと思うのであります。電電公社と米軍との契約であるから、政府は関知しないとはよもやお考えではなかろうと思いますが、大臣の所信をお尋ねいたします。
 政治は国民のためのものであるという国民の期待に反しないためにも、決算に対する政府の基本姿勢の重要さを強く主張いたしまして、政府の責任ある答弁をお願いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(佐藤榮作君) 沢田君からは、まず会計検査院の検査率が十分でないと御指摘がありましたが、重点検査対象につきましては三年に一度、基本線を維持していることは、さきの国会におきましても私が申し上げたとおりでございます。今日も同じようにお答えをいたしておきます。会計検査院におきましては、その必要な検査対象以外のものにつきましても、必要と判断されれば、随時検査対象に加え、予算執行の実態を的確に把握し得るよう、十分配意されているところであります。その点は御承知のことだと思います。
 次に、会計検査院の検査の対象にならなかった事項につきましても、各省庁におきまして内部監査を実施し、あるいは職員の資質の向上に資するための研修を行ない、予算執行の適正化、これに努力をしておる状況でございます。したがいまして、御指摘になりましたように会計検査が一つの見本になって、各省ともこの使い方については、その適正化に努力しておる次第でございます。
 次に、決算を国会承認事項の議案とすべきであるとの御提案がありましたが、決算を国会承認の議案とすることは、沢田君の主張されるとおり憲法に違反するものではありませんが、現行憲法が予算につきましては議決、決算については提出、こういうように書き分けております。そのことからもおわかりいただけるように、事柄の性質上、国会の議決による可決成立ということにはなじまない制度である、かように御理解をいただきたいと思います。
 次に、会計検査院の性格、使命につきましてお尋ねがありました。会計検査院は内閣に対して独立の地位を有し、会計の検査、会計経理の監督を行ない、その適正を期し、是正をはかることを使命としていることは御承知のとおりであります。したがいまして検査官の人選につきましても、政府としては独立性、中立性を堅持して、公正妥当な判断を下し得る人、そういう人材を、出身のいかんにかかわらず、広い視野に立ちまして選定して、そうして国会の御同意を得て任命することとしております。その増員については、ただいまのところ考えていません。
 次に、米の過剰並びに米の買い入れ等についてのお尋ねがありましたが、これは農林大臣に譲ることにいたしたい。また、郵政省と米軍との関係の問題も郵政大臣に譲らせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(福田赳夫君) 私に御指名がありましたが、私に関係することはすべて総理大臣のほうから、詳細にお答えがありましたので、省略さしていただきます。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。
 御指摘のように、昭和三十七年五月に出しました「農産物の需要と生産の長期見通し」では、長期的には米の生産は需要を若干上回って、米の需給は緩和の方向に向かうだろうと申しておったわけでありますが、三十七年以降の実績を見ますというと、三十八年をピークにいたしまして、その後逐次減少になりまして、三十八年には千三百万トン台を割るようなことになってまいりまして、そこで御存じのように、昭和四十年には外米を百万トン以上も輸入せざるを得ないという状況になってきたわけであります。ところが、そのころから、わが国の経済事情も変わってまいりましたし、国民の所得水準が逐次引き上げられるにつれて、米の一人当たり消費量が、御存じのように、逐年低下しておるわけであります。そこへもってきて、農業技術の進歩によりまして、反当収量が著しく大きくなってまいりました。こういうようなことが重なってまいりまして、御承知のように、四十三年度には、千四百四十五万トンというふうな米の過剰が決定的となった次第でございまして、こういうような事態になりましたものですから、四十四年には、一万ヘクタールをとりあえず減反して、他の作目に転換しようということを試みたわけでありますが、いよいよ昭和四十五年には、百五十万トン以上の生産を調整しなければならないと、こういう事態に相なってまいったことでございますので、ひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。
 それから、いま申し上げました、その昨年の一万ヘクタールについて約半分以上協力したものに対して、本年分も、これ、めんどう見たらどうかというお話でございますけれども、昨年の稲作転換対策は、米の需給の緩和に対処いたしまして、とりあえずの措置として、一万ヘクタールを目途に、転作に必要な機械施設などを導入いたしまして、かつ集団的に行なう稲から他作物への転作を進めることとして実施いたしたものでございます。ところが、来年度の百五十万トンにつきましては、米の過剰の深刻化に伴って、緊急に米の需給の均衡をはかりたいということは同じでございますが、今回は、転作のみならず、休耕をも含めて生産調整をいたしたいという、こういう取り組み方をいたしてまいっておりますので、以上の趣旨から、四十五年度の減産計画は四十四年度の転作の進捗を見込んだ上の措置でございますので、四十四年度の転換面積は四十五年度計画のワク外といたした次第であります。どうぞ、この辺も御了承をお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣井出一太郎君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(井出一太郎君) お答えいたします。
 米軍の専用電話料金につきましては、これは大部分は正常に支払われておるのでございますが、ただ、いま沢田議員御指摘のように、日米間において地位協定について解釈が対立しておる面がございまして、この点、ただいま、事実関係は御指摘のとおり八十一億円ばかりが未払いに相なっております。そこで、従来、鋭意努力をすると、こういうお答えが長い間続いてきておるようであります。これをひとつ口頭禅におちいることのないよう最大の努力をいたす、かように申し上げて、お答えにかえるわけであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○副議長(安井謙君) 高山恒雄君。
   〔高山恒雄君登壇、拍手〕
#38
○高山恒雄君 私は、民社党を代表して、昭和四十三年度決算報告をめぐり若干の質問を申し上げます。ただし、許された質問時間がきわめて少ないために十分その意を尽くせないと存じますが、答弁は、御理解の上、十分なる御回答を願いたいと思います。
 まず、第一に、決算を含む財政のあり方の基本問題について総理にお伺いいたします。なるほど、この決算報告は、財政法上おそらく適法の手続をもって提出されたものと思います。行政府の中では、会計検査院の全機構をもって綿密に検査されていると思いますが、立法府である衆参両院には、そのような事務機構もないし、この膨大な報告書をサンプリング調査する機能もないのであります。私は、この反省の上に立って、二点お伺いいたしたいのであります。
 一つは、国の予算は、単年度主義にとらわれず、少なくとも二年または三年程度の多年度にまたがる弾力的な運営をすべきであります。この面より、財政法改正に踏み切る時代がすでに到来していると思いますが、この件についての総理の御見解をお伺いいたします。
 もう一つは、今回の検査院報告によりますと、百二十七件、三億八千七百万円の不当行為が指摘されております。これは全体の八%を抜き取り調査した結果ですから、不当行為はおそらくこの数倍になると思います。予算編成にあたっては、各官庁並びにその背景にある与党と各種圧力団体の毎年の醜い予算ぶんどり競争は目に余るものがありますが、決定後の使途についてはきわめて軽視され、不正、不当はあとを断たない状態であります。総理並びに大蔵大臣は、予算編成及び予算の執行についての綱紀粛正についていかなる見解を持っておられるか、お伺いしたいのであります。
 次に、重大な問題として、日米外交問題となり、かつ国内産業政策問題となっている日米繊維交渉とこの影響を受けざるを得ない中小繊維企業対策についてお伺いいたします。本日までの両院における政府答弁を通じて明らかにされた点は、総理は外交交渉による早期解決ムードで主張され、外務、通産両大臣はいずれも被害事実の立証が確認されない限り交渉に応じないと言明されていますが、特に、総理は米国向けの互譲の精神の必要性を説かれ、外務、通産大臣は国内に向けて分業しているかのごとくで答弁されておりますが、このような重大な案件についての政府の統一見解がないのであります。すでに、吉野公使の朝帰により、報告もお聞きになったことですから、総理の決意のほどをこの壇上より明確な政府の統一見解として示すべきであると思うのであります。
 さらに、総理にお伺いいたします。米国側より日本が納得のいく被害事実の立証がない以上解決は困難であること、米国側が申し出ている包括規制方式はガット協定に反するから、これに対して明確な拒否の態度を明らかにすべきだと思うのであります。この二つを現時点において政府は明示すべきであると思うが、総理の見解をお聞きしたいのであります。
 ひるがえって、今後の国際化時代に対応すべきわが国の中小繊維企業の現状を見ますと、昭和四十二年度から繊維工業に対する構造改善事業が開始をされたにもかかわらず、産業としての体質改善はいまだ中途にあるのであります。経済白書は、昭和四十三年度の織物業の生産活動が沈滞していると報告しているのであります。化合繊を中心とする中小機屋は対米輸出の消長によって操短を余儀なくされておりますが、中小企業倒産の最も多い比率を占めているのが常に繊維関係であります。そこで、対米輸出の八割を占めている北陸三県の繊維倒産が常に全国平均を上回っているのであります。この現状に、日米交渉の安易な妥協によって対米自主規制をすることになれば生産は操短し、滞貨は増加して、現在、金融引き締めと相まって運転資金に困る中小企業等は大混乱を招くことになるのであります。そこで、総理大臣にお伺いしたいのでありますが、総理の言われる互譲の精神という目標はいかなる内容を指しているのか。貿易管理令、輸出入取引法の両法ともにそれは不可能と私は判断いたしております。また、互譲とは、ガットを無視して譲ることに通じますか、政府の見解を伺いたいのであります。
 さらに、通産大臣にお伺いしたいのでありますが、自主規制に対して業界がかりに同意しなかった場合は、自主規制の実施ができるとお考えかどうか、お伺いいたします。
 最後に、私は農政関係について三点ほどお尋ねしたいのであります。
 その一つは、政府が今後農政に取り組もうとする基本方向と具体的施策についてであります。御承知のように、政府が総合農政を叫び始めてから二年を経過いたしておりますが、残念ながら何一つ具体的中身は明らかにされておりません。一体、政府は日本の農業をどの方向に持っていこうとしておられるのか、この際、大胆率直に、将来の農業のあり方を農相よりお示し願いたいと思うのであります。このことは昨年末の総選挙で公約されていることでもありますから、いまだに策定に着手していないとすれば、その責任は重大であると思うのであります。この点もあわせてお伺いいたします。
 次にお伺いいたします点は、最近の政府の農政が例年の米の豊作に引き回されて、米の過剰対策に頭を痛め切っている感がいたしますが、農業施策の根本は、やはり農業基本法に据えた経営規模拡大等、いわゆるわが国農業の近代化に置かれていることは申すまでもありません。すなわち、国民経済の将来に大きく影響する農業生産性についてであります。現在のわが国農業は非農業に対する比較生産性が三七%という低さでございます。民社党といたしましては、これらを二倍の七五%まで引き上げるべきだという目的を持っているのでありますが、その具体策を体系的に整理すべきだと考えて主張してきているのであります。ところで、政府は一体どこまで生産性を引き上げようとするのか、農相にお伺いいたします。つまり生産性の格差部分である六三%を財政、国民経済全体で保護するのではなく、自然産業としての絶対的な格差部分である三〇%前後を保護政策でカバーするのが、日本の実態から見て、国民経済的にも妥当であろうと私は判断するのでありますが、はたして政府はどのような考えをお持ちなのか、農林大臣の御所見をお伺いして、以上をもって私の質問を終わりたいと思うのであります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(佐藤榮作君) 高山君にお答えいたします。
 まず、国の予算について多年度にまたがり弾力的に運営するため、財政法を改正せよとの御提案でありましたが、予算の効力を全面的に多年度にわたるようにすることは憲法上も問題があるのではないかと考えますので、財政法の改正はただいま考えておらないことをはっきり申し上げておきます。もとより、予算の弾力的、効率的執行が大切なことであることは御指摘のとおりであります。このため必要に応じて、繰り越しの制度があったり、国庫債務負担行為あるいは継続費の制度等がありますので、これらの点でただいまの多年度にわたり必要なものは、一応まかなっておるように思います。
 次に、検査の抜き取り調査の問題でありますが、私は重要な案件については大体三五%程度の抜き取りが実施されている、かように聞いておりますし、またそのようになっております。したがいまして、先ほどもお話がございましたが、まあ三年というその制度は、重要な案件についてはこれで満たされるのではないか、かように私は考えております。したがって、ただいまの程度でまず一応まかなえるのではないかと、こういうことであります。
 また、予算の編成におきましては、圧力団体によりまして予算がゆがめられるとの御批判がありましたが、決してそのようなことはありません。予算の内容をよくごらんになっていただければ、適正な調和のとれた予算であることがよくおわかりいただけると思います。私は、福田大蔵大臣が、特に予算編成にあたりましては、各党にも呼びかけて注文なども聞いておりますし、たいへんその態度は謙虚な、慎重な予算編成の態度であると、かように思っておりますので、これらの点は、編成のほうはうまくいっておりますから、今度は適正な執行、こういうことについて、この上とも十分留意してまいるつもりでございます。
 次に、重要な問題として、繊維問題についてのお尋ねがありました。これは、すでにもう委員会等を通じ、しばしば申し述べておりますので誤解はないことだと思います。私は、この日米の間にあります問題で、ただいま懸案事項になり、利害が衝突しておるのはこの繊維問題だと、かように思っております。したがいまして、当面の最大の懸案である日米間のこの問題を早急に解決することが、何としても日米間の緊密な友好関係を持続することにも通ずる道ではないかと思います。その上、ただいま高山君も御指摘になりましたように、現状においては、現状のまま推移することは、日本の国内における繊維業界の非常な不安を買っておる。先行きまことに不安な状態だ、こういうことで、私はそのほうも憂慮にたえないのでございます。したがいまして、私は国内問題から見ましても、これができるだけ早く解決され、そうして安堵される、こういうことが必要ではないだろうかと思います。私がかように申したからといって、ただ単に急いでばかりいて、そして譲るばかり、それで解決するのだ、こういうことを申しているわけではありません。これを解決するには、それぞれおのずからその仕組み、あるいはよるべき法則があると、かように私は考えますので、それによりまして合理的な解決をはかる必要がある、かように考えます。そういう意味で、この上とも努力してまいるつもりであります。私は、日米友好という大局的な見地に立って、譲るべき点はお互いに譲り合うという互譲の精神が、この際特に肝要であると考えております。その際に、特に御指摘になりました包括的規制ということ、そういう状態は私ども考えておりません。なおまた、自主的規制で業界が納得しない場合に、何か強権でも用いるのか、こういうようなお尋ねがありました。これは通産大臣からお答えいたしますが、私どもは、この問題について強権を用いて、そうして業界に格別な圧力を加える、かような考えは持っておらないことをつけ加えておきます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま、これも前回同様、私の名前をあげて御質問がありましたが、すべて、これまた総理からお答えを申し上げておりますので、省略をさしていただきます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(愛知揆一君) 私にも御質問があったかっこうになっておりますが、ただいま総理大臣から詳しくお述べになりました。私といたしましても、対米外交上筋の立つやり方ですみやかに円満な妥結をはかりたい。筋の立つことというのは、ただいまも御指摘がございましたが、包括的の規制というようなことでは筋の立つこととは申せません。このことはしばしば申し上げたとおりでございまして、この日本側の姿勢について一段と努力をいたしまして、アメリカ側の理解と納得も得たい、ここに最重点を置いている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(宮澤喜一君) 織布業の構造改善につきましては昭和四十二年度から鋭意進めておりますが、ただいま御審議を願っております予算が成立いたしますと、大体昭和四十五年度でほぼ五三%ぐらい全体計画を達成することになると思います。せっかく今後とも促進してまいりたいと思っております。
 それから業界が同意をしないときに自主規制というものが可能であるかということにつきまして、いま法律的な面は総理大臣から御答弁がございました。事実問題といたしましては、高山議員も御承知のように、現在、綿製品等々規制はやっておりますが、この規制の事務確認といったようなことは、もう御承知のように、全部輸出組合が専門家を多数動員してやっておるわけでございまして、したがって、かりに今回の問題が自主規制になりましたときに、その人たちの協力がなければ、役所だけで規制事務ができるかとなりますと、とうていできないことである、こう考えております。(拍手)
   〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(倉石忠雄君) 農業のビジョンを示せというお話でございますが、たびたび機会を見まして申し上げておるようでございますが、ただいまもお話の中にございましたように、比較的生産性の低い農業を他産業に比べてりっぱなものにしていかなければならないためには、やっぱり経営規模を拡大する、そしてその所得も他産業に比べて劣らないような農業を維持していかなければならぬ、全くそのとおりでありまして、私どもが考えております農政もそういうことを中心にしております。いま米の過剰の問題で、とかく世間に大きく取り上げられておりますので、農家の方にも御不安があるかもしれませんが、米の調整は緊急やむを得ざるものであるからいたさなければなりませんが、そのかわりに、さらにその他の農業につきましては、全力をあげて国際競争に立ち向かって勝ち抜けるような農業確立のために全力を注ぐつもりでございます。政府の農政の基本はそういう考え方でございます。
 第二に、前回の選挙で自由民主党が総合農政の実施計画を出しておるのに、それを出さぬのはどういうわけだというお話でございますが、ただいま自由民主党の総合農政調査会におきましては、鋭意そのことを研究いたしておる模様でございますが、政府といたしましては、二月二十日の閣議におきまして、総合農政の基本的方向及び四十五年度についての施策を取りまとめたところでございますが、これからそれを推進してまいるためには、自由民主党の総合農政調査会とも連絡をとりながら、必要な検討を加えてまいりたいと思います。
 最後に、農業の生産性をどこまで引き上げようとするのかという御質問、ちょっとむずかしい問題でございますが、すでに御存じのとおり、最近、農業における労働生産性は、その他の産業に比較いたしましても、あまり劣らない程度の労働生産性を見せるようになってきております。その他、製造業との比較生産性もだんだんものによっては接近してきております。所得の配分などについても、著しい伸びを示しておることも農業の中にはございますが、しかしながら、何と言っても、やっぱり生産性はおくれております。私どもは、冒頭に申し上げましたように、私どもの考えております総合農政を実施することによって、規模拡大をいたしまして、農業が他産業に比較して生産性の劣らない農業をつくり上げるために全力をあげてまいりたいというのが、私どもの農政に対する基本の考え方でございます。(拍手)
#44
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。
 質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#45
○副議長(安井謙君) 日程第三、地方自治法の一部を改正する法律案。
 日程第四、地方公営企業法の一部を改正する法律案。
  (いずれも衆議院提出)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長山内一郎君。
   〔山内一郎君登壇、拍手〕
#47
○山内一郎君 ただいま議題となりました二つの法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 両法律案は、いずれも衆議院地方行政委員長の提出にかかるものであります。
 まず、地方自治法の一部を改正する法律案は、最近における急激な都市化現象及び市町村の人口の実態にかんがみ、市となるべき普通地方公共団体の要件につき、人口が五万未満であっても、三万をこえ、かつ特に都市的要件の備わっている町村については、市と町村の別に関する制度の改正が行なわれるまでの間、暫定措置として、市とする特例を設け、地方自治法第八条第一項の規定の適用については、同項第二号及び第三号中、「六割以上」とあるのは「七割以上」と読みかえるものとするものであります。
    ―――――――――――――
 次に、地方公営企業法の一部を改正する法律案は、地方公営企業の企業団の経営が次第に広域化してまいっております実情にかんがみ、大規模な事業を経営する企業団の議員の定数を、三十人を限度として、その事業規模に応じて増加することができる等の特例を設けようとするものであります。
 委員会におきましては、提出者、衆議院地方行政委員長菅太郎君の提案理由の説明を聴取し、質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論に入りましたが、別に発言もなく、それぞれ採決の結果、いずれも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#48
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#49
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決せられました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト