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1970/03/18 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第6号
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1970/03/18 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第6号

#1
第063回国会 本会議 第6号
昭和四十五年三月十八日(水曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
  昭和四十五年三月十八日
   午前十時開議
 第一 農地法の一部を改正する法律案及び農業
  協同組合法の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 第二 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国とオースト
  ラリア連邦との間の協定の締結について承認
  を求めるの件
 第三 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避のための日本国とイタリア共和国との間の
  条約の締結について承認を求めるの件
 第四 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避及び脱税の防止のための日本国とグレー
  ト・ブリテン及び北部アイルランド連合王国
  との間の条約の締結について承認を求めるの
  件
 第五 所得に対する租税に関する二重課税の回
  避のための日本国とインドとの間の協定を修
  正補足する議定書の締結について承認を求め
  るの件
 第六 利率等の表示の年利建て移行に関する法
  律案(内閣提出)
 第七 戸籍法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 第八 港則法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 第九 地方自治法第百五十六条第六項の規定に
  基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求
  めるの件
 第一〇 首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の
  整備のための国の財政上の特別措置に関する
  法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
  議院送付)
 第一一 日本放送協会昭和四十二年度財産目
  録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに
  関する説明書
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、議員派遣の件
 以下 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 大谷贇雄君から病気のため二十二日間、小笠原貞子君から病気のため三十日間、西郷吉之助君から海外旅行のため明十九日から八日間、内藤誉三郎君から海外旅行のため来たる二十日から二十日間、それぞれ請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。
 来たる三十日から四月五日まで、モナコにおいて開催される列国議会同盟本年度春季会議に、本院から大谷藤之助君、岡本悟君、秋山長造君を派遣いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#8
○議長(重宗雄三君) 日程第一、農地法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案(趣旨説明)。
 両案について、国会法第五十六条の二の規定により、提出者からその趣旨説明を求めます。倉石農林大臣。
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(倉石忠雄君) 農地法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 戦後の農地改革により自作農が創設され、これによってわが国の農業生産力は画期的な発展を遂げ、農業者の経済的社会的地位の向上をもたらしたのみならず、戦後における日本経済の復興と繁栄に寄与したことは申し上げるまでもありません。現行農地法は、このような農地改革の成果を維持するという使命をになってきたものであります。
 しかしながら、わが国の農業の現状は、いまだ経営規模が零細であり、このため、生産性の向上をはかるにもおのずから限界があることを否定し得ません。したがいまして、農政の基本目標を実現するためには、農業を取り巻く諸情勢の進展に対応して、生産、価格、流通、構造に関する各般の施策を総合的に推進する必要がありますことはもちろんでありますが、とりわけ、農地がより生産性の高い経営によって効率的に利用されるようその流動化を促進し、農業構造の改善をはかることが肝要であります。政府といたしましては、このような観点から農地法の改正をいたすこととした次第であります。
 なお、この法律案は、前国会に提出し、審議未了となったものと同じ内容のものでありまして、本国会に再度提出したものであります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一は、以上述べました趣旨に基づき、農地法の目的に「土地の農業上の効率的な利用を図ること」を追加することであります。
 第二は、農地等の権利移動の制限の改正であります。近年における農業技術の進歩、兼業化の進行に照応して、上限面積の制限の廃止と下限面積制限の引き上げを行なうこととし、また、国が売り渡した農地につきましては、売り渡し後十年を経過したものは貸し付けることができることとし、さらに農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人が農地の権利を取得することができることとしております。
 第三は、集団的生産組織の育成と土地の効率的利用に資するため、農業生産法人の要件を実情に即して緩和するとともに、農業協同組合が委託を受けて農業経営を行なう場合には、農地の権利の取得を認めることとしております。
 第四は、小作地の所有制限についてでありますが、農業生産法人に貸し付けられている小作地、農地保有合理化促進事業を行なう非営利法人に貸し付けられている小作地等につきましては、その所有制限をしないこととするほか、農業をやめて住所を他へ移した場合にも在村の場合と同じ面積まで小作地の所有を認めることとしております。
 第五は、農地を貸しやすくするため、農地等の賃貸借の規制を緩和することとし、合意により解約する場合及び十年以上の期間の定めのある契約等についてその更新をしない場合には許可を要しないこととしております。
 また、小作料の統制につきましては、農業者の地位が向上し、雇用の機会が増大した現在では、戦前のような高率の小作料が発生する余地は、一般的にはないものと判断されますので、これを廃止することとしております。しかし、現に存する小作地につきましては、十年をこえない範囲内においてなお小作料の統制を続けることといたしております。
 第六は、草地利用権設定制度の新設であります。これは、飼料の生産基盤の拡大強化をはかるため、未利用の里山等について、市町村または農業協同組合が草地造成をする必要がある場合には、都道府県知事の裁定により草地利用権を設定することができる制度であります。
 以上が農地法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。
    ―――――――――――――
 次に、農業協同組合法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 農業協同組合は、農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上をはかることを目的とする農民の協同組織として、昭和二十二年に発足して以来、わが国経済及び農業の歩みとともに発展してまいりました。
 しかしながら、近年における農業及び農業協同組合をめぐる諸情勢の変化には著しいものがあり、このような事態に対応して農業構造の改善をはかるためには、農地保有の合理化を促進するとともに、協業など生産の集団的な組織を育成することがきわめて肝要でありますが、また一方においては、最近における米の過剰問題をも配慮して転用を目的とする農地等の計画的利用をはかることもまた重要となっております。
 また、農業協同組合自体につきましても、組合をめぐる諸情勢に対処し得るよう昭和三十六年以来進めてまいりました農協合併の進展の結果、組合の規模が拡大し、その経営基盤が充実しつつありますが、合併後における組合の組織管理面、事業運営面などにつきましてなお改善を要する点も少なくなく、また、系統組織の運営面におきましても解決を要する問題が生じてきております。このような情勢にかんがみ、農業協同組合法の改正を提案する次第であります。
 なお、この法律案は、前国会において審議未了となったものに一部修正を加え再提出したものであります。
 以下、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。
 改正の第一点は、集団的生産組織に関連する制度面の改善措置であります。その内容といたしましては、まず農業協同組合に組合員から委託を受けて行なう農業経営の事業を認めることであります。これは、就業構造の変化と機械化の進展に伴い、さらに農業経営自体を組合に委託するような必要が生じつつありますので、組合が組合員の要望にこたえて、このような事業を行ない得る道を開こうとするものであります。
 次に、農業経営を行なう農事組合法人につきまして、その経営の合理化や就業事情の変化に対応して組合員資格等に関する制限を緩和して、経営の安定向上をはかるとともに設立の円滑化に資そうとするものであります。
 改正の第二点は、農業構造の改善及び米の生産調整の必要性等に対応して、組合の事業範囲の拡充をはかる措置であります。まず、組合が農業の目的に供するための土地の供給の事業ができることとするものであります。農地の流動化を促進して組合員の経営規模の拡大をはかり、もって農業構造の改善に資することは組合としても当然意を用うべきことでありますので、組合の事業として、農地法の規制のもとに、農業の目的に供するための土地の売り渡し、貸し付け及び交換の事業を行ない得るようにしようとするものであります。
 次は、組合による転用相当農地等の売り渡し、区画形質の変更の事業等を認めることであります。米をめぐる最近の情勢に対応し、かつ、農地転用の計画化による土地の効率的な利用を促進する等の観点から、組合に対し、組合員の委託等により、農地法による農地転用の規制のもとに転用を目的とする農地その他の土地の売り渡し、区画形質の変更等の事業を行ない得る道を開こうとするものであります。
 改正の第三点は、農協合併の進展による農業協同組合の規模の変化に対処するための総代会制度の権限の拡大、農業協同組合連合会の会員の議決権の特例等の措置であります。
 これらはいずれも、農協合併の進展に伴い、組合または連合会の運営に困難な面を生じておりますので、これに対処するとともに、運営につき組合員または会員の適正な意思の反映に遺憾なきを期そうとするためのものであります。
 以上のほか、農業協同組合の事業運営の現状にかんがみまして、信用事業につきまして若干の規定の整備を行なおうとするものであります。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
#10
○議長(重宗雄三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。中村波男君。
  〔中村波男君登壇、拍手〕
#11
○中村波男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました農地法及び農協法の改正案に対し、ごく基本的な問題にしぼって質問をいたしたいと存じます。
 去る二月二十日、政府は、「総合農政の推進について」と題する基本方針を発表し、今後の農政の方向を示しました。これによると、水稲経営ならば四ないし五ヘクタール、酪農経営ならば搾乳牛二十頭程度の自立経営農家を育成し、これを今後の農業生産の中核的にない手にするとしております。しかしながら、自立農家の育成は、三十六年の農業基本法以来のうたい文句でありながら、自立農家は遅々としてふえず、逆に兼業農家の比率が大幅に増加したことは、とりもなおさず、農基法農政の大失敗であります。総理は、この実態をどう認識し、今後この轍を踏まないために、どう対処されようとしているのかを率直にお述べいただきたいのであります。
 言うまでもなく、日本農業の低生産性は経営規模の零細性にあり、生産性を向上するには規模拡大の必要なことはだれしも異論のないところでありますが、問題は、いかに混乱なくスムーズにこれを実現するかの施策のあり方にあるのであります。しかるに、基本方針においては、いまの農家を、自立経営農家と、集団的生産組織に結合させる兼業農家と、離農させる農家の三つに分解させようとする選別政策をとろうとしていることであります。つまり、タブー視されていた離農促進を正面に掲げ、さらに、輸入自由化の促進も含めて、国際価格にさや寄せし、長期の需給事情を反映した価格政策をとるとともに、農地制度のなしくずしをはかろうといたしております。かかる政策が進めば進むほど、農業全体、特に大多数を占める零細層が大きい打撃を受けることは明らかであり、いうところの富農育成政策、貧農切り捨ての土地収奪政策以外の何ものでもありません。一体、政府は、このような総合農政方針で、自立農家の育成と農地の流動化を摩擦なくはかる自信と見通しを持っていられるのか、その所信のほどを農林大臣にお聞きし、総理からは、農政の基本方針と総合農政の具体的なプログラムを明らかにされたいのであります。
 次に、以上の質問との関連において、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 従来の農政は、とかく方針なり、前宣伝のみははなやかであったが、その裏づけである財政支出がきわめて乏しかったのであります。四十五年度予算に、総合農政の新芽がわずかながら出てきていることを認めるにやぶさかではございませんが、問題は、この新芽を今後いかに育てるのか、言うなれば、その財政支出を積極的に行なう用意がはたしてあるのか、具体性のある答弁を求めて、次の質問に入ります。
 食管制度と農地制度の二つは、農政の最も重要な柱であり、いわば車の両輪であります。しかるに、政府は、総合農政の名のもとに、この二つをいずれも、なしくずし的に崩壊させ、農民の階層分解を助長いたそうといたしております。すなわち、食管制度については、米価の据え置きや自主流通米に続いて、米価の品質格差の強化、さらに、今後、買い入れ制限や生産者米価の二段階制にエスカレートする動きを強め、さらに、農地法の改正と農地転用基準の緩和措置により、農地制度が根底からゆさぶられようといたしております。したがって、私は、このような政策の大転換を踏まえて、具体的に政府の見解をただしたいと思うのであります。
 米の買い入れ制限についての本院における倉石農林大臣の答弁以来、農相の単なる法解釈論にすぎないとの弁解や、総理の食管法の根幹堅持の言明にかかわらず、いまや農民は、倉石発言こそは、米の生産調整の失敗に備え、買い入れ制限と二段階制米価の布石であると見て、大きな不安と危機感の中で政府の出方を見守っているのであります。われわれは、食管制度の根幹は、全量買い入れ、二重米価による再生産の確保、消費者家計の安定の三つに集約されると考えているのであります。それだけに、はっきりさせておきたいのは、米の買い入れ制限は、政府の公約である食管の根幹堅持に反するのか、反しないのか、総理から、明確な答えを出していただき、農林大臣には、買い入れ制限は生産者米価の二段階制に移行せざるを得ないと思うが、その場合、食管法の改正を要するのか、要しないのか、法解釈として、政府の見解を示していただきたいのであります。
 次は、米価政策について伺います。昨年から実行した米価の据え置きは、総合農政の基本方針に言うところの需給均衡と物価安定、国際価格へのさや寄せの価格政策の導入であって、所得補償方式の事実上のたな上げであることは論を待ちません。米価について、事務当局は、生産費及び所得補償方式による平均反収方式で現行価格を上回る場合は据え置きは妥当ではないと、昨年すでに答弁をいたしております。このことは、本年産米は平均反収方式で何とか押し切れても、来年度は据え置きが不可能であることを暗に認めたものであります。言うまでもなく、米は日本農業の基幹作物であるだけに、価格のきめ方はきわめて重要であります。総理から、価格政策の基本と来年度米価に対し、その見通しを明らかにされたいのであります。
 次に、米の生産調整の一環として実行されることになった水田買い上げについて伺います。
 五十万トン分を十一万八千ヘクタールの水田買い上げによって埋めようとすることは、農地制度全体の大きな柱である農地転用統制の横腹に風穴をあけることであり、さらに、外部資本の蚕食を促して、農業生産の基本をなす土地政策の大きな変更を迫るものとして、その無原則的、場当たり的なこのやり方に強く反省を求めたいのであります。また、新都市計画法や農業振興地域整備法の大きな目的であるスプロール化を防ぎ、優良農地を守る立場が大きくくずれることも指摘しておかなければなりません。そこで、確認しておきたいのは、来年度以降の生産調整は水田の買い上げ一本でいく方針かどうかという点であります。いままでの国会答弁では、福田大蔵大臣の三カ年三十五万ヘクタール転用説と、倉石農林大臣の二年間転用基準緩和説とがあってさっぱり見当がつきません。このような閣内不統一は、一そう農政不信、政治不信を強め、いたずらに農民の不安、混乱を招くだけであります。したがって、総理から責任の持てる統一見解を示していただきたいのであります。
 次に、農林大臣から具体的に答弁をいただきたいのは、新都市計画の市街化区域内の水田十八万ヘクタールの存在を根拠として、転用に確信があるがごとき答弁は、あまりにも実態を無視した答弁で、政府部内でもせいぜい四万ヘクタールと言われており、目標面積達成はとうてい無理というのが常識となっております。水田買い上げはあと二、三カ月以内に勝負しなければならないのであります。この際、大臣の十分確信のあるというその根拠を、用途別、地域別など具体的に明示されたいのであります。
 さらに、大蔵大臣にただしておきたいのは、水田買い上げについては、公共、民間両団体とも資金的に余裕がないため、協力したくともできない実情にあるといわれ、この実態を大蔵大臣がよもや御存じないはずはないと思うのであります。こうした点からも、政府は生産調整を本気でやるのか、それとも食管の崩壊を待っているのかと、関係者が疑惑の目を向けるのも当然であります。われわれは、もとより水田の買い上げについては基本的に反対ではありますが、政府の政治姿勢の問題として確かめておきたいのは、このままでも水田買い上げは計画どおり達成できると大蔵大臣は見ているのか、または今日までの経過からして何らかの金融財政面から手を打つことを考えておられるのか、この際、率直なお答えをいただきたいのであります。
 次に、農地法改正案について伺います。
 政府は、農業経営規模の拡大と土地の効率利用のためには、まず本改正案によって農地を流動化すべきであると主張いたしております。しかし、農地制度に農地流動化の阻害要因を求めることは根本的に誤りで、たとえば、現行制度のもとにおいても、都府県の流動率が年〇・八%と硬直的なのに対し、北海道は年三・三%ときわめて流動的であります。この三・三%は、戦前の地主同士の売買等を含めた流動率三・二%をもこえるものがあります。このことは、流動化の阻害要因がむしろ農地制度以外にあることを示し、この事実からしても、農地の流動化を農地制度の緩和で解決する発想は間違いであると繰り返し強調いたすものであります。
 ちなみに、政府の試算を見ますと、昭和四十年から五十五年までの十五年間に、農業者の老齢化とあと継ぎの不在により、農家戸数の減少率は、現在の北海道を上回る年四・五%、合計二百万ヘクタールに及ぶ農地が放出される可能性があることになっております。この見通しからしても、農地法の改正は行なわなくとも、大部分は所有権移転の形で大幅な流動化を予想することができると思うのであります。しかるに、政府の、農民が農地を手放したがらない要因でありますところの地価対策、農地取得資金制度、社会保障、転業対策等々に正面から取り組むことを避けて、小作権設定による流動化という自作農主義に反するうしろ向きの政策には、何としても賛成することができません。
 次に、小作料並びに小作統制の緩和について伺います。この改正案で小作の統制が廃止されることにより、今後小作料がどの水準に落ちつくかはきわめて重要な問題点であります。昨年の国会における政府答弁からして、大体反当二俵、一万六、七千円程度と想定しているようであるが、この想定は甘いと言わなければなりません。たとえば米の生産費調査では、高知の実納小作料二万九千七百一円、請負耕作では、新潟の蒲原平野で三俵から五俵、佐賀県の平たん部の五万円といった事例が数多く報告され、このような現実の動きからして、今後小作料はかなり高い水準に達し、ひいては地主制の形成を引き起こし、農業の発展を阻害する大きな要因となることをわれわれはおそれるものであります。
 以上指摘した事項について、農林大臣から政府の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、農協法改正案について伺います。この改正案によりますと、農協は組合員の農業経営を委託でき、この農地は小作地所有制限の規定も小作料に関する規制も適用されず、脱農して地主となった者も組合員とみなすことにしたのであります。加えて、今回新たに転用相当農地等の売買と宅地造成の事業をつけ加えたことは、一そう組合員の地主化、脱農化をはかるものであります。朝日新聞は、「農業二法改正案の審議を尽くせ」という社説の中で、農協に新事業を認めても、それが生産面で委託経営、大規模農業へと進むよりは、むしろ資産面での委託、農協の住宅団地経営など、不動産業化だけが進行する可能性が強いと論評しているように、政府に農業政策の長期展望がなく、特に整理さるべき農業対策がないために、資産価値だけがいままで以上に高まっていくことは明らかで、すなわち、農民は都市化と地価上昇に振り回され、他方では、このようなコンベンショナルな制度改正は、だれのため、何のための農協かという、農協の最も基本的な問題の所在を見失わせるおそれがあることを指摘せざるを得ないのであります。政府は、一体これらの農協の基本的な性格の変化をどのように分析し、この改正案を提案されたかを農林大臣から伺いたいのであります。
 最後に、政府は農地法、農協法の改正を農業構造の二大政策に置き、今国会でその成立をはかるために強い態度で臨んでいると聞くのであります。それだけに、私の質問に対しても、従来ありがちであった、おざなりな抽象論の繰り返しではなく、時間をかけ、具体性のある答弁をされ、問題の所在を明らかにされるよう特に要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(佐藤榮作君) 中村君にお答えいたします。
 まず、農業基本法による農政は失敗であったというおしかりでありましたが、私はそのようには考えておりません。農業基本法のもとに各般の施策を推進してきた結果、農業の生産性向上には見るべきものがあり、また、農家所得の飛躍的な向上が見られたことは、よもや中村君も否定はされないだろうと思います。私は、農業基本法の基本的なこのような考え方は、今後におきましても十分妥当性を持つものだと、かように考えております。要は、日本農業の当面している課題をどのようにして解決していくかということであろうと思います。その場合の基本的な態度は、一口に言えば、農業を国民経済の一環としてとらえ、産業としての確立と近代化を促進してまいることにあると考えます。具体的には、御指摘になりました、さきに決定した「総合農政の推進について」の閣議了解においても明らかであろうと思いますが、当面の課題としては、米の生産調整に全力をあげてまいる必要があると考えます。そこにまた、需要の動向に即応した農業生産が展開されてまいるものとも考えます。
 次に、買い入れ制限についてお尋ねがありました。本件についての農林大臣の発言は、あくまでも食管法の法の解釈として、買い入れ制限は現行法でも可能であると申し述べただけであります。政府としては、この際はっきり申しますが、ただいま買い入れ制限をするとかしないとか、そういうことを考えているものではありません。政府としては、たびたび申し上げているように、食管制度の根幹は維持してまいる決意でありますが、またそのためには、当面する米の生産調整策が計画の線に従って円滑に進められることが何よりも肝要であることを農民諸君にもよく御理解いただき、御協力をいただきたいものと、かように考えております。
 次に、米価の算定についてお尋ねがありました。率直なところ、本年産米につきましては、昨年同様、米価審議会にはかるということだけはきめておりますが、どういうように具体的にこの決定がされるかと、こういうことはいまの段階で申し上げるわけにはいきません。そこまでは進んでおりません。いずれにいたしましても、現在の著しい供給過剰の実情を適切に反映させるようにする、そういうことが必要であろうかと思います。これは国民全体のためにも、このことが、私どもが国費を乱費しない、そのためにも御協力願わなければならないことではないかと、かように考えております。
 最後に、米の生産調整について、政府の説明に若干混乱があったようでありますので、この際あらためて明確にしておきたいと考えます。今回の措置は、百五十万トンの減産を目途として、その三分の二は休耕または転換によることとし、残りの三分の一については水田の転用を促進することにより減産を計画したものでありまして、これは何年計画の初年度というようなものではありません。私は、補助金による休耕の奨励はあくまでも応急的なやむを得ない措置であり、水田の他作物への転換あるいは他用途への転用が基本的には望ましいと考えております。
 また、来年度以降このような奨励措置を続けるかどうかは、今回の減産対策の実施状況を見た上で検討いたすのでございます。そして、ただいま申し上げられることは、このような変則的な事態はできるだけ早く解消したいということだけであります。このために農民諸君の御協力を切望するものでございます。
 以上、私に対するお尋ねにお答えいたします。その他のことは所管大臣からお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(倉石忠雄君) お答えいたします。
 今日の農業に強く要請されておりますことは、農業を産業として確立し、生産性の高い、能率の高い農業経営ないし農作業の単位をできるだけ広範に育成するということであると思います。このためには、農業の中核的にない手として、しばしば申し上げておりますように、自立経営農家を育成して、これが農業生産のかなりの部分を占めることとなるようにつとめる考えでございます。このように自立経営農家を育成するとしても、御存じのように兼業農家がなお相当残ると思われますし、今後の農業技術の進歩、普及に伴いまして、機械の共同利用等が一そう進展することが見込まれるわけでございます。このような情勢に対応いたしますために、個別経営の規模拡大の道と並んで自立経営農家を中核として、兼業農家をもその中に取り込むことといたしまして、各種の集団的生産組織を育成助長するとともに、農協による農業経営の受託を推進してまいりたいと考えておるわけでございます。また、このように農業経営が発展分化するその中で、離農を希望いたします者も出てまいるでありましょうが、このような者に対しましては、転職対策の充実強化、農業者年金制度の創設など各般の施策をいたしまして、安定した離農、転職をはかることも、農業の近代化にとって重要であると考えておる次第でございます。
 それから、買い入れ制限のお話がございましたが、ただいま総理大臣が申されましたとおりでございますが、二段米価につきまして、米の大幅な供給過剰の今日の実情にかんがみまして、政府といたしましては、地方公共団体や生産者団体の協力を得て、米の減産対策をいま鋭意進めておる最中でございます。そこで、お尋ねのような、いわゆる二段米価の問題につきましては、現在これをするとかしないとかなどということを私ども考えておりません。したがって、その手段方法などについても、現在は少しも研究をいたしておらないわけでございます。
 それから、生産調整対策で、十一万八千ヘクタールの他用途への転用のことについてお尋ねがございましたが、いま生産調整のために農地転用許可基準の緩和措置にあわせまして、関係各省庁あげて国及び地方公共団体による公共用地の先行取得の促進、または民間による宅地、工場用地等の取得の円滑化等のためにいろいろ適切な対策を講ずるなど、諸般の措置をいたしておりますので、その実現を期する考えでございます。特にいまお話もございましたように、都市計画法によります市街化予定区域内にも水田が約十八万ヘクタールございます。また、工場立地調査法による工場適地内の水田も約三万ヘクタールあるわけでございますので、これらは当面転用の可能なものとして、こういうことに対して対策をやってまいりたいと努力しておるわけでございます。それで来年以後のことは総理大臣が先ほど申し上げましたとおりでございます。
 それから、農地法を厳正に適用すれば、自作地による規模拡大が可能ではないかというこのお話でございますが、私どもは、自作地による規模拡大をはかることにつきましては、いま提案理由で申し上げましたように、農地取得資金の拡充または農地保有合理化事業の推進などの措置を講じてまいる所存でありますけれども、農地に対する農民の執着心が強いことなどを考えますというと、やはり借地による流動化も同時に進めてまいりまして、自作地を中心としながら、これに借地を加えて規模拡大をなし得るようにするために、農地法を改正する必要があると考えておるわけでございます。
 それから、やみ小作料の水準のことについてお尋ねがございましたが、御存じのように、農業者の経済的、社会的地位が今日では著しく向上してまいりまして、雇用の機会も増大いたしております現在では、当事者の自由な契約にゆだねましても、戦前のように不当に高い小作料が発生する余地は一般的にはなくなっていると判断されておるわけでございます。このような事情となっておりますので、画一的な小作料の統制制度を廃止しても、標準小作料の設定と小作料の減額の勧告の制度の運用と相まって、不当に高い小作料が発生することはないものと私どもは考えております。したがって、これによって農業の発展が阻害されるようなことはありませんと思いますし、また、こうやってまいりますというと、いわゆる旧地主制度が復活する余地もないのではないか、このように思っておるわけであります。
 それからもう一つ、農協のことについてお尋ねがございました。これらにつきましては、私どもも慎重に対処いたしてまいるつもりでありますが、農協にこのたびのような事業の能力を与えようといたしますのは、兼業化及び都市化の進行など、最近における農業及び農協をめぐる諸情勢の変化に対応いたしまして、農業構造の改善と土地の効率的利用をはかるとともに、あわせて組合員の生活の安定に資する観点から、農協の事業範囲を拡充整備することがいいんではないかと思っておるわけであります。
 農民の協同組織といたしましての農協の基本的性格は、これも御指摘のように大事なことでございますが、これを変更すべきでないと私どもは考えておりますけれども、最近における農業及び農協をめぐる諸情勢の変化に対応するために、その体制の整備をはかりますとともに、事業内容におきましても、これに対応するための制度の改正が必要であると考えております。
 このような観点から、今回、農協法の改正を提案いたした次第でありますが、同時に、農協といたしましても、自立経営農家あるいは集団的生産組織の育成等、営農面においても今後積極的に努力を要することをわれわれは希望いたしておるわけでありまして、このことはぜひ必要であると考えておりますので、そのような方向で指導してまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。
 まず、総合農政には財政的裏づけが非常に大事だと、こういうお話でありますが、これは全く同感であります。農政費は、御承知のように、総予算の一割以上にもなるわけであります。そのうち大半が総合農政関連費とも見ていいものでございまするが、今後とも、この総合農政関連費につきましては、その内容におきましても、その量におきましても充実さしていきたい、かように考えております。
 次は、十一万八千ヘクタール、これの他用途への転用が達成できると思うかどうかというお話でございますが、私は、これは非常に困難な問題である、しかし、必ず達成させなければならない問題であり、また、達成させることができると、かように存じております。
 また、その財政的裏づけはどうするのだというお話でございますが、これはいま倉石大臣からお話がありましたように、まだ具体的な実体計画がきまらない、それに伴いまして財政対策も講じたいと思っておりますが、ただいま現時点におきまして私に考えられますことは、まず第一に、自己利用――農住なんということを言われますが、自己利用ということであります。とれには土地の売買の資金は要りません。それから第二は、農協が買いに出る場合であります。この場合には農協が資金を持っておるわけであります。しかし、農協が支払う相手方である農家におきましては、そのお金をおそらく農協にまた預託をすると思います。全部じゃないと思いますが、ほとんど大部分というものが預託される。したがって、農協は貸し出し資金の融資をいたしましても、つなぎが必要であるというだけであって、全体として資金の枯渇を来たすことはない、かように見ておるのであります。また、次は、企業の場合でありますが、これは特別の対策はいたしません。いたしませんが、金融情勢逼迫のおりでありますので、非常に窮屈かと思いまするけれども、企業が買いましたその金は、また農家に行くわけです。これが個々ばらばらに少額の支払いになるわけじゃありませんで、一括して農家に支払われる。そのお金は金融機関なりあるいは農協にまた還元するということで、全体の資金を圧迫することにはなるまい、かように見ております。さらに、政府が買う場合でありますが、政府が買う場合におきましては、その先行投資計画に従いまする取得依頼を地方公共団体にすべきかと考えておるのであります。地方公共団体においては、地方公共団体の自分の先行取得とあわせまして土地の買収に当たる。そのためには、土地開発資金があります。また、足らざるところは縁故債の募集につきましても弾力的に考えてみたい、かように考えておりますが、この金も農家に一々支払われず、まとまって支払われるのでありまして、これが消費化するという傾向は少なかろうと思います。つまり、これは金融機関なり農協にこれまた還元するのであって、全体の資金計画を圧迫するということにはなるまい、かように考えておるのであります。
 いずれにいたしましても、具体的実体的計画がきまりました上で、精細にその財源対策は講じてみたい、かように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(重宗雄三君) 藤原房雄君。
  〔藤原房雄君登壇、拍手〕
#16
○藤原房雄君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました農地法の一部を改正する法律案並びに農業協同組合法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
 政府は、昭和三十六年に、農業基本法を制定し、農業構造改善事業を中心に、経営規模の増大、農業の近代化、畜産業の振興等を明示しながら、何ら具体的な施策もなかったのであります。その間に、他産業の高度成長にその総力を上げた結果、わが国の農業はむざんにもその踏み台的な犠牲となり、格差はますます拡大の一途をたどり、ここに最大の危機を迎えたのであります。行き詰まった農業基本法農政から総合農政へと切りかえましたが、基本法農政の失策の上に立って今後の日本農政の転換をどのようにお考えであるか、総理大臣にその御所見をお伺いしたいのであります。
 政府は、昨年の農業白書で、今後十年間に農家戸数は百万戸減少して四百五十万戸になるだろうと発表しました。その農家戸数減少率は年率二%になります。また、昨年九月の農政審議会答申の付属資料によりますと、昭和四十年から五十五年までの十五年間に、世代の交代等により農家戸数はほぼ半減し、農家戸数減少率は年率四・五%といっておるのであります。総合農政の推進にあたり、農家戸数減少率をどう見るかによってその政策の上に大きな違いがあると思うのであります。年率四・五%以上ならば、近い将来に農地が著しく流動化することは必至であり、農地金融や農地保有合理化事業に重点を置かなくてはなりません。また、二%以上と見るならば、特に離農対策を重視した政策を講ずべきと思うのであります。たとえば西欧先進国では三%台に達したとき、農地の流動化が進み、農業の規模拡大が行なわれたと言われております。政府はこの問題をどのように考えているのか、明確なる農林大臣の御見解を伺いたいのであります。
 さらに、総合農政について一点だけお尋ねいたします。農産物価格についてであります。米麦は、現在、食糧管理法で生産費及び所得補償方式、またはパリティ方式によってそれぞれ価格補償されているのでありますが、去る二月二十日、閣議で報告がありました総合農政推進の基本方針で、農産物価格政策の方向について、国際価格の動向を勘案し、需給事情を反映すべきだといっておるのであります。したがいまして、総合農政においては、食管法等による算定方式を改める考えをお持ちなのかどうか、農林大臣から御答弁をいただきたいのであります。
 次に、農地法改正の目的である農地の流動化についてでございます。農地の流動化をはばんでいる要因が農地制度以外にも数多くあります。その改正と並行してそれらの諸政策を進めなければならないと思うのであります。その第一に、地価対策がございます。今日、農民が農地を容易に手放さないのは、高騰し続ける農地に対して、政府は何ら対策を講じていないところに原因があると思うのであります。地価対策は行政全体の問題でもあります。今後どのようにしていこうとお考えなのか、総理の御見解を伺いたいのであります。
 次に離農対策であります。この対策につきましては、昨年までに比べ本年はかなり改善されたようでありますが、まだまだ十分とは言えないのであります。たとえば離農年金や職業訓練、職業紹介にいたしましても、農業者を対象にした政策としてはきわめて未成熟であると思います。農民が移動できる施策について農林大臣の所信をお伺いしたいのであります。
 次に、農地流動化に伴う金融対策であります。零細な分散する農地を整理し、計画的交換分合を推進するためには、強力な国の補助と制度金融による融資がなければならないのは当然であります。また、都市近郊においては著しく地価が高騰しているため、農地の流動化は横ばい状態と言われているのであります。これらの対策のためには長期低利の資金貸し付けを積極的に講ずべきと思うのであります。特に、将来の見通し及び計画のはっきりしている農家には思い切った融資をすべきと思うのでありますが、農林大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
 次に、農地法改正案についてでございます。
 四十三年度統計調査部の農業調査によりますと、新たな借り入れにより経営耕地面積を増加した農家戸数が四万三千戸であり、農地局の業務統計では、賃借権及び使用貸借権の設定は一万二千件であると発表しております。したがいまして、やみ小作ないしはこれに類する請負耕作が、正規の小作の少なくとも三倍程度に達していることがはっきりしているのであります。この問題につきまして、農業委員会におきましては、許可を受けない小作関係の設定は、万一のとき農地法の保護が受けられないというだけで見過ごしてきているのであります。政府は、このようなやみ小作、請負耕作等がなされていることを放置しておいて、農地制度の緩和だけを急いでいるようにしか思われないのであります。同法が改正されれば、規制が緩和されると同時に、制度がきわめて複雑になるのであります。たとえば、容認すべき不在地主と容認されない不在地主、許可を要する請負耕作、さらに、やみ小作や不当な高率小作料の取り締まり、その他を厳正に施行されるということははなはだ疑問であります。農林大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
 また、小作料はじめ小作統制の緩和についてであります。米価が据え置かれ、他の農産物価格も総合農政で押えられる今後において、小作料水準はどうなるか、小作人の地位がどうなるのか、政府は、昔のような小作問題は起きないとの見解を持っているようでありますが、具体的な根拠を農林大臣からお示しいただきたいと思うのであります。
 最後に、農協法改正案についてでございます。今回の改正案は、構造政策の一環としての農業経営の受託を除けば、都市農協ないし都市化地域農協の問題と大型農協の発生に由来するものが多いと思うのであります。この二つの問題につきましては、実は今回の改正案では十分ではないと考えるのであります。農協事業の多元化、一人一票制という協同組合原理の変更、資本や企業の論理から来る経営主義を重視する傾向など、農協は現在非常に大きな転機にあると思うのであります。農協の基本的なあり方、特に生産面のあり方について、政府の見解をお伺いしたいのであります。
 以上をもちまして、政府の誠意ある答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(佐藤榮作君) 藤原君にお答えいたします。
 まず、日本農政の長期展望につきましては、さきに社会党の中村波男君の御質問にもお答えしたところでありますので、詳しくは申し上げません。政府としては、今後とも農業を近代化し、農村社会を魅力ある生活環境に整備し、農家所得の向上をはかるべく努力してまいりますが、農業の構造改善には今回提案した二法案が大きく寄与することと期待しております。したがいまして、皆さま方の御審議も何ぶんよろしくお願いいたします。
 次に、農地の流動化についてのお尋ねでございましたが、この促進の見地から地価対策をどうするかとのお尋ねがありました。一般的に地価対策には複雑な問題がからんでおりまして、率直に申して即効的な解決策を見出しにくい状況にあります。私は、やはり宅地の大量かつ計画的な開発を進めて宅地価格の高騰を押える反面、純農業地帯については、農業振興地域の整備に関する法律により、農地としての土地利用を確保し、そこに健全な農業の育成をはかっていくことが、農地としての価格の安定にもつながってまいるものと考えます。今回御審議いただく農地法も、このような見地から適正な運用をはかってまいりたい、かように考えております。
 その他の問題につきましては、それぞれ所管の大臣からお答え申し上げます。(拍手)
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(倉石忠雄君) お答え申し上げます。
 最初に米の算定方式につきましてお話がございましたが、先ほど中村さんの御質問に総理大臣がお答えいたしましたとおりでございます。
 それから離農対策につきましてお尋ねがございましたが、離農者に対する対策といたしましては、四十五年度から新たに農業者年金制度を創設するとともに、これと関連いたしまして、離農給付金の支給、離農者の農地の買い入れ、売り渡し等の事業を一体的に実施することといたしまして、農業者年金基金法案を今国会に提出いたすほか、他産業への転職を希望する農業者に対しましては、これに適しました転職対策を充実することといたしておりますが、四十五年度予算にもこれらの予算を計上してございます。今後は、さらに工場の地方分散等による地元雇用機会の増大をはかるなど、離農の円滑化に資するようにいたしてまいりたいと思っております。
 それから農地取得資金のお話がございました。農地取得資金制度につきましては、農業経営の規模の拡大等、農業構造の改善を推進いたします見地から、昭和三十九年度から三分五厘二十五年償還という、制度金融の中では最も低利長期の貸し付け条件といたしておりますし、ほぼこれは妥当なものと考えておりますが、農業構造の改善を積極的に推進いたします見地から、農地取得のための金融措置の拡充につきましては、今後もなお検討いたしてまいりたいと思っております。
 それから四番目のお尋ねでございますが、農地法の運用につきましては、従来からその適正化につとめてきたわけでありますが、賃貸借関係を中心として、農地制度が現状においてかなり硬直的な面があることは御指摘のとおりでありまして、そのことがやみ小作の発生などをもたらしておることも事実でございます。そこで、このような農地制度上の問題点の多くは、今回の農地法の改正によりまして解決されることになっておりますので、制度の趣旨の普及徹底をはかりますとともに、農地の利用関係を正常化し、法秩序の確立をはかるよう、強力に指導監督をいたしてまいる方針でございます。
 それから小作料のお話がございました。御存じのように、農業者の経済的社会的地位が向上いたしまして、雇用の機会もだんだんと増大いたしております現在では、当事者の自由な契約にゆだねましても、戦前のような不当に高率な小作料が発生する余地は一般的になくなっておるという世間一般の判断は、先ほど中村さんにお答え申し上げたとおりでございますが、このような事情になっております現在、画一的な小作料の統制制度を廃止いたしましても、標準小作料の設定と小作料の減額の勧告などの制度の運用と相まって、不当に高い小作料が発生することはないものと私どもは考えております。したがって、これによりまして農業の発展が阻害されるようなことはあり得ないと思いますし、先ほど申し上げましたように、旧地主制が復活する余地もないのではないかと考えております。
 それからもう一つのお尋ねは、農協についてでございますが、これも中村さんに申し上げましたけれども、最近における農業事情等の変化に対応いたしまして農協がだんだんと大型化してまいりまして、事業の内容も多様化してまいりました。その体制の整備につとめることが必要であることは、どなたも御異論のないことだと考えております。政府といたしましては、農民の共同組織としての農協がその事業の健全な発展につき万全の努力を払うことを期待いたしますとともに、特に、今日のような農業の情勢になってまいりましたので、従来、必ずしも十分でなかったと考えられます農協の生産面の事業につきましても積極的に推進するように指導してまいりたいと、かように考えておる次第であります。(拍手)
#19
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#20
○議長(重宗雄三君) 日程第二、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件。
 日程第三、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とイタリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件。
 日程第四、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の条約の締結について承認を求めるの件。
 日程第五、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とインドとの間の協定を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件。
 以上四件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長長谷川仁君。
  〔長谷川仁君登壇、拍手〕
#22
○長谷川仁君 ただいま議題となりました二重課税の回避のためのオーストラリアとの協定、イタリアとの条約、イギリスとの条約及びインドとの協定の修正補足議定書につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
 これら四件は、いずれも、第六十一回国会で審議未了となり、今国会に再提出されたものであります。
 このうち、オーストラリアとの協定及びイタリアとの条約は新たに締結しようとするものであり、一方、イギリスとの条約は、現行条約に全面的改正を加えたものでありまして、いずれも、相手国にある支店等の恒久的施設を通じて事業を行なう場合の利得に対する相手国の課税基準、船舶、航空機の運用利得に対する課税免除並びに配当、利子及び使用料に対する課税軽減等について定めるとともに、二重課税を排除する方法について規定したものであります。
 また、インドとの協定の修正補足議定書は、現行協定を改め、事業所得の課税関係を一そう明確にし、船舶所得に対する課税を一そう軽減すること等を内容とするものであります。
 委員会における審議の詳細は会議録によって御承知願います。
 三月十七日質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、四件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#23
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 四件全部を問題に供します。四件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#24
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、四件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#25
○議長(重宗雄三君) 日程第六、利率等の表示の年利建て移行に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長栗原祐幸君。
  〔栗原祐幸君登壇、拍手〕
#26
○栗原祐幸君 ただいま議題となりました法律案は、現在日歩建てで表示している五十八の法律の規定を一括して年利建て表示に改めようとするものであります。
 この年利建て移行にあたっては、原則として、〇・二五%刻みの数値で調整することとしておりますが、その際生じる端数部分については、国民負担の軽減をはかるよう調整しております。
 なお、税、社会保障関係等は、現行の日歩建ての利率等を、そのまま三百六十五倍した数値で表示することとしております。
 委員会におきましては、参考人として佐々木日本銀行総裁から意見を聴取するとともに、政府に対し質疑を行ないましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終了し、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、報告を終わります。(拍手)
#27
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#28
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#29
○議長(重宗雄三君) 日程第七、戸籍法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長小平芳平君。
  〔小平芳平君登壇、拍手〕
#30
○小平芳平君 ただいま議題となりました戸籍法の一部を改正する法律案について、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、現行戸籍法において、出生及び死亡の届け出は事件発生地においてすべきものと限定されているものを、届出人の便益をはかり、事件本人の本籍地または届出人の所在地でするものとするほか、事件発生地でもすることができるように改めるものであります。
 また、これに伴い、死産の届け出に関する規程及び墓地、埋葬等に関する法律等の一部についても、附則において、戸籍法の改正と同趣旨の整理をしようとするものであります。
 委員会におきましては、出生及び死亡の届出地に関する法制の経緯、事変による死亡の取り扱い、死産の届け出の場所等について熱心な質疑がありましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 質疑を終わり、討論、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
#31
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#32
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#33
○議長(重宗雄三君) 日程第八、港則法の一部を改正する法律案(内閣提出)。
 日程第九、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求めるの件。
 以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長温水三郎君。
  〔温水三郎君登壇、拍手〕
#35
○温水三郎君 ただいま議題となりました港則法の一部を改正する法律案は、鹿島、内浦、合津及び喜入の各港における港湾施設の整備に伴う船舶交通のふくそう等の状況にかんがみ、これらの港を港則法の適用港に追加しようとするものであります。
 また、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求めるの件は、鹿島港における海事行政の円滑な運営を確保するため、同港に関東海運局鹿島支局を設置することについて国会の承認を求めようとするものであります。
 委員会におきましては、両案件を一括して審査いたしましたが、港内における海上保安体制等に関する質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、それぞれ全会一致をもって、前者については原案どおり可決すべきものと決定し、後者については原案どおり承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#36
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 まず、港則法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#37
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#38
○議長(重宗雄三君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#39
○議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#40
○議長(重宗雄三君) 日程第十、首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長山内一郎君。
  〔山内一郎君登壇、拍手〕
#41
○山内一郎君 ただいま議題となりました首都圏及び近畿圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本案は、わが国の産業経済等の面で重要な位置を占める中部圏の、都市整備区域及び都市開発区域にかかる建設計画の円滑な推進をはかるため、首都圏及び近畿圏の場合に準じ、関係県に対する特別の地方債の許可とその利子補給、関係市町村に対する国の負担割合の特例について、財政上の特別措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、中部圏の整備計画等の実施のための事業計画の策定等について質疑がありましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#42
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#43
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#44
○議長(重宗雄三君) 日程第十一、日本放送協会昭和四十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長近藤信一君。
  〔近藤信一君登壇、拍手〕
#45
○近藤信一君 ただいま議題となりました案件は、放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院の検査を経て内閣より提出された日本放送協会の昭和四十二年度の決算についてであります。
 日本放送協会の昭和四十二年度末における資産総額は千六十五億四千七百万円、負債総額は三百五十億四千八百万円となっております。
 また、昭和四十二年度における事業収入は七百八十八億二百万円、事業支出は七百十三億四千五百万円、資本支出充当分は六十五億八千万円でありまして、差し引き当期剰余金は八億七千七百万円となっております。
 なお、本件には、会計検査院の「記述すべき意川はない」旨の検査結果が付されております。
 逓信委員会におきましては、郵政省、会計検査院並びに日本放送協会に対し質疑を行ない、慎重審議の結果、本件については全会一致をもってこれを是認すべきものと決定した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#46
○議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本件は委員長報告のとおり是認することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#47
○議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よって、本件は委員長報告のとおり是認することに決しました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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