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1970/04/03 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第9号
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1970/04/03 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第9号

#1
第063回国会 本会議 第9号
昭和四十五年四月三日(金曜日)
   午前十時三分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第九号
  昭和四十五年四月三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(昭和四十五
  年度地方財政計画について)
 第二 地方交付税法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 第三 勤労青少年福祉法案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
    ―――――――――――――
#3
○副議長(安井謙君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○副議長(安井謙君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の報告に関する件(昭和四十五年度地方財政計画について)及び
 日程第二、地方交付税法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 自治大臣の報告及び国会法第五十六条の二の規定による趣旨説明を求めます。秋田自治大臣。
   〔国務大臣秋田大助君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(秋田大助君) 昭和四十五年度の地方財政計画の概要及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和四十五年度の地方財政につきましては、最近の経済情勢の推移及び地方財政の現状にかんがみ、国と同一の基調により、行政経費の効率化と重点化に徹し、節度ある行財政運営を行なう必要があります。
 昭和四十五年度の地方財政計画は、このような考え方を基本とし、次の方針に基づいて策定することといたしました。
 第一は、地方税負担の現状にかんがみ、個人の住民税、事業税等についてその軽減合理化をはかることであり、減税の総額は七百三十八億円となるのであります。
 第二は、行政の広域化への要請にこたえて広域市町村圏の振興のための体制を整備することであり、そのため、地方交付税、地方債等を通じて所要の措置を講ずることといたしております。
 第三は、都市化の著しい進展に対応し、都市財源を強化して都市行政の充実をはかることであります。そのため、一、法人課税の増徴に伴い市町村税源を充実するほか、二、人口急増地域における各種の施設整備の推進、三、公共用地の先行取得を円滑化するための措置の強化、四、地下鉄の建設及び経営に対する助成措置の拡充などをはかることといたしております。
 第四は、過疎地域の振興をはかるため総合的に過疎対策を推進することであります。そのため、過疎対策事業債制度を創設するとともに、辺地対策事業債を充実することとするなどの措置を講じております。
 第五は、住民の日常生活に直結する各種の公共施設の計画的な整備を推進して、住みよい生活の場を整備することであります。そして、その重点は、一、地下道、下水道及び清掃施設の整備、二、交通安全対策、公害対策の推進、防災、救急体制の整備などに置いております。
 第六は、地方公営企業の経営の基盤を強化して、その健全化をはかることであり、そのため、地方公営企業に対する貸付資金の増額をはかるとともに、公営競技収益金の一部の公営企業金融公庫への導入等による貸付条件の改善などをはかることといたしております。
 第七は、地方財政の健全化を推進するとともに、財政秩序を確立することであります。そのため、地方交付税の総額について、その確保をはかるとともに、昭和四十五年度においては、その増加状況等を勘案し、所要の特例措置を講ずるなどといたしております。
 なお、地方公務員の給与改定など年度途中における事情の変化に対処するため、あらかじめ財源を留保することといたしております。
 以上の方針のもとに、昭和四十五年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は七兆八千九百七十九億円となり、前年度に対する増加は一兆二千五百八十二億円、一八・九%となるのであります。
    ―――――――――――――
 以上の方針のもとに、昭和四十五年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は七兆八千九百七十九億円となり、前年度に対する増加は一兆二千五百八十二億円、一八・九%となるのであります。
 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 地方交付税の算定については、市町村道その他各種公共施設の計画的な整備に要する経費その他給与改定の平年度化、各種の制度改正等に伴い増加する経費を基準財政需要額に算入するため、関係費目の単位費用の改定等を行なうとともに、最近における社会経済の進展に対処し、それぞれの地域の特性に即応した財源措置の強化をはかってまいりたい所存であります。
 なお、昭和四十五年度分の地方交付税の総額については、三百億円の 減額措置を講ずるとともに、昭和四十五年度までの繰り延べ額の総額九百十億円は、昭和四十六年度分から昭和四十八年度分までの地方交付税の総額に加算することといたしております。
 以上が、昭和四十五年度の地方財政計画の概要及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
#7
○副議長(安井謙君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。和田静夫君。
   〔和田静夫君登壇、拍手〕
#8
○和田静夫君 私は、日本社会党を代表し、地方交付税法の改正案並びに昭和四十五年度地方財政計画について質問いたします。
 近年、予算編成期における自治、大蔵両省間の地方交付税をめぐるやりとりは年中行事化し、その論争の行き着くところ、地方交付税の本質をどう見るかというところまできてしまっていることは、総理も御承知のとおりであります。そして結局意見が真二つに分かれてしまっているということは、この論争が幾ら繰り返されても、もう何も生まれてこないことを意味していると思うのであります。国民は、この非生産的なやりとりに、いささかうんざりしております。こんな状況をいつまで続けるつもりなのか、私はこれは内閣の責任だと思います。中央各省庁の官僚の間に意見の相違があるのは、むしろ当然でありますが、それが一たび大臣ベースの問題となり、内閣の意思となるとき、それは一つのものでなければなりません。大蔵大臣と自治大臣の考え方の違いが公になるなどということは、本来許されないことではないでしょうか。それどころか、福田大蔵大臣は、第六十一国会においては、「地方交付税は地方団体の固有の財源である」と言明しておきながら、今国会では、衆議院予算委員会のやりとりを通じて、「交付税は国の財源です」と、言を左右にし、官僚ベースの対立に拍車をかける結果を招来していることは見のがせません。総理は率先してこの問題に断を下してもよいころだと思いますが、いかがですか。私のきょうのこの質問に対する答弁によって、交付税の本質を内閣の意思としてはっきりさせていただきたいと思います。
 次に、地方交付税制度に年度間調整を導入する問題について総理にお尋ねいたします。
 昭和四十四年度の予算編成過程で取りかわされた自治、大蔵大臣間の覚え書き以来、政府部内では、地方交付税制度に年度間調整を導入する方向に傾きつつあるようであります。私がここで総理にお考えいただきたいのは、この問題が出てきた経緯であります。この問題は、昭和四十年十二月四日付で取りかわされた大蔵、自治両大臣間の、いわゆる出世払いの覚え書きに端を発しているのであります。そして昭和四十三年、この出世払いの覚え書きの履行、不履行をめぐって自治、大蔵両省間のやりとりがあり、この覚え書きをなきものとするかわりとして、地方交付税総額から四百五十億の減額特例措置がとられ、そして四十四年度六百九十億、四十五年度三百億円と、同様の措置がとられてきた。その一つの帰結として年度間調整が検討されることとなったわけであります。つまり、いま問題になっている年度間調整は、内閣が大局的に地方財政をどうするかということを考えて出された結論ではなくて、官僚ベースの予算ぶんどり合戦の一つの帰結として表面化したものであります。それが証拠には、前の自治大臣も、年度間調整は本来地方団体が自主的に行なうべきものであるけれども、大蔵との関係でやむを得ないという趣旨のことを何度も述べています。このように、中央官僚間の均衡関係の一つの帰結として出されてきた年度間調整が、地方自治体の財政自主権を侵害する危険性をそもそも内包したものだと思いますが、この点について、総理はどのようにお考えになりますか。また、昭和四十四年六月五日の参議院地方行政委員会は、「地方交付税が地方の固有財源であることにかんがみ、国税収納金整理資金から直接交付税及び譲与税配付金特別会計に繰入れる措置の実現に努力するとともに、年度間の調整等の措置は、地方自治体の自主的立場において行なうよう指導すべきこと。」を、地方交付税法の改正案に附帯決議しておりますが、総理は、これを尊重されますか、いかがですか。自治大臣並びに大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この年度間調整をめぐる両省間の折衝は、いまどこまで進み、そこでは何と何が論点となっておりますか、両者の考え方をできるだけ具体的にお示しください。
 次に、特別事業債償還交付金を、向こう二年間、特別事業債償還費として基準財政需要額に算入する問題であります。これは昭和四十一年の国債発行や減税に伴う地方交付税のへこみを起債に回し、その分を国が責任を持つという形で特別事業債償還交付金が生まれたことは確認されておりますが、私がここで自治大臣に質問したいことは、大蔵大臣がはっきり認めているように、経緯はいま述べたとおりであり、約束もしたけれども、財政事情の変化があり、まさに国の財政事情で大蔵省が自治省に協力をしてもらったというこうした措置が、地方交付税制度のサイドから見てどうかという問題であります。そもそも地方交付税がその年度の財政需要を保障するものである以上、地方債償還費という過去の財政需要を基準財政需要額に算入すること自体にも問題があるところであり、一定の理由のあるものについてのみそうなっているはずであります。しかるに、土地開発基金費についても同じことが言えるのでありますが、今回の措置のような全く国の財政的事情で基準財政需要額に算入し、そこから逆算的に単位費用をはじき出すというやり方がとられるとなると、一体標準団体というモデルのモデル計算を媒介として、あるべき行政水準を設定するという地方交付税の基本理念はどこへ行ってしまったのかと言いたくなるのであります。この点、自治大臣はどのようにお考えになりますか。また、この措置は、法人税が引き上げられた二年間の措置であります。つまり、この二年間、地方交付税の総額がその分だけふえたという判断のもとにこの措置がとられたと言うことができます。ここには、明らかに交付税の総額の増減に対する判断が無媒介的に存在するのであります。しかし、そもそも地方交付税の総額とはそういうものでしょうか。三二%という形で法定をされ、その総額がきめられているといっても、その底には、基準財政需要額を決算実績など、客観的数値とのかかわりあいにおいて算定し、それを基礎に総額もきめられてくるというたてまえがあるはずであります。そのたてまえはどこに行ってしまったのでしょうか。このようなことが繰り返えされていくうちに、自治省がその精緻さを誇る基準財政需要額の算定方法の存在意義が問われ始め、大蔵省が言っているように、単なる配分基準にすぎないものになっていってしまうのではないでしょうか、その点いかがですか。
 次に、昭和四十五年度地方財政計画に関連して質問いたします。
 まず、税制改正の問題であります。国税所得税の課税最低限は、このたび標準世帯約百三万円となりました。住民税の課税最低限も引き上げられましたが、その開きは相変わらず三十万円程度であります。住民税が特に低所得者にとって所得税以上に重税感の深い税であることにかんがみ、総理もそれをさらに引き上げていくことを明らかにされておりますが、政府部内の中に、一方では頂担分任の原則などとのかかわりあいを述べて、この所得税と住民税との課税最低限の差を説明する向きもあります。そこで、はっきりさせていただきたいのですが、住民税の課税最低限を所得税のそれに一致させるおつもりがあるのか、あるいはどの程度のところまで持っていくつもりなのか、その目標をお示しいただきたいと思います。また総理は、住民税の所得税への付加税方式を採用したい旨を発言されておりますが、自治大臣はこれに反対だそうであります。総理のあのお考えに変わりはありませんか。
 次に電気ガス税の問題であります。この税については、池田前総理がはっきりと、悪税である、やめるべきであると述べられ、佐藤総理も、昨年の予算委員会で、これは依然として悪税に間違いございませんと述べておられます。しかるに、佐藤内閣は、この電気ガス税について、税率引下げも行なわず、相も変わらず免税点の引き上げでお茶を濁しているにすぎません。はたして総理は、この悪税を廃止するつもりがおありになるのですか、あるとすれば、いつごろそれをやるおつもりなのか、具体的にお聞かせください。
 次に、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 これは道路にかかわる公共事業の特例補助存廃をめぐって、今度の予算編成過程でも問題になったところでありますが、国と地方とを比べてみた場合、道路特定財源の国への遍在はおおうべくもありません。このまま放置するならば、新道路整備五カ年計画は、地方自治体にさらに一そう過重負担をしいることとなり、五カ年計画そのものがこの側面から崩壊することにもなりかねない状態であります。自動車新税なども話題になって消えたようでありますが、大蔵大臣は、この新道路整備五カ年計画の実施に伴う地方団体の道路特定財源の強化について、どのような腹案をお持ちですか、お聞かせください。
 自治大臣にお尋ねいたします。今回の改正によって、府県から市町村に対し〇・二%の税源移譲があったようでありますが、いわゆる都市問題に直面している大都市にとって、この程度の税源移譲で十分であるはずがありません。今後都市問題の解消という観点から、大都市の税源拡充の方向をとるおつもりがあるのかどうか、あるとすればどのような形でそれをやるつもりなのかお聞かせください。なお、同時に、今回なされた二府県以上にまたがる法人の事業税の分割基準の改定は、平年度東京から五十億、大阪から十億の財源を奪い、大都市問題解決の方向に逆行するものであり、人々の口の端にのぼっているごとく、東京都へのいやがらせとしか思われませんが、その点いかがですか。
 次に、公営ギャンブル問題で総理に伺います。美濃部東京都知事が、公営ギャンブル廃止の方向を打ち出して以来、その賛否をめぐる論議が、マスコミなどの場では主としてギャンブル是か非かというかたちで、はなやかであります。しかし、わが国の公営ギャンブルに関する方向は、昭和三十六年七月二十五日付の公営競技調査会答申の、「現行制度の存続を認め、少なくとも現状以上にこれを奨励しない」という方向で確定しているのでありますから、すでにそれ自体としての論議の余地はないのでありますが、問題は、幾種類もの競輪や競馬の新聞がちまたにあふれ、車内広告はギャンブルの祭典をはなやかに盛り上げ、週刊誌の予想やテレビのコマーシャルまでがギャンブル熱をあおっている状況の中で、よほどの積極的姿勢が示されない限り、「少なくとも現状以上にこれを奨励しない」という行政の方向は堅持できないということであります。現に全国の公営ギャンブルの開催の延べ日数はふえるばかりです。売り上げ高も五年前の二倍半になろうとしております。こうした中にあって、美濃部知事がさまざまな財政的困難を十分認識しつつ都営ギャンブル廃止の方向を打ち出したのであります。どうして政府はそれを地方自治体の英断として積極的に支持されないのですか。私はそれぐらいにしてはじめて「少なくとも現状以上にこれを奨励しない」という政府の方針も真実味を帯びると思うのであります。しかるに自治省は、ギャンブルを廃止できるほど財政の余裕があるなら水道や地下鉄工事の地方債を減額したらどうだなどという、いわゆるギャンブル財政論の立場に立って、これに対してきわめて冷淡な態度をとりました。また、今回ギャンブル収益金のうち一%を公営企業金融公庫に吸い上げて、公営企業にかかる地方債の利子引き下げに用いようということが予定されているようでありますが、行政需要の地方財政とのアンバランスが解消するどころか、むしろ拡大する傾向の中で、総理は、ギャンブルによる収益金が地方財政構造の中にこのように組み込まれ、固定化しつつある事態について、どのようにお考えになりますか。また、新聞報道によれば、三月二十六日、農林省は、東京都が公営ギャンブル廃止の第一歩とした開催権を返上した四回分の競馬開催を特別区及び周辺の市に肩がわりさせる方針をきめたそうでありますが、総理は、この都営競馬廃止の骨抜き措置を、一体どのようにお考えになりますか。「少なくとも現状以上に奨励しない」という政府の方針を現実化していくためには、こうした農林省の態度を改めさせるべきだと思いますが、いかがですか。
 最後に、地方交付税や地方財政計画と地方自治との関連について、総理の所信をお伺いしておきます。私は、地方交付税の算定の際に設定される基準なり、地方財政計画策定の際に想定される行政水準なりというものは、いわゆるナショナル・ミニマム――国民的最低基準であるべきだと思います。識者の見解も大体そういうところにあるようであります。そしてその最低基準の行政水準を各地方自治体が自主的に実現していくというところに、こうした国のレベルでの基準と地方自治との調和もあるのであります。しかるに、最近の自治省の指導は、地方交付税なり地方財政計画なりで設定される基準をナショナル・マクシマム――国民的最高基準で考えている節があります。先刻話題になった、東京都が人事委員会勧告を完全に実施しようとしたたった一カ月分の地方自治にけちをつけたのもその例です。また、これはつい最近のことですが、地方自治体が自主的に実施している児童手当にまで難くせをつけたのなどは、その最もよい例であります。この児童手当については、去る三月二十五日の決算委員会において、各自治体ごとに実施されている児童手当制度と政府が実施しようとしているそれとの関連をただした私の質問に答え、厚生省は、むしろ、再三の約束にもかかわらず、政府の実施がおくれている責任を痛感した答弁をしているのであります。総理も、その早期実現を何度か約束した責任者として、その政治責任にかんがみて、自治省のこの態度をたしなめるべきだと思いますが、いかがですか。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(佐藤榮作君) 和田君にお答えいたします。
 まず、地方交付税の基本性格についてでありますが、その理解において、大蔵省と自治省の事務当局において微妙なニュアンスの差のあることは私も承知しております。問題は、国と地方が互いに協力して国民福祉の向上につとめてまいるその姿勢にあるものと、かように私は考えております。そして、現に国と地方の財政はともどもに健全かつ適切に運営され、わが国経済の発展と国民福祉の向上に寄与してきたものと、かように考えております。交付税が地方の自主的財源である、これは法律の定むるところでございますから、いまさら私から説明を加えるまでもございません。
 また、地方交付税の年度間調整につきましても、同様の趣旨におきまして考えるべき問題であると考えます。地方交付税は、その総額が国税三税に直接リンクしているために景気動向に対してかなり敏感に変動するという性格を持っており、景気のいかんにより地方財政変動の一因となっておりますので、地方財政の安定的な運営と長期にわたる健全性を確保し、わが国経済の安定的な成長を期するためには、地方交付税についてしかるべき年度間調整が行なわれることは適切なことと私は考えます。その具体的あり方につきましては、なお検討すべき多くの問題がありますので、今後、慎重に検討を重ねてまいりますが、すでに法律で定められていること、これを忠実に守ること、これは政府の当然の責任でございます。
 次に、電気ガス税についてお尋ねがありましたのでお答えをいたします。電気ガス税は悪税であるという気持ちにはいまも変わりはありません。しかし、これを一挙に全廃するということは、地方財政の現状から見ましてこれは無理なことと考えます。与えられた条件の中において住民税で減税を行なうか、電気ガス税で減税を行なうかは選択の問題であり、今後ともそれぞれ適切な組み合わせにおいて減税への努力を続けてまいります。
 住民税の課税最低限の引き上げは所得税との関連におきまして不十分であるとのおしかりであります。私は両者は必ずしも平仄を合わすべきものとも考えませんが、今後とも住民税の課税最低限の引き上げにつきまして、地方財政の実情に即しつつ軽減をはかってまいりたいと、かように考えます。私は付加税説をとった、いまなおそれについての考えはどうかというお尋ねがありましたが、この問題はただいま検討の段階でございますので、結論を申し上げるわけにはまいりません。
 次に、公営ギャンブルについてのお話がございました。地方団体の財政が公営競技の収益に強く依存することが好ましくないということにつきましては、つとに公営競技調査会の答申に指摘されているとおりであります。現にそのような事態にはならないよう地方財政の安定充実に十分つとめているところであります。この点は誤解のないようにお願いをいたします。また、東京都の競馬回数を他の地方団体に肩がわりを認めたことについて御批判がありました。私は昨年も関連の御質問に対して、完全にやめてしまうことができるかどうか、あるいはやめてしまうことが望ましいかどうか、この点には多少疑問を感じます。要は、節度ある健全なものであるかどうか、ギャンブルといわれるような不健全なものではないかどうかが問題だと思いますと申したのでございますが、いまもその気持ちには変わりはありません。社会的、経済的影響を無視して、単純に競馬を減らしていくということだけでは問題は片づかないと思います。もちろん競馬法の趣旨に基づいた健全な競馬の運営には十分留意してまいります。
 最後に、地方財政計画と地方自治についてのお尋ねがありました。地方財政計画は、あくまでも地方財政全体が適切に運営されるための一つの指標として策定されるものであり、具体的な行財政の実施は各地方団体によりまして自主的に運営さるべきものであります。そうして、その運営が全体として国民的要請にこたえるものであり、その点が十分確保された上で行なわれるものである限り、特に批判さるべきものではないということは、あらためて申すまでもありません。
 また、一部府県の児童手当について、自治省が反対しているという具体的な御指摘でありましたが、そのようなことはないものと聞いております。この問題も以上申し上げた考え方で判断をするべき問題だと、かように考えます。
 以上、お答えといたします。その他の点については他の大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣秋田大助君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(秋田大助君) 地方交付税の年度間調整についてのお尋ねでございますが、地方交付税の本質に立脚いたしまして、もちろん地方財政の自主的な立場から年度間調整というものを行なうとすればすべきものと心得ておるのでございます。この点、大蔵省との間に多少の意見の相違がございまして、昭和四十五年度の予算編成につきましても、大蔵大臣といろいろ御協議を申し上げましたが、なおこの問題は両省間においてさらに協議をして詰めていこうという話し合いになっておるわけでありまして、国会の用務等も済みました際には、大蔵大臣ととくと御相談をしてみたい、こう考えております。
 特別事業債償還費は、これは国の責任において措置すべきものというたてまえになっておるのでございますが、御承知のとおり、法人税の増徴による地方交付税の増収が昭和四十五年度、四十六年度期待されますので、地方財政全般のことも検討し、国家的見地にも立ち、この二年度間に限りました特別措置をとった次第でございまして、御了承を願いたいと存じます。
 なお、大都市の財源の充実強化につきましては、新道路整備五カ年計画等の道路目的財源等を処置しなければならない観点、その他いろいろ大都市過密問題に対処するためにもこの税源を確保し、強化充実しなければならないことはもちろんでございまして、自治省といたしましては、過去において自動車取得税の創設なり、あるいは地方道路譲与税の譲与基準の改正、その他昭和四十五年度におきましては、御承知のとおり、法人税の増徴に伴う都道府県民税、法人税割りの増収分を市町村に移譲することによって、大都市財源の充実を期しておるのでございます。なおこれにつきましては、消費税あるいは流通税等を市町村、ことに大都市に付与する方策をとってはどうかという御意見もございますが、これらの問題はさらに慎重に検討をいたしたいと思っております。
 ただいま法人事業税の改正につきまして、東京都あるいは大阪等につらく当たっておるのじゃないだろうかというお話でございますが、一法人が二以上の都道府県に事業所を持っている場合のこの税の配分の合理化を期したものでありまして、都市財源の問題とは本来別問題でもございますし、いわんや東京都いじめというような処置に出たものではないことは、ひとつ御了承を願いたいと思うのでありまして、大都市の財源の充実強化につきましては、ひとつ国と地方と、あるいは市町村との仕事の配分、並びにこれと見合うところの財源の措置等を考えまして、十分今後検討してまいりたいと思います。
 なお競馬の開催のことにつきまして、開催の日数は、これは自治省の権限ではないのでございまして、農林省の決定にまったものでございますが、過密都市であるところの川崎あるいは浦和、船橋等に配分されたことは、それなりの意義があると私どもは考えておるわけでございます。
 なお、児童手当につきまして、自治省が反対をしておるというように新聞に一部報道されたのでありますが、これは完全に誤伝でございますので、その点ひとつ誤解を解いておいていただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(福田赳夫君) 私に対しましては、地方交付税の年度間調整についてでありますが、これはいま総理からも自治大臣からもお話がありましたように、地方交付税は、そもそも法人税、また所得税、酒税、この三税の三二%という定率で算定するということになっておりますが、この法人税、所得税、酒税、これが景気の影響が非常に敏感であります。つまり、不況のときにはこれがいろいろ減額になりますが、好況時には激増すると、こういうようなことで、その落ち込み、激増に対して地方財政が安定的に成長していくために調整の措置を必要とするのではないか、こういう考え方によるものであります。そこで、四十年度には非常な大不況でありまして、その影響を受けて地方交付税が予定よりも大きく落ち込むというような事態がありまして、国ではその差額を地方に対して補給をしたんです。ところが、その後事情が変わりまして、四十三年、四十四年におきましては、これは逆に地方から自主的に国のほうで借り上げるというような措置をとりましたが、しかし、そういう一時的なその年々の対策ということでは、これを御指摘のように中央、地方の財源論争ということになりますので、何とかこれを制度化しようじゃないかという話が持ち上がっておるわけであります。昭和四十四年度予算の編成のときには、そういう方向で年度間調整の制度を確立し、いわゆる借り貸し措置のようなことはやめようじゃないかというような覚え書きまでつくったんでありまするが、これがなかなかまだ制度として両省の間に意見の一致を見ない。まことに残念に存じておる次第でございます。
 それから道路の長期計画、五カ年計画を四十六年度からスタートしようということに相なりますが、その財源は多少いまの税体制では不足をいたします。その不足をどういうふうに埋めていくかということは、四十六年度予算編成をめどにいたしまして、これを策定いたしたいと、かように考えておるのであります。その際に、地方の財源につきましても十分配慮しなければならない、さように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○副議長(安井謙君) 阿部憲一君。
   〔阿部憲一君登壇、拍手〕
#13
○阿部憲一君 私は、公明党を代表して、ただいま趣旨説明のありました昭和四十五年度地方財政計画及び地方交付税法の一部を改正する法律案に対し、政府の所信をお伺いしたいと思います。
 まず総理にお尋ねしたいことは、内政の年の中身についてであります。一九七〇年代の開幕の年にあたって、それは単に地方自治にとって年度が変わったというだけではなく、地方制度のあり方についても大きな曲がりかどを意味しており、新しい社会経済に適応する制度の抜本的改正を要する時期にきているのではないかということであります。
 シャウプ税制以来二十年、「地方行政は地方自治体の手で」という原理原則論に立って地方財政一問題も扱われてまいりましたが、その後の経済社会構造の著しい変化に伴って、過疎、過密の深刻化、交通災害、大都市財政、地域開発、各種の公害等複雑化し、しかも、長年の産業優先、生産第一主義の政府施策はさまざまのひずみを生み、国民総生産は自由世界において米国に次ぐ世界第二位を占める経済大国に成長しながら、一方では、国民生活に直結する住宅、道路、下水道、教育施設等、各種の生活環境施設及び社会保障制度の現況は、欧米先進諸国の水準よりも十数年もおくれているのであります。七〇年代こそ、この著しい立ちおくれを是正するために、社会資本の投下、充実を最優先とする政策を実施しなければならないと思います。したがって、住民生活に直結する地方財政のあり方については、早急に再検討しなければならないと思うのであります。
 そこで第一の問題は、年中行事と化した毎年の予算編成にあたっての地方財政をめぐる大蔵省と自治省の財源争いであります。四十三年度の予算編成時から始まった地方交付税の貸借争いは、その後の四十四年度に引き続き、ついに四十五年度予算編成まで尾を引いて争われ、未解決のまま昭和四十六年度予算編成を迎えんとしております。しかも、貸借関係が一応清算される予定年度は昭和四十八年と現在のところきまってはおりますが、総理は、一体、このような財源争いをいつまでお続けになるお考えなのか、お伺いいたします。
 次にお尋ねしたいことは、地方制度の改革についてであります。この問題は、戦後幾たびか論議がかわされてまいりましたが、政府の行財政にわたる改革は、小手先だけの改正、継ぎはぎだらけの糊塗政策に終始して、一向に前向きの姿勢になっておりません。申すまでもなく、経済の高度成長と社会の急激な変化発展は、種々の行政上の矛盾を生み、地方制度の改革を求めておりますが、その一つである広域行政をとらえてみましても、市町村段階においては自治省の計画実施しようとする広域市町村圏あり、一方には、建設省の主唱する地方生活圏中心構想があります。さらに、府県段階におきましては、政府の唱える都道府県合併論がありますし、また、財界が強力に推す道州制論があります。このように、地方財政の改革については、政府部内にも著しい意見の不統一が見られますが、総理は、今後の地方制度のあり方をどのようにお考えになっておられるか、お伺いしたいのであります。
 次に、大蔵大臣にお尋ねいたします。大蔵当局が申すまでもなく、地方財政の状況は、三十九年、四十年の赤字苦境の時代からは確かに脱出し、数字の上、総ワクの上では好転しております。しかし、前に述べましたように、経済社会の著しい変化に伴う財政需要の急増は、とうてい地域住民の要請に追いつかず、長年にわたる高度経済成長のひずみは、生活環境の立ちおくれを一そう深刻化させております。ただいま御説明のありました昭和四十五年度の地方財政計画でも、総ワクでは七兆九千億円から八兆円に近い国の予算規模に匹敵する大型には相違ありませんが、いままでのあまりにも貧困であった地方財政の実情と激しい社会構造の変動に伴う財政需要の急増を考えれば、決して過大とは申せません。むしろ当然であり、大蔵当局のごとく決算上の数字をとらえて地方財政好転論を吹聴してみても、決して行政水準は向上するものでもなく、長年の赤字財政に苦しみ抜き、やらねばならぬ事業も手控えて、無理やり決算の帳じりを合わせるためにきゅうきゅうとしてきた地方団体にしてみれば、これからが住民サービスのほんとうの仕事のしどころであります。地方財政が好転した、財政規模が膨張したとは申しながら、地方道の改良舗装、下水道の普及、都市周辺地域の人口増に伴う必然的な財政需要の増大や、過疎、過密、公害等の新たな行政需要の登場などを考えるときに、はたして三千有余の地方公共団体にとって、交付税その他の補助金を配分してどれだけの効果、レベルアップが期待できるでしょうか。国と地方との年度間調整を全く否定するものではありませんが、このような地方住民に直結する地方財政は、本質からいって国の景気調整とはなじまないものであり、それを数字や総ワクの上だけにとらわれて、中身を見ず、無理やりに調整しようとするところに争いが起こるのではないかと思うのであります。今秋また四十六年度の予算編成期を迎えるわけでありますが、大蔵大臣は、今後この問題をどう対処なさるおつもりか、お伺いいたします。
 次に、自治大臣に二、三の点についてお伺いいたします。
 第一には、地方の長期の財政基本計画についてであります。大臣は、先ほど、昭和四十五年度の地方財政計画の説明にあたって、行政経費の効率化及び重点化に徹し、節度ある財政運営を行なうと申されておりますが、地方行政には従来からあまり長期的な計画の展望も見当たらず、年度ごとに地方財政計画の書きかえのみに終始し、将来にわたっての地域開発や国民生活水準向上に対する長期計画も予算的裏づけもないようであります。現在、国のほうには、その成果は別として、経済、道路、住宅総合開発等、長期的ビジョンの上に立って施策が推進されております。内政を担当する自治大臣においては、今後の地方行政全般にわたって長期の基本計画を立案する御用意があるかどうか、御所信をお伺いいたします。
 第二は、住民税の減税についてであります。四十五年度の改正案によりますと、標準世帯の課税最低限を十万五千円に引き上げ、七十二万九千円とすることになっておりますが、所得税のそれと比較しますと、依然約三十万円ばかりの開きがあります。一向に改善されておりません。これは、政府や、税制調査会のいう地域社会の負担分任の考え方に基づくものと思いますが、これこそ大衆課税を合理化したものであり、この負担分任の押しつけは住民に耐えがたい重税感を与えているのであります。一方では、四十五年度の地方税の自然増収が約六千六百億円と見込まれ、これに対して住民税減税額はわずか自然増収の一割にも達しない六百五十四億円であります。これでは、地方団体から三年連続で地方財源を国に貸す余裕があるくらいなら、もっと減税しろとの声が出るのは当然であります。わが党は住民税の課税最低限を標準世帯百万円まで引き上げるべきであると、従来より主張いたしてまいりましたが、自治大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
 もう一つは、先刻も触れられましたが、電気ガス税の問題でございます。前の総理池田さんも、また、現佐藤総理も、国会答弁において繰り返し電気ガス税は悪税である、なるべく早い機会に全廃したい、こういうふうに約束されております。自治省は、これにかわるべき市町村の財源がないという理由で廃止に踏み切らず、今日まで引き延ばしてきたのが実情のようでありますが、物価抑制の上からも、悪税論以来六年も経過した今日、断固として全廃すべきものと思いますが、これについて自治大臣の御決意を伺いたいと思います。
 最後に、水田買い上げ構想について総理にお伺いいたします。米の生産調整に関連して、減産五十万トン相当分の水田を地方公共団体及び民間に買い上げさせようという政府苦肉の水田買い上げ構想であります。これは政府の減産目標百五十万トンのうち五十万トン分、約十一万ヘクタールの水田を地方団体と民間の買い上げによってまかなおうとするものでありますが、現在、地方団体が年々取得している公共用地は約三千ヘクタール程度でありまして、今後の需要を見込み、どんなに努力しても一万ヘクタールの取得が関の山ではないかと思われるのであります。しかも、売り出されるのは山間や谷間の不良田ばかりで、公共用地に向く美田の買収はなかなか期待できないでありましょう。また、民間の買い上げを無秩序に許すと、地価の高騰やスプロール化を誘発するおそれが多分にあります。結局は奨励金の配分にせよ、農地買い上げ対策にせよ、政府の総合農政のしりぬぐいは全部地方公共団体に押しかぶされることが予想されるのでありますが、これに対する総理の御所見はいかがでございましょうか。
 以上をもちまして、私の質問を終わりといたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(佐藤榮作君) 阿部君にお答えいたします。
 国の予算編成に際し、地方交付税や国庫補助、それから負担金などのあり方をめぐりまして、国と地方のそれぞれの立場から種々論議がかわされていることは事実であります。いずれもそれぞれの立場をよく理解し合い、実情に即した適切な財源配分が予算として計上されているものでありまして、地方団体の不信を買ったり、あるいは地方財政に大きな禍根を残すというような結果を招いていることは決してありません。まずこのことをはっきり申し上げて御理解をいただきたいと思います。
 私は、いたずらに国家財政と地方財政とを対立的にとらえた論議を繰り返すことは、単に地方制度のあり方という見地からのみならず、わが国の内政のあり方という見地からも適当でないと、かように考えます。地方財政は、現在、住みよい生活の場を整備するため、過密過疎対策をはじめ各種の施策を積極的に推進すべき時期に直面しておりますが、これらの事業は国と地方が一体となって推進すべきものであり、また今後とも、そのような気持ちにおいて財政運営を行なってまいる考えであります。
 次に、経済の高度成長と社会の発展、変化によりまして、広域行政の必要性が一そう強くなっていることは御指摘のとおりであります。将来にわたる地方制度の基本的なあり方につきましては、道州制の問題をはじめ、各方面において種々の構想が示されており、また地方制度調査会におきましても検討が進められているところであります。問題が問題だけに、多くの構想が生まれることはむしろ当然であり、これを意見の不統一というのは当たらないのではないだろうかと思います。また、理想論を机上で描いていても全く意味がないので、多くの関係者に共感の得られる、実現可能性のある案をつくり出さなければなりません。政府としては、多くの御意見を十分しんしゃくして慎重に検討すべき課題である、かように私は考えます。
 最後に、米の生産調整についてお尋ねがありました。この生産調整の一環として計画した十一万五千ヘクタールの買収は無理ではないか、また、これを地方団体に押しつけているのではないかとの御批判でありましたが、私も率直なところ、これはなかなか容易なことではない、かように考えております。しかしながら、当面の米の需給調整が円滑に進むことが、日本農業の転換のため何よりも大切である。その意味合いにおいて、さきの施政方針演説においても、農民諸君、農民団体のみならず、地方公共団体の御理解と御協力を希望したのであります。私は、関係者各位の一致協力によりまして、この計画が何とかして達成されるよう、心から期待するものでございます。
 以上、お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 地方財政が非常に好転しているということを私が言っているのはどういうわけかと、こういうことでありますが、私はそのとおりに考えております。つまり、これは数字も、あらゆる角度から検討いたしましても、これを示しているわけでありまして、四十三年度決算を見ますれば黒字が実に千九十四億円、それから積み立て金がその上千九百十三億円、合わせて三千七億円の実質剰余がある、こういう状態であります。また、四十四年度以降におきましても、財政は非常に好調でありまして、財政計画の規模のごときも国のほうでは四十四年度が一五・八%の拡大、地方では一八・五%の拡大である。四十五年度は一七・九%が中央、それに対して地方では一八・九%であるというような拡大の状況であります。これをまかなう財源はどうかというと、国のほうでは公債の依存度が四十五年度では五・四、しかし、地方ではそれが四・六である、こういう状態であります。それから、したがって、一般財源が非常に伸びてきております。六五・五%が一般財源である、こういうような状態であります。まあどこから見ましても地方財政が好転しておるということは、私ははっきりしておると、かように考えております。
 四十六年度以降どうするかという話でありますが、私は、中央、地方、これは車の両輪だと、そういう考えであります。互いに相助け、助けられ、そして地域社会を守る、こういうことかと思います。で、年度間調整につきましては、今後とも制度的な面を鋭意検討していきたい、さように存じております。(拍手)
   〔国務大臣秋田大助君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(秋田大助君) 今後の地方行政に課せられた問題は多々ございます。過密、過疎の問題の解決、あるいは均衡のとれました地方の開発等、地方社会資本充実を期しながらこれらの仕事をやってまいるためには、長期計画の必要なることは論をまたないのでございまして、しこうして、そのできました長期計画を計画的に実行することが必要であろうと思います。
 情報化時代に処しまして、PPBS方式等も云々されるのでございまするから、地方行財政の運用につきましても、これら情報を処理する新しい手法等も取り入れまして、長期計画の作成を期してまいりたい。従来その趣旨で地方公共団体等も指導してまいりましたが、本省においてもまたひとつ画期的な手法を用いまして長期基本計画をつくってまいりたい、もって地方行政の近代化に資したいと考えておる次第でございます。
 住民税の課税最低限を百万円に引き上げろと。要するに、これは所得税の課税最低限と同一歩調をとれという御発想であろうと思うのでございます。所得税並びに地方住民税の税の本質の差ということは、あえてここに論じませんが、しかしながら、やはり低額所得者の税負担の軽減ということを十分考慮しなければならないのでありまして、さればこそ、昭和四十五年度の住民税の課税最低限の引き上げ額は所得税のそれよりも多少上回っておるのでありまして、それだけ差を縮めておるところの自治省の努力というものはひとつお買い願いたいのでありまして、今後この方針によりまして経済の状況等を考慮しつつ、地方財政の全般をにらみつつ漸次その差を縮めていくことに努力をいたしたいと考えております。
 なお、電気ガス税の悪税論でございますが、これは生活必需物資、消費物資に対する課税という点について、いわゆる悪税論が出ておるのであろうと承知をいたしておりますが、今日のところ、この税は住民税なりあるいは固定資産税を補完するところの地方税体系における基本的税収をなすものでございますし、これにかわる税収といたしまして、たばこ専売益金を全額こっちへ持ってきたらどうだという御意見もありますけれども、すでに四七・二%もたばこ消費税は専売益金のほうから繰り入れられている関係もございます。将来、電気ガス税の免税点はだんだんひとつ経済の情勢に応じて引き上げ、かつその税率はある程度引き下げる、との二方法によりまして適正を期してまいりたい。いま直ちにこれを全廃するということは、地方税収財源等の関係から、そこまでは踏み切れないが、漸次この電気ガス税についての内容の改正を期してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○副議長(安井謙君) 村尾重雄君。
   〔村尾重雄君登壇、拍手〕
#18
○村尾重雄君 私は、民社党を代表して、ただいま提案されました地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十五年度地方財政計画に関連いたしまして、若干の質疑をいたします。
 まず、総理にお尋ねいたします。総理は、今国会冒頭の施政演説の中で、一九七〇年代において国民総生産は二千億ドルをこえ、十年後にはさらに三倍程度に増大することも不可能でないと自負しておられます。しかし、国民総生産がいかに増大しようとも、真に国民の生活の充実につながるためには、経済成長のひずみを是正することが最も重要であります。すなわち、公害、交通、住宅など生活環境施設整備、社会資本の充実をはからなければ、この問題の解決はあり得ないと思います。すなわち、その実施について、その大部分をゆだねております地方公共団体の努力に待たなければならず、この意味において、地方公共団体の責務はきわめて重大であると思うのであります。したがいまして、政府としては、地方自治の尊重、住民福祉を充実するために、地方財政の強化に最大の努力を傾注する任務を負うているのでありますが、最近における政府の方針は、ややもすれば地方財政を弱体化させる傾きを見せており、いわゆる三割程度の地方自主財源で、本来的には政府財政に依存せざるを得ない地方財政を一そう困窮化せんとしておりますが、このような状況の中で、総理は、地方に対する国の責任遂行について、どのような方針でおられるのか、その所信を承りたいと思います。
 また、最近急激な社会構造の変化は、人口の激しい流動化を伴い、過密、過疎を生ぜしめております。この解決は、当面地方自治の大きな課題であり、さらにその他公害対策、交通対策など、財政需要の増大の要因を数多くかかえており、財政力の低い地方公共団体にとりましては、まさに手に負えない結果となっております。重ねて総理に、長期展望の中でこの点をどう考えておられるか、御見解をば承りたいと思うのであります。
 次に、地方交付税の減額措置について、関係大臣にお尋ねいたします。
 地方制度調査会の答申によれば、地方交付税は、本来国との間の税源配分の一環として設けられている地方公共団体固有の財源であると、その性格を明確にしております。また昨年、先ほど質疑もありましたが、自治大臣と大蔵大臣との間に、昭和四十三年度、四十四年度においてとられた交付税の国と地方との貸借の特別措置は今後はとらないとの覚え書きをかわしておられることは御承知のことと思います。しかるに、今回交付すべき交付税の総額は、三百十億円を減額した額とすることになっているのであります。これは交付税の性格をますます不明確とするものであります。いやしくも一省の責任者たる大臣たるものが、お互いの約束を一片の紙切れ同様に破り去ることは、国政をあずかる者のとるべき姿勢でないと思うのであります。それを国の財政の都合により、かってに削減しようとすることは断じて承服できないところであります。七〇年代は内政の年と言われる政府の態度に反すると言わざるを得ません。かかる意味から、減額措置を直ちに撤回すべきであると考えますが、総理、自治、大蔵各大臣に責任ある答弁を求めるものであります。また、地方交付税の性格とはいかなるものであるか、この際あらためてお伺いしたいと思います。
 次に、地方財源の確立についてでありますが、現在の国と地方との財源は、国が七〇%、地方が三〇%となっておりますが、実際に使用する場合には、地方が六五%、国が三五%と、収入支出において全く逆となる不合理な制度となっております。私は、これが地方財政の強化策として、当面、これも触れられたことばでありますが、たばこの専売益金を地方に移譲すべきことを主張します。政府は、これは国が行なっている事業益金だから地方に回すのは筋違いだと言われておりますが、これは専売公社を私企業的観点でのみ見る官僚の私は発言であろうと思います。国、地方の財源も国民に奉仕するためのものでありますから、専売益金も、この際、地方に移すことが最も適切な方法であろうと思います。
 また、わが国の道路舗装率は一一%、先進国の七〇%以上に比べ著しく立ちおくれております。中でも、国道が七四%舗装されているにかかわらず、住民が日常使用する身近な市町村道は、わずかに五%しか舗装されていないのが現状であります。したがって、市町村道整備目的財源として、揮発油税の一部を市町村に移譲すべきと思うのであります。このような税財政改正を実行することによって、地方の自主財源は五〇%近くまで引き上がり、それに地方交付税を加えると、地方財政の運営はよほど弾力性を回復するものと考えますが、総理、大蔵、自治各大臣の御所見を伺いたいのであります。終わりに、自治体病院についてお尋ねをしたいのであります。最近、自治体病院の経営状態が極度に悪化しております。四十三年度の決算状況は、単年度で赤字を生じた病院数は五一%に達しており、四十四年度の決算推計によりますと、赤字額は六倍程度に激増し、しかも全病院の中で八二%は赤字病院となるであろうということがいわれておるのであります。このように自治体病院の経営状態が最悪の事態に立ち至りつつある現状から、政府の何らかの援助措置が必要であります。自治体病院運営のいかんは、直ちに国民の福祉に直結するものと言って過言でないのであります。ことに政府の公約であります医療保障制度の抜本改正を早急に断行し、これらの早期解決をはかるべきであろうと思います。また、自治体病院の果たしている役割り並びに今後わが国の医療体系に及ぼす影響等、まっこうからこれと取り組むべきであろうと思うのでありますが、政府の御所見をただしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(佐藤榮作君) 村尾君にお答えいたします。
 まず、地方自治の尊重、住民福祉の向上の見地から、地方財政の充実強化に最大の努力を払えとの御提案がありましたが、住民の日常生活に密着した地方行政の充実をはかること、これこそは内政充実のため最も重要なことでありまして、今後とも十分この内政の充実について、そのための地方財政の充実は十分配慮してまいる考えでございます。特に過密都市対策、公害対策、交通対策をはじめとして、地方団体がこれから実施すべき事業が著しく増大しております。財政需要もまた増高していることは御意見のとおりであります。特にこれらの事業は、長期的な見地から計画的に実施すべきものでありますので、地方団体が住民の期待にこたえ、積極的に事業を実施し得るよう十分配慮してまいる考えでございます。
 交付税の減額措置その他についてお尋ねがございましたが、これは所管の大臣の答弁に譲らせていただきます。
 最後に、自治体病院の経営状態については、本年二月の診療報酬改定によりまして、かなりの改善を示すものと見込まれますが、今後とも必要な援助措置につきましては配慮してまいります。
 なお、医療保険の抜本改革につきましては、現在、関係審議会におきまして御審議願っており、その結論を得て、四十六年度には医療保険の改正に着手できるよう努力したいと、かように考えております。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣秋田大助君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(秋田大助君) 地方交付税の性格でございますが、申すまでもなく、国と地方との事務配分、これに見合った経費負担ということから考えられまして、国と地方との間に配分されました地方の固有財源であることは申すまでもないのであります。しこうして、これについて貸し借りをしたことはけしからぬじゃないかというお話でございます。われわれといたしましても、かねて大蔵省、自治省間の覚え書きの趣旨にも徴しまして、極力これを避けたいと思ったのでございますが、いろいろ国の財政の事情もこれあり、御承知のとおり地方交付税の増徴、増収も予定されまして、ある程度の地方行政水準の維持等も考えられ、地方行財政の健全も考えられましたので、諸般の事情を考慮いたしまして、やむを得ず貸し借りの処置に出たものでございまして、今後はこれを避けたいと思っておりますので、今回のところ御了承を得たいと思うのであります。
 なお、地方の仕事は、地方住民が負担する地方税をもってまかない得るならばけっこうなんでございますけれども、地方税源の配分というものは、必ずしも合理的にまいらない偏在性があるのでございまして、ここで地方交付税というものの存在があることは申すまでもないのであります。ついては、ひとつたばこ消費税、専売益金を全部地方に移譲してはどうだろうというようなお話でございますが、四七・二%も現在専売益金をたばこ消費税として地方にいただいておるわけでありまして、ひとつ、いろいろ事情を考慮し、さらに検討をしてまいりたいと思います。
 なお、新しい道路整備五カ年計画に関係して、地方道路目的財源の充実強化をはかる意味におきまして、揮発油税の一部を地方に移譲したらという御提案でございまするが、これらの点につきましては、ひとつ今後十分関係方面と御相談をし、検討をしてまいりたいと思っております。
 なお、地方自治体病院の経営が、いまだ赤字基調を脱し切れずにいることは事実でございまして、昭和四十四年度におきましては、社会保険診療報酬の改正が行なわれましたが、実施が本年の二月からでございましたために、改定期間が二ヵ月にとどまること、及び給与改定の実施のための単年度収支を均衡させることはむずかしいと思われますが、昭和四十五年度におきましては、一応単年度収支が償われるものと考えております。
 このように自治体病院の経営が悪化している原因につきましてはあえて論じませんが、自治体病院が行なう衛生行政に要する経費及び建設改良に要する経費につきましても、一般会計から病院会計に繰り入れを行なうことといたしまして、地方財政計画において所要の財源措置を講ずる等により、その健全化をはかるとともに、経営の合理化を進めるための対策を引き続き講じてまいりたいと思います。なお、御参考までに、昭和四十五年度病院事業関係地方財政計画計上額は二百二十六億円でございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(福田赳夫君) 村尾さんから、交付税減額措置を撤廃せよという御所見でございますが、この措置につきましては、私も遺憾に存じておるのであります。四十四年度予算編成の際に、大蔵、自治両大臣は、地方交付税交付金の年度間調整の制度を制定しようじゃないかと、それによって四十三年度に行なったいわゆる貸し借り措置ですね。つまり交付税の減額措置は、これを取りやめようという覚え書きをつくり、国会にもそれを御説明いたした次第であります。何とかしてそのとおりにやろうというふうに考えたのでありまするが、年度間の調整が非常に制度的にむずかしい問題が多々あるわけでありまして、それが決着に至らない。一方におきまして、四十五年度におきましては、御承知のように、交付税がほうっておきますると三〇%もふえるという状態になる。そうすると、一般会計の予算の規模をうんと拡大させざるを得ない、こういうことにもなり、現下の機微なこの景気情勢下において心配される点もありましたので、まあやむを得ず交付税減額措置をとったのでありまして、今後この年度間調整につきましては、制度的になお鋭意検討していきたいと、かように考えております。
 それから、交付税の性格いかんという問題のお尋ねでございますが、交付税というのは、中央、地方財政の接点にあるわけでありまして、国のほうから見ますれば、国の所得税、あるいは法人税、あるいは酒税、これを受け入れる、これは国の財源だというふうにも言えるわけです。しかし、地方から見ますれば、その三税の法律によってきめられた三二%というものを自動的に受け入れるわけでございまするから、そういう意味におきましては、地方が地方の固有財源である、自主財源であると称してもまたふしぎはないのであります。見方によりましては国の財源とも言えるし、地方財源とも言える、そういう性格のものであろうかと思います。
 それから、今後自主財源を充実せよ、その方法として専売益金を全部地方に移したらいいじゃないかというようなお話でありますが、いま自治大臣からお話しのように、まあかなりの額が、たばこ消費税につきましては地方に回っておるわけであります。その上さらに繰り入れを増額するというようなことは、今日の中央、地方の財政のバランスから見ていかがであろうかと、かように考える次第であります。(拍手)
#22
○副議長(安井謙君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#23
○副議長(安井謙君) 日程第三、勤労青少年福祉法案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長佐野芳雄君。
   〔佐野芳雄君登壇、拍手〕
#24
○佐野芳雄君 ただいま議題となりました勤労青少年福祉法案について、委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、勤労青少年の福祉に関して、国、地方公共団体、事業主等、関係者の責務を明らかにするとともに、広く国民の関心と理解を深めるため、「勤労青少年の日」を設けることとするほか、職業指導の強化、就職後指導の充実、勤労青少年のためのセンター、体育施設、ホームの建設等、福祉措置を計画的に推進すること等を内容とするものであります。
 委員会におきましては、勤労青少年の福祉の理念、福祉措置の具体的な内容と実現方法等をめぐって各委員より熱心な質疑が行なわれましたが、詳細は会議録により御承知を願います。
 採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#25
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#26
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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