くにさくロゴ
1970/04/17 第63回国会 参議院 参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第12号
姉妹サイト
 
1970/04/17 第63回国会 参議院

参議院会議録情報 第063回国会 本会議 第12号

#1
第063回国会 本会議 第12号
昭和四十五年四月十七日(金曜日)
   午後五時三十九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十二号
  昭和四十五年四月十七日
   午後三時開議
第一 所得に対する租税に関する二重課税の回避
  のための日本国とザンビア共和国との間の条
  約の締結について承認を求めるの件
第二 所得に対する租税に関する二重課税の回避
  及び脱税の防止のための日本国と大韓民国と
  の間の条約の締結について承認を求めるの件
第三 機械類賦払信用保険法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
第四 輸出保険法の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
第五 中小企業退職金共済法の一部を改正する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
第六 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改
  正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
第七 林業種苗法案(内閣提出)
第八 過疎地域対策緊急措置法案(衆議院提出)
第九 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
第一〇 建築基準法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、昭和四十五年度一般会計予算
 一、昭和四十五年度特別会計予算
 一、昭和四十五年度政府関係機関予算
 一、日程第一より第一〇まで
 一、日本開発銀行法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 一、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 一、物品税法の一部を改正する法律等の一部を
  改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 一、関税定率法等の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 小笠原貞子君から病気のため十四日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、
 昭和四十五年度一般会計予算。
 昭和四十五年度特別会計予算。
 昭和四十五年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。予算委員長堀本宜実君。
 昭和四十五年度政府関係機関予算右は本院において可決した。よって国会法第八十三条により送付する。
 昭和四十五年三月二十日
        衆議院議長 船田  中
  参議院議長 重宗 雄三殿
    ―――――――――――――
   〔堀本宜実君登壇、拍手〕
#8
○堀本宜実君 ただいま議題となりました昭和四十五年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 昭和四十五年度予算の内容につきましては、すでに福田大蔵大臣からの財政演説において説明が行なわれたとおりでありますので、これを省略させていただきます。
 これら予算三案は、二月十四日に国会に提出され、委員会におきましては、二月二十日、大蔵大臣から提案理由の説明を聴取し、三月二十日、衆議院よりの送付を待ちまして、二十三日から審査に入りました。自来、本日に至るまで委員会を開くこと十七回、その間二日間にわたり公聴会を開き、一般公募者を含む八名の公述人より意見を聴取し、また、三日間にわたり分科会を開くなど、終始慎重にして熱心な審査を進めてまいりました。以下、質疑のおもな点につきましてその要旨を御報告申し上げます。
 まず、外交問題につきまして、「総理は施政方針演説で、いまや世界は大きな転換期にあると言われたが、七〇年代に処するわが国外交政策の基本姿勢はどのようなものか。外相は国連の平和維持機能を強化し、機構を改善するため積極的に貢献したいと述べているが、どのような具体案を用意しているのか。世界の緊張要因となっている分裂国家四つのうち、三つはアジアにあるが、その一方だけを承認し、他方には全く異なる立場で対処しているのでは問題の根本的解決にならないのではないか。中国問題は七〇年代外交の最大課題であるが、現在、日中友好の阻害要因となっている国連の代表権問題等についてどのような考え方を持っておるのか。インドシナ半島の情勢いかんによっては米軍の撤退計画も変わるかもしれない。その場合でも、沖繩の七二年返還は間違いないか。」などの質疑がありました。
 これに対し、佐藤内閣総理大臣及び愛知外務大臣から、「わが国外交の基本は、平和憲法を守り抜くことによって、軍事力以外の多元的な方向で国際緊張の緩和に役立つことであり、この方針に従って、国連や軍縮の場を通じて積極的な活動を行なうよう努力している。また、二十五周年を迎えた国連のあり方には多くの問題があるので、平和維持機能や機構の改善策、あるいは国連憲章の中で旧敵国条項など、すでに時代おくれになっているものの改正などについて前向きに検討していきたい。その具体策については慎重に検討中である。分裂国家の問題は、諸外国と同様、国連の場において承認された国を認めているのであって、一方を承認し、他方を異なる立場で対処しているというのは当たらない。中国問題については、中華民国が国連憲章で安保常任理事国に指定されている事実、サンフランシスコ条約で日本が中華民国を選んだことなどを忘れてはならない。しかし、北京政府に対しては、今後、大使級会談実現への努力を続けるとともに、経済、文化、人的交流等の積み上げにより相互の理解を深めるよう努力したい。中国代表権の共同提案国になるかどうかは、まだ先のことであり、主体的立場で慎重に検討して態度をきめたい。沖繩の七二年返還は、米軍のベトナム撤兵計画とは関係なく、日米共同声明の示すとおり不動のものであると」の答弁がありました。
 次に、防衛問題につきまして、「日本の自衛隊は、米軍の極東戦略との関連で、通常兵器中心から核抑止力に依存する戦略へと変わってきており、自主防衛、四次防との関連で自衛隊の任務等に性格変化があるのではないか。自主防衛の目標として、米軍の駐留を必要としないところまで持っていくつもりなのか。アジア諸国の不安を除くためにも、防衛力整備の限界を明らかにすべきではないか。四次防ではどのような計画を考えているのか」などの質疑がありました。
 これに対し、中曽根防衛庁長官から、「自衛隊の任務は設置以来一貫して変化はないが、国力の増大に従って安保条約は改定され、自衛隊も整備されて本来の機能を持つようになってきたものと考えている。今後、自主性を持った自衛力の整備が必要となってくるが、国民及び国際的に不必要な誤解を招かないために、私案として、憲法を守り国土防衛に徹する、外交と一体となり諸国策との調和を保つ、文民統制を全うする、非核三原則を維持する、安保体制をもって補充するという五原則を考えており、今後、各方面の意向を聞いて漸進的に自衛隊を整備していきたい。自主防衛の目標としては、米軍の完全撤去はむずかしいが、防衛の分担機能や協調分野を確立し、年月をかけても一応本土防衛ぐらいは自前でやれるところまでいきたいと考えている。防衛力の限界については、GNPに対する比率だけで考えないで、たとえば社会保障費などと比べながらきめることも一つのやり方であると思う。四次防については、三次防の延長でよい面と、新しい要素をつけ加える必要のある面とがあり、さらに、日本の地理的条件もあわせ考えていく必要があるので、量的な整備もさることながら、質の向上に重点を置いて検討したい」との答弁がありました。
 次に、財政金融問題につきまして、「経済の現状は金融面から引き締めが行なわれている段階なのに、なぜ景気刺激的な予算を組んだのか。政府財貨サービス購入の伸び率が経済成長率を下回っていることをもって景気刺激的でないとしているが、総需要の一部である政府財貨サービス購入を総需要の伸びと比較しても意味はない。景気に刺激的であるかどうかの判定は、供給サイドと需要サイドを比較すべきであって、政府財貨サービス購入の伸び率が供給の伸び率を上回っている四十五年度予算は明らかに景気刺激的であると言える。法人税の増徴が景気の抑制に効果があると言うが、所得税の減税分が法人税の増徴分より多いし、法人税が物価に転嫁されることを考えれば、これまた景気を刺激することにならないか。今後、国際収支の黒字が増加するに伴い、近い将来、円の切り上げが行なわれることになるのではないか」などの質疑がありました。
 これに対し、福田大蔵大臣及び佐藤経済企画庁長官から、「四十五年度予算は、社会資本整備の要請等から財政規模はふえたが、昨年秋以来の金融引き締め政策に呼応して、財政面から景気を刺激しないよう十分配慮を加えている。景気が過熱しないように総需要を押える考えであるが、金融と財政でなし得ることは設備投資と政府財貨サービス購入の抑制であるので、法人税の増徴や公債発行額の縮減とともに、政府財貨サービス購入の伸び率を経済成長率以下に押えたことで所期の目的を果たせると思う。しかし、需要面と供給面との対比も必要なので、今後は供給能力の測定に力を入れていく考えである。減税の景気への影響については、自然増収という形で巨額の購買力が吸い上げられるので、結果的に見て国民消費にブレーキをかけることになり、他面、法人税の増徴による設備投資の抑制が金融引き締め政策と相まって景気を鎮静させる心理的効果がかなりあると思う。国際収支の黒字増大には、輸入の自由化、関税政策、対外経済援助などの推進で対処していき、円の切り上げは考えるべき時期でもないし、検討もしていない」との答弁がありました。
 次に、物価問題につきまして、「政府は物価対策を最重要課題としているが、物価の上昇傾向は最近特に著しくなっており、政府は責任を感ずべきではないか。四十五年度の消費者物価上昇率を政府見通しでは四・八%としているが、今年の二月、三月の大幅上昇によって、予算編成の基礎となった物価水準は、政府見通しを大きく上回ることになる。政府見通しを改訂する考えはないか。新経済社会発展計画では、消費者物価の上昇率を五十年度までの年平均で四・四%、五十年度では三・八%と見ているが、政府はこの目標に確信を持っているか。現在の物価情勢は、貯蓄の伸び率、土地家屋などに対する換物傾向の状況から見て、すでにインフレになっておるのではないか」などの質疑がありました。
 これに対し政府側から、「消費者物価の伸び率では、三十年代後半に比べ、四十年代前半は下がっているが、最近また上昇傾向にあるので責任を感じており、物価の安定には最大の努力を払っている。しかし、物価上昇の原因には海外要因と国内要因との両面があり、輸入原材料高から来る海外要因には打つ手がむずかしく、また国内要因も設備投資は何とか押え得るとしても、旺盛な個人消費は押えにくい。四十五年度の物価見通しについては、二月と三月の値上がりがあとまで影響することも考えられるが、経済成長率等他の指標も出そろうので、それらとあわせて九月ごろの状況を見て、必要があれば改訂したい。新経済社会発展計画では平均実質成長率一〇・六%と前計画の八・二%を上回っているが、成長と物価の安定をいかにして両立させるかが最大の課題であるので、今後とも物価の安定に一そうの努力を払いたい。現状をインフレと見るかどうかについては、個々の事例だけで言うべきではなく、経済全体を見て判断すべきものであり、貯蓄性向や保険の契約高等から見て、現在インフレとは考えていないが、放置すればその心配があるので、各界各層の協力を得て、今後ともあらゆる政策を動員し、物価の安定に努力していく決意である」との答弁がありました。
 次に、農業問題につきまして、「政府は米の生産調整こそ日本農業の自衛措置だと言っているが、その真意は何か。百五十万トンの減産目標に政府は自信を持っているのか。七〇年代の農業のビジョンについてはどう考えているのか。輸入の自由化、残存輸入制限の撤廃等は、果樹や畜産を圧迫し、総合農政の推進と矛盾すると思うが、国内農業との調整をどうするのか。現行食管法では米の買い入れ制限はできないと思うが、政府の統一見解を聞きたい。食管赤字の内容はかなり多様化しているが、古々米処理等による赤字は、売買差損等による赤字とは区別して処理すべきではないか」などの質疑がありました。
 これに対し、政府側から、「米はいま余っており、国際価格で売れない事情にあるので、この際生産調整を行なうとともに、近代化、合理化をはかり、農業を独立の産業として存立させる必要がある。百五十万トンの減産目標は各方面の協力により、休耕、転作、用途転用などにより達成されるものと期待している。これからの農業は、産業としてりっぱに成り立ち得ることを目標とし、経営面積では四ないし五ヘクタール、酪農なら搾乳牛二十頭程度、年間の農業所得二百万円程度の自立経営農家を中心とした集団的営農を考えている。農畜産物の輸入自由化については、農業政策上やむを得ないものにつき課徴金、不足払い制度等も必要ではないかと考えている。米の買い入れ制限は、法律上の解釈は別として、予約売り渡しのあったものは全部買い上げる方針に変わりはない。古々米の処理は食管赤字の大きな問題となるので、古々米処理の根本的対策との関連において別途処理するのがよいかどうか、今後慎重に検討したい」との答弁がありました。
 最後に、公害、社会保障及び社会資本の整備問題につきまして、「公害対策は七〇年代の内政上の重大な問題であるのに、政府の取り組み方が弱過ぎるのではないか。産業公害は広い範囲にわたって発生している以上、自治体まかせでなく、広域的な対策が必要ではないか。食品公害もあとを断たないが、各省の縦割り行政を改めるべきではないか。公害に対する責任を明確にするため、公害罪を新設すべきではないか。日本の社会保障給付の水準は国際的におくれているが、その原因及び対策をどのように考えているか。平均寿命が延びているので、実情に即した総合的な老人対策をこの際考える必要はないか。交通災害は累年増加の一途をたどっておるが、その対策はどのようになっておるのか。第六次道路整備五カ年計画の財源捻出をどうするのか。住宅難は少しも解消されていないが、今後どのように解決していくのか」などの質疑がありました。
 これに対し、政府側から、「公害防止については、施政方針演説でも基本的な問題は明確にしており、決して公害対策を軽視しておるものではない。公害についての基本法は、すでに国で取り上げており、さらに今回厚生省でも広域監視測定網を整備する準備を進めている。食品行政については、昨年以来、関係各省が集まり、経済企画庁を中心とした食品行政検討会を発足せしめ、行政の一体化に努力している。公害罪については大気汚染、水質汚濁に限定して、次の通常国会に提出できるよう検討中である。日本の社会保障給付水準がおくれているのは、年金部門の未成熟によるところが大きいが、新経済社会発展計画では、年率一九・六%で拡大し、昭和五十年度にはGNPに対する比率を二%程度引き上げる目標を立てておる。老人対策については、今年中に審議会の答申を得て、医療、福祉施設、就職あっせん等総合的な施策を固めていきたい。交通災害については、通行規制の強化をはかるとともに、交通安全施設の充実に重点を置き、来年度から新たに五カ年計画を発足させ、昭和五十年度までに歩行者事故を半減させたい考えである。道路の財源については新経済社会発展計画の中で交通全体の問題として総合的に検討し、四十六年度予算編成までには明らかにする。住宅については、来年度から新五カ年計画を発足させ、現在三百六十万世帯にのぼる住宅不足をぜひ解決したいと考えている」旨の答弁がありました。
 これらのほか、日米繊維交渉のいきさつ、北方領土返還問題、沖繩問題、貿易、資本取引自由化の見通し、行政機構改革、サラリーマン減税、教育制度の改革、公害病救済策、非行少年対策、過疎過密対策、土地対策、地震防災対策、言論出版の自由制限問題、その他広範多岐にわたり質疑が行なわれました。
 また、この間、日本近海におけるソ連の爆撃演習、万国博会場での事故、日航機乗っ取り事件、大阪における地下鉄工事現場のガス爆発など、相次ぐ異常事態が発生したため、これらの問題をめぐり、その経過、原因及び対策等について質疑がなされ、航空機乗っ取り防止のための立法措置を今国会に提出する方針が明らかにされるなど、活発な論議がかわされましたが、その詳細は会議録によって御承知を願いたいと存じます。
 かくて、本日をもちまして質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して鈴木委員が反対、自由民主党を代表して柴田委員が賛成、公明党を代表して矢追委員が反対、民社党を代表して向井委員が反対、日本共産党を代表して岩間委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、昭和四十五年度予算三案は、いずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上をもって御報告を終わります。(拍手)
#9
○議長(重宗雄三君) 三案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。横川正市君。
   〔横川正市君登壇、拍手〕
#10
○横川正市君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十五年度予算三案に対して、反対の討論を行なうものであります。
 昭和四十五年度予算は、激動する七〇年代に入った最初の年の予算案であり、政府与党の言う内政重視の年ということで、国民一般は非常に期待をかけていたのでありますが、でき上がったものには国際的視野に立ったビジョンもなければ、具体化された公約も少なく、政治感覚から見ても、安易に編成されたものでありまして、このような予算案を国民に押しつけることには、とうてい賛意を表することができないのであります。
 以上は、基本的な反対理由であります。
 まず第一に取り上げたいのは、予算編成に対する政府の基本的態度、姿勢の誤りと無責任さであります。政府は毎年、予算の編成にあたり、前提となる経済情勢の見通しと基本方針を公表しておりますが、驚くべきことには、過去数年来、現実には基本方針は相次いでくずれつつあるにもかかわらず、ほとんど同じ内容の項目を繰り返しあげていることであります。たとえば、財政の硬直化是正につとめ、総合予算主義をとることによって財源の効率的、重点的配分をはかるとか、財政面から景気を刺激しないよう規模の適正化をはかり、経済の安定成長を確保するとか、物価の安定を最重要課題とし、国民の福祉向上のための諸施策を着実に実施するとか、等々の美辞麗句をあつかましく毎年繰り返し述べているのでありますが、昭和四十五年度予算の説明を見ましても、全く同じ内容のものであります。一体、財政の硬直化はどこまで解きほぐされているのでありましょうか。総合予算主義は厳格に守られているのでありましょうか。財政と財政投融資計画の規模は、経済成長率と適正な関係できめられているのでしょうか。物価は安定し、国民福祉は着実に向上しているのでしょうか。政府公約はことごとく実現されていないのが、現実の姿であります。これらの基本方針が四十五年度予算の執行にあたって解決される目安は何もなく、むしろ財政体質の一そうの悪化こそが見られるのであります。すでに破綻し、実現の可能性もない基本方針を、相も変わらず毎年繰り返す政府の麻痺した無責任な感覚こそ諸悪の根源であり、政治不信につながるものと言わなければなりません。
 いま一つ、政府の姿勢に見のがしてならないのは、近年、財政法その他法律で定められている規定を、政府の便宜主義によって気ままに拡大解釈したり、国民に対する数々の公約違反をはじめ、大臣相互間で取りきめられた約束すらいとも簡単に踏みにじったり、国会の決議を平気で破る行為が相次いで出ていることであります。たとえば、車の両輪論のたとえ話により、地方財政を国の御都合次第で運営しようとする考え方、地方交付税交付金をめぐる数次にわたる覚え書き無視、市町村民税減税補てん債の償還費にかかわる元利の補給と特別事業債の元利の補給打ち切りに見られる国会決議無視、児童手当実現の公約無視等々、枚挙にいとまないほどあるのであります。政府は常に、異例ではあるが、やむを得ない措置であり、法違律反ではないと逃げておるのでありますが、このような態度は国会審議を軽視し、財政民主主義の原則を政府みずから破る不信行為と言わなければなりません。
 次に問題といたしたいのは、政府の立てる長期計画、経済見通しと財政運営との関係であります。政府はこれまで数々の長期計画を策定しておりますが、さいの川原の石積みのように、どれもこれも計画と実績に大きな差が生ずるたびにまた新規計画を策定するということを繰り返しております。今日また新たな六カ年計画が作成されております。私は長期計画や経済見通しが無意味なものであり、空中楼閣であるとは考えておりませんが、問題の根本は、経済計画の性格があいまいであるという点にあると思うのであります。一体、見通し数字は客観的なものなのか、ガイドライン的な願望にすぎないものなのか、あるいはまた政策努力の目標程度のものなのか、はっきりしないのであります。今日のように内外の社会経済が激しく変動するとき、計画と実績にある程度の誤差が出ることはやむを得ないことでありましょう。問題は、誤差の出る原因の大半が政府自体の姿勢にあるということであります。政府は、見通しの誤りを事あるたびに予想外の経済成長に原因を求めておりますが、この予想外の経済成長を促進しているのは政府自身であって、ここ数年来連続して、大型化した予算と財政投融資計画を組み、巨額な公共事業と防衛予算を支出して景気を刺激し、さらに手厚い税制や金融上の特例、度の過ぎた各種保護政策によって大企業の利益確保をはかり、国内消費者の犠牲において輸出を増進しておきながら、どうして経済成長率が意外とするほど伸びたと言えるでしょうか、全く理解に苦しむところであります。計画と実績の慢性的改組自体にも問題がありますが、それより以上に大きな問題は、このような不確実な長期計画を、あたかも実現可能なように国民に押しつけ、これをたてに財政の規模や内容を政府の都合のよいように規定しようとする態度であります。経済成長率や物価上昇率見通しを故意に低く見積もることによって、一方においては国民の切なる減税要望を押え、社会保障費や生活環境整備の社会資本支出などの伸びに圧力を加えるばかりでなく、他方において、今後着実に伸ばすであろう防衛費や治安警備費、あるいは海外における米国の肩がわり援助費などの財源確保にあらかじめ備えておこうとするものであり、さらにまた、結果として生ずる巨額の税の自然増収を洗いざらい使い切ることによって、人間性喪失の高度経済成長一本やりの政策を続行しようとする政府の姿勢は、断じて許すことのできないものであります。
 次に、私の反対をする大きな理由は、政府の一枚看板である高度経済成長政策が、各方面で数々の矛盾、弊害を露呈し、いまや政策に手直しを要する時期にきていると思うのでありますが、この点の深い反省が全く見られないことであります。なるほど、経済の成長率は驚異的に伸び、国民総生産は自由世界第二位となりましたが、それはあくまでマクロの数字づらから見た皮相的なものであって、一部の繁栄の裏に多数の国民が苦しんでいる現状をはたして政府が正視しているのかどうか疑問と言わざるを得ません。そもそも、経済成長はそれ自体に価値があるのでなく、国民福祉の向上、人間性の充実した生活が裏づけされて初めて価値あるものになることはいまさら言うまでもありません。しかるに、経済があまりに急激に成長した反面、過密過疎現象が全面的に起き、各種公害が次々に拡大されて、国民は地方でも、都会でも生活基盤を根底から荒らされるがままになっているのであります。工業生産がふえ、企業は十期連続の高収益を記録しようとしているのに、社会資本の立ちおくれから、国民はいつまでも住宅難、交通難に悩みどうしであります。社会保障の実質的な伸びは相変わらず低く、着実に続く物価の上昇によって、国民は将来の生活に絶望的にならざるを得ないのであります。経済の高度成長という名のもとに、繁栄の虚像と苦難の実像が併存していることは、まことに皮肉と言わなければなりません。GNPの増大のみを誇る考え方は、すでに時代おくれであると思うのであります。これからは、GNP増大よりも、むしろマイナスGNP諸要素の解消に大蛮勇をふるわなければならないのに、政府の基本態度にいささかの反省が見られないことは、すべての国民が不満とするところであります。
 昭和四十五年度予算は、内政の年というかけ声のもとに編成されているにもかかわらず、一体どこにその具体策が盛り込まれているのか、見出すのに苦労を要するのであります。なるほど、社会保障費関係では二〇・一%、公共事業関係費では一八・四%、中小企業対策費一六・八%、文教及び科学振興費一四・九%と、それぞれ予算数字の上ではふえておりますが、内容を検討してみますと、もっともらしい、表看板とは違って、貧弱な中身に失望を禁じ得ないのであります。これに反して、国民の目に無意味な数字としてはっきり映ずるのは、防衛関係費が一七・七%と急激な増大を見せているところであり、さらに、継続費と国庫債務負担行為という名のもとに、今後長期にわたる巨額な軍事的支出が確保されているということであります。
 それというのも、冒頭で指摘いたしましたとおり、四十五年度予算は、練りに練って民意を反映した施策を盛り込んだ予算案ではなく、当座しのぎに急ぎ編成したものであるところに原因があるのであります。地方交付税制度、人事院の勧告制度、医療を中心とする社会保障制度や食管制度等々、制度や法律の根源にさかのぼって改革のメスをふるわなければならないものが山積しているのに、一切未解決のまま組んだのが四十五年度予算案だとすれば、いたずらに財政規模が肥大するだけで、その内容が激動する経済社会の実情にマッチしない結果になるのは、けだし当然と言わざるを得ないのであります。
 昭和四十五年度予算において、国と地方との財源配分について適正な処置がとられなかったため、過密過疎や、各種公害に対する地方住民の悩みは一そう激化するでありましょうし、地方自治体の現実に即した弾力的行動が阻害されることは明らかなことであります。また、人事院勧告を五%しか見ず、あとは予備費や節約でまかなうといった四十四年度並みのやり方や、現行食管制度を維持しながら、場当たり的減反休耕政策を強行して、当面糊塗しようとするやり方は、財政体質を悪化させるだけでありまして、またもや総合予算主義下の補正予算という矛盾の結果を約束するものであります。さらにまた、いろいろの矛盾欠陥を生じている現在の社会保障制度の抜本的改革に手を染めずにいることは、いたずらに予算金額上から見た社会保障費支出を増加させるだけで、国民一人一人の実感とならないことも明らかなことであります。
 内政の年といううたい文句に最も相反しているのは物価問題に対する政府の取り組み方であります。すでにここ数年来、物価の安定は経済運営の基本態度の中で、最も重点的に扱うと公約しておきながら、卸売り物価は昨年二月以来、十四カ月連騰しておりますし、消費者物価も三十八年以来最高の伸び率を示し、この二月に改訂したばかりの四十四年度上昇率見通し五・七%を早くも突破しているのであります。また政府は、四十五年度の見通しとして、卸売り物価で一・九%、消費者物価で四・八%の上昇と発表しておりましたが、新年度に入る早々、九月ごろにはさらに改訂するかもしれないと言明するほどの自信喪失を示しているのであります。このような政府の態度では、物価の安定などとうてい望み得べくもなく、インフレはすべて定着したと断じても間違いないと思うのであります。一体、政府は、物価問題が容易ならざる深刻な段階に来ていることを的確に認識しているのかどうか、疑わざるを得ないのであります。そもそも物価の上昇は経済政策全体の矛盾がうみとして出てきたものでありますから、個別対策もさることながら、結局は、是が非でも物価を安定させるという強固な政府の姿勢を示すことが第一であり、さらに政策全般を徹底的に洗い直し、できるものから実施していく積極的態度が必要なのであります。ところが、政府が物価対策の基本としてあげているものは、総需要の抑制、財政と金融のポリシー・ミックス、輸入政策の活用、流通機構の改善、公共料金の抑制等々、すでに言い古されたことの繰り返しであり、しかも、現実には具体策が伴わない一片の作文に終わっておりまして、どれ一つ物価の抑制に実際の効果をあげているというものはないのであります。政府は、物価安定についてのたび重なる提言や提案に耳をかさず、いまや時代おくれになっている各種の補助金や特別保護策などの整理を見送っているばかりか、行政面に直接あるいは間接に介入して自由競争の環境づくりを政府みずからくずし、予算上一兆円近い物価対策費を計上して、むしろ物価上昇に手をかしているとさえ言えるのであります。また、大資本の圧力に弱い政府は、寡占価格や管理価格の横行に目をつぶり、企業がコストアップを物価に安易に転嫁する行為を許しており、その上、強力な物価政策を展開しようにも主務官庁がなく、ばらばらの縦割り行政のため、施策はいつも後手後手とならざるを得ないのが現状であります。このような消費者不在の生産優先主義がとられている限り、物価の上昇はとどまるところを知らないのは、当然と言わざるを得ません。すでに総需要抑制、したがって、物価抑制の最大手段である予算規模の大幅膨張を阻止し得ず、また、その内容の景気刺激的要素を調整し得なかったのでありますから、四十五年度予算が執行されるにつれ、物価上昇は定着化し、いわゆる予期されたるインフレーションの進行が予見されるのであります。さらに、政府は、予算の運営上において、金融引き締めの政策とタイアップして、公共事業費支出の繰り延べを行なう計画のようでありますが、新年度に入る早々、政策の変更を必要とするような予算編成のしかたは、まことに不見識なことであり、また、過去の実例が物語るように、結局は下請企業や中小商工業その他勤労大衆に犠牲をしわ寄せるようなものになるのでありまして、私は反対せざるを得ないのであります。
 反対の理由の最後にあげたいことは、財源に対する政府の安易にして無責任な態度であります。税の自然増収を過小に見積もり、あとで政府が恣意的に食いつぶすことは、従来からの悪習でありますが、四十五年度においても繰り返されない保証は何もないのであります。また、歳出面で事務費を水増しし、そうして補正の財源に充当することも毎年の例となっておりますが、これまた四十五年度において予定されておることも指摘できるのであります。歳入は単なる見積もりであって、歳出のように政府を拘束するものではないということであるかもしれませんが、歳入あっての歳出であれば、このような不合理にして非科学的な方法が、当然のごとくいつまでも許されていい理由はありません。また、税の自然増収一兆三千七百七十億円という政府の見積もりは、例によって過小であると思うのでありますが、このように巨額な自然増収があるのに、所得税減税はわずか二千四百六十一億円にとどめ、課税最低限は、物価の上昇分を無視して、二年前の財政審議会の答申の規模をそのまま実現するという、まことに愛情のない措置をとっており、他方においては、大資本の圧力に屈して、法人税は、不況対策と称し、過去二回にわたり三%も引き下げておきながら、好況期の今日、留保所得に対してのみわずかに一・七五%の引き上げにとどめたり、引き当て金制度の拡充、利子配当優遇措置の微温的手直しで済ませるなど、税制改革に対する政府の態度は、国民的視野から見て、まことに公平を欠くものであると言わなければなりません。税の自然増収は、すみやかに国民に還元すべきであり、時勢に合った課税最低限の引き上げにもっと努力すべきであります。
 なお、政府は、公債及び政府保証債をそれぞれ前年度より六百億円減額したことをもって大手柄のようにしておりますが、好況が持続している今日こそ、断固公債依存から脱却すべき時期に来ているのに、優柔不断の態度をとっていることは許せないことと思うのであります。
 最後に一言したいことは、政府は、予算編成にあたっては十分民意を尊重すると言いながら、例年のごとく、与党のみの要望を聞き、わが党の修正案すら、かたくなに拒んで原案を強行する態度は、財政民主主義を踏みにじるものと言わざるを得ません。
 以上、反対する理由の要点のみを申し上げましたが、結論的に言って、国民生活を破壊し、国の経済運営にプラスとならない昭和四十五年度予算案三案に対しまして、私は反対の意を表するものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(重宗雄三君) 吉武恵市君。
   〔吉武恵市君登壇、拍手〕
#12
○吉武恵市君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算の三案に対し、賛成の意を表するものであります。
 わが国経済の発展はまことに目ざましいものがございます。この十年間に国民総生産は、年率にして実質一一%をこえる成長を遂げて、昨年は六十二兆円、すなわち十年前の約三倍に達し、いまや、その規模においては自由諸国のうちで世界第二位の地位を占めるに至りました。また、一人当たりの国民所得においても、十年前の約十一万円から昨年は四十七万円となり、実に四倍に増大しているのであります。また、国際収支においても、ここ一、二年の間に急速に改善され、外貨準備高はいまや四十億ドルに至らんとしているのであります。しかしながら、この経済の著しい発展過程において、生活環境の悪化等、いわゆる経済と社会との間の矛盾が生み出されてきたのであります。今後の十年間、すなわち七〇年代は、これらの諸問題を解決して、真に人間性豊かな社会の建設をはからなければなりません。これが今後の大きな課題であります。
 佐藤総理は、先般の施政方針演説の中で、この七〇年代に臨む政治の指針として、第一に内政の充実をはかることをあげられました。すなわち、「世界のどの国にも先がけて、経済繁栄の中で発生する人間的社会的諸問題に取り組み、これをみごとに解決して、物心ともに豊かな国民生活の基礎を築くこと」、これが政治の第一の指針であると言われておるのであります。
 昭和四十五年度は、この七〇年代の第一年度であります。したがって、本年度の予算は、この七〇年代の長期的な課題に正しくこたえるものでなければなりません。それと同時に、昭和四十五年度予算は、現在の経済動向に即応した性格のものでなければならないこともまた当然のことであります。
 御承知のとおり、わが国の経済は、昭和四十年度の不況から立ち直って、今日に至るまで実に五十三カ月という画期的な長期の繁栄を持続してまいりました。経済活動は、年率二〇%をこえる設備投資の増加と輸出の好調に恵まれまして、急速に増大してまいりましたが、同時に、物価も上昇の傾向を示し、景気の動向に懸念すべき現象があらわれてきたのであります。このため、昨年九月、公定歩合の引き上げ等の金融引き締め措置が講ぜられたのでありますが、その後の経過を見ますると、引き締めの効果もようやく浸透し、一部には金詰まりの結果、引き締めの緩和を求める声も出ておるところであります。しかし、総需要は相変わらず強く、景気の動向はかなり微妙な段階にあるというのが実情であります。このような経済動向でありまするから、昭和四十五年度予算は、わが国経済の持続的成長を確保しながら、財政面から景気を刺激しない配慮がなされなければならないのであります。
 この観点から本年度の予算を見ますると、財政規模は、一般会計において七兆九千四百九十七億円でありまして、前年度当初予算に比して一七・九%の伸び率を示し、名目経済成長率一五・八%を上回っておるのでありますが、政府財貨サービスの伸び率は一四・八%でありまするから、いわゆる警戒中立型予算と言うことができると思うのであります。さらに、公債及び政府保証債の発行額を、前年度当初予算に対し、それぞれ六百億円減額するとともに、法人税の引き上げを行なうこととして、財政面から景気を刺激することのないよう格別の配慮がなされておるのであります。
 以下、本年度予算の特色を見ますると、第一にあげなければならないのは減税であります。今回の所得税減税は、平年度、約三千五十億円にのぼり、かつてない大幅減税を行なっております。なお、地方税におきましても、住民税を中心に負担の軽減が行なわれ、国と地方を合わせると、減税の規模は約三千八百億円にのぼっておるのであります。すなわち、今回の所得税減税により、夫婦子供三人の給与所得者の課税最低限は、年収百三万円に引き上げられ、公約の所得百万円までの所得税の非課税が完全に達成されることになったのであります。なお、サラリーマンの税負担を緩和するために、給与所得控除の拡充及び税率の緩和がはかられておるのであります。
 第二に強調いたしたいのは、社会資本の充実がはかられたことであります。目ざましき経済成長の中で、最も悩みとしておりましたことは、社会資本の充実が経済成長に立ちおくれていたことであります。このことは、経済の成長そのものをはばむ障害となりつつあります。たとえば、交通の渋滞、住宅の不足、下水道、その他生活環境施設の立ちおくれ等、これらは経済成長を妨げるばかりでなく、これを改善しなければ、豊かな社会の建設も期待することができません。政府は、本年度予算において、この点を最も重視し、公共事業関係費に思い切った予算の配分を行なっておるのであります。すなわち、災害復旧費を除く一般公共事業費には一兆三千三百億円の予算を計上し、前年度に対し一八%の伸び率を示しております。その内容を見ますると、国民の最も要望する住宅、下水、その他生活環境施設の整備に重点が置かれておるのであります。すなわち、生活環境整備においては、前年度に比し二八・六%の伸び率を示し、住宅対策では二〇・一%の伸びとなり、大幅な増額が行なわれておるのであります。なお、新しく道路整備五カ年計画及び海岸事業五カ年計画をはじめとし、さらに、本州四国連絡橋公団を新設するなど、社会資本の充実に格段の力を入れておるのであります。
 なお、これに並行いたしまして、公害対策につきましても、一般会計、特別会計、財政投融資を合わせますると相当思い切った予算を計上し、大気汚染防止、水質保全等についても格段の配慮が加えられております。このように社会資本の充実に重点的な予算の配分が行なわれましたことは、まさに七〇年代の長期的課題にこたえるものであると言うことができると思うのであります。第三にあげなければならないのは、社会保障の充実であります。昭和四十五年度の社会保障は一兆一千三百七十億円で、その伸び率は二〇・一%となり、初めて一兆円台の大台に乗せることができました。その内容を見ましても、生活扶助基準の一四%引き上げをはじめとし、老人の白内障の手術を国庫負担で行なうことや、老人の健康精密検査を拡大する等、老人福祉対策の充実をはかるとともに、女子保健対策として、低所得者層の妊婦の健康診断の対象を大幅にふやす等の処置を講じております。また、身体障害者の保護、特に重症心身障害児の対策を推進する等、社会福祉対策の充実に力が入れられております。このように社会保障の充実を見るに至りましたことは、経済成長の成果が全国民の生活の中に浸透することができるようになったことでありまして、まことに喜びとするところであります。これもまた七〇年代の課題の解決に一歩を進めたものと言わなければなりません。
 第四は、農業の問題であります。今日の農村が比較的安定しておりまするのは、食管制度があるからであります。わが党は、この食管制度の根幹はどこまでもこれを維持する考えであります。しかし、当面する米の生産過剰の問題は、これを解決しなければなりません。昭和四十五年度の予算においては、十アール当たり三万五千七十三円の調整費を計上し、休耕または転作の処置を講じたのでありますが、今日おおむねその目的を達成しようとしておりますることは、農協はじめ農民の皆さまの御協力のたまものと深く感謝するところであります。しかし、今後の農業の問題は、総合農政に積極的に取り組むことであります。政府は、本年度予算におきましても、農業基盤の整備、農業構造改善事業、農業近代化資金、農林漁業金融公庫の融資の拡大等、農業近代化のための施策に一段の力を入れております。また、多年要望されました農業者年金制度もいよいよ創設されることになり、農業者の老後の生活安定がはかられるようになりましたことは、まことに喜びとするところであります。これらの総合農政の施策を積極的に推し進めることもまた七〇年代の大きな課題でありまして、これによってこそ、農業の生産性の飛躍的向上をはかり、農家所得の著しい増加が期待できると思うのであります。
 第五に、物価の問題を取り上げたいと思います。七〇年代の課題と取っ組むにあたって、その基礎的条件をなすものは物価の安定であります。本年度予算において、政府の直接規制し得るものについては、極力その値上げを抑制することにいたしております。物価の中心となる消費者米価の水準も据え置かれ、国立大学の授業料も従来のままになっております。ただ、物価については、政府が直接規制し得る範囲はきわめて限られたものでありまして、国民各界各層あげてこれに協力することがなければその実をあげることはできません。賃金が生産性向上の範囲を越えて上昇するがごときは、厳に慎むべき問題であると思います。実質一〇%をこえる経済成長を維持しながら、物価の上昇を押えるということは容易なわざではありません。しかし、これはどうしても果たさなければならない七〇年代の重要な課題であります。政府並びに国民あげての努力を要請してやみません。
 以上、本年度予算のおもなる点について述べたのでありますが、そのほか、中小企業振興事業団の規模の拡大をはかり、中小企業の近代化に力を入れております。文教及び科学技術の振興に意を用い、特に私学に対する経常費補助の創設をはかっております。また、交通安全対策の強化に力を入れ、人命尊重と国民生活の安全に特別の配慮を行なっておるのであります。
 要するに、昭和四十五年度予算は、当面する経済動向に即応した適切なる予算でありますると同時に、七〇年代に臨む第一年度の予算にふさわしき内政充実の予算であると言わなければなりません。
 以上の理由により、私は昭和四十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算に賛成するものであります。
 これをもって私の賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(重宗雄三君) 塩出啓典君。
   〔塩出啓典君登壇、拍手〕
#14
○塩出啓典君 私は公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和四十五年度予算三案に対し、以下五項目の理由を明らかにしつつ反対討論を行ないたいと存じます。
 反対理由の第一は、この予算が景気刺激のインフレ膨張型の予算だからであります。
 現在わが国経済は、景気行き過ぎの危険もあるとして、金融引締めの政策がとられております。こうした情勢下に編成される本年度予算は、ポリシーミックスのたてまえからも、当然景気鎮静型に徹すべきであります。しかるに、本予算案は超大型予算で、景気調整の機能を喪失し、その役割りを金融政策に押しつけており、こうした政府の経済運営を強く批判しなくてはなりません。四十四年度予算審議の際、政府は、経済の名目成長率と比較して一般会計の伸び率は高いが、政府財貨サービス購入の伸び率が下回っているから警戒中立型だと説明していました。その結果が景気の過熱です。四十五年度予算は、一般会計が一七・九%、財投が一六・三%の伸びで、ともに名目経済成長率一五・八%をこえております。政府財貨サービス購入だけが成長率を下回っており、それを理由に再び警戒中立型だと強弁してみても、だれが信用できましょう。近年政府は、予算の性格づけや妥当性、合理性を説明する方法として国民経済計算を持ち出しますが、自分に都合よく身がってにつまみ食い的に利用するだけで、理論的整合性も一貫性も持たず、ことばだけをもてあそぶやり方は断じて許されません。
 政府はまた、景気警戒型予算とするために、国債発行額を対前年度六百億円減額したと説明してきましたが、さきの四十四年度補正の四百億円とそれ以後の減額三百七十四億円を合わせますと、四十四年度国債発行額は当初の計画より七百七十四億円減となり、したがって、四十五年度国債発行額は、前年度に比べ百七十四億円も多くなることを指摘しなければなりません。
 その他、従来一般会計の国債費に計上していた国際金融機関への出資代用証券の償還分を外国為替資金特別会計へ移したり、本年四十五年度予算で措置すべき地方財政からの借金償還その他の経費を四十四年度補正に移すなどの工作を行なって、四十五年度予算を名目上小さくしていることをあわせて指摘しなければなりません。
 反対理由の第二は、佐藤内閣の財政政策の根幹であったはずの総合予算主義が雲散霧消したことであります。
 四十三年以来鳴りもの入りで宣伝した総合予算主義は、四十三、四年度連続の大型補正予算提出では完全にくずれ、破綻したのであります。しかるに政府は、その失敗を年々の予算編成方針の中の総合予算の柱を削り取って細くすることで国民の目を欺き、他方、福田大蔵大臣は、「総合予算主義と補正なし予算とは同義ではなく、当初予算に必要経費のすべてを見込んで、財源配分間のバランスをとることが趣旨である」との換骨奪胎の発言をしてはばからないのであります。委員会の質疑で明らかになったごとく、硬直化の打開策は、一つには硬直化要因の制度、慣行の抜本的再検討と、いま一つには、前年度予算額に対する増減分だけを査定する従来の予算編成方式を改め、既定経費の根っこの部分までの見直しが必要であります。にもかかわらず、その日暮らしの財政政策はそれを避けておるのであります。本年度予算もまた、慣例化した補正要因の公務員給与と食管特別会計の財源措置が十分なされておらず、年度途中での補正は必至であり、福田蔵相の言う、「財源配分のバランス」もまたくずれるのでありましょう。
 反対理由の第三は、減税に対する国民の期待を全く裏切ったことであります。政府は、今年度の税制改正で、平年度三千五百億円の大幅減税をしたとか、夫婦子供三人の給与所得者の課税最低限を百三万円に引き上げたとか、税制調査会の長期答申を完全実施したなどと大々的に宣伝しております。しかしながら、税調の長期答申は三年も前に出されたもので、古ぼけた台本で演技をしているようなものと言わざるを得ません。長期答申は、当時の物価、賃金、生活水準等を背景に出されたもので、当時と今日では、これら背景となった数字が二割から三割のズレを生じております。したがって、三年おくれの課税最低限は、わが党が主張するごとく、少なくとも百三十万円に引き上げる必要があります。こうした点で、政府の減税はまことに不十分の一語に尽きるのでございます。
 また、今年の税制改正に国民が期待した税負担の不公平是正は、縮小どころか拡大したのであります。資産所得者優遇の現行税制のうち、まず利子所得課税については、総合課税を本則とする源泉分離課税の選択制に改めることをたてまえとしながらも、選択分離の税率を当初構想の四〇%から二五%に不当な切り下げを行なったり、利子支払い申告書の提出義務を実際にはないに等しいものとするなど、たてまえと実態は全然遊離し、利子の総合課税を行なう姿勢はその片りんを認めることはできません。配当所得課税についても、控除額を五%引き下げただけであります。その上、この両制度の実施を四十六年一月から行なうというのでは、国民大衆軽視と言わざるを得ません。その上、これらの優遇措置は、従来三年であったものを今回五年に延長し、税負担の不公平を長期にわたり固定化するもので、断じて許されません。
 第四の反対理由を歳入面について二点申し上げます。
 第一点は、四十五年度の税の自然増収見積もりが不当に過小であるということであります。本年度の税の自然増収は一兆三千七百七十億円で、その租税弾性値は一・五一となっております。四十四年度当初予算の租税弾性値は一・七六となっておったのであります。四年半という、いまだわが国が経験したことのなかった長期の好況が持続しており、企業決算も十期連続の増収、増益が確実視されている本年度の租税弾性値がなぜ下がるのか、理解に苦しむものであります。四十五年度の政府の税収見込みは、千五百億円ないし二千億円程度の過小見積もりを行なっているのではないかとの疑問が当然出てまいります。そのため、国民的要望である減税を小幅に押え、物価調整減税にもこと欠く不十分なものに終わらせたことを指摘しなくてはなりません。
 第二点は、公債金収入四千三百億円についてであります。国債依存率引き下げのほんとうの目的は、歳入総額に占める公債金収入の割合を低下させるというよりも、むしろ好況時の公共事業はできるだけ税金でまかない、他日景気変動が起きた際に、強力なフィスカル・ポリシーの政策が実行できる余地を大きくしておくことにあると思うのであります。ゆえに、今年のごとく景気行き過ぎの心配すらある高度経済成長下では、均衡予算に積極的に戻る姿勢こそ肝要であります。四十五年度四千三百億円という多額の公債を発行することは、赤字財政連続の危険性を持つ財政運営であり、それ自体フィスカル・ポリシーのたてまえに反するものと断定せざるを得ないのであります。
 第五の反対理由を歳出予算について五点申し上げます。
 佐藤総理は、「内政の七〇年代」を強調されました。国民は、六〇年代の経済優先の政策を改めて、七〇年代こそ国民生活優位の諸施策が強力に実行されることに大きな夢と希望を持っていたのであります。しかるに、四十五年度予算は、遺憾ながら内政の七〇年代の課題に立ち向かうにしては勇気も意気込みも乏しく、六〇年代の惰性と延長の上に編成されたものと批判しなければならないことは、はなはだ残念なことと申さねばなりません。
 以下、具体的に数点を指摘いたします。
 その第一は、物価対策であります。十年来の消費者物価の連騰で貨幣価値はこの間四割近く減価しております。物価騰貴は加速化し、四十四年度の政府消費者物価見通しは、当初の五%から五・七%になり、その後たった二カ月で六・四%の騰貴となり、まさに糸の切れたたこと言わざるを得ません。政府は物価対策予算と銘打って、本年度も九千百五十億円の巨額な税金を使うこととしておりますが、政策目標も効果もはっきりしないまま、各省庁に薄く広くばらまかれているだけで、税金むだ使いの物価対策予算だと言わなければなりません。総理の政治生命をかけた強力な指導力が発揮されない限り、物価騰貴の重圧から国民大衆は半永久的にのがれることができなくなることを強く警告いたしておきます。
 第二点は、生活環境軽視の予算案についてであります。本年度の公共事業費は一兆三千億円で、対前年度一八・四%の歳出増で、政府はこれを国民生活重視の予算だと報道しておりますが、金額的に見れば、住宅対策九百五十三億円、生活環境整備六百二十八億円で、いずれも千億円に満たない少額であります。産業優先、企業過保護の戦後の経済政策は、国民大衆に住宅難、大気汚染、水質汚濁、騒音などのマイナスの効果だけを残しました。六〇年代のこの政策の誤まりを正し、人間尊重と国民生活重視の七〇年代の予算は、生活関連公共事業費の飛躍的拡大がはかられねばならなかったにもかかわらず、国民の期待を裏切った相変わらずの予算に強い不満を表明せねばなりません。
 第三点は、百五十万トンの米の生産調整対策について申し上げます。政府は、八百億円を使って水田の休耕、転作を推進しようとしておりますが、わが国農業の基幹農作物である米にかわる農作物への将来展望もなく、場当たり的なやり方は、国民の税金が捨て金になるか、既得権化して来年度以降の硬直化要因になるかしかなく、農政の貧困と無定見をさらけ出したものと断ぜざるを得ません。他方、五十万トン分の農地買い上げ構想は、財源対策のない全くのから手形に終わっております。以上のような米の生産調整対策は、農民のためにならないことはもちろん、財政的に見ても効果が上がらない危険を警告する次第であります。
 第四点は、社会保障について申し上げます。佐藤総理が一昨年からその実施を公約してきた児童保護手当が、またまた実施を見送られたことについては、その政治責任をきびしく追及するものであります。四十五年度の社会保障費は一兆円の大台に乗せたなどと、けっこうずくめの説明を政府は行なっております。しかし、その実体は、昨年末の医療費改定のはね返りがおもで、対前年度増加額一千九百億円の六五%がこれに食われ、生活保護基準の引き上げ、有害食品、スモン病などの国民の生活を守る予算の伸びでは微々たるものであります。ここでもまた総理の「内政の七〇年」の発言がうつろな響きを持つことを禁じ得ないのであります。
 最後に、第五点は、防衛重視と人命軽視の予算についてであります。近年続発する海難事故により、地球よりも重い人命が相次いで失われていることは、国民にとって一大痛恨事であり、海難救助体制の強化が大きな国民の世論となっております。かりふおるにあ丸の沈没のときも、かろうじて米軍捜索機により救助され、また小名浜港外の空光丸沈没時には、救助用大型ヘリコプターがないため、なすすべもなく十五名の人たちは眼前に帰らぬ人となったのであります。にもかかわらず、海上保安庁は、わずか小型ヘリコプター一機購入の予算しかなく、一方、防衛予算は自衛隊発足以来最高の一七・七%の伸びとなり、これで航空機、ヘリコプター六十一機も買い入れることにしているのであります。その他気象観測体制、消防体制の予算の不足など、人命軽視は枚挙にいとまがありません。政府が幾ら人間尊重の麗句を並べても、国民大衆は安心して政治を信頼することのできないことをまことに遺憾に思うものでございます。
 以上で私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(重宗雄三君) 向井長年君。
   〔向井長年君登壇、拍手〕
#16
○向井長年君 私は民社党を代表して、ただいま議題になりました昭和四十五年度予算三案に反対の討論を行ないます。
 すでに御承知のごとく、昭和四十五年度予算は、七〇年代の展望に立ってその第一歩をしるす重要なものであります。国民のこれにかける期待はきわめて大きなものがあるのであります。すなわち、七〇年代こそ、住宅、社会保障、生活環境整備、教育の振興、物価安定、大幅減税の推進等、内政の充実をはかって、真の高度福祉国家の建設を指向するものでなければなりません。ところが、この予算案は、そのような長期的視野と、その実現へのビジョンを欠くばかりか、ただ漫然と従来の総花的悪弊を踏襲しようとしているのであります。この点きびしく批判されるべきであります。
 以上の観点から私が反対する第一の理由は、明年度税制のあり方があまりにも不徹底、かつ不合理に過ぎたことを指摘せざるを得ないのであります。とりわけ、大衆減税については、切実な勤労国民の一致した要求を裏切り、十万円の課税最低限引き上げにとどまったのであります。しかも、これで今後大幅減税の必要はないと述べておりますが、今日、大幅物価上昇を償う名目賃金の上昇は、必然的に税負担の急増を招くものでありまして、これが救済のためには、大幅減税の措置は緊急の課題といわなければなりません。したがいまして、政府の態度はあまりにも国民の生活実感を無視したものであると断じて何ら差しつかえなかろうと思うのであります。これにひきかえて、大企業の法人税優遇はどうかと申しますならば、一部手直しをした程度でお茶を濁すにとどまったのであります。私は法人税につきましては、現在、販売高、収益高とも大きく伸び、景気上昇期にあるのでありますから、これを昭和四十年の景気後退期直前の状態にまで引き上げるべきであると強調するものであります。その他利子配当課税、交際費課税などの不合理に対しましても、たびたび政府の姿勢を正しましたが、一向に納得できる回答が得られなかったことはまことに残念であります。
 第二の理由といたしましては、防衛関係費の大幅増加、すなわち、専守防衛について国民合意の確立に努力もせずに、ただ自主防衛の名に隠れ、ひとり政府ペースで勝手に防衛力の増強をはかろうとする態度であります。七〇年代のわが国の進路は、高度福祉国家への道か、防衛力増強による軍事大国への道か、その選択を迫られているのであります。四十五年度予算は、後者の道を歩む芽ばえさえ見えることは、まことに危険なことであります。このことは、明年度だけの偶然のできごとではなく、四十七年度から始まると見られる第四次防衛計画の伏線であるといわなければなりません。しかも、米軍主体の安保体制を堅持するというのでありますから、自主防衛の名に値しないばかりか、主客転倒もはなはだしいといわざるを得ないのであります。私が反対する最大の理由はここにあるのであります。
 第三の理由は、国民生活の充実、向上に積極的な対策を講じていない点であります。特に社会保障関係費について、なるほど一兆一千億円の伸びは見たものの、その大部分は医療費の値上げに取られるという実態であるのであります。したがって、老人、心身障害者などの生活能力を欠いた人々に対する所得保障、不幸な母子家庭、生活保護世帯等に対する対策はなおざりにされ、実質的な社会保障の充実にはなっておりません。また、児童手当制度が明年度も見送られたことは、国民の不満をますます増大させ、政治に対する信頼を失わしめるものであります。他方、住宅建設についても、みずからの五カ年計画が達成できないと見るや、これを民間に依存しようとしております。一世帯一住宅は国民の切なる願いであります。このようにさか立ちした政府の住宅政策に対し、猛省を促してやまないのであります。
 第四に掲げる反対理由は、物価安定に対する具体策が明示されなかったことであります。総理大臣の諮問機関として物価安定会議が設置されてから、数々の政策の提案がなされ、国民の共鳴を得るものが多かったのであります。たとえば、公共料金の一定期間の停止、流通機構の合理化、大企業のごとき生産性向上部門の製品価格の引き下げ、農業、中小企業など低生産性部門の近代化促進等がそれであります。しかし、政府は、これらの基本的提案にどう取り組もうとするのか、どう実現されようとするのかについては、長い予算委員会の審議を通じては、納得のできる説明がなされなかったのであります。このように、物価に対する政府の姿勢が明確でない予算は、国民生活をますます苦境に追いやるのであります。
 以上申し上げましたごとく、この予算案は、国民期待をすべての面でことごとく裏切り、ひたすら大企業本位の社会経済秩序をはかろうとする政治姿勢のみ示しております。これではますます人間疎外、人間の精神的荒廃と社会的混乱を高めるものでありまして、私はこのような理由から、昭和四十五年度予算案に強く反対すると同時に、今後、政府が私どもの警告をきびしく謙虚に反省されることを強く切望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(重宗雄三君) 須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
#18
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、昭和四十五年度予算三案に反対するものであります。
 昨年十一月の日米共同声明は、沖繩返還問題を利用して、アメリカを盟主とする多角的反共軍事同盟に日本を組み込み、全土を朝鮮、ベトナム、中国などに対する侵略基地とすることを義務づけて、安保条約の実質的な大改悪を行なったものであります。同時に、また、この声明の中で、佐藤総理は、自主防衛の名によって軍事力の画期的増強をはかるとともに、アメリカのアジア侵略政策を補強し、ドル防衛に協力するために、アジアに対する援助計画の拡大と改善をはかることを約束しました。日米共同声明は、まさに、アメリカへの従属のもとで、日本の軍国主義、帝国主義の復活強化を新たな段階に推し進める一九七〇年代の路線を確定したものであります。佐藤内閣は、この共同声明の実行を使命としていますが、そのことが四十五年度予算案を貫く特徴となっております。
 まず、第一に指摘しなければならない特徴は、この予算案が軍事力を増強し、人民弾圧体制を強化するとともに、日本独占資本の対外進出の野望を促進する予算案だということであります。
 すなわち、防衛費は、自衛隊発足以来最高の増加率一七・七%に及び、その額もまた六千億円に迫ろうとしています。このことは、総額六兆円に及ぶといわれる第四次防衛力整備計画のために大きく道を開くものであります。また、内容的に見ても、海空自衛隊を重点にした増強は、アメリカの新たな戦略に沿って台湾、韓国にまで日本の防衛圏を拡大する意図を示しております。
 また、自衛隊の増強と並んで重大なのは、人民弾圧体制が強化されている点であります。すなわち、警察官五千名をはじめ、裁判官、検察官、法廷警備員などの大幅増強や装備の強化などが、トロツキスト暴力分子の盲動を利用して推し進められていることであります。今回の日航機乗っ取り事件についても、治安当局は、彼らに対する必要な取り締まりを怠った上で、事件が起こるや、これを反共宣伝に利用しております。わが党は、このような政府の政治姿勢を直ちに改め、泳がせ政策を即時中止するよう、重ねて要求するものであります。
 また、一般会計、財投を含めて五千億円に及ぶいわゆる対外援助費は、南ベトナムのダニム・ダムの修復、ラオスのナムグム・ダムの建設やビエンチャン空港の拡張などのように、アメリカの侵略戦争に援助の名で加担するものであります。また、サイゴンの病院の改築費や、ラオスの通貨安定基金への出資などは、反共かいらい政権のための安定をはかるものであって、他国の内政に対する干渉にほかなりません。
 このような巨額の支出に反して、沖繩県に対する援助は、琉球政府の要求をはるかに下回るものであります。その内容も、わが党が主張してきたような、県民の要求に従って、立地条件に適した新しい産業を開発し、自主的、平和的な経済の発展を保障して、真の復興と県民生活の安定向上を目ざすものではありません。それは、沖繩県に対してアメリカが当然行なうべき財政支出を肩がわりしつつ、共同声明に基づいて、アメリカの基地機能の維持と権益の擁護をはかり、本土の大資本の進出の地ならしを目ざすものとなっております。
 第二は、この予算案が、独占資本の高度成長をさらに推し進めるための大企業本位の予算であり、同時に、他方では、国民生活を犠牲にして顧みない反人民的な予算だという点であります。大企業本位の公共事業関係費の規模は、第六次道路整備五カ年計画の発足で、一般会計五千八百六十六億円と、財政投融資計画三千億円余に及ぶ道路整備事業費を中心にして、港湾、空港、工業用水など、実に総額一兆三千三百億円に及び、その増加率は一八・四%にも達しております。また、科学技術振興費の名で、原子力、宇宙、海洋開発、大型工業技術関係費など、総額千百四十億円を計上していますが、これらは単に大企業への奉仕を主としているだけでなく、アメリカの技術に依存して、開発研究の自主性をそこねるきわめて対米従属的な性格の強いものであります。このように、社会開発の名によって独占資本の高度成長を持続させるための資金には巨額の支出を認めながら、年間約百万の死傷者を出している交通事故に対する対策費は減額さえされるありさまであります。生活環境施設の整備費も、一般会計の中ではわずか六百億円余りにしかすぎず、一般道路や河川改修費に対する国庫負担率も引き下げられています。公害対策費は、被害者対策よりも、むしろ加害者の施設費に資金を与える仕組みになっています。七十数名に及ぶ死者と、二百数十名の負傷者を出した最近の大阪ガス爆発の大惨事は、まさに、大資本の利潤追求をすべてに優先させている自民党・佐藤内閣の都市政策の矛盾の典型的なあらわれであります。国民は、また、いつどこで起こるかもしれない事故を防ぐすべもなく、怒りと不安の生活をしいられています。
 社会保障関係費は、一定の増額はしながらも、当然増がその大半を占め、児童手当は政府みずからの公約にさえも反して、ついに履行されませんでした。すでに東京都が実行している老人医療の無料化などは採用しようともせず、東京や京都での明るい都政、府政に見られるような、住民優先の施策はその片りんすらうかがい得ません。そして生活保護対象人員は削減され、日雇い健保の改悪などが進められています。特に失業対策事業の縮小とともに指摘しなければならないのは、言論出版妨害問題についての正義の追及をすりかえようとする公明党の理不尽な中傷に便乗して、政府が失業対策事業に働く労働者と労働組合の権利に不当きわまる攻撃をかけていることであります。このような権利の侵害を断じて許すわけにはいきません。また、農村においては米作の削減を突破口にして食管制度と農地法の改廃を進めようとしていますが、これはアメリカの不当な要求による農産物輸入の自由化政策とあわせて、日本の農業を危機に追いやり、中小農民の経営と生活を破壊するものであります。
 最後に、第三の問題点は、本予算案はすでに述べた独占資本の高度成長の持続と軍国主義、帝国主義の復活強化のために必要な巨額の財源を、税収奪と赤字公債の発行にたよって、膨大なインフレ予算案となっている点であります。その対前年度膨張率は実質一九%にも及んでおります。税収についていえば、租税特別措置などによる大企業への特権的減免税をさらに強めながら、主として人民の負担によって一兆四千億円にも及ぶ自然増収を予定しています。これは二千四百億円余の所得減税を見込んでも、広範な、国民にとっては実質的な増税を意味するものであります。しかも、その上、四千三百億円の赤字公債の発行が予定され、昭和四十年以来の累積額は三兆円に迫ろうとしています。これは単にインフレを促進するだけでなく、将来にわたって国民を重税で縛りつけるものであります。そうして、このようなインフレ予算は、それでなくても、すでに国民にとってたえがたい物価の値上がりに一そうの拍車をかけるものであります。
 以上三点にわたって問題点を指摘しましたが、これらは、日米共同声明の約束に基づく自民党・佐藤内閣の七〇年代の政治、経済路線が、いかに国民にとって過酷なものであるかを示しています。
 わが党は、このような予算三案に国民とともに反対するものであります。以上。(拍手)
#19
○議長(重宗雄三君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより採決をいたします。
 三案全部を問題に供します。表決は記名投票をもって行ないます。三案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#20
○議長(重宗雄三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#21
○議長(重宗雄三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#22
○議長(重宗雄三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数        二百十四票
  白色票         百二十二票
   〔拍手〕
  青色票          九十二票
   〔拍手〕
よって、三案は可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      百二十二名
      小林  章君    楠  正俊君
      奥村 悦造君    伊藤 五郎君
      後藤 義隆君    梶原 茂嘉君
      横山 フク君    小山邦太郎君
      寺尾  豊君    植竹 春彦君
      山崎 五郎君    山崎 竜男君
      山本敬三郎君    若林 正武君
      矢野  登君    安田 隆明君
      増田  盛君    長屋  茂君
      中山 太郎君    西村 尚治君
      八田 一朗君    平泉  渉君
      柳田桃太郎君    山内 一郎君
      佐藤  隆君    高橋文五郎君
      岩動 道行君    河口 陽一君
      任田 新治君    田村 賢作君
      近藤英一郎君    船田  譲君
      吉江 勝保君    大竹平八郎君
      柴田  栄君    堀本 宜実君
      植木 光教君    鍋島 直紹君
      青柳 秀夫君    山下 春江君
      前田佳都男君    平島 敏夫君
      森 八三一君    徳永 正利君
      木内 四郎君    西郷吉之助君
      新谷寅三郎君    井野 碩哉君
      河野 謙三君    上原 正吉君
      古池 信三君    杉原 荒太君
      安井  謙君    初村滝一郎君
      内田 芳郎君    黒木 利克君
      菅野 儀作君    土屋 義彦君
      高田 浩運君    玉置 猛夫君
      大松 博文君    鈴木 省吾君
      小林 国司君    園田 清充君
      山本茂一郎君    中津井 真君
      林田悠紀夫君    鬼丸 勝之君
      佐田 一郎君    大森 久司君
      和田 鶴一君    中村喜四郎君
      玉置 和郎君    沢田 一精君
      二木 謙吾君    長谷川 仁君
      源田  実君    鹿島 俊雄君
      丸茂 重貞君    木村 睦男君
      井川 伊平君    金丸 冨夫君
      櫻井 志郎君    村上 春藏君
      田中 茂穂君    江藤  智君
      白井  勇君    山本 利壽君
      田口長治郎君    三木與吉郎君
      平井 太郎君    石原幹市郎君
      吉武 恵市君    松平 勇雄君
      郡  祐一君    鹿島守之助君
      重政 庸徳君    高橋  衛君
      迫水 久常君    藤田 正明君
      宮崎 正雄君    久次米健太郎君
      亀井 善彰君    石原慎太郎君
      上田  稔君    長田 裕二君
      栗原 祐幸君    熊谷太三郎君
      川上 為治君    温水 三郎君
      山本  杉君    谷口 慶吉君
      米田 正文君    木島 義夫君
      佐藤 一郎君    西田 信一君
      小林 武治君    塚田十一郎君
      斎藤  昇君    増原 恵吉君
      赤間 文三君    廣瀬 久忠君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      九十二名
      原田  立君    峯山 昭範君
      萩原幽香子君    山田  勇君
      青島 幸男君    塩出 啓典君
      藤原 房雄君    中沢伊登子君
      山高しげり君    市川 房枝君
      三木 忠雄君    内田 善利君
      沢田  実君    瓜生  清君
      矢追 秀彦君    阿部 憲一君
      浅井  亨君    中尾 辰義君
      松下 正寿君    上林繁次郎君
      田代富士男君    黒柳  明君
      宮崎 正義君    片山 武夫君
      二宮 文造君    渋谷 邦彦君
      山田 徹一君    向井 長年君
      高山 恒雄君    鈴木 一弘君
      柏原 ヤス君    北條  浩君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      中村 正雄君    村尾 重雄君
      大倉 精一君    上田  哲君
      松本 英一君    安永 英雄君
      竹田 四郎君    杉原 一雄君
      小野  明君    森  勝治君
      鈴木  力君    中村 波男君
      佐野 芳雄君    林  虎雄君
      西村 関一君    鈴木  強君
      森 元治郎君    小柳  勇君
      近藤 信一君    加瀬  完君
      大和 与一君    森中 守義君
      阿具根 登君    須藤 五郎君
      渡辺  武君    野坂 參三君
      春日 正一君    河田 賢治君
      岩間 正男君    達田 龍彦君
      前川  旦君    山崎  昇君
      村田 秀三君    大橋 和孝君
      田中寿美子君    松井  誠君
      瀬谷 英行君    松本 賢一君
      鶴園 哲夫君    野上  元君
      武内 五郎君    松永 忠二君
      北村  暢君    横川 正市君
      矢山 有作君    中村 英男君
      久保  等君    永岡 光治君
      藤田  進君    松澤 兼人君
      小林  武君    大矢  正君
      足鹿  覺君    成瀬 幡治君
      田中  一君    木村禧八郎君
      加藤シヅエ君    羽生 三七君
     ─────・─────
#23
○議長(重宗雄三君) 日程第一、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とザンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件。
 日程第二、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件。
 以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長長谷川仁君。
   〔長谷川仁君登壇、拍手〕
#25
○長谷川仁君 ただいま議題となりました二重課税の回避のためのザンビアとの条約及び韓国との条約につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 これらの条約は、相手国に支店等の恒久的施設がある場合の事業利得に対する相手国の課税基準、船舶、航空機の運用利得に対する課税免除、並びに配当、利子及び使用料に対する課税減免等について定めるとともに、二重課税を排除する方法について規定したものでありますが、相手国の経済開発を促進するための特別奨励措置等に基づいて相手国で減免された税額は、これを納付したものとみなしてわが国の税額から控除する措置がとられております。
 委員会における審議の詳細は会議録によって御承知願います。
 四月十四日質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、ザンビアとの条約は全会一致をもって、また、韓国との条約は多数をもって、いずれも承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#26
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とザンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#27
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#28
○副議長(安井謙君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#29
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#30
○副議長(安井謙君) 日程第三、機械類賦払信用保険法の一部を改正する法律案。
 日程第四、輸出保険法の一部を改正する法律案。
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長村上春藏君。
   〔村上春藏君登壇、拍手〕
#32
○村上春藏君 ただいま議題となりました二法案について、委員会における審査の経過と結果について御報告いたします。
 二法案とも現行保険制度を拡充強化しようとするものでありまして、まず、機械類賦払信用保険法改正案は、最近急速に普及しつつあるローンによる機械類の販売についても信用保険を行なおうとするものであります。
 委員会では、本保険制度と中小企業近代化との関係、ローンによる機械類の販売見通し、保険加入率問題等につき質疑が行なわれました。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
    ―――――――――――――
 次に、輸出保険法改正案は、付保対象投資の範囲及び担保危険の拡大等の措置を講ずるため、海外投資元本保険と海外投資利益保険を統合して、新たに海外投資保険を創設しようとするもので、本委員会では、海外投資の目的、経済協力のあり方、国際貿易と海外投資との関係等につき質疑が行なわれました。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#33
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 まず、機械類賦払信用保険法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#34
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#35
○副議長(安井謙君) 次に、輸出保険法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#36
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#37
○副議長(安井謙君) 日程第五、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案。
 日程第六、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案。
 (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長佐野芳雄君。
   〔佐野芳雄君登壇、拍手〕
#39
○佐野芳雄君 ただいま議題となりました両法律案について、委員会における審議の経過と結果を御報告申し上げます。
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案は、最近の賃金、退職金水準の上昇等の情勢に応じて、中小企業退職共済制度をより効果的なものとするため、退職金に対する国庫補助の増額、掛け金月額の引き上げ、死亡退職者に対して給付の特例を設けること等を内容とするものであります。
    ―――――――――――――
 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案は、戦傷病者、戦没者遺族等の処遇の改善をはかるため、軍人軍属及び準軍属の障害年金、遺族年金等の額を引き上げるとともに、障害年金、遺族一時金、戦傷病者等の妻に対する特別給付金等の支給範囲の拡大をはかるため、それぞれ関係法に必要な改正を行なうことを内容とするものでありまして、遺族年金の支給対象を拡大する衆議院での修正を含んでおります。
 委員会における審議の内容は会議録により御承知願います。
 採決の結果、両法律案とも、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対して、全会一致をもって附帯決議を行ないました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#40
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 まず、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#41
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#42
○副議長(安井謙君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#43
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#44
○副議長(安井謙君) 日程第七、林業種苗法案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長園田清充君。
   〔園田清充君登壇、拍手〕
#45
○園田清充君 ただいま議題となりました本案について、委員会の審査の経過並びに結果につき御報告申し上げます。
 この法律案は、優良種苗の指定採取源の制度を整備し、種苗生産事業者の登録制及び配布用種苗の表示義務制を設ける等の措置を講じようとするものであります。
 委員会における審査の詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#46
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#47
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#48
○副議長(安井謙君) 日程第八、過疎地域対策緊急措置法案(衆議院提出)。
 日程第九、地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)。
 以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長山内一郎君。
   〔山内一郎君登壇、拍手〕
#50
○山内一郎君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 まず、過疎地域対策緊急措置法案は、衆議院地方行政委員長の提出にかかるものでありまして、過疎地域における人口の過度の減少を防止するとともに、住民福祉の向上と地域格差の是正に寄与するため、緊急に生活環境、産業基盤等の整備に関する総合的かつ計画的な対策を実施するものとし、そのため必要な国の財政上その他の特別措置等を講じようとするものであります。
 なお、本案は、昭和五十五年三月三十一日までの期限を付しております。
    ―――――――――――――
 次に、地方税法の一部を改正する法律案は、住民負担の軽減、合理化をはかるため、道府県民税及び市町村民税の所得控除等の額の引き上げ並びに個人事業税の事業主控除の額の引き上げ、不動産取得税等の非課税範囲の拡大、電気ガス税の免税点の引き上げ等を行なうほか、土地の評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の税負担の激変を緩和するための負担の調整措置を講ずるとともに、市町村税源の充実に資するため、道府県民税及び市町村民税の法人税割りの税率の調整、その他、地方税制の合理化をはかるための規定の整備を行なおうとするものであります。
 両案の委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。
 まず、過疎地域対策緊急措置法案について質疑を終局し、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次いで、地方税法の一部を改正する法律案について質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して竹田委員より反対、自由民主党を代表して安田委員より賛成、公明党を代表して原田委員より反対の意見が述べられました。討論を終わり、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案に対し、自由民主党、日本社会党並びに公明党の共同提出にかかる附帯決議案を、それぞれ全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#51
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 まず、過疎地域対策緊急措置法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#52
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#53
○副議長(安井謙君) 次に、地方税法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#54
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#55
○副議長(安井謙君) 日程第十、建築基準法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長大和与一君。
   〔大和与一君登壇、拍手〕
#56
○大和与一君 ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果につきまして御報告申し上げます。
 本案は、最近の経済成長に伴う都市構造の変化に対処するため、都市計画と一体の関係にある建築物の集団規定と建築基準行政の執行体制について改正を行なおうとするものでありまして、そのおもな内容は次のとおりであります。
 第一は、都市における建築物の用途の純化をはかるため、用途地域を八種類に改めるとともに、それぞれの地域における規制の基準を整備すること。
 第二は、土地の高度利用を促進するため、建築物の高さの制限を原則として廃止し、容積率による制限を採用するとともに、良好な居住環境を確保するため、住居専用地域について新たに北側斜線制限を設けること。
 第三は、建築物についての防災対策を推進するため、建築物の内装制限を強化するとともに、新たに排煙設備等の設置基準を設けること。
 第四は、建築基準行政の適正な執行を確保するため、人口二十五万以上の市に建築主事の設置を義務づけるとともに、違反建築取り締まりのため建築監視員の制度を設けるなど、法の執行体制を整備することであります。
 本案は、六十一回国会に提出され、衆議院で修正され、本院において審査未了となり、あらためて今国会に提出されたものであります。
 委員会におきましては、熱心な質疑が行なわれましたが、その内容は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して春日委員から反対、公明党を代表して宮崎委員から賛成の発言があり、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 次いで、上田委員より、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の共同提案にかかる附帯決議案が提案され、採決の結果、多数をもって本委員会の決議とすることと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#57
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#58
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#59
○副議長(安井謙君) この際、日程に追加して、
 日本開発銀行法の一部を改正する法律案。
 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案。
 物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案。
 関税定率法等の一部を改正する法律案。
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上四案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○副議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長栗原祐幸君。
   〔栗原祐幸君登壇、拍手〕
#61
○栗原祐幸君 ただいま議題となりました四法律案について申し上げます。
 まず、日本開発銀行法の一部を改正する法律案は、日本開発銀行の借入金等の限度額を、現行の自己資本の五倍から六倍に引き上げようとするものであります。
    ―――――――――――――
 次に、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案は、毎会計年度末における造幣局特別会計の補助貨幣回収準備資金の額が補助貨幣発行現在額をこえるときは、それに相当する金額を一般会計の歳入に繰り入れようとするものであります。
    ―――――――――――――
 次に、物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案は、トランジスターテレビ受像機ほか四品目の物品税率を、毎年漸進的に引き上げ、本則税率に移行させる等の措置を講じようとするものであります。
    ―――――――――――――
 最後に、関税定率法等の一部を改正する法律案は、五百八十一品目の関税率の調整を行なうとともに、脱硫重油製造用の輸入原油に対する減税制度を創設するほか、豚肉の減税制度の弾力化等、関税の減免戻税制度の整備をはかろうとするものであります。
 委員会における四法律案の質疑の詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案に対し、日本社会党の成瀬委員、公明党の鈴木委員及び日本共産党の渡辺委員より、それぞれ反対の意見が述べられました。
 次いで、四法律案を順次採決の結果、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案は全会一致、そのほかの三法律案はそれぞれ多数をもっていずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、日本開発銀行法の一部を改正する法律案に対し、沢田委員より、自民、社会、公明、民社の四党共同の附帯決議案が提出され、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上報告を終わります。(拍手)
#62
○副議長(安井謙君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。
 まず、日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#63
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、両案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#64
○副議長(安井謙君) 次に、造幣局特別会計法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#65
○副議長(安井謙君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決せられました。
     ―――――・―――――
#66
○副議長(安井謙君) 次に、物品税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#67
○副議長(安井謙君) 過半数と認めます。よって、本案は可決せられました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト