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1947/07/10 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第2号
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1947/07/10 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第2号

#1
第001回国会 司法委員会 第2号
  付託事件
○國家賠償法案(内閣送付)
○昭和二十二年法律第六十三号下級裁
 判所の設立及び管轄区域に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提
 出)
○刑法の一部を改正する法律案(内閣
 送付)
  ―――――――――――――
昭和二十二年七月十日(木曜日)
   午後三時十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十二年法律第六十三号下級裁
 判所の設立及び管轄区域に関する法
 律の一部を改正する法律案
○國家賠償法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) これより本委員会を開催いたします。審査の順序といたしまして、最初に昭和二十二年法律第六十三号、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案について審査をいたし、尚お時間がありましたならば國家賠償法案の予備審査に入りたいと思います。
 それでは只今申上げました昭和二十二年法律第六十三号の下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。最初に政府側より本案に対する御説明をお願いいたします。
#3
○國務大臣(鈴木義男君) 昭和二十二年法律第六十三号、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げます。この法律は、裁判所法第二條第二項の規定に基き、先頃の第九十二回帝國議会に提出せられ、両院を通過成立して、去る五月三日新憲法と同時に施行せられたのでありますが、この法律制度の際は、簡易裁判所の設立及び管轄区域につきましては、その数が多く、且つ直接社会の治安に関係する重要な、又は全く新らしい裁判所のことでありますため、尚お詳細に現地の事情を調査した上、これを決定する必要があるということで、その第三條におきまして「簡易裁判所の設立及び管轄区域は、当分の間、裁判所法第二條第二項の規定に拘わらず、政令でこれを定める」と規定して、この規定に基きまして、昭和二十二年政令第三十七号が制定公布せられ、同じく去る五月三日から施行せられているのでありますが、この法律の附則第二項によりますと、この政令は、第一回國会の開会の後六十日を経過したとき、即ち來る七月十八日限りその効力を失うことになつておりますので、それまでには、この法律により直接に簡易裁判所の設立及び管轄区域に関する定めをしなければならないわけでありまして、尚おこれに関連して若干の改正をする必要がありますので、ここにこの改正法律案を提出いたした次第であります。
 詳細につきましては、次に調査課長より御説明申上げることになつております。何卒愼重御審議の上速かに御賛同を賜わらんことをお願い申上げます。
#4
○委員長(伊藤修君) それではこれから質疑に入ります。質疑の方法といたしまして、質疑のあるお方は起立をお願いいたします。それから委員長に申出た順序によつて質疑を許すことにいたしたいと思います。それではどうぞ。
#5
○齋武雄君 本法について私は五つの点について質問をしたいのであります。
 その第一は、第三條の規定でありますが、第三條によるというと、四つの場合に区別されておるのでありますが、その具体的例は私には分らないのであります。行政区画が変更のあつたときは、裁判所の管轄区域も亦これに伴つて変更される。これは分りますが、その後の「但し」以下についてちよつと分らぬ点がありますので、この第三條について具体的の例をお示しを願いたい。これが第一点であります。
 第二は、第四條の規定でありますが、第四條によるというと、前二條によつて管轄裁判所が定められない地域があるということを前提にしておるのでありますが、そういうことはあり得るのであるか、或いはこれは念のための規定であるか、ということをお伺いしたいのであります。
 第三は、政令第三十七号の簡易裁判所と本法の裁判所は具体的にどれだけの相違があつたか、どこどこが政令にはなかつたが今度はこういうのがある。こういう具体的にどういう変更があつたかということであります。
 第四は、本法施行のためどれだけの予算を必要とするのであるか。この法律を施行するについて一年にどれだけの予算を司法省では必要とするか。
 第五点は、これは直接関係ないかも知れませんが、各縣に高等裁判所の支部を設ける御意思があるかどうか。
 この五点についてお伺いいたします。
#6
○國務大臣(鈴木義男君) 御質問にお答えいたします前に、便宜立案に参與いたしました説明員赤木課長をして御説明申上げますから御了承願います。逐條的に御説明申上げまして、それで分らない点は更に詳細にお答えをいたすということで、一應逐條説明いたさせます。
#7
○委員長(伊藤修君) 説明員より御説明をされることに御異議ございませんか。
#8
○委員長(伊藤修君) それではどうぞ。
#9
○説明員(赤木暁君) それでは簡單に私からこの法律案の條を逐つて御説明申上げます。
 先ず第一は、從前の高等裁判所及び地方裁判所と共に、從來政令によつておりました簡易裁判所をも、別表第三表の通り、この法律により直接設立することにいたしたものでありまして、更に第二條におきまして、各高等裁判所、地方裁判所及び簡易裁判所の管轄区域を、別表第四表の通り一本に纏めまして、定めることにいたしたのでありますが、これらの別表の内容は大体從前の通りで、その根拠法令を政令から法律に乘換えたに過ぎません。ただ新たに甲府地方裁判所管内の山梨縣北都留郡大月町に大月簡易裁判所を、又大阪地方裁判所管内の大阪府三島郡茨木町に茨木簡易裁判所をそれぞれ新設することにいたしましたこと、それから從前青森地方裁判所管内の青森縣下北郡田名部町に田名部簡易裁判所が設置せられていましたのを、同管内の同郡大湊町にこれを管轄区域を同じくする簡易裁判所を設立し、大湊簡易裁判所と称することにいたしましたこと、その他全國数ケ所の裁判所の管轄区域を部分的に改正いましたことなどが從前と相違いたしております。そうしてこれらの変更は何れも現地の要望に從つて行われたものでございます。
 次に第三條におきましては、裁判所の管轄区域の基準となつた市町村などの行政区画に変更があつたとき、例えばある市に隣接した町村の一部で、その市と管轄裁判所を異にするものが市の区域に編入されたとき、その編入された地域をも市の管轄裁判所の管轄に属させたいという場合におきまして、これに対し一々法律改正の手続を取りますことは頗る煩瑣に亘りますので、このような変更のありましたときは、原則として裁判所の管轄区域も又これに伴つて当然変更されることとし、ただ例外的に市町村などの行政区画が新らたに設置せられたときや、一つの裁判所の管轄区域に属するすべての地域が、他の裁判所の管轄区域に属する行政区画に編入されてしまつたようなときは、この原則によりますと、管轄裁判所のない地域が生じたり、同じ地域に二箇の裁判所が競合するというような結果になる虞れがありまして適当でありませんので、一應從前の管轄区域のまま変更されないこととし、今度この法律の改正によつて適当な処置を講ずることといたしました。このことは固有の意味の行政区画でなく、單なる地理的名称に過ぎないとされておる郡とか、市町村内の町又は字その他の地域で、裁判所の管轄区域の基準となつておるものに変更のあつたときも又同樣とすることにいたしたのであります。
 第四條は、以上第二條及び第三條の規定によりましても管轄区域が定まらない地域があるので、例えばこの法律立案後施行前に新らたな町村などができたような場合に、前に申上げました第三條第一項の但書は施行後の変更に関するものでありまして、この場合には適用なく、この法律の改正せられるまで、その地域を管轄する裁判所が定まらないということになつて甚だ不都合を生ずる虞れがありましたので、それまでの暫定措置として、このような場合には、この法律の改正により、その地域を管轄する裁判所が定められるまでは、最高裁判所がその裁判所を定めるということといたしたのであります。
 最後に附則について申上げますと、第一項におきましては、この法律は前に申上げました政令がその効力を失う日の翌日である來る七月十九日からこれを施行することを定め、第二項におきましては、この法律により設立される簡易裁判所で從前の政令による簡易裁判所と名称を同じくするものは、政令による裁判所としては一旦廃止され、この法律によつて新らたに設立されるものではありますが、法律上は明らかにその從前の政令による簡易裁判所と同一なものと看做すことにし、又法律により設立される大湊簡易裁判所は、從前これと同じ区域を管轄していた田名部簡易裁判所と法律上同一なものと看做すことといたし、この間に継続性を認めて、根拠法令の乗換えということから生ずる各種の不便を除くことといたしました。
 更に第三項におきましては、大月簡易裁判所の場合のように、同一のものと看做さるべき從前の裁判所もなく、この法律により全く新らたに裁判所が設立された場合や、この法律によつて管轄区域内に変更があつたような場合におきましては、この法律施行前に、從前の管轄裁判所で受理した事件は、引続きこの簡易裁判所でこれを完結するのが適当でありますから、そのように規定いたしたものであります。
 以上簡單に改正法案の逐條の御説明を申上げました。それでは引続きまして、先程の御質問の点にお答えいたします。
 ます第一点は、三條の但書の関係はどうかというお話でありましたが、これは只今申上げましたように、行政区画に変更がございました場合には、行政区画を裁判所の管轄区域の基準といたしておりますから、これと一致さす趣旨で、行政区画が拡がつて、そうして他面隣りの地域が狹まつたという場合には、これと同じように管轄区域も一部は拡まり、他方は狹まる、こういう原則でございますが、但書の方は、新らなに行政区画ができました場合には、その表にその行政区画を基準とする裁判所の管轄がございませんので、全然管轄区域のない行政区画というものがそこに形の上に出て参りますから、こういう場合には本文の規定で賄うことができませんから、一應変更はなく今まで通りとしまして、後で法律の改正によつて新らたにできた行政区画を管轄する裁判所を表に入れて定める、こういう趣旨でございます。それから次の行政区画の全部が他の行政区画に変更された場合にはどうなるかと申しますと、これはそのままにして置きますと、つまり本文の規定をそのまま適用いたしますと、全部を併合されたので、その区域にありました裁判所と、併合した方の裁判所、この二つが、拡がつた、大きくなつた区域を両方が競合的に管轄するというようなことになつて、同一の区域に二つの裁判所が競合するといつたような変態を呈しますから、この場合もやはり一應從前通りとして、管轄区域を動かないことにいたしまして、後にこれを法律で適当に処置する、こういう意味の規定でございます。
 それから御質問の第二点の、四條の規定はどういう場合を意味するのかという御質問のように承りましたが、これは先程も申上げましたように、この表を立案いたしまして施行前に、或いは昨日とか一昨日とかいつたようなときに、まあ市などができるというようなことは余りございませんでしようが、新らたな町とか村とかいうようなものができて、結局この施行と同時に行われます表の中にはその行政区画は載つていない。從つて表を見ても、それを管轄する裁判所がないというような場合も考えられますので、こういう場合はなんとか処置する規定が必要じやないかと思いまして、第四條を設けた次第でございます。尚おその他にも、稀な例でございましようが、例えば大きな埋立がございまして一つの地域というものができた。これはそういう地域があることはこの法律では予想しておりませんから、從つてその地域に対する管轄裁判所といものが結局ないことになりますので、こういう場合もやはり四條で賄う、こういう趣旨でございます。更に現在小笠原とか大島とかいう方面につきまして、小さな島につきまして、日本の統治権が終極的になくなるのかどうか多少疑いがあるような地域もございますので、万一現在統治権から離れておる小さな島が、講和條約の結果こちらに返えるというようなことが仮にあるといたしました場合には、これ亦管轄裁判所がないということになりますので、ないからといつて法律の改正までうつちやつて置くわけには参りませんから、こういう場合は取敢えず最高裁判所で定める、こういうことにいたした次第であります。
 それから第三点の、政令による裁判所とこの法律による裁判所の関係はどうなるか、こういう御質問のように承りましたが、これは裁判所法の規定によりますと、裁判所はすべて法律によつて定めるということになつておりまして、政令で定めたのは已むを得なかつた変態でございまして、内容といたしましては、大部分は少しも変りませんのですけれども、併し根拠法令が政令から法律に乗換えられる。從つてこれを変更する場合に、ただ政令の改正だけではいけない。必ず法律によつてその改正をしなければいかん。その設置管轄区域というものが、政令による場合よりももつと恒久性を持つことになるわけでございます。併し政令によつて今までできておるのですから、從つてそのできたものを今度の法律でそのまま認めて行くということだけでも目的は達するように考えられますが、併し裁判所法は必ず法律によれと、こういう趣旨になつておりますので、政令によつた裁判所を援用して、法律の一部として援用して、これをそのまま認めるということよりも、政令によるものは一旦廃止して、新規に法律によつて直接定める、こういう方が裁判所法の趣旨に適当するものだろうと思いまして、こういうふうにいたしましたのでございます。併しここに一旦廃止し設立されるということになりますと、その間に、例えば裁判所が今度は違つた裁判所なんだから、從來の手続方針にする必要があるかどうかといつたようないろいろな問題が起りまして、非常に不便でございますので、廃止し設立はされましたけれども、法律上その間に継続性も認めて、前の裁判所と今度の裁判所に同一性があるか、こういうことにつきまして、これらの不便というものを除去するという趣旨に出たわけでございます。
 それから第四点は、簡易裁判所の設立に関する予算のことについての御質問であつたように伺いましたが、簡易裁判所の新設にあたりましては、最初司法省といたしましては警察署單位に置く。簡易裁判所は御承知のように刑事訴訟法の應急措置法に基く令状を発布することになつておりまして、警察との関係が非常に深いので、從つて警察署單位に置く。警察署は全國に千幾つかございますが、その警察署のあるところには必ず簡易裁判所を置くという建前で予算の請求をいたしたのでございますが、削減されまして、結局金額にいたしまして四千五百二十万円、これを判事六百四十五人で一人づつ配置するといたしますと、全國に六百四十五箇所の簡易裁判所ができるというようになつております。併し一箇所に数名の判事を配置しなければならん相当大都市の簡易裁判所もございますし、又予算の成立後段々と費用が昂騰いたしまして、到底これだけで所期の六百四十五箇所というものを設けることがむずかしくなつておりまして、現在では五百五十七箇所置くことになつておりますが、現実に開廳いたしておりますのは三百九十一箇所で、建物がないとか、その他の関係でまだ実際開廳に至らないのが百六十六箇所ございます。
 それから第五点の御質問の、高等裁判所の支部はどうなるか、こういうお話でございますが、支部につきましては裁判所法によりますと、最高裁判所の権限に属することになつておりまして、法律によらないことになつております。從つて最高裁判所がいずれ告示かなにかの形式で支部を作ることになろうかと思うのでありますが、現在はまだ最高裁判所の支部を作つておりません。高等裁判所の支部は作つておりません。
#10
○齋武雄君 大体了承いたしましたが、第三の政令と法律との関係、これは私の言い方が惡かつたかどうか、そういう意味で聽いたのではありませんでした。なぜ政令を法律にしたかということでなくして、政令の内容と簡易裁判所の内容、法律の内容はこの附則にはありますけれども、例えば政令の当時はなかつた裁判所が、簡易裁判所ができたということの内容を聽きたかつたのであります。それは併し先程説明されましたからわかりました。説明前の私の質問でありますから……そこでそれはそれで結構でありますが、ただ私の質問はなぜ政令を法律にしたかという質問ではなかつたのでありますから御了承願いたいと思います。
#11
○説明員(赤木暁君) その点は新設が二箇所移轉が一箇所、つまり政令によつてできておるもの以外に、今度の法律で新設しましたのが二箇所、場所を移轉しましたのが一箇所、政令による裁判所の管轄区域を変更いたしましたのが六箇所でございます。
#12
○齋武雄君 それからいま一点、第二の質問の第三條でありますが、具体的にはこういう場合はどういうふうになるのであるか。例へばここに数箇町村が合併して‥…村が三つとか或いは町が二つとか合併して市になつたという場合において、最初の管轄区域が全部違つた場合、村と町が違つておる場合において裁判所が二つになつた、例へばここの村は甲裁判所、ここの町は乙裁判所の管轄になつた場合、合併して市になつた、その場合に同じ市であつて二つの裁判所が管轄するのであるかどうか。
#13
○説明員(赤木暁君) それは今お話の通りでございまして、一應の中で從前の、合併前の管轄区域をそのまま踏襲いたしまして、ただ後に法律の改正によりまして、その市というものを管轄する特別の裁判所を新設する予定であります。それまでは一應そのままということにしてございます。
 尚予算の点に関係いたしまして、政令による簡易裁判所を今度法律に乗り替えまして、法律による裁判所といたしましても、二箇所の新設費十五万五千円を除く外は、予算上は特別に差違はございません。
#14
○水久保甚作君 七十九頁の終りから五行目の、鹿兒島地方裁判所の管轄の簡易裁判所の知覽の管轄でありますが、知覽町だけが知覽の簡易判所の管轄になつておりますが、次の加世田の管轄になつておる川邊町というのは、知覽の管轄に入れた方が便宜ぢやありませんか。
#15
○説明員(赤木暁君) これはなにしろ全國に跨がつて非常に細かい点に亙りますので、私の方では現地の所長、檢事正に昭会いたしまして、そうしてどういう風に管轄区域を割振つたらいいかということを照会いたしましたので、それに対して、所長、檢事正の方から、こういうふうにやつてくれということをいつて参りましたので、恐らく現地について調べたのだらうと思いますので、私の方ではそれをそのまま採用してやつておりますが、若し今お話のようなことでございますと、いずれ後に調査いたしまして、便宜ならそういうふうに変更いたしたいと思つて居ります。
#16
○岡部常君 今回新らしく殖えました数でありますが、どのくらいになりますか。それをちよつと承つて置きたいと思います。
 それからこれはのちのちの、皆さんも疑問を抱いておられる方もあろうかと思いますが、判事がどういう人を以てお当てになるおつもりでございますか。そういうこともこの際、一應御説明願つておいたらどうかと思います。
 それからついでに、新らしく管轄が決りまして、民間から希望を申し出るものがなかつたかどうか、その点もちよつと……
#17
○説明員(赤木暁君) 簡易裁判所は現在五百五十七箇所作つております。その中で先程申上げましたように、既に開廳いたしておりますのが三百九十一、建物その他の関係でまだ開廳に至らないのが百六十六箇所ございます。
#18
○岡部常君 從前の区裁判当に比較すると、どのくらい殖えましたか。
#19
○説明員(赤木暁君) 区裁判所は二百八十三箇所ございまして、併し今度の簡易裁判所は只今申し上げましたように、五百五十七箇所になつておりますので、余程殖えたことになつております。
 それから管轄区域、或いは設置場所について、各地からいろいろ註文がございました。それらは先程も申しますように、現地の所長檢事正の方に会照いたしまして、できる限りこれらの趣旨に副うようにいたしておりますが、中には現地の希望で甲地と乙地と希望が牴觸するといつたようなものもございまして、こういう場合にはこちらで適宜に決定いたしましたが、できるだけ現地からの設置場所、或いは管轄区域の割振りなどについて、希望は取入れて編成いたしました。
 それから簡易裁判所の判事の任命、資格につきましては、これは裁判所法の四十四條による資格によつてやることになりますのですが、現在はまだ正式に任命したのはございませんで、みな地方裁判所の判事が、代行しておるという形になつております。
#20
○岡部常君 俄かに沢山の判事を要するようになりましたので、相当人選などもお困りのことと想像されるのでありますが、今は地方裁判所の判事などで以てお当てになつておるそうでございますが、將来の御方針を承れれば仕合せだと思います。
 もう一つ私確めておきたいことは、これは非常に画期的な改革でございまして、從前の区裁判所の制度と比較いたしまして、どういうふうな点について特色があるか、利害得失といつたようなものが挙げられますか、政府の方から承つておきたいのであります。
#21
○政府委員(奧野健一君) 簡易裁判所が、御承知のように、憲法におきましてすべて人権尊重の意味からいたしまして、裁判官の令状がなければ、身柄を拘束するというふうなことは全然できないことになつておりまして、從來のようなやり方とは非常に違つて参つたわけであります。そこで犯罪捜査等のために急速に令状を必要とするような場合でありますとか、それから又從來の違警罪即決令というふうに、裁判官でなく、警察官が、一時まあ漸進的ではあるにせよ、裁判をやるというふうなことは成るべく避けたいという考で、違警罪即決令を廃止することにいたしまして、それ等に代つて簡易裁判所というものをできれば各警察毎に設けたい。これによつて直接國民の基本的人権を保障するようにいたしたい。同時に又民事等におきましても、少額の事件につきましては、簡易裁判所でやつて、要するに司法権の民主化と申しますか、廣く國民の便益に資するために、普く各地にそういう裁判所を設立いたしたいという考で設立することに相成つたのでありますが、從つてその簡易裁判所はそういう司法の民主化というような意味におきまして非常にその職責が重大でありますので、できれば非常に優秀なる人々をこの判事に任命いたしたいというふうに考えておりまして、裁判所法にも、例えば多年司法に貢献したものでありますとか、或いはその地方々々において非常に徳望のあるような人々等によつて、本当にその地方の信頼を得るような裁判官を、いわゆる資格に拘わらず、そういう徳望の人を選ばれるような途を、裁判所法においては規定をいたしておるのであります。それでありまするので、我々といたしましては、そういう趣旨の裁判官の得られることを期待しておるのでありますが、予算等の関係からいたしまして、現在におきましては、簡易裁判所の裁判官は二級の裁判官ということになつておりますので、まあそれだけの理由ではありますまいが、どうも最初に我々が期待しておるような人々を得ることが稍々困難ではないかと思うのであります。それでできれば少くとも一級の裁判官を得られるような途を講じたいと我々としては考えておるのでありまして、この点につきましては國会の御支援をお願いいたしたいと思うのであります。そういう意味を以ちまして、そういう徳望の高い人々を以てこれに当てたいと考えておるのでありますが、現在におきましては、先程申しましたようないろいろな事情から、なかなかその人を得られませんので、或いは長く裁判所の書記長をやつた人であるとか、そういつたような人、或いはまあ御承知のように、今度は判事になりますためには、十年間の経驗を必要とするので、十年に満たない人はいわゆる判事補ということになりまして、判事補を三年以上した者はやはり資格者として簡易裁判所の判事になることになりますので、そういつたような比較的資格者としては経驗の浅い人が、先程も申しましたような書記長等を古くやつたというような人等がまあ擬せられておるようなことになつておりますので、若しこれが一級の裁判官を取ることができるようになりますと、最初念願しておりましたような徳望の高い人を以て当てることができるようになるのではないかというふうに考へておるのでありますが、現在のところでは以上のような考でおります。
#22
○小川友三君 簡易裁判所の区域についてちよつとお伺いしたい。ここに地図を持つておりますが、宇都宮の簡易裁判所管内に川邊、利島村というのがありますが、それは久喜の簡易裁判所管内に入つております。これは非常に不便でありまして、利根川という大きな川がありまして、ここに橋もなし渡しで以て渡るという状態でありまして、川邊村、利島村を古河の簡易裁判所に付けた方がいいと思います。非常に土地を知らない方には分りませんが、これは私の選挙区ですが、利根川の幅は十何町であります。川は渡しが個人でやつておるのがたまに出るという程度で、実際上非常に不便でありまして、古河の町にくつ付いておるのでありますが、これがどうしたはずみか出つぱりの島みたいな所が久喜の簡易裁判所管内に入つております。これは事情を知らない人が作つたものと思いますが、これは古河の簡易裁判所に編入していただきたい。
#23
○説明員(赤木暁君) これは先程も申しましたように、現地の調査によりましたのでこういうことになつておりますが、尚今お話のような事情でございますと、十分調査した上、できるだけ御趣旨に副いたいと思います。
#24
○小川友三君 もう一つ、北埼玉郡の笠原村というのが久喜の簡易裁判所管内に入らないで、大宮の簡易裁判所管内に入つております。これはなにか手落だと思います。同じ郡にあつて遠く大宮の簡易裁判所に持つて行かれておりますが、これは久喜に非常に近い所でありますから……
#25
○説明員(赤木暁君) これも同樣に今後研究いたします。
#26
○宮城タマヨ君 この簡易裁判所は、行く行くは、家事審判所ができるとしましたならば、なにか一諸になるというようなことでもございますのですか。
#27
○政府委員(奧野健一君) 只今、民法改正と同時に家事審判法を作りまして、家事審判所というのを作りたいと考えております。この家事審判所というのは、現在考えておりますのは、大体簡易裁判所の上、即ち地方裁判所の一つの支部という考でありまして、從いまして簡易裁判所ではなく、まあいま少し一段上の裁判所ていうふうに考えております。
#28
○水久保甚作君 司法省の予算のことでありますが、これは前からの問題でありまして、いつも司法予算が一番低いということは定評であります。私は昭和四年の議会であつたかと思いますが、その時裁判所の職員の俸給が一番低い、これをどうしても他の役所と同じようにしてもらいたい、そういう見地から時の民事局長の大森さんに意見を述べました。これで、私は先ず、裁判所の方では下の方の職員が高等官になる途が開いてない、これをどうしても開かなければならんというので、私は非常に強く意見を述べまして、先ず地方裁判所の監督書記でも直ちにこれを高等官にしてもらいたいという意見を述べた一人であります。それで今日もやはり判事の任用についても予算を少し張込んで、大臣が突つ張つて取つて戴きたいと思います。これがいつまでも大藏省の省議でどうしても負けておるという大森さんのお話でありましたから、私は口火を切りまして話を進めたのでありますが、必ずそうでもなかつたのであります。一向司法省の方で張切つた力を持つてお進みにならなかつたということがあつたと思います。それはどうかと申しますと、やはり不生産的な役所であるというようなことになつておつたようでありまして、その時初めて、そういうことならば先ず考えて見ようということで、大藏省の主計局長が率先してそういう話をしたような次第でありますから、今後はこの裁判所、登記所の雇員の如きも、又今はなんとなりましたか変つておりましようが、書記の如きも非常に薄給であります。これをどうかしていま少し上げて戴きまして、司法省の体面を保つようにしてもらいたい。こういう希望を述べて置く次第であります。
 それからもう一つ申上げて置きますが、簡易裁判所の判事には永く二十年以上も裁判所書記として勤め、今まで辛苦して参つておる者をなるべく採用して、これを補充されたならば、その地方における民間人の有力者以上の力を持つておるということを申上げまして、そういう下の方から高等官になすように、そういうふうに引上げて戴きたいという希望を申上げて置きます。
#29
○委員長(伊藤修君) 司法省の雇員連中、書記その他の係の者が、他の行政官廳に比較いたしまして厚生費が少しもない。各行政官廳では非常に厚生費を沢山持つておりまして、ゆとりがある。然るに司法省の書記関係その他においては厚生費が少しもないらしいですが、この点において非常に待遇が惡いので、司法省としては雇員に対するところの厚生費を十分要求してもろう御意思があるかどうか、はつきり一つ伺いたい。今の御質問に関連して‥‥。
#30
○國務大臣(鈴木義男君) お答えいたします。從來司法職員、判檢事を入れまして、非常に待遇が菲薄であつたことはお言葉の通りであります。ところが幸にまあ給與審議会というようなものが、司法職員につきはしても、下級職員につきましては他の官署と同格に扱うようになつて参つたのであります。ところが司法職員に関しては、判檢事は勿論でありますが、同格に扱われても実は諸種の事情によつて十分でないのであります。司法職員に限り特に優遇せらるべき理由があるのであります。殊に品位を重んずる仕事でありますから、今回最高裁判所が設置せられるに伴いまして、皆様の御協力を得まして、最高裁判所長官は内閣総理大臣と対等の俸給と栄誉を受ける。判事は國務大臣と対等の俸給と栄誉とを受けるということにして戴くわけでありまして、從つてこの下級裁判所の判檢事に至るまで同じように優遇の途の講ぜられることを期待いたしておるのであります。できるだけあらゆる官吏に優つて、司法官たるものは優遇されなければならないということを私共は考えておるのであります。今後ともその点については努力いたすつもりでありますから、一段の御協力をお願いいたす次第であります。
 それから委員長からの御注意でありまする、他の役所におきましては、厚生施設その他が相当行き渡つておるのでありまするが、司法部に関する限り甚だ貧弱である、殆どなきに等しいと申上げて差支えない。これは誠に相済まんことでありまして、病院を初め諸種の消費組合或いはいろいろな厚生施設というものを、是非一つ司法部関係のためにも設けたいということを私は熱心に希望いたしておるものであります。でき得る限り、近い將來にそれを実現させて戴きたいと思いするが、丁度不幸にして只今できるだけ豫算を圧縮する、インフレを防止するために圧縮するというような時に際会いたしまして、果して十分にその御期待に副い得るかどうかということを危ぶみまするけれども、例えば刑務所職員のごとき殆ど人間なみの待遇を受れておらないのでありまして、これらは大藏大臣ともよく協議をいたしまして、閣議においても或る程度優遇の途を講ずる御了解を得てあるのでありまして、それに引続いて、只今御注意の優遇の方法も極力努力いたすつもりであります。どうぞ御援助をお願いいたします。
#31
○小川友三君 簡易裁判所の数が五百五十七箇所で、豫算が四千五百二十万円でありまするから、一箇所八万円前後の計算になりますので、今坪二万円の建築で四坪位になりますけれども、四坪の建築をして、それが簡易裁判所でございますということになると思います。併し三百九十一箇所は既にできたと思いまするから、新規に造るのは百六十六箇所であります。これに全部かけまして、三十万円づつで四千九百八十万円掛かりますが、そんな小さい金でこれだけのことがでは得ないのでありまするけれども、政府の方はできないのを承知なすつたのでしようか。これでなんとかなるだろうと思うのでせうか。
#32
○説明員(赤木暁君) 簡易裁判所の一箇所設置の予算といたしましては七万八千六百六十二円ということになつておりまして、これでは今お話のように到底廳舍などを建てる余裕はございません。それでできるだけ既存の廳舍、例えば登記所を利用するとか、裁判所の一部を利用するとか、既設の裁判所の一部を利用するとか、或いはそういう工合に行かない場合には建物を借上げる、新築するのでなくて借上げて行くといつたようなことをやつております。それでも併し借上料などは非常に少くなつておりますので、現在借上料の増額の追加予算の請求をいたしております。
#33
○山下義信君 私はこの別表のことはもうなにもお尋ねするところがないもののように心得ておりましたのですが、最前から管轄区域の適当でない箇所がある云々という意見が出まして、御当局が適当でないところはよく研究してから、又改めるようにするという大変御親切な御答弁がありました。固より別表でございますから、又成規の手続で御改正なさることでございませうが、段々承つておりまするというと、只今の予算の中でも尚お数箇所くらい御増設の予算もありますようであります。又御予算がなければ他の方法で又御費用の立てようもございましよう。追加予算の関係もございましようが、私共が今回新任いたしまして、この別表を見まして、一々御注文申上げておりましては際限のないことで恐縮いたすのでございますが、幸いその話が出ましたので、御調査ま時に御考慮にお加へ置きを願いたいと思いますのですが、私は廣島縣並びに廣島のところを見ておりましたところが、廣島の簡易裁判所が……これは六十四頁でございますが、ここが廣島市と安藝郡、佐伯郡、賀茂郡、一市三郡に亘つての管轄になつております。当該地方の裁判所、檢事局の御答申でありますから、お考えになつたとは思ひますが、実際を存じておりまする私としましては、御承知のように、廣島市は原子爆彈で廃墟のようになつておりまして、交通が非常に不便で、そうして管轄になつている佐伯郡というのは厖大な郡でありまして、のみならずその中に島嶼がございます、例えば嚴島町というのがございます。賀茂郡というのも、非常に遠方の所が入つております。これは実際の運用におきまして、かような厖大な区域で交通が不便で、原子爆彈で廃墟になつた廣島市に一つ簡易裁判所を置きまして、果してうまく運営ができるかどうかというようなことが、現地を知つておりまする私として思われるのでありまして、こういう註文をこの別表につきまして各々やつておりましたら際限がございますまいが、御予算の関係もありまして、当局もお考えなさつたと思いますが、いろいろそういう点を御考慮遊ばします機会がございましたら、是非これは一應御研究下さいまして、あれは廣島の次に廿日市と申します所がありますが、ここに一箇所設置いたしますることが……二分いたしまして、廿日市という所に置かれますると、ここは大中心地でございまして、これは警察署といたしましても一流の警察署の所在地でございます。御記憶下さいまして御考慮置き下さいますれば有難いと存じます。
#34
○説明員(赤木暁君) 只今お話の点でございますが、この点も私共の方といたしまして直接この市へ参りまして、実地に亘つて調査したわけではございませんので、或いは只今お話のような不都合があるかとも存じますから、尚お十分調査の上、若しさような点がございましたら、次の機会に変更することにいたしたいと思つております。
#35
○小川友三君 今大変懇切な御説明を戴きましたのですが、裁判所に家を貸している話を大分聞いておりますが、家賃が安くて安くて、相手は裁判所だし、登記所だし、どうにもしようがない、追い立てしようと思うが、こわくてできないのですが、大体裁判所はとても安く家を借りております。崎玉縣でありますが、家賃五円か三円で登記所を借りられて、どうにも困つちやつて、自分は燒けちやつたけれども、どうも裁判所となると、明れて呉れとも言えないで困つているということでありますが、大体裁判所の予算が一箇所七万八千六百六十二円でやるということは、一箇所や二箇所はできると思いますが、大体不可能であります。大体政府は四百万戸も家が足らないというのに、田舎へ行つて裁判所が百六十六箇所も家を借りるということは、これは結局裁判所ができないということになると私は思います。そこで予算を我々議員が大いに取るように骨を折りますから、もつと沢山予算を計上して、家賃も月に百円か二百円拂うようにしなくちや、まるで過料みたいな五円か三円出しているということは、これは裁判所の信用を非常になくしております。余り安くてどうにもしようがないということをいつております。この間刑務所に行きまして、職員に聽きますと、月給が安いので困つている。岡部先生がここにいらつしやいますけれども、小菅刑務所では監視が塀の周りに立つているわけですが、そこには鉄工所や鑄物工場があつてとても危險です。いつでも殺されてしまうような施設でありますが、そうした人が一箇月のうち一週間ぐらい欠配の食糧をもらつて、官服を着て金筋のついた帽子を冠つているのですけれども、あれなんか非常にかわいそうであつて、皆さんの意見を聽くと、なんとかして下さい、どうにもこれではしようがない、囚人は三合余の配給なのに自分達は欠配続きであり、立つているだけでも骨がおれて苦しいのだと訴えておりました。幸い司法大臣さんは分る方だから、今度皆が会つたときに話をしておく、大いに予算をとつてもろうように話をしようと言つておいたのですが、我々のところに一切の計算書がきておりますが、非常に安く使つておりますので、これは高度民主化ではないと思いますので‥‥。幸い大学の先生もやられた大臣閣下に特に御盡力を願いたい。又我々も大いに協賛したいと思つている。どうぞよろしくお願いします。
#36
○國務大臣(鈴木義男君) 了承いたしました。
#37
○大野幸一君 数日前の新聞に、司法省改廃問題が報ぜられましたが、そういうことが事実ですか。若し事実であるとすれば、大体のお考えを、差支えなかつたならば言つて戴きたい。
#38
○國務大臣(鈴木義男君) 閣議においてこれは秘密にして置こうという申合せをしたのでありますから、余り申したくないのでありますが、といつて、それをわざと秘密にするといろいろの誤解を生じ、尚お疑心暗鬼を生じていろいろな弊害があると思いますので、折角新聞紙上等に見えるようになりましたから、ある程度まではこういう席で申上げておいた方がよろしかろうと思います。
 実は刑事訴訟法を改正するにつきまして前提となる問題は、刑事訴訟のやり方をもつと変えるべきではないか、その点について政府は十分に考慮したかということ、及び警察権をどういうふうに利用しようとするか、或いはどういう組織的関係に置くかということについて考慮したかというような質問が関係方面からあつたのであります。無論考慮はそれぞれ前内閣においてもいたしたのでありますが、現内閣もこの点については十分考慮をいたしているのでありまして、既に閣議においても、内務省の改廃に伴つて話題には上つたのでありますから、この機会に十分考えて、最も合理的な制度を樹立することにいたしたいと、こういう挨拶をいたしまして、実は関係方面と目下懇談を続けているのであります。亳もまだどういう結論に達したとか、或いはどういう傾向であるとすら申すだけの進捗をみていないのでありまして、おおよそ考え得べきいろいろなことを懇談的に話合つている、こういう程度であります。どうぞ御了承願います。
#39
○齋武雄君 先程簡易裁判所の裁判官は二級官であるというお話でありましたが、私は簡易裁判所は單独判事でありますから、責任は非常に重大である、寧ろ地方裁判所の合議制の判事より相当有能な人を置かなければならんではないかと思います。單独で決定するのでありますから、その意味において一級官若しくは二級官、大体において一級官、そういうふうにすることはできないのであるか。これは予算の関係上むづかしいと御答弁になるかも知れませんが、私はそういうことを希望する。司法当局はどういう御意見ですか。
#40
○國務大臣(鈴木義男君) それは御言葉の通り、私共は全部実は一級官にしたいとの希望を持つております。いわゆる長老の判事がこれに任ずる。最高裁判所の判事にも劣らざる人があつてもいいのであります。そうでないまでも、幸いに裁判官の停年が六十五歳になつておりますから、練達勘能で一度お止めになつたような方でも、是非一つ礼を厚くしてお出でを願いたい。こういう希望すら持つておるのであります。それには少くも相当の待遇をすることができなければお招きすることができないのでありますから、全部が一級官にならないまでも、それは理想でありますけれども、せめて半分ぐらいは一級官にして戴かなければならない。こういう考えを持つております。是非その点も皆さんの御援助を仰いで、それの実現するように努力いたしたいと思つております。
#41
○岡部常君 簡易裁判所の判事に対する俸給予算はどんなふうになつておりますか。ちよつとその数もお聽きしたい。
#42
○説明員(赤木暁君) 簡易裁判所の判事総数は六百四十五名が予算に認められております。そのうち百二十五名については年額一万五千六百円です。それから五百二十名について一万三千八百円ということになつております。
#43
○岡部常君 隨分低うございますね。
#44
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑はありませんですか。
#45
○松井道夫君 只今大野委員の質問によつて大体了承いたしたわけなんでございますが、すべて司法関係者は非常に心配しておるのでありますが、司法省の改廃というようなことにつきましては了承いたしました。それに関聯しまして、この際お尋ねしたいと存じますことは、最高裁判所が日ならずして実質的にでき上るのであります。そうなりました後に今の裁判所の予算関係とか、或いは人事関係とか、こういつたことは最高裁判所の方で取扱うという管轄になるのでございましようか。或いは司法省が存置されますならば、司省省の方で管轄になりますか。その辺の御見解、御見通しを伺いたいと思います。
#46
○國務大臣(鈴木義男君) 只今御質問の最高裁判所が成立いたしました場合に、予算の編成並びに人事権等がどういう風になるかというようなお尋ねのように承つたのであります。これは裁判権の独立ということを尊重いたしまして、裁判権が眞に文字通り独立いたしますためには、結局は人事権、予算権をも持たなければ独立ができないのではないかというふうに考えるのでありまして、その趣旨に則りまして、ほぼそういうふうな建前で、將來司法省から裁判所が分離いたしました場合には、予算権及び人事権を裁判所に讓る、こういう考でおるのであります。
#47
○來馬琢道君 私どもが少し心配していることは、この度の司法省の改革によりまして、判事というものが人望を得て置かなければ次のジヤツジとしての職務に就くことができないというようなことになつて、裁判を行うのに人氣を得るような判決を下すのではないかというようなことを、私アメリカへ行つておりましたときにしばしば聞いたことがあります。そのことを考えつつ今この最高裁判所その他の組織というものが、從來の判事のような冷靜なる判決を下すことができるものか、ときとしてはその判事が外の人氣を顧慮して判決を下すようなことになりはしないかという問題を憂慮しております。この点について幸い伺つて置けば、これから先いろいろな問題を調べます上に、大変に確信が得られると思います。若しできましたらその問題についての御意見を伺いたいと思います。
#48
○國務大臣(鈴木義男君) 只今御質問の問題も、憲法改正の際に一應問題になつたこと御承知の通りであります。裁判にまで民主主義を適用することが適用てあるかという問題となりますと、これは相当議論は盡きないと思います。併しながら、今度の憲法におきましては、すべての領域に亘つて民主主義を徹底させ、これを採用するということに相成つたのであります。そういたしますると、裁判官だけがひとり輿論の範囲外に超然と立ち得るというわけには行かない、殊に裁判官も身分の保障は新しい制度の下にも持つておるのでありまして、何人もこれを濫りに罷免したり糺彈したりすることはできないのでありますが、併し主権者たる國民だけは、最後に裁判官がどうしても適当でないと信ぜられる場合には、これを罷免する権利を持つておる、こういう建前からあのような規定ができるわけであります。それで裁判官を國民が審査するということになつたわけでありまするが、それによつていわゆる迎合的な裁判をするというような裁判官が現れようとも実は思われないのでありまするが、少くとも輿論の趨勢或いは社会の変遷について、今までよりは敏感になるということは期待されると思います。それが恰かも司法民主化の一つの道でありまして、それが実現されることが望ましいことであります。殊に判決等におきましても、最高裁判所の判決も、それぞれ裁判官が、いかなる理由でそういう判決を下したかということを公表することになつておるのであります。その公表せられたる判決理由等がただ迎合的に人氣を氣にして書いたものであるか、眞の信念から出て書いたものであるかということは、おのずから識者の間に批判されることであると思いまして、御心配になるような、ただ多数が俗論を以て判事に地位を左右するというような事態は容易に現れないのではないか、こう考えるのであります。ともかくも一應反対に考え方も十分成り立つのでありまするが、憲法改正の際に議論を盡しまして、今度のような制度にするということに決めたのでありまするから、その線に沿うで、いわゆる裁判官國民審査法というものを近く議会においても御制定に相成るように承つております。政府においても、そのように諒解いたしておる次第であります。
#49
○來馬琢道君 私の言うたことが少しく簡單でありましたから、憲法の問題にまで触れたようなことになりますが、私の杞憂いたしておりますることは、日本人の罪に対する考え方が大分樣子が違つているところがあるのではないかと思う。例えば陪審制度を日本で布きましたときに、若は浅草に住んでおりますから、浅草の人々の声を聞いたことがあります。現に陪審員として行きました者が、帰つて來ての話に、どうもあつい惡いやつに違いないと思うのだけれども、罪人を拵えなくてもいいからと思つてノーとやつて來たというようなことを平氣で話していた者がある。大岡裁判というような観念、考が、あれが人問の男らしい道であるというような間違つた考を持つている者がないとはいえないのであります。それから今度の地方、道廳、府縣知事の選挙の如きでも、民主主義で大変いい結果を見るべきものであると思つておりましたのに、大体において前任の知事が当選するというようなことで、私ども公平に見ますと、國民のこういう問題に対する関心がまだ十分でないことを思うのであります。それ故に我我この問題について考えておりますものは、將來國民に向つてこの考え方を改めるか、もつと嚴粛にこの辺を指導するかということを考究しなければならんと思つてはいるのであります。その辺から只今申しました。アメリカにおいて、例えば婦人に離婚問題が起つたときに、婦人に不利益な判決をすると、その判事はこの次に選挙に負けるからというようなことを、ときどき話を聞いたことがあるのであります。まあその辺のことを頭に入れておりましたから、その問題に触れたわけでございます。尚当局においてもそういう問題については法文ばかりでなく、國民の裁判に対する考え方を改めて行くというようなことについても、考慮あつて然るべきものかとも思つております。
#50
○國務大臣(鈴木義男君) お言葉は確かにその通りでありまして、我が國民性の一つの缺陷を指摘されたわけでありまして、私ども同感に存じております。これはひとり司法当局の問題でなくして、日本國民に対する大きい意味の教育の問題に繋がつていると思いまして、將來日本國民が、例えば裁判に関與する場合には、一切の情実を去つて、本当に公正な判断をすべきであるというような訓練は、これは容易ならざる長年月の訓練を経た後でなければ、効果を挙げることができないと思うのであります。外國の陪審制度も御承知の如く相当長い歴史を持つておる。日本で僅か十年そこら、而も殆ど施行しなかつたと申してもよろしいような場合においては、その弊害は恐るべきものがあつたろうと思うのであります。府縣知事の選挙において、亳も民主主義の精神が現れなかつたというようなことも、至極同感であります。総ては、教育の問題に帰著すると思うが、併し司法部だけでなく、あらゆる政府機関、民間の力を合せて、國民教育に努力しなければならんと、こう考えるわけでありまして、それと相俟つて、御趣旨はよく一つ考えるつもりであります。
#51
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑はありませんか。
#52
○松井道夫君 念のためにお尋ねして置きたいと思います。新らしい簡易裁判所が沢山できまして、非常に便利と相成つて、國民均しく喜ぶと存じますが、新らしい裁判所なるが故に、管轄区域につきましては、相当都市の実伏、或いは従來の府縣の傳統とかなんとか、そういつたことで議論もあることと存じます。そういうことにつきまして、管轄区域を決定される上につきまして、なにらか民主的方法と申しますか、主として所長、檢事正の意見を尊重されたように伺つておるような次第であります。その外所長、檢事正がその答申をいたしまするにつきまして、なにらか民主的方法によつて、一般國民の便不便、意向、希望を反映するといつたような方法を、特に指示されたようなことがございましようか。
#53
○説明員(赤木暁君) 私共の方といたしましては、直接には所長檢事正の方に照会しただけであります。所長檢事正の方では、弁護士会は勿論縣廳或いは役場、その他その土地の方々についていろいろ相談された上で決定されるような慣わしになつておりますので、そういう点は恐らく打合せができておるものと思います。私共の方といたしましては、直接には所長檢事正の報告について決定するだけであります。
#54
○委員長(伊藤修君) お諮りいたします。質疑を終りたいと思いますが、御異議はありませんか。
#55
○委員長(伊藤修君) それでは質疑は終ります。
 では本法案に対しまして討論に移ります。討論は賛否を明確にして御意見を述べて戴きたいと思います。
#56
○山下義信君 動議を提出いたします。本案は討論を用いませんで、原案通り可決いたしたいと思います。動議を提出いたします。
#57
○小川友三君 山下君の動議に賛成するものであります。
#58
○委員長(伊藤修君) 山下さんの動議に対して御異議はありませんですか。
#59
○委員長(伊藤修君) では討論を終りまして、昭和二十二年法律第六十三号、下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案の採決に入ります。常任委員会の採決はこれが先例となるのでありまして、実は起立と考えておつたのでありますけれども、記名投票で表決を採る、こういう方法を取ることになりました次第であります。只今係の人から投票用紙をお配りいたしますから、それに賛否を明らかにして戴いて御投票を願います。
#60
○委員長(伊藤修君) 投票漏れはありませんですか。それでは事務局の者をしてこれから点檢いたさせます。
#61
○委員長(伊藤修君) それでは投票の結果を御報告申上げます。出席委員数十三名、投票総数十二票、可とするもの十二票、全会一致を以ちまして本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 尚、本院規則の第百四條による本会議における委員長の口答報告の内容につきましては、予め多数意見者の承認を経なければならんことになつておりますが、これは委員長において、本委員会における経過及び質疑應答の要旨を報告いたすことにして、御承認を願うことに御異議ありませんでしようか。
#62
○委員長(伊藤修君) それじや御異議ないと認めます。
 次に、國家賠償法が、本委員会に、予備審査として付託されておりますから、この際、便宜上政府側の御説明を伺つておきたいと思います。
#63
○國務大臣(鈴木義男君) 只今予備審査に付されました國家賠償法案について、提案の理由を御説明申上げます。
 日本國憲法は、その第十七條において「何人も、公務員の不法行爲により、損害を受けたときは、法律の定めるとこれにより、國又は公共團体に、その賠償を求めることができる」と規定しております。然るに從來現行民法の解釈として、民法の不法行爲に関する規定は、國又は公共團体の公権力の行使による損害には適用がないものとされておりましたので、戸籍法、不動産登記法等特別法に特に規定してありまする場合の外は、被害者はその救済を求める途がないのであります。
 よつてこの法律では、先ず第一に、この点に関する國又は公共團体の損害賠償責任を明らかにするため、その第一條において國又は公共團体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、國又は公共團体が、これを賠償する責に任ずることを規定しました。尚この場合に、故意又は重大な過失のあつた公務員にたいしては、國又は公共團体から求償できることを規定して、当該公務員の責任を明らかにしたのであります。
 次に道路、河川その他の公の営造物のように、その設置又は管理が公の行政作用に基く場合に、その設置又は管理に瑕疵があつたため他人に損害を生じたときは、國又は公共團体に賠償責任があるか否かは法律上明らかでなく、学説、判例も区々でありますから、今回この法律案に第二條を設けて、かような場合には國又は公共團体に損害賠償責任のあることを明らかにしたのであります。
 尚以上のように國又は公共團体が損害賠償の責に任ずる場合に、例えば河川、道路等のように、その行政作用の主体は國でありながら、その費用は公共團体が負担するようなときは、費用負担者の方に損害賠償の義務を負わせるのを適当と致しますので、第三條においてその旨を明示いたしたのであります。
 以上に述べたほか、鉄道営業等のように、從來から國又は公共團体に損害賠償の責任のあることが解釈上明らかでありましたものは從來の通りであります。又損害賠償の責任について、郵便法のように他の法律に別段の定めがあるときは、その定めによることといたしました。法律案第四條及び第五條の規定がこれに当ります。
 尚、國又は公共團体の損害賠償責任につきましては、國により立法例が必ずしも一樣でありませんので、外國人が被害者である場合には、第六條により相互の保証があるときに限り、この法律を適用することといたしたのであります。
 尚、この法律の制定に伴い、他の法律の規定中公務員の損害賠償責任を規定したもので、この法律の規定によることを適当とするものについては、この際旧規定を削除して、この法律によることと致したのであります。この法律の附則の規定は即ちこれであります。
 何卒愼重御審議の上可決せられんことをお願いいたします。
#64
○委員長(伊藤修君) この法案に対しましてはこの程度にいたしまして、次に開く場合におきましてこの質疑に移りたいと思います。さよう御了承を願いたいと思います。それじや本委員会はこれを以て閉じることにいたします。
   午後四時四十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鈴木 安孝君
           松井 道夫君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           奧 主一郎君
           水久保甚作君
           岡部  常君
           小川 友三君
           來馬 琢道君
           松村眞一郎君
           宮城タマヨ君
           山下 義信君
           阿竹齋次郎君
  國務大臣
   司 法 大 臣 鈴木 義男君
  政府委員
   司法事務官
   (民事局長)  奧野 健一君
  説明員
   司法事務官
   (官房調査課
   長)      赤木  暁君
ソース: 国立国会図書館
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