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#1
第061回国会 予算委員会第二分科会 第2号
昭和四十四年三月三十一日(月曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     渡辺  武君     岩間 正男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    主 査         川上 為治君
    副主査         山本伊三郎君
    委 員
                江藤  智君
                栗原 祐幸君
                佐藤 一郎君
                西田 信一君
                柳田桃太郎君
                米田 正文君
                羽生 三七君
                森中 守義君
                鈴木 一弘君
                岩間 正男君
    担当委員外委員
                竹田 四郎君
   国務大臣
       法 務 大 臣  西郷吉之助君
   政府委員
       法務大臣官房長  辻 辰三郎君
       法務大臣官房会
       計課長      安原 美穂君
       法務省刑事局長  川井 英良君
       法務省矯正局長  勝尾 鐐三君
       法務省保護局長  鹽野 宜慶君
       法務省人権擁護
       局長       上田 明信君
       法務省入国管理
       局長       中川  進君
       外務省アジア局
       長        須之部量三君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総長       岸  盛一君
       最高裁判所事務
       総局総務局長   寺田 治郎君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   岩野  徹君
       最高裁判所事務
       総局民事局長兼
       最高裁判所事務
       総局行政局長   矢口 洪一君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   佐藤 千速君
       最高裁判所事務
       総局経理局総務
       課長兼最高裁判
       所事務総局経理
       局営繕課長    勝見 嘉美君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和四十四年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十四年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和四十四年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○副主査(山本伊三郎君) ただいまから、予算委員会第二分科会を開会いたします。
 昭和四十四年度総予算中、裁判所所管、法務省所管を議題といたします。
 慣例では、政府側から説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略し、お手元に配付してある資料をごらん願うこととし、その説明資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○副主査(山本伊三郎君) 御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
 この際、おはかりいたします。
 分科担当委員外委員竹田四郎君から発言したい旨の申し出がありますので、これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副主査(山本伊三郎君) 御異議ないものと認め、発言を許します。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次、御発言を願います。竹田君。
#5
○担当委員外委員(竹田四郎君) 私は、主として少年院の食糧費関係についてお尋ねをしたいと思いますが、ことしは、ちょうど、少年法が施行されましてから、二十周年目にあたるんだそうでありますが、今日、非行少年の問題、あるいはその善導というのは非常にやかましくいわれておりますが、しかし、とかく非行少年の問題が善導、矯正というような姿で考えられるのではなしに、むしろ、何かひとつそういう非行少年に対しては懲罰的な考え方がいま非常に多いように思いますが、しかし、いま少年法の問題についてもいろいろ論議がされておりますけれども、まあ法務省としても、ことしはそういう意味で一つの画期的な時期にきていると思いますが、ことしの二十周年を一つの目標にして、法務省のほうとして、私は、どんなことをひとつ考えておられるか、その点をまず法務大臣に伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(西郷吉之助君) ただいまお尋ねのごとく、ことしは少年院法の施行二十周年にあたるわけでございまして、法務省といたしましても二十周年を迎えますのでいろいろ考えておりますけれども、やはり主として矯正教育の充実ということに重点を置いて考えてまいりたいと考えておるものでございます。なお、ことしの二十周年に引き続きまして、明年は犯罪者の処遇に関する第四回の国際会議等も日本でございますので、あわせてそういう有意義な年を迎えますので、やはり少年院の場合には矯正教育ということに最重点を置いてまいり、現在からそれに対しまして検討をいたしておるような次第でございます。
#7
○担当委員外委員(竹田四郎君) 非行少年の中で家庭裁判所に送致されまして、そうしてまあ少年院に収容してそこで性格の矯正あるいは環境の調整、そうした面での保護処分というものがおそらく私は少年院の主要な仕事であると、こういうふうに理解をしておりますが、したがって、少年院というのはあくまでも懲罰を科するあるいは労役を科する、こういうような趣旨ではなくして、むしろ入院者に対して今後の社会生活に適応するように、規律ある生活のもとに教科の教育あるいは職業補導、生活指導を行なうような福祉的な施設である、こういうふうに考えておりますが、法務省のほうではどのようなお考えであるのか、あるいは若干、刑務所的な考え方をこの中に入れておられるかどうか、その辺について明確な法務省の方針をお聞きしたいと思います。
#8
○国務大臣(西郷吉之助君) ただいまお述べになりました大体の御趣旨に沿うて私どものほうもやっておる次第でございます。
#9
○担当委員外委員(竹田四郎君) そうしますと、少年院は十五歳から十七歳くらいが初等少年院ですか、それから十八歳から十九歳くらいが主として中等少年院、まあ特別な非行を犯した者というのが特別少年院、こういうふうな形に分かれていると思うのですが、こう考えてみますと、ちょうど十五歳から十九歳くらいの一番育ち盛りの子供たちが入れられて、そこで社会生活に復帰をするようなそういう教育というものがこの中で行なわれてしかるべきだと思いますが、そういう意味では、ちょうど少年が一番育ち盛りの時期にあるのではないか、このように私どもは思います。また同時に、少年のいろいろな精神的な情緒と申しますか、そうした面でもそのころが言うなれば一番不安定な時期だ、こういうふうに考えますと、やはりその時期におけるところの少年の精神的な状態を安定させてやる、こういうような施策というものは積極的におとりにならなければならないと思いますし、まあ現在私の知っている範囲では、各少年院の職員の方々というものも非常にそういう面では苦労をされているように聞き及んでおりますけれども、それにしても今回の少年院の一日の食糧費というようなものが、昨年は大体、主食が六十円ぐらいですか、副食が四十円ぐらいで、昨年、四十三年は大体百円ぐらいで一日を食べさしている、こういうような状態でありまして、ことしは若干、値上がりをいたしまして、主食が六十四円六十銭ですか、それから副食が四十三円、それから精神安定的なおやつ代といいますか、そういうのが一円三十九銭ということで、去年の百円に比べますと八円九十九銭というわずかな値上がりでありますが、しかし、この食事というのは、考えてみますと大体刑務所の食費よりややいい、こういう状態ではないかと思いますが、四十四年度の生活保護関係で見ますと、十五歳から十七歳の男子というのは二百二十五円の計算になっておりますし、女子のほうは百九十一円というようなことになっております。また、十八歳から十九歳では、男で百九十一円、女で百六十三円ですか、こういうふうな形で、これはそのほかに、児童福祉施設の場合には、東京とか神奈川などはさらにそれにおやつ代というのが一日十五円ぐらい加えてあるわけですが、この百八円九十九銭ですか、これでは私は育ち盛りの子供、しかも先ほどおっしゃいましたように、保護処分をしている子供たちに対してあまりにも少な過ぎるのじゃないか、こういうふうに思いますが、法務大臣、これはこれで満足だと、こういうふうにお考えですか、どうですか。
#10
○国務大臣(西郷吉之助君) いま少年院の給食につきまして単価をお述べになりましていろいろお話がございましたが、そのとおりに予算になっておりまして、私どもも、こういう四十三年度の百円九十六銭というものも、非常に現在の物価から考えますと極端に低いので、予算編成に対しましても極力時勢に合うようにいたしたいというので努力をいたしましたが、急に上げることができませんで、いま先生のおっしゃるとおり、百九円程度に上げ得たということでございますが、しかし、いまお述べのとおり、決してこれは十分とは申せませんので、今後ともこういう点につきまして一段の努力を続けてまいりまして、御趣旨に沿いたいと考えております。
#11
○担当委員外委員(竹田四郎君) 一体、少年院ではどんなものを食べさしているか、ひとつお示しをいただきたいと思うのですが、局長さん、大体どんなものを食べさしていますか。
#12
○政府委員(勝尾鐐三君) 少年院の具体的な食事でございますが、主食の点につきましては、規定上、量がきめられておりますので、主食は別といたしまして、副食の点につきましては、肉類につきましては、いわゆる豚とか牛といったような良質の動物たん白質は価格上入手が困難でございますので、結局鯨肉あるいは最近の人造肉、これをもってかえております。
 それから野菜につきましては、できるだけ緑黄野菜といいますか、ニンジンだとかあるいはバレイショといったものを極力これに当てている。
 それから、ビタミン類の不足につきましては、そのほかビタミン剤を添加するあるいはいわゆるふりかけでございますが、魚だとか、そういったもののふりかけ、こういったもので栄養量の補給をはかっている。したがいまして、栄養量の点につきましては、カロリー的には一応まかなっておりますが、変化がないというのがやはり相当長期間の拘禁生活をする際に一つの問題ではないかということで、最近はできるだけ空閑地でいろいろな野菜を自営をいたしまして、これでバラエティーを出しているというのが現状でございます。
#13
○担当委員外委員(竹田四郎君) たいへん肉類にしましても、いまおっしゃられましたように、鯨肉とかあるいは人造肉とか、こういうものだというのですが、ある少年院の院長さんはこういうふうに言っているわけです。とにかく、何はなくてもある入院生が入院している間に一回だけくらいはひとつ牛肉を食べさしてやりたい。これを食べさせることによって少年たちはどれだけ希望を持つことができるか、こういうことで矯正教育、いろいろあるけれども、とにかく、少年院の一番食べ盛り、しかも、一番精神的に動揺している時期にこうした食事、しかも、野菜においてはニンジン、バレイショというような形でいわゆる新鮮な青野菜というようなものを食べさせていない、こういうことであってはほんとうに矯正教育の意味が一体あるのかどうか、こういうことを言っておられるわけですが、野菜にいたしましても、実際これは栄養士なんかの意見を聞きますと、いわゆるビタミン等は薬物を添加してそれによって補っている、こういうふうに言っておりますが、実際そういうことであるならば、われわれはいま高い野菜というものは全然食う必要はない。食事の中には、まだ明らかにされておりませんけれども、薬物だけではとれない何かが人間に必要なんだというようなことで、いわゆるなるべく栄養というものは薬品より食品からとれということが栄養学の通念といいますか、常識になっているようでありますが、それをこういうふうな肉類は鯨肉というと何か一番最下等の肉、中には非常においしい肉もあるのだそうですが、これだけの費用で買うとなれば結局最下等の鯨肉を買わざるを得ない。あるいは食事というものは色も、いろいろ食欲を増進し、食事を楽しくするためには色の配合、こういうものも私は当然考えなければいけないと思いますが、そういうこともできないということでありますと、これはたいへん残念だと思うのですが、ちょっと時間を拝借しまして、一体、現場の院長さんなんか、どんなことを考えておられるか、ちょっと引例をしてみたいと思いますが、小田原の少年院の院長さんの方はこう言っております。私どもでは、高遇な少年処遇に対する理論は、残念ながら、いまだ少しも役に立たないのです。そういうものより、まずめしのおかずをください。市販の服を着せてください。畳の上に寝かしてやってください、ですよ。人間の基本的な生活である食衣住のすべてが不足している状態です。これさえ通常の状態にレベルアップしてくれたら、それだけで矯正教育の効果は、私どもが何を教えなくても、心理面で半分以上の効果がありますよ。と、まあ、こういうふうに述べておりますし、また、ある神奈川の少年院の院長さんは、まあ正月、成人の日ぐらいには、並みにひとつ、ちょうどまあこのころは正月でももちを食べたいころだということで、そういって、それじゃ成人の日に食べさせるもち代というのは組まれておりませんので、しかたなく付近の神社へ行きまして、そこで神社に供えてあるお供えを一つくれないか、まあこういうことで神主さんと話し合いまして、神主さんも七日を過ぎたおもちならば上げましょうということで、現場の少年院の院長さんは、そういう形で、そのこちこちになった、まあ普通の家庭では食べないようなもちをあちらこちらから集めてきて、そしてそれを水につけて、まあ成人の日には食べさすと、この行動がその少年たちの目を非常に輝かして、子供たちは愉快に楽しむことができた。こういうように、現場の少年院の院長さんは、食事代が足りないということで、ほんとに、非常に苦労をされているし、また、たとえば少年院の見学者なんかも、できたら婦人会の人たちを望んでいる。婦人会の人たちが見られると、あまりその食事がひどく悪いということで、その次には必ずお菓子の差し入れがあるというように、そういう他人の差し入れを当てにして、やっぱり食事をとらして、あるいはおやつをやってる。こういうような状態では、私は、なかなかこの少年というのが、まあむしろ少年院を逃げたい、少年院でほんとうに社会復帰をしていく熱意というようなものは失われるんではないか。先ほど引例した中でも、畳の上で寝かしてやってください、こういうことを言ってるわけで、私は、これは保護処分としての少年の処遇としたら、私は当然だろうと思うのです。まあ写真を見ますと、まるで刑務所か留置場の中のような感じを与えるござの上へ寝かしておくというようなことは、私は少年をほんとうに育成し、少年の更生を願うという立場で考えてみますと、私は、これはあまり正常な形ではないだろうと思うのですが、まあ、そういう点で、少なくとも私は少年院の食事代というようなものを児童保護施設に、それまで進むというわけにいきませんけれども、ちょうど先ほど申しましたように、ことし二十周年記念の一つの画期的な時期でもありますので、何とかひとつその食事代を児童福祉施設の線に近づける計画的な努力をお願いしなければ、せっかく少年院の制度というものをつくっても、これは実際には何にもならない、こういうことになると思うのですが、その辺の今後の是正のためのどういうふうな御意思をお持ちになってるか伺わしていただきたいと思います。
#14
○政府委員(勝尾鐐三君) ただいまお話のありました点でございますが、まず、被服の問題でございます。これは最近いわゆる人造繊維と申しますか、これが非常に改良をされまして、比較的廉価に新しい人造繊維を購入することができるようになりましたので、従来の少年院の被服の制式をこの際抜本的に変えたいということで、外部の服飾の専門家の意見、また、現場の職員の意見等を反映をいたしまして、新しい型あるいは新しい色彩を持った被服をつくるべく具体的に検討をいたしております。それからなお、これは数年前からやっていることでございますが、たとえば、少年が外へ出る場合あるいは行事に参列する場合等につきましては、いわゆる中学なら中学の制服と同一の学生服というものを備えつけて、これは現に着用をさせております。
 それからなお、ござ並びに畳床の問題でございますが、これも予算的な裏づけを得まして、少年院の全居室の面積に見合った数量を確保いたしております。
 それからなお、食事それ自体の問題につきましては、本年は、先ほど御指摘のございましたように、一応情緒安定食といったものも計上されております。それからさらに、限られた予算の中で最大限の効力をあげるために、もよりの矯正施設と集団購入をするあるいは集団炊さんをしていくという形で、この不足分をできるだけ穴埋めをするという方向で具体的に計画を進めております。そういうことで一日も早く御指摘のありましたような額にまで達成するように、これからも努力を続ける計画でおります。
#15
○担当委員外委員(竹田四郎君) 情緒安定食一円三十九銭を支給するというのですか、具体的に一円三十九銭でどういうふうにどんなものを支給しようというのですか。
#16
○政府委員(勝尾鐐三君) 現在考えておりますのは、やはり食事上われわれが一番苦労いたしておりますのは、動物たん白質、良質の動物たん白質でございます。したがいまして、現在計上されております情緒安定食の範囲内でも、五日に一回ぐらいはいわゆる脱脂ミルクでございますが、程度のものは支給できるという計算になっておりますので、そういう方向でいま具体的なものを考えております。
 それからなお、そのほか、従来は実行上やりくりをしておりました正月、いわゆる祝祭日における特別菜でございますが、これが四十四年度の予算で新たに計上をいたしておりますので、その点、実質的に少年の喜べる正月菜というものが計上できるのではないかと考えております。
#17
○担当委員外委員(竹田四郎君) まあたいへん御努力をされている点は私も非常に敬意を表したいと思うが、何といっても土台が百八円というのでは、これは幾ら苦労しても私は苦労に限界があるんじゃないか。で、この点をひとつ早急によくしていただいて、もう少し少年がここでひとつおれは自分で精神を再びよくなおしていこうという、要するに病院のような考え方というものにまあさせていかなければならないと思いますが、そこでまあ私の友人から聞いたのですが、イタリアではカサルーデ・マルモ少年院というのがあるそうでして、最近まあ非常に脚光を浴びてきて、日本でもここへの見学者というのが非常にふえてきているということは、非常に喜ばしいと思うのですが、まあここの話を聞きますと、日本みたいに大きな高い壁で社会と隔絶するというのでなしに、せいぜいいけがき程度を囲いにしておりますし、まあデートにも行けるし、洋服なんかにいたしましても、普通並みの洋服で行ける。あるいは食事にいたしましても、日本のこうした粗末な食事ではなしに、かなり社会一般のどちらかといえば普通よりやや上だ。こういう食事が供されているということで、まあここでは、たとえば脱走があってもやがて帰ってくる。日本みたいに大騒ぎをして警察官の力をかりて連れ戻すというようなことはないように承っているわけですが、こういう形であればこそ、私は少年というものも少年院を出たからまた再犯をするということではなしに、むしろなおっていく可能性が少しはあると思うのです。で、少年院にお働きの皆さんも、大体そのことは皆さんおわかりになっていると思うわけです。ただ問題は、予算的な措置をしてくれないというところに実は問題があるんではないか。
 ここで私は、一つの提案でございますけれども、まあ二十周年ということでありますから、マルモの少年院そのものというわけには私はいかないと思いますが、日本でもそういうような一つのモデル的な少年院をつくって、少年の矯正教育、こういうことにやはり二十周年の歴史を持ったわけですから、ある意味では、ひとつ画期的な事業というものをやっていく必要があると思うのですが、法務大臣どうですか、ひとつ二十周年の記念事業として、そういうようなものをおやりになるお考え方を発展させるために、ひとつモデル的な少年院というものをつくっていくようなそういうお考えはないかどうか。ひとつこの際、そういう意味で大いに前進をさせていくという意味で、そういうことも必要ではなかろうかと思いますが、そういうお考えはおありかどうか承りたいと思います。
#18
○国務大臣(西郷吉之助君) ただいま非常に私どもにも参考になる御意見を拝聴いたしまして、まさに先生のおっしゃるとおり二十周年を迎えますので、この際、少年院の画期的な事業ということを考えるのも非常によい時期であると考えまして、ただいま実は佐世保の少年院の建設に入っておりまして、これも先ほどお話もございましたが、そういう点を是正いたしまして、住まいも寄宿舎的な感じを持たせるような新しい形式でいま着工をいたしておりますが、なお、ただいまいろいろお話も伺いましたので、できるだけ少年院の環境整備に力を入れてまいりたいと考えております。
#19
○担当委員外委員(竹田四郎君) 時間もまいりましたので、そのほか保護観察官の問題等もひとつお伺いして、もう少し徹底した少年の矯正教育というものを、中途はんぱでなしにもっと徹底した形でお願いをしたいと思っておりましたが、時間がありませんので私の質問はこれで終わりますけれども、ひとつ二十周年ということを頭に置いていただきまして、予算ももう少し取っていただいて、実効のあがる少年院というものをつくっていただきたいことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
#20
○森中守義君 非常に短かい時間ですので、十二分にお尋ねもできませんけれども、少しく入国管理の問題をお尋ねいたします。
 まず、最初に前の田中さんが法務大臣のころ、四十二年の十月三日から七日まで中川入管局長が一緒に台湾に行かれましたね、この目的は何だったのでしょうか。
#21
○国務大臣(西郷吉之助君) そのころに、いまお話のとおり、田中前法相と中川入管局長が台湾に参りました。別段の意味はなかったようでございますが、中川君ここにおりますので、当人から御答弁させます。
#22
○政府委員(中川進君) ただいま大臣からおっしゃいましたように、別段の意味はないのでございますが、中華民国政府からの招待を受けました親善訪問でございました。
#23
○森中守義君 入管局長がどういう所掌をされておるかよくわかっておりますが、出張の目的では、法務大臣に随行し、帰路、沖繩へ向かう、こういうことでありますが、大体所管の大臣が、そういう招待旅行の場合に局長が随行するものですか、それとも入管局長に特に来てほしい、そういう招請が蒋介石政権からあったのですか。
#24
○政府委員(中川進君) 大臣が海外に出張される場合に、局長が随行するという例はたくさんあるはずでございます。
 それから第二の御質問の点でございますが、中華民国政府から入管局長に来てくれという招待があったわけではございません。
#25
○森中守義君 それは行政庁のことですから、どなたを大臣が連れていかれようと、そこまで、私どもがとかく介入する筋合いのものではないかもわからぬけれども、問題が問題だけに、ことに入管局長が台湾に行かれたという現在に至るいろいろな問題から、どうしても、その背景が釈然としない。つまりこういうことはどうなんでしょう。大臣と入管局長が台湾に行かれる前に、日韓基本条約及び一連の地位協定等に基づいて韓国人の永住許可の問題とか、あるいは帰国の問題とか、少なくとも日華条約にないようなものが、韓国には認められておる。しかるに、台湾にはそれがないわけです。したがって、台湾政府の場合は、しばしばその日韓条約と大体同様なベースまで改善をしてほしいという要請が行なわれておったようですね。だから本来ならば、帰さなければならない人を台湾側が受け取らない。こういう経緯から考えていけば、にわかに帰られた直後に問題になった柳事件あるいは陳事件、こういうものが発生しているのですね。したがって、そうでありませんというお答えしか出てこないでしょうけれども、類推していくならば、まさに法務大臣と入管局長の訪台ということは、きわめて重大な関係がある。のみならず、その後法務省の中に、入管局長が委員長になられて、法令の何か委員会ができた。しかも今回の出入国管理法案の提案に及んでいる。こういうことを考えると、非常にしゃべりにくい問題でしょうけれども、むろんこれは法案の審査の際には、もっと詳しくお尋ねしたいと思うのですけれども、ほんとうにそういう話はなかったのかどうか。その辺のことをもう少し詳しく聞かしてもらいたいのです。
#26
○政府委員(中川進君) ただいまの御質問でございますが、日本におります台湾人の法的地位の改善に関する話し合いと申しますか、先方からの希望の申し出というのは、実はかなり前からありまして、私が入管にまいりますずっと前からのことでございます。その場合に、御承知のごとく、政府といたしましては、まず日本におります韓国人の法的地位の協定をつくるべく、交渉をずっとやっておったわけでございまして、そしてまず韓国の問題が片づいてから、ひとつ台湾のことは考えさせてくれということで、釈明と申しますか、あと回しということになっておったわけでございます。ところが、いよいよ韓国の問題が片づきましたので、そこで当然中国のほうからは、日本にいる台湾人の法的地位の改善をひとつぜひ実現してもらいたい。できれば、韓国人の協定永住権者並みの取り扱いをしてもらいたいという要望があったわけでございます。しかしながら、田中法務大臣の御訪問は、先ほどから申し上げますように、これは全く親善訪問旅行でございまして、私がそれについて行けという御命令を受けましたのは、これは、私行けと言われたから行っただけのことでございますが、推測いたしますと、やはり何かそういう問題について万一向こうから質問があるかもしれないということが、一番の大きな私についてこいと言われた田中大臣のお考えでなかったかと、推測でございますが、そう思うのでございまして、事実そういうような質問は、質問といいますか、要望は受けました。
#27
○森中守義君 行かれたのが四十二年の十月ですね。しかも、それまでは、さっき申し上げたように、受け取ってほしいという者を、――地位協定が明らかでない、改善してほしいという要求をして受け取らなかった。しかるに、にわかに三、四カ月たつと、四十三年の三月二十七日には、柳文郷事件というのが発生した。さらにしばらくしてまた陳玉璽事件が起きると、受け取りましょう、こういうのだが、何かその辺には、おそらくそういう質問が出たら困るから、大臣が一緒に来てくれということで出かけたということなんだろうが、出ましたか、その話が。どうも台湾がにわかに態度を変えて、いままで拒んでいて急に受け取ろうということは、やはりお二人の台湾に行かれた場合の話の内容というものが、何かかなり影響をしておるように私は受け取らざるを得ないのです。
#28
○政府委員(中川進君) 大臣に私が随行しておりましたので、台湾に御到着になってから台湾をお離れになるまでの行動は大体私承知しておるつもりでございますが、大臣がこの問題について、お話になったことはないはずでございます。私のレベルにおきまして、確かにお話しました。それは先ほど申し上げましたように、先方が、日本におりますところの台湾人の法的地位をできれば韓国人並みに改善してもらいたいということでございました。私どもとしましては、それはなかなかむずかしい問題であるということでございました。その説明をるるいたしまして、ついては、その抜本的な全く韓国人と同じような待遇を与える協定を結ぶとか、日本と中華民国の間に条約を結ぶとか、あるいは日本の中で、一方的に国内だけで法律を出して、これを改めるということはともにむずかしいから、何とか現行令の運用の問題で極力彼らの地位の改善に努力しましょう。しましょうといいますか、したいものだということを申しました。しかし、わがほうだけで一方的によくするということでも困るから、その際引き取りをぜひしてもらいたい。二百三、四十名を引き取ってもらいたい。ぜひ引き取ってもらいたい人がございましたので、そういう人たちの引き取りを考慮してもらうということを、むしろこちらから頼んだのでございます。
#29
○森中守義君 確かにお説のように、衆議院でもこう入管局長言われているのですね。「法的地位の改善は考慮するがなかなかむずかしい。しかし少しでも前進させるために、一つの交換条件として引き取りを要求するものを受け取ってほしい。」こう言われた。したがって、この条件を一つの条件、つまり交換条件ですね、このことが柳君あるいは陳君の送還ということになったのですか。
#30
○政府委員(中川進君) 柳君ないし陳君のいまの送還ということは、別に交換というつもりじゃございません。これは、私どもの入管令でオーバー・ステイになっておるということで、退去強制理由に該当するということから、退去強制がなされたのでございまして、私が交換云々ということばを使いましたのは、先ほど先生も御指摘のごとく、日本から退去させるべき二百数十名の、まあおもに麻薬患者等でございますが、刑事犯罪に該当する、退去強制に十分該当している者がたくさんおったわけでございます。それを、まあ中国側は、なかなか引き取らなかったのでございます。それで、それをひとつ早く引き取ってもらえれば、日本における台湾人の法的地位の改善に――事実上の改善でございますね――それに非常に寄与するということを私が申して、それでまあ交換――交換ということばは必ずしも適当であるかないか、疑問でございますが、まあそういうことでございます。
#31
○森中守義君 そうしますと、結局、私がお尋ねしようというのは、今回の入管法の制定ですね、私ども、むろん、それはポツダム政令に基づいた入管令を新しく新法につくり直そうということのようですが、何か一連の流れを考えていきますと、やはり、ここに端を発する。そこで二つの事件があり、にわかに、法務省でその委員会か何かをおつくりになって、新法制定に踏み切ろうとしている、そういうとらえ方をするのですよ。どうしても、やっぱり、分離して考えられないのですね。きわめて自然な状態として入管法の制定をやろうというのかどうなのか。それが、やっぱり、一連の流動した状態からいけば、それがきっかけではないかというように、私は私なりに理解しているのですが、その辺を少しはっきりしてほしいですね。
#32
○政府委員(中川進君) 御指摘の入国管理法の制定、あるいは現行の入国管理令の改善と申しますか、改廃の問題は、これは、何も、前の田中法務大臣の台湾訪問とは何の関係もございません。たしか昭和三十六年からだと思いますが、一、二年間違っておるかもしれませんが、その時分から、すでに法務省としては、予算的にもその入国管理法の改正に必要な予算というものをもらいまして、鋭意研究を遂げておりまして、その当時からの歴代の大臣及び歴代の入管局長が、国会におきまして、早急にこのポツダム勅令を改正して、まあ自主的なと申しますか、いつまでもポツ勅でもないから、日本の内部的につくったこの法律を出したいということをしばしば言明しておりましたのでございまして、たまたまいま御指摘の私が委員長になって云々と申しましたのは、それが先ほど御指摘の日韓協定ということによりまして、約一年半か二年の間、入管局をあげまして、そちらの準備に忙殺されまして、はなはだことばは適当でないかもしれませんが、新しい法律をつくる作業がちょっとたるんだと申しますか、足踏み状態におちいらざるを得なかったのでございます。そこで、田中法務大臣も私も同じ日に来ておりましたが、国会に呼び出されましたときに、議員諸先生から、何しておるんだ、いつまでポツダム勅令なんという恥ずかしいものをふり回すのだ、早く自主的な出入国管理法をつくったらどうだということを、おしかりと申しますか、注意的御勧告を受けましたので、そこで法務大臣は、さっそくそれではおことばのとおりだから、ひとつ、大至急、何と申しますか、その熱を入れようということで、いまの御指摘の私を委員長といたしました法律制定のための委員会をつくったのでございまして、それは、しかし、それらの委員会が、何も、私のときに初めてできたのではございませんで、その前にも、二回も三回もありまして、そうして一応の研究を遂げて、そうして一段落まできては、何となく自然解消のようなことになってきておったのでございます。
#33
○森中守義君 わかりました。
 そこで、ちょっとこれはほかの問題ですが、蒋介石の中華民国大使館から覚え書きがきておりますね。その内容は公表できますか。
#34
○政府委員(中川進君) 覚え書きと言われるのは、昨年、四十三年の二月七日の大使館から入国管理局あての覚え書きでございますか。
#35
○森中守義君 そうです。
#36
○政府委員(中川進君) ございます。
#37
○森中守義君 これはどういうように受け取っておられるかわかりませんが、正式な外交文書になりますか。二国間の約束ということになりますか。
#38
○政府委員(中川進君) その点に関しましては、従来しばしば国会で御質問ございましたが、正式な意味の外交文書というわけではないということでございます。
#39
○森中守義君 そうなると、これによって拘束はされないし、また受け取ろうという台湾側がどうなろうと保証はない、そういうことなんですね。
#40
○政府委員(中川進君) 正式な外交文書でないから、その書いてあることは全くほご同然ということには、私はならないと思うのでございまして、いやしくも中華民国の大使館という大きな判こを押しまして、大使館から入国管理局というとにかく役所にあてまして参りました文書でございますから、厳密な意味の外交文書でないことは先ほど私が申し上げましたとおりでございますが、しかし、それだからそういうものは何ら両国間の道義的な、何と申しますか、制肘力と申しますか、道義的な力もない、約束の力もないということにはならないと、かように考えております。
#41
○森中守義君 私は正確に言って、ウイーン条約に違反する。こんなものは二国間の約束なんてなりませんよ。明らかにウイーン条約に違反する。しかも、外務省を頭越しでやっているわけですからね。少なくとも日本の外交権の行使になりませんよ、これは。それはまた次の機会にしまして、この内容については了解されるのですか、肯定されますか。
#42
○政府委員(中川進君) 肯定されるかという御質問でございますが、私どもは、ただそれを額面どおり受け取っておるのでございます。
#43
○森中守義君 この中に、これはもうほんとうにたいへんな内容なんですね。少なくとも思想転向というのか、あるいは自由の阻害というのか、すべてこれは一つの型にはめようというのだが、これをいまの日本の憲法を初め、人権保障のいろいろなものに引き直してみるならば、とてもじゃないが、容認できるものじゃありません。しかし、台湾がそのことを前提にして引き取ろうというのだから、私は肯定されるかどうかというのは、台湾に帰っていこうという関係の諸君が、こういううき目にあうぞということを承知をしてお帰しするのだということになれば、何といってもこれは世界人権宣言等を全く無視したものですからね。その点この内容について、私は、一体吟味されたことがあるのかどうか。ただ保障するぞと、こういう――しかし、むろん保障するぞといっても、衆議院で、こういうようにお答えになっているわけですね。その後調査していない。しかし、猪俣さんかどなたかのお尋ねで、すでに七年の刑に服しているじゃないか、陳君の場合。そういったようなことで、この文書というのは相当問題ですよ、これは。なお、この内容を吟味をしないで、向こうが帰ったあとの保障はするから、とにかく引き取りましょうというのでやられるというのには、かなり問題があるのじゃないですか。
#44
○政府委員(中川進君) 私どもといたしましては、とにかく日本におきます不法滞在者、少し申しますと、法律によって退去強制をするべく命ぜられている者を退去させることが第一義的な仕事でございまして、そうしてその退去させるにあたりましては、本人が万が一退去先におきまして、生命身体の自由を侵されるというようなことがあったら困るということで、その点に関しましては、できるだけの研究なり、それから心配をしておるわけでございまして、ただいまの御指摘の文書なるものも、確かに全面的に私どもはその中国のやり方に承服しているということにはならないのでございまして、われわれといたしましては、最小限送り帰しました人の生命身体が侵されないという保障は、少なくともその後段をお読みいただきましたらわかるのでございまして、私どもはそれに信頼して、とにかくこの人を帰しても生命身体の自由を侵されない。しかも、一方においては、この人を帰さなければいかぬ。日本に置いておけない。日本の法令上そうなっておるわけでございますから、それで帰したまででございます。
#45
○森中守義君 まあしかし、そう言われても、保障するというのには唯一の前提があるわけだから、つまり条件づきですよ、受け取ろうとするのはね。少なくとも台湾政府の方針に従わなければだめだぞと、こういうことの前提条件です。それは必ずしも承服していないと、こういうお話ですから。きょうは時間がありませんから、そこまで言いませんが、これはひとつまた後日ゆっくりと内容をいろいろと議論をしてみたいと思うんです。
 そこで、新しく予定されている法案というものは、すでに閣議決定が行なわれたようですが、いつ国会にお出しになるつもりですか。
#46
○国務大臣(西郷吉之助君) おっしゃるとおり成案を得ておるのでございますが、現在わが自由民主党の三役に提案時期等はおまかせしてある次第でございます。
#47
○森中守義君 そうしますと、十四日に閣議決定が行なわれて、いまなお出さないというのは、法務省の関係ではなくして、党内における理由によって出てこない、そういうことですか。
#48
○国務大臣(西郷吉之助君) 国会対策の関係だと思います。
#49
○森中守義君 そこで、どうなんでしょう。なるほど出入国管理令ができたときと、現在は状況も変わっていることはわかりますが、概数どのくらいの人たちが日本にいま来ているのですか。少なくとも新法に適用しようというのは、入管令発足の当時と現在で数的にどういう変化を示しておりますか。
#50
○政府委員(中川進君) 入管令ができました昭和二十七年当時と申しますのは、はなはだ古いことであるし、わがほうのいろいろな体制も整備しておりませんので、何百何十万何千という正確な数字はわかりかねるのでございますが、大体年間十四、五万ぐらいかと思います。ところが昨年は、これは正確な数字でございましたら、あとで出しますが、概数のところ大体三百六十万人ぐらいの人の出入りを入管局で扱っております。そのうち百三万ぐらいが日本人の出入国でございます。八十七万ぐらいが外国人の出入国でございます。それからあとの百五、六十万――百五十万くらいが船員とか、船に乗っているいわゆる短期特別上陸というのがございますが、寄港上陸、通過上陸、観光上陸等、そういうような特別の上陸でございまして、全部で大体三百六、七十万程度の人を扱っておる次第でございます。
#51
○森中守義君 その数ですが、それはひとつできるだけ早い機会に整理していただいて、資料として提出をしてもらいたいと思います。これはひとつ委員長から確認しておいてください。
 そこで、数それ自体は私は問題じゃないと思う。というのは、日本国との間でかなりの国との間にビザの相互免除取りきめというのがありますね。これはどのくらいになりますか、国の数。
#52
○政府委員(中川進君) 二十六カ国と承知しております。
#53
○森中守義君 ちょっと言ってみてください。
#54
○政府委員(中川進君) 国の名前ですか。
#55
○森中守義君 ええ。
#56
○政府委員(中川進君) 申し上げます。ドイツ、フランス、イタリア、ギリシャ、チュニジア、ベルギー、デンマーク、オランダ、スウェーデン、ノールウエー、ルクセンブルク、スイス、ドミニカ、トルコ、オーストリア、フィンランド、パキスタン、アルゼンチン、コロンビア、連合王国、カナダ、スペイン、アイルランド、アイスランド、ユーゴースラビア及びサンマリノ、二十六カ国でございます。
#57
○森中守義君 これらの国はむろんその対象にならないわけですね。
#58
○政府委員(中川進君) 対象になります。
#59
○森中守義君 それから例の日米安保条約に基づく地位協定、それから日韓の条約に基づくもの、こういうものはどうなりますか。
#60
○政府委員(中川進君) 前者の地位協定に基づく一般のその適用を受ける米人は、これは私どもの入国管理の対象にはなっておりません。これは地位協定に条文がございます。
 それから後半の韓国人の協定永住を協定上持っておる韓国人、これは入国するために当然わがほうの対象になります。
#61
○森中守義君 結局ずいぶん数がふえて事情が変わったというようなことも、新法制定の理由の一つになっておるわけです、実際問題としては。どうなんですか、私はいま査証の相互免除取りきめをやっておるのはその対象になるということですが、事実問題として、このことはあまり予定されないのですね。いわゆる国交が結んでいない国とか、そういうのが中心じゃないですか。
#62
○政府委員(中川進君) 国交が結んでいない国が中心では決してございません。いま申し上げました三百六十万と申し上げましたが、いま数字を見ますと、二百七十万ぐらいになっておりますが、このうちで国交を結んでいない国から来られた方は、四千数百名でございまして、全員を入れましても一万名そこそこでございますので、これは非常な少数、一%にはるかに満たない数でございますので、やはり私どもといたしましては、そうでない一般的な方の外国人の来訪あるいは一般的な諸国へおもむく日本人の出入国ということを規制したいということでございます。
#63
○森中守義君 ちょっと法案の審査みたいでたいへん恐縮なんですがね、この内容を一通り見ると、入管にたぶん移し直してありますね。むろん追加されておる。問題は追加されたところだと思う。その中で、特に注目しなければならぬのは六条の十二項以下ですね。
#64
○政府委員(中川進君) これは新法の六条でございます。
#65
○森中守義君 新法です。六条の十二、十三ですね、そこのイ、ロ、ハと十四、十五、これは要するに破防法をこの中に織り込んでおる、こういうことですか。
#66
○政府委員(中川進君) これは現行のいまのポツ勅であります入国管理令にも同じ文句がございますが、そうよってきたるところはこの新しい、新しいと申しますか、占領後、ポツ勅の入国管理令をつくるときに、おそらくアメリカ移民法から引いてきたのではないかと思います。アメリカの移民法の二百十二条aというものの中に、アメリカに入国を拒否する、すなわち上陸拒否理由が二十八番目にございますが、その中にこういう、大体大同小異の規定があるのでございまして、それが大体こういうことになっております。それからそのうちの十二というのは、日本語のいまの十二でございますが、憲法のこと、このことは日本のほかの法律にも出ておるのでございまして、たとえば国家公務員法の三十八条でありますとか、国籍法の四条というのに全く同じ文句が使われておるわけでございます。
#67
○森中守義君 これはどうなんでしょうね。個々的にあるいは個人個人をチェックされるとかあるいは何か一般的な原則でもつくっておやりになっておるのですか、どういうことですか。
#68
○政府委員(中川進君) それは両方あるわけでございます。
#69
○森中守義君 両方あるという場合ですね、むろんそれはそういうことでしょうね。ところがまだ入る前のことだから、この中に政党だとかいろいろいわれておりますね、むずかしいことを。こういうものが該当するしないというのには、一定の認定の基準というのが、材料がなければ認定できないと思うのです。その材料は、どういう方法で手に入れるのですか。少なくとも政党であるとか、そういう関係の調査活動というものは、どういう範囲で行なうわけですか。
#70
○政府委員(中川進君) もちろん入国管理局の人員、予算、それから時間的な制約その他で可能な限りやるわけでございますが、しかし入国管理局だけでは必ずしも十分でございませんので、その際には在外公館の御援助を願うとか、あるいはいろいろなほかの機関から情報を聴取いたしまして、その認定、判定の基準としたい、かように考えております。
#71
○森中守義君 それは中川さん、そこなんです。いま在外公館の協力を求める、こう言われるのだけれども、在外公館はそういうことを外国に出ていって調査の権限はありませんよ。たとえば先般、私がニューヨークに行ったとき、「日本人はどのくらいいるのだ」と、こう聞いてみても、届け出がなければ、アメリカの関係の向きに調査を依頼する以外に、ほかの方法がない、私はそうだった。在外公館といえども、そういう調査権がない。いわんや、各国の政党の事情であるとか、あるいは政治活動をやる人たちの思想調査、そんなことをやっていたら、これはたいへんですよ。だから、きょうは問題の提起をその程度にしておきますが、非常にそういう点ではきわどいものですよ、これは。
 それから、いま一つは、強制退去の条項に至れば、全くこれは憲法のどの条項にも違反することがあまりにも多過ぎる。そこで、もう時間がありませんから、いま一つ聞いておきたいと思うのですが、大体日本にいる外国人というのは、日本の憲法なり、あるいはその他の関係の法律の適用を受けますか。
#72
○政府委員(中川進君) 原則的には、もちろん日本国に居住する限り日本の主権に属するわけでございますが、憲法の適用を受けるのは当然でございますが、しかし憲法の条項によりましては、国民にのみ何と申しますか、リザーブされたところのものもございますので、これは一がいには言えない、各条項ごとに検討を要するものと考えております。
#73
○森中守義君 二十五年の十二月二十八日、最高裁の判例があるのです。それはいうまでもなく、「国家的基本的人権の保護を要求する権利を有しないと判示しているが、その謬論たること所論の通りであり、いやしくも人たることにより当然享有する人権は、不法入国者といえどもこれを有するものと認むべきである」、最高裁の判例であります。
 いま一つは、あなたのほうから参議院の法制局長あてに、昭和二十四年に外国人の基本的人権ということで回答が寄せられている。これは法制意見ということで当時の法務庁長官が参議院の法制局長にあてたものですよ。大体この判例と内容的には一緒です。そこで、こういうようなものは、おそらく死文でございますとは言えないだろうし、そうなるならば新法の中で侵されている。憲法の基本的人権とまさに正面から乖離しますよ。だから明らかにこれは違憲立法である。したがって、こういうのは許さるべきでない、こういう考えを持つ。時間がありませんから、これ以上入りませんが、そういう意味から法務大臣、せっかくの提案ですが、これはむしろ撤回されたほうが――法をつかさどる法務省として違憲立法ということでは、はなはだよくないんじゃないですか。撤回の御意思はございませんか。
#74
○国務大臣(西郷吉之助君) いまの森中議員の御説は拝聴しておきますけれども、先ほど申し上げたようないま段階にございますので、森中先生の御意見を御参考に拝聴しておきます。
#75
○鈴木一弘君 初めに、裁判所のほうにちょっとお伺いしたいのですが、北区にある北簡易裁判所のここに交通部の庁舎が前にあったわけでありますけれども、当初は一体どこの所管に属しており、どういう目的でつくられ、現在は一体どういうふうに使われているか、その経緯からちょっとお伺いしたいと思います。
#76
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) 北区にございます交通裁判所に使用するために建てられた庁舎について御説明申し上げます。これは墨田にただいまございます交通裁判所だけでは事務量がさばけないような状況に漸次交通違反事件が増加してまいりましたために、昭和三十七年度におきまして、まず裁判所、法務省ともにそれぞれ分担し合いまして新たに交通裁判所庁舎を建設しようということになったわけでございます。昭和三十八年度にまず当初予算が付きまして、三十九年、四十年、四十一年とかかりまして、ようやく四十二年になって完成を見た建物でございます。建物は全体といたしまして約一万二千平方メートルの建物でございます。予算上の分担でそれぞれ考えましたのは裁判所は約四千平米、法務省が約八千平米の建物として、一棟の建物として建てていく計画でございましたし、ほぼそのとおりに建設されたわけでございます。現在ではこの建物はすべて法務省の所管となっておりまして、法務省で全部御使用になっている状況でございます。
#77
○鈴木一弘君 この建物の特徴は、はっきり言えば、いわゆる交通裁判をするためということが目的だったわけですね。それがどういうわけで現在では法務省に移ったのか、これは反則金だけの問題ですか。
#78
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) 御説明申し上げます。実は、予算のほうから申し上げます、昭和四十一年度に裁判所といたしましては一億九百三十七万三千円、これは仕上げ工事の金額でございますが、外構工事費用は四十二年度に送る予定でやったわけでございます。その予算がつきまして後に、昭和四十一年五月二十日ごろに警察庁が道路交通法の特定違反行為に対する納付命令制度というものの試案について最高裁に説明にまいりました。同月の二十六日に警察庁は右試案を発表したわけでございます。その後八月、九月、十月、十二月、それぞれ最高裁に対する説明ないしはいろいろな要綱の発表等が行なわれ、昭和四十二年二月十四日、警察庁の最終原案について最高裁に対する説明がございました。二十三日に警察庁は通告制度を含む道路交通法改正要綱案を改正したわけでございます。四十二年の三月二十五日に外構え――外構工事を除いた庁舎は完成したわけでございます。その通告制度が実施されますと――当初通告制度が実施されないことを前提とした交通事犯に対処するために建てられた建物であったわけでございます。交通違反通告制度が実施されますと、その裁判所で取り扱います事件がある程度減少する見込みがその段階において成立したわけでございます。したがいまして、その通告制度の成否、したがって事件数の動向、こういうものを見た上でこの建物をいかに使うかを決定するのが相当だということになりまして、しばらく通告制度の成り行きを見守ったわけでございます。通告制度が生じました結果、ほぼ墨田の現在使っております交通裁判所におきまして裁判所の所管すべき事件はおおよそ間に合うだろうということになりましたために、この建物について法務省で全面的に御使用になることを了として、法務省の国有財産として登載されるに至ったわけでございます。
#79
○鈴木一弘君 私は、大体四十二年の二月十四日、四十一年の五月二十日から、いまの通告制度ですね、交通違反についての反則金問題、こういうことがわかってきているのに、四十二年までに庁舎も完成して、それから法務省に移したということになりますと、何となく、中間でそういうことがわかっていれば、当然御承知だったわけです。それがいろいろこの制度ができ上がってから検討した上でお話があったわけですけれども、中間でわかっていれば、当然その時点からもう譲り渡すということになるんではないか、こういう考えがするわけなんです。
#80
○最高裁判所長官代理者(岩野徹君) ただいま申し上げましたのは、その動向を見定めて使用関係をきめるという意味でございまして、工事はすでに先ほど申し上げましたように三十七年度に要求を開始して四十二年度中にはほぼ完成したわけでございます。ただいま四十一年五月二十日に警察庁の意見を裁判所に持ってこられた瞬間には、いわゆる仕上げ工事のみが残った状況になるわけでございます。この段階では必ずこの通告制度というものが成立するという確証もなかった状況でございますし、裁判所としてもこの制度に関する意見を述べておった事情があったのでございますし、その意味ですでに付帯工事まででき上がった建物を、これが不明だということで放置することのほうが、より予算の効率的使用の面からは困るんではないか。しかも制度が全くきまったものでなく、その構造の状態、いわゆるコンクリート打ちの状態で、さらに設計変更等をして、別の建物をつくるという目的が確定的に定まっていず、通告制度がまだ海のものとも山のものともわかっていないときには、当初建物を建てる目的のために内装工事、仕上げ工事も当然やるのが相当だと考えて処理したわけでございます。
#81
○鈴木一弘君 これは現在法務省ではどういうふうに使っていらっしゃるのですか。初め予定しなかった建物であるだけに、これは実際には使用しなくてもいいわけかもしらぬ、そういう心配があるわけです。使われるとなれば、どういうふうに効率的に使われておるか、この点について伺いたい。
#82
○政府委員(安原美穂君) 御説明申し上げます。現在は東京地検のいわば第二庁舎という内部的な名称のもとに活用いたしておる次第でございまして、そこに入っております人間は、検事、事務官等を含めまして二百五十九人でございまして、中にはその関係の事務局の人間が二十九人、それから総務部の徴収関係の人間が七十二人、それから東京の地方検察庁が警察方面別に、第一方面というふうに、方面別に事件を担当しております刑事部がございますが、刑事部の第五方面、第六方面、第七方面の刑事部の関係者が五十五人、それから業務上過失事件が非常に増加しておりますので、業務上過失事件を扱います交通部というものの人間が全部そこにおりまして百三人、全部で二百五十九人が入っております。
 そのほかに、ただいま御指摘の裁判所のほうで通告制度ができました結果、不用になります部分、つまり法廷を、現在は刑事部が、あるいは刑事部関係の資料室とか、あるいは刑事部関係の会議室とかいうふうにして、すべてこれを活用させていただいておりまして、東京地検が事件の増加によりまして非常に狭くなっておりますので、この第二庁舎というものは結果的にはむだなく活用させていただいておるという状況でございます。
#83
○鈴木一弘君 法廷としての建物の構造なんですから、それを刑事部でお使いになる。なるほど建物自体としてはむだに使っていないかもしれませんけれども、構造上から言っても、どうもわれわれはすっきりしない点がある。こういう点については、やりかかった仕事だから最後までやってしまわなければならぬ、予算を出したからには最後まで使ってしまわなければならぬということではなくて、中間で大体の傾向が見えてきておるのですから、様子を見るとか、あるいはそれによって建物の構造も、いよいよ使わなくなるから、じゃ今度こういうふうに部屋として使えるようにしよう、法廷でなく使えるようにしていくことを考えるべきだと思うのです。この辺は意見にしておきますけれども、留意していただきたいと思うのです。
 次に、国選弁護人の問題について、今回報酬を一〇%引き上げるということで予算が出てきております。しかし、どうもいざ依頼をするということになれば、国選弁護人か普通の弁護人かということになれば、だれも私選の弁護人を選びたいということになるわけでありますが、その国選弁護人の依頼数はどのくらい件数があるか。それは私選の弁護人に対してどのくらいの率になっているのか。その点を伺っておきたい。
#84
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 国選弁護人を依頼しておりますパーセンテージから申し上げますと、四四・三%でございます。それから私選弁護人のパーセンテージは四五・七%くらいでございます。
#85
○鈴木一弘君 国選弁護人に支払われる報酬と、それか普通の弁護士の収入というのでしょうか、ちょっとことばが適当でないかもわかりませんけれども、その比較についてお伺いしておきたい。
#86
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 現実にこの私選弁護人の場合にどのくらい支払われるかという実態は、私どものほうではわからないのでございます。ただ、弁護士の報酬規程というものが日本弁護士連合会のほうで定めてございますので、それを一応のものとして考えているわけでございますが、たとえばこの報酬規程によりますると、地方裁判所におきまして謝金が六万円以上となっております。
#87
○鈴木一弘君 いまのは国選弁護人に対する謝金ですね。
#88
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 現在の国選弁護人の報酬の基準といたしまして、同じく地方裁判所の例をとりますると、これは基本的には裁判所が相当と認める額ということになっているわけでございますが、一応の支給の基準というものを定めておりまして、その一応の基準といたしましては、地方裁判所におきましては、開廷回数三回ということに対して一万二百円という一応の基準額を定めているわけでございます。
#89
○鈴木一弘君 私選弁護人の場合には六万円、片方は三回開廷されたとして一万二百円、非常にこれが少ないという印象を受けるのは当然だと思うのです。私選の場合にはこれ以上になるだろうというふうに思いますと、これは弁護士の場合でも真剣になって国選弁護人としてやるというよりも、これはそういうのはできるだけお断わりしたほうがいいということになりやすいと思う。報酬によって動くということは必ずしもこれは言えないと思います。しかし、それではやはりほんとに被告を弁護するということはできないんじゃないか。誠心誠意をもってやっていくということはできないのではないかということも考えられるわけですが、そういう考え方から見ると、今回の一〇%増額等でははなはだ私は不足ではないかということを思わざるを得ない。これは基準額というものを大幅に引き上げていくということはお考えにならないのか。
#90
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) まことにごもっともでございます。現実的に私選の場合には、先ほど申し上げました程度の報酬を弁護士がお取りになって実際やっておられるということでありますれば、それと比較いたしますれば低きに失するということになるわけでございます。またそれを離れて、およそ国選弁護人というものの弁護活動の評価の問題としていかにあるべきかということから考えましても、決して十二分であるとは考えておらないわけでございます。そこで最近は毎年一〇%くらいの増額の予算的な措置をとりまして、できる限りこの国選弁護活動にお報いするというふうに努力してまいっているわけでございます。その間におきましては日本弁護士連合会と連絡を取りまして、この報酬額の引き上げについてのいろいろな資料等も弁護士の方の御協力を得ましていまつくってまいっておるわけでございます。今回の予算上の措置といたしまして、予算上約四億円が計上されております。今回の措置に伴いまして国選弁護人の報酬の基準を若干は上げることができまして、先ほどの地方裁判所その他で三回開廷一万二百円という基準額に対しまして、目下のところの考えは一万一千二百円くらいは可能であろうと考えておるわけでございますが、一般的に報酬額の増額につきましては、従前もそうでございますが、なお日本弁護士連合会等の御支持も得まして、増額について努力いたしたいと考えている次第でございます。
#91
○鈴木一弘君 こういういわゆる私選の弁護人を選べないような人々についての国選弁護人の制度があるわけですが、それが非常に報酬が低いということになれば、これは一つには弁護というものそれ自体を曲げるということが出てくる。というのは、国選をつけたときには、これは私は事実かどうか知りませんが、私どもが聞いている話としては、国選をつけてその裁判に有利になるということになれば、私選弁護人はみんな頼まないんだ、そういう意味からも適当な程度にしかやれないということになる。つまりそうなりますと、報酬が少ないからということが一つの大きな原因になってくるのではないか。これは公正な弁護あるいは裁判を期することがなかなか困難になってくるということをほんとに考えるわけです。その点でどうしてもこれは本格的に考え直してもらわなければならないと思うし、今回一割また上がりました、毎回一〇%程度やっておりますので何とかなるのではないでしょうかというような甘い考え方では、これは私選の弁護士を選ぶことのできない人人にとっては非常につらいことになるわけであります。そういう点はほんとに心底からこの程度で十分だと思っているのか、適当にやってくださればそれでいいんだという考えなのか。国民の権利というものを本気に守っていってあげたいということで、さらにこれは報酬の引き上げというものを大幅に考えてあげる、こういうことをしようという希望なのか、その点のところをはっきりしていただきたいと思います。
#92
○最高裁判所長官代理者(佐藤千速君) 国選弁護の報酬が低額にすぎるために十分な弁護活動ができないということであっては困るわけでございます。が、現行刑事訴訟法発足当初に比べますると、現在の国選弁護活動というものは非常に充実しているわけでございます。施行当初におきましては若干批判もあったのでございますが、現在におきましては非常に国選弁護がよく行なわれているというのが実情でございます。
 それはそれとしまして、この報酬規程でございますが、この報酬規程は昭和三十九年に一挙に二倍というふうに弁護士会等でおきめになったわけであります。その二倍におきめになったという根拠は、必ずしも明確ではなかったわけでございますが、そのためにこの報酬規程との関係で対比してみますると、はなはだ差が生じてきたということでございます。
 先ほども申し上げましたように、これは報酬の規程でございまして、現実に各弁護士の方がどのくらいの報酬をお取りになっているかという実情は把握できないのでございます。
 それはそれといたしましても、ただいま仰せのように弁護活動に報いるための費用としてさらに報酬規程というものを標準にいたしまして、なお増額について努力をしなければならないということはもちろん十分考えているわけでございまして、それらのことにつきましても、従前からも日本弁護士連合会と随時御連絡をし、資料の提供等もしていただいているという状況でございますので、今後につきましてもなおさらに予算上の増額を得ることについて十分努力いたしたいと思います。
#93
○鈴木一弘君 あなた奥歯に物のはさまったような遠慮したものの言い方をしていらっしゃるような感じがしてならない。不足なら不足である、ほんとうにこれは真剣になって考えたいと、こういうふうにやってほしいと思うのですね。そうしませんとこれはきちっと刑事訴訟法の中にも「貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは」云々というふうにあるように、きちっと貧困家庭とはっきりした理由があることはわかっているわけですから、そうすると金持ちだけは弁護士をたくさん選べる。私選でやれる。そうでないものは報酬の少ない国選弁護人で不利な扱いを受けなければならない場合も出てくる、こういうことがあってはならないということですから、その点は利用度が非常にふえたとかなんとかということだけで喜ぶべき問題ではないだろう、こう思います。これは意見ですから今後よく努力していただきたいと思います。
 次に、法務省に、時間がありませんので若干質問したいと思うのですが、刑務所の中のいわゆる養豚事業の問題で聞いておきたいのでありますけれども、宇都宮の場合、職員会をつくってやっているとか、あるいはいろいろな、中野刑務所等もあると思うのですけれども、行政財産である国有地を使って、あるいは建物を使っての養豚事業ということになるわけです。それはどのくらいおありになるのですか。
#94
○政府委員(勝尾鐐三君) 刑務所につきましては本所が七十三ございますので、全部の施設が大小によって規模の差はございますが養豚をやっております。
#95
○鈴木一弘君 時間がありませんから簡単に伺っておきますけれども、特に宇都宮の刑務所の場合、頭数とそれから年間収入はどのくらいになっておりますか、その会の性質。
#96
○政府委員(勝尾鐐三君) 宇都宮の場合は、宇都宮刑務所勤務の職員が、職員の親睦、職務の遂行に寄与するあるいは職員の研究、体位の向上、福利の増進を目的といたしました職員会を結成をいたしております。その職員会が養豚をやっております本年の三月二十九日現在、豚の数は九十九頭でございます。年間の収入につきましては、これは四十三年の四月一日から四十四年の三月二十五日までの年間の収入が、四百三十三万四千二百三十五円でございます。
#97
○鈴木一弘君 豚だけで。
#98
○政府委員(勝尾鐐三君) 豚だけでございます。
#99
○鈴木一弘君 この養豚事業のそういうこの問題については、決算委員会等で、養豚という生産事業をやっているから、それに対して税金を払っているからいいという考えはおかしいというようなことが言われて、これはそのときの矯正局長の御答弁によれば、「職員会というものがつくられて豚を飼うようになった」いきさつは、「一つは収容者のやはり動物たん白質をできるだけ確保してやりたいというような面もあって、豚の飼養を始めた。」こういうように言っているのですけれども、具体的にこれは収容者に対してのたん白質補給ということで、そのたん白質補給という事実があったかどうか、それに充てられたかどうか。
#100
○政府委員(勝尾鐐三君) ただいまの宇都宮の場合の収支の状況を調べてみますと、収入のうち三十二万六千七百四十四円が収容者関係に支出されております。
  〔副主査退席、主査着席〕
#101
○鈴木一弘君 それは利益を回したのかどうしたのか知りませんけれども、実際にたん白質として補給をされているのですか、そこを聞いているのです。
#102
○政府委員(勝尾鐐三君) 年に二回程度、国のほうでその豚を比較的安く買い上げまして、副食の中に入れているという実情に承知しております。
#103
○鈴木一弘君 その点で受刑者というか、収容されている人の中から非常に不満が出ておる、あれだけ飼っているのだから、もう少しというような声も出ておるわけですが、その点は収容されておる人に対しては、よく納得をさしてないわけですか。私どものところへ来ている声を見ますというと、収容者が食べられないということを見越して麦めしをたくさんつくる。そして余らして、豚のえさにしてしまう。ひがんだものの言い方かもしれない、事実かもわからない、私にはわかりませぬ。そういうような声さえも収容者から出るということは問題だと思うのですが、その点についてはよくわからしてあるのか、あるいはいまのような食べられないということを見越してたくさん麦めしをつくるなんていう、話はこまかくなりましたけれども、そんなくだらないことがあるのかどうか。
#104
○政府委員(勝尾鐐三君) 収容者につきましては、すでに御承知のとおり予算上の食糧費でまかなっておるわけでございますが、その間におきまして、養豚事業を許可している目的の一つが、やはり矯正運営に何らかの形で寄与するということが、一つの重要な目的でございますので、できるだけ収容者のほうに、ためになるような使い方をするようにという指導をいたしておりますが、具体的に収容者に、この豚はこういう収容者に還元するのだというところまで指導しておるかどうか、私のほうではつまびらかにいたしておりません。
#105
○鈴木一弘君 いまの私が言ったその点は、つまびらかでないというなら、よくお調べになった上に、そういうことは収容者から不満の出ないように、こういうふうになっておりますよということで言ってあげればいいじゃないか。
 もう一つ。もう麦めし云々の問題もそうだけれども、その点についてもひとつわからしてもらいたいと思う。中野刑務所の場合ですが、豚小屋が監房に非常に近接している。三メートルくらいのところにある、こういうことで、夜中にはうるさい。また衛生上も好ましくないというふうに、こういう声も出ているわけですが、私も実際現地を見ていないのでわからないのですが、どんなふうな状態になっているわけですか。
#106
○政府委員(勝尾鐐三君) 中野の場合、養豚事業の許可申請がまいりました場合に、何ぶん市街地でございますので、その場所について私のほうも一応は検討をさせていただいたわけでございます。場所につきましては、中野刑務所の区画のうちで、かつて未決、いわゆる被告人を収容するための一区画があるわけでございます。そこが、中野のほうが未決を数年前から扱わなくなっていた時期があるのでございます。したがってそこが比較的あいておりまして、そこの場所に設置をしたいということで、私のほうでこれを許可したわけでございますが、最近の実情を調べてみますと、当該区画には、いわゆる刑が確定をいたしまして、どこの刑務所で服役をさせるのが妥当かという分類が終わって、いわゆるわれわれのことばで申し上げますれば、移送待ちのものを収容いたしている実情が最近はっきりいたしましたのでございます。そこで、その豚舎と舎房との距離を調べてみましたところ、やはり一番近いところが六・九メートルでございます。そこでこの豚舎の構造につきまして、ビニール張りの並み板ではっきりと区画をするという、さらに保健所の指導を受けて、ハエあるいは蚊等の駆除について十分配慮をするということを厳重に履行させまして、現在養豚が行なわれておりますが、ただいま御指摘の点、おそらく豚が夜中に鳴くとかあるいは科学的には全然無害になっていても、約六・九メートル先にそういうものがあるということが収容者に対して何らかの心情上影響がありゃしないかという点について、私のほうも現在この点は施設側と申しますか、職員会側と十分協議をいたしまして、そういうことで収容者の心情に悪影響があるということであるならば、この設置の場所について私自身あらためて検討しなければならないと、このように考えております。
#107
○鈴木一弘君 時間がありませんから、まとめて伺いますけれども、今度は刑務所の職員の待遇あるいはそういった問題でありますけれども、現在では非常に仕事の負担が重い。場所によっては週に一回の休みもとれないということもあるし、あるいは刑務官の応募といいますか、刑務所のこうしたほうの志望者というものも非常に減ってきている。それに対して犯罪者数というものが比例してぐんぐん減ればけっこうでありますけれども、そうでもないということになりますと、非常に本人に負担がかかる。負担がかかればいろいろ中に収容されている人に対しての扱いというものも変わってくる、こういうことが考えられるのですが、この点については一体どういうふうにお考えになっているかということが第一点です。
 もう一つは、収容されている人についてのいろいろな不平不満、こういうものもあります。ですから、米と麦の割合が四対六で、実際にこれには米のほうがどっかにいってしまって、麦ばかりなんで食べられないというような、そういう意見もときどき出るわけですけれども、そういう声等があります。そういう面についての待遇の改善というとおかしゅうございますけれども、やらなければならないときが来ているのではないかというふうに思う。これが麦が余っていて米が足りないというときじゃありませんし、現状が。この点については今後改善していく意思があるかないか、この二点について最終的に大臣からも御答弁をお願いいたしたい。
#108
○政府委員(勝尾鐐三君) 職員の負担の問題でございますが、現在収容者数と職員との数の比率は大体三・一人に一人というのが数字でございます。この三・一人という数字につきましては、私のほうも世界の矯正施設等の状況をいろいろ資料を調べて見たのでございますが、大体世界的にも三人から四人というのが実情のようでございます。問題は、この三・一人というのはこれは平均でございますが、やはり各施設の建物構造あるいは収容者の質等かなり差がございますので、この三・一人を、この建物、収容者の質等に照らし合わせて具体的に適当な職員の配置数を考えなければならないというのが第一点でございます。
 それからなお刑務官の志望者につきましては私のほうで毎年必要とする刑務官の数は約四百八十程度でございますが、実際刑務官試験の結果採用可能な人間というのは約四百六十人でございます。若干不足をしておりますが、この不足につきましては一つは刑務所の勤務というものが二十四時間収容者と接触していかなければならないという勤務の特殊性と申しますか、これについてやはり志願者のほうで多分に敬遠する傾きがあるようでございます。したがいまして志願者が十分勤務できるように待遇の改善をする、宿舎の確保あるいは勤務条件の改善をはかっていくということについて努力を続けなければならないと思っております。
 それからなお、食事の問題でございますが、ただいま御指摘がございましたように麦の入手が非常に困難になってきておりますので、この機会に麦の混入率というものについて抜本的な改善を加えたい、その時期にきているのではないかと思っております。それからなお、それに関連いたしまして、最近の一般国民の嗜好と申しますか、これにパン食がだいぶ入り込んできているようでございますので、こういった問題を次の問題として考えていかなければならないのではないかということで、この機会に麦の問題については積極的に取り組んでまいりたい、このように思っております。
#109
○鈴木一弘君 最後に法務大臣にいまの問題についての答えと、例の非常に過密化された都市の中に刑務所がある、初めは都市部でない離れた所にあったものが、いつの間にかまん中にきているわけです。こういうところが各都市に非常に見られるわけです。こういう刑務所の移転あるいは少年刑務所の移転こういうことになるわけですけれども、その点について積極的な考え方もおありになるだろう、私ども積極的にやってもらいたいと思うのです。その点についてと、これは移転をすると当然もとの刑務所につとめていた職員の家族等は、もとの学校に通いたいということもあります。そういう点でせっかく官舎ができてもなかなか動くのに困難である、こういう状態もあるのですが、その点についての配慮は一体どういうふうになさっているのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
#110
○国務大臣(西郷吉之助君) ただいまのお尋ねの問題は、非常に法務省としても多大の努力を要する問題でありまして、いまお話のとおり刑務所もだんだん時間を経過いたしまして、昔の閑静な土地が市街の中心地になるというところがたくさんございまして、鋭意これの移転に努力をいたしまして、本年の予算でも――四十四年度でございますが――刑務所移転を十四件やっております。しかしこれはまだ序の口でございまして、今後非常に努力をいたしまして、できるだけ市街地を避けまして、環境のいいところに移転をいたしたい、努力をいまやっておる最中でございます。
 先ほどまた看守のいろいろお話しございましたが、看守、刑務官の補充も非常に困難でございますが、これまた努力をいたしまして不便なからしめたいと考えております。
 なお、麦めしの問題でお尋ねがございましたが、ただいま矯正局長の申しましたとおり、聞いてみますると、そういう麦めしの関係もあるかと存じますが、パン食を非常に希望しておるそうでございまして、それに従いまして晩めしは米でなくパン食にしておるそうでございます。そういう点につきましても、栄養の点から考えまして、また先ほど来お話もあったのでございますが、食費の単価が非常に安過ぎますので、今後とも継続的に増額に努力をいたしまして環境の整備をいたしたいと考えております。
#111
○鈴木一弘君 移転に伴う……
#112
○政府委員(勝尾鐐三君) 刑務所の移転の際に、その移転先と申しますのは、やはりその地域の開発に適合をした移転ということになりますので、勢い郊外に行くというのが現実の姿でございます。その際に市街地に生活をしている職員が郊外地に行くということに伴いまして、生活上従来と比較して不便をこうむるということが現実問題として考えられますので、その問題につきましては、宿舎を一〇〇%確保していく、あるいは生活必需物資を廉価に購入できるような設備をつくってやる、さらに子弟が伴って行くということになりますので、当該移転先の自治体と十分話し合いまして、教育施設の増設、充実をはかってもらう。それからさらに、遠方から通勤をしなければならない職員については、その交通の便につきまして関係機関と話し合って支障のないようにしていくというような具体的な方策を講じてまいりたいと思っております。
#113
○鈴木一弘君 最後に、高等学校以上に上がっている子弟をかかえている場合ですね。いまのような、ただそちらのほうで高等学校をつくってもらってそっちに行けばいいんだということでなしに、実際問題として、すぐ高等学校ができるわけではありません。そういう場合には、もとのところから引っ越しするなんといっても、一方は家族がばらばらでなければとうていできないだろうということも考えられます。宇都宮から今回ずいぶん遠い所へ移りますので、氏家かどこかへ。こういうことを考えますと、考え直さなければならない、そういうことの対策はどうなっておりますか。
#114
○政府委員(勝尾鐐三君) その問題につきまして、私のほうでも実は頭を悩ましているのでございますが、東京あるいは大阪、仙台という比較的大学の多くあるところで、そこの大学に希望者の多い、あるいは在学生の多い場合につきましては、共済組合のほうの事業の一環として学生寮をつくって、そこに子弟を安心して預けるという方策をつくっておりまするが、それ以外の地域等についての学生寮をつくるという問題になりますと、これは共済組合全般の予算その他の運営上実現することが至難であるというのが現状でございます。したがいまして、何か他の方法で下宿先を確保してやるということを考えなければならないだろうと考えておりまして、この問題につきましては、宇都宮の場合につきましては当該市なりあるいは県なりで何らか便宜をはかってもらう方法がないだろうかという観点で現在考えております。
#115
○岩間正男君 西郷法務大臣は、三月二十五日の閣議以後の記者会見で、東京地裁が公務員共闘の公安条例違反事件で無罪の判決を言い渡したことについて、「裁判所だけが手を出せないが、もはや何らかの歯どめが必要になった、裁判官が条例を無視する世の中だからね、国会ではめんどうを見てるんだから、たまにはお返しがあってもいいじゃないか」という趣旨のことを発言されたと新聞は伝えておりますが、これはほんとうでしょうか。
#116
○国務大臣(西郷吉之助君) 実は私から釈明をさしていただきたいと思いましたが、ちょうどお尋ねがございますので、私の意見を申し上げたいと思いますが、いまお話しのとおり、私が去る二十五日の定例記者会見のあとで、その前日の二十四日に東京地裁が行ないました都公安条例違反事件の無罪判決に関連いたしまして歯どめが必要であると申しましたのは、立法府や行政府が何らかの形におきまして裁判所に干渉をいたしたり抑制を加えるというような趣旨のものでは全くないのでございまするが、裁判所の判断はもちろんあくまでも尊重していかなければならぬことは論をまたぬところであるわけでございます。しかし、その都公安条例の違反事件につきまして考えられますことは、同じ法律の解釈といたしまして有罪、無罪の相異なった判決がなされておることは、はたしてほんとうにやむを得ない措置であるかどうかという疑問をそのとき持ちましたものでございますから、その際軽い気持ちで法文解釈上まちまちにならないようにあってほしいものである、というような気持ちを申し上げたのでございます。しかし、その際用いました用語が適確を欠きまして、そのために誤解を生むに至りましたことは、まことに私自身も遺憾に考え、恐縮に存じましたので、再び会見をいたしまして取り消しをいたしたような次第でございます。
 私といたしましては、いまの件は以上でございますが、もちろん法務大臣といたしまして、今後とも司法がその独立を堅持いたし、ますます権威の向上をわれわれもひとしく念願するものでございまして、私個人、私大臣といたしましても、その方向で極力でき得る御支援、御協力をいたしたいと思いますが、私の発言中の用語が適正を欠きましたためにたいへん誤解を生じ、皆さま方に御迷惑をおかけしたことを、まことに恐縮に存じております。
#117
○岩間正男君 いま釈明がございましたが、これにつきましては詳細に私お聞きしたいと思います。先ほど申しました歯どめの問題とか、それから裁判官が条例を無視する世の中だとか、それから国会でめんどう見ているからたまにはお返しがあってもいいと、こういうことを言われたことは事実ですね。その点についてひとつお聞きしたい。
#118
○国務大臣(西郷吉之助君) 正式の記者会見に引き続いて余談をいたしておりましたのが、非常に私自身としても不注意でございまして、いまお尋ねになったようなことがいろいろ言われておりますけれども、私の趣旨が十分に、いま申したとおりに、私の申した趣旨がよくとらえられておりませんで、私もことばが悪かったと、それから誤解を生じたと思いますので、いま申し上げたような取り消しを行なったので、あしからず御了承を願いたいと思います。
#119
○岩間正男君 これは軽々に出ることばじゃないと思うのです。われわれはこれは三権分立のたてまえ、司法権の独立の問題から、実に重大な発言だと考えます。われわれも議員生活長いのですが、裁判の独立がいまだかつてこんなきたないことばで誹謗されたということは、こういうことは私は事実は知らない、こういうことはありませんよ。そういう問題ですから、いま釈明もされたわけですが、もう少し私たちはこの問題を明らかにする必要がある。
 次にお聞きしますが、そのあとに記者会見で前言を取り消されたそうですが、どういうことをこれは言われたんですか。それからこの取り消された趣旨ですね、気持ちですね、これはなぜそのことばが不適当だというふうにお考えになったのか。それから何よりも中心の問題は、その法務大臣の発言が憲法違反であると、こう考えたから、これを取り消されたのかどうか、この点お聞きしたい。
#120
○国務大臣(西郷吉之助君) 先ほど申し上げましたとおりに、なぜ取り消したかというお導ねでございますが、先ほどるる率直に申しましたとおり、表現の用語が適切を欠いておりまして、誤解等を生じたように思いましたので、取り消しをいたしたわけでございます。もちろんいま申したとおりに、裁判についてあれこれする考えは、毛頭ございませんでしたが、ことばの関係で非常に誤解を生じまして遺憾に考えておる次第でございます。
#121
○岩間正男君 毛頭ないと言われましょうが、歯どめが必要だということは重大なことばです。それからお返しがあってもいいのだ、これはたいへんなことですよ。このことばの重大性に、これはお気づきになっていらっしゃらないから、一ぺんの釈明でこの問題は済むと考えられたら、私はたいへんな問題だと思う。とにかく取り消されたのは、どういうわけですか。
 これはどうですか、憲法七十六条三項、これはあらためて法務大臣から私、読んでいただきたいと思うのでありますが、これに対してどういうふうにお考えですか。これは裁判の独立をはっきりうたったものでありますが、この七十六条三項に対して、これはどうも発言が適当でなかった、これを侵犯する、そういう事態があった、こういう立場から、発言を取り消されたのかどうか、この点を明確にしていただきたい。
#122
○国務大臣(西郷吉之助君) いま申し上げましたとおり、私も公人といたしましても、私人といたしましても、裁判をあれこれ言う考えは毛頭持っておらないわけでございますが、いま申しましたとおりに用語の適切を欠きまして、そういう誤解をとにかく人に与えました。これは遺憾と思いまして率直に取り消したわけでございます。
#123
○岩間正男君 用語の適切というような問題で片づく問題じゃないと思いますので、その中には明らかにこれは裁判の独立を侵害することばがあったとはっきり考えられるわけです。そうでしょう。歯どめが必要だということは、そういうことでしょう。大臣、そうでしょう。ところが憲法の七十六条三項、これは法務大臣、私この際確認しておきたいのですが、ちょっと悪いですが、法務大臣使って悪いのですけれども、お読みいただきたいと思います。七十六条三項、これは重大な問題です。
#124
○国務大臣(西郷吉之助君) いま申しました私が歯どめというようなことばをうっかり使いましたために、裁判の判決また裁判官にあれこれ言っているように誤解を生じましたので、私は取り消したわけでございまして、そういう点につきましては、私もよく心得ておりますが、表現が非常に不適確なために、いかにも裁判を批判したようにとられましたので、私は率直に取り消しをいたしたわけであります。
#125
○岩間正男君 憲法の七十六条三項をお読みいただいて、これについてどうお考えですか。
#126
○国務大臣(西郷吉之助君) もちろん憲法の重要な点は、私も百も心得ておりますので、いま申し上げたようなお答えをしたわけでございます。
#127
○岩間正男君 お読みいただきたいのですが、法務大臣にこれはお読みいただくことは、非常に重要だと思います。七十六条三項、これはぜひこの議事を通じてお読みいただきたい。
#128
○国務大臣(西郷吉之助君) 読まなくてもよく承知しております。
#129
○岩間正男君 これはこういう発言をされた法務大臣としては、お読みいただくことは非常に重要だと思います。しかし、お読みにならんなら私のほうで読みましょう。七十六条三項「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」こういうことですね。そうすると、これは憲法の中で三権分立の立場、司法権の独立、これは何者も侵すことができないということを、厳然と憲法の中で規定している問題です。これに対して法を守る、その最も元締めである法務大臣がこれを侵犯するような発言をされたということは、非常に私は重大な、これは政治責任の問題だと思うのであります。したがいまして、記者会見で、まあ一応取り消されたということでありますが、その取り消しの態度が不明瞭なんです。一番根幹の問題は、取り消しの一番根幹の問題は、この七十六条三項に違反する、いわゆる憲法違反の発言であったと、だからこれは重大な問題だといって取り消されたのでありますか、どうですか。この点ここではっきりすることは非常に重大だと思いますので、もう一度重ねて。
#130
○国務大臣(西郷吉之助君) 取り消しました場合に申しましたのは、いまるる申し上げたとおり、歯どめというようなことばを不用意に使いましたので、それが誤解を生みましたので、それを取り消したわけであります。
#131
○岩間正男君 私のお聞きしていることにお答えを願いたい。憲法違反だからお取り消しになったのですか。どうですか、発言が。
#132
○国務大臣(西郷吉之助君) いまもお述べのような憲法の点についてあれこれというような考えは、毛頭この西郷持っておりません。ただ表現が不適確でありましたために、そういう誤解を生じましたので、その用語を率直に取り消したのです。
#133
○岩間正男君 これは記者会見の席上といっても、公的な場所です。定例記者会見のあとでしょう。そういうところで公的な資格の法務大臣が公的な発言をされた、その中に出てきてるんですから。まっこうから、これは憲法の、この司法権の独立、このものと、これは対決することになるわけです。だからこそ取り消されたんでしょう。で、ことばの用語の非常に不適当だ、こういうことを言われますが、そんなこと問題じゃないわけです。しかも用語そのものというのは、これは全く重大ですよ、法務大臣の発言ですからね。これは一民間人がやったとか、議員が私的に発言したとか、そういうこととは違うのです。公的な場所で公的な発言をされた中で、このような司法権の独立に対して重大な影響を持つような発言をされたということは、これは軽々しく見のがすことはできない。そうしてその背景もまた相当これは深いと言わなければならぬ。この前に閣議が行なわれたわけでしょう。そこで、この発言についての報告があったはずです。そこで論議をされたはずでしょう。そうしたあとでいまのような、これは発言をされるのは軽々な問題じゃないですよ、重大です。私は、そういう点からこれはお聞きしてるんですから、まあ、とにかくことばには含みをもって発言されておりますが、私は七十六条三項に違反すると、そういう点で非常に重大な問題なので、これは、あなたは急いでそのあとの記者会見で取り消しをされたんだと、こう確認してようございますね。
#134
○国務大臣(西郷吉之助君) 先ほど来るる申し上げましたとおり、私の表現が不適確でございましたので、その点を率直に取り消した次第であります。
#135
○岩間正男君 その表現そのものが憲法違反ですから、全くそれは。ことばでははっきり私の言うことを、これはことばの上では言っておられないが、意味はそういうことであったように確認します。
 そこで私はお聞きしたいのですが、現在の日本の裁判官は、御承知のように内閣が任命権を持っています。特に下級裁判所の裁判官は任期が十年、実質的には内閣が生殺与奪の権限を持っていると考えられる。勢い裁判官は内閣の態度に対し、敏感にならざるを得ない立場にある。したがって、内閣の重要な構成員である法務大臣の言動は、慎重そのものでなければならぬのですよ。その立場にある法相が、このような発言をすることは私は許されないと思う。だから、この発言は司法についてしろうとだから許されるとか、あるいは用語の不適確だとか、それから取り消した。それですむという課題では私はないと思うのですね。これについての政治的な責任を、これは法務大臣としてどう考えておられるか、この点について明らかにされたいと思います。
#136
○国務大臣(西郷吉之助君) 先ほど来るる申し上げましたとおり、私の表現が誤っておりましたので、それを取り消したわけでありまして、さように考えておるわけであります。
#137
○岩間正男君 そこで私お聞きしたいのですがね、一体この事件を、これはどうつかんでおったのですか。そうしてこれが判決を出されたわけです。
 第一に、この判決は基本的な権利を、憲法に保障する権利というものは、これは何ものにもかえられない、こういう点を明確にしております。ちょっと読んでみますと、この要旨を読んでみますと、「憲法で保障された表現の自由は、最も重要な基本的人権の一つであり、その制限は慎重に考えられねばならない。公務員の労働基本権の制限の代償として」云々として、それから、人事院勧告の問題に触れておるわけでありますけれども、東京都の一条例によって、この基本的人権が侵犯されておる。それに対して、これは東京地裁の明確な判決が出たわけでしょう、この点について、これは法務大臣どうお考えになりますか。
#138
○国務大臣(西郷吉之助君) まだ判決が二十四日にございましたけれども、まだ判決文ができておらないそうで、私もまだ見ておりませんので、その内容等はよくわかりませんが、公安条例違反事件が今日まで相当数ございますが、その一部が無罪になり、大部分が有罪になっておりますが、一部分の者が無罪になっております。両方判決が出ております。
#139
○岩間正男君 これは重大な発言です。判決文を見られないで先ほどのような発言をされたのですか。
#140
○国務大臣(西郷吉之助君) もちろんそのときは御承知のとおり、いまの、聞いてみますと、判決を、メモで判決を下す場合もあるそうでございまして、したがいまして、そのまだ判決の条文が、裁判官のところでできていないので、それで私も見ていないわけであります。
#141
○岩間正男君 これは要求しておきますが、判決文が出たらこっちにも資料として出してもらいたいと思います。正式なものとして。
#142
○主査(川上為治君) 岩間君時間です。
#143
○岩間正男君 まだ来ない。それで、大体この事件についての経緯を、いままでの経緯は、これは法務大臣御承知でしょうね。この事件そのものはどういうことですか、簡単におっしゃっていただきたい。
#144
○国務大臣(西郷吉之助君) 事件のごく概略はよくわかっておりますけれども、詳細は私もよくわかりませんので、刑事局長から。
#145
○政府委員(川井英良君) 四十一年十月十一日の統一行動において、三百名ほどの人が大蔵省の前の車道の上にすわり込んだという事件を、公安条例違反で起訴したものでございます。それにつきまして、今回東京地裁におきまして、条例は適憲である、つけた条件も適憲である、しかしながら、行なった行為は必ずしも重大なものではなくて、軽微なものであるので、この程度のものは処罰しなくてもよかろう、こういうふうな趣旨で無罪の判決が行なわれたという程度の報告を受けております。
#146
○岩間正男君 これはここでこの内容の問題を、実は時間があればもっとやりたいのですが、簡単に話してみますと、いまお話しのように、公務員共闘会議の事務局長、案納勝氏が人事院勧告の完全実施を要求して、公務員共闘第八次行動の際に、デモ隊を指揮して、霞ケ関の大蔵省の前で約十分間すわり込んだ、こういう事件ですね、これに対して判決は、これは第一にこういうことを述べているわけですね。公務員の労働基本権の制限の代償としての人事院勧告制度がその代償としての役割りを十分果たしていないときに、公務員共闘がその改善実施を要求することは正当である。さらには、そしてその手段としてのすわり込みも、車の交通や人の出入りの支障にならず実害はなかったので、社会的に見て妥当と考えられる、こういうような趣旨のことをこれは述べていると聞いています。
 そこで私はお聞きしたいのですが、法務大臣は、公務員から争議権をはじめとする労働三権を奪った。そしてその代償として御承知のように人事院の勧告制度というものがこれは採択されたわけです。したがって、人事院勧告は当然これは完全実施されなければならぬ、この代償として。この点はこれはお認めにならなければならぬと思うのです。ところが、しかるに政府は、この完全実施をもう多年にわたって実は怠ってきた。そうして、まあこの年はおそらく九月からの実施であったでしょう、現在は七月になっておりますが。で、当然この違法行為は政府がやっているわけです。政府がまず法律に違反している。そうでしょう。したがって、争議権を奪われた労働者としては、公務員労働者としては、これに対する抵抗手段というものは、争議でやれない、したがって表現の自由を使いましてこのようなすわり込みを、しかも人の交通にはほとんど妨害にならないところで約十分間やった。これは当然の行為じゃないですか。これをしも否定してしまったら、
#147
○主査(川上為治君) 岩間君、時間が来ました。
#148
○岩間正男君 これは全く話にならないと思うのです。これはやむにやまれない公務員の当然の行為なんですね。私は、こういう点から考えまして、この内容から考えましても、さらにまあ形の上から考えましても、当然のこのような判決が下されているわけです。ところが、閣議では、これはどういう問題になったのかわからないじゃないですか。政府は自分のことはたなに上げている。そして、自分できめたところのこの人事院勧告制度というものを年々サボって不完全実施をやっている。そうして、しかもそれに対してやむを得ないところの行動をやったこの公務員労働者に対しまして、これを公安条例にひっかけて、そうして告訴する、こういうようなことをやっているわけですね。私は、そういう意味ではこれは東京地裁の判決というものは実情に即した、そうして実害がないことが指摘されているのでありますから、そういう点からいってまあ私は当然だというふうに考えるわけです。この点いかがでしょう。
 それから、時間がありませんからもう一つ次にお聞きしますが、国会がめんどうを見ているのだから、たまにはお返しがあってもいいじゃないかということを言っていますが、これは政府の意思をくんで、それは裁判で手心を加えるという意味なんですか、あるいは、裁判官は権力に服従しろという意味なんですか。これは三権分立の立場から非常に重大だと思う。さらにまた三権分立をほんとうに確立するためには、この予算一つを見ましても、裁判所の予算を定めるときに財政法上にはっきりこれは指摘されておるでしょう。
#149
○主査(川上為治君) 岩間君、簡単に願います。
#150
○岩間正男君 裁判所が組むこの予算が、大蔵省で査定されて削られる、そういう事態があるときには裁判所は独自の予算を出すことができるような、こういうことになっている。これは何かといったら裁判官の身分保障、司法権の独立、その根本につながる重大なる問題なんです。そういう点から考えれば、法務大臣はプライベートに、裁判官に対してこのような態度をとるということは許されないと思いますが、時間がありませんから以上の点、この点をはっきりさしていただきたいと思うし、それからこのような事態、これを契機にして、断じてこの司法権の独立を守るという決意を、この議場であなた表明できるかどうか、このことをお聞きして終わります。
#151
○国務大臣(西郷吉之助君) 先ほど来お述べになりました人事院の勧告は、われわれも御承知のとおり完全実施が望ましいと思いますが、御承知のとおり財源その他で完全実施に至っておりませんが、明年あたりはその理想の線に沿えるものではないかと私は考えております。
 表現につきましては、私がまことに不用意なことばを申しておりますので、それを釈明したのでございますが、なお最後の問題は、先ほども私も申し上げましたが、当然に今後とも私といたしましては、司法の独立並びに権威の向上に、われわれのでき得る限りの惜しみない協力をいたしたいという所存でございます。
#152
○主査(川上為治君) 以上をもちまして裁判所所管、法務省所管に関する質疑は終了したものと認めます。
 以上をもちまして本分科会の担当事項であります昭和四十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所、経済企画庁、法務省、大蔵省及び通商産業省所管に対する質疑は終了いたします。
 なお審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#153
○主査(川上為治君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
 これにて予算委員会第二分科会を散会いたします。
   午後零時二十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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