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1947/10/14 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第35号
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1947/10/14 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第35号

#1
第001回国会 司法委員会 第35号
  付託事件
○岐阜地方裁判所多治見支部を設置す
 ることに関する請願(第十一号)
○帶廣地方裁判所設置に関する陳情
 (第四十九号)
○刑事訴訟法を改正する等に関する陳
 情(第六十号)
○民法の一部を改正する法律案(内閣
 送付)
○家事審判法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○函館市に札幌高等檢察廳支部設置に
 関する陳情(第百四十号)
○法曹一元制度の実現に関する陳情
 (第百四十五号)
○農業資産相続特例法案(内閣提出)
○経済査察官の臨檢檢査等に関する法
 律案(内閣送付)
○裁判官彈劾法案(衆議院提出)
○裁判所法の一部を改正する等の法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○札幌高等裁判所並びに高等檢察廳帶
 廣支部設置に関する陳情(第三百二
 十四号)
○最高裁判所裁判官國民審査法案(衆
 議院提出)
○廣島高等裁判所岡山支部設置に関す
 る請願(第二百八十一号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月十四日(火曜日)
   午前十時五十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○家事審判法案
○裁判所法の一部を改正する等の法律
 案
○行刑問題に関する調査承認要求に関
 する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) 大変お待せいたしました。これより委員会を開きます。本日は家事審判法案を上程いたしまして、前回に引続きまして質疑を継続いたしたいと思います。
#3
○齋武雄君 第三條についてお伺いいたしたいと思います。第三條には「審判は、一人の家事審判官が、参與員を立ち会わせ、又はその意見を聽いて、これを行う。」、こういうようになつております。第三項には「家事審判所は、相当と認めるときは、前二項の規定にかかわらず、一人の家事審判官だけで審判又は調停を行うことができる。」こういうふうになつておるのでありまするが、参與員を立ち会わせて意見を聽くということは必要でありますが、この規定によるというと、「参與員を立ち合わせ、又はその意見を聽いて」とありますので、立ち会わせずして意見を聽いてもよろしい、こういうふうに解釈されるのでありますが、適正な審判を行うためには、参與員を立ち会わせしめて、その意見を聽くことが必要であつて、参與員を立ち会わせしめることなくして、單にその意見を聽くだけでは、審判を行うことは事実上不可能ではないかと思うのであります。法が参與員制度を設けた趣旨に反するものであつて、又調停を行うには、調停委員を加えて調停委員会でこれを行うことが当然であるのであります。然るに若し一人の審判官だけで、審伴又は調停を行うことができるものとすれば、全く参與員及び調停委員の制度を認めた趣旨を没却することになると思います。家事審判所の担当する職務権限は極めて廣範であつて、その事柄は非常に複雑多端なるものでありまするから、審判又は調停の結果が民族の協同生活の上に及ぼす影響は頗る深刻且つ重大なるものがあると信じます。これには是非とも世間の実情に通じた参與員又は調停委員の立ち会い関與が必要とするのでありますが、この法文によるというと、立ち会わせしめないで、單に意見だけを聽くことができる。これは不能ではないかと考えるのであります。又審判員が一人でやることもできるということになつておりますが、この点についてお伺いしたいのであります。
#4
○政府委員(奧野健一君) 家事審判所の権限の中には審判と調停とがありまして、調停はすでに御承知のように、調停委員会というものを組織して、即ち調停主任官たる判事と、調停委員二人ぐらいを入れての調停委員会を作つてやるのと、それから裁判所調停といいまして、調停委員を交えないで、裁判所、いわゆる判事だけの調停、この二つの種類を現在の調停ですべて認めておるわけで、実際は大体において調停委員会を作つてやつておるのであります。そこで現在そういうふうな二つの建前のものがあるので、やはりこの家事審判所の調停の場合もその二つの場合を認めてよかろう、こういうので調停につきましては、調停委員会でやるのと、審判官だけでやる調停と二種を認めた。それと同じように、審判の場合におきましても、大体において建前は参與員を立ち会わせて、その意見を詰問して、これを行うという建前でありますが、場合によつては極めて軽徴といいますか、簡單明瞭な、例えば子供の氏を変便する場合でありますとか、或いは單に相続限定承認の申述べの陳述を受理するというふうな事柄でありますとか、或いは後見人の財産目録を調整する期間を延ばして貰うといつたような極めて小さな、明瞭な事件につきましては、必ずしも参與員を立ち会わせなくても、審判官だけでその審判をやるのが適当である場合もあろうと思いまして、参與員を立ち会わせないでやることもできる。多くは実際は参與員を立ち会わせてその意見を聽いてやるという建前になろうかと思います。そういう意味で調停も審判も審判官一人でやることができるし、参與員或いは調停委員と一緒になつてやることもできるという途を開いたわけであります。只今のように参與員を立ち会わせないでおいて、その意見だけを聽いてやるということは恐らくないだろうと思います。場合によつては参與員が何かの都合でどうしても出席ができなかつたという場合は、事件が相当長く続いておる場合に、或るときは参與員を立ち会わすが、その次の期日には参與員が何らかの工合で來られなかつたというような場合等、場合によつては、そのあとの部分で参與員を立ち会わせなくても意見を聽くということもあり得ると思うのでありますが、大体の狙いは勿論参與員を立ち会わせて、その意見を聽くという建前であります。尤も立ち会わせなくても、例えば禁治産者を病院に入院せしむる必要があるような場合に、どこの病院がよかろうというふうな意見を聽くというふうな場合に必ずしも参與員を立ち会わせなくても、その意見だけを聽くということもある。そういつたようなことまで廣くそういう途を空けておくことも一つのやり方ではないかというふうに考えておるわけでありまして、大体の運用といたしましては、参與員を立ち会わせないで、意見だけを聽くということは殆んどあるまいというふうに考えておるわけであります。
#5
○齋武雄君 そうすると第三條の参與員を立ち会わせて意見を聽くということが原則であつて、立ち会わせないで意見のみを聽く場合においては、簡單な場合においてあり得るというお考えで、こういう法文になつていると了承して結構でありますか。
 それから次は十一條でありますが、十一條は「家事審判所は、何時でも、職権で第九條第一項乙類に規定する審判事件を調停に付することができる。」こういう規定になつておりますが、裁判所は職権だけでなく、当事者又は利害関係のある者から申出でがあつたとき調停に付することができる。こういうことはお考えになかつたかということをお聽きしたいのであります。
 次は十三條の「審判は、これを受ける者に告知することによつてその効力を生ずる。」、この告知ということは口頭の告知をいうのであるか、書面の告知をいうのであるか。私の考えとしては書面の告知を必要とすると考えているのであります。その効力は非常に当事者間に利害関係を及ぼすのでありまして、書面を必要とするのではないが、かように考えておるのでありますが、告知ということについて書面であるか、口頭であるか。口頭でもいいとあれば、それは余り簡單ではないかというお考えはないのか。この点についてもお考えをお伺いしたいのであります。
 以上の三点、即ち先程質問しました第一点と今の二つの点は第一東京弁護士会と全日本弁護士会の意見であります。こういう疑問があるから質問されたいという意見であつたのでありますから、その点についての弁護士会の意見に対してこうであるということを述べて頂きたいと思います。
#6
○政府委員(奧野健一君) お答えいたします。先ず第一点の三條の第一項は、原則としては参與員を立ち会わせて、その意見を聽いて行うという建前でありますが、場合によりましては、別に参與員を立ち会わせなくても、例えばどこの病院がいいだろうというようなことで、その意見だけを聽いてやられる場合もありますので、そういう場合に必らずしもそれのみのために参與員を煩らわさなくてもいい場合に対処できるように、「又はその意見を聽いて、これを行う」というようにいたしたわけであります。
 それから第二点の十一條についてでありますが、これは職権で何どきでも審判事件を調停に廻すことができるというのでありまして、勿論当事者の方から調停の申立てがあれば調停の方を進めて行くことになるわけでありますし、又大体調停をして貰いたいという申出でがあれば、いわゆる職権の発動を促すことになつて、恐らく家事審判所としましては先ず調停を行う、調停に付することになる実際の運営でありまして、そういうことになりますと、むしろ申立て等の手数というものがなくて調停に付せられることになるというふうに考えております。
 次に第三点の告知の方法でありますが、これは御承知のように書面又は口頭で以て告知することができるのでありますが、この点については最高裁判所の定める規則即ち第八條によりまして、審判に関し必要なる事項は最高裁判所がルールで決めるということで、その点はむしろルール事項として委任しておるわけであります。これによつて恐らく少くとも重要なものは書面で告知するということになろうかと考えております。
#7
○齋武雄君 本案の第二條には「家庭に関する事件につき審判又は調停を行うために裁判所法の規定により設けられた地方裁判所の支部は、」となつており、第十七條には「家事審判所は、人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停を行う。」こうなつておりまして、第二條では「家庭に関する事件」ということになつており、第十七條では「人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件」となつておりますが、これはどういう区別でしようか。人事に関する事件というのは、家庭に関する事件を言つておるのであるか、或いはその外に家庭に関する以外の人事に関する事件があるのであつて、二條と十七條と字句が違つておりますが、この点の関係を伺いたい。
#8
○政府委員(奧野健一君) 結局においては同じことになるわけで、家庭に関する事件の中に現在人事訴訟手続法に決められておりますいわゆる人事訴訟があるわけで、而して現在の人事訴訟は普通訴訟の形式、訴えの形式、判決の形式によつてこれを解決しておるのでありますが、この度そういう訴訟には、今まで人事訴訟になつておる事柄についてもやはり先ず調停を試みるということに相成つたのでありまして、即ち現在の人事訴訟のみならず、その他一般の家庭に関する事件について調停を行うということにいたしまして、その管轄を明らかにするために特に詳細に十七條においては規定をいたしたのでありまして、一般家庭に関する事件という中には、現在人事訴訟手続法に規定しておること以外にもあつたわけでありますので、その点第二條におきましては廣い意味において家庭に関する事件、それから十七條は同じことでありますが、その外に人事に関する訴訟も当然含んでおるのだということを明らかにしておるので、十七條は管轄を決める規定であります関係上、ややその内容を詳細に規定したという意味に過ぎないわけであります。
#9
○齋武雄君 そうすると、第二條と第十七條の範囲は同じであるけれども、十七條は細かく具体的に書いたのだ、こういうふうに了解して差支えないでしようか。
#10
○政府委員(奧野健一君) そうであります。
#11
○齋武雄君 第二條の地方裁判所の支部というのはどれぐらいあるでしようか。從前の区裁判所と同じでありましようか。その点を伺います。
#12
○政府委員(奧野健一君) 從來の区裁判所と同数というふうに考えております。
#13
○大野幸一君 私一点お伺いいたします。審判の効力、調停の効力について、各全部を通ずる場合に異なるかどうかをちよつと御説明願いたいと思います。
#14
○政府委員(奧野健一君) 審判は、大体においていわゆる法律関係を形成しまする。例えば禁治産の宣告でありますとか、そういつたようにむしろ法律関係を形成するものでありまして、いわゆるこれは現在の非訟事件的な概念であります。そこで現在の決定に近い性質を持つております。併しながら審判手続におきましても、やはり強制執行を必要とする金銭の支拂い等を命ずる審判もあり得るわけでありまして、その場合には第十五條によりまして、「執行力ある債務名義と同一の効力を有する。」ということになつておるわけであります。調停の方におきましては、第二十一條で「確定判決と同一の効力を有する。」ということにいたして、これは現行法と大体同樣であります。それから今度は調停を相当廣くいたして、審判事件に関するようなものについても調停が成立する場合がある。即ち九條乙類に掲ぐる事項というようなものは、審判もできますし、又調停にも適するという事案でありまして、こういう事案について調停ができれば、それは確定した審判と同一の効力を有することになる。元来が審判に関する事件でありますので、それについて調停ができた場合に、確定審判があつたと同樣に取扱つて行くということになつて参るわけであります。
 尚二十五條等にありますように、婚姻、養子縁組の無効、取消というような事件、或いは離婚若しくは離縁の無効若しくは取消、認知、認知の無効若しくは取消、或いは父を定めること、或いは嫡出子非認の訴えというようなものにつきはしては、実は從來和解ができない。どうしても人事訴訟でやる。而も人事訴訟におきましては自白を許さない。当事者がお互いに爭いがないといつたからといつて、それは公益に関係があるという理由で、裁判所はそれに拘束されないで職権で事実を調査しなければならない。当事者同士が自由勝手に処分ができない性質のものというふうに解釈されておりましたのでありますが、併し婚姻の無効とか取消というふうなことでも、その事実関係について当事者が爭いがないということであれば、その事実が問違つていなければ、審判所の方で更に一應職権で調査した上、これが正当であると認めた場合は、たとえ婚姻又は縁組の無効、取消というようなことについても、合意に相当する審判をすることができる。まあいえば和解或いは調停を許したようなことにいたしたのであります。從來調停ができん。事実上爭いがなくても当事者が自白とか和解ができない関係上、どうしても、判決にまで持つて行かなければならないことは却つて非常に困る、そこで爭いがなければ、裁判所の方は、それをそのまま信用はしないが、職権で更に事実を調査した上で、それが正当であると認めた場合には、丁度調停と審判と同じような意味で、その合意に相当する審判をすることができる。この関係は離婚、離縁の無効又は取消、或いは認知、認知の無効又は取消、父を定むる訴え、嫡出子非認の訴えというようなことにすべて準用いたしたのであります。こういうふうに合意に基く審判といいますか、丁度調停と審判との間のようなものをいたすわけであります。その場合につきましては、この二十五條にありますように、これに対して当事者の間で異議があれば、当然その審判は効力を失つてしまうのでありますが、異議がなければ、その審判は確定判決と同一の効力を有することにいたしたのであります。これは調停に非常に類似しておるわけであります。
 それから又強制調停という名前は非常に適当でないと思いますが、どうしても調停ができなかつた場合に、審判所の方で当事者双方のために公平に考慮して、一切の事情を見て職権で当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で、離婚、離縁その他必要な審判をすることができる。まあ強制調停であります。ところが、勿論この提案に対して不服であれば、二十五條で二週間内に異議を申立てれば、その審判は当然効力を失つてしまうことになるのでありますが、若しその審判所から提案になつておる強制調停の案に異議がなければ、二十五條の末項でやはりその審判は確定判決と同一の効力を有するということになるわけであります。
#15
○齋武雄君 家事審判所の土地の管轄はどういうふうになるのでありますか。
 それから十四條に「即時抗告」ということになつておるのでありますが、即時抗告は執行停止の効力があるのでありますか。若し執行停止の効力があるのであれば、これを規定する必要があるのではないかと思うのでありますが、この二点について……。
#16
○政府委員(奧野健一君) その点は、実は土地の管轄或いは申立権者に関する詳しい規定を一應作つたのでありますが、そういたしますと、非常に厖大なものができて参るので、そういうものは場合によつては、むしろ最高裁判所のルールに入れた方が適当であろうということで、土地の管轄につきましては、第八條のいわゆる最高裁判所のルール事項として、一應案から除いてルールに委ねたわけであります。
 それから執行の停止の点につきましても、これは即時抗告によつてやれば、十三條の但書によつて確定いたさないことになるわけで、確定しなければその効力を生じませんから、むしろ執行力も生じないことになるわけであります。
#17
○齋武雄君 土地の管轄は、私は法律で決めた方が適当でないかと考えております。最高裁判所は家事審判の手続に関することのみを規定するのが本当で、土地の管轄は手続でないと考えるのでありますが、そういう点について厖大になるから、家事審判所のそういうことは最高裁判所の規則に一任したということでありますが、何かそういう点において、ただ厖大だということでそうなつたのでしようか。何か根拠があつてそうしたのでしようか。
#18
○政府委員(奧野健一君) ただ厖大であるからというわけでありません。大体土地の管轄の範囲等は最高裁判所が決めることになつておる。まあ大体支部の権限、支部の管轄区域というようなことは、すべて裁判所法に基きまして最高裁判所の決めることになつておりますので、その支部の管轄権限を決めると同時に、それらの点について大体……これは各事件ごとに書くとすると極めて数は大きくなるようでありますが、大体これは相手方の住所地を管轄する家事審判所ということになりますので、事柄は割合に簡單で、一号からずつとある管轄に属する実体についての管轄裁判所を決めるということになるので、一々詳しく規定すれば非常に厖大になると思いますが、各事件ごとに決めれば厖大になりますが、事柄は、大体において相手方の住所地の審判所……ところが相手方が数人おるような場合はどうなるか、そういつたような事柄が多少問題になつて参りますが、大体支部の管轄地域等はすべて最高裁判裁判所が決めることになつておりますので、そういう事件、実体については、この審判法にどういう事件を審判するということがずつと列挙しておりますが故に、その裁判所の管轄、地域的な管轄については、むしろルールが適当であろうということで落したわけであります。
#19
○大野幸一君 私は第十條の参與員の選任方法についてお尋ねいたします。最も民主化された國は、どうしても選挙というものを重じなければいけない。裁判官も檢事も警察も選挙でするのが一番の理想と思つておるのでありまするが、参與員くらいの程度の人ならば、選挙して選んで十分じやないかと思うのであります。現段階においても十分じやないかと思うのでありますが、この第十條ではやはり從來のごとく、地方裁判所が選任する、こういうことになるのであります。この地方裁判所の從來の選任方法を見ると、その土地の有力者、或いは又素封家、有名人、こういうような人を選任する場合が多いのであります。これからの民主國家では、從來の標準による人が強ち適任とは考えられませんから、その点について最高裁判所にその選任に関する必要な事項が委ねられておるとしても、本員としては、最高裁判所が十分に新らしい國ができたという観念において処理せられることを望むのでありますが、政府の御所見はどうか。こういう点であります。
 第二点は、先程十三條について齋委員より、御質問がありました告知の方法は、口頭によるものと文書によるものとあるということでありまして、重要な点は文書によるのだというお話でありましたが、少くとも即時抗告のできる審判に対しては、文書による告知が絶対に必要であると考えます。この点について政府はどうお考えになりますか、お尋ねしたい次第であります。
#20
○政府委員(奧野健一君) お答えいたします。第一点につきましては、一應その参與員の候補者といいますか、そういう者を決めて置きまして、その中から各事件について家事審判所がこれを指定するということになつておりますが、併しその地方裁判所が、前以て選任するそのやり方につきましては、第三項で選任さるべき者の資格でありますとか、員数その他選任に関し必要な事項は最高裁判所が決めることになつておりますので、最高裁判所が候補者を予め或る選挙で決めるというふうなこともやつてやれないことはないと考えますが、できるだけ民主的な方法によつて、そういう候補者が選ばれるべき事柄であることは我々も同意見であります。これは選任に関する事項をどういうふうに決めるかは、最高裁判所の專権に委ねておるのでありますが、只今の御意見の点は篤と最高裁判所の方にもお傳えいたしたいと考えております。
 次に、少くとも即時抗告のできるような事件の告知は書面でやるようにという点でありますが、我々も全く同意見でありまして、その点もルールの際の注意の点として、最高裁判所の方によくお傳えいたしたいと考えております。
#21
○松井道夫君 一二点お尋ねしたいと存じます。後で入つて参りましたので、多少重複する点があつたら御注意願います。
 第二條によりますと、この家事審判事件のために特に地方裁判所の支部を設けるということになつておるようですが、この支部は大体どういう場所に設けることができるのか。設ける予定であるのか。今の裁判所法の規定で、支部というものを設けることができるし、又設けられておるのですが、現在できておる支部の範囲と大体一致するのかどうか。又この人員はどういう程度に配置せられる御予定であるのか。さような点をお尋ねしたいと思います。
 次に甲類と乙類というものを分けて、それについて各所でいろいろ区別して規定があるようですが、これをこういう区別をしないで、事件の性質によりまして、当事者の取るべき手段というもの、例えば訴訟とか、家事裁判とか、或いは調停とか、そういうものは当事者に一任して置けば一番簡單でいいようにも存ぜられるのであります。その点をお尋ねしたいと存ずるのであります。
 それから非訟事件手続法或いは人事調停法等とどういう関係に相成るか、その点をお尋ねしたいと存じます。
#22
○政府委員(奧野健一君) お答えいたします。質問の第一点についてでありますが、第二條、このこの支部といいますのは、実はやや御説明を申上げなけれれば御理解がむずかしいのじやないかと思いますことは、從來支部というのは、ただ地域的な関係において支部を設けるということで、事柄について別に本廳といいますか、地方裁判所とは別の事件の取扱いについての支部というものは今まで実はなかつたのであります。ところが、今度家事審判所というものをどういう性格にするかということで、單に区裁判所一般、或いは地方裁判所一般ということではなく、或いは地方裁判所の一つの部、民事部とか、刑事部といつたような部といつたことにするか、いろいろこれは問題がありましたが、これは普通の裁判所とは少しく感じの変つた軟かい感じを出して、地方裁判所の家事審判部というふうなのでやはり少しく適当ではない。或いは裁判官についても、資格は判事であるけれども、やはりこれを審判官と名称を附け、同時にその事件を取扱うその裁判所を家事審判所という名称にすることが、民衆に非常に親しまれ易いというような考えから、実は支部というのは、そういう事件だけについて、この家事事件だけについて取扱うところの地方裁判所の一つの支部、言い換えれば、今までは地域的な支部を考えておつたのが、事件の事物管轄に関しての支部という建前で、地方裁判所の支部ではあるけれども、それは事物の管轄に関する支部で、單なる地域だけの支部ではないという特殊の支部を設けることにしたわけであります。そうしてこれは現在地方裁判所の所在地にある五十九の箇所は、独立に家事審判所という名前の支部を設けたいと考えております。特に東京あたりでは東京地方裁判所の管内で、やはり二つくらいの支部は設けなければならないのじやないか、或いはもつとそれ以上に家事審判所を設けてもいいのではないか、そういう事項別の支部を設けたい。即ち少くともそういう地方裁判所所在地の專任の者が審判官となつて、家庭事件のみを取扱う、そういう家事審判所というものを設けたいと考えております。その他のいわゆる從來の区裁判所に該当する大体二百七十八ケ所につきましては、これはそういう專任の人を当てるということは実はできない。將來の問題は別として、差当りはそういう專任の審判官並びに独立した家事審判所というのはできませんから、一應從事の区裁判所が今度地方裁判所支部に全部なりますが、そこでやはり看板としては家事審判所ということになり、そうしてその裁判官は審判官ではありますが、その裁判官は家事審判事件のみを取扱わないで、やはり兼任で他の一般の民刑事の事件をも取扱うということになろうかと思うのでありまして、そういう意味で、全く專任でやるのは從來の地方裁判所五十九ケ所が專任で、その他の区裁判所にもやはり家事審判所なるものは設けられますが、それは審判官は專任とは参り兼ねる、他の事件をも兼任するという関係になると考えております。
 それから次に、九條で甲類、乙類の分類はこれは止めた方がよくないかという御意見であります。大体分けましたのは、甲類と申しますのは調停に適しない事件、乙類と申しますのは、調停に適する事件を挙げたのであります。例えば禁治産の宣告をするというふうな場合に、これは和解でどうこうということがちよつとできません事柄のものでありまして、話合いで歩み寄りといつたようなことができない。どうしても審判しなければならん性質のもので、調停で、円満といいますか、話合いで歩み寄りといつたようなことの不可能なものを甲類にいたしまして、乙類は、やはり審判ではあるけれども、そこに調停可能な、例えば資産の分割でありますとか、或いは扶養に関する処分でありますとか、或いは又婚姻の費用の分担、或いは又離婚の場合の財産の分與に関する処分というようなものが、非訟事件手続的な法律関係を持つという意味で、審判的な性質ではありますが、これは話合いで和解に適する、調停に適するということからして、乙類ということにしまして、乙類に関する事柄につきましは、即ち第十七條で、一般の家庭に関する事件については、先ず調停前置主義ということにいたしましたが、やはり九條第一項の甲類に規定する審判事件におきまして調停は行えない、調停不可能な事件でありますから、家庭事件の中で調停可能な部分だけについて先ず調停を行うというようなこと、その他乙類と甲類によつていろいろ違つて参りますので、むしろこういうふうに分けた方が適切であると考えて分けたわけであります。
 次に非訟事件、人事調停或いは人事訴訟との関係はどうかという問題であります。大体審判手続は非訟事件手続に類する、カテゴリーは非訟事件に該当すると考えるのでありますので、現在の非訟事件手続法に規定しております多くの事件がこの家事審判所の審判手続の階梯の中に入つて参ります。それからそれと同時に現在の人事訴訟手続に含まれている事件の大半が又この家事審判所法の中に出ておるわけであります。そういう意味で非訟事件手続法と人事訴訟手続法とは大幅に変更いたさなければならんことになつて参るのであります。そこで実はこの附則の経過規定はそういつた人事訴訟法並に非訟事件手続法の改正も織込む予定でありましたが、その外にもいろいろな点について影響するところがありますので、一應この家事審判所法が成立いたしました曉に追つかけまして、家事審判所法施行法というものを御審議願いまして、その経過的な人事訴訟法、勿論まあ人事調停法等は廃止になる予定でありますが、その廃止になる法律でありますとか、人事訴訟手続法の改正を織込んで家事審判所法施行法というものをこの次の國会に審議をお願いしたいと考えております。その際にそういつた手続の関係は明らかになるものと思つております。
#23
○松井道夫君 ちよつと細かい問題で恐縮でありますが、例えば只今の御答弁の中に、甲類の方はこれは調停に適しないのだということでございましたが、大体の事件を拜見いたしまするのに御説の通りなのであります。ただ禁治産、準禁治産、禁治産について特に例として挙げられたのでありますが、禁治産も必ずしも調停に適さんわけではないのであります。事件そのものの関係から見まして、果して心神喪失の状況であるかどうかということは、これはいろいろ爭いになるように思う。一旦裁判所で禁治産の宣告をいたしましても、これからの制度はどうなるか分りませんが、今の制度でありますと、それは爭うことができるというようなことになつておるかと存じますが、殊に準禁治産というものになつて來ますと、これは浪費者が入つて來ておりますので、浪費をするので困る、財産をどう管理したらよいかというようなことが主たる問題となつて出て來ると思います。準禁治産は心神耗弱の場合でも同じであります。更にその意味は禁治産の方にも入つて來ると思います。これは必らずしも調停に適せんわけでもないと存じます。これはまあ私の意見でございますから……。
 次に第二点といたしまして、今の財産分與、これは離婚事件などがありますと、それと一緒に判決も裁判所で判断してどのように分與したらよいかということを決める。殊にこれからはまあ沢山あるでしようが、夫婦共稼ぎでやつて來た場合、その財産についてどの位妻が貢献しておるかといつたようなことは、なかなか爭いになることが多いかと存ぜられるのでありますが、これはこの判決では決められん。又そういう筋でもないかとも存ぜられるのであります。これを今の審判事件という方へ持つて來た理由をお伺いしたいと思います。
#24
○政府委員(奧野健一君) 第一点につきましては、成程まあ自分が準禁治産の宣告を受くべきでないというような場合には、勿論そういう審判がありましても、それに対して即時抗告等によりまして、これを覆えすということがあるわけでありますが、ただ和解で審判をするということもできませんし、それから和解で取下げて貰うというようなことは考えられますが、どうもそれは取下げて貰つたらよいので、調停とか和解によつて禁治産宣告と同一の効力を持たすといつたような調停は不適当ではないかという意味で甲類に入れたのであります。無論事実上の話合いでそういう訴えを取下げて貰うというようなことも考えられますが、それは事実上で、そういう場合に、和解として或いは調停として効力のあるような、何らかの審判に代わるような調停はなかなかできなかろう、性質上禁治産の宣告のようなことを調停でやるということができないという意味で乙類に入れたのであります。実事上の話合いで取下げて貰うというようなことは勿論できることと思います。
 次に財産分與についてでありますが、お話の点は非常に御尤もな点でありまして、実はこれは御審議を願つております民法の七百六十八條で、財産の分與の請求ができる、分與について、当事者間に協議が調わないときは、先ず家事審判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。「家事審判所は、当事者双方がその協力によつて得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分與をさせるべきかどうか並びに分與の額及び方法を定める。」ということになつております。それを受けまして、乙類の第五号に財産分與に関する処分を家事審判所が行うことにいたしたのであります。只今読みました七百六十八條第二項というのは、協議上の離婚の場合でありまして、この協議上の離婚に関する規定が裁判上の離婚に準用になつておりまして、七百七十一條にその條文が準用されておるわけであります。そこでこの準用の際、判決によつて離婚の判決をして、財産分與についてのみ家事審判所に別に申立てをするということはいかにも不便であつて、むしろその場合に裁判所が財産分與の点についても判決をするのが適当ではないかという議論が起り得るので、その点は御尤もと考えるのであります。そこで只今申しました家事審判法施行法の案におきまして、裁判上の判決をする場合には、裁判所も財産分與についての判決ができるということを入れることになつております。その他、それと同じような事柄は離婚の場合に親権者を決めるというような点についても、これは民法の方では離婚に裁判の方で親権者を決めるということにいたしたのでありますが、今度は先ず調停で決まるというような場合には、調停の中でそういうような親権者を決めることも掲げるのが適当であるというふうに考えます。それから審判所と裁判所との関係について、家事審判法施行法でその点をいろいろと調整をいたして行くことになつております。
#25
○委員長(伊藤修君) 午前中はこれを以て質疑を終りまして、午後一時まで休憩することにいたします。
   午前十一時五十三分休憩
  ―――――――――――――
   午後一時五十九分開会
#26
○委員長(伊藤修君) 午前に引続きまして委員会を開会いたします。家事審判法案の質疑を継続いたします。
#27
○齋武雄君 第二十四條についてお伺いしたいのであります。二十四條の後の方にこういうことがあります。「職権で、当事者双方の申立の趣旨に反しない限度で、事件の解決のため離婚、離縁その他必要な審判をすることができる。」こういう規定になつておりますが、必要な審判というのは例えばどういうものであるかということをお伺いしたいのであります。
 それからいま一つは「当事者双方の申立の趣旨に反しない限度」、これはどういう意味であるか。「当事者双方の申立の趣旨に反しない」ということになると、両方立てなければいけないかというふうにも考えられるのでありますが、これはどういう意味のことをいうのであるか。この二点についてお伺いしたいのであります。
#28
○政府委員(奧野健一君) これは強制調停ということになるわけでありますが、調停がどうしてもできなかつた、ところが小さな開きで調停が纒まらない場合に、裁判所の方で、職権で、或る審所の案といいますか、それを示した場合に、これに対して異議がなければ調停が成立したものとして取扱う場合が相当あるのじやないかというので、これを規定いたしたのでありますが、やはり離婚、離縁というふうな調停の申立てがあつた場合に、その趣旨に反しない、まるで当事者両方の全然申立てもないことを審判で押付けるということは適当でないのですから、ここではやはり双方の申立ての趣旨に副つたような限度で審判するという標準を示したわけであります。例えば双方とも離婚の申立てをしない場合に、離婚の審判をするということは適当でないのであります。双方とも離婚の申立てがあつて、或いはその財産分與等について爭いがあつたような場合に、財産上の給付、財産の分與について適当なる判断をして、その審判に対して当事者の異議がなけれがそれで一應調停ができたこととして取扱う。要するに双方とも全然申立てもしない、いわば、とんでもないようなことは勿論やらないのだという趣旨を現わしたのが、「当事者双方の申立の趣旨に反しない限度」という括りを付けたわけであります。「その他必要な審判をすることができる」というのは、離婚或いは離縁の事件のみならず、或いは離婚、離縁はいいが、財産分與について爭いがあるというような場合は、その財産分與についての審判をするといつたような事柄を、「その他必要な審判をする」というふうに言つたわけであります。
#29
○齋武雄君 そうするとこういうふうに了解してよろしいでしようか。離婚、離縁というのは、單に例示に過ぎない。家庭上のことであるなら必要な審判はできるのである。こういうふうに了解してよろしいでしようか。離婚、離縁は例示に過ぎないのだということでいいかどうか。
 それから「当事者双方の申立の趣旨に反しない」ということは、片方が離婚の申立てをして、片方がそれを拒んでおる場合において、或いは離婚をする、或いは離婚は排斥する、こういう審判はできるのであるけれども、事件に関係ないものは審判できないのだということでありますが、そうすれば、その事件以外の者は審判しないのだ、こういう意味でよろしいかどうか。当事者の意思に反してもどうしても解決する場合、一方が意思に反しないで、一方が意思に反する場合がありますが、併し事件ならいいので、事件以外のことは審判できないという意味でありましようか。いま一度……。
#30
○政府委員(奧野健一君) 勿論全然関係のないことをやつても、これは異議等によつて効を失うことになりますから、恐らくそういうことをやる方はないと思いますが、大体におきまして丁度訴訟物といいますか、大体それが問題になつておる。双方の申立ての趣旨によつて、おのずから何が問題になつておるかということが明らかになつて來るので、その限度においてまあ強制調停だから何でもやれるというのではなくて、やはり訴えれば訴訟物或いは申立ての限度というのがおのずから決まるのでありますが、ただ調停は、訴訟のように訴訟物が極めて明白になつていないので、いろいろなことを言いますので、或いは「原告の請求の限度において」というようなことも言い得ない。要するに当事者双方の趣旨によつて、おのずからやはり訴訟にすれば訴訟物というようなものが決まつて來る。その限度で「事件の解決のため離婚、離縁その他必要な」云々の離婚、離縁というのはお説のように例示に過ぎないわけであります。その外に離婚の場合によつては財産の分與の事柄を附けたり、或いはその他必要な附随的なことを審判することができますが、これは根本において当事者の考えてもいないことをやるというのでなく、当事者双方の申立ての線に沿うてやる。事件の解決のためには適当な審判をするという趣旨であります。
#31
○岡部常君 これは事句のことでございますが、今問題になりました二十四條「当事者双方のため衡平に考慮し」とありますが、衡平という字は英法のエクィティーから來ておるものと察せられますが、一体に文字を平易にするときとしては、衡平というものは法律的にはいい言葉だとは思いますが、何かもつと平易な表現があるじやないか從前の表現にしたらそれに何か合うようなものはございましようか。それをちよつとお尋ねしたいと思います。
#32
○政府委員(奧野健一君) これは御承知のように金銭債務調停法の第七條等におきましても、この字を使つておりまして、お説のようにエクィティーということに該当すると考えております。まあ外に「公平」を書くのも、この場合に何だか適当ではないので、やはりエクィティーということを現わすのには、從來通りのこの表現がいいではないかと考えて、お説のようにややむずかしい字になつておりますが、大体法律語としては多く了解できることと考えて、從來通りの表現を踏襲いたしております。
#33
○岡部常君 そういたしますとこの條文は「衡平に考慮し、一切の事情を観て」とあつて、「一切の事情を観て」が「衡平」の後になつておりますけれども、むしろこの「一切の事情を観て」を上にして「衡平に考慮」するといえばいいような感じがいたしますが、どんなものでございましようか。
#34
○政府委員(奧野健一君) これは丁度金銭債務臨時調停法の第七條がこういうふうな順序、当事者双方の利益を衡平に考慮して、その他一切の事情を観てというふうになつておりますので、その用例を踏襲したに過ぎないのであります。
#35
○岡部常君 これは午前中に二、三度政府委員の方からお話がございまして、この最高裁判所の定める規則によりということを再三おつしやいました。これは憲法の第七十七條に「最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。」と、ここから來た言葉であろうと察するのでありますが、この條文から見まして、訴訟に関する手続というようなことが書いてあるところから見まして、何か從前の法律、命令、規則というものとはいささか違つたような感じがいたす。つまり規則というものには、從前の意味の規則でなく、もう少し強い力を持つたものではないかというような感じが出るのでありますが、何だか新らしい用例でも解釈付けられますのかどうか。その点をちよつと……。
#36
○政府委員(奧野健一君) この点は、大体の狙いは只今おつしやいましたように、訴訟手続に関して最高裁判所がルールで以ていろいろな訴訟手続のことが決め得るという、これはまあ憲法の規定から当然にそういう権限を與えられております。そこで八條もやはりその一つのルールの中に入るのでありますが、憲法で委ねられているよりも多少拡げて、いわゆるこの法律によつて委任をいたしておる考えも入つておるわけで、本來憲法に與えられた訴訟手続のルール・メーキング・パワーのある外に、委任によつてそういうことも……それより多少外に出ても委任ができるのであろうと考えるのでありまして、それらを含めてこの部分には最高裁判所が当然憲法の規定によつて定め得るものもございましようし、場合によつては、この法律の委任に基くということも考えられる両方を含めて置いたというように考えております。
#37
○岡部常君 実はそういうようなことでもありはしないかと思つてお尋ねしたわけでありますが、そういたしますと、この憲法第七十七條の訴訟に関する手続というものがどういうふうな意味を持つのかということもちよつと考えさせられるのであります。法律、つまり國会では何ら手を触れることのできない、又一つの政令にもよらない一つの力のあるものができたということに解釈してよいのでありましようか。
#38
○政府委員(奧野健一君) 憲法にいわゆる訴訟手続、或いは司法事務処理、いろいろなことについて最高裁判所の規則の制定権を認めているということは、法律にも政令にもよらないで、最高裁判所の規則で、そういつたような或る一種の立法ができる権限を與えておるというふうに考えております。即ちその範囲においては、訴訟手続とか、あそこに規定している範囲においては、最高裁判所が、法律或いは政令によらないで、そういう規則を決める。そこでそういう意味で政令、法律以外に或る程度の立法権といいますか、そういう規則制定権を裁判所は持つているわけでありますが、然らば訟訟手続として最高裁判所がルールでどの範囲のものが作り得る限度かということは、実は非常にむつかしいのでありまして、或る説は、すべて訴訟手続のことは、法律を以ては規定ができない、すべてルールでなければいけないという極端な議論もありますし、又権利義務に直接関係のあるものだけは法律で規定すべきもので、それ以外の純粹な訴訟の手続に関することだけが最高裁判所のルールで決めるんだ、或いは大体の骨組だけは法律で決めなければならないが、それ以外のデテールに関する事柄は、最高裁判所のルールで決めるんだというので、ルール・メーキング・パワーの範囲というものが非常に定説がないような状態で、その考え方如何によつては、非常に廣い範囲にルールを作ることができるし、又考え方によつては、非常に瑣末な点について作るということになつて、その程度がアンビギアスなことになつておるわけであります。法律でこういうように委任すれば、少くともいずれの説を採るにしても、相当の点についても規定が作り得るというふうな考えから、そういう規則制定権の本來の範囲の如何という問題もありますが、その上にこういつたような或る種の委任をいたすことが、安心していろいろな規定を作れる権限を與えることになるというふうに考えたわけであります。
#39
○岡部常君 ルールとか、ルール・メーキング・パワーとか、いろいろ英語の表現を以てしなければ御説明が甚だ困難なように受取れるのであります。そういうような曖昧な点がございますと、今後の問題としていろいろなことが残るのではないかと考えられます。その点は一つ最高裁判所等と早く折衝せられまして、解釈を確定されておかれた方がいいのではないかと考えるのであります。これはお答えを要しませんが、そういう私の希望を申述べて置きます。
#40
○齋武雄君 家事審判事件の審判の形式は、判決という形式によるのであるか。決定であるか。或いは外に、審判という名前によるのであるか。どういうお考えであるか、お伺いしたい。
 それからいま一点は、この法律は二十三年の一月一日から施行されることになつておりますが、最高裁判所が多くの規則を定めることになつておるのであります。そうすると、一月一日からですから、最高裁判所はそれまでに規則を作る必要があるのでありますが、最高裁判所にその用意を要請されておるのであるか。この点を……。
#41
○政府委員(奧野健一君) 審判は、この法律上の性質から申しますと、判決ではなく、決定ということになります。非訟事件手続法等の決定ということになります。或いは形式は審判というような名前でやられることと思いますが、その性質は判決ではない。言い換えれば、決定ということになるという考えであります。
 それからこの法律は、民法の改正法律が來年の一月一日から施行されると同時に、施行いたしたいと考えるのでありまして、これは最高裁判所とも十分連絡をとつて、それまでに最高裁判所の規則ができ上るようにいろいろ事務的に連絡をとるつもりであります。
#42
○委員長(伊藤修君) この法案は、御承知の通り、民法と関聯を持つておりますが、只今民法は衆議院でまだ審議中でありまして、衆議院の審議の結果によりまして、本案について最後の決定をいたしたいと思います。本日はこの程度で終局いたします。
 次に裁判所法の一部を改正する等の法律案、衆議院迴付に係るところの修正付きの議案を議題といたしまして、これが質疑を継続いたします。尚本日司法大臣と大藏大臣の御出席を求めて置きましたが、司法大臣は労働委員会の方で是非というので、その方へ出席中でございますから、司法省関係については司法省の各政府委員で御了承を願いたいと思います。では発言の通告によりまして水久保君。
#43
○水久保甚作君 この前、即ち十日の委員会でありますが、その委員会のとき衆議院において修正されて参つておりますところの裁判官の一級又は二級というものを全部一級にしたというふうに修正されて参つておるようであります。それで本委員会におきましてもやはり鬼丸委員を主といたしまして、どうしても一級官にしたいという意見に殆んど一致をしたようであります。そのとき司法省側と大藏省の主計局長との間に意見が違つておりました。大藏省の政府委員といたしましては、今日の場合到底そういう修正は認めがたいという意見であつたようであります。それで委員会側はどうかと見ておりますと、やはり修正しなければならん。その理由はすでに鬼丸委員が申された通りで、速記録に明らかでありますから、この点につきましては私特に申上げません。その要点をちよつと申上げて見ますと、終戰後今日の日本の治安が非常に紊れておる。この紊れておることをどうして整然たらしむるかということにつきましては、皆齊しく國民の憂うるところであります。心配をしておるところであります。それでこの際はやはりその取締りするところの法律の執行に当つて、その人を得なければ到底この目的を達することはできないというような意見であつたようであります。それで今裁判官の方は地位が低いというので、非常に欠員が多い。その欠員を補充するには今日の場合、直ちにその人を得ないということでありまして、それを得ないということは待遇が低いからであるということに帰結いたしたわけであります。そういたしますと、先ず私はかくのごとく裁判官の地位が低いならば、なぜ予算閣議のときにおいて、司法大臣はその問題を取上げて大藏省との折衝をされなかつたかということを考えておつたのであります。それで司法省の方では、そういう考えは持つておつたけれども、到底その目的を達することができない。いわゆる一級官に進むことはできないという考えを持つて、控えておつたということであります。大藏省の方におかれましては、これは他の官廳との権衡もあり、無論予算の関係もあるのであるが、到底これに應じられない。こういうふうに意見が対立いたしたのであります。そこで私は見るに見兼ねまして、これは事務的関係の政府委員で解決のできる問題でないという考えを持ちましたから、これはよろしく大藏大臣、司法大臣の出席を求めて、そうして愼重審議すべきものであるということを申出たわけでありました。それで今日大藏大臣がお見えになりましたから、ここで少しこれは重複もいたしましようけれども、私の考えを申上げて見たいと思うのであります。
 それは今までの大藏省の答弁の方を反駁して目ますと、今までは各省との権衡上、その関係がどうしても司法省だけ一級官にするということにすると、他の官廳についてやはり権衡が取れないということが主なる原因になつておるようであります。そこで私は、今日のこの治安を救うには裁判官の力によつてこれが解決されるのでありますから、これに対しましてはやはり今までの旧慣は脱却いたしまして、そうして新日本建設という意味から、いろいろ障害もありましようけれども、又予算の上にもいろいろの問題があろうと思つてをりますが、併しながら今日の場合、この治安関係は、鬼丸委員の速記録によつて明らかでありますから申上げませんが、誠に重大な立場にあるのであります。靜岡刑務所の脱獄事件のごとき、その話を聞きましても、又全國に亘つてさような事件が起つておるようであります。今日この法の運用を過ちましたならば、とても國民が安心して生活することはできないという現状にあるのであります。かくのごときこの治安の関係を考えますときに、予算の問題のごときは、これが一億円の特別予算を要求しようとも、これに対しては大藏大臣たる資格において、國家を救うものなりという立場において解決されてよろしい問題だろうという私は信念を持つておるのであります。又、司法大臣におかれましても、かくのごとき重大問題をお考えになつておられたならば、これに対して堂々と閣議においてその主張をなし、その目的を達成せられなければならなかつたと思うのでありますが、不幸にいたしましてそういう道程を取つておりません。ただ衆議院の修正によつてそのことが問題になつたようでありますが、これは事務的の関係から止むを得なかつたろうと私は思うのであります。それで又衆議院が殆んど一致を以てこれを修正いたしました以上は、又参議院においても当然これは修正すべきことは勿論であると私は信ずるのであります。どうかこの点について大藏大臣の率直なる、簡明なる所見が承わりたいのであります。
#44
○國務大臣(栗栖赳夫君) お答えいたしますが、それについて一つお願いがあるわけでございます。これは実は一級官、二級官というようなことにつきましては、つい最近こういう制度に変つたことでございますし、そうしてその運用の実際その他についての事実を一應申上げたいと思うのでありまして、そうしてここで私簡明に御返事をいたしたいのでありますが、その前に懇談会か何かの形式において、その事情その他もお耳に入れまして、然る後に御返事を申上げたい。実は主計局長も参りましたのでございますが、これは專ら予算を出す方の役をいたしておりまして、本來給與局長の仕事でございますので、今日は帶同しまして、そうして給與局長から詳細なところも一應申上げ、どういうように運行されておるかということもお耳に入れまして、然る後に御返事を申上げたいと思う次第でございますが、懇談会を……。
#45
○國務大臣(鈴木義男君) この問題は頗る重要であると共にデリケートでありますから、正式のお答えをいたします前に、一應隔意なき懇談を遂げて、よく御了解を得たいと思いますので、司法大臣としても懇談会をお開き下さるようにお願いいたしたいと存じます。
#46
○水久保甚作君 只今大藏大臣、司法大臣から、この問題の重要性をお考え下さいまして、懇談会を開きたいという希望であるようでありますから、了承いたします。
#47
○委員長(伊藤修君) それでは只今両大臣からお申出でもありますから、これより懇談会に移ります。
  午後二時三十五分懇談会に移る。
  ―――――――――――――
  午後三時二十三分懇談会を終る。
#48
○委員長(伊藤修君) それではこれより再開いたします。只今懇談会で種々御協議願つた事項につきまして、尚改めて、明日司法大臣と大藏大臣、それから私と衆議院の司法委員長と四者において更に協議いたしまして、これが取扱い方について善処いたしたいと思いますが、勿論その協議の結果につきましては当委員会にお諮りしてこれが御決定を願うことにいたしますが、大体話の筋道と結論だけを明日の会同によつて得たいと存じます。さように計らわして頂きたいと存じます。
 次に先達て來、非常に当委員会において熱心に問題にされておりましたところの行刑に関しまして、行刑の作業とか、或いは行刑の設備とか、その他行刑の人員の関係とか、待遇とか、囚人に対するところの待遇とか、そういう面につきまして非常に問題もあることと存じますし、法務廳が今度設置される場合におきまして、從來局として残されておつたものが、今度は法務廳のある構想によりますと、執行部の一つの課ぐらいのものにしかならんというようになつてしまいます。そういたしますと、我々委員会の今日まで受けるところの考えと非常に違つた、拡大するにあらずしてむしろ縮小されて行くというような形になつて参りますから、特にこの点に対しまして当委員会で調査承認を要求することにしたいと存じますが、いかがでございましようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○委員長(伊藤修君) それでは当委員会において行刑問題に関する調査承認を要求することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○委員長(伊藤修君) 御異議ないものと認めます。この調査の方法、期間その他内容につきましては委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○委員長(伊藤修君) あように決定さして頂きます。
 明日は御承知の通り法案の整理をいたしたいと存じまするし、尚請願及び陳情が六件ありますから、これが決定をいたしたいと存じまするが、誠に恐縮ですけれども、午前本会議と並行いたしまして、これが採決をいたしたいと思いますから御出席を煩わしたいと思います。本日はこれを以て散会といたします。
   午後三時二十六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鈴木 安孝君
           松井 道夫君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           奧 主一郎君
           水久保甚作君
          池田七郎兵衞君
           岡部  常君
           小川 友三君
           西田 天香君
           中村 正雄君
  國務大臣
   大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
   司 法 大 臣 鈴木 義男君
  政府委員
   大藏事務官
   (主計局長)  福田 赳夫君
   大藏事務官
   (給與局長)  今井 一男君
   司法事務官
   (民事局長)  奧野 健一君
   司法事務官
   (行刑局長)  岡田 善一君
   司法事務官
   (官房臨時企画
   部長)     赤木  曉君
ソース: 国立国会図書館
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