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1947/10/15 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第36号
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1947/10/15 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第36号

#1
第001回国会 司法委員会 第36号
  付託事件
○岐阜地方裁判所多治見支部を設置す
 ることに関する請願(第十一号)
○帶廣地方裁判所設置に関する陳情
 (第四十九号)
○刑事訴訟法を改正する等に関する陳
 情(第六十号)
○民法の一部を改正する法律案(内閣
 送付)
○家事審判法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○函館市に札幌高等檢察廳支部設置に
 関する陳情(第百四十号)
○法曹一元制度の実現に関する陳情
 (第百四十五号)
○農業資産相続特例法案(内閣提出)
○経済査察官の臨檢檢査等に関する法
 律案(内閣送付)
○裁判官彈劾法案(衆議院提出)
○裁判所法の一部を改正する等の法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○札幌高等裁判所並びに高等檢察廳帶
 廣支部設置に関する陳情(第三百二
 十四号)
○最高裁判所裁判官國民審査法案(衆
 議院送付)
○廣島高等裁判所岡山支部設置に関す
 る請願(第二百八十一号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月十五日(水曜日)
   午前十時二十九分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○最高裁判所裁判官國民審査法案
○裁判官彈劾法案
○廣島高等裁判所岡山支部設置に関す
 る請願(第二百八十一号)
○帶廣地方裁判所設置に関する陳情
 (第四十九号)
○函館市に札幌高等檢察廳支部設置に
 関する陳情(第百四十号)
○法曹一元制度の実現に関する陳情
 (第百四十五号)
○札幌高等裁判所並びに高等檢察廳帶
 廣支部設置に関する陳情(第三百二
 十四号)
○刑事訴訟法を改正する等に関する陳
 情(第六十号)
○岐阜地方裁判所多治見支部を設置す
 ることに関する請願(第十一号)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) これより委員会を開会いたします。本日は最高裁判所裁判官國民審査法、衆議院回付にかかる法案を上程いたします。先ず提案者の御説明をお伺いいたします。
#3
○衆議院議員(松永義雄君) 只今上程されました最高裁判所裁判官國民審査法案について提案理由を御説明申上げます。
 日本國憲法は國民主権に立脚して、公務員の任免権が本來國民に属することを宣言しておるのであります。最高裁判所の裁判官の任命については、これを内閣の権限に属せしめておりますが、これを内閣の專断に任じ、これを抑制する制度がなければ、その任命の公正を保障することができないので、憲法第七十九條は、國民が最高裁判所裁判官の審査に直接参加できる制度を設けておるのであります。この規定に基いて、最高裁判所裁判官に対する國民審査制度を憲法附属法令中の重要な一つとして具備し、若し衆議院議員総選挙が行われる場合には、直ちにその急に應じようとするものであります。これが本法案を衆議院において起草し、参議院の審査に付する趣旨であります。
 提案の要旨は、第一に、憲法の規定に從い、審査方法は、大体において衆参両院議員の選挙と同樣に投票によることとし、且つ衆議院議員総選挙の期日にこれを行い、以て國民有権者の利便を図ると共に、投票棄権率の減少を企図しておるのであります。但し、特定地区において、衆議院議員候補者が議員定数を超えないため、投票を行わないときも、裁判官の國民審査投票だけは、これを行うべきものとしておるのであります。
 第二に、審査事務の管理監督機関として、選挙管理委員会とは別に、最高裁判所裁判官國民審査管理委員会を設け、その委員は、参議院議員の中から選挙することになつておるのであります。
 第三に、審査の投票及び開票については、衆議院議員選挙の場合に準じた規定を設け、特に投票の方式は、審査人たる國民に裁判官全員の氏名、履歴等を周知せしめ、簡單な方法によつて投票を行うため、記号式を採用しております。その記号式の要点は、單に罷免を可とする場合にだけ「×」の記号を付け、何らの記号を付けない場合は、罷免を可としないものと認めることにしておるのであります。
 第四に、中央に審査会を、都道府縣に審査分会を設けることであります。審査長、審査録、審査分会長、審査分会録等については、概ね議員選挙の場合に準ずるものであります。
 第五に、審査の結果、各裁判官につき罷免を可とする投票数が、罷免を可としない投票数より多いときは、罷免されます。併し投票数が余りに少いときは、國民(四千五百万人の有権者たる)審査があつたと言えないので、あたかも衆議院議員の当選には、有効投票の四分の一という数的制限があると同じように、國民審査においても、投票の総数が全審査権者の百分の一に達しなければ、たとえ罷免を可とする投票数が、罷免を可としない投票数よりも多くても、その裁判官は罷免されないこととしておるのであります。
 第六に、罷免を可とされた裁判官は、訴訟提起期間の経過日に、又は訴訟が提起されたときは、訴訟が係属しなくなつたときに、又は裁判の確定した日に、罷免されます。罷免の効力としては、一旦審査により罷免された裁判官は、五ケ年間は最高裁判所裁判官として任命されることができないのであります。
 第七に、審査手続が違法の場合又は投票の効力の無効を主張する訴訟については、ほぼ議員選挙の場合と同樣であります。
 第八に、審査の全部文は一部が無効なる場合には、憲法の要請に從い、再審査を行うこととしておるのであります。
 第九に、投票に伴う不正行爲に対しては、議員選挙の場合とほぼ同樣の罰則を設けておることであります。
 第十に、附則においては、審査事務担当者の失職、審査の旅行費用及び審査公報の発行等については、議員選挙の場合とほぼ同樣の規定を設けておるのであります。
 以上が本法案の要点であります。何卒愼重御審議の上可決せられんことをお願い申上げます。
#4
○委員長(伊藤修君) それではこれより本法案に対するところの質疑に入ります。
#5
○中村正雄君 九点程につきまして御質問したいと思いますが、一つ一つ分けて御質問申上げます。
 第一番は、第五條でありますが、第五條に、「審査の期日前二十五日までに、」というふうにありますが、この「までに」という字句でありますが、これは大体將來を指さす場合に使用されまして、衆議院議員選挙法の六十七條に倣つたものであろうと思いますけれども、どうもこの点意味が明らかでないので、衆議院議員の選挙法の二十二條の用例に從いまして、「審査の期日より少くとも二十五日前に」というふうに改められてはどうかと思うわけですが、この点につきまして御質問いたします。
 次にお尋ねいたしますのは、第九條関係でありますが、第九條の中の第一点は、國民審査管理委員は十人で、これを参議院から出すと、こういうふうになつておりますが、管理委員を参議院のみから出すようにしたという理由は、衆議院議員選挙の際に行われるから、衆議院議員は存在しないという理由かどうかということをお尋ねしたいと思います。
 それから第二には、十人の委員選挙の方法をどういうふうにするか、或いは政令でするかどうかという点が明らかでないと思いますので、この点をお伺いいたしたいと思います。
 それから第三点は、右の委員の任期というものは三年と、こういうふうにしてありますが、國民審査というのは、御承知の通りに、十年毎に行われるわけでありまして、任期中の國会の議員が委員の職務を行わないで退任するということもあるだろうと思いますが、こういう点につきましてはどういうふうにお考えになつておられますか。
 それから第四番目には、補欠委員の選挙はどういうふうにして行うのか規定が書いてないのですが、これはどういうふうにお考えになつておられますか。第九條関係については以上の通りであります。
#6
○衆議院議員(松永義雄君) これは、只今中村委員の質問の要旨と同じような考え方を持つておるのでありますが、第九條の、何が故に管理委員は参議院においてのみその議員の中から選挙することになつておるかという御質問なのでございますが、これはまあ原則としましては、衆議院議員も加えまして管理委員を組織したいというのではありますけれども、御承知の通り、この審査投票が衆議院議員総選挙の期日に行うことが原則になつておるのでありまして、その際は衆議院は解散或いは任期満了というようなことになつておつて、衆議院議員というものが確たるものとして存在しないわけでありますので、これは参議院の方にお願いしてやつて頂く方がいいのではないかという考えを持つた次第であります。
 次に管理委員の選挙の方法でございますが、これは参議院が直接独立して議員の中からお選びになつて頂くという考えを持つております。國民審査管理委員の任期を三年としておるのはどういうわけかという御質問でございますが、これは参議院議員の任期が六年とか三年と謳つてありますから、その三年の方をとりまして、そうしてやつていこう、こういう考えであります。
#7
○衆議院参事(稻原忠男君) その点は第二條で各裁判官が、その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の期日に審査を受けるわけであります。そうなりますと、この度任命された十五人の方々は、恐らくこのまま在任されておれば、十年ということになるのでありましようけれども、いろいろな事故で後任者が任命せられることを考えますと、その任命された方は、その任命直後の衆議院議員の総選挙で、その方一人でも行わなければならないことになつております。必ず十年と三年とが食違うということはないので、十年毎に行われるのでなく、今後十五人の方に欠員関係があれば、総選挙の度毎に一人及至二人という審査が行われるのじやないかと思います。
#8
○中村正雄君 補欠選挙というのがありますが、これはどういう場合に行われるのか、規定を一應設けたらどうかと思うのでありますが……。
#9
○衆議院参事(稻原忠男君) この選任方法でございますが、やはりこれも先程委員長から御報告申上げましたように、参議院の自律的な規定でなされるものだと考えております。
#10
○中村正雄君 それはどういう場合に行われるのでありますか。死亡なり、そういう関係を予期しておるわけでありますか。
#11
○衆議院参事(稻原忠男君) さようでございます。
#12
○中村正雄君 次に第十八條について、第十八條は「何人も、審査人のした審査の投票の内容を陳述する義務を負わない。」こういうふうに規定されておりますが、これは恐らく投票の秘密を守れという趣旨であろうと思います。そうであるならば、投票の内容はこれを陳述することを許さないということに規定したらどうかと思います。その点何がこういうふうに規定した特別の意味でもあればお聞かせ願いたい。
#13
○衆議院参事(稻原忠男君) これは前例に從つたものであります。只今の中村委員のような表現をいたしますと、むしろ審査人に義務を課したようになるので、これは相手方、例えば取締の警察官檢事というものがその内容を訊くことを禁ずる趣旨のもので、片方から言えば義務を負わないから言わないでいいという権利を認めたような形に表現した積りであります。
#14
○中村正雄君 反対に言いますと、審査員は義務はない、こういうふうに考えてよいわけでありますか。
#15
○衆議院参事(稻原忠男君) さようでございます。
#16
○中村正雄君 第二十七條の審査分会長及び第三十條に「審査長は、審査権を有する者の中から國民審査管理委員会の選任した者を以て、これに充てる。」とありますが、衆議院議員選挙の選挙長に大体相当するものであるというふうに考えるわけですが、そうしますと審査分会長は各府縣会の議長又は副議長の中から、審査会長は参議院議長又は副議長の中から選任されるというふうにはつきり決められてはどうかと思います。これにつきまして何かこういうふうに決められた別の御意見があるでしようか。
#17
○衆議院参事(稻原忠男君) 実際の運用につきましてはかようになるかと思います。かように何と申しましようか、固く枠嵌めをする必要はないと考えまして、かような表現にいたしました。
#18
○中村正雄君 次にこれは相当各條項に亙つておりますが、三十五條、四十條及び四十三條の三号、これらの諸條に係属という字が使つてあります。審査に関する訴訟というものは一應民事訴訟法の例によることになつております関係上、民事訴訟法には繋属という字を書いておりますが、これは制限文字になつたために係という字にしたのでありますか。
#19
○衆議院参事(稻原忠男君) さようでございます。今までは繋属という言葉が非常に使われておりますが、それを使えないという関係からかような言葉を使いました。今問題になつております民事訴訟法、刑事訴訟法の改正案においてもこのような字を用いるように聞いております。
#20
○中村正雄君 次に第四十四條第一号及至第三号及び第五号、第四十六條の第一号乃至第三号における「審査に関し運動をする者」ということは具体的にどういうものを指さしておるか。又どういう運動を許されておるか、この点についてお伺いしたい。
#21
○衆議院議員(松永義雄君) 國民審査の場合に、選挙運動と同じような運動ができるかどうかということについて、衆議院においても御質問がありましたですが、これはやはり同じく國民審査の場合においても運動ができるということに規定いたしました。唯まあ制裁が衆議院議員選挙の場合と同じように運動員の規定を置いた方がいいということも考えるのでありますが、とにかく衆議院の選挙の場合のように激しい選挙をやるのじやなくて。その信任を國民に問うものでございますので、まあここは運動するということにつきましては自由にしておいた方がいいじやないかと考えたのであります。
#22
○中村正雄君 次に第四十五條の関係ですが、これは小さいことですが、第四十五條に「前條の場合において、收受し又は交付を受けた利益は、これを沒收する。」ということになつておりますが、この收受し又は交付を受けた利益というものを処分して得た対價につきましても、沒收又は追徴を目的としていいかどうかという点についてお尋ねしたいと思います。
#23
○衆議院参事(稻原忠男君) かように解釈していいと思います。
#24
○中村正雄君 次に五十三條、五十三條の審査公報というものは、都道府縣の公報の一種となるのですかどうですか、お答え願いたし。
#25
○参議院議員(松永義雄君) 失礼ですがもう一遍……。
#26
○中村正雄君 五十三條にあります審査公報、これは各都道府縣に公報があるわけですが、これの一種と見ていいかどうか。
#27
○衆議院議員(松永義雄君) 第五十三條の審査公報は都道府縣の公報と同じものか、こういうふうな御質問でございますが、これは仕事だけは都道府縣の選挙管理委員会にやつて頂くのでありますが、併しその仕事なりは都道府縣でなく國家的にやるのであります。
#28
○中村正雄君 最後に第二十六條及び三十七條に、「この法律及びこれに基いて発する命令」というふうに規定しておりますが、これは施行に関する政令とこれを指さしておるものであるかどうかお尋ねしたいと思います。
#29
○衆議院参事(稻原忠男君) これの命令は、この法律の中でできる限りそのようなことのないようには立案の際考えたのでございますが、例えば十六條の点字による投票というような時に、これを一部政令で規定することを法律が委任しております。そのような関係のものを指してここで命令といつているのでございます。
#30
○中村正雄君 以上で私の質問を終ります。
#31
○衆議院参事(稻原忠男君) 中村さんの先程の御質問の中の最初の点を脱かしましたからそれを申上げます。第五條の表現については、御質問の趣旨と全く同じことを表現している積りでございます。
#32
○齋武雄君 先程中村委員から御質問がありましたが、重ねて一点だけ質問したいと思いますが、それは十八條の投票の秘密ということでありまするが、先程の御答弁には投票の内容を陳述する義務を負わないのである、こういう方面から規定したということでありますが、それならば強要はされないけれども、自発的に発表することは許され得るということでありましようが、その点をはつきりしたいと思うのであります。若し自発的にも、投票は絶対に秘密は犯すことはできないのであるということならば、先程中村委員の言つた通り、陳述することができない、こういうふうに書いた方がいいのではないかと思うのでありますが、その点をはつきりお伺いしたいと思います。
#33
○衆議院参事(稻原忠男君) 只今の御質問の趣旨は本人が積極的に陳述する場合を禁止している意味があるかということについては、本人が積極的に述べることを禁止している趣旨でありません。これは衆議院の選挙法についても同様の規定がございますし、そのように解釈されていると考えます。
#34
○大野幸一君 最高裁判所の裁判官の信任か不信任かということを衆議院総選挙の際に行うということですが、総選挙の際に行うということに非常に危惧される点があるのであります。先程の松永委員長は衆議院総選挙に対して行うのであつて、その際運動をすることは差支ないとする場合もあると伺われたのでありますが、勿論裁判官の人となり或いは経歴、行爲について國民に一方においては知らせなければならんという点で衆議院総選挙に際して、その立候補の運動に便乗して知らせるということは大切でありましよう、これがために又一面、裁判官は政党から超然としておらなければならんという地位で、政党政治のために、政党によつて運動が行われ、そうしてその裁判官の地位との間に弊害が起きはしないかと考えるのであります。こういう点についてどういうようにお考えになつておいでになるでありましようか。
 もう一つ特に衆議院総選挙だけに行われるようになつた理由も多といたしますものがございます。併し参議院議員選挙は今後は別に行われるのであります。成るべく早く國民の意思を問うというのに、若し衆議院総選挙の前に、参議院選挙があるならば、この際に問うても亦よいではないかと考えられるのでありますが、この点について特に衆議院だけに重きをおかれたというのはどういうわけでありましようか。二点を一つ御説明願いたいと思うのであります。
#35
○衆議院議員(松永義雄君) 大野委員の……。
#36
○大野幸一君 ちよつと、第二点は取消します。
#37
○衆議院議員(松永義雄君) 只今大野委員からの御質問に衆議院総選挙の際に國民審査を行うことは、裁判官が政党に超然としなければならんということ、及び政党政治のために禍いを受けることになる虞れはないか、こういう御質問であると思うのでありますが、その点については大野委員の御質問の御心配は御尤もの点がないでもないと思うのであります。併し國民審査をやりますことは相当手続きの上に非常に複雜を來たしておるのでありまして、参議院総選挙を利用してこれを同時に行う方がいいのではないか、國民審査投票をできるだけ簡易化するために、衆議院議員総選挙の際にやるという考えから出ているのであります。最も御心配になつております、政党に超然としておらなければならん、或いは政党政治のために禍いをせられるということにつきましては、御心配の点は尤もと思うのでありまするが、併し甚だこれは形式的に理論に墮する恐れもありますが、とにかく衆議院議員の総選挙と國民審査というものは別に考えて、そうしてやつて行きたいという考えを持つているようなわけであります。併しながら全然政党政治に超然であるとか、或いは政党政治のために禍いを受ける恐れが絶対的にないかということにつきましては、それはないということを実は断言することもできないわけでありまして、その点につきまして必ずしも政党超然とか、或いは政党政治に禍いされるということからではなく、國民審査というものがとにかく選挙と同じように投票によつてやるのでありますから、そのときの空氣というものがかなり重大な作用を起す、生ずるものであるということも考えなければならんのでありまして、罷免された裁判官が永久に罷免されるということではなくして、五年間は再任はできないという規定を置いているということのその趣旨の中には、御承知の通りに國民審査は信任投票であつて、彈劾裁判所のように、何か欠点があつて彈劾するということとは違うというのでありまして、そうしたその國民審査、詰り信任投票のときの空氣というものによつて左右されるということは考えなければならんというので、永久に罷免された人を罷免されつ放しにして置くことは宜しくないので、まあ五年間くらいは再任をして頂かないようにして、それで五年くらい経ちましたら、そのときの又情勢如何によつて再任せられるというようなことのできるような規定を置いておくという考え方に、只今大野委員の御心配されたお氣持というものは現れているというようなことを申上げ得ると思うのでございます。
#38
○中村正雄君 今大野委員の質問されたことに幾分関連しているわけですが、衆議院議員の総選挙のときにやるということと、この國民審査に運動ができるという二つの觀点で、いわゆる衆議院議員の選挙の運動員が、この國民審査の運動員を兼てやるというようなことはできるかどうかという点に関連しまして、政党政治と混淆されるのではないかという点が第一と、もう一つは、國民審査に関しまして、裁判官本人自身が運動できるかどうかということについて、併せてお聞きしたいわけであります。
#39
○衆議院議員(松永義雄君) 選挙運動に從事している運動員が、國民審査の運動員になれることについて支障はないかという御質問でございますが、それは國民審査の場合において、運動員につきまして特に規定していないようなわけでありまするから、そういう場合もあり得ると思うのであります。ただその際政党政治といいますか、衆議院の或いは又選挙の場合における空氣と全然関連がないかということになりましたら、私は一つの実際問題、政治上の問題としてはあり得ることもあろうと思います。それから裁判官が運動ができるかどうかということにつきましては、裁判官自身が自分自身の立場を弁明して、この公報の場合に、この條文をちよつと読んで頂きます。五十三條に、「参考となるべき事項を掲載した審査公報」というところ、これは衆議院でも問題になりまして、これは討議したんです。例えば判事の判決に対して、それが批判の的になつた場合に、それを弁解し得るような余地を残しておく、それで参考となるべき事項ということを特に入れまして、弁解の場合を規定しているという意味であります。自然判事につきましても同様自己の立場を弁護して行く、詰り運動といいますか、それが結局できるわけです。
#40
○委員長(伊藤修君) 本日の本会議は、アメリカの下院議員が参るそうですから、その都合上、委員会を一應休憩いたしまして、本会議に御出席願うことにいたしたいと思います。午後は一時から再開いたしたいのでありますが、本日、昨日申上げました通り、採決する事項がありますから、何卒御出席あらんことを望みます。それではこれを以て休憩いたします。
   午前十一時八分休憩
  ―――――――――――――
   午後一時四十一分開会
#41
○委員長(伊藤修君) これより会議を午前に引続き開会いたします。裁判官彈劾法案を議題に供しまして、この法案に対する質疑を継続いたします。
#42
○齋武雄君 私は二点について質問したいと思います。第一点は三十四條でありますが、三十四條には「裁判書を作らなければならない。」そうして、「裁判書には、裁判をした裁判員がこれに署名捺印しなければならない。」こういうことが書いてあるのでありますが、私の考えとしてはこの裁判は非常に重要な裁判であるのであります。裁判官を罷免するという彈劾法案でありますから、裁判員各自の責任を明らかにするために、各裁判官の意見を表示し、裁判の書類に各裁判員の意見を表示することを明記した方がよいと考えているのでありますが、この点に対する提案者の御意見をお聽きしたいのであります。
 第二は四十四條でありますが、四十四條の最後の方に「訴追委員会から証人の出頭及び証言又は記録の提出の要求を受け、正当の理由がないのに証人として出頭」しなかつた場合或いは虚僞の陳述をした場合、こういう場合において千円以下の過料に処するという規定があるのでありますが、私はこの規定は削除する必要があると考えておるのであります。なぜかというに法律上の制裁の下に証人の出頭とか証言とか記録の提出を強要することは、裁判権を適正に行使するがためにのみ許されるのであります。憲法上裁判権の属せざるものにこういう種類の権限を認めることは行き過ぎであつて、國民の自由を保障する憲法の規定に反くものでないか、こういう考を持つておるのであります。それでありますから訴追委員会から証人の出頭或いは記録の提出等の要求を受けた場合において、それを拒むとか、或いは虚僞の証言をしたという場合において、制裁を加えるということがないようにしたいと考えておるのでありますが、この二点についての提案者の意見をお願いしたいのであります。これは第一東京弁護士会と全日本弁護士会の全部の意見であるのであります。そういう意味におきまして在野法曹の輿論がそういうふうにいつておるのでありまして、私もそういうふうに考えておるのでありますが、この点に関する御意見を承りたいと思います。
#43
○衆議院参事(三浦義男君) 提案者でありまする淺沼さんが今日余儀ない事情でこちらへ來られませんので、私法制部長でございますが、代りまして私のお答えできる範囲で御答弁をいたしたいと思います。第一点につきましては御尤もでございまして、先般制定せられました裁判所法におきましてもさようなことが規定せられておるのであります。この彈劾裁判につきましても固より御意見の通り極めて重要な事柄でありますので、さような取扱いをすることが、適当であろうかと考えておるのでありますが、その問題に関しましては、手続的な事柄にもなりますし、又一方からいえば非常に重要なことでもありまするが、それらの点は裁判官彈劾法案の四十二條に規則の制定権を認めておるのでありまして、「審理及び裁判の手続について規則を定めることができる。」ことになつておりまして、その取扱によりまして、御意見のように取計らうようにいたしたいと考えている次第であります。
 それから第二の点につきましては、これも御尤もな御意見でございまするが、御承知の通りこの訴追委員会というものには議員の方がなつておりまして、その下に現在の檢察廳みたように、司法警察に属するような手足がないのでありまして、特殊な性格を持ち、特殊な構成を持つた訴追機関でありますのでその訴追機関の適正になる運営を図る意味におきまして、証人の出頭とか、証言又は記録の提出を必要とするということは止むを得ない要求であろうと考えられますので、さような根拠を法案の十一條に置きました次第であります。併しながらこれの実効を期しまするためから行きますと、先程申しましたような意味から申しましても、或る程度これが強制ができるというようなことでありませんと、その本來の目的を達し得ない嫌いがありますので、四十四條の第二項を置きましたようなわけでありまして、この問題につきましては、まだ案にはなつておりませんが、國会が國政に関する調査のために、証人の出頭又はその証言を求めるようなことになつておりまして、又資料の提出も求めることになつておりまするが、こういう場合に、やはりそういうような何らかの処置も、そういう特殊機関である性質に鑑みまして必要であろうというようなことも現在考えられておるわけでありまするので、それらを併せ考えまして、この規定は止むを得ない規定であると存ずる次第であります。尚且これは過料でありまするので、刑罰でもありませんから、從來の過料につきましては、法令の特別の定めをいたしておりますれば、行政機関等においても過料を課し得るというような規定を設けておるのでありまして、その裁判は勿論裁判所に行くことになる場合がありますし、又そうでない場合もありまするが、そういう規定もあるわけでありますので、先程來申しましたようなことからいたしまして、この規定は特殊の機関の特殊の性格に鑑みまして、存置をお願いすることにいたしまして、そうして只今御意見のありましたような点を十分に含めましてこれが運営に当る、こういうようなことにしたら如何なものであろうと考えておる次第であります。
#44
○齋武雄君 三十四條の裁判書に各裁判員の意見を送置するということは、提案者もそういうことは考えておる、併してそれは四十二條に彈劾裁判所は、審理及び裁判の手続について規則を定めることができる、そういうことを規定する意思であつた、こういうのでありますが、三十四條には相当詳しく書いておるのであります。「裁判書には、裁判をした裁判員がこれに署名押印しなければならない。裁判長が署名押印できないときは。他の裁判員が、裁判長以外の裁判員が署名押印できないときは、裁判長が、その理由を附記して署名押印しなければならない。」こういうふうに書いておるのでありまして、相当に詳しく書いておるのであります。こういうことが規則の手続きに定める方が妥当だと思いますが、それ以上に重大な各裁判員の意見を附するということは、私の考えとしては、この法律に決める方がいいじやないか。むしろここに決めてある署名押印するということは手続きであつて、その意見を附するということは、もつと重要なことであるから、この法律に規定しておいた方がよかつたではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点に関して御意見を伺いたい。
#45
○衆議院参事(三浦義男君) 只今の点に関しましては、三十四條の一項では裁判書、第二項におきましてこまごまと書いておるようでありますが、これは要するに署名押印、こういうことでありまして、裁判書といたしましての根本的な事項をここに規定いたしたわけであります。只今御意見の点は結局裁判書の内容になるわけでありまして、それは第一項の裁判書の内容の中に含めて考えまして、そうして御意見の点を更に拡充する意味におきまして、規則制定によつてその点を明らかにする、こういうことにいたしたいと考えるのであります。三十四條は今申しましたような、主な裁判書と、それから署名押印ということは、現在いろいろ商法その他において重要な問題になつておりますので、その点だけを特にここに取上げましたようなわけでありまして、この点は御尤もでございますので、取扱規則制定に譲るというふうに、御了承をお願いしたいと存ずる次第であります。
#46
○小川友三君 訴追委員会が十五名以上の委員の出席がないと開けない、その議事はその過半数でこれを決めるということになつておりますので、二十名しか訴追委員がいないので、過半数の出席によつて当ることはできないのかどうかということをお伺いするのであります。
 それから「訴追委員会の議事は、これを公開しない。」と書いてありますが、これは民主化という建前から公開していいものだと思いますが、それをお伺い申上げます。
 それから第五條の訴追委員が衆議院においてこれを選ぶということは、衆議院議員だけが訴追委員になつて、予備員も衆議院議員である。これは國会議員という工合に変えたら如何でございましようか、それをお伺いいたします。それで衆議院議員でなくては訴追委員になれないという理由をちよつとお伺いしたいのであります。
#47
○衆議院参事(三浦義男君) 第一点つきましては了解しかねたのでございましたが、若し聞き違えておりましたら、尚御質問願いたいと思いますが、全体の訴追委員二十名、出席定足数を十五名といたしまして、その十五名の過半数ということにいたしたのでありますが、二十名の過半数というようなことに考えるのも、一案かとも思いまするけれども、実際問題としては議員の方がなられる関係上、定足数が常に充つることも考えられない事情もあるかと思われますので、特に十五名に定足数をいたしまして、一般の議事についてはその過半数にするということが、訴追委員会の成立を容易ならしめることにいたしてございます。訴追委員会の議事は公開しないということにつきましては、これは彈劾裁判所と違いまして、これは裁判というよりも、非常に訴追上の機微に触れることでありまして、又その内容におきましては、或いは公序良俗に関係を持つというような事項も相当多いのではないかと考えられるのでありまして、それらの点から考えまして、訴追委員会の議事は公開しない方が、公共の福祉に副い得るので、かような規定が置かれた次第であります。
 尚第三点の、訴追委員会に衆議院議員だけがなつております点は、先達て委員会におきましても、いろいろ御意見があつた次第でありまして、この点に関しましてはこの案におきましては、現在の國会法の規定がさように相成つておりまするので、その前提の下にこの案ができました関係上、訴追委員は衆議院だけがこれになるということになつておる次第でございます。
#48
○松井道夫君 第二十五條に「法廷は、彈劾裁判所でこれを開く。」となつておりますが、具体的にはどこでやることに相成る予想でございますか。
 それから第三十二條に一時不再理が規定してありまして、既に裁判を経た事由になつておりますが、これは彈劾裁判の意味であるか、或いは外の建前、例えば刑事裁判もはいる趣旨であるか。
 第四章の罰則でありますが、第四十四條に過料の規定があります。これはどういう手続でやるのか、彈劾裁判所でその裁判をするのだろうとも考えられますが、その点。
 最後に同じ第四十四條の規定でありますが、第一号に「正当の理由がないのに出頭せず、又はその義務を盡さない者」とありますが、次に第二項に訴追委員会の関係では「正当の理由がないのに証人として出頭せず、若しくは虚偽の陳述をし、」という具合の表現を用いております。そうなりますと例えば出頭せず、陳述をしないというような場合には、これに入らないことに相成るのでありますか。第一号の表現ですが、「又はその義務を盡さない者」という具合の表現でありますから、陳述をしないといつた場合も解釈せられるのでありますが、この場合どうして表現を変えたのか、この第二項の方では陳述を肯んじない場合に、これは過料の裁判……過料に処しないという趣旨なんでありますか。その辺のことをお尋ねいたします。
#49
○衆議院参事(三浦義男君) 第一点の法廷は、彈劾裁判所にこれを特にどこに置くかという御意見でありまするが、今一應衆議院において審議されました過程におきまして予定されておりまするのは、國会内に置くというような意見であつたようであります。それから第二の「一事不再理」の問題でありまするが、これは一般の訴訟原則に從いまして、こういう規定を置いたわけでありまして、すでに一度裁判を経た事項につきましては、その意思が決定されますので、それについて更に罷免の裁判をするということは適当でなかろうというようなことで書かれた次第でございます。それから第三点の過料の手続の点でございまするが、これはこういう事態に該当する場合におきましては、訴追委員会が四十四條第二項の場合におきましては、訴追委員会からこれを告発して、この過料の請求を裁判所にする、かような一般手続に移ることになるわけであります。それから四十四條のこの規定の上におきまして、第一項と第二項と多少書き方が違つておるのでありますが、只今の御指摘になりました「虚偽の陳述をし」という場合に、陳述しなかつた場合はどうかというような御意見でございまするが、それは「義務を盡さない者」という方がそれらも含まれて適当な表現ではあるのでありますけれども、訴追委員会におきましては、陳述をしない者を強制するというようなところまで強く行くということはどうであろうかと、かような点からそこにその強制権を持たせなかつたのであります。從いまして法律論といたしましては、さような場合におきましては、実際その効果を挙げ得ないということになるかとも思いまするけれども、それは裁判所でありますれば、或る程度これを強制するということも、裁判の性質に鑑みまして適当でありまするけれども、訴追委員会においてそこまで強制的にやるというようなことはどうか、殊に又訴追委員会におきまして、実際の運営におきましては、これが正しい國民の輿論の名においてこういう訴追委員会をやるのだという民主的な意識というものがその証人等において昂まつておれば、実際の問題としては、特別に駄々を捏ねるとか、特殊の事情がなければ、さようなことはなかろうとも考えられまして、それらを併せ考えまして、只今のような規定になつた次第でございます。
#50
○松井道夫君 三十二條の「一事不再理」が、これが一般原則をここに書いたんだ、こういうことなんですが、その趣旨は「既に裁判を経た理由」というのは、彈劾の裁判を経た事由という趣旨と解釈してよろしいのでありますか。その点を更に重ねて伺つて置きます。それから今の点は、例えば刑事裁判で無罪の裁判を受けたといつた場合に、國会で普通の刑事裁判とは別個の考えで訴追をし、今の彈劾をするということができるのかどうか、という点に疑問がありましたのでお聽きしたのでありますが、「既に裁判を経た事由」と書いてあるのは、先程も御質問いたしましたように、彈劾裁判というか、或いは刑事裁判というようなものも入るのかという点であります。それから今の過料の関係でありますが、この過料は彈劾裁判所で過料の裁判をするというふうな立案者の考えでないかとも思うのでありますが、その点はどうですか、細かい規定は今のルールというか、規則を決めることができるように書いてありますので、その規則によつて定める趣旨かと存じておつたのでありますが、その点はどうですか。
#51
○衆議院参事(三浦義男君) 先程の「一事不再理」の点につきましては、多少言葉が足りなかつたかも知れませんが、刑事裁判を含まない、かように解釈いたしておるのであります。それは第四十條の「刑事訴訟との関係」において、その半面からその点をお汲取り願えると思いますが、「彈劾裁判所は、同一の事由について刑事訴訟が係属する間は、手続を中止することができる。」公然中止するのでなくて、中止することもできる、彈劾裁判は一般裁判と違う特殊の性質を持つた関係上認められた裁判でございまするので、両方並行して行くという建前を取つておるわけであります。尚只今の過料の問題につきましては、彈劾裁判所が過料の決定をするというようには考えていないのでございまして、從いまして規則制定等によつてさようなことを置く積りは、立案の場合においては考えられなかつたのでございまして、その点はやはり一般の裁判に任せる、かようなふうに考えております。
#52
○阿竹齋次郎君 只今齋委員との質疑應答を承つております。就てはこの法案が施行せられた曉は、裁判につきましては、各判事の個々の意見が判決文に記載せられるものと承知いたしてよろしいのでありますか、これをはつきり伺つて置きたいのです。そうしてこのことは、アメリカやイギリスにおいてはすでに実施せられておつて、大変好成績を挙げておるということが雜誌に書いてあります。そうして又日本におきましても、すでに相当古い時代からこれは叫ばれておつたように私共考えております。
 次にちよつと私は質問するのでありますが、それは裁判官が非民主的な裁判をしたり、或いは超國家的裁判をした場合に、この法令で取締ることができるかどうかということをお聽きいたしたい。それと先程小川委員の質問で、訴追委員会においては衆議院ばかりでせんで、参議院にも認めよ、このことにつきまして、政府は反対であるとは言わなかつた、賛成できる御意向であるように伺われた、然らば國会法を改正して出かけたらどうかと思いますが、如何でございますか。
#53
○衆議院参事(三浦義男君) 只今第一点の裁判書に各判事の意見を書いたらよいじやないかという御意見につきましては、先程も御意見がございましたので申上げました通り、誠に御尤もでございまするし、裁判は公開いたしまして、殊に彈劾の精神に鑑みましても、当然そこに十分の國民を代表された意味においての裁判官である議員各位の意見というものを後にもはつきりさして置くということが望ましいことだと考えられますので、さような手続に規則によつてするということにいたしたいと考えておるのであります、して貰いたいと考えております。
 第二点につきまして、超國家的裁判をした場合はというお尋ねのようでありましたが、この点はちよつと意味を取り兼ねましたので、誠に恐入りますが、もう一度仰しやつて頂きたいと思います。
 次に第三点につきましては、これは先程も申したのでありますが、先般來ここでも御意見もありました通りであります。この問題に対しては私といたしまして今ここでこういうようにしたらいいじやないかということをちよつと申上げ兼ねる次第でございますが、現在衆議院におきましてこれが決定されました経過から見ますれば、それは新憲法による第一回國会が開かれる前の最後の國会におきまして、やはり國民の代表の方々によつて決定せられたのであつて、その線に沿つて衆議院としては、一應訴追委員会については衆議院の議員だけということに國会法によつてなつておりますので、その線に沿つてこれが立案せられた点を御了承願いたいと思う次第でございます。
#54
○阿竹齋次郎君 只今第一問に対しては、判決文に各判事の意見を書くということについて、そうして貰いたいという言葉がありましたが、貰いたいでなく、そうさせるかさせないかということであります。
 それから次に、裁判官が非民主的判決をした場合どうして取締るか、即ち現在の時勢に反する思想を持つて判決をする裁判をどうして取締るか、裁判官の頭を取締る、これをどうするか、この法案で取締まれるかどうか。
 次に國会法ですが、直せるならば直して貰いたい。
#55
○衆議院参事(三浦義男君) 第一点につきましては言葉を濁したような嫌いがありますが、私は法制部長でありまして、これは衆議院議員提出の法案でありますので、私からはつきり政府の意見みたように申上げ兼ねる点がありますので、多少言葉を緩めて申上げたような次第でありまして、その点御了承願いたいと思つております。只今の点につきましては、先程から度々意見もありましたし、速記録にも載つておることでありますので、四十二條は彈劾裁判所がさような規則を定めることでありますから、これは一に彈劾裁判所の決定によるわけであります。いずれそれらを作ります場合におきましては、どうせこれは議員の方がおなりになるし、又われわれもこの法案の立案に関係を持ちました以上は、只今の御意見の点を十分それに反映さして行きたい、かように考えておるわけであります。
 それから第二点でございますが、これは第二條に書いてありますところの裁判官の罷免事由という原則に照らしまして判定するよりないわけでありまして、さような事柄が新憲法の精神に副わず、且つ裁判官としての憲法に規定せられたことに反し、司法権の威信に関するというような問題になつた場合における範囲におきまして、大彈劾法による訴追の事由になり得ると考える次第でございます。
 尚訴追委員会における構成の問題でございますが、これは勿論國会法を直して行けば法律的に可能な問題でございますけれども、この点につきましては衆議院側の意見といたしましては、未だこれを直してさように取扱うというような話も現在のところは出ていないような次第でございまして、將來こちらの御意見によつてさような決定になるかどうかということを私からここで申上げる十分の材料を持つていないのでございまして、その点は御了承願いたいと思う次第でございます。
#56
○小川友三君 今の第五條の訴追の問題ですが、関連してお伺いしたい。國会法第百二十六條に「裁判官の罷免の訴追は、衆議院においてその議員の中から選挙された訴追委員で組織する訴追委員がこれを行う。」ということが書いてあります。これはこの前の國会の時は貴族院議員という存在がありましたので、この連中は、いずれじき解散になつて無くなつてしまうのだからというので、好い加減に議会を通したのではないかということは何人も頷けるのであります。ところが参議院議員が生れて見ますと、衆議院だけに訴追委員を任せて置くということはできません。それは衆議院が解散になつた間、衆議院議員がおりませんから、訴追委員がいないわけであります。國会は両院制でありまして、参議院は残つて議員はあるのですから、これは公平な立法的精神から言いますと、やはり國会議員ということに直して差支ないと思う。そうして衆議院が解散になつておる場合、この委員は参議院議員が受持つてやるという具合にしなければ、法律が間が拔けてしまつて、只今の水害で鉄橋が外れたようになつてしまつて、向うに行かれないような状態の法律ができ上るのでありまして、この第五條は全面的にその点だけを修正して頂きたいとかように信ずるのであります。法律を作つても間の拔けた法律で、衆議院議員がいない時は、選挙中はこれはやらないという法律になつてしまうのであります。それならばその中に、選挙中は訴追委員がいないのでやらないのだからということを明記する必要があると信ずるのであります。
 それから今法制部長さんは百二十六條の訴追委員の点について、衆議院では何ら問題が出なかつたからと簡單に仰しやいましたが、これは有力者の中では相当考えておる衆議院議員が沢山おると思つております。これは國会議員としなければ非常に不自由を感ずるのだということは、衆議院の方は皆承知であると思います。そこでこれは國会議員ということに直して貰うということにつきまして、十二分に勉強して頂いて答弁をして頂きたいと思います。御答弁のできる範囲内で、百二十六條と五條との関連に対する空白、衆議院議員がいない時の状況を御説明願いたいと思います。
#57
○衆議院参事(三浦義男君) 私提案者でありませんので、只今のお尋ねの点につきまして十分に御答弁できないかも知れないのでありますが、御意見の点は、法律的に申しますと可能なことでございます。唯御意見のような取扱にこの規定を改めるかどうかという問題は、尚改めて衆議院のこれを起草いたしました運営委員会においても考えられなければならない問題だろうと思うのでありまして、私からそれは御尤もだとこの席において申上げ兼ねまする点を御了承願いたいと思うのであります。但し、先程お述べになりました衆議院の解散がありました場合等において、空白が生ずるのではないかという点、それは御尤もでございまして、多少の空白を生ずるのであります。憲法によりますれば、衆議院解散になりまして解散後四十日以内に選挙をやるというわけでありまして、少くとも四十日間の空白というものは起り得るものと思うのであります。併し実際問題といたしまして、これはその期間に、いろいろのこういう訴追に当るような事由が起つて來る場合もあろうかと思うのでありますが、それは、この運営のためにいろいろ事務を整理しまするところのものがそれらの書類等の整理をいたしまして、早くこの整理しましたところの委員会において御決定を願うし、又解散というようなことも予定されますので、訴追委員会にいろいろ國民から提起せられました訴追事項につきましては、できるだけ訴追委員において早く処理して、これが適正なる解決を図るということに運んで行くことによりまして、只今の空白は生ずるのは確かでございますが、それも幾らか補えるのではないかと、かように考えているのであります。
#58
○小川友三君 空白があるという法律は、世界に唯一つだと思いますが、委員が決つていて途中でなくなつて尻切りとんぼになつている法律は、世界中で私は一つだと思いますが、どこかに例がありましたらお教え頂きたいと思います。それから提案者がいらつしやいません、法制部長さんと一騎打ではちよつと申訳ないですから、提案者の方に出て頂いて、この点は保留といたしまして、又質問申上げたいと思います。
#59
○阿竹齋次郎君 たびたびで済みません。只今御説明で、提出案であるということについてだけは分りましたが、それならば完全に代弁のできるようになつて來て貰いたい。そうしなければ委員会の能率が挙らん。委員会では迷惑をいたすことになるのであります。それが代理だから駄目だということは通らん、かように思つているのであります。故に残念ながら只今の御説明では理解のできますものもありますが、理解のできないものもあります。その理解のできないものに対して、質問の範囲を出ることになりますので、後日に讓ります。
#60
○齋武雄君 罰則についてお伺いするのでありますが、第四十三條に、虚僞申告の罪として「裁判官に彈劾による罷免の裁判を受けさせる目的で、「虚僞の申告をした者は、三月以上十年以下の懲役に処する。」こういう規定になつて、第四十四條には、証人に対する罰則として、証人が義務を盡さない、そのような場合に三千円以下の過料に処する、こういうことになつておりまするが、四十三條は証人以外のことをいうのでありましようか、どういう具体的事例を想像したのでありましようか、証人と違うのでありましようか、その点をはつきりさしておきたいと思います。
#61
○衆議院参事(三浦義男君) 四十三條の規定は十五條にございますように、「何人も、裁判官について彈劾による罷免の事由があると思料するときは、訴追委員会に対し、その事由を明かに具し、罷免の訴追をすべきことを求めることができる。」というように、かように廣く訴追を求め得る範囲を決めているわけでありまして、この場合若し訴追を受けさせようという特殊の意図を以て正しからざることを正しいように僞つて裁判官を彈劾しようというようなことも往々廣い世の中においてはあり得ることでありまするので、左樣なことをいたしますことを避けさせまする意味におきまして四十三條の規定が置かれたのでありまして、刑法にあります誣告罪の所謂規定に該当するわけであります。從いまして四十三條は四十四條と違いまして、特に証人として問うということでなく、さような目的を以てやつたのが四十三條の規定の趣旨でありまして、証人としては四十四條の規定の適用を受けることになるわけであります。併しながら仮りに証人は先程申しましたような罷免の訴追を受けさせようという特殊の意図を以て虚僞の申告をした場合は、自ら又事態が変つて來ると考えられるのであります。
#62
○齋武雄君 そうすると四十三條は裁判所に対するのでなく、訴追委員会に対して虚僞の申告をした場合、そういう意図のある時に申告した場合の規定と了解していいわけでしよう。それからこれは非常に誣告するということは重大なことでありまして、三月以上十年以下、非常に重くなつているので結構であると考えるのでありますが、併しながら無罪になるか有罪になるかということは証人によつて左右される場合が多いのであります。証人の僞証ということは非常に重く視なければならんのでありまして、虚僞の申告をしても僞証がなかつたならば、有罪にならん場合があります。僞証によつて裁判が左右される場合があるのでありますが、僞証の場合においては三千円以下の過料、これで十分でありましようか、その点も関聯してお伺いいたします。
#63
○衆議院参事(三浦義男君) 只今の第四十三條の趣旨は訴追委員会に対しましてさようなことをやりました場合にも廣く含めて宜いと考えております。
 それから第二点の証人の僞証の場合はどうかというお尋ねでございますが、これは彈劾裁判所の証拠に関しまして二十九條でありますが、刑事訴訟法に関する法令を準用いたしているのでありまして、証人が宣誓を刑事訴訟法によつてやりまして、虚僞のことを証言したというような場合におきましては、当然刑法の僞証罪に問われることになるのでありまして、これは只今の刑事訴訟法の準用によりまして自然に起つて参りまして、特にこの法案においては規定いたさなかつたわけであります。
#64
○齋武雄君 第三十條に関する刑事訴訟法に関する法令を準用ということになつておりますが、それはそういうことまで準用していないようでありますが、これに書いているところによると、「裁判員、書記長及び書記の除斥、忌避及び回避、法廷における審理、調書の作成並びに手続の費用については、刑事訴訟に関する規定を準用する」こういうふうになつておりまして、これは法廷における審理に入るのでありましようか、証人の宣誓ということは、若し審理に入らんとすれば、準用になつていないのでありますが、どうもこの法廷の審理解釈から言うと準用にならんようでありますが、審理に該当するかどうかをお伺いいたします。
#65
○衆議院参事(三浦義男君) 只今の点は三十條と申上げないで二十九條と申上げたつもりでありますが、二十九條の第二項に左樣なことが規定してあります。
#66
○小川友三君 議事進行について申上げますが、これは提案者もおりませんから、次回に延ばしたらどうでしようか。
#67
○松村眞一郎君 先程來訴追委員の関係と、次の解散の関係についていろいろ御議論があつたのですが、原案者は彈劾裁判所それ自身のために、衆議院の解散があつた場合に、衆議院の議員がいないところをどういうふうにするつもりであるか。憲法には、六十四條において、裁判をするためには、「両議院の議員で組織する彈劾裁判所を設ける。」ということになつておりますが、そこで彈劾裁判所ができておる衆議院は解散されるということになれば、自然衆議院議員である彈劾裁判所の構成員がなくなるわけですね。その間どういうようになるという初めお考えであつたか、その間の仕事はどうなるか。
#68
○衆議院参事(三浦義男君) 彈劾裁判所につきましては、解散の場合におきまして、只今御意見の通りの結果が生ずることは有り得るのでありますが、その場合におきましては、予備員がございまするので、その参議院議員の予備員から補充して頂く、かようなことに考えておるわけでございます。憲法の関係におきましては、両議院議員から構成された彈劾裁判所を設けるということになつておるのでございまするが、これが一應構成せられました後におきまして、実際の議事の運営或いはその裁判の決定という場合におきまして、只今のような関係は滅多に起らないだろうと思いますが、解散中に急に裁判所として決定しなければならないというような事態が起りました場合は、止むを得ず参議院議員の方々の裁判員を以て裁判をする、決定をする、かようなことになるかと考えております。憲法上は構成は唯両議院の議員ということでありまして、決定その他議事の運営におきまして、常に両方の人がいなければならないというようには考えないでよくはないかとかように考えております。
#69
○松村眞一郎君 これは非常に重大な問題なんですが、只今の御答弁は、そのまま衆議院の意見であるととつてよいかどうか私は分りませんが、一應衆議院の御意見として承ることにします。そういたしますと、第十六條の予備員という者は、おのおの四人を送るが、参議院議員の予備員は衆議院議員の予備員ともなるわけですね。衆議院議員が欠けたときに、参議院議員がなつてよいというようになるのですが、又当然そうなりましよう。今のあなたの御議論から進めば……。如何でしようか。
#70
○衆議院参事(三浦義男君) 予備員といたしましては、どこまでも参議院議員からの予備員である方は……。
#71
○松村眞一郎君 その問題は、ちよつとここに考えながら答弁されているというのでは、まだよく頭ができていないのだろうと私は思います。非常に重大なる問題について今躊躇しておられるようなことであれば……。
#72
○衆議院参事(三浦義男君) 先程申上げました点は間違つてお答えしたと思います。衆議院が解散になりました場合に、その方々を予備員を以て埋めると申しましたのは訂正いたします。
#73
○松村眞一郎君 その問題は簡單に訂正したり、簡單に述べられたりする程軽い問題ではないのであります。又後からそれを訂正せられるかも知れませんから、もう少し愼重に一つ、私は説明員というのではなく、議院それ自身の責任のある御答弁を得たいと思います。非常に重大な点であります。それだけ留保しておきまして、すぐ取消されるというような答弁では我々審議を進めるわけにはいきません、はつきりして欲しいということを申しておきます。
 それから第三十八條に「資格回復の裁判」というのがありますが、その第二号の、罷免の事由がないことの明確な証拠を新たに発見した場合に、それを資格回復でよいのですか。全然罷免の事由がないということが明確であれば、資格の回復でないのであつて、初めの罷免が間違つている。資格の回復どころではない。罷免を取消さなければならないと思う。それについての規定が、人の名誉を非常に毀損するのでありますから、刑事訴訟法の場合であれば後からそれを抗告するとか、いろいろなことが書いてあります。そういうようなことは重大な問題でありますが、極く軽く書いておられるのである。資格回復の裁判でないと思う。訴訟法で言えば再審の問題であります。資格回復ということと再審ということとは全然違うのであります。元來資格回復というのは、どつちかと言うと、特赦の方に属するのであつて、一旦決まつた資格がなくなつた、それを回復するという意味なんです。ところが罷免の事由がないということの明確な証拠がここに書いてある。それを新たに発見されれば罷免が間違つている。資格回復どころではない。資格が初めから失われていることが間違つている。回復にあらずして、資格を奪つたことが間違いであるということを私は摘記しなければならないと思うのですが、その点どうでしようか。
#74
○衆議院参事(三浦義男君) 只今の点は私ども立案いたしまする場合にも議論があつた点でありまして、確かに罷免の事由がないことの明確な証拠を新たに発見した場合におきましては、刑事訴訟法におきましては再審に当るのでありますが、この彈劾裁判所におきましては、裁判によつて罷免の宣告をされますと、その効果といたしまして、本人はその職を失い、同時に例えば最高裁判所等について申しますれば、最高裁判所長を含めた十五人の方方の補充をするというようなことが実際問題として起つてくるのであります。若しこの第三十八條の第二号の規定を再審のあれで以つて見ますと、その場合におきまして、その人が予め罷免事由がなかつたということによつて、又元に遡つて資格を回復するということになりまして、そこに定員制の問題と相衝突を來すということが起り得るのでありまして、これを如何に調整するか、同時に又罷免の事由がなかつたことの明確な証拠があつた、その氣の毒な人をいかに救済するか、かような点に相成るのでありまして、その両方の点を併せ考えまして、ここに資格回復というようなことにいたしまして、その救済を図るということにしたのであります。御意見の点は御尤もでございますが、今のような点をいろいろ考えました結果の点をお汲み取り願いたいと思います。
#75
○松村眞一郎君 それは再審の場合には必らず前に復活するというようなことを前提としておられるからそういう議論が出るが、罷免した者を更に採用するというようなことを私は要求しているのではない。將來に向つて全部効力を失つてくるようにすればよいのです。何も御心配するようなことはありません。將來に向つて罷免の前に言渡しは効力を失うことにして貰えば、何も御心配のことはありません、罷免の前の言渡しは無効にするということにすれば明瞭になるのであります。今お考えになつたことしか智慧がないということであれば、甚だ智慧のない話であつて、今申上げたように、資格回復ではおかしいと言うのです。罷免の言渡しの効力を失つてしまう必要があると思います。その点を申添えて置きます。
#76
○衆議院参事(三浦義男君) 只今の御質問の点は、御意見のような考え方も勿論できるのでありまして、そのときから將來に向つてということでも結構でございまするが、実際そういう場合におきましても、先程申上げましたように、定員制の問題というものが復活して参りまする場合におきましては、当然將來に向つて復活するということに一應なりますので、それを若し実際に復活させないで、その人が罷免されたからといつて、その欠員を埋める意味で誰か一人補充しておると、そうして今のようなことになりました場合におきまして、更にその人を入れるということになりますと、定員をはみ出すことになりますし、それかといつて、すでに入れた人は、或る正当な事由によつて特に補充した人である、その人を罷めさせなければならない、かような結果が起きますので、先程私が申上げましたようなことからかような規定になつた次第なのであります。例えば最高裁判所長官という者が彈劾事由に当りますときに、最高裁判所長官が罷免された場合にあとを補充する、そうしてこの三十八條の一項二号によつて回復されるということになりますと、二人の最高裁判所長官ができるという結果になりますので、その点が如何であるかと、かようなことになると思うのであります。
#77
○松村眞一郎君 私は、言渡しの効力を失えば必らず今仰しやつたようなことになるということを御前提になつておるからそういうような議論が出るので、どうにでも取扱はできるのであります。既に免じた人をもう一遍入れる、それが定員をはみ出すというようなことにならなければならんということは理論上ちよつともない。それよりも、資格回復ということが理論上惡いということを言つておるのであります。その人の名誉のために、言渡しが間違つておつたのだということを言明して、あとの問題はどうでも処理ができるのであります。それは本人に対して或る程度の優遇の方法もありましよう。必らずしもそれを元の裁判官に採らなければならんということが必然的な論理であるというようにあなたがお考えになるからそういうふうに御説明になるのであるが、私はそこまで要望しておるのではない。とにかく資格回復でないのじやないかということを申しておるのです。資格回復と御覽になりますか、初めから資格が失われたものでないと考えた方が正しいかというのがその要点であります。それをどちらか決めて善後策を考えたらよろしいので、私は、罷免を効力ないものとしたからといつて、直ちに採用しろということが必然的な論理として出て來るとは思わない。本質がどうかということを伺つておるのです。資格回復と言うべきものであるか、初めから資格を取つたことがいけなかつたということの処理をすべきであるかということを申しておるのです。これは私の申すことが正しいことは明瞭です。それでは正しいことで善後策を取つた方がよいじやないか。自分の方で迷惑をしておるから、自分のやつたことをそのままにして置くことは、私は非常に不親切なやり方ではないかと思う。間違つたことをそのままにして置くということは、非常に乱暴なことであつて、それはやはり筋を正して、自分が間違つたのだから……自分というのは参議院、衆議院と申してもよろしい。裁判所が補充するのは参議院、衆議院の問題ではない。全然問題が違うのですから、それは裁判所の方で受付けなかつたらよろしいのではないか、参議院、衆議院がやつたのだから、それは君の方で考えたらいいじやないかと仰せられたらいいじやないかと思うのです。私は筋を立てて申しておるのですが、本質をどうお考えになりますか、回復の方が誤つておると考えるか、本來罷免が誤つておると考えるか、それを明瞭にお考えになれば、後から適当に処理していいのじやないかと思います。私は罷免が誤つておることに何らかの手続を取るべきであるということを主張しておるのであります。
#78
○衆議院参事(三浦義男君) 只今の御意見御尤もに思うのでありまするが、この規定を立案いたしました趣旨といたしましては、それを資格回復の裁判というものによつて処理する、かようなことに決定いたしたのでありまして、法律論といたしまして、勿論御意見の点は十二分によく分りますし、又さような点も審議の際に考えられたのでありまするが、結論といたしまして、資格回復の裁判を以てこの場合においては取扱うと、かようなことになつたのでございます。
#79
○委員長(伊藤修君) この法案に対しまして本日審議を終りたいと存じましたのですけれども、只今松村さんの御意見もございますし、尚小川君の指摘されましたるところの点もありますが、問題は、解散中におけるところの訴追委員会の職務執行その他についての点が、責任ある御答弁が得られないという点と、それから訴追委員会に参議院も同数にすると、いわゆる國会法を修正して、本法をどういうようにこれを修正するかということに対して、衆議院の御意向が、責任あるところの御答弁が得られないですから、止むを得ませんから、本法に対しましては、明日これを続開いたしたいと思います。明日までにそれ点御意思をはつきりして置いて頂きたいと思います。
#80
○衆議院参事(三浦義男君) 一應提案者に、さような御趣旨を傳えまして、連絡いたします。
#81
○委員長(伊藤修君) まあ明日できなければ、少くとも次回には結論をはつきりして、御態度をはつきりして頂きたいと思います。
#82
○松井道夫君 提案者の御出席を願いたいと思います。
#83
○委員長(伊藤修君) 勿論はつきりして頂くには、提案者の御出席も得ることと思います。それでは本法に対する御質疑はこの程度で以て……。
#84
○松村眞一郎君 もう少し、関聯がありますからお伺いしたいと思います。この最高裁判所裁判官國民審査法案の方を見ますというと、これもやはり同じ司法委員の方の提案になつておりまするが、その方の第九條には、「國民審査管理委員会は、最高裁判所裁判官國民審査管理委員十人を以てこれを組織する。」ということになつておつて、そうして「國民審査管理委員は、参議院においてその議員の中からこれを選挙する。」これはもう参議院の者に限られておる。これはなぜ特に参議院に限られたのですか、何か理由があるのではないかと私は思いますが、これは私は関聯があると思います。
#85
○委員長(伊藤修君) それは今朝御答弁があつたのです。
#86
○松村眞一郎君 私は両方に関聯があると思うのです。この方は参議院だけでよろしい、彈劾裁判所の方になりますと、参議院と衆議院でなければならん、且つ訴追の方は衆議院の方だけでなければならんというようなところに関聯があると思いますから、併せて御考慮を願つて御答弁願いたいと思います。
#87
○委員長(伊藤修君) それではこの法律案に対するところの質疑は、この程度で以て本日は終了いたしまして、他日にこれを讓ることにいたします。
 それでは次に、本委員会に請願及び陳情が、目下七件あります。まだ付託にならんものが一件ありますが、それは除きまして付託になつておるものが七件あります。これを本日の議題に供します。これに対しまして紹介者並に専門調査員の意見を伺うことにいたします。それでは第一に請願の第二百八十一号廣島高等裁判所岡山支部設置に関する請願、これを議題に供します。紹介者太田議員から説明をお伺いすることにいたします。
#88
○委員外議員(太田敏兄君) 私紹介議員の太田敏兄であります。簡單に請願の理由を説明させて頂きたいと思います。この請願は岡山弁護士会長より提出したものでありまして、この請願の目的は廣島高等裁判所の支部を岡山に設置して頂きたいというのであります。その理由は御承知の通り新憲法実施の結果区裁判所がなくなりまして、從來区裁判所の管轄に属しておりました刑事事件の殆んどが地方裁判所に移されることになつたのであります。そこで從來岡山の地方裁判所に控訴しておりました区裁判所の第一審判決に対する控訴も、今後は全部廣島に持つて行かねばならんということになつたのであります。これまで岡山縣では地方裁判所が一、同支部二、区裁判所七箇所あつたのでありますが、これら各裁判所における昭和二十一年一月から十二月までの一年間の取扱件数は第一審刑法犯におきまして二千百九十六件、第一審特別法犯におきまして百七十九件、合計二千三百七十五件であります。又昭和二十二年一月から四月までの四箇月間の取扱件数は、前者におきまして五百八十三件、後者におきまして百九件、合計六百九十一件でありまして、以上の中で控訴件数は総計四百九十九件に及んでおるのでありまして、その控訴の割合は一六・三%に当つております。昭和十二年から十五年までの五箇年間の全國区裁判所の統計から見ましても、岡本の控訴率は、全國平均のそれよりもずつと多いのであります。又同五箇年間におきまする全國控訴院の刑事裁判の刑事控訴判決の年平均数は千三百八十五件でありまして、請願書の別表の備考欄に記載いたしております岡山管内の二十一年五月から二十二年四月までの一年間の総件数は四百四十四件でありまして、実にその三分の一に当たるのであります。それに岡山地方裁判所の刑事一審判決に対する控訴を加えますると更に増加するのであります。これまで各控訴院が取扱つて参りまして件数は年平均約二百件でありましたが、今後毎年岡山地方裁判所だけから移審いたしまする件数だけでも、その二十二割強となることが予想されるわけであります。これでは廣島高等裁判所にありましても、相当煩雜になりまするし、又能率も上らなくなると思うのであります。併しそれはともかくといたしまして、岡山から廣島に行くには、現下の交通事情では日帰りはできんのであります。どうしても一泊乃至二泊の必要があるのであります。そういてその旅費は一人一日の旅行に五百円乃至千円も要するというような次第でありましで、若し被告人が女性や少年、病者であつた場合には、附添や弁護人を同伴いたしますると、優に数千円を要するのであります。從つて金のない人は勢い控訴権を放棄せざるを得ないという事情に立至るのであります。それが故に折角新憲法によりまして與えられました國民の自由と基本人権の尊重という根本精神も喪失せられまして、言葉はぞんざいでありまするが、恰も絵に描いた餅に終る虞れなしとしないのであります。かような意味におきまして、我が國におきまして新憲法下無辜の民の中一人も少きことを希いまするために、我が岡山縣民は廣島高等裁判所の岡山支部設置の一日も早からんことを待ち望んでおる次第であります。何卒委員各位におかれまして、最も御理解ある御裁量を賜わりまして、この請願の目的が速やかに逹成されまするように、特に御高配をお願いしたいと存ずるのであります。どうぞ宜しくお願いいたします。
#89
○委員長(伊藤修君) 只今の請願に対して政府の意見を伺つて見ます。
#90
○政府委員(赤木曉君) 只今お申述べになりました岡山市に廣島高等裁判所の支部設置方の請願の御趣旨は誠に御尤もと存じております。政府といたしましても、御不便の事情はよく了承しておりますが、支部の設置ということは、高等裁判所の権限に属しております。法律を必要といたしませんので、すべて最高裁判所の自由にできることになつておりますので、その趣旨は司法省から十分傳えてございますが、尚司法省といたしましても、特に最高裁判所が、この点について十分配意して貰うように努力いたしております。
 尚、高等裁判所の支部につきましては、裁判所の來年度の予算といたしまして、十五ケ所新設する予算の要求をいたしております。どこどこに置く予定になつておるか、まだ詳しいことは確定していないのでありますが、司法省としては存じておりませんが、恐らく岡山なども考慮の一つに上つていることと存じます。
#91
○委員長(伊藤修君) 本請願に対しまして御質疑はございませんか……、御質疑はないようでありますから、質疑は省略いたしまして、次にこれに対する御意見をお願いいたします……、では御意見もないようでありますから、御意見も省略いたしまして、本案に対しまして先ず議院の会議に付するを要するものとして、本委員会は決定することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(伊藤修君) ではさように決定いたします。尚これを内閣に送付を要するものと御決定を願うことに御異議はないですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(伊藤修君) では本案に対しましては、さよう決定いたしました。
 次は陳情第四十九号帶廣地方裁判所設置の陳情に関する件、これを議題に供します。便宜上專門調査員の説明をお伺いいたします。
#94
○專門調査員(梶田年君) 只今問題になりました帶廣地方裁判所設置の陳情が電報で参つて來ておりまして、本年の七月二日に受理になつております。この電報によりますると、「当地に訓路地方裁判所北見支部管轄区域と、帶廣支部管轄区域とを併合したる地方裁判所設置方御高配を仰ぐ。その場合北見支部を当地方裁判所甲号支部といたしたし」というのでありまして、帶廣地方裁判所設置期成同盟会長という名義でこの陳情が提出になつております。簡單な電報になつておりますから……。
#95
○政府委員(赤木曉君) 只今お申述べになりました帶廣地方裁判所設置方陳情の御趣旨は、これ亦一應御尤もに存じますが、地方裁判所の設置は、事柄が相当大きな問題でございますので、從來からたびたび司法省にこういう御請願がございましたのですが、予定管轄区域内の事件数も比較的少いのでございまして、只今のところでは、ちよつと早急にはむつかしいかと存じますが、將來地方裁判所を新たに設置するといたします際には、帶廣などは先ず相当有力な候補地と存じております。
#96
○松村眞一郎君 いろいろ裁判所の設置とか、支所とかいう問題の設置について、凡そどの位の件数があれば考慮するのであるというような標準は、平常からできておるのですか、どうですか。
#97
○政府委員(赤木曉君) 地方裁判所は大体府縣に一つの單位で作ることになつております。唯北海道は、北海道に現在四つの地方裁判所がございますが、これは訓路と帶廣とは比較的近距離の所にございまして、そこに併置するといたしますと、ちよつて帶廣としては、件数が少な過ぎると、こういうことになつておるのでございます。地方裁判所につきましては、只今申しますように、大体府縣に一つということになつておりますので、その件数の多い所と少い所がございますので、何件を限度ということはちよつと申上げかねます。
#98
○委員長(伊藤修君) 本案は、ここに御覽下さる通り、非常にメモ式のものが出ておりまして、唯請願の意思は分りますけれども、請願の内容が誠に簡單なものでありますから、これを取上げまして、議院の会議に付するということも如何と考えますから、この案に対しましては、先ず議院の会議に付することを要しないものと御決定願うことに御異議がありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○來馬琢道君 ちよつと簡單でありますが、私も北海道を旅行いたしましたが、帶廣に下車いたしまして、視察をいたしまして、直ちに訓路へ向いますれば、容易に行けた所で、只今の説明によりまして、政府委員の説明によりまして、その程度の取扱が適当と存じますから……。
#100
○委員長(伊藤修君) それではこの案に対しましては、議院の会議に付するを要しないものと決定することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○委員長(伊藤修君) さよう決定いたします。
 次に陳情第百四十号、函館市に札幌高等檢察廳支部設置に関する陳情、これを議題に供します。專門調査員のこれに対する説明をお伺いいたします。
#102
○專門調査員(梶田年君) 只今問題になりました陳情が本年の七月十八日附で、函館市長及び函館市議会議長連名で、本院議長宛に提出せられまして、七月の二十三日に受理になつております。この陳情の理由とするところは、要するに、檢察廳法並びにその附属法命によりまして、高等裁判所の支部に対應して、高等檢察廳の支部を設置することができることになつたのであつて、函館市には、元控訴院があつたこともあるし、現在の札幌高等檢察廳とは二百八十六キロ、里数に直しますと七十一里半となります。二百八十六キロの遠距離で、交通難の今日、尚このままでは訴訟費用が嵩むのみならず、公正な裁判を受ける権利も、止むなく放棄しなければならんことになつて、折角の民権尊重も、司法の身主化も有名無実になる虞れがある。幸いに函館の地方裁判所には、支部を置くために、特別の施設をする必要もないようであるし、管内五十万の住民は、これが実現を心から熱望しておる次第であるから、当局においては、この点に十分留意をせられて、札幌高等檢察廳の支部を、函館地方檢察廳に併置して、以て新憲法に基く司法行政の民主化を図られたい趣旨であると、こういうことになつております。
#103
○委員長(伊藤修君) じや、これに対する政府委員の御意見をお伺いいたします。
#104
○政府委員(赤木曉君) 司法省といたしましても、御不便の事情はよく了承しておりますが、先程申上げましたように、地方裁判所支部の設置は、最高裁判所の権限に属しておりますので、最高裁判所にもよくその趣旨を傳達し、何分の考慮を願うことにいたしたいと存じますから、御了承をお願いしたいと思います。尚最高裁判所といたしましては、來年度の予算で、高等裁判所支部の十五ケ所新設の要求をいたすことになつております。尚これ以外に、支部に代えて、巡回裁判という制度、特に刑事事件などで非常に高等裁判所に事件が殺到し、距離の遠隔な関係で、非常に不便を感じておりますので、なにか巡回裁判式のものを創設したらどうかということで、考慮しておる状態でございます。
 尚檢察廳の支部の設置方という陳情になつておるようでございますが、これは高等裁判所に対應して、常に檢察廳が置かれる、檢察廳と高等裁判所とは常に対應して設置されることになつておりますので、先程申上げましたと同樣なことでございます。
#105
○委員長(伊藤修君) この陳情に対しましては御意見は……。
#106
○齋武雄君 私はそういうものを作ることは賛成でありますが、それは高等裁判所の支部ができないと檢察廳の支部の請願とか陳情というのはちよつとむずかしいんじやないかと思いますが……。
#107
○委員長(伊藤修君) 如何でございますか御意見は……。
#108
○松井道夫君 函館高等裁判所の支部という請願は別に出ていないのですか。
#109
○委員長(伊藤修君) 出ていないのです。檢察廳のみを設置して貰いたいという請願なのですからね。これだけ内閣へ送りましてもどうかと存じますし、今聽いてみますと裁判所ができなければなんともならんのだそうです。これを採択いたしまして会議に対して内閣に送るというのも変なのでございます。松村さんどうですか。
#110
○松村眞一郎君 檢察廳というものと裁判所は必ず同じ所になければならんという前提があるのですか。
#111
○政府委員(赤木曉君) ございます。
#112
○松村眞一郎君 それは何か法律にありますか。
#113
○政府委員(赤木曉君) 法律で檢察廳は裁判に対應して置くという……。
#114
○松村眞一郎君 対應して置いて、同じ場所ということで必ずしも管轄区域さへ決まつておればよくはないのですか。
#115
○政府委員(赤木曉君) 区裁判所のある所には区裁判所に対應して檢察廳を置く。高等裁判所のある所には高等裁判所に常に対應して檢察廳を置く。常に裁判所と檢察廳と併置するという主義を裁判所と檢察廳で採つております。
#116
○松村眞一郎君 その併置という意味は、必ずしも同じ土地に置かなければならんということじやないのですか。区域を決めて、その区域内にどこかに置けばよいんじやないのですか。理論上から言えば……。
#117
○政府委員(赤木曉君) さようでございます。唯場所は同じ所でなくとも結構でございますけれども、函館に檢察廳の支部を設ければ、当然そこに裁判所は設けねばならんことになつております。檢察廳を切離して設置するということはできないわけでございます。
#118
○松村眞一郎君 私は檢察事務というものと裁判事務というものとは場所を異にしてよいんじやないかと思いますが、裁判所というものは市井にある場所から、いろいろ喧騒の土地から隔絶して靜かに裁判されてよいんじやないかと思います。檢察の事務というものは少し違つておるんじやないですか、檢察事務の必要な場所というものは……。
#119
○政府委員(赤木曉君) 檢察の搜査方面では確かにそういうことはございますのですが、起訴する場合には、必ず管轄区域を同じくする裁判所に起訴しなければなりませんので、一つの区域に全く管轄区域を同じくする檢察廳が二つあるということは、ちよつと困難かと思います。
#120
○松井道夫君 それは司法省としては、賛成だとこういうわけでありますな。
#121
○政府委員(赤木曉君) 裁判所を設けますれば……。
#122
○松井道夫君 併し今の裁判所の方面で、支部の関係がこれはなんですか、それを急速に議会で、本会議にかけるというようなことがありませんと非常に不利益でも起きますか、それとも一週間なり十日間先でも大した不利益がないというようなことですか。今のところどんなことになつておりますか。
#123
○政府委員(赤木曉君) それは先程ちよつと申上げましたが、少くとも十五ケ所は支部を作りたいというので、予算の請求をやつております。予算が通れば早急に実現すると思います。現在最高裁判所の方で、函館に置くことに予定しておるかどうか、ちよつとまだ確定していないようですし、向うに対しても話をしていないようです。私の方でも聞いておりません。或いは考慮の一つに入つておると思います。尚先程も申しましたように、支部に代えて巡回裁判というような制度も考慮中のように聞いております。
#124
○松井道夫君 私の考えるのに、北海道の議員の方も沢山おられますので、裁判所は要らんが、檢審廳だけ要るのだという意味で、そうでないということで、至急に高等裁判所に関する陳情乃至請願でも出れば、それは一括して議会の方の本会議にかけたらよいのじやないか、かように思いますので、その手続をとつておるうちに非常に不利益を見ることがあると困ると思いますが……。
#125
○政府委員(赤木曉君) そんなことはございません。
#126
○松井道夫君 これは暫く留保しては……。
#127
○委員長(伊藤修君) 留保しても出るか出んか分らない。いつ出るということならともかくも……。
#128
○齋武雄君 これは必要かも知れませんが、現在の段階においては、高等裁判所の支部がないのでありますから、これは会議に付する意味がないと思います。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#129
○委員長(伊藤修君) それぢや本件につきましては、今日の段階におきましては、会議に付することを要しないものと御決定願つて、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○委員長(伊藤修君) それじやさよう決定いたします。
 次に陳情第百四十五号法曹一元制度の実現に関する陳情、これを議題に供します。先ず專門委員の説明を願います。
#131
○專門調査員(梶田年君) 只今議題になりましたような陳情が、浦和弁護士会長から、会長の名義を以て本年の七月に本院議長宛に提出せられまして、七月二十四日に受理せられております。その趣旨は、法曹一元化の制度は、司法部の民主化を最も手近な、而も最も有効な方法であるから、当局はこの際思い切つて多数の司法官を、在野側から担当する地位に採用して、法曹一元制度の実現に邁進せられたい、こういう趣旨であります。
#132
○政府委員(赤木曉君) 本陳情の趣旨には、政府といたしましても全く同感でございます。從來司法省としましては、できるだけ多数の司法官を在野側から採用すべく企図して参つたのでありまして、新憲法施行後は、一層この方針を推進して行き、又行きたいと思つております。現に本年一月から今日までの間に、檢事正以下二十一名の檢事を在野側から採用し、今後も尚その方針を続けて行いたいと存じております。併し現実の問題としましては、第一線に優秀な在野出身者を迎えるということは、いろいろな困難がありまして、特に待遇が惡いという関係で採用が実は非常に困難なのでございますが、できる限りこの法曹一元化の趣旨に從つてこれを実現したいと考えております。
#133
○委員長(伊藤修君) 如何でございますか、この陳情は、勿論当委員会におきましても、從來この趣旨において各委員の方の御発言もありましたが、新らしくこれを会議に付して、又内閣に送るまでの必要がありましようかどうか。
#134
○松井道夫君 その必要もないかと存じます。
#135
○委員長(伊藤修君) それでは当委員会においてこの趣旨は了承する程度にいたしまして、更にこれを会議に付するを要せずということに御決定願つてよろしうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#136
○委員長(伊藤修君) それではさよう決定いたします。
 次は陳情三百二十四号札幌高等裁判所並びに高等檢察廳帶廣支部設置に関する陳情、これを議題に供します。先ず專門調査員の説明を願います。
#137
○專門調査員(梶田年君) 只今議題になりました陳情が、本年の八月十五日付帶廣地方裁判所設置期成同盟会という会から、帶廣の市長外一名の名義で本院の議長宛に提出せられまして、八月二十五日に受理せられております。ちよつとこの陳情につきまして、中味は実は請願書となつておりますが、この期成同盟会というのは、法律上の法人とは認められないのでありまするから、提出者の肩書に総代という名義もありませず、総代であるといたしましても、法律上の法人とは認められない関係から、請願としては受理し得ないことになつておるようであります。又紹介者の議員も指定せられておりません関係で、中身は何か請願書とありますが、これは陳情として受理して取扱われる方針のようになつておるようであります。
 そこでこの請願の要旨は、帶廣市に訓路地方裁判所と訓路地方檢察廳の管轄区域を管轄する札幌高等裁判所帶廣支部、それから札幌高等檢察廳帶廣支部を昭和二十二年度から設置を要望するということでありまして、その理由といたしましては、その訓路地方裁判所、同檢察廳は訓路、十勝、根室、この三國と北見國の大部分を管轄しておつて、その廣さは二千四百八十九万里余りあつて、管内に帶廣、網走の二つの甲号支部と北見、根室の二つの乙号支部が置かれておると、そうして簡易裁判所及びその檢察廳が十三ケ所設置せられておる。これを外の裁判所の管轄区域と比べてみると、名古屋の高等裁判所の管轄の廣さは二千二百五万里、それから廣島高等裁判所の管轄区域は二千六十三方里、大阪高等裁判所の管轄区域は千七百三十八方里、高松高等裁判所の管轄区域は千二百九万里というのであつてそれよりも遙かに廣いということが一つ。
 それから裁判所法、檢察廳法によつて、地方裁判所事件は、刑事事件については体刑を課するもの全部となり、民事事件については五千円以上の事件は全部ということになるので、民刑のこの控訴というものは、すべて高等裁判所の所管となるわけだと、そこで札幌高等裁判所までの距離を見ると、根室からは十七時間余り掛かる、訓路からは十三時間余り、網走からは十六時間余り、北見からは約十五時間、帶廣からは約十時間を要するのであつて、現下の経済、交通の状態から申しますると、訴訟関係人の不便は想像以上である。これは人権尊重を基礎とする新憲法の精神に反することである。
次に帶廣市は、東北海道の産業、経済、交通、教育、政治、文化の中心地であり、ここは土木現業場、営林局或いは財務局の支部等があり、又日本銀行の出張所等もありまして、北海道東一帶を管轄するいろいろな國家機関が設置せられておる施政から見ましても、訓路市を凌駕せんとするものでありまして、北海道東随一の都会となるべき地の利を占めるというのであります。そこで昨年來十勝住民の有志で帶廣地方裁判所設置期成同盟というものを結成して、その実現について関係方面に陳情請願中であつて、その設置も遠くはないと信ずる、從つてこの地方裁判所設置の氣運は非常に濃厚になつておる、それだからして、当地に、この訓路地方裁判所の管轄区域で、その区域とする札幌高等裁判所支部、同檢察廳支部を設置せられるとすれば、併せて地方裁判所、同檢察廳の設置を促進せられることになつて、当地の幸福はこれに過ぎるものはないのである。そこで帶廣市から各地への距離を見ると、根室からは八時間余り、訓路からは三時間余り、網走からは七時間余り、北見からは五時間余りというように、これは汽車の時間のようでありますが、短縮せられまして、当事者並びに関係者に利便を與えることが非常に大きい。尚この支部のために廳舍の用意もあるというのであります。大体要領は以上の通りであります。
#138
○政府委員(赤木曉君) 帶廣市は先程の陳情では、地方裁判所を設置して貰いたい、こういうお話でありますが、地方裁判所は先程申しましたように、非常にむずかしいと考えますが、支部の方は、これは確かに帶廣に設ける必要があるとこちらも存じております。唯先程からたびたび申上げるように、これは最高裁判所の権限に属しておりますので、こちらとしては最高裁判所にその趣旨を傳えて促進するということ以外にちよつとお答えいたしかねますのを非常に遺憾に存じます。高等裁判所の支部は、新たにできました制度でありますが、地方裁判所の制度は從來からあります。これは旧憲法時代は司法省の所管でありましたが、新憲法によりまして裁判所が分離した結果、この権限が司法省から離脱いたしまして、最高裁判所の方に移りましたのでございます。從つてこの支部のことについては、お約束いたしかねる状態なのであります。唯最高裁判所の方に取次いで、司法省としても必要があるから何とかやつて貰いたい、こういうことを取次いで、側面的に推進して行く外はない、こういう状態なのでございますので、答弁が甚だ御満足にいかないことばかり申上げるようで恐縮ですが、どうぞ御了承を願いたいと存じます。
#139
○齋武雄君 ちよつと政府委員にお伺いいたしますが、高等裁判所支部は、地方裁判所がなくてもいいのか、元の区裁判所、そういうところに置かれるのであるかどうかということをお伺いいたします。
#140
○政府委員(赤木曉君) 法律上は別に制限はございませんが、置くとすればやはり地方裁判所のあるところに置かないと、いろいろな点で都合が惡いと存じます。併し地方裁判所の所在地でなければ置けないという制限はございません。地方裁判所の上告事件、それから地方裁判所の控訴事件、簡易裁判所の上告事件を扱うことになりますので、やはり地方裁判所の所在地に置く方が便利かとは存じます。
#141
○松井道夫君 今のは地方裁判所と檢察廳支部を設けてくれという請願ですか。
#142
○專門調査員(梶田年君) そうでございます。
#143
○委員長(伊藤修君) 裁判所及び檢察廳の支部ですね、そうすると地方裁判所がなければ駄目なんですか。
#144
○政府委員(赤木曉君) 大体さようでございます。地方裁判所があるところでないといけないと、制限は別にございませんけれども……。
#145
○委員長(伊藤修君) 無暗に昔みたいに、できもしないことを無理に取上げることもおかしなものですから……。
#146
○政府委員(赤木曉君) 特別な必要があれば帶廣は必要と思います。
#147
○委員長(伊藤修君) 政府委員もあんまりお上手ばかり仰しやらないで、できないことはできない、できるものはできると仰しやつて頂きたい。昔のようにできもしないのをよろしいよろしいと仰しやると……。
#148
○政府委員(赤木曉君) これは確かに不便なんであります。現在の訓路では……。
#149
○委員長(伊藤修君) それでは地方裁判所も作つておやりになるお見込も確かにありますか。
#150
○政府委員(赤木曉君) 地方裁判所となると大きくなるのですが、支部は法律も要りませんし、それから設置や廃止が割合に簡單にいきますので、できると思います。
#151
○委員長(伊藤修君) 地方裁判所を作ることは、先程松村さんの御論によると近過ぎるから困るという御意見があつたのですが、そうすると地方裁判所を作る御意思はないようにお見受しますが、そこへ地方裁判所がなければ高等裁判所の支部を作ることはむずかしいと仰しやるから矛盾して來ます。
#152
○政府委員(赤木曉君) 帶廣市につきましては特別の事情がありまして、札幌から非常に遠いので……。
#153
○委員長(伊藤修君) これは地方裁判所に遠くても、特に設けるという意思があるならそれでよろしいですが……。
#154
○政府委員(赤木曉君) 大体の目安といたしましては、地方裁判所はむずかしいというので……。
#155
○委員長(伊藤修君) どちらかはつきりして貰わないと……。
#156
○政府委員(赤木曉君) 地方裁判所はちよつとむずかしいのですが、支部は設けられる……。
委員長(伊藤修君) 地方裁判所がなくても、こういうものが設けられるということがあればよろしいのですが、齋さんに対する御答弁に、有ることが前提だと仰しやつたから……。
#157
○政府委員(赤木曉君) その制限はございませんので、作つて惡いことはありませんので……。
#158
○齋武雄君 今までのものは、法律上の制限はないけれども、併し大体において地方裁判所のあるところに高等裁判所を設けるということですね。
#159
○政府委員(赤木曉君) 唯地方裁判所に甲号支部というのがありますが、裁判所が全然ないわけではないので、地方裁判所の甲号支部というのでありますので、そこに必ずしも本廳はなくてもいいわけです。
#160
○齋武雄君 そうなると地方裁判所を設けるということと、甲号支部があるということとは、その関係が非常に面白くないのではありませんか、私考えてみると、ですから地方裁判所のある所に高等裁判所があるのが当然であつて、地方裁判所が本廳の所になくて、甲号支部の方にあるというのは、そこで面白くない結果を生ずるのではないかと考えます。
#161
○來馬琢道君 北海道の話はとにかく内地のことは大部違いますので、百里ぐらいのことは余り遠いとは言つていないというせいだと思われます。それで只今委員長の意見誠に結構で、できない相談をこの委員会で軽々に取扱うことは、私は甚だ本意でないと思います。余り迂遠の、前途遼遠のことは、ここで力を入れておかない方がいいと思いまして、成るべく軽く取扱われることを望みます。
#162
○委員長(伊藤修君) 私の方は從來のような、唯お土産的なできもせんことをやるということは全く意味がない。法規的にできる、而も作ろうという御意思があれば別でありますが……。
#163
○政府委員(赤木曉君) その点は先程申しましたように、司法省の権限外ではつきりしたことをちよつと申上げかねるわけであります。これは最高裁判所のやることなんで、唯司法省の單純な意見として申上げるだけであります。
#164
○松井道夫君 只今の司法省のなんですか、御意見では、今の請願はこれは尤もだとこういう御意見でございますか。
#165
○政府委員(赤木曉君) 今の訓路に持つて來るといつたようなことは考えられますが……。
#166
○松井道夫君 どちらの方が便利でしようか。
#167
○政府委員(赤木曉君) それは十分調査してみないとはつきり申上げかねますが、訓路の方が適当かと存じます。高等裁判所支部となればですね。これは本廳の所在地でございますので、帶廣にはやはり地方裁判所の支部がございます。併し甲号支部というのがございまして、本廳ではありません。ちよつと先程矛盾したようなお答えを申上げ恐縮ですが、大体本廳所在地に置くという原則ですが、特殊の事情があればこれは甲号支部の所在地に置いても差支ない、特殊の事情があればそういうところに置くことも考えられるのであります。
#168
○松井道夫君 その中で私の知りたいと思いますことは、要するに特殊の事情があるかどうかという場合、訓路が將來言つて來た場合に、訓路の方に置くべしということを議会に今度紹介すると矛盾することになります。ですから訓路に置くよりも帶廣の方に置いた方が適当であるというところまで確信できれば、これを採択して本会議にかけるということもできると思いますが、その点は如何でしよう。
#169
○政府委員(赤木曉君) その点はちよつと確信を以て申上げ兼ねますが、とにかく帶廣は非常に不便なところでありますが、何か高等裁判所の扱う事件の巡回裁判があれば一番結構と思いますが、何かそういう施設が必要だということは確かに見えるのであります。それをどういう形で実現さすかは、ちよつとここでお答えいたし兼ねます。
#170
○松井道夫君 これは北海道の司法部関係から、裁判所、檢事局関係から、何もその運動について考慮を拂つてくれということは別に司法省の方には來ておらんで、單に帶廣の方々が運動しているだけでありますか。
#171
○政府委員(赤木曉君) 私の存じている範囲では帶廣の人達が運動しているるように承知しております。
#172
○齋武雄君 扱い方について決めて頂きたいと思います。
#173
○委員長(伊藤修君) 如何いたしましようか。
#174
○松井道夫君 これについてはやや研究を要するのじやないですか。
#175
○來馬琢道君 軽く扱つたら宜いと思います。
#176
○齋武雄君 この請願、陳情といいますか、或いは必要であるかも知れないが、帶廣は地方裁判所の本廳がないのであります。後で訓路からこういう運動が來た場合に困るので、訓路の方でこういう運動がなくても、若しこれが帶廣に設定されて面白くない関係ができるのじやないかと考えるものであります。これは会議に付することを要しないものと願います。
   〔「贊成」と呼ぶ者あり〕
#177
○委員長(伊藤修君) 只今齋君の申出のごとく一應会議に付することを要しないものと御決定願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(伊藤修君) 左樣決定いたします。
 次は陳情六十号刑事訴訟法を改正する等に関する陳情でございます。これを議題に供します。先ず專門調査員の説明を伺います。
#179
○專門調査員(泉芳政君) 東北弁護士会連合会会長岡本共次郎さんからの陳情であります。昭和二十二年六月十四日盛岡市に開催された東北弁護士会連合会の昭和二十二年度定期総会において別紙の通り決議になりましたので、このことを進達すると共にその実現に関し御配慮願いたいということであります。議案中決議になりました事項は、法律改正の要望が刑事訴訟法について三件、その他の法律、借家法、陪審法、裁判官の報酬に関する件、これらについてそれぞれ一件、それから裁判所への注文の中、高等裁判所支部の設置、簡易裁判所の充実に関する要望、それから裁判所へ刑事訴訟法に対する要望が二件、司法省へのお願が二件、檢察廳への要望が一件となつております。その内容は、一つ刑事被疑者の弁護人選任は起訴後も有効とするよう取扱及び立法について考慮せられたし、これは現在いかんことになつております。將來立法の際に考慮してくれというのであります。それから重大なる事実の誤認並びに量刑の甚だしき不当を上告理由とすることを新刑事訴訟法に規定せられたし、これは前の訴訟法にあつたのですが、この間の應急措置法で一遍削られております。これを今度改正の時又浮かばせてくれという趣旨であります。三番目は最高裁判所における弁護人並びに訴訟代理人の資格の制限に反対す、これは下級裁判所には別に制限はありませんので、上級裁判所では弁護士でなければならんという制限があるのです。それについて改正の際考えてくれというのであります。それからその他の立法につきましては借家法について、当局に対し国民の住居の安定に関する急速なる立法を要望す、尚緊急的措置として借家法を左のごとく改正せられたし。(イ)家主が貸家を賣渡す場合は借家人に対し優先買取を認むること、(ロ)家主の賃貸借契約の解約の予告期間はこれを二年とすというような改正要望。それから次は陪審法であります。速やかに陪審法を改正し眞に民主的なる陪審制度を確立してこれを実施すべし。三番目は裁判官の報酬はその体面の保持及職務遂行に十分なるよう決定せられたしという三つであります。それから次に裁判所への要望は、仙台高等裁判所管内各地方裁判所本廳所在地に急速に高等裁判所支部を設置せられたしという要望。これは仙台管内全部に高等裁判所の支部を置くという要望であります。それから次に新設の簡易裁判所及区檢察廳の職員の充実、廳舎その他施設の整備を迅速に進捗することを講ぜられたしという二点であります。
 刑事訴訟法の運用については、拘束起訴の被告人は逃亡の虞なき限り遅くとも事実審理終了と同時に保釈すること。二番目は刑の執行猶予の言渡ありたるときは刑事訴訟法第三百七十一條第一項に則り確定を待たずして即時放免することという二点になつております。
 それから司法省への要望として、新憲法その他の司法関係法規の趣旨を一般國民に徹底せしめるために朝野法曹一致協力して適切なる啓蒙運動を開始すること。次に新法令発布毎に司法省は必らずこれが印刷物を各弁護士会に配布するよう取扱われたし。
 それから檢察廳への要望として、罪証を煙減し又は逃亡の虞なき限り不拘束の儘起訴すること。以上で全部であります。
#180
○委員長(伊藤修君) 本案に対しての取扱い方は、政府の意見を聽くというとこれはなかなか大変なことでありまして、如何でございますか。
#181
○松井道夫君 当委員会においてよく研究いたしまして、その立法上の措置を要する点はこの委員会において処置しますし、その他、他官廳のものはそれぞれ傳達いたしましたりして、その趣旨が生きることができるように配慮するといつた程度で、これを本会議に付するということの手続をしないというふうにいたしたいと思います。
#182
○委員長(伊藤修君) 只今松井委員より御意見がありましたが、陳情の趣旨は一々御尤もで、研究すべきものが多多あります。当委員会においてそれぞれ立法もし、研究もさるべきことでありまして、改めて本会議に付するということの手続をせずに、委員会においては今後に讓るということで、そういう扱い方で如何でありますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#183
○委員長(伊藤修君) それでは議院の会議に付することを要しないものと、そういう決定をいたして宜しうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#184
○委員長(伊藤修君) 御異議ないものと認めまして左様決定いたします。
 次は請願第十一号岐阜地方裁判所多治見支部を設置することに関する請願、紹介は私でございますが、便宜上專門調査員に御説明をお願いいたします。
#185
○專門調査員(梶田年君) 只今議題になりました請願書が本年の七月七日付をもつて岐阜縣の多治見市長及び土岐郡の町村長会長から本院に提出せられまして七月十日受理せられております。紹介者は只今委員長の言われた通り委員長の伊藤修氏であります。この請願書の趣旨は岐阜縣の多治見市及び土岐郡惠那郡の住民は從來御嵩区裁判所の管轄であつたが、この区裁判所が地方裁判所支部になります関係上今回多治見市とそれから惠那郡中津町とに簡易裁判所が設置せられたのであるが、更に多治見市に岐阜地方裁判所の支部設置を要望するというのであります。その理由といたしましては、御嵩区裁判所は汽車や電車のない時代に中仙道の交通の要路として宿場であつた関係から、この可兒郡の御嵩町に設置せられたのであるが、土岐、惠那、可兒、加茂の東濃四郡を管轄しておつたのでありまして、岐阜裁判所支部も併置せられておつたのであります。然るにこの御嵩区裁判所所在地の御嵩町は、今日は農村と化して僅かに單線の電車一本の乗り入れがあるだけとなりまして、関係住民は非常な不便を感じておりまして、この区裁判所の位置を多治見市に移轉するように、昭和六年の三月に土岐、惠那両郡全町村、それから可兒、加茂両郡の中九ケ町村長から、司法大臣及び貴衆両院に請願書を出したこともある。爾來継続して運動をして來た。最近は今年の五月二十八日附で多治見市長から最高裁判所長官代理に岐阜地方裁判所多治見支部設置の陳情を提出しておるような次第であるというのであります。そこでこの多治見市、土岐郡、惠那郡、可兒郡、加茂郡東濃四郡であります。これの人口とそれから訴訟事件数を表にしておりまするが、それによりますと、昭和二十一年末の現在で多治見市の人口が三万五千八百八十八で事件数が民事が十九、刑事が三百五十となつております。
 土岐郡の方は人口が八万八千六百七十一人で民事が三十一、刑事が三百八十三、惠那郡が人口が十四万三千二百八十一人で民事が十六、刑事が四百五十、可兒郡の人口は四万八千六百十七人で民事が四十二、刑事が百四十四、加茂郡の方は人口が十万三千七百五十三人で民事が三十九、刑事が三百六十二となつておりまして、これを見ますると、多治見市は人口の割合に事件数が、殊に刑事事件数が多いことになつております。
 次に司法関係の官廳から申しますと、多治見市には多治見簡易裁判所、多治見区檢察廳、岐阜司法事務局多治見出張所、これは登記所でございます、などがある。それから多治見には東濃四郡の中で一番大きな警察署がありまして、その定員も相当充実しておるというのであります。多治見市に只今申しますように地方裁判所の支部設置を必要とする理由は、只今述べましたところと、それから図面が添付せられておりますが、この図面によりまして最早や顯著であるが、更にこれを敷衍してみますと、多治見市及び多治見市の周囲を囲んでおる土岐郡というのは陶磁器の生産においては全國の第一であつて、近く貿易の再開によつて当然発展を約束せられており、交通の点から申しましても、中央線、太多線、岡田バス、東濃バスなどが四通八達しておつて、惠那、土岐両郡は勿論可兒、加茂の両郡に行くについても、それぞれその中心をなしておるのでありまして、この多治見市に簡易裁判所だけではいかにも住民に対して不便でありまして、迷惑が非常なものであるこういうのであります。そこでこの請願の趣旨といたしましては、この請願は御嵩の地方裁判所の支部を多治見市に移轉するということを希望するのではないのであつて、多治見市と土岐郡及び惠那郡を管轄する地方裁判所の支部を多治見市へ新らしく増設するということを希望するというのでありまして、以上の理由で御詮議の上速やかに実現をお願いをする。尚廳舎、備品什器等一切関係地において整備せられておるから申添えて置く。こういうことでありまして多治見市を中心とした東濃四郡の地図が添附せられております。以上がこの請願の要領でございます。
#186
○政府委員(赤木曉君) 多治見市に支部を設けるということにつきましては、司法省の所管自体でも確かにその必要はあるものと認めまして、努力いたしたのでございますが、予算の関係でこれを割愛せざるを得ない状態になつたのでございます。併し只今請願の事由にも申述べになりましたように、ここには確かに支部を置く必要があるものと認めておりますし、最高裁判所の方におきましても有力な候補の一つと考えております。支部設置の予算が得られた曉には、恐らく最初に設置せれるところではないかと存じております。
#187
○來馬琢道君 先達て岐阜縣に參りまして、二三私が調査いたしたところによりますと、岐阜が中心であつて、西濃においては大垣、東濃においては御嵩というようなことがいつでも総ての行政上の処置のふうだつたと思うのです。それは先程お話のあつたように交通機関が揃つてないときには、中仙道にあります御嵩という町が相当力があつたのであります。明治十四年に監獄本署の名称をおいて大垣、高山御嵩、これを支署としたという岐阜縣における刑務所の配置方などを見て、考えてみますと今日においては多治見に移るべき形勢があるということを思いまして、私は多治見それから大井、中津等は二三回参つたところでありまして、多治見の市の発展については殊に陶業の関係からよく承知しております。大変請願者の方は遠慮しているようでありまするが、先ず多治見市が中津に比ぶれば、中津は長野縣に寄り過ぎておりますから、多治見市がどうしても東濃における中心地として段々資格を備えて來るように思います。この問題は十分自信をもつて本委員会で取扱うことがよいと思います。
#188
○委員長(伊藤修君) それでは只今來馬委員よりの御発言もありますが、本案につきましては先ず会議に付するを要するものと決定することに御異議はありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#189
○委員長(伊藤修君) 次に内閣に送付するを要するとするものと御決定願いまして御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#190
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。以上で請願七件は全部議了いたしましたですが、参議院規則第百七十一條によりますと、「委員会において議院の会議に付するを要するものと決定した請願については、委員会は、意見書案を附して、議院に特別報告を提出しなければならない」と、こういう規定がありますので、從つて只今御決定になりました岐阜地方裁判所多治見市部を設置することに関する請願並びに廣島高等裁判所岡山支部設置に関する請願、この二件に対しまするところの意見書案を作成する必要がありますが、これは委員長にその意見書を作成することを御一任願つて宜しゆうございますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#191
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。それでは本日はこれで散会いたします。明日は午後一時から農林と司法の合同小委員会をいたしまして、引続いて連合委員会を開催いたしまして、農業資産に関するところの法案につき、本委員会に移して頂くような手続を採りたいと思います。尚そのあとで司法委員会を開きたいと存じます。明日で小委員会は終つてしまいたいと思いますから、さよう御了承願いたいと思います。
   午後四時六分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鈴木 安孝君
           松井 道夫君
   委員      大野 幸一君
           齋  武雄君
           中村 正雄君
           奧 主一郎君
           水久保甚作君
          池田七郎兵衞君
           岡部  常君
           小川 友三君
           來馬 琢道君
           松村眞一郎君
           山下 義信君
           阿竹齋次郎君
           西田 天香君
  委員外議員
           太田 敏兄君
  專門調査員
           梶田  年君
           泉  芳政君
  衆議院議員
   司法委員長   松永 義雄君
  政府委員
   司法事務官
   (官房臨時企画
   部長)     赤木  曉君
  衆議院事務局側
   参     事
   (法制部長)  三浦 義男君
   参     事
   (法制部第一課
   長)      稻原 忠男君
ソース: 国立国会図書館
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