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1947/10/16 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第37号
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1947/10/16 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第37号

#1
第001回国会 司法委員会 第37号
  付託事件
○民法の一部を改正する法律案(内閣
 送付)
○家事審判法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○農業資産相続特例法案(内閣提出)
○経済査察官の臨檢檢査等に関する法
 律案(内閣送付)
○裁判官彈劾法案(衆議院提出)
○裁判所法の一部を改正する等の法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○最高裁判所裁判官國民審査法案(衆
 議院提出)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月十六日(木曜日)
   午後三時三十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○最高裁判所裁判官國民審査法案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) ではこれより司法委員会を開会いたします。最高裁判所裁判官國民審査法案を議題に供します。本案につきまして前囘の質疑の際各條文について詳細質疑がありましたから、この際便宜提案者より各條について御説明を願つて置いた方がよろしかろうと存じますので、先ず説明員の説明をお伺いいたします。
#3
○衆議院参事(福原忠男君) 委員長の御命令によりまして、簡單に最高裁判所裁判官國民審査法の逐條的説明をいたしたいと思います。
 大体この法律の構想につきましては先に衆議院の司法委員長より提案趣旨の説明の際にございましたので、その構想はその説明にお讓りいたします。それ故ここでは第一條から初めて順次御説明いたします。
 先ず第一條は、この法律の趣旨を書いたものでございまして、これは憲法第七十九條第四項の規定に照合するものでございます。即ち同項は、「審査に関する事項は、法律でこれを定める。」とございますので、この憲法の要求に從つてこのことを制定した次第でございます。
 そうして第二條は、この審査が、衆議院議員総選挙の期日に行うことを明定したものでございます。この第二條もやはり憲法第七十九條第二項の規定に從つたものであります。即ち同項は「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際國民の審査に付し、」とございます。この衆議院議員総選挙の際ということの意味をはつきりしたものが第二條でございまして、即ちその期日に同時に施行するということを謳つたものでございます。更に又各裁判官がそのように任命も第一囘の國民の審査を受け、更に又十年を経ちましたならば、十年経過後の最初に行われる総選挙の期日に再び審査を受けるということを二項では書いてございます。これもやはり憲法の要求に從つた規定でございます。かようにして、衆議院議員総選挙と同時施行ということを第二條は明定したのでございますが、かような関係から、審査の手続を種々の点で簡易にするように心掛けてこの法律を作つております。
   〔委員長退席、理事松井道夫君委員長席に著く〕
 それは後に述べますが、第四條、七條、八條、十二條、十三條、十九條、二十條等において、その趣旨をそれぞれ現わしているつもりでございます。
 第三條は、この審査が総選挙とは異りまして、全國を一区域として行われるということを規定いたしたものでございます。これは最高裁判所の裁判官の性質上、都道府縣に分けるというような趣旨のないことは勿論でございますので、その趣旨を現わしたものでございます。
 第四條は、この國民審査の権限は國民に與えられてあるわけでございますが、その現実の審査権はやはり衆議院議員選挙権を有する者ということにして、衆議院議員の選挙権を有する者が悉く審査権を有するようにいたしました。
 第五條は、かような同時施行の國民審査というものの期日と、それから裁判官の氏名の告示を特に規定して置きました。これは申すまでもなく、総選挙と審査というものは、事柄は全く違つた性質のものでございまするし、その点から國民の審査に対する関心を明確にするため、期日と氏名の告示は是非必要だと考えるのであります。ここで問題となりますのは、期日前二十五日までに氏名の告示がなされなければならん。こうなつているのでありますが、そうなりますと、若し二十五日前より以後、即ち審査期日の十日前とか十五日前に裁判官の任命が行われるというときにはどうなるかという法律上の疑点が出て來ると思います。これはこの法律の解釈といたしまして少くとも國民に裁判官の氏名を徹底させるためには、二十五日という期間が最少限度に必要であろうということから考えますれば、かような審査期日の十日及至十五日前というような接近した時に任命するということは、事実上かような國民の審査をその裁判官について徹底させることができないという結果にもなりますので、そのような任命はなさない方が法律の精神から妥当であるという解釈になると思います。
 第六條は、この國民審査は投票でこれを行うという審査の方法を規定したものでございます。更に又一人一票主義も明定しておきました。
 第七條は、先にも申上げました総選挙と同時施行の意味合から手続の簡易化を図つた一つの例でございまして、全國一区の審査ではございますが、その審査の投票開票というものについては、衆議院議員の選挙の投票区開票区に從つて行うことを規定し、更に八條では審査人の名簿は衆議院議員選挙人名簿そのものを用いるということにいたしたのでございます。
 第九條は、先にも申した通り審査と選挙とは別のものでございますし、審査の方は、内閣の行いました裁判官の任命を國民が審査するという形になりますので、その審査の公正を期する意味から独立の機関を設け、これを國民審査管理委員会という名称にし、その構成を考えたものでございます。即ちこの委員会は國民審査管理委員十人を以て組織するのでございますが、その委員は参議院においてその議員の中から選挙されることにいたしました。そうしてその任期を三年とし、若し委員の方が途中で事故によつて委員の職から離れた場合には補欠委員が任命することになるのでございますが、その補欠委員は前任者の残任期間のみその任にあるということにいたしたのであります。
   〔理事松井道夫君退席、委員長著席〕
この委員を特に参議院議員のみに限定いたしましたのは、事柄の性質上最も國民の意思を代表する機関である國会の方々が相当であろうと考えられるのでありますが、その場合参議院の方が衆議院においては総選挙の際でございますから、衆議院議員の現任者がないということを考慮いたしまして、特に参議院の方のみをここに揚げた次第でございます。尚この管理委員会に関しましては、参議院議員選挙法の全國選出議員選挙管理委員会の規定を準用することにいたしました。
 第十條は審査管理委員会の権限を書いたものでございます。全國に一個の國民審査管理委員会を設けたわけでございます。現実の審査の事務は都道府縣の選挙管理委員会がいたしますことになりますが、それに対する指揮監督が是非とも必要となるので、その点を明定した次第でございます。
 第十一條は、審査を行う前に、若しその当の裁判官が退官したとか或いは死亡されたというような場合には、その審査の必要がございませんので、その場合の必要な規定を置いたものでございます。
 第二章は投票及び開票の規定でございます。これも大体におきまして衆議院議員総選挙の際の投票、開票の例によることを原則といたしておりますがそれによれない部分をここに特に掲げたものでございます。
 第十二條は投票管理者の規定、更に投票立会人の規定を設けて置きました。これはやはり同時施行の手続の簡易化を図つた一つの規定でございます。
 第十三條も同樣に投票の時及び場所を総選挙の場所と時とによることにいたしました。
 第十四條は投票用紙の樣式でございますが、これはこの國民審査法で新らしく設けられた制度だと思うのでございます。これも委員長の説明にもございましたが、特に記号式を採り、從來の選挙における自署式を採らなかつた即ち事柄の性質上周知徹底を図るという趣旨を規定したものでございます。
 尚この投票用紙の樣式につきましては、できる限り紛淆を來さないよう、できるだけの注意を拂つたつもりでございますが、表現の問題としてはこの別紙別記樣式にある通り、これを交付を受けた審査員が、その教育程度において比較的高くない者にもよく分るようにという趣旨を特に織込みました。
 第十五條はこれは投票の方式でございますが、すでに用紙において記名されておりまする裁判官の名前の上に、特に×の記号を附す欄を設け、ここに×を附すことによつて罷免を可とする意思表示をさせることにいたし、そして何も符号を附けないことによつて罷免を可としない裁判官ということにいたしたのでございます。尚投票用紙に審査人の氏名を書いてはならないとか余事記入をしてはならないということも同樣選挙のときの投票と同じように考えております。
 第十六條は点字による投票を認めたのでございます。ここではかような法律の体裁の上から申しまして、できる限り政令の規定を省くことを考慮したのでございまするが、点字につきましては、これは少くとも法律にいたしますと、最小限度七、八條の條文が要るかと思うのでございます。そのようなことはこの法律の体裁からいいましてもいかがかと考えまするし、又内容的にも必ずしも政令に譲りましたことによつて、法律の精神を沒却されるという趣旨のものでもないように考えられますので、政令に必要な事項を定めることを委任してございます。尚又この点字投票の際は、從來の自署式を採つておるのでございます。何故にかような盲人の点字には自署式を採るかといいますと、現実の問題といたしまして点字の投票用紙を全國に用意するということは非常な費用も掛かりますし、実際の從來の選挙の際の投票数は全國で約六百ということでございます。さような意味合から比較的少数のために非常なる費用を要するという点を考慮して、この盲人の点字の場合には特に記号式を置かなかつた次第なのであります。尚又準備その他の点からも、一定の裁判官に異動があつたという場合に点字の訂正をするということも、全國的に統一をとるということも比較的むずかしいという技術的の点も考慮してあります。
 第十七條は投票録でございます。これはやはり選挙の際の投票録と大体似た規定でございます。
 第十八條は投票の秘密について特に規定いたしました。これは衆議院議員選挙法の第三十九條にもございます通り、この投票については全く國民の自由意思を尊重する意味からかような規定を必要とすると考えた次第でございます。
 第十九條は、開票に関する開票管理者、開票立会人の規定でございます。これも手続の簡易化を図つておる一つの例でございます。
 第二十條は開票の時及び場所でありこれも手続の簡易化を図つたのでございます。
 第二十一條は投票の点檢と結果の報告を審査分会長になされることを規定してあります。この審査分会につきましては後の第三章において規定がございます。
 第二十二條は投票の効力について規定したものでございます。これは一般の選挙の投票の場合に準じて規定したものでございます。ただ第二項はちよつと分りにくい規定かと思いますが、これは連記式になつておりますので、若し連記式のうちの一部の×が他人が附したという場合に他人の附した記載の分のみ無効とするという趣旨でございます。即ち正当の審査人が正当の手続で×を附した以外に、自ら記載したものでない×の記号があつたらばその点のみを無効とするということでございます。更に又「裁判官の何人について×の記号を記載したかを確認し難い」と申しますのは、その列挙されておる裁判官の欄の二つに跨つて×がなされて、いずれとも明確になし難いという点を考慮したものでございます。
 第二十三條は開票録の規定である。これも投票録の規定と同樣のものでございます。
 第二十四條は投票とか投票録、開票録を十年間保存して、そうして將來の審査無効その他の問題がございましたときの証拠として確保して置くという趣旨でございます。
 第二十五條はこれまで申上げました通り、総選挙と審査が同時施行されるということを原則として規定したものでございますが、特定の場合にはかような同時施行ということが行われ難いことが考えられるのであります。即ち衆議院議員選挙法第七十一條にございます通り、一定区域の議員候補者がその定数に満たない場合の無投票選挙区のことを考えますと、そのような場合にも審査はこれを行わなければならんことを謳つたのでございます。そうしてこの場合の投票管理者の指定とか、投票の場所、時、開票管理者の指定、開票の場所、時、更に投票立会人、開票立会人というものについての特別の規定、最小限度の必要の規定をこの二十五條で盛つた次第でございます。
 第二十六條は補充規定でございまして、この章に規定してない分については、衆議院議員の選挙の規定に俟つことにしたのであります。
 第三章は審査分会及び審査会の規定でございまして、これは選挙の場合の選挙会に相当するものでございます。審査分会が選挙会に相当すると考えられます。
 第二十七條においては審査分会の構成を書き、そうして二十八條ではその分会の手続を規定する分会録を規定して、更に又その保存機関を決めたものでございます。
 第二十九條はその審査分会の結果を報告することの規定であり、第三十條の審査会においてなされるのであります。審査会は全國に一つ置くものでございまして、この國民審査の全体を統べるその結果を統合する所でございます。
 第三十一條はその審査会における手続自体を規定するものでございましてこれも又保存期間を特に規定して置きました。
 第三十二條はかような嚴正な手続を履みまして、その國民審査の投票を点檢いたしました上において、罷免を可とする投票の数が罷免を可としない投票の数より多い裁判官は、罷免を可とされたものとする、その趣旨を明らかにしたものであります。ここに但書が置いてあるのでございますが、これはそのような原則は原則でございますが極めて少数の投票がなされた場合にはその投票全体、罷免の手続全体が効果を発生しないということを謳つたものでございます。この点につきましては衆議院の委員会におきましても種々問題があり、熱心な討議が交された点の一つでございます。その要点を申上げますと、これは憲法七十九條第三項に「前項の場合において、」即ち國民審査の行われた場合において「投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は罷免される。」という規定に牴触する虞れはないかということの意見があつたのであります。それ故この問題については特に愼重の審議が交されたように私たちお見受けした次第でございます。更に結論的に申上げますれば、かような第三十二條を置いた趣旨は、この只今読み上げました憲法の條項の規定の解釈につきましても、他の部分と同樣に、憲法は審査制度の大綱のみを定めまして、細目を第四項において法律に委任しておるのでございまして、法律で或る程度の細目的の規定ができるということが前提とさるべきものと考えられるのであります。そうして又この制度の実質を考えましても、投票者の多数の意思を以て國民の大多数の意思を推定するということが基本になるものでございますので、余りに少ない少数者の投票によつて罷免の効果を生せしむるということは、実際問題として罷免をされる裁判官に対して酷でもありまするし、又國民大多数の意思を推定するということもできないかと考えられるので、即ち有権者の百分の一即ち一%に足りない投票しかなされない場合には、その投票の結果、仮りにその投票一%の中の多数が罷免を可とするとしても、その効果を発生せしめないことが妥当であろうという解釈を取つたのでございます。
 第三十三條は、かような審査の結果の報告と告示を規定してございます。
 第三十四條においては、審査分会及び審査会についてはその性質上似たところがございますので、衆議院議員選挙法における選挙会の規定を準用することといたしました。
 第四章は、審査の結果についての規定でございます。
 第三十五條においてかような罷免を可とされた裁判官が一定の出訴期間を経過した後は罷免される、その罷免効果の発生することを明らかに定めました。そうしてかようにして審査の結果罷免された人は、それから後五年の間は最高裁判所の裁判官に再び任命される資格はないことといたしたのでございます。
 第五章は訴訟に関してでございますが、これは一般選挙の場合の選挙無効の訴訟と当選無効の訴訟に該当するものを規定したのでございます。即ち第三十六條では審査無効の訴訟を規定いたしました。これは審査手続において法律上の可否があるために、その訴訟の効力に異議がある場合の訴訟の形式でございます。更にこの訴訟はその事柄の重要性に鑑みまして、特に東京高等裁判所に專属管轄を認めた次第でございます。
 第三十七條はさような審査無効の訴訟がございました結果、明らかに法律又はこれに基いて発する命令に違反することがありますと、更に審査の結果に異動を及ぼす虞れがございます場合には、その審査の全部、一部の無効を判決することを規定したのでございます。第二項においては、後に申上げまする罷免無効の訴訟においても、その事柄の性質上、審査の全部又は一部の無効を來すごとき場合を考慮しての規定でございます。
 第三十八條は罷免無効の訴訟でございまして、これはいわば選挙における当選無効の訴訟に該当するのでございます。これも事柄の重要性に鑑み、東京高等裁判所に提出するようにいたしました。
 第三十九條は、かような審判無効或いは罷免無効の訴訟というものは裁判所の機能にも関係することでございますので、他の選挙訴訟と同樣に、一般の民事、刑事の事件よりも先に出されなければならない。即ち先順位でこれが裁判を受けるものであるということを明らかにいたした次第でございます。
 第四十條、第四十一條は、この訴訟に関しての必要な点を規定したものでございますし、第四十二條は更に判決の結果を一般に告示することを規定したものでございます。
 第六章は、只今申上げました審判無効或いは罷免無効の訴訟の結果、審査自体が全部或いは一部が無効になつた場合に再審査を行うことを規定したのでございます。この場合も必要限度の規定を置き、そうして國民に周知せしめることを考えたのでございます。先程申上げました罷免を可とされた投票の数と、罷免を可としない投票の数が問題になつた場合の規定を第三十二條で申上げましたが、恐らくかような再審査というような場合に、一般審査人の投票に対する熱意の点或いは出足の点から考えまして、かようなときに三十二條の実効があるかと考えるのであります。
 第七章は、この國民審査に関しての種々の運動等も行われることを考慮いたしまして、最小限度の取締りの規定を置いたのでございます。特に申上げる程の点はないのでございますが、そのうち四十四條の第一項第一号に「職務上の地位若しくは職務上の地位に関する特殊の関係を利用して特殊の利益の供與、その供與の申込若しくは約束をし、」云々とございます。この点が目新らしいことだと思います。これは裁判官という特殊の地位に立たれる人に対する審査という関係から弊害を慮つてかような点を挿入したのでございます。更に罰則につきましては衆議院議員選挙法の罰則を準用してございます。
 第八章は補則で、この國民審査についての規定において必要なものを考慮して規定したものでございます。そのうち第五十三條において審査公報ということがございます。その審査公報の内容等については十分に審査に付せられる裁判官かいかなる方であり、いかなる経歴であり、又いかなる人柄であるかというようなこと、その他を國民に周知せしめることを考えて、その趣旨のものであることを法律上明らかにした次第であります。尚この法律は附則におきまして明らかにした通り、公布いたしましたならば直ちに発動したいと考えておるのであります。これは一旦衆議院議員総選挙がございますれば、直ちに現在任命されております最高裁判所裁判官を審査しなければならん必要がございますので、かようにいたしたのであります。
 大変はしよつて説明いたしましたが若しお氣付の点がございましたら、できる限り御説明申上げたいと思います。
#4
○委員長(伊藤修君) 只今の御説明に対して、御質疑のある方は……。
#5
○齋武雄君 補則の五十一條に「審査の施行に関する費用は國庫の負担とする。」とありますが、幾らくらいの予算を取りますか。
#6
○衆議院参事(福原忠男君) 正確なことは申上げられませんが、たしか二千万円程度要るのじやないかということを言つておりました。
#7
○小川友三君 簡單にちよつとお伺いいたしたい。第十五條の、上に×点を附けるという方法は非常に間違い易いのと、又惡用される虞れがあると思いますが、これは衆議院議員選挙法と同じように名前を書くという方法にした方が確実性があると思いますが、その点について御意見を承りたいと思います。
 次に十六條の点字ですが、何年の調査によつて六百人くらい全國に点字の方がおありになつたかということをお尋ねいたします。もつと多いように思います。これは何年前でありますか。もう二十歳以上の者に選挙権があるようになつてからもつと多いような感じでありますが、六百人というのは何年の御調査でありますか。
 それから二十二條の連記制のために間に×点をしたという場合、その間にどう見ても眞中であつたというならばともかく、何%か見て横に寄つておるという場合にどういう審査を採りますか。御意見を承りたい。
#8
○衆議院参事(福原忠男君) 御質問の第一点の自署式にすることの可否でございますが、この点は一般の選挙の際のごとく活溌に選挙運動が行われるということは事柄の性質上望めもいたしませんし、又望ましくないと思われるのであります。そうして現在の日本の情勢といたしましては、最高裁判所裁判官というものが國民の各自に必ずしも親しみ易い存在とは考えられず、又その氏名等を十分に國民の各自が認識しておるとは期待できないものでございます。それ故に全部につきましての現在の審査を受ける裁判官の氏名がそこに挙げられてあるということによつてその認識を深めるということもできるのではないか、こう考えて自署式にいたした次第でございます。成る程×点を書くことについては、多少の弊害もあるということで危惧される点もなきにしもあらずでございますが、先程も申上げました通り、これを記号式にいたしますならば、やはり×点を書くという形が最も穩当な形式だろうとこう考えて立案したのでございます。
 その次の第十六條の盲人の点字の投票数でございますが、これは極く最近の選挙においての現実の数と聞いております。即ち本年の四月施行の衆議院議員選挙の際の数字と聞いております。
 更に二十二條の第二項については、私の説明が足りなかつたかと思いますが、勿論二段に亘つての×点あつても、それが裁判官の何人について×点の記号を記載したか確認し難い部分でありまして、例えばそれがはみ出しておりましても、明らかに一欄の裁判官に対しての×点であることが確認されますならば、これは勿論有効と考えられます。
#9
○大野幸一君 投票用紙の大きさには制限はないのでありますか。
#10
○衆議院参事(福原忠男君) 規定は書いておりませんが、大体基準を示してありますので、これは各都道府縣においての適当なサイズでなさるものだと考えております。余り小さ過ぎるとか或いは大き過ぎるということは、おのずから現在の紙不足の場合そこに妥当な点が見出だされるのじやないか、こう考えております。
 尚その点は私説明を落したと思いますが、この國民審査に関しまする事項は、先に衆議院に内閣から提出され、そうして現在撤囘されました地方自治委員会の権限の中に明示されておるものなんでございます。それで恐らく地方自治委員会に関する法律は近々又國会に政府から提出されることと聞いておるのでありますが、その中にやはり同樣の規定を置くことになつております。そうなりますと、地方自治委員会の方でその予算を組み、そうしてその施行に当る準備をすることになつております。
#11
○委員長(伊藤修君) その費用は要りませんか。
#12
○衆議院参事(福原忠男君) 費用は相当要ります。それはその方から出るのじやないかと考えております。
#13
○松村眞一郎君 三十二條に「投票の総数が、衆議院議員選挙人名簿確定の日において」云々とありますが、その総数の数え方ですが、二十二條の投票の効力の規定との関係はどういうふうになさいますか。第二十二條第一号の正規の用紙を用いないから投票がないと見ていいじやないか。無効の投票でなくて、投票がないということに考うべきじやないかと思います。その投票を数えるというとちよつとおかしいじやないかと思います。「有効投票の」としたらどうですか。「第二十二條の投票を除きたる投票」とでもするか、数字をはつきりして置かんと、数字の問題ですから……。二十二條の第一号はこれは投票じやないと思います。正規の用紙を用いていないのですから、これを数えてはちよつとおかしいと思います。この点が何かはつきりしませんように思いますが、「二十二條の投票を除く」とやりますか。
#14
○説明員(福原忠男君) 只今の御質問の点は、この第二十二條第一項の第一号は、衆議院議員の選挙の際も表現されておる言葉でございます。成るほど衆議院議員選挙の場合には有効投票が規定の計数の基準になつておるのでございますが、こちらの場合は有効投票ではなくして、國民の意思の現われということから見ますならば、たとえ正規の用紙を用いないでも、投票があつたという計算になるのじやないかと考えております。それ故有効投票に限定しておるものでないのでございます。
#15
○松村眞一郎君 それは議論ですからどちらでもいいですが、計数の基礎になつておるかどうか。他の紙を用いたのは投票であるのかどうか。それは議論の岐かれるところですが、これは考えましよう。
#16
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑はありませんですか。
   〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(伊藤修君) それじや本日はこの法案に対してはこの程度にして置きまして、明後十八日本法案に対しまして続行いたしたいと存じます。本日はこれを以て散会いたします。
   午後四時十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           松井 道夫君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           岡部  常君
           小川 友三君
           來馬 琢道君
           松村眞一郎君
           阿竹齋次郎君
           西田 天香君
  衆議院側
   司法委員長   松永 義雄君
   参     事
   (法制部第一部
   長)      福原 忠男君
ソース: 国立国会図書館
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