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1947/10/18 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第38号
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1947/10/18 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第38号

#1
第001回国会 司法委員会 第38号
  付託事件
○民法の一部を改正する法律案(内閣
 送付)
○家事審判法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○農業資産相続特例法案(内閣提出)
○経済査察官の臨檢檢査等に関する法
 律案(内閣送付)
○裁判官彈劾法案(衆議院提出)
○裁判所法の一部を改正する等の法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○最高裁判所裁判官國民審査法案(衆
 議院提出)
○行刑問題の調査に関する小委員の選
 定
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月十八日(土曜日)
   午前十時五十八分開会
  ―――――――――――――
  本日会議に付した事件
○最高裁判所裁判官國民審査法案
○裁判官彈劾法案
○裁判所法の一部を改正する等の法律
 案
○行刑問題の調査に関する小委員の選
 定
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) ではこれより司法委員会を開会いたします。本日は最高裁判所裁判官國民審査法案を先ず上程いたします。前回に引続きまして質疑を継続いたします。
#3
○阿竹齋次郎君 ちよつとお伺いしますが、この審査官の、審査員の選挙は戸所訪問はいいようにこの間御説明があつたのですが、そうでしたね……。この審査員の選挙には戸別訪問をして差支えないような御説明を承つておるのでありますが、そうでしたね……。
#4
○衆議院参事(福原忠男君) 特段の規定はございませんから、そのようなことも許されておるようにも考えられます。
#5
○阿竹齋次郎君 そんなことが許されておるようにも考えておるのじやちよつと頼りない。そうか、そうやないかということを聞いておるまであります。もう一遍聞かして置いて貰わんと話が始まらん。
#6
○衆議院参事(福原忠男君) できるものと思料いたします。
#7
○阿竹齋次郎君 戸別訪問をしてもよいということになりますと、丁度選挙のときには衆議院の選挙と一緒になるのですから、目的は衆議院議員の選挙にある。それをこの審査員の選挙運動でごまかす虞れがあると思うが、この点はどういうふうにしてお取締りになるお考えか。
#8
○衆議院参事(福原忠男君) 現実の問題といたしましては、恐らく相当デリケートな事柄が起るのではないかと考えられますけれども、何分にも國民審査の制度はこれが初めてのことでございますので、今俄かに予測できない点もございますし、恐らくそのような激烈な戸別運動とかその他の、裁判官がみずから審査によつて罪免を受けないために運動をするというような激烈な運動をされるということはないのではないかと、こう想像されるのであります。
#9
○阿竹齋次郎君 質問と答弁との目標が違つている。それは審査員の激烈な選挙をするかも知れんが、衆議院議員の選挙をその時やる。審査員の選挙に名を藉りるという弊害がありはしないかということを心配するのだ。これがある場合にはどういうふうに取締るのか。
#10
○衆議院参事(福原忠男君) その点は一般選挙犯罪並びに審査犯罪についても、審査人或いは選挙人のなんと申しましようか、公民としての意識を昂めることによつて十分に防止できるのではないかと考えます。更に又事犯そのものの檢挙を如何にするかということになれば、これは捜査技術の問題でありますので、今ここで御答弁する筋合のものではないと考えます。
#11
○阿竹齋次郎君 私は戸別訪問の名を潜つてやることをどういうふうに取締るかを伺いたいのです。要するに衆議院議員の選挙運動が目的であつて、審査員の選挙運動と嘘を言つて胡麻化すこれはあると思います。審査員の選挙が公平にやれるかということが問題ではなくて、衆議院の選挙をどうするか狙いは衆議院議員選挙の公平を期したいということが目的である。そのために審査員の選挙を惡用するということについてどういうふうに取締りますか。人間の人格を向上させんければそういうことは望み得ません。惡いことをする者を対象としてお尋ねするのです。
#12
○衆議院参事(福原忠男君) その点はこの前御説明申上げましたように、選挙と審査とは飽くまで別個のものでありまして、同時に施行するのでありますけれども、その間にけじめがあるのてありますから、十分にその間のけじめによつて取締をし、その効果を挙げ得られるものと考えております。
#13
○阿竹齋次郎君 そのけじめというのはどういうけじめを言うのか、けじめがないからと聴いている。けじめがあれば心配はせんです。衆議院議員の選挙の目的のために審査員の選挙運動が惡用されたとすれば、そのけじめはどこにあるのか、けじめというのはどういうのですか、嘘をつくということに対してどういう取締りをされるのか。
#14
○衆議院参事(福原忠男君) 一應は嘘をつくとか、弊害があるというふうに見受けられますが、その点を見別して違反に対しての摘発をするというのが檢察官及至は警察官の職務でありまして、警察官、檢察官の職権を発動することによつて十分その目的が達せられるものと考えております。
#15
○阿竹齋次郎君 警察官より選挙運動を目的にしている人間の方が役者が上手なんです。選挙に対しては玄人なんです。そんな者がやるのですから、それに対してどう取締るのか、警察官などどうでもこうでも胡麻化します。戸別訪問をするような者はどす黒い腹の要領のいい男なんですから、警察の手に乗るようなことをしない、手に乗らないような者をどうして搦めますか。
#16
○衆議院参事(福原忠男君) 御質問の趣旨はなんと申しますか、捜査技術の点を言つているような氣がいたします。今までの選挙違反については断えず警察官よりも、なんと申しましようか、その裏をかくような選挙違反がいくらでもありましたが、從來でも選挙違反はびしびしと檢挙いたして、或る程度の実効を挙げたのでありますから捜査技術と犯罪と比べて、犯罪の方が上手であろうということを予測するよりも、むしろいろいろの施設を拡充することによつて違反の摘発ができるように、十分檢察なり、警察の充実を図つていくという問題になると考えております。
#17
○阿竹齋次郎君 警察の方にどのような用意があるか知らないが、捜査する方にも技術はあるでしよう。そこで如何に技術があろうとも、法案がこれを許すようになつておるとうまく潜つてしまう、そこをどうするか。腕前は警察より戸別訪問をする者の方が上なんですから、それには法文でできないようにしておく必要があると思うのです。
#18
○衆議院参事(福原忠男君) 戸別訪問をいたします際に、裁判官の罪免に関する審査の運動をした際に、衆議院議員の投票依頼とか、投票せざることの依頼をされた場合のことをお考えになつているようでありますが、そのようなことがあれば、そのようなこと自体お摘発するのが檢察事務の責任ではないかと、こう考えております。それがなかなか容易に発見がむずかしいのではないかということは或る程度考えられますけれども、その端緒を得て十分に捜査することが又檢察、警察の職務だと考えております。
#19
○阿竹齋次郎君 そこに弊害がある。弊害の起るような法文を作つていることがいけないので法文がまずい。それから言葉だけでなく、戸別訪問をするときには言葉以外の運動ができる。戸別に歩けばそこにもう効き目があるのですから、要するになんにも知らない者の所にいくのではなく、比較的なじみの連中を選りに選つて行くのですから、こういう弊害を起すことがこの法文の結果ありはしないかと思うのです。そこの取締をやつて貰わなければならない面が起る。それでなければ選挙の公正が期せられない。固より議会政治は選挙が根柢でありますから、選挙を公正にやることによつて議会政治を正しく発揮することができるのです。選挙が腐つておつたら議会政治はできません。
#20
○衆議院参事(三浦義男君) 只今のお尋ね御尤もでございまするが、実は最高裁判所の裁判官十五名でございまして、実際皆重要なる職務を持つておられる方々で、法律上選挙運動について特別の制限を設けなくても、実際問題といたしまして、最高裁判官の現職にありながら選挙運動をやるというような職務上の余裕もなければ、又そういうようなことをやれば、いわゆる裁判官としての職務を怠るということにもなるのでありまして、一般に裁判官はこれは直接こういう問題とは違いますが、一般的に政治運動の禁止がございますので、それらを併せ考えまして、そういうようにいたしはしても、外の選挙運動等におけるように非常に弊害が生ずるということはなかろうと、それと最高裁判所の裁判官の叡智にその点は俟つと、そういうような事柄を勘案いたしまして、一應選挙運動の特別の制剛ということをやらないで、規定の上では、法律的にはそれを認めるような形になつておりますのでありまするが、実際問題としては、御趣旨に副いまして、そういう弊害が起ることは少なかろうと、かようなことで実は書かれておる点を御了承願いたいと思います。
#21
○阿竹齋次郎君 たびたびで済みません。裁判官の方はそんな選挙運動をできないことは分るのです。又いたしもしませんでしよう。併し、衆議院議員の選挙の場合にしても、そんな事件は少ないだろうと言いますが、こつちは多いだろうと言いたい。選挙違反なんかで出て來たのはほんの九牛の一毛と言いたい。大方は皆要領よく胡麻化しておるのです。そういうような弊害の穴のあるような法律がいかん。穴のないようにして置いても潜ります。初めから穴のあるようなことをやつちやいかん。そんな立法は厄介な法律だと思います。國民に犯罪をさせるような制度を作る結果になる。
#22
○委員長(伊藤修君) 只今の御質疑の應答は、大体説明員の方の御答弁も、立案の趣旨がそこにあるのだと、こう仰しやられるので、あとは見解の相違と技術問題となりますから、その程度で打切つて貰いたいと思います。
#23
○中村正雄君 この審査のときに、仮にAという裁判官が不適任だということを演説して廻るという、いわゆる運動員と言いますか、その人の運動員でなくして、この人間は自分は不適格だと考えるという人が、旁その不適格な理由をふれて歩くことができるのか。仮に衆議院議員の選挙の場合でありますと、選挙妨害となるわけですが実際の審査人になると、実際には宜いか惡いかということは分らないわけですから、そういう場合に、こういう人間は不適格だということをふれて廻ることが許されておるのかどうかという点をお尋ねしたいと思います。
#24
○衆議院参事(福原忠男君) 只今のは便宜私からお答えをさして頂きたいと思います。御質問の点は、若しその行爲が、罰則に掲げておるように、一定の利益誘導だとか、場合によれば僞計詐術等不正の方法を使用したような場合、虚僞の事実を流布するというような場合には、それは勿論刑に触れるのだと思いますが、單なる事実を事実として、その裁判官に対する一定の批判をするということだけでは犯罪にならないと、こう考えております。
#25
○中村正雄君 虚僞の事実をやつた場合はどの條項に触れるわけですか、利益の目的でなくして、個人の見解によつてその判事を不適任としての審査をやろうという目的で、全然利益は関係ないのです。個人的な私情によつて虚僞の事実を流布して歩いた場合、どの條項によつて犯罪になるのですか。
#26
○衆議院参事(福原忠男君) 第四十六條の第二号が普通そのよに解釈されておるのでございます。これは衆議院議員選挙法でも同じ表現を使つておると思いますが、多少表現の点ではつきりしないところがあるのでありますが解釈上は常にそのように解釈しております。
#27
○小川友三君 大体御説明を頂きまして分りましたが、第九條のことにつきまして、ちよつとお伺いしたいのであります。「國民審査管理委員は、参議院においてその議員の中からこれを選挙する。」ということになつておりますが國民審査と名付くからには、衆議院と参議院と両方から委員を出して頂いた方が公平なのではないかと、かように思いますので、これを参議院に決めたわけをお伺いすることと、それから國民審査管理委員会は、「参議院議員選挙法第十六條乃至第十九條の規定を準用する。」ということになつておりますがその規定を読みますると、十六條は全國選出議員の委員会のことであり、十七條もやはり全國選出議員の委員会のことであり、十八條も全國選出議員の委員会のことであり、十九條も全國選出議員の委員会のことであるのでありまして、これは何だかお間違いではないかと思います。この中の一部を利用することは、第十八條だけであると思いますけれども、これを十六條から十九條まで引つ括めにおやりになりましたわけを御説明願いたいと思います。
#28
○委員長(伊藤修君) 今の第一点はこの間御説明があつたごとく、当時、この法案で選挙を執行する場合においては衆議院は解散されてないのですからだから便宜参議院を以てこれを構成するという御説明があつたのですから、理論上正しいというわけです。あなたの御質問の点は、参議院はそのときないのですから、それはこの間御説明がありましたのです。ないやつをやれと言うことは不可能ですから。第二点だけをお答え願います。
#29
○衆議院参事(福原忠男君) 御質問の第九條の末項についてでございますが、これはやはり間違いではございませんので、参議院議員選挙法第十六條から第十九條までの全國選出議員選挙管理委員会の規定を準用しておりますのはこの審査法がかなり短く、何と申しましようか、余り長くなることを避けるために、今の参議院の全國選出選挙管理委員会の規定の中から、例えば十六條と申しますのは、委員長を選任するという規定、それから委員長の職務、権限の規定、それから十七條が定足数の規定、そうして議事の決定の規定、それから十八條が書記を置く規定、そうして書記の任免の規定、それから十九條が、全國選出議員選挙管理委員会が、その委員会について必要な事項を定めることができるというふうに、少くとも四ケ條の條文が國民審査管理委員会についても必要なんですが、それが参議院議員の選挙法の中にございますので、それをそのまま借りたという形でございます。
#30
○委員長(伊藤修君) 説明員にお伺いしますが、先達つて費用の点がまだ明確でないようですから、一應御説明願つて置きたいと思います。
#31
○衆議院参事(福原忠男君) 甚だ申訳ありませんが、二千万円程度ということ以上に研究しておりませんので、今日の午後にでも亦委員長に御説明を求めて頂いて、それまでに私の方で調査いたしたいと思います。
#32
○委員長(伊藤修君) 只今審議決定してしまいたいと思いますから……。
#33
○衆議院参事(福原忠男君) 一囘の審査について、大体二千万円程度のものと御承知願います。
#34
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑はありませんですか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○委員長(伊藤修君) それでは御質疑はないものと認めまして、これを以て質疑は終了することにいたします。次に討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにして御意見をお述べ願いたいと思います。
#36
○小川友三君 本案に賛成する者であります。各條項を仔細に檢討するのに十分な法律案であると思いますので、賛成いたします。
#37
○委員長(伊藤修君) 他に御意見はありませんですか。
#38
○阿竹齋次郎君 私はさつき質問したように、戸別訪問を許してはいけないと思うのです。立憲政治は、要するに選挙と会議です。選挙と会議以外には立憲政治はない。立憲政治の條件は会議と選挙である。この大事な選挙にこういう危いことを初めからやることに反対いたします。私はそこを戸別訪問を許さんということに修正して貰いたいと思います。
#39
○委員長(伊藤修君) 原案全部に反対でありますか。
#40
○阿竹齋次郎君 いいえ、修正意見です、戸別訪問を禁止するというのです。
#41
○委員長(伊藤修君) 修正の御動議が出るのですか。
#42
○阿竹齋次郎君 この手続が面倒なら私の修正して貰うのは恐縮しますから提出はいたしません。反対の意思を表しますと同時に、簡單にそれが取扱つて貰えるならよろしいけれども、皆さんに御迷惑をかけることになるなら私は遠慮いたします。
#43
○委員長(伊藤修君) 他に御意見はありませんですか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○委員長(伊藤修君) 他に御意見もないようでありますから、これを以て討論を終結いたします。
 次いで採決に入りたいと存じます。本案全部を問題に供します。本案全部に対して御賛成の方の御起立を願います。
   〔起立者多数〕
#45
○委員長(伊藤修君) 過半数、原案の通り可決すべきものと決定いたします。尚本会議におけるところの委員長の口答報告の内容につきましては、予め当委員会において御了承を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○委員長(伊藤修君) さよう決定いたします。
 只今多数御意見者の署名をして頂くために、書記を廻らせますから御署名頂きたいと思います。
   〔多数意見者署名〕
#47
○委員長(伊藤修君) 次に裁判官彈劾法案を議題に供します。御質疑の方はどうぞお申出を願いたいと思います。
#48
○小川友三君 この前の委員会に、訴追委員並びに予備員のことにつきましてお伺いをしたときに、衆議院の選挙で、その訴追委員の欠席の場合はいわゆるいない場合、選挙中でいない場合衆議院議員がいない場合に、御当局では事務員を以てその期間事務をとつてやつておるという御答弁を速記録などでも明らかに拜承いたしておるのであります。それから間もなく松村さんの質問によりまして、又脱線したお話がございましたのでありますが、これは選挙中幾日か訴追委員並びに予備員がいない空間があるということにつきまして、責任ある御答弁をお願いしたいということで、保留しておきましたので、これにつきましてお答え願いたいと思います。
#49
○衆議院議員(淺沼稻次郎君) 今の質問は非常に重大な点でありまして、本案が衆議院において審査中におきましても、非常に論議の中心になつた点でございます。併し事務的な点は説明員から答弁せられました通りに、事務的な処理をなされて行くのでありまするが、訴追するかしないかという決定をするには、訴追委員会が成立しておらなければできないことでありまして、自然又訴追委員会の決定するに当りましては、訴追委員会の議事決定に当りましては、かなり峻嚴な規定もあるのでありまして、事務的に事務員のみで処理するというわけには参らんのであります。從いましてその間の空白が出るということになるのでありまして、これは衆議院の審査の際におきましては、止むを得ざる結果であるという結論になつたのであります。そのことは同様に裁判所の構成についても、同じことが当嵌まるのでありまして、裁判所は衆参両院議員七名ずつを以て構成するのでありますが、その裁判所はそれぞれ五名以上出席しなければ審理及び裁判することができないという規定があるのでありまして、從つてその際には、参議院だけの裁判官が残つておつても、自然衆議院の裁判官は欠員になりますから、その間空白の時代ができる結果になるのであります。そういう点は甚だ遺憾には存ずるのでありますが、衆議院の議員たる資格においてなるのでありまして、自然衆議院議員の資格がなくなつた場合におきましては、空白の時代が出る。これは止むを得ない結果になると思うのであります。ただその間に人民に迷惑をかけてはならんのでありまして、その点を事務的に処理して行かなければならんということを、事務当局の方から説明申上げたのだと考えるのであります。私共といたしましても、いろいろ議論をいたしました結果、非常に重大なことではあるけれども、自然救済の方法というものは、運用によつてこれをやつて行く以外に途はないのではないかという結論に達したわけであります。
#50
○小川友三君 今浅沼さんから御説明頂きまして、大分よく分つて参りましたのでありますが、問題は、衆議院議員の方だけで訴追委員と予備員が組織せられておるというところに欠陷があるのであると私は思うのであります。前の貴族院があつた当時に、國会法の第百二十六條を素通りにしてしまいまして、参議院が当時はなかつたものですから、そのまま片手落ちに百二十六條ができ上つたために、ここへ來て又ちんばになつてしまつたような状態であると断ぜざるを得ないのであります訴追委員並びに予備員は國会議員の中から出して頂くということから考えますと、そういう空白時代、飛行機でいえばいわゆるエアポケットはないのでありまして、これを改正する意思が衆議院側に、無論公平な浅沼さんでいらつしやるのだし、而も片山さんを長命内閣にしようと努力せられるところの方でもありますから、これをとにかく参議院議員と衆議院議員がやるということにして頂いて、この訴追委員の定数は二十名、予備員が十名でありますから、半分ずつというふうにしたならば、こうした結果はないのでありまして、今浅沼さんが仰しやつた通り選挙中にはない、ないから、これは衆議院議員の資格はないからできないというような意味のお話がありましたが、参議院が参加しておりますと、これは半分ずつですから、予備員がありますから、予備員を繰上げますと、円満に立派にこの委員会が開けるのであります。そうして又裁判書には少数意見も記載するということを規定しなければまるつきり多数の力を以て踏みつぶされて、少数者の意見は何にもならないということになるのでありまして、少数意見もこれを記載してやるというふうにお願いをしたいのであります。國会法を直すという考えが、親分浅沼さんにあるかないかということを、ちよつとお伺いします。
#51
○衆議院議員(淺沼稻次郎君) 只今の質問は、彈劾裁判所の訴追委員会の構成に関する重大な発言であると思うのであります。今訴追委員会の構成に当りまして、参議院から取れば空白の時代がなくなるということでありましたが、この点につきましては第十六條の裁判員の構成の所にありまする通りに「裁判員の員数は、衆議院議員及び参議院議員各七人とし、その予備員の員数は、衆議院議員及び参議院議員各四人とする。」という規定があるのでありまして、仮りに訴追委員が両方から出たと仮定いたしましても、裁判所の構成の上に、衆議院議員が七名欠けた場合におきまして、その会議の形成が両院議員五名ずつ出るということになりますから、自然その選挙の行われる詰り四十日間というものは空白の時代が出るのであります。從いまして訴追委員会だけの編成替えにおきましては空白の時代を救済するわけには参らんのでありますが、併し現在参議院の持つております性格を考えて見まするならば、訴追委員会の構成について新たなる効力が加えられてよいのではないかという御意見につきましては一應考えられる点があるのであります。衆議院におきましてもこの点につきましては議論がなかつたわけではないのでありまして、いろいろ議論も出たのでありまするが、國会法の規定に基きまして國会法はその百二十六條におきまして訴追委員会の組織を規定しておるのであります。從いましてその規定を改正する前提に立たずして、そういう規定があるから、その規定の上に、即ちこの法案を立案するに際しましては憲法を源泉にする。更に國会法、それに足らざるものを他の法律に委ねるという規定があるのであります。それを裁判官彈劾法において規定したという順序を取つて参つたということを御了承を願いたいと思います。後は速記を止めていただきたいのであります。
#52
○委員長(伊藤修君) 速記を止めて…
   〔速記中止〕
#53
○委員長(伊藤修君) 速記を始めて…
#54
○阿竹齋次郎君 條文の文字を言うのでありまして、小さなことになるようでございますけれども、この條文が根本になると思いますから、お尋ねして置きます。彈劾法の第二條の第一です「職務上の義務に著しく違反し、」とこう書いて、著しいということと、又その下には「職務を甚だしく」というふうになつておるのです。「著しく」と「甚だしく」がなければ事件にはならん。ちびこいことと著しいこととの境はどこになるのですか。それから第二條の第二、「その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失う」というのがある。ここにもやはり著しいというのがあつて、その上に威信という字がある。威信という字は軍閥官僚がよく使つた文字ですが、変えてもらいたい。
#55
○衆議院参事(三浦義男君) 第二條に「著しく」、「甚だしく」というのが一号二号共に使つてあるのであります。これは御承知の通り、從來の判事懲戒法というものが廃止になりまして、新らしく裁判官の罷免というものは彈劾によるということになりました。從來は「著しく」というような言葉がありませんでも、廣く職務上の義務に著しく違反するというようなものは懲戒処分をもつて律しておりまして、譴責から減俸或いは免職というようにいろいろの段階があつたわけであります。ところがこの彈劾法において取り上げておりまする事柄は、その最高の処分に値するところの罷免、從來の免職に当るわけでありますので、これが判定をいたします場合におきましては、そこに罷免に値する「著しく」或いは「甚だしく」というような行爲が、著しく義務に違反し、或いは甚だしく職務を怠つたというような行爲がある場合にのみ取り上げらるべきであるというようなことから、こういうような文字を使つたのであります。この実際の場合における該当の事項を判定いたしますることはそのときの事態に應じまして決めなければならないことでありまして、今それでは具体的にどうということを申し上げ兼ねまするが、さような氣持においてできております。その点御了承願いたいと思つております。尚威信という文字は、そういうような御意見のような、或いは見方もあるかと思つておりますけれども、何といたしましても、新憲法下におけるところの司法権というものは、やはり特殊の高い地位を認められておるわけでありまして、その点から考えまして、「裁判官としての威信」と申しますることは、結局個人としてどうというようなことではなくて、いわゆる公職にある裁判官として司法権執行に任ずる重大な任務を負つておる者としての威信であるので、いわゆる言葉を換えて申しますれば、私は司法権の尊嚴というような事柄でもあろうと思うのでありますので、さような意味において御了承願いたいと思つております。
#56
○阿竹齋次郎君 今の説明によると、最高の非違について罷免をするのがこれだということになります。そうなるとこの彈劾法を作つた精神に遠ざかることになりませんでしようか。折角民主主義になつてこの法律ができて、その精神に余程遠ざかると思う。ちよつとのことでもやるんだということの規定でなければならんかと思います。從來人民は寛大であつた。人民が泣き寢入りをしておつたのであります。「著しく」とか「甚だしく」という文字は取つたらどうかと思うのですが、この点についてどうお考えになりますか。それから次に、先程威信ということを言われましたが、それは裁判官というものの値打はそこにあると言われましたが、民主主義的に発展させなければならんのですから、一番こわい所が一番先に民主主義になる。裁判所、警察が優しくなることが民主主義である。そういう意味で文字の使い方についても威信というのは優しく使命とかに負けて貰いたいと思います。
#57
○衆議院参事(三浦義男君) 第二條の第一項の点に関連しましては、御意見のような点は、いわゆる一般の懲戒処分というようなことで、律しらるべきであろうと考えておるのでありましてこの裁判官彈劾法ができましても、懲戒処分というものは、裁判官に対する懲戒処分というものは所箇に存在しておるのでありまして、そういう廣く義務に違反したというような事柄は、これを不問に付するわけではないのでありますので、從來のいわゆる懲戒処分新らしい意味において今度できます裁判官の分限に関する法律によつて律せられる、かようになつておるわけであります。それから威信という言葉の使い方でございまするが、これは用語の問題でございますが、使命というようなことは確かにその一案ではあろうかと思つておりますが、その文句も実はいろいろと考慮された結果出て参りましたのでありまして、更に分けて申上げますれば、いわゆる威ということはまあ司法権の尊嚴と申しますか、それに対する信と申しますのは、一般に信頼する、こういうような両者の意味を兼ね合せまして威信という言葉になつておるのでありまして、平たい言葉で言えば、それは或いは使命というように言つてもよいことかと思いまするけれども、今のような事柄からこの言葉が使われておるということを御了解願いたいと思います。
#58
○小川友三君 第二條の第二号の問題ですが、「その他職務の内外を問わず、」ということがあります。少なくとも裁判官を罷免するのに「その他職務の内外を問わず、」と言いますと、その他というのは普通簡單なことを言うのでありまして、例えば裁判官が立小便をしておつたからそれで罷免された、或いは彈劾されたということになつてはいけませんから、「その他職務の内外を問わず、」というのは削つて頂いた方が裁判官に対する敬意を拂うことであろうと思うのであります。それが一つと、第四十四條のところでありますが、「三千円以下の過料に処する。」ということがありますが、四十四條の「三千円以下の過料に処する。」、而して第二十九條に轉じますると、「又は過料の決定をすることはできない」となつております。「過料の決定をすることができない」ことを二十九條で決定して置いて四十四條では過料を三千円取るというと、これはちよつとこの法律案は頗る要領を得ていないのでありまして、どういうことにこれは脱線しましたのでありますか、その脱線しておるかいないかということをお伺いするのであります。過料は御承知の通り民事罰でありますから、檢事の起訴に甚いてすることもできないのでありますが、こういう刑法の法律を、又脱線した法律をどういう意味合から作りましたかちよつとお伺いいたしたいのであります。
 それからもう一つ、今浅沼さんの説明で、最高裁判所では判事の意見を皆書きますが、この場合は少数者の意見は書かないのでありますか、是非書くようにして貰いたいと思いますが、この点についてお伺いいたします。
#59
○衆議院議員(淺沼稻次郎君) やはり訴追委員会が訴追するのでありまするから、訴追する場合においては條文の規定に從つて多数意見で決定されたものが訴追される結果になるというのが必然だろうと思うのでありまして、少数意見というものは、果してそういうものを出すことの妥当であるかどうかということになれば、私はやはり多数で決めて訴追するということの方がよいのでないかという考えを持つております。更にその次の罰則の件で、これは事務補助員から説明して頂けば一番よいのでありますが、二十九條の規定は彈劾裁判所の規定でありまして、更に四十四條は地方裁判所の決定ということになれば、彈劾裁判所としては過料は取れないという結果になる規定でありまして、これは地方裁判所に関する規定でもないと思います。
 それからその次の第二條第二号の職務の内外ということになりますれば、職務の内外というものは、自然裁判官の威信……権威並びに信用に関することでありまして、このことはその一職務の内外を問わず」ということが入つて私は然るべきだという見解を持つのであります。ただ今御例示になつたようなことは、果して権威に、或いは信用に関係することであれば議論になりまするけれども、併しやはり人間の生活の上に職務の内外を問わず、その権威を失墜する行爲というものは全然ないわけではないのでありまして、それをここに指摘して、「威信を著しく失うべき非行があつたとき。」というふうに規定されておるのでありまして、この点御了承を願いたいと思います。
#60
○小川友三君 「その他職務の内外を問わず」ということの中のその他は要らないと思います。「職務の内外を問わず」で全部入つてしまう、「その他」という三字だけは削つて頂いたらどうかと思います。
#61
○衆議院参事(福原忠男君) 只今の点は、この第二条第二号にその他と書いたのは、第一号を先ず原則として揚げこれは第一号においては勿論職務上のことでありますが、第二号においては職務上のことは勿論、内にも外にもとなつて、更に拡げたのであります。從來の例も先ずこの原則に基いて來て、第二号においては一職務の内外を問わず」という表現をいたしておるわけであります。
#62
○小川友三君 四十四條の過料三千円というのは、彈劾法による三千円でございますか、これは地方裁判所の法律ではありませんから、この点ちよつとお伺いします。
#63
○衆議院参事(三浦義男君) 今の過料三千円の問題に関連しましては、先程御説明があつた通りでありますが、尚補充いたしますると、二十九條の「過料の決定をすることはできない。」と書いてありますのは、御説明の通りに但書のところに「彈劾裁判所及び彈劾裁判所の裁判長は、」となつておりまして過料の決定は彈劾裁判所の権限としてはやらないということを書いてあるだけであります。四十四條はそれとは別に、こういう一定の事項があつた場合にこれは三千円以下の過料に処せられるということでありまして、これは御承知の通りに非訟事件手続法によつて過料決定の手続に俟つわけでありまして、詰り地方裁判所がこの四十四條の規定に應じまして過料の決定をする、かような手続になるわけであります。
#64
○委員長(伊藤修君) 先程の小川委員からの御質問でありますが、裁判書きに少数意見を書くかどうかという点が一つ残つております。
#65
○衆議院参事(三浦義男君) 裁判書きに少数意見を書くか書かないかという問題でありますが、それは昨日も申上げましたのでありますが、決定はこれは多数の意見によつて決まることでありまするが、尚そういう少数意見があつた場合にどうやるかという問題でありまするが、これは昨日お話が出ておりましたいわゆる現在の裁判所法に、裁判書きには各裁判官の意見を表示しなければならないというような新らしい規定が置かれておる趣旨に鑑みまして規則制定権によつてそれらの趣旨に副うようにして行くということが新らしい裁判所の行き方であろうと考えられるのでありますので、各裁判官の意見を表示するということによつて、そこに少数意見なり何なりというものも結果において出て來るということもあり得ると思つております。
#66
○委員長(伊藤修君) それから本案施行に要する費用の概算を御説明願います。
#67
○衆議院議員(淺沼稻次郎君) この費用の点については、衆議院の委員会におきましては、そう議論が少なかつたのでありまするが、大体において職員の関係は國会職員としてすでに予算も取つているはずだと私考えます。從いまして後は委員会を構成いたしまする訴追委員並びに裁判官の費用、そういうようなことだろうと思います。これも議会休会中のみ支給するので、議会開会中は支給しないという、そういう規定になつておりますから、自然費用としては多額のものがかからない、且裁判所の事務所等にいたしましても、これは國会の内部に置きたいというようなことでありましたから、費用としては相当多額のものが要るのではないと考えております。
#68
○松村眞一郎君 第十二條の訴追の期間、これは時效のような考えを何故しなかつたのですか。その意味は訴追委員会がない時がある、丁度期間満了しようとする時に衆議院が解散されたということになるというと、期間の満了の途中でそういう時效が起つた場合には、やはり期間は満了せしめない方が私はいいのじやないかと思う。詰り時效のような工合にして、その間は期間の進行を停止するというのが私非常に正しい考えじやないかと思います。丁度三年に満たんとする際に、衆議院が解散されたということになれば一ケ月か二ケ月の間期間を訴追することがなくなつてしまうわけですね。これは或る意味においては、訴追というのは國民全体の非常に関心を持つていることでありますから、その期間はやはり三年間は有效に訴追ができるという期間でなければ私はいかんと思います。衆議院が解参されれば、その期間だけは訴追期間がなくなりますから、私はこれは時效と同じように考えたいと思いますが、お考えはこの三年を経過したという意味は、実際の訴追ができる期間を考えておられたのであるか、今申した場合でも三年になつてしまえばそれでよろしいという考えで起案されたのでありますか、どつちでありますか。
#69
○衆議院議員(淺沼稻次郎君) それは御指摘の通り訴追できる期間と了解しております。
#70
○松村眞一郎君 それでありまするとこれはちよつとそういうような工合に読めないと思います。だから時效のようにせんければいかんと思います。それならば、そうすると訴追期間はやはり時效にして、それで訴追委員会の欠けている間は、期間は進行しない、こういうことにしないと私はいかんと思いますが、これは解釈でそういうようにできるかできないかとしうことはちよつと疑わしいと思います。そして時效の進行を阻止するという理由になるわけですから、私はこれはやはり時效的に考えた方がいいと思います。今御答弁のあつた通りそういうふうにこれで解釈ができればいいのですが、解釈がちよつとできるかどうかむずかしい。確定期間のように見える虞れがあると思います。若しそういう御趣旨であればやはり時效という字を書くか、訴追委員会の欠けている間は前項の期間は進行しないというような工合に書くか、はつきりしないというと、どうも御説のような具合には読めるがどうか疑わしいと思います。これは疑いであることを申して置きます。それから第二点は、これは先達つてあなたのおいでのない時に質問したのですが、第三十八條の資格囘復の裁判というのが、これは甚だ感服しないということを前に申したのであります。それはやはり罷免されるところの裁判官の名誉のために権利のために、やつぱり考えなければいかんと思います。ですから罷免の理由の明確な証拠を新たに発見したということになれば、罷免の裁判官の罷免されるべき理由がないということになりますから、やはりこれは再審をして罷免の裁判を取消してしまうということにするべきであると思います。そうしてその場合にはどういうことになるかと言えば、罷免をしたことの方が間違つたのでありますから、やはりその裁判官は復職するというふうにするのが当然だと思います。若しすでに欠員を補充したならば、暫く定員外でいいと思うのであります。ただそういうような場合に資格囘復の裁判をして、そうして本人は満足はしないだろうと思うし、國民もそれでは氣の毒だという氣持を抱くと思います。再審の訴え、請求ということは、やはり規定の一つとして入れた方がいいという考を私は持つている。それは前に質問いたしたのでありますが、その際の御答弁は私が今申したような具合に、すでに欠員の補充もしてしまつているから、元へ戻すことは困るという議論でありますけれども、政府の方は困るというような理由で本人の権利名誉を毀損して置いて、それをそのままにして置くということは、私はよくないと思う。そういう意味においてどうしても再審の請求という途を拓く、そうして誤つている彈劾の裁判の場合には、もう一度復職させるというふうにすべきだと思います。これは前に國家賠償法案というものを政府が作つて、公務員の行爲に対して國民全体に対してそういう保護を認めておるという精神から見ても、彈劾された裁判官の権利の保護ということも考えるべきだと私は思いますから、その点は第三十八條は不備であるというふうに私は思いますが如何でありますか。
#71
○衆議院議員(淺沼稻次郎君) 前の十二條の点につきましては、法制部長から私の答弁に足りない点を追加して頂きますが、三十八條の規定についてはこれはやはり衆議院の委員会におきまして議論があつた点でございます。併しこの際に非常に議論になりますのは今資格囘復したら裁判官が一人余計になつてもいいじやないかというようなことでありましたが、それが非常に議論になりまして、最高裁判所の裁判官が、結果から申上げまするならば、定員があつて定員以上に一人余計置くということはこれはどうも納得が行かないことである。やはりそういうような意味から行けば、ここに掲げてありますような規定の方がいいじやないかという結論になつたわけであります。御議論のありました点は、衆議院にも同樣に議論があつた点でありまするが、更にこの点については司法当局においてもいろいろ研究して貰つた結果、大きな点は定員以上の裁判官ができるということが大きな問題でありました。
#72
○衆議院参事(三浦義男君) 先程十二條の点に関しまして、説明がありました点に附加えまして申上げたいと思いますが、趣旨におきましてはいわゆる時效というようなことに副いたいと思つているのでありまするが、この十二條が置かれました所以は、或る一定の期間遡つてそういう事由があつたものについて訴追をするということが必要であろうということから出て來たのでありまして、この期間をどう考えるかという問題につきましては、衆議院については解散がありまするが、或いは任期の満了もありますが、それを或いは三年間衆議院の解散がないという場合もありましよう。その場合にはその間に一囘、二囘解散があるという場合がありますので、そういうようなことを取入れてこの期間の計算をいたしますることになりますと、その時々によつてその期間の伸び縮みが出て來るというようなことになりますから、十二條の一項の趣旨はそういう罷免事由があつた後、事実上三年を経過した時ということにしまして、そうして途中この訴追委員会が成立しなかつた四十日間の空白の期間というものは、一應考えないことにして十二條というものは考えたのでございます。併し御趣旨の点も御尤もでございまするが、実際はそういうあれがなければ勿論御意見と一致して來ると思つておりますが、附加えて申上げます。
#73
○松村眞一郎君 細かく考えますというと、いろいろの場合も想像されて來ると思います。是非とも有效期間だけで三年を満たすということまでは私は考えていない。その意味は途中に何遍か解散があつた場合に、解散の期間は三年の中から削るというような細かいことまでは考えているのではないが三年で満了する際に、訴追委員会のない場合には私は宜かろうと思う。途中に解散がございましても、まだあと三年期間が残つているから、後から追つ掛けて訴追し得るわけであります訴追の満了する際に、三年に満了せんとする際に……。訴追委員会に掛けているという際には、それは一向に満了していないことなんです。訴追委員会に掛けていいと思う。期間満了だけで私はいいと思います。途中まで精密に考えないで、衆議院のあるところだけが三年にならなければならんというような細かいことは私は言わない。時效の進行でありますから、満了のときだけを考えればそれで宜かろうと思う。満了の際に議会が解散であれば、そこは議会ができるまで、衆議院の訴追委員会ができるまで三年の期間の進行は、その問止めて置くということになるのであります。そうするとどういうふうになるかというと、二年と十一ケ月のときに解散があれば、その一と月分は、今度は衆議院が成立して後から始まるわけであります。一と月だけ次に進む、こういうことになる。これが一番合理的なことだと思います。併しこれはこういうことでなく、実際の不変期間とお考えになつたようでありますから、それは御説明として伺います。私は感服しないということだけを申上げて置きます。
#74
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑ありませんか。ありませんければ質疑は終了するということに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(伊藤修君) それでは質疑はこれを以て終了いたします。それでは続いて討論に入ります。賛否を明らかにして御意見をお述べ願いたいと思います。御意見はありませんか。
#76
○小川友三君 意見も多少残つておりましたのですが、打切りまして、本案は極めて重要なるものでありまして、多少意見もありますけれども、それは讓りまして、特に本案中に参議院が入つていないということに対しては、大いに訴追委員並びに予備員に参議院議員が入つていないということには、多くの苦情がありますけれども、それを了承いたしまして、原案に対して賛成いたします。
#77
○大野幸一君 本案は憲法並びに國会法に規定せられたるその準則に從つて立案せられたるものでありますから、参議院に対しては、遺憾の点もございます。併し大体といたしまして、問題になりました第二條におきましても、これは時の情勢によつて裁判官自体がこの標準を決定するものと考えまして文字その他について多少の不満がありましても、これはその当該事件の裁判官の決定する標準が正しければ差支ないと考えます。そうして第二点は、衆議院と参議院と裁判官を同一にし、而も訴追委員会は衆議院にのみ與えたという点等は、幾分不満もございましても、恐らく衆議院は、訴追委員会が衆議院にある関係上、裁判長は参議院に謙讓的の態度から讓らるべきものと私は信じまして、本案全部に対しまして賛成の意思を表示するものであります。
#78
○委員長(伊藤修君) 他に御意見はありませんですか。ではこれを以て討論を終結することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(伊藤修君) 討論は終結いたしました。直ちに採決に入ります。本案全部を問題に供します。本案全部に対しまして、御賛成の方は御起立を願います。
   〔起立者多数〕
#80
○委員長(伊藤修君) 全会一致を以て……。
#81
○松村眞一郎君 いや私はちよつと……。
#82
○委員長(伊藤修君) 過半数を以て原案通り可決すべきものと決定いたします。本会における委員長の口頭報告につきましては、予め御了承を願うことになつておりますが、御了承を給わることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(伊藤修君) では本案に対しまして、多数意見の御署名を願うことになつておりますから、今書記をして廻らせることにいたしますから、御署名を願います。
   〔多数意見者署名〕
#84
○委員長(伊藤修君) 次に裁判所法の一部を改正する等の法律案につきまして、先日來水久保さんの御意見もありまして、先刻來司法大臣、大藏大臣、衆議院の委員長並びに最高裁判所長代理と私と会談いたしまして、大体の結論は得ておりますが、その結論を今衆議院へ持つて参つて、衆議院で予めその修正を同意するや否やということを非公式に今懇談会を開いておる最中でございますが、本案は御承知の通り、十一月一日から全裁判官の給料を増加せしむるということになりまして、休会が只今聞きますと、二十三日からだそうでありますから、どうしても本日これを御決定願わないというと間に合わない状態であります。誠に恐縮でございますけれども、午後その法案に対する御決定を見るまで、一つおいでを願うようにお願いいたしたいと思います。それを上げてしまいますれば、当委員会はずつと今月中休みたいと存じます。どうぞそのつもりで、この法案だけは上げたいと存じますから、午後まで一つおいでを願うことに……。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#85
○委員長(伊藤修君) では午後一時まで休憩いたします。
   午後零時八分休憩
   ―――――・―――――
   午後三時五分開会
#86
○委員長(伊藤修君) 午前に引続きまして委員会を開きます。裁判所法の一部を改正する等の法律案を議題に供します。前囘に引続きまして質疑を継続いたします。
#87
○中村正雄君 政府委員にお尋ねしますが、本法を施行するにつきまして、大体どのくらいの費用が要るのでありますか。
#88
○政府委員(赤木曉君) お答え申上げます。地方裁判所の判事を全部一級にいたしますとして一人当りの差額が二千四百円、年額合計百四十七万三千六百円、九月から実施いたしますとして七ケ月分で八十五万九千六百円、それから簡易裁判所の判事、これを半数を一級という待遇にいたしますと、一人当りの差額が二千四百円、若しくは千八百円、これは二階級ございますので、そういう二種類の差額が出ます。合計年額百七十万四千円、九月から実施いたしますとして、七ケ月分で九十九万三千九百四十三円、それから調査官、これを十人を一級といたしますとして一人当りの差額が千四百円、合計年額二万四千円でありまして、九月から実施するとして七ケ月分として一万三千九百九十余円となります。併せまして凡そ百八十万円になります。
#89
○委員長(伊藤修君) 他に御質疑はないようでありますが、これを以て質疑を終了することに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(伊藤修君) それでは質疑はこれを以て終了します。直ちに討論に入ります。賛否を明らかにして御意見をお述べ願います。
#91
○水久保甚作君 裁判官優遇に関する件はすでに去る十月八日において決議されておるのであります。何故裁判官を他の官吏より、即ち一級の官吏よりその報酬を上位に置かねばならんかということであります。この点を一言申上げて見たいと思いますが、それは他でもございません。裁判官は國民の犯罪に対し、即ち國家の秩序に違反するものがあればこれを罰するということは、これは國法であるのであります。かくのごとき場合におきまして、これに対して國家の治安のためにこれを維持する人は裁判官である。こう申さなければなりません。それは即ち私は裁判官より外にその人なしと思うのであります。かくのごとく重要な地位にあるのでありまして、又一面既往における裁判官の奉職年数を見ておりますというと、他の各省に奉職しておる官吏は、その資格は同資格に置きまして、十二、三年にいたしまして一級官となつておるようであります。裁判官はその勤務年数は二十年を超えておるようであります。二十年を超えておる人が多数であります。かくのごとく同じ官吏であつて重要なる地位を持ち、重要なる職務を持つておられる裁判官がその昇進の上において今日のごとき現状では誠に同情に堪えないという見地の下に、私は優遇に関する関係を力説いたしたような次第であります。そこでその決議の全文を引用いたしますが、更に私はこの問題はすでに衆議院におきまして決議されておるのでありますから、今更その内容について大藏大臣は非常に同情を以て、どうかしてそれに即應するようにいたしたいという希望はあるようでありますけれども、本院におきましては衆議院が決議をいたしております事情は如何ともすることができません。それで私はこの問題につきまして附帶決議をいたしたいと思うのであります。これを朗読いたします。
  附帶決議
 一、裁判官の報酬については、一般官吏の給與水準より高い水準を定めること。
 二、当面の措置として、一級の一般官吏の俸給額以上の報酬を受ける裁判官の報酬は、官吏俸給令の別表中二十四號以上とすること。
 三、公務員給與法が制定される場合には、前二項の趣旨に應じて裁判官の給與法を制定すること。
 以上附帶決議
を附しまして私は本案に賛成いたす次第であります。
#92
○大野幸一君 私は本案並びに附帶決議に全面的の賛意を表するものであります。本案は衆議院を通過いたしましたので、参議院において更にこの一級の注釈として二十四号俸と修正いたしたかつたのであります。併しこの法律が緊急に成立しなければならないという状勢にありますので、本日衆議院の司法委員会の方々と司法省並びに最高裁判所の関係の方が非公式でありましたけれども懇談会を開きました結果、只今水久保委員の提出されました附帶決議については懇談会において全面的に賛成せられておるような次第でございます。さような次第でございまして今や裁判官をして安んじてその地位に就かしめなければ司法権は危機を叫ばれておるのであります。かようなわけで裁判官優遇は世論であり、又我々の常識となつておる今日、私はこの法案とこの附帶決議に全國民が支持を與えるものと思います。これを以て私の賛成の意見を述べた次第であります。
#93
○委員長(伊藤修君) 只今水久保委員の提出にかかる附帶決議の動議は、成立いたしました。他に御意見がなければ討論を終結することに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○委員長(伊藤修君) では討論はこれを以て終結いたします。次に採決に入ります。先ず第一に原案につきまして採決を行いたいと存じます。裁判所法の一部を改正する等の法律案、全部を問題に供します。原案に御賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#95
○委員長(伊藤修君) 全会一致原案通り可決すべきものと決定いたします。
 次に水久保委員の提案にかかるところの附帶決議の採決をいたします。同委員の提案にかかる附帶決議全部を問題に供します。この決議に対して御賛成の方は御起立を願います。
   〔総員起立〕
#96
○委員長(伊藤修君) では原案通りこれを可決することに決定いたします。尚本会議におけるところの委員長の口頭報告の内容については予め御了承を経ることになつておりますが、委員長に御一任願うことに御異議ありませんですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。多数意見者の御署名を願うことになつておりますので御署名を願いたいと存じます。
   〔多数意見者署名〕
#98
○委員長(伊藤修君) 次に先般当委員会において決議せられましたところの行刑問題の調査に関するところの小委員を設けたいと存じますが、この小委員の数は十名といたしまして、この人選については委員長に御一任を願えますでしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○委員長(伊藤修君) では委員長において御指名いたします。伊藤修、齋武雄君、山下義信君、松井道夫君、岡部常君、池田七郎兵衞君、鈴木安孝君、水久保甚作君、鬼丸義齊君、阿竹齋次郎君、以上十名を小委員といたします。
 次にお諮りいたしたいことは、かねて岡部委員よりお申出もありましたが、行刑問題について、先ず構外作業について第一段西研究する必要があるというお説でありますが、これについとは模範的な構外作業として赤城山麓にある一大農湯及び仙石原における農湯を視察いたしたいと思いますが、これに対し適当な数の委員を適当な日に派遣することについてお諮りいたしたいと思います。この数及び日にち等は委員長に一任ということに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#100
○委員長(伊藤修君) それでは左様決定いたします。では本日はこれを以て散会いたします。
   午後三時二十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   委員
           大野 幸一君
           水久保甚作君
           鬼丸 義齊君
           鈴木 順一君
           岡部  常君
           小川 友三君
           松村眞一郎君
           宮城タマヨ君
           阿竹齋次郎君
           中村 正雄君
  衆議院議員
   議院運営委員長 淺沼稻次郎君
  政府委員
   司法事務官
   (官房臨時企画
   部長)     赤木  曉君
  衆議院事務局側
   参     事
   (法制部長)  三浦 義男君
   参     事
   (法制部第一部
   長)      福原 忠男君
ソース: 国立国会図書館
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