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1947/12/04 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第45号
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1947/12/04 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第45号

#1
第001回国会 司法委員会 第45号
  付託事件
○農業資産相続特例法案(内閣提出)
○経済査察官の臨檢檢査等に関する法
 律案(内閣送付)
○戸籍法を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○民法の改正に伴う関係法律の整理に
 関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○副檢事の任命資格の特例に関する法
 律案(内閣送付)
○長野縣赤穗町に簡易裁判所を設置す
 ることに関する陳情(第六百九号)
○裁判所法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○仙台高等裁判所支部を秋田市に設置
 することに関する請願(第五百九十
 七号)
○昭和二十二年法律第七十二号日本國
 憲法施行の際現に効力を有する命令
 の規定の効力等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣送付)
○青年補導法案(鬼丸義齊君発議)
○昭和二十二年法律第六十五号(裁判
 官の報酬等の應急的措置に関する法
 律)等の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十二月四日(木曜日)
   午前十時四十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○昭和二十二年法律第七十二号日本國
 憲法施行の際現に効力を有する命令
 の規定の効力等に関する法律の一部
 を改正する法律案
○昭和二十二年法律第六十五号(裁判
 官の報酬等の應急的措置に関する法
 律)等の一部を改正する法律案
○戸籍法を改正する法律案
○仙台高等裁判所支部を秋田市に設置
 することに関する請願(第五百九十
 七号)
○長野縣赤穗町に簡易裁判所を設置す
 ることに関する陳情(第六百九号)
○青年補導法案
#2
○理事(鈴木安孝君) これより委員会を開会いたします。昭和二十二年法律第七十二号日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず政府委員の説明を求めます。
#3
○政府委員(佐藤達夫君) 只今議題となりました昭和二十二年法律第七十二号日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律の一部を改正いたしまする法律案につきまして、提案の理由を御説明申上げます。
 今回の改正案の要点は三つの点でございます。
 即ち第一点でありますが、現行法の第七十二号第一條におきましては、日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定で、新憲法によりますれば、法律を以て規定しなければならない事項をその内容といたしております。さような命令はこれを暫定的に昭和二十二年即ち本年の十二月末日まで法律と同一の効力を有するものと定めておるのであります。そこでこの規定は昭和二十年に出ました緊急勅令第五百四十二号、即ちポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基いて発せられました勅令、政令、省令というような、いわゆる我々がポツダム勅令或いはポツダム政令と云つておりますような、さような命令の効力にはこれは関係はないのであります。これは当然なことと考えるのでありますけれども、万一の誤解を避けまするために、この際只今の現行法第一條に右の趣旨の一項を加えまして、これらのいわゆるポツダム命令は、明年一月以降におきましても、依然有效であることを明確ならしめんとするものであります。以上が第一点であります。
 次は第二点でありますが、これは先程述べました現行法七十二号の第一條によりますというと、新憲法によつて法律で決めなければならん事項を定めてあります命令は、本年末までに法律化の措置を執りません限り失効してしまうのであります。從いまして政府におきましては、それらの中の存続を要するものにつきましては、本年の夏以來これが法律化の準備に万般の努力を傾けまして、すでに今期國会において成立したものもありまするし、或いは現に御審議を願つているものも相当件数に上つているのであります。尚種々の関係上甚だ遺憾ではありまするが、今期國会に提出の運びに至り兼ねるものもできて参つたのであります。よつてこれらの残余の命令につきましては、止むを得ざる措置といたしまして、ここにその件名をずつと列挙いたしまして、これらのものは昭和二十三年五月二日までの間暫定的に法律として扱うことにいたしました。來年五月二日までには、本格的な法律の形にこれを整備して行こうというふうに考えた次第でございます。本案第一條の二には、これを規定せんとするものであります。
 最後に第三点でございます。現行法七十二号の第二條の規定は、他の法律の中で「勅令」とあるのは「政令」と読み替えるものと定めております。その趣旨は新憲法の施行後は「勅令」という國法の形式がなくなりますので、そのためにこれを「政令」と読み替えるだけの、極く單純な、機械的な法文上の調整に過ぎない條項であるのでありますが、この規定のために内閣その他行政機関に対して、日本國憲法が認めていない場合に、命令を発する権限を付與したものと解釈されるようなことがあつてはなりませんので、念のために第二條に一條項を加えまして、この趣旨を明らかにいたさんとするものであります。
 以上が本法案の要旨でございます。よろしく御審議をお願いいたしたいと思います。
 尚序でに正誤がございまして、恐らくまだお手許に印刷物として届いておらないのではないかと思いますので、念のために口頭を以て申上げて置きますが、原案の印刷物の第一條の二に沢山揚げてある法令の中で、政府より賣拂う代金の延納に関する件というのがありましたならば、それは後に正誤で削除いたすことに手続をいたすことになつておりますので、お消し置きを願いたいと存じます。
 尚第一條の二の沢山の命令の中の或るものについては、すでに法律化の手順を済ませて國会に御提出申上げておるものがあるのであります。念のために申上げますと、医藥部外品取締規則については医藥部外品等取締法案という形で別途併行して御提案申上げております。それから按摩術營業取締規則から医業類似行爲をなすことを業とする者の取締に関する件までの五つの命令は按摩鍼灸柔道整腹等營業法案という一本の法律案に纏めて最近御提案申上げております。それから飮食物防腐劑、漂白劑取締規則から飮食物營業取締規則に至る十一の命令はこれも食品衞生法という一本の法律案に纏めて別途御提案申上げておるのであります。その意味でこれらの事項は重複して御提案申上げておるわけでありますが、その趣旨は万一の場合を虞れまして実は両建ての構えを採つておるのであります。仮りに食品衞生法が間に合つて御審議になつて、これが成立すれば今申上げた十ばかりの規則も廃止されるというふうに扱いまして、その間の調整を採つております。お含み置きの上で御審議を願いたいと思います。
#4
○理事(鈴木安孝君) これに対する質疑は後廻しにいたします。
 昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律案の政府の説明を求めます。
#5
○政府委員(岡咲恕一君) 只今上程になりました昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申上げます。
 裁判官の報酬につきましては裁判所法第五十一條において別に法律でこれを定めることをいたしておるのでありますが、前議会当時においては、経済事情が尚変轉極まりない状態にありましたのと、当時政府は官吏全体の給與改善を研究中でありましたので、取敢えず暫定的措置として、前議会に裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律案を提出して協賛を得、その法律の附則第二項において、「この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う」と規定した次第であります。併しながらその後経済情勢は依然安定いたしませんし、この状況下において眞に裁判官の地位と職責にふさわしい報酬額を決定するには、裁判官の地位の独立という性質に鑑み、尚度幾多考究の余地がありますので、目下立案中の一般の官吏の給與に関する法律案と併行して、これとは別個に裁判官の報酬等に関する法律案を研究立案中でありますが、これを本年十二月三十一日までに國会に提出して御審議を願うことが不可能な状態となつておるのであります。檢察官の報酬につきましては、檢察廰法第二十一條の規定によりまして、一般の官吏の俸給とは別に、裁判官の報酬に準ずるものとして、特に法律でこれを定めることになつておるのであ
り、國家公務員法附則第十三條も亦右と同趣旨に出たものと認められるのであります。然るに前議会当時におきましては、政府は先に申上げましたように、一般の官吏の給與改善につき研究中でありましたので、取敢えず暫定的措置として前議会に檢察官の俸給等の應急的措置に関する法律案を提出して協賛を得、その法律の附則において、「この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。」と規定した次第であります。ところがその後経済事情は依然安定しないばかりでなく、政府は目下一般の官吏の給與に関する法律案を立案中でありますので、この際檢察官の俸給のみについて直ちにその額を決定することが極めて困難な事情にあるのであります。かような次第で、一般の官吏の給與に関する法律案とは別個に、檢察官の特殊な地位と職責にふさわしい俸給額を定めた檢察官の俸給等に関する法律案を本年十二月末までに國会に提出して御審議を願うことは、これ亦不可能な状態となつたのであります。
 次に日本國憲法の施行に伴う民事訴訟法の應急的措置に関する法律及び日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律は、共に日本國憲法の施行に伴い民事訴訟法及び刑事訴訟法を憲法に適合せしめるために應急的措置を講じた法律でありますので、両法律共その附則において「この法律は、昭和二十三年一月一日から、その効力を失う。」と規定されておるのであります。從いまして政府においては引続いて民事訴訟法及び刑事訴訟法の本格的改正の準備を進めたのでありますが、諸般の状況から、今年十二月三十一日までに民事訴訟法改正法律案及び刑事訴訟法改正法律案を國会に提出して御審議を願うことが不可能となつたのであります。かような次第でありますので、右述べました裁判官の報酬等に関する法律案、檢察官の俸給等に関する法律案、民事訴訟法改正法律案及び刑事訴訟法改正法律案は、これを來るべき第二國会に提出することとし、差当り右裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律外三件の應急措置法の効力を延長する緊急措置を講ずる必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。
 何卒愼重御審議の上速かに御可決あらんことをお願いいたします。
#6
○理事(鈴木安孝君) 本案に対して御質疑はありませんか……別に御質疑はないようでありますが、討論及び採決は後廻しにいたします。
 次に戸籍法を改正する法律案を議題といたします。御質疑の残つている方は御質疑をお願いいたします。
#7
○松村眞一郎君 百四十二條に、「法務廰設置法施行まで」とあるが、法務廰設置というのは、今決算委員会で審議しておるのです。司法委員と連合委員会で昨日までやつたのですが、これは私はその方で修正案を出しておる。これが法務廰ということを法務省としたいというので、今審議中でありますが、どうなさいますか。「法務総裁」とありますが、それが正誤してあるだろうと思います。「最高法務総裁」となつておるでしよう。私はこれは「法務総裁」でいいと思う。法務廰設置ということがちよつと問題を起すと思います。
#8
○政府委員(岡咲恕一君) お答えいたします。百四十二條の「法務総裁」とありますのは、正誤表で確か「最高法務総裁」、「法務廰設置法施行」とありますのは「最高法務廰設置施行まで」と訂正してあると思います。それから今松村委員のお尋ねのことでございますが、最高法務廰設置法が一應施行されるであろうということを予定いたしまして、施行されなければ止むを得ませんが、施行されるまでの間は尚司法省が存続いたしまして、司法大臣がありますので、一應司法大臣と最高法務廰総裁を替えるということに規定いたしたわけでございます。
#9
○松村眞一郎君 そうしますと、こういう解釈で進めばいいわけだと思います。法務廰設置法というのが変つてしまうというと、最高法務総裁というのが残りますが、それがそういう場合には、ただ文字に拘泥しないで実質で解釈するというのであればこれでいい。そういう程度の融通をつけて進みますか。そういうことは余り細かく文字に捉われないでいいのじやないかと思います。結局法務総裁か最高法務総裁かというだけのことですから、そのぐらいの程度の解釈で暫く忍んで通り得るのじやないかと思いますので、いかがでしようか。
#10
○政府委員(岡咲恕一君) その点は何か実際上の措置といたしまして、適当な修正なり、その他の方法で訂正いたすことはできるのじやないかと思いますので、一應この案で御審議願いたいと思います。
   〔「進行」と呼ぶ者あり〕
#11
○理事(鈴木安孝君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#12
○理事(鈴木安孝君) 速記を始めて……他に御質疑がございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○理事(鈴木安孝君) 御質疑がないようでありますから、これから討論に入ります。御意見のある方は賛否を明かにしてお述べを願います。
#14
○鬼丸義齊君 只今議題となりました戸籍法の改正に関しまする法律案中、左の点を修正いたしたいと思います。第五條第二項中「政令」とありますのを、「別に法律に」に改めます。第十條第一項中「正当な事由があるときは」とあるのを削りまして、同項の末尾に「但し、市町村長は、正当な理由がある場合に限り、本項の請求を拒むことができる。」、これだけ加えます。それから「第百四十三條、第五條第二項の手数料の額は、昭和二十二年法律第三十四号財政法第三條の規定の適用があるまで、政令の定によることを妨げない。」、以上の如く修正をいたしたいと思います。
#15
○齋武雄君 私は鬼丸委員の修正意見に賛成する者でありますが、ちよつと確めて置きたいのは、第百四十三條となつておりますが、只今そう申されましたが、この第百四十三條というものはないので、これは附加するのではないでしようか、それをお伺いするのであります。
#16
○鬼丸義齊君 只今齋委員の申されました通りであります。齋君の賛成がありまして議題となりました。他に御意見ございませんですか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○理事(鈴木安孝君) 御意見がないようでありますから、討論を終結いたしまして、戸籍法を改正する法律案の採決に入ります。
 先ず修正案について採決をいたします。鬼丸君の修正案に賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#18
○理事(鈴木安孝君) 起立者総員。よつて修正案は、全会一致を以て可決されました。次にこの修正部分を除きました原案全体について採決をいたします。修正部分を除きました全部について賛成の方の御起立を願います。
   〔総員起立〕
#19
○理事(鈴木安孝君) 起立者総員。仍つて修正可決された部分を除く本案全部は原案通り可決になりました。
 尚参議院規則第百四條によりまして、本会議における委員長の口頭報告の内容につきましては、予め多数意見者の承認を経なければならないのでありますが、これは委員長において本委員会における質疑及び討論の要旨を報告することといたし、そし御承認を願うことに御異議でございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○理事(鈴木安孝君) 御異議ないと認めます。
   〔多数意見者署名〕
#21
○理事(鈴木安孝君) 続いて昭和二十二年法律第六十五号(裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律案の質疑に入ります。……御質疑がないようでありますから討論に入ります。
#22
○中村正雄君 原案に賛成いたします。
#23
○理事(鈴木安孝君) 他に御意見はございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
#24
○理事(鈴木安孝君) 他に御意見もないようですから、直ちに昭和二十二年法律六十五号(裁判官の報酬等の應急的措置に関する法律)等の一部を改正する法律案の採決をいたします。原案に御賛成の方の起立を願います。
   〔総員起立〕
#25
○理事(鈴木安孝君) 起立総員。よつて本案は全会一致を以て原案通り可決されました。尚参議院規則第百四條によりまして、本会議における委員長の口頭報告の内容につきましては、予め多数意見者の承認を得なければならないのでございますが、これは委員長において本委員会における質疑及び討論の要旨を報告することにいたしまして、御承認を願うことに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○理事(鈴木安孝君) 御異議がないと認ます。
   〔多数意見者署名〕
#27
○理事(鈴木安孝君) 次に請願第五百九十七号、仙台高等裁判所支部を秋田市に設置することに関する請願を議題といたします。これは、私が紹介議員になつていますが、便宜上專門調査員の説明を煩はします。
#28
○專門調査員(梶田年君) では御命令によりまして、仙台高等裁判所支部を秋田市に設置することに関する請願について説明を申上げます。この請願は秋田弁護士会長の小山章氏からの請願であります。この請願の趣旨は、仙台高等裁判所支部を秋田市に設置されたいというのであります。その理由といたしまするところは、高等裁判所の職務権限は、從來の控訴院に比べて著しく拡大せられ、裁判所と國民との関係はこれに比例して緊密の度を増したのでありまするが、現在のような高等裁判所の配置状況の下にあつては、國民が憲法によつて保障された裁判所の裁判を受ける権利を平等に行使することができないものと思われる。そこで東北六縣は土地の廣さに比べまして交通関係に惠まれず、高等裁判所はその東南の端にある仙台市にありまするがために、地方裁判所の裁判に不服のある者も上訴に要する時間と費用の犠牲を拂わなければならないことを虞れまして、泣き寢入りになる状態であるのであります。殊に秋田地方裁判所は、管内に簡易裁判所十ヶ所を持つておりまして、内六ヶ所は支部が併置せられておりまして、取扱事件数におきましても、仙台高等裁判所管内で一番数が多い状態でありまするが、仙台高等裁判所との交通関係を見ますると、東北六縣中最も惡いのであつて、最近の距離であります。横黒線及び陸羽東線を経由しますれば、いずれも二回ということになり、仙山線を経由いたしますれば一回の乘換をしなければならんのであつて、僅か一日の出廷に少くとも二泊三日の日数を要するという現状であります。そればかりでなく、地理的には裏東北に当る青森、秋田、山形三縣の中間に位しておるのでありますから、若し國の予算その他の関係で、仙台高等裁判所の支部は一ヶ所以上設置が認められない。できないということであるならば、秋田市に設置するのが最も適当と思われるのであつて、秋田弁護士会としては、從來から控訴院設置を要望して來ておりますし、百二十万縣民の意思を体して本年の十一月三日には臨時総会を開いて、滿場一致を以て仙台高等裁判所支部を秋田市に設置するという請願をすることに決議し、同時に全縣官民の代表者と共同の準備委員会を結成いたしまして、これが目的達成に邁進することを申し合わせた次第でありまして、責任を持つて支部設置及びその運営に支障を生ぜしめないように官民協力をすることになつておるというのであります。以上本請願の趣旨を申上げます。
#29
○政府委員(岡咲恕一君) 只今御紹介になりました請願につきましてお答え申し上げます。政府といたしましては、今お述べになりました種々御不便の事情はよく了承いたしましたが、何分にも最高裁判所支部の設置は最高裁判所の権限に属しておりますので、最高裁判所によく御趣旨を傳達いたしまして、何分の御考慮を願うようにいたしたいと存じます。御了承願います。
#30
○來馬琢道君 政府委委の方のお話はよく分りましたが、これは從來取扱つていた態度から見て、経驗から見て、ここへ支部を設けることがよろしいと思われますか、いかがですか。それによつて我々が態度を決める都合がありますから……。
#31
○政府委員(岡咲恕一君) 今お述べになりました御趣旨によりまして、一應秋田が適当ではないかと私は考えるのでございますけれども、これは司法省の各部局とも連絡いたしませんと、直ちに……これは私一個の意見で、司法省全体の確定的意見はちよつと申上げ兼ねるかと存じます。今お述べになりました請願の御趣旨をよく最高裁判所にお傳えいたしまして、成るべく御希望に副うようにいたしたい、こう考えております。
#32
○齋武雄君 只今の請願は、私は仙台におるので、よく事情は分つておるのでありますが、若し東北に高等裁判所の支部が設置されるならば、秋田が適当だと私共は考えておるのであります。先日郡山に最高裁判所の支部を設けることについての請願があつて、ここで採択いたしましたが、郡山より秋田が適当なのでありまして、二つできるならば結構でありますが、若し一つの場合においては、秋田が優先的に認めらるべきものだと私は考えておるのであります。東北弁護士大会でも、秋田に支部を設置するのが適当だという今年の五月にそういう話もあつたのでありまして、そういうわけでありますから、私は本請願は採択して内閣に送付すべきものと考えておるのであります。
#33
○理事(鈴木安孝君) 只今齋委員の御発言がありましたが、請願第五百九十七号は、齋君の御発言のように、議院の会議に付し、且つこれを内閣に送付することを要するものと決定いたしたいと存じますが、御異議ございませか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○理事(鈴木安孝君) 御異議ないものと認めまして、さよう取計らいます。
 陳第六百九号、長野縣赤穗町に簡易裁判所を設置することに関する陳情、これを議題といたします。專門調査員の説明を煩わします。
#35
○專門調査員(梶田年君) 本陳情は、長野縣上伊那郡赤穗町に簡易裁判所を設置することに関する陳情でありまして、長野縣の上伊那郡赤穗町長宮沢要二郎からの陳情であります。この陳情は、表題の通り、長野縣赤穗町に簡易裁判所を設置して欲しいという趣旨でありまして、その理由といたしまするところは、全國各警察署の所在地に簡易裁判所を設置するということで、警察署の所在地たるこの赤穗町にも協力方を内示せられて來たので、廰舍万端事情の許す限り期待に副うことにして、簡易裁判所に指定せられる、簡易裁判所の所在地として指定を受けることを待つておつたのでありまするが、いよいよ発表になつて見ると、從來の区裁判所の所在地の外に、屋代と岡谷の二ヶ所だけに設置せられることになりまして、当赤穗町には指定がないことになつて非常に遺憾としているところだ。で、この赤穗の警察署は上伊那郡の赤穗町外八ヶ村を管轄する廣い面積を持つておりまして、その中央を電車が貫通しておるけれどもが、交通不便の地域が多い。赤穗町から伊那の簡易裁判所の所在地たる伊那町に至るまで、十二キロの距離がありまして、余り遠隔の地とは申されないのであるが、電車の時間が不正確でありまして、往復に数時間を要する。事件勃発の際に処理に遅延を來す虞れがあるから、この際簡易裁判所を設置して欲しいというのであります。以上御説明申上げます。
#36
○政府委員(岡咲恕一君) 只今御紹介になりました赤穗町に簡易裁判所設置方の請願の御趣旨は、一應御尤もに存ずるのであります。本來簡易裁判所は直接社会の治安確保に任ずる第一線の裁判所でありまして、國民の利害に関係するところが多いので、政府といたしましては、当初一警察署に対し一つの簡易裁判所を設ける方針でありましたが、予算の関係上、大体二つの警察署に対して一つの簡易裁判所を設置するというこうにしまして、これが具体的の設置の場所につきましては、各地の事情によりまして、必ずしも画一的に参りませんでありましたが、それぞれ現地関係町の申出を斟酌しまして決定したのであります。赤穗町の場合につきましては、赤穗町は警察署が置かれるほどの地方的な有力な土地でありながら、簡易裁判所が遂に設置されません結果を見まして、同町に対して非常に御不便をお掛けしておることは十分にお察ししておるところであります。政府といたしましては、最高裁判所とも協議いたしまして、財政その他の事情の許す限り、成るべく御希望に副うよう努力いたしたいと存じますから、何卒御了承を願いたいと存じます。
#37
○理事(鈴木安孝君) 本陳情について質疑がございませんか。
#38
○齋武雄君 どういう意味で、今まで簡易裁判所として、この赤穗町は決定されないのであるか。又簡易裁判所の建物とか、そういう設備について、地方民はどういう考えを持つておるか。それから陳情した人は、どういう人であるかということをお分りであつたらここで御説明願いたいと思います。
#39
○政府委員(岡咲恕一君) 司法省といたしましては、地元から提出されましたいろいろな調書を調べまして、又地元にも照会いたしまして、研究いたしましたところ、伊那町が適当であろうと、こういう判断を得ましたので、一應伊那町に簡易裁判所を設置いたしたのであります。それから本請願は、司法省の方にも司法大臣に宛てまして請願が参つておりますが、それは伊那郡の赤穗町長宮澤要二郎という方からの請願書でございます。
#40
○理事(鈴木安孝君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#41
○理事(鈴木安孝君) 速記を始めて下さい。本件の陳情について採択をいたしますが、これは單に本委員会においてその趣旨を聞き置くことに止め、別に議院の会議に付することを要しないものとすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○理事(鈴木安孝君) 御異議がないものと認めます。
 次に鬼丸義齊君の発議にかかる青年補導法案を議題に供します。先ず発議者の提案理由の説明をお願いいたします。
#43
○鬼丸義齊君 只今議題となりました青年補導法の提案理由を説明いたします。
 現下犯罪の激増は曾てその例を見ない程の状態であります。中でも青年の犯罪が非常に多いこと、及び初犯と累犯の割合が、戰前の三対七に比べて、戰後の七対三と逆轉をいたしておるのであります。民主日本の再興の上に大きな暗影を投じまする問題でありまして、誠に遺憾に存じております。この問題の原因は種々ありましようが、一般的に申しまして、敗戰後の我が國が置かれておりまする、政治的、経済的乃至は社会的情勢、例えば國民道義の頽廃、政局の不安定、物價の奔騰、失業の瀰漫、飢餓一歩前の國民生活等を挙げることができると考えます。殊に青年は、誤れる一部の指導者によつて惹起されました戰爭により、その大部分が、好むと好まざるに拘わりませず、戰線へ、或いは軍需工場へと送られたのであります。そうして終戰と共に、家を、家庭を、職業を失いまして、これらの青年は全く前途の目標を失いまして、そのまま社会惡の渦中に投ぜられまして、遂に道を踏み誤つて罪を犯すに至つたのであります。このような事情によりまして、罪を犯しまする青年に対し、直ちに刑を科しますることは、果して適当でありましようか。そもそも罪を犯した者に対して刑罰を科する所以のものは、復讐的又は應報的観
念によるべきではなくして、社会的に犯罪を防衞すると共に、犯罪者を教化して、正常な社会人として再出発せしめることにあるのであります。いわゆる近來新らしき觀点に立ちまする学者間におきましても、こうした進歩的の考えを持つておりますることは御承知の通りであります。併し我が國の現状から申しますると、その結果は必ずしも満足すべきものではありませんし、殊に青年の犯罪者に対しましては、極めて不適当な場合が多いのであります。更に刑を科しますることは、その者に前科の刻印を押すことになります。そうして社会の嫌惡を買いまして、結局再び惡の道に踏み込ませる結果になるのであります。さればといつて、青年が罪を犯した場合に、直ちに執行猶予を言渡しますることは、更に犯罪を誘発するような虞れが多分にあるのであります。
 ここに刑罰に代えまして、職業補導を中心といたしました適切な施設に收容し、正常な社会人として再生せしめることが絶対に必要であると考えるのであります。本法案提出の理由もまたここに存する次第であります。
 法案の内容につきまして、簡單に御説明申上げます。法案は、一、処分の性格、二、青年補導所の構成、三、補導及び処遇の内容より成つておるのでございます。先ず第一に処分の性格は、手続その他は刑罰に準じた取扱いをいたしまするが、純然たる保護処分でありまして、刑罰に代えてなされまするものであります。先に述べました本法案の措置の必要性から生じまする当然の結果であります。第二点の青年補導所の構成でありますが、これは最高法務廰総裁の管理に属する國立の施設でありまして、その運営に関しましては青年補導所運営委員会を置きまして、所長の專断に陥らしめず、極めて民主的に運営する建前になつております。第三、補導及び処遇の内容でありまするが、補導は必要な教養を施し、勤勉で規律のある生活の下に、主として在所者の適應性を考慮いたしまして、職業の補導を通じて正常の社会人として再生させるようにこれを行うのであります。その処遇につきまして重要なる事項は、補導所運営委員会の議を経ることといたしまして、公正な取扱いが行われるようにいたしております。
 以上青年補導法案の提案の理由につきまして御説明申上げましたが、何卒愼重御審議の上速かに御賛同賜わらんことを希望いたします。
#44
○理事(鈴木安孝君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#45
○理事(鈴木安孝君) それでは速記を始めて……。
#46
○來馬琢道君 私は多年少年保護について、自分はやつておりませんが、私の弟子がやつておりますので、この犯罪をした者、又は犯罪の虞れある者を補導するということについては相当話を聞いております。又実際見てもおります。只今の御提案は大体適当な措置であると考えまして、大網については賛意を表するのでありますが、刑務所のようにいたしまして、世間と離れたところに入れて、そこで刑罰を行うような工合にして收容するということが、誠に在所者にとつては好ましくないことでありますが、ときとすると青年達が逃げて行く虞れがあると思う。逃げて行つて食物が不足である、被服が不足であるというところから、もう逃げたと同時に次の犯罪にかかるというようなことが常に虞れられることであると思うのであります。提案者におきましては、解放して逃げたらば直ぐ捕えるというよう方法でこの收容所を作られるつもりであるか。或いは刑務所のように外界と関を設けて交通しないようにして補導して行こうとされるのであるか。私は八丈島へ行きまして島流しということについて相当調べたことがございます。島流しという徳川時代の処刑というものは、内地の方では至極簡單に送られるのでありましようけれども、送られた方の八丈島あたりではなかなか厄介なものでありまして、只今八丈島にあります元東京府の支廰と
いいましたか、あすこにあります書類によりましても、凶惡な者もあり、又非常にいい感化を島民に與えた者もあるというようなことで、いわゆる青年補導というようなことが慈愛の一般國民によつて和やかに指導されれば結構でありますが、それに應じないような、それに慊らないような青年たちに対しての補導というものは相当骨の折れるものと思うのであります。で第一に伺つて置きたいことは、提案者は刑務所というようなことにしないで、この目的を達するためには只今申しました逃走……殊に逃走ということが一番多く起ることであります。そういう問題についてはどう考えられるか。又そういう者が再犯した場合には直ちに刑務所のような青年補導所のうちに入れるというようなことにして、二重の設備でもなさるつもりか。よくその辺を伺つて我々も賛否を決したいと思います。
#47
○鬼丸義齊君 お尋ねになりましたごとくに、一番注意を拂い、一番肝要なこととしましては、逃走を防止するの施設を十分にしなければならないと思います。ただ刑務所の場合と違いますることは、刑務所の方ではやはりいわゆる懲役、禁錮の普通の刑罰の執行になりまするが、この青年補導所の方では全く懲役という意味でなくして、何とかして教化して元の善人に還すということが主であります。さりながら、とかくにして所内より他に自由を得たいというようなふうのことが青年一般の傾向でありまするから、これに対しましてはどこまでもやはり嚴重な外部との隔離をしなければならんと思つております。そこで逃走いたしました場合については、これは逃走罪とか或いは又それに対しまする一つの懲戒方法はありまするが、極めてこれも緩漫なものであります。ただ併し捕えて返さなければならんというような必要上から、逮捕状の請求権だけが所長に與えられております。それで普通の犯罪者に対しまする場合とはその点の趣きが全然変つて極めて寛容であります。それから尚逃走後において別に罪を犯しまする場合は別といたしまして、逃走したことによつて、すでに決定いたしました補導所の入所判決というものが立消えになるわけにはいかない。又その逮捕状によつて連れ返しまして、そうして最後までその期間中見棄てず世話をして、そうして職を與えて善人に返すべく努力をいたすことになつております。その点が大変その雰囲氣におきましても、施設の上におきましても、普通の刑務所とはすつかり氣分の変るようよふうの施設をする考であります。御了承を願います。
#48
○理事(鈴木安孝君) ではこの程度にいたしまして、休憩いたして、午後は一時半から開会いたします。
   午後零時十二分休憩
  ―――――――――――――
   午後二時十三分開会
#49
○理事(鈴木安孝君) 午前に引続き委員会を開きます。速記を止めて……。
   午後二時十四分速記中止
  ―――――――――――――
   午後三時十三分速記開始
#50
○理事(鈴木安孝君) 速記を始めて……。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十四分散会
 出席者は左の通り。
   理事
           鈴木 安孝君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           中村 正雄君
          大野木秀次郎君
           奧 主一郎君
           水久保甚作君
          池田七郎兵衞君
           鬼丸 義齊君
           岡部  常君
           來馬 琢道君
           松村眞一郎君
           山下 義信君
           阿竹齋次郎君
           西田 天香君
   專門調査員
           梶田  年君
           泉  芳政君
  政府委員
   法制局長官司法
   事務官     佐藤 達夫君
   (大臣官房臨時
   企画部長)   岡咲 恕一君
ソース: 国立国会図書館
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