くにさくロゴ
1947/12/09 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第48号
姉妹サイト
 
1947/12/09 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 司法委員会 第48号

#1
第001回国会 司法委員会 第48号
  付託事件
○農業資産相續特例法案(内閣提出)
○經濟査察官の臨檢檢査等に關する法
 律案(内閣送付)
○昭和二十二年法律第七十二號日本國
 憲法施行の際現に效力を有する命令
 の規定の效力等に關する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議
 院送付)
○青年補導法案(鬼丸義齊君發議)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十二月九日(火曜日)
   午前十一時五分開會
  ―――――――――――――
  本日の會議に付した事件
○昭和二十二年法律第七十二號日本國
 憲法施行の際現に效力を有する命令
 の規定の效力等に關する法律の一部
 を改正する法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(伊藤修君) ではこれより司法委員會を開會いたします、昭和二十二年法律第七十一號日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の效力等に關する法律の一部を改正する法律案、本案は衆議院において修正されまして本付託になりましたのですから、本日はこれを議題に供して審議をいたしたいと存じます。
#3
○政府委員(井手成三君) 衆議院で修正がございました點の内容を申上げたいと思います。政府提案の原案の第一條のこの中で、他の法律で十二月までに適當な措置が了し得ましたものは、ここに列擧して置く必要がございませんという見地から、醫業部外品取締規則以下を衆議院において削除されました。政府におきましても、削除されましても一向差支ございませんし、むしろ船舶法施行細則以下は重複になりますので、落して頂いた方が結構だと思つております。
 それから新らしく第一條の三として、「行政官廳に關する從來の命令の規定で、法律を以て規定すべき事項を規定するものは、昭和二十三年五月二日まで、法律と同一の效力を有するものとする。」という事項が新らしく加わりました。これは行政官廳法によりまして從前の各省大臣の權限、それから各省官制通則というような相當大きな事項が、四月二日まで行政官廳法の根據において認められておるのでありますが、それを明確にこれによつて法律と同じ效力を持つておると言わんとするものであらうと私どもは考えておりまして、この案が入りまして、これは一向差支ない、こういう工合に考えております。あと條文の場所等が少し衆議院で動きましたが、實體に關係ございませんから、これも私どもとして結構だと存じております。
#4
○委員長(伊藤修君) 別に御質疑もなければ、質疑はこれを以て終了いたしたいと存じますが……。
   〔「異議なし」し呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(伊藤修君) それでは質疑はこれを以て終了いたしました。討論は省略いたします。直ちに採決に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(伊藤修君) ではさよう決定いたします。衆議院修正に係るところの原案に對しまして、御賛成の方は御起立を願います。
   〔總員起立〕
#7
○委員長(伊藤修君) 全會一致を以て、衆議院修正通り可決いたしました、では、本會議の委員長の報告については、豫め御了承を願つて置きます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(伊藤修君) 多數意見者の御署名をお願いいたします。
   〔多數意見者署名〕
#9
○山下義信君 この機會に豫て司法竝びに治案及び地法の連合委員會から經濟査察官の臨時檢査等に關する法律案が小委員會に付託せられまして、不肖小委員長を仰せつかりましたので、その後の經過を御報告申上げます。治安及び地方委員會の方は小委員會の副委員長をいたしました岡本愛祐君の方から報告いたしましたので、當委員會に對しまして自分から御報告申上げる次第でございます。
 この經濟査察官の臨時檢査等に關する法律案は誠に簡單な法律案でございますが、事態が重大でございますので、小委員會におきましては愼重審議をいたしました結果、第一といたしましては、憲法との關聯におきましてこの法律案に疑義のありまする點でございます。第二といたしましては、隱退藏物資と關聯いたしますることにつきましての相當突つ込んだ調査をいたしたいという念願があつたのでございます、第三點といたしましては、經濟安定本部というものの行政廳の將來につきまして大いに考慮いたしたいという考えがございました。更に進みましては、經濟警察というものの在り方につきまして十分審議をいたしたいという考えを以ちまして、小委員會は相當囘數を重ねまして審議をいたしましたのでございます。殊に委員中の鬼丸君は、この法律案の對しまして重大なる御意見がございまして、十分憲法違反の疑義があるということが主張せられました次第でございます。就きましては、審議を重ねて參りまする中に段々と異議が出て參りまして、或いは衆議院側とも打合せをいたし、或いは關係方面とも種々と折衝研究をいたしました結果、この法律案自體につきまして相當な疑義が生じまして、殊に小委員會の主張いたします點が多分に關係方面におきましても同意せられるような情勢に相成りましたのでございます。就きましては當小委員會の意見を基礎にいたしまして修正案の具體案を專門調査員が主になりまして起草いたしまして、大體そういう方向に進んでおりましたが、最近におきましては警察法案の提案に關聯いたしまして、經濟警察の在り方竝び安定本部の職務權限、或いは衆議院の隱退藏物資委員會の提案にかかわりまするこの經濟査察の立案というようなことに鑑みまして、この法律案は遂に今國會におきまして、これを或いは修正、或いは審議等具體的に進めますることができない状態に相成りました次第でございまして、或いはこの法律案に關聯いたしましては、政府側におきましても再考慮をいたしておりますような状態でございますので、小委員會は遂に審議未了といたしまして、以上の經過を辿りまして今日に及びました次第でございます。以上簡單に私から御報告申上げておきます。尚補足といたしまして、泉專門調査員から御報告申上げて各位の御了承を得たいと存じます。
#10
○專門調査員(泉芳政君) それでは命によりまして、結局關係筋といろいろ協議した結果、臨檢、捜査を拒まれた場合には、裁判官の命状を持つて行くことが至當であろうということに落着き、政府も又それを了承するところとなりまして、安定本部、法制局それから衆議院の法制部、參議院の方からもオブザーバーとしてそれに加わりまして一つの修正案を作り上げたわけであります。これはお手許に配付されておるかと思うのでありますが、その通りで、結局内容としましては從來參議院の小委員會において各委員から御主張になりました裁判官の令状を持つて行くという趣旨が盛られたわけであります。そこで規定の體裁としましては、憲法には令状という言葉があるのですが、その具體的な施行法である刑事訴訟法その他の法律には、逮捕状とか或いは捜索状というような特殊な名前で表されておりますす、それに間接國税反則者處分法の方で、裁判官の許可状という言葉が使つてありまして、本件の臨檢、捜索は、結局間接國税反則者處分法の檢査の場合に最も酷似しておるというようなことが言い得られまするので、主としてその法律を參考にいたしまして、「經濟査察官は、第一條第一項又は第二項の規定による調査をなすため必要があるときは、地方裁判所又は簡易裁判所の裁判官の許可を得て、第一條に規定する場所又は物件について、臨檢、捜索又は差押をなすことができる。」そうして「經濟査察官は、前條の許可を願求するには、その理由を明示しなければならない。」「前條の請求を受けた裁判官は、臨檢すべき場所、捜索すべき場所又は物件、差押をなすべき物件、請求者の官職氏名、有效期間及び裁判所名を記載し、自己の記名押印した許可状を經濟査察官に交付しなければならない。」というように修正をいたしまして、この案を關係筋へ持つて行つたのでありまするが、一方衆議院における隱退藏物資の特別委員會でも同様な構想で、又こちらの方では裁判官の令状なしに臨檢、捜索をやろうというような意氣込みで進めておつたことから、何らかそこに支障があつたと見えまして、遂にまだ十分に關係筋の了解が得られないままに今日に至つておるような次第であります。以上簡單に御報告いたします。
#11
○鬼丸義齊君 我々小委員といたしまして、この件に關しましては極めて愼重に研究を重ねて參りました結果、關係方面におきましても、又政府におきましても、すでにこれに類する規定は、明らかに憲法に牴触するということが最早今日では明白になつたのであります。果してそれといたしましたならば、從來施行されておりまする隱退藏物資取宗規則でありましたが、それと食糧管理法或いは需給調整法、殊に今度の議會を通過いたしました災害扶助法、その外この種に属する臨檢、監査の規定が單行法として現に存しておるものがあるのであります。その點が當然憲法牴触の法規として無效になるわけでありまするが、それに對して政府は今後如何なる處置を採られるかということを、この際明確にいたしておくことが極めて肝要なことではないかと思います。現にこの法案の審議中におきましても、全國に亙つて隱退藏物資摘發に對しまする幾多の臨檢、監査の規定を活用いたしておりまする事實があるのでありますから、すでに憲法に牴触して無效と決しました法規をかりそめにも今後實施いたしますということになりますれば、由々しき問題であろうと思います。この際政府は、これに對して如何なる處置を採られるかということをこの委員會において明確にして頃くことが極めて肝要なことと思いまするから伺つておきます。
#12
○政府委員(佐藤逹夫君) お答え申上げます。經濟査察官の臨檢、檢査と憲法との關係につきましては、先きにこの委員會におきまして、私から政府の所見を申述べたと存ずるのであります。從いまして政府といたしましては、前囘申述べました通りに、今囘の案で意圖しておりますところが、憲法三十五條に直接規定しておる事項ではない、ただ我々の努力は、憲法三十五條の精神なり、或いは憲法全體の精神に一層忠實ならんがための努力をして參つたのであり、今後もして參らなければならんのでありますが、要するに前囘お答え申しました經濟査察官の臨檢、檢察權と憲法三十五條の關係について申述べましたところは、今御指摘になりました他のすでに成立いたしました諸法制につきましても、同様に考えておるところであります。
#13
○鬼丸義齊君 誠に意外な實は答辯を伺つたのでありまするが、すでにこのことにつきましては、關係方面に、兩院の法制部の方竝びに議員の方相携えて、數時間に亙つて論議され、更にその後においても、特にこの點については再三研究を重めて、最早その點においては、一點の疑うところなく、憲法に牴触するという趣旨から、この經濟査察官の臨檢監査の法案というものは、今度の議會には遂に議了するに至らなかつたことは、明白になつておるのであります。すでにこの問題につきまして、官吏の方が憲法に牴触するというようなことが分りました以上は、極めて男らしく、否むしろ憲法を共に携えて護つて行かなければならん責任のある立場にあるのであります。從來の面子とかそういうことにこだわるところなく、私はむしろ國家の官吏としては、そういうような疑わしきことがありまするならば、進んでその點についてこれを修正し、そうして正しく憲法を護つて行つて頂くの私は態度に出でなければならんと思います。先程も山下委員からも御報告がありましたごとくに、政府におきましてもすでにその點については、今日經濟査察官の臨檢監査というものが、憲法に明らかに牴触するということに認められておるはずである。若しこの席において、政府委員の方におかれまして、その責任ある明確なる御答辯がなし難いとすれば、今一應御研究を願つて、この點は明確にして頂かなければならんと思います。勿論憲法の解釋は、最高裁判所の最終的解釋によるというのでありまするけれども、すでに數度の研究によつて最早明白なることでありまするから、私はこの際この點については、他の法規についてその效力にも大きな關係があるのでありまするから、この機會において明白にして頂きたいということを政府にお願いしたのであります。重ねてその點につきまして御意見を伺いたいと思います。
#14
○政府委員(佐藤逹夫君) 解釋の問題につきましては、只今のところ、政府の考えは先程述べました通りでございます。これは、すべて物事には進歩というものがあるわけでありますから、解釋問題についても尚更にいろいろ各方面から檢討を加えまして、政府としても何が眞理であるかということの發見について、努力はいたして行くつもりであります。又立法の措置といたしましても、憲法の全體の精神に即應するように、それに忠實にあるようにという努力は、今後といえども重ねて參る所存でございます。
#15
○鬼丸義齊君 そういたしますれば、この點につきましては、更に一段と、政府の方も、早急に御研究を願つて、これらの大同小異の法規に對する處置について、近い期日に、明白にして頂きたいことをお願し申上げます。
#16
○委員長(伊藤修君) それでは經濟査察官に關する法案につきましては、小委員長の山下委員より御報告の通りでございますから、第一國會におきまするところの當委員會といたしましては、本案に對しましては、審議未了の程度において終りたいと存じます。
 尚、農業資産相續特例法案に關しましては、過日小委員長の松村委員より御報告がありましたから、本日重ねてお願いすることは、これを省略いたしますが、これまた關係方面の御申出もあり、ついに審議未了に終る次第であります。
 次に、鬼丸委員より御發議にかかるところの青年補導法案は、會期切迫の折柄に御提案になられたために、ついにこの貴重な法案を十分審議するに至らなかつたので、この程度において、これまた審議未了に終る次第であります。以上三件を審議未了に終ることにいたしまして、御了承願いたいと存じます。その餘のものにつきましては、現在委員會にかかつておるところの法案は、者日を以て全部議了いたしました次第であります。
 本年五月以來、皆様のなみなみならん御努力によりまして、當委員會が、少くとも參議院におきましては、最高の審議時間を費し、且つ最高の囘数を重ねまして、多くの基本法案を確定するに至つたこといつきはしては、ひとえに皆様の御努力の賜物といたしまして、厚く御禮申上げる次第であります。本日までのいろいろと御努力賜りました點に對して、重ねて御禮申上げます。では本日を以ちまして、當委員會は、第一囘國會の最終委員會といたしまして、終了いたしたいと存じます。いろいろありがとうございました。これを以て散會いたします。
   午前十一時二十七分散會
 出席者は左の通り。
   委員長     伊藤  修君
   理事
           鈴木 安孝君
   委員
           大野 幸一君
           齋  武雄君
           中村 正雄君
           奧 主一郎君
          池田七郎兵衞君
           鬼丸 義齊君
           松村眞一郎君
           山下 義信君
           阿竹齋次郎君
  政府委員
   法制局長官   佐藤 達夫君
   法制局次長   井手 成三君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト