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1947/10/13 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 国土計画委員会 第11号
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1947/10/13 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 国土計画委員会 第11号

#1
第001回国会 国土計画委員会 第11号
  付託事件
○戰災都市復興計画事業費の補助金増
 額に関する陳情(第二十六号)
○秋田縣米代川並びに阿仁川改修速成
 に関する請願(第八号)
○全國主要道路の整備に関する陳情
 (第六十九号)
○小名浜港修築に関する請願(第十八
 号)
○廣島縣下の砂防工事緊急実施に関す
 る請願(第十九号)
○鈴鹿川改修の復活及び建設省の設置
 に関する陳情(第八十八号)
○長野縣茶臼山地辷り対策並びに岡田
 川改修工事に関する請願(第三十
 号)
○新潟、長野両縣下地辷り対策並びに
 砂防工事実施に関する請願(第三十
 一号)
○福岡縣英彦山一帶の國立公園指定に
 関する請願(第三十二号)
○正法寺川砂防工事続行に関する請願
 (第三十五号)
○長谷川砂防工事に関する請願(第四
 十号)
○イラスケ川砂防工事に関する請願
 (第四十一号)
○千曲及びさい川改修工事に関する請
 願(第四十二号)
○郷川並びに城川の砂防工事に関する
 請願(第四十四号)
○黒瀬川並びに中川改修工事に関する
 請願(第四十五号)
○賀茂川改修工事に関する請願(第四
 十六号)
○常願寺川改修速成に関する請願(第
 四十九号)
○上下水道普及國策の樹立とその監督
 機構の統合に関する請願(第五十
 号)
○最上川災害復旧工事の促進に関する
 請願(第五十一号)
○酒田港の災害復旧開港並びに海上保
 安基地の設置に関する請願(第五十
 二号)
○旭川改修工事促進に関する請願(第
 五十三号)
○霞ケ浦北浦治水工事に関する請願
 (五十七号)
○廣島縣嚴島町の災害復舊工事に関す
 る請願(第六十一号)
○最上川本支流の改修工事に関する請
 願(第六十三号)
○馬見ケ崎川砂防工に関する請願(第
 六十五号)
○砂防行政の一元化に関する請願(第
 六十八号)
○砂防事業補助費増額に関する請願
 (第六十九号)
○岩國港の開港場指定に関する請願
 (第七十号)
○岡山縣下の砂防工事に関する請願
 (七十五号)
○呉市河川の砂防工事施行に関する請
 願(第七十七号)
○鳥取縣小田川、荒金川の砂防工事に
 関する陳情(第百二十七号)
○徳島縣小松島港改良工事に関する請
 請(第八十号)
○徳島縣小松島港開港に関する請願
 (第八十一号)
○犀川流域砂防工事促進に関する請願
 (第八十五号)
○吉井川下流改修工事費増額に関する
 請願(第八十九号)
○岩手縣南地方の水災害対策に関する
 請願(第九十一号)
○表六甲山系の治水事業促進に関する
 請願(第九十六号)
○浜坂港湾修築に関する請願(第百
 号)
○神崎川下流防災工事の予算増額並び
 に尼崎港改良計画の実施を各進する
 ことに関する請願(第百一号)
○五十里えん堤の築設促進に関する陳
 情(第百六十六号)
○鈴鹿川水系砂防工事促進に関する陳
 情(第百七十七号)
○山陽國道改良促進に関する陳情(第
 百八十五号)
○今次秋田縣下の水害地区復旧促進に
 関する陳情(第二百十号)
○脹川治水工事促進に関する請願(第
 百十五号)
○大山國立公園の地域拡張に関する請
 願(第百二十号)
○旧老津飛行場誘道路下流地区一帶の
 砂防工事に関する請願(第百二十三
 号)
○瀬戸市附近砂防施設実施に関する請
 願(第百二十四号)
○愛知縣下の砂防事業費國庫補助金額
 に関する請願(第百二十五号)
○逢妻川上流砂防工事に関する請願
 (第百二十六号)
○兵庫縣柴山港改修工事に関する請願
 (第百二十九号)
○藏王川砂防工事に関する請願(第百
 三十号)
○大谷川砂防工事に関する請願(第百
 三十一号)
○水無川砂防工事促進に関する請願
 (第百三十四号)
○木曾川上流改修工事に関する請願
 (第百三十六号)
○信濃川の堤防工事促進並びに建設省
 の設置に関する請願(第百四十九
 号)
○鳥取縣下の砂防工事に関する請願
 (第百五十二号)
○江合、鳴瀬及び吉田三川改修工事に
 関する陳情(第二百五十一号)
○清水港修築に関する請願(第百五十
 八号)
○新潟縣西頸城郡根知村、長野縣境の
 地辷防止工事を急施することに関す
 る請願(第百五十九号)
○下津港開港指定に関する請願(第百
 六十二号)
○荒川改修工事に関する請願(第百六
 十五号)
○高橋川外六河川並びに二河口砂防工
 事に関する請願(第百六十七号)
○村松沢その他河川の砂防工事に関す
 る請願(第百六十八号)
○利根川改修区域を銚子河口まで延長
 することに関する請願(第百九十一
 号)
○千葉縣内砂防工事施行に関する請願
 (第百九十二号)
○島根縣の昭和十八年風水害復旧耕地
 事業補助金増額に関する陳情(第二
 百六十四号)
○宮谷川砂防工事費國庫補助に関する
 陳情(第二百六十六号)
○呉市河川の砂防工事施行に関する陳
 情(第二百七十号)
○山陽國道改良促進に関する陳情(第
 二百七十六号)
○千代川砂防工事に関する陳情(第二
 百八十四号)
○馬見ケ崎川改修工事に関する陳情
 (第二百八十八号)
○大森、正光両川の砂防工事に関する
 陳情(第二百九十六号)
○山口縣下の道路改修工事に関する請
 願(第百九十六号)
○縣道手鎌南関線改修工事に関する請
 願(第百九十八号)
○川治川砂防工事に関する請願(第二
 百号)
○今次山形縣下の水災害復旧費を全額
 國庫負担とすることに関する請願
 (第二百四号)
○旭川改修工事促進に関する請願(第
 二百八号)
○重信川改修工事に関する請願(第二
 百十一号)
○蘆田川改修工事に関する請願(第二
 百二十四号)
○天龍川堤防復旧工事施行に関する請
 願(第二百二十七号)
○今次秋田縣下の水害地区復旧に関す
 る陳情(第三百二号)
○迫川改修工事に関する陳情(第三百
 六号)
○荒川落堀改修工事に関する陳情(第
 三百九号)
○愛知縣内の海岸堤防改修工事に関す
 る陳情(第三百十号)
○河武隈川その他の河川改修工事に関
 する陳情(第三百十五号)
○迫川改修工事に関する陳情(第三百
 十七号)
○笠岡港修築に関する陳情(第三百三
 十三号)
○利根川水系改修工事に関する陳情
 (第三百三十四号)
○今次岩手縣下の水害復旧対策に関す
 る陳情(第三百四十七号)
○北利根川並びに常陸川改修工事に関
 する陳情(第三百五十一号)
○今次秋田縣由利郡下川村の水害復旧
 費全額國庫負担その他に関する陳情
 (第三百五十四号)
○大分縣下の河川砂防工事に関する請
 願(第二百五十九号)
○野田川砂防工事施行に関する請願
 (第二百六十一号)
○加古川中流改修工事に関する請願
 (第二百六十三号)
○鯖石川外二河川改修工事に関する請
 願(第二百七十五号)
○神奈川縣箱根地方砂防工事促進その
 他に関する請願(第二百七十九号)
○姫路市浜縣道の一部改修工事に関す
 る請願(第二百八十号)
○瀬戸内海國立公園区域に愛媛縣を編
 入することに関する請願(第二百八
 十二号)
○石鎚山連峰一帶の國立公園実現促進
 に関する請願(第二八十三号)
○松山港外港修築工事継続施行に関す
 る請願(第二百八十六号)
○美嚢川改修工事に陳する請願(第二
 百八十九号)
○宮城縣登米郡石越村の災害復旧に関
 する陳情(第三百六十五号)
○伏木港浚渫費國庫補助増額に関する
 陳情(第三百八十二号)
○梨ケ原川砂防工事に関する陳情(第
 三百八十四号)
○今次秋田縣下の水害地区復旧促進に
 関する陳情(第三百九十七号)
○常願寺川改修工事促進に関する請願
 (第二百九十二号)
○富山縣下の河川砂防工事に関する請
 願(第二百九十三号)
○北上川堤防補強工事施行に関する請
 願(第二百九十四号)
○宮城縣登米郡錦織、上沼両村間の北
 上川に不動橋を架設することに関す
 る請願(第二百九十五号)
○狩野川改修工事並びに放水路開さく
 に関する請願(第三百二号)
○重信川橋架替えに関する請願(第三
 百三号)
○重信川改修工事に関する請願(第三
 百四号)
○三國山脈一帶を國立公園に指定する
 ことに関する請願(第三百五号)
○國道第三号線改修工事施行に関する
 請願(第三百八号)
○五ケ瀬川外二河川の改修工事に関す
 る請願(第三百九号)
○伊豆半島を國立公園に指定とするこ
 とに関する請願(第三百十号)
○大淀川改修区域の國直轄測量調査に
 関する請願(第三百十二号)
○大淀川改修工事促進に関する請願
 (第三百十三号)
○別府市に國際観光港を新設すること
 に関する請願(第三百十五号)
○鮎喰川改修工事に関する請願(第三
 百十九号)
○兵庫縣赤穗御崎海岸一帶を瀬戸内海
 國立公園に編入することに関する請
 願(第三百二十三号)
○弘法川砂防工事施行に関する請願
 (第三百三十二号)
○池内川外二河川砂防工事施行に関す
 る請願(第三百三十三号)
○夏川改修工事に関する請願(第三百
 三十四号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月十三日(月曜日)
   午後二時零分開會
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○水害対策に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(赤木正雄君) ではこれから委員会を始めます。先ずその後の利根川の閉切り状態を國土局長から伺います。
#3
○政府委員(岩沢忠恭君) 利根川の決壊箇所における閉切工事の進捗状況について一應御報告を申上げます。閉切工事は先月の二十一日ごろから漸くその著につきまして、大体あそこの閉切は第一閉切と第二閉切の二つの段階に分けて工事を始めたのであります。そうして第一閉切は予定が大体本月の三日を以てこれを終り、そうして第二閉切は本月の十五日を目途として工事を進めつつあるのであります。今日までの大体の進捗状況を申上げますと、第一閉切は本月の二日に完了いたしました。そうして二日に完了いたしまして、三日より一日早くできたのでありまして、大体第一閉切は荒水を止めまして、そうして決壊口に流入しておつた全量を、殆んど大部分を利根川の本川の方に持つて行こうという目途の下に計画いたしたのでありますが、でき上つた十月二日の結果を見ますと、まだ急速にやつた結果、大体本川の方に六割それから決壊口の方に四割を流入しておつたのであります。併しながらその当時における大体の利根川本川の流水というものは全部で二百立米くらいのものでありまして、從つて本川には百二十立米、それから決壊口から八十立米というものを流入いたしておつたのであります。現在におきましてはその後十日間も経つておりまして、補強もいたしました関係上、昨日午前六時の報告によりますと、大体現在において流入しておる水量というものは、二十六立米になつております。そうして一昨日來の雨によつて多少の水位は上昇しておりますけれども、それにも拘わらず、その流入の水量というものは二十六立米というような形になつて殆んど水が入つていないと言つてもいいくらいの決果になつて、非常に成積を收めておる次第でございます。
 次に第二閉切はやはり第一閉切と併行的にこれを施行いたしまして、そうして昨日六時の現在におきましては、大体眞中十五メートルを除きまして殆んど完成をいたしております。今の調子で行けば、十五メートルは非常に短いようでありまするけれども、そこに流入する二十六から或いは三十立米くらいの水がそこに集中した結果、相当水の勢があるために、施行は余程愼重にいたしませんと、折角でき上つた第二の閉切の全体が崩れるという虞れがありますので、これは非常に愼重さを以て最後の締括りをしたいという考えでありますから、大体向うの現場の方の考えとしては、本日中に閉め切りたいと、こういうようなことを申しておりまするけれども、私の見透しとしましては、やはり今日では駄目で、やはり明日一杯、遅くとも十五日の朝までには大体完成するのではないかと思います。と申しますのは、先程申上げました通りに十五メートルぐらいに水が集中したために、下が漸次流速のために掘られたという関係上、これを補強しながら閉切工事を施さなければならない多少面倒さがあるために、時間的に僅か十五メートルでありまするけれども非常に速度が遅いという結果に相成るのであります。それでこれは大体今の十五日というものを目途としてやつたのでありますが、順調に行きまして、大体十五日の遅くとも午前中には、これは全部閉切ることができます。そうしますと、下流の方には一滴も水が入らないように相成りますから、これからは、今決壊口から洪水当時、その後閉切りが完成するまでに流入した水というものは漸次減少いたして、そうして元の通りに相成るのではないかと思います。昨日の湛水状況を調べて見ますと、大体決壊口の東村その外接近した二町村にのみ限られておりまして、これに殆んど大部分が水から出ておるような状態なのであります。それで今堤内地の古利根とか或いは中川を通じて流れておる、放水しておる水というものは大体百四五十くらいの水が流れておりますから、上から流入する量が少くなれば、全部百五十なり、或いは百二十という水が下流の方に流れて参りますから、この湛水地域のものは非常に速度を増して、そうしてここ旬日の中には大部分が排水するというような結果に相成るのではないかと喜んでおるのであります。併しながら元來決壊したところは非常な窪地でありまして、從つてそういつた箇所は、人工的にやはり排水ポンプでも作つて、そうして排水しなければ完全な排水はできないのではないかと考えております。それにつきましては、埼玉縣におきましては、單に今湛水しておる地域のみならず、現在においては附近は全部湛水が排除せられたにも拘わらず、一部的に、局部的に非常に窪地のところに溜つておる水は、やはり排水ポンプを掛けましてそうして排除しておるような状態でありますから、やはりそういう方法を最後の湛水地域に施行するようになるのではないかと思います。それに関しましても決壞口がすつかり水が止りますれば、そういう方法も完全にできますから、思つたよりも早く決壞口附近の窪地の水の排除というものは完成するのではないかとも考えております。これができますれば内務省といたしましては、直ちに元の箇所に本堤を築造して、そうして遅くても來年の春の水には大丈夫の高さまでやつて行きたいと考えております。併しながら何しろ三百メートルがあの大洪水を受けたために非常に掘れておりまして、堤防の内側では、現在においては大体四十尺乃至四十二、三尺くらいの窪地が相当廣範囲にできておりますから、堤防を築く際においては、やはりこの内部の窪地を一應土砂を吹き込んで高くして、そうして本堤を築かないと、又水が出た場合においては、水圧のために引きずられるという虞がありますから、その点は十分入念に作り上げて見たいと思います。尚洪水敷、或いは本堤に使う必要な泥は、今私共が考えておるので大体二十万立米の土砂を要するので、あの箇所が非常に改修当時においても、土を取る場所が非常になかつたので、困難を感じた箇所のように聞いておりますが、今囘もそういう箇所をやるために、土取りについては相当困難を感ずるのではないかと考えておりますけれども、これはできるだけそういつた面は克服して、そうして一日も早く本堤の修復を完成したいと念願しておる次第であります。以上簡單でありますが、この利根川の決壞における締切工事は、大体予想以上な好調を以て進んでおりますから、この点は御報告申上げたいと思います。
#4
○委員長(赤木正雄君) 東京都内のは如何ですか。
#5
○政府委員(岩沢忠恭君) 東京都内につきましては、これは私共の方の管轄外でありますけれども、一昨日東京都の建設局長が私に報告に参りましたのによりますと、問題の櫻堤は即に本月三日に締切を終りました。そうして中川口の、中川の左岸堤の決壊も即に締切は終つておるのであります。ただ問題は櫻堤を通じて入つた江東三区の湛水でありますが、これも最初東京都の予定におきましては、二十六日ぐらいはかかるという話であつたのでありますが、私共はこの向うの計画を見ますと、自然流下と、それからただ水門によつて排水するというような計画であつたのでありますが、これは絶対駄目だから、やはりモーターで排水ポンプを各所にやつて、そうして晝夜を分たず、排水に努めれば、相当效果が挙がるのじやないかということを注意申上げたところが、これはどの方におきましてもこれを採用せられた結果非常に迅速に排水の效果を收めて現在においては殆んどこの櫻堤から入つた水というものは、排水をしているような状態であります。ただ從來から少しばかり雨が降つても直ぐ溜まるような非常な窪地の所においては、尚水が溜つておりますけれども、これも現在においてはやはり排水ポンプを今月一ぱいまで完全にこれを据え置いて、そうして常時に使用して排水に努めるというような話でありますから、日ならずして元の通りになるのではないかとも考えております。尚出水当時において新聞で相当問題になりました江戸川の切開箇所でありますが、これは都の方で埋め戻しをすると、こういうようなことを言つておりますけれども、現在においても、尚埼玉縣から流れて來る大庭川の水が、大体一立米から三立米くらいの程度にちよろちよろ流れておりますから、これはやはりこの水が流れて來なくなつたときにおいて、初めて工事をやつて貰うようにこの間申しておいたのであります。又荒川放水路の本堤及び中川と荒川放水路の中間にある背割堤の切開につきましては、既に切開を終つて、そうして工事は内務省の方に委託してやつて貰いたいというようなことの話合がありましたから、これも日ならず着工する運びになるのではないかとも考えております。今後台風が來なければよろしいのでありますけれども、この間のような台風に脅かされる場合においては、江戸川はさることながら荒川の切開箇所は、折角大洪水を排水ポンプなりその他の方法によつて排除しても、荒川の放水路に相当量の水が來れば、その切開箇所も亦再び中川の堤防なり、或いは綾瀬の堤防を決壊して侵入する虞れが多分にありますから、この荒川放水路の切開箇所は急速に工事を進めて、そうして出水の際に備えるようにいたさねばならんと考えております。
#6
○委員長(赤木正雄君) これに関する御質問はありませんか。尚その後の災害復旧緊急費と申しますか。そういう方の費用はどういうふうになつておりますか。
#7
○政府委員(岩沢忠恭君) お手許に差し上げました、昭和二十二年九月災害慨況調というのがありますが、これを御覧下さいますと、第一番目の頁においては、これが直轄河川において、二十二年度に災害を被つた金額でありまして、これが殆んどこの関東、東北並びに東海道筋の直轄河川が災害を受けているので、総額といたしましては二十一億二千万円の金額であります。これを大体直轄河川の水害というものは、金も相当蒿みましたために、二十二年度、二十三年度の両年度においてこれを完成したいと、こういうように考えております。問題のこの利根川につきましては、これは渡良瀬、江戸川を含めまして、大体今のところでは復旧費は八億円ぐらいを要するのではないかとも考えまして、二十二年度の三月までに大体三億四千万円、二十三年度において四億六千万円を支出して完成したいと思います。併しながらこの八億は從來のままに復旧するという程度のものでありまして、今囘の出水に鑑みまして、從來の計画降水量が一万立米というものがどうしても上廻つているという関係から、これを一万二千にするか三千にするかということは、今折角考究中でありますが、これが対象としての根本対策というものは今立てつつありますけれども、そうなりますと、この八億以外に、尚相当の金額は要するということに相成るのであります。この緊急対策につきましては、いずれ又後刻決定いたしましたならば、皆様に御報告を申上げて、そうしていろいろ御批判を受けて、実行の域に運びたいと考えております。
 第二頁には、九月の災害におきまして受けました各府縣の災害の総額でありまして、大体八十二億の総額に相成つております。そうすると結局九月災害と今年度は……。この別表を御覧下さいますと、この表ばかりでありますが、今年度はこの三月の融雪のために受けた災害と、それから六月七月の災害、又八月の風水害、それから九月と四囘に亘つて各府縣全部ではありませんれけども、雪害の方では東北、北陸方面、それから五月、六月は主として関西方面が風上害を受けます。八月は東北方面に相当の甚大な被害を受けたのであります。それで九月は御在じの通りに東海から関東を中心にして、その余波が又再び東北を荒し廻つている。こういうような関係で、全体といたしましては、ここにあります通りに大体百三十六億の総工事費を要するのであります。これもまだ実際において内務省の実地査定をいたしませんから、多少のこれよりも殖えることはなくて減ることはありまするけれども、大体向うの申出をそのままここに表にして御報告申上げておるので、実際はこれより多少減るだろうと思います。そういたしますと、この九月の水害で八十何億、それから八月以前の風水害に四十六億というようなもので、今度の九月の風水害というものは非常な災害を受けたのであります。そこで内務省といたしましては、直轄工事につきましては、この表で御覧になります通りに雪融のために生じた災害に対しては一番上に書いてありますが、富士川とか或いは信濃川上流、最上川、木曾川上流とかその他に書いてあります通りに大体五千百万円の公共事業費から支出して貰つて、すでにこれは支出済で、工事は完成いたしております。それからその後の七月八月でありますが、これに対しましてはここにあります第一次に最上川その他米代川というような河川に対して二千万円を支出して貰いそれから八月の水に対しましては第二次には利根川でありますがこれは二億円を……。利根川、荒川上流、富士川それから烏、神流両川、入間川いわゆる利根川水系、関東に流れておるところの河川に対して二億の緊急支出をやつ貰つてたのであります。
 その次の第三次というのがありますが、これはこの間の十月の七日の閣議におきまして決定を見ました八千七百七千万円というものが、この災害の復旧費に河川に分配せられたのであります。それから今の八千七百七十万円は十月七日の閣議でありません、その前の閣議であります。
 その次の第四次の全額として六千九百五十万円、これがこの間の十月七日の閣議決定で直轄河川の災害復旧工事として認められて、これを各河川に配分をいたしたのであります。要するにこの二十二年度復旧工事費未決定分というのがありますが、これが尚二十二年度でやる金が三億四千二百万円というものがまだ未決定に相成つております。これは直轄工事における現在までの緊急支出としてやつておる各河川に対する配分の表でございます。
 それから府縣の方に參りますと、その次のページですが二十二年度補助額と、上から申しますと、各区分で府縣別が書いてあります。その次に総工事費、これが先程申上げました通りに縣の申出の工事費をこれに羅列しておりますから、多少の査定の結果異動は免れないものと考えております。そうして同上國庫補助見込額、これは現在における規定におきまして、三分の二が國庫補助という対象でありますからその工事費の三分の二を取つております。併しながらこの補助見込額というものは今囘の本年度の災害におきましては、各府縣とも相当財政が窮迫しておる関係上、災害を受けた縣におきましては、何れの縣もすべて全額國庫補助でやつてくれというようなことは、すでに皆様御承知の通りでありますけれども、併しながらまあ私共の見透しといたしましては、全額國庫補助ということは殆んどあり得ないと考えておりますけれども、相当額の國庫補助の増額は認めなければならないのでないかと考えておりますが、三分の二以上の補助増額はこれは財政援助という形式で、大藏省と内務省の地方局の合議の結果やれるのではないかと考える次第であります。從つてこの補助額の見込額はその際においては多少の異動を生じますけれども、今一應は三分の二というものを見越しましてこの計算にしておるような次第であります。そうして今年度の災害をこのまま放つて置けば、來年度の作付とか或いはその他に非常に支障を來す関係から、災害復旧はできるだけ迅速にやらなければならんという建前から、ここにあります通りに昭和二十二年度補助額というので、この補助額の一番上にあります北海道といたしましては二億九百万円、青森といたしましては六千八百万円というような補助額ですから、工事費としてはそれに三分の一を加えますから、北海道は別ですけれども……。これは全額國費と補助と別になつておりますから、非常にややこしい計算になりますけれども、この内地の府縣になりますと、これに三分の一をお足し下されば、來年の三月までにでき上る工事費というものになるのであります。それで大体我々といたしましては、これに今年度に百三十六億という総工事費の災害があつて、そうして大体それの補助額というものは九十八億、殆んど百億に埀々とする工費の補助額の中で、先ずその大体三分の一、二十九億円というものを、この三月までに災害復旧工事を完成したいという計画の下に、この案を作つたのであります。
 そういたしまして、現在までに然らばどういうような融資なり或いは補助の額を取つたかと申しますと、補助額の下にありますように融雪関係……。直轄関係で申上げましたように雪融のために災害を受けた府縣に対してはすでに二千百万円ばかりを支出いたしましたしそれから第一次が北海道で二千万円青森で一千万円、それからずつと書いてあります。秋田で五千万円というようなのが……。結局二億円を支出いたしましたのがいわゆる八月の東北方面の災害に対する緊急対策として支出した金額であります。第二次というのがありますがこれが補助を対象とせずにしていわゆる政府から融資の形によつて、東北六縣その他の災害縣に與えた金額がこの第二次と書いてあるので、その総額は二億六千四百万円これが融資の形式で、各府縣の災害復旧を促進する上において配付した金額であります。それから第三次のというからは、結局この間十月七日の閣議決定で六億というものを道府縣の補助費に割当てるという決定に基いて各府縣に割当てたのであります。これが即ち九月の水害に対する関東及び東北を中心にした補助額の配分に相成つておるのであります。それでこれは今ここに羅列してあります補助は、從來はこの予算的の措置といたしましては、内務省は一應現地において査定をして、それを総纒めにして通常議会に二十二年度の追加予算として請求をいたしておつたのでありますけれども、今年度においては相当西被害もあるし、又災害復旧を促進するというような意味からできるだけ早くする、又かたがた各府縣とも財政が非常に困難を感じておる関係から、先銭を補助を見返りとして政府が保障してこれをやるというような、今年度初めて取つた手段であります関係上、ここに書いてあります第一次第二次第三次というような補助というものは、結局二十二年度の追加予算の中で先ず先に金を出して、そうして追加予算が成立した曉においてはこれは返すのだ。即ちこの第一次、三次の金というものは今現在決定いたしております二十二年度の公共事業費の九十五億というこの枠から一應前借をして出して貰つたいような関係から、今度の追加予算というものが決定いたしますれば、この金額だけは直轄工事も亦府縣の補助額も返して行く、こういうような建前になつておるのであります。
#8
○委員長(赤木正雄君) ちよつと速記を止めて……。
#9
○委員長(赤木正雄君) 速記を始めて……。
#10
○大山安君 各縣に派遣しておる調査は何時頃完了される予定ですか。
#11
○政府委員(岩沢忠恭君) 大体十一月一杯で全部終りたいと思います。
#12
○原口忠次郎君 國土局長のさつきのお話、私ちよつと中座しましたから聞き洩らしたかも知れませんけれども、公共事業費から災害費を前借して、そうして追加予算で返す。そうしますと追加予算に盛られた、予定しておつた金はどうなりますか、二十二年度の追加予算というのは、災害復旧を見込んでの費用じやないのですか。
#13
○政府委員(岩沢忠恭君) これは二つ内容があるのです。さつき申上げた通りに追加予算として、二十一年度以前の災害復旧工事に対する値上りというものが見込まれてあるのです。それも今度の二十二年度の災害の費用とこう二つになつておるのですが、この値上りについては、さつき申上げた通りに非常に削減の程度が少ない。ところが二十二年度の災害復旧に要する、我々が三十七億の工事をやりたいというものが、実際は非常に少くて十五億くらいになる、半分になる、そうしてその中ですでに九十五億の枠から前借しておる金が十二億六千万円ありますから、だから残る金が二億円内外しかないと今後追加予算が確定いたしても災害の府縣に分配し得る金というものが二億円くらいしかないと、ところがその二億円というものが大体利根川の復旧の方に行くのじやないかとも考えております。そうしますと結局は、府縣の災害に対しては、第四四半期に対しては一文も補助金が行かないと、これは東北方面は十一月なり十二月の半ばで工事が打切られますからその必要はないけれども関東以西九州方面にかけては尚農閑期の一番仕事が、し易しときにおいて、一番金が要る場合において補助金が行かないということは、復旧がやはり自然と遅れるという結果になつて、非常に我々は惧れております。
#14
○委員長(赤木正雄君) これは災害復旧補助で、災害に関聯して災害対策と申しますが、そういう方の費用は別に要求しておられないのですか。
#15
○政府委員(岩沢忠恭君) 災害復旧でありますが、災害対策につきましてはこれは二十三年度以降の予算にこれを織り込もうとこういうように考えて、すでに安本の方及び大藏省の方へは、二十三年度の予算として要求はいたしておりますけれども、尚今囘の水害に鑑みて、治水治山の面において相当予算を訂正してこれを引き換えて行きたいと、こういうように考えております。
#16
○大山安君 この河川復旧という程度は、どういうような程度を言われるものですか。
#17
○政府委員(岩沢忠恭君) 復旧費と申しますと從來、例を挙げて申しますと道路なんかでは、道路が水のためにすつかり欠所になつて通れなくなつた。これは元の通りにやれば結構なんですけれども、河川は、元の通りにやつてもよい場所がありますし、それで持てるような場所があるのです。堤防なら堤防で、陸にあるような堤防で、水のためにそこだけ決壞したというような所に対しては、元の通りの堤防を築けばよいという場所もありますし、又從來堤防の下に根固めというものがなくてそれがために今度根が掘れて堤防が崩れたというような箇所の復旧工事に対しましては、やはり再び災害を受けにくいというような意味から、相当改良的な方法をそれに加味して復旧をしておるのであります。又ただ單に「のり」面だけに芝を張つておるというような場所で水当りの箇所に対しましても、今度決壞した場所に対しましては、そこに石割りをするとか、或いはその他の固い工事をして、水を受けるというような工事を復旧工事に採り入れておるのです。ですから復旧というと、元の通りにするということが一應原則にはなつておりますけれども、元の通りにすれば直ぐ壞れるというようなものは、又改良的の工法を加味してやる、こういうような形になつております。
#18
○大山安君 そうしますと、水の流域関係でなく、主に川岸の堤防関係を主とするものを復旧というように考えておられるのですが、堤防の破堤箇所というような箇所を以て復旧と称しておられるのですか。
#19
○政府委員(岩沢忠恭君) 大体破損した所を復旧するというのが原則でありますけれども、今年のように非常な出水のために、一つの河川でも相当大被害を受けたというような箇所は膏藥張りでは殆んど用をなさない、こういうような河川に対しましては、今度からは内務省で査定する場合においては、積極的に根本対策を立てる意味において、計画的に調査いたしまして改修を促進するというような面まで乘り出そう、こういうように考えておるのです。
#20
○大山安君 分りました。
#21
○石川一衞君 先程來局長から縷々お話を承つたのですか、今年の水害は私は非常に特異性のある水で、在來の水害とは非常に変つておるように考えております。それは何人も申す山の過伐濫伐、加うるに砂防工事を一切していない。これがために降雨が山の上に溜まらなくて一齊に各河川の本流に合流して來た。その場合河床を上げつつ合流して來た、これが大体変つた水害の状況だと思います。そこで私は最も大事なことは何人も申される治山、砂防工事、この二つですが、今いろいろ書類を見ますと、砂防工事費が余りにも少いように感じられるようなふうに思いますが、これで遺憾ない砂防工事ができますものでしようか。
#22
○政府委員(岩沢忠恭君) 只今の御質問に対しまして、これはただ復旧……この表は河川に対する内容を書いてありませんから、この災害復旧の費用というものは、道路もありますし、或いは砂防も含まれておるし、河川も含まれておる、こういうことでして、この中に砂防が幾ら、道路が幾らということが書いてありませんからお分りにならんと思いますけれども、やはりこの金額の補助金の中で、緊急を要するものの中では、やはり縣によつては砂防工事を緊急に施設するという所も相当あると思います。
 尚お説の通りに今後における治山、治水という根本対策としては、やはり治山、治水を並行的にやるという意味において内務省におきましても砂防工事とそれから河川改修という点においては、同じウエイトによつてこれを進めて行きたいというように考えております。
#23
○石川一衞君 よく分りました。配付を受けました「昭和二十二年九月災害概況調」でありますが、これによりますと栃木縣、群馬縣などは非常に砂防工事費が少いように思いますが、只今お聞きしたので大体分りましたが、砂防工事は御承知の通り、山の崩れを押えるのが先ず第一番の目的でありますが。如何にして山から流れる水を緩めて、本流に入れるかというのが目的であります。土砂を流さないのも目的でありますが、かような栃木縣、群馬縣の砂防工事費を見ますと、なかなかこれくらいの問題では砂防工事の完全なものができがたい、こう心得ておりますが、果してできれば結構ですが、一層一つお調べ下さつて檢討なすつて完全な工事を願いたいと思います。
 それからもう一つは在來の利根川の堤防、築堤が、どういう関係だか知りませんが、土砂を以て築堤がしてあるので、先頃の水害のときにはそこから水が噴き出した所が非常に多いのです砂利関係だろうと思いますが、これは非常な問題だと思います。
 それから遊水地の使用が滅茶苦茶でありまして、食糧増産のために、殆んど無謀なやり方で土手の近所まで掘つておる。あれはこの際再檢討なさつて姫柳とか何とか植えて、あすこから崩れる例が相当あると思いますから、これもお考えを願いたいと思います。
 もう一つは、今配付を頂きました書類でちよつと字が間違つておると思います。利根川は水上で測つております。江戸川は熊谷で測つております。入間川は吉川で測つておる、これは間違いだと思います。もう一つ群馬縣にもこんな所があります。渡良瀬川は勢多で測つておりますが、渡良瀬川は勢多を通るわけはありません。字の違いだろうと思いますが、そんなところですね。
#24
○政府委員(岩沢忠恭君) 只今の利根川に関係したものにつきましては、今囘の出水に鑑みまして、只今根本対策を立てておりますから、その場合において、今お指示になりましたような堤防の弱所というものを強化し、又この堤防の、川の断面ということも再檢討いたしまして、そうして將來に備えたいと考えております。尚その際においてこの遊水地の問題が相当論議され又今囘も直接間接に被害の原因になつたということも相当認めておる関係上今後の根本対策につきましては、そういつた面まで突き進んで掘り下げて十分檢討をいたしたいと考えております。
#25
○石川一衞君 もう一つお伺いしたいのは、昭和十三年ですが利根川の水を印旙沼に誘導いたしまして、あれを東京湾に放流するような計画が一時決定されておりまして、あれは当時非常にやかましい問題でありましたが、今日になりますと非常に立派な利根川に対する対策だと思います。あれらに対する実行のお考えがありますか。
 もう一つは、開墾を奬励するために傾斜地、即ち治水に関連する土地をむしように開墾しおります。これが非常な今囘慘害を及ぼしたものであります。これを即時交渉して中止して貰わなければ、來年も再來年もかようなことが起ると思います。その例は赤城山の山が眞赤になりまして、全く山容が改まつて観があります。赤城山のごときは、まるで山津波で水と砂利と混合して押し出して家屋、人命を損じた実に想像以外、全國の災害地におきましても局部ではあのくらい甚だしい所はないと思います。從つて人命も全國の半数以上も損じたという始末であります。あれらを見ましても如何に砂防が大事だか、どうも技術者は花々しい見栄えのするような堤防の方にばかり集中するようです。誠に否みがたいのでありますが、どうも砂防ということは地味なことで、若い技術者などは余り関係しないようですけれども、そこに非常な問題があると思いますから、その点を一つ御考慮を願いたいと思います。
#26
○政府委員(岩沢忠恭君) 只今の放水路の問題でありますが、これはやはり昭和十年の関東の利根川の大出水に鑑みまして、昭和十三年に予算を取つて利根川の増補工事という名称の下に工事を進めつつあつたのであります。その当時においてはやはりこの一万立米の水では現在の利根川水系では保たない従つて下流方面の水害を未然に防ぐという意味において、下流から東京湾に放水路を設けるという案が決つておつてのでありまして、一應仕事は緒に就いたのでありましたけれども、戰爭のためについに予算が削除せられて、ついに今日まで放任しておつたのであります。併しながら今囘の出水によつてやはりこの利根川下流の水害を緩和するという意味から、どうしてもあの放水路というものは必要だと我々は考えております。從つて今度の根本対策については、この利根川の昭和放水路といいますか、これは必ず実現するようにいたしたいと考えております。それから尚開拓の問題につきましてはこれは私個人の考といたしましては、日本の國土は敗戰後こんなに狹くなつた関係上、食糧増産の観点からこれは絶対的に止めるべきものではないと考えておりますけれども、ただ單に食糧増産という見地に囚われて、そうして開拓は盲目的に行く、即ち土地を選ばず、他のものにどういう影響を與えるかということも殆んど考慮せずにおいて、開拓の場所を選ぶということが、最もいかんことじやないかと思います。將來における開拓の場所の選択というものは治山治水という見地から相当考慮して貰うようにしなければならんと我々は考えまして、農林省とも十分連絡を取つてその点については協調して行きたいと考えております。
#27
○石川一衞君 それからもう一つお伺いしますが、利根川の改修工事のときの支流から本流に流入する水の流速が本年度は非常に変つておりまして、再檢討をする必要があると私は思いますが、この点は如何でございましようか。それからもう一つは築堤後すでに三十年も経ち、場所によりますと、河床が四尺も上つたようなところもあります。これは丁度堤防が四尺下つたような理窟になるのですが、これらも再檢討をお願いたしたいと思います。一番大事なのは先程申上げた支流から本流に入る水の流速をこれを至急再檢討して頂かないというと、山が荒れる度に、いずれも一齊に一氣に入り込みまして、到底現在の堤防では、來年度も本年度の轍を繰り返すようなことがあると想像されますが、この点も一つ御研究を願いたいと思います。
#28
○政府委員(岩沢忠恭君) その点につきましては、仰せの通りにただ本川だけを改修しても、支川をそのまま放つて置けば、結局效果は半減するというようなことに相成るのでありまして從つて本川を改修すると同時に、これに流入しておる支川も縣と協力して或る部分は附帶工事とし、それ以上のものについては中小河川にこの工事を促進するようにいたしたいと考えております。尚例えば利根川にしても、これは全國的の現象ではありますけれども、河床が上つておる、これは仰せの通りであります。併しながら利根川全体から見ますると、上つておる箇所と又割合に從來よりも掘れている箇所がありますけれども、掘れておる箇所はかれこれいう必要はありませんけれども、上つている箇所については、今度の根本対策としては、先程お話になりましたような治山治水計画の根本方針の一環として、この放水路を造るとか、或いは遊水地を造るとか、又河川を浚渫するとかいうようなことまで漸次に及ぼさなければいけないと考えております。
#29
○石川一衞君 最後にもう一つお願いしたいのですが、水を防ぐのに堤防を作ることは、もうどなたでもお考えになるところであります。在來からやつて來たのでありますが、利根川のようなあのような大堤防が一度決壞すれば今日のごときああいう大惨害を蒙るのですが、堤防は申すまでもなく幾十里ありましても、僅か十メートル、二十メートルの決壞で、殆んど用をなさないこういうことになるのですから、どうか十分なる計画の下に築堤を願いたい、こう思います。
 それからもう一つは近ごろ見ますが、私は根利用の沿岸におりますので、始終氣をつけているのですが、最近この河川の維持が不行届きになつた、こういうように思います。築堤当時はよく担当責任者が見廻つておつたのであるが、最近は戰爭もありましたが殆んどこれを怠つておる。これも一つの原因になりはしないか、こう思つております。いずれにしましても、水害は地震と違いまして、人工で以て防げるのですから、最早日本は戰爭を放棄した國でありまして、いくらでもそのくらいの金は自由になると思いますから、どうか十分工費を掛けて遺憾のないような施工をお願いしたいとこう思つております。
#30
○政府委員(岩沢忠恭君) その点につきましては、お話の通りにいずれの河川でも一旦破堤をいたしますれば、相当沿岸に大被害を蒙るということは爭われない事実であります。その意味において今後國民一般に対して、我々といたしましては、水防組合の強化、結成又堤防の愛護運動というようなことまでして、できるだけ河川を愛するというような観念を一般國民に浸透させたいというようなことを考えております。
#31
○委員長(赤木正雄君) ちよつと私伺いたいのですが、この委員の打合せ会に秋田縣の土木部長が見えまして、あそこは河川が殆んど埋つてしましたから、今度は水害対策として川を掘つて築堤する。これは非常に結構なことと私も伺いました。そのときに川を掘つて築堤するが、又上流から土砂がいつ出て來るか分らないから、谷口に一箇でもいいから、それと同時に堰堤を築いて置きたい、こういうふうな意見も述べました。これは至極御尤のことと思つたのですが、そういうふうな費用はこの災害復旧の費用には盛られてないのですか。
#32
○政府委員(岩沢忠恭君) 從來の取扱いでは、河川が埋沒したものについての浚渫は災害復旧工事としては認めていないのが普通なんです。併しながら今日のようなものについては、それはやはり災害復旧というものが先程も申上げているように、復旧自体が目的でなくして、今後において再び災害を起さないということが最も必要なものじやないか、そういう意味においてそういうような危險があるならば、從來の取扱いはともかくとして、先程も大山さんにも申上げているように、今後は被害の甚はだしい場合においては、計画的に河川の改修を認めるというような精神から、これは積極的には認めてもいいのじやないかと考えております。
#33
○安部定君 今のお話ですが、私は群馬縣を視て來たのでありますが、粕川沼尾川、そういう川を視て参りましたが、それを視た感じからいたしますと災害を復旧するというだけに止めないで、並行して來年も再來年も再びこの洪水で出て來ないように、又今崩壊して或る地点まで流れて來ている土砂をそこで喰い止めるというために、是非工事を施す必要があると強く感じたのでありますが、只今のお話では、それも復旧工事費の中に收めてやつてもいいというようなお話でありましたので、私の今ここで御質問申上げようとすることは、大半答えられたようなことでありますけれども、先般本院においても長らく放つておいた治山治水のことについて政府は新らしい計画を立てようということを私ども決議したのでありますので、その結果といたしまして私どもが期待いたしますことは、災害復旧を十二分にやつて頂くと同時に、それと竝行して根本策を今すぐ始めて頂きたいという氣持を表したと私は思つております。そういう意味合からいたしましたならば、災害復旧費の外に新らしく明日から出発して、來年度と仰しやらずに、今年度から出発して砂防工事をするというようなことを私どもは非常に期待するのでありますが、先程來のお話を承りますと、そういうふうなことは二十三年度からやるというふうなお氣持のように承りましたが若しそうでありますならば、私どもの氣持といたしましては二十三年度といわずすぐ発足して、先程來石川さんなりその他から言われております砂防などを新らしい事業として御計画なさつて貰いたいと思うのですが、それはどんなものでございましようか。
#34
○政府委員(岩沢忠恭君) 先程この表について予算関係を申上げましたが、その中に多少そういつたような経費もあるにはあるのですけれども、非常に少額であることは私どもも非常に遺憾と思うところであります。併し又今度の水害によりまして、溪流に非常に土砂が流出しておる、こういつたような土砂の流出した溪流に対して砂防工事をやる場合においては、やはり大きな堰堤でも造つてやらないと、又それが雨のために下流に流れて非常に被害を及ぼす、こういうような関係から、でき得ればコンクリート堰堤を造ると最もよろしいのでありますが、今の資材関係ではすぐ直ちにセメントを入手することは非常に困難ではないかと考えております。その点について來年度につきましては相当治山ということに対して、安本の方でも力瘤を入れて、資材については相当考慮するといつてくれます関係から、今の資材の方と睨み合して、積極的には今年度においては活動していない、こういう状態であります。
#35
○安部定君 もう一つ続いてでありますが、実例を挙げますと、粕川でありますが、粕川は御存じのように非常に小さい、幅三間ぐらいの川でありますが、私の視ましたのは下流の伊勢崎と赤星村、それから上流の粕川というところでこの粕川を視たのでありますが上流の、川でないところの村であります、その粕川村におきましては、三間幅の川であるのに、二百メートルぐらいの幅が河原になつて、それ等は全部田圃であつたようですが、その田圃に何千貫という石が出ておるように思います。私ども素人の考えからいたしますれば、若しも新規に今すぐ砂防のことがその川に施されないとするならば、それならば復旧工事費で行こう、若しも地元の人が開き直つてその何千貫の石を元の通りに川まで引出すという工事を起そうと申出たならば、それは復旧みたいになりますが、変な譬になりますが、そうすると莫大な費用を要すると思うのです。そんな馬鹿氣たことは恐らく被害を受けた土地の人も言わないと思いますが、せめて來年再びこういう石が流れ出ないようにしたいという氣持は皆持つておると思うのでありますが、そういたしますと、やはりその粕川の上流に、これは何本の堰堤があつたか存じませんけれども、又砂防工事を施してあつたか存じませんけれども、仮りに十本なら十本の工事なり堰堤なりが造つてあつた、それをただ元に戻すのではなくて、新たに五十本、百本の砂防工事や堰堤を造りたいという希望を地元の者は恐らく持つているだろうと思うのでありますが、そういう意味で私は先程申上げたので、全般的に下流の方の復旧という意味で、下流の方の災害をまあ防ぐということにもなると思うが、そういう意味合で、今囘のようにひどく被害を受けた赤城山の周囲の川等に対して、復旧という観念を超越して、全然新らしい砂防工事を施して頂きたい。視察した一人といたしまして、そういう感じを非常に深く持つたのであります。それでそういうふうに申上げたのでありますが、繰返すようでありますけれども、來年といわずに、今年からやつて頂きたい、來年とするならば今までの観念を全然捨てて頂いて、上流の方に思い切つたお金を叩き込むようにして頂きたいと、こういう考を持つ者であります。
#36
○政府委員(岩沢忠恭君) 只今のお話の通りに、私も先程から災害復旧というのは、ただ單に從來のものを復旧するというのではなくて、將來においてこの災害が防止せられるという積極性を帶びて、この災害の査定に当らなければならんと、こう申上げておるので今お話の通りに堰堤が十本あつたが故に、十本の復旧をすればいいんだというのではなくて、その河川が、溪谷が相当大荒れに荒れて、十本ではとてもこの土砂を扞止することができないという技術上の認定さへあれば、これが十本が二十本になろうが、或いは又三十本の堤数があつても、これは当然災害復旧工事として認めて行く方針であります。又現に、縣の方でもそういうことをするということが実際上の技術上の見地から必要なものならば、どんどん從來も出し、又内務省もこれを認めておるのであります。從つてそういう箇所は、この緊急を要するものならば、府縣の補助費の方に、今年は特別で、先に金を渡しておりますから、そういう金を差し繰つて、工事をやることもできると思います。
#37
○委員長(赤木正雄君) 私ちよつとお伺いしたのですが、今までの例によりますと、ややもすると砂防をやる所は何分不便な所ですから、まだ充分調査もできていない、從つて災害復旧に当りましてもややもすると、そういう所は復旧箇所から除かれている点も間々あります。從つて今國土局長の言われたような御趣旨で、正しい考から出発して貰わねばなりませんが、ややもすると縣でもそういうことに無関心であり、内務省の査定官も或いは関心が少いというようなことがあつては困りますから、これは川全体を考えて、特に局長からその点を、災害を受けた人にも、府縣にも、何とか分るようにお願いしたいのです。
#38
○政府委員(岩沢忠恭君) その点につきましては、内務省の査定に行く連中には、一應今ここで申上げたような点は、注意はいたしております。又府縣に対しましても、今後における災害の査定というものは、從來のような膏藥貼ではなくて、相当積極性を以て内務省としては査定をするから、その意味において設計しろという通知をしておりますから、被害の甚大な箇所については計画を持つて來るし、又お話になつたような群馬縣の溪谷のように、全部荒れておるものに対しては、相当大きな砂防計画が出て來るだろうと考えております。
#39
○平沼彌太郎君 先程の御説明よく分らなかつたのですが、予算七十七億に対して、安本が五十一億に査定して、そうして、現在の費用その他を考えると第四四半期の使うべき金は一億円くらいで、利根川、吾妻川の決壊箇所に使ちやつたぐらいのものだというお話で、なんだか事実知らない馬鹿に心細い感じがするのですが、工事その他に対してそれでも少しも必配なく完遂できるのかどうか。又考えようによつて七十七億の予算の五十二億に減らされたということをお聞きしたのですが、そういうふうに実際必要なものを安本その他が適当に査定するということが、工事に支障を來すような原因になるのじやないか。必要な金はどうしても今御説明なすつたように、どの川でも実際の調査をして、必要だけ出させるというお話でありますけれども、今安本が査定したというふうなお話のことから考えて、そういうふうな危險性は、又減らされる危險性はあるのかないのか減らされたら折角の工事が不完全なものになつて、將來禍根を貽すわけなんですから、ぜひとも安本その他の査定に遭わないで完遂するだけの覚悟を持つて頂きたいと思うのですが、その辺に対してもう少し伺いたい。
 もう一つは利根川の河心が、川床が高まつた所と、又低くなつた所もあるというお話でございますけれども、随分日本全國を見ますると、沢山普通の床地よりも河心の方が高い所があるのでございまして、大水の大体の状態を見ますると、上流で山が決壊して、そうして上流は河心が非常に高まりますが、三年、四年の長い間の洪水をいく度も重ねますと、三年、四年の中に河心が旧に復するので、その砂利が段々下流に流れて來るのですから、二、三年後には荒川中流に対し、利根川中流に対しても、高まる河心が相当あると思います。そうすると土砂というものは、霞ケ浦辺りは殆んど水流がのろいのですから、あの辺の土砂が高まるということを考えますと、結局は上流を治めるということが先ず先に大事だと思います。先程御説明によりましても、高くなつたり低くなつたりすりところがあるから心配ないようなお話ですが、要するに河心が低くなるということが一番いいのだから、綜合的に考えますると現在の上流で以て、川が埋まつておるために、一、二、三年の後に泥が中流に來て河心が高まるということを考えると、この際ぜひとも崩れた場所が又豪雨に遭えば非常な崩れをなすのですから、どうしても眞先に山を治めるということを前提として頂きたいのです。それについても利根川の下流方面は大分泥が霞ケ浦に溜つて、段々逆流する虞れがあるという石川議員からも質問があつたのですが、よく伺えなかつたのですが、利根川下流の改修工事はどんなふうにやつたらいいのかという御計画がおありでしたらば、これをもう一度伺いたいと思つております。それからもう一つ、川口の所に芝川という小さな流れがありますが、荒川に流れ出ておりますが、荒川が滿水するとそれが逆流する。今度も六千なん百軒あそこで浸水しておる。それを内務省の御計画で、綾瀬川かどこかの方へ水路を設けるべく、五分の一か十分の一は工事も完遂して、後末完成の状態になつておるのですから、それをそこで持続してやつて頂けるかどうか、そういうふうな計画がこの計画の中に織り込んであるかどうかお伺いしたい。それからもう一つ、三分の二の補助というお話でございますが、三分の一としましても被害を受けた縣というのは相当な大きな痛手を受けておりますので、後の三分の一の金というものはどういう方法であるか。大体縣債などを募集してやるだろうが、その縣債に対しての枠、その取扱いは十二分に認めて頂けるかどうか、その四点に対してお伺いしたい。
#40
○政府委員(岩沢忠恭君) 先程私が申上げたのは、川の状態が、例えば利根川で申上げますと、深くなつたり淺くなつたりするというのがありますけれでも、淺くなつた所は、これは浚渫しなければならん。そうして特に利根川の河口問題につきましては、あの笹川から下流は利根川の改修工事の埓外であつて、その当時は非常に深くてよかつたのでありますけれでも、あれが何しろ二万分の一ぐらいの非常に緩勾配であつて、上流から持つて來る土砂がそこで沈澱して、非常に大きな洲を作つて、水の疏通を害しているというようなこともある現状でありますから、それで今度の改修につきましては、やはりこの河口の土砂を浚渫すると同時に、又もう一つ突き進んで、銚子の河口の状態が非常に惡化しつつあるのであります。これも併せて直轄工事の区域としてやつて行きたいと考えております。
 それから先程の、安本の査定の金額でありますが、これは結局今さつき申上げた通りに、第四四半期をおいては殆んど府縣に差し上げる補助費というものはできないと。その結果府縣では仕事をやりたくても、金がある縣は、それはどこかから融通して工事を進めて行き得るだろうと思いますけれども。若し金がないような、行き詰つたような縣であつたら、やはりこの工事を中止せざるを得ないという状態に立ち至るだろうと思います。その意味において、私共はできるだけ、やはりまだこれが最後の決定ではありませんから、今後共十分努力して、我々が企画している、今年度の三十七億九千万円の補助額に近いものを獲得したいというように努力したいと考えております。
 それから補助費の方は三分の二と、あとの三分の一は縣の起債によつて仰ぐというのが常例でありますが、然らばその三分の一の起債の枠が取り得るかどうかという御心配でありますけれども、從來の例から申しますと、災害に対しては、優先的に起債を認めておりますから、この点は御心配ないと思います。
 それから芝川の問題でありますが、これは御存じの通りに十三年の洪水に鑑みまして、芝川を綾瀬の方に連絡するということを、東京都とそれから埼玉縣とは合同して仕事を始めたのでありますけれども、埼玉縣の方は先に掘穿をし、東京は遂にこの工事に賛成をして、全然着工しなかつたのです。それで今度の利根川の決壞に伴い、東京都並びに埼玉縣の冠水水害によつて、東京都が一昨日私の所に持つて來た案によりますと、やはり從來の芝川と綾瀬川を繋ぐという工事を至急やりたいからと、こういうようなことを申しておりますから、これは早晩実現するのではないかと思います。
 尚序でに、それと並行的に、東京都では、中川の放水路を造つて行きたいこういうようなことを、これは前以て計画があつたのでありますが、戰爭のためにこれは中止をしておつたのであります。この中川の放水路を造つて、江東方面の水害を免れたいというような根本対策を練つているような状態でありますから、この芝川と綾瀬川の疏通というものは、いずれ近い内に実現するのではないかと思います。從つて川口方面の低地地帶は相当工場地化するということにも非常に利便になるのじやないかと考えております。
#41
○平沼彌太郎君 ちよつと伺いますが今芝川を綾瀬川へ持つて行くことについて、東京方面で内務省の方にお話があつたことに対しては私は無論賛成でございますが、いつ頃それを御着工なされるか、二十三年度の予算にでもお組みになるということでしようか。今度の追加予算で出るのでしようか。
#42
○政府委員(岩沢忠恭君) これは追加予算には入つておりませんが、何しろ埼玉縣も御存じの通りに一應工事して中断したままです。だから縣の方でもう一遍東京都に連絡を取りまして、そうしていよいよやるということに合意になれば、こちらの方に又補助申請が出て來るのではないかと考えております。從つて早ければ來年度になるし、ぐずぐずすれば又この通常議会の予算の方に乗り遲れるという虞れが多分にあるのであります。
#43
○原口忠次郎君 私ちよつと自分の考えをこの際述べさして頂きたいと思います。先程來各委員からいろいろ河川の洪水問題についてお話がありました。結局伺つておりますと、皆さんの仰しやることを虚心担懷に聽いておりますと、結局洪水は簡單に申上げますと、砂防工事をやれば除かれるのではないか、こういうふうな感じが非常にするのです。私は砂防工事が皆さんが仰しやる通りに非常に大事であるということは、これはもう一つもそれに意見を差挾む余地はないことは勿論でございます。日本のような土砂の崩壞する土地で砂防工事が非常に大事であるということは、非常に私も同感でありますけれども、日本における洪水が山の砂防工事をやつたなら除かれるのじやないか、こういうふうにお考えになつておる感じが非常にするのであります。これは私どもの今までの経驗、又私共の知つておる範囲から行きますと砂防工事をどんなに沢山やりましても、私は洪水を除くことはなかなかむずかしい、こういう感じがいたします。少し言い過ぎかも知れませんけれども日本で今まで砂防工事じやありませんが、水力発電の堰堤を相当にやつております。これは私この間も黒部川に參りまして堰堤を視て來たのでありますが、黒部川上流のような土砂崩壞しない堰堤ですら土砂が埋まつております。それの殆んど甚はだしいものは八〇%それから少いものでも六〇%くらいは埋まつております。一番埋まつております堰堤のごときは、まだ造りましてから僅かに十年に足りない内に、殆んど埋まつてしまつたというような堰堤が沢山水力電氣にはございます。この水力電氣は水を溜めるのが目的なんですけれども、土砂が溜まつてしまう。それがために初め予定した発電はできない。今後水力発電についてダムをどうするかということが、この水力発電のダムの非常な悩みになつております。それと同じように、砂防堰堤を造りますと当然そこに土砂は溜まりますけれども或る一定量が溜まりましたならば、その堰堤でその堰堤の上流の土砂をそつくり取れるかということが、これは非常にむずかしい問題であります。そうして例えば群馬縣の山間地帶の崩壞が、その土砂が栗橋とか、或いは取手とか、そういう方面のところまでの洪水を防ぐことができるかどうかということは殆んどむずかしいことではないかというふうに考えます。水流の中に入つておる土砂の量を幾らかでも少くする、非常に下流方面における水の中の土砂の量を少くするということはできますけれども、洪水流量を絶対に堰堤で防ぐということは、日本においては殆んど私は不可能のことだと思います。でありますから、上流の砂防工事を強化することは勿論でありますけれども、今日日本には沢山な下流の河川がございます。その河川は戰爭中の物價騰貴或いは予算の減額、そういうことのために今日すべてが殆んど病膏肓に入つて放つて置けばどこに大きな水害が來るか分らん。或いは來年にも或いは今年にも、もう今年は殆んど水害はないと思いますけれども、惡くいたしますと、十一月の初くらいまでに水害があつた年がございます。そういうふうに各河川の堤防が、いろいろその堤防の築造について先程來御意見もありますけれども、結局私はこの土木事業は洪水を、氾濫するのを防ぐという河川工事を勿論第一義にしておりますけれども、いわゆる経済價値が伴うような河川工事をやつて行きたいと思います。ただ堤防を岩石で造り、コンクリートで造り、そうして何十里もそういう堤防を造るとか或いは川幅を廣くさえすればいい。無茶苦茶に廣くさえすればいいということは、耕地を少くする。いわゆる経済價値に伴うような河川工事を今までやつて來たのでありますから、そういうことを考えますと、やはり河川工事も、今病膏肓に入りつつある河川工事もできるだけ早く急速に補修をする。そうして今までに考えなかつたこと、例えて申上げますと、私は今囘の利根川の洪水で私特に考えておりますことは、河川流量が先程局長から少なかつたというようなお話なんですが、私は利根川の改修工事は河川流量が少なかつたのは、四十三年頃は当然そのくらいで宜かつたんじやないかという感じが非常にするのであります。それと申しますのは、何しろ四十三年頃は、今から四十年前でありますから、恐らく人口も二千万くらい日本の今日の人口より少い。從つて山嶽地帶の耕地が今日と比較にならないほど少いそういたしますと、降つた雨が出て参りますその流速というものは非常にのろい。それが今日は四十三年から見ますと、二千万人以上の人口の増加のために、到る所に部落を作り到る所に耕地を作つておる。そういうふうなために降つた雨が非常に早く出て來る。これは今日日本が八千万の人口を擁する國になつて、初めてそういうことが私は分ると思います。そういうふうにあらゆる土木事業がその当時の経済價値から、現われておりますから昔利根川が或る程度の流量が少い計算をしておつても、これは当時としては勿論差支ないことじやないか。例えば港湾にいたしましても、初めから大きな港湾を計画するわけでありませんので、その当時の國の力により、港湾なり、道路なり河川なり、あらゆるものは計画されると思います。國家百年の大計と申しますけれども、今我々が日本の國家百年の先を見透すということは非常にむずかしい。我々技術に関係する者だけじやないと思います。甚はだしいのは政治家もとにかく日本が負けるということはちつとも考えなかつた。それが敗戰國になつたのであります。こういうふうに我々が考えておりますことは、一年先は分らないというような事実が非常に多いのでありまして、ただ河川の破堤するということが、砂防工事がなかつたから破堤したんだ、こういうふうに私は断定することについては異議があるのであります。でありますから砂防工事は勿論大事でありますけれども、その下につながるところの、例えば利根川にいたしますと、何十里という砂防を如何に強化し、如何に最小限度に災害をなくするかということに、私共は全力を注がなければならない。ただ利根川の今後の洪水を防ぐために、群馬縣の砂防工事のみをやつて宜いということは、私は絶対にないと思います。どうかこういう点は皆さんもう少しお考えを頂きまして、砂防工事は勿論必要でありまするが、日本には大きな平野を控えておる堤防が沢山ございます。その堤防が先程からお話がある通り川底が上り、或いは堤防が沈下する。それからなぜ堤防を土で作つておるかというようなお話もありますけれども、経済を考えなければどんな堤防でもできます。併し日本の國力とやはり河川改修工事というものが並行して行くものだということを考えますときに、何十里に亙る堤防を水が越しましても壞れないような堤防は到底造れないのであります。もう少し詳しく申上げますと、私どもが造ります構造物は全部安全率というのがあります。橋にいたしましても家にいたしましてもすべて安全率が……。安全率といいますのは、壞れるまでには三倍とか五倍とかいう安全率を取つております。併し堤防の安全率というものは一つもございません。一でございます。あれは水が越せばすぐ壞れる。なぜそんな堤防を造るかと申しますと、それは國費の問題であります。國費さへ沢山出して貰えればどんな堤防でもできますけれども、なかなかこれはむずかしい。でありまするから、河川に対する土木事業は上流下流を全部通じて眞に檢討して頂く。ただ上流に砂防工事やつて、そうして下の方は洪水が止まるというふうに若しお考えりなりますると、それは大変な間違いじやないかと、そういうふうに感ずるのであります。降りました雨はどうしても、どんな砂防工事がありましても必らず流れて参ります。日本には降つた雨を溜めるような貯水池を作る場所がありません。でありますからどうか一つの所に偏することなく、やはり並行的に、そうして今もあります河川が、本当に洪水が出ましても最小限度に被害を止め得るように、先程局長がお話になりましたように、河川の附近の、例えば水防組合を作るとかいうようなことが、私は非常に今日の日本としては大事じやないかというふうに考えております。よく河川協会というのがありまして、そこで水防演習をやりますけれども、沿岸の人達が水防演習をやることに賛成しない所が非常に多いのであります。聞きますると、今年利根川の沿岸で河川協会が水防演習をやろうとしたところが、沿岸の人達がそんなことは要らないと言つたようなことを聞いております。それで河川協会は大阪の淀川の沿岸に行つて水防訓練をやつておるのであります。今年は利根川の沿岸では水防訓練はできなかつたというような話を聞いております。いわゆる附近の住民の方が非常に堤防を愛護する。この観念が私は非常に少ないのじやないか、堤防の維持は僅かばかりの維持費は取つておりますけれども、なかなか大きな長い区域にして維持をやることは困難だと思います。これは皆附近の住民が、やはり堤防を愛護する愛護的の観念を非常に植えつける。各府縣ではよく道路愛護週間とか、道路に対しては愛護運動をやつておりますけれども、河川に対する愛護運動が非常に少ない。だから各府縣におきましても、河川の愛護運動を是非強力にやるように局長は御指導をして頂きたい、こういうふうに思つております。ちよつと私感じましたことを述べさして頂きました。
#44
○平沼彌太郎君 只今原口議員から、河川行政のことについて非常に蘊蓄あるお話を伺いまして、非常に参考になり有難く思つたのでございました。私が先程申述べました上流に対する砂防その他これに必要なことであると申上げは申上げたのでありますけれども、本日提案になつておりますところの下流の河川工事に対しては、まだまだ安本の査定その他を排除しても実際必要なことだけはやつて頂きたい。決して下流を軽んじた考は持つておりません。下流は勿論必要であります。併しながら只今原口議員がおつしやつたように、上流の即ち水田に対するダムとか、又は砂防するところの堰堤あたりは土砂によつて埋まる。併しあれを又上流から見ますると非常に流速が早いのですから、河心が深まつてそのために両岸の裾が洗われてますます崩壞の原因を併るので、ああいうものを拵えて砂防を埋めて両岸の裾を保護するというような行き方のものなんでありまして、実際これは大局から見ますると実際林道のための拡張の破壞から流れる土砂、又は濫伐による結果山が崩壞する土砂、又は開墾による土砂、その他道路を拵えるために、その道路をちよつと歩いても分かるように、方々に切り取りがありますが、それから流れる土砂というふうなことを綜合的に考えますると、実に厖大な量になると思います。その厖大なるところの土砂が下流の堤防内の僅かな面積でこれがはき切れるかどうかということを考えますと堤防を高くすることと、山を放任して行くということとは鼬ごつこで、いつも川が高まり、堤防が高まるという原因がそこに起るので、原口さんの仰せられましたような堤防に対するいろいろな経済的施策も非常に十二分にやつて頂くと同時に、それも最も有効にして万全ならしむるために、上流も同時に治めるということもこれは河川を治める上に重大な問題ではないかというふうな意味から上流に対しても折角堤防を高くなさるならば、なさるだけの効果を表すために上流の方も十二分に施策をしたらいいのじやないか。本日この提案になりましたことは殆んど下流の河川の工事費でありまして、上流の砂防方面に対することが出ておりませんから、ここで申上げましても仕方がないのでありますけれども、併しこれと同時に上流の方の費用がどの程度に計上されるか。堤防に対して一億万円ならば、その十分の一の一千万円かければ一億万円以上の効果があると信じておりますので、上流の方にも十分に一つの施策を講じ、そうして原口さんの仰せられたやうな下流の工事を十二分に山において保護するという両善によつてこそ初めて日本の國土はこれ又建てられるのではないかと思いますので、決して下流を軽んじ、上流を重んずるというふうな考えを持つておりません。日本國土全般の上から言つて國土局の今日の御説明に対しまして綜合的に考えて申上げたつもりでありますから、是非上流の方にも原口さん御考慮頂きまして、なんとか万全の方法を講ぜられますようにお願いしたいと思つております。
#45
○安部定君 私上流のことを申上げた一人でありますので、只今原口さんの御意見を大変御研究の結果を示されたものとして承つたのでありますけれども、私の態度、こう申上げますと、なんだか対立したように聞えるでありましようけれども、私の態度をちよつと申上げます。私は勿論しろうとでありまして、しろうとがぽんと飛び出してちよつとした観点から非常に大切なことになりそうなことに重大な発言をしてはならないと平素から考えておるのであります。これは河川のことに限らず、すべての國政に関するすべての点で、そういうふうな態度を自分自身としては持つておる者であります。併し今囘の水害で群馬縣を視ました結果、ああいうふうに感じましたものですから申上げたのでありますが、勿論私も只今私の前に立たれました方が申上げた通りに同感でありますて決して下流を疎んじていいとは考えておらないものであります。ただ今度の水害で私は沼尾川の沿岸を見たのでありますが、この沼尾川の沿岸は、先日も本会議で申上げましたように、四里の間で上流から本川に入つておるのでありますが、その川が殆んど両面全面的に崩壊しておる。そうしてその本川に入る入り口のところで午後四時頃非常な音響を伴つて沢山の水量が出て來たということを村長が申しておつたこととそれから別の箇所の粕川、荒砥川が共にやはり午後二時から三時頃にかけて同樣な水の出方がした。それはその水の先端に沢山の石を置いて、それが流れる堤防のようになりまして、一時に出て來たとういことを聞いたのでありますが、そのことと併せ考えまして、今囘の栗橋上流の水位が今まで曾てない水の殖え方をしたということを別に新聞で発表されましたのを併せ考えまして、これはしろうとの独断であつたかも知れませんが、今まで一時間二十センチ、三十センチの増水であつたものが、今囘に限り一時間一メートルの増水を見た。これが栗橋堤防決壊の一つの直接の原因であつたというふうにいろいろに報告をしてあつたのを見まして、私の独断であつたかも知れませんが、上流の先程の各河川の沢山の水が、その先端に沢山の石を置いて、一時に多量の水が午後四時頃から午後六時頃までの間に出て、それが一時に栗橋の方に夜中の十一時、十二時に一時間一メートルの増水を見たのではないかというふうに考えられる点があつてそのために幾分上流をひどく見るような見方に私が現在なつておることは事実であります。併しそれ程までに実は上流が非常に荒れておりましたので、できますならば内務省その他の專門の方々が更に詳細の研究をされまして、勿論原口さんとその点同様でございますが、一方に偏する施策をして頂かなくて結構でございます。適切適当な復旧なり或いは根本対策に速やかに進まれるように希望するものであります。先程の私の発言もそういう趣旨から出たものでありますので、一言附加えて置きます。
#46
○委員長(赤木正雄君) これにつきましては、先程國土局長から二十三年以後の予算に対しては砂防工事、河川工事平等に取扱つて、同じようなウエイトで見ると仰しやいましたから、大体原口委員も安部その他の委員のお考えも盛られることと思います。本日は如何でしよう、この程度で……。
#47
○安部定君 ちよつと一つお伺いしたい。群馬の方は視察に参つたと思いますけれども、更に災害がひどいということについて、特に視察なさるというような計画はありますか。
#48
○委員長(赤木正雄君) ちよつと速記を止めて……。
#49
○委員長(赤木正雄君) 速記を止めて……。御異議がなければ本日はこの程度で如何でしよう。
#50
○委員長(赤木正雄君) それでは小委員会も本日は時間の都合で止めたいと思いますから御了承願いたいと思います。本日はこれを以て閉会いたします。
   午後三時五十五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     赤木 正雄君
   理事
           原口忠次郎君
           島津 忠彦君
   委員
           石坂 豊一君
           平沼彌太郎君
           石川 一衞君
           中井 光次君
           安部  定君
           大山  安君
           北條 秀一君
  政府委員
   内務事務官
   (國土局長)  岩沢 忠恭君
ソース: 国立国会図書館
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