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1947/08/14 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第13号
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1947/08/14 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第13号

#1
第001回国会 議院運営委員会 第13号
昭和二十二年八月十四日(木曜日)
    午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 淺沼稻次郎君
   理事 土井 直作君 理事 坪川 信三君
   理事 大石 倫治君
      赤松  勇君    森 三樹二君
      安平 鹿一君    工藤 鐵男君
      小島 徹三君    小澤佐重喜君
      廣川 弘禪君    石田 一松君
      林  百郎君
 委員外の出席者
        衆議院議長   松岡 駒吉君
        衆議院副議長  田中 萬逸君
        衆議院事務総長 大池  眞君
        衆議院法制部長 諸橋  襄君
        衆議院法制部第
        一部長     三浦 義男君
        衆議院参事   河野 勝彦君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 決算、商業、農林各常任委員会の國政調査承認要求の件
 文化委員会國政調査承認要求に関する事後承諾の件
 隠退藏物資等に関する特別委員増員の件
 皇室経済法施行法案特別委員会及び水害地対策特別委員会設置に関する件
 國会費追加予算
 裁判官彈劾法案起草に関する件
    ―――――――――――――
#2
○淺沼委員長 これより会議を開きます。
 まず常任委員会の國政調査承認について、議長からの諮問があります。これを議題といたします。事務総長から説明を願います。
#3
○大池事務総長 決算の要求は、官廳機構の実情に関する件についてでありまして、調査の方法としては、委員の派遣、資料の提出等をやりたいというのであります。
 次は商業委員長からで、貿易及び商業に関するものであります。
 次は蚕糸問題、食糧問題及び林業問題について、関係方面より意見の聽取、その他の調査であります。
#4
○淺沼委員長 ただいま議長から諮問の蚕糸問題、食糧問題及び林業問題に関する國政調査の諮問について御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○淺沼委員長 それでは議長において承認を與えることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○淺沼委員長 それではさよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○大池事務総長 ちよつと関連いたしまして、先日の問題で委員長からの調査事項の申し出が正式に委員会の御了承がございませんで、議長の方で適当にというお話でございますが、御要求事項は國立公園及び観光事業に関する件を調査したいというこの前の申し合せです。そこで議長としてこの要求を許可いたします際には國立公園は國土計画の委員会の事項であるからこれを除き、観光事業の調査をするということで御了承を願います。
#8
○淺沼委員長 文化委員会の國政調査に関する委員長報告に御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○淺沼委員長 御異議がなければさよう決定いたします。
#10
○淺沼委員長 次に隠退藏物資等に関する委員会の委員の増員の件を議題に供します。加藤委員長より隠退藏物資等に関する調査がきわめて廣範囲である。また多くの資料の整備等のため、現在の二十人では少いと思われるので、これを三十人に増加されたいという申し出があります。この点について御協議を願いたいと思います。
#11
○小島委員 この間理事会を開いて理事会では承諾したという話を聞きました。実際これはやり方一つで二十人でもできるし、やり方いかんによつては百人でもできない。しかし三十人ということだつたならば、一應三十人にしていただいたらいいでしよう。
#12
○淺沼委員長 これは議院の決すべき問題でありますが、本委員会としては十人増加して、三十人にするということに決定したいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○林(百)委員 十名増加の根拠は‥‥
#14
○淺沼委員長 加藤委員長からの申し出をもう一遍申し上げますが、隠退藏物資等に関する調書がきわめて廣範囲であり、また多くの資料の整備のために、現在二十人では少いと思われるので、これを三十人に増加されたいという申し出、これが根拠です。
#15
○林(百)委員 十名だけでいいのですか。
#16
○淺沼委員長 委員長が理事会の議を経て申し出があつたのです。
#17
○坪川委員 十名の割当の増員の方法についてはどういう方法で‥‥
#18
○淺沼委員長 割当については社三、民三、自三、その他一。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ―――――――――――――
#19
○淺沼委員長 次に水害地対策に関する特別委員会、これを設置するかどうか。設置するとすれば委員の数は何人とするか。名称をどうするかということについて御協議を願いたいと存じます。
#20
○小澤(佐)委員 これは昨日私からいろいろ懇請したのですが、一言申し上げます。現在の状態における水害対策は、やはり議会が率先してその復興に対する積極的な援助と指示が必要だと思いますので、ぜひ設置を願いたいと思います。委員の数の問題ですが、いろいろ考えてみますと、水害地のある議員が委員になり、ある議員はならなかつたということになると、皆さんは了承がつくでしようが、選挙運動等に関して非常に氣の毒な場合があると思います。私の考えではできるだけ水害地出身の議員が大体において委員になれるような方法で進んでもらいたい。それだけ申し上げます。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○淺沼委員長 他に御意見ありませんか。
#22
○土井委員 今小澤君の方から水害地の議員を大体全部含むようにということであるけれども、実際の面からいくと水害を受けた縣の議員の数は非常にたくさんにあるのじやないか。それを全部入れるということは実際の面において不可能じやないかと思う。やはりこの点については委員数をはつきりときめて委員会を構成した方がよいと考えるのであります。
#23
○小澤(佐)委員 それはもちろんそうです。はつきりきめるなら、私としてはできるだけその線に沿うたようにしたいと思います。
#24
○淺沼委員長 それでは大よその委員数を何名にいたしますか。
#25
○西澤説明員 東北の福島を除いて申しましよう。社会党が十人、民主党が十人、自由党が十三人、第一が二人、國民協同党が一人、三十八人であります。
#26
○淺沼委員長 和歌山、鳥取の方は‥‥
#27
○西澤説明員 和歌山、鳥取では社会党六、民主党二、自由党四、第一が一、國協が一、共産党一、農民党ははいつておりません。全部で五十三名になります。
#28
○小島委員 私は強いて反対するのではありませんが、これからは颱風があるからどんどん水害がある。その都度特別委員会を開くのですか。それともこれに追加するのですか。
#29
○小澤(佐)委員 私の趣旨は前回だけの水害の委員会でありまして、その後水害が起きたときには、皆さんのお考えによつて特別委員会が必要ならつくる。
#30
○坪川委員 そうしますと範囲は東北、和歌山、鳥取、島根ですね。福島は除く。
#31
○淺沼委員長 それでは水害対策特別委員会はこれを設置するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○淺沼委員長 委員数の問題についてはできるだけ水害地の議員の多数がこれにはいるような委員会の数にする。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○淺沼委員長 しかし全部包含するわけにまいらぬのでありますから、大体四十五名ということで御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○淺沼委員長 それでは四十五名に決します。あとの割振り等は各党間において話合いをして、水害地関係者が出るということにしたらどうですか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○淺沼委員長 さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#36
○淺沼委員長 次に皇室経済法施行法案の審査を付託するため特別委員会設置の件を議題に供します。事務総長の説明を願います。
#37
○大池事務総長 今日の日程に上つております皇室経済法施行法案と日程第二に上つております日本國憲法第八條の規定による議決案、これは皇室財産の資料その他に関する件であります。その二法案は今日日程に上つておりますが、現在の常任委員会ではこれといつてはつきり諮るべき所管がございませんので、適当な委員会を議長において裁定が困難なわけであります。從いまして皇室経済法施行法案と、日本國憲法第八條の規定による議決案の二案の特別委員会を設けていただいて、これに付託するほかないと考えますので、特別委員会を設けることについてはどうか、また設けるとすれば委員の数はどうかということなのであります。
#38
○淺沼委員長 御意見はございませんか。
#39
○小島委員 特別委員会を開くことはないと思う。大藏省関係の委員会でよいのではないか。
#40
○大池事務総長 そういう御意見があろうと思いますが、一番最初に國会法をきめます際に、各部門別に特別委員会を設ける必要はない。それでは特別委員会として考えられるものはどういうものかという御質疑がありました際に一應申し上げましたのですが、まず第一に憲法の改正の発議をせんとするもの、次は選挙法、さらに皇室経済法並びに日本國憲法第八條の規定による議決、そうたくさん出ないと思いますが、そういうものがあり得るだろう、こういう審議経過がありましたので、皇室問題については、やはり特別委員会を設けて、そこで取扱つた方がいいのではないかと思います。
#41
○小澤(佐)委員 特別委員会を設けていいと思います。
#42
○淺沼委員長 それでは委員の数についてお諮りいたします。
#43
○土井委員 委員の数は二十名くらいでいかがかと思います。
#44
○淺沼委員長 それでは皇室経済法施行法案の審査のため特別委員会を設け、その委員の数を二十名として御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○淺沼委員長 なおこれに日本國憲法第八條の規定による議決案を併託することに異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○淺沼委員長 さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#47
○淺沼委員長 次は裁判官彈劾法案を議題に供します。本案の起案に関して司法委員会と三回にわたり連合審査会を開いてやつたのであります。さらに今一度連合審査会を開く予定でありますが、三回の連合審査会において、特に小委員会において問題にされた重要な点について一應御報告申し上げます。御協議を願いたいと思います。第一部長をして報告いたさせます。
#48
○三浦説明員 便宜のため連合審査会の大体の意見は、河野説明員からお願いいたしたいと思います。
#49
○河野説明員 それでは私から先日前後三回にわたりまして連合審査会が開かれました。その審査会の席上に行われた裁判官彈劾法に関する討議のあらましを御説明申し上げます。裁判官彈劾法の第二條は、これはもつとも本法案の大切な條文でありまして、從いまして第二條については非常に問題が多かつたのでありますが、簡單に申しますと、結局二條と十二條との関係が一番問題の要点であつたように思うのであります。司法委員の方には二條を存置して十二條を廃止すべしという意見と、二條はそのまま修正案の通りに置いておいて、十二條は存置すべしという御意見と二つございまして、これをかいつまんで申し上げますが、十二條を廃止するかどうかということに要点があると思うのであります。それから第二條の規定の内容の問題でありますが、この中に涜職というような行爲を行れた方がよいのではないかという意見でありました。それからこの涜職という規定はアメリカの法律にもあるのでありますが、日本の法律でなぜこれを出さないかという意見であります。もう一つの御意見は第二條を全面的に改正して、第一、裁判官が良心に從わざる裁判をなしたるとき、第二、裁判官において判断能力なきときというようにしたらどうであるか。裁判官が良心に從わない裁判をするのが一番いけない、そういうものは罷免すべきである。ただ單に惡いことをしたからといつてそれを議会が問題にすべきではないという御意見であります。もう一つの意見は、この第二條の條文を根本的に改正して、憲法法律に違反するときと、こういうふうにした方がよいという意見であります。これが第二條についての意見の大要であります。
 それから第十一條でありますが、第十一條において三年、これはちよつと時効期間のようなかつこうになつておりますが、訴追期間の制限であります。それについては衆議院議員の総選挙があつたときには相当期間がかかるわけでありますから、この期間の進行中は、三年の経過期間というものは期間の進行を停止することにして、もう少しこれを長くするか、その間総選挙の期間は三年の期間の進行を停止するようにしてほしいという意見でございました。
 それから二十六條でありますが、二十六條は相当憲法上の問題があるのでありますが、その点については司法委員会においては御意見が全然なかつたように考えられます。
 それから二十九條でありますが、この證拠調べの規定につきましては地方裁判所に取調べを嘱託するということになつております。これは地方裁判所でなく、簡易裁判所もよろしい。高等裁判所もよろしいのではないか、いろいろの裁判所で證拠調べができるようにしてほしいということと、證拠調べを地方裁判所に嘱託するというのは弱過ぎる、彈劾裁判所みずから強制的の證拠調べでなければいかぬという御意見であります。
 それから三十條「刑事訴訟法に関する法令の規定を準用する、」その條文について、非常に大切な條文であるから、もう少し一まとめにする。そして裁判に規定してその重要性を示すべきであるという御意見。刑事訴訟法を準用してもなお不備の点が免れないのであるから、本法案については審理のやり方については詳細な規定をしなければどうも裁判の運営ができないのではないかという御意見であります。その彈効法の規定が審理については少し簡單過ぎるこういう御意見でございます。
 それから三十一條「裁判は、審理に関與した裁判員の過半数の意見による。」それから「罷免の裁判をするには、審理に関與した裁判員の三分の二以上の多数の意見による。」こういうようにありますが、この場合に総選挙がありまして、裁判員が選挙後にわたりまして交替した、総選挙の結果前の裁判員がいなくなつて、後の裁判員が新しくできた、事件はその前後に係属しておるという場合には、新しい裁判員と前の裁判員の関係はどうなるかという御意見でありまして、これについては審理に関與というのは、結局前の裁判員は含まないのであるということを答弁したら、それではそれでよろしいという御意見であります。それから審理に関與した裁判官の過半数の意見によるというが、偶数にわかれた場合はどうなるか、これはやはり偶数の場合を含めなければいかぬではないかという御意見であります。それから三十七條は裁判官罷免の効果でありますが、裁判官が死亡した場合、退任された場合、任期満了の場合、停年の場合、この四つの場合においては、やはり罷免の裁判をしなければいかぬではないかという御意見でございます。罷免の裁判の効果というものはただやめさせるだけではございませんで、そのあとで恩給を停止したり、文官任用をやめたり、いろいろな場合が発生してまいるわけであります。從いましてみずからやめた場合でもそういう効果を與えるべきである。やめればなくなるというのは穏当ではない。
 それから彈劾裁判所、前は懲戒裁判所と言つておりましたが、今度は懲戒委員会となります。彈劾裁判所と懲戒委員会の関係をこの法規に規定するかどうかという問題ですが、この関係につきましてはただ法文でもつて、たとえば事件を審理して罷免には当らないけれども、懲戒に当るような事件が出てまいりました場合には、これは懲戒事件と思うが、懲戒委員会に通知するだけでいいか。あるいはこれを職権に入れてそういう懲戒に当るものを委讓するかという議論については、司法委員の御意見はこの法文の中になるべく書いてほしいという御意見であります。それから罷免された裁判官は弁護士になれるかどうか。そういうことを研究しておるかどうかという御意見でございます。
 三十八條につきましては、一号と二号は相当趣旨が違うものであるにもかかわらず、三十八條一條にまとめておるのは穏当ではない。第一号については五年を経過したときに当然資格を回復するように思える。であるからこの第一項におきまして資格回復をするのに相当な事由があるときということを挿入しまして、ただ五年を経過しただけで資格回復ができるわけではないということを入れてほしいという御意見であります。それから第二号については資格回復の裁判をするというだけではこの回復が十分ではない。從いましてこれを再審の際に罷免の効果は全然なかりしことに遡及するというふうにしてほしいという御意見がございました。以上が大体委員会の御意見の大要でございます。
#50
○工藤委員 運営委員会におけるその程度の意見はわれわれも考えておつたのですが、司法連合会における意見は、われわれは相当研究し盡したものであり、われわれがここで審議した考えをかえる程度の意見はないように思う、ゆえに多少これを修正する余地はその後に至つて出てくるかもしれませんけれども、大体私は原案でよかろうと思います。
#51
○林(百)委員 私もこの審査会に出たのですが、やはり二條と十二條が一つの大きな問題であろうと思います。われわれの場合は十二條を置くならば著しいとか、はなはだしいとかいう言葉を除いたらどうか。それから著しいとか、はなはだしいとかいう言葉をおくならば十二條は削除したらよかろうという御意見でありましたが、私の考えとしては第二條はこのままにしておいて、十二條を廃した方がいい。それから刑法でなぜ起訴猶予の十二條と同じ條文があるかというと、刑法は著しいとか、はなはだしいとかいう言葉は全然使つてないのであります。こういう言葉がないから事情を斟酌するために起訴猶予の條文があるのでありまして、著しいとか、はなはだしいとかいう言葉があるのだから、十二條は廃した方がいいという意見をもつております。
#52
○小島委員 今問題にしているのは修正案の原案でしよう。そうすれば、工藤委員は原案そのままと言われるけれども、十二條は削つた方がいいのではないかと思う。
#53
○淺沼委員長 これはひとつ説明員の方から説明してください。
#54
○三浦説明員 二條、十二條は初めから問題の規定でありますが、ただいまもお話がありました通り、ガリ版に刷りましたのが運営委員会の原案であります。從來四号に分れておりましたのを二号にまとめました。その前に涜職の行爲があつたときということを第一号に入れておきまして、これと関連して十二條において、いわゆる情状によつて酌量する事情があれば訴追を免除しようということと関連をもつておつたわけであります。しかしながら今度涜職の行爲であつても、職務上の義務に著しく違反するというようなことに包括いたしました関係上、実は十二條が実際問題として働いてくる場合はほとんどないと考えております。私の考えによりますれば、大体二條の著しくあるいははなはだしくという場合の認定をする際におきまして、それらの事情が当然取入れらるべきであつて、從つて著しくと認定せられたものをさらに情状によつて酌量することはどうかと考えておるのであります。もう一つの理由としては、いつたん訴追事由があつて訴追せられた以後におきましては、それをあるいは訴追の事由がないといつて免除するとか、あるいは罷免するということは、一に彈劾裁判所の権限に属せしめるということが適当ではなかろうかと考えるのでありまして、それは第十四條の訴追の取消しを削除しました意味もさような意味においていたしたのでありまして、それらと理論的な関連をもつと考えます場合におきましては、二條を存置し、十二條を削除することにしたらいかがかと考えております。論理的な予盾がなければさようにいたしたいと考えております。
#55
○小澤(佐)委員 これはこの前も私どもちよつと触れたのですが、今第一部長の言うような意見の人も相当あります。またこれに反対の人も相当あると思う。十二條のいわゆる酌量というものは、二條の一項、二項にあるところのものは全然含んでおらぬと思う。たとえば情状というものの中には、客観的に行われた一項、二項の行爲、著しく違反した、あるいは著しく非行であつたということが、その人の行つた行爲を現わすものであつて、情状というものは必ずしもその行つた行爲だけではなくして、その人の家庭の事情とか、行つた後のその人の考え方までも情状になるのであります。ただ著しいあるいは著しくないというようなことは情状ではない、しかしながらそれ以外のものに情状というものは廣く使われるので、その人が行つた動機がいわゆる情状にあたいする場合には情状という問題が起るのであります。それから第一部長のような意見を言う人の著しいというような場合にはそういう主観的な事情をも考慮した場合でなければ著しいと言わぬのだこういう考え方のようです。それは少し違うのではないかと思います。もう一つは訴追委員会が訴追する場合に、十二條がないと非常にやりずらい場合が出てくる。なぜかというと著しいか著しくないかということは相当調べた後でなければわからない。非常にきわどい問題があります。著しいか著しくないか、あるいははなはだしいかはなはだしくないかということは相当訴追機関が審査した上でなければわからない、いよいよ審査してさあどつちに当るだろうというような疑問の場合に、これは著しくないのだというように訴追委員会の過半数で決めた場合に、今度は情状というものがないと不起訴にしなければならぬ、不起訴になると人権蹂躪が行われるようなきわどい場合には、訴追委員会が非常にやりずらくなる、それから否でも應でももつて行つた場合には、著しくないのだというので罷免されないとなつた場合には、訴追委員会の面子というものがつぶれてしまう、面子はつぶれてもいいが、訴追委員会が実際の仕事にあたつていけなくなる。そういう訴追委員会の立場等も考慮すると、これがあることによつてはじめて訴追委員会が活溌な行動ができる、こういうように自分は考えておる。いろいろな議論があるが、私はどうしてもこれは存置しておいた方がいいという見解をもつております。
#56
○小島委員 私は小澤君と反対の意見をもつておる、訴追委員会が檢事のような職務を行うという建前からいつて、檢事が一切の事案をあらかじめ情状によつて訴追を自由にできる、やめたり、またしなければならぬことができるというようなことは考えられぬので、それは彈劾裁判所のすべきことであると思いますし、どうしても檢事の情状により云々というのは裁判官というものは、大体今小澤君の言つたような理由では、裁判官としてはいくら家庭の事情があつたからといつて職務上の義務に著しく違反して、しかも家庭の事情だから許されるということは考えられぬので、裁判官という一つの嚴たる地位から考えてみても、私は情状によつて訴追を免除するということはすべきではないので、やるならばそれは彈劾裁判所で考えればいい、訴追委員会のすべきことではないと思うので、やはり第二條はそのままにして、第十二條は削るべきものだと思う、それが第十四條を削つたという意味から言つても正しいと思うのです。
#57
○小澤(佐)委員 そうすると、彈劾裁判所で考えればいいというが、彈劾裁判所で情状を考えた場合には結局どういうことをするかといえば、結論においては第二條に該当するものは否でも應でも罷免の裁判をするよりほかない、いくら情状があつても罷免の裁判をするほかない、形式上の執行猶予にするわけにはいかないし、いくら考えたところで裁判は一つしかできない、情状があるからといつてこれを免除することはできない。
#58
○小島委員 彈劾裁判所が本質的に考えるべきことであつて、情状によつてこれを罷免するとかしないとかを決めることではない。罷免する必要があるかないかというようなことを彈劾裁判所のやるべき性格のものであつて大体情状によつて罷免することはできないと思います。しかし情状によつて訴追の必要があるとかないとかいうことは檢事局で決めるべきことではなく、檢事局の性格をもつた訴追委員会のするべきことだ、情状によつて彈劾裁判所は罷免することができるということを意味しておるのではない。
#59
○石田(一)委員 私はこの十二條をなんとかして残したい。しかしこのままで残すのが惡ければ、出席訴追委員の全員の意思によつて認めたときにはというような制限を附して残したいと思います。ただいまの小島君の話も一應ごもつとものようですが、そういうことになると、この裁判官彈劾法案では訴追委員会などはいらない。はじめからすぐ彈劾裁判所へもつていつてきめればいいわけで、裁判にかける以前に一應冷靜なる判断をもつて考えた場合、これを訴追するよりか、家庭の事情等で情状を認めて訴追しない方が、むしろ國家の裁判の上にも、また國家のためにも利益だということは、今後あり得ると思います。そういうときに訴追委員会にこの権限が全然なくて、著しいときめて彈劾裁判所にやる、こうなると、著しいことはきまつているけれども、家庭の事情からあらゆる情状酌量をして、これは著しいけれどもこの際訴追しない方が國家のために利益だということはあり得ると思います。そういう場合にこの條文がないと、訴追委員会はどうにも融通がつかぬと思う。
#60
○小島委員 石田君の言つているのは、普通一般人の場合においてはあてはまると思います。たとえば社会的事情とかその人の環境とかによつて犯罪をしたということで、それを情状によつて訴追するとかしないとかいうことを考えることは、一般の犯罪者については言い得ることであるが、裁判官ということになつたら、要するに罷免するということは裁判官の資格を除くことが根本である。それを極端に言えば、情状によつてこれは失格しない、罷免されないでその裁判官はまだいるということになつたならば、その情状によつて裁判官として著しく違反するような行爲をすることを認めることになるので、いかなる情状があろうとも、裁判官たる地位にある者は、その裁判官たる資格はなくなるのだということにならなければならぬと思う。石田君の言うように一般犯罪者を扱うようなわけには、この彈劾裁判所の性格上いかぬと思います。だから結局情状がどうであろうとも、要するに裁判官として著しく違反する行爲をなしたということによつて、その人は裁判官としての資格がなくなるということで、この人を社会的に葬るということが目的ではないのだから、そういう意味からいつて一般犯罪に対しては石田君の理窟は成立つけれども、裁判官の罷免という問題については、成立たぬと思います。
#61
○石田(一)委員 ごもつともな御議論だと思いますが、たとえばこういうこともあり得ると思う。ある裁判官が著しく職務に違反する行爲があつて、この二條の事由に該当する、しかしこれはこうこうこういう情状酌量すべきものがある、しかも本人の意思によれば、そういう情状酌量すべき点があつても、自分としてはこのまま止まる意思はなく、近き將來時期をみてやめようと思つている。しかしこの事件のためにやめたというのでなくて、自分でみずから進んでやめたという方法をとりたい。そういう事情もあると思う。その際に、実際的には本人の決意といい、誰がみてもやめるにきまつているのに、しかもそういう情状があるのに、わざわざこれを彈劾裁判所にかけて罷免するということにもなる得ると私は思う。
#62
○工藤委員 私自分の意見を申し上げる前に、何がためにこれを削らなければならぬかということを、関係方面の意見を伺つてきた方に私は伺つておきたいと思う。
#63
○三浦説明員 先ほども実はその点について申し上げましたが、さらに申し上げますと、第二條、第十二條、第十四條、一連の関連をもつわけであります。それで関係方面の意向としては、第二條に明らかに「著しく」とか「甚だしく」とかいうことで、特定の罷免事由を限定いたした場合においては、當然訴追委員としてはそれにあたる場合においては罷免の訴追をすべきである。その場合において訴追委員会が、そこに情状の酌量とか、すでに訴追をしたあとの取消しをするというようなことは適当ではない。それは本來の裁判、今後の新しく設置せられるところの彈劾裁判所、あるいは一般の裁判所というものの権限が今後強められ、そうして公開等の原則によつて、その審理が続けられる以上は、その彈劾裁判所において必要があるならば、それを判定すべきである。訴追委員会がそれをとやかく言うのは適当でない。かようなことがその一つの重要な原因になつておるのであります。なお先ほど申し上げましたように、「涜職の行爲があつたとき」と最初に書いてありますので、これは一銭の涜職であつても、一円の涜職であつても、訴追の事由になることに考えておつたのでありますが、これを「職務上の義務に著しく違反する行爲があつたとき」という中に入れることにいたしまして、最初の案の「涜職の行爲があつたとき」ということを削りました関係上、特に涜職の場合に例をとりますと、その場合において情状酌量するというようなことも必要がなくなつてくるわけであります。かような点から十二條及び十四條が削除された。こういうことになつたわけであります。
#64
○工藤委員 前にも伺つたことですが、多くの人のこの点に関する議論は、第二條はいわゆる原告としての彈劾権を規定したものであつて、第一條、第二條というものは裁判権をきめたものではない、こう私は見ておる。從つて彈劾権は、どの程度まで彈劾する必要がありや否やということは、やはり訴追委員会のひとつの権限として認めた方がよかろうと思う。これを彈劾する必要なしという場合があり得ることなのだから、それをも強いてある議論のごとく直ちに彈劾裁判によつて裁判しなければならぬということは少しいき過ぎではないかと思う。要するに彈劾権も裁判権も一緒にごたついた話がここに出てくるのじやないか。たとえば、彈劾権を発動した方がよいと訴追委員が考えて、発動するのですけれども、裁判官がこれを審理した結果、これは著しい、これははなはだしい、それによつて今度は初めてこれを裁判を下すのですから、この二つを頭を別にして考えたらそこが釈然とするだろうと思う。それぞれその職分をわけて考えてみて、彈劾権と裁判権を別にして考えて、最初彈劾する人は、これならば彈劾する價値ありと認める場合もあり、價値なしと認める場合もあるのですから、やはり今日の司法制度のように、彈劾権と裁判権を区別しておるならば、ここには主として彈劾権、つまり原告として発動する権限を、やはりある程度まで訴追委員の方に出しておくということは、本人をかばうとか何とかいう意味ではなく、裁判の公平、もしくはある人が彈劾権の発動によつて受ける影響もよほど緩和すると思う。やはり裁判官もわれわれ國民の一人としてみれば、その間に情状酌量すベき点もあるのだから、われわれが法律をつくる場合に第一に考えるベきことは、涙をもつて考え、同情をもつて規定してやる。從つてその愛の氣持をここに入れるということはわれわれ共同生活の上に必要であるから、これを、はなはだしく世間の信用を失わざる前にストツプして、その訴追に対して涙のあるような規定を設けておくことは必要だと思いますから、私はこの点について、彈劾権と裁判権をはつきり区別して考えた場合に、裁判は著しいものを発見したときこれを訴追する。しからざる者は無罪とすベきである、こう考えますから、この区別を考えて、私はこの案は両立してりつぱにいけると思うから、ここは活かしてもらいたいと思います。
#65
○林(百)委員 小澤さんの言われる情状酌量の点は、第二條の、著しく違反し、甚だしく怠つた、著しい非行がある、非行だとか、怠るとか、義務違反というような場合は刑法にはない。人を殺したとか盗んだとか、刑法のははつきりしておる。ところが、非行とか義務に反したとか、こういうことを認定するのは、あなたの言われるような情状が十分ここで斟酌されると思うのです。ここで斟酌しておきながら、第十二條に行つて、また情状があるから斟酌するというようなことはほとんど適用がないと思う。憲法の十五條には罷免権は國民固有の権利だと非常に強く強調しておる。われわれは初めて官僚の專権に対して國民がこれを批判する権利を與えられたのである。これはよほど強い権利を與えられたのであるから、從來の関係もあつてほとんどこれは死文になると思うのです。ですから、最初はやはりはつきりしたものを現わしておいて、もしそれが濫用されるとか何かという場合には考える必要があるが、最初にはわれわれは民主的な新しい法律をつくるということをはつきりしておいた方がいいと思う。しかも訴追する場合には出席訴追委員の三分の二が同意しなければならぬということですから、あまりそこに制限を加えておいたら彈劾法の意味がなくなると私は考える。ですからやはり私は十二條を除いてはつきりした法律をつくつておいた方がいいと思う。
#66
○小島委員 僕は林君と同じ意見なんですが、第二條はそのままにしておいて十二條を削除する。今工藤さんは彈劾権と裁判権は別個だと言われますけれども、私は彈劾裁判権というのが目的であつて、その一つの方法としてここに訴追委員会というものができてきておるのであつて、別個の権利が発生しておるのじやないと思う。でありますから、今工藤さんは、実際において必要じやない、涙をもつてやると言われますけれども、私は、涙をもつてするとかしないとかいうことは、一般の刑法の犯罪に対してはあてはまるかもしれませんが、事いやしくも裁判官ということになると、裁判官の地位というものはいかに重大かということが現在の制度においてはつきりしておる限りにおいては、著しく違反するということがはつきりした場合には訴追委員会が当然すベきであつて、その間に家庭の事情とかその人の社会的事情だとか、その後どうだとかいうようなことは考慮する必要はないと僕は思う。だから涙をもつているとかいないとか言われますけれども、彈劾裁判というものは、要するに裁判官の資格を取上げるのが目的なんだから、その人がその後後悔しておるとか、それが家庭の事情でどうしても盗みをしなければならなかつた――極端な話ですが、そういうこともあると言つてみたところ、一般人なら、どうにも食うに困つて泥棒をしたということであれば情状酌量の余地があると思いますが、いやしくも裁判官というものが、こういうことによつて動かされる、情状によつて、また社会的な環境によつて動かされることも構わないのだ、そういうことが情状だということになつてくると問題だと思います。だから、私の考えとしては、とにかく、彈劾権というものをわれわれはもつておるわけじやない。われわれは彈劾裁判所で彈劾権と裁判権と二つあるので、彈劾裁判の権限をもつておる。彈劾権と裁判権と別々のものがあるのじやない。一つの手続だと思う。だから私はどうしても第二條をそのままにして第十二條を削除するということの方が合理的なんじやないかと思う。
#67
○工藤委員 今の小島君の議論ですが、私はこれは彈劾権と裁判権という二つから成り立つていると思う。彈劾裁判所というものの機構は、一つは彈劾権をもつており、一つは裁判権をもつておる。これは爭えない事実です。これは別ですけれども、司法の方においてはむろんあるわけです。だから私は別個のもので、訴追委員会というものが別個の権利をもつておるものだ、こういう彈劾事犯があるということを原告として訴えるのですから、二つの機構があると見なければならぬ。これは一つのものではない、二つのものがあるのだから、一つを削ろうということになる。だから初めから二つあることは明瞭だ。またこういう機構は二つあることが必要である。但し裁判官が原告のたとえば彈劾官のあげ來つたその証拠は、罷免という裁判官の重大な位置を動かすに足るや否やということは、裁判所の方で最も嚴正にいくべきものであつて、この十二條によつて檢事となるところの今の彈劾者はこれを調べるには相当調べてやりましよう。そこで裁判官の方では今度自分の本來の職権に基いて著しいか、はなはだしいか、はなはだしくないかという点については、言葉として立法例にあるかないかは今思いつきませんが、これはたくさんあることなのです。あることなんだから、著しいと認めた場合は重くし、認めない場合は軽くする、これは裁判官の権限だ。いやしくも彈劾官としてはいろいろの方面に重大な影響を及ぼすものだから、ここに血もあり涙もあるということは、刑法に限つたことではない。われわれの日常の行爲にもある。初めからもしわれわれが衆議院を代表して訴追委員となるならば、やはりこういう余裕をもつたところの一つの取極めをしておくことは必要ではないかと思う。それであるから小島君の議論は議論として、根本の観念はこの問題とは変つておるのだから、あらためてそのことを申し上げておきます。
#68
○小澤(佐)委員 小島君の意見は普通の刑事裁判と違つて、この彈劾裁判はそうしたいわゆる不適任な裁判官が引続き裁判所におることによつて、妥当ならざる裁判が行われるおそれがあるので、情状などを考えることはいけないという結論だと思う。その結論はごもつともと思う。そいう場合において私は適用しろというのではない。たとえば一つの例をもつて言うならば、これは三年前のものも起訴できることになつておる。三年前にいわゆる第二條に該当するような行爲があつた、ところが裁判官はこれではいかぬというので自覚して、本然に立ち還つてあとの二年九ヶ月というものは全く理想的な裁判をやつてきた。それにもかかわらず過去の三年に第二條に該当する行爲がすでにあつた、それを訴追委員会で問題にしていよいよ審理を始めたとなると、過去の業績は非常に立派な裁判官としてやつておるにかかわらず、三年前にちよつとした、はずみでやつたことが裁判所で追われる。また三年間無事できた者もその一つのために彈劾裁判所にまわつて、遂に訴追の運命に至らなければならないというような場合を考えると、やはりそこに情状というものは適用する余地があるじやないか。すなわち小島君の考え方を入れてもなお情状を適用するような場合があるのでないか。
#69
○石田(一)委員 ただいま工藤先輩からまことにいい議論をおつしやつてくださいました。事実この裁判官彈劾法案の中から十二條を取除きますと、いかなる場合に訴追委員会はその裁判官を彈劾裁判所に訴追することができるかということは、全然規定がないような結果になります。それは二條によつてそうした著しい、はなはだしい非行があり、義務違反の行爲があつたというときにも、訴追委員会のみがこれを訴追することができるとするならば、もうそのときすでにその裁判官のやつたことは二條に該当するものであるということに訴追委員会で決定されたものである。それをまた彈劾裁判でなるほどそうだ、著しい行爲があつたとして二重にまたこれを裁判するわけになる。この二條にありますことはちやんと書いてあるように彈劾による罷免の事由であります。そうして裁判官がこれだけによつて罷免されるという事由であります。これは訴追をする事由にはなつておらない。だから訴追委員会が訴追するかどうかということは、この二條によるのではなくて、訴委員会の審理の経過においてこれは訴追すべきものだと決定して、その後にこれがはなはだしく義務に反したかどうか、それとも非行であるかどうかということを裁判するのが彈劾裁判所の権限です。私はこういう意味に解しております。
#70
○小島委員 ぼくは、今工藤委員からも言われましたけれども、この國会のもつておる権限というものは彈劾裁判をする権限だけであつて、これは訴追する権限だ、裁判する権限だという二つにわかるべきものではなく、大体訴追委員会というものは國会法に掲げてあるものではない。ただ裁判する一つの手段として訴追委員会という一つの形式のものをこしらえて、これをして訴追せしめて裁判をするという順序を書いておるに過ぎないのであつて、われわれ國会のもつている権限は裁判をする権限に過ぎない。ただ問題は、要するにこの訴追委員会というものは彈劾する、裁判する理由があると考えた場合においては、これは訴追委員として訴追すればいい。われわれ國会がもつておる権限は裁判する権限であつて、彈劾する権限と裁判する権限と二つにわかるべき性質のものではない。要するにこの追訴委員会というものは一つの裁判をする、彈劾をする、こういう手段をもつてやるというのであつて、極端に申しますれば訴追委員会を必要としない。どつかから訴追がきたならばそれを裁判所にかけるということでかまわないと思います。ただ裁判する段階として訴追委員会をこしらえていく、眞に訴追する権限があるとはわれわれ考えていない。裁判する権限しか國会にはないと考えるのです。私は議論をするつもりではないが‥‥
#71
○淺沼委員長 第一部長からもお話がありました通り連合審査会で問題になりました点は、二條と十二條の関係については、第一には二條は存置して第十二條を廃すべしという意見と、それから第二には二條の涜職の行爲その他を入れまして、第二條の意見を尊重すべしとの意見、第三には一つは第二條を全面的に改正して、裁判官が良心に從わざる裁判をなしたとき、第二には裁判官において判断能力なきときとするという意見、第四には憲法法律に違反したるとき、こういう意見が出ておるわけでありますが、ここで大体討論をした結果、残つたのは第二條の存置については大体異議はない。しかし第十二條を存置した場合にどうするかという点について二つの意見が出ておるわけであります。その二の意見のうち廃止すべしということについては十四條も含めて関係筋の意見も加わつておるわけでありまして、大体本委員会としては第二條を修正のまま認め、第十二條については、さらに交渉してみたらどうか‥‥ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#72
○淺沼委員長 それでは、あらためて今眞劍な御議論がありましたから、それを反映して、そして関係筋と折衝の結果もう一遍協議して決定する、こういうことで御了承願いたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#73
○淺沼委員長 それからまだあとずつと條文があるのですが、十二時になりましたし、まだほかにお協議を願わなければなりませんので、本件の扱い方はこれで打切つて、明日午前十時より引続き彈劾裁判法について審議を進めるこにいたします。
     ――――◇―――――
#74
○淺沼委員長 次に議院の予算の件について御相談いたしたいと思いますから、事務総長から御説明を承わることにいたします。
#75
○大池事務総長 この前衆議院の方の追加予算の大体の建前の御説明を申し上げまして、数字をおあげしたのでありますが、その後大藏省方面と種々交渉いたしました結果、大体はつきりした目途がわかりましたので、ただいまその数字等を十分に整理いたしておるわけでありますが、一應私から御了承を願いたいと思つおります。先日差上げました追加予算の数字は議員歳費は増加というものに基きまして当然に必要なもの、それから先日法案として通りました議員の特別手当、この新規の追加、それを議員旅費の百円が二百円になりました当然の追加、それに國政調査旅費、これがやはり議員並びに証人及び口述人は先日のものではいりましたので、それを含めました当然の増加が含まれております。それに常任委員会の会議費で、一つの委員会五万円平均を要求いたしまして、大体百万円を見たのでありますが、これに種々の関係で一應――さらに將來は將來として、この場合は三万円平均の二十一委員会に対する六十三万円ということになりまして、これだけは減つたわけであります。そういう点で御了承願いたい。
 それから常任委員長の專用自動車購入費、これは認められまして、当然の必要のものとなつたのであります。それに事務総長給の当然の増額並びに図書購入費、その他特別な数字がありますが、これも一應その数字は大体において認められたのであります。それに職員の待遇改善費といたしまして、各省官公吏の千八百円案に基くもの、これは当然のものとなつたわけでございます。それから営繕費の増加といたしましてたくさんの必要営繕事業をも設けてありました。この項目的なものはことごとく了承されたわけであります。
 國会職員の待遇改善に関する経費は後に詳しく御説明申し上げます。以上待遇改善の國会職員以外のすべての経費につきましては、本院の要求は、一應全部了承されたのでありますが、御承知の通り追加予算の大きなわくがありまして、そのわくの関係で数字の点におきまして本院の方と向うと相談をいたしまして、数字上の整理をいたし、もしそれによつて足りない場合には次の議会なり、通常議会なりでその不足分は全部出すということで、一應の数字の整理になつておるわけであります。
 それから國会職員の待遇改善の問題でありますが、超過勤務手当の問題は、法律に基く当然の二割五分を下らざる程度というのによるわけでありますが、これは各省のこれに対する経費の割当が今給與局の方で関係方面とも折衝の上大体きまつておるわけであります。それをそのまま國会職員に適用されることは、各省と本院との仕事の性質上、内々に伺いました数字ではとうてい困難でありますから、予算面からは制肘を除いて、実際にかかつた必要なものを頂戴することに交渉をいたしております。
 それから先日皆さんの御同情によりまして衞視宿料の増加、七品料の増加、速記者特別手当の増加並びにそれ以外に当然考えなければならない職員に対する特種手当並びに議会の終りました際の議会手当等の要求をいたしておりました。その各項目の点については給與局並びに主計局としても、その意のあるところは十分考えねばならぬことでありますけれども、御承知の通り千八百円案をつくります際にあらゆる手当等はこれを予算から除いて千八百円案というものが考えられたわけであります。從いまして現実に今貰つております衞視宿料並びに速記者特別手当を減らすことは既得権利の侵害であるから、これはそのまま認められるけれども、新たに増額するということは根本的の問題と関連がありますので、予算の要求からは何としてもできないという立場になつておるのであります。從いましてこの点は一應予算の面からはずしまして、給與局並びに主計局と爾後においてこれが折衝に当ることによつて、あとは数字の整理をいたして追加予算を要求をいたしたい。從いまして、ただいまの皆さんの御同情によりました職員の待遇改善の問題につきましては、あらためて何らかの方法をもつてこれが実現を期するようにいたしたいと思つておるわけであります。從いまして先日あげました数字が大きなわくの関係で、一應の原則を認められましたが、この議会に出すべき追加予算としての数字に変更を來したわけでありまして、それの一應整理いたしたものを持つておりますから、それを今差上げますが、そういう程度で本年度の追加予算の請求を早くいたしませんと、追加予算の確定案に支障を來しますので、一應その程度で御了承を願いたいと思います。議員諸君の分に対しては、常任委員会の費用五万円の予定が三万円に減額をされたという点が実質的に差があつたのであります。それ以外は給與局の方で認めたものについては必ず出すということを政府の方でも認めておりますので、給與局の方と職員の待遇改善についてはただいま折衝中でありますので、そういう便法によることにお願いいたしまして、一應追加予算の請求書はただいまお手もとに差上げました数字のものを出したい。その数字は今度の新しい予算の編成上の要求形式になつております関係でこういう数字になつたのでありまして、それで御了承を願いたいと思います。
#76
○林(百)委員 そうするとこの前の特別手当はあの通り通るのですか。
#77
○大池事務総長 あの通りは困難です。しかしその実体を與えるべく盡力したいと思います。ただいま職員組合と私の方と折衝しておりますが、職員組合の方で数字についてはいろいろの意見があるようであります。追加予算の面から落されることは今日の政府の態勢からやむを得ない。それはよろしい。あとの数字の問題で私どもが給與局を通じて折衝いたします分については議論があるようであります。私どもの方で一應この程度のものは何とかできるであろうという見越しをつけました数字は職員組合の方にも内示してあります。
#78
○林(百)委員 もしその交渉がこの議院運営委員会で協力する方が交渉しよいという場合には、やはり議院運営委員会で協力する方法も委員長ひとつ考えていただきたい。
#79
○淺沼委員長 大藏省の関係については、先日も職員の待遇改善の問題について事務当局に私も伺いまして、なるべく要求を容れてくれるようにと申しておきました。また本日の空氣を傳えて何らかの形式で出してもらうように努力いたします。
#80
○安平委員 原案と大分違いますか。
#81
○大池事務総長 数字はよほど違つてきておりますが、この前のすべての項目の施行に支障はきたさないようになつております。
#82
○安平委員 予算面から落して他の項目で実現したいというふうなお話ですが、方法があるのですか。
#83
○大池事務総長 いまの数字が職員組合の方と話合いがつけば出し得る途はあるわけです。それは予備金の方から出していくわけですが、予備金にもおのずから制限はあります。
#84
○安平委員 でき得れば正規の予算面にのせて出すようにしたらどうか。
#85
○松岡議長 予算面からははずして、実質的な解決をする方針で今交渉しているわけです。
#86
○林(百)委員 この前の特種手当の何割くらい実質的に給與になるのでありますか。
#87
○大池事務総長 それは今職員組合との話合の数字の点がまだ折合がつきませんので、ここで御発表は御遠慮申し上げておきたいと思います。
#88
○赤松(勇)委員 これは大した議論ではありませんが、この間今井給與局長に聽いて官公労の千八百円のベースにもとずく新しい給與規定が出るわけであります。全官公労の方では團体交渉をやつているが、國会の特殊性に鑑みてそういう点こちらの職員組合の方は官公労の中の‥‥
#89
○大池事務総長 いやここだけです。
#90
○赤松(勇)委員 そういう点十分考慮して國会の特殊性に鑑みてうまくやつてもらいたいと思います。
#91
○大池事務総長 よその方では認められない程度のものを認められるように話を進めております。
#92
○淺沼委員長 事務総長の報告は異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
    ―――――――――――――
#93
○淺沼委員長 次に四半期の財政報告書の点を議題に供します、事務総長から説明を願います。
#94
○大池事務総長 これは簡單なもので、財政法の四十六條によりまして、正式の決算となつて出る前に、支出済みのもの、並びに國務の現情を四半期毎に國民並びに國会に報告せよということによつて出てまいつたのであります。この報告書をどう扱うか。どういう方法で政府は報告するか、國民にも全部官報なり新聞等で報告すると思いますが、その報告書は今日の場合だから單純な報告として、各委員会でおのおのこの報告を見て、これにもとずいてまた調査をするなり、できることでありますが、決算のようにこれをある委員会に付託して審議するか、しないかという点が考えられまするので、どういうことになりますか、お考えおきを願つて明日の委員会が御決定になるという取扱いにしますか。
#95
○淺沼委員長 そういう取扱いにいたして御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○淺沼委員長 それではこの程度で散会いたします。
    午後零時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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