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1983/10/06 第100回国会 参議院 参議院会議録情報 第100回国会 建設委員会 第1号
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1983/10/06 第100回国会 参議院

参議院会議録情報 第100回国会 建設委員会 第1号

#1
第100回国会 建設委員会 第1号
昭和五十八年十月六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員氏名
    委員長         青木 薪次君
    理 事         岩崎 純三君
    理 事         堀内 俊夫君
    理 事         増田  盛君
    理 事         村田 秀三君
                安孫子藤吉君
                井上 吉夫君
                植木 光教君
                遠藤  要君
                工藤万砂美君
                志村 哲良君
                福田 宏一君
                松本 英一君
                二宮 文造君
                馬場  富君
                服部 信吾君
                上田耕一郎君
                安武 洋子君
                山田  勇君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         青木 薪次君
    理 事
                岩崎 純三君
                堀内 俊夫君
                増田  盛君
                村田 秀三君
    委 員
                安孫子藤吉君
                井上 吉夫君
                遠藤  要君
                工藤万砂美君
                志村 哲良君
                福田 宏一君
                松本 英一君
                二宮 文造君
                馬場  富君
                服部 信吾君
                安武 洋子君
   国務大臣
       建 設 大 臣  内海 英男君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (国土庁長官)  加藤 六月君
   政府委員
       国土庁長官官房
       長        石川  周君
       国土庁長官官房
       審議官      田中  暁君
       国土庁計画・調
       整局長      小谷善四郎君
       国土庁土地局長  永田 良雄君
       国土庁水資源局
       長        堀  和夫君
       国土庁大都市圏
       整備局長     杉岡  浩君
       国土庁地方振興
       局長       川俣 芳郎君
       建設大臣官房長  豊蔵  一君
       建設省都市局長  松原 青美君
       建設省河川局長  井上 章平君
       建設省道路局長  沓掛 哲男君
       建設省住宅局長  松谷蒼一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田熊初太郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○調査承認要求に関する件
○建設事業並びに建設諸計画に関する調査
 (派遣委員の報告)
    ─────────────
#2
○委員長(青木薪次君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、建設事業並びに建設諸計画に関する調査を行うこととし、その旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(青木薪次君) 建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題とし、先国会閉会中に当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。
 まず、第一班の報告を願います。安孫子君。
#6
○安孫子藤吉君 まず、第一班の派遣報告をいたします。
 去る八月二十三日から二十五日までの三日間、青木委員長、馬場委員、上田委員と私安孫子の四名は、愛知県及び静岡県における建設事業並びに建設諸計画について実情を調査してまいりました。
 まず、名古屋市における都市計画事業について申し上げます。
 私ども調査班は、名古屋を代表する百メートル道路の久屋大通公園、神宮東地区における都市防災拠点地となる地区総合整備事業、名古屋市の西南部に当たる港区南陽町藤前地区の藤前流通業務団地造成事業等を視察してまいりましたが、名古屋市では、豊かで安全、便利な都市の建設を進めるために、都市計画に市街化区域、市街化調整区域、地域地区、都市施設、市街地開発事業などが定められ、これらの都市計画に従い都市整備が行われております。
 戦災で大きな痛手を受けた名古屋市は、いち早く都心部を中心に復興土地区画整理事業に着手し、百メートル道路を初め道路、公園などの基盤整備を行い、今日見られるような整然とした町づくりを進めております。また、周辺の新市街地においても、土地区画整理事業が盛んに実施され、かつての農地や山林に新しい市街地が数多く生まれました。これまでに設立された土地区画整理事業の組合数は二百九十、その総面積は約一万六千八十五ヘクタールで、市域の約四九%に上っています。その他、熱田区の神宮東地区においては、住宅・都市整備公団等とともに大規模工場の跡地を中心に、良好な住宅や道路、公園などを総合的に整備する特定住宅市街地総合整備促進事業が行われ、地区総合整備事業が促進されるとともに市街地再開発事業等も実施されており、このように町づくりに積極的に取り組んできた名古屋市は、道路、公園などの都市基盤がりっぱに整備され、他都市からも羨望されておるような都市になってきております。
 次に、濃尾平野における地盤沈下対策事業について申し上げます。
 濃尾平野はわが国の代表的な沖積平野の一つであり、豊富な地下水は古くから農業用水、生活用水及び工業用水などに利用されてまいりました。
しかしながら名古屋を中心とする地域の発展は著しく、これに伴う地下水利用が増加の一途をたどって、激しい地盤沈下や地下水の汚染等の諸問題を引き起こしました。二百七十四平方キロに及ぶゼロメートル地帯を初めとする低地では、洪水や高潮による災害不安の増大、建築物基礎の抜け上がり、井戸水の水質悪化等が深刻な問題となり、各地域において防災対策を進めますとともに、今後再び地盤沈下を進行させることなく、安定的な地下水の利用が図られる対策等が必要であります。その一つとして、現に進行しつつある地盤沈下を抑制するため、地下水の揚水規制、合理的使用の指導、代替水の整備、地下水の人工涵養等の諸対策が講ぜられており、もう一つの対策として、沈下した地域を水害から守るため、堤防のかさ上げや排水機場の建設等が進められております。
 今回視察いたしました日光川の排水機場は、四十九年九月の集中豪雨による被害を契機として建設が急がれていたものでありますが、河川激甚災害対策特別緊急事業として進められ、一期工事の完成を見たものであります。この排水機場は毎秒百トンの排水能力を有し、伊勢湾台風のときの潮位と雨量を計画目標として建設されたとのことでありました。
 近年、地盤沈下は鎮静化の傾向にありますが、地盤沈下の永久的停止が果たされるよう引き続き積極的対策を講ずるとともに、防災施設の整備を促進させる必要があるものと思われます。
 次に、高蔵寺ニュータウンについて申し上げます。
 高蔵寺ニュータウンは名古屋市の北東約十七キロ、春日井市域の東部丘陵地の一角に位置しております。昭和三十五年、日本住宅公団が七百ヘクタール余の土地に住宅戸数二万六百戸、人口八万一千人の大規模なニュータウンとして計画し、土地区画整理事業の手法をもって建設を進めており、その総事業費は約四百十四億円でございます。現況地形を生かして、良好な居住環境と景観を有する市街地の建設を目標として、地形、地物を有効に利用し、特に既存の樹木の保持に努め、各種公共施設の配置と土地利用計画のもとに、中央部には地区センターを設け、これに結ぶように自然環境に適した二大住区を設定して、集合住宅地、公団分譲地、民有地が適所に配置されておりました。現在では約一万四千世帯、四万七千人が移り住んでおりますが、今後は住宅の需要動向に合わせて整備を進めていくとのことであります。最近、このニュータウンに企業が進出するとの話題がありましたが、ニュータウンのあり方として今後の課題の一つかと思われます。
 次に、愛知、静岡両県下の道路整備について地元の要望を中心に申し上げます。
 名古屋市におきましては、都市機能の向上と魅力ある町づくりのため、道路交通の確保が欠くべからざる重要課題となっております。この中にありまして、名古屋市とその周辺都市を相互に結ぶ名古屋環状二号線は、全延長約六十六キロの自動車専用道を有する幹線道路であり、現在、建設省及び日本道路公団において鋭意事業が進められておりますが、未事業化区間の早期直轄事業化と名港西大橋の建設促進等が強く望まれております。また、名古屋都市高速道路は全延長約六十一キロで、名古屋環状二号線と一体として整備が進められておりますが、早期整備のため、事業費の増大と国の無利子貸付金の増額、貸付条件の改善等の要望がございました。その他、直轄国道、生活基盤関連道路事業の促進及び連続立体交差事業の促進についてもそれぞれ要望がございました。
 静岡県下におきましては、静清バイパス、清水・甲府高速自動車道、伊豆中央道、県道太平橋、富士川橋、新徳倉橋等の現地を視察したのでございますが、まず静清バイパスは、清水市興津東町から静岡市丸子二軒屋までの延長二十四・二キロの国道一号バイパスでございます。本バイパスは、静岡市、清水市における国道一号の交通混雑を緩和させるとともに、両市を核として放射線状に延びる幹線道路と接続して有機的な道路網を形成する重要路線であります。四十三年度に事業化して現在までに九・四キロが供用されておりますが、地元では今後の事業促進に期待をいたしております。
 清水・甲府高速自動車道は、清水と甲府を高速道路で結びたいというものでありまして、本路線が国土開発幹線自動車道の予定路線として法定化され、一日も早く事業化されることが強く要望されました。
 伊豆中央道は、函南町から大仁町に至る延長約十一キロの国道百三十六号バイパスでございます。第一期工区として、県道路公社が実施している有料道路約三キロと、国庫補助事業約一・八キロが六十年四月の供用開始に合わせて施工されておりますが、残事業は、今日の財政事情のもと、計画完了までに相当の年数を必要とするとのことでございました。
 その他、県道太平橋は木造土橋で交通のネックとなっておりまして、現在かけかえ工事を実施中であり、富士川橋は渋滞がひどく、かけかえが検討されましたが、当分の間、補修により使用できる見通しがつき、補修事業を実施しておりました。なお、地元関係者からは富士川橋のかけかえ新設の強い要望がありました。新徳倉橋につきましては、地元から架橋の強い要望がありましたが、地域的道路網のあり方等、狩野川橋梁の架橋を含めて今後検討していきたいとのことでございました。
 次に、静岡県下の海岸保全事業について申し上げます。
 私ども調査班は、駿河湾に面する駿河海岸、静岡・清水海岸、富士海岸を順次視察してまいったのでありますが、駿河湾は日本における最も深い海湾の一つであり、中心部におきましては千五百メートルないし二千メートルにも達しております。そのため、海底勾配が急で、波のエネルギーが減殺されることなく海岸線に襲いかかることになるので、これらの各海岸は災害を受けやすく、静岡海岸などは毎年のように被害を受けております。さらに、近年各海岸とも海浜の侵食が著しく、波浪、高潮による被害を大きくするとともに、自然に親しむレクリエーションの場を奪い去られております。
 このような状況に対処しまして、国では災害復旧助成事業あるいは改良事業等でもって、離岸堤、消波堤、海岸堤防等の諸工事が進められておりました。しかしながら、欠壊した堤防やブロック堤を見ますと、海岸保全事業の強力な推進が痛感されたところでございます。特に地元からは、養浜効果等からも離岸堤の設置が強く要望されました。
 次に、静岡駅南口前地区整備計画について申し上げます。
 当地区の約五・六ヘクタールについて、昭和四十六年度に市街地再開発調査が行われ、四十七年一月には南口駅前広場五千五百平方メートル及び都市計画道路等、公共施設の都市計画決定がなされました。これに伴い、再開発計画の地元説明を行いましたが、いまだに地元のコンセンサスが得られていないとのことでございます。本計画は、駅前広場を早期に整備する必要に迫られていること、地元住民からの代替地の要望が強いが代替地確保に苦慮していること等の問題点を抱えておりますが、地元要望とその後の状況変化がありますので、早期に再調査を実施して事業の促進を図りたいとのことでございました。
 最後に、巴川流域総合治水対策について申し上げます。
 静岡市、清水市を流れる巴川は、昭和四十九年七月の大出水により、浸水面積二千六百五十へクタール、浸水戸数約二万六千戸という大きな被害を受けました。そして、流域全体の緊急な治水安全度の向上を目指して、五十三年度に総合治水対策特定河川に指定されますとともに、多目的遊水事業、総合治水対策特定河川事業に着手しております。現在では、時間雨量五十八ミリに対応できる暫定計画に基づきまして、巴川本川の流下能力の増強、大谷川放水路の開削、多目的遊水地の整備及び津波対策としての堤防かさ上げ等の河川改
修が進められているとのことでございました。
 なお、以上のほか、愛知用水東郷池、東名高速道路、天竜川下流河川改修、来光川、柿沢川合流点河川改修及び狩野川東部浄化センター等も視察をいたしました。
 以上が現地調査の概要でありますが、視察に際し、愛知県、静岡県及び名古屋市より、それぞれ要望書を受け取ってまいりましたので、これを本日の会議録の末尾に掲載していただくよう委員長にお願いを申し上げまして、報告を終わります。
#7
○委員長(青木薪次君) 次に、第二班の報告を願います。増田君。
#8
○増田盛君 引き続き第二班について申し上げます。
 去る八月三日から五日までの三日間、岩崎理事、村田理事、服部委員と私増田の四名は、長崎県及び佐賀県における建設事業並びに建設諸計画について実情を調査してまいりましたので、その概要を御報告いたします。
 まず、長崎県から申し上げます。
 昨年七月の長崎大水害は、山間部における土砂災害と平野部における洪水災害とが重なり、死者・行方不明者二百九十九名、被害総額三千百五十三億円余という未曽有の大惨禍となりました。中でも土砂崩壊による被害は特に甚大で、川平、鳴滝、奥山の各地では、開発区域の上部に山地が残っている個所で大規模な山腹崩壊が発生し、それが土石流となって流れ落ち、人家を押しつぶし、多数の人命を奪ったのであります。このように、土砂崩壊、特に土石流が各地で発生したため、公共土木施設にも大きな被害をもたらしました。県の説明によりますと、施設被害は、直轄・補助を合わせて河川四千百九十カ所三百五十七億円、道路四千九百六十九カ所百六十八億円、橋梁百十六カ所二十八億円等で、総額五百五十六億円にも達したとのことであります。
 さて、災害復旧事業は、通常の場合災害発生から査定まで二カ月程度かかるのが普通でありますが、長崎水害の復旧は一カ月後の八月二十三日には第一次査定が実施され、早くも九月末からは順次復旧工事が開始されたとのことであります。しかも早期復旧を図るとの観点から、初年度に七二%の前倒しが実施されたのに加え、主要河川は大幅な改良復旧が行われることになっております。中でも浸水による被害の大きかった中島川、浦上川の下流部については、河川激甚災害対策特別緊急事業によって早期改修が図られることになっております。
 災害復旧事業の進捗率を事業費ベースで見ますと、全体事業費七百二十四億円に対し、五十八年度末で五六・四%でありますが、緊急急傾斜地崩壊対策事業は九月末までに完了の予定ですし、原形復旧を目指す災害復旧事業もすでに六〇%が着工中とのことでありました。ただ、改良復旧事業は一部で用地買収が必要となるため、工事は若干おくれぎみのようでありますし、また、大はんらんを起こし、旧市街地を中心に大きな被害をもたらした中島川の下流部を改修する激特事業の進捗率も、五十八年度末でわずかに二六%という状況であります。
 それというのも、中島川の河道改修につきましては、掘削一部拡幅方式を基本とし、眼鏡橋は現位置に残すことを可能な限り検討する。ただし、その場合は暗渠バイパス方式とし、模型実験での可能性を前提とする等の方針が出されておりますものの、河道拡幅には六十八戸の立ち退きが必要とのことでありますし、眼鏡橋について撤去か存置かの結論が出ておりません。関係者の説明では、八月中には結論を出すとのことでありましたが、眼鏡橋に対する地元住民の愛着は強く、しかも重要文化財でもあることから、現在の位置にそのまま残してほしいとの要望がある一方で、暗渠バイパスの模型実験が予期したほどの成果を上げ得なかったとの報告もあり、なかなかむずかしい問題だと思いました。
 しかしながら、長崎大水害は多くの貴重な教訓を残しました。長崎県では人的被害が大きかった点を特に重視し、その原因を一、住民の避難がおくれたこと。二、がけ崩れの多くが強降雨時に一致し、しかもそれが夜間であったこと。三、人家ががけ下に密集していたこと等にあると分析し、それらを踏まえての防災対策や災害に強い新しい都市づくりを着々と進めております。また、説明の中で特に注目しましたのは、急傾斜地崩壊防止施設で被災したものはほとんどなく、十分にその機能を発揮したという点でありまして、私どもも改めて公共土木施設の重要さと、その早急な整備の必要性を痛感した次第であります。
 次に、佐賀県について申し上げます。
 農業県と言われます佐賀県では、本年度から文化立県、技術立県を目指した八〇年代佐賀県総合計画をスタートさせておりますが、それに盛られた事業を軌道に乗せるためにはまだ多くの課題を抱えております。私どもが今回視察しました地盤沈下もその一つで、その面積は、有明海に面した県南部地域の佐賀、白石平野一帯を中心に、およそ三百五十ヘクタールにも及んでおります。
 地盤沈下の原因は、地下水の多量なくみ上げによるものであります。そこで、佐賀県では公害防止条例を制定して地下水の揚水を規制しておりますが、沈下現象は一時ほどではないにせよ、いまなお進行しているとのことであります。しかも困ったことに、一度沈下した地盤はもとに戻りません。このため、道路、農地の冠水や住居への浸水によって毎年大きな被害を出しております。その被害額は、白石平野に位置する有明町、白石町、福富町の三町だけでも例年十億円を超し、当該地域の発展に大きな障害となっていると地元関係者は訴えておりました。したがいまして、現在進めております高潮対策はもとより、須古川、只江川の治水対策や日石川等における排水ポンプ場の建設など、その抜本対策をさらに促進する必要があると思います。
 内水排除対策が必要なのは佐賀市街地も同様です。佐賀市の東部を流れる佐賀江川は東流して筑後川に流入する河川でありますが、その流域一帯はもともと低平地である上、地盤沈下や有明海特有の大干満差などによって、しばしばはんらん被害をこうむっております。特に五十五年八月の洪水では、この佐賀江川を初め、八田江川、新川がはんらんして佐賀市街地の大半は七十時間も水浸しとなり、百二十八億円にも及ぶ大きな被害を出しました。このため、これを契機に佐賀江川改修事業と蒲田津排水施設新設工事が激特事業に採択され、五十五年度から着工されております。
 視察しました蒲田津排水施設は、佐賀江川の河口地点に排水規模毎秒三十立方メートルのポンプ二台を設置し、湛水による内水を排除しようとするものでありまして、これに八田川流末の排水施設の設置など一連の激特事業が完成すれば、佐賀市内の浸水被害は大幅に軽減されることになるとのことであります。
 また、佐賀市では、五十五年十一月都市計画決定された鍋島土地区画整理事業も調査してまいりました。鍋島地区は国鉄佐賀駅の北西約三ないし四キロメートルにあり、佐賀医科大学の開校に伴って市街化区域に編入された九十三・四ヘクタールの区域であります。事業は、佐賀医大を取り囲むようにして六本の都市計画道路を配し、さらに公園、公共下水道等の整備が予定されております。計画人口は六千四百人、総事業費約五十八億円、うち補助基本事業費約十八億円、減歩率二七・二四%というのがその概要でありますが、全体的に事業はおくれぎみのように見受けました。工事がおくれれば事業費がかさみ、それだけ保留地の地価が高くなります。このため、関係者からは補助基本事業費を増額し、事業の早期完了を是非実現してもらいたいとの要望が出されておりました。
 次に、筑後大堰について申し上げます。
 筑後大堰は、筑後川の河口から上流約二十三キロメートルの地点に可動堰を築造して、洪水疎通能力の増大、河床の安定、塩害の防除等を図るとともに、福岡、佐賀両県の都市用水として新たに毎秒〇・三五立方メートルを開発しようとするものであります。有効貯水容量は九十三万立米、し
かも五門のゲートが開閉できる可動堰でありますので、洪水時の安全性はもとより、都市用水、灌漑用水の有効利用にも大きな力を発揮できるとのことであります。総事業費は約三百五十五億円、工事に着手してからすでに十年になりますが、総延長五百一メートル余にも及ぶ大堰はほぼ完成し、ブルーに色塗られた五つの水門が特に印象的でありました。
 最後に、高速道路の建設状況について申し上げます。
 九州における高速道路の整備計画は、縦貫道四百二十八キロメートル、横断道二百三十五キロメートルが予定されております。このうち、縦貫道は八代―えびの間六十一・九キロメートルなど、わずかな区間を除き、すでに三百三十キロメートルが供用中であるのに対し、長崎市から大分市に至る九州横断道は、大村―長崎多良見間十七キロメートルなど、わずかな区間が完成しているにすぎません。もっとも、横断道の建設は、全国的に見ましてもまだ緒についたばかりでありまして、本年度からスタートをした第九次道路整備五カ年計画からが本格的な横断道建設時代だと言われております。その意味ではわずかな区間ではありますが、すでに供用実績を持つ九州横断道はむしろ建設が進んでいる方でありまして、九次五計期中には武雄―朝倉間七十一・五キロメートル、湯布院―別府間二十四キロメートルの供用開始も予定されております。私どもも五十九年度供用開始を目指して急ピッチで建設中の佐賀大和町―鳥栖市間の一部を視察いたしましたが、土木工事は区間全体で七〇%を超える進捗状況で、すでに盛り土されて高速道路の形態を備えており、九月にはコンクリート舗装工事を発注する段階にまで来ております。
 道路公団の説明では、この付近の土質は花岡岩の風化したマサ土と呼ばれる土砂が主体で、盛り土材料といたしましては最適だとのことであります。ただ、問題なのは路線上に埋蔵文化財が多いことで、特に佐賀ルートはルート決定後に学術的に価値の高い久保泉丸山遺跡が発見されるなど、文化財の宝庫だとのことであります。幸い丸山遺跡は道路公団の協力で移設・復元されましたが、このように文化財の発掘調査が高速道路の建設という観点からすれば一つの大きな障害となっております。それでも佐賀ルートの建設費はキロメートル当たり二十七億円程度で、全国平均よりは割り安となっており、工事の方も一部で買収の終了していないところもありましたが、おおむね順調に進んでいるとのことであります。
 なお、鳥栖市では鳥栖トラックターミナルも視察いたしました。
 以上が現地調査の概要でありますが、視察に際し、長崎県及び佐賀県より、それぞれ建設行政に関する要望書を受けてまいりましたので、これを本日の会議録の末尾に掲載していただくよう委員長にお願い申し上げ、報告を終わります。
#9
○委員長(青木薪次君) これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。
 ただいまの両君からの報告中で要請のございました要望事項等につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(青木薪次君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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