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1982/03/22 第98回国会 参議院 参議院会議録情報 第098回国会 公害及び交通安全対策特別委員会 第3号
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1982/03/22 第98回国会 参議院

参議院会議録情報 第098回国会 公害及び交通安全対策特別委員会 第3号

#1
第098回国会 公害及び交通安全対策特別委員会 第3号
昭和五十八年三月二十二日(火曜日)
   午前十一時三分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮之原貞光君
    理 事
                梶原  清君
                福島 茂夫君
                本岡 昭次君
                馬場  富君
                沓脱タケ子君
    委 員
                沖  外夫君
                関口 恵造君
                中村 太郎君
                増岡 康治君
                穐山  篤君
               目黒今朝次郎君
                小平 芳平君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       滝田 一成君
       警察庁交通局長  久本 禮一君
       公害等調整委員
       会事務局長    桐澤 昭夫君
       環境庁長官官房
       長        加藤 陸美君
       運輸大臣官房総
       務審議官     西村 康雄君
       建設省道路局長  沓掛 哲男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全並びに交通安全対策樹立に関する調査
 (昭和五十八年度環境庁関係予算に関する件)
 (昭和五十八年度各省庁の環境保全関係予算に関する件)
 (公害等調整委員会の事務概況に関する件)
 (昭和五十八年度陸上交通安全対策関係予算に関する件)
 (昭和五十八年度交通警察の運営に関する件)
 (昭和五十八年度海上交通及び航空交通安全対策関係予算に関する件)
 (昭和五十八年度道路交通安全対策関係予算に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(宮之原貞光君) ただいまから公害及び交通安全対策特別委員会を開会いたします。
 公害及び環境保全並びに交通安全対策樹立に関する調査を議題といたします。
 最初に、昭和五十八年度環境庁関係予算及び昭和五十八年度各省庁の環境保全関係予算について説明を聴取いたします。加藤官房長。
#3
○政府委員(加藤陸美君) 昭和五十八年度の環境庁関係予算案についてその概要を御説明申し上げます。
 昭和五十八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、環境庁予算要求額は四百四十八億三千三百九十六万二千円であり、これを前年度の予算額四百四十九億八千六百二十四万五千円と比較すると一億五千二百二十八万三千円の減額となっております。
 次に、予算要求額の主要な項目について御説明申し上げます。
 第一に、公害対策について申し上げます。
 まず、環境保全企画調整等の経費については、長期的、総合的視点に立った環境政策の展望を検討するための経費、環境影響評価法制度の効果的実施を推進するための経費、瀬戸内海の環境保全対策を推進する経費及び公害防止計画策定を推進する経費のほか、地球的規模の環境問題に関する調査、環境の質の向上を目指す快適な環境づくりを検討するための経費など、これらを合わせて四億七千六十五万円を計上しているところであります。
 次に、公害健康被害補償対策費については、公害健康被害補償制度の円滑な実施を図るほか、水俣病の認定業務を促進することとし、これらの経費として百七十九億三千六百六十五万円を計上しております。
 公害防止事業団につきましては、事業団の事業運営に必要な事務費等の助成費として四十三億七千八百四万円を計上しております。
 次に、大気汚染防止対策の経費については、新たに大気汚染防止に関する各種対策の実績を把握、評価し、今後の総合的な大気環境保全対策のあり方の検討を進めるほか、従来に引き続き石炭利用の増大に対応した大気保全対策を策定するための調査を行うとともに、窒素酸化物対策として総量削減計画の達成を図るための調査検討及び健康影響の調査等を実施することとしております。
 また、交通公害防止対策については、新たに交通公害防止計画を策定するための検討、航空機騒音環境基準の達成期間等の到来を控え現況調査を実施するなど、総合的な交通公害対策の検討を行うこととしております。
 さらに、自動車公害、騒音、振動及び悪臭についての対策を推進するため所要の調査を実施するなど、八億一千四十一万円を計上しております。
 水質汚濁防止対策の経費については、湖沼保全対策として引き続き富栄養化に係る環境基準の類型指定を行うための調査について地方公共団体に対する助成を行うほか、湖沼ごとの特性に応じた水質管理指針を策定するための調査検討などを実施するとともに、水質総量規制の実効を期するための調査等を行うこととしております。
 さらに、瀬戸内海の富栄養化対策の強化、生活雑排水対策及び赤潮防止対策を推進するための調査を行うなど、九億九百二万円を計上しております。
 このほか、地盤沈下及び廃棄物対策費として一億一千三百五十七万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として一億九千八百六万円をそれぞれ計上しているところであります。
 次に、公害監視等設備整備費については、地方公共団体の監視測定体制等の整備に必要な経費として十億八千八百二十四万円を計上しております。
 公害防止等に関する調査研究の推進のための経費については、科学的な調査及び試験研究を促進するため総額四十一億六千二百四十三万円を計上しております。
 このうち、国立試験研究機関等の公害防止等試験研究費として三十億七千六百四十七万円を環境庁において一括計上し、各省庁の試験研究の総合的推進を図ることとしております。
 また、光化学スモッグに関する調査研究費及び公害による健康被害、大気汚染、水質汚濁、自然環境保全等に関する調査研究費についても、酸性雨調査研究費など新たな経費を含め九億一千六百四十九万円を計上し、必要な調査研究を進めることとしているほか、環境保全総合調査研究促進調整費として一億六千九百四十七万円を計上し、関係省庁が所管する各種の環境保全に関連する調査研究の総合的調整を図ることとしております。
 さらに、科学的な行政を推進するため、国立公害研究所の機能を充実強化することとし、これに必要な経費として四十六億八千六百六十七万円、
国立水俣病研究センターの運営等に必要な経費として四億一千七百五万円、公害研修所に必要な経費として九千九百五十七万円をそれぞれ計上しております。
 第二に、自然環境の保全対策及び施設整備について申し上げます。
 まず、自然環境の保全対策及び自然公園等の維持管理等経費については、自然環境保全施策を適切に推進するため、第三回自然環境保全基礎調査を初めとする調査研究を実施するとともに、国立公園等の保護管理の強化を図るために必要な経費として十九億四千五百七十五万円を計上しております。
 また、鳥獣保護については、国設鳥獣保護区の管理強化を図るほか、特定鳥獣の保護事業及び渡り鳥の保護対策を推進するなど、一億八千二百八十万円を計上しているところであります。
 さらに、自然公園等の整備を図るため必要な施設整備費として二十九億四千四百七万円を計上しております。
 以上が環境庁予算案の概要でありますが、このほか、建設省所管予算案として、国立公害研究所の施設整備のため四億七千五百三十九万円が計上されております。
 以上、昭和五十八年度環境庁関係予算案につきまして御説明申し上げました。
 引き続きまして、各省庁の昭和五十八年度環境保全経費等の概要について御説明いたします。
 まず、歳出予算について御説明いたします。
 昭和五十八年度における環境保全経費の総額は一兆一千七百六十九億円であり、前年度の当初予算に比べ百五十五億円、一・三%の減となっております。
 このうち、一般会計分は一兆五百八億円であり、前年度の当初予算に比べ四十一億円の減、また各特別会計分は一千二百六十一億円であって、前年度比百十三億円の減となっております。
 これを事項別に見ますと、各種基準等の設定のために十億円、監視取り締まりの強化のために五十三億円、公害防止事業助成のために八十六億円、公害防止関係公共事業等の推進のために九千九百七十億円、公害防止調査研究の推進のために三百十一億円、公害被害者保護対策の充実のために百八十八億円、自然保護対策の推進のために千八十五億円、その他として六十五億円が計上されています。
 主要な項目については次のようになっています。
 まず、環境保全経費全体の八五%を占める公害防止関係公共事業等のうちでは、建設省等に計上されている下水道事業費六千九百六十五億円、公共用飛行場周辺及び防衛施設周辺における騒音防止対策等の経費として運輸省の九百十六億円及び防衛施設庁の八百八十五億円、さらには、厚生省、運輸省等に計上されている廃棄物処理施設整備費七百六十億円などがあります。
 また、公害被害者保護対策のうちでは環境庁の公害健康被害補償対策経費百七十九億円、自然保護対策のうちでは建設省等の公園事業費八百十五億円などがあります。
 次に、公害防止関係財政投融資の概要について御説明いたします。
 昭和五十八年度における公害防止関係財政投融資は、貸付規模等において総額一兆二千四十一億円を予定しており、前年度の当初計画額に比べ九百五十九億円の減となっております。
 機関別の主な内訳としては、公害防止事業団が事業規模で七百五十億円、日本開発銀行が貸付規模で八百四十億円を予定しているなどのほか、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理施設整備等の事業を推進するため、地方債計画において一兆三百九十八億円を予定しております。
 このほか、中小企業金融公庫、環境衛生金融公庫、北海道東北開発公庫、中小企業事業団等において、産業公害防止対策等所要の融資を引き続き行うこととしております。
 最後に、環境保全関係税制改正措置について御説明申し上げます。
 公害防止用設備の特別償却制度について、適用期限の到来する対象設備の一部について見直しを行った上で適用期限を延長するほか、電気自動車に係る物品税の課税標準の特例措置について、新たに電気乗用兼用貨物自動車を適用対象に加えた上で適用期限を二年延長すること等各般の措置をとることといたしております。
 以上をもちまして、昭和五十八年度の各省庁の環境保全経費等の説明を終わります。
#4
○委員長(宮之原貞光君) 次に、公害等調整委員会の事務の概況について説明を聴取いたします。桐澤公害等調整委員会事務局長。
#5
○政府委員(桐澤昭夫君) 公害等調整委員会が昭和五十七年中に行いました公害紛争の処理に関する事務及び昭和五十八年度総理府所管一般会計公害等調整委員会予算案について御説明申し上げます。
 まず、公害紛争の処理に関する事務の概要について申し上げます。
 昭和五十七年中に当委員会に係属しました公害紛争事件は合計百六件で、その内訳は、水俣病に関する調停事件八十五件、大阪国際空港騒音被害に関する調停事件十八件、仙台湾における養殖ノリ被害等調停事件一件、佐伯湾における養殖真珠被害責任裁定事件一件及び壱岐における養殖真珠被害原因裁定事件一件であります。
 昭和五十七年中に処理が終結しましたものは、水俣病に関する調停事件四十件であります。これらは、水俣病と認定された患者四十五人に対するチッソ株式会社の損害賠償について、患者個々人ごとに具体的な支払い金額等を定める調停を成立させたものであります。
 その他の係属中の事件につきましては、目下手続を進めているところであります。
 次に、全国の公害苦情の実態について申し上げます。
 当委員会の調査によれば、昭和五十六年度の総苦情件数は約六万五千件となっております。この苦情件数は、四十七年度の約八万八千件をピークに以後減少を続けてまいりましたが、五十六年度においては前年度より〇・三%の増加となっております。
 これを公害の種類別に見ますと、騒音に関する苦情が最も多く、三三%となっております。次いで、悪臭二〇%、大気汚染一四%、水質汚濁一三%の順であり、これらで全体の八〇%を占めております。
 これらの苦情につきましては、都道府県、市町村がその処理に当たっておりますが、当委員会といたしましては、これらの地方公共団体に対し、公害苦情相談指導者研修会等の実施、苦情処理に必要な情報の提供、あるいは個別の事案についての指導、助言等を積極的に行っているところであります。
 引き続き、昭和五十八年度の公害等調整委員会の予算案についてその概要を御説明いたします。
 昭和五十八年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、公害等調整委員会の予算要求額は三億八千五百四十九万四千円であり、これを前年度の予算額三億八千八百六十六万六千円と比較いたしますと、三百十七万二千円の減額であり、その減少率は〇・八%であります。
 次に、予算要求額の内訳について御説明申し上げます。
 第一に、当委員会に係属する公害紛争事案の審理及び公害の因果関係の解明に必要な調査並びに一般事務処理等のための経費として五千九百八万一千円を計上しております。
 第二に、中央及び地方における公害紛争の処理について、都道府県等と連絡協議するための経費として四百六十一万四千円を計上しております。
 第三に、公害苦情の実態調査及び公害苦情の処理を担当する地方公共団体の職員に対し指導、研修、情報提供等を実施するための経費として二千百五十八万円を計上しております。
 その他は、主として人件費であります。
 以上が昭和五十七年中に公害等調整委員会が行ってまいりました公害紛争の処理に関する事務
及び昭和五十八年度の公害等調整委員会予算案の概要でございます。
 よろしくお願い申し上げます。
#6
○委員長(宮之原貞光君) 次に、昭和五十八年度陸上交通安全対策関係予算についての説明を聴取いたします。滝田交通安全対策室長。
#7
○政府委員(滝田一成君) 昭和五十八年度の陸上交通安全対策関係予算につきまして、関係各省庁の分を一括して御説明申し上げます。
 予算総額は、九千三百十八億円余りで、前年度予算額に比べ約二百三十三億円、二・四%の減少となっております。
 各項目ごとにその概要を御説明いたしますと、第一番目の道路交通環境の整備につきましては、八千百九十八億円余りで、前年度に比べ三・四%減となっております。
 (1)の交通安全施設等の整備は、第三次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画の第三年度分でございまして、交通管制センターの設置、信号機、歩道、自転車道等の整備のための費用でございます。(2)は歩道の設置を伴う現道拡幅。(3)は交通危険個所の局部改良等の事業に係るものでございます。(4)は踏切事故の防止のための保安設備の整備並びに踏切道の立体交差化等の事業に係るものでございます。
 二ページに参りまして、(5)は交通安全施設の設置及び管理のための特別交付金でありますが、従来施設の設置に限られていたものを新年度からは施設の管理に要する費用のうち政令で定めるものについても使えるよう改正することとしております。(6)及び(7)は、第三次都市公園等整備五カ年計画に基づき、児童の遊び場確保のために行われる基幹公園の整備及び緑道の整備事業等に係るもの。(8)は居住環境を改善するため街路を体系的に整備する事業等に係るものでございます。(9)及び(10)は、三大都市圏の駅周辺における自転車駐車場の整備及び都市の商業地区における広場の整備等に係るものでございますが、今後実施計画によって配分が定まるものでございまして、まだ金額は未定でございます。
 三ページに移りまして、(11)は市町村が子供の遊び場の確保等を行うためのものでございます。
 二番目の交通安全思想の普及につきましては、二億四千九百万円を計上しており、前年度と同額でございます。
 (1)はダンプカー協会の行う交通安全指導事業。(2)は交通安全母親活動及び交通安全フェアの開催の委託等に係る経費でございます。新年度におきましては、専門家による交通安全シンポジウムの開催を予定しております。続きまして、(3)、(4)、(5)は、警察の行う交通安全広報活動、学校における交通安全教育指導、家庭教育に関する母親クラブの活動促進等に係るものでございます。
 第三番目の安全運転の確保につきましては、四百三十一億円余りを計上しており、前年度に比べ四・六%増となっております。
 (1)は優良な運転者の育成を図るための指導者の資質の向上等に要する費用でございます。
 四ページに移りまして、(3)、(4)は暴走族、ひき逃げ及び違法駐車の取り締まりの強化等を進めるものでございます。(8)は、自動車検査登録業務の円滑化を図るための経費でございまして、検査要員の増員等を予定しております。
 四番目の被害者の救済につきましては、六百七十六億円余りを計上しており、前年度に比べ六%の増加でございます。
 (1)は救急指令装置、救急自動車等の整備に係るものでございます。
 五ページに参りまして、(2)は救急医療の体系的整備の促進と担当医師に対する研修等を図るものでございます。少し飛びますが、(5)は通勤災害を受けた労働者等の保護を図るための経費を計上しており、若干の単価アップ等を見込んでおります。(6)は都道府県や市の交通事故相談所の運営に必要な経費。(8)は被害者の保護、交通遺児の修学援助等の事業に補助等を行うものでございます。
 六ページに参りまして、第五番目のその他は、調査研究費でございますが、総額七億九千八百万円で、対前年度比四・一%減となっております。総理府では、シートベルト及び原動機つき自転車に関する調査研究等を行うこととしております。
 以上で簡単でございますが御説明を終わります。
#8
○委員長(宮之原貞光君) 次に、昭和五十八年度交通警察の運営についての説明を聴取いたします。久本交通局長。
#9
○政府委員(久本禮一君) 昭和五十七年中の交通事故発生状況と暴走族の動向につきまして、及び昭和五十八年におきますところの交通警察の重点施策につきまして御説明を申し上げます。
 まず、交通事故の発生状況でございますが、お手元にお配りいたしております資料、「昭和五十七年中の交通事故発生状況等について」がございます。この一ページの概要にございますように、発生件数、死者の数、負傷者の数、いずれも一昨年に比べて増加をいたしておりまして、しかもこの状況は、この表の2の年別推移にございますように、死者の数は六年ぶりに九千人を超えております。また、負傷者の数も、昭和五十二年を底に、五十三年から連続をして増加をいたしておるという状況でございます。
 昨年の交通死亡事故の特徴につきましては、資料の二ページから四ページにかけまして簡単にまとめてございますのでごらんいただきたいと思いますが、自動車や二輪車の乗車中及び横断中の歩行者の死亡事故の増加というのが目立っております。年齢別では十六歳から二十九歳までのいわゆる若年層及び五十歳以上の年齢層というところが非常に増加をいたしております。事故の類型では、車両相互、それから車両単独事故、それから場所で申しますとカーブ地点あるいは交差点近傍等での増加が目立っておるところでございます。
 次に、暴走族の動向につきましては五ページ以下に要約をしてございますが、暴走族は昭和五十七年におきましては大規模な蝟集走行というものが減少をいたしましたので、表面的にはやや鎮静化の傾向が見られるわけでございますが、しかしながら暴走族の人員はむしろふえております。また、取り締まりの間隙をつきましたゲリラ的な走行であるとか、あるいは公道を利用いたしましたスピードレース型の新しい形態での暴走行為が敢行されるというようなところで、一段と悪質化の傾向が強まっておると見ております。
 次に、昭和五十八年中の交通警察運営につきまして、資料に基づきまして簡単に御説明を申し上げます。
 最近の交通事故の増加傾向はなかなかむずかしいところでございますが、やはり道路交通がこれだけ多量化しておるということ、それから各種の車両が混在をして走っておる、いわゆる混合交通の傾向がますます強まっておるということ、及び国民各層の車両の利用形態がきわめて多様化、複雑化をしてきておるといったところに基本的な要因があるのではないかと考えておるところでございます。また、最近は、特に都市交通の過密化に伴いまして、一たん減少した大都市における交通事故が再び増加傾向にございますので、都市における安定をした秩序のある交通の流れをつくり上げていく必要があると考えておるところでございます。
 これらを基本認識といたしまして、私どもといたしましては、まず第一に、良好な道路交通環境の整備に努めるということ。第二には、実効のある運転者教育の推進を柱といたしますところの運転者行政を積極的に広めてまいるということ。第三には、交通秩序の維持と交通事故防止活動のための効果的な指導取り締まり活動を推し進めるということ。第四には、二輪車の運転者教育を充実強化いたしまして、あわせて二輪車が安全に通行できるような交通環境の整備等を図りますところのいわゆる二輪車対策の推進といったようなものを主軸にいたしまして、そのほか暴走族対策を強く推し進めてまいるということ。高速道路における安全でかつ円滑な交通を確保するために努力をいたすということ。交通安全教育をさらに強力に推し進めますとともに、特に企業等におけるとこ
ろの安全運転管理の強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
 こういうようなところを中心にいたしまして必要な諸施策を進めてまいる所存でございます。
 以上、昭和五十八年中におきますところの交通警察の運営につきまして簡単に御説明申し上げましたが、今後ともよろしく御指導賜りますようお願い申し上げます。
#10
○委員長(宮之原貞光君) 次に、昭和五十八年度海上交通及び航空交通安全対策関係予算についての説明を聴取いたします。西村総務審議官。
#11
○政府委員(西村康雄君) お手元に「昭和五十八年度交通安全対策関係予算 運輸省」という資料がお配りしてあると思いますが、これに基づきまして御説明さしていただきます。
 最初に、海上交通安全対策関係予算でございますが、五十八年度の予算案といたしましては千五十六億九千五百万円を計上しております。これは対前年比で六億二千七百万円、〇・六%の増となっております。
 その内訳でございますが、まず1の交通環境の整備といたしまして五百三十八億五千二百万円計上しております。これは東京湾口等十三航路、輪島港等十一避難港、各港湾における防波堤、泊地等の整備を進めますほか、灯台等の光波標識、ロラン、デッカ等の電波標識等各種の航路標識の新設、改良、改修及び航路標識業務の運営を行うための費用であります。
 2の船舶の安全性の確保といたしまして一億二千二百万円を計上しております。これは国際海事機関の勧告に基づく船舶の構造、設備に関する安全基準の作成を行うほか、船舶検査、型式承認を行うための費用であります。
 3の安全な運航の確保といたしまして百七十五億四千百万円を計上しております。これは海難防止指導等海上交通安全対策の充実強化、警備救難業務の運営、海図の刊行等の水路業務及び海洋気象業務の充実。次のページにまいりまして旅客航路事業者の監査、練習船日本丸の代船建造、航海訓練所等における教育訓練の充実、さらに船舶職員の資格試験及び水先人試験の実施等の費用でございます。
 4の海難救助体制の整備等といたしまして、ヘリコプター搭載型巡視艇一隻を含む巡視船艇七隻及びヘリコプター一機の整備、通信施設及び海洋情報システムの整備、海上防災体制の整備等のための費用として三百四十一億八千万円を計上してございます。
 以上が海上交通安全対策関係経費でございます。
 次のページにまいりまして、航空交通安全対策関係予算について御説明申し上げます。
 合計で二千五億一千九百万円を計上しております。これは対前年比八十二億三千八百万円、三・九%の減となっております。
 その内訳でございますが、1の交通環境の整備といたしまして、空港及び空港用航空保安施設等の整備、空港の維持運営、航空管制施設、航空保安無線施設等の整備、航空路の維持運営等の費用でございます。
 2の航空安全対策の推進でございますが、六十九億一千九百万円を計上しております。これは航空機の耐空証明、機長の路線資格審査、航空従事者の技能証明、航空大学校及び航空保安大学校における教育の充実、航空機による保安施設の検査、航空気象施設の整備、維持運営等の費用でございます。
 3の航空交通の安全に関する研究開発の推進といたしましては、航行援助実験衛星の研究開発等の費用として六千七百万円を計上してございます。
 以上が航空交通安全対策関係予算でございます。
 以上をもちまして御説明を終わらせていただきます。
#12
○委員長(宮之原貞光君) 最後に、昭和五十八年度道路交通安全対策関係予算についての説明を聴取いたします。沓掛道路局長。
#13
○政府委員(沓掛哲男君) 昭和五十八年度における建設省の交通安全に関する施策につきまして、お手元の資料「交通安全施策について」により御説明申し上げます。
 まず、一ページの交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法に基づく事業等でございます。
 交通事故は、昭和四十五年を境に減少を続けてまいりましたが、昭和五十三年以降事故件数及び負傷者数については増加の傾向が見られ、特に昨年は死者数についても九千人を上回るなど、依然大きな社会問題であります。このような事態を踏まえ、昭和五十六年度から発足した第三次五カ年計画に基づき、交通安全施設等の一層の整備拡充を図ることとしております。
 二ページにございますように、第三次五カ年計画においては、歩道、自転車歩行者道の整備を最重点に交通安全施設の整備を推進することとしております。五カ年計画の内訳は三ページ記載のとおりであります。
 昭和五十八年度の特定交通安全施設等整備事業については、四ページにございますように、この計画の第三年度として千六百四億円余を計上しております。
 さらに、同じく四ページ下段にございます一般の道路の改築事業による交通安全対策事業でありますが、小規模バイパスの建設、現道拡幅などの交通安全事業として、昭和五十八年度は五千六百九十億円余を予定しております。
 次に、五ページにございます防災対策事業でありますが、昭和四十三年の飛騨川バス転落事故以来、重点的に危険個所の整備を図っているところであります。昭和五十八年度は防災対策事業費として千二百三十七億円余を計上しております。
 次に、六ページから七ページの踏切道の立体交差化等事業でありますが、踏切事故の防止については、踏切道改良促進法に基づき改良することが必要な踏切道を指定し、立体交差化事業等により改良促進することとしております。八ページにございますように、昭和五十八年度は事業費千三百十二億円余を計上しております。
 次に、九ページの大規模自転車道の整備事業であります。昭和五十八年度は事業費九十一億円余をもって継続事業四十三路線、新規五路線の整備を進めていくこととしております。
 次に、十一ページから十二ページの都市交通環境整備事業についてであります。
 まず、居住環境整備事業でありますが、昭和五十八年度は、事業費二十九億円余をもって二十八地区で事業を実施するほか、五地区についても調査を実施することといたしております。
 次に、十三ページの総合都市交通施設整備事業でありますが、本事業は、地域の環状道路、歩行者専用道、広場等都市交通施設を総合的に整備するもので、昭和五十二年度より街路事業で実施することとしております。
 次に、十四ページにございます自転車駐車場整備事業でありますが、昭和五十三年度から三大都市圏で地方公共団体が都市計画事業により推進することとしております。
 また、民間自転車駐車場の整備については、財団法人自転車駐車場整備センターを中心として一層の整備の促進を図ってまいることとしております。
 次に、十五ページにございます駐車場整備事業でありますが、昭和五十八年度は、地方公共団体が設置する都市計画駐車場について、地方債のほか、無利子資金貸付金として事業費七億円を予定しております。
 次に、十六ページにございます都市公園整備事業についてでありますが、昭和五十六年度から発足した第三次都市公園等整備五カ年計画に基づき、住区基幹公園、都市基幹公園及び緑道の整備を推進することといたしております。
 次に、十八ページにございます道路の管理についてであります。
 道路交通の安全を確保するため、不法占用物件の排除や地下埋設物に対する監査の強化及び共同溝の整備を促進することとしております。
 また、大型車、重量車に関する事故防止対策でありますが、関係機関と密接な連携をとりつつ、違反車両の指導取り締まりを強化してまいる方針であります。
 さらに、二十ページにありますように、道路交通情報を迅速、的確に収集し提供するため、財団法人日本道路交通情報センターを中心として、道路交通情報の収集、提供体制を一層充実してまいる所存であります。
 次に、二十二ページにございます高速自動車国道における救急対策であります。昭和五十八年度は二十二億円余を見込み、その拡充を図ることといたしております。
 次に、二十三ページにございます道路交通の安全に関する調査研究であります。昭和五十八年度は六億円余をもって交通安全施設等の整備に関連する調査研究を実施することとしております。
 最後に、二十四ページにございます建設業者に対する交通安全についての指導でありますが、今後とも交通事故の防止の徹底について強力に指導を進めてまいる方針であります。
 以上で昭和五十八年度の建設省の交通安全施策についての説明を終わらせていただきます。
#14
○委員長(宮之原貞光君) 以上で予算案の説明聴取は終わりました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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