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1982/03/31 第98回国会 参議院 参議院会議録情報 第098回国会 災害対策特別委員会 第2号
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1982/03/31 第98回国会 参議院

参議院会議録情報 第098回国会 災害対策特別委員会 第2号

#1
第098回国会 災害対策特別委員会 第2号
昭和五十八年三月三十一日(木曜日)
   午前十一時三分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         福間 知之君
    理 事
                田代由紀男君
                仲川 幸男君
                村田 秀三君
                鶴岡  洋君
    委 員
                井上  孝君
                岡部 三郎君
                鈴木 省吾君
                田原 武雄君
                谷川 寛三君
                松尾 官平君
                松本 英一君
                下田 京子君
                江田 五月君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  加藤 六月君
   政府委員
       国土庁長官官房
       審議官      荒井 紀雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田熊初太郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○災害対策樹立に関する調査
 (昭和五十八年度防災関係予算に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(福間知之君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。
 災害対策樹立に関する調査を議題とし、昭和五十八年度防災関係予算について、政府から概要の説明を聴取いたします。加藤国土庁長官。
#3
○国務大臣(加藤六月君) 昭和五十八年度における防災関係予算の概要について御説明申し上げます。
 わが国は、その自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、地震等による災害を受けやすく、また、社会経済の発展に伴い災害の態様も複雑、多様化してきており、これらの変化に即応して、強力な施策を推進する必要があります。
 災害から国土を保全し、国民の安全を守ることは、国政の基本であり、政府としましては、防災基本計画に基づき、防災に関する科学技術研究の推進、災害予防の強化、国土保全の推進、迅速適切な災害復旧の実施等に重点を置いてその推進を図っているところであります。
 昨年は七月の長崎県を中心とした豪雨災害を初め、台風第十号、十三号、十八号等が相次いで上陸し、全国的に多大な被害をもたらし、その被害額は史上最大の規模となっております。これらの災害に係る復旧事業については、特に、その促進を図ってまいります。
 震災対策につきましては、東海地震対策として大規模地震対策特別措置法及び地震防災対策強化地域における財政特別措置法に基づき、防災体制の充実、避難地、避難路の整備等の地震対策緊急整備事業の円滑な実施を図るとともに、関係税制の整備を行うなど、その対策を一層推進いたします。
 また、災害応急対策の充実、都市防災性の強化等大都市震災対策の一層の推進を図るため、南関東地域を対象とする地震被害想定調査の取りまとめを行うとともに、その結果を踏まえ、震災応急対策調査を実施することとしております。
 さらに、災害時における情報の収集伝達等のための防災関係機関相互の無線通信体制の整備を進めることとしております。
 昭和五十八年度においては、これらの災害対策の総合的な推進を図るため、総額二兆六百四十四億円の予算を計上しております。
 その内訳を申し上げますと、まず、科学技術の研究につきましては、地震、火山噴火の予知及び雪害防除に関する研究並びに各種災害の未然防止及び被害の拡大防止に関する研究等を推進することとし、そのため予算額二百八十六億円を予定しております。
 次に、災害予防につきましては、気象、地震等の観測施設、消防施設、通信施設その他の防災施設、設備の整備を図り、あわせて都市防災対策事業等を推進するとともに、防災に関する教育訓練に努めることとし、そのため予算額三千三百五億円を予定しております。
 第三に、防災の基本ともいうべき国土保全につきましては、長期計画に基づき、治山治水事業、急傾斜地崩壊対策事業、海岸保全事業、農地防災事業等の推進を図ることとし、そのため予算額一兆二千百八十三億円を予定しております。
 特に、急傾斜地崩壊対策事業につきましては、昭和五十八年度から新たに急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を策定し、計画的な整備を進めていくこととしております。
 最後に、災害復旧等につきましては、不幸にして災害が発生した場合に、災害の実情に応じて救助活動等必要な応急対策を講ずるほか、迅速かつ適切な災害復旧を図り、さらに、被災者に対する必要な金融措置を講ずることにより、復旧資金の調達の円滑化等を図ることとし、そのため予算額四千八百七十億円を予定しております。
 これらの政府予算のほか、公社、公庫等の政府関係機関におきましても、それぞれ所要の予算措置を講じているところであります。
 以上、昭和五十八年度における防災関係予算の概要を御説明申し上げましたが、昭和五十八年度の防災対策につきましては、各省庁の協力のもとに万全を期してまいる所存でありますので、よろしくお願いいたします。
#4
○委員長(福間知之君) 続いて補足説明を聴取いたします。荒井国土庁長官官房審議官。
#5
○政府委員(荒井紀雄君) それでは私から補足説明を申し上げます。お手元に差し上げてございます昭和五十八年度の防災計画及び災害復旧計画等の概要に基づきまして御説明を申し上げます。
 まず一ページでございます。
 各省庁別の一括一覧表がございますが、一番下の段の一番右をごらんをいただきたいと存じます。二兆六百八億二千七百万円という数字がございますが、これが昨年度の五十七年度の合計額でございます。その上の二兆六百四十三億九千七百万円が新年度の予算の総額でございます。伸び率にいたしまして〇・一七%、微増ということでございます。
 この防災関係予算、柱が四つございまして、一番上の表題にございますとおり、科学技術の研究、災害予防、国土保全、災害復旧等となっておりますが、科学技術の研究につきましては、一番下の欄で、昨年の二百八十三億七千五百万円に対しまして二百八十六億二千八百万円で、一%弱の増であります。
 災害予防でございますが、昨年の三千二百二十二億五千四百万円に対しまして三千三百四億八千百万円でございまして、二・六%の増でございます。
 国土保全でありますが、昨年の一兆二千百八十八億三千四百万円に対しまして一兆二千百八十二
億九千七百万円でございます。若干の減ということでございます。
 災害復旧等でありますが、四千九百十三億六千四百万円に対しまして四千八百六十九億九千百万円でございます。一%程度の減でございます。この災害復旧につきましては、昨年は御承知のとおり、当初予算及び予備費、補正予算等を通じまして進捗率を引き上げまして、直轄につきましては七五%、公共土木等については七〇%といったように初年度の進捗率を引き上げたわけでございますが、その後、新年度におきましてもさらに進捗率を高めるべく、直轄は一〇〇%、補助等につきましては八五%程度とすることにいたしまして所要額を積算、計上いたしたものでございます。
 二ページでございます。科学技術の研究でございますが、以下主な予算について御説明を申し上げます。
 科学技術庁でありますが、百九十六億百万円でありまして、国立防災科学技術センターにおける自然災害、一般防災科学技術の研究を行っておりますが、そのほか前年度に引き続きまして各種の地震予知関係をやっております。この※が地震予知の関係の経費でありますが、首都圏南部における地震活動に関する研究としまして、下総、岩槻、府中の三カ所で深井戸による観測をやっておりますが、これの研究であります。それから関東、東海地域におきます微小地震計等によります地殻活動に関する研究。それから平野部直下型地震の予知手法に関する研究。あるいはまた海溝型巨大地震の予知、海底地震計等によります予知に関する研究等々でございます。さらに、科学技術庁の一番下の欄にありますが、原子力利用に係る安全確保のための研究百七十三億四千四百万円ございます。原子力施設の安全、あるいは環境放射能安全研究、あるいは放射線障害防止の研究等に要する経費でございます。
 次のページでございますが、文部省の三十三億五千六百万円でありますが、これは主として国立大学等におきます諸研究でありまして、地震の関係では地震予知の基礎的研究としまして十七億九千四百万円ばかり、そのほか、その下のものは火山噴火予知の研究でありまして、九億一千七百万円、あるいはなだれに関する研究等をやっております。
 それから通商産業省、十一億円ばかりございますが、この地震予知関係は、工業技術院地質研究所におきます研究でございます。また、そのほか化学プラント、高圧ガス等の研究のほか、鉱山災害防止のための研究に七億三千百万円を計上させていただいております。
 気象庁では十一億円余でございますが、気象、地象、水象に関する研究等に要する経費でございます。
 四ページへ入りまして、建設省の十九億六千九百万円がございますが、測地的方法による地殻変動調査、これは国土地理院による測地、測量調査でありまして十七億四千百万円であります。そのほか、雪に強い都市づくりに関する総合技術の開発、あるいは建築物の防火設計法の開発等々に要する経費でございます。
 消防庁は、大震火災対策、あるいは石油コンビナートの災害防止等に要する経費であります。
 以上、合計しまして二百八十六億二千八百万円であります。地震予知関係が六十二億六千万円でございます。
 災害予防でありますが、科学技術庁の十五億四千九百万円は、原子力関係の各種研修、あるいは施設の整備、安全管理等に要する経費であります。
 国土庁の十六億でございますが、一番上の総合的推進といいますのは、いわゆる総合調整費でございまして、一億五千四百万円であります。以下、防災基地建設モデル事業、中央防災無線網の整備等のほか、南関東におきます大規模地震被害想定等に関する調査七千四百万円、あるいは豪雪地帯対策の推進としまして新しく克雪生活圏の整備に要する経費を計上させていただいておりますほか、従来からの基礎集落圏防雪体制整備、冬季孤立集落機能維持施設整備等合計三億五百万円を計上させていただいております。そのほか防災集団移転促進事業、あるいは特別災害危険地域における防災計画指針策定調査等に要する経費でございます。
 文部省の百八十七億余でございますが、国立学校、公立学校建物の耐震その他の補強の整備でありますが、新年度におきましては、二番目にあります公立学校建物の改築及び補強の整備百六十七億二千万円が新しくこの一覧表に載せていただいております。これは東海地震の強化地域におきます公立学校建物の改築補強の分でありまして、緊急事業整備五カ年計画を推進いたしますために強化地域分といたしまして特別に認められたものでございまして、その意味合いにおきまして、この表に計上させていただいております。
 六ページでありますが、厚生省の十九億余でございます。このうち、上の二つの国立病院療養所の建物の補強、それから同じくその防災設備の整備でありますが、昨年までは療養所だけでございましたが、新年度、新たに病院について建物の耐震補強あるいは防災設備の整備を計上した次第であります。
 農林水産省、三十一億余でありますが、大きいものは活動火山周辺地域の農林水産業防災施設の整備、それから各種の応急食糧あるいは木材の備蓄、さらに林野火災予防のための経費等々でございます。
 通商産業省、百二十一億余でございますが、大きいものは鉱山関係の災害防止あるいは保安専用機器等の整備等でありまして、さらに、そのほかに原子力施設等に係る緊急時連絡体制の整備、あるいは原子力発電施設の保安監督指導等に要する経費を計上いたしております。
 七ページでございますが、海上保安庁の五百十三億でありますが、巡視船艇、航空機、通信施設、航路標識の整備等五百十二億八千九百万円が主なものであります。
 気象庁の百九十一億でありますが、気象観測施段の整備としまして百七十七億三千三百万円計上いたしておりますが、これは静止気象衛星の画像の受画装置の経費であります。さらに地震観測施設の整備等につきまして十一億三千八百万円、火山観測施設の整備で一億四千二百万円を計上いたしております。
 それから建設省でございます。一千九百六十億六千三百万円でありますが、この主なものは、次のページへ参りまして、大きいものは道路のり面等の整備七百五十四億ございます。トンネル補強あるいは護岸等を含めましたのり面等の整備であります。それから防災道路の整備としまして、広域幹線道路あるいは孤立集落と中心都市とを結ぶ道路等に重点を置きました現道拡幅、なだれ対策等に要する経費六百四十四億であります。そのほか、がけ地近接危険住宅移転事業あるいは幹線道路の構造物等の整備、さらに特定住宅市街地総合整備促進事業、都市防災不燃化の促進といった防災都市づくりに要する経費を計上させていただいております。雪対策としましては、豪雪地帯対策の推進としまして八億三千万円、これは雪に強い町づくり、スノートピア街路事業に要する経費であります。道路の雪害防止等は五百八十三億九千四百万円でございます。
 なお、そこに括弧内に書いてございますように、防災拠点等の整備あるいは避難地、避難路の整備、都市の防災構造化の推進等につきましては、いわゆる一般公共事業の中で消化をいたしてまいりますので、現時点におきましては金額が未定でございます。したがいまして、この欄には数字を載せてございません。
 次に消防庁でございますが、百八十二億九千四百万円でございます。消防防災無線通信施設の整備、あるいはコミュニティー防災センターの整備、さらに大震火災対策施設等の整備、あるいは消防施設等の整備に要する経費が主なものでございます。
 合計三千三百四億八千百万円でございます。
 九ページは国土保全でございますが、農林水産
省の二千五百六十九億九千万円につきましては、治山、海岸保全、農地防災、その他各種の災害関連事業が主な経費であります。
 それから大きいものは運輸省の三百九十一億二千万円、これは海岸保全事業及びその災害関連事業であります。
 建設省が九千百三十三億九千三百万円でありますが、河川、ダム、砂防、それから新しく五カ年計画が認められました急傾斜地崩壊対策事業、海岸保全事業、その他各種の災害関連事業等でございます。
 災害復旧事業でございますが、ことに書いてございますのが、大きいものが大蔵省の地震再保険百八十七億九千四百万円のほか、厚生省関係で災害救助費、災害弔慰金、災害援護資金等の経費、そのほかに農林省、通産省等の被害農林漁業者、あるいは被災中小企業者に対します各種の金融措置、そのほか公共土木、公共農地等の災害復旧事業に要する経費でございます。
 一番最後のページでございますが、参考資料といたしまして、公社、公庫等予算の概要を付記してございます。日本国有鉄道、日本電信電話公社、農林漁業金融公庫、住宅金融公庫、日本私学振興財団等につきまして、そこの内訳に書いてございますような事業を中心に諸経費を計上させていただいております。
 以上で御説明を終わりますが、新年度につきましても、この実行につきまして万全を期してまいりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございました。
#6
○委員長(福間知之君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本件に関する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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