1982/03/23 第98回国会 参議院
参議院会議録情報 第098回国会 建設委員会 第2号
#1
第098回国会 建設委員会 第2号昭和五十八年三月二十三日(水曜日)
午前十時三十二分開会
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委員の異動
二月二十三日
辞任 補欠選任
園田 清充君 梶原 清君
中村 啓一君 杉山 令肇君
栗林 卓司君 三治 重信君
二月二十四日
辞任 補欠選任
梶原 清君 園田 清充君
杉山 令肇君 中村 啓一君
三治 重信君 栗林 卓司君
三月二十二日
辞任 補欠選任
谷川 寛三君 藤田 正明君
三木 忠雄君 多田 省吾君
三月二十三日
辞任 補欠選任
藤田 正明君 谷川 寛三君
多田 省吾君 三木 忠雄君
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出席者は左のとおり。
委員長 片岡 勝治君
理 事
井上 吉夫君
井上 孝君
谷川 寛三君
茜ケ久保重光君
委 員
岩崎 純三君
植木 光教君
遠藤 要君
斎藤栄三郎君
大木 正吾君
松本 英一君
原田 立君
三木 忠雄君
上田耕一郎君
江田 五月君
国務大臣
建 設 大 臣 内海 英男君
国 務 大 臣
(北海道開発庁
長官)
(国土庁長官) 加藤 六月君
政府委員
北海道開発庁総
務監理官 楢崎 泰昌君
北海道開発庁計
画監理官 竹下 淳君
北海道開発庁予
算課長 服藤 収君
経済企画庁総合
計画局審議官 及川 昭伍君
国土庁長官官房
長 宮繁 護君
国土庁長官官房
審議官 荒井 紀雄君
国土庁長官官房
会計課長 金湖 恒隆君
国土庁計画・調
整局長 白井 和徳君
国土庁土地局長 小笠原正男君
国土庁水資源局
長 高秀 秀信君
国土庁大都市圏
整備局長 京須 実君
国土庁地方振興
局長 川俣 芳郎君
建設大臣官房長 豊蔵 一君
建設大臣官房総
務審議官 吉田 公二君
建設省計画局長 永田 良雄君
建設省都市局長 加瀬 正蔵君
建設省河川局長 川本 正知君
建設省道路局長 沓掛 哲男君
建設省住宅局長 松谷蒼一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 田熊初太郎君
説明員
公正取引委員会
事務局経済部経
済法令調査官 腰原 良吉君
警察庁刑事局捜
査第二課長 森廣 英一君
参考人
住宅金融公庫総
裁 大津留 温君
北海道東北開発
公庫総裁 新保 實生君
住宅・都市整備
公団総裁 志村 清一君
住宅・都市整備
公団理事 有賀虎之進君
住宅・都市整備
公団理事 救仁郷 斉君
住宅・都市整備
公団理事 武田 晋治君
住宅・都市整備
公団理事 久保田誠三君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○建設事業並びに建設諸計画に関する調査
(建設行政、国土行政及び北海道総合開発の基本施策に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
(総理府所管(北海道開発庁、国土庁)、建設省所管、住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫)
○派遣委員の報告に関する件
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#2
○委員長(片岡勝治君) ただいまから建設委員会を開会いたします。理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(片岡勝治君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に谷川寛三君を指名いたします。
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#4
○委員長(片岡勝治君) 建設事業並びに建設諸計画に関する調査を議題といたします。まず、建設大臣から建設行政の基本施策につきまして所信を聴取いたします。内海建設大臣。
#5
○国務大臣(内海英男君) 建設行政の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し述べたいと存じます。御承知のとおり、最近のわが国経済の課題は、物価の安定を基礎としつつ、国内需要を中心とした景気の着実な回復を図り、持続的な安定成長を達成し、雇用の安定を確保する一方、行財政改革を着実に推進していくことにあります。
このような情勢のもとに、政府としては、昭和五十八年度予算の編成に当たって、歳出規模を厳しく抑制するとともに、公債発行額を可能な限り抑制することとしたところであります。
昭和五十八年度における建設省関係の公共事業については、こうした政府の方針に沿って、予算総額は前年度とほぼ同額ではありますが、財政投融資の活用等により所要の事業費の確保に努めたところであります。
改めて申すまでもなく、建設行政の基本的課題は、社会資本の整備を通じて活力ある経済社会と充実した国民生活を実現することにあります。このため、現行の住宅建設、治水、都市公園、下水道、海岸、交通安全施設の各五カ年計画とあわせて、第九次道路整備五カ年計画、急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を新たに策定し、国民生活の維持向上、国土の安全性の確保及び国土の発展に資する諸施設の整備を長期的視点に立って計画的に推進することとしております。社会資本の整備に当たっては、事業の重点的、効率的な執行等所管行政の合理化・効率化を図りつつ、地域の特性に応じ地域住民の要請に的確にこたえるとともに、環境にも十分配慮してまいる所存であります。特に災害から国民の生命、財産を守ることは政府の大きな使命の一つであり、従来にも増して災害の防止に努めてまいることとしております。
私は、昨年十一月建設大臣に就任以来、このような観点に立って建設行政の推進に努めてまいりましたが、昭和五十八年度予算の的確な執行等を通じ、今後ともこの責務を果たすことに全精力を傾注する所存であります。
以下、当面の諸施策について申し述べます。
第一に、住宅・宅地対策であります。
住宅は、潤いのある家庭生活の基盤をなすものであります。すべての国民が、その家族構成、世帯成長の各段階、地域の特性等に応じ、良好な住環境のもとに安定した生活を営むに足りる住宅を確保することができるようにすることを基本目標として、総合的な施策を展開してまいる所存であります。
このため、住宅金融公庫の無抽選体制の維持及び貸付条件の改善、住宅取得控除制度の大幅な改善等金融・税制上の措置による良質な持ち家取得の促進に努めるとともに、公共賃貸住宅の建設戸数の確保、既成市街地における往環境整備とあわせた市街地住宅の供給の促進、既存住宅の増改築及び流通の促進、地域住宅計画の策定等の施策を推進してまいりたいと存じます。
また、宅地対策については、地価の安定に留意しつつ、良好な宅地の計画的な供給を促進するため、宅地需給の逼迫している大都市地域を中心として、公的宅地開発の計画的な推進、政策金融等による優良な民間宅地開発の推進、関連公共公益施設の整備の推進等を図るほか、いわゆる線引きの見直しの促進と開発許可制度の適切な運用を図る等各般の施策を総合的に推進してまいりたいと存じます。
第二に、都市対策についてであります。
わが国においては、二十一世紀初頭には国民の約七割が都市に居住するものと見込まれており、こうした本格的な都市化社会の到来に適切に対応していく必要があります。このため、大都市についてはその高度の都市機能を維持しつつ、安全で潤いのある居住環境を確保するとともに、地方都市については周辺農山漁村を含めそれぞれの地域の特性を生かしながら定住するにふさわしい個性と魅力ある都市を形成することを目標として、長期的展望のもとに総合的、計画的に都市政策を推進してまいる所存であります。
このような観点に立って、都市計画の総合的運用により、欧米先進諸国に比して立ちおくれている街路、公園、下水道等の都市基盤施設の整備を計画的かつ効率的に推進するとともに、土地区画整理事業、市街地再開発事業等を推進することにより、後世代に残る良好な都市資産としての市街地の整備を積極的に図ってまいる所存であります。
さらに、この場合においては、避難地、避難路等の整備の推進、建築物の不燃化の促進等により、都市の防災構造化を積極的に推進してまいる所存であります。
第三に、道路の整備についてであります。
道路は、国土の均衡ある発展及び活力とゆとりのある地域社会の形成の基礎となる社会資本であります。これまで八次にわたり五カ年計画を策定し、その整備を着実に進めてまいりましたが、その整備水準はいまだ低い状況にあります。
このため、道路交通の安全の確保、生活基盤の整備、生活環境の改善、国土の発展基盤の整備、維持管理の充実等についての国民の要請にこたえるため、新たに昭和五十八年度を初年度とする第九次道路整備五カ年計画を策定し、高速自動車国道から市町村道に至る道路網を体系的に整備する所存であります。
なお、昭和五十八年度を初年度とする第八次積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画及び第六次奥地等産業開発道路整備五カ年計画を新たに策定し、事業の推進を図ってまいる所存であります。
第四に、国土の保全と水資源の開発についてであります。
わが国の国土は、洪水等の自然の脅威に対してきわめて弱い体質を持っておりますが、その保全施設の整備状況はいまだ低い水準にあります。御更知のように、昨年も長崎県を初めとして全国各地にわたり激甚な災害が発生いたしましたが、これらの災害に対しては、補正予算等の措置により従来より大幅に復旧の促進を図り、現在鋭意その事業の推進に努めているところであります。
このような災害の発生を未然に防ぎ、国土の保全と国民生活の安定を図るため、第六次治水事業五カ年計画に基づき、重要水系河川対策、都市河川対策及び土石流対策を重点に、保全施設の整備促進を図るとともに、第三次海岸事業五カ年計画に基づき積極的に海岸事業の推進を図ってまいる所存であります。
特に、多数の人命を奪うこととなったがけ崩れ災害の発生の状況にかんがみ、昭和五十八年度を初年度とする急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を策定し、計画的かつ強力に事業を推進することにより、がけ崩れ災害の防止を図ってまいる所存であります。
また、国民生活に不可欠な生活用水等の水資源の開発についても、長期的な水需要に対して安定した供給がなされるよう多目的ダム等の水資源開発施設の建設を促進してまいる所存であります。
最後に、建設産業の振興等についてであります。
国民経済上大きな地位を占め、建設行政の推進に重要な役割りを担っております建設産業については、元請、下請関係の改善、中小建設業者の健全な育成等その健全な発展を図るための施策をより強力に展開することにより、建設産業の振興に努めてまいる所存であります。
なお、公共工事に係る入札制度の合理化対策等については、中央建設業審議会から建議があり、その結果に基づき所要の改善措置を講じてまいる所存であります。
不動産業については、標準媒介契約約款の定着及び不動産流通市場の整備を推進すること等により消費者の保護と不動産業の振興に努めてまいる所存であります。
また、開発途上国に対する経済・技術協力については、これを積極的に推進するとともに、建設業、建設コンサルタント等の海外活動を促進してまいる所存であります。
なお、建築物に係る適正な設計・工事監理業務の確保、建築確認・検査の合理化等を図るため、諸制度の整備改善を行ってまいりたいと存じます。
以上、諸般の施策について所信を申し述べましたが、いずれも国民生活に直結する重要なものでありますので、これを積極的に推進してまいる所存でありますが、その際、特に適正な業務の執行と綱紀の保持に努め、国民の信頼と期待にこたえる考えであります。
委員長を初め委員各位の格別の御指導と御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
#6
○委員長(片岡勝治君) 次に、国土庁長官から国土行政の基本施策について所信を聴取いたします。加藤国土庁長官。#7
○国務大臣(加藤六月君) 国土行政の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し述べます。狭い国土、水資源開発のおくれ等の国土資源の面での制約に加え、人口の高齢化の進展、財政制約を初め最近のわが国をめぐる経済社会情勢はなお厳しいものがあります。
このような状況の中で人と国土との調和を図りつつ、国民がより豊かで安定した生活ができるようにするためには、住みよい国づくり、地域づくりをより一層進め、国民に将来の希望と夢を持ってもらえるようにする必要があります。
このような観点から、私は、以下に述べる諸施策を積極的に推進してまいります。
第一は、国土計画の推進であります。
まず、第三次全国総合開発計画の柱である定住構想の推進については、すでに、全国で四十四圏域のモデル定住圏計画が実施の段階に入っており、本年も、これらの計画の実施をさらに積極的に進めることとし、関係省庁による定住構想推進連絡会議を通じて、政府一体となって定住構想の推進に取り組んでまいります。
また、昭和五十六年度より実施している田園都市構想モデル事業の着実な推進を図るほか、昭和五十七年度に創設された地域振興に関する各種情報の収集、提供を行う地域振興情報ライブラリーを拡充するなどの措置を講じてまいる所存であります。
さらに、国土庁としては、現在国土審議会で鋭意進められている第三次全国総合開発計画のフォローアップ作業の成果を継承しつつ、新たな全国総合開発計画を策定するための準備作業に着手することとし、その一環として、昭和五十八年度においては、二十一世紀に至る人と国土に関する長期の展望を明らかにしてまいる所存であります。
なお、関係省庁の公共事業を円滑に推進するため、引き続き国土総合開発事業調整費を活用し、事業及び調査の調整を行ってまいります。
第二は、総合的な土地対策の推進であります。
最近の地価動向を見ると、経済社会情勢の変化と一連の土地対策の展開等により、地価は比較的安定的に推移しております。このように土地をめぐる環境にやや落ち着きが見られる現在、国土庁としては、地価の安定化傾向を長期的に定着化させていくとともに、今後の社会的要請に対応した的確な土地対策を確立し、国民生活の安定、国土の均衡ある発展のための基礎的条件を整備していくべきときであると考えております。
このため、引き続き国土利用計画法による土地利用基本計画制度及び土地取引規制制度、農住組合制度、地価公示制度、国土調査事業等の土地対策を総合的に推進していくことに加え、公共の福祉を優先させた合理的な土地利用を従来以上に積極的に促進するための方策等についても検討を進めてまいりたいと考えております。
第三は、総合的な水資源対策の推進であります。
水は人間の生命、生活に欠かすことのできない資源であると同時に、産業経済活動を支える重要な資源であり、水需給の安定を図ることは国土行政を推進する上で基本的な課題の一つであります。
このため、水源地域対策の充実を図り、水源地域住民の理解と協力を得て積極的に水資源開発を促進してまいります。
また、「水の週間」行軍の実施、雑用水利用の促進等水資源の有効利用に努めるとともに、緊急に対策を要する地域についての地盤沈下防止等対策要綱の策定等地下水利用の適正化を推進してまいります。
さらに、近年における経済社会情勢の変化等に対応し、二十一世紀を展望した新しい長期的水需給見通しの検討に着手することとしております。
第四は、大都市圏整備の推進であります。
まず、三大都市圏の均衡ある開発整備については、引き続き整備計画等の実施を積極的に推進するほか、首都東京について、長期的観点からの首都改造計画の策定に向けての調査、検討を一層深めてまいるとともに、近畿圏及び中部圏についても、おのおの新しい近畿の創生計画及び東海環状都市帯整備計画の策定を推進いたします。
また、大都市への人口移動の終息など近時の大都市をめぐる新たな状況に的確に対処するための大都市圏整備制度の総合的、基本的な検討に取りかかります。
さらに、筑波研究学園都市の育成整備、琵琶湖総合開発の推進、関西学術研究都市の建設など各地域の総合的整備についても積極的に取り組んでまいります。
第五は、地方振興の推進であります。
まず、国土資源に多くのゆとりを残している東北地方を初め、北陸、中国、四国及び九州の各地方について、引き続き地方開発促進計画を推進するとともに、新産業都市及び工業整備特別地域の建設、整備を進めてまいります。
また、地域の自然や伝統を生かした魅力ある町づくり、生活環境と生産環境の調和した豊かな村づくりを進めるため、地方都市及び農山漁村の総合的整備を図ってまいります。
過疎地域、振興山村、豪雪地帯、離島、特殊土壌地帯や奄美、小笠原諸島など自然的、社会的に厳しい条件に置かれている地域については、各種の特別事業の実施、生活及び生産環境の整備等を進めることにより、引き続きその計画的、総合的振興を推進してまいります。
第六に、災害対策についてであります。
昨年は七月の長崎県を中心とした豪雨災害を初め、台風第十号、十三号、十八号等が相次いで上陸し、全国的に多大な被害をもたらし、その被害額は史上最大の規模となっております。災害から国土を保全し、国民の安全を守ることは、国政の基本であり、治山・治水対策を初め、地震防災対策、豪雪対策、活動火山対策等各般の災害対策を総合的かつ積極的に推進してまいります。
特に、災害復旧の重要性にかんがみ、昨年の災害に係る復旧事業について、その促進を図ってまいります。
震災対策につきましては、東海地震対策として大規模地震対策特別措置法及び地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づき、防災体制の充実、避難地、避難路の整備等の地震対策緊急整備事業の円滑な実施を図るとともに、関係税制の整備を行うなど、その対策を一層推進いたします。
また、災害応急対策の充実、都市防災性の強化等大都市震災対策の一層の推進を図るため、南関東地域を対象とする地震被害想定調査の取りまとめを行うとともに、その結果を踏まえ、震災応急対策調査を実施することとしております。
さらに、災害特における情報の収集伝達等のための防災関係機関相互間の無線通信体制の整備を進めることとし、このため、新たに通信室を設置することとしております。
最後に、国際化の推進であります。
国土庁は、従来より所管行政について積極的に国際協力を行って参りましたが、昭和五十八年度においては、新たに都市等の国際交流の推進に資する戦略の確立及び開発途上国における水資源開発を中心とした総合的な地域開発計画の策定に関する技術協力推進体制の整備を図ることとしております。
以上、国土行政に関する所信を申し述べましたが、これらの施策の強力な推進に全力を挙げて取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
#8
○委員長(片岡勝治君) 次に、北海道開発庁長官から北海道総合開発の基本施策について所信を聴取いたします。加藤北海道開発庁長官。#9
○国務大臣(加藤六月君) 第九十八回国会における委員会審議に当たりまして、昭和五十八年度の北海道開発行政の推進に関する私の所信を申し述べたいと存じます。今日、限られた国土において、世界に比類のない高密度な経済社会を形成しているわが国が、二十一世紀に向かって、ゆとりと活力のある安定社会を築き上げていくためには、均衡のとれた国土利用を積極的に展開し、人口、産業の適切な配置を図っていくことが基本的に重要な課題となっているのであります。
このような課題に対して、北海道は、全国土の約五分の一を占め、豊富な水資源や工業開発適地、広大な農業開発可能地を有し、また、今日までの開発を通じて優れた発展基盤を形成しつつあり、今後のわが国の長期的、安定的に発展に積極的な役割りを果たしていくことが強く期待されているところであります。
北海道開発行政の基本である現行の新北海道総合開発計画は、このような観点に立って昭和五十三年二月に策定したところでありますが、昭和五十八年度は、この計画の第六年次に当たり、計画の後半期を迎える重要な年でありますので、道内各地域の特性を生かした生産・生活環境の創出、北海道の長期的発展基盤の形成を図るための施策を積極的に展開し、北海道開発を着実に推進してまいる所存であります。
以下、主要施策について申し上げます。
まず、治水事業につきましては、国土の安全性を高めるとともに貴重な水資源の効果的な開発を図るため、国土の保全及び水資源の開発等を総合的、計画的に推進することとしております。
特に、昭和五十六年八月の大災害にかんがみ、石狩川等の重要水系及び災害多発地域の河川改修、砂防事業等を重点的に実施するとともに、都市化の進展の著しい地域において総合治水対策を講ずるなど、災害の防止に努めてまいる所存であります。
また、今後の水需要の増大に対処するため、治水対策とあわせて、多目的ダム等の建設を促進することとしております。
次に、道路整備につきましては、新たに策定される第九次道路整備五カ年計画の初年度として、道内各地域の均衡ある発展に寄与するため、国道、地方道及び街路等の各事業を総合的に推進することとし、特に、交通安全施設等の整備及び防災、震災対策事業を重点的に進めるとともに、都市機能の向上と都市環境の改善を図るため、都市周辺のバイパス、連続立体交差等の事業を促進する所存であります。
さらに、生活環境の整備につきましては、北方風土に適応した魅力ある環境の創出を目途に、下水道事業、都市公園等の事業を促進することとしております。
また、住宅対策といたしましては、公営住宅の建設、既設住宅の改善を進めるとともに、大都市等における住宅、宅地の供給を促進するため、関連公共施設の整備を推進することとしております。
このほか、北海道の発展基盤を整備するため、港湾、空港、漁港等の整備を計画的に進めるとともに、北海道の特性を生かした高生産性農業の確立とわが国の食糧供給基地としての北海道の役割りを高めるため、農業基盤の整備を促進することとしております。
また、以上の基盤整備の推進とあわせて、北海道の産業の振興開発を促進するため、北海道東北開発公庫の機能を充実し、その活用に努めてまいる所存であります。
さらに、北方領土隣接地域の振興及び住民の生活の安定を図るため、第九十六回国会で成立を見た北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律に基づき、所要の施策を積極的に推進し、北方領土問題等の解決の促進に資するよう努力してまいる所存であります。
以上、北海道総合開発行政に関し、所信の一端を申し述べましたが、今後とも北海道総合開発の推進に全力を傾注して取り組んでまいる所存でありますので、皆様の一層の御支援をお願い申し上げます。
#10
○委員長(片岡勝治君) 以上で所信の聴取は終わりました。─────────────
#11
○委員長(片岡勝治君) ここで御報告いたします。去る三月十五日、予算委員会から、本日二十三日及び二十四日の二日間、昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、建設省、国土庁及び北海道開発庁所管、住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫について審査の委嘱がありました。
この際、本件を議題といたします。
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#12
○委員長(片岡勝治君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。本日の委員会に、住宅金融公庫、北海道東北開発公庫及び住宅・都市整備公団の役職員を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(片岡勝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。─────────────
#14
○委員長(片岡勝治君) それでは、委嘱予算の概要について、政府から説明を求めます。内海建設大臣。#15
○国務大臣(内海英男君) 建設省関係の昭和五十八年度予算についてその概要を御説明いたします。建設省所管の一般会計予算は、歳入百九十九億七千余万円、歳出四兆六百十五億五千百余万円、国庫債務負担行為五千三百四十九億五千三百余万円でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係の一般会計予算では、歳出四兆六千二百三十九億一千百余万円、国庫債務負担行為五千六百九十五億九千余万円を予定いたしております。
次に、建設省所管の特別会計について、まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも二兆一千九百五十七億九千八百余万円、国庫債務負担行為二千四百九十億四千百万円、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆一千百七十九億七千八百余万円、国庫債務負担行為二千六百六十九億五千百万円、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも四百八十億三千九百余万円を予定いたしております。
また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出五十六億三千百余万円、国庫債務負担行為四十五億六千百余万円を予定いたしております。
建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅・宅地対策、都市対策、国土保全・水資源対策、道路整備等各般にわたる国土建設施策を推進してまいる所存であります。
第一は、住宅・宅地対策についてであります。
国民生活の質の向上を重視しつつ、住宅建設と宅地供給を積極的に推進するため、昭和五十八年度においては、予算額七千七百十五億五千六百余万円のほか、財政投融資資金四兆三千四百九十億七千二百万円を予定いたしております。
まず、住宅対策については、すべての国民が良好な住環境のもとに安定した生活を営むに足りる住宅を確保することができるようにすることを基本目標として、第四期住宅建設五カ年計画の推進を図ることといたしております。
同五カ年計画の第三年度である昭和五十八年度においては、公庫住宅、公営住宅、改良住宅、公団住宅等建設省所管住宅合計六十三万一千六百七十戸の建設を推進することといたしております。
次に、宅地対策については、住宅・都市整備公団等の公的機関による宅地開発事業の拡充、政策金融等による優良な民間宅地開発の推進等を図ることといたしております。
第二に、都市対策についてであります。
計画的な市街地の整備を図り、秩序ある都市の発展を確保するため、昭和五十八年度においては、都市計画関係事業について、予算額一兆二千三百二十二億四千五百余万円のほか、財政投融資資金二千九百三十一億二千八百万円で、下水道、公園、街路、都市高速道路等の都市施設の計画的整備、市街地再開発事業、土地区画整理事業等の市街地開発事業の推進及び都市開発資金の充実を図ることといたしております。
特に、下水道事業及び公園事業については、それぞれ第五次下水道整備五カ年計画及び第三次都市公園等整備五カ年計画の第三年度として、事業の推進を図ることといたしております。
第三に、国土保全と水資源対策についてであります。
まず、治水事業については、近年の激甚な災害の発生状況、深刻化しつつある用水不足等にかんがみ、第六次治水事業五カ年計画に基づき、事業の促進に努めることといたしております。
昭和五十八年度においては、同五カ年計画の第二年度として、予算額一兆六百億一千余万円のほか、財政投融資資金九億円で、河川、ダム、砂防等の治水施設の整備と水資源の開発を推進することといたしております。
また、海岸事業については、第三次海岸事業五カ年計画の第三年度として、予算額二百七十八億六千五百万円で、事業を推進することといたしております。
また、急傾斜地崩壊対策事業については、総投資額五千五百億円の急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を策定し、事業の計画的整備を図ることといたしております。
昭和五十八年度においては、同五カ年計画の初年度として、予算額二百六十一億七千五百万円で、特に緊急に対策を講ずべき個所について、事業を推進することといたしております。
第四に、災害復旧対策についてであります。
災害復旧対策には、予算額二千三十二億七千万円を予定し、被災河川等の早期復旧を図ることといたしております。
第五に、道路整備についてであります。
道路整備については、高速自動車国道から市町村道に至る道路網を体系的に整備するため総投資額三十八兆二千億円の第九次道路整備五カ年計画を策定し、計画的整備を推進することといたしております。
昭和五十八年度においては、同五カ年計画の初年度として、予算額二兆一千四百六十二億一千七百万円のほか、財政投融資資金一兆五千五百八十六億円で、一般道路及び有料道路の整備を推進することといたしております。
また、交通安全対策については、第三次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画の第三年度として、事業の推進を図ることといたしております。
第六に、官庁営繕についてであります。
昭和五十八年度の予算額は、一般会計二百三十七億一千八百余万円、特定国有財産整備特別会計五十六億三千百余万円で、合同庁舎等の建設を実施することといたしております。
引き続きまして、政府関係機関である住宅金融公庫の昭和五十八年度予算について、その概要を御説明いたします。
住宅金融公庫の借入金及び債券の限度額は、三兆六千八百七十三億二千四百万円を予定し、収入支出予算は、収入一兆三千七百八十九億六千九百余万円、支出一兆四千七百四十億二千六百余万円を予定し、住宅五十一万戸等について総額三兆五千八百八十八億九千五百万円の貸付契約を行うことといたしております。
以上をもちまして、昭和五十八年度の建設省関係の一般会計予算及び特別会計予算並びに住宅金融公庫予算の説明を終わります。
よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#16
○委員長(片岡勝治君) 次に、加藤国土庁長官。#17
○国務大臣(加藤六月君) 総理府所管のうち、国土庁の昭和五十八年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。国土庁の一般会計歳出予算は、二千四百十八億一千二百余万円を予定しておりまして、前年度予算に比べ八億四千三百余万円の増加となっております。
次に、昭和五十八年度予算の重点について御説明いたします。
第一に、国土計画の推進についてであります。
第三次全国総合開発計画の定住構想の推進を図るため、必要な施策を推進するとともに新たな全国総合開発計画策定のための準備作業に着手するほか、国土利用計画体系の確立、国土総合開発事業調整費の活用等による公共事業等の調整並びに国土情報の整備を推進することとし、予算額百二十二億五千二百余万円を予定しております。
第二に、総合的土地対策の推進についてであります。
地価の安定及び適正な土地利用の促進を図るため、国土利用計画法の的確な運用を行うとともに、農住組合制度の強力な推進等大都市地域における土地利用転換を適切に誘導するための施策を推進することとし、予算額二十二億七千四百余万円を予定しております。
また、地価公示及び都道府県地価調査を推進することとし、予算額三十二億七千五百余万円を予定しております。
さらに、第三次国土調査事業十カ年計画に基づき、地籍調査等の国土調査を推進することとし、予算額九十六億三千八百余万円を予定しております。
第三に、総合的な水資源対策の推進についてであります。
安定的な水需給の確保を図るため、長期的な水需給見通しの検討に着手するとともに、水源地域対策の促進等による水資源開発の推進、水資源の有効利用の促進等総合的な水資源対策を積極的に推進することとし、予算額六百十一億七千七百余万円を予定しております。
なお、水資源開発公団については、前述の予算額のうち六百七億九千六百余万円の補助金等と財政投融資資金等とあわせて二千五十七億五千九百余万円の資金により、ダム、用水路の建設事業等を引き続き計画的に促進することとしております。
第四に、大都市圏整備の推進についてであります。
大都市地域における良好、安全な都市環境の整備と大都市圏の秩序ある発展を図るため、大都市圏整備計画の実施を推進するとともに、工場、大学等の諸機能の適正配置、大都市防災対策、首都改造計画及び新しい近畿の創生計画の策定、筑波研究学園都市の育成整備等の促進を図り、さらに、琵琶湖総合開発計画の推進を図るとともに、関西学術研究都市整備計画の策定の促進を図ることとし、予算額九億六千九百余万円を予定しております。
第五に、地方振興の推進についてであります。
まず、人口の地方定住を促進するため、各ブロックの地方開発促進計画を推進し、新産業都市等の整備を進めるとともに、田園都市構想モデル事業の促進等地方定住圏整備の推進、地方都市及び農山漁村の総合的整備等を図ることとし、予算額十一億五千三百余万円を予定しております。
次に、過疎地域、山村及び豪雪地帯における生活環境の整備及び産業の振興を図ることとし、予算額十八億五千百余万円を予定しております。
また、離島、奄美群島及び小笠原諸島の地域的特性にかんがみ、交通施設、生活環境施設及び国土保全施設の整備並びに産業の振興を図る事業を実施することとし、離島振興事業については、予算額千百四十一億五千四百余万円、奄美群島振興開発事業については、予算額二百七十億五千五百余万円、小笠原諸島振興事業については、予算額二十億一千八百余万円を予定しております。
さらに、防災のための集団移転促進事業について、内容の充実を図り、引き続き実施することとし、予算額三億二千五百余万円を予定しております。
第六に、地域振興整備公団の事業についてであります。
地域振興整備公団については、十五億五千二百万円の国の補給金と財政投融資資金等とあわせて千三十二億五千万円の資金により、定住構想に即して全国的な人口及び産業の適正な配置と地域住民の福祉の向上に寄与するため、地方都市の開発整備、工業の再配置及び産炭地域の振興を推進することとしております。
第七に、災害対策の推進についてであります。
最近の災害の状況及び現下の急務である広域震災対策の緊急性にかんがみ、大都市震災対策の推進、大規模地震対策の強化、中央防災無線網の整備等災害対策の総合的な推進を図ることとし、予算額八億千八百余万円を予定しております。
以上をもちまして、昭和五十八年度の国土庁の一般会計歳出予算の概要説明を終わります。
よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#18
○委員長(片岡勝治君) 引き続き、加藤北海道開発庁長官。#19
○国務大臣(加藤六月君) 初めに、昭和五十八年度の北海道開発庁予算案について、その概要を御説明申し上げます。北海道は、全国土の五分の一を占め、かつ、大きな潜在的発展力を有する地域であります。
北海道の開発は、わが国における人口と産業の望ましい配置を実現し、それによりわが国の長期安定的な発展を図ろうとする重要な施策であります。
新北海道総合開発計画は、このような観点から昭和五十三年度から六十二年度までの十カ年計画として策定されたものであり、昭和五十八年度は、この計画の第六年次として計画の後半期を迎える重要な年であります。
このため、昭和五十八年度の北海道開発予算については、厳しい財政事情のもとではありますが、おおむね前年度並みの予算を計上し、その内容の充実に特段の考慮を払っているところであります。
昭和五十八年度総理府所管一般会計予算要求額のうち、北海道開発庁の予算要求額は、歳出予算額七千八十二億九千五百五十七万三千円、国庫債務負担行為限度額二百五十七億八千七百万円であります。これを前年度の歳出予算額七千百六億二千九百三十三万九千円、国庫債務負担行為限度額四百四十三億六千万円に比較いたしますと、歳出予算額では二十三億三千三百六十六万六千円、国庫債務負担行為限度額では百八十五億七千三百万円の減額となっております。
次に、歳出予算要求額のうち、主な経費につきまして、その大略を御説明申し上げます。
第一に、国土保全事業の経費に充てるため、一千百五十一億九千九百九十七万九千円を計上いたしました。
国土保全事業の経費は、五十六年八月の大災害等にかんがみ、石狩川などの重要水系、災害多発地域の中小河川に重点を置いて河川改修、土砂害対策等を実施するとともに、都市開発の著しい地域における総合治水対策特定河川事業を推進するなど地域の基盤整備に必要な都市河川等の整備及び都市周辺の河川環境整備事業を促進するほか、今後の水需要の増大や洪水調節に対処するため多目的ダム等の建設を促進するための経費及び国有林、民有林を通じて一貫した治山事業を推進するための経費並びに海岸事業を推進するための経費であります。
第二に、道路整備事業の経費に充てるため、二千二百五十九億九千四百万円を計上いたしました。
道路整備事業の経費は、交通安全施設等の整備及び防災、震災対策事業を重点的に進めるとともに、一般国道の不通区間の開削、都市機能の向上と環境改善を図るため、都市道路、都市周辺のバイパス等の事業を促進するための経費であります。
第三に、港湾、空港の整備事業の経費に充てるため、六百一億五千六百万円を計上いたしました。
まず、港湾整備事業の経費は、室蘭港及び苫小牧港の特定重要港湾、石狩湾新港その他の重要港湾の整備を促進するとともに、地域の開発を推進するため、地方港湾の重点的な整備を進めるための経費であります。
次に、空港整備事業の経費は、新千歳空港の建設及びその他の空港の建設整備を促進するための経費であります。
第四に、生活環境施設の整備事業の経費に充てるため、七百四億三千五百三万七千円を計上いたしました。
生活環境施設の整備事業の経費は、下水道、都市公園等の事業を推進するための経費及び公営住宅の建設を進めるとともに、大都市等における住宅建設、宅地開発の円滑な推進を図るための関連公共施設の整備を促進するための経費などであります。
第五に、農林漁業の基盤整備等の事業の経費に充てるため、二千二百四十四億五千五百四十万円を計上いたしました。
まず、農業基盤整備事業の経費は、高生産性農業の確立を図るとともに、水田利用再編の方向に即して水田地帯における農業経営の安定を図る等のための土地改良事業及び経営規模の拡大、粗飼料基盤整備拡充等のための農用地開発事業並びに畜産基地建設等のための特定地域農業開発事業を実施するための経費であります。
次に、漁業及び林業の基盤整備等の事業の経費は、二百海里時代に対処して沿岸漁業等の振興を図るため、沿岸漁業等の根拠地となる漁港施設及び沿岸漁場の整備開発を実施するための経費並びに造林、林道事業を実施するための経費であります。
以上が、北海道開発庁予算案の概要であります。
引き続き、昭和五十八年度の北海道東北開発公庫予算案について、その概要を御説明申し上げます。
北海道東北開発公庫は、国土資源に恵まれ、開発可能性の大きい北海道及び東北地方における産業の振興開発を促進するため、民間金融機関と協調して、良質な産業資金を供給することを業務といたしております。
昭和五十八年度の事業計画は、一千五百億円を予定しております。
これらの原資といたしましては、政府出資金二十二億円、政府借入金四百四十五億円、債券発行による収入八百三十七億円を予定し、残りの百九十六億円は、自己資金で調達することといたしております。
なお、出融資の対象業種として、新たに産業設備リース業を加えるとともに、特別金利の適用につきましても、新たに地域産業振興、地域計画区域内建築物整備及び都市ガス業の特定導管の三つの事業に適用することといたしております。
以上をもちまして、昭和五十八年度の北海道開発庁予算案並びに北海道東北開発公庫予算案の御説明を終わります。
よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#20
○委員長(片岡勝治君) 以上で政府からの説明聴取は終わりました。これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。
#21
○大木正吾君 両大臣の所信ですね、加えまして最近不況対策としまして政府が取り上げました幾つかのことを含めて一般的に伺っておきたいと思います。関係閣僚会議でございますけれども、これは失礼ですが、建設、国土両大臣は御出席でございましょうか、この会議には。
#22
○国務大臣(内海英男君) 国土庁長官と建設大臣、出席をいたしました。#23
○大木正吾君 特に、原油問題でありますとか、アメリカの景気等の背景もありましょうが、公共事業の前倒し問題等が景気対策の重要な課題、一方にはもちろん金利、公定歩合の問題等もございますけれども、これに対して最終的な確定といいましょうか、それはいつごろになるお見込みですか。#24
○国務大臣(内海英男君) 先生の御質問は三月十九日の朝、関係閣僚が集まったことについてのお話だと思いますが、その際は景気対策、今後の経済運営について一般的な検討課題を述べ合ったということでございまして、今後予算の成立を待って早急に関係閣僚で具体的な経済運営についての結論を出すようにしようということで、第一回目の意見交換の場というふうに御判断いただければ結構だと思います。#25
○大木正吾君 それじゃ閣議の決定とか関係閣僚ということを離れまして、内海さんと加藤さんにお伺いいたしますが、このような、要するに公共事業前倒し前年同率程度という話などもございますが、これについては特に内海さん、建設大臣はそういうふうに閣議の最終決定に持ち込みたい、こういうお気持ちでございますか。#26
○国務大臣(内海英男君) 現在参議院の予算委員会におきまして五十八年度の予算を御審議をいただいている状況でもございますし、その成立を待ちまして、経済運営全般について前倒しをやった方がいいかどうかということの全般的な結論を今後の協議にゆだねたいというようないまの状況でございます。#27
○大木正吾君 現時点の時期でございますから、答えがしにくいということは大体想像できるわけでございますけれども、実際問題、たとえば大蔵大臣の発言等を新聞で拝見いたしますと、たとえばつなぎというような用語が飛び出してきたり、同時に昨年の後半の、いえば前倒しに対しまする補完といたしまして二兆七百億ほどの補正をいたしましたけれども、そういったこととの関係でちょっと気になる発言等も拝見するわけでございまして、景気のつなぎという立場でもってやりますと、結果的には五十七年度と五十八年度の公共事の総額が、大臣所信でおっしゃったんですが、大体去年と同じぐらいに確保できたからという満足感と言ったら失礼なことですが、そういう趣旨の発言がございましたので、単なるつなぎという立場で発言された大蔵大臣のお考えと建設大臣の考えとは違って当然と、こう考えるんですが、この辺はどうでございましょうか。#28
○国務大臣(内海英男君) おかげさまで昨年の暮れに補正予算を通していただきまして、災害関係と債務負担行為という形で二兆七百億ですか、ちょうだいいたしまして、それによりまして大体平年の場合、四月、五月が仕事がかれるわけでございますが、その際、この補正によってかれることなく仕事がいくということだけははっきり申し上げられると思います。それから、補正の予算を昨年度の予算に加えました分とことしの当初予算と比較いたしますと、どうしても補正の分の方が多いわけでございますから、前年度に比べてことしの方が少ないと、当初予算に比べますと少ないということに先生の御指摘のようになるかと思いますが、それら全般のことを私がこの場所で申し上げるのもいかがかと思いますが、前倒しを含めまして今後の経済状況あるいは景気の動向等をにらみ合わせながら、前倒し執行をするか、あるいはその後の下半期の息切れをどうするかと、こういった問題も含めて今後の問題課題として検討してまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
#29
○大木正吾君 たとえば減税でございますとか、公定歩合の下げとか、最近の産業界全体を見ておりますと、要するに目玉産業というものが余りなくなりまして、ゴルフなどを中心としました体育施設とか、あるいはそういったスポーツ用品とか、あるいは情報産業絡みのものとか、非常に産業全体の構造変化が起きてきているわけですね。そういった中でやっぱり公共事業というものをどう見るかということは、大臣のこの所信にも相当厳しくといいましょうか、生硬に書いてございますけれども、やっぱり日本の公共事業の全体的な立ちおくれですね、先進国全体の中でもおくれているわけですから、ある意味ではやっぱり貿易摩擦の方に外務省とか通産省苦労するよりは、公共事業に対しましてもう少し、いえばもっとマクロのビジョンを持ち、同時に計画のぶれをなくしながら持っていく、この方が国の産業全体というものを考えるときに私はよろしいと、こう考えているわけです。新しいロボットが物をつくっていきまして、ロボットをつくる工場は、高成長過程にある新しい仕事が起きますと次のものが起きてと、こういう話でもって、斎藤先生にぼくら教わったことがあるわけでございますけれども、とにかく最近はそういったなかなか見通しもなしに、失業者もふえたりしているわけですから、少し公共事業についての見方は、私たちはむしろここ当面の中期的な観点では見方を変えて、これを直していくということも必要だと、こう考えております。
ぜひこれは、前倒しと同時に、大臣御承知でしょうけれども、昨年の十月―十二月期ががたんと落ち込んで、その間にGNPの成長もちょっと落ち込んだわけですから、政府の固定資本の下がりが大きな響きだったわけですから、十分これは景気対策のときには前倒しは当然やっていただかなければなりませんし、同時に、そういったことを補完する考え方もあわせて閣議の中では御相談願っておきたい、こう考えておりますので、その点について、抽象的御答弁しかもらえないでしょうけれども、両大臣のひとつ御決意なりをいただけませんか。
#30
○国務大臣(内海英男君) 大変力強いお話をいただきまして、私としては大変ありがたいことだと思っております。景気の動向等にらみあわせまして、先生御指摘のような線で私どもももちろん考えておるわけでございますが、下半期の補てんの問題もこれあり、現在参議院で、先ほども申し上げましたように、予算の御審議をいただいているさなかでもございますので、余り先越したお話を申し上げてもいかがかと思いますので、(「後は後、いまはいま」と呼ぶ者あり)今後の経済運営については、十分関係閣僚とも相談をいたしまして、御指摘のような方向で私どもは考えてはおりますけれども、現在の段階では余り具体的なことは差し控えさしていただきたいと、こう考えておるわけでございます。
#31
○国務大臣(加藤六月君) 先般の会議は、当面の経済情勢及び今後の経済運営について、非公式に、肩張らずに懇談をいたしたところでございまして、十九日にやりましたときには、まだEC八カ国のレート問題も解決しておりません。それから、油の問題等についての見通しもはっきりいたしておりません。そういう点で、懇談で隔意ない意見交換をやったわけでございます。短期的、長期的に、両方の面から今後のわが国の経済運営は考えていかなくてはならないし、国際的に、国内的立場からも考えていかなくてはならないということでございます。今後、御審議いただいております昭和五十八年度予算が通過さしていただきました時点におきまして、さらに積極的に、そして慎重に今後の経済運営、景気対策というものを考えていかなくてはならない、このように考えております。
#32
○大木正吾君 遠藤委員の方から大分応援的なやじが出たんですが、一応次回の委員会が理事会で四月十二日と、こういう話もございますから、そのころにはもう少し歯切れのいい話が伺える、こういうことを期待いたします。ただ、ちょっとここで気になりますことが一つありますのは、中曽根総理が、要するに住宅とか工場建設などにつきましての規制緩和、これが出ているわけですが、この辺の問題については、東京に住んでいる私たちなどが考えた場合には、マンションの中のトラブルとか、具体的には借地、借家法の改正とか、あるいは建蔽率問題などなどについてももっと自由にやれる状態にしたらどうかという意味のことに聞こえるわけですけれども、しかしやっぱりこの辺は、公共事業なり一般をずっと進める過程で、余りこういったものについて規制を緩和していきますと、かえってせっかく仕事を進めようとする問題に対しまして住民の側からむしろトラブルなり文句が出る、こういうことになりますから、その辺十分に御注意願っておきたいと考えている次第です。
二つ目の質問に移らしていただきますが、そこで問題は、先ほどの所信の問題に返りまして若干質問をいたしますが、大体公共事業というものは、これも両大臣に伺いたいんですが、景気の調整弁という意味合いでずっと、余り景気が過熱するときには抑えていくとか、不況のときには持ち上げていくとか、そういったことは何か私たちの頭の中であたりまえというふうに概念化していると思うんです。
しかし、大臣の所信にもございましたけれども、やっぱり国民のいろんな生活環境整備という立場とか、二代、三代に及ぶ要するに固定資本の形成ですから、そういうことからしますと余り何か考え方が、長期的しかも計画的――百年計画でもこれはいいわけですからね。そういったものがどうも景気調整弁的にしょっちゅう利用されているということにつきまして、私は非常に心外なんでありますが、それについて、基本的な問題点でございますけれども、両大臣どうお考えになりますか。
#33
○国務大臣(内海英男君) 御指摘のような点も十分私どもも考えられるわけでございますが、公共投資は、お話しのように、基本的には立ちおくれておりますわが国の社会資本を整備、水準を高めていくと、こういうことにあるわけでございまして、したがいまして、計画的、長期的な観点に立ってこれを実行していかなきゃならぬ、これはもう御指摘のとおりだと思います。しかしながら、現在のような国際情勢あるいは国内のいろいろな経済の動向、景気の動向、こういうものもある程度勘案をいたしまして、時によってはやっぱり景気動向等にらみ合わせて、それを大幅に投資効果を上げるためにやらなきゃならぬということも、一面また現在の安定しない経済情勢のもとではやむを得ないのではないかなと、こう考えておるわけでございます。
#34
○国務大臣(加藤六月君) 建設大臣が申されましたように、公共事業というものは社会資本の整備充実を図っていくというところにその基本のねらいがあり、その過程を通じて生活環境、経済環境というものを総合的に整備していくものであると思います。ただし、物価、雇用、景気、こういうものを配慮しながら調節していくということは公共事業の性格からして必要である。ただ、これをどの程度物価をにらみ、雇用状態をにらみ、景気をにらみながら調節、調整するかということは、そのときどきによるのではないか。そして、ある面では公共事業というものが、最近の動向から見た場合に、景気動向をそう大きく作用する要因ではなくなりつつある。それよりか、民間活力というものをどのように今後活用していくかということが景気面については相当重要な今後の施策になってくるのではないかと、このように考えております。
#35
○大木正吾君 戦後の西ドイツとかヨーロッパ等を見てまいりますと、やっぱり一つの国土計画、道路とかあるいはいろんな住環境的なものが整備されまして、それから後にアパート、マンションを建ててきた。こういう経過は加藤さんも十分承知なはずなんですがね。やっぱりそういった初歩的な問題ですね、もう一遍私たちは目を向け直すことが一つの問題であり、もう一つは、やっぱりさっきもちょっと触れましたけれども、私もずっといまの日本の、東京なり全国あちこち回りまして、実際問題としてどういう産業が、ロボットとかコンピューターとかああいうものにかわりまして新しい産業が、どういうものが起きてくるのかという問題がなかなかいまの技術陣でもよくわかっていませんし、経済学説――ここに博士おられますけれども、とにかくなかなか新学説なんて出てこないわけですね。ただ、やっぱり将来展望としてはっきり言えることは、先進国の中で日本はわりあいにいわば社会資本の伸び率が悪いわけですから、十カ年ぐらいは中期的に見ましてある程度ビジョンをつくり、産業の中核という、いえば民間の何か自動車とかなんかいろんな製造工業の補完的な立場でもって公共事業をやるんだという、こういう意識の方が僕らどうもあったりしまして、それがむしろ今度は中心にウエートを持っていくべき時期じゃないか、こういうふうにも考えるわけです。
ですから、ヨーロッパ等における戦後の復興過程の問題、初歩的な問題と、現在から新しく生まれてくる産業、いえば新しい産業分野はどういう分野が発展してくるかわかりませんので、そういうふうなことをつなぎ合わせていきますと、やっぱり社会資本という言葉、これは大変にいい言葉なんですが、政府の固定資産ということはりっぱな言葉なんですが、そういったものについてやっぱりもう少し玩味しまして、なるべく景気のぶれ、調整弁的要素をなくしまして、産業の基盤の中に、基本に埋め込んでいく、こういった考え方がどうしても必要なんだろうと、こう思うんですが、もう一遍ひとつ加藤さんでもどちらでも結構ですから、お答えいただけませんか。
#36
○国務大臣(加藤六月君) これからの日本の経済、国民生活を支えていく産業は何になるかということは、お互い国会議員の立場からも真剣に考えていかなくてはならない問題であろうと思います。われわれは、次世代産業であるとかあるいは二十一世紀産業というものはどういうようになっていくか、いろいろ勉強もいたしておるわけであります。一口に言いますと、軽薄短小――軽くて薄くて短くて小さい、ある面で言いますと付加価値の多い、そして高度の科学技術を結集した産業というものがこれからわが国の経済、国民生活をリードしていく産業になるんではないだろうか。したがいまして、そういう意味からいきますと、いままで以上に公共事業というものがある面では大切になってきます。全国の均衡ある発展、そしてそれぞれの地域における公共資本の整備が行われておるところに次々にそういう新しい産業というものが立地し、誘致され、そして育っていくというようになるんではないだろうか。
したがいまして、これは世界じゅうだれもわからぬわけでございますけれども、先端産業、次世代産業というものに対応していくための公共資本の投資というのはある面では非常にきめの細かさが要求され、またある面ではたくさんないろいろな公共事業というものが必要になってくるんではないか、このように私は考えております。
#37
○大木正吾君 たとえば、電電公社の民営化問題という話題が一方には、自民党内部まだまとまってないようですけれども、ございますが、これは情報、コンピューターと電話というものをつないでいくわけですが、INSというものをつくったりしていくんですが、人間が自分の家でもって仕事をしていまして、そして本当に人間として生きてきた価値があるかないかということもありましょうし、同時にどんどんどんどん今度は機械化されていきまして、雇用の問題等が近代経済の中でも非常に問題になっているわけですからね。その辺のことについてはぼちぼちやっぱり国土庁なり建設省等が、そういった総合的な産業分野の視点ということの中で、斎藤栄三郎先生あたりから新しい仕事はどういうのが起きてくるんだろうか、ロボットとそういったINSの次にはどういうのが起きてくる、そういうことの結論でも出ない限りはなかなかむずかしいわけです。しかし、公共事業というのはわりあいに何といいますか、いえば人間の生存のために、国土の保全のために大事な仕事ですね。しかもこれが雇用の吸収などにも相当大きな影響を持つことは間違いありません。そういう観点等も総合いたしまして、いえば景気の調整弁的な、言い方は悪いんでございますけれども、そういった要素から抜け出して基幹産業的な分野に、もう少しやっぱり両大臣に景気対策等含めて今後のあり方について御検討、御賢察を願いたい、こう考えております。
次の質問に入らしていただきますが、さっき大臣、内海さんの方でまだ景気対策終わってないと言いますから、あと後半期、また十月から十二月、一月から三月のことはちょっと質問を省きますが、次の問題でございますけれども、現在の建設省が担当されている公共事業の長期計画の進行状態、これについて大ざっぱで結構ですからちょっと関係局の方から報告していただけませんか。
#38
○国務大臣(内海英男君) 政府委員からお答えをさせます。#39
○政府委員(豊蔵一君) 建設省で担当しております五カ年計画がいろいろございますが、順次申し上げますと、たとえば第三次都市公園等整備五カ年計画、これは昭和五十六年度から六十年度までの計画となっておりますが、五十八年度末見込みで進捗率は調整費等を除きまして四四・六%というふうになっております。また、第五次下水道整備五カ年計画、これも五十六年度から六十年度まででございますが、四四・八%と相なっております。第三次海岸事業五カ年計画、これも同様に計画期間は五十六年度から六十年度までとなっておりますが、四八・八%。それから第三次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画は、五十六年度から六十年度までとなっておりまして、五十八年度末見込みで五一・四%。それから第六次治水事業五カ年計画、これは計画期間が五十七年度から六十一年度までとなっておりますが、五十八年度末見込みで進捗率は三〇・九%ということになっております。また、第九次道路整備五カ年計画、これは現在法案をお願いいたしておりまして、この法律が通りましたならば五十八年度から六十二年までの五カ年間の計画を立てることになっておりますので、これは一応省略をさせていただきたいと思います。
#40
○大木正吾君 いまの説明で気がつきますことは、やっぱりたとえば先ほど両大臣もおっしゃったんですが、長崎の災害とかああいった問題が、一面では人災というような現地の御意見もあったことは間違いありませんが、やはりああいった種の災害に使います、いつも毎年九月の下旬から補正いたします災害関係費用と、それとたとえば治水関係に使われる予算の水準といいましょうか、予算額ですね、そういったものと比べていきますと、やはりもちろんこれは全く同じ額とか、もっとそれに倍するとか言いませんけれども、予算そのものの組み方に不足があるのか、工事量とかあるいは工事の進捗に何か障害があるかわかりませんが、目立ちますのはやっぱり道路とか何かわりあい順調にいっているんでありますけれども、治水とか海岸関係とか都市公園とか、こういう関係はおくれているのが目立つんですね。この辺のアンバランス、建設省なり国土庁としてはどういうふうにお考えですか。#41
○政府委員(豊蔵一君) ただいま申し上げましたように、各五カ年計画によりまして若干進捗率に差がございますが、これは御案内のように、最近特に公共事業に関しましては予算がいわゆるゼロシーリングということでその額が抑制されたということによっておくれた面が大きいと思います。なお、それぞれの五カ年計画について見ますと、やはりいつ計画をつくったかという計画策定時期、それによってかなり差もあるように思われます。 ただいま御指摘がありました五カ年計画で、確かに第八次の道路整備五カ年計画につきましては五十七年度まで一〇〇%を超える、金額では一〇〇%を超えるというような実績に相なっておりますが、また五十六年度で終了いたしました第五次治水事業五カ年計画で見ました場合でも、これも一応五十二、五十三年度等におきまして大幅な公共事業の補正追加等もあったこともありまして、達成率としては一応金額として一〇〇%を超えておるというようなこともございますので、なかなか進捗率の差は一概にどれがどうというふうに定性的には言えない面があるのではなかろうかというふうに考えております。
#42
○大木正吾君 臨調との関係等もあるかもしれませんが、やっぱり治水関係とかあるいは海岸の関係とか都市公園の問題、まあ都市公園の場合には、いえば災害なり震災対策とか、そういうときにもこれは活用できるわけですから、いまおっしゃったことはわからないわけではありませんが、しかし、全体的にはやっぱりいま申し上げた、要するに国民生活に密着してもっと進捗状態が前にいってもいいという、たとえば治水関係でしたら五十七年度から二年目に入ったわけですから、四〇ぐらいいくぐらいにしておく。そういった少し計画を組む段階で、ある意味では予算の額をふやすとか、あるいは道路関係一〇〇%超えていますが、これは大蔵委員会でよく議論するんですけれども、ガソリン関係の諸税が絶対道路以外使えないということもございまして、文句もこれは言えないんですが、そういった立場でもって少しく、いえば公共事業計画の進みぐあいの関係の調整とか、国民生活に密着した部分をもっとやっぱりウエートを重く見るとか、同時に関係の事業体との兼ね合い、これはさっきのお話の前倒しにも関係いたしまして、中堅以下の下請のところが非常にやっぱり仕事の途中でストップしてしまったりしますと困っちゃうわけですから、そういう点等含めた配慮がどうしても欲しい、こういう感じがいたします。
大体進行状態わかりましたけれども、そういった政策的な若干やっぱり国民生活との絡みにおける配慮がどうしても欲しいということを、特に私は治水問題が、災害の国とさっきお話もございましたけれども、この辺はもうちょっとやっぱり弾力的に計画を厚みを加えてもいい問題、こう考えていますので、その辺の工夫がこれからもしていただけるかどうか、その辺伺っておきたいと思います。
#43
○国務大臣(内海英男君) 先生御指摘のように、治水関係の予算は、私ども大蔵省と毎年交渉いたしますときも、災害復旧というようなことを考えてみると国土の保全、災害から守るという意味からいきましても重要課題であるというところで、力強く推進をするようにお願いをいたしておるわけでございますが、財政上の状況でなかなか思うようにいかないというのが現状でございます。さらに、制度的に今度は急傾斜地崩壊対策事業、こういうような新しい災害をある程度未然に防止できるような施策を政策としてのんでもらうというような形で、別の面でも多少考えてもらうというような形もとっておりますので、この辺でやむを得ないのかなということで、ゼロシーリングという大枠をかぶせられておりますものですから、大変われわれとしても満足しているわけじゃございませんけれども、そういう点で話がおさまっておるようなかっこうになっておるわけでございます。
急傾斜地崩壊対策事業という新しい制度を五カ年計画として認めてもらったということも大きな一面成果でもあると思いまして、今回の場合は多少、治水の方の予算につきましては満足はいたしておりませんけれども、そんなところで話をつけたというようなのが実情でございます。
#44
○大木正吾君 ここ五年間ぐらいの大ざっぱな補正の中身と、それから災害対策に組んである予算ですね、これを比較しますと、まあこの比較論が正しいかどうかということも問題ありますけれども、常識的なというか、平面的に見ていきますと、補正でもって結局組んでいる激甚関係の手当て等含めて見ていきますと、三倍から四倍ぐらい当初予算よりもよけい金が必要なんですね、結局は。ですから、竹下さんもそう僕はわからぬ人じゃないと思いますから、それこそ予算の効率的なとか有効なとか、しょっちゅう役人の方使うんだから、効率的とは何ぞやということを言いましたら、やっぱり起きる前に手当てをしておけば一番いいわけなんですから、そういう点で両大臣に御努力のほどをこれからもお願いいたしておきたいんです。それから、さっきの公共事業関係に若干返って委員長、質問を続けさしていただきますが、これは企画庁が非常に何か大胆な問題へのアプローチされた新聞記事をちょっと拝見いたしたんですけれども、大型公共事業を民間でやるという構想を新長官が発表されて研究会が発足したと、こういう記事がある新聞に出ておりましたわけですが、両大臣はこれについて何か御意見を求められたことはございますか。
#45
○国務大臣(内海英男君) 先般の三月十九日の関係閣僚会議の際にも、いろいろ宅地の利用というようなことから、制度的にあるいは規制の緩和というようなことから企画庁の方で打ち出されたといいますか、意見を述べられた経緯もございます。いま建設省では、宅地開発というようなことで都市計画の線引きの見直しというようなことも全国的な作業としていま着々やっておるわけでございますが、郊外の方にばかり市街化区域が伸びていくのもますます遠くなってしまうし、関連公共施設も莫大な金額にもなるし、それよりも都心の現在の市街地の中でもっと空間を高度利用できる問題がないか、こういうようなことで都市計画法あるいは建築基準法あるいは大都市の中で規制しておりますいろいろな規制がありますが、そういうことにつきましても都道府県等とも、この場合は東京都、大阪府というのが中心になるかと思いますが、そういう公共機関とも相談をして規制を緩和して、できるだけ市街化地域の中の高度利用ということも考えてみたらどうか。
それには相当莫大な資金もかかることであるから、資金をかけずに民間の活力をそこに引き出していって、政府としては規制を緩和することによって民間がそこへ積極的に乗り出したい環境をつくるということも景気回復あるいは経済運営の中で必要な措置ではないかというような議論も出たことは事実でございます。それらも含めまして今後検討していこう、こういうことになっておるわけでございます。
#46
○国務大臣(加藤六月君) 大木先生がいまお手元に持っておられる新聞は、恐らく大分前に出た大規模プロジェクトを民間になにするというものではないかと思いますが、役所間ベース、政府内部において正式にそういう問題についての話し合いはいたしたことはございません。ただ、今後民間の資金と知恵と努力をどの程度活用するかという問題についての議論はいたしましたが、大変大きな何千億、何兆円かかるというのを民間にやってもらうんだというような構想が政府の内部で正式に議論されたことはないということを申し上げておきたいと思います。
#47
○大木正吾君 内海さんのおっしゃったことは、これは現在でも臨調の方から大分財政的な制約がかまされまして、五十五年度からずっと横ばいの公共事業費の補完として財投資金とか民間資金の一部を利用していることは、私たちも大体予算でわかっているんですが、それを超えまして、いま加藤大臣がおっしゃった大型公共事業でございますから、たとえば千葉県に対して川崎の先の方から橋をかけるとか、例示されているわけですよ、記事の中には。そういったものをこのまま民間にお任せをするとか、極端に言いますと東京湾の埋め立てなどについてもそういうふうにする。そうなりますと、たとえば四国の新居浜からこっちのあの辺に、ずいぶん埋め立てをしながら遊んでいる地域がたくさんあります、率直に申し上げましてね。秋田県の男鹿半島にもたしかそういった地域があるはずなんですね。私もずっと現場見てきているわけですが、ああいうふうな姿見ておりますと、着想なりアプローチは私自身もなるほどこういう考えがあるかということはわからぬでもないんですがね。ただ、民間にということは、民間の企業の体質上どうしたってこれはもうからないですね、俗っぽく申し上げますれば、もうからない仕事を民間はやるはずはないわけですから。
それから同時に、今度は国民の所有しているものを民間が仮にそれに投資をいたしまして橋をかけたり有料道路をつくったり、まあ十五年でもってほぼペイしたら国とか自治体に返すとか、そういったところも関東の中に一部たしか那須か何かに有料道路ができて何年か後に返ってきた例がありますけれども、そういうふうなこと等をあちこち見ている感じで申し上げますと、これは相当慎重なやっぱりあれが必要だろう。
むしろ民間の資金を利用するならば、現状ですね、現状の中でもってどういう民間資金の活用の仕方があるかということをその前に詰める方が先決じゃないか。たとえば、いま建設省さんは民間のあれを使っておるけれども、それの金利は幾らになってどれぐらい返済でもってどうするかという問題につきまして、恐らくまだそこまで、四、五年前に始まったばかりですから、あんまりそういった計画は見てないと思いますよ。
ですから、そういったことを含めて私は、こういった大胆な発想ということもそれは確かに考えとしてはあり得るかなということもあるんですけれども、少しやっぱり法的な隘路とか、今後のあり方の問題とかでは慎重な検討を要する問題なんで、いま加藤国土庁長官おっしゃったように、やっぱり相談がもしなかったものでしたら、これは絶対こういったものについては、まあ国家的見地から相当慎重な各層の方々の意見を聞いた上で案を練らないと大変な問題に発展しかねないと、こう考えています。
特別に答弁ということは必要求めておりませんが、私の感じでは、いえば現在建設省がやっているものをもう少し規模を広げるということはあり得るかもしれません。同時に、丸山次官よく言われますけれども、公共事業の投資の場合には、いえば税収として返ってくる分が、三年間でトータルで見ていけば、一兆投資をすれば一兆五千億円返ってくる、こういう話が資料として大蔵省か企画庁で出しているはずです、おたくの方ではね。やっぱりそういったこと等も含めた中での総合的なものでなければいけない。
新経企庁長官張り切っちゃって、そしてもう前のやつを全部消しちゃって新しい着想だ、こう言ったって、やっぱりこういう種類のものがぼんとこう出てきますと、思いつきかなということにも感じますし、いえば民間の企業というのは、ただもう商法的な会社でしたらどうしたって利益追求ということが中心になりますので、その辺篤と慎重に御対処をお願いいたしておきたいと、こう考えております。
加藤さん、もう一遍ちょっと見解聞かしてくれませんか。
#48
○国務大臣(加藤六月君) そういう問題については慎重に対処していきたいと思います。#49
○大木正吾君 最後に、いまの問題等も含めてでございますけれども、先ほど私申し上げました、要するに、両大臣あるいは関係の局長さん方にお願いしておきたいんですが、この不況対策でアメリカの景気が本格的に回復に向かうかどうかということは、一時的にああいった状況がいま起きていますけれども、やっぱり財政赤字が大きいし、失業者も大きいですから、なかなか大変だろうと私は思いますよ。産油国の方がまたあと三ドルか五ドル下げることが起きるのかどうかということにつきましても、産油国の貧乏という形でもって輸出がさらに伸びないということも逆の問題としまして考えておくことも必要でしょうからね。そういう点ではやっぱりアメリカの景気がどうのこうのじゃなしに、日本自身がいわば国際経済の中に貢献していく立場における公共事業のビジョンなり役割りの見直しですね、こういったことをぜひ含めて、単なる景気対策に終わらせないで、少し長期的なものを、いろんな特別委員会でもつくってもいいでしょうけれども、検討していただきたいことを最後にお願いしておきたいんです。
その次に、例の談合問題に絡んだ、これは少し問題の多いことでございますけれども、例の中建審の建議が出たはずでございます。これについて、先ほど大臣の所信の一部修正した部分を読んでいただいたんですが、これについて建設省はどういうふうに対処される御方針ですか。
#50
○国務大臣(内海英男君) 担当の局長から答えさせます。#51
○政府委員(永田良雄君) 先般中央建設業審議会から入札制度の問題について建議がなされました。御承知のように、その内容は、一つは指名競争契約制度を基本とすべきであるというのが一点でございます。それからもう一点は、二十社指名というのを建設省が試行いたしましたが、いろいろ弊害があるので、これは適正なものに直すべきである、こういうのが一点でございます。それからもう一点は、積算基準等を公表すべきである。その他細々したものはございますが、ほぼその大きな三つになろうかと思います。これにつきましては、御承知のように一昨年の十一月、建設大臣から検討を依頼した結果の答申でございます。
当初問題になりましたのは、建設業の競争性の確保の問題が大変問題になったわけでございますが、中央建設業審議会では競争性の問題だけでなく、かなり幅広い面からの検討がなされたわけでございます。一つは建設業を、業者が五十万、雇用者合わせて五百五十万ぐらいと言われておりますが、これを健全に育成するという立場がございます。それから公共事業等でつくられるものは大変公共性の強いもので、それの工事の質が落ちるということは大変な問題になり得るという問題とか、いろんな面から考えてそのような答申になったわけでございます。
私どもといたしましては、この中央建設業審議会の答申について早急に、たとえば二十社指名の見直しの問題、あるいは積算基準の公表等については五十八年度から実施に移したいと思っております。その他の問題についても、この中建審の建議について十分配慮して措置していきたい、かように考えております。
#52
○大木正吾君 いまの答申の三つの問題で御発言があったんですが、三つだけですか、答申の問題は。#53
○政府委員(永田良雄君) ほかにもいろいろございます。たとえば、指名競争契約についての運用の問題について改善すべき点がある。具体的には指名の基準をもっと改善しなさいと、そういった問題がございますし、それから随契制度についてもっと検討して随契の基準をつくって取り入れるべきであるとか、その他まだございますが、そういった問題もございます。#54
○大木正吾君 それじゃ、ひとつ残っている大きな問題があると思いますが、それは後にいたしますが、いま御答弁あった中から伺ってまいりますが、たとえば、第二点で御指摘をされた指名業者数の問題ですね、見直しですけれども、これは五十七年度の一月二十九日の通達それ自身は撤回されるということになりますか。#55
○政府委員(永田良雄君) 中建審の建議に従って撤回と申しますか、所要の改善措置と申しますか、訂正をするというかっこうになろうかと思います。#56
○大木正吾君 これは東京都等でもやって、最近の、たった十日間の違いでもって東京都の答申が出ているわけですが、たとえばあなたが冒頭申された指名競争入札のところは制限つき一般入札と、こういうことで都の方は答申が出ておりまして、現に岡崎とか日立などではこういった類似の形をとりながら、談合防止で成功しているというものが現実には例があるわけですね。こういった地方における自治体の、いえば指名関係の入札、それに制限をつける問題と、仮にこの指名競争入札を答申受けて法制化したときには、一体地方自治体が善処している問題はどういうふうになるんですか。#57
○政府委員(永田良雄君) 中建審の建議と東京都の入札検討委員会のものと違うんではないかという御指摘からの御質問だと思いますが、私どもは基本的にはそう変わっておるとは思いません。で、中建審でも一般競争契約の長所、短所というのを十分解析はいたしております。したがって、一般競争契約の採用につきましては、問題点がいろいろあって大変むずかしい問題はあるが、これらにつきましては、わが国建設業の産業構造の現状との関連を含めて、今後幅広い検討をしろと、こういう建議になっております。それから一方、東京都の入札検討委員会の答申でございますが、これにつきましても、「公共工事の契約の適正化を期するため、制限付一般競争入札を導入した場合の問題点を慎重に検討したうえ、指名競争入札の方式に加えて、対象となる工事の種類、規模及び地域などに配慮した制限付一般競争入札の採用を検討すべきである。」というふうに言っておりますので、私どもも幅広い検討はいたします。したがって、基本的にはそれほど、東京都のものと私どもの中建審の建議とそれほど違っているというふうには思っておらないわけでございます。
#58
○大木正吾君 それほど違ったものじゃないというようなあなたの理解のようだけれども、東京都の場合には談合排除ということをどうすればいいかという問題と、同時にやっぱり指名競争入札というものについてどうすればこれから抜け出せるかということでもって、こういった前向きのことを少し出したと思いますよ。ですから、いえば表面的に見ていけば余り違いないとおっしゃるかもしれませんが、内容とするところは私は相当違いがある、こう考えているんですね。要するに、談合というものを排除していく、なるべく減らしていくと、こういう立場からすれば、これはこれからの立法上の問題にも絡んでくるでしょうけれども、相当やっぱり含意は違うだろう、含んでいる意味は違う、こういうふうに考えているんですが、そうじゃないですか。
#59
○政府委員(永田良雄君) いま御指摘の件は、競争性の確保の問題についての御指摘だと思いますが、中建審でもこれにつきましては言及はいたしております。中建審の建議では、その点につきましては、「わが国建設業の市場構造の特殊性、生産構造上の特異性等の実態を考慮すれば、建設業における市場競争の在り方と独禁法との関わり合いについての立法政策を含めた幅広い検討が、極めて重要であると認められる。したがって、この課題に関しては、十分な検討を行う場を設ける等積極的な取組みが必要である。」というふうに言っておりまして、私どもといたしましては、この建議のある前から建設市場競争問題研究委員会をつくりまして、ここで検討していきたいというふうに考えております。なお、刑法上の談合とかあるいは独禁法上の違反事実については、私どもも業界を指導してまいりたいというふうに考えておりまして、その点については当然法令に従うべきだというふうに考えております。
#60
○大木正吾君 時間が余りありませんからぶっ続けで聞きますけれども、要するに二つ目のこの指名業者数の増大を見直す云々は、増大を見直すということですから、結果的にはもっとふやすということにならないと思うんで、二十社見当といった指導というものを十社か十五社に減らすんだと、こういうふうにそのままずばり受けとめざるを得ないんですが、それが一つ。もう一つは、いまあなたがはしなくもおっしゃった、例の独占禁止法の問題ですがね。これは公取にもちょっと発言してもらいたい、時間がありませんから。
これについて、この答申のむしろ柱的なものだと私は見ているんですが、実はこういうことがあるんですよ。とにかく年末からずうっとあちこち、まあことしは政治の季節だからパーティーなんかたくさん持たれる。そのときに、いえば大手、中堅のそういった方々とたまに会うこともあるんですよ。そうすると、堂々と言っていることは、むしろ談合についてあれだけわいわい騒いだと、しかし結果的に何も他に方法はないはずなんだよということが一つ。その次の問題で出てくることは、次は独禁法からとにかく建設業というものを外すことは外すんだと、これがねらい目だと、こういうふうな話をパーティーで一杯やっている最中、堂々と僕らに言うわけだから、ああそうか、それだったら私の方は絶対にそれはもう抑えるぞというような話をして別れるようになるんですが、そういったことのペースにぴたっとはまっている独禁法問題について法改正を含めて検討と、こう入っているわけだよ。
この二つを答えてもらいたい。後の方は公取委員会に答えてもらいたいんですがね。どうされるんですか、これは。
#61
○政府委員(永田良雄君) 独禁法の問題は、先ほど申し上げましたように、中建審の建議の中に幅広く検討をしなさいよということがございますので、先ほど申しましたように、学識経験者等にお集まりいただきまして、建設業の市場競争というのは一体どうあるべきなのか、それからそれとのかかわりにおける独禁法の運用あるいは立法政策というのはどうあるべきものなのかということを十分今後検討していきたいというふうに考えております。#62
○説明員(腰原良吉君) お答え申し上げます。事業者または事業者団体が共同して受注予定者等を決定することによりまして一定の取引分野における競争を実質的に制限する、こういうふうな場合には、これは独占禁止法に違反するということは明白なことでございまして、公正取引委員会としてもこれらの行為に対しましては、従来から厳正に対処してまいっているところでございます。
建設業と独占禁止法の関係についていろいろ意見があるやに伺っているところではございますが、公正取引委員会といたしましては、従来から建設業に限らず産業の健全な発展を図るためには公正かつ自由な競争を維持促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにするということが基本であって、何らかの対策が必要としましても、それは独占禁止法の枠内で行われるべきものだと、かように考えているところでございます。
#63
○大木正吾君 いずれにいたしましても、これはこれからも議論が当然起きるわけですけれども、たとえば「建設月報」ですね、これは何月の何号ということはちょっと書いてありませんが、この中に公取委の第三審査長菊池さんがメモしたのを、書いたものを引用いたしまして、建設業界の方で何とかという方が、これは公取委員会も独禁法から建設業を別扱いすることを認めたんだと、こういうふうに勝手なことを理解してここで書いておるんですね。この辺のこと、私としても一応いただく資料の大事なところを目を通しているわけだから、国会でもって大ざっぱに言っておけば、あいつごまかしきくだろうと思うと大間違いで、この辺のことは、公取と建設省の認識は、やっぱり中建審の建議に書かれている意味合いの中身は、いまの公取の答弁とは違うというふうに僕は見ていますから、いいですか、そこのところはっきり念を押しておきます。
いずれにいたしましても、これから今後の議論にしてみたいと思うし、これは絶対に今度の中建審建議の中でも許されるべきものじゃないと、こう考えておりますので、はっきり申し上げておきたい。
最後に、これは時間がないんで国土庁長官にちょっと伺いたいんですが、予算委員会での質疑で総理が話したこととの兼ね合いなんですが、東京新聞、サンケイ新聞に出た記事で、立川には防災基地センターをつくられて、ここに、いえば震災のときなんかに何というんですか、第二内閣を持っていくとかいう話が出た記事を拝見し、その後何か大変な誤報だと言って取り消さしたとかというお話があったり、二つ目には、あなたは防衛庁長官をやったことないんだけれども、実際問題、震災のときに使えるヘリコプターというのは日本には何機ぐらいあると思いますか。その辺、もしお考えがあったら聞きたいんですが。
#64
○国務大臣(加藤六月君) ヘリコプター台数、いま数字を持っておりませんが、警察庁、消防庁、自衛隊等で、そうして都道府県の県警ですね、こういうところにも、それから海上保安庁でも、毎年それぞれの計画を立てて、ヘリコプターの増強計画を立てておるわけでございます。震災が起こったときに、道路関係、いろいろな関係、鉄道関係等いろいろなケースが想定される場合がありますが、救助活動、あるいは負傷者を運ぶとかあるいは食糧とか、いろいろなものを緊急に運ぶとか、あるいは震災が起こっておる現地の上へヘリコプターを飛ばして、適宜適切に消防や警察やいろいろなものに指令を与えるとか、私は、大規模な震災が起こった場合には、ヘリコプターの効用といいますか、機能というものを十二分に活用していく必要はあると、こう思っております。
具体的な数字その他につきましては、政府委員から御答弁申し上げます。
#65
○大木正吾君 時間がありませんから、長官にちょっともう一遍、ここで……。立川の防災基地のことですね、これについては、あなたが国土庁長官の間だけはやらないとおっしゃるのか、先行きもやらないとおっしゃるのか。その辺のところをちょっと、新聞に出たやつを取り消されたような話を聞きましたが。
#66
○国務大臣(加藤六月君) これは間違った一部の記事がありまして、第二首相官邸云々ということでございますが、私は、立川防災基地は絶対必要だ、こう思っておりまして、どういいますか、広域的な災害が発生した場合に、応急対策活動の拠点となるものはどうしても一つ欲しい。そうして、災害対策実施本部とか、警察、消防の防災関係機関とか、それから先ほど申し上げました災害情報の収集連絡、救援活動を行うあるいは備蓄倉庫、医療施設、こういうものを総合的に集中的にした基地というものは、国民の生命と財産を守り、そうして南関東における多くの国民の皆さん方が持っている不安というものを解消していくためにも、これは必要である。しかし、それが第二首相官邸だとかなんとかといって言われることについては、これはおかしいわけでございまして、広域防災基地として、そうして最悪の場合に災害対策本部用施設を予備施設として設けるということでございますので、よろしく御理解いただきたい、こう思っておる次第でございます。
#67
○大木正吾君 時間がありませんからこれで終わりますが、あと同僚委員の質問にお任せしますが、とにかく、中曽根さんという方は、自民党の中でもえらい問題になったようですけれども、あの方は非常に自衛隊が好きな方なんですか。自分が海軍に行って中尉か何かで帰ってこられて、実戦に余り参加しなかった経理関係だったからかもしれませんけれども、どこに行っても自衛隊ヘリコプターが出てくるんですよ。いまの震災対策もそうですが、私は念のために調べてみたのですよ。たとえば海上自衛隊のヘリが幾らとか、航空自衛隊が幾らとか、きのう調べてみましたら、救援に使えるヘリコプターというのは自衛隊関係では全部で大体四、五十機ぐらいしかないんですよ。あとは消防庁その他ありますが。
ただ、私たちは、都民なり国民から見ますと、そういったものは、たとえば、どこかでもって災害のとき孤立した家に五人ぐらい助けを求めているとか、そういうときにはいいんですよ。同時に、避難個所に食糧を投下するとか、そういうことはいいですが、橋がほとんど全部だめになってしまうとか、建設省は恐らくそんなお粗末な橋の計画はやっていないと思いますよ。地震があったときに東京都内の橋が全部なくなってしまうとか、こんなべらぼうなことをやっておったら、いまのうちに全部改修してもらわなければいかぬですからね。橋が全部ぶった切れちゃうからあとはヘリコプターしかないとか、こんな乱暴な議論というのは、これはうちの和田委員が質問したのに対する答弁なんですが。
とにかく、ああいった形でもって自衛隊と防災というものをやたらにひっつけたがるという習慣がありまして、国土庁長官は防衛庁長官ではないわけでございますから、その辺はあくまでも、自衛隊の力をお借りすることはいいんですが、しかしやっぱり本体的にはそういった地震対策、災害対策については、主管官庁といたしましてなるべくたくさんの避難地をつくるとか、スペースを広げるとか、そういったところに食糧とか医療品とか水とかというものの心配をなくするとか、そういったことに知恵をしぼってもらいたいことをお願いしておきたいと思います。
終わります。
#68
○委員長(片岡勝治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。午後零時二十六分休憩
─────・─────
午後一時二十五分開会
#69
○委員長(片岡勝治君) ただいまから建設委員会を再開いたします。午前に引き続き、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。
#70
○茜ケ久保重光君 住宅対策について若干お尋ねをするんですが、その前に、先ほども建設大臣から予算の概要の説明がありましたね。ちょっと拝見しますと、建設大臣はなかなかお金持ちなんだな。一般会計で約四兆六千億、国庫債務負担行為でいうと五兆円近く。一般会計の予算がそうだし、あとの特別会計などを入れますと約十兆円にもなるんですな、五十八年度、あなたの持っている金は。国の一般会計予算が約五十兆でしょう。その約一割をあなたが持っているわけだな。それからその他の財投も入れると約十兆円。建設大臣は閣僚随一のえらいお金持ちなわけだ。そこで、きょうは詳しくは聞きませんが、これだけの金を持っておる建設大臣の政治手腕によると、日本の景気浮揚その他についてかなりの実績が上がるんじゃないかと、こう思うわけです。それはそれとしても、官房長、この十兆円のお金の内訳ですが、建設省に人件費というのがあるでしょう。労務費なんかも入れた人件費とそれから建設資材その他の費用というふうに分けるというと、これは大体でいいですが、大体どのくらいの比率になるかわからぬですか。
#71
○政府委員(豊蔵一君) ちょっと、資料を整えまして後ほど御報告申し上げますので、しばらく時間をちょうだいしたいと思います。#72
○茜ケ久保重光君 いま言ったように大変なお金持ちであるので、建設省の行政のやり方によってはかなり上がると思うんですね。したがって、この膨大な予算をひとつ上手に使ってもらって、五十八年度の景気を上げるように努力してもらいたい。建設大臣は大黒さんみたいな顔をされておるから、あなたはいろいろな意味でこれは大いにぜひやってもらいたい。いかがですか、建設大臣。ひとつ大いにやってもらいたい。#73
○国務大臣(内海英男君) 一般会計の予算につきましては、御指摘のように、大変多額の公共事業費を私の責任で扱わせていただいておるわけでございます。したがいまして、貴重な国民の皆様方からお出しいただきました税金でございます。大切な予算でございますから、大事に有効に使わしていただきたい、こう考えておるわけでございます。#74
○茜ケ久保重光君 ひとつどうぞその心がけでぜひともやってもらいたいと、こう思います。もっと聞きたいんだけれども時間も限られているので、これについてはその程度で終わりまして、これから住宅政策に入ります。家が足らぬ足らぬと言っている。政府の住宅政策もなかなか予定どおりいかぬ。それにはいろいろな原因があるけれども、結局は、私は土地問題だと思うんです。私どもの群馬県でも、ちょっとしたところは坪三十万、五十万もする。ですから、今日では家を建てるのに、土地ともに入れると土地代の方が高くなってしまうんですね、建築代よりも。そこで私は、土地問題を何とか思い切ってやらなければ、今度の五十八年度住宅政策は思うようにいかぬと思うんです。かといって、加藤大臣にどうするとお伺いしても、そんなに、これというものは私はないと思うんですね。この辺で思い切って土地政策を、いままでやってきたようなことでなくて、終戦直後の土地解放とまでもいきませんでも、何か思い切った土地対策を立てて、月に二十万か三十万の給料取りの勤労者でも土地の五、六十坪から建坪三十坪ぐらいの家が建てられるというような状態に持っていかなければ、私は、何回こういう住宅政策を立てても、また住宅金融公庫がどんどん金を貸すといっても、私はどうにもならぬと思うんです。
そこでひとつ、加藤大臣は若手でやり手という話だから、やり手という話なんだから、ひとつ一遍あなた、何か、ここでどうするという答弁は要りませんよ。何か国民があっと驚くというかな、さすが加藤六月さんやるわいと思うぐらいの対策を考えてみる必要があると思うんだが、大臣やっぱり一年ぐらいだから、余り何もしないで、国会の答弁だけ何とかごまかせばいいじゃいかぬと思うんだよ、私は。大臣、あなたは二年か三年やりなさい、大臣を。中曽根君が何か言ったら、おれはやるんだと言ってやってもいいと思うんだな、僕は。じゃないと、一年じゃあなたしようがない、本当に。したがって、これは建設大臣もそうだが、加藤国土庁長官は二、三年粘って、あなたのいま言った思い切った土地対策をやってみたいというお気持ちは起こらぬかのう。そしてやってみたらどうなんです。どうです。
#75
○国務大臣(加藤六月君) 最近の土地動向を見まして、非常に安定してきつつあります。そして、経済社会情勢一般を見ますと、今後土地がそう上がる要因はない。したがって、こういうときに土地対策を相当思い切ったものを出したいと、そして、庶民の皆さん方が特に中心の住宅宅地を取得しやすいような方法をやりたいという気持ちは十二分にございまして、そこら辺で国土庁の皆さん、主として土地局の皆さんともいろいろいま議論、ディスカッションをいたしておるところでございますが、まあ土地というものは長期的に見ていかなくてはなりませんから、先生おっしゃったような「アッと驚くタメゴロー」のようないいアイデアが出るか出ぬか。要は、国民皆さん、庶民の皆さん方が良質な土地を安く手に入れられる制度、あるいはそういう情勢をうまく利用した改革というものをやりたいという意欲は十二分にございますので、先生の意向を体して、さらに一生懸命勉強さしていただきたいと、こう思っておるところでございます。
#76
○茜ケ久保重光君 まあ安定してますけれども、いわゆる高値安定で、いまのままではやはり、いま言った二、三十万のサラリーマンの皆さんはとても手が出ないと思うんです。私も国会議員二十一年してますが、ついに自分のうちができません。これはまあ私の不徳のいたすところだよ。ということは、まとまってはやっぱり二千万、三千万と出せないんですね。ローンがあったってやっぱり払うんだから。したがって、いま言ったように、ぜひそうしたものを、だから長期でもいいから幾らかでも宅地が、下がるというのも容易じゃないけれども、何かいま言った思い切った施策を講じてひとつぜひやってもらいたい。これはまあここであなたがどうするとおっしゃることはとてもできませんが、そうした一つの腹構えで国土庁でぜひ推進してもらいたい、こう思うわけです。そうすると、今度は建設省は思い切って建築の増産ができましょうが。まあこれは少し質問通告でない質問でしたが、ちょっとこの予算案を見まして感じたものですから一言お尋ねいたしたわけです。
それでは問題を、住宅政策について若干お伺いします。
これははっきり申し上げてかなり詳しくお手元までに質問のあれが行っているんですから、どうかひとつ、余りよけいなことは要らないですから、簡明直截に要点だけ言ってもらえばいいですから、どうぞひとつ余り言葉をたくさん使わないでお願いしたいと思います。私の方も簡単にお聞きします。
いまも申しましたように、住宅建設がなかなか低迷しておることはいろんな条件があるけれども、いま指摘したように土地問題が一番大きいんですが、この土地はなかなか簡単には値下がりもしませんでしょうし、そう一般庶民がいいところを取得することもなかなかできません。冒頭にも言いましたように、建設省のいわゆる予算というものはかなり膨大でありまして、その使いようによってはかなり一般的な景気浮揚にも貢献するところがあろうと思うんであります。しかし実際問題として、いま住宅政策だけに限って見ますと、いわゆる土地の高騰、あるいは建築資材等の高騰、あるいは人件費の高騰等でなかなか容易ではありません。
したがいまして、そういうことを勘案しながらも、いまの建設省の予算の執行を住宅建設に限って考えますならば、ひとつどういうふうなことに意を用いて行政をやっていただいたら景気浮揚に役立ち、また庶民の住宅獲得に資するところがあるか。これもなかなか容易じゃありません。ありませんが、ひとつ冒頭に大臣のこれに対する所見をお伺いしたい。
#77
○国務大臣(内海英男君) ただいま御指摘のように、住宅の投資はその波及効果が大変大きくて、また関連する業種も多岐にわたっておるわけでございます。したがいまして、住宅建設の促進による景気浮揚というものは大いに役立つものと考えておるわけでございます。このため、五十八年度の予算編成及び税制改正といった面におきまして、住宅金融公庫の個人住宅建設の従来からの無抽せん体制の維持、さらに貸付限度額の引き上げ、住宅取得控除の改善、中古住宅の流通の促進、こういった金融、税制面の方から見ましても、改善措置を加えまして住宅の建設の促進を図ってまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
#78
○茜ケ久保重光君 議論すると時間がなくなりますから、議論はしません。ただいま一応お聞きすることだけをしてまいります。いま大臣もおっしゃるように、そういうことでございましょうが、とは言いながらなかなか現実は進捗してないんですよね、率直に言って。五十七年度もかなり予定よりも落ち込んだんでしょう、実際はね。
そこで、一般の持ち家の建設は遅々として進みませんが、政府が力を注がなくてはならない公団住宅や公営住宅の建設がやっぱりおくれている。これも私は、原因は一般と別に変わりはないと思うんです。けれども、公営住宅とか公団住宅については、幾らかやはり私は政府の施策のいかんによっては進捗し得るものであろうかと思うわけであります。住宅建設五カ年計画の戸数や持ち家の取得ができない者の居住水準の向上にも大きな問題を残すのじゃないかと思うんでありますが、そういった点を踏まえて、いわゆる公営住宅や公団住宅に対する今後の指導その他について、ひとつ大臣の所見と、一方、局長から少し具体的な話をしてもらいたいと思います。
#79
○国務大臣(内海英男君) 公営住宅及び公団住宅の問題につきましては、近年住宅適地の取得難と、こういった問題もございまして、その建設がおくれがちであることは先生御指摘のとおりでございます。しかし、五十八年度におきましては、厳しい財政事情のもとではございますが、公営住宅及び公団賃貸住宅につきましてはほぼ前年度並みというところまで確保できたという感じを持っておるわけでございます。今後とも、極力公営住宅の建設につきましては居住水準の向上とあわせまして努力をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
#80
○政府委員(松谷蒼一郎君) 公的賃貸住宅の供給につきましておくれがございますことは先生の御指摘のとおりでございます。ただいま大臣からの御説明にございましたように、私どもとしては一生懸命こういった公的賃貸住宅の供給の促進に努めているところでございますが、たとえば今年度公団の賃貸住宅の改修コスト、家賃の計算の根拠になるものでございますが、改修コストの引き下げを図っております。また、来年度の予算案につきましても、関連公共施設の対象地域の拡大でございますとか、あるいは公営住宅あるいは公団賃貸住宅の用地費の単価の引き上げでございますとか、そういうようなことをやっておりますし、近年は用地の取得が非常にむずかしい関係もありまして、公営住宅等では古い木造住宅を建てかえまして、そこに中高層の住宅を建設して市街地住宅の供給の拡大を図るというような方式もやっておりますが、そういうような建てかえ方式につきましても種々の助成の拡充、改善を図っているところであります。
また、住宅・都市整備公団につきましても、来年度特別の借地方式賃貸住宅制度というものをスタートさせまして、公的な賃貸住宅の一層の建設の促進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#81
○茜ケ久保重光君 いま住宅公団の建設した家で、賃貸と分譲との比率はどうなっているのか、わかったらひとつ……。わかりますか。#82
○参考人(志村清一君) 私ども現在管理しております賃貸住宅は約六十三万戸でございます。それから分譲住宅で管理しておりますのが約十六万戸でございます。それからいわゆる民賃と称しまして、地主さんの土地を利用いたしまして低額な貸し家を供給するという仕事もやっておりますが、これが十七万五千戸、合計しまして約九十三万戸ぐらいをただいま管理をいたしております。#83
○茜ケ久保重光君 何というか、持ち家は皆持ちたいけれども実際にはなかなか持てない。なかなか持てませんので、やはりいま言った公的な賃貸住宅は私は大いに今後やってもらいたいと、こう思うんだが、やっぱりいまも局長も言ったように、いろんな制約があってなかなか思うようにいかぬと言うんだが、しかし、これはやっぱり何としてもこれを推進してもらわぬと今後の住宅政策というのは大いにそごを来すような気がするんだが、何かあれか、もちろんここで妙手があるとは思えぬけれども、もっと工夫したら何とかなるという見通しか何かないものかな。これは公団でも結構ですが、あったらひとつ……。#84
○政府委員(松谷蒼一郎君) 先生の御指摘のように、大都市で公的賃貸住宅の供給の拡大に努めてまいらなければならないということはそのとおりでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、用地の取得難でありますとか周辺住民との調整の難航でありますとかいうようなことで、なかなか賃貸住宅の供給が思うに任せないというのが実情でございますが、賃貸住宅の性格上、やはり大都市の中でもできるだけ既成市街地の中にそういった住宅を供給をしていくというのが基本的な方針、筋ではなかろうかというように考えております。
そのために、たとえば公営住宅につきましても、下を店舗あるいは業務施設にいたしまして、上に公営住宅を乗せるというような市街地住宅の供給の促進を行う事業でありますとか、あるいは既成市街地の中にも公的住宅、木造住宅がたくさんありますから、先ほど申し上げましたようにその建てかえを図って高層の賃貸住宅を供給していくとか、そういうような制度をいろいろと考えております。
さらに、来年度は市街地住宅供給整備事業という名前で市街地の中の敷地権者が共同して建物を建てかえる、そのときに住宅をその上に乗せるというような場合にはできるだけ法的な規制面であろうとか、あるいは助成の面であろうとか、優遇をしていくというような制度を考えていきたいというように考えております。
先生のおっしゃるような特に奇手というような、妙手といいますか、そういうものはまだございませんが、いま言いましたようないろいろな制度を総動員して、公的な賃貸住宅の供給の促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#85
○茜ケ久保重光君 公団にこれはちょっと聞くんだが、公団の賃貸住宅で一番高い家賃は幾らか、一番安いのは幾らか、平均がどのくらいなんです。わかったら――わからなければわからなくていいですよ。大体でいいよ、大体。#86
○参考人(武田晋治君) お答え申し上げます。賃貸住宅で一番高いものにつきましては月島一丁目に建っております、大きさが三LDKで七十七・二二平米でございますが、十万二千八百円でございます。これは現在傾斜がかかっていて恐らく三年目程度の家賃かと思っております。
それから最低の家賃でございますが、これ名古屋市の小幡というところの団地でございまして、それが十二・一八、一Kでございます。それが五千百円という家賃でございます。
#87
○茜ケ久保重光君 平均。#88
○参考人(武田晋治君) 平均は全住宅が二万八千百円でございます。#89
○茜ケ久保重光君 それを東京で見まして、大体同じようなところにありますね、同じような規模の住宅の家賃と比較しますとわかりますか、どんなものです。大体でいい。#90
○参考人(武田晋治君) 正確な形で実は比較しがたいと思いますが、相当程度安い状態にございます。何割というのはちょっとまた後ほどお答えさしていただきたいと思います。#91
○茜ケ久保重光君 そこで総裁、この間家賃値上げの申請をされました。いま最高と最低をお伺いしたんですが、今度の家賃値上げの申請の、余り詳しいことはいいですが、大体の大まかな内容を御説明いただきたい。#92
○参考人(志村清一君) 先生御承知のとおり、私どもの経営しております賃貸住宅は中堅階層の方々にお使いいただくということが眼目でございますので、大体公団創設以来、そのときにおける中堅階層の方々の所得の一五%ないし一六%程度の家賃になるように考えまして、政府の御援助をいただいたりその他いろいろの御配慮を賜ってやってまいっております。したがいまして、古い住宅につきましては、当時の所得の一五、六%程度であったわけでございますが、その後若干の改定はいたしましたが、現在の状況で見ますと、安い家賃になりますと現在の中堅階層の所得の三%程度というような低い家賃のものもございます。片や新しくできます家賃につきましては、いま御説明しましたように、非常に高いものも一部ございますが、平均的にいたしまして、現在の中堅階層の所得の一五、六%になっております。それらを直ちに比較するということは問題ございまして、住宅の古さとかあるいは広さとか、設備とかいろいろ問題がございますが、いずれにしましても住宅相互間におけるバランスが崩れておる。このバランスをある程度是正をいたしたい、かように考えまして、今回、大臣に申請を申し上げたわけでございます。
一応改定の実施時期といたしましては、前回の改定からちょうど五年たちました本年の九月を目標にいたしております。
また、改定についての幅でございますが、これが大きな問題でございますので、公営住宅におきましても、古い住宅につきまして家賃の改定のシステムがございます。これは公営住宅の家賃につきましては公聴会を開いて大臣の御承認を得るのが原則でございますが、法律に定められた公営限度額方式で行いました場合には、公聴会も大臣の承認も要らないというふうなシステムになっておりますが、この公営限度額方式を今回は利用さしていただくというふうに考えております。
それでも相当額がふえるというふうなことがございます。そのために、実はこの公営限度額方式で算定いたしました増加額を半分にいたそうというふうなことで考えております。半分にいたしましても、さらに一部について高いものが出ると入居者の方に御迷惑をかけるといかぬということで、半分にいたしましてもさらに最高限度額を設けるというふうなことで、これも部屋数によりまして、一部屋の場合には八千円、二部屋の場合には九千円、三部屋以上の場合は一万円というふうなことを最高限度にいたしたい、かように考えております。
こういうふうにいたしまして、さらには引き上げ額が五百円未満であった場合には、これは現行家賃で据え置くというようなことにいたしております。
さような意味におきまして、対象の戸数のうち、今回の見直しを行う戸数は約三十四万戸になろうかと思います。平均の引き上げ額は五千円でございまして、引き上げ率は二六%程度になろうかと、かように考えております。
なお、かような措置をいたしましても、生活保護を受ける方とかあるいは老人世帯、母子世帯あるいは心身障害世帯の方々についてはなお問題があろうということで、これらにつきましては家賃をさらに減額する特別の措置を講じたい、かように考えております。
また、この改定による増収額でございますが、これにつきましては維持管理経費と家賃の抑制に使いたい、かように考えております。
なお、敷金の問題でございますが、敷金は改定後家賃の三カ月分に相当する額に改めたい、以上が大体大臣に申請申し上げました内容でございます。
#93
○茜ケ久保重光君 いろいろと質問があるんですが、また日を改めてお尋ねすることになろうと思います。大臣、公団家賃問題は、公的賃貸住宅のあり方という住宅政策の基本と密接不可分であると考えておりますが、その扱いというものは、住宅政策の基本理念を明らかにする住宅基本法、これは社会党がもう何遍も出しているんですが、なかなか政府も自民党さんも言うことを聞きません。私は、住宅基本法という社会党が持っているものをやはりこの際検討することが必要だと思うし、大事なことと思うんですが、いまそこまでいっておりません。
したがいまして、この住宅基本法――社会党案だけには固執しませんが、そういったものをやっぱり近い将来つくって、こういった問題を基本的に対処できることが私は必要と思うのでありますが、大臣としてはそれに対してどのような御所見をお持ちか伺います。
#94
○国務大臣(内海英男君) 公共賃貸住宅の家賃につきましては、昭和五十六年八月に住宅宅地審議会から「現行家賃制度の改善について」という答申を受けております。したがいまして、建設省といたしましては、その答申の趣旨の徹底を図るよう公団賃貸住宅等の事業主体を指導しているところであります。なお、先生のただいま御指摘の住宅基本法につきましては、住宅政策の目標を初め基本的事項についてさらに広範な検討をしなければならない諸問題等もございまして、関係諸方面との連絡をとりながら目下検討を進めているところでございます。なかなかむずかしい問題もあるやに承っておりますので、鋭意その調整を進めていく考えでございます。
社会党の方から衆議院の方に住宅供給法案というんですか、そういう法案が出ておることも私も承知をいたしております。それらも絡めまして、よく御相談をして調整を図ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。
#95
○茜ケ久保重光君 私は、やはりさっきも土地問題で言ったように、ある時期には、いろんなことがあるけれども、それをやっぱり思い切って飛躍することがあってもいいと思うんですね。それが国民全体の利益であり、住宅の欲しい無数の人たちの要望にこたえ得るというのならば、私はやはり、あるときにはひとつ一足飛びに飛んでもよかろうと思うんですが、しかし大臣もそうは簡単に言えないでしょう。しかし、本当に真剣に考えてやっていただきたいと思います、これは。いま公団住宅の値上げの問題については、いままでにもいろんないきさつがありますし、また、これは当然、この件については集中的な論議も必要であると思っております。したがって、後ほど委員長に御提案申し上げてそういった取り扱いをお願いしようと思っておりますが、ただ、ここで指摘したいことは、前回の値上げのときいろいろと問題がありましたし、数字的な審議もございましたが、それを受けて建設大臣、公団総裁は、国会で入居者団体との関係正常化について話し合いを約束をしたと思うのであります。これは大臣もかわり、総裁もかわっておりますけれども、これが国会における先般の集中審議の過程から出た一つの結論であります。
これは、大臣がどうしたかとは無理に聞きませんが、建設省と公団が、いま言ったいわゆる居住者団体、関係者とどういうふうな話をされたか、そのことについてひとつ建設省、公団両方からお尋ねいたします。
#96
○政府委員(松谷蒼一郎君) 入居者団体であります全国公団住宅自治会協議会、通称自治協と言っておりますが、と公団との話し合いにつきましては、昭和五十四年以降中断をしていたわけでございますが、ただいま先生から御指摘のように、建設省が仲介をいたしまして、それによりまして昭和五十六年の六月から話し合い再開のための協議を行うということで、私どもが聞いているだけでも現在までに四十数回の協議を行っているという報告を受けております。建設省といたしましても、できるだけ協議が調いまして話し合いの場ができるように、話し合いの場が再開されるように期待をしているところでございます。#97
○参考人(志村清一君) ただいま局長からお答え申し上げましたように、従来は二カ月に一回程度自治協の方々の御意見を承るという懇談をしておったわけでございますが、五十四年家賃裁判以来中断をいたしております。これらにつきましては、先生御指摘のとおり、九十四国会で先生方の御審議を踏まえまして、大臣の御仲介もございましたので、五十六年六月以降懇談を再開する環境をつくるべく話し合いを行っております。約一年半ちょっとの間でございますが、四十六回話し合いを行っておりますが、今日まではっきりとした成果を得るに至っていない状況でございますが、話し合いは続けておる状況でございます。
#98
○茜ケ久保重光君 やはり大事なことですからね、これはぜひ今後とも努力を続けていただきたいと思います。ここで委員長に要望したいのであります。
当委員会では、過去公団家賃問題で多くの議論を行い、また五十三年の前回値上げの際には大臣に対し委員長要望を出したところでございます。こうしたいきさつにかんがみまして、今回の値上げ申請に対しましても、第一に集中的な審議を行っていただきたいし、第二にはひとつ入居者代表を含めた参考人の意見も当委員会で聴取すべきであろうかと思うのであります。そして第三には、陳情を集約して決議か何かの形で委員会の意思を表明すべきであると思いますので、どうかひとつ委員長においてはそのようにお取り計らいをここでお願いしておきたいと思います。
#99
○委員長(片岡勝治君) ただいまの茜ケ久保君の御要望につきましては、理事会において協議をいたしたいと存じます。#100
○茜ケ久保重光君 建設大臣、いま申しますように、これは改めてこの件に関しては審議をいたしますが、それを踏まえて大臣としては、家賃値上げの申請を受けたわけですから、そういう諸般の情勢を勘案しながらひとつ適切な、しかも慎重な判断をしていただきたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。#101
○国務大臣(内海英男君) 公団家賃の改定の問題につきましては、十八日に公団の方から申請が出されました。それを受けましていろいろ建設省の内部におきましても検討をいたしておりますけれども、前回の家賃の改定の経緯等も踏まえまして国会の委員会等の御論議をいただき、また前回の改定の際の委員長の要望というような形で委員会の御意思が出ておりますので、それらも踏まえまして検討を重ねておるわけでございます。また、先ほど先生からも委員長に対する御要望がございましたように、この委員会におきまして十分御論議をいただきまして、その御論議を踏まえまして適正な改定を慎重に取り扱って行いたいと、こう考えておるわけでございます。
#102
○茜ケ久保重光君 居住者も決して値上げを絶対反対とは言ってはいないんですね。これはやっぱりいろんな情勢である程度の値上げもやむを得ぬところもある。ただ、居住者の立場に立つと何かいきなり出てくるような感じがあるようだし、しかし、一部では少し高く上げ過ぎるんじゃないかというようなことがあります。したがって、さきも言ったように、なるたけ居住者の皆さんと事前に折衝というか、話し合いをされて、これは絶対そこで私は話がつくものとは思いません、これはやっぱりお互いに上げられたくないのと上げたいのがあるんですから。思いませんけれども、当事者は別として、第三者というか、あるいは当委員会における審議の過程を通じて皆さん方がこれならばやむを得ぬだろうと、これはまあ妥当であると思うような線が出ることを私は望みます。そういったやっぱり努力は、今度も値上げが申請されましたけれども、その辺のところは十二分に含んでお願いしたい。今度の申請の内容を私はべっ見しましたけれども、やはりいま言ったようなことが若干あろうかと思います。
したがいまして、九月一日の実施を目標にされておるようでありますけれども、若干の時間があります。ひとつその時間をよく勘案しながら、建設省としても、公団としても、いま申し上げたことをさらに踏まえて善処していただきたいと思いますが、ひとつ大臣と総裁の御所見を拝聴したいと思います。
#103
○国務大臣(内海英男君) できるだけ入居者の方々の御理解をいただき、御協力がいただけるように全力を挙げて努力をいたす決意でございます。#104
○参考人(志村清一君) ただいま大臣から御答弁のあったとおりでございます。#105
○茜ケ久保重光君 大臣、これはあなたと禅問答みたいなことなんだが、ひとつあなたの御所見を聞きたいことがある。と申しますのは、私の地元で私の大事な支持者のところに起こった問題ですが、土地を貸したんです。建物をつくってはいかぬという条件をつけて土地を貸した。ところが、その土地に建物を建てて、建築基準法によってちゃんと確認をされて、おまけにこれは登記所で登記されてしまった。それで、建築基準法を調べてみると違法ではないんです。建築基準法から見て違法じゃない。すべて通っている。それがあなたね、人の土地を借りて、建物は建てませんという契約をしておいて、そして建てている。それがいま言ったように建築基準法の承認も受け、登記もされた。こういうことは大臣はどうする、あなたがもし自分としてそんなことをされたら、それでいいと思いますか、いかがですか。
#106
○国務大臣(内海英男君) 建築の敷地の問題につきましては、先生例を挙げてお話しになりましたが、権限を有していない者がその建築敷地に建築物を建設するということが社会的に許されないということは、もう御指摘のとおりだと思うわけでございます。しかし、現実の問題といたしまして建築敷地についての権限関係を的確に審査して把握するということは、実際問題として人的にも、経費の面からいきましても非常に困難な問題だと思うわけでございます。また、建築敷地の権利関係について判断を加えることは、建築基準法上の行政上から見ましても、その性格になじまないというような関係もございまして、登記関係は法務省の業務になっておりまして、建築基準の関係からいって確認をする場合も一々登記所まで行ってやるということは、実際いま申し上げたような事情で困難な問題だと、こう思うわけであります。
今後の建築基準の行政上の執行に当たりましては、ただいま先生が御指摘のような問題も全国には数あることだと思いますので、そういうような問題につきましては一層関係当局にそういうことが生じないように指導する以外にいまのところではないんではないかと、こういうような感じもいたしておるわけでございます。
#107
○茜ケ久保重光君 そのとおりなんですね。建築基準法でも違法はないんですね。登記所へ行っても、これはちゃんと手続したから登記をちゃんとした。しかし、基本的には大きな問題があるわけですね。人の土地に、しかも御丁寧に建築しちゃいかぬという約束をしながら、それをやっちゃってできちゃった。これはだれもいいとは思いませんね。ところが、いま言ったように法律的に言うと――それは民法の問題は別よ。しかし大臣、そういう家ができてしまって、つくった者も大変な金がかかっているでしょう。つくられた者は自分の土地につくられている。これはえらいことですよ。民事裁判をすれば勝つかもしれぬけれども、裁判する時間、費用、心理的な不愉快というか心労。つくった者は、これはもし負けちゃって、これを壊すとなればえらい損害だ。そういうことが堂々と存在することが私は非常にいかぬと思うんだな。それでいま、何遍かおたくの建設省の諸君も来てくれたし、実際、それはわかるんですよ。それはそれとして、これは私は、やっぱり政治の問題だと思うんですね。私どもの責任だと思う、政治家の。
したがって、ここで私は結論を出そうとは思いません。いま大臣もおっしゃったように、これは問題がありますから。これは何か、どこかでそういったことがないような、事前のやっぱり施策はこれは私ども政治家がなすべきだと思うんですよ。私もいまこうしたらいいという一つの腹案はありません、いろんな問題がありますから。
しかし、ことでひとつ問題を提起して、いますぐどうなるとは申しませんが、ひとついろんな関係者がやっぱり相談をして、こういうことがないように、いま大臣もおっしゃったように、私の関係者も表に出ましたけれども、恐らくたくさんあると思うんですね。それをひとつ何とかやっぱり事前に解決するような対策を講じたいと、こう思うんです。ひとつ大臣もぜひその点を踏まえて、関係者の諸君にそれなりの勉強と検討することをお願いして、一日も早くこんなことが起こらないように、ひとつぜひ対処していただきたい。私どももやはり政治家として責任を感じますから、何らかの対策を立てようと、こう思っています。
一層のひとつさらに御決意を最後に承って私の質問を終わります。
#108
○政府委員(豊蔵一君) 先ほどお尋ねがありました……#109
○茜ケ久保重光君 いまの件に対して、大臣から最後に説明してください。#110
○国務大臣(内海英男君) 具体的な、事務的な手続の問題にもなるかと思いますので、官房長から答弁をさせます。#111
○茜ケ久保重光君 いや、違う違う、違うんだよ。官房長の答弁と違うんだよ。#112
○国務大臣(内海英男君) 先ほど来の先生の御指摘の問題につきましては、建設省関係の事務当局にもよく検討を命じまして、法務省その他の方とも連絡をとりながら、そういうことが起きないように、事務手続に何かの一つ加えることによってそういうことが未然に防げないか、こういったものも含めまして検討をさせたいと思います。#113
○政府委員(豊蔵一君) 先ほどお尋ねがございました建設省の予算に関係いたします人件費あるいは労務費の関係でございますが、まず第一に人件費につきましては、建設省の職員の人件費は五十八年度約三百三十一億円と相なっております。それからまた、労務費でございますが、これは工事の種類によって差はございますが、私どもの方の調査統計課の方で調べました土木関係の総合の比率でまいりますと、大体用地費を含めまして二一%程度が労務費と相なっておるというふうな結果が出ておりますので、御報告申し上げます。
#114
○参考人(武田晋治君) 先ほど公団住宅と近傍の民間団地の比較の問題でございますが、最高とか最低の関係の住宅というのはちょっと調査できておりませんが、先ほどお答え申し上げました五十六年度末の平均家賃が実は二万八千百円になっております。したがいまして、それに近いような団地の例を調査いたしておりまして、その団地につきましては東村山市にございます萩山団地という二DKの団地がございます。その家賃が二万五千三百円でございます。そして、これに近い近傍の民間住宅の家賃でございますが、六万円から六万七千円程度の家賃のところが三カ所程度ございまして、その住宅との一平米当たりの比較等をしてまいりますと、大体公団住宅は四割程度の家賃になっている状況でございます。以上でございます。
#115
○原田立君 先ほど来委嘱審査の建設行政についての質問が行われているわけでありますけれども、当初大木委員からもお話ございましたが、景気の問題と公共事業のことについては非常に重要な関係性があることはすでに御承知のとおりであります。現在のわが国の景気は、いまだに底冷えから脱し切れない、低迷状態を続けておりますけれども、五十八年度政府予算案を見ますと、公共事業関係予算は約六兆六千五百億円、このうち建設省に関係する予算は全体の六八%、約七〇%近くを占めておりますが、景気の動向を左右する公共事業、住宅建設の促進など、建設行政をどう進めていくつもりでいるのか、基本姿勢について建設省並びに国土庁の方からお伺いしたい。
#116
○国務大臣(内海英男君) 公共事業につきましては、基本的には立ちおくれておりますわが国の社会資本の整備水準を向上させるという任務を担うものでありまして、長期的視点に立ちましては着実かつ計画的に推進していくべきものでありますが、現在のような経済情勢のもとにおきましては、景気の維持拡大に資するという配慮も必要なものと考えております。このような観点から、五十八年度の予算案におきましても公営住宅の建てかえ事業、交通安全施設整備事業、こういった比較的用地補償費の低い事業を拡充するとともに、個々の事業執行に当たっても用地手当てがもう済んでおる、こういった事業に重点的に配慮する方向で検討してまいる予定でございます。
また、住宅につきましては、五十八年度予算編成及び税制改正等におきまして、住宅金融公庫の貸付限度額の引き上げ、住宅取得控除における控除率及び控除限度額の大幅な引き上げ、こういった措置を講じまして、その住宅建設を促進する施策を講じてまいる考えでございます。
#117
○国務大臣(加藤六月君) わが国の景気対策というものと公共事業との関係、いろいろあると思いますが、二百七十兆の国民総生産の過程に占める六兆六千五百億円の比率ということを考えましたときに、私たちは景気対策といいますか、経済運営については総合的に各方面の知恵を動員しまして、金融とか公共事業であるとか、あるいはまた規制緩和であるとか、中小企業対策であるとか、もろもろのものを総合的に判断してやっていかなくてはならない。しかし、その中で主導的役割りを占めるものは、やはり公共事業もそうではないか、そのように考えまして、今後十分検討していきたいと考えておる次第でございます。#118
○原田立君 大臣、今回の建設省関係の予算が、全部で公共事業関係の予算が六兆六千五百億円、この分は五十七年の二千五百億円先食いしている予算も入っていますね。そうすると、大臣がよく説明をする中で前年度並みに予算は確保したと、こう言っているけれども、実際は二千五百億円マイナスなんです。もし前年度並みの予算を確保したと言うならば六兆六千五百五十五億円に二千五百億円足した六兆九千五十五億円にならなければならないはずだ。そうすると、だから大臣の言っている言葉はちょっとおかしくなってくる。二千五百億円先食いしているんですから、そうすると実際は六兆四千億円ということになって、前年度並みではなくてダウンしていると、こう言わざるを得えない。いかがですか。#119
○国務大臣(内海英男君) 事務的にお答えさせます。#120
○政府委員(豊蔵一君) ただいま先生から御指摘がありましたように、五十七年度の補正におきまして国庫債務負担行為を起こしましたので、それの国費が新たに必要となります分が五十八年度に二千数百億円というふうになることは事実でございます。したがいまして、その部分を見ますと、確かに若干目減りをしているというようなことが言えようかと思いますが、また、財政投融資の方でも相当伸ばしておりますので、それらを総合いたしますと、おおむね前年度並みということも、これまた一応言えようかと思うわけでございます。#121
○原田立君 官房長、そんな簡単に言っちゃ困りますよ。われわれ民間人が一億円の金持つんだって大変な問題ですよ。二千五百億円といったら膨大な金額ですよ。だけれども大臣の所信表明の中には、「公共事業については、こうした政府の方針に沿って、予算総額は前年度とほぼ同額ではありますが、」と、こういうふうに、あなた大みえ切って言うているけれども、二千五百億円足りないんですよ、あなた。言葉は激しくなるけれども、ちょっと人をごまかしているんじゃないかという感じを持つんです、正直言って。いかがですか。#122
○国務大臣(内海英男君) 厳しい御批判は甘んじてお受けいたしますけれども、債務負担行為というのは、結局今年度の予算に食い込むという形になるわけでございますけれども、実際その執行の段階になりますと、四、五月に出る分も相当あると思います。あの時点で補正予算で災害復旧も含めまして二兆数百億という補正予算を認めていただきまして、債務負担行為等につきましては、恐らく、そういう推定で物を申してはまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、四、五月というのは、大体従来の本予算の関係から見ますと仕事のかれる時期でございます。そういう時期に債務負担行為をお認めいただいている補正の予算が有効に活用されるという意味からいきますと、そう先生御指摘されるのはごもっともでございますけれども、まるまるそれが減額になっておるというふうにもとれないんではないかと、こういうふうにも判断できるかと思います。#123
○原田立君 承服しがたいですけれども、指摘だけにとどめておきましょう。次に、三月十二日の予算委員会でわが党の桑名義治委員が質問したのに対して、中曽根総理大臣はこういう調整区域の見直しという問題も答弁なさっておられるわけでありますけれども、すなわち、中曽根内閣の経済、財政政策はさっぱりわからないとただしたのに答えたもので、市街化調整区域を見直し、適地なら住宅を建設できるようにしたらどうか、区域を固定化しているから物が動かない等々のことを言って、調整区域の見直しということを答弁なさっておられますけれども、このことについては建設省内で検討はなさっておられるんですか。
#124
○政府委員(豊蔵一君) 昨年の秋に都市局長の方から通達を出しましていわゆる線引き、すなわち市街化区域と市街化調整区域の区域区分につきましては適時適切な見直しを行うようにということを指導いたしております。したがいまして、これらの指導の成果があらわれてまいりますれば市街化区域の面積もある程度広がり、弾力的な土地政策にもつながり、住宅建設も促進されるというふうに考えているところでございます。
#125
○原田立君 いまの調整区域については見直し等も図るということですね。#126
○政府委員(豊蔵一君) そういうことでございます。#127
○原田立君 そうしますと、またそういうふうにしなければならないだろうとは思いますよ。だけれども、前々から指摘されている問題で、いわゆる民間デベロッパーが調整区域で安い土地代のころにごっそり買っておいて、いつしか市街化区域に指定されるであろうとじっとがまんして待っておった、たまたまいいチャンス到来で大もうけする時期に来たなんというふうなことになりはせぬかという心配をするわけだ。また、現に、当時このことが非常に大きな課題として議論されたことがあります。だから、調整区域の見直しということも、ただ単に幅をふやすというだけの問題ではなくて、そういうふうな、何か安いときに買って高くなったら売るというふうな、そういうふうなことでやるとかえって土地代がばーっと上昇していって問題を起こすのではないか、そこら辺はある程度規制をすべきものがあってしかるべきではないか。ただ簡単に調整区域をふやすというだけではちょっと政治的に意味がないんじゃないか、こんなふうに思うんですが、いかがですか。
#128
○国務大臣(内海英男君) これは都市局長から通達を出しまして各地方公共団体、市町村に至るまで、そういう現地の地方公共団体が検討いたしまして、いろいろな条件、その他環境あるいは基準というものを検討した上で、県を通じて見直しを建設省の方に出してくる、こういうことでございまして、不動産業者が買いだめしておいた土地を有効に解除してやる、こういうような趣旨にはならない、こう思っておるわけでございます。#129
○原田立君 大臣はそう思っていなくても、現実にそうなるでしょうが……。それに対して、ただ単なる調整区域の拡大という、ぱっと置いただけのことでは、政治的なやり方としてはまずいじゃないですかと言っているんです。#130
○国務大臣(内海英男君) 現在は各地方公共団体の宅地開発指導要綱というようなものがございまして、逆に、宅開業者等におきましては、その厳しい指定のために、解除されてもその指導要綱でも緩和してもらわなければ、かえって関連公共施設等に大変な経費がかかるというようなことで、余り解除してもらうことを喜ばない風潮も中にはあるわけでございます。したがいまして、そういったことを一々私どもの方でも現地の事情もわかりませんので、地方公共団体によく検討してもらって、この土地であればこの程度の見直しをしてもいいであろう、こういうようなことを現地の裁量に任せて、こちらの方に出していただくということになっておるので、御心配のような向きは余り出ないのではないか、こういうふうに考えております。
#131
○原田立君 ちょっと町名を言うのは差し控えますけれども、ある福岡県内の町です。約一万人ぐらいの人口の町です。その町は、もうこれ以上人間を入れない、それ以上入れると公共投資をいろいろやらなければいけないから、もう入れないんだと、こう言って入ってくるのをシャットアウトしているという町があるわけですよ。これは考えようによってはそういうこともあるなとも思うんです。やっぱり人口がふえれば学校も建てなければいけないし、下水道もしっかりつくらなければいけないし、上水道もやらなければいけない、電気も引かなければいけない。そういう費用が出せられないものだからこれはシャットアウトした、こういうふうな問題もあるんです。それから、いまいみじくも大臣言ったけれども、指導要綱ですよね、この指導要綱等があって今度は中内でデベロッパーが何か家を建てようとすると、市役所に書類を持っていくと、そうすると一千万円とか五百万円とか、負担金というんですか、賦課金というんですか、これを出さないと判こを押さないと言う。判こをもらえなければ建築できないんですから、という問題もある。いろんなことを考え合わしてみると、ただ簡単に調整区域を広げればいいというだけでは意味をなさない、こう思うんですがどうですか。
#132
○国務大臣(内海英男君) 御指摘のような問題も、各地方地方によって異なった事情もあるかと思います。したがいまして、うちの方は見直さなくてもいいんだというお話であれば、そういうような結果が出てくると思いますし、うちの方はぜひこういうふうにやってもらいたいということであれば、それはそれで検討しなければならない、こういうふうに考えております。個々の地方によってそれぞれ違ってくるのではないかと思っております。#133
○原田立君 ちょっと大臣の答弁では非常に不十分で納得しがたいんですけれども、前へ進めていきたいと思います。先ほども話が出ておりますけれども、公共事業の前倒しですよね。先ほどの大臣の答弁では、五十八年度予算を成立さしてくれと、こう言っている段階なんだから、公共事業の前倒しというようなことはちょっと言いにくいから、勘弁してくれというお話なんだけれども、いろいろ諸般の情勢から言って、景気の動向から言って、景気浮揚策の一つとして先ほど大臣も言いましたね、二条件ぐらい。というようなことで、公共事業の前倒しということが強く要望されている。
また、大臣の所属している自民党の内部でさえも、五十七年度で七七・三%だったんだから今度は八〇%ぐらいにしろ、こういうふうな意見も固まっているやに聞いております。いまむずかしい時期だから言えないというさっきの大木委員に対する御答弁だったけれども、そんなんじゃなくて、もっとしっかりした答弁をしてもらいたいと思います。
#134
○国務大臣(内海英男君) 自由民主党の方で八〇%近い前倒しをやったらどうかという御意見のあることも承知いたしております。それから経済関係の関係閣僚の中の話し合いの中でも、いろいろと前倒し問題につきまして御議論が出たことも、私も事実話しておるわけでございますから、否定はいたしません。しかし、現実の問題といたしまして、五十八年度の予算をいま参議院で御審議をお願いしておって、それをまだ成立を見ないうちから、その執行に関してとやかく申し上げるのはいかがかと、こういうふうに思いましたので、意見を差し控えさしていただいたわけでございまして、先生のような御指摘を踏まえまして、この予算の執行に当たりましては十分配慮してまいりたいと、こういった答弁で御勘弁をいただきたいと思うわけでございます。
#135
○原田立君 じゃ、十分配慮するということで、大体そういう方向に向いているということで了解したいと思います。ところで、これまた大木委員が言っておりましたけれども、五十七年度もそうだった。上期に前倒ししたもので、下期に仕事が足らなくなるから、よけいまた入れた。それが五十八年度の先食いというへんちくりんなかっこうになっていて、非常に不本意であります。で、前倒し、同じ一つのコップの中であっちやったり、こっちやったりするような、そんなことじゃだめだと思うのですよね。やっぱり公共事業の枠全体を少しふやすような、そういう方向にしなければ、さっき大臣が言ったように、前年度とほぼ同じような予算は確保したなんて、そんなことを大きな声でいばって言えませんよ。と僕は思うんですけれどもね。
それで、これまた言いにくいだろうと思うけれども、じゃ、前倒しする方向に向いているということで私は了解するけれども、となれば、五十八年度下期についてはやっぱり足らなくなっちゃうんですから、そうすると、その分だけまたふやさなければならないというんだけれども、それはどういうふうにお考えですか。
#136
○国務大臣(内海英男君) ですから、そういう話にだんだんだんだんつながってまいりますので、いま私にそういう意見を求められても、私単独でお答えすることもいかがかと思っておるわけでございます。先生の御指摘のようなふうになれば、建設省としては一番事業を思い切りできるということで、歓迎すべきことだと思っておりますけれども、まあ財政事情その他いろいろ、もろもろの関係省庁もございますし、私が勝手な意見を述べるのもこの際いかがかと思いますので、御遠慮させていただいておる、こういうのが実情でございます。先生や大木先生のおっしゃった御意志は十分私どもも、その意思のままやりたいくらいな気持ちでおることをこの席で申し上げておきたいと思っておるわけでございます。
#137
○原田立君 大体、よくわかりました。ところで、先ほどお話があったように、用地の手当て済みの事業あるいは経済効果の高い事業を重点的に配分する、こういうふうに大臣は所信表明の中で言っておられるわけでありますけれども、じゃ、一体五十八年度、どの程度のものになさるお考えですか。
#138
○政府委員(豊蔵一君) 先ほど大臣からも御説明申し上げましたが、せっかく事業を実施してまいります場合に、現在のような経済情勢のもとにおきましては景気の維持拡大に資するという配慮も必要であると考えておりまして、昭和五十八年度の予算案におきましても、たとえば公営住宅の建設事業におきましても、その建てかえ事業を特に進めていくということで、昨年度以上の戸数、約二万一千戸を予定をいたしておるところでございますし、また道路事業におきましても、交通安全対策事業等につきましては前年度より増額をいたしまして、その事業の実施を図るといったようなことを考えているところでございます。#139
○原田立君 話が中途半端になりましたけれども、「公共事業に占める用地費及び補償費率の推移」というのをおたくの方から資料をちょうだいしたのでありますけれども、五十五年が二一%、それから五十六年が二三%、五十七年が二一・三%。これだけ用地費あるいは用地補償費率がかかっているわけです。そうすると、先ほどの用地の手当て済みの事業というと、これはもう用地の手当て済んでいるんですから、そんなに二〇%も――一番高いときでもそうですね、五十六年が二三%ですね。このようなことがありますけれども、そんなことではあるまいと。五十八年度はもっとそういう手当て済みの事業を多くするようにすれば、五十八年度はもっとダウンしたものでできるんじゃないかと思うが、どうですか。
#140
○政府委員(永田良雄君) 御指摘のように、五十五年度が二一%、五十六年度が二三%でございます。五十八年度はいまのところ、見込みでございますが二〇%ちょっとというかっこうで、低く見込みを立てております。御指摘のように、もっと少なく一〇%ぐらいにして手当て済みの工事だけやってはどうか、そうすれば景気に対する波及効果も大きいのではないかとおっしゃるわけでございますが、そうやりますと、やはり一定量の用地費は抱えておきませんと毎年毎年の仕事がスムーズにいかないという点があります。したがいまして、そこら辺も考えて、できるだけ五十八年度は用地費率を少なくしようというふうな努力をいたしておりますので、そこら辺御理解いただきたいと思います。
#141
○原田立君 あなた一言多いよ。私は一〇%なんてそんなこと言ってませんよ。二十何%だから、用地の手当て済みの事業をやるというんだから少しはダウンするでしょう、だから五十八年度幾らですかと、こう聞いただけの話です。一〇%だなんて、そんなあほなこと言いませんよ、私は。まあ、それはそれとして、二〇%前後ということですから、それはそれで結構です。ところで、公共事業に関して中小企業に対する環境は非常に悪化しておりますが、それは事業費の四年連続の横ばい、あるいは大手企業の進出、不況に伴う競争受注の激化等々、業界の実態は非常に厳しいものとなっているのでありますが、そこで、これも毎々当委員会で指摘しているんですけれども、大企業がずばっと受けて、ある程度頭はねて下へばばんとやる、まる投げというんですね、これはいまでも行われているんです。それで中小企業の建築業界の人たちは大変苦しんでいるんです。そこで言われていることが、分割発注の促進等々を行って中小企業の受注機会を拡大する、そういうふうな施策を強力に推進すべきだと思いますが、いかがですか。
#142
○政府委員(豊蔵一君) 御指摘のとおり、私どもも中小建設業者の育成を図りますために、その受注機会の確保が必要であると考えております。政府といたしましても、毎年度中小企業に対しますところの発注目標率を定めまして、これを各機関が実施しているところでございまして、私ども建設省関係につきましては五十七年度三三・一%の目標で現在実施をいたしておりますが、多分それは達成できるものと考えております。五十八年度は予算が成立いたしました後、関係機関等が協議いたしまして、特に通商産業省の中小企業庁におきましてお取りまとめをされることになりますが、そういう目標が定まりましたならば、それに従いまして適切に実施したいというふうに考えております。なお、それを具体的に実施いたします際、いまお話がありましたように、分割発注の推進であるとか、あるいはまた発注標準の遵守、共同請負制度の活用、そういったような各手段を駆使いたしまして、いま申しましたような受注機会の確保を特段に中小企業に向けて考慮するということでまいりたいと思っております。
#143
○原田立君 中小企業に対する受注機会の拡大とあわせて要望しておきたいことは単価の切り下げ、要するに、安く請け負わせるということですよね。単価の切り下げ、これをやられたらたまったものじゃないですよ。品物は確かにできたかもしれないけれども、本当なら十五年か二十年耐久度がなければいけないのに、二、三年でぶっ壊れちゃったなんというような品物をつくられたんじゃ、たまったものじゃない。だから、余り単価の切り下げなどはやらないようにしなければいけないと思うんですね。それからまた、何といってもお金がうまく回転していかなければいけないんですが、ところが、現金比率がだんだん低下していっている。あるいは当初の支払い、完成後の支払い、その支払いのやり方も非常に微妙であるし、手形の払いがふえて現金の支払いが少なくなってくる。手形の期間が半年とか一年とかなっているものもある。そんなようなことで中小企業の人たちは踏んだりけったりのような状態になりますけれども、単価の切り下げなどはやらないように、現金比率の低下はさせないように、そういう指導をきちっとしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
#144
○政府委員(永田良雄君) 最近は公共事業が少なくなってまいりましたものですから、大変競争が激化いたしまして、かなり安値の入札というのがあちこちで出ております。それはとりもなおさず下請とか資材業者へのしわとして出てくるわけでございます。私どもは、建設業の健全な発展を図る意味からも、適正な価格で予定価格を設定して発注するということで考えております。そういう面で指導していきたいと思っております。なお、下請に関する指導の問題につきましては、昭和五十三年に元請・下請関係合理化指導要綱を作成いたしまして、建設業者、元請業者、大手業者に対しまして指導を行っておりまして、できるだけ現金比率を高めるように、特に労務費などはできるだけ現金で支払ってほしいというような指導を行っております。これらの指導は漸次浸透してきているというふうに思うわけでございますが、ただ、経済状況によって多少競争が激しいときは悪くなるというような状況もあろうかと思いますが、私どもできるだけ強力に今後とも指導してまいって現金比率を高めるようにしていきたい、かように思っております。
#145
○原田立君 では局長、現金比率は現状はどのぐらいであって、それで今後はいわゆる建設省として指導していくに当たって、このぐらいのものは現金支払い等はすべきであるという何か骨子はお持ちですか。#146
○政府委員(永田良雄君) 基本的に言いますと、これは民間の業者と業者の取引の問題でございますので、私どもが具体的な問題として数字を挙げてそこへ入るのは適切でないかと思います。したがいまして、私どもあくまでも厳しいときには下請あるいは中小業者が困らないようにやってほしい。場合によっては性質によって労務費相当分はできるだけ現金で支払ってほしい、こういうふうな物の言い方をやっておるわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
#147
○原田立君 そんなのじゃ理解しないのですよ、要するに。じゃ、そういう指導を一人一人の業者にやる、大手の企業にやるわけにはいかぬでしょう。建設関係の団体があるはずですよね。そこいら辺に対する指導等は具体的にいつおやりになりましたか。#148
○政府委員(永田良雄君) 大体、通例は六月のお盆のときと、それから暮れの十二月のときにそういう通達を出しておりますし、私どもは関係団体、七団体ぐらいございますが、それらの専務会というのをやっておりますので、そこで趣旨を十分説明して指導をいたしておる、こういうことでございます。#149
○原田立君 私は、いまここに具体的に数字を持っていないから、だからこれ以上詰めることはいたしませんけれども、現実においては現金比率の低下によって非常に困っている中小企業者が多いことは事実なんですから、なお一層監督、督励をしていただきたいと思う。それから、松谷住宅局長さん、あなたはさっき茜ケ久保先生への答弁で、用地の取得がむずかしいのだということを簡単に言われたけれども、その理由は何ですか。
#150
○政府委員(松谷蒼一郎君) やはり用地費が現在は大分安定の傾向を示しておりますが、大都市圏におきます用地費が相当高いということでありますし、また、公的な賃貸住宅を建設する場合には用地というものは相当まとまって買わなくちゃならない。そういうまとまった用地というのは大都市、特に既成市街地の中では非常にむずかしくなってきているというようなことだろうと思います。それから、大分前までは大きなニュータウン開発というような適地も大都市の近傍にございましたが、それが現在ではそういった用地の取得も非常にむずかしくなってきているというようなことでございます。
#151
○原田立君 理由は何ですかと聞いているんです、理由。#152
○政府委員(松谷蒼一郎君) いま言いましたようなことで、やはり用地費が高いとか、まとまった用地がない、そういう理由でございます。#153
○原田立君 じゃ、用地費が高いのはどうしてですか。#154
○政府委員(松谷蒼一郎君) やはり用地の供給と需要の関係におきまして、ある程度用地がわが国におきましては高くなっている、簡単に言えばそういうことではなかろうかと思います。#155
○原田立君 簡単に言えばそういうことですよね、物価の上昇、需要と供給のアンバランス。それから、もう一つここで見落としてならないのは、いわゆる政府が持ち家政策を奨励なさっている。それはそれでそれなりのものがあると思うんですけれども、家を建てよう、一戸建てを自分で持とう、そうするとどうしても土地の確保をしなきゃいけない。だからアンバランスがありますからつり上がっていく。用地の取得がむずかしいというのは持ち家住宅の促進を余り急になさるから、だからこういうふうなことになってくるんじゃないか、こういうふうに私は思う。やっちゃいけないと言うんじゃないんですよ。持ち家住宅だって当然あってしかるべきだと思うけれども、それによって用地費がぐんぐん上がるようなことがあってはならないということを指摘しておきたい。
福岡のある町で五十二年ごろ約坪二十万円ぐらいだった。いま、六年たったら五十万円だというんです。倍ですよね。ちょっと話にならない。そうすると、五十坪の家で一千万円で買えたのがいま二千五百万円。そんなことやったら本当に、いわゆる一戸建てを欲しいという人たちの、家を建てたいなんというのはもうはかない高ねの花であるわけです。そういうようなことをさしちゃならないと思うわけなんです。
そんなことをあなたに言っても無理だろうと思うけれども、こういうふうな、だから用地の取得がむずかしい、住宅建設をもっと促進しなきゃならないという面において、用地がもう少し安くなるようなことを考えていかなきゃならない、こう思うんですが、どうですか。官房長でもいいし、建設大臣でもいいし、加藤国土庁長官でもいいし……。
#156
○政府委員(永田良雄君) 土地の供給を担当しているのは私でございますから、私からお答えさしていただきます。御指摘のように、基本的には土地の値段は、そのものの持っている本来的な価値もさることながら、需要と供給によって決まっていくわけでございます。いま比較的土地の値段が安定はいたしております。需要が非常に落ち込んでおりますし、供給もまたきわめて落ち込んでおります。私どもは、地価がそれほど暴騰しないで安定的に推移していくためには適当な供給量が確保されていなきゃいかぬ、かように考えておるわけでございます。
ところが、先ほど申しましたように、宅地の供給は激減しております。要は、宅地をつくって売り出そうと思っても、高いから売れない。なぜ高くなるかということでございますが、宅地を取得するのにものすごい時間がかかります。それから、宅地の開発許可等をやるのにまたこれ時間がかかります。それから、許可がおりていざ宅地造成をしようというときには、いろんな面での負担が、公共負担が課されます。これがすべて宅地の値段をつり上げる要因でございます。
もちろん性質上、当然公共負担でも持たなきゃいかぬのは持ってもらわにゃいかぬわけでございますが、そういう過度の負担をなくする、それからかかり過ぎる時間をなくする、こういうことをやはり基本的にやっていかなきゃいかぬだろう、かように考えておるわけでございます。
#157
○原田立君 建設省は五十七年度の住宅建設目標を百三十万戸になさっておられましたね。これが実際にはそこまでいっていないのが現状というふうに私は見ておりますけれども、いかがですか。#158
○国務大臣(内海英男君) 先生御指摘のように、昭和五十七年度の当初政府経済見通しでは、民間住宅投資の実質の伸び率を一〇・四%程度に見込んでおったわけでございます。これを一定の前提のもとに戸数に換算いたしますと、おおむね百三十万戸程度の住宅建設がなされるものと試算をいたしておったわけでございますが、しかしながら、五十七年四月から五十八年一月までの実績を見てみますと、累計で九十八万、前年同期に比べまして一万七千戸、一・八%の増でございまして、このままでずっと四月まで、三月いっぱい推移いたしていきますとおおむね百十五万戸前後、こういうことになるかと思います。このように、当初の見通しを大分下回りましたことにつきましては、先ほど来先生からも御指摘がございましたように、基本的には住宅の価格と国民の住宅取得能力との乖離があったということにあると思っております。
#159
○原田立君 百十五万ぐらい……。五十八年度については好転する見通しはありますか。#160
○国務大臣(内海英男君) 五十八年度の新設住宅着工戸数の見通しにつきましては、先ほど来御議論のありました地価あるいは所得等、住宅建設を取り巻く環境は引き続き厳しいものがあると思います。五十八年度におきましては、予算編成時におきましてもいろいろと御検討をいただき、改善をしていただいたわけでございますが、金融、税制上の改善を図っていただきまして、予想でございますが、全体としてほぼ五十七年度並みということになるのではないかと思っております。
#161
○原田立君 四期五計の五十六年から六十年にかけての計画目標は、公的資金による住宅においては三百五十万戸、民間自力建設住宅については四百二十万戸、合計七百七十万戸、こうなっておりますけれども、では一体五十六年、五十七年、五十八年、各年次別に計画は一体、これだけの目標を立ててやっているという、そういう目標は決まっていますか。#162
○政府委員(松谷蒼一郎君) 第四期の住宅建設五カ年計画と申しますか、住宅建設五カ年計画では五年間の住宅建設の戸数を見込んでおりまして、それが七百七十万戸、第四期の場合は七百七十万戸ということでございます。年次別に五十六年は何戸、五十七年度は何戸と、そういうような計画戸数というのはございません。ただ、現在まで、五十八年度の計画分を含めますと、これから後は五十九年、六十年と二年間が残るだけでございます。今後住宅の建設のための促進策を十分実施をしていきたいと考えております。
#163
○原田立君 じゃ、お聞きしますけれども、五十六年度の公的あるいは民間の目標、五十七年、五十八年、これはどうなんですか。#164
○政府委員(松谷蒼一郎君) ただいま申し上げましたように、住宅建設計画では各年度別の建設計画というものはございません。実績とその見込みを申し上げますと、五十六年度の実績見込みでございますが、公的資金による住宅が六十八万八千戸、民間自力建設住宅が四十九万三千戸、合計いたしまして百十八万一千戸。それから五十七年度でございますが、これはまだ現在建設中でございますが、したがいまして、公的資金による住宅につきましては計画、民間につきましては見込みで推定をしておりますが、公的資金による住宅が七十七万戸程度、それから民間自力建設住宅が四十三万戸程度、合計いたしまして百二十一万戸程度になるのではないかというように考えております。ここで、ちょっと住宅の着工戸数との違いがございますが、これは実は住宅の着工戸数というのは、住宅を建築いたします場合に各建築主が確認申請を出します。その確認申請を出すときに同時に着工届を出しますが、その着工届を集計いたしますものが着工戸数でございます。したがいまして、これは比較的早くわかるわけでございます。現在のところ一月の着工状況がわかっておりますし、もうそろそろ二月の着工状況がわかるというような状況でございます。
ところが、実際には着工届が一〇〇%出されるものではございません。以前は相当着工届の出は悪かったわけでございます。このごろ大分改善されてきておりますが、それでも五%程度の漏れがありますので、その漏れを見込んで改善をいたしましたものが、ただいま申し上げましたような百十八万一千戸であり、百二十一万戸、こういうような状況でございます。五十八年度もほぼ同じような戸数ではないかということでございます。
#165
○原田立君 大臣、いま局長の答弁のように四期五計のこの五年間の合計の目標ははっきりしているわけです。ところが、年次別の計画というのが全然はっきりしてない。実質だけしか言ってないわけです、実際値だけしか。ということは、実際だけしか言えないように、年次別計画がないということですね。そういう計画というのはちょっとおかしいんじゃないかと僕は思うんですけれども、どう思いますか。#166
○国務大臣(内海英男君) まあ長期的な計画として四期五計ということで立てたものだと思います。したがいまして、先生も御承知のように、経済の激変がはなはだしいというような状況から、計画どおりにいかないということになってきたんだと思います。計画どおりにいけば、大変経済も安定していいわけでございますけれども、そのとおりいかなかったということは先生の御指摘のとおり認めざるを得ない、こう思っております。#167
○原田立君 大臣がそこでシャッポを脱がれたんじゃ困るわけです。目標は目標で立てたんですから、その目標に達成するように努力してもらわなければならぬわけだ。そこで、この原因として住宅価格と住宅取得能力の乖離という問題が挙げられているわけです。非常に大きな問題だと思うんです。五十六年平均では、収入が五百十六万円、マンションの価格が平均で二千六百十六万円。そうしますと、倍率は五・一倍、民間で試算したので言いますと収入の五・二八倍。それから建て売り住宅価格は三千四百五十三万円、収入が五百十六万が平均でありますから、実に六・七倍にもなる。こんな状態じゃ、もう一戸建ての家を持とうなんて本当に高ねの花ですよ。そういうようなことでないようにしていくには一体どうしてくれるんですか。
私は、先ほど一戸建て持ち家住宅施策の一つのあらわれとして地価の高騰があるんじゃないかという指摘をした。だけれども、これは私もしゃべっていながら非常に矛盾を感じているんですよ。持ち家も必要なんだ。だけれども、こうやって住宅価格と住宅取得能力の乖離がこんなひどくなっちゃったんでは、もうどうにもしようがない。だから、これを解決するには何らかの手段を講じなければならないんじゃないか。
また、年間五百十六万円の収入の人が仮に暮れにボーナスが二カ月分、夏に一カ月分あるとして、これ単純に計算して十五で割りますと、毎月三十六万の収入ですよ。三十六万円のお給料をもらっている人が一体どのぐらいいるのか。恐らく若い人じゃいませんね。若い人じゃ十五、六万、十七、八万でしょう。女の子なんといったら十万切れるなんという場合もあるでしょう。そうすると、この住宅価格と所得との乖離問題の解決は非常に国民的課題の大きなことだと思うんです。これはどういうふうに解決なされますか。
#168
○政府委員(松谷蒼一郎君) いま先生の御指摘のように、住宅価格と所得が乖離をしておるわけでございます。少しずつ状況はよくなってきつつあるのではないかとは思いますが、たとえば五十六年度で言えば、マンションにつきましては五・一倍、建て売り住宅価格で六・七倍、これはただし首都圏でございます。したがいまして、地方に行けば若干この乖離の状況は改善をされていると思いますが、首都圏等では非常に厳しい状況にあります。そこで、所得につきましては別といたしまして、住宅価格につきましてはできるだけこれを引き下げるよう努力をしていく必要がありますが、これもなかなか経済との関係もありまして非常にむずかしい問題を含んでおります。ただ、住宅のコストダウンのために、たとえば昭和五十一年度から実施をしておりますが、「ハウス55」プロジェクトでありますとか、あるいはまた来年度から実施を考えておりますが、「いえづくり'85」でありますとか、住宅の上物につきましてはできるだけそのコストダウンを考えるよう政策的にも手を打っていきたいと考えております。
なお、住宅の取得を行う場合に、それが価格と所得の間に若干の乖離があるとしても、できるだけそれがスムーズに取得できるように、たとえば、住宅金融公庫の融資につきましてできるだけ融資条件を改善をしていく、あるいはまた税制面等におきまして、たとえば住宅取得控除制度等の大幅な改善を図る、あるいはまた住宅ローンの金利についてもできるだけ下げてもらうよういろいろ関係方面にもお願いをする、あるいはまた、住宅の新設だけでなくて中古住宅の購入等につきましても現在住宅金融公庫の融資を行っておりますが、そういったような面につきましても、マンションだけでなくて一戸建て住宅等にまで拡充をしていく、これも来年度から実施をしていきたいと考えております。
そういった種々の政策をそろえまして、何とか住宅の取得が容易になるように考えているところでございます。
#169
○原田立君 大臣、あなた所信表明の中に、住宅について、「住宅金融公庫の無抽選体制の維持及び貸付条件の改善、住宅取得控除制度の大幅な改善等金融・税制上の措置による良質な持ち家取得の促進に努めるとともに、公共賃貸住宅の建設戸数の確保、既成市街地における往環境整備とあわせた市街地住宅の供給の促進、既存住宅の増改築及び流通の促進、地域住宅計画の策定等の施策を推進してまいりたい」と、こうお述べになっていますね。これは僕は大歓迎。だけれども、実際に五十八年度に、今年度に具体的にそういう動きができるのかどうか、いかがですか。#170
○国務大臣(内海英男君) その目標に向かいまして全力を挙げる、こう申し上げる次第でございます。#171
○原田立君 だけれども、こればかりはいけませんよ、大臣。これだけ大みえ切って言われて、そうして、はあ、いいねとこう思っておるのに、これは目標だけでございまして、今年度はどうなるかわかりませんなんてね、そんな返事じゃ、それは聞けませんよ。もう少しはっきりした答弁をいただきたい。#172
○国務大臣(内海英男君) その所信表明にうたいました精神を踏まえまして、全力を挙げて努力をいたしたいと考えておるわけでございます。#173
○原田立君 非常に不満足でありますけれども、もうこれ以上答弁が出ないと思いますから先へ進めます。この公庫住宅は、前年度五十四万戸目標、五十八年は五十一万戸、今度三万戸減っていますね。それから公団住宅については、前年度三万五千戸、今回は三万戸、五千戸減っていますね。合計三万五千戸減っておりますけれども、それに合わせて民間住宅、マンション等の在庫調整等があって、前年並みに持っていくというのは大変苦しいんじゃないかと、こんなふうに思うんですが、五十七年は百三十万戸が目標でしたよね。それが実際百十五万戸です。恐らくまた五十八年度も百三十万戸でしょう、あなたの方の目標は。そうすると、せめて公庫住宅、公団住宅の減っている三万五千戸ぐらいはふやして行うべきだと思いますが、いかがですか。
#174
○政府委員(松谷蒼一郎君) 公庫の五十八年度の融資予定戸数は五十一万戸でございますが、これにつきましては、無抽せんによる貸し付けを継続して行うことといたしております。これは五十六年度と同戸数でございます。また、最近の住宅建設の状況から見ても事業の実施に支障はないものと考えております。ただ、住宅政策の姿、一般的な姿から申しますと、持ち家住宅と賃貸住宅の均衡を図っていくということのほかに、持ち家住宅の場合につきましても、公的融資住宅すなわち公的住宅と、それから一般の民間住宅とのバランスが適当に保持されるべきではないかというように考えております。そういう意味からいいますと、現在、民間住宅の落ち込みがはなはだしいわけでございますので、民間住宅を何とか浮揚させる。そのため、来年度の税制におきまして住宅取得控除の限度額を、現在五万円でございますが、これを一躍十五万円、比率にいたしますと、七%を一八%まで拡充をして、できるだけ民間住宅の建設が推進されるように配慮をしているところでございます。
#175
○原田立君 民間住宅に配慮、それはそれで結構よ。だけれども、公庫住宅、公団住宅三万五千戸減らす必要ないでしょうが。#176
○政府委員(松谷蒼一郎君) 公庫住宅は、先ほど申し上げましたように、予定戸数としましては五十一万戸でございますが、これは無抽せんによる貸し付けを継続しているということでございますので、非常に要望が殺到するというようなことになりましたら、無抽せん体制によってその予定戸数も場合によりましては拡大をするということは可能と考えております。それから公団住宅につきましては、当初申し上げましたように、大都市における用地の取得難等の状況によりまして住宅の建設におくれが見られております。これは何とか促進をしていかなければならないわけでございますが、現状から見まして来年度三万戸程度はまあ事業の実施上適正な戸数ではないかというように考えておる次第でございます。#177
○原田立君 何かあなたの説明を聞いてるとさっぱりわからない。私が言いたいのは、民間の方のことも手当てしていいですよ。いけないとは言ってるんじゃないんですよ。だけれども、さっきから言ってるように、もう高ねの花でなかなか手に入らない。だから、どうしても公庫、公団のそういう安い家賃のところに入りたいという人がまだまだ多いわけですよ。だからそれを四期五計の三年目に当たる今度に何も三万五千戸も減らさなくてもいいでしょうが、もっともとへ戻すようにしてやるような努力をなさったらいかがですかと、こう言ってるんですよ。#178
○国務大臣(内海英男君) 先ほど局長からも御答弁申し上げたわけでございますが、要は、無抽せんの制度をそのまま今年度も行っていくわけでございますから、それによって申し込み者が予定よりずっと上回るということになれば、五十一万戸にこだわらないで、その点は弾力的に運用をしていく、こういう意味も含まれておるというふうに御解釈をいただきたいというふうに思うわけであります。#179
○原田立君 それは大臣、あれですか、五十一万という計画を出しているけれども、じゃ、要望いかんによっては五十四万も五十五万にもする、こういう意味ですか。#180
○政府委員(松谷蒼一郎君) 無抽せん体制の維持ということでございますから、ただいま先生の御指摘のように、非常に住宅金融公庫の融資住宅につきまして希望が殺到するというような状況でありますと、その点でまた財政当局と御相談をして適切に処理をしていきたいと考えておるところでございます。#181
○原田立君 昨年十二月、行管から、公的住宅の建設及び管理に関する行政監察が行われておりますが、その中で建設省に対して、「公的住宅供給施策の見直し」として三項目の勧告をしておりますけれども、どう受けとめておられますか。#182
○政府委員(松谷蒼一郎君) 昨年十二月の行政監察で、公的住宅供給施策の見直しにつきまして勧告がありましたのは御指摘のとおりでございます。建設省といたしましては、今回の行政監察は公的住宅の建設及び管理事務の改善、合理化のための指摘でございまして、その内容を十分尊重いたしまして、公団あるいは地方公共団体を指導いたしまして、今後の住宅行政に反映をさせていきたいと考えている次第でございます。#183
○原田立君 住宅・都市整備公団についても、その業務運営の合理化について、住宅需要に即した的確な住宅の供給、それから未入居住宅、保守管理住宅等の早期解消、保有土地の早期利活用等、それから経営状況の把握、評価システムの整備、四項目の指摘がございますね、四項目。いかように対策を講じられていますか。#184
○政府委員(松谷蒼一郎君) ただいまのお話のように、住宅・都市整備公団の業務運営に関しまして、住宅需要に即した的確な住宅の供給、未入居住宅、保守管理住宅等の早期解消、保有土地の早期利活用等、それから経営状況の把握、評価システムの整備、この四項目につきまして、昨年の十二月に行政管理庁から勧告が行われたわけでございます。この勧告に対しまして、建設省といたしましては、公団住宅等事業促進対策委員会で取りまとめた対策がございますが、その対策、これは昭和五十六年の一月に取りまとめたものでございますが、その対策の一層の徹底を図るよう、勧告の趣旨が十分反映されますよう、業務運営の適切な執行について公団を指導してまいりたいと考えておるところでございます。
#185
○原田立君 いま、その委員会をつくってやるということはお聞きしました。それで、公団の未入居住宅、保守管理住宅、長期保有土地について会計検査院からも五十年度、五十一年度、それから五十六年度ですか、三回も指摘を受けていますね。いかが受けとめておりますか。
#186
○政府委員(松谷蒼一郎君) いま先生のお話しのように、会計検査院からも指摘がございます。このため五十六年の三月に、ただいま申し上げましたように、公団住宅等事業促進対策委員会を建設省に設置したわけでございます。それで、その年の七月まで種々検討をいたしまして、成案を得まして住宅公団に指示をしておりますが、その中身としましては、たとえば、傾斜家賃を据え置いて、すなわち家賃を低くする、あるいは二戸一改造いたしまして住宅の規模を大きくする、あるいは二戸賃しを行う、あるいは住宅の種別の変更を行う等々のことによりまして、現在未入居住宅があります状況をできるだけ早く解消をしていくということを指示しておるわけでございます。また、保有土地、未利用土地につきましては、関連公共施設整備の促進等の対策を指示しております。公団では、この指示を受けまして、個別団地ごとに具体的な対策を実施しまして、逐次成果を上げつつあるものでございます。
建設省におきましても、問題の早期解決を図るため、今後とも鋭意公団を指導してまいりたいと考えております。
#187
○原田立君 公団を鋭意指導してまいりたい、一体どういう指導をしたんですか。また、どういう指導を受けたんですか。また、あなたの方ではどういうふうなことをやろうとするんですか。#188
○政府委員(松谷蒼一郎君) ただいま申し上げましたように、住宅の規模が小さいために入居者の応募が少ないというようなことから、二戸を一戸にして住宅の規模を大きくする、そういうような改造をすること、あるいは住宅の種別の変更、すなわち賃貸住宅をたとえば分譲住宅にいたしまして、そこで住宅の処分をできるだけ早期に行う、あるいは二戸貸しをする、それからまた、できるだけ適正なPRをしていくというようなことの指示を、さきに申し上げました公団住宅等事業促進対策委員会の報告に基づきまして住・都公団を指導、指示したところでございます。#189
○参考人(志村清一君) 先生御指摘がございますように、未入居等の空き家の問題につきましては、昭和五十一、五十二年度に会計検査院から御指摘がございました。また、五十五年度の決算検査報告においても御指摘がございました。これらにつきましては、ただいま住宅局長から申し上げましたように、建設省の御指導を賜りまして、われわれといたしましてもそれに対応すべく努力をいたしております。建設省の公団事業の促進対策委員会を受けまして、私どもの方でも、経営改善推進本部をつくりまして、未入居住宅等につきまして鋭意努力をいたしております。具体的に申し上げますと、関連公共施設の整備等に欠ける点があって、なかなか使えない住宅等があったではないかという御指摘につきましては、いろいろの団地がございましたが、朝日ケ丘、武庫川等々につきましても、それぞれの手当てをいたしまして進めておる状況でございます。
また、傾斜家賃の据え置き、家賃対策等につきましても、各必要な団地について実施をいたしました。二戸貸しあるいは二戸一改造もそれぞれ進めております。賃貸から分譲へ、あるいは分譲から賃貸へ、その地域の特性に応じまして種別の変更もいたし、場合によっては駐車場の増設とか、あるいは車庫、エレベーターの設置とかいうふうなことも考えております。
また、公団住宅のよさを御存じない向きもあるわけでございますので、われわれといたしましては、特別の供給促進活動をいたしまして、募集販売体制も整備をいたし、場合によっては民間業者も一部活用するというようなこともいたしておりまして、未入居住宅等につきましては、昭和五十二年度末、一番多いときには未入居、保守管理で四万戸を超えておりましたが、その後五十六年度末、五十七年三月には一万九千戸程度になっております。ただ五十五年度、これとは別途に既存ストックのうちの長期空き家の御指摘がございました。約九千戸でございましたが、これにつきましても、五十七年三月には七千戸に減少をいたし、せっかく努力を続けたいと、かように考えております。
長期保有土地につきましては、二十一地区五十五年度の決算報告で御指摘がございましたが、これらにつきましても、関連公共の整備等御指摘がございました点につきましては、建設省の御指導も経ましていろいろ対応を重ね、おおむねこのうちの二地区につきましては処分を終わり、十地区程度は事業を開始する段取りに至り、もう一地区は五十八年度では事業が開始できるんではないか。まだ残り八地区ございますが、そのうちの四地区については、公共団体との交渉も順次進んでおると、かような状況でございます。
#190
○原田立君 今回公団が値上げ申請しましたね。それは三十一年から入っている方々の家賃と、借りかえして入られた家賃とが非常に離れている、あるいは民間住宅やなんかと比べて非常に差があり過ぎる。だから、それを均等化するために今回の値上げをするんだというようなことが新聞報道されているわけでありますが、僕はそれは少しおかしいんじゃないかと思うんですよ、考え方として。当時公団においてもいわゆる減価償却制度をしいて、これだけの家賃を払えば何年間で幾ら償却できるんだという、そういうようなことで家賃の設定を図っていたはずなんです。だから、現在非常にあちこち危険個所ができて補修しなきゃいけない。その関係の人件費あるいはそこで使う材料費、これはもう三十一年ころの単価に比べてみれば当然高いわけですから、だからその分の何らかの話し合いをしての値上げというのはこれはあってもいいんじゃないかなと私は思うんだけれども、もとの根っこの方の、三十一年のときに入ったから、安いから、こう言っても、それによって減価償却していくんだという方向で決めた家賃なんですから、こっちの方を動かすということはこれはおかしい話だと、こう私は思うんです。
ですから、そこら辺のところが今度の申請に、建設大臣にあてて公団の家賃値上げについてのときの理由に一体どうなっていますか。
#191
○参考人(志村清一君) 私どもの公団の家賃につきましては、建設省令で家賃の決め方についての規定がございます。施行規則の四条で、かかりました費用を五分以下七十年間で減価償却した額と、それから修繕費とかその他維持管理費等々を合計した額を基準にして考えるというふうな規定が第四条でございまして、それを一応の基準にしながら私どもの家賃の設定をいたしておりますが、第五条におきまして、経済状況の変化とかあるいは住宅相互間の家賃の不均衡のあった場合にはこれを改定できるという規定になっております。かようなシステムは私どもだけでなくて、低所得者向けの公営住宅の家賃についても同様な規定がありまして、私どもとしてはこの規定の趣旨に基づきまして今回家賃の改定、見直しを申請申し上げたという次第でございます。#192
○原田立君 公団には総裁の私的諮問機関として学識経験者などによる基本問題懇談会というのが設置されているというんですが、本当ですか。また、その委員の数は何人ぐらいなんですか。中身は一体どうなっていますか。#193
○参考人(志村清一君) 先生御指摘のとおり、基本問題懇談会というのを設置いたしまして、学識経験者その他の方々の御参加を賜っておりまして、いままでに十五名の委員をお願いをいたしまして、ここで何回か懇談会を開いていただきました。また、家賃問題は特別のさらに検討を要する問題であるということで、家賃部会を懇談会の御了承の上で設置をいたしまして、家賃部会も八回、専門部会を含めまして約八回、懇談会は三回くらいを開催いたしておる、こういう状況でございます。
#194
○原田立君 委員の方々について、官庁からの、建設省から来たいわゆる官吏のOBと、それから大手大企業の人たちばっかりがほとんどで、企業サイドで運営されているというような話を聞くんですけれども、本当ですか。#195
○参考人(志村清一君) 公団の先輩は一人でございまして、あとは学者、ジャーナリスト、それから労働関係の方々、それから御婦人代表といったような方でございます。なお、大企業の関係と申しますと、不動産問題にも関連するので不動産関係の会社からお一人と、それから銀行関係からお一人入っております。
#196
○原田立君 この家賃値上げを決めるときに何回ぐらい懇談会を開いたんですか。#197
○参考人(志村清一君) 懇談会は二回開きまして、家賃の問題につきましては専門的ないろいろな知識も要るじゃなかろうかというふうなこともございまして、委員の中からメンバーを選びまして家賃部会をつくりまして、そこではさらに専門家が必要だということで、弁護士さんとか不動産鑑定士さんあるいは住民の公団にお住まいの方等もメンバーに入っていただきまして御審議を賜り、さらに専門委員会で御検討いただきました。家賃部会専門委員会では八回にわたって御審議をいただきました。#198
○原田立君 家賃部会というのはちょっと私も初耳だったんですけれども、こういう全国的にわたる大きな問題を、顔合わせの初会合を含めてたったの二回で原案を決めてそれで申請なさるというのは、いささか軽率のそしりを免れないんじゃないか。マスコミ関係もその点を知って非常に非難の声を上げております。で、家賃部会は八回やったと言うんだけれども、一つの案を決めるに当たっては多数決なんですか、全会一致なんですか、一体どうなんですか。いやそんなことはとうていだめだと、こういうふうな反対の意向を持っている人も中にはおるかもしらぬ、賛成の人もいるかもしれない。特に反対の声なんかはどのぐらい、どういうふうに反映されたのか。そこら辺のところがはっきりしないと多くの入居者の方々は納得しないんじゃないかと、こう私は思うんですけれども、いかがですか。それを聞いて、この次四月の十二日に集中的にこの問題やりますから詳しくはお聞きしますけれども、粗々お聞きしておきたいと思います。
#199
○参考人(志村清一君) この懇談会におきましては相当活発な御議論を賜りました。ただ、懇談会という性格上、各般の御意見を活発に御提供いただきまして、それを十分踏まえまして公団が家賃の見直しについて決定をするという形をとっておりますので、この懇談会で案を決定したということではございませんが、先ほども申し上げましたように、非常に活発な御意見がございました。大勢といたしましては家賃の値上げはやむを得ないんじゃないかというふうなお考えが多かったように承知いたしております。#200
○原田立君 また次の四月の十二日の日にもう少し詳細にお聞きしたいと思います。もう時間にそろそろなってまいりましたので、次の問題に移りますけれども、建設省は木造住宅の振興を図るため五十八年度から新規事業として「いえづくり'85」を推進することになっておりますが、計画の概要を御説明願いたい。
#201
○政府委員(松谷蒼一郎君) 良質、低廉な木造住宅を求める声が、要望が非常に強いわけでございますが、そのために、住宅建設を促進するためにいわば木造住宅の「ハウス55」版とも言える「いえづくり'85」を昭和五十八年度から実施したいと考えております。まだ予算案が御審議になっているときでございますので、具体的にこれをどういうスケジュールでどういうことをやるということは差し控えたいとは思いますが、私どもの考えといたしましては、昭和六十年度の供給を一応目途といたしまして、広く一般より提案をいただきまして、木造住宅在来工法につきまして標準的な品質、性能で、かつ低廉な価格のものを特に生産供給システムとして確立をしていきたいというように考えております。このため、できますれば予算が成立をいたしました暁には、直ちにそのための検討の委員会を設けまして、そこで具体的な実施についての検討を行いまして、それに基づいてできるだけ効果的な開発成果をいただき、それを普及していきたいと考えております。
#202
○原田立君 五十一年度から新住宅供給システム開発プロジェクトというのをつくられて、いわゆる「ハウス55」というので、五十一、五十二、五十三年度で十五億三千五百万円の予算額をつけて仕事をやっておられますけれども、今回のいま私が聞いている木造住宅の振興についての「いえづくり'85」は新規ですよね。そうすると、何か同じようなものを次から次にやっているというような感じを持つんです。「ハウス55」は、五十一、五十二、五十三年度だったから、だから「いえづくり'85」を今度は五十八、五十九、何年かその間にまたやるんだと、こういうことですか。#203
○政府委員(松谷蒼一郎君) 「ハウス55」開発プロジェクトは、昭和五十一年度にスタートいたしました開発事業でございますが、研究開発につきましては、昭和五十四年度までに終わりまして、その開発成果に基づいて実際の供給が五十五年度から行われております。したがいまして、現在はすでにその成果の普及について実際の住宅が供給をされているわけです。なお、実はこの開発プロジェクトにつきましては、三つのグループが開発をし供給をするということでございまして、最初の供給を開始したグループが五十五年度でございまして、三番目のすなわち最後のグループを五十七年には供給を開始しております。したがいまして、「ハウス55」についてはもうすでに供給がその目的に沿いまして行われているということでございます。
なお、「ハウス55」の開発プロジェクトは量産住宅を対象といたしております。いわゆるプレハブ住宅でございます。このたび私どもが考えております「いえづくり'85」は、全住宅の六割を占めます在来工法の木造住宅でございます。すなわち、地域に密着いたしまして、大工さんや工務店の方々が住宅を建設するそのシステムをできるだけ合理化をいたしまして、いい住宅を安く供給をしていこうということを考えているわけでございます。したがいまして、量産住宅ではございませんで、地域、地域にそういった工務店の方々に研究の助成等を行いながら開発をし、それを普及していこうということで、いわば住宅の供給の姿としては違った局面で供給をしていくということでございます。
#204
○上田耕一郎君 私、立川の防災基地問題と、福岡県塔原の住宅用地取得に関する疑惑の問題と、それから入礼問題について質問したいと思います。立川の防災基地問題は午前中も本委員会で取り上げられましたが、私は三年前の四月十五日にこの委員会でも取り上げてあります。このとき国土庁に、宮家、総理大臣初め政府要員などを輸送するそういう防災本部をつくる気があるんだろうと、そういう報道があるがということで聞きましたところ、国土庁の柴田審議官は、都心が壊滅的打撃を受けるような災害のときの予備的本部として考えていると、そういう答弁があったわけです。
ところが、私が聞いたとおり、いよいよ中曽根内閣になってから具体化が進みまして、新聞報道にもあったわけですが、長官、お伺いしますけれども、二月二十八日に首相が福島国土庁事務次官に指示した内容には立川の防災基地構想も入っていたんですか。
#205
○国務大臣(加藤六月君) 防災問題について前向きに幅広く国民の不安を解消するための対策を講ずるようにと、こういうお話がございました。#206
○上田耕一郎君 東京新聞の報道によると、政府筋によると、同基地全体の総工費は一千億円見込んでいると、五十九年度予算から本格的に建設が進められるという報道ですが、大体そのとおりの計画ですか。#207
○国務大臣(加藤六月君) 政府委員にお答えいたさせます。#208
○政府委員(荒井紀雄君) 立川の防災基地につきましては、国土庁の案といたしまして、昨年の九月に地元の立川市に対しまして配置計画案を提出したところでございます。したがいまして、そういう段階でございますので、現在施設の具体的内容でございますとか、工事等につきましては今後検討を進めていくという段階でございまして、現在、一千億につきましてもまだ決まったというものではないわけでございます。それから、五十九年度以降云々という話につきましては、これもまだ決まっておりませんで、今後いついかなるときに着工していくのかということも含めまして、具体的な内容について検討していきたいというふうに考えております。
#209
○上田耕一郎君 中曽根首相は三A政策、英語が好きなようですが、安心、安全、安定、この三つのAですね、それをキャッチフレーズにして災害対策を内政面で取り上げたいと。外交がえらい評判悪かったんで、いよいよ内政に風見鶏的に変わるということのようですが、中曽根さんの安全というのは、波の首相就任以後の「正論」八三年一月号に書いた「逞しい文化と福祉の国を」という論文を見ましても、安全というのは、「日米安保同盟体制をより強固なものとして行く」と、防衛的安全がまずあって、「あわせて地震、災害対策も進める「安全の政治」」というんですね。だから安全保障の意味と、それから防災と二つつながっているわけです。今度の立川の防災基地も、新聞もだから「有事体制色も濃厚」ということを報道しているんですが、国土庁長官はこの立川の防災基地については地震災害のことだけ考えているんですか。それとも有事、つまり安全保障関係の安全、そういう拠点ということも、長官としても中曽根首相の一閣僚として首相の三A政策に基づく安全対策として考えているんですか。#210
○国務大臣(加藤六月君) 中曽根総理は、三つの安全ということは総理大臣に就任せられて以来おっしゃっていないと思います。ただ、その安全という言葉には、先ほど先生はシニカルにおっしゃいましたけれども、内政問題として今後打ち出していく重要な政策というのはいろいろ議論いたしておりますが、一番の安全は国民の健康という、安全という問題等から始まって、すでに発表いたしました人間の健康――死亡率第一位になったがん対策、ここら辺もやっていこうとか、あるいは御存じの緑を、花をいっぱいにするという意味での安全ということ等も考えられる。そしてまた、先ほど申し上げました防災ということを非常に心配されておりますが、これはあくまでも防災は防災でありまして、国民のいざというときの大規模地震その他に対しての防災的基地をつくって、国民の不安を解消して、安心を与えるようにする、こういう立場でやっておるわけでございます。
したがいまして、立川の防災基地はあくまでも防災を中心にして、防災のみを考えておるところでございます。したがいまして、この基地は救出、救護活動等に当たる警察、消防等の施設、食糧の備蓄倉庫、医療施設等のほか、災害対策本部の予備施設も含まれておりますが、これは先ほど申し上げましたように、あくまでも南関東が甚大な被害を受けた場合に、それに対する適切な対策をとる本部としての機能を考えているものでございます。
#211
○上田耕一郎君 地震、大災害があった場合の適切な対策の本部と言われても、壊滅的打撃を都心が受けた場合のということになれば、これは長官が幾ら否定しても有事の場合の壊滅的打撃ということの際にも当然使われることになるんですね。私、三年前にも聞いているんですけれども、四十六年三月六日、政府の文書がある。「大震火災が発生した場合の自衛隊の災害派遣計画について」ですね。この中には、「ヘリコプター約十機から十四機で「宮家、総理大臣をはじめ政府要員等を要請により所要の個所に輸送する。」」ということまで自衛隊の任務として政府発表の文書にはっきりあるんですね。だから、いまのところ長官が平和的な話をされても、いざという場合には使えるということは否定できない事実だろうと思うんです。
ところで、いま言われた食糧備蓄あるいは医療、通信施設などのための拠点だと言うんですが、そういうものは地下室にするんですか。地下ごうを考えているんですか。
#212
○国務大臣(加藤六月君) 地下ごうではございません。地上でございます。#213
○上田耕一郎君 食糧備蓄は、じゃ、地上だということになりますが、いざという場合に首相を初め行くこともあるわけですね。これは参議院の三月十六日の予算委員会で、首相自身がこう答えておられる。大震災となると食糧、燃料の備蓄、救急活動のため根拠地がどうしても必要だ、立川基地を救援の根拠地、中枢基地にする。東京がだめになっても作戦指揮がとれる、「大地震の際の作戦中枢基地を予備的に用意しておく、」ということで、第二官邸ということではないということなんで、食糧だけしまっておくんじゃなくて、やっぱり作戦指揮をとる中枢地区、それも考えているわけでしょう。#214
○国務大臣(加藤六月君) 一番立川基地に考えておりますのは無線通信施設です。情報収集その他が問題になった場合に、部分的、いままでの地震災害があった場合にも電話の途絶、その他の問題が大変大きな混乱を招いております。したがいまして、そういう意味での無線電信、通信施設を中心といたしておりまして、単なる食糧基地ではないということは事実でございます。#215
○上田耕一郎君 その通信の中枢は首相ですからね、指揮をやらなきゃならぬ。じゃ、首相その他、宮様とか天皇とか首相とか国土庁長官や建設大臣も入るのでしょうけれども、そういう人たちをいざという場合に、壊滅的打撃を受けた場合にそういう人たちを、おさめるというと悪いけれども、そういう場所は一切今後計画はないとはっきり断言できますか。
#216
○国務大臣(加藤六月君) 皇族を初めいろいろな方々のお名前が出ましたが、そういう方々をおおさめするというようなことは一切ございません。#217
○上田耕一郎君 首相もないんですね。#218
○国務大臣(加藤六月君) 南関東あるいは幅広い大震災が起こった場合に、防災本部というのはあくまでも現在の霞が関中心にあるべきであります。私、予算委員会でもお答えしておきましたが、テントを張ってでもがんばるということをはっきり、中曽根総理以下閣僚も、中央官庁の役員もがんばるということが第一の大きな前提としてあります。しかし、それでもいま申し上げましたように、医療施設とか食糧とかあるいは通信施設等の問題は、国民の皆さん方がそれでもごちゃごちゃになった場合にどうするんだと言われた場合の第二の補助的な問題として考えるということでございまして、閣僚やその他の者はこの霞が関かいわいに現在あるところでがんばっていくというのが基本姿勢でございますから、そこはひとつ誤解のないようにお願いいたしたい、こう思っております。#219
○上田耕一郎君 がんばる決意をお伺いしましたが、新聞は、「基地全体は”要塞”としての機能を果たす。政府筋は、核シェルターの設置計画は否定しているが」……#220
○国務大臣(加藤六月君) どこの新聞です。#221
○上田耕一郎君 東京新聞。赤旗じゃないんです。(笑声)「この種の地下壕(ごう)が作られる可能性もある。」というふうに言われていますが、人間を収容する地下ごうなど一切計画ありませんね。#222
○国務大臣(加藤六月君) ございません。#223
○上田耕一郎君 まあ状況が変わると中曽根首相は政策もいろいろ変わるものだと言うので、今後変わることが大いにあり得ますけれども、いまのところ国土庁長官が、そういう地下ごうとか、それから第二首相官邸的な、あるいは有事、大地震災の場合の政府中枢が移動するような施設、地下ごうなど一切つくる計画はないと言われたことを確認して、次の問題に移ります。次は、福岡県塔原の住宅用地の疑惑の問題です。
住宅・都市整備公団の問題については先ほども同僚委員から、膨大な空き家の問題、未利用地の問題、その問題の追及がありました。第二の国鉄になるのではないかと言われるほどの大問題を抱えた経営内容になっているわけで、そういう問題抱えていながら、今度二度目の大幅家賃値上げという計画が出されて、居住者あるいは国民の間から非常に大きな怒りが燃え上がっているところですが、私は、都市整備公団の体質がやっぱりいま非常に問われていると思う。中でも政官財の癒着構造、こういうものが残念ながらこれまでにもありましたし、これから私が追及しようと思う塔原の住宅用地取得にもくっきりとあらわれている。私、この問題調べて、まあ週刊誌か何かに書かれるような話を絵にかいたようなとんでもないことが次々起きてきまして、調べた私自身もびっくりするということが非常に多いんです。
まず、この筑紫野市塔原の住宅用地取得について、公団としての事業目的、取得の経過、面積、価格などについて述べていただきたいと思います。
#224
○参考人(久保田誠三君) お答えいたします。当塔原地区のまず概要につきまして御説明いたします。
所在地は、福岡県筑紫野市大字杉塚及び塔原でございます、交通は、地区からバス十分ないしは五分で、十分の方は西鉄大牟田線の西鉄二日市駅、それから国鉄鹿児島本線の方はバス五分で二日市駅に到達いたします。それから西鉄の方は、西鉄の福岡駅、天神と言われますが、そこまで十七分。したがって、計二十七分で参ります。国鉄の方は本線が十八分で博多駅の方へ参りまして、計三十三分で参れるところでございます。そのような交通の比較的よいところでございます。
施行地区は七十四ヘクタールでございまして、そのうち公団が先般取得いたしました取得面積は六十一ヘクタールでございます。事業手法は土地区画整理事業の手法によることといたしております。
用地取得の経緯、経過でございますが、まず昭和五十五年でございますが、当九州支社といたしては宅地開発事業の事業用地として常にいいところを物色しているわけでございますが、そういうところを五十五年の十一月に筑紫野市から当地区の開発について要請がございまして、その年の十二月に土地所有者でございます株式会社林兼商会から公団に土地の持ち込みがございました。
公団は、この土地につきましていろいろ検討したわけですが、土地の有効利用を図るためには福岡県の住宅供給公社及び個人の所有地と一体として開発することが必要である、それは近郊にございますので、そういう一体的に開発する必要があると考えまして、県公社に対しましてはその所有地の譲り渡しを申し入れ、個人約百二十名でございますが、に対しましては開発の同意と、それからその土地の一部を譲っていただきたいという申し入れをいたしたわけであります。
また、この地区につきましては市街化調整区域でございますので、その開発を行うためには市街化区域に編入する必要があります。そういう関係等もございまして、事業予定区域の選定と農林漁業との調整を図る必要がありまして、それにまた、かつ線引きの市街化区域編入の問題が絡んでおりますので、あわせまして筑紫野市、福岡県、農林水産省、さらに建設省等との協議を行ってまいったわけであります。
そのような協議を行いまして、そういう協議の成果を踏まえまして、公団は公団の土地取得に関する規定に基づきまして地区選定等に関する手続、公団本社で二度――A審、B審と言っておりますが、理事会を開きまして、さらに総裁が支社長に対して承認するという手続があります。そういう手続を経まして昭和五十七年、昨年の四月以降に土地取得を行ったものであります。
取得価格につきましては、不動産鑑定評価価格を参考といたしまして、その上に公団の経営採算を考慮しまして決定いたしております。
なお、取得相手は株式会社林兼商会が四十三ヘクタール、それから福岡県住宅供給公社が十六ヘクタール、個人が約二十名、これは共有の問題がありますので、少し数字が必ずしも正確じゃございませんが、約二十名、二ヘクタール。少し数字は切り上げたりなんかしてありますが、そういうことでございます。
以上でございます。
#225
○上田耕一郎君 いろんな疑問があるんですけれども、まずこの近辺はいろんな団地がありまして、空き家もかなりあるんですね。だから、あの地域の自治協なども、何であんなところに買うんだろうということで、まず需要動向の把握からしてかなり問題がある。それから現地へ行ってみますと、ここに写真いっぱい撮ってありますが、本当のもう山です。禁猟区になっていて、大体イノシシも出るようなところです。それで、五十五年にはこのすぐ隣の大佐野というところから坪一万円で買ってくれと言われて、公団は断っている。ここに写真がありますが、(写真を示す)こっち側が一万円の断ったところです。こっち側はあなた方の今度坪三万円で買われた、三倍の。道を隔てて、こっち側は一万円で提供意向があったのに断って、こっち側は三倍の三万円であなた方買われたというところです。しかも市街化調整区域で、水はありません。もう本当に山と谷で、大変なところです。もう写真一々お見せしませんけれども、非常に奇怪です。
そして、現地の不動産業に聞いてみましても、せいぜい一番高くて二万円だという土地なんですね。それを、いまはっきりおっしゃらなかったけれども、坪三万円でお買いになった。林兼商会には三十七億円で四十二ヘクタール、十三万坪買われた。
もう一つおかしいのは、これが塔原地区ですけれども、ここに武蔵台高校というのがある。これは五十五年に供給公社が教育委員会に払い下げましてね、高校ができて。この土地が、きちんと計算してもらったんですが、約一万七千円になっています。これが五十五年です。ところが、あなた方は五十七年の四月に約二倍の三万円という価格を出されたんですね。価格問題について非常に疑惑が多い。
もうかわられましたけれども、当時の九州支社の秋山支社長は話が出たときに、平米六千八百円以上は絶対だめだと言われたというんですな。そうすると、平米六千八百円というのは坪大体二万円なんですよ。だから、不動産屋の方が最高二万円だというのは秋山支社長の話と合うんです。ところが、実際に五十六年にこれが詰まっていったときに、平米八千円からスタートして、ついに九千円で決まって、それで約三万円になった。
鑑定は、御存じの有名な日本不動産研究所が一社で、あと二社は地元です。地元二社の鑑定したところは、話によると支社の福井部長、いま研究学園都市の開発局事業第一部長をおやりになっておりますけれども、福井修司部長の言うとおりにしたというような話が伝わっているんですね。
まず、価格が何で三万円、坪一万円高いと思うんだな。そうすると、十三万坪で十三億円あなた方は高い買い物をしたと思うんだけれども、これだけ問題になっているときに、どうしてそういうことをされたのか、説明できますか。
#226
○参考人(久保田誠三君) われわれは用地取得に当たりましては、都市開発部門におきましては、いま先生お話がありましたように、不動産鑑定機関の三社にその鑑定を依頼いたすことにしております。その鑑定に当たりまして、これが公正になされるべきことが当然でございますので、いろいろの取引事例の知り得た情報等のことは提供いたしまして、適正な評価がなされることを期待いたしますが、余分なことをわれわれが教唆するとか、そういうことは一切ございません。本件についてもありませんでした。そのようなことで、この三社鑑定がなされまして、これに基づきまして、これを参考とし、先ほど申しましたように、われわれの経営採算ということも一方でございます。そういうことを彼此勘案いたしまして、何度も申しますが支社の審議会、公団は二度の審議会、総裁の御承認というようなことを経まして、慎重審議した上で価格は決めたわけであります。したがいまして、この価格につきましては昨年の買収価格を決めた三月時点においては妥当なものだと私は信じて疑いません。
#227
○上田耕一郎君 これは形式は整っているんですよ。もうそれは公団のおやりになることは、全部その形式を踏むわけだから。不動産鑑定士もちゃんと選ぶしね、ちゃんとA審、B審ですか、内規がありますよね、私も今度読みましたが、これに基づいておやりになるんだから。そうなれば公団のおやりになる仕事には一切ミスなんか出ないはずなんですよ。形式どおり全部踏んでいるんだから。しかし、そうやって形式を踏むんだけれども、問題が起きるんですよ。それはからくりがあるからですよね。この場合もそうなんです。一応形式踏んでおれば一切すべて正当であって何も問題起きないんなら、世の中何の腐敗も起きませんし、公団関係のいかなる問題も起きないでしょうけれども、今度はそういう形式をたとえ踏んでいたとしても大きな問題がある。
一番大きな疑問は、この林兼商会、これは林兼産業の、大洋漁業の子会社ですね、林兼産業というのは。そこの林兼グループの一つで不動産業をやっているんですけれども、この林兼商会の救済のために驚くべき高買いが行われたと。裏にいろいろなフィクサーが動いた。政治献金まで行われたという疑惑が次々と出てきているんです。
林兼商会は、この土地を昭和四十八年から四十九年にかけて安田信託銀行から坪一万で十三億円で買ったんです。安田の方も大体九億円ぐらいで手に入れた土地で、四億円上乗せされたと地元ではうわさされている。坪一万で十三億円で買ったんだ。その後金利が、これはなかなか大変なんですね。こういうイノシシの出るようなところだから、なかなか売れない。しかし、金利をずっと払うわけなんです。私、土地謄本を調べてみましたが、この期間にこの金利、書いてありますけれども、年利一〇・一%なんていうのもありましてね。詳しいことは省きますが、ここでこの抵当権を全部合算すると三十数億円の抵当が次々次々設定されて、安田銀行から金を借りていろいろやっているんです。
問題は、この根抵当権、根抵当というのがまず昭和五十二年に二十九億一千万円で設定されている。約三十億円ですね。根抵当が極度額二十九億一千万円で設定されて、その後です、問題は。昭和五十六年九月三十日、つまりこの土地をいよいよ売ることが決まってきた時期ですよ。この時期に極度額一億八千万円の根抵当権が新たに設定されている。これで安田信託銀行から林兼商会に一億八千万金が行ったわけですな。この一億八千万円が公団に三十七億円で買ってもらうための資金として使われたという疑いが非常に強い。
現地でも、大体、林兼は一億八千万円金使ったらしいと、そう言われている。ところが、この根抵当権設定の金額と全くぴたりと合うんですよ、五十六年九月三十日。この一億八千万円の金がどこに流れていったかということが、私はこの事件の非常に大問題だと思うんですね。だから、この安田信託銀行、林兼商会との関係で、この土地を抵当として五十六年に一億八千万円の金が出された。これがどこへ行ったかということで、この裏にフィクサーとしてさまざまなグループが動いているんです。
ちょっと志村総裁にお伺いしますが、志村さんの奥さんも親しい方だと言われておりますけれども、小松康彦という方御存じですか。
#228
○参考人(志村清一君) 知っております。#229
○上田耕一郎君 どういう方ですか。#230
○参考人(志村清一君) 私の家の近くに住んでいる男でして、私の子供が、いま学生でございますが、小松君は四十過ぎたもう大人でございますけれども、何か遊びに行って話をするということがあるというふうに聞いております。しかし、現在は小松君は私の近所からどこかへ行きまして、おりません。#231
○上田耕一郎君 私どもいまの彼の住所は、これはどうも大阪にいるんじゃないかと思うんですけれども、動いたグループにこの小松康彦という人も入っている。総裁の御存じの方ですね。平川芳延、この平川芳延という人は、北九州市戸畑区天神一の十一の三十二にお住まいで、この人が一番のフィクサーとして動かれた方です。それから大関剛夫、港区芝三丁目三十一の十二、日興マンション五〇一号にお住みになっている方の名前も出ている。この平川氏との間でかなりいろんな動きがあって、この小松、大関の間で、総裁も恐らく初めてかもしれませんけれども、ピストルを出す事件、ピストル事件というのが起きているんですね。これは御存じないでしょうな。これはね、だから僕は週刊誌の話にもなるというようなことを言ったんですけれども、実はこの一億八千万円を政治家に渡すために、この土地の問題並びに観音浦の造成地問題というのも絡んでいるんですけれども、林兼がやっぱり持ってるこの問題が絡んでいるんですけれども、福岡市の高級料亭「政」というところで筑紫野市長の松田正彦さん、松田市長とそれから林兼の小山徹四郎専務、この方は本名は繁と言うんです。別名徹四郎と言われて、現地では徹四郎で通っている。小山専務とそれから公団の先ほど名前挙げました福井修司部長がこの高級料亭「政」で会食をされていろいろ相談したと言われている。
この会食をされた事実は福井さんに確かめました。「政」に行って、この市長と小山専務と行ったことございますということを福井さんは明言されました。こういうところで、その場の議事録もあると言うんですね。それから、領収書もあるそうです。観音浦造成地に関する一件書類とこの塔原に関する一件書類、こう一そろいそろってるわけですな。
この書類がいろいろ問題になって、これが明らかになればすべて中身が明らかになるというので、この書類を平川さんという人が持っていたわけですけれども、何とかしてこの書類を取り戻さなきゃならぬというので、林兼の荒木弁護士を通して、あなたのいま御存じの小松康彦にこの資料を取り戻してくれという指示が五十七年六月二十五日に出る。
小松氏は、平川さんに要求するんだが、平川さんは東京にいる大関剛夫さんにもう渡してしまったというので、小松さんは大関さんに会いに行くんです。赤坂東急ホテルロビーで小松さんはとうとうピストルを取り出して大関さんをおどかした。幸い撃たれなかったと、大関さん自身から聞いたんですから。大関さんはそのピストルを取り上げて、そういうことをするなと言ってピストルを戻したそうですが、これが大体五十七年の七月の末から八月ごろに起きた事件なんですね。
そのときは、小松さんはこの資料回収ができなかったけれども、後に林兼の方にこの資料は戻ってきたので、話によると小松さんは二千万円を林兼から受け取っているというんです。
警察庁の方、来てますか――こういうピストル事件などが起きてるということは御存じでしょうか。当然関心をお持ちだと思いますが。
#232
○説明員(森廣英一君) ただいまお話しの拳銃を使って、不法所持事件と申しますか、そのようなものはいまお伺いしまして知ったわけでございます。#233
○上田耕一郎君 ピストルというとこれは大問題でね、いま私は名前も住所も明らかにしましたので、今後調べるというお約束していただきたいんですが。#234
○説明員(森廣英一君) いま名前を伺いましたので、その方々から事情を聞いてみて、事件があるということであれば捜査をすることになろうと思います。#235
○上田耕一郎君 この平川さんという方は、大体五億円でこの問題のフィクサー役を引き受けられたという話です。けれども、実際は五億円もらえないで、三%でがまんしてくれと。三十七億の三%というと一億一千万円ですな。一億一千万ではいやだと、話が違うというので、どうも一億一千万は受け取っていないらしいと言うんですけれども。こういう話が流れて、いろんな人が複数で証言すると、三十七億円公団から払わせれば、そのあっせん料として五億円の金がフィクサーの人に流れるという話が出るということ自体が大問題なんですよ。非常に私は大問題だと思いますね。あなたの御存じの小松さんには二千万円行ったという話です。
さて、非常に大問題なのは、福岡県の亀井知事の確認団体である「福岡県を明るく豊かにする会」、この会に林兼の讃井興起主任とそれから林兼の下請の会社の「大松」の本藤憲司専務が二人で行って、三千万円渡したということについて複数の証言がある。それから、先ほど高級料亭「政」で公団の九州支社の福井部長、それから林兼の小山専務と一緒に会食をして、そのときのいろんな話がとにかく議事録としてあると言われているんですけれども、そこに出席した筑紫野の松田市長には二千万円この二人が渡したということについて複数の証言があります。
私どもは、この讃井さん、それから本藤専務に確かめてみました。一応お二人とも私どもに対しては否定されました。しかし、現地では亀井知事の確認団体の「明豊会」というのですな、「福岡県を明るく豊かにする会」、事実とすれば暗く惨めにする会だと思いますけれども、そういう会に三千万円、それから市長に二千万円いったというのは公然の秘密と言っていいくらい関係者の間で言われている。亀井さんに迷惑がかかるからということで言われておりますけれども、こういう疑惑が出ている。
それで、私どもは、市長にも讃井主任と会ったことがあるかと聞きました。市長は会ったことがないと言います。讃井さんの方に聞くと、市長には何回も会っているということを言われているんですね。もうすでにいろんな食い違いが出ている。三千万円、二千万円、合わせて五千万円でしょう。小松さんに二千万円で、もう七千万円でしょう。三%で一億一千万というと、大体一億八千万円という、私が先ほど土地謄本で五十六年九月三十日に安田信託から林兼に出た一億八千万の大体つじつまが合うんですよ。恐らく、そういう形で金が流れたとしか、一億一千万円、平川さんには渡っていないという話なんですけれども、しかし、全貌が大体こういう状況で生まれてきていると、そう見ざるを得ないですね。
そうしますと、この三十七億円という価格の問題がやっぱり大問題になってくる、三十七億円という。皆さん方は、不動産鑑定士で、それでオーケーだからそれでいいということで済ますつもりですか。現に、だれが聞いても、現地で調べても、坪二万円が最高だと言うんですよ。三万円であなた方は買った。一万円で十三億円ですよ。十三億円もうけさせればその中から一億八千万円ぐらい出るのは簡単でしょう。私がいま明らかにした事実について、総裁どうお考えですか。
#236
○参考人(志村清一君) 用地の取得につきましては、とかくいろいろなお話が出るものでございますから、用地を買うときには慎重の上に慎重にしろという指示を私はいたしております。先生のお話で何やらフィクサーとかいうお話が出ましたけれども、私は、大規模な土地を法人から買う場合には直接法人と交渉しろと、こう言っております。今回の場合も同様の趣旨でございまして、林兼商会と直接九州支社と交渉をしたと承知いたしております。なお、金額につきましては、先生も御指摘なされたように、三つの鑑定を得ています。そのうちの一つは、先生御指摘のように不動産研究所でございまして、これは全国的な鑑定の権威者でございます。また、地元の事情にも明るい者がいなきゃならぬというので地元の鑑定業者も入れたようでございますが、三社でもって鑑定をしてもらっている。これも不当な鑑定になりますと、三社とも不当であるというなら別でございますが、片方、全国的な日本不動産研究所でございますし、アンバランスが出ました場合、鑑定士自身として資格を疑われるわけでございまして、私は、この鑑定は鑑定士の良心に照らして正当なものであろうと、かように考えております。
#237
○上田耕一郎君 志村総裁そうおっしゃいますけれども、あなたはこの事件でかなりの役割りを果たしたとわれわれは聞いているんですよ。あなたはこの問題について何の疑問もないと言われるけれども、二万円のところを三万円で買った。鑑定士、それをただ信用したということで何とも思いませんか、一万円高いということを。あなたがどういう役割りを果たしたかということは、五十七年の二月に公団で部長支社長会議があったそうですね。この二月の部長支社長会議で志村総裁自身が九州支社の福井部長を大変褒めて、この筑紫野の塔原の土地はその方向でいくような方向にここでなったという話もあります。三月三日本社の理事会で交渉の承認を内部規程の五条に基づいてあなたがおやりになった、承認して。三月三十日に取得契約オーケーということになった。これは五十七年の話です。
しかし、価格はもうすでに五十六年九月に坪三万円で大体決まったんでしょう、五十六年九月に。なぜそれがとんざしたかというと、例の朝日新聞が大きく報道しましたけれども、九州支社の廃止などという話が出ましたね、行管庁から。大問題になったのでごたごたで延びたんですよ。もうすでに去年の九月には坪三万円で大体決まっていたんです。
それで、十月一日から、あなたが住宅・都市整備公団の総裁になられてから、あなたがどうやらこの問題できわめて奇怪な動きをした福井部長の言うとおりにこれを進めていかれたんじゃないですか。福井部長というのは、先ほど私が明らかにした。高級料亭「政」というのはちょっと食べると一人十万円かかるという有名なところだそうです、福岡市の。そこに福井部長は筑紫野市長と出席しているんですよ。それから林業の専務と一緒になって、ここで筋書きがつくられたといううわささえある。そのときの議事録を専務がとって、そのコピーが流れているといううわさまである。そのコピーを取り返すために、あなたの御存じの小松さんはピストルまで持って、やったんですから。
あなたは、その二万円、三万円のこの価格問題について何の疑惑も感じませんか。不動産鑑定士が出したらそれでいいんだ、不動産鑑定の役所は福井部長の言うとおりにしたという話まである。これは神様じゃありませんからね。これはまた金が流れたかもしれぬ。とにかく総裁としては経過を、私は国会のこの委員会でこうやって問題を明らかにしている以上、とにかく鑑定価格に従ったので何の問題もございませんということで済ますことはできないと思いますね。
#238
○参考人(志村清一君) 私にかかわるような御発言がございましたが、そのようなことは私、一切ございません。正直に申し上げると大変失礼な話じゃないかと思います。先ほど来申し上げているように、私は、法人との交渉においては、大規模の住宅宅地を取得するという場合においては、直接そういった土地を持っておる法人と交渉するように、しかも厳正に対処するようにという指示をかねていたしております。また、鑑定の問題については、後ほど担当の理事からも申し上げさせますが、私は適正である、かように考えております。
#239
○参考人(久保田誠三君) 先ほど先生の方から、昨年の用地取得に関する理事会の前後の経緯につきまして御発言がありましたので、私、直接担当責任者の理事として経緯を申し上げます。九州支社につきましては、首都圏や関西の方と違いまして、やはり、先生も申されましたが、宅地の需要等につきまして、人口の社会増とか自然増とか、そういう問題について、やはりいろいろ配慮すべき事項があります。ただ、やたら土地を買えばいいというものじゃございません。そういう意味において、志村総裁は当公団の経営の問題についてきわめて慎重に物事を運ばれる方でありまして、常々われわれに対して、経営の観念をしっかりやって土地を買うなり住宅をつくるなりしてくれということをわれわれ理事者にたたき込まれているわけでございます。
そういう関係でありますので、私はこの塔原の地区の選定に当たりましては、総裁から何も御指示もございませんでしたけれども、異例のことに属しますが、九州支社に命じまして特別の需要供給の実態調査なり見込み調査、これを私、二度にわたってヒヤリングしましたが、そういう特別の調査までいたしまして、普通のところでやらないほどの調査をやりまして、そしてこれができなければ総裁におれは上げられないぞと言って直接私が、理事が支社を呼んで、調査は何カ月もかかってつくらせまして、それでその資料に基づきまして、ようやく総裁のところへ御進講申し上げたわけであります。
そうして、経営採算等先ほど申しましたが、そういうものも十分これではいけるということで、もちろん鑑定の問題もありますが、そういうことをあわせまして、これは大丈夫であるということで、慎重の上には慎重をきわめて私はやったつもりでおります。
したがって、いま先生からお話をお聞きしまして、そういうことを聞きますとまことに残念でございます。そういうことは私は夢にも考えていなかったことです。そういうことで買った土地でございますので、私はじかに現地も見まして、これほど本当に地区としてはいいところはないと信じているわけでございまして、私の足らざるところがあったと言われれば、いろんな批判を受けることがあるとすれば、残念でございますが、これは不徳のいたすところでございますが、誠心誠意やったつもりでございます。
#240
○上田耕一郎君 理事は大変まじめに問題お考えになっておるようなんで一言質問しますけれども、あなたは価格は言われなかったけれども、大体坪三万円ということは事実ですね。#241
○参考人(久保田誠三君) 三万円即ではありませんけれども、それに近いものであることは認めます。#242
○上田耕一郎君 それで、私が先ほど示したように、五十五年にこの近くの高校が一万四千七百円とも言われたんですが、今度計算きちんとし直してもらったら一万七千円と。それから、五十五年に大佐野から――このすぐ隣ですよ、先ほど写真示しましたが、坪一万円で公団に買ってほしいという要望があったと。これは事実ですか。#243
○参考人(久保田誠三君) その点は私は伺っておりません。#244
○上田耕一郎君 ちょっと調べてほしいんですね。あなたは本社にいて、非常に関心をお持ちで二回も行って調べられたと言われるけれども、九州支社の仕事でやったんですよ。福井部長が去年の六月に筑波へ行かれましたからね。きょう、どうも本社に来ているようです。だから、福井部長から聞いてくださいよ。大佐野地区から一万円で買ってほしいというのを公団断ったんですよ。われわれは大佐野地区の区長にも電話をして調べたんですから。これは事実なんですよ。五十五年に、すぐ近くの同じような山林で、もっといいところですよ、便利な。そこが一万円で、それは断っておいて、五十七年の四月、まあ五十六年九月ですよ、はっきり価格が決まったのはね。三倍の三万円になると。現地の不動産業者みんな言ってます、あんなところが、イノシシも出る、水も出ない物すごい山のあそこが、幾ら高くても二万円だといま言っているんですから。あなたは何とも思わないですか、その価格については。#245
○参考人(久保田誠三君) その一万円とおっしゃる地区についての経緯については私はよく存じておりませんけれども、またそれは調べてみますけれども、思いますのに、私たちが地区を選定しますには、当地区について、あります土地のまとまりぐあいとか、それからそれを買う場合、われわれが区画整理事業をやります場合には、大体地区の五割ないしは少なくとも四割、そのぐらいはやはり先買いをいたしまして、それで減歩もございますね。そういうところで事業をやりますので、相当の規模がまとまって買える、そしてある適当な値段で買える、それから地形、地質はどうであるか、非常に地形、地質によっては非常に排水に金がかかるとか、土工に金がかかるとか、そういう問題がございますので、そういうような技術上の工事上の問題もございます。それから、さらに交通等さっき申しましたが、一番勤務地が博多方面が多いと思いますので、そういうところへ行きますまず鉄道駅等の、あるいはバスの便はどうかとか、そういうことを考えます。さらに、排水の問題、それから給水の問題、電気、ガスはどうか等々、学校とかその他の公共利便施設はどうだろうかとか、そういう問題を総合的に勘案します。
そういう点で、恐らく私はそのまとまりぐあいとか、値段とかあるいは採算性とか等々、総合的な、地区を選定する基準に恐らくその地区が総合的な意味でマッチしなかったのではなかろうかと私は思います。
で、本当にいいところならば、九州支社も現在のところ、はっきり申しまして現在やっているところは、九州ではこの近くの柏原地区と、それから博多の近くの東の方の千鳥が二地区ございます。それから、いま売り出し中の山口県に久保地区というのがございますが、その程度しか宅地やってませんので、いま宅地供給が九州支社においては非常に少なくて、ようやく来年度ぐらいから福岡都市圏で供給できるというような段階で、これからやっていくということであります。
本当は買いたくてしようがないんです。しかし、やはり九州における住宅宅地需要の実態を踏まえまして、慎重の上にも慎重にやりたいということでやっておりますので、恐らくそういうような問題総合的に考えて、そういう地区が選定にならなかった経緯があるのではなかろうかと私は理事としてのいまのこの一年半の経験から推察をさしていただきたいと思います。
#246
○上田耕一郎君 事実を客観的に見てほしいのです。いいですか、これは林兼商会というのが、前に申し上げましたように、安田信託から十三億円で四十九年に買って、金利がたまってしまって、いままでに三十億円金かかっていると、何とかしたいというので公団に売り込もうとしたんですよ。それで三十七億という値をつけさして、それで、近辺の価格から言うと明らかに最低一万円は高いんです。あなた方は、だから被害者ですよ。しかし、あなた方はこういう甘いことをやっていて、政官財癒着の中で、それで先ほど言ったような膨大な空き家だとか未利用地だとかできてるんですよ。そういうことをしちゃいかぬということを言われているのにまたこれをおやりになった。それで物すごい家賃値上げでしょう。そういう被害者なんだけれども、同時にあなた方加害者になっているんだ。そういう点の責任をきっちり考えてほしい。
で、私がきょう明らかにしたことは、そういう十三億円も、最低考えて十三億円も高い金を払われたためにいろんなグループが動いたり、ピストルを持った暴力事件まで追っかけたり、私は断定はしないけれども、本人たちは否定しているけれども、断定しないけれども、亀井現知事の確認団体に三千万円とか筑紫野市長に二千万円とかいう証言が次々と出てくる。ほかに県会議員や市会議員の名前が、もうきょうは言いませんけれども、何名も出てくるんですよ。
これはもう一つ、先ほどの観音浦造成地の評価価額の再評価、これでも恐らく林兼は何十億円もうけたと言われてるんだけれども、そういうことと重ねて出てるんです。だから、そういう疑惑がある以上、あなた方は形式的な手続はちゃんとやったと思われたとしても、この問題を改めてまじめに調査する必要があると思う。
警察庁いかがですか。私、きょう明らかにしたような事実の疑惑がいろいろ言われている、証言している人もいるというんです。警察も内偵をしているという話も聞いておりますけれども、かなりの汚職事件に発展する可能性もあるわけですが、情報あるいは内偵といった事実はこれまでにあるんですか、それともこれからおやりになりますか。
#247
○説明員(森廣英一君) きょういろいろ伺わさしていただきましたが、およそ犯罪の捜査というものはいろんな社会のそういううわさや何やらを聞きながら、犯罪があると確信した場合には捜査をすべきものでございますが、そういう段階ではないものにつきましても広く世間の情報を収集するということは警察はやっておるわけでございます。しかしながら、警察の捜査というものは隠密に行うべきものでございまして、そんな情報を得ているとかあるいはどんな捜査をしているかというようなことについて公開の場でお答えをするという立場にはないというふうに申し上げます。
#248
○参考人(志村清一君) 政官財というお話がございましたが、少なくとも私がこの公団に来ましてから、政治家からも財界からも何もお話はございません。念のため申し上げます。#249
○上田耕一郎君 だから、私はあなたがお金をもらっただろうとかいう話をしているんじゃない。この問題でどうやら一番動いたのは、当時の九州支社の宅地開発部長の福井修司さんがいままでの範囲では公団支社としては動かれたようです。当時の秋山支社長は平米六千八百円以上は絶対だめだというふうに言われたという話ですからね。それが九千円まで上がっていった。それで坪三万円になったということなんですね。そういう点で、先ほども申しましたが、料亭「政」でお会いになったということも御本人は認めておられる。一番それの役目を果たしたのは林兼ですよ。
なお、この問題、筑紫野の市議会で私どもの議員が質問をしております。その質問に対して松田市長は、日本住宅公団と林兼とのかかわりの問題いろいろ指摘されましたけれども、市内部当局を含めましてこれらの問題については一切かかわりはない、ここに確信しまして皆さんに申し上げておきますと、そう市長は言われているんですが、この市長自身にも疑惑が提起されていると、そう私は思います。
それで総裁に、この問題の締めくくりとしてお伺いしたいんですけれども、林兼商会のこういう売り込み工作が行われて、一億八千万円に及ぶ工作資金が使われた疑惑が出ていると思われるんですね。汚職事件に発展する可能性も強いと思うので、公団とのかかわりを明らかにするために、また公団の責任を明らかにするために、少なくとも次の資料を当委員会に提出してほしいと思うんです。一つは、林兼商会との土地売買契約書、価格も含めて。それから日本不動産研究所など三社による土地鑑定評価の結果。それから支社長が作成し保管している交渉日誌、これらのものを委員会に提出していただきたいと思います。
そして同時に、きょう私は、この国会の委員会でこの問題について責任を持ってわれわれが調査した問題点、疑惑を提示しましたので、公団としてもただ形式的に手続が全部済んでいるということでなく、この問題の経過、五十五年からずっと始まっているわけですね。経過について、きょう私が提起した問題点について責任を持って調査していただきたい。報告を要望したいと思いますが……。
#250
○参考人(志村清一君) せっかくのいろいろな御議論でございますから、調査をさせていただきます。資料の問題については検討さしていただきます。
#251
○上田耕一郎君 それでは、この問題は一つの汚職事件の疑惑なんですけれども、四月十二日に家賃値上げ問題についての集中審議を当委員会としてもすることになっておりまして、そういう家賃値上げ問題などとも実は深い関連がある、そういう問題だと思うんですね。やはり住宅公団が国民の信託にこたえて、国民の要望に応じた正しい住宅政策を進めるためにも、こういう癒着の結果と思われる土地取得の問題についてもぜひ真相を明らかにしていただきたいと思います。最後に、建設大臣、きょうの私の質問、大臣には一つも向きませんでしたけれども、こういう問題について建設省としてもどういう姿勢で対処されるか、一言お答えいただきたいと思います。
#252
○国務大臣(内海英男君) 先ほどから御議論を承っておったわけでありますが、いずれにいたしましても、国民の信頼を受けて公的機関として存在をしておる住宅・都市整備公団の名誉にもかかわる問題でもありますから、公団当局におきましても真相解明のためにあらゆる検討をされ、調査をされるものと期待をいたし、そういうふうにあるべきだと思っております。#253
○上田耕一郎君 終わります。#254
○委員長(片岡勝治君) 他に御質疑がなければ、これをもって昭和五十八年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、建設省、国土庁及び北海道開発庁所管、住宅金融公庫及び北海道東北開発公庫についての委嘱審査は終了いたしました。なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#255
○委員長(片岡勝治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。─────────────
#256
○委員長(片岡勝治君) 次に、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。先般当委員会が行いました建設事業並びに建設諸計画に関する実情調査のための派遣委員の報告につきましては、その報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#257
○委員長(片岡勝治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。本日はこれにて散会いたします。
午後四時四十七分散会