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1947/08/15 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第14号
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1947/08/15 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 議院運営委員会 第14号

#1
第001回国会 議院運営委員会 第14号
昭和二十二年八月十五日(金曜日)
    午前十時三十九分開議
 出席委員
   委員長 淺沼稻次郎君
   理事 土井 直作君 理事 坪川 信三君
      森 三樹二君    安平 鹿一君
      吉川 兼光君    工藤 鐵男君
      小島 徹三君    後藤 悦治君
      小澤佐重喜君    石田 一松君
      田中 久雄君    林  百郎君
 委員外の出席者
        衆議院副議長  田中 萬逸君
        衆議院事務総長 大池  眞君
        衆議院法制部長 諸橋  襄君
        衆議院法制部第
        一部長     三浦 義男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
 厚生委員会の國政調査承認要求の件
 國会予備金支出の件
 裁判官彈劾法案起草の件
    ―――――――――――――
#2
○淺沼委員長 これより会議を開きます。
 厚生委員会から國勢調査の承認に関して、議長より諮問がありました。これを議題といたします。事務総長より御説明を願うことにいたします。
#3
○大池事務総長 厚生委員会から國勢調査の申し出がまいりまして、その調査事項は医療、社会、保險及び婦人兒童に関する問題であります。その方法としては調査委員会を設置して医療の要求あるいは報告の説明の聽取等を行えるわけであります。
#4
○淺沼委員長 ただいまの件を承認するに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○淺沼委員長 しからばさように決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○淺沼委員長 次に予備金支出の件を議題といたします。事務総長の説明を願います。
#7
○大池事務総長 御承知の通り服部崎市さんが先だつて亡くなられまして、哀悼の辞を述べてあるわけでありますが、國会議員の歳費等に関する法律をつくつていただいたのでありますが、その十二條によりますと、議員が死亡したときは歳費一年分に相当する金額を弔慰金として遺族に支給するとなつております。この死亡に対する弔慰金は衆議院の一般予算にはその支出科目がないのでありまして、この分については國会の予備金から支出していただく、そういう意味で四万二千円の支出を御承認願いたいのであります。これを科目としては衆議院手当及給與金四万二千円、議員歳費一箇年分として支出するわけであります。
#8
○土井委員 歳費等が増額された場合は……
#9
○大池事務総長 それは亡くなられた場合に、遡つてどうということはできないわけであります。
#10
○淺沼委員長 ただいまの議題は御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○淺沼委員長 しからばさように決定いたします。
    ―――――――――――――
#12
○淺沼委員長 次に裁判彈劾法案を議題といたします。昨日に続いて御審議を願います。
#13
○三浦説明員 第十一條について御説明申し上げます。十一條で連合審査会において一應の意見として問題になりましたのは、三年を経過したときという規定がありますが、たとえば衆議院が解散等になつた場合、訴追委員会あるいは彈劾裁判所でこの事件が係属しておるときに、そういう事態が起つた場合においては三年間で処理できないことになりはしないか。それから場合によつては三年という期間を延長するか、あるいは一方そういう場合においては、前にやつておつた、進行しておつた事件の審理等は何らか係属するような方法を講じたならばどうか。かような御意見が十一條についてあつたのであります。この点に関しましては、実は彈劾裁判所におきましてはほかの訴訟のように控訴上申というようなことがないのでありまして、長くその裁判が係属するということにもならないのではないか。また彈劾の性質に鑑みまして、早く事件を処理することが必要でありますので、三年間の期間があればその間に処理し得るものではないだろうか、かようなことを答弁いたしております。
#14
○小島委員 第十一條はこのままでよいと思う。解散したところで二三箇月の問題です。糾彈期間などを設ける必要はないと思う。
#15
○淺沼委員長 それでは原案通り決定いたします。
#16
○林委員 時効の点はよいが、改選によつて裁判官が変つた場合の関係を伺いたい。
#17
○三浦説明員 更新することになります。
#18
○淺沼委員長 次に第二十六條。
#19
○三浦説明員 第二十六條は、連合審査会ではこの点に関するさほどの御意見はなかつたのでありますが、運営委員会でまだ未決の問題になつておるわけであります。その意味は但し書の規定でありまして、原則といたしまして、公開して行うということになつておるのでありますが、公序良俗に反する場合に公開しないで行うというこの規定が現在憲法の七十八條に、裁判官は、裁判により、心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の彈劾によらなければ、罷免されないという「公の彈劾」の意味からいつて、常に公開しなければならないという意味を七十八條では含んでおるように解せられますから、かような例外をおくことは憲法違反ではないかということが一つ、それから八十二條の規定の裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行うとなつておりまして、公序良俗に反する場合は公開しないで、これを行うことができるとあります以外に、さらに但し書として政治犯罪、出版に関する犯罪またはこの憲法第三章で保障する國民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、常にこれを公開しなければならないという憲法第三章で保障する國民の権利と、この中に憲法第十五條の公務員を選定し、及びこれを罷免することは、國民固有の権利である。かような規定の趣旨から申しましても当然これは公開しなければならない、かようなことになるのではないかという意見であります。この点に関しましては七十八條については度々申し上げたように、公の彈劾は公の機関による彈劾の意味でありますし、同時に公の一般國民の代表の名においてやるという意味であつて、それは國会がこの彈劾裁判を行う以上、國民の代表として選出された方が、審判に立つのでありますから、その意味において公の彈劾になる。かように考えているのでありまして、公開ということは直接七十八條に含んでいない。かように解しているわけであります。なお、この点に関しましては法制化の当時、憲法立案に携わりました人の意見を聞いてみましても、同樣の意見であつたのであります。なお八十二條につきましては、司法権の公開原則を規定したのであつて、彈劾裁判所は憲法上、これとは別個に特別制度として置かれたものであつて、ただちに八十二條の司法権の公開原則が彈劾裁判所の公開に適用されるものではない。彈劾裁判に関してはおのずから別個の見地から必要と思う規定をおいてしかるべきである、かように答弁いたしておるのであります。
#20
○林(百)委員 その点第一部長のおつしやるのも一應筋が通つておりますが、しかしやはり裁判の手続法については彈劾裁判所も司法裁判所の手続に從つているのであるから、やはり八十二條の殊に第二項の精神に添つて、これは公開するという方が公明正大でいいと思いますから、私はやはりこれを公開すべきもの、この部分だけ削除した方がいいという意見をもつております。
#21
○小澤(佐)委員 それがいいと思う。
#22
○小島委員 僕も七十八條には、公の彈劾という点は御無理とは思わぬ。もしも、そういう必要があるとすれば、公の彈劾は人民裁判の形になつてしまう。七十八條に反すると思わぬが、八十二條の規定にも違反するとは思わない。これはいわゆる司法裁判ではないから違反するとは思わぬが、精神からいつてこういう性質のものは、司法裁判すら公開するということになれば、これも強いて祕密会にする必要はない。公開しても差支えないじやないか。そういう意味で但し書は削つても強いて反対しない。決して削除してはいけないというのではなくして、むしろ削除しても構わないのじやないかと思います。
#23
○工藤委員 僕は原案賛成で、公の秩序醇良の風俗というものを存置することは今日の日本の状態においては絶対に必要です。ところが、一般はこういう工合に考えるかもしれませんが、とにかくこれは害があるという場合に全会一致できめることですから、よくよくの場合でなければ起り得ぬことです。全然取つてしまうと、無軌道に、われわれとして好ましからざることが公開裁判において現われるということは忍びないと思う。いわゆる醇良なる風俗、公の秩序に非常に害がある。だから私は存置論だ。もつともこれは相当やかましい問題になるけれども、今日と日本の現状においてはどうしても守つていくベきものである。十人のみるところ、これはいかぬといつた場合において、なおかつそれを公開しておかねばならんという必要はないだろう。
   〔速記中止〕
#24
○林(百)委員 工藤委員のお話ですが、十二條の点もそうですが、私の根本の考えとしては、私もなにも裁判官を無理に苛めたいのじやないんだが、裁判官彈劾法なんというものは一つの正宗の名刀だと思う。名刀にして切れるようにしておいて、なるべくそういうことのないようにしなければならない。しかし大事な、いざ抜いたときには、なまくらでない法案をわれわれはつくらなければならないと思う。それから憲法でせつかく國民がいろいろの権利を保障されているのに、附属法規でいろいろ制限してしまうと、憲法の精神がぼやけてくる危險がある。それから実際われわれ弁護士として見るのに、戰時中等は非常に裁判所がフアツシヨ化して、人民の権利をいろいろな点で束縛し蹂躪したことがあるので、どうしてもわれわれ裁判官に対するしつかりした、嚴重な監視の機関が必要だということを痛切に感じておる。われわれが何も裁判官彈劾法案をどんどん適用して裁判官をいじめるというわけではない、万一の場合にはこういう法案があるというしつかりしたものをつくつておきたいというのが私の希望で、その点は工藤委員は温情の方らしいですが、温情主義を方々に入れてしまうと、正宗の名刀が鈍力になる危險が多分にある、そういうところをすつきりした法案をつくつておいた方がよいと思う、実際実務に携つての私の考えです。
#25
○工藤委員 これは私として固執する必要はないと思う方があるかもしれんが。一体どういうことが発生してくるかわからんというのが今日の状態である。この裁判は國民に対する裁判でなく一部の國民に対する裁判であるが、どういうことが起つてくるかわからぬのであるから、裁判はむろん公開しておるけれども、やはり八十二條にあるごとく、公の秩序醇良なる風俗を害する場合は対審は公開しないでも行うことができるということにしたい。
 それからわれわれの予想し得ざる社会のあらゆる現象に対して予めこうだろうということでやることは軽卒だと思う。しかもこれは繰返えすようだが、十人が十人公開しない方がよいと全会一致で認めた場合、やかましく公開主議を守つておるのであるから、私としては当然こういうものをおくことが國家のため必要だと考えておる。一裁判官という意味でない、國民全体に対する影響を考えておるのだ、理論はいろいろあろうが、私はこういうものは少し研究してみておく方がよいと思う。
#26
○林(百)委員 公序良俗に反しても公開しなければならない場合は、普通の國民ですら公開して対審の裁判を受けるわけです。ましてや昨日小島委員の意見であつたが、裁判官は特別の身分をもつておる、こういう者が特に法律に反するような職務に懈怠するような行爲のある場合、当然公開して責任を問い、その反省を嚴重に問うということが必要だと思う。そういう意味でこれは公開でなすベきだ。普通の者ですら公開にされるのだ。ましてや判事という身分をもつておる者がそういう職務懈怠とか非行があつた場合には公開で十分反省を促すような機会を與えなければならぬ。こういう意味で修正意見を出しておる。
#27
○工藤委員 しかしこれを裁判する者はわれわれの同僚がするのですから、この人たちの認定によつて裁判を行つた場合に、昔のような裁判の頭で取扱う人はないと思う。また裁判を受ける者は同じわれわれ國民の一人である。私とあなたの考えは基本観念が違つている。
#28
○林(百)委員 あなたの言う普通の者ですら公開される。國民の固有権利に関する事件については、ましてや裁判官というような身分をもつておるものは公開せねばならぬ。
#29
○工藤委員 善良なる風俗あるいはその他に関係しないものは比較的多いかも知れない。政治の犯罪などは公の秩序に大いに関係がある。政治の犯罪とか出版物に対する犯罪とか、憲法第三章で保障する國民の権利が問題となつている事件の対審は公開しなければならないとある。ごく特殊な場合は公開しないことができるようにしてある。一般の裁判は個人生活に関係するものが多い。あなたと考えの違うのはその点で、十人もわれわれ裁判官を選んで十人悉くどうもこれでは社会の公安を害するとか、善良なる風俗を害するという場合に、そこまで裁判官もしくは訴追委員の権限を制限しなくても、適当な、ゆとりのある方法をもつていつた方が法律をつくる場合にいいじやないかと思う。
#30
○林(百)委員 八十二條の二項で國民の権利が問題になつている事件の対審は常にこれを公開しなければならない、とあつて、しかも十五條の罷免をすることは國民個有の権利である。十五條、八十二條の精神からいつて公開すべきであるということは憲法の條文から出てくる。もう一つはフアツシヨ的な裁判をわれわれの同僚はしないだろうといふが、その意味がなく、むしろ裁判官は公序良俗に反するようなことをした場合には、公開の裁判で彈劾を受けるのだということによつて裁判官の責任感を重んずるというそちらの側を強調したい。裁判官たる者はそれほど日頃謹嚴にして自分の責任を重んじなければならないということのために公開を言つておる。
#31
○石田(一)委員 憲法の解釈が出ているが、八十二條の憲法第三章で保障する國民の権利が問題となつている事件の対審は、十五條の國民が裁判官を罷免するというその権利があるかないかということが問題となつた場合には、それは公開しなければならぬ。しかしこの際は國民の権利が問題になつておるのでなく、権利はすでに行使しておる。だから國民の権利が問題になつておる事件の対審というものは、この二十六條の裁判を公開するかしないかということには関係しないと思う。今のような憲法八十二條とか、七十八條とか、あるいは十五條の解釈によつて二十六條の但書をとるということになれば、二十六條の初めから要らないことになる。憲法の問題からきてこの但書を削除するということは私には了解できない。
#32
○林(百)委員 石田委員の十五條の解釈ですが、八十二條の國民の権利が問題になるという事件というのは、やはり罷免を要求しておるわけです。その罷免の要求が、國民の要求が妥当であるかないかということをやはり問題にするわけなんですから、八十二條の國民の権利という中にはやはり公務員の彈劾権の行使ということを当然この中に入れるべきである。ですから國民の権利ということは廣く解釈して、十五條の國民の彈劾権の行使、罷免権の行使ということも当然この中にはいると思う。
#33
○石田(一)委員 行使ということはもうしておる。ただ行使された後にこれを審理する手続上の裁判を公開するかしないかということは、全然それにはかかつてない。
#34
○工藤委員 石田君の議論が正しいと思う。
#35
○三浦説明員 ただいま問題になつておる点につきまして御参考に申し上げたい。今の十五條で固有の権利がすでに行使されておるという御意見もあるようですが、彈劾裁判所が彈劾するかどうかということを決定するのであつて、國民固有の権利が行使されたかどうかということは、一に國民代表として選ばれた議員で構成されておるところの彈劾裁判所の権限に属しておることでありますので、訴追されたからといつて十五條の権利が行使されたというような解釈には、八十二條との関連においてはならないように私ども考えておりますので、そのような意味からなおこれが必要であるかどうかという点を御審議願えば結構じやないかと思う。
#36
○石田(一)委員 第一部長の御意見、なるほどそういうふうにも解されるようですが、私はこの際の國民の権利が問題となつている事件の対審は、國民の権利というのはいわゆる彈劾裁判官がその裁判をした結果、これは罷免に値しないというので無罪にした。こういう場合にこれが憲法違反であるかどうか、彈劾権を行使すべきところをしないで無罪にした。この権利を放棄しておる。だからこれを自分の権利を回避しておるというような疑いがあつたときに國民の権利が問題になつておるのであつて、この際には憲法第八十二條のいわゆる後段の國民の権利が問題となつておる事件の対審ということにならぬと思う。
#37
○三浦説明員 たとえば出版に関する犯罪等におきましても、出版の自由が國民の権利義務として保障されておりますので、その場合に出版に関する犯罪が無罪になつたとかどうとかいうことによつて決定されるのでなく、いやしくも出版に関する犯罪が有罪であるか、無罪であるか、とにかく刑事上の事件として取上げられた場合におきましては、すベてそれは公開でやらなければならぬ。逆に言いますと、出版の自由、政治犯罪等におきましては結社の自由、こういうことの基本的観念からくるものだと考えておりますので、さような意味から御解釈願う方がいいのではないかと思います。
#38
○淺沼委員長 ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#39
○淺沼委員長 速記を始めてください。
#40
○工藤委員 言葉の問題から見ればかけ離れたことを書いておるのですが、秘密裁判に対する公開裁判、秘密警察に対する公開警察で、その秘密裁判に対するためにオープンにした方がいいというのがわれわれの考えです。從つて七十八條の公の彈劾によらなければならない。公の彈劾は原則としてやつておる。たとえば最高裁判官については、総選挙の際に問題を示して、投票できめていく。そういうことも一つの方法であるし、刑事裁判、司法裁判についてももちろんオープン主義である。パブリツクの方法によるということは、必ずしも公開とばかり言われないのです。パブリツクであるということは、要するに秘密でないことはもちろんである。しかしわれわれは公開でいこうという原則を立てておるけれども、しかし例外は少いかもしれぬが、將來発生してくる現象はいかなるものであるか予想せられないから、法律は例外を尊重する場合がきわめて多い。だから繰返えすようですけれども、われわれが三十人の裁判官がことごとくこれじやいかぬからこうしようという時分に、ことさらそれでもお前らに任しきれぬというような法律をつくることは、刑事的政略の上から考えてどうか知らぬが、何もこれをもつて裁判官に非常に恐怖心を起させて――恐怖心はある意味においてはいいことです。職務に忠実ならしめるいい意味だけれども、そういう手を用いなくてもやつていけると私は思う。だから私は公で裁判する。オープンでいくことを原則とする。公の機関、國民の代表である議員によつて代表される裁判ですから、私はいいと思う。公とオープンを同じように考えてはたいへんな間違いである。過去の歴史から見ても公ということは秘密裁判に対するものであつて、公ということは必ずしも公開法廷にしなければならぬという理由になつてこないと私は思う。
#41
○林(百)委員 裁判官が一般の國民を裁判する際にすら、その問題が國民の権利が問題になつておる場合にはどんな場合でも公開にしなければならない。その裁判官みずからが彈劾に該当するようなことをして、しかもその問題が國民の権利に該当している場合には、当然公開にしなければいかぬと思うのです。一般の國民よりなお責任の重い地位にあるものがそういうことをする。そういうことによつて裁判官側の責任の反省の機会になると思う。ですから私はこの秘密主義というものは、何も彈劾裁判を秘密にフアツシヨ的にやれということではなくして、むしろそうすることが人民に均衡がとれるし、なお裁判官にそういう自分の身を持すること謹嚴にしなければならないということの反省を與える最もいい場合だと思うから、私はこう主張するのです。
#42
○小島委員 ぼくはどう考えても、公開にしなくても七十八條の公の彈劾にふれる規定とは思わない。問題は公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると決した場合には、対審は公開しなくてもできるというのだが、かりに裁判官の行爲が憲法八十二條に書いてある政治に関して、あるいは出版に関するような行爲で彈劾されるような問題が起る場合にはどうなるか。
#43
○三浦説明員 八十二條との関係の但書におきまして、ただいまお話の点があつたのでありますが、それはこの彈劾法の二十六條には原案としてはあげてなかつたのであります。それは私たびたび申し上げましたように八十二條は司法権に関するところの対審判決の公開原則であるし、彈劾裁判所法というものは、それ以外に別箇に憲法六十四條に特に罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するために設けられたものである関係上、八十二條の規定をそのままに彈劾裁判法に適用する必要はない。かように考えておつたからであります。從いまして、たとえば出版政治犯罪、あるいは憲法第三章で保障する権利が問題になつた事件に対審につきましては、それが司法裁判であればこれは常に八十二條の但書によつて公開しなければならないことになるのでありますけれども、彈劾裁判所法の二十六條におきましては、必ずしもそれは公開しなくても行うことはできる。こういうようなことに一應考えておるわけであります。
#44
○小島委員 なるほど八十二條が司法裁判のことを規定したものであつて、彈劾裁判所のことを規定したものでないということは私はうなずける。私もそう考えるのでありますが、しかし司法裁判所で政治犯罪とか、出版自由の問題については、ぜひ公開しなければならぬのだというならば、彈劾裁判所でもやはりそういうふうにしなければおかしいじやないか。そういう種類の犯罪を裁判官が犯したということでもつて、罷免の事由になつたような場合‥‥
#45
○工藤委員 そこで全会一致という問題が起つてくる。
#46
○小島委員 全会一致でも憲法でそういうふうに書いてあるのです。公開で受けるということは一つの権利です。それを彈劾裁判所では無視しても構わんということになると、なるほど司法裁判所と彈劾裁判所とは違うが、しかし彈劾裁判所で憲法で保障しておるものを無視しても構わんというのはおかしい。だからむしろ彈劾裁判所法に司法裁判所のように、憲法八十二條に基いて祕密会ができるということを規定するのならば、その八十二條の但書もさらにここに加ふる必要があるのじやないか。僕は先ほども言つた通り、それほど公序良俗に反するものは、そうたくさんないだろうし、またそういうこともやまやまないと思うから、そんなことはむしろ削つた方がいいと思うが、ここに入れるなら八十二條も、但書も全文入れなければ意味がない。こう思うのです。
#47
○工藤委員 これはやはり出席裁判員の全員一致ということにわれわれは信頼をおく必要があるのじやないか。これがあるのだから、もしいよいよ八十何條を適用するというような場合には、これは公開すべきものか、公開すべからざるものか、裁判の罪質によつてその点は裁判官が考えて全会一致で、これを公開すべきものであるかどうかということをきめる。
#48
○小島委員 それは裁判官の裁量一つでどうにでもなるのではなくて、憲法上はつきりとそういうものについては絶対公開しなければならぬ。全員一致で祕密でやろうと言つてもできないことになつておるのですから、裁量の余地はないのです。だから全員一致してそういうもの、たとえば政治問題に関連するものであるとか、あるいは出版の自由に関連するものであるから、祕密会でなくて公開でやろうじやないかというようなことを考えることはできないと僕は思う。もし裁判官が間違つて――間違つて祕密会にしてしまうということもあり得る。そういう余地は全然ないようにしておかなければならないと僕は思う。
#49
○石田(一)委員 今のもし憲法問題からこの二十六條の但書を、どうするという問題になれば、まず憲法の三章の十四條あたりも、もう一遍研究してみる必要があるのじやないかと思います。十四條には、「すべて國民は、法の下に平等であつて、人種、信條、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と書いてあります。そうすると私はこの社会的身分というところに裁判官であるか、裁判官でないかということも加わるベきである。私はこう解釈します。そうすると、裁判官であるがゆえに法のもとに普通の者より不平等な手続をされる。こういうことにも解釈できるのではないか。こういうことも一遍檢討してもらいたい。もしその但書を削除するなら、二十六條、全部が必要ない。憲法上から当然そうなるのであるから、二十六條の必要はない。私はこう解釈しております。
#50
○淺沼委員長 どういう取扱いにしましようか。
#51
○後藤委員 僕は林君と石田君の議論の中に多少食い違いがあると思う。それは出版とか政治犯に関するものを公開するということは、被告を保護する意味での公開です。國事犯、政治犯等に対するものを祕密裡に処断されてはいけないということの、被告を保護する意味の公開原則であつて、今言つているのはいわゆる醇風良俗を害するような、公の秩序を破壞するようなものを祕密で行おう、こういうことの食い違いがお話の中にあるように思う。それは政治上とか出版上とかで祕密裁判によつて処断されてはいけない。出版の自由、言論政治結社の自由を保護する裏付けとなつているもので、これは被告を公開の席で処断されなければならない。祕密に処断されてはならないという被告の犯罪を保護する意味において公開されるのであつて、今言つているのはいわゆる醇風美俗を害し、社会の良俗に対して害ありというところを抑えていこう、ここはぼくははつきりと、社会の良俗を護る、あるいは政治出版というものに対しては被告を護るというようにわかれていると思う。
#52
○林(百)委員 そこがぼくとあなたと違う。それは被告を護るばかりではない。國民の固有の権利が犯されているか、犯されていないかという問題の裁判ですから、これは公開にして、祕密に裁判されてはいかぬ。國民の利益を護るためには公開にしなければならないという意味で、公明正大にやれということだと思う。私はそう解釈する。
#53
○後藤委員 原則はどこまでも公開主義でやつていこうというわけだ。しかし政治なり出版というものが、フアツシヨ化された裁判官によつて、祕密処断されるというようなことだつたら、たとえば共産党が彈圧されたようなぐあいに、アメリカの共産党と違つた意味の國事犯としてやられるというようなことがあるとけしからぬということになるのです。しかしここの抑えているところは猥褻罪その他のけしからぬ犯罪があつて風俗を害するという場合は、一般の良俗を保護するということにおいて抑えようということで、私は基本人権の保護ということと大いに違うと思うのです。
#54
○工藤委員 私が特にお考え願いたいのは、公開裁判ですから、新聞雜誌等は一方新聞雜誌法で勝手なものを書いてはいかぬという制限がありますが、われわれは今日家庭をつくり社会にこうしている間に、出してならぬものを、それが傳染し合法性となつて社会に傳播されるような事柄までもこれをオープンにしてしなければならぬ必要があるかどうか。オープンになると新聞記者は自由に書く。これは一日に何万とか何十万という人のところに頒付されるものだから、その程度が、われわれが考えるように社会のことも考えて書いてくれればいいけれども、そうではない。自由なんだ。だから私はただ公判廷において五十人や三十人の傍聽人のいたところで話をすることは醇風美俗に大した害がないかも知れぬけれども、そういうふうに一つの宣傳力をもつている出版の自由あるいは演説の自由などで、やたらにこれを振り播かれては、つまりそういう病的なひとつの黴菌があるとすれば、その黴菌がみな傳染されることは、公安上、あるいは醇良の風俗を害する点で非常に私は危いと思うのです。それを私が考えますとき、これは裁判官が必ずしも全部を祕密裁判にするのではなく、十人の人が判断してこれを公にしないという程度のものですから、原則的にはやはり公開裁判である。決して林君の心配なさるようなことはないと思う。ただごく極端な問題が起つてきたときに、少くとも十人一致した意見によつて、これは制限した方がよい、これは禁じた方がよい、新聞などに出さない方がよいということは、われわれ会においてもしばしばあることですが、その程度で、私は心配ないと思う。
#55
○林(百)委員 工藤委員とあなたの間にも意見の相違がある。私の公開する意味は、あなたの言う被告の利益ばかりでなく、やはりわれわれ國民の権利が問題になつておるような裁判は公開にして、公明正大にやらなければならぬという意味からです。ところが、裁判の公明正大ということと、公の秩序または善良の風俗を害するおそれがあるときこれを公開することによつて一般民衆にかえつて惡い影響を及ぼす場合と、どちらが重いかということを考慮しなければならない。ところが、國民の権利が問題になつているような事件は、かりに公序良俗に反するようなことであつても、これはやはり公明正大な裁判をしなければならぬという意味があなたの言われるほかに一つある。そういうところからいくと、やはり裁判官が彈劾を受けるような場合、その裁判を公にして、公明正大な裁判をすることは必要だと思う。
#56
○後藤委員 私は原則的に考えてこう思うのであります。これを置いたがゆえに、林君の意見のように、裁判官に嚴酷な裁判権が行使される意味でもなければ、これを置いたから保護するという意味でもないと思う。結局社会の公安を護るということだけである。こういうふうに私は認識して存置すべきであると思う。
#57
○林(百)委員 今のあなたの言われる趣旨を貫徹するためには、すなわち國民の公明さを護るという意味からいつても、裁判を公開するということに方がいい。これは祕密でやつたのでは、どういう裁判がなされるかわからない。また國民の前で、そういう裁判を受けるということこそが、ほんとうの國民の審理の前に裁判せられることになる。それを祕密にやられるということになれば、それはもう國民の知らないようにその問題を穏便のうちに処理するということになります。
#58
○土井委員 先ほど來いろいろ存置あるいは存置しない方がいいとかいうような両者間の御意見を拜聽しておりましたが、われわれから考えて、これをどういうふうに結末をつけるかという問題は、結局最後的には表決によつてやらなければならぬことでありますが、しかしそこまでは行つておらぬと思うので、二十六條の問題と、さらに昨日もかなり深く論議されておりました十二條の問題と、これらは一應この程度にしていただきたい。これ以上議論を盡しても、結局両々讓らなければ、いたずらに時間を費すだけになると思いますので、一應留保していただいて、この意見を、やはり委員長にお任せ願つて、十分相談してもらうということにしていただきたいと思います。
#59
○後藤委員 この取扱いについて異議はありませんが、一言言つておきたいのは、林君と議論しておりますと、まるで公開裁判と祕密裁判との論議のように聞えて非常に迷惑するのであります。どこまでも公開裁判の原則は反対はありません。これはただ社会の公安を護る必要のために例外が設けられる。その利益は被告の利益でもなければ訴追の利益でもない、社会の公安の利益である、こう私は認識して欲しい。われわれといえど公開裁判の原則は亳もこれを尊重しないわけじやない。原則はどこまでも尊重しておる。公開裁判の原則論のように聞えますからちよつと。
#60
○石田(一)委員 私が申し上げたいことは、これは極端な言葉になるのでどうかと思いましたが、第二條の規定によつて罷免の事由となる問題は、要するに裁判官の職務について以外の問題でもこれはなり得るわけであります。すなわち裁判官の素行などの問題について、職務に全然関係のない問題であつて、はなはだしく裁判官の威信を失墜するとか、品位を傷つける場合にもこれが適用されることになりますと、非常に男女関係などの猥褻な問題であつて、これはとうてい一般に公開して、たとえば姦通の現場のありありとした生々しいことを、こんなことは聽かせたくないという場合にでも、これがないと全部公開しなければならぬようなことがあり得る。私はそういうことのためにこういう例外規定があつてもいてのじやないかというのでありまして、決してこれをなるべく祕密の裁判にしようというような意味ではない。私はこれを残そうという意味はそういう意味で言うのでありまして、どうしてもこれを憲法論から削除するというのならば、二十六條全部が要らないということになる。
#61
○淺沼委員長 それではよろしうございますか。――さよう決定いたします。次に第二十九條。
#62
○三浦説明員 二十九條は、証拠調べにつきまして強制権をこの彈劾裁判所法では認めてないのであります。と申しますのは、地方裁判所等に依頼をいたしまして、その裁判所等がもつておるところのそれぞれの機関なり、機能を動員してやることが、実際問題として適当であろうと考えまして、さようなことにしたのでありまして、決して二十九條において証拠について強制をしないという意味ではないのであります。さような意味におきまして、第二十九條の第二項におきましては、身体もしくは場所について強制処分をし、もしくはこれをすることを命じたりすることはできない、かようなことにいたしてあるのであります。この点に関しまして、彈劾裁判所みずからやつたらどうか、かような御意見が連合審査会であつたのであります。
#63
○淺沼委員長 御意見ありませんか。
#64
○小澤委員 そればかりじやないでしよう。地方裁判所というものはいかぬじやないかという点……
#65
○三浦説明員 その点附加えておきますが、地方裁判所を適当な裁判所とやつたらどうか、かような御意見もありました。この点に関しましては司法省ともいろいろ打合わせたのでありますが、実際問題としましては地方裁判所が第一審的な役目をして全國に網を張つておりますし、ここはいろいろな場合の取調べをするにも都合がよいと思います。かりに最高裁判所のたれかがやつた場合におきましても、その人が刑事事件を起せば、一般の刑事事件としてはその地方裁判所がそれを調べるのでありますから、さような意味におきまして地方裁判所を中心にして考えたわけであります。
#66
○淺沼委員長 御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#67
○淺沼委員長 それでは原案通り決定いたします。次は第三十條。
#68
○三浦説明員 第三十條につきましては、いろいろな訴訟関係の手続につきましては相当廣汎な問題がありますから、一々ここに取上げますことはいたずらに條文を長くいたしますので、三十條に包括して刑事訴訟に関する法令の規定を準用することにいたしたのであります。この点に関しまして規定の形式として準用するのは最後の條文においたらどうかという御意見、あるいはさらに審理手続等についてもう少しくこまかく規定したらばどうかというような御意見があつたのであります。これはただいま申し上げましたような意味において包括したのでありまして、なお第四十一條に規則制定権というのを彈劾裁判所に認めてあるのでありまして、こまかい事柄あるいは裁判の言渡し等については、ここでさらに規定を設ける、かように考えておるわけであります。
#69
○淺沼委員長 御意見ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○淺沼委員長 御異議なければ原案通り決定いたします。次は第三十一條。
#71
○三浦説明員 三十一條につきましては但書の方で「罷免の裁判をするには、審理に関與した裁判員の三分の二以上の多数の意見による」となつておつて、意見がわかれて可否、同数になつたりした場合にはどうかという問題が提出せられたのであります。この問題につきましては、実はこの全般の問題といたしまして、訴追委員会の委員長を選任いたす場合、並びに彈劾裁判所の裁判長を選任いたす場合におきましてそれが可否、同数であつたりした場合においてどうするかという規定を実はこの法案では欠いておるのであります。その点に関しましては私どもとしてはほかの問題であれば常に多数決によつて、最後にあるいはだれがきめるというようなときだれかの一票によつてきめる。かようなこともいいかと考えますけれども、訴追委員会の委員長の選任あるいは彈劾裁判所の裁判長の選任というものはなみなみならぬ仕事でありまして、特に刑事訴訟法的な相当の知識も必要であり、また裁判的ないろいろな取扱い等に練達な方でなければならないと考えましたので、常に合議制ということを原則といたしまして、なるたけさような問題は協議によつてきめていただくことを考えてまいつたのであります。從いまして委員長がだれかきまらない場合に、最後にどうやるか。あるいは裁判長がきまらないときは、最後にどうやるかということは、今の協議でどこまでもお願いすることがこの裁判所法の所期する目的に合うと考えておつたのであります。これらを一貫いたしまして三十一條のただいま申し上げました但書の場合におきましても、どこまでも協議によつて最後はきめていただくことが適当であろうと考えておるわけでございます。
#72
○淺沼委員長 御異議ありませんか。
#73
○林(百)委員 可否、同数の場合はどうなりますか。
#74
○三浦説明員 それはただいま申しましたように常にどこまでも協議による。法律的には問題が残るわけでありますけれども、今申しましたような意味で裁判の合議制ということを堅持していく方が望ましいではないか。法律的には問題が理論だけは残るのであります。実際問題としてはそういう解決によつて処理できると思うのであります。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○淺沼委員長 それから第三十七條。
#76
○三浦説明員 三十七條はきわめて短かい條文でありまして、裁判官は罷免の裁判の宣告によつて罷免される、この罷免の効果に関連いたしまして前に挙げました恩給権の問題、他の文官への就職の問題等があつたのでありますが、この問題とは別にたとえば裁判官が死亡した場合、あるいは辞職を申出た場合、任期満了あるいは停年の場合等にどうやるかということが問題になつたのであります。かようなものに対しては彈劾裁判が起つた場合においてはみんなやめる、やめると言つて辞表を申し出た場合においてはこの効果が減殺されるのではないか。そういうものについて特別の規定を置くべきではないか、かようなことが意見として出たわけであります。この点に関しましては一應彈劾裁判の対象であるところの裁別官が裁判官たるの身分地位を失いました場合におきましては、それに対してすでに訴訟の目的物がないことになるわけであります。從つてこれに対する裁判は自然に停止される、かように考えておるのであります。しかしながらなお辞職を申し出た場合においてはそれでは困るではないかというような御意見もありましたので、これらの点につきましては特に法規上の規定を設けないで、別箇に行政措置といたしまして、裁判所長なり、あるいは訴追委員長が内閣の方に辞職を申し出た場合においては、彈劾裁判所に係属している場合には、その辞表をそのまま進行しないようにというような別途の行政処理に扱いによつて解決していきたいと考えているわけであります。しかしながらなお途中で停年になつた場合、あるいは任期満了の場合とか、死亡の場合、どこでやめてもその人たちを彈劾によつて追究していく。たとえば恩給の問題等にも関連いたしますので、それをどうやるかという問題は残るわけであります。この点に関しましては必要があれば規定を置いてもいいかと考えておりますが、但しこれを御判断願います場合におきまして、憲法の六十四條に彈劾裁判所を設ける規定があります点と併せて考えていただきまして、そこまで追究できるかどうかという憲法論を一應決定した上で法案を処理したいと考えております。
#77
○淺沼委員長 御意見ありませんか。
#78
○林(百)委員 辞表を提出する場合、職はやめたが官はまだあるということになるのですか。
#79
○三浦説明員 まだ処理しない間は官はあるわけです。
#80
○林(百)委員 そうしてやはり彈劾の対象になるのですか。
#81
○三浦説明員 辞表を受理しない限りは――受理というのは免官の発令をしない限りは‥‥
#82
○林(百)委員 受理すると官も職も両方やめるのですか。
#83
○三浦委員 そういうことになります。終身官でありませんから‥‥
#84
○森(三)委員 その点について私この前疑問が起きたから皆さんに話した。皆さんの御意見を聽いたところが、林君あたりは当然辞表を提出しても、これは資格を審査するものだから、やはり資格の問題は裁判として係属しなければならぬという意見だつた。だから今辞表を出してそれを受理した場合にはもう罷免の目的を達して最初の目的がなくなるのだから裁判は終了すると言つておられたけれども、その内容実質をなすものはやはり資格の問題であつて、辞表を出した者がまた再び官に就くことがあり得るのだから、やはりこの人間が資格要件があるかどうかということを終局まで見届けるということからいけば、裁判官は罷免の裁判の宣告によつて罷免されるという効果はあります。罷免はされるが、そのために裁判は最初の目的を失つて終了すると書いてない。裁判はやはり進めていかなければならぬのじやないですか。
#85
○小澤(佐)委員 何か條文がないとおかしい。
#86
○三浦説明員 憲法六十四條に「國会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する彈劾裁判所を設ける。彈劾に関する事項は、法律でこれを定める。」とあります。罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するために彈劾裁判所を設けるという規定が憲法にある。これとの関連において、さような場合どうなるかという問題がある。
#87
○林(百)委員 辞表は一時保留させなければならない。
#88
○小澤(佐)委員 保留させることはできない。
#89
○三浦説明員 私はかようなことを考えております。辞職、死亡その他のことをひつくるめて罷免の訴追を受けた裁判官は、その事件が彈劾裁判所に係属中その官を失つた場合でも、本法による裁判を免れることはできない。かように規定しておきまして、罷免の訴追を受けたときに裁判官であつた、ところが裁判所に係属中に官を失つた場合でも、それをずつと最後まで進行してもいい、それによつて免れるものではない。かような規定を置いたらと思つております。しかしそれは六十四條との関連の問題である。私どもの考えでは、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するという意味は、裁判官が罷免の訴追を受けた場合に裁判官であること、裁判をするとき裁判官であつたこと、この二つの條件を具えておればいいのではないか。要するにこれは最後の宣告の意味ではないのだから、廣い意味に解釈して今の規定を置いたらと思つております。
#90
○石田(一)委員 免れることができないというよりは、裁判の係属中、その進行を妨げないようにしておいて、そのときの彈劾裁判官の協議によつて、これはこのまま対象がなくなつたものとして打切るか、それとも係属するかは裁判官の自由意思になるようにしておく方がいいのではないですか。
#91
○三浦説明員 この規定も反面から言えば、大体さような意味をもつておる。しかし規定の仕方としては今のようになるのであります。條文は整理するが、事柄だけを申し上げました。この條文の四十條と四十一條との間に置くことになりますが、罷免の訴追を受けた裁判官はその事件が彈劾裁判所に係属中その官を失つた場合でも本法による裁判を免れることはできない。係属中その官を失つた場合、これは官を失わなければもとよりだという原則もこの中に入つておる。官を失つた場合でも本法による裁判を免れることはできない。その官を失つたというのは本人みずから辞職を申出たとき、死亡したとき、停年になつたとき、あるいは十年なら十年の任期満了のとき、こういうことを含んでおるのです。
#92
○森(三)委員 今第一部長が説明されたように、官はそのままにしておくというが、將來の問題としてこの條文だけでは非常に疑いを生ずる。それと同時に自分が相当した場合に裁判官は、おれは辞職したから構わないというカムフラージユをする手がある。非常に行政上のいざこざを起す余地を残すことになる。やはり明文をおいてあつた方が將來のためにはつきりする。但書として死亡及び停年の場合はこれを適用しないかとか、この限りにあらずという但書を入れたらどうかと思います。
#93
○林(百)委員 裁判官の地位にいないものをなお彈劾裁判ができるかどうかという問題だが、それはできない。それで訴追された裁判官は彈劾裁判を免れるために辞職することができないという一事だけを残す。
#94
○小澤(佐)委員 官廳なら依願免官の発令をさせないようにすればよい。
#95
○森(三)委員 訴追するために辞職るということを防止する一つの條文を挿入する。
#96
○三浦説明員 あまり簡單にやめては、いかぬということを彈劾裁判には書けないが、何かひつかかりをつけませんと‥‥
 もう一つは今の点に関連して懲戒裁判と彈劾裁判は別であつて、彈劾裁判所で、いろいろ調べて懲戒事件にわたるようなことがあつたら、それは懲戒裁判所に正式に移す。こういうものが必要ではないかという意見もあります。これは今のような場合逆に懲戒裁判所になつておる場合に、彈劾の必要ある場合にはこちらに移す、かような必要がないかというお話もあつたのでありますが、この場合においては彈劾裁判と懲戒裁判というのはおのづから法系を異にし、その裁判権、懲戒権というものの帰属を異にしておりますので、全然独立の問題として考えていきたい。しかしながら実際問題としてこちらの方でいろいろ調べて、懲戒事件にあたるようなことを向うに知らせたり、向うから知らせたりしたらというようなことで、法律上の規定を置かないで、実際の行政処理にしてよくはないかと考えます。
#97
○淺沼委員長 それからこれに関連して、弁護士になれるかどうかということについて……
#98
○三浦説明員 この解釈につきましては、公務員法に讓ることにいたしておりますので、その場合には弁護士の問題は別途に考えていかなければならぬのではないかと思います。
#99
○森(三)委員 それでは弁護士法で規定していただいて……
#100
○淺沼委員長 それではそういう取扱いにいたします。それから第三十八條。
#101
○三浦説明員 第三十八條につきましては資格回復ということになつておりまして、いわゆる再審の規定とは異なるのであります。しかしながら連合審査会の意見といたしまして、再審の規定を置いたならばどうかという御意見があつたのであります。と申しますのは、三十八條第一項第二号に関するような場合についてであります。なほ罷免の裁判の宣告の日から五年を経過したときには資格回復の裁判をすることになるのでありますが、この場合にはやはり相当の事由があるということにしたらどうかという意見があつたのであります。相当の事由ということはつけてもよろしいかと思つておりますが、再審の問題については、一番最初の原案にはなかつたのでありますけれども、再審ということにいたしますと、その効果として、かりに罷免の事由ありとして罷免した後に、その事由がないことによつて資格が回復いたしますと、たとえば最高裁判所長官が二人できたり、あるいは最高裁判所の十五人のメンバーが一人はみ出すという結果になりますので、資格回復の規定を置きかえられたわけであります。
#102
○森(三)委員 第一部長にお伺いいたしますが、この中の罷免の裁判の宣告の日から五年を経過すれば、当然資格を回復するものですか。
#103
○三浦説明員 資格回復の請求権を取得するわけです。そしてそれを彈劾裁判所が決定するわけです。この規定を置くことがいいかどうかという問題は、いろいろ問題があると思いますが、原案といたしては今のようなことでこういう規定を置いたわけです。
#104
○林(百)委員 第一部長の言われるように、第一号に相当の事由という制限の規定を加えた方がいいと思う。ただ五年というと、どんな者でも資格回復の裁判をするということになる。それから再審のことは、規定を置かなくてもこれでいいと思う。その程度で原案を支持したいと思います。
#105
○森(三)委員 今林君の言われる相当の事由というのは、結局情状が非常に認められるというような意味だろうと思うのですが、なんらかそういう規定を置かなければ、ただ五年を経過した者は当然資格を回復するように考えられては誤解を生ずると思いますから、その点考慮してもらいたい。
#106
○三浦説明員 條文といたしましては、三十八條の彈劾裁判所は左の場合において相当の事由があるときとひつくるめて、第二号の相当の事由をとりまして、そこを多少考えて整理したいと思います。
#107
○淺沼委員長 それで大体連合審査会で問題になりました点の審議を終了いたしました。その結果問題として残りましたのは、第二條と第十二條との関連、さらに第十六條、それから第三十八條に関連して一條を追加するという点でありますが、これらは議論は大体盡きておると思いますので、それを一應まとめてからもう一遍審議したいと思います。そのまとめ方は委員長に一任願いたいと思います。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○淺沼委員長 御異議なければそのように決定いたします。それができました後にもう一遍お諮りいたしまして、そうして合同審査会を開くよう手続をとりたい。日時その他は追つてお知らせ申し上げます。
 本日はこれで散会いたします。
    午前十一時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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