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1982/05/11 第98回国会 参議院 参議院会議録情報 第098回国会 大蔵委員会 第15号
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1982/05/11 第98回国会 参議院

参議院会議録情報 第098回国会 大蔵委員会 第15号

#1
第098回国会 大蔵委員会 第15号
昭和五十八年五月十一日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         戸塚 進也君
    理 事
               大河原太一郎君
                中村 太郎君
                増岡 康治君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
                上田  稔君
                河本嘉久蔵君
                嶋崎  均君
                塚田十一郎君
                藤井 孝男君
                鈴木 和美君
                桑名 義治君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                柄谷 道一君
   政府委員
       大蔵省主計局次
       長        窪田  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   参考人
       全国銀行協会連
       合会会長     草場 敏郎君
       日本証券業協会
       会長       植谷 久三君
       名古屋大学教授  水野 正一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○昭和五十八年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(戸塚進也君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 昭和五十八年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、全国銀行協会連合会会長草場敏郎君、日本証券業協会会長植谷久三君、名古屋大学教授水野正一君、以上三名の方々の御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして本案審査の参考にいたしたいと存じます。
 これより参考人の方々に御意見をお述べ願うわけでございますが、議事の進行上、最初に参考人の方々からお一人十五分程度以内で御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えしていただく方法で進めてまいりたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。
 それでは草場参考人からお願いいたします。
#3
○参考人(草場敏郎君) ただいま委員長から御指名をいただきました全国銀行協会連合会の草場でございます。
 本日は、昭和五十八年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案に関しまして、私どもの意見を述べるようにとのことでございますので、ただいまから意見を述べさせていただきます。
 そこで、まず五十八年度予算についてでございますが、各省庁等からの予算要求の段階で原則五%のマイナスシーリングを引いたというところに今年度予算の性格が浮かび上がっていると申せましょう。
 すなわち、まず一般会計歳出予算の規模は、五十兆三千七百九十六億円と五十七年度当初予算と比べまして一・四%の増加に抑えられ、昭和三十年度の前年度比〇・八%の減少以来二十八年ぶりの緊縮予算となっております。
 また、この内容をさらに詳しく見てまいりますと、国債費は八兆一千九百二十五億円、地方交付税交付金は七兆三千百五十一億円であります。また、五十六年度に歳入欠陥となって国債整理基金より借り入れていた分の返済額も含まれておりまして、これは二兆二千五百二十五億円であります。
 したがいまして、これらの三つを差し引きましたところの一般歳出は三十二兆六千百九十五億円と、五十七年度当初予算における一般歳出と比べ、〇・〇〇二%の小幅とはいえ、減額されている点は、財政当局の御苦心がうかがわれるところでございましょう。
 一方、歳入面について見ますと、租税及び印紙収入は、景気停滞による法人税の不振を主因としまして、三十二兆三千百五十億円と、前年度当初予算を四兆三千九十億円、率にして一一・八%下回る水準が見込まれていることは、過年度におきまして当初の税収予想が過大のために歳入欠陥を招いた事態を思い起こしますと、まず妥当なところかと存ずるのであります。
 ただし、その他収入等四兆七千百九十六億円を加えましても、実に十三兆三千四百五十億円という大幅な歳入不足が生じます結果、この分を国債の発行に依存せざるを得ないこととなっておりますことは、引受消化を担う私どもといたしましては、容易ならざる事態と申さざるを得ません。
 国債に関連する事項につきましては、後ほどまとめて申し上げることといたしまして、歳入面における問題点につき感想を申し上げます。
 一言で申し上げれば、緊急避難的な歳入補てん策が盛り込まれていることは、当面の国債発行額の圧縮という観点からは評価されますものの、翌年度以降の財源を食いつぶしているという観点からは、やや問題を残しているとの感を免れません。補助貨幣回収準備資金の取り崩し一兆一千億円、外国為替資金特別会計の剰余金からの繰り入れ四千億円等がこれに該当いたしましょう。
 さて、五十八年度予算につきまして所見を申し述べましたが、以上を要約いたしますと、現下の厳しい財政事情のもとで歳出の抑制につきまして相当の御努力の跡がうかがえることかと存じます。ただ、今後を展望いたしますと、財政収支のバランスを早急に改善することは、非常に困難な状況にあるとの感を強めざるを得ないのでありまして、臨時行政調査会の答申の趣旨にのっとりさらに歳出の抑制を図るとともに、長期的な観点に立った財政再建計画を確立し、速やかにその実現を図られることが望まれる次第でございます。
 次に、特例国債の発行についてでございますが、五十八年度予算における六兆九千八百億円という多額の特例国債の発行は、実に史上三番目の規模に達するものであります。そもそも特例国債の発行はあくまでも緊急的措置でありますことから、今後は可及的速やかに圧縮、解消を図ることをお願いいたしたいと存じます。
 また、前年度に続きまして、今年度も国債整理基金への定率繰り入れ等が停止されますことにつきましては、当面の財源難からやむを得ざる措置とは存じますものの、長期的な観点から見ますと、好ましからざる面もあると存じます。
 財政当局が本年二月国会に御提出されました国債整理基金の資金繰り状況によりますと、国債償還財源たる整理基金の残高は昭和六十一年度にゼロとなってしまい、以後の償還は一般会計からの繰り入れ等他の手段にゆだねざるを得ない見込みとなっております。昨年二月時点での整理基金残高の見通しは昭和六十二年度にゼロとなっておりましたから、五十七年度と五十八年度の二回にわたって整理基金への定率繰り入れ等が停止されましたために、整理基金の資金枯渇が一年間早まった結果となっているのでございます。
 このように整理基金への繰り入れ停止は将来の国債償還財源を先細りさせてしまうわけでありまして、この意味からあくまでも暫定的な措置とすべきであると存じます。
 以上のとおり、特例国債の発行につきましても、また国債整理基金への繰り入れ停止につきましても、これらはいずれも五十八年度予算と表裏一体をなしまして、これを財源的に裏づけるものでございますので、やむを得ない措置ではないかと存ずる次第でございます。そしてまた同時に、これらの臨時のやむを得ざる措置をとること自体が、長期的に見ました場合、結局は国債発行の一層の巨額化への圧力を増大させ、ひいてはその消化の円滑化の阻害要因となりかねないことを危惧するものであることをつけ加えさせていただきたいと存じます。
 さて、こういう機会でございますので、次に私どもの立場から国債について日ごろ考えておりますことを申し述べさせていただきます。
 まず、わが国の国債発行がいかに大規模であるかを、歳入総額に占める国債発行額、いわゆる国債依存度で比較いたしますと、八一年度におきましては、フランスが九・三%、米国が一〇・五%、イギリスが一二・七%、西独が一六・三%となっているのに対しまして、わが国は実に二七・四%と極端に高い水準となっておるのでございます。この結果、財政の累積赤字も五十年度以降急増しており、政府長期債務の国民総生産に対する比率も五十六年度末には三三・五%にも達しております。したがいまして、財政再建の第一目標といたしまして、この国債依存度の引き下げに早期に着手する必要があるわけでございまして、このことは長期的に見て財政破綻とインフレを未然に防ぐためにもぜひとも守っていただきたいのであります。
 それでなくても、現在でさえ国債の大量発行に伴うわが国の金融経済面への影響は次第に重大化しつつあります。
 第一の問題点は、長期金利が長期化する景気停滞の中で本来引き下げられるべき筋合いにあるにもかかわりませず、国債の大量発行に伴う国債相場の価格下落を通じまして、逆に高い水準にとどまっていることであります。そのため民間企業の設備投資意欲に少なからぬ影響を与えているものと考えられます。
 これに関連いたしまして、第二の問題点は、クラウディングアウトが発生する懸念が民間事業債の起債市場に見られることであります。民間企業の資本市場を通ずる資金調達は、国債と競合しない海外で、五十六年の四十一億ドルから五十七年の五十億ドルと十億ドルも増加しております。しかし国内の資本市場におきましては、五十六年度の民間企業の事業債発行額は一兆二千六百九十億円でありましたが、五十七年度には一兆四百七十五億円と前年比二千二百十五億円も減少していることを考えますと、大量の国債発行の影響により金利水準が相対的に高くなっている国内市場におきましては、金利が高いことの影響によって事業債の発行が圧縮されていると言わざるを得ません。
 第三は現行シ田引受方式の問題点でございまして、特に資金量シェアと国債引受シェアのアンバランスが生じております。五十七年度のシ団内引受シェアを見ますと、都銀の場合、資金量シェアが二七・一%に対し引受シェアが四二・二%で、実に一五・一%の乖離があるのでございます。
 本来、国債の金融機関引受は、散布された財政資金の還流によりまして金融機関全体の預金増加をもたらすはずでありますが、特に都銀の場合は、財政資金の吸収力が弱いため国債に見合うだけの預金量は増加せず、この結果、資金ポジションが構造的に悪化する傾向にございます。また、発行条件が弾力化されつつあるとはいえ、依然市場実勢との乖離があるため、有価証券の売却損と償却負担が発生しており、これにより銀行の収益が圧迫される事態となっております。
 このように私ども金融機関にとりまして、国債の重圧はますます増大しており、すでに経営面でさまざまな重大な問題を惹起しているのでございまして、このまま推移すれば、現実に国債の引き受け、消化に重大な支障を来す事態に陥るやもしれないのであります。
 このような状況を踏まえまして、以下若干の要望を申し述べさしていただきます。
 その第一は、たとえ年度途中にあっても、財政事情が許す限り、極力国債の減額に努めていただきたいということでございます。たとえば年度途中において税の増収あるいは支出不要、節減による余裕を生じましたときは、ぜひこれを優先的に民間の引受国債の減額に振り向けていただきたいのでございます。
 第二は、新規国債の円滑消化を図っていく上で最も重要なことは、市中消化額を圧縮することは論を待ちませんが、このための施策としては、資金運用部の新規国債引受の増額が望まれます。低成長経済への移行に伴い、政府系金融機関は国民経済的に見て、その使命の見直しが必要になっていると言われており、財政投融資の役割りもそれに応じて変化する必要もあろうかと存じます。こうした観点からも、資金運用部による引き受けにつきましては、これをさらに弾力的に拡大されますようお願い申し上げます。
 第三は、市場実勢を反映した国債発行条件の改定が望まれます。大量の国債を円滑に消化していくためには、何よりも新規国債の発行条件が需給の実勢を反映して適正に決定される必要がございます。従来、ともすれば、新発国債の利回り低下の局面では条件改定がスムーズに行われます反面、利回り上昇の局面では条件改定が難航する場合が多く、今後とも一層の改善が望まれます。
 第四に、国債の最大の引受手である私ども民間金融機関の資金吸収力の強化に格段の御配慮をいただきたいということでございます。今後ともなお相当の国債発行が継続されざるを得ないと予想されますが、私どもといたしましても、引き続き政策の運営に協力するという立場から極力その安定的な消化には協力してまいる所存でございます。そのためには、まず税制面において引き続き貯蓄優遇策の存続が何よりも肝要であろうと考えており、少額貯蓄非課税制度並びに分離課税制度の存続が切に望まれます。
 また、この機会に申し上げたい点は、民間金融機関の資金吸収が郵便貯金によって阻害され、私どもの国債引受能力が弱められていることでございます。郵貯肥大化の要因といたしましては、基本的には郵貯、とりわけ定額貯金の商品、税制面での優遇措置にあると言えます。私ども民間金融機関としましても、懸命の努力をしてまいりましたが、この競争条件の不公平には勝てず、全国銀行の個人預金シェアは、五十年度の三五・八%から五十七年末には三一・九%に低下いたしております。そこで私ども全銀協といたしましては、郵貯業務拡大の抑制、郵貯の商品、税制面等の優遇措置の是正、金利決定方式の一元化等競争条件の権衡を図るよう要望してまいりました。また、郵貯懇報告や先般の臨調答申におきましても郵貯の見直しが提言されており、この際、早急に官業の民業圧迫を抑えて、民間金融機関が活力を発揮できるようにしていただきたく、この点を改めて訴えたいと存じております。
 なお、現在三人委員会で御検討されております中期国債等の窓販とディーリング業務についてでございますが、中期国債の銀行での窓販は国債の消化を円滑にするのに役立ち、また銀行でのディーリングは流通価格をより適正なものとするのに役立つとの観点から、一日も早く民間金融機関でも取り扱いができるよう希望いたしております。
 次に、銀行と証券との垣根問題について述べさせていただきます。
 金融市場と資本市場は、国民の資金運用と資金調達のニーズを満たすための車の両輪であると考えております。銀行も証券も広い意味の金融仲介機能を果たしている点においては同様でございまして、今後とも緊密な連携と相互の切磋琢磨を通じて、国民経済の発展を金融面から促進する責務があります。したがいまして、本質的な機能につきましては、相互に尊重し合うことが基本であり、お互いにその分野を守らねばなりませんが、周辺分野におきましては、国民のニーズと利便向上に寄与するものを積極的に提供することが重要と考えております。
 なお最後に、国債に関連する問題の中で、現在私どもが最も重大と考えております借換債の問題につきまして申し上げます。
 財政当局が本年二月、国会に提出された資料によりますと、今後仮に新規財源債の発行が縮小されたといたしましても、借換債の発行が増大してまいりますために、国債発行額全体としては、今後急速に増大していくことが予想されております。
 五十八年度予算におきましては、新規財源債は十三兆三千四百五十億円であるのに対しまして、借換債は四兆五千百億円でございます。五十九年度以降仮に建設国債の発行額を横ばいといたしまして、特例国債を最大限に圧縮して六十一年度にゼロにするという前提に立ちますと、新規財源債の発行額は、五十九年度十一兆二百億円、六十年度八兆六千九百億円、六十一年度六兆三千七百億円と漸減し、六十二年度以降は六兆三千七百億円で横ばいとなります。
 しかし、借換債発行額は、これは全額建設国債でありますけれども、五十九年度五兆三千六百億円、六十年度七兆四千三百億円、六十一年度八兆二千五百億円と漸増しまして、六十一年度には新規財源債発行額を上回ることとなります。六十二年度には借換債発行額は九兆九千六百億円に達し、以後年度によって多少の振れはありますものの、大勢は十兆円ないしこれを上回る規模の発行が継続することとなります。
 以上の結果、新規財源債と借換債を合算いたしました国債発行総額は、五十九年度十六兆三千八百億円、六十年度十六兆千二百億円、六十一年度十四兆六千二百億円と漸減いたしますが、六十二年度には十六兆三千三百億円へと増加し、以後年度によって多少上下いたしますものの、趨勢としては増大傾向となっております。
 以上の試算は、特例国債を六十一年度にゼロとするという前提に立っておりますが、もしこれが不可能となり、当局の試算にありますように六十五年度までにゼロにできないことに相なりますと、国債発行総額は五十九年度に十七兆七千百億円と、五十八年度より千四百五十億円減少いたしますが、六十年度以降は増加に転ずることとなります。
 このように今後の国債管理のあり方は、発行額の削減及び借換債をも含めた国債の消化をどうやって可能とするかというところに最大の問題があるわけでありまして、私どもといたしましては、できるだけ早期にこの問題への対処の具体的方針を決める必要があると存ずる次第でございます。非常に重大な問題でございますので、最後につけ加えさしていただきました。
 以上いろいろ申し述べましたけれども、私どもの要望等につきましては、今後その具体化等を御指導いただきたいと存じます。これをもちまして陳述を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。
#4
○委員長(戸塚進也君) ありがとうございました。
 次に、植谷参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(植谷久三君) 日本証券業協会の植谷でございます。
 本日は、昭和五十八年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして意見を申し述べよとのことでございますので、証券界の立場から若干意見を申し上げまして御審議の御参考に供したいと思います。
 さて、最近の経済の状況について見ますと、米国を中心として海外主要国ではインフレが収束の兆しを見せまして、金利が低下傾向を示しております。また住宅建設が増加し、企業収益が好転するなど、海外景気の先行きには明るさが見えております。わが国でも、為替相場が円高の方向に改善され、金利水準もやや低下傾向を示すとともに、原油価格の値下がりなどもあって、今後民間設備投資、個人消費支出の拡大が期待されるなど、国内需要を中心とする景気回復の条件が整いつつあるようでございます。しかしながら、わが国経済をめぐる国際経済環境は、海外諸国からの市場開放の要請、発展途上国の累積債務の増大など、依然として厳しいものがあるように思います。
 このような状況にありまして、今後わが国が海外諸国と協調を図りながら経済の長期的な安定成長を図っていきますためには、民間設備投資、個人消費等を中心とする国内需要の拡大を図り、景気の着実な回復を推進していくことが必要かと存じます。この意味から、先般政府におきまして決定されました経済対策を強力に実施することが望まれるのでございます。このためにも国債に大きく依存した財政体質を早急に改善し、財政の経済運営に対する対応力を回復することが緊要な課題となっておると思います。
 このような考え方に立ちまして、すでに成立を見ました昭和五十八年度予算における国債の発行額について見ますと、その額は十三兆三千四百五十億円と、五十七年度補正後のそれと比較しまして、一兆円減額されておりますことは、関係当局の御苦心のあるところと存じ、敬意を表する次第でございます。
 ただいま本委員会でも審議が行われておりますいわゆる財源確保法案によります特例公債の発行額も、前年度に比べまして減額され、六兆九千八百億円とされております。この特例公債の発行額につきましては、現下の諸情勢を考えました場合、やむを得ないことかと存ずる次第でございます。またこの法案におきましては、昭和五十七年度に引き続きまして、一般会計からの国債整理基金への繰り入れを停止する措置を講ずることとされております。将来の国債の償還負担の平準化を図るために、その償還資金を計画的に準備しておくことが必要であることはもとよりでございますが、この特例措置につきましても、財政の大幅な不均衡が生じております現状から見ますと、まことにやむを得ない措置であろうかと存ずる次第でございます。
 ただいま申し上げましたとおり、わが国経済はようやく景気底入れの状況にありまして、今後景気回復を軌道に乗せていくためには、経済の動向に即しまして円滑な財政運営を図っていく必要があろうかと思います。この見地から、昭和五十八年度予算と表裏の関係にあります昭和五十八年度の財源確保法案の早期成立が期待されるのでございます。
 また、申すまでもないことでございますが、さきの第二次臨時行政調査会の答申にありますとおり、財政再建を図ることがいまや国民的な課題となっておりますことから、今後の経済情勢の推移によりまして税収の増加が見込まれます場合には、ぜひとも年度の途中でございましても国債の発行量を極力圧縮することが肝要であろうかと存じます。また内外の経済情勢の変化はきわめて著しいものがありますので、国債の発行時期あるいは個々の発行量等につきましては、状況に応じて弾力的に対処していただく必要があるものと存じます。
 御高承のとおり、証券界は、昭和四十年に国債の発行が再開されまして以来、長年にわたって国債の個人消化に努めてまいった結果、近年ようやく国債は国民の金融資産の中核として国民の間に定着してきております。昭和五十七年度の証券会社の取り扱い額は四兆四千三百億円と、市中公募の総額に占めます割合は約四一%に達しております。特に中期利付国債につきましては、証券会社の取り扱い額は二兆六千七百億円と、公募入札額に対してその割合は八七%と高い水準を示しております。私ども証券界では、昭和五十八年度におきましても、引き続き一層販売体制を強化しまして、国債の個人消化の推進に業界を挙げて努力を重ねてまいる所存でございます。
 次に、せっかくの機会でございますので、国債の円滑な消化、流通の拡大を図る観点から、幾つかの点につきまして私どもの要望を申し上げて先生方の御理解を賜りたいと存じます。
 まずその第一は、国債の発行条件を市場実勢に即して機動的に変更していただくとともに、国債の種類の多様化をさらに推進していただきたいということでございます。国債の発行条件の実勢化、種類の多様化につきましては、当局の御配慮によりまして、近年かなり進んでまいっております。しかしながら今日、国債の個人消化の比率が高まりまして国債の個人保有額が増大する一方、外国人の投資家の国債保有もかなり増加を示しております。このような保有構造の変化に伴いまして、公社債市場は、内外の経済、金融情勢の変化をより直接的に反映するようになっておりますので、今後内外の諸情勢の推移によりまして市場の状況が変化しました場合には、市場の実勢に即して国債の発行条件をより機動的に改められるようお願い申し上げたいのでございます。
 また、今後の発行に当たりましては、引き続き国債の種類の多様化を推進されるとともに、投資家のニーズに応じて国債の発行額の枠内で、長期利付国債あるいは中期利付国債、割引国債の発行額及びそれらの発行時期を適宜調整するなど、弾力的な取り扱いをされるよう御配慮をちょうだいしたいとお願いする次第でございます。さらに今後、期近物国債が市場に次第に多く出回ってまいりますので、これに対応して短期債市場の整備につきましても一層の御配慮をお願い申し上げたいと存じます。
 第二番目には、銀行の長期国債の窓販の実施に伴う問題でございます。御高承のとおり、去る四月一日から銀行等金融機関による長期利付国債の窓販が実施されましたが、銀行は、御承知のように、与信、受信機能、決済機能など、証券会社に比べまして多様な機能を持っております。銀行等の窓口で国債を購入する顧客に対しまして種々のサービスを提供することが可能でございます。これに対しまして、証券会社は銀行のような機能を持っておりませんことから、顧客に対するサービス面で著しく不利な立場に立つことになっております。国債という同じ商品を販売する以上、顧客に対しましても、銀行と同様のサービスを提供できるようにすることが、国債の円滑な消化を図る上での必要最小限の条件であろうかと思います。私どもといたしましては、顧客の利便と事務の合理化に即しました方法による証券担保金融制度の早期実現を強く望んでおる次第でございますので、何とぞ御配慮を賜りますようお願い申し上げたいと思います。
 なお、銀行による中期利付国債、割引国債の窓販につきましては、銀行の長期利付国債の窓販の実施によるいろいろな影響等を十分見きわめた上で検討されるべきものであろうかと思います。また既発国債のディーリングにつきましては、公共債市場に及ぼす影響、あるいは市場秩序の維持等の観点から、なお慎重に取り扱われるべきものであるというのが私ども証券界の基本的な考え方でございますので、この点につきましても十分の御理解を賜りたいと存じます。
 要望の第三は、税制の改善についてでございます。
 証券会社を通ずる国債の個人消化の相当部分は、マル優制度と特別マル優制度を利用して行われておりますが、最近では、国債等の公共債を中心に組み入れた公社債投信の販売を通じて、間接的に国債の個人消化が図られる部分も著しく増大いたしております。このような状況から、今後、公社債投資信託制度を活用して国債の円滑かつ安定的な消化を図る観点から、信託財産の一定割合、たとえば五〇%以上とかいったような国債を中心とする公共債に投資する証券投資信託につきましては、これをマル優だけではなくて特別マル優制度の対象に加えられますようにお願いしたいと存じます。
 次に、有価証券取引税について若干申し上げたいと存じます。
 有価証券取引税は流通税でございます。有価証券の売却の都度、その損益にかかわらず課税されることを考慮いたしますと、円滑な流通を阻害することのないよう、その税率は本来低率であってしかるべきものであると存じます。
 しかしながら、現行の有価証券取引税は、この十年間に三回にわたって大幅な税率の引き上げが行われました結果、先進主要国にその例を見ない高率なものとなっております。このような高率の有価証券取引税が今後とも継続されますと、株式、公社債の円滑な流通、消化を阻害することが憂慮されるのでございます。したがいまして、株式、公社債に対する税率を大幅に引き下げるとともに、国債につきましては課税を撤廃されるようお願いする次第でございます。
 特に、債券の短期売買である現先市場につきましては、有価証券取引税の課税が大きな負担になっておりまして、CD、手形、コール等の短期金融取引の税負担に比べまして、著しい不均衡が生じております。現先市場に大きなゆがみをもたらしておるのでございます。すなわち、現先取引の残高の伸びは逐年低下いたしまして、昨年七月にはCD残高を下回るに至ったのでございます。また公社債総売買高に占める現先取引の売買高の割合も、昭和五十一年度におきましては五七%を占めておったものが、五十七年度には四〇%にまで低下しておるのでございます。今後もこのような現先市場の縮小傾向が続くことに相なりますと、国債の発行、消化ともに重大な支障を来すおそれがございます。つきましては、国債等の現先取引に対する有価証券取引税の課税を早急に撤廃されるよう強くお願い申し上げる次第でございます。
 以上、五十八年度の財源確保法案につきまして意見を申し述べますとともに、国債の個人消化、流通の円滑化に資するための措置につきまして要望を申し上げた次第でありますが、今後も国債の大量発行が引き続き行われます状況にありまして、さらに昭和六十年からは国債の借りかえが本格化してまいります。このような状況から、有価証券の発行、流通の両市場に携わる証券界の役割りはいよいよ重要性を加えてまいるものと思っております。私どもは、証券市場が国民経済に果たすべき責務を十分に認識いたしまして、市場機能をより一層円滑に発揮するよう引き続き最善の努力をしてまいる所存でございます。
 本委員会の先生方におかれましては、証券市場の運営に関しまして、今後とも引き続き御理解と御支援を賜りますようにお願い申し上げ、私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#6
○委員長(戸塚進也君) ありがとうございました。
 次に、水野参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(水野正一君) 私、名古屋大学の水野でございます。
 ただいまから昭和五十八年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして意見を述べたいと思います。
 この法案は、大体主要な点としまして三つのものが含まれていると思います。一つは五十八年度における特例公債の発行の問題、それから第二に五十八年度における国債費定率繰り入れ等の停止の問題、それから第三に五十八年度における特別会計、特殊法人からの一般会計への納付に関する特例の措置、この三つが主要な内容だと思われま
すが、五十八年度におきましては、とりわけ国の財政収支というものがきわめて不均衡な状態にありまして、財政運営に必要な財源を確保するために、これらの緊急異例とも言うべき措置を必要とするということは好ましいことではありませんが、やむを得ないことだと考えられます。
 これらの三つの主要内容のうちの第三のものにつきましては、これは金額的にも前の二つと比べまして比較的小さいものでありますし、また五十八年度に関する緊急措置的なものでありますので、これについては特に意見は申し上げませんで、以下、第一と第二のものについて若干意見を申し上げたいと思います。
 まず、第一の特例公債の発行についてでありますが、五十八年度の国の一般会計における特例公債の発行額は六兆九千八百億円でありまして、これは五十七年度の当初予算の三兆九千二百四十億円に対しまして三兆五百六十億円の増加になっております。また建設国債をあわせました国債発行額で見ますと、五十八年度は十三兆三千四百五十億円でありまして、国債依存度としては二六・五%になっております。これも五十七年度の当初予算と比べますと、国債発行額では二兆九千五十億円の増加であります。ただし、五十七年度には、補正後と比較いたしますと、逆に一兆円ばかりの国債発行減額となっております。
 そこで、このように五十八年度に特例公債も含めまして国債の発行額がまた大きくふくれ上がってきたわけでありますが、これは単に国債発行額がふくれ上がったというだけではなくて、ここ数年間進められてきました財政再建という立場から見ますと、一つの重要な新しい転機に立っているというふうに考えられるわけであります。
 といいますのは、昭和五十五年度以降五十七年度まで、財政再建のために、当初予算ベースで申しますと、国債発行減額の予算を組んできたわけであります。すなわち五十五年度は一兆円、五十六年度は二兆円、五十七年度は一兆八千三百億というふうに、年々かなり大きな国債発行の減額を行ってきたわけであります。これによりまして、五十七年度の当初予算では特例公債発行額は三兆九千二百四十億というところまでになりまして、このペースでいきますと、五十八年度と五十九年度にそれぞれ二兆円弱の特例公債発行の減額をしていけば、五十九年度には特例公債発行額をゼロにするというかねてからの政府の財政再建に関する公約といいますか、これの達成はそう困難ではないというふうな予想すら生まれていたわけであります。これを端的に示しておりますのが、昨年の一月に公表されました財政の中期展望であります。
 この財政の中期展望では、要調整額という数字はまだかなりありまして、これは歳出の一層の削減なりあるいは税の増収、こういうもので解決しなきゃいけない部分を含んでおりますけれども、五十九年度には特例公債の発行がゼロにできるという一応の見通しを持った財政の中期試算であったわけであります。
 しかし、こうした財政再建のプログラムといいますのが、五十六年度と五十七年度の二年度にわたる巨額の税収不足の発生によりまして根底から覆ってしまったわけであります。すなわち、五十六年度には三兆三百十九億円、これは決算と当初予算との差額でありますが、これだけの税収不足が生じました。また五十七年度には補正後と当初で比較いたしますと、六兆千四百六十億円という巨額な税収不足が生じました。ここで五十九年度に特例公債の発行額をゼロにするという財政再建目標の達成は事実上不可能になったわけであります。このことがさらには五十八年度の予算編成というものを異常に困難なものにしたわけであります。
 こういった事態になりましたことにつきましては、いろいろな理由がありますが、大きな理由は、税収の見込み違いでありまして、この税収の見込み違いを生じたのは、経済見通しのそごによるものであったというふうに考えられます。すなわち、第二次石油ショックのデフレ効果というものが予想以上に大きく、名目経済成長率が、予算編成当初に政府が見込んでいた見通しとその後の実績というものと大きく食い違いを示す、すなわち実績が当初見通しを大きく下回るということが生じまして、これが税収の大きな不足をもたらす基本的な要因になったと思われるわけであります。
 いずれにせよ、このような税収の大きな不足というものによりまして、五十五年度以降着々進めてきました財政再建というものは、ここに大きな暗礁に乗り上げることになったわけでありまして、ここで財政再建はきわめて困難な事情に直面することになったわけであります。今後新たな発想の転換によって局面の打開を求める以外には、財政再建の展望は得られないというほどの厳しい状況になっているわけであります。
 そこで、今回のこれらの各種の特例措置というものも、このような状況においてとりあえず五十八年度について当面の措置として何とか切り抜けるということのためには、やむを得ない措置であるというふうに考えざるを得ません。しかし、これはあくまでも当面の措置でありまして、もちろんこれで問題が解決されるわけでは決してないわけであります。より基本的に重要なことは、財政再建のプログラムというものをこの際早急に確立するということであります。
 これに関しましては、本年一月に公表されました財政の中期試算というものを見ますと、特例公債依存の脱却年度を五十九年度に置くということはもう不可能で、これを放棄いたしておりますが、そのことは言うまでもなく、これを二年先あるいは四年先、さらに六年先というふうに、だんだんおくらせていくとした場合も、財政再建というのはきわめて困難であるということが数字的に示されているわけであります。
 しかし、この財政再建ということは、今後のわが国経済が安定的成長を維持していくためにはどうしても解決しておかなければならない問題でありまして、きわめてむずかしい問題であり、またこれを実現していくためには、多数の国民に何らかの形での大きな負担を強いるというものにならざるを得ないわけでありますけれども、ぜひともこれは達成しなければならない事柄だと思います。このためには、歳入と歳出の両面にわたって財政収支のバランスを回復していくための手だてを講ずるということが必要だろうと思います。
 ここ二、三年来増税なき財政再建ということが言われておりますが、これについては財政の再建を進める場合に、まず何よりも歳出を十分に抑制していくということが必要であります。その歳出の抑制あるいは縮減を図っていくためには、行政改革をてこにしてやっていかなきゃいけない。そのためにはまず増税というふうな点を、その手を封じておいて、歳出削減に主力を注ぐということが必要であるという、そういうことはよくわかるわけでありますけれども、果たして今後の財政を展望したときに本当に歳出の削減だけで財政再建が可能なのかどうかという点については、いろいろ疑問の余地があるところであります。
 増税なき財政再建が可能であればそれにこしたことはないわけでありますけれども、どう考えてもその実現性といいますか、可能性というのは、きわめてむずかしいのではないかという気がするわけでありまして、こういう点を十分に詰めていただいて、単にお題目として増税なき財政再建を唱える、あるいは精神論としてそれを掲げておくということではなくて、もはやそういう精神論の段階は過ぎ去っておりまして、現実具体的にどうなるのだという詰めを十分早急にやってほしいわけであります。
 それからもう一つは、この財政再建の問題を考える場合に、この段階になりますと、もはやドラスチックな手段で短期間の間に財政収支のバランスを回復するということは、これはとうてい無理でありまして、またそれをやろうとしましても、国民経済に大きなマイナスの効果をもたらすことになると思われます。そこで、これにつきましては、財政再建を進める場合に、国民経済の安定的成長という点と十分コンシステントな形で財政再建を進めていく必要がある。そのためには、必ずしも短期間にそれを達成するということではなくて、ある程度の時間はかかるかもしれないけれども、こういう国民経済との整合性ということを考えた上で着実な方向で進めていただきたいと思うわけであります。しかし、この財政再建は急を要するし、ぜひやっていただかなきゃいけない問題でありますけれども、見通しとしてはあと数年要することだと思われまして、その間につきましては、かなりの額の特例公債を含めまして国債の発行を続けざるを得ないわけでありまして、したがって、これにつきましては、国債の発行条件の弾力化あるいは多様化をいろいろ努力いたしまして、その償還の円滑化を図っていくことが必要だろうと思われます。それと同時に、その間の経済の運営につきましては、金融政策というものを中心にそれの適切な運用によって経済の安定を確保していかざるを得ないというふうに思われます。
 それから第二の国債費の定率繰り入れ等の停止の問題でありますが、これにつきましては、国債の元本償還に充てるべき資金としまして、一般会計または特別会計から国債の総額の一・六%相当額を国債整理基金特別会計に繰り入れなければならないとされておりますが、五十八年度に限り一般会計についてこの規定を適用しないとするのが今回の特例の措置であります。またこれとの関連で、割引国債に係る発行価格差減額の繰り入れにつきましても、五十八年度に限って一般会計については繰り入れの規定を適用しないとするのがこの特例措置の趣旨であります。
 そこで、この国債費の定率繰り入れ等の制度というものに関しましては、これは国債の元本償還を円滑にするための制度で、そのために設けられているものでありますけれども、これにつきましては、従来から特例公債を発行せざるを得ないような状況のもとで果たしてこういう制度自体が妥当かどうかということが論議されてまいっております。すなわち、特例公債を発行しながら償還財源を積み立てるということは、結局それだけ特例公債の増発をもたらすことになる。またそれは将来の負担によって将来の償還のための財源を利子を支払いつつ蓄えることにほかならないわけで、これは不合理ではないかという意見もあるわけであります。
 そういう意見とともに、また五十八年度につきましては、国債整理基金への繰り戻しが実施されることになっておりまして、この国債整理基金につきましては、公債の円滑な償還に必要な流動性を確保し、また公債の市価維持のためのある程度の資金を保有するということも、五十八年度に関する限りは一応見通しが立つわけであります。
 こういう点を踏まえまして、五十八年度としましては、この定率繰り入れの停止はやむを得ないというふうに考えられます。
 しかしこの定率繰り入れの停止は五十七年度に続いて二年も行われることになります。今後これについては、臨時の特例措置としてではなくて、特例公債発行の状況下における定率繰り入れという制度がよいか悪いか、そういう制度を維持していく必要があるかどうかという問題として十分議論をして、これについての何らかの結論を得る必要があろうかと思います。すなわち、現行の減債基金制度といいますものは、建設国債の発行についてはそれなりの意義があるかもしれませんが、特例公債の発行が行われる状況におきまして果たしてそれを維持する必要があるか、また維持することにどれだけの意味があるかという問題があるわけでありまして、これをこの際十分に論議していただきたいと思うわけであります。
 これについては、すでに財政制度審議会において、五十三年から五十五年にかけまして検討しておりまして、一応の結論には到達しております。しかしこの結論というのは、こういう制度というものが特例公債の発行下においてはむしろ不合理であるという考え方と、それに対して、いや、むしろ財政の健全性を維持するためには必要なんだという考えが対立いたしまして、しかしいずれかという結論が出せないままに、結局、両者の考え方にはそれぞれ一応の理由があるとはいえ、これらを含めて総合勘案すれば、基本的には現行の減債制度の仕組みはこれを維持することが適当であろうというふうに結論づけておるわけでありまして、問題はあるけれども、しかし現行の減債制度の仕組みはやはり維持した方がいいという考えになっているわけであります。そしてこのことは、今回のような異例の財政的な困難な時期には一時的にこれを停止するということもやむを得ないという含みも持たせているわけでありまして、今回の措置は、この先回の財政制度審議会における考え方の線に沿った取り扱いであろうかと思うわけであります。
 いずれにせよ、これではまだ十分この問題に対して解答を与えたことにはなっていないと思うわけでありまして、今後さらに特例公債の発行というのが当分続くわけでありまして、こういう状況下において、現行の減債制度というものが現在のままでいいのかどうかという点につきまして、十分検討の余地があろうかと思われますので、今後早急にこの問題に取り組んでいただきたいと思う次第であります。
 以上、時間が超過いたしましたが、これで意見陳述を終わります。
#8
○委員長(戸塚進也君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#9
○委員長(戸塚進也君) 速記を起こして。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○鈴木和美君 参考人の皆さんには、大変お忙しいところわざわざ当委員会に御協力いただきまして、感謝を申し上げたいと存じます。
 なお、皆様からいまそれぞれ御主張がありました点につきましては、私も十分皆様の御意見を尊重しながら、踏まえて、これからの審議に参考にさしていただきたいと存じております。
 そこで、持ち時間も余りございませんので、多少一般論になるかもしれませんけれども、せっかく両会長、水野先生もおいででございますので、長い間議論された問題かもしれませんけれども、ぜひ見解を聞かしていただきたいと思っていることをしぼって御質問申し上げます。
 いま主張の中にもございましたように、先月から銀行による公共債の窓口販売、いわゆる銀行窓販が始まりましたことによりまして、長い間守り続けられてきました銀行と証券の垣根というのが低くなってきたわけです。それはそれなりに評価のできる面もございますけれども、私が心配していることは、垣根が低くなったということとの関係で、両業界の主張が今度はいろんな具体的な主張になってきているもんですから、心配をしないわけにはいきませんもんですから、両会長の気持ちを聞いておきたいと思うんです。
 そこでまず、草場全銀協会長に三つほどお尋ねしたいんです。
 その一つは、銀行はこれまでいわゆる預金という元本担保商品を顧客に販売してきたわけでありますが、これからは価格変動商品も扱うことになって、お客さんが途中で売却した場合に売却損を生ずるという場合も考えられるわけです。特にお客さんの層が銀行と証券とでは多少異なっているわけでありますから、価格変動商品であるということをお客さんに銀行はPRを徹底しなきゃならぬと思うんですね。それで昨日大蔵省にもお尋ねしたんですが、それはそれなりに適切な指導を行っているというお話なんですが、銀行自体としてどういう指導を行っておられるのか、簡単で結構ですが、お尋ねをしたいと思うんです。
 それから第二点は、今回の窓販は長期債に限られておりますけれども、今後中期国債や割引国債の窓販、それから既発債の売買にも進出していくんでしょう。さらに投資信託の分野にも参入することも希望なさっておるようでありますが、そういうことから考えますと、中期国債などの窓販を行った場合の銀行本来の既存預金商品との競合と
いうことが私は十分考えられると思うんです。とりわけ全銀協のメンバーの中には、都銀のみならず、長信銀や地銀も入っているわけでありますから、それぞれの金融機関の中期国債などの窓販に対する足並みというのは本当にそろっているんだろうかという一つの疑問を私は持っているんです。この点についても業界の内部の状況を聞かせていただきたいと思うんです。
 それから三つ目は、ディーリング業務への進出でありますけれども、この業務によって思うような収益を上げられるのは、金融機関の中でも数少ないんじゃないかと思うんですね。その場合に、圧倒的な営業力と情報力を持つ上位の都銀などとそれ以外の銀行との間に経営格差が一層広まっちゃって、そういう状況がひいては金融機関の再編成というようなことにもつながるんじゃないのかなというような先行きの問題について、問題点として考えておるんですが、この三つについて草場会長の御意見を伺いたいと存じます。
#11
○参考人(草場敏郎君) ただいまの御質問でございますが、まず最初の国債は価格変動商品であるという問題でございますけれども、私ども協会といたしましても、全行足並みをそろえまして、証券業務の担当者に対しましてテキストを全員に配りまして、それから統一の証券業務外訪担当者の試験制度というのを実施いたしまして、全部資格を持った者が、価格変動商品であるということをお客様に十分周知させながら、しかも従来の銀行の商品と違いまして長期のものであるということを十分認識していただいて、販売に四月から入ったわけでございます。そういう指導は十分やってきたつもりでございます。
 それから二番目の既存商品との競合という問題、それから中期国債の問題でございますが、銀行の既存の商品と申しますのは主として預金でございますけれども、こういうものにもうすでに相当な影響がございまして、たとえば個別銀行でどれぐらい国債にシフトした云々ということはともかくといたしまして、全体の預金市場の中から相当部分が国債に移動している、シフトしているという問題がもうすでに起っておりまして、これからもある程度これがだんだん強くなってくるんではなかろうか、そういうふうに思っております。
 ただ、その中で、既存商品との競合があるが、私どもとしましても、一方では、一つの金融商品でもございますし、また国債の安定消化という側面からそういうものを推進しているというのが現在の実情でございます。業界の足並み云々というお話ございましたけれども、これは確かに全銀協の中にも短期金融機関、長期金融機関等もございまして、どこまで足並みが今後そろうかわかりませんが、中期国債の販売に関しましてはまだ実行いたしておりませんし、まだ最終の結論は出ておりません。長期国債も四月に実行したばかりでございますので、この辺のところもう一つまだ的確に把握していないというのが実情でございます。
 それからディーリングの問題でございますけれども、これは確かに先生のおっしゃったとおり、ディーリングに関しては、主として従来は、証券界も大手の証券会社さんが主としてお扱いになるし、同時にまたむずかしい問題でもございますので、中小証券よりは大手の四社さんがほとんど大部分を実行しておられているというのが実情であろうかと思っております。その意味で、銀行はこれから、これもどうなるかまだ結論が出ておりませんが、実行いたしますといたしましても、とにかく新規の参入でございまして、まだまだディーリングに関してはそこまで、いまの大手四社ほどの実力を持っておりません。したがって、これからわれわれとしても相当の努力と時間を要すると思っておりますが、変動商品であることに関しては十分承知しながら、もし御認可が得られれば、そういう面で少しずつ努力をしていきたいと思っておりまして、まだとても金融再編成とか、そういうところまでちょっと問題がいきかねるかと思っております。
 以上でございます。
#12
○鈴木和美君 もちろんまだ始まっていない問題でございますから、私の心配が当たらなきゃいいなという面で懸念をしておりますので、どうぞ御検討を深くしていただきたいと思うのです。
 そこで、いまもお話が出ましたが、近い将来銀行のディーリング業務への進出が恐らく認められることになりましょう。これに対して、証券業界としては、長年苦労して公社債市場を育ててきたわけですから、公社債が株式と並ぶ経営の柱となったときに銀行が参入してくるということについて、強い拒否反応というものを持っておられることをよく聞くのです。特に融資面などを通じて銀行は事業会社などとの結びつきが深いために、ディーリングによって価格形成面でひずみが出てくるのじゃないかという指摘を証券界がなさっておられるようです。確かに今日まで公社債市場の育成に努力されてきた証券界の気持ちというのは私はそれなりに理解ができるわけです。
 ただ、証券業界自体も、いま草場会長が指摘なさっているように、いわゆる四大証券の寡占状態が続いていることもまたこれ事実であるわけです。四大会社の債券売買利益は、他の中堅総合証券と比較して、いま非常に高い実態にあるわけです。今後も国債の大量発行が続くと予想されるもとでは、公社債市場はすでに三百兆円を超えるわけですから、そこに銀行が参入することによって需給をマッチさせる機会というのもまた私はふえてくると思うのです。そういう面では公正な価格競争が生まれる可能性があるのじゃないかなというようにも思っているのですが、そういう点について全銀協及び証券業協会両方の巨頭からその見解をちょっとお尋ねしたいと思うのです。
#13
○参考人(植谷久三君) お答えいたします。
 ただいま、率直に言って、ディーリングの問題の御質問があった。証券市場、御承知のように、もう先生も御指摘になりましたように、今日ではとにかく一年間に三百五十兆円を超えるほどの非常に大きな流通というか、取引が行われているということは、これは大きな食い合いが行われているということなのです、市場において。つまり需給投合しているということなのです。そういう中で、しかもこれは世界各国からです。それから主として金融機関――公社債市場というのは、御承知のように、金融機関がどうしても中心でございます、個人よりも。その金融機関全部にそれぞれ専門家がおられる。たとえばここに草場参考人がおられますけれども、三井銀行さんでもりっぱな専門家がおられる。あるいは生保あるいは信金とか、そういうところに皆いわば玄人に近い運用のベテランがおられるわけです。そういう方々の見解に基づいてこんな大きな需給投合が行われているわけであって、これに対してこれ以上、たとえば直接参加されるとかされないということは、公正な価格形成という意味においてほとんど問題にならないことである。
 むしろ、私どもが非常に心配しておりますことは、これは大変失礼な言い方ですが、日本の金融機関というのは歴史的に、戦後だけとりましても、発達の仕方が特殊な発達の仕方をしております。つまり資本市場のついえているときにオーバーローン、オーバーボローイングといったことが世界の普通の資本主義では行なわれないような形で行われてきて、それはまた国益のために、国の発展のために非常に寄与されたわけですけれども、そういう形が、今日の世界市場が一緒になって、自由資本主義国として世界から許容されるというか、仲間に入れていただいて経済運営をしなければならないというときになりますと、その差がいろいろな意味で阻害要因になってくることは御承知のとおりだと思います。
 そういう意味で、日本の金融機関の産業界に対する力というものも、これは大変りっぱな力をお持ちになっているわけですけれども、そのことが世界各国の経済運営あるいは表に出ない実際の運営の上で非常な違いを見せているわけです。そういう中で、いまのディーリングを金融機関がお持ちになるということは、おのずからそこに自由競争的な意味の原理以外の力のものが加わる危険がある。そのことが本当の意味の価格形成をゆがめる危険があるなということを心配しているわけです。
 そして、先生が御指摘になりましたように四社がほとんどじゃないかと言えば、それは確かに数の上では四社であるかもしれませんけれども、それだけに非常に激烈な競争になる。しかもその背景に、先ほど申し上げましたように、各金融機関の専門家が注文をお出しになるんですから、自分たちが価格をつくり上げるわけじゃないんですから、これは大変な激烈な競争の中で価格形成が行われているわけです。
 なお、一言敷衍させていただきますと、ここ数年来の傾向といたしまして、四社ばかりでなくって、総合証券はもちろんのこと、中小の方々も、国債消化という大きな使命感に燃えて、それを取り扱う量がだんだんと日に日に増加してまいっております。この事実も含めますと、四という数字が何か独占的な、恣意的な価格だという考え方は違っているのではなかろうかと存ずる次第でございます。
#14
○参考人(草場敏郎君) ただいま植谷参考人がおっしゃいましたとおり、いまの流通下のディーリング市場が約三百五十兆円という巨大な市場に成育しておりまして、確かにおっしゃいましたとおり、そこまで市場育成に努力されました証券会社の努力というものは大変だったと思っております。
 もちろん、私どももまだこれに参入しているわけじゃございませんが、銀行法で認められた問題でございますから、しかるべき時期にはお認めいただけると思っております。
 そして、これからの公社債市場の増加を見込みますと、四百兆円、五百兆円という市場にもなってまいりますと思いますので、参入者が多ければいろんな意味での価格の形成にも役立つし、また市場の育成にも役立つ。そういうふうに考えておりますので、私どもももちろんまだきわめて未熟でございますけれども、いわゆるそういった意味での銀行、証券というものが車の両輪となって、一体となって市場育成あるいは公社債の安定的消化と売買、そういう問題に進んでいきたい、そういうふうに考えている次第でございます。
#15
○鈴木和美君 いま両会長から御意見をちょうだいしたんですが、直接現場で働いている両業界の人たちから話を聞くのと、会長さんという立場におられて話をされるのとは、仕事ですからこれはやむを得ないことだと思うんですが、違う。
 そこで、現場の段階のお気持ちなどを私がいろんな場でお聞きをしたときのトラブルというか、主張の違いというようなものがある中で、先般草場会長は、先月の二十六日だったでしょうか、新会長選任後の記者会見で、銀行、証券両業界にまたがる業務分野については、双方の本業を侵さない範囲で競い合い、共栄共存を図っていくことが必要だと、こう述べられているわけです。また証券業協会会長も、雑誌などにおきまして見さしていただきますと、銀行の預金貸し出し、証券の有価証券売買という本業は互いに尊重し合い、対立ばかりでなく、協調による新たなサービスの可能性を探ることも必要である、こう述べられているわけですね。
 確かに最近、興銀と新日本証券など総合証券三社のコンピューター利用の提携など、情報システムの開発面での協調の動きは私も知っています。それでは、両業界の本業はそれぞれ何なのかといった場合に、単純に銀行は預金貸し出し、証券は有価証券売買というように割り切れるのかということになると、国債の窓販を認めたということなどからしても、いま国債担保金融を認めようというような、つまりバーターですね、バーターと言ったらおかしいかもしれませんけれども、そういうお話があって、つまりイコールフッティング論だと、私はこう見ているんです。
 そういう現場段階を見、これから新しい時代に入っていくという時代の想定を考えたときに、両会長にもう一回、これは心境で結構でございますが、共存共栄というような問題とか、協調というのは一体どういうものなんだということを、感想で結構ですが、お聞かせいただきたいと思います。
#16
○参考人(草場敏郎君) 先ほどの冒頭の陳述でも申し上げましたとおり、銀行、証券というのは、本来、資本市場、金融市場におきまして、運用調達の両面を担っているという意味で車の両輪と申しましたけれども、そういった金融の仲介機能を果たしている。いわば企業なり個々人に対しまして運用調達面での一つの血液みたいな役割りを果たしておりますものですから、ただいたずらに、いま特にジャーナリズムでいろいろ銀行と証券とか、あるいは証券と銀行が垣根論争云々という形でいわば、言葉は悪うございますが、けんかをしているみたいなふうにとられるのも、これも本来の問題ではございません。
 ただ、確かに少しずつ垣根が低くなってきておりますものですから、周辺業務におきましては、いろんな問題が、先ほどございましたように、国債担保金融等の問題もございますけれども、本質的には企業であれ個々人であれ、お客様の、顧客の利便と申しますか、そういった方面に視線を向けて、それにはどうしたらいいかということならば、お互いに協調し合う余地があるのではなかろうか。そういう意味で、ただいたづらに、これはいい、これは悪いということだけでなくて、国民のニーズといいますか、そちらのサイドに立った見解から、お互いに譲るべきところは譲り、そしてお客様の便利に役立つものはお互いに少しずつ譲ってやっていこうではないかというのが、私の協調と申し上げた気持ちでございます。
#17
○参考人(植谷久三君) 私も、いま草場参考人が申されましたと全く基本的には同じ考え方を持っております。世の中は御承知のように大変動いていきますので、ことに日本の今日の、ここ数年来の状況は、国際的にも急速な開放というか、国際化してまいりまして、いろんな問題が外国との関係で非常に変わってきております。それから大量の国債発行ということも、これも先ほど来たびたび皆さんからおっしゃったように、考えてみれば、世界に類例のないような急速かつ大量の発行だと。こういう急速な変化に対応していくためには、いろんな意味で、われわれ対応する側も違った状況、環境になってまいっていると思います。それに加えて、いわゆるコンピューター革命というぐらい、コンピューターの発達というものは、これまたわれわれの想像を絶するような速度で動いております。
 そうしますと、国民に対するわれわれ本来の立場からの国民に対するサービスの形も、いろんな意味で変わってくるわけでございます。両業界がかなり入りくりといいましょうか、しなければいけないような時代、またそれが可能な時代になった。そういうことに対するいろいろな修正といいましょうか、お互いに話し合いでやるようになった。何かまるで垣根で戦争しているようなことをよく書かれるんですけれども、決してそうではなくて、実態面がそういう状態になってきたことに対する対応の仕方の中で、多少お互いが議論をする余地ができている。したがって本質的なものには、俗な言葉で言うと、お互い相手の方に手を突っ込まない。
 先生もごらんいただいたかもしれませんが、「それぞれなりわいというものはその道によってとうとし」という言葉を、私、絶えず引いておるのであって、われわれのたとえば担保金融の問題でも、貸出業務をわれわれにやらしてくださいとは決して言っておりません。ただ、国債をこういう中で銀行さんもお売りになる、われわれも売る、こういう特異な場面が出てきましたので、同じサービスが与えられるようにお願い申し上げて、きわめて限定された形で、いわばいままでの修正をお願いしているわけで、どうぞ御理解をちょうだいしたいと思います。
#18
○鈴木和美君 ちょっと余談になるかもしれませんけれども、いまたまたま国債の担保金融の問題が出ましたから、お答えしにくければ結構ですが、新聞で見る限りにおいても、また承知をしている中でも、この国債担保金融という問題で証券業界と銀行業界の間で、融資の限度の問題とか、期間の問題とか、金利とか、融資の返済方法の問題であるとか、融資対策というような問題について、若干の、若干というより、私は相当大きい隔たりがあるなというように思っているんですが、こういう問題についても具体的に今度調整が行われるわけでありましょうけれども、積極的にそういうものは調整に応じていくというような姿勢である、自分たちの主張だけを通すというんじゃなくて、それは協調、共存、繁栄というような意味でうまい話し合いが行われるものだと、そういうふうに理解しておいてよろしゅうございましょうか。両会長にもう一度お願い申し上げます。
#19
○参考人(草場敏郎君) いま私どもそういう意味でのいろんな主張を申し上げておりますし、恐らく証券業界からも同じいろいろ主張が出ていると思います。いま大蔵省の中でそこらの問題をいろいろ調整しておると聞いておりますけれども、まだ私も結論が出ていないように聞いております。以上でございます。
#20
○参考人(植谷久三君) 私も全く同様でございます。
#21
○鈴木和美君 もう一つ草場参考人にお尋ねしますが、ちょっと財政問題とは離れますけれども、今般サラ金規制法が成立しまして、この秋ごろから法律が施行されるわけでありますが、今日のようなサラ金をめぐる諸問題の原因の一つに、銀行が個人融資の面で多少その努力を怠ってきた結果、つまり簡単に借りられるサラ金に一般国民が走ったというようなことを指摘されているわけですね。ところが、一方では、サラ金業者に銀行が融資を行っているということについても大変社会的な問題になっているし、また私も一つの疑問を持っているわけであります。もちろん大蔵省の行政指導が強くこれから、立ち入り検査などの方向を展望しながら、行政指導が強められていくと思うのでありますが、全銀協としても、大蔵省の指導を待たずに、このサラ金向けの融資の自粛などを積極的に行っていくというような考えがあるのかどうか、お伺いをしておきたいと存じます。
#22
○参考人(草場敏郎君) ただいまの件でございますけれども、ちょうど五十三年でございましたか、大蔵省からサラ金問題に関する銀行の融資に対して自粛通達、口頭でございましたけれども、自粛通達がございました。相当自粛してまいりましたわけでございますけれども、ここ一年ぐらい、特に今度の業法が衆議院を通過したぐらいのときから相当大幅にふえてまいりました。ただ、もちろん全銀協全体としてどうするという指導もいたしておりませんで、個々の銀行の問題でございますけれども、中にはそういった国民的なニーズもあるということで、低利の資金を融通すれば、サラ金業者自身の良質化と申しますか、低金利化ということもできるんじゃなかろうかということで、ある程度やってきたこともまたこれ事実でございます。
 ただ、現在、いろいろ新聞紙上その他にありますとおり、非常に暴力取り立てであるとか、きわめて高利の貸し出しであるとか、いろいろな社会的な弊害を生んできておることもまた事実でございますので、私どもとしましても、銀行の一面から言えば、健全性あるいは公共性の問題から、今後この点に関しては十分配慮いたしまして対処したいと思っております。ただ、大蔵省の方でも、この問題を十分調査の上早急に通達を出すと言っております。もちろん私どもも十分いままでの趣旨を踏まえまして今後慎重に対処していきたい、そういうふうに存じております。
#23
○鈴木和美君 それでは水野参考人にお尋ね申し上げますが、水野教授は最近時宜にかなった「財政再建」という本を出されました。読ませていただきましたが、その中で、増税なき財政再建は三年から五年程度の期間で達成することはきわめて困難だ、これを強行するとすれば経済社会に大きな摩擦と混乱を生じ、財政がよくその機能を発揮し得なくなるというお話、またきょうもその趣旨のお話があったと思います。したがいまして、どうしても新税の導入を含む増税措置が必要であろうということを示唆されているわけですね。
 そこで、最近大蔵大臣は衆議院の大蔵委員会でも、ここでも述べたんですが、赤字国債脱却の目標年次を今度新しく策定された経済計画のタームである八年間に合わせて、七年先の六十五年を考えているというように述べられていますね。しかし大蔵省の出した財政の中期試算によって、七年間で赤字国債の発行額を均等に減額するといえば、毎年一兆円ですから、そういう意味では要調整額自体も非常に多額に上るという現実の中で、教授にお尋ねしたいんですが、赤字脱却年度を六十五年とした場合でもやはり新税導入は不可避だ、またやらなきゃならぬ、そういう御見解に立たれているんでしょうか。また新税を導入する場合、どのような形のもので、どのような規模で、どのぐらいが妥当かというようなことについて、御見解があればお聞きしたいと思うんです。
#24
○参考人(水野正一君) ただいまの御質問ですが、ことしの一月に政府の方で発表しました財政の中期試算というのによりますと、ここにA、B、C三つのタイプを考えておりますが、六十五年までに特例公債の発行をゼロにするというケースですと、これはタイプCのタイプだと思われる。このタイプCだと、毎年均等に一兆円ずつ国債発行を減額していくというケースであります。そうすると六十五年にほぼ特例公債発行をゼロに持っていけるという場合です。
 しかしこの場合も、要調整額というところがありまして、この要調整額の数字が、Cのケース、一兆円ずつ減額して六十五年度に特例公債発行ゼロにするというケースの場合でも、五十九、六十、六十一年までしかここに試算は示してありませんが、五十九年度で四兆一千六百億、六十年度で六兆三千七百億、六十一年度で七兆六千四百億の要調整額の処理が必要なわけであります。これを増税なしでやるとすると、これは全部歳出削減でやらなきゃいけない。歳出削減といいましても、結局は国債費と地方交付税の方でそれを回すわけにはいきません。すると一般歳出の切り込みでやらざるを得ない。そうすると、これだけの年間毎年四兆円から七兆円以上の――六十一年までであります。六十二年以降になるともっとこれは金額が大きくなると思いますが、数年間にわたってこれだけのさらに一般歳出の削減を続けていけるか。まずそこが問題であります。
 これは恐らくこの財政の中期試算で計算してある一般歳出の数字自身も非常に渋い計算をしてありまして、六十年度の伸び率五・二%とか、非常に渋い伸び率でありまして、これをさらにこれだけ削減できるかというと、私は非常にむずかしいんじゃないかと思いますし、さらに、やったとしても、これは財政の姿としては決して望ましいものではないというふうに思われます。いろいろな社会保障費にしても、文教費にしても、こういうところに大きなしわ寄せを持っていかざるを得ないということになります。
 ですから、財政の姿が小さくなるばかりがいいとは決して思わないわけでありまして、適度の規模というのの維持というのはやはり必要だと思いまして、そういう点から非常に困難だというばかりでなく、財政のあり方としても望ましくない。
 それからさらに、これが景気に及ぼす影響として、一年や二年これだけの歳出の抑制を無理して強行してやっても、経済というのはあるいは耐えられるかもしれませんが、これが数年間にわたってこういう歳出の抑制を続けるということをやりますと、日本経済は恐らくこれでだめになってしまうんじゃないかという気もするわけです。そういう点で、歳出の削減だけでは非常に無理だということを申し上げたわけであります。
 一方、増税の方は、どうしても増税が必要だということになるわけですが、増税の方も同じように、もしやるとすれば増税に伴ってのデフレ効果というのも考えられるわけであり、またこれについての国民の抵抗というのがあるわけです。これも決して簡単ではないわけで、歳出削減にしろ増税にしろ、いずれもやはり非常にむずかしいという結論なんですね。
 ですから、増税をやれという結論でも必ずしもないわけなんですが、しかし、どうしてもやらにゃいかぬとなると、増税も考慮に入れた上で、もう一遍再建の姿というのを描き直して、根本的に考え直す必要があるんじゃないかというところまでなんです。
 その場合に、増税をもし考えるとすれば、考えられるのは、いまの税体系の合理化というか是正という方向で、あわせて税の増徴をその中に取り入れるという方向がいいんじゃないかというように考えまして、そういう点ではいま問題になっております所得税の減税の方向と、それと引きかえに間接税の方を強化していくという方向が望ましいというふうに考えております。
#25
○鈴木和美君 もう一つの質問で、時間の関係もあるようですから終わらせていただきますが、これも水野参考人にお尋ねを申し上げますが、先生はこういうことをおっしゃっておられるわけですね。
 つまり高度成長期を通じての財政の肥大化に伴って助成されてきたもろもろの非効率を除去し、財政の効率化を図ることが必要であるということも述べられておるわけですが、わが国の財政の肥大化に伴って助成されてきたいろいろの非効率というのは、一体具体的に何を指しておられるのか。特に民生部門と産業部門とに分けて見ると、どちらに非効率が多いと考えておられるのか。この点についてもできればお聞かせいただきたいと思います。
#26
○参考人(水野正一君) これは非常に多方面にわたっておりますので、一々特にどれがというわけでもありませんが、たとえば社会保障費の問題にしても、高度成長期の豊かな税収というのを背景にして、特に今後の老齢化に伴うそういう制度をつくれば、それに伴って財政負担が増大していくという、そういう見きわめが必ずしも十分ではなかったんではないか。非常に甘い詰めでもって制度をつくって、その結果として、老齢化に伴って今後このままでいくと非常な財政負担になるという、そういう甘さといいますか、こういうものがかなりあったと思います。
 そのほか、たとえば文教費にしても義務教育費の国庫負担の教科書の無料配布の問題だとか、それから各種の補助金についても洗い直し、見直しが非常に不徹底であるというようなことが歳出の全般にわたって個々に洗っていくと非常に多いんじゃないかと思います。
 それを産業面と民生面とに分けてどういうウエートになっているかというその仕分けは、ちょっと私よく十分つかんでおりませんが、そういうことだろう。
 もう一つの問題は、高度成長期に、昭和四十年代後半でありますが、日本の社会というのは民間部門、企業部門が急速に伸び過ぎて政府部門の方は若干おくれた。それが社会保障の未整備なり、社会資本の不足なり、こういうものにあらわれて、これを急速に整備しなきゃいけないということで、かなり急速にそういう制度の充実、それからそれに伴っての財政支出の拡大というのが四十年代の後半に急ピッチで行われたわけですね。そのときは、当初は高度成長期で税収の伸びが非常によかったもんですから何とかつじつまが合っていったわけですけれども、だんだん高度成長の行き詰まりで税収がダウンしてきますと、歳出の方ばかりが伸びて、それに伴っての税収がそれに追っつかないということで、非常に大きな赤字財政が出現するということだったと思います。
 そのときも、そういう政府部門を拡大させていって民間部門とのバランスをとるという考え方も、その当時としては支持を受けた考え方でありますが、現在としては、その場合も十分、財源面といいますか、今後のそれを支える税収面というものが大丈夫かという詰めが甘かったというふうな気がしてならないわけです。
 以上です。
#27
○多田省吾君 本日は、先生方には大変ありがとうございました。
 初めに草場参考人及び植谷参考人御両人にお尋ねしたいのでございます。
 両参考人とも、国債の減額また国債発行の圧縮を強く主張されておられるわけでございます。それには景気回復がどうしても必要かと存じます。アメリカの景気の回復傾向あるいは原油の値下がりなどで、わが国経済の先行きにとっても明るい材料がそろってきておりますが、大企業の設備投資にはかげりが生じてまいりまして明確な回復には私どもはほど遠いと考えざるを得ません。しかし一方では、個人消費は底がたい動きが見られるなど、景気は足踏み状態からテークオフの状況にあると、このように大蔵省の財務局長会議報告では、四月二十一日でございますが、こういった判断もあるわけでございます。
 先ほどもお考えの一端をお聞きいたしましたけれども、金融、証券、それぞれの業務を通じられて、草場会長と植谷会長には景気の状況をどのように判断されておられるか。
 また、最近、円高基調から見まして公定歩合の引き下げについての障壁も除かれつつあると考えておりますけれども、この点についても御見解を承りたいと存じます。
#28
○参考人(草場敏郎君) 目下の景気の状態でございますけれども、過去の成長期に比べましたら、まだまだ停滞しているんじゃなかろうかというふうに見ております。先生おっしゃいました個人消費でございますけれども、これも若干の回復ございますけれども、まだ足取りも鈍うございますし、また住宅投資も少しよくなってきておるやに聞いておりますが、大宗を占めます民間設備投資が低迷しております。
 そういう意味で、特に昨年度の上期には企業の収益も相当よくございませんでした。五十七年度下期、五十八年の三月期は若干よくなっておるように思いますが、製造業はやはりまだ前年度同期比マイナスでございます。非製造業、電力等が少しよくなっているという状況でございます。
 問題は、先生御指摘のとおり、原油価格が低下してまいりまして、これも本来ならば素材産業に好影響を与えるわけでございますけれども、原油価格の低下を受けて製品価格が先に下がっているというような状況で、まだ素材産業は非常によくないという状況でございます。しかし半年ぐらいのタイムラグを追って見れば、原油価格の低下は日本経済に大きないい影響を与えると思います。
 また、何といっても、アメリカの景気が日本の輸出その他に関して非常に大きなウェートを持っております。アメリカの景気も、住宅それから自動車、そういったものがよくなってきておりますし、金利も少しずつ引き下げる方向にあるんではなかろうかと見ておりますので、アメリカの景気につれまして急激によくなるとは思えませんが、底離れして景気回復の条件が徐々に整ってきた、そういうふうに私は解釈しておる次第でございます。
 もう一つ先生のお尋ねの公定歩合の問題でございますけれども、確かにこれはすぐれて日本銀行の政策マターでございますけれども、個人的な意見を申し上げますれば、ちょうどけさの円相場が二百三十一円二十銭でございますか、円高傾向に少し来ております。それもアメリカのいま公定歩合が八・五%でございますけれども、フェデラルファンド、いわゆる短期市場金利が八・二%というようなところで、アメリカの公定歩合よりも一般の短期市場金利の方が下がってきているというような状況は、いずれアメリカももう少し金利の引き下げが起こるんではなかろうかという私どもは予想しておりますが、そういうふうになってくれば条件は徐々に整ってくるんではなかろうか。
 ただ問題なのは、円相場へのマイナス影響がどの程度あるか、あるいは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、長期金利と短期金利の乖離幅が激しくて、これは国債問題に大きく影響いたしますけれども、公定歩合が下がって、果たして長期金利が過去のように大幅な追随ができるかどうかという問題もございまして、この意味で前川日銀総裁も非常に苦悩しておられるようでございますが、それなりに私どもも理解できると思います。ただ条件が少しずつ、日本経済あるいはアメリカ経済で、金利の問題から徐々によくなってきているように私どもは考えております。
 以上でございます。
#29
○参考人(植谷久三君) 一般的には草場参考人と全く同じ見解をとっております。
 ただ一つ、証券市場の側から補足さしていただきますと、御承知のように、景気その他をいろいろな意味で反映する株価の動向、よく言われるところでございますが、今日御承知のようにダウ平均で八千七百円台となっておるというようなことで、これはただ日本の証券市場だけでなくって、ニューヨークの株も目覚ましく回復というか上昇基調にございます。ヨーロッパの方もおおむねそういう動向でございます。
 ということを考えてみまして、それに、草場参考人がおっしゃったように、たとえば金利の低下傾向にあるとか、あるいはいろいろ挙げられた景気判断のオプションになる諸指標というものが徐々ながらよくなりつつあるという事実をあわせて考えてみますと、具体的にはまだまだ途中経過においていろいろ問題もありましょうけれども、包括的には私は、景気は漸次よくなりつつある兆しを見せているのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 したがって、そういう中で公定歩合に対する需要もきわめて落ちついております。日本のインフレ率といったようなものも最もいい状況にある。各国に比べて一番低い状態にあるわけで、そういったことで、一番気になる為替の方も円高基調を示しているということで、これは日本銀行さんのお決めになることですけれども、われわれとしては条件は非常にそろってきたなあということで、多少われわれ期待感も含めて見ておるわけでございます。
#30
○多田省吾君 ありがとうございました。
 次に、銀行の国債窓販を契機といたしまして、銀行と証券会社の業務分野の垣根は一段と低くなったと言われております。先ほどもお考えをお聞きいたしましたけれども、私はその方向が預金者や投資家に対しましてより良質なサービスの提供の手段となるためには、銀行、証券会社ともにどのような姿勢で臨むべきであるとお考えになっておられるのか。これは遠慮のない、忌憚のないお考えをお尋ねしたいと思います。
#31
○参考人(草場敏郎君) 確かにまだ流通市場、証券流通市場が小規模な時代はよろしゅうございましたけれども、現在、先ほどからも申し上げましたとおり、流通市場が約三百五十兆円の大きな規模になってきている。その意味で国民各位のいろんな金融商品に対するニーズと申しますか、金利選好が非常に大きくなってきているのが現状でございますので、私どもとしましては、先ほど申し上げましたとおり、まだまだ始めたばかりで大したことはできませんけれども、私どものできる限りの的確な情報をお客様にもお知らせする、あるいはどういうものをお客様が望んでおられるか、そういうことに対して私どももまじめな情報を提供し、またせっかく公共債でございますし、公共債でございますことでありますから、預金その他と合わせまして、そういった商品に対する良質なサービスを提供したいと、そういうふうな努力を今後とも続けていきたいというふうに感じております。
 以上でございます。
#32
○参考人(植谷久三君) 先ほど銀行と証券との問題について多少触れさしていただきました。世の中が非常に変わってきたということ、あるいはコンピューター時代というようなことで、したがって国民に対するサービスの仕方も近代的というか、その時代に応じたサービスの仕方も当然やっていかなければならない。同時にお客さんの方の、顧客のニーズもその時代に応じて要求がだんだんと違ってきている。そこへ向けて今日御承知の、先ほどおっしゃったように、金利選好が非常に高まっている。それに対してわれわれはどういうふうにサービスをしていくかということで常に考えているわけでございます。
 したがって、このことは、必ずしも両方が何でもかんでもやるということではなくって、基本的には両業界がそれなりの分を中心的には守ることが国民経済全体においてはプラスであり、その中で状況の今日的な変化に対応して、しかも顧客のニーズが変わってきておるんだから、それにわれわれとしては対応するように努力していきたいということでやっております。
#33
○多田省吾君 草場会長にサラ金問題で先ほどもお答えいただいたわけでございますが、重要問題でございますので、お願いしたいと思います。
 サラ金問題は、消費者信用市場が急速に拡大する一方で、その規制が不十分であったということが根本原因だと思っておりますが、先ほど会長から、大蔵省の自粛通達もありまして、自粛の方向だということはお聞きしましたけれども、このサラ金業に銀行がある程度融資するということについてどのようなお考えを持っておられるのか。
 それからもう一点は、あわせまして、銀行自体が消費者金融をより重視し、低利で良質な資金を供給なさる努力を払うべきではないかと考えますけれども、この点はどういうお考えを持っておられるか、御意見を承りたいと思います。
#34
○参考人(草場敏郎君) サラ金業者にも確かに、悪質な者はもう論外でございますが、良質な者もございまして、そういう意味で私どもが低利の金利で資金を供給する、一つの卸売業でございまして、それを通じて消費者金融をやっているということもまたこれ事実でございます。そういうものはこれは一概に、世の中のニーズのある問題でございますから、一切ノーと申し上げるわけにもいかないかとも思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、本質的に高金利であるとか、それから暴力取り立てとか、社会的な批判を浴びるような先は十分選択いたしまして、慎重な取り扱いをやっていきたいと思っております。
 先生の御指摘のとおり、確かに銀行サイドでも消費者金融に対する取り組みが少し足りなかったかという反省も一方ではいたしております。ちなみに、住宅ローンでございますけれども、住宅ローンは相当量にいまふくれてきておりまして、これは国民各位のニーズに沿ってきていると思っておりますが、いわゆる消費者ローンと称する一般の消費者金融に関しては、過去五年間ぐらいで一・五倍ぐらいの伸びにしかすぎない。これはサラ金業者の伸びに比べれば相当小さな数字でございますので、私どももいろんな意味で善良な国民各位のニーズに沿った消費者ローンといいますか、簡便な借りやすくてそして返済しやすい、そしてしかも御自分の収入に合った範囲内で無理なく返済できるようなローンを、これからもさらに開発していきたいと思っております。
 また、カード業務でございますけれども、いまの決済カード等も、今後いろいろと変化してまいるでございましょうから、そういったところでもあわせてそういった消費者金融も将来は考えていって、金利の安い良質な資金をわれわれももう少し努力をしていきたい、そういうふうに考えております。
 以上でございます。
#35
○多田省吾君 植谷会長にお尋ねしたいのでございますが、クラウディングアウトの問題です。
 これまでの国債大量発行下におきましては、企業の資金需要が低迷していたこともございまして、貸し出し面での明確なクラウディングアウトは発生しなかったと理解しておりますが、最近において資本市場において実質上のクラウディングアウトを発生せしめているのではないかという観測も行われております。これについて植谷会長の御見解をお伺いしたいと思います。
#36
○参考人(植谷久三君) お答えいたします。
 まず、このクラウディングアウトというのはどういう現象としてつかまえたらいいか、多少厳密に考えてみるといろいろ問題があるわけでございます。しかし、恐らく先般二月のときだったか、社債と国債との条件決定のときにずいぶん問題があって事国逆転現象が出た。これは日本の場合においては例のないことであっただけにいろいろ問題を提起したように感じております。
 しかし、私はいまのところ包括的にお答えするならば、一つは、資金需要が設備投資がこういう状態で比較的少ないものですから、そういう意味で大きなクラウディングアウトで大変だといったような認識にまでは至っていないというふうに私は理解しておりますことと、それに、国債の大量発行ということから市場金利が比較的高いものになっておりましたために、外国でいろいろと発行すると、それの方が企業にとっては有利であるという判断、これはこういう国際化時代には当然のことでございますから、これがかなり行われまして、また国内でも転換社債ですと比較的有利に資金調達ができるために、そういうことが重なっていわゆる社債の発行市場はかなり小さくなっておったわけであって、これが国債の大量発行ということに押し出されて発行できなくなっているといったようなことには直接強くは響いていないのではなかろうかと思います。しかし、これだけ大量発行ということはいろいろ問題を起こしていることも事実でございますし、多少の圧迫があることも事実でございます。
 もう一つは、社債市場がいろいろな金利関係その他の国内の金融秩序の関係とか絡み合いもあって、必ずしも自由に発行しづらい条件がございます。こういう点につきましては、私どもといたしましても、関連業界といろいろ相談をしながらできるだけ早く改善していきたいというふうに考えておる次第でございます。
#37
○多田省吾君 水野先生に一点お尋ねしたいのでございますが、それは国債費の定率繰り入れ停止の問題でございます。
 大蔵省当局は否定されておりますけれども、五十九年度も国債費定率繰り入れ停止をやるのではないかというような報道もされているわけでございます。現下の財政事情から見れば、そのように報道されるのも当然かと思います。五十七年に続いて五十八年度は二年続けて繰り入れ停止、また五十九年度も繰り入れ停止ということになりますと、これは大変な問題でございます。先ほど先生は、財政制度審議会等の論議を踏まえられて、この国債費定率繰り入れというものはむしろ制度自体が不合理なんだという意見もある、またこれは財政健全化のためにはどうしても必要だという意見もあるんだ、結論は出せないでいると、こういう状況でございまして、先生はこの点についてどちらの意見を是とされておられるのか、また学者の間ではどういう意見が強いのか、その辺ちょっと教えていただきたいと思います。
#38
○参考人(水野正一君) いまの御質問ですが、学者の間での意見といっても、この問題について正面切って議論しているのを余り見ないので、不勉強でよくわからないんですが、現在何か外国の方の例では、この制度をむしろとっているところは少ないような情勢ですね。
 先ほども私申し上げましたが、これについて、いろいろこういう制度自体存続すべきかどうかという点については、財政制度審議会あたりのところで十分議論して結論を出していただきたいと思うわけで、いろいろな問題があると思いますので、簡単にはちょっと結論をここでは出せないと思うんです。
 私の感じとしましては、こういう特例公債を発行しているというような状況のもとでは、国債の元本償還のために何がしかを積み立てていくというようなことは、実質的に余り意味がないんじゃないかという気がするわけですね。そうかといって、じゃこういう制度をなくしてしまうと、またこれで大丈夫なのかという心配もありまして、問題は、肝心なところは、国の信用で国債を発行するわけで、それがまた償還期限があるわけでありまして、償還のときにきちんと償還されるという保証があって、またそれについての一般国民の信用を失わないということが大事であります。それともう一つは、大量に発行された国債が累積されて、国債残高が百兆円以上に累積してありまして、そういうものの借りかえなりあるいは償還、こういうものを含めての国債の管理ですね、こういうものが円滑にいけるかどうかというところが大事であって、要するに国債の償還に伴う国民の信頼性の確保ということと、それから国債管理を円滑にやっていけるという、そういう制度的な仕組みというものさえ確保できれば、現行の減債制度というものに必ずしもとらわれる心要がないんじゃないか。むしろ情勢が変化しておりますので、この際そういう観点から見直すべきではないかというのが私の意見です。
#39
○近藤忠孝君 最初に草場参考人にお伺いしますが、四月二十六日に新会長に就任された後の記者会見でこう言っています。国債発行について先ほど述べられたような発行額の圧縮とそれから脱却する時期を早期に示すようにと。そのあと、銀行としても新しい国債の管理計画づくりに取り組むという発言がございますが、銀行の方で考えられる国債の管理計画、大体どんなことをお考えでしょうか。
#40
○参考人(草場敏郎君) 国債の管理政策も、少額のときにはそれなりに機能してまいりましたけれども、現在大量になりましてから非常にむずかしくなってまいりまして、なかなか簡単に決定はしにくいと思いますけれども、先ほどもちょっと冒頭陳述で申し上げましたとおり、借換債が相当大幅になってまいりますので、この際、ちょうど五十五年でございましたか、借換債の懇談会がございまして、五十九年度までの借換債は同種発行の中で借りかえをしていくということが決まっております。将来に対してまだ膨大な先ほど申し上げました十六兆円ぐらいの年間発行額が参りますので、その意味でこの際に一体どういうふうな国債管理政策をやるのがいいかということをいまから十分国側とも論議をしていって、お互いにもう少しコンセンサスを得ていきたい。
 一つは、もちろん実勢尊重の問題でございますけれども、国債価格の実勢尊重と申しましても、現在の実勢なのか、あるいは将来に対する金利の予測かとか、いろいろむずかしい問題もございます。
 それから先ほどからもお話が出ておりましたが、多様化の問題でございますけれども、もう少し中期債の多様化も当然起こると思いますが、もう一つの問題は、年金資金等の持っております金融機関に対する超長期債と申しますか、二十年債、場合によっては三十年債であるとか、そういった市場に出ない一つの長期国債の問題ということも非常に安定化に寄与するんじゃなかろうか。そういった問題も含めまして国債管理政策をもう一度十分いまのうちから再検討しようではないかということをいま提案申し上げておる次第でございます。
#41
○近藤忠孝君 次に、昨年銀行法の改正があって、銀行の公共性が強調されたわけですが、銀行として公共性についてどのような努力をされているのか。
#42
○参考人(草場敏郎君) 銀行法にもございますとおり、銀行は、信用秩序の維持という問題と、それから預金者保護という意味で、われわれとしましても、私企業ではございますが、公共的な機能を持っていると、そういうふうに解釈して、そういう意味での信用維持に今後も万全を尽くしていきたいと、そういうふうに考えております。
#43
○近藤忠孝君 公共性を示すということでの具体的な御努力はどうでしょうか。
#44
○参考人(草場敏郎君) 一つは、国債の引き受けで、シンジケート団は現在約五〇%の引き受けをやっている。そういった国債の引き受け、募集、販売という問題に対しても、これは一つの大きな公共性の問題ではなかろうかと思っております。
 それから、もう一つは、国民生活の安定という問題で、個々人を含めた国民各位の生活の安定に寄与する預金、貸し出し、為替業務をやるべきである。
 それからもう一つ、これは貸し出し業務でありますが、これも国民経済の発展のためにという一つの大きな目的のために貸し出し業務をやるべきである。
 もう一つ、これもまた大きな問題で、いまの国
際金融の問題でございますけれども、これも諸外国、特に資源を有する中進国でありますとか発展途上国、そういった国々が自分の国民生活の安定とか経済の発展のために資金を要していることも事実でありますし、私ども日本もそういう国々からの資源を輸入して、そしてまたそれを加工して輸出して日本の経済の発展を支えているわけでございますから、そういった意味での国際金融への安定、発展のために寄与するという問題も、これも一つの大きな公共性の問題ではなかろうかと、そういうふうに考えております。
#45
○近藤忠孝君 その公共性との関係で、すでに両議員からも指摘があったサラ金への融資問題ですね。先ほど良質なる業者への貸し付けというのはおどしのような意味があって金利が下がるんじゃないか、こういう発言もあったんですが、私は必ずしもそうではないんではなかろうかと思うんですね。サラ金の実態はそうではない。むしろ銀行からの融資が過剰融資、過剰貸し付けになりまして、悲惨な原因をつくっているんじゃなかろうか、こう思う。たとえば大手などでも武富士その他四社の大変な暴利、一流銀行並みの暴利を上げているわけですから、資金量や人員から比べまして。だから、銀行が貸したって金利が下がることにはならないんじゃないかというぐあいに思いますし、もう一方、今回できたサラ金二法ではそういう点で決して効果が上がらないということは、この委員会でも指摘されたり、その後も指摘されているというこういう状況についてどう御認識かということが一つ。
 それからそういう点で、間もなく調査の結果大蔵省から通達があると思うんですが、間接融資も私は結局同じだと思うんですね。間接融資を自粛するというお気持ちがおありかどうか。この点どうですか。
#46
○参考人(草場敏郎君) この点も先ほど来申し上げましたとおり、一〇〇%以上の高金利で貸しているというような業者に対してはこれは私どもとしても賛成いたしかねるわけでございます。ただ、いまの大手が、ちょっと聞きましたところでは、平均四〇%ぐらいの金利と言っておりますが、それでも相当な高利であることに変わりございません。関係会社も含めまして、私どもとしては、個別銀行の問題ではございますけれども、的確な銀行の公共性あるいは健全性、それからそういった問題を踏まえて、もう一遍十分再検討した上で、慎重に対処していきたい。
 それと同時に、先ほども申し上げましたけれども、銀行自身の小口の消費者金融ももう少し本当の意味で努力していきたい。これは金利で申し上げても、大体一一%か一二%ぐらいの金利でございますから、善良な国民各位のニーズには沿えるのじゃなかろうか。そういうふうに考えておりまして、そちらの方でももう少し努力してまいりたいと、そういうふうに考えております。
#47
○近藤忠孝君 植谷参考人にお伺いしますが、先ほども触れられた証券業界の国際化という問題ですね。そういう点では、外国からの国債に対する需要の状況はこれはどうでしょうか。
#48
○参考人(植谷久三君) お答えいたします。
 どのくらいの量かと言われますと、いま私その資料は持っておりませんけれども、これはまた非常に差がありまして、差というか、時間的な差がありまして、御承知のように、一昨年あたりから昨年の初めにかけては、アラブの方からわれわれ市場を通じてもかなりな国債を中心として需要がありました、株だけでなくて。それから新聞等でごらんいただいておると思いますが、日本銀行から直接政府同士の話し合いで消化があるとかいったようなことで国債の消化がかなりあったと思います。
 それからもう一つ、株式に関して申しますと、いままでは、御承知のように、アラブの方面のかなりな油の金が日本の株式に投資も、純投資も行われてまいったことは事実ですが、このところ、もちろん油の状況で、御承知のように比較的低調になっております。むしろ売りもある程度あるといったような状況になっています。最近ではアメリカの年金、これは非常に大きいものですから、しかもかなり慎重な運用態度でございますので、一度にふえてはまいりませんけれども、徐々に大きくなりつつございます。
 そういうことで、日本の証券市場は全くもう国際化していったというふうに考えていいのかと思っております。
#49
○近藤忠孝君 時間が来たので終わります。
#50
○柄谷道一君 参考人に質問する前に、私は、臨調最終答申が鋭く指摘いたしておりますように、制度改革を含む抜本的な行財政改革を徹底して行うということがまず前提であって、それをせずして安易に特例国債の発行、緊急避難的措置による財政操作でこれを切り抜けようとする政府の姿勢に対して厳しく批判する立場に立ち、かつ、水野参考人が指摘されましたように、行政改革の断行と積極的経済財政政策の展開というものを併用しつつ財政再建を図るべきである、こういう立場に立っておることを明らかにいたしておきたいと思います。
 そこで、時間に制約がございますので、本日は、安定的経済成長の維持と深くかかわりを持つ減税及び減税に関連すると思われる特例公債の発行とその消化問題、これにしぼって参考人に御質問いたしたいと存じます。
 まず、草場参考人にお伺いいたしますが、総理は一月二十八日の衆議院本会議で、景気対策として減税する場合、財源が問題になる、国債を充てるということになると金融市場を圧迫し、金利引き下げもむずかしくなり、景気浮揚に逆行することになる、こう答弁されているわけでございます。もちろん、私といたしましても、安易に財源を赤字国債に求めることをよしとするものではございませんけれども、総理の御発言はいささか短絡的だと私は感ずるのでございます。たとえば日銀の資金循環勘定を見ますと、五十六年度の個人金融資産増は約三十九兆円強でございます。うち、国債は一兆九千億円強で、その比率は四・九%にしかすぎません。また五十八年度の国債発行額十三兆三千四百五十億円は、五十四年度の十三兆四千七百二十億円、五十五年度の十四兆千七百二億円という実績、さらに五十七年度補正後の十四兆三千四百五十億円を下回っているわけでございます。年がたてば経済の規模自体が大きくなることは当然でございまして、今後中期国債の窓口販売、国債発行の多様化等の施策を講ずれば、五十八年度も五十七年度補正後程度の国債消化は可能と思われるわけでございます。
 そこで草場参考人に、五十八年度予算以上の国債発行は、五十八年で決まっている以上の特例国債の発行は金融市場を圧迫するという総理の御発言に対して、国債消化という視点からの御意見をまず賜りたいと存じます。
#51
○参考人(草場敏郎君) 確かに現在ほぼ残高百兆円の国債が金融市場にある、発行されておるわけでございますから、金融市場、冒頭の陳述で申し上げましたとおり、相当大きなウエートを占めておるという意味から私は金融市場を非常に圧迫していると感じておるわけでございます。
 一つは、長短金利の格差が拡大しているということで、資金の需給によって金利が決まりますから、大幅な相当大量の国債の残高というものがノーマルな金利の変動をなかなか来していない、それと同時に普通銀行の預金が非常に伸び悩んでいる、国債相場、流通利回りが非常に上昇してまいりますために、銀行の普通の預金の金利が伸び悩んでいるということと、国債と非常に硬直的な連動関係にあります金融債であるとか社債であるとか、そういった長期プライムレートとか、そういった長期金利が国債に連動して高どまりしている。その意味で非常に長短金利の格差の拡大が金融政策を不安定にしている。そういう問題も市場にございますし、また先ほどの預金の伸び悩みの中で、市中銀行は相当大幅な国債の引き受け消化をやっているために、巨額の資金不足を生じまして、そのためにさらに債券売却を余儀なくされている。これがまた結果的には国債相場の下落といいますか、流通利回りの上昇を来しまして、長期金利の高どまりの一因ともなりますし、また悪循環をもたらしているということで、私は大きな弊害であろうと思っております。
 二つ目は、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、長期金利が高どまっているために、これだけではございませんけれども、企業の設備投資意欲が減退している、あるいは長短金利の乖離幅が大きいために、公定歩合の引き下げの一つのネックになっていることもまた事実であろう。そういう意味で相当金融市場を圧迫している。ただ、先ほど先生のおっしゃった中期国債の販売であるとか、国債の種類の多様化であるとか、こういった問題に関しましては、これは多様化をして少しでも国債の安定消化をやるべきであろう、私もそういうふうに考えたわけです。
#52
○柄谷道一君 植谷参考人にお伺いいたしますが、経済企画庁調査局は一月十九日に、「昭和五十七年経済の回顧と課題」、これの副題として「景気回復の遅れと均衡回復への道」というものを発表いたしております。その中で、「国債の増発を原因として金利が上昇したことは、ある意味でクラウディング・アウト的現象とみることもできよう。しかしながら、この間企業の借入需要が落ち着いた推移をたどっていたため、貸出金利の上昇幅はわずかなものにとどまった。また、中小金融機関においては、貸出金利は長期、短期ともに引き続き低下している。こうしたことから、資本市場からの調達コストは上昇したとはいえ、企業にとっての資金調達は全体として必ずしも困難化したとはいえない。従って、五十七年央から秋口にかけて長期金利が上昇したことに伴う影響は部分的かつ限界的なものにとどまったといえよう。」、こういう経済分析をいたしておるわけですね。このことに対する特別の御意見がございますか。
#53
○参考人(植谷久三君) ただいま先生の御指摘になった件につきまして、私は、いま述べられた件、おおむね妥当ではないかと、私どもから見てもおおむねそういったことだなあという気がいたします。ということは、先ほどほかの先生からの御質問に答えましたように、全くクラウディングアウトで非常に困ったということがなくって、たまたま資金需要が比較的小さかったということもありますが、それと転換社債等でそれにかわる資金調達の方法が海外でもかなり行われましたし、日本の国内でも行われました。そういうことで余り大きな不便はなかったという感じでおります。
#54
○柄谷道一君 水野参考人にお伺いいたしますが、私は今後とも、その善悪は別として、わが国の財政状況の現状を考えますと、ある程度国債消化というものに頼らざるを得ないというのがわが国財政の現状であろう、こう思うんです。そこで、国債消化の円滑化を図るためには、国債発行の多様化という問題がこれは不可欠の問題として浮かび上がってくる。そこで、一月八日付の読売新聞報道でございますが、財政当局は、かつてカーター・アメリカ大統領が海外の余剰ドルを吸収してドル安を抑えたいわゆるカーター・ボンドにあやかって、国債の海外発行による歳入確保と円高誘導策のために国債の海外発行、いわゆる中曽根ボンドというものを検討した、ところが、これにはいろいろ意見があって幻のプランに終わった、こう報道されているわけでございます。
 時間があれば詳しくお伺いいたしたいわけでございますが、時間に規制がございますので、水野参考人からは、国債の海外発行に関する御所見があればお伺いいたしたいと思います。
#55
○参考人(水野正一君) 国債の海外発行で、私はそちらの方、余りよく考えておりませんので、十分のお答えはちょっとしかねます。
#56
○柄谷道一君 時間が参りました。
#57
○委員長(戸塚進也君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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