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1982/03/30 第98回国会 参議院 参議院会議録情報 第098回国会 法務委員会 第4号
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1982/03/30 第98回国会 参議院

参議院会議録情報 第098回国会 法務委員会 第4号

#1
第098回国会 法務委員会 第4号
昭和五十八年三月三十日(水曜日)
   午後四時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     梶原  清君     土屋 義彦君
     近藤 忠孝君     宮本 顕治君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君     沖  外夫君
     宮本 顕治君     立木  洋君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         鈴木 一弘君
    理 事
                名尾 良孝君
                真鍋 賢二君
                寺田 熊雄君
                中尾 辰義君
    委 員
                臼井 莊一君
                沖  外夫君
                中山 太郎君
                平井 卓志君
                八木 一郎君
                安井  謙君
                小谷  守君
                立木  洋君
                中山 千夏君
   国務大臣
       法 務 大 臣  秦野  章君
   政府委員
       法務大臣官房長  根岸 重治君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  千種 秀夫君
       法務省矯正局長  鈴木 義男君
       公安調査庁長官  鎌田 好夫君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   山口  繁君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   大西 勝也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(鈴木一弘君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十五日、梶原清君及び近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として土屋義彦君及び宮本顕治君が選任されました。
 また、本日、宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として立木洋君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(鈴木一弘君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は、去る二十四日の委員会において聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○寺田熊雄君 先日、予算委員会で公安調査庁長官においでいただいたんですが、ちょっと時間がなくて質問できませんで、大変失礼しました。
 質問の要点は、右翼の問題なのでありますが、私どもは過去の歴史といいますか、戦前で右翼の暴力的な行動がずいぶん政治を動かしたという体験を持っております。血盟団事件は言うに及ばず、その前にも浜口雄幸首相が凶弾に倒れる、井上蔵相であるとか、財界の団琢磨氏であるとか、ずいぶんそういう事例がありました。それから、当時は陸海軍の軍人がそれと結びついておるということもありましたし、警察なども薄々そういう事情は知りつつ、思い切った処置をとらなかったというような事例もあったようであります。それから、軍の方も、たとえば三月事件であるとか十月事件であるとか、クーデターまがいのものがずいぶん取りざたされましたけれども、思い切った処置をとらないでおった。ついに二・二六事件になり、そういう状態が大東亜戦争の方に向いてしまった。
 そういう体験を持っておりますと、いまは自衛隊と陸海軍とはシビリアンコントロールの面で、法制的にもまた現実の政治面でも、大分違うことは違うけれども、しかしこれとても私どもまだ手放しで楽観はできないという感じがあります。最近の右翼の行動を見ますと、三木さんを転がしたというふうな、あるいはその前に右寄りの岸さんまで足を刺されたというような事態もあったんですね。それから、日教組にピストルを持った凶漢が入り込んだというふうな事例もある。また、最近岡山県下で労働者の会合に、右翼がダンプ車を改造した宣伝車で、公園のさくや立ち木をなぎ倒して公園の中に侵入して、女子供を含む労働組合員を追い回したというような事例も出た。そういたしますと、これは公安調査庁としましては、右翼の動向というようなものに対してどの程度調査をしておるのか。ともすれば暴力に走りがちな行動を常とする右翼に対して、あなた方はどの程度厳しい情報活動を行っておるのか。また、それに対して、団体が暴力主義的な目的を持つのであれば、これは解散させなければいけませんね。そういう点、どういう調査をいままでやってきたのか、ちょっとそれを承りたい。
#5
○政府委員(鎌田好夫君) お答えいたします。
 現在、右翼と言われる団体が約八百団体、十二万名でございますが、その中で破壊活動防止法で規定するような暴力主義的破壊活動を行うおそれの強い団体として約四十団体、一万五千名がいるわけでございます。私どもは、特にその約四十団体、一万五千名につきましては、重大な関心を持ってその行動を注意いたしております。そして、暴力主義的破壊活動が行われました場合には、直ちにその調査を行いまして、規制要件に当たるかどうかについて検討を加えている次第でございます。
#6
○寺田熊雄君 過去において、そうすると、岸さんの足を刺したとか、それから三木総理大臣を転がしたとか、日教組にピストルを持って入り込んだとか、今回の岡山事件とか、いろいろな暴力的な行動があったけれども、これらはまだ団体それ自体の暴力的な目的とか、性格とかいうものだと判定するには至らぬわけですか。まだ解散に至るまでの団体というのはないんですか。
#7
○政府委員(鎌田好夫君) これまでに、数件についてそれぞれ調査を行った上で検討を加えた事例はございますけれども、事案によってそれぞれでございますが、破防法で規定する暴力主義的破壊活動に当たらないという判断をした事例、あるいは団体として行ったという認定を得られなかった事例等、いろいろ要件に該当しないということで、現在まで解散の指定を行った事例はないわけでございます。
#8
○寺田熊雄君 それでは、まあ私どもは一罰百戒で、大いに解散の大なたをふるってもらいたいと思うんだけれども、あなた方がまだそこまで認定するに至らないというなら、これはやむを得ないから、できるだけ厳しく情報を取るように要請しておきます。
 それから次は、いま御承知の刑事施設法案、それから留置施設法案、この二つの法案が前々国会から継続になっておるわけであります。まあ法務省の守備範囲といいますか、これはどっちも法務省でやってほしかったんだが、留置施設法案の方は警察庁にゆだねられたということで、法務省のいま領域から出ておるようでありますが、しかし、両者は一体だと思います。
 そこで、この刑事施設法案について、いま法務省の御当局におかれては、日弁連との間でこの法案の修正点その他について協議中だと承っておりますが、協議の進行状況、それから内容、見通し、そういうものについて御説明をいただきたいと思います。
#9
○政府委員(鈴木義男君) 法務省と日本弁護士連合会との間で、監獄法改正に関する意見交換会というのを持つことにいたしておりまして、第一回が先月の二十四日、第二回が去る三月十五日に開催されたわけでございますが、これまでのところは、日本弁護士連合会側から刑事施設法案及び留置施設法案に対する基本的な考え方というものが総論的に述べられまして、次いで各論の問題として代用監獄、すなわち拘留された者を警察の留置場、あるいは留置施設に収容するという問題の検討に入りまして、現在日弁連からの意見が述べられておる段階でございます。次会の会議はあす三月三十一日に第三回目が開催される予定でありますが、引き続いて日弁連からこの代用監獄の問題について意見が出され、これについて意見交換をした後に、被拘留者、拘留されておる被疑者、被告人の防御権をめぐる問題、それからさらには拘留されている者及び受刑者の処遇に関する問題という点について、双方の意見を交換するということを予定しておるわけでございます。
#10
○寺田熊雄君 いまあなたの御説明ですと、刑事施設法案だけでなくて、留置施設法案についても日弁連の意見が述べられたと、それから代用監獄制の検討ということになりますと、これは警察庁の担当者もやっぱり参加しているわけですか。そうでないと、この法案の取り扱いという点では歩調はそろわないような感じもしますが、あなた方がそれを全部代理して、あなた方だけでやっておられますか。その点どうでしょうか。
#11
○政府委員(鈴木義男君) 留置施設法案をどうするかということになりますと、これは法務省だけでどうするということはできない問題でございます。私どもといたしましては、当面弁護士会と、主として刑事施設法案を中心にお話をし、その中で留置施設法案は当然関係する面もあるわけでございますので、それについての弁護士会からの意見が出ました場合には、これを直ちに警察庁の方に連絡するということを考えておるわけでございまして、この意見交換会は、法務省と日弁連だけの意見交換会でございます。
#12
○寺田熊雄君 日弁連の方は代用監獄制度を廃止したい、少なくも廃止の見通しというものを明らかにしたいというような意図のように私ども聞いておるわけです。そういう意見が述べられた場合に、あなた方は警察庁にそれを通知なさるというだけでいいわけですかね。それともあなた方が日弁連との間で大体の了解点に達すれば、留置施設法案の方もやはりこれをあなた方がそういう方向で御処理になるのに別段の支障はないわけですか。
#13
○政府委員(鈴木義男君) ただいまの別段の支障という点の御趣旨が、ちょっとわかりかねるわけでございますけれども、日本弁護士連合会の方から代用監獄の早期廃止という意見が出ておるわけでございますが、私どもが国会へ提出さしていただきました刑事施設法案は、これも先生御案内のとおり、法制審議会から出ました監獄法改正の骨子となるべき要綱というものに基づいておるわけでございまして、その要綱には早期廃止というような問題は入っていないわけでございますので、現在私どもとしてはそういう御意見に対して直ちに賛成するということはいたしかねるというふうに考えておるわけでございます。
#14
○寺田熊雄君 それで大体その協議は、この三月三十一日が第三回目のようですが、四月中に入っても行われるようなんでしょうか。それとも何か一説によると、あなた方の方はもう三月で打ち切るのだというようなことも耳に入るのですが、そうじゃなくて、やっぱり四月以降も協議はお続けになるわけですか。
#15
○政府委員(鈴木義男君) 私どもの希望といたしましては三十一日、すなわちあすの意見交換会で両方の意見が煮詰められることを切に期待しておるわけでございます。ただ、これは意見交換、話でございますから、あす完全に意見が煮詰められるというところまでいけるという保証はございませんので、もし、あす話が最後までいきません場合には、その段階でさらに今後どうするのかということを決めることになるわけでございます。
#16
○寺田熊雄君 それでは、その点でいまの問題はひとまずおくことにいたします。
 次は、談合の問題なんですが、これはかつて坂田法務大臣のときに、横浜の法務合同庁舎の建設に関しまして、特定の会社を落札者とするという業者間の話し合いが行われまして、それで私どもの方がそれを察知して、それを法務大臣にお知らせをした。やはりそういう結果になりまして、法務省会計課長が非常に精力的に業者を集めていろいろ調査をなさったわけです。しかし、決定的な談合の証拠というものは出なかった。しかし、後からわれわれが業者の方から聞きますと、実際問題としても決まっておりまして、余り見積書などもつくってないのをあしたの九時まで持ってこいと言われて、ある正直な建設会社などは徹夜でつくったということまでも告白しておるので、大体間違いないと思うけれども、決定的な談合の証拠はないということなのでありまして、その後法務省の工事というものが行われておるのでしょうか、それとも行われておらないのでしょうか。もし行われておるとすると、談合の事実というようなものは、あなた方はやはりある程度注意して、そういうことがないように措置しておられるんでしょうか。その点ちょっとお伺いします。
#17
○政府委員(根岸重治君) 最初にお触れになりました横浜合同庁舎の入札につきましては、ただいま仰せられたような結果でございますが、また詳しくお問いがあればお答えいたしますけれども、その後も入札は行われております。たとえば、水戸の少年鑑別所の入札につきましては、これはやはりある新聞社から、事前に落札者が決まって、談合の結果が決まっておるんじゃないかという情報が私どもの方に寄せられております。また、宇都宮少年鑑別所の入札に関しましても、同じような新聞社からの情報が寄せられておりました。この前の水戸少年鑑別所の件につきましては、そういう情報を得ましたので、私どもの方では入札の日時と場所を変更いたしまして、さらに指名業者をやり変えまして入札を実施したわけでございます。また、宇都宮少年鑑別所につきましては、指名業者のうちの数社を除外する等の措置を講じて入札を行ったわけでございます。その結果は、いずれも当初情報として寄せられました、あの者が落札するのではないかと言われておった業者とは別の業者が結果的には落札しております。これは情報が間違っておったのか、私どもが措置を講じたためにそれが妨げたのかは、確定的に申し上げることはできないわけでございますけれども、いずれにしましても、いま申し上げたような工事が行われ、それに関して私どもが細心の注意を払って対応をいたしたことは事実でございます。
 なお、法務省としては、この種のものの予防について一般的にどういうような配意をしておるのかということも含めてのお尋ねであろうかと思いますので、先走るようでございますが、お答えいたしますと、率直に申しますと、談合等の不祥事を予防したり、排除したりする特効薬というものは、これはないと言わざるを得ないのでございまして、考えられる努力をじみちに積み重ねるしかないと思うのでございますが、法務省といたしましては、まず競争参加者の選定に当たりましては、その地域性、工事の規模、あるいは業者の営業実績のほかに、過去における不正行為の有無等を考慮いたしまして、適切と認められる業者をまず選定することに意を注ぐ。また、業者の指名通知や、現場説明の機会等をとらえまして、談合など不誠実な行為を行わないように注意を促す。さらには、競争参加者が実際に競争、あるいは受注の意思があるかどうかを確認しますために、入札に先立ちまして、入札額の根拠となるいろいろな積算書類の提出を求めるなどして、競争入札が実質的に確保されるように留意をいたしておる次第でございます。
    ─────────────
#18
○委員長(鈴木一弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、梶木又三君が委員を辞任され、その補欠として沖外夫君が選任されました。
    ─────────────
#19
○中尾辰義君 それじゃ二、三お伺いをいたします。
 政府は昭和四十三年に第一次定員削減計画を実施して以来、今日まで六次にわたってやっておるわけですね。それで、裁判所としては、この政府の定員削減計画に対してどの程度協力をなさっているのか、その基本的な姿勢と、第一次から第六次までのそれぞれについての削減の実績をお伺いいたします。
#20
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) お答え申し上げます。
 委員御承知のとおり、政府は五十六年の八月二十五日の閣議決定で「行財政改革に関する当面の基本方針について」というものをお決めになりまして、五十七年度以降五年間に国家公務員の規定定員の五%をめどといたしまして、削減する旨の定員削減計画を実施することを決定されたわけでございます。これに基づきまして、五十六年九月十一日の閣議決定で「定員削減計画(第六次)の実施について」というもので、各省庁別の定員削減の目標をお定めになりました。内閣官房長官名で最高裁事務総長あてに、政府の方針に協力を依頼する趣旨で、その閣議決定を参考送付してこられたわけでございます。裁判所といたしましては、もとより閣議決定に拘束されるものではございませんけれども、現在の厳しい財政事情下におきましては、従来の定員削減計画の場合と同様に、その趣旨を理解いたしまして、今回もこれに協力することといたしたわけでございます。
 裁判官、それから裁判所書記官等裁判部門に従事している職員につきましては、適正迅速な裁判の実現を図るという裁判所の使命遂行上削減するわけにはまいりません。本年も書記官五名、事務官三十四名、合計三十九名の増員をお願いしているわけでございますけれども、裁判所のハウスキーピング的な、いわゆる司法行政事務につきましては、報告事項の整理であるとか、あるいは能率機械の導入であるとか、そういうふうな方法で事務の簡素化、効率化を図りまして、余力を生ずる余地があるわけでございますので、司法行政部門の事務官を対象に減員を図ることといたしました。五十七年度には裁判所事務官三十七名、それから本年につきましては裁判所事務官三十九名の減員をすることといたしております。今後も同様の方針で臨むつもりでございます。
 それから、第二にお尋ねの、これまでの内閣の定員削減計画に協力いたしました人員でございますが、第一次定員削減計画の際の協力削減といたしましては、四十三年から四十六年にわたりまして、合計百八十四名、第二次定員削減計画の際の協力といたしましては、四十七年から四十九年にかけまして合計二百四名、第三次の定員削減計画の協力といたしましては、昭和五十年から五十一年でございますが、九十六名、第四次定員削減計画の際の協力削減は、五十二年から五十四年にわたりまして合計九十五名、第五次定員削減計画の際の協力は、五十五、五十六年度にわたりまして合計六十五名、これはいずれも裁判所事務官、それから前には雇いもございましたけれども、その削減を図っております。
 以上でございます。
#21
○中尾辰義君 それでは、今度は裁判官の増員につきましてお伺いしますけれども、この過去の裁判官の増員計画を見てみますると、四十年代の前半は判事を増員して、四十五年度から五十三年度までは判事補を増員をし、五十四年度以降は今度はまた判事を増員してきていると、こういう実績であります。あなたの方の資料によりますとそうなっているんですがね。このような実績を眺めてみますると、判事の増員の時期、あるいは判事補の増員の時期というものが、非常に明確になっておるわけでありますが、そこにはあたかも何らかの長期的な増員計画があって、そのような計画に従って増員を図っているように思われるわけですが、現在どのような計画に従って増員を進められているのか、お伺いをいたします。
#22
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 委員仰せのとおり、四十一年から四十四年にかけましては判事、それから四十五年から五十三年までは判事補の増員を、それから五十四年以降は判事の増員をお願いしてきているわけでございます。判事、判事補の増員につきましては、それぞれの時期における事件の継続状況、執務のあり方、それから充員の可能性といったような事柄をもとにしまして、長期的には判事と判事補との比率の適正が保たれますように考慮しながら行ってきたわけでございまして、そういうような配慮から、いま申し上げましたような増員の経過になっております。一般的に申し上げますと、単独体で処理できる事件がふえております時期には判事を、それから合議体で処理すべき事件がふえております時期には、合議体の構成員となります判事補を増員することが適当でございますし、判事補の充足が進んでまいりまして、ある程度判事の充員が見込まれるようになった時期には、判事の増員を図ることが適当であるわけでございます。現在がちょうど判事の充員がある程度見込まれる時期に立ち至っておりますので、判事の増員をお願いしている次第でございます。四十五年から五十三年まで判事補を増員してまいりまして、その結果判事補数が相当充実しております。これらの判事補から判事の充員が可能となってまいっておりますので、近年は判事の増員に努力して、お願いしているわけでございます。今後の増員につきましても、先ほど申し上げましたような考慮のもとに、慎重に検討してまいりたいと考えております。
#23
○中尾辰義君 次に、これは法務省の法律案関係資料十八ページですけれども、この「下級裁判所の裁判官の定員・現在員等内訳」によりますと、昭和五十七年十二月一日現在、これで判事の欠員が三十三、こうなっておるわけですが、今回の増員をしようとしている七人と、十二月以降の今度は退官者を含みますと、最終的には何人ぐらいの欠員になるのか。
 それから、判事の欠員の充足につきまして、これはまあ全部埋めることができるのか、どうなっているのか、充足に当たっては判事補からの任官者のみで充てるのか、検察官、弁護士、学者等から採用するのか、その辺はどういうふうになっているんですかね、お伺いしたいと思います。
#24
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) それでは、判事等の充員の関係につきまして御説明申し上げます。
 ただいま仰せになりましたこの定員法の法律案関係資料の十八ページにございますように、昨年の十二月一日現在で三十三名の欠員がございまして、今回お願いしております増員を合わせまして四十名、そのほかに十二月以後の定年退官その他による退官者を含めますと六十近い数の判事の充員が必要でございますが、今年の四月に判事補から判事になりますものが五十三名おりまして、そのほか法務省との交流で、いま現在検事で出ております者で、判事として帰ってまいります者がございまして、そういう者を含めまして今年の四月十日前後に大体充員できる、そういう見込みでございます。
#25
○中尾辰義君 それから、これは昨年もこの定員法一部改正の審議の際に質問があったんですかね、裁判所職員の大量退職の見込まれる時期が、職員の年齢構成から判断して、昭和六十三年ぐらいから三、四年がピークになると、このように人事局長が答弁をされておりますが、これはまあ確認の意味でお伺いしますけれども、こういうことですか。
#26
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 職員の現在の年齢構成からいたしますと、今年からだんだんふえてまいりまして、六十二年、三年、四年、五年、そのあたりのところが非常に多くて、それ以後また退職者が減っていくと、大体そういう状況でございまして、いま仰せになりましたような、六十年の前半の辺がピークになるというのは仰せのとおりでございます。
#27
○中尾辰義君 それでは、そのピークの期間にどのぐらいの職員が退職をされるのか、大体人数を把握していらっしゃればその全体の数と書記官、家庭裁判所調査官、速記官のそれぞれの数について、大体わかっていらっしゃるだろうからひとつ。
#28
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) このピーク時の退職者の数でございますが、御承知のように、六十年の三月にいわゆる定年制が施行されるということとの関係がございまして、まあおよその見当はつくわけでございますが、いろいろ例外的なこともございますし、各官職ごとにいろいろ定年の時期も違ってくるというようなことで、なかなか全体としてどれぐらいというのは申し上げにくい面はございますが、ここでは主な官職についてちょっと申し上げたいと思いますが、一番中心になります裁判所書記官でございますが、裁判所書記官の場合、いま申し上げましたピーク時で大体毎年六百人から七百人くらいの退職者が出るのではないか、そういう予想でございます。
 それからもう一つ、家庭裁判所で中心的に仕事をしております家庭裁判所調査官でございますが、これのピークは書記官よりやや早い目に来るのではないかという予想でございますが、こちらの方は大体六十人から八十人くらいの退職者が出るという予想でございます。
 もう一つ、速記官のこともございますが、速記官は年齢構成が比較的若い方が多うございまして、ただいま問題になっております大量退職期に速記官が大量に退職するという問題はむしろございません。速記官はこの時期はわりあい少ないのではないか、そういう予想でございます。
#29
○中尾辰義君 いまお伺いしまして、相当これは大量の退職者がこの三、四年の間に出てくるわけですが、果たしてそれで裁判所の使命が十全に果たしていけるのかどうか心配な面もあるわけですけれども、特に書記官や家庭裁判所の調査官につきましては、短期間のうちに養成することは非常にむずかしいわけですが、そういう大量退職の時期に備えて具体的にどういう対応策を考えていらっしゃるのか、お伺いしたい。
#30
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 中尾委員ただいま御指摘のように、昨年もこの問題について御質問を受けまして、お答え申したとおりでございますが、少し先のことではございますが、現在もうすでに数年前から、この問題予想されるところでございますので、いろいろ内部で知恵をしぼって検討しておるわけでございます。特に書記官の場合、六百人から七百人というふうな、一年で非常にたくさんの方がおやめになるわけで、とともに、早急に補充ができる、すぐ新規採用して書記官にできるというものではございませんので、いろいろ苦心しなければならないわけでございますが、ただいまの書記官の養成の方法といたしましては、中心は裁判所書記官研修所というのがございます。その書記官の研修所で養成いたしますというのが一つ、それからもう一つは裁判所書記官の任用試験というのをやっておりまして、これは前からずっとやっておるわけでございますが、この大量退職の補充の一番の中心は、この二つの制度の活用ということになるわけでございまして、この書記官研修所の養成部における養成、書記官任用試験というものの拡充ということをいまいろいろ検討中でございまして、主としてそこら辺のところでできるだけたくさん優秀な人を補充していくということを考えておりますが、それ以外にもいわゆる再任用というようなことが公務員法上許されることになりますし、それからもう一つは、書記官につきましては、書記官の資格はあるけれども、いまほかのつまり事務局の仕事をしておるというふうな、いわゆる書記官有資格の事務官日という方がかなり中におりますので、そういう方を書記官に転換させる、そういうような方法でやっていきたい。具体的にはなおもっと詰めたいと思っておりますが、大まかな方策といたしましてはそういうことになるわけでございます。
 調査官につきましても、これは家庭裁判所調査官研修所というもので養成をしておりますが、これは最初にいわゆる上級甲の試験で、家庭裁判所調査官補の採用をしておるわけでございますが、現在千数百の応募者もございまして、それの試験による採用をいまから少しずつふやしまして、いろんな形での備蓄と申しますか、そういうことをやるとともに、調研の養成を充実強化するというふうな方法を考えておるわけでございまして、これにつきましてもなお細かいところにつきましてはまだ検討の余地が残っておりますが、そういうことをやっていきたいということでございます。総じてただいま仰せになりましたように、裁判官以外の職員の中では中心的な地位を占めるこういう職員の大量退職期に、裁判事務がいやしくも渋滞するようなことがないように、何とかこの時期をうまい方法で乗り切りたいということでいろいろ検討いたしまして、まだ数年先のことでありますが、まずまずいまの見通しといたしましては何とかやっていけるのではないかという見通しを持っておるわけでございます。
#31
○中尾辰義君 それじゃ大臣に最後に一点だけ。司法試験の現状についていろいろ問題点等も出ております。これは「法律のひろば」という雑誌ですけれども、これを引用いたしまして一点だけお伺いいたしますけれども、司法試験のむずかしさも手伝って、合格する者の年齢がだんだん高くなってきておるわけでありまして、大学を卒業して何年もかかってやっと試験に通る。そこで、これは司法試験の現状と問題点等が出ておりますけれども、これに「大学卒業後五年以上も無職のまま、ただひたすらに法律知識の積み重ねに努力し、あるいは、司法試験合格のテクニックの修得に終始するとすれば、齢をとるというだけで進歩なく、
 仮りに、司法試験に合格しても、司法修習生として立派な成績を収め、その後、法曹としても大輪の花を咲かせ得るか、疑問である。」こういうようなことが書いてあるわけですが、そこでそれに関連して、どうも六法全書には詳しいけれども、余り社会常識の少ない、そういったような裁判官や検事、そういう者がいろいろと不祥事件等も起こしている事例がある。これはそういう司法試験制度にも由来するんじゃなかろうか、こういうような疑問も投げかけておるわけですが、こういったような点について大臣はどうお考えになるか、司法試験の制度の見直し等はお考えにならないか、その辺大臣の御見解を伺いたいと思います。
#32
○政府委員(千種秀夫君) 事務的なこともございますので、一言私が申し上げますけれども、司法試験の現状につきまして、ただいま先生のお読みになりましたような指摘がありますことは、私どももよく承知しておりまして、問題であろうと考えております。
 また、最近裁判官、あるいは検察官の不祥事につきましていろいろと取りざたされているということも十分認識しておりまして、これまた司法試験との関連で問題があるとしますと、重大なことであると考えておる次第でございます。しかしながら、司法試験というのが、将来法律家になる者の資格試験ということでもございまして、法律家の円満なる人格の形成、あるいは健全な良識の涵養ということは、法律家になりましてから終生続けていくことでございますものですから、司法試験だけにどれだけのことが期待できるかということは、技術的にもいろいろむずかしい問題がございます。ただ、司法試験に合格している人たちの実情を見てまいりますと、ただいま御指摘にございましたように、長年社会生活から隔絶して受験勉強ばかりしておるというような人もふえてきておりまして、これは法律家の人格形成として必ずしも好ましいことではないということは明らかでございますから、これを試験の上でいかに改善するかということは、いろいろと内部でも議論が出ております。たとえば回数の制限をするとか、年齢の制限をするとか、試験問題の内容を検討するとか、いろいろございます。ただ、司法試験の現状は、任官者だけでなくて、弁護士の資格も同じでございますので、弁護士として法律家になるためにはどういう試験の方がいいかというような観点からの意見もございまして、そこは法曹三者の間でいろいろ意見も食い違うところでございます。
 そこで、私ども現状といたしましては、そういう改正案につきまして、いろいろ内部のいま討議をしておるところでございまして、その討議の一部は本になって出版されたりして、一般の方々にも見ていただこうとしております。それと同時に、現状のままではいけないというのであれば、運用の面でどれだけ改善できるかということから、これは所管は法務省の人事課でございますけれども、いまその運用担当者の方で、学校の担当者といろいろと協議を重ね、試験の内容について考案をすると同時に、何遍も受けて転進の機会を失うような人があっては気の毒であるということもありまして、試験の結果をある程度グレードで本人に知らせて将来の指針を与える、こういうような改善案をいま実施しているところでございます。法改正ということになりますと、これはいろいろと問題も多うございますので、もう少し議論を煮詰めて、その上で世間一般の御意見も徴したいと考えている次第でございます。
#33
○国務大臣(秦野章君) ただいま御指摘の問題は、ここ十年来、いろいろ聞いてみるとやっぱり問題で、今日司法試験に受かる平均年齢は二十八を超えるというような現状なんですね。したがって、さっきおっしゃったように、五年試験勉強ばっかりやっているどころじゃなくて、中には十年も十五年もという人がおって平均が二十八と、こうなるわけですね。だから、受験一本で若い大事な時を過ごしちゃって、社会経験というものがなくて、それで合格してきて、果たして人格形成上いい裁判官なり、いい検事なりができるだろうかという、これは弁護士さんの方だってそういう点もあろうかと思うんですけれども、確かに問題だと思うんですよ。
 受験者がいま二万数千ですか、受けるんですね。昔は三千か多くたって四千でしょう。そういうようなことから見ても、やっぱり若い頭脳が合格するというようなことが本当はいいんですよね。いいんだけれども、そうかといって、年齢制限するということがいいかどうかというと、これまたちょっと問題があるし、試験の回数減らしちゃったらどうだという意見もないことはない、何遍以上受けさせぬとかね。しかし、それもなかなか議論があるんですよ。
 そんなことで大変歯切れの悪い答弁になるんですけれども、いずれにしても問題は非常に重要だと思いますので、いろいろあちらこちらの意見をいま少し承って、これは法律問題でございますけれども、また御厄介にならなきゃならぬかなというふうに考えております。
#34
○中尾辰義君 終わります。
#35
○委員長(鈴木一弘君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#37
○委員長(鈴木一弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○委員長(鈴木一弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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