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1982/05/12 第98回国会 参議院 参議院会議録情報 第098回国会 地方行政委員会 第8号
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1982/05/12 第98回国会 参議院

参議院会議録情報 第098回国会 地方行政委員会 第8号

#1
第098回国会 地方行政委員会 第8号
昭和五十八年五月十二日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     玉置 和郎君     松尾 官平君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     亀長 友義君     林  ゆう君
     原 文兵衛君     佐々木 満君
     松尾 官平君     名尾 良孝君
     山田  譲君     野田  哲君
     和泉 照雄君     中野 鉄造君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         宮田  輝君
    理 事
                松浦  功君
                志苫  裕君
                田渕 哲也君
    委 員
                岩上 二郎君
                加藤 武徳君
                金井 元彦君
                上條 勝久君
                小林 国司君
                後藤 正夫君
                佐々木 満君
                名尾 良孝君
                林  ゆう君
                原 文兵衛君
                上野 雄文君
                佐藤 三吾君
                野田  哲君
                大川 清幸君
                中野 鉄造君
                神谷信之助君
                美濃部亮吉君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    山本 幸雄君
   政府委員
       警察庁交通局長  久本 禮一君
       大蔵省主計局次
       長        平澤 貞昭君
       自治大臣官房長  矢野浩一郎君
       自治大臣官房審
       議官       津田  正君
       自治大臣官房審
       議官       土田 栄作君
       自治大臣官房審
       議官       吉住 俊彦君
       自治省行政局公
       務員部長     坂  弘二君
       自治省行政局選
       挙部長      岩田  脩君
       自治省財政局長  石原 信雄君
       自治省税務局長  関根 則之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       厚生大臣官房政
       策課長      長尾 立子君
       厚生省公衆衛生
       局地域保健課長  古市 圭治君
       厚生省公衆衛生
       局老人保健部計
       画課長      森  仁美君
       厚生省公衆衛生
       局老人保健部老
       人保健課長    谷  修一君
       社会保険庁長官
       官房総務課長   北郷 勲夫君
       運輸省鉄道監督
       局民営鉄道部財
       務課長      永井 隆男君
       運輸省自動車局
       業務部旅客課長  豊田  実君
       労働大臣官房総
       務課長      岡部 晃三君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十一日、玉置和郎君が委員を辞任され、その補欠として松尾官平君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(宮田輝君) 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○佐藤三吾君 きょうは交付税審議ですが、その前に四月十九日の私の質問に関連してお尋ねしておきたいと思うのですが、四日二十日の各種新聞を読みますと、私の質問しました点字投票の方式についてパンフレットなどをつくって、点字投票に対する遺漏のない措置をとっておるというような、こういう報道を目にしたのでございますが、どういう内容、そしてどういう措置をとったのか、それをひとつ報告をいただきたいということが一つ。それから、五月一日号の「点字毎日」が出されております。この中の記事についてどういうふうに御判断なさっておるのか。二についてまずお聞きしておきたいと思います。
#5
○政府委員(岩田脩君) ただいまお話しになりましたパンフレットの件につきましては、この前の御質問の御意向もございますので、この際直ちに点字による投票制度の案内、それから選挙制度、ことに今回は参議院につきましての選挙制度の改正もありましたので、そういう選挙制度の周知をも含めたパンフレットをつくることにいたしまして、目下その準備を進めているところでございます。今度の選挙のこともございますので、なるべく早く刷り上げて全国の目の不自由な方たちのところへお届けをするような手配をとりたい、そういうように存じております。
 それから、五月一日の記事につきましては、残念ながら内容をちょっと存じておりません。
#6
○佐藤三吾君 この点字新聞を見ますと、若干記事のとり方にも問題があるような感じがするのです。
 私が質問したのは、いわゆる点字投票の宣伝が足らなかったのじゃないか、こういう質問に対して、大臣の答弁として、制度のたてまえは崩せないが今後このような問題が二度と発生しないようパンフレットなどをつくり周知徹底を図りたい、こういうふうに問題がすりかえられておるわけです。これに対して、盲人連合会の会長などが指摘しておるのは、有権者が申し出たにもかかわらず判を押さなかったのか、あるいはその申し出がなかったのか、ないから判を押さなかったのか、その説明が全くないままに一方的に盲人の落ち度と断定したことに対して抗議をする、こうなっているわけです。
 それからもう一つの問題は、盲人有権者に点字投票である旨の印がない投票用紙を渡すのがもともとおかしいのではないか、私が言ったように、白いつえをついておるから付き添いが来ておる、それに三十八条二項に基づく点字投票という判が押していないものを渡すことがもともと問題ではないのか、こういった点については何ら具体的な対応をされていないことについてはきわめて遺憾である、したがってきょうから開かれております宮崎の日盲連の全国大会に緊急提案をして、この制度の改善を決議して全国的な運動にする、この五月一日の点字新聞はこういう内容なんです。
 こういうことと裏打ちのように、私の手元に浜松の大内さんという方から点字のこういう御意見を付した要請書が来ておる。その内容を見ても、全くこの点字新聞を見ておるものですから、したがって国会審議が差別感に満ちておるのではないか、もういきなり盲人の落ち度という断定をして、そして周知宣伝をするということだけで足りるのかというような内容の御意見が寄せられておるわけです。
 これは私も全く遺憾なことなんですが、こういった点についてはどういうような、いまあなたおっしゃったように、直ちにそういう所要の措置をとったというのですが、とられようとしているのか、この点についてお伺いしたいのです。
#7
○政府委員(岩田脩君) ただいまの点字投票の周知につきましては、パンフレットをこれからつくるということでございます。
 ただいまお挙げになりましたこと、この前の御質問の際にはそういう点字投票があったということでありまして、その点字投票がだれの責任でどうして生じたものかという議論、これはわからないことでございまして、決して盲人側の手落ちであったというように断定した御答弁があったようにも思いませんし、またそうでなかった、そのことについてああだこうだという評価をした答弁をしたつもりもございません。
 実際、本件につきましては、具体のこの件につきましては、ただいま山口県の選挙管理委員会に選挙争訟、異議の申し出がなされておりまして、これから山口県の選挙管理委員会が事実関係についての調査をするでしょうから、その中で何か新しいことがわかるかもしれませんけれども、実際には、現在の段階で申し上げれば、本件につきましては点字投票の印がなかった投票があったというわけでありまして、その原因がたとえば盲人側にあったというようなことを断定できるような性格のものではないと思っております。
#8
○佐藤三吾君 そこで、もう二、三確認をしておきたいと思うのですが、点字投票が四十七条でもって文字とみなすことになっていますね。「政令で定める点字は文字とみなす。」ということになって、その政令では二項で申し出をして、そして「投票用紙に点字投票である旨の印をおして、これを交付しなければならない。」ということで、これの用紙については第八号様式というのを規則でもって決められておりますね。そういうことが点宇投票の有効無効の問題になっているわけですね。
 今度の場合を見ますと、私が前回も言ったように、投票所に来て投票しておるわけですね。これはもう間違いない。これは選挙事務局長も確認しておるわけです。その用紙であることは間違いない。そして問題は、選管の投票用紙をもらって、そして投票所で点字を打って投票しておる。これも間違いない。それが判がなかったということで無効になったわけですね。
 まず私が聞きたいのは、点字投票である旨の印を押すのは手続の問題ではないのか。公職選挙法では四十七条で「政令で定める点字は文字とみなす。」と規定しておるのですが、普通の投票用紙で投票すればいいというふうに私は思うのですけれども、印を押してなかったがゆえに無効だ、こういうことになっておるわけですが、これは先般のあなたの答弁をいただきますと、点字投票というのは盲人に対してだけ特に認められた特別の投票であるということと、したがって点字投票ではそういう手続をとっていただくという考え方でございますと、こういう言い方になっておるわけですが、これは一体どういう意味で印を押すということに趣旨はなっておるのですか。
#9
○政府委員(岩田脩君) 点字投票につきまして、その点字投票の印を押すというのは、ごらんのとおり投票用紙に点字投票の様式というものが定められておりまして、その点字投票の様式を完成するという意味で印を押す、そのことは、ある意味で、その第二項に言う申し出があったということを保証する一連の手続の意味も果たしておるのじゃないかと思っております。
#10
○佐藤三吾君 しかし、正規の投票用紙に、点字の皆さんだけに点字投票という申し出があって、申し出があった者には点字投票というスタンプを押して、それがすべてかなえてなければ無効だという特別の、何というのですか、手続というか、それをつけなければならぬ理由は何ですか。
 たとえばちゃんと、目の見えない人であろうと、目の見える人であろうと、目の見える人は書くでしょう。目の見えない人は点字打つでしょう。それでいいじゃないですか。それを何でスタンプ押すのですか。押さなければならぬという手続を決めたのですか。これはやっぱり押さないと開票のときに白票に見えるものだから、開票する事務の人たちがみんな目が見えるものですから、白くて点字打ってあるかどうかわからぬから、その誤認を避けるためにつくったのじゃないのですか。どうなんですか。
#11
○政府委員(岩田脩君) われわれの考え方では、現行制度のもとでは点字投票用紙と一般の投票用紙と二つの様式があって、それはそれぞれ様式の異なるものであり、それを取り違えた場合はその正規の投票用紙によらないものとして無効とするというたてまえできておるわけでございます。
 その制度が設けられた趣旨はということになりますと、この前お話を申し上げましたように、その点字投票というのが盲人について認められている制度であるということから、盲人の方は、点字投票をしたいという方はあらかじめその申し出をしていただいて、それで、そこでその手続をとるという制度をずっとやってきたわけでございます。
#12
○佐藤三吾君 しかし、それじゃ私の答弁にならぬのです。だから盲人の皆さんから見ると差別じゃないか、こうなるわけです。そうでしょう。一般の人は正規の投票用紙なら書くだけで有効、盲人の方々は正規の投票用紙で書くだけでは無効、こういうことでしょう。なぜそんな差をつけるのか。盲人の皆さんはちゃんと書くかわりに点字で打つのでしょう。それがどうして無効になるのか、こう言っているわけで、差別じゃないかと、こうなる。
 だから問題は、私が聞きたいのは、何でこれをつくったのかと言えば、投票開票の管理者が開票する際に白紙と点字を間違うから、盲人の皆さんに特別に足かせをかましておる、こういうことでしょうがというのですよ。いわゆる盲人の皆さんのためじゃなくて、逆に言えば開票管理者の便宜上に、開票事務に間違い起こらぬように、誤記が起こらぬように、便宜上につくった制度でしょうがと聞いておる。どうなんですか。
#13
○政府委員(岩田脩君) 確かにこの制度ができておりますのは、投開票の手続の中で点字が間違えられることがないようにという趣旨でできたものだと思います。ただ、言うまでもないことながら、その投開票というものは短時間の間に多数の投票を扱うわけですから、そこには一定の処理可能性というものがなければいけないとは思いますけれども、あくまで、何といいますか、そういう側面を持っていることは否定できないと思います。
#14
○佐藤三吾君 そうしますと、たとえばいわゆる公選法六十八条一項一号の「所定の用紙を用いないもの」に当たる、前回こういう説明をされましたね。ところが、これは六十八条一項一号の規定の趣旨というのは一体どういう趣旨なんですか。
#15
○政府委員(岩田脩君) それぞれの投票につきましては、それぞれ所定の様式があり、その様式を取り違えたものは無効にするということであろうと思います。
#16
○佐藤三吾君 だから、それは言いかえれば不正投票をなくすということでしょう。そういう不正投票をなくす意味で厳格に所定の投票用紙という式になっているのでしょう。いかがですか。
#17
○政府委員(岩田脩君) それは所定の手続を経なかった投票という意味も含めて、そういうことであろうと思います。
#18
○佐藤三吾君 そうだろうね。だから、そういうことになりますと、たとえば参議院選挙で全国区、地方区、今度はまた比例代表制だから別ですけれども、いままでは全国区、地方区とあって、その用紙を間違えたときにはこれは無効ですね。地方区に全国区書いたり、全国区に地方区書いたり、これはわかるのですね。
 ところが徳山の今回のやつは、いま言ってみたように、正規の投票用紙は使っておる。そして、ちゃんとそこに有権者の意思を明確に書いておるわけだ。点字はもう書いておるわけだからね。それが、ただスタンプを押すという、そのスタンプは何かというと、さっきの議論のようにこれは開票管理者の便宜を図るための措置なんですよ。そのためにつくられた措置なんです。そのために無効になる、こういうことが起こっておるわけですね。
 しかも、これ、私ずっと判例を見ました。そうしてみると、驚いたことに、この制度ができたのは、これは昭和二年ですか三年ですか、それ以後に、たとえば昭和二十二年十二月二十八日の福岡高裁、昭和二十六年十一月十四日の福岡高裁、昭和二十七年二月二十七日の札幌高裁、同じく四月十日の仙台高裁、二十九年の福岡高裁、三十年十一月二十二日の仙台高裁、三十五年五月二十三日の仙台高裁、ここでいわゆる投票用紙に所定の印を押していないものとか、それから投票用紙が正規の投票用紙であるかどうかわからないもののような投票案件について全部有効という判決が出ている。そういうものから見ると、私は、今度の場合はもっと、まあいわゆる選管の印が押してあるか押してないか、正規の投票用紙かわからぬようなものにまで有効の判決が出ておるのですね。
 それらの例から見ると、今度の場合は正規の投票用紙を使っていることは間違いない。正規に「福田」と記入したことも間違いない。ただ、投票管理者の便宜上のスタンプが、しかもそのスタンプが押してないけれども、そのスタンプは何かというと、受付に来て、当然これは渡す人が、いわゆる投票管理者の方がスタンプを押して渡さなければならないものを渡していないというような事例で起こったことまで無効にするということについては、どうしてもこれは納得できない。いかがですか、これ。
#19
○政府委員(岩田脩君) ただいま先生がお挙げになりました例は、判決の例を逐一全部そらんじてはおりませんけれども、投票用紙に押すべき市町村の選挙管理委員会の印が欠けた場合というのが一番主要であったと思います。確かに投票用紙には市町村の選挙管理委員会の印が押されなかったケースというのがあるわけでありまして、そういった場合を有効にしていることはあるわけであります。
 そのことはやはり点字投票についても同様であろう、点字投票に押されるべき市町村の選管の印もあるわけでございますから、そういったものが押されていないという場合につきましては、そこに不正の入り込む余地はなかったとか、投票所において渡された正規のものであろうというような推測のもとに、それを有効にとっている場合が判例としてあり、そのことは点字投票にも及び得ることだと思っておりますけれども、ただ、点字投票の印そのものは、先ほど申し上げましたように一つの、何といいますか、投票用紙の様式の違いをつくっているものでありまして、むしろ先ほどの例で言いますと、たとえば悪うございますけれども、地方区、全国区の取り間違いみたいな、そういう様式の違った投票用紙を使ったという形になるのではないか。
 もちろん、ただいま先生が中段でおっしゃいましたそういう押し間違いの原因が一体どっらの責任でどこに生じたのだろうかというような話は、これからその山口県選管の審査の中であるいは明らかになる部分もあるのか、それによっては考え方もあるのかとは思いますけれども、そこのところはこれから先のことだと思っております。
#20
○佐藤三吾君 浜松の大内さんから、こういう内容の手紙をいただいているのです。ちょっと私読みますが、「私もこれまで選挙の度に点字投票をして来ました。その間私は係りから手渡された投票用紙に記入するだけでこの投票用紙に確認印が押してあること等この問題がおこるまで全く知りませんでした」、恐らく全部の盲人の皆さんがそうでしょうと、こう言っている。だから、申し出がなかったから渡さなかった、申し出があったから渡すということは実態ではないのですね。いままでの実態ではないのです。
 言うならば、白いつえをついてきたか付き添いできたか、それを受付の方で盲人の方と断定して、そしてそれに投票用紙を渡して、その渡された投票用紙をやっぱり盲人の皆さんは普通の健常者の皆さんと同様にそのまま投票に行って、自分の持っている点字器で押したり、もしか持ってなければ点字器を借りて押す、こういう式をやっておるわけですね。だから、十一票のうち二票が無効だ、その二票を、判を押してないものを渡した方が問題であって、判の押してないものを明らかに白いつえをついた人に対して渡してない方が問題であって、そのゆえをもって無効にされたのじゃたまらぬというのが私は率直な意見だと思うのです。しかも、これだけ判例が出てきておる、こういう事例もある。それから見れば、今度の問題というのは、ウエートでいえば私はこれ以上に、いままでの判例の事件から見るともっと有効性を持つ内容だと思うのですね。
 ですから、そういったことから考えてみますと、やはり基本は、昭和二年か三年に定めたというこの制度がもう実態とかけ離れておる。そして、こういう制度を、いわゆる三十八条二項の問題、二項目体が今度の事件を契機にいわゆる盲人の皆さんに差別感さえ与えておる。そういうところに私はやっぱり着目せざるを得ないと思うのですよ。そういう意味で、この問題はやっぱり対応するというなら、早速法政令の改正を含めて見直し、検討して現状に合わせるべきじゃないか、こう思うのですが、これはひとつ大臣に聞いておきましょう。
#21
○政府委員(岩田脩君) 具体に起こったケースについての御質問でございましたので現行の制度について申し上げましたけれども、いまのように、昭和二年からのこの制度がどうかということになりますと、御指摘のとおり昭和二年以来ずっと続いた制度でありまして、幸か不幸か、このケースにつきましてはいまだかつてこういうかっこうで疑問が提起されたことのなかった制度でございます。したがって、われわれもそれほど具体的にその疑問を抱いていなかった制度でございます。ただ、こういうケースが起こりましたので、ひとつこれは実際に現地を担当しております各選挙管理委員会の意見も聞きまして、一度制度の見直しをやってみたいと思っております。
 ただ、具体に申しまして、今度の参議院選挙というようなことになりますと、もはや準備も進んでおる段階でありますので、これはいまから急にその向きを変えるわけにもまいりません。当面は先ほども申し上げましたパンフレットその他のPRでやらしていただきまして、今度の選挙が終わった段階で、ひとつ現地の意見も十分聞いて勉強してみたい、盲人協会の方たちの御意見も聞いてみたいと思っております。
#22
○国務大臣(山本幸雄君) いま選挙部長からお答えしましたが、これ、具体的なその事案の内容というものは、たとえばいまのお話のように、本人から印を押してくれと言われたのに押さなかったのか、あるいは本人からそういう申し出がなかったのかという点も、先ほどもお尋ねがありましたが、具体的な事案の内容がよく詳細にはわかっておりませんので、これはやはり本件についてはいま異議の申し立てが出ておりまして、県選管でいま審査をしておるというところでありますから、そちらの決定にまちたいと思います。ただ、将来の制度のあり方というものについては、いま選挙部長が申しましたように、よく関係方面の御意見も伺いまして、今後の課題としていただいておきたい、こう思っております。
#23
○佐藤三吾君 選挙部長は制度を含めて見直しをしたいという答弁で、大臣も同じような趣旨に理解するのですが、私も今度こういう点字の用紙をもらいまして、白紙であっても、スタンプを押してなくても点字かどうかすぐわかりますよ。わからぬのがどうかしておるのですよ。だとすればスタンプは私は必要ないと思う。
 ですから、昭和二年当時の政令を、そういう感覚で、これだけの高裁判決が次々出ておる事例等もある中で放置したことだけは、私はそこに怠慢があったのじゃないか、そして、しかもそのことによって、今日、貴重な一票が無効になって当落が決まる、こういうことになっておるのだと思うのです。ですから、この際ひとつ、私は制度改正については、先ほど申し上げたように、三十八条の二項そのものをぜひ改正していただいて、そうしていわゆる盲人の皆さんに差別感だけは、せっかく投票所に行って投票する有権者の権利を行使しておるわけですから、そこら辺について十分遺漏のないように、ぜひひとつ実現してほしいということだけ一つつけ加えておきたいと思います。よろしいですね。
 次に、時間がございませんからちょっと早口になりますが、交付税特会でちょっと局長なり意見を聞いておきたいと思うのですが、これは一昨日ずいぶん議論ございましたから、できるだけ私は重複しないようにしたいと思うのですが、それにしても、一昨日も問題になりましたが、交付税特会の借入金の償還については国の二分の一、これでも私は問題があると思うのに、今回はその利子までひとつ地方負担だ、こういうところ、これについては、やっぱり一昨日も論議がございましたように、実質的にはこれは交付税率を引き下げるというようなことになっておると私は思うのでありまして、したがって、今回限りという説明のようでございますが、今回限りのその保証があるのかないのか。それが一つ。
 それから、四月二十四日の新聞では、大蔵省は五十九年度予算方針として五兆円近い歳入欠陥が予測されることを前提に、今度は元本利子全額地方負担、こういう方向を固めたということが報じられておるのですが、この点についてどう対応しようとしておるのか、お聞きしたいと思うのです。
#24
○政府委員(石原信雄君) 今回御審議をお願いしております地方交付税法の一部改正法案の内容にも示されておる特別会計の借入金の利子負担の問題でございますが、私どもは、この交付税会計の借り入れというものが、本来、今日地方財源が総体的に足りない、そういう事態が長く続いているわけです。それで、やはり望ましい姿としては地方行財政制度の改正、あるいは交付税率の見直しという基本的な制度の改正で対応すべきであるという考え、また、これまで幾たびか、その方の改正の要求も行ってきたわけでありますが、御案内のように、今日の国、地方を通ずる財政状況の中で、基本的な改正ができないために、それにかわる措置として、昭和五十三年度以来、交付税会計の借り入れ及びその元本の二分の一負担という方式で対処してきているわけであります。
 そうして、その交付税会計の借り入れについては、今日まで利子はすべて国が負担するという前提で来ておりましたが、これは私どもの理解は、交付税会計の借り入れによって地方財政の計画的な運営を保障するという、こういう国の責務というものがある、その責務を果たす一環として、この交付税会計の借り入れがあるわけですから、その利子も国が負担するのだ、そういう理解できたわけでございます。
 したがいまして、五十八年度の今回の地方財政対策に当たりまして利子負担を大蔵省当局が求めてまいりましたことに対しては、私どもは昨年十二月の地方制度調査会の答申にもありますように、制度本来の趣旨からいって、それはとうてい受け入れられないということで主張いたしました。しかしながら、五十八年度の国、地方を通ずる財政環境の中で、どうしてもこの利子の一部を負担しなければ国の予算が組めないというようなところまでまいりまして、やむなく五十八年度について元本の負担割合に応じて利子も負担するということに同意をいたした次第であります。
 この点につきましては、論議の過程で、五十八年度について、このような取り扱いをするということにいたしたところであります。したがいまして、五十九年度については全く白紙と申しましょうか、決めていないというのが実情でございます。私どもは、従来の考え方からいたしまして、五十九年度についても本来の姿でこれはいくべきであるという考え方を持っております。そういう方向で努力してまいりたいと思います。
 ただ、その保証があるか、じゃ、五十九年度はそうでなくなる保証があるかということでありますが、この点については国の財政状況ということもありまして、私自治省の立場から保証ありという御答弁は申し上げられないのが現状でございます。私どもは私どもの考え方に沿って最大限の努力を尽くしていきたいということでございます。
 それから、先日ある新聞で、大蔵省が五十九年度の予算編成に際して大変な財源難が予想されるということから、幾つかのこれまで問題になっておりました事柄について、その観測的な記事が出ておりました。その中に、交付税会計の借入金につきましては、元本、利子ともに地方の負担を求めるという趣旨の記事がありましたが、私どもはこういった方向について大蔵省当局から正式には何も聞いておりません。私どもはそういったことではとうていこれは応ずることのできない内容だという感じを持っておりますけれども、そういう内容について正規の話を受けたことはございません。
#25
○佐藤三吾君 大臣、あなたがいつも言うのは、国と地方は車の両輪、そう言うのですが、いまお聞きしたように、今年度限りと言ったって、もうこれは保証がない、あるかないか言い切れぬ、こういう局長の答弁ですが、五十七年度の場合はあなたじゃないけれども、これは世耕さんか、手打ち式をして収支均衡、ところが年末になったところ大幅補正、これはもうすぐばれてしまって、そして五十八年度は今度は三兆三千の不足ということで、両相の折衝が合意に達していますね。
 こういう事例から見ると、中身が一つも私どものところに届かないのですけれども、三兆三千億不足の中身、去年の合意、収支均衡という、その中身が全然わからないから議論の余地はないのですが、これは国会にぐらい中身をちらっと出してもいいのじゃないですか。何かもう大臣と大臣であうんの呼吸でやってみて、すぐその後でばれてしまう、補正を組まなければならぬ、こういうような事態になるわけですが、これはここでどういう中身なのか、そこら辺を明らかにできるのなら、ひとつ明らかにしてもらいたいというのが一つ。
 それからもう一つは、こういうことを見ますと、交付税法六条の三第二項がやっぱり私は光らざるを得ないと思うのですね。たしか五十三年か四年ごろ、ここにいらっしゃる松浦さんが財政局長時代に、私はここでやって、「著しく」とか「引き続き」とかという文言をめぐって議論をやって、三年だ、「著しく」というのは一〇%だ、こういうたしか回答があったと思うのですが、それから見ると、もう当然この六条の三第二項がこれは課題になってこなければならない。そういうような情勢にあるのですが、五十八年度の折衝の際にその点は一体どういう内容になっておったのか。六条の三第二項が自治省にとって堅持をしながら結果的に押し切られたのか。五十九年度は一体どうするのか。これはひとつ大臣に聞きましょう。
#26
○国務大臣(山本幸雄君) この二分の一利子負担の問題は、五十八年度地方財政計画をつくるときの大蔵省との折衝で最大の眼目であったわけなんです。
 この問題は、いま仰せのように六条の三の点について毎年自治省の方は交付税率の引き上げを要求はしてきた、しかし五十八年度予備は、地方財政も非常に厳しい実情にあることはもう私ども深い認識を持っておる、一方国の財政もいわば借金財政で借りられるところだけは借りて、いろいろな手段を尽くしてやってきておる、そういう中で地方財政と国家財政という二つの問題を考え合わした上で、車の両輪という言葉がよく出ますが、そういう観点で考えた場合に、まことに地方財政の方から見れば忍ぶべからざることであるけれども、五十八年度という頭に年度をかぶせた上で、この問題はああいう措置をせざるを得なかったということになりたわけであります。
 そこで、もう一つ、やはりこれからの地方財政は一体どう考えていったらいいのか、私は国の財政の問題もあると思うのです。そういう大きな課題を抱えている。これは確かに六条の三は交付税率の引き上げあるいは制度の見直し、こうなっておりますから、交付税率の引き上げの問題もございましょうが、同時にまた制度の見直しということをやはり考えてみなければならぬ段階であろう、こう思っているわけです。そこのいわばこういう大きな問題の取り扱い方を五十九年度予算を前にして私どもは何とかやりたいと思っておりますが、そのために税制も一体どうしたらいいのでしょうか、そういう御意見も税制調査会にはお願いもしておるということであります。
 そこで、いまお話の二分の一の利子の問題は、いま財政局長がお答えしましたように五十八年度ということでやったことでありまして、五十九年度以降の問題については、私どもの方としてはさようなことはひとつ五十九年度では御免こうむりたい、こういうために最大限のやはり努力はしたい、こう思っておるところであります。
 先ごろの新聞で、元本利子全額地方負担というようなことが新聞に出たようですけれども、この問題は私は大蔵省もさようなことをいまこの段階で口にしておるはずはないし、さような考え方をいま持っておるとは私どもも思っておりません。これは大蔵省にあるいはお聞きくださればいいかと思いますけれども、大蔵省もさような考え方を実は持っておりましてということは私は言わないだろう、こう思っております。
 そういうようないま段階でありまして、将来のやや中期的、まあ長期的とまでは申せませんが、やや中期的な地方財政のあり方をどう模索したらいいかという一つのそういうテーマ、そういう課題を今後とも私どもは真剣にひとつ勉強をしていきたい、こう思っておるところであります。
#27
○佐藤三吾君 あなた、なかなか深刻な顔して言うものだから、こっちもちょっとつり込まれるのだが、いずれにしてもやっぱり地方財政に責任を持つ大臣としての自治大臣と国家財政に責任を持つ大蔵大臣、こういう折衝になると思うのですけれども、余りあなたが国の立場に重さを置き過ぎて今日の対応があるのじゃないかという私は気がするから、それじゃいけませんよ、やっぱり自治大臣に戻って、地方財政に責任ある大臣としてしっかりして、通すべき筋はきちっと通していく、それが私は六条の三第二項にかかわると思うので、ここら辺はひとつぜひ堅持をしていただかないと、こういう状態見ると、五十三年から五十七年、五十八年、次から次に押さえ込みにかかっている形跡があるわけです。見れば歴然としている。だから、そこら辺をひとつきちっと対処してもらいたいという意味でひとつ強く要請しておきたいと思います。
 決意はいただきましたが、そこでちょっと局長にお聞きしますが、昨年末の大蔵省と地方財政折衝の際に、自治体の積み立てている財政調整基金を財政計画の歳入に還付する、こういう大蔵省の主張があったと聞いておるのですが、それはどういう内容だったのか。また、この問題は決着はついたのか、つかないのか。また、再び出てくるのかどうなのか。いかがですか。
#28
○政府委員(石原信雄君) 実は、ただいま御指摘の点は、大蔵大臣の諮問機関である財政制度審議会の答申の中で、地方財政計画の策定に当たって、現在地方財政計画が単年度主義になっております。単年度の収支のバランスを見ることにしておりまして、既往年度の繰越金でありますとか、積立金というものは一応考慮しないことにしておりますが、それはおかしいじゃないか、現実にそういう繰越金があったり、積立金があるのだから、それを考慮すべきじゃないか、国の場合には繰越金を全部はたいて、それからいろいろな税外収入を洗いざらい出して予算を組んでいるのに、地方の方はゆとりがあるじゃないかというような意味合いで、そういう積立金等も一部歳入にカウントすべきじゃないかという、そういう趣旨の答申があったわけでございます。
 それがありまして、正式とまでは言いませんけれども、五十八年度の地方財政対策の論議に入る段階で、そういう答申もあるのだというような話が出てまいりました。ただ、私どもは初めからこの問題は地方財政計画が現在単年度の収支バランスを見ていくという方式でずっと来ておりまして、それに既往年度の要素を取り込むということになると、計画の立て方を根本から変えるということになりますし、そういう大問題を取り上げるわけにいかない、それから積立金を歳入に取り込むということは、結局それだけ地方財政計画上の収支の不足額が小さくなる、地方に対する財源措置額が小さくなるということを意味いたしますから、とうていこれは応ずるわけにいかない。
 さらに言うならば、積立金というものは各団体がそれぞれの財政運営の過程でやりくりしてつくっているものでございます。ある団体はフルにその年の歳入を使って仕事をしているところもありましょうし、ある団体は一定の計画を念頭に置いて、少し資金をリザーブしてまとめて使うという考え方を持つところもありましょう。そういうそれぞれの団体によって態様が違うものを、たまたま積立金があるからといってそれを取り崩すことを予定するということは、国のように単一財政の場合には理論としてあり得ても、地方財政の場合にはまちまちでございますから、それを地方財政計画上取り込むことは、これは理論的にもおかしいじゃないか、こういうふうに私ども反論いたしまして、最終的には大蔵省も最後までこれを固執しなかったという状況でございます。
#29
○佐藤三吾君 ところで、時間があればもう少し聞きたいのですが、時間がないようですから臨調の問題で一つだけ聞いておきたいのですが、これはこの委員会でも議論があったようでございますが、今度の臨調の最終答心の中で地方事務官問題が出されておるわけですが、これはこの委員会や国会の決議、地方制度調査会の答申と反する内容になっておるわけで、われわれとしてもきわめてこれは遺憾にたえないのですが、中曽根さんの話では、これから行革大綱を秋までにまとめて、そして政府案をつくる、こういう経緯になっておるようでございますが、自治省はいままで一貫した国会決議や地方制度調査会の答申を軸にして、地方公務員であるという立場でやってきたわけですけれども、どういうふうにこれに対処しようとしておるのか、御見解をいただきたいと思います。
#30
○国務大臣(山本幸雄君) 臨調答申は、従来からの国会の御論議あるいは地方制度調査会の御答申などをいただいたこととは相反することである、それからもう一つは、やはり臨調の一つの理念であったはずの地方自治を拡充していく、中央地方を通じて、それぞれの業務の内容の見直しをして、住民により身近な問題は地方に任せていくという、そういう基本方針といいますか、基本理念はやはり第一次答申の中にも盛り込まれておったと思うのです。その考え方と今回の答申とは一体どういう調和を図るのかということはあると思っております。
 したがいまして、私どもとしては、あの答申の内容が直ちに実施に移されるということについては賛成というわけには簡単にはまいらない、こう思っておりまして、これはやはりもう少し、まあしかし、答申内容として一応出たわけでございますから、それらについてひとつ今後の問題をもう少し時間をかけて協調をしていく、私どもの主張すべきところは主張をしていきたい、かようにいま考えておるところであります。
#31
○佐藤三吾君 そこで、きょう厚生、労働省来ておりますか。いまの大臣答弁で、この問題の処理はよろしいわけですね。
#32
○説明員(北郷勲夫君) いま大臣お答えになりましたが、政府部内で今後どう進めるかを検討中でございますので、大臣のお答えもそういった趣旨だったかと理解しております。
#33
○説明員(岡部晃三君) 非常に経緯のある問題でございまして、私どもとしましては、行政の遂行上、支障を生じることのないように解決を図りたいと考えておるわけでございます。特に現在行革大綱の取りまとめ中ということもございまして、行革大綱中におきましてこの問題が円滑に解決されるということを期待している次第でございます。
#34
○佐藤三吾君 大体両省とも、大臣答弁のように、慎重に対処をしていくという考えのようにお伺いしましたが、いずれにしましても、これはもうずいぶん地方制度調査会にしましても、それからこの委員会、本会議の決議にしましても、やられた経緯があるわけでございますし、また臨調は基本答申の中ではそういう方向を出しながら、何ゆえか最終答申で変わった内容になっておるわけでございますから、これは大臣、実態を基本に置いて、基本答申にございますような、いわゆる身近な問題は身近なところで処理していくという、そういう基本を大事にしながら政府の行革大綱を積み上げていく、こういうことで御努力をひとついただきたいということだけ申し添えておきます。
 次に、時間がございませんが、財政問題と絡んで、交付税の問題と絡んで一つだけお伺いしておきたいと思うのですが、昨年、私はこの委員会の審議の際に、増税なしの財政再建と口では言いながら、地方議会では使用料、手数料を矢継ぎ早に値上げして、その格差がはなはだ大きくなっておる、こういう点を指摘しまして、世耕大臣からも、できるだけ公平な負担の指導を行う、こういう約束を得たわけですが、その後の経過は一体これどうなっておるのかということが一つ。
 そこで、今回、手数料徴収、費用徴収の根拠について調べてみたのですが、非常に不可解な点があるので、これは教えていただきたいと思うのです。たとえば図書館法十七条で見ますと、「公立図書館は、入館料その他図書館資料利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない。」とあるのです。ところが、身体障害者福祉法三十三条の点字図書館のところになりますと、「無料又は低額な料金で、点字刊行物を盲人の求に応じて閲覧させる施設」だ、こういうふうになっておるわけです。
 それから、身障者更生援護施設の収容、通所、委任、こういった費用については徴収はしていないのですが、児童福祉法の身障施設、精神薄弱者施設、こういうところについては入所者の料金を徴収する、また母子保健法の場合を見ますと、三歳の健診については無料、ところが老人保健法は五十一条で費用徴収、まあ法律の違いがそうさせるのか、いずれにしてもばらばらというか、同じ精神薄弱者の場合でも一方は無料、一方は有料、こういうような事態が起こっておるし、ここら辺はどういう意味でこうなったのか、ひとつお聞きしたい。これは厚生省にお聞きしたいと思うのですが。
 それからもう一つは、これは、こういうところについては交付税とはどういうかかわりになっているのか、これもお聞きしたいと思うのです。厚生省の方からで結構ですから。
#35
○説明員(長尾立子君) 御説明を申し上げます。
 ただいま先生から、身体障害者福祉法に基づきます各施設、それから児童福祉法に基づきます各施設、それぞれの費用徴収の仕方は非常にばらばらではないか、かつ老人保健法とはまた非常に異なっておるのではないかという御質問でございます。
 御承知のように、児童福祉法の場合には法制定の趣旨がすべての児童は心身とも健やかに生まれ育つようにということでございますので、御両親と保護者の方の所得水準というものとは関係なく福祉の措置を行うという考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、その中には相当の所得水準の御父兄もおられるわけでございまして、保育所等に入所されない方、いわば福祉の措置を受けておられない方との均衡ということから考えまして、公平の観点から費用の負担をお願いするという考え方で法律上の規定を設けておるわけでございます。
 身体障害者福祉法、これは先生いま御指摘ございましたように、施設の種別がいろいろでございまして、一概に御説明を申し上げることが困難かと思うわけでございますが、労働省の職業訓練校のように、身体障害者の社会復帰ということを自的といたしました訓練施設が多いわけでございまして、入所期間も非常に限られた期間を定めておるというような形になっておりますために、お入りになりました場合に、お食事もその施設の中で召し上がるわけでございますので、その食費について自己負担をお願いするということを原則といたしておりまして、ただし生活保護を受けておられるような御世帯、またそれに准じたような御家庭の場合には減免をするというような制度を設けておるわけでございます。
 それから、老人保健法でございますが、この老人保健法も医療及び健診とあるわけでございますが、御承知のように老人保健法の医療の部分は社会保険各法の一部負担と同じような考え方でございまして、御老人自身も、国民皆保険でございますので、どこかの制度に御加入をいただいておりまして、保険料の負担をすでにお願いをしておるわけでございますが、老人の方々に、この老人保健法の基本的な考え方に基づきまして、この制度に御協力いただくということから、無理のない範囲で応分の費用負担をお願いしておるという趣旨でございます。
 こういういま申し上げましたそれぞれの費用負担の考え方を合わしていくこと、これは一般の国民の皆様に御理解をいただくこと、またそれから費用徴収をいたします実施機関の便宜等考えますと、確かにごもっともな御指摘かと思うのでございますが、沿革がございますことや各制度の趣旨、それからその費用負担のあり方等非常に違っておりますので、必ずしもすべての制度につきまして合わせていくということはむずかしいのではないかと考えておるわけでございます。
#36
○政府委員(石原信雄君) 使用料や手数料の地方交付税算定上の扱いでございますが、原則としまして、地方団体には普遍的に徴収されておりますような使用料、手数料を対象にして算定する、そして、その金額につきましては法令によって徴収金額等の基準が定められているものはその基準に準拠する、それから、そうでないものについては地方団体における平均的な徴収状況などを勘案して金額を算入する、こういうような扱いにしております。したがいまして、たとえば点字図書館など施設の数が非常に少ない場合には、普遍的でないということで交付税上は特にこれを明示して算定いたしておりません。
#37
○佐藤三吾君 ちょっと厚生省、もう一遍聞きますが、一律という負担の取り方と、負担能力に応じてという取り方と、なしと、幾つかこうありますね。これはどういう根拠でそんなことを決めたのですか。
#38
○説明員(長尾立子君) いま先生お話しの一律というのは、たとえば老人保健法におきます一部負担等、これは一律の金額になっておるわけでございますが、これは先ほど御説明を申し上げましたように、私ども祉会保険各法それぞれ一部負担一律でございますが、そういった考え方で、そもそも保険料を別個御老人の方もお払いになっておりました上でこの費用負担があるわけでございますので、この制度に御協力いただくという趣旨から、御無理のない範囲内で御負担をいただくという趣旨でございますので、そういう形で一律にさせていただいておるわけでございますが、ほかの福祉施設の場合には、そこでお子さんが生活をされる、保育所の場合は日中親御さんにかわってお預かりをするということでございますので、こういった施設の場合には親御さんの費用負担能力というものを勘案いたしまして費用負担していただくということが、こういった福祉の措置をお受けにならない方との均衡からいって当然ではないかというふうに考えておるわけでございます。
#39
○佐藤三吾君 当然かどうか別にしまして、老人保健法の場合には協力で、協力しない場合はもうやむを得ないということですね。そういうことになるのですか。
#40
○説明員(谷修一君) 老人保健法の医療におきます一部負担につきましては、ただいま政策課長の方から御答弁申し上げましたように、外来におきましては月に四百円、入院につきましては一日に三百円ということで、考え方といたしましては、今回の新しい老人保健法に基づく医療の中で、お年寄りにも健康に対する自覚を持っていたたきたい、また老人保健法の趣旨というふうなことから、一律に御負担を七十歳以上の方についていま申し上げましたような金額を御負担いただくということでお願いをしておるわけでございます。
#41
○佐藤三吾君 お願いしておるけれども、お願いしておるのじゃなくて、やっぱりちゃんと取るわけでしょう。だから、いずれにしても私は一遍この問題だけでやらなければならぬぐらいに問題が多いような感じがするのです。
 いまお話聞いてみますと、やはり既往の制度の範疇にはめて、これは取るべきか取らないべきかどうかというような、そういう判断もしておるような、まあ沿革という言葉を使いましたが、感じがしますね。しかし、私はやっぱりこの際一遍、この福祉関係を含めて、こういう費用徴収の問題全般について総合的に検討する時期に来ておるのじゃないかというような感じかするのです。そうしないと、公平が不公平になっておる部分がたくさんある。たとえば、さっき出ました精神薄弱者の場合のように、通称これは訓練だから、したがって労働省の職業訓練と同様な意味でと、こういう説明なんですが、たとえば今度施設に入っている場合には保育所関係との均衡とか、こういうところに若干無理があって問題があるような感じがします。
 しかし、そういう意味でひとつこの問題はまた別の機会にやらしていただきたいと思いますが、自治省はそのことを前提として交付税で、まあ極端な言い方をすると、交付税上の面から見て、こういう問題についてやむを得ず徴収せざるを得ぬようにしむけておるということはないですね。いかがですか。
#42
○政府委員(石原信雄君) 交付税の単位費用は法令の規定その他による制度を前提にして、標準的な姿の歳入、歳出を算定しておるわけでございます。使用料、手数料につきましても、先ほど申し上げましたように、法令の規定によって基準のあるものはその基準によって計算する、しかし、それがないものは地方団体における現状などを念頭に置いて妥当な水準で計算しております。したがって、それは一般財源の計算過程におきまして、その想定した程度の使用料、手数料は徴収されるであろうということで、言うなればそれを差し引いた形での財源保障をしております。
 ですから、地方団体とすれば、計画的な財政運営を行おうとする場合にそれを念頭に置かざるを得ない。それ以外の一般財源のある団体はいざ知らず、通常の団体であれば、交付税で想定した行政水準を維持しようとするならば、そこに想定された使用料、手数料は確保する必要がある、このように判断されるだろうと思うのです。ただ、これは交付税はそういう計算をしているというだけでありまして、決してそうしなさいということを積極的に指示しているわけではございません。
 現に高等学校の授業料などにつきましては、今回も国立学校に準じて授業料の引き上げを前提にして計算しております。ただ、五十八年度から引き上げを行っている都道府県というと、たしか三分の一ぐらいですか、あとは年次的にというようなことで、いつものことなんですけれども、その辺は各団体の判断で、必ずしも交付税で上げたから直ちに上げるということではありませんか、やはり長期的には交付税の算定内容というものが一つのガイドラインになるであろうということは言えると思います。ただ、私どもは積極的にそのことによって引き上げを直接的に指導するというか、そういう意味を持っているわけではございません。
#43
○佐藤三吾君 わかりました。ひとつそういうことのないように心がけていただきたいと思うのです。
 そのほかに、もうきょうは質問はしませんが、道路法三十九条の道路の占用料の徴収であるとか、下水道法の二十条に基づく条例による使用料の徴収、これなどはやっぱりこの中に人件費等も含めておるわけですから大変問題がある。それから地方公営企業法の二十一条、港湾法の四十三条、都市計画法の七十五条、いろいろ見ると、交付税とかかわり合いを持って、やむなくこういう制度になりたのか、こういう制度があったからその分を交付税は差し引くという形になっておるのか、そこら辺の問題がいろいろあるのじゃないかと思うのですが、きょうは時間がございませんので、この問題はまたゆっくり次回でさしていただきたいというふうに思っておりますが、そこら辺が、万が一さっき申し上げたように交付税のかかわり合いでやむなくということのないように十分ひとつ配意した運用措置をとっていただきたいということだけはひとつつけ加えておきたいと思います。
 そこで、都市交通の問題で質問に入りますが、大臣にまずお聞きしておきたいと思うのですが、一昨年七月に運政審の答申が出ておりますね。そしてその中身読みますと、マイカーの公共交通代替の思想というか、そういうものがその中にございます。また、昨年四日に大都中公営交通問題研究会の答申も出ております。この中身の論議を聞いてみますと、地方団体が交通事業を経営する必然的な理由があるのかという疑問まで出されておりますね。こういった問題について、大臣として、公営交通の位置づけというか、役割りというか、どういう基本的な立場をとられておるのか、お聞きしておきたいと思うのです。
#44
○国務大臣(山本幸雄君) 交通政策全体として国がどういうふうに考えるかということはあるわけですけれども、もう少し問題を、何といいますか、限定して、大都市圏内の交通問題を考えるときには、やはり何といっても多量公共輸送機関というものが整備されなければならないということは間違いのないところだと思います。やっぱりマイカー、自動車は、道路整備には私は大都市圏内では限界がある。だから、多量というか大量輸送機関で、正確に、そして余り時間をかけずに輸送をするという、そういう公共的使命を達成するのがやはり目標であろうと思う。
 そのために一体どうすればいいのかということですけれども、それには地下鉄なんというようなものがまず第一に私は考えられると思うけれども、これまた大変な金がかかることでございます。それから、路面を使うということになれば、路面交通には大変いろいろな制約が起こってきますから、そういう大量輸送をするバスとかそういうものについては、優先的な交通を確保するような方策をいろいろな方面から考えていくべきであろう、そういうふうに考えます。
#45
○佐藤三吾君 大臣の発言、なかなか声が小さいものだから聞き取れぬ部分があったのですけれども、大筋としてはわかるような感じがし次す。
 最近、行革という名のもとに、たとえば国鉄の監理委員会の法案がいま国会で審議されておりますように、民営分割とか臨調答中の中で出されておりますが、この思想というのは官が悪で民が善だ、こういう感じがしてならぬわけです。官だから大赤字が出た、民だったらそうじゃないのだ、こういう思想が入っておるような感じですね。私は、国鉄問題一つ見ても、二十四兆円というあの経緯を見ますと、これは率直に言って国鉄当局としては防ぎ得ない、もっと言うと、たとえば政治路線の問題であるとか、今度の上越新幹線のように、全く採算上はもう赤字以外にないということを承知の上で、国の政策で強引につくらして、それを国鉄に背負わせるとか、そんなのが多分にあるわけですね。
 そういうのと同じように、たとえば公営交通の場合でも、都市交通自体ではどうにもならぬ問題で赤字が出る、経営がよくなくなる、こういう現象が私はあると思う。たとえば交通環境の問題とか、これはどうしようもない。警察とか各省庁の関係、道路、まあ建設省の関係でもあると思いますが、そういう意味で、何かそれがすべて官だから悪だという方向がなきにしもあらずというような感じがするのですけれども、大臣はこういう傾向というものをどうとらえておりますか。
#46
○政府委員(土田栄作君) 私どもも公営企業を指導する立場からは決して官とか公の方が悪であるという考え方は持っておりませんで、私の方も、それから官も公も同じようなベースに立ちまして企業経営の努力をしなければいけない、非常に厳しい財政の状況のもとでございますので、公の方の経営につきましてやっぱり民に比べまして非常に甘い面があれば、民間を見習って一生懸命経営努力をする、それによって公営企業の経営の健全性を確保するという基本姿勢を堅持してまいる必要があろうか、このように在ずる次第でございます。
#47
○佐藤三吾君 その態度なら結構なんですけれども、それでは、公営交通事業協会が調べた中身で、五十六年度決算を見ますと、特別会計ですかを含めた単年度収支では二十の事業が黒字を計上しておるわけですね。これをどう見ておりますか。それから、五十七年度の見通しをどういうふうに思っておりますか。何か自治省の雑誌で見たのですが、あれを見ると、合理化指導が徹底をして、その結果こういう黒字が出たのだろうというような書き方が散見されるのですけれども、そういう考え方なんですか。私はやっぱり問題所在がとらえ方を間違うとまた方針も間違ってくると思うので、それをちょっとお聞きしておきたいのですが。
#48
○政府委員(土田栄作君) 五十七年度の決算につきましては、現在、関係団体に照会を出しまして、これから取りまとめる状況でございますので、現在のところ詳細に承知いたしておりませんが、五十六年度の公営交通全体の経営状況というものを見ますと、確かに五十五年度より五十六年度の方が経営が若干よくなっているという傾向がございます。
 具体的には黒字の団体がふえ、それから赤字の団体が減っているということでございますが、この原因を分析いたしますと、一つは五十六年度にかなり料金改定、料金値上げが行われたということ、それから一般会計からの財政援助がふえたというようなことも寄与しておるわけでございまして、決して楽観は許さない、今後とも経営努力をしなければ公営交通の経営というものは維持できないというふうに考えております。
#49
○佐藤三吾君 それを、その上に立つ指導というか、それはどういうふうに考えられていますか。
#50
○政府委員(土田栄作君) 一つは、公営交通の経営につきましては、いろいろ比較をいたしますための経営指標というのがございます。経営指標を見ますと民間に比べてどうであるとか、それから他団体に比べてどうであるかとかという比較ができるわけでございまして、他団体なり民間と比べて、それぞれの企業というのがどういう経営状況にあるか、どういう経営態度を示しているかということを読み取れるわけでございますので、そういうものを示しますことによって比較分析して経営努力をしてもらうというのが基本的な経営態度でございます。
 それから、先生御指摘もございましたように、特に地下鉄等につきましては非常に資本費がかかりますので、資本費に対しましては、これは一般会計、それから国の財政援助といったようなものが不可欠でございまして、その面につきましては所要の国の予算、それから地方債の枠を確保する、それから一般会計からの繰り出しにつきまして、所要額を地方財政計画に計上し地方交付税措置を講ずる、それからもう一つは、公営交通の経営環境の整備ということでございまして、バスが走りやすくするとか、乗客が乗りやすくするといったためのいろいろな路面の整備が必要でございますが、これらのものにつきましては、関係各省に対しまして必要な予算を確保するように要求するというのが私どもの基本姿勢でございます。
#51
○佐藤三吾君 ちょっとここでお聞きしておきたいのですが、外国にも都市交通はございますね。フランス、イギリス、西ドイツ、いろいろございますが、それらの実態と対比してみて、私が調べた中身を見ると、決して独立採算でやっておるところはないわけですね。全部、たとえば一般会計からか、どこからかは別にしまして、公的資金が三分の一とか三分の二とか、いろいろあると思うのですが、この実態をもし把握しておれば、ちょっとここで発表してくれませんか。
#52
○政府委員(土田栄作君) 私も詳しくは承知いたしておりませんけれども、典型的な例がロンドンであろうと思いますけれども、ロンドンにつきましては、常にロンドンの地下鉄なりバスの経営というのが、収入と支出を比較いたしますと収支の不均衡というのがございます。で、その収支の不均衡の分を料金値上げで埋めるか、それともレートの率にはね返して住民全体が負担するかということが、いつもロンドンのグレーター・ロンドン・カウンシル、ロンドン市評議会の政策におきます保守と労働と両方の争点になって、それをめぐって選挙が行われているというふうに承知いたしております。
 私どもといたしましても、実は地下鉄につきましては、昭和四十年代に至りますまでは、この建設に対する補助制度というのがなかったわけでございますけれども、諸外国の例というものを参考にいたしまして補助制度というものを創設し、これに対します内容の充実というのを逐年図ってきているわけでございます。
 ただ、私ども詳しく調べたわけではございませんけれども、結局、交通事業といいますのは、それにどれだけの投下資本量が必要か、それから、それに対しましてどれだけの乗客が確保できるかということによって決まってくるわけでございまして、たとえば都内の地下鉄というのをいろいろ比べてみましても、この中では路線別に見ますと、非常に黒字のものもございますれば非常に赤字のものもあるという状態でございまして、地下鉄一本で見るということでございませんで、どういうふうな優良路線があるか、それからどういうふうな不採算路線があるか、それを全部集計した結果がどうなるかということで、個別に見て諸外国と日本の場合とを比べる必要があるだろう、そういうふうに存じております。
#53
○佐藤三吾君 そこで、私はやっぱりそこら辺が臨調の諸君などもよく理解していない部分もあるのじゃないかと思うのですね、おたくの方のPRも含めて。そういう点をきちっとやっぱりしていかなければいかぬ。同時にまた、公共事業というか、公共交通というか、こういった意義というものが、さっきも言ったような風潮の中で最近非常に薄らいだような感じがしてならぬのですよ。そこら辺が私はやっぱりもっと今後強調されてしかるべきじゃないか、そう思うのです。
 そういう面から見て、もう一つお聞きしておきたいと思うのは、地方公営企業法ですね。これは、地方公営企業法は二十七年に制定されておるわけですね。こういう法自体にも私はやっぱりたとえば独算制の問題であるとか、企業債の許可条件とか、賃金決定基準とか、それから再建条項であるとか、いろいろ抜本的にこの際ひとつ見直さなければならぬ時期に来ておるのじゃないかというような感じもするのです。そこら辺について自治省として、担当しておる皆さんとしてどういうお考えを持っておるのか、あわせてひとつ聞きたいと思うのです。
 それからその際に、これを聞いた上で聞きたいのですけれども、時間がございませんから申し上げますが、やっぱり交通環境というか、都市交通の場合、これがいま一番やっぱり致命的なものを持っておるような感じがするのです。こういった問題もこの法改正の見直しの際には加えておく、整備する必要があるのじゃないかというような感じがするのですけれども、そこら辺をあわせてひとつ、これは運輸省と自治省両方からお聞きしておきたいと思うのです。
#54
○政府委員(土田栄作君) 地方公営企業法は、御指摘のように二十七年に制定されまして、それから三十年から四十年代に改正をいたしまして、それ以後改正をいたしておりません。で、現在のところ、私どもは特にこれを変えるというところまでは考えておらないわけでございますが、いろいろ時代の要請もございますので、この法律に対してどういうニードがあるのか、どういう改正要望があるのかということは、いろいろ積極的に地方団体側から意見を聴取してまいりたいというふうに考えております。
 それから、その場合に交通環境の整備といったような問題についても、あわせてどういうニードがあるのか、意見を聴取し、私どもとして内部的に検討してまいりたい、このように存じます。
#55
○佐藤三吾君 運輸省は何か御意見ございませんか。
#56
○説明員(豊田実君) お答え申し上げます。
 都市交通の問題の中で公共輸送機関というものが非常に重要な役割りを担っているということは私どもも十分認識して、従来諸対策をやってきております。いまお話もございましたように、路面の面で非常に交通環境が悪くなっているというような御指摘がございましたが、こういう面でも関係各方面と十分協議を重ねながら、改善対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
#57
○佐藤三吾君 そこで、最後になりますが、五十九年度予算の編成期が近づいておるのですが、これは自治省、運輸省に聞いておきたいと思うのですが、基本的には五十八年度の水準を維持強化する、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#58
○政府委員(土田栄作君) 御案内のように、五十八年度の予算につきましては非常に厳しい財政状況のもとでございましたけれども、地下鉄に対します特例債制度というのを存続させ、それから一部新特例債制度を発足させるという措置を講じました。それから、再建バス車両更新費補助についても存続するということで予算を計上し、御承認いただいたところでございます。
 五十九年度につきましては、これは国のシーリングがどういう形で決まってくるかということがわかりませんと、私どもとして内部的に調整し、意思決定をすることはできないわけでございますけれども、私ども公営企業を担当する立場から申しますれば、非常に厳しい財政事情のもとではございますけれども、五十八年度と同じように五十九年度についてもできる限り予算確保、予算要求について努力してまいりたい、このように考えております。
#59
○説明員(永井隆男君) 地下鉄関係の予算でございますが、いま自治省の審議官の方からも御答弁がございましたように、国の財政状況との関連で、地下鉄関係の予算もいろいろ環境も非常に厳しいものがあるわけでございますけれども、地下鉄は大都市における基幹的交通機関といたしまして非常に重要な役割りを果たしておりますし、現に各部市におきまして早急に整備すべく建設中の路線が幾つかございます。そういう路線の整備促進に大きな支障がないように、五十九年度予算要求に当たりましても五十八年度に引き続いて極力努力を続けてまいりたい、かように考えております。
#60
○佐藤三吾君 運輸省、生活路線三種というのございますね。これは新聞によりますと、過疎の最過疎ということで大変自治体では成り行きを心配しておるのですが、五十九年度、この問題はどういうふうに対処するのですか。
 それからもう一つは、都市新バスシステム整備事業というのが五十八年三億一千五百万ですか計上しておりますけれども、これは一昨年名古屋が試験的に実施をして今回も引き継ぐというふうに聞いておったのですが、これが除外されていますね。これはどういう理由なんですか。五十九年度は一体この問題どうなるのか。あわせてひとつお願いしておきたいと思います。
#61
○説明員(豊田実君) 御説明申し上げます。
 まず、最初の第三種路線の問題でございますが、地方バスの関係で、私どもの部内的な定義づけでその路線のいわば交通量、輸送量のランクを決めておりまして、その中で第三種というのはきわめて利用者が少ない路線ということでございますが、こういう路線につきまして企業ベースで維持をするというのがきわめて困難な情勢になってきておるということで、私どもとしては何らかの工夫をこの三種路線についてはしていきたいということで、五十八年度予算におきまして従来市町村の直営という形での運営を前提にした制度をやってきたわけですが、それだけではなくて、貸し切りバスというような形を活用する制度であるとか、手段を多様化いたしまして、地域社会における足の確保というものに努めていきたいということでございます。この点につきましては、今後五十九年度予算はこれからの話でございますが、私どもとしてはその各地域のいろいろな状況をよくお聞きしながら住民の足の確保というものについて努力してまいりたいと考えております。
 それから、もう一点の都市バスの関係でございますが、名古屋におきまして基幹バスということで五十六年度にモデル事業を実施いたしております。これを、実は先ほど来からお話ございましたように、都市の交通環境というのは非常に悪くなってきておりますので、バスの専用レーンというものを設定していただくとか、車両の改善とか、停留所の改善というようなことで、都市バスを再生させるということで名古屋市がモデル事業として実施して、国も一部補助をしておるわけでございますが、この成果を踏まえまして本年度、五十八年度予算で都市新バスシステムというものの整備の助成を始めております。これにつきましては名古屋市の場合にいろいろ考えられたことを基本にいたしまして、新しいコンピューターを導入して運行管理を行うとかいうことで都市の中におけるバスのいわば機能を復活させるというシステムについて今後力を入れていこうということでございます。
#62
○佐藤三吾君 これは大臣、第三種生活路線というのは運輸省だけの問題じゃないのですよ。いままでは昨年九月に四百三十町村の約六百の系統が補助金を打ち切られておるわけですね。これは千二百三十一の過疎市町村全体の共通の問題になっておるわけですよ。
 確かに乗客が少ないから、それは企業として採算がとれない、とれないから打ち切るということになったのでは、過疎の最過疎化促進という現象を起こして村落そのものがつぶれていく。こういう状態に私はなっていくと思うので、これを代替で、マイカーとか、いろいろ各市町村の方で工面しておりますが、マイカーで代替しようといっても率直に言ってなかなかうまくいくものじゃない。やっぱりそれを守る、こういうときにこそ自治体なり国が守っていくという、そういう施策というものが伴っていかないと私は大変なことになるのじゃないかと思うので、これは大臣としての見解もあわせて聞いておきたいと思うのです。
#63
○国務大臣(山本幸雄君) バス路線というのはなかなかいま地方でも私は問題になっておる、これは公共輸送もあるし、それから私企業によるバス会社の運営、やっぱり赤字路線が出てくれば整理をしていきたいという気持ちになってくる、これは特に公共輸送という立場から地方公共団体の場合はやはり住民の足を確保する、住民の利便を地方公共団体としてそういう住民のニーズにこたえていくために、ある程度の負担は私はしていくべきであろうと思うのです。
 そうかといって、それじゃ一概にどこでもここでも赤字はみんな赤字であっても確保しなければならないかということになってくると、これ一概にそうばかりとはまた言えない場面も私は出てくるであろうと思うのです。その辺のところは、ただマイカーに頼ればいいといったってマイカーに頼れない人たちもおるわけでして、そういう問題はひとつ彼此勘案して、地方公共団体の住民に対するサービスという観点から考えてやっていってほしい、こう私どもは思っております。
#64
○佐藤三吾君 問題は、こういうところは過疎が多いわけです。たとえば長野県の川上村などは、今度村で二台バスを買って走らせる、こういう手当てをやって、ここは村営になった途端に黒字になったわけだから、そういう意味ではあれもありますけれども、それにしてもやっぱり資金が相当つぎ込まれているわけです。
 私は、やっぱり過疎でこういう現象が起こる、その過疎の自治体というのは、財政はもうほとんど交付税、三割自治どころじゃなくて、実際はもう〇・五%自治みたいなもので、ほとんど交付税と国庫支出金に頼っておるというのが実態でしょう。だから、そこでやろうとしても、やっぱり国のそれ相応の措置がなされないとできるものじゃない。
 そういうようなところでございますから、私はこのいわゆる三種の生活路線というものの取り扱いについては、先ほど言ったように、単に採算がとれないということだけで補助金を打ち切るということで済まされる問題じゃない。そういう意味で、ひとつ自治省もぜひ乗り出して問題解決に努力をしてほしいということだけ一つつけ加えておきたいと思いますが、よろしいですか。
#65
○政府委員(石原信雄君) ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、過疎地域における足の確保という点では大変関係自治体でも苦慮しているところでございます。どんな赤字でも走らせるというわけにいきませんし、さりとてバスしか交通手段のない住民が現におるということになれば、何らかの対策を講じなければならないという立場に置かれていることも事実でございます。
 そこで、私どもといたしましても、各自治体におけるいろいろな努力、工夫というものを、知り得る限りそういう団体にはこういう例があるというような紹介もし、また過疎対策の一環としていろいろな財政措置を講じております。各団体が知恵を出して苦労をしているものにつきましてある程度の普遍性のあるもの、客観性のあるものについては、特別交付税の算定に当たりましても可能な限りこれを取り上げるようにいたしております。
 その一つといたしまして、過疎地域における足の確保対策についても、いま一定の基準で算定を行っておりますが、今回こういった第三種の生活路線ですか、これの補助金の打ち切りなどによって影響を受けた団体がどういう対応をしているのか、どういう財政需要がそのために発生しておるのか、こういったようなものを見ながら、さらに過疎対策の一環として研究してまいりたいと思います。
#66
○佐藤三吾君 ぜひひとつお願いしておきたいと思います。
 次に、専用レーンの問題ですが、これは私は去年も取り上げたのですが、去年の話を聞いておると、なかなか意気込み勇ましく、やるやる、こう言うのだけれども、何かこの二、三年ほとんど対応していないような感じがしてならぬのですが、何かやっていますか。
#67
○政府委員(久本禮一君) この問題については、昨年も先生のお尋ねでお答えをしたところでございますが、基本的に、都市交通施策の一環として大量輸送機関の通行の促進を図るということは、こういった過密な交通時代におきまして、交通の機能を確保するという点はもとより安全の点につきましても基本的に重要な方策であるというのが私どもの基本的な認識でございます。したがいまして、都市交通対策というのは、公共大量輸送機関対策だけではございませんが、これはその中の大きな柱であるという認識であるということを先回も申し上げたつもりでございますし、その点は変わっておりませんというか、むしろその点の比重はますます高まっておるのであろうという認識でございます。
 ただ、このバスレーンの問題は、ただ引けばいいというわけではまいりませんので、この点については、これを実施して効果的なものにするという点には幾つかの条件なり、あるいは並行してやらなければならないという点はございます。こういう点から申しますと、この大量輸送機関対策という問題が始まりましてから、比較的やりやすいものはどんどん進んでまいりましたけれども、最近はやはりむずかしいものが残った、簡単にできるものは比較的一回り回りまして、現在は非常にむずかしいものが残っておる。
 したがいまして、こういったものを実施するについては、たとえば迂回路の問題であったり、あるいは周辺のいろいろなクレーム等が多くて、なかなかこの点についての実施に踏み切りにくいという問題とか、あるいは片側一車線の道路であるとか、いままでから言いますと、非常に問題がむずかしいところでもあえて切り込まなければならぬ。その点になりますと、率直に言いまして、なかなかこれを具体的に進めるという点に障害があるというのが、そういう物理的ないろいろな障害によってなかなか進まないというのが現状ではございます。
 したがいまして、かつてどんどん進んだような形には思うようにいっていないという点は確かに御指摘のとおりあるわけでございますけれども、これは私どもといたしましても、こういったこの対策の持つ意味というものは十分に承知しているつもりでございますので、部内的にはこれを進めるのだということをはっきり意識をして努力すると同時に、やはりこれを進めるには、私どもだけがただ先走ってやるというわけにもまいりませんので、いろいろの面で協力をしていただいたり、あるいは並行して対策をとっていただくという点がございますので、この点についてもやはりいろいろ御支援をいただかないと、結果として数の上でなかなか思うようにはふえてこないということが残るわけでございまして、今後の課題はやはりそういうことをいかに有効にやるかということにあるというふうに考えておるわけでございます。
 今後もこの点につきましては鋭意努力をするという構えでございます。
#68
○佐藤三吾君 いや、私がなぜこういう質問をしたかというと、むずかしいところだけが残ったということのようですが、やっぱり私どもの目にもそう見えるのです。近ごろ何ら対応がやられていないような感じがしてならぬわけです。そこまでなっておるわけですから、いまあなたの意気込みはわかりました。
 私はやっぱりこういうレーンをつくっただけではもう意味がないので、やっぱりそれを守らせていく規制措置をきちっとやっていかないと意味がない、そういう意味で、ぜひひとつそこら辺を強化してほしいし、また別途に、むずかしいところについて何かいい考えがあればまたこれは別ですけれども、そういう積極さが欲しいのです。そういう意味で、ひとつ注文をつけておきたいと思います。よろしくひとつお願いします。
 そこで、大臣にちょっとお聞きしておきますが、新幹線整備五線というのが議員立法で成立しましたね。自治省はこれに終始反対で、政務次官はたしか反対票を投じたのを私は記憶しておるのですが、新聞で見ますと、今度また事もあろうに与党自民党の皆さんが新幹線の新駅の建設費を自治体に負担させる、こういう全国新幹線鉄道整備法の一部改正案を今国会に出そうとしておる、こういう報道がなされておるのですけれども、これは財政再建法に反する法案でもあるし、しかも深刻な、さっきからあなたが顔をしかめて答弁いただきましたように、赤字財政の実態の中でこれは大変なまた泣き面にハチみたいになりかねぬような感じがしてならぬのですが、大臣としてどういうふうにこれに対応しておるのか、それだけお聞きしておきたいと思います。
#69
○国務大臣(山本幸雄君) 整備新幹線五線の問題は地元の要望が非常に強いことから始まっておると思うのです。そこで、仰せのように財政再建法がありますから、自治省の立場としては、国が負担すべきものを地方自治体に負担させるということについては法の精神に照らしてこれは納得することはできない、こういう立場であります。そういうことの基本的立場であります。
 ただ、私どもその地方公共団体の考え方が一体どういう考え方なのか、そこのところを私どもとしてはもう少しよく聞いてみなければと、こういう考えもあります。整備五線の場合も、あれをやるについて一体それじゃ地方はどういう態度でしょうかというときに、地方の側はぜひやってほしい、それについては何がしかの負担をしてもいいということを言ったということも伝えられておると私は思うのです。そこのところは自治省の地方財政を守る立場から言えば、地方財政を守っていくというそういう立場は、やはり地方公共団体としては守ってほしい、また、わが方の地方財政計画というものの立場から言えば、そういうものを認めているという立場にはない、こう私どもは思っておるのでありまして、一つはやはりこの地方公共団体の立場といいますか、あるいはお考えというものが一体どういうことにいまなっておるのか、私どもはそういう立場を、ひとつ今後とも地方団体がそういう立場にないように私どもは願っておる、こういうことであります。
#70
○佐藤三吾君 そんな大臣が弱腰じゃいかぬね。新聞によると、何か自民党の地方行政部会の皆さんも一緒に加わってそういうことをやっておるというようなことも出ていますね。もっと大臣やっぱり説明をして、そしてこれはやっぱり反対なら反対として対策を打つとか、そんな手があるのじゃないかと思うので、押し切られて押し切られていくかっこうだけでは、これだけの地方財政の厳しい状況の中では私は問題の解決にならぬと思うので、そこら辺はひとつぜひそういう態度を堅持して対処してもらいたい、そう思うのです。これはいま具体の問題になっておりませんけれども、なった段階でまたひとつさせていただきたいと思っています。
 時間がございませんから、最後に、三税協の問題についてちょっとお聞きしておきたいと思うのですが、三税の協力の問題について十二月一日付で国税庁と自治省の確認が行われましたですね。それに基づいて税務局長通達が出されて、五十八年度の確定申告から実施を前提に、五月末目途に協議が進められておるということを聞いておるのでございますが、その内容は六項目の具体化ということになっておるようでございますけれども、どういう状況になっておるのか、中身を含めてお聞きしたいと思います。
#71
○政府委員(関根則之君) 御指摘をいただきましたように、十二月一日に大蔵省と自治省の間で、従来からとられておりました国税と地方税との間の徴税問題につきましての資料の交換その他協力関係をさらに推進いたしまして、税務執行の国、地方を通ずる効率化、能率化を図っていこう、こういうことを実施に移すわけでございます。
 その中で一番大きな問題は、所得税の確定申告をいたしますときに、その申告は地方の住民税の申告としての意味を持つものですから、一つの申告をいたしますれば住民税の申告はわざわざ別にする必要はない、こういう仕組みになっておるわけです。ところが、所得税の申告をいたしましたものが税務署に保管されておるわけでございますが、それを地方団体が利用いたしますためには、それのコピーをとりに行かなければいけない、こういうことになっておりまして、大変その事務がふくそうをいたしたわけでございまして、何とか複写をとれないかということが長い間地方団体から切実な要請として出されていたわけでございます。
 この際、この問題につきましても片をつけようということで話し合いがつきまして、五十八年度の確定申告から申告書の用紙の中に一枚複写を挿入いたしまして、地方団体に閲覧できるための写しをとれるようにする、こういうことが決まったわけでございます。ところが、実際これを実務に移してまいりますためには、いろいろ実務段階での細かい詰めを必要といたしますので、具体的にその内容についてどういうふうなやり方をしていくかということについて、細かい詰めを大蔵省との間で、御指摘ありましたように五月末までを目途に現在詰めているところでございます。
 御指摘のように、その内容は六項目あるわけでございますが、一つはそもそもそういう閲覧用の写しをつける申告書の種類をどうするのかということでございまして、確定申告書の様式は五種類ほどあるわけでございます。通常使いますのは一般用ということでございますけれども、それから還付用というのも使われております。そのほか分離申告用でありますとか、青色申告でありますとか、こういったようなものがあるわけでございますけれども、それらをすべて対象にして閲覧用の写しを入れるのかどうか、あるいは一般用というごく普通のものだけに限定するのかどうか、こういった問題についても検討をしているところでございます。
 また、申告書に閲覧用の写しを加えますと、従来の申告書の様式ではちょっと不便であるという問題も起こってまいります。ワンライティングで上の数字を入れますと下まで全部写っていく、そういうやり方をとりたいために、従来申告書の裏面に書かれておりましたものを表面に持ってまいりまして、それを書けば閲覧用写しにまですべて必要事項が写ってくる、こういう仕組みにする必要もございますので、そういったそもそも申告書そのものの編成の仕方をどういうふうにしていくのか、こういった問題もございます。
 それから、市町村の閲覧用写しの対象とならない項目なり添付書類の閲覧というものがどうしても残ってしまいますので、そういった問題をどこまで限定をし、また実際の閲覧をどういう形でやっていくか、そういう問題が第三番目でございます。
 第四番目が、申告事項に訂正が行われることがしょっちゅうあるわけでございますけれども、その訂正が行われたものを市町村にどういう形で連絡をしていくのか、閲覧用の写しにそれがうまく乗り移るような形で処理ができないのか、その辺の事務処理の問題も詰めていかなければいけないということ。
 それから五番目が、当然新しく様式を変えたり、閲覧用写しを追加するわけでございますので、経費が掛かり増しをしてまいります。その費用負担をどういう形で分担し合うのか、これは当然全額国に負担させるということは無理でございますので、市町村なり都道府県なり地方サイドで応分の負担をしなければいけない、こう思いますけれども、その具体的な費用負担をどうするのかということが問題にされておるわけでございます。
 それから六番目の問題といたしましては、その他細かい必要な事項がございまして、実際に閲覧用写しを市町村が参りまして分離しなければいけないわけですから、その分離の場所をどこでやるのか、だれがやるのか、それからそのときに資料等が散逸しないように管理しなければならないという問題もあろうと思います。そういった細かい問題につきましてもろもろの事項を詰めていく必要があるわけであります。
 以上六項目について、現在大蔵省の国税当局が中心でございますが、それとわが方で事務的な詰めをやっております。なお、その詰めをやる段階におきましては、実際に地方団体におきまして徴税事務に携わっている人たちの現場の生の声を反映させる必要がございますので、そういった方々の意見も伺いながら詰めているところでございます。
 いまの進行状況からまいりますと、ほぼ予定どおり五月中には結論が出し得るものと考えておりますけれども、内容なりあるいは結論的なものについて現時点で申し上げる段階にはないわけでございます。
#72
○佐藤三吾君 確かにいまあなたがおっしゃったように、メリットの部分もあるだろうし、逆に言えばデメリットの部分もある。
 私が心配するのは、いま話を詰めておるようですが、たとえば主として還付業務が国税庁に集中して困るので、これを市町村の方にひとつ補完してもらおう、そういうところに国税庁がかなり重きを置いておるような感じが例示文書を見るとする。そういうことでやられますと、言いかえればこれは固有の国の事務ですね。それが結果的には自治体にとって仕事だけ押しつけられてくる、こういうことになりはしないか。しかも、そこで、還付業務ですからかなり専門的になりますね。そうすると、そこのミスの責任が市町村に転嫁される。こういうおそれもある。
 さらに、これは業務が二月十六日から三月十五日に集中するわけです。そうして、その業務が集中するのに、それの人の手当てはどうなるのか。これはアルバイトでできるしろものじゃありませんから、そこら辺がどうなるのか。いろいろ不安がつきまとっているようであるわけですね。ここら辺はやはり含めて、さっきあなたがおっしゃったように、実務者の意見も参考にしながらひとつ誤りのないように、また問題が起こらないように、ぜひひとつ私は詰めていただきたい。
 時間があればいろいろ聞きたかったのですが、最後に一つだけ聞いておきたいのですけれども、もしそれを自治体で拒否した場合どうなるのか。それは許さぬということなのか、それとも拒否すればやむを得ないということなのか。ここら辺について見解を一つだけ聞いておきたいのが一つ。
 それから、これは国税庁が来ればわかるのですけれども、所得税の確定申告の閲覧ということでこうなっておりますが、青色申告の決算収支明細書だけは閲覧さしてはならないという通達をあわせて出していますね。これはどういう理由なのか。これは国税庁に聞いたらわかると思うのですけれども、これだけは除外しておるわけです。
 こういういろいろな私が見ただけでも問題がありそうな点が多々あるのですが、そこら辺も含めてひとつ詰めてもらうということで、きょうはここで質問をやめますが、もしお考えがあればお聞きしておきたいと思うのです。
#73
○政府委員(関根則之君) この国税協力を推進いたしますのは、私ども地方税の立場からもその方がメリットがある、こういう全体的な判断ないしはそれについての地方団体の実務担当者からの意見等も相当長い間詰めてやってきておりますので、決して国税のためだけという観点からなされるものではないという認識でいるわけでございます。
 なお、実際の処理に当たりましては、地区税務協議会というものがつくられておりまして、税務署、県税の担当者、市町村の税務担当、この三者によって構成をされております地域地域におきます協議会で具体的な内容をよく詰めて、無理のないように実際のやり方を決めてからやりなさいと、こういう指導もいたしておりますので、私どもとしては実情に即したやり方ができるものと期待をいたしておりますし、もし本当に無理なことが行われるということであれば、またそれに応じて対応し、指導もしていきたいと思います。現に約半数ほどの市町村におきましてはすでに確定申告の段階におきまして窓口の代行を務めるというようなことも実際問題としてやっているところがあるわけでございます。ただ、大都市において比較的そういう協力関係が少ないという問題があるわけでございまして、そういう実績も踏まえながら、それに合った形でやっていきたいと思います。
 なお、拒否した場合にどうなるのかということでございますが、いま申し上げましたように、各地区の税務協議会におきまして相談をした上で決まっていくものでございますから、そういった拒否という問題は起こらないものと期待をしながら見守っているところでございます。
 なお、閲覧につきまして、何か国税庁の方から青色申告書の決算収支報告書は見せるなというような指示が出ておるというお話をただいまお伺いしたわけでございますが、私どもが国税と話をしておりますのは、地区税務協議会において十分に協議を行って、その具体的な取り決めをすることにはなっておりますけれども、所得税につきましては青色申告決算書についても一応閲覧対象ということになっておりますので、ちょっとそういう問題については理解がしかねる点がございますが、御指摘がございましたので、後ほどまた調べた上で実態を探ってみたいと考えます。
    ─────────────
#74
○委員長(宮田輝君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、亀長友義君及び山田譲君が委員を辞任され、その補欠として林ゆう君及び野田哲。君が選任されました。
 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ─────・─────
   午後一時七分開会
#75
○委員長(宮田輝君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#76
○神谷信之助君 きょうは憲法に規定をする地方自治を支える地方財政あるいはその財源の問題、これについて、その基本的な考え方について議論をしてみたいというように思います。
 まず最初に、自治省に伺いますが、地方交付税の性格についての見解、これはいわゆる地方団体の固有の財源とみなし得るのかどうかという、そういう問題についての見解をまずお聞きしたい。
#77
○政府委員(石原信雄君) 地方交付税の基本的な性格につきましては、本委員会におきましてもこれまでたびたび御論議いただいているところでありますが、その中で私どもは一貫して申し上げていることでございますけれども、地方交付税は地方公共団体が計画的な財政運営ができるように、これを保障するために国税の一定割合の額として地方団体に配分される税であるというふうに交付税法で定義されておりますように、地方団体のいわば固有の財源である、このように理解いたしております。
#78
○神谷信之助君 大蔵省の方はこの点はどういうふうにお考えですか。
#79
○政府委員(平澤貞昭君) 地方交付税につきましては地方団体等がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように、数多くある地方団体の財源の調整のために国が地方に交付する使途制限のない一般財源である、そのように考えております。この交付税は、その総額が国税三税の三二%というふうに法律で決められております。したがいまして、このように国税三税の一定割合が法律により地方団体に当然に帰属する、いわば地方の権利のある財源であるという意味において、地方の固有の財源であると言って差し支えないと考えております。
#80
○神谷信之助君 固有の財源であるという点はこれは自治省も大蔵省もこれで一致をしているわけですが、だとすれば、なぜ三二%もいわゆる交付税分が交付税特会に直接国税収納金整理資金から繰り入れられないで一般会計を通じて入れられるのか、この点はどういうことなんですか。
#81
○政府委員(平澤貞昭君) 地方交付税を一般会計を通さないで直接特会に入れてはどうかという御議論があるということはわれわれも承知しているわけでございます。しかし現行制度は、委員も御承知のように昭和二十九年度から始まっておりますし、その前の昭和十五年からの配付税制度あるいは平衡交付金制度時代におきましても現在のような仕組みをとっているわけでございます。そのように大変沿革のある制度でございます。そういう意味で、これは国の予算制度あるいは会計制度の上にも非常に大きな影響を持つものというふうに考えていいのではないかというふうに思うわけでございます。
 たとえば具体的に申し上げますと、現在のように地方交付税が一般会計予算に計上されているという現行の方式ですと、歳入面では税制の根幹をなす所得税、法人税等の負担の状況が一覧してわかる、あるいは歳出面でも中央地方相互間の財源配分の状況、それぞれ同じように一覧性のあるものとして見ることができるというようなことから、財政運営の総合的な調整を行うためのそういう資料あるいはそういうメルクマールとして非常に重要であるのではないかというふうに考えているわけでございます。
 また、地方交付税特会へ直入するということになりますと、交付時期についても実際に収納したものしか支収われないというようなことになると、どういう問題が起こるか、さらには歳入欠陥があるような場合にどういう問題が起こるかというような、地方財政にも与える影響も大きいのではないかというふうにも考えているわけでございまして、にわかに直入した方がいいというふうにはわれわれとしては考えておらないわけでございます。
#82
○神谷信之助君 いま大蔵省の方からは直入にする場合の影響の問題、この点で問題点が出されたのですが、この点は自治省の方はどういうようにお考えですか。
#83
○政府委員(石原信雄君) ただいま大蔵省から御答弁がありましたように、交付税特会への直入問題というのは長い議論があるわけでございまして、私どもは一貫して、交付税の性格を忠実に会計経理の上にあらわすのであるならば国税収納金整理資金から直接交付税会計に繰り入れる、いま譲与税がそのような扱いをしておりますけれども、それと同じようにすることの方が交付税制度の本質と合致するのじゃないか、こういう考え方を一貫して持っているわけでございます。ただ、現実にはただいま大蔵省の答弁にありましたように、国の予算制度全体との兼ね合い等がありまして、余りにも金額が大きいものですから、一般会計予算を見ただけで国の予算の実態がつかめないようになるというデメリットがある、こういう議論もあり、なかなか実現に至っていないわけです。
 それから、具体の問題としてただいま大蔵省からも御指摘がありましたように、国税収納金整理資金から直接交付税会計に繰り入れる方式にいたしますと、そのことの一つの結果といいましょうか、その関連におきまして収納された国税三税の収納実績額の三二%を収納時期に応じて地方に交付する、こういうような扱いにすべきではないかという議論が起こってくる、これも一つの議論としてあり得ることだと思います。
 そうなりますと、かつてのように国税の収納状況が非常に順調な時期におきましては問題がなかったわけですが、最近のように国税の収納が非常に悪くなってきた、特に五十三年度以降国税のうち三月期に決算が終了する法人等の収納金が前年度の収入にたってしまっているということ、そういう問題からいたしますと交付税の現実の交付時期が大幅におくれてくる、あるいは現在予算上三税が予算を割っても予算が補正されない限りは翌翌年度において精算しておるわけですけれども、これをその年度に直ちにその年度の交付額が減ってしまう、こういうような問題等々現実の資金との関係においては確かに指摘されたような問題が出てくる可能性がある、これをどう乗り切るかという問題が出てくるということではないかと思っております。
#84
○神谷信之助君 これはいままでずっとそういう長い歴史的経過がありますが、直入をせよという意見もずっとあって議論が続けられておる問題ですね。だから、いままで長いしきたりがそうなっているから、それがいいので、そのまま継続するということだけでは、私はこれは理論にならぬというように思うのですね。
 ただ、たとえば具体的な問題では歳入の面で国税収入の全体像が予算上明らかにならないという点がありますが、この三二%を除いた六八%分が計上されて、実際には国税収入というのは、それが国税なんであって、だからそれでやった方がすっきりするわけですね。逆に交付税として交付税特会へ繰り入れる分を国の一般会計の歳出の中に見せかけ、まあこれは見せかけですからね。そのこと自身が国の財政構造、財政規模そのものがどういう状況かというのをわかりにくくしている。だから常に前年度の伸びをやる場合に交付税を除くのと除かぬのと両方出して説明しているわけですね。だから、そんなこと自身は余り意味がないのじゃないのかということを一つ私は思うのですね。そうしないと本当の意味の国の歳入と歳出の規模というものがより一般的に明らかにならないことにならないかというように思いますね。そういう点が一つあると思うのです。
 それから、いま技術上の問題があります。これは国税三税の収納の状況と、この言うなれば不況、逆に交付税三二%だけでは自治団体の方の必要な財源を確保でき得ない現状と両々相まっているわけでして、これは特殊な条件の問題であって、それはそれなりの技術的に解決する方法を別に考えることがあっていいのじゃないかというように思うのですよ。
 そこで、同じような性格のもので地方道路譲与税がありますね。これは直入していますね。税務局長に聞きますが、これはどういう税であり、それでなぜ直入しているのか、この点はどういうことですか。
#85
○政府委員(関根則之君) 地方道路譲与税は地方道の整備等の財源に充てるために譲与されるものでございまして、いわば目的税的な譲与税でございます。しかし、その原資は地方道路税として国の徴税機関が国税として徴収をいたすものでございます。一キロリットル当たり現在八千二百円の税率で、課税標準等は国の揮発油税と大体同じようなつかまえ方をして収納される税でございます。これを一たん国税として徴収をいたしまして国税収納金整理資金特別会計に現金が入ってまいります。それを直ちにそこから交付税特別会計に繰り入れをいたしまして、そのままの金額で地方団体に譲与をされていく、こういう種類の税であるわけでございます。
#86
○神谷信之助君 これは言うなれば地方税であって、その徴収事務を国税の方でやっている、したがって金は一たん収納資金の方に入るけれども、そのままストレートに交付税特会の方に入っちゃう、こうなるわけでしょう。
 そうすると、交付税の方も国税三税の三二%、これは地方税だ、固有財源だということを先ほど大蔵省もお認めになっているわけだから、それだったら同じように直通の、その資金から交付税特会に繰り入れて別に理論的にはおかしくないのじゃないのか、また理論的にはその方が素直じゃないのかというように思うのですが、この辺は大蔵省はどうですか。
#87
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほど交付税につきましては、なぜ現在の制度のようになっているかということを御説明申し上げたわけでございますが、いまお話しの地方道路譲与税等々の特会直入している税のお話につきましては、先ほど税務局長からも答弁がございましたように、これは各税法等によって一定の、特定の目的のために使われる財源というふうに制度化されているものでございまして、先ほどお話しがございましたように、地方交付税のように一般財源として使われるものとはまた性格が異っているというわけでございます。
#88
○神谷信之助君 特定財源だから直入はできるが、一般財源ならば直入できないというのもちょっとわからないのですけれども、だから、地方で地方団体が事務を行うに必要な財源として、言うなれば特定されているわけです。国がこれは手出しはしません、三二%分については、それは団体の自由にやりなさいということは決まっているわけでしょう。そして、一定の法令の定めによって配分されるわけだ。だから、地方道路譲与税もその意味では同じことをやっている。今度自治体に行ってからの使い道というのは、譲与税の方は特定をされているけれども、交付税は特定をされていない、その違いがありますけれども、国の立場から見たら同じじゃないですか。自治体側の自治体で使う金の使い道をどうするかという問題ではあります。国の方で言うたら、これは地方に配分すべき財源ですよという点で同じじゃないですか。
#89
○政府委員(平澤貞昭君) 最初に申し上げましたように、この交付税につきましては、所得税あるいは法人税という大変大きな税収、そういうものを一覧して見ていくということの意味も申し上げたわけでございまして、あわせそういう観点等々も考慮しながら現在の制度がある、そのようにわれわれは考えております。
#90
○神谷信之助君 これは一定のそういうお考えを持っておられるわけですから、なかなかそうですということにならぬわけですけれども、しかし交付税というのは確かに一つの大きい財源ですね。ですから、それが一般会計の予算書には出てこない。しかし特別会計の予算書にはちゃんと出てくるわけです。だから、その点は私はそういう理屈は理屈にならぬ問題で、特別会計の予算書も含めて国会の審議の対象になるわけでしょう。だから、そういうことで別はおかしくはないのじゃないかというように思うのですね。
 それで、この点自治大臣、これは年来の問題で、自治省と大蔵省とで論戦も行われているし、それから地方制度調査会も、昨年六月の答申でしたか、それにもまたわざわざ提起をしている。地方行財政制度のあり方についての中間報告の中でも問題提起をしています。これは何回かやっていますが、だから、この問題についてひとつ自治大臣の見解をお聞きしておきたいと思います。
#91
○国務大臣(山本幸雄君) 交付税の本質論、さっきありました。それから直入論は、いままで地方制度調査会なんかでもそういうふうにした方がよかろうという御提案もありました。確かにそのとおりでありまして、直入論はいままで毎年のように自治省としては大蔵省に要望をし続けてきた課題でもあったわけなんで、自治省としての立場は直入をしてほしいという立場には私は変わりはない。ただ、現実の問題としまして現在直入をしていない。国税収納金整理資金に一応入れるという現状がある。その現状をどう理解するかということになれば、先ほどのお話のように、国税全体の中で、何せ国税三税というのは交付税の中での八割近い大宗を占めるものであります。それがそのうちの三二%が地方交付税になってくる。それから一方、道路譲与税の話が出ましたが、これはガソリン税と一緒に地方道路税を徴収しておるわけですが、それは、その税は全体そのまま交付税特会の方に入ってくる、こういう形になっております。
 それからもう一つは、先ほどもお話が出ましたように、やはりそれがいいか悪いかは別として、一応年四回に分けて交付するということをたてまえとしておりまして、そのときにもし収納ができてなかったら、やっぱり地方公共団体非常にあてにしておったものが入ってこないということになったら大変私は困ることになるのではなかろうか、そういう意味ではいまの配付の場合の問題点も将来の問題点としてはやはり検討すべき課題ではなかろうか、こう思うわけでございます。
#92
○神谷信之助君 最後のやつはやっぱり技術的問題でして、それは方法を考えればできないことはないので、私がいま言っているのは、やっぱり理論的には一つおかしいのではないのか、筋が通るのは直入の方ではないのかということを提起しているのです。
 そこで、ちょっともう一つ伺いたいのですが、自治省の「地方財政の状況」、あの報告見ますと、八一年度の国、地方の歳出の純計額、これについて国の方は三七・二%で地方の方は六二・八%というのが出ておりますね。これは言いかえたら、自治体でやっている仕事、それに伴う経費、あるいは国がやっている仕事、それは伴う経費、だから額で出て、それをパーセントでなにしたのだけれども、言うなれば仕事の量といいますか、そのことをあらわしているのだと思うのですけれども、これは間違いないですか。
#93
○政府委員(石原信雄君) ただいまお示しの数字は、五十六年度決算をべースにして、租税収入の形式的な国、地方の配分割合と、それから地方交付税、地方譲与税、国庫支出金を考慮した最終的な実質的な配分割合を示した数字であろうと理解しておりますが、結局こういう国の予算におきましては、地方交付税とか国庫支出金等は最終支出者は地方でありますから、それが実質的な仕事の量を示すもの、財源的な見地から言えばそういう見方ができると思います。私どもそういう理解のもとに、ただいまお示しのような計数をいつも検討しているところでございます。
#94
○神谷信之助君 この点は大蔵省も大体そういうお考えでいいのですか。
#95
○政府委員(平澤貞昭君) そのとおりでございます。
#96
○神谷信之助君 そうすると、国と地方の行う仕事の量を財政額といいますか金額で表示すれば、歳出の純計額で言えば国の方は三七・二であり地方は六二・八だ、逆に国税と地方税の配分は、これは国の方が六三・七%であり地方の方は三六・三%というように、先ほど言いました「地方財政の状況」では出ています。ですから、これは実際やっている仕事と、それと税の配分とが逆転現象が出ているという状況になっていますね。私はこれが一つ問題ではないのだろうかというように思うのですよ。
 国民は税金を払うわけですね。それが国税であろうと地方税であろうと、とにかく税を払う。その税金が何に使われているのか、どういうように還元されているのかというのを、これを非常にわかりにくくしているわけですね。税金は国の方へ取っていって、そして、それで補助金なりいろいろな仕掛けがあるにしても、仕事は自治体でやる、だから、自分の税金が何にどういう形でどこで使われているのかというのをわかりにくくしているわけですね。
 これがたとえば税の配分が逆で、地方の方に六三・七%配分され国の方は三六・三%だ、こうなれば六三・七%という地方税、大きい方は具体的に自分のところの町や村で使われていく、その状況はわかるし、わかりやすいですけれども、この辺はどういうように大蔵省お考えですか。大蔵省もやっぱり国民が税金を気持ちよく出してもらうためには、その税金がどう使われるのか、国民にとってわかりやすい方がいいわけですね。わかりやすければそれだけまた理解がしやすいのだし、だけれども、こういう仕組みになっている現状では、ほかにもいろいろあるでしょうけれども、この問題で言うならば、これも一つわかりにくい要素にはなっていないのか。どうですか。
#97
○政府委員(平澤貞昭君) 地方団体というのは、委員御存じのように多種多様の地方団体がございまして、したがって、税源につきましても非常に格差があるわけでございます。
 具体的な数字がここにありますので申し上げますが、たとえば都道府県につきますと、東京が一七八、これは五十六年人口一人当たりの指数を全国一〇〇とした場合でございますが、一七八に対して、たとえば長崎県が五七とか五〇とかということで非常に格差があるわけでございます。したがって、そういうような中で、先ほど来御議論のある地方交付税制度その他の財源調整制度が非常に意味を持っているわけで、したがって、そういうもの等々が加わってきますと、確かに制度としては明瞭性を欠くという点はあるわけでございますが、そこのところはやはりそういう地域間の経済力格差に基づく税源の大きな違いということも頭に入れて考えていかなくてはいけないのじゃないかというふうは思っております。
#98
○神谷信之助君 比較的、何といいますか、ばらつきの少ない税でもやっぱりばらつきはありますからね。だから、そういった税収がそれぞれの自治体ごとにアンバランスが起こるのはあたりまえ、だから、あなたもおっしゃるように、主として交付税制度でこれを補完するわけですからね。私は、そこのところをちゃんと握らないと、本当の意味で地方自治を支える地方財政のいまの仕組みになっているということにならぬのではないか。いま逆でしょう。国の方によけい税金は吸い上げて、実際には仕事は地方の方が六二・八%やっているのですから、その辺を財政的にも保障しなければいかぬから、国の方から補助金やその他でいろいろ裏打ちをするわけでしょう。だから、その支出がそういう形でできるわけですね。
 そうすると、これは言うなれば、国の方に申請をして、認可なり許可なりしてもらわないと補助金はもらえないのですからね。だから、その点では地方自治体が自治の原則に基づいて住民の要求に基づき、それから、その地域の議会の承認を得てやっていくという、そのことを財政的に縛っている状況ですよ。私は、ここのところが憲法の「地方自治の本旨に基づいて、」組織運営を法律によって決めなければならぬという九十二条ですね。あの規定からいって、根本的はひとつ問題ではないかというように思っているのですけれども、この辺は自治省の方はどういう考えですか。
#99
○政府委員(石原信雄君) 確かに地方自治の理想像からするならば、租税負担と財政支出というのが対応関係にある、税金をいただいたところでその税金が直接使われる、こういう姿が望ましいと思います。ただ、ただいま大蔵省からも御答弁ありましたように、現実には残念ながら地域間に非常に大きな税源偏在があります。どういう税制を構築いたしましても、この税源偏在を克服できるような地方税体系というのはなかなかむずかしいわけであります。そこで、これを補完する意味で財源調整制度というものがわが国でも昭和十五年以来今日まで続けられているわけです。
 問題は、その財源調整制度、財政調整制度が地方自治の本旨に沿って地方団体の財政運営の自主性というものを阻害しないように運用されるかどうか、それによってこれは判断されなければならないのじゃないか。独立税が望ましいけれども、どうしてもそれだけでは貧困な団体は必要な行政水準が維持できない、それをサポートするために国税の一定部分は調整的に配分される、この仕組みはどうしても近代国家においては必要であろうと思うのですが、問題はその調整財源がどういう形で配分されるか。国の政策意図に沿って配分されるならば、これは地方自治の本旨から離れてしまう。本当に地方自治の地方団体が各地域の自治経営というものを主体的にできるように、これが配分運営されなければならない。
 私どもは現在交付税制度のもとにおいてはそういう基本理念のもとにこれの運用に努めているつもりでありますけれども、そういう形での調整財源というものは決して地方自治の本旨にとって反するものじゃなくて、むしろ本旨を全うするために必要なものではないか、このように理解いたしております。
#100
○神谷信之助君 ちょっと質問の答弁になっていないのだけれども、交付税がそういう機能を果たしているということは私も言っているのですよ。それじゃ、補助金の制度というのは、あれは何なんですか。あれは財源調整の機能を果たさせているわけですか。どうなんですか。
   〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
#101
○政府委員(石原信雄君) 先ほど来の御議論の中で私は半分だけお答えしたような形になっておりますが、国と地方の間の税源の形式的な税源配分と実質的な税源配分のギャップの一つは、いま申し上げました譲与税や交付税、いわゆる調整財源と申しましょうか、一般財源の調整部分でございますが、もう一つは国庫支出金であります。
 この国庫支出金の方につきましては、まさに国の一定の政策意図を達成するために国庫の資金が地方団体に交付されるという意味でいわゆるひもつきでございます。そういう意味で、こちらの方はいろいろな意味で議論があり得ると思います。ただ、こちらの方も御案内のように国庫支出金のうちで非常に金額の大きいものは義務教育費国庫負担金でありますとか、あるいは生活保護費国庫負担金などのいわゆる社会保障系統の国庫負担金、あるいは公共事業費の国庫負担金であります。そこで、義務教育費国庫負担金や社会保障系統の国庫負担金については憲法上の要請もあって一定の事務事業の実施を国が地方団体に義務づけている、一定水準を確保すべきことを地方は義務づけている、そのこととの対応でその経費の一部を国と地方が負担し合っている、いわゆる負担金思想であります。そういう制度がわが国においては昔からとられており、現に行われている。
 こういう考え方については、御案内のようにシャウプ勧告のときにはそういう負担金という思想はよくないというので、これを義務教育費国庫負担金を初め主要な国庫負担金を廃止いたしまして、そのかわり当時地方税源を大幅に増強し、また、それで足りない分を地方財政平衡交付金でカバーするというドラスチックな改正が行われたわけですけれども、しかしその後、たとえば義務教育費について言えば、やはりわが国の実情からするならば、全国津々浦々まで義務教育について一定の水準を確保するためには直接経費の二分の一を国庫が負担することが必要である、こういう考え方のもとに国庫負担金制度が今日復活しているわけであります。したがいまして、国庫支出金についてどう考えるか、こういう制度を、地方自治の見地から国が一定の財源を国税として徴収して一定の政策日的のために一定の要件のもとにひもつきで地方に支出する制度というものを、それを地方自治の見地からどう考えるのかという点で、この点は大いに議論が分かれるところだと思います。
 現行制度のもとにおきましては、私どもは国庫負担金の交付要件というものが非常に明白であり、かつその内容が地方の実情を十分反映しているならば、これは地方自治の原則に反しないというふうに考えております。ただ、もろもろの補助金などの中には往々にして地方の主体性を傷つけるような運用が行われているものもありますし、今日の財政状況のもとにおいては、資金の効率的な使用という見地からも一般財源化を進める、すなわち関税としてでなくて地方税あるいは調整財源として地方が自主的に使えるような形で一般財源で負担する方が望ましいというふうに考えられるものもかなりあるのではないか、このように考えております。
 ただ、繰り返すようでありますが、いまの国庫支出金の一番大きな部分は、いわゆる国、地方の責任分担に基づく国庫負担金でありますから、こういったものを全面的に否定するのかどうか、この点については大いに御議論があり得ると思います。
#102
○神谷信之助君 だから、それは私も議論はまだまだ尽くされてないし、検討しなければいかぬと思うのですが、だけれども、その辺のところ、これからはっきりさしていかないと、たとえば臨調の議論なり答申なりを見ていても、仕事は押しつけるけれども財源はついてこないとか、いわゆる補助金の整理なり事務の統廃合とかあったにしても、そういうような傾向が見られがちですね。だから、その点にやっぱり大胆にもう一遍地方自治とは何かという原点に立って私は議論をやり直してみないと、これ、どうにもこうにもならぬ状況が一面あるのじゃないのかというように思います。
 いまの地方財政がきわめて困難な状況の中で膨大な財源不足額を出している。本来ならば交付税の六条の三の二項で交付税率の引き上げなり制度の改正をやらなければいかぬ。だから、それを一応ごまかしながら来てますね。この二分の一負担の問題は後でまたやりますが、そういうことをやって制度化したといって一応糊塗してきているわけです。だから、こういう状態を続けている限りは、これいつまでたっても、逆に財政が厳しくなればなるほど地方団体の裁量といいますか、地方自治の権限というのは狭められているのですね。これは財源自身がないのだから、結果としてそうならざるを得ないわけですから、やむを得ぬ。ですから、その点で交付税率を上げるのだといっても、いまの三二%を四〇%に上げてみてもいまの財源不足額をそれでカバーはできない。四五%、五〇%までということになってくる可能性もあるわけでしょう。
 そうすると、国税そのものの所得税なりあるいは酒税がいいか法人税か、どれがどうなるか知りませんが、思い切って地方財源に回して地方税にして、そしていわゆる補助金というものは、もうそのかわり仕事を含めて全部地方の自主的な判断、自治に任す、その上で不足額はどうなのか、交付税率をどうすべきかという、そういう実際に自治体のやっている仕事をもう一遍洗い直すと同時に、その財源をなにして、そして税制自身も大きく転換をするということが必要になっているのじゃないかというように思うのです。
 これ、去年の暮れの日経で、石原さんが財源不足問題についてインタビューに答えておられるのがあるのですが、最後のところでこう言っておりますね。全部が全部私は支持するというわけじゃないけれども、読むと、「地方公務員の給与水準の適正化や定員の合理化などには地方もみずから努力していく必要がある。その他の面でもギリギリの努力をしていかなければならないが、こうした地方の財政努力だけでは地方財政は再建できない。国、地方を通じた制度改革」、「特に、国がたとえば補助金をカットしたらその対象となっている事業自体もなくす」、あるいは「地方も歳出を削減できるような」行政改革ということも提起をしながら、「国の方で税制改正にしても行政改革にしても地方のことを十分考えて抜本的対策を講じる必要がある。ともすれば今は国の財政事情ばかり考えて対策を考える傾向があるが、これを改めてもらうこと」だ、特に税制自身を根本的に地方に配慮をして変えてもらいたいという趣旨を述べておられますね。
 だから、どういうようにどうするかということは別にしても、いまの地方財政の困難な状況をどう解決するかという点では、現在の国と地方の税配分を含めた税制そのものを考えるということが必要になってきているのじゃないかというように思うのですが、その辺ちょっともう一遍石原さんの意見を。
#103
○政府委員(石原信雄君) 行政改革を進める過程でいろいろな問題が出てくると思います。今日の財政困難につきましては、政府はまだ原則としては歳出の見直し、行政改革で対応しようということでいっておるわけですけれども、私ども実際に地方の事務の実態、地方財政の実態などを考えてみますというと、現行制度を前提とする限りは地方の歳出節減合理化にもどうしても限界があると感ぜざるを得ないわけです。
 そこで、新聞のインタビューの際に申し上げたことでもありますけれども、やはり地方が歳出を見直すというのであれば、歳出を見直し得るように国の方で制度改革なども考えてもらわなければいけないということと、それと同時に、やはり税制にはノータッチという意味では、いまの地方財政の実情ではどうにもならないのじゃないか、やはりこの際行政改革の一環として財政の立て直しを考えると同時に、また税制についても地方の現状をも踏まえた検討が必要ではないか、日ごろ考えているものですから、そのことを申し上げた次第でございます。
#104
○神谷信之助君 これは大蔵省の方はどういう考えですか。
#105
○政府委員(平澤貞昭君) 国と地方とのあり方と申しますか、仕事のあり方とか、あるいはそれに対する財源配分の問題というものにつきましては、いま財政局長のお話にもございましたように、単に地方税だけの問題を考えるのではなくて、財源問題については地方交付税なり譲与税制度、さらに進んでは仕事と絡んでまいりますが、国庫支出金のあり方、それから国と地方のいわゆる行政事務の配分のあり方等々をやはり総合的に考えていかなければいけないのじゃないかというふうにわれわれとしても考えておるわけでございます。
#106
○神谷信之助君 ところが、われわれとしてもそう考えるのだけれども、実際にやっておられることはそうなってないというのですよ。国の財政も苦しいのだから地方もしんぼうしてくれということになってくるし、それで事務なり、それから税の仕組みなりを含めて、これで五十年度以来地方財政の危機がずっと続いているし、交付税、先ほど言いました六条の三の二項の状態をずっと継続している。ところが一向に自治省にしても大蔵省にしてもここにメスを入れようとはなさらない。私は毎年のように言っているのですよ。早くやらなければだめだ、病気が重くなってからどうにもこうにも手がつけられなくなってしまうということを提起しているのだけれども、なかなかそうはなってない。
 そこで、具体的に当面の問題としてちょっとお聞きをしておきたいのですけれども、例の交付税特会の借入金の二分の一負担の問題です。それで、大体元本の二分の一をなぜ交付税特会で負担をしなければならぬのか。いままでは元本について二分の一だった。利子は国が持ちますと言ったけれども、今度はとうとう利子まで二分の一は交付税特会で、自治体側で持て、こうなってきましたね。これは一体どういう考えなんですか、大蔵省。
#107
○政府委員(平澤貞昭君) 交付税特会における借入金の利子の問題につきましては、昭和五十年度以降いわゆる地方財政対策として交付税部分で見る部分と、それから一般会計が肩がわりして負担することでまいったわけでございます。しかしながら、国の財政も非常に危機的な状況にあるということもございますし、それから交付税特会の借入金は地方団体に交付する地方交付税の総額を確保するためのものでもあるという含みもあること等々を考えまして、五十八年度予算の編成に当たって、先ほどお話がございましたように、二分の一については地方に負担していただくというふうにお願いしたわけでございます。
 しかし、その結果として地方財政がどういうふうになるかということでございますけれども、地方財政のいわゆる財源のしり、通例財源不足額というふうに言っている部分につきましては、このような利子の問題等々すべてずっと計算してまいりまして、そのしりにつきましては国の方で自治省等とも相談して、地方団体がそれによって運営に支障が生じることがないように各般の措置を講じているということでございます。
#108
○神谷信之助君 最後の方で声が小さくなってきたのですが、財政運営の各般について支障のないようにやりますということは、結局払えなかったらしようがない、こういうことになるのですか。
#109
○政府委員(平澤貞昭君) いわゆる財政計画をつくります際に財源不足額というのが出てまいりますが、これは御案内のように交付税措置と、それから地方債による措置とで合わせて不足額を見る、それによって地方団体の財政運営に支障なきを期すということで従来からやっておるわけでございまして、そういうことで五十八年度も措置しているということでございます。
#110
○神谷信之助君 だから、いまの説明は、元本の二分の一を払うときには、その分は財源水足額の中に見るから、結局は国があとはちゃんとしりをふくということになるのだという説明でしょう。しかし財源不足が出ないときはどうなるのですか。交付税の三二%、これは仮定の話ですけれども、交付税の現行の三二%で一応できました、いまあるのだから元本の二分の一はそこから引きなさいと、こういうふうになるわけでしょう。
#111
○政府委員(平澤貞昭君) 国の財政と地方の財政というのは、たびたび言われていることでございますけれども、車の両輪のようなものでございまして、やはりどちらかがきしむと国全体がうまくいかないわけでございまして、地方に仮に余裕が出てきたときは国の方も助けていただくし、地方が国に比べて非常に危機的な状況のときは国としてもいろいろ配慮していくということで従来まいってきておりますので、いま御質問のような事態におきましては、そのときの国の財政なり地方の財政その他各般の事情を十分考えた上で、また自治省と御相談しながら予算を決めていきたい、そのように思っております。
#112
○神谷信之助君 よく車の両輪論というのですけれども、しかし車の両輪でと言うけれども、前輪は国で後輪が地方で、前輪駆動で国はだあっとずんずん行きおるんだ、おまえら後ついてこいというやつだ、これ車の両輪論と言うのは。そんなのはインチキなんですよ。四輪駆動にして行くならわかりますよ。前輪駆動で国は先に行っちゃって、後はおまえらついてこいというやり方だから、そんな車の両輪論というのは私はごまかしだと思うのですよ。
 それから、地方財政の方がそれで豊かになってきたら、また国の方に回してくれと言われるのだけれども、豊かになっているのじゃないのですね。やらなければいかぬ仕事をしんぼうして抑え込んでいるわけでしょう。たとえば今度の七十歳以上の老人医療費の有料化の問題もそうです。いまのように借金をどっさり自治体が抱えておらなければ、財政調整交付金ですか、それを減らされてもやりますわと言うて、がんばる自治体はもっとふえているのですよ。
 だけれども、これだけの借金を抱えて、そして運営をしていかなければならぬ自治体としては、国の方はいろいろ金融政策やその他で金をつくり出すことはできますけれども、自治体だけで景気を変えることはできないのだから、税収を上げることはできないのですから、だから、ないそでは振れないから、お年寄りの医療費有料化というようなことはもう有無を言わさずやられてくるのですから、
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
それは少しでも余裕ができれば、これから老齢化社会へ向けてそういう方々に御迷惑をかけないようにしたい、これは住民の合意ができやすい問題だし、またそのことを要求されてくるでしょう。
 だから、自治体の方に財政的余裕があるというのはどこで余裕があるというのか、自治体のやる仕事というのをどこで線を引こうとするのかといる問題が非常に重要なんですよ。国の方は直接仕事をするわけじゃないのですから、だから市町村の方がそういう点ではそれぞれの地域の条件に応じて、それぞれのその条件に応じた仕事をやっていく、そこに金を使っていくという、そういうことが保証されて初めて私は地方自治ができると思うのですよ。
 国が言うたとおり、どこの市町村へ行っても同じことをやっているというのじゃ、本来は地方自治じゃないですね。隣の町とこの町とやっていることが違う、重点が違う、いろいろな違いができてあたりまえだ、だから税金の取り方も違ってもいいじゃないか、その中で、いや、やっぱりおれのところは隣のようにしようじゃないかとか、いや、おれのところはいいとか、いろいろな議論があって、そこで地方自治というものが根づいていくわけですよね。ところが、いまはそうじゃないでしょうが。そんな余裕すらない。
 だから、地方財政が豊かになればとおっしゃるけれども、豊かというのは一体何をもって豊かと言うのかというのは、私はそこのところがどうしてもわからないというように思いますが、この辺はいかがですか、大蔵省。
#113
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほどの答弁で舌足らずの点があったかもしれませんが、豊かというのは、両方とも非常に苦しいのだけれども国と比較して豊かと、こういうふうに申し上げたつもりでございます。しかし、いずれにしても現段階は両方とも非常に厳しい状況にあることは事実でございます。
#114
○神谷信之助君 それは、できの悪いおやじが極道して借金を背負うて、そして子供の方にその借金のしりぬぐいをせいと言うているようなものであって、たまったものじゃないというように思うのですよ。おやじの家と子供の家だから、親子だから、それは助け合わなければいかぬといって言うけれども、そうそうは言うてられぬ、私の方にも子供がおるのだという問題が、言うたらいまの国と地方との関係みたいになってきておりますね。
 それで、どちらが非常に大事なのかというたら、やっぱり政治というのは国民の暮らしを豊かにすること、あるいは守ることですからね。ですから、その守り手というのは第一線、現場の市町村、いわゆる地方団体の方で、ここが本当にいろいろな仕事ができて初めて国が豊かになったと言うことができるので、大蔵省の金庫が何ぼ豊かになってもそれは国が豊かになったことになりませんからね。私はそこのところが本末転倒しているというふうに思うのです。
 そこで大臣、これ、この間の臨時国会で、ちょうど年末でしたから、この二分の一の問題で大臣折衝なさるのに対して利子負担まで押しつけようとするけれども、それはもってのほかだというて言いましたら、大臣も私の言うことはようわかる、それを心にとめてひとつがんばって交渉するということでしたけれども、すぐもうあの明くる日でしたか、押しつけられてしまったですね。それで、二分の一利子負担というのは五十八年度分の借りた分だけの利子を負担するというのですか。それまでのまだ利子を返してないこれから返す分、いわゆる前に借りた分でずっとまだ返していない利子がありますね。いままでに前に借りたやつ、これも二分の一になるということなんですか。どういうことなんですか。
#115
○政府委員(石原信雄君) 現在御審議いただいております地方交付税法の一部改正法案の中で、交付税会計が負担することにしておりますのは三千四百四十六億円でございますが、この利子は五十八年度の借入金に係る一時借入金及び借入金の利子であります。これは御案内のように現在の交付税会計の借り入れは通常の長期借り入れと違いまして、いわゆる年度越し短期借り入れとでも申しましょうか、五十八年度の地方交付税の不足を補うために年度の初めに十一兆五千二百億円借り入れまして、そしてすぐに九兆六千億返してしまう、そういうやり方しているわけです。したがいまして、利子というのは単年度単年度の予算の処分になっておりまして、通常の地方債の長期債のように初めに何年据え置き何年償還ということで金利条件幾らというふうに決める、そういうものと違うのでございます。もっともっと単年度処分のものになっております。その五十八年度分の利子について今回三千四百四十六億円を負担しよう、こういうことでございます。
#116
○神谷信之助君 それで、これは大臣、五十九年度はどういうことになるのですか。
#117
○国務大臣(山本幸雄君) これは五十八年度のときの二分の一負担、これは頭には五十八年度についてという頭がついておりまして、五十八年度の措置としてこれをとる、こういうことだけで、それ以上のことはないわけでございます。
#118
○神谷信之助君 それ以上のことはないというのは、大臣の気持ちの問題だと思います。これは去年の暮れの臨時国会でもそうで、二分の一の利子まで持つということはあり得ぬと言うておられたのだけれども、あり得たわけです。だから、これはわからぬわけですね。
 そこで、大蔵省の方、これは報道によると、元本それから利子も含めて、もう二分の一じゃなしに全部自治体に持ってもらおうというような報道もあるのだけれども、そういうことが検討課題になってきているのですか。
#119
○政府委員(平澤貞昭君) ある新聞にそういう事実があると報道されたことがございますが、現在そういうことを検討いたしておりません。
#120
○神谷信之助君 しかし、これ来年度予算の折衝が年末になって出てくるでしょうけれども、来年の予算編成もことし以上により厳しい状況になるであろうということは大体予想できますね。
 そうすると、交付税の三二%分は一般会計へ通らぬで直入していたらいいけれども、一般会計に入ってきますので目立ちますから、それで、それの不足分はひとつ借り入れる、大体これが大きいというので目をつけられているところへもってきて、交付税会計が借り入れる分については、それは借金は返すのがあたりまえじゃないかというような議論は俗受けしますからね。いずれにしても、最終的にはそんな問題が問題になってくるのじゃないですか。
#121
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほど財政局長の答弁にもございましたように、利子の取り扱いの問題につきましては法律上も単年度ごとに考えていくということになっておりますので、今後五十九年度の予算編成に当たって国の財政事情や地方の財政状況等々を勘案しながら御相談していくということになると思っております。
#122
○神谷信之助君 大臣、この借り入れ分というのは、本来交付税率を引き上げるか、それこそ先ほどあったように税制を含めて制度の改正をやるかしなければならぬのを、国の財政ももう一つはっきりせぬし、見通しができぬしということで、便法的に二分の一は借りるということになっておるわけでしょう。借りているわけです。だから、言うたら交付税会計が借りているような形に見えるけれども、本来は国が借りて、そして交付税会計に繰り入れなければならぬもの、本来そういう性格のものと違うのですか。
#123
○国務大臣(山本幸雄君) これはことしの例をごらんになってもわかるように、やはり国税三税が見込みよりも減収であった、したがって三二%の交付税は減った、しかし地方の財政需要は依然として減ってはいない、そういう場合にそれのバランスをどうとるかということになれば、結局借入金で賄うよりない、こういうことで借入金がふえた、こういうことになったと思うのです。
 そういう意味では交付税特会というものが地方の財源を賄うという観点からすれば、借入金はひとつ国の方で賄ってほしいという考え方は根本には私どもも考えておるわけです。ただ、その場合に財政事情その他いろいろなことがあるものですから、現実的にはなかなかそうはまいっていない、こういうことだと思うのです。
#124
○神谷信之助君 だから、本来国が負担をすべきものである、しかし国の財政状況からこれはやむを得ずそうなっておるということなんですね。
 それでいきますと、来年も利子を持ってもらいたいという、あるいは二分の一じゃなしに国の財政がどうにもならぬので全部持ってもらいたい、いまの車の両輪だけれども、前輪駆動の方ですから、前輪駆動でとうとう後も引きずり込まれていく。そういうふうになってしまう。これはどうですか。どこで歯どめをかけるつもりですか。
#125
○国務大臣(山本幸雄君) まだこれは来年度の予算がどうなるのか、一体これから経済はどういうふうに動いていくのか、税収はどうなるのか、あるいは税制もどういうふうになるのか、その辺のことは不透明な部分が非常に多いですから、まだ何ともいま確実にお答えする資料、材料を持たぬわけだと思うのです。しかし、地方財政を守っていくという立場だけは私どももこれは真剣に考えていきたいと思っております。
#126
○神谷信之助君 もう大分時間をとりましたが、これは大蔵省も、自治省がかわってやっているのであって、実際の担い手はそれぞれの地方団体であるわけですからね。それは直接国民の暮らしにかかわる仕事をやっているわけで、それで、しかもそれは憲法で保障された地方自治の本旨をどう具体化するか、したがって財政的にもやっぱりそのことを前提に考慮されないと、国の事情が先にいきますと、前輪駆動でそれこそ地方自治はもう見えなくなってしまうといいますか、消えてしまうということになりますから、お考えいただきたいというように思います。
 こればかりやっているわけにいきませんので、ひとつ具体的な問題でお聞きしたいのですが、この二月に老人保健法が実施をされて三カ月たったわけですが、この老人保健事業の実施主体が市町村ということになりました。ところが、この主役になります保健婦さんですね。これがきわめて少ないわけで、どうやって必要な保健婦を集めるかという点で苦労なさっているわけですけれども、どんな仕事をやるか、そのためにどれだけの保健婦が必要となるのか、こういった点についての計画をまず聞きたい。
#127
○説明員(古市圭治君) 老人保健法の中で保健婦に期待されております仕事は、主に在宅の寝たきり老人、居宅老人の訪問指導、これが非常に大きなウエートになっております。さらに一般的な健康教育、健康相談、さらに健診の後の事後指導、そういうものに保健婦の活動を期待しているところでございます。そのマンパワーの需要に対しまして、厚生省の方では五カ年計画で約八千人の事業量を考えております。そういうところからいわゆる定員で三千名、さらに在宅保健婦さんの活用というので三千名、さらに現在働いている方々の振り替え二千名、合計八千名を五カ年計画で確保していきたい、このように考えております。
#128
○神谷信之助君 その考えておられる保健婦の補助制度ですね。老人保健事業に携わるところの保健婦さんに対する補助事業、補助の制度と、それからいままでの通常ずっとやってきている保健婦に対する措置、この状況はどういうことになっておりますか。
#129
○説明員(古市圭治君) いま申し上げました保健婦の中には、大きく分けまして保健所で働く保健婦と市町村の職員として働く保健婦とございます。保健所保健婦の方につきましては保健所運営費補助金という形で人件費の補助が国庫から出ております。
 先生お尋ねの件は、ことに密接な関係を持つ市町村保健婦の件だと思いますが、市町村保健婦につきましては、従来五十三年度以前は国民健康保険の保健施設活動の保健婦として、国保保健婦という形で非常に住民と接触してきたわけでございますが、国保保健婦だけでなくて市町村住民全体の健康保健需要に対応するということで、五十三年度に市町村保健婦に身分が移管されました。現在この保健婦さん方が市町村で活躍していらっしゃるのでありますが、このほかに老人保健事業のために、先ほど申し上げました年次計画でもって市町村保健婦の増員を図っていきたい、このように考えているわけでございます。
#130
○神谷信之助君 それで、五十八年度はどれだけふやすわけですか。
#131
○説明員(古市圭治君) 五十八年度につきましては保健所保健婦が対前年に比べて二百二名、それから市町村保健婦が五百九十五名、こういう増員を図っているところでございます。
#132
○神谷信之助君 五百九十五名の増員だけれども、二百八十七人についてはいわゆる去年、五十七年度中に採用しているから、だから財政補助としては年度間分でやるのでしょう。残り三百八人分は今年度新規採用する。だから、これはわずか単価六十九万五千円ほどの補助対象額になるわけですね。これの三分の一、こういうわけでしょう。
 それで、そういう状況になっているのですけれども、こういう補助制度で見ておられますが、実際にはこれ以上の保健婦を置いている市町村というのは相当あると思うのですが、それらに対する府県で国をカバーするというか、そういう形で補助制度をつくっているところはどこにありますか。
#133
○説明員(古市圭治君) ただいまの答弁で、先生に訂正していただきまして済みませんでした。五十七年八年合計した数を申し上げました。
 都道府県単独で保健婦に対する補助をやっているというのは、私ども聞いているところでは、京都府が国の補助対象になっていない保健婦さんたちについて府単独で市町村に補助をしている、このように聞いております。そのほか人件費というわけではございませんが、数県において活動費の援助をしている、このような状況でございます。
#134
○神谷信之助君 これは実際に五十三年に国保から市町村に切りかえるときに、国保の組合員に対する比率から、全住民対象になりますから、そうすると、どうしてもふやさなければならぬし、よけい要るということで、財政的にも困難だということで、京都府ではそのまま残してきているのですけれども、実際上はあなた方が基準に基づいて一応補助対象をやっておられるのですが、たとえば京都府の長岡京の例ですが、同の補助対象になっているのは四人なんです。府の補助対象はこの四人のほかに残り四人を府が見ているわけですね。実数は八人いるわけです。だから国が四人しか見てくれないものだから、国の見てくれないあとの残りの四人分を京都府が補助をするという形でカバーするという形をとってきているのですけれども、あなた方の方の基準でいきましても、これは計算すると、国の基準で言えば四人なんですね。実際よりこれ少ないのですよ。
 その隣の向日市でも実際の人員は六人おるが国の補助は三人、補助対象になるのは三人だし、大山崎町も実際三人おりますが国の補助対象は二人ということで、これは京都市の周辺の人口急増地域ですけれども、だから、それだけに若いお母さん方が多いし乳幼児が多いところです。だから、母子健康管理業務というのは非常にふえたところですから、だから、保健所の保健婦と一緒に協力してそれをやろうということで、それで業務分担もやりながら進めているわけです。そういう状況です。
 ですから、非常に厚生省の基準から言うても乖離が大きいのですが、この問題は見直す、検討し直すということは必要じゃないかというように私は思うのだけれども、その辺どうですか。
#135
○説明員(古市圭治君) 先生のおっしゃった問題は全国的にも指摘をされておりまして、私どもは今回の老人保健法を初め、非常に地域の保健事業に対して、保健婦さんというものの確保に努力しておるわけでございますが、一方はおいては山間僻地いろいろなところで、人口がそう大きくないけれども医療機関すらない、そういう全国的な立場を見まして保健婦の配置をするときの一つの目安といたしまして、いわゆる基準をつくっているわけでございます。そういうことから、人口急増地域につきましては市町村保健婦の数がこの基準で見ますと、かなりきつくなっているということは事実だと思いますが、その点はやはりそういう地区の医療機関等の協力、さらには保健所保健婦の協力という形でお願いいたしたいということで、私どもはこの基準を一律に適用するのではなくて、そういう地域の状況もあわせて弾力的に対応しているという状況でございます。
#136
○神谷信之助君 そうすると、弾力的に対応するということになりますと、たとえばいままだ老人保健事業は始めていないのですね。それで現在、先ほど言いましたように長岡京は八人おる、片一方、向日市は六人、大山崎町は三人なんですけれども、これでいまの老人保健事業をやる前の現状で一応のシステムをつくってやっておるわけですね。いま老人保健事業をやる打ち合わせをずっと詰めていて、その体制ができて実際にやれるのは十月ぐらい、秋になってからになるだろう、こういうことなんですね。そうすると、これはまた現実にそれだけ仕事がふえるわけですね。
 その場合やってみて、来年の三月なら三月まで半年間やってみて、そこでさらに保健婦を必要とするという合理的根拠が生まれてくると、その点について補助対象をふやしてもらいたいという申請をすれば、それはふやすことにやぶさかではないということになるわけですか。
#137
○説明員(古市圭治君) 確かに御指摘のように五十七年二月から実施したというところで、平常的な姿が現時点で正確につかめていないということでございますが、これからの推移を見て対応してまいりたいと思っております。
 また一点、そういうことで保健事業に対応するのは定員の部分だけではなくて、いわゆるそういう都市近郊等におられる在宅保健婦さんの活用という費目を組んでおりまして、これが五十七年度で約千五百名、五十八年度で二千三百十名、場合によってはそういう方々の御協力を得て対応していきたい、このように考えております。
#138
○神谷信之助君 それから、京都府で聞きますと、市町村に保健婦のおらないところは二つなんですね。笠置とそれから伊根でしたか。一つは京都府の方から保健婦を出向させた。それはその市町村が保健婦を常置する希望を持っている、だけれども具体的に人がいないということで、それじゃ、とりあえずということで、笠置の方はまだ置くつもりはないらしいので、そういう事態になっていない、こう言っておりましたけれども。
 ところが、実際問題として保健婦さんが養成所の養成を終えられて保健婦になられても、自分の故郷に帰ったり、あるいは京都市で勤務するということが多くて、実際にはなかなか農村地域で保健婦を確保するというのが非常に困難なんですね。この仕事、たとえば健診でも、市町村が通知をして健診をして、で、カルテが上がってきても実際に整理もできない、またわからない、それをわかる人もいないという場合は、結局それは倉庫に入ってしまう。こうなりますから、フォローアップができなければ、これ意味ないわけです。
 それで、フォローアップができるような体制をつくっていくためにも、これは保健婦の確保というのが非常に大事になってくるのですけれども、在宅のそういう保健婦さんを見つけ出して、そして、できるだけ協力をしてもらうということは、その努力はしているのですけれども、実際問題としてなかなかむずかしいという状況なんですが、ですから、この辺には特別の対策というのを考える必要があると思うのですが、いかがですか。
#139
○説明員(古市圭治君) 今度の老人保健法による保健事業のかなりの部分が、いまお話にございました保健婦にかかってくるわけでございますが、保健婦だけではございませんで、そのほか自治省、大蔵省の御協力も得まして、事務職員等の増員という形も図っているわけでございます。また、僻地に若い専門技術家の保健婦が行くのは非常にむずかしいということも、そういうわけでございますから、保健所が数カ町村を管轄しているというところから、いわゆる駐在制とか、それから派遣職員という道も利用して支援体制を強化していきたい、このように考えております。
#140
○神谷信之助君 それで、時間ありませんからもう急ぎますが、この問題の交付税関係でちょっとお聞きしたいのですが、標準団体の人口十万の市町村の保健衛生費、これで市町村の保健婦は一応三人を見込んでいますが、これは五十三年以来三人というのはずっと変わってないのですよ。この根拠はどういうことになっていますか。
#141
○政府委員(石原信雄君) 市町村の標準団体、人口十万の都市を想定しておるわけですが、標準団体の保健婦の定数の想定に当たりましては、全国の総数から標準団体の置きかえ率、ほかの経費もそうなんですけれども、全国数に対して人口十万都市がどのくらいになるかという一つの経験率、置きかえ率を適用して想定しております。
 五十八年度の場合で申しますと、全国の予算定数が四千六百九十二人でございます。それに対する置きかえ率を適用しますと二・九人ほどになりますので、三人、これを標準団体の人員といたしております。この四千六百九十二人というのは国の補助定員でもございます。この補助定員は五十三年度が四千六百八十五人であったわけですが、これがその後若干数字の移動がありましたけれども、現在は四千六百九十二人、総数ではほとんど変わってないものですから、標準団体の想定人員も三人のままになっている次第でございます。
#142
○神谷信之助君 厚生省の補助対象になっておるのは四千六百九十二人ですが、実際におるのは、全体としての構成率からいくと八千五十二人ですね。そうすると、いまも話があるように、この四千六百九十二人に対応する分だけの需要額を計算するだけでは、三千三百六十人、これはあなた交付税の計算外になるわけでしょう。ところが実際にはおるわけです。それで必要であるという状況になっているのですね。この辺はどうですか。これはちょっと見直しをする必要があるのじゃないかと思うのですね。
#143
○政府委員(石原信雄君) 単位費用に想定する場合におきましては、法令によって基準のはっきりしておるものはその基準によって積算しますし、その他のものは、先ほど申しました置きかえ率といいましょうか、全国の定数などから一定の割合で想定するわけです。
 そこで、いまの保健婦について見ますと、確かに全国の現実の総数は八千人を若干上回る数がおります。ところが、これ団体を調べてみますと、非常にたくさん置いている団体と、それから基準程度しか置いてない団体、あるいは全然置いてない団体、いろいろばらつきがあります。そこで、交付税の積算に当たりましては、全国的な傾向あるいは国の基準等を基準にして、この三人という数字を置いているのですが、しからば食い違っている人数はどこから出てくるのかということなんですけれども、実は交付税制度の定数の想定に当たりましては、ほかの費目でもそうですけれども、市町村によりまして非常に教育関係の人員が多いところ、衛生関係の多いところ、社会福祉関係の多いところというようにばらつきがあります。そこで各費目ごとにつきましてはそれぞれ法令の基準あるいは全国的な趨勢によって人員を積算しておりますけれども、それですと現実の数字とは食い違いが出てまいります。
 そこで、それらに対応でき得るように、その他の諸費で非通職員費というのを置いております。言うなれば、この共通職員費が現実には社会福祉に行ったり衛生に行ったり教育に行ったりという形になっております。それからまた、それだけでは全部説明できないわけでありまして、そのほか、御案内のように現在は市町村の場合は、標準税収入の二五%分は基準財政需要額の計算外に置いておりますから、物によってはその中からそれで対応しているというものもあろうかと思います。
 いずれにいたしましても、私どもは、こういった人員想定については法令によってはっきりした基準があれば、それはそれによってやりますし、それからあと全国的平均的にその設置水準が上がってくれば、それは想定上もそれを反映させていく、こういうふうな考え方で対応しております。いずれにいたしましても、保健婦につきましては、現状は補助職員定数を十万団体に置きかえているという扱いにしておるところでございます。
#144
○神谷信之助君 ですから厚生省、あなたのところのその設置基準、たとえば補助対象の人員、これで交付税の方も計算されるわけですから、だから、必要があってそれを上回って、長岡京みたいなところは倍置いているわけでしょう。それを京都府でカバーしているからいいようなものの、そういうことをやっているのは京都府だけだと、こうなってきますと、なかなかこれは保健婦をふやしなさいと言ってもふやせないのです。もう一つの問題はそういう状況が起こってきているのですよ。保健婦さん自身ななかなかつかみにくいという面と、それともう一つは、そういう条件、市町村財政の影響で、そこまでは見ておられぬ。たとえばここだったら、交付税上は長岡京は三人だ、これは十分ですから、長岡京は七万二千人ぐらいの人口ですから、補正係数やら入れても三ないし四人くらいでしょう。だから、それを上回ってこれは結局置かざるを得ぬ、こういう状況になっているのですよ。
 私は、だからこの辺は厚生省が早いこと実態も調べ、この基準の見直しをしないと、財政の方から逆に言ったらなかなか進まない。進まないということは、老人保健法は鳴り物入りで老人保健法の事業をやります、それに補助制度をつくりますと言ったけれども、それは実は羊頭の部分であって、実際は狗肉で、有料化の方だけはどんどん先行しているということに実態はなっているというように思うのですよ。
 もう一つは、それをやる老人保健事業に必要な一般事務職員、この人件費の財源保障ですね。これは厚生省はどういうようにお考えになりますか。
#145
○説明員(森仁美君) お答えをいたします。
 一般事務職員におきましては、通常の公共団体におきます人件費の考え方と同様に、いわゆる地方交付税の対象ということで措置をいたしております。
#146
○神谷信之助君 これ、聞きますと確かにそういうことで、交付税の中では五十八年度に吏員二名、その他職員五人ですか、標準団体を交付税で見るということになっていますね。しかし、法律で国の方が新たにそうやって制度をつくって、それでその財源は交付税で皆見ろというのはちょっと勝手きわまるのじゃないですか。国の方がやろうと言うのでしょう。それで、しかしその必要な経費は交付税で見てもらう、私のところは財源のめんどうは見ませんよと、これはあなた、たまったものじゃないじゃないですか。
 いまのように交付税は窮屈になってきておるのですよ。財政需要額の計算なんて、あなた、抑えようと思ったら何ぼでも削れるのだからね。一応大蔵省がもうこれ以上は出せませんと言ったら、それに合うように、着物に合うように体削っているようなものですよ。だから、そこへどんどん国が勝手に法律をつくっては財源は交付税で見てくれというふうなことを言われたのでは、ちょっと私は筋が通らぬと思うのだが、その辺はどうですか。
#147
○説明員(森仁美君) 老人保健法におきます医療は、御承知のように、従来の老人福祉法によります老人医療を本質的に引き継いでいる部分がございます。この医療に関する事務を見てまいりますと、全国の市町村が行う一般的な事務であるということと、それからさらに従来の老人医療費の支給制度におきます考え方というものと、そう大きな差がないわけでございまして、その事務につきましてはおおむね同様のものであろうということから、従来老人医療支給制度に用いておりました交付税で措置をするという考え方と同様の考え方を今回の老人保健法の場合にも用いているということでございます。
#148
○神谷信之助君 そういう説明をなさると、そうすると、老人保健法でこれから老人保健、地域保健をやるのだと言うて、鳴り物入りで宣伝されたのはインチキだ、これ。いままでと変わらないのだから、変わったのは何かと言ったら、お金取るだけだ、老人医療有料化になっただけだ、中身はそうだということをいまおっしゃっている。
 だから、いままでと同じこととは現実には違うじゃないですか。保健婦さんをふやさなければいかぬのでしょうが。あなた方の方でも五カ年計画でアルバイトを含めて八千人の保健婦さんをつくらなければいかぬ、そうして事務量もふえる、その事務量の方はもう知りません、交付税で見てくれ、片方保健婦さんの方も基準自身は低くて、したがって、それに基づく交付税計算というのは実態に合わない状況になっている。私は無責任なやり方だというように思うのですよ。
 そういうものに対しては、これは大蔵省の方ですが、交付税を削るということはどういうことが起こっているかというのは、いまこれは一例ですが、法律をいかにつくっても、実際に現場でやれない状況が起こるのです。厚生省がそれに対して補助対象にしてちゃんとするか、あるいは交付税として必要な自治体の財政需要額を保障する、そういうことをちゃんとするのか、お金がないから減らしてくれということだけでは、いかは法律つくったって、実際上はそれは執行できない。執行できる部分は、老人保健法で言うたら、医療費有料化の方はこれは執行できます。取ったらいいのだから、金出さぬ限りは診やしないのだから、診てもらおうと思ったら払いますよ。初診料でも入院料でも出しますね。それで、これだけサービスしますという方はちっともできぬ。
 だから、私は、地方財政の問題というのはそういうものを内包しているということを大蔵省はよく考えてもらって、あの二分の一の負担なんかも取り払ってもらうということまでひとつやってもらいたいというように思うのですが、この辺いかがですか。これ一例ですよ。
#149
○政府委員(平澤貞昭君) いまの老人保健法の実施に伴うお話につきましては、先ほど財政局長のお話のように、全体の交付税の中で見ているということでございます。それはそういうことなんでありますが、その場合に、先ほども申し上げましたように、全体の地方の歳入歳出というのをずっと見てまいりまして、その結果の財源の問題につきましては、これまた全体として考えていくということで財源を見ているわけであります。
 それで、特に人件費に対する地方団体の補助につきましては、臨調答申にもございますように、できるだけ地方の自主性も尊重していく必要があるという観点もございますし、そういうことも含めて先ほど来御議論のような結論になっているのではないかと私は理解しております。
#150
○神谷信之助君 そこで、厚生省はどうですか。そういったいまの見直しやら、それから必要な事務職員の問題、それらを含めて、そういった基準なり何なりを再検討して、実際にやれるようにしないと進みませんよ。
#151
○説明員(古市圭治君) 老人保健事業に関しましては、先ほど申し上げましたような五カ年計画を国会の審議でも御説明しておりまして、それの推進に向かって着実に努力してまいりたいと思っておるわけでございます。
 また、老人保健事業の実施主体というのが市町村長になったところから、かなりの部分が固有事務という形で、先ほども申し上げました事務費の問題等は交付税の方に算入されているということでございます。また、御指摘の基準の問題につきましては、実情に合うように極力弾力的に対応していきたいと思っております。
#152
○神谷信之助君 勝手に固有の事務にして、押しつけて、そして銭はお前のところだ、そんな殺生な話はないですよ。それならお金持ってその事務もよこしなさい、金もつけぬと仕事だけ回すというのは何事だと。あたりまえですよ。厚生省でも仕事を、あなた、金も人もよこさぬとやれといってどんどんふやされたら、たまったものじゃないでしょう。あたりまえじゃないか。そこのところを言っているのですよ。
 だから、臨調の答申に基づいて補助金を切るとかどうとかいうけれども、補助金を切っても仕事だけは残っておるとかということになりかねぬから、いま問題になっているのですよ。そこへ、これは新しい仕事だと言って、これはおまえのところの市町村が主になって市町村固有の事務になったのだから、それは自分のところで持つのはあたりまえですよと、勝手にそんなことを言うてもろうたら困るわけですよ。それだったら一緒に金もつけてくれ、固有の事務だったら、それは固有の財源を持ってきなさい、国税のうちこれだけは、それなら三二%を三五%にしますから、その分でやってくださいというならまだ。そこのところを、これはあなた厚生省、それからそのお金を握っている大蔵省やなんかちゃんと考えてやらなければ、これはあなた何ぼでも仕事ふやして、そして銭は出さぬぞと言われるのだったら、できやせぬでしょうということなんですよ。まあ時間が来ましたから、そういう問題を提起しておきます。
 それで、特に大臣には、ますます五十九年度は厳しい状況になってくるので、現場ではそういう状況がいろいろな仕事の中で起こっていますから、地方財政の財源を削るということが実際にはどういう状況になってくるかということは、一例を挙げましたけれども、おわかりいただいたと思うので、地方自治を支える必要な財源を本当にわれわれが確保するということなしに私は日本の民主主義の発展もないと思いますので、その点申し上げて、きょうは質問を終わります。
    ─────────────
#153
○委員長(宮田輝君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、原文兵衛君及び松尾官平君が委員を辞任され、その補欠として佐々木満君及び名尾良孝君が選任されました。
 また、本日、和泉照雄君が委員を辞任され、その補欠として中野鉄造君が選任されました。
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#154
○田渕哲也君 まず初めに、地方交付税制度についてお尋ねをしたいと思います。
 地方交付税は、昭和五十年度以降においては毎年度交付税特別会計において借り入れを行い、その額はすでに五十八年度において十一兆五千億円にも上っておるわけであります。交付税本来の機能をもうすでに果たし得ない状況にあると言っても過言ではありません。
 この原因は、一つは、国税三税が経済不況によって落ち込んだということもありますけれども、しかしもう一方では、新規財政需要が増大する中で、それに対する財源の手当てがなされていない。つまり、いままでの交付税率を据え置かれておる中でそういうものがどんどんふくれてきておる、こういう構造的な需給のアンバランスというところに原因があるわけでありまして、ただ単なる一時的な臨時的なものではないと思うのであります。
 こういう中で政府がとった措置というのは、まず第一には、五十年度から資金運用部から借り入れを行った、それから、五十三年度には借り入れの償還について地方団体が二分の一負担をするという制度を導入した、それから第三には、五十六年度は臨時地方特例交付金というものをさらに借り入れへ切りかえた、さらに四番目は、五十八年度は借入金の利子についてまで二分の一地方負担にした、このようなことをやってきておるわけでありますけれども、このような措置は全く間に合わせ的、臨時的、応急的な措置にすぎないと思うのです。
 ところが、先ほど申し上げましたように、すでに財政需要に対する財源というものが構造的にアンバランスになっておるということに原因があるわけでありますから、これは間に合わせ的な措置をどんどん拡大するのではなくて、地方交付税率の引き上げ、あるいは制度の改正等を行うべきだと思いますけれども、この点についてどう考えられますか、お尋ねをしたいと思います。
#155
○政府委員(石原信雄君) 先生御指摘のとおり、今日の地方財政の状況は昭和五十年度補正の段階から引き続いて財政収支の不均衡の状態になっております。
 これも単に一時的な景気変動等に基づくものというよりも、歳入と歳出が基本的にアンバランスになっている、財政悪化の根が非常に深いということが言えると思います。したがいまして、こういった状態に対しては本来的には構造的と申しましょうか、制度的と申しましょうか、食い違っている歳入歳出のその原因を除去できるような制度改正が必要なんではないか、法律もそういうことを求めているわけであります。
 そのように私どももその必要性については痛感しておりまして、それまでも毎年度の予算編成に当たって何とか基本的な制度改正ができないものかということで努力を続けてまいったわけでありますが、御案内のように国の財政の方も年一年深刻になってきておりまして、国、地方を通ずる基本的な財源配分の見直しかできない状態になっている。そのためにやむを得ず当面の地方財政運営に支障が生じないような、いわば応急的な措置を取り続けているわけでありますが、私どもといたしましても、こういった状態は可及的速やかに解消されなければならないという基本的な認識を持っておりまして、その方向に向かってあらゆる検討を続けていかなければならない、このように考えております。
#156
○田渕哲也君 そうすると、いまのこういう地方財政の危機を招いておる理由は、一つは景気の低迷による三税の落ち込み、それともう一つは構造的な需給のアンバランスというものが生じてきておる、この構造的な需給のアンバランスというものについては、当然制度の改正なり交付率の改正なり行わなくてはならないけれども、現在のところは国の方の財政も税収の落ち込み等によって危機にきておるからそれができない、だから国の税収の回復なりあるいは国の財政確立を待って地方財政に対する制度の改正、あるいは交付税率の引き上げをやるということ、そういうことですか。
#157
○政府委員(石原信雄君) 地方財政の立場からいたしますと、今日の事態を解消するために、基本的と申しましょうか、制度的な改正が必要ではないかという認識を持ち、またそういった議論をしておるわけでございますが、ただ、今日の国の財政状況、御案内のように大変な状態であります。
 そこで、この地方交付税率の変更の問題あるいは地方行財政制度の改正の問題というのは国の財政制度と深くかかわっておりますので、国の財政状況と切り離して地方の問題だけを処理するということが現実になかなかむずかしいということでございます。しかし、私どもはあくまで立場上地方財政を主体にどうしたらいいかということを考え、また主張しているわけでございますけれども、国の財政状況が非常に厳しいという現実の壁が厚いために、なかなか問題の解決が図れないという状況にあるわけでございます。
#158
○田渕哲也君 地方交付税法の第六条の三第二項には、引き続き地方団体について算定した額の合算額と著しく交付税の総額が異なる場合には制度の改正または税率の引き上げをやるべきだということが書いてあるわけであります。この場合の「引き続き」というのは、昭和二十九年の参議院地方行政委員会において二年間赤字であり三年目もまた赤字が見込まれること、「著しく」とは交付税所要額の一割以上が不足する場合、こういう答弁があるわけでありますけれども、こういう事態はもっと早くから起こっておるわけですね。今日のような国の財政も危機的な状態になる前にすでに起こっておるわけです。なぜそのときにこの制度の改正等をやらなかったのか。これは怠慢ではなかったかと思いますが、いかがですか。
#159
○政府委員(石原信雄君) 実は昭和五十年度の補正の段階で大幅な地方財政の収支不均衡の状態になりまして、昭和五十一年度の地方財政対策あるいは昭和五十二年度の地方財政対策を講ずるに当たりましても、ただいま先生御指摘の地方交付税法第六条の三第二項との関連において論議が行われたわけであります。私どもはすでに五十二年度の段階で、地方財政が交付税法第六条の三第二項に規定するその場合に該当するという考え方のもとに交付税率の引き上げを含めて制度の改革を当時要求いたしました。しかしながら、当時、国の財政の方も同様に非常な財源不足の状況でありまして、残念ながら私どもの要求は通らなかったわけであります。
 そこで、五十二年度におきましては五十二年度限りの借入金の措置を法律で定め、さらに五十三年度の改正におきましては当分の間の措置といたしまして交付税に不足を来した場合には交付税特別会計において借り入れを行い、その借入金の元金の二分の一を国庫が負担するということをいわば制度化したわけでございます。現在の交付税法の中にそういった特例制度が織り込まれたわけであります。この当分の間の制度改正によって今日まで対応してきたということでございまして、五十三年度以降行われている対応、これは交付税特会の借り入れであり、その借入元金の償還の国庫負担二分の一ということでありますから、地方行財政制度の改正あるいは交付税率の変更という、いわば基本的な恒久的な制度改正とは言えない、これは当分の間の措置としての改正でありますから、私どもとしても決してこれが十分なものとは思っておりませんが、ただ、残念ながら今日の財政環境のもとでわれわれが希望しているような恒久的な制度改正ができない状態が続いているということでございます。
 したがいまして、私どもは当分の間はいまの五十三年度以来続けておりますこの制度を運用して地方財政の運営に支障なきを期するとともに、やはりできるだけ早い機会に基本的な制度改正ができるような状態になってほしいと思っており、そういう方向で努力をしていきたいと考えているところでございます。
#160
○田渕哲也君 次に、地方債の問題で質問をしたいと思いますけれども、地方債の発行については地方自治法第二百五十条に基づいて「当分の間、」自治大臣または知事の許可を必要とするということになっておるわけであります。この「当分の間、」ということがもうすでに制度ができてから三十六年になるけれども、いまだに続いておる。この理由はどこにありますか。
#161
○政府委員(石原信雄君) 御指摘のとおり、地方債の発行につきましては、地方自治法二百五十条の規定によりまして「当分の間」ということで自治大臣または都道府県知事の許可が必要だということになっております。
 地方債の許可制度がなぜ必要なのかということでありますが、これについては、一つは限られた国内の資金を計画的に必要に応じて各地方団体に適正に配分していく、そのための手段として許可制度が必要である、それからもう一つは、団体によりまして一定の限度を超えた地方債の発行ということがその団体の財政運営の将来に禍根を残す、こういった事態を避けるという意味も持っております。こちらの方はもちろん地方債の発行をする団体の議会が議会の議決を経て行われるわけですから、第一義的には議会のチェック機能が果たされているわけですけれども、現状においてはまだ全国的な見地からするチェックも必要性が残されているのじゃないか。
 さらに、ごく最近の傾向といたしましては、地方交付税が足りないためにいわゆる財源対策債などが発行されております。五十年度以降こういった事態が続いております。この財源対策債につきましては、単にその団体の資金繰りというよりも、国からの一つの財源保障の一手段として地方債が使われている、こういう状態があります。こういう場合におきましては、どうしてもこれは許可制度によって適正な配分が必要になってくる。
 以上申し上げたような理由が主たる理由で、今日におきましてもこの許可制度が継続されているところでございます。
#162
○田渕哲也君 これは法律に「当分の間、」ということがつけられたというのは、将来においては地方の自主性に任せることにする、だから許可制はなくするということが前提だと思うのです。そうすると、この「当分の間、」というのは、どういう条件になればこれは除去できるのか。いかがですか。
#163
○政府委員(石原信雄君) 「当分の間、」というのは、法令用語としては別に期限が決められない場合に使うと言われております。地方債の許可制度につきましては、地方自治法制定当時の議論として、確かに地方団体の借金ですから地方団体の自分の意思で自由にすることが望ましいという議論があったようでありますが、現実には地方債の発行の現状から許可制度を継続せざるを得なかったということで、こういった現在のような法律になったと承知しております。
 ところで、しからばこの許可制度というものがどういう状況になればなくし得るのかということでありますが、やはり地方公共団体の財政基盤が確立するといいましょうか、財政が非常にしっかりしてくる、それで、本来の意味で投資的経費の年度間の負担配分、負担の分散、こういうような意味での運用が健全な財政基盤のもとに行われるような状況、あるいは地方債資金が地方団体の需要に応じて小さい団体も含めて調達できるような状態、こういうような状況が来れば、この問題について、許可制度の存廃について検討できるのではないか、このように考えております。
#164
○田渕哲也君 現在においても原則的にはこれは許可制度をやめて、たとえば公債比率が非常に低い地方団体、たとえば一〇%以下というような地方団体、これが全体の約三割程度でありますけれども、こういうところについては、むしろ起債は自動承認制度にするとか、そういうことは考えられないわけですか。
#165
○政府委員(石原信雄君) 現在の許可制度の運用におきましては、いわゆる一件審査と申しましょうか、一つの事業ごとに必要の有無を審査して許可するというものはむしろ例外であります。そういうものは非常に少なくなっておりまして、大部分の地方債につきましては枠配分でありまして、一定の要件のもとに一定の枠内であればその団体が希望する限りは許可する、こういう扱いにいたしております。
 ですから、先生の御提案の公債比率によって一定以下のものについて自動承認というところまではいっておりませんけれども、事業の種類ごとに一定の要件のものであれば枠でもってこれを配分して、その中で起債を認めていく、許可制度は形としては残しておりますけれども、一定の要件の中では各団体の意思を十二分に尊重した運用を図っております。そういった方向、いわゆる枠配というのを年一年広げておりまして、今日ではほとんど大部分のものが枠配で配分されているという状況でございます。
#166
○田渕哲也君 それから、最近は地方財政に占める地方債依存度が非常に高い水準になってきておるわけですが、地方債の原資の中に占める政府資金の割合がだんだんと低下してきておるわけです。昭和四十年代までは大体六〇%程度維持しておりましたけれども、現在はこれが非常に低下してきておる。これは金利面とかその他の面で非常に地方団体にとっては不利といいますか、苦しい状態になるわけでありまして、これはやはり六〇%程度政府資金でめんどうを見るということができないものかどうか、お伺いをしたいと思います。
#167
○政府委員(石原信雄君) 実は昭和五十年度の当初の段階まで、すなわち今日のような財政危機に陥る前の状態におきましては、地方債計画上、総額の六割程度が政府資金によって調達されておりました。そこで、私どもはそれを一つの目標という考え方をこれまで持っておったわけですが、残念ながら最近はこれが下がってきておる。
 特に五十八年度の場合には地方債計画に占める政府資金比率が四割程度に落ちてしまったわけです。その理由は、一つは政府資金の原資そのものが非常に窮屈になってきている。すなわち郵便貯金を初め厚生年金や国民年金の還元融資にしてもいずれも原資が非常に伸び悩んでおります。その上に資金需要の方が非常に旺盛になっている。それで私ども地方財政の立場からいたしましても、地方債計画で必要とする政府資金のほかに、交付税会計の借入金におきまして、いま御審議いただいている法案によりましても新たに一兆九千億円近い借り入れをせざるを得ないというような状況でありまして、こういった様相が重なって、私どもも大蔵省とはずいぶんやり合ったわけですけれども、結果的に四〇%台になってしまったということでございます。
 しかし、私どもはこういう状況であってはならないということで、引き続きこの政府資金がより多く地方債に振り向けられるように努力をしていきたいと考えております。
#168
○田渕哲也君 政府資金の割合が低下するに伴って、民間資金による地方債の発行額がだんだん規模が大きくなっておるわけであります。現在大体二兆ないし三兆円の規模になっておりますけれども、これは個々に融資交渉をやっていてもなかなか大変であるし、完全消化もなかなかむずかしいというような状態になっておるわけであります。
   〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
昭和五十三年度から公営企業金融公庫において、公営企業に対するだけでなくて、地方団体の普通会計債の臨時地方道の事業等について融資することができるということになったわけでありますけれども、これをさらに拡大して普通会計事業債全般について融資できるようにするとか、そういう手段ができないものかどうか、いかがですか。
#169
○政府委員(石原信雄君) これは私どもは公営企業金融公庫が、できれば公営企業という頭がとれて、地方債全般を扱う金融機関として発展していただきたいという願望を強く持っております。
 そういった公営企業金融公庫の機能拡充措置の一環として、昭和五十三年度に大変大きな論争の末、いまお示しのような臨時三事業あるいは公営住宅事業等が公営企業金融公庫の融資対象事業として加えられたわけであります。私どもは今後ともこの公営企業金融公庫がさらに融資対象を広げまして、普通会計についても幅広く融資できるようにしていきたい、そういうふうに窓口への機能を拡充していきたいという希望を持っております。
 ただ、これにつきましてはいろいろな立場がありまして、特に大蔵省当局はこの公庫の機能の拡充といいましょうか、融資対象の拡大については大変強い難色を持っております。したがって、この問題については金融政策全体、金融行政全体との問題とも兼ね合いがありまして、なかなか簡単ではありませんけれども、私どもといたしましては、今後とも引き続きその融資対象範囲の拡大に努力してまいりたい、このように考えております。
#170
○田渕哲也君 それから利差臨特の問題ですけれども、これは五十七年度は当初収支の均衡が予想されておったから、これはないわけですけれども、それまでずっと地方債計画の総額の六〇%相当額まで政府資金の利率との差額を臨時地方特例交付金で見ておったわけでありますけれども、五十八年度からこれが総額の五〇%までダウンしておるわけであります。これはどうなんですか。今後ともこれは五〇%に落とすということなのか、そこの点はいかがですか。
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
#171
○政府委員(石原信雄君) この利差臨特につきましては、かつて昭和五十一年度から五十六年度までは地方債計画上六〇%までの枠について政府資金と民間資金との差を利差臨特で補給するとなっておったわけですが、この六〇%とした理由は、先ほどもちょっと申し上げましたように、五十年度当初の地方債計画まではおおむね地方債計画の六〇%まで政府資金が確保されておった、そういう過去の実績値までは政府資金並みの金利を確保しようという意味でこの利差臨特が設けられたわけです。
 ところで、いま御指摘のように五十七年度は収支均衡して、この利差臨特は一時お休みになったわけです。それで五十八年度再び政府資金比率が非常に下がったものですから、この問題の議論が出てまいりまして、私どもはでき得べくんばかつてのように六〇%という利差臨特の枠を確保したかったのでありますが、たまたま五十七年度の地方債計画における政府資金比率が五〇・五%であったということもありまして、かつまた国の財政事情も格段に厳しくなっているということで、この利差臨特方式の復活そのものを大蔵省当局非常に難色を示したわけですけれども、私どもはそれでは地方団体に対して説明がつかない、四割にも落ちてしまったことでは説明つかないということで大分議論したわけですが、結局それではということで五十七年度の地方債政府資金の実績五〇%というものを一つの目安にして、五十八年度について利差臨特を出そう、こういうことで対策を決めた次第であります。したがいまして経緯は五〇%、六〇%、理論的な根拠というのはそうあるわけじゃないですけれども、結局今日の国、地方の財政状況のもとで、そこまでは国に約束させた、そこまでを確保することにしたということでございます。
#172
○田渕哲也君 それでは、次に国庫補助金並びに負担金制度についてお伺いをしたいと思います。
 現在、国庫補助金、負担金の地方財政の歳入に占める割合は二十数%、比較的高いわけでありますけれども、これにつきましては零細補助金とか類似の補助金、あるいは事務手続の複雑さ、さらに地方自主性の阻害など多くの問題点が指摘され、その整理合理化が求められておるわけであります。同時に、この国庫補助金、負担金というのは国の依存財源による事務事業が非常に多くなる、これはともすると受益と負担との関係を不明確にする、あるいは行政サービスの実施に対する住民の過大な要求につながりやすい、こういう面もあるわけでありますけれども、自治省として今後この国庫補助金、負担金制度についてどのような考え方で臨まれるのか、お伺いをしたいと思います。
#173
○政府委員(石原信雄君) 国庫補助金、負担金につきましては、それぞれいろいろな経緯があり、また補助金によって制度の内容が違っておりますから、これ一概に一律に論ずることはできませんけれども、私どもはやはり基本的な認識としましては、地方公共団体が地域住民のために行う事業はなるべく地方公共団体が自由に使える財源、すなわち独立財源としての地方税あるいは調整財源としての交付税によって自主的に行使し得ることが望ましい、それが地方自治の見地からもまた資金の効率的な使用という見地からも望ましい、こういう考え方を持っております。こういった点につきましては基本的には臨時行政調査会あるいは地方制度調査会でも同じような認識に立っているものと承知しております。
 そこで、具体的には、じゃ、どのような方向で補助金制度の整理合理化を進めたらいいのかということでありますけれども、私どもは地方団体の事務事業としてすでに十分定着化しているもの、こういったものについてはなるべく一般財源に振りかえることが望ましい、それから補助金として存置する必要が非常に強いものにつきましても、なるべくその補助条件等は緩めて、いわゆる補助金の総合化、包括化、統合メニュー化、こういったものを拡充することによって地方団体が自主的に使える幅を広げるべきである、それから一般的に申しまして、いわゆる零細補助金というものについては思い切ってこれを整理するとともに、さらに今後財政再建の見地とも絡んで国庫補助負担金の整理が行われる場合には、基本的にはその対象事務事業の廃止縮減というものを前提にすべきではないか、このように考えております。
#174
○田渕哲也君 最後に、超過負担の問題について質問をしたいと思いますが、国が定めた補助負担基準が地方の実態と乖離しておる、これが超過負担を発生さしておるわけであります。
 本来国の補助金等の支出に当たっては、地方財政法第十八条に規定をしておりますように、地方団体がその事業を行うために必要で十分な金額として算定しなければならない。ところがこれが行われていないわけであります。したがって、地方超過負担の解消に当たりましては国と地方の共同で実態調査を行い、客観的な補助負担基準を定めるように措置すべきだと思いますけれども、この点はいかがですか。
#175
○政府委員(石原信雄君) 最近の財政再建、補助金の整理合理化、こういうムードの中で、とかく補助金を全体として枠を削る、圧縮するということが優先されまして、この超過負担の解消ということがどうも問題意識が薄れるのじゃないかという心配を私どもはいたしております。
 そこで、毎年度の予算編成に当たりましては関係省庁に対してこの点を強く注意を喚起しているところでありますが、特に具体の超過負担解消につきましては、私どもが自治省の立場で地方団体の意見を踏まえて主張するだけではなかなか実現しないのであります。そこで、毎年度計画的に非常に問題があると考えられる補助金、負担金につきましては、その補助金の所管省庁と、それから補助金を実際に査定する大蔵省と、それから私どもと、いわば三者で共同の実態調査を行う、そして地方団体の方にも入っていただいて実地について補助金の適否を判定し、それに基づいて必要な解消措置を講ずる、こういうような方式を最近はとってきております。
 五十九年度以降財政環境が大変厳しくなりますけれども、やはりどんなに厳しくても補助金が残る以上は超過負担はあってはならないわけでありますから、こういった解消方式は今後も堅持し、解消に努めてまいりたい、このように考えております。
#176
○田渕哲也君 終わります。
#177
○委員長(宮田輝君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(宮田輝君) 御異議ないと認めます。
 本案の修正について志苫君から発言を求められておりますので、この際これを許します。志苫君。
#179
○志苫裕君 私は「本案に対し、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合の共同提案に係る修正の動議を提出いたします。
 その内容はお手元に配布されております案文のとおりでございます。これよりその趣旨について御説明申し上げます。
 地方財政の財源不足額が恒常化して以来、すでに九年目を迎えておりますが、一向に改善の兆しは見られまぜん。この間政府は、地方交付税法の規定を無視しつつ、交付税及び譲与税特別会計における借り入れと地方債の増発を軸とする借金政策によってこれを措置してきました。
 しかしながら、昭和五十八年度の財源不足額の発生過程が示すように、本年度の財源不足は従来のそれとは大きく性質の異なるものであることが明らかとなっております。すなわち予算編成におけるマイナスシーリングのみならず、地方財政における自治体単独事業の前年同額への抑制など、二つの大きな抑制策のもとでなお発生した二兆九千九百億円の不足額は、いまや構造的な不足額そのものであることを示しております。
 したがって、構造的不足額に対するには構造的な制度改革をもって措置すべきであり、従来の借金政策の継続は厳に排除すべきであります。にもかかわらず、政府は交付税及び譲与税特別会計借入金の利子について新たな地方負担を導入するなど、従来の借金政策の継続の上に地方負担への転嫁を図ろうとしており、このような措置は断じて容認することはできません。
 われわれは地方財政の財源不足が前述のように構造的なものであることを注視し、地方交付税率の引き上げをもって措置することが、いま不可欠であるとの立場から本修正案を提出した次第であります。
 以上が本修正案の提案理由でありますが、次にその概要を御説明申し上げます。
 第一は、地方交付税率の引き上げについてでありますが、昭和五十八年度から地方交付税率を八%引き上げ、四〇%といたしております。
 第二は、交付税総額の特例についてでありますが、まず昭和五十八年度において臨時地方特例交付金を六千五百六十四億円交付することとし、交付税及び譲与税特別会計における借入金については二千八十四億円といたしております。
 第三は、交付税及び譲与税特別会計における借入金償還の利子についてでありますが、従前どおり国の負担といたしております。
 第四は、基準財政需要額の算定方法の改正についてでありますが、財源対策債の発行を取りやめることにより、土木費、教育費等について所要の改正をいたしております。
 以上が本修正案の提案理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#180
○委員長(宮田輝君) ただいまの志苫君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。山本自治大臣。
#181
○国務大臣(山本幸雄君) ただいまの地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合共同提案の修正案については、政府としては賛成いたしかねます。
#182
○委員長(宮田輝君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#183
○佐藤三吾君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、野党共同の修正案に賛成する立場から、政府原案反対の討論を行うものであります。
 地方財政は昭和五十年度を境にして財源不足を増加させております。これに対して政府は資金運用部資金からの借り入れや地方債の発行という借金政策によって糊塗してまいりました。このような借金政策はいつ果てるともない地方財政の泥沼化の様相を来していることは言うまでもありません。
 地方交付税法は、地方財政が引き続き著しく不足する場合は、税率の引き上げとか、制度の改正をすることを明定しております。今日の地方財政の状況を見れば、政府は同法の規定に沿って決断すべきであり、それはまた義務であると考えます。
 特に、昭和五十八年度の地方財政は、二兆九千九百億円という、まさしく構造的な財源不足を生じております。これに対する政府の補てん策は、地方債の金利差補給分を五〇%に引き下げ、地方債償還に対する自治体負担を強化する一方、交付税特別会計借入金利子について新たにその二分の一を自治体負担とするなど、借金政策の継続のみならず自治体への新たな負担転嫁を図っております。
 このような補てん策が構造的財源不足の状況を来している今日の地方財政について、それを打開するどころか、ますます危機を深化させるものであることは明白であります。
 以上、私は今日の地方財政の状況を直視し、地方交付税法に基づく税率を引き上げることを政府のとるべき態度であることを強く強調し、野党共同の修正案の実現こそ、その道であることを明らかにしたいと思います。
 私の討論を終わります。
#184
○松浦功君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、内閣提出の衆議院送付案に賛成し、野党四党の修正案に反対の意を表するものでございます。
 内閣提出案は、昭和五十八年度分の地方交付税交付金の所要額を確保するため、その総額について特例措置を講ずること、借入金の償還に当たっては、後年度の地方財政負担に配慮し、臨時地方特例交付金の繰り入れについて規定すること、基準財政需要額の算定方法に所要の改正を行うこと、交通安全対策特別交付金を基準財政収入額に算入すること等を主な内容とするものでございます。
 地方財政が昭和五十年度以降財源不足の状況にあり、したがって地方財政制度の抜本的改善を図り、その財政基盤を早く安定させるべきであるという強い要請がありますことは、過日の地方税法改正案の討論の際にも申し上げたとおり、十分承知をいたしております。私どもも基本的にはそのような展望を踏まえて最善の努力を尽くすべきものと思っております。
 しかしながら、公経済の一方を担う国の財政は、すでに百十兆円を超えようとする借金を抱えており、その財政再建が最大の政治課題となっております。地方財政の構造的改善を図るため、現時点で交付税率を引き上げるなどの方法によることはきわめて困難な状況にあります。
 国も地方も厳しい財政状況でありますが、もとより財政が苦しいからといって行政水準を低下させるということは許されません。この点について政府は地方財政計画の策定を通じ、住民の必要とする施策の実施に遺憾のないよう十分見通しを立てておられます。当局の努力を評価し、また今後の適正な行政運営をお願い申し上げるものであります。
 内閣提出案は、各種施策との整合性に配慮しつつ、地方財源の確保を図る等所要の改正を行おうとするもので、妥当な措置と思われます。
 経済は回復基調にあるとはいうものの、所得税の減税、人事院勧告の取り扱いなど懸案が山積しております。財政の見通しはなお明るくございません。公経済全体の見直しの中で、早く地方財政の基盤の安定が図られるよう期待しつつ、内閣提出案に賛成、修正案に反対いたすものでございます。
 討論を終わります。
#185
○大川清幸君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました内閣提出に係る地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対し、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党並びに民社党・国民連合提出の同修正案に賛成する立場から討論を行います。
 以下、その主な理由を申し上げます。
 第一は、財源不足の補てん方策に関するものであります。五十八年度の地方財政は、歳出を大幅に削減し、超緊縮型の計画を組んだにもかかわらず、なお二兆九千九百億円の財源不足が見込まれたのであります。昭和五十年度以来のこうした大幅な財源不足の状態は本年度で九年目を迎えるものでありまして、その恒常化は地方財政の構造的な欠陥を如実に示すものであります。
 しかし、この間の政府の対応は、地方交付税法第六条の三第二項の規定が命じる交付税率の引き上げ、または制度の抜本的改革の責務を放てきし、交付税特別会計の借り入れと地方債の増発によって糊塗してまいりました。五十八年度の地方財政対策はこうした従来の手法を安易にそのまま踏襲しようとしております。
 その結果、交付税特別会計の借入金残高の十一兆五千億円に地方債残高を加えた地方全体の借金の合計は実に五十七兆円に達するのであります。こうした借金の増加が借金のための借金を強いるという悪循環に追い込み、地方財政の弾力性を奪うものとなっていることは明らかであります。その意味で破綻を回避する積極的改革が望まれたものであります。
 しかるに本法案では、交付税率引き上げの代替措置であると政府が強弁していた借入金償還についてのルールからさらに後退し、元金に加えて利子についても地方の二分の一負担を導入しようとするものであります。この措置は国の財源難が理由とされてはおりますが、国の責任を地方にしわ寄せするものであります。
 窮迫する地方財政の現状を打開するためには、国、地方を通ずる行財政制度の抜本的改革が必要であります。その一環として、わが党を初め野党四会派の修正案のように交付税率を四〇%に引き上げるとともに、臨時地方特例交付金の増額によって対処することが地方財政の安定化につながるものであると確信いたします。
 理由の第二は、地方財政計画の役割りについてでありますが、五十八年度の地方財政計画は、歳入では地方税、地方交付税、国庫支出金がいずれも前年度を下回り、歳出でも公債費を除く各費目が削減されるなど激変しております。こうした急激な措置が住民生活に密着した行政の現場である地方自治体の行政サービスの低下となって重大な影響を及ぼすものであることは言うまでもありません。この点において、すでに地方財政計画の役割りとする地方財源保障機能、地方自治体財政に対する指導機能を喪失していると言わざるを得ません。
 第三は、国庫補助金の整理合理化についてでありますが、補助金は、国の縦割り行政の中にあって、地方団体の総合的行政運営を阻害し、また申請手続の繁雑さは地方自治体の事務の複雑化を招くなど問題が多いのであります。地方自治体の自主的かつ効率的な行財政運営を推進するため、極力これを整理し、一般財源化を図るべきであります。当面の措置として、類似ないし同一目的の補助金を地方自治体が自主的に選択できるメニュー化等が期待されておりましたが、五十八年度においては何ら見るべきものがありません。加えて補助金の件数においても減少があったものの、額においてはむしろ増大しているのであります。
 なお、五十八年度は、農業改良研究員などに係る職員設置費補助金が一般財源化されることとなっておりますが、同措置は一般財源化本来の趣旨である地方に対する財源の賦与を伴うものとはなっておりません。これでは一般財源化の名目による地方への負担の転嫁以外の何ものでもないことを指摘しないわけにはいきません。
 以上、理由を申し述べましたが、本法案の原案に反対し、四会派の修正案に賛成することを重ねて表明し、私の討論を終わります。
#186
○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となりました政府提出の地方交付税法の一部を改正する法律案に反対、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合共同提出の同修正案に賛成の討論を行います。
 附和五十年の石油ショック以降、大幅な税収不足に見舞われ、地方財政は急速に悪化の道をたどってきたのでありますが、この間、地方財政の再建に責任を負うべき政府は、経済情勢の見通しを誤り、かつ何ら抜本的な対策をとることなく、ただ借金を重ねる政策を実に九年間にわたり地方側に押しつけ、その責任を放棄し続けてきたのであります。
 政府提出の改正案は、この従来からの借金押しつけ政策を重ねるものであるばかりか、新しく、しかも際立った特徴をもって地方財政危機をさらに一層深刻化させるものとなっているのであります。
 すなわちその特徴は、国家財政の危機を理由に、第一に、従来から財源不足補てんのため一般会計より繰り入れられてきた臨時地方特例交付金を大幅に削減し、第二に、政府が負担すべき責任があり現に負担してきた過去の借入金の利子負担について、その二分の一を新たに地方側に転嫁する措置をとっていることであります。第三に、本年度の地方交付税総額は、政府の意図的な昭和五十六年度におきます税収の過大見積もり、すなわち粉飾予算の影響を受け、実に八千五百億円という交付税制度始まって以来の大幅な減額精算を余儀なくされたのでありますが、明らかに政府の責任に属するこの減額補てんについては臨時地方特例交付金による補てんを行うべきでありますが、政府はこれをいわゆる二分の一負担ルールによる借入金として措置し、何ら責任を負うべきいわれのない地方側に押しつけたのであります。
 これらの措置により、本年度の地方交付税はマイナス四・九%という制度始まって以来の減額となったのでありますが、まさに地方財政関係費の抑制という方針を打ち出した臨調路線にきわめて忠実に従った改正案となっているのであります。
 このようにして、地方交付税特別会計などにおいて地方側が未曾有の借金を抱えることになったのでありますが、これに対する政府の再建策は本委員会の質疑においても何ら具体的に示されることがなく、中長期の展望をも見出せないことが明らかにされただけなのであります。
 わが党は国民の犠牲となるこのような措置に同意することはできません。政府は軍事費の増大をやめ、地方交付税率の引き上げや税源の地方移譲など、地方財政の抜本改革を図るべぎであります。
 その点で、野党の共同修正案はこの抜本的な改革を目指して地方自治体の要望にこたえようとするものであり、賛意を表するものであります。
 以上で私の討論を終わります。
#187
○田渕哲也君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております政府提案の地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対し、野党の共同提案の同修正案に対し賛成の討論を行うものであります。
 地方交付税は、経済発展の地域的な不均衡による地方公共団体間の税収入のアンバランスを是正して財源の均衡化を図るとともに、交付の基準の設定を通じて、どの地方公共団体も同じ水準の行政が行えるように必要な財源を保障するという機能を有しております。国はこのような制度の趣旨を生かし、地方公共団体が必要とする安定的な総額を確保する責務を有しているものといえます。
 しかるに、現状を顧みれば、地方交付税特別会計は昭和五十年度以降交付税所要額より大幅に不足するという異常な事態が続いております。かかる状況は地方行財政制度の改正か、あるいは交付税率の変更を定めた地方交付税法第六条の三第二項に該当する事態ともいえます。しかし政府は、交付税特別会計の借り入れや財源対策債の発行といった緊急避難的、一時的な対策に終始し、抜本的な対策を何ら講じようとしていません。その結果、借入金の残高は五十八年度において十一兆五千二百十八億円の巨額に上り、地方債の残高も三十八兆九百十三億円に達するなど、地方財政を危機的状況に追いやったのであります。政府のこのような態度は許されません。
 したがって、この際、地方交付税制度の原点に立ち戻り、打ち続く交付税所要額の不足に対しては交付税率の引き上げによって対応すべきであります。民社党はこの観点から現行の交付税率を四〇%に引き上げるよう求めております。
 また、政府案においては、今年度交付税特別会計の借入金及び一時借入金の利子についてまで二分の一の地方負担を導入しております。国は地方公共団体の財源を保障する責務を要し、その責任を具体化したものが地方交付税制度であることからすれば、交付税制度の改革には手をつけず、逆に実質的な交付税率の引き下げを意味する利子の地方負担制度を導入することは言語道断であり、許されないことと言わざるを得ません。したがって、特別会計の借入金及び一時借入金の利子については全額国庫負担とするよう修正すべきであります。
 以上、政府案を野党共同提案の修正案にのっとって修正するよう強く求め、討論を終わります。
#188
○委員長(宮田輝君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#189
○委員長(宮田輝君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、志苫君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#190
○委員長(宮田輝君) 少数と認めます。よって、志苫君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#191
○委員長(宮田輝君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#192
○委員長(宮田輝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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