1982/03/24 第98回国会 参議院
参議院会議録情報 第098回国会 内閣委員会 第5号
#1
第098回国会 内閣委員会 第5号昭和五十八年三月二十四日(木曜日)
午前十時開会
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委員の異動
三月二十三日
辞任 補欠選任
杉山 令肇君 竹内 潔君
堀江 正夫君 秦野 章君
三治 重信君 柳澤 錬造君
三月二十四日
辞任 補欠選任
秦野 章君 川原新次郎君
桧垣徳太郎君 仲川 幸男君
柳澤 錬造君 三治 重信君
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出席者は左のとおり。
委員長 坂野 重信君
理 事
板垣 正君
大島 友治君
山崎 昇君
三治 重信君
委 員
岡田 広君
川原新次郎君
仲川 幸男君
山内 一郎君
勝又 武一君
野田 哲君
矢田部 理君
小平 芳平君
峯山 昭範君
安武 洋子君
秦 豊君
国務大臣
国 務 大 臣
(防衛庁長官) 谷川 和穗君
政府委員
防衛庁参事官 新井 弘一君
防衛庁参事官 西廣 整輝君
防衛庁参事官 友藤 一隆君
防衛庁参事官 冨田 泉君
防衛庁長官官房
長 佐々 淳行君
防衛庁防衛局長 夏目 晴雄君
防衛庁人事教育
局長 上野 隆史君
防衛庁衛生局長 島田 晋君
防衛庁経理局長 矢崎 新二君
防衛庁装備局長 木下 博生君
防衛施設庁長官 塩田 章君
防衛施設庁次長 森山 武君
防衛施設庁総務
部長 伊藤 参午君
防衛施設庁施設
部長 千秋 健君
防衛施設庁労務
部長 木梨 一雄君
外務大臣官房外
務参事官 山下新太郎君
外務省北米局長 北村 汎君
事務局側
常任委員会専門
員 林 利雄君
説明員
警察庁刑事局捜
査第一課長 三上 和幸君
国土庁地方振興
局総務課長 桝原 勝美君
法務省刑事局刑
事課長 飛田 清弘君
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本日の会議に付した案件
○昭和五十八年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和五十八年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和五十八年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
(総理府所管(防衛本庁、防衛施設庁))
○理事補欠選任の件
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#2
○委員長(坂野重信君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。予算委員会から委嘱がありました昭和五十八年度総予算中、総理府所管のうち防衛本庁、防衛施設庁を議題といたします。
予算の説明につきましては、さきの委員会におきましてすでに聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○板垣正君 私は、いろいろお伺いしたいことはございますが、きょうは、いわゆる自衛隊のクーデター未遂事件、この問題にしぼっていろいろお伺いをいたしたいと思うのでございます。と申しますのは、御承知のとおり、これは去る二月二十一日の衆議院の予算委員会において、楢崎委員の発言によって突然飛び出した問題であります。しかし、いやしくも国会の場において、そしてきわめて具体的な内容を伴うその計画なり、それが未遂に終わった経緯なり、あるいはそのために処分が行われた、そういうようなことについていろいろ述べられたことはきわめて重大であります。現在の民主主義社会、議会制民主主義のもとにおいてあり得べからざること、絶対にあってはならないことであるとともに、いやしくも軽々しくこうした問題が扱われるということについては、これは国民の自衛隊に対する信頼、それから日夜訓練、任務に精励している自衛隊の名誉にかけてもきわめて重大な問題であると言わなければなりません。そういう点におきまして、すでに防衛庁からは、こうした事実は確認されない、事実無根であった、こういう正式の報告はなされたわけでありますけれども、しかしまだその真相、背後関係、そうした面におきましてすっかり解明されているとは言えないのではないか。
そこで私は、まず第一番目に、あの二月二十一日の楢崎発言に対して、政府としてこれを調査する、こういう立場で調査をされ、そして三月二日の同じく衆議院予算委員会において、事実はなかったという官房長官からの報告があったわけでございますが、しかし内容的にはきわめて簡単な御報告にとどまっておるわけであります。したがいまして、国会の場において、じゃどういう具体的な調査をされたのか、そしてどういう筋道をたどって、こうした事実はない、事実無根であるという結論に達せられたか、その辺について具体的にまずお伺いいたしたいと思います。
#4
○国務大臣(谷川和穗君) 防衛庁は、昭和五十八年二月二十一日、衆議院予算委員会におきまして楢崎議員から質疑のありました自衛隊員によるクーデター計画について、指摘された当時の陸海空幕長のほか関係部隊の指揮官、幕僚、警務関係者に対しまして事情聴取等を行うなどいたしまして事実関係を調査いたしましたが、指摘されたような計画は存在いたしませんでした。なお、ただいま御指摘にもございましたので、この言われるところのクーデター計画に関する具体的な調査その他につきましては、政府委員から答弁をいたさせます。
#5
○政府委員(上野隆史君) 本件の調査に関しましては、以下申し上げるような項目につきまして調査を行ったわけでございます。まず第一に、いわゆるクーデター計画と言われておりますもので、決起部隊、こう称されております陸上自衛隊の第十師団等々におきまして、当時隊員の任免権あるいは懲戒権等を持って隊員を指揮監督する立場にありました幕僚長以下中隊長
クラスまでの各級指揮官、幕僚がクーデター計画についての情報を当時把握しておったかどうかという点であります。
第二点は、クーデター計画が未遂に終わった原因は、警務隊が決起寸前の五十五年の四月ごろにクーデター計画に関する情報を入手して動いたということによる、こう指摘されておりますので、警務隊がそのような情報を入手して事情聴取等、そういう捜査をしたかどうかということであります。
第三点は、クーデター計画に関与したとされております第十師団の中隊長等に対しまして、図上演習の行き過ぎという理由によって配置転換や懲戒処分が行われた、こう指摘されておりますので、そのようなことがあったかどうかという点であります。
それから第四は、クーデター計画に使用されることになっておったナパーム弾等、こういう装備品の保有状況がどうなっていたかということであります。
こういうような具体的な楢崎議員からの御指摘に対します各項目につきましての調査結果を以下申し上げます。
陸上自衛隊の第十師団、これは守山等六個駐屯地に配置されております。それから第一空挺団、海上自衛隊の大湊地方隊、航空自衛隊の第一術科学校、これらが決起部隊とされておりますので、これらの部隊と、これらの部隊の隊務を統括し、隊員の服務を監督する上級機関である陸海空幕僚監部、東部、中部方面総監部、航空自衛隊の術科教育本部で隊員の任免権、懲戒権等を持ち、隊員を指揮監督する立場に当時ありました幕僚長、方面総監、地方総監、学校長以下中隊長クラスまでの各級指揮官、幕僚百九十名に対しまして指摘事項の有無を確認いたしましたけれども、百九十人全員が計画の存在を否定いたしました。
それから第二項目でありますが、警務隊がいわゆるクーデター決起寸前の五十五年四月ごろにその計画に関する情報を入手し、事情聴取等捜査に着手したのでクーデター計画は未遂に終わった、こう言われておりますので、陸海空の警務隊本部のほか、決起部隊等を管轄する陸上自衛隊の習志野、守山地区の警務隊、海上自衛隊の大湊地方警務隊、航空自衛隊の浜松地方警務隊の当時の幹部二十四名に確認をいたしましたが、全員、そのような情報に接したことも、事情聴取等の捜査活動をしたこともない、こう申しております。
それから質疑では、連行されて事情聴取を受けた者は下士官ばかりである、そして処分の対象になった総員は百十二名である、こう指摘をされております。御質疑の内容にやや難解なところもございますけれども、いずれにいたしましても、事情聴取等捜査に着手したといたしますれば、膨大な量の供述調書等、文書が残っているはずでございますけれども、そのような文書が保存されているという事実がございません。警務官は各駐屯地、基地に分散して配置をされておりまして、一つの駐屯地、基地に配置されておる警務官はおおむね五人程度にすぎません。したがって、これらの地方警務隊員が多人数の被疑者を取り調べるという場合には、他の地方から警務官を動員してこれに支援させるということが通常でございますけれども、警務官がそのような出張をしていたという形跡はございません。
第三の項目でありますが、決起部隊及びこれらの部隊を統括する上級司令部の指揮官、幕僚も、警務隊の幹部も、計画の存在を全面的に否定しておりますので、図上演習の行き過ぎという名目で配置転換や処分が行われるということはあり得ないと考えられるのでありますけれども、計画が発覚したという五十五年四月以降のいわゆる決起部隊に係ります人事異動、また懲戒処分につきましても、五十五年度を中心に実情を調査いたしました。
人事異動につきましては、在任期間が短期で配置がえになった者、この短期と申しますのは、おおむね一年半以下を短期と見てそれを調べてみたのでありますが、その者たちの異動理由、これにつきましては経歴管理でありますとか、通常の入校でありますとかということでありまして、楢崎委員御指摘の、第一線勤務から外されて閑職に回わされたと、そういう者がおると、こういうことでありますが、そういうような者はございません。特異な人事発令の事例は見当たりませんでした。また、五十五年度に退職した者は約五十名おりますけれども、その大部分の者は停年退職でございます。それから健康上の理由によるという者が二名でございまして、特異な事例は見当たりませんでした。また、第十師団の当時の、御指摘によりますと、大隊長補佐中隊長が問題を提起したとなっておりますが、大隊長補佐中隊長という職名はございません。しかしながら、第十師団、空挺団の副大隊長、中隊長に当時在職しておりました六十三人の異動状況も調べました。これらにつきましても特異な事例は見当たりません。
懲戒処分につきましては、いわゆる決起部隊所属の三曹以上で懲戒処分を受けた者は二十四人でございます。このうち、御指摘のような架空の処分理由によって処分されたという者はおりません。たとえば申し上げますと、そのうち十七人は刑事事案に該当して処分をされた者であります。これにつきましては検察庁、警察等も当然入っておりますのでごまかしようがございません。たとえば交通事故あるいは酒酔い運転等々でございまして、処分理由は明確でございます。
ナパーム弾につきましては、当時ナパーム弾がいわゆる点火器を欠いておりまして、これを作動させるということはできません。もっともナパーム弾につきましては、後日楢崎先生からその点につきましての取り消しがございましたので、詳細申し上げることは省略さしていただきます。
以上、各項目のいずれにつきましても計画の存在を確認できるものがございませんでした。
そういう調査結果によりまして、私どもといたしましては、いわゆるクーデター計画というものは存在しなかったという結論に達したわけでございます。
#6
○板垣正君 楢崎委員の言うことがときどき、その二十一日とまたその後変わってきているわけですね。これは三月七日に記者会見をした楢崎委員の資料ですけれども、決起部隊、これの人数は九千名から一万名ということが国会では言われたわけですね、決起部隊、参加部隊が。それで十師団が中心であると。この資料によりますと、十師団だけじゃなくて一師団――東京ですね、七師団、千歳、八師団これは熊本、十師団のそれぞれ一部とそして特に八師団が強硬であったと。それに第一空挺団、第一教育団、そのほか海幕、空墓等についてもいろいろな部隊の名前が具体的に、これは記者会見の場でございますけれども資料として出ている。こういうことについてはその後調査されたわけですか。#7
○政府委員(上野隆史君) 楢崎先生の当初御指摘になった部隊につきまして調査をいたしました結果、先ほど申し上げましたようにそういうクーデター計画はないという結論に達しまして、その結論を覆すような新しい事実の指摘というふうには私どもは受け取りませんでした。その後御指摘になった点につきましては、ただ部隊の数がふえたということでございまして、いわば問題の量的な拡大はあったかもしれませんけれども、質的にこういう計画があったと、つまり一つのクーデター計画ということで、たまたまその中の、その後の御指摘が部隊の数がふえたということでございますので本質的には変わらないと、クーデター計画の質は変わっていないという判断に立ちまして、その後御指摘のあったいろいろな部隊につきましての調査はいたしておりません。その調査の必要を私どもは認めておりません。#8
○板垣正君 私もそれを理解できるわけです。結局計画の全体、きわめて荒唐無稽というか非常に信憑性がない。それもいまの調査結果によっても裏づけられたと思うわけでございます。また当然であります、それは。にもかかわらず、その後の委員会、記者会見等を通じて、楢崎委員は依然としてこれはやはり事実があったんだということを主張し続けている。しかも、自分は現職の第一線の自衛隊員と連絡をとっているんだと、そのことはもうはっきり申し上げておくというようなことを言っているわけですね。察するところ、やはり何かこう自衛隊の中で、あるいは自衛隊をやめた人か、いずれにしましても特殊な関係を持っていろいろな情報を提供している。それで楢崎委員は、その言われたままのことを国会で言い、また、訂正されるとまたその幅を広げたり狭めたりして物を言っている。私はこれはきわめて無責任な重大なことだと思うわけです。
そういう点について三月七日の記者会見において、むしろ逆に、そうしたら自分に連絡をとっている者に弾圧がかかると、そういうようなことを実際警務隊が連行して調べたことがあるかどうかというようなことを言っているわけです。当然私はそういうことが行われてしかるべきだと、防衛庁はそうした特殊な関係で情報を提供している、いわば告発者と言われておる、これを特定しているんだと、こう楢崎さんは言っているわけですね。しかしそれは、そのことがはっきりすると上の方の責任になるので防衛庁は伏せているんだということを言っている。この辺はどうでしょうか。防衛庁としてそういうことももうすでに調査を終わって、ありませんと言って済まされる問題かどうか、その点をお伺いいたしたい。
#9
○国務大臣(谷川和穗君) 事実の関係につきましては政府委員から答弁をいたさせますが、いやしくも仮に存在しなかった事件をあたかも実在したかのように、いわゆる告発という言葉が当たるかどうかは存じませんが、内部でそういう行動が行われて、そしてしかもそれによって自衛隊に対する国民の信頼を著しく踏みにじるような行為を行った者がもし仮に内部にあったとすれば、これはゆゆしき問題だと私は考えておりますが、今回の事件に関する限り、現職の自衛官が告発しておると楢崎議員の御質疑の中に出てきたのでございますけれども、現在のところ、そういう行為を行った者があるかどうかは別として、自衛官であるかどうかがはっきりいたしませんし、したがって防衛庁としては所要の措置をとることができない状況にあります。私どもは、後ほど政府委員から答弁があろうかと存じますが、少なくとも防衛庁内部の調査によってクーデター計画そのものが実在していなかったと、こう判断をせざるを得ない、こう考えておるわけでございまして、したがって内部からどういうようなものがどういう状態に起こっておるのか、どういう形でどうなったのかという事実関係につきましては、先ほど申し上げましたような形で、自衛隊内部の者であるのか、自衛官であるのかどうか、それすら判明をいたしていないという実情でございます。
#10
○板垣正君 それからこれに関連して、楢崎委員も初めはクーデターというような大ぶろしきを広げて、それからそれは主なメインじゃないんだ、本当はもっと重大な問題があるんだと、こう思わせたっぷりにやって、次に持ち出してきたのがT2の問題ですね。T2が欠陥機であるという、棺おけ飛行機だというようなことを公然と言っている。これはこの場でT2の性能、そうした問題が事実上どういうことになっているのか、はっきりしていただきたいと思います。#11
○政府委員(冨田泉君) 先般来楢崎議員からの御質疑がございまして、また衆議院の予算委員会の分科会におきましても同様のお尋ねがありましたときに、私どもの上野人事教育局長がたまたま出席しておりました関係で、若干の関係につきましての御答弁はしておるわけでございますけれども、なおこの際、せっかくの機会を与えられましたので、T2欠陥説につきましての釈明をさしていただきたいと思います。高等練習機T2は、戦闘機のパイロットを養成するために、その戦技及び操縦の基本的な教育をするために昭和四十二年度から四十八年度の間開発をされたものでありまして、開発の全期間にわたりまして十分な入念なテストをいたしまして、良好な飛行性能と飛行特性を有する航空機として領収されたものでございます。
まず、この性能及び機能の万全を期するために設計段階におきましても十分な風洞試験を行い、また電子計算機を使いましたシミュレーターによりましてあらゆる角度からの試験をやっておりまして、その性能が十分所要のものを満足するということを確認しておるわけでございます。
ちなみに、この全飛行領域と申しますのは、失速速度と称しております百二十ノット前後から最高速度の一・六マッハという範囲、あるいは高度にいたしますれば五十フィートから五万フィートという範囲につきまして十分に入念な実飛行試験をいたしております。その飛行試験は、全期間にわたりまして約七百時間にわたりまして実フライトの試験をしておるわけでございまして、その間若干の手直しはございましたけれども、すべて手直しを終了いたしまして、十分安全な、要務にたえる飛行機として認定されておるわけでございます。
また、昭和四十九年度からT2は取得を開始いたしまして、現在七十六機保有しておりますが、そのいずれにつきましても重大な欠陥があるという意見具申はございません。そのような機材及び運用につきましての意見具申をする道といいますか、そういう方式は自衛隊の中に確立されておりまして、若干でもそういう懸念がある場合にはすぐ手続をとって上申がなされるということになっておりまして、その段階におきましても、細かい改善点はございましたけれども、重大な欠陥というものは発見されておらないわけでございまして、またT2は他の同種の航空機あるいはジェット練習機と比べましても事故率は低いということが、これは先般航空幕僚監部から記者会見におきまして公表いたしておりますけれども、T2の事故率は四・五回、これは十万飛行時間当たりの事故率ということで表現しておりますけれども四・五、それからF4が六、F104が八・二というぐらいにT2の事故率というのは小さいということでございまして、そのような全般的な状況から見ましてもT2の欠陥説は当たらない。むしろわれわれはT2は十分優秀な、りっぱな練習機であるというふうに確信しておるわけでございます。
#12
○板垣正君 もう時間ありませんので、結論的に二点についてお願いいたしたいと思いますが、その一つは、やはり依然として楢崎委員が、この十日後に何かがあらわれるとか月末に何かあらわれるとか、国会のこの三月七日のいまの分科会においても、非常に重大な問題がある、事と次第によっては最高のポストまで及ぶのだと、責任が及ぶことになると。それで、東京新聞に出た、いろいろな新聞に出るのはその自分が言っておったいろいろなことが起こってくるというあらわれだというようなことで、このまま進めば政府の責任が逃れられないようになるよというようなことを言っておる。そうして、はっきり国会の場で、複数の正式の現職の自衛官と自分はつながっているんだということを言っておる。そうである以上は、私は防衛庁はどうもなまぬるいんじゃないか。さっき御報告のあった綿密な調査をされたかもしれませんが、事柄はきわめて重大であります。自衛隊の信頼にかかわる、国の民主主義の根幹にかかわるこういうような問題について、一国の国会議員が、いかに国会議員の責任は問われないとはいいながら、だからこそ本当に責任ある言動をしなければならない人から、調べればまさに荒唐無稽なことが言われておる。あるいは根拠のないことを言われて、しかもそのことがいろいろな形で世間の不安を誘っている。一般の国民はそういう事情までよくわかりませんから、何かやっぱりあるんじゃないかと、あるいは制服の中からも、われわれは物は言えないんだと、国会の場で出たことは国会の場でどうかはっきりしてもらいたい、こういうことが強く私どもの耳にも入ってまいります。これを決着づけるのは、いわゆる告発者と称されている者の正体を一日も早く防衛庁の手で、防衛庁の手が及ばなければ警察の手によってでもこれははっきり明確にすべきではないか、そのことによってまさにこの問
題の真相を国民の前に明らかにすることがこの問題にとって私は緊急のことであると思います。
もう一点は、いま申し上げてきたように、楢崎委員の言動はきわめて遺憾であります。こういうことについて、きょうは官房長官にお願いしたのをどうしても来れないというので大変残念なんですけれども、防衛庁としてあるいは政府として抗議をするといいますか、抗議の意思表示をあらわすというか、そういう措置すら私は必要でないかと思う。これはいずれ国会は国会として、この問題はあいまいなまま、言いたいことだけ言って、それで世間を騒がして、自衛隊の信頼を失わして、そのままで済まされるような問題では絶対あってはならないと思う。
そういう点において防衛庁長官の御決意、お考えを最後に承って、終わりたいと思います。
#13
○国務大臣(谷川和穗君) 私は防衛庁長官として、実力集団でございまする自衛隊を預かっておる、統括をいたしております。しかし、この場ではっきり申し上げさせていただきたいと存じますが、あくまで民主主義社会においては政治が軍事に優先をしなければならぬ、この原則はかたく防衛庁、自衛隊挙げて、一致して信念として持ち続けておるものでございまして、今後ともそのような自衛隊であると私は確信をいたしております。今回の事件に限って申し上げますと、私どもは国会で御指摘のあったクーデターの計画の有無、その事実についてまず調査をいたしたのでございまするが、先ほど政府委員から御答弁させていただきましたように、あらゆる角度からあらゆる努力をいたしまして詳細に調査をいたしましたが、その事実はございません。全く存在をいたしません。
その次に申し上げさせていただきたいのでございまするが、仮に楢崎委員が御指摘のような防衛庁、現職の内部から告発があったとするならば、私どもといたしまして、その告発者が明らかになった時点では、だれが一体どういう動機で、どのような目的でこのような行為をいたしたのかを検討して、その対応を検討いたす覚悟でございますが、現時点におきましては、果たして内部の者であるものかどうか、それすら判明をいたしません。
最後に申し上げさせていただきますが、私どもといたしましては、あくまで国会の中で起こった事柄でございます。したがいまして、これから後、ただいま御指摘のありましたようなものにつきましては、国会の中での御審議その他の経過によって結論づけられますことを期待いたしておるところでございます。
#14
○山崎昇君 わずか三十分ばかりでありますから、三点ほどきょうは基本的なことをお伺いをしておきたいと思います。第一点は、御存じのとおり、わが国の防衛計画というのは、昭和三十三年から第一次防が始まりまして、四十七年に第四次防が終わると同時に、現行の防衛大綱というのが五十一年の十月二十九日に閣議決定になったわけです。この防衛大綱というのは、私ども今日まで説明を受けた限りでは、これは平和時における基盤的防衛力の整備だと説明を受けているわけなんですが、今日もこの防衛大綱の性格について変わらないのかどうか、まずこの点お聞きをしておきたいと思います。これは長官からちょっと聞いておきます。
#15
○政府委員(夏目晴雄君) 昭和五十一年の十月二十九日に防衛計画の大綱が国防会議、閣議で決められまして、自今この防衛計画の大綱というのは、わが国の防衛力の整備、維持運用のいわゆる基本的な方針といいますか指針ということで私ども考えておりまして、現在でもこの防衛計画の大綱の水準を達成するために防衛力の整備を進めているということは御案内のとおりでございます。また、この防衛計画の大綱というのは、ただいま御指摘がありましたように、いわゆる基盤的防衛力構想というものをもとにしております。この基盤的防衛力構想というのは、簡単に申し上げれば、各種の機能において欠落がないこと、正面、後方ともにバランスのとれたもの、そしてそうした能力をもって警戒監視態勢が十分とれるということ、さらにはこうした能力をもっていわゆる限定的小規模侵略に対処し得る、原則的には独力で対処し得るということ。五番目には、わが国をめぐる情勢に重大な変化があった場合には、新たな防衛体制に移行し得る基盤的なものということで考えておりまして、この防衛計画の大綱が持っている基盤的防衛力構想というものは現在でも変わりがないというふうに考えております。
#16
○山崎昇君 いま局長から答弁ありましたが、平和時における基盤的防衛力ということでありまして、たとえば当時立案されました久保さんとまた防衛庁におられました海原さんとの対談集というのを私読ましてもらいました。これによりますというと、脅威対抗論から平和における基盤的な防衛力をある程度決めるのがこの要綱であって、言うならば最近はやっております有事なんぞというものを想定している防衛整備計画ではない、こうわれわれ考えるわけなんです。その性格が変わらぬとすれば、私はいま防衛庁がやっているいろんなことについて多少疑問を持たざるを得ない。基本的にそういう考え方を一つ持ちます。それから、さらにきょうお聞きをしておきたいと思いますのは、これが昭和五十一年に閣議決定になったわけでありますが、五十二年の四月の十五日に「防衛諸計画の作成等に関する訓令」というのがつくられまして、そして防衛庁ではこの訓令に基づいていろんな作業が行われているんじゃないか、こう思うのです。この訓令によりますというと、第三条は防衛計画の種類が述べられておりまして、一つは統合長期防衛見積もり、二つ目が統合中期防衛見積もり、三つ目が中期業務見積もり、四つ目が年度業務計画及び年度の防衛、警備等に関する計画と、こうなっています。したがいまして、この長期防衛見積もり、これは第六条に規定されておる。中期防衛見積もりは第八条で規定されておる。中期業務見積もりは第十条で規定されています。
ところが、国会で議論いたしますのは中期業務見積もりだけでありまして、その基本であります長期計画並びに中期計画については国会にそれが出されない、明らかにされない。この性格をおたくの方でつくられました解説書等で読んでみましても、たとえば統合長期防衛見積もりの場合には、作成する年度の八年後の情勢を見ながらつくると、こうなっている。中期の計画につきましては、原則として作成する年度の翌々年以降五年間を対象にすると、こういう。中期業務見積もりは、原則として作成する年度の翌々年以降五年間を対象だという。いずれも、中期業務見積もりというのは統合中期がその基本であり、中期はまたその上にあります長期の見積もりが基本になっている。
こう考えますと、いま防衛庁でやっておられますのは、防衛大綱に基づいて五六中業のことだけ議論されておりますが、この五六中業と、訓令に基づいております長期、中期の見積もりと防衛大綱との関係は一体どういうふうにわれわれ理解したらいいんだろうか。私は大変疑問に思っています。もっと極端な表現を使えば、防衛大綱というものに基づいてとは言っておりますが、実際は第五次防であり第六次防であり、いまや防衛大綱というのは内容的に変質をしているんではないんだろうか、こうさえ考えられる節もあるんですが、いま局長から答弁ございましたが、もう一遍、この防衛大綱の性格について、そしていま申し上げましたように、この訓令との関係について御説明を願いたい。
#17
○政府委員(夏目晴雄君) まず、先ほどの御質問に関連して、いま山崎委員の方からいわゆる平和時の基盤的防衛力構想というふうなお話がございました。いわゆる脱脅威か脅威対処論かというふうな話に関連しての御指摘があったわけでございますが、私ども、この防衛計画の大綱というのは基盤的防衛力構想を基本にしているということはそのとおりでございますが、いわゆる平和時の云々いうことになるとちょっとその性格が必ずしもはっきりしておりませんので問題だと思いますが、一つは、まず防衛計画の大綱というのは必ずしも脅威対処の立場に立っていないものではない。すなわち、あくまでも防衛計画の大綱というのは、先ほど申し上げたような機能的に欠落のないもの、あるいはバランスのとれたもの云々というようなことを申し上げましたが、そうした能力をもって限定的な小規模には独力で対処するというふうなことを申し上げたわけでございまして、そういう意味では、ある意味で脅威対抗の立場というものもある程度加味してある、全くそういうものを考えていないわけではないということが第一点でございます。
それから防衛計画の大綱とこの訓令に基づくもろもろの見積もりなり計画との関係について申し上げれば、この防衛計画の大綱というのは、いま御指摘のように五十一年の十月二十九日に決められまして、現在防衛庁が防衛力の整備、維持運用の基本的な指針として準用しているということはそのとおりでございます。
そこで、そうした防衛計画の大綱というものはつくられましたが、これはいわゆる年次を限ったものでは――従来の防衛力整備がたとえば三年とか五年とかいうふうな年限を切って主として防衛力の整備を中心にした計画であったわけですが、この防衛計画の大綱は、中を見ていただけばおわかりのとおり、単に防衛力整備だけでなくて、いわゆる維持運用についての基準を示している。しかも年限の規定がないというふうなことでございます。そこで、防衛庁としては、この大綱というものが定められたことに伴いまして、隊務の運営を効率的に行う、業務を効果的、能率的に行うという見地から、この翌年の四月十五日にこうした訓令をつくりまして、将来の国際情勢、内外の情勢というものを掘り下げ、そうした情勢に基づいていわゆる中期の防衛力の質的な方向あるいは重点事項というものを検討いたしまして、そして最終的にはそれが毎年の年度の防衛力整備の具体的な手順、あるいは予算の裏づけになるような年度の業務計画に徐々にブレークダウンして持ってくるというふうな計画システムというものをつくったわけでございます。
そこで、いま御質問の一番のポイントになると思われる、大綱と長中期の関係について申し上げれば、まず、一番長期のものとしては統合長期防衛見積もりというのがございまして、これはいわゆる八年以後大体十年ぐらい先の内外の情勢というものを見通しまして、主として防衛力のいわゆる質的な方向というものを研究したい。この中心は、あくまでも軍事技術の発達というものを見越した将来のいわゆる研究開発を中心にした防衛力の方向というものを見定めるというのが主たるねらいでございます。しかし、十年間という長期間を前提にしておりますので、相当茫漠とした形にならざるを得ないだろう。
そうしたものを受けまして、さらに将来の五年間ぐらいのものを見通して、防衛計画の大綱に規定されましたところの諸情勢をさらに掘り下げまして、防衛力のいわゆる構想あるいは重点事項というものが大綱と比べてそごがないのかどうか、それでいいのかどうかということを検討しておるというものがいわゆる統合中期防衛見積もりでございます。そうして、その統合中期防衛見積もりというものを受けて、防衛力の実際的な整備内容の計画とも言うべき中期業務見積もりというのが定められている。しかも、これらの長中期の計画というのは、あくまでも大綱の水準をできるだけ早く達成するという基本的なラインの中の、枠の中の計画体系でございまして、言ってみれば防衛計画の大綱というものをできるだけ早く計画的に整々と進めたいというふうなねらいに基づいたものでございます。
#18
○山崎昇君 きょうは時間ありませんから、あなたとはそう私は討論やりませんが、そうではありませんよ。当時立案されました久保さんと、さっき申し上げましたが、海原さんの対談、「現実の防衛論議」という本がございまして、これで久保さんがきちっと述べている。相手方の一定の意思と能力をにらんで対応策を考える、これが基盤的防衛の整備であって、平和時の防衛力である。「どのような国も日本に対して本格的な武力行為は、見通し得る将来にわたってしえないであろう。」という想定のもとに防衛計画大綱というのがつくられておる。それが変わらぬとすれば、いまあなた方がやっているような有事がどうだとか、そういうものは私はこの大綱が事実上変質しているんじゃないか、こう思わざるを得ないということをきょうは申し上げておきます。さらに、この訓令では、防衛大綱を基準として長期のものも中期のものもつくりなさいと、こうなっている。基準になっている。いまあなたは範囲内と、こう言。う。そうじゃないんです、この訓令で言うと。
それからもう一つあなたに申し上げておきますが、統合中期防衛見積もりと中期業務見積もりは、同じく三年後五年間を対象としてやるというと重なります、これは。どこが違うんです。手続的に言えば、防衛大綱がいきなり中業になるわけじゃないんです。これは私はやっぱり明らかにいずれはしなければいかぬと思いますが、きょうは時間がありませんから、問題点だけ指摘をしておきます。
そして、一番最後になります中期業務見積もりだけが国防会議の決定になる。そのもとになる中期の見積もりも長期の見積もりもこれはあなたの方だけで知っておって、国会にも明らかにならない。国民もわからない。国防会議も知らぬ。そんな計画のあり方はないのではないか、私はこう思います。しかし、きょうは時間ありませんから、この点だけは重ねてあなたに私は指摘をしておきたいと思うんです。いずれ本格的な論戦の場があろうと思いますから、そのときにまた重ねてこの問題は指摘をしたい、こう思って、この点はこの程度にきょうはとどめておきたいと思うんです。
それから第二点として質問をしておきたいのは、最近自衛隊の汚職あるいはその他の事件、これが大変多い。特に一番ひどかったのは、北部方面総監部によります自衛隊の試験漏洩事件、かなり私も資料を集めたつもりでありますが、この事件が深刻な影響を与えた。さらにその後、ここに去年の一月以降の事故だけ洗っておりますけれども、相当な事故であります。特に最近は覚せい剤による事故というのが陸も海も発生をしてきておる。これはゆゆしいことではないだろうか。防衛庁はこういう一連の事故に対して調査もされ、処分もしたんでしょうが、もう一度この場で明らかにしてほしいと思う。
特に私は、いまから四、五年前だと思いましたが、北海道の視察の際に札幌で幹部の皆さんと懇談する機会がありました。そのときに第一線の指揮官が私どもに言うのは、技術の練磨というのは時間がたてばある程度やれる。一番これから困難だと思うのは、隊員の士気をどうやって維持するかということが一番困難な問題ですと僕らに訴えられた。これはずっと緊張度を続けていかなければならぬのですね。そういうときに、一部であれ、これだけ最近事故、汚職、ましてや一番深刻な覚せい剤の問題が出てくるに及んでは士気どころの騒ぎではない。どんなにりっぱな大砲を与えようが軍艦を与えようが、意味がないじゃないでしょうか。そういう意味で、一連のこれら自衛隊をめぐる汚職の問題についてどう処置をされて、今後またどうこれに対処をしていくのか、時間が余りありませんが、簡潔にひとつ説明を願いたいと思う。
#19
○政府委員(上野隆史君) 隊員には平素から、自衛隊法の服務の本旨であります自衛官の心構え等に準拠いたしまして、自衛隊の任務の理解と隊員の使命の自覚、徳操教育による個人の充実、規律の厳守、団結の強化等について一生懸命指導、教育をしておるところでございます。特に服務規律の保持につきましては、隊員の心情を的確に把握し、カウンセラー制度等も活用してきめ細かく指導、教育し、遺漏なきを期しているところでございますけれども、服務規律違反事件が発生していることはまことに遺憾に存じております。これにつきましては、発生の都度適切な改善措置、指導等について通達その他しておるところなんでございます。
なお処分、いわゆる遺憾な事件が起こりますれば当然懲戒処分ということになるわけでございますが、その懲戒処分の年度別の推移を御参考までに申し上げますと、四十九年度は五千人ございましたけれども、その後ずっと減っておりまして、五十五年度は約千六百人ということでございましたところ、五十六年度はこれ御指摘のとおりややふえまして、約二千四百件程度にふえております。
覚せい剤のことにつきまして特に御指摘がございました。自衛隊に入ってまいります若い人たち、やはりこれは世間一般、普通の青年でございまして、世の中の風潮というものと同じような思考傾向をとります。覚せい剤につきましても、世上一般に最近はそういう事案がふえておりますので、やはり若い隊員も入ってまいりますので、そういうようなものに影響される度合いが多いんではないかというふうに存じております。しかしながら、そうでいいとは決して思っておりませんで、特に覚せい剤につきましては、その恐ろしさ等々につきまして十分な指導を行っておるつもりでございます。
#20
○山崎昇君 そこで、それに関連しまして、私は隊員の採用に問題が一つあるのではないだろうか、こう考えます。それは、実は昨年の十一月に北海道で、高等学校教職員組合とそれから北海道にあります私学教職員組合の共催の教研集会というのがございました。この席上で札幌商業高校の先生から指摘をされました。どういうかっこうでこの採用に自衛隊が当たっているかと言えば、まず第一に機関銃が撃てる、第二に遊んでいても給料がもらえる、第三に女の子もいるよ、一定年限たったら何らかの資格を持って帰れますよと、こういう甘言で採用が行われておると報告されました。私はこれ、ゆゆしいことではないかと思う。そして、特に先生を選別するという、あの先生はどうもまずいから会っちゃいかぬとか、あの先生の言うことを聞いちゃいかぬとか、あるいはまた家庭によりましては、朝から晩まで勧誘に来るものだからノイローゼになる家庭もあるという、そういう採用時におきます防衛庁の態度、また隊員の体質等がいま言ったような事故にもかなり私は影響しているんではないんだろうか、こう考えるわけです。当時の報告書の一部報道されたものを私ここに持っておりますが、一々中を読みません。さらにまた、一般の学校の採用よりも、言うならば青田買いみたいに防衛庁が先に手をつける。実はこういうやり方で隊員というものをあなた方は集めているんじゃないでしょうか。これが真実だとしたら私は大変なことだと思う。これについて人事局長の答弁を求めるし、またそういうことがあるのかないのか。もしないとするならばないで結構でありますが、今後いやしくもこういうことが指摘されないように、私は長官の見解も聞いておきたいと思う。
#21
○政府委員(上野隆史君) 自衛官の採用につきましては、自衛隊法三十五条によりまして「試験によるもの」と、原則でございますが、されております。二等陸海空士の採用につきましても筆記試験、身体検査、口述試験、適性検査によりまして適正に行っておるつもりでございます。自衛隊におきましては、職種によりまして任務遂行上、所要の技術を習得させる必要がございますし、また一定期間自衛隊に勤務した者につきましては、有利に再就職ができるように各種の技術を習得する機会を設けております。これは若年の、人生一番いい花のときに三年とか四年とかいうようなことで採用して、そのまま後はまたリタイアしてもらうという、そういう任期制の特性でございます。そのような実情を応募者に十分周知させることにいたしております。ただ、先ほど先生が御指摘になりましたような具体的な事例、それだけでもって甘言でつっておるということはないと思っておりますけれども、またそういうようなことをしてはならないということで、これは募集広報官には常に注意をしておりますが、そういう誤解を与えるようなことは厳に戒めておるところでございますので、きょうの御指摘も踏まえまして、今後ともそういうことのないように十分に配慮してまいりたいと存じます。
#22
○山崎昇君 長官、どうですか。#23
○国務大臣(谷川和穗君) 国の独立を守り、安全を確保するということは、私はすぐれて崇高な国家としての最高の政治的課題だと、こう考えております。そして、自衛隊が与えられた使命もまさにその崇高な使命を完遂することにある、こう考えておりますが、自衛隊を構成する隊員並びに自衛隊そのものの綱紀の粛正、士気の常に高い確保、これは大変重大な問題だと、こう考えております。と同時に、現在並びに将来にかけて、現在のわが国の社会情勢などから見まして優秀な隊員を一人でも多く確保いたしたいということが私どもの自衛隊の質を高める一つの手だてだと、こう考えております。それから防衛庁、自衛隊の仕事は、国民の御理解と御支持がなくんば何もできないと言ってもよろしい組織でも隊でもございます。その意味では、常に国防のあり方について国民のコンセンサスを得つつ、御支持をちょうだいできるようなわれわれとしては努力を続けていかなければならない、こう考えておりますが、ただいま御指摘のございましたような、採用の面においてもし仮に甘言をもって志願者をつるというようなことはあってはならないことだと、こう考えます。したがいまして、今後とも隊員の募集につきましては、十分その自衛隊の持つ目的を周知徹底せしめながら、一人でも多く優秀な隊員が自衛隊に志願をしてくれるよう努力を続けていきたい、こう考えております。
#24
○山崎昇君 こういう指摘されるようなことがないように重ねてあなたに申し上げておきます。時間も参りましたから、最後に一点詰めておきたいのですが、私は防衛庁職員の給与体系についてかなり前に指摘をしました。もうそれから五、六年たっているんですが、何であんな複雑で、見たらわからないような給与体系になっているのか、これ何遍も私は指摘しています。しかし一向にそれは直ってない。一体あの指摘以来どういう点が直って、それからいまどんな現状にあるのか、その点だけ一つ聞いて、私の質問を終えておきます。
#25
○政府委員(上野隆史君) 防衛庁職員の給与体系の経緯等につきましては、先生の御指摘等も踏まえまして現在鋭意検討を行っておるところでございますが、過去にいろいろ御指摘をいただいております問題は、防衛庁職員の給与体系の基本に関する問題が密接に関連をいたしておりますので、検討作業もきわめて大がかりなものになってございます。これらの問題につきましては、たまたま昭和六十年を目途にした人事院の給与制度全般の見直しがございますので、これと歩調を合わせて十分に検討を進めて、改善の努力を今後とも続けてまいりたいという所存でございます。#26
○勝又武一君 昨年の十一月十四日の浜松基地航空祭におけるブルーインパルスの事故についてお聞きをしたいと思います。事故の翌日に現地を訪れた当時の伊藤防衛庁長官は、被害者の納得のいく十分なる補償をすると言われておりますが、谷川長官もこの方針に変わりございませんか。
#27
○国務大臣(谷川和穗君) 事務引き継ぎで伊藤前長官からこの問題につきましては特に強く求められているところでございまして、私もただいま先生の御指摘のような観点に立ちましてこの処理に邁進をいたしたい、こう考えております。#28
○勝又武一君 被害者は、いままであった家財を返してくれればよい、こういうことが本当の気持ちだと思うんです。ただ、焼けてしまったのは返ってこない。だからせめていままであった状態にしてほしいだけだと、こういうように切実に訴えていると思いますが、この気持ちは長官もおわかりいただけますか。#29
○国務大臣(谷川和穗君) はい、わかっておるつもりでございまして、目下諸般の事柄につきましては内部を督促をいたしておるところでございます。
#30
○勝又武一君 たとえば、十年たった家というのは十年経過したから古い材料で建ててやればいいんだと、こういうことにはよもやならないと思いますが、いかがですか。#31
○政府委員(矢崎新二君) 防衛庁が損害賠償を行う際におきましての考え方でございますけれども……#32
○勝又武一君 そのことだけ答えてくださいよ。#33
○政府委員(矢崎新二君) まず、財産被害の場合は……#34
○勝又武一君 それは後で聞きますから、家のことだけ言ってくださいよ。#35
○政府委員(矢崎新二君) その財産のいわゆる直前の時価等を補償するという考え方をとっているわけでございます。#36
○勝又武一君 私は、この一般の家財についての補償について、特に防衛庁のやっていらっしゃるやり方はいわゆる減価償却方式、たとえば一年ですと三分の一とか十年では十分の一しか補償しない。これも全国共済農業協同組合の評価基準でやっている。これが私はやっぱり実情に合わないというふうに思うんです。ですから、いま長官のおっしゃった趣旨からいくと、そこのところを直さないといけないんじゃないか。たとえば、いまの防衛庁の方針でいけば、数年たっている家財については五分の一とか、もうちょっと古ければ十分の一とか、これではまさに被害者に対しては中古品で済ませると、こういうことにもなりかねないというふうに思うんです。これでは被害者は納得しないと思うんですが、この点はいかがですか。#37
○政府委員(矢崎新二君) その財産被害の認定につきましては、取得時の価格というのが一つございます、確かに。しかしながら、その後ある一定期間利用をしているわけでございますから、その間の利用をした状況というものは一つの実績としてやはり考えざるを得ないのではないかということから、従来からこの財産被害につきましては、その被害の直前の時価というものを基準にして考えるということになるわけでございまして、そういう意味から申しますと、ただいま御指摘のような減価償却的な考え方でそういうものを具体的に認定していくというのは、基本的な考え方としてはこれはやはりとらざるを得ないところではないかというふうに考えておるわけでございます。#38
○勝又武一君 そこは長官、納得できないんですよね。被害者の人は自分が持っていた家財の状態に返してくれればいいんだと、こういうことですよね。確かにそれは五年ぐらいたっているものもあるでしょう。しかし、そうするとあなたの方でおっしゃっている方針でいけば、全部中古品で五年、十年たったもので間に合わせるということになりますか。#39
○政府委員(矢崎新二君) ただいま申し上げましたように、繰り返すようでございますけれども、やはり新規に取得いたしましてからこの被害が起こるまでの期間、ある一定期間をそれぞれ経過をしているわけでございまして、その間にその財産をそれぞれやはり御利用をされておったという実績はあるわけでございますから、そういったような実態を踏まえて損害額の認定というものをせざるを得ないというのが一般の損害賠償の考え方であると承知をいたしておるわけでございます。#40
○勝又武一君 一般の損害賠償の考え方だという、そこですよ。一体、自衛隊というのは国民の生命財産を守るのが使命であるわけでしょう。今回の事故は、その国民を守るべき自衛隊員が住民に被害を与えているわけです。民間の火災保険なり火災被害の見舞い基準とか、民間の通常損害補償という方式そのものを、大臣、ここは抜本的に変えていただかないと、大臣が先ほどおっしゃった、被害者のもとの状態に戻してくれ、あるいは長官が現地で言明をされた被害者が納得ができる十分なる補償をするということが貫徹できないのじゃないですか。大臣はこの点どう思われますか。#41
○国務大臣(谷川和穗君) 昨年の十一月に発生をいたしました事故で財産被害を受けられた方々が数名おいでになられて、その方々といま目下、鋭意防衛庁として交渉中でございますが、個別の案件につきましては、具体的な内容についていまこの場所で申し上げることは必ずしも適切ではない、こう考えておりますので、その点については御勘弁をいただきたいと存じますが、先ほど政府委員たる経理局長から御答弁をさせていただきましたのは、財産被害の生じた場合の財産賠償のほかの、あと何ができるかという問題であろうかと思います。この問題につきましては、もう少し協議が進捗した時点で私としては判断をいたしたい、こう考えておるわけでございます。#42
○勝又武一君 私は現地へ参りまして、翌々日行っているわけです、十一月十六日に。そして、この現地の実情を見て、被害者の方には全部お会いをしているんです。それからも何回となく調査もしました。皆さんが出されているのは、平均的な家族構成それから所得とかを基準にして一般的、平均的な、そして個人の実情を加味するということが非常に幅が少ないわけなんです。たとえば、この場合のいま問題が残っているM君の場合には、私はよく実情を知っていますけれども、本人の家族構成なり親戚の家族なり財産の実情等から申して、きわめて平均的よりも高い家財を持っていても十分だという補償ができるわけです。ところが皆さんの方では、三十五、六歳なのにこんな財産を持っているというのはずいぶんひどい、けしからぬ話じゃないかというような調子で最初当たったのが紛糾をしているもとになっているんですよ。私は、そういう意味からいけば、やっぱり本人のそういう実情を十分考えて、そしてしかも被害者の納得ができる十分なる補償をすると言明をされた伊藤防衛庁長官の言葉に沿って、単なる火災保険の火災の平均的な損害基準というようなものを適用するのではなくて、この点はぜひ検討し直していただきたい、これは重ねてこのことを長官にお願いするわけですが、いかがですか。#43
○政府委員(矢崎新二君) 個別の問題につきましては、詳細はここでは差し控えさしていただきますが、基本的な考え方といたしまして、やはり各被害者の生活の実態等に即しまして、具体的に十分検討の上被害額を算定していくという基本的な考え方はまさに先生御指摘のとおりでございまして、その辺につきましては、私どもといたしましても十分に現地を指導いたしまして、円満にこの件が解決されるように今後とも十分努力をいたしたい、こう考えておる次第でございます。#44
○勝又武一君 重ねてこのM君の場合には、二人の子供の後遺症を大変心配しているわけです。私は事故の翌々日、このM君と奥さんと子供さんにお会いをしました。飛行機の破片が火の玉となって火の海、火の波が押し寄せてきた、こういう感じを率直に事故の直後私に訴えておりました。ですから、いまでもその瞬間の恐ろしさ、その恐怖心というのは子供からなかなか抜け切れない。だから、子供がいまでも夜中に突然にこわがって泣き出したり、あるいは昼間外で遊んでいても飛行機の音がするとこわいこわいと言って母親にしがみついてくる、こういうことがまだ残っている。そういう意味でのいわば精神的な損害に対する代償、親の立場に立ったこの子供の後遺症についての心配、こういう点の後遺症についての完全な補償をするということ、そしてまたそのことに万全を期していただきたい、こういうふうに考えますけれども、大臣いかがですか。#45
○政府委員(矢崎新二君) 負傷された方々につきましても、その療養に伴う賠償でございますとか、あるいは障害についての賠償、それからまた精神的な苦痛というものにつきましての慰謝、そういった点につきまして個別の事情を十分勘案をしながら調整をさせているところでございまして、個別の事案につきましてはそういった意味で遺漏のないように私ども今後とも配慮していきたい、こう考えておるわけでございます。#46
○勝又武一君 次に、警察と検察庁につきまして、どういう捜査をやられたのか、事故の原因調査の方法、どう対処してきたかについてお伺いをいたします。
私は、十一月十六日に現地調査に参りました。機体の残骸や破片、こういう事故の処理というのは、警察というよりもむしろほとんどを自衛隊が行っておりました。私は目撃をいたしました。この捜査の主体である浜松の中央署は、十一月の末に、墜落機の鑑定は航空自衛隊の専門家に任せた、こう発表されました。そして、この鑑定結果が出ないと捜査の判断を下せない、こう語りました。私はこれはおかしいと思うんです。加害者ですよ、自衛隊が。加害者である自衛隊が原因究明というのは不公正である、妥当性を欠いているというように私は考えるわけです。警察に航空機の専門家がいないということを理由にしてこの発表をされておりますけれども、私は、例の岩手のときもそうであったように、本来は民間なり運輸省なりの航空専門家による調査委員会をつくって、少なくとも警察が主体になった捜査をやるべきだと思いますけれども、警察と検察庁はどう対処されてきましたか。
#47
○説明員(三上和幸君) 本件の事故につきましては、静岡県警察が捜査本部を設置いたしまして捜査をいたしております。現場検証を実施したほか、航空祭の主催者、ブルーインパルスの搭乗員及び整備員等の自衛隊関係者並びに事故の目撃者等から事情聴取につきましてもほぼ終了をいたしております。また、機体及び飛行方法から見た事故原因の究明につきましては、いまお話もありましたけれども、航空自衛隊航空幕僚監部鑑定委員会に対して鑑定を嘱託中であります。これらの鑑定結果を踏まえながら、さらに関係者の取り調べ等を行いまして、事故原因及び刑事責任の所在を明らかにする方針で捜査をいたしておるところでございます。自衛隊に対する鑑定の問題でありますけれども、航空機事故が発生した場合に、その原因を究明するための調査は、航空事故調査委員会設置法三条の規定によりまして、運輸省航空事故調査委員会が行うことになっております。ただ、自衛隊の使用する航空機の事故原因調査につきましては、自衛隊法第百七条七項によりまして、自衛隊の使用する航空機が自衛隊以外の者が使用する航空機と衝突し、または接触したことにより発生した事故を除き――つまり雫石事故のような場合を除きまして航空事故調査委員会設置法の適用が除外をされておりまして、自衛隊におきます調査権が定められておるわけであります。したがいまして、その原因の調査権限を有する自衛隊に鑑定を一括嘱託することが捜査の効率性から見ましても妥当なものと判断をされましたので、鑑定の嘱託をいたしたものであります。
#48
○勝又武一君 それにしてはいかにも遅過ぎるんじゃないですか。パイロットの操作ミスじゃないかという新聞報道が非常に強いわけですよ。ですから、そうなればパイロット同士の無線交信のやりとりが究明のかぎとなる。それを知っているのは編隊長。この編隊長を取り調べるということは当然でしょう。そうすると、もう具体的にこの点についての警察なりの見解というのは出ているんじゃないですか。航空無線なり指揮系統なり、そういうことも当然警察は捜査すべきだし、直ちに検察庁にもそのことを言って、検察庁も同様の捜査をすべきじゃないんですか。その点はいかがですか。#49
○説明員(三上和幸君) 捜査の内容でございますけれども、やはり関係者の取り調べと同時に、運航上の事故原因と申しましょうか、航空方法に関しますいろいろな状況も踏まえ、また機体に関する鑑定等も踏まえて総合的に捜査、判断をしなければならない、こういう本来捜査の持っております性格からいたしまして、現在、先ほどお答えをいたしたような捜査を行っておる次第であります。#50
○勝又武一君 検察庁はいかがですか。#51
○説明員(飛田清弘君) 現在、この問題の事故につきましては、第一次捜査機関である警察において、先ほど御答弁がありましたように、鋭意捜査をしていると聞いております。検察庁にはまだ事件は送致されてきていない段階でございますが、事件の送致がなされた場合には静岡地検において厳正な適正な処理を行うことになり、また記録上いろいろな不備がございましたならば検察官において所要の捜査を遂げることになろうかと、こういうふうに考えております。#52
○勝又武一君 現地の住民の皆さんは、やはり事故の原因究明と捜査結果というのがどうしてこんなに長引くんだろうか、そういう非常に危惧を持っております。これは自衛隊に対する私は不信にもつながりかねないと思います。そういう意味で、なぜこんなに長引くのか。そしてまた、こういう原因究明なり捜査結果というものについては住民にもわかりやすく公表すべきだと、こういうふうに考えますけれども、これは警察庁と防衛庁、それぞれいかがですか。#53
○政府委員(西廣整輝君) 防衛庁関係の事故調査について申し上げますが、現在すでに現地調査を終えております。そして現在のところは、事故機の飛行経過あるいは航跡の解析やあるいは機体の残骸の分解検査といったようなものを実施しているところであります。今回の事故は、機体の残骸等が警察に領置されて一カ月半ぐらいたちましたので、そういったことから機体関係の分解検査がおくれておるわけでございますけれども、それとあわせまして、戦技研究班という特別の、非常に高度の技術を持ったパイロットの事故であるということで慎重を期して調査を進めておるわけでございますが、そういったことから通常の場合より約二カ月半ぐらいおくれるわけでありますが、五月の末までには結論を出したいというように考えております。#54
○説明員(三上和幸君) 捜査の内容にもわたりますので、捜査をいたしました結果につきましては、その内容等を十分検討いたしまして、私どもとして突きとめました捜査内容について差し支えない範囲で報道等にいろいろ発表いたすこともあろうかというふうに考えております。#55
○勝又武一君 この点は私はきわめて不満です、五月の末というようなことも。この点は警察、検察庁、犯罪になるのかならないのか、非常にやはり住民は関心が高いわけですよ。だから、特にその点についての究明は、引き続き私は防衛庁ももっと迅速に行うべきだというように考えます。そこで、長官に引き続いてお聞きをいたしますが、当日は十万人の見物人だったんです。十万人の群衆の真っただ中に突っ込む可能性もあったわけです。私はこれ想像するだけでも大変なことじゃないかというように思いますね。現地を調査に行きましたときに、この墜落機の一部の破片が東名高速道路から五十メーターぐらいのところに落ちているんですよ、相当大きなやつが。もしこれが東名高速道路の上に落ちたら一体長官どうなったと思いますか。私は考えただけでもまさに身の毛がよだつ思いがいたします。しかもブルーインパルスの事故は四件あるわけでしょう。そして、この五年間に人員の死亡または航空機の修理不能の損壊を受けた事故、これも防衛庁にお聞きをしてみますけれども、この五年間でそれだけの事故は何件ありましたか。
#56
○政府委員(西廣整輝君) ちょっと五カ年間という限ってのお話なので、若干時間をいただきたいと思いますが。#57
○勝又武一君 これも浜松で事故の翌日に長官と当時の幕僚長が、二度と再びかかる事故は繰り返さない、こういうように記者会見で発表をされておるわけです。もういつもそうですね、事故のたびに長官とか幕僚長が同じ言葉を繰り返されている。長官は一体どうお考えになりますか。私は、やはり厳しい部内での反省と責任のとり方が不明確だからと、こういうように考えますけれども、この点いかがですか。#58
○国務大臣(谷川和穗君) このたびの事故は、ブルーインパルスという航空自衛隊の中でも特に戦技訓練において非常に高度な訓練を主とした部隊によって起こったわけでございますが、したがって私どももこの航空機事故につきましては、他の事故についても大変に慎重を期しながら調査をいたしますが、特にこのたびの事故につきましては航空自衛隊内部に事故調査委員会を設けて鋭意調査をいたしております。
しかしながら、先ほど政府委員から答弁をさしていただきましたように内規によって訓令がございまして、航空機の事故その他につきましては長官に対して四カ月を目途として報告を上げることになっておりますが、特に私の判断において、このたびは、先ほど御報告申し上げさしていただきましたように、一カ月半ばかり機体の残骸その他が警察に領置されておったということにもかんがみまして、なお調査については慎重の上にも慎重を期すべきであるという判断も加えて、五月末日まで、特に実はこの三月の二十日前後がその四カ月に当たるところでございますが、調査の期日を延ばしたわけでございます。したがいまして、私は現在鋭意調査を命じておりますが、調査の結果を見て各般の判断をいたしたい、こう考えておるところでございます。
#59
○勝又武一君 このブルーインパルスをやれと命令したのはどなたなんですか。実施の責任者はどなたなんですか。#60
○政府委員(西廣整輝君) ちょっと御質問の趣旨を必ずしも正確にとらえておるかどうかわかりませんが、ブルーインパルスの公開展示をやることにつきましては、まず各基地の方から希望が出てまいりまして、それを方面隊、それから幕僚監部で検討した結果、それを全体の、まあこれ広報活動の一環でございますので、広報委員会等でどことどこをこの年はやるという形で決めることになっております。#61
○勝又武一君 広報委員会が許可をしたんですか。そうするとどなたの責任になるんですか、やれと言ったのは。#62
○政府委員(西廣整輝君) その年の公開展示をどこでやるか、何回やるかということについては広報委員会が認めたということでありますが、実施責任者は第四空団の司令が実施責任者になります。戦技研究班が所属しております四空団司令が実施の責任者になるということであります。#63
○勝又武一君 この被害総額は幾らになりますか。#64
○政府委員(矢崎新二君) 被害の概要については、たとえば民間人十三名の方の負傷であるとか、家屋一棟の全焼であるとか、あるいは工場建物三棟の全壊または半壊、その他二十数棟に被害を及ぼしたこと、あるいは配車センターにありました多数の車両等に財産上の損害を与えたというような概要でございますが、この具体的なケースにつきましては、これは個別の事案に関連をいたすこともございますので、それからなおまた調整中のものもございますので、答弁は差し控えさしていただきたいと思います。#65
○勝又武一君 具体的な金額での御返事がありませんけれども、少なくとも国家賠償法で被害者に迷惑をかけない、国が賠償するからいい、こういう部分もありますね。しかし、私はその論法でいいだろうかというように思うんです。つまり国の予算、国民の税金から支払われるわけでしょう。国費のむだにもつながりかねませんね。これ長官お聞きしますけれども、先ほど聞きますと立案計画の最終的な責任というのは四空団司令だと、こういう御返事でしたけれども、そういう実施責任者そのものに対する厳しい責任の追及、そういうことがなかった。あるいはそれに対して具体的にどういう処分がされてきたのか。こういうことを過去何回も起きた事故のたびごとにおやりになっていらっしゃらないんじゃないか、あるいはなまぬるいんじゃないか。だから二度と繰り返さない、繰り返さないと言っておられてもやっぱり繰り返して起きてくる。こう考えますけれども、ここは厳しく責任の追及をされる、あるいは責任を明確にとられる、長官、こういうことが必要じゃないんですか。
#66
○国務大臣(谷川和穗君) 目下全力を挙げて原因究明を行っておるところでございまして、責任問題を含めまして原因究明の終わった時点で判断をいたしたいとは思っておりますが、ただ一点、司令のたまたま停年の時期がございまして、実は司令は本年三月に退官をいたしたわけでございますが――ちょっと私は正確を欠いて答弁をいたしましたので、政府委員から訂正補足の答弁をいたさせますが、私が前段に申し上げさせていただきましたように、責任問題を含めまして原因究明を現在行っておるものですから、その原因究明の終わった時点で責任問題があるとすれば、それを含めまして判断をいたしたい、こう考えておるところでございます。#67
○政府委員(上野隆史君) 補足して御説明申し上げます。大臣が引用されましたのは、この三月でしたか、やめました江戸飛行教育集団司令官でございまして、これは先ほど西廣参事官の発言いたしました四空団司令のさらに上部の司令官でございます。この江戸司令官につきましては、停年が四月のたしか十六日と記憶しておりますけれども、この事故原因の究明を待っていたのではその停年までずっとおられることになってしまうと。そういうことでは、必ずしもこの問題につきましては飛行教育集団司令官の責任はこれはないとは言えないと存じますので、御本人の御意思もございまして、そういう責任を負うことを一つの原因とし、そして自分が早く身を引くことによって部隊の士気等を、新しい気持ちでもって隊員打って一丸となって今後のあれに当たりたいということでもって、御本人の御意思もありまして早目に勇退をなすったということでございます。
#68
○勝又武一君 私は四空団司令というようなものじゃないと思いますね、本当は。本当はやっぱり防衛庁全体の問題だと思いますよ、かかるインパルスのようなものをやること自体が。そういう意味での立案計画の責任というのはもっと、長官、抜本的に検討をし直していただきたい、これは強く要請をしておきます。そこで、次にお伺いをしたいのは、浜松の現地でも事故の起きる約一カ月前に基地にこのインパルス中止の申し入れを行っていますけれども、拒否をされているわけです。面会謝絶みたいな形になっている。私たち社会党本部も事前に、再三にわたってかかるものは中止の申し入れをしてきている。こういうことを聞き入れずに航空ショーを強行し続けてきたわけですよ、防衛庁当局は。だから私は、そういう意味での立案計画の責任というのは、一四空団司令という段階ではなくて、防衛庁全般の中で考えるべきだと。中止を再三私たちが申し入れをしていたのを何で一顧だにしなかったか、こういう点はいかがですか。
#69
○国務大臣(谷川和穗君) 戦技班として戦技訓練をいたしておりまするブルーインパルスの存置問題につきましては、私は事故とは別の問題といたしまして、航空自衛隊として常に開発をしなければならない訓練の一つとして今後ともこれを続けさせる覚悟でおります。しかしながら、展示飛行をするかどうか、また展示飛行のあり方についてどうするかは、実はまだ判断をいたしておりません。一部には、実を申しますと、今日に至るまで展示飛行につきましては別の面で国民の多くの方々から実にたくさんの御期待もいただいておるわけでもございます。しかし、展示飛行のあり方そのものについてあるいは検討をすると、展示飛行をするとすれば展示飛行のあり方はどうあるべきであるかということについて、実はまだこの時点では私自身判断を加えておりません。#70
○勝又武一君 そこのところを私たちは問題にしていままで言ってきた。つまり、十万人の見物人を集める、住居の密集した都市のど真ん中でおやりになる、高速マッハ一・六、低空二百メーター、しかも操縦の勘に頼るというそういう危険なアクロバット飛行でしょう。だから問題なんだということを私たちは言ってきた。まさに長官の言っていらっしゃる目的とは違うんじゃないか。そういう操縦の訓練なら別のところでおやりになったらいい、そのことを私たちは常にいままでも指摘をしてきたんですよ。その反省が足りないんじゃないか。もうそういう意味でのアクロバットなりインパルスなり、こういうものは私たちは中止すべきだというように考えますけれども、重ねていかがですか。
#71
○政府委員(上野隆史君) 責任問題でございますが……#72
○勝又武一君 いや、責任問題じゃないんだ。中止、おやめになったらいかがですかと言っているんだ。長官答えてくださいよ、長官の先ほどの答弁に対して私は申し上げているんだから、責任問題じゃないんですよ、いまお聞きしているのは。よく聞いておいてくださいよ。#73
○政府委員(上野隆史君) まず、責任問題から。責任問題としましては、長官の御答弁なさる前に補足をさせていただきたいと存じますが、江戸空将の責任問題につきまして私言及をいたしました。ただ、これはいまのところ事故原因の究明がなされておりませんから、判断できる段階ではないということは明らかなんでございます。したがって、江戸空将に責任があるかどうかということも、これは現時点でははっきりいたしておりません。それから四空団司令の責任、これにつきましても同様でございます。これは現在の事故調査が判明いたした段階で行われるべきものと考えております。責任問題につきましては追及されるべきものと考えております。ただ、江戸空将が停年を待たずにおやめになったというのは、こういう事故が起きたというこの事態を踏まえまして、そして自分が早目に勇退して、自分の後進に道を譲って、新しい人によって飛行教育集団、その隷下部隊の気分を一新すること、これが大事であると、こう御判断なさって御勇退なさったということなんでございます。#74
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど長官がお答えになったことにややダブると思いますけれども、ブルーインパルス、これは愛称でございますが、この戦技研究班の主任務は、先生も御案内だと思いますけれども、戦技の運用法の開発研究、それと特別飛行研究というようなものを実施いたしまして、その成果というものを戦闘機操縦士の教育なり練成訓練に反映をさせるということで、いわばそういったぎりぎりの飛行性能を引き出した結果を教育に反映するということで、広い意味でこれが各パイロットの操縦の安全性とか、そういったことにつながっていくということで、これは欠くべからざる任務であるというふうに考えているわけでございます。それとあわせまして、御案内のようにこれが広報等も兼ねた公開展示のように行っておるわけでございますが、この点につきまして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、現在確かに先生が御指摘されましたように、大変多くの観衆が見学しておるわけでございますから、そういう意味で事故が起きたとき大変なことになるというようなこともありますので、いかにすればそれが安全に実施できるか、あるいは本当にできないのであれば、これを存続するか否か、公開展示をやるかどうかということも含めまして現在検討中で、その検討が終わるまではいずれにしましても公開展示はやらないということで進めております。
#75
○勝又武一君 先ほど板垣委員の質問に、このT2は非常に優秀な練習機だと答弁をされました。しかし、このT2は下向き空中開花のような運動には不向きだ、こういう専門家の指摘もあるわけですね。私は、先ほどこれもうちの山崎委員も質問されました高校生の自衛隊勧誘の問題については、安保特別委員会で昨年私も指摘いたしました。あるいは戦車、大砲の展示によるちびっ子・ヤング大会、小中学生の自衛隊見学、宣伝パレード、それから五十六年八月の佐世保沖の公開展示訓練での魚雷発射管の事故、五十七年八月大湊沖の体験公開展示訓練での速射砲事故、これを考えますと、このインパルスもそうですけれども、何か自衛隊は人命よりも自衛隊のPRを優先するんじゃないか、こういう国民の指摘を受けますよ。だから私は、自衛隊のPRというのはそういう、先ほど言いましたように低空二百メートルで、しかも住居の密集したど真ん中で何でおやりになるのか、抜本的に自衛隊の宣伝なりPRのあり方というものを考え直す、行き過ぎは直していく、そして少なくともこの危険を伴うインパルス、これについてはもう中止をすべきだ、こういうように重ねて思います。やっているのは日本とアメリカだけですよね。本当にこのことは私はさっぱりわかりません。そういう意味で、重ねてこの点についての大臣の見解をお聞きをしたいわけです。#76
○国務大臣(谷川和穗君) 訓練の中において、あらゆる事故は断固これを排する細心の注意が必要であると存じます。なお、戦技訓練におきましては、先ほど来答弁さしていただいておりますように、航空自衛隊としてどうしても必要な戦技開発を目的といたしておりますので、私はこれを存置し続ける覚悟でもございます。しかしながら、公開展示につきましては、なおいましばらく諸般の問題について思いをめぐらしまして最終の決断をいたしたい、こう考えております。
#77
○勝又武一君 このインパルスの原因究明なり責任の問題なりあるいは中止の問題なりにつきましての警察なり検察庁なり、防衛庁のいままでの答弁では私は納得できません。本日、官房長官の出席も要請いたしましたけれども都合がつきませんので、改めて政府の見解は私は明後日の予算委員会でお聞きをいたしたいと思います。そこでこれは保留をいたします。次に、別の問題に移りますが、長官は、正面装備と後方装備、このバランスのとれた伸びが欠かせない、こういう方針をいまでも堅持されていらっしゃいますか。
#78
○国務大臣(谷川和穗君) 五十八年度予算の編成は、特別に、前総理のお言葉をかりますと財政の危機的状況というような御発言もあったわけでございますが、財政的に厳しい中での概算の要求でもございましたものですから、必ずしも当初われわれが考えておったように、正面装備とそれから俗に後方、これにつきましては、後方にしわがいささか寄っておるという嫌いはなきにしもあらずというところはございます。しかしながら、基本としては、あくまでもバランスのとれた防衛庁というものはまさに正面と後方の間においてそれが一つになって考えられるべきものだと、こう考えておるわけでございます。#79
○勝又武一君 正面装備が五十八年度予算は六四・二%ですか、これは五六中業の初年度ということでの急増というように私も思いますけれども、この点は遺憾ながらいまの長官の見解とは残念ながら違っておるというように判断をしてよろしいですか。#80
○政府委員(矢崎新二君) ただいまの御指摘になりました六四・二%という数字は、恐らく、防衛関係費の五十八年度の増加額が一千六百八十一億円ございまして、その中の正面経費の分の増加、これが一千七十九億円でありまして六四・二%を占めておるという、つまり増分の中での正面経費の点を御指摘になったのであろうと存じます。数字はそのとおりでございますが、これは内容を見ますと、実は正面経費のこの増分の大宗は、五十七年度以前の国庫債務負担行為等の歳出化経費が大幅に増加したことによるものでございまして、正面経費の増加のうち歳出化分で千二百五十七億円がふえておるというようなことでございまして、単年度歳出分が逆に若干減があるわけでございます。
そういったようなことでいま言ったような正面経費の増分の数字が出てきておるわけでございます。そういう前年度以前の歳出化分の要素ということでございまして、私ども防衛予算を編成するに際しまして、後方経費を犠牲にするというふうなことでやったわけではございません。ただいま大臣から申し上げましたように、若干のしわが寄ったと申しますのは、厳しい財政事情のもとでございますので、隊舎等の生活関連施設を中心といたします施設整備費であるとかあるいは基地対策費等、この辺はある程度圧縮せざるを得なかった面はございます。しかしながら、平時におきます教育訓練の重要性にかんがみまして、現有防衛力の練度を維持向上をさせるために必要な油購入費
でございますとか維持修理費等は優先的に確保いたしておるわけでございまして、自衛隊の維持運営に支障を生ずるようなことはないというふうに考えておる次第でございます。
#81
○勝又武一君 防衛庁の「予算要求の大要」ですか、これによりますFRAM、艦艇の近代化、この予算について伺いますが、このFRAMを行う艦艇名、それからこれをどういう部分の近代化を行うのか、その装備の金額、各部品の費用、これはどれほどになりますか。#82
○政府委員(木下博生君) 五十八年度審議をお願いしております予算の中で、FRAMにつきましては艦艇二隻、一隻は五十七年度予算からの延長でございますが、「きくづき」という護衛艦のFRAMを考えておりまして、それから五十八年度予算では新たに「はるな」というDDHを一応お願いしております。それで内容的には、延命対策として老朽品の補修、換装、それから近代化として水中雑音低減対策とか短SAMの装備、それからSSMの装備、それから情報処理能力の向上等でございます。予算的には「はるな」の分は来年度五十八年度として要求しておりますものが約六十億円でございまして、「きくづき」と五十七年度から合計いたしましてもう一隻五十七年、五十八年に続きます分は両年度合わせまして約百九十三億円でございます。#83
○勝又武一君 いま答弁のありましたこのFRAMを行う計画の艦艇、それとさらにこの予算書で見ますと建造新設の艦艇、この両方にわたりましていわゆるリンク11、データ通信装置を装備するのは何隻ですか。その艦艇名は何でございますか。#84
○政府委員(夏目晴雄君) 御承知のとおり最近における航空機、艦船あるいはミサイルというものが非常に発達をしてきておりまして、いわゆる対潜戦であるとか航空戦闘というのは非常に複雑迅速化の傾向にございます。そういった意味合いから、各種の情報というものをできるだけ正確に、しかもスピーディーに交換しなければならないというふうな状況にございますので、現在われわれは、P3Cにしろ新しい護衛艦にしろ、データリンク、戦術的ないわゆる電子戦装置の装備というものを重点にして考えております。#85
○勝又武一君 このリンク11はどこで製作されるのですか。#86
○政府委員(木下博生君) 一部の機器は日本の企業でライセンス生産しておりますし、それから一部はアメリカからFMSで輸入しております。#87
○勝又武一君 一部ではわかりませんので、どのくらいの比率になりますか、日本とアメリカと。#88
○政府委員(木下博生君) 金額的なものでよろしければあれでございますが、大体二対一ぐらいの比率でございます。#89
○勝又武一君 アメリカが二ですか。#90
○政府委員(木下博生君) ライセンス生産の部分が二でございます。#91
○勝又武一君 私は、過日安保の特別委員会の視察で、厚木でP3Cの内部も勉強さしていただきましたけれども、あれがいま防衛局長おっしゃっているリンク11の装備をしているというように理解をしてよろしいんですか。#92
○政府委員(夏目晴雄君) リンク11というものが、いま申し上げましたような各種の情報交換のための電子装置として装備を進めていることは事実でございますけれども、どういう船にあるいはどういう飛行機にこのリンク11を装備するかということについては、個々の名称を挙げることを差し控えさしていただきたいと思っております。#93
○勝又武一君 それでは具体的に、できるだけ簡単で結構ですけれども、個々の名称は結構ですから、そのデータ通信装置というものはいかなるものですか。簡単で結構です。#94
○政府委員(夏目晴雄君) このリンク11というのは、いわばデータ通信による器材でございまして、二局間にわたる通信回線、あるいはその通信回線と連絡された、何といいますか局の間の連絡を行うわけでございまして、この間に各種の通信情報というものをオンラインで送れるようなシステムでございます。そういったシステムの総合された名称をいわゆるリンク11というふうに称しております。#95
○勝又武一君 海上自衛隊では、このリンク11を装備したのは「しらね」が初めてですか。#96
○政府委員(夏目晴雄君) このリンク11をどの船に装備しているかということをここで言うのは差し控えさしていただきますが、かつてそういうふうな御質問があって、「しらね」と言ったようなことはございました。#97
○勝又武一君 それ以来いま何隻ふえましたか。#98
○政府委員(夏目晴雄君) そこのところはひとつ御勘弁をいただきたいと思っております。#99
○勝又武一君 「しらね」という名前を言った記憶があるという局長の答弁でありましたが、これは建造計画の最初から装備するということではなかったのじゃないんですか。#100
○政府委員(夏目晴雄君) この「はるな」あるいは「しらね」といういわゆるDDH、これは護衛隊群の中の対潜中枢艦としての位置づけのある非常に重要な護衛艦でございまして、この護衛艦「はるな」「ひえい」というのは、たしか四十四年、四十五年ごろに建造された護衛艦でございまして、その当時まだそういった器材がなかったものですから、非常に電子機器というものの内容が十分なものでないということから、先般、いわゆるFRAMの一環としてこの二隻についての延命と性能向上のための工事といいますか、そういうものを行うこととしたわけでございまして、したがいまして、その船が建造された当時はいま先生の御指摘のようなものはなかったということでございます。#101
○勝又武一君 リムパック80に参加をして米軍から、いわゆるリンク11がないと米軍との共同作戦に支障を来す、こういうことからその装備が強く要請をされて、そして装備したというように考えてよろしゅうございますか。#102
○政府委員(夏目晴雄君) 米側の要請というよりも、私どもいわゆる装備の近代化ということは防衛計画の大綱によりましてもきわめて重要なことでございますので、予算の範囲内で逐次艦艇のFRAMあるいはP2JからP3Cへ、F4からF15へということの装備の更新、近代化の一環として行っているというものでございまして、私ども自身の判断に基づいてこういった整備というものを進めておるということでございます。#103
○勝又武一君 リムパックがどういう形で行われたのか、その中で日本がどういうような役割りを担い、何を果たしてきたのか、ここに七九年十一月二十八日の参議院決算委員会で防衛庁が明らかにされました内容がございますけれども、このときに説明されている内容について、もう一度リムパックの性格、位置づけを具体的にお聞かせいただけませんか。#104
○政府委員(西廣整輝君) ただいまの御質問にお答えする前に、先ほど暫時御猶予願った事故の回数をちょっと申し上げますが、過去五年間の事故の件数は、これは人身死亡事故あるいは器材が使えなくなったような大事故でございますが、三十五件でございます。それからリムパックでございますが、リムパックと申しますのは、正式にはリム・オブ・ザ・パシフィック・エクササイズと申しまして、アメリカの第三艦隊が計画をいたしましてこれに外国の艦艇等も参加をする訓練であります。リムパックは、これは特定の戦略目的といいますか、そういったものを設定した一つの筋書きに基づきます演習ではございませんで、たとえば地上の訓練施設を利用した訓練から始まりまして対抗形式の訓練まで、各種各般の訓練につきまして網羅的かつ汎用的な対水上艦艇あるいは対潜水艦あるいはまた対航空機の戦闘訓練を行うものであります。
#105
○勝又武一君 このリムパック80とリムパック82と両方にわたりまして、米海軍が、参加した日本の評価をいわゆる米軍で使われている褒め言葉の六段階、こういうことでしている評価の表がございますが、これは防衛庁も御存じでしょうか。#106
○政府委員(西廣整輝君) 防衛庁全体としてどうかわかりませんが、私自身は実は承知しておりません。
#107
○勝又武一君 どなたか御存じですか。#108
○政府委員(夏目晴雄君) これはいま先生からあえてどなたかということでございますので、防衛局長の責任においてお答えするわけではございませんが、たしか私の記憶によれば「スーパーブ」という最高級の賛辞を受けたというふうに承知しております。#109
○勝又武一君 私の手元にあるこの表によりまして「グッド」「ベリグッド」「エクセレント」「アウトスタンディング」「スーパー」「スーバーブ」、こういう六段階に分けておって、いわゆるリムパック80はこの下から三つ目の「エクセレント」、そして82の方は最高級の「スーパーブ」、こういうふうな夏目局長もおっしゃったそういう評価を受けている。こうなっておりますけれども、この80と82と比較をして、82の方が最高級の評価を受けた最大の要因というのは、このリンク11を日本が装備して参加したからだ、こういうふうに見られておりますが、そうでしょうか。#110
○政府委員(西廣整輝君) リムパックに限りませんが、部隊としての訓練におきまして通信訓練といいますか、オペレーションのための情報交換の訓練というのが当然行われるわけでありますけれども、リンク11が入ったから突如成績が上がったということではないと思います。先ほど申しましたように、このリムパックそのものが射撃あるいは通信あるいは運航、地上のさまざまのトレーナーを使った訓練といったようないろんな科目にわたっておりますので、一つの通信器材が入ったから急に成績が上がるというものではないように心得ております。#111
○勝又武一君 米海軍がキャップでない、日米対等にやっているんだという防衛庁のいままでの見解でありますが、米軍は日本を評価している。しかし、日本の方は米軍を評価しておるということは余り聞きませんけれども、日本と米軍と対等というならば、日本も米軍を評価していいんじゃないか。その辺どうですか、長官。#112
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど申し上げましたように、このリムパックは、アメリカの第三艦隊が計画、主催をしておるものでありまして、わが国はそのうちの一部に参加をしておるということでありまして、アメリカ全体の成績なりあるいは成果というものを評価するような立場にないということであります。#113
○勝又武一君 私はやはりずばり言いまして、日本が対等と言っていますけれども、米軍から評価をされる。リムパック82は最高級の評価を受ける。しかし日本ではまさにそういう大きな差がある。まさにリムパックを通しても実質的に米海軍の指揮下に日本が入っておる、結果的にそう言われてもこれはやむを得ないんじゃないか、そう考えますけれども、いかがですか。#114
○政府委員(西廣整輝君) いままでリムパックに関連いたしましていろいろの席で御答弁申し上げているわけでありますが、このリムパックの訓練を通じての日米間の関係というものはあくまで調整関係でありまして、どちらかがどちらを指揮するという関係にはございません。#115
○勝又武一君 それでは少し具体的にお伺いしますが、日本軍でキャッチした戦術情報、それがどういうものかという解明は米艦のソフトウエアでないと解明できないのではないのか。そうじゃなくて、先ほどあった日本の「しらね」やその他の船がソフトウエアを装備をしていて、自分自身で演算したものをリンク11にインプットすれば具体的な効能を発揮できるのか、どっちなんですか。#116
○政府委員(西廣整輝君) これは日米が訓練する場合に限りませんが、日本の中、自衛隊だけでやる場合も同様でございますけれども、要は、その戦闘場面に参加をしておる船なり航空機なりの中で一番情報量の多いといいますか、情報処理能力のある艦なり飛行機が調整に際してイニシアチブをとるということになろうかと思います。たとえば、船と航空機が統合して作戦をするというような場合には、通常の場合船の方が情報量が多うございますので、そちらがとるということで、日米どちらかが必ず調整の主導権を握るということではありません。#117
○勝又武一君 五カ国の共同演習が82で行われたわけでしょうけれども、具体的にはどういう形で行われましたか。#118
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど申し上げましたように、非常にいろいろな訓練が行われておりましたので、一つの筋書きに基づいてやったということではありませんのでなかなか御説明がむずかしいわけですが、私が一応自分なりに整理した感じで申し上げますと、フレーズが幾つかに分かれておりまして、最初のフレーズというのは、主として陸上の訓練施設、それを使ってそれぞれ訓練をした、それを利用した訓練をするというのが第一であります。第二番目のフレーズは、どちらかといいますと艦艇の運航――合流したりあるいは一緒に運航したりというような形、そういったもの、しかもそれが電波を管制する場面、そうでない場面といったようなことで、いわゆるそういった形式の訓練が行われた。
次いで、対抗戦形式といいますか、敵方と交戦をするというかっこうのそういった訓練が行われた。
最後に、今度はアメリカのいろいろな訓練施設を使った射撃訓練、これは水上射撃なりあるいは魚雷の発射訓練なり、そういったものをやったというように考えております。
#119
○勝又武一君 ここにあります資料によりますと、五カ国が二組に分かれて、たとえばオレンジ組は米海軍原潜とニュージーランド、オーストラリア、それからブルー組は米海軍空母と日本とカナダ、こういうように分かれてやっていらっしゃる。そして、具体的にそのことが、たとえば派遣隊長の伊東一佐とモロー少将とのやりとり、このことにもいろいろ出ておりますね。これは昨年の「世界」の七月号、ここにも取材記事の中に詳しく載っておりますけれども、これらを見ますとやっぱり五カ国の共同作戦、こういうことが相当やはり具体的に演習されているんじゃないか。まさに日本とアメリカだけではない五カ国共同作戦、こういう形にリムパックというのはもうなっているんじゃないか、こう思いますけれども、この点はいかがですか。#120
○政府委員(西廣整輝君) 訓練の細部について申し上げることは控えさしていただきますが、少なくとも自衛隊から派遣しております部隊と、米側と味方同士といいますか一緒に作戦訓練をしたというものはございますけれども、他の国、今回82リムパックの場合はオーストラリア、カナダ、ニュージーランドの三国が別にアメリカ以外に参加をいたしておりますが、それらの国と組んで訓練を行ったということはございません。ただし、相手方といいますか、ターゲットとしてアメリカ以外の国の艦艇があらわれたということはあったようであります。#121
○勝又武一君 これ、そうすると大分おかしいですね。この取材記者の方の全文を読みますと、具体的にやはりオレンジ組とブルー組に分かれて組んでやっていらっしゃって、日本の派遣隊長の伊東一佐も具体的なことをしゃべっていますよね、「撃沈した」とか。時間がありませんからこれ以上触れませんけれども、まさに五カ国の共同演習そのものじゃないんですか、この辺そうじゃないとおっしゃっていらっしゃるけれども。#122
○政府委員(西廣整輝君) また同じことをお答えするようなことになりますが、自衛隊がアメリカ以外の国とグループを組んだということはございません。#123
○勝又武一君 それは設置法五条による共同作戦は日本とアメリカだと、このことをおっしゃりたいんでしょう。#124
○政府委員(西廣整輝君) 私ども自衛隊の任務遂行のために必要な教育訓練、そのために効果があり、それだけのメリットがあるのであれば、何もアメリカ以外とはできないというふうに考えておるわけではございませんが、このリムパックを通じてアメリカ以外の国とグループを組んで訓練したことはなかったという事実関係だけを申し上げております。
#125
○勝又武一君 長官、私はなかなかこれ納得できません、いろいろのこの資料を見ますとね。そこで長官にお聞きをしたいのは、やはりリムパックというのが技術の向上のための訓練だと、こういう名目で言われておりますけれども、まさにそれはカムフラージュをされておりまして、具体的には五カ国の共同演習、米軍の指揮下に入った集団的な防衛訓練、しかもそれは先ほど言ったリンク11の果たしている役割りが非常に大きい。そして、そのことが米軍の最大級の評価を受けた、こういうように思うわけです。
そこで、そういう意味での点からいけば、再三予算委員会でも長官も個別的自衛権の範囲の中だ、こう常におっしゃいますけれども、この経過をずっと見ますと、まさに私は集団的な自衛権そのものだ、憲法の範囲を逸脱している、この訓練そのものが。そういうように理解をします。長官はいかがですか。
#126
○政府委員(西廣整輝君) 大臣がお答えになります前に申し上げますが、当初に申し上げましたように、このリムパックというのは、特定の戦略目的といったようなものを設定した一定の筋書きに基づく演習ではございませんで、何度も申し上げるようですが、各種の戦闘訓練、それも地上器材を使ったもの、あるいは船同士、船と航空機といったような各般の総合的な、しかも汎用的な戦闘訓練を行ったものでありまして、何らかの集団的自衛権と申しますか集団的な一つの戦略目標を持った筋書きのある演習とは違いますので、その点御理解をいただきたいと思います。#127
○国務大臣(谷川和穗君) わが国の自衛隊、ただいまのリムパックに関連いたしておりますから海上自衛隊で申しますと、日本に寄港してくるフランスの艦艇あるいはニュージーランドの艦艇などと日本近海で共同の訓練を行うことも再々ございます。リムパックそのものは、私の理解では、米海軍第三艦隊が主催をしておる、主催といいますか行っておる演習であって、海上自衛隊がそれに参加をしたと。しかしながら、先ほど政府委員から御答弁さしていただきましたように、最初から一人の司令官のもとに統一した指揮命令、幕僚組織をつくってというようなものではなくて、自衛隊の指揮官のもとにわが方はわが方として訓練に参加をして練度を高めて帰ってきた、こういうふうに考えております。そのときに、ニュージーランド、カナダ、オーストラリアの艦船も参加はしておったというふうに報告は受けております。これはリムパック82に関連してのことでございます。#128
○勝又武一君 私は、他の大臣との関係の問題もこれにも絡んでありますし、いまの点でも納得できない点ございますので、この点も明後日の予算委員会の一般質問の中で再度他の閣僚との関連においてお聞きをするということで、きょうは留保をいたします。それで、最後に一つ二つお聞きをいたしますが、一つは硫黄島の問題です。
昨年の四月十六日、これは安保の特別委員会で、硫黄島での米軍演習を契機に本格的な航空訓練基地に硫黄島がなるという懸念から私は幾つか質問をいたしました。当然、自衛隊での米軍の演習の前に、三千体に及ぶ遺骨の収集と、大戦中に強制的に島から追われた旧島民の皆さんの島に帰りたいというこの帰還促進を優先すべきだ、こういうようにお聞きをしたわけです。そのときに、当日伊藤防衛庁長官と国土庁の担当官とは、ともにそういう方向に沿って努力をしたいという旨の答弁をしていらっしゃいます。その後の進展の状況は、国土庁並びに防衛庁、いかがですか。
#129
○説明員(桝原勝美君) 硫黄島問題につきましては、勝又委員御案内のとおり、五十四年六月に小笠原諸島振興審議会におきまして、この問題を調査審議するため硫黄島問題小委員会を設置いたしまして、昭和五十五年度から関係省庁の協力をいただきながら、同島の火山活動、不発弾等の埋没実態等につきまして総合調査を行ってまいったわけでありますが、五十七年度におきましては、火山活動につきまして引き続き専門家にお願いいたしまして、同島周辺の海底の地質調査と同島の陸部の地質地形変動調査を実施いたしました。さらに一方、五十七年度におきましては、同島の定住の可能性につきまして専門家にお願いをいたしまして、種々の制約条件のもとに、社会経済条件あるいは基盤施設及び環境施設整備等各般の観点から多角的な調査をお願いしておるところでありますが、この火山活動の調査あるいは定住の可能性の結果につきましては、近く委嘱いたしました専門家からその結果が取りまとめられることになっておるわけです。
したがいまして、五十五年度から五十七年度にかけまして約一億三千万の経費をかけまして硫黄島につきましては一応諸調査を終えることとなりますが、五十七年度におきましては、いままでの調査結果を踏まえながら若干の補足調査が必要ではなかろうかと考えておりますが、最終的には、これらの結果を踏まえまして、同島の旧島民の帰島あるいは開発の可能性につきましては、先ほど御説明いたしました小委員会、さらには振興審議会はもとより、東京都、さらに小笠原を初め各関係方面の御意見を十分拝聴いたしました上、同島の取り扱いを定めてまいりたいと考えております。
#130
○政府委員(友藤一隆君) 自衛隊の方でございますが、この硫黄島につきましては、御案内のとおり昭和五十五年度から、本土におきます訓練環境が十分でございませんので、訓練基地としての整備を現在行っておるわけでございますけれども、しかしながらその前提といたしましては、現在自衛隊が使用しております土地を有効に活用していくということで、現在使っております土地をこれ以上拡張するというようなことは考えておりませんで、帰島問題につきましても、関係の行政機関の御調査であるとか、あるいは遺骨の収集等についても十分御協力をしておる現状でございます。私どもといたしましては、硫黄島の旧島民の方の帰島につきましては、そういう御意思が非常に強いというようなことも十分承知をいたしておりまして、関係の機関で現在行われております御調査等ございます。したがいまして、そういった調査の成り行きを見まして今後十分協議をし、この問題に対応してまいりたいというふうに考えております。
#131
○勝又武一君 これは長官にお聞きしますけれども、私は、いまのお答えで、ほとんど何にもやってないというように理解しますよ、いろんなことをたくさん並べられたけれども。去年四月ですよ、僕が質問したのは、安保の委員会で。それで長官も、国土庁も努力するということを言われたけれども、何にもやっていらっしゃらない。それで、この間の予算委員会で防衛局長は、シーレーンの議論のときに関連して、私も聞いておりましたけれども、この硫黄島をシーレーンの重要拠点とする旨の方針を表明されましたよね。だから、長官に伺いたいのは、もう四十年間たつわけですよ。島民の島に帰りたいというこのことが、さらにこの硫黄島をシーレーンの重要拠点とするようなことから、島民のそういう悲願がどんどんどんどん先送りになってしまうんじゃないか。これも一体国土庁なのかどこなのか聞きましてもさっぱり進展しないわけですよ。これも政府全体としてどうする気なのかきょうお伺いするつもりでしたが、官房長官の出席もありませんけれども、少なくとも防衛庁としまして、そういう、この間の防衛局長のシーレーンの重要拠点という旨の表明と、島民の島に帰るというこの政策、こっちをこそ私は優先すべきだと、いまの状態は。こう思いますけれども、いかがでしょうか。
#132
○国務大臣(谷川和穗君) 島民の帰島問題そのものは防衛庁が必ずしも所管すべき事柄ではないかもしれませんが、島の開発問題については地方公共団体である東京都において行われることだと存じまするし、その基本の計面については、先ほど国土庁から御答弁ございましたが、恐らく政府としては国土庁が担当することかと存じます。
なお、防衛庁といたしましては、先ほど政府委員が答弁をいたしましたように、あるいは累次政府委員として答弁を続けてまいっておりますように、現在ありまする硫黄島の航空基地を中心といたしまする基地の整備につきましては、すでに四年間にわたって鋭意続けておりますが、今後もこれ続けて、本土ではなし得ない各般の訓練その他についてもこれを使用いたしたいと思っておる次第でございます。
#133
○勝又武一君 これも政府の統一的な見解をお聞きしませんと解決しないと思うんですよ。ですから、非常にきょう残念なんですけれども、少なくとも防衛庁にお願いしたいのは、このシーレーンの重要拠点にしていくということから島民の悲願が抹殺をされてしまう、こういうことにならないように強く防衛庁には要請をしておきます。それから最後に、時間がなくなりましたから騒音と防音の問題で、基地対策でお伺いをいたしたいと思いますが、三沢と厚木で米軍機の夜間訓練というのはこの五十七年度に、もういま三月ですけれども、いままでに何回やられておりますか。
#134
○政府委員(塩田章君) 三沢で六回、厚木で七回、これは回数のとり方にもよりますので一概に申し上げにくいんですけれども、回数で申し上げますと以上のような数字でございます。なお、一回の回数といいますのが、大体平均的に二週間前後、十日ぐらいから三週間ぐらいの間ということでございます。#135
○勝又武一君 私も内閣委員会で三沢にも視察に参りましたし、過日は安保で厚木に参りまして事情はいろいろお聞きをいたしておりますけれども、両方とも周辺の状況なりについては私なりにはわかるつもりでおりますけれども、夜間訓練の騒音の状況と市民のこれに対する反応といいますか、ベッドタウンも多いでしょうし、特に夜間という、市民の生活という問題等から一体どういうような問題点が出てきておりますか。#136
○政府委員(塩田章君) 騒音の状況でございますけれども、先ほど申し上げました回数を実施しまして、大体訓練日数としましては九十六日になっておりますが、そのうち七十デシベル以上の騒音が発生したのが一日平均九十回というような数字が出ております。それで、これにつきましていま御指摘の地元の住民の方々の反応でございますが、これはいろんなところに――いろんなところと申しますのは、たとえば市役所でありますとか、あるいは私の方の事務所でありますとか、あるいは米軍でありますとか、いろんなところに電話で苦情を持ち込まれるケースが非常に多うございまして、そういうようなものから私どもは事情を察知する、あるいは直接地元の地方団体の責任者の方から陳情なんかをいただくというようなことで承知しておりますけれども、いま申し上げましたような九十回にも及ぶような七十デシベル以上のものが大体夕方の六時ぐらいから二十二時ごろまで発生しますものですから、いろんな意味で大変に御迷惑をかけておるという状況でございます。
#137
○勝又武一君 昨年の十月ごろだったでしょうか、期日は定かではありませんが、空母ミッドウェーの艦載機が駐留をしている、そういうことから厚木基地の代替地をつくる、こういうことで防衛庁と米国との間に約束ができている向きの新聞報道がありましたが、それは事実でしょうか。#138
○政府委員(塩田章君) 去年の二月からこういう夜間着艦訓練が厚木で始まりまして、いま申し上げましたような地元の住民の方々の状況がございまして、それを受けまして地元の市町村からの陳情といったものもございまして、米軍もこの問題大変苦慮をいたしておりまして、現状のままでは訓練に支障が生ずるというので、日本側に対しまして、厚木の訓練にかわる代替の基地がないものだろうか、関東並びに関東周辺地区で代替施設の提供を願えないかという要望は参っております。参ったのは去年の十月じゃなくてもっと前でございますけれども、現にそういう要望は参っております。#139
○勝又武一君 ちょうど十月にそれが新聞に出たんです。そして十一月十四日ですか、ブルーインパルスですよね。だから、もう浜松は挙げてこうなっちゃった。そしていまの関東周辺に厚木の代替地だと。そうすると、浜松で夜間訓練をやるのか千葉かということになって、早速浜松では市民団体が反対決議をする。その反対決議を受けて浜松の市議会も反対決議をしたわけですよ。それからたしか千葉の県議会も反対の議決をしているというふうに私は承知をしているんですが、千葉は県議会が議決をしている、静岡では浜松が反対決議している。ほかに関東周辺で一体どこに米軍の夜間飛行用の厚木基地の代替地を探すつもりなのかどうなのか、この辺、長官いかがですか。#140
○国務大臣(谷川和穗君) まず、基本的な問題でございますが、日米安保条約の締結国であるわが国としては、やはり地位協定その他の取り決めによりまして米軍に対してしかるべき便宜の供与を義務づけられておりまするが、このミッドウェーの艦載機の夜間着艦訓練は、どうしても乗組員の練度の向上のためにも必要欠くべからざる訓練のようでもございます。したがって、ただいま一番便利のいい地域ということで厚木において行われておりまするが、厚木におきまする騒音のこれ以上の増大ということになってもいけないと思いますので、実はただいま御審議をちょうだいいたしておりまする五十八年度国家予算の中で、金額九百万円ではございまするが、調査費を計上させていただいておりますので、もしこれをお認めいただきましたら、この費用を最大有効に使って、どういうことが考えられるか調査をいたしたいと思っております。そして、やはり米軍の軍事施設だけではございませんが、わが方の自衛隊の施設も同じことでございますけれども、何といっても国土の狭隘わが国でございます。こういう基地周辺の住民方々には何かと大変御迷惑をかけてきておるし、また今後もそういう意味で御理解と御支持をいただかなければならぬことでございますが、この点につきましては地方公共団体その他と十分意を通じ合いまして、地域住民の方々にわれわれとしても御理解をいただきながら施策を進めたい、こう考えておる次第でございます。
#141
○勝又武一君 時間がありませんので、最後に一つだけお伺いをします。これは五十二年の十一月二十二日でした、五年半前です。当内閣委員会におきまして、私は三沢や浜松の騒音公害の防音施設について質問をいたしました。当時、亘理彰施設庁長官でしたか、盲学校というのは大変音を大切にするところだ――りますか長官、盲学校というのは音が聞こえないと教育にならないわけです、体育もそうなんです、私がそういうことを強く主張しましたら、盲学校等の防音施設についても努力をするという旨の答弁を一つされました。
それからもう一つは、時間がありませんからそれ以上言いませんが、民間の方は全室防音が進んでいる、防衛庁の方は一室とか、その当時せいぜい二室防音。三沢へ行っても強い要請を受けました。浜松の基地でもそうでした。ですから、民間並みの全室防音にするように努力をするべきだということを主張いたしまして、当時、施設庁長官もその旨の努力をする約束を五年半前にされたのであります。その後五年半、実施状況について資料要求をしてみますと、残念ながらなかなか満足な状況になっていないというように私は思うわけです。
そこで、現状と今後の努力のあり方について重ねてお伺いをいたしまして、私の質問を終わります。
#142
○政府委員(千秋健君) お答え申し上げます。防衛施設庁としましては、全国的に自衛隊等飛行場を約二十五施設持っておりまして、これらの住宅防音工事を鋭意やっているところでございますが、現在のところ、八十五WECPNL以上の区域につきましては、昭和五十五年度までに希望のあった全世帯をすべて完了しております。その後希望のあった世帯についてはその都度実施する
ということでやっております。八十WECPNL以上八十五WECPNL未満の区域につきましては、昭和五十四年度から逐次実施してまいりまして、五十八年度においておおむね完了するよう計画をいたしております。また、七十五WECPNL以上八十WECPNL未満の区域につきましては、昭和五十七年度から実施いたしまして、今後鋭意努力したいという所存でございます。
なお、先生御指摘がありました全室防音でございますが、これにつきましては、当庁としましては、対象戸数が非常に多うございますので、まず一、二室住宅防音の達成ということを最優先として実施しておりますが、逐次これについても工事を進めている次第でございます。
#143
○委員長(坂野重信君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。午後零時三十三分休憩
─────・─────
午後一時三十一分開会
#144
○委員長(坂野重信君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#145
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認めます。それでは、理事に三治重信君を指名いたします。
─────────────
#146
○委員長(坂野重信君) 休憩前に引き続き、昭和五十八年度総予算中、総理府所管のうち防衛本庁、防衛施設庁を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#147
○峯山昭範君 私は、外務省の局長さんの時間の都合がございますので、多少順序を変えまして、初めにエンタープライズの問題をお伺いしておきたいと思います。まず初めに、防衛庁にお伺いしておきたいんですが、今回のエンタープライズの入港の問題につきまして、防衛庁としましては軍事専門家としてどういうふうに状況判断をしていらっしゃるか、初めにこの点についてお伺いしておきたいと思います。
#148
○政府委員(夏目晴雄君) まず、アメリカが最近における米ソの軍事バランスというものの乖離というものを非常に懸念いたしまして、米国内の失業率が高いことやら累積赤字が非常に多いことにもめげずにそれ相応の防衛努力をしているということは御承知のとおりだと思います。また、そういった環境の中において、わが国を初めとする同盟諸国への防衛力の増強の期待もあることはこれまた事実だと思います。そこで、先般のアメリカの国防報告によりますれば、アメリカの海軍、特に海軍について言えば、従来のいわゆるインド洋における一・五の空母群というものを一グループにして、それを従来比較的手薄であったというふうな方面に広げようというふうな意向が示されておるわけでございまして、そういうものの一環として最近におけるアメリカの海軍の活動というものがあるのではないかというふうに理解しております。
私どもとしましては、こうしたアメリカの海軍のプレゼンスということは、一般的に申し上げて抑止力の機能を強化するという意味合いから評価をいたしておる、そういうことでございます。
#149
○峯山昭範君 それでは外務省の方にお伺いをいたします。今回の入港を前にいたしまして、外務大臣がマンスフィールド駐日大使を招いて、日本の非核三原則堅持という問題について大臣が説明をされて、そして大使に対して、この非核三原則の問題について事前協議制の遵守といいますか、こういうような問題を迫っていろいろと約束されたとか、どうなんだということでただされたということが新聞報道で出ておりますけれども、ここら辺の具体的な事実経過はどういうふうになっていらっしゃいますか、一遍ちょっとお伺いします。
#150
○政府委員(北村汎君) 三月の十七日に安倍外務大臣はマンスフィールド米国大使を招致いたしまして、F16の三沢配備あるいはエンタープライズの寄港というようなことも含めて、アジアのこの地域における今後のアメリカ軍の種々の活動との関連で日本に核兵器が持ち込まれるかもしれないというようなことが、わが国の中で最近懸念が伝えられておりましたので、大臣から、政府としては核兵器を持たず、つくらず、そして持ち込ませずという三原則を引き続き堅持するということを大使に述べまして、政府は国会における答弁を含めて多くの場において、米国政府が安保条約のもとにおける事前協議の枠組みの中で核兵器の持ち込みについて許可を求めてきた場合には、政府としては非核三原則に従って対処する旨明確にしてきたということを大使に伝えたわけでございます。これに対しましてマンスフィールド大使は、米国政府は核兵器に反対する日本国民の特別の感情を十分理解しているというふうに答えました。また大使は、一九八一年五月二十日のマンスフィールド大使と園田外務大臣との会談の際に明らかにされた米国政府の見解に言及をいたしまして、米国政府の立場には何らの変更もないという旨を述べました。また大使は、大臣に対しまして、核の存否については肯定も否定もしないというのがアメリカの一貫した政策であることを指摘しつつ、米国政府としては安保条約及びその関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に履行してきておって、今後とも引き続き履行する旨保証した次第でございます。
#151
○峯山昭範君 それでは、核の存否の問題については、テレビとかいろんなところで乗組員やいろいろな人たちにインタビューやいろいろやっておりますけれども、そのいろんな答弁はみんな同じですね。そういうような意味で、私ここで詳しく詰めないことにします。そこで局長、今回エンタープライズが佐世保に十五年ぶりですか、入港したわけでございますが、今回の入港の目的ですね、これはどういうふうなことになっておりますか。
#152
○政府委員(北村汎君) 空母エンタープライズの今回の佐世保への寄港は、これは先生も御承知のように、このエンタープライズは三年半ぐらいかかって大規模なオーバーホールをしておりまして、その後インド洋の方に展開をし、その後オーストラリア、フィリピンなどを経てチームスピリットの演習にも参加をしている。それを終えて、乗員の休養としクリエーションのために佐世保に寄港するということをアメリカ側から通達してまいりました。#153
○峯山昭範君 今回の寄港につきまして、久しぶりといいますか十五年ぶりなんですけれども、それ以外にも、今回は十五年前のいわゆる随伴艦なしで入港したときとは大分違うわけですね。また、今回のいろんな寄港の問題につきまして米側と――これは入港そのものにつきましては、先ほどは大臣とマンスフィールド大使との話し合いの中身をお話しになりましたけれども、いわゆるエンタープライズ入港について米側から正式にはどういうふうな申し出があったのか。それから今後のいわゆる入港についての話し合いというのか、そういうようなものがあったのかどうか。そういうことも含めまして一遍御答弁いただきたい。
#154
○政府委員(北村汎君) 今回のエンタープライズ佐世保寄港につきましては、三月の九日の夜に至りましてアメリカ側から、このエンタープライズが三月二十一日から二十五日までの間、乗組員の休養とレクリエーションのために佐世保に寄港する予定であるという内報がございました。そして、そのことを十一日に発表をするということを言ってまいりました。これが米国からございました正式の通報でございます。
それから今後のことについての御質問でございますけれども、今後エンタープライズがどこへ向けて行くとかあるいはまた帰ってくるとかというようなことについては、何ら米側から通報もございませんし、私どもは何も存じておりません。
#155
○峯山昭範君 今度の入港を機会に佐世保を母港化するとか、あるいはたびたび反復入港して母港化していく、そういうふうな報道もあるわけですけれども、こういう問題については外務省としてはどういうふうにお考えですか。#156
○政府委員(北村汎君) 先ほども申し上げましたように、エンタープライズが今後とも反復して寄港するとか、そういう話は一切私どもの方には来ておりませんし、また佐世保を母港化するというような話も一切ございません。#157
○峯山昭範君 そういうふうな話がもしあったらどういうふうに対応されますか。#158
○政府委員(北村汎君) 母港という意味にはいろいろな意味がございまして、たとえばミッドウェーが横須賀をいわゆる母港としておるという場合の母港という意味は、これはミッドウェーの乗組員の家族が横須賀に居住しておる、こういう意味でございます。あるいは母港と言いましても、活動の根拠地であるとか、あるいはその船の船籍の土地であるとか、いろいろな意味がございまして、一概に母港と言いましてもどういう意味の母港化であるかということははっきりいたさないわけでございますけれども、いかなる意味におきましても佐世保を母港化するという話は現在ございません。#159
○峯山昭範君 それは母港化というのはいろいろな意味があると思いますけれども、今後の日本海あるいは朝鮮半島、太平洋におけるアメリカの対ソ戦略のいわゆる前方拠点といいますか、そういうふうにしていくのじゃないかというふうな危惧もありますし、そういうふうな報道も現実にあるわけでありますが、こういう点についてはどういうふうにお考えですか。#160
○政府委員(北村汎君) ことしの米国の国防報告にも柔軟運用という言葉で呼ばれておりますように、米海軍は一九七九年ごろから、いわゆる中東で起こりましたいろいろな事件に対応するためにインド洋に対して海軍力を相当集中しておったわけでございますけれども、最近そういう必要もなくなったということで、従来インド洋に空母は平均一・五隻存在しておったのを今後は一隻に平均する、そういうことにして〇・五隻の余った空母を他の方面の演習その他に回すというような柔軟な運用計画というものを打ち出しておることは事実でございます。これはまあ、いわば一九七九年以前の状況に戻したということでありまして、特別に新しく西太平洋を強化するということではないとわれわれは考えております。#161
○峯山昭範君 次に、今度は防衛庁当局にお伺いをします。特にシビリアンコントロールの問題についてお伺いをいたします。これは局長で結構でございますが、特に先般の本院の予算委員会におきまして、年防問題に対していろいろと質問があったわけでございますが、その後の調査結果は大体どういうふうになっているか、一遍ちょっと局長の方からで結構ですが。
#162
○政府委員(夏目晴雄君) 先般予算委員会におきまして黒柳委員から御指摘のありました年防についての問題でございますが、現在なお調査は続行中でございますが、いずれにせよこの年防というのは、端的に申し上げますと、まず中央段階でつくられるものがあるわけでございます。一つには、統合幕僚会議が作成する統合年防、それから陸海空の各幕僚監部が作成する陸海空自衛隊の年度防衛及び警備計画、こういうものがございますが、これは各統幕会議なり各幕僚長が作成し長官の承認を受ける、こういうものには一切そういうものは該当しないことが第一点でございます。それから第二点は、陸海空の各幕僚監部が作成する年防というものが長官の直轄の部隊、たとえば陸上自衛隊で言えば方面隊、方面総監、海上自衛隊で言えば五個地方総監部あるいは自衛艦隊等に示される、航空自衛隊について言えば航空総隊等に示されるわけでございますが、そういうレベルでの年防につきましても幕僚長まで報告される、こういう仕組みになっておりまして、これらについてもいま御指摘のような問題は見当らない。
現在は、現地の各部隊、これは三百数十個余りの部隊でこの年度防衛計画というものをつくっているわけですが、そういったいわば末端の部隊における年度防衛計画についていま慎重な作業をしている、こういう状況でございます。
#163
○峯山昭範君 これは局長、私はきょうは年防そのものの中身よりも、いわゆるシビリアンコントロールという問題からこの面を見てみたいと思うんですけれども、たとえばいま局長御答弁のように三百幾つもあると。それで調査に非常に時間がかかっておるわけですね。そういうふうな意味からいきますと、その点を私は問題にしたいときょうは思っているわけです。もともとたとえば、これは具体的にお伺いをいたしますが、質問の都合上、年防作成に関する訓令というのもありますね、あるいはまた、この問題についての法的な根拠というのも先般の予算委員会でも御答弁になっておられますが、年防作成の根拠というのは、防衛庁設置法第二十六条とか、ずっとそのほか防衛庁設置法の第二十三条等をお述べになっていらっしゃいますが、それはそれとしまして、いわゆる年防作成というこの問題は、防衛庁設置法第十二条で言います局長の職務の担当です。ほかの人じゃなくて、防衛局長の職務担当のところであります。その防衛局長、これは第十二条の一、これは「防衛及び警備の基本及び調整に関すること。」というのが一にありますね。それから二に「自衛隊の行動の基本に関すること。」ということになっておりますが、その三以降は略しますが、この一、二という点から見まして、年防というのはいわゆる局長の所掌事務の中のこれに当たるか当たらないかということになりますと、どうなりますか。
#164
○政府委員(夏目晴雄君) 年防の作成、それとそれについてのいわゆる調整といいますかについては、先生御指摘のとおり、防衛庁設置法第十二条第一項に該当するものというふうに認識しております。#165
○峯山昭範君 したがって、局長が御答弁になっておりますように、確かに幕僚長なりそれぞれの責任者がつくる、年防はそれぞれつくるわけでありますが、やっぱりシビリアンコントロールという点からいきますと、最終的にはすべて防衛局長の所掌の範囲に全部入ってくるんではないか、防衛局長の目を外してはそういうものができるわけないんじゃないかと、こう私は考えるわけですけれども、ここら辺のところはどうですか。#166
○政府委員(夏目晴雄君) 確かに御指摘のとおり、年度防衛、警備計画の作成あるいは調整に関することについての責任は、私の責任の守備範囲に入るものというふうに理解しております。そこで、先ほども御答弁申し上げたとおり、統幕会議でつくる統合年度防衛計画なりあるいは陸海空の幕僚監部で作成されるそれぞれの自衛隊の防衛、警備計画というものは、私ども防衛局でチェックをし調整をして大臣に承認を求める、こういうふうな手続がとられることになっております。しかし一方、この年度防衛計画というのは、先ほども申し上げたとおり全国三百数十カ所の部隊及び機関で作成されると、こういうことになっておりまして、この一つ一つについて私のところで目を通してチェックをするということはなかなか物理的にも不可能であるということから、先ほども申し上げたようなそれぞれの部隊がつくったものは、いわば何といいますか直近上位の部隊の方に報告をされ、そこでチェックを受ける、こういうふうなシステムになっております。したがって、年度防衛計画全体のシステム上の責任者ということになれば私のところになりますけれども、個々具体的な年度防衛計画の一つ一つのチェックということになるとそういった部隊のそれぞれの責任者に委任されていると、こういう形をとって
おります。
#167
○峯山昭範君 そのとおりだと私は思うんです。それで局長の答弁を私は決して否定するわけじゃないんです。大臣もここでちょっと聞いておいてもらいたいんですが、この間の質問を聞いておりまして私の感じたことなんですが、要するに少なくとも中央レベルでつくっているもの、そういうようなものは当然長官、幕僚長が承認して目を通していると。だからそういうふうなものの中にはそういうふうなものはない。それで、そのほか年防を作成する部隊の数は三百幾つある。それで、そういうようなものには目は通していない。それはそれでやむを得ないところがあるでしょう。しかし、それらの質問のやりとりをずっと聞いておりまして、結局何といいますか、年防作成に関する訓令というのがありますね。この訓令によりますと、規定によりまして統幕議長さんとか各幕僚長の専管になっているわけですね。そうしますと、ただ運用上防衛局長には見せている、要するに防衛局長の立場から言うと見せてもらっていると、そういうふうな雰囲気になっているんではないか。
要するに、これだけ時間が長くかかるというのも、またそこら辺のところはいろいろ問題もありましょうからそれ以上詰めませんが、要するにそういうふうな雰囲気になってしまっているんではないか。これは前の栗栖統幕議長の著書の中にもこれとよく似たことがあるわけです。それはいま私が言っていることとは逆のことが書いてあるわけです。それはどういうふうなことが書いてあるかというと、要するにポイントのところだけ言いますと、運用上は内部部局に対する助言者であるというふうに、逆に統幕議長の影が薄くなってそういうふうに逆に書いてある。そういうふうなことがある程度問題になって――それはその方がいいわけです、本当は。だけれども、現在は大分違うようになってきたんじゃないか。防衛局長の本当の、たとえば防衛庁設置法の十二条で防衛及び警備の基本に関するすべてが防衛局長の任務、権限でありながら、実際は実戦部隊のそちらの方に結局主導権がすべて移ってしまってチェックが十分できなくなっているんじゃないか、そういうふうに私は非常に心配をするわけですけれども、こういう点は局長自身からこれを素直にぽんと答えると言ったってそれは無理な点があるかもしれませんが、現状とそれから大臣のお考えと、両方一遍御答弁をお伺いしておきたいと思います。
#168
○政府委員(夏目晴雄君) この年度防衛計画の作成に関して端的に先生が御指摘になったことは、それぞれの制服レベルがほとんど内容をつくり上げてしまって、内局はめくら判を押すだけにとどまっているのではないかというふうに聞こえたわけでございますが、もしそういうふうな御趣旨での御質問であれば、そういうことは毛頭ございませんで、かつてこの年度防衛計画について防衛局が百幾つの附せんをつけてこれについて相当長期間議論をしたというふうな経緯もございまして、決して私どもこの仕事を軽視したりあるいは責任を逃れてユニホームのつくられるままに見逃しているというふうなことではないということがまず第一点。しかしながら、先ほども先生御引用になりましたような防衛庁設置法の第二十六条なり二十三条の趣旨というものは、この作成の責任者はあくまでも統幕会議の議長であり各幕僚長であるというふうなことになっておりますので、そういった立場立場、いわゆるユニホームとシビリアンとの立場の違いをもってのチェック・アンド・バランスといいますか協議調整というものはしておりますが、いままた栗栖先輩の申されているような不法にそれに介入するということを避けながら、しかも十分なチェックをしているというのが実情でございます。決してこれは言いわけでも何でもございません。
#169
○峯山昭範君 やっぱりここで大臣、シビリアンコントロールというものがどういうふうになくてはいけないかというふうな基本的な考え方、これを一遍大臣にお伺いしておきたいと思います。#170
○国務大臣(谷川和穗君) 私は、毎々御答弁させていただいているわけでございますが、政治の軍事に対する優先は民主主義国家においてはぜひとも確保しなければならない事柄だと、こういうふうに考えております。そして現在の国防組織である自衛隊は、その意味では、すでに御案内のように内閣総理大臣あるいは文民であります防衛庁長官のもとに十分管理されておりまするし、そのほかに常に法律とか予算案の国会に対する提出というような形で国会を通じた民主的なコントロールのもとにあると、こういうふうに考えております。したがって基本的な考え方と申せば、ただいま申し上げたようなところがシビリアンコントロールと、こういうように考えておるのでございます。#171
○峯山昭範君 いろいろな角度があると思いますけれども、一つはやっぱり内局がしっかりしていただかないといけないと私は思いますね。それで、その点はさておきまして、第二の点のいわゆる国会という点をきょうはこれから大臣にちょっといろいろお伺いしていきたいと思います。長年にわたるわが国の何といいますか防衛政策ですね、当内閣委員会でも相当議論をされてまいりました。また、予算委員会等でもこの防衛問題というのはいろいろな角度から議論をされてきたわけであります。そういうふうな中で大臣、これはまあ大体いろいろなコンセンサスを得てきているわけですね。これは昨日も大臣にはメモで質問を聞きにお見えになった方に多少言うておきましたけれども、たとえば専守防衛に徹するとか、たとえば海外派兵はしないとか、あるいは徴兵制度はとらないとか、これはいろいろあるわけです。これはもう私たち長年議論をしてきた中で、みんなの合意としてそういうようなものが蓄積されて一つのまとまったものになっているわけです。それで、これは一つ一つ御答弁いただくのはあれでございますので、専守防衛に徹するというのは、これは大臣、現在でも変わりませんね。どうですか。
#172
○国務大臣(谷川和穗君) 政府が従来からずっと答弁いたしているとおりでございまして、現行憲法のもとで専守防衛に徹するという方針、これは全く変わりございません。#173
○峯山昭範君 それから海外派兵はしない、それから徴兵制度はとらない、これはあたりまえのことだと思うんですが、これはどうですか。#174
○国務大臣(谷川和穗君) これまたそのとおりでございまして、私どもといたしましては、一般的に言って、武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領海、領空に派遣すること、これを海外派兵と定義づけておりまして、その意味で海外派兵というものはいたしませんし、さらに徴兵制度でございますが、これはもう憲法上許容されるものではない、こういう立場に立っておるわけでございます。#175
○峯山昭範君 それから他国の脅威となるような軍備は持たないというのがあるんですよね。これはどうですか。#176
○国務大臣(谷川和穗君) 本国会におきましても政府側からこれまた再々答弁されておるのでございますが、平和憲法のもと専守防御に徹して、非核三原則を堅持し、わが国の防衛のため必要最小限の範囲において防衛力の整備を行っておるのであって、その範囲を超えて他国に脅威を与えるような強大な軍事力を保持することはいたさない、このことは全く考えていないと、こういうことで他国の脅威となり得るような軍備は持たないという原則に徹しております。#177
○峯山昭範君 一つ一つ詰めますといろいろ問題が出てくる可能性もありますので、ようけありますので、全部終わってからまた一つ一つやりたいと思います。それから非核三原則はわが国の国是と言うべきものであると、これはどうですか。
#178
○国務大臣(谷川和穗君) 非核三原則を国是として堅持してきたのでありまして、今後ともこれを国是として堅持していくということは、内閣総理大臣の今国会における答弁の中にも明らかなとおりでございます。
#179
○峯山昭範君 大臣も内閣総理大臣も、なかなかすんなりことしは認めなくて、大分がたがたしましたけれどもね。それから憲法上集団的自衛権の行使は認められていない、これはどうですか。
#180
○国務大臣(谷川和穗君) まさにそのとおりでございまして、先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、必要最小限の範囲にとどめるべきであるというのが憲法解釈でありまして、それから考えますと、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えることになるということでありまして、憲法上許されないものだと、こういうふうに考えておるわけであります。#181
○峯山昭範君 もう一つ、これは先ほどの問題と多少関係がありますけれども、憲法上わが国は他国の脅威となるような爆撃機、弾道ミサイル等の攻撃的武器は持てない、これはどうですか。#182
○国務大臣(谷川和穗君) 先ほど必要最小限の防衛力ということを申し上げましたが、その防衛力の範囲ということは、それは確かに軍事技術だとか国際情勢の変化によってあるいは相対的な面を有しているかもしれませんが、いずれにしましても、性能上相手国の国土に対して壊滅的破壊のためにのみ用いられるような兵器、こういった兵器は憲法上保有することは許されない、こういうふうに考えておるわけでございます。#183
○峯山昭範君 いろいろとありましたが、こういうふうな一つ一つの原則というものは、結局一つのこれはシビリアンコントロールの、われわれが国会でいろいろ議論をしてこういう原則でいこうという各党合意のもとにでき上がったものであろうと思うんですね。これは本当にわが国の、ある面で言えば非常に大事な私は財産でもあると思うんです。それからさらに決議が三つあるんですね。海外派兵禁止の決議というのがある。これは昭和二十九年ですね。それから非核三原則の決議、これは昭和四十六年ですね。それからその次に武器輸出問題等の決議というのが昭和五十六年の三月にあるわけですが、これは大臣御存じですね。
#184
○国務大臣(谷川和穗君) はい、存じております。#185
○峯山昭範君 この一つ一つの決議なりこういうようなものは、非常にこれは大事な国会の一つの歯どめでも私はあると思うんですね。そこでこれはひとつ、やっぱりこの問題は大事な問題なんですけれども、最後の武器輸出問題につきましては今度の予算委員会でも相当いろんな角度から議論はありました。実際問題として、これはあなたも大臣になっておられたと思うんですが、武器輸出問題等の決議に反する、われわれの立場から言えば反するです、いわゆる政策変更をなされたわけであります。事前に国会に断ることもなくです。この問題について総理は、その手続においてまことに遺憾であったと、そういうふうな旨の発言をされたわけでありますけれども、長官はこの問題についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
#186
○国務大臣(谷川和穗君) 「対米武器技術供与についての内閣官房長官談話」というのが五十八年一月の十四日になされたわけでございますが、その一番最後のところで、「昭和五十六年三月の武器輸出問題等に関する国会決議の趣旨を尊重していく考えであることは言うまでもない。」と、こういうふうに明示されておりますが、私自身といたしましては、国会決議の関係とこのたび政府決定をいたしました対米武器技術供与の中身についていまここで申し上げることは考えておりませんが、いずれにしましても、政府の意思として決定をいたしましたときのこの内閣官房長官談話に沿って、国会決議等については基本的にこれを堅持していくことは言うまでもないことだと、こう考えております。#187
○峯山昭範君 私、きょう一つ一つ中身を詰めるつもりはないんですけれども、シビリアンコントロールという面から言いますと、私たち国会で長年議論をしてまいりまして、それでつくり上げてまいりましたそれらの幾つかの原則があります、また決議もありますね。こういうふうなものは大変大事にしなければいけない。そのシビリアンコントロールの総元締めである大臣が、いわゆる国会論議の中で培ってきたこれらの原則をそれこそ厳粛に受けとめて、そしてこういうようなものを実行していく、そういう決意でなければ私いけないと思うんですけれども、この点についての大臣の所信をお伺いしておきたいと思います。#188
○国務大臣(谷川和穗君) 先ほども答弁させていただきましたが、やはり民主主義国家における政治の優先というものは常に確保されていかなければならない、こう考えておりまして、その線に沿いまして私も懸命に努力を続けたい、こう考えております。#189
○峯山昭範君 それでは次の問題に移ります。先ほど外務省の局長の答弁の中にもありましたF16の三沢移駐の問題についてお伺いをいたします。F16の三沢移駐の問題につきましては、昨年、あのF16を三沢へ移駐するという問題について米側から意向を打診されて、それを受け入れるという閣議決定をしていますね。それで、そういうふうに閣議決定もしているわけでありますが、現実の問題として昭和五十八年度の予算にこの関係の予算の措置がされているかどうか、まずこの点をお伺いしたいと思います。
#190
○政府委員(塩田章君) 予算措置をされておりません。#191
○峯山昭範君 えらいはっきりされてないとおっしゃっておりますが、実際はどういうようになるんですか。これはされてないというわけ――それはされてなくて移ってこなきゃいいわけですけれども、実際はやっぱり移らなければしようがないわけでしょう。そうなってくると、これはどういうふうになるのか。五十八年度の予算をいまわれわれは委嘱審査でやっておるわけですが、五十八年度予算に全く何もなくて、ことしは何もしないんですか。#192
○政府委員(塩田章君) 去年の秋に日本政府から基本的には受け入れたいという申し出をしました後、私どもと在日米軍との間で逐次協議をしてまいっております、現在も協議をしておるわけですが。その協議をやっております間に、私どもとしましては、まず五十八年度に何らかの予算が要るのであれば昨年の年末の政府原案の中に入れなくちゃいけないわけですから、その点はかなり急いで検討したわけでございますが、その検討の中で、どうも五十九年以降の予算措置で間に合うではないかということで大体めどがついてまいりましたので、実は五十八年度予算としましては特別なことを計上しないで、五十九年度の、今度のこの夏の概算要求までに具体的な調整をした上で必要な予算計上をお願いしようということで、現在のところ、ここにどういうものを建てるか、米側が何を希望するか、そういう話し合いはしておりますけれども、予算措置として五十八年度には特段のことをお願いしなかったと、こういうことでございます。#193
○峯山昭範君 わかりました。それで、協議はいつから始めて、現在どういうふうな段階にあるんですか。
#194
○政府委員(塩田章君) 去年の十月一日だと思いますが、伊藤前長官から基本的には受け入れたいという申し入れをしました後、逐次米側と――在日米軍でございますが、在日米軍と私どもの間で話し合いを始めてまいっております。現在のところ、アメリカとしましては、まあ第一期といいますか、昭和六十年から展開をしていきたいと言っております。その最初の展開に必要なものとしまして、住宅で約二百五十戸、隊舎で三ないし四棟、並びにこれに関連する施設というようなことがお願いをしたいことになるだろうというようなことを言っておるわけでございます。全体計画とかそういうものはまだ言っておりません。それで、そういうものを一応前提にしまして、今後五十九年度の予算要求までに米側と詰めていきたいというふうに考えております。まだそういう段階でございます。
#195
○峯山昭範君 いまちょっとおっしゃいましたが、去年の十月一日から、受け入れたいということでその後協議を続けていらっしゃるというわけでありますが、いまちょっとお話の中に住宅二百五十戸とかいろいろありましたが、要するに米軍との交渉の中で現在まで米軍から要望されているいわゆる米軍側のこういう施設というのは具体的に正式にはどのくらいなんですか。たとえば第一期といまおっしゃいましたが、一期があれば二期、三期とあるんでしょうが、たとえば具体的に、F16は一番初めの一期の場合何機移駐してくるとか、そしてそれに伴う従業員なりその整備員、米兵は何人ぐらいになるのか、そしてそれに伴う家族とかそういうふうな者は何人ぐらいになるのか、そしてそこら辺の具体的な話はずいぶん出ていると私は思うんですが、それをもうちょっと具体的に教えてくれませんか。#196
○政府委員(塩田章君) 飛行機そのものの展開計画については防衛局の方からお答えすべきだと思いますが、私がいまお答えできますことは、去年の米側からの申し入れの際に、その時点における非常に概括的な見通しとして、隊員とその家族合わせて三千五百人ぐらいになるだろうということ、それから飛行機そのものは全体で四十ないし五十機ということ、そういうような申し入れがありまして、それを具体的にそれではどういうペースでやっていくかというようなことを現在詰めておる、こういうことでございまして、その中でいまわかっておりますことは、第一期分としていま申し上げましたような数字、これを日本側に期待したいという話が出ておる、こういう段階でございます。#197
○峯山昭範君 それでは防衛局、F16は何機なんですか。#198
○政府委員(夏目晴雄君) F16の三沢配備につきまして米側からわが方に連絡があった機数というのは五十機前後、四十機ないし五十機、こういうふうに聞いております。それから配備の時期でございますが、一九八五年、昭和六十年度以降四年間にわたって二個飛行隊一個ウイングの五十機程度というものが配備される、これに伴う人員として最終的には三千五百人ぐらいではないかというふうに聞いております。#199
○峯山昭範君 いまの三千五百人というのは、隊員、家族含めましてですね。#200
○政府委員(夏目晴雄君) そのとおりでございます。#201
○峯山昭範君 そうしますと塩田長官、二百五十戸というのは、これは何人分のおうちなんですか、これ。最終的には家をどのくらいつくるんですか。#202
○政府委員(塩田章君) その点が実は、トータル三千五百人ぐらいになるだろうということを米側は言っているわけでございますが、その家族数が、いわゆる隊舎の方に入る隊員と、家族持ちであって住宅を必要とする隊員と、そういうのが具体的に米側自体も詰まっているわけではないわけです。したがいまして、家族あるいは隊員合わせて三千五百人ぐらいであるということであれば、過去のいろんなほかの地区の展開から見て、まあ一千戸ぐらいの住宅が要るのかなというような話を当時米側との間でしたことがありますが、米側自身がトータルで何戸住宅をお願いしたいというふうなところまでまだ来ていないわけです。したがいまして、とにかく第一期分としてそれではどういうものを米側は希望するかということに対しまして、先ほど申し上げましたような、隊舎で三、四棟、住宅で二百五十戸ぐらいはとりあえず欲しいんだ、こういう話が来ておる、こういうことでございます。#203
○峯山昭範君 それからこれは話の中へ出てきたのかどうか知りませんが、F16それぞれのいわゆるシェルターもお願いしたいとかいう話が出ているとか聞いておりますが、これはどうですか。#204
○政府委員(塩田章君) この点は、米側は将来計画としてはともかく、現在米側自身がシェルターをつくる計画は持っていないということでございまして、将来ともつくらないとは言っておりませんけれども、いまのところ話には出ておりません。#205
○峯山昭範君 そうしますと、これはこれから最終的にはどのくらいになるのか、最終要求わかりませんが、実際問題としてこれ五十九年度の予算にとりあえず組み込まれることになると私は思うんですけれども、まず五十九年度、初年度でどのくらいの予算を予定しておられますか。#206
○政府委員(塩田章君) これはまだ全くいまからの問題でございまして、私の方でどのぐらいになるだろうというような予定をまだ全然持っている段階ではございません。米側が先ほど申し上げましたような数字の戸数を希望しておりますけれども、それが五十九年度で全部要るのかどうか、あるいはほかに手だてがあるのか。具体的にはこれから夏にかけての米側との話し合いの中で決まっていくだろうと思いますが、私どもの方でいまの段階でどのぐらいだろうとかあるいはどの程度予定するとか、そういうようなことを考えている段階ではございません。#207
○峯山昭範君 それでは従来の在日米軍にかかわる予算ですね、これは従来どのくらいなんですか。#208
○政府委員(塩田章君) 五十八年度でいまお願いしておりますもので、歳出ベースで四百三十九億でございます。#209
○峯山昭範君 これは最終的にはどういうふうになるのかわかりませんが、いずれにしても新聞報道等によりますと、これは相当の金額の予算がかかる。当面二百五十戸ということだけでもこれは大変な金額になると私は思っておりますが、こういう点については、これは防衛庁としてはもう向こうの言いなりにそのまま対応していかざるを得ないとお考えなのかどうか、これは大臣どうですかな。#210
○政府委員(塩田章君) 私から先にお答えさしていただきますが、私どもの基本的な考え方としましては、政府として基本的には三沢配備を受け入れるということを表明したわけでございますが、予算面で提供施設の整備といった面で日本側がどれだけの協力を今後していくかということにつきましては、われわれとしましてはこれを別枠で扱うというのはむずかしい話でございまして、毎年の予算の中でできる限りの協力をしていきたいというのが基本的な考え方でございます。今後ともそういう考え方で米側と折衝をしていきたい。何も決して米側の言いなりになるとかいうことじゃなくて、現在までの提供施設整備で五十八年度で四百三十九億と先ほど申し上げましたが、ただ、そういったものを米側の今度はプライオリティーをどういうふうに米側として考えていくかという問題もあろうかと思います。そういう話し合いの中でそういうことを協議していきながら、わが方の財政事情も考えながらできる限りの協力はしていきたい、こういう考え方でございます。#211
○国務大臣(谷川和穗君) 現時点におきましては米側から具体的な詰めた要請が来ておりませんので、五十九年度予算にどういうような形でどうなっていくだろうかという、初年度分からまだはっきりいたしておりませんけれども、将来にかけて、ただいま施設庁長官から御答弁さしていただきましたような原則を原則といたしまして、十分米側とも詰めていきながら進めたい、こう考えておる次第でございます。#212
○峯山昭範君 施設庁長官の方から別枠ではないということですから、それはそういう認識を持って私たちもこれから対応していきたいと思います。それでは、ちょっと時間なくなりましたので、あともう少し二つ、三つお伺いしておきたいと思います。
一つは、大臣、防衛費の問題につきまして一%枠の見直しという問題が出てくるわけでありますが、最近の新聞報道によりますと、大臣の私的な諮問機関として、いわゆるGNP一%枠にかわる新たな歯どめを考える措置として――考える措置というよりも、そのために長官の私的な諮問機関
を新設する意向を固めたというふうな記事が新聞に出ておるわけですが、これは大臣、どういうことですか。
#213
○国務大臣(谷川和穗君) 私は現時点で、五十一年の閣議の線でございまする国民総生産の百分の一に相当する額というこの一%の問題について、直ちにこれを撤回するとか修正するとか変えなきゃならぬとかいうようなふうに考えているわけではございません。それから五十九年度以降の予算についてでございますが、確かにわが国の経済の成長がどうなっていくのか、経済の情勢がこの時点で読み切れませんし、それから五十九年度予算にどういうような防衛庁としては概算要求をつくり上げて財政当局と話し合いに入るかという基本も、実はいま五十八年度予算を御審議いただいているこの時点でございます。全くまだ検討を開始しているわけでもございません。
さらに私といたしましては、五十一年の閣議決定でございまするこの一%につきましては、できる限りこれを尊重していく覚悟でございまして、現時点で私がただいま御指摘のような、何らかの私的にせよ、そういうようなものをつくって新しい歯どめについて検討を開始したという事実はございません。また、その考えもいまこの時点で持ち合わせているわけでもございません。
#214
○峯山昭範君 これは大臣、いま五十八年度予算ですから確かにそういうことを云々することはできないわけですけれども、実際問題として、五十一年閣議で決定されたこの一%枠という問題が五十九年度予算には一%を突破するんではないかという、何というか心配というか、それは現実にはあるわけなんでしょう。#215
○国務大臣(谷川和穗君) これから後のわが国の経済の動向を見きわめないと何とも申し上げにくいのではございますが、確かに現在御審議をいただいておりまする五十八年度予算におきましても、すでにその比率は〇・九八というところまで来ておりまするし、それからわが国の経済が、いろいろな諸条件があろうかと存じますが、そう一気にわれわれが期待しておるほど大きく再活性化を果たしてくれるかどうか。そういうこともございまして、五十九年度予算の編成については、あるいはただいまの御指摘のあったような御懸念、こういうものがわれわれとしても考えなければならぬことになるのかもしれませんが、そのときにはその時点でどういう状態になってそうなるかということによって判断をして、改めていろいろ必要な事柄があればその時点において考えるという基本姿勢に立っておるわけでございます。#216
○峯山昭範君 最後に、もう一つだけお伺いしておきます。午前中に同僚議員の方からブルーインパルスの事故の問題が質問になりました。そこで、いろいろやるつもりだったんですが、もう十分質問ありましたので、一つだけお伺いをしておきます。
それはいわゆる死亡した隊員の補償の問題ですが、これは具体的にはどういうふうになっていらっしゃるのか。
#217
○政府委員(上野隆史君) お答え申し上げます。公務上の災害に対しまする補償等につきましては、御承知のとおり防衛庁職員給与法二十七条一項の規定に基づきます国家公務員災害補償法の準用等によりまして、一般職の国家公務員と同様の考え方に立ちます補償等を行っております。
今回の殉職者故高嶋潔三等空佐の災害に対します補償につきましては、申し上げますと、一時金といたしまして葬祭補償、遺族特別支給金、遺族特別援護金、退職手当、合算いたしまして約一千万円、それから年金といたしまして遺族補償年金、遺族特別給付金、合わせまして約三百五十万円でございます。一時金はすでに支給済みであります。年金は年四回分割払いということで、五十八年三月以降支給されるという予定でございます。
なお、このほかに共済組合の弔慰金あるいは弘済会の共助部特別弔慰金、それから隊友会からお花、香典等、それから共済組合の遺族年金等も支給をされます。
以上でございます。
#218
○峯山昭範君 私はきょうもう時間がありませんから余り言いませんが、上野さんの衆議院の答弁を私いま見ていたわけです。それで衆議院の答弁、いまあなたの御答弁と同じような答弁をされているわけですけれども、要するに、きょうは私が指摘したからかどうか知りませんが、御答弁にならなかったんですけれども、いまあなたがおっしゃった御答弁の最後の方ですね、衆議院の答弁でもそうですが、そういうふうな生命保険等合わせまして七千万円、これが一時金でございますと、そういうふうな答弁があるわけですね。要するに隊員が非常にたくさん一時金なり何なりもらっているというふうな印象をぽっと受けるわけです。ところが実際は、この七千万円の中身は本人が掛けている生命保険料等を全部含めて七千万円でありまして、結局本人の生命保険料とかそんなものを全部合わせますと六千七百万円なんですね。六千七百万円は、これは本人が掛けていたものなんですね。こういうふうなものを合わせて七千万円なんということになると、何となくたくさんもらっているような雰囲気になるわけであります。したがって、やっぱりいろいろな防衛庁のこういう問題に対するときの答弁は、そういうふうなものも全部含めていつも答弁をしているというふうな指摘もあるわけです。そこら辺のところは、やっぱり厳粛に受けとめてきちっとした方がいいんじゃないか、そういうふうに私思いますので、最後に一言だけ一遍言っておきたいと思ってきょうはこの問題を言ったわけでありまして、こういうふうな問題は非常に大事な問題でありますし、またそういう方々はきちっとしてあげなければいけないという点もあります。そういう点から、こういうところは厳粛に受けとめて、きちっと御答弁をお願いしたい、そう思ってきょうは一言取り上げたわけであります。
以上で終わります。
#219
○安武洋子君 私は昨年、横田基地を中心といたします所沢、大和田基地にB52の核投下の最終指令を発する通信装置が置かれている、これがことしの九月から核戦闘が行える最新型の通信装置に取りかえる計画を米軍が進めている、こういうことを米の議会文書に基づいて指摘をいたしました。最近、この増強工事にかかわるきわめて重要な掲示が所沢通信基地内に張り出されております。全部英文でございまして、これは日本人に見せるものではございません。基地勤務の米兵に見せる通知でございます。こういうふうなものでございます。おわかりでございますか。(資料を示す)これは、要点はどういうことかと申しますと、米陸軍工兵軍団、八二会計年度、軍事建設計画、通信施設換装――換装といいますのは装置を新しく取りかえる、新しいものにするという換装という字でございます。所沢、太平洋、師団、在日工兵部隊、契約者タイヘイデンキ株式会社、こういうふうに書いてございます。これこそ昨年七月に私が、アメリカの八二年会計年度軍事建設予算書千九百八十四ページに載ってございましたが、指摘いたしました換装工事ずばりそのものでございます。そこでお伺いをいたしますが、この件に関しまして外務省、防衛施設庁は米軍からどのような通報をお受けでございましょうか。
#220
○政府委員(山下新太郎君) お答え申し上げます。外務省といたしまして、いま御指摘の点、アメリカ側から私の知る限り通報は受けておりません。
#221
○政府委員(千秋健君) 防衛施設庁の方も米軍から何ら通報を受けておりません。#222
○安武洋子君 私は昨年にこの問題を指摘いたしました。この問題について私は重大な関心をやはり持っていただけているというふうに思いますけれども、しかしこれは、私あのときも指摘をいたしましたが、B52に対して最終的に核攻撃の指令をする、こういう通信基地でございます。これの換装装置ということで、とても見過ごすわけにいかないという重大な問題でございます。市民も大変危惧をいだいております。直ちにこれは調べて報告をしていただかなければならないと、こう思いますが、いかがでございますか。
#223
○政府委員(山下新太郎君) アメリカ側に早速、お話ございましたので、照会いたしてみたいと思います。#224
○安武洋子君 では、アメリカにこういう連絡をして、そしてその結果、これは地元の所沢市に対しても説明をなさらなければならないというふうに思いますけれども、そういうことをなさいますでしょうか。#225
○政府委員(千秋健君) これは私ども地位協定に基づくたてまえでございますが、基地内におきます建設工事によりましてその周辺地域に何らかの影響がある、こういうような場合には、米側からその工事内容について調整を受けまして、それに基づいて地元地方公共団体等とわれわれはそれについての調整を行います。そういう意味で、今回の工事についてそれに該当するというようなことで連絡があれば、私どもとしては当然所沢市、それら所在市町村とそれについて調整をするということでございます。#226
○安武洋子君 何らかの影響どころでなくて、こういうことは何か事が起これば人までも一挙に灰になろうかというふうな重大な問題でございます。私は、米軍がそういうことで通知もしないで、こういうものだけを掲げて日本政府に何ら通知をしていないということであれば重大な問題であると思います。ですから、必ず米軍にこの内容を確かめ、そして地元住民にも私はこういう説明をきちっとなさるべきだと。しかし、何よりもかによりもこういう危ない基地そのものを私は断固として撤去をすべきだ、こういう基地の強化工事をやめるようにアメリカに言うべきだと、そういうふうに思いますが、長官いかがお考えでございますか。
#227
○政府委員(塩田章君) ただいまの件、千秋部長からもお答えいたしましたが、防衛施設庁といたしましては、当該工事が地元の住民あるいは市町村に影響があるという場合に、米側の申し出を受けて調整をいたすと、こういうことでございます。#228
○安武洋子君 昨年私が指摘をした工事そのものずばりと。そうすると、地元どころか、私は本当に日本国民そのものにも大きな影響を与えるという問題であるということを指摘したはずでございます。だから、当然地元にもそういう工事をするなら説明があるべき、日本政府にも通知があるべしと、それが当然でございます。それがなされていない上に、いまもそういう御答弁をなさっておりますけれども、私はこういう危険な基地を容認なさるということ自体が問題であろうかと、こういう基地は撤去すべきだということを強く申し上げまして、これを直ちに調査をして報告をしていただきたい、そのことをお願い申し上げておきます。その点はよろしゅうございますね。#229
○政府委員(山下新太郎君) ちょっと先生御指摘の点で、地位協定あるいは安保条約との関係で申し述べさせていただきたいと存じますが、一般的に施設、区域を特定の目的で提供しているわけでございますが、その提供されている趣旨の範囲内におきまして、たとえば設備が古くなったというようなことから新しいものにかえるといったようなことは、別に地位協定上日本国政府に事前に通報する等の手続は普通は要らないわけでございます。私どもが理解している範囲におきましては、そもそも米側が提供している目的の範囲内でやっていることでございますし、そういうことをやることによりまして、すなわち改修工事等を行うことによりましてアメリカ側が有効な抑止力確保ということを意図しているわけでございますから、その上におきましても安保条約の有効性を確保する上で有意義なものではないか、したがって理解し得るところである、こういうふうに思っております。
#230
○安武洋子君 去年の七月五日の私の論議をよく読んでからそういう御答弁をしていただきたい。私はそのときに、どれほど重要なものであろうか、単なる装置を新しくかえるというふうなものだけではないということを何度も繰り返して指摘をしております。そこで、先ほどのように、調査をして報告をしてくださるかどうかということだけ答弁を求めておりますので、その答弁をしてください。
#231
○政府委員(山下新太郎君) 先ほど申し上げましたことが私どもの基本的な考え方でございますが、かつまたただいま先生おっしゃいましたように、昨年の七月五日決算委員会でこの問題が取り上げられまして、いろいろ御論議のあったところは十分私も議事録で拝見いたしている次第でございます。それで、おっしゃいましたように、私といたしましてはアメリカ側に照会いたすつもりでございまして、その結果が判明次第御連絡申し上げたいと思います。
#232
○安武洋子君 では次に移ります。大臣所信についてお伺いいたします。五十六年の大臣所信では、米国は「二個空母群をインド洋に投入しており、この結果、わが国周辺の西太平洋においては、最近見られたように、空母機動部隊の全くの空白が生じる例も生起している」云々ということで、「わが国周辺海域における米海軍力の低下は否めず」、少し飛ばします。「留意すべき新たな要素」というふうに言っておられます。そして、五十七年も同趣旨のことを言っておられます。ところが、先日伺いました大臣の所信ではこのような分析が全く見当たりません。これはどういうことでございましょうか。
#233
○国務大臣(谷川和穗君) 極東における米ソの軍事バランスにおいて、このバランスが崩れるといいますか、過去におきまする、特に近年のソビエトの軍事力の強化がきわめて顕著でございまして、その意味ではアメリカも軍事バランスの回復を図りたいという意図があることは先生御存じのとおりでございます。特に、八三国防報告にもございますように、米側といたしましては、特にその意味では西太平洋において幾つかの新たに艦艇をここへ投入してその軍事バランスの回復を図りたいとか、あるいは先ほど来議論になっておりまするF16の三沢配備を日本側に申し入れてまいりました中にも実はその一項目があることから推しましても、米側がここ近年厳しい財政事情、国内問題を抱えながら、この抑止力の信頼性の回復のために、軍事的な面で申しますと、バランスの回復を図っておるという事実はあろうかと存じます。#234
○安武洋子君 では、アメリカが中東への空母のスイングを放棄して、アメリカの国防報告が柔軟作戦と言われておりますけれども、こういうことを打ち出している、それを念頭に置いた、こういうことでございますか。#235
○政府委員(新井弘一君) アメリカの極東における海軍力についての御質問でございますので、若干私からお答えいたします。おっしゃるとおり、今回の国防報告でもいわゆる柔軟作戦、要するに海軍力の柔軟な運用を世界的規模で図るという政策をすでにアメリカは実施している。最近における極東海域におけるアメリカ海軍等の動きもその一環であるということは言えるかと思います。
以上であります。
#236
○安武洋子君 では大臣に伺いますが、大臣は日本周辺の防衛を考える場合に、この柔軟戦略、柔軟作戦、こう言われておりますけれども、そのアメリカの作戦を念頭に置いたから大臣の所信がいままでと変わられた、こういうことで受け取ってよろしゅうございますね。#237
○国務大臣(谷川和穗君) 大臣所信は防衛庁挙げてつくり上げてくるものでございまして、必ずしもいままでの歴代大臣の所信と私の大臣所信が基本的に大きく変化したと私は思っておりません。しかしながら、私自身といたしましては、西側の持つ平和戦略はあくまで抑止の戦略であって、抑止の戦略というものは抑止が有効に働くというときに初めて成り立つわけでございますが、その意味では最近米側が、特に先ほど来答弁さしていただいておりまするように、西太平洋において艦船のプレゼンスを強化しておることは抑止の戦略のためには歓迎すべきことである、こういうふうに理解いたしております。
#238
○安武洋子君 ですから、それを念頭に置かれて大臣所信をお述べになったと、こういうふうに理解さしていただいてよろしゅうございますねということで、念押しをさせていただいております。#239
○国務大臣(谷川和穗君) 私どもは、あくまでわが国の自衛のために、防衛のために防衛力整備を含め努力をいたしてきておるわけでございますが、同時に、日米安保条約体制に基づきまして日本有事の場合に、日米安保条約五条事態が発生したときには日米安保条約体制が有効に作動する、働くということを心から念願をいたしております。その意味では、先ほど答弁をさしていただきましたように、わが国の安全の確保、極東の平和の維持、ひいては抑止力として西側の平和戦略がこの地域においても有効に働くということをあわせて心から念願をいたしておるわけでございます。#240
○安武洋子君 レーマン長官は、柔軟作戦はスイング戦略を放棄した結果必然的に出てきた考え方であると、これを念頭に置かれないで大臣所信をおっしゃるというふうなことは考えられないわけです。そこで、続けてお伺いをいたしておきますけれども、今後アメリカはこういう柔軟作戦をとるというふうなことになるわけですが、そうすれば日本周辺へアメリカの航空母艦が来る、こういう回数がふえ、それに伴って日本への寄港もふえる、こう予想されておられますでしょうか。
#241
○国務大臣(谷川和穗君) あくまでも、航空母艦を持っておる国が航空母艦をどういう作戦目的にどう使うかというのはその国の考えでございますが、私は航空母艦というのは前進可動な基地的な要素が非常に強いものだというふうに判断いたしておりまして、果たしてそのような性格を持った艦艇がどこにどういうふうにおるか、動くか、これは私どもが決めることではないというふうに判断をいたしております。#242
○安武洋子君 アメリカが柔軟作戦で、いままで行かなかったような日本海とか、そういうところに投入をするということを言っているわけです。ということになれば、日本の防衛庁としても日本に対しての空母の寄港が多くなるであろうというふうに予測を立てていくとか、そういうことは私はやはり防衛庁として考えられるのがあたりまえじゃなかろうか、こう思いますが、そしていまエンタープライズが寄港いたしております。では、これは柔軟作戦の一環として入ってきたんだなというふうに認識をなさっていらっしゃるんでしょうか、どうでございましょうか。#243
○政府委員(新井弘一君) エンタープライズが佐世保に入港する前に先立ち、韓国とのチームスピリットに参加したということは報道で伝えられているとおりだろうと思います。先ほどから先生しばしば御発言になっておられますように、確かにアメリカの今回の国防報告におきまして、アメリカとしては従来のプレゼンスをキープしていた、たとえば地中海、太平洋、これは従来の水準を維持する。他方、インド洋に展開していた空母は若干これを減らすというようなことで、世界的な規模で空母の運用訓練の機会を与えるということ、それとの関連で、いまおっしゃいましたようにカリブ海、日本海、北西太平洋においてもそういう運用の増加を予定しているという記述がございます。したがいまして、一般論としては今回のエンタープライズもそういう大枠の中の動きであろうというふうに思いますが、それが果たして具体的に今後どういうふうにわが国の周辺に展開するのかどうかは、これは先ほど防衛庁長官が御説明したとおりで、いまの時点で確たることは申し上げられません。#244
○安武洋子君 ということは、エンプラは柔軟作戦の一環として日本にも寄港している。ロング米太平洋軍司令官、これが下院で、日本海での米空母機動部隊演習を頻繁に繰り返す、こう述べております。これを受けましてドネリー司令官は、日本がこうした演習に参加するように求めていると語っております。それで、お伺いをいたしますけれども、日本はこういうことを求められているのか、そしてこういう演習に自衛隊は参加をするのか、お伺いをいたします。
#245
○政府委員(新井弘一君) 日本政府側が米側からこの種の要請を受けたということは聞いておりません。#246
○安武洋子君 参加するかしないか、もし求められたら。答えてください。#247
○政府委員(西廣整輝君) 御質問の趣旨を十分とらえているかどうかわかりませんが、現在米側から特に、参事官がいま申し上げたように、何も求められているわけじゃございません。私どもは自衛隊の任務遂行に真に必要な訓練であれば参加をするということでありまして、米側が日本周辺でいろいろな訓練をする機会がふえたから必然的に自衛隊との共同訓練もふえるというふうには考えておりません。#248
○安武洋子君 回数はふえるとは考えてはいないけれども、そういう演習に参加をするように求められれば参加をしていくということですか、確認いたしますが。#249
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど申し上げたように、要は参加するかしないかというのは、その訓練の内容が自衛隊の任務遂行に必要な技量の向上その他そういった価値のあるものであるかないかということが判断の基準になるということでございます。#250
○安武洋子君 そういう判断基準であれば、大抵のものはそれは参加をする方がいいと、こういうことになりますよ。だから、あなたのお答えというのは、そういうものにも参加をしていこうということになるではありませんか。私はここではっきり申し上げたいんですけれども、対ソ戦を前提としてアメリカはこういう柔軟作戦というのを打ち出し、そして日本海にアメリカの空母機動部隊、この演習を頻繁に繰り返していくんだということで投入をしております。そういう演習に日本が参加をするというふうなことになれば、これは明らかにアメリカの戦略に組み込まれる、アメリカの世界戦略の一端を日本が担う、こういうことになって集団的防衛に踏み出すということにもなるわけです。
私はここではっきりと申し上げたいんですが、もし訓練を求められても参加をするべきでない、参加をしてはならないと、こういうふうに思います。長官、いかがでございますか。
#251
○政府委員(西廣整輝君) 申すまでもございませんが、私どもが外国と共同訓練をする場合、それが集団的自衛権の行使に及ぶようなものであれば、それは当然のことながらそういう演習なり訓練には参加ができないということでございます。したがいまして、私どもが行います外国との共同訓練と申しますのは、自衛隊の任務遂行、自衛のために必要な範囲内のものでありまして、戦術技量の向上であるとかあるいは日本防衛のための共同対処のための訓練、そういったことに限られるものでございます。#252
○安武洋子君 では確認しておきますが、先ほど私が申しましたように、ロング太平洋軍司令官が下院で言った、日本海での演習を頻繁に繰り返すと。そしてこれを受けたドネリー司令官が、日本にもこういう演習に参加をするようにと求めているんだと。そのことは、じゃ、いまのに該当するから参加をしないと、こういうふうに確認していいでしょうか。そして私は、とても時間がもうありませんのでせきますが、次いで一緒に答えていただきたいんです。これはかっちり答えていただきたい。
エンタープライズの機動部隊は約二百個の戦術核兵器を積載できる、こう聞いておりますけれども、そうなんでしょうか。
#253
○政府委員(西廣整輝君) 前段の方だけお答えいたしますが、たびたび申し上げているように、アメリカが行う訓練の目的そのものがまだ決まっておりませんのでどういう性格のものであるかということがわかりませんが、いずれにしましても、私ども自衛隊が参加をする訓練なり演習というのは自衛隊の任務遂行に必要な範囲内のものに限るということであります。#254
○安武洋子君 あと答えてくれないの。急いで答えてください。#255
○政府委員(新井弘一君) 急いで答えます。エンタープライズは、たしか八十数機の航空機を搭載しております。F14以下でございます。その中で、具体的にはA6、A7。それからS3、SH3というヘリコプターがございます。これらの航空機は、確かに核爆弾あるいは核爆雷――機によって違いますけれども、搭載能力はあると。これだけは申し上げられると思います。
#256
○安武洋子君 先ほどの訓練ですが、私ははっきり申し上げておきますけれども、あなたたちはいろいろ口実をつけて集団的自衛権になし崩しに足を踏み出していると、こういうことをなさってきているわけです。そういうことを絶対なさらないようにということで、こういう演習には参加しないようにということを重ねて申し上げて、エンタープライズのいまのを続けますけれども、私は、いまの御答弁のような核を積載したエンタープライズ、政府が容認のもとに入ってきているということで、けしからぬことだと思うんです。これは、報道によりますと、昨年の日米防衛首脳会談の際にエンプラの佐世保寄港は米軍の方から言い出したと言われております。これは事実なんでしょうか、お答えいただきます。#257
○政府委員(夏目晴雄君) 一部の報道にありましたように、昨年伊藤防衛庁長官が訪米された際にエンタープライズの寄港についての申し入れがあったのではないかという御質問であれば、そういう話は一切ございませんでした。#258
○安武洋子君 では、いつ相談が持ちかけられたのか。いつ決定したのか。それからさらに続けますけれども、一月二十九日の読売報道では、すでに「反復寄港で合意」というふうに言われております。昨日の報道によりますと、四月の二十五日ごろと七日末に反復して入港予定だと、こういうことが言われておりますけれども、政府はこれを承知し了承したのでしょうか。これ、一つずつお答えいただきます。
#259
○政府委員(山下新太郎君) いまおっしゃったような事実は、私が承知する限り一切ございませんです。#260
○安武洋子君 ちょっと、一つずつきちっと答えてくれないと。あなた、いつ相談が持ちかけられたのかと私は聞いたんですよね。それで、いつ決まったのかと聞いたんです。ですから、最後のだけそういうことは知らないということでお答えいただいたので、知らなければ幸い。絶対にそういうことがないように拒否をしていただきたいと思いますが、最初のお答えです。#261
○政府委員(山下新太郎君) 今回、二十一日から寄港している件でございますが、三月九日の夜にアメリカ側からそういう一種の内報がございまして、十一日にアメリカが発表したことは御承知のとおりでございます。他方、それ以前に何らかの話があったのかと、こういう御質問かと思いますが、昨年の秋ぐらいからいろいろな形で接触している段階で、これ別に公式な会合とかそういうあれではございませんですけれども、そのようなことをアメリカ側が考えているといったようなことだというふうに承知いたしております。#262
○安武洋子君 では、一つ伺いますけれども、エンタープライズ艦隊がアメリカ本土を出発いたしました。それで佐世保に来ているわけですが、そのルート、日取り、これは報道によりますと、昨年九月にアメリカを出発したと。それでアリューシャン群島で演習をして、津軽海峡を通って日本海に入って演習をした。それで対馬海峡を抜けて、ベトナム沖を通ってシンガポールに行って、そこを抜けてインド洋を通って中東地域に行って、二月中旬にフィリピンのスビック軍港に戻って、フィリピンを二月の二十七日に出発して、チームスピリット83演習に参加をして佐世保へと、こういうことになっております。概要このように承知をしているかどうかということと、それから先ほどいろいろと正式ではないにしても相談をしたと、これはエンタープライズがアメリカ本土を出港する前に日本の寄港というのは予定されて話し合いが行われていたか、この二点をお伺いいたします。
#263
○政府委員(山下新太郎君) 私どもが承知しております範囲では、いま先生がおっしゃったように、何月何日にどこを出てというところまで実は承知いたしておりませんで、私の知っておりますのは、エンタープライズがインド洋で行動をやりまして、その後、オーストラリアのフリマントルという港がございますが、そこに寄り、その後フィリピンのスビック・ベイ、これ御指摘のとおりでございますが、そこに寄港いたしまして、その後チームスピリットの演習に参加し、これを終えまして、現在乗組員の休養とレクリエーションのために佐世保に寄港しているというところでございます。#264
○安武洋子君 アメリカを出港したのは――それもわからないんですか。#265
○政府委員(山下新太郎君) 承知いたしておりません。#266
○安武洋子君 アメリカの出港を承知していないんですか。#267
○政府委員(山下新太郎君) はい、承知いたしておりません。#268
○安武洋子君 こういうふうに報道がされているのに、外務省自身が知らないで済まないと思います。こういうことが報道されているなら、それが本当かどうかと外務省としても責任を持って調べるというのがあたりまえじゃないでしょうか。伺いますが、日本に寄港してくるということになれば、非核三原則がある、核は積んでいない、事前協議がないから、という態度をおとりでございますか。それならアメリカを出港する前に核はおろしてきたんでしょうか、それとも途中のどこかで核をおろしているんでしょうか。いまごろエンタープライズに核を積んでいないなんて、そんなことを信じる者はだれもいないわけです。だから、日本に寄港するときにどこで一体核をおろしたという確認をされているんですか。
#269
○政府委員(山下新太郎君) 従前から申し上げているとおりでございますが、安保条約の上におきましてはいかなる核兵器の持ち込みも事前協議の対象になるということでございます。事前協議が行われる場合におきまして、従前来政府がこれを申し上げているところでありますが、常にこれを拒否するという態度をとっているわけでございます。また、事前協議に関しましてはアメリカはその約束を守るということ、そのことは安保条約上の義務でございまして、したがいましてアメリカがこのような約束を履行しているということに何ら疑いを持っていない次第でございます。すでに報道されておりますが、一週間前の十七日に、マンスフィールド駐日大使が外務大臣に対しまして以上のようなことを申し述べておられる次第でございます。したがいまして、私どもといたしましては、積んでいる、持ち込みに当たるようなことを行っているとは考えていない次第でございます。#270
○安武洋子君 核も搭載しないで六カ月間も演習を繰り返している。その演習中にはソ連と戦争のような場面もあったという報道もあるわけなんです。いまどきエンプラが核も積まないでいるというふうなことを信じるような、そんな子供だましを言っても信じる国民はおりません。そういうふうな態度を政府がおとり続けになるということは私は大変腹立たしいです。どちらにいたしましても、こういう核を積んでいる危険なエンタープライズなどの入港については拒否を断固すべきだと、そのことを言いまして、時間が残念ながら参りましたので、私の質問を終わります。
#271
○三治重信君 まず最初に、先日の防衛大学校の卒業式について、非常に各社各テレビも長く、また非常に詳細に卒業式の模様をテレビで映していたんですが、そのときの解説の中にも、その中で十何人民間に就職する者がことしもまたあった、こういうふうなのをちょっと耳に挟んだんですが、わが党は前から、こういう防衛庁の防衛大学校、またこの前問題にしたのが防衛医科大学校の卒業生が全部公費で手当を受けて、そして大学卒業の資格だけ取って、そして防衛の任務を放棄して民間に就職するというのは、個人の自由でやむを得ぬというような答弁が防衛庁がいままでとっていた態度だろうと思うんですけれども、こういうふうな一般の学校と違って特別、自衛官の幹部の養成、医者の養成ということについて、いまもって防衛庁が一般の国立大学の卒業生の就職の自由と同じように考えて、それはもう変更できないんだというような態度というのは、やはりこれだけ防衛費突出、防衛費がおかしいじゃないかということが国民の間でも出てきているときに、そういうような完全なむだ遣いのかっこうになるということ、これは大した金額ではないかもしれないが、そういうふうな防衛費に対する一つの疑問というものがそういうところから出てくるということが一つ。また、何よりもそういう自衛官の中心になる人、国の自衛隊の中心になる幹部養成の学校が、そこが入学を許可するから、四年間も教育をしていながら、しかも卒業と同時にはいさようならと行くのをみすみすああ結構ですというかっこうでやっている防衛庁の幹部の態度というものが国民に、自衛隊というのは一体何だ、こんなものはおもちゃの兵隊をつくることと同じことじゃないかと、こういうかっこうになりはせぬかと私は非常に心配をする。
戦後はそういうふうな自由な時代なんだからそういうことはできないということは、アメリカでもイギリスでも西ドイツでも、こういうようなのは、特別な目的を持った陸海空軍の学校が、国防軍の中心になるその教育施設がみんなそういうようなことをやっているのか、また、そういうことがなくても事実全部何と申しますか、自衛官なりそういう将校として全員その任務に服しているというのが各国どこでも通例じゃないかと思うんですが、その実情はどういうぐあいになっておりますか。
#272
○政府委員(西廣整輝君) ただいま御質問がありましたように、本年の卒業生は三百八十九人おったわけでございますが、その中に任官しなかった者が十九人おりました。そのうちには、在学中に負傷したりあるいは病気等にかかりまして身体的に自衛官になることが無理で、学校側の方からそういった判断をして転職を勧めたと、あるいは転職を承認したという者が五人おりますので、いわゆる任官拒否者というのは十四人でございますが、いずれにいたしましても、防大の卒業生の中からことしもまた十数人の任官辞退者が出たということはまことに残念でありますし、申しわけないというふうに思っておるわけであります。そこで、いま先生の御意見にありましたように、防大の卒業生といいますのは、将来自衛隊の中核的な幹部自衛官になるべき非常に名誉ある責任を有しておるわけでございますが、それだけに、防大の卒業生にはそれに値するような人格なり識見なり力量を持つことが期待されておるわけであります。その半面、彼らが独善的な、あるいは特殊な偏った思想の持ち主じゃないということが強く要請されておるわけであります。そういったことから見まして、私どもとしましては、アウトプット、いわゆる出口の段階で脱落する者がある程度出るということを恐れる余りに入り口の段階で締めてしまう、門戸を狭くしてしまうということは余り好ましくないんではないか。やはりできるだけ入り口の段階、門戸は広く広げておいて幅広い人材を採って、そうして防衛大学校の四年間の教育訓練の中で自衛官としての自覚あるいは国防に対する認識といったものを強めさしていくということがより適当なのではないかというように考えておるわけであります。
なお、いま先生から諸外国はどうなっておるかという御質問がございましたが、実は私どもの方で、諸外国ともいろいろ制度が変わっておりますので余り正確な情報はつかんでおりませんけれども、一例を申し上げますと、たとえばアメリカの士官学校でございますと、任官をしない者は卒業後四年間下士官として勤務をさせるといったような制度がございます。そういったように各国とも、兵役につかせる、あるいは奨学金を返させるといったような制度をとっておるところが多いようでございます。
ただ、先ほども申しましたように、率直に申さしていただければ、わが国の義務教育なり高校教育で特に国防といったものについてそれほど関心を持たせるような教育をいたしておるわけじゃございませんので、高校を卒業した段階で国防という問題について強い関心を持っておるという人は非常にまれでございますし、またそういった人はいわば特別な人だというように考えますので、やはり入学の段階ではできるだけ広く人材を集める方がよろしいのではないかというように防衛庁としては考えておるわけであります。
#273
○三治重信君 そういうふうだと、採用のときには結局自衛官の志望ということでなくして、ただ答案ができて普通の人間であればそういう思想、何というんですか思想、信条についてこれはちょっと危ないとか、こういうようなのはということを余り厳格にやってかえって偏狭的な考え方の持ち主ばかりになってしまうなどというのも、それは一つの考え方かもわからぬけれども、やはり一般国民から見てもだれから見ても、防衛大学校へ志望する者がむしろそれは偏狭的な、熱狂的な国粋主義者なり、余り何といいますか右に偏したというのはむしろ警戒とか、そういう思想というものについて幅広く考えるのはいいけれども、その結果四年間教育して兵隊さんやめますということを許すという国はどこにもないじゃないかと思うわけよね。これがそういうことを強制なり、幅広いいい人材を採るためにそういう十人や二十人、五%や一割ぐらいドロップしてもその方がいいんだという、結論はいまそういうことだと思うんだけれども、とてもじゃないが納得できない。そういうことならば、むしろ一般のアメリカ式にいけば、入れるときには幅広くたくさんに入れて、その中で自衛官の幹部として適当でないというのは途中で落第さして、ドロップさせて、そうして卒業のときには全員きちんと自衛官として自覚を持った者をむしろやるべきで、そうすると、その途中でドロップさしたやつが結局人生再出発しなくちゃならぬということがあるならば、これは文部省と話して一定の課程を得た者については、何というんですか、転学なりそういうことはなかなか国立大学その他じゃできぬかもしれぬけれども、そういう一つの考え方もあるかと思うし、それから事実どこの学校へ入っても自分に適さぬというのは退学して、民間の一般の学校では、一般の国立大学でも私立大学でも入ったけれども、どうもこれはおもしろくないと、自分の志望で入ったんだけれども、授業を聞いたりやっているとおもしろくないからやめると、むしろ自分で退学してやめて自分でまた再入学の志願をやるのが普通であって、そいつを入れるときにそういうことに恐れをなして四年までのんびり資格だけ与えるような教育というのは、防衛大――しかも防衛大学校というのは、これはもう昔の陸軍大学校や海軍大学校、海軍兵学校や士官学校に相当する重要な施設じゃないんですか。しかも数からいけば三百何人、四百人足らずのところにそういう甘い考えだと本当にどんな幹部ができるかというふうに思わざるを得ないんです。
しかし、その考え方で今日までやっているということはわかりましたけれども、こういう者について卒業する資格を与えた人には完全に自衛官になってもらう。またこれをやめるというならば、やめる前にそれだけについてやはり国が全部まる抱えでやっているわけなんだから、税金を使っているわけだから、それはある程度の金額、金の返
還制度、昔は官費支給の学校はみんな言うことを聞かなかったら金の返還をさして、それぞれに償還しているわけですよね、一般の官給の学校では。そういうことすら考えないですか。
#274
○政府委員(西廣整輝君) 先生の御意見も十分理解できるわけでございますけれども、そういった先ほど私どもの申したような形で採用しておるわけですが、もちろん採用当時、防衛大学校というのは将来自衛隊の幹部自衛官になる者を育てる学校であるよということはもう十分言っておるわけでございますけれども、やはり現在の青年といいますのはもう少し気楽なものだろうと思って入ってくるのがかなりおるわけでございます。それが防衛大学に入りまして、厳しい訓練その他で相当数がやはり脱落していくわけであります。多いときには二割ぐらいが、下級生の段階で一割ないし二割ぐらいが脱落していく。そういうように早期にほとんどの人が脱落していくわけですが、中には四年間がんばり通すといいますか、猫をかぶって最後まで来ておるという者が若干残っておるわけであります。それが卒業の段階でいろいろ生活指導、進路指導をやる段階でわかってくるわけですが、これをもし卒業証書を与えないということになりますと、今度は卒業証書をもらうまで猫をかぶっておって、そして幹部候補生学校へ行ったらすぐやめてしまうということになりますので、そういう点では余り効果がないということで、そういう者を幹部候補生学校に送り込むよりも防衛大学の方の段階で卒業さしてやった方がいいじゃないかというのが第一点でございます。それからそういった脱落者を防止するために、あるいはそれだけの国損をかけたのであるから償還金制度を設けたらどうかという御意見ごもっともだと思いますが、と同時に、その金が返せないから嫌々ながら自衛官になっておる、あるいはまた金さえ返せばいいんではないか、どんどんやめていいんではないかということで、気楽に金さえ返せばやめられるのだというような気風が出てくるということもまたこれ困ったことでありまして、なかなかいい名案が見つからないというのが実情でございます。そのあたりを御理解いただきたいと思います。
#275
○三治重信君 僕はそういうのんびりした考え方や自衛官の養成、防衛大学校の運営についてはきわめて不満であるし、そういうやつではりっぱな自衛官というものはできぬし、それはある程度自衛隊の幹部をつくるなら義務観念やそういう国に対する奉仕の精神が真っ先になけりゃならないのに、そいつを教育を受けて金返せと言ったら返しゃいいじゃないかというようなそんなことでは余り意味ないということを考えていると。これは、そんなことで防衛費を使われたら、国民の税金というのは何のために防衛費をつけているのだということになるのだよ。これはもう少し一銭一厘といえども防衛費というのはむだ遣いせぬという精神を持って、何とかそれに対して国民の税金を防衛大学校で使うにしても何にしても、学生にこれは国民の税金で特にやられているというぐらいの教育をやって、だからそれに適応しない者はそれぐらいのものは返すのは当然というぐらいのやはりけじめをつけぬことには、とてもじゃないがこういう特殊の学校をやる意味がない。こんなことをするなら、いままでの高等学校や一般の大学卒業生を募集して、そして短期訓練した方がどれだけ、安上がりでいくし、いい幹部ができるかもわからぬ。かえってこんな専門の学校をつくって、そういうあなたの考え方みたいに、一般の大学や私立の大学の教育と同じような方針で運営される。しかもこれはもう全部官給で、被服から給与から小遣いまで税金で出しているのだよ。それを、もう卒業もさしてやります、自衛官になろうがなるまいが御自由でございますと言うのだったら、これ防衛庁が経営する意味ないじゃないか、こういうふうに悪口を言いたくなる。文部省の管轄の一般の学校と違うのだという考え方またはそういう教育、人の扱い方や基本というものをもう少ししっかり立ててもらわなければ私はとても承服ができないことを申し上げておきます。こういうことを許せば一般の会社勤めの人と基本的な精神においては全然変わらないじゃないか。これを防衛庁があくまでいつまででもそういう態度をとる限りにおいて、われわれいつまででもこれは姿勢を直してくれと、こういう要求をするのですが、防衛庁長官どうですか、これ。
#276
○国務大臣(谷川和穗君) 本年も任官辞退者が出たことはまことに残念でございまするし、遺憾であると、こう考えております。しかしながら、今後とも私どもといたしましては、少しでも質の高い優秀な人材がこの防衛大学の中で育っていってくれることを期待して教育を続ける覚悟でございますが、すでに本年二十七期生が卒業いたしておりますが、自衛隊の中で活躍をしてくれておる防衛大学校卒業生は一万人を超しております。本年も四百人に近い卒業生が出ているのでありまして、その諸君の中には、本当に国の防衛のために身を挺して奮闘努力をしてくれておる数多くの隊員諸君がおるわけでございまして、私どもといたしましては、まだ若い大学校でありますが、将来にわたってよき伝統が育っていくことを願いつつこの大学校の経営に努めていきたい、こう考えております。#277
○三治重信君 自衛隊の幹部をつくるというのはだれも異存はないわけなんだけれども、物にはそれだけの一つの任務を、特別な任務を持って特別な施設をしているからには特別な対策、それからドロップする人間やいろんなのが出るならば、それには特別な対策がとられてしかるべきなんだ。やむを得ない、残念だというだけで漫然とやっていくというようなことは――よその国のやつも少し勉強して、よその国がドロップするのに対してどういう対策をとって教育をしているかというぐらいの比較対照やそれに対する改善、願うだけで、口ばかりでやらぬで、やはりこれは人間がある程度の締まりをするからには、魂を入れるからには、口だけで言うよりかやはりそれに対する一つの制度的な締まりというもの、こういうぐあいになればこうだよと、自分でそれだけの責任、苦痛を味わわなくちゃならぬという制度的な制裁というものがあってしかるべきだと思っておりまして、いまの防衛庁のこういう教育施設に対する考え方について、非常に心から憤りを持って、そういう態度についておかしい、もう少し考え直してもらわなきゃならぬと、こういうふうに申し上げておきます。次に、防衛施設庁にお尋ねしますが、米軍の日本駐留の施設において、労務費は全額戦後占領時代からずっと持っていた。円高のときからたしかそれが労務費の中で一部負担をするようになった。あるいは施設の提供、基地の提供というものはこちらの方で地位協定ですか、日米防衛協定によって、この条約によって負担を義務づけられているから、それは当然だろうと思うんですけれども。一つは、そういう労務費の負担がふえたときには、聞くところによると一つは円高、物すごく二百円とか百六十七円までいったときのやつでいわゆる米軍の駐留費の日本の労務者に対する支払いがとてもじゃないが米軍の予算からでは賄い切れぬ。しかし、実際の日本の国内の給与の水準というのと非常に格差ができる。それに対して、米軍の予算とこちらの給与水準というのとえらい格差でやむを得ぬ措置として協力をした。その後、しかし円安はこう、だあっと百六十七円とか百八十円とかなってずっといまじゃ二百四十円、去年では二百六十円と、百円からも一ドルで違うようになっているのに、これは防衛の何というのですか、基地従業員の対策費の金額は毎年どんどこどんどこふえていくばかりなんだけれども、これはどういう折衝をしているのか。
それからアメリカの基地提供をやっていたけれども、その肩がわりということがときどき言われるわけなんだが、それも米国のいわゆる軍事費の日本基地の維持についての日本側の協力というようなことも言われて、逐次その費用もふやしておられるようなんだけれども、これは基本的にそういうものが場当たり的な、時のアメリカの予算の枠の問題とか日本の予算の余裕や厳しさというも
ので場当たり的に予算年度ごとにそういうものが具体的な数字でこの程度にしようかというようなことで決まっていくのか。そこには一つのきちんとした筋があって、やはり日米の軍事協力、軍事同盟の線に沿った一つの日本がアメリカへのサービスと防衛分担の強化ということの立場から、そういうことについてできる限りの協力をやっていく立場なのかをひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
#278
○政府委員(塩田章君) ただいまも御指摘がございましたように、労務費については昭和五十三年から、施設費については五十四年からでございますが、そのときに、その時点で確かに円とドルの関係で非常に円高になっておった時期でございますが、それが一つの契機になってこういう問題が発生して、当時俗に思いやりと言われたわけでございますが、そういう形で日本側が持つようになってきたという経過は御指摘のような経過であったと思います。しかし、その後現状はどうかと、いまはもう毎年毎年場当たり的に交渉しながらやっているのかという御指摘でございますが、確かに経過的にそういうことはございますけれども、いま私どもは、まず労務費について言いますと、現行の地位協定上日本側が持ち得る経費につきましては現在の状況が限度いっぱいだと思っておりますが、これを毎年負担をしていくということでもちろん単価アップ等はございますけれども、項目等についてはもう固定した形で現在日本側が昭和五十四年以降負担してまいってきております。
それから施設費につきましては、そういった意味での固定したものがございませんけれども、これはむしろ円高とかそういうことじゃなくて、現在ではむしろ日米の安全保障体制というものの円滑な運用というような観点から、日本側としても、在日米軍の負担についても経費についての日本側の負担も考えていこうということにむしろ意味がございまして、現在やっておるわけでございます。ただ、労務費と違いまして、そのめどといいますか、そういったことにつきましては毎年毎年の予算でやっておるわけでございますから、そういう意味においてはあるいは場当たり的じゃないかという御批判はあるかもしれませんが、実際はそうではなくて、米側の要望等をよく聞きまして、わが方の財政事情等も勘案しながら調整を重ねた上で個々に緊要度の高いものから決めていくということでやっておりまして、私どもとしては全体的に日米安全保障の有効な体制の維持という点から大いに貢献をしておるものというふうに考えておるわけであります。
#279
○秦豊君 まとまった質問は予算委員会の締めくくり総括があるから、きょうは断片的な質問をしてみたいと思います。まず、海峡封鎖に関連しまして防衛庁、アメリカ軍単独による海峡封鎖、たとえば宗谷海峡などの封鎖作戦に当たって、アメリカ側から日本政府あるいは自衛隊に対して警戒、哨戒、護衛等の具体的な協力を要請された場合には一体どんな対応があり得るのでしょうね。
#280
○政府委員(夏目晴雄君) いま先生の御指摘の問題の大前提が、すでにわが国に対して武力攻撃を受けておって日米が共同対処をしている段階での御質問であるのか、あるいはまだ日本は武力行使、自衛権を発動する前の段階であるのかということが必ずしもはっきりいたしませんが、もしその後者の場合、すなわちアメリカがどこかの国と戦端を開いておって、いま御指摘のあったような行動を起こす場合に自衛隊がそういうことをするかということであれば、それはできないと思います。#281
○秦豊君 すでに今国会の審議で、日本有事でなくてアメリカが単独でというところまでは政府は一歩踏み込んだわけだ。そこで伺っているんだけれども、これは日本有事の大前提ではなく、中東またはその他の極東地域における有事の際にと、改めて聞き直しますが、その場合の作戦協力、協力要請には応じないと断言するわけですね。
#282
○政府委員(夏目晴雄君) わが国に対する武力攻撃がない極東有事なり中東有事ということを前提で自衛隊が自衛権を発動し、武力行使を行うというようなことはあり得ない、また、できないと思っております。#283
○秦豊君 さらに確認するが、直接的にその戦闘場面への戦力投入ではなくて、たとえば間接的な警戒、哨戒あるいは通信的な情報協力あるいは間接的な護衛、これも否定しますか。#284
○政府委員(夏目晴雄君) 個々のケースを一つ一つ詰めていきますと、どこからが武力行使の範疇に入るのかというふうなことにもなりますが、情報協力というようなことがそれに入るのか入らないのかという問題はあろうかと思いますが、少なくとも警戒とか、自衛官が出動して何らかの行動を行うということは適切でないではないかというふうに考えております。#285
○秦豊君 軍事常識として、中東有事の場合でも自衛隊に対する何らかの協力要請は必ずあり得る、私はそう判断している。考えている。だからあえて伺ったのだけれども、あくまで否定されるわけですね。#286
○政府委員(夏目晴雄君) いま中東有事という話がございましたが、これも先生十分御案内のことでございますが、先般のガイドラインに基づく研究項目の一つに、いわゆる安保条約第六条の事態というふうなことについての日本政府の米軍に対する協力についての研究ということがすでに行われております。この範囲であれば、今後の研究の進展にもよりますけれども、そこでできる協力ということはできるだろう。しかし、いま申し上げたのはあくまでも安保条約の六条事態ということでございまして、中東事態というのはその中に入るかというのはまた別問題だというふうに思っております。#287
○秦豊君 では五条に返りましょう。五条事態の場合に、たとえば宗谷なら宗谷を考えた場合に、サハリンのソビエトの航空勢力を考えても、アメリカ単独でもあるいはむずかしかろうという事態が多分に想定される。その場合には、当然自衛隊の、私の申し上げたような間接的な協力はおろか、直接的なある海面における、あるいは上空における共同作戦というのは自明のことですね。
#288
○政府委員(夏目晴雄君) 五条事態といいますか、すでにわが国とアメリカが共同対処をとっているという段階では、各種の作戦において共同に作戦を行うということは大いにあり得ると思います。ただ、具体的にどういう場合がどうかということまでは詰めておりませんが、一般的にそういうことは当然あり得るというふうに考えております。#289
○秦豊君 あなたは、昨年の秋ですか、たしか九月十六日の当院決算委員会において、海上自衛隊の対潜哨戒機は必要があれば平時でも一千海里までの哨戒を行うけれども、いまは考えてはいないと答弁しています。このことを裏から見ますと、夏目さんね、日本が平時であっても極東有事や中東有事になれば、哨戒範囲を周辺三百海里ではなくてワイドにして一千海里までは拡大できるということになりますね。#290
○政府委員(夏目晴雄君) これは、いまたまたまこの委員会にもおいでになる安武先生の御質問に対する答弁だと思いますが、私が申し上げた趣旨は、現在海上自衛隊のP3C――P3CというよりはむしろP2Jでございますが、監視をしておりますが、それはいわば自衛隊の現在の平時における任務遂行上の監視飛行ということでございまして、いま必要な範囲で日本周辺の海域において実施しているということでございます。それからもう一つ、その際お答えした第二点は、わが方の海上防衛力の整備というものは、あくまでも周辺数百マイル、航路帯を設ける場合には一千マイルというものをめどとして防衛力の整備を進めているというふうなことを申し上げたのが第二点でございます。
それから第三点としまして……
#291
○秦豊君 私の質問に答えてくださいよ。#292
○政府委員(夏目晴雄君) P3Cという航空機は当然それだけの一千マイルまで行く能力はあるが、現在そういう必要もないのでやっておりません。しかし、必要があればやるということを申し上げたことでございまして、それは必ずしも極東有事とか中東有事とかいうことを具体的に念頭に置いてお答えしたわけではなくて、現在は周辺数百マイルにとどまっているものが必要に応じて広がることは理論的にはあり得るでしょう。しかし、いま全くそういうことは考えておりません。こういうことをお答えしておきたいと思います。#293
○秦豊君 私が聞いているポイントを取り違えないで、あるいはみだりにかわさないでいただきたい。つまり、中東有事になるとアメリカの嘉手納、三沢のP3Cでは当然その展開する方向あるいは収集する情報の要素、要求が手薄になる。そうするとグアムから日本周辺――南西、南東、つまり千海里の海域に対する広域哨戒については当然日本側に要請が来ると考えるのが、これがイロハのイだ。だからその場合に、アメリカ側から要請があれば、つまり中東有事が前提ですよ、その他の有事が。日本の防衛当局、政府としては要請にこたえざるを得ないのではないか、哨戒範囲を拡大せざるを得ないのではないか、重ねて聞きます。#294
○政府委員(夏目晴雄君) 日本有事でない現在の平時における監視業務としては、わが日本政府が必要と判断する範囲で行うということでございまして、アメリカからどういう要請が来るかということとは別問題であろうというふうに思っております。#295
○秦豊君 また質問に答えていない。それは答弁とは言わない。すりかえと言う。私が聞いているのは、中東有事という前提をきちっと踏まえているわけだ。アメリカは必ず要請してくる。その場合にはどう対応するんですかと聞いているんですよ、やさしい日本語で。
#296
○政府委員(夏目晴雄君) アメリカが中東有事のときにどういうことを要請してくるか必ずしもはつきりしておりませんので、いまここでもって、そういう際にはアメリカの要請にこたえるとか、あるいはお断りするということを単純にお答えするような材料の持ち合わせがない。しかしあくまでも、最初から申し上げているのは、いま行っている監視というのは、そういったものとは関係なく、平時における監視業務の一環として行っているものである。切り離して考えていただきたいということを申し上げているわけでございます。#297
○秦豊君 しかし、よく吉田総理の時代に、仮定の質問にはお答えできない、これはもう流行語になったけれども、そういう逃げ方はあなたには許されていないわけだ。やはりアメリカの要請というのは自明のこととして即行われる。だから、あり得るケースとしては、海上自衛隊の対潜機がそういう任務につくことに……。では、妨げの、それを阻害する要因、論拠はありますか、逆に聞きますが。協力してはならぬという論拠がありますか。#298
○政府委員(夏目晴雄君) これまた答弁のすりかえというふうな御批判を招くかと思いますが、日米間は安保体制によって結ばれておりますので、平素からいろいろな情報の交換というものはやっております。具体的にどういうことをやっているかということについてのお答えは差し控えたいと思いますが、必要な範囲内で必要な情報の交換はやっておるということでございます。#299
○秦豊君 これはやめよう。観点を変えますけれども、夏目さんね、あなたとはじっくり討論したいものだから集中しますけれども、日本有事を前提にしてグアム周辺から日本へ来援に赴く、来援するアメリカのタスクフォース、あるいは日本から沿海州攻撃に向かうアメリカ空母機動艦隊、この艦隊に対して直衛行動ではなくて間接護衛を要請された場合の対応にはどんなことが考えられるか。この場合に、アメリカの対潜機などは全部オホーツクとか日本海のもっと奥深いところを哨戒範囲にしなければいけないので、これもきわめて戦力は手薄になる。日本に要請したいのはこれも軍事常識だろうと思うが、これに対してはいかがですかな。
#300
○政府委員(夏目晴雄君) 非常にむずかしい御質問でございますが、これもわが国に対して武力攻撃がすでに開始されておって日米が共同対処をしているという前提での御質問であれば、必要に応じてその米艦隊がわが国を防衛するために行動しており、わが国の米艦護衛の仕事が日米共同対処の一環として行われるのであれば、当然これは個別的自衛権の範囲として認められるというふうに理解しております。ただし、具体的にそういう場面があるかないかということは別でございまして、いま理論上の話として申し上げる、こういうことでございます。#301
○秦豊君 理論上という前置詞はついたけれども、比較的正直な率直な答弁だと思います。それからもう一つ聞いておきたい、これに関連して。シーレーン防衛の日米共同研究には、これはもう明らかであるが、極東有事は入っていないという。日本有事五条、五条と、これはもう何十回も繰り返していますね。それじゃ当然いぶかしく思うのは、極東有事や中東有事におけるシーレーン防衛への日米共同対処というのは一体どういう場で練るんですか。
#302
○政府委員(夏目晴雄君) どういう場でというか、あくまでも御指摘のように今回行おうとしているシーレーン防衛の研究というのは五条事態であると。一方、六条事態の日本政府のアメリカに対する便宜供与の問題については、これはシーレーン防衛に限らず、一般的に日本政府がアメリカに支援すべき事柄についての研究をするということでございまして、これはシーレーンと関係ないわけですが、いま先生おっしゃったような中東有事なり極東有事でのシーレーン防衛についての研究の場というものは現在ないというふうに認識しております。#303
○秦豊君 では、五条に限定し、日本有事に限局化した現在の共同研究がある設想を終え、検討を終えた次の段階、第二段階にはこういう研究が当然予想され、また必要とされますね。#304
○政府委員(夏目晴雄君) 何せまだ五条事態における共同作戦計画の研究というのは一昨年の夏に一つの設想に基づく計画が概成したということにとどまりまして、今回ようやくそのいわば二番手とも言うべきシーレーン防衛についての研究に着手したばかりでございます。この研究もなかなか困難な問題を抱えておりますし、どの程度の期間かかるか必ずしもはっきりしておりませんので、いまその先の先までということを申し上げるような段階にはないというふうに思っています。#305
○秦豊君 しかし防衛局長、日米政府間に特にガイドラインというレールがあるんですからね。五条が終わったら六条、これは自明の、当然の路線、方向じゃありませんか。これを避けて通れますか。仮定の問題と言わないで、踏み込んでもらいたい。#306
○政府委員(夏目晴雄君) ですから、ガイドラインそのものが五条事態を前提にした研究しか考えていないわけでございまして、私どもこのガイドラインの枠内での研究をしようということでございまして、このガイドラインと別に、また将来、別個の日米の安保協議委員会なりそういうところでそういった研究をしようという声が持ち上がって、そういうものが認められたということになればまた別でしょうけれども、いまのところ、私どもはこのガイドラインの中の研究にとどまる、またそれで精いっぱいであると、こういうことでございます。#307
○秦豊君 アメリカの最大関心は、おのれの国の国益をどう守り抜くか、世界戦略をいかに達成するかにある。日本の国益じゃないんだ。非情なまでに冷徹なわけだ、その戦略の構想は。したがって、いまはガイドライン、それはわかり切った話です、あなたに聞くまでもない。しかし、それが終わってアメリカは必ずそれを求めてくる、五条事態は十分にテーブルを突き合わせてやったじゃないかと、協力したじゃないかと。ある段階になった、次はわれわれの要請に従っていただきたい、極東有事その他の有事における広域海域分担あるいはシーレーン共同防衛についてぜひ協議したい――だから応ずる場合があり得るわけでしょう。そうしなければ完結しないでしょう、海上防衛構想が。違いますか。
#308
○政府委員(夏目晴雄君) いずれにしましても、極東有事というふうな段階でわが国が自衛権を発動し、武力の行使を伴うような行動をすることは憲法でも認められていないということから、そういうふうな要請がアメリカからいまある、要請が来るというふうには考えられません。アメリカは、当然ながらわが方が憲法上の制約、すなわち個別的自衛権の範囲にとどまることを十分承知しておりますので、そういうことはないのではないかというふうに思っております。#309
○秦豊君 あなたはいまはその程度の答弁しかできないでしょうね。やがて必ず来る、この要請はね。外務省、あなた方はエンタープライズには反復寄港なんかはあり得ないと見ていますか。答弁簡潔にね。
#310
○政府委員(山下新太郎君) お答え申し上げます。反復寄港とおっしゃる御趣旨が……
#311
○秦豊君 何回も来ること、日本語で言えば。#312
○政府委員(山下新太郎君) 要するに、私どもはあらかじめ何と申しますか何月何日に何度来て、その次にまた何回だというような形で通報を受けるわけではございませんので、エンタープライズといいますか、米海軍がエンタープライズの運航上必要に応じまして寄港したいという、するという申し入れがございます。そのたびに、要するに関連取り決めに基づきましてこれを受け入れるという形でございます。#313
○秦豊君 外務省ね、翻訳調の日本語じゃなくて、なるべく日本語的日本語で答えてもらいたいんだ。では、次の寄港要請、エンタープライズに限定しましょうか、カール・ビンソンと言いましたけれども。エンタープライズが次の寄港を要請してきた場合に、じゃ断る論拠はおありか。
#314
○政府委員(山下新太郎君) 断る論拠は私が承知する限りではないと思います。#315
○秦豊君 何回も断れない、その都度入ってくる、これをやさしい日本語では反復寄港というのです。そうですね。#316
○政府委員(山下新太郎君) わかりました。#317
○秦豊君 ありがとうございます。非常に優秀な生徒であると思います。私は、かつて十五年前に、一ジャーナリストとしてエンプラの佐世保寄港問題を取材した。今度も行ってみた。実感した、入港のあの波紋を。改めて実感が沸き上がったんだけれども、そのときに、あのときの艦長は日本人記者団との会見において、佐世保は佐世保だが本当のわれわれのねらいは横須賀なんだと、こう言っている。現実にいま佐世保ドック周辺の、造船所周辺のメンテナンスの能力は、一般的能力には十分であるが、エレクトロニクスその他になるとお手上げであって横須賀に依存しなければならない、横須賀の六号岸壁だと。そうすると、必ず横須賀への寄港要請は早晩出てくる。これもまあ仮定の問題ですから取り越し苦労およしくださいじゃなくて、まさにアメリカのねらいはそこにある。エンタープライズ、首都の近くだから刺激が強いというのでいま、軍事的にはもうのどから手が出るほどなんだけれども、政治的に避けているのが実態なんです。横須賀に仮にエンタープライズの寄港要請があった場合には、これまた私は現在の安保体制上断る論拠はあり得ないと思うが、いかがですか。
#318
○政府委員(山下新太郎君) 今回のエンタープライズの佐世保入港でございますが、補給と休養ということで入ってきている次第でございます。それで、その次に入ってきます場合も多分同じようなことではないかと思いますが、いろいろな考慮からアメリカ海軍が横須賀に入港したいと、入港することとしたいという話があった場合に、取り決めあるいは協定上問題がない限りにおいて断る理由はないと思います。#319
○秦豊君 きょうの答弁の中で一番明確であると思います。高い評価をいたします。これはどなた、西廣さんかな。この国防総省のイクレ次官の日本海における日米韓を連ねた共同訓練という報道は御存じのとおり。繰り返しません。それに関連して、在日米軍司令官ドネリー中将がかつてこう言っている。将来、いや近い将来にはチームスピリット演習のように日米双方の三軍による統合演習に発展させたい――統合、これが大事なポイントですよ。ばらばらじゃなくて統合。三軍による統合演習に発展させたいのであるがと述べておいでです。すでに、あなた方だけではなくて、矢田前統幕議長はそれに対して希望、そうありたいという制服の希望を表明しているが、西廣さんとしてはどういう答弁が可能ですか、どう考えていますか。
#320
○政府委員(西廣整輝君) 日米共同の統合訓練ということでございますが、現在、御存じのように陸海空個別の共同訓練がようやく緒についたという段階でございます。加えて、自衛隊内部でもいわゆる総合演習というものはまだ数回をやったということで、まだまだこれから自衛隊だけの統合演習というものについてもう少し習熟しなければいかぬということを加えますと、日米の統合訓練というものはまだ少し時期が早いというように考えております。もちろん、陸なら陸の共同訓練の中に状況現示その他の関係で、たとえば航空自衛隊なら航空自衛隊が参加をするといったような場面は若干は出てくると思いますけれども、陸海空三軍の日米の統合訓練というものはもう少し時間がかかろうかというふうに考えております。#321
○秦豊君 確かにそういう実態があるかもしれませんね、通信系統いろいろ考えても、通信機能。しかし、ことしは確かに無理、背伸びの印象があるが、八四年度ぐらいになれば最低条件も満たす、機は熟す、可能性は強まる、こういうふうな見通しはありますか。#322
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど申し上げましたが、実を言いますと自衛隊内部の統合演習も、たとえば防衛庁長官が統裁をする統合演習といったものがまだ実施をされていないといったような状況でございますので、来年ということで、私も先のことは十分見通しがききませんけれども、来年もまだちょっと無理ではなかろうかというぐらいの見通しであります。#323
○秦豊君 では、谷川防衛庁長官が統括をする統合演習は次の内閣改造までにはあり得るでしょうね。秋です。#324
○政府委員(西廣整輝君) 先生御案内のように、現在防衛庁でいわゆる中央指揮所というものを建設中でございます。それができ上がった段階では、長官統裁の統合演習といったものも実施をいたしたいというふうに考えております。#325
○秦豊君 もし、あなた方の日程がおくれなければ、九月から十月にかけて指揮所完成と見ていいですか、稼働と。だから、それにすぐ伴って、じゃ年内じゃありませんか。そう理解してよろしいですか。#326
○政府委員(西廣整輝君) 指揮所は建物としてはある程度できますけれども、それに付随します通信施設その他五十八年度いっぱいでどうやら使えるかっこうになるかということで、完成は五十九年度に持ち越しますけれども、そういった状況であります。#327
○秦豊君 では、五十八年度というふうな幅の中で統合演習の可能性はないわけではないですか。#328
○政府委員(西廣整輝君) 五十八年度のことはまだ決めておりませんけれども、長官がじきじき統裁される統合演習は五十八年度中はちょっと困難ではなかろうかというように考えております。#329
○秦豊君 では、次の長官、失礼ながら。五十九年度に統合演習という可能性は濃厚ですね。#330
○政府委員(西廣整輝君) 来年のこともわからない状況で五十九年度のことはなおさらわからぬわけでありますが、先ほど申したように、指揮所がようよう使えるようになるということ、かたがた現在の統幕議長統裁の統合演習もかなり回を重ねますので、五十九年度あたりからは可能性がかなり高くなってくると思っております。
#331
○秦豊君 ちょうど塩田さんいらっしゃいますから、あなた証人の一人です。八二年二月十七日、予算委員会で私の質問に対して、こういう質問の趣旨――これは夏目さんに伺いますよ。専守防衛を考えた場合に、上着陸阻止が大きな眼目になる、F1では搭載兵装や対原潜能力の点でどうも能力に不足がある。塩田当事防衛局長に対して私はFSXの質問をしたときに、あなたは対地支援機としてはF4の改装、これが一つ。次に、F1という選択のほかにF16の選択も含まれるということをたしかお答えになっております。そこで、現局長に伺いますけれども、アメリカはF16E、大分設計変更をした、パワーアップをしたA16Eの評価試験もすでに終わっています。今後の対地対艦能力の充実を考える場合に、五六中業の修正変更、五九中業への連続を考えた場合に、F16Eの導入などということは具体的な検討対象となり得るでしょうか。つまり塩田氏の答弁は生きていると考えてよろしいか、いかがですか。
#332
○政府委員(夏目晴雄君) 次期対地支援機の問題については五六中業においても考えなければいけない問題としておりますが、現在直ちに検討作業をしているわけではございませんが、仮に白紙的に申し上げるならば、F1の改、F4を改修したもの、さらにはF16も候補機種の一つにはなり得るかというふうに考えますが、あくまでもこれは可能性として白紙的に申し上げているわけでございまして、いまFSXについての検討をしたということでもございませんので明確なことは申し上げられませんが、可能性としてはおっしゃるとおりだと思います。#333
○秦豊君 三沢にF16がやがて配備される。同僚議員も費用の問題等についていろいろ質問をしたわけでありますけれども、日本みずからがF16を装備する可能性は白紙の状態では否定されなかったと、こう理解していいですね。#334
○政府委員(夏目晴雄君) 将来どういうふうな機種選定の検討作業が始まるかわかりませんが、可能性としてはおっしゃるとおりだと思います。#335
○秦豊君 谷川長官、ちょっとまだ二分ありますから伺いたい。エンタープライズに続くであろうのはニュージャージーとカール・ビンソンです。すでに一昨年の八月に私は国防総省を訪問して北西太平洋担当のジョーンズ提督と会談をした際に、戦域核の北東アジアへの配備の対象地の一つとして日本を考えているという発言がかなり大きな波紋を投げたわけです。ところが、いま実態はエンプラ、カール・ビンソン、ニュージャージーがまさに高性能の、高い精度を持った移動式戦域核基地そのものなんです。だから、戦域核戦力の配備はまさに始まっているというのが私の認識なんです。
そこで、エンタープライズに続く一種のシリーズのようなニュージャージーあるいはカール・ビンソンの日本寄港等は、これは北東アジアにおける対ソ戦域核バランスの回復と強化というふうな基本認識にはつながりませんか。これが一つ。
それからもう一つ、明年の夏以降、第七艦隊所属の攻撃型原潜あるいは水上艦艇等にも巡航ミサイルが搭載されることがアメリカ議会での証言において裏づけられております。これも西太平洋における核抑止力の格段の増強として、これはきわめて防衛庁、防衛庁長官としては歓迎すべき方向とお考えなのかどうか。
そうして、まだ一分ありますから、これは新井さんに、バックファイアの生産ペースが大体情報によれば月産二・五機です。それでB1に対抗するであろう、しのぐであろうブラックジャックの実戦配備は三、四年かかる。当分はこの生産ペースでバックファイアの生産を余儀なくされる、ソビエトは。改めて聞きますが、現在極東への配備のテンポはかなり早いと思うが、現在機数を再確認するとともに、海軍への配属と他の部隊への配属がわかっていれば国会で明らかにしてもらいたいのと、今後の増強についてどんな見方を、あなた専門家だから、していらっしゃるか、これが一つ。
最後に、ベトナムのカムランあるいはダナン等への訓練飛行ということがしばしば予測されているんだけれども、まだ現在までには行われていないのか。しかし、やがては、配備はともかくとして訓練飛行の対象地としてベトナムがあり得るというふうに専門家としては考えているだろうか。最後に、配備の可能性はいかがだろうか。
以上についてお二人にお答えをいただきたい。
#336
○政府委員(新井弘一君) 恐縮ですけれども、まとめて全部回答させていただきます。まず第一に、ニュージャージー、エンタープライズ等々がもっぱらソ連の戦域核を対象にし、極東地域に展開されるのかどうかという御質問であったと思いますが、御承知のとおりアメリカは、ソ連の軍事力の強化それからグローバルなパワープロジェクション、これに対抗しまして近代化と態勢の強化を図っていく、その一環として極東にも最近来の動きがあると。こういった点を総合いたしますと、アメリカのやはり基本的なねらいは、核、通常戦力、双方を含めて全般的な戦力、その抑止力の信頼性の向上ということであって、もっぱらSS20とかあるいはバックファイアという個々の特定の兵器システムを対象にするものではないというふうに見ております。
それから第二の問題といたしまして、巡航ミサイルを恐らく明年以降、潜水艦あるいは水上艦艇に配備するという計画があるということは周知の事実でございます。こういった点につきましては、最初に私が述べましたことと関連いたしますが、ソ連の戦域核の非常な飛躍的な増大、極東地域も例外ではないということから、その点だけを戦域核ということに特定すれば、確かにアメリカとしての抑止力向上に寄与するということは言えるかと思います。
それからバックファイアでございますけれども、バックファイアにつきましては、極東地域に二つ重要な基地がございます。海軍と空軍でございます。そこで、合わせまして約七十機というふうにわれわれ認識しております。これが、正確に等分ではございませんけれども、海軍基地と空軍基地に振り分けられている。そして、その生産規模については、先生おっしゃいましたように年間約三十機。それで、これは御承知と思いますけれども、SALTIIが一九七九年米ソ間でサインされましたときに、ブレジネフがカーターに書簡で年間三十機を超えないというふうに約束しております。ただし、果たしてソ連がこの三十機という生産ペースを守っているのかどうかということについては若干の疑念がございます。しかし、いずれにしろ、この点についてはさらに今後の展開を注視していく必要が、あるのではなかろうか。
それから最後の御質問でございますけれども、カムラン湾、ダナンへのバックファイアの訓練飛行は現在もありませんし、恐らく近い将来もないであろうというふうに判断しております。
以上でございます。
#337
○秦豊君 委員長、時間だから遠慮しますが、長官の基本的認識を実は伺ったんだが、お答えがないままに終わろうとしております。#338
○国務大臣(谷川和穗君) 私は、特に大量報復兵器といいますか、破壊兵器でありまする核を含みまする軍備管理あるいは軍縮というのは、すぐれて超大国の二国間における最高の、これはあえて外交という言葉を使わしていただきますが、外交マターである、こう判断をいたしております。そして、軍備管理、軍縮が実現するためには、どうしてもやはりある一つのバランスというものが形成されてこないと、現実の国際情勢からいってそれはなかなかむずかしかろうと。したがって、一つには、紛争を未然に防止するという抑止の戦略を西側としてはとっておるけれども、と同時に西側は、ベトナム戦争以降の比較的低次にあった西側の防衛努力のために、かえって軍縮、軍備管理の国際的な交渉がなかなかむずかしくなってきておる現実もとらえて、今日、経済的その他の理由がありながら、大変むずかしい中、各国共同して努力をしておる、その頂点にアメリカがある、こういうふうに判断をいたしております。
そして、将来を考えてみますると、特に極東だけに限って言えば、ソビエトロシアの軍事力の強化というのはこの地域ではまことに著しいものがある。したがって、そういう意味でもアメリカがこの地域において軍事バランスを回復するという努力をいたしておりますが、その問題とはまた別個に、核に対しては核の抑止力というものをもっていたすという大きな基本的な原則もあろうかと思います。
そういう意味で言いますと、特にいままでヨーロッパ正面と言われておりました戦域核が、徐々にではあるが、相当のハイペースで極東へ移動してきた。これに対する抑止の効果を高めるという手だてでございますが、日米安保条約を締結しておる日本としては、戦術核を含めて、外務大臣が本日もほかの委員会でも答弁しておいでになられますが、アメリカの核の抑止力を期待する。その場合に、アメリカ軍は全アメリカ軍として、先ほど政府委員が答弁いたしましたごとく、グローバルに全世界に展開をいたしておるのであって、何もこの地域だけに米軍がおるわけではない。そういうことから考えてみますと、アメリカの核抑止力戦略というのは全世界的な観点から常に働いておる、作動しておる。そういうことから考えますると、日本近辺におきまするアメリカの核抑止力、これは十分日本が信頼に足るものだ、私はこういうふうに判断をいたしております。
なお、日本に対するそれでは核が持ち込まれていなければその保障にならないかという問題が一部あるかもしれません。私はそういうふうには判断をいたしておりません。歴代のアメリカ国防長官が議会その他で表明をいたしておりますように、日本の非核三原則を十分理解しながらもアメリカの核抑止戦略というのは成り立ち得るというのが基本である、私はそう信じておる次第でございます。
#339
○委員長(坂野重信君) この際申し上げます。板垣君から、午前の質疑中に適切を欠いた言辞があれば委員長において適当に処理されたい旨の申し出がありました。
委員長といたしましては、後刻速記録を調査の上、適当な処理をとることといたします。
他に御発言もなければ、これをもって昭和五十八年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、青少年対策本部、日本学術会議、宮内庁、行政管理庁、防衛本庁、防衛施設庁についての委嘱審査は終了いたしました。
なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#340
○委員長(坂野重信君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。
午後四時七分散会