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1982/05/25 第98回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第098回国会 石炭対策特別委員会 第5号
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1982/05/25 第98回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第098回国会 石炭対策特別委員会 第5号

#1
第098回国会 石炭対策特別委員会 第5号
昭和五十八年五月二十五日(水曜日)
    午後二時九分開議
 出席委員
   委員長 武藤 山治君
   理事 愛野興一郎君 理事 麻生 太郎君
   理事 岡田 利春君 理事 中西 績介君
   理事 斎藤  実君 理事 小渕 正義君
      北口  博君    北村 義和君
      古賀  誠君    三枝 三郎君
      保利 耕輔君    山下 徳夫君
      細谷 治嘉君    田中 昭二君
      稲富 稜人君    三浦  久君
      石原健太郎君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  山中 貞則君
 出席政府委員
        資源エネルギー
        庁長官     豊島  格君
        資源エネルギー
        庁石炭部長   弓削田英一君
        労働省職業安定
        局高齢者対策部
        長       増田 雅一君
 委員外の出席者
        商工委員会調査
        室長      中西 申一君
    ─────────────
委員の異動
五月二十五日
 辞任         補欠選任
  小沢 和秋君     三浦  久君
同日
 辞任         補欠選任
  三浦  久君     小沢 和秋君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 石炭対策に関する件(北炭夕張炭鉱株式会社の再建問題)
     ────◇─────
#2
○武藤委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策に関する件について調査を進めます。
 前回に引き続き、北炭夕張炭鉱株式会社の再建問題について調査を進めてまいりたいと存じます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三枝三郎君。
#3
○三枝委員 北炭夕張炭鉱再建問題につきまして、私は大臣に若干の質問をいたしたいと思います。
 すでに報道されておりますように、大臣はこの再建問題につきまして日本石炭協会会長あるいは地元北海道知事さらには夕張市長などとお会いになりまして、会長並びに知事には協力方の要請があったわけでございます。昨日もすでに御承知のとおり関係の参考人の方々の御意見がございましたが、私は初めに、大臣のこの再建問題について一%でも再建の可能性があればこれを追求していくという前向きの姿勢に対しまして心から敬意を表し、また感謝するものでございますし、きのうの参考人の御意見の中にも、たとえば炭労の委員長も、大臣の前向きの姿勢に対しまして高く評価しておった次第でございます。また有吉会長におかれましても、大臣の提案を真剣に受けとめて北海道の方に赴いて話し合いをするというお話がございました。
 そこで、そういった大臣の本再建問題に対する前向きの御発言といいますか姿勢というものを前提にしまして、私は以下二、三お伺いいたしたいと思います。
 大臣の真意が必ずしも正しく伝わっていないきらいがあります。これにつきましては、すでに中央紙におきましてもあるいは地元の新聞におきましても取り上げておりますし、社説においても論評を加えております。たとえばある中央紙におきましては大臣の構想につきまして、地域の荒廃を防ぐという政治的発想は正しいだろうという表現をしておりますが、同時に、その具体化にはきわめて問題が多いというぐあいにうたっております。また別の新聞におきましても、客観的に見て山中提案が実現する見通しは暗いというような論評も加えております。きのうの参考人の御意見の中にもニュアンスの相違がございまして、大臣の真意が必ずしも正しく把握され伝わっているかどうかという点で私もいささか心配しております。
 そこで大臣には、このたびの御提示になりました大臣の御構想について、真意はこうである、基本的な考え方はこうであるということを本委員会において御表明願えれば幸いでございます。
#4
○山中国務大臣 ただいま御意見を交えての御質問でございますが、真意が伝わっていないのも無理はないと思います。スタンドプレーと評する、あるいは山中独特の売名行為とは言いませんが、そういう行為だと見ている人もあるでしょうし、あるいは革新知事ができたので、その知事にげたを預けて逃げたんだと受けとられるような表現もございます。しかしながら、私はおのれを捨てておりますので、そのような毀誉褒貶殿誉褒財には一切左右されることはございません。
 私自身は、もし仮に私が通産大臣でなく、あるいは通産省に大臣がいないという場合のことを考えてみますと、前大臣からいろいろな経過を経まして石炭協会に検討をお願いした、その結果がまとまった、そしてそれを受けとった、再建は不能である、ああそうかということで、後は離職者対策ということになるでしょう。それだったら通産大臣は要らない、政治家が通産相に座っている必要はないということになります。しかし各位が御承知のように、過疎地域対策緊急措置法あるいは過疎地域振興特別措置法等、地域の問題についていままでいろいろと各党の御協力を得て議員立法した立場等もございますし、市長さんから承っても、人口の激減そして過疎地域の指定も受けているとおっしゃいました。そうすると、今回の事故は大変不幸であったけれども、これが閉山で、そして先の見通しはもう終わりです、後は離職者対策ですということでは、政治というものがそこに何ら介入していないということになりはしないか。私は政治家であって通産大臣である以上、世間が何と言おうと、無謀と言おうとむちゃと言おうと、この問題にわずか一%の可能性があったらそれに取り組んでみるのが政治ではないか、そう思いました。
 そこで、新知事横路君には大変唐突で申しわけなかったと思いますが、就任あいさつに来られた知事に対してお祝いを述べるとともに、あなたも衆議院で長いこと優秀な代議士生活を送ってこられたし、私も政界で長い。したがって、私のこれから申し上げることを、決して責任回避とかそういう形でなくて、政治家である者同士の話として聞いてくれないか。実は北炭夕張の問題について北海道知事としてこの問題の再建に力をかしてくれないだろうか、一翼を担ってほしいということを切り出したわけであります。もちろん知事さんは、余り唐突な話であり、内容そのものについてもびっくりしておられたのはあたりまえのことであります。したがって、あなたにはここで、そんなことは国が責任を持つべきであって道は知りませんと言う権利もありますよと申し上げた。しかしながら、いまの状態で再建をしようとしてもなかなか無理だということになれば、何らかの努力をお互いにしてみる必要があるんじゃないでしょうか。私は逃げません。しかし、広域行政の担当者であるあなたに対して、やはり夕張市というものの道民としての考え方、そういうもの等もございましょうし、まだどんな形でどういうふうにということは申しませんが、仮に道もその再建に一翼を買っていただく、あるいは地元の夕張市も自分のことだから一肌脱ぐというようなことであれば、それに対しては、たとえば一遍新鉱掘削のための融資がなされていたものに再度するということは不可能であるけれども、しかしその構想が実って、石炭協会が個々の石炭会社でなく協会として一体となって再建に当たるというのであれば、新しい新鉱を新しい構想でつくるという意味でそのような融資を、実際は二度にわたるわけでありますが、やる道も開けてくる。また、地方財政を預っている立場の知事さんにとっては、道民の財政を預っているわけでありましょうから、地方財政に与える影響というものも当然考えられるでありましょう。そのためには、地方財政の立場から、もしやるとしたら自分たちとしてはどういうことが前提でなければならぬということが当然あると思います。したがって、それらのものを検討して私どもの方へ、ときには事務的な連絡等とりながら、現在続行中ではありますが、どういう条件ならば乗り出してもいいということになるのか、それを詰めてください。そしてまた道の財政については、私も自治省、大蔵省あるいは国土庁、北海道開発庁、こういうところとも連絡をとりながら、地方財政に痛手を与えるということのないような努力をしてみたいと思います。
 次元は違いますが、水俣市に対する熊本県の県債というものを、チッソが返済不能に陥った場合は国が最終的に責任を持つということを決めた例もあります。公害病患者と企業との関係は、企業が倒産をしても公害病患者に対する対策は残るわけですから、したがって、それに県が乗り出さざるを得ない。そのことに対して国がめんどうを見ましょうという約束、これと次元は確かに違います。一つの炭鉱の対策に対して特例措置をとった場合に、残りの炭鉱も経営が楽ではないということで、じゃ自分たちもと言われた場合に問題が確かにあることは私もわかっております。したがって、そのようなことをすぐ実行するとは言いませんが、とにかく北海道庁から見て、地方財政上そのようなことに公共団体が足を突っ込んでいいか悪いかから始めて、検討してみてください。そしてあらゆる条件を私の手元にお寄せくださいということでお話をいたしました。
 したがって、知事さんは、その場で即答はできません、唐突な話ですからとおっしゃいますから、当然です、即答できるわけがない、それは、北海道民全体が夕張の炭鉱についてどう見ているかの問題もありましょう、道議会というものの意思の反映もありましょう、したがって、単に技術ばかりでなくて、あなたが決心されても道議会が否決するということもあるでしょう、しかしトライしてみようという気持ちで一緒になってもらえませんかと申しましたら、わかりました、帰って検討を始めますということがその実態でございます。したがって、まだ何の動きも道側からは、当然のことながら検討をしておられるわけですから、事務的な段階の若干の問い合わせとか連絡はありますが、具体的にイエス、ノーに近い返事というものはまだ全くない、そういうのがあたりまえだと思いますが、現状はそうでございます。
 一方、石炭協会については、私の手元に協会員全員が来られて、取りまとめて御苦労された書類を封筒に入れて差し出されました。私はこれをいただく前に、私には提案がございます、実は先ほど北海道知事にお会いをして、このような、どうなるかわかりませんが、お願いはしてございます、したがって、これに対して石炭協会の各会社が、どこが手を挙げるという問題ではなくて、協会全体がみんなで一緒になってこれに対して協力できるかどうかについて御検討を願いたい、したがって、この協会の検討された御資料、ありがとうございますが、私は受け取りません、したがってエネルギー庁長官に手渡してください、書類は確かにエネルギー庁長官に渡していただきました。しかし、政治家である通産大臣としては、その書類をあげたら、それは絶望であるということに内容はほぼわかっておりますので、開封いたしておりません。その前にできる道が一筋でもあるならば、その一筋の道をたどるべきである。あの悲惨な埋没の状態をテレビで見た全国の人たち、もらい泣きをした人たちもおったと私は思いますが、いまはその山を再建すべく寒い冬の正月を越して待っておられる千名を超える労働者の人たちの身の上に全国民が同じ思いをはせているかと言えば、そうではないかもしれません。あるいは道民全体から見ても、地域によって意見が違うかもしれません。しかしそれらの問題を超えて、やはり失われた人命についても思いをいたしながら、山に生まれて山で親子二代、ある人は三代と生きてこられた人でなければわからない山への執着、愛着、それによって成り立っている商店街を初めとする夕張市の実情、そういうものを考えた場合に、政治というものはそれに対して一脈の光があるならばあくまでもその光を追求していっていいんだということをいまやっているわけでございまして、具体的にどのような提案ということはいたしておりません。したがって、いろいろの揣摩憶測が飛ぶのはあたりまえでございますが、しかし何にもしないで、ああそうですか、では離職者対策の方をやりましょうというのは、私としては政治ではない、そう思って、毀誉褒貶は度外視をして乾坤一てきやってみようということでお願いしている次第でございます。
#5
○三枝委員 ただいま大臣から、大臣の構想の発想の原点について時間をかけて御説明になりましたので大体わかりました。私の持ち時間がきわめて短いものでございますから、一つだけお伺いいたします。
 知事に対して力を出してほしいということで、この力をどうやって出すかということについては、知事の方としましても、何らかの力を出すための材料がなくては、ただ抽象的に力を出せと言っても出せないと思う。私は選挙区に夕張を持っております国会議員といたしまして、いま大臣の言われましたいわゆる政治生命をかけても夕張の荒廃につながるこの問題を解決していこうという心構えについては全く同じでございます。この問題については党派を超えて皆が協力しなければならない、そう思っておりますけれども、先ほど大臣のお言葉の中にも水俣病のことがありました。あれをちょっと調べてみますと、チッソの会社が水俣病の対策で県債の発行によって救済されたという経緯に至るまで相当何回か関係閣僚会議をやっております。昭和五十二年三月二十八日に第一回の水俣病関係閣僚会議を開催して、そして第六回が五十三年の六月十六日です。そして同年の六月二十日に閣議了解ができて、基本的には地方債を発行することをやろう、大蔵の資金運用部も引き受けるということまで言っていまして、これに関連して関係の省庁の局長ないしは地元の県の者を含めて協議会をつくっております。そして細かく詰めて実行に移した。そこで、今回の問題につきましては、大臣のお気持ちが十分わかったわけでございますので、これについては先ほどもお話がございましたあるいは自治省あるいは大蔵省あるいは北海道開発庁、こういったところの大臣、長官と十分に話し合いをされまして、そして力を出させるための材料を、これは大臣お一人でできないことですから、担当の関係の長官ないしは部課長が十分に根回しをしていかなければならないと思いますので、その辺の話し合いの用意についてどのようにお考えになっておられるか聞きたいと思います。
#6
○山中国務大臣 この問題はチッソと同列に論ずるわけにはいけない次元にあると思います。したがって、まずどのような構想が出てくるかが先であります。チッソの場合はもう対策ははっきりしておりましたから、それに対してチッソだけではできないということに対して、ほうっておけない国の責任もありました、患者救済という。そのようなものと次元を一緒に論じているわけではありませんが、しかしほかの山の関係者もおられますし、その理解も得られなければなりませんが、しかし少なくとも北海道における夕張市の地位というもの、置かれた立場というものは道民ひとしく憂慮しておられることだろうと思うのです。それに対して私はいま提案をしただけでございまして、もちろんお断りになる自由がございます、知事に責任転嫁するなんという気持ちは毛頭ございません。しかし、それを相談してみないと、先ほど申しました新炭鉱とみなすという融資がまず不可能になります。そこらの糸口をどうしても発見しなければならないということから、道に中に入ってもらえないかという御相談をしたわけでございまして、道の方からもし入るとすれば、単なる出資の立場に立つのか、あるいは山の経営にもタッチするのか、いろいろの疑問がおありだと思うのです。それらの疑問を全部お集めになって、逐次御回答を申し上げながら、そして最終的に、ならば国がこれに対してどうこたえるべきかという問題は、まず私自身の決断と、それからいまおっしゃいましたように関係閣僚、総理、そういうところにも私自身の責任で御相談をする時期はもっと先になるだろうと思います。まずどういう構想ができ上がるか、そのことが最優先しないと、それに対する対応策が出てくるわけではありませんので、こう申しますと、いかにも、では道知事がどう出るかを待っているように聞こえるかもしれませんが、そうではなくて、私の方でたとえば具体的に、道はこういう形でこういうふうにやってくれませんかという提案をいたしますと、それは、国が本来自分でしなければならないものを都道府県という公共団体に国の意思でこういうことをどうかと押しつけることになると思ったのです。したがって、ただ漠然とした形でありますけれども、しかしはっきりと、道がこの中に新鉱開発のために一肌脱いでもらえないかということは、糸口を見つけるための最初の御相談でございますから、それらのいまおっしゃいましたようなことはもちろん念頭にございます。しかし、まずどういう形で新しい会社として発足できるかどうか、そこに私はかけておるわけでございますから、その後の対策はもちろん私が責任を持ってやらなければならないことであるということは覚悟いたしております。
#7
○三枝委員 以上で終わります。
#8
○武藤委員長 岡田利春君。
#9
○岡田(利)委員 夕張再建問題がいままでいろいろ議論されてまいりましたけれども、いままでの間、夕張再建の方向を示したのは、第一には大沢構想であると思います。これは明確に再建の方向を示唆をいたしておるわけです。そして今日、山中通産大臣の再建の方向の示唆といいますか、この二つだけで、それ以外に再建の方策を示した具体的な提案はないと私は承知をいたしているわけです。それだけに非常に私どもとしても、きのう参考人も呼んで質疑を行っておりますから、山中提案に対する注目と期待とを込めて、通産大臣の今日この問題を解決しようとする姿勢に実は敬意を表しておるわけです。そういう立場から具体的に私は質問をさせていただきたい、こう考えております。
 そこで、通産大臣は先般、いま述べられたように横路知事とお会いになったときに、道としても一枚力をかしてもらいたい、こういうことを率直に述べられたわけです。これは私なりに分析をしてまいりますと、いわばこの炭鉱は日本で一番新しい炭鉱で、しかも災害でああいう状態になった。しかも開発資金が投じられた炭鉱である。したがって、国が資金的な援助をするためにも、いわばそういう援助しやすい条件がつくられなければならない。それは国民合意性からいっても私は当然そうであろうと考えるわけです。そういう立場、考え方で道に対してぜひ力をかしてほしいということを率直に述べられた、こう私は理解をしておるのですが、そういう理解でよろしゅうございますか。
#10
○山中国務大臣 いろいろ表現の違いはございますが、そういう気持ちで一応お願いをしているということでございまして、強制とか強圧的とか、あなたの責任だなんというような、そういうような気持ちは全くございませんで、何とか力をかしてほしいということをお願いしておるということでございます。
#11
○岡田(利)委員 特に石炭政策は第七次政策に及んでおるわけであります。もうすでに二十数年を経過をしているというのが実情であります。したがって、エネルギー政策としてわが国の石炭政策は、基本的には国の責任において政策を構築をし、特別会計をつくって今日まで政策を展開してきた。したがって石炭問題は、エネルギー政策の観点から言えば、その政策展開の責任は国にあるということが当然原点であろう、こう私は思うわけです。したがって、今回の提案についても、そういう原点に立って提案されたもの、こう私は承知をいたしておるのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
#12
○山中国務大臣 私も長い議員生活をいたしておりますから、たとえば五千万トンの閣議了解か決定のときでありますが、そのころからの議論に参加して、妥当な目標であるかどうか、あるいはそれは過大ではないかとかいう議論をかつてやったこともあります。しかし、それから逐次石炭は出炭量においても減ってまいりましたが、いまは環境が全く変わってまいりました。やはり日本は無資源国に近いと言いながらも石炭というものを努力して、あるいはあらゆる技術を駆使して開発し維持すれば、日本には完全に自給できる体制とは言えないまでにしても、国家安全に寄与するための国内の原材料としての石炭が存在するという見方を現在はしなければならない情勢だと私は思うのです。ですから、日本は石炭に対する見方をこれからも国家の政策として守り続けていかなければならないことの重要性は、いままで以上に国際的に経済事情その他が要求している、私はそのように受けとめます。
 したがって、今回も国の責任ということを回避する意思は毛頭ありません。当然そうしなければならないのですが、そのルートだけでいけば閉山、そして新鉱は無理である、断念ということにつながることが明白になるならば、そこで、先ほど申しましたように、何とか道はないかということを考えて、皆様方からも出発直前まで質問がありました。しかし、これについては私が回答と申しますか検討は、ヨーロッパの一連の国際会議が終わって帰ってきてからにしてくださいということをお願いして許してもらいましたが、その間、私はいろいろと考えたのであります。いろいろなことを考えました。中には、一向に中身を言わぬものですから、山中はアラブを訪問したらしいから、アラブの金を何か約束を取りつけて帰ってきたのじゃないかという推測話なども乱れ飛んだほどで、その点は大変御迷惑をかけたと思いますが、あけてみれば何だという話じゃないかという意見もあると思います。しかし、何だということをやって突破していかなければ、私は、北海道夕張の新しいともしびはともらない、そう思うのです。そのためには、確かに臨調の、新しく国の仕事を地方公共団体も含めてふやすなという答申にも反するかもしれません。あるいは審議会その他で確認されてきた過去の、石炭行政は国の責任であるという方針にも一部反する点があるかもしれません。しかし、このような緊急非常の場合には、それを政治的に決断をして打開をするということもまた政治である。硬直した教条だけで過去の道を、やや横道にそれても――名前が上がっちゃって、知事さんの名前ですが、別な方向に踏み出しても、しかし本来の目標である新鉱の再建開発ということに到着できれば、それはそれとして私は認めてもらえる道の一つではなかろうか、そう考えておるわけでございます。
#13
○岡田(利)委員 いままでの石炭政策の流れの中で、いま第七次政策でありますけれども、第六次政策では、新規の大型の炭鉱の開発については、「関係地方公共団体、石炭企業等により構成される共同開発体を開発事業者とする」、こういう新鉱開発の政策が盛られたことがあるわけです。第七次政策ではこれが消えておるのであります。当時、第六次政策のときには、これを称して第三セクター方式、こう私どもは規定をいたしておりました。政府自身も、そういう規定でありました。今回の提案について、この第六次政策のいわば第三セクター方式というものが一応頭の中に描かれたものかどうか。しかし、去る十八日の商工委員会の上田哲君の質問に対して通産大臣は、国の管理あるいはまた第三セクター方式の方は考えていない、こうまた明確に答弁されておるわけです。したがって、六次政策と、十八日に答弁された通産大臣の真意、そういう面からいって、いわば経営的な主体というものは全然固定して考えていない、こう受け取ることが正しいのか。一応やはり第三セクター方式的なものが一つの援助をする場合に考えられる、こういう意識をお持ちなのか、この点はいかがでしょうか。
#14
○山中国務大臣 私があえて第三セクター方式と言わないのは、一石炭企業というものと他の公共団体も含むとすれば第三セクターという形ではないので、石炭協会の加盟各社はだれも手を挙げない。しかし石炭協会として全員が取り組んでいただくということを私は協会の方に御提案をしたわけです。もちろん協会からは、そんな採算のとれないことがわかっているところに金を貸す銀行はありませんよとか、あるいは技術者が決定的に不足しておって再開は技術的にも不可能であるという口頭のお話はありました。しかし一方において、銀行はありませんよというのはそれは石炭協会の人々の主観であって、銀行というものはまた銀行法によって大蔵省の国の管理下にございます。サラ金業者にあれだけの金が貸せる銀行、業界でございますから、したがって、私が大臣として銀行協会と話をすれば、それは石炭協会の想像とは別な道が開き得るものと私は考えておるわけでございます。
#15
○岡田(利)委員 炭鉱の経営の特質から判断しまして、いわば地域的には一山一社会的な形成がある、一方において地下資源で相当な法律の制約下で安全に生産をしなければならない、こういう一つの基盤の上に炭鉱はあるわけであります。したがって、実際に炭鉱をやるという場合にはその経験者がやはり中心にならなければできないというのが私は常識であろうか、こう思うのです。
 そういう意味で考えますと、問題は、いま通産大臣が述べられた石炭協会が腹を決めてこの炭鉱を再開発する、こうならなければ実際問題として再建をスタートすることはむずかしいのではないかと思うわけです。もちろんこれに対して、エネルギー政策であると同時に、石炭問題は地域経済の問題と密接不可分の関係にあるわけですから、そういう立場から道なり市がこれに対応し協力をする、こういう図式が大体一般的なものではなかろうかと私は思うのですけれども、私のこういう意見について大臣の考え方をお聞きいたしたいと思います。
#16
○山中国務大臣 そのとおりだと私も思います。しかし、石炭協会はただ検討をしてくれと頼まれたから検討したまでだというお立場だと思うのですね。しかし、改めてその検討については私自身は受け取らずに預からしていただく、新しい提案を私からさせていただきますということでやってあるわけですから、早く北海道にあきらめさせるつもりなのか、あるいは非常に親切にやられるつもりなのか、石炭協会の検討の結果をきょうじゅうにも北海道に持って飛ばれるという話を聞きましたので、早速それは差しとめました。北海道庁との話がまず先である、その後、石炭協会には私から申し上げるということで、要らざることをしてほしくないということで差しとめてございます。
#17
○岡田(利)委員 そうしますと、まず通産大臣は北海道庁並びに石炭協会に提案についての検討を求めたわけでありますから、一番先に北海道の、いわば通産大臣の提案に対する態度といいますか考え方、こういうものを聞いた上で石炭協会としかるべく話し合いをする、こういう図式でありましょうか。
#18
○山中国務大臣 私の方は余り長い答弁をするといけませんので、おっしゃることは、結論はそのとおりでございます。
#19
○岡田(利)委員 そこで、わが国のいままでの新鉱開発の歴史を若干振り返ってみなければならぬと思うのであります。
 スクラップ・アンド・ビルドの中で、特に原料炭傾斜の中で、原料炭炭鉱三炭鉱が新しく政策の中で開発をされた。一番早いのは実は日鉄二瀬の昭和三十三年の有明の開発でありますが、これはほとんど自己資金で開発を進めてきて、そしてその後五年間中断をしてこれを三井鉱山に売却をして、これが今日、三井の全額出資の有明炭鉱として三井鉱山に合併されておるわけです。そして、これが一定の開発資金を受けて今日生産を上げているという例があります。
 第二番目には、三菱の南大夕張炭鉱、いまの夕張炭鉱のお隣の炭鉱でありますが、これも四十一年十月開発工事に着工して、今日非常に優良な炭鉱として生産も経営も安定いたしておるわけです。
 その後、夕張炭鉱も四十五年十月に着工したわけです。この間第二次肩がわり、第三次肩がわりが実は行われたわけです。したがって、南大夕張炭鉱の場合には第二次、第三次の肩がわりで開発資金は全額肩がわりになったわけです。ですから、非常に経営体質もいいわけですね。夕張炭鉱の場合には四十五年で、年度がおくれたわけですから、第三次肩がわりの対象になったわけです。したがって開発資金の四割が棚上げになった。政府が金を貸して、それを肩がわりでまた政府が回収している、こういう図式に実はなっておるのが原料炭炭鉱のこれまでの開発の経過であります。
 私は、この経過から考えてみて、先ほど水俣方式ということを私なりに分析してみたわけです。余りややこしく考えなくてもいいのではないかという感じもするわけです。水俣方式の場合には、これは国の一般財源を持ち出して最終的に補てんをするわけです。石炭は御承知のように特別会計があって、肩がわりというのは第一次、第二次、第三次という肩がわりの歴史的経過を今日経ているわけですね。したがって、これをもし政府が担保する場合、大蔵省と――もちろん道がこれに対して地方債を発行するとすれば、自治省の了解を得れば財源的には通産省で特別会計の中で消化ができる。二次、三次肩がわりは十五年間で償却、返済をする。そして第二次肩がわりは来年の四月いっぱいで返済が完了するわけです。第三次肩がわりは昭和六十三年度でこれが終了する、こういう状態にあるわけです。
 そうしますと、もし通産大臣がこれは成り立つということで決断されれば、もちろんいま言った大蔵省の了解も必要でしょうし、自治省と了解を得られれば、これに対して保証ができて、特別財源があるわけでありますから、その点については最終的に対処できる。ですから、大臣の言われておる水俣方式というものをいままでの石炭政策の面で検討すると、そうむずかしいことではない、こう私は思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
#20
○山中国務大臣 私が言っているのはそういう意味ではございませんで、本来国が責任を持つべきものを地方自治体に、形の上だけといっても参加してもらうということでありますから、そうすると地方自治体の地方財政に及ぼす影響については別途国が別な意味の責任を持たなければいけない。そのときにチッソ、熊本県の問題を持ち出したのでありますが、これは異質であるということは申し上げております。したがって、私がチッソの問題を取り上げましたのは、県に国がお願いをした場合のことを申し上げているわけで、それに対して北海道にお願いをする以上は、国は地方財政に対する配慮というものを、形は違っても当然しなければならない。これは責任むしろ義務と申しましょうか、そういうものであるということのために、つい申し上げたわけでございます。
#21
○岡田(利)委員 いずれにしても、道が協力する場合には道に財政的な負担の迷惑はかけない、こういう趣旨である、そういうことでよろしいですか。
#22
○山中国務大臣 迷惑をかけないばかりでなくて、道がこれでなければとおっしゃるものには最大限の御協力をしなければならないと思っております。
#23
○岡田(利)委員 この提案の場合には、しばしば新聞にも報道されておりますけれども、これが開発に着手をするという段階を迎える場合には、現行制度の新鉱開発資金を貸与するという考え方についてはお変わりがありませんか。
#24
○山中国務大臣 当然そのようなことは前提として考えております。
#25
○岡田(利)委員 この新鉱開発資金の問題で、きのう石炭協会の有吉会長に若干質問をいたしたわけです。大臣は受け取っておりませんけれども、説明があったものですから、大体二十四年間で利子の見合いの借り入れ総額が九百五十五億ですか、この程度の収支になっておるわけですね。そして新鉱開発の資金が適用された場合にはどうなのかと言えば、三百億程度の赤字になるでしょう、実はきのうこういう答弁がなされておるわけです。確かに過去の政策次元に乗るとうまくいっておるわけでしょう。たとえば南夕の場合には開発資金は全部棚上げになったという経過があるわけでありますから、チャンスに恵まれると開発資金が棚上げになって非常に経営が安定するという経過があるわけです。そういう点から考えると、政策の流れから考えると、山中提案の示す方向というものは一つの見識である、こう私は私なりで実は判断をいたしておるわけです。
 そこでもう一つお伺いいたしておきたいと思うのでありますけれども、いま一番炭鉱経営の主体になり得るのはもちろん石炭業界そのものであることは間違いがありません。その次に主たる体制を持っているのはやはり政府機関ですね。直接には石炭部があり、札幌にも石炭部が置かれている。保安監督の局も札幌には置かれている。それから関係の事業団としてはNEDOがあるわけです。昔の石炭鉱業合理化事業団があって、これは北海道にも支部があるわけであります。技術屋もたくさんおるわけであります。それから石炭鉱害事業団というのがあるのですが、北海道の場合には鉱害は適用除外になっておるわけです。非常に安い条件で石炭政策がなされておるというのが北海道の条件であります。あと強いて挙げれば地域振興整備公団、産炭地振興の分野で昔の産炭地域振興事業団が合併されています。もう一つだけ言うと、雇用政策の原点である炭鉱離職者援護会がいま大きくなって雇用促進事業団になっている。こういう幾つかの関連の事業団が存在いたしておるわけです。したがって、道の体制から比べると国の体制は直接、間接を問わず大変な体制を持っているというのが、いまの石炭政策を進めている主体的な実態であるわけです。そうしますと、国が直接お金を出す場合には法律を必要として、まあ大臣が言われる国管のような形になるわけです。かつて電力用炭を納めるのにわざわざ法律をつくったわけです。電力用炭販売株式会社法という法律をつくって、そしてこれに国も出資をして、企業も出資をしてやってまいりましたけれども、先般これが実は廃止になったわけであります。しかし、政府機関の関係で見れば、たとえば石油公団というのは出資業務ができるわけです。全部出資をしてやっておるわけです。そして、これは出世払いでありますから出ない場合にはパアになるわけですね。一方においてかつての金探事業団、いまの金属鉱業事業団、これも出資業務をちゃんと持っているわけです。ですから、いまの石炭合理化臨時措置法に出資業務があれば出資はできるわけです。この場合には国家管理とは言わないわけです。事業団がいろいろ出資をしているのはたくさんあるわけです。これは国家管理とは言わないわけです、石炭そのものが総じて国家的管理下にいま置かれているわけでありますから。
 そう考えてまいりますと、石炭政策の原点、国の役割りを考える場合には、そういう部面についても検討されてしかるべきではないかな、決して無理なものではないのではないかなと私は思うのであります。この点についても何か御見解がありましたら承りたいと思います。
#26
○山中国務大臣 そういうものも当然多角的に検討対象にしなければなりませんが、そういうものだけでやっては、新鉱とみなした新鉱の掘削に伴う融資はできません。したがって、どうしても新鉱とみなす手段というものがそこにはもう一つ必要になります。そこで、それらの総合的な政策以外に、これを新鉱掘削とみなす新しい形態の会社と申しますか、企業体と申しますか、そういうものをつくる必要がある、そう考えたあげく、大変御無理ではございましたが、地元の知事さんに御提案をさせていただいたという次第でございます。
#27
○岡田(利)委員 日本の石炭政策の流れは大体ヨーロッパの方を向いているわけです。ヨーロッパというのは大体日本と似ている。その中でもフランスが一番条件が悪くて、日本の炭鉱はフランス水準よりもまた若干悪い。そういう条件にあるのが日本の炭鉱の環境的条件であるわけであります。
 そこで、イギリスの場合には国有国営です。フランスの場合には国有公社経営であります。この方向はわが国としてはとらない。したがって、どちらかと言えば西ドイツの石炭政策をずいぶん歴史的に勉強し、政策立案に当たってもその点を取り入れた部面も数多くあるのであります。
 西ドイツの場合には、基本的に私企業である。しかしながら体制的な問題もあってルール炭田一社化というものができたわけですが、一方ザールにおいては連邦政府と州政府が出資をして国有国営で約一千万トン近い石炭を出している会社もあるわけであります。これが西ドイツの実態であります。大体大きいのはルールで、六千万トン以上を一社化で出している。一方においてはザールの方は国有国営で一千万トン近い石炭を出している。それ以外にも政策を受けない私企業の小さい炭鉱、会社があるわけです。これが西ドイツの経営実態であります。
 そうしますと、いま通産大臣の提案で国の機関、道、そして業界が一体になってこの炭鉱を再建するという考え方は、決してイデオロギー的なものではない。その山の状況の中で再建する道がこれしかないとすれば、そういう手法をとっても決してイデオロギー的であるということにはならないと私は思うわけであります。私自身もそう思うわけであります。そういう例を申し上げたのですけれども、私のいま述べたことについて何か感想があればお聞きいたしたいと思います。
#28
○山中国務大臣 こういう問題をイデオロギーでとらえることは私は非常な間違いだと思うのです。そうではなくて、みんなで考えなくてはいけないことなんです。しかし、先ほどもちょっと言いましたように、国民全体がかつての筑豊を含めて九州から四国、本州全部、北炭夕張を救えという声になっているかというと、私はそこらのところは問題があると思います。したがって、国が出資するというようなことも、石炭国管なりあるいは国営の道は私どもはとらないという、これは賛否両論ありましょうが、それでやっておりますから、そうすると残された道はそうたくさんはないのです。したがって、夕張の所在する広域自治体である北海道の責任者である知事さんに御相談をまず申し上げたというのは、私も、このままでいけば手だてはないというものに起死回生の道があるならば、それは政治の名において取り組んでみるべきではないかということでやったわけでございまして、率直に言って資源エネルギー庁あたりは、幹部だけですけれども、私がこういう提案をしたいと思うがどうだと言ったら、言葉には出しませんが、殿御乱心というような顔で聞いておりました。しかし、私が本当に真剣に考えているということをもちろんすぐわかってくれまして、水面下でやった方がよろしいと思いますので、いま一生懸命北海道庁の事務の方々とうちのエネルギー庁といろいろなケースについて話し合いをすでに始めております。この点ひとつぜひ御助力、御加勢方のほどをお願いする次第でございます。
#29
○岡田(利)委員 合理化臨時措置法によってスクラップ・アンド・ビルドが行われ、数多くの炭鉱がいままで閉山されてまいったわけです。その閉山方式で一番原点になったのは買い上げ方式であります。それから新方式、新々方式、こういう変遷を経て閉山が進められておるわけです。買い上げ方式の場合には当然鉱区を買い上げるわけであります。買い上げたのは、先ほど申しましたNEDOの石炭本部、かつての石炭合理化事業団であります。ですから、事業団というのは鉱業権者なんですよ。鉱害も持っておるわけです。自分の買った鉱区で鉱害があれば、積立金も計上していますから、その鉱害復旧もしなければならぬというのが、いまのNEDOの石炭本部であるわけです。質的には鉱業権者であり、鉱害の復旧もしなければならぬという性格のものである。こういう点は活用する場合に考えてみなければならぬ点、検討の対象になる素質を持っておるのではないか、こう私は思うのであります。したがって、ぜひこれからの議論の中でこのNEDOの活用という問題についても御検討願いたいと私は思うのでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
#30
○山中国務大臣 そこらになってまいりますと大変微妙な問題になってまいりますので、まずどういう構想、輪郭が浮かび上がるかによってその対応策を検討していくと言うにとどめたいと思います。
#31
○岡田(利)委員 北海道というのは非常に特殊なところで、地域格差問題がこれからの大事な政策の一つであって、その最たるものは、大体東北でも北の方、青森、岩手そして北海道、南の方では南九州、沖縄、これが地域格差の一番最たる条件下にあるわけです。北海道経済自体も大体三分の一は財政経済によって支えられているというのが実態であります。そのためにいろいろ議論の対象にはなっておりますけれども、かつての北海道開発公庫、今日では北海道東北開発公庫、こういう一つの特殊な金融機関をも持っておるのであります。したがって、北海道開発の面でこの公庫を活用していままで幾つかの政策が進められてまいっておるわけです。そういう意味では、この炭鉱をやる場合にはもう少しそういう範囲を広げて金融機関の対象等も検討する必要があるのではないか、私はこう思うのでありますけれども、この点については、特に金融政策、大蔵関係の専門家でありますので、しばしば法律も変わっておりますが、こういうものの活用ということも当然検討対象に入れていいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#32
○山中国務大臣 いいアイデアをお教えいただきました。
#33
○岡田(利)委員 先般、夕張の市長さんと夕張の関係者の方々が大臣と土曜日にお会いになりましていろいろ懇談をされて、大臣からも懇切な説明が述べられて、これが北海道新聞にも報道されておるわけであります。そのときに通産大臣は、最終的にやはり業界の動向が一番問題である、したがって新聞記事の場合は、業界は私が直接説得をする、こういう決意が述べられたと報道されているわけです。私はやはりそういう意味で、先ほどの認識もそうでありますけれども、業界のいわば積極的な姿勢への転換といいますか、この点は基本的に非常に重要な問題であると思うのですが、大臣の御決意のほどを承っておきたいと思います。
#34
○山中国務大臣 どうしてもむずかしい場合は、私自身が石炭協会に行きまして頭を下げてでもお願いをする決意でございます。
#35
○岡田(利)委員 あす大臣は内閣総理大臣と一緒にサミットに出発をされて、三日の夜ですか帰るとわれわれは承っておるわけです。現地からもできるだけ早く一つの方向を決めてほしいという切なる要望もあるわけであります。もちろん通産大臣の要請を受けた道庁としても、横路知事を先頭にして何らかの一つの案をまとめて、そして直接通産大臣にその考え方を示すもの、こう私は期待をしておりますし、またそう判断もいたしておるわけであります。したがって、それは四日以降になるということは明確だ、こう思います。だがしかし、きょうは参議院そして午後は衆議院で、またいままでもそれぞれいろいろ議論が行われてきておるわけでありますけれども、その間大臣の趣旨を受けていろいろと意見を交換しなければならぬという面が当然出てくると思うわけです。先ほどの大臣の答弁では、まず道からどのような考え方があるかを初めに聞く、こういうお話でありますから、そうしますと、大臣の留守中エネルギー庁長官や石炭部長、道との間に大臣の趣旨に基づいていろいろ連絡があり意見の交換もあるもの、こう思うわけですが、その点についてはどういう御指示を与えられて出発をされるお考えか、承っておきたいと思います。
#36
○山中国務大臣 すでにもう話し合いを相互にいたしております。もちろん最初、さっき冗談を言いましたけれども、私の決定については当然有能なわが省の長官、部長、それらの関係者は私の決断を受けてその線で話し合いの相手になっておるということでございます。
#37
○岡田(利)委員 私は、この問題がずんずん詰められて議論していくと、避けて通れない問題が一つ出てくるだろうと思うのです。といいますのは、いま炭鉱というのは、大体一市一町村に一炭鉱というのが原則で、夕張はまだ二炭鉱あるのであります。南大夕張炭鉱それと北炭真谷地炭鉱が現在も存在をしておるわけであります。いわば単位炭鉱というものがあって、既存の炭鉱があって、この炭鉱が採掘可能なフィールドを決定して、そしてきれいに掘ることが一番経済的かつ合理的であるというのが実は私の持論で、しばしば述べておるのであります。
 そうしますと、いま封鎖鉱区、最近の買い上げ方式で封鎖鉱区になっていますから、たとえば清水沢の封鎖鉱区というのもあるわけですね。主体的なところは掘られていますけれども、東部の場合には六百数十万トンある。これは浅いところにあるわけです。南大夕張は六百メーターラインを掘っているのですけれども、それよりも浅いところにある。こういう資源も封鎖鉱区の中には存在しているわけです。そしてこちらの方にはいまの対象の鉱区がある。向こうの方にはいま南大夕張が採掘している鉱区があるという状況であります。一方問題になりました平安八尺の方、この方は真谷地炭鉱に隣接をする方向にあるわけです。
 そういう意味で、いわばできるだけ全体の一体的な開発を図っていくという中で、できるだけ資金効率も上げる、また保安技術職員とか体制も充足をする。こういう点も一つの視点としては全然議論をしないで避けて通ることはできないのではないかと私は思うのです。こういう点について大臣の方に、この提案をするに当たって事務当局から何か意見があったかどうか、また大臣としてそういう点についても一応頭の中に置いて今回の提案が行われたのかどうか、承っておきたいと思います。
#38
○弓削田政府委員 ただいま先生から御指摘のございましたように、制度といたしまして休眠鉱区の活用について隣接鉱区から、隣接炭鉱の経営安定のために一定の条件を限って休眠鉱区を活用する、こういう制度があることは先生御指摘のとおりでございます。
 ただいまのお尋ねの件でございますが、今回の新区域の十尺層の開発に関連をいたしまして、休眠鉱区の活用との兼ね合いにおいて大臣に進言をしたか、こういうことでございますが、進言はしておりません。
#39
○岡田(利)委員 進言しないというお答えですが、なぜそういう点について、こういう考え方もできるということについて触れられなかったのか、その理由はどうですか。
#40
○弓削田政府委員 今回協会が検討いたしました新北部の十尺層の開発につきましては、先生御案内のとおり大沢管財人が出されました開発構想がその基礎になっているところでございまして、基本的にはいま申しました新北部の十尺層を中心といたしまして、これが一つの独立した採掘形態として採掘可能かどうかということが検討の課題になったわけでございまして、その限りにおきまして関連する休眠鉱区の活用も実は考えたわけでございますが、特にこの新区域十尺層と関連させて休眠鉱区の活用ということで考える余地がなかった、こういうことで、もっぱら十尺層を対象にして考えたということでございます。
#41
○岡田(利)委員 しかし、第七次政策の常識から言えば、ちょっといまの答弁はどうかと思うのですよ。第七次政策は、炭田内にある炭鉱がその炭田内の開発について優先権を持つ、こういうことを規定をし、そして買い上げ鉱区だろうと封鎖鉱区だろうと隣接鉱区は一体的に開発することが最も経済的である、こういう一つの展望を持って第七次政策がつくられたのだと私は思うのです。だから露頭採掘についてもあるいはまた隣接鉱区について国がボーリングをする、調査をするということも、これは系統的にやってきたわけですね。だから一つの山を相当投資をしてつくるという場合には、全体をどう開発できるか、こういう視点がなければならないと思うのです。そういう点の検討は全然石炭協会でもなかったし、またあなた方の方からもサゼスチョンがなかった、これは事実ではないですか。石炭協会はそこまで含めていろいろ検討したと思えないわけです。きのうの答弁でも、有吉さんの発言は明らかであります。それはやはり第七次政策上から見ておかしいのじゃないですか。もちろん技術的には東部の鉱区は浅いということを先ほど言っておるわけです。言っておるけれども、全体の封鎖されておる周辺鉱区について考えるというのは、きわめて今日の石炭政策の常識じゃないでしょうか。いかがでしょうか。
#42
○弓削田政府委員 繰り返しの答弁になりますが、あくまで北部区域の新十尺層の開発が中心的なテーマでございます。これに関連しまして、当然のことながら休眠鉱区の炭層の活用ということはあり得るかどうかということを検討したわけでございますが、その対象がなかった、こういうことでございます。
#43
○岡田(利)委員 私は、この問題をなぜ質問したかという趣旨を申し上げておかなければならないと思います。それは、きのう有吉参考人から資金の問題の方が解決しても保安技術職員、ある一定の技能熟練鉱員の充足、この問題がしばしば述べられておるからであります。したがって、その答弁を聞くとそういう視点をも当然考えていかなければならない問題だなという感じがするわけであります。それはやはり同じような条件にいる技術屋とか技能労働者が養成されて供給をされるということが一番望ましいわけでしょう。いまの協会の場合は、きのうの説明ではそういう視点が全然ないわけですから、そういうところに今日わが国の石炭政策の問題点があるわけですよ。協調性に欠ける、連帯性に薄い、国の方からの予算はもらいたい、そういう状況にあるのですね。残念ながらわが国の石炭政策は個別企業対策にこの二十年間終始をしてきた。こういう条件の炭鉱で個別企業対策に終始をした石炭政策はヨーロッパのどこにも存在をしないわけですよ、アメリカや豪州と条件が違うのですから。そこに格差が出、これから十年後、わが国の石炭は一体どうなるかという常に不安な材料を投げかけておるわけですね。ですから、この問題の教訓の中から次への政策の発展というものを、われわれは教訓を導き出さなければならない、こう思うからなのです。だけれども、問題を検討するときにいま私が言ったような視点でも検討するということはきわめて常識的と言えるし、きわめてオーソドックスとは言えないでしょうか。いかがでしょうか。あなた方の場合はわかったですよ、いままでの検討はここに限ったといって検討したのだけれども、しかし、私のいまのそういう視点というものは非常にオーソドックスである、こうお思いになりませんか。
#44
○弓削田政府委員 お答えをいたします。
 お説のとおりだと思います。御指摘のように、業界が共同体制に欠けるじゃないかというような御指摘、これに対する政府の助成というのも個別対策に偏っているじゃないか、こういうような御批判でございますが、先生先ほどからお話のございますように、すでにドイツにおいてはルール地域につきましては一社体制ということになっているわけでございます。日本の石炭産業もあの制度を受けまして実は一社体制にしようかという議論もあったわけでございますが、なかなか各社の意見が合わないで現状に至っているわけでございます。おっしゃるような趣旨はよくわかるわけでございますが、やはり個別企業体制でやっています限り、いかにこの辺の各社の利害調整を図っていくかということはきわめてむずかしい問題でございますが、私どもとしても今後先生の御指摘を受けましてそういう方向にできるだけ指導を強化してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#45
○岡田(利)委員 ここでエネ庁長官に質問いたしておきたいと思うのですが、きょうは通産大臣から参議院において、また衆議院において私も与えられた時間質問してまいったわけであります。大臣の提案の趣旨について、私はここまで議論してくると十分事務当局としても理解されたものと判断するのですが、この点について十分理解されておると確認してよろしいでしょうか。
#46
○豊島政府委員 私どもとしては大臣からもお話を聞いておりますし、国会の答弁その他から十分理解しておるつもりでございます。
#47
○岡田(利)委員 私は北海道選出の議員ですから北海道モンロー的に言うのではないのでありますけれども、いままで炭鉱の閉山の後始末の場合も産炭地振興というのは全部全国的に網がかぶっているわけです。鉱害の場合には北海道は適用除外でありますから鉱害復旧は何にもないわけですね。事業費でも六百億にも予算はなっているわけです。大体半分近い予算が鉱害復旧、これはそのうちの八五%程度は福岡県に入っているわけですね。あと佐賀とか長崎とかあるいは若干中国地方それから常磐にある、こういう状況であります。そして炭鉱が閉山になった離職者対策として緊急就労、これは筑豊炭田を大型閉山したときの政策が今日二十年間近く残っておるわけです。それに加えて開発就労、特開、こういう事業があって石炭特別会計から毎年百八十億円の金がそのためにも支出されておるわけです。これは悪いというのではないですけれども、そういう歴史があるわけであります。
 北海道の場合には、そういう制度は一つもないのです。北海道でいま石炭の大きな種目で対象になっておりますのは前向きの政策と産炭地振興法だけなんですよ。あとは全然それ以外のものは適用になっていないわけです。これが北海道の炭鉱や後始末の現状であるという点を考える場合に、北海道の炭鉱というものがいままでの政策の流れから言えば、雇用対策にしても山をできるだけ再開発するという面についても配慮があっても決して片手落ちの政策ではない、こういうことはある意味で私ははっきり言えるのだと思うのです。
 そこで、最後でありますけれども、一つは労働省に対して、すでに雇用保険が切れて黒い手帳の方も出ておるわけですね。多少これから時間もかかるでしょう。したがって一部においては全部がすぐ雇用になるわけじゃないですから、いずれにしてもこれの対策が必要なんですね。そうすると、これは地元において対策をしなければならぬという面があるわけです。そういう点の検討が進められておるのかどうか、ある程度の具体的な成案を得る段階になっておるのかどうかという点を労働省にお聞きをし、後段私が述べた点について通産大臣の感想をお聞きして終わりたいと思います。
#48
○山中国務大臣 各党それぞれの御意見をきょうはちょうだいいたすわけでありますが、私の頭の中もいま作業中、進行中でございますので、大変参考になる意見等聞かしていただきました。しかし、原点は当初の目標をぜひとも達成したいという私の信念を進めるための参考として承っておくということでございます。ありがとうございました。
#49
○増田政府委員 新会社の再建が成るか成らないかという点につきましては、私ども重大な関心を持っておりまして、それに対応した雇用政策を立てなければならないというふうに考えておるところでございます。しかしながら、先生御承知のように夕張地区におきましては非常に雇用情勢が悪うございまして、私ども現在約千五十人ばかりの方が求職者として残留されておるわけで、そのほとんどの方が新会社への就職を希望されておるということでございますが、新会社発足までそういう方々をどういうふうに夕張でもってその生活を維持していただいていくか、あるいはその就業の場所をどこに見つけるかという点で、私どもといたしましては、夕張がそういう雇用情勢でございますのでほとんどの方が雇用保険を受給しあるいは就職促進手当を受給されておる状況にございますので、そういう状況の中でこの雇用情勢を正確に把握されて現実的に対応されていただくように、われわれとしては職業相談その他の措置を講じまして御相談をしながら考えていきたい、こういうふうに考えております。
#50
○岡田(利)委員 まだ時間が三分ありますから、いまの答弁について、石炭協会の案でいっても初年度は三百八十八名ですね、職員と鉱員。現在残っているのが百六名ですね、保坑要員が。すでに働いておる人が百六名です。ですから初年度はこれしか雇用できないのですから、これは新会社ができてもはみ出すわけです、漸次切り羽ができていくまで四年半かかるわけですから。だからそういう意味では、この帰趨いかんにかかわらず、労働省としてこれの対応を考えなければならぬのではないかという意味を私は申し上げておるわけです。いずれにしても数字ははっきりしているわけですから、ぜひそういう点については労働省としても対策を進められるように要望して、終わります。
#51
○武藤委員長 次に、斎藤実君。
#52
○斎藤(実)委員 先ほど来、夕張新炭鉱の再建問題につきまして大臣からるる心境の吐露がございました。夕張の抱えているいろいろな雇用問題あるいは閉山後今日までの地域住民の大変な苦しみ、そしてまたこのエネルギーの中での石炭政策の基本にかかわる問題について、大臣からるる政治家としての真情を吐露されたわけです。私も伺っておりまして、大変敬意を表しているわけでございます。
 そこで、大臣が知事さんに対して御提案をされた。いま御答弁を伺っておりますと、知事としてどういうことができるのか、どういう条件が整えば乗り出せるのか、地方自治体としての財政事情も考慮して知事さんひとつ提案をまとめてくれぬかというお話がございました。この問題につきまして、道としてもちょっと戸惑って、一体これはどうなるのだろう、予想していた範疇を超える提案だということで困惑をしているというような実情だと私は思うのです。それで、この提案について、大臣は卓越した政治家としての手腕をお持ちであるし、この問題についても十分悩んだことだろうと思いますし、その上での決断だろうと私は思うのです。大臣が瞬間的、衝動的に思いつきで提案されたということはないと私は思う。
 そこで、たとえば資金面はどうするのだとか、技術対策はどうするのだとか、それから道が出資するだけなのか、道が事業主体になるのか、その場合に国としてはこういうことを考えたいというある程度のリーダーシップをとらないと、これはちょっと責任転嫁だというふうに私は考えざるを得ないわけです。ただ押しつけになっては困るという発言がございましたけれども、何とか山を残そうという前向きな提案があれば、確かにこれは押しつけにはならぬだろう、ある程度のリーダーシップを発揮すべきではないかと私は思うのですが、率直な感じを私は受けるものですから、御心境をお伺いしたい。
#53
○山中国務大臣 ある意味ではおっしゃるとおりだと私も思います。
 ただ、言われている知事の方にしてみれば、こういうことをしますから北海道、ひとつ腰を上げてくださいよと言われた場合、いまより以上にお困りになるだろうと思うのです。ですから、新知事さんですから、なられたばかりですし、ノーと言う権利もおありです、しかし、それでは救われません、北海道庁から見ての夕張市、あるいは私から見ての過疎地帯、そして今度の事故、閉山、そして新鉱ができるかできないかというのは大変な問題だと思います。しかし、それをやるには、先ほど申しましたような新鉱とみなす措置一つとるにしても、いままでのやってきた道では道がない、できたら新しい道で一つの道を発見しようではないかということで御相談を申し上げるわけでございますから、何の条件もございません、どうぞこの新鉱に道として、公共団体として入るかどうかについて知事さんの方で帰って十分に御相談を願えたら幸せでございますということで、断られてもいたし方なかったのですが、突然の話でございますから、持ち帰っていろいろと問い合わせ等もしながら検討してみましょうとおっしゃいました。しかし、そこで最終的に道民全体の代表としての道議会の方々の御意見もあるでしょうし、知事さんが決断をされてもそれが否決されることもあり得るということまで私は考えておりますから、その意味でいろいろな御疑問、あるいはやるとするならば自分たちはこういう条件は絶対つけてもらわぬと困るとか約束してくれとかいういろいろなものが出てくると思います、そういうものをぜひ御検討を願いたいのですというお願いをいたしたわけでございまして、私の方は初めから、こういう条件だから知事さんどうですかということは、先ほど来お答えしておりますように、石炭は国が責任を持ってという、ことに最近はエネルギー事情その他で無資源国日本の中にも資源ありというものを見直さなくてはいかぬと申しておりましたとおり、国の責任も大臣の責任もいささかも放棄するものではなく、むしろそれよりか一歩踏み込んで責任を果たそうという気持ちでやったわけでありますから、知事さんにしてみればあるいは御迷惑だったかもしれないと思っております。しかし、その道しかないとなればやはり御相談を申し上げるしかなかったということでございます。
#54
○斎藤(実)委員 大臣、率直に御相談を申し上げたということ、私も十分わかるわけでございますが、大臣も御承知のようにあれだけの大変な赤字を予想される山だ、技術者がいない、それでは知事としても地方自治体としても資金手当てなりあるいは国の融資制度なり補助金制度がいままで以上に出せるのかどうかというこの辺の問題が判断の基準になろうと思うのですね。この辺ある程度の何らかの示唆なり助言を与えないと、相談して持ってこいと言ってもちょっと無理だと私は思うのですが、その点大臣どうでしょうか。
#55
○山中国務大臣 やり方はいろいろあると思います。要するに夕張の新鉱としての開発着手ができるかどうか、この問題の糸口発見のためにはいろいろな手段、いろいろな努力を重ねなければならぬと思います。したがって、私の責任は毫も否定するものではありませんし、知事さんにその一部分なりとも転嫁する気はございません。しかし、そういうふうに道がかんでいただかないと新しい炭鉱としての融資そのものが初めからつまずくということでございますので、まずそこらの形をどういうふうにするか、そういうことについての御相談から先にくるのかもしれません。そしてそれに対する条件等がいろいろとくるのかもしれませんが、終始知事さんの御意見をまず優先的に聞かしていただくということから、本来国がやるべきものをお願いするわけですから謙虚に承って、そして真摯な回答をしながら、それでもなおだめなのか、それならば何とかなるのか、形も含めあるいは資金面も含め、今後の経営面も含めて積極的に御相談に乗っていくという気持ちでございます。
#56
○斎藤(実)委員 大臣、よくわかりましたが、通産省の石炭エネルギーの幹部の方を北海道へ派遣をして、こちらが出かけていって一緒になって一遍相談する、手伝おう、一緒になってやろうじゃないかという、これが私は必要だと思うのですが、大臣どうですか。
#57
○山中国務大臣 知事さんはあくまでもその都道府県の最高の責任者でございます。そこにまだ意思が固まっていないところに中央から、やはり政府でございますから、エネルギー庁の高官たちが参りまして人目も引くでありましょうし、県庁の面目というものも、自己判断をするので必要な相談はこっちから聞くからという主体性の方をむしろ尊重してあげたい。しかし、ちょっとエネルギー庁長官あるいは石炭部長、札幌へ来てくれぬかということがあれば、これはもう喜んで、知事さんのお呼び出しがあったので参りましたということで、どんな御用件でもあるいは現地に行っての相談でも、だれもちゅうちょすることなく応じたいと考えております。
#58
○斎藤(実)委員 今度の新会社構想につきまして、だれが見ても心配する点が私は二つあると思うのです。御承知のように夕張炭鉱というのはガス山なんですね。形態ができた、それはかっこうはつけるかもしれませんけれども、それでは経営陣は一体、これは道庁の天下りだとか通産の天下りで素人ができる問題じゃないわけですな。経営手腕あるいは保安管理体制といいますか、相当なべテランが主体者にならなければ、これは形をつくってもまた問題が起きるのではないかと思うのです。こういう点をわれわれも心配するのです。だれでもいいというわけにいかぬのです。この点、大臣どう考えているのですか。
#59
○山中国務大臣 まず、天下りという、そういうことは全く考えていませんので、その点だけは念頭に置かないでいただきたいと思うのですが、実際に協会にお願いをして、かといって協会自体が、社長が全部行って経営管理に当たるわけではありませんから、そこはまた協会の自主性というものも、あるいは相談に基づく合意というものも当然ながらできると思いますので、やはりその道の専門家が、もし再建の道が見出せましたならば、これまた三顧の礼を尽くしてお願いをして参加していただくということでなければならぬ。御指摘のとおりだと思います。
#60
○斎藤(実)委員 第三セクターという形になるかどうかということは別としまして、第七次の答申でも石炭産業については私企業体制でいくという基本的なものがございます。したがって、今回の新会社、大臣の提案ということになれば私企業ということから外れるので、政策転換になるのではないかとわれわれは心配するのですが、いかがですか。
#61
○山中国務大臣 先ほどもお答え申しましたとおり、臨調答申の趣旨にもこれは逆行すると言われれば一言もない点があります。それから国の石炭行政の積み重ね、各種審議会の答申等も先ほど述べられましたが、その方針をも逸脱していることも私は認めております。しかし、北炭夕張というものを再建するには、もうそのような過去のことにこだわって、過去のルールと申しますか、先例どおりやっていたのでは道はない。だからそのようなことは、後でいろいろな叱正も非難も私は覚悟します。しかし道のために一点にしぼって可能性のある道を懸命に探求している、できないかもしれませんが、できる道があるならばできることを信じて進んでみるということが政治であろうと私は考えております。
#62
○斎藤(実)委員 現在、地元夕張での最大の関心事は再建の成否にあるわけでございまして、見過ごしてはならない問題点があるわけですが、約千名の労働者の今後の生活の見通しをどうつけるかということなんですね。なぜかと申しますと、仮に再建が成った場合でも直ちに全員の再雇用ができるわけじゃないわけです。残留者の平均年齢は約五十歳に達しようということでありますから、再就職も私はなかなかむずかしいだろうと思うのです。夕張で待機しているとしても、炭鉱への就職もむずかしい、そうなると万全の離職者対策が必要だと私は思うのですが、今後の夕張炭鉱への就職見通しについて、労働省はこの離職者対策についてどういう対策を考えているのか伺いたい。
#63
○増田政府委員 夕張新炭鉱の再建ができますまでにどのくらいの時間がかかるかつまびらかにはしておりませんけれども、先生おっしゃいましたように、ある程度までの時間がかかると思いますし、また当初はその規模も小さいと申しますか、にわかに大きいものではないというふうに考えております。
 そこでいま夕張におられる求職者の方々の再就職問題をどうするかという点でございますが、私どもといたしましては、こういうふうな問題がございますし、さらに求職者の内容と申しますか、年齢の点におきましても、また技能あるいは前職の経験と申しますか、そういう点についても多様なものがございますので、率直に申しまして求職者の方々にできるだけ現実的な対応をお願いしたいと思いまして、そのために私どもといたしましてはできるだけ良質の求人を確保すると同時に、家族を含めた求職、職業相談というものを通じて、皆様の御意向を伺いながら対処していきたいというふうに考えております。
#64
○斎藤(実)委員 大臣、最後に私お伺いいたしますが、石炭協会、それから知事、これも相当真剣になって心配をし、また対応を協議していると思うのですが、いつどういう形で大臣のところへ持ってくるかわかりませんけれども、提案があった場合に大臣としてはどういう手だてをとられるのか伺いたいと思います。
#65
○山中国務大臣 提案ではなくて、再建の可否に対する態度というものについて条件がいろいろとつくだろうと思うのです。その条件を私が受けて、速やかにそれらの問題の解決をする、したがって、サミットから帰るまではちょっと事務当局同士だけの連絡しかできませんが、帰りましたら直ちになるべく早く取り組んで、選挙中であっても解決の案ができるならばそれを詰めたい、それが決意でございます。
#66
○斎藤(実)委員 以上で終わります。
#67
○武藤委員長 小渕正義君。
#68
○小渕(正)委員 北炭新夕張の再建問題で先ほどから大臣の所信をお伺いしておるわけでありますが、従来の行政のそういったいろいろな枠にとらわれずに、何とか政治というものはどういうものかということで、何らかの再建の道はないものかということで真剣に情熱を傾けられている大臣の御努力には敬意を表する次第であります。そういう中で、いまお話をずっと承っておりまして、大臣の何とか再建の道はないものかということで考えられているその基礎にあるものは、まず新しく新炭鉱としてまたスタートさせるということが考え方のベースになっているように私なりに受けとめたわけでありますが、その点はいかがでございましょうか。
#69
○山中国務大臣 そのとおりでございます。
#70
○小渕(正)委員 そういった点から考えて、それをするためには地方自治体も一枚加わってもらうというか、役割りをある程度分担してもらわなければいかぬということで北海道知事に対しても協力依頼をなされた、こういうことになろうかと思うわけです。そういう意味での環境条件づくりをいまされていると思いますが、そういうふうに地方自治体が一枚――一枚という言葉は悪いですが、そういう中に参加してくることによって新しく新鉱として認定できるという考え方といいますか根拠というものはどういうところにあるのか、まずそこらあたりのお考えをお示しいただきたいと思います。
#71
○山中国務大臣 ここらは政治決断でございます。地方自治体まで乗り出してきて、そして協会が全体の責任を持って参加した新しい会社ということになったら、それは新鉱である。私自身が断定をして融資その他の措置を行う。政治決断でございまして、問題はいろいろあろうかと思いますが、そこは押し切っていくというつもりでございます。
#72
○小渕(正)委員 要するに大臣のお考えでは、ともかく再開、再建をせなければいかぬ、そのために政治決断をすべてをかけてやる、それらの条件づくりの一つとして、そういう理由づけの一つに地方自治体もひとつ参加してもらおう、こういうふうにいまの御答弁で理解するわけであります。
 そういう点で、そのよしあしは抜きにいたしまして、そういう形でそれがスタートできるといたしました場合に、確かに昨日もそれぞれの参考人の方の御意見等をお聞きしたわけでありますが、問題は今回の新夕張の再開、再建については、企業経営に負担にならないような資金をまずどうつくり出すか、これが一番大きな壁であったわけでありまして、これがそういう形である程度解決できるということでは一歩前進になろうかと思います。
 しかしながら、昨日の協会のお話を承っておりましてそういう資金対策面における解決策が大きく前進することは可能だと思うわけでありますが、あと一つは、そういうふうな形でスタートいたしましても、あそこの炭鉱は地層的にもほかの炭鉱と非常に違ったいろいろな問題をはらんでいる地層なので、普通の炭鉱よりもそういう意味での保安設備といいますか採炭といいますか、いろいろな関係で幾多の大きな負担がなお別に考えられるということと、あわせてそういうことでありますから、技術者といいますか保安職員といいますか、技術面におけるのも、またいままでのような普通の炭鉱と違った特段のそういうものが要求される、こういうことが昨日も言われておったわけでありまして、そういう意味では労働の質の面でも大変な問題を抱えておる。ということは、そういったいろいろな人たちを、それだけの条件が整うような人たちを全部企業経営なら経営の中における人員として、それだけのものをまとまって確保できるのかどうかという問題指摘が実は昨日あったわけです。したがいまして、そういうことをいろいろ考えます中で、企業の採算ベースとして、たとえそういう開発資金についてはある程度のものが、もしも従来の常識を破った新しい考え方に立って開発資金が一応賄えたとしても、それ以後の二十年なら二十年ぐらいの採炭ベースの中で経営をやっていく上においてどうしても経営ベースに乗りにくいというふうな業界としての非常に不安を持たれた、そういう点がひとつ大きな問題でないか、昨日の参考人の御説明の中で私はそういう感じをしたわけであります。
 そういうことを考えますならば、私はたとえいま大臣がおっしゃる一つの構想でスタートできたとしても、それ以後は北炭新炭鉱としてまたスタートいたしましても、それをスタートさせるからには、最悪の場合にはそういう企業ベース、採算ベースに乗らないようなものをこれからずっと続けるということにおいて、国としてそれなりのはっきりとした以後に対する責任を持つというところまでの決断がないことには、私はこれはスタートさせていくということはむずかしいのではないか、こういう率直な感じを実は抱いているわけでありますが、そこらあたりに対しましての大臣としての御見解がございましたならばお聞きしたいと思います。
#73
○山中国務大臣 どうも皆さんは、責任者の私の意見を聞く前に参考人で関係者の意見を先に聞いておられるのでちょっと困るのですが、喜んでやろうという人は一人もいないと思うのですね。しかし私は、それをあえてやってくださいとお願いをしておるわけでございます。もちろん最後に言われました保安上の心配等はないか、特殊なところだがということは、保安上の心配というものが絶対にあってはならない、大事故の後なんですから。しかも、そうでなくても炭鉱はまず安全第一という基本の上に立たなければ、地下に人がもぐっていく命がけの作業ということではないような環境をつくらなければならないのが第一でございますから、当然もし順調に進んで掘削が始まるとしても安全が第一であること、これはもう言うまでもございません。
 それから、技術者と資金の問題を言われましたけれども、資金の問題はこれからの相談事でございますが、私も、技術者の絶対的な不足という問題については、石炭協会からこれは簡単ではありませんということを言われて、それは確かにそうかもしれない、しかし、だからといって断念するかという要素には私はならないと思いました。それは、やるならば何とか、協会が全部でやるという構想ですから、それぞれお互いが加勢し合って、そこにせめて新鉱の初めの開発の段階ぐらいに必要な人は集める協力ができ得るのではないか、そういうふうに思っておりますので、大変その点は保安とも結びつく非常に見落としてならない重要な点でございますが、だからと言って断念するという材料にはならない、打開していく努力はしなければならない、そのように考えておりますが、あるいは私の考えが甘いのかもしれません。
#74
○小渕(正)委員 その点に対するあれは一応今回は省略いたしますが、ただ、先ほどのお尋ねの一つに、スタートできたとしても今後十年か二十年かのそういう採炭ベースの中で、結果的には将来になってもやはり採算ベースには乗らない、こういうことが見通されてもなお決断するのかどうか。当然そうなると政府としてはそこまでの大きな決断を持って初めてこの問題に取り組まなければいかぬことになると思いますが、そこらあたりまでのことを十分考えられての決断なのかどうか。いまここでスタートするに当たりましては、そこらあたり、後の問題は後の問題としてこれからまた何らかの対策を考えていくことにして、ともかくいかに軌道に乗せるかということをまず重点に考えれば、そういう将来ベースの問題はまたこれは検討の大きな課題としてともかく後に回すということをお持ちなのか、そこらあたりの大臣のお考え、決断といいますかを実はお尋ねしたかったわけです。
#75
○山中国務大臣 これは働く人の問題をどうするかという問題のほかに、いま一つ採算という問題は当然同じ重さでもって、いわゆる炭鉱企業の経営ということでありますから論ぜられなければならない点は確かにそのとおりだと思いますが、しかし大沢管財人の出された案にしても、私は受け取っておりませんが一応は大体中身はわかっております協会の案にしても、金額についてはいろいろあると思います。そう簡単な採算性を見通せるところではない。しかし国も、一生懸命最大限の御努力を申し上げることによって、それが採算がとれてほくほくの山になるという、そんななまやさしいことは考えておりませんが、採算のとれるような方法というものを、途中の検討課題であって、とにかく新鉱を開けば後はまあ先の話さというような、そんな悠長なことは考えておりません。やはり計算というものは、本当に全力を傾けて資金面その他を考えた場合に、それはどんなにあがいても赤字しか出ないのであろうかという問題は、私は検討してみてもうわかっておる。それは何百億かの赤字だよというほどのものじゃない。たとえば開発資金を出しただけで八百八十億と言われたものが三百億になるというそれだけの違いもすでにあるわけでありますから、もう少し努力をすることによって、その問題は後回しではなくて、その問題も含めて最終決着の際には話し合いとして持たれなければならない要素の一つである、そう考えています。
#76
○小渕(正)委員 本日大臣の所感を聞いてからまた参考人の意見を聞く機会を持てばまだよかったのでしょうけれども、日程的な都合でそうなったのですが、はっきり言うと非常に不安要素をたくさん持っている炭鉱だ、要因はいろいろありますが。だから、資金的な対策についてある程度の解決をしたにしても、なお業界としてははっきり言うと二の足を踏んで、率直な実感から申し上げますればとてもじゃないというふうに私は受け取ったわけですね。したがいまして、先ほどからいまのようなお尋ねをしたわけでありますが、そういう点で業界も二の足を踏んでとてもじゃないと言っているのに、それを政府としてはやろう。やろうということで大臣の見解が示されておるわけでありますから、これは一般社会的に皆さん政府に対する大きな期待を持っていることは事実ですね。したがいまして、その期待にこたえるため、政治的にも大臣の責任が大きく要求されてきたのじゃないかと私は思うわけです。そういう点で先ほどから、言葉のニュアンスでしょうけれども、ともかく可能性があるかないか、いまあきらめるのじゃなしにともかく一つの可能性でも見出すように努力するという熱意の中でのお話でございましたが、私はそういう点いろいろお話を承っておりまして、そういう意味における大臣の情熱と決意と、それに従って段取りをどう進めていくかということは、ある程度の見通しを持たないことには、大体これでいけるという一つの成算を持たないことには、これだけ大きな社会的期待をかけられるようなものを公開されてしまったわけですから、そういう意味では大臣は一つのそういう成算をお持ちの上でこういう形になったのではないかという感じさえ私はするのですが、その点はいかがでしょうか。
#77
○山中国務大臣 通産大臣いかに万能なりといえども、こういうふうにすればこういうふうにして何年後には埋蔵炭を掘り尽くすときには黒字になっておるというような見通しまではまだここではつけかねております。しかし、閉山、新鉱はだめ、あとは離職者対策、行政上はそれで済むのでしょうけれども、やはりここで与野党の皆様方もこうして知恵をかしてくださっているわけでありますから、われわれ政治の名においてそれに取り組んでみる価値がある。したがって私としては、これから出されてくるであろういろいろな条件が当然あります。協会側もいまのところは、とんでもない話だということを言っているはずでありますが、とんでもない話でないように説得もします。また北海道庁も迷惑であるということであるならば、これは公共団体ですから説得なんという無理なことはできませんが、こういう条件ならばとおっしゃるものがあるならば最大限それに応ずる、そして積極的に合意がされたならば私はそれにこしたありがたいことはない、そう願っておるわけでございます。
#78
○小渕(正)委員 それから、業界にも当然協力をお願いするということが先ほどから何回も出ておるわけでありますが、業界に協力方をお願いする内容というものは大まかに言ってどういう範囲のものか、そこらまではいまお考えがあるのかどうか。ともかく業界も一緒に一体となって協力してくれ、何とか前向きにいこうじゃないか、そういう意味だけの協力という言葉をいまの場合は使われているのかどうか、そこらあたりはいかがでしょうか。
#79
○山中国務大臣 姿勢はあくまでも低く、言葉はあくまでも丁重にお願いをいたしますが、石炭会社で、過去に政府のお世話になった記憶はない、今後も一切お世話になりませんというところがあるならばそれははっきりとおっしゃっていただいて結構ですが、今後もどこも苦しいというならば、きょうは人の身あすはわが身ということもありましょう、協会全体に誠意を持って私がお願いをするということしかこの段階では言えないと思います。
#80
○小渕(正)委員 大臣が考えられていることは大体理解できました。先ほどから申しますように、それだけの情熱と信念を持たれてこの問題に本当に真剣に取り組んでいられることについては心から敬意を表する次第でありますし、これはまた今日において非常に大きな政府に対する期待として寄せられておりますので、そういう意味でぜひそういう方向で物事が進行していくようになお一段の御努力をお願いしたいと思う次第であります。
 なお、最後になりましたが、これは質問通告しておりませんでしたが、いずれにいたしましても夕張の現状の就労状況では、たとえこれが三年で再開、再建という方向、規模がどの程度になるかわかりませんけれども、いますぐそれが結論が出たからといって全員がすぐ雇用、就労できる条件にないことははっきりしておるわけですね。早くても三年、遅ければ四年、そういうことを考えますならば、そういう一定の条件下の中において、少なくとも期限を切った形の中において、先ほどもお話が出ておりましたが、緊急就労対策か何か、そういうものを講ぜざるを得ない状況にあると思うのです。政府の方針としては、いままでは特に緊就とか開就とか失対とかというものについては新しくは一切しないという考え方が基本にあるようでありますが、このような一定の条件、期限つきといいますか、そういう条件の中では考えざるを得ない状況にあると思いますが、その点はどういうようにお考えなのか、ひとつお尋ねいたします。
#81
○増田政府委員 いま先生おっしゃいました公的就労事業でございますが、私どもといたしましてはいままでの経験から申しましても、この公的就労事業というものが必ずしも再就職に結びつかなかったり、あるいは長期化する傾向にあるということでございますし、また、北海道の地域的な条件を考えましても、夕張地区でこういうものをやるということは考えておらないところでございます。新会社が完全に操業するに至りますまでどういう規模でもってどのように推移し、また何年かかるかということについてはつまびらかにしておりませんけれども、炭鉱離職者臨時措置法の就職促進手当があと二年半ばかりあるわけでございますので、そういうものの支給、それからもし御希望があればその間のつなぎの就職というようなことも考えられるでございましょうから、そういう御希望に沿って考えてみたいと思っております。
#82
○小渕(正)委員 終わります。
#83
○武藤委員長 次に、三浦久君。
#84
○三浦(久)委員 大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 夕張新鉱の再建問題を考えるに当たって大事なことは、この問題は雇用問題であり、また地域振興の問題であると同時に、国のエネルギー政策上この山の開発というものがどうしても必要である、そういう観点ではないかと私は思うのですが、大臣の御所見を承りたいと思います。
#85
○山中国務大臣 ただいまおっしゃったとおり正確であると思いますが、ただ、最後のこの山、いわゆる北海道の北炭夕張炭鉱、北炭夕張という山だけが日本のエネルギー問題のために絶対に必要であるということではなくて、この山の扱い方一つが、日本の持っております貴重な原材料のうちの、燃料の中の固体燃料である石炭という意味で、これから未来へわが国が国際環境の中でわが国にある貴重な自己エネルギー、国内エネルギーというものに対して示す姿勢、その意味ではこれが一つの先導、ともしびとなることにおいては位置づけられていいと私も思います。
#86
○三浦(久)委員 これからのエネルギー政策、石炭政策、そういうものの方向づけが決まるような大きな問題だというふうにお考えになっていらっしゃるだろうと思います。
 私、いままで大臣と同僚の委員の質疑を聞いておりまして、大体大臣のお考え、いわゆる山中提案の輪郭がほぼわかってまいりましたけれども、これからこの提案を具体的に実現する、そのためにいま事務レベルでもってずっと話し合いが進んでいる、そういうお話でございましたね。道がさまざまな要請をし、そしてそれに対して通産の方でいろいろ御回答なさるだろうと思うのですけれども、そういうさまざまな問題を検討する場合に、なるべく制約を外して考えるということが大事じゃないかと思うのです。それじゃないと、五月二十日に出された石炭協会の答申と全く同じ結論になってしまうのではないかということを恐れるわけであります。大臣は、あの答申はまだ見てないのだ、こうおっしゃっておりますけれども、しかし中身はもうわかっておられますし、われわれも全部わかっておるわけですね。それで再建が不可能だというような結論がお互いの折衝の中で出されたのでは、これはいままでの努力が無になってしまう、そういうふうに私は思うわけであります。
 たとえば、この石炭協会の採掘対象というのは新十尺層だけに限定をしておる。しかし、こういうことはしないで、消滅鉱区を含めたものまでも開発対象にして考えるというようなことが大事じゃないか、さらに真谷地寄りの炭量、これについての探査も直ちに始める必要がある、また融資問題についても制度融資をあらゆる可能な手段を考えて実行していく、こういうことが大事じゃないかと私は思いますけれども、大臣の御意見を承りたいというふうに思います。
#87
○山中国務大臣 終わりの方の融資その他について最大限の努力をするということも必要、もちろんそのとおりでありますし、地方自治体に、本来筋違いなところに中に入ってくれとお願いをするわけでありますから、その地方自治体側からの御要望に対しては、いままで前例があろうとなかろうと最大限の御協力をしなければ、むしろ国が責任を回避するという言葉につながってしまいますので、全力を挙げます。
 なお、部分的な個所の問題は、残念ながら私はまだ承知いたしておりませんので、石炭部長より答弁をいたさせます。
#88
○弓削田政府委員 ただいま炭量の点で真谷地、それから閉山鉱区、恐らく清水沢の問題じゃないかと思いますが、この地域の炭量についてのお尋ねがあったわけでございますが、真谷地につきましては、今後探査をすれば果たして有望かどうかということが判明するということでございますから、恐らく協会の検討では現在時点では採掘の対象にしなかった、こういうことじゃないかと思います。もし大臣の構想が実りまして企業が始まる、こういうことになれば今後探査も十分行われるだろう、こういうふうに思います。
 それから清水沢につきましては、実は御案内のとおり清水沢炭鉱はすでに、たしか五十四年でございましたか閉山したわけでございます。御指摘の地域につきましては、清水沢の東部区域として清水沢炭鉱で採掘を計画したことが実はあるわけでございますが、清水沢炭鉱においては採算がとれない、こういうことで放棄した地域でございます。
 それで、北部の十尺層の区域から掘れないかどうか、こういうことに実はなるわけでございます。御案内のとおり北部は千メーターから千三百メーターと非常に深い水準のところを掘る計画でございます。清水沢の区域は二百メーターから三百メーターと非常に浅いところの区域でございまして、新北部十尺層の開発の基幹坑道からはとても掘っても採算がとれない、こういう地域の炭量だというふうに私どもは理解しております。
#89
○三浦(久)委員 私は、石炭協会のやり方をそのままなぞっておったのでは同じ結論になるので、ひとつその点を十分に配慮してほしいということを申し上げたいわけであります。
 大臣にお尋ねいたしますけれども、いわゆる山中提案というのは、道にこの新鉱の経営に参加してほしい、そういうことを希望されておるのでありましょうか。
#90
○山中国務大臣 経営というのは、実際上にその現場において発掘をする作業全体を含めて参加することになります。しかし、地方公共団体でございますから、そのような現場のところまで責任を持つ意味の参加ということまでは恐らく無理ではなかろうか。それは地方公共団体ができ得る範囲の協力ということにとどめて、やはりもちはもち屋という意味で、現場を含めての経営責任というものは専門家の熟練した人たちにゆだねるということになるのではないかと思いますが、まだこれはどちらからも意見は承っておりませんので、公共団体の性格としての議論としてお受け取り願いたいと思います。
#91
○三浦(久)委員 通産省と北海道庁との折衝の中で、経営に参加するやり方はいろいろありますが、たとえば、それでは道が出資しよう、そういうふうになった場合に、この出資について財政的な手だてを大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。いろんなやり方があると思うのですけれども、地方財政に負担はかけないというふうに大臣はおっしゃられました。私はその言葉を疑おうとは思いません、大臣が信念を持って財政上の負担をかけないと言っておられるわけですから。ですから、まだはっきり話が出てないということでありますけれども、出資をして第三セクター方式でやろうというふうに道庁が考えた場合に、その出資金についての財政上の手当てということについてはどのようにお考えになっておられるか承りたいと思います。
#92
○山中国務大臣 出資に限らないでお答えをいたしたいと思いますが、地方自治体にお願いをして地方財政の中からの何らかの支出、御協力というものが出てくるかもしれませんが、その場合には国は地方自治体がそのために迷惑をこうむるというようなことのないように全力を尽くしたいと考えます。
#93
○三浦(久)委員 出資をして、そしてそういう形で経営に参加をするとすれば、これはすぐには黒字に転化するなんということはとても考えられないわけであります。そうすると毎年、かなりの期間赤字が出てまいると思うのですけれども、そういう赤字対策上の問題についてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいましょうか。
#94
○山中国務大臣 その出資の問題に限定しないでお答えをいたします。
 地方財政に御迷惑をかけないような措置はむしろお願いをした政府、通産省の責任でございますから、その責任は完璧に果たしてまいりたいと存じます。
#95
○三浦(久)委員 そうすると、あらゆる面から見て財政上の負担はかけない、こういう大臣の決意だというふうに承っておきたいと思います。
 それから、この夕張新鉱が出炭をする石炭のユーザーですね、これを使用している会社、これは新日鉄とか日本鋼管また東京瓦斯、こういう関係の会社だと思いますけれども、いままでもこの新鉱に対して融資をずっとしてきておりますね。そういう経過もありますので、この再開発を考える場合に、こういういま言った三社にやはり再建についてのお願いをする、そういうようなことはお考えになっていらっしゃるでありましょうか。
#96
○山中国務大臣 これは石炭協会との話の過程においていろいろのケースの議論が出ると思います。したがって、その議論を受けて考えてみたいと思います。
#97
○三浦(久)委員 終わります。
#98
○武藤委員長 この際、委員長から一言発言させていただきたいと思います。
 通産大臣、政治家として情熱と誠意ある発言をこの委員会でしていただいて大変感銘を受けました。大臣の苦悩と新しい道を開かんとする努力に満腔の敬意を表したいと存じます。
 誠意天地を動かすという言葉がありますが、夕張炭鉱が永久閉山にならないよう関係者の一層の協力と精進を心から期待をし、大臣の労をねぎらいたいと存じます。
 大変ありがとうございました。(拍手)
     ────◇─────
#99
○武藤委員長 この際、念のため御報告いたします。
 今会期中、本委員会に参考送付されました陳情書は、夕張新炭鉱の早期開発に関する陳情書外一件であります。
     ────◇─────
#100
○武藤委員長 閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。
 石炭対策に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#101
○武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中審査案件が付託になりました場合の諸件についてお諮りいたします。
 まず、閉会中、委員派遣を行う必要が生じた場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#102
○武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中審査のため、委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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