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1982/05/25 第98回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第098回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号
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1982/05/25 第98回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第098回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号

#1
第098回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号
昭和五十八年五月二十五日(水曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 中野 四郎君
   理事 奥野 誠亮君 理事 片岡 清一君
   理事 佐藤 観樹君 理事 堀  昌雄君
   理事 伏木 和雄君 理事 中井  洽君
      足立 篤郎君    浜田卓二郎君
      粟山  明君    山口 鶴男君
      山花 貞夫君    山本 幸一君
      坂井 弘一君    安藤  巖君
      小杉  隆君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      味村  治君
        国税庁直税部長 角 晨一郎君
        自治省行政局選
        挙部長     岩田  脩君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   森廣 英一君
        法務省刑事局刑
        事課長     飛田 清弘君
        文化庁文化部宗
        務課長     大家 重夫君
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  小笠原臣也君
        特別委員会第二
        調査室長    秋山陽一郎君
    ─────────────
三月三日
 衆議院議員の定数配分の是正に関する請願(竹入義勝君紹介)(第一二四八号)
 同(正木良明君紹介)(第一二四九号)
 同(矢野絢也君紹介)(第一二五〇号)
四月十二日
 衆議院議員の定数配分の是正に関する請願(大野潔君紹介)(第二三三五号)
五月十七日
 盲人の点字投票推進等に関する請願(住栄作君紹介)(第四〇一三号)
同月十八日
 点字による選挙公報発行に関する請願(中路雅弘君紹介)(第四〇九四号)
 同(中路雅弘君紹介)(第四二八七号)
同月十九日
 衆議院議員の定数配分の是正に関する請願外四件(甘利正君紹介)(第四三九八号)
 同(安藤巖君紹介)(第四三九九号)
 同(加藤万吉君紹介)(第四四〇〇号)
 同(河野洋平君紹介)(第四四〇一号)
 同(田川誠一君紹介)(第四四〇二号)
 同(中馬弘毅君紹介)(第四四〇三号)
 同(中路雅弘君紹介)(第四四〇四号)
 同(三浦隆君紹介)(第四四〇五号)
同月二十日
 衆議院議員の定数配分の是正に関する請願外四件(加藤万吉君紹介)(第四四九八号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
四月二十八日
 国会議員の選挙区及び定数改正に関する陳情書(岩手県紫渡郡紫波町遠山字小杉二三本間哲郎)(第二二八号)
は本委員会に参考送付された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 公職選挙法改正に関する件
     ────◇─────
#2
○中野委員長 これより会議を開きます。
 この際、申し上げます。
 今国会におきまして、当委員会に付託になりました請願は十九件であります。各請願の取り扱いにつきましては、先ほどの理事会において協議いたしましたところ、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、さよう御了承願います。
 なお、当委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付しております一件であります。念のため御報告申し上げます。
     ────◇─────
#3
○中野委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 公職選挙法改正に関する件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中審査案件が付託になり、審査のため委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、派遣委員の氏名、員数、派遣地、期間その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ────◇─────
#7
○中野委員長 これより公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#8
○堀委員 まず最初に、自治省選挙部長が入っておられると思いますから、ここからお尋ねいたします。
 公職選挙法第二百二十一条の一項は「次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。」「一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込若しくは約束をし又は饗応接待、その申込若しくは約束をしたとき。」「二 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。」こういうふうに規定していますね。ここで、「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し」と対象が限定されておりますね。この「選挙人又は選挙運動者」というのは人間、私人というのか個人というのか私は法律的にはわかりませんが、要するにそういうものを指しておると私は理解をするのですけれども、自治省はどうですか。
#9
○岩田(脩)政府委員 条文は堀先生がお読みになったとおりでございまして、「選挙人又は選挙運動者」というときの「選挙人」というのは少なくとも選挙権を持っている者、行使が可能である、そういう立場にある者のことでありましょうから、これは個人――私人といいますか、いわゆる人間を指しているものだと思います。それから「選挙運動者」というものは一般的には選挙運動をする立場にある者でありますから同様個人でありましょうが、この方は、いままではっきりした前例は存じておりませんが、ただ個人に限るというほどのことはないのかもしれないというように存じております。
#10
○堀委員 しかし、「運動者」というときの「者」というのはやはり人間を指しているのじゃないですか。人間以外に「運動者」となり得るものがありますか、その「者」は。
#11
○岩田(脩)政府委員 具体的な行為をするものは個々の人間でありましょうけれども、その運動の主体となるものに個人以外のものが絶対に入らないというのは多少議論の余地があるのではないかと思っております。
#12
○堀委員 過去に公選法の二百二十一条の適用でそういう例があったのでしょうか。
#13
○岩田(脩)政府委員 勉強不足かもしれませんが、私存じません。
#14
○堀委員 あなたが知らないというだけですか。法律的解釈をあなたに聞いているのだから……。
#15
○岩田(脩)政府委員 過去にそういう例があったかというお尋ねでありましたので、そうお答え申し上げましたけれども、法文の上から見て「運動者」というのが即個人に限定するというほどのことではないのではないかというように思っております。
#16
○堀委員 そうすると、それでないものといったら何をあなたは頭に置いていますか。いまの個人でないものというのは何ですか。
#17
○岩田(脩)政府委員 特定の団体とか組織とかいうようなことも「運動者」であり得る場合もあるのではないかと思っております。
#18
○堀委員 ここに書かれてある法文から私が見るところでは、主たるものは、選挙人を対象としておる法律であって、しかし選挙人だけに限定しないで選挙運動する者というふうに範囲が広げてあるだけであって、本来の買収の目的というのは、私は選挙人に対する買収ということが本法の主たる趣旨ではないかと思いますが、その点はどうですか。
#19
○岩田(脩)政府委員 法文上特に差があるわけではございませんが、選挙人または選挙運動者に対する犯罪であると思います。
#20
○堀委員 内閣法制局。私がいま言っておる第二百二十一条の解釈、内閣法制局の解釈をちょっとここで答えてください。
#21
○味村政府委員 実は突然のお尋ねでございまして、深く研究しているわけではございませんが、一般に「者」と申しますと法律上の人格者を指すのが普通であろうかと存じます。したがいまして、個人、いわゆる自然人でございませんでも、法人とかそういったものも一応「者」の中には入る。ただ、この具体的な場合においてどういうことになるのかということにつきましてははっきりお答えはいたしかねますが、一般論を申し上げればそういうことであろうかと思います。
#22
○堀委員 私は長年、昭和三十五年から公選の委員をやっているのですけれども、きょう初めて私はこの「運動者」の中に法人が入るというのを聞いたのです。どういう運動を法人ができるのですか。ちょっと選挙部長答えてください、法人の選挙運動とはどういうことを選挙運動というのか。
#23
○岩田(脩)政府委員 それぞれの選挙、それぞれのケースによろうかと思いますが、ごく簡単な例を申し上げれば、たとえば電話による選挙運動というのは可能なわけでありまして、それを法人が法人として行うということも不可能ではないと思います。
#24
○堀委員 法人が電話で選挙運動をやる。私は何々の株式会社でございます――もしそれが株式会社の社長と言えば個人になるわけですからね。株式会社が選挙運動をやったなんという例は日本の社会通念上あり得ないと私は思うし、そんなことをもし会社がやるとするならば、これは公選法上から見ても適切でないと思うのですよ。この法意はあくまで選挙人と選挙運動をする人間を指しておるのであって、この点の認識は――いいです。この問題はどうせ将来裁判になるからいいと思いますけれども、ちょっと意外な答弁を一つ聞いたということを最初に一つだけ申し上げておきます。
 そこで、もう一つの問題は、今度の問題の一つの問題点として寺とお布施という問題が出てきておるわけですね。これは一般論としてちょっと国税庁に伺いたいのでありますけれども、神社とか寺は今日ほぼ宗教法人になっているのではないか。例外はあるかもしれませんが、少なくとも西本願寺のような組織的な寺は宗教法人になっておる。宗教法人に対して金銭が寄附された場合には、その金銭の寄附はあくまで宗教法人の所得であって、そこの寺の住職の所得ではない。これは税法上当然のことだと思うのであります。
 神社におさい銭が上がる、普通の神社はそう大したことはないでしょうけれども、住吉神社とか大きな神社になると何億というおさい銭が上がる。そういうのはいずれもその神社なり寺の宗教法人の所得であって、その寺の住職または神主はその宗教法人から給与その他を得ておるというのが今日の税法上の仕組みになっておる、こう私は認識をしますけれども、国税庁の見解を述べていただきたいと思います。
#25
○角政府委員 一般論としてお答えを申し上げますが、お布施、おさい銭、これらは宗教法人が宗教活動に伴って獲得するといいますか、得るものでございます。したがいまして、税法上は宗教法人の収入に計上すべきものでございます。
#26
○堀委員 だから、そのことは要するに、お布施が寺に出されたという場合には、それはあくまで住職たる個人の帰属ではなくて、宗教法人たる寺に正規にお布施として出されておるものは収入として帰属する、こういう認識ですね、一般論として。
 そこで、文部省は社寺の監督をしておられるわけでしょうね。監督というと表現が悪いかもしれぬ、所轄か、私も正確な表現はあれしていないけれども。そこで、いま文部省が宗教法人として所轄をしておるものというのは、宗教法人として認めておるそれなりの何か条件があるのでしょうね。ちょっとそこを答えてください。
#27
○大家説明員 突然で余り用意しておりませんが、宗教法人法の第二条に「この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。」とありまして、一として「礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体」、二として「前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体」でございます。
#28
○堀委員 そうすると、西本願寺というのはあなたの後段で読んだ方の団体ですね。西本願寺という一つの宗教法人がある。それから、一つ一つの末寺というのはいまの前段で読まれた宗教法人の内容に含まれておる。ですから、そういう意味では、いまの前段の本願寺の末寺と言われるお寺は一つ一つが独立した宗教法人であるということが一つと、その宗教法人を一つの宗派によって指導するというか、どういうのかわからぬけれども、こういうふうにグループとして管理をしているというか、宗派の指導をするというか、そういうことをしているものが、あなたの後段で読んだ宗教法人というものに当たる。だから、ここには宗教法人が一つあって、その宗教法人に属する宗教法人がまたある、いまの考え方はこういう認識でよろしいですね。
#29
○大家説明員 よろしいかと存じます。
#30
○堀委員 実は私、今度出た問題を新聞で見ておりまして、詳しく調べたわけではないのだけれども、私は昭和三十五年から公職選挙の委員をやっておりまして、一時政審会長をやったりして抜けたことがありますが、当委員会では私が最古参の公選の委員なのであります。そうして二十何年にわたってこの法律をやってきて、いまの問題で、私の法律常識から見て、法律解釈としておかしいと思う問題が幾つかあるものですから、そこをひとつ、立法府である私どもが公選法の法律をつくる、その法律がどう運用されるかはそれからの行政府の処理にありますが、立法府はこういうふうな認識ですよということは、法律をつくる立場から当委員会で明らかにしておく必要があるというのが私の基本的な考えでございます。ですから、この問題はいま係争中でありますし、やがて裁判になってその裁判で決着が行われることでありますが、ただしかし、一般的に見ておりますと、あたかも買収とか戸別訪問とかという一方的な報道だけが行われていて、果たしてそれが法律解釈上妥当かどうかという問題について何も出ていないものですから、私はその点で著しく疑問を持ったものですから、当委員会で取り上げたい、こう考えたわけであります。
 そこで、まずいまの組織上の問題から見て、これは選挙部長にお伺いをしますが、私は全電通という全国に組織を持った労働組合の政治局員というのを委嘱をされておりまして、選挙になったときは全電通労働組合、これは一つですからね、全電通労働組合という一つの組合が私を推薦するという決定をします。これは規約に基づいて、組合内部の手続を経て大会で決定をして私は推薦候補になる。あなたを推薦候補にいたしましたという文書をわれわれももらいます。その推薦候補になった文書をもらったときに私が、全電通労働組合の各分会というのが、電話局があっちこっちありますね、その電話局に行って組合の執行部に、本部から推薦をいただきました、よろしくと、こういうふうにして私どもは歩くと仮にしましょうか。そういうふうに一つの組織に基づいて推薦が得られたことを周知する、何もそこへ行って投票を依頼しているのでも何でもないのだ、これは組織内だから。周知をする行動を私がやったら、それは戸別訪問になるのかな。どうですか、そこのところをちょっと選挙部長答えてください。
#31
○岩田(脩)政府委員 大変むずかしいお尋ねだと思います。あくまで一般的に申し上げれば、ある団体からある立候補予定者が推薦を受けたときに、その推薦を受けたということを、周知ではなくて、そのことについてのごあいさつをなさるのは、それは社会通念上また実際その団体のいままでの性格なり実践上認められている範囲では、社会通念上容認される範囲では、それは無理のない行為ではないかと思います。ただ、それではそのような推薦がありさえすればその推薦関係のところにはすべて顔を出しても、また何を言っても、というのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、一切選挙運動にならぬのかと言われると、これはそうではないと思います。恐らく、その組織の組み立て方とか、それからその推薦決定にどの範囲の方が直接に携わっておるかとか、それからその組織の中で普通情報がどのように流されるかとか、そういったようなものを基準にして、それが選挙運動でない、したがって戸別訪問でないと考えるか、そういうあいさつに名をかりた選挙運動であると考えるか、個別の認定の余地がやはり残っている問題ではないかというように思っています。
#32
○堀委員 もちろん、そこへ行って投票をお願いしますと言えば、選挙中なら、これはそこには個人がいるわけですから、私は明らかに選挙運動になると思う。しかし、私どもはそんなこと、一々組合の組織へ行って投票をお願いしますなんということは過去に一回も言ったことはない。言わなくても推薦している者はあの人たちはやってくれるという前提があるものだからそんなことを言ったこともないし、推薦もらいました、ひとつ組合の皆さんがんばってくださいというぐらいの話が関の山ですから、私ども自身も選挙運動やっている気はない。
 そこで、今度の問題の中で、お布施のところは私は実は問題がないと思うのだけれども、文書なんか配ったという点は、これはややちょっと私は選挙運動に類似するおそれがあるかどうか、これは今後の問題ですけれども、ちょっとこれをここでひとつ紹介をしておきますと、こういうふうになっているようですね。
 拝啓
  ようやく春めいてまいりました。
 ご住職におかれては、ますますご健勝のことと存じます。
 さて、このたびは、貴浄土真宗本願寺派より別紙のとおり、福岡県知事に奥田八二を推す旨の推せん書をいただき感謝いたしております。
 福岡県政の浄化をスローガンに、奥田知事の実現を目指して選挙運動を展開しているわたくし共一同身のひきしまる思いでございます。奥田八二は、貴本願寺派、兵庫教区赤穂北組滋眼寺の門徒でもあります。奥田八二が浄土真宗に帰依する信徒にふさわしい清潔で心温かい人物であることは、わたくしたちはじめ友人・知人のすべてが等しくみとめるところでございます。
 どうかご住職におかれては、貴寺の門徒のかたがたはじめ各界各方面へよろしくご鳳声下さるなど、特段のご配慮をたまわり、奥田八二を強くご支援下さいますようお願い申し上げます。
そうして、これが「清潔な県民本位の県政をつくる会」云々とこういうふうになっているわけですね。これをどう判断をするかということについては私は意見を申し述べませんが、要するにこの問題のもう一つの問題点というのは、このお布施というものの関係が非常に買収に関係しておる、こう言われておるところなのであります。
 そこで、私がここでいろいろ言っても必ずしも説得力があるわけではありませんから、実は私は東京大学名誉教授の早島鏡正先生、この三月まで東京大学で仏教学を御専攻になっていた方に御出席をいただいてこのお布施の問題についての専門家の御意見を伺いたい、こう思ったのでありますけれども、経過があってなかなか思うに任せなかったので、そこでちょっと私が早島先生に伺ったお布施というのは一体どういうものかという先生のお話を御披露させていただきます。「浄土真宗(西本願寺派)における布施の意味」「布施とは、金銭、物品、精神その他大事なものを施すという意味であるが、見返りや報酬を伴わない。また、本尊におまいりして、布施を出すのは、礼儀であり、その際布施を出す人の名前を書くのが通例である。」こういうふうに実は先生はおっしゃっておるわけなのですね。
 そこで、この問題について新聞で見ると、ちゃんとお布施として名前が書いてあったというふうに新聞は伝えておる。私は捜査の中身を議論する気はないから警察庁にそんなことを聞く気は毛頭ないのだけれども、大体買収をやろうというときにもしその片方に買収の意思があったら、それは犯罪になると困るというので名前を書いたりするはずはないと思うのだけれども、これは全部名前が書いてあったと新聞が報道しておる。そして金額は五千円だというふうに新聞も報道している。この五千円というお布施の金額は今日のお布施の額としては社会通念上どういう位置にありますかということを西本願寺の宗務所に聞いてみましたところが、今日所得の格差がまだずいぶんございますから一律には申せませんが、田舎の方では千円とか二千円というものもございます、しかし全国的な標準とすれば、今日五千円というお布施の金額は決して多額の方ではありません、平均よりは下の方でございますというふうに実は西本願寺の宗務所の方は私に御説明になりました。
 そこで、私がさっきちょっと国税庁から答弁をしていただいたように、要するに本堂に置いたものはお布施ですから、これは宗教法人にまず入る。宗教法人に入るということは少なくともさっきの公選法二百二十一条の前段には当たらない。それじゃ後段の方で、要するにその「運動者」、これは、お寺の人たちは初めから「運動者」でも何でもないのですね。要するにお寺というのはこの場合には完全な第三者であって、そこへある一つの団体が、この人たちはもちろん選挙運動のつもりであろう、こういうふうに書いてありますから選挙運動のつもりであると思うけれども、それは要するに西本願寺から推薦を受けましたということを言って、そうしてお寺へ参ったら、門徒がお寺へ行って用事だけ済まして帰ることはあり得ないのでありまして、私どもでもお寺へ行けば本堂へ行ってお参りをするというのは、私は日本人の通例だと思うのであります。私も母方が門徒でありますから、そういう意味ではそういうふうにちゃんとやる。そのときにただ手ぶらで行くというのは、これまたいまの日本人の一般的常識ではまだお布施を置いて帰るというのは社会通念で常識の範囲だ。そこにちゃんとお布施として氏名を書いたものを置いてきた、それが即買収だという問題はどうも私にすると非常に理解しにくい問題なのですね。
 ここで私は「運動者」ということで宗教法人のことを聞きましたけれども、法人かどうかの問題をちょっと尋ねたのですが、この場合寺は運動者でも何でもないんですよ。要するにある意味では被害者なんだな、これは。たまたまその人たちがやってきてその文書を置いて、いまの推薦をいただいたというコピーを置いて、よろしくと言って本堂へお布施を置いていった。そうしたら今度はそれが買収事犯だということになって、警察に呼ばれていろいろ取り調べを受けた。お寺の皆さんにしたら、これは大変なことが起こったというふうに考えられると私は思うのですね。そしていろいろと聞かれると、いろいろなことが実は答弁の中で起こるのですね。
 私自身も昭和三十五年の選挙のときに、私の親しい人たちが沖縄県人会の所属で、私どもの党の市会議員をしておられて、そこで選挙の三カ月ぐらい前にそこの沖縄県人会の皆さんがお集まりになるいつもの場所で安保の問題の話をした。それから帰った。その後で、その人たちはたまに集まったのでおすしを出してしょうちゅうで一杯飲んだ。選挙中に同じ場所で私は個人演説会をやった。そのときは個人演説会だから何もしないで帰ったのだけれども、実はその沖縄の人たちがいろいろ警察に呼ばれて、何か食っただろう、飲んだだろう。私が同じ場所で同じようにやっているものだから、前の記憶とこの記憶が一緒になって、結果的にはこの市会議員の方は一審で有罪で二審で執行猶予がついて問題がなくなったわけでありますけれども、私はその経過を詳しく知っておりますので、最近のいろいろな刑事事件の裁判でも問題が起きていますけれども、どうもその点でお寺の住職の皆さんに大変これは御迷惑をかけたことになったな、私はこういう気がして仕方がないわけです。何もその気もないのに、突然そういうものを置いて帰られてそれが買収だ。これは大変大きな問題であります。
 そこで、ちょっとここで法務省の方にお伺いをしたいのですけれども、この買収犯というのは、片方が買収の行為をした。受け取る者がいますね、被買収者。これが同時にその買収者の意を体して物を処理するときに買収犯が成り立つということではないんですか。買収犯だけがあって、被買収というのはないということもあるんですか。ちょっと法務省にそこの見解を聞きたいのです。
#33
○飛田説明員 公職選挙法の問題ですから、あるいは自治省からお答えいただいた方がいいのかと思いますけれども、罰則という関係で申しますと、買収を受ける側が買収を受ける意図がない場合には、買収した側はいわゆる買収の申し込みと申しますか、供与の申し込み罪というのがございますから、一方は、受ける方は何の罪にならない場合でも、渡たす方がその買収罪に属する買収の申し込み罪というものが成立する場合はあると思います。
#34
○堀委員 法律のどこですか。申し込み罪というのは法律でどこに書いてあるんですか。
#35
○飛田説明員 二百二十一条の一項一号で申しますと、「その供与の申込若しくは約束をし」という「申込」というのがそれでございます。
#36
○堀委員 そのおしまいのところか。「金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込若しくは約束」であって、これは法意は違いますよ。あなた、この法律の書き方は、いまのところの金銭の問題は、「目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益」でしょう、「若しくは公私の職務の供与」でしょう、「その供与の申込」であって、これは、いまのあれはここで切れているのではないですか。この法律は、そういうふうに金銭、物品その他の財産上の利益を与える話が一つあるのではないですか。それと、公私の職務を供与します、また、その供与をするということの申し込みまたは約束、または供応接待、その供応接待の申込みまたは約束とあるのであって、ここのところは法律として切れているのじゃないですか。
#37
○飛田説明員 法律は読み方によっていろいろ解釈する余地はあるかもしれませんが、私が先ほど申し上げましたようなことは広く一般的に理解されていることかと思っております。
#38
○堀委員 そうすると買収というのは、これは私は買収だと思っていないからだけれども、片一方に買収の意思があるということを何かで位置づけたとすると、片一方は、被買収者として成り立つ者は何ら関係がないということはあり得るわけですね、いまのあなたの申し込みの範囲なら。
#39
○飛田説明員 具体的事件に即して、かつ、一般論のお尋ねですので、お答えも非常に微妙なわけですけれども、そういうふうな意味では、事実関係ごとによっていろいろ違うと思いますが、観念論として申し上げますれば、ただいまの御説のように、買収を受けた側、供与を受けた側は何も問擬されなくて、供与をした側については供与の申し込み罪で有罪になるという場合はあり得ると思います。
#40
○堀委員 いま私が話をしたように、いまの買収問題というのは、少なくとも、ここで「選挙人又は選挙運動者に対し」とあるのだけれども、大体お寺は、この場合初めから選挙運動者たり得ないわけです。だから要するに選挙人に対して――これはお寺の住職は確かに選挙人であるけれども、お布施というのは、寺へお布施をしているので、個人に金が行っていない。個人に金が行っていなくて、置いてきたということが個人に対する二百二十一条に言う買収に該当するということは、これは一般論として見てちっとも整合性がない、私はこう思うし、同時に、金額の問題等を含めさっきのお布施というものは、何らの対価、見返りを求めない、そういう性格を門徒である人たちがちゃんと知っておるわけなんだから、投票を得せしめたりどうこうするという見返りを求めないというのがお布施だとなっていて、お布施だからちゃんとここに名前を書くのだ、実はこういうふうになっているのですね。
 そこで、大林さんが書かれた本にこういうふうに書いてありますね。「いわゆるお布施を出すことは役務の提供に対する債務の履行と認められる限り寄附にあたらない。」ここはお経を上げていただいたという場合なんでしょう。「信徒がお参りをし、お話なりお経を聞かせていただいたりしたお礼として」、これはお礼というのはおかしいのだけれども、「お布施を提供することは社会通念上当然の務めないし儀礼であり、またわが国における慣習でもある」、これは、公職選挙法の逐条解釈であなたの先輩の大林さんはそう言っているのですよ。
 だから私は、今度の問題の中でどうも法律解釈が非常に適切でないという感じがしておるのは、これはすらっとわれわれが第三者として読みますと、要するに、文書は多少問題があるかもしれない、その点は私も必ずしもあれですが、そういう限りで、買収の問題ということはどう考えても、いまのお布施というものの性格から見て非常に理解しにくい問題ではないか、こういうふうに実は判断しておるわけです。
 そこで法制局に伺いますけれども、あなたの常識として、私がいま述べてきた、あるお寺に行って、西本願寺からの推薦を受けたコピーを見せて、本願寺から推薦をいただきました、いろいろよろしくと言ったのか、そこのところは別として、本堂にお参りをして、そこで五千円のお布施を置いたということが、公職選挙法二百二十一条の一に――いまのような私の論理からいくと、どうもこの法律解釈はそうならないのじゃないか。要するにこの法律解釈というのは、あくまでここでは選挙運動者の話ではなくて、選挙人に対して金銭その他を、当選を得せしめるために置いたというふうには理解できない、こう思うのですけれども、どういうふうな判断になりますか、法制局、ちょっと答えてください。法律解釈です。
#41
○味村政府委員 ただいまの先生の御質問は、法律解釈と同時に事実上の問題を含んでいるわけでございます。現在捜査中の問題でございまして、私、その事実関係は新聞を見るぐらいしか存じないわけでございますが、法律論といたしましては、要するに二百二十一条の一項一号に該当するかどうかということが問題になるであろうと思います。
 その場合に、お布施であるということが直ちに二百二十一条の一項一号に該当しない、そういう要件をその一事だけで欠くことになるのかどうかということでございますが、これは、そのお布施として渡しました際の具体的な状況、当事者の真意、その受け取り方といったような事実上の問題があろうかと思います。
 片一方では供与、こう言っているわけでございますので、供与というのは一体どういう意味なのか。たとえば、その人の、住職さんの支配下に置く意思で金銭を交付したことが供与に当たるのか、あるいは単に法律的に帰属するという意味が供与なのか、そういったような法律上の問題もございます。
 私、現在の段階では、どちらとも申し上げかねる次第でございます。
#42
○堀委員 私は、細かいことで議論して、いまの捜査が違法とかなんとか言う気は毛頭ないのですよ。ただ、公職選挙法の解釈というものを、当委員会はやはり一定の解釈を持っていなければ、これは大変困るわけです。ここは立法するところなんだから、そういう立法するときに、私自身はこれまで――さっきから私が論理を積み上げてきたように、要するに買収というのは、個人に対しての直接の話し合いの関係であって、いまのような、寺などという形のものを通じて、そうしてそれが直ちに買収になるなどという式のことは、寺の側が大変お困りになっているのだろうと思うのですね。
 ここに浄土真宗本願寺派福岡教区の統一見解というのがありますが、これを御紹介して終わります。
  この度のお布施をめぐる事件について、私たちの思いを表明いたします。
  浄土真宗において、お布施は本来、阿弥陀如来によって生かされているおめぐみを讃え、かぎりなく悪業をかさねている私を救いたもう如来さまのご恩に、万分の一でも報謝しようという心のあらわれです。讃嘆はそのまま報謝であり、それは世の人びとへ仏法がひろまっていくことを願う心とその実践を意味します。
  この度の事件をめぐって考えますとき、仏法をひろめるものとしてのお布施・ご仏前は、門徒にその生活を依存する住職として、ただありがたくいただくばかりです。その点、今回の事件で寺院側が、買収されたとは考えられません。
  しかも、寺族のおばあちゃんや、子どもたちまでも事件に巻き込まれ、被疑者として扱われているのは悲しくも痛ましいことです。
  この事件で考えますことは、宗教と政治との関わりです。布施行為が社会的慣習とか宗教的儀礼であるとして、簡単に片付けられることは問題です。そこには、自ら宗教に対する何の心もなく、別の目的、換言すれば政治目的の実現だけを重要なこととしている態度が明らかにみられます。政治目的実現のための手段として宗教を利用することは、政治権力がともすれば行なってきたことですが、許されざる倣慢(ごうまん)な姿勢といえましょう。
  保守といわず革新といわず、政治に本質的に潜む権力悪を乗り超える道を常に探し求めることこそ、政治にたづさわる人びとの基本的課題ではないでしょうか。浄土真宗は、人間のこの思いあがり(きょう慢)を問題にする宗教です。
  それは同時に宗門として、このようなことが起こるにつけて、自らの社会的実践を深く省みて、政治目的の実現の手段にならぬよう自省すべきであり、本来の浄土真宗の布施の行為がなされるように自らの信心を問い、未来に向かって歩まなければならないと深く思います。
本願寺派がこういう統一見解を出しておるわけです。
 私は本日この質問をしたのは、選挙にかかわっておる人たちの立場でこれをやるつもりはないのでありまして、要するに、まさに被害者である西本願寺及びその末寺、ここを読んでみると、おばあさんや子供まで巻き込まれている、私は、これがいまのこういう問題に対する非常に大きな問題ではないかという気がしてなりません。「寺族のおばあちゃんや、子どもたちまでも事件に巻き込まれ、被疑者として扱われているのは悲しくも痛ましいことです。」私も全くその皆さんに対してお気の毒だという気持ちでいっぱいです。
 そういう意味で、私はもっと早く当委員会でこの問題をしたかったけれども、自民党の皆さんのなかなか御理解がいただけないので本日になりましたが、どうかひとつこの問題は、事件が一応落着をしたら当委員会で今後の問題を含めてきちっと決着をつけるようにいたしたい。裁判がありますから、その問題は裁判が終わってから当委員会でやることをここに申し上げて、私の質問を終わります。
#43
○中野委員長 次に、安藤巖君。
#44
○安藤委員 私は、まず第一に、選挙の公正の問題について自治省にお尋ねをしたいと思うのです。
 これは申し上げるまでもないと思うのですが、自治省は、選挙が公正に行われるかどうかという点については重大な関心を持っておられると思うのですが、どうですか。
#45
○岩田(脩)政府委員 改めて申し上げることでないことかもしれませんけれども、選挙が公正にかつすべての有権者の参加を得て行われるということがわれわれの理想の一つであります。
#46
○安藤委員 この公正の中には、いわゆる一票の重み、これも平等でなければならぬというふうに思うのです。
 それで、私は昨年の十二月十五日付で「衆・参両議院の定数格差是正に関する質問主意書」というのを出しまして、国会議員一人当たりの有権者数の最高と最低の比率、これが衆議院で四・一三対一、それから参議院の選挙区で五・四五対一となっているという事実を指摘して、早急にこれは改められるべきではないかということを質問したのですが、これに対して、これは恐らく自治省の方でおつくりになったと思うのですが、内閣総理大臣中曽根康弘名義で答弁書が出ております。私がそういう事実の指摘をいたしましたにもかかわらず、「現行の定数配分規定が直ちに違憲であり、選挙の公正を害しているとは考えていない。」というふうに答弁がなされているのですが、先ほど私が質問主意書の中で指摘したこういう実態について、「公正を害しているとは考えていない。」これは本気になって考えておられるのかどうか。先ほど、選挙はすべての国民が参加して公正に行われることが望ましいというふうにお答えになった趣旨からすると、「公正を害しているとは考えていない。」というのはどうもおかしいと思うのですが、どうですか。
#47
○岩田(脩)政府委員 お手元の答弁書を持参しておりませんけれども、その定数の問題については従来総理からもお答えを申し上げておりますとおり、現在の状態で選挙の効力を失わせるとかそういった意味での公正を害しているというようには考えておりません。
#48
○安藤委員 選挙の効力を失わせるかどうかという問題は一応さておいて、公正であると言い切れるのかどうかという点についてはどうですか。
#49
○岩田(脩)政府委員 当然一選挙区当たりの有権者の数、どういうように選挙区をつくりどういうようにそこに定数を配置するかということにつきましては、法律上の裁量といいますか一定の幅が認められているということは御承知のとおりでございます。現在裁判で争われているところではありますけれども、お挙げになったうち、たとえば最近の例で申し上げれば、参議院地方区の件に関しましては、つい最近も判決がありましてそのことが示されたところでございますが、そういうように一定の幅の中において選挙の公正を害していないというように考えております。
#50
○安藤委員 実はこの第九十八回国会にも請願が出されておりまして、これは先ほど当委員会の理事会におきまして、私ども共産党を含めて社会党、それから公明党、民社党、新自由クラブが紹介議員となって「衆議院議員の定数配分の是正に関する請願」というのが出されておるのですが、自民党の方でなかなか、固陋とまで言うと失礼かもしれませんが、頑迷にこれの採択を拒否されまして、保留というふうにおっしゃって、結局保留ということにならざるを得ぬ。これは私ども非常に不満でございますが、こういう自民党の態度、やはりそういうものは国会でいろいろ各党が議論を尽くしていろいろ是正さるべき問題であるというのがいつもの常套文句なんですね。こういう自民党の態度に対する――自民党はそういうような態度を改めてもらいたいと思うのですが、それについては、やはり与党である自民党から自治大臣も出ておみえになるというようなことで、自治省の方からもあれこれしっかり提言もしていただきたいと思うし、自治省の方としても、いまおっしゃったように、いや決して公正を害していると思いませんなんということをしっかりお考えになる、あるいはおっしゃるというようなことでは、これはちっとも是正はされないと思うのですがね。
 それから、選挙の公正のために一生懸命努力しているのだ、公正に行われるかどうかということは重大な関心事だと思うのですが、そういうことを担当しておる自治省としてはどうも努力不足ではないかというふうに思うのですが、そういうふうにお考えになりませんか。
#51
○岩田(脩)政府委員 この件については従前から総理大臣からも繰り返し御答弁を申し上げておりますように、定数をどうするかという問題についてはひとつ国会の方で各党の間で十分御協議をいただくということが一番現実的であり民主的であるというようにも申し上げておるところでございまして、その線に沿って考えていきたいと思っております。
#52
○安藤委員 そこで、自治省の方でもこれは当然おわかりになっていることだと思うのですが、具体的に事実を指摘して、こういうとんでもない逆転現象が起こっている、これは衆議院の定数と有権者の数との関係で調べたところを説明をしまして一層の努力を願いたいという趣旨で質問するのですが、これは、たしか昨年の九月末現在で有権者の数を自治省がおまとめになった、それに基づいて私どもが調査したものですが、そちらへいっていますね。こういうような表のまとめ方というのはおやりになっているかどうか知りませんが、これは定数三の選挙区と四の選挙区と五の選挙区というふうに分けて、そしてどういうふうに逆転現象が生じているかということを調べたのですが、これは相当な数が載っております。たとえば千葉四区、左の一番下にあります、定数三、ここが有権者の数が昨年の九月末現在、百万四千百十三ですね。この百万四千幾つと次の欄の定数四というところで大体これに近いところを探しますと大阪四区。ところが、ここは有権者の数が九十七万四千九百十二。上から計算をしてみますと、一番が秋田二区からずっと来て、大阪四区というのは三十五番目のところです。だから三十五の選挙区がこの千葉四区の有権者の数よりも少ないわけなんです。しかも、千葉四区が定数三であるにもかかわらずこちらは定数四、逆に多いのです。これが三十五あるということなんですよ。
 そして、一番右の欄の定数五、これとの比較をしてみますと、九十七万四千四百八十五というのが兵庫一区、定数五。先ほど言いましたように千葉四区は定数三で百万四千百十三。だから、この兵庫一区というのが三十四番ですから、上の福島二区から来まして三十四の選挙区がこの千葉四区と比較してみると逆転現象になっている、こういうわけなんですよ。よくおわかりでしょう。これはもう幾つか、挙げれば切りがないのですが、省略します。
 もう一つ、定員四と定員五との関係で言いますと、たとえば定員四の千葉一区にいきましょうか、百十四万四千二百九十の有権者の数。そうすると、それよりもちょっと少ないのが東京十区、ここが定員五名で有権者の数は百八万一千二百八十三、これは三十六番目ですね。だから、定員四と定員五の比較をしても、三十六の選挙区が千葉一区と比較してみて逆転になっている、こういうことなのですよ。
 そして、これは全体の比率でいきますと、定員四と五の関係に関しての逆転現象になっているのが全部の選挙区百三十のうち八二・九%もあるのです。それから定員三名と四名との関係での逆転現象が八五・三%もあるのですよ。こういう状態はほうっておいてはいかぬと思うのですが、どう思いますか。
#53
○岩田(脩)政府委員 いわゆる逆転現象、ことに衆議院の逆転現象についてのお話でございますが、こういうことは細かく何回も定数の改正が行われればあるいはそういう例は少なくなるのかもしれませんけれども、全体として一定の格差があるという状態のもとでは個々の選挙区の間で逆転があるということはあり得ることだと思っております。全体で違うわけですから、それが定数の違う間で起こり得るということは当然でありまして、そういった部分はあるんだ、それを含めて全体の倍数の問題になっているのだと思っております。
 なお、先ほど例に引きました参議院の地方区の判決の中では、やはりこの逆転現象そのことがおかしいのではないか、全体の倍率に関係なく逆転があるということ自身が問題ではないかという主張がなされたのに対しまして、判決の方では、逆転があるということ自身そのことだけの問題ではない、そのことだけで取り上げて議論する余地はない、判決理由の中にそういう文言があったと記憶しております。
 なお、さらに、こういう考え方で物を見ていきました際、これもやはり程度問題だとは思いますけれども、現在、当該選挙区について申しますと、一人当たりの人口は、いわば平均値化――非常に高いとか非常に低いとかというのではないけれども、この逆転を解くという意味では、その定数是正を考えなければならぬ、お説に従って変更を考えるとすれば取り上げなければならないというような選挙区も出てくる。恐らく当該選挙区においては、自分のところは定数と人口との関係では全然問題となっていないと思っている選挙区が議論の対象になる、したがって議論をしなければならない選挙区の数も一層多くなるというようなこともあり得るというようには思っております。
#54
○安藤委員 いま参議院の地方区の問題について最高裁の判決の中身を一部御紹介になったのですが、あれは、そういう逆転現象があるからといって一概には言えないという理由は、参議院の地方区、現在選挙区というふうに名前が変わりましたけれども、あれは、最高裁の言い分としては、地域代表という意味もある、それから裏と表という関係があるというようなことでもって、一概に逆転現象があるからといってという言い方だったと私は思うのです。だから、ちょっと話が違うのじゃないかというふうに思うのです。
 そして、定数と有権者の数の逆転は、これは私は一つこういう資料として申し上げたのですが、それはやはりある程度やむを得ぬところもあると思います。ところが、こういう状態にまでなってきておるということになると、これはやはり放置しておくわけにはいかぬ。各党との間でいろいろ議論をして、ではどうするかということをやらなければいかぬと思うのですが、自治省の方が、そんなことは国会の方で決めていただくことであって、各党間で決めていただくことであって、わしゃ知らぬというようなことでは私は困るということで、いま、一つの資料を説明をしまして、自治省に御協力をお願いしておるのです。だから、そういう点についても、いろいろ配慮をしていただきたいということなんですが、どうでしょうか。
#55
○岩田(脩)政府委員 こういった資料についての研究なり検討はいろいろいたしております。いままで国会等で総理が申し上げておりますように、この問題は、政府側、行政府のヘゲモニーでやるべき性格のものではなかろうと思っておりますが、そういった資料等につきましては、御要求があればせいぜいお出しもいたしたいと思っております。
#56
○安藤委員 時間がありませんので、もう一つの問題に移りたいと思います。
 これは三重県の志摩郡の磯部町の町長選挙の関係で、これは二人の候補者が争ったのですが、いずれの候補者に対しても私はあれこれという立場では毛頭ありませんので、やはり公正な選挙が行われるべきであるという立場からお尋ねをするわけですが、急に質疑が行われるということになりました関係で、質問の内容について詳しく通告をしてありませんので、その点は私の方も了解した上でお尋ねをします。
 これは、ことしの二月十三日告示、二月二十日投票が行われたのですが、当選をされた方が南工、通称「なんこう」というふうに言われておる人だそうです。もう一人の候補者は谷口楠一、この人がいろいろ買収行為をやった、あるいは南工派の人たちが買収行為をやったということがこの町ではいまずっと広まっておって、一体警察はどうしておるんだという話が出ておるそうであります。現金だとか、肉のかたまり、酒、ゆかた地、靴下とか、酒食のもてなしだとかいうようなことが行われて、警察へも有権者の人たちからいろいろ申し出、通告等々があるのですが、そういうような実態は把握しておられますか。
#57
○森廣説明員 突然のお尋ねでございますので、現在即答的にお答えできるように承知しておりません。
#58
○安藤委員 そこで、具体的にお話を申し上げたいと思うのですが、旅館の川梅というところがあるのです。そこでこの南工さんの長男の方が伊勢高校の同級生を集めて、いわゆる同窓会ですか同級会をやって、頼むというようなことをやった。もちろんこの川梅というところは料理旅館ですので、酒食のもてなしをしたということなんです。
 それから、畑文夫、これは具体的に名前を出してもいいというふうに言っておられるのですが、迫間というところに住んでおる人です。この人が、二月十六日、ですから投票日の少し前、夜十一時四十分ごろに西岡一雄という人に、これは南工側の人物ですが、「白鶴」という清酒をもらって、よろしくと言われた。それから二月十七日、これも夜八時四十分ごろ、森川弘太郎、これは南工派の参謀の人だというのですが、現金一万円をもらった、それでよろしくと。こういうような事実があるのです。
 それから、南工さん御自身、この人はちょうど五十八歳で、ついでに言いますと、自民党の衆議院議員の田村元氏の同級生だそうで、はじめ会の幹事長をやっている人だというのですが、この人自身が、昔の中学、いまの伊勢高校ですね、この元校長の家を訪れて反物を配った。それでよろしくということなんです。こういうようなことが相当うわさになっておるにもかかわらず、警察はちっとも動いてくれない、一体どうなっておるかという不満が渦巻いている。
 しかも、この畑文夫という人は警察へ、これは磯部町の派出所だそうですが、いま言いましたような二つの件を話して、私はこういうふうにしてお金をもらった、だからこれは買収だ、くれた人もそうだけれどもまず私を逮捕してくれということまで言っているにもかかわらず、警察の方はうんともすんとも言ってこない、一体どうなっているのだということなんですよ。
 それからさらに、小林たけしという人が鳥羽署へ電話をして、実はこうこうこういうふうでお金をもらった、だからこういうようなことをきちんと捜査してほしいということを言うたそうですが、電話ではなんですから私の方からお伺いをして事情を聞きますという返事だったそうですが、それからもうんともすんとも言ってこない。ですから、その後さらに電話したら、担当者がいないという返事でそのままになっている。
 こういうことでは、選挙の公正を害することが行われているにもかかわらずそのまま放置されているということになっているわけです。だから、これはきちっとお調べをいただきたい。そして、選挙の公正が害されることがないようにしっかり処置をとっていただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#59
○森廣説明員 ただいま仰せのいろいろ具体的な話につきましては、もちろん現在承知しておりませんが、御質問がありました上からは、県警の方にそのようなことを通知をいたしまして、関心を持って見るように申します。県警は当然、選挙に際しましては、いろいろな方の協力によって違反事件を検挙しておるわけでございますが、厳正公正にやっておりまして、事件になるというものは捜査をしておるはずでございますけれども、そういうものを現在捜査しておるかどうかということさえまだ私は承知しておりませんが、いまのお話は伝えまして、本当に犯罪があるものであれば、もちろん捜査をするようにいたさせます。
#60
○安藤委員 先ほどの元校長先生は、これはもらっちゃいかぬというので人を通じて返したそうです。それから、その畑文夫という人が派出所へ行って話をした警察官の名前は谷という人だそうです。そういうことまでちゃんとわかっているのですから、しっかり調査をしていただきたい、このことを最後に要望しまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#61
○中野委員長 本日は、これにて散会をいたします。
    午前十一時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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