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1982/02/04 第98回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第098回国会 予算委員会 第4号
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1982/02/04 第98回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第098回国会 予算委員会 第4号

#1
第098回国会 予算委員会 第4号
昭和五十八年二月四日(金曜日)
    午前十時一分開議
 出席委員
   委員長 久野 忠治君
   理事 江藤 隆美君 理事 高鳥  修君
   理事 堀内 光雄君 理事 三原 朝雄君
   理事 村田敬次郎君 理事 川俣健二郎君
   理事 藤田 高敏君 理事 坂井 弘一君
   理事 大内 啓伍君
      相沢 英之君    上村千一郎君
      小渕 恵三君    越智 伊平君
      大村 襄治君    奥野 誠亮君
      海部 俊樹君    金子 一平君
      倉成  正君    栗原 祐幸君
      澁谷 直藏君    正示啓次郎君
      砂田 重民君    田中 龍夫君
      渡海元三郎君    根本龍太郎君
      橋本龍太郎君    藤尾 正行君
      藤田 義光君    藤本 孝雄君
      武藤 嘉文君    村山 達雄君
      稲葉 誠一君    岩垂寿喜男君
      大出  俊君    岡田 利春君
      木島喜兵衞君    小林  進君
      佐藤 観樹君    沢田  広君
      野坂 浩賢君    草川 昭三君
      草野  威君    矢野 絢也君
      木下敬之助君    竹本 孫一君
      塚本 三郎君    瀬崎 博義君
      中路 雅弘君    渡辺  貢君
      楢崎弥之助君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  中曽根康弘君
        法 務 大 臣 秦野  章君
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 瀬戸山三男君
        厚 生 大 臣 林  義郎君
        農林水産大臣  金子 岩三君
        通商産業大臣  山中 貞則君
        運 輸 大 臣 長谷川 峻君
        郵 政 大 臣 桧垣徳太郎君
        労 働 大 臣 大野  明君
        建 設 大 臣 内海 英男君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     山本 幸雄君
        国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖縄開発庁長
        官)      丹羽 兵助君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      齋藤 邦吉君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (国土庁長官) 加藤 六月君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 谷川 和穗君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      塩崎  潤君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      安田 隆明君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 梶木 又三君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 角田禮次郎君
        内閣法制局第一
        部長      味村  治君
        公正取引委員会
        委員長     高橋  元君
        公正取引委員会
        事務局経済部長 佐藤徳太郎君
        公正取引委員会
        事務局審査部長 伊従  寛君
        防衛庁参事官  新井 弘一君
        防衛庁参事官  冨田  泉君
        防衛庁長官官房
        長       佐々 淳行君
        防衛庁防衛局長 夏目 晴雄君
        防衛庁経理局長 矢崎 新二君
        防衛庁装備局長 木下 博生君
        防衛施設庁総務
        部長      伊藤 参午君
        経済企画庁調整
        局長      田中誠一郎君
        経済企画庁総合
        計画局長    谷村 昭一君
        経済企画庁調査
        局長      廣江 運弘君
        科学技術庁研究
        調整局長    加藤 泰丸君
        法務省刑事局長 前田  宏君
        外務大臣官房審
        議官      田中 義具君
        外務省アジア局
        長       橋本  恕君
        外務省北米局長 北村  汎君
        外務省経済局長 村田 良平君
        外務省経済局次
        長       妹尾 正毅君
        外務省条約局長 栗山 尚一君
        大蔵大臣官房審
        議官      吉田 正輝君
        大蔵省主計局長 山口 光秀君
        大蔵省主税局長 梅澤 節男君
        大蔵省国際金融
        局長      大場 智満君
        国税庁次長   酒井 健三君
        厚生大臣官房総
        務審議官    小林 功典君
        厚生大臣官房会
        計課長     坂本 龍彦君
        厚生省社会局長 金田 一郎君
        厚生省年金局長 山口新一郎君
        社会保険庁年金
        保険部長
        兼内閣審議官  朝本 信明君
        農林水産大臣官
        房長      角道 謙一君
        通商産業省貿易
        局長      福川 伸次君
        通商産業省産業
        政策局長    小長 啓一君
        通商産業省機械
        情報産業局長  志賀  学君
        労働省職業安定
        局長      谷口 隆志君
        建設大臣官房長 豊蔵  一君
        建設大臣官房会
        計課長     牧野  徹君
        建設省計画局長 永田 良雄君
        建設省河川局長 川本 正知君
        建設省住宅局長 松谷蒼一郎君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      三樹 秀夫君
    ─────────────
委員の異動
二月四日
 辞任         補欠選任
  正木 良明君     矢野 絢也君
  竹本 孫一君     塚本 三郎君
  安藤  巖君     渡辺  貢君
同日
 辞任         補欠選任
  塚本 三郎君     竹本 孫一君
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 昭和五十八年度一般会計予算
 昭和五十八年度特別会計予算
 昭和五十八年度政府関係機関予算
     ────◇─────
#2
○久野委員長 これより会議を開きます。
 昭和五十八年度一般会計予算、昭和五十八年度特別会計予算、昭和五十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢野絢也君。
#3
○矢野委員 公明党・国民会議を代表いたしまして、総理並びに関係閣僚に御質問いたします。
 最初にお願いしておきたいのですけれども、この国会、重要問題が山ほどあるわけでございます。限られた時間でございますので、御答弁は要点を外さないように、簡潔にお願いいたしたいと思っております。
 最初に、政治倫理の問題でございますが、一月の二十六日、ロッキード事件論告求刑がございました。国民の重大な関心、さらにまた政治に対する国民の不信感というものが増大しておるわけでございます。
 まず、東京地検が総理の座におられた方を起訴する。よほどの決意がなければこれはできなかったことだろうと思います。私は、一般論として、すべての裁判において検察側の論告求刑が一〇〇%正しい、そのような立場はとりません。あくまでも判決を見た上でなければ判断できないものである、これがやはり筋だろうと思います。しかしながら、あの論告求刑の日に安原検事総長は、裁判において有罪判決になることを確信する、こういう趣旨の発言をしておられるわけでございます。
 そこで、まず刑事局長に伺いたいわけでございますが、この検事総長の発言、これは検察の威信をかけて、並み並みならぬ自信を持って論告求刑をされたものである、このように受けとめておりますが、刑事局長、御意見を承りたい。
#4
○前田(宏)政府委員 検察官の論告といいますものは、証拠調べが終わりました段階で、検察官が裁判所に対しまして、事実認定及び法律の適用の両面にわたりまして検察官の最終的な意見を述べるものでございまして、検察官といたしましては、いかなる事件につきましても、当該事件の法廷で取り調べられました証拠に基づいて、それをあらゆる角度から検討した上で意見を述べるわけでございます。そのことはこの事件についても同様でございまして、そういう意味では特段のことはないわけでございますけれども、今回の論告は、当然のことながら、事件の内容等にかんがみまして、また、いろいろと争点等もあったわけでございますから、そういう意味で、いま申しましたように、法廷で取り調べられました証拠を十分かつ慎重に検討した上でその内容に即した論告をしたもの、かように理解しております。
#5
○矢野委員 法務大臣にお伺いしたい。
 検事総長は、裁判において有罪判決になることを確信する等々、論告求刑については十分な裏づけ、自信を示しておられる。また、いま刑事局長も同様の趣旨のことを述べられたわけでございます。法務大臣としては、この論告求刑をどう評価しておられますか。
#6
○秦野国務大臣 検察の立場が、いま刑事局長が言ったように、申し上げたことは当然でございます。私は、検察の立場もよくわかる。しかし、法務大臣の立場として、現に公判が係属中でありますから、この問題についての論評をすることは適当でない、こう考えます。
#7
○矢野委員 たとえば論告求刑をする前であれば、論告求刑に対して法務大臣の発言が何らかの影響を与えるかもしれない、こういう懸念を持って論評を差し控える、こういうことなら私もそれなりに、納得はいたしませんけれども、そういう理屈もあるかなという気がいたします。しかし、論告求刑というのは、検察が今日までそれこそ足かけ七年にわたって調査をし、しかも冒頭に申し上げましたとおり、事は一国の元総理にかかわる問題でございますから、あだおろそかな調査をしているはずはないと私は思いますね。つまり論告求刑をすでに述べたということは、検察側としては手のうちをすでにもうさらけ出した、示したんだというわけでございまして、公判係属中でございますから法務大臣として意見を述べるのはちょっと遠慮しますという理屈は通らない。ですから、妥当なものであると思われるか、あるいは法務大臣としていささか異存があるのか、これをお答えいただきたい。
#8
○秦野国務大臣 公判係属中ということは、要するに、裁判というものは検察と、そしてまた一方弁護団と、その上に裁判官があってこれを裁定するというものですわね。そして、論告求刑も、そのプロセスの中の、検事の二百回近い、確かにおっしゃるように長い間かかっての努力の結晶としての一つの総まとめですよ。しかし、それも公判の一つのプロセスでございますから、法務大臣というのは、裁判というものをやっているな、こう見ている立場ですよ。やっているなと見ている立場がそれを評価することは、日本の司法制度に対する非常に危険なことだ、こう思います。どうかその点は、広い意味で司法を守るという立場、検察イコール法務大臣じゃない、この点だけはひとつ御理解願いたいと思うのです。
#9
○矢野委員 ですから、あなたが何らかの意思表明をされることは、確かに法務省あるいは検察に対する何らかの一定の影響があるかもしれぬ。現に、あなたは指揮権発動ということについて決して否定はされなかった、私が臨時国会で質問しましたときに。ただ見ているだけですなんて、まあそんなことよう言いますね、あなた、この期に及んで。見ているどころじゃない、何かあれば指揮権発動でもしようかぐらいの構えを持っておる。しかし、それとても、もう論告求刑が終わったのだから、ここから先は裁判所が判断することだ。あなたが判断することじゃない。判決するのは法務大臣じゃないのです。裁判所がするのです。裁判所、これはあなたと関係のないポジションである。ですから、これについて論評ができないといういまのあなたの説明は全然説得力がない。もう一遍答えてください。
#10
○秦野国務大臣 裁判所が判断をするのだから、私が判断しちゃいかぬのですよ。みじんも判断をしちゃいかぬのですよ。ここが大事なところ。司法制度というものはそういうものなんですよ。これは日本のみならず、先進国全部そうですよ。それはぜひひとつ……。
 それからいま一つ、お話しの指揮権の問題がありましたが、これは一般論として、この前の臨時議会のとき、あれは一般的に指揮権の問題を言ったわけよ。矢野さん、全部わかっておるじゃない、あなた。裁判の問題というのは法務大臣がとやかく言うたら、これは司法権の大変な妨害ですよ。私はそう思う。裁判官こそ判断をすべき存在なんですよ。検察の判断も弁護団の判断も、それは裁判の中の一つのプロセスの出来事でしかないということだけは間違いない。
#11
○矢野委員 私は、秦野法務大臣が、こんなわずか一月半ぐらいの間に二枚舌を使うような方だとは思わなかったですね。あなたは、臨時国会における私の質問に対して、指揮権発動の問題に関して、もし検察のやり方に間違ったことがあるならば法務大臣としてこれに対して一定の指導をし、指揮権を発動することもあり得るのだ。指揮権発動とか指導ということは、判断が前提にあるからするのじゃないのですか。きょうは、判断してはいけないのだ。この矛盾をどう説明されますか。
#12
○秦野国務大臣 指揮権の問題は、一般論としてこの前申し上げた。一般論として、検察庁法十四条の解釈として申し上げたのですよ。その見解を一歩も出てませんよ。ロッキード事件でどうのこうのと、質問される方はそうおっしゃるけれども、私はあくまでも検察庁法十四条における論理を申し上げた。その点ひとつ御理解願いたいと思う。
#13
○矢野委員 それでは、一般論じゃなしに具体論として、ロッキード事件に関連して限定して伺います。
 あなた、この論告求刑、事前に報告を受けられた、あるいは一月二十六日に裁判所でこれが発表された。少なくとも、検察が述べた論告求刑の中身というものは指揮権発動しなければならない、する必要のある内容だと思われましたか、あるいは思われませんでしたか。さらにまた、あなたはそのとき、仮にやったとしたらどうなのかということを一つの論理として考えたことがある、あるいは指揮権発動はやろうと思えばやれる、やってみようという気持ちもあるが、そんなに簡単にやってはいけない。これはずいぶん不謹慎な発言だと私は思いますけれども、それはよろしい。私が言いたいのは、指揮権発動を、結果としてはこの時点まではなさってなかったわけですけれども、いまお聞きしましたように、論告求刑の内容というものが指揮権発動するにふさわしい、つまり、おかしな中身ではなかった、だから指揮権発動をやらなかったのですということなのか、やったら大変なことになるからやらなかったのか、どっちですか。
#14
○秦野国務大臣 指揮権発動の問題というものについては、法律にあることを、指揮権を発動するかしないかとかという御質問だから、私は、この指揮権というものについての十四条の法理というかそういうものを、質問される方の前提にロッキード事件というものがあっておっしゃっているんだということはわかるけれども、そういうことでくどくど申し上げました。いまおっしゃったような問題につきましては、指揮権発動をしていませんね。(矢野委員「していません」と呼ぶ)していません。(矢野委員「なぜしなかった」と呼ぶ)
 なぜしなかったかと言えば、いままで少なくともそういうことをしなかったのは、すべきではないと考えたからしなかった。ただ、そのプロセス……(矢野委員「中身が妥当だからしなかったのでしょう」と呼ぶ)いやいや、そういうような妥当か妥当でないかというような問題は、中身をそう十分に審査するということも、正直言って、法務大臣というものはそういう中身をしさいに検討するというような――それはスタッフはやっていますよ。私はそんなあれはないのですよ、法務大臣というものは。だから、指揮権というものは、そもそも中身をつぶさに審査をして、そして、その結果するのだというふうには私は思わない。やはりもっと次元の高い立場の問題であの法律の規定があるのだろうと思います。その点は十分……(矢野委員「論告求刑の中身は異存なかったのですか」と呼ぶ)
 ありませんよ。論告求刑の問題については、私は別に何も指揮権執行をしていないという事実がありますので、それで御了解いただければ結構でございます。
#15
○矢野委員 きょうは法務大臣よりも総理の方が大事ですから。
 総理は施政方針演説で、「政治に携わる者が、その使命を深く自覚し、常に国民の模範となる行動を心がけなければならないことは当然である。」こう述べられました。まことにごもっともなお話だと私は思います。政治家は国民の模範となる行動をとらなくてはならぬ、これは具体的にどういうことでしょうかね。たとえば刑事事件等、法律違反で有罪判決を受けるというようなことは模範でないと思いますけれどもね。それから、刑事被告人になるというようなことは模範になることでしょうか、ならないことでしょうか。
#16
○中曽根内閣総理大臣 それらの事案に対する最終判断は、裁判の最終段階において裁判官が決定すべきものでありますが、その過程におきましてそういうようなことが出てくるということは遺憾な事態であると言わざるを得ません。
#17
○矢野委員 私は、いま何も法的な問題で決着がつくとかつかないとかという前提で聞いているわけじゃない。政治家として国民の模範になる、なりなさいとあなたはおっしゃっておる。刑事被告人、これはまだ罪は確定しているわけじゃない、それは模範ですか模範でないですかと聞いているのです。あなたは遺憾なことだとおっしゃったけれども、まず、模範ですか模範でないですか。
#18
○中曽根内閣総理大臣 遺憾な事態であると申し上げておることでわかるように、模範であるとは言えないと思います。
#19
○矢野委員 私もそう思いますね。刑事事件としての決着は判決を待たなくてはなりません。これはもう総理もそうおっしゃっておる。私もその前提で申し上げておる。しかし、ことわざですけれども、「罪を憎んで人を憎まず」という言葉がある。この場合、田中さんが罪であるかどうかは、まだ裁判の決着がつかなければ言えませんよね。しかし、一国の総理のかかわる問題である。確かに田中元総理は、日中国交回復をおやりになったとか、あの当時、今太閤、昭和の太閤だとか、庶民から喝采を浴びられた。あの当時のことですがね。また、それなりのいろいろな施策をやられた。これについての、プラスかマイナスかといういろいろな評価はあるでしょう。しかし、時代を画したという意味では、私はそういう政治家であろうと思います。しかし、残念なことにこういう事態になっておる。
 そこで、法律的には今後の決着をまつということであっても、いま問われていることは、政治家の政治的な道義的な責任の問題が問われているわけです。いま、模範とは言えませんと総理はおっしゃった。
 総理、田中元総理は、総理のお考えでは政治的道義的責任があるとお考えですか、どうですか。
#20
○中曽根内閣総理大臣 この問題は、御本人がまず判断すべき問題である。矢野さんのお考えは、結局進退をすべしというお考えに結びついているのではないかと拝察しております。政治的道義的責任というような問題は、あくまで個人の信念とかあるいは個人の倫理観というようなものから出てくる問題であるだろうと私は思うのであります。そういう意味におきまして、御本人が判断すべき問題である、そのように思います。
#21
○矢野委員 それは、政治家としての政治的道義的責任の問題、おのずからそこには政治家としての共通する一般的な規範あるいは常識と申しましょうか、ルールと申しましょうか、こういうものがあるわけです。ですから、先ほど総理は、政治家は国民の模範にならなくてはならぬ、こう所信表明で述べておられるわけでしょう。ですから、政治的道義的責任について、おっしゃるとおり、確かにまず御本人が御判断をなさるべき問題である、これは当然でしょう。伺っておるのは、中曽根総理は、この問題について、田中元総理に政治的道義的責任があるとお考えですかどうですかということを伺っておるわけです。
#22
○中曽根内閣総理大臣 この問題は、いま非常に大きな政治問題になっておる問題でございます。それで、非常にいろいろな関連性を持っておりまして、たとえば裁判というものにつきましても、いま求刑が行われて裁判官が判断をする、そういう場合になってきております。したがいまして、こういう事態が起きたこと自体ははなはだ遺憾な事態であると私は申し上げておるのでありますが、その中身につきましては、三審制度で裁判が行われているという現状にかんがみまして、中の価値判断について、一国の総理大臣たる者が、個々の議員の行為について私の直接の判断を下すということは、結局は裁判に影響を及ぼすという結果を来すと私は思います。そういう意味におきましても、慎むのが適当であると考えております。
#23
○矢野委員 裁判のことは、あなたは本会議でいつも言っておられるとおり、これは法廷でいま争っている問題で、裁判所で決着がつくまでこの問題については判断を差し控えなくちゃならぬ。私は、百歩譲って、そうでしょう、そういうことにしておきましょう。しかし、いま国民から求められておることは、法的には今後の判決を待たなくてはならないけれども、政治的道義的責任は一体どうなっているんだということが国民の政治に対する問いかけです。ですから、私はあなたに伺っているわけです。
 それじゃ端的に聞きます。政治的道義的責任はない、こうお思いですか。
#24
○中曽根内閣総理大臣 この政治的道義的責任という問題は、国会でお取り上げになりまして、たしか議長さんのところまでいろいろ御判断を求めたり何かした問題になっておりまして、政治問題でもあるわけであります。しかも、いま裁判が進行中、そういう過程にあるのでございまして、こういう事態が起きたこと自体は遺憾であるということまでは私は言っていいと思いますけれども、こういう事態が起きたということはまことに残念である、決して模範とは思えません、そういうことまでは申し上げていいと思うのです。
 しかし、それ以上の問題、価値判断の内容まで私が個人的に、総理大臣という地位にある者が申し上げることは適当でない。むしろこれは政党間においていろいろ論議されておる問題でございまして、政党間においてこれは今後ともいろいろお話し合いを願うべき問題であると思います。内閣総理大臣という行政府の最高責任にある者が、三権分立というたてまえを憲法上とっておるわが国におきまして、その行政府の最高責任者にある者が価値判断の内容について言及することは、やはり裁判官に対する影響がないとは言えないと思っております。そういう点において恐れ慎んでいた方が適当であると考えるわけであります。
#25
○矢野委員 いまの総理の論理を極端な形で敷衍して申し上げますと、刑事被告人だって裁判で争っておる、そういう場合における政治的道義的責任というものは、裁判の決着がつくまで論評してはならないのだということになるのですよ。となりますと、政治家というものは、たとえ悪いことをしても、たとえ逮捕されても、たとえ起訴されても、たとえ論告求刑されても、判決が出るまでは政治的道義的責任がないということになりますよ、あなた。そういうことでいいですか。
#26
○中曽根内閣総理大臣 あるとかないとかということは言っていないのであります。そういうことに関連して表明することが適当でないと申し上げているのです。
#27
○矢野委員 あなたは一国の総理ですよ。政治的道義的な問題について政治家は模範とならなくちゃならないと演説をなさっておる。これはきわめて価値判断を含んだ演説だと私は理解しますよ。総理たる者が、これだけ国民の関心を集め、政治不信の原因になっている問題について、政治的道義的責任があるかないかの問題について論及されない、すべきでない。そうしたら、刑事事件にならない問題なら政治的道義的責任は論及していいのですか。おかしいじゃありませんか、あなたの論理。裁判所にかかっている問題はうかつに論及するとまずいから論及しない。裁判所にかかってない、かからないような軽微な問題は政治的道義的責任は論及できる、裏返せばそういうことになるでしょう。
 一体、政治的道義的責任というのは何ですか。政治的道義的責任があるとお思いか、ないとお考えか。くどいようですけれども、いま私が申し上げたことを踏まえてもう一度御答弁をいただきたい。この国会の最大の問題にいまなっているわけです。そんないいかげんなことでは、この問題進みませんよ。
#28
○中曽根内閣総理大臣 日本国憲法は三権分立という形で基礎ができておりまして、そうして行政権の最高責任者は総理大臣でございます。したがいまして、この三権分立のたてまえを守るということは、憲法を守るという上からも一番大事なポイントであると思うのです。私は、そういう意味で、憲法的秩序、これを壊すとかあるいはそのおそれのあるとか影響力を及ぼすとか、そういうことは厳に慎まなければならないと思っておるわけでございます。
 政治的道義的責任という問題は、すでに政治問題になっておりまして、先ほど申し上げましたように、議長さんのところまで行って、各党におきましてもいろいろな交渉がなされ、あるいは佐藤孝行君の場合には辞職勧告決議案という問題も出てきた問題でもあります。そういういろいろな政治的な仕組みやら関連性を待ってきている問題にもなっておるという状況、つまり三権分立のたてまえを守るということと、いまのようなそういう各党間における政治問題となってきているという、こういう現状等々から見ましても、国会とは別の立場にある行政権の最高責任者にある者が、そういうものに影響を及ぼすようなことを言ったり何かすることは、やはりこれは慎まなければならない。国会のことは国会の皆さんが各党で御商議なすってお決めくださる、行政府が干渉すべきものではないと思うのです。そういういろいろな状況判断をいたしまして、私は慎重な行動をとらなければならないと思うので、ぜひ御理解をいただきたいと思うのです。
#29
○矢野委員 私は前提で、法律的な意味での決着は判決が出てからにしましょう、それが一つの筋でしょう、いま問われているのは政治的道義的責任の問題です、こういう前提を置いて、そして、いやしくもこのような事件において論告求刑されたこの方について政治的道義的責任があるか、こうお尋ねしたところ、あなたは、これは裁判所で法律の上でどうなのかこうなのかを争っている問題だから、あれこれ言うのは適当でないということがあなたの理屈の一つ。もう一つの理屈は、政治的な問題になっておる、だから、行政府の長としてこの問題について云々することは適当でないということがあなたの理屈の二つ目ですよね、いま伺ったところでは。いずれも根拠が薄弱じゃないでしょうか。
 私は、第一番目の問題については、この論法でいけば、刑事被告人になった人間は、中曽根総理は、一切政治的道義的責任について論及できないというような矛盾に陥りますよということを先ほどから御指摘しているわけです。
 二番目の、まさに政治問題だから論評したくないんだということについては、あなた、政治家の中の政治家でしょう、総理たる者は。まさに政治倫理を求める国民の声は、国会全体に対する問いかけであるとともに、総理に対する問いかけでもあるわけですよ。政治問題であるがゆえに、あなたはこの問題について政治家としての意見、つまり政治的道義的責任があるかないかについての意見を、逃げてはならない問題だと私は思うのですよ。
 この問題で私は同じことを何遍も言うつもりはありません。しかし、御答弁によってはわれわれも重大な決意で次の審議のことを考えなくてはなりませんぞ。お答えください。
#30
○中曽根内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、三権分立制度という憲法上の諸原則は厳格に守らなければならないと私は思っておるのです。それは日本国憲法を遵守する内閣総理大臣の立場でもあります。
 それから、この問題は、先ほど申し上げましたように、国会の議長さんまで煩わした問題で、各党間でいろいろいま御論議をなすっておる問題にもなっておる。佐藤孝行君の問題もそうですし、また辞職の問題もそうであります。そういうわけで、国会がいろいろ各党間においてやっておる問題について、行政府の長は価値判断を含めたような関係で発言をすることは差し控えるべきである。たとえば政治的道義的責任という問題になると、議院の品位に関する問題になります。議院の品位に関する問題になると、これは懲罰事犯の対象になります。懲罰事犯をどうするかというようなことは、これは国会のマターでありまして、純粋に立法権内部における自己規制作用の問題であるわけです。それを、外におる行政府の長が、そういうことを誘発したり誤解を与えたりするようなことは、これは厳に慎まなければならぬと考えておるのでありまして、憲法を守るという意味におきましても御了承いただきたいと思うのであります。
#31
○矢野委員 私の質問に答えていません。(発言する者あり)
#32
○久野委員長 矢野絢也君の質問を続けてください。
#33
○矢野委員 貴重な時間です。何遍も同じことをやっているわけです。私は同じことを何遍も聞くつもりはありませんが、私の質問に答えておられないわけですから、答えさせてください。
#34
○中曽根内閣総理大臣 私は、矢野議員の御質問にお答えしているつもりなのであります。
 いまも申し上げましたように、その政治的道義的責任というような問題は、国会、議院の品位に関する問題にも影響してくる。そういうことになれば、これは懲罰事犯の対象にもなり得る問題になる。そういうような問題は、国会自体が自己規制で、いろいろ国会法上その他でもお決めになっておることにも該当してくるという影響力を持ってまいります。これはみんな国会が自主的に、自律的になすべきことであると思うのであります。そういうものを誘発するということを外にある行政権の首長が起こすことは慎まなければならない、そういう意味で私は慎重に自粛しておるのであります。
#35
○矢野委員 あなたは、たとえば辞職勧告決議について私どもの竹入委員長が本会議で質問したときには、まさに国会議員の、国会が決めるべき問題について賛成できないという趣旨の答弁をしているじゃありませんか。そういう場合には国会の問題について、私は反対ですという意見を述べている。私は、まだ法的な問題とか辞職勧告決議のことを言っているわけじゃないのですよ。政治的道義的責任があるとあなたはお思いですかと、きわめて単純な問題を伺っているのです。それについて、今度は国会の問題だから私は論評すべきでない。論評すべきでないなら、辞職勧告決議について本会議においても論評すべきじゃないじゃありませんか。すでに論評したじゃありませんか。――もういいです。
 委員長、こんなことじゃ時間の浪費です。政治的道義的責任があるかないかについて、委員長からきちっと答弁を求めてください。
#36
○中曽根内閣総理大臣 国会が行おうとする辞職勧告決議案に対する所見を求められました。私は、その場合は議員の地位というものについて申し上げたつもりで、これは憲法上のシステムに対する私の考えを申し上げたわけでございます。つまり、いまの日本の民主主義体制をつくっておるこの国会と、あるいは行政府、あるいは司法府というものの関係において私は申し上げたわけでございます。つまり主権というものは、統治権とか主権というものは、立法、司法、行政の三権によって構成されておると考えておる。その中で一番重要な国権の最高機関を構成する国会議員というものは、選挙によって選ばれてきておる……(矢野委員「私が聞いていることに答えてください。私はそんなことは聞いていません」と呼ぶ)選挙によって選ばれてきておるというこの関係を第三者が切断できるかどうかという、そういう議会制民主主義の基本に関する私の信条を申し上げておるのでありまして、私は、民主主義制度に対して行政府の長として所見を述べておるわけなのであります。そういう意味におきまして御理解をいただきたいと思うのであります。(発言する者あり)
#37
○矢野委員 私は、そんなむずかしいことは聞いていないのですよ。――実は私、この問題について先ほどからるる申し上げておりますのは、総理、総理は、辞職勧告決議の問題を言いますと、これはまだ途中経過であって、法的に決着がついていない問題だから云々ということをまずおっしゃる。議員の身分にかかわる問題だからそんな簡単に扱ってはいかぬという意味のことをおっしゃる。私は、念のために言っておきますけれども、法的決着の前に、私どもは、政治的道義的責任という問題についてこれを国民の前に本院として明らかにしなくてはならない。何もやめさせると言っているわけではない、おやめになるべきだという勧告を本院の意思としてやろう、こういうことを野党として申し上げておるわけであります。
 したがって、この政治的道義的責任があるかないかという問題は、きわめて重大な問題であります。この問題は、いまのようないいかげんな答弁では私は納得できません。しかし、委員長並びに理事各位からの御意見もございますので、この問題は、お昼の休憩時間に御協議をいただきまして、私、一時から再び質問をさせていただくことになりますから、そのときに改めて御答弁をいただきたいと思います。
#38
○久野委員長 矢野君に申し上げます。
 ただいまの御発議の問題につきましては、正午の理事会において協議をいたしたいと存じます。
#39
○矢野委員 次に移ります。
 レーガン大統領と、総理は訪米されましていろいろ会談をされた。運命共同体という問題が話題になっているわけですけれども、レーガン大統領も、日米は運命共同体であるということを言われましたか。そしてまた、この運命共同体ということは、日米間首脳の合意事項ということでございましょうか。あるいはまた、これは総理の公式発言でございましょうか。この三点。
#40
○中曽根内閣総理大臣 運命共同体という言葉は私が言った言葉でありまして、レーガン大統領が、そうであるとかそうでないとかという確答をしたと記憶しておりません。一連のこういう話し合いの中で、そういうことを言ったということでございます。
 また、これが公式発言かどうかという言葉については、公式発言の中に入ると思います。
#41
○矢野委員 総理の言われる運命共同体論というのは、俗な言葉で言えば、死なばもろともという意味があるわけでございます。常識的にはそういう意味があるわけです。あなたは、そんな大それた意味ではないのだということをいろいろ御説明をなさっておるわけでございますが、いずれにしても、適切な言葉とは私は思わないのですよ。お互いが協力し合っていくべきものであるとか、友好親善は重要であるとかという言葉でも十分意味の通ずることでありまして、運命をともにするのだったら、これは西鶴か近松門左衛門の心中物語を思い出すような大層なことになるわけです。ですから、公式の発言の部類に属する御発言のようでございますが、しばしばこれは誤解を招きますので、この席で、あの言葉はもう取り消す、そしてまた、外交ルートを通じて、いろいろ誤解があるようだからあれはもう取り消して、日米の友好を強めるとか、日米が助け合っていくということなんだとか、もう少しソフトな言葉に入れかえます、こういうふうにされたらどうですか。
#42
○中曽根内閣総理大臣 やはりこれは、昭和生まれの矢野さんと大正生まれの中曽根との差が多少あると思います。(発言する者あり)やはりわれわれが受けた時代の教育というものにはそういう傾向の言葉を使ったり何かしたところもあります。じゃ先方がどう受けているかといいますと、よく向こうの人はコモンデスティニーという言葉を使いまして、非常に仲がいい間をコモンデスティニー、そういう言葉をよく使っておるのです。ですから私は、私の言ったことを取り消す必要はないし、私がいままで申し上げたような意味で、日米間というものは民主主義あるいは自由主義という理念をともに分かっておる、また経済的にも文化的にも膨大な交流関係、相互依存関係を持っておる、それから日米安保条約ということによって共同防衛を担当しておる、そういう意味において運命を分かち合っておる、そういう表現で私、言ったのであります。ですから私は、これを変えることは必ずしも適切ではない、日米首脳会談で公式発言をしたことを取り消すという、そういう不見識なことは自分としてはしたくありません。
#43
○矢野委員 それであるならば、この問題はさらに具体的に御質問しなくちゃならぬことになるわけであります。
 総理、首脳会談においてバックファイアは阻止しますということは言われましたか。それから、海峡封鎖のことも言われましたか。アメリカの政府関係者は、総理が海峡封鎖のお話をされたことは間違いないと言っておられますけれども、この点確認いたします。
#44
○中曽根内閣総理大臣 首脳会談ではバックファイアには言及しません。それはワシントン・ポストの朝食会で言いました。それから、海峡コントロールということは首脳会談では言いました。
#45
○矢野委員 いずれにしても、日本列島が不沈空母、あなたによれば解釈は不沈列島らしいのだけれども。しかし、不沈列島であろうが不沈空母であろうが、文脈として、ソ連のバックファイア爆撃機などの侵入阻止をする、そして巨大なとりでにするのだ、こういう意味合いにおいて不沈空母ということをあなたはお使いになっておるわけです。これはマスコミとのお話の間です。また、海峡を封鎖する、そしてソ連の潜水艦や他の海軍艦艇を通過させないようにしたい。
 つまり、ここで私が言いたいことは、ソ連のバックファイア、ソ連の潜水艦や軍艦、こういう表現をあなたはお使いになっておるわけです。特定の国を名指して、それに対抗するという意味において不沈空母にするのだ、さらにまた海峡封鎖をするのだということは、これは明らかに公然とソ連を仮想敵国とみなした御発言であると受けとめざるを得ません。従来政府は、防衛整備をされるに当たって、仮想敵国を想定するという立場でなかったと私は理解しております。重大な防衛政策の変更である、こう思いますが、総理、いかがですか。
#46
○中曽根内閣総理大臣 防衛政策の変更ではございません。そのバックファイア、バジャーというようなことは、これはワシントン・ポストの朝食会で言いましたが、これは有事の際、日本が侵略を受けるという場合に、日本列島については外国機の侵入を許さない、そういう意味でバックファイアという名前も例として用いました。しかし、これは日本が侵略を受けた場合の話であります。
 それから、海峡コントロールは、これも同じように、日本が侵略を受けた場合、もし万一そういうことが起きた場合、そういうようなことで私は言っておるのでありまして、これは防衛に関する一般的方策をいままでどおり言っておる、そういうふうに御理解願いたい。海峡の問題については、これは、日本の「防衛計画の大綱」におきましても海峡の問題については考えておるわけでありますから、それをやっぱり言っておるわけであります。
#47
○矢野委員 つまり、いま総理が言われた万が一ソ連が、バックファイアが来たときのことを想定して、それを仮想敵国というのですよ。防衛というものは、これは万が一あったときに備えて整備するのです。その万が一――しょっちゅうあっては困るのです、こんな攻撃が。万が一のことがあってはいかぬから、そのために防衛を整備するのです。その万が一のことに関して特定の国を想定しない、これが従来のあなた方の政策だったわけです。あなたが、万が一に備えて、万が一ソ連が入ってきたときに関連しておれは言った。だからそれは、仮想敵国をソ連だという論理になるのですよということを申し上げているのですよ。あなたのいまの発言は、明らかにソ連を、従来自民党あるいは政府がお使いになっておった仮想敵国の定義にぴったり合う言い方で、ワシントン・ポストのときに言いましたということになるのですよ。だから、あなたのあの発言は、仮想敵国という立場に日本の防衛政策はなったのですかと私は聞いているのです。なったのでしょう。
#48
○中曽根内閣総理大臣 仮想敵国という考えは毛頭持っておりません。つまり脅威、侵略の意思と能力が結びついた場合にそれはそういう性格を持ってまいりましょう。(矢野委員「それは仮想敵国とは言わない、敵国なのです」と呼ぶ)侵略の意思と能力を持っておる。しかし、能力はあるけれども意思がないという場合があります。その場合は仮想敵国とは考えられません。また、潜在的脅威ではあっても事実的脅威ではありません。そういうような考えに立って申し上げているので、万が一というのは侵略があった場合という場合でありますから、もし侵略する意思がなければそういうことは起こり得ないわけであります。いまソ連が日本を侵略する意思があるとは思っておりません。したがいまして、仮想敵国とは考えておらないということであります。
#49
○矢野委員 また委員長、これは困りましたな。
 従来政府が仮想敵国の問題について答弁しておられたこととあなたが言っておることと、全然仮想敵国の定義が違っているのです。くどいようですけれども、特定の国を想定しない、この前提に立って、万が一の急迫不正、どこの国であるかわからぬ、そういうことに対処するためにあらかじめ防衛力の整備をする、国を特定しない、それが万が一ということなんです。あなたは、万が一バックファイアが来たときにそれに対抗するための手だてとして不沈空母にするのだ、ソ連の潜水艦を封鎖するのだ。
 まあ次に行きましょう。ちゃんと答えてくださいね。
 日米間で、シーレーンとか極東有事の研究、これをお進めになるということになっておるわけでございますが、こういうシーレーンとか極東有事の研究、これは前提条件として、事前協議制、日本の憲法上の制約、非核三原則の問題、こういうことは研究協議の対象としないと約束していただけますか。一言で答えてください。
#50
○中曽根内閣総理大臣 その問題は防衛庁及び外務省が現実的に担当しておりまして、関係当局の大臣から答弁願うようにいたします。(矢野委員「約束できるかできないか」と呼ぶ)
#51
○谷川国務大臣 はい、約束できます。その経過につきましても、必要があれば御報告いたします。
#52
○矢野委員 現行法制や従来の条約解釈の範囲内でできることしかやらない、このように長官、約束できますか。
#53
○谷川国務大臣 そのとおりでございまして、これにつきましては日米すでに協議済みでございます。
#54
○矢野委員 新たな立法、法改正は一切しない、こういう前提で極東有事とかシーレーンの共同研究をやる、こういうお約束ができますか。
#55
○谷川国務大臣 もともと今回の研究は、そういうことを目的とするための研究ではございませんので、そのとおりでございます。
#56
○矢野委員 総理、くどいようですけれども、総理はなかなか勇気のある御見識をお持ちで、いろいろアメリカでも発言されておる。したがって、一々あなたに確認するようで悪いのですけれども、いまお約束をいただいたのですけれども、総理、お約束いただけますね。一言で結構です。
#57
○中曽根内閣総理大臣 防衛庁長官の申し上げたとおりでございます。
#58
○矢野委員 今度は全く別の問題ですけれども、有事法制、有事立法の研究、これを促進されるおつもりがありますか、あるいは国会に提案されるおつもりはありますか。ないならないとお約束をいただきたい。
#59
○中曽根内閣総理大臣 有事に備えてのいろいろな研究やら検討は、当然防衛庁あるいは外務省あるいはその他の機関においてなしておるべきであり、していると思います。勉強は大いにすべきである、そう思っております。
 しかし、法制化するかどうかという問題は大きな政治問題でございまして、それはどういう内容のものが出てくるか、また、そのときの政治情勢はどうであるか、そういうことを判断をして決めたいと思います。
#60
○矢野委員 中曽根内閣では有事立法の法制化はやらないというお約束はされないわけですね。
#61
○中曽根内閣総理大臣 どういうものが出てくるか、私の内閣で出てくるか、次の内閣になるのか、もっと将来になるのか、それはよくわかりません。したがいまして、それは出てきたときにいろいろ判断をする。いま、いつ出てくるかということは私聞いておりません。また、恐らく予約はできないのじゃないかと思います。
#62
○矢野委員 あなたの内閣のときに出たらどうされますか。
#63
○中曽根内閣総理大臣 内閣がどの程度続くか、その続きぐあいによっては出てくるかもしれませんし、あるいはその前に内閣がやめてしまうかもしれませんし、そういうわけですから、矢野さんや公明党さんの攻撃力にも非常にかかってきているのじゃないか、そう思います。
#64
○矢野委員 何か私も一言、二言言いたくなるけれども、時間がないからやめておきましょう。強烈な攻撃力で御質問をするつもりでおるということだけ申し上げておきたいと思います。
 シーレーンというものは、従来政府は、自衛の範囲としてシーレーン防衛をやっていく、こういうお立場でした。このシーレーンの防衛というのは、日本単独でシーレーンを守るということなんでしょうか、あるいは米軍が主なんでしょうか、日米共同でなさるのでしょうか、総理。
#65
○中曽根内閣総理大臣 シーレーンの問題は日米間でこれから研究しようということになりまして、たしか研究が開始され始めた段階ではないかと思います。したがいまして、どういう組み合わせでやるか、日本にどの程度の能力があるかということにもかかっておりますし、アメリカがどの程度応援する力を持っているかという問題にもかかっておりまして、非常に専門的要素がありますので、防衛庁長官をして答弁させます。
#66
○谷川国務大臣 シーレーンにつきまして一言先に申し上げさせていただきたいと存じますが、私どもは、ある特定の海域あるいはある特定の場所だけを考えましてシーレーン防衛を考えておるのじゃございませんで、シーレーン防衛は、わが国有事の場合に、港湾あるいは周辺、あるいはその周辺の中には海峡も含まれますが、そういうものに対して現在保有するわが国の防衛能力でどの程度のことまでができ得るかということを考えながら、累積効果を考えつつ検討いたしております。
 なお、日米関係につきましては、当然わが国はわが国としてできることをいたし、また、アメリカはアメリカ側としてできることをいたす、現在のそれぞれ持ち合っておるものを最大限に使って共同対処する、これを原則にいたしておるわけでございます。
#67
○矢野委員 いまの御答弁、詰めてまいりますと集団的自衛権の問題に関係してくるわけですけれども、これは後にしましょう。
 自衛の範囲内という前提でのシーレーン防衛、これが憲法で許されたシーレーン防衛なんだという従来の政府の御見解です。この憲法に許されたシーレーン防衛という問題は、一つの目的、自衛の範囲内ということによって合法化されておるのか、あるいは一千海里という物理的な距離によって憲法の範囲内ということで合法化されておるのか、これはどちらでしょうか、総理。
#68
○中曽根内閣総理大臣 それはもちろん憲法の範囲内ということが大前提です。
#69
○矢野委員 ですから、その意味が、距離なんでしょうか、目的なんでしょうか、自衛の範囲内という。憲法の範囲内ですよ。範囲内でなければ困りますわね。その範囲内の意味が、目的としての自衛の範囲内、これは目的ですね。自衛するのだという目的の範囲内。一千海里という距離、これは物理的な問題。どちらで合憲とされておるのでしょうか。
#70
○中曽根内閣総理大臣 憲法の範囲内ということが一番の根本でありまして、憲法の範囲内ということで自衛が出てくるわけでございます。その自衛の範囲内で今度はシーレーンが出てくるわけです。そういう関係にあると思います。
#71
○矢野委員 距離のことは、自衛の範囲内なら距離は幾らでもいいのですか。
#72
○中曽根内閣総理大臣 自衛の範囲内ということでどの程度まで距離が及ぶかという問題につきましては、専門家に答弁させます。
#73
○谷川国務大臣 私どもが考えておりますシーレーン防衛というのは、わが国は周辺海に囲まれておる国でもございまするし、特に海上交通の安全は常にこれに留意しなければならぬという範囲の中で考えておりまして、わが国有事の場合に周辺数百海里、あるいは航路帯を設ける場合には一千海里程度、これを考えておるわけでございます。
 なお、御指摘の問題の中で一番大事なところは、あくまでもわが国の憲法に基づく自衛の範囲の中で行うことになっておるわけでございます。
#74
○矢野委員 総理、ここから先は総理でお答えいただきたいと思うのです。簡単にお尋ねしますから、簡単に。
 極東有事、アジアで戦争がおっ始まる、有事ですね、極東有事におきましてアメリカ海軍の増援部隊を自衛隊が公海上において海上護衛することは、個別的自衛権の範囲内ですか、集団的自衛権ということになりますか、総理。
#75
○中曽根内閣総理大臣 専門家に正確に答弁させますが、私の感じでは、日本が侵略された場合に、日本防衛の目的を持ってアメリカの艦船が日本救援に駆けつける、そういう場合に、それが阻害された場合に、日本の自衛隊、自衛艦というようなものがそれを救出する、そういうことは自衛の範囲内に入るのではないかと、私の感触は持っております。
#76
○矢野委員 それは個別的自衛権ということですか。
#77
○中曽根内閣総理大臣 それは個別的自衛権です。日本防衛のために日本が行う行為の中に入る、そういうように解釈いたしますが、専門家の正確な意見を聞いていただきたいと思います。
#78
○谷川国務大臣 自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する、こういうことになりますと、これは日本に関してはわが国の憲法上許されない行為になります。
#79
○矢野委員 一定の海域、たとえばシーレーン、日米両国で一定の海域を設定する、これを共同で防衛する、あるいは日米共同で海上輸送路の確保を図る、これは憲法上禁止されておる集団的自衛権から見て許容されますか。ひとつ簡潔にお答えいただきたい。
#80
○谷川国務大臣 海域分担というような発想は持たないところでございまして、その理由は、海域を設定して排他的にすべての船舶を排除するというようなことはわが国の憲法では許されておりませんので、これは自衛権の中の個別的自衛権の枠外の問題だ、こう考えておる次第でございます。(矢野委員「日米共同で」と呼ぶ)日米で共同でこれを行うにいたしましても、わが国はわが国の憲法がございまして、わが国の憲法のもとにおきましてはわが国をみずから守るということに限定をされておりますので、海域防衛という発想はわが国の憲法になじまない、わが国の憲法では、集団的自衛権に踏み込む問題として、これはわれわれとらないところでございます。
#81
○矢野委員 平時、これは極東有事ではないのです、平時、何もないとき、一定の海域を日米両国で設定する、これを共同で防衛する、あるいは共同で輸送路を確保する、これはどうなんだと聞いているのです。それだけ答えてもらいたい。
#82
○谷川国務大臣 あくまでもわが国に対する武力攻撃が行われて初めてわれわれとしては防衛行動を起こすわけでございまして、一般平時にそういう海域を設定するようなことはもとより初めから発想の中にございません。
#83
○矢野委員 シーレーンというのは平時に研究してはいかぬことになりますよ。
#84
○谷川国務大臣 シーレーン研究におきまするわれわれの目下の研究は、わが国有事の場合に日米で共同対処するのにどういうような手だてがあるであろうかということを考えようとしておる研究でございます。
#85
○矢野委員 総理、私、こういうことを細かく伺っておるのは、これであなた方をやっつけようと思っておるわけじゃないのですよ。やっつけるのは後でまたゆっくりそれぞれの委員会でやっつける。ただ、あなたはいろいろな運命共同体だとか不沈空母だとかバックファイアの阻止だとか海峡封鎖、なかなか物騒なことばかりおっしゃるものだから、私はこれを歯どめをするという意味で具体的に伺っている。言葉だけで、この言葉はけしからぬとかどうだとか、そんな議論は私はしたくない。中身の議論をしたいと思って伺っているわけですから、明快に答えてもらいたいのです。
 公海上で米軍あるいはアメリカ艦船に対する第三国の武力攻撃、公海上アメリカの艦船に対する第三国の武力攻撃に対して、自衛隊がこれに対抗する措置をとることはできますか。
#86
○中曽根内閣総理大臣 日本が武力で侵略を受ける、そういう場合に、日本の防衛の目的にのみ日本の自衛艦やら自衛隊というのは使われる、また、日米安保条約で共同対処する、それも日本防衛の目的の関連においてそれが行われる、そういうことであると思います。
 具体的ないまの御質問に対するお答えは、条約局長から答弁させます。
#87
○矢野委員 もう結構です。
 海峡封鎖は、対象にされている海峡はどことどこですか。その封鎖能力は日本独自で今後保持する、そのおつもりですか。
#88
○谷川国務大臣 従来から御答弁申し上げておりますように、わが国は自国の防衛上必要がある場合には、海峡に対して敵性の船舶の通峡を阻止することもあり得る、こういう判断に基づきまして海峡防衛について考えてまいっておりまするが、この場合私どもの考えておりまする海峡につきましては、宗谷、津軽、対馬の三海峡でございます。
#89
○矢野委員 西水道は入りますか。
#90
○谷川国務大臣 入ります。
#91
○矢野委員 対馬海峡西水道の封鎖を日本が行う場合、韓国政府に事前に協議することになりますか。軍事的にはこの西水道、韓国の領海も封鎖しなければ効果が上がりません、こう言われております。その場合、韓国に協力あるいは封鎖の要請を行うことも考えておられますか。これは総理、あなたがアメリカで言ってこられたことですから、あなたが答えてください。簡潔で結構です。
#92
○中曽根内閣総理大臣 これは一朝有事の際の話で、日本に対する武力攻撃が行われた場合の処置でありますが、西水道の領海あるいは公海において防衛行為が行われるということは認められると思います。ただ、ふだんでも公海上で演習なんか行う場合でも、各国に通知いたしますね。世界に対しても公表したりいたします。ですから、相手国、韓国というものに対して通知するということは当然あり得ることだろうと思います。
#93
○矢野委員 これは演習と違いまして、戦争行為に発展する封鎖ということですから、通知ではなしに事前に協議されるということなのかどうなのか。これが一つ。
 それから、韓国の領海も封鎖したいというときには、韓国に協力を、これはあなたが言う日本有事の場合ですよ、韓国の領海も封鎖しなくてはならない、西水道の韓国側ですね、その場合は韓国に、これは協議でなしに協力と封鎖の要請をされますか。この二点を伺っているわけです。
#94
○中曽根内閣総理大臣 韓国の領海は韓国の主権の範囲内でございますが、韓国がみずから判断をしておやりになることでありましょう。日本がとやかくやるべき問題ではございません。(矢野委員「協力はしない、要請はしない」と呼ぶ)はい。韓国の主権を侵すようなおそれのあることは一切してはならぬ。
#95
○矢野委員 韓国の手でやってもらうという要請はされませんか。
#96
○中曽根内閣総理大臣 それは韓国の御自由でありまして、われわれがとやかく言うことではございません。
 それから、通知か、協議かという外交手続につきましては、外務当局から答弁させます。
#97
○栗山政府委員 そもそも海峡の通峡阻止というようなものを行う場合につきましては、御承知のように、国際海峡におきましては第三国の船舶の通航という問題もございますし、それから対馬の西水道のような場合、沿岸国がわが国と異なるという場合におきましては、そういう沿岸国の安全保障という問題を含めた利害というものも十分考えて、きわめて慎重に行わなければならないものであるというふうに国際法の面からは考えられます。
 したがいまして、有事の場合にわが国の自衛上どうしてもやむを得ない場合に、そういう通峡阻止のための自衛措置をとるという場合に、韓国とどういうふうな協議を行うかということは一概には申し上げられませんが、いずれにしても非常に慎重に行わなければならないということだけは申し上げられると思います。
#98
○矢野委員 総理、あなたは海峡封鎖のことをアメリカで言ってこられたわけです。三海峡の封鎖を行うような状況の前提、これはどのような場合が考えられるか。三つ申し上げます。
 一つは、日本の有事、日本が攻撃を受けておる、日本の有事の場合、安保五条の発動、つまり日本の施政権下への武力攻撃があった場合、この場合に限られるかどうか。二番目は、朝鮮半島の有事あるいは極東有事といった場合も海峡封鎖を行うことはあり得るかどうか。三番目には、中東有事、もっと極端に言えば、アメリカの要人の発言にもありましたけれども、ヨーロッパ有事などの場合にも海峡封鎖はあり得るのでしょうか。
 この三つのケースについて総理のお考えを伺いたい。
#99
○中曽根内閣総理大臣 専門家の意見を最後に聞いていただきたいと思いますが、私の考えでは、日本に対する武力攻撃があった場合、それのみにそれは適用される、外国の場合には適用されない。(矢野委員「朝鮮有事は関係ありませんか」と呼ぶ)日本でない限りは適用されないと思います。
#100
○矢野委員 海峡の封鎖は日本独自の判断で行われるというふうに理解すべきか。あるいはアメリカと相談した上で封鎖をされるのでしょうか。さらにまた、アメリカからもし海峡を封鎖してもらいたいという要請があった場合はそれに応じるということもあり得るんでしょうか。
#101
○中曽根内閣総理大臣 試験問題のようにむずかしい問題を次々に出されますが、私は、要するに、日本防衛については日米安保条約というもので共同対処ということがございますから、その事態の状況に応じて日本がもちろん独自に行うこともあるし、また米軍の来援あるいは共同対処を協議することもあり得る、それは事態に応じて日本が自主的に判断をして行う、そういうことであるだろうと思います。
#102
○矢野委員 アメリカからの要請の場合はどうされますか。二番目の質問でございます。
#103
○中曽根内閣総理大臣 日本が武力攻撃を受けた場合の処置でありますが、そういう場合に、アメリカから言ってきた場合には当然協議する。何しろ自分の国が侵略され、武力攻撃を受けるという事態でありますから、協議することは当然であると思います。
#104
○谷川国務大臣 総理の御答弁のとおりでございまして、あくまでもわが国が武力攻撃の対象となされたときに、あるいは海峡の通峡を阻止するということもあわせて考えなきゃならぬということなんでございますが、この場合に、自衛権の行使として認められる限度内で実施されるものでありまして、あくまでわが国の判断に基づいて行われるのは当然でございますが、わが国が攻撃を受けた場合に、日米安保条約に基づきまして米軍と自衛隊は共同対処行動をとることになりますが、その場合の海上作戦構想は、「日米防衛協力のための指針」にあるとおり、日本の海峡の防備のための作戦は、海上自衛隊が主体となって実施し、米軍は海上自衛隊の行う作戦を支援するものとなる、こういう形になっております。
#105
○矢野委員 わが党の専門家から、あなた方の答弁は従来の政府見解と矛盾しておるというようなメモが回ってきました。これをやりましょうか。矛盾しているんです。やっつけるためにやっているんではないんだ。いま試験問題みたいだとおっしゃいましたけれども、まさに試験問題のつもりで私はやっておるわけです。
 なぜかならば、嫌みなようですけれども、あなたはアメリカでこうおっしゃったのですよ。嫌みですけれども、読み上げます。
 「わが国の防衛に関しては、私なりの見解を持っている。それは、日本列島全体あるいは日本本土が不沈空母のように、(ソ連の)バックファイア爆撃機の侵入に対抗する巨大な防衛とりでを備えなければならない、ということだ。バックファイアの侵入を阻止するのが、われわれの第一の目標だ。
 第二の目標は、日本列島周辺の四海峡を完全かつ十分に管理することで、これによって、ソ連の潜水艦や他の海軍艦艇を通過させないことである。
 第三の目標は、海上交通路の安全確保と維持である。海洋防衛網を数百海里まで延ばすべきである。シーレーンを確立することになるなら、グアム―東京、台湾海峡ー大阪間のシーレーン防衛が、われわれの希望となろう。」
 で、質問に対して総理は、「歴代内閣は、この点について、どちらかと言えば不明瞭だった。しかし、わが政権は、全く明快である。」胸を張られたものですな。まあ胸を張ってもいいですよ、総理だから。しかし、このような発言をなさる場合には、歴代自民党政権が、憲法の精神、憲法の規定に基づいて、やれることとやれないこと、してはならないこと、この区別をきわめて厳密にしてこられました。それは、私ども野党が、憲法を守り、平和日本をより確かなものにするという立場からきめ細かに質問をし、それに対する歴代政府の、この場合はいいんだ、この場合はだめなんだ、これはしてはならないんだ、こういう、われわれとは意見は多少違う点はありますけれども、それなりの一つの体系としての、平和憲法に基づく日本の外交、防衛のあり方というものが論理として存在しておったわけです。防衛庁長官もやられた総理にこんなことを申し上げるのは失礼でございますが、そのことを十分わかっていただいた上で、いま私が読み上げたような演説をなさるべきである。そんなことをけ飛ばして、それはそれ、おれは大正生まれなんだから運命共同体という言葉が好きなんだという調子で、一国の総理という、国を代表する立場でアメリカの大統領やアメリカの有力なマスコミに対して物を言ってもらいたくない。国民がいたずらに不安を持つ。中曽根さんは日本をどこへ持っていくつもりなんだ、こういう心配をするから、私は先ほど言いましたとおり、あなたの発言の一つ一つを取り上げるよりも、具体的なケースについて、あなたの暴走を阻止する歯どめという意味で、あなたにとっては試験勉強だったかしれませんけれども、お尋ねをしたわけでございます。
 実は、時間がないから、まだ残念ながら半分しか聞いていない。これから例の武器技術の問題をやらねばならないことになっておるわけでございます。半分しかまだやっていない。実は武器の方の勉強よりもこっちの方の勉強を一生懸命やってきた。大変残念である。しかし、この武器技術の問題は、国会と政府との問題であるがゆえに、これはやらざるを得ません。
 五十六年の春の予算委員会で、私、堀田ハガネ、ある大手の製鋼所、アーマープレートという戦車の弾丸を排除する鋼鉄板、これをある専門の研究所に鑑定をしてもらったりあるいは見積もりをしたり、こういう具体的な資料に基づいてお尋ねをいたしました。政府もそのときずいぶん真剣に取り組んでいただいたわけでございます。いわば私、その当事者であるというわけで、今回の政府の政策決定はまことに納得がいかないと申しましょうか、政策変更あるいは政策決定、これが私にとってはまず不満である。アメリカを武器輸出の三原則の枠外にする、これはあなた方の政策変更の問題だ、こうおっしゃっておるわけでありますけれども、これは国会決議との絡みにおいていま私は議論しているわけではない。政府の政策変更、その政策変更自体、私は反対だ。これははっきり申し上げておく。しかし、それはまた別にしまして、これは政党が違うんだから政策の違いもあるでしょう。しかし、まず、それは私にとっては徹底的に反対だということを申し上げておきたい。
 そこで、そういう前提で伺いますけれども、今回の政府の政策変更あるいは政策決定、これはアメリカを武器輸出三原則の適用除外。この武器輸出三原則というのがある。共産圏だめ、国連で決定されたものもだめ、紛争当事国もだめ、簡単に言えば、この三項目。そういう国には出してはならない、そういう武器輸出三原則、武器輸出禁止三原則ですね、正確に言えば。アメリカはこの適用外、除外にする、こういうふうにお決めになったわけでありますけれども、アメリカは現実に第三国に対して武器輸出を行っております。わが国から供与されました武器及び武器技術が、この場合は武器技術ですね、あるいはその日本から供与された武器技術によってできた武器、たとえばミサイルの誘導装置であるとか、いろいろあります、これは。そういうものを他の第三国にアメリカは武器輸出するかもわからない、その武器には日本の技術が用いられておる、こういうことになってはいけないと私は思うのですけれども、そうならないという保証はございますか。
#106
○中曽根内閣総理大臣 武器技術輸出の問題につきましては、仰せのとおり政府の方針は一部修正されました。しかし、わが方の見解におきましては、内閣としては国会決議を遵守しておるつもりでやっております。
 そこで、第三国に対する関係でございますが、日米安全保障条約のもとに日米相互防衛援助協定がございまして、その枠組みのもとにこれが行われる。安保条約並びに日米相互防衛援助協定のもとにおいては第三国に対する転用をこれは禁止しておるわけであります。したがって、それをアメリカとしては当然守るべきであるし、守ってくれるものと考えてやっておるわけであります。
#107
○矢野委員 日本とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定第一条第四項、日米「各政府は、共通の安全保障のため、この協定に従って受ける装備、資材又は役務の所有権又は占有権を、これらの援助を供与する政府の事前の同意を得ないで、自国政府の職員若しくは委託を受けた者以外の者又は他の政府に移転しないことを約束する。」こういう文章です。官房長官談話にもこのことが援用されておりますね。つまり、事前の同意を得ないで第三国に提供してはならない、こういう趣旨でございます。
 事前の相談があった場合は拒否されるということでございますか。
#108
○中曽根内閣総理大臣 この問題はそのときの態様にもよるし、それから、どの程度日本の技術というものがその中に入り込んでいるかという問題にもよるのではないか。私の感じを申し上げますと、たとえばほとんど、九九%アメリカが自分でつくったもので、日本のものは少し部品に使われておる、そういう問題についてどうであるかというようなケースを考えてみますと、これはケース・バイ・ケースで、そういう場合にはやはり協議すべき問題ではないかと思うのであります。第三国に対する転用についてはこちらが同意しない限りはやれない、そういうことになっておるわけでございますから、やはり協議すべき問題ではないか、そういうように私は思いますが、専門家の意見を聞いてみます。
#109
○矢野委員 たとえば九九%日本の技術だと、非常に抽象的な言い方をされているわけですけれども、九九%でなくても、たとえば一〇%でもいいんですよ。たとえば、たとえばの例でございますが、ミサイル、この誘導装置、これは全体のあれからいけばそんなにウエートは高くないかもわかりませんが、この誘導装置がでたらめであれば、ミサイル本体が幾らりっぱでもこれは何の値打ちもない。たとえ部分であってもこの誘導装置の精度というものはこのミサイル全体の性能を決定する重要な意味を持ってくるわけですよね。
 というわけで、私が伺いたいことは、同意が必要であるとおっしゃったわけだけれども、そういう事前の相談があったときには、イエスもあればノーもあるということなのか、絶対ノーなのか、あるいは全部イエスなのか、この三つしか論理的には考えられません。どっちでしょうか。
#110
○中曽根内閣総理大臣 日米の相互防衛援助協定の解釈の問題でありますから、外務大臣から答弁させます。
#111
○安倍国務大臣 この問題につきましては、日米安保条約の効果的な運用という立場を踏まえてこの細目協定を結ばなければなりません。したがって、日米安保条約の効果的運用、さらにまた一般的な武器輸出三原則というものもあるわけでございますから、そういうものを踏まえての細目協定というものを結んでいかなければならない、こういうふうに考えます。
#112
○矢野委員 いずれにしても、イエスもあればノーもあるということだろうと思いますし、第一、まず物理的にそんなことは不可能なんです。まさか日本のそういう担当官がアメリカの各商社に常駐いたしまして、日本の軍事技術を利用したアメリカの兵器が第三国に売られるということをチェックできるはずがないわけです、実際問題として。ですから、これは事実上第三国へのアメリカからの輸出、日本の軍事技術を利用した武器のアメリカから第三国への輸出は事実上フリーパスで行われる、こう言わざるを得ません。
 次に伺いたい。武器輸出禁止三原則の適用除外とされたとしますと、アメリカが将来仮に紛争当事国になりましても何ら制限を受けず武器技術の供与はできる、こういうことなんでしょうか。
#113
○中曽根内閣総理大臣 それは、そのとおりであります。
#114
○矢野委員 こういう適用除外にされるという判断をなさったのは、官房長官談話でもありましたとおり、安保条約の効果的な運用ということが一つのねらいであったやに私は理解いたしますけれども、その場合、アメリカが紛争当事国になったその地域が、極端なケースを言えば、日本有事のときにアメリカが来援するときに、日本が提供した技術を利用した武器を持って来援に来る、これは極端なケース。これは余り文句言えないということになるかもわかりませんね。問題は極東有事。このアジアにおいてアメリカが紛争当事国になる。この安保条約の効果的運用という意味から、私はそういう立場には賛成しないけれども、政府としてはやむを得ないということになるかもわかりません。しかし、安保条約の極東の範囲を越えた、たとえばヨーロッパ、たとえば中東、そういう地域においてアメリカが紛争当事国になったときに、日本から供与された軍事技術というものを利用したアメリカの兵器が使われるということは、総理、これは構わないのですか。
#115
○中曽根内閣総理大臣 協定の適用の解釈の問題でございますので、条約局長から答弁させます。
#116
○栗山政府委員 お答え申し上げます。
 官房長官談話その他累次の機会に御説明申し上げておりますとおりに、本件武器技術供与につきましては、相互防衛援助協定の関連規定の枠組みの中で実施する。具体的に申し上げますと、ただいまの矢野委員の御質問との関連で申し上げれば、相互防衛援助協定一条一項によりまして、国連憲章と矛盾するような使用はいかぬ。より具体的に申し上げれば、要するに自衛目的以外に、本件の場合ですと、日本から受け取った技術を使ってはいかぬ、こういう制約をアメリカに課すということになるわけでございます。したがいまして、形式的にアメリカが紛争当事国になったという理由では本件武器技術供与というものをとめるということはしない。しかしながら、あくまでも私がいま申し上げました相互防衛援助協定一条一項の国連憲章と矛盾するような使用は禁止するという条件を課して本件は三原則の枠外とする、こういう措置をとったということでございます。
#117
○矢野委員 非常に興味のある御答弁をいただいたわけです。
 総理、いまの御答弁のとおりでいいですか。
#118
○中曽根内閣総理大臣 この点は、いまも御答弁申し上げましたように、国連憲章の精神及びその規定するところを遵守するということが条件になっておりまして、その平和目的の基本線を逸脱してはならないと思います。
#119
○矢野委員 政府は今回の政策変更、これが五十六年の国会決議に違反しておらない、こういう立場をおとりのようでございますが、私たちは違反しておるという立場に立っております。違反しておらないと言うならどういうわけで違反していないか、その意味をひとつ御説明いただきたい。
#120
○中曽根内閣総理大臣 一つは、この国会決議ができる過程におきまして社会党さんの方から案が出てまいりました。あの案の表題が、まず、武器輸出禁止に関するという「禁止」という言葉があったのです。それは最終的には自民党の反対がありまして武器輸出に関するというふうに変わった。それから、社会党さんの案では、政府の三原則をそのまま案文の中で確認する、そういう点があったのを、今度の最終的にまとまった案は、自民党の反対によりまして、ある歴史的な経過規定を述べておる、経過を述べておるということで、ストレートに三原則を載せて禁止しているということはないわけであります。確認しているというわけではないわけであります。そういうことと、それから最後に、もう一つ何か直された点があったように思います。
 そういうような経緯を踏まえまして、社会党さんの非常に厳しい案が、各党の協議の過程におきまして是正されてきておるわけでございまして、そして、その文章もたしか慎重にかつ厳粛に対処する、そう書いてあるのでありまして、われわれの解釈におきましては、慎重に厳粛に対処し、かつ国連憲章の精神に基づいてこれは行うのでございますから、平和目的という基本線を逸脱はしていない、そういう意味において国会の御決議には違反していないと政府は考えておるわけでございます。しかし、国会決議のことでございますから、各党各会派でいろいろお考えがあることは、これは当然であると考えております。
 なお、その際、武器技術の問題がございましたが、政府の五十一年の答弁を調べてみますと、これは武器に準ずる、そう書いてありましたので、私がこの前申し上げたことは舌足らずでありましたので訂正させていただきます。
#121
○矢野委員 まず、経過のことは、総理、これは余り議論なさらない方がいいと思うのですよ。それは、国会は各政党いろいろな意見があるわけですから途中経過の意見がいろいろ違うのはあたりまえ。立法府として行政府に対してこうあるべきだというのは経過よりもこの文面、経過なんか関係ないのです。どういう経過であろうともこの文面によって立法府は行政府に対して注文をつけておる、こういうことです。
 そしていま、厳正かつ慎重な態度をもって対処しなさいと政府に注文がついたんだというような意味の御答弁をなさいましたが、この厳正という意味は漠然とした厳正という意味じゃないのです。まさかこの武器の輸出の問題で、政治資金規正法の趣旨に基づいて厳正に武器の輸出を禁止しなさいなんということはない。この厳正ということにはおのずから基準がある。この基準は、この国会決議の前三行にある「わが国は、日本国憲法の理念である平和国家としての立場をふまえ、武器輸出三原則並びに昭和五十一年政府統一方針に基づいて、武器輸出について慎重に対処してきたところである。」これを受けて、この趣旨で厳正にやれ、こういう意味なんですよ、国会決議の意味は。あなた方に変な解釈はしてもらいたくない、国会決議というものは。
 そこで、この五十六年三月の時点で確かにこの国会決議がなぜされたかということは、韓国に対して堀田ハガネが武器に紛らわしい、あるいは武器と同じものを出した、対韓武器輸出が問題になったのです。この韓国という国は、私どもの理解では三原則に触れた国ではないのです。よろしゅうございますか、総理。三原則によって韓国はだめだという理屈にはなってないんです。昭和五十一年政府統一方針に基づいて、三原則適用以外の地域については慎むという規定があるわけです。政府の方針としてあるわけです。三原則が適用されないそれ以外の国、簡単に言えばそれ以外の世界じゅうの国についても武器の輸出は慎む。この政府方針を受けて、韓国に対する武器輸出はよくないという認識になったのです。韓国がだめだという理由は、慎むという立場でだめになっているのです。アメリカも、その当時もいまも、私の理解では三原則に抵触している国ではないと私は理解しております。つまり政府方針における三原則が適用される以外の国については慎みますという政府方針、これによって韓国はだめです、この論理は、同じくアメリカにもこの国会決議された時点では当てはまるわけです。ですから、この国会決議では、あなた方が言われるように、政府が政策変更をして、アメリカは三原則あるいは政府方針の枠外に置くという決定は国会の決議に反しないということには絶対ならないのです。この国会決議は、決議された時点において――安保条約の効果的運用とかどうとかおっしゃっていますけれども、安保条約はきのうきょうできたのじゃない。ずっと昔から安保条約はあるのです。そういうことは十分踏まえた上で、そして韓国はだめなんだという同じ論理がアメリカにも適用される。この国会決議では、幾ら政府が政策を変えたくてもアメリカを三原則の枠外だという決定をしてはならないという国会決議なんです。
 総理、どう思われますか。
#122
○中曽根内閣総理大臣 その点が矢野さんの方とわれわれの方の意見が違うところがあるわけでございます。つまり、アメリカの場合は日米安保条約というものがあり、相互に防衛力を強くしていくという約束もお互いがしております。一朝有事の際、日本に武力攻撃が行われた場合にはアメリカは日本に来て日本を助ける、そういうことになっておりまして、そのアメリカの防衛力を高めるというために、安保条約に基づきましてわれわれも協力する、相互に協力する。そういうかげんもあって、アメリカは日本に対してF15であるとか、P3Cであるとか、バッジシステムであるとか、いろんなものを供与しておる。日本からもこれは日米安保条約に基づいて、日本の防衛力を高めるという効果のあるものについては、これは自衛のためにもアメリカに供与することは認めらるべきである、そういう解釈がありまして、そういうおもんぱかりがありましたから、自民党が各党との折衝の際に……(矢野委員「経過のことは聞きたくありません」と呼ぶ)いまの案文をつくるときに、社会党さんの原案に対して自民党が留保をして内容を変えていただいた、そうしてできたといういきさつがあるのでありまして、その点は御理解をいただきたいと思います。
#123
○矢野委員 総理、簡単に申し上げます。
 この国会決議は、これが決議された時点において三原則の枠外にアメリカを置くこと、いいですか、この三原則の枠外にアメリカをすることはこの国会決議には違反しない、もっと平たく言えば、この国会決議にはアメリカのことは含まれておらない、こういう理解ですか。イエスかノーで答えてください。
#124
○中曽根内閣総理大臣 自民党として社会党案に対していろいろ留保をつけて直していただいたというのは、そういう意図があったから直したものと私は考えております。
#125
○矢野委員 それはあなたの、もしくはあなたの内閣のお考えですか。あるいはそういう考えは、この国会決議制定の時点においても同様の考えだったのですか。
#126
○中曽根内閣総理大臣 自民党はなぜ直したか、社会党さんの言うことを聞かなかったかということは、そういう考え方が背景にありまして直さしていただいたのだと私は考えており、現内閣もそのように考えておるわけであります。
#127
○矢野委員 つまり、あなたの内閣になって国会決議の解釈をあなたが勝手に変えたのではない、国会決議制定の時点からその当時の内閣もそうであった、こういうことですか、総理。
#128
○中曽根内閣総理大臣 自民党がそのときに社会党の案を変えていただいたというのは、そういう意図があって、おもんぱかってやったものである、政府はそういう考えに立っていまのような解釈をしておるのでございます。
#129
○矢野委員 少なくともあなたの考え方は、この国会決議がされたときの鈴木内閣の考え方をしておりません。これは昭和五十六年十月二十一日、行財政改革に関する特別委員会議事録、「先ほど」云々とありまして、「外務省としても、武器禁輸三原則、政府統一見解及び国会決議、こういうものがございまして、これは基本的にはアメリカにも適用されるということでございます。」つまり、政府が政策を変えるということを言っているのではない、国会決議でアメリカを枠外にすることが許されるか許されないかということを私は言っているのです。この外務省の答弁では、政府の答弁では、国会決議、こういうものがございましてアメリカに適用されるのです、つまり、この国会決議によってアメリカを枠外にすることは許されないのですという意味のことを言っているのですよ。あなたの内閣になって、そもそもこの国会決議というものは、今回の政府政策変更は何ら妨げにならぬ、だから違反にならぬ、そういう解釈は前の内閣はしておりません。これは一体どういうことですか。
#130
○中曽根内閣総理大臣 その答弁ができました外務省から答弁させます。
#131
○栗山政府委員 いま御指摘の答弁が外務省の政府委員より行われたことは事実でございます。基本的にはアメリカに対しても三原則が適用がある。
 今回の措置につきまして申し上げますと……(発言する者あり)政府が申し上げておることをちょっと補足させていただきますと、今回、ちょっと誤解があるかもわかりませんが、アメリカを適用除外にするということを今回政府として申し上げておることではございません。アメリカに対しても基本的には三原則が適用になるわけでございます。しかしながら、安保体制の効果的運用という観点から重要と認められる本件武器技術供与に限っては三原則によらないこととするということを政府の方針として決定したということでございます。
#132
○矢野委員 そういう解釈、そういう政策変更をしてはならないという国会決議なんです。しかもそれは、この国会決議が五十六年の三月ですか、そして、この答弁はそれから七カ月たった十分論議を積んだ上で、こういう国会決議がございます、ですからアメリカに対する供与はできないということ、アメリカにも適用されるんですということを言っているのです。そういう前内閣の解釈をいまの内閣は変える。本来、内閣には国会決議の解釈なんかしてもらう筋合いはない。あなた方勝手な解釈をするから、前内閣はそうじゃなかったですよ、私たちと同じ立場に立っておりましたよということを私はいま証明したのです。明らかにこれは国会決議違反です。
 委員長、私の質問に対するきちっとした答弁をさせてください。
#133
○中曽根内閣総理大臣 先ほどから申し上げましたように、本決議案ができ上がるまでの経緯から考えて、その解釈につきまして、政府はただいま申し上げたような見地を持ったわけでございます。だから、本決議案ができる経緯にかんがみて、現内閣はそのような解釈をしてそのような説明をした、こういうふうに申し上げているわけであります。
#134
○矢野委員 私は先ほど、第三国に対する供与の問題で、これは事実上フリーパスである、つまり、これはアメリカというフィルターを通せば、世界じゅうどんな国にだって日本の軍事技術は行く、実質的に国会決議を形骸化したことになるのです。第三国に対してフリーパスだということは、幾ら日本で三原則ということを言うておっても意味がない。これは事実上の形骸化。しかも、これは事実上ない。文言の上でも、いまの政府の解釈はおかしいということを、前内閣の国会決議に対する解釈を私は引用しながら論証したつもりです。それに対して何の答弁にもなっておりません。これじゃ質問できません。
#135
○久野委員長 矢野委員に申し上げます。
 ただいま御指摘の問題につきましては、各党それぞれ御意見があるようでございますし、政府の答弁等につきましても問題を含んでおるようでございますので、理事会において協議をいたしたいと存じます。
 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    正午休憩
     ────◇─────
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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