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1982/03/03 第98回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第098回国会 科学技術委員会 第1号
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1982/03/03 第98回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第098回国会 科学技術委員会 第1号

#1
第098回国会 科学技術委員会 第1号
本国会召集日(昭和五十七年十二月二十八日)(
火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
のとおりである。
   委員長 森  美秀君
  理事 岸田 文武君 理事 小宮山重四郎君
   理事 保利 耕輔君 理事 与謝野 馨君
   理事 小林 恒人君 理事 関  晴正君
   理事 草川 昭三君 理事 和田 一仁君
      近藤 鉄雄君    佐々木義武君
      笹山 登生君    永田 亮一君
      平沼 赳夫君    前田 正男君
      村上  勇君    保岡 興治君
      武部  文君    村山 喜一君
      八木  昇君    山本 幸一君
      斎藤  実君    吉田 之久君
      山原健二郎君    田川 誠一君
    ─────────────
昭和五十七年十二月二十八日
 森美秀君委員長辞任につき、その補欠として永
 田亮一君が議院において、委員長に選任された
 。
──────────────────────
昭和五十八年三月三日(木曜日)
    午前十時二十四分開議
 出席委員
   委員長 永田 亮一君
  理事 岸田 文武君 理事 小宮山重四郎君
   理事 保利 耕輔君 理事 与謝野 馨君
   理事 小林 恒人君 理事 関  晴正君
   理事 草川 昭三君
      櫻内 義雄君    平沼 赳夫君
      森山 欽司君    山本 幸一君
      林  保夫君    山原健二郎君
      田川 誠一君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      安田 隆明君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       岩上 二郎君
        科学技術庁長官
        官房長     安田 佳三君
        科学技術庁長官
        官房会計課長  三井 嗣郎君
        科学技術庁計画
        局長      下邨 昭三君
        科学技術庁研究
        調整局長    加藤 泰丸君
        科学技術庁振興
        局長      原田  稔君
        科学技術庁原子
        力局長     高岡 敬展君
        科学技術庁原子
        力安全局長   赤羽 信久君
        科学技術庁原子
        力安全局次長  村野啓一郎君
 委員外の出席者
        科学技術委員会
        調査室長    曽根原幸雄君
    ─────────────
委員の異動
昭和五十七年十二月二十八日
 辞任         補欠選任
  森  美秀君     櫻内 義雄君
  武部  文君     山口 鶴男君
  山本 幸一君     山田 耻目君
昭和五十八年一月二十五日
 辞任         補欠選任
  和田 一仁君     林  保夫君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  近藤 鉄雄君     森山 欽司君
同月二十七日
 辞任         補欠選任
  山口 鶴男君     松本 幸男君
同月二十八日
 委員松本幸男君が死去された。
二月四日
 辞任         補欠選任
  八木  昇君     山本 幸一君
同月十四日
 辞任         補欠選任
  笹山 登生君     栗原 祐幸君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  林  保夫君     竹本 孫一君
同日
 辞任         補欠選任
  竹本 孫一君     林  保夫君
同月二十三日
 辞任         補欠選任
  山原健二郎君     不破 哲三君
同月二十四日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     山原健二郎君
三月二日
 辞任         補欠選任
  林  保夫君     竹本 孫一君
  山原健二郎君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
  竹本 孫一君     林  保夫君
同月三日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     山原健二郎君
同日
 理事和田一仁君一月二十五日委員辞任につき、
 その補欠として吉田之久君が理事に当選した。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ────◇─────
#2
○永田委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび、科学技術委員長に選任されました永田亮一でございます。
 科学技術の果たす役割りが重大であることは、いまさら申し述べるまでもありませんが、高度の福祉社会を築いていくためには、人間性の尊厳を基調とする長期的展望に立って考えていくことが不可欠であり、さまざまな国民の要請に柔軟にこたえ得る科学技術の振興がいま切に求められていると言えましょう。
 それだけに、本委員会に寄せられる期待も大いなるものがあり、微力ながらも、科学技術政策の調和的発展のために尽力してまいる所存でありますので、理事並びに委員の皆様の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
     ────◇─────
#3
○永田委員長 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○永田委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、吉田之久君を理事に指名いたします。
     ────◇─────
#5
○永田委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興の基本施策に関する事項
 原子力の開発利用とその安全確保に関する事項
 宇宙開発に関する事項
 海洋開発に関する事項
 生命科学に関する事項
 新エネルギーの研究開発に関する事項
以上各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ────◇─────
#7
○永田委員長 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 安田国務大臣から科学技術行政に関する所信を聴取いたします。安田国務大臣。
#8
○安田国務大臣 科学技術庁長官の安田隆明でございます。
 このたび、重要な科学技術行政を担当することになりました。格別お世話さまになりますが、よろしくお願いを申し上げます。
 第九十八回国会に当たり、科学技術庁長官といたしまして、所信を申し述べさせていただきます。
 現下の厳しい内外諸情勢の中にあって、わが国が直面する幾多の制約を打開し、経済の安定的な成長と国民生活の一層の向上を図っていくためには、科学技術の振興が不可欠でございます。
 国土が狭く、資源に乏しいわが国は、幸い、国民の高い知的能力に恵まれており、この貴重な国民的資源を活用して、創造性豊かな科学技術を創出することにより二十一世紀への礎を築くことは、われわれの世代に課せられた責務でございます。
 また、昨年六月に行われましたベルサイユ・サミットにおいては、科学技術の発展は停滞した世界経済の再活性化への活路となるとの認識で各国首脳の見解が一致し、国の内外を問わず、科学技術振興に対する機運は盛り上がりを見せております。
 このような状況のもとで、私は、昨年科学技術庁長官に就任して以来、科学技術政策の推進のため精力的に取り組んでまいりましたが、今後とも科学技術振興を国家的な重要課題として位置づけ、その強力な推進を図ってまいる所存でございます。
 以下、昭和五十八年度における科学技術庁の主要な施策につき、所信を申し上げたいと存じます。
 まず第一は、科学技術振興調整費の拡充等、科学技術行政の企画調整機能の強化であります。
 近時、科学技術行政の強力な展開が強く求められております。このため、科学技術会議の調査企画機能の強化、同会議の方針に沿って運用する科学技術振興調整費の拡充等により、科学技術行政の企画調整機能の強化を図ることとし、ライフサイエンス、新材料等、将来画期的な技術革新をもたらすことが期待される先端的科学技術等の重要研究業務の総合的かつ効率的な推進を図ってまいります。
 第二は、流動研究システムによる創造科学技術の推進であります。
 今日、科学技術の振興を図るためには、基礎的研究段階からの創造的な新技術創出のための研究が不可欠となっております。
 このため、産・学・官のすぐれた研究者を結集して、次代の技術革新を担う科学技術の芽を生み出すための研究を行う創造科学技術推進制度の一層の推進を図ることといたしております。
 第三は、原子力研究開発利用の推進でございます。
 原子力発電は、いまや総発電電力量の約六分の一を占めており、電力供給の重要な柱となっております。
 このような原子力の研究開発利用の推進に当たっては、安全性の確保が大前提であり、原子力安全規制行政の充実、安全研究の推進等の各種安全対策を強力に展開するとともに、電源三法の活用による地域住民の福祉向上及び産業振興のための施策等を講ずるなど、原子力の開発利用の促進を図ってまいります。
 原子力発電を一層拡大していくためには、原子力発電規模に見合った核燃料サイクルを確立することが不可欠であり、ウラン濃縮の国産化、使用済み燃料の再処理、放射性廃棄物の処理処分対策等を推進いたします。
 また、核燃料の有効利用を図る観点から、高速増殖原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉の研究開発など新型動力炉の開発を進めるとともに、核融合の研究開発等を積極的に推進いたします。原子力船「むつ」につきましては、その新定係港の整備を進めてまいります。
 第四は、宇宙開発の推進であります。
 先般、通信衛星二号aの打ち上げに成功し、わが国は、いよいよ本格的な実用衛星打ち上げ段階に入りました。
 昭和五十八年度におきましては、通信衛星二号b、放送衛星二号aを打ち上げるほか、静止気象衛星三号、海洋観測衛星一号、技術試験衛星V型等、幅広い分野における各種人工衛星の開発を推進いたします。
 また、昭和六十年代の大型人工衛星の打ち上げに対処するため、自主技術による液酸・液水ロケットエンジン、慣性誘導装置等を用いたHIロケットの開発を進めるなど、人工衛星打ち上げ用ロケットの開発を推進いたします。
 第五は、海洋開発の推進であります。
 海洋国家日本としては、海洋科学技術に関する研究開発を積極的に推進していく必要があります。
 このため、昭和五十八年度におきましては、潜水調査船「しんかい二〇〇〇」による深海調査研究を進めるとともに、潜水作業技術に関する実海域実験を行うための海中作業実験船の建造を進めるなど、総合海洋科学技術プロジェクトを積極的に推進することといたしております。
 第六は、各般の重要な総合研究の推進であります。
 医療、農業、工業等、広範な分野において画期的な技術革新をもたらすものと期待されているライフサイエンスについては、人工臓器等の研究を推進するとともに、遺伝子組みかえ研究施設の建設等を進めてまいります。
 また、防災科学技術につきましては、震災、雪害等の防止、軽減を目的として、地震予知、震災対策、雪害対策等の研究を中心にその積極的な推進を図ってまいります。
 航空技術開発につきましては、ファンジェット短距離離着陸機の実験機(STOL機)が、昭和五十八年度に製作の最終段階を迎えますので、その完成を目指して努力してまいります。
 さらに、極限科学技術関連材料など材料技術の研究開発、資源の総合的利用方策の調査等を進めてまいります。
 第七は、国際協力の推進であります。
 国際化の進展に伴い、国際交流の重要性が一段と高まりつつあります。
 このため、日米科学技術協力を初めとする先進諸国との協力の推進を図るとともに、ベルサイユ・サミットで合意された科学技術の国際協力に積極的に対処してまいります。
 また、中国、東南アジア等の開発途上国との科学技術協力を推進してまいります。
 第八は、科学技術振興基盤の整備でございます。
 科学技術振興を支える研究者の養成等研究基盤の強化を図るとともに、高度な知識と多額の投資が集約された科学技術情報の効率的な流通を図るため、科学技術情報の全国流通システムの整備等を促進いたします。また、本国会におきましては、科学技術に関する高度な技術コンサルタントとしての技術士の制度を改善するため、技術士法の改正法案を提出する予定としておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 最後は、国際科学技術博覧会の開催準備の推進であります。
 科学技術の重要性に関する国民の理解を深めるとともに、科学技術の国際交流の促進に寄与することを目的とした国際科学技術博覧会を昭和六十年に筑波研究学園都市において開催するため、会場及び政府館の建設を進めるとともに、政府出展展示物の製作に着手するなど、国家的事業にふさわしい博覧会となるよう強力に開催準備を進めたいと考えております。
 以上、昭和五十八年度における科学技術庁の施策に関し、その概要を申し上げましたが、これらの諸施策を実施するため、昭和五十八年度予算といたしまして、一般会計三千三百七十二億円を計上いたしますとともに、総理府、大蔵省及び通商産業省の共管による電源開発促進対策特別会計におきまして、科学技術庁分といたしまして、七百七億円を計上いたしました。
 エネルギー問題を初めわが国が現在直面している諸問題を解決し、豊かで明るい人類の未来を建設するための重要なかぎとなるのが科学技術であります。
 私は、科学技術行政を担当する者としてその使命の重大さを深く認識し、科学技術の振興に誠心誠意努力してまいりますので、委員各位の御指導、御支援をお願い申し上げますとともに、国民の皆様方の御理解、御協力を心からお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)
#9
○永田委員長 この際、岩上政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。岩上政務次官。
#10
○岩上政府委員 このたび、科学技術政務次官を拝命いたしました岩上二郎でございます。
 先ほど長官所信表明のございましたように、原子力を初め、宇宙開発、海洋開発、さらにはライフサイエンス等々、きわめて重要な課題を背負っているわけでございまして、国家百年の大計をどう進めていくかということについても、その責務の重大さを感じておるところでございます。
 特に、科学技術振興とあわせまして、地域問題あるいは居住環境あるいは科学技術を進める良心の問題との絡み合い等、きわめて重要な課題ではないかと感じているところでございます。
 微力ではございますが、一生懸命努力いたしますので、皆さん方の絶大なる御支援、御協力を賜りますよう、この席をかりましてお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえる次第でございます。(拍手)
#11
○永田委員長 次に、昭和五十八年度科学技術庁関係予算について説明を聴取いたします。安田官房長。
#12
○安田政府委員 昭和五十八年度一般会計予算におきまして科学技術庁の歳出予算額は、三千二百七十二億一千三百万円を計上いたしております。
 また、総理府、大蔵省及び通商産業省の共管による電源開発促進対策特別会計のうち、科学技術庁分といたしまして、歳出予算額七百七億四千二百万円を計上いたしておりますが、両会計を合わせた科学技術庁の歳出予算額は三千九百七十九億五千五百万円となり、これを前年度の当初歳出予算額に比較いたしますと百十八億六千七百万円の増額となっており、その比率は三・一%増となっております。
 この歳出予算のほか、国庫債務負担行為限度額といたしまして、一般会計一千三百八十一億二千八百万円、電源開発促進対策特別会計百六十一億一千三百万円を計上いたしております。
 また、一般会計予算の予算総則におきまして、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を二千三十二億円にするとともに、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する借り入れ等の債務の限度額を百八十九億円とし、これを使用済み燃料再処理施設の操業費等の一部に充てることといたしております。
 次に、一般会計歳出予算額のうち重要項目につきまして、その大略を御説明いたします。
 第一に、科学技術会議の方針に沿って、科学技術振興に必要な重要研究業務の総合推進調整を実施するための科学技術振興調整費の拡充を図る等、同会議を中心とする科学技術行政における企画調整機能の一層の強化を図るための経費として、六十二億九百万円を計上いたしました。
 第二に、流動研究システムによる創造科学技術の推進といたしまして、産・学・官のすぐれた研究者を弾力的に組織化して、次代の技術革新を担う創造性に富んだ新技術を創出するための研究を推進することとし、これに必要な経費として新技術開発事業団に二十二億一千万円を計上いたしました。
 第三に、原子力研究開発利用の推進といたしまして一千七百三十一億二千七百万円を計上いたしております。
 まず、原子力安全規制行政及び環境安全対策につきましては、原子力利用における安全の確保に万全を期するため、原子力安全委員会の運営、放射能測定調査研究などに必要な経費として二十億六千九百万円を計上いたしております。
 次に、動力炉・核燃料開発事業団におきましては、高速増殖炉の実験炉の運転等新型動力炉の研究開発を進めるとともに、ウラン資源の海外調査探鉱、遠心分離法によるウラン濃縮パイロットプラントの運転等核燃料サイクル確立のための研究開発を進めることとし、これらに必要な経費として、同事業団に対する政府出資金と補助金を合わせ六百七十四億二千二百万円を計上いたしました。
 また、日本原子力研究所におきましては、原子炉施設の安全性及び環境安全に関する試験研究を進めるとともに、臨界プラズマ条件の達成を目指した臨海プラズマ試験装置の建設など、核融合の研究開発を推進することとしております。
 また、多目的高温ガス炉に関する研究開発、材料試験炉その他各種原子炉による研究開発を行うなど、これらに必要な経費として、同研究所に対する政府出資金と補助金を合わせ八百二十九億八千六百万円を計上いたしました。
 さらに、日本原子力船研究開発事業団につきましては、原子力船「むつ」の新定係港の整備、改良舶用炉の研究開発等を行うために必要な経費として百八億一千八百万円を計上いたしました。
 また、放射線医学総合研究所におきまして、低レベル放射線の影響に関する研究、内部被曝実験棟の建設、運営等を進めるため五十八億三千五百万円を計上いたしましたほか、国立試験研究機関及び理化学研究所における原子力試験研究等に必要な経費として三十九億九千七百万円を計上いたしております。
 第四に、宇宙開発の推進といたしまして八百七十四億二千八百万円を計上いたしました。
 まず、宇宙開発事業団におきまして、大型人工衛星の打ち上げに対処するため、自主技術による液酸・液水ロケットエンジン、慣性誘導装置等を用いたHIロケットの開発を進めるとともに、昭和六十年代後半のより大型の人工衛星打ち上げ需要に対応するため、HIロケットの打ち上げ能力の向上を図るための研究を行うこととしております。また、通信衛星二号b及び放送衛星二号aを昭和五十八年度に打ち上げるとともに、静止三軸衛星の基盤技術の確立等を目的とする技術試験衛星V型、通信衛星二号に次ぐより大型の通信衛星三号の開発に着手するほか、静止気象衛星三号、放送衛星二号b、海洋観測衛星一号の開発、第一次材料実験計画の推進、宇宙基地計画の調査研究等を行うこととしております。これらに必要な経費として、同事業団に対する政府出資金と補助金を合わせ八百六十億六千七百万円を計上いたしました。
 次に、宇宙科学技術の基礎的、先行的研究といたしまして、航空宇宙技術研究所において液酸・液水ロケットエンジン要素の研究、衛星基礎技術に関する研究等を進めるための経費として八億三千七百万円を計上いたしました。
 また、人工衛星の打ち上げを円滑に実施するため、種子島周辺漁業対策事業の助成等を行うために必要な経費として五億二千四百万円を計上いたしております。
 第五に、海洋開発の推進といたしまして五十二億二千万円を計上いたしました。
 まず、海洋科学技術に関する研究開発を推進するため、海洋科学技術センターにおきまして、水深二千メートル級潜水調査船による本格的な深海調査研究を実施するとともに、深海用無人探査機の建造に着手するほか、水深三百メートルまでの潜水作業技術の実海域実験に使用する海中作業実験船の建造を行う等総合海洋科学技術開発プロジェクトを進めることとし、これらに必要な経費として、同センターに対する政府出資金と補助金を合わせ五十億二千四百万円を計上いたしました。
 また、関係省庁の協力を得て、黒潮の開発利用調査研究、海洋遠隔探査技術の開発研究等を進めることとし、これらに必要な経費として一億九千六百万円を計上いたしております。
 第六に、重要総合研究等の推進といたしまして二百七十億円を計上いたしました。
 まず、ライフサイエンスの推進につきましては、理化学研究所のライフサイエンス部門におきまして、最高度の物理的封じ込め機能を有する遺伝子組みかえ研究施設の建設を進めるとともに、人工臓器等の研究開発を推進するための経費など十億四千五百万円を計上いたしました。
 防災科学技術の推進につきましては、地震予知研究として関東・東海地域における観測、研究を強化するための地殻活動観測網の整備を進めるとともに、岩槻、下総及び府中の深層観側井等の既設観測施設による観測、研究、平野部直下型地震の予知研究等を行うほか、地震防災関連研究、雪害対策研究等を実施するため、国立防災科学技術センターの予算を中心に二十二億二千二百万円を計上いたしております。
 次に、当庁の附属機関のうち、航空宇宙技術研究所の航空技術部門におきまして、短距離で離着陸が可能であり、かつ、低騒音を特徴とするファンジェットSTOL機の実験機の製作を前年度に引き続き行いますほか、航空技術に関する各種研究を実施いたしますため九十一億五千九百万円を計上いたしております。また、金属材料技術研究所及び無機材質研究所における極限科学技術関連材料など材料技術研究開発のための各種試験研究及びこれに関連する施設の整備のため必要な経費として五十三億七百万円を計上いたしております。
 理科学研究所につきましては、前述の原子力関係及びライフサイエンス関係に計上いたしました経費のほか、レーザー科学技術の研究等の各種研究を推進するための経費として六十九億二百万円を計上いたしております。
 資源の総合的利用方策の推進といたしましては、自然エネルギーの利用を中心とした地域エネルギー総合利用の実証調査を行うほか、資源調査所における各種調査等のため必要な経費として三億六千三百万円を計上いたしました。
 新技術開発事業団につきましては、前述の流動研究システムによる創造科学技術の推進のための経費のほか、新技術の開発を効率的に行うとともにその成果の普及を行うための経費として、同事業団に対する政府出資金と補助金を合わせ十九億七千七百万円を計上いたしております。
 第七に、国際協力の推進を図りますため、エネルギー分野及び非エネルギー分野における日米科学技術協力を初めとする先進国との科学技術協力に必要な経費として、日本原子力研究所、理化学研究所等に百四十三億二千万円を計上いたしましたほか、東南アジア地域等の開発途上国との科学技術協力に必要な経費として七千七百万円を、また、国際連合等国際機関との協力に必要な経費として二億八百万円をそれぞれ計上いたしました。
 第八に、科学技術振興基盤の整備といたしまして、まず、研究公務員の海外・国内研修等、研究基盤の強化等に必要な経費として四億二千百万円を計上いたしました。
 次に、日本科学技術情報センターにおける内外科学技術情報の収集、整理及び提供業務の充実を図る等、科学技術情報の流通を促進するために必要な経費として四十二億九千四百万円を計上いたしましたほか、科学技術の広報啓発活動の推進に必要な経費としまして二億一千二百万円を計上いたしております。
 第九に、昭和六十年に筑波研究学園都市において、国際科学技術博覧会を開催するための準備に必要な経費として百六十二億四千四百万円を計上いたしました。
 本博覧会は、科学技術の重要性に関する国民の理解を深めるとともに、科学技術の国際交流の促進に寄与すること等を目的として開催するものであり、昭和五十八年度においては、会場及び政府館の建設、政府出展展示物の製作等を行うことといたしております。
 以上、一般会計の歳出予算につきまして、その重要項目を御説明いたしましたが、次に、電源開発促進対策特別会計について御説明いたします。
 この特別会計につきましては、電源開発促進税を財源としておりますが、昭和五十八年度税制改正の一環として、電源開発促進税の税率を、現行の千キロワット時当たり三百円を四百四十五円に引き上げることといたしております。
 以下、歳出項目のうち科学技術庁分の重要項目につきまして、その大略を御説明いたします。
 まず、電源立地勘定におきましては、原子力施設の立地を一層促進する見地から、原子力施設の周辺地域の住民等に対する給付金の交付及び周辺地域における雇用確保事業の推進に必要な経費として十二億三千三百万円を計上いたしております。また、地方公共団体の公共用施設の整備に必要な交付金に充当するため二十一億八千百万円を計上いたしましたほか、放射線監視対策、原子力防災対策などの原子力安全対策等に必要な経費として六十億七千四百万円を計上いたしました。
 また、電源多様化勘定におきましては、高速増殖原型炉「もんじゅ」の建設、新型転換炉実証炉に関する研究開発等新型動力炉の開発を進めるとともに、使用済み燃料再処理技術の開発及びウラン濃縮原型プラントの建設等のウラン濃縮技術の開発に必要な経費として、動力炉・核燃料開発事業団に対する政府出資金と補助金を合わせ五百七十四億八千五百万円を計上するとともに、原子炉解体技術の開発、原子力施設の従事者の被曝低減化技術の開発、放射性廃棄物処理技術の開発等を推進する経費として三十七億六千九百万円を計上いたしました。
 以上、簡単でございますが、昭和五十八年度科学技術庁関係予算につきましてその大略を御説明申し上げました。
#13
○永田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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