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1982/02/09 第98回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第098回国会 建設委員会 第1号
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1982/02/09 第98回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第098回国会 建設委員会 第1号

#1
第098回国会 建設委員会 第1号
本国会召集日(昭和五十七年十二月二十八日)(
火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
のとおりである。
   委員長 村田敬次郎君
   理事 住  栄作君 理事 竹中 修一君
   理事 木間  章君 理事 中村  茂君
   理事 薮仲 義彦君 理事 林  保夫君
      足立 篤郎君    池田 行彦君
      金丸  信君    鴨田利太郎君
      川崎 二郎君    瓦   力君
      木村 守男君    桜井  新君
      田中 六助君    東家 嘉幸君
      野上  徹君    松永  光君
      松本 十郎君    村岡 兼造君
      小野 信一君    前川  旦君
      山花 貞夫君    横山 利秋君
      伏木 和雄君    近藤  豊君
      瀬崎 博義君    中島 武敏君
      甘利  正君
    ─────────────
昭和五十七年十二月二十八日
 村田敬次郎君委員長辞任につき、その補欠とし
 て松永光君が議院において、委員長に選任され
 た。
──────────────────────
昭和五十八年二月九日(水曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 松永  光君
   理事 鴨田利太郎君 理事 住  栄作君
   理事 竹中 修一君 理事 村岡 兼造君
   理事 小野 信一君 理事 木間  章君
   理事 中村  茂君 理事 薮仲 義彦君
   理事 小沢 貞孝君
      足立 篤郎君    池田 行彦君
      川崎 二郎君    瓦   力君
      桜井  新君    東家 嘉幸君
      野上  徹君    羽田野忠文君
      松本 十郎君    井上 普方君
      久保  等君    関  晴正君
      伏木 和雄君    近藤  豊君
      瀬崎 博義君    甘利  正君
 出席国務大臣
        建 設 大 臣 内海 英男君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 加藤 六月君
 出席政府委員
        国土政務次官  玉生 孝久君
        国土庁長官官房
        長       宮繁  護君
        国土庁長官官房
        会計課長    金湖 恒隆君
        国土庁計画・調
        整局長     白井 和徳君
        国土庁土地局長 小笠原正男君
        国土庁水資源局
        長       高秀 秀信君
        国土庁大都市圏
        整備局長    京須  実君
        国土庁地方振興
        局長      川俣 芳郎君
        建設政務次官  中村喜四郎君
        建設大臣官房長 豊蔵  一君
        建設大臣官房総
        務審議官    吉田 公二君
        建設大臣官房会
        計課長     牧野  徹君
        建設省計画局長 永田 良雄君
        建設省都市局長 加瀬 正蔵君
        建設省河川局長 川本 正知君
        建設省道路局長 沓掛 哲男君
        建設省住宅局長 松谷蒼一郎君
 委員外の出席者
        建設委員会調査
        室長      升本 達夫君
    ─────────────
委員の異動
昭和五十七年十二月二十八日
 辞任         補欠選任
  村田敬次郎君     唐沢俊二郎君
  前川  旦君     井上 晋方君
  山花 貞夫君     関  晴正君
  横山 利秋君     久保  等君
昭和五十八年一月二十日
 辞任         補欠選任
  田中 六助君     羽田野忠文君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  林  保夫君     小沢 貞孝君
二月九日
 理事大塚雄司君昭和五十七年十一月三十日委員
 辞任につき、その補欠として村岡兼造君が理事
 に当選した。
同日
 理事稲村利幸君昭和五十七年十二月二十七日委
 員辞任につき、その補欠として鴨田利太郎君が
 理事に当選した。
同日
 理事林保夫君一月二十五日委員辞任につき、そ
 の補欠として小沢貞孝君が理事に当選した。
同日
 理事中村茂君同日理事辞任につき、その補欠と
 して小野信一君が理事に当選した。
    ─────────────
昭和五十七年十二月二十八日
 住宅保障法案(中村茂君外五名提出、第九十六回国会衆法第二六号)
昭和五十八年二月八日
 道路整備緊急措置法及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
同月五日
 都市計画法に基づく線引き等の改廃に関する請願(阿部文男君紹介)(第二三二号)
 同(岸田文武君紹介)(第二三三号)
 同(大石千八君紹介)(第二九〇号)
 同(木部佳昭君紹介)(第二九一号)
 同(関谷勝嗣君紹介)(第三六六号)
 同(中西啓介君紹介)(第三六七号)
 道路整備促進に関する請願(清水勇君紹介)(第二三四号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 建設行政の基本施策に関する件
 国土行政の基本施策に関する件
     ────◇─────
#2
○松永委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび、私が建設委員長に就任いたすことになりました。本委員会はきわめて重要な使命を有するものでありまして、その職責の大きいことを痛感いたしております。
 微力ではございますが、誠心誠意、円満なる委員会の運営に努めたいと存じておりますので、委員各位の御協力を心からお願い申し上げる次第でございます。
 はなはだ簡単でございますが、就任のごあいさつといたします。(拍手)
     ────◇─────
#3
○松永委員長 まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。
 中村茂君より、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○松永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 ただいまの中村茂君の辞任による欠員のほか、委員の異動に伴い現在理事が四名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○松永委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に
      鴨田利太郎君    村岡 兼造君
      小野 信一君    小沢 貞孝君
を指名いたします。(拍手)
     ────◇─────
#6
○松永委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 建設行政の基本施策に関する事項
 都市計画に関する事項
 河川に関する事項
 道路に関する事項
 住宅に関する事項
 建築に関する事項
 国土行政の基本施策に関する事項
以上の各事項について、建設行政及び国土行政の実情を調査し、その運営を適正ならしめるため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めるため、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○松永委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ────◇─────
#8
○松永委員長 次に、建設行政の基本施策に関する件及び国土行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、建設行政の基本施策及び国土行政の基本施策について、建設大臣及び国土庁長官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。内海建設大臣。
#9
○内海国務大臣 建設行政の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し述べたいと存じます。
 御承知のとおり、最近のわが国経済の課題は、物価の安定を基礎としつつ、国内需要を中心とした景気の着実な回復を図り、持続的な安定成長を達成し、雇用の安定を確保する一方、行財政改革を着実に推進していくことにあります。
 このような情勢のもとで、政府としては、昭和五十八年度予算の編成に当たって、歳出規模を厳しく抑制するとともに、公債発行額を可能な限り抑制することとしたところであります。
 昭和五十八年度における建設省関係の公共事業については、こうした政府の方針に沿って、予算総額は前年度とほぼ同額ではありますが、財政投融資の活用等により所要の事業費の確保に努めたところであります。
 改めて申すまでもなく、建設行政の基本的課題は、社会資本の整備を通じて活力ある経済社会と充実した国民生活を実現することにあります。このため、現行の住宅建設、治水、都市公園、下水道、海岸、交通安全施設の各五カ年計画とあわせて、第九次道路整備五カ年計画、急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を新たに策定し、国民生活の維持向上、国土の安全性の確保及び国土の発展に資する諸施設の整備を、長期的視点に立って計画的に推進することとしております。社会資本の整備に当たっては、事業の重点的、効率的な執行等所管行政の合理化、効率化を図りつつ、地域の特性に応じ地域住民の要請に的確にこたえるとともに、環境にも十分配慮してまいる所存であります、特に、災害から国民の生命、財産を守ることは、政府の大きな使命の一つであり、従来にも増して災害の防止に努めてまいることとしております。
 私は、昨年十一月建設大臣に就任以来、このような観点に立って、建設行政の推進に努めてまいりましたが、昭和五十八年度予算の的確な執行等を通じ、今後とも、この責務を果たすことに全精力を傾注する所存であります。
 以下、当面の諸施策について申し述べます。
 第一に、住宅宅地対策であります。
 住宅は、潤いのある家庭生活の基盤をなすものであります。すべての国民が、その家族構成、世帯成長の各段階、地域の特性等に応じ、良好な住環境のもとに安定した生活を営むに足りる住宅を確保することができるようにすることを基本目標として、総合的な施策を展開してまいる所存であります。
 このため、住宅金融公庫の無抽選体制の維持及び貸し付け条件の改善、住宅取得控除制度の大幅な改善等金融、税制上の措置による良質な持ち家取得の促進に努めるとともに、公共賃貸住宅の建設戸数の確保、既成市街地における住環境整備とあわせた市街地住宅の供給の促進、既存住宅の増改築及び流通の促進、地域住宅計画の策定等の施策を推進してまいりたいと存じます。
 また、宅地対策については、地価の安定に留意しつつ、良好な宅地の計画的な供給を促進するため、宅地需給の逼迫している大都市地域を中心として、公的宅地開発の計画的な推進、政策金融等による優良な民間宅地開発の推進、関連公共公益施設の整備の推進等を図るほか、いわゆる線引きの見直しの促進と開発許可制度の適切な運用を図る等各般の施策を総合的に推進してまいりたいと存じます。
 第二に、都市対策についてであります。
 わが国においては、二十一世紀初頭には国民の約七割が都市に居住するものと見込まれており、こうした本格的な都市化社会の到来に適切に対応していく必要があります。このため、大都市についてはその高度の都市機能を維持しつつ、安全で潤いのある居住環境を確保するとともに、地方都市については周辺農山漁村を含めそれぞれの地域の特性を生かしながら定住するにふさわしい個性と魅力ある都市を形成することを目標として、長期的展望のもとに総合的、計画的に都市政策を推進してまいる所存であります。
 このような観点に立って、都市計画の総合的運用により、欧米先進諸国に比して立ちおくれている街路、公園、下水道等の都市基盤施設の整備を計画的かつ効率的に推進するとともに、土地区画整理事業、市街地再開発事業等を推進することにより、後世代に残る良好な都市資産としての市街地の整備を積極的に図ってまいる所存であります。
 さらに、この場合においては、避難地、避難路等の整備の推進、建築物の不燃化の促進等により、都市の防災構造化を積極的に推進してまいる所存であります。
 第三に、道路の整備についてであります。
 道路は、国土の均衡ある発展及び活力とゆとりのある地域社会の形成の基礎となる社会資本であります。これまで八次にわたり五カ年計画を策定し、その整備を着実に進めてまいりましたが、その整備水準はいまだ低い状況にあります。
 このため、道路交通の安全の確保、生活基盤の整備、生活環境の改善、国土の発展基盤の整備、維持管理の充実等についての国民の要請にこたえるため、新たに昭和五十八年度を初年度とする第九次道路整備五カ年計画を策定し、高速自動車国道から市町村道に至る道路網を体系的に整備する所存であります。
 なお、昭和五十八年度を初年度とする第八次積雪寒冷特別地域道路交通確保五カ年計画及び第六次奥地等産業開発道路整備五カ年計画を新たに策定し、事業の推進を図ってまいる所存であります。
 第四に、国土の保全と水資源の開発についてであります。
 わが国の国土は、洪水等の自然の脅威に対してきわめて弱い体質を持っておりますが、その保全施設の整備状況はいまだ低い水準にあります。御承知のように、昨年も長崎県を初めとして全国各地にわたり激甚な災害が発生いたしましたが、これらの災害に対しては、補正予算等の措置により従来より大幅に復旧の促進を図り、現在鋭意その事業の推進に努めているところであります。
 このような災害の発生を未然に防ぎ、国土の保全と国民生活の安定番図るため、第六次治水事業五カ年計画に基づき、重要水系河川対策、都市河川対策及び土石流対策を重点に、保全施設の整備促進を図るとともに、第三次海岸事業五カ年計画に基づき積極的に海岸事業の推進を図ってまいる所存であります。
 特に、多数の人命を奪うこととなったがけ崩れ災害の発生の状況にかんがみ、昭和五十八年度を初年度とする急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画を策定し、計画的かつ強力に事業を推進することにより、がけ崩れ災害の防止を図ってまいる所存であります。
 また、国民生活に不可欠な生活用水等の水資源の開発についても、長期的な水需要に対して安定した供給がなされるよう多目的ダム等の水資源開発施設の建設を促進してまいる所存であります。
 最後に、建設産業の振興等についてであります。
 国民経済上大きな地位を占め、建設行政の推進に重要な役割りを担っております建設産業については、元請、下請関係の改善、中小建設業者の健全な育成等その健全な発展を図るための施策をより強力に展開することにより、建設産業の振興に努めてまいる所存であります。
 なお、公共工事に係る入札制度の合理化対策等については、現在、中央建設業審議会において調査審議が進められているところであり、その結論が得られ次第、所要の改善措置を講じてまいる所存であります。
 不動産業については、標準媒介契約約款の定着及び不動産流通市場の整備を推進すること等により消費者の保護と不動産業の振興に努めてまいる所存であります。
 また、開発途上国に対する経済技術協力については、これを積極的に推進するとともに、建設業、建設コンサルタント等の海外活動を促進してまいる所存であります。
 なお、建築物に係る適正な設計、工事監理業務の確保、建築確認、検査の合理化等を図るため、諸制度の整備改善を行ってまいりたいと存じます。
 以上、諸般の施策について所信を申し述べましたが、いずれも国民生活に直結する重要なものでありますので、これを積極的に推進してまいる所存でありますが、その際、特に適正な業務の執行と綱紀の保持に努め、国民の信頼と期待にこたえる考えであります。
 委員長を初め委員各位の格別の御指導と御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。(拍手)
#10
○松永委員長 次に、加藤国土庁長官。
#11
○加藤国務大臣 国土行政の基本方針及び当面の諸施策について、私の所信を申し述べます。
 狭い国土、水資源開発のおくれ等の国土資源の面での制約に加え、人口の高齢化の進展、財政制約を初め最近のわが国をめぐる経済社会情勢はなお厳しいものがあります。
 このような状況の中で人と国土との調和を図りつつ、国民がより豊かで安定した生活ができるようにするためには、住みよい国づくり、地域づくりをより一層進め、国民に将来の希望と夢を持ってもらえるようにする必要があります。
 このような観点から、私は、以下に述べる諸施策を積極的に推進してまいります。
 第一は、国土計画の推進であります。
 まず、第三次全国総合開発計画の柱である定住構想の推進については、すでに、全国で四十四圏域のモデル定住圏計画が実施の段階に入っており、本年も、これらの計画の実施をさらに積極的に進めることとし、関係省庁による定住構想推進連絡会議を通じて、政府一体となって定住構想の推進に取り組んでまいります。
 また、昭和五十六年度より実施している田園都市構想モデル事業の着実な推進を図るほか、昭和五十七年度に創設された地域振興に関する各種情報の収集、提供を行う地域振興情報ライブラリーを拡充するなどの措置を講じてまいる所存であります。
 さらに、国土庁としては、現在国土審議会で鋭意進められている第三次全国総合開発計画のフォローアップ作業の成果を継承しつつ、新たな全国総合開発計画を策定するための準備作業に着手することとし、その一環として、昭和五十八年度においては、二十一世紀に至る人と国土に関する長期の展望を明らかにしてまいる所存であります。
 なお、関係省庁の公共事業を円滑に推進するため、引き続き国土総合開発事業調整費を活用し、事業及び調査の調整を行ってまいります。
 第二は、総合的な土地対策の推進であります。
 最近の地価動向を見ると、経済社会情勢の変化と一連の土地対策の展開等により、地価は比較的安定的に推移しております。このように土地をめぐる環境にやや落ちつきが見られる現在、国土庁としては、地価の安定傾向を長期的に定着化させていくとともに、今後の社会的要請に対応した的確な土地対策を確立し、国民生活の安定、国土の均衡ある発展のための基礎的条件を整備していくべきときであると考えております。
 このため、引き続き国土利用計画法による土地利用基本計画制度及び土地取引規制制度、農住組合制度、地価公示制度、国土調査事業等の土地対策を総合的に推進していくことに加え、公共の福祉を優先させた合理的な土地利用を従来以上に積極的に促進するための方策等についても検討を進めてまいりたいと考えております。
 第三は、総合的な水資源対策の推進であります。
 水は人間の生命、生活に欠かすことのできない資源であると同時に、産業経済活動を支える重要な資源であり、水需給の安定を図ることは国土行政を推進する上で基本的な課題の一つであります。
 このため、水源地域対策の充実を図り、水源地域住民の理解と協力を得て積極的に水資源開発を促進してまいります。
 また、「水の週間」行事の実施、雑用水利用の促進等水資源の有効利用に努めるとともに、緊急に対策を要する地域についての地盗沈下防止等対策要綱の策定等地下水利用の適正化を推進してまいります。
 さらに、近年における経済社会情勢の変化等に対応し、二十一世紀を展望した新しい長期的水需給見通しの検討に着手することとしております。
 第四は、大都市圏整備の推進であります。
 まず、三大都市圏の均衡ある開発整備については、引き続き整備計画等の実施を積極的に推進するほか、首都東京について、長期的観点からの首都改造計画の策定に向けての調査検討を一層深めてまいるとともに、近畿圏及び中部圏についても、おのおの新しい近畿の創生計画及び東海環状都市帯整備計画の策定を推進いたします。
 また、大都市への人口移動の終息など近時の大都市をめぐる新たな状況に的確に対処するための大都市圏整備制度の総合的、基本的な検討に取りかかります。
 さらに、筑波研究学園都市の育成整備、琵琶湖総合開発の推進、関西学術研究都市の建設など各地域の総合的整備についても積極的に取り組んでまいります。
 第五は、地方振興の推進であります。
 まず、国土資源に多くのゆとりを残している東北地方を初め、北陸、中国、四国及び九州の各地方について、引き続き地方開発促進計画を推進するとともに、新産業都市及び工業整備特別地域の建設、整備を進めてまいります。
 また、地域の自然や伝統を生かした魅力ある町づくり、生活環境と生産環境の調和した豊かな村づくりを進めるため、地方都市及び農山漁村の総合的整備を図ってまいります。
 過疎地域、振興山村、豪雪地帯、離島、特殊土壌地帯や奄美、小笠原諸島など自然的、社会的に厳しい条件に置かれている地域については、各種の特別事業の実施、生活及び生産環境の整備等を進めることにより、引き続きその計画的、総合的振興を推進してまいります。
 第六に、災害対策についてであります。
 昨年は七月の長崎県を中心とした豪雨災害を初め、台風第十号、十三号、十八号等が相次いで上陸し、全国的に多大な被害をもたらし、その被害額は史上最大の規模となっております。災害から国土を保全し、国民の安全を守ることは、国政の基本であり、治山治水対策を初め、地震防災対策、豪雪対策、活動火山対策等各般の災害対策を総合的かつ積極的に推進してまいります。
 特に、災害復旧の重要性にかんがみ、昨年の災害に係る復旧事業について、その促進を図ってまいります。
 震災対策につきましては、東海地震対策として大規模地震対策特別措置法及び地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づき、防災体制の充実、避難地、避難路の整備等の地震対策緊急整備事業の円滑な実施を図るとともに、関係税制の整備を行うなど、その対策を一層推進いたします。
 また、災害応急対策の充実、都市防災性の強化等大都市震災対策の一層の推進を図るため、南関東地域を対象とする地震被害想定調査の取りまとめを行うとともに、その結果を踏まえ、震災応急対策調査を実施することとしております。
 さらに、災害時における情報の収集伝達等のための防災関係機関相互間の無線通信体制の整備を進めることとし、このため、新たに通信室を設置することとしております。
 最後に、国際化の推進であります。
 国土庁は、従来より所管行政について積極的に国際協力を行ってまいりましたが、昭和五十八年度においては、新たに都市等の国際交流の推進に資する戦略の確立及び開発途上国における水資源開発を中心とした総合的な地域開発計画の策定に関する技術協力推進体制の整備を図ることとしております。
 以上、国土行政に関する所信を申し述べましたが、これらの施策の強力な推進に全力を挙げて取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
#12
○松永委員長 次に、昭和五十八年度建設省関係予算及び昭和五十八年度国土庁関係予算について、その概要説明を聴取いたします。中村建設政務次官。
#13
○中村政府委員 建設省関係の昭和五十八年度予算について、その概要を御説明いたします。
 建設省所管の一般会計予算は、歳入百九十九億七千余万円、歳出四兆六百十五億五千百余万円、国庫債務負担行為五千三百四十九億五千三百余万円でありますが、建設省に移しかえを予定されている総理府所管予算を合わせた建設省関係の一般会計予算では、歳出四兆六千二百三十九億一千百余万円、国庫債務負担行為五千六百九十五億九千余万円を予定いたしております。
 次に、建設省所管の特別会計について、まず、道路整備特別会計では、歳入歳出とも二兆一千九百五十七億九千八百余万円、国庫債務負担行為二千四百九十億四千百万円、治水特別会計では、歳入歳出とも一兆一千百七十九億七千八百余万円、国庫債務負担行為二千六百六十九億五千百万円、都市開発資金融通特別会計では、歳入歳出とも四百八十億三千九百余万円を予定いたしております。
 また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省所掌分については、歳出五十六億三千百余万円、国庫債務負担行為四十五億六千百余万円を予定いたしております。
 建設省といたしましては、以上の予算によりまして、住宅宅地対策、都市対策、国土保全・水資源対策、道路整備等各般にわたる国土建設施策を推進してまいる所存であります。
 なお、建設省関係予算の事業別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります昭和五十八年度建設省関係予算概要説明によりまして、御承知を願いたいと存じます。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。(拍手)
#14
○松永委員長 次に、玉生国土政務次官。
#15
○玉生政府委員 総理府所管のうち国土庁の昭和五十八年度一般会計歳出予算について、その概要を御説明いたします。
 国土庁の一般会計歳出予算は、二千四百十八億一千二百余万円を予定しておりまして、前年度予算に比べ、八億四千三百余万円の増加となっております。
 その主要な内容は、
 第一に、第三次全国総合開発計画の定住構想の促進を図るための国土計画の推進
 第二に、地価の安定、適正な土地利用の促進等の総合的土地対策の推進
 第三に、水資源の開発、水源地域対策の充実、水資源有効利用の促進等の総合的な水資源対策の推進
 第四に、良好、安全な都市環境の整備を図るための大都市圏整備の推進
 第五に、人口の地方定住を促進し、国土の均衡ある発展と活力ある地域社会の形成を図るための地方振興の推進
 第六に、地方都市の開発整備、工業の再配置及び産炭地域の振興を図るための地域振興整備公団の事業の推進
 第七に、国土を保全し、国民の生命、財産を災害から守るための総合的災害対策の推進であります。
 国土庁予算の重点施策の概要につきましては、お手元に配布してあります昭和五十八年度国土庁予算概要説明によりまして御承知願いたいと存じます。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。(拍手)
#16
○松永委員長 以上で概要の説明は終わりました。
 次回は、来る十六日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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