くにさくロゴ
1982/02/22 第98回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第098回国会 運輸委員会 第2号
姉妹サイト
 
1982/02/22 第98回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第098回国会 運輸委員会 第2号

#1
第098回国会 運輸委員会 第2号
昭和五十八年二月二十二日(火曜日)
   午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 原田  憲君
   理事 三枝 三郎君 理事 三塚  博君
   理事 宮崎 茂一君 理事 福岡 義登君
   理事 吉原 米治君 理事 西中  清君
   理事 中村 正雄君
      越智 伊平君    鹿野 道彦君
      久間 章生君    小山 長規君
      近岡理一郎君    津島 雄二君
      細田 吉藏君    井岡 大治君
      小林 恒人君    下平 正一君
      浅井 美幸君    辻  第一君
      四ッ谷光子君    中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 長谷川 峻君
 出席政府委員
        内閣審議官   林  淳司君
        運輸大臣官房長 犬井 圭介君
        運輸大臣官房総
        務審議官    西村 康雄君
        運輸省鉄道監督
        局長      永光 洋一君
        運輸省自動車局
        長       角田 達郎君
        運輸省航空局長 松井 和治君
        海上保安庁長官 永井  浩君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   三上 和幸君
        大蔵省銀行局保
        険部保険第二課
        長       田中  寿君
        日本国有鉄道総
        裁       高木 文雄君
        運輸委員会調査
        室長      荻生 敬一君
    ─────────────
二月十六日
 東北新幹線水沢駅及び花巻駅の設置に関する請願(小沢一郎君紹介)(第五七六号)
 国鉄岩泉線の存続に関する請願(小沢一郎君紹介)(第五七七号)
 地方交通線の維持等に関する請願(下平正一君紹介)(第五七八号)
 同(下平正一君紹介)(第六八四号)
同月十八日
 国鉄列車ダイヤ改正に関する請願(井出一太郎君紹介)(第七九六号)
 同(小川平二君紹介)(第七九七号)
 同(小沢貞孝君紹介)(第七九八号)
 同(唐沢俊二郎君紹介)(第七九九号)
 同(串原義直君紹介)(第八〇〇号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第八〇一号)
 同(小坂善太郎君紹介)(第八〇二号)
 同(清水勇君紹介)(第八〇三号)
 同(下平正一君紹介)(第八〇四号)
 同(中村茂君紹介)(第八〇五号)
 同(羽田孜君紹介)(第八〇六号)
 同(宮下創平君紹介)(第八〇七号)
同月二十一日
 国鉄の分割・民営化反対等に関する請願(三浦久君紹介)(第九五七号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
二月十七日
 離島航路に対する財源援助の強化に関する陳情書(福岡市博多区千代四の一の二七九州谷県町村議会議長会協議会会長原口栄弘)(第六六号)
 自動車交通総量の削減のための交通流・量対策推進に関する陳情書(十都道府県議会議長会代表大阪府議会議長吉村鉄雄外九名)(第六七号)
 地域の公共交通確保に関する陳情書外一件(鳥取県議会議長広田藤衛外一名)(第六八号)
 国鉄青函連絡船の存続運航に関する陳情書(函館市議会議長越前達郎)(第六九号)
 国鉄特定地方交通線第二次線の選定凍結に関する陳情書(北海道議会議長松浦義信)(第七〇号)
 国鉄志布志線・大隅線廃止反対に関する陳情書(都城市長瀧内正)(第七一号)
 国鉄伊勢線の存続に関する陳情書(三重県安芸郡河芸町議会議長舟田八蔵)(第七二号)
 国鉄分割、民営化反対等に関する陳情書外四件(香川県三豊郡三野町議会議長山本秋広外四名)(第七三号)
 国鉄足尾線・真岡線の存続に関する陳情書外七件(鹿沼市長古澤俊一外七名)(第七四号)
 国鉄自動車の存続に関する陳情書外二十件(岩手県九戸郡軽米町議会議長中野徳松外二十名)(第七五号)
は本委員会に参考送付された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 陸運、海運、航空及び日本国有鉄道の経営に関する件等(運輸行政の基本施策)
     ────◇─────
#2
○原田委員長 これより会議を開きます。
 陸運、海運、航空及び日本国有鉄道の経営に関する件等について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三枝三郎君。
#3
○三枝委員 先日、当委員会におきまして、運輸大臣は、運輸行政の諸問題につきまして、最近の内外の情勢に適応した基本的な方針をお示しになりました。そして、運輸行政の推進に当たって、当面の諸問題に対する的確な施策をお述べになりました。私どもも深くこれを理解するものであります。
 そこで、きょうは私は幾つかの問題を重点的に取り上げまして、さらに大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。質問の内容によりましては、関係の局長にお伺いいたしたいと思います。
 大臣は、先般の所信表明の第一に日本国有鉄道の事業の再建をお取り上げになったのでございます。大臣のお考えは、「国鉄の経営は未曾有の危機的状況にあり、いまやその事業の再建は、一刻の猶予も許されないきわめて重大な課題であると考えております。」とおっしゃっておりますが、まさにそのとおりでないかと思います。すでに国鉄は年間一兆円を超す赤字を出しておる。さらにそれがふえる傾向にあるということで、まさに大臣のおっしゃるとおり、これは未曾有の危機でないかと思います。
 そこで、臨時行政調査会も答申を出しております。大臣のお述べになった中でも、「経営形態の変更を含め国鉄の抜本的な改革方策が提言され」ておられる、こうなっております。そこで、この臨調の答申の対応などを含めまして、国鉄の事業再建について基本的に大臣はどのようにお考えになっておられるか、これをまずお伺いいたしたいと思います。
#4
○長谷川国務大臣 三枝委員御指摘のとおり、国鉄はまさにもう断崖絶壁に立っていると思うのです。私も皆さん方と同様にこの委員会に昭和二十八年から所属をして、時折皆さんと一緒に話をしたことがありますけれども、本当に時代の変遷によりまして国鉄の財政は危機的状況を通り越している。これは、ありとあらゆる角度から国民世論がいろいろなところで見ているわけでありまして、日本の交通体系の中心をなす国鉄、このままではだめだ、こういうことからしまして、臨時行政調査会でも国鉄再建に関する問題等々を出して、それを受けまして、この国会に国鉄監理委員会法案というものを御提出申し上げて、御審議をお願いしているところであります。
 私は、国鉄の諸君も政府の方も、いまの段階において職場規律とか、あるいは職員を新しく探らないとか、あるいはパスを出さないとか、さらにはまた兼職をやめるとか、いろいろなことで努力をしておりますが、一日も早く本当にそうしたことが実行されつつ、この国鉄監理委員会法案が通過した暁において、この国鉄の再建についてどういうふうにされるかというところをよく御審議願いたい、こう思って委員会法案の成立を心から御期待申し上げ、そして皆さんと御同様に、労使協調の中において、どんな形になろうとも労使が一生懸命にならなければだめですから、そういう形において国鉄が再建されることをこいねがっているものであります。
#5
○三枝委員 ただいまお答えにありましたように、この国鉄再建監理委員会の法案をぜひとも通さなければならない、まさにそのとおりであろうと思います。
 そこで、さらにお伺いいたしたいのでありますが、昨年の九月に「日本国有鉄道の事業の再建を図るために当面緊急に講ずべき対策について」ということで閣議決定があったわけであります。すでに国鉄は、再建のために再建計画を実施中でございます。そして臨調の意見具申もある。さらに、いま大臣のお述べになりました基本的な解決の方法として再建監理委員会の法律を早く上げなければならない。こういった一連の問題につきましてこれをどうつないでいくか。現にいま再建計画に基づいて、いま大臣のお話にありましたように、労使協調してこれに当たっている。しかし、もうすでに赤字を出して、それがふえる一方である。閣議決定がある。臨調の意見具申もある。そして再建監理委員会の法案も、これを早く審議して一刻も早く成立を見なければならない。これらの一連の事項についてこれをどういうぐあいにつないでいくのか。その間の調整といいますか整合性といいますか、その辺をどのようにお考えになっておられるか、どのようにお取り組みになられるか、これをお聞かせ願いたいと思います。
#6
○長谷川国務大臣 何といいましても、国鉄は約三十数万の従業員がいるわけであります。そして日本全体の交通体系の基礎をなしておりますから、将来再建監理委員会がどういう案を、臨調の方は分割、民営という原則などを出しておりますが、その再建監理委員会においてどういうふうな話が出るにいたしましても、この三十数万、特には要員を節減し合理化していくというふうなことなどがありますが、国民が金を出してもいいんだ、こういうふうな理解、そういうふうな信用、これがやはり一番みんなが期待しているところじゃないでしょうか。
 けさも私は六時のテレビを見ておりますと、広島の鉄道管理局では、切符を売るときにありがとうという姿勢、お客さんにどういうふうに態度を出すかという姿勢、こういうものを改めて勉強しているのですね。相手があって初めて物が売られ、そして相手が利用して国鉄が伸びることですから、そういうふうな基本的なことまでいま考えているのは少し遅かったけれども、そういうふうな姿勢を出して、その中から国の方でもしっかり税金を出してでも援助申し上げよう、やはりこんな姿勢を出していただくことが一番大事だ。その信用確保ということが委員会法案を御審議いただくときにも一番大事なことです。それを助長し、それを育成申し上げて御加勢申し上げるというのが私たちであり、また国会の方々の姿じゃなかろうか、私はこう思っておりまして、また、それをどういうふうにつないでいくかという具体的な問題については政府委員から御答弁させたい、こう思っております。
#7
○永光政府委員 国鉄の再建につきましては、現在の危機的状況から昭和五十四年に閣議了解を行いまして、これに基づいて再建法ができまして、それによります改善計画を実施中でございます。さらに、先生がお述べになりましたように臨調の答申があり、閣議決定があり、今後国鉄の抜本的な対策を樹立するために監理委員会の設置につきましての法案をお願いしておるわけでございます。
 いずれにしましても、国鉄の現在の状況は一刻の猶予も許されない状況でございますので、われわれとしては、現時点におきましては、経営改善計画に基づき、あるいは閣議決定に基づく緊急対策を積極的に実施し、できるだけ国鉄が合理化し、スリムな形になるということをやっていきたい。かたがた抜本的な方策を今後われわれとして、あるいは今後設置を予定されております監理委員会等におきましていろいろ協力をしながらやっていきたい、こういうふうに考えております。
#8
○三枝委員 いま大臣のおっしゃったように、これらの問題を解決する基本の一つとして国民の信用を求めなければならない、信頼を受けなければならない、まさにそのとおりであろうと思います。
 そこで、この国民の信用、信頼という点に関係しまして、大臣の先般の所信表明の中にも地方交通線の整理の促進というのが入っております。この地方交通線の整理の促進についてでございますけれども、大臣すでに御承知のとおり、この地方交通線の整理につきましては全国知事会初め六団体はすでに反対の表明をしております。たとえば知事会におきましては、昨年の十一月に書面を出しておりますけれども、この中に、特定地方交通線対策協議会の会議が緒についたばかりである、そしていまいろいろと話し合っている、しかし、これは上手に取り組んでいかないと地域住民に不安と動揺を与える、いたずらに地域における混乱を招来する、そして地方行政に大きな影響を及ぼす、そういうことになりかねない。現に私の選挙区を含んでおります北海道におきましては非常に多くの対象路線がございまして、一次、二次を含めまして全部で二十二線区、千四百五十六キロという膨大な路線が対象になっております。そして、いま大臣のおっしゃいました国鉄の改革案について信頼をするという点では、残念ながら地元におきましては全く逆の考え方で解決を求めております。
 特に北海道の場合について申しますと、御承知のように全国の二〇%の面積を持っておりまして、人口は五%にすぎない。したがって、この輸送密度を取り上げて全国一律に当てはめていきましても、国鉄のこの地方路線の整理についての基本的な考え方の中に、地域の実情に即して、それから地域の人たちと十分に話し合ってということで進めておりますけれども、こういった特殊の事情を持っている各地域の状況を十分把握されて解決の方向に進んでいると思いますけれども、もう一度この問題について、特に地方線の整理の問題につきまして大臣の基本的なお考え方をお示し願えれば幸いでございます。
#9
○長谷川国務大臣 北海道だけではございませんで、国鉄がずっと延びる間には開拓のお手伝いをしたということが非常に多かろう、私はこう思います。そういう中から、鉄道を敷いたものの最近のこのモータリゼーションの結果、ほとんど鉄道を使わないで風やら空気を運んでいる、こういう実情もまた私は自分の選挙区でも見るわけです。そこにはやはり人間が張りついて働いております。ところが、電車が通りませんから働く時間がない。見てる者は遊んでいる。こんなことからしますと、やはり時折時代の変化に応じて、モータリゼーションに相応じて地方に何か転換の道がないか。バス輸送ということもあるでしょうし、あるいはまた、そのほかの第三セクターという話もあるだろうしというふうなことが今日の考え方でございまして、第一次指定いたしました後でもそれはよくひとつ御協議を願いながら、ときに転換の道を図っていただいたところもあり、あるいはまた第三セクター等々によって新しい知恵を出す、そこにまた建設のために国の方から建設費を出している、こんなことなどもあり、一方においては、御協議いただきます間に地方での話は十分にひとつお聞きして、地方の実情の中から決定をいままでしてきたわけでありまして、全体的に地方の方々の話を聞き、それをまたろ過しながらいまのような原則の中に御協議をいただいて、国鉄の赤字解消、そして働く諸君が遊ばないでびりっとやれるような姿勢を見せるというのも大事じゃなかろうかと考えております。
 なお、北海道の具体的な問題については関係当局から答弁させます。
#10
○永光政府委員 北海道につきましては、これはもうローカル線対策を再建法でお願いしたときから特殊な地域的な環境があり、事情があるので、基準について特段の配慮をしたらどうかということとでいろいろ議論があったわけでございますが、一応基準は一律でお願いをいたしましたのでありますが、いま大臣が申し上げましたように、実際に転換を図る協議会の場におきましては、その地域の実情等を十分に考えながら相談をし、適正な転換方策を求めていきたい、かように考えております。
#11
○三枝委員 いま大臣のお答えにもございましたとおり、地方の路線の実態というものを十分把握して、この実態を地元に十分に承知させ、そしてまた、地元の意見も十分にお聞きになって進めていくということでございますので、なお一層その方向で御検討願えれば幸いでございます。
 国鉄につきましてもう一つだけお伺いいたしたいと思いますが、国鉄の再建の大きなガンになっております中で、非常に成熟度の高い国鉄共済年金の問題がございます。この問題につきましては、これは国鉄だけの問題ではなくて、すべての年金制度がいずれ将来そのような状況になるであろうということが予想されるわけでございますので、この年金問題についての考え方をどのようにされておりますか、これは鉄監局長で結構でございます。
#12
○永光政府委員 国鉄共済年金の実情がきわめて切迫しておることは御承知のとおりでありまして、非常に掛金が高うございますが、発足が非常に古かったということ、あるいは成熟度が非常に高いということ等の原因によりまして、国鉄の共済制度はこのままでありますと六十年度には破綻をするという実情になっております。
 これにつきましてわれわれとしてもいろいろ苦慮いたしておりましたのですが、臨調答申あるいはそれを受けましたところの昨年九月の閣議決定によりまして、いわゆる公的年金制度の統合という問題が起こりまして、その一環といいますか、そのまず第一段階として国家公務員共済組合法とそれから公共企業体共済組合法を統合して、そしてまず公的年金制度の第一段階としての統合を図るということを決めました。現在その関係の法律案を通常国会に提出する予定にいたしておりまして、目下大蔵省を中心に政府部内において調整を行っておる段階でございまして、大蔵省から国家公務員共済組合審議会にも諮問をしておる段階でございます。運輸省としても本問題の重要性にかんがみまして、関係者の理解を得ながら具体化に進んでいきたい、かように考えております。
#13
○三枝委員 大臣は先般の所信表明の第二番目に、運輸関係社会資本の整備について取り上げられております。そこで、これに関連しましてお聞きいたしたいと思います。
 大臣の所信の中にも述べられましたように、いまの財政状況は非常に厳しい。しかし、厳しい中にあっても産業活動や国民生活の基盤である運輸施設の整備を計画的に、かつ着実に進めていかなければならないとおっしゃっております。まさにそのとおりだと思います。そういう観点からお伺いいたしたいのでございますが、大阪の泉州沖の関西空港のことでございますが、いま私どもの経済社会の国際化というのが非常に大きく取り上げられております。二十四時間運用可能な空港というのはいま日本にないわけであります。そういった点でこの関西空港の建設というものは非常に期待されておりますし、また、国内におきましても、国内の各地から関西地域との結びつきを空港によってやりたいという希望が非常に多く出ております。
 そこで大臣にお伺いをいたしたいのでございますが、来年度の予算に着工準備の調査費を計上しておりますけれども、今後どのようなスケジュールでこれを進めていくのか、要点で結構でございますが、お伺いいたしたいと思います。
#14
○長谷川国務大臣 永光鉄監局長が国鉄の共済についてお話し申し上げましたが、それに私も一言つけ加えておきます。
 国鉄の従業員の精神安定にはこの共済制度というのは大変なことだ、こう思っております。ですから、今度の国会にようやく他の公社の諸君も出していただくようなかっこうになって共済が一本化していく、これはもちろん国鉄の当局もそうですが、組合の諸君も組合同士で話をしたりしてやっておる実情の中からそういうふうな体系ができて、まさに私は本当にすばらしい前進である、まあ一歩前進ですが、前進である、こう思っております。
 さらに、ただいまの関西新空港の問題でございますが、おっしゃるとおり、財政が苦しい中においても将来に社会資本の充実をさせて国民に夢を持たす、そして産業の発展の起爆剤というものをつくっていくということが政治の大事な要諦じゃなかろうか。おっしゃるとおり、日本はこんなすばらしい国と言われながらも二十四時間空港は一つもございません。成田も、開港はいたしましたものの夜は明かりがついたままで、飛行機が飛ぶわけにまいりません。そうしますと、これは日本全体の問題として新しい空港をつくりたいという世論が起こっておりましたが、幸いにいたしまして泉州沖ということに決定をし、調査を四年間ほど続けた結果、今度の予算の中において約四十億、そしてこれは新しい項目を立てまして、着工準備費、着工を前提にした準備費ということでございまして、私は一歩前進である、こう思っております。
 ここまで来た以上は、ひとつ成田空港のようなああいうことにならぬように、教訓を生かしつつ、地元の協力、そして私たちも熱心にこれを予算をつける形において、将来この予算が通過した後では関係閣僚会議等々を早速開くようにいたしまして、いろいろな問題を一つ一つ片づけてまいりたい。そして安心のいくような姿においてすばらしい空港をつくって、二十四時間空港、それが関西の復権にもなるでしょうし、またさらに、いま世界からたくさん飛行機乗り入れがございますが、どこもかしこもいっぱいでございますので、そういうものに応じていくことが、とかく経済摩擦等々を生じ、国際協調を言われる時代ですから、それにも役立つことじゃなかろうか、こう考えて諸般の準備を進めているようなわけです。
#15
○三枝委員 いま大臣のお言葉の中に、成田空港のようなことのないようにというお話がありましたが、まさにそのとおりではないかと思います。世界の空港を見ましても、特に首都の国際空港を見ましても、相当多数の警察でこれを守らなければ安全な運航が図れないというような空港は成田空港以外に見当たらないわけで、まさに屈辱的なものではないかとすら思われるのでございます。どうかこの教訓を生かしまして、いま大臣のお話しになりましたように安心できる空港の建設ということで、一日も早く着工に持っていくようにお願いいたしたいと思います。
 そこで、成田空港の問題でございますけれども、先般来燃料の輸送、パイプラインの問題で大分ごたごたあったわけでございますが、これについて航空局長に、パイプラインの建設は予定どおり進んでいるかどうか、これを簡単にお答え願いたいと思います。
#16
○松井(和)政府委員 成田空港のパイプラインの建設につきましては、おかげさまで関係者の理解と協力のもとに順調に工事が進んでおりまして、五十七年度、つまり本年度で物理的な工事はすべて完了いたします。残されます仕事といたしましては、パイプの中を洗浄するという仕事、あるいは計器類等の試運転を行うというような仕事が残されるわけでございますが、これを五十八年度早々から行いまして、できますならばことしの九月に運用開始をするということをめどに現在作業を進めておるというところでございます。
#17
○三枝委員 成田空港はそのような状況でございますけれども、大臣御承知のように、いま成田につきまして都心部に入るのには相当時間がかかるわけです、これは道路の問題でございますけれども。そこで羽田空港の沖合い展開が、これはやはり首都の空港として、成田空港を補完するものとして一刻も早く整備しなければならない、私はそう考えておりますが、いまの非常に混雑をしている状況の中で、羽田の沖合い展開というものを相当早く進めていただきたい。
 それから、これは所管外でございますけれども、閣議等の場におきまして、いまの成田空港から都心部に入るこの混雑の状況、特にラッシュアワーのときにはもう二時間以上もかかるというような、ちょっと海外の首都における空港では見られないような状況があるわけでございますので、こういった問題解消につきましても大臣の積極的な取り組み方をひとつお願いいたしたいと思いますが、御意見はいかがでございましょうか。
#18
○長谷川国務大臣 羽田空港の沖合い展開計画の今後のスケジュールについて御報告を申し上げますと、これは首都圏における国内航空交通の拠点としての機能を将来にわたって果たすために、懸案であった航空機の騒音問題の抜本的解決を図り、東京都が実施しておりますところの羽田沖廃棄物埋立地を活用いたしまして、そして現空港沖合いに展開するものであります。年末に東京都知事などからこの予算をどうぞひとつつけてもらいたいという運輸省への陳情もありました。ようやくこれは予算がつきました。
 そこで、これは三期にわたって分割してやりますけれども、まず滑走路一本を新設する第一期工事は六十年代前半、ターミナル地区の整備を中心といたします第二期工事は六十年代半ばに供用して、残る一本の滑走路の新設及び移設を行って全体事業を六十年代の後半に完成する予定、こういうふうになっております。
 なお、詳細につきましては局長の方から御答弁いたさせます。
#19
○松井(和)政府委員 ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおりでございまして、羽田の場合には幸いにしてと申しますか、沖合いに、東京都の廃棄物の埋立地で空港に接しておる部分はすでに陸地化しております。来年度からそこの地盤改良に取りかかる予定でございまして、私どもといたしましては、とりあえず現在のメーンのC滑走路の沖合いにもう一本の滑走路をつくる、この仕事だけはできるだけ早くやりたいというふうに考えて、東京都との間でも調整を進めておるところでございます。その後、第二期工事、第三期工事ということで完全に沖合いに展開を終わります時期を、ただいま大臣御答弁申し上げましたとおり、六十年代後半に置いておるわけでございまして、地元も完全に意見が一致しておりますので、あとは予算を獲得し、工事を順調に進めていくということが残されるわけでございまして、私どもといたしましては、御指摘のように、羽田の現状から見まして、できるだけ早急に羽田の工事を進めていくというつもりで仕事を進めておるところでございます。
#20
○三枝委員 次に、地方の空港の問題についてお伺いいたしますが、北海道の千歳空港でございます。
 御承知のように、いま北海道と本州との間では人、物の交流といいますか、行き来が非常に盛んでございますし、すでに青函トンネルも先進導坑が貫通したというような状態でございますけれども、何といってもいま一番大きな諸般の交流の媒体は空路でございます。そういう意味で、いま千歳の空港については新しい空港の建設が進められておりますが、現空港の利用状況について冬期間非常に大きな問題になっているのは、ちょっとした積雪で空港が閉鎖になる。カナダとかあるいはアラスカとか北欧の空港に比べて、積雪寒冷の北海道あるいは東北、裏日本の空港については積雪による閉鎖ということがはるかに多いわけでございますので、これの解決方法はどの程度進んでおられるか。以前私はこの委員会でお伺いしたことがありますが、相当進んでいるのかどうか、その現状を局長にお伺いいたしたいと思います。
#21
○長谷川国務大臣 これは、あなたが大変御熱心にこの委員会なりあるいはまた役所の方にも御推進いただいた、本当にそういう陰のお力もございまして、従来は百二十分ぐらいかかったものを四十分程度まで縮めることができて、乗りおりするお客さんに不便をかけないというところにきておることをこの際に改めて御礼申し上げながら御報告いたします。
#22
○三枝委員 こちらこそお礼を申し上げたいところでございます。
 ところで、いま新しい空港が現空港から少し離れたところに建設中でございますが、この建設の進捗状況というのはきわめてのろいということが言われております。これは用地の買収に相当手間取っているようでございますけれども、そのテンポが非常におくれていることを利用するというのはちょっと語弊がありますけれども、現在の千歳空港と札幌に行く国鉄の結びつきが非常にうまくいっている。千歳空港駅というのを臨時に国鉄はつくりまして、もう百万単位の利用客がすぐに見られたというような好成績を上げております。臨時にと申し上げましたのは、いま進めております新千歳空港ができ上がった際は、この千歳線の空港駅をどう持っていくかということで、いま成田空港の地下駅もございますが、これは利用されておりませんけれども、新千歳空港への本格的な干歳線の地下乗り入れをこの際やはり基本計画の中に入れておくべきでないか。御承知のように、あそこは火山灰土が非常に地質として多うございますので、いまのうちにオープンカットで工事をすると非常に安上がりで容易にできるという利点がありますので、たしか基本計画には千歳線の地下乗り入れについてはまだ入ってないはずですけれども、この際この千歳線を新千歳空港の地下駅として乗り入れる、そういう御方針で計画を進めていただきたいということを希望いたしますが、この基本的なお考えについて大臣にお伺いいたしたいと思います。
#23
○長谷川国務大臣 いまのお話は、運輸省におきましても新千歳空港施設整備の進捗状況を配慮しながら国鉄経営上に与える影響についても考えておりまして、輸送需要の動向あるいは投資採算性を勘案しながら検討してまいる、こういうことですが、国鉄においても具体的な検討を進めているということを聞いております。
#24
○三枝委員 ぜひその方向で検討を進めていただきたいと思います。
 時間が参りましたのでこの辺で質問を打ち切りますが、非常に的確な要領を得ました御答弁をいただきまして心から感謝申し上げまして私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#25
○原田委員長 小林恒人君。
#26
○小林(恒)委員 先般当委員会で明らかにされました運輸大臣の所信表明にかかわって若干の御質問を申し上げたいと思います。
 ただいまも三枝委員の方からの御質問の中にもございましたが、大臣が第一番目に取り上げておりますのは国鉄再建にかかわっての事柄だとお見受けをいたします。昭和五十五年に、その以前からも何回か国鉄の再建計画というのは打ち出されてきて、五十五年の段階で国鉄再建特別措置法が提起をされ、いわゆる三十五万人の要員で、あるいは特定地方交通線の廃止、省力化政策その他多くのものが打ち出されましたけれども、今回さらに臨調の第三次答申に基づいて、俗称言われております監理委員会の設置等を内容とする方向がまたまた明らかにされてまいりました。
 ここで私は一つだけ御質問申し上げておきたいと思うのでありますが、過般の国鉄再建のための特別措置法の際にも、昭和六十年くらいまで具体的に進めていけば大体十年くらいで国鉄は黒字に転換をしていく目安がつく、こういうことが盛んに言われました。今回示されようとしている監理委員会設置法の中では、第三次答申に沿ってということが明確にされておりますし、この中では民営化あるいは分割化という問題がありまするから、私は抜本的に性格は異なるとは思いまするけれども、現行大変増大をしてきている長期債務、それからただいまも議論になってきている年金会計の赤字、こういった問題などをも含めて、いま提案しようとしている監理委員会設置法の大綱の中では国鉄が黒字に転換をする目安は今度こそは明らかにできるぞ、こういう確信がおありなのでしょうか、具体的に大臣の所信をもう少し御披瀝を願いたいと思うのであります。
#27
○長谷川国務大臣 国鉄を再建したいというのは日本国民全体、しかもお互い所属しておりました運輸委員の諸君はみんなそれを願ったわけで、また国鉄の経営者も、あなたのおっしゃるように六十年代には再建するとかいうふうなこともございました。そこで、従来なら国鉄運賃法というものは、私たちの経験からしますというと国会で御審議を願う、その審議の間に時間がかかる、結局通過したときにはその金が工事費の方に回らないような事態もあり、ここにおいてか、ひとつ国鉄の運営のためにも国会に諮らないで国鉄自体で上げられる、こういうふうになったと私は思います。その後五回ほど運賃値上げをしましたけれども、何さま世の中の変化が激しいものですから、値上げはしたものの、ある場合には増収に全然響かない。でありますから、ことしは運賃値上げをしない、これも一つの対応です。組合の中にはいっそのことひとつ運賃を下げてしっかりやろうじゃないかというふうな声さえもある。こういうふうに、経営に対する変化というのはだんだん内容といいやり方といい、変わってくるというのが事実ではないでしょうか。そういう中から臨調の委員の皆さん方が分割、民営、これも一つの方法ではないかということで御答申され、政府といたしますとこれを最大限に尊重いたして、ひとつ国鉄再建法案というものを皆さんにお諮りいたしまして、通過の後にそこでひとつ御議論をいただくという形でございます。
 私は、国鉄を何とか残したい、そういう中から再建法案というのを御審議いただくというところに御期待申し上げ、また、それに対するいろいろな資料等々を私たちが差し上げる役目でありますれば差し上げてやってまいりたい、こう思っております。
#28
○小林(恒)委員 現下の考え方についてはそれなりに理解をいたしますが、また、監理委員会設置法については、提案がされた段階で改めて議論することが大切だと思いますから、この件についてこれ以上御質問申し上げようとは思わないのでありますが、その一つの前提条件とも言えるいわゆる特定地方交通線の取り扱いの問題が、第一次、第二次とすでに示されているわけであります。特に手順というものも大変大事だと考えますし、当面知事の意見書の提出を求めること、あるいはそれらを踏まえて大臣の認可、協議会の設置、こういった課題があるだろうと思いますけれども、一つは、第一次の部分で計画実施状況がどのようになっているのか。それからもう一つは、第二次の手順について、知事の意見書ということになりまするというと、当面統一地方選挙の絡み等もありまして、各地では知事選挙が行われますし、特に私の北海道など、第一次と第二次を合わせますと二十二線区という膨大な廃止対象線区が存在をすることからいたしますと、知事選の争点になることは紛れもない事実だと考えるわけであります。そんなことも含めて具体的なプログラムをお示しをいただきたいと思うのであります。
#29
○永光政府委員 第一次と第二次の特定地方交通線の関連でございますが、第一次につきましては、三十八線が現在協議会を設置いたしまして協議を開催いたしております。第一次の分の二線は、ことしの四月に協議会を開いていただきたいということで、残る三十八線につきましては、多いところはもう会議が四回ほど持たれております。第一回の会議後、第二回の会議を現在準備中のところも数カ所ございますが、大体において二回あるいは三回会議を行われておりまして、それぞれ地元の方々とお話し合いをし、地元の協力を求めるべく努力をいたしておるところでございます。
 第二次につきましては、二千人未満で第一次を除きます線でございますが、昨年の十一月に国鉄から承認の申請がございまして、一応手続上、法律上も都道府県知事の、地方公共団体の意見照会ということが前段にございまして、現在都道府県知事に当該申請路線につきまして意見を求めておるところでございますが、いま先生がおっしゃいます、いろいろ向こうにも都合があるようでございまして、まだ返事をいただいておりませんが、やはりわれわれとしましては国鉄再建の一つの柱でもございますし、また、地方の交通をどうするかという輸送需要に適応した地域交通政策の推進という観点からも、早く御返事をいただきたいということで、いろいろ地元でお願いをいたしておる段階でございまして、われわれとしては、やはり地元の地方公共団体の意見をいただいた上で基準に合致するもの、しないもの、厳格に審査をいたしたい、かように考えておりますので、現在は都道府県知事の意見の照会を待っておる段階であります。今後知事意見が出ました場合には、それを参考にしながらこの案件について結論を得たいということでございます。
#30
○小林(恒)委員 もうちょっと具体的に示せるとしたらお聞かせいただきたいのでありますけれども、知事意見書はまだ一通も出ていないと認識してよろしゅうございますね。
#31
○永光政府委員 まだ出ておりません。
#32
○小林(恒)委員 それと、もう一つお伺いいたしますけれども、返事を持っている、いつまで待とうとしているのか。
#33
○永光政府委員 御照会いたしましてから、考えてみますと二月以上たつわけでございまして、そのあたり情理的にある程度のところは待ってわれわれとしても処理したい、こういうふうに考えておりますので、もうしばらくお待ちしたいと思っております。
#34
○小林(恒)委員 前回、第一次のときには、これは政令の公布、こういったこともございましたし、運輸省通達を出して内外にその手順を明らかにする、こういう期間が必要でございましたね。その一つのパターン化された中で第二次が取り扱いをされる。まあいみじくもいま局長が言われておりますように、すでに二カ月がたちました、こういうお話があるのでありますが、第一次の際には二カ月というのはある意味でのタイムリミットだったのではないでしょうか。そういったことからすると、行政府として第二次の取り扱いについては、第一次とは大幅に技術的に異なりがありますぞということを認識してよろしゅうございますね。
#35
○永光政府委員 たしか一次のときは、申請がありまして処理したのが三カ月後ぐらいではなかったかと思います。記憶に間違いがなければそうだと思いますが、ただあのときは法律ができ、政令ができ、基準ができるということで、一次選定路線については、どちらかというと承認申請がある前に、前広にわりにいろいろな議論があったと思いますので、確かに形式的にいいますと、申請があって、そしてそれを処理したという期間から見ますと、もうそろそろそれぐらいの時間になるではないか、こういうことが言えるかとも思いますが、第一次の場合は、そういう意味で申請前にも前広にいろいろ議論をしておったということから見まして、実質的にある程度われわれも待って、地元の意見を聞きながら処理すべきだ、こういうふうに考えておりますので、そういう意味で地元の意見を十分お伺いしながらやっていきたい、こういう実質的な気持ちなり考え方は変わっていないわけでありまして、第一次と第二次が取り扱いが違うではないかということではないと思います。
#36
○小林(恒)委員 重ねてお伺いをいたしますけれども、第二次にかかわっての協議会の設置希望日、協議期間、こういったものについてどのようにお考えなのか、明らかにしてください。
#37
○永光政府委員 確かに改善計画の関係等から考えまして、われわれの希望としましては、協議開始日は来年度早々にでもお願いしたいということを考えておるわけであります。第一次のときも、承認をしました後いろいろ地方との話し合いがおくれまして、協議会がある程度おくれて設置されましたので、そういう意味からいきまして、われわれとして来年度早々には協議会ということを一応は念頭に置いておりますが、いまの状況におきましては若干のおくれはやむを得ないのではないかというふうに考えております。
#38
○小林(恒)委員 局長、前段に地元の意見は十分に聞きたい、こういう御答弁をされておるわけです。
 それから、臨調の第三次の答申の中には、特定地方交通線の取り扱いについては可及的速やかに促進をする、こう書かれているわけですね。十一月の段階で第二次が示されるときに、多くの地元民には第一次に一応の区切りがつくまで待ってほしいという御意見がありました。このことについては十分承知のことだと思うのです。にもかかわらず、第二次は十一月の段階で提示をされました。結果として地元の意見はここでは聞き入れられていない。かてて加えて、十一月に提示はしてみたものの、統一地方選挙がらみも含めて、知事がいま意見を明示するような段階にはなっていないではないですか。臨調答申に対しては、そんな意味ではどういう認識をされるのですか。速やかに整理促進をするという条項とは違いますね。こういった矛盾があるだけに、明年度早々に協議会というのは、昭和五十八年四月段階ではなくて、十一月、十二月になってからやることもあり得るとでもおっしゃるのか。私はできるだけ早くやってくださいなどと言うつもりはないのです。慎重に慎重にやっていただきたいとは思うけれども、実態は、地元の意見を聞くということになれば、第二次の提示が余りにも早過ぎたのではないのか。早過ぎたのだとすればどういう軌道修正をして意見を聞くのか、大臣認可の年月日をおおよそどこら辺に置くのか、おおよそ示すべきではないのですか。
#39
○永光政府委員 まず一次選定が終わって協議会が開催されて、しばらく猶予を置いてから二次を行うべきではないかという地元の御意見がありましたことは承知しております。しかし、これはいろいろ考え方がありまして、第一次選定とは申しますけれども、二千人未満については一括して申請あるいは承認という考え方もあったわけでありますけれども、そういう激変ということを考慮して、そしてある一定のものについて第一次と第二次とを分けたわけでございますので、いずれにしましても二千人未満については六十年までにバスに転換等の政策を図りたいという観点から申しまして、二次の申請を十一月に行ったことにつきましては、政策的には、臨調の答申もあるいは閣議決定もございましたけれども、一つのスケジュールとしてわれわれは入れさせていただいたわけでございまして、地元の御意見はよくわかるわけでございますけれども、一応二千人未満の地方ローカル線についてバス転換等を六十年までに図るという考え方に基づきますと、一次と二次を分けた手前、二次についてはどうしても去年の秋ごろには申請をして手続に入らざるを得なかった、こういうことであります。
 今後のスケジュールについて、大幅におくれる見通しであるのでそのあたりをどうかというお話でありますが、相手の都合がいろいろあるとは思いますけれども、地元におきましてもぜひいろいろ御意見を伺わせていただきたいということで努力をいたしております段階でございますので、われわれとしてはできるだけ早く照会中の御意見はいただいて、そして審査をし、的確な処理をいたしたい、かように現段階では考えておるところであります。
#40
○小林(恒)委員 いずれにいたしましても、日時的なものが明らかに示されてこないわけですし、全く現下では暗中模索である、こういう認識をせざるを得ませんね。集中的に地元の意見を聞くとかという作業というのは目下のところはできません、こう答えているように思えてならないわけです。しかし、統一地方選挙、知事選などというのは大変重要な課題でもありまするし、そういった地域における政治情勢をも含めて、十分慎重な取り扱いを今後も進めていただきますことを特に期待をしておきたいと思います。
#41
○長谷川国務大臣 お互い選挙をやっている者はよくわかりますから、そういうことも踏まえながら、ひとつ地元の模様をよくしんしゃくしながら見守ってまいりたい、こう思っております。
#42
○小林(恒)委員 次に、一月二十七日に十九年間の歳月を費やした青函トンネルのパイロットトンネルが貫通をいたしました。テレビでお見受けをする範囲では、大臣も大変にこやかに総理とともに電話などでも激励をされておったのを私も拝見いたしておりました。ある意味では私の地元でもありまするし、願わくはあの現場に参加をしたいなあという希望を持っておったのでありますが、開会中でもありましたし、テレビで拝見をする、こういうことになったのでありますが、パイロットトンネルの貫通という祝賀行事が再三各地で開催をされるという一方で、各新聞は青函トンネルの特集をするわけですけれども、また一昨年から青函トンネルの利用方針、それから主権の問題、管轄権の問題、こういった三つの課題が大きく議論をされてきているわけです。検討するというお答えのほかには、一昨年宮澤官房長官が公海下といえどもわが国の管轄権が全面的に及ぶと考えられるという答弁を参議院の決算委員会でいたしておって、しかし今後もよく検討して将来疑念のないようにしたい、こういうところにとどまっているわけです。
 関係省庁とは一体どこなのか。特に十三省庁と言われてきたのでありまするけれども、この三つの課題を精査していく上で関係省庁を具体的に明らかに示された経過がございませんので、当委員会に明確にしていただきたいと思います。
#43
○長谷川国務大臣 青函トンネルの開通式に私も行きたいと思ったのですが、国会開会中で小林さんと同様に行けませんでした。私はあのトンネルの掘削中に竜飛あるいは北海道口から現場に入ったこともありまするし、また、すばらしい日本の技術陣が世界最長のトンネルに取り組んだその技術陣の苦労というものを知っておりますから、ぜひあの際は開通式に行ってお祝いをともどもにしたいと思ったことでございます。
 ただいま管轄権の問題が出ましたが、これにつきましてはあなたがおっしゃったように宮澤官房長官の当時の答弁がございます。それは公海下の部分であってもわが国の管轄権が領土におけると同様に全面的に及ぶものと考えられる、こう言っておりますが、具体的な適用方法についてよく検討して、将来に疑問を残さないようにしなければならぬと考えております。
 なお、その公海下のトンネル部分の地方公共団体の区域への帰属につきましては、現在自治省において検討中と私は承知しております。
#44
○小林(恒)委員 大臣、この青函トンネルが開通をいたしますと、監督省庁というのは運輸省になるのかな、こういう認識なんですけれども、私の認識で間違いありませんか。
#45
○永光政府委員 監督権というのはちょっとあれなんでございますが、それはもちろん使用する者が輸送施設として使用いたしますので、その保安とか、あるいは場合によってはサービス面とか、いろいろな面でもう当然これは運輸省の所管でございます。しかし、たとえば消防とか司法権の警察とか、先ほど先生がおっしゃいましたようにいろいろな関係省庁が関連するということではないかと思います。
#46
○小林(恒)委員 もう少し具体的にお伺いしたいのですが、このトンネル工事をやろうと発議をした段階で、予算要求をも含めて運輸省がかかわってきた分野というのは決して小さなものではないと私は考えている。鉄道建設公団が工事を進めてきたということをも含めて、やはり運輸省が担わなければならない分野というものはあると判断をしているわけです。ただ、関係をいたしますのは十三省庁という新聞報道がありましたから、私は先般十三省庁とはどこどこですかというお伺いをしましたら、十三省庁というのは私はわかりませんという事務の段階でのお答えなんですね。十三省庁が間違いだとすれば間違いで結構でございます、一体どこどこが関連をするのか。警察庁とか外務省とか一つ一つおっしゃられてもこれは困りますので、正確にどことどこの省とどの庁が関連をいたしますということを明確にしてほしいと思うのです。
#47
○永光政府委員 十三省庁というのはちょっと私もあれでございますが、いま考えられます関係省庁としましては、外務省、法務省、警察庁、消防庁、労働省、厚生省、自治省、それから全般的な法制をいろいろ検討されます法制局等が考えられると思いますし、あるいはこういうものを束ねるところとして総理府というところも考えられると思います。
#48
○小林(恒)委員 そういった各省が関連をする、特に大きな課題になってくるのは、一般に各国の領海というのは十二海里、特定海域に指定をされている津軽海峡の日本の領有権というのは沿岸三海里まで、こういうことが明確になっておりますね。これは国際的にも一つの常識になっている。そういうことが明らかになっている状況の中で、海峡部分二十三キロのトンネルの半分の十二キロは公海下に横たわる、こういう問題があるわけです。
 私は、中曽根総理が四海峡封鎖とか三海峡と訂正したとか、こういったことだけを取り上げてこんな問題の質問をしているわけではないのです。海上保安庁の調査によると、津軽海峡というのは年間おおよそ六十隻ぐらいのソビエトの原子力潜水艦が航行しているのではないかという調査結果が出ているようでありまするけれども、しかしそういったことをも含めて、やはり公海下の財産となっていく青函トンネルの取り扱いというのは、これはひとり北海道民五百六十万が関心を持つだけではなしに、行政としての責任というものもきわめて重大だと考えるわけです。その意味で、この関係をする各省庁が、ばらばらのお答えは最近はないようでありまするけれども、きわめて抽象的で、主権の問題、管轄権の問題、そして運輸省独自の課題からすればどのように利用するのか、こういった方針が明確にならないということは、一体何のために十九年間投資を続けてきたのかということにも相なるわけでありまして、きわめて重大なプロジェクトであるだけに、もう少し明確なお答えをいただきたいと思うのです。
#49
○長谷川国務大臣 こういう国会においてそうした大事な問題についての御注意、ありがとうございます。何さま大事な問題でございますから、そういう法律的な権利権原について疑問のないようにいまから先も研究して統一見解を出して、疑惑のないようにいたしたい、こう思っております。
#50
○小林(恒)委員 大臣のそのような答弁ですから、これ以上しつこくお伺いをすることについてはどうかなという気がしないではありません。願わくは後ほどでも結構ですから、関係省庁でどのような議論を推し進めているのか、いま申し上げた三つの課題についてどのような省庁がどんな形でもって議論を推し進めているのかという内容については、正確を期する意味を含めてお伝えをいただけますか。
#51
○長谷川国務大臣 御期待に沿いたいと思います。
#52
○小林(恒)委員 ありがとうございました。そういった資料を含めて、また次の機会にでも私どもの見解を含めて議論ができるようにひとつお願いをしておきたいと思っています。
 次に航空局にお尋ねをいたしますけれども、沖縄上空といいますか、沖永良部との中間点になると想定をされますが、米軍の空中戦闘技量評価装置、俗にACMIの設定という問題が一昨年、昨年と議論になってまいりました。米軍の計画に基づいて協議が進められてきたと考えますが、運輸省はどのような対応をしてこられたのだろうか、これが一つです。
 それから、最近の新聞が伝えるところによりますというと、運輸省が当初設定空域を若干移動するという対案を示したとも伝えられるのでありまするけれども、正確な意味で航空局長の見解をお示しをいただきたいと思います。
#53
○松井(和)政府委員 ACMIの設置につきましては、一昨年のたしか十一月と記憶いたしておりますが、防衛施設庁の方から、そのような航空機戦技訓練評価装置という、ACMI空域の提供についてアメリカ側から一つの提案がなされた、これについての意見を聞きたいという照会がございまして、私ども検討をいたしたわけでございます。
 当初私どもに示されました米側の案と申しますのは、ただいま先生御指摘いただきましたような沖永良部島の西方空域でございました。この空域は航空路からは外れておりますけれども、那覇の空港に離着陸いたします航空機をレーダーで誘導する空域として大変必要な空域でございまして、民間航空機が多数そこを通っておるという空域でございますので、私どもはそのような空域にACMIというような戦闘機の戦技訓練評価装置というようなものを設置することについては反対でありますということを、意見として申し述べたわけでございます。そこで、米軍側もその私どもの意見はもっともだということで、その案はまだ一応引っ込めるというところまではいっていないのですが、しからばどういうような空域ならば民間航空機の安全に支障がないだろうかというようなことで、話し合いをさせてほしいというようなことで、専門家同士でいろいろと話し合いが行われたわけでございます。その話し合いの中で、沖縄本島の東方空域に既存の訓練空域がございますが、ことは民間航空機に及ぼす影響というものはほとんどない空域でございますので、そのような空域の中に設置するというような考え方が議論されたわけでございます。したがいまして、これはあくまでも議論の過程で出てきたことであって、私どもが提案したというようなたぐいのものではございません。米側は、その東方空域について、水深が非常に深いという点もございまして、なお検討を要するということで現在持ち帰ったままになっておりまして、最終的な米側からの正式提案というものはまだなされていないわけでございます。私どもは、正式な提案がございましたならば、ただいま申し上げましたように、あくまでも民間航空機の安全に支障がないかどうかという点に最大の関心があるわけでございますので、そのような観点から十分検討をいたしまして、これに対処をするというふうに考えております。
#54
○小林(恒)委員 一つだけ具体的にお伺いをしておきたいと思いますが、沖縄東方にといういまの御発言がありましたけれども、具体的に、W―173という訓練空域がありますが、この中という認識をしてよろしゅうございますか。
#55
○松井(和)政府委員 御指摘のW―173という訓練空域についての議論がなされたということでございます。
#56
○小林(恒)委員 ACMIの設置という問題について非常に大きな議論のあるところでありまするけれども、当初米軍から提示をされた空域が、民間航空路から外れているという認識は必ずしも正しくないのではないかという気がいたします。まあ航空路そのものの認識、私は必ずしも正確でございませんから、もしこういう質問をして当を得てないのだとすれば御訂正を賜りたいと思うのでありまするけれども、設定された航路、航空機が飛行をする範囲というのは、航空路を中心にして六海里六海里、十二海里を設定していると認識をするのですが、そういうことからすると、当初米軍から提示のあった部分が航空路から外れているという、これはちょっと認識違いではないのでしょうか。
#57
○松井(和)政府委員 航空路の幅は両側五マイルということで、合計十マイルでございますけれども、先ほど申しましたように、現在設定されております航空路とそれから当初米側から提案があった空域とは抵触はいたしておりません。しかしながら、先ほど申しましたように、空港に近づきますと管制官が航空路から外して航空機をレーダーで誘導をするということが必要になってまいります。そのレーダーで誘導をするために必要な空域にもろにひっかかる、こういう観点から私どもは最後まで反対をしたということでございます。
#58
○小林(恒)委員 次に、これは多分数年前から議論になっていたはずなんでありますけれども、羽田空港から宮古を経て千歳空港へ、この航路について相当増便に次ぐ増便をしてきた経緯もございますし、各社の乗り入れという、こういったことなどをも含めて、特に釧路行きの航路そのものも同じく千歳上空を経て釧路に向かうという、こんなところから、たしか私の記憶に間違いがなければ、航空自衛隊の訓練空域、多分B訓練空域だったと思いますけれども、宮古上空から真っすぐ釧路に突っ切る航路の新設という議論があったと思います。あわせてここには米軍の訓練空域も設定をされている。こういったものがネックになってなかなか航路新設ができない、こういう議論があったと思いまするけれども、ここらにかかわっては、防衛庁、米軍とも再三にわたる協議が積み上げられてきたという経過報告を受けているわけです。ここら辺の議論経過がどのように進展をしているのか明らかにしていただきたいと思います。
#59
○松井(和)政府委員 ただいま、私ども新しい無線標識でございますVORと申します無線標識をつなぐ航空路を現在設定中でございます。それ以前はNDBというやや古い無線標識をつなぐ航空路があったわけでございますが、それを逐次VOR航空路に切りかえております。東北方面のVOR航空路の設定がおくれておることは事実でございまして、その一つの原因に、ただいま先生の御指摘ございました宮古東方の訓練空域の存在がございました。現在防衛庁並びに米軍との間で鋭意折衝をいたしておりまして、防衛庁との間では基本的な合意に達しまして、現在残ります米軍の空域の移設について関係省庁の協力も得ながら、在日米軍司令部と折衝を重ねておるところでございまして、時期についていつころまでにということが明示できないのは残念でございますが、私どもの感じでは米軍当局もかなりの理解を示してくれているという感触を得ておる次第でございます。
#60
○小林(恒)委員 簡単に一言だけお伺いしますけれども、相当いい感触を受けている、秋、九月ぐらいまでにはというお話も一部伺ったことがあるのでありまするけれども、これは願望としてできるだけ早い時期に開設してほしいという地域住民の期待が込められている事柄でもありまするので、ここら辺の見通しをできるだけ細やかに御答弁願えれば結構だと思うのであります。
#61
○長谷川国務大臣 私は国会というところは大変ありがたいと思うのです。そういうふうに地域の問題について御議論いただきますと、私の方もしっかりと、ときには気がつかないことを一生懸命やれる。あなたが釧路までのショートカット、これは大変すばらしいことでありますから、関係者をしてそれぞれの関係省庁と接触させて、大体においてそれが実現できる、いつまでということはちょっと言えませんけれども、そういう実現ができるめどである、それによって釧路までは大変近くなる、こういうふうに感じております。
#62
○小林(恒)委員 時間が参りましたので、あと一点だけお伺いをしておきたいと思いますが、大臣の所信表明の後段の側で、第六番目に起こされた項目だと思いますが、海洋法条約の採択に伴って海上保安庁の今後の取り組み方、特に海洋の開発及び利用の促進に資する技術の開発、海洋の調査等を推進するとともに、広域哨戒体制、船舶動静把握のための体制を計画的に整備をしていきたい、こういうことが明らかにされております。
 哨戒、国語辞典を引きますというと、敵の襲撃に対して見張りをして警戒をすること、これを哨戒というのだそうでありまして、だとすると海上保安庁の任務はそこまで及ぶという認識に立たれているのか。広域哨戒体制、中曽根総理が、あるいは最近の新聞が伝えるいわゆるシーレーンの千海里防衛、こういったことと、運輸省が所管をする分野の中では、私の認識は経済活力の源泉とも言える一般客質船のシーレーン防衛、そういう認識との食い違いがあるのかと思いまするけれども、広域哨戒体制という用語の使い方そのものにいささか疑問を感ぜざるを得ません。ここら辺の認識について大臣のいましばらくの御解説を賜わりたいと思います。
#63
○長谷川国務大臣 術語の使用でございますから、従来とも使っている術語がどういうふうな感じでやられているか、慣習になっているわけでありますので、私の気持ちからしますというと、海上保安庁というのは、よその国でもそうですが、コーストガードです。おっしゃるとおり商船、客船を守っていくというところでございまして、一部いま言われているシーレーン関係のそういう意味の話とは話が違うものだ、平和の中に商船、客船を守っていくコーストガードの役割りだ、世界共通の認識だ、こういうふうに私は感じております。
#64
○小林(恒)委員 終わります。
#65
○原田委員長 午後三時三十分より再開することとし、休憩いたします。
    午前十一時五十二分休憩
     ────◇─────
    午後三時三十八分開議
#66
○原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。吉原米治君。
#67
○吉原委員 最初に、大臣の所信表明についてお尋ねをいたしたいと存じます。
 大臣は所信表明演説の中で、第一に日本国有鉄道の事業の再建についてお触れになっていらっしゃいます。午前中同僚小林議員が国鉄問題についてかなり詰めた質問をいたしておりますが、その中で一点だけ大臣の考え方をただしておきたいと思います。
 恐らく今国会の最大の目玉法案であると思っておりますが、いずれ法案がかかってくればその場でまた審議をすることになると思いますが、俗に言われております国鉄再建監理委員会の設置法、なぜこういった監理委員会の設置法が取りざたされておるのか。現有の国鉄並びに運輸省の役員の皆さん方で一体国鉄の再建ができないのか。率直に申し上げて、国鉄再建の問題は重要な問題でございますけれども、運輸省並びに国鉄当局、まあ当局は来てもらっておりませんけれども、現有の体制ではもうどうしても国鉄再建についてはお手上げの状況だ、行き詰まりました、いい名案はございません、したがって権限を持った委員会ができることを望んでおりますと、運輸大臣、自分の無能無策ぶりをみずからお認めになるような心境でこの監理委員会の設置法は歓迎なさるのでございますかどうですか、その点をまず最初にお尋ねしたいと思います。
#68
○長谷川国務大臣 国鉄再建ということは、長いこと私たちも委員会でも主張もし、また従来見守ってきたことでありますが、見守りながら、いろいろな手当てをしながらも、今日はどなたでも危機的情勢にある、こういうことは御認識いただいていると思うのです。予算の関係からいたしましても、運輸省が助成金を出す、その助成金を差し引くと二兆円も毎年赤字が出ていく、こういうことからしますと、運輸省は監督機関でありますけれども、いわゆる国鉄を監督する運輸省といたしましても、また、国民全体のこういう危機的な様相に対する心配ということからしますというと、どうしてもこの国鉄経営の危機的な状況にかんがみまして、この再建は政府一体として取り組む姿勢が必要、決意が必要、そしてまた関係する政策も私は非常に広範にわたると思いますので、そのために総理大臣の諮問機関として再建委員会を設けること、こういうふうな形になったと承知もし、お願いをしているわけです。もちろん運輸省といたしましては依然として国鉄の監督行政機関としてその事業の推進に当たるものでありますが、さらに監理委員会が生まれますとそれに協力して再建に努めることにいたしておりますので、屋上屋というふうな形にはならないのじゃないか。なお運輸省といたしますと、従来以上に国鉄再建については全力を傾注しているところでありますけれども、本監理委員会の設置によりまして、政府が一体として取り組む形になりますとより強力に推進体制が組まれる。私が無力でもありましたが、こういう新しい委員会が生まれることによりましてそれが打開されるということを期待しているものであります。
#69
○吉原委員 政府が一体となってこの問題については取り組まなければいかぬから監理委員会の設置は必要なんだ、こうおっしゃいますけれども、大臣、国鉄の監督機関であるこの運輸省御当局は、そういう屋上屋を重ねる、かなり権限を持った、つまり運輸大臣の上に機構上なるような委員会を持ってもらわなければこの国鉄の再建ができるとかできぬとか言われる筋合いのものじゃないのじゃないか、むしろ国鉄を含めた運輸行政全般のベテランの政府委員さんがたくさんいらっしゃるはずなので、決して私は無能だとも思わぬし、優秀な人材がおそろいになっておるのにかかわらず、なぜそういった機関を別に設けなければならぬのか。幾らいま大臣が政府一体となって、こうおっしゃいますけれども、そういう要らざる委員会は、特に行政改革の御時勢からいっても不必要だ。むしろ運輸省御当局が主導権を持って、この国鉄再建についての諸般の政策も結構ですし、具体的な案を提示されて、それこそ他省庁に及ぶとするなら他省庁に呼びかけて、こういうことで運輸省は国鉄再建のために取り組みますと、これはやれぬはずはないと私は思うのですがね。そういう意味で、この監理委員会を設置して国鉄の再建に取り組みますという大臣の所信表明演説についてはきわめて納得しかねる。
 いずれこの法案は、かかってきますればまたそのときに御論議をさしていただくということにして、きょうは午前中同僚議員も国鉄問題をかなり質問をしておりますので、この程度でおさめたいと思っておりますから、よろしくお願いいたします。
 さて二つ目の質問に入りますが、運政審の答申を受けまして、マイカーの活用構想というのが運政審答申に出ておりました。それを受けて運輸省は昨年運輸省みずからおつけになった名称でございますが、ポニーカーシステムという問題を提起をされて、過般岐阜県の河合村でこの実験運行をされようとした。それに必要な若干の予算措置も講じられておりましたけれども、このポニーカーシステムの問題については引き続き実験運行をやりたいという希望はその当時あったようでございますが、新年度、五十八年度ではどういうことにされようとしておるのか、この点をまずお尋ねをいたします。
#70
○西村(康)政府委員 いわゆるポニーカーシステムとして、自家用車を地方住民の足の確保のために活用しようという実験をしようとしましたことは、ただいま先生からお話があったとおりでございますが、本年度につきましては、この実験はぜひやりたいということで進んでいたわけでございますが、関係者の理解が十分得られませんので、今年度におきます実験は非常に困難になりまして、現在見合わせるということにしておりますが、来年度以降、この運政審の答申が言っておりますような、過疎地域における住民の足の確保のための施策ということは今後とも重要視して、私ども検討していくべきことと考えておりますので、来年度以降も引き続き具体的にどういうことをしていったらいいかということを考えていくべきものとしております。しかし、具体的に来年度予算につきまして、いまこの実験のための費用をとったかということでございますが、これについては予算要求はいたしておりませんが、具体的にどんなふうな形でやるか、なお引き続き検討していきたいと考えております。
#71
○吉原委員 そうすると、確認しておきますが、五十八年度は少なくともやりません、しかし次の年度、五十九年度以降はやるかもわからぬし、やらないかもわからぬ、いずれにしても検討する。検討するとおっしゃるからあえて言うのですが、後ほどまた軽貨物とタクシーの問題についても触れますけれども、特に白トラとか白タクということがいま盛んに言われて、タクシーやトラックの運送業界は大変秩序が乱れておる。そういう現状を認識されていないはずはございませんけれども、一層白タクまがいの行為を助長するようなマイカーの活用構想というのは、私はいまの地域交通をどうやって守っていくかという本論からいたしますと、こういったポニーカーシステム、自家用車の活用構想というのは、一見何か合理的なようでございますが、地域交通を大変無秩序な方向に持っていくことに結果的につながるんだ。だから五十九年度以降も引き続き検討します、当面五十八年度はやらないことにするけれども、こう西村総務審議官はおっしゃいますけれども、その構想はもうお捨てになったらいかがでございますか。
#72
○西村(康)政府委員 過疎地域におきます住民の足の確保ということが重要な運輸政策の課題だということは、先ほど申し上げたとおりでございますが、私どもが検討しようとしておりますのは、自家用車の活用ということもその一環としてしようということでございまして、これと別に、たとえば公共交通の輸送機関を過疎地域にいかに適用するかということも当然あわせて考えるべき課題でございます。そういったことも含めていかに過疎地域の足を、非常に利用度の少ない、そういう公共交通機関が通常の手段では維持できないような地域にはどうやって対処していくかということが政策課題としてある以上、これは自家用車の活用の問題も含めて検討していくということが運輸省の姿勢でございます。したがいまして、その検討いかんで今後どのようにしていくか決めさせていただきたいと考えております。
#73
○吉原委員 自家用車の活用という構想とそれからすでに認可した業者、つまり言われております公共交通は全然別次元の問題だと私は思いますし、そういう意味では過疎地域の地域交通をどう守っていくのかという観点からいたしますと、マイカーを活用させるという構想と、すでに認可した業者の活用というものを私は同次元で考えるべきじゃない。むしろマイカーの活用というのは公共交通を破壊に追いやる道につながる、そういう意味で全く並行して審議なさるような答弁をいま西村さんはおっしゃっていますが、それは全く矛盾したことをやろうとすることになるわけでございまして、ですから過疎地域の住民の足をどう守っていくか、すでに既存の認可業者でそこまで範囲を広げていくためにはどういった政策なり政治的なバックアップが必要なのか、これを考えていくということならおっしゃる意味はわかるのですけれども、相矛盾したことを並行して審議していこう、こうおっしゃると私はいまの答弁に納得いかない。だから過疎地域の住民の足というものは、できるだけ既存の業者で何らかの政策的な施策を講じながら、その地域にもまんべんなく住民の足は確保できるような行政指導なり法的な措置を今後検討したい、そういう御答弁にいまの答弁は変えられる意思はございますか。
#74
○西村(康)政府委員 過疎地域における交通の問題が出てまいりましたのは、いわゆる事業経営として行っている輸送機関の採算が全くとれないという状況が出ているところから出発しているわけでございます。しかしながら、いま私どもが公共交通機関サイドからのアプローチもあわせて考えたらどうかということを申し上げたのは、そういったいままでの事業経営の枠の外に出てどういう形でやり得ることができるか、そういう可能性を探求することも一つの道だろうと考えております。しかしながら、本質的な問題はそういったことの限界があるために過疎問題が生じているわけでございますから、そういう意味ではやはり過疎地域の住民の相互扶助という方法もあわせて検討していかなければならない状況で、それは今後公共交通と矛盾しないような形で検討していくということが私どもの課題だと理解しております。
#75
○吉原委員 役所の立場ですからそう発言した趣旨を簡単に変えるわけにいかぬでしょうけれども、公共交通は片一方で守ると言いながら、片一方では公共交通を破壊に追いやるような施策を考える、このことにはいまの答弁を聞きましても変わりはない。だから過疎地域の相互扶助とおっしゃいますけれども、それは言葉にすれば相互扶助結構だ、こういうふうに理解はいきますけれども、具体的には最初の答弁と変わってない。だから私が言っておるのは、過疎地域のバス業者には補助金なんという性格のものがついております。つまり公共交通を維持発展をさせるためにそういう手だてがある。ところが、五両や十両持っておる小さなタクシー業者には、認可をしたと言いながら、残念ながらそういった過疎地域まで現実に及ぶような政策的な手だてがないところにいまのような現状が起きておるわけでございますから、そういう意味で既存業者をもっとフルに活用させるような政策的な手だてが検討されないものか。そのことによって、たとえば岐阜県の河合村の例を言いますと、そういう過疎地域には近隣のタクシー業者が五社もおるわけですから、五社が相寄って知恵を出し合ってその過疎地域に拠点を設ける、そういったことだって、現地で業者を集めて聞く限りにおいてはやろうと思えばできるんですよ。業者がそういう考え方を持っておるわけですから、それを助長するような裏打ちを運輸省の方でも積極的にされることによって、いまの河合村のような現状は一気に解消するわけでございますから、そういう点を私はしつこく言っておるのです。来年はとりあえずやらないということでございますから安心しておりますが、五十九年度以降もそういう方向で、過疎地域の住民の足、公共交通を維持発展をさせるという立場からぜひ検討を続けていただきたい、この点はひとつ要請をしておきます。
 三つ目は、問題の軽貨物タクシーの問題について、これは特に自動車局長、角田さんから明快に御回答いただきたいと思うわけです。
 四十六年に一部許認可事業が見直しをされて免許制が届け出制に変わった。ところが、私も沖縄の那覇の町へ視察に行ったのですが、御案内のように沖縄では軽貨物で堂々と旅客、学生やあるいは家庭の主婦、そういった旅客を半ば公然とやっておる。現地の運輸省の出先の皆さんともいろいろいい知恵がないかということで協議をしたのですけれども、今日あるというのは四十六年当時の法改正のときには全然想像しておりませんでした、こういうことをいみじくも言っておるわけです。こんな例が日本本土に上がってきたら大変だろうなと思って心配しておった矢先に、京都ではMKタクシーが出てまいりました。
 ところで自動車局長、法改正をして必要な書類を提出する、つまり届け出制でございますね。いま京都ではその書類を受理するとか受理しないとか言って騒ぎが起きておるようでございますが、必要な書類を具備して出せばそれを受理しないという言葉はあってはならぬはずでございますが、その点の届け出制の本旨は一体何なのか。必要な書類を整えて出した。その書類は、書類が不備だから整えてきなさい、そうせぬと受理しませんよということは言えるけれども、完全に書類が整っておるものを受理しないということは本来あってはならぬ問題だと思うのですが、最初そのことだけ聞きたい。
#76
○角田(達)政府委員 軽自動車による運送行為でございますが、二つございまして、軽自動車による貨物の運送行為、これにつきましては現在省令で届け出を義務づけさしております。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたように軽自動車で貨物を運送する場合に、必要な書類が整っておればこれは受理せざるを得ません。しかし、もう一つの考えられる態様といたしましては、軽自動車によって旅客を運送する行為、これは届け出を官庁で受理されればそれで済むということではございませんので、軽自動車で旅客を運送する場合には道路運送法四条に基づきます旅客運送事業の免許をとらなければならない、こういうことでございます。
#77
○吉原委員 自動車局長、私もそういう意味では誤解をしてないと思っておるのですが、あなたはわざわざ軽自動車とおっしゃっておる。ところが、道路運送法二条の五項に記載してある中身というのは、軽車両と軽自動車という表現になっておるんだね。軽車両と軽自動車は一体どう違うのだろうかと考えてみますと、先ほど質問を取りに来られたからちょっと論議をしたのですが、ここに書いてあるのは「軽車両を使用して」ということになっておる。軽自動車ではない。軽車両というのは自動車ではないという考え方にならぬとおかしいわけでしょう。自動車局長、それをわざわざ軽自動車による旅客運送と言われると、一体軽車両と軽自動車はどう違うのか、こういう疑問が起こりますので、一遍軽車両と軽自動車の定義づけをここではっきりしておいてください。
#78
○角田(達)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、道路運送法の二条で定義が規定されております。この五項で、読んでみますと、「この法律で「軽車両等運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、軽車両を使用して旅客を運送する事業」、したがいまして「軽車両等運送事業」ということで、免許ではなくて届け出だけで済むものは、旅客の場合には「軽車両を使用して旅客を運送する事業」、こういうことになります。
 しからば軽車両とは何かというのは、その次の六項のところに規定してございまして、「この法律で「自動車」とは、道路運送車両法による自動車をいい、「軽車両」とは、同法による原動機付自転車及び軽車両をいう。」ということで、原つき自転車あるいは人力車、そういうようなものを軽車両と言っておるわけでございます。軽自動車とは、それと違いまして、排気量五百五十CC以下のいわゆる軽自動車というものを指しておる、こういうことでございます。
#79
○吉原委員 それから、僕は表現に余りこだわりたくないのですが、五百五十CC以下の軽自動車、こうおっしゃるから、一体軽車両と軽自動車はどう違うのか、ますますこういう疑問が起こります。ここで言う「軽車両」というのは、いわば人力車もそのうちに入るでございましょう。少なくとも動力のない車両を言うのじゃございませんか。人力車だとかリヤカーだとか大八車、このごろ余り見かけませんけれども、そういうたぐいのものだとか、少なくともそんなものを指しているのじゃないか。五百五十CC以下のということになりますと、このごろはなくなったようですが、スバル360だとか、三百六十CCの軽自動車がある。そういうものも軽車両に入るということになりますと、軽車両と軽自動車の区別がつかなくなる、そう思いますので、ちょっとしつこいようですが簡単にはっきりしておいてください。
#80
○角田(達)政府委員 軽車両につきましては、別の道路運送車両法の第二条で「「軽車両」とは、人力若しくは畜力により陸上を移動させることを目的として製作した用具で軌条若しくは架線を用いないもの又はこれにより牽引して陸上を移動させることを目的として製作した用具であって、政令で定める一、こういうことになっておりまして、ただいま先生がおっしゃいましたように動力を用いないようなもの、そういうものを軽車両と言うということでございます。
 先ほど五百五十CC以下と申しましたが、軽自動車の一つの定義を言っただけのことでございまして、ちょっと言葉不足でございました。
#81
○吉原委員 そこでお尋ねしたいのですが、これは五十二年の一月三十一日、鹿児島地裁の判決で、軽貨物運送事業、正式には軽車両等運送事業、こういうことになるとは思いますが、ここで判決の主文の中に、軽車両等運送事業は「事業の開始、事業計画の変更について免許、認可、届出、いずれも要しないこととなった。」裁判所のの出した判決の主文の中にそうなっておる。届け出はしなくても法的に別にどうこう拘束されるものではないというのが裁判所の考え方のようでございます。京都で今回起きた受理しないというのは、この判決の趣旨からいくと違法のように一見考えられますが、一体その点はどういう認識を持っていらっしゃいますか。
#82
○角田(達)政府委員 五十二年の一月三十一日の鹿児島地裁の判決、それから五十七年の十一月十日の那覇地裁の判決がこの軽の貨物自動車運送事業につきましてそれぞれあるわけでございますけれども、この場合、道路運送法で言います「軽車両等運送事業」に当たる軽貨物運送事業、したがいまして、貨物の場合には軽自動車でやってもいいわけでございますが、旅客の場合にはこれは軽車両でなければならないわけでございます。そういう事業につきまして、届け出も法律上は要らないというような一つの判決が出されたわけでございますが、これにつきましては、省令で要請しております軽貨物運送事業につきましての届け出自体をも否定したというふうには私ども受け取っておりませんので、軽自動車で行います貨物自動車運送事業については従来どおりこれは届け出をしていただく、こういう考えでおります。
 それから京都のいわゆるMKの軽タクシーの問題、これは私ども届け出の受理を拒んだわけでございますが、この京都の軽自動車による貨物自動車運送事業というのは、これは実態をよく相手方から調査しましたところ、いわゆる貨物の運送事業ではなくて、何か手荷物あるいはそのほかのものを持った旅客を運送する、こういう意図で届け出がなされたわけでございますので、旅客を運送するのであれば先ほどから御説明申し上げておりますように道路運送法四条の免許が要るわけでございますので、軽々にそういうものは受理はできないということで拒否したわけでございます。
#83
○吉原委員 施行規則五十七条によって必要な書類の提出をさせるということになっておるようでございますが、私はいま鹿児島判決だけを持っておりますから、那覇の地裁判決は手元に持っておりませんので、那覇の地裁の資料に基づいて説明はできませんけれども、少なくともこの鹿児島判決によると、施行規則五十七条でそうはなっておるけれども、これはただ単に行政庁が実態把握をするためのものであって法律上の根拠はない、こう判決主文の中で触れておるわけです。したがって、これは地裁の段階でございますが、少なくとも現行の法律なりに対する見解というのは、一応裁判所の判決というのが優先するのじゃないか。運輸省の自動車局長の見解が優先するのか、裁判所の判決内容が優先するのかといったら、これは日本人的な感覚からいいますと、判決内容の方が優先するように思うのです。
 ところで、その申請した当事者が、おっしゃるとおり貨物を輸送するのでございまして旅客を輸送するつもりはございません。旅客を輸送するのはちゃんとタクシーがございまして、タクシーでやります。私どもは本職でございます。今回申請したのはあくまでも貨物でございます。法治国家である日本の国民として行政指導にも従います。こう言ってきた場合に、いやおまえのところはそんなことを言っておるけれども旅客を運送するのがどうも目的じゃないか、こう言ってみたって、それは現実に運行し出してから実態がそうだというのと、その届け出をする段階で、いやおまえはそう言っても旅客を運送するかもわからぬから受理するわけにはいかぬ、こうはならぬのでしょう。この点はどうですか。
#84
○角田(達)政府委員 いま先生がおっしゃいましたように、軽自動車で本当に貨物を運送するのだということで必要な書類を備えて届け出をしました場合には、これは当方としては受理をせざるを得ません。ただし、MKの場合には、貨物を運送するというようなことを言いながら、対外的には、いろいろな市民の方々に対しては、手荷物をちょっと持ったお客様であるとかあるいはデパートで物を買ったお客様であるとか、そういう方々を軽自動車で運送するというようないろいろなPRをしておりまして、再度申請者を呼びましていろいろと聴聞を行った結果、やはり実態として旅客を運送する行為である、こういう判断をしたものですから、当初百十数両という軽貨物の届け出というものは当方としては受理を拒否したということでございます。その後二十一日に、やはりMKの会社から、今度はお客様は絶対運びません、貨物を軽自動車で運ぶんです、こういう申請が出されたわけでございまして、これは私どもも申請者からよく話を聞き、それから車両の表示等につきましてもタクシーというような表示も消させまして、実態的に軽自動車で貨物を運送するということを判断した上で、十二両の軽の貨物の届け出を受理した、こういうことでございます。
#85
○吉原委員 この軽貨物の問題は法的にも非常にぎりぎりの行為だろうと私は思います。決して私は、大いに軽トラックでタクシーの行為をやらせるべきだという立場ではございません。ハイタク業界というのが大変秩序が乱れて、とうとうハイタクに限らず、もう乗用車でさえも白ナンバーでといいますか、やっていいのなら貨物も当然だ、そういうことにつながってくるわけでございまして、まさに地域の交通はずたずたになるだろう、そういう心配をしておりますがゆえにあえて質問をするわけでございます。
 きょうは余り時間をたくさんいただいておりませんので突っ込んだ論議ができませんけれども、五十八年度予算では八十五万三千円という、これは何に使われる金かなと思って、一人前の人件費でもなさそうだし、説明の段階は、この八十五万三千円は違法行為に対する指導強化対策費だ、こういうことでわずかな金額が予算化されておりますが、今後軽トラに対する違法行為をこの種の八十五万数千円で一体きちっと指導ができるのかどうなのか。とうとう最後、沖縄みたいにもうお手上げの状況、もう処置なしという状況に再びなるのじゃなかろうか、こう心配をするのでございますが、この八十五万数千円何がしかの財源はどういう方向に有効的にお使いになるのか。これで果たしてきちっとした指導体制ができるのか、この点をちょっと最後に触れておきたいと思います。
#86
○角田(達)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、沖縄には最盛期には相当数、五千七百両程度の軽自動車が違法行為を行っていたわけでございますが、現在では軽貨物をやっておる軽自動車が七百両程度に減少しております。このうち、違法なタクシー類似行為をやっているものは四百両程度だと思いますけれども、これも私どもとしては、やはり正業に戻っていただいて、タクシーはタクシーの免許をとってちゃんと合法的にやっていただく必要があるわけでございまして、従来からこの軽自動車を運行して違法行為をやっている方々に対して、正業に戻ってくださいというような指導をしておるわけでございます。
 それともう一つは、やはり違法行為については警察等とも連絡をして取り締まりをしていかなければなりませんので、このために五十八年度の予算として、ただいま先生おっしゃいましたように、八十五万三千円をいま政府案の中に計上していただいておるわけでございますが、この中身は人件費などではございませんので、監査旅費が五十万三千円、これはその違法な行為をやっておると思われる事業者に対する臨店監査、指導、街頭取り締まり、そういうようなもののために五十万三千円。それから、これはやはり取り締まるだけではそういう違法行為は減少しませんので、軽の自動車で貨物を運送するという以上、本当に貨物を運送するようにということで、県庁あるいは職業安定所の方々であるとか、あるいは警察の方々であるとか、それから荷主とか、そういう関係方面との打ち合わせ会議をやり、正しい方向に導いていくためにいろいろな会議をやらなければならぬわけでございまして、そのための会議費等に三十五万円、合わせて八十五万三千円を計上しておるわけでございます。もちろんこれだけの経費で軽貨物自動車の違法行為を取り締まれるわけではございませんので、それは本来ございます沖縄の総合事務局の経費あるいは県陸運事務所の経費等も活用してやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#87
○吉原委員 時間が追ってきますから、この軽トラ問題は重要な時の問題でございますので、もうちょっと突っ込んだ論議をしたいのですが、一応問題提起ということで、きょうは次の質問がございますので、十分にひとつこの問題については対処していただきたい。恐らく京都のMK問題は裁判で争われるようなことも聞いておりますけれども、結果がどういうことになるかわかりませんが、もしこれが合法化されるということになりますととんでもない話に発展するわけでございますから、慎重に御対処を願いたい。
 時間が参りましたから、次の二つの問題を一括質問をしますのでお答え願いたい。
 陸上交通審議会の役割り、任務、こういうものでございますが、これはもう過去数年来にわたって、逐次、各県あるいは各ブロックを単位に陸一父審の部会を設置していただきました。ここでその地域地域、その生活圏域なら圏域の地域交通をどうやっていくべきかということで、各関係方面からメンバーを選んでいただいて審議が進められております。聞くところによりますと、五十八年度では従来の設置部会にさらに五地域掲上されておるやに伺っております。合わせますと二十九ブロックに陸交審の部会が設置をされることになるわけでございますが、この部会の運営が大変形骸化されてきておる。特に、いま問題になっております国鉄の地方交通線あるいは特定地方交通線、こういう地方交通線、つまりその地域のレールの問題については、部会では論議をしてもらうということは適当でない、地交線の問題は別の次元で審議がされるので部会からは外して検討してもらう、こういうことが各部会で提案されておる。私は、かつて塩川運輸大臣時代に、せっかく地域に部会が設置されたのだから、国鉄の地方交通線も含めてこの地域はどういう交通体系を確立すべきかというのを論議をさしてもらわぬと、本当にその地域の交通というものが論議できぬのじゃないか、だからぜひそのようにという発言をしましたら、塩川大臣は、いや大いにやってください、こういう発言だった。ところが最近は、国鉄の地方交通線は別の次元でやることであって、どうも部会で審議するというのは適当でないという見解が出されておるやに聞いております。地域の交通の大量輸送するレールを外してしまって、レールを論外に置いておいて地域の交通を立てるわけにいかぬのですよ、それは廃止予定路線であろうと何の路線であろうと。廃止をされるという路線は、そうなってまいりますと廃止をされた後をどうするかという論議、あるいは現行の路線があるという前提で地域交通を立てるのか、二通りの方法を考えざるを得ないということになるわけでございまして、こういうことにならないように、少なくともレールを含めたその地域の交通計画を樹立するということでないと実態に即した答申が出せない、こう思うのです。したがって、国鉄も含めた部会の運営というものにすべきだと私は思います。
 さらに、出された答申ですね。まあ十年とか、かなり長期の計画で立てるのでしょうけれども、地域計画を立てて地方の陸運局を通じて本省へ回ってくるだろうと思いますが、そういう計画が出た場合に、それを是とするなら、一体具体的にどうやって予算的な裏づけをして実施の方向に向かわしていくのか。ただ単に机上で分厚い計画を立てさせて、それが本省の方で倉庫の中に眠っておるようなことはないかと私はお尋ねしたい。大臣は「地域交通政策及び物流政策の推進」というのを第三に挙げておる。「地域ごとに策定する交通計画を指針として、地域の交通需要に対応した」云々、こう所信表明演説でお述べになっていらっしゃる。そういうことになっては絵にかいたもちになると思いますので、そういう答申が出たら、ひとつ具体的に財源的な担保をして、年次計画を立てて推進の方向に取り組んでもらわなければならぬ。運輸省並びに運輸大臣の見解、なかんずく前塩川運輸大臣は、国鉄も含めてその地域地域の特殊性を生かした計画を立ててください、大いに論議してくださいと、こうなっておる。ところが最近は変わっておるわけですね。国鉄問題は国鉄再建法に従って論議するからそれは部会から外してくれという。だけれども本当の意味でこの地域計画を立てる場合に、国鉄を棚上げしておいて地域交通計画は立てられぬのですよ。そういう意味でひとつお答え願いたい。
 時間がちょっと過ぎたようでございますけれども、もう一つお答え願いたい。
 通運事業等の新規参入緩和という方向で臨調がいま検討されておるやに私は伺っております。中身は臨調委員でなければ私もわからぬ。ところがそういう意味で通運事業等の新規参入緩和、つまり免許制の緩和というふうに受け取れるのですが、それがいま第三部会で検討されて、間もなく本答申ということになるように聞いておりますが、そういう答申が出たちハイタクも同様にやらなければならぬだろう、これは旅客課長がどこかの新聞で課長談話で出していらっしゃる。通運事業等というのは、これはトラックを指しておると私は思うのですが、トラックだけではなく海上輸送もありますけれども、一番身近に考えるのはトラックです。こういうものを新規参入緩和というのは、これが出されたらハイタクも同様にしなければならぬという考え方になると、ハイタクも自由化の構想、これはまあ公取がそういう考え方を持っておるようでございますが、トラックも自由化、ハイタクも自由化というふうなことにつながるのではないか。こんなことになったら私は大変だと思いますから、これは、そういうことは全然考えておらないならおらないで結構でございますから、はっきりお答え願っておきたい。
 この二つをお答え願って、納得のいかない答弁があったら、ちょっと時間オーバーですがやりますが、納得のいく答弁をしていただければこれで終わりたいと思います。
#88
○西村(康)政府委員 最初に、地方陸上交通審議会の部会での地域交通計画の審議につきまして申し上げます。
 ただいま先生から、国鉄の特定地方交通線の問題をこの陸上交通審議会の部会の審議のときにひとつ取り上げて、一緒に総合的に計画を策定したらどうだ、こういうお話がございましたが、これは最近そうなったということではなくて、地方陸上交通審議会でこの地域交通計画の策定を取り上げた当初から、これはそのときにすでに日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づきまして特定地方交通線の対策が進められております。そこで、当初からこの問題は特定地方交通線対策協議会というところで、法律をもってその場で検討すべきこととされておりますので、地方陸上交通審議会では、その場合の審議の仕方として、これらの協議会における審議を優先して取り扱えということにいたしております。という趣旨は、こちらの地方陸上交通審議会の部会でいろんな計画を取り上げるときに、特定地方交通線の問題を議論しないということではなくて、それをどうするかということは協議会の方の問題として考えてほしい。したがって、具体的な計画としては、協議会の結論を受けて、これを陸上交通計画として定めていくということを当初から方針としております。それで、片方の協議会の方は特定地方交通線を直ちにどうするかということが審議の対象でございますが、片方の地域交通計画の方は非常に長期の、おおむね十年程度の将来の交通計画ということでございますので、当面のそのような特定地方交通線の取り扱いを前提として考えていくという手法をとっているわけでございます。
 それから、地域交通計画につきまして答申が出ました際は、御指摘のようにこれが机上論に終わらしてはならないわけでございます。したがいまして、これらは具体的に現実にやり得る範囲、現在国は国として国の予算の許す範囲でできるだけその実現に向けて努力するという体制をとり、各都道府県は都道府県でその計画を予算化することを努力し、そして全体の許認可等の事業運営は、このような交通計画を十分に念頭に置いてそれを実現する方向で処理していく、こういうことで計画の実現に努めていく体制をとっております。
#89
○角田(達)政府委員 運送事業の事業規制の御質問でございますが、臨調では、臨調の部会報告が出されまして、それで本調査会でいま議論がなされているところでございます。部会報告の中では、具体的には通運事業とトラック事業につきまして規制の問題についての方向を打ち出しておるわけでございますが、その中には参入規制の緩和とかそういう点については触れられておりません。ただ、一般論として、事業規制の緩和につきましては、利用者の利便の増進とかあるいは事業の経営の効率化であるとか、それから事業者の創意工夫を妨げるような規制は排除しろとか、そういう一般論は述べられておりますけれども、具体的な業種としては、通運事業それからトラック運送事業についての提言がなされているわけでございまして、その中におきましても、参入の規制の緩和というような提案はなされておらないわけでございます。
 それから、特にタクシーにつきましては、具体的には何ら触れられていないわけでございまして、私どもといたしましても、トラックあるいは通運と並んでタクシーにつきましても参入の規制あるいは運賃の規制というものは、この事業の健全な発展を図るため、あるいは利用者の利便の増進を図るためになくてはならないものだというふうに考えているわけでございます。
 そのほかの細かい規制の問題につきまして、これはそれぞれ時代が変化してまいったわけでございますから、事業者に過大な負担をかけているような細かい規制があれば、そういうものは排除していかなければいけませんけれども、いま申し上げました参入の規制あるいは運賃の認可制、そういったような基本的な枠組みというものは必要であるというふうに考えている次第でございます。
#90
○長谷川国務大臣 地方の交通問題は、これは国鉄はもちろんありますし、さらにまた、いまのような過疎地帯になれば過疎地帯になったでそれぞれの町村も苦労もしております。現に、過疎バスであれば国の方も補助金を出している、あるいは町村、県の方も出している。それでもなおかつどうにもならぬという場合に、その地域地域でいろいろ苦労していることなどがありますが、その場合に、やはりそのことが生まれることによって既存業者に非常な不当な不便をかける。ある場合には営業の邪魔になるというふうなことなどは、これは守って差し上げなければならぬ。いずれにいたしましても、新しいことをやる場合にはいろいろな摩擦もありますが、そういう一つのアイデアが生まれたときにみんなで御研究願いながら、車を持っていない地方の方々の利便をどう考えていくかということが大事な問題だと思って、慎重にいろいろ配慮しながら行政指導してまいりたい、こう思っております。
#91
○吉原委員 時間が来たから終わりたいと思いますが、大臣、私の質問に的確にお答えになっていない。塩川大臣時代には、国鉄も含めてその地域の交通はどうあるべきかということで大いに論議してほしい、国鉄は国鉄再建法によって論議しますから、部会ではもう外していただきたい、こうなっておるのですよ。だから、あなたが大臣になられてから急遽変更されたのか、局長クラスの方で適当にお茶を濁しておるのか、そこをはっきりしておいてください。そこだけで結構です。
#92
○長谷川国務大臣 行政の継続性でやりますから、お茶を濁していることはございません。
#93
○吉原委員 ますますこれは時間が足らなくなりますからこれで終わります。ひとつきょうは問題を提起した程度にとどめますので、また次回、機会があるたびに質問をしますので、ひとつよろしく。
 終わります。
#94
○原田委員長 西中清君。
#95
○西中委員 運輸大臣の所信を先ごろお聞かせいただきましたが、何といっても問題意識として第一番目に日本国有鉄道の事業の再建、これをお取り上げになっているわけでございます。未曾有の危機的状況にあるという御認識であるわけですが、改めまして大臣に国鉄の認識、そしてこれからの決意をお伺いいたし、また総裁にもお伺いをしておきたいと思います。
#96
○長谷川国務大臣 国鉄が日本の交通網の大宗を占めることは私たちみんな認識しております。しかし、時代の推移でございましょう、モータリゼーションの発達によりまして国民のニーズが非常に変わりまして、そういう中から、ある場合には経営、ある場合には組合、そういういろいろな問題等々がございますし、そして最近は一年間に二兆円の赤字が出ていく。これがいつまで続くかわからぬ。こういうところがどなたからでも認識され、また心配されていることはおわかりのとおりでございます。国が百兆円の国債、その中において国鉄がいまのようなことであれば大変なことになる。これは、運輸委員会に私も所属しているときから皆さん方と御協議申し上げておったことでございますが、ことにおいてか、どうにもならぬというときに臨調の方々もお取り上げいただきまして、そして一つの原則をつくり、その中から国鉄再建監理委員会という法案を私の方でも用意いたしまして、内閣全体でひとつこれはしっかり、いままでは総理大臣が直接関係はしませんでしたが、運輸大臣あるいは国鉄総裁あるいは経営、組合員、こういう方々によって国民のニーズにこたえてきましたが、こういうことでもどうもおかしいのじゃないか。再建委員会によって、総理大臣の諮問機関として、そして十五閣僚が連帯責任でこの際しっかり再建をしなければだめなんじゃないかということに私がちょうどぶつかって運輸大臣になったわけでして、監理委員会の法案の中においていろいろとすばらしい議論がされるように私たちも心がけておりますので、どうぞひとつ委員会法案等々が上程されました暁には御審議の上よろしくお願い申し上げたい、こう思っております。
#97
○高木説明員 大変御心配を受けておるわけでございますけれども、前々から申し上げますとおり、本来私どもが労使ともども何とかこれを立て直すために取り組むべき事項と、それからわれわれの手ではどうにも及ばない事柄と分けることができるかと思います。
 前の部分につきましてもまだまだ十分ではありませんが、みずから言うのもおかしいわけでありますけれども、次第次第にいろいろとそういうことに取り組むべきだというわれわれの気構えを示すべきだということが少しずつ浸透してきていると思うわけでございますが、その間におきましても体質がますます悪くなっていく、病気が進行していくというような状態にございますので、いま大臣もお触れになりましたように、大所高所から御判断をいただく機関が早く発足をして、そして私どもの及ばない部面についての結論をお出しいただけるように強く期待をいたしておるというわけでございます。
#98
○西中委員 監理委員会の法案はいずれまた審議をいたすことになると思いますけれども、その前に、やはり当事者である国鉄、そして長い間監督官庁としてのお立場でありました運輸省、これはやはり主体的な意味において、しっかりみずからの手でやっていくんだ、こういう姿勢が一番大事な問題だと私は思っております。
 細かいことで揚げ足をとるわけではないのですけれども、大臣の所信では危機的状況と書いてあるけれども、臨調ではそれを通り越していると書いてある、破産状況と書いてある。こういう基本的な認識においてしっかりしたものがなければ、何回施策を講じようとも再建はむずかしかろう、まず私はそのことを指摘しておきたいと思います。
 細かい問題になりますけれども、まず青函トンネルの問題でございますが、先進導坑がやっと開通をいたしました。貫通をいたしたわけでありまして、御同慶の至りでありますが、これから六十一年春を目指して急ピッチで工事が進められると思います。これを国鉄が賃借料を払って使用するということになれば、七百億とも八百億ともいわれる金がかかるんだ、こういうふうに聞いておるわけでございます。高木総裁はこういう負担にはたえられない、このように記者会見か何かでおっしゃっておるようでありますけれども、これをどういうようにして負担をしていくのか。それでなければ、ただでさえ国鉄再建というものが非常に困難な中で、さきに上越新幹線でも一千億に及ぶような負担増になっておる、それからこれが加わってくる、こういう形ですね。ですから、これをただ国鉄に押しつければいいというような問題ではないと思うのですね。それでなければこの再建の整合性というものが図れないと思うのです。こういう点についてはどういう処置をなさるのか、運輸大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
#99
○長谷川国務大臣 せんだって青函トンネルの先進導坑が開通いたしまして、改めて気がついたことでありますが、敗戦の後わずか五、六年のところにあのトンネルを掘ろうという計画を立てた日本人の知恵、そして技術を利用しようとしたその活発なところを私は驚くものでありまして、それがようやくにして世界最大の青函トンネルができたという喜び、技術に対するところの評価というのは、国民全部が挙げて万歳を叫んだ。いわんやあれを掘ったところの技術者はみんな涙を流していままでの苦労を喜び、そして将来に向かって決意を新たにしたことをテレビで見て感激したのです。私は、どんな苦しい時代でも、つまらぬところのぜいたくはやめて、そしてすばらしいものには向かっていくというところに国の発展があり、個人の場合でもそうだろうと思うのです。
 そういうことからしますと、おっしゃるとおり、あれを仮に国鉄にやってもらう場合に七百とか八百かかるということでありますが、そうした問題等々も改めて国鉄再建監理委員会などの俎上に乗せて御研究願う、こういうふうな気持ちを持って、一方また、中には国鉄は要らないだろうから、もうあれは無用なんだから埋めてしまおうじゃないか、こういう暴論も出ておるように聞いております。私は、日本人というのは知恵がありますから、従来の、在来線を通す、そのころはまだ新幹線の計画も何もない時代ですから、トンネルをやり出したころは。そこで、何か私の諮問機関として、トンネルを活用するところの委員会などでいいアイデアを出してもらいたいということで、広く日本国民全体の知恵をおかりしようと思ってその人選等々に当たって、ない知恵をしぼりながら、こういうもののすばらしい活用に向かってはやってまいりたい、こう思っております。
#100
○西中委員 いまの御発言ですと、監理委員会からいい知恵をいただきたい、それから、別の委員会をつくってまた知恵を出してもらいたい、こういうお話ですけれども、両方から知恵を出せということですか。もう一度確認しておきます。
#101
○長谷川国務大臣 私の方でも皆さんからもお知恵はもちろんおかりします。そのほかに、また国民全体からもお知恵をおかりするために私的諮問機関をつくる。また、そういう中において、国鉄全体の再建のために監理委員会が生まれますれば、そういうところでもまた、おっしゃるとおり東北、上越、そういう新幹線をつくっても、それは二兆円以上の金がかかってやっておることでございますから、そうした問題等々もあわせて監理委員会においては御研究願うことがあり得るだろう、こう思っておるわけです。
#102
○西中委員 青函トンネルと同様に本四架橋についても完成後国鉄が賃借料を支払う、こういう形になるのではないかと思うのですが、一説では七百億とも九百億とも言われておるわけですね。この措置はどういうことになっていくのか、何らかの方法を考えておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
#103
○永光政府委員 本四につきましては、六十二年開業ということでまだ現在建設中でございまして、いまお話がございましたように、試算によりますと貸付料は従前の方式によりますと五百億程度かかるというふうに算定をいたしておりまして、これも青函と同様に国家的なプロジェクトであり、島と本土を結ぶかけ橋という意味では非常に重要なプロジェクトだと思いますけれども、収支状況から見ますと、採算的には中長期的にもなかなかむずかしいところでございますので、これも青函同様な形で今後国鉄の再建との兼ね合いを考えながら、われわれとして検討していきたい、かように思っております。
#104
○西中委員 上越も一千億、それからいまの青函が幾らになるのか、八百億、それからただいまの本四架橋五百億。総裁、これはどういうように受けとめておられるか、御所見があれば伺いたいと思います。
#105
○高木説明員 東北新幹線と上越新幹線で、現在資本費の負担になるものが大体四千億弱ということになっております。しかし、この二線につきましては、運営経費、毎日列車を走らせます運営のための動力費であるとか、それから施設設備のメンテナンスエクスペンスであるとか、あるいは運転諸費用といったものの、人件費であるとかと収入とを比べますと、収入の方がオーバーしておりますので、今後どういうふうに御利用客がふえていくかということにもよりますし、将来の運賃水準がどうなるかということにもよりますけれども、大体十五年ないし二十年ぐらいで収支が均衡する状態になるのではないか、まず間違いなかろうというふうに見ております。現在、各地域でいろいろな交通機関の新設が行われておりますけれども、地下鉄等、建設費にかなりかかるものにつきましては、どの計画につきましてもかなり長い期間かかった後に収支が償うということを前提としてつくられておりますので、東北新幹線及び上越新幹線につきましては、将来に向かって収支採算の見通しのつかないものだとは考えておらないわけでございます。
 ところが、いまお示しの青函トンネルと本四架橋は大分事情が違うわけでございまして、そもそも旅客流動にしましても貨物流動にしましても昨今余り多くないところでございますので、いまのごく内々の試算では、恐らく収入とオペレーションコストとを比較してみましてもなかなか償わない、せいぜいすれすれくらいのところでございますので、とても資本費の回収のところまでは私どもとしては生み出すだけの収益力のあるものとは考えられないわけでございます。
 そういう意味で、かねがね東北・上越新幹線についてもいろいろ御指摘を受けておりますし、率直に申しまして、五十七年度、そして営業がフルに始まります五十八年度の国鉄経営の圧迫に東北新幹線、上越新幹線がなっていることは事実でございます。しかし、先の展望という点から見ますと、決してそう暗いことばかりではないわけでございますので、この方は何とかわれわれの力でやっていくといたしましても、本四架橋と青函トンネルにつきましては、まだはっきりいたしておりませんけれども、私ども相当借料をお支払いするという前提ではちょっと余りにも負担が大き過ぎるということで、機会あるごとに運輸省あるいは政府の他の機関にも何らか手を打っていただきたいとお願いをしてまいったわけでございますが、だんだんと工事も進行してきておりまして、いずれわれわれの方に引き受けるということになる時期が切迫しつつございますので、われわれとしても一段と使い方についてよく勉強いたしますと同時に、それで負担し切れない部分については政府にお助けを求めたいというふうに考えております。
#106
○西中委員 大臣、お聞きのとおりでございますので、御努力のほどをお願いしておきたいと思います。
 それから、整備新幹線の問題でございますけれども、調査費がつけられておりますね。一方、臨調の答申では計画は当面見合わせる、こういうことになっておるのですが、調査費をつけていかなきゃならない理由、それから臨調の答申との整合性は一体どうなっておるのか、御説明をいただきたいと思います。
#107
○長谷川国務大臣 当初、私たちもこの委員会に所属しておったころ、東海道新幹線は千七百九十億という合い言葉でした。そしてこれをつくろう。それで国会議員が海外派遣でアメリカなどへ行くと、私たち自身がそう影響力あると思いませんでしたが、世界銀行についでに顔を出せ、こういうふうな話の中に、オリンピックを前にしてあれだけすばらしい東海道新幹線が生まれたわけです。そのときに、当時のことを御存じの方もおありと思いますけれども、私たちの夢としますと、やはり札幌から鹿児島までくらいは新幹線通そうじゃないか、こういうふうな夢なども言われたことでございます。
 いま改めて、盛岡まで東北新幹線が行った場合に、やはり整備五線というもの、盛岡から先が同じ東北でも全然だめだ、あるいはまたほかの地域もどうかということを考えますと、これは臨調は当分見合わせろ、こういう御勧告でございますが、従来どおりの建設費あるいは調査費というものを出しまして、一方、そうした建設に対するいろいろな諸手当て等々がどういうことになるかという一つの知恵の出てくるところをいまお待ち申し上げている、こういう形でございます。
#108
○西中委員 予算を拝見いたしますと、若干気になるのは国鉄の資産の売却でございますね。昨年は八百億、こういうことでございましたけれども、今回出ております予算案では倍になって千六百億ということですね。土地を売るとなればとかく足元を見られますから、売却というものはなかなかむずかしいのではないかという気がするのですけれども、五十七年度の実績と、果たしてこの千六百億五十八年度に売却ができるのかどうか、その辺のお見通しをお伺いしておきたいと思います。
#109
○高木説明員 土地の資産の売却処分収益は、五十六年度が目標が六百億でございました。五十六年度は大体八割方その目標まで到達をいたしました。
 五十七年度は、いまおっしゃいますように、八百億ということでいま鋭意やっております。こういうものはどうしても年度末に偏りがちなわけでございますが、現在時点で八百億に対して大体六割ぐらいの売却目標達成をしておりまして、あと四十日間で約二百億ないし二百五十億ぐらいの契約をしなければならぬわけで、いま関係者は毎日一生懸命走り回っているところでございますが、一〇〇%いくかどうかわかりませんけれども、かなりそれに近い線までいくのではないかと思っております。率直に申しまして、昨年のいまごろ、五十七年度の目標が八百億になりましたときに、これはいけるかなと大変危惧をいたしたわけでございますが、職員諸君皆がんばってくれまして、そこまでほぼ達する見込みでございます。
 さて、五十八年度はさらにその倍ということになってまいりましたので、これはなかなか容易でないということは、率直に申しましていま御指摘のとおりでございます。ただ、一方におきまして、私どもの職員の中の気構えもだんだん変わってまいりました。現に使っておる土地、ただ使い方の有効度の非常に低い土地につきまして、それらの上に建っております仮設物のような簡易な建物を集約をして、底地を生み出してでも資産売却収入の種をつくり出そうということが大分活発に行われてまいりましたので、決して手の届かない数字ではないというふうに考えております。昨年のいまころは八百億でもなかなかむずかしいと思っておったわけでございますが、今日の段階では、率直に言って千六百億円はなかなか容易でないというのは、ちょうど昨年のいまころ感じておったときと同じぐらいのむずかしさを感じてはおりますけれども、しかし五十七年にほぼ目標を達成し得るということを具体的に経験をいたしましたので、みんなの元気も出ておるわけでございまして、予算で決められたことでございますから、これは相当無理をしてでもやっていかなければならぬと思っております。
 ただ、うちだけではなくて、買っていただく相手先の場合に、非常に多くの場合が地方公共団体でございまして、駅前の土地を整備するとか何かのときに都市側としてもぜひその土地を欲しいということがありますので、買っていただく先の中の相当多くの部分が地方公共団体でございますが、地方公共団体側の財政事情も決して楽ではないということでございましょうから、これがうまく達成できるかどうかはその辺の事情もあると思っております。しかし、いずれにいたしましても、八百億を千六百億にふやしましても、なおかつ五十八年度の赤字額が五十七年度の赤字額よりも三千億もふえるということでございますから、何としてもこれは達成をいたしたい、その気構えで職員を督励してまいりたいと思っております。
#110
○西中委員 参議院の予算委員会でございますけれども、わが常の馬場委員が国鉄が売却した土地が十七倍で転売されたという例をこの前出しておりましたけれども、そうした点についても十分配慮をしてやっていただきたいと思います。
 次に、列車屎尿流出差しとめ請求事件、いわゆる黄害裁判の問題について触れておきたいと思います。
 この裁判は昭和四十九年四月十六日、東京地裁に訴訟が行われました。もう九年たっておるわけでございます。過去三十九回公判が行われて、その経過を見てまいりますと、年間大体三、四回、こういう回数しか法廷が開かれておらない。まだ遅々として進展を見ていないわけでございます。いろいろ経過もあり、裁判で争っている問題でございますけれども、しかし、この問題は何といっても国鉄職員または沿線その他の人々の健康にかかわる問題であり、同時に人権の問題とも言えるわけでございますから、いつまでも裁判で争っておるというのもいささか私たちは疑問に思っておるわけなんです。このペースでいきますと、まだ証人が六十何名残っておりますから、四人ずついっても十何年という大変なロング裁判になるわけです。このままずるずるいつまでもこの裁判をやっておられるのかどうか。当局として何かいい知恵を出す段階に来ておるのではないかと私は思います。社会情勢もどんどん変わりました。また、公害に対する認識も変わっております。社会全般が変わっておる。こういう中でこの問題がいつまでも裁判で争われておるということは、私はちょっと問題があるのじゃないかという気がいたしております。今後どういう姿勢でこの問題に対処していかれるのか。私が申し上げました意見にお考えがあれば伺っておきたいと思うのです。その点いかがでしょうか。
#111
○高木説明員 黄害の訴訟につきましては、いまも御指摘のように大変時間がかかっておるわけでございます。その点は私どもも決して引き延ばしているわけではないのでありますけれども、結果としてはとにかく時間がかかっているということで申しわけなく思っております。
 なぜ時間がかかっているかということについてはそれなりに理由があるわけでございます。ほとんど過去において例を見ない裁判といいますか、事実を争っておることでございますので、たとえば、こういう席で具体的に申し上げるのはまずいのですけれども、汚いものがどういうかっこうでどういうふうに飛んでいくのかということ自体がよくわからないというようなことがあり、また、線路の保守に当たっておる職員にそれがかぶるということについて、大変不愉快だということはもちろんわかるのですけれども、それが具体的に不愉快の度を超えて、たとえば何らかの意味の病気につながるとか、そういうことがあるかどうかというようなことについても、めったにそういうことを御研究のお医者さんもおられないということもありまして、なかなか議論が――また、私どもとしましては、現在訴訟を受けておりますのはうちの職員から受けておるわけでございますけれども、ある意味では沿線沿いの住民の方々にも御迷惑をかけておるという事実も否定できないわけでございますので、その辺を勘案しながらやっておりますために大変時間がかかっております。
 そこで、その対策でございますが、これは一応訴訟を受けております以上、われわれは訴えられておるわけでございますので、その訴えられた訴訟についてはやはり誠実に対応していかなきゃならぬ。ただし、そのことについて十分の証明がついたという形でなければいけないということから、いろいろ証人をお願いするというようなことで時間がかかっておるわけでございますが、これはこれで御指摘のようになるべく促進をすることを考えながら訴訟に対しては正面から対応してまいりたいと思っております。しかしそれでは問題が片づかないわけでございますので、あと二つ方法があるじゃないかということで、一つは、要するにそういうものを飛ばさないようにするにこしたことはないわけでございます。そのためには車両基地を整備いたしまして、いわば車両から飛ばさないように一遍タンクへ貯蔵いたしまして、車が車庫に帰ってきましたところでそれを抜くということを現実に進めております。ただ、これまた非常に困ったことなんですけれども、今度は車両基地のある市町村からは、自分のところで発生した汚いものじゃなくて、よその地区で発生した汚いものを自分の市町村で処理をするというのは、それを同意しろと言われてもなかなかうんと言いにくいというようなことがあって、そういうタンクを抜く場所を見つけるのに時間がかかったりいたしまして、まだ全体の計画の六、七割の進行状況でございますが、大分全国的に汚水処理、下水処理についての関心が高まってまいりましたので、ここのところへ参りまして急速に基地の整備が進んでおります。と同時に、もう少し簡易な方法はないかということで、タンクにためてそれを捨てるというのじゃなくて、一種の簡易な、何といいますか袋詰めみたいなことにしまして、そしてどんどんそれを焼却していくという方法もいま相当進めております。いずれにしましても、そういうことであともうちょっとお待ちいただきますと、そもそも根っこでの処理はほぼ片づいていくのではないかというふうに思っております。
 それから第三の問題点は、いまのうちの職員と私どもの間の関係で、大変不愉快な仕事をしておるわけですから、手当といいますか給与といいますか、そういう面で何かできないかということで、給与について毎年春闘に基づくいろいろな配分をいたしますときとか、それ以外にもいろいろ手当改善の労使交渉もございますので、そういう場合にその問題を手当的なもので解決する方法というようなことに取り組んでおります。ただ、私の方はいろいろな職種がありまして、それぞれの職種について、単にこれだけじゃなくて、ほかの面でもやはり仕事の最中に必然的に汚染する、汚れるという職場はかなりあちこちにあるものでございますから、職員間のバランスという問題がございまして、変な話ですけれども、保線以外の職員からは、保線の方でそういう手当が行われるならわれわれの方も何か考えろという問題がいろいろあるものですから、これまたなかなかうまく処理ができておりません。しかしこの問題は何か解決の方法がないかということで、これまた大変時間がかかって恐縮ですが模索はしておるところでございます。
 そういうようなことで、訴訟は訴訟、それから根本対策は根本対策、それからとりあえずの手当、給与で解決する方法はないかというようなことの三本立てで取り組んでおるわけでございますが、一時に比べますれば全体の汚染物に対する未処理量が大分減ってまいりましたので、だんだん問題も落ちついてきつつあるわけでございまして、もうしばらく様子を見ていただきたい。いずれにしても訴訟は訴訟で進めてまいりたいというふうに思っております。
#112
○西中委員 この点については裁判もそういう状況でございますし、みずからの職員の問題でもありますから、労使関係にも影響のあることですから、ひとつ十分なる取り組みをぜひお願いしたいと思うのです。何だかんだと言って、医学的な立証だとか言いますけれども、やはりこれは人権問題だと思いますよ。だから、基本的にはそういう立場に立って問題の解決に当たらなければならぬ、こう思います。同時に、おいおい進んでいるという話ですけれども、これは実際問題としてなかなか進んでおらぬですね。しかも、五十八年度はこれに対する改善の費用、補助金は減額をされておるわけですね。ですから、言葉とは別にこれは後ろに下がっておるという印象を強くいたしております。
 先ほど、上越新幹線、東北新幹線のお話が出ましたけれども、上野―大宮間のリレー号、これはたれ流し列車でしょう。どうですか。
#113
○高木説明員 リレー号は、実はあれは本来ああいう目的のためにつくった車両ではございませんので、大宮開業を余儀なくされることと関連して、将来ほかの地区で特急等に使うつもりでつくった車でございますから、かなりの程度トイレが各車両についております。それで、あれを使用開始いたしますときに、上野―大宮間は大変時間が短いわけでございますから使用禁止をしようか、その程度の時間であればお客様にがまんをしていただけるのではないかということで、禁止をしようかという議論を大分いたしたわけでございますが、あの車両そのものは実はあそこだけに使っておるわけではないわけでございまして、現在でも車両運用であの地域で使っている時間帯と、ほかの地域まで持っていって特急として使用している時間があるものでございますから、どうもそのときだけ閉めるというのもなかなか容易でないということから、現在は御利用方についてなるべく御遠慮いただきたいということを車掌が車内放送する等を通じてやっておりまして、かなりの効果は上げておるのですけれども、やはりどうしても御利用の方が少しはあるということでございます。基本的にはあの電車の車庫は前橋にございまして、何日かに一遍ずつ前橋に入って、そこで全部しかるべく整備をしてまた出ていくということでありますので、前橋にその抜き取り設備が完了すれば問題は解決するわけでございますけれども、これは先ほどちょっと触れましたようなこともあって、前橋地区の抜き取り装置の整備に手間がかかりまして、ようやく最近着工に至った次第でございます。
 なお、いまのお話につきましては、沿線住民の問題もいろいろございますものですから、一体いまのままでいいのかどうか。やはり、もう一度使用禁止といったようなことを工夫できないのかどうかといったことも含めまして絶えず検討はいたしておりますが、お言葉ではございますが、現在のところは車内放送等のあれもあってほとんど使用されていないというので、今日まではいまの使用禁止をしない状態で続けております。しかしこれは非常に問題だ。何しろうちの職員に対する関係もありますけれども、住宅密集地区を走っているところでもありますから、これはちょっと問題であるということで、問題意識は私自身持っておるわけでございまして、対応については今後とも慎重に考えてまいりたいと思っております。
#114
○西中委員 一つの例ですけれども、こういったことがまた職員に対しても悪い影響、要するに当局はこの問題に対してどういう姿勢でおるのか、こういう一つの問題になるわけですから、この辺はけじめをつけてやっていただかないと困ると思うのです。特に沿線の住民にも影響のあることでございますから、早速の処置をお願いをいたしたいと思います。
 国鉄に関しましては以上で終わります。
 次は、日本航空についてお伺いをしておきたいと思います。
 日航の昨年の事故につきましては、警察庁の方でいろいろと今日まで調査をなさり、それなりの対応をしてこられたわけでございますけれども、今日までどういう形になったのか、まず状況報告をしていただきたいと思います。
#115
○三上説明員 これまでの捜査状況でございますが、機長片桐清二につきましては、現場検証、被疑者の取り調べ、関係者からの事情聴取及び航空事故調査委員会の事故中間報告等の関係資料を検討した結果、同機長が機首下げ操作等常軌を逸する行動をしていることが判明し、また、機長の言動等から精神の障害が懸念されましたので、航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律違反の被疑者といたしまして、東京地方裁判所裁判官から鑑定留置許可状の発付を得て、昨年五月十二日から東京警察病院多摩分院において鑑定留置し、精神鑑定を行った結果、昨年九月九日、犯行前、犯行時並びに現在の精神状態につきまして妄想型精神分裂症であることが判明いたしましたので、翌九月十日、同機長を航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律違反で東京地方検察庁に書類送致をいたしております。
 また、結果として精神に障害のある者が機長として航空機の運航に当たっておりますので、この点につきまして日本航空側の管理上の責任の有無を現在捜査をいたしておるところでございます。
#116
○西中委員 新聞によりますと、「機長の上司四人と嘱託医二人の計六人に任意出頭を求め、業務上過失致死傷容疑で取り調べる方針を固めた。運輸省航空事故調査委の最終調査結果が出るのを持って同容疑で書類送検する。」それから「航空会社の乗務員の管理責任は、他の交通機関などよりも厳しく問われるべきである、として上司や嘱託医らに対し、強い姿勢で臨む方針だったが、「心の病気」を見過ごし、対策を怠った過失を問う捜査だけに、立証が難航、強制捜査は見送る見通しとなった。」こういう報道があるわけでございますが、そのとおりでございますか。
#117
○三上説明員 日本航空の管理責任につきましては、結果として精神に障害のある者が機長として航空機の運航に当たっておりますので、会社側の機長に対する健康管理の状況及び今回の事故に対する予見可能性等についても十分な捜査を行いまして、会社側の管理上の責任の有無について明らかにいたしてまいりたいということで、そういった基本方針で現在捜査をいたしております。
#118
○西中委員 こういう問題、まだまだ結論が出るまでには裁判もあることでございますから、結果をどうこうというわけにはいかないわけでございますけれども、運輸省としてこの行政責任は一体どういうようにお考えになっているのか、伺っておきたいと思うのです。
#119
○松井(和)政府委員 昨年の通常国会でしばしば私どもも御答弁申し上げた記憶がございます。今回の事故はまことに遺憾のきわみでございますが、運輸省といたしましてまず第一に、これは航空局とは別の組織でございますけれども、航空事故調査委員会の手で現在事故原因の究明が進められております。運輸省としてはまず第一に事故の真の原因を突きとめるということ、それから第二に事故の再発を防止する、これが最大の責任である。特に航空機の場合、事故が起こりますと、一回の事故で犠牲者がかなり多数に上るということでもございます。国民の不安を一刻も早く取り除くということが私ども運輸省に課せられた責務であるというふうに考えております。
#120
○西中委員 一年を経過したわけでございますけれども、事故の補償が余り進展をしておらないようでございまして、二月九日現在で死者二十四名中六名、負傷者百四十二名中七十七名しか和解をしていない、こういう現状でございますけれども、すべてがどうなのか事実はわかりませんけれども、遺族の被災者の会などは日本航空の姿勢はよろしくない、こういうことで運動をしているようでございますけれども、運輸省としてはどういうように受けとめておられるか、お伺いをしておきたいと思います。
#121
○松井(和)政府委員 日航機事故の補償問題でございますが、私どもが報告を受けております最新の数字で申し上げますと、死亡旅客二十四名中六名が解決済み、負傷者百四十二名中七十九名が解決済み、こういうことでございまして、御指摘のようにまだかなりの方の解決が延ばされておるということでございます。私ども、日本航空に対しましてはこの事故直後から、その当時約款には賠償限度額が定められておりましたが、その限度額にこだわらずに誠意を持って対応するようにという指導をしておりまして、この点につきましては現在に至りましても同様でございまして、日本航空が誠意を持って一刻も早く円満な解決をするようにということで指導をしておるわけでございます。
 ただ、たとえば負傷者百四十二名中七十九名までが解決をしておるというのはかなり進み方が遅いというふうに受けとられるわけでございますが、その百四十二名のうちの約五十名の方はまだ最終的に後遺症が残るかどうかというような病状の固定が行われませんために、最終的にまだ金額の提示が行い得ないというような事情もございますのでそのような数字になっておるわけでございますが、今後とも日本航空に対しましてはできるだけ早く円満な解決を行うよう指導してまいりたいと考えております。
#122
○西中委員 いずれにしても前例のない事故でございますので、直接に運輸省もどうこうというわけにはいかぬと思いますけれども、十分な指導をお願いいたしたいと思います。
 それから次に、関西国際空港の整備についてちょっと触れておきたいと思うのですが、五十八年度予算案で着工準備調査費という名目で三十二億円が計上されております。これは泉州沖の新空港整備の調査費だろうと思いますけれども、この着工準備調査費というのは大阪の工事についてのゴーサイン、こういうように理解していいのかどうなのか。それから、実施設計調査費でなくて、着工準備調査費の名目にした理由は何なのか、このあたりをお伺いしておきたいと思うのです。
 それから、大臣もどこかの新聞で対談をされておるようでございますけれども、大阪府及び和歌山県の間では一応合意が成立した、いわゆる運輸省の三点セットに対する回答をなさったわけでございますね。ところが兵庫県はまだ回答をなさっておらない。いわゆる地元合意ということがいままで言われてきたわけでございますけれども、この地元合意ということをどういうふうに理解すればいいのか。三府県の合意が完全に成立しなければ地元合意はでき上がった、こう言えないのか。すでにゴーサインが出ているとするならば、兵庫県は構わないのだ、大臣も後でいろいろ話し合いをするのだ、こういうお話を対談でなさっているようでございますけれども、そうした点のけじめはどうなっておるのか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
#123
○長谷川国務大臣 まず最初に、日航で亡くなった方あるいはけがをしている方の補償の問題について私からも一言つけ加えます。
 先日も日航の社長、副社長が参りましたから、いま局長が申されたようなことを私の方から申し上げまして、しっかりと早く補償を決めるようにということは改めて私の方から申し入れしました。
 関西新空港はおかげさまで四十億円つきまして、これは着工準備費という大蔵省の新しい費目でございまして、あなたの口から言えばゴーサイン、こういうふうにお考えいただいてもいいのじゃないか、こう思っております。
 そしてまた、兵庫県の話でございますが、兵庫県の知事も三点セットの回答はよこしませんけれども、お目にかかったときには関西新空港は必要である、こういうことはお認めになっております。そしてまた、何さま兵庫県も一つの大きな行政機関、私の方も行政機関でございますから、下の方では何でも御相談に乗る、こういう形で交流を図りつつ、私はこの泉州仲の関西新空港が成田のようないろいろなことのないようにして、ぜひひとつ円満に二十四時間空港実現のためにやりたい、こういうふうな考えで進んでおります。
#124
○西中委員 そうしますと、兵庫県の合意がやはり必要であるという立場でございますか。
#125
○長谷川国務大臣 そのとおりでございます。
#126
○西中委員 時間もなくなってまいりましたので、最後に一つ大蔵省にお伺いをしておきたいと思います。運輸省にもまたお伺いをしますけれども、最近自賠責につきまして値上げをするというような新聞報道がちらほらと出てきておるわけです。去る一月二十六日に自賠責保険審議会が開催されまして以来、どうもその動きが活発なようでございます。過日の予算委員会でこの問題は取り上げられましたけれども、保険料の値上げについては現時点ではその考えはない、このような御答弁だったと思います。しかし、一方では盛んにこういうニュースが流れてくるということは、それなりの動きがあると見なければならぬと思います。そこで、もう一遍くどいようでございますけれども、そういう値上げのお考えがあるのかないのか御答弁をいただきたいと思います。
#127
○田中説明員 お答え申し上げます。
 現在の自賠責の保険料は、先生御案内のとおり、昭和四十四年十一月に改定いたしまして以来ほぼ据え置いた形できているわけでございます。その間十三年余、三回にわたる限度額の改定もやってございます。それから、支払い基準と申しまして一定の支払い単価を決めてございますが、これもほぼ四十八年以降二年に一度に近い感じで改定してございます。
 こういうことが可能であったのは何かというふうに申し上げますと、これは交通事故が昭和四十五年をピークにいたしまして逐年ずっと減少してまいったわけでございます。そういう状況の中で限度額の改定なり支払い基準の改定、こういう形も可能であった。しかし昭和五十三年ごろから交通事故の死傷者数もふえてまいっておりますし、自賠責の収支、いわゆる契約をいたしました年度の契約保険料とそれにかかわる支払い保険金、こういうふうに対応いたしました収支を見てみますと、五十三年から赤字に転じてきておるわけでございます。この理由はいま申し上げましたように、それまで逐年の限度額の改定、支払い基準の改定、あるいは交通事故というような状況の変化ということが背景にあろうかと思います。
 さて、それではその自賠責の保険料をどうするかということでございますが、やはり五十三年からそういう形で逐年収支の赤字幅は徐々に拡大してございます。したがいまして、早晩そういう意味での収支改善のための手直しというのは必要になろうかと思いますが、当面交通事故がさらに急増するとか、あるいは支払い限度額を改定するとかというような、いわば大幅な支払い保険金の増加要因が別段ない限りにおきましては、いま直ちに保険料の改定をする必要はないのではないか、こういうふうに思っております。
#128
○西中委員 当面ということでございますけれども、私はこういう動きが事実あるというように認識をいたしております。追ってこの問題だけで質疑をいたしたいと思っておりますが、私の考え、またいろいろな資料を総合いたしまして、実はこの保険料を上げるというような必要は全くないんじゃないかという認識をいたしておるのです。これはいずれ論議をいたしたいと思っております。
 ここにいろいろな報道がありますが、たとえば当面はやらないけれども選挙が終わればやるんだとか、いろいろ書いてあるわけですね。そういう話もいまはないですか。それから、当面やらないとおっしゃる意味は、五十八年度でやらないという意味であって、それ以降はわからないという意味なのかどうなのか、その辺はどうなっておりますか。
#129
○田中説明員 いま直ちにと申し上げましたのは、保険というのは交通事故といういわば変化のある、そういう事項を対象にした、いわば賠償責任に対する支払いということでございます。したがいまして、いま現在の基調を続ける限りにおきましてはいま直ちにと、こういうことでございます。自賠責の保険料に関しましていま先生御指摘のようなことを考えているわけではございません。
#130
○西中委員 私は、どうもそういった動きがいま非常に激しくなってきている。それをなぜ申し上げるかというと、これはいわゆる任意保険も含めまして値上げの話が業界では出ておる。しかも私の調査したある相手の発言によりますと、すでに大蔵省とは根回しは終わっておるんだ、ここまで言い切るのがいるわけですね。ですから、これはあなたにやあやあ言ってもしようがないと思いますけれども、改めてこれはここで質疑をするとして、大臣、この収支の問題でございますけれども、いわゆる単年度における収支は確かにいまの説明のとおりでありますけれども、累計からまいりますとまだまだ大変な累計額が出ておるわけでして、それから運輸省の方の自賠特会におきましても、運用益その他積み立てというのでしょうか、この金額は膨大な金額になっておるわけですね。ですから、いま急にこの値上げをしなければならぬというような背景は私は全くないと思っておるのです。その資料についても要求をいたしておりますが、なかなか出さないようでありますけれども、いずれまたまとめて資料の提出をお願いしようと思っておりますけれども、運輸省としては現在どういうようなお考えなのか、伺っておきたいと思います。
#131
○長谷川国務大臣 私も自賭責の制度の中身そのものは詳しく存じ上げませんけれども、国家財政、税収不足というときに、総理の方からこういうときの税外収入の補てんのためにこの自賠責二千五百六十億という話がありましたから、私はそういう大事な立場を考えまして実は御賛成申し上げて、皆さんに今度一本の法律として国会に諮るわけです。そういうときに、何か値上げという話を大蔵省から聞くことは非常に遺憾でございます。制度の内容は詳しくわかりませんが、これは国民感情なり私たちの気持ちが許せない、こういう感じを持っております。
#132
○西中委員 これで終わりますけれども、いま運輸大臣から力強いお言葉を聞きましたけれども、確かにそういう運用がなされるということはそれなりに余裕があってできることでして、制度上のいろいろの問題があって、たとえば民間損保が苦しいというならばやはり改正をして、膨大な運用益、積立金ですか、こういうものの処置を考え直すというようなことをして、やはり一般市民、国民に負担のかからないようにやっていくことが非常に重要であろうし、また、審議会等の答申も、やはり実際に保険料を出している方に対して見返りとしてのいろいろの施策をしなければならぬ、こういう答申を出しておるわけでございますから、本来はその趣旨に従ってやるべきでありまして、私は財政的なああいった処置は余り賛成はいたしておりませんけれども、そういった意味で値上げということは当面は考えてもらっては困る、またその理由もなかろうといま思っておる次第でございますので、今後そういった方向で大臣の御奮闘を願いたいと思っております。
 以上で質問を終わります。
#133
○原田委員長 次回は、明二十三日午後一時五十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト