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1949/04/28 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 電力問題に関する特別委員会 第20号
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1949/04/28 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 電力問題に関する特別委員会 第20号

#1
第007回国会 電力問題に関する特別委員会 第20号
   公 聽 会
  ―――――――――――――
昭和二十五年四月二十八日(金曜日)
   午前十一時十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○電気事業再編成法案(内閣送付)
○公益事業法案(内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(飯田精太郎君) 只今から公聽会を開会いたします。
 公述に入る前に、委員の方にお諮りしたいことがあります。公報に発表されていました公述人の中で、東京大学教授の柳川昇君が、止むを得ないお差支のために御都合が惡く、同大学助教授の今野源八郎君に代つて頂くことになりました。御了承願います。
   〔「了承」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(飯田精太郎君) 本日の議題は公益事業法案及び電気事業再編成法案であります。
 公述人の方々には、公私御多忙のところをお繰合せ御出席下さいまして、誠に有難うございました。できるだけ広い範囲から、公述人の方を御選定する方針でおりましたが、政府の国会に対する提案が非常に遅れましたために、時日がなかつた関係で、思うように広い範囲の方に御公述願う時間がなかつたことに対して、誠に遺憾に存じております。その上、時間の関係上、公述人の方々に十分御研究をなさる余裕がなかつたことと思うのでありまして、この点をお詫び申上げておきます。尚、この両法案とも産業界は勿論、我々の日常生活にも非常に深い関係がありますので、各方面に対する影響も重大なものがあると思うのであります。できるだけそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を伺わして頂きたいと思います。
 それでは、これから公述に入ります。最初に、全九州電力需要者大会実行委員の青木勇君。それで公述人の方には大体十五分間ぐらいの時間をお守り願いたいと思います。その後で質疑を五分間ぐらいの程度でお願いしたいと思います。御承知置き願います。青木勇君。
#4
○公述人(青木勇君) 私は九州の長崎の端におります町の鉄工場の主人でありまして、今日のお話は肩書にありますような九州の電力需要者大会の実行委員代表としての立場から、お話を申上げたいと思うのであります。時間もないことでありますから、公式的な決議文を説明するというようなことは避けたいと思いまして、同じ趣旨の下に少し別の角度から説明的に意見を申述べたい、こういうふうに思います。
 先ず順序といたしまして、非常に貴重な時間でありますけれども、二、三分九州の電力事情、九州の電力事情は特別なものであるということはかねがね言われておるところでありますけれども、この点について少しお話し申上げたいと思うのであります。大まかに言いまして、九州の電力事情の最も特徴的なことは、絶対量が非常に極度に不足しているということと、その中で以て供給せられる電力が非常に不安定である、惡質であるということだろうと思うのであります。その原因を電源の面から見てみますと、御承知の通りに本州一般は水主火従の状態の構成にあるわけでありますけれども、九州の場合には火主水従の構成になつている。而もその中で水力は、非常に水力資源が貧弱でありますがために不安定である。又水力発電所が概ね流れ込式のものが多いので、調整能力がないという点だろうと思うのであります。従いまして九州の電源は火力に依存しているのでありますが、本州一般におきましては、電源の構成上、私はよく覚えておりませんが、確か水力が七〇%で火力は三〇%ぐらいじやなかつたかと思うのでありますが、九州の場合には五五か六〇ぐらいと四〇ぐらいの逆の関係になつていると思うのであります。でそういうふうに火力に依存する度合が高いのでありますが、その上に九州の火力は非常に老朽である、且つ又余力がない。こういう状態でありまして、中国受電を僅か二万か三万貰つているのでありますけれども、全体の五%くらいにしか当らないところの中国受電、それさえも九州にとつては非常に調整能力という点におきまして役に立つているのであります。九州の立場から中国受電を考える場合には、量では考えられない。それの調整能力その他の機能を非常に大きく考えなければならないというような状態なのであります。
 需用の面から見ますと、御承知の通りに九州は石炭、鉄鋼業その他の基幹産業が非常に多いのでありますから、その方へ全体の使用量の六〇%ぐらいを捧げている。従つて小口動力の、五百キロワット未満の小口動力成いは電灯需用というような方面において、それだけ無理をして圧縮しているというような状態なのであります。勿論この圧縮しているというのは、新電気料金が出ましてから原則的には自由の立場に立ちまして、大いに使えることになつたわけでありますけれども、現に九州で、外の地区は存じませんけれども、我々が工場の、小さい工場にモーターの施設でもするということになりましてお願いをしますと、やはり半年一年というふうに手続がかかる。手続がかかるばかりじやない、下りて来ない。やはりそこに強度の制限が行われているという状態なのであります。こういうような九州の電力事情、それに対しましてこれの打開策としてどうしたらいいかというようなことは、一昨年来九州では民間の需用者の運動が発展しておりまして、研究し盡して来たのであります。その結論といたしましてこれを要約して申上げるならば、第一に何といつてもいろいろな小細工では駄目だ。大規模な電源を開発しなければならない。第二番目に地帶間融通を絶対に確保しなければならん。第三番目には、これらの供給力の増加ということも、料金を幾ら高く拂つてもいいという條件ではいけないのでありますから、地域差料金をできるだけ抑制しなければならん。この三つが九州の電力事情を打開する根本的な條件だ、こういう結論が出たのであります。従いまして今般の電力事業再編成の問題が出て参りまして、これに対する我々の意見というものは、この三原則の鏡に照らしまして、どうあらねばならんかということを考えているのであります。言い換えますと、大規模の電源開発をするためには、電気事業の編成はどうあらねばならんか。それは便法としてではなくして、機構の問題として、編成の問題として、本質的な問題として、どうあらねばならんかということを考えまして、それの最も能率的に、最も合理的に、最も公平に運営できるような電気事業の編成でなければならない、こういうふうに結論しているわけであります。
 さて、再編成法案と公益事業法に対する意見でありますが、時間がありませんので要点だけ申上げます。
 第一、再編成法案につきましては、この法案は非常に簡單なものであつて、個々の條項について大した意見はないのでありますが、問題は再編成法案の底に流れているところの、再編成に対する基本的な考え方、ここに大きい問題があると思つております。これは第一條の目的のところに書いてある、その第一條が問題になると思うのであります。大体政府の考え方は、いわゆる松永案を骨子にいたしまして考えているというのでありますから、第一條の文句をこれに当嵌めてみますと、大体国家管理を廃止し、電気事業を完全私企業化する。又発送配電を一般経営にする。又地域別の完全独立採算制によつてやる。こういつたようなことが政府案の根本的な考え方だと思うのであります。これらのことが我々の主張するところの三原則を能率的に、合理的に、公正に運営することになるかどうかということが、我々の考え方が置かれるところなのであります。第一国家管理的なやり方を廃止するということは現在の傾向ではありましようけれども、必ずしも国家管理的なやり方を廃止するということが、公共の福祉を擁護するためになるかどうかということに疑問を持つております。但し別な意味におきまして、外資を導入するとか、その他の條件によりまして、国家管理はまずいから、やはり完全私企業化した方がいいというのであるならば、これはおのずから條件が違うと思うのであります。発送配電を一貫経営にするということにつきましては、これは我々は電気事業者ではありませんので、非常に技術的な、或いは経験上の問題があると思いますから、はつきりと断言はいたしかねますが、少くとも我々が知る範囲で、世界一般の傾向といたしましては、むしろ一貫経営よりも開発と配電とを分離いたしまして、開発は或る場合には採算上の問題を度外視しても開発しなければならないという場合がありますから、これに応じ得るような企業の規模形態にするということにいたしまして、配電と分離するという傾向にあると思うのでありますが、その傾向に反するのじやないかというように、素人の考えでは考える次第であります。
 次に地域別の独立採算制及び完全私企業化という方針であります。地域別の独立採算制をとるか、完全私企業化するかということは、これはイデオロギーで決める問題では私はないと思うのであります。要するところ日本の客観的な條件が独立採算制をとり得るかどうか、電気事業を完全私企業化し得るかどうかというその現実に当嵌めて考えるべきものだと思うのであります。こういうふうに考えた際に結論的に言うと、私は現在の日本の客観的な條件においては各地域別に再分割されたところの、各地域別に独立採算制をとるということは無理がある。供給力の点におきまして或いは料金の面におきまして、九分割されると必ず九つの甚だしい凹凸ができるという客観的な條件にあるのじやないかと思うのであります。電気事業の私企業化という問題につきましては、これは現在公益事業委員会を作つて、これが調整能力を持つて全国的に経営をしよう、或る程度私企業に対して干渉して行こうというやり方が今考えられておりますけれども、実例が如実に説明しておるごとく、完全な私企業化ということは、これは現在の客観的情勢ではまだ許されない、こういうように思うのであります。方針はあつても現実には行われ難い、こういうように思うのであります。これは公益事業法のときに申上げまするが、公益事業委員会に強力な権限を附與いたすということは、少くとも理窟の如何を問わず現実的には必要であろう。そうしなければならないと思うのでありますが、公益事業委員会に強力な権限を持たせるという中で、完全に私企業化された電気事業の企業形態というものは成り立たない。又完全に私企業化した形態をとろうということになるならば、電気事業に対する干渉を非常に薄くして、企業体の自主性を尊重するというやり方を採つてやらなければいけないと思うのであります。それでは又、今問題になつておるところの地帶間の融通、電気料金の調整ということが行われないで、供給力と料金の面に凹凸が出て来るという不都合が生ずるのではないかと思うのであります。
 次に公益事業法につきまして簡單に申上げます。
 第一に我々の感ずることは、性格が非常に不鮮明であるという点であります。これは先程申上げましたように、レギュレートするものが、コントロールするものか、政府の説明を聞いておりますと、強制的なことはやらないのだ、先ず企業者の自主性を尊重して相互の契約によつてやらせるのだ、こういうふうに仕向けるのだ、こう言いますけれども、最終的には料金の面でも、需給調整の面でも命令し得るという強権的な規定があるのであります。まして我々需用者の立場から言うと、この公益事業法によりますと、我々の電力を需用する制限さえもできるという権限が含まれておるのであります。表面は消極的な調整である、法案をみると実質的には強権を発動し得るというような性質のものである。この性格が極めて不鮮明であるということを感ずるのであります。その次に、これは我々の杞憂かも知れませんけれども、公益事業委員会が理窟の問題は拔きにいたしまして、今後の運営を予想いたしますと、非常に広汎な且つ強力な権限を持つものと思われます。又持たなければならない。今政府が弁解をしておるところの地域差の問題も、地帶間の融通の問題も、一にかかつて公益事業委員会でやればよい、電源開発も公益事業委員会でやればよいのだと言うが、こういうことは実行不可能だと思うのであります。そういつたような非常に強力な権限を持つて、それが五人委員会によつて運営される。而も国会のこの委員会に対する干渉というものは、極力棚上げるように仕向けられておる。行政との関係もできるだけ薄くいたしまして、五人委員会が自由奔放に働き得る……奔放というのは語弊がありますが、相当大きな権限を持つて働き得るように仕向けてやる。これは一歩誤りますと、我々は公益事業益員会に期待するところは、上から来るところの政治的な支配というものを或る程度抑制いたしまして、下から来るところの経済的支配というもの、これも抑制いたしまして、その中間に委員会を作つて、我々の公共性を守つて呉れるのだ、こういうところに期待するのでありますけれども、うつかりして一渉誤るというと、これはむしろ委員会の独占化になる虞れが多分にある。少くとも我々の立場から言うならば、そういう虞れがあるならば、二歩も三歩も下つて安全なところで運営したいというのが我々の希望であります。でありますから、これを防止する措置をもう少し考えなければならない。或いは中央委員を増員されて、中央の選出の者と地方の選出の者をこつちやまぜにして、力の均衝を図るとか、或いは各都部府県に委員会を昨つて、各委員会の力関係の牽制を行われるとか、或いは英国でやつておるような消費者協議委員会というような、そういつた審議機関を作つて、中央委員に対して一つの牽制をするとか、そういつたような安全弁を考えないと非常に危ないのではないか、輿論から浮いてしまうのではないかということを懸念するのであります。一つの例として我々はよく存じませんけれども、持株会社整理委員会というものはこの性格に似たものがあると聞いております。我々は持株会社整理委員会に我々の血が繋がつておるとは思わない、ちつともそれに輿論が反映しておるとは思わないのであります。そういつたものがこの日本の電力の或る程度以下の政策を決定して、これを運営して行くということになつたならば、我々の公益性というものはどこで守られるかということを危惧するのであります。でありますから、五人委員会の選出の如何によつて運営よろしきを得ますと、政治的の変更を調査したり、経済的な横暴を抑制したりするという利点がありましようが、逆に言いますと、これが独占化してしまう、政治力からこれが浮き上つて行く、我々があれよ、あれよと言つておる間に、電気事業をひつかき廻されるというような虞れが多分にあると思うのであります。
 もう一つ大事なことでありますから附加えますが、この法案を見ますと、電気事業の公益性を擁護する。而も電気事業の利益を擁護する度合が強いというふうに感じます。第何條だつたか、お話みになりれば分りますけれども、一つの地域に二以上の企業を許可してはならないということを明記いたしまして、電気事業の地域的な独占を法律によつて認めるという形を採つておるのであります。私は自由経済の中で以て独占的な支配を抑制する方法は、自由競争以外にはないと思いますが、これを独占化するということはちよつと我々需用者にとつては合点が行かないと思うのであります。その他いろいろ問題もございますけれども、時間の過ぎましたので、最後の結論として私の意見を申上げます。
 私達はこの現在の政府案に反対であります。少くとも私達はもう少し考えたいのでありますが、政府案が提出されてから十日間か二週間を出でない間に、一つの結論を下すということは、日本の電気事業の百年の大計を立てる建前としては、私は非常な危險を感ずるのであります。我々九州の需用者及び北海道、中国、四国等の需用者が相集りまして今度会期が終りましたならば、一つ積極的に我々需用者としての再編成の一つの方針を立てて法案の要綱ぐらいは作つて見たい、こういうような申合せを行なつております。もう少し時間をかして頂いて、そうして我々の積極的な意見を出させる時間を與えて頂きたいというふうに思うのであります。それにつきましても最後に政府側に私として御希望申上げたい。国会の方にもお願い申上げたいのは集排法を適用するという前提を一つとつて頂きたい。これをとつて頂かないと順次に合理的な計画というものが成立たない。又その理由は私はあると思うのであります。よく国会のいろいろな方にお会いいたしますと集排法の制定というものは絶対的なものだという前提に立つておられるけれども、我々国民の常識論で以てするならば集排法の制定というものは、理窟が通れば解除できるものだ、こういうふうに解釈できるのであります。そううい方向に御審議を願いまして、電気事業の再編成計画を立てる場合に、全然白紙の立場に立つて計画が立て得る電気事業の措置を講じて頂きたいと希望する次第であります。
#5
○委員長(飯田精太郎君) 何か御質疑はありませんか。
#6
○水橋藤作君 仰せの通り集排法が撤廃されればいろいろ方法があると思います。で理窟が通れば集排法がとれるというその理窟につきまして、何か御意見があつたら聞きたい。如何なる方法をとれば集排法に適合しないかということにつきましての何かお考えがあつたならばお聞かせ願いたい。
#7
○公述人(青木勇君) 簡單に申上げます。今のお話の結論は幾日だつたか私忘れましたけれども、参議院の電力特別委員会の席上で、持株整理の西村何とかいう方がお話になつておりましたことで、一つのヒントがあると思うのであります。電気事業に関する限りその電気事業の特性から、つまり公益性からあながち集排法を單純に原則論で以てこれを集排法でやつてしまうというわけには行かない。だからこの特別法を制定して、再編成法というようなものでやつたのだ、こういうような御説明だつたと記憶しております。即ち集排法の原則論といたしましては指定されたものは一つの規模の上から縮小しなければならないというものであるけれども、必ずしも電気事業は規模を縮小したからといつて、集排法の精神に合致するというわけでもない。それでは電気事業家が立たない、だから電気事業が立つ方法で集排法の精神を生かすとするならば、別個の特別立法によつてやつた方がいいのだ、こういう御趣旨だと思うのであります。それをもう少し御研究願いたいし、私も研究したいのでございますが、あの西村さんのお話を聞いておりますと、集排法というものと別個にいたしまして、集排法ではこの電気事業再編成問題が考えられないのだという結論が出ているのじやないかという非常に疑わしい私の判断でありますが、現在のところ判断を持つております。そういつた点をもう少し一つ国会のお立場で御研究願いたい、こういうふうに思います。
#8
○委員長(飯田精太郎君) 外に……
#9
○吉田法晴君 青木さんは九州の電力需用者の代表というような立場で公述して頂いておるのでありますが、再編成を前提にいたします新料金の九州の産業に與えます影響、或いは再編成後の九州の産業に與えます影響について現に出ておりますもの、或いはすでに出つつある状態について少しお話し頂きたいと思います。
#10
○委員長(飯田精太郎君) 簡單にお願いいたします。
#11
○公述人(青木勇君) 私は今ここにデターは持つておりませんから、数字を挙げまして各業種別その他にこういう影響があるということをお話できないのは残念でございますが、一般的に大まかに申上げまして新料金が出てから大した影響が現実には余り出てない。何故かと申しますと政府は丸裸のままで新料金の影響が出ないように苦心をされてアロケーションで調整を図つておるという、現在でも再編成問題が出てからますますそういう努力をしておられる。そういう結果から大した影響が出て来ていないのであります。
 私はこの点を非常に九州にとつては有難いとは存じますけれども、再編成問題とか、新料金問題を非難する場合に一応現在政府が苦心をして調整をとつたという調整方法を拔きにして考えなければならない、こういうふうに思うのであります。これはそういう意味の資料もちよつと持つておりますけれども、時間がございませんからこの程度で御勘弁願います。
#12
○栗山良夫君 先程青木さんの御公述の中で、開発と配電関係を一応分離する傾向にあるから、その方が望ましいのじやないか、こういう御意見がありましたが、これについてもう少し補足して御説明を願いたいと思いますことは、電気の特質上から行きますならば、発送配電の一貫経営ということが一番望ましいと思うわけでありますが、これに対してあなたのお考えになるのは今政府が提出しておる原案のごとくにブロックの私的独占のようなことが出る形においての発送配電の一元化が望ましくない、こういうふうにお考えになるのか、或いは全国的の規程における公益事業の本来の使命を果たさせるような一元化、こういうものでも工合が惡いとお考えになるのか、その辺のお考え方をちよつとお聞かせ願います。
#13
○公述人(青木勇君) 先程非常に無責任なことを申上げましたけれども、あれは正直なところは私達としてはまだこの問題に私個人だけでなくて、皆といたしましては結論を持つていないのであります。併しながら今の御質問の趣旨でありますが、やはりこの電気事業の規模というものに関係があつて、例えば九分割になつた場合に一貫経営がいいのか惡いのか、或いは非常に全国的な規模の場合に一貫経営がいいのか惡いのかというふうに、別々に考えなくてはならないという程度にしか考えておりません。甚だ不満足な御答えしかできないわけでありますが、この程度で御勘弁を願いたいと思います。
#14
○委員長(飯田精太郎君) それでは次に品川白煉瓦株式会社社長の青木均一君。
#15
○公述人(青木均一君) 私は品川白煉瓦会社の青木でございます。私は一産業人としまして、又一消費者としまして今回の政府提出の電気事業再編成法案並びに公益事業法案に賛成いたしたいと思います。
 以下簡單に理由を申上げて見たいと思います。電気事業再編成について先ず第一に指摘しなくてはならないものは、現在の我が国の電気事業のあり方でありますが、これは日発が発送電に関して全国的の独占的な地位を占めて、そうして各配電会社を通じて需用者に電力を供給する、こういう建前でありまして、それからこれは凡そ不合理であり又各種の欠陷を暴露しております。このために我が国の電力会社の形は株式会社でありますが、その実体は電力配給公団であり、価格調整公団であるのであります。従つて独立採算制の責任を持つた企業とは言い難いのであります。その結果サービスは非常に惡くなり、需用者たる我々の受ける感じでは等しく公益事業であります鉄道、ガス、水道等に比べましても、電気はそのサービスは格段に落ちるように感ずるのであります。これは電気事業が今以て嚴重に統制されておつて、純然たる私企業の立場に立つていないということに原因して起る問題ではありますまいかと思います。あらゆる産業が統制を外されて自由主義的立場に立ちまして、又立とうとしているときに、電気事業のみが依然たる統制の形態は、而も強度に保つておるところの根本的の矛盾と欠陷があるのではないかと思います。電力は国内的に見れば絶対的に不足しますから、多少の統制はこれは止むを得ないということは我々は考えておりますが、機能を殺すような融通性の全くないような動きの取れないものになつているのではないか。これがいけないというのであります。
 その次に指摘したいと思いますのは、日発が発送電に関して全国的に独占をしておる。これは常識的に見まして明らかに過度の経済力の集中であります。又これに伴なつて多大の不合理を発生していることであります。元来電気は豊富に良質のものが低廉に供給されるということが我々消費者の最も望むところであろうことは疑いないのであります。併し良質と言われましても、我々は現実には非常に低電圧に悩まされておる。又価格低廉と言われましても、我々は何ら判定する材料を持つておりません。電気料金は諸物価に比較しまして騰貴率が少いと言われておりますが、これは水力電気事業に対する投資の特殊性でありまして、これは日発なるが故に安いという理由にはならないと思います。むしろ巷間聞くところでは土建業者は分割されるよりも現在のままの方が彼らの利害関係からして望ましいという噂さえあります。これは單なる噂でありますから、かかる席上問題にすることはできませんけれども、かように日発が独占して開発に当る場合には、その建設計画並びにその建設費が妥当であるかどうかということにつきましては、これ又何ら判定する手段がないのであります。従つてかかる噂に対しても、これを否定する材料がないのであります。かように電気の質と言い、或いは料金又は建設の価格と申しましても、これを何ら批判することのできない現在のような形、つまり一切競争のない形において、そして果して合理的に万事が運び得るかどうかということをお考え願いたいと思います。我々の理窟ではかような形におきましては、甚だうまく行かないと考えたいのであります。官庁関係事業、或いは各種公団等におきましても、とかくの問題がある際でありまして、我々はただ日発であるから最も合理的に理想的に行われておるということを、簡單には信ずるわけには行かないんであります。第三に然らばどうしたらいいのかという意見を述べさせて貰いたいのですが、我々はさような危險のある形、又現に甚だしく非能率的と思われる形の日発を解体して、その発送電設備を配電会社に加え、そうして発送配電を一元化して、その経営の責任を明確にし、消費者をして料金について、又電気の質についてこれを判断できるような、これを批判できるような競争の原理を取り入れた形に直して頂きたい。さすれば必ずサービスもよくなり、電力の開発も現在のような官庁事務的ではなくて、私企業的の見地から需要に応じて活溌に開発され、従つて電力も豊富になると思われます。又かような形の企業ができますと、只今申しましたように一貫した責任態勢のある而も発電の設備を持ちました、かような形態の企業ができますと、銀行融資の対象としましても、立派なものとなると思います。従いまして将来非常に必要と思われますところの外資の導入というような場合にも、これは明らかに役に立つものではないかと思います。こうした考えは今回の法案によりますと、実現できるように思われます。これにつきましては先の電気事業再編成審議会というものの答申を我々承わりまして、融通会社案というものが出ておりましたが、やはり私としましては、日発の温存と相去ること遠からずで、これは賛成いたし難いと思います。
 次に料金問題について一言申述べさして頂きます。分割再編成に反対する論者はとかく分割しますと料金が値上りとなる、それは産業皆滅に導くということを申されております。分割された場合に料金に動きがありとすれば上る場合もあれば、下る場合もあります。下るならばそれだけ産業の助長に役立つのでありますが、これは今暫く措きまして、一応上る場合のみを考えてどういう問題になるか考えてみたいと思います。ところがこの一般産業におきましては電気料金の製品コストのうちに占めます電力費の割合ですね、これは比較的軽いのであります。大体におきまして三%超すものが比較的少く、多くのものが三%以下にあるように私見受けております。又将来日本が経済自立の建前から生産の稼動率が殖えますと、やはり操業率の向上につれて、電力費の原価における負担は更に軽減されるのではないかと思うのであります。従つて多くの産業、これは一般産業について申すのでありますが、多くの産業については石炭單価や運賃、労務者の賃金、こういうものの方が原価要素としては遥かに大きな分野を占めるのであります。勿論電力料金が上るということは如何なる場合でも産業者としては喜びはしません。喜びはしませんが、原価要素が常に上らないという保障は産業家としてこれは期待できないことであります。我々は常に何らかの原価要素の騰落ということは予想して、或いは覚悟して経営しなければならん、石炭、運賃等は上つてもよい、併しながら電力だけは一文も上つてはいけないという議論は私はここではちよつとどうかと考えております。成り立たぬように思います。現に私自身が岡山地区に工場を持つておりまして、今度の再分割によつて或いは最も不利な立場にあると思う所に工場を持つておりまして、尚且つ現在の状況にあきたらず、日本の産業の将来のために自分の会社としましても、このサービスの惡い現状では困るという考えからかくのごとく申上げておるのであります。ただここに問題となりますのは電気を原料として作つておる電解肥料、軽金属等の作業がこれが一つ問題になるのではないかと思います。これにつきましては一言工業立地ということについて申述べさして頂きたいと思います。工業立地というのは、いろいろの見解がありますが、これは根本原則として原価の安くできることが條件となつております。日本は工業国として立ち、輸出産業を盛んにならしめなければならないとすれば、この工業立地というものを最もよく考えて、合理的に利用をしなければなるまいと思います。尤も考え方が違いましてアウタルキー思想で、国内だけで貿易によらずやつて行けるという考えならばこれは別であります。併しながら貿易によつて日本が立つ。立たなければならないという見解ならば、工業立地ということは今申しましたように非常に重大な問題になるのではないかと思います。そうしてその根本として原価が安くならなければならない。その原価の計算の基礎になるものは、それはあるがままの自然に形であります。人為を加えないところの自然の條件であります。それが工業立地の一番大事な問題である、電気の豊富低廉な所には電解肥料工業が起き、石灰石が安く買える所にはセメント工業が起き、鉄鉱、石炭が安く得られる所に鉄鋼業が起きる。この場合最後の消費者価格が問題になるのでありますから、鉄やセメントのような重いものはマーケットまでの運賃によつて全国的に何ケ所かの適正な工業立地があるわけであります。
 かような場合に電力のみ統制してプール計算をするということになりますと、極端な場合を申しますと、九州、北海道のような電力の比較的乏しい不利な所に電力を最も使う化学工業が盛んになるという非常に矛盾が出ます。これは日本全体の産業の犠牲において成立つものでありまして、国家全体としては非常な損失になります。従つて私は電気料金に関しても、原則としては地域別原価制度を採用することが、工業立地の上から見ても、日本の産業の将来という大局的の立場から見ても妥当であると思うのであります。一般原則としては私は右の見解を持つておるのでありますが、ただ現状を無視することはできないのでありますから、そこで電力の乏しい地域に戰時中にこの原則を無視して立てられて運営されているところの少数の化学工業の工場というようなもの、これについては何らかの考慮が拂われなければいけないと私も考えておりました。この意味におきまして、このたびの法案によりまして水力地帶から火力地帶に補給金を以て調整する方法というのがありますが、これは当面の対策といたしましては妥当なものであつて、これによつて再編成後も産業の電力費のみならず、一般の家庭の電燈費にも著しい変化を與えないような調整ができるようになつておることは、これは当面編成替によつて大きな打撃を各方面に與えないこととしまして、これは賛成いたす次第であります。
 次に電力の融通問題について一言申述べたいと思います。この問題は全く相反します見解に立つた議論を聞かされておりまして、我々素人としましては可なり判断に迷つておるのであります。併しながら実際我々の経験するところでは、数字は別としまして、実際問題として、過去に電力を規正しながら一面発電所において水を流しておつたというような矛盾をしばしば見たのであります。これは新組織になりましたならば、恐らくかような非経済的な馬鹿な現象はあり得ないと思います。従つて世上論議されておりますよりも実際上には分割によるプラス面が出て来るのではないかと思つております。而もこの融通はこの新会社が各社間で契約によつて良心的に実行できるものであるとなつておりますから、新会社の経営陣がいわゆる電気事業の公益性に理解を持つならば何ら懸念ないものと思います。のみならず、現実需給の不均衡というものを目のあたり見ましては、自己の地域の電源開発に一層の開発意欲を駆り立あられるのではないか。さような効果があるのではないかと思うのであります。尚これに加えまして、公益事業委員会の民主的な、又專門的判断による運営も期待されますから、意を安じてよいとも思います。
 以上申述べました通りの理由によりまして、電気事業の再編成を必要と考えますが、今回の法案はこの意味におきましては誠に満足のものであり、別表による設備の移讓配分等も誠に妥当と思われまして、この法律案が実施された暁においては、我が国経済の安定も一段と進捗すると思います。さように考えまして賛成いたす次第であります。
 次に公益事業法案につきましても、これは全條意を畫して誠に行届いておると拜見しました。これに対しても別に意見はありませんで、全面的に賛成する次第であります。終り
#16
○田村文吉君 青木さんに伺いたいのでありますが、大変只今の御見解は、流石に実際に事業をおやりになつておる御体験から出た誠に傾聽すべき御意見と承つたのでありますが、ただ只今のお話の中にございましたように、十分立地條件を考慮して産業というものは分布されて行くことが当然のことであるのだから、従つてそれに伴つて地域差が起つて来るのは止むを得ないという御意見でありましたが、至極御尤もに考えますが、ただ今度度の再編成の中にいわゆる紐つきというのがございまして、東北とか、或いは北陸とか、そういう所に非常に豊富にある電力をそのまま関東とか、関西とかの現在産業の殷賑になつております地方に持つて来るということのために、不当に現在の都会地方面が惠まれた安い電力が使える。而してこれらの供給地である山間僻地、雪害や冷害を受けるところの地方はよいところを皆持つて行かれるということのために、割合に原価の高い電力を使つておる。こういうことにつきまして今の御意見の上からいつて何かお考えになりませんでしたか。
#17
○公述人(青木均一君) どうも御質問についてよい考えもありませんが、今までの既存のものについては或る程度どうにも手はなかなか加えにくいと思いまして、これらを改正することにつきまして今お話のように全面的に安い料金でその地域の産業が起る。又起すという計画で行くより外ないのではないかと私は考えておりますが……
#18
○田村文吉君 紐つきということは少し不合理ではないかと私共は考えるのですが、その点についてはどうですか。
#19
○公述人(青木均一君) これは今申しましたように一応現在の工業全体がこういう形で成立つておりまして、それを今直ぐ取るということはできますんし、価格の面で高くなるのは止むを得ないと思います。その程度のことは……。ただ電力を供給してそこに産業が成立つておる。その産業を一応現実のものは認めてやるという場合を取つて、何かうまく調節するより外に仕様がないのではないかと思います。うまい考えがありませんが……
#20
○水橋藤作君 青木さんにお伺いいたしたのでありますが、只今仰せの通り、現在電力が絶対的に不足であるということはお認めになつておられるのでありますが、先程のお話の中に、分割して不足であるところの電力を豊富にしなければいかんということを言われましたが、分割したことによつて電力が豊富になるという根拠はどこにあるか。ちよつとお伺いいたしたい。
#21
○公述人(青木均一君) これは言葉の文になりますが、私は結局分割しようがすまいが、不足した電力を開発する必要性はこれは絶対にあるわけですね。ただその方法が分割しない方がいち早くその目的を達し得るか、分得した方が目的を達し得るかという方法になるのですが、その場合に、理窟では分割しないで今の日発の方法でやれだ、如何にもすばやく必要な所に出るように思うのですけれども、併し必要性を痛感するということは、経営者にぴんと来ることは、各地区で配電しており自分で発電しておる各地かでやつておる方が、遥かに強く響くのじやないか。そうしますと、例えば資金の問題とかあらゆる点に万難を排して開発に努力する。つまり個人の創意工夫というものが比較的は高度に発揚できる。だから地区的にやつた方が在外結論としては、電力の開発が早いのじやないかという私の見解でございますが……
#22
○栗山良夫君 私今の青木さんのお話にいろいろ御質問申上げたいことも沢山ありますけれども、時間がないので残念でありますが、一、二点伺つておきたいと思います。
 第一は、今青木さんは日発並び九配電会社の経営状態、消費者に対する立場における経営状態を非難されましたが、これは私は御尤もだと思うのであります。いろいろの欠点があると思います。併しその批判をすることの裏返しが、直ちに完全なる自由企業でなければならない、これでなければ電気事業は国民に奉仕するものでない、こうおつしやつたのでありますが、この今お述べになつた自由企業というものはよく考えますと、完全に地域利己主義的な考え方が出ておると思うのであります。そこで伺いたいことは、あなたが電気事業を公益事業としてその使命を果させるために、その公益事業というものをどういう工合にお考えになつておるか。例えば先程のお話の中にも鉄道の方がいい、こういうことをおつしやいましたが、現在の鉄道は公共企業体であります。で先程日発並びに九配電会社が一種の電力の配給公団である。こういうことを言われましたが、その理論的概念はどちらも同じであろうと思います。これは非難の対象にはならない。公益事業というものは飽くまでも国全体の、地域利己主義でなくて国全体の経済の利益のために、或いは産業の利益のために、或いは国民生活の利益のために、その使命を果させ得るような事業でなければならん、こういうことになるわけであります。その間のあなたのお考えの間に若干矛盾する点があるんじやないかと、こう考えるのであります。
 もう一つは、そういうような考え方から御主張なさつたために、今後の日本の産業の発達の、いわゆる工業立地の考え方からする傾向というものは、自然のままの形でなければならんとこうおつしやつた。そういう工合に自然のままの形で行くということになりますれば、天然資源である日本の水力電気というものは中央部に集中されておりますことは、現実の事実であります。従いまして、この中央部に集中された水力電源から遠ざかれば遠ざかる程、不遇の地帶における産業というものは、極度に疲弊せざるを得ない。そういうことになりますと、そういつた方面の産業の振興というものは考えられなくなるわけでありますが、この狹い日本の国土で、八千万の人々が何とかして生き抜いて行くためには、食糧、或いは電力、その他のいわゆる産業の基本をなすようなものは、国の政策として、あまねく国民にその恩惠に浴せしめるということが、これは産業の理想として、国の大きな国民生活をあまねく維持させるという、一つの国の政策として私は考えられなければならん。これは事業家の考える方と別に考えられなければならんと思いますが、そういう点についてどういう工合にお考えになるか、政治的にどうお考えになりますか。
 それから地域差はありのままの姿で出ている既存のものについては、適当に考えるというようなことをおつしやられましたけれども、地域差の限界というものをどういう工合に一応お考えになつておるか。どれだけ出てもいいとお考えになるのか、理想的にはどの程度におさめるべきであるか。と申しますことは、今日行われておる地域差にいたしましても、経済現象の正常な変転によつてああいう地域差が出たのではありません。戰後における非常に異常現象的な電力原価の構成に及ぼす経済的要素が出まして、それがそのまま何ら修正されませんで、地域差の中に出ておるわけであります。そうしてそれが現在の全国的に方々へ地域的な圧迫を加えておるわけであります。従つて電気を原料とする基礎産業でなく、その他のいろいろの産業にも地域的には競争をし得ないような状況にあります。例えば先程原価に占めておる比率が三%ぐらいとおつしやいましたけれども、とにかく相当経済界に重きをなしておるような事業では、そういう低い率でない、相当高いものが沢山あるわけであります。そういつたような点で、地域差料金の限度というものを、一応そこで地域差を御肯定になつておりますけれども、御肯定になりながらも、今申しました公益事業、国全体に豊富低廉の電力を廻すというような考え方からしまして、おのずから一つの限界があろうと思います。そういうものについてどういう工合にお考えになつておりますか。
 この三点をお伺いしておきます。
#23
○公述人(青木均一君) 大変むずかしいお話で、しつかり私にまだ理解できない点がありまして、お答えが不満足になるか知れませんが、最初の一つの公益事業の性質というもの、これはちよつと今私に、もう一度後から伺わして頂いて御返事申上げます。
 第二の問題に入りたいと思います。工業立地の問題としまして、立地的に違うのをそのままでよろしいかどうかという御意見でございましたですね。ついでに第三も引括めてお話し申上げたいと思います。一体電気だけを取上げまして考えますと、如何にも電気について料金の不公平を来たすように考えるのでありますが、先ず我々の事業では、電気を原料としておる事業はこれは別ですが、そういう少い僅かの化学工業並びにカーバイドとか或いは軽金属工業を除きましては、多くの産業は電力よりも遥かに大きな原価の要素を沢山持つて、それによつて動いておるのでありまして、電気の地域差、一番最後のお話の地域差の問題につきましても、原則として私はこれはやはり地域差が出ればそのままで全部出すべきが本当は将来も望まして形と考えております。これが工業立地の私が先程申しました原則論になるわけなんでありますが、今差当りはともかく統制を外されて、一応いろいろの、全部自由になつておりませんが、各種産業とも相当広汎な範囲で自由の形態に入つております。そういう過渡期におきましては、これをいきなりその原則論で始末することはできないんじやないかと思います。ただそれが果して将来それじや永久に何らかの考慮を加えなければいけないかどうかということになりますと、これは私は日本全体の産業の政策の問題になると思いますが、そういう不利な條件を忍んで尚且つ産業を起すことは必要ありませんから、将来におきましては恐らく新設というものはそういう電力の、若し電力が原価に占める割合若しくは自分の産業を支配すると将来を左右する一番大きなファクターである場合には、電力に関する限りは有利な所を選ぶに違いないと思います。併し差当りは今申上げましたように、くどいようですが、非常に強烈な統制から徐々にそういう形に入つて行こうとする段階でありますから、甚だ不合理でありますけれども、現実的には或る程度は妥協して行かなければならん。それは結局お話のように、全体の日本の産業或いは工業という立場を頭に考えまして、妥協して行かなければならないと考えるのであります。結論といたしましては、地域差も嚴格に現わしまして産業のありのままの形でやる方が日本国民全体の将来の幸福にはなると思いますが、現実にはいきなりそれはできないと思つております。
 それから立地條件でありますが、これは電気だけを先程申上げましたのを見ますと、如何にもここに大きな議論が成り立ちますけれども、電気だけで立地條件を左右されるという仕事はともかく、私の考えでは、先程申しました電解的な仕事、ともかくコストが一〇%を超す、パーセントを言うと非常に誤りを起しますからいけませんが、まあ一〇%という数がちよつと私の知つておる範囲ではありませんので、五%前後から飛びまして、可なり原料そのものは三〇%とか、二十数%とか使いますが、そういう沢山の電力を主要原料として使います産業は、これだけは別でありますが、その他の産業は工業立地的には、私の申しました工業立地論は何ら差支なく実行できるのではないかと思います。例えば九州は非常に電力は高いかも知れません。現実に相当に手心を加えるかも知れませんけれども、ありのままの形だつたら非常に高いかも知れない。併しながら石炭は非常に安い。鉄鋼業につきまして申しますと、石炭価格は鋼一トンに対して四トンの石炭を使うわけであります。でありますから、石炭の安いということ、私の関係いたしております耐火煉瓦の事業のごときは石炭価格の方が圧倒的に高い。約三〇%、四〇%に近いものは石炭費であります。電力は一・七%、戰前非常に使つたときには三%になつたことがありますが、さように非常な我々の産業にとりましては、石炭が大きなファクターであります。そういうものにつきましては、電力料というものは殆んで問題ではないのです。一般産業には私は決して電力料というものはそう大きなものになるものではない。むしろ民生的に考えまして、むしろ家庭の電燈、これが生活費にどう響くかということが、まあ政策或いは社会問題として取上げられなければならない大きな問題であると考えております。
 それから甚だ恐縮でありますが、慣れませんものですから忘れましたが、一番最初のお話はちよつと私によく分りませんが……
#24
○栗山良夫君 私は、現在日発なり、配電会社の経営状態を批判して、その到達点がいきなり地域利己主義的な自由企業の主張になる前に、公益事業としての基礎産業のあり方をどうお考えになつておりますか、ということを申上げた。そこは今あなたのお話の中にもありましたが、原価要素の中に占める電力費の割合は少い。従つてその他のいろいろな要素も入つておるのであるから、電気だけを今言うような工合に統制をしてもいたし方ないということをおつしやつたのですけれども、それには聊か私は意見があるのでありますが、成る程その外にいろいろの要素があります。ありますが、そういうものも日本全体の、国全体の産業をあまねく方々に発展さして行くというためには、今なつていないものにつきましても漸次して行くというような形が大抵取られなければならない。結局現実にこうなつておるからそういう工合に電気はあつてようという形ではいけないのではないかというふうに考える。私は問題が抽象的になりますから、具体的に御質問申上げます。今いろいろの運賃とか、通信費とか、いろいろなものが遥かに値上りの率においては高く占めておるということを御主張になりました。併し国全体の考えとしては、その外にもう一言附加える必要がありまして、あなたにお伺いいたしたいことは、今の鉄道は完全なプール計算であります。運賃につきましては全国均一であります。通信料金もそうであります。こういうことについてあなたが先程御主張になりましたが、今のあなたの電気に対する御主張の通りに、電力も、運賃も或いは通信も、そういうものも完全に各地域の独立採算によつて、そうして全部値幅を整理します。鉄道も完全な民間社会にする。通信も民間会社にしまして、地域別の完全な原価主義に立つて値段を出す。そういうようなやり方につきまして、あなたは電力事業に全面的に御賛成になりましたが、それと同しように御賛成になるかどうか。そういうことが日本の経済のあらゆる要素に亘つて全部主張し続けられる。そうして日本経済力が発展をして行く場合にどういう形になるか。これこそ全く昏迷に陷る……地域の利己主義の集積にしかならない。こういう工合に私は考えるのでありますが、こういう点について、具体的に国鉄とか、通信とか、その他公益事業的なものの料金というものを、完全に地域独立採算にしてしもうがよろしいかどうか。その点について私はお伺いいたしたい。
#25
○公述人(青木均一君) お話のことよく分りました。これは甚だ議論的になつて恐縮なんですか、私は国鉄、鉄道であろうと電気通信であろうと、自分が産業人としていろいろやつて見まして、理論は別としまして実際にはやはり独立採算制、これを全国的独占でなく何らかそこに競争の原理を残す、例えば私鉄にしましても地域的には独占でありますけれども、全国的独占でなければ必ずサービスその他の問題で他の関係地区との競り合いが起きますから、そういう形にして常に或る程度競争原理を入れるような形にすることが産業では望ましい、公共事業と雖も、それが結論として結局国民に貢献するところが大きいと自分としては考えております。電気をやると同時に鉄道につきましても通信につきましても、この編成替えがあつた方が、民間経営にしたやつた方が恐らくいいということを私は実は考えているのであります。ただ電気の公共性をいつておるのに、非常に自由主義を主張するようにちよつと受取られたかも知れませんが、私も勿論公共性はよく認めております。それから日発は全国的独占であるけれども、今度の九新電力会社は、これは地域的に完全に独占であります。併しただ九つに割れば、そうして同じ條件でやれば必ずそこに競争原理が湧くということ、その競争原理は、非常に自由主義的な普通の自由奔放の競争ではありませんが、條件が加えられた競争であるが、それならばこれはその目的を達するとこう申上げたいのであります。それから後まあ忘れましたが、そんなことです。
#26
○栗山良夫君 どうもポイントが少し合つていませんので、私の満足するような御回答を頂いていないわけでございますが、これ以上は時間がございませんから打切りたいと思います。大体どういうことをお考えになつているかは概念的に分りました。ただ問題は、もう一言だけ申上げますが、先程あなたの言われた最後の言葉にありました国鉄だとか、通信だとか、そういつたようないわゆる基礎産業、そういうものを全部地域独立採算制、そういう形でやつてしまうということになりますれば、全国的にもう非常に大きな、私は国鉄のごときは大きな地域差が出るだろうと思います。そういうことまでやつてしまうと、これは鉄道と電力とを、この間高瀬大臣も本会議に言われましたように、その事業の重要性についてはもう甲乙を認めていないと、こうおつしやつた。片方で認めかねるような鉄道についても、あなたは地域差独立採算制ということをやつた方がいいと、あなたはお認めになるかどうか。具体的な事例としてお伺いして置きたい。それともう一点は、先程そういう形で地域差料金のことを主張されましたが、同じ九州の中でも宮崎県のような電気の豊富県、或いは四国の高知のような豊富県では、そこの県民は皆その地域では一番安い電気を配つて呉れと主張されております。そういうふうに段々掘下げて来ますと、狹小な利己主義が出て参りますが、それでもいいとお考えになりますか、それを一つ。
#27
○公述人(青木均一君) 今の事業は公益事業だから独立採算制はどうか。普通の完全私企業であつたら、これはもう完全な独立採算制、これが国鉄のごときも地域的に幾つにも割つて、そうして独立採算制をとつては不合理が生じはしないかというお話でございましたが、これは私は原則として独立採算制を謳つておるのでありまして、若しここに実際にやりまして、国民の全体のために、或いは甚だしく不公平か何かが起きます場合には、丁度レギュラトリー・ボデイと同じような形で何らか特別な方法があり得るのではないか。ただ原則論としては飽くまでも独立採算制でやつた方がいい。公益事業と雖も常に独立採算制でやつた方が望ましい。山の中に無理なことをして鉄道を架けて、徹底しないものまでも無理をして鉄道を架ける、これを全部が負担しなければならんというのは、果して国民全体に得であるかどうか。やはりこれは一応は採算というものが頭に入つて、これが結局国民の得ではないか、こう実は考えますが、これは飽くまでも原則であります。実際といたしましては地域的には鉄道については何も私は大して考えておりませんから、ちよつと困るのでありまして、今の極く狹い地域に対する……これはやはり地域全体の配電会社の地区というものを一応單位に考えて下さつて、これを需用者全体を考えて頂かないと、今お話になりますような実情が起き、無理があつて狹い地区、こうなると東京のごときは幾ら高くなつても我慢しなければならんということにもなり得ると思いますが、これはやはり地区を九つに割りましたら、その中で平均して調整して行くということでいいのではないかと思いますが、如何ですか。
#28
○門屋盛一君 大体公述人との議論になることは避けるのですが、一点お伺いして置きたいのです。今非常に再編成問題、大体の空気から言えば反対論の強い際に貴重な賛成論でありますから、私はこういう賛成論は貴重な参考にしたいのでありますが、そこで今公述の第三項目の分割問題のところで、今も言われました通り、日発一社でやる場合よりも九つに分けた方が公益の責任態勢が整い、独立採算制が取れるということはよく分るのですが、今の公述によりますと、非常にサービスがよくなるというようなことを言われておるのでありますが、これは私はやはり九つの地域に分れましても、九つの地域内は独占事業でありますから、競争によるサービス、自由経済の原則によるところの競争によるサービスというものは起り得ないと思うのですが、公述人の方では曾て電気会社が沢山あつて同じ地帶でサービス競争をやつたときの錯覚でおありになるのではなかろうと思うのですが、それが錯覚ではなくて……。一地域一独占事業であつはその間におけるサービス競争といてうものはまあ起り得ないと思うのです。一つの会社ですからその会社自体が良心的によくする以外にサービス競争というものは起り得ないと思うのです。この辺のお考えがどうか。それで法案をお読みになつたか知りません活伊この公益事業法案の第二十八條では同一地区に二つの発送配電を兼ねた事業を許可することができないということになつておりますので、今日このままの案でやりますというと、公益事業委員会が日本の電気のサービスをよくしよう、サービスをよくするためにもう一つの会社を許可しようと思つても、法律によつて許可できなくなる。結局九つの地域に独占が確立されますと、今までの日本の資本家経営の行き方から言いますと、独占するまではサービス競争をやるが、独占になるとサービスはストップするというような実情があつたのでありますが、その点もサービスがよくなるという点をどういうふうにお考えになつておるのですか。
#29
○公述人(青木均一君) 只今のお話御尤もと私も思います。ともかく現在の形ではどこに責任があるか非常に分りません。従つて仮に配電会社に文句を言つても配電会社が日発に責任を転嫁すれば日発に行かなければならん。日発が更に政府関係に転嫁すればそこに行かなければならんというように、責任の帰属が非常に明らかでない。今度はとにかく先ず全体の責任を一応各地区の企業者が負わなければならんという形になりますから、幾らか私はサービス面において改良できる、而も各地区ごとに需用者が比較することができる。従つてそこに一つの競争原理が動いて来る。併しながらお話のように地域内の独占ということは確かにあり得ることでありまして、若し地域内で独占を嵩に着まして、そうして非常な横暴をするというときには、これは非常に面白くない現象であります。ただそういう同じ独占による弊害の懸念が現在よりは幾らかよくなるのではないか。私自分で電気を使つて工場を運転しておりまして、最近の一最近といいますか、統制が外れましてからの電力問題は非常にやりにくいのであります。工場で生産計画を立て、中央へ来まして生産計画と電力をマッチさせる計画を立てまして帰つて来ると、地方の電力局があつて、そこでコントロールする。更にそれを配電会社に当つて、我々は割当てられた電力を貰うために、今まで東京都……私の会社は岡山にありますが、広島の管区とそうして電力会社と、これをぐるぐる廻らなければ一つの問題を解決するのに一ヶ月かかつても解決できなかつたというような、非常に残念な事例を持つておりますが、恐らくそういうような問題は今度はなくなるのではないか。ただあたなのおつしやつた独占であるから、そこにやはりサービスを忘れるような懸念があるということは私も確かに信じます、あり得ると思うのであります。併しこれは一面においてこの経営者にさような点には大いに目覚めて頂くということも計算に入れなければならない。それは今申しました競争の原理が動きますから、我々もそれを批判する途が開け、幾らかその懸念が薄らぐのではないかという程度に考えております。現在よりは幾らかよくなると思いますが、それが決して万全だとは考えておりません。
#30
○門屋盛一君 質問の点と少し変つている点は、経営の責任態勢が明らかになつて、現在よりもよくなるということは我々にも認められる。併し時間がなくて法案等をよくお読みになつていないと思いますから、私は公益事業法の二十八條を申上げたのです。この法律が実施されますと、今回再編成された以外のこういう事業がもう同一地区には許可されなくなる。そこでサービスをよくするという形において、今九つに分けるのは止むを得ないとしても、同種業者をここに許可できない、競争業者を許可できないというような行き方では、このサービスが徹底して行えないのではないか。それを公述人は、この九つの地域にできるだけで、殆んどそのまま固定する方がいいのか。そこに法律のゆとりをおいて、或いは例えて言えば、県営の配電事業をやらすとか、又他の配出をも含めた事業をやりたいというような業者が起つたときには許可しておいた方が尚サービスがよくなるのではないか。その辺のお考えはどうですか。
#31
○公述人(青木均一君) 御尤なお話でよく分りました。これは私もよく法案を読んでおりませんし、しつかりしたことは頭にありませんでしたが、自家発電或いは県営発電、そういうようなものが適当な條件の下に区域内で行われることを今私考えております。はつきり研究しておりませんから、お話を伺うだけですが、私の考えでは、それはできるようにした方がよいと思います。
#32
○委員長(飯田精太郎君) それでは午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時三十九分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時四十四分開会
#33
○委員長(飯田精太郎君) それでは午前に引続いて開会いたします。では日本興業銀行証券部長の間島達夫君にお願いいたします。
#34
○公述人(間島達夫君) 私間島でございます。甚だ不勉強でございまして、この電気事業再編成法案、それから公益事業法案につきましては、読み始めましたのは極めて最近でございまして、細部に亘つて十分な検討をしておりません。そういうことと、それからこの電気事業の再編成に関する技術的な部面については、殆んど知識を持つておりませんので、概ね金融機関的な立場からお話申上げるということで、甚だ視野が狭いという結果が出て来るかも知れませんが、その点は一つ御了承をお願いいたしたいと思います。それから今申上げましたようなことからして、個々の細かい内容につきましての意見、そういうものは出て参りませんので、一体金融機関はこういう問題についてどういうことを一番心配しておるか、考えておるかというようなことをお話申上げまして、電力に関する特別委員の方々に御審査の一つの参考にして頂きたい、こう思つておるわけでございます。そういうお含みでお聞き願えれば幸いと思います。
 最初の電気事業再編成法案につきましては、私共はこういうことを懸念と申しますか、考えております。一体この再編成されたあとの、いわゆる新らしい発送配電会社というものが果して適正な供給ができるかどうか、それから日本では電力が不足しておりますけれども、今後そういつたものを補うための、電源の開発というものは円滑にできるかどうか、こういうような点を心配しておる。それから私がもう一つ懸念しておりますことは、再編成法が仮に通過いたしまして、それが実施される、そこに一つの時間的ないろいろなギャップが出て来るのではないかという考え方でございます。そういつた再編成の実施のために電力の円滑な供給というものが阻害されることがありはしないだろうかということ、そういつたようなことでございますが、そういつたことを頭に入れて一つ御審査して頂きたいと思います。
 それから第二の公益事業法によりまするというと、公益事業委員会というものができまして、非常に広汎な権限を持つていていろいろな監督それから規制を受けるわけでございます。この公益事業者と申しましても、勿論この中にはガス事業者、電気事業者両者を併せていろいろの規定を設けられると思うのであります。私が主に申上げますことは、この電気事業者、殊に電気事業会社のことにつきまして申上げたいと思います。料金の点その他につきましてもいろいろな規定があるわけでございますが、電気事業会社の円滑なる事業の運営ということは結局電力の適正な供給とか、電源の開発が主なるものだろうと思いますが、こういう事業を運営いたします上に一番肝要なことは金融の問題であろうと思うのであります。事業を運営する上におきまして、資金的な裏付けがなければ円滑に行かないという点が一番心配されるところであります。そういう電気事業会社の金融を受けます上において、それが円滑に行くかどうか、まあ円滑に行くような規定が、この公益事業法の中に盛られているかどうかということについて、多少心配を持つているわけであります。具体的に持つているわけではございませんが、どうであろうと……一方私も研究しなければいかんと思いますが、そういうふうに一応思つております。勿論私がここで金融と申上げましたのは、銀行から借りるいわゆる借入金だかりでなしに株式又は社債の形におけるいわゆる証券金融のことも考慮に入れての話でございます。大体かようなことを実は感じました。甚だ簡單で申訳ないと思うのでありますが、この辺で一つ御勘弁願いまして、私の公述を一応終ります。
#35
○委員長(飯田精太郎君) それでは次に朝日新聞論説委員の土屋清君。
#36
○公述人(土屋清君) 私朝日新聞の土屋清であります。電気事業再編成法案並びに公益事業法案に反対であります。以下その理由を申上げます。
 先ずこの法案ができるまでの手続について私は非常に異議があると同時に、それは手続だけの問題ではなくて、そのことが結局法案の内容等にも関係しているのでありますが、御承知のように経済民主化という観点から電気事業再編成が問題になりまして、最初に電気事業民主委員会ができまして、それから電力再編成審議会の二つの委員会ができました。その答申というものはいずれも大体において日発の形態の核心は残して、而も集排も目的を達しようというので部分的な電割を行う、こういう答申だつたと思います。この答申は一応正当な手続によつてなされた民主的な答申だと私は考える。従つて政府としてはこの委員会の答申というものを尊重する道徳的義務があると私は考える。又法律的にその答申通りの法案を昨らなければならんという規定はありませんけれども、少なくとも世論の意見を聞くという建前で以て委員会が発足した以上は、その二つの委員会の趣旨に沿つた法案を編成して提出するというのが民主的な国家における当然の義務だと考えられる。然るにでき上つた法案は何らその両委員会の答申というものを尊重した形跡が見られない。それには似てもつかない松永案などをそのまますり換えたような、いわゆる九分割案となつて現われている。これは手続の問題しててでなく、こういう問題に対する根本の態度を疑わしめるものがあることは非常に遺憾に思うのであります。
 第二に法案の内容についてでありますが、この法案による九ブロック別の発送電民間会社を昨るという場合は、私が詳しく申上げるまでもなく二点において非常な困難が起つて来る。一つは地域間の電力融通上の困難である。もう一つは料金の地域差の問題であります。我が国の発電地域が本州の中部に片寄つている。而もその消費地が東西に偏している関係上、電力の地域的融通ということは絶えず起らなければならん問題であります。この場合に電力経済の本質から申しまして、できるだけ電力の経済圈を広く取るということが一番電力のロスを少くし、且つ又料金の地域差を少くするゆえんだと私は考えます。即ち電力というものは発送電、配電、それが同時に瞬間的に行われる作業でありまして、その生産物が貯蔵されるということができない。従つてAの地点において非常に雨が降つて電力が発生したときにそれを即時にBの消費地に運んで、これを完全に利用するということが考慮に入れて行われなければならない。これを達成するには電力経済圈というものはできるだけ広くとつて、少くとも現在の我が国のごとき場合においては本州一円とするような大きな電力経済圈をとるということが最も望ましいのであります。これに対しまして九ブロックに分割したときにおいても、電力の融通契約若しくは公益事業委員会の命令によつて融通ができるではないかというような議論が行われております。併しこれは私は到底円滑なる実施は困難だということを最切から考えてかからなければ駄目だと思います。電力があり余つているときであるならば成る程融通契約もしていいし、或いは命令によつても融通ができるかも知れないと思います。併し電力が非常に不足して一キロの電力を自分の方に欲しいときに、その電力を他の会社の方に易々と送るということは到底考えられない。今日発送電の下で発送配電を一貫経営している場合におきましても渇水期においてはできるだけ自分の地域に有利にしようと思つて、配電会社が故意に需用を過大に申告するというような例も見られるのでありまして、況んやこれが九ブロック別に分れたときにおきまして、他のために犠牲的に自分の方が足らないときに、他の方に電力を融通するというようなことを契約する筈もないし、又命令が出されても実際上その円滑なる実施は困難だと思うのであります。公益事業法によりますと、五十五條の命令が実行されない場合においては、二年以下の懲役若しくは二十万円以下の罰金というような規定が置かれておりますが、罰金とか懲役によつてこの融通契約が達成できるという考え方自体がずでにもう間違いでありまして、どうしてもやはりそういう分割して、そうしてその方で会社間に融通するというような考え方は改めてかからなければいけないのじやないかと思います。又料金政策についても同様でありまして、先頃青木公述人からいろろ言われましたが、料金の地域差がある方がいいのだということを頻りに言われておる。成る程或る意味においては、電力の豊富な所に工場を持つて行つて、それに即する工業立地を作るということは望ましいのでありまして、今後の日本の産業の態勢としては、私はそうすべきだと思います。九州に化学工業をどしどし作るということは、やはり今後はできるだけ電力の豊富な地域に化学工業その他の電気工業を起す方が至当だと思います。すでに今日まででき上つている立地というものは、これは急速には変更できない。工場を移したらいいじやないかと言つても住宅難の折柄或いは輸送上の問題もあつて、到底そういうようなことは実行できない。そうだとすると、急激なる地域差を生ぜしめるようなそういう措置というものは採るべからざることであり、全くの空論だと思うのであります。尤もこの地域差が発生した場合においては、公益事業委員会の認可によりまして水力設備に対して賦課金を徴收し、火力設備に補助金を交付して地域差をなくするというようなことが公益事業法案においては規定されております。併しこれが決して又私はうまく行く道理がないと思います。何となれば若しもそういう賦課金を取つて補助金を出すというようなことによつて目的を達する程度に料金の調整を行うならば、そのときには会社の分断を行うこと自体が意味がないということになつて参ります。逆に分断を前提として調整を行うとするならば、それは到底効果的な調整は行えない。つまり地域差を本当になくして行こうとするならば、非常に高い賦課金を取つて出さなければならないし、又高い賦課金を取ることが独立採算制という九ブロック分割の趣旨に反するということであるならば、その場合には殆んど地域差調整の率を上げることができない、こういうジレンマになるのであつて、結局地域差の調整ということが非常な難点として残るのではないかと思うのであります。且つ又これは国会においてもよく御研究願いたいと思うのでありますが、如何に公益事業法で規定し、公益事業委員会が認可すると申しましても、或いは命令すると申しましても、要するに会社というものは、これは私的企業である。私的企業がただ水力設備を持つているが故に、一キロにつき幾らという賦課金を取られる。それを他の私的企業に補助金として出すというようなことが、果して今の立法の建前の下に認められるかどうかという問題であります。これは国家が取つて国家が交付するならば、これは前以つてやつておるので何ら差支ない。ただ私的企業が水力設備を持つているからこれを他の会社に補助金として出すということは、如何なる権利に基いて行えるのであろうか。これは憲法上の観点から検討を要する問題ではないか。これに対して公益事業委員会が命令するというのは、如何なる法的根拠に基いてそういう命令を出すのか、その点についても審議が必要じやないかということも考えなければならないと思うのであります。こういう電力融通上並びに料金政策上の難点がございますから、私は九ブロック分割は採るべからざる案だと思います。然らば日発をそのまま残すのかという問題が次に起つて来る、而も日発は集排で指定されておつて、大なる独占事業であるから分割しなければいけないという一方に至上命令がある。この点の解決をいずこで求めるかということでありますが、私は経済民主化という意味が企業の縮小か分割ということを要求するのだということ自体にも非常に異議がありますけけども、併し一応日発を或る程度小さくすることは避けられないという前提を採るとするならば、電力再編成審議会が提出しましたように、融通会社案のごときものによつて、日発を或る程度の分割を行うということが一番望ましいのではないかと思うのであります。つまり融通会社案によれば、日発の設備の四割を包括して融通会社ができる。後の六割が分割されるということになるのでありますから、それを以て私は集排法に規定するところの電力事業の再編成という目的は十分達成されると思うのであります。何か集排法からしますと巨大な独占体はばらばらの小間切にしてしまわなければいけないのじやないかというような考え方をするような議論がございますが、決してそうではない。例えば日本製鉄というような大なる独占体が、これが二分割で止つてしまつておる。又日通という独占体、これは分制しないで終つておるのであります。日発に限つてばらばらにしなければならないという理由はない。北海道、四国を分離し、或いは本州、九州のその四割を以て融通会社を作る、後は九ブロックに分けるということならば、立派に集排法に規定するところの再編成の目的を達成し得るのではないかということを私は考えるものであります。若しもそういう分割では集排の目的に沿わないということであるならば、この九ブロック分割自体というのも同じ論拠で間違いだということになつて来る。何となれば九ブロックに分割される地域会社というものも、これも集排法の対象に指定されておるのであります。つまり発送電と九つの配電会社、併せて十の会社が集排法の対象となつておる。今度の九ブロック案によりますと、その十の地方会社の中、一つの日発という会社をばらばらに解体してしまう。併し後の九つの会社の方はばらばらのものをくつつけてむしろ大きくなるのであります。それが再編成の趣旨に適つておるというならば、私は融通会社案も同じように再編成の趣旨に適つておるのだ、何ら集排法の見地から見て不当だという理由は成立しないと考えるのであります。次に再編成をやる場合の時期ということも私は非常に問題になる点じやないかと思います。即ち大きな再編成をやるということになりますと、どうしてもそれが完了するまでに、少くとも一年、二年という歳月を要することは明瞭であります。これは発送電の発足当時の例を見ても明らかでありますが、この再編成が終るまでの比較的長期間におきましては、恐らく電源開発というような重大なる事業が等閑にされる危險というものがどうしても生れて来る。つまり分割して再編成するという、そういう趣旨のために日を取られ、且つ又いろいろ人事上の問題もありまして、なかなか電源開発というようなことに手が廻らなくなる。それで意識をしないでも自然遅れということになると思います。併し今日我が国で一番大事なことは電源の開発、つまり電力を豊富低廉で用い得るようにするということであります。それこそ一番熱を入れなければならないところである。然るに再編成に熱を入れてしまいますと、電源開発の方に力が入らなくなる。結局一番大事な電源開発の時期を失わしめるのではないかということも大きな問題でありまして、これ又こういう大規模な九ブロックに分割をするということがよくないという理由になると思います。更にその電源開発でありますが、電源開発上九ブロックに分割の方がよいのだという議論を可なり耳にいたします。殊に外資の導入に関連してその方がよいのだという議論がありますが、私はこれも決してそうとは考えない。成る程九ブロックに分けて銘々自己のブロック内の開発地点を担当してやれば、そこに自由競争が行われて非常に積極化されるというように一応考えられますが、これは決してそうじやないので、自分の地域内で比較的余裕のある電力を持つている所は、何も急いでそう開発しようとは思われない。これに反して電力が非常に少ない所では、急速に開発をやろうとするが、そういう地域に限つて会社の経理というものが非常に貧しい。つまり電力料金も高くならざるを得ないし、会社が相当苦しい状態に置かれる。そういう地域で開発をやろうとすれば、どうしてもそれの負担が結局電力料金にかかつて来て、電力料金を安くするために電源開発するのですけれども、その結果又電力料金を高くするといういたちごつこになりまして、電源開発が却つて阻害される危險がある。やはり電源開発というものは、国家が一定の計画に基いて国家的な観点から大きく緩急前後の順をつけて考えるべきであり、その枠の中で行わるべきだと思われる。従つて九ブロックに分けて開発した方がいいということは、対内的には私はないと思うのであります。外資の導入上分けた方がいいじやないか、これは一応耳に入り易い議論でありますが、併しこれは私は必ずしもそうだということをまだ言い得る時期には達してないと思うのであります。アメリカからどういう外資導入の……外資が来るのかまだ分りませんが、仮に融通会社のような形をとつた場合、それでは会社は外資を入れないのかどうか、そういう証拠はどこにもないのであつて、むしろやはり全体の日本経済の国土計画の上に立脚せる資源の開発計画というものを向うでも尊重して、それに基く外資の導入ということの方が、結局全体としての外資の導入にもいいのじやないかというふうに私は考える。従つて外資導入ということが、直ちに九ブロック分割の根拠になるものとは考えないのであります。又先程公述人も言われたのでありますが、九ブロック分割をやりますとサービスがよくなる、責任態勢が行われる。だからこの方法はいいのだという議論でございますが、これも私は非常に疑問だと思います。つまりサービスがよくなるというのは、それは地域的独占の場合には現状よりそう大きな効果というものは期待できない。九ブロックに分割してサービスがよくなるのであれば、現在の態勢の下でも方法を以てすればサービスをよくし得るわけでありまして、根本は地域的独占という性質が非常に強いのでありますから、普通の産業の自由競争のような関係で以てソービスがよくなるというふうに考えるのは間違いだと思います。更に九ブロック分割をやれば責任態勢、独立採算制だからよいという議論でありますが、これが非常に出たらめであるということは、先程の電力融通並びに料金の地域差という二つのことを考えましても、明瞭でありましよう。つまり独立採算制と申しましても、そういう地域差によるところの賦課金というようなものを前提にしての独立採算である。又責任態勢といつても、結局電力融通という大きな事実がなければやつて行けない、そういう前提の下での責任態勢を主とすれば、何も九ブロックに分割するから、それだから責任態勢であり、独立採算だという議論にはならない、そういう効果をこの法案に期待することは無理じやないかと考えるものであります。以上の理由によりまして、私はこの両法案は非常に日本の経済の復興を阻害する、そういう意味におきましてこの法案に反対いたします。
#37
○委員長(飯田精太郎君) 次に経営研究所常務理事の高宮晋君。
#38
○公述人(高宮晋君) 私は本案に対しまして非常なる疑問を持つものであります。本問題に対する主張といたしましては、申すまでもなく集中排除法の問題として考えざるを得ないわけでありますから、その前提に立ちまして検討をいたしたいのでございますが、集中排除法によりまして戰時中過度に集中されたものを排除し、又戰時的な色彩を強く持つておるものを排除するということにつきましては問題はないわけでございますが、これは具体的に適用する場合に当りまして、その実態に対応する方法を考えて行かなければならないということになるかと思うのであります。その場合には一つはその実態に対応する民主化の方式と、それから又合理化、即ち電力事業のコストを低下し、且つ電力を豊富にし、更にサービスを改善するということが、それによつて阻害されないどころかむしろ促進されるということと結び付いて行われなければならないことも当然だと存ずるのでございます。且つ電力事業が公共的性質を帶びておりまして、一般の国民大衆の生活に関係するばかりでなしに、又各種の産業に広く関係をいたしておりまするので、それによつてこれらの産業なり、大衆の生活に再編成に当つて混乱を生じないように調整を図つて行くということが、やはり過度経済力集中排除法による集中の排除をいたします場合に、当然に考えなければならないことであろうと存ずるのであります。で以上の観点に立ちまして本案の問題を少しく検討いたしたいのであります。
 本案は民有民営を基調として、又発送電、配電の一貫経営による責任体制を地域的に行い、一方公益事業委員会によりまして、これを民主的に統制する、こういうことでございますが、この中に民有民営の方式につきましては現在の段階におきましては当然であろうかと存ずるのであります。併しながら今後の電源開発を強力に遂行するという場合に、それが長期の資本を必要とし、国家資本でなければできないような場合も考えられるわけでございますから、特に総合開発という点におきまして考えられるわけでありますから、パブリック・コーポレーションの形態が同時に強力に必要に応じて遂行されるということを忘れてはならないかと存ずるのでございます。それから次に地域的に分割するという点でありますが、電力事業は言うまでもなく独占的な性質を持つております。その自然的條件という点から申しましても、又それに多くの固定資本を必要とするという点から申しましても、独占的な性質を持つておるのであります。従つて又その事業の性質からいたしまして統一的な性格を持つております。統一的に経営することによつてむしろ能率が挙るという面があるわけであります。と同時に先程ちよつと申上げました公共性を持つておるという特性があるのであります。これによりましてこの点から普通の産業のようにこの電力事業の分割というものができない、これをするというと電力事業のサービスの改善、コストの低下、或いは豊富なる電力を提供するという点に阻害を生ずるという性格があるわけであります。ただこの場合にその統一性は全国的な統一制を採る必要があるか、或いは又可なり広い範囲の地域制によつてその統一制を図ることが合理的であるかという問題が残ると存ずるのであります。この場合に電力資源の配置が分散しておりまして、おのずからそこに地域別に均衡のとれたような形に資源が分散されておるような場合と、それから我が国の場合のように水力と資源が中部に集中いたしまして、その分布状況が極めて跛行的になつておるような場合とでは、おのずからやはり問題が違つて来るかと思うのであります。我が国の場合のように、資源そのものが中部に集中しておるという場合におきましては、殊に又火力発電を以ちまして水力発電を補充して行くというような性格を持つておりまする我が国の電気事業に対しましては、機械的にこれを地域的に分割するというだけで問題が解決するとは思えないのであります。それからもう一つの問題といたしましては、電力事業が前に再編成されましてから今日に至るまで相当の期間を経ておりますので、殊にそうした電力事業の態勢の下におきまして、我が国の産業が急速に発展されて来たというようなことになつておりますので、たとえそうした電力事業の再編成そのものが仮に間違つておつたといたしましても、産業構造そのものが一つの固定した形になつておるという事情がこれね加わるかと思うのであります。そうして電力事業は一つの事業を再編成するということだけでなしに、実は各種の産業に直接に影響するところが甚大であるということでございますから、一度でき上つておりまするこの産業構造というものに非常に大きな変革を直接に生ずることになるわけであります。従つてこの点についての配慮というものが普通の産業の再編成の場合と違つた特別の問題として考えなければならない点であろうかと存ずるのであります。
 以上の電力事業の特性からいたしまして、本案の地域的分割問題に対しまして検討を加えて見ますならば、先ず直接の問題といたしましたは何と申しましてもそれによりまして各種の混乱が生ずる、特に先程の公述人が申しておりましたように電気料金の地域差の問題と電力の融通問題がこの單純なる地域的分割の方式では解決できないと思うのであります。この調整的措置は公益事業委員会の料金調整及ご電力融通の統制命令によつて解決できるという意見もございまするけれども、併しながらこれらの一つの企業の上にありまする委員会による統制命令というものは、極く大きな枠、又極く大きな問題として生じた場合に、後からそれを追つかけて行く場合に結局なるのでございまして、これを常時的に、合理的に、この問題を諮つて行くということになりますというと、非常な欠陷があるかと存ずるのであります。これを若し強力に調整を行うということになりますというと、公益事業委員会の統制というものが非常に強く出て参りまして戰時中に見られましたような国家管理的、つまり管理的な、従つて企業の自主性というようなものを、ややもすれば、無視するような形になりかねない、そうでなければその調整命令というものは極く大きな問題が生じた場合に、それを後から追つかけて行くということか、いずれかであるということであろうかと存ずるのであります。従いまして、公益事業委員会の統制命令というものによりまして、電力事業の、特に日本における電力事業の特性から来るこの料金を調整及び電力の融通問題は解決できない、これを公益事業委員会の統制命令が以て、解決しようと焦りますというと、却つて企業の自主性を無視するような、管理的な結果になりかねないと存ずるのであります。更に料金の調整は併しそう全体として見れば問題にする必要はないのであつて、むしろ電気料金の地域差のある方がいいのであるという主張がこれに対してあるかと存ずるのであります。つまりこの調整の問題をどの程度重く見るか、分割の方を中心に考えまして、調整の点は比較的軽く見るか、分割するとしてもこの調整の問題を重く見るか、まあこの二つの態度の差異になるかと思うのでありますが、その場合にこの電力料金の地域差というものが、むしろ合理的であるという主張が有力な一つの根拠になるかと存ずるのでございますが、私は電気料金の地域差というものは必ずしも合理的なものであると考えることはではないと思うのであります。地域差が合理的である場合は、自然的條件がまだ決定的なものになつていない場合、即ち電力資源の開発が相当広汎にありまして、またこれを開発する余地が非常にある、こういうような場合に考えられるわけでありまするが、現在のように或る程度資源の開発が行届いておりまして、自然的條件というものが決定的な差異になつておる、こういうような場合に、この地域的な料金の差というもの、従つてそれによるコスト上の競争というものの余地の幅は少す、むしろこうした地域差というものは個々の企業の電力事業の経営技術の差から出るというよりも、より決定的な自然的條件によつて生まれて来る、こういうことになるかと思うのであります。それによつて各種の産業の配置換えというものが行われる、産業構造がそうした基礎の上に行われるということは、必ずしも合理的ではないのでありまして、むしろこうした自然的條件から来るところの差異というものをなくしまして、その下に純粹な経営技術的な競争をさせる、つまり能率的な競争という観点から申しまして、各種の産業が自然的條件から来る電気料金の差異、各地域における電気料金の差異から来るこの競争でなしの、純粹に、経営技術的に競争をして行くということの方が、むしろ合理的であるように思うのであります。そういう点から申しまして、むしろ電気料金の地域差というものをなくして、そういう点からは各種の産業が平等な條件の下に競争する、従つてその競争は純粹に経営技術的な競争になるというような関係が必要であるように存じます。尚これをもう少し根本的に考えて見まするというと、本案の地域的ブロックは、少しく機械的に地域的ブロックを考えておるように存ずるのであります。戰争中の国家管理的な、戰時的な色彩を以ちまして、電力事業が過度に集中しておるということは認められると存じます。その際に、これを分ける場合に、機械的に、地域的に分割することが果して合理的であるかどうかという点に非常な疑問を持つものであります。一応概念的に電気事業の性質を、全国的な性質を持つておる分野と、それから地域的性質を持つておる分野と、地方的なローカルな性質を持つておる分野とに、概念的に分つことができるかと存じます。殊に我が国の場合のように中部に自然的な條件からいたしまして、資源が集中しておるというような場合におきましては、全国的な性質を持つておる分野が相当あるということが予想されるのであります。それから勿論地域的の分野のものもございます。又ローカルな地方的な性質の分野のものもあるかと存ずるのであります。これを地域的なものに悉く集中して、機械的に分割するということにつきましては、非常な疑問を持つものであります。従つてこの電力事業が再編成の場合におきましては、この三つの要素のものに着目いたしまして、それに即した形のものにして分割する必要があるのではないか、中心といたしまして地域的なもの、九分割、一応分け方は九つでいいといたしまして、この九分割に配電と、それから発送電とを結合した一貫的なものをブロック会社として作る、これが中心になるというこちを一応認めることができるといたしましても、これを機械的に、これだけで問題を解決することはできないように思うのであります。同時にその上には全国的な分野のものもあり、その下にはローカルな性質の分野もある。従つてこの全国的な分野のもの、地方的な分野のものについて考えて行かなければならないと思うのであります。全国的な分配のものにつきましては、電力審議会の答申案であり調整会社、これは調整ということが中心になつておりますが、私はむしろこれをより積極的に全国的な分野を持つておる性質のものを、その性質に応じたものといたしまして、一つの会社をそれに基いて作つて行くということは、むしろ調整ということもありますけれども、それ以上にそういう意味を持つていなければならないかと存ずるのであります。この場合には従つて発送電とそれから配電というものが一致する必要はないのであつて、むしろこれは発送電、つまり卸売だけになるわけであります。それからこの地域的なブロック会社の下にあるもの、つまり地方的なローカルな分野につきましても、これをやはり認めて行かなければならないように思うのであります。このローカルな地方的な分野は、これはどちらかというと、配電ということが中心になるかと思うのでありますが、このブロック会社を中心にいたしまして、その上に全国的な分野のもの、その下にローカルな性質のものを入れて行く、こういうような再編成の方法が必要であろうかと存じます。時間も過ぎましたので、この辺で私の意見を終りといたしたいと存じます。
#39
○委員長(飯田精太郎君) 次に富山県知事の高辻君にお願いいたします。
#40
○公述人(高辻武邦君) ちよつと私の公述いたしますにつきまして、予め簡單な資料をお手許に配付して差上げておきたいと思います。私は電気事業再編成法及び公益事業法に関しまして、意見を申上げるに当りまして、電気事業再編成法の第一條に規定しておりまするような電気事業の国家管理を廃止すること、又は発電、送電及び配電の一貫経営という二つの問題は、これは私は恐らく各方面で相当の意見のあることと存じますが、併し今日の我が国の客観情勢から見まして、これは止むを得ざるものという前提の下に意見を申上げたいと思うのであります。このことに関する意見を述べるということになりますれば、議論が極めて多岐に亘ることと存じまするから、これは一応今日の我が国の占領下における情勢としては止むを得ないものであります。こういう出発点に立つて意見を申上げたいと存じます。そこで今回政府の提案になつておりますいわゆる九分割というものは、若しこれを分割をするといたしますれば、既設の配電会社が九つあつたのでありますから、これを九つに分けることが、比較的混乱を防ぐ方法であろうというふうに考えますので、これ又一応止むを得ないものとして私は承認せざるを得ないものじやないかと思うのであります。そこでこれを行うにつきまして、私の第一意見として申上げたいことは、電気事業再編成法の別表第三に関する問題であります。私の意見といたしましては、別表第三を全部削除するのが適当であると考えるのであります。別表第三を全部削除いたしまして、既設の発電若しくは送電設備というものは、すべてこの別表第二に定められましたところの九つの地域に亘る電気会社にそのまま所属せしめることが最も自然なやり方であり、又当然の考えであろうと思うのであります。これをあつちへ持つて来たり、こつちへちぎつて出したりして、この所属を決めるということは、極めて不自然なやり方であろうと思うのであります。公益事業法の四十四條以下において、公益委員会が特別の権限を以て電力分量の過不足を調整することができる権限が與えられております。この機能によつて、十分この九つの地域における過不足を調整することができるという考えでありまして、かような制度を設けておきながら、再編成法に別表第三を附けて、予めその所属を決めておくということは、極めて不自然な考えであるのみならず、徒らに混乱を起すことになりまして、今日各地方においてこの発電所の争奪をいたしておる、日本の国の各地方においてそれぞれの方面から発電施設の争奪をやつておるようなことは、全くこの別表第三によつて起つて来ることと思うのでありまして、これはすべて公益事業委員会の権限に一任した方がよろしいと考えるのであります。のみならずこの問題は今政府の提案になつておりますような別表第三によつて施行せられるということは、私の立場といたしましては、地方自治の本旨から考えて極めて妥当を欠くことと思うのであります。発電設備というものは、これはただの工場の設備というものとは違うのでありまして、河川に依存しておるところの設備であります。河川は申すまでもなく山間を走つて海に向つて注いでおるのであつて、広大なる流域を持つております。そのために河川の関係は灌漑の問題、或いはその他地方民との利害の関係、その他あらゆる面において地方自治の立場から申しますと、その地方民と至大の関係を持つておるのであります。その河川に発電所というものが施設せられるのであります。或いはダムが施設せられるのであります。そういう特定の施設を一定の地域外にある特定の電気会社に所属せしむるということは、私は適当な考えではないと思うのであります。のみならず公益事業法の第五十九條によりますというと、発電水力の利用に関する処分に関しまして、地方長官に対して委員会が必要な場合勧告をする権限を持つております。而してこの勧告の権限が如何なる場合に行われるかと申しますし、「発電水力の開発を効率的に行うため必要があると認めるとき」ということになつております。そういうことに相成りますというと、或る一定の流域に所属いたしております発電所が、他の地方の電気会社に所属いたしておりますれば、送電の関係からいたしまして、これを効率的に開発するということに相成りますれば、必ずや他の地方の会社に向つて、新たな水利の使用を認可することにならざるを得ないと思うのであります。必ずやこれは公益事業委員会の地方長官に対する勧告は、その線に出て来ることが予想されるのであります。この点につきましては、通産大臣及び政務次官はこれは公益発業委員会が公正に決定することであるからさような心配はないということを言つておられますが、私は不必要な心配をするのではないのでありまして、効率的に開発を行うという條件の下に勧告を行うということになりますれば、その水系に所属する一切の将来の開発地点は、他の電気会社に必ず所属せらるるがごとく勧告を受けるに相違ないと思うのであります。かような結果に相成りますというと、今申しましたように、河川というものは極めて広大なる流域を持つているものでありまして、地方自治団体と至大の関係を持つているのであります。地方自治法の規定によりますれば、地方自治法第五條によりまして、「普通地方公共団体の区域は、従来の区域による。都道府県は、市町村を包括する。」という規定になつておりまして、これは全く地域団体であります。地域を基礎にして成立つている団体であります。その地域団体たる都道府県の中の広大なる流域を持つていた河川の水利使用権が、概ね挙げて他の地域の電気会社に所属せられるということは、私は地方自治の本旨に反することと思うのであります。憲法第九十二條によりますれば、「地方公共敏体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」ということになつております。従つてこれは今回提案になつておりまする電気事業再編成法の別表第三は、必ずしもこれを違法とは私は言うのではないのでありますが、少くも地方自治の本旨に沿うものではないと思うのであります。こういう観点に立ちまして私は別表第三を削除して頂きたい。而して今申上げましたように、その地域ごとの発送電施設はその地域を管轄いたしておりますところの電気会社に所属せしめることが妥当である、そうしてこれを調整する権限は挙げて公益事業委員会に一任するのがよろしい、さようなことが私の第一の意見であります。
 次は今回の法案は、地方行政若しくは地方財政に当る関係、又それに伴つて起る電力料金に関する問題につきまして意見を申上げたいと存じます。これは只今お手許に差上げました資料を御一覧願いたいのであります。この表は私が関係している富山県に関する一つの例でありますが、昭和十八年度から二十四年度までの富山県におきまして河川に関係して支出いたしております予算と、河川に関係して收入されるところの收入との比較をいたしました表であります。右の一番端にありますのは、治水提防費に関する金額でありますが、数が非常に煩雑でありますので、昭和二十四年度だけをとつて申しますが、この治水提防費、災害土木費、造林林地耕地復旧費、橋梁費、これでけを合計いたしまして昭和二十四年度におきましては私の県が支出いたしております予算が十一億八千七百万円になつております。そこでその直ぐ隣りにこれに対しまして国庫が補助いたしております金額が書いてあります。それは五億七千二百万円、それを差引きいたしまして純県費負担金額が六億千四百万円になつております。この純県費の負担額が六億千四百万円でありますが、この中電気に関係いたしましい收入されておる金が幾らかと申しますと、四千百五十万円であります。これは事業税及び電柱税及び水利使用料であります。水利使用料は只今一馬力について九十円を徴收いたしております。その電気に関係して收入いたされますものが四千百万円、これを純県費の負担の河川維持費、管理費、災害復喫費、それを比較しますと〇・〇七%にしか当らないのであります。その他は全部県民の負担においてこの河川というものが維持せられ管理せられるということであります。そこで私はかような財政状況を睨んで考えますというと、電力料金という問題を考えますときに、單に電気の料金に地域差があるという特定のその問題だけを考えることは極めて適当でないと思うのであります。私は先刻青木公述人がお話になりましたように、私は地域差があるのが当然であると思います。それだけの負担において河川が維持せられ、管理せられる。そうしてそれから出る来る利益が水力電気というものでありますから、当然の結果として地域差の生ずるのは止むを得ないことだと思うのであります。これはこの工業がその地方地方において企画せられ、経営せられます場合において、それは青木公述人の御意見の通りそれぞれの立地條件によつて企業家がその地点を選ぶのでありますから、それを何も特に電気だけを調整しなければならんというふうには私は考えられないと思うのであります。私はただ併しながらこの電気が家庭において利用せられる点を考えて見ますと、これは日常衣食住の関係におきましては、これは必需品であります。これは或いは大いに調整を要することと思うのであります。併しながらこの地域差を調整するに当りましては今回御提案になつておる法案の通り発電県の県民の負担においてその調整を行うということは條理の許さないところであります。これは当然政府の財政負担によつて調整が行われなければならんと思うのであります。私は当然の條理と考えるのでありまして、委員会におかれましては料金の調整の問題を御考慮になりますならば、政府財政の負担においてこれを行うというふうに御考慮を煩わしたいと思うのであります。
 第三は、電気事業の独占に関する問題であります。これは公益事業法の第二十八條によりますと、先刻門屋委員の御指摘になりました通り、今回この法律案によつて生ずるところの電気会社が独占権を持つております。併しこの独占権というものは、私は理論的に独占がいいとか惡いとかいうイデオロギーによつてこれを論議する意思は持つておりませんが、併し実際の地方の事情から申しますと、絶対的の独占ということは私は適当でないと考えるのであります。何となれば地方におきましては事実上例えば灌漑水路等を利用いたしまして、小発電をするような場合もあります。而してそれに出て来る電力が自家用を超える場合におきましてはこれは売電をするのであります。或いは又地方に参りますと何万キロというような大きな地点でなくして、四五千キロ程度の小発電、中発電をするような適当な地点が随分あるのであります。そういう所は一切挙げて今回の電気会社に一任をするというよりも、やはの地方団体等においてこれを経営するというようなことも適当な場合が多多あると思うのでありますから、これは公益事業法の第二十八條の独占に関する規定は、大いに御考慮を煩わさなければならないと思うのであります。私は今回御提案になりました両法案に関しまして私の申上げる意見はそれだけであります。ただ最後の誠に恐縮でありますが、ただ一点私のお聞取りを願いたい問題は、今差上げました資料の第二枚目につけております問題であります。これは私の県におきましては県営電気事業というものを経営いたしておつたのであります。それは発電所が七ヶ所に亘つておりまして、発電力は約十万キロに上つております。それが昭和十七年に実は日本発送電会社に統合せられたのであります。而してその代償といたしまして私の県は今日五千七百万円という株持を持つております。併しながらこの五千七百万円という株券は終戰後今日に至るまで全く無配当であります。この十万キロの発電施設は勿論県民の負担において作つたものであります。今日の時価に計算いたしますと約六十億円に相当するものかと考えるのであります。これを若しも私共がこの還元をして頂いて県の経営に移すことが適当であるということを仮定いたしました場合は、どういう結果になるということが、この表に現われておるのであります。少し数字が複雑いたしておりますが、上の欄におりますのは県営当時の計算であります。五ヶ年度平均発電量が六億二千五百万キロワツト・アワーということになつております。当時の充電料金は五厘五一であります。当時それによつて一ヶ年の電力量の收入は三百四十四万六千円という收入を県の財政に收入いたしておつたのであります。而してこの間における五ヶ年度平均支出額が、例えば人件費或いは維持修繕費等は五十万円に上つておつたのであります。これを若しも今日の経済情勢下に引直して考えて見ますというと、六億二千五百万キロワット・アワーというものに対しまして、この売電料金はほぼ百倍と計算いたしまして六十銭であります。私はこれは決して高い料金とは考えられない。今回提案になつております政府の案によりましても八十五銭でありますから、この六十銭の計算は決して不当ではないと思うのであります。これを一ヶ年の電力料金に計算いたして見ますというと、三億七千五百万円の收入になるのであります。支出の方は当時五十万円であつたものを二百倍に概計いたして見ましてこれは一億円であります。これを差引きいたして見ますと、結局二億七千五百万円が富山県に與えらるべかりし收入であると考えるのであります。これが今申しましたように昭和十七年に政府の政策によりまして県の意思に反して統合せられたのであります。私はこれは当然県に復元をお願いしなければならんと思うのであります。これはこのままの状況に放任しておくということは極めて條理の許さない、極めて不公正な措置であると思うのであります。更にされに対応しまして尚県は県債を持つております。この県債の償還は今年度以降もずつと続けて参らんければならんことになつております。そういう関係からいたしまして負債だけを残して電気会社が統合せられるままになつて、何らの代償も講ぜられておらないということは極めて不適当だと思います。ただこれを復元いたしまして、県がみずから経営するということが法律上許されるかどうかという問題であります。それは先刻申上げました公益事業法の第二十八條において、委員会におきまして適当に修正の御考慮を頂くことができるならば、県営の経営ということが可能であると考えます。若しそれが法律上不可能であるといたしましても、私は所有権は当然県にお返ししなければならんと思うのであります。所有権をお返し願いましたならば、その後におきましてこの運営につきましては、法の命ずるところに従つて、政府の方針に従つて、如何ようにも措置する途があると考えるのでありまして、これは本日の公聽会におきましては問題は間接的に相成ることで恐縮ではありまするが、一言お聞き取りをお願いいたした次第であります。
#41
○委員長(飯田精太郎君) 以上四人のお方の御公述に対して御質疑ありませんか。
#42
○石原幹市郎君 私は高宮さんに一つお伺いしたいのでありまするが、先程只今の高辻氏からもいろいろお話がありまして分つたことと思うのでありまするが、ちよつと私中座しておりましたので、重複するかも知れませんが、お尋ねいたします。高宮さんは先程地域差というものを殆んどまあ全面的に否定されたのでありますが、我々考えてみまして、例えば石炭にいたしましても、石炭の豊富な所、北九州とか、北海道とか、そういう所がやはりいろいろそれを中心にして工業が発展しております。又水の豊富な所、或いはいい港を持つておる所はやはり工業が自然にそういう條件で発達しておるのでありまして、電気だけについてその地域差、そういう條件が全然無視されるということがどうも私には少し分らないのであります。電気はやはり融通はつきまするけれども、遠くから来るならば非常にこれは大きなロスもあるのでありますからして、それからこの発電地帶というのは、逆に言えば電気には惠まれておりまするけれども、自然の條件には非常に惠まれない。雪や雨の多い所、或いは災害の多い所であります。そういう所はやはり自然の天惠で電源が惠まれておる、こういう状況になつておるのでありまして、電源地帶の電力というものが安く、そうしてその條件が揃うならば、そこへいろいろ工場なり、適当な産業がそこへ集つて来る。そういうふうに将来の産業構造、産業構成というものはして行かねばならんのじやないか。急激な変化を避けるということについてはいろいろの調整方法を講じなければなりませんけれども、遠い将来を考えたらどうしてもそうあらねばならんと思うのであります。電力について地域差を全面的に否定されましたが、どうもそこはちよつと呑込めませんが、簡單でよろしうございますから……
#43
○公述人(高宮晋君) 只今の御質問に対してお答えしたいと思うのであります。まあ第一の点は、産業構造が一応今までの関係で地域差のない前提の下に作り出されている。従つて地域差をこの際大きな地域差を認めるということは、非常な混乱が生ずる。この点については問題がないと思うのでありますが、根本的な問題といたしまして電力料金の地域差は当然あつていいものであるかどうかということであつたと思います。この点につきましては成る程只今のお話のような点もあるかと思いますけれども、殊に電力は各種の産業に共通の生産要素になつていると思うのでありまして、この個々の企業がお互いに純粹な経営技術的な競争をさせる、つまりその他の点につきましては平等な條件の下に、純粹に経営技術的な競争をさせるということが私は理想だと思うのであります。従つてそういう自然的な條件から来る差異が余りにもひどい場合には、而もその調整ということが可能な場合、而もそれが共通のファクターになつている、各種の企業経営において……。こういう点におきまして電力がその場合一番問題になる性質のものではないか、こういうように考えるのであります。それから又殊に我が国のように地域差が激しい場合におきまして、ややもすると工業立地が一つの地方に集中するという危險もあるわけでありまして、今後の産業立地の方向といたしましては、できるだけ分散的な産業立地を考えて行くということが必要であろうと存じまするから、そういう点から申しまして、電力料金の調整ということが可能であり、そうして又一方におきまして電力料金の調整をするという態勢を取ることが、單に料金の調整ばかりでなしに、発送電、それから配電、そういうものが統一的に行われるということによりまする電力のサービスの面、或いはその電力を豊富化する面とか、その他コストの面とか、そういう面の合理化も推進されるということでありまするならば、ますます以てその裏付を持ちながら電気料金の調整をするということが合理的ではないかというふうにまあ考えるわけであります。
#44
○石原幹市郎君 この上は見解の相違ですからこの線でいいのですが、急変さすことはいかんということについては、我々もやや同感を持つものでありますが、今言われた電力についてそういうことを考えるなら、やはり少し状況が違うかも知れませんが、石炭等についてもやはり同じように考えなければならんのではないかと思うのであります。それから産業の分散ということを考えておられますが、我々も分散ということを考えたいと思います。石炭のある所は石炭を基礎とし、中心とした工業が発展して行く、いい港があり、いい川のあるようなところには、そういうものを主として條件とする工業が興つて来る。電力の多い所には電力を中心とする産業が興つて来る。而も電力発電地帶というものは、今日まで比較的すべての條件に、他の條件においては惠まれてない所でありますから、これをやる方が却つて日本の産業を各地に分散して行くという上に、私は却つてその方がいいのではないかぐらいに私は思つていますが、これは意見の相違でありますから、これでよろしうございます。
#45
○栗山良夫君 私高辻さんにちよつとお尋ねしたいのでありますが、先程高辻さんのお話を伺つておりますと、いわゆる富山県は特別な電源地帶であり、而も曾て地方自治体として電気事業の経営をなさつておいでになりました御経験上からしまして、是非とも今度の電気事業の再編成には、旧自治体の経営体のようなものが再建し得るような処置を法案の上に残す、こういう御意見のように伺つたのでありますが、今度の再編成の問題が起きますると、いろいろな形でそういうような御意見が全国的に出ておりますので、私は電気事業の再編成は、これを必ずしも戰争前の状態に復元しなければならんという理窟はないと思うのであります。若しそれを正しいとしますならば、戰争前における日本の産業なり、その他いろいろのものが、極めて民主的であつて、そうして正しかつたということを前提としての考えでありまして、そういう理窟は成り立たないと思うのであります。そこでその復元に対する考え方、こういうものが新らしい日本経済の民主化に支配されまして、そうして又その一環として基礎産業として、今使命を果して行こうとする電気事業の本然のあるべき姿について、どういう工合に新旧のものの考え方を調整なさつておられるか、この点を先ず伺いたい。
 それから第二点は、その富山等の地方自治体の経営に入れたいというお考えのうちには、地方自治体のいわゆる財源の捻出の一方法といたしたいということが言外の意味になろうかと思いますけれども、若しそういう形で公共企業体であるこの電気事業が利潤を生みます場合に、その利潤をも公共の福祉に直接還元するという形で地方財源に繰入れよう、こういうことが正しいとしまするならば、更に一歩を進めまして、こういう国民の典型的な資源であり、そしてその資源が運用されて何かの利潤を生むといたしまするならば、そういう利潤は挙げて中央国庫の財源に收納しまして、そうしてこれを国全体の運営に使い、これは地方自治体への平衡交付金までも含めまして、そういう財源に使うというような大きい構想の下で運用されなければならないと私は考えるのでありますが、この二点をどういう工合にお考えですか。
#46
○公述人(高辻武邦君) 私は地方公共団体における県営電気事業につきまして最前申上げました通り、地方には例えば灌漑用水路の落差を利用して発送電しておる、或いは極く小地点で発電をなし得るような場合、そういうことまでも私は一定の電気会社に独占させることは適当でない。こういう意味において先ず委員会の御考慮を煩わしたいのであります。私はそのことに関連いたしまして、是非県営事業をみずからやりたいという意思はないのであります。そういう考えは持つておりません。戰前におきましては公正業という考え方が地方におきましては非常に盛んでありまして、それぞれの利潤を生んだものは、地方財政の財源として繰入れておつたのでありますが、今日私はそのことを必ずしも考えておりません。併しながら県民の負担によつてできた発電施設を殆んど無価値に等しい株券においてこれを投資した者に……これはこの際是非復元をして頂きたい。所有権をお返し願わなければならない。その所有権に基くところの発電若しくは発電施設につきましては、法規の命ずるところ、或いは政府の方針に従つて適当な経営者にこれを委任することもできます。かような意味において申上げておるのであります。
#47
○栗山良夫君 今のお考えを進めて行きますと、結局それが私企業体でありましようと、或いは公共企業体でありましようとも、とにかく戰争前の投資に対する復元の要求であるということになりますが、これは地方公共企業体の主張が成り立つとするならば、その外の民間の投資者の主張も成り立つと私は思うのです。それは一つの民法上におきまするところの権利義務の主張でありまして、そういうことは成り立つ、従つてそういう形でこの問題を論議して行きますると、戰争前の電気事業の運営というものが、すべて権利の点において是認されなければならんということになりまするから、そういう形になつて、新らしい姿における電気事業をどう考えるか。こういう形で問題の論議を進めて行くべきではないかということを私は一応述べているわけです。
#48
○公述人(高辻武邦君) ちよつとお答えを漏らしまして恐縮でありますが、この点につきましては、大いの意見の分れるところだと思います。私はその点についてはかように考えております。戰争前の状態に還すことが適当であるという意味のことは考えておりません。それは当時私企業体、いわゆる株式会社によつて経営せられておつたようなそういう施設が日発に統合せられて、今日国民経済の変遷の状況から見て、これが統合せられた会社に所属するということは、これは営利事業の変遷でありますから、その間に非常な損失或いは利益がありましてもこれはいたし方ないと思うのであります。併し公課によつて、県民の税負担によつてできましたものは、これは如何でありましようか。今お話のような私企業の性質のものと私は必ず区別すべきではないか、県民が公課を負担いたしましてできたものでありますから、これは社会政策的意味におきましても、特に御考慮を煩わさなければならんのじやないかと思つております。
#49
○栗山良夫君 議論に亘りますが、もう一遍だけ伺いますが、県民の負担ということを力説せられますけれども、これは県における一般社会施設への投資というような形と違いまして電気事業に投資せられた。県というものは必ずそこに利潤を得るということを構想せられて投資せられておつたのであります。従いまして県民の成る程負担において発電の開発も見られましたけれども、その電気事業から生みました利潤によつて県財政へは相当な貢献をしておるわけです。一応の任務は果した筈だと私は思います。これはあながちそうとも言えませんけれども、一応県が社会施設をただ漠然と県民の負担において投資したものとは根本的にものの考え方が違う。飽くまでも事業投資であります。公共企業体への事業投資であります。従つて私はそういう観点から今の御質問を申上げておるわけであります。
#50
○委員長(飯田精太郎君) それでは外にございませんか。外にございませんければ次に移ります。北海道電力協議会の会長の齋藤君、
#51
○公述人(齋藤藤吉君) 私は北海道四百二十万の道民に利用者の大多数の意思を代表いたしまして、次の三点から反対の意見を申述べるものであります。
 第一に電源開発に及ぼす影響であります。第二は料金の地域差に及ぼす影響であります。第三はこの両法案の根本的疑念から来る問題であります。第一の北海道における既設発電設備は僅かに全国の三・五%程度に過ぎないのでありまして、現在の需要を充すには尚多量の不足をいたしているのであります。一応計数上統計的に出ておりますものでは、一六%と公表されておりますけれども、現実の需要状況からいたしましては、現輝の生産事情から要求されますものの約六〇%程度を充たしているに過ぎないのであります。かような点からいたしまして、北海道民は非常に電源の開発を熱望し、現在も多数の者が上京いたしまして、この運動を続けているのであります。試みに最近十一ヶ年間におきますところの北海道における電源開発の事情を見まするに、水力が三万一千八百キロワツトでありまして、この間における全国の百三十万八千三百二十キロワツトの拡充に比しますと、僅かに十一ヶ年に全国の比率において二・五%の非常に劣勢な開発の状況に置かれておるのであります。従つてこれらの不遇の電力事情の状態を脱却しますために、北海道におきましては電源開発五ヶ年計画を立てまして、水力において二十六万四千キロワット、火力を合せまして三十三万キロワットの新たな電源開発をしたいということで、これらを関係当局に要請をいたしておるわけであります。又経済安定本部におきましても、北海道のこうした電力需給の困窮の実情をよく御斟酌下さいまして、独自の立場から五ヶ年計画を樹立いたしまして、漸く二十四年度からこれに着手するに至りまして、久保内、蘭越外水力火力で以て六ヶ地点の新増設工事に着工する運びになつたのであります。
 今回再編成の問題が起りまして、全国の電気事業を九分割して、民有民営の独立採算制によるところの基本線に立つて、その地区へ会社の全部を委ねられるというようなことに相成りました。道民としては非常に狼狽をいたしているわけであります。若しかような分割が行われます場合におきましては、恐らく北海道の新設会社の実力というものは、この莫大なる開発費、即ち三十三万キロワットを開発する費用といたしましては約四百億を推算されておるのでありまするが、この四百億の費用をどうして今後準備し得るかということが大きな問題になるのであります。この分断されました会社が、全国の日発、配電の持ちますところの資産をその地域に分割いたしますと、僅かに四%に過ぎない力なのであります。この四%の力によつて四百億の融資を受けるということは、恐らく望み得ない問題になる。政府関係では、分断をしたからと申して決して開発が遅れるというようなことはない、かようも申されておるのでありまするが、採算の最も惡い、而も担保力を持たないこの新会社に対しては、私共としては融資の受ける手段としては全く断たれるのではないか、殊に見返資金は、最近の新聞紙上その他私共がGHQに陳情等に参りましても申されておりまするが、二、三年中にもこれはなくなるのである、こう言われておる、そうしますれば政府自体は、分断によつて決して開発を阻害することはないと、かように申されまするけれども、何らこれに対する裏付けを受けておらないということで、私共としては大きな不安を持たざるを得ないのであります。従つて若し政府の言われるように、将来の電源開発は決して不案がないんだ、北海道の現在の窮状はよく分つておるから、現在の計画をそのまま推進して行くんだ、かように政府が太鼓判を押されるとするならば、少くとも今度の法案の提出と同時に電源開発法案とか、或いは電源開発融資法案とかいうような、開発の裏付けをすべき何らかの措置が同時にとらるべきではないかと、私共はかように考えるのであります。而もかような問題に対しては何ら触るるところなくして、ただ單に電源開発に対しては何らの支障を来さないという、この一片の言葉を以て私共の現在の北海道の事情といたしまして肯定し得るわけには参りませんので、この点を是非とも明確に表示をせられまして、道民が安んじて将来の電源開発を期待し得る状態に置いて頂かない限りにおいては、この法案には反対せざるを得ないのであります。殊に北海道におきましては、只今申上げたような極めて困難な実情にありますために、最近道自体が何とか電源開発を行つて、窮状を少しでも打開をいたしたい、現在頻りにこれが申請に対する手続について努力をいたしておりますわけであります。ところがこの再編成法案の第八條若しくは公益事業法の第二十八條の第三号等を見ますと、公共企業体がこうした事業を行うことは困難であるように想像せられる。従つて極めて困難な実情に置かれる北海道にあつて、その道民の不利益を代表すべき公共団体もただ傍観をしていなければならないというような、かような法案に対しては私共としては全く遺憾の意を持つものでありまして、この点どうしても賛成の意を表し難いのであります。又私共がGHQ等に参りましていろいろお話を申上げますと、先方では分断をされればお互いに地域的なものがその必要に応じて出資をしてこれを行うような態勢がとれるではないか、又そういう意欲は必然的に生まれて来るではないか、かように申されておるのでありますが、只今申上げたような四百億というような大きな資金を将来に想定されますところの電源開発が、現在の北海道の持つところの経済事情によつて、果して道民が負担し得るや否やということはおのずから明らかなる、自明の理であると私共は考えておるのであります。従つてこれらは如何にいたしても政府自体の完全なる裏付け措置を得ざる以上は、恐らく北海道におけるところの開発は行われない、かように存ずるわけであります。又一面この電源開発におきましては、分断することによつて外資等の導入が期待されるということを言われておりますが、成る程日本の全体量としての開発の促進においては、或いは外資の導入等、有利な地区の非常に大きな会社に外資が入つて期待できるかも知れませんけれども、北海道のような離れたる地域はその恩惠に浴することは極めて困難である、非常な不利益な條件に置かれるところは、その恩惠に浴することは恐らく期待できない、かように考えられるのであります。むしろ北海道等では、こうした外資の導入によつて非常に有利な地位と、それによつて生ずるところの犠牲的地位を作るものであるということで以て、これに対する反対が非常に大きく行われております。この反対の中を潜つて共産党の諸君等が、いわゆる電気事業の売国最措置であるというような痛烈な言葉で以て背後で煽るというような実情に至つておりまして、むしろこうした措置を強行せられることが、占領政策の一環として私共は反するのではないかというような観念を持たざるを得ないのであります。従つてこれらの諸点から考えまして、私共は第一には、電源開発の事情からこの両法案には反対をしたすものであります。
 更に第二に、料金の地域差についてでありますが、これは現在の新料金によりまして、旧料金から約六割の北海道は上昇をいたしております。更にこれを分断をされますと、全国平均にいたして一〇%の高率になる、一番安い北陸等に比較いたしますと、約十割高になるというような地位に置かれておるわけであります。更に只今申上げたような新たなる開発を予想いたしましてこの資金を投入いたしました場合に、これによつて起るところの差というものは、その分断されました場合の料金の約七〇%更に上昇するということが計算上想定されるのであります。そうして参りますと、北陸に対比いたしまして三倍の料金に相成る、如何に地域差が或る程度止むを得ないものであると申しましても、かように大きな差が生じますことは、北海道自体としての産業を壊滅せしむることであると、かように私共は存ずるのであります。勿論政府では火力調整金というようなものによりまして調整をいたそうということもお考えになつておられるようでありまするが、これらも先に政府の試案なるものについて検討いたしましても、北海道といたして約三千万円の火力調整金が入つて参るのでありまするが、三千万円の火力調整金ではその救済というものは全く雀の涙に等しいものである。今日までの経営のおきましても、日発が公表しておりますところは五億乃至六億の年々赤字を出しておると、かように公表しておりますので、三千万円の調整金は、全く北海道の現在の事情からして料金の調整を行うには足るものではないと、私共はかように考えるのであります。而もこの調整金に対します規定等につきましては、單に公益事業法の中に調整ができると書いてあるだけでありまして、法的根拠として私共が期待し得るものは何物もない、こういう点を考えました場合に、極めて漠然たる措置でありまして、こうした内容によつて将来への料金の調整を期待することは全くできないわけであります。以上のような実情から参りまして、このままの形において、いわゆる独立採算制のよるところの分割が行われるということになりますれば、私共の北海道としては非常に産業界に混乱を来し、殊に現在の需用の三一%の電力を使用いたしておりますところの化学工業、なかんずくカーバイト、肥料、水銀、製紙、ゴム製品等には非常な影響を来しまして、その既成産業すら閉鎖をしなくてはならんというような実態に立ち至ると思うのであります。御承知のごとく先般皆樣の非常な御援助によりまして、北海道は総合開発法案が通過いたされまして、二十六年度からはいよいよ北海道の持つところの資源の開発をしようという機会に遭遇いたしておる。これは全く国土計画の一環として、北海道が人口七百万を以ちまして、而して北海道の持つ産業を中核として日本経済の再建をしようという当面の事態に立つておりまして、電力の需用というものは單に北海道だけの問題ではなく、日本の経済再建の非常に大きな問題を北海道としては持つているわけです。然るにかような実情からいたしまして開発もできない、料金にも非常に大きな地域的不利が生ずるということになりますれば、この総合開発も実際には行い得ない実情に立ち至るという危險が私共の前に想像されておりまして、大きな不満を持つているような実情にあるのであります。従つてこの点からも私共はこの両法案に対しては賛成し難いと、かように存ずるわけであります。
 更にこの法規的の疑問でありますが、この両法案の持つ目的は、公共の利益を増進するためにあることは、第一條に示されておりますので明らかなのでありますが、いわゆる公共の利益というのは一体どういうものでありますか。私共は国民全体の利益でなくてはならんのじやないか、少くとも公共の利益というものは、国民大多数の利益であらねばならない。然るにこの法案に対しましてはです。私共、九州、中国、四国、この四地方がすでに全く同一の立場において反対の意見を持つております。又近畿も私共と同様反対の意思を持つておる。日本の全人口の半分以上のものが自分達の経済力に対して大きな影響を與うるものであると考えてこれに反対をいたしておるのであります。かかる状態にあるのもが真に公共の利益を増進するものであるかどうかということは、私共は非常に疑問に思うわけであります。一、二の地区の人々が大きな利益を得るために、他の多くの地区の者が非常に不遇な立場に置かれるということでは、真に公共の利益を保持するの方法ではないと私共はかように考えるわけであります。従つてこの点から参りまして、日本全国中に半ば以上の反対の現存いたします現在の段階においてこれを強行せられることは、いわゆるこれは法規の言うとこけの公共の目的に副わざる結果を招来せしむるものであるということを私達は強く主張せざるを得ないのであります。殊に最前からいろいろ公述人から申されております今日の国土計画を行わんとするところも、戦争によつて狭められたるところの日本の国土のうちに、人口の分布を公平にし、産業の発達を公平に行い、そうしと日本の経済力を増強しようということが目的であり、北海道の総合開発のごときも、この目的の下に立脚されておるのであろうと思うのでうりまして、当然産業の発達には電力だけではなくて、交通、資源その他幾多の條件が国に備わらなければならないのでありまして、一地区に電力だけが発達したからといつて、あながち日本の国土計画の上におけるところの完全なる公共の目的を保持するような産業の将来への形態を建設するものではないと私共は考えております。資源と交通力、その他あらゆる條件を相マツチせしめて、そこに完全な国土計画の一環としての電力運営の機構が成り立たなければならないという点について、この法案については何らそうした考慮が拂われずに行われているかのように考えられますので、この点についても私共はこれに反対をするものであります。
 又この公益事業法の点におきましても、料金を適正にするとか、供給を豊富にし、又それによつて公共の福祉を増進すると書いてありまするが、この法案の内容はいわゆる分担会社に地域独占を認める、むしろこの分担会社それ自体の保護法でありまして、需用者に対する保護規定には何らなつておらない、而もこれがために国とか公共団体に全くこれらに対するところの事業を行わしめないような状態にもなり、又需用者自体が何らこの法規を通じて自己の利害に関して要求すべき基本的な規定が設けられてはおらない、かような点から考えまして、私共需用者の立場からいたしましては、非常に不安定な気持で以てこの両法案を見詰めておるわけであります。従つて私共はこれらの法規の面におきましても、基本的疑問を持つておりまする以上においては賛成をし難い。以上の三点からいたしまして私共はこの法案に反対の意思を表示するものであります。
 北海道といたしましては、現在の事情から行きましては、どうしても先ず電源開発を急速に行なつて頂きたい。而も最前申上げましたように過去十一ヶ年の開発パーセンテージから見ました場合に、北海道の現在の電力事情の極めて劣勢なことは、戦争目的遂行のための国の犠牲の一端である、かように私は考えておるのであります。従つて現在の全国的コストにおいてこの開発を行なつて頂いて、安い開発コストのものと、これから行うべき高い開発コストのものを調整されたところの分割を行なつて、将来への料金差等をも除去して頂くような措置をとつて頂きたい。それには先に発表になつた大山私案のようなものを私共は非常に希望をいたしておるものであります。従つてそれらの調整を何とそこの特別委員会の各位におかせられましても、十分御考慮に預かりまして、北海道の電源開発に支障なからしめ、将来のこの料金差等について大きな不安を生ぜしめないような措置を願いたいと存ずるわけであります。
 尚若し分断が必須のものであると、かようにいたしますならば民有民営、独立採算制というこの建前に関して、それ相当の法的措置をとつて頂きたい。例えば関発につきましては、最前申上げましたように開発公団ができますか、或いは開発融資法案ができますか、それらの措置をとつて頂き、又料金差につきましても、法律的措置によつてこれがなし得るような画然たる措置を示されんことをお願い申上げて、以上反対の意見を申述べます。
#52
○委員長(飯田精太郎君) 次に京阪神急行電鉄株式会社社長の太田垣君。
#53
○公述人(太田垣士郎君) 太田垣でございます。私は需用家の一人といたしまして、尚且つ同じような仕事を実際にやつておる産業人の感覚からして本法案に賛成するものでございます。
 大分時間も経ちましたし、まだあとに大分公述人の方が見えておるようでございますから、簡單に時間内に御説明申上げます。
 元来私共需用者は少しでも安い、そして豊富な、停電なんかのない、サービスのいい電力を要望しておるのであります。然るに悲しいかな、現段階におきましては、これらのものの中の一つをさえ我々は満足に満たされておらないのであります。然らばこれは何に基因するかと申しますと、勿論実際に経営の任に当つております経営者の怠慢ということにも一応の責任はあると思います。併しながらもつと大きな原因は、私は現在の制度そのものがいけないのである。これに欠陷があると、かく信ずるものであります。それは何かと言えば、国家管理、統制というようなものによつて経営者の企業意欲というものを全然無視していること、ここに私は大きな原因があると信ずるのであります。先ずその第一を取上げますと、今日までの制度によれば経営者の最も重大であるところの責任の帰超というものが不明確であります。それからもう一つは、企業意欲を最も刺戟すべき筈の独立採算ということを無視しております。この二点を以てしても私は経営者自身が自由に腕を振つて、そして電源の開発をするというような余地が残されないで、むしろ彼らの良心的な経営を阻害しておると存ずるのであります。第一の責任の帰超が不明確であるという点につきまして、実例を申して見ますと、その一例を電力の量の問題に取つて見ましても、現在各地区の配電会社は、我々需用者共が電力の不足に悩んで、そして血の出るような叫びをしておるに拘わらず、電源の開発は日発の縄張りであるという考え方から、殆どこれが改善に対して熱意を示しておりません。一方それでは日発はどうだと申しますと、これも独占企業である、而も競争者がないというような立場にあり、且つ又日本全国を股にかけて経営をしているというような経営のリミツトを越えた大きな企業を経営しておりまするがために、現在の経営自身でさえ非常な負担であつて、これを守るに汲々としておつて、積極的に電源の開発をするということには非常に熱意が足りないのであります。従つて電源の開発遅々として進まないのであります。一方又電力の量そのものを割当てますお役所はどうかと申しますと、お役所におきましては、現在ある電力を、その量を我々は適当の方法によつて配分すればいいのだ、これだけの感じでありまして、更に積極的にこれをどうして増そうかというような熱意を我々は見るわけに行かないのであります。こういうような現状では、日本の産業の根幹をなす電力の開発というものは一体誰がいつやつて呉れるでありましようかと我々消費者は叫ばざるを得ないのであります。それから第二点の独立採算制を無視しておる欠陷はどこにあるか、これを実例を以て申しますと、経営面にありありと現われておるのであります。その経営の中の一つの労働問題を取上げても然りであります。今日これらの会社が如何に真劍に組合ととつ組んで、そして自分の企業を合理化し、需用者に対して良質の而も豊富な低廉な電力を供給しようとして真劍にこれととつ組んで努力しておる会社が果して幾らあるかと私は疑いたくなるのであります。それどころか、気の利いた会社ならば、もうすでに組合との間に話合いが付いて、一年も二年も前に解決の付いておるべき筈のスト中の賃金を支拂うべきか、支拂うべきでないかというような問題を未だに揉んで、而して需用者に迷惑をかけておるというような始末なのであります。これは何に基因しておるかと申しますと、いわゆる全然独立採算制を無視して、惡制度であるところのプール制というようなものを未だに現存した結果と私は思うのであります。従つてこういうものを現存しておつて、果して経営者として経営意欲が、企業企欲が起るかどうか。幾ら自分が一生懸命になつて、そうして自分の企業を合理化し、そうして有利に導いておつても、その利潤は手を拱いて默視しておる他の会社に流れ込む、こういうような制度がある以上、経営者としてはどうしても私は企業意欲が湧く筈がないと思うのであります。従つてこういうものがあるがために、自分自身の会社の成績によつて自分自身の役員が報酬を取らなければならないのに、自分自身の会社で挙げた成績で取る役員の報酬さえ、他の会社に相談せなければ決めることができないというような立場に置かれておる経営者が、少くとも労働者と対等の地位で交渉して、そうしてこれらの人の労働の勤労意欲を向上してサービスの改良を図るというようなことは、私は到底できないものと思うのであります。従つて今日国民の中には、電産は組合として最も強い組合である。然るに一方これに対抗する経営者は、経営者の中でも非常に弱いとまで批評されておるのであると私は思うのであります。従つてこういう観点からいたしましても、私は一日も早く責任の帰趨を明らかにし、独立採算制を取る。而も発電及び配電の一貫した九ブロックの会社を設立して、そうしてこれらの弊を一掃しなければ、到底現下の電力危機は私は免れ得ないものと信ずるのであります。勿論反対の公述人の申されましたいろいろの隘路はあります。併しながら先ず私は一階段としてこの線まで持つて来なければいけないのではなかろうかと思うのであります。
 従つてその隘路は公益事業委員会というものもあるのでありますが、これの運営の如何によつて或る程度までは緩和することは事実でありますし、尚且つこういう責任態勢を取らして、本当に経営者自身に優勝劣敗を現実に味合わしめて、そうしてその地区の輿論の筈に経営意欲を向上せしめて、そうして開発をするより途はないと思うのであります。この点につきましては、過去の歴史を見ましても日本におけるあの電力復興の黄金時代は、東京電燈であるとか、或いは東邦電力であるとか、大同電力であるとか、日本電力であるとか、宇治電であるとか、各会社が蟠踞いたしまして鎬を削つて、そうしてこれにはおのおの有数な経営者がおつて、そうしてあらゆる隘路を克服してやつて歴史を見ても思い半ばに過ぎるものがあると思うのであります。今にしてこれを断行せざれば悔を百年の後に残すと私は信ずるものでありますから、私は本法案に賛成いたします。
#54
○委員長(飯田精太郎君) 次に日本産業協議会産業部長の仲矢君。
#55
○公述人(仲矢虎夫君) 私は日本産業協議会の産業部長を勤めておりますが、御承知のように日本産業協議会と申しますのは、会員といたしまして電気事業者も入つておりますれば、又電気を消費する産業部面の方々も入つております。それから又更に同じ一口に電気事業者と申しましても発送電会社もありますれば、配電会社もあります。他方に又電気の消費産業の中でも水力電源に惠まれている地帶に工場を持つている会社もあれば、火力地帶に工場を持つている会社もあり。更に又それらの会社については、おのおのについて申しますれば、自家発電を持つている会社もあればそうでない会社もあるといつたようなわけでありまして、会員の意見はそれぞれ異つております。従いまして又問題自体の性質がこれを多数決で決めるというような性質の問題でもありませんので、従いまして日本産業協議会全員の一致した意見ということを取りまとめることはできないのであります。これから述べます意見は、日本産業協議会の会議の席で各関係者の皆様からいろいろ述べられた意見を材料といたしまして、それに私の判断を加えたもの、こういうふうに御承知置きを願つて置きます。
 この電気事業再編成の問題は、電気事業を分割した方がいいか、或いは惡いかという電気事業の経営の形態それ自体に問題があるのではございませんで、どういうふうにしたら第一に、電源を開発して、この電力の供給を豊富にすることができるか。第二に、電力を相互融通してこれを有効に活用することができるか。第三は、電気料金をどうしたら安くすることができるか。第四の問題は、皆様よくお話になりますサービスの改善の問題であります。
 先ず第一の電源の開発の観点から申しますれば、地域的な独立採算制を取つて発送、配電を一貫経営することにすれば、これは確かにその地域に関する限りは発送電と配電が二元的に経営されている場合に比べまして、或いは熱意を持つた開発ができるということはこれは当然認めなければならないと思うのであります。併しながらそれは飽くまでもその地域に関する、その狭い観点からでございまして、日本全体を総合して見ますれば、必ずしも合理的開発が行われるかどうかということは疑問があるわけであります。御承知のように、先程繰返して述べられましたように、我が国の水力電源地帶は本州の中部に偏在しております。従いましてこの電源の豊富な地域では、採算上、たとえ開発地点がありましても、おのずから需用がほぼ満足されているとするならば、開発の熱意が薄くなることは避けられないことでありまして、他方電力の不足している地域では、余り有利でない地点でありましても、地区内の需用をカバーするためには多少の無理をしてでもこれを開発しようとするということは自然の勢いであります。これを全体として眺めて見ますならば、先程申しましたように、一方に有利な地点があつてもこれが開発できない。他方開発が技術的に困難である、従つて又建設費も高くかかるというような不利な地点が開発されるというような不合理な現象が現われて来ると思うのであります。
 これは電源開発というと、新規の開発ばかりではなく、現在発電されている水力の相互融通の問題についても起ることでありまして、発電事業が再分割されまして、おのおのが独立採算制を取るということになりますれば、どうしても一方電力が不足しておる地方があるのに、他方では貴重な水力の無効放流が行われているというようなことが起ることは、これは極力避けるようにするでありましようが、絶対になくするということはちよつと困難かと思うのであります。或る程政府の原案におきましてもこの点を心配いたしまして、公益事業委員会というものでこの調整を図るということにはなつておりますが、御承知のようにこの委員会は、法文上からはつきりしておりますように、單に指導監督するというだけの政策機関でございまして、自分で発送配電設備を持つていないのでありますから、従いまして融通を事業者間の自発的な契約に任せ、必要に応じて單に命令するというだけでありますが、それでは実際問題としてこういう現象を絶無にするということはむずかしいかと思うのであります。又どこでも大体現在におきましては電力が不足しておる時代でありますので、そういう今日の情勢の下で、自分のところを犠牲にしてまで他地区に電力を供給するということは実際問題として、採算上、採算と申しますか、実際問題としてなかなかむずかしいことは御想像願えるかと思うのであります。このために電源開発が遅れ、地帶間の融通がどうしても惡くなるということは、これは避けられないというふうに考えられるのであります。
 これは私の方から申上げることもありませんが、我が国では電力の供給は需用に比しまして現在一〇%乃至二〇%すでに不足しておるわけでありますが、專門家の意見によりますと、再分割の後は地帶間の融通を極力行なつても、その上更に一〇%乃至一五%が不足するであろうと言われておる次第であります。御承知のように石炭に余り惠まれていない日本といたしましては、我が国に惠まれた最大の資源とも言うべき電力を開発して、渇水期におきましても石炭を余り使わないで、電力が不足しないようにするには、どうしても大規模な貯水池式の発電を行う必要がありますが、それにはやはりそれを行うに適合した形態を考えることが必要ではないかと思うのであります。
 次に第三の電気料金のことでございますが、再分割の後は、地域原価主義による独立採算制が取られることになりますれば、電気料金の地域差は、安いところと高いところとを比べますと、大体三倍半ぐらいになるという專門家の計算でありますが、先般実施されました電気料金の地域差でも、現在相当の打撃を各会社に受けているのに、これが更に先程来の地域原価主義によつて拡大されるということになりますと、火力地帶の産業の受ける影響は実に重大でございまして、延いては、ところによりましては失業者を出さなければならんというようなことも発生する虞れがある次第であります。御承知のように今後の日本の産業は補給金も外れましたし、どうしても裸になつて国際市場で競争しなければならないのでありまして、そのためにはできるだけ国内の生産コストを下げて行かなければならないのでありますが、これまで各産業は、大体におきまして電気の一本料金制を前提として産業立地、或いは経営されて来たのでありますが、地域差がこのように大きくなつては、水力に惠まれていない地方の工場のコストは非常に高くなつて、経営の困難に陥るものも相当出て来るものと思われるのであります。特に水力に惠まれていない九州或いは中国地方の、特にその中でも電力を沢山消費するところの製鉄或いは化学工業乃至炭鉱といつたような、大量に電力を消費する産業の受ける打撃は相当のものでございまして、その他にこれらの基礎資材のコストが高くなりますれば、延いては全産業の、その他の地区の工場の生産コストも高める必配があるのであります。そうでなくてさえ現在御承知の通りに石炭価格、或いは鉄鋼の価格が高いために、造船、海運、機械工業といつたような、今後我が国の輸出産業として期待されておるところの重要産業が現在非常な困難に陥つておる次第でありますが、それが更に電気料金の、そういう地域差の確立のために、コストが高くなるということになりますというと、これを克服するのは並大抵のことではないと考えられるのであります。このように我が国では水力電源の分布状態と、それから産業の分布状態とが一致していないので、急激に電源分布或いは新らしい電気料金の地域差に応じた産業構造を作れと言われましても、なかなかそれはできることではないのでありまして、又無理をしてそれをやるとしましても、そのために非常な資金、資材、或いは又時間がかかることはこれは言うまでもありません。又電力の電源分布に相応した産業構造を作るためには、工場の配置の、工場の移転を行わなければなりませんが、この工場移転をするというためには、電気を生産する工場、即ち発電所を作るよりも数倍のコストがかかるわけであります。そうして長距離送電を行いましてロスが出るといたしましても、その半面におきましてその設置が工業の原料なり或いは製品、市場の関係から立地條件がよいということになりますれば、むしろそこに電気を送つた方が国民経済的に有利な場合もあると思うのであります。
 それから最後にサービスの改善のことでありますが、発送電と配電が二元化しておるために、経営の責任の分野がはつきりしないで、サービスが低下してるということは、もう否定すべくもない現実の事実であることは、これは認めなければならないと思いますがこれを改善するという点からいいますれば、発送配電を一元化した方がよくなるだろうことは、これは認めんければなりませんが、需用家に対する直接の責任という点からいいますれば、一貫経営か一元化経営かというようなことと、つまり分割というような経営の形態とはそう大きな関係はないことでありまして、サービスの低下は、これは独占事業に必然的に附随するところの弊害でありまして、従いまして分割した後におきましても、電気事業の性質上、地域独占ということは幾ら細分してもこれは残るところであります。そういう点からいたしますれば、独占によるところの弊害というものはいずれにしても大差はないということが言えるかと思うのであります。これを改善するには、一にかかつて経営者と、それから従業員の自覚に俟つという以外には方法はないわけであります。更に又この点については、従来の電力の統制或いは電力行政がまずくて、所管官庁が非常に数が多く、そのために手続が煩雑であるというようなことから、政府と電気事業者、それから電気ないために、発送電なり、或は配電会社の方々がみずから負うべきでない責任までも負わされていたということが言えるのではないかと思いまして、要するに十分に責任を持つてそういうことを発揮することができなかつた経営者の立場も理解して上げなければならないのではないかと私は考える次第であります。要するに結論といたしましては、現在のような方式にしましても、それから又発送、配電の一元化や分割方式にしましても、それぞれに利害得失がありまして、現状をなんとか改善しなければならないことは、これは確かでありますが、問題はその時期で、いつそれをやるか、如何なる方法でやるかという、時期と方法に関することでありまして、我が国の産業が漸く再建に発足したばかりの今日、そうばかりは言えないかも知れませんが、どちらかと言えば電気供給事業の経営という立場から一足飛びに独立採算、自由競争に急激に移ることは、理論としてはどちらが利があるといたしましても、この重大時期に当つてそういうような生産増強に何ら役に立たない数十億の資金と、それから貴重な時間を空費するということは好ましくない次第でありまして、どうもこの問題は自由か統制かというような單なるイデオロギーの観点から論議されている嫌いがありますが、この問題はそういう自由主義がいいとか、或いは自由主義が惡いとかいうような、そういう観点から論議すべきではないのであります。敗戰日本が現に当面しております冷嚴な客観的な事実に立脚して飽くまでも経済的合理性を、これを徹底すべきでございまして、自分の自観的な理念によつて決定すべき問題ではないと思うのであります。
 以上が、最初に断つて置きましたように、私が日産協で行われたいろいろな会議を通じて得た材料に基いて私の判断を加えた意見でありまして、この外に私共の見落している重大な事情があるかも知れないと私は思います。若しそういう事情があつて、どうしても今直ぐ再分割をした方がいいという、客観的に見てもお前らの知らない事情があるのだということで、これを行わなければならんというのでありますれば、電気事業再編成審議会の答申案にございますような電力融通会社を設置しまして、更に再分割に際しましては、その電力設備の所属の決定を飽くまでも経済的合理性の観点から行うことにいたしまして、これに反したいわゆる政財的決定をしないようにお願いしたいと思います。そうして又各地区の電力会社が、真に国家的な見地から協力してやつて頂きたい、こういうふうに考える次第であります。
 尚最後に公益事業委員会の運営に際しましては、先程申しましたように、ややもすれば電気事業本位になる虞れがありますので、そういう電気事業本位ではなしに、消費産業の立場をも十分反映せしむるために、公益事業委員会の外に諮問機関を設けまして、これに電気事業者の外に消費産業の代表をも参加させて頂きまして、運営の適切を期すると共に、地帶間の融通、或いは先程申しました料金の地域差の調整をできるだけ、これは強力有効に行なつて欲しい。これが、私が先程来申しましたように、私がいろいろの会議を通じて得ました結論でございます。
#56
○委員長(飯田精太郎君) 仲矢さんが少し早く退席したいという希望ですが、ここで以上お三人の方に御質疑がありましたら御発言願いたいと思います。
#57
○栗山良夫君 私は京阪神急行の太田垣さんに伺いたいと思います。太田垣さんは先程いろいろな御意見がございましたが、今電気のサービスが非常に惡いということで、日発配電会社の非難、延いては従業員で構成しておる電産の組合のことについても言及されたのでありますが、その点で二、三御質問申上げたいと思います。
 先ず第一に、あなたは電気事業が非常にあまく行かないということをおつしやつたのですが、その発生電力量ですね、電力量においては、国内の如何なる産業よりも逸早く回復して、そうして戰争前の最高度よりも更に大きな電力発生量を出した、こういう事実の認定の上に立つて、そうして電気事業が現在うまく行かないということを主張されたのか。或いはそういうことを御存じなしに主張されたのか。その点をもう一度伺いたい。而もそういうことが電気に関係する従業員の過去五ケ年間の非常に熱心な逞しい努力によつて積み重ねておるということをお認めになつておられるか。
#58
○公述人(太田垣士郎君) 只今の第一の御質問なんでありますが、戰前に復帰したと、これは一応量の面において或る程度の何は私は認めますが、併しサービスの点とか、或いは各産業に公平に割当てられるという点等につきまして、私はまだ戰前に復帰しているとは考えません。
 もう一つ、第二の問題で、これは労働者諸君が復興に努力されたということは私はこれははつきり認めます。ただ併し今私が申上げました問題なんかにつきましても、これは賃金支拂がいいとか惡いとかいうイデオロギーの問題は別といたしまして、もつと私は経営者が本当に組合と話合つて、一番こういう問題が先ずもつと先に早く解決が付いていなければならないと、そこに私は一つの不満を持つわけでありまして、時間的の問題でありまして、イデオロギーの問題ではないということだけは申上げて置きます。
#59
○栗山良夫君 今大体復興状況はお認め頂いて結構だと思いますが、分配の点については、先程産業協議会の仲矢さんがおつしやつたように、これは電気事業団、勿論労働組合を含めての電気事業団に責任もあるでありましようけれども、それよりも更にそういう工合にならざるを得ない状態にしておる日本の電気事業運営、機構全体が惡いのだ、そういうお話がありましたが、その辺はあなたが分折して御主張になつたかどうか。その点に対しては一言の発言もなかつたようでありますからお伺いいたします。
#60
○公述人(太田垣士郎君) これは一つ例を取つて申上げて見たいと思いますが、一つの分配の不公平というような点について、私共はこれは一部の経験でありますが、例えば電気事業は一応公益事業である、これは私共肯定しております。私共のやつております運輸事業も一応私は公共事業ということを認識しております。そこでそれじや料金の点においてどうかと言えば、電気事業なんかはやはり公益性があるがために、一つの規制をされております。これと同樣に我々の運輸事業自身もその運賃は規制をされておる。そこで同じレベルにある公共性を持つ二つの事業において、而も一方は百なら百の電力を必要とする、輸送にそれだけの電力を必要とする。然るに割当は八十しかない。そうして八十は一応普通の電気料金であるが、その後の二十はこれは三倍の料金なり四倍の料金を取る。同じ公益事業であつてこういう不公平な電力の割当方、而も同じ公共事業を遂行しなければならないものに電力を割当てないで以て、そうして超過料金として三倍、四倍の料金を拂うというような分配の不公平がある。又一面性格的に一番高い料金を拂つても製品にそれをかければその料金が引合うというものではなしに、同じように料金を制限されておつて、而も必要な公共性の仕事をせなければならん範囲のものにさえ三倍、四倍のものを拂わなければならんというような非常なでこぼこのある不公平な分配が今行われておる。これが若し自由競争になつて、各社がやるということになれば、こういう問題は許されないと私は思う。
#61
○栗山良夫君 今太田垣さんのおつしやつたことは、これは電気を少し御勉強下されば直ぐお分りになると思いますので、私が申上げることは僣越でありますけれども、そのことは現在全部政府が行なつておることでありまして、そういうことは全部政府が行なつておつて、そういうことになつておつて、今あなたが御批評になつたようなことを改めますには、電気事業運営の責任者である政府側のいろいろな態勢、今度の公益事業委員会法なり、再編成法なりの根本をなしておりますそれにメスを入れなければ直らない。これは日本発送電という会社は、明白に申しますならば、電力管理法による政府の代行機関です。そういう形を直さなければ直らないのでありまして、私の質問申上げますことと、あなたの今御回答頂きましたこととは大分道筋が違うようでありますが、もう一点申上げたいのは、先程例としてスト中の賃金のことをお話申上げましたが、今大阪で問題になつている事項でありまして、重大なことでありますが、それも一点申上げたい。経営者側としては、すでにこういう問題は解決済みの問題であるとおつしやいましたが、ストの問題なら解決は付きます。ストライキをやることによつて生産がストップされた場合には、これに対しての賃金は拂わないということなんです。ところが今電産の労資間で何故そういうことが解決しないかということは、電気は若干やりましても、收入に影響を與えるということは殆んどない。そういうことが行われておる会社の日常業務に大して支障のない方法が行われている。生産に直接影響を與えない。そういうことについていろいろな問題がありまして、経営者側が申合した争議の期間の判定がむずかしくて、紛争の種になつているわけです。そういうようなことをあなたが御承知になつて、そうして只今の発言をなさつたのかどうか。その点を私は伺つたのです。
#62
○公述人(太田垣士郎君) 第一の点につきましては、政府が行なつている、従つて政府のこの機構が惡いのだ。これは非常によく分ります。従つて私が最前申上げました通りに、現在の制度が惡いのだ、だからこの制度を根本的に叩き壊して、新らしくこういう自由時代を多く含むような制度を取らなければならん、こういうわけで言つたのであります。この辺を御了承願います。
 尚最前のスト中の賃金の問題につきまして私が申上げましたように、スト中の賃金を拂うのがいいか惡いか、これを私が申上げているのではなしに、こういうような問題にもつと早く経営者自身が組合と本当に真劍にとつ組み合つて解決を付けて置くべき筈のものだ、他の会社なんかではすでにこういう問題は一年も先に解決が付いている問題である、こういう時間的の問題を申上げたのでありまして、その拂うことがいいとか惡いとかいう内容を申上げているのではありませんから、その点は誤解のないようにお願いいたします。
#63
○佐々木良作君 只今の問題と似たような問題になるかも知れませんが、太田垣さんにお尋ねしたいと思います。今電気会社のサービスの問題が中心に論じられておりますが、サービスの問題は、先程仲矢さんのお話にもありましたけれども、これが買手市場になつているときはサービスが惡いのが当然だ。あなたがやつておる電鉄なら電鉄を例としましても一杯乘らなければならんということがあつて、お客さんが沢山ある場合は、そうして乘り切れないというときは当然サービスが惡いに決まつておる。この問題は今の機構の問題と別個と思いますが、どういうようにお考えになるか。
 もう一点、今度の再編法及び公益事業法によつてできる新らしい再編事業は、今のお話によりますと非常に責任の帰趨が明らかで、独立採算が取れて、そうして自由競争ができるような会社になつておるように言われるのですけれども、そんな條文は一つもない。どこが責任の帰趨がそれ程明らかになり、従来と変つて独立採算が取れるようになり、自由競争ができるようになつておるか、御指摘を願いたい。むしろこの優勝劣敗のやれるような自由競争には、需用家の立場に立つた場合は、今のときは一応の、まだ配電の独占供給に対して一応の日発が直配というやつがあります。それから自家用というものもあり得る。この三つが非常におかしいけれども、競争し得る状態は作り得るわけだ。併しながら今度の法案の場合には、一地区一供給を法定しておるのです。而もその場合に自由競争がどこにあり得るか、お伺いしたい。
#64
○公述人(太田垣士郎君) これは第一の問題についてお答えいたします。私はこれは経営者の感覚といたしまして、そういうふうに分割されて来れば、一応私は従業員と経営者の間にもつと真劍なサービスのやはり検討が行われる。独占企業である以上サービスというものは、どうせ分けても同じだという最前のお言葉がありましたが、私は実際自分自身の経験でそうは思わないのでありまして、必ずそういうふうに分けて、そうして責任の帰属を明らかにすれば、私はサービスの向上は必ずあり得るものと、実際の運営においてあり得るものと確信しております。
 それから第二の問題であります。どこに責任の帰属が今度明確にされておるか、こう申しておられますが、少くとも消極的に経営面においてプール計算というようなものを取り去るということが、私は責任の帰属を非常に明らかにするものである、現階段より私は一歩前進である、従つて只今も申上げました通りに第一階段として、これくらいな分割案は当然だろうと考えると、こう言つたのであります。
#65
○佐々木良作君 まあ意見の応酬になりますからやめますけれども、先程私が質問したサービスの問題のものは、独占企業だから必ずしもこうということではなく、サービスの中心は、売手市場の場合し買手市場の場合、ここに中心の問題があると思います。それから二番目の独立採算と責任制の問題、プール制が取り去られると言うが、プール制は実際取り去られない法案になつております。料金の調整と融通をやることになつておる。而もそれは全部の立場でやることができないことになつておる。現実的には今行われておると同様なプール計算的な行いが公共事業委員会を中心としてやられざるを得ない建前にやつておる。若しもそれをそうでないようにするならば、先程言われたような地域差が猛烈に大きな料金が出るし、融通は、非常に地域的に違う融通にならざるを得ない。使用し得る電力量は、地域的に非常に違うような状態にならざるを得ない。こういうシステムに僕はなつておると思うけれども、今のお考えはどうも僕はこの法案に基いて述べられておる議論じやないような気がするのです。その点をもう一つ伺いたい。
#66
○公述人(太田垣士郎君) 私は只今も申上げまして通り、今おつしやる地域差の問題とか何とかいうことは、おのおの賛否両論あるところでありまして、地域差自身を当然だという方もありますし、地域差がそういうふうに非常に多くてき困るという方もありますし、従つて私共は法案自身の逐條的な問題については述べませんが、法案の精神そのものについて、私は現在のものが経営意欲せ非常に阻害しておる、従つて新らしいものは現在のものよりむしろいいのだ、従つて私はこれに賛成する、こう申上げのであります。その点御了承を願います。
#67
○佐々木良作君 もう一点だけ。お話の中に経営のリミットという言葉をさつき言われました。どのくらいの大きさが普通だと考えられるか、今度できる会社は九つこの法案によつてできる。今度できる九つの会社は、その中の開東にしろ、関西にしろ、これはキロワット設備から見ても、需用家数から見ても世界中に類例のない大きい会社ですよ。どれくらいが経営リミットでできると勘で思われますか。御参考に承わりたい。
#68
○公述人(太田垣士郎君) 私共はむしろ経営リミットで言えば、もつともつと私共は分割すべきものだと思うのです。併しながら第一階段として、今止むを得なければこれだけのものが分割されるということが、一つの私は進歩だと、こう思つております。私は確信を以てこなん大きなリミットじやいけない。こう思つております。経営の実際に当つては、もつともつと将来には分割さして、そうして各自の特色のある経営をするというのが本当だと思います。併し現階段においては、そういうことは許されないとすれば、先ず私は九分割案も一つの進歩だろう、こう考えております。
#69
○佐々木良作君 大体勘で理想的な形はどれくらいまで分割されるのが、経験的にいいて考えられますか。
#70
○公述人(太田垣士郎君) これは復原するとかいうことで、非常な大きな議論になりますが、私は貝ず現在の三倍くらいな何はあつても然るべきではなかろうかと、こう考えております。
#71
○佐々木良作君 三分の一ですか。
#72
○公述人(太田垣士郎君) そういうことですね。つまり九つのものなら十八くらいのものに分つて差支ないと、こう考えております。
#73
○門屋盛一君 大田垣さんにお尋ねするのですが、労働問題の関係で述べられておるようですが、この労働問題で私も働いており、事業も経営しておるのですが、あなたの言われるように、経営者と労働者とが一体になつてやり得るというその経営規模が、今度の九分割の範囲で実際に行えると思われますか。
#74
○公述人(太田垣士郎君) 私は自分の経験によりますと無理だと思います。併しながら只今も申上げた通りに、第一階段としてはやはりこのくらいのもので行かないと非常に大きな出血があるのではなかろうかと、こういう点を案じまするがために、私はこの案に賛成するのであります。
#75
○門屋盛一君 そうしますと九つでは無理で十八か二十一くらいがいいであろうということを言われておるのですが、そうしますと今度の公共事業法の二十八條で、供給を行う事業は同一地区にもう一つ許さないというようなことが、制限されておることにも賛成ですか。
#76
○公述人(太田垣士郎君) これは只今も、この前にあなたが御質問になつたと同じ御質問らしいのですが、私はまあその時に考えたのでありますが、これはできればそういう経過規定を作つて頂ければいいと存じますが、現在の段階では、これはなかなかむずかしいのじやなかろうかと、こう考えて私は全面的にこれを賛成しのです。
#77
○門屋盛一君 それからあなたの言う電力融通とか、今のプール計算が惡いと言われますけれども、若しこの案が、今の別表第三というものが取除かれたとしたならば、分ることは、九つに分るのですよ。九つに分けても、別表第三が取除かれて九つに分る場合に、あなたはどうお考えになりますか。あなたは今全面的に賛成の意味で、別表第三が生きておるからまあ差支ない。地域差があつていいという呑気なことを言われていると思うのですが、仮にこれがなくなつた場合はどうお考えになりますか。僕はですね、これは非常にくどいようですけれども、今日の公聽人の中で実際の事業経営にタッチされている公述人が割合に少なかつたので、私は最前からマークしてあなたには御意見を伺うつもりでいたのです。(笑声)
#78
○公述人(太田垣士郎君) マークしられ甲斐がなくて誠に恐縮ではが、私共はこれは完全なものとは思いませんけけども、やはり自分の感覚として、これくらいな程度で第一歩は行かなければならんのじやないか、これが私の感であります。
#79
○門屋盛一君 じや打切つて置きます。
#80
○佐々木良作君 仲矢さんに聞きたいのですが、参考的な意見で結構ですが……。仲矢さんの御意見は、特に現在の日本の産業の状態から見て、これに余り急激な影響を與えるような方法では成るべくやられない方がよかろうというような話でしたが、それからもう少し発展しまして、将来と言うか経過的な問題を取除いて考えてですね、電気事業の在り方を考えて見ましたときに、つまり現在やるとすれば産業に急激な影響を與える、その経過的な分だけを取除いて、そうして現在と言うか、今の資本主義発展の段階における日本経済の状態から見て、その中で電気事業をどういう型に置いたらいいかという一つの型ですが、電気事業の形は御存じのですね、その経済の発展の状態に応じて、普通の産業と同等なレベルに置いて資本的な企業活動をさせるような状態と、そうではなくて共通のベースの上においてそうしてその上に他の産業を成立たせて行くという考え方もあると思うのです。その際に行者の考えをとつた場合には、これは地域的な、技術的な独占形態であるから、当然に技術的にですね、だからそういう場合には成るべく小さく切つた方がいい。小さく切つて民営の会社はやるなでなければ、私的独占の形が強くなる。後者の場合は私的独占の形をとつてしまつて、国営なり公共団体というような形にする。その場合には地域はなくて、大きければ大きい程いいという理窟に僕はなると思うのですけれども、日本の現在の経済状態から見て、将来の電気事業の発展の方向は、大体どつちをとるのが普通だろう、普通というか、いいと考えられますか。全然これは参考的な御意見で結構です。
#81
○公述人(仲矢虎夫君) 御質問でございますが、率直に申上げますと、実は私はこの電気事業再編成の法案と、公益事業法案の二法案に対する実は参考意見だけを用意して参りましたので、御質問のような点につきまして私は今即答する材料を持ち合わせていないのです。ただ私が述べました線に沿う具体的な法方をどうするかという点につきましては、尚十分検討してからでないとちよつと申上げかねるのであります。
#82
○佐々木良作君 それで結構でございます。
#83
○委員長(飯田精太郎君) それでは次に移ります。東京大学第二工学部長の瀬藤君。
#84
○公述人(瀬藤象二君) 私は專門は電気でありますが、今日はどういう資格で参つたか、よくお呼びす下すつた方の趣旨が徹底しない点もありますけれども、そうして又この法案の配付なり何なりというものが、極く真近に受けました関係もありまして、詳しく読んでおりません。それ故に極く細かいところについては、意見を申す資格がないと存じます。
 併しながら一応のことは申したいと思いますが、二つに分けまして公益事業法案と申すものは、その目的、事業、それから権限、そういうところを見ますと、大体においてこれは私は賛意を表してもよかろうと思います。先程ちよつと御議論のありました第二十八條の三項でありますか、あれなどは余りに限定的でありまして、この委員会が本当に万全の機能を発揮しておる場合に限つて、この許可をしてはならないという條項が妥当性を持つものと存じておるのであります。人間のすることでありますから、いろいろの欠点も起り勝でしよう。そういう場合にこれで以て自分自身を苦しめてしまつて、適切な処置ができないことはあり得るとと考えます。尚その他具体的に且つ細かい点においては或いは賛意を表することのできない部分もあるかと思いますが、この根本的の考おについては賛意を表してよかろうと存ずるのであります。
 ただ飽くまでも注意しなければなりませんことは、この公益事業法案というものはやはり限度があつて、その限度においてのみ有効な効果を挙げ得べきものであろうと存ずるのであります。関連して申しますというと、今提案になつております電気事業再編成法案、これに要望されておるようにことの相当部分、又相当論点になつております電力の供給の融通の問題、或いは料金の地域差の問題、それら殊にこの公益事業法の委員がどれだけのことがなし得るか、これが万能薬であると思うたらば大きな間違いであろうとこう思うのであります。具体的の例を申上げましようか。例えば融通について必要な命令をなすことができる、こういうことになつておりますが、電力の融通と申すものは、これは專門である私ばかりじやなく、すでに相当多数の方が御承知と思いますが、その融通については時々刻々の処理を必要とするくらいのものと考えるのでありまして、單に例えば水力についての平水時の状況を想定した需給契約というようなものがあつただけでは事柄が動かないのであります。そういうふうなことまでこの公益事業委員会に任務として課するということは、殆んど不可能を強いるものと考えます。尚又料金の地域差の問題にしましても、これは思想的に非常な二つのことが織込まれなければならん問題だと存じます。先程来の公述人の諸君の御発言にもいろいろございましたが、相反する希望が民族の中にすでにあるとこう考えてよかろうと思う。事態は非常にむずかしいのでありまして、本来ならば民族全部が乏しきを分け合う相互扶助の考えの下に、平和国家の建設に努力しなければならんという大方針は一応了承されるのでありましても、私経済の非常ないろいろの面に関連して参りますと、そういうことも言いきれない点もありましよう。又地域差の問題の具体的の例が沢出引かれましたが、それらを一々考えて見るまでもなく、一体料金を全国均一に釘付けにしてしまうということも無理であります。極端はいつでもこういう問題については避けなければならんことでありまして、又半面において非常にでこぼこがあつてもいいのだということも、これも又無理でありましよう。そこが即ち我々の良識を以て判断しなければならん点が多々あるゆえんのものであると考えるのであります。それからのことをこの公益事業委員会が引受けるということにも相当の限度がありまして、少しも補給金なり何なりというものを自分の権限の範囲で以て支出し得ない、ただ一方から取つて他に與えるというような程度のことで、これだけのことができるかと言えば、大きな疑問が残るのであります。かるが故に、この公益事業委員会の任務その他については余り大きな期待を持つことは適当ならずというふうに考えるのであります。これはその程度に私の意見を申すことにいたします。
 次に、電気事業再編成法案の案について所見を述べます。先程どなたかからお話がありましたが、この再編成の問題に関しては、すでに我々の仲間からも相当の人が出て、非常に広い、且つ行き届いた審議を二回すでに行なつた後の法案提出であります。如何にも常識から考えて腑に落ちないことでもない。ですからこの法案の第一頁に書いてある目的というところに、すでにこれでいいのかと言いたいようなことがないでもないわけであります。第一條の「国家管理を廃止し」ということについては、これは殆んど異議はないことでありますが、そのあとずつと「各独立の事業体制を確立して」と書いて、結局目的は如何にも整つておるようでありますけれども、その掲げられたところの方法論になりますと、前二項は、即ち電気事業民主化委員会の審議、或いは電気事業再編成委員会の審議、それらのことが殆んど織り込まれておらないということを痛感するのであります。この民主化委員会の方は大分前のことでありますけれども、その当時と現在において果してどれだけ客観的の事情が変化しておるか、ただその当時の内閣が更迭され、商工大臣が変つたというようなことが客観的にははつきりしております。併しながら私などの常識では、それ以外の点において果して如何なる変化があつたかということは、大きな疑問と存ずるのであります。まして況んや電気事業再編成委員会の結論は、本年の一月末に出たのでありまして、その結論が出てから、現在までの間に如何なる変化があつたかということは、これは問うまでもないと存ずるのであります。然らばそれらの非常に学識経験を持つた方々が長時間を費して論議された結果が、何故にこの電気事業再編成の法案の中に盛り込まれることができなかつたということは、国民の一人としても聞きたいことと考えるくらいであります。論議を盡せば盡しただけの効果があることによつて、初めて論議に十分な熱意を持つて参加して下さるだろうと思います。今日私がここに公述人として参りましたけれども、そのような態度で、今申したような態度で、事柄が何かこう不明の原因の下に決せられて行くのであるならば、国民としては、非常に不満を持つと言つてもこれは言い過ぎではないだろうと存ずるのであります。例えて申しますと発送電一貫、或いは分割ということが、果してどなたかが言われましたように、占領下の日本であるが故ということを前提とすべきや否やということは、すでに大きな問題であると思います。これを容れない場合においては米国の援助が得られない、或いは占領軍の政策に反するということがあるでありましようか。それをむしろ反問したいくらいであります。
 この案の内容について、私は反対の意見は多々ありますけれども、その反対論の内容にすべきところは、先程来反対をされた方々の中にすでにもうたびたび論じ盡されております。又同じことを繰り返す必要もないかと存ずるのであります。ただ一言だけ附け加えまするならば、又具体的の点について附け加えるだけに止めたいと思いますが、この別表第三なんかの考えは、既存の水力発電所の中で或る地域にあるものを、その地域外の新会社に帰属せしめるということであります。これは現在の日本の電力の需給関係、又産業の立地條件、そういうものを見ます時に、こういうことでもしなければこの分割案というのは再び破滅的な欠陷を持つと考えられていたのを、まあ改定部分と了承するのでありますが、その実情が書いてありまして、その同じ水系の将来未開発として残されておる地点がどういう帰属になるかということは書かれてありません。従つてそれは当然の了解として公益事案法案の中に、その地点の開発に対する許可の場合に、都道府県知事にこの委員会の意見を聞くことを必要とするというところで何か措置をされるものと想像されるのでありますが、多分これは同一水系なる故を以て総括的に発展をするという趣旨から、すでに帰属せしめられた事業会社に開発を予期されるものと考えられるのであります。そうしますというと、今ここに提案されておる法案の可決された曉においては、将来の長きに亘つてその水系が他の地域に属する事業者の所有に属することになります、その所有に属しました後でも、又これから直ぐにでも、産業の立地條件というものはすでに永久不変のものではありません。現在余りに不適当なところに設置されておるところの電力消費工業は、段々に年の経つに連れて、便利であり又電力の安いところに移つて行くべき性質を持つておる筈でありまして、我々が今現在の状況のみを基礎としてこの将来長きに亘る発電所の帰属を決めてしまうということは、大きな将来、元の制約を、大きく申せば子孫に対する大きな拘束をそこに加えることになることは言うまでもない。そのようなことをしなければこの案を成立し難いような大きな弱点を持つておるのだというに外ならないと言つてもいいんじやないかと思うのであります。これは大きな欠点の一つだろうと私自身は考えております。
 特徴としていろいろなことが挙げられますけれども、この公益事業法案なるものが適正に運用せられる、そうして独占性の電気事業が国民全体が所期するような運営になるような途はおのずから講ぜられ得るのでありまして、現在日発とか、或いは各配電会社とかいろいろのものが、過去の、或いは現在存在しておるところの法律、或いは行政措置その他によつて沈められておるところの欠点なんかは、これは補い得る本質的な性質を持つておると考えるのであります。その故を以てそういう、欠点の存在する故を以て現在のものをぶち壊してしまうということがそれが絶対に必要なのか、我々は反省する必要があろうと思います。よく言葉で以て片附けるという話があります。例えば民主化委員会の案なんかは、余りに現状維持的である、或いはあとで出たところの融通会社なるものの案は、あれは日発の温存であるというような、たつた二字或いは四字ぐらいのところで批評しさるというような傾向が多分に論議の中に含まれ易いのでありますが、私は一応不可欠と考えられるものは残すべきである、又現状で差支のないものは残すべきである、こう考えるのでありまして、それを残すことを厭う故に、大きな欠点をここに持ち込むようなものは御免蒙りたいという考えから、遺憾ながらこの電気事業再編成法案というものには賛成を表し難いものであります。
 先ず若し何を主張するかということを聞かれますならば、これは私の理想としては、むしろ全国を一つの大きな発送、配電の仕組として運営するものを考え、それの欠点を是正するに足るような各般の方策を講ずるというのが理想的なことである。これは国営とか或いは民営であるがいいというようなことを皆一緒に含めてでありますが、そういう方向の方がむしろこの問題に対する永遠の策であると考えているのであります。併しながらそれに対して若し何か大きな障害があるならば、せめて民主化委員会時代に、一応相当沢山の関係者が先ずこの辺でやつて見ようじやないかというふうに一致したそのところに根拠を置いた方を第二の策とすべきである。尚それでも行かない場合には、せめて電気事業再編成審議会が作成したところの案を一応の出発点とする。然らざれば際限なくいろいろの話を繰返すばかりであつて、時間のロスであるばかりでなしに、却つて問題を紛糾させるばかりであると思う次第であります。
#85
○委員長(飯田精太郎君) 次に東京大学助教授の今野さんはまだお見えになりませんからあと廻しにいたしまして、次の建設技術研究所長の内海君にお願いします。
#86
○公述人(内海清温君) もうすでに賛否の両論が多数の公述人から出ましたので、私は蛇足を加えるようなことになるかも知れません。この点は恐縮でございますが、私は水力建設を專門としております土木研究者でございますので、案の内容に細かく入りませんで、土木建設技術者から見た、言い換えますと、この水力開発という問題に限定いたしまして、この二法案に対して私の所見を簡單に述べて見たいと思います。
 私が申上げるまでもなく、日本の経済再建の基盤となりますものは石炭と水力であると存じます。然るに石炭は御存じのように埋蔵量が非常に少くて品質も惡い。現在掘つておりますのが精一杯である。これ以上量を殖やす、質を上げるということは殆んど不可能であるというふうに考えるのであります。而も石炭は御承知の通り掘ればそれだけなくなる資源であります。これに反しまして水力は、日本は水力資源に非常に惠まれております。そうしてこの水力資源は使つてもなくならない、いわゆる循環資源であるのであります。そうしてこの発電のコストを見ますと、アメリカなどよりもずつと安いのであります。でありますから、水力こそ日本経済再建の唯一の基盤であると申しても決して過言ではないと信ずるのでございます。日本がアメリカの援助資金なくして、いわゆる経済自立いたしますためには、それだけ現在の援助資金に相当するよりは多くの生産をし、多く輸出しなければならんのでありますが、この安い電力を使いまして、そうして国際競争に堪え得るような製品を作つて、これを輸出することが最も必要であると考えます。又そうしなければ決して日本は立ち行かないのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。然るに我が国の現在の電力状況を見ますと、御承知の通り非常に不足しております。従つて電力の開発は我が国にとりましては急務中の急務であるということは、今更私が申上げるまでもないことでございます。私はこういう電力開発の重要性、急務中の急務であるという観点からこの問題を見まして、そうして今回政府から提出されましたような電気事業再編成という法案が、私は今直ちにこれを行うのはいいか惡いかと申しますと、内容の議論は措きまして、私はしない方がよろしい、今再編成はしたくない、再編成をする必要があるまで、或いはすることが容易に可能である時期まで少くとも延ばして行きたい、これが私の考える結論であるのでございます。
 その理由を簡單に申して見ますと、第一の理由といたしまして考えられますことは、この一つの現在の発送電会社と、九つの配電会社を一時に解散いたしまして、そうして新らしく九つの電力会社を創設すると申しますことは、正に電力事業の一大変革であると思うのであります。従いましてこの大変革は必然的に電気事業界に大なる混乱を生ずることは避け難いのではないかということを考えるのであります。而もこの混乱が鎭まりまして、そうして事業が安定いたしまして、人的にも、或いは設備的にも万端の用意が安定いたしまして、本格的な経営に移するまでには可なり長い時間がかかるのじやないかということを私は憂えざるを得ないのであります。そうして少くとも、この混乱の期間は電気事業にとりましては非常に大きなマイナスであります。決してプラスではないのであります。この電気事業の大混乱は、結局電源開発の遅滯を来すことはこれは当然に考えられるのでございます。少くとも電源開発を促進はしないということは確かでございます。電気事業の機構をどんなにいじりましても、それによつて電気は一キロも殖えるものではございません。逆に供給は減ると言われておるのでございます。この電源開発に害あつて益のない機構いじりを、この電力の足らない今日、そうして戰争中の言葉ではありませんが、一キロでも多く、一日も早く欲しい今日、又アメリカの援助を受けなければ生きて行けないような現状にある今日、何で急いでこれをやらなければならんか、私はその理由を発見するのに苦しむのでございます。
 第二の理由として申上げたいのは、分断によりましての日本の建設技術の低下という問題でございます。日発の分断は即ち建設技術陣の分断でございます。そうして非常なる日本の建設陣の弱体化であると考えるのでございます。建設技術者は現在の配電会社には極く少数しかおりませんで、大部分は日発におるのであります。そうしてこの日発が十一年前にできました際に、日本の全国の水力建設技術者は日発の傘下に集つて参りました。爾来十一年間にいろいろな訓練と、そうして融和と結合というものが行われまして、今日ではこの経験の深い多数の技術者が一つの有機的な繋りにおいて存在しておるのでございます。そうしてこれが機動的に動くことによりまして、日本の多数の大水力工事を立派に計画し、そうしてこれを開発しておる現状でございます。建設機械も同樣でございまして、昨日北海道で作つた機械は明日は九州に持つて行つて使うというように、極めて少い、そうして貴重な建設機械を最も効果的に、機動的に使われておるのでございます。然るにこの統制の取れた有機的に組織、配置された技術陣を九つに分断いたしますと、この計画能力、建設能力も極めて弱いものになつてしまうのじやないか、こういうふうに考えるのでございます。水力の開発は先ず立派な企画をいたしまして、そうしてこれを早く、よく、安くして施工する。同じ地点でございましても、この企画の仕方によつて非常にその電力に優劣ができ、又コストの高低が生ずるのでございます。でございますから、企画の技術、建設の技術というものは極めて重要なものであると考えるのでございます。こんなわけで、最も優れた計画を立て、最も優れた施工をすること、即ち貴重な水の資源を最も効果的に、而も早く、安く、よく開発するためには、私は現在ありますところの、この日本に一つしかないところの、水力建設技術陣を分断することは好ましくないと、こう考えております。
 第三の理由は、先程来述べられましたが、日本を九つの地域に割つて見ますと、電源が甚だ偏在しております。そうして電力の足らない地帶こそ、電源開発が最も必要な地区でございます。従つて無理をしてでも、余り引合ないような地点でも開発しなければならなくなると思うのであります。これに反して電源の豊富な地区を見ますると、現在でも相当豊富に電力が供給されておりますために、この地帶においては建設が余り活溌になつていない恨みがあるのであります。これを全国的に総計して見ますと、結局惡い電気を、比較的高い電気を開発して、そうして比較的安い電気は開発されずに残されて行くということになります。これはいずれ将来開発されるからいいと申しますが、今のような日本の最も電力の必要な、そうして歴史的に最も苦しい日本の現状においては、こういうことは許されないのではないのか、こういうふうに考えておるのでございます。そういつたいろいろなまだ電源開発を阻害する問題は多々ございます。法案の内容にも触れることになるのでありますが、例えば公益事業委員会の所管事項、それから公益事業委員会の権限という項を見ますと、この権限はどういう権限を持つているかといいますと、この水力開発に関しましてはただ都道府県知事に対して勧告するという程度の権限しか持つておりません。この最も建設の重要なときに、この公益事業委員会がただ都道府県知事に対して河川法に基いて勧告するという権限しか開発について持つていないように法文を拜見いたしますとなつておりますが、従来は通産大臣がこの権限を、電力開発に関する大きな権限を持つております。今度委員会はそういう権限を持つていない。今度開発いたします水力というものは、これは電力單独の目的で作られる場合は非常に少くなります。いわゆる総合計画、総合開発計画、言い換えて見ますると大きな貯水池を作り、そうしてこれが電力にも役立ち、貯水にも役立ち、或いは灌漑用水にも役立つ、そういつた総合的な多目的に利用をすることによつて電力は活用されて行く場合が非常に多くなると思うのであります。ところが貯水に関しては建設大臣が大きな権限を持つております。灌漑農業用水につきましては農林大臣が大きな権限を持つております。従つてこの総合開発に対しては、他の所管の大臣は大きな権限を持ち、そうして閣議でこれを力説する機会を持つておりますが、水力の開発については閣議において、電力開発に関しては閣議において強力な発言する人がいなくなることになります。これは結局日本の電力開発については決してプラスするのではなくて、これもマイナスになる、こういうふうに考えるのでございます。以上述べましたように、電源開発が今日の日本にとりまして急務中の急務である、而もこの数ヶ年はアメリカの援助なくして事実できるかできんか。いわゆる日本の歴史において最も大切な、最も苦しい時期でありますが故に、この際最重点産業でありますところの電気事業に大変革を加え、従つて大混乱を来させ、従つて電源開発にも大きな支障を来すということは、何とかして私はこれは時期を延ばして頂きたい。いわゆる日本の自立経済が立ち、電力も豊富になつて、そうして機構いじりしても出血のない時期においてやることにしたらどうか。どうしても再編成をする必要があるならば、時期はそういう時期まで延ばすべきではなかろうかというふうに考えるのでございます。
#87
○委員長(飯田精太郎君) 次に関東電力協議会連合会会長相澤君にお願いします。
#88
○公述人(相澤泉君) 関東地方電力協議会の会長の相澤であります。突然本日の公聽会に公述せよという話がありまして、私電力協議会の会長として本席に臨むことは会にまだ諮つていないのであります。従つて会としての結論を出すわけには行きませんので、少なからず今日まで私共は過去二年有半に亘りまして、電気の問題につきまして日夜自分の仕事を、職場を離れて真劍にこの問題を検討し、事実配電会社、日発、官庁並びに議会とも連絡をとつて、事関東に関しましては闘つて来たものであります関係上、この再編成の問題も、又電気料金の改訂の問題についてのときも、いろいろ真劍な審議を重ねて参つたものでございます。併いながらこの間に第一回に取上げられました水谷商工大臣当時に、いわゆる民主化委員会によつて一元化しようというような空気が、強くま有ました当時においては、私共協議会におきましても、この線に向つて行くのが妥当であろうと、当時の客観情勢から行きまして、この点に非常な検討を加えて、強力な指示をして参つたものでありますが、その間内閣の改変によりまして、段々力観情勢は急度に変つて参りまして、どちらをとつていいのか全く我々協議会といたしても判断に苦しむような情勢になつた結果、一応この問題は棚上げされておりましたが、併しながら電気の問題は時々刻々として一日も忽せにすることのできない、いわゆる商品化として見るべき電気でありますけれども、実際にこれを遷延することのできない状態にある、我々生活面に必須なものであつて、この間この問題につきましては数回に亘つて研究を重ねて今日まで参つております。つきまして本会に臨けにつきましては、十分会の下部からの意見を結集いたしまして、代表者としての完全な意見を述べたかつたのでありますが、誠に遺憾であります。併しながら会といたしましては、こういう機会に、今日までやつて来た会の気持、会の持つておる思想、会の持つておる希望、こういうものを少しでもアツピールできるならば全く光栄の至りであると同時に、我々の会によつて何か参考になりまして、皆樣方の完全なる国家建設のために役立ちますならばと思いまして二、三の幹部を招集いたしまして、俺は出て行く、君らに事後承諾を得るようなことになる筈だ、一応出て行くということで実は参つたのであります。どうかその辺を御斟酌願いまして、今までの私の会を通じました私の認識において、今回上程されましたところの両法案につきまして聊か私見を述べさせて頂きます。
 先ず結論から申しますと、私はこの二つの法案に対しましては、全面的に、とは申されませんけれども、一応現段階の客観情勢においては仕方ない、まあ賛成しよう、こういう程度のもので、甚だ無責任の言葉ではございますが、一応賛成しよう、こういうところに我が会は至つております。又我が会を組織しておりますところの下部の消費者、或いは需用家、一般家庭等におきましても、一応こういう線は賛成のできるものだというふうに考えております。尚、それではこの賛成をする理由は一体どこにあるかと申しますと、先ず最初に電気事業再編成法案について申上げますが、私共のように電気の消費者という立場に立つ者は、電気の供給者に対して何を一番望んでおるか、私共この点については日夜真劍に食い下つて今日まで参つたのであります。ここに役所の方々も見えておるようでありますし、又議員さんの一、二の方には特に常に御懇談を申し、御協力を願い、進んで参つておりますものであります。そのときに、これは申すまでもなく一番良好なサービスを先ず望まなければならんと思うのであります。然らば今日官僚統制において良好なサービスを半面考えて完全なる需給の調整のバツクアップをしておつたか、聊か自信のある御回答はなかろうと、こう私は思うのであります。併しながらかかる結果が官僚の独善によつて、或いは官僚の不手際によつてなされたとは決して考えておりません。そういう組織下にあつた状況において需給調整を行い、電源の開発をしておつたという客観情勢が惡かつたのである、こういうふうに可なり大目に考えております。さようなわけで、とにかく良好なサービスということが先ず第一であります。ややこれを具体的に申上げますと、電気がいつでも私共の必要なところに必要なだけ、良質なもの、低廉な価格で、而もその電気業者の業務におきましては最も親切を第一にして処置されなければならない、こういう要件を常に申し続けて来たのであります。又念願して参つたのであります。而もそういう状態によつて、できるならば供給が割安の料金で行われるということが、先ずこれが根本原則なのであります。そこに立脚してすべての電気行政が行われて行かなければならないし、これに立脚して初めて電気による産業経済が発達して来るものと、こう信じ、且つ民生安定が得られるものだと、こう自覚しておるものであります。この点に触れて真劍に、政府並びに関係事業者において真劍に我々の一挙手一投足まで見守つて自分の作業をやつて呉れたかどうか、これは全面的に否定はいたしませんが、やや欠くるところがあつたと存ずるものであります。このような消費者側の希望は、全く遺憾ながら発送電会社と配電会社という二つの会社が存在しておつたため満たされなかつたのであります。言うまでもなくその根本的な理由の一つは、需用家に対するところの供給の責任が、いつでも我々が何か失態があつたときにこれはお前の方の責任かと、こう尋ねましたときに、官庁に聞けば発送電会社がしようがないのだ、発送電会社に文句を付ければ配電会社のやり方が惡い、配電の仕方が惡い、こういうようなわけで全くとりどころのないところの弁解めいたことだけしか言わん。然らば金を拂つて国家の再建を図つておるところの我々は一体誰にすがつてその責任を追及していいのか、その拠りどころがない。苦しやるとしたならば、一つ一つ具体的な問題を申上げますからして、ここでは時間がありませんから私共の会の本部へどうぞおいでになつて頂きたいと思います。そのときに一つ一つ説明をし、一一私の方から追及したいと思つております。さようなわけで、要するに責任の存在がどこにあるかと言いますと、不明確な状態にあつた点が企業意欲を非常に低下させ、又如何なる状況におきましても親身にこれを解決して従業員を督励することもできないような状態にある。たまたまその間に経済状態の状況からいわゆる労資の対立がここに行なわれて来る、これは当然であります、労働者側におきますれば、完全なるところの賃金を要求するのは当然である。又自己がたとえ価値なしと雖も、或る程度生活のできるだけの賃金を拂つて呉れという要求をするのは、これは当然でありますが、そういう賃金すら拂えないような状態に経営者も従業者も置かれておる。こういう点が先程のいわゆる責任問題の明らかでないというところに、又大きな企業の蔭に置れて、いわゆるロスを相当生じておるということが分るのであります。そういう点において停電とか、或いは送電ロスというような場合に、要するにいつでもその責任になすり合いをしておるというような状態である。この二つをどうしても併存させて置くということはよくない。その上に官庁があつて、官僚統制をやるということは誠に以てよくない。そういうふうに私は考えて来たものであります。それでこの二つの部面を一つに合せるとして、先ず全国的に、じや一元化したらどうか、こういうことになるのでありますが、これは又非常なる問題がありまして、私疑最初十分考えたのでありますけれども、客観情勢によりまして理想とするところは、発送電の一流会社をいわゆる国営でもよろしい、或いは民有国営でもよろしい、国有民営でもよろしい、とにかく我々の津々浦々まで電気が思うように来るところまでやつて貰いたいのが理想であります。一日も早く国家経済を建直すという面に電気を利用させるということが理想であります。国民ひとしく考えておる点はここにあると思いますが、先程から申しました通りこれは誰がそれをリーダーして行くか、官僚がやるか、国民がやるか、とにかく民主的にやるか、フアツシヨ的にやるか、その点は帰するところ、最も大きな企業体を動かすということになりますと、結局そのリーダーするところのフアッシズムに還つて来るのではないか、この点で非常にロスするところが多くなつて、又末端にまでその良さが浸潤しない、こういう点が非常に危惧されるのでありまして、先ず客観情勢からそういうふうな過去の経験から行きましても、まだまだそういう状態に理想論に持つて行くことは危險である、そういう点から考え直さなければならない。
 次に地方ごとにそれぞれの会社を作りまして、発送電一社の一貫、一元したところの会社を作つて行く、今度の分割案に相当するものでありますが、こういう線で行つたならば、ではどういう利益があるか、私共ただこれには相当の條件があるのであります。これはここで申しますと非常に時間がかかるので、又参考意見を吐かして頂く機会があるかと思いますので、そういう機会に讓りまして、とにかく各地方に対するところの供給に、全面的な責任をその会社に持たせる、いわゆる責任をはつきりさせる、この線に十分今後のいわゆる法案をどこまでも活かして行き、それに対してはどうしてもいわゆる公益事業法案によるところの委員会、この委員会がものをいうのであります。私共この両法案に賛成するにおきましては、一応賛成するについては十分この運営をするところの委員会にものを言わせる、この仕事をさせるような下部組織を作らせるということ、今度の法案によりますと五人でやつて行く。事務局を置く。地方事務局を置く。こういうことになつておりますが、これは従来やつておるところの官僚の肩替りである。そういう形骸に落ち込んではいかん。その点を代議士諸君は十分お考えになりまして、どうかこの五人委員会の、いわゆる五人で構成するところの委員会、而もそれを任命するところの総理大臣の任命権、この総理大臣が気の利いたやつを指定して行く、この線において非常に政治性を持つて来る、電気事業者が入つてはいけないとか、或いは株を持つておる者が入つてはいけないとか、或いは官僚がいけないとか、こういう線が決められておりますので、結局大臣がそれに触れないところのものを一応入れることになるのであります。関係の方にも入れさしたがよいのであります。五人委員会に入ろうと思えば、今の職をやめても入つて行くだろうと思います。そういうところに逃げ道がある。その逃げ道を利用して従来の官僚統制をやれるような委員会にしたのでは相成らん。これが若しそういうような弊害に陷らないとするならば、この両法案は一応賛成することができる、
 この場合におきましてむずかしいことをここで申しましてもよいのですが、皆様に申しましても議論は畫きないのでありまして、又質問を受けるだけでありまして、それは無駄ですから、これで私の両法案に対する一応の賛成意見を申述べることを終りといたします。
#89
○委員長(飯田精太郎君) 次に総同盟調査部長の清水君にお願いいたします。
#90
○公述人(清水愼三君) 労働組合総同盟の清水であります。総同盟を代表しまして電力再編成問題につきまして、簡單に意見を申述べさして頂きたいと思います。
 公述に入るに先立ちまして一言申上げたいことは、本日の公聽会に総計十五名を引つ張り出されておりまするが、その中に労働代表としては僅かに一名であります。これは国民諸階層を必ずしも公平に代表されたものとは思えないのであります。先ずその点につきまして不満を申述べて置きたいと思います。
 総同盟といたしましては、この問題につきまして、先月正式の意見書を作成いたしまして、衆参両議院の関係各位の方に配付いたしました。従いまして後でよろしうございますから、一応目を通して頂きまして我々の意図するところをお酌み取り頂きたいと存じます。我々総同盟は一昨年のいわゆる民主化委員会に代表を送りまして、いわゆる大山私案の作成に協力いたして参りました。当時基本的には電気産業労働組合の主張に同調しつつ、当時の経済情勢を具さに検討した上、その暫定措置としては、この外はなかろうと思いまして大山私案に賛成したのであります。その後この問題に対しまする情勢が段々分断気構えの方向に向つて以来、中央、地方の組織を挙げまして、分断反対共同闘争を続けて参りました。従つて、その経過から見ても明らかなことく、本案に対しましては絶対に反対であります。大山私案当時と今日の経済情勢を今一応振り返つて見ましても、成る程通貨金融の面等につきましては、当時はインフレーシヨンの昂進期であり、今日はデフレーシヨンの段階に入つておりまして、非常に違つておるようでありますが、その基底をなす産業の実態、産業の基盤、ここに思いをいたしまするならば、その当時と今日とは若干も違うものを感じないのであります。それにつきましても、敗戰後の日本経済の経済基盤が調整されていない。ここに根本的問題があり、日本経済自立化、自立経済の規模、その下における生活水準、それらを考えて見まするときに、そこに経済基盤が調整されていないということに、根本の問題があると思うのであります。それを具体的に表現しておる最も適切なるものは、電力問題であろうと思うのであります。私共は必ずしも現在の日本の各産業が、過去の電力條件を基礎にして立てられておる。それだから過去に還すがよいということを主張するものではございません。併しながら敗戰後の混乱を経過いたしまして、その後敗戰後の日本経済の再建は如何なる電力條件の基盤の上に再建さるべきか、その具体的の内容はまだでき上つておりません。それにはやはり水力電気が今一層更に拡充され、そして又火力発電のコストが更に合理化される、そういう條件ができて初めて今後の日本経済再建の基盤としての電力條件が明らかになつて来ると思うのであります。その過程におきまして機構いじりをいたしますることは大変危險が伴うと思います。敢てその危險を冒してやるのなら、分断の方向に非ずして一元化の方向であろうと思います。私的企業を沢山作るものでなくて、社会化の方向であろうと思うのであります。それ故に総体的に申しまして大山私案当時の我々の態度、結論を今日変更すべき理由はないと思うのであります。
 本国会の提案されましたこの二つの法案、この中にはいろいろ書いてございまするし、又実際突然ここに出て参りましたので、詳細に検討しておらないので大きなことは言えないと思いまするが、気の付いた特徴を挙げて見ましても、何と言つても第一の特徴は、いわゆる松永案の考え方に基いて九分断しておる、その九分断の結果、これを野放しにして置くだけの度胸がなくて、と申しまするか、ともかく彌縫策を幾つか講じておるように見受けます。事業法案の第四十四條、第五十五條等におきまして料金調整、地帶間の融通の点について何らかの彌縫をやつておるように見受けます。次の特徴といたしまして電源開発、目下非常に大切であると思われる電源開発に対しましては、法案自体の中には積極的な意図はないし、内容は織り込まれていない、ただ第七章でありましたか、何條か、その地ならし的なことにつきまして規定されてあるに過ぎない。次の特徴としましては、やはりレギユラトリー・ボデイ、こういうものを作つて一般産業行政の枠から片足を外に踏み出したような委員会を作つておる、こういうところにこの二つの法案の大きな特徴があるように見受けました。
 そこで現在当面しておりまする電力問題の問題点を挙げて見て、この法案で如何に対処し得るか、この法案で対処するならばプラスであるか、マイナスであるか、その批判がなされなければならないと思うのであります。結論を言いますならば、大きなマイナスであると思うのであります。その理由といたしましては、すでに多くの方々から公述されました。特に朝日新聞の土屋さんから述べられましたことは料金の問題、地帶間融通の問題につきましては土屋さんの御意見に全面的に賛成であります。従つて同じことを繰返すことは避けたいと思います。ただ若干附加して申上げますると、十二月の料金改訂のとき、いわゆる分断を前提とする料金改訂と言われました。その第一は、近畿以西におきましては非常に大きなものであつたということは、当時の新聞紙を引つ張り出すまでもなく歴然たることであります。この際に近畿以西の各経営者諸氏が、その打撃を單に労働者に押し付けるというだけで突破し得ることであつたらそうやつたでありましようが、それだけでは到底凌ぎ切れなかつたと見えまして、我我に集まつて来る組織の各種情報を集めて見ますると、概ね中国、四国等におきましては、この問題に関する限り労資相協力して分断反対の動きを示しておるように感ぜられます。このことは、如何に分断を前提とした料金の改惡が日本の基礎産業の基盤に対しまして大きな危機を與えたかということを立証するものであろうと思います。それを本案に従いまして分断してしまいまするならば、四十四條にあるくらいの料金調整をやつて見ましても、今年のこの冬より更にひどい地域差を出すであろうということは容易に想像されます。今年は異常豊水と言われたくらいでありまするが、来年も又異常豊水が続くとは誰も予想し得ないところでありまして、通常の渇水状態が起りますならば、来るべき渇水期の事情は更に惡化するものであろうと想像されるのでありまして、この点西日本の産業に全く壊滅的な影響を與えるであろうと思うのであります。地域差につきまして、ある方がいいとかない方がいいとかいろいろ議論が続きましたが、地域差自体が絶対に惡いと私は主張するものではありません。それは電源地帶は或る程度安いというのは、これは当然であろうと思いまするし、送電ロスとか、送電のコストなどを考えまするならば、或る程度の差が付くことは納得されると思うのであります。併しながら今の地域差ということは、水力電気の絶対量が足りないで、そして水力電気のコストと火力電気のコストの差が現在日本に現存しておりまする産業構造の実態と対比して見まするときは、そのまま形では利到受け切れないという状態がそのままになつておるという結果に外ならないと思うのであります。そこで飽くまでも問題の重点は、足りない水力電気を沢山作つて、そうして他方において火力電気の能率を増進して、そこに最初申上げました今後日本経済が立ち行く基礎としての電力の條件を作り上げて行く、その過程が先ず第一に必要なことであろうと思うのであります。
 地帶間の融通につきましては、これもすでに多くの人が指摘された通りであります。ただ一言私の実感として感じたことは、大山委員会の当時、先程までそこにおられました石原委員が当通福島県知事として出ておられましたが、御一緒に日発の給電指令所に参りました。そうしてあすこで各地に対する配電の状況を刻々と捉えながら臨機応変の措置を講じておる姿を見まして、これはこの五十五條のような、会社間の相互融通契約、こういうようなことでは到底対処し切れない問題であるということをあの場所で、ただそういう実感を持つたことをつくづく思い出すのであります。先程土屋公述人からも言われましたように、こういう法案に出ております程度の彌縫策では、地帶間融通は絶対に解決できないと思うのであります。
 次に電源開発につきまして、この法案通りで行きまするならば、電源開発を非常に遅滯させる、非常に支障を来す、こういうことがすでに多くの人から述べられました。私も同感であります。事実九分断されましたときに、非水力地帶の電力会社は、経済力の比較的弱い会社になると思います。それらの地帶におきまする現在の未開発水力は、私の聞いたところでは、非常に工費の嵩むものが多い、従つてそういう会社では電源開発はやり切れないであろう、同時に又水力電手地帶における会社は、現在のままで十分儲かるのでありまするから、敢て今後のコストの嵩む電源開発には乘り気ではなかろう、やるにしましても辻棲を合せる、調子を合せる程度であつて、国民大衆が要求する、そうして日本の経済を早く自立化させるために必要な程の電源開発のスピードは期待できないであろうと思うのであります。
 次に電力行政機構のことを先程申上げましたが、レギユラトリー・ボディを作りまして、何らか内閣の中にはあるようでありまするが、相当独立性の強い性格が付與されるようであります。これにつきましても、先程も批判がございましたが、そういう批判が当然あろうと思うのであります。現在占領下にありまして、GHQがあるときはこの機関は恐らくGHQの強いセクシヨんの影響を受けて、そういう意味で、こういう変つた性格でも強力であるかも分りません。併しその強力は我々の歓迎する強力さではないと思うのであります。半面若し講和條約後、そういうような先のことを言うのもどうかと思いまするが、そういう場合には、こういう機関を作りましてもこれは捨子同樣のものになるだろうと思います。そういうところに非常に大切なる電力行政をお預けするということには、どうも納得いたしかねるものがあります。尚又今後の日本経済が電力ベースの上に作り上げられなければならない、能率的に作り上げられなければならない、それは衆論の一致するところでありますが、それでありながら一般産業行政と電力行政を機構的に切り離す、こういう考え方につきましても賛成できないものを感ずるのであります。
 最後にこの法案と直接深い関係があるかどうかはちよつと研究不足で分りかねまするが、自家発問題につきまして、若干我々の組織の内部においていろいろ重要な問題が出ておりますので、一言触れさせて頂きたいと思います。自由経済下の流れと共に、特定の産業におきましては、この電力問題が当該企業の死活的な企業條件になつておる例が多緑あるのでありまするが、たまたま水力の自家発を持つておる工場と、持たない工場との競争條件におきましては電力を原料としておりまするような企業では、これは致命的なものになつております。その打撃をカバースるために、具体的な例を一つ申上げますると、我々の組織の方で四国の日新化学のアルミ工場におきまして、工場閉鎖の声に常に脅かされながら非常に努力を拂つてやつて参りました。そうして今水力の自家発を持つ日本軽金属と或る程度能率の上において相対抗し得るところまで努力を重ねて参りました。このことは、通産省の鉱山局の方でもお認めになつておる事実であります。併しながらこれが又分断の声が起りまするならば、又これまでの努力が水泡に帰して、又々工場閉鎖、首切りに脅かされなければならない、そういう事態に直面しておるのであります。その工場は御專門の方は無論御承知のことでありまするが、日発に設備を供したところでありますので、返還の要求が起つております。併しながら返還ということも、昔を今に返すという行き方は、私も賛成いたしませんが、その組織の実体を見まするならば、少くとも今幾ばくかのアロケーシヨンを取つておるのでありまするから、その限度におきましては、自家発につきまして或る程度の措置は取るべきではないか、許すべきではないかという要望を持つております。電力審議会は、レギユラトリー・ボディにこういう問題は皆移すというようなことを新聞紙上で見ましたが、この法案によつて新会社ができることになつておるのではありまするが、そういう経過的な問題につきましては、どう取扱うのかよく分りませんが、本問題と関連して、本問題の周辺の問題といたしまして、一言申述べたいと思つたわけであります。
 最後に結論といたしましては、最初に申しましたように、現段階におきましては、やはり大山委員会当時の結論をそのまま活かすのが現状においては妥当であろうと思うのであります。尚我々総同盟の懐いておりまする企業形態に対する構想、この点につきましては、簡單に箇條書的に申上げますると、現在の発送配電設備につきましては、現在着工中のものと合せまして、電気産業労働組合が主張しておられまするように、一元化した会社形態を正しいと考えております。更に又将来の大規模な電源開発につきましては、開発地点ごとにいわゆるT・V・A方式の開発のための公共企業体を作つて取扱つて行くことが望ましいと思つております。そのような公共企業体の一部は、例えば琵琶湖のごときは近畿一帶の渇水期の水力電源の補充に使われるだろうと思います。又それが当然の成行きだと思います。こういうところにつきましては、電産の言う一元公社と、その間にプールして配電するのが妥当であろうと思います。他方、将来予想されまする大規模な電源開発の一部につきましては、先程内海さんが言われましたようなこともありましようし、かたがた又現在日本にはまだ使われていないような最高度の技術水準を行く化学産業や、或いは合成繊維等、いわゆる一貫経営のものも十分予想されるのであります。これらにつきましては、一種の自家発的な機能を持つものもああつていいのではないかと思つておるわけであります。
 ただ総同盟の本問題に対しまする意見を簡單にとりまとめて申上げた次第であります。
#91
○委員長(飯田精太郎君) 次に陶磁器業の加藤君。
#92
○公述人(加藤榮一君) 長時間に亘りまして皆樣誠に御迷惑と述じまするが、最後に私から一言申述べさして頂きます。陶磁器業の加藤という御指名でございますが、それに間違いありませんが、私愛知県議会の電力委員会の委員長をいたしておりまする関係上、そういう立場の上から主として申上げさして頂くことを御了承頂きたいと存じます中央において電力の再編成問題を取上げられまして、やかましくなりますと同時に、地方議会も非常にこれに関心を持ちまして、愛知県議会といたしましては、二十三年の三月に特別委員会を結成いたしまして、議長、副議長初め、十五人の委員がこれに相当の研究やら関心やら陳情やらを今日までいたして来たわけでございます。中部配電管下にありますいわゆる中部地方、長野、靜岡、三重、岐阜、愛知のこの五県は大体同じ意見に一致いたしまして、ときどき委員長会議を各府県交替で催しております。私の申上げますることは、愛知県議会の意見であるばかりでなく、大体その五県下の意見のまとまりであつて、大同小異のものであると御承知頂いて差支ないと存じます。
 皆さんからたびたびお話がありまして、重複しますることは成るべく避けまするが、私の方としましては集排法の存する限り、日発の解体とか電源の分断とかいうことは必至の成行きであるというこの前提の下に、そうであるならば九分断とか十分断というような一時称えられましたようなことでは大変である。少くも九つの配電会社は、十年の経験と一応の体系の整つたものであるから、止けを得んとすればこの線章行くことを希望するということを決議して陳情して参つたわけでございます。でありまするから、九分割については賛成であります。九分割と申しまするか、再編成法案については大体において賛成と申上げて差支ございません。
 それから関東代表のおつしやつたことく、午前中に青木均一氏から申されたような理由で、多少とも民主化される傾向の見える委員会の制度にも賛成である。
 併しながら内容に至りまして、法案の中の三号表は、富山県の御意見では、一応御破算にしで委員会の方へ分けて欲しい、献上して頂きたいというふうに伺いましたが、私共の考えといたしましては、電気の公共性の強いこと、特に中部地方に電源地帶が偏在しておること、それをその地域のものが独占するというようなことがよいか惡いかということについては、これは凡そ分ることであります。或る程度の需用と睨み合した公正な分断計画は、一応政府でお立てになつて、さような大事なことまで委員会の勢力になさるということは反対であります。ところがそれを申しまするのは、再編成もまだ成立しない先に、僅かに電力料金がいじられただけで、発電地方であるべき中部地区の電力料金が、同樣の状態にある北陸地区、大きな需用地であられる関東地区よりも高くなつて来た、こういう矛盾はどうであるか。先程からも問題になつておりまする天然資源との関係、例えば九州、北海道のような石炭の主要産地の石炭代が、東京や大阪のような遠距離まで運んだ消費地の石炭代よりも高いとしたならば、その地元の人たちはこれを承服するだろうか。又社会の常識がこれを認めるであろうか、こういうことであります。九州、北海道が天惠の石炭に活かされて行くがごとく、中部日本は豊富低廉な電力資源に活きんとし、活かされるのは、これは当然であろうと考えるのでございます。
 第四番目に、結局これは各地区の産業はおのおの天惠を主体とするところの特徴に活かされなければならん。その方向に努力しなければならんということはお説の通りであります。特に中部地方には、世界有数の窯業原料という石炭にも匹敵するような地下資源を埋蔵いたしております。これが瀬戸、名古屋、東濃、四日市というような陶磁器産業が生まれて、千年以上の歴史を持つて日本を活かし、世界に貢献して来た事実であるのであります。この陶滋器の生産の熱源は、昔から大正の初めまでは大体薪炭に依存して来ました。その後は石炭に進展し、今やその熱源は電熱に求めるという域に達したのでございます。この陶滋器の輸出こそは、毛織物であるとか、綿糸布であるとか、鉄製品のような、その原料を外国に待たなければならん、そうしてその得るところは僅かに手間賃の一部であるというようなものとは全然違いまして、全く中部日本の軒下から出るところの土と、軒下から出るところの電力によりまして、僅かに人手間を加えるということで、日本の土が外国の金となつて入るという特徴を持つておるという、これは電力に非常な関心と要求を求めておる次第であります。これはほんの一例に過ぎませんが、各地各樣の天惠の特産に活かされて行くという産業政策を行わずして、政府の言われるところの産業の合理化であるとか、能率化ということは凡そできんことであると考えます。事を木曾川に例を取つて申しますれば、三浦ダム以下一連の最も近代的、進歩的なこの発電設備は、日本有数の電源であるばかりでなく、いわゆる濃美平野、即ち愛知、岐阜、三重三県下の農業用水であり、百万名古屋市民の飲料用水源であり、工業用水であり、すべての文化、経済の根源をなしておるのでございます。かくのごとき大恩惠を受けるのは、この三県下であると同時に、大水害、大旱魃というような大惨害を三千年来受け続けて来たのもこの地方民であるのであります。かくのごとき切つても切れん木曾川の水の力の大部分を成す発電線は、盡くこれを関西に分割されようとしておるのであります。この大惨害の大部分もあちら樣に持つて頂くといいのでありますが、どうもこれはそういうわけに行かんのでありまするが、先程も申しましたような公共性、或いは電源の公平な分配という面から考えまして、私共中部地方の者は、これは涙を呑まんまでも、残念ながら当然のこととして認めておるのでございます。然るに当初僅かに一水系一連にこの中部地区に割当てられたところの木曾川の一支流でありますところの木曾川の水力が、一方は完全に中部地区に配属されたというように承知してほつとしておつたのでありますが、途中から、これが上流小坂、竹原川、瀬戸三発電所が又もや関西の方に行つてしまうというようなことに聞いておりまするが、こういうことになりますると、生産県であるところの中部日本が、逆に大消費地の関西から買電をしなければならんという全くの不自然なことになるというので、地方民たる中部地区の者がどうしても承服でない、何とかしてこの一水系一会社の割当だけは存続して欲しいという点で、再三こちら樣へも、政府へもお願いを申して来た次第であります。これこそ北海道や九州が、東京や大阪より高い電気を買わなければならんという不自然な状態と一致するものでございまして、どうかこの公聽会において十分地方のために御考慮が頂きたい。即ち三号の表は御破算にするものでなく、再検討をして最も適正なものにして頂いて、特に十万キロ以内の程度の、それこそ政府のおつしやつている契約で左右できる程度のものは、そのことで公共事業の委員会、或いは業者間の融通のできるような手法にして頂きたいということを特にお願い申上げる次第であります。
 いろいろ申上げたいことがありまするが、どうかそんなふうにいたしまして分割必至ということであるならば、止むを得んから、後に混乱を残すようなことの法律案を通過させて、五人委員会に、先程からも申しましたまだ機構も整わん、新出発のそういうものに責任をおつかぶせるというようなことのないようにして頂きたいということを申上げて、私の意見を終らして頂きます。
#93
○委員長(飯田精太郎君) 今野さんはお見えがありませんから、以上五人の方の公述に対して御質疑がありましたら御発言願います。
#94
○門屋盛一君 最後の加藤さんの公述について、ちよつと伺つて置きたいのですが、今総括的に賛成ということを言われましたが、それから今の別表第三号の問題ですが、前段の公述を伺つておると、富山県知事は別表第三号において主張されたことは、その地区内にある発電設備は、その地区内に残すという主張である、併し自分のところは相当のものが中部地区から関西に行くけれども、これは止むを得ない、そういう大きいものを公益事業委員会ではやれないからというような主張であつたのであります。段々伺つておると最後にはやはりそれはただ多い少いの差はあるけれども、やはり必要なだけの電力は地区内で確保しなければならん、その建前から三号表の修正ということによりますが、それはどつちが本当なんですか。初めに伺つておると、富山県ではまあ汚ないことを言つておるが、私の方は涙を呑まんまでもこれは我慢する、こうおつしやつて、そこまで聞いて置くと非常に綺麗な話なんですが、すると後の方になりますと、それじや困るからこの国会の責任において公共事業委員会に持込む前に別表を改正して電気事業の混乱を防げ、こういうのですが、これは一応こういう大きい問題を考えた場合に、何かそこに一貫した考えに戻すわけに行かないのですか。
#95
○公述人(加藤榮一君) 私の申しまするのは、全然一定の料金ということはいけない、多少その差があるのは当然だということと、今のたとえ中部地区の電源地帶の電源であろうと、北陸地区のものであろうと、需用と睨み合せて適正の割当は止むを得ない、止むを得ないのだが、その発電県が消費県から買わなければならないような分け方をするということは承服ができない。殊に新水系を二つの需用等の異なる地区へ分けた場合どうなるかということは、私共素人でも凡そ想像が付くことでありまするために、是非木曾川の支流である飛彈川の水系だけは最初の予定通り中部に残して欲しい。そうしてそこで関西の方が何がしか足らんようになる程度のことは売買契約でやれることではないか。而もあちらさんには中部地区で焚く石炭よりも、運賃等においても安い関係の火力発電の立派な設備を持つているように承知いたしておりますので、これらこそ天惠の多いと少いの関係であつて当然だ、こういう主張であります。
#96
○門屋盛一君 そのあとのことだけならあとのことだけということにして貰わんと、前の話を聞いていると、この別表のような大きなものを、政府が練りに練つて拵えたものを、富山の言うようにこれは公共事業委員会の融通に任せたのではいけない、これは政府が練りに練つたものであるから、我々のところで涙を呑んでやつておるのだというところが本当なら、こういうような議論は出て来ない。今言うのが本当なら前のことは嘘である。どつちか本当のことだけにして貰わんと……。それは構いません。こつちで判断しますから……。(笑声)それは構わんけれども、何だか公述を聞いていると、あなたの本心はどこにあるか分らなくて、分断には賛成と言わねばならんが、併しどうも賛成ではないようだし、どうもはつきりしないですよ。
#97
○公述人(加藤榮一君) 両方本当であります。木曾川水系をやるということは、さつき説明した通し、そのために一支流の飛彈川ということと、両方本心で言つておりますから、決して嘘は申しておらんつもりであります。
#98
○門屋盛一君 大体我々も一つの常識を以て聞いておりますから、あなたがどういう意図で言われているかということはよく分るのでありますが、ただ政府の方でこれだけ一生懸命やつたものを公共事業委員会に任せるということはいけないとかいう議論と、それからあとの方になつては、その政府がやつたやつを修正しろ、こういうことになるので……。分りましたお気持は大体……
#99
○栗山良夫君 今日の公述人のいろいろな御意見は、これははつきりした二つのものの考え方の相違が明瞭に出ていると思いますので、いろいろなものを審議しますときに大いに参考になつたと思いますが、ただ一点だけ、私、九州の青木さんですかにちよつとお尋ねしたいのは、今日の論議の中に沢山出ておりましたが、いわゆるこういう工合にブロツク論が出て参りますと、それは九州ブロツクから更に掘り下つて、先程の京阪電鉄の方のように十九にしたらいいとか、二十にしたらいいということになります。更にもつと細かくなつて参りますが、そういう考え方が、現実に九州には出ているように聞いております。例えば九州の南の方は電力が豊富である。北の方は不足である。従つて不足の地帶は不足の地帶だけ、豊富の地帶は豊富の地帶だけでまとまつて二つの地帶にしたらししじやないかという話が出たように聞いておりますが、こういうことになりますと、九州自体としては更に不幸な状態に陷るのではないかと私共考えております。従つとそういうようなことも料金の地域差、或いは電源開発の問題と結び付けましても、非常に九州自体にとつては軽視できない重要な問題であろうと思いますが、九州の需用者連絡協議会のあなたとしては、こういう問題をどういう工合にお考えになつておるか、その点をちよつと伺つて見たいと思います。
#100
○公述人(青木勇君) 今御指摘がありました九州にこの九分割の問題が出て来ましてから、南北二分割論があるということは事実であります。この南北二分割論は、九州を南北二つに分けまして、発電圏と消費圏とはつきり分けてやろう。そうしてその中心を大体宮崎に置きまして、まあいわば宮崎の高天原から光を照らしてやろう。こういう思想なのであります。この問題は、先般四月四日に、全九州の需用者が約三百名ぐらい集まりまして、大会を開きました際に、宮崎県の電力部長の人から緊急動議で提案がありまして、これを大会で討議しろ、こういう提案があつたのであります。併しながらその大会におきましては、これは問題にならないというので、これを取上げられませんでした。その後南北の各県が県の議会を中心にいたしまして会合をいたしまして、討論をいたしました結果、これを否決、否決というよりも棚上げ的な否決をされたのであります。現在のところ九州の全般的な問題にはなつておりません。併しながらこの傾向は確かに各地にあるのであります。各県でブロック説をこの頃考え出しました。或いは各離島でブロック説を唱え出しましたり、非常に先程どなたかのお話にもございましたけれども、この独立採算制の九分割という考え方が流布されましてから、どうも皆さんが利己的になつて来た。折角相互扶助の気持になつて電力の問題を考えて来たものが、非常に利己的になつて来た。利己的になることが近代的だというような考え方が相当流布されて来たということを、九州の内部の人間としてしても、甚だ残念に思つておる次第であります。非常に抽象的でありますが……
#101
○佐々木良作君 ちよつと一つだけ清水さんの念のために聞いて置きたいのですが、事業法の八十二條に、公益事業に従事する者、つまり従事者の罰則があるんですが、これは労働組合の内部では相当ウエイトを以て論じられたことがありますか。或いは注意されておりますか。これは前の事業法九條にはなかつたのです。併しこの問題が出て来れば、当然に労調法の問題などと関連して来ると思うのですが、まだ余りクローズアップされておりませんか。
#102
○公述人(清水愼三君) まだ気が付きません、それにつきましては。御指摘の点については研究はまだいたしておりません。
#103
○委員長(飯田精太郎君) 外にございませんか。
 それでは公述人の方々に一言御礼を申上げます。本日は長時間に亘りまして熱心に御公述下さいまして誠に有難うございました。いろいろ各方面の御意見を伺うことができまして、今後の両法案の審議に貴重な参考となることと思います。厚く御礼を申上げます。
 本日はこの程度で散会して御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○委員長(飯田精太郎君) それではこれで散会いたします。
   午後六時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     飯田精太郎君
   理事
           石坂 豊一君
           門屋 盛一君
           水橋 藤作君
           佐々木良作君
           結城 安次君
   委員
           栗山 良夫君
           吉田 法晴君
           石原幹市郎君
           廣瀬與兵衞君
           境野 清雄君
          深川榮左エ門君
           赤木 正雄君
           田村 文吉君
           村上 義一君
  政府委員
   資源庁長官   始関 伊平君
   通商産業事務官
   (資源庁電力局
   長)      武内 征平君
  公述人
   全九州電力需要
  者大会実行委員  青木  勇君
   品川白煉瓦株式
   会社社長    青木 均一君
   日本興業銀行証
   券部長     間島 達夫君
   朝日新聞論説委
   員       土屋  清君
   経営研究所常務
   理事      高宮  晋君
   富山県知事   高辻 武邦君
   北海道電力問題
  連絡協議会会長  齋藤 藤吉君
   京阪神急行電鉄
   株式会社社長  太田垣士郎君
   日本産業協会産
   業部長     仲矢 虎夫君
   東京大学第二工
   学部長     瀬藤 象二君
   建設技術研究
   所長      内海 清温君
   関東電力協議会
   連合会会長   相澤  泉君
   総同盟調査部長 清水 愼三君
   陶磁器業    加藤 榮一君
ソース: 国立国会図書館
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