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1982/05/25 第98回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第098回国会 農林水産委員会 第16号
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1982/05/25 第98回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第098回国会 農林水産委員会 第16号

#1
第098回国会 農林水産委員会 第16号
昭和五十八年五月二十五日(水曜日)
   午前十時五十七分開議
 出席委員
   委員長 山崎平八郎君
   理事 加藤 紘一君 理事 亀井 善之君
   理事 北口  博君 理事 玉沢徳一郎君
   理事 小川 国彦君 理事 日野 市朗君
   理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君
      上草 義輝君    太田 誠一君
      川田 正則君    岸田 文武君
      北村 義和君    近藤 元次君
      志賀  節君    田名部匡省君
      高橋 辰夫君    保利 耕輔君
     三ツ林弥太郎君    田中 恒利君
      前川  旦君    松沢 俊昭君
      安井 吉典君    吉浦 忠治君
      神田  厚君    寺前  巖君
      藤田 スミ君    阿部 昭吾君
 出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      角道 謙一君
 委員外の出席者
        議     員 松沢 俊昭君
        農林水産委員会
        調査室長    小沼  勇君
    ─────────────
委員の異動
五月十九日
 辞任         補欠選任
  志賀  節君     河本 敏夫君
同日
 辞任         補欠選任
  河本 敏夫君     志賀  節君
同月二十三日
 辞任         補欠選任
  寺前  巖君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  東中 光雄君     寺前  巖君
    ─────────────
五月十九日
 農林年金制度の改悪反対に関する請願(野坂浩賢君紹介)(第四三八五号)
 同(藤田スミ君紹介)(第四三八六号)
 食管制度の拡充に関する請願外二件(福岡義登君紹介)(第四三八七号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 農産物の自給の促進及び備蓄の確保のための農業生産の振興に関する法律案(安井吉典君外八名提出、衆法第一二号)
 総合食糧管理法案(安井吉典君外八名提出、衆法第一三号)
 農民組合法案(安井吉典君外八名提出、衆法第一四号)
 請 願
   一 農畜産物輸入自由化反対に関する請願(串原義直君紹介)(第一一八号)
   二 同(清水勇君紹介)(第二二九号)
   三 農産物の輸入自由化・枠拡大阻止等に関する請願(逢沢英雄君紹介)(第二八五号)
   四 農畜産物の貿易自由化阻止に関する請願(川田正則君紹介)(第二八六号)
   五 食糧管理特別会計予算の充実確保等に関する請願(五十嵐広三君紹介)(第三五九号)
   六 農林年金制度の改悪反対に関する請願(小川国彦君紹介)(第三六〇号)
   七 食糧管理特別会計予算の充実等に関する請願(安井吉典君紹介)(第三六一号)
   八 同外一件(吉原米治君紹介)(第三六二号)
   九 同(五十嵐広三君紹介)(第四〇九号)
  一〇 農林水産関係の学校給食補助金削減反対に関する請願(小沢一郎君紹介)(第五七三号)
  一一 漁業権侵害等に対する罰則強化に関する請願(小沢一郎君紹介)(第五七四号)
  一二 農業改良普及事業の縮小反対等に関する請願(五十嵐広三君紹介)(第六三七号)
  一三 同(塚田庄平君紹介)(第六三八号)
  一四 同(塚田庄平君紹介)(第六八〇号)
  一五 農業の拡充、発展等に関する請願(岡田利春君紹介)(第六三九号)
  一六 日本農業の自主的発展等に関する請願(井上普方君紹介)(第六四〇号)
  一七 同(串原義直君紹介)(第六四一号)
  一八 同(関晴正君紹介)(第六四二号)
  一九 同(山口鶴男君紹介)(第六四三号)
  二〇 同(山花貞夫君紹介)(第六四四号)
  二一 同(渡辺三郎君紹介)(第六四五号)
  二二 同(川本敏美君紹介)(第六八一号)
  二三 同(関晴正君紹介)(第六八二号)
  二四 同(水田稔君紹介)(第六八三号)
  二五 農畜産物輸入自由化・枠拡大反対等に関する請願(松沢俊昭君紹介)(第六四六号)
  二六 蚕糸業の振興に関する請願(井出一太郎君紹介)(第七六〇号)
  二七 同(小川平二君紹介)(第七六一号)
  二八 同(小沢貞孝君紹介)(第七六二号)
  二九 同(唐沢俊二郎君紹介)(第七六三号)
  三〇 同(串原義直君紹介)(第七六四号)
  三一 同(倉石忠雄君紹介)(第七六五号)
  三二 同(小坂善太郎君紹介)(第七六六号)
  三三 同(清水勇君紹介)(第七六七号)
  三四 同(下平正一君紹介)(第七六八号)
  三五 同(中村茂君紹介)(第七六九号)
  三六 同(羽田孜君紹介)(第七七〇号)
  三七 同(宮下創平君紹介)(第七七一号)
  三八 牛の生産事故に対する共済制度化に関する請願(井出一太郎君紹介)(第七七二号)
  三九 同(小川平二君紹介)(第七七三号)
  四〇 同(小沢貞孝君紹介)(第七七四号)
  四一 同(唐沢俊二郎君紹介)(第七七五号)
  四二 同(串原義直君紹介)(第七七六号)
  四三 同(倉石忠雄君紹介)(第七七七号)
  四四 同(小坂善太郎君紹介)(第七七八号)
  四五 同(清水勇君紹介)(第七七九号)
  四六 同(下平正一君紹介)(第七八〇号)
  四七 同(中村茂君紹介)(第七八一号)
  四八 同(羽田孜君紹介)(第七八二号)
  四九 同(宮下創平君紹介)(第七八三号)
  五〇 森林造成維持費用応益分担制度の確立に関する請願(井出一太郎君紹介)(第七八四号)
  五一 同(小川平二君紹介)(第七八五号)
  五二 同(小沢貞孝君紹介)(第七八六号)
  五三 同(唐沢俊二郎君紹介)(第七八七号)
  五四 同(串原義直君紹介)(第七八八号)
  五五 同(倉石忠雄君紹介)(第七八九号)
  五六 同(小坂善太郎君紹介)(第七九〇号)
  五七 同(清水勇君紹介)(第七九一号)
  五八 同(下平正一君紹介)(第七九二号)
  五九 同(中村茂君紹介)(第七九三号)
  六〇 同(羽田孜君紹介)(第七九四号)
  六一 同(宮下創平君紹介)(第七九五号)
  六二 農家経営の安定、協同普及事業の拡充強化に関する請願(竹内猛君紹介)(第八四一号)
  六三 日本農業の自主的発展等に関する請願(稲富稜人君紹介)(第八四二号)
  六四 同(松沢俊昭君紹介)(第八四三号)
  六五 同(前川旦君紹介)(第八四四号)
  六六 農業改良普及事業の縮小反対等に関する請願(島田琢郎君紹介)(第八八三号)
  六七 同(池端清一君紹介)(第九一四号)
  六八 農業の拡充、発展等に関する請願(島田琢郎君紹介)(第八八四号)
  六九 日本農業の自主的発展等に関する請願(稲葉誠一君紹介)(第八八五号)
  七〇 同(神田厚君紹介)(第八八六号)
  七一 同(楯兼次郎君紹介)(第八八七号)
  七二 同外一件(栂野泰二君紹介)(第八八八号)
  七三 同(阿部昭吾君紹介)(第九一五号)
  七四 同(岩佐恵美君紹介)(第九一六号)
  七五 同(大島弘君紹介)(第九一七号)
  七六 同(瀬崎博義君紹介)(第九一八号)
  七七 同(藤田スミ君紹介)(第九一九号)
  七八 同(武藤山治君紹介)(第九二〇号)
  七九 同(矢山有作君紹介)(第九二一号)
  八〇 同(井上普方君外一名紹介)(第九五六号)
  八一 同(大島弘君紹介)(第九七二号)
  八二 同(嶋崎譲君紹介)(第九七三号)
  八三 同(新盛辰雄君紹介)(第九七四号)
  八四 同(武部文君紹介)(第九七五号)
  八五 同(佐藤敬治君紹介)(第九九六号)
  八六 同(竹内猛君紹介)(第九九七号)
  八七 蚕糸業の振興に関する請願(林百郎君紹介)(第八八九号)
  八八 牛の生産事故に対する共済制度化に関する請願(林百郎君紹介)(第八九〇号)
  八九 森林造成維持費用応益分担制度の確立に関する請願(林百郎君紹介)(第八九一号)
  九〇 地域農業の再建、食糧自給率向上等に関する請願(武部文君紹介)(第九一三号)
  九一 農家経営の安定、協同普及事業の拡充強化に関する請願(竹内猛君紹介)(第九二二号)
  九二 同(竹内猛君紹介)(第九九八号)
  九三 日本農業の自主的発展等に関する請願(日野市朗君紹介)(第一〇二二号)
  九四 同(井上泉君紹介)(第一〇五四号)
  九五 同(佐藤観樹君紹介)(第一〇九二号)
  九六 同外一件(鈴木強君紹介)(第一〇九三号)
  九七 農林年金制度の改悪反対に関する請願(田中恒利君紹介)(第一〇九一号)
  九八 農産物の輸入自由化及び枠拡大阻止に関する請願(北口博君紹介)(第一二四六号)
  九九 日本農業の自主的発展等に関する請願(田中恒利君紹介)(第一二四七号)
 一〇〇 農業の拡充、発展等に関する請願(安井吉典君紹介)(第一三七一号)
 一〇一 日本農業の自主的発展等に関する請願(河上民雄君紹介)(第一四四八号)
 一〇二 同(木間章君紹介)(第一四四九号)
 一〇三 同(森井忠良君紹介)(第一四七七号)
 一〇四 同(山田耻目君紹介)(第一五八〇号)
 一〇五 土地改良区の総代選挙制度の改正に関する請願(小沢一郎君紹介)(第一九九六号)
 一〇六 農産物の輸入自由化・枠拡大阻止等に関する請願(小沢一郎君紹介)(第一九九七号)
 一〇七 畜産経営の安定と拡充強化に関する請願(井出一太郎君紹介)(第二四四七号)
 一〇八 同(小川平二君紹介)(第二四四八号)
 一〇九 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二四四九号)
 一一〇 同(串原義直君紹介)(第二四五〇号)
 一一一 同(倉石忠雄君紹介)(第二四五一号)
 一一二 同(小坂善太郎君紹介)(第二四五二号)
 一一三 同(清水勇君紹介)(第二四五三号)
 一一四 同(羽田孜君紹介)(第二四五四号)
 一一五 同(宮下創平君紹介)(第二四五五号)
 一一六 蚕糸業振興に関する請願(井出一太郎君紹介)(第二四五六号)
 一一七 同(小川平二君紹介)(第二四五七号)
 一一八 同(唐沢俊二郎君紹介)(第二四五八号)
 一一九 同(串原義直君紹介)(第二四五九号)
 一二〇 同(倉石忠雄君紹介)(第二四六〇号)
 一二一 同(小坂善太郎君紹介)(第二四六一号)
 一二二 同(清水勇君紹介)(第二四六二号)
 一二三 同(羽田孜君紹介)(第二四六三号)
 一二四 同(宮下創平君紹介)(第二四六四号)
 一二五 食管制度の拡充に関する請願外一件(井岡大治君紹介)(第二五三八号)
 一二六 同(井上一成君紹介)(第二五三九号)
 一二七 同外一件(池端清一君紹介)(第二五四〇号)
 一二八 同外一件(串原義直君紹介)(第二五四一号)
 一二九 同(伊藤茂君紹介)(第二六〇九号)
 一三〇 同(大島弘君紹介)(第二六一〇号)
 一三一 同(沢田広君紹介)(第二六一一号)
 一三二 同外二件(伊賀定盛君紹介)(第二六三〇号)
 一三三 同(伊藤茂君紹介)(第二六三一号)
 一三四 同(佐藤観樹君紹介)(第二六三二号)
 一三五 同外一件(山田耻目君紹介)(第二六五一号)
 一三六 畜産経営の安定と拡充強化に関する請願(小沢貞孝君紹介)(第二七四七号)
 一三七 同(中村茂君紹介)(第二七四八号)
 一三八 蚕糸業振興に関する請願(小沢貞孝君紹介)(第二七四九号)
 一三九 同(中村茂君紹介)(第二七五〇号)
 一四〇 食管制度の拡充に関する請願外一件(上原康助君紹介)(第二七五一号)
 一四一 同外二件(小川省吾君紹介)(第二七五二号)
 一四二 同(城地豊司君紹介)(第二七九五号)
 一四三 畜産経営の安定と拡充強化に関する請願(林百郎君紹介)(第二八九九号)
 一四四 蚕糸業振興に関する請願(林百郎君紹介)(第二九〇〇号)
 一四五 食管制度の拡充に関する請願(小野信一君紹介)(第二九〇一号)
 一四六 同(佐藤敬治君紹介)(第二九〇二号)
 一四七 同(阿部助哉君紹介)(第二九四六号)
 一四八 同(五十嵐広三君紹介)(第二九四七号)
 一四九 同(上原康助君紹介)(第二九四八号)
 一五〇 同(城地豊司君紹介)(第二九四九号)
 一五一 同外一件(阿部未喜男君紹介)(第三〇一一号)
 一五二 同(五十嵐広三君紹介)(第三〇一二号)
 一五三 同(佐藤誼君紹介)(第三〇一三号)
 一五四 同(城地豊司君紹介)(第三〇一四号)
 一五五 同(阿部未喜男君紹介)(第三一二八号)
 一五六 同(高田富之君紹介)(第三一二九号)
 一五七 同(武部文君紹介)(第三一三〇号)
 一五八 同(戸田菊雄君紹介)(第三一三一号)
 一五九 畜産経営の安定と拡充強化に関する請願(下平正一君紹介)(第三一三二号)
 一六〇 蚕糸業振興に関する請願(下平正一君紹介)(第三一三三号)
 一六一 食管制度の拡充に関する請願(上田哲君紹介)(第三一五五号)
 一六二 同(岡田利春君紹介)(第三二三五号)
 一六三 同(井上普方君外一名紹介)(第三二三六号)
 一六四 同(阿部未喜男君紹介)(第三四四七号)
 一六五 同(伊藤茂君紹介)(第三四四八号)
 一六六 同(岩垂寿喜男君紹介)(第三四四九号)
 一六七 同(上田哲君紹介)(第三四五〇号)
 一六八 同(串原義直君紹介)(第三四五一号)
 一六九 同(嶋崎譲君紹介)(第三四五二号)
 一七〇 同(伊藤茂君紹介)(第三五一八号)
 一七一 同外七件(新村勝雄君紹介)(第三五一九号)
 一七二 同外一件(上田卓三君紹介)(第三七七六号)
 一七三 同外八件(清水勇君紹介)(第三七七七号)
 一七四 同(石橋政嗣君紹介)(第三九四四号)
 一七五 同外二件(日野市朗君紹介)(第四〇〇九号)
 一七六 同(大出俊君紹介)(第四〇九一号)
 一七七 標準価格米制度の廃止反対等に関する請願(藤田スミ君紹介)(第四二八四号)
 一七八 農林年金制度の改悪反対に関する請願(野坂浩賢君紹介)(第四三八五号)
 一七九 同(藤田スミ君紹介)(第四三八六号)
 一八〇 食管制度の拡充に関する請願外二件(福岡義登君紹介)(第四三八七号)
     ────◇─────
#2
○山崎委員長 これより会議を開きます。
 安井吉典君外八名提出、農産物の自給の促進及び備蓄の確保のための農業生産の振興に関する法律案、総合食糧管理法案及び農民組合法案の各案を一括議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。松沢俊昭君。
    ─────────────
 農産物の自給の促進及び備蓄の確保のための農業生産の振興に関する法律案
 総合食糧管理法案
 農民組合法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#3
○松沢議員 ただいま議題となりました日本社会党提案にかかわる農産物の自給の促進及び備蓄の確保のための農業生産の振興に関する法律案、総合食糧管理法案、農民組合法案につきまして、提出者を代表して提案の趣旨について御説明を申し上げます。
 御承知のとおり、わが国農業は米を初め、豚肉、牛乳、果樹など主要な農産物に対して生産調整が強化され、生産農民は厳しい生活の中で農業の将来に深刻な不安を抱いているのであります。しかも、これに追い打ちをかけるように、貿易摩擦解消を理由としてアメリカ、EC諸国から農産物の自由化、輸入枠の拡大が強く迫られているのであります。こうした中で政府の手により牛肉、オレンジなど輸入枠の拡大を進めようとし、実質的な自由化への一歩を踏み込もうとしているのであります。
 こうしたわが国の農業縮小、合理化の方向の中で、わが国の食糧自給率は、とりわけ食糧の基本ともいうべき穀物自給率は年々低下の一途をたどり、先進工業国でも例を見ない三〇%を割るような事態を迎えているのであります。八〇年代が食糧の不安定時代を迎えると言われているとき、生産農民が農業生産に希望を持ち、食糧自給率の向上を図り、国民に食糧を安定的に供給することがわが国の最重要政策課題であり、さきに本院で与野党一致可決された食糧自給力強化に関する決議を具体化する方向でもあります。
 このため、わが党はかねてより食糧自給促進と備蓄のための農業生産振興法案をもって食糧自給向上のための計画的農業生産と備蓄を図り、総合食管法案をもって米麦に飼料穀物を加え、生産者価格を保障し、適正な流通管理に当たり、農民組合法案をもって生産農民が希望を持って農業生産に従事できるよう団結権と団体交渉権を保障するなど総合的な法体系を整備して提案する次第であります。
 以下、三法案の要旨を御説明いたします。
 第一に、食糧自給促進と備蓄のための農業生産振興法案であります。
 その基本的な考え方は、目的でも明らかなように、国民の主要食糧を長期的、安定的に供給するために計画的生産を行うことにあります。そして主要食糧とは米麦等穀類を初め畜産物、果樹、野菜等国民の基本食糧としております。そして、基本食糧であります穀物自給率を十カ年計画で七〇%まで高めることを前提としております。このため、国、都道府県、市町村段階でそれぞれ農畜産物の自給促進と備蓄計画を年次別に定め、それに従って農業生産体制の整備強化を図り、また、食糧の備蓄は、米麦類の食用穀物は消費量の六カ月分、飼料穀物は三カ月分とし、もって国民に対する主要食糧の安定的な供給を保障することとしております。
 次に、総合食糧管理法案であります。
 第一は、本法案で管理する主要食糧は、米穀、麦類のほか、トウモロコシ、コウリャン等の食糧とし、総合食糧管理体制を整えることとしたことであります。これは、国民の食生活の変化により動物性たん白質の摂取が増加し、その家畜飼料となる穀物を野放しにしておくことができない状況になってきたとの判断によるものであります。
 第二に、米穀の管理制度を民主化したことであります。まず、米穀の政府買い入れにつきましては生産振興法によって定めるところによって生産され、米穀は生産者の売り渡し申し込みに応じて買い入れなければならないものとし、その買い入れ価格は農民組合法によって設立された農民組合の代表と政府との協議によって定めることとしております。その協議が難航した場合は価格等調整委員会であっせん、調停、仲裁により決定することとしております。また、米穀の売り渡しにつきましては、食料用として売り渡す場合は、配給計画に従って売り渡し、その価格は家計の安定を図ることを旨として定め、国会の承認を受けるものとしております。飼料用として売り渡す場合には、畜産業の安定を図ることを旨として定めることとしております。
 第三は、米穀の需給が逼迫し、供給が困難になった場合、生産者に対し生産した米穀を政府に売り渡すべきことを勧告することができ、勧告に応じて政府に米穀を売り渡した場合、出荷協力交付金を交付することができるものとしております。
 第四は、麦、大豆、トウモロコシ、コウリャン等の管理制度を新設したことであります。その買い入れ、売り渡し、生産者価格の決定につきましては米穀の方式を準用するものとし、特に飼料用につきましては、畜産経営の安定を図ることを目的としております。
 第五は、政府みずからが行う主要食糧の輸出入は総合食糧審議会の意見を聞くものとし、輸入に当たっては国内生産を阻害することのないよう、また輸出に当たっては開発途上国の通常の輸出を阻害することのないよう配慮して行うよう規定の整備を図ったことであります。
 次に、農民組合法案であります。
 まず第一に、本法案の目的にもありますように、農民が団結し、自主的に農民組合を組織し、農産物を初め、農業用資材の価格を団体交渉によって農民の社会的、経済的地位の向上を図ることを目的としております。
 第二に、農民組合は市町村区域の農民組合、都道府県区域の都道府県農民組合連合会、全国区域として全国農民組合連合会を組織する三段階制をとっております。
 第三に、農民組合は法人格を与え、登記するとともに、行政庁の認可を受けるものとし、社会的位置を明確にしたことであります。
 第四は、交渉等の事業として、まず組合員が生産する農産物の価格について政府、地方公共団体またはこれに準ずる者との交渉、また、社会的、経済的地位の向上を図るための交渉を行えるようにしたことであります。また、政府等の管理農産物以外についても、価格、取引条件等について団体協約を締結できることとし、農業用諸資材の価格、取引条件等についても同様の措置をとれることとしたことであります。政府管理農産物については、総合食管法案によっても明らかなように農民組合との団体交渉によって決定されることになっておりますが、他の農産物、農業用資材、社会的、経済的地位向上のための団体交渉につきましても当該事業者等は誠意をもって応じなければならないものとして応諾義務を課しております。
 第五は、組合員の資格であります。市町村にあっては、耕作、養畜、または養蚕の業務を営む者、またはその配偶者、または同居の親族とし、すべての農民に資格を与えております。
 第六は、農民組合設立に当たっての条件であります。まず、市町村農民組合を設立するには市町村区域内で十五人以上の発起人を必要とし、組合員資格のある者のうち都府県にあっては十アール、北海道にあっては三十アール以上の農地で耕作を営む者及び養畜、養蚕の業務を営む者の三分の一以上が組合員とならなければならないとしております。また、都道府県農民組合連合会、全国農民組合連合会は、会員の三分の二以上が会員にならなければならないものとしております。
 その他、本法案に必要な法制の整備を行っております。
 以上がわが党提案の法律案の趣旨及び主なる内容であります。
 何とぞ、賢明な各位から慎重な御審議を賜り、速やかに可決されるようお願いを申し上げる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
#4
○山崎委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。
     ────◇─────
#5
○山崎委員長 これより請願審査に入ります。
 今国会において、本委員会に付託になりました請願は全部で百八十件であります。
 本日の請願日程第一から第一八〇までを一括して議題といたします。
 まず、審査の方法についてお諮りいたします。
 各請願の内容につきましては、請願文書表等によりましてすでに御承知のことでありますし、また、理事会におきましても慎重に御検討願いましたので、この際、各請願についての紹介議員からの説明は省略し、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 これより採決いたします。
 本日の請願日程中、第一ないし第四、第二六ないし第四九、第八七、第八八、第九八、第一〇六、第一一六ないし第一二四、第一三八、第一三九、第一四四及び第一六〇の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各請願の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ─────────────
    〔報告書は附録に掲載〕
    ─────────────
#9
○山崎委員長 また、本委員会に参考送付されました陳情書は、農業委員会予算拡充に関する陳情書外二件の外二十二件であります。念のため御報告申し上げます。
     ────◇─────
#10
○山崎委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 安井吉典君外八名提出、農産物の自給の促進及び備蓄の確保のための農業生産の振興に関する法律案
 安井吉典君外八名提出、総合食糧管理法案
 安井吉典君外八名提出、農民組合法案
 農林水産業の振興に関する件
 農林水産物に関する件
 農林水産業団体に関する件
 農林水産金融に関する件
 農林漁業災害補償制度に関する件
以上の各案件につきまして、閉会中もなお審査を行いたい旨、議長に申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中審査案件が付託になり、その調査のため委員を派遣する必要が生じました場合には、その調査事項、派遣委員、派遣期間、派遣地並びにその承認手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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