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1982/02/10 第98回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第098回国会 地方行政委員会 第1号
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1982/02/10 第98回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第098回国会 地方行政委員会 第1号

#1
第098回国会 地方行政委員会 第1号
本国会召集日(昭和五十七年十二月二十八日)(
火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次
のとおりである。
   委員長 中山 利生君
   理事 工藤  巖君 理事 染谷  誠君
   理事 宮下 創平君 理事 安田 貴六君
   理事 五十嵐広三君 理事 佐藤 敬治君
   理事 石田幸四郎君 理事 青山  丘君
      池田  淳君    臼井日出男君
      江崎 真澄君    小澤  潔君
      片岡 清一君    北川 石松君
      塩谷 一夫君    田村 良平君
      竹中 修一君    谷  洋一君
      地崎宇三郎君    中村 弘海君
      小川 省吾君    加藤 万吉君
      細谷 治嘉君    松本 幸男君
      草野  威君    部谷 孝之君
      岩佐 恵美君    三谷 秀治君
      田島  衞君
    ─────────────
昭和五十七年十二月二十八日
 中山利生君委員長辞任につき、その補欠として
 田村良平君が議院において、委員長に選任され
 た。
──────────────────────
昭和五十八年二月十日(木曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
   委員長 田村 良平君
   理事 工藤  巖君 理事 染谷  誠君
   理事 中山 利生君 理事 安田 貴六君
   理事 五十嵐広三君 理事 佐藤 敬治君
   理事 石田幸四郎君 理事 青山  丘君
      池田  淳君    臼井日出男君
      小澤  潔君    片岡 清一君
      北川 石松君    塩谷 一夫君
      竹中 修一君    谷  洋一君
      中村 弘海君    小川 省吾君
      細谷 治嘉君    草野  威君
      部谷 孝之君    岩佐 恵美君
      三谷 秀治君    田島  衞君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     山本 幸雄君
 出席政府委員
        警察庁長官官房
        長       太田 壽郎君
        警察庁長官官房
        会計課長    森田 雄二君
        自治大臣官房長 矢野浩一郎君
        自治大臣官房会
        計課長     大塚 金久君
        自治省行政局長 大林 勝臣君
        自治省財政局長 石原 信雄君
        自治省税務局長 関根 則之君
        消防庁長官   砂子田 隆君
 委員外の出席者
        地方行政委員会
        調査室長    島村 幸雄君
    ─────────────
委員の異動
一月二十七日
 辞任         補欠選任
  松本 幸男君     山口 鶴男君
二月二日
 辞任         補欠選任
  臼井日出男君     大村 襄治君
  草野  威君     大久保直彦君
同日
 辞任         補欠選任
  大村 襄治君     臼井日出男君
同月九日
 辞任         補欠選任
  大久保直彦君     草野  威君
同月十日
 理事染谷誠君同日理事辞任につき、その補欠と
 して中山利生君が理事に当選した。
    ─────────────
昭和五十七年十二月二十八日
 地方公営交通事業特別措置法案(細谷治嘉君外六名提出、第九十四回国会衆法第二四号)
 留置施設法案(内閣提出、第九十六回国会閣法第八一号)
は本委員会に付託された。
昭和五十八年一月二十八日
 地方公営交通事業特別措置法案(第九十四回国会衆法第二四号)の提出者「細谷治嘉君外六名提出」は「細谷治嘉君外五名」に訂正された。
一月二十七日
 地方交付税の増額等に関する請願(井上一成君紹介)(第五九号)
 同(中野寛成君紹介)(第一五一号)
 高校増設のため地方税財政制度改善に関する請願(小杉隆君紹介)(第六〇号)
 同外一件(飛鳥田一雄君紹介)(第一五二号)
 留置施設法案の廃案に関する請願(岩佐恵美君紹介)(第九九号)
 同(金子満広君紹介)(第一〇〇号)
 同(三浦久君紹介)(第一〇一号)
 同(三谷秀治君紹介)(第一〇二号)
 個人事業税にみなし法人課税制度の適用に関する請願(近藤鉄雄君紹介)(第一四八号)
 市町村合併に関する請願(清水勇君紹介)(第一四九号)
 地方自治体財政の確立に関する請願外一件(中西績介君紹介)(第一五〇号)
二月五日
 地方交付税の増額等に関する請願(村上弘君紹介)(第二〇三号)
 個人事業税にみなし法人課税制度の適用に関する請願(阿部文男君紹介)(第二〇四号)
 市町村合併に関する請願(串原義直君紹介)(第二六八号)
 同外七件(中村茂君紹介)(第三〇八号)
 地方自治体の財政改善に関する請願(五十嵐広三君紹介)(第三三二号)
 留置施設法案反対に関する請願(五十嵐広三君紹介)(第三三三号)
同月九日
 市町村合併に関する請願(下平正一君紹介)(第三七五号)
 個人事業税にみなし法人課税制度の適用に関する請願外九件(永田亮一君紹介)(第三九二号)
 留置施設法案の廃案に関する請願(勝間田清一君紹介)(第四五三号)
は本委員会に付託された。
    ─────────────
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件
     ────◇─────
#2
○田村委員長 これより会議を開きます。
 一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび、私が地方行政委員長の重責を担うことになりました。
 委員各位の御指導と御協力を賜りまして、公正かつ円満な委員会運営を図ってまいりたいと存じます。
 何とぞよろしく御協力のほどをお願い申し上げます。(拍手)
     ────◇─────
#3
○田村委員長 この際、御報告申し上げます。
 地方行政委員会の委員であり、また、理事として御尽力をいただきました松本幸男君が、去る一月二十八日、逝去されました。まことに哀悼痛惜の念にたえません。
 ここに、委員各位とともに謹んで故松本幸男君の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。
 御起立をお願いいたします。――黙祷。
    〔総員起立、黙祷〕
#4
○田村委員長 黙祷を終わります。御着席を願います。
     ────◇─────
#5
○田村委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事染谷誠君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴う理事の補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 委員長は、中山利生君を理事に指名いたします。
     ────◇─────
#8
○田村委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、本会期中、地方行政の実情を調査し、その健全なる発展に資するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により
 一、地方自治に関する事項
 二、地方財政に関する事項
 三、警察に関する事項
 四、消防に関する事項
以上の各事項について、国政に関する調査を行うため、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ────◇─────
#10
○田村委員長 地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。
 この際、山本国務大臣から、所管行政について説明を聴取いたします。山本国務大臣。
#11
○山本国務大臣 委員各位には、平素から地方行政及び警察行政に格別の御尽力をいただき、厚くお礼申し上げます。
 この機会に所管行政の当面する諸問題について所信の一端を申し上げ、各位の深い御理解と格段の御協力を賜わりたいと存じます。
 私はかねてから、民主政治は健全な地方自治の基盤の上に成立するものと確信しております。わが国の地方自治は、戦後幾多の試練に耐えながらたゆみない発展を遂げ、いまや国民の間にその根をおろしてまいりました。しかしながら、最近における社会経済情勢の著しい変動は、地方自治の場においても新たな政策課題を生ぜしめるとともに、地方財政をめぐる環境をきわめて厳しいものとしております。このような状況に適切に対応し、地域住民の福祉の向上と地域社会の健全なる発展を図るためには、長期的な展望のもとに行財政改革を推進し、地方自治の基盤の一層の充実を図ることが必要であります。
 私は、このような認識のもとに、新しい時代に即応した地方自治の確立のため不断の努力を続けるとともに、明年度における所要の地方行財政施策を講じてまいる所存であります。
 以下、その概要について御説明をいたします。
 まず、昭和五十八年度地方財政対策について申し上げます。明年度の地方財政の収支見通しについては、二兆九千九百億円の財源不足が見込まれるに至りました。この財源不足につきましては、地方財政の運営に支障を生ずることのないよう、地方交付税の増額措置及び建設地方債の増発により、完全に補てんすることといたしております。
 このほど策定を終え、閣議決定を見ました明年度の地方財政計画につきましては、地方財政の収支面におけるこのような不均衡の状態にかんがみ、おおむね国と同一の基調によりながら、次の基本方針に基づき策定することといたしたところであります。
 その第一は、歳入面において地方税負担の公平化・適正化、受益者負担の適正化等による収入の確保を図るほか、地方交付税の増額と建設地方債の増発等により必要な地方財源を確保することであります。
 第二は、歳出全般について徹底した節減合理化を行いつつ、限られた財源を地域住民の福祉の確保、住民生活に直結した社会資本の整備、住民生活の安全の確保等に重点的に配分することであります。
 第三は、定員管理の適正化等により地方行財政運営の合理化を図るとともに、国庫補助負担基準の改善等財政秩序の確立を図ることであります。
 この結果、明年度の地方財政計画の規模は、歳入歳出とも四十七兆四千八百六十億円となり、前年度に比し、四千三百十八億円、〇・九%の増加となっております。
 また、地方公営企業につきましては、その経営の健全化を図るため、引き続き交通及び病院事業の再建を推進するとともに、下水道等生活関連事業を中心に地方債資金の所要額を確保することとしたほか、地下鉄事業について新たに特例債を設ける等必要な財政措置を講ずることといたしております。
 次に、地方税について申し上げます。
 昭和五十八年度の地方税制改正につきましては、増税なき財政再建の基本理念に沿いつつ、税負担の公平化、適正化を一層推進する観点から所要の見直しを行うことを基本方針としております。
 このような基本方針に基づき明年度におきましては、最近における地方税負担の現状と地方財政の実情とにかんがみ、住民税所得割の低所得者層に係る非課税措置の存続、同居特別障害者扶養控除の創設、料理飲食等消費税の基礎控除額の引き上げなど住民負担の軽減合理化を図るとともに、法人住民税均等割、娯楽施設利用税等の税率の調整、自動車取得税及び軽油引取税の税率の特例措置の延長、非課税等特例措置の整理合理化など地方税負担の公平・適正化を図ることといたしております。
 また、基地交付金及び調整交付金につきましては、基地所在市町村の実情にかんがみ所要の額を確保することとしております。
 地域社会の健全な発展を図るためには、それぞれの地域の特性を生かしつつ、その総合的な整備を図る必要があります。このため、過去十余年にわたり広域市町村圏の施策を推進してきたところであります。とりわけ、昭和五十五年度から広域市町村圏における各種の行政サービスシステムの中心となる田園都市中核施設の整備について所要の財政措置を講じてきたところでありますが、明年度予算においても、引き続き田園都市中核施設の整備に係る助成措置を初め所要の財政措置を講ずることとしております。
 さらに、地域社会の均衡ある発展に不可欠な地域経済の振興策を引き続き推進するとともに、潤いのある町づくりを含め、日常生活に密着した地域文化の振興・充実を図ってまいりたいと存じます。
 行政改革は、今日における政治・行政上の最重要課題に位置づけられており、臨時行政調査会も来る三月の最終答申に向けて鋭意調査検討中であると聞いております。こうした中にあって、一方においては地方自治に対する国民の関心と期待は一段と高まりを見せており、地方行政の果たすべき役割りは今日ますます重要なものとなっていると申せましょう。
 このような国民の期待にこたえていくためには、国、地方を通じ簡素で効率的な行政を実現するとともに、国民に身近な行政は、地方公共団体が自主的・自律的に処理することのできる体制を強化し、地方分権を一層推進することが必要であると考えます。
 かねてより、国と地方公共団体との間の事務・権限の再配分、国の地方出先機関の整理縮小、地方財政基盤の確立などに努めてまいったところでありますが、今後とも行政改革の推進と地方行政の充実のためより一層努力してまいりたいと考えます。
 また、臨時行政調査会の答申のうち地方行政にかかわる重要事項については、必要に応じ、地方制度調査会や地方公共団体の御意見も伺いながら地方自治発展のために最善の方策を検討してまいる所存であります。
 なお、地方公共団体における行財政の運営についても、事務事業の見直し、機構の再編合理化、補助金の整理等自主的な行政改革を積極的かつ計画的に推進するよう強力に指導してまいりたいと考えております。
 地方公務員行政につきましては、かねてより、公務員秩序の確立と公務の公正かつ効率的な遂行の推進に努めてまいったところでありますが、今後ともこの方針に基づき、公務能率の向上、厳正な服務規律の確立、正常な労使関係の樹立等を図るとともに、地方公務員の給与及び退職手当については、その適正化を強力に進めることとし、また、定員管理についてもその適正化を一層推進し、もって住民の期待と信頼にこたえるよう、さらに積極的に取り組む所存であります。
 特に、給与水準が著しく高い団体等に対しましては、計画的に是正措置を講ずるよう引き続き個別に助言・指導を行うことといたしております。
 また、地方公務員の定年制度につきましては、昭和六十年三月三十一日から円滑に実施されるよう地方公共団体に対し所要の助言・指導を積極的に行い、高齢化時代の要請にこたえてまいりたいと考えております。
 わが国の消防は、戦後自治体消防として発足して以来、制度・施設等各般にわたり着実な発展を遂げてまいりました。しかしながら最近においても、国民生活を脅かすさまざまな災害が相次いで発生をしております。私は、これら複雑多様化する災害から国民の生命・財産を守るため、今後とも人命尊重を最優先とし、消防の科学化・近代化を推進するとともに、住民、事業所及び消防機関が一体となった安全な地域社会づくりを進め、消防防災体制の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 まず、消防機関の施設、装備の重点的な整備を進めるとともに、消防職団員の専門的教育訓練の充実と処遇の改善に努め、さらに、震災その他大規模災害に備えて、防災資機材の整備と情報連絡体制の充実を図るなど総合的防災体制の整備を推進してまいる所存であります。
 また、ホテル、百貨店等多数の者の出入りする建築物における防災安全対策を推進するとともに、指導体制の強化を図ってまいりたいと存じます。
 次に、警察行政について申し上げます。
 言うまでもなく、治安の維持は、民主主義国家の根幹をなすものであります。現在、わが国の治安のよさは、内外から高く評価されているところでありますが、治安水準が、一たん低下するとその復元が容易でないことは、諸外国にその例を見ることができるとおりであります。
 私は、治安の重要性に思いをいたし、流動する社会情勢の推移に的確に対応する警察運営の推進を図り、引き続き治安確保の万全を期するよう、努めてまいる所存であります。
 まず、最近の犯罪情勢について申し上げます。
 昭和四十九年以降増加傾向を示している刑法犯の認知件数は、昨年、百五十二万件を超え、昭和二十三年、二十四年に次ぐ戦後第三番目の発生となっております。また、内容的にも、コンピューター犯罪を中心とする新しい形態の犯罪が増加しつつあるほか、国際犯罪、保険金の騙取を目的とした殺人事件や金融機関を対象とする強盗事件等社会の変化を反映した悪質、巧妙な犯罪が多発するとともに、多数の死傷者を伴う大規模事故事件も多発しているところであります。
 このような厳しい情勢に対処するため、さらに捜査体制の整備充実、科学技術の導入等を図り、強力かつ適正な捜査活動を推進してまいる所存であります。
 さらに、一段と知能化、巧妙化し、最近、特に武装化の傾向を強めている暴力団に対しましては、組織の根絶を目指し、総合的な対策を強力に推進する所存であります。
 また、覚せい剤事犯は、厳しい取り締まりにもかかわらず、依然として増加傾向を示し、最近では、一般市民層、とりわけ少年層への浸透が目立つとともに、乱用者による犯罪、事故も続発している状況にあります。このため関係機関とも密接な連携を図り、密輸入事犯の水際検挙に努めるとともに、暴力団を中心とする密輸、密売組織の摘発等の取り締まりを徹底し、あわせて覚せい剤を拒絶する社会環境づくりに取り組んでまいる所存であります。
 少年非行は、依然として増勢を続けており、質的にも中学生非行の増加、校内暴力事件の多発等憂慮すべき状況にありますので、少年を取り巻く風俗環境の浄化に努めるなど、少年非行抑止のための警察活動を一層強化するとともに、少年の健全育成を図り、関係機関、団体との連携を強めながら総合的な少年非行防止対策を推進してまいる所存であります。
 次に、道路交通問題について申し上げます。
 わが国における運転免許保有者数は、四千七百万人に達しようとし、また、自動車保有台数も四千二百万台を超えるなど、交通情勢は、一段と大量化かつ複雑化しております。
 このような情勢のもとで交通事故による死者数は、増勢を強め、昨年は六年ぶりに九千人を超え、九千七十三人に達するなど、深刻な事態を迎えております。
 このため、警察といたしましては、これまで実施してきた事故防止対策を見直すとともに、交通安全施設整備事業の推進を重点とする道路交通環境の整備、運転者教育の充実等を目指した諸施策を強化して、交通死亡事故抑止の実効を期してまいる所存であります。また、行政改革の一環として運転免許証の更新事務の合理化方策の推進にも、さらに努力を重ねる所存であります。
 次に、当面の治安情勢でありますが、極左暴力集団は、引き続き新東京空港に対する反対闘争を当面の課題としながら、テロ、ゲリラヘの動きを強めており、爆弾事件を初め凶悪な事件を敢行するおそれがあります。一方、右翼も、活動を一段と活発化する傾向を示しており、警戒を要するものがあります。警察としては、こうした動向に対処するため、強靱な体制を確立し、法と秩序を破壊する暴力的行為の取り締まりの徹底を期する所存であります。
 以上、警察当面の諸問題について申し述べたのでありますが、流動する社会情勢に的確に対処し、治安の万全を期するためには、警察体制の整備充実を図り、警察官の資質の向上を図ってまいることが肝要であります。
 このため、昭和五十八年度においては、厳しい財政事情のもとではありますが、現在の治安水準を維持するために最低限必要な地方警察官一千二十人の増員を行うこととしたいのであります。また、警察官の資質の向上を図るため、警察教養の徹底と処遇の改善に配意するとともに、綱紀の粛正並びに士気の高揚についても一層努力をいたし、もって国民の信頼にこたえてまいる所存であります。
 以上、所管行政の当面の諸問題について、所信の一端を申し述べましたが、委員各位の格別の御協力によりまして、その実を上げることができますよう一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。(拍手)
#12
○田村委員長 引き続き、昭和五十八年度自治省関係予算の概要について説明を聴取いたします。矢野官房長。
#13
○矢野政府委員 昭和五十八年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一に、一般会計予算でありますが、歳入は三億一千六百万円、歳出は七兆七千九百三億五千百万円を計上いたしております。
 歳出予算額は、前年度の予算額八兆一千二百三十六億三千八百万円と比較し、三千三百三十二億八千七百万円の減額となっております。
 また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省七兆七千七百六億五千万円、消防庁百九十七億百万円となっております。
 以下、この歳出予算額のうち、主な事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。
 最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。
 まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、七兆三千百五十一億四千五百万円を計上いたしております。
 これは、昭和五十八年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額八兆五百十八億四千万円から昭和五十六年度の地方交付税に相当する金額を超えて繰り入れられた額八千五百一億九千五百万円を控除した額に昭和五十七年度特例措置に係る額の繰り上げ加算額一千百三十五億円を加算した額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。
 次に、臨時地方特例交付金の繰り入れに必要な経費でありますが、二十億円を計上いたしております。
 これは、地方財政の状況等を考慮し、昭和五十八年度の特例措置として交付税及び譲与税配付金特別会計を通じ地方交付税交付金として交付する財源の同特別会計への繰り入れに必要な経費であります。
 次に、借入金等の利子の財源の繰り入れに必要な経費でありますが、三千五百五十七億七千七百万円を計上いたしております。
 これは、地方交付税交付金に係る借入金及び一時借入金の利子の支払い財源を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるためのものであります。
 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費でありますが、百九十九億五千万円を計上いたしております。
 これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するためのものであります。
 次に、施設等所在市町村調整交付金に必要な経費でありますが、五十二億円を計上いたしております。
 これは、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するためのものであります。
 次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、十七億五百万円を計上いたしております。
 これは、交通安全対策特別交付金等に必要な経費及びその財源である交通反則者納金等を交付税及び譲与税配付金特別会計に組み入れ、一般会計と区分して経理することとしたことに伴い、同交付金の昭和五十六年度精算不足額を同特別会計へ繰り入れるためのものであります。
 次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費として、百三十一億八千六百万円を計上いたしております。
 これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進を図るため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するためのものであります。
 次に、地方公営交通事業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、十四億六百万円を計上いたしております。
 これは、地方公営交通事業の再建を促進するため、再建事業を経営する地方公共団体が起こした再建債について利子補給金を交付するためのものであります。
 次に、再建地方都市バス事業の車両更新費の補助に必要な経費でありますが、六億九千万円を計上いたしております。
 これは、財政再建を行う地方都市バス事業を経営する地方公共団体に対する当該事業の車両更新費の補助に必要な経費であります。
 次に、公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、百一億五百万円を計上いたしております。
 これは、公営地下高速鉄道事業債に係る支払い利子に相当するものとして昭和五十七年度末までに発行を認めた特例債及び昭和五十八年度において発行を認める特例債の利子について、地方公共団体に助成金を交付するためのものであります。
 次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、百三十六億六千四百万円を計上いたしております。
 これは、公営企業金融公庫の上水道事業、下水道事業、工業用水道事業、交通事業、市場事業、電気事業及びガス事業に係る貸付利率の引き下げのための補給金を同公庫に交付するためのものであります。
 なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費七億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。
 次に、広域市町村圏等の整備の推進に必要な経費でありますが、十五億六千四百万円を計上いたしております。
 これは、田園都市構想に即し、地域社会の総合的な振興を図るため、広域市町村圏等における田園都市中核施設の整備計画の策定に対する補助及び当該施設の整備に対する助成交付金の交付に必要な経費であります。
 次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、八億八千四百万円を計上いたしております。
 これは、選挙人の政治常識の向上を図り、選挙をきれいにする国民運動及び政治倫理化運動を推進するために要する経費について、都道府県に対し補助する等のために必要な経費であります。
 次に、参議院議員通常選挙に必要な経費でありますが、二百五十六億六千五百万円を計上いたしております。
 この経費は、昭和五十八年度における参議院議員の通常選挙の執行に必要な経費、参議院議員通常選挙の開票速報に必要な経費、選挙人に対する参議院議員通常選挙の啓発の推進をするために必要な経費であります。
 以上が自治本省についてであります。
 次に、消防庁について、御説明申し上げます。
 まず、大震火災対策に必要な経費として、四十四億七百万円を計上いたしております。
 これは、震災等大規模災害に備えるため、新たな通信衛星利用施設を含む消防防災無線通信施設の整備及び耐震性貯水槽、コミュニティー防災センターなど震災対策のための諸施設の充実を図るとともに、防災知識の啓発及び消防防災対策調査を推進するために必要な経費であります。
 次に、消防施設等整備費補助に必要な経費として、百三十七億二千九百万円を計上いたしております。
 これは、市町村の消防力の充実強化を図るため、消防車、防火水槽など消防に関する施設及び装備の充実と高度化を地域の実情に応じて重点的に推進するとともに、石油コンビナート等における防災対策の推進を図るために必要な経費であります。
 第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。
 自治省関係の特別会計といたしましては、交付税及び譲与税配付金特別会計がありますが、昭和五十八年度からは、この特別会計に新たに交通安全対策特別交付金勘定を設けることといたしております。
 まず、従来の交付税及び譲与税配付金特別会計に該当する交付税及び譲与税配付金勘定の歳入歳出予定額は、十九兆六千八百三十三億三千二百万円となっております。
 歳入は、地方交付税交付金及び借入金等利子の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。
 歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借入金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。
 次に、交通安全対策特別交付金勘定の歳入予定額は、五百八十三億一千二百万円、歳出予定額は、五百三十五億九千五百万円となっております。
 歳入は、交通反則者納金の収入見込み額及び一般会計からの昭和五十六年度精算不足額の受入額等を計上いたしております。
 歳出は、交通安全対策特別交付金等に必要な経費であります。
 以上、昭和五十八年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。
#14
○田村委員長 次に、昭和五十八年度警察庁関係予算の概要について説明を聴取いたします。太田官房長。
#15
○太田政府委員 昭和五十八年度の警察庁予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
 昭和五十八年度の警察庁予算総額は、一千五百六十六億二千百余万円でありまして、前年度予算額一千五百五十五億五千六百余万円に比較しまして、十億六千五百余万円の増額となっております。
 次に、その内容の主なものについて御説明申し上げます。
 第一は、警察庁一般行政に必要な経費五百六十六億百余万円であります。
 この経費は、警察庁、警察大学校及び地方機関の職員並びに都道府県警察の警視正以上の警察官の職員俸給等の人件費、都道府県警察官一千二十人の増員に必要な教養経費等のほか、警察庁、警察大学校及び地方機関の一般事務経費であります。
 第二は、電子計算機運営に必要な経費三十八億五百余万円であります。
 この経費は、全国的情報管理システムその他のために設置した電子計算機組織の運営に必要な電子計算機の借料とそれに付随する消耗品購入費等であります。
 第三は、警察機動力の整備に必要な経費百二十七億三千余万円であります。
 この経費は、災害対策の一環ともなりますヘリコプター、警察車両の購入、警察装備品の整備及び警察通信施設の整備並びにその維持管理等の経費であります。
 第四は、警察教養に必要な経費二十八億二百余万円であります。
 この経費は、警察学校入校生の旅費と警察学校における教養のための講師謝金、教材の整備費等であります。
 第五は、刑事警察に必要な経費七億七千五百余万円であります。
 この経費は、暴力団犯罪及び一般犯罪の捜査、取り締まりの指導、連絡等に必要な旅費、物件費並びに犯罪鑑識に必要な法医理化学器材等の整備費、消耗品費、死体の検案解剖の経費のほか、犯罪統計の事務等に必要な経費であります。
 第六は、保安警察に必要な経費一億九百余万円であります。
 この経費は、青少年の非行化防止、風俗取り締まり、麻薬、覚せい剤、密貿易、拳銃等銃砲危険物、公害等に関する犯罪の捜査、取り締まりの指導、連絡等に必要な旅費、物件費等であります。
 第七は、交通警察に必要な経費一億八千九百余万円であります。
 この経費は、交通安全に関する広報及び運転者対策等に必要な物件費並びに交通取り締まり指導のための旅費等であります。
 第八は、警備警察に必要な経費五億九千三百余万円であります。
 この経費は、警備警察運営に関する会議、指導、連絡等の旅費、器材類の整備等に必要な経費であります。
 第九は、警察活動に必要な経費百四十六億四千六百余万円であります。
 この経費は、犯罪の捜査、取り締まり等警察活動に必要な旅費及び捜査費であります。
 第十は、警察電話専用回線の維持に必要な経費三十八億七千五百余万円であります。
 この経費は、警察電話専用回線を維持するために日本電信電話公社に支払う、いわゆる警察電話専用料であります。
 第十一は、犯罪被害給付に必要な経費五億六千二百余万円であります。
 この経費は、殺人、傷害等の犯罪により死亡しまたは重障害を受けた場合、その遺族または被害者に対し国が一定の給付をするために必要な給付金及び事務費であります。
 第十二は、参議院議員通常選挙及び統一地方選挙の取り締まりに必要な経費三億一千七百余万円であります。
 この経費は、参議院議員通常選挙及び統一地方選挙の取り締まりの指導、連絡等に必要な旅費、物件費であります。
 第十三は、千葉県警察新東京国際空港警備隊に必要な経費五十五億八千二百余万円であります。
 この経費は、千葉県警察新東京国際空港警備隊の維持、運営に必要な旅費、物件費及び空港警備隊員の人件費等の補助金であります。
 第十四は、船舶の建造に必要な経費三億八百余万円であります。
 この経費は、警察用船舶の建造に必要な経費であります。
 第十五は、科学警察研究所に必要な経費八億二千七百余万円であります。
 この経費は、警察庁の附属機関として設置されています科学警察研究所職員の職員俸給等人件費と鑑定、検査、研究に必要な機械、器具類の購入費、維持費、その他一般事務経費であります。
 第十六は、皇宮警察本部の一般行政に必要な経費四十六億三千六百余万円であります。
 この経費は、皇宮警察本部職員の職員俸給等人件費のほか、その他一般事務経費であります。
 第十七は、皇宮警察本部の護衛、警備に必要な経費一億五千五百余万円であります。
 この経費は、皇居の警備及び行幸啓の護衛に必要な経費であります。
 第十八は、警察庁の施設整備に必要な経費三十六億五百余万円であります。
 この経費は、直接国庫の支弁対象となっております都道府県警察学校等の施設の整備に必要な経費であります。
 第十九は、都道府県警察費補助に必要な経費二百二十二億二千九百余万円であります。
 この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察の一般の犯罪捜査、交通指導取り締まり、外勤警察活動、防犯活動等の一般行政費の補助に必要な経費であります。
 第二十は、都道府県警察の施設整備費補助に必要な経費二百二十二億六千三百余万円であります。
 この経費は、警察法第三十七条第三項の規定による都道府県警察の警察署、派出所、駐在所、待機宿舎等及び交通安全施設の整備費の補助に必要な経費であります。
 以上、昭和五十八年度の警察庁予算の内容につきまして、その概要を御説明申し上げました。
#16
○田村委員長 以上で説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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