1982/03/22 第98回国会 衆議院
衆議院会議録情報 第098回国会 本会議 第13号
#1
第098回国会 本会議 第13号昭和五十八年三月二十二日(火曜日)
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昭和五十八年三月二十二日
午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
二階堂進君の故議員平林剛君に対する追悼演説原材料の供給事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案(第九十七回国会、内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時十七分開議
#2
○議長(福田一君) これより会議を開きます。────◇─────
#3
○議長(福田一君) 御報告いたすことがあります。議員平林剛君は、去る二月九日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
同君に対する弔詞は、議長において去る二月二十五日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
〔総員起立〕
衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもつてその功労を表彰され さきに物価問題等に関する特別委員長の要職にあたられた議員平林剛君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます
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故議員平林剛君に対する追悼演説
#4
○議長(福田一君) この際、弔意を表するため、二階堂進君から発言を求められております。これを許します。二階堂進君。〔二階堂進君登壇〕
#5
○二階堂進君 ただいま議長から御報告がありましたように、本院議員平林剛君は、去る二月九日夜、東邦大学附属病院において急逝されました。まことに痛恨のきわみであります。ここに、私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。
平林君、君が参議院議員から引き続き本院の議席を得られて、実に二十七年近くになろうといたしております。六十一歳で逝去された君の活躍の場は、国権の最高機関たる国会であり、その中心は本院でありました。すなわち、君の人生の喜びも、悲しみも、理想も、情熱も本院とともにあり、本院こそは君の人生の場でありました。(拍手)
平林君、昭和二十年代、君を労働運動から国政の場へと駆り立てたものは、焼け野が原となった祖国を復興して、平和と民主主義を守り、豊かで幸せな国民生活を築こうとするいちずな情熱であったと思います。立場こそ違え、私もまた、その思いを同じくするものでありました。誓いを立ててから今日まで幾星霜を経ましたが、いまもその思いは私の胸中に赤々と燃え続けております。この議場で君と顔を合わせるたびに、私は君の胸中に燃え続ける同じ火を見出し、立場を超えた友情を感じてきたのであります。
平林君、昨年十二月、君が野党第一党である日本社会党の書記長の重職につかれたとき、与党の幹事長である私は、同じ苦労をなされる君の立場を思い、手ごわいライバルである前に、人知れぬ親近感を覚えるとともに、率直に話し合える書記長の出現にほっとする思いでありました。(拍手)それからわずか五十五日、君は、余りにも忽然として去り、君の議席は純白のカーネーションの花束で飾られるきょうを迎えました。
平林君、君と私は、年も一回りの差があり、生い立ちや境遇も違いました。しかし、同じ情熱を持って一つの時代を語り、人生の体験を同じくする人は、私にとって何物にもかえがたい同志であり、知己であったと申せましょう。私も本院議員として三十三年余、本会議の壇上に立つのは十年ぶりでありますが、それが君を送る追悼であろうとは、まことに感無量と言うほかは言葉を知りません。(拍手)いまはただ得がたい友を失った寂寥が骨身にしみるばかりであります。
平林君、君は、大正十年十月十日、長野県丸子町にお生まれになり、つとに英才の誉れ高いものがありました。しかるに、君の家庭環境は、御尊父の逝去により進学を許さず、苦学するの道を歩まざるを得ませんでした。向学の心あつい君は、十六歳にして、当時の大蔵省専売局板橋製作所に勤務する傍ら、努力して専検に合格し、さらに高文の受験を目指したのであります。しかし、第二次大戦の召集によってその道を閉ざされ、このことが後に君の人生の指針を決める契機ともなったのであります。
戦争が終わったら、働く者のために力を尽くそうと心に誓っていた君は、終戦と同時に全煙草労組の書記長となり、昭和二十四年、全専売が組織されるや、選ばれて初代委員長に就任し、八期にわたってその重職を務められたのであります。君が戦後労働運動の草分けの時代に果たされた功績は、永く永く忘れることはできません。(拍手)
君は、持ち前の人柄と才幹で労働界の人望を集め、昭和二十八年、推されて参議院全国区に出馬されました。結果は三百八十一票差の次点にとどまった君でありましたが、後に選管の手違いが判明し、昭和二十九年一部やり直し選挙の結果、奇跡的な逆転当選を果たしたのであります。当時君は三十三歳、全国最年少の参議院議員でありました。参議院議員を二期務めた後、昭和三十八年、君は神奈川第三区から衆議院議員選挙に立候補し、議席を獲得され、以来本院に在職すること六期十八年十カ月に及び、昭和五十六年六月には永年在職議員として表彰されたのであります。(拍手)
平林君、君は、社会党の団十郎と言われる男前であり、飾らないソフトな語り口で人に接し、責任感が人一倍強く、心の温かさを感じさせる人でありました。このような君に、日本社会党内はもとより、与野党を問わず、信頼と友情が集まるのは当然のことでありました。すでに参議院において、文教委員長などの要職を務められた君は、本院においてもたちまち頭角をあらわし、本院物価対策特別委員長を初め、党財政金融政策委員長を歴任するなど、財政経済面の政策通としてその手腕をふるわれました。
しかし、君がその真価を発揮されたのは、昭和四十九年から三年間、三木、福田両内閣の与野党伯仲の時代に、野党第一党の国会対策委員長の重責につかれ、話し合いによる国会運営の中枢の役割りを果たされたときであります。私は、与野党交渉の場を通じ、君の誠実で人間味あふれる人柄に接し、強い感銘を受けたものであります。
やがて君が声望を担っての日本社会党書記長就任は、けだし当然のことであったともいえましょう。書記長就任を固辞する君に、困難な政治情勢は君の辞退を許しませんでした。今にして思えば、すでに心臓を傷められていた君に、それは余りにも厳しい任務でありました。
「人間の価値は試練に耐えるごとに高まる」という言葉を座右の銘とされた君は、無理を承知の上で愛する党のために、書記長の激職を受けたのでありましょう。以来、党の団結と党勢の拡大のために日夜東奔西走、席の温まるいとまもない毎日であったと聞いております。しかも、責任感の強い君は、急逝される数日前まで、同志の応援のため身体の無理を押して街頭に立ち、寒風の中で大衆に訴え続けておられました。
死の当日、病院に送られる車の中でも周囲に心配をかけまいと笑顔を忘れぬ君でありました。われわれは君の死後初めて、君がしばしば疲労の極に狭心症の薬を用いながら、苦しみを抑えていたことを知ったのであります。「斃れて後己む」と申しますが、君はついにみずからの信念に従い、理想に殉じ、最後の瞬間まで君の愛する党に自分をささげ尽くされたのであります。(拍手)
平林君、君は働き盛りであり、君の活躍に期待したのはひとり日本社会党のみではありませんでした。内外の情勢が厳しい折、不毛の対立ではなく、話し合いによって政治を進めてゆくためには、党派を超えて、打ち解けて心を通じ合える君のような人材が必要とされていたのであります。君はなぜこのような大切なときに死に急ぎをされたのでありましょうか。
君の書記長就任直後、たまたま私は席を同じくする機会を持ち、お互いに責任の重さと党務の厳しさについて語り合い、えらい立場に立たされたなあと肩をたたき健闘を誓い合ったことが、私にはついきのうのことのように思い出されて涙なきを得ません。この議場におる君の同僚議員にとっても、その思いは同じでありましょう。
平林君、いま世界は新たな転機の時代を迎え、生みの悩みに苦悶しております。その一端を担うわが国の責務はますます重く、かつ厳しいものがあります。われわれは国民のエネルギーを再結集して、この試練を克服し、子孫のために希望に満ちた新時代を築かなければなりません。このときに当たり、われわれがその責務をりっぱに果たすことこそ、議会民主政治のために努力してきた君に報ゆる唯一の道であると信ずるものであります。
平林君、いまこの議場に君のにこやかな姿を再び見ることはできません。また、鋭い舌鋒を聞くこともできません。しかし、本院議員の心には、君の議会政治史に果たされたりっぱな業績が、導きの星として刻まれております。
その生涯を理想と信念のために燃焼し尽くし、みずからのためには寸時も休息することを求めなかった平林剛君、君の生前の御功績をたたえ、その御遺徳をしのび、君の眠りの安らかならんことを心から祈りつつ、謹んで哀悼の言葉といたします。(拍手)
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#6
○保利耕輔君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、原材料の供給事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#7
○議長(福田一君) 保利耕輔君の動議に御異議ありませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
#8
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。─────────────
原材料の供給事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#9
○議長(福田一君) 原材料の供給事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。農林水産委員長山崎平八郎君。
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原材料の供給事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔山崎平八郎君登壇〕
#10
○山崎平八郎君 ただいま議題となりました原材料の供給事情の変化に即応して行われる水産加工業の施設の改良等に必要な資金の貸付けに関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。本案は、最近における水産加工原料の供給事情にかんがみ、引き続き水産加工施設の改良等に必要な資金の貸し付けを行うこととするため、この臨時措置法の有効期限をさらに五年間延長しようとするものであります。
本案は、去る二月十日提出され、同日当委員会に付託されました。
委員会におきましては、三月二日金子農林水産大臣から提案理由の説明を聴取した後、三月三日及び三月二十二日の二日間にわたり審査を行い、三月二十二日質疑を終局し、直ちに採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
なお、本案に対し、漁業・水産加工業経営の安定、国民食料の安定的確保を図る見地から、漁獲物の付加価値を高めること等、四項目の附帯決議を付することに決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#11
○議長(福田一君) 採決いたします。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。────◇─────
日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案(第九十七回国会、内閣提出)の趣旨説明
#13
○議長(福田一君) この際、第九十七回国会、内閣提出、日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案について、趣旨の説明を求めます。運輸大臣長谷川峻君。〔国務大臣長谷川峻君登壇〕
#14
○国務大臣(長谷川峻君) 日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案について、その趣旨を御説明いたします。国鉄の経営は、昭和五十六年度において年間一兆円の欠損を生み、また、長期債務は十六兆円にも達するなど、まさに危機的状況にあり、国鉄の事業の再建は、国政上、早急な解決を要するきわめて重大な課題となっております。
このような国鉄経営の現状にかんがみ、去る七月三十日に行われた臨時行政調査会の第三次答申におきましても、国鉄の事業の再建は最も重要な柱とされておりまして、抜本的な改革のための方策が示されるとともに、その推進機関として国鉄再建監理委員会を設置することが提言されております。
政府といたしましても、この臨時行政調査会の第三次答申を最大限尊重することとし、去る九月二十四日には、「国鉄の改革については、臨時行政調査会の第三次答申に沿って、五年以内に事業再建の全体構想を設定しその実現を図る」ことなどを閣議決定しているところであります。
本法律案は、このような状況を踏まえて、国鉄の経営する事業の再建の推進のために、国が講ずべき施策等について定めるとともに、日本国有鉄道再建監理委員会の設置等に関し、所要の事項を定めるものであります。
次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、国は、臨時行政調査会の第三次答申を尊重して、国鉄の経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制を整備することにより、当該事業の再建を推進することを基本方針とするとともに、この体制整備のために必要な効率的な経営形態の確立等及びその実施の円滑化のために必要となる国鉄の長期債務の償還等に関する施策を講ずることとしております。
第二に、国鉄の経営する事業の運営の改善のために、緊急に措置すべき事項に関し、国及び国鉄は、日本国有鉄道経営再建促進特別措置法に基づく措置その他の必要な措置を講ずることとしております。
第三に、国の施策の策定及びその計画的かつ円滑な実施に資するため、総理府に日本国有鉄道再建監理委員会を置くこととし、同委員会は、さきに述べた基本方針に従って、効率的な経営形態の確立等及びその実施の円滑化のために必要となる国鉄の長期債務の償還等に関する重要事項について、みずから企画し、審議し、決定し、内閣総理大臣に意見を述べること、及び国鉄の経営する事業の運営の改善のために講ずべき緊急措置の基本的な実施方針について内閣総理大臣に意見を述べることができること、並びに同委員会からこれらの意見が出されたときは、内閣総理大臣は、これを尊重しなければならないこととしております。
また、日本国有鉄道再建監理委員会は、五人の委員により組織することとするほか、委員の任免等及び委員会の組織に関し必要な事項を定めるとともに、同委員会は、必要があると認めるときは、国の施策等について内閣総理大臣等に勧告することができること、並びに関係行政機関の長及び国鉄総裁に対し、資料の提出その他の必要な協力を求めること等ができることとしております。
第四に、国鉄の経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制整備を図るための施策は、その速やかなる実施を期するため、昭和六十二年七月三十一日までに講ぜられるものとしております。
第五に、運輸大臣は、国鉄の経営改善計画の変更の承認または指示をしようとするとき及び国鉄の予算の調整を開始しようとするときは、日本国有鉄道再建監理委員会の意見を聞かなければならないこととしております。
第六に、日本国有鉄道再建監理委員会の設置に伴い必要となる関係法律の規定の整備等を行うこととしております。
以上が日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案の趣旨でございます。(拍手)
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日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案(第九十七回国会、内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#15
○議長(福田一君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。近岡理一郎君。〔近岡理一郎君登壇〕
#16
○近岡理一郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案について、総理及び関係大臣に対する質問を行い、御所見を伺おうとするものであります。去る三月十四日、臨時行政調査会は、最終答申を提出し、昭和五十六年三月以来二年間にわたる任務を終了されたわけでありますが、土光会長初め臨時行政調査会各位が精力的に行政改革に取り組まれたその御労苦に対し、深く敬意を表する次第であります。
申すまでもなく、行政改革は天の声であり、今日の国政上の最重要課題であります。簡素にして効率的な行政の実現は、わが国の明るい未来を開くために何としても達成しなければならない国民的課題であり、自由民主党としても、引き続き行政改革の総合的かつ着実な推進に全力を挙げて取り組む決意であります。(拍手)
今回の臨時行政調査会の答申で指摘された行政改革の課題は、広範多岐にわたるものでありますが、その中でも破局的状態に陥っている国鉄の改革は、一刻の猶予も許されない緊急な課題であります。
御案内のとおり、国鉄は、特に昭和五十五年以来は毎年一兆円を超える赤字を生み、また長期債務も、昭和五十七年度で十八兆円にも達するという深刻な経営状況にあります。
このような国鉄経営の悪化に伴い、国鉄に対する国の助成も膨大な額に上っており、国の財政再建を図る上でも、国鉄の改革はどうしても解決しなければならない問題であります。
私は、このような現状にある国鉄の再建を図るために、国鉄再建監理委員会の設置等を内容とする本法律案を一日も早く成立させ、国鉄の改革を軌道に乗せることが必要であると考えており、その推進を図る立場に立って、以下の諸点について簡潔に御質問をいたします。
まず第一は、国鉄の経営改善に関する問題であります。
さきに申し上げたとおり、国鉄の経営は破産状態とも言うべき状況にあり、いわば浮沈の瀬戸際に立たされております。このような状況のもとで、国鉄の労使は血のにじむようなぎりぎりの努力を傾けて徹底的な経営改善に取り組まなければ、再建は不可能であり、これが達成できるかどうかが国鉄の改革の基本的な大前提となると考えます。
そのような厳しい認識に立って、業務運営の能率化、職場規律の確立等の措置を緊急に推進していくことが求められていると思いますが、このような緊急対策の推進に対する政府の取り組み及び今後の方針について、運輸大臣にお伺いいたしたい。
第二は、国鉄の長期債務等、国鉄の経営努力のみではいかんともしがたい構造的問題の処理についてであります。
御承知のとおり、国鉄の長期債務は、昭和五十七年度で十八兆円にも達すると予想されており、その利子支払いのみでも年間一兆三千億円にも上ると言われております。
また、現在、青函トンネルや本四連絡橋が工事中でありますが、これらは、完成後は国鉄が運営を任されることになっているため、巨額の借料を負担することになると考えられております。
国鉄の再建のためには、国鉄自身が必死になって経営の改善努力を行うことが大前提ではありますが、いかに能率的な業務運営体制を確立したとしても、このような膨大な負担に何らかの手が打たれない限り、健全な事業運営を維持することは不可能であります。政府としても、この問題について責任ある対応を行う必要があると思われますが、総理の御所見を伺いたい。
第三に、国鉄再建監理委員会の委員の人選についてであります。
この委員会は、国鉄改革の処方せんをまとめるという重大な任務を負った機関でありますが、しかし、先ほど来述べておりますような破局的な状況にある国鉄の改革を推進するに当たっては、数多くの困難が予想されるわけでありますので、これらの問題を首尾よく解決し、しかも短期間に具体的な方策を取りまとめていくためには、委員に人格識見ともすぐれ、しかも社会的影響力を持つ相当な人物を迎えることが最も肝要なことであると思われますが、これに対する総理の御所見を伺いたい。
この法律案においては、国鉄の改革に必要な体制整備は昭和六十二年七月三十一日までに行うものと期限が付されております。いまや国鉄の経営状況は日一日と坂道を転げ落ちるように悪化し続けているわけであり、その対策は早急になされなければなりません。この法律案において施策の期限が付されたのも、このような国鉄の現況を踏まえて、国鉄再建のための対策が早期に実施されるべきことを求めているものであります。
したがって、国会もまた国権の最高機関、唯一の立法機関として国鉄改革をどう推進するかについての意思決定をすべき重大な責任と義務があると存じます。国鉄の改革は対策がおくれればおくれるほど困難になります。一日も早くこの法案を成立させ、不退転の決意を持って国鉄の改革をやり抜かなければなりません。
最後に、国鉄の改革に対する総理の決意をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 近岡議員の御質問にお答えをいたします。まず第一は、国鉄の長期債務、青函トンネルあるいは本四架橋のような膨大な負担について、どのように対応するかという御質問でございます。
以上お挙げになりました諸問題は、国鉄事業を再建する上で解決しなければならない重要な課題であると認識しております。もちろん、これらの膨大な、重要な問題につきましては、単に国鉄の責めに帰すべからざる理由によるものもあると思います。これらのものにつきましてはこれらのものとして、やはり別途考慮する要素もなければならぬと思っておりますが、しかしいずれにせよ、国民の負託を受けた国鉄当局及び今後設置されまする、いま御審議願おうとしておりまする国鉄再建監理委員会、この委員会によりまして抜本的な検討を行っていただき、結論を得たい、このように考えておるわけでございます。
次に、委員の人選について御質問がございました。
国鉄再建監理委員会は、非常に重要な使命を持っておる委員会であると思いまして、この人事も非常に重要な人事であると考えております。やはり全国民的視野を持った見識のある、しかも国鉄改革について熱意を持っており、推進力のある方で、しかも労使関係に理解と見識を持っておる方が適当であると考えております。
具体的な人選につきましては、この法律案の成立を待って速やかに決定いたしたいと思います。
次に、この法律案に対する熱意を問うということでございますが、国鉄事業の再建は、今次行政改革の最重要の大事な柱の一つであると考えておりまして、政府も全力を挙げて取り組むつもりでおります。速やかに本法案の成立をお願いし、一刻も早く国鉄の事業の再建を軌道に乗せて、所要の施策を強力に展開いたしたいと考えておる次第であります。
残余の答弁は、運輸大臣よりいたします。(拍手)
〔国務大臣長谷川峻君登壇〕
#18
○国務大臣(長谷川峻君) 近岡議員にお答えします。国鉄を再建するためには、労使ともどもにしっかりやれという御激励、そのとおりでございます。いまや、国鉄労働組合の中にも、職場規律はしっかり守ろう、自分たちがしっかりやることによって国民の国鉄に対する御理解を得よう、こういう努力もあるときでありますから、それをさらに盛り上げることによって、国鉄再建監理委員会ができた暁において、それぞれの諸方策を実施していただきたい、こう思っておるものであります。(拍手)
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#19
○議長(福田一君) 福岡義登君。〔福岡義登君登壇〕
#20
○福岡義登君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する法律案について、質問せんとするものであります。まず、政府に苦言を呈さなければなりません。
国鉄が赤字に転落したのは、昭和三十九年度からであります。今日まですでに二十年を経過いたしておるのであります。この間、政府が有効適切な対策を講じておれば、今日のごとき決定的な危機は回避することができたと思うのであります。(拍手)政府は、一体その責任をどのように感じておられるのか、まずお伺いしたいのであります。(拍手)
国鉄の再建を論ずるに当たってまず必要なことは、国鉄が今日のごとき危機に直面するに至ったその原因と責任の所在を明らかにすることであると思います。国鉄の今日の危機はつくられたものであり、その責任の大半は歴代の自民党政府にあると断ぜざるを得ないのであります。
その第一の理由は、車社会への適切な対応を怠り、運輸交通分野における国鉄の競争力を低下させた結果、輸送量が大幅に減少したことであります。
たとえば道路、空港、港湾などの投資は大幅に増額されましたが、国鉄の場合は、投資総額が少ない上に、新幹線投資に重点が置かれたため、在来線の輸送力増強が進まず、特に自動車との競争に負ける結果となったのであります。
また、たび重なる運賃の値上げが国鉄離れを促進したのであります。昭和五十一年には五〇%の大幅運賃値上げが実施されましたが、実際の増収は二〇%にとどまり、大きな国鉄離れが発生をしたのであります。
第二の原因は、政治路線の建設であります。
新線として建設され、現在開業しているものは三十七本あるのでありますが、昭和五十六年度決算におけるこれらの線区の営業係数は二〇四であり、赤字の大きな要因となっているのであります。
第三は、特定人件費の圧迫であります。
昭和十一年度における国鉄の職員数は二十三万人でありましたが、同二十三年には三倍近い六十万にふくれ上がったのであります。その主な原因は、終戦後の外地鉄道からの引き揚げ者の受け入れ、軍工廠職員の引き継ぎなどがあったからであります。これらはいずれも国の施策によるものであります。これらの人々の退職がここ十数年間に集中したため、平均を大幅に超える退職金、年金、いわゆる特定人件費が必要になったことであります。昭和五十六年度における国鉄の一般勘定の赤字総額は、御承知のごとく一兆八百五十九億円でありますが、このうち特定人件費は、実に四〇%を超える四千四百八十六億円にも上っておるのであります。
第四は、借金政策による利子の負担であります。
国鉄の長期債務は、昭和五十七年度末で十八兆円、同五十八年度末では二十兆円と見込まれております。これに必要な支払い利息は、政府からの助成を除いても、国鉄の負担は、昭和五十七年度において六千九百六十五億円、五十八年度には八千六百七十一億円に達するのであります。国鉄再建の大きな柱は、さきに述べました特定人件費の処理とこの支払い利息の解決であると言っても決して過言ではないのであります。(拍手)
第五は、国鉄当局に当事者能力、いわゆる経営権を与えなかったということであります。
かつて、政府がある民間の有能な人に国鉄総裁に就任を要請したところ、二、三日後回答があり、国鉄総裁に与えられている権限は民間企業で言えば文書課長ぐらいのものではないか、人をばかにするなと激怒して就任を拒否したということは、余りにも有名な話であります。(拍手)
以上、私は、国鉄がなぜ今日のごとき危機に直面したかを五点にわたって述べてまいりました。お聞きいただきましたように、これらの諸点はほとんどが国鉄ではどうすることもできない問題でありますから、その責任は歴代自民党政府にあると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
しかるに、これらの究明を行わず、その責任はすべて国鉄の労使にあるかのごとき論をなす者がありますが、それは事実を知らない者の無責任な発言か、または事実を歪曲し、ためにするための悪意に満ちた発言であり、国鉄再建を阻害することはあっても、再建に寄与することはなく、まことに遺憾と言わざるを得ません。(拍手)中曽根総理の率直な見解をお聞かせいただきたいのであります。
次にお尋ねいたしますのは、政府の怠慢についてであります。具体的にお尋ねします。
その第一は、運賃の公共割引についてであります。
政府は、昭和五十四年十二月二十九日、国鉄再建についての方針を閣議了解事項として決められました。その中で、運賃の公共割引については、関係各省で検討を進め、早急に結論を得て、これに基づき所要の措置を講ずるとしておられます。しかるに、その後四回の会計年度を迎えておりますが、今日に至るも何らの措置も講ずることなく放置されているのであります。
地域住民には特定地方交通線廃止、駅の無人化など犠牲を強要し、国鉄職員には新規採用の停止、合理化の促進などを通じ、再建への努力を求めておりながら、政府の行うべきことを実行しない、片手落ちではありませんか。強い憤りすら感ずるのであります。
通学などの公共割引は、年間六百五十億円程度と推定されますが、政府は一体やる気があるのかどうか、総理からお答え願いたいのであります。
具体的にお尋ねしたい第二の点は、年間四千億円と言われる東北・上越新幹線、八百億円と言われる青函トンネル、五百億円の本四架橋鉄道などの資本費または借損料をどのように処理されようとしておられるのかということであります。申し上げました三つのプロジェクトの合計は、五千三百億円であります。国鉄の営業からとうてい負担できないことは明らかであります。
さきに申し上げました、住民の反対を押し切って強行されようとしている特定地方交通線廃止による赤字解消額は、約八百億円であります。これに対し、新たな赤字要因となる資本費、借損料は余りにも大きいと言わなければなりません。大きな矛盾を覚えるのであります。この矛盾の解明をお願いしたいのであります。また、資本費、借損料に対しましては特別な配慮が必要だと存じますが、総理のお考えを承りたいのであります。
あわせてこの機会に、青函トンネルについて、少しお尋ねをしておきたいと存じます。
その第一は、青函トンネルにわが国の主権が及ぶのかどうかということであります。
御承知のとおり、青函トンネルは津軽海峡の公海の地下を約十二キロくぐっております。この区域にわが国の主権が及ぶのかどうか明らかにしてもらいたいのであります。
本問題は、昨年、参議院決算委員会で取り上げられ、当時の宮澤官房長官は、わが国の管轄権が、領土におけると同様に全面的に及ぶものと考えられると答弁されておりますが、そのとおりに解して間違いございませんか。もしそうであるとすれば、その根拠をお示し願いたいのであります。
その第二は、青函トンネルの利用計画、管理する省庁、行政区域の設定などであります。
本問題も、昨年、参議院でも取り上げられました。最近では、去る二月、本院の運輸委員会で、わが党の同僚議員が長谷川運輸大臣にただしました。いずれも、今後検討するとの答弁でありました。
トンネルの開通が目前に迫っている今日、このような状態では、行政の怠慢のそしりを免れないものと存じます。この際、総理から明らかにしてもらいたいのであります。
次の質問は、国鉄再建の基本方針についてであります。
政府は、法案の第一条におきまして、昨年七月の臨調答申を尊重することを国鉄再建の基本方針とするとしておられますが、わが党は、残念ながらこれに賛成できないのであります。臨調答申には交通政策がなく、国鉄再建が目的ではなく、国鉄の分割民営が目的であるかのように思われるからであります。
国鉄は、全国ネットワークを形成するわが国の基幹的交通機関であることは、車社会の今日においても不変であります。同時に、国鉄は、一定の限度はあるといたしましても、採算を超えて行わなければならない公共輸送の使命があります。したがって、分割民営化は適当でないのであります。
臨調答申のように島別に分割した場合にどうなるでしょうか。昭和五十六年度決算によりますと、北海道は二千五百七十九億円の赤字であります。四国は四百六十三億、九州は二千百六十一億の赤字となっておるのであります。今後経費節約の諸施策を講ずるといたしましても、なお相当の赤字経営になることは避けられないのであります。このような赤字経営を引き受ける者があるでしょうか。このような事情の中で分割民営を強行すれば、結局のところ公共輸送を放棄することになるのであります。
わが党の国鉄再建の基本方針は、各輸送機関の特性を有効に組み合わせた総合交通体系の中で国鉄の位置づけとその使命を明らかにし、国鉄に経営権を大幅に付与し、地方分権を基本に管理機構を整備することといたしております。
わが国の総合交通体系の確立についての御見解と、分割民営化は至上命令なのかどうか、運輸大臣からお答えいただきたいのであります。
次の問題は、緊急対策十項目についてであります。
政府は、昨年九月二十四日、国鉄再建の緊急対策として、新規採用の停止など十項目を決定し、これを推進しようとしておられます。この問題と、一昨年五月に策定されました経営改善計画、いわゆる三十五万人体制との関係はどのように理解すればよいのか、お伺いしたいのであります。
経営改善計画では、新規採用は全面ストップではなく、退職者の二分の一程度の補充が考えられておりました。それが全面停止ということになれば、当然経営改善計画は改定されなければなりませんが、どのようになっておるのか、運輸大臣からお答え願います。
経営改善計画の改定は検討中であり、当面緊急を要する事項を推進すると言われるのであれば、国鉄再建法の位置づけはどうなるのか、あわせてお答え願いたいのであります。
緊急十項目の中には、永年にわたる慣行の改善とかあるいは労使の合意による諸制度の改正が含まれております。一方的に改正するのではなく、これらは労使間の協議によるべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。運輸大臣からお答えいただきたいと思います。
次は、労使関係についてであります。
国鉄の再建には、国の適切な施策と相まって、当事者である国鉄の労使が再建の意欲を内外に明らかにし、信頼を回復するとともに、国民的な合意を得ることが何よりも重要であると考えます。
特に、正常な労使関係の確立は、国鉄再建には不可欠の要件であります。正常な労使関係の確立は、労使の信頼関係の上に成り立つものであります。もし、正常な労使関係を阻害するような要因があるとすれば、これは、積極的に取り除かれなければなりません。そのために関係者が努力をしなければなりませんが、運輸大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
最後に、国鉄再建監理委員会についてお尋ねします。
監理委員会の所掌事務は、経営形態の検討、長期債務の処理方法、緊急十項目の実施に関することとなっておりますが、これらの諸問題の問題点は、監理委員会の検討を待つまでもなく、余りにも明瞭であります。要は、政府の決断の問題であります。
また、監理委員会の設置は、国鉄の再建を遷延するばかりか、行政の二重化であり、行革の理念にも反すると言わなければなりません。
以上、質問を続けてまいりましたが、終わりに当たり、わが党は国鉄を愛し、国民の足を守る立場から、国鉄再建のために全力を尽くすことを明らかにし、政府は本法案を撤回し、再検討されることを強く要請して、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#21
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 福岡議員の御質問にお答えをいたします。まず、国鉄をこのような危機に追い込んだ責任はどこにあるかという御質問でございますが、御指摘のようにモータリゼーションの進行であるとか、あるいは貨物需要の変化であるとか、大きく時代の変化というものもございますが、やはり大事なことは国鉄が企業性を発揮して適切に対応し得なかった、あるいは労使間の不正常な関係が続き過ぎた、こういう点が指摘されるのではないかと思います。
なお、国鉄の経営努力のみで解決しがたいいわゆる構造的問題につきましては、国鉄自身の経営改善努力を前提として、政府としても助成等の措置を考えなければならないのではないかと思っております。
次に、公共割引の点について御質問をいただきました。
この公共負担の点につきましては、長いいろいろな経緯もございます。したがって、慎重に対処しているところでございます。昭和五十七年七月三十日の臨時行政調査会の答申の趣旨を踏まえまして、適切な措置を講じなければならないと思っております。この臨時行政調査会の答申の趣旨というのは、通学割引等につきましては国として所要の措置を講ずる必要がある、このような趣旨のことを申し述べておる次第でございます。
次に、東北新幹線、上越新幹線、あるいは青函トンネル、本四架橋等の資本費や借損料について、特別な考慮が必要ではないかという御質問でございます。
上越新幹線、東北新幹線は、中長期的に見れば、いずれ黒字に転じ得ることが可能であると考えております。
青函トンネルあるいは本四架橋の問題につきましては、今後、国鉄再建との関連を勘案いたしまして、十分検討する必要があると考えております。これらにつきましては、いずれ本法案の御成立を願いまして、国鉄再建監理委員会におきまして、いろいろ適切な答申を出していただきたいと思っております。
次に、公海下の青函トンネルに主権が及ぶかという御質問でございますが、わが本土から連続して掘削しているこのような場所におきましては、公海の下におきましても、もちろんわが国の領土と同様に管轄権を行使することができるというのが国際法上の解釈でございます。
次に、青函トンネルの利用計画あるいは管理する省庁等について御質問がございました。
青函トンネルは、当面、国鉄在来線としてこれを活用する考え方でございます。しかし、いずれにいたしましても、国家的立場から、さらに広い、もっとよりよき活用の方策を講じていただくべく検討していただくつもりでございます。
青函トンネルを管轄する省庁、行政区域等の問題につきましては、関係各省庁においていま具体的検討を進めていると聞いておる次第でございます。
なお、本法案を撤回する意思はございません。(拍手)
〔国務大臣長谷川峻君登壇〕
#22
○国務大臣(長谷川峻君) お答えいたします。国鉄問題に詳しいあなたから、この法案撤回は困りますから、ぜひひとつ反対しないようにお願いしたいと思います。
一番最初に出た問題でございますけれども、やはり国鉄の経営状態の悪いことはみんな知っているわけであります。これはもう国民全体が心配しているわけでありまして、私たちは、そういう時代の要請に経営者もこたえていかなければならぬし、また、それに働く諸君も一生懸命やってもらいたい、こういうことがこのたびの国鉄監理委員会になったことでありまして、政府としては、この法案ができ次第、五カ年の間に成案を得て実行してまいりたい、こう思っているわけであります。
その間の事情等々については、だんだんに御説明申し上げたいと思います。
なお、詳しいことの一つでございますが、経営改善計画の改定検討中との話がございましたが、現在の国鉄再建法については、本法律案の目指す効率的な経営形態が円滑に確立するために、現行経営形態のもとで可能な限り経営改善措置を講ずることがきわめて重大であるということでありまして、現行国鉄再建法に基づいて、経営改善計画の枠組みの中において、現在できる限り緊急措置を講じているところであります。
一番大事な国鉄再建には、労使の信頼が大事ではないかという話がありますが、そのとおりでございます。問題は、共通の認識を持った上で、その姿勢を正して、労使協力して、各般の経営改善の施策に一層の努力をして、国民の批判にこたえていただきたい。こういうときに、国鉄の組合の中に何か警察官が入ったというふうなことなどは、大変私は残念なことだ。こういう信頼感を得ることこそ大事なことじゃなかろうか、こう考えているものであります。
なお、この監理委員会その他の問題につきましては、この監理委員会の結論を得た上で、適当に対処してまいる、こういう考えでございます。(拍手)
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#23
○議長(福田一君) 西中清君。〔西中清君登壇〕
#24
○西中清君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま説明のありました日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案について、総理並びに運輸大臣に質問をいたすものであります。言うまでもなく、国鉄の改革は政治的、国民的な急務の課題であり、行政改革の大きな柱であります。しかし、国鉄の改革推進を求める前に、私は、国鉄を今日このような状態に陥れたこれまでの歴代政府の政治責任について、厳しく反省を求めざるを得ません。
国鉄の財政危機が叫ばれてから十数年が経過し、その間、数次にわたる国鉄再建計画が立案され、実施されてまいりました。しかし、そのすべてが計画半ばで破綻し、国鉄の再建に失敗し、経営を一層悪化させ、破産状態に陥れたことは周知のとおりであります。
計画破綻の原因を幾つか指摘することができますが、その根本原因は、歴代政府が輸送構造の変化に対応する交通政策と適切な国鉄再建対策の確立を怠り、いわば対症療法的な施策を行ってきた点にあります。地方交通線問題、貨物輸送量の低下、年金、退職金問題、そして巨額な累積債務など、いわゆる構造的赤字のすべては、適切な対策を欠いた結果と指摘せざるを得ません。
その意味では、昨年七月に出された臨調答申の内容は、歴代政府の国鉄政策の欠如を厳しく指摘した批判書であると、率直に受けとめるべきであります。
国鉄財政をかくも悪化させた責任は歴代政府が負うべきであり、その責任の所在は明確にされなければなりません。とりわけ、総理は昭和四十二年、第二次佐藤内閣のもとで運輸大臣の職にありました。国鉄経営が赤字決算となったのは三十九年であり、したがって、その当時経営改善のために適切な措置を講じておれば、今日の事態は避けられたと考えられるのであります。それだけに総理は、国鉄経営の今日の状況については強い責任を感じておられると思うのでありますが、総理は、国鉄再建をなし得なかったことをどのように感じ、また、その責任をどのように明らかにするおつもりか、まず伺いたいのであります。(拍手)
次に、本法案の内容について質問いたします。
申すまでもなく、本法案は、昨年七月の臨時行政調査会の第三次答申を受けて国鉄改革を推進するために提案されたものであります。したがって、本法案の第一条に臨調の答申を尊重してと明記したのはそのためでありましょう。
御承知のとおり、臨調答申は、国鉄の経営形態の将来あるべき姿を分割民営としております。ところが、本法案では「効率的な経営形態」という表現を用い、臨調答申の示した方向と違いを持たせています。国鉄の経営形態をどのようにするかは国鉄改革の最も基本問題であるだけに、臨調答申の結論と本法案の表現の違いに不自然の感を抱かざるを得ません。
改革の基本となるべき国鉄の経営形態の将来像は分割民営なのか、それとも別の経営形態を考えるのか、総理並びに運輸大臣の見解を承りたい。また、臨調答申に示された分割民営は堅持するのかどうかについても所見を伺いたいと思います。
次に、本法案の柱となっている国鉄再建監理委員会について伺います。
当委員会は、いわゆる国家行政組織法による八条委員会として、かなり強い権限を持つ委員会として位置づけられております。また、国鉄の改革は政治的、国民的課題であるとともに、その成否いかんは、国家財政や国民生活に多大な影響を及ぼすだけでなく、行政改革を期待する国民の政治への信頼を左右するものであります。
したがって、国鉄改革を推進する監理委員会のメンバーは、すぐれた識見ある人物であることは当然として、広く国民の意見と意向を代弁できる広範な分野の人を選出すべきであると考えます。監理委員会委員の人選についてどのような考えをもって当たるか、総理の意向をお聞かせ願いたい。
次に、国鉄の経営改善のための緊急措置に関して質問いたします。
経営改善のため、臨調答申は十項目の緊急措置を提示し、そのうち一部についてはすでに実施されています。しかし、私は、経営改善に必要な措置が欠けていると思うのであります。それは、国鉄経営の自主性確保であると考えます。御承知のとおり、現在は国鉄の経営に政治や行政が介入し、その自主性を阻害しております。臨調の答申もこの点を明確に指摘しております。
現在の国鉄には、経営の基本であるどこにどのように路線を敷くかを決める権限もありません。また、運賃の水準を決めることも、国の助成金の規模いかんで決定される始末であります。さらに、収益の向上が期待されるホテル、駅ビルを初めとする関連事業への投資や、その事業を広げることについても制限を受け、自主的な経営を行う状況にはありません。これでは、手足を縛って走れと言うに等しいと言わざるを得ません。
国鉄経営の改善を図るには、社会情勢や輸送構造の変化に柔軟に対応できるよう経営の自主性を確立すべきであり、それを阻害する制約を緩和することが必要と考えます。このことこそ、国が緊急に措置すべき課題であると思いますが、総理並びに運輸大臣はいかなる見解をお持ちか、伺いたい。
次に、国鉄経営改善の成否は、その当事者たる国鉄当局並びに労働者の経営改善に取り組む熱意と意欲いかんにかかっていると言っても過言ではありません。しかし、当局の親方日の丸的体質と一部労働者の労働意欲を欠いた姿勢に対して、国民は厳しい目を向けております。また、労使間で目に余る悪慣行が行われていたことに国民は強い批判を浴びせ、経営悪化の原因とさえ指摘しているのであります。この点について、運輸大臣は、こうした国民の批判に対しどのように考え、また、労使の体質改善のためどのような措置をとるのか伺いたいと思います。
なお、少なくとも仲裁裁定については、労働基本権の制約に対する代償措置として、その完全実施を確約すべきであり、また、現場協議制度は労使紛争の平和的解決の場として維持し、その運営の正常化に努めるなど、労使が協力して経営改善に取り組む意欲が起こるような措置をとるべきであります。この件については、総理並びに運輸大臣の所見を承りたい。
次いで、地方交通線問題について伺います。
この問題は、現行の国鉄経営改善計画の重要な柱として六十年度までに転換を実施するとしていますが、現状では計画どおりに転換実施することは不可能であると断ぜざるを得ません。なぜならば、特定地方交通線の第一次予定線区が承認申請されてから二年が経過しておりますが、対象路線の関係自治体及び地域住民の廃止反対の意向が根強く、転換が図られたもの一線区、計画が進んでいるもの一線区のわずか二線区にすぎません。
その理由は、関係自治体等がその路線を引き受けて、転換交付金や補助金を受け入れても、赤字を出すことが必至であると考えていること、また、バスに転換しても、冬季の運行が不可能となり、陸の孤島となる地域まで廃止対象となっていることなど、廃止に対する住民感情を差し引いても、なおその選定のあり方等に問題があるからであります。
転換交付金や補助金の内容、交付方法を見直すことはもとより、単に輸送量のみを選定の基準とした誤りを認め、気象、地象、地域産業、そして他の交通機関との関連などを加味した選定基準に改めるべきと考えます。また、地域の交通サービスの水準を維持するにはどうするかの視点を欠き、一方的に路線転換を進めるのでは、地域の反発を強めるだけだと思います。運輸大臣の見解を求めるものであります。
最後に、青函トンネルの隧道貫通に伴い、将来、国鉄がそれを使用するときの借料問題が生じております。すでに開業している上越新幹線の借料一千億円、やがて開通する本四架橋の借料七百億円、それにこの青函トンネルの借料八百億円を合わせると、国鉄は、年間二千五百億円という大きな負担を抱えることになります。国策上必要とする公共事業の使用費をそのまま国鉄に負担させるのではなく、何らかの措置を国として講ずべきであると思います。
なお、このほかに新幹線の整備五線の計画もありますが、これらの大型プロジェクトは、いずれも高度成長時代に計画されたものであり、現在の経済財政事情と計画とは余りにも乖離していると思います。私は、大型プロジェクト、とりわけ交通網の整備のあり方については、投資効果等を十分勘案し、その順位をどのようにするか、さらに、将来それが必要かどうかなど、改めて検討すべきときに来ていると存じます。
この点について、総理並びに運輸大臣の所見を求め、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 西中議員の御質問にお答えをいたします。まず、国鉄再建の失敗の根本原因は何であるかという御質問でございます。
いままで、たしか国鉄が始まってから六回目の改革案だろうと思いますが、いずれにせよ、この長い間に再建が成功しなかったことははなはだ遺憾でございます。いろいろ事情はございますが、先ほど申し上げましたように、モータリゼーションとか貨物事情の変化とかいろいろありますが、やはり国鉄が十分に企業性を発揮して適切に対応し得なかった、あるいは労使関係の不正常化が続き過ぎた、こういうようなことが指摘されるのではないかと思います。国鉄の経営努力だけでは克服できないいわゆる構造的諸問題につきましては、国鉄自身の徹底した経営改善努力を前提といたしまして、政府としても何らかの措置を講じなければならないと思っております。
国鉄経営形態は分割民営かどうかという御質問でございますが、国鉄監理委員会設置法に基づきまして、もしこの監理委員会ができます場合には、臨調答申に述べられました分割民営化の方向で検討が行われるものと考えております。
要するにこの臨調答申の趣旨は、公社等につきましては予算統制をできるだけ排除して経営の主体性を確立するということと、それから労使関係、同じようにこれは主体性を確立して、いわゆる労働権を回復して、両方責任を持つ体制をつくらせるというのがねらいであると私は思っておりまして、このねらいは妥当であると考えております。いずれにしても政府としては、新しくできまするこの委員会の意見を受けて適切に対処してまいりたいと考えております。
この監理委員会の人選について御質問がございましたが、御指摘のように幅広い国民的見識を持っていらっしゃる方で、しかも国鉄改革に熱意を持ち、推進力を持っておる方であり、かつ労使関係について深い理解と識見を持っておる方が好ましいと考えております。具体的な人選につきましては、この法律案の成立を待って速やかに決定いたしたいと思います。
次に、国鉄経営改善のために柔軟な、時代に対応できるような経営の自主性を確立する必要があるのではないかという御質問でございます。
いままで国鉄の主体的経営と弾力性を回復するためには、昭和五十二年に運賃法定制の緩和あるいは投資対象事業を拡大した等々の法律改正も行ってやってきたところでございます。今後国鉄におきましては、経済社会情勢、輸送構造の変化に対して十分企業性を発揮するように努力することが必要であると考えております。
なお、仲裁裁定の実施あるいはそのほかの運営の正常化等について御質問がございましたが、何といっても当面の問題は、経営を弾力的に推進していくというとと、職場規律の確率と労使関係の正常化、健全化ということが必要であると考えております。
上越新幹線、本四架橋、青函トンネル等について、国として何らかの措置を必要としないかという御質問でございます。
上越新幹線につきましては、当面収支は赤字を余儀なくさせられますけれども、中長期的には黒字に転ずる可能性もあると考えております。
青函トンネルや本四架橋の完成後の運営のあり方については、国鉄再建との関連を勘案しつつ十分検討する必要があると思います。
なお、整備新幹線の問題につきましては、昨年九月二十四日の閣議決定におきまして、当面見合わせることとしております。長期的には国土の均衡ある発展に資するプロジェクトとしてその推進が望まれておりますけれども、当面は、国及び国鉄の厳しい状況に十分配慮して対処せざるを得ないと考えております。
残余の質問は、運輸大臣より答弁いたします。(拍手)
〔国務大臣長谷川峻君登壇〕
#26
○国務大臣(長谷川峻君) 分割民営の話が出ましたが、先ほど社会党の福岡君、答弁漏れありましたから、御一緒に御答弁申し上げます。臨調の答申は分割民営、これを最大限に尊重していくというのがわれわれの立場でございます。しかし、それはやはり国鉄の経営形態について、委員会において、まず臨調答申に述べられたこの方針で検討が行われるのが第一番だろう、こう思います。
しかし、具体的かつ十分な検討が加えられた結果、分割民営化を採用しがたいというふうな特段の合理的な事由があると判断されるに至った場合には、答申の目指す経営の効率化と、さらにまた活性化が図られるようなことであるならば、ある場合には別な選択がなされることも全くあり得ないということじゃなかろうと考えておりますが、いずれにいたしましても、政府といたしましては、監理委員会の意見を受けて、それを適切に実行してまいるつもりでございます。
さらに、先ほど国鉄当局の親方日の丸的体質等々の御批判等々がございましたが、何といたしましても、私たちは国鉄労使の体質改善については、閣議決定に基づいておりますところの、職場規律の確立とか、そういう諸般の問題に対してしっかりいま取り組んでもらっておりますが、こういう実績をお示しいただきながら、国会の場においても、国鉄問題に対してはっきりした、応援する態勢が生まれるならば幸せであると同時に、今後とも労使が、本当に現在の国鉄の経営に対して、危機的な状況であるということをはっきり御認識いただきながら、国民の前にはっきりした姿勢を示してもらいたい、こう思っているところであります。
仲裁裁定のお話等は、総理大臣からも御答弁がございましたが、これはいまも申しましたように、労使関係の健全化を図ることが重要な問題でございますし、そういう中において、職員の勤労意欲を喚起する、信賞必罰の体制の確立などと取り組んでいくことが大事なことじゃなかろうかと思います。
地方交通線の問題に対して、だんだんの御議論がありましたが、何といたしましても、いまモータリゼーションによって、地方にはお客さんの乗らない鉄道が走っているということで、第一次選定線のことなどをやったのですが、現在のところ、会議開始希望日の到来している三十八線については、すべて会議が開催されて、転換に向けての協議が進められているところでありまして、いずれにいたしましても、地元の意見を十分反映した転換措置を講じてまいりたい、こう思っているところであります。
上越新幹線、本四架橋あるいは青函トンネル等々につきましては、総理からも御答弁がありましたので、省かしていただきます。(拍手)
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#27
○議長(福田一君) 小渕正義君。〔議長退席、副議長着席〕
〔小渕正義君登壇〕
#28
○小渕正義君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案に関して、総理並びに関係大臣に対して質問を行うものであります。御承知のとおり、いまや国鉄の経営は、危機的状況を通り越して破産状態にあり、一日も早い再建が強く求められています。すなわち、国鉄の赤字は五十七年度で一兆三千八百五十三億円、五十八年度では一兆六千八百九十億円と見込まれており、五十七年度末における累積赤字は八兆九千七百二十一億円に達するとされているのであります。
また、累積赤字を含めた長期債務は、五十七年度末で十八兆四千四十億円に上り、五十八年度の支払い金利総額は一兆四千二百七十四億円に及ばんとしております。しかも、このうち三千四百五十七億円は棚上げされた債務に対する金利であり、全額政府が支払っているものであります。
つまり国鉄は、政府から財投資金等を借り入れながら、支払いができなくなった分については棚上げをしてもらい、その金利は政府に支払わせるという泥沼の経営状態に陥っているのであります。これに加え、退職者の増大に伴い、いわゆる特定退職金や特定年金の負担が急増し、国鉄経営を一層圧迫しております。
特に国鉄共済年金は、加速度的に収支状況が悪化しており、昭和六十二年には積立金も底をついて、破綻を迎えることが確実となっております。
このように、国鉄の経営は文字どおり破産状態に直面しているにもかかわらず、国鉄労使の状況認識や再建への努力は、依然として不十分と言わざるを得ないのであります。昨年来、新規採用の停止、職場総点検と現場協議制の改定、無料乗車証の廃止等の措置が実施され、やみ休暇ややみ超勤、ポカ休や時間内の組合活動等は減少しているとはいえ、国鉄の現状に対する認識は、労使ともに依然として甘いのが現実であります。
特に、労務政策の変更を求めると称して先日実行された国労のいわゆる順法闘争は、国鉄が国民の多大な負担によって維持されているという厳正な事実を忘れ、みずからのエゴのみを押し通そうとする行為であります。国鉄当局は、これに毅然として対処するとともに、一部労働組合のこのような姿勢を早急に改めさせなければなりません。(拍手)
以上申し述べましたように、いまや国鉄は、その経営の面でも、職場規律の面でも、決定的な行き詰まりを見せており、抜本的な改革が一刻も早く求められているのであります。臨調の国鉄改革に対する答申は、まさにこうした認識に立って策定されたものであります。
答申は、国鉄を破産状態にあると規定し、これを改革するには、公社制度をやめ、国鉄を分割して特殊会社とし、条件が整ったものから逐次民営化するという思い切った方向を打ち出しました。そして、国鉄改革の具体的な方法を決定するかなめの機関として、国鉄再建監理委員会の設置を求めているのであります。
わが党は、こうした臨調答申を基本的に評価し、国鉄改革を強力に推進するよう主張してまいりましたが、私は、かかる方針を踏まえ、国鉄改革を推進する立場に立って、以下の諸点について御質問をいたします。
まず第一は、政府の国鉄再建に対する基本的認識についてであります。
今日の国鉄の経営破綻の原因は、政府の総合交通政策の欠落であり、また、我田引鉄と言われる採算性無視の設備投資であり、また、時宜を得た適切な財政措置の欠如等に起因するものであります。まさに、今日までの政府の責任と言わぎるを得ません。国鉄再建の第一歩は、まず政府みずからがこれらの原因とその責任を厳粛に受けとめることから始めなければならないと思います。この点に対する総理の認識はいかがなものか、お尋ねをいたします。
次に、政府の国鉄改革に対する基本方針についてであります。
本法律案は、第一条において「国は、臨時行政調査会の答申を尊重して日本国有鉄道の経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制を整備すること」と規定しております。言うまでもなく臨調答申の基本方向は、国鉄を分割して特殊会社とし、逐次これを民営化していくというものであります。本法律案の第一条において臨調答申の尊重を規定したことは、国鉄改革についての政府の基本方針が国鉄の分割民営化を基調として進められるものかどうか、この点について総理の明快な御答弁をいただきたいと思います。
第二は、再建監理委員会の性格についてであります。
法律案は、第二条において「国は、前条に規定する体制整備を図るため、必要な施策を講ずる」とし、これを受けて第四条において、「第二条の国の施策の策定に資するため、国鉄再建監理委員会を置く」と定めております。すなわち、監理委員会は臨調答申を尊重し、国鉄の分割民営化を前提としてその具体的方法を検討、決定するための委員会であるのか、あるいはまた、場合によっては国鉄の経営形態に関しこれと異なる結論を出す余地もあり得るのかどうか、この点についての御答弁を求めるものであります。
第三は、国鉄再建関係閣僚会議と監理委員会との関係についてであります。
政府は、昨年九月に再建閣僚会議の設置を決定いたしましたが、この閣僚会議と監理委員会との関係及び両者の位置づけはどのようになるのでありましょうか。相互の見解や決定が異なるような場合には、だれがどのような方法でその調整を図るのか、この点について政府の方針をはっきり明示願いたいと思います。
第四は、監理委員会の委員の選定についてであります。
再建監理委員会が国鉄改革を推進するかなめとして、権威と実力を持って改革の具体的方法を決定するためには、これにふさわしい委員長と委員を選任しなければなりません。本法律案では「優れた識見を有する者のうちから、任命する。」と抽象的に規定されておりますが、識見と同時に、実力や社会的影響力を兼ね備えた人材を、民間等を中心に幅広い分野から選出することが最も肝要であります。と同時に、臨調答申を尊重し、この線に沿って国鉄改革を進めようとしている人物であることが条件となると考えますが、委員長並びに委員の選定に関し、総理はどのような基準をもって臨もうとされているのか、その見解を伺うものであります。
第五は、監理委員会の事務局の構成についてであります。
監理委員会の実務を日常的に担当するのは事務局であり、どのような方針で事務局を構成するかは委員会の実務を左右する重要な問題でもあります。私は、特定官庁に偏することなく、関係官庁から均衡をもって事務局を選出するとともに、民鉄等を中心に広く民間からも事務局へ参加させるべきであると考えますが、(拍手)事務局の選定に関する政府の方針をお示しいただきたいと存じます。
第六は、監理委員会の期限についてであります。
法律案は「第一条に規定する体制整備を図るための施策は、昭和六十二年七月三十一日までに講ぜられるものとする。」としておりますが、監理委員会は、この時期までにその使命を果たし、解散するということなのでありましょうか。またその際、臨調の後を受ける行革推進委員会のように継続的に国鉄改革を監視していく機関が必要と思われますが、この点に対する行管庁長官の見解をお尋ねいたします。
最後に、国鉄改革に対する総理の決意についてであります。
法律案は、第六条において「内閣総理大臣は、委員会からの意見を受けたときは、これを尊重しなければならない。」としておりますが、いわばこれは精神規定であります。しかし、国鉄の置かれた現状をかんがみれば、総理はさまざまな圧力や抵抗を排除し、委員会の意見、決定を全面的に尊重して、国鉄改革を強力に進進しなければなりません。いまや国鉄改革は国家的な課題であり、政治が勇断を持って進めなければならない重大な問題であります。(拍手)監理委員会の決定尊重と、国鉄改革推進に対する総理の明快なる御決意をお示しいただきたいと思います。
私は、国鉄改革を推進する立場に立って以上の諸点についてお尋ねいたしましたが、これに対する政府の誠意ある御答弁を期待し、質問を終わるものであります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇]
#29
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 小渕議員の御質問にお答えをいたします。小渕議員のお考えにはおおむね同感の点が多いように拝聴いたしました。
まず、国鉄経営破綻を起こした大きな責任はどこにあるかという御質問でございますが、先ほど来申し上げましたように、モータリゼーションの進行や貨物事情の変化、そのほかの時代の変化に厳しく対応する力を失っておりました。その意味におきまして、国鉄は、企業性を発揮して適切に対処していくということが大事であると思います。特にまた、労使関係が不正常な時期が余りにも長過ぎた、そういう点も指摘されなければならないと思います。
国鉄の経営努力のみでは解決し得ないいわゆる構造的問題につきましては、先ほど申し上げましたように、国鉄自身の努力を前提として、政府も助成等の措置を将来考えざるを得ないであろうと考えております。
次に、今度の国鉄改革は民営分割化することかという御質問でございますが、政府は臨時行政調査会の答申を最大限に尊重するということを申しており、また国鉄再建監理委員会設置法におきましても、この臨調答申の趣旨を踏まえて行う旨が書かれております。そして、五年以内に事業再建の全体構想を設定して、実現を図る方針でこの監理委員会は機能するわけでございます。
国鉄の経営形態のあり方につきましては、監理委員会におきまして詳細な検討がこのような方法に基づいて行われるものと期待をしております。政府としては、同委員会の結論を踏まえまして適切に対処してまいり、勇断をふるって必要あらば実行してまいりたいと考えております。
委員の選任について御質問がございますが、先ほど来申し上げておりますように、国民的な幅の広い視野を持った方で、しかも経営について見識を持ち、労使関係につきましても深い理解と見識を持ち、情熱と推進力を持っておる方が望ましいと考えておりまして、法律案の成立を待って速やかに決定いたしたいと思います。
次に、この再建監理委員会の決定を尊重して国鉄改革を推進すべし、このように御指摘いただきましたが、もとより同感でございまして委員会の意見につきましては、最大限に尊重して所要の施策を強力に推進する決意でございます。
残余の問題点は、関係大臣より御答弁申し上げます。(拍手)
〔国務大臣長谷川峻君登壇〕
#30
○国務大臣(長谷川峻君) 国鉄の危機的状況についての御認識、御見解に心から敬意を払います。私たちも、そういうつもりで懸命にこの国鉄再建法案の御審議をお願いしておるわけであります。そこで、分割民営という話がありましたが、何といたしましても、臨調の答申を最大限に尊重するというのが政府の姿勢でございます。それは、要するに国鉄を活性化し、そしてまた経済的に国民の信頼を得るようにしよう、こういうことでございまして、しかし、何かほかに方法があればまた別でございますが、そんなことがこの監理委員会において論ぜられること、こう思っているわけであります。
それから、国鉄再建監理委員会と国鉄再建関係閣僚会議の関係いかんということでございますが、これは車の両輪でございまして、車の両輪をよくやって、それを総理大臣に御意見を申し上げ、そしてまた実効を期してまいりたい、こう思っております。
国鉄監理委員会の人選については総理からのお話がありましたが、職員等々のお話がありましたが、職員につきましても、効率的にとにかく事務を遂行していくという観点も含めまして、いろいろ御指摘の点などもよく考慮して人選などに当たってまいりたい、こう思っております。(拍手)
〔国務大臣齋藤邦吉君登壇〕
#31
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げます。国鉄再建監理委員会の任務終了後の体制についてのお尋ねでございますが、政府といたしましては、五年以内に所要の施策を講ずるようにしなければならない、その必要があると考えておるわけでございますので、その後において監視機関のごとき機構をつくるという考えは持っておりません。(拍手)
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#32
○副議長(岡田春夫君) 四ッ谷光子君。〔四ッ谷光子君登壇〕
#33
○四ッ谷光子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法案について、総理並びに運輸大臣に質問いたします。言うまでもなく国鉄は、日本国有鉄道法第一条に明確に規定されているように、公共の福祉の増進を目的としているわが国唯一の公共大量輸送機関です。国鉄の公共性を守り、一層充実させるのか、それともこれを否定するのか、これが国鉄改革の試金石であります。総理、あなたは国鉄法第一条の規定を遵守されるのかどうか、まず伺っておきます。
以下、具体的に質問いたします。
第一は、本法案に示された政府の驚くべき無責任さについてです。
臨調答申は、はっきりと国鉄の分割民営化、その解体処分を打ち出しています。そのこと自体許しがたいことですが、政府の方針は一体どうなのか、法案には具体的には何も書かれていないではありませんか。本法案によって分割民営化をあくまで強行するのか、それとも公社形態を存続させる方向もあり得るのか、はっきりとお答え願います。
政府は、国鉄問題の最大の焦点である九兆円に上る赤字と、十八兆円を超える膨大な長期債務対策も、すべて国鉄監理委員会任せです。監理委員会の答申次第では、国がその相当部分を肩がわりすることもあり得るのか。そうであるならば、なぜいま実行に移さないのですか。政府の方針と責任を一切あいまいにしたまま、土光臨調の密室審議にならって、利用者である国民の声も国鉄労働者の意見も全く聞かずに、財界中心に構成される監理委員会にすべて任せるということなのですか。御答弁を求めます。(拍手)
第二に、国鉄の分割民営化が持つ重大な意味についてであります。
国鉄が地域ごとに分割されたらどうなるのか。北海道を初め、東北、四国、九州には黒字の路線は一つもありません。北海道や四国を独立させてみても絶対に経営が成り立たないことは火を見るよりも明らかであります。ところが、臨調答申は、それぞれに独立させた分割会社の採算がどうして成り立つのか一言もその根拠を示さず、無責任さをみずから暴露していますが、総理はいかがですか。すべての分割民営会社の経営が成り立つという根拠をもしお持ちならば、ここではっきりと示していただきたいのであります。(拍手)
経営が成り立たなければレールが次々とはがされていくことは、民営鉄道における不採算路線廃止の歴史がすでに証明しています。ローカル線にとどまらず、幹線網の廃止にまで進むであろうことは、当然予想されるところです。総理は、このような鉄道網の崩壊を座視されるおつもりなのでしょうか。
ところで、政府や臨調は、大手私鉄を鉄道経営のお手本のように言っていますが、本当に国鉄改革のモデルたり得るのでしょうか。もうかる路線だけの営業とか不動産業を初め、関連事業のもうけを保証するための鉄道事業というのが私鉄経営の本質であり、またその限界ではないでしょうか。京成電鉄に典型的に見られるように、売れもしない土地をむやみやたらに買いあさり、経営破綻のツケを鉄道利用者にかぶせることまでしています。赤字を理由に、設備改善などの利用者サービスは全く放置したままではありませんか。
しかも、大手私鉄各社は、国会でわが党が厳しく追及してやめさせるまで、自民党などへの政治献金を運賃査定の原価に上乗せして、おくめんもなく利用者に負担させていたのであります。(発言する者あり)国鉄にこのようなまねをせよと言うのですか。
公共性を持った経営体が、国民に奉仕するという使命感を持って運営されてこそ、国民の福祉向上に積極的に貢献することができるのであります。(拍手)これは、私企業の採算だけを考えた経営では絶対にできないことです。総理、あなたは、国鉄でなければできない大切な役割りがあることをお認めにならないのですか、はっきりと御答弁を願います。
第三に、国鉄赤字の重大原因である膨大な浪費についてであります。
最近の東北・上越新幹線の開業や青函トンネル問題は、政府・自民党による過剰投資の押しつけこそが、国鉄赤字の最大原因であることを白日のもとにさらしました。東北・上越両新幹線は、巨額の赤字を抱えた国鉄に年間実に四千億円の新たな赤字を上乗せし、青函トンネルが開通すればさらに九百億円以上の新たな赤字が見込まれるのであります。
十年前、当時の田中自民党内閣は、無謀きわまる日本列島改造論を根拠にしで、それまでは十年間に三兆七千億円が限度とされていた国鉄の投資規模を、一挙に十兆五千億円に拡大しました。幻の需要予測に基づき東北、上越、成田の新幹線計画を次々と推し進め、青函トンネルに続き、本四架橋の三本同時着工まで強行いたしました。
しかも、第一次石油危機によって高度成長政策が完全に破綻した後でも、設備投資の減量を行うどころか、インフレと相まって計画当初に比べ三倍半以上にもふくれ上がった建設費をそのまま追認し、借金に次ぐ借金で投資を続けさせてきたのであります。
このような無責任投資のもととなった全国新幹線整備法を議員立法でつくったのは、ほかならぬ当時の田中角榮幹事長に率いられた自民党ではありませんか。(拍手)しかも、とれに基づき東北、上越、成田の新幹線建設を命令したのは自民党政府ではありませんか。投資の採算性や輸送需要の見込みなどを全く無視した新幹線建設が今日の国鉄赤字の最大原因であることを正直にお認めになりますか。(拍手)その責任を明らかにしてこそ、初めて国鉄再建の第一歩が踏み出せるのではありませんか。総理の御答弁を求めます。
このような過剰投資と浪費の根底には、常に国鉄を大企業のもうけのために役立てるという財界の強い意思が働いていたことは言うまでもありません。天下りや工事発注によるうまみを吸い上げようとする運輸省、国鉄の高級官僚、自民党政治家の思惑が、この財界奉仕を加速したのにほかなりません。国鉄をめぐる政財官の癒着を断ち切ることは、国鉄再建にとっての急務であります。この点で私は、国鉄が政府機関でありながら、財界の総本山、経団連に正規のメンバーとして加入していることを厳しく指弾いたします。国鉄と財界のくされ縁を断ち切るために、経団連からの脱退を強く要求いたします。(拍手)
第四に、国鉄の国民本位の再建方向についてであります。
私は、昨年九月、ヨーロッパの幾つかの国々の国鉄政策の実態を調査してきました。どこの国でも国鉄を大切に扱っているのが大きな特徴です。
フランスのミッテラン政権は、国鉄を公共交通の中心に位置づけ、ローカル線廃止の見直しに着手をしています。オーストリア政府も、国鉄を国民の足として、また物流確保のため、赤字でも積極的に国が保証することを基本的姿勢としています。大胆な運賃割引で二〇%もの乗客を取り戻したスウェーデンでは、運輸省首脳が、運賃値下げ政策は成功した、今後も続けると語っていました。国鉄の公共負担や、線路、停車場などの基礎施設の建設、改良費を国が負担するということは、ヨーロッパでは常識になっています。わが国もこれらヨーロッパ諸国の教訓に学び、国有鉄道にふさわしい財政の仕組みを確立し、国鉄の赤字たれ流し体質を根本的に改善すべきであります。総理の御答弁を求めます。(拍手)
国鉄の分割民営化は、国鉄危機をつくり出した政府・自民党や財界、大企業の責任をみずから免罪し、甘い汁を吸える部分は残らず食いちぎり、国鉄を最後の最後まで食い物にしようということにほかなりません。しかも、公企業の第一義的存在理由である国民への奉仕、公共性を葬り去るという点でも、まさしく財界による国鉄解体処分ではありませんか。
日本共産党は、このような反国民的な国鉄改革を推進する本法案の撤回を断固として要求するものであります。(拍手)あわせて、国が経営に責任を持つ国有企業の形態を守り抜き、国鉄を真に国民の足として発展させるため奮闘する決意を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣中曽根康弘君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(中曽根康弘君) 四ッ谷議員にお答えをいたします。国鉄の公共性について御質問がございました。もとより国鉄は公共輸送機関でございまして、国民にとって必要な輸送手段でございます。この点はよく認識しているところでございます。
この分割会社の経営が成り立つ根拠があるか、こういう御質問でございますが、先ほど来申し上げますように、国鉄再建の一つのポイントは、政府の過剰な予算統制をできるだけ排除する、そうして経営の主体性を確立する、また、労使関係におきましても、主体性と責任を回復して、特に労使関係の現在の不正常な関係を速やかに改革していくということ、さらに簡素効率化を徹底して行う、こういう点がポイントであると思っておりまして、その方向は、臨調は分割民営化という方向を打ち出してきておるわけでございます。監理委員会の設置によるこの成案につきましては、われわれは全面的に尊重してこれを実行していきたいと考えておるところであります。
次に、大手私鉄をモデルにしている国鉄のやり方、再建という考えはどうであろうかという御質問でございますが、国鉄は、都市間、それから大都市圏内の旅客輸送及び大量定型貨物輸送を主とした任務として、いま効用しているところでございます。基幹的な日本の輸送機関としての公共的使命を持っておることは、もとよりでございます。しかし、この公共性を今後とも発揮するためには、民営的手法を大幅に取り入れるとともに、経営の徹底的な合理化、労使関係の改善を必要としておると考えております。
新幹線計画について、いろいろ御批判をいただきましたが、何か新幹線を悪と考えていらっしゃるように思いますが、(発言する者あり)これはお門違いではないかと思います。新幹線をつくったのが財界であるとかいうお話の模様でございますが、新幹線は、住民の強い御要望に基づいてつくっておるのでございます。(拍手)やはりこれらの住民の強い御要望に政治は耳を傾ける必要があると思っております。問題は、石油危機によりまして世界的な構造的な不況が襲ったために現在のようなことになっておるのでありまして、できるだけ住民の御要望をかなえてやりたいというのは、民主政治の基本ではないかと考えておるところであります。(拍手)
なお、設備投資にかかる資本費負担につきましては、政府としては助成等の措置を講じておりますが、今後とも資本設備投資につきましては、投資の効率化を図り、国鉄経営を圧迫する要因とならないように努めてまいるつもりであります。
国鉄経営についてヨーロッパ諸国の先例を学ぶ必要はないかということでありますが、いま国鉄は輸送機関としての独占性が失われているということを銘記すべきであります。そういう意味におきまして、民営的手法を取り入れるということは非常に重要である。大量、高速のサービス、しかも徹底的な経営の改善に取り組むというようなやり方でやりまして、国鉄はみずから立ち上がっていただきたいとも考えております。政府といたしましても、必要な助成措置は講じておるところでございます。
なお、国鉄の線路等基礎施設の投資費用につきましては、財政投融資資金等を活用いたしておりまして、設備投資に係る国鉄の負担を軽減するため、工事費補助金等の助成措置を講じておるところでございます。
本法案を撤回する意思はございません。
残余の質問は、担当大臣から御答弁いたします。(拍手)
〔国務大臣長谷川峻君登壇〕
#35
○国務大臣(長谷川峻君) お答えします。国鉄が危機的状況であることは、国民全部が心配していることでありますから、今度の法案によって、何とか再建監理委員会によって実効あるものをつくりたい、こういうことでございます。
分割民営というのは最大限に尊重しながら、そういう効果をどこに生み出すかというところを御審議いただく、こういうことでございます。
長期債務につきましては、この委員会において御審議の間に出てくる問題である、こう思っております。
それから、国鉄再建監理委員会の構成に財界人中心という話がありますが、そういう考えはありません。それぞれの権威者をお願いしたい、こう思っております。
さらにまた、経団連に国鉄がメンバーになっているのはけしからぬということでございますが、これは各政府機関がみんな経団連の会員になっております。いわんや民間的手法を学ばなければならぬというときでございますから、そんなところで交流することは一向差し支えないことだ、こう思っております。(拍手)
#36
○副議長(岡田春夫君) これにて質疑は終了いたしました。────◇─────
#37
○副議長(岡田春夫君) 本日は、これにて散会いたします。午後三時二十三分散会