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#1
第096回国会 エネルギー対策特別委員会 第4号
昭和五十七年五月十二日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         森下  泰君
    理 事
                岩上 二郎君
                亀井 久興君
                藤田  進君
                中尾 辰義君
                小笠原貞子君
    委 員
                岩動 道行君
                大島 友治君
                川原新次郎君
                熊谷太三郎君
                高橋 圭三君
                降矢 敬義君
                前田 勲男君
                阿具根 登君
                小柳  勇君
                対馬 孝且君
                高木健太郎君
   政府委員
       経済企画庁総合
       計画局審議官兼
       物価局審議官   川合 英一君
       科学技術庁長官
       官房審議官    高岡 敬展君
       通商産業政務次
       官        真鍋 賢二君
       工業技術院長   石坂 誠一君
       資源エネルギー
       庁長官      小松 国男君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        高橋  宏君
       資源エネルギー
       庁石油部長    野々内 隆君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    福川 伸次君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  川崎  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
    説明員
       警察庁刑事局審
       議官       大堀太千男君
       科学技術庁計画
       局資源課長    井上 市郎君
       科学技術庁原子
       力局技術振興課
       長        田村 修二君
       林野庁指導部間
       伐対策室長    依田 和夫君
       林野庁指導部研
       究普及課長    今村 清光君
       通商産業大臣官
       房参事官     檜山 博昭君
       運輸省海運局次
       長        富田 長治君
   参考人
       日本原子力研究
       所理事      森   茂君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○エネルギー対策樹立に関する調査
 (エネルギー対策樹立に関する件)
 (核融合・木質エネルギー問題に関する件)
○エネルギー対策樹立に関する調査報告書に関す
 る件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(森下泰君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 エネルギー対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に日本原子力研究所理事森茂君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(森下泰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(森下泰君) エネルギー対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○対馬孝且君 きょうは、大臣が外国に諸目的のために行っておりますし、限られた時間でありますから、当委員会で十四日に私は申し上げておりますが、最終的に四月二十一日に長期エネルギーの需給見通しが発表になりましたので、その点についてまず伺います。
 今回の見通しは、五十四年八月の長期エネルギー需給暫定見通しを改定したものでありますが、暫定見通しに比べますと、エネルギーの総需要を抑えることはもちろん、石油、原子力及び新エネルギーの供給量が下方修正をされております。
 主な問題点でございますけれども、前回は、経済成長率に合わせてエネルギーの需要の伸びを高目に見込んでおりましたが、石油の供給量は一方では制約をされている。こういう無理な点から判断をいたしまして、原子力を初めとする石油代替エネルギーの開発を急ぐという内容が五十四年八月の暫定見通しには出ている。供給は、石油換算でございますけれども、暫定見通しでは昭和六十五年度七億キロリッターであった。それが、今回出されたのでは五億九千万キロリッターに落としてあるわけです。
 そこで、問題は何かと言いますと、私は、暫定見通しについて当委員会で前回も大臣の考え方をただしています。いわゆる代替エネルギーの開発を急ぐべきである、これを落とすべきではない、この姿勢をこの前ただしてまいったら、全く同感だ、その姿勢でこれから代替エネルギーを促進していきたいと。また、むしろ強化拡大をしていくという考え方が出されたのです。ところが、実際にこの見通しを見ますと、これは違っているんじゃないですか。六十五年度を基準にしましても、これでいきますと、実際問題としては、代替エネルギーは二・五%、五十四年八月の暫定見通しでいきますと五・五、こうなっていますね。
 これは、十四日の委員会で大臣がお答えされた趣旨と違うが、基本的な姿勢はどうなのか、この点をまず冒頭にお伺いしたいと思います。
#6
○政府委員(小松国男君) いま先生からお話のございました数字は、代替エネルギーといいますか、恐らく新エネルギーの数字ではないかというふうに思いますが、新エネルギーの数字は、旧暫定見通しでは原油換算で三千八百五十万キロリットルを見込んでおったのですが、今回の見通しではそれが千五百万キロリットルと相当落ち込んでおりますし、全体の中の比率も、先生の御指摘のように、五・五%というのが二・五%に落ち込んでおるという状況でございます。
 ただ、全体といたしまして、ここ二年ぐらい、石油需要を含むエネルギー需要というのが全体的に低下傾向にございますので、そういう意味でまず、旧暫定見通し七億キロリットルに対しまして今回は五・九億と全体の数字が減ったわけでございますが、その中でさらに、石油を初めとして、それぞれの代替エネルギーの開発導入目標、供給目標、こういうものも総体的に全部落ち込んできたわけです。特に、この前つくりましてからすでに二、三年を経過いたしまして、現段階で見た場合に、石油の価格それ自身につきましても現在かなり低迷を続けておる、こういう中で昭和六十五年度というのがもう近い事態になってまいりましたので、こういう状況を踏まえまして、私どもとしては改めて原子力、石炭、天然ガス、それからその他のいまの新エネルギー開発、こういうものについて数字を見直したわけでございます。
 そういう観点で、六十五年に実際に石油と十分対抗する価格で市場に供給できる数字がどうなるか、これを見直した結果、新エネルギーにつきましては、旧暫定見通しの三千八百五十万キロリットルに対して千五百万キロリットル、こういうふうに数字が実際には小さくなってしまったということでございます。ただ、これをもって私どもの、石油依存度の高い脆弱なエネルギー構造を変えていくために他の代替エネルギーの開発導入を積極的に進めていくという姿勢が変わったわけではございませんで、むしろ従来以上にいまこういう面では力を注ぎたいと思っているわけです。
 そういう観点でこういう数字を出したわけですが、新エネルギーの開発というようなことになりますと、リードタイムも長く、研究開発にも相当の期間を要するわけでございますので、当面六十五年度というところで戦列に参加する量は減ったわけでございますが、将来は相当大きな数字になるということで、二〇〇〇年のエネルギー供給構造全体の数字を描きまして、新エネルギーの開発導入の重要性、それから政府の姿勢を示すということも今回試みたわけでございます。そういう意味におきまして、先生の御指摘の新エネルギーの開発導入について、私どもは姿勢を変えたというわけではございませんで、この面での研究開発には従来以上に今後とも努力していきたい、かように考えております。
#7
○対馬孝且君 長官、いま時間がありませんから、私は長々とした説明は要らぬのです。
 端的に言って、石油は御案内のとおり三億六千六百万キロリッターから二億九千万に、石油価格の見通しなども踏まえて下方修正していますね。もちろんこれは六十五年度であります。そして、ずばり言うと、原発は、五千三百万に対しまして四千六百万キロワットに修正をしているわけです。これで見ていくと、それじゃ代替エネルギーの方はどうだというと、落ち込みがこれは半分でしょう、二・五%だから。これはどなたが見たってわかる。原子力がそれに比例してそれでは下方修正されているかというと、そんなもの、修正されていないんだよ。原子力の分はかなりウエートを置いて、俗に言うグリーンエネルギー、新代替エネルギーの方はぐんと、五〇%以下に下方修正している。この矛盾を私は指摘しているのです。
 そういう点からいくと、相変わらず政府の姿勢というのは、石油が多少よくなったから期待ができるのじゃないかというような、そこにまだ甘えの構造があるのではないかということと、やっぱり原発最優先の基本姿勢は変わっていないのじゃないかということですね。安全性と言葉で言ったって、それは計画どおりにいっていないじゃないか。こういう実態を踏まえれば、クリーンエネルギー、安全エネルギーというものについて、この間安倍通産大臣は私と同意見だと言った、むしろ代替エネルギーにこれから力点を置くべきだ、こういう主張だった。にもかかわらず、修正した率が非常に代替エネルギーの方が下がっているので、この点がやっぱり私は問題だと認識している。それをあなたは言葉で強化しようというのであれば、それじゃどういうふうにこれからやるのか。
 もちろんそれは七十五年度の時点では八%になっていますが、この点はむしろ六十五年の方が僕は大事じゃないかと思う。これからのエネルギーの位置の中で、六十五年のハードルを越えて七十五年に行くということが常識なんですから。その点を踏まえて、きちっとやるならやってもらいたい。やるという姿勢が、何かどうもね。これをきちっとしてもらいたい。
 それから、今回の長期見通しでは暫定という言葉がなくなったね。前の五十四年八月のは「長期エネルギー需給暫定見通し」、今回はそれを「長期エネルギー需給見通し」というふうに変えています。この「暫定」を外したということは、前とどういうふうに違うのか。この二点を明確にしてもらいます。
#8
○政府委員(小松国男君) 今回の見通しでいわゆる前回の「暫定見通し」の「暫定」というのが落ちたわけでございますが、これは、前回の見通しにあえて暫定という字を設けましたのは、一つは、前回の見通しを決めました五十四年八月、これが第二次石油危機のちょうど真っ最中でございまして、そういう意味でエネルギー事情についての先行きの見通しについてきわめて不確定要因が多かった、こういうことがあったわけでございます。こういうことで、エネルギー需給の見通しについて早晩見直しをせざるを得ないというような気持ちも含めまして、旧見通しの場合には暫定というのが入っておったわけでございますが、今回は、この暫定見通しの見直し作業を始めてから約一年間にわたりまして総合エネルギー調査会の需給部会の企画専門委員会で検討を進めてまいりまして、そういう意味で、かなり長い時間をかけて将来の見通しについていろいろの検討を行った。その上、しかも超長期的な見通しもつくる必要があるということで、二〇〇〇年の需給の展望につきましても一応の数字を得た。こういうこともございまして、今回は従来の「暫定見通し」の「暫定」は取ったということでございまして、格別意味があるわけではございません。
 今回の見通しにつきましても、今後の事情の変化いかんによっては当然見直しも必要でございますけれども、そういう観点から、従来の見通しに比べて相当長期にわたる見通しを、しかも十分今後の経済成長その他を踏まえて見通しを立てたということで、暫定という字を取っておるわけでございます。
 それから、さらに、代替エネルギーの開発導入その他の数字につきましては、先生御指摘のように、この前の見通しの時期と比べて今回は、六十五年というのは非常に近い至近距離に来ております。さらに、事情の変化といたしましては、全体のエネルギーの需要見通しが落ちたこと。その上に、石油の価格が、当初私どもが考えておったよりは現在非常に低迷をしておる。こういうことになりますと、そういう価格に十分対抗できるような形で代替エネルギーを導入していかなければいかぬ。そういうことで、現実的な立場に立って、しかも現段階で具体的な供給数字を見直すということで今回のような数字が出たわけでございまして、政府として、エネルギー供給構造を強化して代替エネルギーの開発導入を今後とも進めるという政策、姿勢、これは従来と変わりませんし、むしろ積極的にその方向に向かって努力するという点では変わっておらないわけでございます。
#9
○対馬孝且君 暫定ということについては、そういうお答えがいまありましたけれども、私は、長期エネルギー需給見通しを確定したけれども、二、三年たたないうちにこれは原子力の再修正を余儀なくされるだろうということを予言しておきますよ。
 ことしで電調審のあれは三千万キロワットきりいっておりません。そうすると結果的には、これを四千六百万に下方修正しましたけれども、現実に、安全性についての原発への住民の抵抗運動、あるいは安全性についてのコンセンサスあるいは科学的解明、こういうものをずっと考えていった場合に、これは私もこの前から申し上げている、五十一年にも申し上げたことがあるんだ、そのとおりにいかなかった、今回もやっぱり同じでしょう。これは予告しておきます。
 私は、少なくともいまは、代替エネルギーというものを、俗に言う安全性のエネルギーというものを最優先にスピードアップしていく、こういう姿勢で対処すべきものであると思う。しかも、暫定という言葉を外した限り、長期の需給見通しである。そういうエネルギー政策に対する確信を持った需給見通しであるということをここではっきり、確信を持っているなら、言明をしてもらいたい。これを申し上げておきます。どうですか。
#10
○政府委員(小松国男君) 先生御指摘のそれぞれの数字につきましては、私ども相当長い時間をかけて、しかも現実に即していろいろの試算をして、この数字ができ上がったわけでございます。
 原子力のお話につきましても、確かに四千六百万キロワットという数字の達成というのは相当の努力を要するというふうに思っております。すでに、電調審その他を経て建設、準備中のものを含めますと、三千三百万キロワットに達しております。あと千三百万キロワットについてここ二年ぐらいの間にそのための努力をする、こういうことで、昭和六十五年までにはこの四千六百万キロワットに近づける努力は政府としても国民の理解のもとに進めていかなければいかぬというふうに思っております。
 その他の数字につきましても、現段階におきましては、政府としてはこの数字を一つの指標、目標として努力する政策目標の数字だと。これは、この「見通し」の性格にもかかわるわけでございますが、いわゆる一般の見通しと今回のこの見通しの性格の違いといいますか、これは政府の政策努力、それから国民がエネルギー問題について今後理解を示していただいて、その上に立って国民の納得、理解を得た上でのエネルギーの需給見通し、供給構造、こういうことを念頭に置いて描いた数字でございますので、そういう意味では、政府はもちろんでございますが、国民の理解も得て全国民の努力によってこのエネルギー需給見通しを実現してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#11
○対馬孝且君 いずれにしても、あなたも、新代替エネルギーを優先課題として取り組みますと、こう言うのだから、六十五年度が二・五という数字にこだわらずに、むしろ七十五年目標をスピードアップする、そういう方向に切りかえて努力をしてもらいたい。これを申し上げておきます。原発問題はいずれ改めて時間を割いて申し上げたいと思います。
 そこで、今度の長期エネルギー需給見通しにおける、石炭の、国内炭の位置づけについて一つだけ確認しておきます。
 十四日に、私ここで申し上げました。あなたも答弁しております。私は、今度の長期需給見通しにおいて国内炭の二千万トン体制は基本的に維持されるなという質問をしています。ここに会議録を持ってきています。あなたも、そのとおり、そういうことでエネルギーの部会の方に反映をいたしてまいりたい、大臣も、全くその認識は変わっていない、こういう答弁を私に明快にしているのでありますが、この点いま一度、そのとおりだとするならば、今回発表されました長期エネルギー需給見通しでは「〔一、八〇〇−二、〇〇〇万t〕」、こういう数字になっていますわね。だからこれは、七次政策の基本的な決定を受けて二千万トン体制にいくというこの間の四月十四日の当委員会における私の質問に対しての大臣の答えは、基本的に変わりはないわけだ。そのことをひとつはっきりしておきたい。
#12
○政府委員(小松国男君) この前先生の御質問に対して、大臣もそれから私もたしかお答えしたと思います。第七次答申の線に沿って需給見通しが得られるように期待をしておるというお話を申し上げたわけでございますが、その結果として、今回でき上がりました長期需給見通しの中でも、昭和六十五年の国内炭につきましては、千八百万トンないし二千万トンという具体的な数字を入れておるわけでございます。
 この数字を入れました根拠というのは、現在が大体千八百万トン程度の生産水準なわけでございますので、現状の水準を維持しながら今後環境の改善、それから官民その他関係者の努力によって将来増産が可能だ、二千万程度も考えられるというのがまさに七次答申の線でございます。その線を私どもはそのままこの需給見通しに反映させたということでございます。
#13
○対馬孝且君 私申し上げているのは、その第七次答申の基本的な態度をここに明らかにしたという位置づけであればそれでよろしいと言っておるんですよ。
 そこで、石炭部長に申し上げるのですが、その二千万トンに持っていくためには、現状固定ではこれは絶対二千万トンはあり得ない。山をつぶしておっては、二千万トンになるわけがないんだから。この前から何回も申し上げているように、新鉱開発あるいは関連周辺開発を含めていかなければ二千万トンの確保はあり得ない。そのための対策と政策をこれから進めなければならない。そういう位置づけでなければ二千万トンという答えにならないのではないか。その点をひとつ明らかにしてもらいたい。
#14
○政府委員(福川伸次君) 今後の国内炭の政策につきましては、第七次答申に基づき、今国会におきまして石炭鉱業合理化臨時措置法の延長、改正をお願いいたしたわけであります。
 その考え方の中にも、既存の、いま現在の生産水準の維持を基調としながらも、今後さらに企業の体質改善、石炭需給関係の好転に伴って将来二千万トン程度の生産水準の達成を目指すというわけで、その内訳、それをバックアップいたします手段といたしまして、いまおっしゃいましたように、今回の法律改正の中でも、消滅鉱区の再開発の基準を緩和するということも織り込みましたし、さらにまた埋蔵炭量の調査等も予算の中に織り込んだりいたしておるわけでありまして、今後、需給環境が最近よくなってまいりましたことに対応いたしましたそういったこれからの施策ということについては、これをあわせ盛り込んでまいるという考え方で、七次政策の実施ということに鋭意努力をしてまいる所存でございます。
#15
○対馬孝且君 この前からも申し上げていますが、新鉱開発、周辺開発なくして二千万トンの需給拡大ということは望み得ない、そのためにはむしろ政策的なことに積極的に政府は取り組まなければならぬ。そのことをきちっとここで申し上げておきます。よろしゅうございますね。
 時間もありませんから。そこで、管財人が決まってから、正式に大沢管財人が三十日に裁判所で認定をされました。副管財人も決定をいたしました。その際、更生計画開始に当たって、大沢管財人の公式発表は、六月末日までに債権者集会を開き更生計画のめどを立てたい、このことをはっきり言っています。情勢は非常に厳しい、厳しいが何とか山の再建のための方途を見出すための更生計画に努力をしたい、こういう所見をマスコミに発表しております。
 そこで、大沢管財人に対して通産省、政府はどういう態度であるか。裁判所決定の段階あるいは以前の段階、内定した段階でも結構ですが、どのように管財人に対して政府の責任ある再建策に対する姿勢というものを明らかにしたか。あるいは、どういうことが話されたかということをまず冒頭にお伺いします。
#16
○政府委員(福川伸次君) 管財人として大沢石炭協会副会長が選任されたわけでございますが、御高承のとおりに、管財人の選任ということにつきましてはいろいろ難航をいたしたわけでございます。石炭協会といたしましても、将来の会社の方向づけ等につきまして、若干の事前の検討をされたわけであります。今後の展望に当たりまして有吉石炭協会会長からは、管財人を推薦していただいたわけでありますが、その際に、いま管財人としては保安の確保と安定経営が可能か否かということを判断の基準として各方面から検討をしてまいる、そして裁判所の管理のもとに公正な方針を打ち出すつもりであるから、政府においても管財人の方針を全面的に支持していただきたい、こういう御要請がございまして、私どもとしても、そういった考え方で出された管財人の御方針につきましては十分配慮をし支持してまいるということを、大臣から有吉会長、さらに大沢さんにも御伝達を申し上げておるわけであります。
 大沢さんは、選任されると直ちに山に入りまして、すでにもう、いま計画を立案中でございます。残炭の、いままでの平安十尺層の稼行区域の今後の見通しをどういうふうにするか、さらにまた引き続いていま平安八尺層の開発の可能性、これを御検討になりつつございます。
 六月の二十四日に第一回の関係人集会を開くということが裁判所の御判定で決まっておるわけでございまして、私どもも、管財人とは緊密な御連絡をとりながら、更生開始決定ということで再建の可能性を探るチャンスが与えられたわけでありますから、何とか山を残すという方向で管財人の御努力を煩わしたい、技術的、経営的、実務的に十分御検討を煩わして公正な御判断を出していただきたいと思いますし、それについては私どもとしても全面的に支持してまいる、こういうことで対応をいたしたいというふうに考えております。
#17
○対馬孝且君 いま部長からそういうお答えがございましたが、政府は管財人が決まったからもうこれは私らの手から離れたと。率直な山の感情、空気というのはそういうのがあります。もう政府は洞が峠を決めておるんじゃないのか、後は管財人の方にどうぞひとつというようなそういう印象がぬぐい去られない点があるというのが率直なこれは北海道の特に夕張市民の不安感です。人心にそういう不安がつきまとっています。毎日のように私どもの方にも陳情に来るわけであります。
 そこで問題は、私この前から申し上げておりますように、一つは、この前詳しく申し上げましたからきょうは時間がありませんから申し上げませんが、何といっても、管財人が一体どういう計画をつくるかということは管財人の責任であり裁判所の管轄ですから、これは常識的なことですからあれですが、問題は、管財人が計画をつくる際、山の再建につながるいわゆる政策的なバックアップがなければ私はこれは再建につながっていかないと思う。この懸念を持つこともまたこれは当然だと思います。それで、問題点は何かということはこの前私申し上げました。労務債の処理を一体どうするか、それからいまも話が出ましたけれども、十尺層の残炭の炭量の認識、それから平八に対する炭量計算、あるいは北部災害現場の将来一番夕張で期待される炭と言われる、いわゆる原料炭と言われる北部開発の見通しが一体どうなのか。
 もちろんこれがはっきりしなければならぬわけですけれども、そういった問題を克服するというか、そういうことを更生計画にのせていくためには、いま出されたことはもちろん問題点ですけれども、政府として当面どういうバックアップ体制がとれるか、どういうふうに対応していくかという姿勢と背景がなければ、私は管財人管財人と言ったってこれはそう簡単にできるものではないと思う。もちろん計画をつくるのは管財人であることは間違いないわけですけれども。そういう意味での考え方というのをこの段階で持つべきではないか。
 なぜそれを申し上げるかというと、今度、苫東開発に伴うコールセンターで、東部開発株式会社という特殊会社ということで発足いたしました。これは言うまでもなく北電、あるいは道庁も一部、あるいはユーザー関係を中心に一つの特殊会社形式でスタートするようになりました。もちろん北電が五十億を引き受けていますが。
 私は、ある時期が来たら当然これは管財人として一応の見通しなり、先ほど言った六月二十四日の段階を経れば一つのものを出さなきゃならぬと思う。その時期の第一ラウンドが六月二十四日だ。そうしますと、そこへいく場合に、いま言った幾つかの問題点を克服しなきゃならぬ。
 私がいまコールセンター方式をなぜ申し上げたかというと、その場合、一つは石炭各社が基金を一つつくり上げる。苫小牧東部も同じで、あれは一つの基金を組織した。もちろんこれは民間あるいは道も一部入っていますけれども、そういう第三セクター的な要素の中であれは特殊会社としての発足をしている。そういうものを描いたから、コールセンターというのはこれから開始をする段階に私は来たと思います。だから、そういう意味では新たな政策的手だてにもなるのだけれども、そういうことも踏まえながら、一応ざっくばらんに言うなら石炭各社の新鉱株式会社という基金を組織する。もちろんこれは市中銀行なり、北電も、あるいは政府も、道も、そういう金を出資し合う。
 さきに、商工委員会で合理化臨時措置法の改正案のときに私は新エネルギー機構の出資ということを提案したのだが、遺憾ながら政府、自民党さんの反対もあってこれは否決されましたけれども、これから本当に国内資源を守り、二千万トン体制を維持していくと先ほども確認したし、地域社会を崩壊から守るというのならば、私はそういうことを描いてああいう法改正をしていくことが、そういう道を開くことが対応する道であると思う。山の再建は何が何でもせねばならぬ、このこれからの情勢判断をして、あの法案に私たち部分的だったが修正提案をしているわけです。
 そういうことを踏まえて政府としても、ただ管財人の計画が出ましたらそれに対応していきますという姿勢ではなくて、むしろ積極的に国内炭の資源確保を図り地域社会の崩壊を阻止し雇用安定を守るという基本に立つとするならば、そのことにこの際どう対応していくかという、ここらあたりをどのようにお考えになっておるか。また、今後政策的な課題として積極的に検討されるべきものではないか。この点どういうふうにお考えになっていますか。
#18
○政府委員(福川伸次君) 前回の当委員会の御審議におきましても対馬委員から御指摘がございましたように、今後再建の可能性を探ってまいります場合には、今後の開発計画、特に主力採炭をどこに置いてどういう手順で開発していくかという開発計画、さらに労務債の処理、それから数百億に及びます債務の処理、さらに、今後開発をしてまいるといたしましたときの経営の組織体が、どういう形が一番今後の経営の安定、保安のために役立つかということが主要な問題に相なっていくかと思うわけであります。
 これらの問題は相互に密接に絡み合っておるわけでございまして、これはもちろん一つ一つ着実に実務的に積み上げ、技術的な検討を経てその方向が出されていかなければならない問題ではありますが、相当相互に密接に絡み合っている問題でございます。
 管財人におきましても、当然各債権者の意見を聞き、また地方庁あるいはまた私どもも十分その辺の協力をしながら、その構想を固めていかれると思っております。私どもも、先ほど申しましたように、管財人のお出しになりました方向につきましては全面的な支援をしてまいるわけでありますし、さらにまた現行の諸制度、これは相当いろいろな諸制度がすでにできておりますが、この現行の制度を活用しながら山の再建に向けての支援の努力をしていきますと同時に、さらにまた、これも管財人に、あるいはごあっせんいただいた石炭協会の会長にも申し上げてあることでございますが、関係先の協力が必要である場合には当然私どもとしても必要に応じてその協力の要請、応援をしていくということをば申し上げておるわけでございます。
 この山が果たしてどういうところをねらって開発をしていけばやっていける山になるのか、どういう経営の仕方を考えていったらいいのかという点は、十分検討を要することと思っております。私どもとしても、会社更生法ということの範疇の中でございますし、また第七次政策でも、私企業体制の中で今後の石炭政策を推進していくということでございますので、その範囲の中でできるだけのことはするつもりでございますし、現にいま着々と計画の検討が進められておるわけでありまして、管財人、さらに管財人代理、さらにその下に関係会社、関係同業者からいろいろ技術的なスタッフがいま派遣されて、計画を技術的に詰めております。
 その場合に、どういうことをしていけばやっていけるのかどうかということの中に、おっしゃるように関係金融機関、さらに政府の支援ということが密接に絡んでおりますので、私どもとしては、そこは十分連絡を密にしながら、何とかして山を残す方法はないものか、それを探るという態度で十分御協力をしていくわけで、いま先生から御指摘がありましたような、管財人が選ばれたから政府はもうどっちでもいいというような感じで私どもおるわけではございませんので、その点は御理解を賜りたいと思います。
#19
○対馬孝且君 いま大臣がいないから、長官、それから長官だけじゃなくて政務次官、やっぱり大臣の代理は政務次官ですから。政務次官でも長官でも結構ですけれどもお答え願いたい。
 いま部長からお答え願ったとおり、安倍通産大臣も、合同葬に参列してみてひとしお山の再建をしなきゃいかぬという感を深くしたということを、四月十四日の委員会のこの場で私の質問に答えて言っています。そしていまお聞きのとおりです。
 洞が峠を決めているんじゃないかという夕張市民の不安感、心理状態があることは事実ですよ。だから、そういう意味で、これはもちろん管財人のやる仕事であるが、この問題は新たに私は提起をしているんです。
 新しい発想ということで、あなた方の課題として積極的にそういう問題にもやっぱり取り組んでいく、検討するという姿勢がなければ、言葉でそんなことを言ったって結局山は残りはしないよ、はっきり言えば。そういう問題について政務次官でも長官でも結構ですから、政府の責任者という立場でお答えを願いたいと思います。
#20
○政府委員(真鍋賢二君) 対馬先生の御質問は、現場をよく承知しておられる第一人者でございますから、非常に私も先ほど来その質問趣旨に対して感銘をいたしておるわけでございます。
 安倍大臣も先般現場に参りまして、その実情もよく承知いたしたわけでございますから、政府といたしましても誠心誠意この問題に対処していくものと思っております。今後とも御指導をお願いいたしたいと思います。
#21
○対馬孝且君 次官のいまのお答えは、大臣にかわってのお答えですから。
 いずれにしましても、積極的にという言葉を抽象論でなしに、いま挙げた具体的なテーマに基づいてですね、退職金がいまだに手元にいつ来るか、老後が全く不安にさらされている、こういう問題だって、一刻も早く退職金を払ってやらなきゃいかぬ、賃金を払ってやらなきゃいかぬ、ボーナスの未払いを払ってやらなきゃいかぬ、これは急務です。それはもちろん管財人の手にあることは事実だが、それだけでなしに、やっぱり一刻も早くそういう受け皿条件をつくってやる。受け皿をつくることが再建の道につながっていく、この姿勢をぜひ堅持してもらいたい。
 次官にこれ以上言ってもあれですから、ひとつそういう態度で対処してもらいたい。長官もそれでよろしゅうございますか。
 そこで、長官は、一般論的なエネルギー政策だけでなしに、いま言った石炭の基本政策と夕張のこの再建問題について、長官としてもどういう立場でこれから取り組まれるか。いま言った問題を含めてひとつお答えを願いたい。
#22
○政府委員(小松国男君) いま対馬先生御指摘の点につきましては、政務次官からも御答弁を申し上げましたように、私どもとしては全力を挙げて支援してまいりたいと思っております。
#23
○対馬孝且君 六月二十四日という第一の山、第一の答えが出る段階にいま来ています。もう五月で、あと一カ月ちょっとしかないんですから、いずれにしてもそういう受け皿の対策を政策的にとってもらうということを強く申し上げておきます。
 そこで問題は、幌内炭鉱の問題と真谷地の連鎖反応をさせては困るということがいま非常に現地の声として実は上がってきております。
 これはもう石炭部長はおわかりですからくどくど私は申し上げる気持ちはないのでありますが、大体幌内の現況というのは、もうすでに一回ヒヤリングも行われて、現段階ではやっぱり三十億程度の資金ショートがどうしても起こる、こういう状況になってきております。
 したがって、政府に対しても銀行の返済猶予あるいは政府の肩がわりの要請等も来ておりますけれども、お聞きのとおり当初計画の出炭より落ち込んでいる。それから自然条件が、多少断層条件がぶつかって予定どおりの出炭が維持できていかない。そうばっかり言うとまたこれは第二の新鉱になっては困りますので、幌内炭鉱も現実に災害が起こってスタートしたわけですから、だから保安に万全を期すということがもう最大の基本でありますが、そういう立場に立ちながら幌内、真谷地連鎖反応を起こさせないための幌内の当面的な資金対策について、もちろん抜本的な経営全体の幌内の基本政策というものは必要ですけれども、そこらあたりをどのように認識され、どう対処されようとしているのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
#24
○政府委員(福川伸次君) いま御指摘のように、私どもも夕張新鉱の帰趨が幌内あるいは真谷地両炭鉱に悪い影響を及ぼしていくということはぜひ避けたいということでありまして、会社更生法の申し立てのときにも、日本銀行等を通じまして関係金融機関の御協力も十分お願いをし、現在までのところは操業の状態がずっと続いてまいっておるわけでありますが、いま御指摘の両社のうちでも特に幌内炭鉱、この点につきましては昨年の三月に新再建計画をつくって乗り出したわけでございますが、計画にそごを来しておるのが現実でございまして、それがまた資金面にはね返ってくる。
 さらにまた、もし昨年の計画どおりに進んでおりますれば、ある程度夕張への支援、吸収もあったわけでありますが、いま先生御指摘のような事情でさらにそれがむずかしい状況に相なり、それに夕張へのある程度の支援をせざるを得なくなったといった波及があるのが現実でございます。
 私どもといたしましては、今度、現在までは一応五十九年三月までを目標にいたしました再建のめどを立てて、関係金融機関の合意のもとで進めてまいったわけでありますが、今後この幌内炭鉱そのものを中長期的にどのようにしていくのか、あるいは、いま、幌内の災害以後、災害復旧資金の融資残高もありますし、そのほか異常債務と言われるものと考えられるものもございます。これをどのように解消していったらいいのか、さらにまた長期的にこれを北部に展開していくのがいいのか、あるいはもう少し深部化してもやっていけるのかどうかといった経営全体の見直しをしていく必要がある時期に差しかかってきていると思うわけでございます。
 私どもも、従来のように、計画をつくってはそごを来すということではなくて、十分やや長期的なめどの立った計画をつくる。その場合、これは御承知のように北炭本社経由で販売をし、また金融の取引もいたしておりますが、一体、その北炭本社の経費の負担というもの、これもまた幌内あるいは真谷地にかぶってまいっておりますものをどう吸収するかといったような幾つかの問題がございますので、北炭自身としても、今後人事の刷新が期待されている時期でもございますので、この際ひとつ中長期的な抜本的な経営対策をつくって、そして関係方面の信頼を得るということの努力をいま促しているところでございます。
 私どもといたしましては、五月いっぱいにもそのような計画を何とか出させまして、その間私どもとしても、当面の対策としてどういうことが現行制度の中でできるか十分検討してまいりたい。もちろん企業の労使の努力が基本ではございますけれども、夕張の波及がないような形に慎重に検討し、また今後の会社の努力を見守り、私どもとしてもそこの帰趨にはいろいろな観点から十分注意を持って見守り所要の対策を考えてまいりたい、かように考えております。
#25
○対馬孝且君 いずれにしても、この新鉱問題と関連をして、幌内、真谷地に連鎖反応を避けたいという政府の基本的態度は何回も確認していますから、いまあなたもおっしゃったとおり。
 問題は、いまも話が出ましたけれども、結果的には、北炭本社あるいは真谷地、幌内から担保、保証をしてみたり、また逆にこっちが、夕張が幌内、真谷地の担保をしてみたり、言うならばたすきがけになったような形でこの経営というのは行われているわけです。だから、一朝間違うとこれは連鎖的反応になるわけですよ、扱いによっては。そこを非常にわれわれは心配しておるんです。毎回ここでかねがね申し上げていることなんだが、そのためにきちっと、そういう連鎖反応を起こさせないための手だてを政府は積極的にとってもらいたい。
 現実の問題として、五十七年度、当面のあれだけでいっても、資金不足が二十五億ある。当面としても十五億程度のことはどうしてもやらねばならぬ、こういう問題が出てきていますからね。もちろん中長期の問題も必要なんですけれども、当面対策だけでもとりあえず資金ショートにならないような対策を政府もとっていただいて、あと中期的な立場でどうしていくかということを含めて対策に当たってもらいたい。そのことはどうですか。
#26
○政府委員(福川伸次君) つなぎ的な意味というのももちろん企業の維持のために重要でございますが、今回そういった資金不足を生ずるというおそれがございますことにつきましては、政府関係の金融機関はもとより、民間の関係金融機関の協力も得なければなりません。また、ユーザーその他の理解、協力も得なければならないわけでございまして、私どもとしては、そのために長期にはどういう展望になっていくのかという点を十分関係者に理解をしてもらう、それでがっちりした協力態勢をつくる、こういうことが非常に重要であろうというふうに思います。
 先ほど申し落としましたが、先生も御指摘のように、実はここは非常に災害率の高い山でございまして、この保安という点は私どもも非常に気をつけてまいらなければならないポイントでございまして、この点、非常に高い災害率の解消ということもこの際あわせやってもらう。従来、北炭系の山は幾つか災害を起こしましたが、災害が一つ起こりますことが非常に異常債務、後の経営負担になりますので、それも十分努力させてまいりたいということでございまして、私どもとしては、その抜本的な対策と当面の対策、これを絡み合わせて、十分慎重な配慮を持って対応を見守ってやってまいりたいというふうに思っております。
#27
○対馬孝且君 時間も参りましたからあれですが、いずれにしましても、新鉱の再建と幌内、真谷地の問題を含めまして、基本的に、先ほどから言っているように、国内資源をどう確保するかということ、しかも長期エネルギー需給見通しが決定をされたこの時期における確認ですからね。それと、何といっても地域社会を守る、同時に、雇用対策を守らねばならぬ、こういう使命感に立ってひとつぜひ対処してもらいたい。
 私は、いまこういうことを言いたくないのでありますが、小柳先輩も阿具根先輩もここにおりますけれども、かつて日韓大陸棚のときには、私も当時出てきまして理事をやらせていただきましたが、自民党は強行採決という荒い手段をとって強引にやった。あのとき、ボーリングをおろしたらもう直ちに石油が噴き上がるという答弁をしたけれども、私が現在知っている限り、いま時点でボーリングは十一本打たれています。第七鉱区、あのガルフも調べたが、全く、ただの一滴も出ていない、正直に申し上げて。これに五千億の金ですよ。ここに小柳先輩もいます、われわれは質問した立場にありますけれども。これはもちろん間接的に石油公団を通してやっているわけですが、そういうものに対しては意外に政府はラフだが、いざ石炭とかがこういうふうになってくると客観的な立場をとるなんということのないようにしてもらいたい。
 私は、いずれ、日韓大陸棚問題の総括として、当時約束したことが一体どうなっているか、これを一回改めてエネルギー委員会で、日韓大陸棚の今日的時点における結果、あり方を政府にも問いただしてまいりたいと思う。
 このことを厳重に申し上げて、新鉱と幌内炭鉱の再建策について全力を挙げるよう私は最後の要望を申し上げておきます。よろしゅうございますか。
#28
○政府委員(福川伸次君) いま先生のお考え方の披瀝がございましたが、もちろん保安の確保と安定経営ということが今後のこのポイントであると思っております。管財人が裁判所の管理のもとに公正な御方針を出していただくということでございます。私どもとしてもできるだけの支援、協力はしていくわけでございまして、しばしば大臣が当委員会でも御答弁申し上げておりますように、何とかして山を残すという方途はないものかということで、私どもとしても、管財人ともども、関係金融機関の協力を得ながら、ぜひその方向が実現できますようにできるだけの努力はいたすつもりでございます。
#29
○岩動道行君 私は、このほど策定された長期エネルギー需給見通しについて、これを中心として若干の質問を行いたいと思います。
 実は、五十五年の二月当委員会で私は、五十四年の八月に策定されました長期エネルギー需給暫定見通しについていろいろ問題点を御指摘申し上げたのでございますが、今回の長期見通しについても大体同じようなことを伺わなければいけないということは、実は残念なんでございます。
 それは前提でございますが、最初に伺っておきたいのですが、この長期見通しは閣議決定なんですか、あるいは、政府にとってどういう性格のものですか、それをまず伺っておきたいのです。
#30
○政府委員(小松国男君) これは、総合エネルギー調査会からの需給見通しについての報告という形になっております。ただ、政府といたしましては、これを受けまして、代替エネルギーの供給目標につきましては、閣議決定をいたしてその目標を定めておるということでございます。
#31
○岩動道行君 そうすると、まずこれは政府の閣議決定で行っているものではないということですね。政府はこれをどういうふうに扱うのか。これはエネ調のエネルギー関係の何か指針ということなんですか、何でしょうか。
#32
○政府委員(小松国男君) いまお答え申し上げましたのは形の問題を実は申し上げたわけですが、形式といたしましては総合エネルギー調査会からの通産大臣に対する報告という形になっておりまして、それを受けて政府の段階で決めておりますのは、代替エネルギーの供給目標につきましては代エネ法に基づきましてその供給目標を閣議決定で定めておるということでございます。
 ただ、これは総合エネルギー調査会からの通産大臣に対する報告でございますけれども、基本的な性格といたしましては、エネルギーの一般的な単なる需給見通しということではなくて、今後政府といたしまして長期的な視野に立ちましてエネルギー政策を進めてまいります場合の一つの指針であるというふうに考えておりますし、また、国民がエネルギー問題について十分理解をいただき、それについて協力をしていただくための一つのビジョンでもある、こういうふうに考えまして、国民の努力とか政府の政策努力、こういうものによって本来達成されるべき姿を描いておる、こういうふうに思っております。ですから、当然この報告、この見通しに対しましては政府としては全力を挙げてその達成のために努力していくべきものである、かように考えておるわけでございます。
#33
○岩動道行君 そうすると、政府としては、この受けた答申に基づいて全力を挙げてこれを実行する、実際に実現する、こういうために政府が責任を持って当たる、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
#34
○政府委員(小松国男君) 御指摘のとおりでございます。
#35
○岩動道行君 そこで、まず、この見通しの基本になった経済の見通し、特に経済成長率、これが、ここ十年くらいは五%、そしてその先の二〇〇〇年に至るまでの間は四%、こういうことで見通しができているのですが、これについて、政府としては、確信、責任を持ってそのようになっていくというお考えを持っていらっしゃいますか。
#36
○政府委員(小松国男君) 私どもといいますか、総合エネルギー調査会でこの長期的な需給見通しを検討するに当たりましては、政府の段階で立てておりますたとえば経済社会七カ年計画の見直しによる大体当面五%の成長率というものを当然参考にいたしておりますし、さらに、通産省の産業構造審議会が長期的な産業構造の見通しその他を立てておりますが、こういうものも参考にいたしまして、昭和六十五年までは五%、それからそれ以降は大体四%の成長率ということを前提といたしたわけでございます。
 この成長率につきましてはまたいろいろと御議論があると思いますが、私どもエネルギー需給見通しを立てる立場からいたしますと、少なくともエネルギーが将来の経済成長のネックになってはならない、こういう前提で、あるべき経済成長を達成しますために必要なエネルギーの供給を確保する、こういう観点も織り込みましてこういう見通しを立てておるわけでございます。
#37
○岩動道行君 あなたの方は、経済企画庁でつくった成長率、これを政府として責任を持って五十七年度は五・二%やりますと、そのために大変苦心をしておるし、われわれ政府与党としても、何とかこれをやらなければいかぬというので苦心をしておりますけれども、現実にはなかなかむずかしい。
 なぜ、このような困難なことをあえてやらなければいけないのか。ということは、この計画自体がすべて経済成長率を基本としているものですから、私は、努力目標とかなんとかっていうのは結構ですけれども、余り変な夢を持たせるというか、幻想に過ぎてしまってはいけない、こう思っているのです。十年先からは四%というのもおかしいんで、五十七年度がもう四%にはならないかもしれない、三%台に終わるかもしれない、これがひとしく言われているところなんですね。
 ですから、経済企画庁、この辺は答えようったって同じことしか出てこないと思うけれども、ここはひとつ国民に向かってやっぱり言ってもらわなければいかぬと思う。
#38
○政府委員(川合英一君) ただいま先生の御質問がございました点につきましては、おっしゃいましたように、経済七カ年計画の五十六年度のフォローアップにおきまして、五十七年度から六十年度の経済成長率を年平均五・一%程度が適当であるということで見込んでおるわけでございますが、当然こうした経済の姿というのは、経済環境の整備とかあるいは諸般の政策努力を前提として初めてできるというものでございまして、また数字そのものも、ある程度長期多部門モデルを使いまして推計したということから、幅を持って理解されるべき数字であるということになっておるわけでございまして、そういう意味からも、物価の安定を基調としながらも、経済の活性化を図るという政策努力を適切に行っていくということでこれを達成してまいりたいというポジションにあるわけでございます。
 ただ現在、さらに長期の問題につきましては経済審議会の中に長期展望委員会というのを設けましていろいろ御議論いただいておりまして、それが六月には何らかの形で経済審議会に対する報告をお出しいただくということになっておりますし、また臨時行政調査会の方でもいろいろと経済の実態にかかわる事項についての御議論をいただいておるわけでございますから、今後の経済成長の見込みにつきましては、さらにそういうものも踏まえた上で今後どういうふうに持っていくかということを検討していくという状態になっておるわけでございます。
#39
○岩動道行君 最近経済企画庁長官は、七カ年計画等の見直しをしたい、改定をするということを示唆しておりますね。そうすると、これがもう直ちに変わってくるのですよね。「暫定」を削ったのは結構だ。さっき対馬議員に対しても、相当念査をした結果「暫定」は取ってこの見通しをつくったのだと。ところが、これ自体がもうすでに足元から崩れるような状態なんです。むしろ暫定の暫定ぐらいでもよかったのかもしらぬくらいに思われるのですね。
 そこら辺で私は、大変御苦心をなさってできたものでこれは評価をいたしますけれども、そういう脆弱性があるということはこの機会に指摘をしておきたいと思います。そして、そういうような経済成長率等が変わってきたならば速やかにやはり改定をして、そして国民に誤った指針にならぬように、努力目標が変な方向に行かないように、そういう時宜に応じた対応をぜひお考えいただきたい、このことを希望として申し上げておきます。
 そこで、エネルギーの節約の問題と関連するのですが、弾性値ですね。今度の場合には六十五年度で五・九億リッターで、年の平均の伸び率が三・二%ということになるのですが、エネルギーの対GNP弾性値は〇・六四ということになりますが、これはそのような数字でよろしいのでしょうか。
#40
○政府委員(小松国男君) 御指摘のとおりでございます。
#41
○岩動道行君 そこで、いまの経済成長、六十五年から七十五年は四%ということになりますと、その先の弾性値は〇・六七ということになる。ところが、現在までの対GNP弾性値は、五十五年度は三・七%の経済成長をしているのにエネルギーの需要はマイナス四%になっていて、過去十カ年の弾性値を見ても、四十五年から五十年度で〇・七八、五十年から五十五年度で〇・三七、一方外国の主要国の弾性値を見ましても、これは大体、一九七三年から七九年をとって見ましても、アメリカが〇・四三、西ドイツが〇・二七、フランスが〇・三四、イタリアが〇・五四、イギリスはマイナスということになっております。
 前回の見通しにおきましても、五十二年から六十年度〇・七七、六十年から六十五年度で〇・七五、六十五年から七十年度で〇・七二となっておりますから、それよりは今回の弾性値は低くなっております。それだけエネルギーの消費が効率的に行われるということでございますけれども、どうもまだ実際よりは高目になっているのではないか、もっと低く考えてもいいのではないかという疑問が出てまいりますが、この点についてはどのようにお考えになっていますか。
#42
○政府委員(小松国男君) 先生御指摘のエネルギー弾性値の問題でございますが、私どもとしましては、今回の長期需給見通しを策定するに当たりましては、積み上げ方式ということで、各業種別にそれぞれの全体の産業構造の中でそれぞれの業種がどういう位置づけになるか、さらにその業種ごとにどういう省エネルギーが可能であるか、こういうことを想定しながら積み上げた結果としてこういう数字が出まして、結果としてエネルギー弾性値を計算いたしますと〇・六四ということで、前回の見通しよりはかなり下がってきているというような状況になっておるわけでございます。
 ただ、先ほど先生の御指摘がございましたように、最近数年間のエネルギー弾性値を比べた場合、また欧米諸外国と比べた場合にまだまだ高いではないかという御指摘でございますが、最近数年の日本の産業構造の変化、それからその中での省エネルギーの進展というのはかなり急テンポで変わっておりまして、こういう情勢が将来どの程度続き得るか、またこういう傾向がどの程度長期的に可能であるか、こういういろいろ見方がございますので、そういう観点を種々検討した結果がこういう数字になったわけでございます。ですから、この数字につきましては高過ぎるという御批判もございますし、また問題があるのではないかという逆の御批判もいただいている場合も実はあるわけでございますが、いずれにいたしましても結果として〇・六四という数字が出たわけでございます。
 この数字について、実はこれで十分であるかどうかという点につきましては、私どもとしては一応こういう目標を立てましたけれども、さらに各産業レベルにおきまして必要な省エネルギーを今後とも進めてもらうわけでございまして、それで省エネルギーが進むということであれば、私どもの見通しよりはエネルギー全体の需要が若干落ち込むということも可能だというふうには考えております。
 ただ、また長期的に見ますと、一方、こういう省エネルギーの産業構造も相当急速に進みましたので、今後産業構造の変化がこういうテンポで長期的に続き得るかどうかという点については、逆に限界が来るというような問題もございますし、それから省エネルギーの技術開発、この技術開発の見通しというのはなかなかむずかしいわけでございますが、これにつきましてもある段階で若干省エネルギー率が寝てくるのではないかというような心配もございます。こういうことでございまして、一応各産業別の積み上げを行い、個別業種別の見通し、それから産業構造全体の変化、こういうものを織り込みまして長期エネルギー需給見通しの数字を算定したわけでございまして、これは一応の試算でありまた私どもの努力目標でございますが、さらに将来にわたって産業構造の省エネルギー化、それから各産業の中での省エネルギー化、それから民生、運輸、その他関係部門での省エネルギー化、これは今後とも努力をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#43
○岩動道行君 私は特に省エネルギーの重要性について強調したいために特にその問題に触れたわけなんですが、たとえばこの表のつくり方も、今度は何億キロリッターというふうなことが先に出ておって、それから省エネルギー何%と、こう出ていますね。逆算してみまして、省エネルギー前の需要がどうなるのかということを逆に今度計算してみると、たとえば昭和六十五年度は六億九千八百万キロリッター、七十五年度は十億二千七百万キロリッターというふうになると思うのですが、それに省エネルギーのそれを掛けることによっていまの数字が出てくる。
 ですから、昭和六十五年度では一億キロリッター、七十五年度では二・六億キロリッターを省エネルギー努力によって減らすのだというそういう具体的な、何%というよりも何億キロリッターという数字であらわすことも国民の理解を深める一つの手法ではないか。間違ってはいないけれども、表現の仕方等において私は、省エネルギーの重要性というものを考えると、パーセンテージよりは具体的なこと、そして括弧でもいいから何%と、こういったようなことを今後工夫していただけたらいかがか、こう思っております。
 そこで、時間もございませんので各論みたいなものに入っていくわけですが、まず水力につきましては、この前も私はかなり過大なものではないか、実現可能性が非常に薄いのじゃないかということを指摘いたしましたが、今回はそういう意味で下方修正をしておられるのですが、それでもなおかつ小水力の開発等はなかなか容易ではない。最近の電調審の状況を見ましてもかなり疑問があるわけでございますが、この点についてはどのような確信を持っておられるのか、簡単にひとつ。
#44
○政府委員(川崎弘君) 水力につきましては、ただいま先生御指摘のように、最近の水力開発の状況あるいは現在実施いたしております第五次包蔵水力調査、これの概略中間集計というのが出ておりますけれども、そこでは、現在開発可能な未開発包蔵水力というのがわれわれは約千三百万キロワットあるのではないかと思います。こういうふうな実態を踏まえまして、昭和六十五年度の開発目標を二千三百五十万キロワットというふうにいたしたわけでございます。五十五年度の、現在持っております水力の規模というのが千九百万キロワットでございます。したがって、これから約四百五十万キロワットを六十五年度運開にもっていく努力が必要でございます。
 ちなみに、この四百五十万のうち百万キロワット程度は現在工事中でございますので、残りの三百五十万キロワットという数字を、この包蔵水力調査で出てまいりました開発可能な水力地点から経済性の高いものから取り上げてやってまいりたいというふうに考えております。
 ただ、先生御指摘のように最近は地点も非常に奥地にもなりますし、あるいは規模も小そうなってまいりましてなかなか水力開発はむずかしゅうございますが、貴重な国産資源であるということもございますので、われわれはたとえば中小水力の開発のための補助金であるとか、あるいは新しい水力開発の技術の導入、これは小水力のためのたとえば発電機を標準設計するというような問題がございますけれども、その辺に加えまして立地の政策等の充実を図りまして、何とかこの目標を実現いたしたいというふうに考えております。
#45
○岩動道行君 せっかく努力してください。
 次に地熱でございますけれども、これも大変問題がある数字だと思います。
 現在の設備は十六万キロワットで、建設中のものを含めましても二十一万キロワットにすぎない。地熱資源は四千万キロワット程度あると言われているのですが、前回は三百五十万キロワット、今度は五十万キロワット下方修正をして三百万キロワットと。ところがこれは、環境関係もございましてなかなか順調に進まない。環境庁との関係でもずいぶん苦労なさっていると思いますし、また環境庁もある程度理解は示してきておりますけれども、やはり環境も大事な国の施策でございますから、そういうところでなかなかその調整がうまくいかないというようなことから、私は地熱開発もなかなか思うように進まないのではないか。最近は、着工の地点がなかなか見当たらないというような現状ではないかと思うのです。
 そういう意味で私は地熱については大いに促進をしていただきたいと思っておりますけれども、これについても簡潔にひとつどのような確信を持っておられるのか、伺っておきます。
#46
○政府委員(川崎弘君) まさしく先生御指摘のとおり、われわれも水力と並ぶ貴重な国産エネルギーということで地熱はぜひ積極的に開発してまいりたいというふうに考えております。
 これには二つの面があろうかと思います。
 一つは、もちろん地熱促進をいろいろな形で助成するという方向でございまして、これはたとえばNEDOにおきます地熱の促進調査でございますとか、あるいは最近九州でやっておりますような大規模深部地熱開発、これを何とか早く実証試験を終えて本格的に開発に持っていきたい、そういうことであるとか、あるいはその他開発事業者に対するいろいろな形の掘削費あるいは調査井の助成、この辺の施策を今後とも充実して地熱の開発促進に持ってまいりたいと思っております。が、ただいま先生御指摘のように、何分、地熱というのはその有望地域の多くが国立公園とか国定公園、そういった自然公園内にございます。したがって、それとの調和といいますか、環境保全との関係というのが非常に重要な問題になってまいりますが、こういう公園内の開発につきましてわれわれはその環境の保全にも留意しつつ大いにやっていきたいというふうに考えております。
 そういう意味におきまして実は環境庁ともいろいろ御相談、お話し合いを進めている段階でございます。いろいろ御理解を示していただいている面も出てまいっておりますので、話し合いの結果調整の終わったものから調査を進めて、それを開発につなげてまいりたいと考えております。
#47
○岩動道行君 これも、せっかく一生懸命努力していただきたいと思います。
 先に進みます。代替エネルギーの大きな柱である石炭でございます。
 原料炭についてはいろいろまた問題があるのですが、そこに触れると時間がございませんので省略をいたしたいと思います。粗鋼生産との関係でどうなっているのかという疑問もありますけれども、これはさておきます。
 そこで、一般炭の輸入でございますが、これが石炭価格が年々逐次上がってきておって、やがて十年もすれば石油価格と電力コストにおいてもう競争力がなくなってしまうというようなことも言われております。その問題はいろいろな具体的な経済ベースの問題でもございましょうから、いまここでそれをいい悪いと言うわけにはまいりません。ただ、今回の見通しにおきましてもかなりの数量をふやさなければならないわけでございますが、これに対しては、この前も申し上げたのですが、産炭国における開発の状況、あるいは輸送の問題、港の問題、それからそれを日本に持ってくるまでの輸送の問題、あるいは日本におけるそれを受け入れるためのコールセンター等の問題、さらにそれを使って火力発電等をする場合の灰の捨て場の問題、公害の問題等々非常に大きな問題が依然として私は残っていると思うのですが、その点についての対応が十分にいっているのかどうか。
 アメリカからも、経済摩擦等もありますから西部の石炭を持ってきたいという話は進めなければならぬけれども、アメリカ側が果たしてそれに応ずるだけの投資なりあるいはインフラをやってくれるのかどうか、そこら辺も大変疑問でございます。
 そういうようなことから私は、石炭は大きな代替エネルギーの柱をなす、したがって努力しなければならないけれども、なかなかこれも見通しどおりの数量が確保できるかどうか大変疑問な点があると思うわけです。この点については、一生懸命やりますと言う以外にないと思うのですが、特にこの際私は、既設の火力の転換と、それから新設の火力の計画がどうなっているかを簡単に数字でまずお示しをいただきたいと思います。
 それから、運輸省は来ておりますか。運輸省は、大体この計画だったら船が何万トン、たとえば五万トンなら五万トンの、あるいは一万トンか知らぬけれども、標準的な石炭運搬船で何万トンの船が何杯要って、どれだけ往復しなければならないのか、そしてその手当てはもう十分に計画造船が進んでいるのか、あるいは埠頭の施設はどうなっているのか。その辺についてこの前も伺ったけれども、一生懸命やりますで終わっている。そこら辺を、見通しではなくて、具体的な計画としてどうやっているのか、これもこの機会に簡単に伺っておきたい。
 もうあと十分程度しかないものですからね、もっと大事な問題にも触れたいと思いますから簡単にやってください。
#48
○政府委員(福川伸次君) 海外炭の導入につきましては、いま先生御指摘のように、私どもとしては、供給源の多角化と、それからコールチェーンシステムいわゆる流通のシステム化の問題、さらに未利用資源の効率的な利用という三つを主要な柱として対応をいたしております。
 いま御指摘のとおりに海外のインフラがどういうことであるかということでございますが、詳しく申し上げる時間的な余裕もございませんが、たとえば豪州ではニューキャッスルの第三ローダー、これをいま豪州側でも増設をしようということでございます。また中国につきましては、円借款で港湾の整備、鉄道の整備等を進めております。またいま御指摘の米国の西部炭につきましても、これは米国自身も西海岸におきましてそれぞれ二十を超える港湾計画がございますが、この中で日本としていかなるかっこうで整備していくのが適切であるかといったような問題をいまいろいろ検討いたしておりますし、また一部日本の企業も参画をいたしまして西海岸における港湾の整備等をしていく、こういうことでございまして、今後この見通しにございますような形で、持ってまいります港湾の整備等につきましては、いま相手国の建設計画等と見合いながら十分努力をしてまいる所存でございます。現に幾つかのプロジェクトが進みつつあるわけでございます。
 あと、火力発電所の問題、国内の輸送の問題につきましては、それぞれ担当の方から御答弁させていただきます。
#49
○説明員(富田長治君) 輸送の問題についてお答え申し上げます。
 御案内のように海外炭の輸入につきましては、大きく分けまして三つの輸送形態がございます。
 一つは、日本船による輸送でございます。もう一つは、たとえばNYKであるとか商船三井という日本の会社がチャーターする外国船による輸送、それからもう一つは、純粋の外国の会社が外国船によって運んでくる輸送、その三つがございまして、そのうちのどの程度を日本船で運ぶかということがわれわれいろいろ考えている問題でございます。
 いろいろ議論もございますが、われわれといたしましては一応四割程度を日本船で整備していきたいということで、ずっとその方針で計画造船を進めてまいりました。将来ともそのように進めていくつもりでございますが、計画造船は毎年度予算での単年度のことでございますので六十五年までの計画は立ってございませんけれども、先生御質問の、六十五年、もしこの与えられた一億三千三百万トンから一億三千五百万トン程度を海外から持ってくるとすれば、大体五百万トンぐらいの船が必要ではないか。いまは二百二、三十万トンしかないわけでございますが、倍以上の船が必要である。それには適切に対応していきたいと考えております。
#50
○政府委員(川崎弘君) 先ほどの石炭火力の点でございますが、実は六十五年度末までに千七百万キロワットの開発をこの計画では目標にいたしております。そのうちの既存の石油火力の石炭転換、これが三百二十五万キロワットでございます。それから、すでに電調審で決定済みとなっております石炭火力の新規八百三十三万キロワット。したがいまして、残りの約五百四十万キロワット程度がこれから電調審で決定して新規開発をする必要があるというものでございます。
#51
○岩動道行君 これもなかなか大変な努力が必要ですね。
 時間もありませんから進みます。
 原子力でございますが、私は石炭については大事であるとは申したものの、なかなか容易ではない、現実性がそう簡単にはない。原子力が一番力を入れなければならないエネルギー源だという認識を私は持っておりますし、また政府も一生懸命それに努力をしておられると思うのですが、今度は前回の見通しに対して七百万キロワット下方修正しております。それでも実は、なかなか残されたものを実現するということは容易ではないのじゃないか。
 たとえば現在運転中のものが千七百十八万キロワット、建設中のものが九百六十万キロワット、着工準備中のものが六百十万キロワット、合計で四十一基、三千二百八十八万キロワット。
 そうしますと、残りの千三百万キロワットというものをここ二、三年のうちにでもやらないと目標が達成できない、見通しが実現できない。これは大変な努力が必要であって、そのためにリードタイムをできるだけ縮減するということも必要で、われわれは特にこの点については政府にも強く要望して、臨調での許認可手続の簡素化という形の中で、おおむね工事の時期も含めて二年間は短縮できるという見通しで、いま臨調の方の法案で国会で審議をする段階になっておりますが、私はこの二年間のリードタイムを短縮するということも今後一生懸命やってもらわなければいけないし、さらにそれを半年でも一年でも上積みして短縮していくという努力も必要だと思っておりますので、政府では大いにがんばってやっていただきたいと思います。
 そこで、電源立地の問題が一番ネックになってきている。安全性の問題はもう言うまでもございません。そこで安全性の問題は省略いたしますが、電源立地をやる場合に、できるだけ地域のためになるようなことというのでいわゆる電源三法というものがいまできて、それで促進の役割りを果たしてもらっておりますが、どうもそれだけでは不十分ではないか。やはりその電源立地をされた地域、その市町村はもちろんですが、周辺の地域も含めて地域の振興をやっていかないといけないのではないか。工事をやっている間は一時的に雇用も確保できますけれども、工事が終わってしまえば全く無人の地域になってしまって地域の振興ということは置き去りになってしまう、そういうようなことでございますから、私は地域の振興ということを特に検討していただきたい。
 私どもあるグループでは、この電源立地と地域振興についての新しい制度を確立したらどうかということで勉強をいたしております。そしてある程度の段階で提言もまとめております。
 それは、電源地域の自立的な振興を目指す基盤を確立するために特別な措置法を制定したらどうかと。この特別措置法は地域振興施策と電源立地に関する施策と双方が調和するものとして規定されていくべきである。そこで、特別措置法には電源地域の振興に関する施策と事業を具体的に規定する。そうして総合的な地域振興法としての性格を持たせると同時に、電源三法との関係を明確にしてやっていったらどうか、こういうことで提言をまとめておるわけでございますが、これに対して通産省は必ずしも乗り気になっていない、そういうような感じがしておるわけでございますが、特に電源立地との関係でこの点についての所見をこの機会に伺っておきたい。
 これはエネ庁の長官とそうして大臣代理の真鍋先生にひとつお答えいただきたい。
#52
○政府委員(小松国男君) 先生からお話がございましたように、私どもとしても原子力の立地、これが代替エネルギーの開発導入の本命だということでいろいろ努力をいたしまして、従来も施策の充実を図ってきておるわけでございまして、電源三法はもちろんですが、それとの関連で地域振興につきましても予算措置その他の面での施策の拡充を現在も図ってきております。
 先生御指摘の、従来の施策だけでは十分ではないのじゃないか、さらに地域振興の具体的な政策を織り込んだ法律をつくるべきじゃないか、それについての所見はどうかということでございますが、私どもといたしましては、そういう先生方の御方針については今後いろいろ勉強をさせていただきたいというふうに思います。
 ただ、政府といたしましては、法律をつくる前にまず施策面で充実する必要があるということで、本年度の予算につきましても、単に公共施設だけではなくて、地域へ産業を導入するに当たってのいろいろな施設それから施策についての資金の使途の拡充、こういう問題で地域住民の、単に電源立地ができただけで地域の振興に役立たないという不満に対してはできるだけ対応する。それからさらに、原子力を中心にいたしました産業立地問題については、いわゆる一般にアトムポリスとかいろいろな名前で呼ばれておりますが、そういう形で今後の地域振興についての調査も進める、地道ではございますがそういう研究、調査、それからさらに施策の拡充ということで現在対応しているわけでございまして、今後の問題として御指摘の法立法の問題についても十分勉強させていただきたいというふうに思っております。
#53
○政府委員(真鍋賢二君) 岩動先生の御提言、今後の原子力のあり方についての御意見、大変貴重な意見だと拝聴いたしておったわけでございます。
 御案内のように政府といたしましても電源立地法でもっていろいろな対策を講じておるわけでございます。私も先般愛媛県の伊方の原子力発電所を視察いたしまして、現在の電源立地法でもって対応できないところがあるのかないのか、その辺のことについても十分調査をいたしたところでございます。せっかく臨時措置法等のようなものが検討されておるわけでございますから行き届かない点はそういう面において対処していかなければならないと思いますけれども、現在置かれておる法律でもって対応できるところはそれを活用して対処していきたいという気持ちでいっぱいでございまして、決してなおざりにした対応をしておるというわけではないわけでございます。
 大変貴重な御意見でございますので参考にさせていただき、これから過ちのない対処をしていきたいと思いますので、これまた御指導のほどをお願いいたしたいと思います。
#54
○岩動道行君 時間がありませんから先に進みます。
 各項目別におさらいみたいにやってきたのですが、残っているのがLNGと新エネルギーとそれから石油でございます。
 LNGの目標といいますか見通し、これだけが一番現実性があるような感じがしておりますので、この点はそういう認識を持っていることだけを申し上げておきます。
 それから新エネルギーでございます。これは真鍋政務次官も太陽熱には大変力を入れて、仁尾町においては予想外の成果を上げておられるわけでございますが、しかしこの計画といいますか見通し自体は、新エネルギーを前回に比べて石油換算で千五百万キロリットルに大幅な下方修正をしております。私はこの前、むずかしいぞ、無理なことはしない方がいい、幻の新エネルギーを国民に抱かせてはいけないということを申し上げたのですが、それにこたえたかどうかわかりませんが、かなり大幅な下方修正をやっております。それでもまだ私は高過ぎるのではないか。七十五年度では八%というような比率を占めるようなことになっておりますが、これはかなりやはり疑問のある数字と言わざるを得ない。
 私は小柳委員と一緒に昨年、OECDのエネルギーのシンポジウムに参りました。その際、OECDのいかなる国も新エネルギーについては、大切ではある、進めなければいけないけれども、せいぜい紀元二〇〇〇年で四%程度もいくかなあというような認識で共通しておりました。そこに、日本だけが飛び抜けてそれの倍くらいにもなっている。これは大変な努力がまた要る。意欲は結構でございますが、なかなか容易ならざるものがある。
 特にその中に石炭の液化等、あるいはオイルサンドとかオイルシェールとか、そういったようなものが相当なウエートを占めているかどうかこの中身はわかりませんが、そういうものがあるとすると、まさにこれは日本のエネルギー政策としても私は問題があると思う。日本独自の、太陽熱であるとかあるいは波であるとか風であるとか、そういうような日本の自前のものでやるのならまだいいのですが、よその国にあるそういう石炭や何かを利用するということになってくるとこれはなかなか問題である。
 SRCII、石炭液化のアメリカとの共同計画、これもアメリカの事情によってやめざるを得なくなってきた。したがって、石炭液化は結構ですがそういう意味において投資の効果が本当にあるのかどうか、大きな屈折点にいま到達しているのではないか。
 私はその点において、投資効果というもの、そして将来のエネルギー全体に占める割合というものを考えた場合には、むだな投資はぜひ避けて、効率的な投資によって新エネルギーの充足を図るようにやっていただきたい、こういうことを申し上げて、この問題はこの程度にしておきたいと思います。
 それから輸入石油の問題でございますが、これは前回に比べましてかなり、たとえば東京サミットのあれで三億六千六百万キロリットルということになっておりましたのを、七千六百万キロリットル減らして二・九億キロリットルというように大幅な下方修正をしております。
 この点は私は評価をいたしますが、問題はこのような見通しの数字によって日本の油の需要に果たしてこたえられるようなものになっているのかどうか。つまり、ガソリンであるとか灯油であるとか、そういう軽質油、中質油、これがこの数字で果たしてその需要に見合うことができるのかどうか。需要と供給の関係が果たして国民のニーズにこたえられるのかどうか。民生用、産業用含めて若干問題があるのではないか。ことに、石油企業の立場から見ましても相当の問題がある。最近は重質油の傾向といいますか、そういうものしか余り入ってこないような状況になってきておりますので、その点についての配慮がどのようになっているのかこの表では実はわからない。そこら辺に十分な配慮をしてもらわなければいけない。
 特に石油精製企業は最近はいろいろな面から大変苦境に入ってきております。そして業界の再編成という問題も真剣に考えられなければならない今日でございますので、そういう設備の過剰という問題も含めて真剣な検討をお願いいたしたいと思っております。
 もう御答弁をいただく時間がございませんので、私の見解だけを申し上げていきたいと思います。
 次に、備蓄につきましては、今日はエネルギーの自給関係が経済の停滞によってかなり進んでおります。それぞれ予定の日数よりもふえております。これは、こういう機会に国家備蓄なりあるいは民間の備蓄をふやしていくというようにして、できるだけその取り崩しはやらせないようにしていく。企業の採算の問題もございましょうけれども、そこは政策金融によってできるだけ備蓄というものを予定よりもふやしておくということが大事ではないか。このことはまた、産油国に対する一つの関連を強く持たせることにも政策的になるわけでございますから、十分にその点は配慮をして、民間の備蓄が何日かを超えたらもうあとはどんどん放出するのだといって外国から、産油国から買うのを手控えるというようなことになるとまた問題がございます。フォークランド諸島の紛争にも、まだまだ平和的な解決の道が開かれていない、国際的にも大変にまだ危険な状態が発生しております。あるいは、中東の状況も必ずしも安定した状況であるとは申し切れない。いつ何が起こるかわからない。こういうことからも私は、備蓄については積極的に日数をふやしていく、このことを特に御配慮願いたいと思っております。
 その備蓄の場合にも、環境問題等もかなりございますから、地下備蓄等でその問題の解決にも努力をしてもらいたいということで、地下備蓄の希望のあるところは積極的に政府で支援をする、こういうことをぜひお願いしておきたいと思っております。
 時間が参りましたので終わりにいたしたいと思いますが、結局私は、日本のエネルギーは、石油においては六十五年度において四九%という五割を割る目標ができておりますことは高く評価をいたします。しかし、やはり依然として半分は海外から日本のエネルギーは輸入しなければならないということ、そういうことを考えた場合には、依然として省エネルギーが大事であるし、また供給源の確保ということにも努力しなければならないし、自主開発も進めなければならない。と同時に、世界の平和がいつ崩れるかわからないというようなことで、エネルギーの供給源の立場からいろいろな変化あるいは変動があるということを念頭に置いて今後のエネルギー政策を展開してもらわなければならない。
 したがって、石油価格が最近は若干安くなるような傾向で安定しておりますけれども、それに安住して代替エネルギーの促進を怠るようなことがあってはいけない。その点においては、ぜひ代替エネルギーの開発促進に全力を挙げて努力をしていただかなければならない。このことを特に申し上げ、安心することなく、いつどこに何が起こるかわからないという考え方でエネルギー政策を展開していっていただきたい、このように思うのでございます。
 最後に、その点についての政府の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#55
○政府委員(真鍋賢二君) 大変行き届いた御高説を拝聴いたしたわけでございますけれども、全く先生のおっしゃるとおりでございます。
 石油のだぶついておるいまこそ次への対応をしておかなければならないというのが日本の一番重要なことではないだろうかと思うわけでございますので、先ほど来御指摘のありました点は十分踏まえましてそれに対処していかなければならないと思います。
#56
○高木健太郎君 将来のエネルギー源としまして、化石燃料に恵まれていないわが国におきまして、原子力の開発ということが非常に重要な問題であるということは御存じのとおりであると思います。
 しかし、現在の原子力利用は核分裂の原理を利用する方式でございまして、その際生ずる放射性物質というものは避けがたいものであると思います。その意味でも、クリーンなエネルギーである核融合の開発が一日も早いことがまことに望ましいことでございますけれども、それはまだしばらくは望めないという状況にあると思います。さしあたりは、放射能の炉心からの漏失あるいは放射能の防護ということに努力すると同時に、急速にふえつつある低レベルの核廃棄物の処理処分方法を考えるとともに、人間に対する放射能の影響ということを明らかにしておくことが重要なことではないかと思うわけでございます。
 いただきました長期エネルギー需給見通しの原子力のところを拝見いたしますと、その六行目のところに「地元をはじめ国民の理解と協力を得るべく、パブリック・アクセプタンスの向上を図るなど立地の円滑化のための施策を強力に推進する必要がある。」というふうに書いてございますし、その後「多目的利用等のための技術開発を推進することが重要である。」というふうに述べてございます。そして、これの作成に御尽力いただいたこの調査会の需給部会のメンバーを見てみますと、技術開発の方が主体になっておりまして、この開発によって起こる廃棄物、そういうものの処理、放射線障害に関する研究あるいはそれの専門家というものがこの中に見当たらないのは、私にとっては非常にさびしいことであるし、遺憾であると思うわけでございます。
 そういう意味で、きょう与えられました時間で、国民の理解を得る、コンセンサスを得るという意味で、これについてひとつ私なりの意見を述べてみたいと思うわけです。
 いままでいろいろ具体的なお話がございましたが、私はそのコンセンサスを得るという立場からどうしても申し上げたいことがあるわけです。
 それは、ここにある石炭あるいは原子力その他の単位の問題でございます。トンという重さの単位でも書いてございますし、またキロワットというパワーの大きさで書いてあるところもある。あるいはまた、キロリットルという容量の大きさで書いてあるところもございます。このように単位がばらばらであるということは、国民が理解する上で非常に困難ではないかと思うわけでございまして、これらはいろいろの都合によって、石炭はトンで輸入する、石油はキロリットルで輸入するというようなことからこのような数値がここに書いてありまして、ある専門家にとりましてはこれの方がわかりやすいのかもしれませんけれども、しかし、全体のエネルギーが六十五年度で五・九億キロリットルと書いてございますが、これは石油に換算しての話であろうと思いますが、こういうふうにキロリットルと書いただけでは、これがどれくらいのエネルギーを持っておるのかということは国民には非常に理解がしにくいのではないかと思うわけです。
 それよりも、われわれが通常使っている電気であるとかそういうものは、キロワットということであればどれくらいのエネルギーであるということはほぼ想像がつきます。また、それに対して消費者が支払う金額から言いましても、一キロワットアワーがどれくらいであるということでそのエネルギーの大きさがわかる。
 まず私は、このような報告書を出されるに当たりましては、これはわれわれに向かってか、政府に向かってお出しになったことだとは思いますけれども、しかし国民のコンセンサスを得るためにということが書いてある以上、これを見て国民が理解ができるように何らかの手を加えるべきではないかと思うわけでございまして、その点まずお伺いしたいわけでございます。
 同じような意味で、放射能とか放射線の単位がキュリーであるとかあるいはミリレムとかミリラドというような単位が用いられておりまして、新聞発表によりましても、今度放射能物質が漏洩した、それはミリレムである、だから人体にとっては余り有害ではないというふうに書いてございますが、私もまんざら素人ではないわけでございますけれども、それを見て納得はいかないわけでございます。
 そういう意味で、まず単位の話のことについて通産省なり技術庁でどのようにお考えか、また将来これをどのようにしようとお考えか、お考えがあったらお聞きしたい、こう思います。
#57
○政府委員(小松国男君) それでは最初に私から、長期エネルギー需給見通しの方の単位の問題についてお答えいたしたいと思います。
 先生御指摘のように、長期エネルギー需給見通しは各個別のエネルギーで一般的に用いられている単位ということで数値をあらわしておりますので、たとえば国内石炭の場合は生産量何トン、それから電源開発の場合の規模はキロワットであらわす、こういうようなことで確かに御指摘のようにそれぞれの単位が違っておるわけでございますが、それぞれのエネルギー源につきましては通常用いられている単位を用いるという方が一般的にはわかりやすいのではないかということで、これを用いたわけでございます。ただ、全体のエネルギー需要を換算する場合には、先生御指摘のように単位を統一する必要もございますので、参考資料といたしまして原油換算の数量を全部参考資料に掲げまして、それによって各エネルギー間のバランス表を添付するということで、五・九億キロリットルの中身を石油換算にした各数字も参考資料に計上する、こういうことで全体の統一を図ろうといたしているわけでございます。
 石油換算で全部最初統一するか、それとも参考資料で石油換算を明記するか、どちらがいいかという問題がございますが、私どもといたしましては、個々のエネルギー源ごとに通常用いられている単位を一応原則とし、参考として石油換算の単位を掲げた、こういうことで皆さんの御理解を得たいというふうに思っておるわけでございます。
#58
○高木健太郎君 私の想像しているとおりでございますけれども、もう少し親切にするというお気持ちがあるならば、こういうふうに通常使われている単位ではなくて、ここに全体をキロリットルでお書きいただいて、その下なり横にたとえばキロワットとか、そういうものをお入れいただいたらどうだろうか。これそのものを否定するわけではなくって、一応石油なら石油で統一されまして、そしてその横にその通常使われている単位を入れる。もちろん換算すればできるわけですけれども、そんなに一生懸命になって勉強する人はいないわけでして、見てわかるというものにしないとだめじゃないかというのが私の考え方でございます。もしできましたら、今後はそのような形に、していただきたい。
 また、その次にお聞きしましたいわゆる放射能の単位のことについて、お聞きしたいと思います。
#59
○説明員(田村修二君) いま放射能、放射線の単位がそれぞれキュリーとかラド、レムと非常に耳なれない言葉で単位が表現されているということで、私どももそれは通常気になっておるわけですけれども、放射線に関係する単位としてそれぞれに違った量を実はあらわしているわけなのです。
 御説明自身がちょっと専門的になって非常に恐縮なんですが、キュリーというのは放射能の強さというものをあらわしていまして、それからラドというのは、物質に対する放射線の吸収された全体の線量という、吸収された量をとっている。それからさらにレムというのは、特に生物体の場合なんかは、その放射線の差によって生物の受ける影響が違ってくるものですから、その違った放射線の影響を全部一つにまとめてどのぐらいの影響を受けたかというのでレムという言葉が使われているわけなのです。それぞれに本来詳しくなりますと、使われる場に応じて一つ一つの単位で統一されているわけですので、それを正しく使っていくということが私どものこれからの問題かと思われます。
 単に単位のみならず放射能、放射線に関しての問題はいろいろと素人と申しますか、一般の国民には関係の少ない言葉ができておるものですから、そういう点では非常に私ども苦労しておりまして、原子力に関係する正確な情報というものをもう少し広く国民の皆様に知ってもらいたいということで積極的にPRをしておりますし、今後もしていく所存でございます。
#60
○高木健太郎君 そのことはよく理解はできますが、新聞紙上等では何々ミリレム等と書いてあるだけでございまして、それが人間にどのような作用を及ぼすかというようなことは、そこに解説もほとんどない。あるいは、自然放射能がどれくらいあるか、だから今度出た放射能はどれくらいのものであったかというようなことさえ載っていない。こういうふうであるからなかなか理解ができない、皆さんに理解してもらえない、こういうふうに思うわけでございます。
 もともと、実際、放射線というのは、人間の過去の長い歴史を通じまして絶えず私たちと接触をしてきたものでございますし、すべての生物にとって、放射線は、よきにつけあしきにつけその生命と分かちがたく結びついているものである。また放射線は、生物自身の中に、生命が誕生したこの地球の中に、またその地球が漂う銀河系の宇宙の中に満ち満ちている。こういうことでございますから、放射能というものはわれわれと無縁のもの、全く異物であるというふうなものではない。ところが、私たち自身がその放射能、放射線の中に生きているということさえ国民には理解できない。新しいものがそこに飛び出した、これは有害であるというふうに考えているのではないかと思うわけです。
 実際、自然放射能、自然の放射線の遺伝有意年線量というのがございますが、御存じのように、自然放射線が九十三ミリラド/年/人で、核実験によるものが一・五、そして原子力発電所によるものは〇・二である。しかるに医療による被曝は二十七・九でございまして、原子力発電の約百倍以上の大きさを医療で受けているということさえはっきりわかっていないのじゃないかと思うわけです。そういうプロパーといいますか宣伝、国民の理解に対する政府の努力がいま少しあれば、これまでのように、いわゆる原子力発電所の立地というようなものに対してこんなに苦労をしなくってもよかったのじゃないかなというふうにさえ思うのでございます。
 ただ、非常に重要なことは、通常、外からのそういう刺激というようなものはある程度弱ければ全く作用しないといういわゆる閾があるわけでございますが、御存じのように、放射能につきましては、一九二七年にH・J・マラーという人がショウジョウバエで実験をして、放射線というものは幾ら小さくっても作用があるのだ、ゼロのときに初めてゼロになるのだと。そういうことはほかの刺激物質では見られないことでございます。また、もう一つ重要なことは、それが蓄積される作用があるということでございまして、一たん入ったものはなかなかそれが出ない、だんだんたまっていくものであるということです。ぜひこれは知っておかなければならぬことではないか。それがなぜであるかさえまだはっきりは科学的に証明されていないのではないかと思いますし、どのようにいま現在それが解釈されているのか私は存じませんが、これは放射線というものの非常に特異な作用であろうかと存じます。
 こういう意味で、学者の先生方も、特に科学技術庁の持っておられる放射性遺伝学の研究所でも、いろいろの被曝の影響を研究しておられるし、かなりの研究費もそこにつぎ込んでおられるのではないかと思います。私もかつてそこを見学させていただいたこともございます。
 ところが、そこの中で見ておりまして、マウスとかあるいはウサギとかそういう動物を使って実験をおやりになっておられた人のお話を聞きますと、細菌のいない食物を動物に与えて長生きをさせて、できるだけ長い間の弱い放射能の影響をいかに見ようとしましても、大抵動物はせいぜい四年ぐらいしか生きない。しかも、ある大きさの放射能を与えて、それで何の影響もなかったように見えるからといっても、もう三年か五年続ければ影響が出てくるかもしれないのです。また、研究者としましては、幾ら与えても何の影響も出てこないというようなことを研究するということは、本当に努力のしがいのないことでございまして、だれも余りやりたがらないことでございます。そういう意味では、このような実験をやっている人はきわめて日本では少ないのじゃないかと思います。
 もう一つの問題は、動物によって放射線に対する障害が非常に大きく違っております。それから、調べる対象によっても違う。たとえば、皆さんよく御存じのように、放射線に当たるとがんあるいは白血病あるいはその他の悪性腫瘍にかかる、あるいは貧血が起こるとか、寿命が短くなるとか、生殖能がやられるとか、こういうようなことがよく知られておりまして、これはエックス線が発見された当時すぐからそういうことが言われ出しました。しかし、最近では、遺伝あるいは突発生の奇形あるいは染色体の異常というようなことが取り上げられるようになりまして、このいろいろの放射線障害というものは、実は量によってもいろいろ違いますし、動物によっても出現の可能性が違っていると。そういうことであるならば、結局これらの研究は、動物ではなくて、人間における成績というものを参考にしなければならないのではないか。そしてまた、もう一つは、人種の間でも差があると考えられておりますので、外国の、ICRP、いわゆる国際防護委員会の成績をそのまま日本に持ってきたのでは、これは十分日本人を納得させることができないのではないかと私は考えるわけでございます。
 そういう意味で、まず人間で得られたデータが必要である、国民が理解するために、国民に不安を与えないためには、人間においてやられた成績が重要であるということと、それは日本人について行われた研究の結果でなくてはいけないのではないか、こういうふうに私は思うわけです。
 こういう意味で、いろいろのデータを私探してみましたところ、これはわざわざ人間に害があるかもしれないという放射線を当てるということは許されないことでございますので、やむを得ず現在までとられている方法は、放射線の多い少ないところがございます。西高東低と言われまして、西の方が一般に自然放射能が強い、あるいはまた高いところにおればそれだけ放射線が強いわけでございますから、そういうところの場所による違いを見て、そこから、それらのところに住む住民に放射能による特異的な変化が何かあらわれないかということを統計的に見るというような方法が残されていると思います。日本におきましても、東北とか、あるいは宮城その他と比べました成績が幾らか出ておりますが、これらは白血病だとかがんだとかというものに対しては余り大きな違いは出ておりません。それはそれでよいと思います。
 また外国におきましても、御存じのようにインドであるとかあるいはブラジルなんかに非常に高い放射能を持っているところがございまして、そこを中心に統計的な研究が行われておりますけれども、白血病、がんに関してはほとんど影響が見られない、その差が見られないと言っておるわけです。
 ところが、そのうちで、染色体の異常というのは非常に大きな影響があるように見えます。染色体は、ショウジョウバエでありましても細菌でありましても人間でありましても、すべてが持っているわけでございまして、そこに異常が見られるということはこれは捨ててはおけないことでございますし、しかもそれが最も鋭敏な指標であるということになると、なおさら私は捨てておけない問題であると思うわけです。こういう研究は、実は日本ではきわめて微々たるものであるということでございます。その一つは、染色体異常というものを多数の人について調べるための施設が不十分じゃないか。また、これを調べようと思うと、コンピューター利用による自動画像解析装置というものが必要でございますが、そういうものが諸外国では少しずつ開発されておるようでございますが、日本ではどの程度開発され、どこで使われているのか。放医研にはそういうものがあるのか、そういうことをちょっとお伺いしたいというように思います。
 一番最後のところだけ。染色体異常を多数の人について調べるような施設、設備、そういうものを日本で科学技術庁としてはお持ちであるか。また、それに伴ういわゆる自動画像解析装置というようなものは日本で開発されていますか。こういう質問です。
#61
○説明員(田村修二君) いまの、非常に低いレベルの放射線による人体に対する影響をどういうふうな形で科学的に実証していくかというのは非常にむずかしい問題でございまして、先生の御指摘のとおりでございます。
 その点で、科学技術庁の放射線医学総合研究所でも、各種の動物をその研究目的に合わせて、できるだけ寿命の長い研究が必要なときには寿命の長い動物を、それから、短くて世代交代が必要な場合には短い動物をというようなことで、できるだけの努力をしております。それから、放射線の遺伝的影響に関しましても、染色体の異常の研究、それから遺伝子の突然変異の両面からいま研究を開始して、積極的に人材それから設備面の強化を図っているところでございます。ただし、その研究方法としての不確定性がいまだに非常に多くありまして、実はこの問題が、先生にも御指摘されたとおりなのですが、学問的にもまだ未知な面がある。それから、遺伝学的な研究というのは非常に長い期間がかかりますし、動物でやった実験結果と人間の相対性といいますか、人間にどうあらわれるかというのが、これがまた非常にむずかしい実験なわけです。
 そういうことで、現在、どういうふうに染色体異常その他、遺伝子の突然変異を見つけていくかという研究方法の確定を目指して、放射線医学研究所でも特にこの数年、大きな研究費を投じまして、低レベル放射線の人体に対する危険度の推定に関する調査研究、それから内部被曝実験棟の建設というような形で、先生のおっしゃられる御意向に沿った方向で、人体に対する影響を事前に低レベルでも確実に確認していきたいということをやっておりますが、現状のところは、そういうことで、まだ一般に広く公開できて、確実だというようなところはまだ研究途上ということでございます。
 この問題はますます重要になっていくと思いますので、今後とも、設備面の強化、それから、非常にじみな実験なものですので、研究者の養成もあわせまして積極的に拡充していきたいと思います。
#62
○高木健太郎君 時間がございませんからこの問題だけでもう少し聞いておきたいと思いますが、動物の結果を人間に持ってくるというのは、先ほど申し上げましたように、感度が違うということなんですね。
 たとえば犬は最も鈍感でございまして、その次にはネズミ、ウサギ、それから猿、最も鋭敏なのが人、そういうことはいままでの研究でわかっておりますので、動物実験でもこれは無意味だということでは私決してないと思います。染色体はやはり人間と同じような構造を持っておりますから無意味だとは申しませんけれども、どうしても疫学的な研究をしなければいけないということになろうかと思うわけです。だから、放医研で一カ所に閉じこもってやるのではなくって、フィールドワークをこれはどうしてもやらなければならないというふうに思います。
 こういう意味ではまだまだ私は費用とかあるいはその設備に不自由さ、不足があるのではないか、こう思いますが、目に立たないことでございますけれども、科学技術庁なり通産省が、あるところに原子力発電をつくるというときに、ここは絶対にこれだから安全だというデータを示さないでおいて、何となく、安全です、あるいはICRU、ICRPのデータをかりてきて、向こうでも安全と言っていますというのでは、私は納得ができかねるのではないだろうか。他のデータをかりないで、日本独自に日本人に対する影響というものを十分に調べておかれることが、この一番最初に書いてあるパブリックアクセプタンスということに通じるかと私は思うわけです。
 それで、私きょう申し上げたかったのは、技術開発の面では非常に大きな費用をつぎ込まれて、それは核融合の方でも日本はかなり先に出ているという話を聞きます。しかし、それと同時に、やはり悪い面を、いい面があれば悪い面が必ずできるのですから、その悪い面の方を確信を持って皆さんに説明できるだけの資料を持っておく必要がある。それでなくては、これから先この見通しのとおりにやろうとしても、莫大な金と時間がかかるのじゃないかなと私は心配しているわけです。
 何とか、そういう意味では、皆さんにわかるように、単位をおかえになって、要するに解説をされてはどうでしょうか。あるいはまた、放射線の人間に及ぼす影響というものはこういうものであります、レントゲンで体、胸の撮影をされる、あるいは胃腸の撮影をされるというときに比べてこれぐらいのもので、それはいまのところほとんど何のあれもありません、しかしここまで研究は来ているというようなことをはっきりさせる。そうしないでただコンセンサスを得ると言っても、それは私は無理じゃないかというふうに思うわけです。
 こういうものを読んでも、エネルギーの方は特に略字が多いですね、それからかたかなが多い。これで私わかるだろうかと思うわけです。しゃれているのかもしれませんし、そうしなければとても報告なんかできないというのでいろいろの略字や符号をお使いになるのはいいのですけれども、国民に対してもっとわかるようにしていただきたい。
 もっと国民と近くならなければこういうエネルギー開発というのは大きな障害を受けることになるのだと思いまして、私の考えることを申し上げました。もしできますれば、国民にできるだけ近くなるように、国民の理解を得るようにいろいろな意味で御尽力を願いたい、こう思います。
#63
○小笠原貞子君 北炭夕張新鉱事故の原因を何としてもはっきりしなければ、今後の開発の問題についても非常な支障になる、そういう意味で、この時期に改めてこの問題を取り上げていきたいと思います。
 警察庁に伺いますけれども、四月の十九日、二十日と今度の突出現場と言われております北第五の盤下坑道の検証を行われたと伺っておりましたが、その概要についてお答えをいただきたいと思います。
#64
○説明員(大堀太千男君) お答えいたします。
 北炭夕張新鉱のガス突出事故事件の現場検証は、坑道の取り明け作業の進行に合わせて行いました。これまで九回に分けて検証を実施いたしておりますが、去る四月十九日の第九回目の現場検証は、ガスの突出部位を確認するため、ガスの突出部位と推定をされる北第五上段ロングゲートの立ち入り分岐地点から引き立て側十三メートルの間について実施をいたしましたが、壁面の状況あるいは立て入り坑に設けられた十五本の鋼枠の飛散状況等から、ガスの突出部位は引き立て地点のさらに奥方向にあるものと判断されるのでありますが、最終的にはガスの突出地点を確認することはできなかったのであります。
 今後、さらに検証あるいは関係者からの事情聴取あるいは関係資料の分析、検討等から、刑事責任の有無について明らかにする方針でございます。
#65
○小笠原貞子君 原因はいろいろあると思うのですけれども、そのキーポイントに、断層が事故現場のあるいは北第五採炭ロング面のそばにあるということが一つの問題だと思うのです。その他の断層もいろいろ考えてみますと、擾乱地帯と言われる地帯になっていたのではないか。そうすると、そういう状況というものを正確に把握されないままで、対策に不備があったのではないかというのが一つの心配でございますが、その辺はいかがでございますか。
#66
○説明員(檜山博昭君) 断層の状況について把握が不十分であったのではないかという御質問でございますが、この北第五区域の坑道によって断層は数本存在しているということはすでに確認されていたわけでございますが、これらは御承知のようにいずれも現在ガス突出が発生したであろう個所から相当程度、大体百メーター以上ぐらい離れておりまして、ガス突出個所近傍における断層の有無については、現在これは断層探査のための突出空洞探査のボーリングを実施しているということでございます。すでに本数にして七十三本やっておりますがまだ確定的はことが言えるような段階になっておりませんで、さらに二十本程度ボーリングをしていかなければならないのじゃないかというふうにも考えておりますが、そのボーリング等の調査の結果を待って事実関係の確認をしていきたいというふうに考えております。
#67
○小笠原貞子君 異常なガス突出ということが言われているわけですが、ガス抜きボーリングが適切に行われていたかどうかというのがこれは非常に大きな問題になると思います。この委員会でも私、いろいろその問題について指摘いたしました。たとえば、五十メートルやらなければいけないのが二十五メートルというようなそういうくらいしかやっていなかったとか、決められた本数が報告ではちゃんと出ていても実際にやっていなかったのではないかとか、いろいろ言われているということを私は申し上げたわけでございますけれども、北部の現場ですね、現場での調査をされたと思うんですが、その現場での調査の結果、問題はなかったかどうか、伺いたいと思います。
#68
○説明員(檜山博昭君) 端的に申し上げまして、現場でのチェックボーリングでもってガス抜き関係のボーリングが事前に行われたかどうかという点はチェックしてきておりますが、いままでの調査では、一応基準を満たす措置がとられていたのじゃないかというふうに考えておりますけれども、現在なお実態的に調査をしていきたいというふうに考えております。
 ただ、一つ非常にむずかしい点がございまして、それは、この北五盤下坑道のナンバー二ボーリング座から大体ボーリングがなされておりますのですが、この個所は二次災害によって非常に坑道が傷んでおりまして、岩石が溶融するような熱が加えられた、一説によりますと大体千三百度ぐらいの熱が火災の結果発生して坑道が相当傷んでいるということで、かなり確認は困難な状況にはありますけれども、私どもは極力事実関係の解明にこれからも努めていきたいというふうに考えております。
#69
○小笠原貞子君 それでは次に、北第五採炭ロングでは当初三月の予定でございましたね、これも問題になりましたが。それが、一月から始めるということで具体的には二カ月が早まったわけでございますが、保安規程で、採炭に当たっては六カ月後にガス抜きボーリングを行わなければならない、こういうことになっていると思うのですけれども、その点はきちっと守られていたのでしょうか。
#70
○政府委員(福川伸次君) いま先生の御指摘のように、当初五十七年の三月に採炭開始という予定でございました。この北第五の切り羽は五十六年の十二月までに準備をして一月から三月の間は予備的に置いておこう、こういうことでございまして、これを一月に繰り上げたわけでございます。その点につきましては、私どもとしては、一応十二月までに準備完了ということで、採炭の方の計画で西の状況等から見て採炭を早めるということを会社の方が六月時点で御計画になられたようでございますが、六月の初めから先行ボーリング等の着手をするということでございますので、これは保安の方の立場のチェックがあろうかと存じますけれども、一応その六カ月先行という余裕はあったものと考えておるわけでございます。
 保安面のチェックができません場合にはこれはもちろん採算面につきましては制約が出てくるわけでございますが、当時の計画といたしましては、一応それはやり得る状況にあったと判断をいたしたわけであります。
#71
○小笠原貞子君 一応六カ月前にはできていたはずだというふうにおっしゃったわけですけれども、私はここに事故現場に直接関係がございますガス抜きボーリングの書類というものを入手いたしております。
   〔委員長退席、理事亀井久興君着席〕
そして去年の秋からなんですけれども、これをいろいろ分析してみたわけなんです。
 一月から採炭するとすれば六月にはガス抜きが終了していなければなりませんね、六カ月ということになりますと。ところが、ガス抜き現場のゲート坑道及び採炭ロングにおけるガス抜きというのがいつ始まっていつ完了したかということをずっときちっと書いたのがあるわけなんです。
 たとえば二座です。二座からのボーリングなんですけれども、一番早く完了したというのが六月十一日に完了でございます。そうすると、あと六カ月というような余裕がちょっとね。一番遅いのは九月の二十三日というようにここに日付がずっと入っているわけなんでございます。この資料は会社の方の資料で、おたくも当然持っていらっしゃると思うのですけれども、それは事実でございますね。
#72
○説明員(檜山博昭君) 私どもの方でつかんでおります状況を申し上げますと、六月初めから六月の二十九日、大体ぎりぎり、あるいは六月三十日、そのぐらいのところで大体ボーリング関係は済んでおりますが、ここでは二十五メーターメッシュという基準がございますが、一部それ以上に増しボーリングをやっておりまして、そういうふうな関係から追加的にボーリングをしてさらにガス抜きの強化を図るというような点で行ったボーリングは若干ずれております。
 しかし、払い座が設定される個所のガス抜きボーリング関係は大体六月中に完了しておりますので、六カ月先行ということで、そのまま推移すれば計画どおり一月からの採炭というのは可能であったのじゃないかというふうには考えられます。
#73
○小笠原貞子君 これに全部出ていますね。この表を見ますと、孔番が打ってありましてそして日にちが出ていますね。私これを調べてみたのです。そうすると、いまおっしゃいました二十五メートルの升目のところ、そこのところは六月中に大体終わっているということはこの時日を見てわかるのです。
 ところが、孔番でいきますと百八十八番というのがございますね。百八十八番というのは場所的に言っても採炭の一番はなに始まる場所になりますね、この孔番から見ますと。この報告で見ますと、百八十八番のボーリング完了は九月十六日、こうなっていますね。それから百六十番、これも採炭ロングからこう入っていくところですけれども、これも八月二十六日、こういうことになるわけです。それから百九十番、これも一番初めの取っかかりのところですね。この百九十番も九月十九日に完了ということになっているわけです。
 そうすると、この一番初めからかからなければならないいま言ったような孔番で言えば百八十八番、百六十番、百九十番、時間がありませんからそれだけ取り上げましたけれども、これが実は九月にまでかかってきている、こういうことになるわけです。そうすると、九月の十六日というと、六カ月余裕を置こうと思うと三月まで余裕を持たせなければいけないところです。そうなりますと、ここのところを具体的に詰めていきますと、六カ月前にガス抜きをしなければならないと保安規程で決められているのだけれども、実際には六カ月なんてない。三カ月くらいしかないというようなことになっているわけです。
 だから、その辺のところをきちっと、事故解明をする一つの指標として、もうちょっと責任のある調査をして、そして報告もしていただきたい。
 二十五メートルの升のところをやったからよろしいというのでは、もしそれでよろしいというのだったら、ほかのを細かくやる必要はないわけですわ。二十五メートルのところというのはそんなに数ないですよね。そのほかにたくさんたくさんもう、この図表をお持ちになっていらっしゃると思いますけれども、ものすごく放射線でもってガス抜きをやっている。これは、ガス突出が危険だと思われるからやっていらっしゃるはずです。とすれば、これはきちんと、保安規程で言われているように六カ月前にガス抜きが終了するという形にならなければならないという理屈になるわけです。だから、そういう意味で、ここのところはもうちょっと責任ある調査をやってもらいたいというのが私の意見なんです。やってくれますか。
#74
○説明員(檜山博昭君) いま御指摘の点でございますが、私どもの方も今度の原因究明に関連いたしまして十分このガス抜きの状況を把握しまして、私どもの方としましても、この升目あるいは升目以外に状況の変化に応じて必要なボーリングを打つわけでございますけれども、その辺のボーリング孔もあわせまして何月何日に大体完了しているか、どの位置で完了しているか、そういった点の状況をつかんでおります。
 それで、六カ月先行という意味でございますけれども、最低限基準に合わなければいけない。さらに状況に応じてそれは後からも追加的にボーリングをしてガス抜きをしていくということが必要じゃないかということでございまして、そういう関係から一部増しボーリングをしたところは九月に入って完了しているというところもございますけれども、これでもって大体一応形としては会社の方としてやっているのじゃないかと思いますが、さらにまた、どうしてそういったガス抜きのボーリングをやっていたにもかかわらず今度の災害が起こったか、この辺はこれから十分詰めていきたいというふうに考えております。
#75
○小笠原貞子君 保安規程で六カ月と決まっているわけですよね。それで大体その辺のところはやったからいいだろうと。そして、それを点検していって、そしてもしおくれたら採炭をおくらすというふうな形でおたくの方では対処する、こうおっしゃっているわけです。それはおたくの言い分かもしれない。だけれども、三月の予定だったのを、一月に二カ月繰り上げて採炭を始めますよということを会社が申請してきているわけでしょう。そうしてそれについて、一月に二カ月早めますということを通産省、おたくの方としても承認していらっしゃるわけです。だからその辺のところを私は指摘しなければならない、こう思うわけです。
 それで、六月でしたね、本向きの方から採掘していくのを、逆に今度の現場の方から採炭していくというふうに変更されました。そのときはまだ三月の採炭の予定だったですね、六月までは。ところが、その後です。これも私この委員会で言いましたけれども、九月二十五日に石鉱審の経理小委員会で大変厳しく指摘された。それに出席されていた林社長も、大変厳しい指摘をされたと山に帰って報告されているわけです。そして、これは何とかしなければいけないということで非常事態宣言をお出しになって、急速掘進だということで猛烈に急がせたわけです。それはもう御承知のとおりだと思うわけです。急速掘進ということで、みんながんばれということで、二カ月早めて一月ということの態勢をとっていったわけです。
 だから、私がここで申し上げたいことは、つまり、保安規程で六カ月前にガス抜きボーリングをしておかなければならないということ、それはただ数字が決まっただけじゃなくて、安全ということから見ればやっぱりガス抜きが一番大事ですから、そのためにこういうことが決められていたはずなんだということです。しかし北炭は、自分の会社だから知っているわけです、十分知っていながらこれを無視して、先ほど孔番で言った百八十八番、百九十番などというのは九月に入って半ば過ぎですよ。そうすると、六カ月の保安規程なんかあったってなくったって同じようなことになっちゃうという結果になりますね。しかもはなの方から入っていく場所ですよ、この孔番の九月の半ば過ぎまでずれ込んでいるというのは。
 そうすると、この問題は、北炭の会社そのものの保安無視の体質ということをいろんな角度から私何回も委員会で取り上げましたけれども、この問題から見てもまさに北炭の保安無視の体質というものがはっきりまた言えるのではないかと思うのです。
 それと同時に私は、北炭も悪い、だけれども二カ月早めるということを承認したのはほかでもない通産省ですから、やっぱりそこのところの責任というものがあると言わざるを得ないわけです。そういうことにはっきり責任を持ってやっていらっしゃらないからこそ、見逃されてきて、そしてついにいろいろな事故を起こすというような結果を生み出しているわけです。だから、私はきょう具体的にこのボーリングの状態を全部調べていま申し上げているわけですから、その辺についてもやっぱり姿勢を厳しく持っていただきたい。そうでないと、これからいつどんな災害がまた続いて起きるかわからないということです。その辺のところの責任をしっかりと感じていただきたい。
 今度の事故で九十三人の人の命が失われた。それからさっき石炭部長も言われましたね、災害が大変異常な債務を引き起こすと。だれもプラスにならない、大変な人命とお金というものをつぎ込むことになるんです。ここのところできちっとそういう事故原因についての厳しい姿勢で取り組んでいただかなければ、今後いろんなところに問題が起きたときまた繰り返しになると思う。そういう意味で、はっきりした姿勢でもって責任を感じて徹底した調査をやっていただきたい。
 政務次官さん、済みません、私の言いたいことはそういうことなんです。きちっとした厳しい姿勢で、具体的な問題でおろそかにしないで一つ一つ詰めていただきたいということをお願いしたいと思うのです。担当の方もお願いしますから、政務次官からの決意のほどもはっきりさせていただきたいと思うんです。
#76
○説明員(檜山博昭君) 今後こういった災害が起こらないように、私どもの方としましては原因究明を徹底的にやるということでいま進めております。
#77
○政府委員(真鍋賢二君) 安全性の確保を図った上で取り組まなければならない問題でございますから、御指摘の点を重々踏まえまして今後対処してまいりたいと思います。
#78
○小笠原貞子君 これは事故が起きてから、そしてまたこの事故じゃなくて、毎回の事故のたびにもう本当に耳がたこになるほど、徹底的に原因究明をいたします、誠意をもってといろいろおっしゃるんだけれども、もういっぱいいっぱいこういう問題が残されているわけですから、ここら辺でそろそろはっきりさせていただかなければだめだということなので、その辺のところをきちっと押さえていただきたいと思うのです。
 それから、最後に一つお願いしたいのですけれども、事故現場のゲート坑道、ゲート坑道というのはいわゆる炭層そのものでございますね、着炭ですよね、沿層掘進を始めていた。三日後でしょう、十月十三日に沿層掘進を始めて三日後ですよ、ガス突出事故があったのは。それでこの沿層掘進に対するガス抜きボーリングというものはいつまでに終わっていなければならないのかということなんです。
 時間がないから私の方から言いますと、一カ月前という規定でございますね。
 そこで私は考えちゃったんです。新鉱の保安規程でも、盤下坑道からのガス抜きは一カ月以上経過してからということになっていて、一カ月前ならよろしい、こういうことになるわけなんです。切り羽についてはいま言ったように六カ月前に完了してなきゃならないということがあって、沿層坑道の掘進は一カ月前でよろしいというのが私はどうしても腑に落ちない。しかも、沿層坑道というのは着炭だから、つまり炭の中を入っていくわけだから、非常に私は危険なことだと思うのだけれども、そこだけ一カ月でよろしいというのはどういうことなんだろうか。
 そして、いままでのガス突出の事故というのを調べてみますと、ほとんど沿層坑道が災害の原因ということになっているんです。いままでの経過から見ますと、切り羽面からの事故というものより沿層坑道からの事故というのが非常に多いのです。そういう意味から見ますと、一番危険なところだ。ガスの問題というものをここで重視しなきゃならない。
 そこのところが一カ月前でよろしいというのは問題ではないか。今回の事故の教訓の一つとしてこれも検討する課題として残されているのではないか、私はそう思うわけです。その辺についての御見解はいかがでしょうか。私は検討していただきたいと思うのでございますが、最後の質問でございます、いかがでございますか。
#79
○説明員(檜山博昭君) この点は、一カ月先行というのは一応この炭鉱においてこういうふうなシステムがとられておるわけでございますけれども、自然条件との関係でこれは場合によってはもう少し長くというようなことも必要なのじゃないかというふうには考えます。
 一般的に、ガス突出の問題については、非常に重要な問題であるということで、ガス突出委員会をつくりまして、これは東京とそれから九州、北海道につくっておりまして、この部会でもって対応策を検討してきた結果、いろいろと先ほど申し上げた升目の盤下坑道からのボーリングとか、あるいは沿層掘進の際の先進ボーリングとか、あるいは緩めボーリングの問題とか、そういった数々のガス突出に関する基準というのができ上がってきておるわけでございますけれども、いま先生御指摘のような点は自然条件との絡みでもって少し考えてみたいというふうには考えております。
#80
○小笠原貞子君 そうですね、ぜひ御検討ください。
#81
○森下泰君 私は、核融合エネルギー並びに木質エネルギーについて、本日御出席をお願いいたしました森参考人並びに関係各省に若干の御質問をいたしたいと思います。
 まず、核融合エネルギーについてであります。
 きょうは政務次官もおいででありますが、私は、当委員会は参議院にだけしか存在をしない委員会でありまして、したがって、法案の審議もきわめて重要でありますが、それのみならず、わが国にとってきわめて重要でありますエネルギー問題について長期かつ客観的な視野において検討をし、もって国のエネルギー対策の方向づけに資するというのが当エネルギー対策委員会の使命ではないか、かように存じておる次第でございます。さような観点に立ちますと、先ほど来御指摘がございましたけれども、石油代替エネルギーの中核として今後軽水炉による原子力発電の推進あるいは高速増殖炉の開発促進等々きわめて重要でありますが、さらに長期的な視野に立って二十一世紀のエネルギー供給を展望した場合、エネルギー問題を資源的な制約から解放するものとして核融合エネルギーが大きく期待されるものと考える次第であります。
 そこでまず、本日お願いいたしまして参考人として御出席をいただいております日本原子力研究所の理事であられる森参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、核融合は言うならば地球上に小さな太陽をつくり出すというものであり、いろいろとむずかしい問題が多く、その実現はきわめてむずかしい、かように伺っておりますが、核融合エネルギーの実現可能性についてどのような見通しをお持ちでありますか、お伺いをいたしたいと思います。
#82
○参考人(森茂君) お答えいたします。
 核融合は、御指摘のように、人類の未来を担う有力なしかも無尽蔵に近いエネルギー資源の一つといたしまして、世界的に非常に広く期待されておるものでございます。それで、石油、石炭だけではなくてウラン資源にも乏しいわが国にとりましては、将来のエネルギー自給の観点から非常に有用なエネルギー源であろうというふうに考えているわけでございます。
 わが国におきましては、日本原子力研究所でトカマク方式につきまして核融合の研究を昭和四十四年から始めました。そして現在、そのトカマク方式による核融合エネルギーの実現を目指しました研究開発を実施しております。一方、大学などではトカマク方式を初め、レーザーなどの各種の閉じ込め方式につきましての基礎的な研究を進めておられるところでございます。
 それで、研究の現状ということでお話をさせていただきますと、当面の最大の目標は、臨界プラズマ条件の達成でございます。臨界プラズマ条件と申しますのは、核融合の燃料であります重水素、三重水素などを温めるために入れたエネルギーと核融合によって出るエネルギーとがバランスするのを臨界と言っておるわけでございますが、そういうふうなバランスをとりますためには、端的に申しまして、温度で申しますと五千万度から一億度の高温を実現することが必要でございます。そういう臨界条件の達成を目指しまして、日本原子力研究所では、鋭意建設を進めておりますところの臨界プラズマ試験装置、JT60という愛称で呼んでおりますが、その装置を完成させまして、昭和六十一年には臨界条件が達成されるものというふうに確信しております。
 このJT60臨界プラズマ試験装置相当の装置は世界でもほかに三つほどございまして、いわば並んで仕事をしているわけでございます。
 このJT60を研究の段階で申しますと、これまで進めてまいりました理学的といいましょうか、あるいは物理的な研究の集大成でございまして、いわば科学的実証の段階だと思っております。したがって、間もなくこれから四、五年で科学的実証が終わるということになります。それからこれが達成できますと当然次は実用化を目指した工学的な実証ということが必要になるわけでございますが、それが一九九五年前後に実証できるだろうというふうに考えております。その次は当然実用性の検証が必要でございまして、そのためには核融合炉の経済性を実証しなければいけないというのが一番大きな課題でございますが、その実用性の検証というのが二〇一〇年ごろになろうかというふうに思っております。
 それで、そのようなことを考えてまいりますと、二〇二〇年ないし二〇三〇年には、人類が核融合によるエネルギーというものを広く使えるようになるであろうというふうに確信しておる次第でございます。
#83
○森下泰君 ありがとうございました。
 ただいまの御説明の中にもございましたけれども、わが国の研究開発の進展状況が、世界各国と比較してどのような地位と申しますか、状況にありますか、簡単で結構でございますが、少しくお伺いをしたいと思います。
#84
○参考人(森茂君) お答えいたします。
 わが国の研究開発の状況につきましては、総括的に申しますと、日本、アメリカ、ソ連、ECという四つの先進国の中の一つとしてトップレベルにあるというふうに考えております。もっと細かく申しますと、その中でもアメリカと日本がややぬきんでているのではないかというふうに考えております。それで、現在建設中のJT60は、先ほども申し上げましたように世界のトップクラスの臨界実験装置でございますし、この装置が完成いたしますと、科学的実証という点について非常にユニークな、世界に冠たる仕事ができるというふうに確信しております。
 ここに至るまでの道程におきましては、わが国は、特に日本原子力研究所におきまして、トカマクの分野で多くのすぐれた成果を上げているわけでございます。
 少し専門的になって恐縮でございますが、例を挙げさせていただきますと、ダイバーターという工夫をいたしまして、プラズマの中の不純物を取る工夫を実証いたしました。それからトカマクの中のプラズマの電流を高周波によって駆動する、高周波によって電流を流すということを実証いたしましたし、それからプラズマの閉じ込め効率をあらわしますベータ値という数値がございますが、それについても世界最高の値を実現しているわけでございます。これらの挙げました例は、いずれもその当時におきまして世界の核融合研究の中で一番問題になっていたところでございまして、そういういわば中心的なところで世界をリードするような結果が出たというようなところから、日本とアメリカはいわば一歩ぬきんでているのではないかという判断をさせていただいたわけでございます。
 核融合の研究開発は、その臨界試験による科学的実証、それから次いでは工学的実証に入るわけでございますが、研究開発でございますので、科学的実証が終わったら途端に工学的研究が始まるということではございませんで、いわば科学的研究の最後は別の目で見れば工学的な研究開発にもなっているわけでございます。
 それで、今後必要な技術的な課題を挙げますと、プラズマを温めること、一億度という高温まで温めることとか、プラズマの閉じ込めをさらに効率化することとか、あるいは安定に制御する技術だとか、あるいは燃料となりますトリチウムの取り扱いの技術とか、材料、超電導の開発など多くの研究分野があるわけでございます。
 そのような工学技術の問題についても、プラズマの加熱、制御などでは日本は世界的に相当すぐれているというふうに思っております。
 最近話題になりましたJT60用の加熱装置でございます中性粒子入射加熱装置――NBIというふうに訳しておりますが、中性粒子入射加熱の原型ユニットにおきまして七十五キロボルト、七十アンペアというビームを十秒間続けて出すという成果を上げたわけでございます。この十秒というのは世界最高の記録でございまして、アメリカやECではせいぜい〇・五秒から一・五秒のところで電極等が溶けてしまうというので苦労しているわけでございますが、日本は非常にいい工夫をいたしまして、そういう十秒という非常に長い時間に到達したわけでございます。十秒ございますと、実は、実験炉などを点火すると申しましょうか、実験炉でエネルギーを出す状態の一億度に加熱する時間というのは約十秒でございますので、ほぼ実験炉といいましょうか、工学的実証に必要な時間にもうすでに達しているというふうに申し上げられるのでございます。
 そのほかには、超電導とか、トリチウムとか、材料とか、そういうふうな研究がございますが、それぞれに準備をしているところでございます。
 最後に一言、世界的にどうなっているかということを御説明させていただきたいと存じますが、日本はそういうふうに仕事が進んでいるわけでございますけれども、米国では磁気核融合エネルギー工学法というのを五十五年の秋につくりまして、成立させまして、大統領がサインいたしました。核融合の工学的有用性を一九九〇年までに実証しようということを国家目標とするということをその法律で定めているわけでございます。その線に沿って、アメリカでは仕事を進めているところでございます。
 それからECの方では八二年から八六年までの長期計画を最近決めましたのですが、その中で、核融合の専門家でない人たちが、核融合のエネルギーの有用性について評価をいたしました。これは、ECの国々の将来、次の世代のためにこういう仕事をしなければいけないということを、核融合の専門家以外の者がそういうことを言いまして、予算的には約十五億ドルを五年間にわたって投資しよう、約三千七百億円でございますが、それくらいを投資しようというようなことの答申を出しまして、最近ではECの閣僚会議がそれを承認したというふうに聞いておるわけでございます。
 長くなりましたが。
#85
○森下泰君 ありがとうございました。
 大変中に入って御説明をいただきまして恐縮でございますが、素人わかりのする範囲の御表現で結構なのですが、いまお話しの中にございました中での技術的な諸点で、恐縮ですが余り専門的でない御表現で教えていただきたいことがありますのですが、それは、この一億度という超高温プラズマの加熱とその閉じ込め、それからマイナス二百七十度という極低温、超電導磁石等の極限的な技術でございますが、そういう研究開発が現在どういう状態にございますか、少しお教えいただきたいと思います。お願いいたします。
#86
○参考人(森茂君) お答えいたします。
 まず最初の方の、一億度のプラズマということでございますが、これは、ガスを一億度の高温にいたしますと、プラズマと申します螢光灯の中にございますような電離されたガスになってまいります。電気を帯びたガスになってまいります。それを磁場で閉じ込めるというアイデアが二十年ばかり前に出ました。
 これは非常にいいアイデアでございまして、非常に強力な電磁石によりましてその磁力線で磁気のかごみたいなものをつくりまして、それの中に高温のプラズマを入れて閉じ込め、加熱しようというアイデアでございます。その後、いろいろ磁力線の形を工夫するとかそういうふうなことをいたしまして、現在では、磁気閉じ込め方式の一種でございますトカマク方式によりますプラズマ閉じ込め加熱の記録といたしましては、温度では米国の装置におきまして八千万度というのが実現しております。ちなみに日本では、日本原子力研究所で約二千万度というのが出ております。
 それから、閉じ込める、この磁気のかごの中に高温のプラズマを入れておく平均時間というようなものでございますが、その閉じ込め時間につきましては、現在〇・一秒というのが世界で一番長い時間でございます。これは、米国の同じくPLTという装置と、それからサンジエゴにございますダブレットIIIという装置で出しております。そのサンジエゴの方の装置につきましては、日米協力で日本のチームが出したデータでございます。
 こういうふうになっておりますので、この方式を発展させてまいりますれば、一億度一秒という限界条件は実現できるであろうという確信を持つに至ったわけでございます。
 それから、御指摘がございました超電導の技術でございますが、今度は打って変わりまして非常に低温でございまして、御指摘のように、マイナス二百七十度Cという絶対零度に近い温度を実現して、超電導の性質をつくり、それをコイルとして使うわけでございますが、超電導の線材をつくる技術とか、それをコイルに巻く技術とか、あるいは超電導状態を保持するための、極低温マイナス二百七十度Cというのをつくる極低温技術などの開発が必要でございますが、現在まですでにわが国にはいろいろな優秀な産業基盤がございまして、そういう協力を得まして、ニオブチタンとかあるいはニオブ3すずというようないろいろな線材の開発をいたしまして、あるいは大型のヘリウムの冷凍機の開発をいたしまして、相当の自信を持つところまでいっているわけでございます。
 このように、核融合というのは非常に先端技術が集まっているわけでございますけれども、最初申しました一億度の方は、核融合の中で開発しなければいけないことでございますし、それから超電導のようなものは、いわば電気工学としても有用な技術でございまして、そういう方々が開発された技術を核融合用にさらにもう一歩伸ばすというようなことをしているわけでございまして、一般の技術体系の中でのいろいろなやりとりをしながらそういう先端的な技術をつくり上げているというのが核融合の現状かと存じます。
#87
○森下泰君 ありがとうございました。
 いま一つ森参考人に、ちょっと別の観点でございますが、核融合はクリーンエネルギーと言われておりまして、私どももさように了解をいたしておりますが、核融合燃料の一つであるトリチウム、三重水素は放射性元素であり、その安全性の確保が問題であるという意見も耳にいたしております。この分野についてのわが国の研究はどのような状況にございますか。
 また、同時に、核融合実現の障壁であると言われております材料の問題、核融合反応によって生じる強力な中性子による材料の損傷の研究が重要である、かように聞いておりますが、これらの点につきまして、研究の現状についてお教えをいただきたいと思います。
#88
○参考人(森茂君) お答えいたします。
 トリチウムは、確かに放射性同位元素でございますけれども、放射性同位元素の中では毒性が最も少ない元素の一つでございます。しかし、放射性同位元素でございますので、取り扱い上の安全については十分注意しなければいけないわけでございまして、そのためにも、取り扱いの技術をこれから確立していかなければいけないというふうに考えているわけでございます。
 やや立ち入って説明させていただきますと、トリチウムの取り扱い技術を割って考えますと三つほどございまして、一つは、トリチウムというのは化学的には水素と同じでございまして、最も軽い気体でございます。それで金属容器等から透過しやすいという性質があるわけでございまして、御指摘のように注意をしなければいけないというのはそういうところでございます。二番目は、トリチウムを分離精製しなければいけないわけですが、それの同位体分離の技術を確立する必要があるという点でございます。それから三番目は、大量のトリチウムを扱う必要があるという点、以上三点あるわけでございます。
 まず第一点の、トリチウムは水素の同位元素で非常に漏れやすいということについてでございますが、これは装置や施設の設計施工につきまして特段の注意をいたしまして、漏れが少ないようにするということを考えなければいけません。それからさらに、要所要所には、多重格納構造と申しましょうか、たとえばチューブなどですと二重のチューブにいたしまして、一番中にトリチウムがあるといたしますと、その外側を真空にして、そこにもし漏れてきたとしてもその次のバリアでとめるようにするというような、多重格納構造と申しましょうかそういうふうな工夫をする必要があります。それからまた、採用するプロセスに、トリチウムの入っております配管等の中で高温高圧にならないようにするという工夫、設計上の配慮も必要でございます。これらの技術は、実は軽水炉の燃料の再処理過程でも採用されている技術でございまして、工学的にはかなりの完成度に達しているというふうに思っております。もちろんそれを核融合用に発展しなければいけないことは確かでございますけれども、すでにある程度のバックグラウンドはあるというふうに申し上げてよろしいと思います。
 一つ補足させていただきますと、トリチウムは空中に外に漏れますと、酸素と化合しまして、トリチウム水といいましょうか、水蒸気のようなものになってしまう。それで、空気の中から水蒸気を取り去るというのは比較的簡単な技術でございまして、たとえばアルゴンを取るとかクリプトンを取るというふうな、非常にアルゴンやクリプトンは空気中から取りにくいものでございますが、水蒸気の方は冷やせば簡単に取れてしまいますし、ほかに吸着材もございまして、非常に取りやすい化合物の一つでございますので、そういう点でも、しかるべき注意をすれば御心配ないというふうに考えておるわけでございます。
 それから、トリチウムを長期にわたって安定に貯蔵することも非常に大きな技術的な課題でございます。貯蔵しているものが漏れてはいけませんので問題でございますが、これは最近燃料電池とか水素エネルギーの利用ということに関連いたしまして、チタンとかウランに水素あるいはトリチウムを吸わせるという技術が急速に開発されておりまして、これも技術的に非常に明るい見通しを持つことができるというふうに考えております。
 二番目の、細かくなって恐縮でございますが、同位体分離の技術でございますが、同位体分離というのは非常に高度な技術でございますが、日本原子力研究所では、現在、沸点の差を利用しまして同位体を分けます深冷分離法というのがございますが、その深冷分離法と、それから、温めますと重い物が拡散する速度が少し遅くなるものですから、そういうことを利用しまして同位体を分離する熱拡散法という、その二つの方法に重点を置きまして開発を進めておるところでございます。それで、前者の深冷分離法というのは、元来空気から窒素を分離するのに開発された技術でございますし、原子力の分野では再処理過程においてクリプトンを分離するというのに現実的に利用しておられるわけでございます。そういうことでございますので、トリチウムの深冷分離もこれらの技術の延長上にございますので、十分それは開発ができるであろうというふうにいま見通しておるわけでございます。
 最後の、トリチウムの大量取り扱いでございますが、これは残念ながらわが国では最も技術開発がおくれている分野でございます。現在米国では、核融合炉の燃料サイクル、トリチウムのサイクルの技術を実証しますために、トリチウムシステム試験装置というのをアメリカのロスアラモスというところにつくっておりますが、その装置が完成いたしますと、実験炉規模のトリチウムを実際に回してみる技術的な実証ができることになっております。ところが、これらの技術は非常に機微にわたる情報でございまして、その一部は国際協力という形で日本も入手することができるということは期待できますけれども、全面的にアメリカのトリチウムシステム試験装置からの情報に安易に頼ることはできないというふうに考えております。
 そこで、わが国といたしましては、まず一グラム程度のトリチウムを扱える比較的小規模な施設をつくりまして、それで安全取り扱いを初め各種のトリチウムのプロセスの基本的な技術を確立いたしまして、そこからスタートしましてだんだん段階的に扱う量をふやしてまいりまして、最後に実験炉の運転開始までには一キログラム程度のトリチウムが扱えるような技術を確立したいというふうに考えております。
 後半の御指摘の材料でございますが、確かに核融合炉では発生する中性子のエネルギーが非常に高うございます。それから中が高温の一億度でございますので、その一億度から出てまいります輻射のために炉の壁というのは相当な高温になってまいります。そういう二つの過酷な条件があるわけでございまして、材料としての要求というのは非常に厳しいものになっているわけでございます。これに耐える材料の開発というのは核融合の一つのかぎとなる技術だというふうに思っておるわけでございます。
 それで、これに対応する方法には二つの方法があるわけでございまして、一つは、要求を何とか下げようという、材料をやさしくしようという方でございまして、炉の設計面でいろいろな工夫をこらします。あるいは、プラズマの閉じ込め方式に工夫をこらしたりいたしまして材料の負担を軽くする。温度を下げるとか、そういうふうな工夫をすることもあります。
 現在、国際協力で設計を進めております国際トカマク炉という実験炉の設計がございます。INTORと私たちは愛称しておりますが、そういう炉でもこのような設計方針が採用されているわけでございます。このINTORでは、国際的に設計をしてみまして材料がどれだけ厳しいかということを計算で出しまして、それではこういうふうに設計を変えればこの材料ならもつようになるのではないかというようなことを国際的に知恵を出し合って設計しているわけでございます。
 それはいわば消極面でございますが、もう一つの積極面としては、当然、核融合炉にふさわしい材料を開発するということでございます。この方面の研究は実は既存の原子炉材料の研究開発の延長線上にございますので、その研究開発の成果を踏まえて仕事をしているわけでございます。原子炉と申しますのは軽水炉とそれから高速増殖炉で、両方の延長線上にあるわけでございまして、ちょうどこう、軽水炉、高速増殖炉、核融合炉というふうに位置づけできるのではなかろうかというふうに考えております。
 それで、そのような経験を踏まえまして、有望と思われるような合金の材料を二、三選定いたしまして、それについて原子炉の中性子を使って照射をしてみる、あるいは加速器を使いまして、シミュレーションと申しておりますが、核融合炉のある条件を模擬した実験をするというようなことをいたしているわけでございます。今後はさらに、高エネルギーの中性子源を用いまして確性試験、性能を確認する試験を行いまして研究開発を進める必要があります。
 このような材料の開発につきましては、世界的にも実は緒についたばかりでございまして、各国ともいま申し上げましたような問題点というのはよく認識しておりまして、今後積極的な国際協力によってこの面の研究開発の促進を図りたいというふうに考えているわけでございます。
 と申しますのは、実は材料というのは、たとえばどういうふうな合金をつくればどういう性質が得られるであろうというふうな理論と申しましょうか、そういう理屈が大分このごろわかってまいりまして、やみくもにいろいろつくってテストをしてどういうものができるかというのを経験的にやらなくても、ある程度の見通しがつくようになりました。しかし、照射に強い材料となりますと、まだそこまで知恵が進んでおりませんで、やはり最終的には、大体この辺はこれぐらいの合金がよさそうだとわかりましたら、その範囲でいわばじゅうたん爆撃的に照射をいたしましていいものを選び出していかなければいけないわけでございまして、これは非常に時間とお金と人手もかかるものでございますので、国際的によく知恵を出し合って、あるいは分担してでも、照射をしていいものを選び出す努力をしようではないかというような動きがあるわけでございます。
 それで、これらの研究開発の進展と、それからわが国は特に鉄鋼は非常に優秀な技術を持っておりますので、そういうふうな技術を組み合わせますれば、核融合にふさわしい材料というものが開発できることは十分可能だというふうに考えているわけでございます。
 終わります。
#89
○森下泰君 どうもありがとうございました。
 森参考人、私の方は、お引き取りいただいて結構でございます。大変お忙しいところをありがとうございました。
 それでは次に科学技術庁に御質問をいたします。
 ただいま日本原子力研究所の方からお話がございましたトカマク方式でありますが、先日新聞紙上で成果が報じられた電子技術総合研究所が進めている方式、それから私一度見学に参りましたが、阪大で行われておりますレーザー方式、こういったいろいろな方式があちこちで進展しているように承っておりますが、このような種々の方式についてどのように推進されておりますのか、科学技術庁としての御見解を伺いたいと思います。
#90
○政府委員(高岡敬展君) 核融合の研究につきましては、御案内のとおり原子力研究所あるいは国立の試験研究機関での研究と大学におきます研究とございます。それで、私ども科学技術庁で直接担当いたしておりますのは大学以外の研究でございますので、簡潔に申し上げたいと思います。
 内容につきましては、ただいま森参考人の方からかなり詳細な御説明がございましたので概括的に申し上げますが、原子力研究所では、いまお話がございましたトカマク方式につきまして、これは国際的にも現在のところ近い将来核融合によるエネルギー生産という可能性が一番高いという評価を受けておりますが、これの臨界実験装置、つまり投入いたしましたエネルギー以上のエネルギー発生ができるかどうか、そういった条件を確認するという意味での実験でございますが、そういった目的を持ちましたJT60という装置を現在建設をしております。五十九年度の末には完成をするという予定になっております。
 それからJT60の次には、いわゆる原子炉で申し上げますと実験炉と申し上げますか、技術的にかなり効率よくエネルギー発生ができるということの技術的な信頼性といいますか、そういうものの確認が必要でございます。そういった段階のものとして、一種の核融合の実験炉といったものを想定いたしております。そのために、先ほど御説明がございましたようなトリチウムの技術でございますとかあるいは超電導の磁石というものを使いまして、非常に効率よく磁場をつくるということを考えなくてはいけない。それから材料問題、そういったいわゆる工学的な研究というものをJT60の建設と並行して進めておるということでございます。
 それから、いま御指摘がございましたように、国立試験研究機関、特に通産省の電総研でございますが、筑波にございますけれども、プラズマの閉じ込め方式の一つでございますがピンチ方式というのがございます。ごく最近のことでございますけれども、世界の専門家がびっくりするような成果を得まして非常に注目を集めた。聞くところによりますと、英国の専門家などはそういった論文を読みまして、とてもこれは信頼できないというような感じでございましたそうでございまして、わざわざ自国から装置を持ち込んで自分で測定をしてみて、実際に間違いがなかったというようなことの確認が行われたというふうに聞いております。
 そういったことで研究が進んでおるわけでございます。
 それで、原子力委員会がこの関係の研究の総括をやっておるわけでございますが、段階ごとに、たとえば核融合の研究開発の基本計画でありますとか、あるいは原子力全般の長期の研究開発計画といったものにこういった諸般の研究を織り込みまして計画的に進めておる、こういう状況でございます。
#91
○森下泰君 実は、大学の方での研究の現状につきまして文部省の方に伺いたいと思って御連絡をしておいたのですが、文部省の方は来ておられぬようでございまして、余り熱心でないようでありますからその方はまた後日に譲ります。
 いまいろいろお話がございましたが、大変御努力をいただいておりますが、わが国の核融合研究開発への投資額及び現在の核融合関係の研究者数はどれぐらいになっておりますのか、お話しいただきたいと思います。
#92
○政府委員(高岡敬展君) 核融合の研究というのはかなり古くからやっておりまして、日本で原子力の研究が始まりましたのが昭和二十九年とか三十年とかという時期でございますけれども、実はその当初から核融合の基礎的な研究が行われております。きわめて息の長い研究でございますが、昭和五十六年度末までの研究投資額、大学を含めまして全体で千七百億円でございます。そのうちでJT60の建設に約八百五十億の金を投入いたしております。
 研究者数でございますが、これは研究従事者というふうに御理解をいただきたいと思いますが、産業界におきます陣容が必ずしもよく把握されておりませんのでそれを除きまして申し上げますと、現在研究者あるいは装置の製作その他ということで約千名の人が核融合の研究に従事をしておられるというふうに承知いたしております。
 御参考までに、日本の核融合予算というのが対外的にどうかということを申し上げますと、五十六年度の核融合の研究開発の予算が日本が四百六十四億でございます。ちなみにアメリカが千四百億円でございます。ヨーロッパ連合が約六百億円でございます。
 それから研究者数でございますが、日本の千人に対しまして、アメリカが約二千五百人、ヨーロッパ、ECが同じく二千五百人、こういった見当だと承知いたしております。
#93
○森下泰君 いまお話しのように、大変長期かつ多額の資金を要する、またそれだけ大事な事業でありますが、先ほどの御説明のように、私どもが聞いておりましてある部門において若干の重複が考えられるのではないか。各種ある、こういうことでありまして、重複になってはいないか。それから各種の核融合方式を今後どのように調整していこうとしておられるのか、その点について現在の御視点を伺いたいと思います。
#94
○政府委員(高岡敬展君) ただいま御指摘がございましたように、現在のところ非常に有望であると申しますか、近い将来いわゆるエネルギーの生産技術として物になりそうだということではトカマク方式というのが評価をされておるわけでございますが、金額の面でも、先ほど申し上げましたようにこれに重点的に研究投資をしておるということでございます。
 そのほかに、たとえば大阪大学で進められておりますレーザーによる核融合でございますとか、あるいは名古屋大学のプラズマ研究所で行われておりますステラレーター方式でありますとか、あるいは京都大学でやっておられますヘリオトロンでありますとか、あるいは先ほど申し上げました電総研のピンチ方式だとか、あるいは筑波大学のミラー方式、こういったふうに各種の方式が考えられておるわけでございます。
 トカマク以外の方式につきましては、まだ装置をつくるのに非常に多額のお金を要するというような点はありますけれども、科学的あるいは技術的な観点から見ますと基礎的な研究の段階である、こういう状況でございます。
 でございますので、たとえばこういったものの研究の調整というのをどうしたらいいのか、特に先ほど申し上げましたように大学におきます活動といいますか研究がかなりなウエートを占めております関係で、大学の自治との関係をどう考えたらいいのかという非常にむずかしい問題があったわけでございますが、原子力委員会に核融合会議というのを下部組織として設けております。これには大学の関係の、先ほど申し上げましたようないろいろな装置を使って研究をされておる第一線の研究者、権威者が参加をしてもらっております。でございますから、この原子力委員会の核融合会議という場で原子力研究所、国立の試験研究機関と大学の研究活動との調整が行われておる、こういう状況でございます。
 将来の問題でございますが、JT60というような大きな臨界実験装置といった段階にスケールアップして、たとえばヘリオトロンでありますとかあるいはステラレーターでありますとかあるいはピンチ方式というようなものが試験を要するというようなことになりますと、その段階におきましては、現在われわれが行っております以上の十分なといいますか、かなり厳密な計画の調整、予算その他の調整というものが必要ではないか、こういうふうに考えております。
 いずれにいたしましても、核融合の研究が原子力研究所あるいは国立の試験研究機関だけではなくて、大学におきます計画を含めまして非常に急速に拡大といいますか、をいたしておりますので、御指摘のような研究の調整ということが今後非常に重要だという認識を持って、計画の調整を原子力委員会で行っておられるという状況でございます。
#95
○森下泰君 重要であるというのは私が申したんで、どの辺でどういう御判断になるであろうかという御質問なんですが、いまの御説明で、私どもなりにかように解釈してよろしいですか。
 いまの核融合会議という機関において、それから時点、JT60、ということは昭和六十年ですね、その辺の時点において整理というか、統一といいますか、調整をする。あるいは調整が可能である。それまではいろいろやっていかなければいけないのだ、その辺になれば調整が可能になるという判断ができる時点が来る、こう解釈してよろしいですか。
#96
○政府委員(高岡敬展君) 説明を省略いたしましたのであれでございますが、JT60のような工学的な研究の段階になりますと、これはそれほどそうたくさんのものについて技術開発をやるというわけにはいかぬというふうに思います。
 でございますけれども、基礎的な段階の研究というのは人員あるいは財政的な負担というものが許します範囲でできるだけたくさんのいろいろな方法を研究しておくべきであるということが基本認識としてあろうかと思います。たとえば具体的に申し上げまして、現在のところ、JT60を完成いたしましてその運転の状況を見、それから一方トカマク以外の研究開発の状況を考えまして次期装置、つまり先ほど申し上げましたような実験装置というのを実際に日本でつくるかどうかという意思決定をするわけでございますが、その時点におきましては、先ほど御指摘がございましたようなトカマク以外のものの評価ということを十分に図っていく必要がある、そういうふうに考えておるわけでございます。
#97
○森下泰君 では、次に移りまして、国際協力の問題であります。
 米国のダブレットIIIを使った日米共同研究でありますが、これはたしか福田総理それからカーター大統領のときに着手されたものと聞いておりますが、そうした国際協力がどんどん進行いたしておられまして、先ほどのお話にもありましたけれども大変結構であります。そうした核融合の国際協力、費用的にも大変大きなもので、またいろいろな面でどうしても協力しなければならない、技術的にも必要である、かように理解をいたしております。
 さような国際協力についての現状並びに今後の考え方について、簡単で結構ですから御説明願います。
#98
○政府委員(高岡敬展君) 核融合につきましてはいろいろな形で国際協力というのが行われております。
 国際原子力機関、IAEAというのがございますが、これでINTORという次期装置の共同設計作業が行われております。これは、実際物をつくるかどうかということはさておきまして、ソ連を含めて各国でやっております研究の成果を持ち寄って設計作業をやって、具体的な技術情報の交換をやっていこうということに意義がある計画でございます。
 それから、OECDの組織でIEAというのがございますが、ここでは超電導磁石の計画がございます。簡単に申し上げますと、日本、アメリカ、スイス、EC、この三カ国一グループでございますが、超電導磁石を実際につくりましてそれを持ち寄りまして試験をしてみようということでございます。
 それから、お話がございましたように、日米の間ではダブレットIII、これはプラズマの断面が非円形のD形のものでございますが、こういう装置がアメリカのゼネラル・アトミック社にございますので、そういうものを使っての研究というのを日米協力の形で進めております。そういった状況でございますが、アメリカといえども核融合の開発、特にその次期装置の計画というのは一国だけの力ではとても進めることができない、こういうことを核融合を進めております当事者が言っておるぐらいでございまして、ましてや日本が次期装置をつくるという場合につきましても、技術情報の面あるいは工学的な技術の面ということで可能な範囲の国際的な協力というのがぜひ必要である、こういうふうに考えております。
#99
○森下泰君 核融合につきまして最後の御質問というよりも、御意見を一言賜りたいのでございます。
 それは、きょうはエネルギー庁長官また通産政務次官もおいででありますので一言ずつお願いをしたいのであります。
 もう御存じのとおり、またただいまいろいろの御説明がありましたように、核融合の問題は言うならば人類にとりまして新しい時代が始まることであります。現在具体的な諸問題であります、石油でありますとか石炭でありますとかあるいは原子力でありますとかでいろいろがたがたございます問題を、それなりに解決することは大変重要であると思いますけれども、日本の国の資源その他のことから申しましても、これだけの科学的な発達をいたし、また力を持っております日本の国におきまして、日本の国民のためだけではなく本当に世界人類を救済するために核融合といったことについて最高の努力をして当然ではないか、私はかように考えるものでございまして、先ほどお話がありましたように、政府におかれていままで、資源エネルギー関係の予算が毎年緊縮財政にもかかわらず増加をしておる、また先ほどもお話がありましたような巨額の投資が行われておる、またそれぞれ御担当者が本当に真剣に取り組んでやっておられる。先ほど森参考人のお話のとおりでございまして、私も国民の一人としてまことに高い評価と感謝をいたしておる次第でございます。
 なお一層そうした面につきまして今後御努力をいただきたい、かように存じておりますので、一言政府としての御意見を賜りたいと思います。
#100
○政府委員(小松国男君) いま先生からお話がございましたように、実は現在はエネルギーで言いますと谷間の時代だというふうに思います。
 といいますのは、恐らく先ほど来話の出ました核融合または太陽エネルギーの開発、こういうものが実現いたしますとエネルギーの供給は無限といいますか、そういう面での供給制約がなくなる。その間は、石油その他を初めとする有限エネルギー、それから原子力その他でその間を何とかつないでいくというのが現在のエネルギー政策というふうに思います。
 そういう意味におきまして、日本のようにいろいろの意味での資源の不足しております国にとりましては、将来のエネルギーについての安定供給という観点から、核融合の研究開発を初めとする将来エネルギーの開発というのは非常に重要だと思いますし、私どもとしてもそれについて最大限の努力と支援をしていきたいというふうに思っております。
#101
○政府委員(真鍋賢二君) 二十一世紀に向けてこれからのエネルギーをいかにして確保するかという点について、十分な対応がなされておらなければならないと思うわけでございます。
 現に、ただいま御指摘がありましたように、今年度予算を見ましても、未来に対するエネルギー対策というのは、十分ではございませんけれども必要な予算が確保できておるわけでございますから、これから二十一世紀に向かって、日本は資源が少ないわけでございますから、そういう対応を十分なしておかなければならないし、また技術立国として日本が今後伸びていかなければならないわけでございますから、そういう面からもこの追求をしていかなければならないと思っているわけでございます。
 エネルギーが世界の原動力という一つの大きなテーマのもとにこの問題が前進していくように、また日本にとりましてもその負担をできるだけ大きくしていくように努めていかなければならないのじゃないだろうかと思います。
#102
○森下泰君 それでは、次の問題であります木質エネルギーにつきまして若干の御質問をいたしたいと思います。
 木質エネルギーをなぜ私が取り上げさせていただいたかは二つの理由がございまして、一つは、申し上げるまでもなく、先ほど御審議がございましたこのたびの長期エネルギー需給見通しの中にいわゆる代替エネルギーというところがございまして、その代替エネルギーの一つの大きな内容ではないか、かように考えます点からでございます。
 それからいま一つは、いわゆる木質エネルギーについて私も不勉強でありまして勉強してみて大変びっくりしたのですが、いわゆる人工林につきましては日本は世界有数の大国でございまして、昭和二十七、八年ごろから関係者が人工造林に孜孜として努力をしてこられて、そのために人工林としては日本は世界第三位か四位に入っておるはずでございます。そのりっぱな人工林がいまや問題があるというのは、間伐ができないあるいはしないということで人工林そのものが枯れつつある。しかも間伐をいたしまして得たそのものから実はエネルギーが生まれ得る可能性がある。ですから、一方で石油、その他の代替エネルギーが必要であると言われると同時に、木材そのものが余っているといいますか、そこに存在しておって十分に使い得る可能性が現実にあるということです。
 しかももう一つ問題がありますのは、いまのまま人工造林をほっておきましたら実はみんな立ち枯れになっちゃって緑が失われますし、それから農山村の森林関係の業界といいますか、そうしたものが大変疲弊をしつつある、かような問題でございます。
 そういうところから、どうしてもこの際木質エネルギーにつきまして一つの問題として取り上げるべきではないか、かように存じましたのでこの際御質問をいたしたい、かように存ずる次第でございます。
 時間がございませんので急いでやらせていただきますが、まず第一に伺いたいのはバイオマス資源についての包括的な御質問であります。
 実は昨日、私が属しております自由民主党におきましてバイオマス議員連盟が発足をしたばかりでございまして、私もその一員に加えていただいておりますが、バイオマスの問題は大変これからの大きな、いろいろな面で注目をすべき問題だと思いますが、そのバイオマス資源につきまして、科学技術庁から四月初めに公表されたと聞いておりますが、わが国におけるバイオマス資源量は一体どれくらいあるのか。それから、エネルギー総需要量の何割程度に相当するのか。それから、この資源を構成するものは具体的にどのようなものがあるのか。この三点につきまして、バイオマス資源につきまして御説明をいただきたいと思います。
#103
○説明員(井上市郎君) それでは、先生のただいま御指摘の件でございますが、これは、私ども科学技術庁の資源調査所において三カ年計画で、バイオマス資源のエネルギー的総合利用に関する調査、そういう調査を現在実施しておるわけでございますが、その一環といたしまして発表したものがわが国のバイオマス資源量というものでございます。
 この調査によりますと、わが国におきましては、毎年およそ一億六千万トン程度のバイオマス資源が生産されているということでございます。これはもちろん生産されておるものでございますが、このうち、有効に利用されておるものも多分にあるわけでございますけれども、エネルギーとして利用可能なものは約一億トンである、そういうふうな調査になっておるわけでございます。この一億トン、これをすべて仮に直接燃焼するといたしますと四百二十八兆キロカロリーというエネルギーを発生いたしまして、これは石油に換算しますとおよそ四千五百万キロリットルというような量になるわけでございまして、わが国で一年間に消費されますエネルギー量の一割に相当するということになるわけでございます。
 しかしながら、このバイオマス資源をすべてエネルギーに利用することが可能かどうかということにつきましては、これが飼料でございますとかあるいは堆厩肥等にも利用されてございますので、そういった問題との競合の問題、あるいは経済性の問題、そういったようなことも検討していかなければいけないわけでございまして、今後さらにこの調査の中でいろいろ進めていくことになろうかと思っておるわけでございます。
 なお、バイオマスとここで申し上げますのは、非常に大きなウエートを占めますのは、先生の御指摘にもございましたように林地からの樹木の関連のもの、あるいはそれに関連します竹とか下草、そういったものでございますが、そのほかにも、耕地内の農産物の廃棄物でありますとかあるいは生活廃棄物、産業廃棄物、そういうようなものも含めておるわけでございます。
 以上でございます。
#104
○森下泰君 よくわかりました。
 もう一言つけ加えて御説明おき願いたいのですが、科学技術庁として、これらの資源の特徴、それから活用の基本的方向といいますか、そういうものについてはいまのところどんな方針でおられるか、一言お願いしたいと思います。
#105
○説明員(井上市郎君) バイオマス資源につきましては、これは石油ですとか原子力、そういった現在の主流を占めておりますエネルギーと比較してみますと、エネルギー密度が非常に小さいという制約があるわけでございますが、わが国の場合は非常に広い範囲にわたって分布しておりますしまた再生可能ということもございまして、非常に貴重な国産資源であろうと思っておるわけでございます。したがいまして、これは、もちろんエネルギー資源でありますとか、あるいは新たな科学原材料としての利用というようなことがいろいろ将来期待されてくるわけでございますが、これをエネルギーとして利用するといたしましても、これの生産でありますとか、あるいは転換でありますとか、利用でありますとか、そういった各段階につきましてその長期的な技術開発を進めていかなければならないと思っているところでございます。
 また、こういったバイオマス資源は、非常に密度が小さく、量的にも必ずしも現在主流を占めておりますエネルギーに比べますとそう豊富には存在しないというようなことから、それが生産された地域におきまして利用されるという、地域的な利用というものを考えていくことが重要であろうと思っているわけでございます。このために科学技術庁といたしましては、エネルギー研究開発基本計画のもとでバイオマスエネルギーを一つの研究開発として位置づけまして、関係省庁が協力いたしまして、総合的、計画的に推進しておるわけでございます。
 科学技術庁におきましても、理化学研究所でありますとかあるいは資源調査所におきましてこれらの調査研究を進めているところでございます。
#106
○森下泰君 いまの御説明の中に、いわゆるバイオマス資源の中に森林の占めるウエートが非常に高い、こういう御説明がありましたが、林野庁にお伺いをいたしますが、森林の中で、エネルギー源に適した、またはそれに活用可能な木材は一体どんなものがあるのか、現存量と今後の供給見通しなどを御説明願いたいと思います。
#107
○説明員(依田和夫君) お答え申し上げます。
 先生の御質問の、エネルギー用の資材といたしまして直接調査をいたしましたデータは、まことに恐縮でございますが私ども持ち合わせておりません。ただ、エネルギー用の資材としましてなじむといいますか活用可能な木材といいますか、こんな分野がございまして、これについて申し上げますと、たとえば、現在非常にわが国で流行といいますか被害が甚大でございますマツクイムシ、この被害木、これは五十五年度で申し上げますと約二百二十万立方にも及ぶわけでございます。それから台風によります風倒木というようなものもございます。昨年北海道に上陸いたしました十五号台風、これは約三百四十万立方に及びます風倒木、風害木を生じさせておりまして、こんなものもエネルギーの資材としまして非常になじむのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから、先ほど来先生御指摘の間伐材、これが五十四年か五年ぐらいのところの平均で申しますと大体三百万立方ぐらい見込まれておりまして、これらを総計いたしますと大体八百万から九百万立方というような年間数量が予定されておるわけでございます。一口に八百万から九百万と言いましても、換算した例で申し上げますと、一戸建ての住宅なんかで申し上げますと大体五十万戸程度の住宅量に相当するというような量に当たるわけでございます。
 今後のこれらの資材の見通しといたしましては、いま申し上げました災害の資材というのはなかなか性格上見通しが困難でございますけれども、間伐材に関連いたしましては、特にその主体を占めます民有林におきまして都道府県の知事さんが都道府県の間伐総合方針というのを昨年策定いたしております。これによりますと、五十六年度から六十年度の五年間におきまして民有林で間伐をいたします数量が約百三十万ヘクタール、立木の材積で申し上げますと二千八百万立方ほどでございます。これを丸太に換算し直しますと大体千七百万立方ぐらいになりますわけでございますが、こんなかなり膨大な数量が出てくる見込みでございます。
 以上でございます。
#108
○森下泰君 ちょっといまの説明はよくわからないのですが、マツクイムシなどの災害はこれは変動的ですから必ずしも的確に掌握ができない。それはわかるのですが、間伐材の場合は造林、人工林でありますから時期が来ると計画的に何年にはどれぐらいの間伐が必要であるということがわかるはずではないかと思うのです。
 そうしたことを含めて、現在の人工林を中心にした森林資源、それからその間伐の実施状況、あるいはまたその間伐したものをどんなふうに活用しているのか、そうした点をもう少し御説明いただきたいと思います。
#109
○説明員(依田和夫君) お答え申し上げます。
 わが国の国土面積、全体で御承知のように三千八百万ヘクタールございますが、この三分の二、約二千五百万ヘクタールが御承知のように森林で覆われておるわけでございます。この二千五百万ヘクタールの中で一千万ヘクタールが、先ほど来先生御指摘いただいておりますように、農山村の人々が額に汗いたしまして造林をいたしました、人工でつくりました森林でございます。一口に一千万ヘクタールと申し上げましても、先ほど先生が挙げておられましたが、世界で一千万ヘクタール以上の人工林を持つ国というのは非常に少のうございまして、一番多く持っておりますのが中華人民共和国、これが約三千万ヘクタールぐらい持っております。それから次ぎましてソ連、アメリカと来まして、わが国が、こんな小さな国でありながら第四位の人工林保有国というような位置にあるわけでございます。
 中身を申し上げますと、一千万ヘクタールの人工林といいましても、先ほど先生おっしゃっておられましたが、戦後に非常に造林が進み出しまして非常にまだ若齢の森林が多いということでございまして、一千万のうち約四百七十五万ぐらいが現在間伐が必要な森林に達しておるわけでございます。特に、人工林の主体を占めます民有林、いわゆる市町村が持っております森林とかそれから個人が持っております森林、こういう森林でここ五年ぐらいの間に緊急に間伐を実行しないと、先生御指摘のようにもやし状になりまして、みんな台風なり虫なりにやられてしまうというふうな危険性を持っております森林が約百九十三万ヘクタールほどございます。
 こんな状況の中で、現在民有林におきます間伐というのがどのくらい行われているかということでございますが、最近のデータで申し上げますと、これは大体年間十万ヘクタールから十五万ヘクタールというようなことで非常に間伐実行状況は低水準にございます。こんなことで、私どもきわめて問題だというふうに考えておるわけでございます。
 切られましたこの間伐材の利用状況でございますけれども、現在のところいわゆる建築資材とかパルプチップ用材といったような分野に約六割強が使われておりまして、残りの三割強が実は森林の中に切られたまま放置されておるというような、要するに利用されておらないという実態にございます。
 以上でございます。
#110
○森下泰君 いまのお話では、間伐時期が来て間伐材がかなり出てきておるにもかかわらずその利用が必ずしも十分ではないというように私の方は理解をいたしておるのですが、実は、先ほど申しましたけれども、日本の人工林については、何とか世界大会で大変評価を受けたりしているぐらいの努力が傾倒されておって、せっかく世界第何位かの人工造林国になっておりながら、その造林が必ずしも現在維持が適切ではないという感じを受けておりますので、それにつきまして、その原因、また今後どういうふうに林野庁としては考えておられるのか、もう一言御説明いただきたいと思います。
#111
○説明員(依田和夫君) 間伐が民有林におきまして十分に実行されておらないというような原因につきまして申し上げさせていただきますと、いわゆる間伐と私ども専門的に呼んでおりますのは、主伐と間伐とございまして、主伐というのは木が大きくなりましてから全部切るのを主伐と言うわけでございまして、通常四十年ないし五十年たちますと主伐に至るわけでございます。先ほどから申し上げております間伐というのは、いわゆる大根なんかの間引きと同じでございまして、大体二十年生前後で行われるものが間伐でございます。
 そこでまず第一に考えられますのは、主伐に比べまして間伐といいますのは非常にコストがかかり増しするというようなこと、技術的にも非常にむずかしいというようなことがございます。これに引きかえまして、今度は間伐材の方でございますが、先ほど来申し上げておりますように、余り利用先がない、建築現場の足場丸太といったようなところぐらいしかどうも利用されておりません状況でございまして、十分な利用先がない。したがって値段も非常に安いというようなことから間伐の実行経費がすべて赤字になってしまう、採算が合わないというようなことで、農家の人たちが自分たちの日銭を割いてまでそちらに回すというような形になかなかなっていないという実態がございます。
 それから二点目には、民有林におきまして造林を戦後から行いました人々というのはこれは主に農家の人々でございますけれども、この人たちはほとんど初めて戦後造林を行った人たちでございますので、木を植えますことは簡単にできるわけですが、そして後の下草刈りぐらいまではある程度簡単でございますけれども、間伐とか伐採というようなことになりますと彼らは技術を持っておらないというような実態にございます。
 そういう意味で現在なかなか採算が合わない、技術もないというようなことで間伐が実行されない、こんなことが原因の大きなところでございます。
 次に、先生御質問の、そういう状況に対処して間伐を一体どういうふうに実行するのか、間伐促進のための政策いかんということでございますけれども、私どもはいまのような問題点に対処いたしまして、実は間伐の実行、それからこれに必要な作業道とか機械、それからさらに間伐材を総合的に加工いたしますような機械類または施設、こんな関連を総合的に補助いたします間伐促進総合対策というような事業を昨年度から発足させております。また今年度は、間伐材の需要がなかなか少ないという先ほど申し上げた点でございますが、この点に着目いたしまして、間伐材の需要情報をいろいろ収集しまして、これを業界の方々に提供するというような間伐材需要情報銀行というようなシステムを発足させております。それから、国産材振興資金という非常に低利の融資制度がございますが、この制度の中にことしから間伐等促進資金というような資金制度を新たに設けて間伐の促進に努めておるわけでございます。
 以上のような間伐の促進の結果、先ほど申しましたような間伐数量が予想されてくるのではないかというように私どもは考えておる次第でございます。
 以上でございます。
#112
○森下泰君 時間がありませんので急いで御質問いたしますが、現在間伐は不十分だけれどもとにかく今後努力をして山林のためにも大いにやっていくのだ、こういうことですね。
 問題は、間伐でできました木材、林野庁におかれてはそれをエネルギー化していこうということについてどのようなお考えあるいは計画を現在持っておられますか、一言御説明願いたい。
#113
○説明員(今村清光君) 先生御指摘の、間伐材その他林地の残材であるとかいろいろ木質の材料、未利用の資源があるわけでございますけれども、こうしたものをまとめて木質系エネルギーというふうに言っておりますが、こういった木質系エネルギーはかつて主要なエネルギー源として使用されていた実績があるわけでございまして、かつ再生産が可能であるといったような数々の特性を有しているわけでございます。
 そういうわけで、活用分野といたしまして、やはり農山村地域のローカルエネルギーということで、賦存量の多い農山村地域の公共施設、家庭、シイタケ栽培、シイタケ乾燥などに使っていこうというふうに考えているわけでございます。
#114
○森下泰君 結構でございましょう。
 同様の趣旨を通産省にお伺いしたいのですが、私ども聞いていますところでは、広島県その他でペレット化してそれを燃料に使おう、これはアメリカですでにもうかなり始まっておるはずなんですが、木材くずを燃料に転化していくためにそうした加工過程を経てやっていくという作業あるいは企業がすでに発足をしておると聞いておりますが、その点についての通産省の見解を御説明願いたいと思います。
#115
○政府委員(石坂誠一君) ただいまのお話でございますが、通産省といたしましては、石油代替エネルギー関係の技術実用化開発補助金という制度がございますが、それにのっとりまして、昭和五十五年度からバイオマス資源のペレット燃料化システムという名前の研究開発を助成しておるわけでございます。この技術はローカルエネルギー供給の有力な手段として考えておるわけでございますが、現在のところ、パイロットプラントが建設されまして、そしてこれから実用化のためのデータをとっておるという段階でございます。
 今後、技術開発課題といたしましては、実用化に当たってペレットを生産するプラントをどういう場所につくったら有利か、あるいはどういう程度のものがいいのかというようなことも課題でございますし、またできたペレットをどうして燃すかということも研究の対象になるかと存じます。
 いずれにしましても、この技術が実用化されますと、単に木材の利用ということだけではなくて、たとえば稲わらとかもみ殻とか、そういうようないわば農産廃棄物等のエネルギー的な有効利用に役立つというように考えておるわけでございます。
 アメリカでございますが、実はもう盛んにやっておりまして、すでに四十トン・パー・デーという非常に大きな能力を持ったプラントが働稼しておりますし、百トン・パー・デー以上のプラントも動いております。数字で申しますと、現在十の企業で二十二基のプラントが稼働中ということでございます。これはいずれも廃木材の資源を有効に利用するという方法でございまして、私どももこれをいまやや追っかけたような形で勉強しておる、こういうことでございます。
#116
○森下泰君 工業技術院長のお話を伺って大変意を強くいたしておりますのですが、正直、私も本問題にエネルギー委員会の一員としてタッチをいたしまして、アメリカでさえと言うと変ですが、アメリカにはまだまだ石油もあればいろいろ資源がありますし日本の場合は石油がとまったら終わりだ、こういうことです。ところが一方で、森林資源が、さっきから何回も御説明があったように余っておって立ち腐れになっておる、こういうことでありますから、それをエネルギー化、資源化していくことはむしろアメリカよりも日本の方が進んでおって当然ではないかと思う一人でありまして、問題は経済性にあるように思われますけれども、それは先ほど御説明がありましたような、地域別に適当なことを考える、あるいは加工をどうするか、そういった工夫によりましてかなり解決できるのではないかと、私も素人なりに考えております。
 それで最後に、長官並びに政務次官に一言いただきたいのであります。
 現在は油がありますからこれで結構なんですが、あるいは若干は備蓄で守れるかもしれませんが、いずれどすんとなったら油が来ない、そうすると日本の場合は、しかしここにこういう木材資源がありますよと。いま現実にありますのでそれに対しまして、国の補助金も出ておることをよく知っておりますが、いままで通産あるいは林野庁、あるいは科学技術庁でいろいろな形でここまで努力をしてこられたものでありますから、なお一層この際御着目をいただいて、いざというときにはこれにかわるぞという体制を私はお取りおきいただくべきではないか、さような意見を持っておりますので、そうしたことを含めまして一言ちょうだいいたしたいと思います。
#117
○政府委員(小松国男君) いま先生のお話がございましたように、日本の場合、特に国産エネルギーでございますバイオマス、特に木質系の燃料、こういうものは日本のエネルギー構造から言って最大限に利用していかなければいかぬ、こういうことで今回の長期需給見通しの中でも新燃料油、新エネルギーということでその位置づけを行っております。
 先ほど来お話が出ておりますように、こういうバイオマス資源というのは再生可能資源でございますので日本の場合にも潜在的には、先ほど科学技術庁からの答弁がございましたように農産廃棄物、畜産廃棄物その他いろいろの意味で未利用資源があるわけでございます。こういうものを燃料として利用し、またさらに技術開発によってアルコールとか、メタンへの転換、こういうことも図っていく必要があるのではないかというふうに考えております。純粋な国産エネルギー、しかも再生可能ということで、私どもとしても将来これを有効利用するということでエネルギー源としての期待を大きく持っておるわけでございます。
 ただ、そのためには、先ほど来話が出ておりますように生産面での経済性の問題、それから安定供給の問題、こういう面での技術開発の問題がございますし、さらに利用面での技術開発、こういう面が大事でございます。そういうことで、新エネルギーの一環ということで、この面での技術開発、これは相当時間もかかりまたいろいろと工夫が必要だと思いますが、今後とも研究開発面を含めて努力をいたしていきたいというふうに考えております。
#118
○政府委員(真鍋賢二君) 日本古来のエネルギー確保という面においては大変重要なエネルギー源が、若干このところ新しいエネルギーに取ってかわったがために見捨てられておった傾向がなきにしもあらずだと思います。そういう点で、ただ経済性の面からだけでこの問題を処理していくということに対しては妥当でないと思うわけでございます。
 各省間にまたがる縄張り争い等もあったかと思うわけでございますけれども、そういう点は総合的に連絡を密にしましてこれからの対処をしていかなければならないと思うわけでございますけれども、やはりこれには新しい技術をもって開発していかなければならないと思うわけでございます。
 新技術のもとにそういうエネルギーを有効に利用する方策を考え、経済的にもまた技術的にも安定した状態に持っていくことが今後大事な問題だと思うわけでございます。そういう点に立ちまして、これからのエネルギー開発に努めていきたいと思います。
   〔理事亀井久興君退席、委員長着席〕
#119
○委員長(森下泰君) 他に御発言がなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#120
○委員長(森下泰君) この際、調査報告書についてお諮りいたします。
 本委員会も設立以来すでに二年有余を経過し、また本委員会の設置の際に要請されている経緯にかんがみ、今回これまで行ってきた調査の概要を集約し、委員会活動の状況を公表することについて、理事会で協議の結果了承されました。そこで、「エネルギー対策に関する調査の概要(報告)」案を作成することといたしました。
 つきましては、お手元に配付いたしました本案を本委員会の中間報告書として議長に提出することとし、その作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#121
○委員長(森下泰君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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