くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第096回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和五十七年四月二日(金曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     山中 郁子君     佐藤 昭夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中野  明君
    理 事
                後藤 正夫君
                高平 公友君
                太田 淳夫君
    委 員
                岩上 二郎君
                長田 裕二君
                片山 正英君
                上條 勝久君
                源田  実君
                杉山 令肇君
                鈴木 正一君
                長谷川 信君
                藤井 孝男君
                田中寿美子君
                松前 達郎君
                吉田 正雄君
                小西 博行君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      宮本 二郎君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   三井 嗣郎君
       科学技術庁計画
       局長       下邨 昭三君
       科学技術庁研究
       調整局長     加藤 泰丸君
       科学技術庁振興
       局長       原田  稔君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    赤羽 信久君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        高橋  宏君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    森廣 英一君
       法務省刑事局刑
       事課長      飛田 清弘君
       外務省国際連合
       局原子力課長   金子 熊夫君
       大蔵省主計局主
       計官       浜本 英輔君
       通商産業省機械
       情報産業局電子
       機器課長     若曽根和之君
       資源エネルギー
       庁長官官房原子
       力産業課長    田辺 俊彦君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電課長   戸倉  修君
       自治省行政局選
       挙部選挙課長   岩田  脩君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)、昭和五十七年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)、昭和五十七年度政府関係
 機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(科学技術庁))
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中野明君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る三月二十四日、山中郁子君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中野明君) 去る三月三十日、予算委員会から、四月二日一日間、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 中川科学技術庁長官より説明を求めます。中川科学技術庁長官。
#4
○国務大臣(中川一郎君) 昭和五十七年度における科学技術庁の予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 昭和五十七年度総理府所管一般会計予算要求額のうち、科学技術庁の予算要求額は、歳出予算額三千百九十二億四千九百八十六万一千円を計上いたしました。
 また、総理府、大蔵省及び通商産業省の共管による電源開発促進対策特別会計のうち、科学技術庁分といたしまして歳出予算額六百六十八億三千八百四万四千円を計上いたしておりますが、両会計を合わせた科学技術庁の予算要求額は、歳出予算額三千八百六十億八千七百九十万五千円であります。これを前年度の当初歳出予算額三千六百八十二億六千九百九十八万五千円に比較いたしますと百七十八億一千七百九十二万円の増額となっております。
 この歳出予算のほか、国庫債務負担行為限度額といたしまして一般会計一千二百七十六億三千百八十二万四千円、電源開発促進対策特別会計七十二億一千百万円を計上いたしております。
 次に、一般会計歳出予算要求額のうち主な経費につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 第一に、科学技術会議の総合調整機能の強化の一環といたしまして、科学技術振興調整費六十億円を計上いたしました。この調整費は、科学技術会議の方針に沿って、わが国の科学技術振興に必要な重要研究業務の総合推進調整を実施するための経費であります。
 第二に、流動研究システムによる創造科学技術の推進といたしまして、産、学、官のすぐれた研究者を弾力的に組織化して、次代の技術革新を担う創造性に富んだ新技術を生み出すための研究の推進に必要な経費として新技術開発事業団に十九億八千二万八千円を計上いたしました。
 第三に、原子力研究開発利用の推進といたしまして一千七百六十一億九千九百八十七万三千円を計上いたしました。
 これは、まず、原子力安全規制行政及び原子力の安全研究など安全対策を進めるための経費、次に、核燃料対策として、海外におけるウラン資源の調査探鉱、ウラン濃縮パイロットプラントの運転等のための経費、新型動力炉の開発として、高速増殖炉及び新型転換炉の研究開発を行うための経費のほか、核融合の研究として、臨界プラズマ試験装置の建設等のための経費、原子力船「むつ」の新定係港の整備等に必要な経費、多目的高温ガス炉の研究開発並びに国立試験研究機関等における原子力開発利用に関連する各種試験研究を行うための経費などであります。
 第四に、宇宙開発の推進といたしまして八百七十六億六千五百六十二万七千円を計上いたしました。
 これは、宇宙開発事業団における通信衛星二号、放送衛星二号、静止気象衛星一号、海洋観測衛星一号等幅広い分野の衛星の開発及び昭和六十年代の大型人工衛星の打ち上げに対処するため、自主技術による液酸液水ロケットエンジンを採用したHーロケットの開発などを進めるための経費のほか、航空宇宙技術研究所における宇宙開発のための基礎的、先行的研究を行うための経費などであります。
 第五に、海洋開発の推進といたしまして五十五億八千五百三十四万一千円を計上いたしましたが、これは海洋科学技術センターにおいて水深三百メートルまでの潜水作業技術の実海域実験に使用する海中作業実験船の建造に着手するとともに、水深二千メートル級潜水調査船による深海潜水調査研究等を推進するための経費などであります。
 第六に、防災科学技術の推進といたしまして二十三億一千六百七十四万四千円を計上いたしましたが、これは国立防災科学技術センターにおける地震予知研究を初めとする地震対策研究のほか、雪害対策研究等の防災に関する試験研究を進めるための経費などであります。
 第七に、重要総合研究等の推進といたしまして二百五十一億三千七百七十五万九千円を計上いたしました。
 これは、すでに御説明いたしました経費のほか、理化学研究所における最高度の物理的封じ込め機能を有する遺伝子組みかえ研究施設の建設などライフサイエンスに関する研究開発を初め、レーザー科学技術等の各種研究を推進するための経費、当庁附属機関のうち、航空宇宙技術研究所におけるファンジェット短距離離着陸機の実験機の開発等航空技術の研究開発、金属材料技術研究所及び無機材質研究所における各種試験研究及び関連施設の整備に必要な経費並びに資源調査所における各種調査に必要な経費のほか、新技術の開発の効率的な実施を目的とする新技術開発事業団の事業を推進するための経費などであります。
 第八に、科学技術振興基盤の整備といたしまして、まず、科学技術振興のための国の基本的な計画の策定など研究基盤の強化を行うための経費、日本科学技術情報センターにおける内外科学技術情報の収集、整理及び提供業務の充実強化を図るための経費など五十億四千四百五十万五千円を計上いたしております。
 第九に、昭和六十年に筑波研究学園都市において、国際科学技術博覧会を開催するため、会場及び政府館の建設を行うための経費など四十七億五千百七十三万一千円を計上いたしております。
 第十に、国際協力の推進を図りますため、エネルギー分野及び非エネルギー分野における日米科学技術協力を初めとする先進国との科学技術協力、東南アジア地域等の開発途上国との科学技術協力及び国際連合等国際機関との協力に必要な経費として百十一億三千二百七十二万二千円を計上いたしております。
 次に、電源開発促進対策特別会計歳出予算要求額のうち、科学技術庁分の主な経費につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 まず、電源立地勘定におきましては、原子力施設の立地対策として、原子力施設周辺地域の住民等に対する給付金の交付などを行うとともに、関係地方公共団体の公共用施設の整備のほか、放射線監視対策、原子力防災対策などの原子力発電安全対策等に必要な経費として九十七億五千七百六十万円を計上いたしました。
 また、電源多様化勘定におきましては、高速増殖炉原型炉の建設、使用済み燃料再処理技術の開発及びウラン濃縮技術の開発を行うための経費など五百七十億八千四十四万四千円を計上いたしております。
 以上、簡単でございますが、昭和五十七年度科学技術庁関係予算につきまして、その大略を御説説明申し上げました。
 よろしく御審議のほど、お願いいたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(中野明君) この際、お諮りいたします。
 昭和五十七年度科学技術庁予算についての宮本官房長の説明は、これを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(中野明君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(中野明君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○田中寿美子君 私は久しぶりに科学技術特別委員会に戻ってきたわけですけれども、これは党内のいろいろ人員配置の結果でして、恐らくこの委員の中で最も非科学的な者だと思います。ですけれども私は、科学というものは人間に奉仕するためにあるべきものだと、その点ではきっと中川長官も御回意いただけると思いますので、そういう観点からきょうは放射性廃棄物の海洋投棄の問題についてお尋ねしますけれども、その前に、こういう新しく予算をせっかく委嘱されて常任並びに特別の委員会で審議するという形をとりましたのですから、一つぐらいは予算に関連あることをお尋ねしなければいけないかなというふうに思いまして。最初に、私九十六国会における科学技術庁長官の所信表明をもう一遍きのう読み直してみまして、いまの予算の御説明にもありましたように、大変これは広大な範囲を扱う委員会でございますね。
 特に原子力関係のものあるいは宇宙開発、海洋開発、航空機技術開発その他、さらにライフサイエンス、遺伝子組みかえ研究までが入っている、大変大きなテーマを扱う委員会だと思うのですが、それにしても国の予算総額三千八百六十億八千七百九十万というのは何か大変少ないように思いますが、それは長官、どうお考えになりますか。そしてこれは、同じような種類の予算をほかの国などと比べたらどんな状態にあるでしょうか。
#9
○国務大臣(中川一郎君) 田中委員御指摘のように、科学技術庁で担当いたしておりますのは、原子力発電、宇宙開発あるいは海洋開発、ライフサイエンス等幅広いものになっております。そういう幅広いものを対象とする中で三千八百億円ということではという御意見でございますが、私どもとしても、国際的に比べて民間を含めた研究費におきましてもGNPに対して二%そこそこである、諸外国が二・五に近い、二・四%等々いっておりますのに対して、全体としても少ないのではないかという反省を持っております。
 また、これを内訳で見ますと、国と民間との割合が、諸外国がおおむね五対五である、民間五、国が五、それに対してわが国は七対三、総括的に言いますと民間が多くて国の負担割合が少ない。こういうことの反省を一つ持っておりまして、総枠においての増額と同時に、国が力を入れていかなければならない、国の負担をふやさなければいけない。わけてもこれからは先端的、先導的、基礎的なものについて挑戦をしていかなければならないとすれば、民間よりはむしろ国の責任が大きくなってきた。こういうことから制度、仕組みを変える等、予算の面についても、財政再建で非常に厳しいときではありますけれども政府としても最重要施策として位置づけていただき、五十六年度予算においてもまた五十七年度予算におきましても、一般会計の伸びをかなり上回って予算要求をいたしておるところでございまして、十分ではありませんけれども、姿勢としては前向きでやっていかなければいけないし、ことし去年だけにとどまらず今後もそういった姿勢で長期的におくれを取り戻していきたい、こう思っておる次第でございます。
#10
○田中寿美子君 最初に私が申し上げましたように、人々の福祉のためにあるいは人間の幸せのために科学技術はあるべきだという観点から、ぜひそういう意味で、全体の予算が抑えられているときにここだけ飛び離れてというわけにはいかないかもしれませんけれども、今後そのように努力をしていただきたいと思います。
 長官の所信表明の中で、分野として応用技術、生産技術の面では世界のトップを行っているけれども先端的、基本的な科学技術の面では欧米にかなりおくれているというような表現がございますが、これを私素人ですので少しわかりやすく説明していただきたい。どんなふうにどの分野がすぐれていてどの分野がおくれているか。
#11
○国務大臣(中川一郎君) 簡単に申し上げますと、応用あるいは生産開発技術というようなものについては、たとえば自動車のロボットに見られるように非常に進んでおってりっぱな製品ができておる、この点は世界が高く評価をして見ておるようでございます。今日日本の経済が世界が厳しい中で生き抜いたのは、この応用あるいは生産開発技術というものを取り入れてきたということだろうと言われておりますしわれわれもそう思っております。この辺は高く評価をしなければならないのでありますが、残念ながらこの面はどちらかというと民間が中心であるということも事実でございます。それに対して先端的、基礎的な技術については、たとえば科学技術分野における研究者の質といいますか、ノーベル賞の数などを見ても世界の数に比べて一%程度でしかない。これは科学技術庁だけじゃありませんが、科学技術のレベルが全体としておくれている象徴ではなかろうか。むしろこういった先端的、基礎的なものは欧米先進諸国からいただいておった。こういうことに対する反省をいま持っておりまして、この辺のおくれを取り戻していかなければ、従来のように先進諸国が安易にわが国にそういったものをくれませんし、また外国からいただくに当たっても日本がそういう先端技術を持っておらなければ外国からいただけない。あるいは日本の経済がこれだけ強くなってきて、これからの国際協力、特に先進国等に対してこういった暮らしと関係のある先端技術なりあるいは応用技術なり、そういうものについても日本の国際分担としての使命が大きくなってきたのではないか、こう見ておるわけでございます。
#12
○田中寿美子君 科学技術庁の方、具体的にたとえばどういう面では特におくれているということでございますか。
#13
○政府委員(宮本二郎君) ただいま大臣の説明したものを若干補足させていただきますと、最近の実例で申し上げますと、貿易摩擦とか技術交流問題がいろいろ出ておるようでございますが、たとえば超LSIというようなものがございます。こういうようなものは実は基礎技術はアメリカから全部導入したものでございます。それで、その基礎技術を日本が国内で消化いたしまして、これは民間企業などの力によるわけでございますが、その最先端のたとえば六十四キロビットの半導体、超LSIなどは、生産技術といたしますと品質管理その他日本の方がすぐれておる、非常な競争力を持って今度アメリカに上陸をしつつある、こういうところからいろいろ問題が起こっておるわけでございます。
 こういうようなのは一つの例でございまして、一般的に申しますと基本特許、たとえば特許権にも商品になりますと特許とそれから基本的な特許がございますが、その基本的な特許、たとえばロータリーエンジン、中が回転いたしますエンジンでございますが、こういう方式はドイツの特許でございますが商品化されましたのは日本で、御承知のようにロータリーエンジン車というのが走っているわけでございます。こういう基本特許の点が全部オリジナルなものが大体導入されておる。そして商品化され生産もされる、競争力を増す、日本が非常に優位に立つ、こういうところが今日の状況じゃないかと思っておるのでございますが、だんだん日本も経済大国として世界に伍して第一線に出てくるような今日でございますので、そういう基本特許的な部分につきましても日本自身が自力で独創的な開発をしていかなければならぬ。そういう意味で基礎技術的な先端技術、基盤的な技術、こういうように大臣が申し上げた、こういうことではないかと思っております。
#14
○田中寿美子君 それでは、本題の方の原子力開発に関連して、放射性廃棄物の海洋投棄の問題を伺いたいと思います。
 すでに一昨年くらいからミクロネシアあるいはもう最近ではメラネシア方面まで含んで、各島々の島民が放射性廃棄物の海洋投棄に対して反対の意思表示をしたり運動を始めている。一昨年十月中川長官は衆参両方の科学技術委員会において、こちらにいらっしゃる吉田正雄議員やあるいは衆議院で八木昇議員に対して、放射性廃棄物の海洋投棄は南太二平洋諸国などの大方の賛成が得られないままで強行することは不可能であるということをおっしゃっておりますね。十月二十一日の衆議院の科学技術委員会で八木昇さんに対して「南太平洋諸国の反対、小笠原島の反対、よく承知いたしております。今後とももっと努力をして、大方の賛成を得て海洋投棄を実施したいと思っておりますが、御指摘のように、大方の賛成が得られないままに強行するということは実際上不可能だと存じます。」というふうに答えていらっしゃる。そのとおりだろうと思うのですけれども、この一年半の間に、昨年もまたやはり反対決議をこの周辺の島々の人たちがしております。今日までの間に、このような長官の言葉が出されましたその後一年半の間に南太平洋諸国の大方の賛成が得られるようになったと判断していらっしゃるかどうか。
 私どもとしては、その反対運動の人々がしばしば日本にもやってきておりますし、昨年の十二月八日、これは婦人たちの大きな戦争反対の集会でしたけれども、そこにもミクロネシアから女性が見えました。そして各島々の状況などの御報告があって、海洋投棄に対する反対の意思表示が非常にされているわけなんですけれども、長官の方ではどういうふうな判断をお持ちでいらっしゃいますか。
#15
○国務大臣(中川一郎君) しばしば国会で答弁いたしておりますように、海洋投棄、低レベルの放射性廃棄物の廃棄に当たりましては、大方の国々が賛成しないままにこれを実際上投棄を行うということはできない、またやらない、これはもう変わっておりません。
 そこで、昨年集中的にかなりこれら関係国に安全性についての説明に行っております。しかし南の国々の人々にはまだ納得が得られませんし、また感情的に、日本でできたものを南の国々の海に投げるということはという気持ちもあるようです。この点については、南の国々の一番端であります北マリアナから千百キロ、日本から九百キロということで影響があるとすればむしろ日本であるというようなことを説明したり、実際害を与えない形で処理されておるというようなことも説明しておりますが、残念ながらまだ納得いただいておりません。ただ、昨年でしたか、南の国々の方々、議員の方々がお見えになりました機会に現物を見ていただいた、あれは静岡の浜岡原発における発電所並びに低レベルの廃棄物について見てもらったところ、かなり理解はしていただいたのじゃないかと、安全性についてはそういう印象も持っております。今後ともそういったことで安全性について説明を申し上げると同時に、われわれが考えていることは、やはり現場を見てもらうことが一番理解が得やすいのではないか、そういったことも含めましてこれから粘り強く大方の賛成が得られるように努力をしていきたい、現段階ではそのように考えております。
#16
○田中寿美子君 昨年夏には北マリアナ連邦、ミクロネシア連邦など北部諸島の首脳がグアムで、太平洋水域における放射性廃棄物の海洋投棄に反対する決議をした。それから一昨々日、三月三十日の朝日新聞に報道されておりますけれども、今度はこれは国連人間環境会議なんですね。国連といえば百五十八ヵ国ぐらいいまあります。外務省の方も来ていらっしゃると思うのですが、国連の環境計画確立のために、どの島か私ちょっと地図を見ているわけなんですけれども、クック諸島の首都ラロトンガというところで環太平洋諸国の代表が集まって国連人間環境会議を開いた。これは国連が主催している。そして国連の環境計画の中でどのようにするべきかという討論の中で、この南北の太平洋にある島ほぼ全部が一緒になって海洋投棄に反対の大変厳しい宣言をしている。資源と環境に関する南太平洋宣言というのを採択しているわけなんです。その間の事情は昨日お見えになった外務省の方も余り御存じなかったし、科学技術庁の方も通産省の方も余りよく御存じなかったのですが、外務省の方からこの人間環境会議について説明をしていただきたいと思うのです。
 国連はたとえば国際婦人年、国際児童年、その前には国際環境年、それから障害者年と毎年テーマをとって国連の目標とする運動を展開していくわけなんですが、国連といってもこれは政府代表の集まりと考えたら間違ってくるし、それからかつてのように大国が支配した状況ではなくて百五十数ヵ国のうちのもう大半が第三世界の人たち、そういう人たちの集まりであるところの国連が人間環境会議を開いて、そしてその地域の人たちの意思を代表した決議をしたということは相当の意味があると思うのですが、いかがでしょう。まず外務省から。
#17
○説明員(金子熊夫君) お答えいたします。
 先生御指摘の会議はこれは正式には南太平洋人間環境会議、こう呼ぶと思いますが、実は私どもまだ同会議の最終レポートのようなものは入手いたしておりませんので概略しかわかりませんが、私どものフィジーにございます日本大使館からの報告によりますと、この会議は三月八日から十一日までクック諸島のラロトンガで行われたようでございます。二十八ヵ国といいますか、二十八の国とか島、独立以前の島でございますが、国々、島々が参加したようでございます。で、田中先生御指摘のようにこれは国連という枠でいたしておりまして、いまからちょうど十年前にストックホルムで行われました国連人間環境会議ということで世界的に環境保護ということの意識が高まったわけでございまして、それを受けて国連の中に新しい機構としてUNEP、国連環境計画という新機構ができたわけでございます。この機構がいろいろなところで環境保護をやっているわけでございますけれども、アジア太平洋地域につきましてはかねてから、この当該地域におきます南太平洋委員会とかあるいはバンコクにございますESCAP、昔ECAFEと言っておりましたが、そういう地域の機関と共同いたしましてこの会合をおぜん立てをして、三月半ばに開かれたわけでございます。
 決議の中身についてちょっと簡単に御説明いたしますと、決議は正式には天然資源と環境に関する南太平洋宣言と銘打っておりまして、六項目の前文と十四項目の本文から成っておりまして、その本文第九項のところに問題の先生御指摘の記述がございます。それは非常に簡単なものでございまして、太平洋地域における核廃棄物の貯蔵と投棄は防止されるべきであるという一項が入っております。
 以上でございます。
#18
○田中寿美子君 いま世界じゅうに軍縮、反核の運動が起こっていることを御存じだと思いますけれども、特にこの地域というのは日本が戦前信託統治領にしていた地域が相当ありますよね。マーシャル、カロリン群島などというのはそうであったと思います。それが戦後アメリカの信託統治に入っておりました。そしてそのうちから次々と独立、自治が与えられてきているわけなんです。特にパラオ、いまベラウというんですが、本当を言えば、パラオはいわゆる非核憲法を採択した国であって去年じゅうにアメリカから独立するはずなんですけれども、実は昨年の暮れに見えましたバーニートシエ・ゲルダマンさん、名前にみんな日本の名前が入っているのはかつての日本の信託統治の跡をしのばせているわけなんですが、私たちはいろいろとこの方から、もう一人の女性も一緒に来られたわけですが話を伺いました。
 この地域はアメリカにとって非常に戦略的に重要な地域でございますね。いまシーレーンの問題を私は外務委員会でいろいろと、グアムから西側のフィリピン以北というこのシーレーンの問題を議論している最中なんですけれども、それも含めて太平洋戦争の跡のまだ生々しい場所でもあるわけです。したがってこの辺の住民が戦争に対して非常に敏感であるということはおわかりいただけると思うのです。
 このトシエさんの説明によりますと、例の八〇年の夏非核憲法を採択したときは九八%の島民が賛成投票をした。しかし、アメリカの高等弁務官がおり、その非核憲法の改正案をつくらせてもう一度昨年投票があったわけです。しかしこれもアメリカの改正案に対して七八%反対投票をしているわけなんです。つまり、非常に反対の意思が強い。その主役が実は女性たちであるという話なんです。トンガあたりは、メラネシアからポリネシアまで入っていくかと思いますが、サモアなんかもそうですけれども母系社会が多いのですね。私はそういうことをちょっと勉強した人間なんですけれども、そういう話をしても科学技術庁の方もあるいは通産省のこれに関連する方もちっとも御存じない。その社会のあり方というものに対しては全然知識を持っていらっしゃらない。トシエさんが、これはパラオの方ですが、上の方にアメリカの高等弁務官がおってそのもとで近代的な西欧式の行政組織をつくるとそこの長になったりそこに入ってくるのは男の人たちだと。だけれどもその下は慣習法による母系社会である。だから母親たちが実権を握っているわけで、その女たちが家から家へ訪問して自分たちにとって必要なものについて宣伝して歩いたわけです。だから、非常に強力なアメリカ側からの手をかえ品をかえてのプレッシャーあるいはお金もあるいは物質も――おみやげももらった人たちがたくさんいて男性はそっちになびきかけた。いままで自分たちと一緒にやっていた者の一部もそういう傾向を見せ始めた。しかし女たちががっちりと支えたという話をして、大変私どもは感動しました。そういうわけで七八%がアメリカの改正案に反対をしたわけです。
 ですから、こういう状況の中で、いま説得をして現地を見せることが非常に大事なんだというふうにおっしゃいましたけれども、海洋投棄は当分そう簡単ではない。国連人間環境会議でもそういう決議をしているし、それは一部分の賛成者も含めての決議の言葉ですから言葉そのものは非常に緩和されたいまさっきの外務省の説明でした。だけれどもますます、運動としては非常に強いそういう反核運動が起こっている。そういうところに海洋投棄を行うということは当分それはできることではないというふうに思うのですが、長官いかがですか。
#19
○国務大臣(中川一郎君) 御指摘のように非常に私はむずかしいとは思っております。特に、その地元の人に対してアメリカがプレッシャーをかけたといいますが、その実態は私はよくわかりませんが、また逆に危ない危ないと言って宣伝に行っている人もあるようでして、知らない人から言えば、大丈夫だ大丈夫だと言うのに対して危ない危ないと言えば、どちらを選択するかといえばやはり危ないと言った方に乗っておいた方が、さわらぬ神にたたりなしという言葉がありますがそういう現実もあるようでございます。
 そこで、非常にむずかしいわけでありますけれども、現実問題として倉庫にいま一時保管してありますけれども、私もこれのそばに接近してあやしいものではありませんし、陸上投棄しても危ないものではない。ただ、安全なものではあるけれども人類社会から遠ざけた方がいい、こういうところから、より安全ということから考えておるところでございまして、非常にむずかしい問題でございます。たとえば、安全なものであるけれども、白衣を着て入る、いろいろなことをしてやれば、何か白衣を着て入ったのだから危ないというふうに結びつけかねられないむずかしさがあります。そういう遠くへ投げるのだから危ないんだとかいうふうに結びつけやすいところではありますけれども、やはり原子力開発というものも、将来に向かってエネルギー事情を考えるときに人間の幸福を追求する上に欠かすことのできないものであり、そして結果として低レベルの廃棄物の出てくることも事実でありそれを海上、陸上に投棄しなければならないという現実もありますので、現地の厳しさを認識しながら粘り強く正しい理解が得られるように、ただ反対だ反対だだけの扇動的と言ったら悪いのですけれども反対のための反対というものも現実にあるわけですから、それらの人に負けないで誠実をもってやはり正しい姿を理解していただく、こういう努力をしていきたいと思います。
#20
○田中寿美子君 八〇年、一昨年ですね、この海洋投棄をするために国内法規の改正、原子炉等規制法の一部改正があったわけです。そのときにやっぱり私ども外務委員会の方でも放射性廃棄物の投棄に関する条約が審議されました。私ども社会党だけ反対したわけなんですが、その条約の規制はどういうことを規制しておりますか、簡単に。
#21
○説明員(金子熊夫君) 海洋投棄につきましては、一九七二年に採択されましたロンドン条約というものがございます。海洋投棄の規制に関する条約でございますが、この条約では、一定の条件のもとで投棄が許可される物といたしましてその中に低レベル放射性廃棄物が挙がっているわけでございます。それで実際に投棄いたしますに際してはIAEA、国際原子力機関の勧告を十分に考慮するということが規定されております。それでこの国際原子力機関の勧告のところを見てみますと、これはロンドン条約ができましてからウィーンにございますIAEAが専門家を世界じゅうから集めましていろいろ審議いたしました結果をIAEAの勧告としてまとめてあるわけでございますが、その中に書かれておりますのが、まず処分が認められます放射能のレベル、これは私は専門家でござませんのでキュリーとかレムとかいうようなことは省略いたしますけれども、レベルが明記されております。それから、処分いたします場所につきましていろいろな制限がついております。その一つが、深さ四千メートル以上で大陸棚から離れていることという条件がIAEAの勧告として出されております。こういったもの全体、ロンドン条約とそれからIAEAの勧告、こういったものをひっくるめまして私どもは海洋投棄に係る国際的な規制基準というふうに考えております。それからまた別途OECDの原子力機関、NEAというところには海洋投棄に係る国際監視協議機構というものがございまして、これに日本も昨年加盟いたしましたが、その機構の中で、関係国と審議し事前審査をした上でしかるべき方法によって投棄活動が行われるということもまた別途定められております。
#22
○田中寿美子君 時間がわずかになりましたのでちょっと急ぎますけれども、通産省の資源エネルギー庁の資料で見ましても、一九八〇年三月の資料なんですが、原子力発電所で発生する放射性廃棄物のうちで、これは私も急勉強なんですが海洋投棄の規格にかなうのはわずか二三%なんですね。第一、加圧水型原子炉の冷却水には硼酸が入っている。この廃水はコンクリート固化した場合には非常に弱くなってしまうから海洋投棄に必要な強度が足りない。第二に、廃棄物の体積、ドラム缶の本数を減らすのにはコンクリート固化よりもアスファルト固化の方がいいし、さらにプラスチック固化にして小さくしてしまう、そのためには焼けるものは焼いて灰にする。そういうふうなことを私は知ったわけです。それから第三に、フィルタースラッジや使用済みのイオン交換樹脂などには、コバルト60だけでなくて半減期の長いストロンチウム90やセシウム137が――セシウム137は半減期三十年だそうですね、プルトニウム239になると二万四千年だそうですね。そんな長い期間のものを海の底に埋めたとして、そのタンクが破損する可能性がないとは断言できない。
 実際に二割そこそこしか海洋投棄の対象になり得ないというのに、太平洋諸国の強い反対を押して強行するというようなことはすべきではない。海洋投棄不可能なものというのは通産省の資源エネルギー庁の調査では五三%なわけです。だから、わずかそれだけのもののためにそうしなくても、きのうも説明を伺いましたところまだまだ工場内の隔離加工土地は十分あるというふうな話だったわけです。ですからわずか二〇%そこそこのもののためにこの重要な南太平洋の各地域、ここは日本の占領地として戦争の跡の生々しい地域なんですから、そこに科学の名において人間の意思に対して強行するというようなこと、これをやめていただきたいと思いますが、多少通産省の方の説明を伺った上で長官の御意見を、つまりわずかに二割そこそこのいま放射性廃棄物として出てくるもののためにたくさんの小さな島々、国々の人たちの意思に反した行為をすべきではないと思いますが、そのことについて長官にお答えをいただきたいと思います。
#23
○国務大臣(中川一郎君) 私が聞いておるのは、コンクリート固化による低レベルの放射性廃棄物は二割が安全でそれ以外は安全でないとは聞いておりません。アスファルト固化等ハイレベルの廃棄物については問題があるけれども、現在やっておりますコンクリートによる低レベルの放射性廃棄物は安全評価がされておりまして心配のないものであると聞いておりますが、事務当局より補足させます。
#24
○説明員(田辺俊彦君) 原子力発電所から発生しています低レベル放射性廃棄物は先生御指摘いただきましたように発電所の中でいま厳重かつ安全に保管されているわけでございますが、これはサイト内においてかなりの間安全に貯蔵が可能と考えられておりますけれども、私どもといたしましては原子力委員会の方針に基づきまして将来の処分方法として海洋による処分、それから陸地による処分、これをあわせ行うということでいろいろ検討しているところでございます。
 先ほど海洋処分に適格なドラム缶のあれが二三%という御指摘がございましたけれども、私ども現在の貯蔵庫にためられておりますドラム缶の性格を分析いたしまして持っております数字といいますのは半分、五〇%、あるいは六割ないし五〇%が海洋投棄に適しているということで、私どもの海洋処分あるいは陸地処分の計画の前提として考えているわけでございます。通産省としましても、内外の関係者の理解を得まして海洋処分が進められるよう科学技術庁のいま試験的処分に関する御努力を支援をしているというところでございます。
#25
○田中寿美子君 もう終わりますけれども、そうすると一九八〇年三月末の資源エネルギー庁の資料というのは更新されているということになりますが、そのことをやっている暇がもうありません。
 それで長官、まだまだ疑念がいっぱい残っているときに強行するというようなことはしない、それはお約束いただけますね。
#26
○国務大臣(中川一郎君) しばしば申し上げておりますように、関係国のみならず、わが国の水産業関係者の大方の納得のいかないうちはしないと、はっきり申し上げておきます。
#27
○吉田正雄君 大臣に当初にお尋ねいたしますけれども、原子力開発のあり方についてはいろいろ賛否両論があるところなんです。その賛否を抜きにして原子力開発を推進するという立場に立っても、次のような問題が生じた場合に大臣としてはどう思われるのか、まず当初にお聞きをしたいと思うのです。
 ことし三月二十四日の大臣の所信表明においても、原子力研究開発利用の推進というところでは「国民の理解と協力を得つつ、原子力発電所の立地の促進を図ってまいりたい」、こういうことが述べられておるわけですね。したがって国民の不信を買う、協力が得られない、こういうふうなことではこれは推進する立場にとって、あるいは国の方針ということで今日まで原子力開発を進めてきておるわけですから、それにとって非常にマイナスになると思うのです。しかも今日まで原子力開発に費やした金、予算は大変な額になっているのです。わずか五十二年度から五十六年度までのこの五年間で政府が出した予算、お金、これは補助金だけでもって四千四百六十二億七千三百万円ということになっておりますし、それから出資金ですね、出資金というのは動燃だとかあるいは原子力研究所だとかあるいはむつ事業団とかこういうところの出資金ですが、これもこの五年間だけで六千四百十三億八千百万円、合計して補助金と出資金だけで一兆八百七十六億五千四百万円という莫大な予算になっているわけです。これはその他の予算は抜いてありますからね。補助金と出資金だけでこれだけの多額なものになっているわけです。つまり、国民の税金を用いて原子力開発が国家プロジェクトとして進められてきたということなんです。
 そういう点で当初に長官にお聞きをしたいのは、少なくとも長官の所信表明にありますように「国民の理解と協力を得る」とは逆に、たとえば用地買収等をめぐって国民に疑惑が持たれるような、そのことがこの立地を妨げているという事態が仮にあったとしたらこれはまことに私は遺憾ではないかというふうに思うのです。これはいまのところはまだ一般論で言っておりますが、仮にあったとしたらきわめて遺憾だと思うのですが、その点は長官としてはどのようにお考えになりますか。
#28
○国務大臣(中川一郎君) すべて政治は国民の理解と協力なくしてできないと思います。なかんずく原子力平和利用に当たりましては、わが国が被爆国であったということからして特に慎重を期さなければならぬ、こういう姿勢でやってきております。ただ、理解と協力と申しましても大方の理解と協力が得られれば、もうどなたも全部がというわけにはまいりませんで、そこのところはやはり大方の理解、国民経済的に見て必要なものでありさらに地元の立地についても大方の方が理解していただけるならばということでやっていきたいと思っております。
 ただ、御指摘のように、疑惑の問題がある中ということであればこれはもうあらゆる行政が成り立ちませんので、疑惑はきちっと晴らしてそうしてやはり国民の皆さんの理解と協力を気持ちよく得られる、こういうふうにやっていくことは当然のことだと思います。
#29
○吉田正雄君 そこで若干具体的な問題を提起して、後ほどまた大臣の御見解もお聞きをしたいと思いますし、関連省庁の見解もお聞きをしたいと思うのです。
 大臣も御承知のように新潟県の場合には柏崎、巻というところで二大原発基地の方針が出されて、柏崎ではもうすでに一号機の建設も完成に近づいておりますし、それから二号機、五号機の公開ヒヤリング等も行われた。巻では、同じく昨年第一次の公開ヒヤリングが行われているわけです。この原発建設に絡んだ用地買収で実は柏崎の原発のときにも大変なうわさが流れた、というよりも、事実土地買収をめぐっては否定できないような事態というものがずいぶん出たわけです。県民はどういうふうに考えているかというと、柏崎原発の場合には、これはきのう建設委員会でも鳥屋野潟の問題とかあるいは信濃川河川敷の問題も出て、田中金脈ということがずいぶんきのうも論議になったのですけれども、柏崎原発についてもこれは田中金脈の資金づくりではなかったのかというふうなことがずいぶん県民の間で取りざたをされて、いまでもその疑惑というのは解明されていない。県民はそう思っているのです。
 さらに、当時の知事、これはお亡くなりになったのですが亘さんですけれども、これは取材をした記者から私も直接聞いておるのですけれども、電力会社から当時の漁業組合に対する漁業補償というのが三十億から四十億くらいなんですが、出ているんです。この漁業補償の金についてもこれは通産省に聞いてもはっきりしないんです。新聞の記事しか私どもは発表できませんということを言っているわけなんでして、だから正確な数字がわかっていない。大体三十億から四十億くらいだろう。ところがその一割近いものが政治献金、何らかの形で知事のところに行ったのではないか、その金とは別に。そういうことが当時うわさをされたんです。もちろん確認のしようはありません。確認のしようがないからますます疑惑を生んでいるのですけれども、そういうことがあったわけです。
 ところが、今度この巻原発の建設に絡みまして、実はことしに入りましてから、土地買収にかかわった会社の社長から、内部告発ということでもないのでしょうけれども、実はこの用地の買収に絡んで、現在の君知事が副知事であった当時、副知事が自分の知っている懇意な会社に頼んで――彼が新しい土地買収のための会社をつくったんですけれども、そこを通じて用地買収を行う。それからもう一つの会社にも頼んだということです。その会社の名前を申し上げますと、一つは高野隆之という不動産会社の社長さんなんです。建設会社の名前は高隆不動産というふうに言っておりますけれども、この人がことしの二月の八日県庁で記者会見をやって、建設計画がまだ世間に公になる以前の副知事時代の四十三年から四十四年にかけて、一大観光地とすることを名目に秘密裏に建設用地の買収に当たらせていた、こうこの不動産会社の社長が記者会見で言ったわけです。そしてもう一つの会社というのは、これはもう君知事と密接な関係というよりも彼の自動車運転手だった五十嵐乕吉という人がつくった会社、白露産業株式会社というのであります。これはどういう人かといいますと、知事が衛生部長時代新津市に県の枝肉センターをつくった、その枝肉センターの内蔵処理室の使用それからいわゆるモツの取り扱いを一手に任されている会社なんですね。大変な利潤を上げている会社です。この人が代表になっている。しかも五十嵐という方は知事の唯一の政治団体、後援団体であります北日本政経振興会の会長、代表でもあるのです。もっと言いますと、知事の親戚で当時東北電力の社員であって県会議員をやっておった内山福雄という人がおるのです。これは親戚なんです。この人を通じて五十嵐社長の白露産業をつくらさせた、土地買収に当たらせたということと、その五十嵐さんがいま言った高隆不動産の社長に、知事から実はそういうことで頼まれておるのであなたは土地の買収に当たってくれないか、しかしこれはあくまでも秘密だと。こういうことで土地の買収をずっとやったというんですよ。それがいま問題になってきているわけです。
 詳しく話をしておりますと大変時間がかかりますが、これは新潟県議会でも、大変だということで総務文教委員会で高野本人、この告発をした高隆不動産の社長と知事を別個に呼んで質疑をやっているのです。ところがもちろん食い違いがあります。そこでこの二十日にはさらに今度は両者共同の記者会見をやって、そこでもってまたこの問題についてやっているわけです。関与した、しないということでやっているんです。
 そういうことでいま県民の多くにとっては、柏崎のときのこともあり、それから知事の釈明がもう一歩すっきりしない、聞けば聞くほどむしろ逆に疑惑が深まるといういま状況になっておるわけなんです。
 そこで具体的にもうちょっと申し上げますと、ではどういう買収が行われたのかといいますと、実は高隆不動産が四十三年の十月から四十四年の十月までの間に買収をして、そして今度はまた東北興産というところへ売っているのです。この東北興産――失礼しました、さっき白露産業と言いましたが、白露産業が直接買収に当たったんでなくて、白露産業の社長の五十嵐さんが事実上の責任者になっておるところの東北興産というものが一緒に買収に当たったのです。そこで、この高隆不動産が期間一年間で、山林約九十町歩を買い入れてそして東北興産へ売り渡しておるわけです。さらに東北興産自身も約十町歩を買い入れているんですね。この合計百町歩の平均仕入れ単価が四百円というふうに言われておるのです。したがって、仕入れ合計の代金が一億二千万円ということになるわけです。ところが東北電力への売却価格が、五十町歩が単価三千円で約四億五千万円、それからもう五十町歩が単価千円で約一億五千万円ということで、合計六億円ということになっておるのです。
 さらにまた、四十四年十二月以降東北興産が新たに地権者から買い入れた山林が約八十八町歩あるのです。これは坪単価が約千円で、仕入れ代金の合計が二億六千四百万円。東北電力への売却価格が、半分の四十四町歩が同じく坪単価約三千円ということで約三億九千六百万円、残りの四十四町歩が坪単価千円で約一億三千二百万円、合計五億二千八百万円。したがってこの二つを合わせますと、東北興産が東北電力に売り渡した代金は十一億二千八百万円、仕入れ代金は三億八千四百万円、だから売り上げの粗利益というのが七億四千四百万円になるのです。ですから、経費は仕入れ代金の約三割くらいと見積もりまして、一億一千五百万円くらい経費がかかったと見て、純利益は約六億二千八百万円くらいになるだろう、こういうふうに推測されるわけです。
 ところが、東北興産の当時の公式発表や税務署への申告は、売り上げ代金が六億七千三百五十二万円、それから仕入れ原価、経費が六億二千百九十四万円、純利益がわずか五千百五十八万円、こういうふうに申告をしているわけです。全く矛盾をしておりまして、この売却代金ですと高隆不動産から東北興産が買い入れたものをわずかに上回る額にしかすぎない。そういうことで、仕入れ価格とか経費は五億円も上回っちゃうわけです。明らかに不合理なんです。数字的に合わない。一体純利益の約五億七千万円というのはどこへ消えてなくなったかということなんです。
 この五十嵐さんという方は、先ほども申し上げましたように君知事の後援団体、唯一の指定政治団体の北日本政経振興会の会長さんなんです。さっき言った、自分のかつての自動車の運転手だった。全く自分の子分なんです。この人がやっているということで、非常な疑惑があるということなんです。ところが知事は、いや私が原発が設置をされるということを知ったのはずっと後になって四十七年ころだというようなことを言っているのです。これは全然お話にならない。副知事たるものがそういうことを知らぬわけはない。しかも、現地の巻の当時の町長はどう言っておるかといいますと、地元の新潟日報なりあるいは朝日新聞等が本人に取材をしているわけです。その取材に対して本人はどう言っておるかといいますと、四十三年暮れから四十四年初めにかけて知ったと。そして、君健男副知事を県庁に訪ねたときのことなんだけれども君さんから原発計画を知らされびっくりした、まだ黙っているように言われ知らない顔をしていたと、こう巻の町長は取材記者にちゃんと答えているのです。しかもこの前の江端町長は、私は原発で政治生命を絶たれた、いまは何も言いたくない、こう言っているんですが、とにかく県庁を訪ねたときに当時の君副知事から原発の話を聞かされたということは明確に言っているのです。それがやはり四十三年の秋から四十四年の春ころだと、こう証言をしているんです。
 そうしますと、君知事が四十七年ころまでは知らなかったなんて、そんな話はない。だから非常に発言でも食い違っておりまして、いろいろなことを言っているわけです。そうかと思うと、ばかに早くわかったようなことを議会の総務文教委員会の質問にも答えておるんです。東北電力が候補地を決定したのはいつごろかと、こういって言っているわけです。ところが、新聞ではすでに地元の新潟日報が四十四年の六月三日にこれをスクープしたんです。そういうこともあって、知事がそのとき全然知らなかったとか後になって知ったなんというのは全然お話にならぬ。
 そこで、通産省にお尋ねをいたしますけれども、巻の立地計画について通産省としてはいつ立地計画を立てたのか。巻の角海浜、いま問題になっている建設予定地の角海浜がこの建設計画に入ったというのはいつの時点なんですか。
#30
○説明員(戸倉修君) 巻地点の原子力発電計画につきましては、私どもに正式に電気事業法によりまして施設計画が届けられたのは五十三年度でございます。ただ、先生御指摘のように、以前から計画はございまして、昭和四十四年の十一月に東北電力株式会社が新潟県と地元巻町に対しまして地点調査の協力要請をしておるわけでございます。これは文書で行っております。それからその後地点の調査をいたしまして、四十六年五月に東北電力株式会社が同じく新潟県と巻町に原子力発電所の建設計画の概要を発表いたしまして、建設についての協力要請をしているという状況がございます。したがいまして、いま先生御質問の建設計画として東北電力が正式に対外的な発表をいたしましたのは四十四年の十一月、私どももその時点で報告を受けたものというふうに理解をしております。
#31
○吉田正雄君 そこで大臣、県とか地元市町村が全然原発建設計画というものがわからない、通産省とも何らそういう話はない、電力会社からも何の相談もないという時点で、一方的に、土地ブローカーと言ったらいいんでしょうかそういう不動産業者が原発建設があるのだということを確実な情報として土地を買っている。いまの高隆不動産の社長は巻中学を出ていますが、自分の中学時代の友達に原発がここへ建つ、絶対もうかるから買えと言って、私は十ヘクタール買ったという人が現に出ているのです。そういうぐあいに地元で土建業者が、土地売買会社が皆原発建設を知っている、わかっておって土地を買収しているというときに、県の最高首脳部の一人である副知事が全然知らない、しかし自分の子分のつくっている会社がその土地買収の中心的な役割りを果たした。それで全然わからぬではだれが聞いたって不自然ですし信用されないわけですよ。こういうことが現に行われてきたわけです。したがって科技庁長官、全くこれは言うなれば原子力行政に対する不信感なんですよ、そういう土地買収をめぐってのあり方でこういう問題が出ているということは。こういうことがあってはならないわけですし、このことがまた高い土地を買うということで電力料金にはね返っていくわけです。これは通産としても、用地の選定や買収に当たってはそういう不正と思われるようなことやあるいは県当局なり地元の当事者が自分の地位を利用して土地の買収を秘密裏に進めてそこで多大な利益を得るというふうなことがあってはならぬわけですよ。このことがまた原子力行政の推進にとっても大きなマイナスではないかというふうに私は思っておるわけです。
 そういう点で、通産としては何らかの指導を従来こういう面について行ってきておるのかどうなのか。それから、科学技術庁長官の立場として、原子力行政推進の最高の責任者であるわけですから、いやしくもいま言われたようなうわさが流れ、県会でも取り上げられ、知事が十分に疑惑を晴らす説明ができないということでは、私はこれは大問題だと思うのです。そういう点で、きょう初めて長官としてはお聞きになったかもわかりませんけれども、疑惑を持たれるだけですでに問題だと思いますし、もし仮に事実そういうことがあったといたしますと、まあこれは十年前からの話ですからもう時効にかかっていると思うのです、時効にかかっておりますが、こういうことはあってはならぬことだと思います。
 それからこれは警察当局なり法務省当局にもちょっと見解をお聞きしたいと思うのですけれども、仮にそういう副知事の地位を利用して、あらかじめ建設計画を知った、そして自分の子分である人間に新しい土地買収会社をつくらせて土地を買う。それが自分の政治後援団体の会長である。こういうことが行われるということ自体私はこれは地位利用の一つの汚職ではないかというふうに思っているのです。これは仮に汚職だったとしても、現にそうであったとしても十何年前の話ですからもう時効にかかっているかわかりませんけれども、そういう点でもしあったとするならば、それが事実だとするならば、これは当然汚職に該当するのではないかというふうに私は思うのです。そういう点では法務省なり警察庁、どちらでもいいのですが見解をお聞きしたいと思います。
 それから、将来の指導方針として、余り早くわかると土地の値段が高くなるから秘密に買うのだという言い方も一面あるようですが、しかし少なくとも公的立場にある県知事あるいは市町村長等の自治体の当局はそういういま言われたような疑惑を持たれるようなことがあってはならぬということは当然だと私は思うのですね。そういう点についての科技庁長官としての見解もお聞きをしたいと思うのです。
#32
○国務大臣(中川一郎君) 吉田委員御承知のとおり科学技術庁は原子力の開発研究ということと安全性、原子力行政の基本的なことについて責任を持っている官庁でございます。御指摘の点はいよいよ電力会社が発電をするということに関連してのことでございまして、これの指導監督は電力会社については通産省でございまして、責任逃れをするわけじゃありませんがそういう仕組みになっていることだけ申し上げておきます。ただ、どんな仕組みであれそういう疑惑を持たれるということはよくないことでありまして、そういうことのないように指導してまいりたいと思いますし、またそういう疑惑があれば明快にしてやはり地域の皆様方の理解協力をいただけるような方向に持っていかなければいかぬ、こう思うわけでございます。
#33
○説明員(戸倉修君) 先生御指摘の電力会社の用地取得についてどういう指導をするのか、こういう御質問でございますけれども、用地取得の問題は基本的には電力会社が直接の当事者でございますので用地価格の決定等については交渉で決定されていくものでございますけれども、ただ、その際電力会社といたしましては、低廉な電気を安定的に供給するという使命にかんがみましてやはり合理的な価格で妥結するということを最大限念頭に置いて交渉を進めるということで私ども指導しておりますし、理解をしているところでございます。地元自治体との関係につきましても私ども、計画がある程度固まりました時点では、県あるいは地元町村とも十分連携をとりながら各種のPA対策あるいはそういう問題についても対処をしているところでございます。
#34
○説明員(飛田清弘君) 仮にということでのお尋ねでございますが、具体的な生々しい事実について仮定を設定して犯罪の成否についてお答えすることはやはり誤解を生ずるおそれがありますから直接お答えは避けたいと思います。ただ、汚職とおっしゃった意味が収賄罪という意味でございますと、収賄罪は公務員がその職務に関して賄賂を収受するということでございますので、直接的に収賄罪に当たるとはちょっとただいまの御質問からは受け取れませんでした。
#35
○吉田正雄君 通産省として、これだけ新潟県議会でも論議になっておりますしこの問題をめぐってまだ県民の疑惑が晴らされていないということでありますから、これは調査をされるべきだと思うのです。いま科技庁長官は、あってはならぬことだ、しかし自分の直接の所管外だからとおっしゃっておるわけですが、そういう点でもし大臣、自分の所管官庁でしたら、当然これはこういう疑惑が出ておるわけですから調査されますね、過去の問題であっても。今後のこともあるわけで、さらに巻原発、柏崎の場合にはいろいろ今後の拡大計画等も言われているわけですので。その点はどうですか。
#36
○国務大臣(中川一郎君) 私が通産大臣であればまたそのときはどうするかよく研究してみたいし、無関心ではいられないことだと存じます。
#37
○説明員(戸倉修君) 先生先ほど御指摘の件につきまして私ども東北電力から一部事情を聞いておりますけれども、いまの時点でそういう事実はないというふうに聞いております。ただ、土地買収会社が途中に介在をしておりまして、それの買い取り価格等については私ども知り得る立場にございませんので、東北電力が最終的に買い取った価格について事情を聞いているわけでございますが、当時の近傍類似の土地と比較しても不当に高いものではないというふうに聞いているわけでございます。
#38
○吉田正雄君 不当に高くないという言い方は、電力会社からどういう説明を聞かれたのかわかりませんけれども、私がいま読み上げた数字からしたって大変なものでしょう。買収価格の何倍ですよ。買収価格が一億幾らであるものが合計して五億二千八百万、これが倍以上になっているわけです。だから、これが適正かどうかなんていう言い方、何をもってまたそんなに高くないというふうに判断をされるのかわからないのですけれども、やはりこれだけ疑惑があるわけですから、今後の原子力行政ということを考えた場合にこういうものは今後各自治体に起きてはならぬことなんですよ。そういう点では、私は所管官庁である通産省が疑惑をそのまま不問に付すということはあり得ないと思うので、少なくとも調査だけはやるべきだと思うのですが、どうですか。審議官どうです。
#39
○政府委員(高橋宏君) ただいまお答えいたしましたように、土地の交渉あるいは買収につきましては電力会社自身の企業活動のいわば非常に重要な部分でございまして、それにつきまして私どもが直接介入する権限あるいはそのこと自身適当かどうかにつきましてはお答えしたとおりでございますが、御指摘のように、電気事業は一方では、特に原子力開発につきましては地元の信頼、国民の皆様方の理解が前提でございます。と同時に、できるだけ低廉な合理的な料金をキープするという趣旨からの側面もございます。そういう角度から私ども電気事業法に基づきまして全般的な監督をしておるところでございます。ただいまの件につきましても、私どものそういう任務の観点から御指摘のようなことがないように今後とも指導してまいりたいと思っておりますし、本件につきましてもそういう角度からできるだけの調査を進めまして、そういうことがないように、疑惑のないような指導はいたしてまいりたいと思います。
#40
○吉田正雄君 調査をされるということですから、これは徹底的にひとつ調査をしていただきたい。それは今後の用地買収等で非常に影響が出てまいるわけです。そういう点で私は、通産省として電力会社と土地会社だけに用地の買収等の重要な問題を一任させるというふうなことではまずいと思うのです。知事は今度は開き直って、私は一切関係しませんみたいなそういう言い方をちらりとやったりしておるようですけれども、私はやはりそういう無責任なことであってはいけない、土地ブローカーのもうけるに任せるようなそういう買収はやらせるべきではないと思いますから、そういう点で今後適正な用地買収についての電力会社のあり方、地方自治体のあり方等についての一定の基本方針なりそういうものを出すべきではないか。現在ないのじゃないかと思うのです。みんな電力会社任せだとかどうとかという言い方ですが、そういう考え方がおありですか。どうです。
#41
○政府委員(高橋宏君) 御指摘の点は私、電力会社の原子力に限らず全体の問題ではなかろうかと存ずるところでございます。いろいろな社会活動の中で土地の売買というのは常に行われておるところでございまして、全般に通じる問題ではなかろうかと思います。ただ、私ども公益事業であります電気事業者を指導していく場合に、先ほど申し上げましたように電気料金とかそういうことにも響く問題でございますので、合理的な価格でそういうものが取得できるような努力をまず最初にすべきであると。そのためにどういう方法があり得るかということにつきましてはなかなか一概に言えないのじゃなかろうかと思います。土地のそれぞれの地域によりましても違うと思います、地理的、歴史的、社会的な環境で違うと思いますので、一律というのはなかなかむずかしいと思いますし、ある程度、先生御自身も御指摘がございましたけれども、余り早く発表すると土地が上がって変な利権の対象になるという点もあるかとおっしゃいましたが、まことにそういうこともあろうかと思いますので、個々にベストを尽くすということではなかろうかと現在考えております。
#42
○吉田正雄君 とにかくそういうことで直接の担当、所管である通産省としても、いまのお話で大体わかりますが電力会社に任せるとかそんなものではないわけですから、そういう点で不正が行われないという努力を今後もやっていただきたいと思うのです。
 私がこれは非常に重要だと申しますのは、さっきもちょっと話が出ましたように、東北電力が県当局に対して正式に協力の要請申し入れをやったのは四十六年五月十七日なんです。これはそのとおりなんです。当時の亘知事というのはこれに対しては非常に慎重だったんです。ところが、四十九年の四月に君知事になってからあっという間に積極推進という方針が出されて、そしてずっと進んでいくわけですね。だから客観状況としては、いわゆる俗に言う情況証拠というんですか、そういうものから見ますともう深くかかわってきたということは否定できないと思うのです、私ども見ておっても。
 そこでさらに、これに直接関連はしていないんですが、知事になってから直ちに積極推進の方針を出す、また次期の知事選に向かっても意欲を燃やすということで、さらに次の知事選に向けてまた不祥事と言える事態が出てきたということなんです。新潟県というのはとにかく金脈金脈ということが盛んに言われる。何か金脈の本家のようなふうに思われているのですが、新潟県民はそうじゃないです、みんな純朴、素朴なんですけれども、一部の人がそうであるために新潟県民が皆どうもそんなふうに思われてまことに心外なんですが、実はずうっと前の現在参議院議員をやられている知事のときにももち代二十万円事件等というのがございまして、県会議員みんなにもち代を二十万円配ったということで当選された後直ちにまた辞任に追い込まれるということがあったのですが、実はこの君知事、そういう前者のあれがあるのにそういうことがまた行われたということで、このこと自体がまた現在大きな問題になっておるわけです。
 昨年の十二月の十八日に、先ほども申し上げました北日本政経振興会、これが新潟県の自民党本部において代表者の五十嵐乕吉さん立ち合いのもとに自民党の県会議員四十六人に対して一人三十万円ずつ計千三百八十万円を交付したということなんです。これは、配りましたと本人が言っておるわけですから間違いないと思うのですけれども。これは近く行われます知事選を想定しての事前の買収工作ではないかということなんです。後援会団体ですから規約等が自治省にも出ていろと思うのですが、これはこの年だけでなくて実は五十三年にも五十万円ずつ配っておるのです。五十三年の十二月にも配っておるわけです。その名目というのは組織の拡大であるとか、後援会団体としての趣旨に沿った名目が付されております。ところが不思議なことに、前回のときもそうだったのですが次の県会議員選挙に立候補しない県会議員は除外をしておいて、出る人だけにやる。それから、その他の野党の県会議員に対しても三つの党派の県会議員に金を配っている。これが問題になったものですからあわてて返したという人もありますけれども、そういうことが行われておるわけです。そういうことでこの問題も、九十一人の人が名前を連ねて三月二十四日に、君知事とそれから後援団体のいま言った北日本政経振興会の五十嵐代表を公選法違反の容疑で新潟地検に告発をしたという報道がなされておるわけです。そこでこの疑惑をまた晴らす必要があると思うのですが、これを配ったのは事実なんです。これはもう県会議員も認めておる、もらった県会議員が認めておる。返した人もおるということなんです。本当のもち代なら返す必要はないのですが、事前買収だというふうな疑いがあると言われて返す人が出てきたということなんです。
 そこで自治省にお伺いいたしますけれども、この北日本政経振興会はいつ設立をされて、届けられておるかどうか、自治省に。これは後援会が、いま言ったとおり新潟の団体なんですけれども東京に住所だけ置いて、県の選管でなくて自治省に届け出ておるというふうに聞いておるのですが、届け出があるのかどうか、規約もそろっているのかどうか。それから、届け出以降、五十二年度以降毎年度収支報告がなされておるのかどうなのか。とりあえずそれをお聞きをします。
#43
○説明員(岩田脩君) 私選挙課長でございまして実は政治団体そのものを直接担当しておりませんけれども、ただいま御指摘の団体につきましては、東京に事務所のある団体としての政治団体の届け出をしているというように承っております。
 収支報告書については、実を言いますと逐一話を聞いておりませんけれども、特に提出を怠っているということも聞いておりませんので、思い違いでしたらお許しをいただかなければいけませんけれども収支報告書が出ているのではないかというように思っております。
#44
○吉田正雄君 いまその資料はこちらへ来ておりませんか、お持ちでないのですか、収支報告は。
#45
○説明員(岩田脩君) はい。公職選挙法の問題だと思いましたものですから、団体そのものに関する収支報告書その他につきましては実は持ってまいりませんでした。
#46
○吉田正雄君 これ、いろいろお聞きしたいのですけれどもね。たとえばそれじゃ私の方で言いますから、どうなるかということを答えてください。
 五十三年度、北日本政経振興会は同じ新潟一区選出の小沢辰男代議士の政治団体である政経文化研究会から百五十万円の寄附を受けている。ところが、北日本政経振興会は百五十万円もらったということを言っているんですけれども、小沢代議士の政経文化研究会では支出はゼロということになっているわけです。どちらかがうそをついているわけです。したがって、実はその収支報告がどうなっておるのかということを聞きたかったのですがいまお持ちでないということですから、もしこの小沢代議士の後援会から実際金が行っていないにもかかわらず百五十万円もらったという虚偽の報告をしておる、その報告が虚偽だという場合には、これはどういうことになりますか。つまり、届け出の後援団体、政治団体の収支報告に虚偽の報告があったという場合、これはどうなりますか。単なるうっかりして漏れておったということじゃなくて、本当に艘偽の報告だということになったらどうなります。
#47
○説明員(岩田脩君) 恐らくは片方は県に対する届け出の団体でございましょうし片一方は国に対する届け出の団体でございましょうし、そこら付近の照合の内容については私も先ほど申し上げましたみたいにつまびらかにしませんけれども、御承知のとおり政治資金規正法に基づきます収支報告書は事実に基づいて記載されなければならないものでありますし、その間に食い違いがあれば、それが政治資金規正法上の真正届け出の義務に反するということになればそれなりの問題があろうかと思います。ただ、事実上経験上の問題といたしましては、やはりいままでも思い違いとか書き聞違いとかいうことによる訂正がなかったわけではございませんので、そこら付近は事実の推移を見てみなければ何とも申し上げかねると思います。
#48
○吉田正雄君 一事なら忘れたということもあるのですけれどもね。
 もう一例を挙げますと、五十三年の県知事選挙の収支報告書によれば、北日本政経振興会から六百万円の寄附を受けている。ところが、同会の五十二、五十三年度の収支報告では百万円としか出ていないんです。これはもうはっきりしているんですからね。これはどうなります。知事の、いま言った収支報告書では、北日本政経振興会から六百万円の寄附を受けているというのに、同会からの収支報告では百万円ということになっている、これはどうですか。お手元に資料がないと言うから、これが事実だとしたらどうなります。
#49
○説明員(岩田脩君) 吉田先生ただいま御指摘のとおり事実の内容については残念ながら全く存じませんけれども、先ほどお答えしたことと同じであろうと思います。
#50
○吉田正雄君 ではもう一回言ってください。
#51
○説明員(岩田脩君) 収支報告の記載は事実に基づいて行われなければならないわけでありますが、そういった事実に反した記載が行われておってそれが間違いだということになればそれなりの問題もありましょうしと存じます。ただいままでの経験上の問題といたしましては間違いとか思い違いによる訂正というものがなかったわけではございませんし、そういったところの推移を見なければなるまいかとは存じております。
#52
○吉田正雄君 これは明らかに私は公選法の違反ではないかというふうに思っているのです。きょうそのことについてお聞きをしますからということになっておったんですが、資料を持ってきていないから全然わかりませんじゃこれはお話にならぬと思うのです。論議できないです。改めて資料請求しますから。よろしいですね。設立の、届け出の寄附行為といいますか規約、それから五十二年度設立以来今日までの収支報告、これは何も秘密じゃないわけですから資料としてひとつ私の方へください。この論議をやっても、わかりませんからわかりませんからじゃこれは答えにならないですよ。そういうことできのうちゃんと言っておいたでしょう。
 そこでもう一つ、これは法的な見解を聞きたいのです。同じくこの北日本政経振興会は、――これは自治省に届け出てある内容なんですよ、これ。昭和五十五年四月一日受け付けの報告なんですが、各企業から会費というものをもらったという会費の一覧です。ここにある会員約百四十社は、百四十社全部土建業者なんです。県内の大手が全部これに入っているわけです。たとえば福田組であるとか福田道路、この福田社長というのはかつて県の建設課におった人です。これが土建会社をつくったわけだ、福田組。これはもう県内で最大手ですわ。こういう県内大手の、たとえば福田組、福田道路、加賀田組、これも県会議員で議長もやったことがある、本間組、第一建設、ここから会費としてこの年一年間七十二万円、植木組から六十万円、その他の県内のいろんな業者合計してこの百四十社からだけで千八百二十七万円の会費を受け取っている。ところが公選法百九十九条と二百条では――県の公共事業というものをこれらの会社は大量に受注をしているわけですね。つまり、そういう県から利益を得るこういう業者が知事の後援会に会費という名前で金を出しているということは私は問題ではないかと思うのです。
 知事はそれに対してどう言っているかというと、寄附ではなくて会費だ、私の政治団体が受けたのだと言うんですけれども、その政治団体がいま言ったように県知事との、県との間にそういう関係があるわけです。そういうときにはこれは純然たる会費とはみなされなくて寄附とみなされるのではないか、禁止行為に該当するのではないかという感じがするのですけれども、これは自治省の見解をお聞きしたい。
 それから、先ほどの告発が行われたということについて、いまるる申し上げておるような内容なんですけれども、これについて法務省当局の事実経過と告訴に対する今後の取り扱いといいますか態度といいますか、そういうものがどうなのかということをお聞きをしたいと思います。それから警察庁としても、これは地検に告訴をしたということになっておりますが、県内ではいろんな点で疑惑が渦を巻いている、土地の買収、このもち代の問題。しかもいずれも選挙直前にそういうふうなことが行われているということでは、これはやっぱり買収行為ではないかというふうなことがあるわけですね。したがって、現在調査中だろうと思うのですが、そういう点で公選法やあるいは政治資金規正法の関係等でどういう見解をお持ちなのか、あるいはそういうふうな点でどうも違法な事実が見られるということになれば、これは警察は警察で独自に捜査をやられるのかどうなのか、それをお聞きをしたいと思います。
#53
○説明員(岩田脩君) 最初に私の方からお答えを申し上げます。
 何しろ内容について詳細存じておりません具体的なケースに関する問題でもございますし、ただいまのお話では別途捜査当局に対するお話などもあるようでございますから具体的な話としてはちょっと申し上げかねますけれども、一般論として申し上げれば、やはりある政治団体の構成員というものを一定の範囲で抑えるという立法は現在ないわけでありまして、あくまで自由に形成された団体、政治団体としての構成を持っておりますので、その内容についての規制はございません。したがいまして、そういう団体の構成員がその構成員たる地位に基づいてその会に出しますいわゆる会費でございますか、そういったようなものは別途その選挙の候補者に対する寄附といったようなものとはやはり性格はおのずから違うのではなかろうかというように存じておりますけれども、これはあくまで一般論としてお答えを申し上げます。
#54
○説明員(飛田清弘君) 新潟県知事選挙は、ついこの前の三月三十一日に告示になって四月の二十五日に投票日が定められていて現在選挙運動期間中であると聞いております。そういうふうな微妙な段階におきましてこの公職選挙法違反だということで告発がなされている事件についてのお尋ねですので、公平と申しますか誤解を招かないようにお尋ねの関係の告発に関して全部申し上げますと、告発はお尋ねの関係については新潟地方検察庁に三本出されているように承知しております。新潟県知事の君知事を告発した事件が一本、それからその告発した人に対して君知事及び君知事からお金をもらったと言われる方、それがその告発した方を証告及び名誉棄損、さらに公職選挙法違反ということで告発している事件が二本、こういうふうに三本の告発が出されております。
 御要求があればその告発事実の内容を全部申し上げてもよろしいのですけれども、大要はそういうふうなことで、君知事に対する告発というのは先ほど御指摘のように三十万円ずつ配ったのが公職選挙法違反になるのではないかという告発でございますが、反対に告発した人を告発している事件というのは、その三十万円ずつ配ったというのは君知事が配ったわけではない、にもかかわらずいかにも犯罪があるように告発をするということは誕告であるし、それからさらに立候補の決意を有している君知事に当選を得させない目的で内容虚偽の事実を報道機関に公表したことは名誉棄損であるし選挙違反にもなる、こういうふうなことで両方から告発が出されているわけでございます。
 告発がなされたのは三月の二十四日とそれから三月二十七日ということで、現在告発がなされてまだ一週間か十日ぐらいの時間しかたっておりません。そういうことで、検察庁がどういうふうに対応するかということでございますが、何せ告発がなされて間もないわけでございますが、いずれにせよ検察庁がどの程度捜査を進めているかどうかということにつきましては捜査の秘密に関することでございますから申し上げられませんが、両方の告発は表裏一体の関係をなしていることでございますから、検察庁としては告発を受けた以上慎重に検討して捜査を遂げて適正な処理をするであろう、こういうふうに思っております。
#55
○説明員(森廣英一君) 地元の新潟県警察といたしましてはこれらの論議にしかるべく関心を払っておるところでございますが、いま仰せの検察庁に告発が出ている問題につきましては、同一の事実について検察庁が捜査をされるわけでございますので、重ねてこれを重複して県警も捜査をするということは必ずしも適切ではないのではないか、かように存じております。
#56
○吉田正雄君 自治省の方に。先ほども言ったように、資料がない、事実がわからぬということで十分な答弁が得られなかったと思うのですが、いずれまた機会を見てこの問題については、あるいは法務委員会で取り上げてもらうか、もうちょっと私は公選法との関係でね。いまの最後の答弁ではちょっと納得できないのです。そういう特別な利益が得られるそういう団体が、会費と称して実質的な寄附というものが行われた場合にそれはみなされないのじゃないか、解釈論はいまちょっと時間がありませんから私も法律の専門家ではありませんからやりませんが、どう考えてもどうも百九十九条、二百条との関係ではただいまの答弁は納得が得られないのです。しかしそれは資料がないということですからやめます。
 そこで、私は検察当局に、法務省の方にもお願いしたいのですが、現地では地検の次席検事が真相を究明するよう厳正な努力をしたいというふうな答弁もされておるようですが、これはあいまいにしないで、政治倫理の確立という観点からも私は検察当局としてこれを明確にしていただきたいというふうに思います。
 それから私気がかりになったのは、自治省の、報告漏れがあることがよくありますのようなそういう言い方で、報告漏れかどうかなんていうのはいまの一連の私の説明を聞いていればわかる話でしょうし、たった一つではない、幾つかあるわけです、まだあるんですよ。述べますとね、こういうでたらめな後援会組織であっていいのか。自分の後援団体から自分の子供に対して金を出しているのですよ、また。ちょっと言いますと、五十四年度だけでもって二百五十万円も自分の子供に出している、サラリーマンである自分の子供に二百五十万も自分の後援会の団体から金を出している。娘にも出している。こういうでたらめな後援会運営が行われておるわけです。そういう点では私はやっぱり政治資金規正法なりにいろいろ問題が出てくるのじゃないかという感じがするのです。そういう点で、資料がないでじゃなくて、いま問題を提起したわけですからこれは検討をしておいていただきたい。
 資料はいいですね、さっきのは。
#57
○説明員(岩田脩君) 北日本政経振興会でございましたかの届け出年月日その他の資料は、届け出を受けておりますから、収支報告書ですか、そういうことはわかると思います。
 それから団体の運営についてちょっとお言葉がございましたけれども、御承知のとおり政治資金規正法は各団体のその収支の報告を受けてそれを公開するということを柱に据えているわけでございまして、団体の運営そのものについての介入、ちょっと言葉は悪うございましたけれども介入とか、監督とかというようないわゆる政治団体規制法みたいな色彩はほとんど持っておりませんのでそこら付近の性格は御理解をいただきたいと思います。そういうことを申しましたけれども、資料についてはお届けをいたします。
#58
○吉田正雄君 それじゃ次の問題に移ります。
 時間がありませんから急いで聞きますが、例の筑波研究学園都市の中につくられる遺伝子組みかえ研究施設、これについてお尋ねをします。昨年度の予算でライフサイエンスの項目の中では九億六千六百万円、それから五十七年度で十億九千八百万円というものが計上されておるのですけれども、このうちP4施設の建設費はそれぞれ幾らになっておりますか。
#59
○政府委員(下邨昭三君) 筑波の理化学研究所の研究施設に関する予算でございますけれども、五十六年度におきましては四億一千四百万円が計上されておりまして、五十七年度につきましては五億三千八百万円が計上されているところでございます。
#60
○吉田正雄君 五十六年度の予算はそのうちどれだけ使ったわけですか。残りは幾らありますか。
#61
○政府委員(下邨昭三君) 現在のところ実施設計が完了しておりまして、これに要する費用が約千二百万円でございまして、この費用を使用しているところでございます。
#62
○吉田正雄君 残りの予算はどうされますか。一昨日で三月三十一日は終わったのですけれども。
#63
○政府委員(下邨昭三君) 未使用のお金につきましては、これは五十七年度に繰り越すことになっているわけでございます。
#64
○吉田正雄君 大蔵省にお尋ねしますが、この予算について五十六年度当初予算の段階ではどういう説明を受けたのか、それから五十六年度中にほとんどを使い残して五十七年度に繰り越したというふうなことなんですが、大蔵省としてはその繰り越しを認めた理由はどういう理由なのかお聞かせ願いたい。
#65
○説明員(浜本英輔君) お答え申し上げます。
 財政当局の判断は所管省の御要求、御説明をベースにいたしまして勉強させていただいた上でするわけでございますけれども、本件の場合、ただいま御指摘がございました五十六年度予算編成時の記録を調べてみますと、一つには、このプロジェクトはすでに五十四年に計画調査を終えており五十五年の段階で設計調査も終了しておりまして、大体計画の概要というものが確定しておる。しかもその中身を見ますと、研究の指針づくりと申しますか、研究のやり方を研究するためのいろいろな施設ということでございますから優先性が高いと判断をされたこと、そういったことによりまして五十六年度予算を計上したわけでございます。五十六年度予算の内容としましては、ただいまも御指摘がございましたように、具体的な実施設計をいたしますお金とさらにそれを踏まえまして建設に取りかかるためのお金両方が計上されておりますけれども、そういう計上の仕方というものは従来もあるわけでございます。
 ただ、これが執行にかかりました段階で予算編成の段階では必ずしも予測できなかったいろいろな事態が生ずるということ、これは予算にとってはアンハッピーなことでございますけれども、これも予算というものを年に一度ずつ原則としてつくっていくというたてまえがございますこととそれから予算を効率的に執行するという要請がございます以上ある程度覚悟して進まざるを得ないという事情もございます。五十六年度予算の場合には、そういうことで執行にかかりました上でいろいろ地元の了解をとる上での段取りがまだ整わないということで今日に至っておるようでございますけれども、私どもといたしましてはそうして一度計上いたしました予算が適正に執行されるというその執行の過程において随時協議を受けておりまして、その協議の内容としまして、科学技術庁の方では地元の十分な了解を得て進みたいという御意向でもございますし、またそのめど、見通しも明るいという御判断もございます。それから先ほどお話がございましたように、いよいよ細かい設計図もできたということでございますから、あとは地元の了解が得られれば建設に着手できるというふうに想像されるわけでございます。したがいまして、このまま状況の推移を見守るということが適当であろうというふうに判断いたしたわけでございます。
#66
○吉田正雄君 詳細設計が終わったということなんですけれども、五十六年度に建設をやろうという当初の計画だったと思うのですが具体的には一体いつごろからどういう日程で進めていくという計画だったんですか。
#67
○政府委員(下邨昭三君) このP4施設関係につきましては、五十三年度からいろいろと調査を開始いたしております。五十四年の八月に科学技術会議で遺伝子組換え研究の推進方策の基本についてという答申を出されておりますが、この中に、安全性評価等の研究を行いますためにP4レベルの実験区域を備えた総合的な研究施設をつくることが必要であるという御意見が出されております。それに基づきまして私どもの方といたしましてはそれをどういうところにやってもらうのが一番いいかというようなことを検討いたしまして、たとえば新しい特殊法人をつくるかとかあるいは国立試験研究機関として新しいものをつくるかとか財団法人をつくるかとかというようなことも考えました。理研に対しましても、こういう施設についてつくるという意思はないかというようなことでの打診も行いました。理研の方でそれをいろいろと検討されまして五十五年の七月でございますか……
#68
○吉田正雄君 本年度に入ってからと言っているのですよ、過去のことは聞いてないです。
#69
○政府委員(下邨昭三君) 本年度に入ってからいろいろと調査を、設計をやりましたし、それから地元への説明を行ってきたわけでございます。それでできるだけ早く着手したいということで地元への説明に対しまして全力を挙げてきたということでございまして、地元におかれましても相当の理解が進んでまいったというふうに私どもは了解しているところでございます。
#70
○吉田正雄君 遺伝子組みかえ研究施設検討会というのを設けられ、そこで研究施設についての検討をやられてきたわけですね。これは皆さんの方からいただいた資料ですと、第一回目が去年の九月の十六日、ことしの一月二十六日まで七回にわたって行われているのですよ。非常に遅いですね。私の方ではどういうことが検討されたのか検討の内容について詳細に知りたいということだったのですが、聞くところによるとどうも満足に議事録もなさそうだということで、事務当局の皆さんから少なくとも事務当局で把握をしている内容だけ知らしてくれということでいただいたのですけれども、わずか七回の会議です。どういう人が出席をしたのか、どういうことがいつ論議をされたのかというのはわからないのですが、項目だけはだあっと並べてあるわけです。この項目を見ますと、これは現在研究者との間にもまだまだ合意に達しなければならないあるいは内容を検討しなければならない非常に多くの問題が含まれておるのです。ようやくこういうものが検討された、一つの成案が得られたという段階でしかないわけです。
 しかも、そのP4施設の設計図というのをこれもいただいて見たのですけれども、あの設計に対しては多くの学者の間から、こんな設計があるのかと。二系列と言ったのが一つの大きな建物の中へP4からP1まで全部たたき込むというああいうむちゃな設計だということで、非常に疑問に思っている方が多いわけです。トップレベルのクラスの方でも私が聞いた何人かの方は、これは大変な問題だということを言われているのです。そういう点で私は、いま地元の了解も得られそうだ、明るい見通しですという話があったのですけれども、大体いままでは、地元の了解が得られなければ建設はいたしません、着手はいたしませんということを何回か確認をされてきたわけです、地元の皆さんやいろんなところへの説明で。明るいという見通しが何を根拠にされているのか。実は現地の谷田部町議会できょうあす二日間にかけてこの安全性の問題を中心にしてそれぞれの研究者、学者から、安全だという立場といや問題があるという立場に分けて聞くということらしいのですけれども、いま明るい見通しがあるというふうにおっしゃったのですが、それは何の根拠ですか。この三月一日からわずか一週間の間にあの谷田部町を中心とした周辺の住民一万一千人の人が、約七千人がそのうち谷田部町の住民なんです、しかもこの中には研究者が非常に多く入っている、あれに関連する研究者と言われる人たちが物すごく入っている、この人たちが皆反対だと言って署名をやっているんです。わずか一週間で一万一千人ですよ。何が明るい見通しですか。何を根拠におっしゃっているのかちょっと聞かしていただきたい。
#71
○政府委員(下邨昭三君) 危険な施設をつくるべきでないというようなことでいろいろと話が出ていることを伺っておりますが、私ども先ほど御指摘がありましたように遺伝子組みかえの研究施設の検討会を開きました。これは各方面の第一人者にお集まりいただきまして検討をしてきたわけでございまして、このP4関連施設の安全確保の観点からその設計、運営について議論をいただきまして、十分安全を確保できるという御報告をいただいております。これをもちまして地元に御説明をしているところでございまして、御理解いただけるものと考えておるわけでございます。
#72
○吉田正雄君 この前の委員会でもちょっとやったのですけれども、科学技術庁の説明とそれから理研の説明、これがその都度その都度相手によってみんな違っておるわけです。きょうも理研からも来ておると思っているのですが、たとえば理研の代表が農業委員会に行ってどういう説明をしたかというと、いろいろな説明をしたのですが、やはり当初の計画がずさんであったということもはっきり認めているのです。いいですか。それから、いままでなかなか答弁が一致をしていなかったのですが、ようやく三月二十六日付で理事長名で理研の労働組合に対する「筑波施設に関する説明について」という文書が出されたわけです。これで少し具体的になってきたのです。ところが、これを見ますと非常に問題がありますね。
 ちょっとお聞きしますと、この文書は当然科技庁はおわかりだろうと思うのです。三月二十六日付の筑波研究施設についてという理事長から労働組合あての、これは回答書といったらいいのか答弁書といったらいいのか、これは当然ごらんになっているでしょう。所管官庁として、これがわからぬなどと言ったら大変ですよ。何を取り扱うのかということで一番問題にしてきた論議の中心的なものがここに盛られているわけですから。これ科技庁わかりますか。
#73
○政府委員(下邨昭三君) ただいま理研の中でどういうふうに説明されているかというふうなことでございますけれども、私どもは理研の中でどういう議論をされたかということについてまだ資料を入手しておりません。
#74
○吉田正雄君 この研究施設の管理運営をやっていく責任を理研に任せるわけでしょう。その理研がどういう説明をしているのかわからぬという答弁がありますか。じゃ、科学技術庁にはこの方針というものはないんですか、あるんですか。理研の回答文書というのは、そうするとこれは理研の一方的な文書ですか。合意に達した内容ではないのですか、科技庁との間に。あるいは厚生省との間に。共同研究機関だといって位置づけているわけでしょう、このP4を。共同研究機関だというのなら、理研の方は知りませんで済みますか。どういうことなんですか。これはまた変わり得るということになるのですか。どうなんです。
#75
○政府委員(下邨昭三君) 施設の使用目的につきましては、安全性の評価研究をする、それから遺伝子組みかえに関する先導的、基盤的な研究開発をする、それからそれに関連する研究支援業務をやる、それから共同研究をやるというようなことでございまして、基本的にはそういうことになっておるわけでございます。その点に関しまして何か意見が食い違っているというようなことはないものと考えております。
#76
○吉田正雄君 この前も論議したんです。そんな月並みなことを聞いているのじゃないですよ。内閣総理大臣を議長とする科学技術会議のライフサイエンス部会からいろんな指針というものが出ている。それからさらに、その指針がいま検討されて見直されようとしている。具体的にはいろいろあるわけですよ。だから、ある程度具体的になってきたわけです。非常に多くの問題を含んでいる。
 それではちょっと聞きますか。ここではどう言っているかというと、「具体的には、厚生省予防衛生研究所で定めた「病原体等の危険度分類基準」の危険度クラス2bまでのものは生菌で取り扱い、クラス3aのものは、DNAの形でもち込みます。」こうなっているわけですね。ところが、このクラス2bまでのものということになったらどういうものが含まれるかということになってくるわけでしょう。クラス2bというと、ジステンパー腫瘍、肝炎、日本脳炎、ポリオ、ポリオーマ、破傷風、赤痢、こういうものが含まれてくる、2bに。それからさらに、いま言ったとおり危険度「クラス3aのものは、DNAの形でもち込みます。」と簡単に言っていますけれども、それではどこの研究所でクラス3aの病原体からDNAを取り出すのかということなんですよ。これはどこでやるんですか、そうしたら。どこの施設でやるんです、それを。だから、書いているだけであって、全然その裏づけもなければ、どこでどうやるのかも全然ないですよ。それから、いまあなたが言ったいろいろな言い方がありますよ、あるけれども具体的には何もない。聞いていくとまたみんなくるくるくるっと変わっていくということなんです。
 そろそろ時間が来ておるのです。来ておるのですけれども、大臣、担当官庁の所管局長が、これだけ現地でもって安全性の問題をめぐって大論議をやっているというさなかに、きょうだって現地で町議会を開いてやっているわけです、きょう、あす。理研にやってもらいますと言って理研にやっているわけでしょう。理研の言い方が従来いろいろ変わってきた、科技庁の言い方も変わってきた、厚生省の言い方も違う、全部違っているんですよ。これは非常に重要なことが書いてある。ところが中身は、突き詰めていくとまた答えられなくなる内容なんですよ。こんなものは施設なんかできっこないですよ、中身がまだはっきりしていないんだから。首をひねっているけれども、答えられますか、それじゃ。まだいろいろ聞きますよ、それじゃ。答えられないですよ、これは。でも、とにかくこれがわからなかったのですか、それだけ答えてください。きょうはもう私はやめますよ。聞いたってわかりっこないんだから。どうなんです。理研のこの文書知らなかった――あなたさっきわからぬと言っていましたね。本当にわからなかったんですか。
#77
○政府委員(下邨昭三君) 私どもとしては理研を指導していっておるわけでございますが、この施設において実際に取り扱う微生物につきましては、通常の医学研究や衛生研究機関あるいは微生物の研究機関で日常取り扱っています範囲内の微生物を取り扱うということにしておりまして、伝染力の強い危険な微生物を取り扱うということを考えておりません。
#78
○吉田正雄君 答弁になっていないでしょう。この文書の内容は、ごらんになってわかっていますか、あるいは事前に協議があったのですかということを聞いているわけです。さっきはごらんになったことのないようなちょっと答弁でしたから、これは本当に承知しなかった内容ですかと聞いているのですよ。中身は一々言ってくれぬでもいい。いまそれだけ答えてください。
#79
○政府委員(下邨昭三君) 失礼いたしました。私どものライフグループで理化学研究所と協議をしておったということでございまして、内容は知っているということでございます。
#80
○吉田正雄君 それじゃ、時間が来ましたからいつまでも私ばかりでやっているわけにいきませんから、大臣、実はこの問題は理研当局、科技庁、厚生省、みんな意見が統一されていないんですよ、はっきり言って。端的に言うと、厚生省の大谷ウィルスリケッチア部長は私どもの質問にどう答えたかというと、危険なものはP4で筑波で取り扱うと言ったんですよ。ところが、そうでないと言ってまた否定をしている。だからもうやめます。こういう重大な問題をそんないいかげんな態度でもって建設を進めてもらうなんていうことは私は大問題だと思うのですよ、あれだけ反対が強いわけですからね。それを、町議会を切り崩すためのまたいろいろな工作をやっておる、これもはっきりしているわけ。そういうことで大臣、この問題をよく考えてください。それだけ要望しておきます。
#81
○委員長(中野明君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十六分開会
#82
○委員長(中野明君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁についての委嘱審査を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#83
○高平公友君 私は、昨年の十一月の末まで中川大臣のもとで科学技術政務次官を相務めさせていただきました。一年四ヵ月でありますからずいぶん長かったわけであります。大変実は勉強をさせていただきました。きょうは立場が変わって今度は大臣に質問申し上げるということに相なったわけでありますけれども、科学技術というのはいろいろな分野で全く日々急速な進歩発展を遂げております。新聞等を関心を持って眺めておりますけれども、この機会に、こういう立場に立たせてもらったので当面する問題について御質問を申し上げたい、こう思う次第であります。
 まず、先般の日米、日欧、ECとの貿易摩擦の関係でわが党から江崎ミッションがそれぞれの国へ参りました。帰ってきた方々にお聞きしますと、本当にもう厳しい状況下にあると。そして団員の一人は私に、これからの日本を救うのはやっぱり何としても科学技術の振興だ、科学技術を振興することによって日本は二十一世紀にもりっぱに生きられるであろう、こういうようなお答えでありまして、全くわが意を得たりという思いでいっぱいでありました。
 そこで、科学技術を振興するには人であることはこれは当然です、まず第一に人であると思います。しかし機構の問題も私は大きな条件であろうと思います。たまたま臨調におきまして中央行政組織の再編合理化、第二部会で大体七月答申をめどにしましてただいま進めておるといいますか、五月に中間答申を出すために作業が続けられております。新聞等でこれを拝見いたしますと、科学技術庁または科学技術会議の企画調整機能の強化、こういうことがうたわれておるわけであります。さらに詳細に見ますと、科学技術庁所管事務に大学における調査研究を対象に含めるかどうか。あるいはまた、現行どおりにして、科学技術会議、原子力委員会、宇宙開発委員会等が一定限度のもとで従来以上に大学の研究に対し具体的調整を行い得るようにすべきかどうか、こんなことが見出しの中でずいぶん言われて、強く検討の内容などがこういう言葉によってうかがわれるわけでありますけれども、最後に、こうした機構の改革は諸官庁等の意向も十分聞いた上で最終的に答申するのだと、こういうことが付記してありました。あるいはすでに大臣は科学技術庁として臨調との連携があるのかどうかわかりませんけれども、科学技術の振興のためにはやっぱり行政機構、行政組織の問題も大きな要素になるだろうと思うわけであります。そういう意味でどうでしょうか大臣、ひとつ所見をこの際、おれはこういう気持ちを持っているのだというお考えを承れればありがたいと思います。
#84
○国務大臣(中川一郎君) 科学技術の必要性については、アメリカへ行きました江崎ミッションの方々の御感想もありますが、近々日本に参りますミッテラン大統領が歴史的な訪問をされるわけで、訪問の中で科学技術というものを目玉にしておると。フランスも非常に科学技術の進んだ国でありまして、これから時代がむずかしくなってくるだけにいよいよ科学技術が大事であるという認識を持たれておるように拝察され、日本としてもこれだけの経済力がついてきただけに科学技術についてはさらに一段の努力をしていかなければいけない、認識を新たにしなければいけない。
 幸い科学技術立国元年あるいは二年として高平政務次官にも大変御理解、御協力をいただきまして、時たまたま臨調においても、わが国の行政のあり方を含めいろいろと御研究をなさっております。いまのところ私たち中身について聞き得る立場にはございませんが、科学技術については前向きであるという姿勢であるように聞き及んでおります。また、その中で企画調整機能の強化、この点についての御指摘でございますが、これから科学技術を振興していく上において、人の問題も必要であるが機能を十分に発揮しなければいけない。それには、いままで産、官、学がばらばらであった、この点も反省の一つの材料でございます。ところが、科学技術庁が調整できますのは、文部省関係については外枠になっておるわけでございます。これは、学問の自由という一つの大きな柱がございまして、独自のものである、こういう立場はわからないわけではありませんけれども、われわれとしてはやはり産官学が横の連絡をとって一つの調整をされた上でやっていくことが、能率を上げる、いい研究を生み出す上に必要なことであると思います。よって学問思想の自由を侵すようなことはこれは避けなければなりませんけれども、技術関係でもございますし思想とかいうようなものではありませんことも配慮しつつ、できるならば大学側の理解もいただいて御協力いただける体制をつくることがいいのではないか、こう思っておる次第であり臨調に対してはそういった態度で臨みたい、ぜひそういう方向でこれからの時代に対処したいと思っております。
#85
○高平公友君 それでは、質問の本題に入りたいと思います。
 私は、エネルギー問題を少しお聞きいたしたいと思います。
 あるいはちょっと前置きが長くなるかもしれませんが御了承いただきたいわけです。最近の欧米諸国との経済摩擦の問題、それからまた欧米先進国の社会経済的な不安の問題、いろいろ要因はあると思いますが、最も大きな原因は数次にわたる原油の値上げであろうと思います。ここ十年間に原油の価格が十一倍にはね上がっておることを思えば、なかなかその国の経済で吸収し得ない。日本の場合は特例国債を出していま苦しんではおりますけれども、ある程度これは成功しました。世界の国々は非常に厳しい試練の場に立たされております。
 五十四年のあれは第五回でありますか東京サミットは、このエネルギー問題がすべて中心の議題になりました。そして石油の消費節約、それから代替エネルギーの積極的な開発、それから石油輸入量の上限枠の設定、一九八五年、昭和六十年を目標にした一つの枠が設定されたわけであります。
 その後世界の各国は新しいエネルギー開発、特にいろいろな角度から見て最も効率のよい原子力の開発をどんどんと推し進めました。それからまた、経済不況で経済の伸びは場合によってはマイナス成長をなしておる、そんな関係もあったと思いますが、総じて短期間の間に世界挙げてこのエネルギー問題に対応したその成果で、今日石油の問題はちょっとだぶつきぎみだといいます。需給が緩和の状況にある。昨年の十二月にアブダビで開かれましたOPECの六十二回総会におきましても、アラビアン・ライト大体三十四ドル、これを下回らないで維持しようということを決めております。そうして油種によって、重質だとか中質だとかいろいろ種類がありますけれどもこれらは若干値下がりをいたしております。一番端的にあらわれておるのは、あの直後にスポット原油バレル四十ドル、日本が買った買わぬといろいろ世界の国々から文句を言われた時期もありましたが、しかし今日は三十ドルを割ってスポットの価格は二十八ドル、非常に安定の状況を示しておるわけであります。
 しかし、長期的な石油の供給はどうか。これはなかなか不安定要因もあると同時に、OPEC産油国におきましては、OPEC十三ヵ国でありますけれども、つい先ごろ、この三月の二十日にウイーンで臨時総会を開きまして、あくまで現状価格をひとつ維持するように努力しようじゃないか、そうせぬとわれわれは経済的にまいるということで、これはたしか四月一日から実施ということで、従来生産量が十三ヵ国で日量千八百七十万バレル、それを千七百五十万バレルまで下げよう、サウジなんかというのは、千百万ぐらいやった時期もあったと思いますが、ただいま七百万バレルで規制しよう、こういうことでやはりだんだん下がることに対応する一つの体制をつくり上げております。
 また、中東戦争、イラン・イラクは、もう本当にこれが最後になるのかどうかわかりませんけれども、大戦争をやっておるというのが新聞で報じられておるわけであります。不安な要因というものをたくさん持っておりまして、よく言われる言葉ですが災害は忘れたころに来る、石油も安定したと思ったらまた値上げされるということになりますと大変でありまして、われわれはやっぱり従来のような不断の努力を傾注すべきではないか。
 ところが最近日経あたりを見ておりますと、製造業者の一部でありますけれども、石炭にエネルギー転換をしたけれどもどうもいろいろな面で効率がよくない、石油がだぶつきぎみなら、日本の貯蔵しておる石油のタンクもいっぱいだしもう一遍元へ戻ろうかというような、そういった気風がいささかあらわれておるのじゃないか、私はそんなことを心配するわけであります。
 そこで、政府におきましては、たしかおととしの暮れですか、長期需給見通し、ここで、一九九〇年は原油の依存度を五〇%に引き下げる、一時七三ぐらいだったかと思いますがエネルギーの中の原油の依存度を五〇%に引き下げる、そうして原子力発電は五千百から五千三百万キロ、こういう目標を掲げておるわけでありまして、私はここで通産省にその進捗状況はどうかこうかと聞く時間は与えられておりませんが、これはぜひこの体制で進めていただきたい、こういうぐあいに願うわけであります。そしてここで、原子力の問題はいろいろのことがありますけれどもいま世界の現状はどうかといいますと、日量一番たくさんの石油を生産しておるのはソ連であります。ソ連は水力はもとより、巨大な水力と同時に原子力につきまして非常に熱心にやっておる。産油国のアメリカにおきましてもこれはもう原子力発電を強力に推進しておりますし、北海油田を持っておるイギリスでもいろんな反対を受けつつ営々と努力しておる。そのほか産油国でエネルギー開発にそれぞれ積極的な協力をしておる現状を見ますと、われわれはやっぱりこの目標を何としても達成しなければならない。先ほど吉田先生からいろいろお話がありました。しかし、住民の理解も得て、余り問題を起こすようなことでなしに、世界の現状の中でエネルギーというものをわれわれは何としても解決しなければならぬ、こう思うわけであります。
 さて、そろそろ本論に入らしてもらいたいと思いますが、私はやっぱり代替エネルギーの担い手は原子力であるという原則の中でいま話をしたわけでありますが、現在わが国の原子力発電は軽水炉がほとんどであります。ほとんどそうでしょう。新型転換炉というのは福井でやっておりますが、あとは全部軽水炉だと思います。これに用いられるところの燃料というのはウラン235であります。これはやっぱり量的制限があることはもう皆さん御存じのとおりなんです。さっきも大臣が提案説明の中でウラン燃料の確保ということをお話しになっておりました。たしかマレー連邦、ニジェール、オーストラリア、カナダ、もっともっとたくさん行っておるかもしれません、日本からウラン鉱の採掘に。その国と相共同して努力しておるその姿というのは、これから一九九五年に七千三、四百万ぐらいの原子力を開発するためにはなかなか困難な問題であると私は思います。しかしながら、原子力発電をさらに長期に発電の中心としていくためには、私は軽水炉ではそういう面で制約される。そこでウラン238なんです。これはウラン鉱の九九・三%ですか、ほとんどウラン238であります。これをプルトニウムに転換いたしまして発電するところの新型動力炉、高速増殖炉ですね、これは時間は要しても結局最終の原子力発電の私は本命だと思っておりますので、このプルトニウム発電につきまして御質問申し上げたいわけですが、すでにフランスはよく言われるスーパーフェニックス百二十万キロ、あれはたしか八三年運転開始の予定であります。ジスカールからミッテランにかわりまして多少あれはおくれがあるかもしれません。日本では大洗の動燃で「常陽」をつくりまして、これは五十二年の四月から運転開始をしております。そしてこの実験炉はいままで順調に運転が続けられていろいろな面で研究されておると思います。私は原型炉建設の基盤をつくっておることは間違いないと思っておるわけでありますが、そこで質問の第一点は、わが国では動燃を中心として高速増殖炉の開発が進められているけれども、原型炉の「もんじゅ」の建設というのはただいまおくれておりまして、まだ工事にも取りかかれない。国際的な大きなおくれを来すのではないか、そういうことを実は懸念するものであります。国際的なおくれといいましても、これは流行ではありませんけれどもしかし産油国ですら努力している、われわれと同じ条件のようなフランスではスーパーフェニックスをつくって対応しようとしておる。日本は一体どうなっておるのだ、こういうことを質問したいわけであります。
#86
○政府委員(石渡鷹雄君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように高速増殖炉の分野では一番進んでいるのがフランスでございまして、すでに原型炉の運転を行い現在百二十万キロワットのスーパーフェニックスを建設中で、われわれの情報では.一九八四年の臨界を目途にしているということでございます。その他の国におきましては、原型炉の運転、これはイギリスあるいはソ連でございますが、または米国が建設中。わが国におきましてはこれから建設に取りかかろうという段階にあるわけでございます。で、御指摘のように実験炉「常陽」の成績が非常によろしいわけでございまして、ナトリウムの取り扱い技術も含めましていろいろ原型炉建設のための基礎的な技術あるいはデータの蓄積も行われたわけでございます。そして科学技術庁におきましては、一般の軽水炉のケースと若干手続を変えまして、科学技術庁の行政庁による安全審査も実質的に昨年の十一月に終了し、そのデータを地元に御説明申し上げまして、現在地元の福井県知事の同意をいただくべくお願いをしているという状況でございます。また、この原型炉の動きに並行いたしまして、その次の段階の実証炉につきましても動燃及び電力業界において概念設計の勉強を始めているという状況でございます。したがいまして、フランス、及び情報はそう多くないのでございますがソ連がかなり進んでいるということでございますけれども、その他の国と比較いたしますとわが国の場合、計画は若干おくれてはおりますがまだ世界的な比較においてはフランス、ソ連以外の国には余りおくれていないというふうに判断している次第でございまして、原型炉「もんじゅ」の建設をできるだけ急ぎまして、国際競争ということではございませんが、まずこの高速増殖炉に関します自主技術の確立に邁進してまいりたい、このように考えている次第でございます。
#87
○高平公友君 いま局長からアメリカの高速増殖炉の説明がありました。カーター大統領のときは全くストップされていたはずですが最近始めたと承知してよろしいかと私は思います。そこでこれは何といいましてもプルトニウムの確保ということが大事なんです。ところがなかなか制約が厳しい。当然日本はアメリカから供給を受けるということになると思うのですが、この面についてどうなんですか。お聞かせいただきたいと思います。
#88
○政府委員(石渡鷹雄君) まずプルトニウムにつきましてのお尋ねでございますが、現状は東海のガス炉をイギリスで再処理いたしまして、その分のプルトニウムを持って帰りまして、主として研究用に使っております。それから先生御承知の東海の再処理工場が稼働しておりますので、ここからも若干のプルトニウムが出てくるということでございます。それから英、仏に再処理を委託しております分が再処理が進めばそこでプルトニウムが生まれましてこの所有権は日本にあるわけでございます。しかしまだこの再処理はそう進んでおりません。したがいまして、やや長い目で見ますと一九八〇年代は日本にとってはプルトニウムがやや供給がタイトであるというような状況にあろうかと考えております。しかし民間におきます第二再処理工場の稼働が始まりますとそこから相当のプルトニウムが出てくる。そういう意味で高速増殖炉の実証炉あるいはさらに商用に入った場合には、日本におきます再処理の進展状況と絡めてみますとそう量的にはつらいということにはならないであろうというふうに思っているわけでございます。
 それから米国との関係でございますが、先生御指摘のように、濃縮を全面的に米国に依頼しておるという事情から日米協定上その再処理そのものについて現在のところまだ共同決定が要るという状況になっているわけでございまして、昨年の十月にその共同決定が約三年間という期限つきのような形ではございますがなされまして、その間においてはわが国におけるプルトニウムの使用ということについては何ら制約がない、またこの三年以内に必ず長期的なまた協定のやり直しをやるのだということがうたわれておりますので、現在の米国のレーガン政権の原子力に対します考え方からいきまして特に日米間で問題になることはあるまいと、このように判断をしているところでございます。
#89
○高平公友君 この機会にひとつ大臣に所信をお願いしたいわけですけれども、とにかくやっぱりプルトニウムとなりますとこれは原爆にすぐ使えるわけなんです。非核三原則というものをわれわれは堅持しておるわけでありますが、しかし、プルトニウムが核兵器に転用されるおそれがある、そういう懸念を抱く人も国民の一部にはあるわけでありまして、かかる方々にも大臣のプルトニウムに対する平和利用の考え方を明確にこの際、この話が出ましたのでひとつお聞かせいただきたい。再度確認させていただきたいと思います。
#90
○国務大臣(中川一郎君) 原子力の平和利用に関係しましては、いろいろの憶測が出てまいります。たとえば発電所が爆発するのじゃないかというような爆弾との間違いをされる人もありまして非常に迷惑というか、そういう絶対にあり得ないことが伝わっていることは残念でございます。また、プルトニウムが原子力発電によって発生をする、これが爆弾に使われるのじゃないか、原爆に使われるのじゃないかということを宣伝する人もあるように見受けられます。しかし御承知のようにわが国の原子力開発利用は原子力基本法の精神にのっとって厳に平和の目的に限られておりますから、そういうことは絶対あり得ない。また、非核三原則がございましてわが国ではつくらず、持たず、持ち込ませずということになっておりまして、その面からも国是としてそういうことはやり得ない。二重、三重の約束事がございます。
 プルトニウムができますけれども、これは御指摘のように貴重な核燃料資源でありまして、新型動力炉に用いることを含め国内の原子力発電用の燃料に利用することといたしております。このための再処理、燃料加工などすべての過程は国内法はもとよりさらに国際原子力機関の保障措置により厳しく監視されておりまして、核兵器に転用されるということは一切あり得ない。これははっきりいたしております。また、使用済み燃料の再処理を海外に委託する場合も、取り出されたプルトニウムはわが国に持ち帰ることにしておりますから、その過程で相手国等において核兵器に使われたり第三国に流れる、こういうようなこともあり得ない。すべてわが国でしっかりした管理規定のもとにおいて平和利用に限り利用される、こういう仕組みになっております。
#91
○高平公友君 高速増殖炉というのはプルトニウムが燃料で、そして冷却材はナトリウムですね。これが高速中性子で核連鎖反応を維持していく。軽水炉とまた違った向きがあるわけですが、先ほど原子力局長が言われましたけれども、この安全というのは大変に大切だと思います。さりとて、いままで実験炉もやりイギリスで現にこれがずっと運転されておるということ等も考えまして、この機会に安全局長に、科学技術庁の安全審査を踏まえて安全に対する御意見を承りたい。安全局長、ひとつお願いします。
#92
○政府委員(赤羽信久君) 御指摘のように高速増殖炉は従来の軽水炉と異なりましてナトリウムを使う点、あるいはプルトニウムを燃料にする点、プルトニウムはウランより危険性の高いものでございます、いろいろ新しい特徴を持っているわけでございます。したがいまして、安全審査をいたすにつきましても従来の軽水炉とは違った観点も含めまして総合的に実験しなければならないわけでございます。現在の段階を申し上げますと、昭和五十五年の十二月に設置許可申請が出されまして科学技術庁におきまして、まず原子炉安全技術顧問会というのがございますが、ここの専門家の意見を聞きながら安全審査を進めてきたわけでございます。すでに政府側の審査を一応終了いたしまして、近く安全委員会に諮問しましてダブルチェックを受ける予定となっております。
 具体的な内容について簡単に申し上げますと、ナトリウム、プルトニウムという点につきまして「常陽」の段階を含めまして高速増殖炉の開発というのはその点の安全性の確保のために行われてきたと言ってもよいほどでございまして、その成果を踏まえて安全審査を行っているわけでございますが、その前提といたしましては、原子力安全委員会が特にそういう特徴に注目しました高速増殖炉の安全審査のための基本的な指針というのを定めてございます。科学技術庁としての安全審査におきましても、この指針に基づきまして慎重に審査を行ったわけでございます。内容について二、三触れさせていただきますと、軽水炉の場合は非常な高圧がかかっておりまして、その高圧に対する対策、あるいはそこに穴があいたりしたときの対策というのに相当多くをかけるわけでございますが、高速増殖炉の場合には圧力がかかっていない、この点はむしろ楽な面でございます。そのかわりナトリウムが高温で使われている。これは空気や水と接触いたしますと激しい反応を起こしますので、空気のかわりにはいつも窒素等反応を起こさないガスを詰めておく。それから水と接触して困るような場所、たとえば熱交換器でございますが、こういったところでは漏洩が起きたら早く検出して大きい反応を起こす前にとめてしまう、そういった措置がされているということを確認しているわけでございます。それからさらに、これは原子力施設でいつも考えることでございますが、第一のそういう防護が突破されて事故に発展したという場合がありましてもその影響がさらに大きくならないという対策を次々に講じて、いわゆる多重防護になっているということも確認するわけでございます。具体的に申しますと、プルトニウムがペレットの形で焼き固められておりまして、これがすぐには溶け出さない、そしてそれの被覆管がしっかりしている、それから原子炉容器がある、それから収納壁、収納容器、そういう多重の防護がされておるために、仮に事故が起きても大事に至らないということを安全審査としては確認しているわけでございます。そして、その一番悪い場合にどうなるかということでございます。これは、重大事故、あるいはちょっと技術的には起こり得ないような仮定を置きました仮想的な事故、そういうものを想定してどういう被害が出るか、ここまで勘定をするわけでございます。その際に、原子力安全委員会はプルトニウムによって生ずる被曝というものは一番悪いときでもここまででなければいかぬという目安の線量を定めておりますが、それをはるかに下回るものしか起きない。これは全く架空の想定に基づいての計算でございますが、それでもなおかつそういう低い被曝で済むという結果が出ております。さらに今後とも、内外共通にこういう安全に関するデータは交換されておりまして、そういうものを踏まえ、さらにデータをたくさんとることによってより将来の実用に向かっての安全データを蓄積してまいりたいと思っているわけであります。
#93
○高平公友君 そこで、いま赤羽さんが言われましたけれども、福井の「もんじゅ」の建設、あれは大分おくれたかっこうになっております。地元に理解をしてもらうためには、いろいろいま言われたような安全の問題これはやっぱり最低の条件である。これをまず満たさぬことには何をか言わんやでありますが、最近の動きというのは、私は富山でありますけれども隣の隣の県でありますから事情はよく承知いたしております。県の議会でも今日の日本のエネルギー事情を理解してくれまして積極的な協力をいただいておるというのがいまの実態でなかろうかと思っておりますが、さあ一体いつごろからこれらの事業に着手できるか、めどというものが必要であろう。と申し上げるのは、たしか当初四千億ぐらいの予算であったと思うのですが、おくれることによってこれもだんだんやっぱり費用がいや増していく。私は原型炉、それから実証炉、そして先ほど申し上げたように、ウラン235によらないところの本命と言われる高速増殖炉というものをこれから時間はかかるでしょうけれどもとり行わなければならないと思う。そうすると、その先を歩んでいくのは「もんじゅ」、それからこれからどういうぐあいに進むかという過程なんですよ。そんな意味において「もんじゅ」の建設というものは大変大切であります。一体いつごろから着手してどのぐらいの経費を要するか、大分値上がりしてこんなとおりだ、今後は実証炉はこういうぐあいにわれわれはつくってこういうぐあいに展開していくということについてお聞かせをいただきたいと思う。
#94
○政府委員(石渡鷹雄君) 先生御承知のように、本年二月に二回にわたりまして福井県の関係者の方々に行政庁安全審査の結果を踏まえまして安全性について十分御説明申し上げたところでございます。そして、新しい炉ではあるけれども安全性は確保されるのだなという点について御理解を深めていただいた次第でございます。また先生御承知のように、この三月には福井県議会におきまして「もんじゅ」建設促進の陳情が採択されたという事実がございまして、この建設につきまして福井県知事の同意が得られる状態がきわめて近づいてきたというふうに考えた次第でございます。で、去る三月二十七日に福井県知事の御意見を承りたいという趣旨の文書をもちまして大臣の御意向を知事にお伝えしたというところでございまして、近く県の同意が得られるものと期待しているわけでございます。この同意をベースにいたしまして、関係省庁等の協力を得た上で早急に所定の法令上の手続を経て建設に着手していく、こういう段取りを考えております。
 「もんじゅ」の炉体の本体の建設につきましては、今後原子力安全委員会によりますいわゆるダブルチェックを受ける必要がございます。この際、安全委員会による公開ヒヤリングが地元で行われるという手続もございます。その後原子炉設置許可あるいはいわゆる設計工事方法の認可等を経て本体の建設に着手されるということになるわけでございます。一方、そのための準備工事、これが大変でございまして、たとえば取りつけ道路あるいは敷地の造成あるいは港湾の建設といった一連の相当大規模な工事が必要でございますが、これは県関係の手続でございまして、これらの必要な手続をなるべく早く進め、そして本体工事の着工に支障がないように進めてまいりたい、このように考えているわけでございまして、関係者一同準備万端を整えて県の同意を待っているという状況でございます。いろいろ事情がございまして当初の目標からはおくれているわけでございますが、昭和六十年代の前半にはぜひ臨界に達しましてそして十分原型炉としての機能あるいはそれによります試験を始めたい、このように希望しているところでございます。
#95
○高平公友君 もう一つ重ねてお聞きしたいわけですけれども、高速増殖炉の開設と同時に、核燃料サイクル全般に係るところの技術開発、いま動燃でやってはおりますけれどもこれをもっと大きくするのは当然だと思いますし、この研究開発の状況を説明していただきたいと思います。
#96
○政府委員(石渡鷹雄君) プルトニウムが約二〇%入った燃料ということで、核燃料サイクルは、現在われわれがやっと非常に細いものではございますが一応完結した軽水炉体系の核燃料サイクルとはまた別途のサイクルが必要になってくるわけでございます。そういう意味で高速炉の燃料の再処理の技術あるいはプルトニウム燃料の製造技術、こういった点が研究開発の焦点でございますので、現在動燃で鋭意研究開発を進めているところでございます。再処理につきましては、本年五月ごろから実際の照射燃料、実際燃やしてみた燃料を使用いたしまして分離性能の研究を始めまして再処理工程の研究を始める段取りになっておりまして、昭和六十年代の後半には原型炉「もんじゅ」等の使用済み燃料、高速増殖炉の使用済み燃料の再処理を実際に行う高速炉燃料再処理試験施設、まだパイロットプラントの段階でございますが、それの運転を開始させるということを目標にその施設の設計あるいは機器の開発を進めているということでございます。
 なお、本日御審議いただいております予算の関係でございますが、高速増殖炉の再処理関係の予算といたしましては、五十六年度約五十二億円、来年度につきましては三十四億円程度の予算をお願いしているところでございます。
 また、プルトニウム燃料の製造技術につきましては、すでに実験炉「常陽」のための燃料の製造ということで相当の技術の蓄積がなされておりますが、次の段階といたしまして「もんじゅ」用の燃料の製造ということで設備を拡充していくということになるわけでございますが、この際問題になりますのは、やはり扱う原料がプルトニウムということでございますので、作業者の被曝の低減化ということが非常に大事な問題である。また、大量に加工するという大量加工技術、いままでやや手仕事でやっていたものを大量に処理するといった技術を習得する必要がございます。このことを目的といたしまして、高速増殖炉燃料製造技術開発施設の建設につきまして五十七年度から着手をさせていただきたいというふうにお願いしているところでございます。このための建設費等につきましては、すでに五十六年度には約十一億円の予算をちょうだいしているわけでございますが、来年度、五十七年度におきましては、建設のピークにかかりますので四十二億円強の予算をお願いしているところでございます。
 先生御指摘のとおり、高速増殖炉関係の核燃料サイクルの技術開発につきましては、十分その安全性を中心に考えつつまた原子炉の開発状況を踏まえまして整合性を持って着実に進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
#97
○高平公友君 私が長々と冒頭に申し上げましたのは、やっぱり高速増殖炉というものを原子力発電の中核として一日も早い達成を望んでやまない次第でありまして、計画はおくれがちではありますけれどもしかし安全の問題、いろいろ未知の問題も抱えておるわけでありますから悠々たるのはやむを得ないと思いますけれども、今後もひとつ駆け足でそれを進めていただきたい、これは要望を申し上げておきます。
 三番目に、核融合の研究について、ひとっこれはむしろ勉強させてもらいたいと実は思っておるわけなんです。日本のみならず人類にとって、核融合の完成ということで核融合による発電がなされるということになりますと、人間の生存条件を本当に変えてしまうのではないか。食糧不足問題にとっても、温室栽培をやる、米だってそんなことでとれる。エネルギーさえあればそんなことは大きく変わっていくだろう。P4も大事でありますけれどもエネルギーも一番基本をなすものでないか、そんなことで核融合の完成というものを望んでおります。ところが、このごろ不景気な記事ばっかり新聞に出ておりましたが、きのうの新聞各紙に「核融合へ大きく前進」として、原研がJT60プラズマ加熱装置の実験で目標値である運転持続時間十秒を達成した、こういうぐあいに大きく報道いたしております。いいニュースだと申し上げたいわけです。核融合のことについて私は余りわからぬものですからああ原研やったなと喜んでおるわけでありますけれども、詳細に見ますと、核融合発電のためには最低一億度の温度を出さねばならない、時間で一秒間、密度で一立方センチ百兆個のイオンがあるものをつくらねばならぬ、その温度の壁をこれは何とか破れるという見通しがついたということでないかと思います。ローソン条件というのはこの三つのことを言うのかどうか私はわかりませんけれども、いずれにしてもそういう条件に原研が世界の国に大きく先駆けて一歩をしるしたということは非常にうれしい限りでありまして、わが科学技術庁にとりましても日本の科学技術のためにも大変喜ばしいことだと思っておる次第であります。
 現在世界の各国でこの核融合というのはさすがに究極エネルギーということで盛んに研究をいたしております。私はこのトカマク方式というのはソ連が原産といいますか、ソ連が考え出したものだと聞いておるわけでありますけれども、日々進歩を来しておるわけでありますが、世界のこの種の研究、核融合の研究の中で一体わが国の研究状況の進み方というのはどんなぐあいに位置づけされておるか、どんなぐあいに評価されておるか、これをひとつ聞かせていただきたいと思います。
#98
○政府委員(石渡鷹雄君) 日本におきます核融合の研究は、昭和三十年代にプラズマ物理の基礎研究から出発いたしまして、昭和三十六年に名古屋大学にプラズマ研究所が発足して組織的な研究が開始された、これが歴史的な流れでございまして、以後二十有余年間の着実な研究開発によりまして、核融合炉の実現への第一関門であります核融合エネルギーの制御の可能性を科学的に実証するという段階に来ているというのが現状でございます。この実証のためにトカマク方式の臨界プラズマ実験装置、私どもJT60と称しておりますが、こういう装置を現在原研におきまして建設中という段階でございます。トヵマク方式は確かに先生御指摘のとおりそもそもそのアイデアはソ連から出たわけでございますが、ほかにもいろいろな方式が研究はされておりますが現在の時点ではやはり核融合の実現の方式としては一番有望ではないかというふうに考えられておりまして、わが国でもこのトカマク方式が最も研究開発としては進んだ段階にある。また世界的にも米国あるいはEC――英、独、仏が中心になってやっているわけでございまして欧州連合とでも申しましょうか欧州が力を合わせてやっているプロジェクト、そしてソ連のプロジェクト、世界では四つの大きなプロジェクトが並行して一、二年を争う形でそれぞれ建設を進めているという状況でございます。そういう意味でわが国の核融合の研究も世界の第一線に、最先端にあるということは言えるわけでございます。すでにそういう意味で諸外国からも日本の核融合の開発状況というものにつきましては高い評価を受けているというところでございまして、JT60が完成すれば、さらに世界に誇り得る第一級の装置になるということは事実であると考えております。先生もただいま御紹介いただきましたが、先日このJP60に用いまする中性子の入射加熱装置が加熱時間十秒という世界記録を達成したということも、大きな成果であると私どもも喜んでいるところでございます。
 なお、トカマク方式以外の研究につきましては、主として大学等で実施されておりまして、基礎的な研究段階ではございますがそれぞれの分野ですぐれた成果を上げているということもまた事実として御報告させていただきます。
#99
○高平公友君 そこで、これは研究開発にはたくさんの費用がかかることはわれわれも承知しております。こんなすばらしいエネルギーをつくるためにはなけなしの金、財布でもはたいてやはり進めねばならぬと思うわけですが、このJT60の完成には大体二千億ぐらいかかるのでないか、そういうぐあいに承っておったわけですが、一九八六年、もう四年後ですか、完成することに予定されておりますけれども、いままでどのくらいかかったか。この後何ぼほど金を投入することによってJT60というのは完成するのか。今後どのくらいかかるかということはこれはなかなか問題だと思われます。
 それはそれとしまして、大学でのトカマク方式以外の研究、いまおっしゃいましたけれども、こういうのに大体核融合でどのぐらい金がかけられるものかわかったらちょっと参考までに聞かしていただきたいと思います。
#100
○政府委員(石渡鷹雄君) まずお金の問題でございますが、核融合関係につきまして五十六年度までに科学技術庁で使わせていただきました研究投資額は約千二百億円でございます。このうち、先ほど触れましたJT60の建設には約八百五十億円の投資を行っております。こういう投資によりまして今日まで世界で第一級の技術水準に到達しているというところでございます。一方、大学関係は文部省を中心といたしましてトカマク以外の方式について基礎段階の研究が行われておりまして、五十六年度までに約四百七十億円の研究投資が行われているということでございまして、これらを合計いたしますと今日までに国全体では約千六百七十億円の研究投資が行われたというところでございます。本日御審議をいただいております五十七年度予算におきましても、JT60の昭和五十九年度完成を目途といたしまして、科学技術庁関係では四百十八億円の予算をお願いしているところでございます。なお、五十六年度予算では四百六十四億円でございまして、国全体として四百六十四億円の投資を行ったところでございますが、ちなみに、米国におきましては五十六年度に約千四百億円、それからヨーロッパ連合といたしましては六百億円という研究投資が行われております。そういう額に比べますとやや少な目でございますが、特にトカマク研究等の分野で世界の最先端を行くすぐれた成果を上げているということもまた事実でございますので、この点非常に予算的にも重点が置かれているというふうに御理解を賜りたいと存じます。
 なお、これから先どのくらいということにつきましては、なかなかむずかしいわけでございますが、少なくともJT60の完成には、附属設備等も含めまして全体で二千億円の規模になるということでございます。また、それまでにその他の方式につきましても各大学等で研究の努力が続けられていくであろう。で、JT60が完成をし運転されると、そのデータを十分分析もし、またその時点で他の方式の進みぐあいをにらみまして、日本としてどういう形で核融合の研究開発を進めていくかということをその時点でまた改めて将来の方向を決定しようというのが、核融合研究者の全体が集まりましていろいろ相談をしております原子力委員会の核融合会議におきます現在時点でのコンセンサスでございまして、JT60以降の問題ということにつきましては、今後JT60の完成、運転を経た上でその先の方向が決められていくということであろうというふうに考えております。
 なお、若干付言させていただきますと、ただいま申し上げましたように核融合の完成までには相当金がかかるということでございます。世界的に四つのプロジェクトが走っているということも申し上げましたが、各国とも、まあソ連の事情はよくわからないのでございますが、米国なり欧州連合におきましても日本と同じ悩みを持っておりまして、金が非常にかかるのだと。それでは、それぞれが一つのプロジェクトを抱えていけるかどうかという財政的な問題も含めまして現在この次の段階に対してどのように対応していこうか、一つは国際的な協力といったことも考えられないであろうか、あるいは協力、分業といったことが考えられないであろうかといったような議論も始まっているということも事実でございますので、この点御報告させていただきます。
#101
○高平公友君 御説明わかりました。何といっても核融合というのはさっきも申し上げましたように人類にとっての共通の大目的であろうと思うのです。いまおっしゃいましたように、金としかも人、たくさんのものを投下しなければなかなか完成しないだろうと思うわけでありまして、四つのプロジェクト、国際協力というのはこんなときにこそやっぱり使うべきじゃないか。アメリカと日本と核融合についていろいろ相協力しておる向きがあるように実は私は聞いておったわけでありますが、現在国際協力の面はどうなっておるのか、あるとすればそれが機能しておるかどうかということですね、もう一つ敷衍してそれだけお聞かせいただきたい。
 それから、大学はトカマク方式以外だということでありまして、それはそれなりに新しいものをつくり上げていただくということは大切だと思います。ただ、科学技術庁の、いま原研でやっているものと余り重複していないかどうか、このこともあわせてひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#102
○政府委員(石渡鷹雄君) 国際協力の面でございますが、まず、非常に機能的に働きまた効果を上げておりますのは、前に福田内閣時代に福田総理が米国との間に核融合について研究協力をしようということをお決めになりまして、その線に沿いまして日米間でアメリカのサンジエゴというところにございますダブレットVという核融合の実験装置を用いまして共同研究を進めているところでございます。これは大体日本から年間約三十億円程度の出資をいたしまして、日本の希望するように装置を変え、日本の研究者が行ってそしてその装置を日本の計画に従って使うというプロジェクトでございますが、これが非常にいい成績を上げまして、アメリカ側もむしろ日本方式に乗っかろうかといったような状況であるようでございます。そういう意味でこの共同プロジェクトは非常に成功している例でございます。
 それから、これは全世界的になりますけれども、国際エネルギー機関におきまして大型の超電導磁石計画というのがございまして、次の段階の核融合装置では超電導磁石を使っていくということが考えられますので、この研究開発をいまからやっていこうといったような協力のプロジェクト。また、国際原子力機関、IAEAではINTOR計画というのがございまして、これは現在進めております四つのプロジェクトの参加国全員が協力してこの次の段階のトカマク炉の国際共同設計をやろうといったようなプロジェクトが進んでおります。これはソ連も加わったプロジェクトでございますが、日本が議長をしておりまして基礎的な段階、第一段階は非常にうまく作業が進んできているということでございますが、さらにこれを進めようといたしますと、やはり国際政治的な配慮もございまして、本当に全世界一体でやるのか、あるいはソ連を除いた米、欧州、日本三つの協力でやろうかといったような話とかいう話がちらほら検討されているという段階でございまして、日米間ではうまくいっているわけでございますがその次の段階をどうしようかというのはこれから議論されていくという状況にあるわけでございます。
#103
○高平公友君 よくわかりました。
 最後に実は大臣にお伺いして大臣の所信を聞かしていただきたいのです。いま申し上げましたように核融合というのは本当にわれわれにとって大切でありますし、この達成を日本の面目にかけてもどんどん進めて、この機会こそ世界に協力し得る唯一の道かとも思っておりますが、なかなか日本だけでできない。いろいろな世界の国々との協力も必要かと思います。二十一世紀、しかも早い間にこれを実現するということは、本当に明るい人類の二十一世紀に対するところの希望が持てると思うわけでありまして、大臣のひとつ核融合に対する御熱意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
#104
○政府委員(石渡鷹雄君) 先ほど御答弁を忘れまして申しわけございませんが、大学との調整の問題でございます。一言で申し上げますと、トカマク以外では、ステラレーター型、これが名古屋大学のプラズマ研でやられております。またヘリオトロン方式、これは京都大学で進められております。ピンチ方式というのが電総研、ミラー型の核融合、これが筑波大学、レーザー利用の核融合、これは大阪大学等々、それぞれ基礎的な段階ではございますが研究が進んでいるわけでございます。
 そして、こういう研究者の方々も含めまして、原子力委員会のもとにあります核融合会議というところで十分お互いの研究の状況等々を御相談し合いながら研究を進めているという状況でございまして、先生御心配の、重複等があるのではないかということにつきましては、まだ基礎的段階にありますいろいろなタイプ、方式につきましてはその可能性についてそれぞれの立場で進めていただく、それでJT60、トカマク方式のある段階に達したところでそれらをさらに総合的に相談をし合ってその次の方向を決めていこうというのが現在のコンセンサスとして得られているということは、先ほど御報告申し上げたとおりでございます。
#105
○国務大臣(中川一郎君) 核融合に対する所感ということでございますが、御指摘のように核融合は人類究極のエネルギーとかあるいは最終のエネルギーとか言われるぐらい非常に希望の持たれるものでございます。一方、エネルギーが非常に厳しい。まあつなぎのエネルギーとして原子力その他ありますけれども、これもいろいろとむずかしい問題もあるわけですから人類の将来のために一日も早く核融合を成功させたい。わが国もこの点については世界に伍して今日までやってまいりましたし、特にJT60も六十一年に臨界を目指して大変厳しい財政の中ではありましたが、予算づけもいたし、非常にうまくいっておると思います。これを促進すると同時に、次の段階、これは資金面も人的問題も非常にむずかしい問題もありますし、またわが国だけではなくて諸外国との共同研究ということも必要であります。また協力関係も必要である。こういうようなことでの国内の体制、諸外国と連絡をとりながら、この理想のエネルギーに向かって、原子力その他つなぎのエネルギーの開発も一生懸命やりますけれども、これらについても国民の理解をいただきながら全力を尽くしたい、こう思っている次第でございます。
#106
○高平公友君 きょうは放射性廃棄物、これは田中先生が先ほど海上の方をおっしゃいましたけれども、私は陸上のことをお聞きしたかったわけですが、持ち時間が余りなくなってしまいまして、これはひとつ次の機会に譲ることにいたしたいと思います。いずれにしろ、だんだんたまってくるものですから少なくするような方策、陸上で廃棄物を処理するという問題など、私はそんなことを強く訴えたいと思っておりましたが、次の機会に譲ります。
 そこで、もうあと二つだけ大急ぎで申し上げますけれども、一つは科学技術情報の流通の問題であります。
 いま世界において年間二十兆円と言われるこれだけの経費をかけて、研究開発に従事する人は四百万人、ずいぶん各分野で科学技術情報というものについてこれを重視し、そして大がかりにこれに世界を挙げて力を尽くしておるところであります。結局は科学技術情報は頭脳の集約とそれから投資の成果ということになるわけでありましょうか。的確な情報をもとにしての科学研究開発の促進、日本が今日科学技術が振興した大きな原因もそういう意味でこの情報の重視ということにあったとわれわれは承っております。科学技術立国を目指す日本にとっては、科学技術情報を円滑強力に流通させていくことこそ大変大切なことだと思います。政府の積極的な施策を要望するものであります。
 そこで私は質問することを一遍で言いますから、あなたの方も一遍でお答えください、時間がありませんから。
 まず第一点は、科学技術会議では昭和四十四年、大分古い話です、十年ほど前です、科学技術情報の基本的方策について答申を出しております。全国的流通システム、頭文字でNIST構想というものを打ち立てておるわけです。これを提言いたしておりまして、流通体制の整備をしろということであります。今日十年余を経て着々整備されておると思いますがこの現状はどうなっておるか、このことが第一。
 第二番目に、科学技術の情報というのは国産データベースをつくることだと思っております。こういうものがどういうぐあいにつくられておるか。これは私の早考えかもしれませんけれども、これが基本だというぐあいに理解しておるわけでありまして、このことが二番目。
 三番目には、科学技術情報というのは大学だとか大企業、各官庁、こういうところでずいぶん利用しております。しかし地方の方では、私の地元あたりでは比較的利用しておると思いますが、結局中小企業だとか地方の技術開発、こういう面ではいささか現在の体制では欠けるところがあるのではないか。このことについて政府は今後どんな施策をとっていくかということをお聞かせいただきたいと思います。
 四番目には、これで終わりますけれども、最近ロッキード社を初めとしてアメリカの情報サービス会社が日本においてコンピューターによるオンライン情報活動を本当に活発にとり行っております。こういうことになるとこれは日本の科学技術情報センターというのは立ちおくれしてしまうのじゃないかという懸念を持ちます。ところが、アメリカの情報活動が余り盛んでありますので、ECの国々においてもこれに対応するためにユーロネット情報網というものを建設いたしましてこれに対応しておる。端的に言えば国際情報戦争、そういうかっこうになっておるのじゃないか。今後のわが国の科学技術情報政策の展開等についてこれはどうかということを、以上並べて答弁してもらって差し支えありません。
 以上であります。
#107
○政府委員(原田稔君) 先生のおっしゃいますとおり、科学技術関係の情報につきましてはまさに世界的な洪水でございまして、その情報を的確に整理いたしまして各関係者がその整理された情報を的確に入手する、そういうことができる体制というのは研究を行うための非常に基本的な前提条件であるわけでございます。そういった観点から昭和五十三年におきまして、かなり古くなりますが、科学技術情報に関しまして従来のNIST構想というものをさらに一層進めて科学技術情報の流通の促進を図ろう、こういうようなことで一つの御答申をちょうだいしたわけでございます。NIST構想につきましては現在関係省庁あるいは民間の各機関とともに協力をしてそのNIST構想の実現に努めておりますが、特に最近におきましてはこのNIST構想というものをオンラインのネットワークによってさらに進んだものにしよう、こういうことでそのシステムの設計づくりを進めております。昭和五十六年度から科学技術振興調整費を活用いたしましてNIST構想をオンラインによってやろう、こういうことでその設計の準備を進めているところであります。
 第二点の、国産データベースの拡充、これが一番基本であることは申すまでもないところでございます。外国、特に米国の科学技術情報関係の企業に比べまして日本の国産データベースの状況というものはまだ非常に貧弱であるわけでございますが、当面私どもはこの数年間におきまして現在のデータベースの数を倍増しよう、こういうことで一生懸命に努力を続けております。ただ、全部のデータにつきまして何が何でも全部倍増するということではなくて、特に需要の多いもの、たとえばライフサイエンス分野ですとかあるいは政府資金で行われたいろいろな研究開発に関する情報ですとか、そういった特に需要の多いものにつきましてこれを中心にその充実強化を図ってまいりたいと考えております。
 それから地方あるいは中小企業に対する情報関係の対応策いかんということでございますが、確かにこの分野につきましては大企業あるいは国家関係の機関に比べましておくれをとっているところは事実でございます。そういう意味で私ども従来から関係の機関、関係の役所あるいは中小企業関係の団体等とも連携をとりましていろいろと進めておるところでございますが、特に地方におきましてJICST、いわゆる情報センターでございますが、情報センターの支所や支部を各地域に設けまして、科学技術情報の各地方における活用あるいは中小企業における利用というものを進めておるところでございます。現在この支所あるいは支部は北海道を初め全国で七地区に設けられておりますが、昭和五十七年度におきましては北陸地方に支所を新設することにいたしております。
 それから最後に、アメリカのロッキード社等の活動が最近日本におきましてかなり活発化していることは事実でございます。これと、日本のJICSTを初めとする情報関係機関の情報量の格差というものは非常に大きいものがあります。そういった意味で、先ほど申し上げましたように国産のデータベースの拡充ということにつきまして鋭意努力を続けておりますが、これらのアメリカの情報機関の情報サービスもこれまたわが国の科学技術水準の向上の一翼を担っているわけではありますが、しかしこういったものばかりに頼っておるというのはこれまた非常に問題が大きいわけでございます。したがいまして、こういったロッキード社を初めアメリカの巨大な情報関係企業等と十分対抗できるようにひとつ日本の情報関係機関の全体の体制の充実強化に励んでまいりたい、かように考えております。
#108
○高平公友君 アメリカとの情報の問題ですが、何かいよいよとなると大事なやつは出してくれぬこともあるわけでありまして、わが国はわが国としてやはり努力を続けていくべきであろう、こんなぐあいに思うわけであります。ECがユーロネット情報網をつくったのもどうもいろいろ聞いてみますとそんなところにあるようでありまして、むしろアメリカとECの国々というのは非常に日本より親しいわけでありますが、そういう意味で、情報流通活動に対する対策というのは日本は日本としてやはり着実な、いまいろいろとお述べになりましたけれどもその方向で進めていただきたいとお願いをいたします。
 次いでもう一つ、最後になりました。実は最後に航空技術について御質問したいわけであります。
 科技庁の航空宇宙技術研究所で、これは皆さん全部御承知でありますSTOLの研究を行っておるわけでありまして、私も現地へ行っていろいろと勉強してまいりました。短い滑走路でジェットが発着できる、島国の日本にとっては。そして地方ローカル空港、われわれ富山の地方ローカル空港などジェットが発着いたしておりません、時間がかかる。YSでは何と富山から東京まで一時間五十分かかります。ジェット化というのはこれは日本にとって地域開発に大変私は役立つだろう、しかも滑走距離が短いものですから総面積が少なくなる。一面、日本の航空技術は戦後ばっさりやられてずいぶんブランクがあったわけでありましてとても立ちおくれておる。航空技術ばかりではありません。これを開発することによって関連技術がいろいろと盛んになるわけでありますので、私はこのSTOLというものは何としても予定どおりに飛ばしてもらいたいし、がんばっていただきたい。
 ところが残念ながら、私は科学技術庁の政務次官もやっておってよく皆さんに申し上げたわけです、新聞の方々にも申し上げました。日本で国産でできるこんなりっぱなSTOLという飛行機がいよいよ日の目を見ようとしておるのになぜもっと宣伝してくれないんだと、そんなぐあいに申しましたが、考えてみますと、場合によっては宣伝してもらったこともあるかもしれません。きょうこのごろはYXです、ボーイング767ですか、二百人乗り。日本の航空五社が参加しておりまして、そして日本が一五%、胴体、イタリーが一五%、ボーイングが七〇%、これは二百人乗りでもうすでにテストフライトに入っておるわけでありましてことしの秋口ぐらいからあるいは顔を見せるかもしれませんが、これはもうずいぶんやかましいことを言っておる。何の、調べてみれば胴体が、イタリーと日本とアメリカとつくった中で日本のやつはまことによくて、びょう打ちがきれいできわめて滑らかにできておるというあの木村先生の評判も私は聞いておりますけれども、胴体の一部ぐらいがよくできていると褒められているようではまだまだ日本の航空技術なんて問題にならぬ。しかもその次はYXXですよ。これは百五十人乗りで、マクダネルダグラスですかとボーイングと日本、これがどんな比率になるかまだ決まっておりません。どうも外国のばっかりやかましく言いまして、こんなりっぱなSTOLをなぜ宣伝しないか。しかもこれは百人乗り以上ぐらいになるんじゃないかと思いますけれども、五十八年に試験飛行を飛ばせるということでありますが、大いにひとつ科学技術庁も原子力発電と一緒にこれを宣伝して、もう少し国民にも理解をしてもらいたいと思いますが、さあ質問であります。
 研究開発に対する考え方、その計画、計画は大体いま申し上げたようなことかも知れません。現在どんなところへ来ておって、今後の予定はどうなるのか。以上質問を申し上げます。
#109
○政府委員(加藤泰丸君) ただいま御質問のございましたSTOLのわれわれの実験機でございますが、現在五十八年度末の実験機の完成を目途にしまして機体並びにエンジンの製作を鋭意進めている段階でございます。また実験機の製作と並行いたしまして、各種の新技術の開発のための飛行シミュレーション実験あるいはエンジンの地上試験、そういったような関連試験を精力的に進めている段階でございます。
 五十八年に実験機が完成いたしますと、私どもは五十九年度から三ヵ年間にこの実験機を使いました飛行実験を実施する計画を持っております。この飛行実験におきましては、実験機に盛り込みました本来のUSB方式による高揚力技術を初めとしまして、私ども従来の機械式のものにかわって電気信号によって飛行制御を行う技術、これをフライ・バイ・ワイヤーと申しますが、そういったような新しい技術とか、あるいはデジタルコンピューターを用いましてそれで操縦の自動化あるいは安定性の増大を図ろうとする技術、これを私どもスキャス、SCASというふうに言っておりますけれども、そういったような各種の新しい技術について多角的に試験を行いまして、この実験機を用いまして実証性を有効に立証してまいりたい、かように今後の計画を考えているところでございます。
#110
○高平公友君 以上大急ぎで、ちょっとぐらい省略もしましたし時間に間に合うように実は私は質問を終わったつもりであります。
 そこで一つ最後に申し上げたい。冒頭で申し上げましたが、江崎ミッションの団員の一人が、世界に対応するのには日本は科学技術でやるより仕方がない、こんなぐあいに言われております。わが中川大臣は二期連続で大臣を務めておいでになります。いよいよ科学技術行政にも油が乗ってきたと私は考えておる次第でありまして、大いにひとつがんばっていただきたいと思いますが、当面しまして、先ほど申し上げましたように機構改革だとかいろいろな問題があります。そういう中でもぜひひとつ、言うならば、科学技術二年と言われましたけれどもそれにふさわしい体制で日本を背負って立つぐらいの気概でがんばっていただきたい。このことを要望し、何かお答えがあれば一言いただいて私の質問を終わらせていただきます。
#111
○国務大臣(中川一郎君) 激励まことにありがとうございました。皆さんの一層の御指導、御協力をお願いいたします。
#112
○高平公友君 終わります。
#113
○太田淳夫君 付託されました予算につきまして最初にちょっとお聞きいたします。
 いま同僚委員の方からも国際協力の推進ということでお話があったのですが、このいただいた予算についての本の中に第十として「国際協力の推進を図ります」とありますが、これを見ますと「エネルギー分野及び非エネルギー分野における日米科学技術協力をはじめとする先進国との科学技術協力に必要な経費として、日本原子力研究所、理化学研究所等に百八億五千五百万円を計上いたしましたほか、東南アジア地域等の開発途上国との科学技術協力に必要な経費として七千五百万円を、また、国際連合等国際機関との協力に必要な経費として二億三百万円をそれぞれ計上いたしました。」とございますが、東南アジア地域等の開発途上国との科学技術協力というのは具体的にどのようなことを考えておられるのでしょうか。
 それじゃいいです。また後ほどで結構でございます。
 大臣、いよいよミッテランさんが来るわけですが、何か記者会見をされていましてその中で、日本との貿易摩擦のことについても日本へ来ていろいろと協議されると思いますが、日本とは技術協力あるいは文化交流、これを具体的にさらに協力を重ねていきたい、日本へ参りましてさらに実務的にいろいろと相談をしたいというようなことをおっしゃっているようでございますが、やっぱり大臣としてミッテラン大統領ともいろいろとそういった面でのお話をされると思います。科学技術の振興を担当される大臣としてどのようなお考えで臨まれますでしょうか、最初にお聞きします。
#114
○国務大臣(中川一郎君) 新聞情報のみならず今度の目的が、経済貿易摩擦等もありますが科学技術振興の両国の協力関係をつくりたいということが目的にあるように聞いております。そこで、こちらに参りましても、筑波研究学園都市をヘリコプターで視察をされる、あるいはシンポジウムに出席をして演説をされる、あるいはまた総理との間でもそういった問題について意見の交換を行う、こういうことでございます。フランスでは研究技術省というものをつくりしかもシュベーヌマンという大変若い実力者を大臣に充てる等、ミッテランの意気込みというものは非常に大きいということが言えると存じます。
 そこでいまわれわれとしてもどう対応するか。協力関係がいままでもございます、原子力を中心にいたしましてありますので、いままでの関係をさらに前向きでやっていくということは言うに及びませんが、新たな協力すべき分野について何があるのかなということで、まだ外部に申し上げられるまでまとまっておりませんが内部で各省庁とも連絡をとりながら対応策を考えておる、こういうわけでございます。私としても、科学技術が先ほど来高平委員からも御指摘があったとおり非常に大事なものである、世界経済がこうなり、あるいは開発途上国の援助をやっていく、こういうようなことからいっても、世界に貢献するためにも、フランスは科学技術が特に進んでおり、中でも原子力、宇宙、海洋開発あるいは航空開発、これからの先端的なものとして非常に前向きでありますし、わが国にもまたわが国のすぐれた面もあるのではないか、お互い交流を図ってよりよいものにしていきたい、こう思っております。
#115
○太田淳夫君 それでは本題に入りますが、総理府は一月の初めに昭和五十五年度の科学技術研究調査を発表したわけですが、それによりますと、企業を初め大学、研究機関を合わせました研究費の総額というのは前年よりも大幅に伸びているわけです。約四兆円ということでございまして、研究者も三十七万人を超すようになりました。これらの数字を見る限りではわが国は米ソに次ぐ技術大国になったとも言えるわけでございますが、質の面ではかなりの課題が残っているのではないかと思うのです。たとえば技術貿易にいたしましても、技術の輸出額というのは輸入額の六七%といま入超の状態です。依然として日本の産業は過去の技術導入に大部分依存しているわけですが、ただし五十五年度に限って見ますと、輸出が千二百三十七件、七百四十二億円ですか、輸入が九百十九件、二百七十六億円と、五十五年度の輸出額は輸入額に対しまして二・七倍、これは過去最高になっているわけです。こういった点、科学技術の面における貿易摩擦等も最近いろいろと話題になっているその一つのあらわれじゃないかと思うのですが、科学技術庁としましては、わが国の技術水準というのはどの程度なのかと把握されているでしょうか。
#116
○政府委員(下邨昭三君) わが国の科学技術につきましていまの研究投資とか研究人材とかいう面で見ますと、五十五年度の統計によりますと、研究投資が約四兆六千八百億円ということになっております。それから研究者の数は約三十二万人ということになっておりまして、いずれも世界の中で一割程度を占めておるということでございます。アメリカ、ソ連に次ぎまして大きな規模になっております。しかしながら研究投資におきましてはアメリカの三分の一程度、それからソ連の七割程度ということでございまして、まだ格段に低いことになっております。また、研究者につきましてもアメリカの二分の一程度、それからソ連の四分の一程度というような状態でございます。また、研究投資を国民所得との比率で見ますと、わが国は五十五年度で二・四二%ということでございまして、欧米先進諸国の中ではアメリカ、西独に比べてまだ必ずしも十分なものではないというようなことでございます。また、研究投資の中で政府負担割合というのもございますけれども、これが二六%程度でございまして、欧米先進国諸国の政府負担割合の約五〇%というのに比べますとまだ低い水準にあると言わざるを得ないと思います。先ほどお話がございました技術貿易の収支でございますが、これは非常にまだ悪いと。日銀の統計によりますと、受け取りが支払いの四分の一程度というようなことでございまして、西ドイツを除きまして主要先進国はすべて黒字になっておりますけれども、わが国は非常に悪い状態になっておるということでございます。しかし、最近の単年度の貿易収支ということになりますと、新規契約の分をとりますとだんだん改善されてきておるということが言えると思います。
 そういうことを考えますと、わが国の科学技術というのは、産業と結びつきましたような生産技術とか応用技術の面で非常にすぐれている面がございますけれども、独創的な革新的な技術の面においてはまだまだ諸外国に比べて劣っていると言わざるを得ない状況でございます。今後技術導入もむずかしくなってまいりますし、自由世界第二の経済圏でございますわが国が国際的に貢献していかなければならぬということでもございますので、そういうことを考えますと、これからわが国といたしましては独創性に富んだ自主技術を開発していかなければならぬというふうに考えておりまして、そういう方向でいろいろな施策を講じまして技術水準の向上を図ってまいりたいと考えております。
#117
○太田淳夫君 それでは、第九十六回国会に当たっての大臣所信の中にもございましたが、宇宙開発の推進についてどのような基本的な考え方でおられますか。
#118
○国務大臣(中川一郎君) わが国の宇宙開発の水準はアメリカに比べて非常に立ちおくれている。まだ十年そこそこの歴史しか持っておらない。そこで、わが国の宇宙開発は、宇宙開発委員会が定めた宇宙開発政策大綱に沿って、すなわち、第一番目には、社会的ニーズに対応した宇宙開発を国力との調和を図りつつ進めていきたい、第二番目には、自主性を確保することにより宇宙開発の安定的遂行を図る、第三番目には、世界の宇宙開発との調和を図りわが国の宇宙開発を国際的に高いレベルで推進してまいる、こういうことの三つを基本方針として進めております。
 具体的には、この基本方針に従いまして、自主技術開発を基調として、通信、放送、気象、地球観測等実利用衛星及び科学観測衛星の開発、また、その打ち上げ用のロケットであるNIIロケット、H−ロケット等の開発など宇宙開発を積極的に進めたい、基本的にはこういうことで進めておるわけでございます。
#119
○太田淳夫君 わが国の宇宙開発の推進に対しまして、ユーザーは、たとえば電電公社は通信衛星のCS2、これは五十八年二月に国産のN−ロケットを使う予定にしておりますが、その後のCS3とかあるいは将来の大型通信衛星につきましては、アメリカのスペースシャトルの使用も考えているというふうに報道されているわけですが、これについてはどのようにお考えでございましょうか。
#120
○政府委員(加藤泰丸君) ただいま大田からも御答弁申し上げましたように、わが国の宇宙開発は、宇宙開発委員会の定めました宇宙開発政策大綱の考え方に沿いまして進めているわけでございまして、その宇宙開発政策大綱の中におきましても、ただいまも大臣から答弁がございましたような自主性を持って宇宙開発を進めていくというところでございまして、具体的にはわが国が必要とする人工衛星はみずからの手で打ち上げるということでございますが、そういったような方針に沿いましてN−ロケット、N−ロケット並びにH−ロケットの開発を現在われわれは進めているわけでございます。
 他方、有人活動のようなわが国の技術能力を超える活動が必要となったと、そういった場合、たとえば宇宙の無重力を利用しまして新材料の開発を行うとか、そういったような実験を行うためにはアメリカのスペースシャトルを利用するというようなこともわれわれは一方で考えているわけでございます。ただ、スペースシャトルにつきましては、この間第三回目の試験飛行が回ったことではございますが、実用飛行計画あるいは利用条件等から考えまして、まだスペースシャトルを具体的に利用するという点につきましては流動的であるということになっていると思います。したがいまして、今後スペースシャトル等を利用しまして衛星を打ち上げるといったようなことを考えるに際しましては、まだその推移に注意を払っていく必要があるのではなかろうか、かように思っているわけでございます。
#121
○太田淳夫君 新聞報道によりますと、電電公社はもう独自の通信衛星開発計画をまとめたということで、政府の宇宙開発推進機関である宇宙開発委員会等ともこの問題で話し合うということが報道されておったわけですが、そういった事実はあるわけですか、話し合いされましたか。
#122
○政府委員(加藤泰丸君) 一部の新聞にそのような記事があったということでございますけれども、現段階におきまして宇宙開発委員会におきまして宇宙政策大綱を直ちに見直すというような段階には来ておりません。今後、先ほども申しましたように全体の推移、変化等を見守りながら必要に応じてどういうぐあいに考えていくかということを検討する段階にあろうかと思います。
#123
○太田淳夫君 これは、電電公社側から言わせますといろいろなことがあろうかと思うのですね。経費の安い点もありますし、あるいは世界的にいまいろいろとスペースシャトルあるいは欧州共同開発のアリアンロケット等を利用して大型の容量を持つ衛星が打ち上げられていく現実でございますし、このままいきますと、自主開発が基本方針であるにもかかわらず日本は、現在の宇宙開発計画に基づいている限り世界の大勢から取り残されてしまうのじゃないかというふうに見られているところに大きな問題があろうかと思うのですが、この点世界の現状から見てどのようにお考えでしょうか。
#124
○政府委員(加藤泰丸君) ただいま先生のお話にもございましたような、アメリカで言えばスペースシャトル、それから一部欧州宇宙機関、ESAと申しますが、そういうところでも大きなロケットを開発するような路線を進めているわけでございますし、現にかなり大きなロケットの開発も進んでいるわけでございます。しかし考えてみますと、そのような宇宙先進国と言われる国におきましてはすべてみずから打ち上げ手段を持って自国の衛星の打ち上げ需要にこたえているというような情勢でございまして、こういった点からもわかりますように、何と申しましてもロケット技術は最先端技術でございますが、このような最先端技術というものをわが国として保持しておきますことは、今後のわれわれの宇宙活動におきますところの自主性の確保という点はもちろんのこと、一国の技術のセキュリティーの確保という点から見てもこれはきわめて重要な点ではないかと思うわけでございます。したがいましてわれわれとしましては、確かにいまユーザー側の方では大きな衛星を打ち上げるという需要を打ち出しておりますし、またわが国のロケットのみならずほかの国に行って打ち上げてもらうというような御希望があるというようなことも承ってはおるわけでございますが、われわれといたしましては何と申しましても宇宙開発におけるところの自主性を保つということが一番基本であろうと思います。もしその自主性を失えば、宇宙開発に関する限りわが国はその後進性から長らく脱却できないというような事態になるのではなかろうか、かように思っておりますので、ユーザーさんにおかれましてもわれわれのそのような考え方を十分に納得していただきまして、一緒になって考えて一緒になって開発をしていくというふうにしていただきたいものだと私どもは考えているわけでございます。
#125
○太田淳夫君 電電公社としても国の宇宙開発計画とは別個に進めるという考えはないようでございますが、相当やはり日本には宇宙開発の予算あるいは技術面でのおくれがあるのじゃないかと思うのですが、そういった面ではどのようにお考えでしょうか。
#126
○政府委員(加藤泰丸君) おっしゃるように、わが国の場合はアメリカ、ソ連あるいは欧州に比べて戦後宇宙開発への着手がおくれました。またそのおくれたことによるところの時間的な問題もありますが、同時にそれに関連しまして、いままでの投入資金量にも確かに差はございます。そういった意味におきましてわが国の宇宙開発はそれらの先進諸国に比べればまさっているともちろん言えない段階でございますが、先ほども申しましたように、何としても早く追いつくということがわれわれにいま課せられた一番最大の任務であろうかと思っているわけでございます。そういった意味におきまして、今後ともわれわれは自主技術の開発というものを一層進めまして、わが国が世界の各国に比して自主的な宇宙活動が展開できるように精いっぱいの努力を展開してまいりたい、かように思っているわけでございます。
#127
○太田淳夫君 確かに、アメリカのスペースシャトルもいよいよ実用化の段階に来ていると言われますし、相当な努力をしなければこれはますます差が開いてくるのじゃないかと思うんですね。電電公社の方では昭和七十年度には重量四トンの通信衛星を打ち上げるような計画もいま固めつつありますので、その点の大いなる努力をしていただきたいと思います。
 次に、原子力、宇宙開発のための予算も大切ですけれども、またわが国の優秀な研究者、技術者の研究する環境の整備にもっと取り組むべきじゃないかという声もあるんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
#128
○政府委員(下邨昭三君) わが国の科学技術の発展を支えてきたものは高い教育水準と優秀な研究者、技術者の活力にあったと言えるかと思います。科学技術立国をこれから目指していくためには、このような研究者や技術者が十分な能力を発揮できるような環境を整備することが必要だと考えております。科学技術会議で長期的展望に立った総合的科学技術政策の基本についてというような長期答申を出しておりますけれども、この中で、研究開発投資を当面対国民所得比で二・五%、長期的には三%を目指して充実を図っていくべきであるというふうに述べられていますし、また産業界や学界、それから政府の有機的な連携の強化を図ることが必要だとも考えております。また、研究者や技術者の処遇の改善も図らなければなりませんし、それらの施策を推進いたしまして研究者、技術者の研究環境を整備していきたいというふうに考えております。
#129
○太田淳夫君 研究開発投資のこともお話がありましたけれども、昨今ではもう通信技術も光ファイバーによる通信ということで飛躍的な進歩をしておりますし、あるいは高性能コンピューター技術など技術革新が非常に期待されている段階です。これらの技術を開発するに当たりましては相当なやはり資金というのが必要になってくるわけでございますが、研究者の中にはそういった資金的な裏づけが十分得られないという声も聞こえますので、その点の拡充をさらにお願いしておきたいと思います。大臣、いかがですか。
#130
○政府委員(下邨昭三君) どういう分野の研究をこれから伸ばしていくべきかというのは各方面の意見を聞きながら進めてまいりたいと思いますが、重点分野を定めましてそれぞれ研究費を投入しそれを発展させていきたいというふうに考えているところでございます。
#131
○太田淳夫君 では次に、放射性廃棄物処理の対策についてお伺いします。
 基本的なことからですが、原子力利用を進めてまいります上で低レベル放射性廃棄物の処理処分対策が最も切迫した課題になっているわけです。午前中同僚議員からのいろいろな質問もございましたが、今後原子力発電所の運転に伴って増加していくものと思いますけれども、その廃棄物の発生量の見通しはどのようになっておりましょうか、お答えいただきたいと思います。
#132
○政府委員(石渡鷹雄君) お答え申し上げます。
 まず現状でございますが、わが国の原子力発電所等、等と申しますのは研究炉あるいは医療方面に使われました放射性物質等についてでございますが、そこで保管されている低レベルの放射性廃棄物の量は、昨年九月末現在の数字でございますが二百リットルドラム缶にいたしまして約三十六万本でございます。このうち可燃物及びセメント固化体それぞれ三分の一、残りの三分の一が不燃物、こういう内容でございます。
 今後の発生量についてのお尋ねでございますが、原子力発電の規模あるいはこういう低レベルの廃棄物の減容の技術、量を減らす技術を現在いろいろ開発しておりますのでこういう状況によって左右されるわけでございますけれども、いまのところおおよそ年間五、六万本、二百リットルドラム缶に詰めての数字でございますがその程度の量が蓄積されていくものというふうに見通しているわけでございます。したがいまして、こういう考え方で推定をいたしますと、現在いろいろ原子力委員会の専門部会で検討中でございますが、今後の原子力発電の拡大、一方処理技術開発の進展、こういったことを見込みますと二〇〇〇年での累積量は二百リットルドラム缶で約二百万本程度、こういう規模になろうかと予想されているところでございます。
#133
○太田淳夫君 相当な量が蓄積されていくわけでございますが、放射性廃棄物の増加に対しましてはできるだけ減容するなど処理技術を積極的に推進していくことも重要であると考えますけれども、技術開発の現状及び今後の見通しはどのようになっておりましょうか。その点はどうでしょうか。
#134
○政府委員(石渡鷹雄君) 先ほども申し上げましたように累積量がふえていくであろうということでございますので、まずこの発生量を極力減らすべきであるという先生の御指摘はまことにお説のとおりであると考えております。
 低レベルの廃棄物につきましては、現在セメント固化をやるというのが一般的な技術でございますが、これにかわる処理技術といたしましてたとえばプラスチック固化技術、これをやりますとセメント固化をやった場合の量的には六分の一ぐらいまでなるという技術でございますが、これがそろそろ実用化の段階に入ってきております。こういう新しい技術は積極的に原子力発電所に導入すべきである、また導入されようとしているわけでございます。また将来的には、マイクロ波溶融処理、すなわち、たとえば燃やしまして燃やした灰をさらに溶かして固めてしまうというようなことによる減容技術、あるいはプラスチック類につきましては酸で溶かす処理、酸消化処理等が考えられておりまして、これらの技術開発が進められているところでございます。いろいろその他にも今後新しいアイデアが出てくるかと期待しているところでございまして、私どもといたしましてはこうした減容技術の開発の推進を積極的に進めたい、そういうことによりまして発生量をより少なくするというのがまず基本であろうかと、このように考えているわけでございます。
#135
○太田淳夫君 いずれにしましても、今後の原子力発電の規模の増大に伴いまして廃棄物は増加するわけでございますが、これに対して適切な処理処分対策を講ずるということが必要になってくるわけですね。今後どのようにして低レベル放射性廃棄物対策を進めていくのか、先ほど午前中も質疑がございましたがどのような処分を考えておみえになりますか。
#136
○政府委員(石渡鷹雄君) 先生御指摘のとおり、放射性廃棄物の処理処分を適切に行うということは原子力の開発利用を進める上で重要な課題でございます。基本的な考え方につきましては、昭和五十一年に原子力委員会が決定いたしました基本方針がございます。それでその基本方針の線に沿いましてその実現と申しますか実行をし、その実行のやり方を検討している。また、めどのついたものについてはどんどん取り入れていくというのが現在の姿勢でございます。
 当面処理処分対策上問題になりますのは、発電所から発生いたします低レベル放射性廃棄物、これは量が多いという面で問題なのでございますが、これにつきましては、現状は発電所内の施設内における保管ということで対応しております。これまでの実績を見ますと、安全性については全く問題がないということは確認できるわけでございます。
 ただ、最終的な処分の方法といたしましては、その低レベルの廃棄物の処理の状態に応じまして海洋処分と陸地処分を組み合わせて実施する。午前中にも申し上げましたが、考え方としては半々ぐらいということで対応していきたいというふうに考えているところでございます。まず、海洋処分につきましては、所要の法令の整備あるいは安全性の評価等の所要の準備を行ってきておりまして、現在試験的海洋処分の実施に関しまして内外関係者の御理解を得るべく精力的に努力を続けているというのが現状でございまして、今後ともこの努力を十分続けてまいりたい、このように考えております。また、陸地処分につきましては、わが国におきましては浅い地層に設置いたしますコンクリートピットあるいは地下の空洞内に処分するという方式が考えられているわけでございまして、現在財団法人でございます原子力環境整備センターあるいは日本原子力研究所等におきまして、安全に処分を行うための所要の試験研究が進められているという状況でございます。
 なお、陸地処分を進めるに当たりまして、一つの選択肢であります、低レベルの放射性廃棄物を原子力施設のサイトの外の施設に集中して貯蔵するということも現実的な対応策であろうと考えられておりまして、現在民間におきましてでございますがその具体化が検討されているというところでございます。いずれにいたしましても、原子力の開発利用の推進を図る上で放射性廃棄物対策はきわめて重要な課題であると認識いたしまして、今後とも一層積極的な施策を講じてまいるという所存でございます。
#137
○太田淳夫君 最近の新聞報道によりますと、廃棄物の陸上処理処分地として北海道のある町が有力視されるようになったということでございますが、現状はどのようになっておりましょうか。
#138
○政府委員(石渡鷹雄君) 幌延町という北海道の町でございますが、私どもに原子力関係の施設をこの幌延町、あるいはその周辺も含めてでございましょうが何か考えられないかという御希望が提示されたという事実はございます。しかしながらいわゆる低レベル廃棄物の中間貯蔵と申しますか陸地処分施設という形でのアプローチは正式には承っていないわけでございますが、聞くところによれば、そういうこともお考えになっておられるという、まさにそういう報道があることは承知をいたしております。
 ただいま申し上げました低レベル放射性廃棄物の陸地処分関連施設の用地の問題につきましては、現在原子力環境整備センターが全国的にいろいろ自然条件あるいは社会条件を考慮しながら慎重に調査検討を進めているという段階であると報告を受けておりまして、現在具体的にどこという段階に至っていないというふうに私どもは報告を受けているところでございます。
#139
○太田淳夫君 いまのお話ですとまだ具体的なあれはないようでございますけれども、報道によりますと詳しくいろいろ出ておりまして、地元の町長さんが受け入れの意向を示したとも伝えられているわけですね。中川科学技術庁長官はこの計画に慎重な構えだということも報道されているわけですが、大臣としてはいかがでございますか。
#140
○国務大臣(中川一郎君) いま原子力局長からお話がありましたように実はこの話の発端は地元から、まあ過疎ということもあったんでしょう、同時にまた原子力というものの重要性も認めて、ひとつ何か原子力関係のものを持ってきたいと。「むつ」なども対象になりましたし、もちろん発電所も対象になった。ところが、いろいろやってみましても、残念ながら地盤が悪い等適切なものが見当たらない。そのうちにいまお話のあった施設外貯蔵、一時的ではあっても低レベルの放射性廃棄物を貯蔵する計画が環境整備センターにあるということを聞きつけまして、誘致できないものかというような意向打診もあったようでございます。幸いというか、一方環境整備センターでも全国数ヵ所を探しておる。相当広く探しておったようですが、十数ヵ所にしぼった、その一つとして考えようかなあせっかく地元の意向があるならば、という気合いのそろったところは正直言ってあるわけです。
 しかし、北海道にはまだ原子力発電所はありませんで、本州方面等でできた低レベルの廃棄物を北海道へ持ってくる、こういうことになりますと地域住民あるいは北海道として感情的によろしくないのではないか。私は、促進をしたい一面と、北海道から出ておりまして北海道のことも考えなければいかぬということから、この問題は慎重に考えてもらいたいと。そこで一つは、地元の振興、開発、発展に役立つかどうか、この点について地元の納得が十分得られるかどうか。もちろん前提として適地であるかどうかということは言うに及びません。もう一つは、北海道の利益にもなるだろうか。北海道の皆さんがそれはよかろうということにもなってこなければならない。もちろん私の立場としては、国益上から原子力開発上必要なことでございますから、国益と北海道の利益と地元の利益、振興、こういうものがすべて整う、こういうことが望ましいことである、そのどの一つが欠けてもいけないことだということから、前向きと言ったら言い過ぎですし慎重と言ってもちょっと適当でない、まあよく考えて皆さんがよくなるということの道があるかどうかひとつ研究してほしい、こういうのが私のいまのポジションでございます。
#141
○太田淳夫君 それではもう一点、例の高レベル放射性廃棄物の処理です。これは量が少ないと言われるのですが、どの程度出るものでしょうか。
#142
○政府委員(石渡鷹雄君) きわめて概念的に申し上げますと、百万キロワットの発電所を一年運転いたしましてそれを再処理する、そしてまだ日本では技術が確立しておりませんがガラス固化をした状態で約三立方メートルという量でございます。したがいまして、三立方メートルをかためて置くわけじゃございませんで約百リットルのキャニスターといいますかステンレスの長い棒にそれを注ぎ込んで保管するという形でございますが、百リットルのキャニスターで約三十本ということでございます。いま百万キロワットの一つの発電所を例に申し上げたわけでございますが、百万キロの発電所で一年間に三立方メートルの高レベル廃棄物が出る、このように御認識賜れば幸いと存じます。
#143
○太田淳夫君 そうしますと、日本の原発はことしで約千五百万キロワットですけれども、今後の予想は六十年では三千万キロワットあるいは六十五年で五千三百万キロワットと計画がされていますが、そうなりますとどの程度の量になるのでしょうか。まあ単純計算してみましても、千二百トンですか、これがことしですね。それから六十年が三千四百トン、六十五年が七千七百トン、こういうふうになってこようかと思うのですが、これのやはり処理処分対策というのはいろいろと検討されていると思います。これは長期的な展望に基づいて開発研究が行われていかなきゃならないと思いますが、その点現状はどうでしょうか。
#144
○政府委員(石渡鷹雄君) 現在の高レベル廃棄物は、再処理工場から出てくるというものが対象になると認識しております。当面、ステンレス製のタンクに安全に貯蔵しているということでございますが、一方それが液体状で硝酸に溶けた形でタンクに貯蔵ということはどうも安定上ちょっと気になるということで、フランスで開発いたしましたガラスで固める、固体にするという技術開発をわが国で進めているところでございます。昭和六十二年度ぐらいにはそういう設備もできるであろう。そのガラス固化いたしましたものを、一時貯蔵と言っておりますが、相当発熱をいたしますのでそれを三十年ないし五十年間厳重な監視のもとに一時貯蔵するということが世界的な通説になっております。
 わが国もその方針をとっていく方向にあるわけでございますが、三十年ないし五十年冷やして相当冷めたところで最終的な処分をするという方法を考えているわけでございます。そういう意味ではまずガラス固化の技術を完成するというのが当面の課題でございまして、現在その固化する研究、それから固化したものをどのように貯蔵しておくかというパイロットプラントを建設いたしまして、六十二年度ごろから固化処理技術の実証段階に入るというふうに計画を組みまして計画的に進めているというところでございます。ガラス固化いたしまして三十年ないし五十年厳重な監視のもとにこれを一次貯蔵いたしまして、最終的には地層処分をしたい、このように考えております。この最終的な地層処分につきましては、三十年ないし五十年という長い期間を前提にいたしまして、しかし計画的に調査研究は進めていかなければならないということでございますので、当面地層処分ということを頭に置きまして、そしてわが国の中での地層に処分するということを前提といたしまして、長期間の調査研究ではございますが日本の自然的、社会的条件に見合った処分方法を進める、その基礎になります地層の賦存状態について調査を進めているところでございます。また、そういうものを最終処分するにつきましてのその地層が持っていなければならない条件あるいは特性等を判断するためのデータを収集しているというのが現状でございまして、また一方その地層を評価するための手法の確立、こういった非常に初歩的な初期段階の試験研究を計画的に進めているというのが現状でございます。
#145
○太田淳夫君 地層処分というのは埋めるということですね。
 いろいろと研究を進められているようでございますけれども、高レベル放射性廃棄物というのは、聞くところによりますと、ガラス固化体一本の放射能量は低レベルのセメント固化体八千万本分に相当すると。放射能が千分の一までに減衰するのに三百年かかるということもお聞きしているわけでございますから、こういった地層処分をされるに当たりましては、いろいろと研究を進められているようですが、放射能が漏れ出さないような技術を早急に開発し確立することとかあるいは安全性の確認ということが大事でしょうし、やはり日本は狭い国土でございますし、政府初め関係者は国民的なやはり理解、合意が得られるように十分努力していただかなければならないと思います。十分な努力をお願いしたいと思います。その点どうでしょうか。
#146
○政府委員(石渡鷹雄君) 先生の御指摘のとおりでございまして、非常に社会的に重要な問題であり、また技術的にはもう万全を期すべき課題でございます。特に最終的な処分、これは大分先の話とはいえ人類、人間環境から完全に隔離し長期間にわたって安全性を確保するということでございますので、万全を期しつつ全力を挙げて取り組みまた計画的にこの研究開発は進めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
#147
○太田淳夫君 先ほど使用済み燃料の再処理について同僚委員の御質問もございましたが、やはりこれは非常に大事なことじゃないかと思うのですね。いま使用済み燃料の現状及び今後の処理処分の方針はいかがでございましょうか。
#148
○政府委員(石渡鷹雄君) 使用済み燃料の再処理の問題はこれは核燃料サイクルのまさにかなめでございまして、これがうまくいかなければプルトニウム利用も成り立たないという位置づけでございます。
 わが国の使用済み燃料の再処理につきましては実は大部分を英国及びフランスに委託しているというのが現状でございまして、一部東海村にございます再処理工場で再処理をしているということでございます。実はこの東海村の再処理工場につきましては、技術的にいろいろ苦労を重ねまして、また現在も小さなトラブルでございますがいろいろ技術的に新しい経験をしつつあるというのが現状でございます。私どもといたしましては、動燃でいろいろ苦労したというその技術的な蓄積を非常に大事にいたしまして、この技術をもとに民間で第二再処理工場をつくっていく、そして現在海外に委託しているという状態を解消したい、このように考えているわけでございます。この第二再処理工場が建設されますと、大体その時点での日本の再処理需要と申しますか再処理の必要量を賄い得る、そういうことになりますが、もしいろいろ予想どおり原子力発電の規模がふくらんでまいりますとすぐ間に合わなくなってまたその次の段階の処理工場も計画しなければならないというようなことでございまして窮屈な状態になっているわけでございますが、ぜひとも現在の東海村におきます再処理工場の技術を万全なものにいたしましてそして第二再処理工場の建設に結びつけたい、このように考えているわけでございます。
#149
○太田淳夫君 確かに民間の再処理工場の役割りというのは非常に大きなものがあろうかと思うのですが、その準備状況、あるいは用地の選定について、あるいは国としてやはり支援を行っていくことが重要じゃないかと思うのですが、その点はどのような支援を行っていく方針でしょうか。
#150
○政府委員(石渡鷹雄君) まず、民間再処理工場の準備状況でございますが、現在立地の選定を行っているわけでございます。その主体は昭和五十五年三月に設立されました日本原燃サービス株式会社が行っているところでございます。
 同社の計画によりますと、昭和六十五年度ごろに処理能力年間千二百トンの再処理工場を完成させたい、そのためにそういう工場の立地を現在求めているところでございまして、これも全国を対象といたしまして、自然条件はもちろんまたその社会的条件も十分配慮しつつ慎重に立地調査を行っているところでございます。一方、立地問題と並行いたしまして、その将来建設されるべき工場の概念設計及び遠隔保守技術、あるいは燃料を包んでおりますジルカロイという金属がございましてこれは硝酸に溶けませんのでそのままの形で残るわけでございますが、これも非常に放射能が高いものでございます。ハルと呼んでおりますが、そういうハルの減容、固化の技術の開発等とあわせて技術研究あるいは設計の推進等を並行して行っているというのが現状でございます。
 このような原燃サービスの活動に対しましては東海村におきます動燃に蓄積されておりますいろいろな技術あるいはノーハウが大きいわけでございますが、この技術を円滑に原燃サービスに移転するということが必要でございますので、こういう動燃におきます研究成果の移転といったことが基本的な政府の援助ということになろうかと考えております。一方、原燃サービス自体で行っておりますいろいろな研究活動、特に再処理の環境安全あるいは保障措置等に関しましての試験研究につきましては科学技術庁、また第二再処理工場の技術の確証の調査、これは通産省からそれぞれ委託費という形で援助を行っているというところでございます。これらの金額について申し上げますと、昭和五十五年度から始めておりまして、昭和五十五年度に約二十億、五十六年度二十六億、来年度の政府原案におきましては約三十二億の委託費をお願いしているところでございます。
#151
○太田淳夫君 では、先ほど御質問したことを御答弁いただけますか。
#152
○政府委員(原田稔君) 先生の御質問は、発展途上国との間の協力につきまして七千五百万という数字が載っているけれどもこれはどういう内容かという御質問ということでお答え申し上げてよろしゅうございますか。
 この中身の主たる大きなものは、日本の科学技術情報がございますが、それを英文にいたしまして主として東南アジアの各国に送付してあげる、これが非常に大きな項目になっております。その分で約四千万ぐらいのお金を使っております。そのほかにつきましては、日中ですとかあるいはインドネシアですとかそういった各国との間の交流、いろいろな情報交換、そういった場を設けよう、こういう関係の費用であるわけでございます。なおそのほかに、実は東南アジア各国との間におきましては、振興調整費をちょうだいいたしましていろいろな共同研究を実施いたしております。たとえば熱帯、亜熱帯関係の植物、これをうまく利用いたしまして薬、農薬ですとかそういったものに利用できないか、こういったような研究ですとか、あるいは太平洋インド洋プレートと言っておりましたが、深い海溝がございますが、その海溝の調査をいたしまして地震発生のメカニズムの調査を行う、こういったような調査も行っておりまして、これは相当大規模な共同調査ということに相なっております。大体以上でございます。
#153
○太田淳夫君 最後になりましたけれども、去る三月十四日日本原子力船研究開発事業団が、「むつ」の新定係港の候補地として調査を進めてまいりましたむつ市関根浜地区は立地可能であるとの報告を地元に対して行ったと聞いておりますが、いかがでございますか。また、今後この調査結果をもとに政府はどのように新定係港の建設に取り組んでいくつもりなのかお聞きしたいと思います。
#154
○政府委員(石渡鷹雄君) 去る三月十四日に事業団が調査結果を地元に報告申し上げたわけでございまして、この調査結果によりまして御指摘の関根浜地区に新定係港を建設することは技術的に可能であるということが明らかにされたわけでございます。一方、新定係港の建設に向けての予算といたしまして昭和五十七年度予算案に必要な予算も計上させていただいております。今後は五者共同声明、これは昨年の五月二十四日に出されたものでございますが、この共同声明に基づきまして地元の方々と十分にお話し合いをし、御理解、御協力を得ながら速やかに新定係港の建設の見通しの確認が得られるように努力したい、このように考えているところでございます。また、具体的な手順につきましては、これはすべて御相談事でございますので相談をしながら決めていくべきことでございますが、なるべく早く地元に対して新定係港建設の申し入れをいたしたい、このように希望しているところでございます。
#155
○太田淳夫君 新定係港の建設に当たりましては、漁業者の皆さん方のやはり理解を得ることが大変大切じゃないかと思うのです。また、事業団の説明から判断いたしますとことしの八月末に「むつ」の修理が完了するということで「むつ」の出力上昇試験をどこで行うかということが課題になろうかと思いますが、その点についての御計画はございますか。
#156
○政府委員(石渡鷹雄君) 大湊港に停泊した状態での取り扱いそのものがすでに五者共同声明の中で五者の相談のもとに決めていくのだというふうに声明の中に盛り込まれている事項でございまして、私どもの希望もある、地元のお考えもありましょう、これは今後の御相談によって決められていくことであると、このように考えているところでございます。
#157
○太田淳夫君 最後に、時間になりましたので大臣、いろいろとお聞きしました原子力関係の問題でございますが、私たちの党としましてもかつてはいろいろな面で反対でございました。しかし、エネルギー状況の変化等で党内でいろいろな論議がありました、またいろいろな推移もございました。その中でやはり現実を見定めていくべきじゃないかということで私たちは方向の転換をしてまいりました。それにはこれまで大変な委員長以下の努力があったわけでございまして、その点でこういった問題一つ一つを進めていくにおきましても国民の皆様方の理解を得ることがやはり第一でしょうし、その点の努力を重ねてもらいたいし、国策ということでこれはどんな問題でも高圧的に臨んでいただきたくないと思いますし、一日も早い安全性の確立ということを私たちは望んでおります。どうかそういった点の今後の努力を希望いたしまして、大臣一言伺いたいと思います。
#158
○国務大臣(中川一郎君) 今日の世界経済あるいはエネルギー事情から見て、原子力平和利用の必要性について否定する人はいまないわけでございます。ただ、安全性についてまだ納得がいかないという方があるということは事実でございまして、原子力行政を進める上で一番この点が問題になり、計画どおり進まないのもここにあるわけでございます。そこで、国民の皆さんに何としてもこの安全性について理解をいただく、こういうことが必要であるという前提に立ちまして政府では、原子炉等規制法に基づきまして原子力施設の設置から運転管理に至るまで厳しく安全性についてチェックをする、それだけではなくてスリーマイルアイランド等の事故にかんがみまして原子力安全委員会、民間の中立的な立場からもダブルチェックとしてチェックをしてもらう、そして安全はもう大丈夫であるという自信のもとに仕事をし管理をしていく、こういうことでやっておりまして、今後とも政府はそういう方針でやってまいりますが、いずれにしても国民の皆さんに理解、納得いただくのには、制度、仕組みの問題はあるけれども要は実績、経験が物を言うのであって、過去の原子力発電が危ないものではない、こういうことを実績で示していく、こういうことが一番大事だろうということであります。幸い、少々のトラブルはありましたが人身事故につながることやあるいは入院その他手当て等の大きな被害は、私から言うなら軽微な人身被害もなかった、この点は幸いでございますが、若干なりともトラブルができそれが国民の皆さんに大きな不安を与えたことでもございますので、今後とも小さい事故故障であろうとも起こさないように最善の努力をし、そしてまた粘り強く、反対のための反対もないわけではありません、こういう方々にはなかなか理解できにくいところではありますけれども粘り強く努力をして、これからの世界の情勢に対応する代替エネルギーとしての原子力行政を確立していきたい。公明党の皆さんにも大変厳しい中御理解を深めていただきましたことに感謝いたしております。そのためにもわれわれもしっかりがんばりたいと思います。
#159
○小西博行君 三十分の時間をいただいておりますので、その時間内でできるだけ聞きたいと思っていることに的確にひとつ答えていただきたいと思います。
 科学技術の振興という問題につきましては、もう私も昨年から、むしろおくれているのじゃないかというような感じを持ちまして、世界の中で日本の将来のためを考えますと何としても早く科学技術の振興を図っていく、そして技術輸出を世界に先駆けてやっていく、このことが日本の将来にとって非常に大切なことだと私自身も考えております。そういった意味で日本の研究体制というものをずっと考えてみますと、やはり大学の研究というのも優秀な人材がいるということで確かに大きく期待されている分野だと私も思います。しかし現実に予算を見てみますと、抑制法案ということもありましてどうも最近は大学の予算がやや詰められつつあるということで、大学に余り研究の期待がかけられなくなるような傾向があるのではないかという心配も多少しております。それで何としても科学技術の分野が先行していただかなければいかぬと思います。そういう意味では、果たしていまの科学技術庁というようなスタッフ、あるいは関連の法人では、これ全部を含めましてもなかなか大変だなという感じがしているわけであります。
 そこでまず第一点としてお聞きしたいのは、予算にももちろん計上されておりますが、科学技術振興調整費というのがありますね、この拡充強化を図る、昨年は三十三億五千万、これが六十億というような予算計上をことしはされているようです。ところがこれは、調べてみますと、まさに各省庁に配分するべきお金でありましてなかなかこの実績の評価というのが私はむずかしいのじゃないだろうかなと思う。一応省庁には配分するのだけれども後のことが余りわからない。研究開発についてどれだけこの予算が生きたかというようなことがつかみにくいのじゃないか、私はそういう心配をしておるわけなんですが、その面についてお伺いしたいと思います。
#160
○政府委員(下邨昭三君) 科学技術振興調整費は科学技術の振興にとりまして非常に重要な経費でございまして、科学技術会議の方針に沿って重要研究業務の総合推進調整を実施するための経費として位置づけられております。昨年の三月に基本方針というのが定められておりまして、その基本方針によりますと、長期的展望に立って社会的、国家的ニーズの強い研究開発を促進することといたしております。また注意していく点として、先端的、基礎的な研究の推進が第一、それから複数機関の協力を要する研究開発の推進というのが第二、それから第三が産官学の有機的連携の強化、第四が国際共同研究の推進、第五が緊急に研究を行う必要が生じた場合の柔軟な対応、第六に研究評価の実施と研究開発の調査分析という項目がございまして、その六点を基本にしてこの経費を運用することとなっております。
 それで、第六に申しました研究評価の実施と研究開発の調査分析でございますが、先ほど御指摘のありましたように、研究開発を進めるに当たりまして事前の評価ももちろん必要でございます。しかし途中の評価も必要でございますし事後の評価も必要でございます。こういう点について十分留意してこの経費を運用しなさいということで基本方針が定められているわけでございます。
#161
○小西博行君 それはよくわかるのです。基本方針にのっとって配分していくというのはよくわかるのですが、私がお願いしているのはその実際の予算がどういう効果をなしているのか。たくさんの省庁に、それぞれの省庁に渡しているわけですから、特にこれが非常に生きたのだというようなことがもしあったらお答え願いたいのです。
#162
○政府委員(加藤泰丸君) お答え申し上げます。
 従来科学技術庁は特別研究促進調整費という調整費を持っておりましたけれども、五十六年度からそれを発展的に振興調整費ということにして、その内容もかなり一新させて、ただいま先生から御質問がございましたように、従来より関係省庁の試験研究機関の研究をさらに一層高めるような、そしてまた民間等の活力を十分に活用できるようなそういった方向でテーマを選定し運用もしてきたわけでございます。特に昭和五十六年度から新しい七つのテーマのスタートを見たわけでございます。その中にはDNAの抽出、解析、合成技術の開発に関する研究であるとか首都圏における直下型地震の予知及び総合防災システムに関する研究であるとか、いずれをとりましても紀元二〇〇〇年に向かってわれわれがブレークスルーしなければならない大きな問題、しかも世界の各国が競ってそういったテーマ、課題に取り組んでいるような問題についてわれわれは調整をし、そして必要な経費を配分したわけでございます。
 ただいまの先生の御質問の中で、そういった各省庁等に配分をして何か特に非常にそれが成果が上がり評価されているような例があるかという例、いずれも皆よくやってくれているわけでございますが一つの例を申しますと、DNAの抽出、解析、合成の技術というようなものにつきましては、従来医学分野では厚生省、農林水産分野では農林水産省、あるいは基礎的な分野では文部省関係、大学というところでそれぞれDNA関係についての研究はやってきたわけでございますが、特にそれの一番基礎的な抽出であるとか解析であるとか合成であるとかいうものはそれが仮に医学の分野であっても農学の分野であっても大学の基礎分野であってもすべて共通の技術でございます。その技術を研究の専門家が一堂に集まって討論をしそしてまた分担をしながら研究を進めるということで、われわれ推進委員会というものを組織しましてその推進する各グループのリーダー等が集まってどのようにこのテーマを推進すればいいかというようなことをやっておりますけれども、その中におきましても非常に活発に討論され、それがそれぞれの研究機関の従来の研究をかなりもう底上げをしているというようなことで、短い一ヵ年間の期間ではございますが非常に成果が上がっているというような現実を目にしております。
#163
○小西博行君 結構なことだと思います。
 時間がないので次へ移ります。次は、流動研究システムです。これは非常に私も関心を持っております。これはもちろん各界から注目されておりますし去年もそういう審議がずいぶんやられたわけでありますが、特に一般産業あたりの活力を大いに生かしたいという意味で私自身がずっとその様子を見守っているわけですが、去年十月ということでございますから具体的にまだ研究成果がどうだということはないと思いますけれども、これも簡明にいままでの経過をひとつ報告していただきたい。
#164
○政府委員(原田稔君) 御案内のとおり創造科学技術制度に基づく流動研究システム、これは昨年の十月に発足したばかりでございます。五十六年度の予算が約六億でございますが、五十七年度が約二十億でございます。四つのテーマを選定いたしまして、研究者のリーダー、そのメンバーも大体確定いたしまして準備作業は大体終了いたしました。したがいましていよいよ実際の研究に着手することができる、こういう状態に相なっております。
#165
○小西博行君 そこで、通産の方にもきょうちょっと来ていただいているわけですが、それは、官民共同機構でもって非常に成功している共同研究開発といいますか、その中に超LSIの研究があったわけですね。これは恐らくいままでの共同でやった中では大変成功した、最も成功した一つではないかというように言われております。私は、科学技術庁が今度やる流動システムにつきましても、非常にいい点、悪い点がたくさんにこの超LSIの研究から得られているのじゃないか、そういうような感じを持ちまして、ぜひともこの超LSIの研究について、いわゆる非常によかった面とあるいは今後こういう問題が残ったのだというその両面についてこれは通産の方からお答え願いたいと思うのです。
#166
○説明員(若曽根和之君) お答えいたします。
 超LSIの研究開発につきましては、国立の試験研究機関、具体的には通産省の電子技術総合研究所でございますが、それと大学、関係企業の連携によりまして開発を進めまして、非常に大きな成果を上げたとわれわれは考えております。
#167
○小西博行君 いまさっき最後の方でちょっと申し上げたのですが、この長所、欠点と言ったら語弊があるかもわかりませんが、こういう点が実は問題なんだと。うまくいったのだけれどもいろいろなところから研究者が集まっているわけですから、その中にこういう問題点が残っている、その辺をちょっと教えていただきたいと思います。
#168
○説明員(若曽根和之君) お答え申し上げます。
 問題点と申しますか、苦労したという点を申し上げますと、こういう研究に対しまして、いろいろな競争関係にあります企業が集まりまして一つの研究をやるわけでございます。それで、競争関係にある企業が従来のノーハウを持ち寄って一つの共同研究を推進していくというところに最も苦心を要した点がございます。しかし、超LSIの開発におきましては、特に電子技術総合研究所から出向しましたリーダーがおりまして、その統率のもと、いろいろな企業、研究所、そこから出ました研究者が非常によい雰囲気のもとで研究が遂行されたというふうに聞いております。
#169
○小西博行君 これは大臣もよく聞いていただきたいのですが、私もこれをずっと調べてみますと、なぜ成功したかという要因が幾つかあると思います。なおかつそれでも問題点が幾つか残っていると。こういう両面はこれから先の共同研究といいますか、そういう意味では非常にプラスになるのじゃないか、そういうことでちょっと申し上げたいのです。
 たとえば目的がきわめて明確であったということです、超LSIということで。それから、調査研究期間を四年間という、今度の流動研究システムの場合は五年間ということで考えているわけですね、四年間ということが非常に明確に示されている。それからもう一点は、自前の共同研究所というものをちゃんと持ってそこで研究ができた。四番目は、各社の研究者をできるだけ混合、融合させるようないわゆるコミュニケーション、これが非常にうまくいった。これは恐らく個人個人が非常にりっぱだったということもあるのでしょうけれども、やっぱりリーダーシップのとり方が私は非常によかったのではないかという感じがしておるわけです。少なくともいろいろな企業の代表者、これは五社ですか、五社が集まってやるわけでありますし、しかも大体研究者の中身、レベルが超一流といいますか、そろっていたという面も当然そういう成功の一つの秘訣だったと思うんです。
 それからもう一点、これはちょっと私は違うのじゃないかと思うのです。それはなぜかといいますと、いわゆる未踏革新的な技術でなかったという点です。つまり、さっきどなたかおっしゃいましたけれども、アメリカから基本技術というものはもうすでに入っていたと。あとはその精度の問題であったということです。小さいものの中にいかに細い線をかけるかという精度の問題ということについていろいろな専門家が集まって研究した。ここが私は非常に流動研究システムと違うところじゃないかと。流動研究システムというのはいま四テーマにライフサイエンスが一つテーマが加わりまして五つということでスタートしているわけです。しかし現実はいわゆる未踏革新的な技術を流動研究システムではつくっていこうというようなことで、非常にここが私は問題があるのじゃないだろうかなという感じがしてならないわけです。その辺に対しての所見を、これは科学技術庁の方からお答え願います。
#170
○政府委員(原田稔君) 確かに先生御指摘のようにいろいろな課題があるわけでございます。先生御指摘のいろいろな長所等につきましても、一致するものもあるしあるいは一致しないものもある。特に、御指摘の未踏革新という点でございますが、その点は私どもは逆に未踏革新であるがゆえに共同研究をやりやすい面があるのじゃないか、工業化に近いあるいは実際に実用に近いということになりますと、お互いに競争意識が働きまして逆に共同研究を妨害する面が出てくる面がありはしないか、むしろ非常に革新的であるということになりますと、実用からある意味で相当距離が遠い、したがってお互いに何というか胸襟を開いて共同研究ができる、そういった長所もあるかなと実は思っております。ほかの研究システムの長所短所もよく考えながらひとつ円滑に、りっぱな成果が上がるように努力していきたいと思っております。
#171
○小西博行君 そういう意味では私は非常におもしろいと思う。プラスになるのじゃないか、プラスになっていただきたいと思う。国が当然、科学技術庁なんかも参加しているわけですからそういう意味で、何か研究のシステムの中のいわゆるソフトの部分、その辺を十分調整していただけるようにですね。もっとも、そういうリーダーの方を選んでやっていただいているから多分大丈夫じゃないかと思うのですが、しかし研究者というのはわりあい往々にわがまま者というのが結構多いんですね、大学でもそうでありますけれども。そういうようなムードがありますので、私はその辺が実は成功のかぎになるのじゃないか、そのように考えております。
 それからもう一点は、共同研究をやっていくわけですが、開発した場合の成果、その配分、これは超LSIの場合は、国の場合はそのまま国が持つ、国の方にそれが国有財産という形で残る。民間の場合は組合の方に残る。そういうシステムをとりましたね。それで実際のアイデアというのは、特許ということで千件ぐらい出たのだけれども実際は十ぐらいは有効である、そういうような判断もあるわけです。しかし一般に民間の人からすれば、国の研究者であろうと一緒にやった研究団体なんだからそれは自由にやっぱり組合なら組合のものにしてもらいたい、こういうような実は批判もあったというふうに聞いているわけです。科学技術の方で今度やる流動研究システムというのは、私も多少は勉強しておりますがもう一度、そういう特許だとかそれに類するような発明とかいうものに対しては公平に分配できるといいますか、そういう体制になっているかどうか、その辺が非常に大切だと思います。
#172
○政府委員(原田稔君) おっしゃるとおり、その辺は非常に大事な問題点であるわけでございます。私どもの創造科学技術制度におきましては新技術開発事業団が一応主体になっておりますから、発明とか特許が生じた場合には新技術開発事業団と発明者との間の共有ということになっております。したがいまして、成果の配分についても非常に公平に行われる、こういう体制ができていると私どもは考えております。
#173
○小西博行君 そこで、これはちょっとおかしな話なんですけれども、国の研究機関が、いろいろなところで研究しているわけですが、大変非能率的であるというようなデータが一つあるのです。これは大変申しわけないのですがそういうのがあります。それは、研究者の数とかあるいは予算とか、それに対しての特許のいわゆる件数みたいなもの、こういうものを数字でもってあらわしているものです。先ほど、日本の研究者全部で大体三十六万人ぐらいというようなことがありました。多少数字が違うのですけれども、国の方が大変成果が上がっていないというデータが、これは詳しくは時間がないので申し上げられないのですけれどもあるのですね。いま、国の研究機関に勤める研究者、これが大体一万人、そして国立大学の自然科学部門というのが大体五万四千人、数字が多少違うかもわかりませんが合わせて六万四千人、全体の十六万人という設定のもとにやっているのです。そうしますと二三%ぐらいを国の研究者が占めている。そのわりには予算も、一兆円の中で大体五千億ぐらいは国の方にいっている。これは全体のいわゆる研究投資からすると大体一四%ぐらいになっているというデータがあるのです。これだけたくさんなものを取っておきながら現実は三百十三件という国の特許、それに比べましていわゆる民間がやっているのが十八万九千件ということでございまして、わずか一・七%しか国の研究者が特許だとかその他のものを取っていないという実績が一つあるのですけれども、このデータそのものの真偽というのは私もまだ十分検討する時間がなかったのでしておりませんが、どのようにこれをお考えなんでしょうか、大変少ないという結果が出ておりますが。
#174
○政府委員(加藤泰丸君) 国の試験研究機関の活動状況をはかる物差しが幾つかあろうかと思いますが、ただいまの先生の物差しは研究者に対する特許の数を一つの物差しにしようと。確かにおっしゃいますように国の試験研究機関は国有特許の申請をするということでやっておりますけれども、民間の特許に対する考え方と国の特許に対する考え方のやはり基本的な違いというものがあるのではないかと思うのでございます。
 民間の場合は自分のいわば研究所、研究機関で取った特許をなるべく製品化するとか何か事業に結びつけるとかいうことで、営利に結びつける一つの道具として特許というものの位置づけがあろうかと思うわけでございますが、国の場合はその特許を用いて国が営利をするということじゃなくて、国が取る特許というものは基本的には、いろいろな考え方があると思いますが一つの考えとしましては防衛的な意味での特許があると思うのです。というのは、国の研究というのは原則公開でもって研究いたします。で何をやっているかわかっておりますしどんな成果が出るかもわかっております。そういった国の研究成果というものがある段階までいきましてもうそろそろ果実を結ぶというときになりましてそれをほかのだれか第三者が特許を申請しますと、せっかく国でもってやった研究成果というものを国の産業なり民生に広く利用させようということが、特定の者が利用してしまうとそれでは何のために国が研究したかわからないということで、国はやはり国がやった研究というものを広く使わせるという意味において、特定の者がそれを取るようなことを防衛するという意味で国が特許を取るということが基本的にあるのではないかと思うわけでございます。したがいまして、数多く取るという民間のビヘービアと国のビヘービアはそこに若干の差があるので、その特許の数の差だけで、いま非常に数の違いの大きなことのお話確かにそれは事実はそうだと思いますけれども、その差そのものがまた民間の活力と国の活力との差そのものであるということでも必ずしもないのではないかという気がいたしております。
#175
○小西博行君 そのことにつきましては私もわからぬではないのですけれども、ちょっと話が外れて大変恐縮なんですがたとえば国鉄の問題、そういうものを一つ挙げても、どうも違う。それから病院の経営なんかにいたしましてもこれは違う、というような件はここでことさら私が申し上げるべきことじゃないとは思うのですけれども、その比較というのはたくさんあると思うのですよ。同時にそのことがやはり研究部門でもなきにしもあらず、私はそのように感じたいわけです。それだけに、もう少し国の研究機関で働いている人は馬力をかけてほしい、そのことをここでは本当は申し上げたいわけです。ですから、いまあなたがおっしゃるとおりに本当にりっぱな研究をどんどんやっていただいておれば大して問題はないと思うのです。ところが、現実にいままでずっと調べてみても、やっぱり産業界の方がどんどん研究をやってそして日本の経済を支えてきたというこの現実、これは否定できないと思いますね。そういう意味で、せっかく流動研究システムといういいシステムができ、これをさらに将来は二十ぐらいに毎年一つずつふやしていくのだというようないい案があるだけに、相当思い切った覚悟を持って私はやっていただかないとちょっとぐあいが悪いのじゃないかなあと、そういう感じがしたものですから申し上げます。
 それから、さっきの特許にもちょっと触れると思うのですけれども、やっぱりこういう新しい技術というのはどうしてもリスクが大きいわけですね。ところが、産業あたりのはいろいろ応用性です、基本的なものはもうすでにあるので。それについて実際の生産活動にどう結びつければいいかという、デザインを中心にして生産活動に入るということですからね。私はそういう意味ではそれは必ず成功率はずいぶん違うと思うのです。基本的には、いまさっきも申し上げましたようにやっぱり国は少し劣っているのじゃないかなあ、やる気が少しマンマンデーでだらしないのじゃないか、そういう点だけはほかの事例から見てひとつ覚悟していただきたい、このように申し添えておきたいと思います。
 それからもう一点、これもまたちょっと申し上げたいのですが、いわゆる技術収入というのがありますね、実際に特許を取ってそれを応用して実際に収入を上げるという。この辺のデータも具体的に出ておるわけです。昨年の国有特許件数、いわゆる特許権ですね、この実施収入というのが五千億を投資して実際は五億円ぐらいの収入があったというこれもデータです。いわゆる投資に対して〇・一%。それに対しましてたとえば一例ですけれども、新日鉄の例を挙げておるわけですが大体百八億円、日立造船が九十二億、キャノンでさえ十億、このようにずいぶん技術収入というのを現実に上げている。そういうことに対しても、いまさっきおっしゃったような多分答弁がかかると思うのですけれども、この辺をも一遍考えて、いまの国の研究開発機構といいますかその辺に大きくメスを入れて考えなければいかぬような時点に来ているのじゃないだろうか。これはむしろ中川長官にお聞きしたいと思いますが、ひとつ考え方を述べていただきたい。
#176
○政府委員(加藤泰丸君) 先に事務的に。
 先ほどの特許の件で国の試験研究機関の活力の点でございますけれども、国の試験研究というものは非常に長期的なリードタイムの長い研究がございますし、しかもかなり基礎的な研究があるものですから、そこから生まれた研究成果は仮に特許になりましてもそれがすぐに実用に結びつくかというようなこともなかなか民間のこれらの特許とは違うという一つの特徴ではなかろうかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても科学技術振興調整費もございますしそれから創造科学、流動研究の制度も新しく五十六年度からスタートをしましたわけでございます。私どもはそういった振興調整費であるとか流動研究のシステムであるとか、そういうものを十分に活用させていただきまして、いま先生がおっしゃいましたような、仮に国の試験研究の活力が民間に比べて落ちているとすればそれを少しでも、あるいは大幅に高めるように、そういった新しい制度を十分に活用しながら対応してまいりたい、かように思います。
#177
○国務大臣(中川一郎君) 御指摘の点は、ほかのたとえば国有林なんかでも直営、直用でやったものは能率が悪い、民間に出した方が非常にいいと、非常な批判を受けております。国鉄の例に見るまでもなく、官業は能率が悪いし特に労使関係が悪いと。私どもの出先機関でも労使関係について非常に心配なところもあるわけです。この点はいま臨調で官業についていろいろ御意見のあるところであり、これは民意でもあろうと思います。だからと言って私どもの官側の研究が悪いとは断定できませんけれども、そういう批判のあることも事実でございますので、官側の研究体制の活性化ということについては真剣に考えていかなければ、最終的にはまた国民の皆さんの批判を受けて、国鉄のようににっちもさっちもならないことになってからでは働く人のためにもならない、こう思いますので、やっぱり正すべきは正し、そしてまた産官学連携をとることによって、官側の人も民がどのようにやっているか反省の場にもなろうと思いますので、そういったことも通じながら活性化については、これは国のためとか科学技術庁のため研究のためではありますけれども働く人のことも考えた場合長期的にはそういうことにする方が親切心ではないか、こう思って対応していきたいと思います。
#178
○小西博行君 特に科学技術の分野ですから恐らく科学技術庁の中にも相当優秀な技術者の方がたくさんいらっしゃるのじゃないか。私どものところへ来ていろいろお話を伺っても、若くて大変優秀な人材の方がいらっしゃる。それで思うのですけれども、やっぱり一つの慣行といいますか、なかなか第一線に出にくいということ、一般の民間ですと最近はもう年齢に関係なくすぐ上へ上がって最高の仕事ができる、こういう体制もありますね。これはもちろんここで大臣に聞いてもそれはせんないことだというふうに私は思いますけれども、しかし少なくとも専門技術という分野におきましては量じゃなくて質の問題をやっぱり生かしてあげるようなそういうシステムができないと、恐らく科学技術庁ここにありというようなことは流動研究システムを通じてもなかなか出てこないのじゃないかということを私は大変心配しているのです。
 最後になりますが、先ほどちょっと申し上げましたけれども、これから毎年一つずつ流動研究システムをふやしていきたい、そして研究開発をやっていきたいというようなことで、将来は二十テーマぐらいに規模を持っていきたい、このように言われておるわけなんですが、そうならば当然予算なんかでも、そういう長期ビジョンに立った上で毎年たとえば五億なら五億とか十億とか積み上げていくという一つの長期計画がないと、これは次の人材を求める場合でも大変私はむずかしい問題が出てくるのじゃないかと思うのです。そういう意味で、長期ビジョンを立てた上で何としても折衝で取っていくということ、これが私は将来の流動研究システム、これを発展させる大きなかぎになっている、そのように考えますので、きょうはプルサーマルあたりもちょっとやってみたいと思ったのですけれども何さま三十分ですからできませんが、ひとつその決意を最後に大臣にお願いしたいと思います。
#179
○国務大臣(中川一郎君) 全くそのとおりでして、いまのところは大体毎年新規を五年のサイクルで五つぐらいとっていきたいというぐらいのつもりで、希望でいきたいものだと思っておりますが、相手は予算もあることですから、ですが、長期的には大きくはそんな気持ちでいきたい。
 それから、先ほどの答弁にちょっと補足させていただきますが、国の研究者、技術者が民間に比べるととこういうことで先ほど申し上げましたが、また官側の中では、技術者はどちらかというと恵まれない条件で、日の当たらない場所といいますか、民間に比べると気の毒な面もあるのです。ですからわれわれとしては、そういった技術者が苦しんでいること、厳しい条件にあるということについても、やはりやさしく温かくこれに対応していく姿勢も必要である。こういったわれわれの温かい姿勢、対応とそしてまた厳しく働いていただくこと、こういうことが必要だろうと思いますので、若干補足させていただきます。
#180
○委員長(中野明君) これをもって、昭和五十七年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち科学技術庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(中野明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト