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#1
第096回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第5号
昭和五十七年四月二十三日(金曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     高木 正明君     田沢 智治君
     宮澤  弘君     斎藤栄三郎君
     前島英三郎君     秦   豊君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     小谷  守君     野田  哲君
     藤原 房雄君     峯山 昭範君
    ―――――――――――――
 出席者は左のとおり。
   委員長          上田  稔君
   理 事
                中西 一郎君
                降矢 敬義君
                村上 正邦君
                福間 知之君
                多田 省吾君
   委 員
                井上  孝君
                小澤 太郎君
                小林 国司君
                斎藤栄三郎君
                田沢 智治君
                玉置 和郎君
                名尾 良孝君
                中村 啓一君
                鳩山威一郎君
                円山 雅也君
                赤桐  操君
                野田  哲君
                宮之原貞光君
                大川 清幸君
                峯山 昭範君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                秦   豊君
   委員以外の議員
       発  議  者  金丸 三郎君
       発  議  者  松浦  功君
       議     員  青島 幸男君
       議     員  中山 千夏君
   国務大臣
       自 治 大 臣  世耕 政隆君
   政府委員
       法務政務次官   竹内  潔君
       自治政務次官   谷  洋一君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    森廣 英一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(第九十五
 回国会金丸三郎君外四名発議)(継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(上田稔君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、前島英三郎君、高木正明君及び宮澤弘君が委員を辞任され、その補欠として秦豊君、田沢智治君及び斎藤栄三郎君が選任されました。
 また、本日、小谷守君及び藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として野田哲君及び峯山昭範君が選任されました。
#3
○委員長(上田稔君) 公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○秦豊君 きのうあたりから本法案をめぐる雲行きがかなり微妙になりまして、ある紙面では「風雲急」「新自ク、賛成表明へ」「警戒強める公・民「自民、強行採決しかねぬ」」など、かなり物騒だけれども、ずばりポイントをついた見出しが躍っておるわけです。
 きょうは前回の同僚前島委員の残り時間を私が消化いたしますけれども、念のために、申し上げるまでもないと思いますけれども、私のきょうの三十九分によって新政クラブの質問がすべて終わったわけではなくて、たまたま一巡目が終わろうとしているという段階にすぎないと思います。
 そこで発議者に伺いますけれども、去る十九日に鈴木総理が自民党の首脳をお呼びになって、幹部をお呼びになって、全国区の改正問題について改めて強い決意を披瀝されたと、こういう報道が散見されます。今回見送れば将来ともに困難である、ぜひとも今国会での成立を図れと、いわば総理総裁が自民党の幹部を督励した、こういう図式になっているのですけれども、発議者は同席はされなかったわけですか。
#5
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は同席いたしておりません。
#6
○秦豊君 それにしても、発議者は一身に矢を引き受けて答弁の矢面に立っているんだから、言ってみれば本法案のVIPだ。だからわれわれ第三者からすると、当然同席して、それが常識と思っていたのだが、意外ですな。どういう配慮でしょうね。同席云々は本質じゃないからいいでしょう。それにしてもVIPたる発議者には、デテールに及ぶまで詳細に伝達あるいは連絡あるいは説明、懇談がその後あったのでしょうね。したがって、かなり突っ込んだトップ会談の内容は熟知されていると思いますけれども、どういうポイントでお受け取りになっていますか。
#7
○委員以外の議員(金丸三郎君) 当日の会談の内容の第一は、全国区の制度につきましては、年来改革の意見も強く、自民党としても十分に検討の結果提出したものであるので、ぜひとも今国会で成立を図るように努力してもらいたいということが一つでございます。
 もう一つは、自民党ほか各党がどういう態度ないしお考えでおられるか、このことについての意見の交換があったようでございます。そのように承知しております。
#8
○秦豊君 もうちょっとあったでしょう。野党の形勢を解析されるのは常識だけれども、もうちょっとあったでしょう、一番肝心なことが。ずばり修正についての問題点と見通しについて突っ込んだお話があったはずです。それはVIPにはもたらされなかったのですかな。
#9
○委員以外の議員(金丸三郎君) その点は私は承知いたしておりません。
#10
○秦豊君 粗漏ですね、それはまことに。
 発議者は、じゃ観点を変えますけれども、今国会は五月十九日までに決まり切っている。その今国会五月十九日までの日程が本法案一部改正のまさにぎりぎりのタイムリミット、つまりラストチャンスというふうにお考えないし御認識なのか、あるいは総理の外遊日程がありますからタイムリミット、後ろが詰まっているのだけれども、まあ十日ないし、ぎりぎりがんばって十二日の継ぎ足し延長があれば成立への確信を抱き得るのか、どうお考えですか。
#11
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは提案者でございます。いわばまないたのコイでございまして、今後どのようなふうに審議が進められるか、これは当委員会と党執行部、各党にも共通でございますが、それらの間におけるお話し合いによって今後取り運ばれていくのではなかろうか。どうも私どもはまないたの上にのっているだけでございます。
#12
○秦豊君 いまの答弁はある部分正確です。ここに自民党総裁を呼べないし、国対委員長を呼べないから、たまたまあなたに聞いているのです。しかしそれにしても、たとえば二階堂談話などというものがもたらされまして、二十一日の発言、これはお読み取りでしょう。今月中に本法案の委員会通過を目指すというふうなことを重ね合わせ、総理の強い強い決意の披瀝をさらに重複させ、そうすると連休前というのは非常に微妙になるわけで、これもあなたに聞くべきポイントでないかもしれないけれども、シャドーゲストの鈴木総裁に聞くべきだけれども、やっぱり三十日の本委員会あたりがかなりきな臭くなる、特別の一日になりはしないかという危惧も一部頭をもたげつつある。
 そこで、上田委員長は私昔からよく存じ上げておりますが、温厚公正をもって鳴る上田委員長だから、よもや強行採決などという野蛮なことは、粗暴なことはいたさない、暴挙は慎まれるという委員長であると私は思いますけれども、委員会の慣例として、委員長に答弁を求めるという慣例がないから遠慮するのだけれども、しかし、とにかく本委員会の権威にかけても、三十日をきな臭い一日にしないようにあえて望んでおきたいと思う。これは発議者に求めても、答えが返ってこないから求めません。
 ところで発議者、以下の質問はあなたにぜひ答えてもらいたい。これはいま一時七分くらいだと思いますけれども、福間先生の方から、社会党からの正式提案は国会に提出はまだなされていないようであります。恐らくきょうお出しになるんですよね、三時か四時までには国会に正式にお出しになるのじゃないかと思いますが、そこで発議者ね、具体的に問題をしぼりますと、やがてあと一、二時間で提出をされるであろう社会党案、これはもうすでに広く伝えられているんだから、そのまま出てきますよ。この社会党案とはかなりな個所、かなりなポイントですり合わせが可能とお考えですか。
#13
○委員以外の議員(金丸三郎君) 一般に新聞等で報道されてはおりますけれども、社会党案として正式の法律案が出ておりません現段階で、私どもがとやかく申すのはまだ時期尚早であろうと思います。提案がいたされました上で私どもも吟味をし、私どもの内部でよく考えを練って、どのようなふうにわが党として考えるか、考えを決めなければならないと、かように考えております。
#14
○秦豊君 普通こういう場合はそういう答弁で一応免れるわけですよね、そのとおりだから。しかしそうはいかないのでね、これはもう十分に内容を検討して、発議者の脳中にはインプットされているわけだから、いままでこの公選法の委員会では、いわゆる入り口で論議がかなり回っていまして、僕の議事録を見た範囲では、村上委員が去年の十月の当委員会で、たしか議席配分方法について発議者に答弁を求めたことがあります、例のドント式と修正サン・ラグの問題。これでややあなたの方がゆとりというか余地を残した、含みを持たせた答弁をしているだけで、あとは一切出ていないわけです。
 だから、発議者が言われるように、確かに正式な提案は得ていない。得てから十分に党内で熟慮する、検討する、そうして対応する、こうだろうけれども、あなた方の本意は、では一つずつ伺うけれども、あなた方の出している政党の要件というのはかなりシビアであって、厳格であって、私によれば厳格過ぎる。ところが、渡りに船のような社会党案が出てきたのだから、社会党案と自民党案というのは、たとえばおたくは五人以上、社会党案は三人以上、これなんかは当然検討のポイントの一つになり得るのじゃありませんか。案が出たとか受け取っていないとかいう形式論議じゃなくて、実体論としてまずこの政党の要件、五人以上と三人以上の中間点を模索するなんということは当然あり得るでしょう。違いますか。
#15
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもも、社会党とされましても相当綿密な御研究の結果得られた御案だろうと、かように考えております。ただ具体的に政党の条件をどのように考えるかということは、やはりこの法案全体との関連がございますので、政党要件だけについてどう考えるかということをここでただいまお答え申し上げるような段階ではないと思います。ただ、私どもも冒頭から申しておりますように、自民党案がベストとは思っておりません。いろいろ御意見がございまして、その方がよかろうということであれば、私どもはその案に同調すると申しましょうか、よりベターな案をつくるようにしなければならないと、こういう気持ちでおりますことは先般来申し上げておるところでございます。
#16
○秦豊君 同じような観点で、たとえば得票率、政党要件の第二ですね。おたくの方は四%以上、社会党さんの方は二%以上、この開きはまことに大きい。これも前の私の質問と同じような日本語を使ったって、これは別にエクスキューズはあるんだけれども、やはり僕はこれも実際にすり合わせをするときには避けては通れないポイントの一つになると思いますが、重ねていかがですか。少しは変わった言葉を使ってください。
#17
○委員以外の議員(金丸三郎君) それは私どもも避けて通れない重要なポイントの一つだと、かように考えております。
#18
○秦豊君 それからこれは発議者、私は敬意を払ってあなたに相対していますから、決して追い打ちでも何でもないというふうにお受けとめいただきたいのですけれども、十人以上の候補者と五人以上の候補者というのは、数学的には一対二的に格差が大きいんですよね。これもいわゆる大政党以外、小政党諸会派というふうなものにとっては重要な分岐点になる大きな条項の基準なんです。これも私は避けては通れない、また考慮の余地のある対象、問題点の一つという受けとめ方をすると過剰ですか。
#19
○委員以外の議員(金丸三郎君) おっしゃるとおりでございます。社会党案のことを私どもまだ十分に吟味したわけではございませんが、政党の要件について社会党が考えておいでの点は私どもも十分に考えなければならない問題点だと、かように考えております。
#20
○秦豊君 それから村上委員から十月にあった算定法式のところですね、修正サン・ラグを社会党さんも、絶対というニュアンスかどうかはまだ正式に責任者から伺ってはおりませんが、おたくはドントである。ただドントと修正サン・ラグを足して二で割るわけには、なかなかこれはむずかしい。そうでしょう。ドントなのか、修正サン・ラグなのか。もっとあえて言えば、法案を通すためにはドントは一応切り捨てる。大胆に修正サン・ラグに歩み寄る。二者択一しかないと思うので、これは私はすり合わせではなくて選択の問題だと思いますが、これは論理的にどうでしょう。
#21
○委員以外の議員(金丸三郎君) そこらの点も社会党のお考えをお聞きしてみなければ、私どもとしては現在の段階で何とも申し上げかねます。非常に重要な問題点であることは御指摘のとおりであります。
#22
○秦豊君 私の考え方は、つまり供託金についても選挙運動についても、あなた方の案が絶対とはとてもあなた方自身が断言できないと思うんです。無傷で法案を通そうなんということはよもやお考えにはなっていない。それはさっきからあなたの大前提として述べていらっしゃるから素直にとっておきたいと思います。
 それでは、この個所についての一つの取りまとめ的な質問としまして、私が挙げた具体的な問題点、基準、算定方法、選挙運動、供託金の金額、たとえば四百万か三百万かという問題、二百万か百五十万かという問題等全部を含めて、これからいよいよ切迫をしてきて、それで胸突き八丁になって、時間に追われて、どうしてもあなた方発議者を初めあなた方の属する政党が法案の成立通過に執着をすると、どうしても私の言ったような問題点は避けて通れないというところまでは認識が一致したのだけれども、私がきょう質問したような個所はすべて、すり合わせ、調整、歩み寄りの問題点、避けて通れない問題点として十分に検討しなければならぬという認識まではお持ちなんですね。
#23
○委員以外の議員(金丸三郎君) 検討しなければならない点については、私どもも御趣旨のとおりでございます。この点は十分に検討しなければならない問題だと考えております。
#24
○秦豊君 自治大臣、もっと遅いかと思ったものですから、早々と御出席いただいて恐縮です。
 じゃ自治大臣はいつまでこの席にいらっしゃるかわからないものですから、ちょっと順番を入れかえまして世耕大臣に一問、二問だけ伺っておきますが、世耕大臣のところは本法案のいわば主務大臣、主管大臣でいらっしゃいます。主管大臣の御認識としては、今国会、さっきも発議者に聞いたのですけれども、五月十九日ないしプラスアルファ、つまり会期延長があり得ればの話ですが、こういうタイミングの中で、今国会が本法案のぎりぎりのタイムリミットであって、鈴木総理の御認識のように、いまを逃せば先がない、あすがないというふうな突き詰めた御認識を主務大臣としてお持ちでしょうか、いかがでしょう。
#25
○国務大臣(世耕政隆君) 突然やってまいりまして、時間におくれて申しわけございません。
 ただいまの御指摘の点でございますが、現在審議されております公職選挙法の改正案は、この次の参議院の選挙に適用されることを前提として提出されたものというふうに聞き及んでおります。この改正案は今回が初めて出されました法案で、これに対して実はいままでわが省でも経験したことのない方法であり、初めての仕組みのものでございます。そこで、この選挙の管理、執行に携わる立場といたしましては、新しい制度の仕組みを十分に時間をかけて関係方面にいろいろ宣伝したり、周知徹底させたり、これは各県にも、選挙者にもいろいろ周知徹底を行っていくわけでございますが、そういうのにかなり時間がかかると思っております。そこで、できるだけ早く、この国会で十二分に御審議いただきまして、お取り計らいいただき、全国区の選挙法が改善されるように希望する次第でございます。
#26
○秦豊君 もうちょっと世耕大臣、踏み込んできっぱりお答えいただきたいのです。確かに万事拙速はいけない、これは確かに主管大臣としては当然のお受けとめであろうと思います。私も共感します。しかし、それにはいまの国会中に通してもらわないと、秋の臨時国会なんて先送りされて、一回これは継続になっている法案ですよね、今度またお預けというのは自治省としては困る、やっぱり今国会という御認識と受け取ってよろしいですか。
#27
○国務大臣(世耕政隆君) 私どもといたしましては、一日も早く結論が出ますことを切望している次第でございます。
#28
○秦豊君 いまの世耕大臣のは、文法上は間接叙法ですよね、文章の形態から言えば。間接叙法だが、言いかえれば、今国会が一番早いわけだから、自明のことになりますわね。そう受け取らしていただきます。
 ところで発議者、これは全然質問の本質と関係ないのだけれども、ちょっとこの法案を勉強してみまして、あなたにぜひ聞いてみたかったのと、本来ならば自民党の選挙対策委員長と鈴木総裁がそこにおられれば妥当する質問なんですが、僕はわからないから後学のために示していただきたい。
 来年の改選期を迎える議員はたくさんいらっしゃいますけれども、わが徳永参議院議長におかれてもすでに当選四回をけみされ、まさに明年改選期を迎えられます。ところが、徳永議長の場合は全国区選出でいらっしゃる。秋山副議長の場合には岡山地方区でいらっしゃるので、次元と環境が全く違います。一番問題に逢着されるのは徳永参議院議長であります。つまりこの参議院改革の一環として、良識の実践として党籍離脱をされている参議院議長が来年改選期を迎える。党籍離脱と来年の改選の名簿の位置づけはまさに絶対矛盾なんですよね、自民党議員じゃないのですから。そうでしょう。いま無所属なんです。いずれにも属さざる議員なんです。だからこれは絶対矛盾、二律背反なんです。
 そこで、自民党としては選挙のときだけちょっと里帰りをしてもらって、全国区の名簿に、敬意を表して、トップかどうかはおたくの党内問題だが、高位にランキングをし、つまり登載という法律用語になっておるが、登載し、そうして当選後はまた参議院のいわゆる良識にUターンしていただくというふうな、いわゆる原状回復ですな、措置を、まあこれはまだ検討してないという発議者はそんな言葉を用意しつつあるような表情だけれども、あなた方のような大政党にとって八三年が政治決戦だ、一議席をもおろそかにできないというふうな観点で、参議院が代々積み重ねたこのよき慣行に泥をかけるような、そういうあしき党利党略は絶対に行使していただきたくないという発意で、願意で私申し上げているのだが、これはあくまで参議院のよき慣行をお守りになるんでしょうね、発議者。たまたまあなたしか聞く方がいないものだから、あなたに聞く以外にないんですよ。どうですか、本法案との関連で。
#29
○委員以外の議員(金丸三郎君) ただいまの御質問は立法化の問題ではなくて、いわば名簿にどういう人を登載するか、その選定の問題、あるいは当選なさった方がどういうふうになさるかという問題でございまして、私はこれは党の執行部としてお考えになってしかるべき問題ではなかろうかと思います。御指摘の点はよくわかりますけれども、私どもはこの法律案の提案者でございますので、あしからずこれで御了承いただきたい。
#30
○秦豊君 まあそう言うだろうと思っていたのだけれども、一言一句変わらなかったですな。
 では、名簿登載の基準というふうに質問のアングルを変えましょう。ならば、あなたは答えなきゃいかぬですね。名簿登載の基準も考えないでこんな法案を出す、そういう粗悪な提案者はあり得ないから、論理的に。だから登載の基準、範囲、進め方、手順、私はこれは当然お考えになって提案されていると思うから、ではほかの団体の人も推薦できるのだから無所属議員もそういう扱いになって名簿登載の対象者一可能性者になり得るのですか。その点はどうなんですか、徳永議長のような立場の方も。
#31
○委員以外の議員(金丸三郎君) なり得るわけでございます。
#32
○秦豊君 非常にその部分はずばり本音だな。そういうことをやるかもしれないな。
 発議者、あなたはこういう本を御存じですか。これは「選挙制度改革の諸問題」政経書院と書いてあります。それから「選挙制度」というちょっと短い題の文章、これがありますね。この二、三の著作、私はたまたまこれしか拝見しなかったものだから失礼したかもしれませんが、これはあなたの著作ですね。覚えていらっしゃいますか。
#33
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
#34
○秦豊君 これは歳月を経まして黄色っぽく変色している。時間の経過なんですよ。金丸さんの学説が進歩したか退歩したか、現実に妥協しているか、これは別な問題だ。これは歳月が黄色くしたのです。ところが、この「選挙制度」というあなたの著作を拝見しますと、なかなかこれはいいことをお書きになっていらっしゃる。あなたにとってはなつかしい壮年のころの論考ですよ。これは昭和二十九年一月の「選挙制度」ですが、当時のあなたは、自治省じゃないんですね、あのころは「自治廳」、松浦さんもうなずいていらっしゃるが、むずかしい字を書く、ローマ法王廳の廳ですな。あの自治庁の選挙部長ですけれども、一時四十分にはやめろというメモが入りましたので簡略にいたしますけれども、一つだけ引用します。
 「選挙制度」の六十六ページを拝見しますと、あなたはこう書いているんです。比例代表制とか選挙人名簿式についてあなたはいいことを言っていますよ。比例代表制というのは「選挙人又は選挙区と議員とのつながり」これが総じて「稀薄になる。」それから「ことに名簿式比例代表法では、党派に重きを置いて、人物を軽視する結果、議員の人物を劣等化する。」つまり低きに置く。だって政党が優位に立つわけだから。「そうして、当選人の決定が」これは大事ですよ、よろしいですか。「当選人の決定が」その属する「党派の幹部に委ねられるならば、少壮新進の政治家の進出が」きわめて「困難となる。」、これは正論ですね。しかも「比例代表法は、手続がきわめて複雑であり、政党が策略を用いる余地が少くない。」
 私は反論しようと思って読んだのだけれども、反論の余地がない、正論だから。実に正しい議論を展開されておるのだが、よもやそれは秦さんの引用した個所が間違っている、誤読だということはおっしゃらぬでしょうな。いやしくも自分の言論を世に問うということは社会的責任が伴いますから、あなたはこれは否定されないでしょう。非常に私は選挙制度、選挙法の権威として改めてあなたに、過去のあなたに対して敬意を表するのだけれども、あなたはこれからどうして変わったのですか。どうなんですか。
#35
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私が比例代表制度について書いております点は、いわば比例代表制度の紹介でございます。比例代表制につきまして、ただいまお述べになりましたのは比例代表制の持つ欠点と申しましょうか、批判のある点、また同時に私の著書には、比例代表制はこうこうこういう点で非常にすぐれておるという長所も書いてあるわけでございます。長所を挙げ、かつまた当時批判もあった短所も両論書いてあるわけでございまして、比例代表制のすぐれておる点、たとえば国民の政治的な意思を最も正確に反映しやすい制度であるとか、あるいは比例代表制度にすることによりまして有能な人物の当選が確実になりますとか、買収の効果がなくなるとか、選挙が平穏になるとか、こういうことも実は書いておるわけでございますが、御指摘の点は私の著書の中の比例代表制に対するいわば批判の部分で、私の著書には長所と短所とを両方公平に挙げたつもりでございます。
#36
○秦豊君 あなたがそう逃げるだろうと思って、念のためにもう一冊用意してあります。これは逃がれようがありませんぞ。これは昭和二十九年六月だから、あなたはこの前でちょっと踏み込みが足らなかった、本音を述べ足りないというので、ページ数は少ないけれども。じゃこれはあなた単なる紹介ですか。百十八ページをちょっと読みますよ。記憶をよみがえらせていただきたい。
 「第四は、全国区の制度を存置し、比例代表制によって選挙せよという主張である。」、この主張にあなた反論しているんですよ。意見ですよ、いいですか。「直接選挙によって選任することを前提とすれば、たしかに一案であるが、わが国のように約四千七百万人という尨大の困難が伴うし」、この表現はちょっと日本語として練れてないが、「尨大の困難が伴うし、政党別の候補者名簿によって投票するとすれば、参議院が」、よく聞いてくださいよ。「参議院が完全に政党化することを覚悟しなければならないのであって、それもやむをえないという建前をとらない限り、賛成できない。」いいですか、「賛成できない」と言っているんだ。賛成であるという日本語になってない。
 私はこれは過剰に読んでいませんよ。あなたのを、あなたが朗読するよりは下手だったかもしれないが、正確に読んだつもりだ。あなたは「選挙制度」という著作においては紹介をしたのだから著者の責任は免れてもいい、免責だと言われたが、これは意見を述べていらっしゃる。いいですか、これはあなたの主観、あなたの論説ですよ、意見ですよ。これについても責任をおとりにならないというのは、私は大変に公人として、このときは高級官僚のお一人でいらっしゃるが、やっぱり社会的な公的な責任を全うしないものだと言われても反論はできないでしょう。違いますか。この部分はあなたの意見ですよ。
#37
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私が「選挙制度改革の諸問題」の中に書いておりますことは御指摘のとおりでございます。この中で私の意見として申し上げておりますのは、参議院の政党化の点でございます。私がこの本を書きましたのは昭和二十年代の末でございます。今日は参議院も政党化してまいっておる、これが現実の認識でございます。提案理由でもるる申し上げておりますように、望ましいか望ましくないかという議論もございますけれども、わが国の現実の国会の運営が政党を中心に行われており、参議院の全国区の制度が政党的な選挙になっておるという現実を踏まえまして、今回は政党化を前提にした全国区の制度の改正をした方が少なくとも現状よりはよかろう、こういうような結論に達しまして提案をいたしたわけでございます。
#38
○秦豊君 それはいまのあなたの答弁を男子三日見ざればというふうに受けとめるか、君子豹変すというふうに切るか、それは立場がいろいろあるんだけれども、いやしくもあなた、参議院の現状はこうなっておるなんて、これはあなたが、わが国における自治庁の当該政策、立法政策の、あるいは選挙技術のあるいは運営の最高の責任者にあるあなたがある時点でお書きになったこれは公論です、世に問うた公論です。黄色くなった著作を引っ張り出して、別に鬼の首をとったように言うつもりはさらさらないが、いやしくもそれほど責任のあるのがこういう社会的行為である。しかもそれがあなたにおける本問題の原典ですよ、原論ですよ、選挙法原論ですよ。去年以来のあなたの答弁はときどき仄聞したり議事録を勉強させていただいたが、かなり強引にあなたの自説をゆがめていらっしゃるという印象さえ私はするので、これがあなたにおける古典であり原典である、いまのあなたはかりそめの姿だ、かなり無理をされているというふうに思うので、重ねてあなたの心境を述べていただきたい。
#39
○委員以外の議員(金丸三郎君) 二十数年のわが国の政治の現実、わが国の選挙の実際から申しまして、現在では政党政治を基本にして参議院の全国区の制度の改正は行うことが至当であろう、こういうふうに考えております。
#40
○秦豊君 この問題は本日はこれぐらいにしておきましょう、また何か発見するかもしれないからね。
 警察いらっしゃいますか。時間が非常になくなってきたようなので全然問題をかえますけれども、あなたにせっかくおいでいただいて、本法案の第十六章の罰則をちょっとぜひとも聞いておきたかったのですがね、「名簿登載者の選定に関する罪」をちょっと御披見ください。
 第二百二十四条の三をごらん願いますと、「請託を受けて、財産上の利益を収受し、又はこれを要求し、若しくは約束したときは、これを三年以下の懲役に処する。」と。あなたは法律の専門家だからあえて聞くのだが、刑法における収賄、受託収賄、事前収賄を規定した第百九十七条以下の非常に厳格な法律表現ですね、あるいは法文表現と言うべきか、百九十七条の二から百九十七条の四に至るこの厳格な法規定に対して、本法案による第二百二十四の三、これでは、私の危惧と懸念はこんな範囲をしぼり過ぎているから実効性が余り期待できないのではないかというおそれが一つ。それからこんな法文を盾にとって、さあ取り締まりは警察庁だ、諸君精励恪勤やりたまえと言われても、刑法と比べて恥ずかしくないかと言いたいのじゃないかと思うんだ、第一線も、幹部も。こんなもので、これはしり抜けもいいところで、世論へのゼスチュアでこういうものをつくったんだと思うが、他のあっせん収賄あるいは第三者、事前、事後、こういうものに比べても大変表現が粗漏であり、しかも連座制が比例代表選挙には適用されないのだから、たった一つなんです、罰則。これで果たして適正な取り締まりなんか実効を期し得るのか、この辺だけを伺っておきたい。
#41
○説明員(森廣英一君) ただいまお尋ねの二百二十四条の三の規定と刑法の百九十七条以下の規定を比較した場合に、確かにいわば刑法の百九十七条の第二項のあっせん収賄罪の規定に見合う規定が今回置かれておるわけでございまして、単純収賄等の規定は置かれておらないことは御指摘のとおりでございます。その点とか、あるいは賄賂の内容を「財産上の利益」にしぼっておる。かような点を見ますと、この点はいわば名簿登載者の選定という仕事が公正妥当に行われることをどこまで政党の自律にゆだね、どこからを法律で担保していくかという問題でございまして、すなわち政党活動の自由と公正のバランスを考えて立案されました一つの立法論的な選択である、かように受けとめております。
 それからもう一つ、この「名簿登載者の選定につき権限を有する者」というような表現は、刑法とはやや異ったいわば主体が規定されておるわけでございますが、これにつきましては、法案の八十六条の二第二項第六号の規定を受けた用語でございまして、同号の定義規定等によりまして、その内容は相当程度明確になっておると、かように受けとめております。
 警察といたしましては、もしこれが施行になった場合におきましては鋭意研究を進めまして、おっしゃるような実効のある取り締まりをしてまいりたい、かように考えております。
#42
○秦豊君 発議者ね、これは二巡目で聞きますけれども、この本法案が持っているさまざまな欠落、欠陥と思われますものの中に、具体的な難点が非常にあるわけですね。たとえば政党の分裂とか、合併ないし新党ができるとか、それから個人の脱党、それから他政党へのくらがえとか、あるいは除名というふうな行為もありますね。名簿の有効性とそれらの行為、社会現象、政治現象との関連が大変私は具体的に問題になってくると思う。これをやり出すと恐らく幾十分を費やしても足りないでしょう。したがって、これは投票をした有権者の意思が全くないがしろにされるという、あるいは宙に浮くケースが必ず起こりますよ。特にこの二、三年のいわゆる政界の動向を考えると、私は第二巡目でこれは詰めてやりますけれども、こういう問題は必ず的確に対応を準備しておかなければ、法案を改めておかなければ、埋めておかなければ私は問題点が処理できなくなると思う。
 たとえば名簿は六年間有効でしょう。ならば繰り上げも、したがって六年間有効なんですよね。六年間という長いタームで考えた場合の今後の政界の激変、政界の分布、離合集散、これはもう大きいですよ。あなた方発議者が提案しているこの法案では追っつかない、フォローできない、現実との乖離がはなはだ過ぎるという問題が必ず起こってくるので、一言だけその点については粗漏がないというふうに確信を持っているならそういうふうに答えていただきたい。
 それからもう一つ、松浦さん恐縮ですがね、時間がなくなってきましたので、一問だけ重ねて御質問をし、答弁を重ねていただいて終わりますが、たとえば部内で会議をしましたときにこういう問題が出てきた。あなた方によれば、いままでの全国区ですよ、政党の名前を有権者の方に一々書いていただくという発想をされているのかどうか、まだ聞いていませんがね。一つの提案としまして、政党名または確認団体の名前をあらかじめ投票用紙に印刷をしておいて、たとえば自由民主党、社会党、公明党、民社党、社会民主連合、新自由クラブ、共産党があるとします。あるいは何々団体ですか、あるいは連合ですか、そうあるとすると、それをほとんど自治省が整理して厳格に記載をしておいて、それでいわゆるいままでの地方区の投票所に行った方はその支持する政党の上に、自分が書くのじゃなくて、丸をするという簡略な方法で実は民意を表現するというふうなことについては考慮の余地がないのかどうか。大項目と余りにも具体的な問題を一緒にしましたけれども、時間の関係と御了承ください。
#43
○委員以外の議員(松浦功君) 二つの点について御質問がございました。一つは政党の離合集散、それと名簿の効力の関係でございます。
 御承知のように、政党の離合集散、いろいろの場合がございます。千差万別でございます。いずれにいたしましても、政党の離合集散というものを客観的に選挙管理機関が把握するということは困難でございます。事実上できないと思います。したがって、すべて政党からの離合集散の届け出にまつということを基本的な態度に置いて、法案はきちっと抜ける点なく整備をいたしておるつもりでございます。したがって具体的にはこういう場合にどうなるのか、こういう場合にどうなるのかということをお尋ねいただければ、私の方でこういう場合はこうなりますというお答えが申し上げられるかと思っております。
 二番目の記号式の問題でございますが、まことにりっぱな一つの御提案だと思うのでございます。しかしながら、私どもも記号式にしたらどうかということを検討いたしてみましたけれども、私どもが定めました政党の要件にのっとった形で名簿を提出してこられる政党が一体幾つ出てくるだろうか。この点は私どもではにわかに判断できないわけでございます。そうなりますと、仮に二十の政党が出てきたということになりますと、記号式になりますと大きな投票用紙になってしまうわけです。そういった点を考えると、どうもやはり無理ではなかろうかということで自書式ということにいたしたわけでございまして、決して記号式というものを頭から考えなかったということではございません。実際、選挙の管理執行上記号式には無理があるだろうということで私どもはあきらめた、こういうふうに御理解をいただけたら結構でございます。
#44
○秦豊君 終わります。
#45
○委員長(上田稔君) 質疑のある方は順次御発言を願います。
#46
○大川清幸君 私は、前回もちょっと触れて御所見も伺った問題ですが、選挙制度を改革する場合の優先順位の問題にかかわることからお伺いをいたしたいと思います。
 現在の日本の選挙制度の中に緊急事項としてどういうものがあるか、これは常識的に考えまして、違憲判決の出ている例の定数の不均衡問題、こういうことになると思います。それから政治資金規正法にかかわる金の問題だろうと思うのです。
 そこで定数不均衡問題、これは考えてみると、まさに憲法問題そのものでございまして、実情はどうなっているかといいますと、御承知のように五十五年に行われました国勢調査、その結果によりますと、参議院は五・七二九倍、それから衆議院で四・五四一倍、こういう格差が出ておることが明確になっています。なお四倍以上が三区ありますし、三倍以上が十六区、それから二倍以上が三十五区もある、こういうことです。百三十区のうちいわゆる五十四区、約半数ですね、この選挙区が、ですから憲法違反の不平等、こういうことになるわけです。人口と定数が逆転している選挙区、これは都道府県でいうと二十に及んでいるわけですから、こういう実情を考えますと、やはり立法府としての国会としても無視して通れない問題だろうと思いますし、政府並びに責任政党としても同様ではなかろうか、立場を言えば。そう思うわけです。
 今回の提案は、残念ながらこうした緊急事項を素通りして、参議院の全国区の制度改正だけ提案をしてきたということについてはまことに残念だと思うんですが、この辺の認識について改めて、総理がおりませんから大臣と、それから提案者に御所見を伺っておきたいと思います。
#47
○委員以外の議員(金丸三郎君) この点につきましては、さきにも御質問がございましてお答えをしたことがあると存じますが、私どもも基本的な認識につきましては同様でございます。衆議院の定数の是正、参議院の地方区の定数の是正、やはりやらなければならない重要な問題だと認識はいたしております。また実は年来いろいろと、まだ党全体としてではございませんけれども、参議院側におきましても地方区の問題は検討いたしております。また衆議院の問題につきましては、いま鋭意私どもの党の選挙制度調査会において検討いたしておるのでございますが、選挙区の定数の配分をいまのように人口で一律にやった方がいいのか、地域性というものは衆議院につきましても考えないでいいのか、わが国の行政区画としての府県を無視してもいいのか、それをも考慮に入れる余地はないのか、実は議論をいたしてみますというとなかなか根本的な問題がたくさんございまして、できるだけ早く結論は出さなければならないと思っておりますけれども、衆議院の定数と参議院の地方区の定数と両方あわせまして、目下鋭意勉強いたしておる最中でございます。
#48
○大川清幸君 緊急事項の認識についてはほぼ同じような認識を持っておられるようでございますが、そこで、今後の審議の上でも必要だと思われますので資料の要求をいたしておきたいと思うんですが、昭和五十五年十月一日現在の国勢調査の確定人口が出たはずでございます。市町村段階も含めて出ているはずでございます。そこで、参議院地方区の選挙区別確定人口と最大アンバランス及び衆議院の選挙区別確定人口とこれまた最大アンバランスについて資料を至急お出し願えればお願いしたい、こう思うんですが、これは大臣にお願いしますが、いかがですか、この資料の提出について。
#49
○委員長(上田稔君) 資料出せますか。
#50
○国務大臣(世耕政隆君) ただいまの御要求に対して、委員会で御承認があれば提出させていただきます。
#51
○委員長(上田稔君) それでは、いまの資料につきましては理事会に諮らせていただきます。
#52
○大川清幸君 それでは取り扱いについて理事会でひとつ善処方をお願いをいたしておきます。
 次に、緊急課題のうちのお金がかかるか、かからないか、この問題についてお伺いをいたします。
 選挙に不当な金をかけないためには、まず政治資金規正法改正がぜひとも必要だ、こう思うわけでございます。この問題は法律事項でございますから、全国区の改正よりもむしろ先に手続をしていただくのが本来のあり方ではなかろうか、こう思います。その認識についてはいかがですか。発議者の立場で答弁できますか。認識としてはそうあるべきでしょう。どうですか。
#53
○委員以外の議員(金丸三郎君) 大変申し上げかねますが、ただいまの御質問は、政治資金規正法の附則第八項に関連してのお尋ねでございましょうか。それとも政治資金規制全般について改正について考えはないのか、あるいは早急に考えるべきでないかという趣旨の御質問か、どうも大変恐れ入りますけれども……。
#54
○大川清幸君 それでは、御承知だと思うんですよ、昭和五十年七月十五日、法律第六十四号、政治資金規正法の改正の附則第一条、これには「この法律は、昭和五十一年一月一日から施行する。」とありまして、同第八条「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途」「について、更に検討を加えるものとする。」と、こうなっていますね。これは御承知だと思うんです。そこで、この五年ということでありますと、昭和五十六年一月二日でちょうど五年が経過したことになる。現在の時点は、したがいましてもう六年を経過したことになるわけです。ですから、憲法第七十三条の内閣の職務として掲げる第一号に「法律を誠実に執行し」とあります。政府は早急に誠実に政治資金規正法を改正する必要がある、その規定から言えば。そういう解釈になるわけです。
 念のため申し上げますと、衆議院の選挙でもあの千葉二区の、新聞でも大分報道されました買収事犯もありました。衆議院の選挙区は小さいのですが、どうも参議院の全国区よりも金がかかっているような例もあります。ですからこういう点では、ぜひとも金をかける買収犯等を防ぐために連座制の強化とか、あるいは選挙裁判の促進とか、買収等の実質犯に対する罰則の強化等もこれは速やかに図るべきでしょう。そういう点で言うと、優先順位から言えば、これはもう五年じゃなくて六年を経過していますから、早急にこれは考える必要があるんだろうと思いますが、この辺についてはどうお考えになっておりますか。法律に関係することだから大臣の御所見を伺っておきましょうか。ほうっておいちゃまずい問題でしょう。
#55
○国務大臣(世耕政隆君) 政治資金規正法附則第八条の見直しの問題でございますが、この政治資金規正法は一番政治活動に深いところで関係してくるものでございまして、また各政党のいろいろな事情が違いますし、よって立つ基盤が違っておりますので、これもひとつ政党間で十分に御論議いただいて、改正すべき点は改正すべきであると、このように私どもは思考している次第でございます。
#56
○大川清幸君 これは確かに選挙あるいは政治資金にかかわる法案の改正については各党との話し合いが必要なんです。大臣の御答弁は、まさに扱う姿勢としてはそういうことになるだろうと思います。
#57
○多田省吾君 関連。
 前回も宮之原委員が去年の十月に安孫子前自治大臣に同じような質問をなさったわけです。それに対して安孫子自治大臣も、各党の合意がないからできないんだ、政治資金規正法改正はできないんだと、こういう答弁もあったわけです。世耕自治大臣も同じような御答弁をなさいましたけれども、私は非常に不満です。大変不満です。
 三木内閣時代に、第五次選挙制度審議会の答申を尊重すると言いながら、相当骨抜きしまして政治資金規正法を改正したわけです。そのときはもう与野党同数という本会議で劇的な幕切れがあったわけでございますけれども、そのときに決められた法律なんですよ。そして大臣がいまお答えになったように、昭和五十一年一月二日から五年たったら、この八条の企業献金から個人献金に移行するというところ、それを見直すとはっきり書いているんです。それにもかかわらず一年以上、一年半も政府はサボタージュしているわけです。いま大川委員が質問しましたように、優先順位から言ったら当然政治資金規正法を先にすべきです。金のかかる、かからない、国民はみんな政治に金をかけ過ぎるんだと言っているのです。それは後でまた質問があると思いますけれどもね。それにもかかわらず政府はやろうとしない。はなはだ遺憾だと思います。
 私は、各党の合意とか各党の話し合いなどと、そんなものは要らない、野党は全部要求しているのですから。政府は政府がつくった政治資金規正法改正法を、政府がつくったんですよ、その法律を遵守する義務があるわけです、憲法から言っても。だから遵守義務とも言っているじゃありませんか。それにもかかわらず、どうも各党間の合意が得られないからとか、各党間でもっと話し合わなければとか、とんでもないことをおっしゃっている。政治資金規正法改正に関しては各党間の話し合いはむしろ要らないんです。これは政府がやらなくちゃいけない義務なんです。そういう点でもう一回、なぜ政治資金規正法の改正をすぐやらないのか、そして各党が全然合意もしてない非常に反対しているこの全国区改正なんかを強行しようとしているのか。おかしいですよ、これは。政治資金規正法改正を政府は早く迅速にいますぐ行うべきだと思いますが、どうですか。もう一回責任ある御答弁をお願いしたい。
#58
○国務大臣(世耕政隆君) 法律が個人献金を希望的な方向としていることは承知のことでございます。ただ実際問題として、個人献金がなかなか集まってこない、こういう現実でございまして、この上で、この個人献金すべてが善であるとも言いがたいものであります。さらに事柄は、先ほど申し上げましたように、各政党の財政基盤に関する問題でございまして、これは政府だけで検討を進めるわけにはいきませんので、ぜひこれは非常にむずかしい対応であるだけに、いろいろ各党からのお知恵を拝借しなければならないと思います。そういうことで、各党間の十分な御協議をいただきたいと存じている次第でございます。ただ、五年たったら改正すべきであるというのは、つまり努力しなさいよ、こういうふうにした方がいいですよという教訓的な法令といいますか、そういう形になっておりますので、五カ年きっかりというところに幾らか幅を持たせている法令でございます。そういうことで、ひとつ十分御協議をいただきたい、このように思っております。
#59
○大川清幸君 ちょっと答弁不満ですが、この問題だけやっていると先に進みませんから、また別のときに同僚からこの辺は詰めてもらいたいと思います。
 そこで、今回の提案された法案ですけれども、この法案についてはいろいろ批判もあるし、憲法違反の疑いもあるというような問題も出ておるわけです。こうした一種の混乱をしているときは、すべて問題は原点に立ち返って物事を考えた方がよろしいのじゃないかと思うんです。
 前回も参議院の機能と役割りについては何点か御質問申し上げたのですが、確認のために申し上げますと、まさに釈迦に説法だとは思うんですけれども、衆議院の方は国民意思の多数あるいは少数の数を代表する、こういうことが基本的な理念になっていると思うんです。参議院の特に全国区、これは参議院全部含めてのことですが、参議院の方は国民各分野の各層の全国的な理性的合理的な高度の専門意見を直接代表する、こういうような考え方が基盤にあると思いますね。これらが二つかみ合って全国民を代表する機関としての機能を国会は果たす、こういうことだろうと思うんです。これはまあ二院制の大前提ではなかろうかというふうに考えるわけです。
 御承知のように、憲法第四十二条によって衆参両院が構成されておりますし、その両院というものは四十三条の規定によって国民を代表する選挙された議員によって組織されることになっております。それで両院は、したがいまして四十一条の規定によりますと、立法府としての責任を相互に分担する形になっておりまして、しかもこの二院制をとったという意味合い、意義について考えてみますと、両院はただ単に責任を相互に分担する相互関係だけでないはずですね、この二院制を置いたという精神から考えますと。確かに両院は同じく国民を代表する選挙された議員によって組織をされておるわけですが、ただいま申し上げた意味合いで言うと、両院に相異なる機能を求めていることが明らかだと思うんです。そういう点から考えますと、今回の提案の中身、中身は次の第二ラウンドのところで各議員から質疑に入るところだろうと思うんですけれども、この法案の性格、内容から見まして、この基本的な精神が破壊されてしまう危険性はないか、政党本位の選挙に切りかえることによって。この点はどのように考えておられますか。
#60
○委員以外の議員(金丸三郎君) 両院の性格とか両院制度の設けられました目標と申しましょうか、これは御指摘のとおりであると思っております。また、たびたびそのような趣旨のお答えをいたしてまいりました。
 私どもは、今回の改正案は地方区につきましては従来どおりでございます。参議院の全国区につきまして、いまの個人本位の選挙では余りに選挙区の構成が膨大に過ぎ、区域がまた広大でございますので、政党本位に切りかえることにより集票能力よりも人物に主眼と申しましょうか、主眼といってはあるいは言い過ぎかもわかりませんけれども、もっと集票能力だけでなく、広く人材を各政党で得られやすくなるのではなかろうか、これが衆議院と異なった参議院の機能を発揮することになってまいるのではなかろうか、かように考えましてこのような提案をいたしたわけでございます。
#61
○大川清幸君 どうも答弁がすれ違いで困ったですね。
 ところで、現行の憲法や参議院選挙の制度が発足をした当時、十分御承知だと思いますが、憲法附帯決議がついております。その内容は、「これがために」というのは公選制のためにですね、公選制のために「衆議院と重複する如き機関となり終ることは、その存在の意義を没却するものである。政府は須くこの点に留意し、参議院の構成については、努めて社会各部門各職域の智識経験ある者がその議員となるに容易なるよう考慮すべきである。」。この附帯決議がついていますが、これについては、現在は既成事実、政党化が進んでいるんだからというのがそちらの現状判断のようですけれども、こんな決議なんかもう必要ない、無視してかかるんだ、こういうことですね。
#62
○委員以外の議員(金丸三郎君) お尋ねの点につきましては、先般前島委員から御質問がございまして、その附帯決議でございますとか、参議院の全国区制の結論が出ましたときの北委員長の報告でございますとか、御説明を申し上げましたので、失礼でございますが省略をさせていただきます。その附帯決議の趣旨は、できるだけ職能的な配慮を加え、第二院にふさわしい人を得るような制度を考えろというのが根本の趣旨であったと思います。私どもはその基本につきましては従来と変わっておらないと、このように思うのでございます。ただ、やり方が個人本位の選挙制度から政党本位の比例代表制に改める、それによって目的を達成し得るのじゃなかろうかと、こういう基本の考えでございます。
#63
○大川清幸君 どうも答弁不満ですけれどもね。それでこの間、栗林委員からも指摘をされて論議になっておりましたが、提案者のおっしゃる、政党が責任をもって参議院にふさわしい人を選ぶというのですけれども、それは人材も社会にたくさんいらっしゃるから、探せば選べるその辺の可能性は私はあるだろうと思いますよ。ところが、名簿に載せる立場の政党と載せられる方の人材との力関係を考えてくださいよ。しかもさんざん論議になりました、議会運営の中で、国会の中で党議拘束はどうしたってこれは大変な力を発揮するんですよ。一つの法案をどうするかという扱いについて、たとえば自民党さんの中でその法案に、政府が出し与党が賛成して今日まで運営してきたのですけれども、その中で一人でも反対をしてごらんなさい。これは党を追放されちゃうでしょう。除籍されちゃうでしょう。
 そのいま言った名簿へ載せる力関係、もう一つは党議拘束の威力の問題から考えたら、おっしゃるように選ばれた人が名簿の順位で当選してきて国会の中へ入ってきたって、その見識や高い能力を自由濶達に発揮できるなんていうことは考えられないのじゃないですか。この政党本位の選挙制度で選ばれてきた場合には、どこの政党に所属するような高い見識を持った人材であったって、衆議院以上に政党化を拘束される中で何ができますか。衆議院のカーボンコピーをもっと強化する方向にしかいかないと、私はそう断言してもいいと思うんですが、その辺の認識はどうお持ちなんですか。
#64
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は運用の問題に帰着するのではなかろうかと思います。(発言する者あり)
#65
○委員長(上田稔君) お静かに願います。
#66
○委員以外の議員(金丸三郎君) 運用の問題に帰着するのではなかろうかと思います。その政党も、今後国民に党が責任を持って選挙運動をして、名簿に登載した候補者が当選できるように運動するわけでございます。今後はその個人もできるだけいい人を選ぶのはもちろんでございますけれども、党としてもまた党の政策を国民に訴えてやっていかなければならない。ただその場合、党と個人との関係でございますが、私どもが党員以外の人も党が名簿に登載し得るといたしましたのは、党議拘束の問題もございましょうけれども、やはりできるだけ人材を党の内外に求めて、そして参議院議員にふさわしい活動ができるようにするためにその方がよろしいのではないかと、かように考えたからでございます。
#67
○大川清幸君 これはここで質疑応答をやって論議が済めばいいことではないのであって、これは学者あるいは国民の中からも参議院の存在というのは問われているんですよ。それだから皆さんも御苦労なさって改革協議会などでいろいろ御工夫なさっているけれども、どれだけ成果上がったですか。これからもどれだけ成果上がると確信していらっしゃるんですか。まず余り、そう言っちゃ残念ですが、効果は期待できないのが正直なところじゃないですか。しかも、りっぱな人材の角を矯めるような党議拘束の扱いをどうするかということで、これはなかなか党内で論議しても困難でしょう。ですから、そういう点から考えれば、党議拘束のことでは明確な御返事はないのですけれども、まあいい人を選ぶからそれで何とかなるでしょう、この答弁では私も納得いかないし国民も納得しませんよ。
 それでは改めて伺いますが、参議院は衆議院のカーボンコピーでもいたし方がないんだというふうに腹の中で提案者はお考えになっているんですね。
#68
○委員以外の議員(金丸三郎君) そうでないようにいたしたいと思って、私どもはこの法案を考えたわけでございます。
#69
○大川清幸君 そうでないように考えていると言うけれども、その答弁はちょっと根拠が薄いんですが。先ほどはこの現行法あるいは憲法が制定されるときの附帯決議について申し上げたのですけれども、いろいろな問題があって実際には今日のような選挙制度になってしまったのですが、政府もあのころ七つの試案まで考えている。あれは何のためにした努力ですかね、どう思っていますか。
#70
○委員以外の議員(金丸三郎君) 古い以前のことでございますので、なぜかと申されますというと私も大変答弁に苦しむわけでございますが、やはり当時の国民的な考えから申しまして、職能代表的と申しましょうか、できるだけ、衆議院が地域代表的な色彩が強いのであれば、参議院、少なくとも全国区につきましては各界各層から全国的な視野の人が選ばれやすいような制度を考えろ、こういう考えであったのであろうと思います。
#71
○大川清幸君 それでは時間がなくなったので、ちょっとこちらの考えていた順序での質問ができないのですが、自民党さんの選挙制度調査会長の後藤田さん、この方がことしの四月十九日、日本経済新聞紙上で対談をなさっていまして、その発言をちょっと読んでみます。
 「この制度改革が直ちにできるかといえば、少なくとも現在の制度で出ている人たちの優遇措置」、来年選挙の自民党さんの議員の方々のことだろうと思うんですよ、あるいは参議院全部含めてでしょうか。「優遇措置を講じない限り、法律案は通りません。だから自民党としては、そういう政治的な現実の上に立って、少なくとも五十八年、六十一年の二回ぐらいは現職優先の考え方でいこうということです。」と。これは有為な人材を選ぶ余地はありませんよ、自民党さん。「そしてこの人たちが世代交代したときに私の言う制度に移行すべきだと思います。」、これは全く党利党略のにおいふんぷんですな、ひどいですね。「いまは現職優先だから前回の得票順に並べてもかまわないのですが、先行きそういう理想案とかけ離れた派閥の問題とか、いろいろな利害関係等で」、後を聞いてください、「変な名簿をつくるのではないかという心配はあります。」と。
 提案者、おたくの選挙制度調査会の中でいろいろ御検討なさったその最高責任者である後藤田さんのこれは御発言です。いま金丸先生からいろいろお答えがあって、運営上はいい人材を選ぶから大丈夫だという私の心配に対する御反論なんですが、その先生の御意見は根底からこの発言を見ると崩れていますが、そう御認識はなさいませんか。
#72
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私、この問題について後藤田会長と話したことがいまの問題につきましてはございませんので、どういう真意であったか確実ではございませんが、一つの点は現職優先という点でございます。私どもは、やはりこれは衆参両院を通じまして現職優先ということは、一つの基本の考え方をとるのが自然であろうと思います。現職優先にいたしましても毎年何名かの方はおやめになるわけでございます。また相当数の立候補を予定をされることになりましょうから、現職優先であるから全くの現状維持になるということはないと思います。
 それからまた、名簿をつくります以上はやはり私は国民に党として訴えるという要素が出てまいりますので、私は党の内外に視野を広げてりっぱな人材を探すようなことになると、かように考えます。
 それから将来変な名簿ができる心配がありはせぬかという点でございますが、これは全く運用の問題で、私は名簿が政党ごとにつくられるのでございますならば、各政党のここは良識であり、国民の審判にたえ得るようないい候補者を選んだ政党が結局は国民の支持を得られるようになりますので、私は名簿の作成につきましては各政党がきわめて真剣になっておいでになるのではなかろうか、これは私一人の期待かもわかりませんけれども私はそのように考えております。
#73
○大川清幸君 いよいよ時間がなくなってきましたが、そうすると、この後藤田さんが新聞紙上に活字でおしゃべりになっているのですけれど、この制度に対する重要な欠陥について心配をしているので本音が出たんだろうと思うんですよ。これで大丈夫だと言われてもそういう国民が心配している悪い現象がこれ運営上出てこないという保証は何にもないじゃないですか、何か保証があるのですか。
#74
○委員以外の議員(金丸三郎君) 名簿の作成は、法律に規定しておりますように一種の枠組みを考えております。法律が通りましたならば、この法律に従いまして私はわが党におきましても名簿の選定機関がつくられ、人選が行われ、選定の基準が十分に検討せられて、そうして私は国民からなるほどと思われるような基準によって名簿が作成されてまいるようになるだろう、またそういうふうにしなければならないと、かように考えております。ここは私どもの、立法者の責務というよりも党の執行部の責任でございまして、この点は大変大事な点でございますが、私は制度の要点でございますので、名簿の作成に当たってはきわめて真剣な考慮が払われるようになると、かように期待をいたしております。
#75
○大川清幸君 それでは最後に、先ほどどなたかも質問しておりましたが、この小選挙区制の問題ですけれど、金丸先生もそうですし、後藤田選挙制度調査会長等も、現在のところ考えていない、こういう言い方をしています、混乱するから現在のところは考えていないのだという意味のようにおっしゃっています。ところが、この全国制が通ったら必ず衆議院で小選挙区制を提案する段取りというのは、先ほどもありました頭の中というより、具体的にインプットどころじゃない、準備が進んでいるんじゃないですか。その辺は先ほどから答えが不明確なんですけれど、用意なさっているのでしょう。どうなんですか。
#76
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私の承知いたしておる限りでは、そういうような用意はございません。
#77
○大川清幸君 それでは最後に、先日御質問申し上げたときに、法務省の答弁もきわめてあいまいだったんですよ。最高裁の四十二年十二月四日の大法廷判決、これは被選挙権は国民の基本権であるという判示ですね。このことについて、先日の提案者の答弁は判決をむしろ否定するニュアンスの、否定した答弁と受け取れるように思うのです。憲法第九十九条は国会議員の憲法を尊重し擁護する義務が規定されています。このことは当然九十八条及び八十一条を含むものと解釈されます。したがいまして、提案者はこれらの関係などをよく考えてお答え願いたいと思うのですが、これは憲法を擁護する義務がわれわれにはある。大法廷の判決は国民の基本権であるという判示をなさっている。あのような発言は、学者とか文化人、評論家がおっしゃるならいいんですよ。ところが、国会議員の立場でこの最高裁判決を尊重しない向きの発言があることについてはきわめて問題だと思うのですが、もう一回改めて金丸さんの御意見を聞いておきたいと思います。
#78
○委員以外の議員(金丸三郎君) 憲法の規定を尊重しなければならないことは当然でございます。ただ、最高裁の判決といえども御承知のように変わることがあるわけでございます。選挙権が基本権であると考えるかどうかにつきましては学者の間にも御承知のようにいろいろ意見がございます。あのような判決がございましたけれども、私どもは、いわゆる選挙権は選挙資格であり、被選挙権といわれるものは選挙の資格でありまして、いわゆる自然権ではない、法律によって与えられた資格であると、こういうような考え方をとっておるわけでございまして、別に憲法の規定を尊重するとか尊重しないとかという考えではなく、憲法の解釈として私どもはかように考えて、このような立法をいたしたのだと、こう申し上げておるわけでございます。
#79
○大川清幸君 ちょうど時間になりましたからこれまでにしておきます。
#80
○委員長(上田稔君) この際、お諮りいたします。
 委員外議員青島幸男君及び中山千夏君から本法律案の質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#81
○委員長(上田稔君) 御異議ないと認めます。
 それでは、まず青島君に発言を許します。青島君。
#82
○委員以外の議員(青島幸男君) まず、自治大臣にお尋ねをいたしますけれども、選挙制度について最も早急に手をつけなければならないとすれば、さまざまの問題がありますけれども、衆議院で最高裁の違憲判決さえ出ております定数是正の問題が先ではなかろうかという気がするのですが、優先順位から言うとこれがまず焦眉の急ではないかという気がするのですが、その点についてはどういうふうに対処なさるおつもりですか。
#83
○国務大臣(世耕政隆君) 従来から、この定数是正は衆議院ではときどきなされてきております。昭和四十七年の総選挙について最高裁の違憲判決がありまして、ただその四十七年の選挙には出たのでございますが、その次の五十年でしたか、五十年にすでに定数改正――この四十七年の違憲判決とは関係なく、五十年に定数の改正が各党間の合議の上でなされたといういきさつがございます。その後改正はやっておらないのでありますが、先ほどの御論議のあれで、そのいきさつをお答えしておいたわけでございます。
 参議院の方は、地方区の訂正の問題がときどき出て論議されているところでございますが、これもなかなか非常にむずかしい複雑な因子が入っておりまして、なかなか思うように進まないので、これはむしろやはり各政党間のいろいろな事情を勘案して、十分に御検討いただいた上で改正すべきは改正すべきであろう。ただしかし非常に困難である。このことを私どもは考え、常に念頭に持っているものでございます。
#84
○委員以外の議員(青島幸男君) このままの状態で推移いたしますと、やがては地方区の問題にも大変なことが生じてまいりまして、ついには憲法上にのっとってない、正規に認められないような議員さんによって立法府が構成されるというようなことになりますと、そこでつくられた法律自体が違法性を持っているということになりますと、行政府がその法律を守っていいのかどうかということさえ疑問が出てくるようなことで、はなはだしい混乱が生じるわけですね。
 確かに、地方区の場合偶数制をとっておるという実情などありまして、それこそ各党間の利害が非常に絡み合っておりますので、早急に手がつけられないという実情はわかりますが、このまま放置しておいたらますます混乱の度を深めるということから考えまして、緊急に対処すべき筋合い、あるいはどう対決したらいいのかということは、自治省としては当然早急に御勘案いただかなければならないことだと思います。重ねてお尋ねいたします。
#85
○国務大臣(世耕政隆君) ただいま二、四、六、八といったような偶数制がこの参議院地方区の定数になっているところでございますが、これは人口の比率からやっていくと、今度は逆に奇数になったりいろいろするわけです。全部偶数に修正しろという御意見も強いわけだし、普通の数の正常なあれでいくと奇数になるような部分も出てくる。そうすると、奇数ではぐあいが悪いから、じゃ選挙区の区域をもうちょっと縮めたり広げたりして、隣の県にまで入っていくかどうか。大変実際は、現実には非常に困難なむずかしい問題が横たわっているのが事実でございます。
 そういうことで、なかなかむずかしい問題が非常に山積しておりまして、ここで自治省の方でやったらいいじゃないかというような御意見が出たことも確かでございますが、これはヒットラーみたいな人が出てくればこれは別なんでございますが、なかなか民主主義の社会の中ではそういうこともあり得ませんで、われわれの方もこれの取り扱いについては非常に困惑を感じているところでございますが、やはりこれは政党間の、一番選挙というのは政党政治の基盤になるところでございますから、どうしても各政党のお知恵を拝借した上で、十分論議された上で改正すべきは改正すべきではないかと、そういうふうな方向に私どもは考えておる次第でございます。
#86
○委員以外の議員(青島幸男君) 確かに、選挙制度の問題などは各政党の消長、あるいは国民の、あるいは民主主義にとって重大な問題でございますので、さまざまな論議が重ね上げられた上で解決しなければならぬ問題だ、おっしゃるとおりだと思います。それにいたしましては、今度提案されましたこの改正案はどうもその方向にのっとって行われてないように私は感じます。
 今度は提案者にお尋ねをいたしますけれども、いま自治大臣が言われましたような背景は民主主義のルールの上では一番大事なことだと思いますね。もうきわめて基本的な背景からお尋ねいたしますけれども、憲法で国会が衆議院及び参議院で構成するということになっておりますけれども、衆議院と参議院の違いにつきましてはこの委員会でもるる論じられてまいりました。基本的なことを簡潔にお答えいただきたいと思います。どこがどう違うのでございましょうか、衆議院と参議院は。
#87
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先般も、前島委員の御質問であったかと思いますが、お答え申し上げましたように、予算関係のことにつきましては衆議院が優越をいたしておりましたり、また議院内閣制との関連で、内閣総理大臣の指名の問題でございますとか、不信任議決の問題でございますとかいうことは衆議院のみに与えられておる権限でございます。そういう面では衆議院が優越するというのが現在のわが国の二院制度のたてまえであり、ただ憲法改正のように重要な問題の発議につきましては、衆参両院に同じような権限が与えられております。
 以上のようなことが、両院の憲法上におきまする権能の面から見た重要な違いではなかろうかと思います。
#88
○委員以外の議員(青島幸男君) それはそれで私もそのように了承しております。
 ただ、参議院はどういう役割りを持つべきであろうか、衆議院はどういう役割りを持つべきであろうかということが立法された当初からさまざまに論じられてまいりましたが、衆議院が積極的に政策論議を闘わすところであれば、参議院はそれの行き過ぎをあるいはチェックするところとしての存在を高めなければならないだろう。そのゆえに、せんだっての委員会でも栗林委員などもるる発言しておられましたが、衆議院と同じようなものにならないようにしなければならぬだろうという配慮が十分になされていたと思うんですが、今度の改正案ですと全く同じものになりはしないかという懸念が皆さんにあるわけです。同じものにならないようにという初めから配慮がなされていたのに、その線にのっとった検討がなされているんではないというふうな認識をしますね、私どもは。全く同じものができてしまう可能性があるわけですよ。
 わずかに無所属が出てくるすきがあったのが全国区なんですね。この全国区から無所属が出ることを排除してしまう。しかも地方区からも現に無所属の議員さんが出ておられます。しかし、今度この制度が具体化されるようになりますと、地方区からもそれぞれの政党がお立てになるかもしれませんね。そうなると、地方区から無所属の議員さんがお出になるという可能性は全く排除されちゃうんじゃないですか。そうしますと、全国区からも地方区からも無所属の人が出てくる可能性を全く排除してしまうということはいかがかと思いますが、どんなものでしょう。
#89
○委員以外の議員(金丸三郎君) 今回の改正に関しまして、また現在の参議院の制度に関しまして大変重要な点に触れたお尋ねでございますので、あるいは十二分にお答えができかねるかもわかりませんけれども、率直に申し上げたいと思います。
 先般、前島委員が憲法の改正から現在の参議院の全国区の制度、それから参議院の選挙制度がつくられるに至ったいきさつ等について詳しいお尋ねがございました。私よりも詳しく申し上げたつもりでございます。いろいろな経過がございまして、参議院の選挙制度としては、現在の地方区とそれから個人本位の全国区の制度になり、被選挙権の年齢は三十歳として、衆議院と異なっておることは御承知のとおりでございます。
 今回、私どもが改めようといたしておりますのは、地方区は従来のままで、全国区につきましての選挙の方法を改めようとしておることで、その点に関します限り私どもは参議院の機能等を全面的にこれによって改めようとするものではございません。従来、全国区がございますから無所属の方がお出になっておる、これも厳然たる事実で私はあると思います。
 しかし一方、昭和二十年代には二百名からの立候補者がございました。現在は百名前後になっております。私は、これは全国区の選挙が政党政治になってまいった結果だ。そして昭和二十年代には十数万でも全国区に当選できましたのが、今日では六十万、七十万票でなければ当選できなくなった。きわめて特殊な才能をお持ちの方以外は全国区にはなかなか個人本位の選挙制度では当選ができなくなってきた結果であろうと思います。かつ、地方におきましても全国区におきましても、したがって選挙そのものは政党的に行われるようになってまいり、そして全国区につきましてはりっぱな無所属の方もいらっしゃいますけれども、現実には大変な金がかかり、大変な選挙でございます。八千万を超す大きな選挙区で数十名の人を直接に選ぶという選挙制度は、私は世界じゅうどこを探してもないと思います。
 これが私は、個人本位の選挙制度としてのわが国の参議院の選挙制度の特色であると同時に、また一番の問題点でありまして、これから生じますいろいろな弊を是正するためには、やはり政党選挙の現実を踏まえて、そして政党本位の名簿式の比例代表制によりますことが、民意をできるだけ正確に参議院の全国区の中に反映する一番いい方法ではなかろうか、かように考えた次第でございます。
#90
○委員以外の議員(青島幸男君) しかし、まだ三十五年しかたっていないわけですね。その中にも、いまおっしゃられたようにいろいろ情勢の変化があったわけですね。今後、十年後あるいは二十年後、またどう変わるかわからないわけですよ。自然にいまの現状のまま置いておいても、実にいい制度として残っていく方向を進むかもしれないじゃないですか。それを、現状がそうだからといって、いまこの世代だけで、せっかく鋭意努力して先輩方が考案されてそれを積み重ねてきたこれまでの努力というものを、現状がそうなっているから、現状が都合悪いからというだけで、将来を展望することなく、ここでいま急遽変えてしまうという必要がありましょうか。このまま推移したら、ますますそのままになって、現状よりますます悪くなるんだということを提案者は断言できますか。わからないじゃありませんか。それはやっぱり思い上がりだというふうにしか私は認識できないのですが、いかがなものでしょう。
#91
○委員以外の議員(金丸三郎君) 繰り返し申し上げておりますように、参議院の制度の改革につきましては、地方区の定数是正の問題もございますけれども、やはり参議院の全国区の制度をどうするかということでございます。私はここ十年以上この点がわが国の衆参両院の選挙制度の改革の論議の中心になってまいってきていると思います。(発言する者多し)
#92
○委員長(上田稔君) お静かに願います。
#93
○委員以外の議員(金丸三郎君) したがいまして、おっしゃいますように、現在と将来と比べて、まだ三十数年しかたたないからもっと続けてもいいじゃないか、確かにそういう御意見もあろうかと思いますけれども、私どもはここ十年あるいは十年以上の過去のわが国におきまする選挙制度改革の論議から顧みますというと、全国区の改正についていま結論を出しますことは決して早急というふうには考えておりません。相当に私どもは論議されてまいった問題だと、かように考えます。新しい制度をつくってそれで保障ができるかどうか、それは神様でございませんからわかりませんけれども、私は日本の現状からいたしますならば、いろいろな弊害を除去できて、そしてまたより参議院にふさわしい人を得られやすくなるのではなかろうか、かように考えております。
#94
○委員以外の議員(青島幸男君) いまおっしゃられました改革の問題がずっと国民的に論議されてきたかどうかの問題につきましては、後ほどまた改めてお尋ねいたしますけれども、いま参議院にふさわしい方がどうのこうのとおっしゃられましたけれども、現に参議院にふさわしい方というのはどういう人なんでしょうね。(「青島だ」と呼ぶ者あり)私は大変ふさわしいと思っていますよ。先ほども大川さん言われましたように、大変有為な方がこの拘束式比例代表制で出てこられるかもしれませんね。しかし、有為な方が出てこられても、先ほどおっしゃられたように党議拘束の厳しい中でその有為の人の人材の特異性とか、そういうものは全く保障されないでしょう。(発言する者多し)
#95
○委員長(上田稔君) 静かに願います。
#96
○委員以外の議員(青島幸男君) 現実の問題といたしましても、いまあなた方がこうやって改正案を提出していらっしゃいますけれども、自民党の中にもいまだに根強く反対だということを、公式にはおっしゃいませんが、思っている方がおいでになりますね。個人的にお話し合いをしてみますと、賛成なさっていらっしゃる、あるいは対案を考えていらっしゃる。社会党の議員さんの中にも、比例代表制というものには疑点が多い、賛成しかねるという御意見をお持ちの方も多数、あえて多数と申しますが、多数おいでになることも事実でございます。そういうふうな中でこの考え方を推し進めるというのは非常に私は傲慢といいますか、現にそういうことで迎え入れられて、党議拘束というものの中でがんじがらめになって、せっかくの才能を発揮することもできずに失意のうちにこの参議院を去っていかれた方もおいでになるじゃありませんか。政党政治というのは究極は数の政治でしょう。どういうかっこうでお招きしたにしろ、採決要員でしかなくなってしまうじゃありませんか。そういうことで、せっかくお迎えした有為の人の才能はどの点で発揮されるのですか。全く違う意見を持つことはできないわけでしょう、政党の中に所属したら。(「自民党へ入ってこいよ」と呼ぶ者あり)ああいう方はふさわしい方だと思っていらっしゃるんですか、あなたは。その点もう一度明確にお答えいただきたいと思うんです。
#97
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、現在の参議院の方々が参議院にふさわしくない方とはちっとも思っておりません。
 私どもが提案をいたしておりますのは、よりふさわしい人材がより得やすいようになるのではないか、これが私どものこの拘束名簿式をとっておるゆえんでございます。党議拘束の問題もございますし、これは党の良識と申しましょうか、わが国の各政党の今後の運営の問題と申しましょうか、党の今後の考え方、また、参議院議員として私どもがお互いにどのように参議院を機能させていくかを考えていく過程において解決をしてまいるべき重要な問題ではなかろうか、かように存じます。
#98
○委員以外の議員(青島幸男君) 運用の問題としてさんざん苦労して積み重ねてきても、なかなかできないというのが実情でしょう。だからこういう問題が出てきたのじゃないんですか。参議院議員として最もふさわしい人というのは、この参議院の持つ機能を推し進める、良識の府としての機能を回復させるような、つまり自由な発想と行動が保障されている人、そういう方々の集まりでなければならないはずなんですね。現実だめだからといって後退してしまって、固定化してしまうというのは最もこそくなやり方だと思いますね。理想的に言えば特定の政党とかあるいは団体の支援を受けてない、受けないで出てこられる人、そういう方々の後ろにいる人たちの顔色を見たりしないで、個々に自分の考え方が自由に伸展させられる、展開させられる方々が一番望ましいのじゃないですか。だったら、やっぱり常に理想は高く、現実はそうでないにしても、理想は高く掲げておくということがわれわれ議会人の責任じゃないのですか。その点を踏まえられてどうお考えになりますか。
#99
○委員以外の議員(金丸三郎君) 結局ただいまの御意見は、現在の個人本位の選挙制度を続けた方がいいのではないか、その方が党議にも拘束されず自由な意見を述べられる参議院が得られるのではないか、私はそのようなふうに感ずるのでございます。まさにその点でございます。そのように考えるか、現実にわが国の参議院の全国区の制度は、先生方のような特殊な才能を持っていらっしゃる方だけが特別に選ばれておいでになるので、平均的な候補者は、団体がバックにあるか、何らかのものがなければなかなか出てこられにくい。これが政党であるとか団体であるとかいうようなことになり、そして三十数年の経過の間に今日政党選挙になってまいってきておるのだと、私はこのように思います。ここは個人本位の選挙制度をどのように評価するかという問題だろうと思います。
 私はそのことを否定するわけではございませんけれども、現在までのわが国の参議院の選挙の実際からいたしますならば、やはり政党本位にし、そしてできるだけ党の内外から人材を選んで、党が主体になって国民に訴えて、人材を参議院議員として出して参議院の活動ができるようにすることの方が現在よりもベターではなかろうか、少なくとも私どもはそのように考えておる次第でございます。
#100
○委員以外の議員(青島幸男君) 私はそのように考えないので、どうも意見がかみ合わないのは当然だと思うんですけれども、翻って考えますと、趣旨説明の中で、いま有権者にとって候補者の選択が著しく困難である、改正案で候補者の選択が容易になるというふうにおっしゃられますけれども、どういう点で容易になるとお考えなんですか。
#101
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほども申し上げましたように、昭和二十年代は実に二百名前後の全国区の候補者がございました。現在でも百名前後ございます。その中から五十名の人を選ぶわけでございますが、有権者は一人の名前しか書くことができません。有権者のサイドから見ますと、その百名前後の候補者に会った方あるいは話を聞いた方、これは多くの場合はほとんどないのであります。ないままで百名ぐらいの候補者の中から一人を選ばなければならないので、有権者の立場から見ましたら、地方区の選挙、衆議院の選挙、知事の選挙、府県会議員の選挙、市町村長の選挙、市町村会議員の選挙、わが国のあらゆる選挙を比較いたしてみました場合に、全国区の制度ぐらい有権者サイドから見て候補者のわからない制度はない、私はこのように考えます。それを今度は政党が責任を持ちまして候補者を選択するわけでございますから、私は国民のあるいは有権者のサイドから見ましたならばいままでよりもわかりやすい、このように考えております。
#102
○委員以外の議員(青島幸男君) だからといって、政党が決めるのだとすれば直接選挙にならないじゃないか、憲法にそぐわないじゃないかという反論に対しましては、いいえ個人の名簿を選挙前に明示してありますから、それを読んで認識していただきますといつもお答えになっていらっしゃいましたね。そうなりますと、従来にもまして繁雑になるのじゃないですか。政党が掲げられた名簿をやはり有権者は全部見なければならないわけでしょう。少なくとも見ることを提案者は希望しておられるわけでしょう、憲法のたてまえから言って。そういたしますと、各政党が、ぎりぎりよりも最低このくらいまでは票が集まって当選するかもしれない、しかしあと何人かはうまくすれば入れるかもしれないということで、何人か上乗せしますね。各政党が何人か上乗せするわけです。そうすると、五十人しか当選しないにしても、七十名、八十名、あるいはもっと多くなる可能性もありますね、当然。そうなりますと、有権者は、一人一人の方々がどの政党のどのくらいのランクにお出になっているのかということを認識して投票しなければならないわけですよ。その上、従来の個人投票になれている方が、この方はあの政党でこういう考え方をしている人かと思ったのに、この政党の推薦によって名簿に載っておる、それでは私はイメージが違う。また考え直さなければならないわけですね。そうなりますと、よけい繁雑なことを強いることになりはしませんか。その点はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
#103
○委員以外の議員(金丸三郎君) 名簿は選挙の期日が公示になりましてから届け出られますので、公式に有権者が候補者を知るのは、選挙の期日の公示があってからでございますけれども、私どもはやはり相当以前から各政党ごとに候補者は選定が行われるようになるのではなかろうかと思っております。また同時に、政党が候補者につきましてやはり国民に知っていただく努力は行われるわけでございます。有権者の立場から見ますというと、個人個人を選ぶのではなく、政党を選ぶわけでございますので、有権者の立場からAという候補者、Bという候補者は一人一人どれがいいかというのではなく、各政党ごとの名簿を見まして、どの名簿が一番いいと考えるか、私はこれが一つの基準になってまいるのではなかろうかと、かように考えます。そういう点からいたしまして、現在よりも有権者が選択に困難をするということはないのではなかろうかと、私はそのように判断をいたします。
#104
○委員以外の議員(青島幸男君) それはあなたが判断するだけですよ。それは平たくどなたにお考えいただくように願っても、ますます繁雑になるということはわかり切った話じゃありませんか。いままでの方が簡単ですよ。ずらりとある名簿の中から、ずらっと見てだれがいいかなと、一人決めればいいわけです。それをあなたがおっしゃるやり方だと、各政党についてメンバー表を見なければならない、しかもその順位も見なければならない。そうすると、あの順位だと当然この政党に入れてもあの人を当選させることにはならないだろう、私の一票は私のイメージに描いたA党の八番目の候補者を当選させることにはつながらないだろうと、そうした場合どうすればいいんですか、棄権すればいいんですか、次善の策をどうして考えるんですかね。いいかげんに政党で決めればいいやと、こういうことを国民に強いるわけですか。二重にも三重にも労力を強いることになりはしませんか。
#105
○委員以外の議員(金丸三郎君) 有権者の多くの方は、私は平素およそどの政党を支持するかというお考えは持っておいでであろうと思います。中に迷われる方も、あるいはまた無所属の方ももちろんありましょうけれども、私は有権者の立場から見ますというと、やはり百名ぐらいの中について一人一人を識別いたしますよりも、責任ある政党が候補者を選定して選ばれるわけでございますから、いろいろ順位等の問題もございましょう。それは有権者のサイドで判断をなさっておいでになれば、私は従来よりもむずかしくなるようには思いません。私がそう思うというだけで、それはおまえの勝手だとおっしゃれば、あるいはそのとおりかもわかりませんけれども、私は政党が責任を持って候補者を選定して、そして国民に提示をされるわけでございますから、各政党ごとの名簿をセットでよく有権者は見て、どの党に投票するかをばお決めになればよろしいので、現在よりもそう繁雑になるようには思いません。
#106
○委員以外の議員(青島幸男君) そのことがもっと大事なことを失わせるかもしれないんですよ。
 この参議院の全国区のそもそもの立法の趣旨というのは、それは全国的な組合の組織だとか、あるいは職能代表というような方々が日ごろ日常活動の中で、あるいは団体のために活動なさるのも結構ですが、その活動を通じて、大体全土にわたってあの人が日ごろどういうことをお考えになって、何をおやりになって、これからどういうことを目的に生きようとしている人かということを、少なくとも北から南までの有権者の中である程度コンセンサスが得られているという人が立つであろうということを想定していたのじゃないですかね。だから当初、推薦制なんということも考えられていたのじゃないですか。だからこそ支援団体なりがなくても当選できる人もいますし、あるいは職能代表として当選してこられる方もおいでになるということを想定して、地域代表とか政党代表というようなかっこうばかりじゃなくて、そういう国民的な規模に立って判断ができるという人を参議院に迎えられるためには、全国区という制度が必要だということを立法の趣旨では考えていたのじゃないですかね。
 しかも、それが出てくる可能性がまだ現状あるのに、それをつぶしてしまうということをしようとしているわけですよ、いま。言わせていただくと、勝手なことを申し上げるようで恐縮ですけれども、それもあなたの御判断でということになってしまうんですがね。芽を摘んでしまわれるということ、しかもそれが立法の趣旨と全く反対の方向で決せられてしまうということは大変残念に思うんですが、いかがなものでしょうね。
#107
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、全国区の制度が考えられました際、国会等の論議におきましても一部には非常な危惧が持たれておりました。昭和二十年代から三十年代に入り、現在に至りますまで、繰り返し申し上げるようでございますけれども、参議院の全国区の投票は、いわゆる個人本位からほとんど政党本位あるいは団体本位に変わってきておる。これは昭和二十年代に考えられた以上に政党化あるいは団体化と申しましょうか、に変わってきてしまっておる。純粋に個人として当選なさる方は、先生方のようにきわめてまれな方々だけであります。これが私はもう偽らざる現実ではなかろうかと思います。
 だから、先生方のような特殊な才能をお持ちの方が出られるように現在の制度を維持した方がいいのか、団体選挙であり、政党選挙であり、かつ非常な多額の経費がかかっておりますので、政党政治の現実を踏まえて、政党ごとの拘束名簿式の比例代表制によっていろいろな弊害を除去することの方がよろしいのではないか、これが私どもの立場であり、先般もどなたかでありましたかに申し上げたかと思いますけれども、個人本位の現在の制度を存置すべきだというお考えの方と私どもの考え方、いわばこれは価値判断の違いかと思いますけれども、そのどちらを選ぶかというのがぎりぎりの問題ではなかろうか、私どもは三十数年の経過を踏まえてみまして、この制度の方がよろしいと、このような結論に相なった次第でございます。
#108
○委員以外の議員(青島幸男君) 個人選挙の問題と、それからもう一つ政党化、団体化が進んでいるということをおっしゃいましたね。これは別の問題だと思いますよ。いまおっしゃられましたのは、二十年のころには考えられなかったほど団体化が進んできたとおっしゃいました。そうなりますと、団体の代表が自動的に当選するということもあるいは道としてあるわけですね。幾つかの団体が統合するということも可能でしょう。
 それで、政党化、団体化と一括しておっしゃられていますけれども、政党化、団体化は別ですよ、これは。団体化が進んでくるのだったら、それも結構じゃありませんか。全国を縦断する団体があって、その団体のために活躍してくれて、日ごろ何を考え、何をしようとしている人か団体のメンバーはみな知っておる。しかも、その似た種類の団体が幾つか統合して十分、三十万、五十万という票が集まる可能性がある。そうしたら、お金を一銭も使わなくとも当選できる可能性はあるわけですね、団体化が進んできておる現状でございますのでとおっしゃられましたよ。それまで封じてしまわれるわけですか。その団体の幾つかによっては政党としては分かれているところもあるかもしれません。政党化が進むのと団体化が進むのとは別のものです。それを一緒くたに論じられているというところにもちょっと矛盾点がありますよ。
#109
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私の表現がまずかったのかもわかりませんが、政党化が進んでいるのは現実でございます。また、団体と申しますのは、いろいろな経済団体もございますれば、宗教団体もあり、また労働の団体もあるわけでございます。これらの団体が必ずしも一つの政党だけを志向しているとも言えないわけでございますが、現在の全国区の選挙に立候補なさる方を見ますると、政党に所属しておいででございますけれども、ほとんどその背後には経済団体のバックがございましたり、労働組合というバックがございましたり、あるいは宗教団体があったりいたします。私は、政党か団体かと申したのはそういう意味でございます。
 昭和二十年代の参議院制度をつくりましたころは、職能的な代表という考えが相当ございました。これは団体化がその一環であるかもわかりませんけれども、それはそれとして否定するものではございませんが、そのようなふうに団体のバックなしには個人としては出られなくなった、これが私が申し上げたい点でございます。政党化イコール団体というわけじゃ決してございませんけれども、政党が候補者を選ぶのでも、その候補者の背後に団体がある。別の言葉で申しますならば、集票能力というものが候補者の選定の大事な要素になっておる。そういうふうにわが国の参議院の全国区の制度が変わってまいりまして、純粋に個人の能力と申しましょうか、だけで全国区に当選のおできになる方はきわめて例外的に少なくなってまいりましたので、私どもはその現実を踏まえて、政党本位の比例代表制を採用したらどうか、こういう結論になったという次第でございます。
#110
○委員以外の議員(青島幸男君) 政党が有権者にかわって候補者を選ぶから容易になるだろうというお考えのようですけれども、果たして有権者が政党にそれほど全幅の信頼を置いているかどうかという問題ですね。提出案についてもわかりますけれども、一番熱心に推し進めているのはみずから制度改革に深いかかわりのある人ばかりじゃありませんか。この現実を見ても、名簿順位というのは現職優先になるだろうし、有為な人を推すということですけれども、当選圏外に票集めのためにその人を並べるというような結果になりはしませんか。派閥とか権力争いの場になるということは、もう目に見えているみたいな気がしますけれどもね。それは再三同種の質問がありまして、提案者は、そんなことはないんだ、政党の良識にのっとってきちんとするんだ、運用の面でちゃんとうまくいくことを期待している。それは期待するのは結構でございますけれども、現実の問題としてこうなっているわけですよ。期待どおり動くとは限らないと思いますが、いかがなものですか。
#111
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私も決して安易に期待をいたしておるわけではございませんが、制度としてこのようなもので成立をいたしましたならば、政党はやはり国民に訴えて、自分の政党の力を伸ばし、自分の考えておる政策を実現したいわけでございますから、私は国民の支持が得られるような努力がなされるのではなかろうか。これは甘い期待とおっしゃればあるいは甘い期待かもわかりませんけれども、もしこの法律が成立をいたしまして、政党ごとに名簿をつくるということになりますれば、国民の批判にたえ得るような方法で候補者を選び、また国民の支持ができるだけ得られるような候補者が選ばれるような努力が行われるであろう、これを私は政党の良識に期待すると申しておるわけで、甘いとおっしゃればあるいは甘いのかもわかりませんけれども、法律が成立をいたしましたならば私はそういうふうになってまいるのではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
#112
○委員以外の議員(青島幸男君) それは大変に金丸先生は楽天家でいらっしゃって、そんなふうに物事はうまく運ぶと大変結構だと思うのですが、そういうふうに運んでいるようだったら、この改正案なんか提出なさらなくて済んだのじゃないですか。もっと運用の面でうまくいくとすれば、参議院は良識の府として確固たる地位を得ていたのじゃないのですかね。改革協議会なんというのも、何回も何回もそれこそ優秀な方々が集まって議論なされてきたわけです。しかも、おたくの政党の衆議院の御意向だけで一蹴されたのでしょう。そういう現実を踏まえてお考えになっていただきたいのですよ。法案ができる前ですからそう悠長なことを言っておられますけれども、できてしまえばそうなってしまうのじゃないですかね。その辺は私は提案者ほど楽観的に考えられないわけです。
 続けて質問を移ります。
 趣旨説明では「政党が議会制民主主義を支える不可欠の要素となっており、また、国民の政治的意思形成の媒介として重要な機能を果たしている」、こうおっしゃられているわけです。そうなると衆議院にはそれは当てはまるかもしれませんけれども、衆議院からそれをやるということをまず考えないで、いきなり全国区だけに持ってきたということもそもそもわからないのですけれども、その辺、いかがなものでしょう。
#113
○委員以外の議員(金丸三郎君) まことにごもっともな質問と存じますけれども、衆議院の選挙制度は、衆議院の選挙制度だけで改正を行うのにもこれは大変な問題でございます。やはり時期が熟し、案についていろいろな話し合いが行われなければなりませんので、衆議院の選挙区制度自体もそうでございますが、衆議院の定数是正の問題につきましても、これもなかなかいろいろと問題がございます。したがいまして、それを先にしようとしましても、いつできるか、これは見当がつきません。
 参議院の全国区につきましては、繰り返し申し上げておりますように、私どもはもう十数年来のいわば論議が続けられており、いろいろな意見が出ておりますので、自民党として案をまとめまして提案をすることが適当であろうと考えまして、提案をいたした次第でございます。
#114
○委員以外の議員(青島幸男君) 参議院が政党化する現実があるから仕方がないんだというおっしゃり方をいつもなさいますけれども、参議院が政党化したのは現在結果としてそうなっているのでありまして、本来でき得ればそうならない方が望ましい、そうならない方が参議院の使命を達成するには都合がいいとだれでも思っているのじゃないですか。歴史的にもそうなってきておりますしね。結果として、しかしそうなっているからといって、現実の経過と過程を結果に合わせてしまうというのはおかしいのじゃないですか。これは本末転倒と言うほかないと思うんですよ。結果として参議院は衆議院のコピーになったのだから、それじゃ参議院をなくしてしまえと言うのと同じ論議じゃないですか。そうとしか考えられませんがね。
#115
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、参議院の現状は直接選挙という制度をとっておる結果であると思っております。世界各国の上院制度もまことに種々まちまちでございます。任命制とか何とかあれば、特別な間接選挙の制度でもとればあるいは別かもわかりませんけれども、現在のように直接選挙の方法を継続いたしてまいります限り、政党化は今後とも避けられない。これを避ける方法は直接選挙の制度をとる限りは私はない、かように考えます。
 これが今回このような私どもが結論をとった一つの根本的な、従来の経過と将来を見通しての結論でございまして、従来の経過と結果を見て、その現実の結果に合わせるんだということでは決してございません。今後将来のことも考えますというと、この方がいいのではなかろうか。少なくとも参議院について直接選挙の方法を維持します以上はこの方がよりベターであろう、こういう考え方でございます。
#116
○委員以外の議員(青島幸男君) ところが、現実の問題としては支持政党なしという層が年々選挙ごとにふえておるわけですね。ですからおっしゃられるようなことはない、そう決めつけられる問題ではないような気がしますよ。ますますふえてくる支持政党なしの票を、それではどうやってお救いになるのですか。これは何回もそういうことをお聞きしますけれども、やむを得ないと、こうおっしゃるのですがね。無所属がはじき出されるのもやむを得ない、公共の福祉のためにはやむを得ない、十二条ですか。何ですか私がここにいること自体が公共の福祉に反するようで、大変に恐縮に思っているんですけれどもね。
 すると、支持政党なしという方々にも政党に投票させることを強要なさるわけですから、やむを得ないということで片づけてしまわれるわけですか。それはこれだけの大きな選挙制度の改革については余りと言えば暴論ではなかろうかという気がしますが。
#117
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、先生方が特殊な才能をお持ちになって参議院で御活躍になっておることは敬意を表しこそすれ、変な考えはいささかも持っておりません。私どもは少し現実論現実論と申し過ぎるのかもわかりませんけれども、現実を踏まえまして、そして今後のことを考えてみます場合に、やはりわが国では政党政治によって、政党本位によって選挙が行われることの方がわが国の少なくとも全国区に関連をいたしますいろいろな問題を避け得るのではなかろうか、かように考えるからでございます。無所属、どの政党にも属さない、政党を支持しないという有権者があることも、これは私どもも承知いたしております。それが年々ふえておるとは必ずしも私どもは思いませんけれども、そういう人があることもこれは現実でございます。現実でございますけれども、わが国の選挙あるいは政治全体から考えまして、国民の意思が参議院の全国区にできるだけ適切に反映されるような比例代表の制度をとり、選挙にまつわる弊害が同時に除かれるのでありますならば、それでよろしいのではなかろうか、こういう考え方でございます。
#118
○委員以外の議員(青島幸男君) ところが、現実の問題として、いま政党別の得票数と議席数というのは現行の全国区で一番理想的に行われているのじゃないですか。それはそのままほうっておいてもいいような気がしますけれどもね。しかも支持政党なしというのは、この間も他の委員が発言なすっておられましたけれども、無関心だから支持政党なしではない。非常な関心を持っているのだけれども、信頼に足る政党がない、決めかねている、あるいはそれらの政党に対する批判票だ。地方区の選挙と全国区と同時に行われますね。余り地方区の選挙の締めつけが厳しいから、上役からは言われる、近所から言われる、親戚から電話がかかってくる、おかみさんからいろいろ言われる、わかったよ、それじゃ全国区の方は自分の好きに入れようじゃないかというので、息抜きに全国区の方へつい本音が出るというケースがあるということさえ聞きますね。そうなると、実際に有権者の本音というのは全国区にあらわれているのじゃないかという声もありますが、それは私の勝手な考え方でしょうか。
#119
○委員以外の議員(金丸三郎君) 有権者が地方区と全国区に投票なさる心理は、非常に私はいろいろあると思います。私の承知いたしておりますところではまた逆な例もございます。地方区よりもむしろ全国区の締めつけの方が厳しい、業者の団体によりましては、業者を集めてまあ金丸に入れろと、こういうような指示があるというようなことすらあるのでございまして、だから地方区の方が割りつけが厳しいとか全国区の方が緩やかだとか、これは私はやっぱり一概には言えないのではなかろうかと思います。
#120
○委員以外の議員(青島幸男君) あるいはそういう意見もあるでしょう。それは私の意見をお認めいただきたいのと同じように、金丸さんの御意見も拝聴いたします。
 大臣お戻りになりましたので、所管のことですからお尋ねいたしますけれども、実際、現行の全国区の選挙に一般の有権者はそれほど不満を持っているという認識をお持ちでしょうか、どうなんでしょうか。その点をどうお考えでしょうか。
#121
○国務大臣(世耕政隆君) 実はこの前の選挙でしたか、私はタクシーに乗って運転手さんに、ちょうど全国区の選挙の最中で、だれに投票するのねと聞いたら、自分はあまのじゃくだから青島さんに投票するんだというような答えでありまして、どうしてねと言ったら、どうもだれも入れるのはいないから青島さんに入れるというような、そういうことでございます。私は、やはりこれは入れなきゃいけない人というのと、それから全国区の場合は特にそうですが、有権者の方から見ると候補者をどれを選定していいか、雲かかすみのような感じを持っているのではないか。これは全部じゃございませんけれども、そういうものが一番根底にあるのは確かで、その上にだれだれに入れろとか、組合とかいろんな団体とかそういうところからの指定で投票する、こういうのが現実ではないかと思っております。
#122
○委員以外の議員(青島幸男君) いや、ですから、一般の有権者が現行の全国区の選挙のあり方について、どうもやりにくくてしようがないから、嫌だな、何とか直してほしいというふうに考えているのか、あるいはいまのままでしようがないと消極的に思っているのか、どっちなんだろうと、どういう御認識をお持ちかということを伺っているんです。
#123
○国務大臣(世耕政隆君) もう少し輪郭をはっきりしてほしい、わかりやすい選挙にしてほしい、こういうのが主流を占めているというふうに思っております。
#124
○委員以外の議員(青島幸男君) それはアンケートの結果なんかでそういうふうに出ているのもありますね。自治省はその点についてアンケートなんかをとったりして調査をなすっているはずだと思うんですが、もしなければいいんですが、あればお聞かせいただきたいと思います。
#125
○政府委員(大林勝臣君) かつて公明選挙連盟とかあるいは明るい選挙推進協会の方で選挙の種類別に、関心のある選挙、関心のない選挙、こういう統計、世論調査というものはとったことはございますけれども、それぞれの選挙制度についてどう直すべきかというようなアンケートはとった覚えはございません。
 ただ、現在の全国区制の投票態度、こういうものを私どもが見ておりましても、選挙期間中に投票所を数カ所拝見をするわけでありますけれども、たとえば一昨年のダブル選挙の際でございますが、四つ投票記載台というものを設けてありまして、参ってみますと、かなり長蛇の列をなしておりまして、満員札どめというような投票所もございました。中に入ってみますと、わりあい衆議院あるいは国民審査、それから参議院の地方区、このあたりの投票記載台というのは非常にスムーズに流れておりますが、最後の全国区の投票記載台になりますと黒山の人だかりみたいなかっこうになるわけでありまして、投票する際に、もう一度投票記載台の上にあります百名足らずの候補者を見ながら、だれにしようかと迷っておられる方もありましょうし、それからいろんな組織で頼まれた方の名前をうろ覚えに覚えながら、もう一度果たして正確にはどういう名前であったかなという確認をされておる方もあったのでありましょう。投票記載台の中で全国区の投票記載台だけが非常に目について渋滞をしておったというところから見て、多人数の候補者の中から一人を選ぶというのはなかなかむずかしいものだなという実感を持ったことはございます。
#126
○委員以外の議員(青島幸男君) それは立候補者が多いですから、当然そのようなことはあると思います。だからといって、それが繁雑でとても投票行為をするには耐えられぬという筋合いのものではないと思うのです。私も幾つかアンケートを拝見しました。しかし、アンケートも設問のしようによってさまざまな答えが出るんですよね。その一つのアンケートは、もし全国区の選挙制度に難点があるとすれば次のうちどれかというようなことで、幾つか難点が挙げてあるわけです。それで、しようことなしにつけたということはないでしょうけれども、そう言われればというふうな意味合いでおつけになったということで、二〇%程度の方々は多少疑問に思われているという結果は私も見ております。提案者の方々は、いまの現行の全国区の選挙のあり方について、国民、有権者の方々が不満に思っているに違いないということのアンケート調査なり、何か資料を根拠にお持ちなんでしょうか、どうなんでしょうか。
#127
○委員以外の議員(松浦功君) これまでございました各種の資料を拝見しながら、個人本位の選挙を政党本位の選挙に改めるのがベターであるという考え方で、この法案をまとめたという次第でございます。
#128
○委員以外の議員(青島幸男君) そうすると、何の資料も持ち合わせなくて提案なすっているわけですね。
#129
○委員以外の議員(松浦功君) 全有権者に対してそういうアンケートをしたという実績は持ち合わせておりません。
#130
○委員以外の議員(青島幸男君) それは私はそういうことを申しておりません。全有権者に対してアンケートをとるというようなことは大変困難なことでしょう。それはだれしもなかなかでき得ることではないと思います。
 現在提出されております、論議されております法案の審議ですね、現在この部屋で行われておりますこの審議について、どのぐらいの国民の方が関心を寄せておいでになると大臣はお考えになりますか。
#131
○国務大臣(世耕政隆君) その輪郭は非常につかみがたいと思います。
#132
○委員以外の議員(青島幸男君) そのとおりだと思います。私も大変その点を疑念に思いました。
 それで、提案者は繰り返し繰り返し、この問題についてはもう十何年も熱心に多くの意見を聴取し、また検討して研さんを重ねてきた、結果こういうことになったんだということをおっしゃられるわけですね。それはあなた方がお考えになったことでありまして、本会議場の趣旨説明なんかを伺っていますと、現行全国区制度に対してあたかも全有権者の中からほうはいとして不満が起こった、だから変えなきゃならぬというふうな言い回しでおっしゃられるわけですよ。私は決してそういうことはないと思いまして、私の知り合いなんかに、いまこういうことになっていて忙しい、こういう問題がいま国会の中で審議されておって、この問題について公選法特別委員会で非常に熱心な質疑が行われているということを知っていますかと言うと、へえ知らなかったという方が、私の周りにはがさつな人間が多いですから、多いのです。
 私も非常に疑念に思いまして、アルバイトの学生さんにお願いしまして、ランダムサンプルで電話のアンケートをしてもらいました。これは学生さんのアルバイトによる私どもの調査ですから、これをもってすべてここに信憑性があるとは申しません。ただ、例としてお聞きいただきたいと思いますけれども、有効対象は二百でした。それで全く知らないという方は九五%でした。少しは知っているという方は五%です。十人の方です、対象二百人ですから。制度改革が行われているらしいねという御認識がある方は五人です。知っていた人、正確に理解していたかどうかわかりませんが、知っていた人は五人ということですね、二・五%。そのうち、その知っている人に意見を聞いたら反対だと言ったというのですね。二人は賛成かもしれませんね。二・五%の人がそういうことが論じられているらしいということを知っていたというのです。それは私としては予想外に大きい数字でした。
 後でその学生さんたちと話をしてみました。そうすると、何だか電話をかけているのがむなしくなったというのですね、知らない人が多いので。ということは、私は趣旨を説明してお願いしましたから、余りむなしいので何か知っていそうな人を選んでかけたケースもあるんじゃないかということなんですよね。こういうかっこうで、大方の有権者に深くかかわりのある問題をここで勝手に決めちゃっていいのかどうかということです。知らしむべからず、よらしむべしでいいのでしょうか。多くの有権者にとりましては、この法案が決まりますと、ある朝起きたら突然そうなっていた、そういう認識を大多数の有権者がお持ちになるのですよ。ほんのささやかな私の調査で、これをもとに議論を展開しようとは思いませんが、こういう実態というのは、これは許されるのでしょうか。これは提案者にもお尋ねしますが、所管でございますから大臣にも御意見を承りたいと思います。
#133
○委員以外の議員(金丸三郎君) できるだけ多くの国民に理解をしていただき、また私どもの論議もお聞きいただくことが理想かと存じます。存じますけれども、制度の改正の問題のいかんによりましては、たとえばグリーンカードの問題でございますとか、あるいは税の問題でございますとかというようなものと違いますので、物によりましては、私ども専門と申しましょうか、直接かかわり合いのある私どもが政党として十分に吟味をして、そして国会の場で御論議をいただきますならば、私は国民に対しましても責めは果たし得るのではなかろうかと、かように存じます。
#134
○委員以外の議員(青島幸男君) ですから、国民の代表である議員の方々がここにおいでになって論議に加わっていらっしゃるわけですし、審議されているわけですから、それは全く国民の声を無視して、ひたすら推し進めようとしているのだというふうには私は受け取っておりません。しかし、重大な関心を持っている議員さん方が熱心に御議論になるのは当然のこととして、しかしある朝突然そうなっていたと有権者の方々の大多数が思うようなやり方というのは、それはやっぱりフェアなやり方ではないという気がするのです。民主主義のルールにのっとったやり方ではない。もっと周知徹底せしめて、それは提案者としてもそうお思いでしょう。多くの方々の議論を得て、少なくともこういう問題ですから、さまざまな問題を残しておりながら時間切れで強行採決というようなことになるようなことは、政府与党に対して心からそういうことのないようにということを、皆さん方のために私はお願いしますけれどもね。
 提案者は、長年この問題について論議してこられたといつもおっしゃっておられるのです。しかしそれは、院内におられる方、少なくとも立候補された方あるいは当選された方、もっぱら選ばれる側の方々の意見が闘わされているわけです。しかも、賛成していらっしゃる与党とそれから社会党の方々の中にも、反対あるいは疑問をお持ちになっている方は非常に多いわけですね。結局は、この制度はつまるところしんどくてかなわぬとか、金がかかってたまらぬと言っているごく一部の熱心な推進者によって無理やり推し進められているという感が否めないのですよ。各党とも全党的にコンセンサスを得て全員一致で賛成してここへ法案の提出があるというふうには、全く世間は受けとめていないんですね。全く自分の利害に関係ある熱心な推進者の無理押しによってこの法案が通るとしたら、それは根底から民主主義を覆すものだと思いますが、その点の御認識はいかがですか。
#135
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもの党におきましては、いろいろ御意見がございましたけれども、論議をし、コンセンサスを得まして党議として決定をして出したものでございます。個人的にはいろいろと御意見はあるかもわかりませんけれども、私どもはここ数年の間、いろいろな案を持った経過はよくもう御承知のとおりでございますし、できるだけ党内の各種の意見を聞き、また闘わせながら得た結論でございます。決して一部の者だけでこれを押し通そうというようなことは決してございません。
#136
○委員以外の議員(青島幸男君) 私の目にはそのように映るのはひがみかもしれませんが、すべての有権者も含む日本の議会制民主主義、将来も含めた大きな目から見ますと、これは一部の人間だけで押し切ってしまっていいような問題ではないという認識はどうしても持たざるを得ないのですが、そうでないという確信をお持ちのようですから、これ以上追及いたしません。それは結構でございます。
 次ですが、選挙に金がかかるからこの制度を何とかせにゃならぬというのも改革案の論点の重大な一つの柱ですね。しかし自治省への届け出は、皆さん法定選挙費用以内でお届けになっていらっしゃるわけです。そうしますと、選挙に金がかかるのに自治省への届け出が法定選挙費用以内だということは、届け出自体が虚偽なのか、あるいはかかっているというのはちまたのうわさであって、実際にはかかっていないのかという疑念は素朴に持つのですけれども、すべての国民は。その点はどうなんでしょうか。
#137
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先般もお答え申し上げましたように、通常選挙の期日の公示がございまして選挙運動に入りますというと、私どもは、金をかければ別でございますけれども、限られた期間内でございますし、選挙運動の方法にも制限がございますので、恐らく法定の費用の中でおさまっておるのかもわかりません。しかし、たびたび申し上げておりますように、北海道から沖繩までが選挙区でございますし、有権者も多うございます。またいろいろな団体にお願いとかごあいさつにお回りになるとか、いわば立候補準備と申しましょうか、選挙の期日が公示になりますまでの一年とか一年半の間に大変な金がかかっておる。これが私は実情であると、こういうふうに先般も申し上げたつもりでございまして、この事実は私どもは直接に御経験をされた方からもお伺いをいたしております。また、私は地方区の選挙でございますけれども、自分の体験から考えてみましても、立候補前の一年あるいは一年半という間に交通費とかあるいは通信費とか印刷費とか人件費の雑費とか、そういうものだけでも大変なお金が御必要になる、私はそのように推測をいたしております。
#138
○委員以外の議員(青島幸男君) それは当然のことだと思います。私は、政治家として事に臨む以上は、自分の政治信条、考え方を多くの人々に理解してもらいたいという政治活動をなさるのは当然のことだと思うんです。しかし、政治活動に金がかかるのであって、選挙に金がかかるのじゃないんじゃないですか。政治活動に金がかかるのは地方区も衆議院も同じじゃないんですか。それはかければ無制限にかけられるでしょうし、かけなきゃかけないで済むかもしれませんね。その点においては、全国区が広いからとか、衆議院が小さいからという話じゃ通らないですよ。政治活動にお金をかけるのは勝手ですよ。だからといって、即全国区が金がかかり過ぎるからやめようという話とは全く結びつきませんよ、どうなんでしょう。
#139
○委員以外の議員(金丸三郎君) その点は基本的にお考えを異にいたします。そのような政治活動が一年とか一年半にわたりますので、現在の個人本位の選挙制度にいろいろな問題が起こっておる。それは政治活動の経費かもわかりませんけれども、これは全国区という選挙制度を前提にしておる政治活動だからですよ。だからその制度を改めない限りは、その活動に数億もかかるというような話もあるわけであります。現に通信費とかあるいは旅費とか交通費等でございます、実際に金がかかっております。昨年から通信費も上がりましたので、これだけでも膨大な経費になるようでございまして、これは一つの政治活動でございますけれども、直接選挙を全国区を単位として個人で行う限り、そういう政治活動の経費が非常にかかって、これが長い間の問題になっておる点だと、私はこのように考えております。
#140
○委員以外の議員(青島幸男君) 選挙公示から投票日までの選挙期間と、そうでない期間とを法で明確に区別しておりますね。しかも選挙を目当てにしたそういう政治活動というのは、それじゃ事前運動につながってしまうのじゃないですか。だったら、選挙に金がかかるからというあなた方の提案の文章を、選挙に金がかるというのをおやめになって、事前運動に金がかかるから拘束比例代表制にしなきゃならぬのだと字句をお変えになったらどうですか。そうしないと通らないですよ。
#141
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は実態を申し上げておるつもりでございます。立候補のために、現在の個人選挙でございますというと、一年なり一年半前にいろいろな団体の方とお会いになって、出たいと思うがどうか、私どもは結構です、それじゃそこの私の方の支部の方と会ってくれ、そういうような事前の準備があるわけでございます。それを事前運動と言うか準備と言うか、これはなかなか一概に言いにくいことでございまして、少なくとも立候補いたしますまでにその準備のために多額の経費がかかっておるのは、私は否めない現実だと思います。
#142
○委員以外の議員(青島幸男君) それは違うんじゃないですかな。それでしたら、そもそも百万枚もはがきを出したり、ビラを百万枚も立てたりなさらなきゃ当選できないような方は、立法の趣旨のたてまえから言って全国区にお立ちになるのをやめたらいいんですよ。それは私どもに、この制度が通ったら、あなた方無所属は出られないだろう、これはやむを得ないとおっしゃるんですよ。しかしなおやまざる政治的信条があるのだったら地方区もあります、衆議院もありますとおっしゃるじゃありませんか、あなた。だから、そういうはがきを出したりビラを出したりしてお金をかけなければ当選できない人はおやめなさい、やむを得ない、そのかわり地方区もあるじゃないか、衆議院もあるじゃないかと、なぜおっしゃらないのですか。
 それに、もう一つはっきりしておきたいことがあります。私、どういうふうにお金がかかるんだか実態を知らないのです。ですから資料として提出してください。あなたは、直接私耳にした人もいますとおっしゃいましたね。その方の資料で結構です。何億かかって、どういう費用が出たのか、資料として提出してください。私わかりませんから明確にしたい。
 委員長、これはお願いしたいと思いますけれどもね。しかも委員部を通じて事前に通告してあります、資料が欲しいということを。ですから委員会でお諮りいただきたいと思います。この資料がなければ私この先議論できませんよ。私どもはUFOを論じたりネッシーを論じたりしているわけじゃないんですから。実際に現実を論じ合っているわけです。ですから、幾らどこにどういうふうにお金がかかるのか、だったら選挙制度を変えようじゃないか。あるいは納得するかもしれませんね。資料がないんですよ。あるのは自治省でしょう、法定選挙費用以内の届けしかないんですよ。(発言する者多し)
#143
○委員長(上田稔君) お静かに願います。資料については理事会でお諮りをいたします。
#144
○委員以外の議員(青島幸男君) お願いいたします。それが出なければ私は保留いたします。きちんとした資料があって、その資料に基づいて各方面から論議をして、明確に問題点を浮き彫りにして賛否を問うのがすべての委員会――委員会でないまでも、すべての議論を尽くすときのルールでしょう。私は資料がないんですよ。要求します。それがなければできませんから、委員長にお諮りいただいたので、その資料に基づいて残りの時間をやらせていただきたいと思います。残させていただきます。
#145
○委員長(上田稔君) 中山君。
#146
○委員以外の議員(中山千夏君) 最初に、委員外議員という立場で発言の時間を持たせてくだすった委員会の皆様に深くお礼申し上げます。
 このことは、本当であれば正規の委員で審議に加わりたいという気持ちがあったのですが、国会の運営上そういう形ではなかった。そうして国会というところは、入ってわかったのですが、非常に政党化しておりまして、その中で決まったことを例外を許すというのは大変皆さん苦労なさる。その苦労をしていただいたことに対して深くお礼申し上げます。そのことは、この審議自体が非常に議会制民主主義の根幹にかかわることであって、皆さんがおろそかに審議してはいけないんだ、小会派も含めてきちんと審議をするべきなのだという良識をお持ちになってそういう決定をなさったというふうに理解して、大変ありがたいことだと思っています。
 参議院の全国区に対する国民の関心というものが大変低いという調査の結果を、先ごろマスコミで発表されました。そのことは私、とても残念に思います。私たち、御存じの方もない方もいらっしゃると思うんですけれども、一九七七年に革新自由連合という市民運動として政治参加をするアマチュアグループをつくりました。そのときの重要な動機の一つが、どうも年々国民が政治離れをしてきている、それが顕著になってきている、それに対する危機感というものが、私たちがそういうグループを結成したときの重要な動機の一つになっていたわけです。議会制民主主義という形をとる上では、国民の関心が政治から離れるということは大変に危険なことだと私たちは思っています。
 それで、いろいろな活動を通じまして、特に選挙という場に臨みましてそのことを一生懸命国民に訴えてきました。ときには宣伝カーからマイクを握りまして、投票日は何月何日です、あと何日です、投票所にだけはぜひいらっしてください、皆さんの責任で投票はなすってください、皆さんの、この人がいいんだと、どういうレベルでも構わないから皆さんの考えで責任の持てる一票を入れてくださいというお願いをして回りました。おかげで選管と間違えられたことが何度かあります。
 そこで、こういうふうに選挙という場の中で、投票率が低いとか、それから投票には行くけれども、何となく意識がなくて頼まれたから入れてしまうというような人たちが多いとか、それからもう選挙はうんざりだというようなことを公に口にする選挙民がたくさんいる、まあ少なくないという言い方でもいいのですが、そういう現状はとても自治省の方々にとっては重要な問題だと思うんですね。こういう政治離れの状態というものの原因は何なんだろうか。その辺を大臣はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#147
○国務大臣(世耕政隆君) 大変むずかしい問題ですが、私もときどき政治離れの、いろいろ幾つかあるでしょうけれども、理由は何だろうかなというふうに思っております。一つにはいろんな――これは余り言わない方がいいので、いろいろ理由はあると思うんですが、僕がやはり言うとちょっと語弊もあるので、確かに政治離れがあるということをそのまま現実に受けとめておいた方がいいように思います。
#148
○委員以外の議員(中山千夏君) 何だか全然わからない。言うと語弊があるというのは、ヒントだけでも何だか教えていただけませんか。
#149
○国務大臣(世耕政隆君) 社会とか国がうんと極端に貧乏なときというのは、死ぬか生きるかでいろいろ自分の仲間を集めて、この政治だ、この政治だとやり合うのですが、そういったものが大分日本の中では欠けてきているのが一つの大きな原因ではないかと、こういうふうに思います。
#150
○委員以外の議員(中山千夏君) なるほど一口に抽象的に言ってしまうと、経済的な情勢というか、そういうものが原因だろうということなんだろうと思いますけれども、もう少し私なんかが具体的に考えますと、それも経済と関係が大いにあるのかもしれませんが、政治の腐敗というものなども非常に原因になっているのではないかと思います。
 それともう一つ、選挙そのもののあり方というのがやはり国民を政治離れにする原因の一つに数えられるというふうに私は考えているんです。そこで、もし選挙法を改正するとするならば、その改正によって、国民がうんざりして背を向けているような選挙のあり方そのものがよい方に、悪い方にじゃなくて、よい方に変わらなかったら改正する意味はないというふうに考えています。
 そういう観点から、きょうはまず発議者の趣旨説明になるべく沿った形で、選挙そのものの現状、それからもし改正された場合の自治省の取り組み、大臣の姿勢なども含めて細かく検討していきたいと思います。
 第一番目に、先ほどもちょっと議論になっておりましたけれども、ふさわしい人をより得やすい制度に改正するとなるのであるということを趣旨説明、それから審議の中でも再三言っておられますね、ふさわしい人をより得やすい制度に。これは逆に考えますと、それでは現状では得にくいということなんですか。
#151
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほどもお答え申し上げましたが、私どもはより得やすくなると、こういうふうに考えておるわけでございます。現在では、先生方特別の才能をお持ちの方は別にいたしまして、この広い地域で多くの有権者でございますから、普通の人ではなかなか出にくうございます。私が尊敬しておった山本有三という作家がいらっしゃいました。ああいう方は参議院に当選をなさいました。現在ああいう方が出やすいかと申しますと、私はなかなか出にくくなってしまっている。それはさっき申しました政党化、そして政党化につながる団体化の現象がひどいからで、だから私どもは、たとえばの話でございますけれども、いまのような方も名簿でございますというと、どの政党かで山本有三先生のような方を、日本の作家とかそういう文化人を代表する人としていいじゃないかということで載せられるというと、より得やすくなるのじゃなかろうか、私は実はそういうふうに思っております。そういう面では現状よりも参議院にふさわしいりっぱな方が得やすくなるのじゃないか。これが少し、青島先生おっしゃられますと、ちょっと楽観的だとさっきお話でございましたけれども、私はそういうふうな可能性がこの制度にはあるんだと、こういうふうに思っております。
#152
○委員以外の議員(中山千夏君) ちょっと言い方を変えますと、現状ではふさわしい人をより得やすくないというふうに承っていいのでしょうか、より得やすくないと。
#153
○委員以外の議員(金丸三郎君) 現状ではなかなか出にくいということでございます。
#154
○委員以外の議員(中山千夏君) そうすると、政党の中にお入りになった場合はいま例に出された方はお出になれますけれども、その方に関して言いますと、政党にお入りにならない限り、改正された後でももっと出にくくなるわけですね。いま山本さんが出にくい理由として、政党化、団体化が進んだためになかなかお出になれないとたしかおっしゃいました。今度の改正は政党本位になるというふうに聞いております。そうすると、山本さんが政党本位を受け入れられるならば、いまでもどこかの政党にお入りになってお出になることはできるわけですね。現に有名人が必ずしも無所属で立つとは限りませんで、おたくの政党にも何人か大変有名な方がおいでになります。こういう方は政党からお出になっているんだから、山本さんのような方も政党にお入りになれば、大変有名な方ですからお通りになると私は思うのですけれども、ちょっとその辺がわからないのですが。
#155
○委員以外の議員(金丸三郎君) 問題の一つは、今度の制度では必ずしも自民党員でなければ自民党の候補者名簿に載せないということではないことは、先生も御承知のとおりでございます。だから仮に、たとえの話でございますけれども、山本先生のような方を自民党がぜひ文化人として送ろうじゃないかと、自民党に入党しないでも名簿に載せ得る、そういう意味でより得やすくなる、こういうふうに私どもは思います。
 それから現状では山本先生のような方が昭和二十年代には出られたのに今日出にくくなっておると私が申しますのは、昭和二十年代は十数万で全国区で当選なさっていらっしゃいます。それは二百人からの立候補者がございましたから、散票が非常に多かったわけでございます。今日はそれが非常に選挙の規模が大きくなりましたので、ある団体ががっちりと推薦をするか、その団体というのはほとんど政党と関連がございます。政党が推薦をする人は、その政党を支持する団体であり、その団体が推薦する人でなければなかなか出にくい。
 私は先ほど集票能力と申しました。現在の制度のもとでは、先生方は別としまして、そういう意味の集票能力のいかんということが候補者の選定に非常に重要な要素になっておる。ところが、この名簿の制度にいたしますというと、集票能力というものはそう考えないで、本当にりっぱな人だからひとつ自民党で推そうじゃないかとか、あるいはほかの党でだれを推そうじゃないか、こういうことがあり得る、そういう可能性をこの制度は持っておる、こういう意味でございます。
#156
○委員以外の議員(中山千夏君) 私はどうしてもわからないんですけれどもね。私も何度か選挙をいたしましたので少しは事情を知っておりますが、いまの選挙制度の中でも、別に自民党は、この人はすばらしい人で、そしてお名前もたとえばいまおっしゃった方のように高いということになりますと、その人を党員にしなくても、推薦という形でも何でもお出しになれるはずだと思います。それは各政党できることだと思いますし、それからときには、組織ですか、組織を回して票の保証をもう少しその人につけるということだって現状でできることだと思います。この点については、私はそう思うということだけ申し上げて、それ以上申し上げませんが。
 それから実際、改正によって出にくくなる、明らかに進出を拒まれるという者は、第一にいまここに座っておりますわれわれ無所属議員なんですね。それは間違いないことだと思います。そうしますと、さっき青島さんも少し触れておられましたけれども、明らかにその改正案でいくと、まず第一番目にばっさりとはっきり無所属議員が切り捨てられるということになりますと、ふさわしくない人と考えていらっしゃるのは無所属議員のことなのかというふうに思わざるを得ないんですよ。
 それで、これは改正されてしまいますと、きょうちょうどお昼ごろでしたか、肖像画が国会の中に掲げられましたが、市川房枝さんという方がいらっしゃいました。あの方は、もしいまでもこうやっていられるとしたら恐らく反対しておられたと思いますが、市川房枝さんのような方もお出になれなくなります。今度の改正案が実現したら出られなくなります。だけど市川房枝さんという方は皆さんも御存じのように、広く国民から参議院の良識と呼ばれてきた人なんです。たしか、お亡くなりになったときの弔辞にもそのような言葉が織り込まれていたと思います。その参議院の良識と言われた方が出られなくなってしまう選挙制度というのが参議院のためにいいのだろうか、国民のために利益になるのだろうか、そう思います。それとも独自の考えを発議者は持っていらして、市川房枝さんのような議員は決して参議院の良識でもないし、参院にもふさわしくないと考えていらっしゃるのでしょうか。いかがでしょう。
#157
○委員以外の議員(金丸三郎君) そんなことは毛頭考えておりません。まことにりっぱな参議院議員であられ、若いころからわが国の婦人の参政権の運動を起こされて、終始それで一貫なさった、わが国では珍しい、また得がたい婦人の政治家であられたと、心から尊敬しておるのでございます。
 ただ、先ほど青島先生の御質問にお答えを申し上げましたように、現在の個人本位の選挙制度から政党本位の選挙制度に変えようという趣旨は、皆様方が参議院議員にふさわしくないとはちっとも思っておりませんけれども、選挙の実情からいたしまして、政党選挙の比例代表制にしました方がベターであろうという考えからでございまして、この点につきまして私どもは個人的なことは全然ございませんが、よく御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#158
○委員以外の議員(中山千夏君) ふさわしくないとは全然思っていないとおっしゃるわけですけれども、よりふさわしい人を得やすい制度に変えよう、こういう改革によってそうなるんだという言い方の中には、やはり一人一人の議員の中にはふさわしい人もふさわしくない人もいる。ふさわしくないという言い方が非常に語弊があるのであれば、よりふさわしくてもいいのではないかなと思われるような人もいる。それは必ずしも、政党人だから参院にふさわしいとか、無所属だからふさわしくないとかいうことではないというふうに考えていらっしゃいますか。
#159
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御質問の御趣旨を私が正確に受けとめておるかどうかわかりませんが、私どもは先生方が参議院にふさわしくないとは全然考えておりませんし、候補者の名簿の作成のいかんによりましては、党の内外から参議院にふさわしい人を得ようというわけでございますので、私どもは先生方のような方も十分に政党としては迎え得るのだと、このように考えております。
#160
○委員以外の議員(中山千夏君) そうすると、そのふさわしいかふさわしくないかということは、無所属であるか政党人であるかということとは関係ないというふうに理解してよろしいですか。
#161
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
#162
○委員以外の議員(中山千夏君) そこで、ではあっても現実の問題としては、この制度が施行されますと無所属が切り捨てられるわけなんです。無所属について、無所属に沿ってもう少し話を進めていきたいと思いますが、いわゆる政党に所属しない無所属というのは現在でも大変少数なんですね。ちょっと勘定してみますと、二院クラブに青島さんがいらして、それから山田勇さん、それから喜屋武眞榮さん。それから私たちの一の会に美濃部さんがいらして、山田耕三郎さん、私、これで三人です。それから新政クラブに八代さん、宇都宮さん、それからほかに河野謙三さん、それから議長、副議長は数に入れるかどうかはちょっとむずかしいところなんですけれども、議長、副議長を外しますと、以上九人ですね。そのうちの六人が全国区であるにすぎないわけなんです。これだけしかいないのだから、そいつらが出なくなったって構わないじゃないかとお思いかもしれませんが、その議論はちょっと横に置きます。
 これは金丸さんもよく指摘していらっしゃるように、すでに現状の選挙が十分に政党化、団体化していることの結果だと思うんです。その結果として無所属、いわゆる政党に所属していない人間は余り議員になっていないということだと私は思います。それから議員にもならないし、事実立候補もしにくいと、そう思うのですが、いかがですか。
#163
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりだと存じます。
#164
○委員以外の議員(中山千夏君) そうすると、現在の選挙自体が非常に政党化、団体化された上で行われているときに、当然そこから出てくる大部分の立候補者、そして全国区として国会の中に送られる大部分の議員たち、それを選んでいるのは、ほとんど政党の中で政党の方たちが選んでいらっしゃるわけでしょう。それはお互いに選ぶのか、僕が立つと言うのか、その辺のところは各党内のことは私よく存じませんけれども、党の中で決定があるわけですね。そうすると、その際によりふさわしい人を立てようとはしていらっしゃらないのですか。
#165
○委員以外の議員(金丸三郎君) 選挙のたびに恐らく各党ともよりふさわしい人をというお考えで御選考になる、その点は私はそのように思います。
#166
○委員以外の議員(中山千夏君) そうすると、さっき国民の支持が得られる方向で、国民の意識に受け入れられる方法で名簿が各政党の良識によってつくられるであろうとおっしゃいましたね、この改正がなされたときには。それと同様に、いま良識を持って政党の皆さんはよりふさわしい候補者を選んでいらっしゃるわけでしょう。そのよりふさわしい候補を選んでいらして、そしていまたとえば自民党の方で言えば、こちらにずっと座っていらっしゃる方は、皆さんが自信を持ってこれらの議員は非常に参院にふさわしいんだと思っていらっしゃる議員が国会の中に入ってきていなければおかしいわけですね。そうすると、いまの議員は現状のままでも十分に国会にふさわしい、そういうことになりはしないですか。
#167
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は現在参議院にお出になっております方は、全国区に例をとって申しますというと、やはり多くの有権者の支持を得られたりっぱなお方々だと、かように思います。ただ現在の全国区の候補者の選考は、先生方のように全く無所属でお出になっている方は別といたしまして、政党に所属して出ていらっしゃいます方は、やはりどうしても支持団体との関係をお考えになって、あの人を得られればどの団体が支持しておるからこれだけの得票があるだろう、いわばそれを私は集票能力と申したのです。どうしてもこれは現実の考慮に入ってくるのではないか。これが名簿式にいたしますというと、集票能力というものは従来ほどは考えないでも、政党が推薦をして名簿に載せますというと、政党の推薦する議員として参議院に出てこられる。そういう意味では現在の制度よりもより出やすい、ふさわしい人をより得やすい、こういうふうに思うわけでございます。
#168
○委員以外の議員(中山千夏君) 私、そこのところはどうしてもわからないんですけれどもね。そうすると、集票能力が候補者選択の一つの基準になっていることはまずいと考えていらっしゃるのですか。集票能力というものが、立候補者を立てるときにこの人ならたくさんの票を集められるだろうという考え方があってはまずい、そういうふうに考えていらっしゃるのですか。
#169
○委員以外の議員(金丸三郎君) まずいという意味で申しておるのではございません。現在は集票能力ということも候補者の選考に当たっての重要な要素である。しかし、この制度になりますというと、集票能力はいわば第二にして、本当にその人、人物本位といいましょうか、人物を非常に重く見て、この人はいわば支援団体もないし、あるいはしたがって集票はできないかもしらぬけれども、党として参議院議員にふさわしい人として推すのには国民の共感も得られるだろうし、また参議院議員としてりっぱにその道で働いていただけるのじゃないか、そういう意味でふさわしいと言っておるわけでございます。
#170
○委員以外の議員(中山千夏君) いまのお話を聞くと、ますます私は反対になるんですがね。なぜかと申しますと、集票能力とおっしゃっていることの中身は国民の支持じゃないんですか。集票能力が高いということは有権者の支持が多いということじゃないんですか。それは現実にはお金で票を買ったりする方がおいでになるようですけれども、一応たてまえで話させていただくと、そういうことは皆さんやってないとおっしゃるし、一票一票は国民の支持だというふうに考えていらっしゃるわけですね。そうすると、集票能力が高いということは国民の支持が高いということです。いまのお話を伺うと、まるで名簿になると集票能力というのは二の次である、つまり国民が支持するかどうかは二の次であって、そのほかに、国民が支持するかどうかのほかにどういうふさわしい人の基準があるのでしょうか。私にはそれは全然わからないですね。
#171
○委員以外の議員(金丸三郎君) 集票能力の表現が悪いのかもわかりませんけれども、Aという人があるといたします。その人にある経済団体がついている、だからこれだけの票は取れるだろう、それを党としてどういうふうに手当てをしてあげればこれだけの票は取れるだろう、こういうような考え方があると思います。ここにBという人があるといたします。この人は格別そういうような特別の支援団体を持っていらっしゃらない文化人だ、しかし国民が尊敬しているという意味ではおっしゃる集票能力があると言っていいのかもわかりません。私が集票能力と申しましたのは、そういうような具体的に結びついたような団体の支援ということが候補者選考の際の重要な要素になっておりますけれども、名簿式にしますというと、そういう具体的な支援団体がなくても、りっぱという意味では集票能力があると言えるかもわかりませんが、そういう支援団体が具体的になくてもりっぱな候補者として通用するから、党のいわば力で当選をさせてあげれば参議院議員としてふさわしい活動がなされるんじゃないだろうかと、私どもはそういうふうに考えるわけでございます。
#172
○委員以外の議員(中山千夏君) まだわからないのですけれどもね。十分に知名度があって国民から信頼を受けている人であれば政党がつかなくても当選する、さっきからそれをおっしゃっているんじゃないですか。皆さん方のように何か特別な才能のある方は別ですけれどと再三おっしゃっているのは、そのことをおっしゃっているのじゃないんですか。そういう方は政党から出る必要はないわけですね。もちろん信条的に政党と考えを同じくするという場合は別でしょうけれども。それから政党の中の、政党とあるいは関係している団体の票ということを考えましても、その票にしても、めくらめっぽうに決められたところへどんどん投票するということではないわけでしょう。一応その団体がその人物なりについて判断をして、その結果投票するということですから、やはりそれは一つの国民の支持というふうに考えられると思うんです。そうすると、いまおっしゃっていたのは、余り国民に支持がない人でも拘束比例代表制の名簿式にすれば当選させることができるということと同義だというふうに私にはどうしても思えるんです、集票能力のない人もこれなら取れるんだという言い方になりますとね。
#173
○委員以外の議員(金丸三郎君) あるいは従来の人は個人的な集票能力がある、こう申していいのかもわかりません。私がさっき申し上げましたたとえばの話でございますが、山本有三先生、具体的な名前を出して適当かどうかわかりませんが、この方は格別支援団体というものはない。しかし自民党なら自民党、あるいはほかの党なら党として自分たちが全力を挙げて、そしてその方を自民党の支援団体にお願いをして、党が総体の得票数の中で名簿の順位のいかんによって当選させ得るわけですから、そういう意味では個人的な集票能力はないけれども、自民党の集票によってその人を参議院議員に送れる、私はそういう人があっていいのじゃないか。また、国民にはそういうことがかえって支持を受ける場合があるかもわかりません。個人的な集票能力と、今度は政党本位の選挙ですから政党が集票するわけです、個人の集票とは違ってまいります。だから、私はその政党の力によってりっぱな人もこの制度によっては出得る。その人が、たとえば交通費も不十分だとかいうような場合もあるわけでございますから、いわば政党の力によってりっぱな人を参議院議員として出し得るという長所がこの制度にはある、こういうふうに思うわけであります。
#174
○委員以外の議員(中山千夏君) やっとお話はわかりかけてきましたけれども、金丸さんがお出しになる例が悪いわけですよ。だからなかなかわからないんです。有名な人を例に出して、この人を当選させたいときに、いまは無理だけれども、当選させることができるというふうにおっしゃるからわからないわけで、むしろ無名であるけれども、この人はふさわしいんだと政党の方々がお考えになる方は、名簿式になった場合に、個人の集票能力はないけれども、政党の力で当選させることができる、そういうことではないですか。
#175
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
#176
○委員以外の議員(中山千夏君) そうおっしゃりたくなかったというのは、この理由もまた答弁させていただきますとね、つまり無名な人を政党が判断をして、この人ならりっぱな人だと判断してしまうということは、個人の集票能力、個人に集まる票という国民の判断にかわって政党が、だれが参議院にふさわしいかという判断をしてしまうということなんですよ。まさに私はその部分でこの改正はまずいと思っているんです。どんなレベルであっても、この人は参院にふさわしいという判断を直接国民がする方が、私は参院にはふさわしい議員が生まれるだろう、そう考えているわけです。ですから、それは全く皆さんとお考えを異にするかもしれません。それは私が考えるのとそちらが考えるのと違っていますねということでも構いません。だけれども、問題点をはっきりさせるためにぜひ御答弁はわかりやすく正確にしていただきたいと、しみじみ思います。
 この話、いつまでしても切りがありませんので次の問題に移りたいと思いますが、私の考えを少し申し述べておきますと、いまのことに関してちょっとつけ足させていただきますと、この改革がなされたからといって、政党が候補者を選ぶ場合の良識が変わらなければ、決してよりふさわしい人は出てこないだろうと思います、政党が決めるわけですから。ところが、事実上非常に無所属の個人で集票能力のある人も出にくいという、そういう状態になっている選挙区の中で、私から見て率直に申し上げて、政党からお出になっている方々の中には大変りっぱな方もいらっしゃるけれども、もっとよりふさわしい方がいいのではなかろうか、交代なすってはどうかと思われる方がいらっしゃるというのは、これは私だけの意見ではなくて、世間でもそういう意見はたくさんありますね。しかもそういう自覚がある程度おありだからこそ、改正ということを考えられたのだと思うんです。改正して、よりふさわしい人をもっと得なきゃいけないということを考えられたと思うんです。
 だけれども、現在のこの改正案で改正をなすっても、いまの政党本位の状態の中でそういう人材をなかなか政党が送り出せないということであれば、それは政党の良識の問題ですから、政党ががらっと変わるわけじゃないわけでしょう。これでこの選挙法が変わった途端にがらっと政党の成り立ちが変わるのだということであれば、それは少しは変わるかもしれません。だけれども、同じ政党本位で選挙を行っている政党が、名簿式というより政党本位の形に変えたからといって、もっとふさわしい人たちがどんどん続々出てくるのだというのは、余りにも楽観的な考え方だというふうに私は考えます。
 それから次に、有権者にとって候補者の選択が著しく困難な現状が改善されるだろうかということについてお話を伺いたいと思いますが、先ほどの件については、法相に対してもちょっと御意見を伺いたいのでお願いしておいたのですが、自治大臣もおいでにならないようですので、あとは次の委員会に譲って、きょうはここで中止したいと思います。
#177
○委員長(上田稔君) 中山君、政務次官がおられるのですが、政務次官では質問は……。
#178
○委員以外の議員(中山千夏君) いえ、大臣でなければ。
#179
○委員長(上田稔君) この次は大臣に質問をされるのですね。
#180
○委員以外の議員(中山千夏君) はい。
#181
○委員長(上田稔君) そのいまのおやりになるお考えのうちで、大臣に質問をしない部分はないのですか、全部大臣ですか。
#182
○委員以外の議員(中山千夏君) はい。
#183
○委員長(上田稔君) 発議者は要らないわけですね。
#184
○委員以外の議員(中山千夏君) いえ、発議者も関係はあります。
#185
○委員長(上田稔君) それでは、本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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