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#1
第096回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第7号
昭和五十七年五月十二日(水曜日)
   午後一時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月八日
    辞任         補欠選任
     高木 正明君     斎藤栄三郎君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     山中 郁子君
    ―――――――――――――
  出席者の左のとおり。
    委員長         上田  稔君
    理 事
                中西 一郎君
                降矢 敬義君
                村上 正邦君
                福間 知之君
                多田 省吾君
    委 員
                井上  孝君
                小澤 太郎君
                小林 国司君
                斎藤栄三郎君
                田沢 智治君
                名尾 良孝君
                中村 啓一君
                鳩山威一郎君
                円山 雅也君
                野田  哲君
                宮之原貞光君
                大川 清幸君
                峯山 昭範君
                近藤 忠孝君
                山中 郁子君
                栗林 卓司君
   委員以外の議員
       議     員  金丸 三郎君
       議     員  松浦  功君
       議     員  青島 幸男君
       議     員  中山 千夏君
   国務大臣
       法 務 大 臣  坂田 道太君
       自 治 大 臣  世耕 政隆君
   政府委員
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       法務省訟務局長  柳川 俊一君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   法制局側
       法 制 局 長  浅野 一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法改正に関する調査
 (公職選挙法の改正について)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(上田稔君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八日、高木正明君が委員を辞任され、その補欠として斎藤栄三郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(上田稔君) 公職選挙法改正に関する調査を議題といたします。
 この際、公職選挙法の改正について、金丸三郎君及び松浦功君の出席を求め、引き続き質疑を行うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(上田稔君) 御異議ないと認めます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○峯山昭範君 公職選挙法の一部を改正する法律案、すなわちいわゆる自民党案に対しまして私は質問を行います。
 特にきょうは、先般の私の質疑で憲法問題に入ったわけでございますけれども、その憲法の問題の中でも、まあ時間が一時間ほどしかございませんのでどこまで深く入れるかわかりませんが、問題が非常に多岐にわたっております。特に私たちは、いろいろありますけれども、主に憲法第十四条第一項いわゆる平等保障条項ですね、それから二つ目に国民の公務員選定、罷免権に関する保障条項すなわち第十五条第一項、それから結社の自由に関する保障条項、憲法第二十一条第一項、それから議員及び選挙人の資格に関する平等保障条項、憲法第四十四条等、特にこういうところに今回の選挙法は違反をするのではないか、そういう疑いを抱いているわけであります。
 並びに、いままで当委員会におきます発議者のいわゆる答弁、まだ会議録がすべてでき上がっておりませんのですべて精査したわけではございません。しかしながら、いままで会議録ができ上がった分を精査してみますと問題点が非常に多岐にわたっております。したがいまして、きょうはその初めの方を順次発議者の御意向並びに御見解を承ってまいりたい、そういうふうに考えております。
 そこで、初めに発議者にお伺いをいたしたいのは、これはいままでの会議録をすべて見ましても相当何回にもわたって御発言をしていらっしゃいますが、特にその中の基本となるような問題の中で選挙権の問題について初めにお伺いをしておきたいと思いますが、この選挙権というのはいわゆる基本的人権ではございませんと、選挙権は基本的人権ではございませんという御答弁が終始一貫してあるわけであります。これはその御見解に変わりはないかどうか、これは一体どういうお考えから出ていらっしゃるのか、この点について初めにお伺いをしたいと思います。
#6
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先般来たびたびお答えを申し上げておりますように、憲法の第十五条の第一項が「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と、こう規定をいたしております。これは国民の参政権を規定した基本的な規定であると私どもは考えます。これをもとにいたしまして、公務員を選定する具体的な方法として選挙とかいろいろな方法があるわけでございまして、選挙につきましては憲法には選挙権という言葉は使われていないわけでございます。
 そして、十五条の第三項あるいは第四項に選挙に関する規定がございますが、同時に第四十四条に「議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。」という規定がございまして、これを受けて第四十七条に「両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。」というふうになっておるわけでございます。したがいまして、国民の参政権は基本的な権利であると言えましょうが、その参政権の具体的な行使の方法である選挙につきましては、いわば選挙人の資格、被選挙人の資格と、こういうふうに明瞭に憲法にも規定されておりますので、私どもは選挙権については四十四条等の、あるいは四十七条によって規定をされているものだと。
 これは先般、宮之原委員が十五条に関連いたしましてこの点を明確にしたいという御趣旨の御質問がございました。私どももこの点は非常に大事な点でございますので、十五条一項は基本的な参政権の規定であり、具体的な選挙の資格、被選挙の資格は四十四条あるいは四十七条――地方自治についてはまた別の規定がございます。これに基づいて規定されておるものであって、選挙権というのは選挙人団を構成するための資格であって、それは法律によって定められ与えられるものであると、こう申してもよろしい、こういうふうに考えます。
#7
○峯山昭範君 あれこれおっしゃいましたが、要するに選挙権は基本的人権ではないと、こういうことですね。これから逐次細かくお話をお伺いしてまいりますので、私が質問することにその都度明確にお答えいただければ結構でございます。端的におっしゃっていただいて結構です。要するに選挙権は基本的人権ではないといまもお考えなんですね。
#8
○委員以外の議員(金丸三郎君) 人権という言葉の意味の解釈にもよろうかと思いますが、私どもは人権とは別の表現で基本的な参政権というふうに解すべきであると、このように思います。
#9
○峯山昭範君 いや、私はあなたの答弁を引いて言うておるわけです。あなたは参政権は基本的人権ではあるけれども――そうなんでしょう、あなたは参政権は基本的人権と思っているわけでしょう。まあそれはいいですよ、私が言うているのは、選挙権は基本的人権ではございませんと言うておるわけだ、あなたは答弁のところで。金丸さん、あなたが、私が言うているのと違う、あなたが選挙権は基本的人権ではございませんと言うておるわけだ。そのとおりかとこう聞いておるわけですよ。どうですか。
#10
○委員以外の議員(金丸三郎君) これは他の人間が本来持っておる自由とかいうようなものと同じ意味の基本的な人権ではないと、こういう意味で申し上げております。ただ基本的な参政権であると、そして具体的な選挙権あるいは選挙資格は法律によって定められるものである、こういうふうに解しております。
#11
○峯山昭範君 あなたはそこをごまかそうとしてはいけません。あなたはそこでごまかそうとしていますよ。私はあなたの答弁を引いてやっておるわけです。これはあなた、どうしてもここは逃げるわけにいかぬのですよ。あなたの答弁なんですから、いやそのとおりですとおっしゃっていただかぬと私は困るわけです。そうでないと、これは会議録全部訂正していただきますよ、あなたがおっしゃっているわけですから。
 これは、「私から申し上げるまでもないことと思いますけれども、選挙権は」「基本的な人権ではございません。わが国の過去を見ましても婦人には参政権が与えられておりませんでした。」。これは戦前のことを言うておるわけです、その後ずっと。戦前と戦後はこれはもちろん参政権に対する国の基本的な考え方が違っていたわけですね、そうでしょう。だからあなたの考えは私はわかりますよ、言っていることは。戦前と戦後は国家の体制が違うわけです。そうですね。そうでしょう。
 それでは、そこのところをもう一回確認しておきましょうか。戦後は日本はどういう国家体制なんですか。そして戦前はどういう体制なんですか。それを一遍お伺いしておきましょう。
#12
○委員以外の議員(金丸三郎君) 戦後は国民主権の国家体制と、このように申してよろしいと思います。
#13
○峯山昭範君 戦前はどうなんですか。
#14
○委員以外の議員(金丸三郎君) 戦前は天皇制でございます。
#15
○峯山昭範君 ですから、戦前は立憲君主国家と言われていましたね。そして戦後は御存じのとおり、憲法にもありますように代議制民主国家ですね。あなたがいまおっしゃったとおりです。ところが、あなたは答弁の中で参政権と先ほどからおっしゃっていますが、参政権が基本的人権の中に組み込まれてきたのも戦後でございますね。戦前の体制の中では、いわゆるこの婦人参政権とかそういうふうなものは体制が違いますからなかったわけですね。だから戦前の国家体制の問題と戦後の国家体制の問題を同じ時点に置いてあなたは答弁していらっしゃるわけです。これはあなたの答弁ですよ。それ自体もおかしいわけです。
 しかし、その点余りよそへはみ出すと論点がぼけますから、もう一回私お伺いいたしますが、選挙権は基本的人権ではございませんと、このとおりなんでしょう。あなたそう考えているわけでしょう。これはほかに何も講釈ないですよ。ある講釈は、先ほど全部私読みましたけれども、「わが国の過去を見ましても婦人には参政権が与えられておりませんでした。また納税資格が選挙権の要件であったこともございます。」。だから戦前の体制をずっと述べていらっしゃるだけですよ。だけれどもここにあるあなたの答弁は、選挙権は基本的人権ではないということで明確になっているわけです。そのとおりでしょうと私は言うているわけです。あなたが違うと言うんなら、これは全部訂正してもらわなければいけません。どうですか。
#16
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほどもお答えを申し上げましたように、いわゆる自然的な、人間として生まれてきたために当然保有するような意味の自然的な権利という意味の基本的な人権ではないと、こういうふうの意味でございます。
#17
○峯山昭範君 それじゃ、私は最後はいずれにしてもあなたにこれを認めてもらわないといけません。いけませんが、あなたのいまおっしゃったことに乗りましょう、少しそこは。それじゃ基本的人権は何かという論争をしてみましょう。あなたがおっしゃるように基本的人権というのは人間である以上当然持っている権利、そういうふうなものが基本的人権でございますね、そうでしょう。
#18
○委員以外の議員(金丸三郎君) 原則としてそう言えると思います。
#19
○峯山昭範君 それで、これは人間が社会においていろいろな自由な活動をどんどんすると、そのいろいろな活動の範囲、広がりの範囲によっていわゆるこの基本的人権というものがいろいろとだんだんと順次加えられていく、そういうことでしょう。それで、あなたの好きな方の論文にもありますけれども、いわゆる基本的人権というのは、私の持っております資料、これはあなたもやっぱり同じような資料に書いていらっしゃいますけれども、いろいろありますけれども、やはり自由権、社会権、参政権、この三つがいわゆる現在のこの代議制民主国家といわれる戦後の憲法下における日本のいわゆる基本的人権の根幹をなすものであると、私はこういうふうに考えておりますが、そのとおりでしょうか。
#20
○委員以外の議員(金丸三郎君) そう言ってよろしいと思います。
#21
○峯山昭範君 それはもう当然私はそのとおりだと思います。そうしますと、そこであなたがおっしゃった先ほどの参政権です。参政権というのはこれは何ですか。あなたは十五条一項で先ほどから何回も参政権参政権とおっしゃっておられます。十五条一項のこれは参政権のことなんだとおっしゃっています。参政権というのは何ですか。
#22
○委員以外の議員(金丸三郎君) 十五条の第一項は抽象的な国民の基本的な参政権を規定したものであると、このように考えます。具体的な参政権としては選挙権がその一つでございましょうし、あるいは国会議員に立候補する資格とか、そういうものが具体的なその内容となってきておりまして、これは別途に定められるものだと思います。
#23
○峯山昭範君 それじゃ、あなたは抽象的な参政権なんて言っていますけれども、私は抽象的なものとか十五条一項なんということはまだ余り言っていないわけです。参政権とは何かと聞いているわけです。明確にお答えください。
#24
○委員以外の議員(金丸三郎君) 一般の場合にはいま申し上げましたように選挙する資格と申しましょうか、これが最もポピュラーな参政権ではなかろうかと思います。それから公職に立候補する権利、これがその次のものじゃございますまいか。
#25
○峯山昭範君 その選挙する権利、選挙権ですね、そしてあなたは二つしかおっしゃいませんでしたけれども、そのほかいっぱいまだありますよ。余りほかのことを言うとややこしくなりますからあえて言いませんけれども、あなたがいまおっしゃった二つ、問題となる二つです。これは十五条一項の中にすべて含まれているんでしょう、どうなんです。
#26
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、十五条の第一項は基本的な精神と申しましょうか、をうたったものであって、具体的な選挙人の資格とか被選挙人の資格とか、これは私どもは別個法律で具体的に定まってくるのだと、こういうふうに考えております。
#27
○峯山昭範君 いや、そうじゃないでしょう。十五条一項はあなた抽象的なものなんて言っていますけれども、十五条を一遍でっかい声で読んでいただけますか。――私読みましょう、失礼ですから。十五条一項は「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」、これは抽象的じゃありませんよ。全く具体的じゃありませんか。具体的にこういうふうにきちっと指摘をしていらっしゃるじゃありませんか。公務員を選定するということはどういうことですか。あなたがいまおっしゃった選挙するということでしょう。公務員を選定するというのは選挙をするということじゃありませんか。そうでしょう。
#28
○委員以外の議員(金丸三郎君) 選定の具体的な内容が私はいろいろあるんだと思います。民主政治のもとで国会が直接選挙によって選ばれるような組織になり、また地方自治団体の首長は直接に選挙で選ばれるというような憲法の規定になっておるわけでございます。この十五条の第一項の公務員の選定ということはいろいろありますので、その選定の方法もあれば、選定に際してどういう国民がその選定に参画するか、これは選挙権にも関係があるわけでございます。私は、これは選定の方法なり選定をする国民の範囲なりは別途法律で定められるようになっておる、そういう意味で十五条の第一項は抽象的と申しましょうか基本的な大原則をうたったものである、こういうふうにお答えを申し上げるわけであります。
#29
○峯山昭範君 それはあなたお考え違いじゃないでしょうか。先ほどからあなたは公務員を選定するというのはいろいろな広い範囲がある、これは抽象的なものだとおっしゃっておりますが、あなたは先ほど十五条第一項の「公務員を選定し、」という、そのいわゆる選挙権のことを含めて私は申し上げたわけでございますが、その中で一番ポピュラーなもの、一番一般的なものというのはいわゆる選挙をするということ、あるいは議員を選ぶということ、それが一番ポピュラーじゃありませんか。
 それじゃ、あなたの答弁からいきましょう。これは四月十四日の会議録で、この間円山先生が当委員会で質問された場合のあなたの答弁です。「この憲法の十五条第一項の規定は私どもは選挙権とは考えません。」あなたは選挙権とは考えていませんと言うているわけです。あなたの答弁だけまず言います。「選挙権とは考えません。むしろわが国におきましては立候補の自由を保障した規定ではなかろうかと、こういう考え方の方が通説であるように考えます。」と、こうあなたは答弁で述べているわけです。これはこのとおりですか。
#30
○委員以外の議員(金丸三郎君) それはそのとおりでございます。
#31
○峯山昭範君 それじゃ全くこれは議論が逆さまなんだ。あなたは「十五条第一項の規定は私どもは選挙権とは考えません。むしろわが国におきましては立候補の自由を保障した規定ではなかろうかと、」こういうふうに考えている、あなたはいまこのとおりだとおっしゃっていますね。
 それじゃ、まず十五条第一項の規定、これは選挙権いわゆる選ぶ権利。選挙権というのは公務員を選ぶということですね。それじゃ、立候補の自由を保障した規定ではないか――どこがどういうふうに立候補の自由を保障した規定なんですか、一遍説明してみてください。あなたは通説だと言うのですからどういう通説があるのか一遍聞かしてください。私はいろいろいろんな学者からもお伺いしましたが、こういう通説はない。要するに十五条一項は公務員を選ぶ権利であって、立候補の自由を保障した規定なんて言うのは、あなたの議論は全く逆さまですよ。これはあなたの議論だけで私はいまやっているわけですけれどもね。
#32
○委員以外の議員(金丸三郎君) 十五条の第一項は、直接間接国民の意思によって公務員が選定罷免される、終局的に国民の意思によるものと、こういうふうに解すべきだということで先ほど来お答えを申し上げておるわけでございます。
 ただいまの御質問の点でございますが、やはり国民が公務員になるということにつきまして、憲法によって公務員になることが保障されておると申しましょうか、そういう意味で申し上げたわけでございます。
#33
○峯山昭範君 金丸先生、何を言っているのかわかりませんよ、いまのあなたの答弁。あなたは十五条一項は直接間接に国民の意思をあらわすものだと前段でおっしゃいました。直接間接に国民の意思を表現するものであるといえば、それは端的に言えば選挙権とか非選挙権とか立候補する自由とか、そういうようなものが直接間接にこれはあらわすものであって、あなたが言うように十五条一項の規定は私どもは選挙権とは考えていませんということは全くあなた自身の言っていることと矛盾するじゃありませんか。
 あなたが後段言ったことは全く意味の通じないことを言いましたよ、国民が公務員になることを保障している規定であるとかなんとか。そんなことは私の質問とは全く違うじゃありませんか。あなたは十五条一項は立候補の自由を保障した規定ではなかろうかと、それが通説でございますと、こう言っておるわけだ。これはあなたの答弁ですよ。こんな通説私聞いたことありませんね、本当に。これは公務員を選定すると、その公務員を選定するという選定の根幹は、一番大事なのはやっぱり国会議員を選ぶというのが一番大事じゃありませんか。選定するという選定の中身はやっぱり選挙が含まれるじゃありませんか。これは抽象的なものじゃありませんよ。
 だから、あなたが答弁しているこれは、もう一つ一つ全部取り上げますと、全部取り消して全部変更してもらわなければいけませんよ。あなたは最高裁の判決を私が持ち出すと思って一生懸命さっきから言うていますけれども、私まだ最高裁の判決は一言もやっていないのです。もちろん最高裁の判決なんか持ち出したら全然だめじゃないですか、これ。ちゃんと答弁してくださいよ。
#34
○委員以外の議員(金丸三郎君) 第十五条の第一項は、「公務員を選定し、」「罷免する」というような書き方でございますけれども、国民の基本的な参政権を原則的な規定として規定したものである。したがいまして、その原則的な意味におきまして参政というのは選挙にも通じましょうがまた立候補にも通ずると、そういう意味で私は申し上げたのでございます。私の承知しておる限りではそういうような学者の意見がございますので、私は先般そのように御答弁を申し上げた次第でございます。
#35
○峯山昭範君 いまのあなたの答弁は、要するに「公務員を選定し、」「これを罷免する」、特に「公務員を選定し、」というところで、十五条一項ですからね、これは選挙にも通じあるいは立候補にも通じるといまあなたはおっしゃいましたね。いまのあなたの答弁はあなたが円山さんにした答弁と全く逆じゃありませんか。あなたは「十五条一項の規定は私どもは選挙権とは考えません」と、それと対比して「むしろわが国におきましては立候補の自由の保障した規定ではなかろうかと、」、これが「通説」になっている、こうあなたおっしゃっているのですよ。通説というのはいろいろな人が言うているというのが通説でしょう。こんな通説ないじゃないですか。しかもあなたがいま言ったこととこれとは全く違いますね、答弁が。訂正していただけますか。
#36
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、十五条の第一項は基本的な参政権を規定したものでございまして、選挙権は、選挙人の資格については先ほど来申し上げておりますように四十四条とか四十七条によって法律で規定をされる。国民の参政という面では国会議員になるとかあるいは知事、市町村長になるとかいうようなこともあるわけでございます。そういう意味で国民に立候補の自由と申しましょうか、国政に参与する基本的なものを保障するこれが一つの根拠規定と解していいのではなかろうかと、こういう意味で申し上げたわけであります。
#37
○峯山昭範君 また矛盾してきましたよ。あなたの答弁はもう全く答弁になっていませんよ。これは私は敷衍して敷衍してあなたの答弁を生かして言っているわけですけれども、あなたは十五条一項は基本的な参政権をうたったものだと言っているでしょう。基本的な参政権とは何だと、基本的な参政権の中にこれは選挙権も被選挙権も、あるいは公務員になる権利も公務員を罷免する権利も、あるいは国民投票する権利も、そういうようなものがすべて含まれるのじゃないですか。だから、十五条一項はこれはこの中に選挙権が含まれないと決めつけてしまうことはできないのじゃないですか。あなたの後ろにいらっしゃる法制局の人もそう言っています、私きのう詰めたが。やっぱりおかしいんだよ、どう考えたって。そんなことは言えないなんて絶対言えないわけですから。
#38
○委員以外の議員(金丸三郎君) あるいは言葉の違いかもわかりませんけれども、私先ほど来申し上げておりますように十五条の一項は具体的な規定ではないと、国民の参政権を規定したものであって、その参政権の中身としては選挙権もあれば被選挙権もございましょう。しかし、私が先ほど来申し上げておりますように、選挙権は四十四条、あるいは被選挙人の資格、これもまた別個の規定で規定されるわけでございまして、十五条の第一項は基本的な権利を規定をし、そして選挙権、被選挙権につきましては別個に法律で具体的に定められるんだと、こういうふうに申し上げているつもりでございます。
#39
○峯山昭範君 いや先生、あなたがそう言えば、それをそのとおりであったにしても、それじゃ今度はあなたの言ったことがおかしくなるんです。何でおかしいかというと、この四月十四日の答弁は、前段は十五条一項は私どもは選挙権とは考えていませんと、ところがそのすぐ後に立候補の自由を保障した規定ではないかと、そういうふうになっているわけです。
 それじゃ立候補の自由とは何か、それをもう少し詰めて、立候補の自由ということはいわゆる十五条の一項の中にはもっと書いてないわけですよ。何にも書いてないわけです。だからあなたは、私はもっと端的に言いますと、基本的な参政権の中に――あなたは言葉の違いだとかなんとか言っていますけれどもそうじゃない。十五条一項というのはいわゆる総論です。総論としてこの中にいわゆる参政権と、あなたがおっしゃっるように参政権をうたっているわけでしょう。公務員を選定する権限というのはこれは参政権としてうたっているわけでしょう。だから、その参政権の中には選挙権も被選挙権も、公務員を選ぶ権利も罷免する権利も、あるいは国民投票、そういうようなものもすべて含まれているわけですから、被選挙権が含まれてないとは言えないわけですよ。断言はできない、絶対これは。あなたがそういうふうに考えていないという、いないと断言するなら断言するだけのきちっとした根拠がなくちゃいかぬ。根拠なんか全くないじゃありませんか。
#40
○委員以外の議員(金丸三郎君) 憲法の第四十四条に「選挙人の資格は、法律でこれを定める。」とございます。十五条の第一項はいわば大原則をうたい、四十四条が選挙人の資格すなわち選挙権は法律でこれを定めると、こう書いてございますので、この前の円山委員の質問に対してはあのようにお答えをしたわけでございます。
 参政権という意味の中に選挙権とかあるいは被選挙の資格とかいうようなものも入ってまいりましょうけれども、この前の御質問の場合は具体的な選挙権の問題でございますから、それは十五条の一項は抽象的な参政権の規定で、具体的な選挙人の資格、選挙権、被選挙人の資格、被選挙権、これは四十四条で明瞭に法律で規定すると、十五条に対応して四十四条の憲法の規定で規定されておるわけでございますので、そういう意味で円山委員にはお答えを申し上げた次第でございます。
#41
○峯山昭範君 いや、あなたはそういうふうに言っていますが、それは違います。
 十五条一項、円山さんは具体的にと言っていますが、円山さんの質問は、「いわゆる憲法十五条一項の公務員の選定、罷免権とそれからいま問題にしております選挙権とは、どういうふうにこの二つをとらえられて本改正案に臨まれたのか。」という質問です。それに対してあなたは、「この憲法の十五条第一項の規定は私どもは選挙権とは考えません。むしろわが国におきましては立候補の自由を保障した規定ではなかろうかと、こういう考え方の方が通説であるように考えます。」と、こう言っておるわけです。何もこれは具体論じゃないですよ。
 要するに十五条一項、これはあなたは参政権ということで言葉の違いだなんて言っていますけれども、要するに選挙権というのが十五条一項の中に明確に含まれているんでしょう、参政権の中に。あなたは含まれてないと言うんですか。参政権の中に十五条一項で言う選挙権というのは含まれてないんですか。あなたが言う参政権の中に選挙権は明確に含まれているんじゃありませんか。だから、あなたが言うように、ここに書いてあるようにこの十五条一項の規定は選挙権とは考えていないというのはやっぱりこれは誤りじゃありませんか。
#42
○委員以外の議員(金丸三郎君) 十五条の一項の参政権の内容としては、選挙に参加いたしますとかあるいはリコールをいたしますとか、そういうようなことも抽象的には入ると思います。しかし、私が選挙権はこの規定に入らないというふうに答弁を申し上げましたのは具体的な選挙権という意味でございます。円山委員の質問と同じように宮之原委員からも前回御質問がございました。そのときに十五条の一項に関連いたしまして、やはり選挙権に関連して十五条の一項をどう解釈するのかという趣旨の御質問がございました。私どもが十五条の一項は選挙権を含まないと言うのは、具体的な選挙権、これは国会議員の選挙の資格もあれば地方議会の議員の選挙の資格もございましょうし、そういう意味で具体的な選挙権はそれぞれ法律によって定められると、こういうふうに申してきておるわけであります。
#43
○峯山昭範君 これは私はさっきから三段階譲っていますよ。もう一段階譲ったにしても、それじゃあなたのいわゆる参政権の規定で選挙権とは考えていませんという、ここのところへもっと具体的に全部つけ加えていただけますか。全部具体的にあなたはつけ加えていただけますか。四十四条で言うこの選挙の資格のことを私は言っているんであって、十五条一項のいわゆる選挙権というのはそういう意味で言っているんであって、この十五条一項は選挙権とは考えていないというあなたの言っていることは、すべて矛盾しているわけです。
 あなたがここで答弁するんなら、憲法第十五条一項の規定を出して言うわけですから、そのときにはこれは参政権であってときちっと言わなければいかぬわけです。それならいいわけですよ。ところが、あなたはそう言わないで、選挙権とは考えていないとはっきり言っているわけですから、これはどう考えたって、だれが考えたって、どこまで譲ったってミスですよ。これは訂正していただかなければだめですよ。そうでしょう、あなたがどう答弁しようと。これは言葉のやりくりじゃありませんよ。
 あなたは、大まかなことで十五条一項は参政権というのであって、いわゆる選挙権というのは全部四十四条と言って、これはまたあなたの言う四十四条についてもまだほかに問題があるわけです。あなたの言っていることを一つ一つ言うとこれはもう本当に何十時間あっても足りないぐらい問題が多過ぎますよ。いまのこの問題どうなんですか。あなたは明確に答弁していませんよ。要するに前段の選挙権とは考えていませんという答弁すらあなたは満足に答弁できない。後段のむしろわが国におきましては立候補の自由を保障した規定ではなかろうかと、これが通説になっていると言うている。この後段の方も全く答弁がありませんよ。
 私はあなたが何でこう答弁したかというのはわかります。いろいろいっぱい読んでいてわかりました。それは最高裁の判決があるからです。だからこの最高裁の判決を逃げようと思って一生懸命やっているわけだ。ところがその最高裁の判決はまだ私は議題にしていない、これは私質問の中に入れてないわけですから。入れなくたって十五条のこの一項だけであなた方の明確な答弁はありませんよ。これは前段、後段もう一回区分をして明確に答弁してみてください。
#44
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私のお答えがあるいは少し端的過ぎたのかもわかりませんが、先ほど来申し上げておりますように、十五条の一項は基本的な参政権を規定したものであり選挙権がこれに含まれていないというふうのお答えを申し上げておりますのは、具体的な選挙権が十五条の一項では規定されていないのだと、こういう意味でございますので、そのように御了承をいただきたいと思います。
#45
○多田省吾君 委員長、議事進行。
 ただいまの私はたび重なる峯山委員の質問に対して金丸発議者の答弁は全然答弁になっていないと思います。
 峯山委員の質問したのは、本年の四月十四日の公選法特別委員会におきまして円山雅也議員が、具体的な問題としてではなしに「憲法の十五条一項の公務員を選定し罷免するのが国民の固有の権利であるというような規定があることから、この条文を根拠にやはりこれは基本的人権に属する、つまり固有の国民の権利じゃないのかというような議論が出ておるようでございますけれども、いわゆる憲法十五条一項の公務員の選定、罷免権とそれからいま問題にしております選挙権とは、どういうふうにこの二つをとらえられて本改正案に臨まれたのか。ちょっとその辺をお聞かせいただきたいと思います。」。これに対して金丸三郎発議者は答弁として、「選挙権は先ほど申し上げましたような基本的な考えに基づいて私どもは解釈をいたしております。この憲法の十五条第一項の規定は私どもは選挙権とは考えません。むしろわが国におきましては立候補の自由を保障した規定ではなかろうかと、こういう考え方の方が通説であるように考えます。」と。また十六日の答弁でも、十五条の第一項は「この規定がいわば立候補の自由に関する規定だと、」、こういうふうに考えておりますと、「通説と言ってよろしいのではなかろうかと、」、このような答弁に終始しております。
 先ほど峯山委員から、この十五条の一項はきょう金丸発議者が答えられたように国民の参政権だと、そうしたら先ほどから言っているこの私どもは選挙権とは考えませんという十四日の答弁は誤りじゃないか、訂正しなさいと何回も言っているのに訂正していません。それから立候補の自由を保障した規定ではなかろうか、これが通説だ、学者も言っている、その学者を出してくださいよ。答弁が全然食い違っておりまして、この重要な自民党案と憲法問題を審議している当委員会におきましてそんなおかしな答弁で続行できませんよ。訂正するなり、また皆さん発議者で相談されて、それから法制局とも相談されてはっきりした答弁を出すべきです。いつまでたってもこれはこんな質疑は続けられませんよ、そんなあやふやな答弁では。(「関連質問なのか」と呼ぶ者あり)議事進行なんです。ですから、これは理事会を開いてやってください、休憩にして。こんな答弁じゃ続けられませんよ。(発言する者あり)
#46
○委員長(上田稔君) 静かにしてください。
 ただいまの多田君の質問は、委員長は関連質問として許可いたしたのであります。
#47
○多田省吾君 さっきは議事進行で許可したんじゃないか。おかしいですよ。議事進行で言っている。
#48
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど、何遍もお答えを申し上げておるのを繰り返すようでございますけれども、第十五条第一項は国民の基本的な参政権を規定した基本的な規定でございまして、具体的な選挙権につきましては四十四条で規定をされておると、このように繰り返しお答えを申し上げておるわけでございます。あるいは私の円山先生なり宮之原先生なりの御質問に対する答弁が端的過ぎたかもわかりませんが、いまのようなお答えで御了承をいただきたいと思います。
#49
○峯山昭範君 委員長、やっぱりこれは公正な運営をやっていただきたいと思いますね。答弁を聞いていてくださいよ。実際さっきから私何回もやっていますけれども、発議者は非常にいいかげんな答弁ですよ。手帳なんか下見て書いたりしないでよく聞いていてくださいよ、委員長。
 発議者ね、それじゃもう一回言いますよ、あなたは一生懸命基本的な参政権をうたったものであって個々のものをうたったものではないと、こう言って一生懸命逃げていますね。そしてあなたは後段では立候補の自由をうたった点だと、こう言っていますね。それで、あなたの心配なこととあわせて、それじゃこのいまのところをもう一回持ち出してみたいと思いますよ。
 四十三年の最高裁の判決の全文をずっと読んでいただきますと、あなたはもうよく頭に入っている問題ですけれども、こうなっています。立候補の自由は――あなたは立候補の自由という問題を言っているわけです。ここで立候補の自由というのはこの十五条一項だとあなた言っておるわけです。それが通説だと言っているわけですから、あなたの範疇に入って私は質問いたしますと、立候補の自由というのは、これは最高裁が言っておるんですよ、立候補の自由は選挙権の自由な行使と表裏の関係にあるから、いわゆるこの立候補の自由というのがいわゆる基本的人権だと、こう四十三年の判決ではなっておるわけです。そうでしょう。
 ということは、逆に言えば立候補の自由というのは選挙権の自由な行使と表裏の関係にあると。というのはもっと逆に言えば、あなたは立候補の自由というのはこの十五条一項でうたっていると言っているわけ、あなたはな。つまり十五条一項でうたっている立候補の自由というその本当の正面は何かというと選挙権なんです。何でかというと、十五条一項はあなたも御存じのとおり「公務員を選定し」とあるわけですから、これがいわゆる正面にくるわけです、最高裁の判決と比べても。だからあなたの答弁はすべてに矛盾しているわけです。前段も後段も矛盾しているわけです。
 したがって、前段の十五条一項の規定は私どもは選挙権とは考えていませんというのは、あなたはいま多少、少しずつ認めてきたね、言葉足らずだったとか端的だったとかちょっと言うていますがね、少しずつ認めてき出している。委員長、少し認め出してきておるんですよ、全然違うと言うてない、少しずつ認めてきた。これはもうちょっと認めなきゃいかぬ。だからこれは前段は完全にミスなんです。訂正していただかにゃいかぬ。後段はまたますますもってあなたに通説というのを教えてもらわなきゃいかぬ。
 いずれにしても、いまのあなたの答弁は明確に私の質問に答えてないわけだ。あなたは要するに十五条一項は基本的な参政権をうたっておるものであって、具体的な個々の権利については四十四条以降にうたっていると言うわけよ。それだけ言っておるだけですよ、あなたは。だけれども、あなたの選挙権は含まれていないということと、それから立候補の自由をうたったものだというあなたの主張に対して、これはおかしいじゃないかということに対して一つも答弁ないじゃないですか。具体的に答弁してくださいよ。
 ですから、委員長よく聞いていてください。ないんだよ答弁、全然。これはもう何回も言っているんですよ。私もう一時間近くやって一つも答弁出てこないんじゃどうしようもないよ。
#50
○委員以外の議員(金丸三郎君) どうも大変表現がまずうございまして申しわけございませんが、先ほど来申し上げておりますように、第十五条の第一項は国民の参政権を規定したものであると。参政権と申しますというと公務員になる権利も当然あるわけ、あるいは公務員の選定に参与する資格と申しましょうか、という権利もあるわけで、これがいわば参政権の内容であろうと思います。その一種として選挙権も参政権の中に含まれておるのではないかというのが峯山先生の具体的な御主張のようでございます。私が申しておりますのは、参政権の中には選挙権も入ってまいりましょうが、それは抽象的な参政権という枠内におけるものであって、公務員を選定する方法として選挙を行います場合の選挙権というものは憲法の四十四条に規定されておるから十五条の第一項とは違うと考えておりますと、こういうふうに私は申し上げておるわけであります。
#51
○峯山昭範君 あなたはさっきから参政権の問題についていろいろなことを言っておりますけれども、参政権の一番先に来るのは選挙権です。どういう辞典を調べても、どういう百科事典を調べても、どういう学者の論説を調べても参政権のトップに来るのは選挙権です。資料に全部ありますよ。一番に出てくるのは選挙権、その次が被選挙権、その次は公務員になる権利、公務員を罷免する権利。お隣りがうなずいておるからそのとおりだと思いますよ。それをあなたはその選挙権は別に規定しているからこの中に含まれてないと。そんなことないんです。たとえ四十四条に別に資格は規定してあっても、十五条一項の中のこのいわゆる参政権の中にはこれはきちっと含まれる、このことはきちっとしているわけです。
 それだけじゃない。あともう時間的な問題がありますから私はあれですが、もっとこれはたくさんいろいろなことをやりたいわけですが、これはこの間の最高裁の判決もありますね、四十三年の最高裁の判決、あれでも選挙権が基本的人権の一つであるということは明確じゃありませんか、もう端的に言えば。私はこれからもう一つ別の項目であなたと議論をしようと思っていましたけれども、四十三年の最高裁の判決で要するにこの選挙権というのも基本的人権、あなたはこれを持ち出して選挙権はそうじゃないと言うかもしれませんが、四十三年の判決でいわゆるこの選挙権というのは基本的人権の一つとすべきであると明確になっているじゃありませんか。そうでしょう。
#52
○委員以外の議員(金丸三郎君) 昭和四十三年の最高裁の判決の字句は御承知のとおりでございます。ここに基本的人権というふうに述べられておりますのは、私どもは先ほど来申し上げておりますように憲法第十五条第一項の基本的な参政権であると、私どもは最高裁の判決はそのように解釈をしております。
#53
○峯山昭範君 だから、要するに選挙権ですよ。参政権とはうたってませんよ、この最高裁の判決は。参政権とは書いてませんよ、ここには。そうでしょう。最高裁の判決は「立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、」と、いわゆる選挙権の自由な行使と表裏の関係にある立候補の自由、この被選挙権というのを言っているわけです。選挙権、被選挙権のことを言っているわけです。そうじゃありませんか。
 ですから、あなた方がさっきからさんざん答弁していることは、すべていままで会議録の中でいろいろと、もう一回、二回じゃありませんよ、選挙権はいわゆる基本的人権ではないと。それはあなたは自然権的な問題ではないと言って一生懸命逃げようとしていますが、それも違います。要するに人間である以上は当然持っている権利、いわゆる自然権、自由権、社会権というようなものと参政権は違うんだとあなた方は言っていますが、それはずっと戦前ですよ。いわゆるまだ参政権が十分生きてなかった時代が実際ありましたね。
 そういうような時代はそうかもしれませんが、現在の時点では参政権というのは基本的人権の根幹をなすものじゃありませんか、そうでしょう。私の手元にもたくさんの資料がありますけれども、これは基本的人権の中で参政権は明確にあります。参政権の中にトップに来るのがいわゆる選挙権じゃありませんか。その選挙権、被選挙権を否定しているあなたの答弁が十分じゃないというのはもう明確ですよ。
 委員長、さっきから同じことばかり答弁していますけれども、これじゃ幾ら、一時間私やりましたけれども一歩も前進しないじゃありませんか。これじゃどうしようもありませんよ。本人も認めかかっていますから、訂正していただくか、または法制局で十分相談して後でまとめて答弁していただくか、理事会で御検討ください。
#54
○委員長(上田稔君) 金丸君、いかがですか。
#55
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは先ほど来申し上げておりますように自然権的な意味の基本的人権ではないと、かように考えております。十五条の第一項は参政権を規定しておるものであって、いわゆる民主政治のもとにおきましては選挙によって公務員を選ぶのが普通でございます。したがいまして、選挙権が非常に大事な基本的人権のように考えられ、また一般にそのように言われておることも私も十分に承知しております。しかし、わが国の現憲法を見ますというと、やはり選挙人の資格、被選挙人の資格、こういうものは憲法にはっきりと規定があるわけで、十五条の第一項と四十四条を私どもは総合的に解釈をして、選挙権はいわゆる基本的人権とは違って基本的参政権ではございますけれどもやはり憲法四十四条の規定に基づいて少なくとも国会につきましては選挙の資格が与えられてくるんだ、私どもはこのように考えます。
#56
○峯山昭範君 全然答弁になってないじゃないですか。最高裁の判決で明確になっていると言っているじゃないですか。これは全然答弁してないじゃないですか。
#57
○多田省吾君 委員長、関連。
 いま峯山委員が質問したように、昭和四十三年の十二月四日の最高裁大法廷の全員一致の判決の中にはっきりと、「憲法十五条第一項は、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と規定し、選挙権が基本的人権の一つであることを明らかにしている」と最高裁で判例を下しているわけですよ。それに対して、選挙権は基本的人権ではないと最高裁の判例と違った答弁をしているのは、憲法八十一条あるいは九十九条の規定によって、国会議員として、発議者としてこの答弁は憲法違反であり成り立ちません。ですからその答弁を否定するまでは私たちはこの審議は続けられません。こんな憲法違反の答弁に終始している。
 それからもう一点は、先ほど峯山委員がおっしゃったように、円山委員の質問に対して憲法の十五条第一項の規定は私どもは選挙権とは考えませんと、これも誤っております。半分訂正しかかっていますが、はっきりまだ訂正していません。これは訂正を強く求めます。
 それから、憲法十五条第一項は立候補の自由を保障した規定ではなかろうか、これが通説だと、これも私は誤りだと思います。これも訂正しなければこの審議は続けられません。やはりこれは憲法問題で重要なところでございますから、はっきりした訂正あるいははっきりした答弁のし直しがあるまでは私たちは峯山委員の質問は続けられないと思いますので、理事会を開いて検討していただきたい。憲法上の問題です。
#58
○委員長(上田稔君) なお意見が相違しておるようでございますが、金丸君答弁を願います。
#59
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私が再々申し上げておりますように、十五条の第一項は参政権の基本的な規定でございまして、その中には選挙に参加するとかあるいは公務員になるとか、そういうようなことも含まれておると言ってよろしいかと思いますけれども、これは抽象的な参政権であって具体的な選挙権の内容は四十四条によって規定されておるんだと、私どもはそのように確信しております。
#60
○多田省吾君 十四日、十六日と違いますよ、全然。選挙権じゃないと言っているんだ。これは続けられませんよ。委員長、これは休憩してください。これでは何回同じことを言っても矛盾が重なるだけですよ。一番大事な憲法問題じゃありませんか。こんな答弁は納得できませんよ。これは休憩です。
#61
○峯山昭範君 委員長、金丸先生もだんだん認めているわけ、自分の行き過ぎだったとか端的だったとかいろいろなことを言いながら。いま同じことを何遍も言っていますけれども、あれは全然私の質問には答えてない、全部すれ違いなんだ。先ほどから話もございますようにこれは最高裁の判決でも明確なんですよ。「被選挙権または立候補の自由が、選挙権と並んで、憲法十五条一項の保障する重要な基本的人権の一つであることを明らかにしている。」というのがこの四十三年の判決、これは出さなくても明確なんです。ですからそれは明確にしてください。
#62
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、十五条の第一項は参政権の基本的な規定でございまして、最高裁の判決は私どもは私どもの言う基本的な参政権を認めたものだと、そういうふうに解釈をし、具体的な選挙権、被選挙権につきましては法律でやはり定めるんだと、このように考えてよろしいと、こういうふうに申しておるわけであります。
#63
○峯山昭範君 これはやっぱり理事会で協議してください。答弁が全然もうだめです。(発言する者多し)
#64
○委員長(上田稔君) 発言を求めて発言してください。
#65
○峯山昭範君 委員長、ちょっと休憩してください。そうでないと時間だけ過ぎてだめですよ。私は一時間同じことをやっているけれども同じ答弁で全然だめです。進んでないです。(「意見の相違だよ」と呼ぶ者あり)意見の相違じゃありませんよ。意見の相違じゃありません。
#66
○委員長(上田稔君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#67
○委員長(上田稔君) 速記を起こして。
#68
○委員以外の議員(金丸三郎君) どうも私のお答えを御理解いただけないようでございますけれども、第十五条の第一項は基本的な参政権の規定で、参政権と申しますというと選挙権とかあるいは被選挙権とかあり得るかと思いますが、具体的な選挙権、被選挙権につきましては四十四条で規定をされておるのだと、私は一貫してそのようにお答えをいたしてまいっておる次第でございます。
#69
○峯山昭範君 委員長、時間が過ぎてしまうと困るんです。僕が質問した前段のことでいま言うているんだ。後段については一回も答弁なし、一時間やっても。ですから、これはやっぱり相談していただかなければ困ります、同じことばっかりやっているんですから。
#70
○委員長(上田稔君) 金丸君、いまの点をちょっとはっきり言ってください。
#71
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、十五条第一項の参政権の中身としましてはいわば抽象的な選挙権とかあるいは立候補とか、これは参政の中身でございますからあるわけでございます。が、具体的な選挙権の中身とか、あるいは立候補の手続とか資格とかいうようなことについては、憲法上の規定もあり別個に法律で定められてよろしいんだと。いわば十五条の第一項は抽象的な規定であって、具体的な選挙権の中身とか立候補のことは別途法律で定めればよろしいんだと、こういうふうに考えておるわけであります。(発言する者多し)
#72
○委員長(上田稔君) 発言を求めて言ってください。静かにしてください。
 金丸君の答弁は憲法をそのとおりに読んでおるものでございますので、これはそのほかに言いようがないのではなかろうかと……(発言する者多し)
#73
○峯山昭範君 僕は理事会を要求してます。
#74
○委員長(上田稔君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#75
○委員長(上田稔君) 速記を起こして。
#76
○委員以外の議員(金丸三郎君) たびたびお答えを申し上げて十分御納得いただかないで申しわけございませんけれども、私が再々申し上げておりますように、十五条の第一項は抽象的な参政権の規定であると。その中には民主政治のもとでございますから一般通念から申しましても選挙に参加する資格あるいは権利、あるいは立候補する資格、そういうものもそれは入ってまいりましょう。しかし、これは申し上げておりますように抽象的な選挙に参加する権利、立候補する権利でございまして、先般の御質問に対して私が十五条の第一項が選挙権の規定ではないと申しましたのは具体的な選挙権に関する規定でないと、こういう意味で申し上げたわけでございます。
 立候補につきまして具体的なということを申し上げませんでしたのでいろいろ誤解を招いたようでございますが、あるいは私の表現が悪いのかもわかりませんけれども、十五条の第一項はそういう意味でやはり抽象的な立候補に関する国民の基本的な参政の権利の一環としての立候補の権利が認められる基本的な規定だと、こういうふうに私は解すべきであると、そして選挙権と同じように立候補につきましても別途法律で定められることは当然であろうと、こういうふうに考えております。
#77
○峯山昭範君 委員長ね、何も金丸さんの答弁は変わってませんよ。初めからあれですよ。ですから、あれではいかぬいうて私は一生懸命言っているわけですからね。答弁になってないです。(発言する者多し)
#78
○委員長(上田稔君) それでは、十分間休憩をいたします。
   午後二時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十分開会
#79
○委員長(上田稔君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公職選挙法改正に関する調査を議題とし、公職選挙法の改正について質疑を行います。
 この際、金丸君から発言を求められておりますので、これを許します。金丸君。
#80
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど峯山委員の御質問に対しまして私がお答えを申し上げました中で、改めて明確に申し上げた方がよろしいと思いますので、私の答弁を申し上げました中で三つの項目につきまして申し上げさせていただきたいと思います。
 第一は、憲法第十五条第一項の中に形容詞なしに選挙権が含まれていないと申しましたのは不適切でございました。
 第二に、憲法第十五条第一項はむしろ立候補の自由を保障しているというのが通説であると私が申しましたが、ここは立候補の自由をもと言うべきでございました。
 第三は、選挙権に関する事柄でございますが、選挙権は天賦人権という意味での基本的人権ではないと言ったのでございまして、広い意味では基本的人権に含まれていると考えております。
#81
○峯山昭範君 先ほどから一時間近く議論をいたしましてただいまのように三点訂正をいただいたわけであります。したがいまして、私はいままで公職選挙法の自民党案につきまして相当いろいろな角度から質疑をやってまいっているわけでありますが、この三点にわたりましてどういう点がどうなっているかということは相当精査しなければならないと思っております。
 したがいまして、第一項の、第十五条第一項の中に選挙権が含まれていないというこの発言につきましては、形容詞なしにそういうことを言ったのは不適切ということでありますから、これは間違いということが明らかであります。
 それから第二項の、いわゆる第一項はむしろ立候補の自由を保障しているというのが通説であるということを言ったのは、立候補の自由をも含まれていると言うべきでありましたということでありますから、これはいままで立候補の自由を保障しているというその通説を覆したことになりますので、これも間違いでありますので、今後の質疑の中でどういう点があるかという点は詳細に精査する必要があると考えております。
 それから、三番目の問題はわれわれとても納得できる問題じゃありません。これは選挙権は天賦人権という意味での基本的人権ではないと言ったのであって広い意味では基本的人権に含まれているということでありますから、いわゆるこの選挙権は基本的人権ではないということとはこれは真っ向から対立いたしております。したがいまして、いままでの基本的人権ではないと前置きなしにおっしゃっている部分については、これは会議録をすべて訂正をしていただかなければならないと思っております。また、この選挙権は天賦人権という意味での基本的人権ではないという言い方は、少なくともこれは古い時代の考え方でありまして、最近の学校の教科書、あるいはいろいろな大学の試験、いろいろなものを調べてみましても、基本的人権の中に明確に選挙権というのが出てまいります。これはもちろん参政権の中に出てくるわけでありますが、そういうふうな意味でこれも、こういうふうに広い意味では基本的人権に含まれるというふうな、そういう選挙権というものが軽いものではないというふうに私たちは考えております。
 さらに、少なくても現在の時点におきましては、昭和四十三年の最高裁の判決がやはり最終的なものであろうと考えております。そういうふうな意味で、この最高裁の判決が、「被選挙権または立候補の自由が、選挙権とならんで、憲法一五条一項の保障する重要な基本的人権の一つであることを明らかにしている。」、こういうふうに解説があるわけでありますが、そういうふうな意味でもこの基本的人権の重要さというのが明確になっております。
 そういうふうな意味で、少なくともこれから――そのほか、実は私きょうこの委員会で指摘する事項の一つだけいまやったわけでありますが、実際はもっといろいろな角度から質問をしなければなりませんが、きょうは私の質問の持ち時間がこれで終わりますので、とりあえずきょうはこれで終わっておきたいと思います。しかし、先ほど発議者の方から訂正の発言がございましたので、これをもとにいたしましていままでの会議録をさらに精査をいたしまして、改めて質問をさせていただきたいと、そういうふうに思っております。
#82
○近藤忠孝君 約二時間余にわたる空転を経験しまして、私はなぜそうなったかと思いますと、やはり発議者の中に選挙権と被選挙権を何とか基本的人権でないかのように言いつくろって、その結果、選挙権や被選挙権の内容を法律で自由にできると、憲法の枠なんかないというような形をつくろうという、こういう無理な考えが基本にあったんだと、こう思うわけです。そういう意味で私はそういう態度こそ根本的に変えるべきだと、こう思います。この点では、私が前回指摘をしました本法案の党利党略性、これも客観的にはまさに党利党略性なんですが、そうでないと言いつくろうところに無理がありました。
 私は、これは先ほどみたいに一時間余の時間をかけないで率直に撤回を求めたいと思いますが、前回私が自民党の内部文書を示しまして、そこでこのような部外に対して調査を委嘱したことはないかとこう聞きましたら、二回にわたってそういう委嘱をした事実はない、こう答えたわけであります。これは私は明らかに事実に反することだと思いますが、率直にこの発言が誤りである、この事実はお認めになり、この発言は撤回されますか。
#83
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私ども政策審議会の内部におきまして検討して、いろいろ案を審議しております中ではそのようなことはなかったのでございますけれども、先般御指摘のように総務局の方で依頼があったことがわかりまして、先般そのように私も正確に記憶いたしてございませんでしたのでそういうことはないと申し上げたわけでございましたが、これは私の記憶違いでございましたので、その点はどうぞ御了承いただきたいと思います。ほかに何ら他意はございませんでしたので御了承いただきたいと思います。
#84
○近藤忠孝君 自民党内の部局の問題にしてしまったのですが、そうだとしますともう一言言わなければいかぬです。
 と申しますのは、先週のNHKの国会討論会で自民党の梶木国対委員長は、この文書につきましてわが党の市川国対委員長が出しましたらこう言っています。どこから出てきたかわからぬような無責任な文書、こう言っているわけですね。そして、司会者が党内文書ではないのですかと言いましたら、でかい声でないないと二回も繰り返した。となりますと、私はいまの部局の問題と言うにはこれまた余りにも無責任な発言ではないかと、こう思います。
 そこで改めてお伺いしますが、まずこれが党内文書であるということ、梶木さんは否定していますけれども、これはまず自民党内の党内文書であるかどうか。あることは間違いないですけれども、これはお認めになるかどうか。もう一つ、私はそんなことをおっしゃるならこれはぜひもう出して、党利党略でないとおっしゃるなも堂々と出して、ひとつ公にしてみんなで議論すべきだと、こう思いますが、どうですか。
#85
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもの党で依頼してつくった文書であるということは間違いないと思っております。ただ、私どもの内部の一資料でございまして、私どもがこの法案を作成し、このような案を決定いたします上の単なる一資料にすぎなかったわけでございますので、その点はそれでどうぞ御了承をいただきたいと思います。
#86
○近藤忠孝君 私は自民党が党利党略でないと言うのであればこれは出すべきだということを改めて要求します。
 そこで、法務大臣、大変お待たせいたしましたけれども、大臣の基本的なお考えをお聞きしたいのですが、選挙というものがこれは代表民主制の主柱であって、特に国民代表原理という面から見ますとまさに私は選挙法こそが本当の憲法だと、こう思いますし、そのように指摘されております。法務大臣、法を預かる大臣として選挙法をそのように理解しているかどうか、いかがですか。
#87
○国務大臣(坂田道太君) 公職選挙法は日本国憲法の精神にのっとりまして民主政治を実現いたします方法を定めますきわめて重要な法律であるというふうに考えております。
#88
○近藤忠孝君 そうしますと、選挙法の中身が憲法違反になりますと、まさに選挙法こそ憲法なんですから、そのことによって憲法そのものが改正手続を経ないで変えられてしまう、まさに実質的な改憲になってしまうのではないか、そう思うわけです。そういう点では私はこの法案の違憲性問題、憲法違反かどうかというこの問題の討議は徹底して行われるべきだと、こう思いますが、これは法を預かる法務大臣の立場からもそうだと思うのですが、どうですか。
#89
○国務大臣(坂田道太君) これはこういう基本的な問題につきましで国会で自由に御討議いただくということは当然なことではないかというふうに思います。
#90
○近藤忠孝君 自由にやるのはあたりまえなんですが、特に私が言っているのは憲法違反かどうか、特に合憲性問題、これは特に徹底的に審議をするのが私は国会に与えられた責務であると、こう思うのですが、法務大臣の立場から考えてどうかということなんです。
#91
○国務大臣(坂田道太君) とにかく法律に基づいて事は行わなければいけないというのがわが法務大臣としての考えでございますから当然だと考えております。
#92
○近藤忠孝君 そこで、発議者にお伺いしますが、憲法問題は一番大事な問題であり、いま法務大臣も言ったとおり徹底してやってほしいというのを法務大臣の立場からもそう言われたわけです。ところが、四月二十八日、峯山委員のまさにこれから本格的な憲法議論に入ろうとする場所で質疑打ち切りがあったわけですね。ということは、私は発議者も含めて自民党としてはいま法務大臣も触れられた一番大事な憲法問題、これを避けて通ろうとしたんだ、こう指摘せざるを得ないのです。発議者、どうですか。
#93
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは提案者でございますので、御審議のございます限りは十二分に御審議をいただきたいと、そして御質問の点はお互いに明確にさせて、違憲性なんかのないように努力をすべきである、かように考えております。
#94
○近藤忠孝君 そうしますと、動議を出した方はいまいませんけれども、しかしそれを受けて委員長が何か紙切れを読み上げられたですけれども、委員長としてはこの一番大事な憲法問題を避けて通ってもいいと、あの当時はそう思っていたのですか。
#95
○委員長(上田稔君) 憲法問題を避けて通るために質疑を打ち切ったのではないかという御質問でございますが、その問題につきましては、質疑を打ち切りました問題につきましては理事会にお諮りをいたしまして、そして結論を得ていただいてこの開会に至っておるのでございます。
#96
○近藤忠孝君 そこまでお答えいただくなら、もっと前をお答えいただきたいですね。
 ですから、私お聞きしているのは、あの二十八日の段階で委員長としては、動議があった、それに対して憲法問題を避けて通っていい、やってしまおうと、こうお考えになったのでしょう。その当時の気持ちです。いかがですか。
#97
○委員長(上田稔君) 憲法論議はそれまでにも出ておったのでございますが、そういう避けるためにやったのではないのでございまして、動議が出たものでございますからそれを採択をしたのでございます。その後理事会においても討議していただきまして、決まって、この開会ということになっております。
#98
○近藤忠孝君 再開にわれわれも合意したわけですからその点はいいのですが、私は少なくとも一番大事な問題を避けて通ろうとした、そのことは今後絶対してはならないということを委員長に特に要望して、次に入りたいと思います。
 そこで、発議者にお伺いしますけれども、盛んに本法案が憲法に適合する合理的な制度であると、その合理的な制度として拘束名簿式比例代表制を採用した、こう繰り返し述べておるんです。ということは、それは現行全国区制に比べてより憲法に適合しより合理的なものという、そういう趣旨なんでしょうか。
#99
○委員以外の議員(金丸三郎君) 制度全体として考えまして、現行の制度には繰り返し申し上げておりますようないろいろと無理な点がございますので、私どもが提案をいたしております制度の方が合理的と考えておると、こういう意味でございます。
#100
○近藤忠孝君 私、合理性の中身についてはもちろん絶対反対です。しかし、合理的かどうかという判断が一つあったというのは一つの論点ですね。もう一つは、より憲法に適合するかどうか、そう考えたのかどうか、現行全国区制より今回出した法案が憲法上の問題としてもより合理的かどうか、その点はどうですか。
#101
○委員以外の議員(金丸三郎君) 現行法と私どもの提案をいたしております法律案とがどちらがより憲法に適合するかということは、比較の問題ではございませんで、私どもが提案をいたしております法律案は内容としてより合理的でありまた憲法にも適合しておる、私どもはこういうふうに考えておると、こういうことでございます。
#102
○近藤忠孝君 そういう点では現行全国区制にはほとんど憲法上の問題はなかったわけですから、疑義はね。そうだと思うので、いま金丸さんがおっしゃったとおり憲法問題としては拘束名簿式比例代表制にしても憲法違反にならないという、そういう意味にすぎないのじゃないか、そう思うのですが、そう確認してよろしいでしょうか。
#103
○委員以外の議員(金丸三郎君) おっしゃるとおりだと思います。
#104
○近藤忠孝君 そうしますと、比例代表制についてこれは金丸さん自身も昨年の十月の本会議でこう答弁しています。
 この法律は「現在の段階におきまして最も合理的な最善のものと確信をいたしております。比例代表制は、むしろ多数政党よりも少数政党に有利な制度というのが欧州各国におきましても常識でございます。比例代表制は、ヨーロッパにおきましては少数政党がいわばかち取った選挙制度で、多数党から出すということはきわめて例外で、比例代表制は多数と少数とを問わず最も合理的な議席配分の制度だと、かように考えております。」こういうふうにですね。
 ということは、いわゆる合理性、盛んに言っておりますが、それはいまここで示された比例代表制の特質、少数もより出てくると、少数もちゃんときちっと出てくるという、まさに少数派の方が求める制度であるというようなことも含めてその点が合理的であると、そうお考えになっての提案ですか。
#105
○委員以外の議員(金丸三郎君) この案の一つの長所と申しましょうか、現行制度に比べまして、そういう意味に考えております。
#106
○近藤忠孝君 ちょっといまの意味はよくわからないですね。やはり比例代表制の特色として言っておるんですか、これはただ一つだけであってそのほかにもたくさんあるというのですか、比例代表制の合理性の根拠。
#107
○委員以外の議員(金丸三郎君) 比例代表制そのものによりましては多数党、少数党、得票ができるだけ死に票がなく議席に結びついてくるという意味で私どもはより合理的だと。ただ、今回の拘束式比例代表制の制度をとりますというと、個人本位の全国にわたる選挙運動が不必要になりまして政党本位になってまいりますから、過大な費用がかかるという欠点が改められる、そういうような長所も一つはある、こういう意味でございます。
#108
○近藤忠孝君 金がかからない選挙ということが理由に言われていますので、それも一つだと思いますけれども、しかし基本はあくまでも国民の支持の割合に基づいて議席が配分できるというところに比例代表制の特色があるという理解と、こう伺いました。
 そこで、具体的にお伺いしますが、そうだとしますと、五人以上の国会議員、四%以上の直近選挙における得票、それから大変大きな多額の供託金と厳しい没収規定、この三要件がどうしてこの拘束名簿式比例代表制に不可欠なのか、ここを具体的に御説明いただきたいと思います。
#109
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、日本の現在の政党の実情を考えましたり、全国にわたる選挙運動、またほかの確認団体の制度等を考えまして、私どもがこの法案で規定しておりますような要件を満たす政治団体が名簿を提出できる政党とすることが適当であろう、こういうふうに考えた次第でございます。
#110
○近藤忠孝君 適当かどうかの問題以前に、私お聞きしているのは、この比例代表制にはさっき申し上げた三要件がなければ比例代表制と言えないのかどうか、これが欠けてしまうと比例代表制がなくなってしまうのかどうか、その点どうですか。
#111
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、総体的に考えまして、現在のわが国の状況からいたしまして、この案で規定しておりますような要件を満たす政治団体が名簿を提出できる政党とすることが妥当であろう、こう考えたわけでございます。ただ、このような要件を満たさなければ比例代表制という制度が考えられないかというと、私どもは申し上げておりますように私どもの案がベストとは思っておりません。いろいろと御論議もあろうかと思います。その方がよりベターだということであれば、私どももこの原案の政党の規定に拘泥するものではございません。
#112
○近藤忠孝君 そういたしますと、必ずしもこれは不可欠ではないというお考えですね。うなずいていますが、そうしますと、昨年の十月以来この委員会で金丸さんがお答えになってきた議論、これは憲法違反でないという論拠として、この三つの要件というのは拘束名簿式比例代表制導入に必然的に伴う制約であり、だから憲法違反ではない。要するに、拘束名簿式比例代表制が憲法違反でないから、だからそれに伴って出てくる三つの要件、これは不可分なんだ、だからもう中身を一々論ずるまでもなくこれは合憲だ、こういう立場をとってきたわけですね。そうでしょう。そのお考えはいまここで直ちに撤回されますね。
#113
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御質問の趣旨を私が的確に把握しておるかどうかわかりませんが、ただいま申し上げましたように、拘束名簿式比例代表制を採用し、政党本位の選挙運動を行うということを基本に考えまして、その政党の要件としてどの程度がいいかということから三つの要件を私どもは考えたわけでございます。その一つでも欠ければどうとかいうことはございませんし、三要件が違ったら拘束名簿式の比例代表制にはならないとか、そういうこともないと思います。それはやはり政党要件の妥当性の問題ではなかろうかと思います。憲法問題はまた別個の問題ではなかろうかと思います。
#114
○近藤忠孝君 じゃ、私はこれから具体的に個々の憲法上の条項に反するかどうかという質問に入りたいと思うのですが、そこでひとつお約束いただきたいのは、私の質問に対して今後一切――先ほど申し上げたようにたとえば平等の原則に反するということを指摘した場合、それはこの拘束名簿式比例代表制導入に伴う必然的なもの、制度の制約だから合憲だと、そういうことは一切言わないと、(「言うよ、言わなきゃしようがない」と呼ぶ者あり)言わなきゃ確かに違憲になっちゃうんですよ。ですから、そう言わないとお約束いたしますか。
#115
○委員以外の議員(金丸三郎君) これはお答えを申し上げたこともございまするし、憲法との関係におきましては、やはり私どもの提案をいたしておりますこの制度と申しましょうか、憲法全体に適合する合理的な制度だというふうに考えておりますので、その点はむしろ逆と申しましょうか、私どもはおっしゃいますような中身のものであるからむしろ憲法に適合するのだと、こういうふうに考えておるわけでございます。どうも御質問の御趣旨とは違うようでございますが、私どもはそのように考えております。
#116
○近藤忠孝君 私は憲法論のいわば前提問題としてきわめて大事なことだと思うのです。ということは、われわれ共産党と自民党と一致する部分もあるのです、確かに。それは拘束名簿式比例代表制はよろしい、それは憲法違反ではないという点なんですね。しかし、あくまでもそこまでなんです。問題は、自民党案のような三つの要件は何も比例代表制に伴って必ずなければならぬものじゃないのです、そうでしょう、それは認めたわけですね。
 私がこれから指摘したいのは、その三つの要件がこれが憲法違反じゃないか、あくまで憲法違反の原因になっておるのはこの三つの要件の問題です。拘束名簿式は憲法問題と関係ないのです。むしろこれは合憲だという説で私は自民党とある意味では同じでいいと思うのです。そこで、私がこれから指摘した場合に、いままでの議論を見ていますと、必ず拘束名簿式比例代表制採用に伴う必然的な制約だからそこで合憲にしたんです。そこははっきり分けて考えましょうね。それはお約束できますか。
#117
○委員以外の議員(金丸三郎君) 具体的な御質問によってお答えをする以外にはないと思います。
#118
○近藤忠孝君 そうすると、私の質問次第によっては、まあそこでたとえば詰まってしまって、それでこれはどうしても憲法違反に該当しそうだという場合に、それに対しては全然もう答えない。そして、拘束名簿式比例代表制が合理的であり合憲であり、それに伴う制度だと、だから合憲だと、またまたおっしゃるおつもりですか。
#119
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私はそのように抽象的なことではお答えが申し上げかねると思います。具体的にこの点が一体憲法上どうなのか、具体的に御指摘をいただいてそれにお答えをさせていただきたいと思います。
#120
○近藤忠孝君 私きわめて具体的なことを聞いているのです、抽象的じゃないんですね。要するに拘束名簿式比例代表制、それから三要件、先ほど来これは決して不可分のものじゃないということはお認めになったのだから、となれば憲法論の場合それは分けて考えましょうというのは決して抽象的じゃないと思うのです。きわめて論理的なことです。
 そこで、もうなかなか同じことで、これまた先ほど峯山さんみたいに一時間もこの問題でやっちゃうといけませんから中に入りますけれども、それでは諸外国の例で立候補の条件、後の選挙結果はまた別ですけれども、立候補の条件として自民党案のように厳しい要件を設けている国はほかにありましょうか。
#121
○委員以外の議員(金丸三郎君) 本当に大変申しわけございませんが、ちょっと打ち合わせをしておりましたものですから聞き漏らしましたので、どうも相済みませんがもう一遍お願いいたします。
#122
○近藤忠孝君 委員長、いまの私の質問と答弁、これは時間から削除してください。やはり私が質問しているんですから、ひとつ私の質問に耳を傾けていただきたいと思うのです。
 もう一度言いますと、諸外国、比例代表制をとっている外国の例でわが国のように厳しい要件を設けている国はほかにあるのか。選挙結果についてはまたいろいろありますよ、西ドイツみたいにね。しかし、立候補の要件としてこういう厳しい要件を求めている国があるかどうか。
#123
○委員以外の議員(金丸三郎君) 外国の制度はよく存じません。私どもはわが国の実情を考えましてこの案が適当であろうと、こういう結論に達して提案をいたしたわけでございます。
#124
○近藤忠孝君 そうしますと、外国の比例代表制はほとんど勉強もしないで――知らないというのは勉強しないんでしょうね。そしてまさに党利党略的にお決めになった、こう見ざるを得ないのですよ。
 そこで、これは指摘したいと思うのです。大体外国の例で何の要件もなしに立候補できるという国は比較的少ないですね。大体はみんな推薦ですよ。推薦が相当多いですね。あるいはわずかの供託金。ところが、わが国みたいに国会議員こんなに多数、それから直前の選挙でのこんな高い得票、しかもこんな高い供託金、これは実際ないんです。だからこそ憲法違反の問題なんですよ。
 それを前提にして私はこれから意見と質問をしたいと思うのですが、角度を変えましてお聞きしますと、合理的合理的とおっしゃるから、そこで私は何を基準に合理的かどうかを考えるか、これが大事だと思うのです。いままでの経過から見ますとこれは自民党さんにとって合理的としか考えられない。ですから、他党にとっては客観的にきわめて不合理な制度だと思うわけです。これは前回私自身がはっきり事実をもって示しました。まさにこれは外国にないような本当に極端な三要件を設けた、これはもうまさに自民党さんの都合じゃないでしょうか。
#125
○委員以外の議員(金丸三郎君) この比例代表制の制度を私ども考えますのに、八千二百万の有権者で比例代表制で国会議員を選挙するという制度は恐らくないと思います。わが国独自の全国区という制度であり、そして八千二百万の選挙人団を持って比例代表という制度によって国会議員を選ぼうとするわが国独自の制度でございますので、そうそう私は外国にわが国の参考になるようなものはなかろうと、このように考えております。
 わが国のこのような実情のもとで比例代表の制度で選挙をやるといたします場合、わが国の現状を考えますと、私どもは私どもの提案しておりますような政党の要件がほぼ適当ではなかろうか、こういう結論になったのでございます。しかし、この点はいろいろと御批判もございましょうし、私どもはこれがベストとは思っておりませんので、その点はいい御意見がございますならば、私どももベターな案をつくることに決してやぶさかでない。決して私どもだけの都合で考えておるのではございません。
 私どもは、新しい政党もわが国で生まれたりしております、そういう実情も踏まえて政党の要件は考えなければならない、こういうふうに考え、またわが国では選挙の中に公営というのがありますが、外国には御承知のように余りないわけでございます。今回は私どもの案では比例代表の選挙は公営でございますので供託金はそれとの関係において考えて、これはまあわが国独自の制度、またわが国の政党の実情から申しましても私どもはこの程度が適当ではなかろうかと考えたわけでございます。決して私どもの党の立場だけを考えたつもりは毛頭ございません。
#126
○近藤忠孝君 ほぼ適当だということで憲法違反がまかり通ったら大変だと思うのです。特にほぼ適当だということで実際に自分たちの被選挙権が奪われる、それはたまったものじゃないと思うのです。
 そこで伺いますけれども、じゃ五人以上の国会議員あるいは四%の得票がなぜ必要なのか、それがなければ実際比例代表制がきちっと運営できないのかどうか、それはいままで全然説明がないです。ひとつ具体的にその点を御説明いただきたい。供託金についてはいまありましたけれども、これはまた後で反論しますが、一つは供託金は公営選挙の関係とおっしゃったですが、それは一つの理由でしょう。しかし、ほかについては何も理由ないでしょう。国会議員の数それから得票については何もいままで説明ないです。
#127
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御承知のようにわが国の政治団体いわゆる確認団体では候補者が十人となっております。また政治資金規正法では国会議員が五人という規定がございます。これらとの整合性を考えつつ、わが国の政党の現実の実情と申しましょうか、ということを考えまして五人、十人、それに相応いたしまして四%程度の得票が適当であると考えまして三要件を設けたような次第でございます。
#128
○近藤忠孝君 そうしますと、唯一の根拠は、現在の法律上政党活動が認められるのはいま言ったことになっていると、それだけが唯一の根拠ですか。
#129
○委員以外の議員(金丸三郎君) そう申してよろしゅうございます。
#130
○近藤忠孝君 そうしますと、ほかには根拠はない、こうおっしゃいますから、そこで一つ一つ憲法に違反するかどうか、これについて入っていかざるを得ないと思います。
 その前にもう一つお伺いしたいのは、決して自民党のためではない、こうおっしゃいますと、この合理性の判断基準は、主権者たる国民の意思がどうか、国民の立場から見て合理性があるかどうか、これが私は判断基準になると思いますが、いかがですか。
#131
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、選挙制度を考えます場合、国民が主権者でございますから、やはり有権者の立場を基本に考えなければならないと思っております。しかし、選挙制度でございますし、ことに参議院の全国区は非常に広大な選挙区と膨大なる選挙人団を持っておるという点を考えて、やはり選挙制度として合理的なものを考えなければならない。これは有権者の立場もございますれば、あるいは選挙運動によって国民に周知させやすいところとか、あるいは経費の点とか、そういうことは当然考慮に入れてしかるべき重要な事項であると考えます。
#132
○近藤忠孝君 国民の意思を基準と考えますと、確かに政党を支持されるたくさんの国民がいますね。と同時に無党派あるいは小政党を支持する国民もこれはおります。これはもうすでに指摘されているとおり、前回の参議院選挙では四名の方が無所属で当選していますし、その得票率は一七・四%。私はこういう政党を求めるのが国民の一つの大きな流れだと、と同時にこういう無所属の人々を求める国民の意思が存在をしそしてそれを尊重する、それが私はこの選挙制度が合理的かどうかを判断する一つの重要な基準であると思うのですが、どうですか。
#133
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御説も私はりっぱな御意見だと思います。しかし、わが国の参議院の全国区の制度につきましては、もう繰り返し申し上げておりますが、年来改革の論議が各方面にあるわけでございまして、各党でもそれぞれの案をお考えでございました。私どもは、国民の意思を尊重するのは当然のことで……。
#134
○近藤忠孝君 これまた時間から削除してください。
#135
○委員以外の議員(金丸三郎君) どうも大変失礼いたしました。
 無所属の方がお出になることも私どもも十分に承知いたしておりますけれども、全国区の制度ができましてから今日までの選挙の実際、また参議院の運営の実際から考えまして、また全国区の選挙の制度に伴いますいろいろな欠点を考えまして、政党本位の選挙制度にすることが適当であろうというふうの結論になったわけでございます。その結果個人で立候補なさることができない、こういう制度になったわけでございますが、参議院全体の選挙制度として考えますというと、地方区の選挙は従来どおり個人本位の選挙の制度であり、全国区の方は政党本位の選挙の制度でございまして、いわば地方区は個人本位であり全国区の方は政党区とでも申しましょうか、そのような二つの複合的なと申しましょうかそういうような制度として考えてよろしいのではないかと、全国区の制度をやはり改正するという点からいたしまして政党本位の選挙制度を本位としてやっていってよろしいと、そのような結論に達したわけでございます。
#136
○近藤忠孝君 私の質問を理解して答弁されたのでしょうか。
#137
○委員以外の議員(金丸三郎君) 理解してお答えを申し上げたつもりでございますが、全国区の制度を政党本位に改めることによりまして個人の方が立候補がおできにならなくなるかもわかりませんけれども、選挙制度全体としてより合理的になり参議院にふさわしい人がより出やすくなることでよろしいのではなかろうかと、私どもはさように考えたわけでございます。
#138
○近藤忠孝君 そうしますと、政党本位にするためには無所属の人々あるいは無党派、小政党の人々の権利を侵害してもいいと、こういうお考えでしょうかね。するとこういうことになりますね、これらの人々のいわば基本的人権、その上に政党本位を置くと、こういうことになりはしませんか。
#139
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どものように政党本位の選挙制度をとりますことがより合理的であると、その結果個人本位の選挙制度はとるわけにまいりませんので、何と申しましょうか、個人の立候補の点が制約を受けてくると、こういうような結果になることも私どもはやむを得ないと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#140
○近藤忠孝君 何の論証もなしに政党本位がより合理的である、そのために個人の権利が侵害されるのはしようがないと、こういうことになっちゃうんですよ。
 そこで、私は先ほど申し上げたとおり、そうなったらまさに大政党の都合で選挙制度を変えることになりはしませんか、こう言わざるを得ないのです。そういう質問に対して、そうじゃなくてやはり国民の立場から考えると、こうおっしゃるわけですね。となれば、国民が現実にどういう方向を求めているのか。確かにそれは政党の方向を求めていますよ、それは政党に対する投票が多いんですから。と同時に、もう一つ大事なことは、政党ではなくて個人を選ぶ、あるいは無党派の人を選ぶ、こういった人たちがおるんですから、それを抹殺するということは、少なくともそれを求めている人々の国民の意思を抹殺する、政党本位をそれの上に置いて抹殺する、こういうことになります。ですから、その点そういうお考えなのかどうか。
#141
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは民主主義は多数の幸福を求めるのが一つの目標と申してよろしいと思います。だから、このような制度をつくることを私どもはより合理的と思っておりますので、個人の立候補につきまして制約が出てまいりますこともやむを得ないと、こういうふうに考えたわけでございます。
#142
○近藤忠孝君 ですから、先ほど確認したとおり、より合理的なのは、私と金丸さん一致するのは確かに拘束名簿式比例代表制が合理的である、国民の民意を正しく反映するという点でそれは一致したわけですよ。
 ただ問題は、そこで三要件が分離可能だとなったわけですね。ところがいつの間にかそれが必要だと、こうおっしゃるんです。私がさっき指摘したとおりもう早くも出てきたと思うんです。早くも私がこういっちゃいかぬぞと言ったことが出てきたですね。それが政党を上に置いて出てきちゃったんですよ。そうすると、だから問題は政党本位が合理的だとおっしゃるからにはこの三要件が合理的だと言わなければいかぬのです、三要件の一つ一つが合理的だと。しかし、それを聞きますと、根拠は結局現行法上の政党活動が認められるところ、それしかないんですよ。だから全然合理性が説明されてないんです。政党本位というのならば、そしてその政党本位の中身が三つの要件なんですから、それが合理的であるということを具体的に明らかにすべきじゃないでしょうか。
#143
○委員以外の議員(金丸三郎君) 新しく制度をつくるわけでございますので、やはり私どもは現行のいろいろな制度をもとにして考えることが妥当であろうという考えのもとに十人、五人、四%という要件を定めたわけでございまして、これを満たします政治団体が私は現在のわが国におきましては政党らしい選挙と申してよろしいのではないかと。そういう意味で私どもは合理的な根拠があると、かように考えるわけでございます。
#144
○近藤忠孝君 全然合理的な根拠を説明しないまま合理的だとおっしゃるので、私はさらに個々の問題で詰めていきたいと思うのです。
 そこで、自民党とすれば確かに必ずしもベストでない、ベターだと、こうおっしゃるわけですね。恐らく社会党案を考えていると思うのですけれども、問題はこういう三つの要件を設けなくたってちゃんとりっぱに比例代表制は実現できるのじゃないかと、その方がよりベターなものと考えないでしょうか。
#145
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは私どもで検討いたしました結果これが適当と思って提案をいたしたわけでございます。具体的にこういう点はどうかという御質問でございますればまたお答えもいたしますけれども、ただいまの御質問では以上申し上げるより御答弁のいたし方がございませんので、御了承いただきたいと思います。
#146
○近藤忠孝君 そうしますと、具体的にお聞きしますと、これは八十国会で野党四党が定数是正の法案出したときにそれに対して自民党から出た法案、これは前回指摘をしました。これは比例代表制をとるものですが、前回お認めになったように無所属、小政党締め出しの条件がない、それから供託金没収規定、これは現行どおりということですね。これを出したときにはこれが合理的であり、これでいまの全国区制を変えてより合理的な選挙をできると、こうお考えになったから出したのでしょうね。
#147
○委員以外の議員(金丸三郎君) その後の私どもの内部におきますいろいろな検討の結果、今度の案が私どもとしては最も適当という結論に達しまして提案をいたしたわけでございます。
#148
○近藤忠孝君 重ねて伺いますが、そうしますと八十国会に出した法案では適正な比例代表選挙は行えない、こう考えられたのですか。
#149
○委員以外の議員(金丸三郎君) 今回の案がやはり最も妥当であろうと、こういう結論になったのでございます。
#150
○近藤忠孝君 もう一つ確認しておきたいのは、政党本位ということをおっしゃいましたけれども、そのもっと前の段階の比例代表制そのものと比較してみた場合、比例代表制そのものとしてはこれは無党派等を排除することとは矛盾しないんでしょうね。
#151
○委員以外の議員(金丸三郎君) 比例代表制もいろいろございますから、非拘束であればそうかもわかりませんけれども、私どもは今度は拘束名簿式という制度をとりましたので、やはり無党派といいましょうか、個人の立候補といいましょうか、これは個人本位と政党の団体本位とでは次元が違ってまいりますので、そのような立候補はできないと、そういうような結論になったわけでございます。
#152
○近藤忠孝君 立候補できない結論になったのだからそう考えたのでしょうけれども、これは理論的に比例代表制と無所属とは相矛盾するものと、そう考えたのですか。拘束名簿式でいいです。
#153
○委員以外の議員(金丸三郎君) もし個人立候補を認めますというと政党要件がほとんどナンセンスになってまいります。五人でも三人でも二人でもいいじゃないか、それじゃ一人でも一人政党を認めるべきじゃないかということになってまいりまして、拘束名簿式の比例代表制をとります以上はある程度の政党の要件が必要であり、また個人につきましては立候補が制約をされることも私はやむを得なかろうと。だから、参議院の制度といたしましては、地方区は個人選挙であり、新しい制度のもとにおいては従来の全国区、比例代表の方は政党区と申しましょうか、そういうような複合的な選挙制度になってくるんだと、それ全体として合理的だと考えてよろしいのではなかろうかと、こういうふうに考えております。
#154
○近藤忠孝君 そうしますと、これは論理的には決して矛盾はしないけれども、自民党が考えている政党本位の選挙という点から無所属を排除した、そういうことなんですか。
#155
○委員以外の議員(金丸三郎君) やはり拘束名簿式の比例代表制をとりますというと私どもは矛盾すると申さざるを得ないのではなかろうかと思います。
#156
○近藤忠孝君 外国で拘束名簿式比例代表制をとりながら無所属を認めている例があると思うのですが、どうですか。
#157
○委員以外の議員(金丸三郎君) どうも寡聞にして承知いたしておりません。
#158
○近藤忠孝君 それがもし実際に存在し、しかも選挙がりっぱに運営されていることがわかれば、いままでずっと述べられてきた無所属は拘束名簿式比例代表制じゃ困るんだと、ふさわしくないというお考えをここで撤回されますか。
#159
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、現在のわが国の選挙制度を前提にいたします限り、ある程度の政党要件を持ちました政党による名簿式の比例代表制が妥当でございまして、個人の自由な立候補を認めるということはやはり適当でなくなってしまうのではなかろうかと、地方区と全国区と両方総合して考えてよろしいのではなかろうかと、わが国独自の選挙制度を考えてよろしいと、こういうふうに考えます。
#160
○近藤忠孝君 逆に伺います。この三要件を設けないと逆にどんな被害を国民に与えるのか、あるいは国民のどのような人権を侵害するのか。人権侵害というと大変ですからそれはそれで考えなければいけませんけれども、いままでそれは適切でないという答弁ばかりですから逆に聞きますが、どうですか。
#161
○委員以外の議員(金丸三郎君) 別に国民が被害を受けますとか人権を侵害されるとかいうことは私はないと思いますけれども、この制度によりまして有権者の立場から見ますというといわば候補者の選択が私どもはより容易になる面があると、そしてまた制度によってよりいい方を得られやすくなるという点から申しますというと間接的に国民にもいい結果をもたらし得るのではなかろうかと、このように考えるわけでございます。
#162
○近藤忠孝君 やはり私の質問を的確に受けてないようですね。要するに三要件ということは逆に言えば無所属排除ということですね。要するに三要件を設けない場合どんな被害を与えるのか、逆に聞きたいのです。
#163
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、この拘束名簿式の比例代表制という制度をとってまいります上に政党の要件は不可欠でございますので、これをやめるということは制度を台なしにしてしまうと申しましょうか、そういうようなおそれがあると思います。
#164
○近藤忠孝君 それは私が先ほど禁止した不可欠ですね、拘束名簿式と三要件は不可欠という議論になってきてしまうんです。そうじゃありませんか。
#165
○委員以外の議員(松浦功君) ただいまのお話でございますが、三要件がなければ拘束名簿式というものは成り立たないのかという御質問に対して、それは直接の関連はないと、しかしいやしくも政党本位の名簿式の選挙制度を採用いたします以上、政党というものが国民の意思の媒体という形になって選挙を展開するわけでございますから、やはり政党らしいものというものでなければいけないだろう。政党らしいものということになりますと、現行の選挙法、政治資金規正法等から数字等を引っ張り出してそこへ結びつけたわけでございますけれども、その点については必ずしも金丸先生が御答弁になっておられるようにベストとは思っておらない、いい案があったらどうぞひとつお示し願いたい、私どももフランクな気持ちで検討してみたいと、こう申し上げておるわけでございます。
 そういう意味でございまして、選挙制度の問題として一体政党と個人とが同じ土俵で相撲をとる、そんな選挙制度があるだろうかと、私は選挙制度としては全く成り立たないものだと、そういう観点から結論的に言えばあるいは要件というものが拘束名簿式の重要なきずなになるかもしれませんけれども、論理的には先ほど申し上げたように切り離しても結構でございます。しかし、結果的には選挙制度として非常におかしいからどうしてもそれを入れざるを得なくなると、こういう考えでおるわけでございます。
#166
○近藤忠孝君 それは、成り立たぬということは自民党が勝手に決めていることであって、国民はそうは思っていないわけですね。国民はもっと――だけれど政党への投票がある以上これは政党を求める国民性があるのは確かです。と同時に、片や一七%を超える無所属、無党派を求める声があるんですから、それを抹殺してまでこちらの政党化ということを言うのはこれはどこに合理性があるのか。まさに一七%を抹殺することの方がこれは不合理じゃないか。これを指摘しているわけです。そしてその抹殺するのは三要件、となりますとこの三要件は拘束名簿式に決してこれは不可欠じゃない。だからまさにこの三要件が憲法違反の原因になっているわけです。
 そこで、私はそこを切り離してさらに具体的に指摘をしたいと思います。いままでこれはもう条文上は、先ほど一時間余にわたって十五条の問題が出ました。そしてあと十四条、四十四条、二十一条違反、まあ一々ここでは申しません。いままでの議論でいずれも十五条を基本的人権と認めればそれに対する制約になるということはこれは明らかだと思いますね。それから四十四条あるいは十四条、いずれも法のもとの平等に反する、あるいは信条を理由とする差別であるということ、これはもう該当性は明らかなんです。
 こういう点を指摘しますと、いままでの発議者の答弁を一応整理してみますと大体三つに分かれます。一つは選挙権、被選挙権は基本的人権でないから法律の上で制約できる。これは先ほど議論された点です。それから二番目は立候補の制限であっても無所属であることの自由は奪われないから結社の自由の侵害にならない。そして三番目には、具体的に個々の規定に触れる、たとえばこれは信条による差別である、となれば明らかにこれはもう四十四条違反になるんですね、法律の構成要件とすれば。となりますと、それに対しては、個々の憲法規定に触れても基本的人権は公共の福祉によって制限できる、憲法に適合する合理的な制度である拘束名簿式比例代表制を採用すれば必然的に伴ってくる制約であり公共の福祉による合理的な制約である、こう答えるわけです。いままでの議論の中でこのうち拘束名簿式比例代表制を採用すれば必然的に伴ってくる制約であるという点は撤回されたですね。その点をちょっと聞いてみましょう。
#167
○委員以外の議員(金丸三郎君) 撤回はいたしたことはないと思います。
#168
○近藤忠孝君 じゃ、もう一度確認します。拘束名簿式比例代表制を採用すれば必然的に伴ってくる制約である、これを撤回しないのですか。
#169
○委員以外の議員(金丸三郎君) 撤回はいたしておりません。
#170
○近藤忠孝君 ちょっと休憩してください。一時間何やっていたんですか。可分性認めたじゃないですか。こんなばかなことないですよ。
#171
○委員長(上田稔君) 近藤君、もう一回よく説明して質問してください。
#172
○近藤忠孝君 ちょっと、時間外です、時間外で質問します。
#173
○委員長(上田稔君) いまの件をもう少し詳しく。
#174
○近藤忠孝君 いや、もう答弁わかっているんです。この必然性は撤回してないと言っているんですから。だから時間外にしてください。時間外で私は皆さんに説明します、いままでやってきたこと、一時間かけて議論したこと。
#175
○委員長(上田稔君) その関係を説明してください。
#176
○近藤忠孝君 いや、関係は金丸さんわかっているんですよ。わかっておってああ答えているんです。
#177
○委員長(上田稔君) 金丸君、わかっていますか。
#178
○近藤忠孝君 私は冒頭にたくさん時間かけていろいろな例を引きながら、抽象的という意見ありましたけれども、しかし拘束名簿式比例代表制に伴ってこの三要件というのは決してこれは必然的なものじゃないと、それがないからといって拘束名簿式比例代表制でないとは言えないと、こういうことですから可分性は認めたんです。いま私が読み上げた点、これは何度も何度も出てきていることです。拘束名簿式比例代表制を採用すれば必然的に伴ってくる制約だ、それが三要件です。その政党要件が必要だと、それは合理的だと。でも合理性、全然中身は説明されていませんけれども、それはまた次の問題として、私が指摘した点は、いままで議論した点は分離可能であるんです。それは認めたじゃないですか。
#179
○委員以外の議員(金丸三郎君) 拘束式比例代表制と三要件とは理論的には分離可能かもわかりませんけれども、具体的なわが国における改革の制度としては拘束名簿式をとり、かつ政党としては三要件が適当であると、私どもはかように考えておるわけでございます。(「それでいいんでしょう」と呼ぶ者あり)
#180
○近藤忠孝君 違っているんですよ。三要件が適当であるんです、そうでしょう。いままでは明らかに必然的だと、必然的ということは不可分ということです。そうでしょう。
#181
○委員以外の議員(金丸三郎君) どうも御質問の趣旨がよくわかりかねますが、拘束名簿式比例代表制の制度と政党の三要件は論理的に絶対不可分だとは申しておるわけじゃございません。拘束名簿式比例代表制をとるのに私どもはこのような政党の要件が必要であると、こう申しておるわけでございます。
 ただ、これが政党本位の選挙制度でございますから、私どもはそのいわば反面として個人の立候補の面について制約が生じてくると。これはこういう御質問であったかどうかわかりませんけれども、それならば御質問の趣旨がわかるんです。団体本位の、政党本位の選挙制度をとりますので、その反面として個人の立候補等が制約を受けてくると、これはいわば関連があると申してもいいと思いますが、政党の要件は若干違うように思います。
#182
○近藤忠孝君 私はかなり綿密に論理立ててずっとやってきたんです、ここまで。答弁者があちこちいくから多少こうなりましたけれども。それに対していまの答弁は全然いままでの議論の経過を無視しています。だから私もう一度議事録見直して再質問しますよ。こんなことでは質問進みません。(「わからないな」と呼ぶ者あり)わからないのはよく聞いてないからわからないんですよ。(「共産党案出したらいいじゃないか」と呼ぶ者あり)それは関係ないことです。
#183
○委員長(上田稔君) それじゃ、次の質問に。
#184
○近藤忠孝君 いえいえ、だって質問進まないじゃないですか。せっかくこっちは分離したのに。
#185
○委員長(上田稔君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#186
○委員長(上田稔君) 速記をつけて。
#187
○委員以外の議員(松浦功君) ただいまのお尋ねでございますが、これまでも金丸議員からお答えを申し上げておりますように、政党三要件というものと政党本位の拘束名簿式というものが必然的に切り離せないものであるとは私どもは考えておりません。理論的にはまさに切り離せると思います。しかし、政党本位の選挙を行います以上、やはり国民の意思の媒体という形での政党を中心に選挙を行うわけでございますから、やはり政党らしい選挙に限定をしていくということがどうしても必要になってくると、こういう考え方から立法政策的にこういう結論を得たというふうに御理解をいただきたい。
 また、あわせて選挙制度ということを考えました場合に、個人の名前を書いたり政党の名前を書いたり、これはもう非常に国民にとっては酷な判断を強いることになります。また、制度としてながめた場合に、個人と政党が選挙を争うということも選挙制度としてはいかがかと思います。まあこれらの理由をあわせ総合勘案してこういう案にしたというふうに御理解をいただければ結構だと思います。
#188
○近藤忠孝君 これは法律論と立法政策論がごちゃごちゃになっているからそういうことになるんです。しかし、これはいままでお答えになっている部分は法律解釈なんですね。憲法論なんです。公共の福祉に合致するかどうかという点の問題として、拘束名簿式比例代表制を採用すれば必然的に伴ってくる制約であると、こう言うわけですからね。これは必然という言葉を使ってもらっちゃ逆に困ります、そういう意味ではね。そういう意味では、先ほど金丸さんが正確に言われたことは、採用すれば必要と言いましたかね。
#189
○委員以外の議員(金丸三郎君) 適当。
#190
○近藤忠孝君 適当という言葉でしたね。それなら私はわかるんです。そこでいままでの必然的とおっしゃったことをこれはむしろ訂正すべきではないかと、こういう質問をしたら、撤回しないとおっしゃるから私は先ほど申し上げたことを言ったんです。
#191
○委員以外の議員(松浦功君) 当然、金丸先生の頭には立法政策的に考えていった場合に必然的にそういう結論になると、こういうことをおっしゃったんだろうと思うのでございまして、御理解を賜りたいと思います。
#192
○近藤忠孝君 じゃ、もう一度確認します。
 そうしますと、これは法律的には正確に言えば必然的というよりは適当と言った方がいいということでしょうね。
#193
○委員以外の議員(松浦功君) 適当というと少し弱いようでございまして、もう少し強い意味というふうに御理解をいただかなければならない。やはり私どもは、制度面から考えてみても、実際の日本におけるこれまでの選挙の実情から考えてみても、先生のおっしゃられるような方向に持っていくということは非常に不可能に近いことだという感じを持っております。
#194
○近藤忠孝君 それでは、ここで個々の具体的な問題に入っていきたいと思いますが、これは先ほど峯山議員が大変深く触れられた選挙権、被選挙権の基本的人権性の問題です。
 いままでの答弁を見ていますと、これが基本的人権ではないから、だからそれに対して法律上の制約を加えても憲法違反ではないと、そういうことになりますが、そう理解してよろしいですね。
#195
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、やはり十五条と四十四条との関係で、具体的に選挙資格の要件等につきましては四十四条の規定に基づいて規定がされるのでございますから、どのような規定、それが制約というのか何かわかりませんけれども、具体的には四十四条に基づく法律で選挙権は規定されるんだと、このように考えております。
#196
○近藤忠孝君 基本的人権性の問題についてはちょっとひとまず横に置きたいと思うのです。
 その前に一つ議論しなければいかぬことは、この本法案が明確に憲法上の規定に抵触する事実が存在するということであります。それがやっぱり平等の原則に対する違反、四十四条で言えばただし書きの信条による差別、ここにはっきり当たるわけですね。しかもこれはきわめて重要な規定だと思うのです。憲法が基本原則として採用する国民主権主義、それから議院内閣制のたてまえから見て国会議員の選挙権と被選挙権はきわめて重要な意味を持っている。だから憲法上に明記されたわけです。選挙権と被選挙権については法律がこれを定めることになった。確かに事実です、そう書いてありますから。ただそれを規定するに当たっては絶対的な平等主義が守られなければいけない。このことを四十四条ただし書きが要求しているわけです。そう理解しませんか。
#197
○委員以外の議員(金丸三郎君) これは繰り返しお答えを申し上げておりますように、私どもは、四十四条のただし書きであれ、憲法の十三条の規定の精神から申しまして公共の福祉であるとか、あるいは制度をつくりますのに合理的な理由があるのであれば制約をされてもやむを得ないんだと、このように基本的に考えております。
#198
○近藤忠孝君 そこで、基本的人権かどうか、これは公共の福祉の議論とのかかわりがありますけれども、その前に問題は、平等の原則に反すれば憲法違反なんです。憲法の限界があるわけです。四十四条はやっぱり憲法上の規定ですから、それに明確に触れることは間違いないでしょう、信条による差別、それはお認めになるでしょうね。
#199
○委員以外の議員(金丸三郎君) ただいまもお答え申し上げましたように、私どもは四十四条のただし書きにつきましても、合理的な選挙制度をつくります場合、信条等が制約を受けましても別に憲法に反することにはならないと、こういうように基本的に考えております。
 無所属で立候補するということが信条に該当するかどうかということについては二つの意見がございます。その点は御理解をいただいておると思いますが、仮に該当するといたしましても、いまのような考え方で憲法上、制約をいたしましても憲法に抵触することはないと、こういうふうに私どもは考えております。
#200
○近藤忠孝君 これは議論の整理のために伺いますけれども、それは公共の福祉を持ち出すまでもなく合理的な制度であると、こうおっしゃるわけですか。
#201
○委員以外の議員(金丸三郎君) そういう意味でございます。
#202
○近藤忠孝君 それからもう一つ、二十一条の問題で見てみますと、結社の自由について、無所属であることの自由は奪われない、それから他の選挙に立候補できるからこれは侵害にならない、こういう答弁を繰り返してきました。それで、他の選挙に立候補できるからこれは権利侵害にならないというのは私は大変乱暴な議論だと思いますね。現に全国区がこれは現実的には無党派の人々にとっては最も出やすい選挙ですから、だからほかの選挙に出られるからというのは、そんなことはまず言えないし、大体選挙制度一つ一つが合憲かどうか、これでやっぱり議論されるべきだと思うのです。ですから、これは全く論外だと思いますが、どうですか。
#203
○委員以外の議員(金丸三郎君) 二十一条につきましても、四十四条につきまして申し上げましたと同じように、私どもは新しい選挙の制度が合理的と考えるのでございますならば、その制度によって二十一条の自由がまあ制約をされてもこれは憲法に違反することにはならないと、かように考えております。
#204
○近藤忠孝君 いままでの議論を私は前提にして話を進めたいと思うのですよ。いままでずっとやってきた議論の中では、憲法二十一条の問題は、大体二十一条違反にならないと言うんですから。そういういままでの説明でしょう。その理由として二つありました。一つは他の選挙に立候補できる。もう一つは無所属であることの自由は奪われない。
 そうしますと、いままでのそういう答弁は全く撤回されて、二十一条に該当するけれども、しかし合理的な制度であるから二十一条侵害はよろしいと、そういうことなんですか。
#205
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもはやはり二十一条に該当すると思います。しかし、四十四条について申し上げましたのと同じように、やはり合理的な選挙制度の改正が行われるのであればその二十一条の自由が制約をされてもやむを得ないんだと、こういう考えでございます。
#206
○近藤忠孝君 そうしますと、二十一条は基本的人権性がきわめて明白な規定ですね。その基本的人権性がきわめて明白な権利であっても、これも公共の福祉を持ち出すまでもなく、合理的な制度だから制約はよろしいと、そういうことなんですか。
#207
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりと申してよろしいと思います。私が合理的な選挙制度ということを申しておりますのは、もっと別の言葉で申しますならば公共の福祉と申してもよろしいのだと思います。その公共の福祉の内容が具体的なこの選挙の制度におきましては合理的な選挙制度と、私どもはこういうふうに考えてよろしいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#208
○近藤忠孝君 公共の福祉の理論はきわめてこれは錯綜した経過があることは御承知のとおりですね。しかし、それによって不可侵である基本的人権を侵害できるということを発議者はいままで使ってきたわけです。そうですね。ところが、いまお聞きしていますと、合理的な制度と公共の福祉論がここまでごちゃごちゃになっておるんです。あるときは合理的な制度と言いあるときは公共の福祉。そこはどうなんですか、合理的な制度イコール公共の福祉なんですか。
#209
○委員以外の議員(金丸三郎君) 合理的な選挙制度ということを別の表現を用いますならば公共の福祉という言葉を使ってもよろしいのではないか、私どもはそう考えておるわけでございます。公共の福祉という言葉をもし使わないとしますと、やはりこれは合理的な選挙制度なんだから、それによって二十一条の自由が制約をされても憲法に違反するとは私どもは考えない、こういうふうに申し上げておるつもりでございます。
#210
○近藤忠孝君 委員長、ちょっと整理します。いままでの答弁と余りにも違ってきたもんだからちょっと整理します。ちょっとお待ちください。
 そうしますと、いままで盛んに公共の福祉論が出てきましてかなり議論されてきたんです。それとこの合理的な制度。しかし、合理的な制度と言うけれども何ら中身の説明がないわけですね。その辺がどうもよくわからないんです。むしろこれは発議者の方でその辺をひとつ整理してほしいと思うのです。(「発議者自身がわからないんじゃないですか。」「近藤先生わかっているんですか。」と呼ぶ者あり)私わからなくなったからいま聞いているんですよ。そこをよく説明してください。
#211
○委員以外の議員(金丸三郎君) 合理的な選挙制度と申しておりますのは、選挙人の立場から見まして候補者の選択がいままでよりもよりやすくなると、また選挙運動の面におきましていままでのように過大な費用と肉体的な労働を避けることができると、またもう一つにはよりいい候補者が得られるようになるのではなかろうか、こういうような点を総合いたしまして私どもは合理的な選挙制度と申してよろしいのじゃないか、こう申しておるわけでございます。
#212
○近藤忠孝君 合理性の問題であればそれは独自にして合理的かどうか、これは私たちも事実を挙げて指摘をしたいと思うんですね。ところが、そうしますと今度は公共の福祉に逃げちゃうんです。公共の福祉に逃げた場合はこちらは公共の福祉論との論争をしなければならぬ。公共の福祉をそもそもどう考えるのか、それが果たして人権の上に立つものかどうか、一般的な制約原理であるかどうか、そういうことなんですよ。私は自民党案の合憲性の根拠として公共の福祉を使っていましたから公共の福祉に対する反論として準備をしてきたんですけれども、その話に入る前に合理性の問題とごちゃごちゃしちゃって、これはとても準備してきたこととうまくかみ合わないんです。それは質問をするのは本当に困りましたね。
 そうすると、いままでの公共の福祉論というのは位置づけどうなんでしょうか。最初の本会議答弁でいきなり公共の福祉が出てきましたね。だから、こちらは公共の福祉というのを一生懸命考えまして、またそれに対する反論を考えてきたんですけれども、いまどうもその問題でないようですわ。合理性の問題ですね。合理性の問題だとするとこちらはまた出直してきて合理性問題をまた論じなければいけません。ちょっと整理してください。
#213
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私が合理的な選挙制度と言っておるのが憲法では公共の福祉という表現に該当する、内容的には一緒だ、私どもはこういうふうに考えます。
#214
○近藤忠孝君 それは一般論として言っておることですか。
#215
○委員以外の議員(金丸三郎君) 一般論ではございません。具体的なこの法案につきまして、私どもはこの法案が合理的な選挙制度を持っておるんだからこれは公共の福祉に合致すると言ってもよろしいのではないか、この具体の法律案についての私どもの考え方でございます。
#216
○近藤忠孝君 質問ちょっと考えなければいけませんね。ちょっと休憩してください。全然論理がかみ合わないんですよ。(発言する者あり)
#217
○委員長(上田稔君) ちょっと静かにしてください。
#218
○近藤忠孝君 じゃ、どうもごちゃごちゃで、なかなか先に進みませんけれども、公共の福祉ということを言っておりますから私も公共の福祉について触れなければいかぬと思うのです。
 問題は、先ほど一回言ったとおり合理性の議論とそれから公共の福祉による制約可能、これは明らかに違うものだと思うのです。基本的人権は不可侵ですからね。それに対して公共の福祉によって制約できる、こういう議論がずっとあったわけです。それが一般的な制約原理であるかどうかはまた問題としてですがね。
 そこで、私がお伺いしたいのは、一般的な制約原理、ということは発議者はそれが通説とお考えだと思いますけれども決してそうじゃないと思うのですね。いまの学界の状況は公共の福祉さえ使えばそれで直ちに制約できる、そういうものじゃないと思いますが、その点のお考えはどうですか。
#219
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私ども余り一般論をするだけの素養もございませんから、具体のこの法律案について私どもは合理的な制度であるので憲法に違反することはない、かように考えております。
#220
○近藤忠孝君 私は公共の福祉の考え方について聞いておるんですが。
#221
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほどお答え申し上げましたように、選挙の制度を、具体的には選挙制度の改革を私どもはいたそうとしておるわけであります。その場合に、たとえば憲法二十一条との関連が出てまいるわけであります。その説明の中身といたしまして、合理的な選挙制度をつくるんだからそれで二十一条に規定の自由を制約してもよろしいのではないか、こういうことを申しております。これを合理的な選挙制度、選挙制度と、合理的と言っていると。別の言葉で申しますならば、このような合理的な選挙制度をつくることがわが国の参議院の選挙制度、まあ公共の問題でございます。現在の制度よりも新しい制度の方が国全体の見地から見ましてもよりベターである、私どもはそう考えておるわけでございますので、そういう意味で公共の福祉にも適合しておると、こういうふうに申してよろしいのではなかろうか、こういうことでございます。
#222
○近藤忠孝君 先ほどの議論で、一つは二十一条に該当する問題あるいは信条に当たるという問題ですね、これはお認めになったわけですね。
 それを前提に見ますと、片やこの法案によって具体的に人権侵害が起きるわけです。それはしかし合理的だとこうおっしゃるけれども、合理的にと言うからには両者を比較しましてそれがそれだけの人権侵害してもそれはよろしい、それだけの根拠がなければいかぬのです。片や侵害される権利、それによって得られる利益ですね。ところが得られる利益は――公共の福祉論というのは大体人権と人権の衝突の問題ですからね。それの一つの調整機能だと思うのですよ。いまの一般の学説の通説的見解ですね。そうなりますと、片や侵害される権利は明白です、お認めになっているとおり。片やこれがなければどんな国民の権利が侵害されるのか、利益が侵害されるのか、これは必ずしも明らかになっていないのじゃないか。
 具体的に言いますと、いままでそれは金のかかる選挙をなくすことだ、こう言いましたけれども、じゃ具体的にそれを示せと言えば、買収事犯の例は示さない、それから青島議員から要求した資料も出さない。だから、実態としてどれほど金がかかり、どうやればこれが改善できるのか、このことは何ら具体的には指摘をされていないのです。片や具体的にどんどん人権が侵害されています。となりますと、私はその点をもう少し明確に、どういうものとどういうものが衝突をして、その結果これによって片やこれはやむを得ないのだということをもう少し明確にしないと、これは憲法論成り立たぬと思うのです。
#223
○委員以外の議員(金丸三郎君) 個人の立候補が制約をされる点について一つの被害と申しましょうか、一方に出てくると申してもよろしいかもわかりません。一方また、じゃ国民がどのような利益を受けるのだと、こういう意味かと存じますが、それはなかなか私どもは比較はむずかしいと思います。一々個人がどのような利益を受けるかではなくて、現在の選挙制度に伴いますいろいろな弊害が除去されて、かつよりふさわしい人が得られやすくなる制度ができるのであれば、大きな意味で国民の利益に合致すると、こう申してもよろしいのではなかろうかと、さように考えます。
#224
○近藤忠孝君 不可侵の人権というのは要するに侵害してはいかぬということですね。元来侵害できないもの、それを侵害するのだからそれなりの合理性が必要だ。となりますと、抽象的にそれが公共の福祉という言葉を使い何を使い、それだけではいけないのだということはお認めになったとおりだと思うのですね。となりますと、片や具体的な権利が侵害されているのに、片やいま言われたとおりそれはなかなか具体的には言えないと、こういうわけです。具体的に明らかにしろと言えばその資料は出さない。比較のしようがないじゃないんでしょうか。何と何を比較しようというのですか。
#225
○委員以外の議員(金丸三郎君) 制度の改革でございますので、なかなか御指摘のような比較は私はむずかしいと思います。制度の改正によって国全体としてより合理的な選挙制度になるかどうか、私どもはいま莫大な費用がかかると言われておりますのが政党本位の公営の選挙運動になりますことによってかからなくなる、これは私どもは恐らくそういう事実になっていくと、かように考えます。
 いろいろ申し上げましても繰り返しのようになりますので御賢察をいただきたいわけでございますが、私どもは従来よりもより合理的な制度が実現できるのでそれが国民の全体の利益になってくると、そういう点から福祉に適合すると考えて、個人の基本的な自由が制約をされるかもわかりませんけれどもその点はやむを得ないと、私どもはこういうふうに考えるわけでございます。
#226
○近藤忠孝君 結局抽象的な議論なんですね。先ほど私が分離可能性の問題について指摘をしたらもっと具体的に言えと、抽象的じゃ答えられないと言うのですけれども、結局説明はこれは抽象的なんです。私どもの方も抽象的な議論に対してなかなかこれは具体的な指摘がむずかしいのですが、そこでもう一つ考えなければいかぬのは、そうであれば侵害される選挙権、まさに国民主権のもとでは大変大事な選挙権を一体どう正確につかむのか。
 そういう意味では、これは先ほど来問題の基本的人権性の問題ですが、先ほどの議論じゃよくわかりません。しかし、私はどうも基本的人権性を否定される意味が選挙権の性格について公務説をとっているのじゃないか、公務説、公務の側面があると、そういう気がしてならないのですが、その点はどうですか。
#227
○委員以外の議員(金丸三郎君) やはり権利的な性格とそれから公務、公の務めと申しましょうか、公務的な性格とこれは両面あると思います。
#228
○近藤忠孝君 要するにこれはいわゆる二元説ですね。そうしますと、人権性の面はそれでよろしいですね、権利性ね。それからもう一つの公務性といいますと、これは要するに選挙人団に参加していわば公務を遂行すると、こういう考えだと思うんですよ。だから選挙権の義務性も出てくるわけですね。私はこの考えというのは国家法人説に由来しているのじゃないか、こう思うのですが、その点どうですか。
#229
○委員以外の議員(金丸三郎君) 大変むずかしい御質問でございますが、どうも国家法人説と、有権者が選挙人団の一員として投票を行わなければならないといいましょうか、そういうこととは直接の結びつきはないのではなかろうかと思いますけれども、これはなお勉強させていただきたいと思います。
#230
○近藤忠孝君 選挙権の性格についていろいろ議論されていますが、不明確な部分がかなりあるようですね、学説の争いとしましてね。それで、不明確ながらいわゆる公務的側面ということの根拠は国の機関としての選挙人団、そこに参加すると。そういう考えが出てきますのは戦前で言えば天皇機関説でしょう。あのときの絶対君主制に対して、天皇は機関であると、それは主体は法人だと、だから制約できるという。しかし、これは私は国民主権のもとではそんな議論をする必要はない。最近の選挙権をめぐる学説見てみますと、そういうことを言わなくてもいいじゃないか、むしろそれは国民主権のもとでは時代おくれじゃないか、美濃部達吉博士があの時代に天皇機関説をとったのは大変勇気のあることであったけれども、しかしいま国民主権のもとになったならば時代的な役割りを終えたのじゃないかと、こういう意見がありましてね。それからこの公務説というのは、一つのまあ漠然とした形だけど残ったまま二元説の中に入っている。これは最近学者の指摘する点ですよ。
 そこで最後に、時間が五時少し前になりましたけれども、自治大臣に質問通告しておりましたので、この選挙権の性格につきましていままでの議論を踏まえてどうお考えになるか、ひとつお伺いをしたいと思います。
#231
○国務大臣(世耕政隆君) 非常にむずかしい問題でございますが、やはり私は常識的に考えて一定の年限が来れば男でも女でも選挙権を持つ、あるいは選挙に立候補することができると、これが一般的な原則だと考えております。
#232
○近藤忠孝君 まあ、余りわからない答弁ですけれども。
 私はなぜこんなむずかしい議論したかといいますと、発議者の答弁が要するにわけのわからぬところに入っちゃうんですよ、いわゆる合理性論でね。ですから、となればわが方ももうちょっと本格的な理論武装をしまして、それに対してその合理性の論拠を打ち破らなければいかぬ。その基礎として私はこの選挙権の性格を明確にしたい。先ほど峯山議員もかなりその点突っ込みましたので、これは私ちょうどきょうは五時をめどということですので、あとは次回に譲りたいと思います。
#233
○委員長(上田稔君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#234
○委員長(上田稔君) 速記を起こして。
#235
○栗林卓司君 実は、当初予想した時間が来たものですからこの辺で終わりたいと思うのですが、ただせっかくお待ちいただいておりますので、若干大臣等にお尋ねをして、あとの質疑は後に譲っていきたいと思います。
 まず、法務大臣にお尋ねをするのですが、この自民党提案の公選法改正案に対して違憲を主張する団体あるいは違憲の疑いがあるという団体、少なからずあることは御承知のとおりだと思います。したがって、もし仮にこの法律案が成立をすると違憲訴訟が相次ぐことはまず既定の事実と覚悟せざるを得ない。そのときに、国を相手取って訴訟が提起されるのですが、そのときは法務大臣が国を代表して被告席にお立ちになる、これは間違いございませんか。
#236
○国務大臣(坂田道太君) 国会議員の選挙の違憲訴訟につきましては、法務大臣の指揮のもとに都道府県選挙管理委員会あるいは中央選挙管理会がその訴訟を担当する場合と、右委員会とともに法務省の訟務局がその訴訟を担当する場合があるかと思います。
#237
○栗林卓司君 いや、違憲訴訟の場合には法務大臣が法律の規定で国の代表人としてならなければいかぬと、こう決まっているわけですよ。
#238
○政府委員(柳川俊一君) 先生御指摘の訴訟の形態がどういう形になるかよくわかりませんが、いま大臣が申されましたとおり、行政訴訟の形で参ります場合には、本法律案がそのまま可決されたということになりますとその訴訟は参議院の全国区ということになりますので、したがいまして被告になりますのは中央選挙管理会が被告になります。そして、その代表者はその管理会の代表者が代表者になるわけでございます。したがいまして、法務大臣自身が代表者になるわけではございません。ただ、法務大臣は行政訴訟について指揮権を持っておりますので、法務大臣の指揮のもとにその中央選挙管理会が応訴をするということに相なると思います。
#239
○栗林卓司君 そうなりますと、いずれ法務大臣は当事者の一人であるわけですね。私がいま聞きたいのは、そのときに、この法律案は合憲であるという立場でお臨みになるのか、合憲だか違憲だかよくわけのわからぬという立場でお臨みになるのか、どっちになるんでしょう。
#240
○政府委員(柳川俊一君) 法務大臣の立場といたしましては、具体的な訴訟が起こりました段階において関係省庁と協議の上応訴をするということになっておりますので、現在の段階では何も申し上げられないというのが私どもの立場でございます。
#241
○栗林卓司君 では、自治大臣にお尋ねをします。
 この法律案が仮に通りますと、憲法の七十三条ですか、内閣は法律を誠実に執行する義務がある、当然その義務を負われると思います。憲法九十九条は憲法尊重擁護の義務が書いてあります。仮にこの法律案が合憲であれば問題ないのだけれども、合憲か違憲かよくわからぬというときに、当面その執行の責任者に当たるのは自治大臣でありますが、自治大臣として違憲審査をする権限はお持ちなんでしょうか。
#242
○国務大臣(世耕政隆君) この場合、訴訟の被告人は中央選挙管理会であります。訴訟を行われますと、その過程において、つまり国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律によって、必要によっては法務大臣の指揮を受けるものとされております。しかしながら、こういう訴訟が提起された場合には、自治大臣といたしましては、公職選挙法の所管大臣といたしまして、また中央選挙管理会が自治省の附属機関でございますので、管理会の立場を尊重しながら、適正な判決が得られるように努力する立場にあります。
#243
○栗林卓司君 済みません、前の質問と一緒になったものですから誤解されたようですが、違憲訴訟は置いておいて、選挙管理委員会の主務大臣は自治大臣でございましょうから、この法律案が仮に施行されたとすると、内閣すなわち当面の主務大臣としては、自治大臣はこれを誠実に履行しなければいかぬ。一方九十九条では憲法をあくまでも尊重擁護していかなければいかぬ。となるとこの法律案は合憲であってくれなければ困る。となると自治大臣として違憲審査権をお持ちですかということなんです、質問は。
#244
○国務大臣(世耕政隆君) 私にはその権限はございません。
#245
○栗林卓司君 内閣がかかわるわけですけれども、内閣法制局長官とするとこの種問題はどうごらんになっている、どういうお立場にお立ちになるのですか。
#246
○政府委員(角田禮次郎君) 先ほど御引用にもなりましたけれども、憲法七十三条の一号には法律を誠実に執行するということが内閣の職務として掲げられております。いやしくも国会を通過して成立した法律に対して行政府である内閣が、それに対して違憲の疑いがあるとか、あるいは若干疑いがあるからその執行を怠るとか、あるいは拒否するというようなことは内閣の立場として許されません。
#247
○栗林卓司君 いまおっしゃったとおりだと思うのですが、内閣には違憲審査権はない。あくまでも、少なくも最高機関の国会で決めたからには合憲であろう、そう推測をして動いていくのが大体通説であり現在動いているところですね。そうすると、内閣法制局長官とすると、いまのこの法律案に対して、とかく聞かれても困ります、もともとこれについて意見を言うべき立場にもない職分であります。自治大臣の方は決まったら誠実に履行するしか仕方がない。それはあくまでもこれが合憲だという前提に立ちます。法務大臣も同様だと思います。ということは、内閣としてはこの法律案が合憲かあるいは違憲かという問題については何もできません。そうすると、いま国会で議論になっているわけです。問題は議院法制局、これは一体何をするところなんだろうか、参議院法制局長に伺います。
#248
○法制局長(浅野一郎君) まず、選挙訴訟の方からお答えいたしますけれども、選挙訴訟に関しましてはわれわれは直接関係ございません。
 それから議員提案の法案の問題でございますが、私どもはその法案の作成を補佐する立場にございますので、補佐の段階で当然憲法に適合するかどうかは御補佐申し上げることになっております。
#249
○栗林卓司君 それで法制局長、いまの提案の自民党の案が合憲だとお考えになっているのですか、それとも違憲の疑いがあるとお考えになっているのか、その点はどうなんですか。補佐する立場にあるのだから作業はしたわけでしょう。
#250
○法制局長(浅野一郎君) 補佐をして作業いたしました以上は憲法に適合するものとして御補佐を申し上げたわけでございます。
#251
○栗林卓司君 憲法に適合すると判断された内容はどういうことでございましたか。
#252
○法制局長(浅野一郎君) 私どもが繰り返し繰り返し申し上げておりますけれども、要するにこの拘束名簿比例代表制の導入が、いまの、どう言いますか、選挙民にとりましては候補者の選択の困難、それから候補者にとりましては選挙運動費用の膨大、労力の過酷という、参議院全国区制の包含する問題点を解決するという点が一点。それから国民の政治的意思を適正に国会に反映するという点が二点。そういう目的のために政党が議会制民主主義を支える不可欠の要素となっており、国民の政治的意思形成の媒体として重要な機能を果たしておるという現実を踏まえて出されたものであると、こういうふうに判断いたしまして、合理的なものであると、こう考えたわけでございます。
#253
○栗林卓司君 いまいろいろ挙げられた合理的の中身ですけれども、それはさっき近藤さんが御議論になったのと実は同じでありまして、基本的人権を制約するということになるとある合理性が求められる。合理性があれば国会の裁量権の範囲内であるから違憲ではあるまいと、こういうことですね。
 そこで、いまお述べになったことについて、個々に、たとえば国民が選びづらい、今度は選びやすくなる云々ということについて、そうであるかどうかを検証する能力と立場に、能力があるのかないのか、また立場にお立ちになっているのか。要するに、参議院法制局としてお調べになった上でそういう御判断をなさっているのかはどうですか。
#254
○法制局長(浅野一郎君) 私どもは補佐する立場にございますので、私どものできる限りの資料をもとにいたしまして合憲と、こう判断いたしたわけでございます。
#255
○栗林卓司君 自民党の方が提案理由としていろいろ並べているのはあるんです。それを一つ一つ精査して、確かにそうです、したがって合憲ですということなんですか。
#256
○法制局長(浅野一郎君) 一つ一つ考えまして、そうして合理的と考えられておることに理由があると、こういうふうに判断したわけでございます。
#257
○栗林卓司君 あなたは大変なことを答えているんだけれどもね。たとえば金がかかり過ぎるとあるでしょう。それが今度の選挙制度になるとかからないようになる、改善であるということを自民党は主張しておられます。あなたとするとその主張は主張としてまるのみにするしかしようがない。発議者の言うとおりそうであったとしたら、その場合には基本的人権が制約をされても憲法が許容する範囲内でしょう。もし発議者の言っていることが間違っていたら当然結論も変わります。発議者が合理的だと言っている内容が本当に合理的かどうかは法制局には判断できないのじゃないですか。
#258
○法制局長(浅野一郎君) 先ほど申し上げましたように、われわれとして与えられた権限の中で、できる限りの資料をもとにして合理的と判断されることに理由があると、こういうふうに判断したわけでございます。
#259
○栗林卓司君 これまで作業をしてこられた経緯があるからどうしてもそういう答弁になるのだと思うのだけれども、資料は何もないのだよ、何にもない。何にもなくてただ合理的だと発議者がおっしゃっているだけなんです。したがってあなたわかるわけがない。しかも違憲だという団体があり、違憲の疑いがあるという団体があり、違憲だと言っている政党もいる。内閣法制局としては――ちょっといまあなたの議事録どこかへいっちゃって探しているんだけれども、きちんと答えられているのです。発議者がおっしゃっているように、仮にそうだとしたら裁量の範囲内なんです。僕はあなたのこれまでの答えが一番正確だと思う。いまちょっとそれは法制局長としては踏み出し過ぎ。
 問題は、公共の福祉とのかかわりで、それを基本的人権を制約するに足りる合理性があるかないか、これがこの法案が合憲か違憲かの肝心の部分なんです。いまあなたのお答えがそうであればしようがないのだけれども、ただ私が言いたいのは、内閣はそんなことでとにかく見ているしかありません。合憲か違憲かというのはこの国会の議論で決めるしかない。そうなんですよ。だから、選挙制度というのは違憲の疑いはなるべく避けながら立法していくのが私は本来の筋道だと思う。それを疑いがある、あるいは違憲が明白であるという議論が出る中で、この国会の議論をどうやって進めていったらいいのか。これは篤と自民党の方々にお考えいただきたい。
 最後に伺いますが、違憲訴訟が出ますと、これは出ることもうわかり切っている。出ますと、これは裁判所がその判定を下すことになる、最高裁判所。それで、もし裁判所が今度は精査をして合理性が認められない、憲法違反でありますという判決をしたら、これは最高裁のことだからするはずはないだろうという議論は成り立たないのですよ。判決をしたらどうなるか。それまでの選挙は一切無効。その間に成立した法律案は一切無効かどうか大きな争いのもとになる、大問題になる。
 この点だけ特に申し上げて、以降の議論は次に譲りたいと思います。
#260
○委員長(上田稔君) 本日の質疑はこの程度といたします。
 次回の委員会は十四日午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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