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#1
第096回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第14号
昭和五十七年七月二日(金曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十六日
    辞任         補欠選任
     関口 恵造君     鳩山威一郎君
 七月一日
    辞任         補欠選任
     玉置 和郎君     関口 恵造君
     対馬 孝且君     矢田部 理君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         上田  稔君
    理 事
                中西 一郎君
                降矢 敬義君
                村上 正邦君
                赤桐  操君
                多田 省吾君
    委 員
                井上  孝君
                小澤 太郎君
                小林 国司君
                斎藤栄三郎君
                関口 恵造君
                田沢 智治君
                名尾 良孝君
                鳩山威一郎君
                藤井 孝男君
                円山 雅也君
                野田  哲君
                宮之原貞光君
                矢田部 理君
                大川 清幸君
                峯山 昭範君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                前島英三郎君
       発  議  者  宮之原貞光君
   委員以外の議員
       発  議  者  本岡 昭次君
       議     員  金丸 三郎君
       議     員  松浦  功君
       議     員  青島 幸男君
       議     員  中山 千夏君
   国務大臣
       法 務 大 臣  坂田 道太君
       文 部 大 臣  小川 平二君
       自 治 大 臣  世耕 政隆君
   政府委員
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       法務省訟務局長  柳川 俊一君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   法制局側
       法 制 局 長  浅野 一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(宮之原貞
 光君外二名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(上田稔君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 先月二十六日、関口恵造君が委員を辞任され、その補欠として鳩山威一郎君が選任されました。
 また、昨日、対馬孝且君及び玉置和郎君が委員を辞任され、その補欠として矢田部理君及び関口恵造君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(上田稔君) 公職選挙法の一部を改正する法律案(参第二号)を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○前島英三郎君 私は、さきの質問におきまして参議院の本来のあるべき姿、それに関しましてわが国の現行憲法制定の原点に立ち返ってその当時確立された理念に学ぶ必要性を訴えてまいりました。時代の移り変わりとともに社会状況も大きく変化してきたとはいえ、憲法が掲げる理念、原則は決して揺らいでいないと思いますし、また揺るがすべきではない、このように確信する次第でございます。
 本日は、私はさきに述べました基本的な立場を踏まえまして、また参考人の方々六人の御意見を伺いましたが、だれ一人として自民党案の拘束名簿式比例代表制を一〇〇%よしとする方はいない、こういう現実を踏まえまして質問を続行してまいりたいと思います。
 そこで、法務大臣にまず伺うわけでありますけれども、法務大臣はこの委員会にたびたびおいでいただいております。先般法務省の方が見えまして、何で法務大臣がこの公選法の委員会に呼ばれているのかわからないというようなちょっと苦言めいたことを伺いましたので、法務省の役割りをまず伺いたいと思います。
#5
○国務大臣(坂田道太君) 私のところの役割りというのは、あらゆる犯罪に対しまして法に照らして厳正公正に対処することというふうに考えております。
#6
○前島英三郎君 この公選法の委員会において、この選挙制度の中における法務大臣が御列席をいただいているという点に対しては、法務大臣はどのように御認識されますか。
#7
○委員長(上田稔君) 大臣、少し大きい声でお願いいたします。
#8
○国務大臣(坂田道太君) いやしくも法というのはいかなる人に対しましても平等に行われなければならないということ、そういう意味合いにおきまして、もし公職選挙法ができ上がったとすると、その法律に照らして厳正な処理が行われるという、その法の番人の役割りだというふうに私は心得ております。
#9
○前島英三郎君 そうすると、何ゆえに呼ばれているのかわからないという認識は間違いですね。
#10
○国務大臣(坂田道太君) そうではございません。
#11
○前島英三郎君 それでは、そういう法務大臣の御意見を伺った上で、まず自治省に二、三お尋ねしたいと思います。(「両大臣に質問してもらったらいい」と呼ぶ者あり)ええ、たくさんやります、法務省の役目の中に公選法に関することはいっぱいあるんですから。法務省設置法をよく読んでいただければ、なぜこの公選法の中で法務大臣が必要かというのはわかるはずなんです。村上さん、そうでしょう。(「だからね、両大臣がせっかく来てるんだから」と呼ぶ者あり)静かにしてください。
#12
○委員長(上田稔君) 不規則発言はやめてください。
#13
○前島英三郎君 まず、自治省に伺いますけれども、現行の参議院全国区の選挙におきまして選挙公報がどのように運用されているかという点でございます。
 私は、さきのテレビの政見放送の効果という点に注目いたしまして、テレビの活用の思い切った拡大をしてはどうかということを提案したのですけれども、参考人の清水先生、ニューメディアという言葉が出ましたけれども、私も重ねて強調しておきたいところでございます。しかし、その一方で選挙公報についてもこの際もっと目を向けまして、その充実と一層の効果的な活用を考えるべきだと思うのです。
 まず、現状について自治省にお尋ねしたいと思うのですが、選挙公報の効果といいますか、見たという人の比率、選挙公報によって投票する人を決めた、あるいは決めるに当たって参考にした、こういう有権者の比率、こういったデータを自治省は持っておられるか。あったら御説明いただきたいと思うのです。
#14
○政府委員(大林勝臣君) 国の規模の選挙が行われますたびごとに、その後明るい選挙推進協会の方で世論調査をいたします。その際に、選挙運動なりあるいは候補者決定の基準としてどういう媒体が一番効果的であったかというような問いがつくられるわけでありますが、まず毎回の選挙を通じまして言えますことは、第一番目の比重を占めますのがテレビの政見放送であります。それから、第二番目の比重を占めますのが大体常に選挙公報ということになっております。
 有用な選挙媒体の数と申しますか、答えの数、それは前回の参議院選挙でたとえば全国区を考えてみました場合に、テレビの政見放送を第一番として挙げられた方が二三・四%、それから選挙公報が第二位、この選挙公報の占める声と申しますか、一四・九%。これはまた選挙のそのときそのときによりましてこの比率は多少変わりますけれども、この政見放送と選挙公報の一番目、二番目という比重は常に変わりませんし、他の選挙媒体に対する比重から考えまして非常に飛び抜けております。
#15
○前島英三郎君 有権者全体に対する比率という点ではテレビ、それから選挙公報はテレビまではいってないということでありますが、しかし公示から十五日たった時点で投票する人を決めてないと、そういう人が恐らく半分近くいるわけでありますから、その人たちにとって選挙公報がどのように役にたっているか、そういうデータをとればその効果はかなり高い結果があらわれてくるだろうと思うのです。そういう立ち入った調査というのはやっておりますか、選挙の期間中における前段、後段あるいは中段というような形の中で。それはいかがでしょう。
#16
○政府委員(大林勝臣君) 候補者決定の時期の調査というのはやっておりますが、その選挙期間中のいかなる時点でどういう媒体がどれだけ有用な比重を占めておるかという調査まではやっておりません。
#17
○前島英三郎君 私はその選挙公報をもっと重視してよいと思うのです。その意味でその効果的な活用方法をよく研究して改善を図っていきますと、全国区は金がかかって困るというような状況の改善にもつながると思うのです。これはぜひ自治省としても今後十分努力していただきたいと思います。
 そこで、自民党案の発議者の一人であります松浦先生に伺いたいのですけれども、あなたは参議院全国区に立候補されみごとに当選なさいました。なぜ全国区を選択されたのか、当選後どのような議員活動をしようと考えておられたのか、伺いたいと思います。
#18
○委員以外の議員(松浦功君) 多数の先輩、友人からの重ねての御慫慂がございましたので選挙に立候補する決意をいたしました。
 私は、約三十年に上って地方自治行政にもっぱら携わってきた者でございます。特に五年間北九州市で本当に現場の行政も担当したことがございます。こういった経験を生かして、国の行政の本当の意味の担い手である市町村の行政というものを、もっとよりよいものにしていけるように幾らかでもお役に立てたら幸せだなと、こんな気持ちでおったわけでございます。
#19
○前島英三郎君 それで、松浦さんに重ねて伺いますが、立候補するからには当然有権者に対して公約をなさったはずだと思います。どのような公約をされたのか。これは決して意地悪な質問と受け取らないでください、選挙公報と関連しての質問ですから。
#20
○委員以外の議員(松浦功君) 選挙公報をここに持っておりますけれども、「私は、豊かな地方の時代を実現します」と、これが中心でございます。いま申し上げましたように、これまでの経験を生かして末端行政の担い手である市町村行政というものを充実していくようにいささかでも尽力できたら幸せだと、こういう立場で選挙公報を書いたつもりでございます。
#21
○前島英三郎君 選挙公報にそういうふうに載せられて、私はそのとおりだと思います。「私は、豊かな地方の時代を実現します 八〇年代は、地方の時代です。」と、こう掲げられてございます。松浦さんの選挙公報の書き出しはこういうぐあいになっているわけですが、選挙公報があるおかげで私も容易に松浦さんのお考えの基本を知ることができるわけであります。
 しかし、ここで立ちどまって考えてみる必要があるのですけれども、松浦さんの訴えは、どこそこの特定の地方ではなくて、中央に対するところの一般的な意味での地方、具体的には地方自治というものを重視して、その活力を増せるように、そのために中央政治の場で活動しますと、こういう意味だと私は思うのです。松浦さん、それでよろしいですね。
#22
○委員以外の議員(松浦功君) そのとおりでございます。
#23
○前島英三郎君 地方自治の充実ということはいまの政府・与党としても言っておられるには違いありませんが、あなたは特にそのエキスパートとして他の分野より優先して力を注ぐと、そういうことだと私は思うのです。参議院全国区選出の議員としてあなたがやろうとし、またやっておられる重点は私はそこにあると思うのです。
 松浦さん、参議院全国区とは実に私はすばらしいと思うのですけれども、いかがでございますか。
#24
○委員以外の議員(松浦功君) はなはだむずかしい御質問でございますが、私は政治活動の期間を含めて相当期間全国を飛び回ったわけでございますが、何というむなしいものであろうかということをしみじみと感じました。これは私個人の意見でございますからお許しを願いたいと思います。恐らく私がちょうだいした票の十分の一に相当しない方にしか私の顔も見ていただけない。あるいは二十分の一あるいは三十分の一の方にしか私の話も聞いていただけないという形で、手ごたえというものが全然ないわけでございます。そういう意味では、はっきり申し上げて非常にむなしい選挙であったといういまでも認識を持っております。
#25
○前島英三郎君 むなしいということは、あなたを支えた何十万票という方がお聞きになったら、どうまた皆さんはむなしく思われることでありましょう。地方の時代を訴え、それが支持されたと私は思うのです。そしてその地方の時代のために働く。あなたは自民党に所属しておられるけれども、地方の時代というのはある意味で超党派的な課題だと思うのです。あなたは党派を超えてきっと今後も努力されると思うのですけれども、その辺はいかがでございますか。
#26
○委員以外の議員(松浦功君) 私は自民党員でございますから、自民党員ということと全国区選出の議員であるということ両方を胸に畳んで、そしてあくまで選挙公報に書いているような方向でこれからも努力を続けてまいりたい、こう思っております。
#27
○前島英三郎君 松浦さん、あなたは同僚委員の質問に対しまして全国区選挙のつらさというか、私もいま伺ったのですが、むなしさというようなことをおっしゃいましたけれども、あなたが掲げた目標、公約、それが支持されて、いまそのために働けるという喜び、参議院の理念にかなった深い喜びというものを感じておられるはずだと思います。それはございますね。
#28
○委員以外の議員(松浦功君) 責任を感じております。
#29
○前島英三郎君 前回五十五年の選挙公報を改めて読み直しまして感ずるところを松浦さんにお尋ねしたわけですけれども、ほかにも二、三お尋ねしたい点がございます。それは前回トップあるいは第二位で当選された方々が選挙公報において参議院の良識、参議院のあり方を明確にうたっているという事実がございます。
 まず、故市川房枝先生でありますけれども、選挙公報によりますと、「私の姿勢、立場、政策について」と題しまして次のように書かれております。「前と同様、参議院は無所属がよいとの信念から、無所属、革新として市民の立場にたち、」というようなきわめて明快な形で参議院のあり方を選挙公報でうたっております。第二位の隣におります青島さんは、「私の主張」は「政党の支配下にその存在意義を失った参議院を良識の府として再建する。」と、まず冒頭からうたっております。ほかにも、いろいろな方の公報を見てみたわけでございますけれども、みんな参議院というものを良識の府に育てようと、そういう立場で訴えているのに私も大変勉強になったわけであります。
 そこで、この二人だけでも有効投票の九%の得票を集めております。お二人の人格に対する信頼もありましょうけれども、主張と得票との関係もきわめて私は大きいと思うのです。つまり、単に無所属であるだけでなく、参議院のあり方についての明確な主張が支持されたと解釈すべきだと思うのです。残りのあるいは八割以上は政党候補に投票されておりますけれども、それは数字の詭弁でございまして、このような事実を自民党案の発議者はどのように受けとめておられるか。自民党の全国区の方々も異口同音に参議院というものをこの選挙公報では公約として掲げておられるわけです。その中にはやはり参議院を良識の府として党議に拘束されない立場の中でと、こういうことを皆さんがうたっておられます。金丸さんはどのようにお感じになっておられますか。
#30
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、市川先生にいたしましても青島先生にいたしましても、それぞれ確固とした御信念と御見識で参議院に出馬され、多くの有権者の支持を得られておることに対しては心から敬意を表しております。
 ただ、たびたび申し上げてまいりましたように、このような個人の立候補者として御当選になる方は非常に数が少のうございます。参議院が誕生いたしましてから三十数年の経過の中で、繰り返し御答弁を申し上げておりますように、選挙はすっかり政党化してしまい、団体をバックにした選挙でなければ、多くの人は選挙が闘えない、また当選ができないと、こういう現実になってまいっております。
 この制度ができましてからずうっと論議されておりますのは、何と申しましても膨大な有権者があり、非常に広い区域にわたる選挙区の制度でございますのでいろいろな困難が伴っておりますから、私どもとしては、わが国政を実際に担当し推進いたしております政党本位の拘束式の比例代表制をとることによって、全国区の現在の選挙制度に伴います弊害を是正し、かつよりよく参議院にふさわしい人を得られるような制度を考えたらどうかということで、結論を得まして出しておりますのが私どもの提案でございます。比例代表制によりまして国民の意思はいわばむだなく国政に反映されてまいってくる。ここに私は、比例代表制は有権者の意思を尊重する、こういう意味で大変意義がある、このように思っております。
 また、個々の見識のあるお方は、各党の候補者の選び方によりましては、政党員でない方も各党の候補者名簿に登載できるようになっておりますので、私は政党以外の参議院にふさわしいりっぱな見識をお持ちになる方も、各党が推薦することによって参議院に当選をしていただき、良識の府にふさわしい活動が期待できる、このように思っておる次第でございます。
#31
○前島英三郎君 その金丸さんの主張もわからないわけではないですけれども、その中身につきましてはまた後でゆっくりと伺ってまいりたいと思います。
 政党の方々も、それぞれ御自分の専門分野あるいは主要な関心事あるいは政策の主眼点を浮き彫りにして支持を集めていると思うのです。さらに、これが今度拘束名簿式になると、よりふさわしい人が政党の名簿の中に登載することによって果たせられる、こういうことをいま金丸さんもおっしゃっているわけですけれども、それが政党に縛られてしまってよりふさわしい人材と言えるかどうかということは、やっぱり大変重大な問題だろうと思うのです。
 一つの理念を掲げ、一つの目標を掲げ、参議院の中で全国的な支持を集めた市川房枝さん、こういう方たちの意見というものにやはりもう少し謙虚に耳を傾けてもらいたい、このように思います。参議院派というようなものが、いみじくも先般栗林さんが参議院は政党の中における一つのいわゆる参議院派であるというようなことも申されたわけですけれども、やはりそういう人たちが高い支持を得ていると私は思うのです。有権者個々の関心は多様でありましょうけれども、その総体としての意思の反映が実に参議院を参議院たらしめていると、私はそのように思っております。
 これを拘束名簿式比例代表制にしてしまいますと、政党の方々の個性あるいは専門分野、主要関心事といったようなものが、党としての全体公約の中に埋没してしまいまして見えなくなってしまうという私はおそれを感ずるわけです。無所属の方は切り捨てられてしまいますし、これはやはり参議院の自殺行為につながるのではないか、私は常々そのように思っております。この辺は松浦さんはいかがでございましょうか。
#32
○委員以外の議員(松浦功君) 私どもは、比例代表制になりましても、やはり自民党というものの枠内に党員である以上はあるわけでございますけれども、それなりに見識を持って自民党の中で行動することは可能であろう、両方並立させていくように努力しなければならない、こう考えております。
#33
○前島英三郎君 議論が何となくかみ合わない印象が残るんですけれども、議会制民主主義、その具体的な制度としての選挙というものは、やっぱり有権者の直接の審判に最も信頼を置くことによって私は成立するものだと思うのです。有権者の審判の前に政党が審判をしてしまうということを一つとってみても、この拘束名簿式比例代表制というものは大変問題点が多い。政党があらかじめ候補者の順位を決める、有権者はそこには全く口を挟むことはできないわけであります。このような制度を考え出す背景には、有権者よりも政党の方が上なんだという思い上がった意識がひそんでいるのではなかろうか、そう思えてならないわけでございます。
 参考人の方々は、選ばれる側よりも選ぶ側の立場で考えてほしいと、皆さん口をそろえて言っておられました。先日この点で幾つかお尋ねしたところでございますけれども、改めて金丸さんに伺いたいのですが、有権者よりも政党の方が上だといった意識があなたの腹の底にはありませんか、どうですか。
#34
○委員以外の議員(金丸三郎君) そういう考え方は私どもは全然持っておりません。そのためにこそ名簿式の比例代表制によりまして政党が国民の審判を受けるわけでございますから、政党ができるだけりっぱな候補者をそろえる、そして政策と個々の名簿に載っております候補者を一緒に国民の審判を受ける、こういうだけの考えでございます。一面からは、先ほど申し上げましたように、比例代表制というのは国民の政治的な意思をできるだけ忠実に国会に反映させたいということでございまして、私どもは有権者のむしろ政治的な意思を重く見る、このように申してもよろしいのではなかろうか、かように考えております。
#35
○前島英三郎君 なぜこんなことを聞くのかと思うかもしれませんが、金丸さんの本を読みましてちょっと、心配になったからでございます。金丸さんは「選挙制度改革の諸問題」という本をお書きになりまして、その中で任命議員制をとることについて書いておられます。しかもその論調はその任命議員制が一番よいと考えておられるように読み取れます。これは昭和二十九年時点ですから、時も移り時代も流れておりますから、その部分だけを指摘するわけではありませんけれども、参議院の政党化が進んだ現在ではあるいは違っている、違ってきているんだとおっしゃるかもしれません。この際、任命議員制度に関する当時といまの見解を整理して述べていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#36
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私の「選挙制度改革の諸問題」という本は、お読みいただけばわかりますように、当時衆議院の選挙、参議院の選挙を通じまして改革の論議が非常に高まっておりましたので、そういういろいろな問題点を拾い上げて、多くの方に論議していただきあるいは考えていただきたい、こういうような趣旨で書いたものでございました。参議院の任命制については御指摘のような当時考えを持っておりました。しかし、これは私は、憲法改正を前提にしなければ実現できない問題でございますので、現在では、これは全く仮定の問題でございますけれども、もし憲法が改正されるようなことがございますならば、憲法の中で参議院制度自体をどのように考えるか、その中で任命制をどのように考えるか、そのようなふうに考えていくよりほかないのではなかろうか、このように考えております。いま任命制をとれというまでには考えておりません。
 やはり、国民主権のもとでございますというと、直接選挙を維持いたしますか、あるいは間接選挙のような制度をとってわが国の参議院にふさわしい制度がつくれるかどうか。この点も一つの論議ではあろうと思います。私の任命制というのは憲法の改正を仮定いたした意見でございますので、これは繰り返し念のために申し上げておきますけれども、将来の問題であろうと思います。現在では、現行憲法を前提にいたします限りは、やはり選挙というものを前提にして参議院のことは考えてまいらなければならない、こういうふうに考えております。
#37
○前島英三郎君 憲法という問題、あるいはその思惑の中に拘束名簿式比例代表制、やがて小選挙区制、三分の二憲法改正、そして参議院への一つの制度の検討、いろいろ将来にわたっての思惑はちまたに流れておりますけれども、あなたはこの中でこう書いております。
  わたくしは、参議院には、衆議院と異った質の議員が選ばれることが望ましいと考える。また、参議院は、政党政治の下においても、いな、むしろその下においてはなおさら、政党に対して厳正公平な人が選ばれることが必要で、それが二院制の存在の理由だと思う。
こう書いておられます。この部分は私も全く同感でございますが、この点は考えというか状況が変わったので現在は違っているということはないと思うのですけれどもね。変わったとしたら二院制の存在の理由がなくなるというふうになってしまうのではないかと、こう心配するんですけれども、そのお考えは変わってはおらない、いかがですか。
#38
○委員以外の議員(金丸三郎君) 昭和二十年代からすでに現在の面接選挙を前提にいたします全国区の制度では政党化は避けられないであろうということが論議されておったことは、恐らく前島議員も御承知ではなかろうかと思います。昭和二十二年に参議院の全国区の制度が発足いたしましてから今日まで、そのような趨勢が年一年強くなってまいったことはるる申し上げたとおりでございます。私どもも参議院にふさわしい国会議員が得られることが望ましいということは恐らく皆様方と同じであると思います。しかし、現実の政党政治とそれから選挙の実態を考えまして、私どもは国政の運営上また参議院の全国区の選挙の実際から考えまして、政党本位の選挙制度をとることによって、現在の参議院の全国区の選挙に伴いますいろいろな弊害を是正しながら、参議院にふさわしい人を得るのにはやはり拘束名簿式の比例代表制がよかろうと、こういうような結論に達して提案をいたしたわけでございます。
#39
○前島英三郎君 もうちょっとこの本についてお尋ねしていきたいと思うのですけれども、同じページの後半の部分で任命議員制の方がよい理由についてこう書いております。ちょっと読んでみますと、
  それに、さらに現実の実際的な一つの理由がある。それは、かならずしもわが国に限らないかもしれないが、立派な政治的識見と手腕とを有する人物で、選挙によっては得難い人が多いということである。選挙には金がかかり、冒険を伴う。
 ここまではこれまでの委員会での金丸さんの御答弁の中にもよく出てくる言葉ですから別に驚きはしないのですけれども、これから先の表現にちょっと問題がありますから読ませてもらいます。
  多くの人に演説し、ご機嫌をとらなければならない。その労苦は、並大抵ではない。当選後も、選挙人のいろいろの依頼事に煩わされなければならない。全国区制は、この点、もっともわずらわしさが少ないのであるが、
 こうありまして、私これを読みながら、「ご機嫌を取らなければならない」とか、「わずらわしさ」という表現が出てくるんですけれども、これはいかなる意味であるかということをお尋ねしたいことと、現実的に御機嫌を取る場面や政治活動に直接関係のないいろいろな依頼事もあるかもしれませんけれども、多くの人に自分の政権や立場を訴え理解してもらうことや、有権者の現実的な陳情に耳を傾けあるいは解決していくということは、これは政治家本来の務めの一部で私はあると、このように思います。この言葉の意味を金丸さんからちょっとお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
#40
○委員以外の議員(金丸三郎君) 選挙に支持を受けますというと、いろいろ選挙民のためになるような働きをしなければならないことは私も当然であろうと思います。また、私も現にそのようにお世話になった方にはできるだけの御恩返しといいましょうか、そういうことはやっておるわけでございます。表現があるいは適当でないかもわかりませんけれども、中にはいろいろと細かい無理なこともこれはやっぱり数ある中にはあると思います。そこはよくかみ分けて、本当に有権者のためになりまた社会のためになることであれば、私は議員としては当然な務めとして、有権者のために、支持してくださった方のために働くのは私も当然であろうと思っております。
#41
○前島英三郎君 別に重箱のすみをほじくるために言っているんじゃないのでありまして、余り不機嫌にならないでいただきたいと思うのですが、拘束名簿式比例代表制を参議院全国区に持ち込もうとする発想の根底に実は同じような意識が流れているのではなかろうか、そう心配するから私は申し上げているわけでございます。ですから、直接著書の筆をとった金丸先生個人を責めようというのではありませんので、ただ往々にしてそのような感覚に麻律してしまうことがあると、私はそう思うから申し上げているわけでございます。この辺は金丸さん、松浦さん、私の意見と同じでございましょうか、いかがですか。
#42
○委員以外の議員(金丸三郎君) 御質問の趣旨を的確に把握できてお答えを申し上げておるのかどうかわかりませんが、私どもが思い上がった気持ちで拘束名簿式比例代表制を考えたのではないかという御趣旨のように私には受け取られますけれども、そういうことはもう全然ございません。これは先ほど来繰り返し申し上げておりますように、参議院にふさわしい人材を得るということと、それから有権者の意思をできるだけむだなくと申しましょうか、国政に反映するという趣旨でこの比例代表制を考えておるわけでございます。
#43
○委員以外の議員(松浦功君) 私は全く金丸先生と同じ考え方でこの案の作成に参画をしたわけでございますが、特に比例代表制というものについての技術的な面に非常に努力をしたということでございまして、その点で御理解をいただきたいと思います。
#44
○前島英三郎君 つまり、なぜそう言うかといいますと、そういうわずらわしさとかなんとかということから逃避するにはこの拘束名簿式比例代表制は一番いいんです。なぜならば、だれが自分を選んでくれたかということは、別にあなたに選んでもらったわけではないと開き直れる部分があるからです。
 陳情を私たちもいろいろの形で受けておりますけれども、これは直接有権者の方々が一人一人の議員のところへ来たときに、私たちはいろいろな細かい問題の窓口としてそういう相談事に乗るわけです。あるいは鹿児島にも参りましょう、北海道にも参ります。そういう形の中でわれわれはやはり有権者に対するそういう気持ちというものは議員としてやはり未来氷劫持たなければいけない、こういう原則に立ちますが、この拘束名簿式比例代表制ですと、陳情に来ましても、そういう依頼事がありましても、それは党に言ってくれ、こういうことになると私は思うのです。そういう気持ちの中において、実はいままで申し上げたことはひとつ御理解をいただきたい、こう思うのです。ですから、御質問の趣旨がわからないといまおっしゃいましたので、あえて中身を御説明しますとそういうことでございます。
 有権者の審判に重きを置くという民主主義の根底に立つならば、少なくとも参議院全国区において政党が候補者の順位をあらかじめ決める、あるいは無所属の立候補者を締め出すという発想は、私はこういう点からは出てこないんではなかろうか、このように思うのです。あるいは政党がこのような案を単独提案するという発想も出てこないはずだと思うからあえて申し上げているわけなんです。私は、自分たちの選挙制度を自分たちが決めるというのも疑問がありますし、いわゆるお手盛りという感じがぬぐい切れないからこのようなことを申しているわけであります。
 そこで、参考人の方々の御意見を伺って、また公聴会も開催することになったわけなんですが、それで済まされるとは思えないわけでございます。参考人の方々も、選ぶ側の論理を忘れているという指摘を皆さんがやっておりますし、選ぶ側の論理を生かすためにこの改正案を廃案として改めて出直す必要があると私自身は考えております。第三者機関にかけてより広範囲の人々の意見を取り入れた上で再度提案すべきではないか、私はそのような気持ちを強く持っております。なぜこのような手順を踏まなかったのか、改めてそのようにやり直す考えはないのか。まあ恐らくないと思いますけれども、発議者である両氏に伺いたいと思います。
#45
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、参議院の全国区の制度につきましては、先ほども触れましたようにすでに昭和二十年の末期ぐらいから相当盛んな論議が行われ、昭和四十年代に入りましてもますます盛んになり、約ここ十年自民党といたしましても検討いたしてまいりました。また、ここに御列席の各党におかれてもいろいろと御研究になっておられたこと、またいろいろ試案が発表されておりますことも御承知のとおりでございます。このような各党のお考え、ここ十年来の各方面における論議等を踏まえまして私どもとしては結論を得ましたので、私どもは参議院の全国区の制度に関します限り、いろいろな処方せんはございますけれども、私どもは私どもの作成いたしました処方せんが最も妥当であろうと、ベストとは申しませんけれども、そのような考えで提案をいたしたわけでございますので、何とぞ十分に御審議をいただきたいと思います。
#46
○委員以外の議員(松浦功君) ただいま金丸先生から御発言ございましたように、私も最も現在考えられるベターな案であるというつもりで提案をいたしておりますので、何とぞ御理解を賜りたいと、こう思っております。
#47
○前島英三郎君 これまで私は基本理念、参議院の現状に対する認識、こういった点を中心にお尋ねしてきたわけなんですけれども、ここで少し改正案の中身に具体的に立ち入ってみたいと思います。
 拘束名簿式比例代表制は政党本位の選挙制度であることはよく論議されてわかっておりますけれども、改正案の中身をよく見ますと、現状の政党が固定的に存在し続けることを前提にしておりまして、政党の離合集散という事態が生じた場合になじまなくなるという面があると言わなければならないのですが、順を追って伺ってまいりますけれども、自民党案の百十二条は次のような第二項を加えることとしております。「参議院(比例代表選出)議員の欠員が生じた場合において、当該議員に係る名簿の名簿登載者で当選人とならなかったものがあるときは、選挙会を開き、その者の中から、その名簿における当選人となるべき順位に従い、当選人を定めなければならない。」、こういう条文でございますが、これは現行では三ヵ月間の期限つきであるわけですけれども、期間の限定をなくして六年間有効にしようということだと思うのですが、これはいかなる理由で比例代表選出部分だけをこのようにするのか、ちょっと伺っておきたい。
#48
○委員以外の議員(松浦功君) お説のように、この条文では期間の制限が入っておりませんので六年間繰り上げ補充はできる、こういう考え方で立法しております。
 その理由は、政党本位の選挙でございますので議席の配分が政党に選挙の結果なされます、国民はその政党に幾つの議席を与えたか、こういう結論が出るわけでございますので、その政党の名簿の中から当選した方が一名欠けた場合には、その名簿の中で当選しなかった順番の一番高い者を繰り上げていく、こういう考え方でいって、たとえば自民党に二十という議席が与えられたとすれば六年間は二十の議席が確保できる、こういう形にしようという考え方でございます。
#49
○前島英三郎君 そういう説明を伺ったわけですが、そこで自治大臣に伺いたいのですけれども、公選法百十二条の規定は根拠があいまいであると考えるのかどうかですね。また、欠員の繰り上げ期間を三カ月としていることが国民の間に十分これは定着していると思うのですけれども、そういうこととは考えていないのかどうか。この期間がどのように変遷してきたかという点を踏まえて、ちょっと自治大臣の御答弁をいただきたいと思うのです。
#50
○政府委員(大林勝臣君) 議員の欠員補充につきましてはいろいろの方法があるわけでありまして、補欠選挙あるいは繰り上げ補充、さらにはアメリカの大統領選挙のような、欠員と申しますか、大統領と一緒に副大統領を選ぶ、そういう種類に分かれるわけでありますが、従来の選挙制度におきましては、一々補欠選挙をするのもこれ大変であろう、こういうことで繰り上げ補充というのを戦前から認めておりました。戦前は一年という長きにわたって繰り上げ補充を認めたこともございます。それから戦後、それでは長過ぎるというので十日間ぐらいというように非常に短縮した時期もございます。
 まあ、その長いのがいいのか短いのがいいのかということにつきましてはいろいろ議論がございました。昔から個人と個人の争いで選挙をやっております制度を続けておりました関係上、非常に選挙が激烈になる。激烈になりますと怨念が残る。そうなりますと、次点者にとりましては何とか当選者の足を引っ張って当選無効というようなかっこうに持っていくおそれがなきにしもあらず。こうなりますと、一年間の長きにわたって足の引っ張り合戦をやっておりますと、これまたぐあいがよろしくない。やはりもう少し短い方がいい。短い方がいいけれども十日では短過ぎる。じゃどのくらいがいいのかということでいろいろ御議論があった結果、三カ月ということで現行法が今日まで続いておるわけでございます。
#51
○前島英三郎君 なかなか選挙というのは非常に怨念もあったり大変ですね、時代の変遷見ますと。私はその名簿を六年間有効とすることに大変疑問を抱くものでありまして、たとえば自民党二十人、二十一番目の人は六年間怨念を抱きつつ、名簿の二十人、これは一年間で怨念を抱くなんということでははるかに、昔の江戸のかたきは長崎でというようなもので、六年間もたとえば怨念を抱かれたんじゃこれは大変なことになりゃしないか。そういう気がして、これは一年間というのも大変長きにわたって問題がありますから、六年間もこの怨念がつきまとうなんということは、それはもう選ばれた二十人も絶えず護衛をつけて防弾チョッキを身にまとって国会にいなければならないのじゃないかと思いますと、この六年間というのは非常に疑問を僕は持っております。
 それで、その欠員補充について幾つかのケースに分けて確認しておきたいと思うのですけれども、まず名簿に登載されて当選した人が選挙後離党をした場合、参議院議員の資格は保持されるわけですが、その後さらに何らかの理由で議員でなくなったときはこれはどのように補充をするわけでしょうか。
#52
○委員以外の議員(松浦功君) 名簿に登載されておった者が政党の支持によって参議院議員の資格を得たと、その方が当該政党から離党をした、離党をいたしましてもこれは国会議員の身分は失いませんので欠員補充の問題は起こりません。ところが、その方がただいま御指摘をいただきましたようにお亡くなりになったということになると、参議院議員の欠員が一人生ずるわけです。その場合は、その方が載っておりました――当選する基礎となりました名簿でございますね、載っておりました名簿、その名簿で当選しなかった者の最高順位者、この方が繰り上げ補充になると、こういうふうにお考えをいただきたいと思います。
#53
○前島英三郎君 たとえば、ある政党にいて離党をした。おもしろくない、いろいろ葛藤があって離党しました。それである政党に入りました。そこが葛藤しておもしろくないというんで違うところへ行きました。そういうケースも間々ありますね。そうした場合、これは一番最初のもとへ振りかえる、戻っていくということでございましょうか。
#54
○委員以外の議員(松浦功君) 自民党に例をとるのがいいかどうかわかりませんけれども、自民党が二十名の枠を得たといたします。その中から一人除名されて十九名になりました場合には、これは議員に欠員がないわけですから何らの措置は必要でない。ただ、その方がお亡くなりになるというようなことになれば、自民党に二十の議席が与えられているわけでございますので、一名欠けておりますから当然自民党の名簿から一人上がると、こういうことになると思います。
#55
○前島英三郎君 そうしますと、じゃ自民党に二十人いて、まあたとえて社会党から自民党に入ったと、そうすると枠は二十一名にふくれますね。そして何人か入って、たとえばその中で一人またもとの名簿の中の人が欠員が生じたというと、さらに自民党に二十余人目みたいな形で入るというふうになると理解していいわけですね。
#56
○委員以外の議員(松浦功君) そのとおりでございます。(「違うよ、そうじゃない」と呼ぶ者あり)
 失礼しました。社会党から自民党に入られた議員が亡くなったという場合には社会党の方の名簿から上がります。自民党はあくまで二十でございます。(「そんな失敬なことを言うな」と呼ぶ者あり)
#57
○前島英三郎君 たとえ話ですから。(「A党、B党」と呼ぶ者あり)A党、B党ね、はい、そういう表現でじゃこれから。
 次に、当選した議員が党籍を移した場合、この場合も議員の資格に差し支えない、いまさっき伺いましたけれども。その方がその後何らかの理由で議員でなくなった場合、もとの党で補充するか新しく所属した党で補充するかという点は、もとの党の名簿の次の順位の人が繰り上がると、こういうことですか。
#58
○委員以外の議員(松浦功君) そのとおりでございます。
#59
○前島英三郎君 さて、三番目に政党が合併した場合、この場合もとの名簿がそのまま生きると考えていいのかどうか。
#60
○委員以外の議員(松浦功君) 政党がA党とB党と合併いたしました場合は両方の名簿が生きておると、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
#61
○前島英三郎君 A党とB党が合併してC党となった場合、A党――ちょっとわからない、質問するのがだんだんこんがらかってきてわからない。(「わかるわけがない」と呼ぶ者あり)いや、こんがらかるほどこれは大変こんがらかる選挙制度なんです。それで欠員が生じた場合、その元A党であった議員に欠員が出たならば、A党の名簿の次の順位の人が繰り上がって――これは私の説明ですからあれです、説明というか、別に発議者じゃありませんが、私の解釈で言いますけれども、出たならばA党の名簿の次の順位の人が繰り上がるし、もとのB党の議員から欠員が出ればB党の名簿で繰り上げると。ただし、名簿に載っていて当選人となっていない人がいなければいずれの場合も欠員のままとなると、こういうことですか。
#62
○委員以外の議員(松浦功君) そのとおりでございます。
#63
○前島英三郎君 そこで、党が分裂した場合、今度は合併ではなく分裂した場合、これもまた歴史的にもよくあるケースでございます。つまり、幾人かでの離党ではなく半々ぐらいに分かれた場合、どちらが本家であるかはっきり言えないようなケースが生じた場合、これはどういうぐあいになりましょうか。
#64
○委員以外の議員(松浦功君) 現実的には余りありそうもないお話でございますが、法律に沿ってお答えを申し上げたいと思います。
 現在の日本の政党というものに対しては、国家権力が介入するということが非常に問題でございますので、今回の法律のたてまえにおいてはあくまで政党からの届け出によって処理をすることにいたしております。具体的には、政党が解散をしたという届けをした場合と、それから政党からある人が除名されたと、あるいはある人が離党したと、こういうような場合の届け出によって名簿の修正をすることはあり得ますけれども、あとは、名簿の修正は、選挙管理機関ではどう分裂してどちらが本家であるのか分家であるのかは判定のしようがないわけでございます。入ろうとすれば国家権力の介入ということにもなりかねませんので、そういう処理に法律のたてまえはいたしております。
 したがって、具体的にいま先生がおっしゃられたような判定は選挙管理機関にはできないわけでございます。ただ、分かれてしまってもやもやしているということだけはわかっております。したがって、そういう場合に欠員が生じた場合には、もとの名簿、分裂したとおっしゃられる分裂前の名簿ですね、それに当選をしなかった者に順番がついて残っておるわけでございますから、欠けた場合にはその者が上がると。その者が分裂後のA党とB党、これはA党、B党まではっきり言えないかもしれませんけれども、Aグループに行くのか、Bグループに行くのかは繰り上げ補充になる者の個人の意思であると、こういう考え方でございます。
#65
○前島英三郎君 どうもにわかに納得しにくいんですね。ですから、その辺は今後そういうケースを踏まえていろんな訴訟が、大変法務省も忙しくなるような気がしてならないのですけれども、特に政党が分裂した場合、もとの名簿だけがひとり歩きすることになるのは全くおかしな現象と言えるのではなかろうかと僕は思うのです。名簿は六年、選挙は三年ごとということですから、次の通常選挙前に党の分裂が起こった場合、分裂前の名簿と分裂後の新しい名簿とが併存しちゃうんですね、六年で三年ごとにこうクロスになりますから。これはきわめて奇妙な姿と言えるのではないかと思うのです。六年間それが生きている、その間の三年間ごとに選挙が行われていくわけですね。
 そうしますと、分裂、集合、離散、いろんなものがあって、国民は三年後にもまた選挙をするわけですよ。一票を投ずるわけですね。この一票を投ずる側が、実はあの上位のあの人はいやだったけれども下にこの人がいる、この人を何とか入れるために一生懸命この政党に入れたんだと、A党に。ところが、その人はその政党が離散、分散というような形の中でどうなっているかわからないというときにまた一つの選挙がどんと拘束名簿式で行われると。それは有権者にとってはむちゃくちゃにわかりにくくなって、もう私自身もわからないわけですから、これは大変なことになりはしないかという気がする、非常に奇妙な姿となって。
 こんなことはあり得ないとさっきおっしゃいましたけれども、いままでの歴史の中で、政党が三十七年の歩みの中にどれほど分散し、どれほどまた結合されてきたかという変遷は、これはもう皆さんもよく熟知しておられると思うのです。私は、そういう現象は余りないかもしれないけれどもというような、いまの政党がすべてというような感覚の中で発想がスタートしていきますと、大変有権者にとって失礼であるし、有権者べっ視の政党のおごりとしか言いようがない、そのようにも思うわけで、この部分一点をとりましても大変問題点があるような気がしてならないわけであります。
 しかも、地方区との間のバランスも著しく損なわれると思うのですけれども、この点はいかがでしょうかね。そういう形で、いままでたとえばこの人のということでやっていた、これが今度は三年後にはその人がどこか違う政党に入ってこうなったということになると、地方区の人が抱き合わせてやった、たとえば山梨県なら山梨県からのA党が推薦して地方区の選出議員とドッキングしてやって、今度はその人がその政党から次の政党へ移ってしまった。そうしますと、その地方の人は一つは選挙民に対する裏切りみたいになっていってしまうような気がしてならないんですね。まあ、非常にドッキング選挙的になってしまいますし、自民党案では全国区の十人というものは選挙演説ができない、選挙広報ができない、すべて屋上屋のような形になっておりますから、そういうふうないろいろな問題が出て、今度は地方区の人にとって大変精神的に悩まざるを得ない、葛藤も余儀なくされる。そういう部分をも大変感じてくるわけですけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。
#66
○委員以外の議員(松浦功君) この名簿の効力の問題につきましては、あくまで投票時点においてどの政党を支持するかということを基本に処理をしていくという考え方でございますので、そういう形になるわけでございます。
 また、地方区との関連については、地方区は個人本位の選挙でございます。全国区は政党本位の選挙でございます。そういう意味での有権者の意思の混乱というといかがかと思いますけれども、わかりにくさというものは若干残るという先生の御意見については否定できない面があるような気もいたします。
#67
○前島英三郎君 さてそこで、次のまた拘束名簿式に対する意見を伺ってまいりますが、政党を書くということでありますが、どのように政党を書くのか。自由民主党なのか自民党なのか。この間も、いま三千三百の政治団体があるというわけでありますけれども、この辺は全国となりますと恐らく何万という政治団体になるだろうと思うのですが、全国の政治団体の数はわかりますでしょうか、ちょっと自治省の方。
#68
○政府委員(大林勝臣君) 昨年末現在で五万団体を超えております。
#69
○前島英三郎君 その五万団体の政治団体がございますけれども、その五万団体で重なり合っている名前の政治団体は幾つぐらいあるでしょうか。
#70
○政府委員(大林勝臣君) 非常にたくさんございまして、正確さに多少欠けるかもわかりませんが、同一名称の団体が――一つの団体名が同一というのではございませんで、同一名称が二つか三つかある、こういう意味の団体の数が百三十三団体ございます。
#71
○前島英三郎君 そういうぐあいに政治団体というものが今後もふえていくだろうと思いますし、それはまた一つの結社の自由の中で憲法でも保障されております。そういう保障された人たちが、非常に政治に対して関心があり、この拘束名簿式をよしとして今後名のりを上げていく。自民党案ですと、十人の候補者を立てる、四千万の活動資金を投ずれば当然名のりを上げるわけでありますから、こうした場合、重なり合っている名前、しにせの政党もありますけれども、そういう調整というのはどこがやり、それは一体だれがやるのか、その辺はいかがですか、調整の問題。
#72
○委員以外の議員(松浦功君) これは選挙管理委員会において選挙が公正に行われるような措置をとるということを前提にいたしまして、法案の中に届け出制度というものをつくっております。選挙の告示前九十日、それぞれ今度選挙に参画しようというところはあらかじめ正しい名称、正式の名称と略称と届け出る。商標保護のような観念で、実際に名簿を提出する政党の届け出の段階において、すでにそういう届け出をしてある名称と同一または類似の名称は使えないという形を法律に規定をいたしまして、それで保護していこう、こういうことによって選挙の公正を保っていきたいというのがこの法案の考え方でございます。
#73
○前島英三郎君 その商標的保護というようなことになると、これもまた大変問題も出てくるように思います。たとえば重なり合っている団体が百幾つもあるというようなことになった場合、あるいはまた今後自由クラブというのが出たり、あるいは社会クラブというのが出たり、あるいはAクラブ、Bクラブ、Cクラブ、いろいろなものが出てまいりましょうし、そういう点で大変私は混乱が起きる可能性がある。いま日本の政党、もう非常に多様化している時代ですし、またそういう点では個人の場合には戸籍という動かしがたいものがございますけれども、しかしこの政党というのは生まれては消え、また今日のようなこういう政治変動の時代になっていきますと、なおのことそういう兆しというものは私はあらわれてくるだろうというふうに思うのです。
 たとえば、現実、政治団体が五万幾つ全国であっても、また市町村は三千四百ですか、そういう自治体の中におけるいろいろな一つの会派みたいなものがこれまた重なり合っているのではないかというような気がしますと、そういうまた政党、政治団体あるいは会派みたいなものが現状の中において自治体を含めてどのくらい名前があるものか、ちょっと伺いたいと思うのです。
#74
○政府委員(大林勝臣君) 地方議会のそれぞれでいろいろな会派というものがあると思いますが、全国でどれだけの会派があるかということを調べたことはございません。
#75
○前島英三郎君 私どもはこの院内会派では新政クラブというクラブを持っておりますけれども、その新政クラブというものが実は全国に四つほどございます。で、もうこうなったときに、その新政クラブという名前でまた訴訟事件が起きやしないかというようなことも非常に心配になっていくわけですけれども、選挙は国民の厳粛な審判である、ロッキードのいわゆる灰色高官の問題についても選挙の洗礼を厳しく受けておると総理は先日も本会議で述べておられましたけれども、今度の制度は全くその厳しい洗礼を受けられないというような気がしてならないわけでありますけれども、そういう点では、憲法十五条の「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」という点においてもやっぱり大変問題がある。政治はだれのためにあるか、これは当然答えはわかっているところですけれども、そういう点ではよりふさわしい人材などを私はこの制度では選べるものではないというような気がいたします。
 先般の参考人の堀江湛先生も述べておられましたが、果たして議員が国民に目を向けなくなるのではないか、派閥やあるいは実力者の方にしか向かないようになってしまうのではないかというような厳しい御指摘なんかもあったわけですけれども、つい先日の週刊誌でも、ある御年輩の先生がいみじくもおっしゃったように、いまのままならこの全国区は残酷区だから引退もやむを得ないけれども、この制度なら動かなくても当選するのだからもう一期ぐらいやってみたいというようなことを述べておられた記事を見まして、私はますますそういうぐあいに参議院というものが非常に存在する意味がなくなってしまうというような気がしてならないわけであります。
 ひとつ、いろいろな意味でこの問題点はたくさん指摘されているわけですけれども、先般の参考人の六方の御意見をお聞きになって、発議者はどういう御印象をお持ちになったか伺いたいと思います。
#76
○委員以外の議員(松浦功君) 私どもは、時間をかけて多数の方の御意見を取りまとめながら、現在考えられる最もベターな案であるという形で提案をいたしております。それに対して参考人の方からもいろいろの御批判もございました。また御賛成の御発言もいただいております。それなりに受けとめてまいりたいと、こう思っております。
#77
○前島英三郎君 金丸先生は。
#78
○委員以外の議員(金丸三郎君) ほぼ同様でございます。
#79
○前島英三郎君 私は非常にたわいのない質問をしますけれども、これも実はこの選挙制度が審議されるような形になりましていろいろな人たちから素朴な質問を私は受けております。この拘束名簿式というものを説明したときにわかりにくいという問題点。先日もあるテレビ局がインタビューをしていて、もう本当に編集なしで二十人に聞いたときに、二十人が二十人ともこの拘束名簿式というものの意味がわからないというような答弁の番組を見まして、私はやっぱりただ選ばれる側だけの論理で走っていってしまっているなという、そういう危惧をますます強くしたわけですが、ある人はこういうようなことを言っております。国民の税金をいただいている議員がこの制度によって失業対策に使われてしまうのではないか、そういう厳しい意見なんかもありまして私はどきっとしたわけであります。現実に当選この方ほとんど登院されていない議員先生もいらっしゃいましょうし、私はそういう点で、この制度の中にも、たとえば定年制を敷くとか、あるいは何回以上登院しない場合には議員の資格をなくすとかというような、そういう罰則規定なんかも当然あってしかるべきだと思うのですけれども、そういうようなことは当然発議者の中には検討はなかった、そう理解してよろしいでしょうか。
#80
○委員以外の議員(金丸三郎君) それは議員の個々の自律の問題でございましたり、参議院のいわば中の問題でございまして、選挙制度自体の問題ではないと私どもは考えております。
#81
○前島英三郎君 また、この拘束名簿式比例代表制に疑義を持つある人がこのように述べております。たとえば一千万票取るようなスーパースターがいるとします。これは集票マシン的な人ですね。こういう人がいて、そういう人が一千万票を取る、現実の制度の中で一千万票を取るとしますと、自民党のドント式では大体何人ぐらいの方が当選をするということになりましょうか。試算で結構です。
#82
○委員以外の議員(松浦功君) これはなかなか、数字の問題で、正確に計算をしてみないとお答えするのはいかがかと思いますけれども、大体五十二年の選挙の票数ですね、これを頭において考えますと、百万票で一人というふうにめどを置いております。おおむね十名程度と、こういうことでないかと思います。
#83
○前島英三郎君 そうしますと、この拘束名簿式で、自民党にスカウトされて、その人一人とともに、あと九人の議席をその人一人の力で得るということに簡単に言えば解釈してよろしいわけですね。
#84
○委員以外の議員(松浦功君) 数字的にはそういうことに相なろうかと思います。
#85
○前島英三郎君 さて、その集票マシンが次回はA党からB党に移る。またまたそこでその人が一千万票集めて十人の当選者を出す。その次にはいよいよ今度はC党にスカウトされて、またまたそこで一千万票取り十人の当選者が出る。これは非常に漫画チックにとられるかもしれませんけれども、私はこういう可能性もあるという前提に立たなければならないと思うのです。そういうことになりますと、私は、憲法の冒頭に述べておりますけれども、「正当に選挙された国会における代表者」と言えるかどうか、こういう疑問が素直にわいてくるわけですが、その辺はいかがお考えでしょうか。
#86
○委員以外の議員(松浦功君) 選挙法のたてまえから、論理的に言ってそういう場合があり得ないとは私は申しません。しかし、そういう行動に対して国民がどういう審判を下すかという問題であろうと思います。
#87
○前島英三郎君 そのまた逆に、さっきもお話が出ましたけれども、ちゃっかりした人がいて、まあごまをすってある政党から名簿に入れていただいて当選して、実はその政党はつまらない、しばらく違うところに移って、またほとぼりがさめて次の政党へ移る、AからB、BからC、綱渡り的な部分ですね。こういうこともまた予測されてしまいますと、一つの選挙制度の中で私はこれまた憲法の冒頭の「正当に選挙された国会における代表者」とは言いがたい、このようにさえも思えてくるわけでございます。まあ国民の政治参加、投票の一票というものはかけがえのない一票でありますし、その票が正しく行使されなければ民主政治のやはり基本というものは失われてしまう、そういうおそれを感ずるわけであります。
 まあ、長年自治省から選挙制度の歴史を歩いてこられた金丸さんにとっても生涯最大のミステークになるような気がして、大変私は、今後この制度が審議に並行して参議院というものがますます無用論化していく、こういうことを感ずるときに、やはりこの問題は慎重審議されなければならない、そのように思いますけれども、いままでの私の申し上げた意見を踏まえまして、選挙法の神様と言われる金丸さんはどのような御感想をお持ちになったか、伺いたいと思います。
#88
○委員以外の議員(金丸三郎君) 前島先生の御懸念と申しましょうか、私はそれをむげに否定するものでは決してございませんが、今後は国民に対してわが国の政治の推進力でございます各政党が責任を持って候補者を選び、そして国民の審判を受けるようになるわけでございますので、私は候補者の選択につきましては各党とも本当に真剣にお選びになるようになるのではなかろうかと、先般来こう申し上げておるところでございます。その点は、今後は本当に政党が直接国民の審判を受けるわけでございますので、政策と名簿に登載される候補者の人選に真剣に御検討になっていくようになるのではなかろうかと、私はそういう期待をいたしております。
 私の申しますことが楽観的だというような御批判も先般来いただいておりますけれども、この制度が現実になってまいりますならば、各政党とも恐らくはそういうふうに真剣に候補者の人選と政策を国民に訴えられるという姿勢になっていくと、私はそのように信じております。
#89
○前島英三郎君 参考人の方々も、あるいは六日に開かれる公聴会でも同じような意見が出てくると思います。この選挙制度の前にやるべきこと、つまり地方区の定数是正、一票の格差の問題、こういう問題も大変重要になっております。非常に強行の形でこれがもし国会を通るということになってしまいますと、私たちの日本の民主主義というものは、あるいは議会制民主主義というものは崩壊せざるを得ないであろう、そのような危惧を大変私自身は強く抱いているところであります。
 そこで、今後いろいろな形で訴訟問題も起きてくると私は思いますけれども、もしこれが通った場合のことですが、その地方区の定数是正、こういう問題も捨て置かれたままこうした一票の根本的国民の権利を侵害するようなこういう制度、その点にも自治大臣も大変頭を痛めておられると私は御推察申し上げます。そこで、地方区の定数是正、担当大臣としての御意見を伺いたいと思います。
#90
○国務大臣(世耕政隆君) 定数是正でございますが、この定数の是正というのはいろいろ各党間で御事情もあることでございまして、これが勢いその定数の是正が選挙の結果にもいろいろ響いてまいります。そこでやはり、もちろんわれわれの方もいろいろ考えるわけでございますが、どうしても政党の間で意見の交換が十分に行われて、その上でいい改善策が行われて、その結果が各政党の機能が十分に果たされるような形で定数是正がなされるべきではないか。特に参議院の場合の定数是正は、大変これはむずかしいいろいろな問題が横たわっておりますので、その点各党間で十分に論議されて、その上での是正が考えられるべきではないか、このように私どもは考えている所存でございます。
#91
○前島英三郎君 最後に、時間に間もなくなりますので、浅野法制局長をお呼びしておりますので、あなたは、いままでのやりとりの中で憲法違反というような疑義がいろいろなところから出ておりますし、参考人の方々も常々その部分は指摘されているのですけれども、いままでの意見をもとに、まず憲法の冒頭の序文ですね、「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」、それからその次に憲法第十四条、「すべて国民は、法の下に平等であって」、このくだり、それから十五条、それから十六条、それから十九条、二十一条、それから四十三条、四十四条ですね、この辺の解釈をどのようにあなた自身が持っておられるか、それをお伺いして、次回には法制局長とまた私との憲法の意見の解釈の違いをひとつ議論をしたいと思います。最後にその部分をお伺いしたいと思います。
#92
○法制局長(浅野一郎君) いずれにいたしましても、憲法は合理的な選挙制度である限りその選挙制度に伴います制約を否定しておるものであるとは考えられないと思います。したがいまして、このたびの拘束名簿式比例代表制の導入というものが、提案者が考えられておりますように合理的な制度であると考えられます限り、別に憲法に反するところはないのではなかろうか、こう思いますし、それからこの拘束名簿式比例代表制の導入というものが憲法に適合する合理的なものであれば、それがまさに国民主権を生かすための制度でございまして、それによって選ばれた議員は正当に選挙された議員ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。
#93
○前島英三郎君 同じ文言でもやっぱり見る人と解釈、仕方で大変違うわけです。あなたは法制局長という立場にいるんですから、私が申し上げているのは、その一条一条あなたの解釈と私の解釈との違いがあるし、あなたが勝手にそれを解釈してしまうとこれは大変重要だと思うのです。ですから、一つ一つを、私がいま申し上げた部分をあなたはどう考えているのか、それをまず私は伺って、それから私の考えとの違い、もしあなたが番人としてそんなふうな形を持っていたならば、これは大変ゆゆしき問題だと私は思っているわけです。ですから、いまのような通り一遍の答弁ではなく、いま申し上げたことを私は答えてもらいたい。もう一回伺います。
#94
○委員長(上田稔君) 時間が余りありませんので、短く答えてください。
#95
○法制局長(浅野一郎君) いまの憲法各条を申し上げますということは憲法全体にかかわってきますので、少し時間の問題が出てくると思いますので、先ほどのように要約して申し上げたわけでございますけれども。
#96
○委員長(上田稔君) 前島君、時間が来ましたので、また次回でお願いしたいと思います。
#97
○峯山昭範君 私は先日の五月十二日の日に憲法問題について質疑をいたしました。その続きをきょうはやりたいわけでありますが、初めに松浦先生に一言お伺いして本題に入りたいと思っております。
 先ほどの同僚議員からの質疑によりますと、先生は前回の全国区の立候補に当たりましての所信を先ほどお伺いしました。それで、全国を回ってみて大変むなしかったと、こう先生おっしゃいましたが、なぜむなしかったのか、一遍そこのところだけちょっと伺います。
#98
○委員以外の議員(松浦功君) 私も地方自治体に勤務いたしまして、首長選挙に特別職として参画したりいたしました。そういう場合でございますと、非常に選挙自体に動き回っている間に手ごたえもございますし、どういうような市民の感情かということもよくわかるわけでございます。ところが、全国区という制度に立候補いたしまして全国を長期間駆け回ってまいりましたけれども、およそそういうような手ごたえがない。むなしかったというのは選挙に携わってみてむなしかったという意味を申し上げているのでございます。そういうふうに御理解をいただければ結構でございます。
#99
○峯山昭範君 先ほど先生は、選挙に携わってむなしかったと同時に、得票数の二十分の一あるいは三十分の一の人にしか会えなかったと、そういうふうにおっしゃいました。したがってそういう点でもむなしかったと、そういうような意味のことをおっしゃいました。そうでございますね。
#100
○委員以外の議員(松浦功君) 私も正確にはわかりませんが、恐らく私がちょうだいをいたしました票の十分の一ぐらいの方にしか私の顔を見ていただいておらないと思います。私の話を聞いていただいた方は恐らく二十分の一、三十分の一、こういう形だと思うのでございます。一体こういうことで本当に私という者を理解していただいた上で投票していただけるんだろうかという意味でむなしさを感じたと、こういうことを申し上げたわけです。
#101
○峯山昭範君 先生のいまのお考えよくわかります。そのことと今度の公選法の提出とは全く矛盾しませんか。今度は全国区に立候補する人は全く運動できないわけですよ。顔も見ないわけです、握手もしないわけです、これは言うたら。政党の宣伝カー何台かありますけれども、これはしれてますね、実際問題として。運動できる範囲なんというのは、社会党案と自民党案と比べてみましても、自民党案は全然できないわけですからこれは全く違いますね。むなしさはいまの十倍以上、百倍以上になるんじゃないですか。
 それと同時に、私はきょうは憲法問題ですから余り深くは言いませんけれども、少なくともやっぱり候補者は、テレビやラジオの政見放送と同時に選挙公報というものもあります。先ほど選挙民が選ぶ順位として出てまいりましたね。そういうことは当然でありますけれども、やっぱり候補者が自分の体を傷めて、みずから街頭で演説をやり、あるいは選挙民一人一人と握手をし、そして選挙民の手のぬくもりを感じて当選してこそ議員としての責任といいましょうか、使命感といいましょうか、そういうものが生まれてくるんじゃないか、私はそう思うのです。そういうふうな意味でそれができなかったから先生はむなしいとおっしゃったんじゃないかと私はそう感じておるわけです、実際問題として。そういうふうな意味では今度の選挙法というのは全く矛盾をしていると、そのことをしみじみと感じておるわけです。答弁は要りません。
 そこで、まずこれは委員長に申し上げたい。さきの五月十二日の当公選法の委員会におきまして実は選挙法に関する質問をずっとしてまいりました。そこで実は発議者が私の質問の中でそれまでの答弁を訂正されました。御存じのとおりですね。答弁の中身につきましては、
  第一は、憲法第十五条第一項の中に形容詞なしに選挙権が含まれていないと申しましたのは不適切でございました。
  第二に、憲法第十五条第一項はむしろ立候補の自由を保障しているというのが通説であると私が申しましたが、ここは立候補の自由をもと言うべきでございました。
  第三は、選挙権に関する事柄でございますが、選挙権は天賦人権という意味での基本的人権ではないと言ったのでございまして、広い意味では基本的人権に含まれていると考えております。
 こういうふうな訂正の答弁を行いました。
 そこで、実は発議者はこの法案の審議に当たりまして、いま申しました三点につきましては少なくとも初めから、初めの会議録からずっとそういう主張を続けてきているわけですね。したがいまして、私は、それまでの発言の個所、やはりこれは、この日の会議録を見た人はわかりますけれども、それまでの会議録は訂正されてないわけですからわからないわけですね。そういうふうな意味では、いわゆるこの発言の訂正個所が何個所ぐらいあるのか、あるいはどういうふうにこれからこれを訂正したらいいのかという問題があります。これは早速理事会を開いて、この問題どうするか、取り扱いを処理していただきたいと思います。
#102
○委員長(上田稔君) 後刻理事会でお諮りをいたします。
#103
○峯山昭範君 これは委員長、もう一回お伺いしておきますが、後刻と言いますのは、できましたらきょう、私憲法問題についての質疑は一時間しかないわけであります。できたらきょうじゅうに処理をいただきたいと思うのですが、いかがでしょう。私が質問終わるまでにやっていただかぬとこれは実際困るわけですね。これから先進む都合がありますので。委員長、よろしくお願いします。
#104
○委員長(上田稔君) お昼の時間にやりましょう。
#105
○峯山昭範君 お昼にやっていただくということでございますから、それでは質疑に入ります。
 そこで、まず発議者の金丸先生にお伺いをいたします。
 先生は、先日訂正された部分の中で、「選挙権に関する事柄でございますが、選挙権は天賦人権という意味での基本的人権ではないと言ったのでございまして、広い意味では基本的人権に含まれていると考えております。」と、こういうふうに御答弁をなさっていらっしゃいます。そこで先生、天賦人権という意味はどういう意味でございますか。
#106
○委員以外の議員(金丸三郎君) 洋の東西を問わず、老若男女を問わず、人間が生まれてまいりましたならば持っておると考えられる天賦、そういうふうに考えております。
#107
○峯山昭範君 こういう天賦人権という言葉はいつごろから出てきた言葉でございますか。
#108
○委員以外の議員(金丸三郎君) いや、その点は私はつまびらかにいたしません。
#109
○峯山昭範君 実は、先生の御答弁の中のすべてにこの天賦人権的なお考え、答弁が通じてあるわけであります。実は私調べてまいりましたら、この天賦人権、広辞苑によりますとこういうふうになっています。「天賦人権」、「天が人に対して平等に賦与した」、「生れながらにして自由・平等の生活を享受する権利」、こういうふうになっております。そしてその次に、この考え方は、「一八世紀の啓蒙思想家によって主張され、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言において明文化された。わが国では明治初期に福沢諭吉・加藤弘之ら自由民権論者に承継された。」こうなっておるわけです。
 これは、要するに先生のお考えは、いわゆる明治憲法の時代の、それも古い時代の考え方ですね。新憲法の時代になってこの天賦人権という考え方――選挙権が天賦人権という意味での基本的人権ではないというふうにあなたはおっしゃっているわけですね。ということは、新しい憲法の時代に入ってもそういうことが言えるのかどうかということを先生にお伺いしておきたい。
#110
○委員以外の議員(金丸三郎君) 新しい憲法のもとにおきましても天賦人権ではないと、かように考えております。
#111
○峯山昭範君 それはやっぱり基本的にお考えが古いし、また間違えた考えではないかと私は考えているわけであります。それはなぜかといいますと、もう一回先生にお伺いいたしますが、憲法第十五条第一項はどういうふうにお考えなんですか。
#112
○委員以外の議員(金丸三郎君) これは先ほど御指摘になりましたように、国民の基本的な参政権を規定したものであり、これは言いようによりましては基本的な人権を規定したものであると、このように考えております。
 ただ、基本的人権と申しましても、これは先ほど来申しますように、たとえば生まれたての赤ん坊でございますとか、そういう者が生まれながらにして持っておる基本権とは違う、こういう意味で申し上げておるわけでございます。
#113
○峯山昭範君 わかりました。それは要するに、その点についての反論は午後の時間のときにやりますが、まず第二項目で、十五条一項についてはいわゆる立候補の自由を保障したものであってという先生の前段の文言がありますね、いままでずっと発言した文言があります。選挙権については先生はどういうふうにお考えなんですか。
#114
○委員以外の議員(金丸三郎君) 「立候補の自由をも」というふうに先般訂正を申し上げましたように、第十五条の第一項は、国民のいわば基本的な参政権を規定したものでございますので、いわゆる選挙権、被選挙権、そういうものも含めました基本的な参政権、そういうふうに考えております。
#115
○峯山昭範君 「立候補の自由をも」という、その「をも」というのが入ったのはこれは後の方の附属の方ですから、主体の方は何ですか。
#116
○委員以外の議員(金丸三郎君) 繰り返し申し上げますが、選挙権あるいは被選挙権、立候補の自由、そういうものも含めた参政権、こういうふうに申してよろしいと思います。
#117
○峯山昭範君 ということは先生、それじゃこの訂正以上にもっといままでの会議録を訂正していただかないといけませんね。
 選挙権というのは、十五条一項、これは最高裁の判決によりましても、いままで私たちは当委員会でこの立候補の自由というところに焦点をしぼって、先生の答弁が立候補の自由を規定したものであるという答弁をずっと繰り返しやってこられましたので、私たちは最高裁の判決の後段の部分をずっとここで引用してまいりました。ところが、この最高裁の判決の前段は、これはいわゆる明確に「憲法一五条一項は、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」と規定し、選挙権が基本的人権の一つであることを明らかにしているが、被選挙権または立候補の自由については、特に明記するところはない。」ということで、その後被選挙権についてずっといろいろ通釈がありまして、そして最後に「この意味において、立候補の自由は、」と、こうなっているわけです。
 したがいまして、先生がいままで会議録の中でこの選挙権をうたったものではないという御答弁がずっとあるわけです。あるんです、実際問題としてね。これも、これは訂正していただけますね。それが一つと、それから――基本的人権の問題はその次に参りますから、いまの問題を先に御答弁いただきましょうか。
#118
○委員以外の議員(金丸三郎君) この点は、五月の十二日にも繰り返し申し上げたように存じますが、十五条の第一項は、基本的な参政権、あるいは基本的人権、いわば抽象的な根拠の規定、国民主権の原則に基づきまして、公務員を選定し罷免する権限を国民は固有しておるんだという根本的な宣言的な規定と申し上げたこともあるように思います。そういう規定であると。じゃ具体的な選挙権、被選挙権、これは四十四条で規定すると。十五条の第一項が基本原則を規定したものでございまして、その参政権の具体的な内容でございます選挙権については四十四条、また立候補等の制度まで含めますと憲法の四十七条、これが具体的に規定をしておるんだと、私はそのように申してまいったつもりでございます。
#119
○峯山昭範君 幾つかのいまの御発言の中にもいろいろな問題が含まれているわけであります。
 まず第一は、先生ね、十五条一項が参政権であるということを先生が御発言になり始めたのは五月十二日からであります。五月十二日まではそういうことは一言もおっしゃってないわけです、実際はね。それが一つ。
 それからもう一つは、先生ね、抽象的な規定であって、具体的な問題は四十四条と、先ほどからずっとそういうふうに述べていらっしゃいます。しかしながら、十五条一項に対する最高裁の判決にいたしましても、「選挙権が基本的人権の一つである」と前段ではうたい、後段ではいわゆる「立候補の自由」がこの「基本的人権の一つと解すべきである」と、両方とも明確に、前書きなしですな。これはどうなんですか、どういうふうにお考えなんですか。
 抽象的というよりも、先生は、抽象的、具体的ということで、抽象的というのは大したことないんだと、やっぱり具体的な方でとるべきなんだというお考えですけれども、そうじゃないわけですね。基本的な規定があって、その規定の範疇に具体的に規定しているわけですね。この問題が一つと、先ほどの基本的人権とのかかわり合いの問題と、二点明確にしてください。
#120
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、先ほど来申し上げておりますように、十五条の第一項は参政権の基本的な規定でございまして、そしてそれを受けて選挙の資格、あるいは議員の資格、選挙権、被選挙権、これが規定されてまいるのだと、最高裁判所の判決の中に述べられておりますのは、選挙権、被選挙権とか立候補の自由とか述べられておりますけれども、私どもの解釈といたしましては、十五条の第一項の参政権の中に基本的には選挙権や被選挙権等も入っておりますけれども、具体化は四十四条とか四十七条によってなされるものであると、そういうような解釈でございます。
#121
○峯山昭範君 とにかくまず第一点は、もう一回言いますけれども、この参政権、先生は参政権ということでずっと十二日以降は大体おっしゃっていますね。これは当然参政権をうたったところでしょう。しかしながら、十五条一項には参政権という言葉はもちろんないわけですね。公務員の選定罷免権と、こういうふうになっているわけですから、当然そういう言葉はないわけです。先生がおつくりになっておっしゃっているわけです。しかしながら、最高裁の判決の中にはそのことを「選挙権が基本的人権の一つであることを明らかにしているが、」ということで、その次に「被選挙権または立候補の自由については、」ということで明確にうたっているわけですね。ですから、これは参政権ということだけでは逃げられない。基本的なことということはわかりました、先ほどおっしゃっていますからね。
 そこで、それじゃもう少し違う立場から言いましょう。要するに基本的人権、いわゆる選挙権が基本的人権であるということについては、これはもう先ほど広い意味でという、先ほど天賦人権ということで逃げていらっしゃいますけれども、天賦人権的な意味では選挙権は基本的人権ではあるけれども狭い意味ではということになるんですか。どういうふうな意味では基本的人権ではないということなんですか。ないということを言いたいわけでしょう、先生は。天賦人権という言葉で、広い意味ではということでしょう、ある面で言えば。要するに、天賦人権という中身を、先生の解釈の中身をもう少し詳しく言っていただかないと、これは選挙権が基本的人権であるかどうかということを明確にすることはむずかしいわけです。わかりますか。要するに、選挙権が基本的人権であるということについては……。
 それじゃ質問をちょっと変えましょう。文部大臣お見えになっていますから文部大臣にここでちょっとお伺いします。
 文部大臣、学校教育の中で選挙権、被選挙権というものは基本的人権であると教えていらっしゃるのか、あるいはどういうふうに選挙権、被選挙権について、あるいは参政権というトータルした言い方でも結構ですが、教育の中ではどういうふうに教えていらっしゃるのか、その点ちょっとお伺いしておきます。
#122
○国務大臣(小川平二君) 教科書におきましては、選挙権を含む参政権を基本的人権の一つとして記述いたしておるわけでございます。
#123
○峯山昭範君 いま金丸先生の御説明によりますと、選挙権を含むこの参政権は、特に選挙権のところでおっしゃっておるわけですが、天賦人権的なものであって基本的人権ではないと言いたいわけです。いままで天賦人権的な基本的人権ではないと、こう言ってきたわけです。要するに、選挙権が基本的人権であるかどうか、そのことについては学校教育の中ではただし書きはないわけでしょう。ただし書きなしで説明していらっしゃいますね。
#124
○国務大臣(小川平二君) ただし書きを付した教科書はございません。
#125
○峯山昭範君 実は教科書を全部調べてみました。きょうは自民党案に対する質疑ですから金丸先生、松浦先生に質問するわけでありますが、社会党の案の宮之原先生はこれは日教組の出身ですね。教科書を全部訂正していただかなければ困るわけです。ただし書きなしで全部これは説明しているわけですね。私の手元に、実はここには重立ったものしか持って来ませんでしたが、特にこの基本的人権というところで、たとえば中学校では「国民が政治に参加する権利を参政権といい、日本国憲法は、この権利を国民固有の基本的人権として保障している。」と明確にうたっているわけですね。
 それで、参政権の内容はということで一つ一つ出てくるわけであります。いわゆる参政権の説明に国民固有の基本的人権であると、明確に保障しておるわけです。天賦人権のいわゆる基本的人権とは違うという先生のお考えとは大分違いますよ、中身。これは中学校です。これは小学校からあるわけですが、中学校も高等学校も全部そういうふうにただし書きなしで基本的人権をうたっているわけであります。これは高等学校の「現代社会」、ほとんど一緒ですね、中身は。いろんな教科書を見ましたけれども中身は一緒です。これも参政権について基本的人権であることを明確にうたっています。
 これは金丸先生どうですか。そういう点から考えてみて、先生がいまお答えになっていらっしゃるような答弁だけでは済まないんじゃないですか。訂正の仕方だってもう少し明確に訂正をしていただかないと、選挙権が基本的人権であるということを明確にやっぱり御答弁いただかないと、ただ天賦人権という現代のいわゆる何といいますか、私たちの新しい憲法の時代にはそういう言葉の使い方はしてないと私は思っておりますよ。
 文部大臣、もう一回お伺いいたしますが、この金丸先生の説明によりますと、選挙権は天賦人権という意味での基本的人権ではないというふうな教え方をしておられますか、文部省では。
#126
○国務大臣(小川平二君) 教科書は児童生徒の発達段階に対応してつくっておりますので、そこまで立ち入った議論を教科書ではいたすべきものでございませんので、したがってさようなことは書いてございません。
#127
○峯山昭範君 これは金丸さんどうですかね。やはり天賦人権という言葉を使っての当委員会での訂正のやり方は、やはりもう少し言葉を改めて訂正した方がいいんじゃないですか。
#128
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は先般から明確にお答えを申し上げておるつもりでございます。憲法十三条のように、生まれたての赤ん坊でも逮捕されますとかあるいは殺されるとかいうことについては天賦の人権を持っておると言っていいのであろうと思います。しかし、参政権は生まれたての赤ん坊が天賦人権として持っておるのではなくて、現在の憲法によって基本的な参政権として認められておるのだと、このような意味で申し上げております。私は明確に繰り返しお答えを申し上げておるつもりでございます。
#129
○峯山昭範君 あなたの著書によりますと、あなたは選挙権というのは成人になれば自然に備わるものだと、自然権的なものだとおっしゃっていますね。あなたの著書の中であなたがおっしゃっているわけです。これは間違いですか。やっぱり自然権的なものじゃないですか、発想は。成人になれば日本人はみんな選挙権というのはあるんでしょう。考え方としてはあなたが言う天賦人権とよく似た性格を選挙権というのは持っているのじゃないですか。法律で全部何でもかんでも制限できるものですか、選挙権というものを。そうじゃないでしょう。成人になれば選挙権というのはみんな持っているわけでしょう、どんな人でも。もちろん幾つかの制限はあるかもわかりませんがね、私は知りませんが。少なくとも一般の人が二十になれば自然に持つ選挙権、権利じゃありませんか。そうじゃありませんか。
#130
○委員以外の議員(金丸三郎君) 選挙権、選挙制度の歴史を振り返ってみますと、先生もよく御承知のように昔は制限選挙の制度でございました。今日は普通選挙が少なくとも先進国の間には行われ、憲法でも保障されておるわけでございます。だから、よほど特殊の事情がない限り、二十歳という選挙年齢に達しますれば、原則としてとでも申しましょうか、全部国民が特殊な例外を除いては持つ。その意味では私は自然に持つんだと、こう申してよろしいと思います。しかし、それは法律上の制度として持てるのでございまして、それは天賦自然の権利として二十歳になったら選挙権を取得するようになるんだと、これは私と峯山先生とはどうもお考えが違うようでございます。
#131
○峯山昭範君 選挙権をあなたは法律上の制度として持てるものとおっしゃっていますが、どういう法律ですか。選挙権をいまやっているのですよ。憲法でしょう。憲法以外の法律がありますか。成人になれば自然に持てるんじゃありませんか。
#132
○委員以外の議員(金丸三郎君) 現在は憲法に規定がございます。
#133
○峯山昭範君 だから、憲法に規定した選挙権というのは、逆に言えばあなたの天賦人権的な基本権じゃありませんか、基本的な人権じゃありませんか。
#134
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は憲法の規定がすべて天賦自然の人権になるとは思いません。制度として憲法が考えておるのでございまして、憲法に規定した権利だから全部が全部天賦人権だというふうには思いません。
#135
○峯山昭範君 いやいや、そういうふうに先走りしちゃいけません。全部が全部なんて一言も私言っていませんよ。選挙権について、選挙権は自然権的な人権だということをあなたは著書の中でおっしゃっているわけです。選挙権は新しい憲法の中での特徴を言うとすれば――あなたがおっしゃっている、あなたの著書の中ですよ。選挙権というのは新しい憲法の中での特徴として説明するならば、選挙権というのは自然権的な権利であると、こうあなたはおっしゃっているわけです。あなたが言っているそのことと、あなたがここで第三項目の訂正したこととは大分矛盾しませんかと言うんです。どうなんです。これは矛盾するでしょう。
#136
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど来申し上げておりますように、自然権的な人権というのは前国家的な人間が生まれながらにして持っておると考えられる権利でございまして、選挙権というのは現在では憲法の規定には基づいておりますけれども、それに基づいて国家が憲法によって与えたと申しましょうか、保障した基本的な人権だと、こういうふうに申しておるわけでございます。
#137
○峯山昭範君 これはいまの発言も重大な発言になってきますね。国家が憲法で規定した選挙権というものと、また法律で憲法に基づいて別に定める、これから法律で定めようとする権利とはまた全然違いますね。憲法で決められた権利というのと、これからあなた方がつくろうとして制限しようという権利とこれは全然違いますな、性質上。だから、憲法で決められた権利というのは、あなたが言うように自然権と考えてもいいぐらい大切な権利ではありませんかと、こう私は言っているわけです。最高裁の判決だってそうなっているじゃないですか。ただし書きなしで、「選挙権が基本的人権の一つであることを明らかにしている」、明確じゃありませんか。したがって、ただ天賦人権的な人権でないと言ったのは、広い意味では基本的人権だというそのことと、この訂正の仕方は大分違うんじゃありませんか。そうでしょう。
#138
○委員以外の議員(金丸三郎君) どうも私の答弁が不十分なせいか御理解をいただきにくいようでございますけれども、憲法によりまして成年者による普通選挙の制度が保障されておる、これは憲法上国民に保障された権利でございます。そういう点におきましてやはり基本的な人権と申してよろしいと、こうは申しておりますけれども、これがいわゆる前国家的な、自然権的な権利とは私は考えておらないということは繰り返し申し上げておるところでございまして、その点は何遍もお答えを申し上げておりますので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
#139
○峯山昭範君 いまの問題も、普通選挙を規定している云々とおっしゃっていることは、要するに十五条二項、三項の話なんですね。やっぱり第一項の焦点を選挙権のところできちっとしていただきたいわけです。
 この問題は、お昼一遍休みまして、午後また具体的にやりたいと思います。
#140
○委員長(上田稔君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#141
○委員長(上田稔君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公職選挙法の一部を改正する法律案(参第二号)を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
 さて、先ほど峯山委員からの御要請につきましては、引き続き理事会において検討を続けます。御了承をいただきたいと思います。
#142
○峯山昭範君 ここでその問題が解決しなければ質問をしないというわけにはいきませんので、理事会の要請もありますので了承して質問を続けたいと思います。持ち時間が非常に短くなってまいりましたので端的にお伺いいたします。
 初めに、午前中の質疑を踏まえまして、もう時間ございませんので端的に文部大臣にお伺いいたします。日本国憲法が定める基本的人権につきまして特に中学校、高等学校ではどういうふうに教えていらっしゃるか。
#143
○政府委員(三角哲生君) 学習指導要領におきまして(「大きな声で」と呼ぶ者あり)
#144
○委員長(上田稔君) もう少し大きい声で発言を願います。
#145
○政府委員(三角哲生君) 小学校におきましては、日本国憲法の中のいろいろな原則を教えるわけでございますが、この中での「国民としての権利及び義務などの重要な事項」、これが憲法で定められているということを教えることになっております。
 それから、中学校におきましても同様でございまして、「民主主義と現代の社会生活」という観点から、「民主主義の実現を目指す日本国憲法制定の歴史的な意義に気付かせ、人間の尊重についての考え方を、基本的人権を中心に深めさせる。」、こういうことにいたしておりまして、基本的人権について学習内容として取り上げると、こういうことになっております。
#146
○峯山昭範君 あのね、私の質問よく聞いてわかりやすくやってもらいたいと思うのです。いま小学校とは言わなかった。中学校、高等学校と言いましたからね、小学校はもういいんです。
 そこで、基本的人権の中身につきましてはもう少しわかりやすく言ってもらいたいのですけれども、その基本的人権の中身ですね、中身についてどういうふうに教えていらっしゃるか。どういう権利とどういう権利が日本国憲法が定める基本的人権であるのか、それをちょっと簡単に言ってください。
#147
○政府委員(三角哲生君) 学習指導要領の上では、ただいま申し上げましたように、一々個々の基本的人権の中身についてこれを列挙するというような形ではございませんけれども、当然日本国憲法に定めます基本的人権の尊重、これを教えるわけでございますので、教科書の上ではたとえば憲法第十一条基本的人権の享有ということに即しましてこれらの権利についての規定を並べておりまして、平等権とか社会権あるいは自由権、そういったことにつきましてそれぞれの内容をなします各条文の趣旨を記しましたり、それからさらにこういった基本的人権を守るための権利として、参政権でございますとか請願権、あるいは裁判を受ける権利とか、そういったものも教科書の上で取り上げておるということでございます。
#148
○峯山昭範君 それだけ考えにゃ言われへんのかね。
 教科書は非常によくできていましてね、「現代社会」という高等学校の教科書、これはどの教科書を見ても同じであります。これは平等権、自由権、参政権、社会権と明確に色分けしてちゃんとやっていますね。それから、私の手元に幾つもありますが、どの教科書を見ても平等権、自由権、それから社会権、参政権、受益権というふうに高等学校の教科書にそれぞれ書いてありますね。
 それから、これは中学校の教科書ですけれども、中学校の教科書では、この基本的人権のところで、「日本国憲法は、三つの基本原則から成り立っている。まず基本的人権の尊重という原則である。」その基本的人権の問題について「こうした基本的人権が「侵すことのできない永久の権利」とされているのはそのためであり、基本的人権をみだりに法律で制限したり、実際の政治で無視したりすることは許されない。」これは中学校の教科書のとおり、非常にわかりやすく書いてあるわけです。あなたのいま持っている教科書、私と同じらしいですから、六ページです。これは間違いありませんね、書いていることは。このとおりですね、このとおり読んだわけですから。
#149
○国務大臣(小川平二君) そのとおり記述してございます。
#150
○峯山昭範君 そこで、これは金丸議員にお伺いをしたいと思います。時間的な問題がありますので端的に申し上げたいと思います。
 日本国憲法の前文の問題がいままで何回か出てまいりました。先日の当委員会におきましても同僚の栗林議員の方から前文等の精神について相当いろいろと議論してまいりました。きょう時間がございませんから余り詳しくはやっておれませんが、特に前文のこのところですね、
  日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 いまの憲法の前文の精神が、いわゆる基本的人権の参政権のところの「基本的人権をみだりに法律で制限したり、実際の政治で無視したりすることは許されない。」これは中学校の教科書で出ておるわけですから、このとおりでしょう。これは文部大臣、いまの基本的人権に対する教科書のいわゆる筆記の状況ですね、こういうような状態というのはやはり憲法の前文の精神から来ているんじゃないかと、私まず一般的に見てそう思うのですが、どうでしょうか。
#151
○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおり一般的には憲法の前文の精神を受けておる、こう考えます。
#152
○峯山昭範君 そこで金丸議員、実はこの参政権の問題について、参政権というのはいわゆる天賦人権的なものじゃないということで、金丸さん先ほど大分おっしゃっているわけですが、私は前文の精神からいきますと参政権というのは人類普遍の原理と、あるいは先生が前のあの選挙法の本で書かれたように、現在の日本国憲法の精神からいけばやっぱり自然法的思想に基づく自然権であると、そういうふうに考えた方が自然じゃないかと私は思うのですけれども、これはどうなんですかね。
#153
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど来繰り返しお答えを申し上げておりますように、現在の憲法は前文の規定がございましたり、また国民主権という原理に立脚いたしておりますけれども、私どもが具体的に論議いたしておりますのは十五条第一項の規定でございまして、これは午前中繰り返しお答え申し上げました。私どもは超国家的な自然権的な権利ではなくて、国民の基本的な権利ではございますけれども、新しい憲法のもとで認められた基本権であり、具体的な選挙権等は四十四条によって規定されるべきものだと、かように考えております。
#154
○峯山昭範君 それも納得できませんが、先に行かざるを得ませんので。
 それじゃ、端的に金丸さん、これは認めていただけますかね。国民の参政権が憲法の保障する基本的人権の一つであると、これは認めていただけますか。
#155
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりと思います。
#156
○峯山昭範君 そうすると、その参政権の中身の、参政権の中の一番トップにくるのが選挙権ですね。これも認めていただけますね。
#157
○委員以外の議員(金丸三郎君) 参政権の中身の非常に重要なものであるということは御説のとおりと思います。
#158
○峯山昭範君 そうすると、その選挙権も基本的人権であることは認めていただけるわけですね。
#159
○委員以外の議員(金丸三郎君) 選挙権の意味でございますけれども、参政権の中に含まれておる選挙権という意味では御説のとおりでございますが、具体的な選挙権、これは憲法の四十四条の規定に従いまして法律で定めると、こういうふうに申しておるところでございます。
#160
○峯山昭範君 そこのところがどうしても対立しているわけですね。
 これは、この間参考人の議論の中でも、いわゆる参考人の中の長谷川先生の議論ですけれども、これは名古屋大学の憲法学者ということでございましたので、確かにあの人の論旨がはっきりしておりました。それは、選挙権、被選挙権が基本的人権であることは、歴史的に見ても比較憲法的に見ても、それが基本的人権であることは承認されていると。そして国家の形成というものは市民によってなされていると。選挙権というものは単なる法律上の権利でないことは明らかである。先生の言う、四十四条で言う資格に過ぎないという意見があるがこれはこっけいな議論であると、こういう御発言でしたね。このいわゆる四十四条で資格というのも、十五条で人権として認めたからこそ四十四条があるのであってという議論だったですね。この問題についてはそういう議論も現実にあったわけです。
 それで、憲法学者もそういうふうに言っておるわけですね。これはそういうふうに私は思うのですけれども、選挙権、被選挙権というものが――この問題だけやっていると先に進みませんから、先に進むために、もう非常に短い時間の中でございますので、ちょっと詰めてまいりたいと思います。
 そこで、先日から政党三要件という問題も出てまいりまして、これは同僚議員の方から相当委員会でも詰められておりまして、会議録にも出ております。それで、参考人の意見の中でも、先ほどの意見と同時に、政党三要件をつけるということは明らかに憲法二十一条の結社の自由に違反すると。そして、その四十四条ということをさんざん持ち出しておりますけれども、四十四条にただし書きがついているのは信条による差別であって、やっぱりこの立候補できない人たちが出てくるということは明らかに憲法違反であると。いわゆるその政党三要件がある限り憲法違反であるという論法があったわけであります。
 そこで、私はきょう最後に、憲法問題についての私の質問の最後になりますが、選挙権、被選挙権という問題については、先ほどから多少、金丸先生と私の考えとは大分食い違っております。食い違っておりますが、参政権という意味での、参政権は基本的人権であるという点では一致しているわけです。
 そこで、基本的人権というのは、先ほどの教科書にもありましたように、中学校の生徒にも、「基本的人権をみだりに法律で制限したり、実際の政治で無視したりすることは許されない。」と教えているわけですからね。ですから、そう簡単に制限することはできないことは明らかであります。したがって、基本的人権というものが侵すことのできない永久の権利として本来人間の有する基本的な権利であり、その制約を国家が行うことについてはきわめて慎重でなければならないというのがこれは学説であり、いろいろな説の中にもいっぱい出てくるわけであります。
 それで、この基本的人権を制約する側の説明として、これは裁判所の判例やいろいろなところへ出てくるわけでありますが、その場合には必ず合理的な根拠に基づいてとか、あるいは公共の福祉の観点に立ちという表現をしているわけであります。もうこの点は、ここまでは認めていただけますね。このとおりですね。――うなずいておられますから認めたんだと、そういうふうにとって進めます。
 そこで、金丸先生も、これは五月十二日の同僚議員の質疑の中で、個人の立候補が制限をされる、いわゆる被選挙権が制限されるということについては、先生のおっしゃったとおり言いますと、「一つの被害と申しましょうか、一方に出てくると申してもよろしいかもわかりません。」と、こういうふうにおっしゃっておりますから、いわゆる本改正案の場合は基本的人権としての被選挙権が制約される、そういうふうになるわけですね。
 そこで、この制約を受ける理由として、基本的人権を制約するに足るものかどうかという問題を検討しなければならないと、私はこう思っているわけです。そこで、実はその問題については先生の会議録全部調べてみました。その先生の会議録の理由は、大体集約した点を申し上げますとこういうことですね。これは先生のおっしゃったことです。
  合理的な選挙制度と申しておりますのは、選挙人の立場から見まして候補者の選択がいままでよりもやりやすくなると、また選挙運動の面におきましていままでのように過大な費用と肉体的な労働を避けることができると、またもう一つにはよりいい候補者が得られるようになるのではなかろうか、こういうような点を総合いたまして私どもは合理的な選挙制度と申してよろしいのじゃないか、
 こういうふうに考えておりますと、こういうふうに答弁していらっしゃるわけです。そして、その合理的な選挙の中身は佃だという、合理的な選挙だからそれじゃ制限していいのかという問題について、
  私が合理的な選挙制度と言っておるのが憲法では公共の福祉という表現に該当する、内容的には一緒だ、私どもはこういうふうに考えます。
 こういう答弁であります。
 先生、このいままで私が申し上げました点につきましては、いままで私はずっと会議録を全部調べまして、読みまして、先生のいわゆる論旨をまとめたのを言ったままでありますが、このとおりですね。
#161
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
#162
○峯山昭範君 そこで、いろいろな本を読んでみましても、まず基本的人権の問題ですけれども、人権の中身につきましては、自由権、社会権、あるいは積極的公権、参政権、そういうふうなものであるということは、もうそういうようなものをいろいろ包含したものが基本的人権であるということは、これは先生と私たちの意見は一致していると私は思います。
 そこで、この権利の性質に応じて制約を行う場合、いろいろな――いわゆる自由に制限していいというわけじゃないわけですね。制限しちゃいかぬとたとえば学校でも教えていますけれども、制限をどうしてもしなければいかぬ場合、それはいわゆる公共の福祉と先生はおっしゃっているわけです。
 そこで宮沢先生の「憲法」、法律学全集の公共の福祉に求められる問題のところで、宮沢先生はこういうふうにおっしゃっているわけであります。いわゆる公共の福祉で人権を制限する場合、どういうような場合に制限したらいいかと。これは日本国憲法に言う公共の福祉とは人権相互の間の矛盾衝突を調整する原理としての実質的公平の原理を意味すると。「すべて個人の基本的人権は、他の個人の基本的人権と衝突する可能性がある。自由国家では、各人を平等に尊重する立場から、各人の基本的人権相互の衝突の可能性を調整することが公共の福祉の要請するところと見るべきである。」というのが、いわゆる公共の福祉を使っての制限の具体的な意味合いなんですね。これはこのとおりお考えですね。
#163
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、先ほどもみだりに制約してはならないということをおっしゃいましたが、合理的な理由がございましていわゆるみだりに制約するのでなければ制約することもあり得ると、このように考えております。
#164
○峯山昭範君 それはわかっているわけです。そのとおり。先生がおっしゃったことをそれは言っているわけですから。いわゆる合理的な理由の中身の問題について、人権を制限する場合、どういうような人権と人権の衝突があって、どういう場合に制限を加えるか。
 これは文部省、この問題についても実は教科書の中に明確にわかりやすく書いてあります。御存じですか。――時間的な問題がありますからもう読んじゃいますけれども、これも高校の同じ教科書の中に「人権制限の限界」というのがございます。いまとまあ大体同じことなんですけれども、人権制限の限界ということで、
  法律で人権を制限する場合、その制限は、他の国民に人権を平等に保障するために必要不可欠のものでなければならない、 すべての国民が不可侵の人権を平等にもっており、権力はそれを保障するための手段である。そうだとすれば、人権保障の限界となるものは、他の国民の人権だけであり、人権の制限はつねに、他の国民に平等に人権を保障するために必要な最小限のものでなければならない。
 こう金丸先生あるわけです。これはわかっていただけますね。いわゆる人権を制限する場合はどういうふうな場合かというのは、これはこのとおりですね。これがわかってないからいかぬわけですわな。
#165
○委員以外の議員(金丸三郎君) 公共の福祉に関する学説に関連してのお尋ねでございますが、私どもは最高裁の判決等にもございますように、合理的な理由があれば基本的な人権の制約もやむを得ないと。私どもは、新しい選挙制度が現在の全国区の選挙制度よりもより合理的な制度であると考えておりますので、これによりまして制約が生じましても制約をすることができるのだと、このように考えるわけであります。
#166
○峯山昭範君 もう余り食い違った質問をしておりますと時間が過ぎるだけで申し訳ありませんから、要するに食い違わないように質問しようと思って先生の議論に全部合わせて言っているわけです。合理的な理由で制限すると先生はおっしゃっているわけです。それはそれでいいわけです。先ほども私は言いました。先生は会議録の中で同じことを何遍も何遍もおっしゃっているから、それはわかったと言っているわけです。しかし、人権を制限する場合はどういう場合に人権を制限するかと。その人権制限の限界という問題については教科書やいろいろなところで教えているわけです。教科書が間違っているわけないと私は思うのですよ、文部大臣、もう一々言いませんけれども。ですから、これは間違ってないと私は思うのですよ。それは私たちもそうだと思うのです。
 そこで、もう時間がございませんから、これ詰めて結論的なことをずっと申し上げていきますと、金丸先生、要するに先生はどうおっしゃっているかというと、もう一回言いますけれども、今回の法律の改正に当たって合理的な理由というその中身は、先生はこうおっしゃっているわけです。「候補者の選択がいままでよりもやりやすくなる」、「過大な費用と肉体的な労働を避けることができる」、「よりいい候補者が得られる」、そういう点で「合理的な選挙制度」であり、「合理的な選挙制度と言っておるのが憲法では公共の福祉という表現に該当する、」と、こう言っておるわけです。だから先生の言っておるとおりなんです。それはそれで一たん認めて、その上で私はこれから言おうとしておるわけです。だから、人権を制限するというのは、われわれの考え方は、先生のこの合理的な理由というのは本当の人権制限の合理的な理由でないと、私はこれが言いたいわけです。
 それは先生、立候補の自由という人権が制限されるわけですね、片一方では。それを制約する、片一方の立候補の自由という人権を制限する一方では、それを制約することで救済される現に衝突している人権がなければならないというのがこの教科書やいろいろなところで言っていることなんですね。これはそのとおりでしょうね。それが基本的人権の制限の原理なんだ、言うたら。原理として教科書でも教えているわけです、先生。これは私は通説かどうかわかりませんが、教科書やいろんなところで現実に教えているわけです。
 そこで、金丸さんの見解によれば、現在は選挙制度が不合理に抑圧されていると。その中身は、候補者の選択がやりにくく、過大な費用と肉体的労働が避けられず、余りよい候補者が得られないというのが先生の見解なんです。果たしてそれじゃ、基本的人権上のいま先生が理由として挙げられる問題、候補者の選択がやりにくいとか、過大な費用とか、肉体的に大変だとか、そういうふうな問題が本当に基本的人権上の問題であるのかどうかということになってくるわけですね。実際問題としてその人権の中の何がそれじゃ具体的に制限されているかということにもなってくるわけです。
 そうしますと、先生が理由として挙げられている問題は、人権の制限上の問題ではなくてこれはすべて政策上の問題なんですね。そうでしょう。もう時間ありませんから最後まで言っちゃって、最後にいまの問題についての先生の御見解もお伺いしておきたいと思います。
 また、基本的人権の制限というのは先ほどの学説の中にもありましたように最小限必要なものに限られているわけですね。これはもう先生もおわかりだと思います。したがって、もし、より制限的でない、ほかにとり得る手段があるとするならば、いわゆる当該制限をしてはならないというのが原則でなければいかぬわけです。それを制限しなくてもほかにとり得る手段があるという場合は、その制限手段はほかの手段にかわらないといけない、こういう原則があるのはこれはもう当然ですね。
 そこで、基本的人権の保護という場合、選挙権、被選挙権というのは、その性質上国家と個人――国家と個人という問題についてはほかにももっといろいろ議論がありまして、きょうは本当はもっと詳しくやりたかったのですけれども、時間的な問題がございましてできませんでしたが、基本的人権というのはもともと個人の単位ですね。もっと端的な言い方をいたしますと、国家が持っておる権利を個人が奪い取ってきた権利というのが人権ですね、言うたら。それを、個人の利益を、人権ということを問題にしないで、国民のため、国のためという言い方、そういう言い方の制限の仕方をしようといましているわけですね。
 先生は答弁の中でも、これはもう余り時間的な問題がありますから言いませんが、個人にどうだということは説明できないと、こうおっしゃっていますね。実際問題、国民のためにいい、国のためにいいという言い方は聞こえはいいけれども、実際は戦前の全体主義的な考え方になっちゃうわけですね。したがって、そういうふうな点からいいまして、個人の立候補というのが事実上認められない、いわゆる政党三要件があるから。現職五人以上とか、直近の選挙で四%以上とか、供託金が十人分以上とか、こういうふうなこれだけ厳しい基準がついている。金額にしても大変な金額になる。ということは、こういう制限というのは必要最小限の制限でなければいかぬわけです。
#167
○委員長(上田稔君) 峯山君、時間ですから短くやってください。
#168
○峯山昭範君 短くやりますから。すいません、多少もうちょっと、最後はいずれにしても締めますから。
 そういうわけですから、いずれにしても、こういうふうな費用にしても相当が費用がかかるわけでしょう。したがって、こういう必要最小限の制限しかしてはいけないという憲法の要請をいまの政党三要件というのは踏み越えていると、私はこう思うのです。したがって、参考人のいろいろな方々の御意見の中でも政党三要件の緩和という問題は出てきたと私は思うのです。この点についても御答弁をいただきたいと思います。
 最後に、合理的な選挙制度だというふうに先ほどから何回もおっしゃっているわけであります。しかしながら、その合理性という面については非常に私は疑わしいと見ております。仮にその選挙制度が合理的なシステムを持っているとしても、そのことといわゆる人権たる被選挙権の制約の理由が合理的かどうかということとはこれは全く別問題であるということです。もっとわかりやすく言いますと、選挙制度が合理的なシステムになっているということと、人権の制限、いわゆる被選挙権や選挙権の制約の理由が合理的かどうかということは全く違う話だということです。
 したがって、この今度の選挙法の改正でいやしくも人権を制限しようという以上は、他のより重大な人権が救済されるための必要条件がどうしても何かないといけない。そういうふうな意味で今度の選挙制度というのは、いわゆる合理的な選挙制度という先生の説はやはり合理性に欠けると私は考えているわけであります。したがって、そういうふうないろいろな観点から見まして、ただ単に個人の利益という点についての個人の人権という問題についても同じだと私は思いますが、そこを答弁の中で、たとえば片一方の人権を制限する、そのことによってこちらの方の人権がこうなるという具体的な説明なしに制限をするということは、やはり憲法上大きな問題があると、こういうふうに私は考えているわけであります。
 三点にわたって申し上げましたが、この三点についてそれぞれ具体的に御答弁をいただきたいということ。
 それから、もう一点つけ加えますと、四十四条の問題でありますけれども、先生は四十四条、四十四条とおっしゃっていますが、四十四条のよって成り立つ基本は四十四条になぜただし書きがついているかということですね。これは少なくとも憲法十四条の平等条項からのただし書きがついているわけですね。この点はやはり重要な問題であると思いますので、この点についても十五条があり十四条があって初めて四十四条が成り立つ問題ではないかと、そういうふうな点を具体的に御答弁をいただいておきたいと思います。
#169
○委員長(上田稔君) 簡略にひとつお答えを願います。
#170
○委員以外の議員(金丸三郎君) お答えの順序が逆になるかもわかりませんけれども、四十四条のただし書き等の規定は十五条等の規定との脈絡があると私どももこのように考えております。
 それから、合理的な理由と私どもが申し上げておりますことが具体的な制約についての合理的な理由にはならないではないかというような趣旨の御指摘のようでございます。現在の制度のもとにおきまして非常に候補者の選択が困難だということは、八千万の有権者からの利益という見地から見ますというと、これをより選びやすくするということは私は合理的な理由があるのじゃないか、その点は具体的な御質問に触れてお答えを申し上げますとそういうことが言えるのではなかろうかと、かように考えるわけでございます。
 私どもは、制度全体として見まして、現在の制度よりも新しい制度の方がより合理的であるという判断に基づきまして提案をいたしておるわけでございます。この点につきましては私の説明が十分に御納得がいただけないようで大変残念でございますけれども、私どもはそれで十分ではなかろうか、かように考えます。
 それから、政党の要件の緩和でございますとか、制約をいたします場合は必要最小限度にとどめるべきだと。必要最小限度にとどめるべきだということは私どもも当然のことと存じます。政党の緩和につきましては、たびたび御説明を申し上げておりますように、現在の政治資金規正法との関係、確認団体の現行法との関係、それらとのにらみ合いにおきまして前回の通常選挙あるいは総選挙における四%の得票数、これがいわば政党らしい政党と考える上に適当な基準ではなかろうかと、このように判断いたしたからでございます。
 私どもも、たびたび申し上げておりますように、これがベストとは言っておるわけではございません。より合理的な御意見がございますならば、私どももそれを承ることに決してやぶさかではございません。
#171
○委員長(上田稔君) この際、お諮りいたします。
 委員外議員青島幸男君及び中山千夏君から本法律案の質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#172
○委員長(上田稔君) 御異議ないと認めます。
 それでは、まず青島君に発言を許します。青島君。
#173
○委員以外の議員(青島幸男君) 憲法問題についてお尋ねをしたいと思いますけれども、選挙権、被選挙権が基本的人権かどうかというようなことをまた蒸し返しておりますと、それだけで似たような答弁、やりとりをしておりまして三十分、四十分すぐたってしまいますので、それはちょっと後ほどに譲るといたしまして、それよりも、前に質問に立たれました委員との質疑応答の中で気になった部分がございますので、その点からまずただしてまいりたいと思います。
 先ほど前島委員の発言の中にございまして、名簿に従って議員の資格を得られた方が選挙後他の政党に移られた、その際は議員の資格は剥奪しない、そして得た票はその政党が得た票であるから、おやめになった場合はその政党の順位の次点の方が繰り上がる、こういう御説明をいただきましたけれども、私これはきわめておかしいと思いますよ。と申しますのは、政党に投票するわけでしょう。ですから、A党ならA党の主張に共鳴してA党の考え方が伸展することを願って有権者は投票するわけですね。そのためにA党の議席が一議席ふえたりするわけですね。そうすると、その方はA党の政策を推進することを誓って名簿に載ったわけですね。それはもう間違いありませんね。ところがその方がその政党をおやめになったわけですね。そうしますと、その政党に入った投票ですから誓いを翻した方は無効になって当然じゃないんですか。
 たとえば、もっと簡単に申しますと、そのA党と全く反対の政策を掲げているB党がありますね。そのB党へ移ったとしますね。そうすると、そのB党の議席をふやしたことになっちゃうんですよ。ですから、基本的に政党に投票させるんですから、他の政党に移ったときには当然議員の資格を剥奪される方がむしろ当然だと私思いますけれども、いかがなものですか。
#174
○委員以外の議員(松浦功君) 政党本位の選挙制度で、名簿に載りました候補者の名前を知りながら政党に投票するわけでございます。したがって、議席の配分をいたしますとA党に二十なら二十という枠が決まります。先生がおっしゃられるように、その人がA党からB党に移ったということになれば、その人はA党の政策を推進するという立場にないわけですから、そういう御議論も一方の議論としては私は成り立つと思います。
 しかし、それよりもっと重要なことは、国会議員という者の身分、これは憲法あるいは国会法、きちんとした規定がございます。一度選ばれた者を党籍を離れたからといってこれを失わせるということが一体適当なのかどうかと、こういう問題が片一方にございまして、いろいろ検討いたしました結果、国会議員の身分を剥奪することは適当でない、こういう結論に達してこのような案をお出ししたわけでございます。
#175
○委員以外の議員(青島幸男君) それはやっぱりおかしいですよ。それなら個人に投票させた方がいいのじゃないですか。個人に投票をさせることは繁雑さと金のかかるのと労力がかかるのでだめだから、政党で整理して、政党の考え方に共鳴した方に政党に投票していただくと、こういうわけでしょう。で、そのまま未来永劫その政党にいるわけじゃないですよ。選挙は三年ごとにあるんですから、もし全く政策を異にするB党に移られたら、B党に移りたいとおっしゃるのなら、一回剥奪されてB党から今度改めてお立ちになるのが当然なんですよ。その際に支持を受けるか、あるいはB党の了解を得られるか、これは別の問題ですけれども。有権者としてはA党の政策を支持しながらB党の議席をふやしたことになるという矛盾からはどうしても抜けられませんが。
#176
○委員以外の議員(松浦功君) 選挙制度としては私どもの考え方でよろしいと思っております。具体的に現在の制度のことを考えましても、自由民主党を名のって立候補した方が別の党へ移った場合、それが正反対の政策を主張しているということになれば現在でも問題ではなかろうか、こう思います。
#177
○委員以外の議員(青島幸男君) しかし、その方は個人名で投票を受けて当選なすったわけでしょう。そのことと政党に投票することとは全く別の問題ですよ。
#178
○委員以外の議員(松浦功君) 国民の皆様がどういうお気持ちで投票しておるか、一人一人腹の中を割ってみなければわかりませんけれども、少なくとも私が投票をする場合には、何党に所属しておられる何のたれべえという形で投票しているつもりでございます。
#179
○委員以外の議員(青島幸男君) ですから、その方が個人的な信条に基づいてA党からB党に移られることもあり得るわけですよ。しかし、有権者はその個人に投票しているわけじゃないですよ、政党に投票しているんですからね。その政党の勢力が伸長することを望んで入れているわけですから、その政党を離れた方には投票した覚えはないという見解を持つのは当然でしょう。
#180
○委員以外の議員(松浦功君) 繰り返して申し上げますが、こういう政策を持っておる政党に所属しているこの人だから投票したんだという場合も、現在でも同じだと思うのでございます、その方がB党へ移った場合。何にも違わない。
#181
○委員以外の議員(青島幸男君) これは松浦先生ね、見解の相違ではなくて理解の違いなんですけれども。いままでどおりの考えとちょっと、相半ばしてお考えになっているからだと思うのですよ。というのは、政党が拘束式名簿を掲げるわけだから、その名簿をきちんと見て、どういう考えだから何党を支持しているんだろうというのが明確になる。だから、これは一貫した線だから政党に入れるのも個人に入れるのも同じようなものだと、こういうお考えなんですよ。そうなりますと(「そんな考え方は持っていませんよ」と呼ぶ者あり)そうでなければおっしゃるようなことにはならないと思うのですよ。
#182
○委員以外の議員(松浦功君) 政党本位の選挙ですから政党名を書いていただきますけれども、その政党の名簿の中にだれが載っているかということは有権者の皆様方の前に明白になるわけでございます。だから、いまの何党に属しておる何のたれがしかというのと、やや裏返し的にはなりますけれども、そう大きく変わるという考え方をとるのはいかがでしょうか。
#183
○委員以外の議員(青島幸男君) これまた水かけ論になりそうですが、政党に選挙させるんですよ。で、その政党の主張に共鳴して投票したわけですね。それが、その当選した議員さんが個人的に見解をお変えになることもあり得るわけですから、お変えになって他党へ移られたら当然議席を剥奪されてしかるべきだろうということですよ。
#184
○委員以外の議員(松浦功君) 私どもはそうは考えません。
#185
○委員以外の議員(青島幸男君) 時間のむだのようでございますから、議事録にはとどまっておりますので私も後ほどよく読んで検討いたします。この問題については次回に譲ることにいたしましょう。
 それからもう一つ、これは昨日の予算委員会でも私申したのですけれども、金丸先生が百万人に一回郵便物出して六千万もかかるんだと、だから全国区は大変だと、こういうお話のようでしたが、郵便料金は同一区域内でも北海道でも九州でも同じなんですね。ですから、百万枚出すとすれば全国区の候補者も地方区の候補者も郵便料金においてはことさら変わらないわけですよ。ちょっと私もだまされた感じがするんですよ。全国区は遠いから、広いから郵便料金もばかにかかるんじゃないかと思ったわけですよ。で、一時黙ってしまいましたけれども、料金は同じなんですよ。ですから、ことさら全国区だから郵便料金がかかるというお答えはいかがかと思いますけれどもね。
#186
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私が申し上げました趣旨は、現在では六十五万票前後ないと全国区の場合は当選いたしません。それで、百万枚暑中見舞いを出すといたしますとざっと六千万円かかると、そういう意味で申したわけで、地域の広狭のことを言っておるわけじゃございません。やはり一年とか一年半前から個人で立候補なさろうとする場合には、いろいろな準備をなさる上に、はがきのように何も買収でも何でもない方法で自分の準備をなさろうというのにもそのような金がかかるんだと、こういう意味で申し上げたつもりでございます。
#187
○委員以外の議員(青島幸男君) それならなおおかしいですよ。六十三万とらなければ全国区は当選できないわけでしょう。ところが、六十九万とって東京地方区で次点になっておる方もおいでになるんですよ。それは、その方も全国区の方と同じように六十九万という票をお集めになるということは、常日ごろからかなり御活躍にならなければならないでしょうな。それはお認めになるでしょう。全国にわたろうと東京都内であろうと、六十万以上という票を目当てに活動なさらなければならないわけですから、郵便料金は同じなんですから、ことさら全国区と地方区は、地方区だからかからない全国区だからかかるということにはならないでしょうと申し上げているんですよ。
#188
○委員以外の議員(金丸三郎君) 東京は人口が一千万を超しておるような大変な選挙区でございますので、東京の地方区でどれくらい実際の選挙戦に突入する前までのいろいろな経費がおかかりになるか私はつまびらかにいたしておりませんけれども、やはり大同小異の金額をいわゆる買収等でない事前の準備のためにも私はおかけになるのじゃないかと。青島先生なんかはほとんどお使いにならないからそんな御心配はないかもしれませんけれども、東京で地方区の選挙をおやりになる方は恐らくは全国区と同じようなことで悩んでいらっしゃるのじゃなかろうか。それだけにまた、東京の場合は、各党一人ぐらいずつになってまいって、一つの政党から複数の人を当選させるというのが非常にむずかしい面もそういうことからもあったりするのじゃなかろうか、まあこういう感じでございます。
#189
○委員以外の議員(青島幸男君) 実はそのお答えがいただきたかったんですよ。地方区の方も全国区の方も同じように御苦労なさるだろうということでしょう。同じようにはがき出すだけでもお金がかかる、大変だということですね。そうすると、全国区だからことさらお金がかかるというあなた方の論拠はなくなったわけですよ、これで。いいですか。そのとおりですね。
#190
○委員以外の議員(金丸三郎君) 冒頭に申し上げましたように、東京は一千万を超している日本で唯一の地方区でございますから巨大な金がかかる。私は鹿児島県でございます。またとうていそんな金を使うことも不可能でございます。それは地方区だってかかると思いますけれども、やはり八千万の有権者を対象にして、北海道から沖繩まで一年、一年半準備にお回りになるのには私は大変な経費がおかかりになっていると、こういう意味で申し上げておるつもりでございます。
#191
○委員以外の議員(青島幸男君) それは東京でも同じでしょうということはお認めになりましたね。東京は特別大きな人口を抱えておりますからと初め申されましたね、これは特別の例だと。ところが特別の例じゃないのですよ、残念ながら。神奈川の次点は六十六万ですよ。それから愛知が四十九万、埼玉は四十二万、北海道でも四十万ですよ。ですから、そうなりますと、地方区にお立ちになる方も全国区にお立ちになる方も、労力もお金もかかるのは大体同程度ではないかということを言っているわけです。でも、あなたはお認めになったんですよ。
#192
○委員以外の議員(松浦功君) 愛知で六十万というお話がございました。しかし、あの地域の中から少ない候補者がその票を集め合うわけでございますから、八千万の有権者の中を、全国を駆け回って百人の候補者が集める百万、六十五万とはその質が全然違う、金のかかり方が全然違う、その点は御理解をいただかなければ先生それはちょっと無理だと思いますよ。
#193
○委員以外の議員(青島幸男君) その違い方は、買収がきくかきかないかというような話に結びつきそうな気がして私は恐ろしいんですけれどね。全国区だとどこへまいていいかわからないというようなこともある。
 ところが、地方区でも、質が違うと申されますが、引退なさった有田さんはそういうことではないんですよ。正直なところざっと六億かかりましたと、こう言うんですね、地方区でです。一億八千万あればと自民党の選挙プロに言われて用意したんだが、次々に修正されて四億五千万、終わってみたらさらに一億五千万借金が残った、こんちきしょうという気がしましたね、地元有力者に渡すあいさつ料が莫大なんですとおっしゃっているんですよ。下は十万から五百万ぐらいまで。返済にちょうど六年かかったと告白していらっしゃる、これは大新聞に。地方区でも同じように金がかかるし、そうすると地方区のかけ方はあいさつ料で全国区のかけ方は郵便料だと、こうおっしゃるんですか。そんなばかばかしい話にはならないでしょう。
#194
○委員以外の議員(金丸三郎君) 地方区でも、東京とか大阪とか、あるいは神奈川とか北海道とか、有権者が多かったり地域が広大でありましたりするところでは、いろいろと準備のために金がおかかりになるだろうと思います。私が申し上げておりますゆえんは、全国区は選挙区の性質上と申しましょうか、非常に金がかかっておる。これはもう昭和二十年代の終わりくらいのころから非常に全国区の弊害の一つとして言われるようになっておる点で、私は常識的な議論ではなかろうかと、こういうふうに思っておりますが。
#195
○委員以外の議員(青島幸男君) ですから、私も常識的な議論として地方区もお金が相当にかかります、同程度にかかりますと申し上げているんです。ですから、質が違おうと違わなかろうと、全国区だけ特に金がかかるんだという論拠は失っておられるわけですよ。質の違いなどとここでくだくだと申されても、それは有権者の皆様は理解しませんよ。全国区はことさら金がかかるんだというのがあなた方の改革の一つの主眼なんですよ。地方区だってかかるんじゃないか、同じじゃないかという話になったら論拠を失うじゃありませんか。質の問題を論じているわけじゃないんですよ。金に印がついているわけじゃないですからね。そんなとぼけたことを言われちゃ困りますよ。
#196
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、地方区でも金がかかるところがあると、こう申しておりまして、地方区と全国区では、有権者の数でございますとかあるいは地域の広さ等から言いまして、多くの地方区の方とは比べものに恐らくならないくらいの金やいろいろなものがかかっておる、そこに全国区の現在の弊害があるんだと、こういうふうに申しておるつもりでございます。たまたまたとえばはがきに例をとりますとこうだと、こう申したにすぎないわけでございます。
#197
○委員以外の議員(青島幸男君) この「参議院選挙の手引」、これは自治省が出したものですね。これに書いてありますが、
  最近、選挙時であると否とを問わず、立候補予定者の氏名や後援会の名称を書いた大きな立札・看板等がいたるところに目だっており、また選挙が近くなると、時局講演会の開催等の名目で、その氏名や名称等を表示した立札・看板等を必要以上に掲示する傾向が各地に見られ、世上批判を招いていることは、否定できない。これらの立札・看板等の掲示は、政治活動として行うものであるとしても、各般の状況からみて、選挙目当ての単なる氏名等の普及宣伝方法であるとみられることが多く、選挙に金がかかる要因ともなっている。
 この間私申しましたように、選挙に金がかかるのではなくて政治活動に金がかかるんだろうということを申し上げました。政治活動にかかるのと選挙に金がかかるのは別だから、だから選挙に金がかかるからこの法案は改革せにゃならぬという論議もお下げになりなさいと申し上げましたね。こういう事実はどうお取り上げになりますか。
#198
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、事実はそのとおりだろうと思います。それが選挙法に違反にならないことでありますならば、あるいはまた選挙法に違反にならないようにいろいろな準備行為が行われて、それに莫大な経費がかかっておると、これが実情ではなかろうか。これはいまに始まったことではございませんで、もう十年、二十年からのこれが全国区の選挙の現実ではなかろうかと、私はこのように思っております。
#199
○委員以外の議員(青島幸男君) いや、いま私が読み上げたのは、これは全国区に限ってという意味ではございませんよ。地方区も全国区も同じようなことをなさる方が大ぜいおいでになって、ですから同じようにお金がかかるということを言っているんですよ。全国区だけが金がかかるんじゃないということを申し上げているのですよ。
#200
○委員以外の議員(金丸三郎君) 全国区は、者の数や地域の広さから申しまして大変に金がかかると、こういうことを申し上げておるわけでございます。地方区に金がかからないということとはまたこれは別の問題でございます。
#201
○委員以外の議員(青島幸男君) いずれにしても、全国区がことさら金がかかって地方区はかからないということではないので、ことさら全国区が金がかかるから改正するという話は筋が通りませんよということだけ明確に申し上げたいと思います。
 自治省にお尋ねいたしますけれども、昭和五十年に選挙二法の画期的な改革が行われまして、どのような経過、方法によって法改正の準備が行われていたか、それを御説明いただきたいと思います。
#202
○政府委員(大林勝臣君) 五十年の選挙二法の改正によりまして、公職選挙法の分野におきましては、それまでの各種の選挙の実態、これの反省の上に立ちまして、四十九年の末でございましたか、国会で選挙二法の改正の決議がございました。また政府声明もございました。そういうものを受けましていろいろ各党で御相談の結果、衆議院の定数是正あるいは公営の拡大あるいは機関紙の制約その他もろもろの具体的な選挙運動方法の改善が行われております。
#203
○委員以外の議員(青島幸男君) 公営化の拡大が行われたということは、つまり選挙を公営の部分をふやして個人の負担を軽減させようと、こういう意図だったと思うのです。具体的に行われたことは文章になっておりますから説明いただかなくて結構ですけれども、法改正によりまして目的は達せられたかどうか、お尋ねします。
#204
○国務大臣(世耕政隆君) 法改正は、お金のかからない、しかも公正な選挙の実現ということを目的として行われたわけでございますが、その意味では選挙制度の改善、それから選挙に関する啓発運動の推進、組織、いろいろなところから総合的に改正を進めていったわけでございますが、こういう意味で広く国民の自覚を促していったという点、この点ではかなりそれなりの効果があったのではないかと思います。また、それが一つの転機になりまして、選挙に対する別な角度からの国民の視野、そういうものが培われて今日に至ったと思っております。
#205
○委員以外の議員(青島幸男君) この法改正が完全に目的を達していれば今度のような全国区制度の改革には至らなくて済んだと思うのですけれども、これが十分機能しなかったために、個人の負担が少しは軽減されたかもしれませんが一向に改まらない、金のかかる選挙のありようが改まらないということだったと思うのですけれども、目的が達せられなかったからこそ今回の法改正が提案されたんでしょうから、達せられなかったとすればどういう点が難点だったんでしょうね。
#206
○国務大臣(世耕政隆君) 大変むずかしいところでございますが、やはり改正があって、そのときにかなり政治資金とか選挙のあり方に対するいろいろな改善その他に関する関心、注目が集まってまいりました。その点ではいろいろな効果があったのですが、ただ具体的現実面になりますと、それですぐ金のかからない選挙が解決されたかというと、必ずしもそれは完全であるとは私は思っておりません。ただ、とにかく選挙を清潔なものにしよう、それから金のかからない公正なものにしようという動き、考え方は国民の中に浸透してきて、これが今日この全国区の改正法にもつながってきたというふうに考えております。
#207
○委員以外の議員(青島幸男君) いや、具体的に言えば印刷物あるいは車の費用など、国の費用で賄う部分ができて少しは候補者の負担が軽減できたと、しかしそれが間に合わなかったと、こういうことですね。まだまだ十分ではなかったと。これはどこまでやれば十分なのかというと切りがないわけですね。ですから、そういうふうな法改正をすれば個人の負担が減り、違反も少なくなるだろうという想定のもとに行われましたけれども、結果的としては多少軽減にはなったがあと従前と変わらなかったと、こういうようなことであるとすると、立候補する側の人間のモラルとか立場とか選挙のやり方が一向に変わらなかったからという結果ではなかろうかと思うのですが、いかがですか。
#208
○国務大臣(世耕政隆君) 確かに御指摘の点もあるかと思いますが、ただ候補者に対する投票者、選挙民の見方、考え方は少しずつ変わってきた、そういう意味ではかなり効果はあったと、そういうふうに解釈しております。
#209
○委員以外の議員(青島幸男君) まあ、それはそれでよしとしておきましょう。
 先日来、私は当委員会におきまして、金がかかるかどうかということにしつこくこだわっておりまして、資料提出をお願いしておりましたが、なかなか発議者の方からも提出いただけません。この問題につきましてほかの委員からも発言がございまして、参議院法制局に伺ったところ、法制局ではきちっとした資料に基づいて判断をしておるというようなことが議事録にもございましたので、改めて委員会を通じてそのきちっとした資料というものはどういうものだということで御提出を求めて、その結果私どもの手に参ったのがこれだと思うのですが、これはいかがなものですか。
#210
○法制局長(浅野一郎君) 私どもが提出いたしました資料は、私どもには事実の調査権がございませんので、二次的な資料として提出いたしましたものでございます。
#211
○委員以外の議員(青島幸男君) 二次的も二次的、これはひどい二次的ですよ。よくこういう資料でおたくが物を判断できたと思って私は感心しているんですけれどもね。しかも、おおむね新聞記事とか学者さんの御意見とかというのを集めただけでしてね。何がゆえに全国区は金がかかるかという証左は一つもあらわれてないんですよ。その上、おもしろいのは、そういう意見についてもですよ、色が付してありましてね。(発言する者あり)委員長、委員外発言を何とかしてください。
#212
○委員長(上田稔君) お静かにお願いします。
#213
○委員以外の議員(青島幸男君) あ、委員外発言じゃない、不規則発言。委員外発言は私の方ですから。失礼いたしました。
#214
○委員長(上田稔君) 不規則発言をしないようにお願いします。
#215
○委員以外の議員(青島幸男君) 「問題とされているものに参議院議員選挙における全国区の存廃がある。」、これはいいんですけれどもね。「廃止すべしという主張の根拠は、」「区域が広すぎて運動がやりにくいこと、」「有権者の方でどの候補者に投票していいか見分けにくいこと、」というようなことでね、傍線が引いてあるんですよ。その下に反論が書いてあるんですが、反論の方には全然傍線を引いてないんですね。これはどういう資料の読み方をしているのかと私は大変疑問に思うのですよ。
 事実、それで傍線の引いてないところを読んでみると実に興味深いことが書いてあるんですよ。たとえば「区域が広過ぎて運動がやりにくい」、「区域が広いので管理がしにくい」ということに関しては、反論として「中選挙といわれるいまの衆議院議員の選挙区においてさえ、大体全国区についてと同じような批判があり、その結果、小選挙区とすべきだという主張がおきている」くらいであると、こう書いてあるんですね。「有権者の方でどの候補者に投票していいか見分けにくい」ということの反論といたしまして、「これに至ってはむしろ逆で、全国区から立候補している人人のうちには、一人ぐらい平素から知られている人物を発見しうるが、区域が狭くなるとかえって」候補者数も少なくなり「投票したいと思う人物を発見しにくくなる」こともあると、ちゃんと書いてあるんですよ。そこは全然傍線引いてないんですから。
 それで、何がゆえにかかるかという理論的な根拠も証拠になる文献も何一つないんですよ。これでは私は証拠として検討したりする値が全然見当たりませんので大変に困っている、戸惑っている状態です。ですから、発議者の方に再度資料がありましたら御提出いただきたいと思うぐらいでありましてね。先ほども金丸先生は人数が多いから選びにくいんだと、こうおっしゃいましたけれども、たとえばこの委員会でも再々論じられておりますけれども、有権者の側にも意識が多様化しておりましてさまざまな御見解、御興味をお持ちの方がおいでになる。ですから、だからこそ大ぜい立候補者がいるから選びやすいということもあるわけですね、ここにあるように。
 たとえば、平たく申しますと、私どもネクタイなんか――金丸先生もネクタイお締めになっていらっしゃいますけれども、ネクタイを選ぶときに好みがそれぞれ違いますね、各人が。非常に多様化しております。で、好きなのは相当高額にお金を出しても欲しいと思うし、嫌なものはもらっても締めたくないということはありますね。三、四本の中から好みを選べというのは大変むずかしいことですけれども、百本、二百本あるから自分の好みに合うネクタイも選べるんじゃないですか、平たく申しますと。あなた方がこれからやろうとなさっていることは、それを五本なり三本なり束にして売ろうというのと同じことなんですよ。
 それは、価値観が多様化しているし趣味も異なっているから、多様な認識に報いるためにあるんでしょう、全国区と言うくらいですからね。ですから、百人やればその中から信頼すべき人を選び得る可能性もより多くなるわけですよ。それを束ねて買っていけ、気に入ったのも気に入らないのも束をほどいちゃだめだという投票の仕方、選ばせるというのと同じやり方ですよ。これは多様化した選挙民の自由な選択の行為をいたく制約するものだと思いますが、いかがですか。
#216
○委員以外の議員(金丸三郎君) わが国の各種の選挙を見てみますというと、たとえば東京都知事の選挙でございますと、有力候補がごくわずかに限られますから、有権者の立場からはわかりやすいと思います。それから地方区にしてもそうでございます。衆議院も東京は十一でございますか、選挙区に分かれておりますから有権者としては選びやすい。都議会議員や市町村の議員さんでも市町村長でもそうだと思います。実際、私の経験から申しましても、私は世田谷区に住んでおります。実は区会議員の選挙が一番わかりません、私には。どちらかと申しますとやはり衆議院とか知事選挙が一番選びやすい。一般の庶民の立場から申しますと区会議員とか市町村会議員が一番身近でよくわかる。
 ところが、全国区になりますというと、会ったこともないし見たこともないし、松浦先生がおっしゃいましたように、全国を駆け回って、あそこここで集会をやって、集まってくださる方にはお会いはできましても、握手をするとか話を聞いてもらうような時間もない。だから、大体百名前後の候補者が立候補なさいますから、有権者の立場から見ますと、私はわが国の全国区の制度ぐらい有権者からかけ離れてわかりにくい選挙制度はないと、かように思うわけでございます。
 今度は、政党投票にいたしますと、東になってということでございます。有権者個々のお気持ちを考えますというと、確かにおっしゃいますように、青島先生に入れたいとか、どうしても前島先生にわれわれ身体の不自由な人のためにがんばってもらいたいと、こういうような方がおられるであろうということは私どもも重々承知いたしております。しかし、なべてここ二十年以上の参議院の全国区の選挙の実際を見ますと、いままでもたびたび申し上げたとおりでございますので、私どもとしては、現在よりもベターな制度として、個人本位の選挙制度を政党本位に切りかえて、政党が責任を持って候補者を選び、また政策を国民に訴えて国民の審判を仰ぐという制度にした方がいいのではなかろうかと。これを十把一からげとおっしゃるのか。今後わが国の政治を担っていくのは政党でございますので、その政党が今後は厳粛な国民有権者の審判を仰ぐという方がいいのか。私どもは後者の方が現在よりもベターになっていくのではないかと、かように考えたわけでございます。
#217
○委員以外の議員(青島幸男君) いみじくも金丸先生率直におっしゃっていただきまして、衆議院とかあるいは地方区の方が私にとっては選びやすい、区会議員が一番むずかしいんだとおっしゃいましたね。ところが、一般の人は区会議員が選びやすいだろうと、こうおっしゃったんですよ。
 御意見は御意見として承ります。ですから、さまざまの方にはさまざまの生活してきた場がありますから、さまざまな方々が何を選びやすいかどれが選びにくいかは、それは人々のそれぞれの環境によりますからね。御自由ですよ。いま金丸先生がおっしゃったように、私は選びにくい、しかし一般の方は選びやすいだろうと。こう、立場が違えば選びやすい選びにくいは違うわけですよ。ですから、御意見は承りました、いまの金丸先生の御意見は。しかし、発議者として多くの方を説得させるのは、この話では無理ではなかろうかという気がしますが、これまた何回伺っても繰り返しになりますから。
 しかし、だからこそ私は、有権者の意識が多様化しておるし、さまざまな形でさまざまな諸条件に対処しているんですから、あなた方のお考えだけで、私がそうなんだから人もそうだろうということでは理屈になりませんよということを申し上げているわけです。この議論はまたやっておりますと延々時間がかかりますからまた後にしますけれども。
 先日、参考人の意見聴取を行いまして、清水さんとおっしゃいましたか、憲法を専門になさっている方が、四十四条の信条の自由のところで、青島さんがどういう信条をお持ちになろうとそれは勝手なことですけれども、その信条によって差別されるとしたらそれはおかしいというようなことを明確におっしゃっていただきまして、私も大変心強く思ったんですけれども、結社しない者、結社しない人間の信条というものは憲法にうたわれておるところの信条とお認めいただけるわけですか、どうですか。
#218
○委員以外の議員(金丸三郎君) この点も以前に御質問がございましてお答えを申し上げたことがございます。
 憲法に申します信条には、自分は無所属の政治家としてやっていきたいということは入らないんだという考え方と、いやそれも信条に入ると解釈していいのではないかと、こういう考えとがございます。入らないということであればもちろん何ら問題はないわけでございますけれども、入るというような説もございますので、私どもは、そのような考え方が信条に該当するというのであれば、合理的な選挙制度をつくることによって制約されることはやむを得ないのではないかと、こういうふうにお答えを申し上げてきておるところでございます。
#219
○委員以外の議員(青島幸男君) ついにはやむを得ないという公共の福祉のたてまえから論じられるわけですけれども。
 そうしますと、四十四条で言うところの差別に相当するから拘束名簿もおかしいじゃないかという議論に対しても同じ御回答ですか。
#220
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
#221
○委員以外の議員(青島幸男君) さて、その辺からまた先ほどのむずかしい議論になって、私も堂々めぐりをするのが嫌なんですけれども、選挙権は基本的人権であるかないかの問題は、この問題が出るたびに、表現の自由などと違ってという例をお引きになりますね。表現の自由などと違って天賦自然の権利ではないとおっしゃられますけれども、表現の自由は基本的な人権とお考えになりますか。
#222
○委員以外の議員(金丸三郎君) そうだと思います。
#223
○委員以外の議員(青島幸男君) そうしますとね、選挙に立候補することを表現の手段と考える人もいるわけですよ。たとえば自分のふだん持っている考え方、信念を公にしたいと。そのときに立候補して自分の考え方をつまびらかにして多くの方に了解を求めるということになりますと、それはその人が表現の手段として立候補を考えることは憲法に違反しますか。
#224
○委員以外の議員(金丸三郎君) 立候補は選挙制度上の問題でございまして、どうもそれが表現の自由とは私には考えられません。
#225
○委員以外の議員(青島幸男君) それはないでしょう。まず一番最初にだれか一人の人が何か新しい社会制度を考えついたとしますね。で、その方はそのことが一番正しいんだと思って、議員として立候補して広くこれを世の中に進めたいと考えるわけです。そのときは認められないかもしれないけれども、きょうの少数はあすの多数になるかもしれませんね。で、選挙のごとにそのことを訴えておられるとします。やがてその考え方が認められて、多くの支持を得て、やがては大政党に育つかもしれないですね。ですから、選挙に立候補して自分の主張を遂げることは表現の自由でもあるわけですよ。
#226
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、それは選挙運動の中でたまたまそのようなことが主張されておるのであって、それ自体が表現の自由とはどうも私には解しかねます。
#227
○委員以外の議員(青島幸男君) 表現の自由とはお認めになりませんかね。きょうの少数はあすの多数になることもお認めになりませんか。それはあり得るわけですよ。
 法制局はどう考えますか。
#228
○法制局長(浅野一郎君) 表現の自由と申しましても、その手段に伴う制約というのは当然あり得るわけでございまして、たとえばテレビで表現したいという考えがございましても、テレビという媒体の制約というのは当然伴うものだと、こう思うわけでございます。そういうふうに思っております。
#229
○委員以外の議員(青島幸男君) ですから、百歩譲って選挙する自由も選挙される自由も基本的人権でないにしても、それは通常日本人として生まれればこの国で立候補することも選挙することも認められるわけですよ、一定の年齢に達しさえすれば。特別の要件がない限り。その中で何か述べたい主張があったら主張することは可能でしょう。選挙に立候補するということで自分の主張を表現するということも可能でしょう。それは表現の自由じゃないですか。そうすると、そのことで表現したいということを、じゃおまえはだめだと言うと表現の自由を侵すことになりますが、いかがですか。
#230
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、それはやはり選挙運動におけるいろいろな運動の形態であって、それ自体が表現の自由とは私にはどうも解しかねます。
#231
○委員以外の議員(青島幸男君) これも水かけ論ですか。どうも私の考え方というのは皆さんと――常識外れなんですかな。
 たとえば、これはいい例じゃございませんが、ナチスが台頭したときのことを考えますと、ヒトラーがあのことを表明した。そのことで何人かが立候補して、国体はこうあるべきだ、わが民族はこういくべきだという表現をしたわけですな、選挙の手段を通じて。で、やがて世界を席巻するような、まあ悪い意味でですが、大勢力になってしまいましたけれども。そのことを推しはかっていただいても表現の自由とはお認めになれませんか、立候補することが。
#232
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、それは政治活動の結果であって、それ自体が表現の自由とはどうも解しかねます。
#233
○委員以外の議員(青島幸男君) 政治活動もさまざまな表現によって人々に認識をされるわけでしょう。一人でだれもいないところでどなっていても何にもならないわけですよ。ですから、さまざまな表現の手だてを通じて自分の政策を理解してもらって支持者をふやすということでしょう。ですから、パンフレットを配ることもこれは表現の自由ですね。書いたものを配ることは、どなって歩くのは自由でしょう、ある種の制約はありますが。ですから、選挙に立って私はこれをやりたいという認識を持った人がいたら、じゃそれはどうしますか。
#234
○委員以外の議員(金丸三郎君) それは立候補の準備行為であったりあるいは選挙運動にわたるのかもわかりませんが、それはやはり選挙法の規定に従って制約を受けることが当然で、それ自体がやはり表現の自由と申さねばならないのか。どうも選挙運動かあるいは政治活動の範疇じゃないでしょうか。表現は行われておるのかもしれません、一種の自分の意図が。しかし、それは私どものいま問題にしております選挙法との関係におきましては、選挙運動の準備行為かあるいは平素の政治的な活動か、選挙の期間に入りましてからは純然たる選挙運動の一種か、そういうふうにとらえるのがどうも自然じゃございますまいか。
#235
○委員以外の議員(青島幸男君) 選挙の手段の一つであってもいいんですよ。立候補したときに立候補者としての法的な制約はすべて守るわけですよ。その上でその人が主張を遂げることは、制約の上で主張を遂げることは自由でしょう。その人が立候補することが私の政策を表現する手段なんだと考えるわけですよ。しかし、それを抑えることはできないでしょうと、こう申し上げているんですよ。
#236
○委員以外の議員(金丸三郎君) やはり立候補なさいます以上は選挙法の規定による制約があるんだと、私はこのように思います。
#237
○委員以外の議員(青島幸男君) ですから、その制約は守られて御見解を発表になるわけですよ。発表になるのは自由なわけでしょう。その発表の場を得ることを表現の手段として考えたわけですよ、その人が。これは法制局どうなんですか。
#238
○法制局長(浅野一郎君) 表現は自由でございますけれども、ある手段を選ばれるに当たりましてはその手段に伴う当然の制約には服していただかなければならない、これは当然なことだろうと存じます。
#239
○委員以外の議員(青島幸男君) 制約に服すのは私は当然だと言っているのですよ。
 たとえば、花だの書道だの踊りだの家元制度というのがありますね。家元制度というのは大変に民主的でないやり方だから、あの家元制度というのには反対だと言う人がたとえばいたとしますね。そのことを方々で説いて歩いてもなかなか実らないと。私は政治家になってもう少し発言力を得て家元制度を廃止したいという信念をお持ちになった人がいるとしますね。そうすると、街頭でただどなったり人々に説得をしちりして歩いてもらちが明かないから、立候補という表現の場を得てこの場でつまびらかにしたいと、これを表現の手段と考えたら、そのことだけで制約することはできないでしょうと言うのですよ。
#240
○委員以外の議員(金丸三郎君) どうも十分に私が理解しかねておるのかもわかりませんが、やはりその点は表現の自由というよりも立候補の問題ではなかろうか、こういうふうに考えます。
#241
○委員以外の議員(青島幸男君) いいです、もうこの話はやめますよ。後ほど委員会を離れてゆっくりひざ詰めでなごやかにお話し合いをしたいと思うのです。それはお許しいただけますか。
 この問題を離れまして、公明選挙連盟によれば、参院全国区の議員を選ぶ場合、党を重視する人が四六%、個人を重視する人が三五%、こういう報告がありますが、これはお認めいただけますか。
#242
○委員以外の議員(松浦功君) 公明選挙連盟から出されておるその結果の数字を私直接拝見しておりませんけれども、公明選挙連盟がお出しになられたものであればそうだと思います。
#243
○委員以外の議員(青島幸男君) 少なくとも、数字は申しませんけれども、個人を重視して投票なさるという方が従来かなりの数おいでになったことは当然お認めになれますね。かなりの数と申しましても、それもその都度、アンケートの時期にもよるでしょうけれども、皆さんこの場でお話し合いになっている上ではかつてよりふえる傾向にもあるのではなかろうか、少なくとも三〇%とかそのぐらいのパーセンテージがあることはお認めになれると思うのですね、さまざまのアンケートの結果ごとに出ておりますから。それもお認めいただけないと議論が先に進まないんですが、それはいかがなものでしょう、いま申し上げましたことは。
#244
○委員以外の議員(松浦功君) そういうお話を所々方々で聞いております。
#245
○委員以外の議員(青島幸男君) ここが実は重大な問題でして、この法改正はどうも選挙する側よりされる側に重点を置いてなされているのではないかという一般の疑念もあるんですが、実際に大きな柱になっておりますお金がかかる労力がかかるというのは確かかもしれませんが、これは立候補する側の人間なんですね。従来どおりの選挙法でも有権者は別に特別労力がかかるわけでも金がかかるわけでもないんですね。これはお認めいただけますか。
#246
○委員以外の議員(松浦功君) 金丸先生がたびたびお答え申し上げておりますように、有権者にお金がかかるわけでもなければ労力もかかるわけでない。その辺は青島先生の御指摘のとおりだと思いますけれども、有権者のサイドから見た場合に、百人の中から一人を選び出すということに非常にむずかしさがある。そのためについ名簿の氏名掲示の一番最初に載っている人の名前を入れてしまうというような話もちょくちょく聞いたりいたしております。そういう意味から政党というものを通じて名簿に載せられた者のよしあしをあわせて判断をして、政党という組織を通じて国会議員を選び出すということの方が有権者にとってより容易であるということ。さらには、有権者の側から見たら出てもらいたい人が出にくい制度になっているということも事実でございますから、そういうメリットもあるということを考えて、そちらの方に主体を置いて、それにあわせてさらに金もかかるし大変な労力が加わる、こういった点も改めたい、両側からながめていると、こういうふうに御理解をいただけたら幸せでございます。
#247
○委員以外の議員(青島幸男君) 前段で申されましたことは一〇〇%私も認めますが、後段申されましたことはあなた方の御意見であって、私たち違った意見を持っている者とここで論じ合っているわけですね。後半は意見なんですよ、あなた方の。
#248
○委員以外の議員(松浦功君) はい、結構です。
#249
○委員以外の議員(青島幸男君) それはお認めになりますね。
 そうしますと、たとえばあなた方のおっしゃるのは、いつも民主主義のたてまえからいうと最大多数の最大幸福を求めるのが民主主義だ、少数の方はもし意が通らなくとも多くの国民の福祉に役立つなら、福祉を増進させるという合理的な理由があるためには少数の方にはがまんしていただかなければならないこともある、こういう御意見でしたね、趣旨。ですから、無所属の立候補を少しは制約することがあるかもしれないけれども、その制約するに相当する正当な理由があるからがまんしていただかなければしようがない、こういう御議論でした。
 この改革案が通りますと、その目的としておることは、先ほどの議論から踏まえまして、これは立候補する側のほんの一握りの人間の利益を増進させるんですよ。自民党さんで言えば十三人とか十五人でしょうね。社会党さんもこの案とほぼ似た案をお出しになっていらっしゃるわけですから、十人はお立てになるかもしれない。そうすると、二十五人と考えましょうか、二十五人の立候補者の利便のために大多数有権者の選挙行動を制約させるわけですよ。これはまるで反対になっちゃうのじゃないですか。
#250
○委員以外の議員(松浦功君) どうもおっしゃられていることが右に行ったり左に行ったりしているようで非常にわからないのですが、私が最初に申し上げました百人の中から選び出すという困難性、そういったものがいまの制度につきまとっているからこれを直した方が有権者のためにいいだろう、さらには出たい人より出したい人が出れるようになるからいいだろうということを申し上げたのに対して、先生はそれは認めるとおっしゃった、わかったと。しかし、金がかかるとか労力が要るとかという点についてはあなたの意見だから意見としてしか聞いていないと、同意はしないと、こうおっしゃっている。それじゃ全く理論が逆さまになってしまう。私は、やっぱり有権者にとって多大の利益があるのであって、たまたまお金がかかるとか労力がかかるという意味では、あるいは先生がおっしゃられたように何人かのこれから立候補する方のためになるかもしれない、こう思っております。
#251
○委員以外の議員(青島幸男君) いまのお話は理解が全く逆でございまして、私が申し上げたのは……
#252
○委員以外の議員(松浦功君) 速記録を見てくださいよ。
#253
○委員以外の議員(青島幸男君) ええ。ここではっきり申し上げますけれども、お金がかかるとか労力がかかるとかという話は認めますと言ったんですよ。かかるんでしょう、かかると言うんでしょう、そのお話は認めますよ。でも、認めるにしてもそのために苦労する人は二十人かそこらでしょうということを言っているのですよ、立候補する側の。(「自民党は五十人以上出すから」と呼ぶ者あり)五十人出すなら五十人、百人お出しになっても結構ですよ。
#254
○委員以外の議員(松浦功君) 先生がどうおっしゃられたか、私はいま申し上げたように受け取ったのですが、いま御説明をいただいたように、数人の者が非常に何か利益を受けるというか楽になるという点は、そういう効果がお金がかからなくなるという点であろうかと思います。
 ただ、私が前段に申し上げました百人の中から選び出すという困難さが克服されるという問題、さらには出たい人より出したい人が出れるようになる、この点については意見の相違だとおっしゃられるならば私も意見の相違だというお答えしか申し上げかねます。これは国民の判断に仰ぎたい、こう思います。
#255
○委員以外の議員(青島幸男君) そこが問題点なんですね。これはわれわれの意見の相違だからいいわけですよ、ここはここで。実際に投票所へ赴く方は、無所属を名前で投票したいという方が実際においでになったわけですよ、いままで何千万という方が。今度はその方はそれができなくなるわけですね。そうするとその方々の自由な選挙行動を制約することにはなるでしょう。
#256
○委員以外の議員(松浦功君) 繰り返し金丸先生からこのことについてはお話を申し上げているところでございます。それで御了解をいただけるかと思います。
#257
○委員以外の議員(青島幸男君) 従来の選挙の方法で国民は何ら金銭的にも労力的にも煩わしさはなかったわけですよ。しかも自由に個人の名前で投票できた。しかも、その個人の名前で投票する上については、その個人が何政党に属しておるか、あるいは無所属なのかということも十分認識の上で自由に選べたわけですね。ところが今度は、改革案によればその自由は失われるわけですね。ですから、その意味では選挙行動が制約されるでしょうということを申し上げているんですけれども、お認めいただけませんか。
#258
○委員以外の議員(松浦功君) 選挙制度としては、政党と個人が同じ土俵の上で選挙するということは考えにくい問題でございますから、結果的にそのようになるというふうに私どもも考えております。
#259
○委員以外の議員(青島幸男君) ですから、何千万という表現がオーバーなら(発言する者あり)
#260
○委員長(上田稔君) お静かに願います。
#261
○委員以外の議員(青島幸男君) 少なくとも一千万ぐらいの方々の無所属志向ということは制約を受けてできなくなるわけですね。少なくとも千万単位の方々の選挙行動を制約するわけですよ、この改革案ができると。それはお認めになるでしょう。少なくとも、私先ほど申しましたように、党を重視して選挙をするという方々が四六・四%、個人を重視して選挙なさるという方が三五・二%おいでになるわけですね。総有権者の中から三五%ということになりますと、的確にやっぱり何千万という数になりますよ。この方々の自由な選挙行動を制約することには間違いないわけでしょう。
#262
○委員以外の議員(松浦功君) 党を通じて個人を選ぶという形をとります改正案によりますれば制約に結果的にはなってくる、それは認めざるを得ないと思います。
#263
○委員以外の議員(青島幸男君) そうでしょう。制約になることはお認めいただけますね、そう聞きました。
 ですから、この選挙改革案によって利便を受けるのは立候補する三十人足らずの人間であろうと、一方では。それに対して何千万という単位の人間たちが選挙行動を制約されるんですよ。ですから、二十人、三十人の福祉のために何千万という人間が選挙行動を制約されるのは反対だろうと、こういうことなんですよ、物事の考え方が。
#264
○委員以外の議員(松浦功君) 二十数人の者が利益を受けて何千万人が行動を制約されると、そういう考え方は私どもはとっておらないのでございます。何千万の国民は百人の中から一人を選び出すという困難性から抜けられますし、本当に出てもらいたい人に出てもらえるような制度になるのだから、それが非常にそれら選挙民にとって大きな利益である、制限されても仕方がないと、こういう考え方でございます。
#265
○委員以外の議員(青島幸男君) それは先ほど私とあなたの見解の相違であることはお認めになったじゃないですか。それは立証されたわけじゃないんですよ。これはやってみなければわからないという言葉がいつも出てまいりますね。少なくとも現行法だったら何の制約も受けないわけですよ、選挙民は。それを制約してまで行うという。じゃ現行法で憲法上制約を受けている部分より今度の改革案の方が制約は少なくなりますか。少なくとも三千万ぐらいの方々は無所属を選んでおるわけですな。この方々は無所属で記名をして投票することはできなくなるわけで、その方々の選挙に対する行動は制約されるわけですよ、いまお認めになったとおり。
#266
○委員以外の議員(松浦功君) 何千万とおっしゃいますけれども、党を本位にして選ぶか個人を本位にして選ぶかと言っておるので、三十何%の方が無所属を選んでいるわけじゃないのです。そこはひとつ聞違わないようにお願いしたいのです。
 それから、なるほど前回の五十五年の選挙は市川先生、青島先生と非常に有力な方がおいでになったから一千万弱の無所属に対する投票がございましたけれども、これは選挙によって違ってくるのです。少ないときには三百万、四百万ということもあるわけです。だから、余り数の問題でわれわれの考え方を抑えつけるような御発言はひとつ御遠慮を願いたいと思います。
#267
○委員以外の議員(青島幸男君) 私が申しましたのは間違いでした。間違いがありましたことを認めます。と申しますのは、個人を重視して投票するという方が全部無所属に入れたような言い方をしまして誤解をされましたことは訂正します。
 少なくとも個人を重視して投票なさるという方が三五%おいでになることは事実です、この調査の結果によりますと。これは信憑性がどの程度あるか私もわかりません。しかし、個人を重視して投票なさるという方の選挙に対する行動は制約されるでしょうと申し上げている。それはもう当然のことだと思います。
#268
○委員以外の議員(松浦功君) 全く個人を主体に、この人がどういうりっぱな人であるかどうかということを基準にして選ぶという意味からは、私どもが提案している制度は政党を選ぶというたてまえになっておりますから結果的にそういう形になると、これは認めます。
#269
○委員以外の議員(青島幸男君) ですから、松浦先生が言われますように、今度の制度ができれば出たい人より出したい人が選べるだろうし、選挙民はもっと選びやすくなるだろうしというのは、それは御見解でありまして、アンケートをとった結果でも何でもないわけです。そうなるという保証がないのに、推論ですから、具体的に利便を受ける数十人のためにそういう多数の方々の選挙行動を制約するのは本末転倒ではなかろうかということを平たく申し上げているわけですけれども、御理解いただけませんか。
#270
○委員以外の議員(松浦功君) そこは先生が私の説明をお認めにならないのと同じように私も先生の説明に納得できないのであります。見解の相違ということにならざるを得ないと私は思っております。
#271
○委員以外の議員(青島幸男君) まだ八分ほど時間がございますけれども、このまま繰り返しておりましても切りがございませんから、八分残してここでやめさせていただきます。
#272
○委員長(上田稔君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#273
○委員長(上田稔君) 速記をつけて。
 中山君。
#274
○委員以外の議員(中山千夏君) 一番最初に基本的なことをちょっとお伺いしたいと思います。
 もう一度か二度、たしか金丸さんの口からお伺いしたことではあるんですけれども、念を押させていただきたいのですが、この法案をお出しになったというのは、決して政党や議員個人の利害、打算でお出しになったのではないと、これは前提としてしっかり信じてよろしいのでしょうね。
#275
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
#276
○委員以外の議員(中山千夏君) 私はこの法案に反対の立場をとっているんですけれども、われわれ反対の立場をとるという者も決して自分自身の利害、打算で反対の立場をとっているわけではないと、これは審議を進めている中でお認めいただけますでしょうか。
#277
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私もそのように考えて御質問などを承っております。
#278
○委員以外の議員(中山千夏君) それでは、その前提に立ってお話を進めていきたいと思うのですが、私は選挙制度というものは議会制民主主義の根幹であろうというふうに考えております。それはやはり金丸さんにしても同じように考えておられると思うのですが、いかがでしょうか。
#279
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおり考えております。
#280
○委員以外の議員(中山千夏君) その根幹である選挙制度を変えようというときにはかなり慎重に審議をされなければならない、多くの人たちの意見を聞かなければならないし、一つの提案がなされても、それに対するいろいろな反論があれば、一つ一つ丁寧に吟味していかなければならないということについても御同意いただけますでしょうか。
#281
○委員以外の議員(金丸三郎君) その点は全く御同感でございます。
 ただ、私がたびたび申し上げておりますように、議会制度の根幹に関する重要な改正法案でございます。これについては党としてはほとんど十年近く検討を続けてまいっておりますし、また御列席の各党におかれてもいろいろな試案を御検討になったこともあり、過去におきましていろいろな問題が出ておりますので、私どもはそのような一般の意見を踏まえて自民党としての案をまとめて提出したわけでございます。その点は、私どもは現在の国内におきますいろいろな論議を参酌し、昨年来国会に提案を申し上げまして御審議をいただいておるわけでございます。少なくとも、ほとんど一年近くになるわけでございまして、私どももその点はできるだけ十分に御審議をいただいて結論を出していただきたい、このように思っております。
#282
○委員以外の議員(中山千夏君) 自民党の中で十年来非常にきめ細かな検討をしてこられたということは審議の中でも何度かお伺いしたのですけれども、やはり国会に出てきてからというものが、何か一つの仕上げという形に考えていらっしゃるのか。それとも、国会に出てきてからも、ほかの政党、自分の政党でつくった案ということにこだわる、それを仕上げるための一つの手続というふうに考えていらっしゃるのではなくて、提案された後もやはり審議というものは深めていくんだというふうにお考えなんでしょうか。
#283
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私はできるだけきめの細かい御審議がいただきたい。せっかく私どもと同じような案を社会党からも御提案になっておるわけでございますから、社会党案との比較もしながら私は結論を出していただくような御審議を実は提案者としては心から願っております。
 申し上げておりますように、私どもの案がベストだとは思っておりません。したがいまして、根本が同じような社会党からも御提案になっておりますから、その比較検討なども私はできるだけ早くおやりいただきたい、これが率直なところ私ども提案者の切なる実は願いでございます。
#284
○委員以外の議員(中山千夏君) そうすると、ほかの、提案はしていないけれども参考人の方、これは議員ではありませんけれども、参考人の方からもいろいろ御意見が出されました。それから、われわれの方からも審議がありますたびに意見が出されております。もっと大きな政党の方たちの中では、ほかの腹案の方がいいのではないかと、提案はしないまでもそういう意見を述べておられる方もいらっしゃいました。すると、そういう意見についても考慮をしていく、これは取り上げる取り上げないは別ですけれども、そういう意見についても審議を深め、検討していくというふうに考えていらっしゃいますか。
#285
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、この法案に関する御審議が終わりますまでに、いろいろな御意見がございますればそれに十分耳を傾けて、そして結論を出していただきたい、このように考えております。
#286
○委員以外の議員(中山千夏君) この問題は、国会においても大切な問題であると同時にというか、それ以上に一般有権者、国民にとって大変興味深い問題であろうと思うのです。関係の一番深いことだろうと思うのですね、自分の持っている選挙権が今後どういうふうに形を変えていくかという問題ですから。
 先日テレビで、これは街頭なんですけれども、街頭で何人かの、たしか三十人か四十人、そんなに数はないんですが、盛り場へ行きまして、そうしてそういう人たちに、いま国会で選挙法が変えられようとしているのを知っていますかというインタビューをしたんですね。そうしたら全員知らないという答えが戻ってきたわけです。もう少し正確に言いますと、ええ、ちょっと知っていますとお答えになった方もいらっしゃるんです。ところがその方は、じゃどういう改正でしょうというふうに重ねて尋ねますと、定数を変えるとかという話でしょうというふうにお答えになったのです。
 つまり、いまわれわれはこの審議にかかっていますので、参議院の全国区が変えられるということについては、とても大きな問題であるし、みんなが知っているんじゃないかというような錯覚をしますけれども、ほとんど一般の方たちは御存じないんですね。たまたまその三十人か四十人の方は、ほかの方はみんなよく知っていて、全然知らない方を選んで聞いてしまったのかもしれませんが、まあそういうことはあり得ないだろう。
 それから、私がいろいろな場所に、人がたくさん集まる場所に話をしに参ります。そこで公選法の話をしますと、大抵の方がやっぱり御存じないんですね。それは百人、二百人と集まっている席で、もっと詳しく話をしてくれという意見が圧倒的多数になるわけですから、ほとんどの方が御存じない。やはり国民は、幾ら十年間金丸さんたちが検討を重ねていらしても、その間のことはほとんど知ることができないわけですね。そして、さっきからおっしゃっているように、国会に上がってから時間だけは確かにたっています。だけれど、一般の有権者の方たちには、この公選法の改正ということが、中身どころか行われているということすらほとんど知られていないということについては金丸さんはどうお考えになられますか。
#287
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもは、昨年来提案をいたしておりますので、できるだけ早く中身に入った詳細な論議が行われることをこいねがっておったのでございますけれども、まだ一般に法案の内容等が十分知られていないというただいまのお話でございますが、もしそうだといたしますならば、われわれも大変遺憾に存じます。できるだけ今後回数を重ねて御審議をいただいて、国民一般にも理解が深まるようにしていただくことをこいねがっておるところでございます。
#288
○委員以外の議員(中山千夏君) 法案を御提出になってから大分時間がたっていますね。御提出になるときに、一般国民に選挙法の改正をしますよということを何らかの形で広く知らせようというふうには全然思いつかれませんでしたか。それとも、何らかのそういう手段というか方法といいますか、政党としてでも結構です、何かそういう手段をとろうというふうにお考えになられましたか。それとも全然思いつかれませんでしたか。
#289
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私どもがこの法律案を提案をしましたのは昨年度の通常国会でございました。たびたび申し上げておりますように、党内では長い間かかりまして案を得たわけでございますから、いわゆる代議政治のもとにおきまして、国会において各党集まって十分な論議をいただきますならば、私は国会を通じて国民の理解なり批判なりも深まってまいるのではなかろうかと、こういうふうに期待をいたしておったのでございます。自民党自体といたしましては、党の機関紙でございますとかあるいはパンフレットを通じまして、できるだけ理解を深めるような努力はいたしてまいっております。
#290
○委員以外の議員(中山千夏君) 国会でこれだけ審議が続いて、やはり国民のほとんどが内容までいかないんですね、実際私が聞いてみますと。審議されているということ自体についても理解がないというのは、私はやっぱりだれに、どなたに――金丸さんにそれを文句申し上げるのはいまのお話を伺うともしかしたら筋違いかもしれませんけれども、政治の一端に携わっている人間としてやはり非常にぐあいが悪いのじゃないかという思いをぬぐうことができないわけです。
 ですから、この法案が国会に上がりましてから、私は、そんなに自民党ほどそうたくさん機関紙を持ったりできませんけれども、何とか知っていただこうと思って、賛否は別として、とにかく選挙法の改正が行われていますよ、どうお考えになりますかということ、選挙法の改正が行われていることぐらいは国民が知っていないとまずいのじゃないかと思ったわけですよ。それで一生懸命知らせる努力はしたんですけれども、新聞に出ているということで国民の不勉強というふうに切り捨ててしまえばそれまでですが、政治の一端に携わる者として、これはだれに責任があるのか、私もどなたにそれをもっと国民に知らせるべきじゃないかと申し上げていいかわからないし、自分自身も責任を感じるんですがね。その辺のところ、今後審議深める中で何らか方法をとるべきじゃないかと思うのです。
 これは金丸さんにお伺いするのはちょっと外れるかもしれませんけれども、提案をなすったときにはいろいろなことも含めて考えていらっしゃると思いますので、その改正までの間にやはり国民が改正されるということについて何らかの認識があるべきだという、その意見についてはどう思われますか。
#291
○委員以外の議員(金丸三郎君) ごもっともと思います。私は、やはり今日の事態におきましては、国会における論議が広く報道されまして、国民の関心を集めるといいましょうか、これがやはり一番手っ取り早いと申しましょうか、かつまた効果的ではなかろうかと、かように思っております。私どもの党では、さらにできるだけ多くの党員に、現在の審議の状況でございますとか、私どもの考えでございますとか、社会党の案と私どもの案との比較でございますとか、そういうようなことを知ってもらいまして、できるだけの理解を深めるような努力はいたしておるところでございます。
#292
○委員以外の議員(中山千夏君) そのことと関連しまして、どうしても触れなければならない問題があるんですが、これは四月の二十六日です。決算委員会がございまして、その席で私は鈴木首相に直接質疑をさせていただく機会をいただきました。そのときに公選法の問題についてお伺いいたしまして、これは首相であるというだけではなくて、自民党という一つの政党のリーダーとしてもお伺いしますというふうに前置きしてお伺いしたことなんですが、審議状況について、そのとき強行採決をするんじゃないかというようなうわさが流れておりましたので、強行採決をするというようなことは、いま金丸さんもおっしゃった国民によく理解を得る、審議を深めるという方向からして非常によくないと私は考えておりましたので、直訴みたいな変な形になってしまいましたけれど、首相に強行採決はしないという方針をここではっきりさせていただきたいというふうに申し上げたわけです。
 そのときに総理がお答えになりました中に、「各会派の御意見も十分お聞きしてやっていこうと、こういうことでございます」と、こういうふうにおっしゃっている。強行採決はしないということはおっしゃいませんでした。それからもう一つは、「一遍参議院のわが党の理事並びに委員の皆さんとも私近いうちに懇談もしてみたいと、こう思っておりますが、どうか和気あいあい裏にこの問題は処理していただきたい、こう思っております。」というお答えをなすったのです。
 これは私が直接いただいたお答えなんですね。それでその翌日強行採決があったものですから、首相が公の席でお答えいただいたことについて、同じ自民党の中で、一遍わが党の理事並びに委員の皆さんとも私近いうちに懇談もしてみたいというふうにおっしゃっているので、これが実際に行われたのかどうかということをちょっとお聞きしてみたいのです。
#293
○委員以外の議員(金丸三郎君) ちょっと先生にもう一遍お伺いいたしたいと思いますが、総理から私どもがそのような打ち合わせの会を持つように言われたかと、こういうような御質問の御趣旨でございますか。
#294
○委員以外の議員(中山千夏君) つまり総理のお答えは、さっきも読みましたように、これは会議録ですけれども、「一遍参議院のわが党の理事並びに委員の皆さんとも私近いうちに懇談もしてみたい」というふうにおっしゃっているわけです。これはもちろん公選法に関してです。懇談もしてみたいというふうに希望を述べておられるので、その懇談を実際に持たれたかどうか。
#295
○委員以外の議員(金丸三郎君) いつごろのことでございましょうか。
#296
○委員以外の議員(中山千夏君) 最初に申し上げましたが、四月の二十六日の決算委員会です。
#297
○委員以外の議員(金丸三郎君) 日にちをはっきり記憶いたしておりませんけれども、上田委員長、私どもが総理官邸に呼ばれまして、そしてこの選挙法の改正の問題について総理の御意見を承りましたり、私どもの所見を申し述べたりいたしたことはございますけれども、どうもいまはっきりと期日の記憶がございません。およそその時期であったろうと思います。
#298
○委員以外の議員(中山千夏君) これより前じゃなくて後なんでしょうか。前だったら私に対するお約束とは関係なく行われたことになりますし、そこをちょっとはっきり知りたいのですけれども。
#299
○委員長(上田稔君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#300
○委員長(上田稔君) 速記を起こして。
#301
○委員以外の議員(中山千夏君) わかりましたか。わかったらちょっとお答えいただきたい。
#302
○委員以外の議員(松浦功君) 五月二十日でございます。
#303
○委員以外の議員(中山千夏君) そうしますと、御懇談はない間にどこかで事態が進展したか何か知りませんけれども、また御懇談の内容というのも私はわからないのですけれども、すぐには懇談はしてくださらなかったということなんですね。
 その明くる日です。その質疑で、懇談をするというような、和気あいあいの審議をというようなお話を伺いました翌々日に、質疑打ち切りの強行採決というのがあったわけなんです。懇談があるにせよないにせよ、審議を深めるということではずっと当初から一貫して発議者の方たちの意見は変わっていないと思うのですけれども、首相の懇談があろうがなかろうが審議を深めるべきだと、丁寧にしていくべきだというお考えは変わりないだろうと思うのですが、いかがでしょうか。
#304
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
#305
○委員以外の議員(中山千夏君) その場合に、それは発議者の方たちだけの意見なのか、それとも自民党、政党としての意見であったのか、それはいかがですか。つまり、審議を深めていこうと、時間をかけても細かい審議を深めていこうということと、質疑打ち切りの強行採決、これは強行というふうに言っていいのか悪いのかわかりませんが、新聞一般、世間一般はそういうふうに呼んでおります。そういう状態とは相反するものだと私は考えるわけです。で、皆さん、質疑打ち切りの動議をお出しになったのは同じ自民党の方です。そうしますと、二つの方向が同じ党の中にあるというふうに見えるんですね。それともそうではなくて、質疑打ち切り動議を出す、強行採決をするという方向は自民党の統一された方向だったんですか。
#306
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は提案者でございますので、この法案の審議をどのように進めていかれるかにつきましては、ほかのそれぞれ担当の方がおいででございますので、私からは何とも申し上げかねますけれども、党全体としてはできるだけ、社会党案もせっかく出ておることでございますので、それと御一緒に十分審議していただきたいという気持ちに私は変わりないのではなかろうかと、このように思っております。
#307
○委員以外の議員(中山千夏君) しかし、それではまだ半ばであった質疑を、自民党案に対する質疑を打ち切ってしまうというのは方向が違うと私は思うのです。本当に私は不思議なんです。それはどうなんでしょう。
#308
○委員以外の議員(金丸三郎君) どうもその点は、いわば国会対策と申しましょうか、そういうことでございますので、私からはよく承知もいたしておりませんし、お答えができかねるところでございます。
#309
○委員以外の議員(中山千夏君) いま国会対策という言葉が出てまいりましたが、私も国会に入りましてから国会に国会対策ということがあるということがわかりまして、それはそれで一つのこういう大きな国の議会を運営していく場合に大切なことであろうと思います。ですが、やはりとても問題だと思いますのは、発議者自身も審議を丁寧に進めていきたいという気持ちを持っていらっしゃる。われわれもそうです。それが国民の利益、このことを、ここで審議がなされているということを知っているにせよ知らないにせよ、このことはうんと議論されなければ国民の利益に反すると思うわけですね。そういう重大な問題が、その内容についての審議いかんということで運営が動いていくのではなくて、逆に国会対策というようなことが先に立って動いてしまう気が私は見ていてするわけなんです。
 いま、たまたま国会対策というお言葉が出ましたけれども、国会対策によって運営が先走ってしまうというのは国民の利益に大変私は反するものであって、今後は少なくともそれが先に立たないように、この法案自体の内容ですとか是非ですとかを、本当に心から国民の利益の立場に立って審議をしていくという方向でぜひ進めたいと思うのですが、どうお考えになりますか。
#310
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私からお答えする限りのことではないと思いますけれども、それぞれの党の責任者の方々は、恐らくはただいま中山先生のおっしゃいますように、この法案の取り扱いについては重要と考えて十分な配慮をめぐらしておいでのことと私は思っております。
#311
○委員以外の議員(中山千夏君) 次に、先ほどちょっと峯山さんからお話がありまして、私も少しやりとりがはっきりわからなかったものですからもう一度重ねて聞きたいと思うのですが、峯山さんのお話は基本的人権の制限に伴うものですが、基本的人権の制限を行う場合は、いま現在何らかの一方で基本的人権の抑圧がある、そういう理由がなければならない、それが通説でもあるし常識でもある、そういうふうに学校でも教えているというお話だったと思います。そして、その抑圧を取り除くためには基本的人権の制限も一方でやむを得ない。そして、基本的人権の制限が行われた結果としては、何らかの人権の救済というものが一方でなければならない、こういう御趣旨だったというふうに承ります。
 このことについては金丸さんはどうお考えになられますか。この論を肯定なさいますか、否定なさいますか。
#312
○委員以外の議員(金丸三郎君) 先ほど峯山先生の御質問にお答えを申し上げましたが、基本的な人権が尊重されなければならないことはこれは当然でございます。しかし、公共の福祉と申しましょうか、合理的な新しい制度ができることによりまして、基本的な人権が制約されることがございましても、合理的と考えられる限り私どもは憲法上許されるものだと、このように考えておりますと、こういうふうにお答えを申し上げておるところでございます。
#313
○委員以外の議員(中山千夏君) そうすると、合理的な理由があって、その合理的かどうかというところに、その理由として現在何らかの基本的人権の抑圧があるかどうかということが入ってくると思うのですが、それはちょっとおくとしまして、金丸さんのお考えになる合理的な理由によってやむを得ない制限が行われる。さっき青島さんのお話の中でも出ましたが、一人で立候補したい、これは政治的な信条であると。それを認めるとすれば政治的な信条を制限することになるけれども、合理的な目的がある以上やむを得ないと。やむを得ない制限が行われた結果として、一方で何らかの人権が救済されるべきだと考えていらっしゃるのか、それとも一方で何らかの人権が救済される必要はないんだと。金丸さんお考えになっていらっしゃる合理的な理由によってやむを得ない制限が行われた結果、その一方で何らかの人権の救済が行われなくてもいいんですか。
#314
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、合理的な理由に基づいてある一つの制度ができるのでございますならば、そのような人権の制限が生じましてもやむを得ないと、このように考えるわけでございます。
 ただ一面、有権者の立場から考えますというと、今後八千万の有権者も、責任のある政党がそれぞれ責任を持って候補者を御推薦になり、政策を掲げて選挙を争われるということが合理的な理由と考えておりますので、そういう面からは有権者の人権の抑圧とまではあるいは言えないかもわかりませんけれども、有権者にとりましてはいままでよりも候補者が選びやすいと私どもは考えております。そういう点の人権の、これは救済と申す言葉が適当かどうかわかりませんけれども、そういう面の一つの利益は出てまいるのではなかろうかと、かように考えます。
#315
○委員以外の議員(中山千夏君) いまのお答えを伺いましても、それから憲法についてのいままでいろいろな質疑がございましたが、そういうものを伺いましても、私自身は憲法に照らして合理的な改正であるというふうには思えないわけです。その合理的な改正とは思えないというところで、答弁のあり方というものにも少し問題があるんじゃないかとずっと感じているんですけれども、率直に言って、審議を深める方向でどうも答弁がなされずに、何か非常にうまく言い回されてしまうというか、ひたすら時間がたってしまうことばかりをねらっているというか、そういう感じが見えちゃうんですね。
 それで、ぜひポイントを外した、つまり自分の出した法案に傷をつけないというか、ガードをするという方向ばかりではなくて、やはり質問した者の質問に対して審議が深まる方向で率直にお答えをいただいた方が国民にとって利益になるのじゃないかと私は思います。それをぜひ、逃げたようなお答えはなさらないでいただきたいと、これはお願いです。
 それから、憲法に照らして御主張になるように仮に合理的であるとしても、種々の問題はいままでも指摘されたようにあると思うのですね。その中からちょっと取り上げてみたいのですが、政党化はやむを得ないんだという考え方、この選挙法が改正されました結果として、参院の政党化はやむを得ないんだという考え方をたしか披瀝していらっしゃったように思うのですが、それはそのとおりでございましょうか。
#316
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
#317
○委員以外の議員(中山千夏君) その場合、参院の独自性ということが問題になると思います。政党化をしても独自性は保たれるとお考えになって立案なさったのか。それとも、独自性がなくなっても、こういう考え方を持っている学者の話をよく耳にすることもあるんですが、独自性がなくなったとしても一院制にした方がいいんだと。一院制への移行段階として、これは憲法改正を伴う問題ですけれども、移行段階として独自性がなくなっても構わないのだという、どちらの立場に立っていらっしゃるのでしょうか。
#318
○委員以外の議員(金丸三郎君) この点もたびたびお答えを申し上げております。私どもは同じような御質問でございますので同じような御答弁をやむを得ずいたしているわけでございますけれども、参議院にふさわしい人をより得やすくなると私どもは基本的に考えておりますこと、また参議院の独自性は、選挙制度の面だけでなく、参議院の運用、また機構の改革、この両面から独自性が発揮できるようにしてまいらなければならないと、こういうふうに考えておりまして、一院制にするための一段階というふうには全く考えておりません。
#319
○委員以外の議員(中山千夏君) ちょっとまたわきにそれた論になるかもしれませんが、同じような質問なので同じように答えるしかないというふうにおっしゃいますけれども、深める方向で答弁をしていただきたいという思いから、同じような問題であってもいろいろな方向からいろいろな言い方でわれわれ聞いているということも御理解いただきたいと思うのです。ずっと長い間座ってお答えになっているのはごめんどうでしょうけれども、それは深める方向でのお答えが欲しいために、いろいろな方向からいろいろな言い方でわれわれ工夫してやっているわけですよ。逆に言うと、そのたびに同じ答えが返ってきますと、一向にその益がないという感じもしないでもないわけです。
 それと別に、いまのお話の続きをいたしますと、いま政党化しても独自性を保つという方法は、一つにはよりふさわしい人を出していく、これが政党本位の選挙になりますから、よりふさわしい人を出すか出さないかというのは、政党がどうするか、どういう考え方を持つか、党内がどんなふうに運営されるかということと大いにかかわってくると思うのですね。政党化というものを肯定する人々でも必ずしもこの案に賛成していない、反対だという意見の方が少なくないわけです。二十四日の参考人のたしか長谷川さんもそういう御意見だったと思います。
 このときには、長谷川さんが事前に論文を発表しておられまして、その中に、政党化は肯定する、それから比例代表制についてもこれは評価しているということで、自民党の質疑者、それから社会党の質疑者は本案に賛成なのだというふうに理解しておられたようですけれども、実はお話をよく伺ってみましたら、政党化も肯定するし、それから比例代表制も評価するけれども、いまこの時期に参議院にこういう方法を持ってくるのは反対だというお話でした。
 政党化を肯定するけれども必ずしも本案に賛成しない、反対だという方は、逆に、そのときもそういう意見が出ましたけれども、理想的なあり方の政党、民主主義的な内容の政党であれば政党化はいいと、政党化というものは非常に国民の利益になるんだと、そういう御意見でした。さもなければ政党化は望ましくないというわけで、いま現在の案に反対するわけですね。それから、言い方が変わりまして、日本の政党はまだ成熟していないからという言い方をなさる方もいます、未熟だと。そう言って今回のこの改正には反対だという方もいます。
 そうすると、政党本位の選挙への改正でありますから当然ですけれども、この案を肯定できるかどうかという重要なポイントの一つは、まさにいま政党のあり方がどうなのかというところに私はあると思うのですね。名簿作成一つをとってみましても、政党の良識の有無によってその拘束名簿式というものが国民の利益にも不利益にも変化するわけです。これは間違いないことだと思います。少なくともこういう案をお出しになる以上は、発議者に政党の良識に対する確信がなければならないと思うのですよ。
 それで、ちょっと前に私質問いたしましたときに、金丸議員にお答えいただいたんですけれども、「各政党の良識にまつと私はお答え申し上げております」というふうにおっしゃっています。が、
  その根拠と申しますと別にございません。やはり各政党は究極的には自分たちの政策を実施したいわけでございますから、選挙に臨む以上はできるだけりっぱな候補者を選び、一人でも多くの国会議員を当選させて、そして目的の達成に努められるのが当然であろうと思いますので、各政党は良識によってりっぱな候補者を私は名簿にお載せになるだろうと、こういう意味で申し上げておるわけでございます。
 そうお答えくださいました。
 しかし、一つの制度を変えるというときに、しかもその制度を変える場合、その制度がうまくいくかどうかの大きな比重が政党の良識にかかっているというときに、政党の良識を認める根拠といいますか確信というのが、大体政党はこういうふうによくやっていくんじゃないですかという程度のことではとても納得できないと思うのですね。そうではなくて、こうこうこういう例がある、こんなにいまの日本の政党はすばらしいし、これからもこういう内容のいい政党が出てくる芽があるんだという具体的なお話をお聞かせいただければ、もしかしたら、ほかのいろいろな憲法上の問題なんかとは別にこのことを考えまして、政党本位ということも悪くないのかなと納得するというのが順番だと思うのです。政党の良識について確信をお持ちになるのであれば、その確信をお持ちになるゆえんを少しわれわれにわかるようにお話しいただきたいのです。
#320
○委員以外の議員(金丸三郎君) 大変むずかしい御質問でございますが、私の所見を申し述べさせていただきたいと思います。
 私、友人と一緒にいろいろな国に視察に参る機会がございました。回ってみまして、世界で日本と同じように民主的な選挙が行われている国は幾らあるんだろうかと。国連にはたしか百六十五カ国加盟をしておるように聞いております。恐らく私は二十カ国はないのではなかろうかという実は感じがしております。多くは独裁政権であり、選挙はただある政党の勢力あるいは軍事的な政権によって行われておる形式的な選挙にすぎない。本当に国民が束縛されない自由な意思を表明できる選挙となっている国は案外に少ないんだということを実は感じております。
 そういう面からいたしまして、これはわが国民性もございましょう。わが国の政党政治の現状も私は相当に影響しておると思います。わが国の選挙がそのように世界で一番いいとは決して申しませんけれども、私は選挙の実際からいたしまして、わが国の政党は選挙を通じ、あるいは国政、地方の政治を通じて国民の間に相当に根をおろしてきておると考えてよろしいのではないかと、このように思います。そういう意味で危惧をなさる向きもおありだと思いますけれども、私は今後政党が責任を持って候補者を推薦し、たびたび申し上げますように、政策で争って、国民の審判を受けるにふさわしいようになってきておるのじゃなかろうか。
 また、たまたま私どもと同じような案を社会党からもお出しになっていらっしゃいます。これも政党に対する認識が私どもと同じだと、このように申してよろしいのではございますまいか。政党でございますから、それは完全無比とはまいらないかもわかりませんけれども、わが国の責任を持つ自民党、社会党がたまたま一致して、政党が責任を持って選挙に臨むという案を出したということは、わが国の政党の成熟を示す一つの証拠という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、私はそのように思っております。
 それから、私がこう申し上げますというと、大変楽観論だということを申されたことがございますけれども、私は今後はりっぱな候補者を名簿に載せなければ選挙になかなか勝ちにくくなっていくと。また、政策を堂々と正面に出して、政党が、党首とか委員長が第一線に出て、いままでとは違った意味で真剣に国民に訴える選挙戦になっていかざるを得ないのではないかと。そういう面からも政党に期待をしてもよろしいのではなかろうかと、これは私の個人的な見解でございますけれども、そのように実は強く思っております。
#321
○委員以外の議員(中山千夏君) 私が御質問したのはそんなにむずかしいことでございませんし、お答えには全然なっていないと思わざるを得ないのですね。政党の良識というものに対する確信をわれわれに持たしてくれと言っているんですよ、簡単に言えば。その前段に御説明になったのは日本の選挙制度がいかにすばらしいかというお話で、それは法がいいからでしょう、簡単に言ってしまえば。法律が独裁政権なんかができないようになっているんじゃないですか。ですから独裁政権はないのでしょうし、民主的な選挙が行われているのだろうと私は思います。
 そうではなくて個々の政党が非常に良識があるのですと、そういう今後政党の良識というものがこの改正案の中では大きな比重を占めてくるから、日本の政党というのは良識があるんですとおっしゃるならば、その確信のもととなるところを私たちにも教えてもらえれば、確信が持てて、政党化も悪くないなと思うかもしれないわけです。
 ところが、何度も金丸さんがおっしゃっているように、現行の全国区も実質的には政党化しています。その政党化している全国区の中でいろいろな不祥事が起きているわけですね。ほとんど政党本位と呼んでもいいような選挙の中でいろいろな不祥事が起きている。人選についても、制度を変えてまで人選をよくしたいというお気持ちを持っていらっしゃるのですから、なかなかいい人選ができていないんだろうと思います。ということは、実質的に政党化されている中でもいい人選ができていないとするならば、それはやはり人選をする主体である政党の良識に問題があるんじゃないかと私は思わざるを得ないのです。
 そうすると、そういう政党がそのまま法律が変わることで、さらに政党の良識を必要とされるような制度になったときにどういう状態が出てくるだろうか、多くの人が心配するのは当然のことだろうと思います。その心配をぬぐってください。
#322
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私が申し上げましたのは、政党の良識に対する状況証拠と申しましょうか、そういうつもりで申し上げたつもりでございます。私は、わが国の政党政治の現状から申しまして、各政党は良識をお持ちになっておると、こう考えてよろしいのではないか。
   〔委員長退席、理事中西一郎君着席〕
ただ、証拠を示せとおっしゃいますと具体的なものはございませんので、私はわが国の選挙の実情からいいましていわば状況証拠として申し上げたつもりでございます。
 現在の候補者の人選の仕方がまずいかどうかという問題でございますが、まずいとかよいとかいう前に、現在の全国区の制度のもとにおきましては、人選上いろいろと難渋があるということでございます。今後政党が責任を持ち、良識を持ってやりますならば、よりよい候補者が選べるようになり、出したい人を出せるようになってまいるのではなかろうかと、かように思っておるところでございます。
#323
○委員以外の議員(中山千夏君) では、ちょっと参考までにお伺いしますが、現在政党が公認候補を立てますね、そのときの基準は何なんでしょうか。細かい基準はいろいろ政党によって違うと思いますが、先ほどもちょっと答弁者の方からそういうお言葉がありましたけれど、出たい人より出したい人をという基準で出していらっしゃるのじゃないんですか。
#324
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、選考の基準としては当選の可能性、それからその人の人物、これらが一番基本の基準になっておるのではなかろうかと思います。
#325
○委員以外の議員(中山千夏君) それが法改正が行われた結果、これも前にちょっと議論をしたので、また同じところに迷い込む感じもありますが、その基準はがらりと変わりますか。
#326
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、先般どなたかの御質問に集票能力という言葉を使って申したことがあると思います。
   〔理事中西一郎君退席、委員長着席〕
人物本位、当選の可能性というのが現在は非常に重要な点でございますけれども、今後は人物識見と申しましょうか、人に相当程度ウエートが置かれてまいるようになるのじゃなかろうか。また、その人ができるだけ多くの団体の支援を得て、党のためにも役に立っていただけるということも要素には当然なってまいると思いますけれども、今後はそういう関係は、個人と団体との関係ではなくて、各政党と団体との関係になってまいりますので、候補者はより人物本位と申しましょうか、になってまいるのではなかろうか、これは私の一つの推測あるいは期待かもわかりませんけれども、そのように思っております。
#327
○委員以外の議員(中山千夏君) これは改正の一つの理由であります立候補者の数が多過ぎて現行では選択が非常に有権者の立場から見て困難であるということとも関連してくることなんですけれど、個人本位から政党本位に移行する、これは何度も聞きました。しかし、どうも話を聞いていると、はっきり個人本位から政党本位に移行するという感じがないんですね、有権者の立場に立って考えた場合にです。といいますのは、先ほどもおっしゃいましたように、やはりりっぱな候補を並べなければ選挙に勝てなくなるだろうとおっしゃいましたね、先ほど。ということは個人名というものが――名前だけじゃありません、個人の内容も含めてです。個人というものがやはり選択の際に非常に重要な基準になってくるという前提がないと、そういう御発言にはならないと思うのですよ。それはいかがですか。
#328
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私が申し上げましたのは、候補者を選ぶ基準として個人の見識と申しましょうか、人格と申しましょうか、そういうことがいままでよりもより重要視されるようになってくると、こういう意味でございます。
#329
○委員以外の議員(中山千夏君) いえその前に、やはりりっぱな人を並べないと選挙で勝つことはできないだろう、だからよりよい人が名簿に並ぶようになるだろうと、こうおっしゃったわけですね。そうすると、りっぱな人を並べなければ勝てないだろうということは、りっぱな人かどうかということが一般の人たちにわかるからこそこの政党に票が入れられるわけでしょう。ということは、一般の人たちにとって選ぶときに、個人が全然ないと、非常に政党本位になったというのはわかりやすいんですよ。だけれども、個人というものも、一人一人もりっぱな人かどうかというのが非常に関係してくると考えていらっしゃるんでしょう、集票に。だって、集票に関係があるから各政党はりっぱな人を並べるだろう、だから名簿の内容はよくなりますよというふうにおっしゃっているということは、投票をする人がりっぱな人かどうかということをわかった上で投票するという前提ですからね。
 そうしますと、個人のこともやっぱり見なければならないんですね、有権者の方は。それは、金丸さんの方のお望みは、ただ政党を見て入れればいいということではなくて、やっぱり政党の名簿が、名簿の中に並んでいる名前がりっぱな人である政党に投票をしてもらった方がいいというお考えなんでしょう。ということは、有権者の投票をする側からしますと、政党名だけに気を配っていればいいのじゃなくて、個人の名前とかその人の内容とかというものも検討しなければならないということですね。それは間違いありませんね。
#330
○委員以外の議員(金丸三郎君) そのとおりでございます。
#331
○委員以外の議員(中山千夏君) そうしますと、立案をなさったときに大体どのくらいの数の政党が立つと予想していらしたのでしょうか。
#332
○委員以外の議員(金丸三郎君) どれくらいの政党が立つかということは私どもも的確な予測はいたしかねます。ただ、昭和二十年代、三十年代のようなことはもう万あるまい、私どもはこのように考えております。しかし、政党は生き物でございますので、やはり新しい政党が出てき得るだろう、またそういう道をふさぐことはいけないと基本的には考えております。
#333
○委員以外の議員(中山千夏君) 私も全く幾つぐらいの政党が出てくるかというのは予想がつかない気がするんですね。先ほどちょっと、全国にある政党といいますか政治団体の数というのを私も初めて伺いまして、ずいぶんたくさんあるもんだなと思ってびっくりしたんですが、そういうことから考えて、こういう政党本位という選挙制度になりますと、続々では名のりを上げようというところも出てくるかもしれませんし。ただ、私が予想がつかないというのは別に私が立案しているわけじゃないですからあれですけれども、やっぱり立案なさる以上は、ある程度混乱がありゃしないかとか、そういうところまで心配してなさるのじゃないんですか。大変たくさん政党が出てきてしまうために選択が困難になるんじゃないか、混乱が起きるんじゃないかという、そういう予想はなさらなかった、大体二十年代のようなことはあるまいということで片づくだろうという、そういう御見解ですか。
#334
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は今後は、先ほど松浦先生からお答えもございましたように、比例代表制のもとで一議席を獲得いたしますのにはおよそ百万あるいは百十万近く必要なのではなかろうかと思っております。したがいまして、そのような可能性が全然なくて、いま個人の候補者は三十名を超しておるんじゃないかと思いますが、そのような方が今後出てこられるか。政党本位ということになりますと、私どもは、そういうようなことはないのではなかろうか、やはり得票数が非常に高くなってまいりますので、いままでの個人本位の選挙よりも、政党として届け出られて、そして選挙戦に臨む政党の数はそう多くはないのではなかろうか、こういうふうに見ております。
#335
○委員以外の議員(中山千夏君) 仮に、そうですね、五つの政党が立ったとします、現実的に考えまして。そして、五つの政党が名簿を出して五十人まで可能でしたね、名簿掲載は。で、がんばって五十人、五つの政党が名簿を出したとします。そうすると五、五、二十五ですか、だから二百五十人の個人名というのが並ぶわけですね、政党にくくられてはいますけれども。そうすると、投票する立場からいいますと、個人というものも検討しなければならないということになりますと、かえっていままでより繁雑になるのじゃないか。いままででしたら個人だけで、その人が政党に属している場合もある、まれには属していない場合もある。政党がどこの政党であるか、あるいは無所属であるかどうかということは個人の一要素だったわけです。ですから、たとえば百人、七十人ですかね、この間は何人だったのかな。七十人なら七十人の人たちを検討するというだけで済んだのですけれども、今度の方が私は絶対繁雑だと思うのですね。
 それともう一つ、こういう状態になりますと、さっきもおっしゃったように必ず新党というものが出てくることもこれはないとは言い切れないですね。現実に社会党の方からも言われましたし、それから一番最初に金丸さんが一の会に、この形と少し違った案でしたが、案の御説明に来てくださったときに、あなた方は三人の議員が集まれば立候補できるんですから大丈夫ですよ、新しくグループをつくって政党名を掲げておやりなさい、中山さんと美濃部さんと山田耕三郎さんと三人で大丈夫なんですよというふうにお勧めくださいました。で、たとえば、いま五人ですからね、五人でそれをやったらいいじゃないですかという意見をよく聞きます。そういうことを考えると、これから小さなグループや何かが合併してやるとか、それから無所属が一緒くたになって立つとかということも、お勧めになるぐらいですからあるんだろうと思うのですね。
 そうすると、たとえば同じ無所属といいましても、ここにいます青島さん、八代さんと私とがもしグループを組みますと、女性解放問題に対する考え方なんかやっぱり私と青島さんたちとでは全然違うというようなことがあるわけですよ、まあ私から見ればちょっとおくれていると。そういうところがあるわけです、いらっしゃらないから言うわけじゃありませんけれども。そうすると、通らんがためにそういうグループが必ず出てくると思いますよ。これはテレビの公選法に関する討論番組でも、これは賛成の方でしたけれども、賛成の方がその心配をなすっていたんです。お祭り好きの文化人や何かが通らんがために集まって、新しいグループをつくって出てくるのじゃないか。
 そういうことがあると有権者は、そういう政党、一応綱領もあって政党らしい政党と一緒にそういう政党も並ぶわけですね。中には新しい名前でも政党らしい政党かもしれないわけです。その中には通らんがためのそういうグループもまじっているかしれないわけです。そういうものを判断した上に、そこの中に名を連ねている人たち個々の内容まで判断しなければならないというのは、これはいまよりうんと複雑じゃないですか、全然楽にならないですよ、投票する者からすれば。楽になるというのは、選挙をする人たちが何にもしなくていいから楽になるというだけの話としか思えないのですね、どうでしょう。
#336
○委員以外の議員(松浦功君) 先ほどから繰り返してお答え申し上げておりますように、政党を通じて議員を選ぶわけでございますから、個人の名前を全部調べるという、そういう必然性は出てこないと思うのでございます。政策論としてA党がよろしい、B党がよろしい、なおかつその上に私の好きなB党に属しておるあの人はこの中に載っているだろうかと、まあこういう感覚になるのではなかろうかと思います。したがって、中山先生御主張のように、いままでは百人だけれども、今度は五十人ずつ名簿に載って、五党が出れば二百五十人だから二・五倍の苦労が要るのじゃないかと、こういう考え方にはどうも私どもは賛成できないわけでございます。
#337
○委員以外の議員(中山千夏君) では、有権者としては個人を余り吟味する必要はないということですか。
#338
○委員以外の議員(松浦功君) 政党本位の選挙でございますから、やはり主体は政党というものを通じて国会議員を選ぶ、こういう形になるのだろうと思います。
#339
○委員以外の議員(中山千夏君) ちょうど松浦さんが答弁にお立ちいただいたので、ちょっと先ほど伺ったことに関係してお伺いしたいのですが、さっき全国区の選挙活動をやってみて大変むなしいと思ったという個人的な御感想を漏らされました。ほかの方々の意見を聞いてみましても、広過ぎることで松浦さんと同じように、ちょっとの人にしか接触できない、自分の政策をちゃんと伝えられたかどうかという手ごたえに非常に乏しいということを言っていらっしゃいます、これを解決しなければいけないと。
 それから、それを逆に見ますと、有権者の方から見て候補者というものがどうも手ごたえなくて見えてこない。ただたくさん並んでいるだけで候補者というものがよくわからない、一人一人が。それで選ぶのが困難だ、これを解決しなければならない。それが、選挙運動が困難だ、手ごたえがないということが、もっと楽に有権者に接触する方法というものが打ち出されたのであれば確かにこれ解決になったんだろうと思うのです。それから、有権者の側からして候補者の一人一人が何だかよくわからないということがもっとわかる方法に変わったのなら解決したということになるだろうと思うのです。その一人一人になかなか候補者が接触できないということで言えば、逆に全国区はやめてしまう、地方区だけにしてしまうとか、そういうことになれば全候補がかなり綿密に接触できるわけですから、それなら解決だろうと私は思うわけです。
 ところが、御提案になっているものは、非常に接触ができにくいという不満を解決する方向ではなくて、じゃいっそのこと接触しないでおこうということなんですよね、候補者の一人一人は。そうして、有権者が立候補者のことが知れないからなかなか投票するときにむずかしいじゃないかという意見に対しては、それじゃもうあなたは立候補者を知る必要がありませんと、ほとんど。立候補者個人のことなんか考えないでよろしいよという、全然解決の方向じゃなくて、むしろ問題は残っているままに消滅させてしまったという形だと思うのですね。
 ですから、地域が広大過ぎて運動がやりにくいとか、候補者がなかなか一般の人たちに接触ができないとか、有権者の人たちが候補者を知りにくいとか、そして知りにくい結果として選択が困難だとかいう理由は、この拘束名簿式比例代表制を参議院の全国区に導入するための本当の目的だというふうには思えないのですね。そうならざるを得ないわけです。だって問題解決されないんですもの、これでも。候補者はもっともっとだれにも接触できなくなるし、有権者の方は候補者を知らなくてよろしいというのですから。
#340
○委員以外の議員(松浦功君) 私は、個人の感想を述べろとおっしゃられたので、非常にむなしかったということを申し上げたわけでございます。
 そこで考えなければならないのは、百人からの候補者の一人一人の政見あるいは顔、そういったものまで知るということは現実問題として困難。ところが、現在の政党本位の政治が展開されている現実の実情を踏まえた場合には、両党はどういう政策である、何党はどういう政策であるということはわかっておるわけでございます、国民の皆様に。そこを主体に選んでいただいて、なおかつその名簿にだれが載っているかということは、国民の皆様に、お知りいただきたい方には知っていただくように氏名掲示なり何なりを考えようと、こういう考え方でございますから、その点は、問題の解決になっていないという先生のお説には私はなかなか賛成しにくいと、こういうことでございます。
#341
○委員以外の議員(中山千夏君) それはお説じゃなくて、論理的に解決にはならないまま問題が消滅してしまうという事実を申し上げているだけなんです。候補者にもっと接触する方法だってあると思うのですね。それから、有権者が候補者をもっと知る方法だってあると思うのです。そちらの方向には行かないで、全然知ることも必要ない、それから立候補者が有権者に対して自分を知らせるという、自分個人を知らせるという努力もしなくて済むようにしてしまうということなんですね。
 私自身の意見を申し上げれば、やはり全国区制をどうするかという問題を考えるときには、政党本位に移行するにせよ個人というものを選ぶときの基準の一つにはしていらっしゃるわけですから、個人の名前を並べて――政党だけの名前になっちゃうのなら別なんです。そうじゃなくて、個人の名前を並べてその質を向上しようということなんですから、その個人の人たちというのも重視していらっしゃるわけですよね。そうすると、個人の立候補者たちがもっと有権者に接触できるような方法、それから有権者がもっと立候補者を知るような方法がほかに考えられるのではないだろうか、その方がより政治をよくするためにはふさわしいと私は考えているわけです。
 これはちょっと時間がありませんので、次の問題に移りたいと思います。
 緊急な課題としていまなぜ参院の全国区をやらなければならないのか、この疑問も参考人の方たちの中からも出されたものです。そこで、定数是正という、もっと先にやるべきだという論が多いものについてお伺いしたいと思うのです。
 自治大臣にお伺いします。四月に衆議院の千葉についても最高裁の違憲判決が出ていると聞いております。その後、なぜ定数是正をしないのでしょうか。
#342
○国務大臣(世耕政隆君) なぜとおっしゃられると困るのですが、なかなかできにくいわけでございまして、やらなければ、やった方がいいのですが、なかなか熟してこない。それから、この前定数是正をやりましたときに、五年たったら見直しということが出ております。これは一つの訓示規定みたいなもので、できたらおやりなさい、こういう意味のことなんですが、なかなか、いろいろ資料を集めてそれに基づいて検討しているところでございますが、まだちょっと、若干機が熟さない、こういうことでございます。
 それから、参議院に関する定数是正、これは衆議院よりもっとむずかしいことがありまして、定数を是正しますと、参議院の地方区の場合は奇数ということがあり得なくて全部偶数でございます。偶数が訂正するとまた今度倍になっていくという、そういういろいろな現実問題がございまして、参議院の方はかえってなかなかできにくい、こういう状況でございます。
#343
○委員以外の議員(中山千夏君) ちょっとお伺いいたしますが、参院全国区制を改正してほしいというような請願ですね、ありましたら数を教えてください。それから衆院の定数を是正してほしいという請願あるいは参院地方区の定数を是正してほしいというような請願、この数もあわせて教えてください。
#344
○政府委員(大林勝臣君) 国会の事務局に問い合わせましたところ、まず定数是正に関する請願件数でありますけれども、衆議院の定数是正に関しまして過去五年間の数字が載っておりますが、過去五年間で六十四件、それから参議院の地方区の定数是正に関する請願件数が同じく二十六件、それから全国区改正に関する請願件数でございますが、促進の意見が一件、反対が十二件、こういう数字になっておるのでございます。
#345
○委員以外の議員(中山千夏君) いまの請願の数を見ますとものすごくはっきりわかると思うのですが、定数是正というのは、衆議院にしましても参議院にしましても、国民一人一人の重大な関心事であるし、重大な問題なんですね。自分の持っている票と人の持っている票と同じ権利であるはずなのに重さが違うのはおかしいと。しかも、先ほど訓示というふうにおっしゃいましたけれども、その前にはやった方がいいのですがと言ってくだすったので非常にほっとしたのですけれども、これは幾ら訓示であってもやった方がいいし、進めることを、もちろんとめているものではなくて、なるべくやりなさいということであろうと思うのですね。
 そうすると、それは制度を変えなくてもできることであるし、しかも国民の権利が、いま現に非常に国民たちが権利が不平等だということで疑問を持ち、不満を持ち、そして国会にも請願を多数してきていることなんです。逆に参院全国区制の改正の方は反対の方が多いくらいの意見が来ているのです。なぜ参院の全国区制の改正を先にやって、いま自治大臣が大変是正はむずかしいとおっしゃいましたけれども、いままで審議を聞いていたらむずかしさは同じですよ。どっちだってむずかしい。参院の全国区制だってやっぱり選挙の結果に影響をしてきますし、むずかしさは同じなのに、どうしてより国民からの訴えの多い方を先にやらないで、そして参院の全国区制の改正をしてしまうのか。これはやっぱり政治をあずかる者としてちょっと順番が逆なんじゃないですか。国民の意見を本当にちゃんと聞いて、国民の立場に立ってやっていることだと私は思えないんですよ。金丸さん、どうでしょう。
#346
○委員以外の議員(金丸三郎君) 私は、参議院の地方区の定数の是正につきましても、できるだけ速やかにでき得ますならば各党話し合いをして実現をすることが好ましいというふうに考えておりますけれども、まだ自民党自体として結論を得ておらないような状況でございます。
 全国区の改正につきましては、地方区の定数是正についてはるるただいま先生から御意見等の御開陳があったとおりでございますけれども、私どもは全国区自体の改正についてここ十年来論議がなされ、また古くさかのぼりますというと昭和二十年代にまでさかのぼってもよろしいような長い間の懸案でもございますので、昨年早くに結論を出して、来年の参議院の選挙に間に合うようにということで御提案を申し上げたような次第でございます。
 地方区の定数是正の必要性は私どもも十分に感じておりますけれども、やはり全国区の改正につきましてもその必要性が非常に強いと私どもは判断をいたしまして、参議院の全国区の方だけでございますけれども改正案を御提案をいたしておるような次第でございます。
#347
○委員以外の議員(中山千夏君) そういうことであれば、いま御説明になったように重要だと思われるのであれば、定数是正の問題だって早くから各政党に対しても申し入れをいろいろな人たちが行ってきていると思うのです。参院全国区の問題について先にやって、そして定数是正の方については作業がちっとも進んでいないというのは、これは自民党としては政権をあずかってこられた方として非常に怠慢だと言われても仕方がないと私は思うのですよ。定数是正の方を絶対先にやるべきですよ。何で参院の全国区改正なんて、だれも請願も出してないものを先にやるんですか。どういう理由があってそれを先にやらなければならないのですか。むずかしさ一緒じゃないですか。むずかしいから強行採決があったり、大げんかがあったりするわけでしょう。むずかしさにおいてはちっとも差がないのに、国民の方から要望が厚くて、そしてしかも違憲判決まで出ていて、制度は変えなくてもやれる、そういうものをなさらない、そういうものに対して改正の意欲を持たれない。
 そうしておいて、参院の全国区改正の方は十年かけた十年かけたとおっしゃいますけれども、同じ十年かけて先に定数是正をお出しになったってちっとも困らないわけです。その方が有権者にとってはありがたいことなんです。全く有権者の立場に立っていないとしか今度この法案をお出しになったことについては考えられません。
 これで終わります。
#348
○委員長(上田稔君) 質疑のある方は順次御発言を願います。
#349
○小林国司君 私は、社会党の発議者の方々に拘束名簿式比例代表制案についてお尋ねしたいと思いますが、時間の制約がございますので、主として具体的な問題について、かつ断片的になるかもしれませんが、その点あしからず御了承を賜りたいと思います。
 まず最初に、参政権の問題につきまして、基本的人権にかかわりがあるとして、憲法に抵触する疑いがあると多くの議員の方々から、学者の方々からの御意見が多く述べられております。これに対しまして自民党の発議者の方及びすでに何名かおいでになりました参考人の先生等から、選挙権、被選挙権は法律で定めてもよいのだ、政党、政治団体の名簿に登載されている限りは違憲ではないと判断される、こういう御意見がございまして、この根本的な論議というものはなかなか意見が完全に一致するということは非常にむつかしいことだと判断されます。
 そこで、社会党の発議者に対しまして、この問題につきまして簡潔によって来る理由と結論をお聞かせいただきたいと思います。
#350
○宮之原貞光君 ようやく出番が回ってきました。その点、質問者の小林先生に感謝を申し上げながら答弁をさせていただきます。
 ずっと本委員会でこの憲法問題が議論をされ、特にいま御質問にありましたように十五条と関連するところの問題があったわけでありますが、私は本会議の席上でも御答弁申し上げたことがあるわけでございますけれども、十五条は私どもはいわゆる選挙権、被選挙権を含む包括的なやはり参政権を規定しておると思っております。しかし、具体的な選挙のあり方、いろいろな問題等については四十四条ないし四十七条に明確に規定をされておると、こういう立場に立っておるものでございます。
#351
○小林国司君 基本的なお考え方につきましては大体私の考えているところと一致するわけでございます。
 次に、参考人の諸先生も述べておられましたが、議会制民主主義が浸透するにつれて参議院が次第に政党化傾向を強めてきたことはやむを得ない、こういうふうに述べておられます。今回の改正案によって各政党が合理的にかつより参議院にふさわしい人材を選出することができれば、決して時の流れに逆行するものではないという御意見もございました。これにつきまして発議者はどうお考えになりますか。
#352
○宮之原貞光君 政党は、議会制民主主義を支えるところの不可欠な要素でございますし、国民の政治的意思を形成する最も有力な媒体である。こういうことを考えてみますれば、第二院の参議院といえども、これは国政の場におけるところのきわめて重要な役割りを果たすわけでございますから、当然政党本位のいわゆる運営というものが行われてしかるべきではないだろうかと思うわけです。そういう意味におきましては、単に政党化は自然の流れであるという主張よりももっと積極的な意味を持たせて、これは政党化は私はやはり当然だと思う。
 ただしかしながら、やはり運営のあり方、第二院としての参議院が特性を発揮するという場合に、どうこれを調和していくかということが残されたところの問題でございますし、また本委員会におきましてもずっとやられておりますように、いわゆる参議院の機構改革の問題とこれは一体的なものでなければならない。したがって、いわゆる自民党案に質問を申し上げた際にも申し上げたわけですけれども、この両者は私はやはり車の両輪だと思うのです。したがって、もし参議院の機構改革の問題は置きっぱなしにしてこれだけ通そうというなら、それは食い逃げだと言われても仕方がない。だから、そこのところはやはり与党の皆さんも十分誠意を持ってやってもらわなければ困る、こういう立場から常々わが党としては主張を申し上げているところです。
#353
○小林国司君 現在、全国区から選出されております各党各会派の議員の皆様方、ここにも全国区の方がたくさんいらっしゃいますが、きわめてすぐれた方たちだと私は推察申し上げます。といって、地方区選出の議員の方がすぐれていないと申し上げているのではございません。
 今回の法改正によりまして将来もう少し違った状態になれば、たとえて申し上げますと、御承知のとおり外交関係は非常に複雑怪奇をきわめております。これに対する超一流の人物、あるいは財政経済について当代の権威者と目される人、あるいはまた農政、食糧問題、これは西歴二〇〇〇年を迎えるころには世界の全人類が食糧の脅威にさらされるとさえ言われておりますが、こういう問題についての権威者、あるいは労働問題、社会福祉の問題、教育文化の問題、あるいは今日の産業経済を支えております日本の技術の問題、これは一例でございますが、こういう一流の人たちが各党の推薦を得て全国区の姿で参議院に選出されてこられましたならば、もう少し違った状況になるのじゃないか。
 現在、参議院が自主性を失っているのじゃないかとしばしば言われておる中でございますが、こういう改正を契機にいたしましてもっと違った姿になり得る要素を含んでおると、こういう意味で自民党の発議者の方々からもしばしばよりふさわしい人材が得られるという期待を込めて御説明があったのでございますが、社会党の発議者の方はこの問題につきましてどういうふうなとらえ方をしていらっしゃいますか、お尋ね申し上げたいと思います。
#354
○宮之原貞光君 私も質問者のおっしゃった御趣旨のとおりだと考えておるものでございます。御承知のように、第六次の選挙制度審議会の中でも、いわゆる「比例代表制を採用することにより、政党は真に有能な人物を厳選して候補者とすることが期待されると同時に少数代表が確保され、参議院の特異性を強める結果となるであろう」という指摘がありました、報告書の中に。私はやはりこの期待に沿い得るところの法改正じゃないだろうかと、こう思っておるところでございます。
#355
○小林国司君 他の議員の方々からいろいろ御質問が出ておりましたが、全国区は御承知のとおりほとんど多くの方々がたくさんのエネルギーと多額の費用を使って苦闘のあげく議員に当選してきておられます。これは個人によって多少差はございますけれども、否定できない問題だと思います。そういう問題に対処することももちろん大切でございますが、もっと大事なことは、今回の改正案が二院制としての参議院の本来のあり方に戻すことに役立つのであればさらに有意義なことと思うわけでございます。したがいまして、このたびの改正案によりましてより参議院にふさわしい超一流の人材というものが各党の推薦によって出てくる見通しが本当にあるだろうかという点について、確信のほどをお聞かせいただきたいと思います。
#356
○宮之原貞光君 よりふさわしい人材が得られるかどうか、あるいは今後の参議院の機能をさらに充実をしていくことができるだろうか、実はここが各党の賛否の、一つの議論の分かれるところであることは御承知のとおりでありますが、私はやはりこの方式により、どういう人材を得るかというのはそれぞれの政党が責任を持つわけですから、政党としてはその人を通してその政党の比重というものが国民に審判されるわけですから、相当やはり政党としても考えた人選をするのではないだろうかと。そういうようなことから言いますと、それぞれの政党がよりふさわしい人材を送り込むためにはどうするかということでこの名簿の中でも非常に苦労される。したがって、それによってこられたところの人はおのずからその政党におきますところの発言力も従来以上に重みを持つのじゃないだろうか。
 あるいはまた、この仕組みが推薦という、政党人でない人もできるわけでございますから、いわゆるその基本的な物の考え方においてその政党と一致するから推薦されるのでしょうけれども、いわゆる推薦をされたところの、余りその党に拘束をされないという立場の人も出てくるところの可能性があるわけですから、そういう意味ではいわゆる政党の拘束力というものがむしろ強まるのではないかという議論に対して、私は逆の立場の見方を実はこの問題にしておるわけなんです。
 したがって、そういうような意味合いから申しますれば、これは御質問者の質問にそのままお答えいたしますならば、プラスをするという見方をいたしておるわけであります。しかし、この参議院の機構改革、いろいろな独自性の発揮の問題はもちろん私はこれだけではだめだと思うのです。先ほどもちょっと答弁申し上げたように、第六次の選挙制度審議会の中から出てまいりましたところの五項目とか、あるいは遠藤小委員会の報告などを具体的にやはり各党が積極的にやっていくという、このことが相またなければ私は十分発揮できないと、こう思うのです。
#357
○小林国司君 今回の改正案に直接関係はございませんが、ちまたに次のような意見がございますので参考までに申し上げてみます。これは御答弁は要りません。
 全国区選挙制度を改正して拘束名簿式比例代表制とする。――ここまでは同じでございます。それからが違います。任期は十年間とする。――ちょっと長いのですが、六年一期だけではこれは短うございます。同時に参議院の地方区と選挙期日を異にするところに問題は残ります。ただし、一期だけで各党とも二回目の推薦はしない。――ここに問題があるわけでございます。したがいまして、当選された議員というのは一生一度のチャンスでございますから、十年間に右顧左べんすることなく、自分の専門とする政策に没頭できる。同時に党議の拘束も受けない。ただ一期だけの議員としての機会を生かし続けるであろうということから、ちまたにこういう選挙制度はいかがでございましょうかと、こういう話が出ておりますことを申し上げておきます。これはまさにちまたの一部の意見ではございますけれども、一笑に付してしまえない一種の響きを持っておると私は思っております。これは返事は要りません。
 次に、さきにも申し上げましたように、参議院の制度ができた当初と比べまして、実際には参議院の政党化は進んでおるということは否定できません。しかし、私は参議院が二院制の意義を完璧に果たしているとも思いませんけれども、世に言われますように、完全に衆議院のリコピーになり下がっているとも私は思っておりません。党議拘束云々という意見もございますが、お互いに党員である以上はやむを得ない場合もあるいはございます。しかし、参議院の各党の議員の、この場にもいらっしゃいますが、それぞれその党の党議を決めるかなめになっていらっしゃることも多くあったと推察いたしております。
 今回の法改正によりまして参議院によりふさわしい人材が得られると、先ほど発議者の方は言い切っておられましたが、これを契機にいたしまして二院制の意義をより高めるようにお互いに努力したいものだと、こう思うわけでございますが、参議院改革協議会というものが長年にわたって努力されました。先ほどお話ございましたように、遠藤小委員会なるものができまして、各党の皆様方が長い間非常な御苦労をなさって一つの案ができたようでございますが、ちょうど私その当時はおりませんでしたので、後で伺いまして、ついに日の目を見ずに今日に至っているというふうに伺いまして遺憾なことだと思います。
 なぜそうなったかをいま問うわけではありませんけれども、今回の法改正を機会に、新しい人材を加えて、再度改革協議会のようなものの再出発を考えることについて社会党の発議者はどういうお考えを持っていらっしゃいますか、お聞きしたいと思います。
#358
○宮之原貞光君 先ほどのちまたの声の話は一つのまた御意見だと思って聞かせていただいているわけでありますが、またちまたの声の中には、任期六年は長過ぎるのじゃないかと、むしろ年齢とかいろいろなもので制限したらどうかという意見もあるわけでございまして、さまざまのこれはまた意見の分かれるところじゃないだろうかと思いまして拝聴させていただくわけでございますが、小林先生のおっしゃっていただいたところの問題は、先ほども私お答え申し上げたように、この選挙制度の改革だけではこれはだめなんです。どうしてもやっぱり機構改革の問題と両者文字どおり車の両輪のごとき立場でやってもらわなければ、私は率直に申し上げますけれども、参議院の二院制のあり方がいま国民から問われておりまするだけに、これはやっぱり見落としてはならないと思うのです。
 質問者に申し上げて申しわけないんですけれども、私どもの党を含めてほとんどの各野党は遠藤小委員会の結論に賛成だったんですよ。ところが、おたくの方で、これは新聞報道によりますと、どうも衆議院サイドからいろいろな問題がこれありということで都合が悪くなったみたいで、小林先生今度はまたカムバックしていただいたわけですから、これはやはりひとつ一緒になってやっていただきたいし、このことはきわめて重要なことだということだけは私は強調申し上げておきたいと思います。
#359
○小林国司君 次に、少々具体的な問題に入りたいと思いますが、まず自治省の方にお尋ねいたします。
 現在、全国区の供託金の額が二百万円ということに相なっておりますが、これはどういう基準で決めたものでしょうか。御説明をお願いいたします。
#360
○政府委員(大林勝臣君) 供託金の基準と申しますのは、昭和二十五年の公職選挙法以来それぞれの選挙の種類によって異にいたしておりますが、一番の基本は、従来から、供託金制度ができました衆議院の大正十四年の制度改正に伴う当時の二千円という基準を頭に置きまして、その後物価の上昇なりあるいは公営の費用分担の思想なりを加味いたしまして、まず衆議院の供託金の金額を決めた上で、昭和二十五年以来の各選挙におきます供託金の程度の差というものをそのまま大体踏襲をいたしまして決めております。
 したがって、昭和五十年改正におきまして供託金の金額をいろいろ御協議いただきましたときにも、大正十四年の衆議院の二千円の供託金を基準にいたしまして、昭和五十年時における衆議院の供託金の金額はどの程度でしかるべきであるか、こういう考え方に立ちまして、物価指数、公営の分担的な要素、そういうものを考えて衆議院においては百万円が適当であろう。しからば、従来から参議院の全国区は衆議院の倍という基準できておりますので、そういうことで二百万円という基準を出したものと承知しております。
#361
○小林国司君 社会党案は現行の二百万円の一・五倍にするというふうに述べておられますが、これはどういう根拠で出たものか。また、当選人数の二倍までは没収しないけれども、それ以上は没収するというふうになっておりますが、その考え方の根拠はどういうところから出たか、お尋ねしたいと思います。
#362
○宮之原貞光君 自民党案が四百万という二倍の値上げでございましたが、私どもはやはり立候補しやすいような条件とかを考えたり、あるいは若干の物価の上昇ということを考えれば、大体一・五倍から一・二倍前後が常識的な線じゃないだろうか、こう考えまして、法案の中には、参議院の場合一・五倍になるわけでありますが、地方選挙もあるわけでございますので、一・五倍から一・二倍までの間でいこう、こういうことで提示をしてあるわけでございます。
 なお、供託金の制度の設定というのは、もともといわゆる泡沫候補の排除と立候補の自由の確保との調整の兼ね合いという中からこの供託金というものがそもそも生まれたところの経緯を見ますれば、私どもといたしましては、今度は政党本位の選挙になるわけでございますから、いわゆる没収の線が、ちょうど自民党案のように当選者の二倍のところで線を引くのが大体妥当なところではないだろうか、こう考えたわけでございます。
#363
○小林国司君 そうしますと、政党あるいは政治団体の得票を有利にするために定数いっぱいに候補者を立てるということになりますと非常にたくさんの数になります。そうなりますと、従来は百名前後の候補者が全国区に名のりを上げてまいった経緯がございますが、それと比べて、非常に泡沫候補的な名前がたくさん出てくるということを避けるために没収規定の線が引かれたというように考えてよろしいのでしょうか。その辺はどうでしょうか。
#364
○宮之原貞光君 この供託金制度の問題は従来から公選法の中にもあるわけですから、この供託金の趣旨ということはこれはひとつも変わらないわけです。ただ、私どもが今度は全国区の場合を考えました場合には、この制度を設けることで、こういう線の引き方をすることによって、いま御指摘いただいたような事態が可能になってくるのではないだろうか。
 たとえば、先ほど中山先生からいろいろ御質問が出て、各五つの政党で五十名目いっぱい出せばそれで二百五十名ですねと、こういう計算があったわけでございますが、私のところの案にいたしましても自民党さんの案にいたしましても、現実の問題としてはそうならないと思うのです。各党やはり当選者の二倍を超えたら供託金を供出する、没収されるという仕組みですからね。そうすると、それぞれの政党は自分たちの大体の力量ということは算段できると思いますから、そのことを考慮いたしますから、どの党も五十名ということにはならないと私は思っております。
 同時にまた、この仕組みが、選挙公報やテレどのいろいろな問題にいたしましても、二十五名をもって限度の、頭打ちの仕組みをやっておるわけですから、こういうこと等も考慮いたしますれば、いわゆる従来以上に候補者がたくさん出て選択に困るのじゃないだろうかと、こういうことにはならなくなるのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#365
○小林国司君 次に、社会党案によりますと修正サン・ラグ方式というのを採用しておられます。自民党発議者の案はドント式でございます。それでお尋ねいたしたいことは、修正サン・ラグ方式という方式を採用している国と、その国の選挙制度の実態と、なぜ修正サン・ラグ方式を採用されるようになったかという点について御説明をお願いしたいと思います。
#366
○宮之原貞光君 主として比例代表制は西欧諸国でそれぞれ実施をされておるわけでございまして、いわゆる選挙人数を決定するところの方式もそれぞれ違うようでございますが、お尋ねのドント式を採用しておるところは西ドイツとベルギーの一部分で行われておる、このように私は理解をいたしておるわけでございます。
 ただ、なぜ修正サン・ラグに社会党はドントを切りかえるのか、こういう第二の質問でございますが、それはいろいろ理由があると思いますが、私はやはり現在の参議院におきますところのそれぞれの政党あるいは会派の現実を直視した場合、特に大きな政党だけじゃなくていわゆる小政党といわれる、あるいはまたいろいろな会派が実際に活動をされてそれぞれ大きな役割りを果たしておるという現実を考えれば、その少数会派の立場ということもこの場合には尊重する必要があるのではないだろうか、こう考えました。
 これはいろいろ意見のあるところでございますが、率直に申し上げてこの自民党のドント式よりは修正サン・ラグ式の方が、いま申し上げたところのいろいろな過去の実績をずっと試算をいたしましても、若干小会派にプラスをされていくというこの実態を踏まえてみますれば、やはり参議院制度のあり方、あるいはいろいろなところから考えればより妥当じゃないかと。したがって、その点がやはり自民党さんもそれは大政党だと言って固執されるかもしれませんけれども、そこのところはぎりぎりのところでこの修正サン・ラグという方式に譲っていただいて、よりよくやはりいろいろさまざまの意見が反映できるような仕組みの方がいいのではないだろうか、私どもはこう思って出したわけなんです。
 よくこの問題と関連して言われるのは、出したものが党利党略なのかと、こう言われますと、実は試算をいたしますと、わが社会党も自民党さん案のようにドントの方がいいんですよ。しかし、私どもがあえてそれをとらなかったという、そこのところをやはり皆さんは理解をしていただかなければ困ると思うのです。
#367
○小林国司君 いまここで、限られた時間の中で修正サン・ラグがいいのかドントがいいのか、あるいはその他の方式がいいのか論議する時間がございませんので、ただいまの宮之原提案者の御意見を尊重して承っておきます。
 一つお伺いしたいと思いますことは、日本には昔から案分比例という言葉がございます。それで、各政党、政治団体が全国で得票された票を集計して、単純案分比例によって各党に比例配分したらなぜいけないのか、この点は御検討をなさったことがございますか。
#368
○宮之原貞光君 お答え申し上げる前に、先ほど一つ落としてありましたから。修正サン・ラグをやっておるところの国はデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、こういう国々の中でこれは大体とられておるというふうに私は理解をいたしておりますことをここに付加しておきたいと思います。
 ただいまの質問ですが、確かに単純比例の方式がもうそのものずばりで国民にわかりよいじゃないか、こういう主張があります。しかしこれは、いわゆる政党別に有効投票を分けていく場合ですから、残余議席の配分で小数点以下の端数の合理的な処理が非常にむずかしくなるのです。何点何というところまでいきますからね。そうすると、小数点以前のところまではぱっぱっと切れますけれども、ぎりぎりのところにいきますと、この小数点以下が上げるのか下げるのかとなってまいりますと、率直に申し上げてこの単純比例方式ではその処理ができないという欠陥があるのですよ。
 したがって、私どもといたしましては、このことを考えるならば、いろいろな考え方がありますけれどもこの修正サン・ラグの方がより処理の仕方としてはいいのではないだろうか、こう考えまして、あえて単純比例法ということを考えなかったわけでございます。
#369
○小林国司君 時間がございませんのではしょってまいります。
 議員に欠員を生じた場合、社会党案では欠員補充をどういうふうになさる規定に相なっておりますか。
#370
○宮之原貞光君 これは先ほど青島先生でございましたか、それぞれ自民党案に質問があったものと、それぞれ発議者からお答えいただいたわけでございますが、全くそれと同様でございます。
#371
○小林国司君 自民党の案では六年間有効だというふうに先ほど説明がございましたが、社会党案は六年間有効じゃないのじゃないですか。
#372
○宮之原貞光君 自民党案と全く同じですよ。
#373
○小林国司君 わかりました。じゃ自民党案と全く同じですね、欠員補充の場合。
#374
○宮之原貞光君 その点は同じです。
#375
○小林国司君 次に、今度の改正案によりますと、個人本位の選挙制度から政党本位の政治活動と申しますか選挙活動に移るわけでございますから、たとえば各政党の政見放送なりあるいは党首会談なり書記長、幹事長クラスの会談なり、こういうものを頻繁にテレビ等で放映することによって、有権者が政党を選びやすいようにするということが大事ではなかろうかと思います。しかし、現在考えておられます法案の中には具体的にそういうことがうたわれておりませんので、願わくば制度の中に、もっと重点的に各政党というものを有権者によくわかってもらうという機会を制度化するようなことはいかがなものであろうかと、こう思うわけでございますが、この点についてどうお考えでございますか。
#376
○宮之原貞光君 御指摘をいただきましたいわゆるそれぞれの政党の政策なりあり方について、国民に常日ごろ十分理解をしていただくための手はずをいろいろ講ずるということはきわめて私どもも重要だと思いますし、また先般の参考人の御意見の中にもそういう御指摘があったことを私記憶いたしておるわけでございますが、ただ問題は、それを制度として義務づけることがいいのかどうか、いわゆる行政指導の中でこれをやはり強化していくなり、あるいはマスコミ関係者のそれぞれの皆さんに協力をしていただくと、こういうやり方の方がやはりよりよいのではないだろうかと、こう考えまして、制度化という問題はあえて考えなかった次第でございます。
#377
○小林国司君 お尋ねしたいことがかなり残っておりますが、時間がございませんので最後に一つだけお尋ね申し上げます。
 いままでは個人本位の選挙でございました。政党に対する関心が薄い、あるいは政党離れ、無関心層がそこからふえてきたというふうに思えなくもないわけでございます。先進諸国に比べまして政党政治に対する認識と関心の薄さは多分に個人本位の選挙制度に原因があったのではないかというふうにおっしゃっておられる学者の方もございます。
 今回の改正案は、政党、政治団体の提出した登載名簿に対して党に投票するわけではございますが、従来の個人本位の投票と違いまして、国民の政治に対する各政党への評価が票の上にあらわれることになるわけでございます。したがって、選挙期間中のわずかな期間だけ制限をしたり、あるいは社会党案の中ではがきなりポスターなり事務所なり自動車なりのいろいろ規定がございますが、現在確認団体に認められておりますそのほかに、政党、政治団体のいわゆる選挙活動として別に枠を広げてお考えなさっているようでございますが、私はこのことについていささか疑問がございます。
 それは、選挙期間中だけ、わずか二十日間かそこらいろいろな物量を投入しても、それで有権者、国民の気持ちというものは私は動かないと思います。なぜかと申しますれば、この改正案というのは、政党に対する評価というものを常日ごろ国民あるいは有権者がどのように持っておるかということにかかっておるわけでございまして、二十日間のわずかな選挙期間中に右や左に揺れ動くものとは私は思いません。
#378
○委員長(上田稔君) 小林君、時間ですから短くお願いいたします。
#379
○小林国司君 したがって、改正案はどの党に有利あるいは不利に作用する制度だということは決して言えないのではないかと思います。常に襟を正しながら、政党の政策を根気よく国民に理解を求める努力を続ける政党にこそ有利に働くものと私は判断をいたします。
 発議者の御感想をお願いいたしまして、質問を終わります。
#380
○宮之原貞光君 小林先生の御指摘のように、選挙になってから幾ら政党の宣伝いろいろなものをやったって効果がないということはそのとおりだと思うのです。それだけにやはりそれぞれの政党の日常の政治活動、このことはきわめて重要になってまいりましょうし、あるいはまた、この参議院の場合に政党本位の選挙になりますだけに、政党の政治姿勢というものが常にやはり国民の目にさらされていくわけですから、私はそういう意味では政党自体の自浄作用ということも、これは当然伴っていくところのやはり一つの転機になるのではないだろうかと思います。
 こういうふうに考えまして、この問題を長期的に見れば、日本のいわゆる議会制民主主義のもとにおけるところの政党の近代化と申しますか、民主化の上にきわめて重要な役割りを今後果たしていくのではないだろうか。私どもはこういう長期展望に立ちながら、わが党としてこれらの問題についてやはりよしやるべきだと、こういう結論になっておるわけでございます。決して目算に、現実にこうあるからこうじゃないかという論議じゃなくて、将来の日本の民主政治におけるところの政党の役割りを考え、その政党のあるべき姿を考えてみた場合に、常に政党の姿勢が国民の前に問われていく、こういうような中からこそ私は政党はみずからも姿勢を正していくことになっていくのではないだろうか、こういうような立場に立って考えておるという点だけを申し上げておきたいと思います。
#381
○委員長(上田稔君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
 次回は来る六日午後一時から公聴会を開会いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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