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1949/05/01 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 労働委員会 第11号
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1949/05/01 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 労働委員会 第11号

#1
第007回国会 労働委員会 第11号
昭和二十五年五月一日(月曜日)
   午後四時五十三分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
四月二十五日委員小杉イ子君及び藤井
丙午君辞任につき、その補欠として川
上嘉市君及び高良とみ君を議長におい
て指名した。
五月一日委員田方進君及び川上嘉市君
辞任につき、その補欠として門屋盛一
君及び佐伯卯四郎君を議長において指
名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○政府に対する不正手段による支拂請
 求の防止等に関する法律を廃止する
 法律案(内閣提出・衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(原虎一君) それでは只今から労働委員会を開きます。
 去る四月三十日衆議院より送付されまして本付託になりました政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律を廃止する法律案を議題といたします。本法案の提案理由につきまして先ず労働大臣の説明を求めます。
#3
○国務大臣(鈴木正文君) 只今議題となりました政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律を廃止する法律案の提案理由を御説明いたします。
 昭和二十二年九月十二日附連合国最高司令官から日本政府宛政府支出の削減に関する覚書が発せられたのに伴いまして、適正なる価格及び賃金によつて政府支拂を行い、支出の削減を図るため「政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律」が制定されたことは御承知の通りであります。
 政府は、その後二年余に亘り、この法律の実施に当つて参つたのでありますが、統制額を超えない価格等による計算を主な方法として規定するこの法胤は、最近の相次ぐ統制額を撤廃による漸次その存在の基礎を失つて参つたのでありますが、これは、一面この法律の存在を必要としなくなつたということを意味するものであります。他面この法律制定の根拠となりました覚書を廃止する旨の覚書第二〇七一号が連合国最高司令官から一月四日附で発せられましたので、政府におきましては、最近における価格統制の緩和その他諸般の情勢を考慮し、この法律を廃止しようとする次第であります。
 併しながら、この法律の適用を受けておりました政府直傭の連合国軍関係労働者及び公共事業関係労働者に対しましては、一般職種別賃金を支拂う必要があります。又従来この法律の中に含まれていました国等を相手方とする契約に基く工事の完成、物の生産、役務の提供等に関係ある労働者に対し一般職種別賃金を支拂うという原則は昨年七月「公契約における労働條項に関する條約」として第三十二回国際労働会議において採択され、我が国におきましても、その原則を別個の法律として制定すべき時期に来ているものと考慮されるので、この法律廃止に当つてその旨を明らかにすることが適当であると考えられるのであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことを希望いたします。
#4
○委員長(原虎一君) 只今の労働大臣の説明に対して御質問はございませんか。
#5
○山田節男君 今労働大臣から本法案に対する提案の理由の御説明があつたわけでありますが、実はこの法案ができる前に、これは確か一月にスキャッピンが出たようでありました。このスキャッピンが出ました後に、これは労働大臣御自身に私お話を申上げたことがあるし、又尚田官房長官にも御意見を聞き、又経過を聞いたのでありますが、何でも次官会議、それから閣議をも通つた、即ち一般職種別賃金に関する法律というものを本国会に提出するというように私聞いておつたのでありますが、今日こういつたように法案が出されましたことを実は意外に思つておるのですが、できれば労働大臣からこういう事態になつた経過について、一つ御説明を願いたい。
#6
○国務大臣(鈴木正文君) 山田さんの大体御指摘になりましたような経過でありました、山田さんその他を通じて、私はプリベエリング・ウエージについての御注文を受け、それから極力残すように努力いたしましようということもお答え申上げて来たのであります。それからその方式は独立の特別の法律を作るという方式を、政府部内といたしましては決定し、それによつて十数ケ條に亘る繁案というものはできておつたのでございます。これはちよつと速記を止めて下さい。
#7
○委員長(原虎一君) ちよつと速記を止めて。
   〔速記中止〕
#8
○委員長(原虎一君) 速記を始めて。
#9
○山田節男君 次にこの法案の後半に、「国等を相手方とする契約における條項のうち労働條件に係るものを定めることを目的とする法律が制定施行される日の前日まで、」という條項がございますので、これは新らしく法律が制定されることを予想されておるものと解釈しますが、そうしますと今最初の大臣の御説明から、成るべく早くこれを法制化、單独法制化する必要があるということもお認めになつておるように解しますが、そうすると一体この單独法を作る時期、或いは若しできればプリベエリング・ウエージですね、法律に対する内容の主眼点でもよろしうございますから一つ具体的に承わりたい。
#10
○国務大臣(鈴木正文君) 時期は、著しい情勢の変化がない限り次の国会に提出いたしたいと考えております。内容等の大体については当該の局長から御説明いたさせます。
#11
○政府委員(寺本広作君) 著しい支障のなり限り次期国会に提出されることを予定されております。法案の内容は未だ具体的に固まつたわけではございませんが、大凡の内容として政府で定めております方針は、昨年一九四九年の第三十二回国際労働会議で採択されました「公契約における労働條項に関する條約」、それからアメリカで行われております公疾約法などに一応型をとりまして準備をいたしまして、大体政府と契約を結ぶもの、政府の工事を請負つたり、政府に物品を提供したり、役務を掲供したりする場合の契約には、労働時間、休憩、休日、安全、衞生等について定められております既存の法令はこれを遵守するということを契約に例記すること、それから同じくその契約の中で、少くとも同種の職業に従事する者に一般的に支拂われておる賃金は、これを公契約、政府を相手方とする契約に傭われる労働者、その事業に傭われる労働者にもこれを拂うということを契約の中に確約させる。そうして以上のような契約で確約したことが守られない場合、その違反者に鉄しては契約の取消であるとか、主務大臣からの要求によつて一定期間の間政府の契約、政府を相手方とする契約に参加する資格を停止するとか、一般に拂われておる賃金以下の賃金を拂つた場合、その差額乃至は不拂賃金といつたようなものは、主務大臣の要求によつて政府が契約代金の支拂額の中から留保して、主務大臣の要求によつて直接労働者に支拂うというような、民事罰的な制裁を考えるというようなことが、現在政府部内でまとまつておる法案の大凡の骨子でございます。
#12
○山田節男君 この内容についての準拠法がアメリカの公契約法、一九四九年の国際労働会議で採択された公契約、これは了承するのでありますが、これはいずれ具体的になして貰うことにしまして……これは御承知のように連合軍の求めによつてやつておる労働者の中で、この法案に適用されるものは、いわゆる直傭と申します者、それから政府の公共事業に従事する者、御承知のように連合軍の中には、プロキユアメント・デマンド即ちPDと申しまして、政府契約で請負業者が或る一定の仕事を引受けまして、その下に使用されておるという者が可なりの数あるわけであります。従来これに対しましては、法律百七十一号、この今日廃止される法律が適用されておつたわけであります。若しこれが今度はこの法律によつていわゆるPD関係の者は適用されないということになりますと、今日の、何と言いますか、殊に政府の労働賃金政策等から見るというと、PD従業員というものは、賃金の切下げが起るのじやないかということが、これは可なり大きく予想せられるのでありますが、政府はこのPD、即ち政府契約による請負業者の下で使用されておる労働者に対しての賃金の、現在額の保障というものに対してはどういうような工合に対策を立てようとするか、そのことについて具体的に意見を承わりたいと思います。
#13
○政府委員(寺本広作君) 連合軍関係の労働者の中で、労働需要、LRに基いて雇傭される者については、次の法律ができますまで、現在の通り行われるということは只今御指摘の通りであります。PD関係の調達命令の基く工事に雇われます労働者に対して、現在の法律が廃止される後、新らしい立法ができますまでの間ギヤップができる。その間の賃金政策をどうするかというお話でございますが、現在の法律がそのまま残りましても、現在の法律は賃金の最高限を押えるという法律で、こPD関係の者につきましては、賃金の最高額を押えるという法制の集組になつておりますので、現在の法律は廃止されますから、特にそのために賃金が切下げられるということはなかろうかと思います。ただ従来最高限を押えるということの結果、事実上一般職種別賃金に相当近いものが拂われておつたのではなかろうかと考えますが、これも政府のPD関係の契約その他の関係で、急激な変化がない限りは事実上の作用としてもそう急に変らないのではなかろうかと考えております。
#14
○山田節男君 今のPD関係ですが、これは今寺本局長が言われたように、成る程最高限度の、いわゆる最高標準を示してあるものでありますが、それだけに只今の経済情勢から見て、このPD従業員の賃金の切下げられる可能性が非常に強いのじやないかと思うのであります。これに対する見解は今聽きましたが、何かこれに対する下げないという保障に対する政府の具体的な一つ御説明をお聞きしたいのであります。
#15
○政府委員(寺本広作君) PD関係のは現在もう政府が直接拂つておるわけではございません。PD関係の賃金は、そのPD関係の仕事に雇われております労働組合とPDの工事を請負つております使用者との間の脇約、取決め、それで決つておるものと考えます。ただそれが今度の竜律の廃止によつて大きく影響を受けはしないだろうかという御懸念のようでございますが、この点は今度の法律の廃止に当つて近くそういうPD関係の工事に顧われる労働者の賃金の保障を含む法律ができると、立法ぎ予約されております関係もございますので、この法律の廃止から来り事実上の影響は相当程度に防止できるのではなかろうかと、そういうふうに考えております。
#16
○委員長(原虎一君) 他に御質問はございませんか。
#17
○山田節男君 甚だ私ばかり質問して……もう最後の質問ですが、今問題になつておる法律案の提案理由の説明において、大臣が申述べられたことについて了承するのでありますが、まあこの法律案の趣旨から考えますと、やはり政府契約による請負業者の下で叔傭されておる労働者、特にまあ厖大な終戰処理費によつて賄われておる、今申上げたPD関係の労働者に対しても、この法律案の但壽による新らしい法律が制利されるまでの間は、当然現行のPW、即ち一般職種別賃金を適用すべきであるように考えますが、この点本法案の附則に規定されるような御意思があるかどうか、これを一つ確かめたいと思うのであります。
#18
○政府委員(寺本広作君) PD関係の工事に雇われております労働者の賃金は現在でも御承知の通り規制されておらないわけであります。ただ政府に対する請求書にそういうプリベエリング・ウエージを使つて工事費の請求をするという関係でございますので、若しPD関係の工事に雇われております労働者の賃金をプリベエリング・ウエージそのものによるというふうに、現在工事関係者と政府との間の支拂請求の手続関係の法律を、工事関係者と労働者の間の賃金関係に置き替えるということになりますと、新たな立法になりますので、やはり次の機会まで待つた方がいいのじやないかと思います。従来の法律に含まれていないものも入れることになりますので、暫定的な措置としては、やはり現在御審議願つております政府案の方がいいのじやなかろうか、政府といたしましては、今の法律の中に入つておりますものを切換えまして、工事関係者と労働者の間の賃金問題を、この廃止法の附則に入れるということは少し無理ではなかろうか、かように考えております。
#19
○委員長(原虎一君) 他の御質問もないようでありますから、質疑はこれで終局したものといたしまして御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(原虎一君) 御異議ないものと認めます。これから討論に入りますが、御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います……別に御意見ございませんか。
#21
○田村文吉君 賛成いたします。
#22
○委員長(原虎一君) 田村委員から御賛成がありましたが、他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○委員長(原虎一君) 御異議ないものと認めます。それでは政府に対する不正手段による支拂請求の防止等に関する法律を廃止する法律案の採決を行います。本法案を原案通り可決することに御請成の方は御挙手を願います。
   〔総員挙手〕
#24
○委員長(原虎一君) 全員一致でございます。全員一致本法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 尚本会議におきまする委員長の報告の内容等につきましては、すべて先例に従つて行うことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○委員長(原虎一君) 御異議ないものと認めます。尚参議院規則第七十二條により多数意見者の署名をお願いいたしたいと思います囲本法案を可とされた方は順次御署名を願います。
  対数意見者署名
    門屋 盛一  鈴木 清一
    村尾 重雄  寺尾  豊
    田村 文吉  佐伯卯四郎
    山田 節男
#26
○委員長(原虎一君) 御署名漏れはございませんか……御署名漏れはないと認めます。
  ―――――――――――――
#27
○委員長(原虎一君) 次にお諮りいたしますが、一般労働事情調査について前回から継続調査をいたしておりましたが、今回は先般御決定を願いました公労法の調査を継続いたしてやることになつていますので、一般労働事情の調査の継続調査というものは未了にしてやらないことにいたしたいと思いますが、御異議ございませんどしようか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(原虎一君) 御異議ないものと認めます。
 それでは本日はこれで散会いたします。
   午後五時十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     原  虎一君
   委員
           山田 節男君
           村尾 重雄君
           寺尾  豊君
           門屋 盛一君
           田村 文吉君
           佐伯卯四郎君
           鈴木 清一君
  国務大臣
   労 働 大 臣 鈴木 正文君
  政府委員
   労働基準監督官
   (労働基準局
   長)      寺本 広作君
ソース: 国立国会図書館
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