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1947/11/01 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第12号
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1947/11/01 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 治安及び地方制度委員会 第12号

#1
第001回国会 治安及び地方制度委員会 第12号
  付託事件
○地方分権の確立に関する陳情(第二
 十三号)
○経済緊急対策中、料理飮食店の措置
 に関する陳情(第二十九号)
○料理飮食店の措置に関する陳情(第
 三十五号)
○料理飮食店の休業に伴う藝妓営業に
 対する措置に関する陳情(第三十七
 号)
○地方自治連盟の即時解散に関する陳
 情(第三十九号)
○地方分権の確立に関する陳情(第五
 十四号)
○特別市制実現に関する陳情(第百十
 三号)
○地方公共團体職員の給與に関する陳
 情(第百三十二号)
○地方公共團体職員の暫定加給國庫補
 助その他に関する陳情(第百三十五
 号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 百三十七号)
○特別市制実現に関する陳情(第百五
 十四号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 百五十七号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 百六十五号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 百八十号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 百八十六号)
○特別市制実現に関する陳情(第百八
 十九号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 百九十四号)
○特別市制実現に関する陳情(第百九
 十六号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 二百十六号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 二百十七号)
○兵庫縣武庫郡の取扱いを都市同様と
 することに関する請願(第百二十八
 号)
○特別市制実現に関する陳情(第二百
 二十五号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 二百二十九号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 二百三十号)
○特別市制実現に関する陳情(第二百
 四十号)
○地方公共團体職員の給與に関する陳
 情(第二百四十二号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 二百四十六号)
○特別市制実現に関する陳情(第二百
 五十号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 二百五十三号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 二百五十七号)
○特別市制実現に関する陳情(第二百
 五十八号)
○特別市制実現に関する陳情(第二百
 五十九号)
○特別市制実現に関する陳情(第二百
 七十二号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 二百七十七号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 二百七十八号)
○特別市制実現に関する陳情(第二百
 七十九号)
○特別市制施行反対その他に関する陳
 情(第二百八十一号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 二百八十六号)
○地方官公廳職員待遇改善費國庫補助
 に関する陳情(第二百九十号)
○特別市制実現に関する陳情(第二百
 九十三号)
○特別市制実現に関する陳情(第二百
 九十七号)
○地方税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○地方自治法の一部を改正することに
 関する陳情(第三百八号)
○特別市制実現に関する陳情(第三百
 十六号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 三百四十一号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 三百六十六号)
○特別市制実現に関する陳情(第三百
 七十三号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 三百七十四号)
○町内、部落会廃止後の措置に関する
 陳情(第三百八十六号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 三百九十六号)
○地方自治法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 四百十一号)
○料理飮食店営業即時開業等に関する
 陳情(第四百六十四号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 三百七十三号)
○地方分與税の追加分與増額その他に
 関する陳情(第四百九十四号)
○警察行政権の市長委讓に関する陳情
 (第四百九十八号)
○特別市制施行反対に関する陳情(第
 五百十四号)
○特別市制実現に関する陳情(第五百
 十五号)
○派遣議員の報告
  ―――――――――――――
昭和二十二年十一月一日(土曜日)
   午前十一時三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○派遣議員の報告
○地方自治法の一部を改正する法律案
  ―――――――――――――
#2
○委員長(吉川末次郎君) それではこれより委員会を開会いたします。
 先般地方出先機関の問題につきまして調査に宮城縣及び栃木縣、並びに他の一班は北陸の石川縣及び福井縣へ委員の方の中から調査に行つて頂いたのでありますが、今日は北陸の方へ廻られました委員の方の御出席がないようでありまするから、宮城縣及び栃木縣へ御出張願いました議員團の方々からその調査報告をお願いいたしたいと存じます。岡田委員にお願いいたします。
#3
○岡田喜久治君 先般、小委員といたしまして現地視察の委嘱を蒙りました柏木、村尾両君及び私、三名の者が東北地方に参りまして、宮城縣及び栃木縣の両縣下につきまして、視察の用命を果して参つたのであります。つきましてはその実情の概略と又所感の一端を加えまして御報告をいたしたいと思います。出先機関の問題は、御承知の通り各地方廳とも熱心にこれを主張して参つておるのでありまするから、私共現地に参りましたにつきましては、いずれも地方廳当局から非常な熱心な熱烈な意見の陳述がありました。すべて御承知の通りこれ皆地方行政の綜合的機能を阻害すること著しいものでありつてどうかしてこの終戰後に續発した各種機関を整理、縮小、廃止、それぞれ適宜の処置を講じて、これが対策を講じて貰いたいということについて、樣々な陳情や理由を述べられまして、私共に対しまして、いろいろ参考となるべき筋合を話して下すつたのであります。又出先機関そのものについて視察を遂げたのでありまするが、これは種々の役所がありまして、少くとも十二、三ヶ所でありますか、或いは宮城縣の如きは十七、八ヶ所、かくの如く多数の終戰直後以來の設置機関がありまするので、これらの全部を見るというわけに参りませず、限られた日程におきまして取敢ず代表的と思いますものをいずれも五、六ヶ所以上に亙つて実地見聞をいたしました。これらの機関におきましては、これまたそれぞれ所属の事務につきまして、その内容を語つて聽かせて頂いたと同時に、又或意味においては設置の必要と申しましようか、立場々々におけるそれぞれの理由を語られた向きもあります。併し又遠慮勝ちでありまして、出先機関のことでありますために、こういう設置事情の理由等について、深い話がなかつたところもあります。又強い主張を述べたところもあります。様々でありまして、その間おのずから私共としましては視察観察の用命を遂げるべく種々おのおの、交し質問を発しまして、意見を徴したのであります。何分多岐に亙つておることでありますため、これを一々申上げることは容易でなく且又必要でもなかろうと思いますために、それを綜合いたしまして、概略の観察の要点を申上げるということに止めたいと思います。これまた私どもの單なる視察でありますために、もとより事の良否について意見がましいことを申上げるわけにも行かず、又それぞれの機会も到底得なかつたのであります。且又私共三人でありますために、三人の間においてもとより相当見るところの感想も違つておりましようが、これを改めて練り合せて意見の一致をさせるというような機会もなく、又必要もないかと思いまするため、大体私の見るところを申上げて、又他の両君から必要に應じてお話もあろうかと思いますが、いわば代表とは申しませんが、代つて私がその所感を申上げるということにいたしたいと思いまするので、御了承願つて置きたいと思います。つまり要約して申しますれば、縣廰側におきまする意見の大要は、先に申しました通り、自治行政の綜合的立場を非常に阻害するのである。抽象的に申せば、これが主要な点であります。事務が各廰に分割せられまして、又民間においても非常にこれが申請とか陳情とか処理とかいうことについて各廰々々に亙つていたさねばなりませんがために、いわば一つの事務が分断せられたというために、大変にこれは民間も迷いを起しておる場合もありましようし、又余計な手数を要するというようなことも起り、出先機関の濫設のために、頗る民間に迷いを起させておる。こういう点もある。或いは又出先機関というものが、中央廰の直接の機関であるという立場、殊にその職員が官吏であり、地方廰の職員は吏員であるというようなことからして、職員間にも、何と申しましようか、一つの優越感のような感じを抱かせまして、或いは同一廰舍の中におりまがら、或いは同一場所におりながら、かような感想を持たしめるような実情にあることが、非常に困るというような点を指摘せられております。或いは又俄かにかくの如く十数箇所に亙つての出先廰というものが急遽現われて参りましたために、如何にも民間から見れば、これがために政費節約の際に、大変に冗費又は冗員を多からしめまして、徒らに余計な経費をかけておるかの如き感を抱かしめ、建物の如きにおきましても、それぞれ独立の借家をするとか、廰舍を建てるとか、誠に民間においてもこの点においては、頗る異様な感を抱かしめておりますし、事実これがために余程の政費を必要としておるのではないかという点も指摘せられております。甚だしきはこれらの廰舍を、寄附物件を強要はいたしませんが、これも誘発いたしまして、少くとも地方に迷惑を來さしめることもないではない。如何にもありそうなことでありまして、一面の観察として十分に聞くに足るべきところの意見ではなかつたかかように思われるのであります。かようにそれぞれの理由をいろいろと指摘せられるのでありまして首肯すべき点が少くないのであります。他方又出先廰におきましては、これはどうも事務の性質によりまして、それぞれ理由を異にしておるのでありますが、いずれも事務の敏活を期するとか、或いは直流直系的に事を処理するということにおいて、大変に事務の簡捷を図り得るものであるとかというような理由を述べる者が少くないのであります。殊に明かに言う者と言わざる者とがありますが、出先機関のその立場の人から申しますれば、一斎一様に申しますことは、地方廰におきまして、今日の時局統制に関する諸般の事務を処理するということは、事実において非常に情実の弊に囚われ勝ちであつて、公正なる処置手段をとるということは、余程困難ではなかろうか。これあるがために、出先機関というものは、大体においてその設置を認めるのであると考えておりますし、その精神を以て自分共は、とにかく努めて地方的情実、地方的情弊にかかわらずして、そうして中央直系の立場において、公平にして敏活なる処理、手段をとり、又中央との連絡、打合せ方針の一貫を期しまして、そうしてこれをやるということを努めておるのであるということを、しきりに強調せられております。かようなことは言いようであり語りようでありますから、如何にも観念論としては、聞くべき意見であろうと思いますし、大いに注意すべき点であろうと思います。
 併し帰するところ、一様に語るところの内意は、地方廰においては、殊に知事公選以來、地方廰の立場というものが、ともすれば地方、情弊に迎合するとか、或いは又真意を迎えるに急であつて、往々にして処置手段が、いろいろあるまじき弊害を起し勝ちでなかろうか。畢竟するに、地方廰を信用しないと申しましようか、地方廰の公廰たる立場について、尚且今のような地方廰の立場上の関係からして、諸般の情弊に陥り勝ちである、これを救済しこの弊害を脱却せんがために、中央機関の設置が必要ではないかということを、言葉を重ねて申しておる向が少くないのであります。これらについて、いろいろ具体的の事何を挙げてお話 すればいいのかも知れませんが、申上げました通り、煩わしいことでありますし、又御了察のあるところであると思いまするから、私は極めて概略を申上げるに止めておきたいと思うのであります。
 そこで進みまして、然らばこれに対する我々の所感はどうであるかということについての観察の要領を申上げてみますが、畢竟するに、私共の感じますことは、かねて考えました通り、先ず第一に、何を申しましても、あまりにひどい濫設であるということは、現地において明かに見受けられたのであります。とにかくここ一年か一年半足らずの間に、縣廰所在地とは申しながら、一縣下に十数箇所、十七、八箇所、かように多くの出先機関が續々として現われたということは何を意味するのであるか。如何に戰後におけるところの統制急なるものがあつて、諸般の法規執行の上から止むを得ない事情があるかは知りませんが、何と申しましても、これではどうも事容易ではない。非常にこれは数の多いものである。これはその地方に居住する民間の者から見ましても、地方廰の立場から申しましても、これでは同じ政府におけるところの執行事務あまりに混乱分流せられておるということは、これは察するに難くないのでありまして、要するに出先機関調整の要、若しくは廃止整理の必要ということは、確かに極めて緊切なものであるということを、先ず以て痛感せざるを得なかつた次第であります。
 然らば、どれらの廰がどうであるかということについては、これはいろいろとそれぞれの理由があることで、なかなか單純に私は参らんということを痛感いたしました。今第一に申上げた通り、少くとも濫設であるということは確かであります。併し各廰についてその一々について、どれをどう整理するか廃止するかということについては、なかなかこれまた簡單に予断を許さんのであります。やはり、よつて生れるだけの理由は相当あるような感ずる点が少くないのであります。そうではあるが、併し一々調べて見ますればいずれも又相当に適当にこれは整理し若しくは廃止する余地も少くない。この感も少くないのであります。これは目下内閣におきましても、これに関する調査局を設け、これが整理の具体案を得べく考究中であることは、御承知の通りでありするが、どうなりまするか。政府からどういう提案があるか。いずれにしましても、これを受けて、私共の参議院の立場としても、適当に更に調査考究をせねばならんことでありまするが、その際において、各個各様の意見を、更に立ち入つて調査の結果ならずは、容易に一々これが良否について、私共が所感としてここに申上げることは、却て事を迷わす所以でありますから、その点まであまり立ち入らずに、概略についてのただ感想的意見を申上げるだけに止めておきますが、如何にも屋上屋を重ねるが如き感があり、事務の分断甚だしくして、適当にこれを整理しまして、地方廰に委讓するとか移管するとかというような処置を以て足るべき筈であるというように思われる主な場所を申しますならば、御承知でもありましようが第一に戰災復興院の建築事務所と申しましようか、これは殆ど異論のないところであるようでありまして、殆どこれは地方廰に統合すべきものであつて、形式は如何になろうか、或いは委讓になろうか、それぞれ又手段がありましようが、いずれにしましても、独立の廰をおいて、中央直系の官廰をおく必要はどうもないということが、今日はこれは殆ど定説であるように見受けます。如何にも事柄を視察いたしましても、大体それでよろしいじやないか。或いは次には内務省の國土局の駐在官と申しましようか。或いは又大藏省の財務局地方部に関する仕事の一部、かのようなものも同様の事情にありはせんか。更に又運輸省に属するところの自動車事務所、これはなかなか事情があるようであります。これを置けば置いただけの價値があり、理由があり、便宜の点から申しますれば、一方的に見れば相当のこれは効用もないでもないということであります。しかし又他方を顧みて見ますと、これがために同じ事務を更に分離分割いたしまして、例えば自動車の檢査事務の如きは、依然としてやはり地方廰がやらざるを得ない。警察取締りに属するところの仕事運轉手に関する取締りとか、監督とかすべてこれ又地方廰によつてやらなければならない。帰するところ運輸上の見地からして運輸省側との連絡を密にしまして、運輸処理に関する統合的計画を立てるというような点については効用なきにしもあらずでありましようが、しかし尚その点を調べて見ますると、必ずしも独立の廰を置くという必要もなかりそうに思いますので、よろしくこれも大いに研究の上、或いは整理統合著しくは廃止すべきものではないかという感を深くするわけであります。更に又農林省に属するところの木炭事務所というものが、いつも問題になつておりますようであります。これは相当まだまだ研究の必要があります。ちよつと考えて見ますと如何にもこれはどうも同じく、無用の長物というと言葉が過ぎるかも知れませんが少くともこれの効用を発揮しておりません。これはなかなか仕事自体が実は非常に混乱しておりまして、御承知の通り木炭事務に関しましては、頗る疑われるどうも幾多の事務の澁滞を見つつあることは事実であります。しかしてこれがために置かれておる事務所そのものもこれあるがために可なりどうも如何なる機能を発揮しておるか、如何なる効果を挙げておるかということについては、疑われる点が多々ある。事実どうも十分な機能を発揮しておりません点が多々ある。これは事務本來の処置がよろしきを得ないがためにそうであるかも知れません。更には又、しかしながら木炭事務所そのものを独存するために地方廰との摩擦を非常に多からしめておるようであります。地方廰はこれがために分担事務について熱意を失つておる。或いは混乱を來しておる。手を下すこともできない。さればとて木炭事務所そのものが十分な組織、機能を持つて木炭処理に関する事務を十分に解決をすることもでき得ないというようなわけでありまして、如何にもこれは以上申上げた点において、非常にこれは少くとも整理、考究を要すべきものである。或いは木炭事務の統制そのもののやりよう如何によつてのことでありまするが、むしろこの事務所は廃止いたしまして、地方廰に統合するというやり方でもやれんことはなかりそうに思います。要するにこれは十分研究する價値のある問題であり、必要である。この帰結に対しましても、御同様にこれは大いて注意を拂つて然るべきもんじやないかという感がいたします。又文部省に属する教育施設局の出張所と申しましようか、これらの如きものは、何と申しましても尚その存置の必要を解釋するに苦しむのでありまして、当然これは整理に属するものではないかというようなことも考えます。更に又相当、これ又簡單には申せません問題でありまするが、重要なる問題として考えられますものは、御承知の通り安本に属するところの地方経済安定局と申しましようか、並びに又物價局、かような廰であります。或いは又農林省に属するところの農作物報告事務所もありまするが、その外物資調整局と申しましようか、この物資調整局及びこの安本の経済安定局、この両個の問題は、いずれも極めて重要性あるところの問題であります。皆これらは時局下の急に應じまして設置されたものでありまして、今日の統制方針の下においては、或いはかくの如き直接廰を置いて、十分國務の敏活なる処理執行をせしむることも必要多々あるでありましよう。併しながら又、これも独立廰を置かしむるがよろしいか、或いはこれらの事務を断然地方廰に移管せしめまして、地方廰をして行わしめるのがよろしいか、この点については、又十分の研究の價値ある問題で、これが適否に関する判断を得べく、随分お互に苦慮して質疑應答をいたして見たのでありますが、しかしながら事の重要性に鑑みて、私としましては容易にこれを即断するわけには参らない。從つてこれはもつと私たち立ち入つてこれらに対する要否を研究せられて、大いに要否を研究する必要があるであろう。或いはこれらの問題が、愈々具体案として提案される曉においては、少くもこれは直接政府当局と論究いたしまして、そうして十分にこの要否を定むるようにいたさなければならない。地方出先においては、これの必要の理由について十分聽くことを得ません。出先の者が、必ずしも相当に政策の根本について意見を持つておるわけではありませんので、どうも出先では、私共そういう立入つた研究になりますと困難でありますために、概略の情景を現地において見て來るということに止めて、幾多の感想はありまするが、感想そのものを抱いて帰つた程度にいたして置きたいと思います。
 その外労働省に属するところの基準局或いは公共職業安定所、公共労働安定所、これらの問題は、或いは事の性質に鑑みまして、独存独立の必要が十分ないではない、相当にあるように思います。併し又、これがために重要な労政事務というものに対して、非常に混雜を來しまして、地方廰で行う労政事務と、この基準法規執行のために置かれておる役所、その他との間において、如何にもどうもこれを半面から見ますというと、事務の統一性を害しておるようでもありますし、從つてこれらについても、研究すべき点が多々あります。併し大体においては、基準法そのものから見まするというと、これは独存独立の立場に置かしむるも止むを得ないというように考えられますために、これ又懸案としてここに残して置きたいと思います。概略ではありまするが各個的な話を申し、且又代表的の問題を捉えて申しますれば、以上のような次第でありまして、いずれも多岐に亙つたことでありまして、これ以上長々しく申上げてもどうかと思いまするし、例示的に以上申上げた点を申し、而して所感を加えまして御報告に代えたいと思う次第であります。又御質問がありますればお答えし、他の諸君からの御報告もあろうし、又必要ならばあることであろうと思いますから、これに止めたいと思います。
#4
○委員長(吉川末次郎君) 岡田委員と同行せられました他の委員の方で、今の報告を補足されるようなことはありませんか。ございませんでしたら……
#5
○柏木庫治君 補足になりますが、私の所感を申上げます。宮城も栃木も、縣廰側では出先機関を縣廰に吸收したい。これが熱心な希望であります。そこで私は宮城縣知事に、吸收したらあなたの方はどういうやり方をするか。こう聽きましたら、自動車の如き、木炭の如き、そういつたものは民間にやらせる。そうして民間の力足らざるところを縣で補うて行きたい。これが宮城縣知事のやらんとしておることで、栃木縣の方では、全部縣廰に吸收して縣廰でやる、こういう意見でありました。そうして例えば今出先の方で三十人、四十人使うておるようなものを、從來縣廰ではなん人でやつておつたかと申しますと、五、六人でやつておつたのであります。それから、やれるかと聽きましたら、やれると言うのでありますが、私共出先機関に一つ一つ行つて見ますると、縣廰が從來やつておりましたことよりも、出先機関は充実をした一つの問題を深く廣く緻密に取扱いまして、今出先機関のやつておるような同様なことを縣廰でも五、六人ではできないなという感じを深くいたしました。そこで幸いにして、縣廰の携つておりました優秀な方が出先機関に行つておりますので、今の人ではあまり衝突は起つてないようであります。これは宮城も栃木も同様であります。でありますが、將來縣廰でない、直接他から行く者が、支配することになりましたならば、縣廰との軋轢が必ずひどくなると私は見て参りました。ところが実際問題といたしまして、出先機関は縣廰にお世話になり、縣廰の助力を得なければならないような場面は沢山あると思うのであります。そこで私はこれをどうしたらいいかという問題につきましては、できることであるならば、出先機関の事務所を全部縣廰の中に吸收いたしまして、当分の間やはり出先機関は出先機関として、今の事務を遂行させたい。併し縣知事はなんとかの方法で、その仕事に携わらせたいと思うのであります。出先機関であつて、縣知事の命を聽くと申しますか、なんとかそこは技術的によく相談をいたさせたならば、おのずから道はありはせんかと思うのであります。それは從來の仕事を全部縣廰の仕事にしてしまいますならば、又そこに、いろいろと地方人との関係上、面白からんことが起りはせんかと思う憂いがあります。もう一つは、例えば縣々によりまして、木炭の移出縣もありますし、移入縣もありますが、出先機関では比較的それが公平に行きますけれども、若し縣廰に全部吸收いたしますと、その縣から出す物資は、成るべく少く出して、縣に移入する物資は成るべく多く移入しようと努力するのではないかと、それでは日本全体を総合しての運営に支障を來すのではないかと私は見て参つたのであります。
 以上申上げましたことを総合いたしますならば、技術的に出先機関を存置しながら、縣廰と融合して、その機関の仕事もより立派に遂行し、又縣廰の使命も果すようには、技術的にはできるのじやないかということを考えたのであります。
#6
○委員長(吉川末次郎君) 他に御報告がなければ、尚北陸地方を視察せられました方の報告は本日伺うことができませんでしたが、その報告がありました時に、本日の御報告と併せて、それに対する質疑その他の審議を續行するようにいたしたいと思います。よろしうございますか。
#7
○委員長(吉川末次郎君) それでは内務省からも見えておるようでありますから、先般内務大臣並びに地方局長から提案理由の説明のありました、地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、御質疑を伺うことにいたしたいと思います。
 先ず全般的な問題について御質疑がありましたら、御開陳を願いたいと思います。尚内務大臣並びに地方局長のその際における提案理由の説明は、その際プリントにいたしまして、皆様のお手許へお届けしてある筈であります。内容につきまして、内務大臣の提案理由の説明として述べましたことの題目は、只今御報告がありました、出先機関の問題もその一つであり、その外財政上の問題、並びに市長、知事、町村長等の彈劾の問題、或いは各地方自治体に條例で図書館を作ることの問題であり、選挙に関する諸規定及び今度できます自治委員会、或いは地方財政委員会等と自治法との関係、或いは國家公務員法等に準拠したところの市町村の及び縣の公務員の関係等の問題であります。その外諸種の問題があると思いますが、右の印刷物はその後御覧を願つておることだろうと思います。一般的な問題につきまして御質問がありましたら、先ずそれを伺いまして、然る後、更に又後刻逐條審議に入りたいと思います。御質問はありませんか。
#8
○小野哲君 私から総括的な意味での質問をいたしたいと思います。尚本日は時間の関係もありましようから、私の質問いたしたいと思う中で、限定いたしまして申上げたいと思います。
 地方自治が新しい憲法の実施によりまして、強化されることになりましたことは申すまでもないのでありますが從來もややもすれば中央集権的な、官治行政と申しますか、それとつながつた地方行政機関というふうな感じが相当強かつたのであります。今囘この地方自治法の一部が改正されますにつきましては、地方の自主性なり、或いは自治性を一層強化して行こう。こういう目的があるように見受けられるのでありますが、この法律が論議されました際のいろいろの問題が今囘の改正によつて一層明白に解決されておる向もあるようであります。私が先ずお伺いしておきたいと思いますことは、地方自治が制度として整備されて参つたのでありますが、これを運用して行きますにつきましては、地方公務員制度を確立して行くことが必要であろうと存じます。尚又地方公務員の能率的な執務態勢を確立いたしますためには、地方行政機構を整備することがこれ亦必要であろうと思うのであります。從來はこの法律自体におきましても、地方公務員制度についての規定が必ずしも十分ではなかつたと思います。今囘は國家公務員制度が確立されたに伴いまして、これに應じた地方公務員制度を確立する。かような意味合において、法案第百七十二條に詳細に規定を設けられることになつたのは、私といたしましては喜ぶべき現象である。かように思うのであります。それにつきましては、政府におかれて地方公務員制度を確立されるにつきましての、この法律の中に新しい規定を設けられるという場合における御構想を承りたい。これが第一点であります。
 次は地方公務員制度を極力良いものに打立てて行く、相俟つて、先程申しました都道府縣の機構の問題でありまして、この問題についても地方自治法は或程度詳細な規定を設けておりますが、本法の第百五十八條にこれを明かに示しておるのであります。ところがこの地方自治法が施行されて以來の地方の実情というものは、相当変化しておるのではないか。例えば地方財政の面から考えましても、この法律が期待いたしておりますように、画一的な地方機構を整備することが果して適当であるかどうか。地方財政その他の関係から考えまして、妥当であるかどうかということは、よく檢討いたさなければならないかと思うのであります。特に法律によつて部局が列挙されておりますが、但書によつて、條令によつて部局の、局部の分合であるとか或いは所掌事務の変更というようなことが規定されておる点から考えますと、相当大幅に当該都道府縣の長がその議会の承認を経て、部局を設置するようにも見受けられるのであります。これらの点から考えますというと、法律によつて画一的な局部を都道府縣に設けるという建前が、果して実情に合つておるかどうか。又條令で以て部局の分合を認めておる法律の趣旨から考えまして尚機動性を持たせることが、当該地方公共團体の実情に即した能率的な行政機構を設け得る途を開くことになるのではないか。かように考えられるのでございます。
 これらの点につきまして、地方自治法第百五十八條において都道府縣の機構に関して画一的な定め方をされた、これは地方自治法制定の場合の論議に遡らなければならないかと思いますがこれに関する政府当局の考え方を承りますと共に、今後の地方行政機構につきまして、如何なる方向にこれを持つて行くことが最も能率的であるかどうか。これに対しましての御所見を併せて伺いたい。かように思うのであります。
#9
○政府委員(林敬三君) 只今の小野委員からのお尋にお答え申上げたいと存じます。お尋の第一点は、地方自治法第百七十二條に関する点でございます。百七十二條におきましては、この地方公共團体の吏員は「職階制、試驗、任免、給與、能率、分限、懲戒、保障服務その他身分取扱に関しては、この法律及びこの法律に基く政令に定めるものを除く外、別に普通地方公共團体の職員に関して規定する法律の定めるところによる」。こういたしまして、新たに地方公共團体の職員に対する職階制を近き將來においてやる。必らず法律で以て決めるということを明らかにいたしたわけでございまするし、而もこれは明年の四月一日までには必らずこの法律を作るという態度を明かにしたわけでございます。そこでその公務員制度確立についての構想でございますが、これは目下國の公務員制度の出來栄えというものとも睨み合せながら、言わば地方自治法の最も重要な補足的法典といたしまして、政府といたしましても、もう非常に勉強をし、研究をいたしておるところでございます。狙いといたしましては申すまでもなくここに書いてありますようなことを確立いたしまして、優秀なる職員をして安んじて地方公共團体の職務に專念せしめ、又その能率を挙げるために人格が立派で能率の高い吏員はどんどんと上に引上げて行く。こういう制度を立てることを狙いといたしております。そこで地方自治の進展上こういうことをやることは非常に大きな異議を持つておるものと考えるのであります。今お話しもありましたように、如何に組織、制度ができましても、そこの中で働くところの職員というものが優秀であり、又安んじて熱心にその職に從事するのでなければ、いわゆる佛を造つて魂を入れないという状態になるわけでありまして、この点の制度を確立することが最も異義のあることと考えております。又もう一面地方公共團体の吏員はやはり國の官吏と同じように地方公共の事務及び法律で地方に委任されましたところの國の事務、それを行うわけであります。從つてその職務に本質的な区別があるとは考えられません。單に職務対象を國家から任命されておるか、地方團体から任命されておるかということに止まるものでありまして、内容については殆ど変りないのであります。從つて任用資格とか、殊に給與などについては両者取扱を同一にすることが國政及び地方自治の運用上特に必要である。又その運用の妙を発揮する所以であるとも考えるのであります。殊に都道府縣ぐらいの單位自治体になりますと、或いは五大市程度の單位自治体の職員になりますと、官吏と給與その他の制度を異にするということが却て実際に反するとも考えられるのであります。又両者の間の適切なる交流を阻害する結果にもなると思います。又優秀なる人材が喜んで地方の團体の吏員になつて行くというような風習の助長の上にも非常に役に立つと考えられるのでありまして、この給與その他の任用制度についても、地方公共團体の今後作らるべき公務員制度は官吏制度とでき得る限り内容的にも連繋を持ち、少くもその内容に官吏制度と共通することが相当多いことに作つて参りたいと、かように考えておるのであります。それから大体対象としては私共のところの目下の研究では、いわゆる府縣の部長以下の者を対象とする。併し極く小さい田舍のほんの役場の吏員で、十人ぐらいいるというような小さな村のところまでも、嚴重に國家の職員や或いは府縣大都市の職員と同じような規則を以て縛るということは、これは避けて行くようにいたしたいということを考えてやつております。又それと同時の地方には地方の実情がありますから、國家の職員をあまりにも模倣をし過ぎまして、それがために却て適切な運用を阻害する。或いは能率を阻害するということもないように考えてやつております。今度の國家公務員制度は從來の制度を根本的に改め、新しい構想を以て提案され、それが通過を見たような次第でありまするが、地方公務員の制度につきましても、これに即應いたしまして、殊に都道府縣、或いは五大都市というようなところにおいては、給與、その他の必要なものについては、官吏と差別待遇をすることのないような制度にしてやつて行きたい。而も僻陬の山奥の吏員にまで画一的にこれを及ぼして、それがための弊害を生ずることのないようにやらせて行きたい。かように考えて今いろいろ研究をいたしておるわけでありますが、まだ草案として發稿するに至つておりません。從つて極く大雜把な氣持を申上げて御了承を得たいと存ずるわけでございます。それから第二のお尋の点は府縣の機構組織の問題であります。地方公共團体の組織機構の問題でありまして、これは地方自治法の百五十八條にいわゆる基準的などういう部を設けるかという基準が出ております。そうして今お話がありましたように但書が付いております。「必要があるときは、條例で、局部を分合し又は事務の配分を変更することができる。」ということが書いてあるのであります。この規定はいわゆる一つの基準規定でありまして、これによらなければならないという趣旨ではございませんことは、今お述べにもなり、又私が但書について申上げるところを以て御了承願えると思うのであります。一つのモデルを示しまして、そうしてこれを法律に掲げたわけであります。それからこの意図の中にはいわゆる更に突き進んで申しますならば、都道府縣というものの仕事というものが、第二條に極めて抽象的に書かれておるわけでありますが、そこで具体的にはどういう仕事があるかということを、やはりこの百五十八條の裏から解釈しますと大体こういうことを都道府縣では扱うのだということを逆に明確にして置きたかつた。先程御報告がありました特別官廰の問題などと関連いたしまして第二條のような抽象的な書き方では、次第に都道府縣知事の職務というものが蚕食されて行くのではないか。それで部制を作つて、その部の基準を明かにするということと、併せてその部でどういうことをやつて行くかということを明かにして行きたかつたということ。これが府縣廰の仕事だと大体この法律は考えておるのだということをここに示して置きたかつた。かような氣持もあるわけでございます。それでなぜこういう画一的な基準を作つたかということになりますと、これはやはり都道府縣廰というものは都道府縣の機関でありますが、同時にこれは國家の事務を非常に委任して行わせる役所でもございます。それから從つて中央政府の各省が、できるだけ都道府縣というものを使うのにも使い易くする。先程御報告がありました通り、綜合行政ということが叫ばれておりますが、仮令地方自治團体の仕事でありませんでも純粹の國の仕事でありましても、これを末端において実施するときは、成るべく都道府縣廰を通じて実施をして行くことが、最も綜合的な妙味を発揮する。又民主的に國の事務が執行される所以ではないか。かように考える点もありまして、中央政府が都道府縣廰を使いますときに、できるだけ使い易くするような形にして置く必要もあるのではないか。これはいろいろ縣によつて独創を発揮してあまりにもばらばらな珍らしい、その縣だけから考えれば便利であろうけれども、中央各廰が使うときはあまりにもまちまちな組織になつておるということは、現在の日本のように中央と地方というものは行政が密接に相関連しておりまして、相交錯しておるというようなところでは、あまりにも地方廰がただその地方廰だけの立場で独自の組織、機構を作りますと、中央で中央の行政をそこに委任する、そうしてそこで行なつて行くというような場合にも、非常に不便を來すのではないか。御承知のように大体知事の行なつておる仕事の半分くらいは、中央政府の國の事務を團体か、或いは團体の長か、どちらかに委任されて行なつておる事務を、やつておるような実情にも鑑みまして、一つのモデルを示して、成るべくこれに從つたらどうだ。併しながら地方々々の実情があり、大きな縣もあり、小さな縣もある。或種の産業の非常に発達した縣もある。そういう所は地方の自主性を認めまして、いわゆる條例で当該議会の承認を経れば、これを変更することができるというふうにいたしてあるのです。現に経済部あたりを農林部と商工部に分けておる所が相当ある。むしろ半分以上そうなりつつあるような状態であります。或いは衞生部を設けておる所もあります。或いは山林部を設けておる所もあります。それから教育と民生は逆に一緒にしておる所もある状態であります。それで小野さんが御心配になりましたような地方に即應して地方の自治体の側から見て能率的に仕事をやり得るように、その点は考慮して取扱つておりますし、又実際においてもそういう形になつております。併し私の方の氣持としては、できるだけ地方の自治に委せて行きたい。こういう基準を示して、大体この線に沿いながらも、その地方々々の実情をこれに加味して、適切なものを考えて貰いたい。併しあまりにも人のために部を設け、或いは殆ど部と云われるだけの人数もなければ、仕事の分量もないものを、何かの地方的理由でただ部にして行きたい。或いはあまりにも複雜怪奇な櫓を組み上げたような部制とか、局制とか複雜なものを作り上げる。そういう所に対してはこちらで当該府縣と御懇談をいたしまして、成るべく他の府縣と歩調の合い、中央政府としてもこれにいろいろの仕事を頼み易いものにするようにお話をして、その間の不合理のないように努めておる次第であります。
#10
○小野哲君 ちよつと関連してもう一点、簡單ですが……。
#11
○委員長(吉川末次郎君) 丁度時間ですから、今日はこれで閉会いたしまして次会に一つ續いて御質問を願いたいと思います。これで今日は散会いたします。
   午後零時一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     吉川末次郎君
   委員
           羽生 三七君
           村尾 重雄君
           大隅 憲二君
           黒川 武雄君
           岡田喜久治君
           岡本 愛祐君
           小野  哲君
           柏木 庫治君
           駒井 藤平君
           池田 恒雄君
  政府委員
   内務事務官
   (地方局長)  林  敬三君
ソース: 国立国会図書館
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