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第096回国会 予算委員会 第8号
昭和五十七年三月十五日(月曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     上田耕一郎君
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     八木 一郎君     藤井 孝男君
     木村 睦男君     梶原  清君
     宮崎 正義君     中野 鉄造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         植木 光教君
    理 事
                井上 吉夫君
                岩崎 純三君
                土屋 義彦君
                松尾 官平君
                竹田 四郎君
                矢田部 理君
                田代富士男君
                沓脱タケ子君
                柳澤 錬造君
    委 員
                岩動 道行君
                板垣  正君
                岩上 二郎君
                梶原  清君
                亀長 友義君
                源田  実君
                古賀雷四郎君
                下条進一郎君
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                谷川 寛三君
                玉置 和郎君
                長谷川 信君
                藤井 孝男君
                堀江 正夫君
                宮田  輝君
                村上 正邦君
                山崎 竜男君
                片岡 勝治君
                片山 甚市君
                志苫  裕君
                寺田 熊雄君
                丸谷 金保君
                安恒 良一君
                山田  譲君
                大川 清幸君
                太田 淳夫君
                中野 鉄造君
                三木 忠雄君
                上田耕一郎君
                田渕 哲也君
                野末 陳平君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       法 務 大 臣  坂田 道太君
       外 務 大 臣  櫻内 義雄君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       文 部 大 臣  小川 平二君
       厚 生 大 臣  森下 元晴君
       農林水産大臣   田澤 吉郎君
       通商産業大臣   安倍晋太郎君
       運 輸 大 臣  小坂徳三郎君
       郵 政 大 臣  箕輪  登君
       労 働 大 臣  初村滝一郎君
       建 設 大 臣  始関 伊平君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    世耕 政隆君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖縄開発庁長
       官)       田邉 國男君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (国土庁長官)  松野 幸泰君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  伊藤宗一郎君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  原 文兵衛君
   政府委員
       内閣官房副長官  池田 行彦君
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    海老原義彦君
       臨時行政調査会
       事務局首席調査
       員        山本 貞雄君
       北方対策本部審
       議官       橋本  豊君
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  伊従  寛君
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       警察庁交通局長  久本 禮一君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       監察局長     中  庄二君
       北海道開発庁総
       務監理官     楢崎 泰昌君
       防衛庁参事官   上野 隆史君
       防衛庁参事官   冨田  泉君
       防衛庁経理局長  矢崎 新二君
       防衛庁装備局長  和田  裕君
       経済企画庁長官
       官房長      吉野 良彦君
       経済企画庁調整
       局長       井川  博君
       経済企画庁調整
       局審議官     大竹 宏繁君
       経済企画庁総合
       計画局長     谷村 昭一君
       科学技術庁長官
       官房長      宮本 二郎君
       環境庁長官官房
       長        山崎  圭君
       環境庁企画調整
       局長       清水  汪君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  七野  護君
       環境庁自然保護
       局長       正田 泰央君
       環境庁水質保全
       局長       小野 重和君
       沖縄開発庁総務
       局長       美野輪俊三君
       国土庁長官官房
       長        福島 量一君
       国土庁長官官房
       会計課長     中村 博英君
       国土庁土地局長  小笠原正男君
       国土庁水資源局
       長        高秀 秀信君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       外務省経済協力
       局長       柳  健一君
       外務省条約局長  栗山 尚一君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        高倉  建君
       大蔵省主計局長  松下 康雄君
       大蔵省主税局長  福田 幸弘君
       大蔵省理財局次
       長        小幡 俊介君
       大蔵省証券局長  禿河 徹映君
       大蔵省銀行局長  宮本 保孝君
       国税庁直税部長  吉田 哲朗君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省社会教育
       局長       別府  哲君
       厚生大臣官房総
       務審議官     正木  馨君
       厚生大臣官房会
       計課長      坂本 龍彦君
       厚生省公衆衛生
       局長       三浦 大助君
       厚生省環境衛生
       局長       榊  孝悌君
       厚生省環境衛生
       局水道環境部長  山村 勝美君
       厚生省医務局長  大谷 藤郎君
       厚生省薬務局長  持永 和見君
       厚生省社会局長  金田 一郎君
       厚生省児童家庭
       局長       幸田 正孝君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       厚生省年金局長  山口新一郎君
       農林水産大臣官
       房長       角道 謙一君
       農林水産省経済
       局長       佐野 宏哉君
       農林水産省食品
       流通局長     渡邉 文雄君
       林野庁長官    秋山 智英君
       水産庁長官    松浦  昭君
       通商産業大臣官
       房審議官     斎藤 成雄君
       通商産業大臣官
       房審議官     植田 守昭君
       通商産業省基礎
       産業局長     真野  温君
       通商産業省機械
       情報産業局長   豊島  格君
       資源エネルギー
       庁長官      小松 国男君
       運輸大臣官房長  角田 達郎君
       運輸大臣官房総
       務審議官     石月 昭二君
       運輸省鉄道監督
       局長       杉浦 喬也君
       運輸省自動車局
       長        飯島  篤君
       郵政大臣官房長  澤田 茂生君
       郵政省簡易保険
       局長       小山 森也君
       郵政省電気通信
       政策局長     守住 有信君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
       郵政省人事局長  奥田 量三君
       労働大臣官房長  松井 達郎君
       労働大臣官房審
       議官       寺園 成章君
       労働省労政局長  吉本  実君
       労働省労働基準
       局長       石井 甲二君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設省都市局長  加瀬 正蔵君
       建設省道路局長  渡辺 修自君
       建設省住宅局長  豊蔵  一君
       自治大臣官房長  石原 信雄君
       自治大臣官房審
       議官       坂  弘二君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   参考人
       年金福祉事業団
       理事長      八木 哲夫君
       日本銀行総裁   前川 春雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十七年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十七年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十七年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(植木光教君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十七年度一般会計予算、昭和五十七年度特別会計予算、昭和五十七年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
#3
○委員長(植木光教君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十七年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君、年金福祉事業団理事長八木哲夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(植木光教君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(植木光教君) これより村上正邦君の総括質疑を行います。村上君。
#7
○村上正邦君 総理初め閣僚の皆様に、ぜひ聞いていただきたい歌がございます。お手元にその歌詞を配りますからお聞きいただきたいと思います。
 ママ! ママ!
 ボクは 生まれそこねた子供です
 おいしいお乳も知らず
 暖かい胸も知らず
 ひとりぼっちで捨てられた
 人になれない子供です
 ママ! ママ!
 ボクの声は 届いているの
 ここはとても寒いの
 ひとりでとても怖いの
 ママのそばに行きたい
 ボクは 生まれそこねた子供です
これはその一節でございますが、総理、どのような御感想をお持ちになられましたか、お聞かせいただきたいと思います。
#8
○国務大臣(鈴木善幸君) 生命の重さと申しますか、特に、幼い生命についての切々たる叫び、そういうものを私はこの詩から感じるわけでございまして、生命の尊厳というものを大事に考えなければならないと、こういう感じでございます。
#9
○村上正邦君 厚生大臣、御感想をお聞かせいただきます。
#10
○国務大臣(森下元晴君) 生命のとうとさを切に歌い上げた、まことに切々たる内容のものでございます。人命は地球よりも重いということを言われておりますけれども、それ以前に、やはり生命の倫理と申しますか、あるいは生命の科学ということが最近叫ばれておる状況下で、生まれてきた者の生命、また受胎した生命も合わせまして認識を深めていこう、生命のとうとさというものをいまこそ認識すべき問題であると、こういうまことに示唆に富んだ、内容の深い歌であり詩であると私は思っております。
#11
○村上正邦君 法務大臣、この歌は「刑法第二一二条」という題名がついておりますが、刑法第二百十二条は何が規定されているんでしょうか。
#12
○国務大臣(坂田道太君) 第二百十四条、医師等の堕胎ということでございます。「医師、産婆、薬剤師父ハ薬種蒔婦女ノ嘱託ヲ受ケ又ハ其承諾ヲ得テ堕胎セシメタルトキ八三月以上五年以下ノ懲役ニ処ス因テ婦女ヲ死傷ニ致シタルトキ八六月以上七年以下ノ懲役ニ処ス」ということでございます。
#13
○村上正邦君 堕胎罪ですね。このことにつきましては後段に触れます。
 そこで、私はこの歌を聞くたびに、中絶された胎児の泣き叫ぶ悲しみの声が海の底から聞こえてくる思いがいたします。優生保護の名のもとにやみからやみへと葬り去られた五千万から七千万にも上る胎児のみたまにざんげし、みたま鎮まれと祈り、合掌しつつ本論に入らしていただきます。
 申すまでもなく、現世に生をうける者皆その生命は何物にもかえがたいものであり、何よりも優先して守らなければなりません。私は、政治が果たすべき基本的使命もまたここにあると考え、生命尊重とは何かという問題を冒頭に提起さしていただきます。
 そこで総理、総理の生命尊重に対する基本的なお考えを先ほども承りましたが、もう少し承れればと思います。また、あわせてこの際総理の生命観とでも申しましょうか、宗教観とでも申しましょうか、そういったものをお聞かせいただければありがたいと思います。
#14
○国務大臣(鈴木善幸君) 人間の生命は受胎に始まると、こう申しております。受胎をして、生命が宿ったときからわれわれはその人間の生命というものを尊重し、これを守っていかなければならないと、このように考えるものでございます。日本国憲法の第十三条におきましても、個人としての国民の生命、そして自由、幸福を追求するその要求というものに対しては最大限これは尊重されなければいけない。その第一に生命の尊重ということがうたわれておるわけでございます。公共の福祉にもとらない限り、これはあらゆる立法を通じ、あらゆる施策を通じて最大限に尊重されていかなければいけない、このように思うわけでございまして、私はこの人命尊重、人権の尊重ということを政治の基本に据えて今後ともそのために努力をしていきたい、こう考えております。
#15
○村上正邦君 宗教観は。
#16
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、すべての宗教もこの生命の尊厳、これをたっとんでいくというところに基本があるものと考えております。
#17
○村上正邦君 総理とかかわり合いの深い四人の元首相の言行録に残された生命観をまとめてみました。意味深いものがありますので申し述べてみたいと思います。
 池田元首相は、近代医学でも解明できなかった病にかかり、その治癒のため四国霊場八十八カ所を巡礼されましたことは余りにも有名な話であります。目に見えない絶対的な存在への信仰のあらわれであると思います。佐藤元首相は、ときあるごとに般若心経を写経されたと伺っております。全日空機雫石墜落事故で亡くなった百七十三御柱のために、あるいは浅間山荘事件のときは殉職した警察官のみたまのために、また、秩父の山奥に水子地蔵尊が建立されたと聞けば、多忙な日程にもかかわらず、胎児の霊前にみずから赴いて自筆の写経を奉納して胎児のみたまをなぐさめられました。福田元首相であります。福田元首相は、あの赤軍派のクアラルンプール事件のとき、人質の生命を救うために、先ほども厚生大臣のお話がありました、人命は地球よりも重いとして、超法規的措置をおとりになったことは記憶に新しいところであります。さらに大平前首相は、御承知のとおり敬度なるクリスチャンとして、生命に対する畏敬の念を強く持っておられたことは御承知のとおりであります。
 ただいま鈴木総理の生命尊重の基本的な考え方をお聞かせいただきました。生命尊重に対する御決意が歴代総理にまさるとも劣らないものがあることに敬意を表します。
 私はこの二月ワシントンに参りました。アメリカにおいても中絶問題は大きな悩みになっております。堕胎の横行に歯どめをかけるため人命法案が連邦議会に上程されようとしております。この問題に取り組んでおりました関係議員とも会談してまいりました。レーガン大統領にも祈祷朝食会の席上でお目にかかってまいりました。レーガン大統領は、生命は母体に宿った瞬間に始まる、生命を保護することは政府の最高の義務であるとして強くこの動きを支持しております。
 翻って考えますと、わが国において今日においても一向に胎児の生命は顧みられておりません。昨年に続きこの四月にも日本を訪れると言われるノーベル賞受賞のマザー・テレサ女史は、日本は豊かな国である、しかし、パンに飢える人がいなくても堕胎を許している日本は貧しい国、愛に飢えている国と言わなければならない、人間の尊厳を日本は失ってはいないだろうかと、堕胎天国日本を厳しく批判をいたしております。総理は国政の最高責任者として、この批判をどのように受けとめておられるかお伺いしたいと思います。
#18
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほどもお答えをいたしましたように、人間の生命は受胎によって始まると、こういうことを申し上げました。したがいまして、その生命の宿った新しい命の象徴であります胎児を人工的に中絶するというようなことは、私は生命尊重の基本に触れる問題であると、このように考えるものでございます。
 この点につきまして、優生保護法がございまして、いろいろの規定がございます。その中に「経済的理由により」ということがうたわれておりますが、これは単なる経済的事由ではなしに、継続して妊娠、分娩することが母体の健康を害するおそれがあるというような場合と、厳しくこれは解釈をさるべきものだと、こう私は思っております。
 私は、優生保護法におきましても堕胎を認めておるというようなぐあいには受けとめておりません。しかし、いま申し上げたような経済的事由によるということがとかく誤解をされ、理由とされるということがあってはならないということで、政府は前にこれを修正する法案を提案をしたことがございますけれども、国会におきまして合意が得られませんで、そのとき実現を見なかったという経緯がございます。この点につきましては、今後とも国民世論のコンセンサスの形成を見ながら慎重に対処していきたいと、このように考えております。
#19
○村上正邦君 そうしますと、胎児に対する考えはレーガン大統領と同じようなお考えであると、こういう基本認識を持たしていただいてよろしゅうございますね。
 優生保護の問題については、後ほど厚生大臣にいろいろと疑問点について質問さしていただきたいと思います。
 そこで、これは倫理上の重大な問題としてのみならず現行憲法の上の要請でもあると思います。
 そこで、内閣法制局長官に伺いたい。
 憲法は国の基本法である、それは一つの根本的な価値観に基づいて定立されるものと思います。その根本的な価値観は、前文を初めとし、その他の条項にもあらわれていますが、第十二条の前段の、「すべて国民は、個人として尊重される。」という規定もまた、この根本理念を直接表明したものであると考えますが、どうでしょうか。
#20
○政府委員(角田禮次郎君) お説のとおりでございます。
#21
○村上正邦君 そうしますと、十三条の解釈に当たっては、たとえばこの規定の「国民」の中には外国人も含まれるというように、単に文字面にとらわれることなく、憲法が考えている根本的な価値観そのものの観点から解釈されなければならないと思います。
 そこで、憲法十二条前段の、個人が尊重されなければならないゆえんは、人間性そのものの価値であると思いますが、どうでしょうか。
#22
○政府委員(角田禮次郎君) そのとおりだと思います。
#23
○村上正邦君 それならば、近い将来生まれてくる者、すなわち胎児もまた尊厳なものであると思いますが、どうでしょうか。
#24
○政府委員(角田禮次郎君) そのとおりだと思います。
#25
○村上正邦君 それなら、個人の尊厳を規定した憲法十二条前段に言う「国民」の中には、当然胎児も含まれ、その生命は尊重されなければならない、つまり尊重義務があると思うがどうでしょうか。
#26
○政府委員(角田禮次郎君) 胎児の生命を尊重することは、お説のとおりまさに憲法第十三条の趣旨に沿うゆえんであろうと思います。
#27
○村上正邦君 これは西ドイツの憲法第一条第一項で、人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し、かつ保護することはすべての国家権力の義務であると規定しておりますが、さらに明確に、胎児の生命保護も国家権力の義務であると憲法裁判所が判断を下しております。ただいまの長官の答弁は、日本国憲法十三条前段についてこの解釈と同様の解釈をとられたものと理解し、次に優生保護法の質問に移らしていただきます。よろしいですね、長官、そういうふうに理解して。
 まず、人工妊娠中絶の実態についてお尋ねしたいと思います。
 中絶、堕胎といいましても、ことに妊娠五カ月、六ヵ月となりますと、生きたまま体外に出てくることがあります。生きたままですよ。その場合どのように扱われておりますか、厚生大臣にお伺いします。
 そこで、朝から大変あれでございますが、ここに胎児のパネルを、写真を持ってまいりましたのでちょっと見ていただければありがたいと思います。厚生大臣、ちょっと見ていただけますか。
#28
○国務大臣(森下元晴君) 詳細なデータにつきましては公衆衛生局長から答弁させますが、優生保護法によりまず人工妊娠中絶をした場合、医師は届け出をしなければならないことになっていますが、これによる全国の人工妊娠中絶件数は、昭和三十年の約百十七万件を境に毎年減少はしております。昭和五十五年では約六十万件になっております。
 以下、詳細局長より答弁させます。
#29
○村上正邦君 私、そんな質問してないんですよ。五ヵ月、六ヵ月で生きたまま生まれてきたその処置をどういうふうにしておるのかということを尋ねておるわけであります。
#30
○国務大臣(森下元晴君) また、妊娠四ヵ月以上で人工妊娠中絶をした場合には、父親や母親等は人工死産の届け出をすることになっておりますが、人工死産の届け出件数は、昭和二十七年の約十一万件をピークといたしまして年々減少しております。昭和五十五年では約三万件ということであります。
#31
○政府委員(三浦大助君) ただいまの御質問の、五ヵ月、六ヵ月で生まれてまいりましても生命を維持することは困難でございまして、いま、大体七ヵ月以上で生存の可能性があるということを言われております。
#32
○村上正邦君 質問と違うんだよ。五ヵ月、六ヵ月で母親の体外に出たときに――そういう場合があるわけ。その場合は、これをどういう形で中絶をやっているのかと、こう聞いているんですよ。七ヵ月までということはわかっているんですよ。そんなことを聞いてない。
#33
○政府委員(三浦大助君) 五ヵ月、六ヵ月で出てくるという場合は、優生保護法の十四条の規定によりまして、医師の判断で中絶されるわけでございます。
#34
○村上正邦君 ちょっと違うんですね。私が聞いているのは、五ヵ月、六ヵ月で体外に出る場合があるんです。私はこれは実際その手術に従事した人たちの証言を得ているから申し上げておるのでありますが、そうした場合、生きたまま出てきた場合、創業を注射して死亡させる方法、長時間放置して凍死させる方法、水に漬けて溺死させる方法、口に脱脂綿を押しつけて窒息死させる方法、こういう残酷な方法がとられているんです。これは私は、嬰児を殺しているんですから、まさしく殺人罪に当るのではないだろうか。これは人道上はもちろんのこと法律上も許されないことであります。どうでしょうか、法務大臣、厚生大臣。まず厚生大臣から。そういう事実を調査なさっているかどうか、厚生大臣にお尋ねします。
#35
○政府委員(三浦大助君) 普通、五ヵ月、六ヵ月で生まれてきた場合は、人工妊娠中絶というかっこうで取り扱われておるわけでございます……
#36
○村上正邦君 いや、僕の言っているのは……
#37
○政府委員(三浦大助君) いま先生の御質問のその窒息その他の問題につきましては、私ども現場のことにつきましてはよくわかりませんが、一応人工妊娠中絶という件数で取り上げられておるわけでございます。
#38
○委員長(植木光教君) 法務省から聞きますか。
#39
○村上正邦君 いいです。
 時間がありませんが、届け出数の信潟心性についてでありますが、ことしは六十万を割っておるようでありますが、しかし実際はこの二倍から三倍と言われております。実際はどうでしょうか。
#40
○政府委員(三浦大助君) 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、優生保護法によります人工妊娠中絶は六十万件、それから妊娠四ヵ月以上で人工妊娠中絶をした場合の人工死産の届け出によりますものは三万件でございます。
#41
○村上正邦君 届け出数の二倍から三倍あるということはどうなんですか。
#42
○政府委員(三浦大助君) その差でございますか。
#43
○村上正邦君 いや、そういうことが実際あるのかどうかと聞いている。医師の届け出数の……。
#44
○委員長(植木光教君) ちょっと注意を申し上げます。
 答弁者は、質問者の質問の趣旨を十分に把握をして答弁をしてください。
#45
○政府委員(三浦大助君) 統計上差がある場合はございます。
#46
○委員長(植木光教君) 村上君、もう一度質問してください。
#47
○村上正邦君 これは委員長、私の時間ばっかり食っちゃって、私の言っているあれ全然返ってこないんですよ。これは時間削ってくださいよ。
#48
○国務大臣(森下元晴君) いわゆるやみ中絶のお話だろうと思います。実数の何倍かがやみからやみに、葬られておると。私は否定はいたしません。しかし、この実数については届け出がないわけでございましてはっきりわかりませんけれども、届け出よりも多いということは常識的な認識として持っております。
#49
○村上正邦君 先ほどお話しありましたが、「経済的理由」ということで命が中絶されるわけですが、この経済的理由ということについて削除する用意がありますか、どうですか。法改正、特に四十七年にこれが国会に提案されているんですね、この経済的理由を削除せよという。その用意があるかどうか、検討いただけるかどうか。
#50
○国務大臣(森下元晴君) この経済的理由という問題については、経緯はよく承知しております。私の個人的なまず考え方を申し上げますと、戦後この法律が、優生保護法ができましたときには、経済的には非常に子供を育てること、また出産することはむずかしい時代でございましたけれども、その後、経済的な理由によって中絶を認めるという根拠は薄らいでおる、またなくなりつつあることは事実でございますし、そのために法案が出されて、残念ながら参議院で廃案にされたということの経緯を踏まえまして、厚生省といたしましては、できるだけ早くコンセンサスが得られるような形で今後検討してまいりたい、前向きで検討してまいりたいということを申し上げたいと思います。
#51
○村上正邦君 政府が、政府提案で責任持って四十七年提案したんですから、それが八年もほったらかされているんです。ですからやはり、これは大臣御在任中にどうかひとつ法改正を、政府提案なり用意をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#52
○国務大臣(森下元晴君) やはり、提案する以上は当然これは法案の通過というところまでいかないと、政府の権威にも関係するし、また厚生省といたしましても自信を持ってさせてもらわなくてはいけない重要な問題でございます。したがって、各方面との十分なコンセンサスを得たい、また、もちろん啓蒙の問題もございます。そういうことで、先ほどお答え申し上げましたように前向きで検討をしたいということを申し上げるわけであります。
#53
○村上正邦君 もう少しはっきりした御返事をいただきたいんですが、時間がありませんので、この問題はまた社労委員会等を通じて議論をしていきたい、こう思っております。
 この人命尊重の問題で最後に総理にお願いをしたいんですが、何といってもやはり胎児の生命尊重というもとを正していないから、夕張炭鉱の爆発、ホテルの火災、日航機墜落、無差別殺人、赤ちゃんのコインロッカー、保険金目当ての殺人、家庭内暴力殺人事件等々、このような事件が起きるんだと思います。そこで、こういう風潮を是正していただくために、いまこそ国、国民が一致して生命の尊厳について思いを新たにしなければならないときに来ておると思います。生命尊重の筋を通すために、生命尊重基本法とも言うべき規範が必要であると思います。さらに、生命尊重の精神を徹底するために、私は、生命の日の制定を総理にお願いしたいと思います。
#54
○国務大臣(鈴木善幸君) 最近、生命の尊重を無視する、人命を軽視するというような忌まわしい事件が頻発をしておる傾向を見まして、本当にゆゆしい事態である、このように私は受けとめております。個々の問題につきましては、その再発防止のために原因を究明し、その責任を追及し、できるだけの努力を傾けておりますことは村上さん御承知のとおりでございます。
 私は、いま御提案がございました基本法の制定、あるいは生命尊重の日というような御提案がございましたが、日本国憲法の精神は十三条を初めとしまして、憲法自体が生命の尊厳、生命の尊重ということで一貫しておるものと、このように、私は受けとめております。平和憲法も、これも一つの本当に大きな支柱である、こう考えております。憲法の精神を外し、その精神を具現するために、これを国政の基本に据えて、あらゆる努力を今後続けてまいりたい、こう思っております。
#55
○村上正邦君 総理、具体的にはそうした提案について御検討いただく用意がありますか。
#56
○国務大臣(鈴木善幸君) いま申し上げましたように、日本国憲法の精神そのものが村上さんが御提案になっておることと全く同じ立場の上に立っておるというぐあいに考えておりますから、改めて基本法とかそういうものを取り上げるということは考えておりません。
#57
○村上正邦君 文部大臣にお尋ねしますが、先ほども申しましたように、この法案は四十七年に提案をして八年間、政府としてはもう法案を提出する必要がないから提出しないのかと思いましたら、この堕胎についての先ほども衛生局長の話を聞くと、どうも認識のずれがあると思いますが、しかしこれは、もう本当に数の上からおいても、日母なんかは、この本当の数字を出すと大きな社会問題になるから、指定医一人に対して五人前後の届け出をせよと、こういう指導をしているわけですね。そういうことでこれは実際やっているんです、この八年間。これは立法府も責任があります。政府も、そうした姿勢に八年間もほったらかしている。大体政府が提案したんですから、何も変わってやしないんだから、ますますひどくなっているんだから、これはやっぱり何回でも何回でも提案をしていかなきゃならない責任があると思うんです。一回提案してこれが通らなかったからといって、事情が変わらない間はやっぱりこれはどんどん提案をしてもらって、そうした努力をしていただく姿勢、積極的な姿勢が待たれるわけでありますが、この八年間放置していた、そうした状態の中でどういうことになったか。
 文部大臣にお尋ねするわけでありますが、この中絶の横行は一般家庭だけだったのです、いままでは。ところが、その中絶がだんだんだんだん教室にまで来たということ。教室ということは中学生、高校生。できたらおろせばよいという単純な、安易な考えてこの十代の妊娠中絶が最近ずうっとふえてきた。昨年はついに、届け出数だけですよ、先ほど言いましたように日母が指導しているんですから。届け出数は一人の医師五人前後にせよと、こういう指導をしているんですから、実際。だから届け出数だけです、これは。二万件にもなろうとしております。先日、NHKのルポを見ておりました。十五歳から十九歳までの少女の百人に一人が中絶経験者である。妊娠したその少女の七〇%が半年の短い交際期間で性体験をしているという、驚くべきこの事実であります。私のまぶたには、テレビの画面に映し出された水子地蔵の前で、セーラー服を着た少女がうずくまっているんです。私は、そうした少女のセーラー服の姿を見たときに、これが青春なのかと思いました。この責任はだれにあるんだろうかと思いました、厚生大臣。
 そしてまた、教室の中では公然と――これは高校じゃない、大学じゃない、中学の教室の中で公然とこうした妊娠したフレンドのためにカンパをしているという、こういうことを聞いております。これは文部大臣、教育上から言ってもこの優生保護法の経済的――総理もおっしゃられた、経済的理由だけでできやしないんだと、こうおっしゃられた。しかし、経済的理由というそうした文言があるから、金さえ出せば中絶ができるんだと、そういう私は考え方につながっていくんじゃないだろうかと、こう思います。文部大臣、教育上、この優生保護法のことについてどういうふうにお考えになられるか。今後教育上、文部大臣の立場で、むしろ私どもと意見を同じくいたしますならば、国務大臣としてひとつ総理や厚生大臣にお願いを逆にしていただきたい、このように思います。いかがですか。
#58
○国務大臣(小川平二君) 最近、青少年の性非行が著憎いたしておりまして、人工妊娠中絶の件数もふえてきている。いま仰せのようなまことに憂慮すべき状況が出てきておるわけでございます。
 こういう状況に立ち至りました背景はいろいろ考えられると存じますが、一つは、青少年が非常に早熟になってきておるということ、同時にまた昨今の社会の風潮、環境の乱れということもございましょうし、あるいは性に対する青少年の意識がきわめて開放的になってきておるということもあろうかと存じます。
 文部省といたしましては、学校教育の場で生命の尊重すべきこと、あるいはまた男女互いに人格を尊重し合って相互に向上を図っていくということ。さらにまた健全な異性観を身につけさせて、衝動的な行動に走ることのないように自己の抑制に努めて、堅実な生活を築いていくべきことを教えておりますが、ただいま今日の優生保護法についてどう思うかとのお尋ねでございます。
 この点につきましては、先ほど来厚生大臣から答弁を申し上げたとおりでございます。改善の余地がもしありとするならば改善を図っていくことが望ましい、こう考えております。
#59
○国務大臣(森下元晴君) 生命の問題につきましては、厚生省といたしましてはいわゆる人口問題、それから宗教問題、科学問題また医学問題、また教育問題、あらゆる分野にわたる広い次元の高い問題でございますし、この優生保護法の改正問題につきましても、昭和四十七年に実は山さしていただきましたが、残念ながら廃案になってしまったというような経緯もございまして、その後の社会情勢等も先ほど御説明になりました、前向きでひとつ検討していきたい。
 最近、特に生命の倫理とか生命科学という問題が提起をされておりますし、これはもちろん日本だけではない、世界的な問題として提起されておりますし、科学の行き着くところ、結局は生命倫理、生命科学に行き着くであろう、こういう問題もございますし、厚生省としても村上議員の御意見には耳を傾けていきたい。また私個人としても同じような考え方を実は持っております。
 そういうことで御趣旨が十分生かされるように、そして生命の尊重が十分されるように、生命倫理の問題につきまして、やはりこの法改正に向かって取り組むことが厚生行政、また特に生命を守っていこうという倫理観に基づいても必要であるということを申し上げまして、優生保護法改正の問題について努力をすることを申し上げまして、御答弁といたしたいと思います。
#60
○村上正邦君 ちょっと話が……、総理のあれも出ております。それからまた厚生大臣の大体結論も出ておりますが、局長、深くもうちょっと聞きたいところがあるわけですが、中絶手術の九九%以上が母体の健康を損なうと、こういう理由になっておるようでありますが、それの前段に、身体的理由というのと経済的理由という条項がありますね。これはどうですか。この調査を恐らくなさっていらっしゃるだろうと思います、経済的理由と身体的理由。それからまた医者に経済的理由を判断させることがどうなのか。医者は何によって患者の経済的理由をはかるのか、どだい私は無理なことじゃないだろうかと思います。医師は患者の言うことをうのみに信じて経済的理由という条項に丸をつける、こういうことではないかと思いますが、まずその経済的理由と身体的理由、そしてまた本当の中絶をしなけりゃならない理由は何だったのか、恐らく調査なさっていらっしゃると思いますので、ちょっと聞かせてください。
#61
○政府委員(三浦大助君) ただいま御指摘の経済的理由あるいは身体的理由、この二つに分けた統計は厚生省の方にはございませんが、昭和四十四年に一度調査した資料がございます。この四十四年に調査した資料によりますと、身体的理由というのが二五%、それから経済的理由というのが二〇%あるわけでございます。それからもう一つ、総理府においてやはり調査をいたしておるわけでございますが、これによりますと、病弱で、産むと健康が害されるおそれがあるというのが二四%ございました。それから生活保護を受けるほどではないが、生活が苦しいというものが七%あるわけでございます。そのほかにまだ、計画外の妊娠だったからとするものが四六%ございますが、ただ医師がこの判断をする場合につきましては、一つには、現在生活扶助あるいは医療扶助を受けているかあるいはまたこれと同等な生活状態にあるということで、産むことによりまして、あるいは妊娠を継続することによりまして母体に著しい影響があると、こういうことになっておるわけでございますが、もう一つは、生活の中心になっている本人が妊娠した場合、あるいはその世帯が妊娠の継続または分娩によって生活が著しく困難になってしまう、こういう経済的理由があるわけでございますが、いずれにしましても経済的理由というのは、母体の健康が損なわれるおそれがあるということが一つの要件でございますので、法的には単に経済的な適用ということだけではなくて、身体的な適用ということでいま運用をしておるわけでございます。
#62
○村上正邦君 四十四年にやられたときに一番大事なこと、私聞きたいことをあなたはいつもはぐらかすんですね、頭がよろしいからかどうか。経済的、身体的理由、これはわかりました。中絶を受けた本当の理由の中で一番多かったのは何かあるはずじゃありませんか。
#63
○政府委員(三浦大助君) 先ほど申し上げました計画外の出産だからというのが四六%ございました。
#64
○村上正邦君 計画外という、これは入らないんじゃないんですか、中絶理由の中に。――わからないなら申し上げる。
 家族計画の失敗の後始末ということでしょう、言うならば。これは人工中絶が利用されていることになるんですね。法の曲解なんですね。これは許されることではないと私は思います。優生保護法が許していない人工妊娠中絶は、先ほど私が最初に法務大臣、あの歌詞をお渡しいたしました刑法第二百十二条は何が規定されていますかという、まさしくその堕胎罪に当たるのではないかと、こう私は思うのであります。いかがでしょうか。
#65
○政府委員(前田宏君) ただいまも仰せのように、優生保護法では人工妊娠中絶ができる場合を法定しているわけでございまして、それに当たるかどうかは個々の事案でございますけれども、一般的に申しまして、その要件を満たさない中絶ということになりますと、法律論といいますか抽象的な論理といたしましては堕胎罪に当たるわけでございます。
#66
○村上正邦君 そうしますと、堕胎罪でどのくらい起訴されていますか、この十年間。毎年のあれをちょっと聞かせてください。
#67
○政府委員(前田宏君) 率直に申しまして、堕胎罪で起訴された人員は大変少のうございます。統計によりますと、昭和四十六年から見ますと四十六年、四十七年がそれぞれ一名、四十八、四十九年がそれぞれ二名、それから飛びまして五十一、五十二年がそれぞれ一名、それから五十五年が一名と、こういうように非常に少ない数でございますが、これはやはり検察庁に送られできますといいますか、送致されてきます件数もないわけでございますし、また告訴、告発等もないというのが実情であるからでございます。
#68
○村上正邦君 これは、本当に聞いておりまして、この法の大きな隆路がここに私はあると思うんでありますが、もう少しびしびしとこれはやっぱりやっていただかなきゃならないんじゃないだろうかと思います。
 先ほど、経済的理由二六%と、こういうことでございますが、その経済的という、どこまでが経済的理由と言うのか、そこらあたりをちょっと聞かせていただきたいのでございます。
#69
○政府委員(三浦大助君) その経済的理由と申しますのは、これは日本母性保護医協会の方で指導しているわけでございますが、一つは、現在生活扶助あるいは医療扶助を受けているか、あるいはまたこれと同等なということでございまして、これは明確にわかると思いますが、ただ二番目の、生活の中心となっている本人が妊娠した場合、こういうのが第二項目にございます。それから三番目は、その世帯が妊娠の継続または分娩によって生活が著しく困難になる場合、というその三つの項目でいま指導をしておるわけでございますが、二と三については先生おっしゃるとおりちょっと不明確な点はございます。この点がこの前問題になりまして、法改正の話題なんかにもなった点があるわけですが、いずれにせよ、あくまでも身体的理由というのがこの中心でございます。
#70
○村上正邦君 いずれにしてもこの経済的理由というのは、これは各医師に次官通達で生活扶助を受けている者と、こう出ているわけでありますが、毎年のこの届け出数の件数から見ましても、そしてまた実際、届け出数というのは届け出数でありまして、先ほど私が言いましたように二倍から三倍、これはもう公然の秘密でございますから、その点これは年間二百万から三百万と、こう言われるわけでありますね。その中の二六%にいたしましても、そんなに多くの人たちが生活扶助を受けているということにはならないと思いますね。ですから、実際この経済的理由という、またこの経済的理由という文言がこの中に入った優生保護法ができましてから三十四年たつわけでありますが、終戦直後のあの住むに家がない、食うに食がないという、こういうときにできた法律であり、そのときに入れた文言なんですね。これは、まあ参議院から衆議院へとこの文言を入れるについてはいろいろあった、その経緯は議事録を見ますとありますけれども、いずれにしても三十四年前の生活条件といまではもう相当の変化があるわけですから、やはりさらに厚生大臣、くどいようになりますが、このやっぱり経済的理由という、これは先ほど言いましたように、人道上からも道徳的からも教育上からも、これはもう経済的理由ということは削除していいんじゃないだろうかと。ただ検討してみますということではなくして、もう少し踏み込んでいただいて、このことにつきまして厚生省は態度を明確に願えないかと。たびたび私が言っておりますように、この経済的理由ということ、これはもう世界的にも日本は通用しない文言だと思いますので、このことをお願いを申し上げます。
 そこで総理、生命尊重のことについては基本的なお考えはお聞きいたしました。私は私なりに、一体私という生命がただ偶然この世に生を受けたのではなくして、私の尊敬する父と母の深い縁によって結ばれて、そしてその父母によって生まれてきたわけでありますね。そして、その私の父にも母にもそれぞれ父と母がある。そしてまた、そのおじいちゃん、おばあちゃんにも、また、ひいおじいちゃん、おばあちゃんと、こうあるわけでありますが、そうしたことの命の神秘さといいましょうか尊厳さといいましょうか、そういうものをちょっと数の上でわかりやすくメモしてまいりましたので、閣僚の皆さん、お目通しいただければありがたいと思います。そして、生命尊重の意義ということにつきまして、やはりこれはおなかの中にあるわれわれの――法律的に言えば自然人と、こう言うわけでありますが、この自然人の直線線上にある、母親の胎内にあるこの命のもとを大切にしなきゃならぬということをしっかり御認識いただければありがたいと思います。
 そこで、人命尊重につきまして、たくさんのいろいろな資料を用意してまいっておりましたが、時間も来ております。次の質問に移らしていただきます。
 次は、いま私は人の命につきまして私の考え、そして政府に対するお願いをしたわけであります。そこで次は、国の命の問題について若干の質問をさしていただきたいと思います。
 この二月の十一日、政府が後援する五回目の「建国記念の日奉祝式典」が行われたのでありますが、そこで、政府後援といいましても、これは総理府と文部省の後援をいただいているわけでありますが、政府を代表していただきまして、総理府総務長官の御出席を賜ったわけでありますが、総務長官、出席をなさいました御感想をちょっと聞かしていただければと思います。
#71
○国務大臣(田邉國男君) お答えをいたします。
 建国記念の日は法律により国民の祝日として定められた日でございまして、「建国をしのび、国を愛する心を養う。」という趣旨に沿って国民こぞって祝うきわめて意義深い日であると考えております。
 なお、今年の建国記念の日奉祝運営委員会主催による奉祝式典には私も出席をいたしまして祝辞を述べました。まことに意義深い式典であったと思うのであります。
#72
○村上正邦君 外務大臣に、お伺いいたします。
 外務大臣は、昨年は幹事長として御出席を賜ったわけでありますが、本年は外務大臣といたしまして一世界六十四カ国の大公使の方が参列されました。そして、大臣にはこのパーティーにも出席をいただいたわけでありますが、非常に大公使の方が喜んでおられまして、これで多少日本の建国記念日のような形になりましたねと、昨年は、外務省からは政務次官お見えいただきましたけれども、ことしは外務大臣として大公使の方をお迎えいただきましたので喜んでおられるわけでございますが、お出になられましてどのような御感想をお持ちなのか、ちょっと承らしていただきたいと思います。
#73
○国務大臣(櫻内義雄君) 建国記念日は国民の祝日として決められておるのでございまして、国民一人一人がその日を意義あらしめる、また祝う気持ちを持ってよろしいものだと思います。政府後援のもとに建国記念日の祝いの会が催されておると、こういうことで、ただいまお話しのように幹事長あるいは外務大臣、こういう立場にございますから、せっかくのそのような祝う式典、あるいはその後のパーティーであるとか、喜んでお伺いをし、また本年は六十四カ国の大公使がお見えでございまして、それぞれの国を代表する皆様とともに相ともに祝ったということは大変意義深かったと思います。
#74
○村上正邦君 中川大臣、大臣はこの建国式典には閣僚の中では最多記録を持っていらっしゃいますことにつきまして常々深く尊敬をしておるわけでありますが、大臣の御感想を。
#75
○国務大臣(中川一郎君) 建国記念日に出まして感ずることが二つございます。
 一つは、法律にうたわれておりますように、「建国をしのび、国を愛する心を養う。」、日本がいい国であるだけに、この国は独立国としてこうして綿々と続いてきた、先祖をしのび感謝の気持ちでいっぱいであると同時に、この国をよくすることについて最善の努力をしなければならないという誓いが一つございます。
 もう一つ感じますのは、どうしてこのようなあたりまえのことに日本の中で反発を感ずる人が多いのかと、どうしてそんなひがんだ心になって愛国心という言葉が使えない世の中になってきたのかという国内の一般的な空気について非常な反発を感じながら、喜びと同時に悲しみつつ毎年出席しているわけでございます。
#76
○村上正邦君 今回は箕輪、初村両大臣に御出席を賜ったわけでありますが、恐らくいま櫻内大臣、それからまた中川大臣が御感想を述べられたと同じような御所感を持たれたのではないかと思います。
 そこで、総理にお伺いいたしますが、総理は建国記念日をどのようにとらえておられますのか、ちょっとお伺いをさせていただきます。
#77
○国務大臣(鈴木善幸君) いま閣僚の諸君からもお話がございましたが、「建国をしのび、国を愛する心を養う。」と、こういう趣旨で設けられ、またその日は国民がひとしくそれぞれの立場におきまして祝意を表しておるわけでございます。私は、それが年とともに国民に浸透し、定着をしてきておるということを感じておるわけでございまして、大変結構なことだと喜んでおるところでございます。
#78
○村上正邦君 そうしますと、たとえばこどもの日だとか体育の日だとかと同じような次元ではこの建国記念日はとらえていらっしゃらないわけでございますか。
#79
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、「建国をしのびこそうして「国を愛する心を養う。」と、そういう意味合いからいたしまして非常に重要な意味を持つものだと、この趣旨が国民の間に年々浸透しておりますことは大変私は結構なことだということで喜んでおるところでございます。
#80
○村上正邦君 そうしましたら、総理、大変これは聞きにくいことでございますが、差し支えがなかったらお聞かせいただければありがたいと思いますが、与党議員としてちゅうちょしたのでございますが、二月十一日、総理はどのようにお過ごしなされたか、ちょっとお聞かせいただければ一もうおっしゃっていただかなければそれで結構でございますが、お尋ねいたします。
#81
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、まずこの日は家におきまして先祖の霊にぬかずきまして、今日のわれわれの平和と幸せを感謝をいたし、そして国の立場におきましてもこのことを心から祝う気持ちで一日を過ごしたわけでございます。
#82
○村上正邦君 どうもありがとうございました。
 建国記念日の意義について私がいまさら申し上げることはないと思います。この建国記念日が制定されるまでにはいささかの経緯があったことは存じております。昭和四十一年に二月十一日を建国記念日と国が定めたことは、これは厳然たる事実であります。総理がいま国民の中に定着しつつあるという御発言でありますように、ことしは四十の市町村で、あるところでは自治体が主催をいたしております。また、あるところでは後援をしていただいてこの奉祝式典が行われたわけでありますが、約一千会場で百万人を超える人々が参加をされ、日本の建国をお祝いしたわけでございます。特に初村大臣の地元であります佐世保市では、一万二千の市民が集まりまして、まさに市を挙げてお祝いがなされたわけであります。このように、二月十一日は国の今、国家の誕生を祝うに、ふさわしい国民の祭日として国民の心にしっかり定着してきております。
 総理、そこで世界広しといえども国の誕生日、建国を政府みずからが祝わない国は日本ぐらいなものだと思います。どうか総理が在任中、建国記念の日の政府主催の奉祝式典を実施されたならば、鈴木善幸総理の名は歴史に栄光の名をとどめることと確信をいたしますので、どうかひとつ来年は政府主催に踏み切っていただきまして、政府主催でお祝いをしていただくわけにはいかないだろうか、こう思います。
 ことし、民社党から和田耕作代議士もお見えになられておられまして、ごあいさつの中で、どうだ、五人の閣僚の方々がお見えになっておられるが、鈴木総理、政府で建国記念日は主催してお祝いをすべきだということの祝辞が述べられておるわけでありますので、これは自民党だけじゃございませんので、思い切った、ひとつそういう決断を下していただけないだろうか、こう思います。総理。
#83
○国務大臣(田邉國男君) お答えをいたします。
 建国記念の日は、「建国をしのび、国を愛する心を養う。」という法律で定められた趣旨に沿って国民こぞって祝っていただくべき円とされております。すでに国民各界各層の方々の参加のもとに国民的な行事も行われておりますので、本来の目的は達せられていると思っております。したがって、特に政府が主催をする祝典等を行うことを考えておりません。
 以上でございます。
#84
○国務大臣(鈴木善幸君) この建国の記念の日、これを政府が主催でやったらどうか、こういう御提案でございますが、総理府並びに文部省が後援をいたしております、そして奉祝委員会が主催をされまして行事をやっておりますと同時に、各層各界でそれぞれ自主的に祝賀の行事等をやっておられるわけでございます。しかし、先ほどもお話が出たように、まだ一部の方面でこれに対して反対をされておる方々もおられるということも事実でございます。私は、こういう国を挙げての祝典でございますから、政府がこれを主催をし、強制をするというような印象を与えることはできるだけ避けて、そして国民の各層の中から自然に盛り上がって、全国民的な形で奉祝をするという方向に持っていくことが、この趣旨からいたしまして最も望ましいことである、そういう方向に私どもは努力を積み重ねていきたい、こう思っております。
#85
○村上正邦君 総理それから総務長官の御答弁にはいささか不満であるわけですが、時間もございませんのでこれ以上このことについて言及いたしませんが、二月の十一日、総理のお過ごしなされましたことをちょっとお聞きしたわけでありますが、総理、どうでしょうか、ことしは主催までいかなければ、来年はひとつ民間団体で主催をいたしておりますこの建国式典に御出席賜るわけにはまいりませんか。
#86
○国務大臣(鈴木善幸君) 個人鈴木善幸としてはちっともそういうことをどなたにも遠慮する必要はないわけでございますが、総理大臣という立場になりますと、国で主催をするという意味合いに通ずるようなこと、それへ向かって進めておるという形をあらわすというようないろいろな考え方が出てくると思いますが、先ほど私申し上げましたように、これは画然に全国民的に盛り上がる形で奉祝するようにいたしたい、そういう方向で努力を積み重ねていきたいという私の気持ちは御理解を願いたい、こう思います。
#87
○村上正邦君 そういたしますと、これは永久に政府主催の建国記念日はできないんじゃないだろうか、こういう危惧を持つわけでありますが、もう少し自信を持って、こういう根本的な問題でございますので、国の誕生日を祝うということは。総理も国民に向かっても、土をいじることも健康の大きなあれかとも思いますが、どうかこういう意義について、時あるたびに国民に向かってこういうことの意義について話をしてもらって、一日も早く、いま総理がおっしゃられたように、国民的な合意がとれるように努力を賜りたいと思います。できれば審議会などつくっていただいてと思いますが、これで建国記念日の質問を終わります。
#88
○委員長(植木光教君) 玉置和郎君の関連質疑を許します。玉置君。
#89
○玉置和郎君 同僚議員の村上さん、初陣にしては人の今、国の命という大変大切な問題について触れられましたので、その中で人の命の問題について関連をしたいと思います。
 総理が、人間の生命は受胎に始まる、こう言いましたね、非常に私はいい答弁だと思うのです。そこで、憲法十三条にまた触れられて、憲法十三条の前段に言う「国民」には胎児も含まれるというふうに言われたと思いますが、これは再度確認をいたしますが、そのとおりでございますか。
#90
○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおり認識をいたしております。
#91
○玉置和郎君 そうしますと総理、この憲法十三条の前段に言うこの理念に胎児が含まれるということになりますと、現在の優生保護法に言うところの経済的理由なんというのは、これはもってのほかだという解釈が生まれできますが、いかがでございますか。
#92
○国務大臣(鈴木善幸君) 優生保護法におきましては、経済的な理由によって母体の身体的な面についても影響を与えるおそれがある、こういうぐあいに関連をさしてうたっておるわけでございます。私は、その経済的理由というのがありますためにいろいろ誤解を、人命軽視というような印象を与えたり、堕胎等について軽く見ておるというような誤解を生ずるおそれがありますので、私はその辺は明確にしなければいけないし、政府はそういう趣旨で四十五年当時にああいう改正法案を出したわけでございますが、十分な国民的なコンセンサスが得られませんで、その当時審議未了に相なったという経緯がございます。しかし、いま申し上げたような私は考えを持っておりますので、今後とも国民的なコンセンサスが得られますようにさらに一層努力を重ねていきたいと、こう思っております。
#93
○玉置和郎君 そこで、この経済的理由がいかに希薄になったかということについて確認をしますが、経済企画庁長官、昭和二十八年立法当時と昭和五十五年のGNP、国民所得、その比較を言ってください。
#94
○国務大臣(河本敏夫君) 昭和二十八年のGNPは七兆五千億であります。昭和五十五年は二百三十九兆でございます。約三十倍強になっております。
#95
○玉置和郎君 その代表的物価ですけれども、米、一級酒、たばこ。
#96
○国務大臣(河本敏夫君) 米が約七倍、それから酒が約二倍、それからたばこが約二倍、このように、変わっております。
#97
○玉置和郎君 総理、GNPは約三十一・七七倍、三十二倍です。それから国民所得は二十四倍、米は七倍、酒は二倍、たばこは二倍足らずということですから、もう経済的理由というのはここにないです。
 そこで厚生大臣、要保護世帯数と保護者の人数、それに与えておる金、これの比較。
#98
○国務大臣(森下元晴君) お答えいたします。
 昭和二十八年と五十六年九月を比較いたしますと、保護世帯で、六十八万、これが七十五万になっております。それから人数では、二十八年が百九十二万人、それが五十六年九月では百四十三万人。そうして月額の支給金額といたしましては、二十八年は八千円、五人世帯でございます。それが五十六年九月では十三万五千円になっております。これは四人世帯であります。そのほかに期末手当一人約一万円、こういう数字になっております。
#99
○玉置和郎君 ですから、経済的理由、貧困なるがゆえにという貧困がなくなった。むしろ豊かさのためにいま困っておる。そういう状態の中で経済的理由というようなのをつけておくのは、先進国の中でもこれは日本だけです。恥ずかしいこと。
 それだけに、ここでもう一回確認しておきますが、さっき村上君の方から社労委員会でやろうとかやらぬとかということでありますが、これは何といったって政府閣僚全部そろっておるところです。それだけに、厚生大臣にもう一回確認をいたしますが、経済的理由については、総理もさっきから話をしておられますが、四十八年に法律を出して参議院で廃案になった。政府が出す法律は国家国民のために考えて出すりっぱな法案であるという前提に立つならば、あなたは四十八年に出した政府案を再度整理して、そして現実に合うようにして提出する用意があるのかないのか、その辺を聞かしてください。
#100
○国務大臣(森下元晴君) 経済的理由につきましては、ほとんどその意義は失っております。ただ、特殊な例が少し実はございます。それ以外につきましては、玉置委員が言われたとおり、この理由は失っておるように私は思っております。したがって、この優生保護法の改正問題につきましては、厚生省としてもよく検討いたしまして早急にこれを出したいという前向きの、私の個人的な実は考えでございますけれども、明言をいたしたいと思っております。
#101
○玉置和郎君 ありがとうございました。
#102
○村上正邦君 人の今、国の命と、こうきたわけでありますが、私はここで文化の命について進みたいと思います。
 初めに環境庁長官にお伺いをいたします。
 屋久杉原生林の保護に関する問題でございますが、現在屋久島では瀬切川流域の原生林を伐採する計画が問題になっております。この地域は環境庁が国立公園の拡張を計画している地域と聞いておりますが、国立公園の区域に編入したいとする理由は何でしょうか。
#103
○国務大臣(原文兵衛君) 御指摘のあった瀬切川上流部一帯は、屋久杉の巨木を交えたヤマグルマやイスノキが優占する、主として占める常緑広葉樹林でありまして、原生的な林の相が大きな面積にわたって残っている地域であります。学術的にも高く評価される非常に貴重な自然地域であると思います。
 この地域を国立公園区域に取り入れると、隣接する国立公園区域内の自然林と一体的に保護を図ることが可能になります。この結果、植生の垂直分布の状態を確保することができるものと考えているわけでございます。
 御承知のように、ユネスコの人間と生物圏事業計画におきまする生物圏保存地域というのがございまして、これは現在世界で百九十三地域が指定されておりますが、そのうち日本には四地域がございます。この屋久島も非常に貴重な地域でございますので、そういう点も考慮いたしまして、さきに指定した原生自然環境保全地域と国立公園地域とが相まって、世界的にもいま申し上げましたように非常に評価の高い屋久島の自然公園が十分に保全されることになりますので、私どもといたしましては公園地域の拡張を考えておるところであります。
#104
○村上正邦君 この瀬切川流域は、海岸線から高地帯までの連続した原生林であるということなんですね。ここに貴重な意味がある。自然相保持に必要な面積、こういうことになるわけでありますが、ここに写真が来ております。ちょっと見にくいのですが、環境庁長官、見ていただきたい。それから農林省、大臣、見てもらいたいんです。
 次に農林大臣にお尋ねいたします。
 昭和五十七年四月からの第四次施業計画ではこの貴重な原生林地域を伐採する計画であると聞いていますが、この最後のとりでとも言うべき瀬切川右岸の原生林も伐採する計画の中に入っているのかどうか、明確に答えていただきたいと思います。
#105
○政府委員(秋山智英君) お答えします。
 屋久島に分布しています屋久杉は学術上も大変貴重なものであるという認識を持っておりまして、私どもこれまで国有林の計画を立てるに当たりましては、学識経験者の御意見を伺いながら、また、一方におきましてあの地域には林業、林産業に従事する人たちも大変多うございますので、地域の林産振興との調整を図りながら、いままで屋久杉の保護をしてまいったところであります。
 先生御指摘の今回の第四次の施業計画におきましても、これらの考え方に基づきまして、屋久杉の生えております地域の約八割はこれを保護しておりまして、残りの二割につきまして択伐等でやっておるという現状がございます。
 なお、伐採木につきましては、前計画に対しまして今回約五〇%というふうなダウンをしています。特に御指摘の瀬切川につきましては、約八百六十ヘクタールあるわけでございますが、従来この中に百二十八ヘクタールの学術参考保護林がございましたが、それ以外は普通でございましたが、私ども今回の検討におきましてこの流域の六割につきましては保護いたしまして、残りの三百四十ヘクタールにつきまして択伐で二百七十ヘクタール、皆伐で七十ヘクタール計画をしておるところでございます。
#106
○村上正邦君 何十%も残すとか残さぬとかじゃないんです。これは先ほど言いましたように、自然相保持という、これは連続して残さなきゃ意味がないんです。屋久杉を一本、二本残すとか何十%残すとかじゃない。そういうことを私申しておるんじゃないのです。原生林として残すところに意味がある、こう申し上げているわけです。農林大臣、渡辺大蔵大臣が農林大臣のときにこの問題をこの予算委員会で質疑されております。そのときに渡辺大臣は、これは重大な問題だからわしが行ってやろうとまで言われたんですね。だから田澤農林大臣もひとつ、そういう大きな問題でございますので、大臣が行かれて現地の人たちと十分話し合って、環境庁の言うことも十分聞いていただいてひとつ対処していただきたい。いますぐ、これはもうどんどん進めておりますが、大臣、ぜひ行っていただく。行っていただくまではこれはひとつ伐採をやめてもらいたい。これはきのうの新聞でございますが、「国の皆伐学者立つ」と、学者の人たちもこうして立ち上がっております用地元からも私のところへ、このくらいいろいろと屋久杉陳情書類も来ております。請願も来ております。ですから、大臣、ひとつこのことについては慎重に考えていただきたい。下手をすると成田空港のような闘争になりますよ。そういうことを私は憂慮いたしますので、大臣ぜひ行っていただきたい。行くまでは待てということでお願いをしたいと思います。
#107
○国務大臣(田澤吉郎君) 屋久杉の伐採計画については、いま林野庁長官から報告をしたとおりでございます。村上委員御指摘のように、いま日本の森林資源は大変な状況になっております。それはやはり戦後の、最近の不況が住宅着工率を下げました結果、非常に不況になっている。その結果、国内林業生産活動というものは非常に停滞しまして、造林だとか、伐採だとか、間伐等の作業が非常におくれておるわけでございまして、山全体の管理が非常に乱れている時代だと私は思うのでございます。
 それで、先ほど村上委員からも御指摘がありましたように、私たち資源の少ないこの日本で文化的に何を積み上げるかといいますというと、私は一つは教育によって人材をつくる、もう一つは、やはり木を植え造林することによって国土あるいは自然の保全をする。私たちは石油を得ることはできませんけれども、幸いにして私たちは水という、非常に豊かな水を与えられているということは、やはりわれわれの先輩が森林資源を確保したところにあろうと、こう私は思いますので、教育にしても森林資源にしても一日にしてできるわけじゃございませんので、そういう意味で私たちは今後森林、林業政策を進めてまいりたいと、こう考えておりますので、いま屋久杉の問題については、御指摘のような状況がもしあるとすれば私は非常に重大な問題だと思いますので、渡辺元農林水産大臣がお約束もしていることでございますので、私もできるだけ早い機会に現地へ出向きまして、現地の方とも、また環境庁のいろんな状況等も聞かしていただいてこれに対する対策を考えたいと、かように考えております。
#108
○村上正邦君 時間が参りましたが、教育問題の私は質問をしたかったわけであります。それは高槻市立第六中学校、先生をかえてほしいという父兄の方々がデモをやっているわけでありますが、こういうことにつきまして文部省当局にどういう指導をしているのか。というのは、校長がいてもこれは職員組合、職員会議が最高議決機関というような形になって、校長の権限が全然剥奪されております。卒業式やいろいろな行事の中でも、校長のあいさっというのはないのですね。教職員組合代表あいさつと、こういう状態になっておるわけでありますが、この問題については文教委員会で同僚の田沢議員が取り上げることになっております。
 それから環境庁長官にも、これは東京都の御出身の先生というお立場もありますが……
#109
○委員長(植木光教君) 村上君、時間が参りました。
#110
○村上正邦君 はい。
 千代田区には子供のグラウンドが一つもないのですね。二十三区の中でグラウンド一つも持たないのが、この千代田区なんです。この千代田区は官公庁が七〇%占有しているのです。そのしわ寄せがグラウンドを一つも持たないというこういう結果になっておるわけでありまして、こういうことについても政府の責任としてこれは考えてあげなきゃならないことではないか。たとえば日比谷公園、北の丸公園、これは陳情が出ておるようでございますが、そういうところあたりで子供にそうした土の中で遊べるような、たくましくこの心身健全な青少年が育成できるような、これはもう政治の中心、文化の中心、経済の中心、この千代田区がこういうことでは非常に困るんではないだろうか、こういうことについて質問をさしていただきたかったわけでございますが、時間が超過いたしましたことをお許しを願います。どうもありがとうございました。
#111
○委員長(植木光教君) 答弁は。
#112
○村上正邦君 答弁できたらお願いします。
#113
○国務大臣(小川平二君) 高槻市立第六中学におきましては、ただいま仰せがございましたように職員会議が最高の決議機関とされておりますために校長の正当な権限が機能しておらない。その結果、各種のきわめて憂慮すべき事態が出てきております。目下、設置者であります高槻市の教育委員会が是正の指導を行っておりますが、大阪府並びに文部省がこれをバックアップいたしまして、是正に努力をいたしておるところでございます。
#114
○国務大臣(原文兵衛君) 御質問のありました千代田区の少年野球場を北の丸公園の中に、設置してほしいという要望は、千代田区から昨年の五月と七月にそれぞれ出ておるわけでございます。ただ、要望のございました皇居外苑北の丸地区は、昭和三十八年の閣議決定で皇居を囲む庭にふさわしい森林公園として整備することとされておりまして、現在植樹等整備を進めている場所であって、当時の環境庁長官から、遺憾ながら御要望に沿いかねる旨の返事を千代田区にしておるわけでございます。ただ、実は私も千代田区の神田で生まれまして麹町にも数年間住んでいたようなこともございまして、千代田区の事情はよく存じておるわけでございます。まあ国務大臣といたしましても他に適地が見つけられることを望んでおりますし、また私としてもその方向で御協力を申し上げたいと思っておることをお答え申し上げます。
#115
○村上正邦君 どうもありがとうございました。(拍手)
#116
○委員長(植木光教君) 以上で村上正邦君の総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#117
○委員長(植木光教君) 次に、大川清幸君の総括質疑を行います。大川君。
#118
○大川清幸君 御通告を申し上げでありますが、その前に一点だけお伺いをいたします。
 F4ファントムの試改修の予算執行の凍結問題は、二月十日の衆議院で問題になりまして、自民党さんと社会党さんの合意によってこれを一時執行停止すると、こういうことで、その後は、取り扱いは今後引き続き審議をすること、こういう中身になっています。きのうきょうの報道によりますと、何かこの総括質疑が済んだ後で、十八日にはこの執行凍結を解除するということですが、これはどういう経過、変化があったのか、その辺のところを、経過とそれから凍結を解除する判断についてお伺いをまずしておきます。
#119
○国務大臣(伊藤宗一郎君) この問題につきましては、先生御指摘のとおりな事情でただいま執行を見合わせているわけでございますが、またそのことにつきまして総理、官房長官からも、この委員会でも衆議院の委員会でも御答弁がございましたように、またわれわれ防衛庁なり防衛庁長官としても、すでに国会で議決を下しております予算でございますので、年度内にぜひとも執行さしていただきたい、そのことがまた国民に対しましての責務でもあるというようなことを申し上げておるわけでございますけれども、仰せただいま御審議をいただいている最中でもございますので、また委員長のお計らいであのような申し合わせもちょうだいしておりますので、目下慎重にその取り扱いについて検討している段階でございまして、新聞紙上に出ているようなことにつきましては、まだ検討を始めているということではございません。
#120
○大川清幸君 総理、いまの防衛庁長官の答弁に間違いございませんですか。
#121
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府としては、願望は持っておりますけれども、いま国会で御審議をいろいろ予算委員会でいただいておる段階でございますので、まだ具体的にその取り扱いを決めておりません。
#122
○大川清幸君 それではこの問題はまた同僚議員の質問に譲ることにいたしまして、御通告申し上げた経済の見通しと税収の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 二月の五十六年度補正予算の審議の際に、十二月当時の大蔵省の税収実績をもとにして大蔵大臣の御意見を聞いたのですが、当初予算の見込みは当たらないものですと、ただし、補正後の税収見込みについては専門家が分析してやったので、すれすれのところでいけると期待をいたしておりますと、こう御答弁をなさっているのです。ところで、ここ二、三日の予算審議の御答弁を聞いていると、景気の動向にも心配があり、円安の問題等もこれあり大変心配をしておりますという御答弁が何回かありました。これは、補正後の税収見込みの達成について大変心配だという意味でございますか。
#123
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり十−十二の景気動向等が発表になって、景気の動向それ自体がストレートに税収にはなるものではございませんけれども、しかし、これもやっぱり関係はないとも言い切れない。そういうような点から考えまして、具体的数字はわかりませんが、少なくとも安心できる状況ではない、むしろ心配するのが常識だと思いますので、そういう答弁をしたわけでございます。
#124
○大川清幸君 ところで、税収の見込みについては比較的手がたいデータだと思いますので一総裁、お忙しいところを恐縮でございます。対民間収支ベース、これは二月が一兆四千九百五十四億、それから三月が、推定で多少ぶれはあるでしょうが、二兆九千億程度、これでよいかどうかということ、これを基礎にいたしますと、五十六年度の対民間収支ベースでは二十八兆八百億前後になるのだろうかと思いますが、この辺の数字はいかがでしょう。大体その辺に落ちつきそうでしょうか。いかがでしょう。
#125
○参考人(前川春雄君) 私ども、資金需給見通しというのを毎月、金融調節上の必要から出しております。その中で、財政資金の受け払いが非常に大きいわけでございまするから、税収を含めました財政資金の対民間収支につきまして、大蔵省とも密接な連絡をとりながら私どもの責任において判断しておるわけでございます。三月中の税収につきまして、私どもの見通しては二兆八千五百億、五十六年度中はこれをもって算定いたしますと二十八兆百億ということでございます。
#126
○大川清幸君 大体私の申し上げた数字で落ちつきそうでございます。二十八兆。そうしますと、この対民間収支ベースといいますか、日銀ベースでは、国税庁ベースと比べますと、まあ暦年の実績ですが、二兆五千億ぐらい国庫内の振りかえ分があります。これを足しますと、いまの数字で言うと三十兆二、三千億になるのでしょうか。これから特別会計分の税金約六千億、こんな程度見たらいいと思うんですが、これを差っ引くと二十九兆四、五千億になっちゃうのです、いまの日銀総裁の御答弁をベースにして考えると。ですから、三十一兆八千億という補正後の五十六年度の税収、これに対しては一兆七、八千億以上歳入欠陥が出る数字になるのです。わりあい手がたいデータで分析してそうなりますが、大蔵大臣、この見込みについてはいかがお考えですか。
#127
○政府委員(福田幸弘君) お答えいたします。
 対民間資金の収支というのは、資金の面からの計算でございます。したがって、国庫が租税を上げる、もしくは、上げる方が一面的な姿でありますけれども、そういうことで資金面から窓口ベースで機械的に受け入れを計算しておるという性格のものでございます。税収の方は、予算との関連で実績をはじきますので、そのところで食い違いが出てくるのは当然で、それは御承知の上での計算をやられておるとは思いますが、そういうことで、税の方ではそのような資金の窓口ベースと違いまして、年度所属の問題が出てまいります。そういうことで、五十六年四月一日から五十七年三月末までの間に納税義務の成立した租税ということが税の年度区分になりますので、五十七年五月までに収納があったものということになります。
 そういうことで、税収の計算としましては、国庫ベースの数字はもちろん参考にいたしますが、それに調整を加える、それには国庫内振りかえというのがございます。それから、特別会計の部分もございます。それから、いま申しました発生ベースの食い違いがある。そういうことですから、五十六年度に入っています国庫の金としましても、五十五年度に入るべきものがあるのは当然でございますし、五十六年度としてはキャッシュでは入ってこなくても、今後の入るべきものというか、発生ベースですから、今後入るものをどう見込むか、いわゆる出納整理期間中における税収をどう見るかという問題、そこがポイントです。そこの出納整理期間中の税収というのが、前回も御説明しました三月の決算法人がそこで入ってくるということで、それは出納整理期間として調整していく計算になっているようですが、そこをどう見るかがポイントである。それから、三月の個人申告税はどうなるか、これは日銀の方では見通しがございますが、現在それは収納中の申告にかかっておりますので、それがどうなるかということは、われわれ税の方から見ればもっと確定的なものがほしいわけで、したがって三月の個人の数字がどうなるか、それから三月の法人の税金がどう入るかは、今後にかかっておるということでございます。したがって、われわれとしましては、いろいろ不安定要因はございますけれども、確たる数字を訂正するという資料がない現在におきましては、予算どおりというふうに考えております。
#128
○大川清幸君 数字をいじっている専門家の答弁にしては、数字が全然入らないで御答弁いただいたのですけれどもね。私の言った五十六年度の分について、数字の検討はこれから入る分がたしかあるのですけれども、ほぼ間違いないでしょう。どうなんですか、その点聞いたのですよ、経過や周囲の説明を聞いているんじゃないんですから。計算上そうなるでしょうというのです。
#129
○政府委員(福田幸弘君) お答えいたします。
 今後入るべきものというのが、対民収支の出納整理期間分のところの税収をどう推計するかということでございますが、これはいずれにしろ三月の決算がどうなるかという個別の企業の決算にかかっていますので、推定という問題よりは、やはり日銀の方でも日銀短観というものでは五十六年下期は三九・一だったと思うのですが、そういうふうな回復基調も見込めておりますし、国民経済計算の方も一−三万がどうなるかというようなのもまだわかりません。したがって、われわれとしては、三月がどうなるかというのは従来の見通しということを変えるだけの積極的な資料に乏しいということでございます。
#130
○大川清幸君 そこで、国税ベースの方はさっきの答弁の中でもちょっと御説明になったのですが、これは出納整理期間の四、五月、これを取り込んでしなきゃならないし、これからの景気の見通しや三月期決算の法人の状況もあるということでしょう。
 しかし、それじゃ二ヵ月ずらしまして四、五月までを見込んで私の方でも実は試算をしてみた。この四、五月については五十四年、五十五年、五十六年と実績が出ていますが、この中で比較的いい方、五十五年で見ますと、これは四月が二兆五千五百七十五億、五月が一兆九千九十九億です。ですから四兆四千六百七十四億ですかな。これを計算に入れて考えますと、五十六年二十八兆九千億ぐらいになるのですよ。これで国税その他国家公務員の源泉税等国庫内振りかえが二兆二千億ぐらいの想定でよろしかろうと、こう思います。それから特別会計分の六千億を引きまして、それでも三十兆五千億余りぐらいなんですよ。そうすると、この計算で見ても、四、五月取り込んでみても一兆二、三千億あるいは一兆一千億ぐらいかな、歳入欠陥が出てしまうのですがね。この辺、内輪に見て私申し上げているのです。九千億ぐらいかな。この辺の見通しについてはどうですか。まあ先のことだからまだはっきりしたことは言えないとおっしゃるでしょうけれども、数字的には分析なさっているのでこの辺の見当をつけているんじゃないですか、どうですか。
#131
○政府委員(福田幸弘君) お答えいたします。
 繰り返しますが、三月の個人申告税がわからないというのが、いま申告中でございますから、日銀の方の国庫収支での三月の数字ということよりも、むしろ実際入ってくるのがどうなるか、ここにやはりかかっておるということ。それから、おっしゃっています出納整理期間中というのが、繰り返しますが三月の計算でございまして、これはもうよく計算をいろいろ過去の数字でチェックされておりますけれども、これが個々の企業の問題と、こういうのは過去の数字がそのまま使えないといいますか、われわれも確たる自信がもちろんあるわけじゃありません、見通してありますから。特に十−十二月の経済停滞の影響があると思うのですが、これが確実にどうなるかという見通しがない以上、その予算をどうするかということまでの確信がないだけに、予算の数字をそのままにさしてもらっているということであります。
#132
○大川清幸君 数字のこと、明確な答弁は時間的なあれがあるから答弁できないのでしょうが、答弁しないということは、突っぱねないということは、危ない、心配していらっしゃるんだと思うのです、結局。
 それで、五十七年度当初の税収見込み三十六兆六千億。そこで、この計算のベースになっているのは五十六年度の補正後の税収ですわな。ですから、そいつがいま言ったように歳入欠陥が出そうな心配な材料が幾つかあるわけです。そうすると、五十七年度の税収についての不安もやっぱりあるのでしょうね。どうなんですか。
#133
○政府委員(福田幸弘君) お答えします。
 五十六年度はそういうことで確定的な数字というものはほかにない以上、予算の数字ということにならざるを得ないのは御了解を願えると思うのですが、その上に立った五十七年度と申しますのも、個々の税目ごとにいろいろなまたデータによって推定をいたしました予算というものを置きかえるだけのものがございません。したがって、五十六年がやはり予算の見積もりとしては正しい。それに乗っかって五十七年度の予算というものはそれなりの正当性があると、こう考えます。
#134
○大川清幸君 日銀総裁を呼んでいますから、総裁のを済ましちゃうところまでやりたいと思います。
 ところで、時間がないので次に移りますが、昨年からの日銀さんの方は、公定歩合あるいは貸し出しの増加額等、こう傾向を見ていますと、マネーサプライの方の姿勢を見ていますと、大体緩和基調でこられて、私どもも昨年の中ごろから景気対策上はそれでいいのだろうというふうに判断をして見ておりました。ところが、物価の動向等を見ますと、このデータを見ますと、ずっと去年の四月から卸売物価なんか前年比でぼんと落ち込んだ後横ばいです。それから消費者物価あるいは卸売物価もほぼ横ばい。ですから、日銀さんが想定したように景気刺激にこれ金融政策が直結しなかったうらみがあるのではないか、こんなような気がいたしますが、その点はどうお考えになっておりますか。経済動向にちょっと響いてないでしょう。
#135
○参考人(前川春雄君) 私ども金融政策を実行してまいります上におきまして、物価の安定ということは第一に考えておるものでございますから、そういう意味で物価が安定した状態になっておることは、非常にそういう点から言って望ましいことであるというふうに考えております。
 金融政策緩和基調をずっと続けてきておるわけでございまするが、そのわりに経済活動が活発でなかったということは事実でございます。ただ、いろいろな指標から見ましても、経済活動あるいは景気そのものは落ち込むというよりも、十−十二はGNPマイナスになりましたけれども、景気そのものがこれからどんどん落ち込むというふうな環境にはないというふうに思っておりますし、物価がもし安定することを続けることができれば、経済活動自身も実質的にはだんだん伸びていくものであろうというふうに期待をしております。
#136
○大川清幸君 いろいろな心配があるのですが、先週の栗林委員の質問に対する答弁で、GNPの伸び率に比較して貨幣供給量が多くないのかという質問があって、停滞期にやや貨幣が多くなる、ただし状況としては慎重に見守りたいという答弁をなさっているのです。確かにこういうときにはマーシャルのkが上昇いたしまして、貨幣の流通速度というのが落ちることは私理論的にはわかるのですが、第一次オイルショックのときのあのマネーサプライの状況と卸売物価、消費者物価の動向を見ていますと、この去年からことしへかけての物価の動向とマネーサプライの状況とはまるっきり対照的です。大変おもしろい。いわば異常なこれはデータになっているわけですね。ですから、こういう点で考えると、このお金が一体どこへ行ってどこで動いているんだろうというのが心配なんですよ。ですから、一ころブームでうわさになった金とか、あるいはグリーンカードに対する思惑とか、あるいはゼロクーポン債の問題等があるのですが、この金の流れについてはどのようにお読みになっているのですか。
#137
○参考人(前川春雄君) 名目成長率、政府の見通しよりもかなり高いところをマネーサプライは動いております。いまお話がございましたように、こういうふうな緩和期には大体こういう現象が起こるわけでございまして、いまお話しのございました回転速度が遅くなっているということがその大きなあれだと思います。ただ、こういうインフレ先高観、物価の先高観というのが起こりますと、この通貨供給量がすぐ購買力になりますので、その点につきましては私ども十分気をつけなくてはいけないというふうに思っております。いまのマネーサプライの状況は、私どもが許容できる最上限にあるというふうに思っておりまするので、これ以上加速して上昇するということはよくないことではないかと思います。現在の水準がもうすでに危険な状態だとは私ども思っておりませんけれども、将来の状況に対しましては十分注意してまいるつもりでおります。
 金はどこへ行っているかということでございますが、要するに購買力になり得る通貨の総量はあるわけでございますが、これが購買力にならないで、そのまま滞留しているというのが現状であろうかというふうに思います。
#138
○大川清幸君 そこで、通貨に対する国民の信頼感というのが崩れてしまうとえらいことになるわけなんで、いま日銀総裁からも御答弁があって、もう許容量、限界だろうということでございます。
 これからの景気対策ですが、この貨幣に対する、通貨に対する信頼感を破壊してはならないので、しかも景気対策の板挟みということですが、この消費動向を見ていてもまだ低調です。これはいろいろ御答弁をなさっていますが、最後に念のために、景気対策あるいは消費刺激対策等についてお伺いをしておきたいと思います。どのように考えておられますか。
#139
○国務大臣(河本敏夫君) 経済政策の中では、物価対策を最優先に考えております。五十六年度よりも五十七年度の物価見通しはやや高目に想定をしておりますけれども、これは後半世界経済と日本経済が回復するであろうという、そういう想定をしまして、年度間を通じてはやや高目と、こういう想定でございますが、物価安定ということを最優先に考えていきたいと思います。
#140
○委員長(植木光教君) 午前の質疑はこれまでとし、午後一時委員会を再開し、大川君の質疑を続けます。
 これにて休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#141
○委員長(植木光教君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十七年度総予算三案を一括して議題とし、休憩前に引き続き大川清幸君の質疑を続けます。大川君。
#142
○大川清幸君 午前中の質疑でも、生命の重みについての御論議がありました。私は、国民の医療、健康を守るための制度について御質問をしたいと思います。
 富士見病院のケースも何か傷害罪で、切り取った臓器が健全だというようなことがあって、勾引されたかどうか、身柄は引っ張られたようですが、まことに残念でございます。
 私は、現行制度の中で適正な医療が実施されることと、それから病院経営が健全に行われなきゃならない、こういう観点からお聞きをいたしたいわけですが、まず第一に、厚生省では年間五億枚を超えるレセプト、この審査が大変だということでコンピューター導入を決めておられまして、五十七年度からそのトライアルを行うと、こういうことでございますが、このコンピューター導入によって水増しその他、まさに医療が国民的な不信を招こうとしているときに、どの程度これはチェックできるのでしょうか。何か目標などを立てておやりになっていますか。
#143
○国務大臣(森下元晴君) レセプト審査のためのコンピューター導入、どの程度の効果、価値があるかということでございます。
 コンピューターにより作成した統計資料を重点審査に導入することにつきましては、お尋ねのとおり五十七年度からこれを実施することにしておりまして、現在、そのための体制の整備等につきまして検討を進めております。
 また、コンピューターの導入による審査能力につきましては、コンピューターにより作成した統計資料を活用することにより、従来と比べてより一層的確かつ公正に行われるものと考えております。御期待の、一〇〇%これによってすべてやるということはもちろんできませんし、しかし、これを導入することによってよりよい資料が得られるということで、今後とも進めていきたいと、このような考えでございます。
#144
○大川清幸君 そこで、健康保険組合連合会が発行しているこのパンフレットで、どなたでも目にしていると思うのですが、この中に次のような表現があります。「適確な診断で早く、費用も安く病気をなおす名医より、回り道診療のヤブ医の方が収入は多いわけで、これが、いま出来高払いによる診察費の計算です。いいかえると、こういう仕組みの中では、医師のサジ加減ひとつで、医療費は、ある程度作為的に動かすこともできるということになります。」と、こういう表現になっています。大変ちょっと厳しい表現で、また、保険組合連合会側の表現ですから極端になっているのかもしれませんが、実情はかな2言い当てているのではないかと私は思うのですが、この辺どのようにお受け取りでしょう。
#145
○国務大臣(森下元晴君) いかなる制度も一〇〇%の効果を上げることはこれはできないのは御承知のとおりでございまして、日本の医療につきましても現在の平均寿命が非常に延びておるというのは、私は医療の非常な大きな効果でもあると思っております。しかしまた反面、いろんなマイナスの要素も出ておりますし、そのためにいろいろ御審議等もいただいたり、また、いろんな懇談会とか調査会ができまして、よりよき医療をしていこうということを考えております。健保連の方から私の方へもたびたび実は陳情においでになったり、またいろいろ御意見等も伺っております。
 そこで、医療費の地域格差については年齢構成の違いとか、それから疾病構造の違いなどが一般的に言われておりますが、この問題については今後とも引き続いて検討していく必要があると考えております。
 また、医師の治療内容も個々の患者の病状により違いが出ておりますので、その結果医療費も異なってくる面もあると考えております。しかし、医学常識から見て不当と思われる医療が行われている医療機関については、指導、監査を積極的に実施するように努力をしてまいりたい。
 なお、この在院日数の国際比較等につきましては、医療保険の適用状況とか社会福祉施設の普及状況等の背景となる社会的基盤が国により異なるので、一概に比較することは困難でございますけれども、ただいまの出来高払い方式、これは非常に私はいい点もございますけれども、濃厚診療――薬づけとか検査づけにならないように十分これはチェックしていきたいということでございます。
#146
○大川清幸君 そこで、この適切な医療、適切な料金ということは大変問題で、捕捉がむずかしいとは思うのです。ところが厚生省から私、暦年の一人当たりの医療費の集計をいただいているんですよ。これは集計を見ますと、私は統計学なんか素人ですけれども、たとえば五十五年が全国平均一人当たり九万八千九百九十三円、暦年トップクラスが広島県なんですね、五十五年九万八千九百九十三円。いつも第二番日が高知で十二万八千六百四十六円、沖縄は暦年ずっと最低で五万三千五百二円なんです、一人当たりですよ。全国平均が九万八千なんです。大変これは格差があり過ぎるんです。いろいろ事情があると思うんですが。それで、これは医師は十万人に広島も高知も百二十人から百六十人いる。沖縄だけがちょっと低くて六十人から八十人。お医者さんの配置等から見てもそんなに格差が出るのはおかしい。素人で見ていても、この統計をとっているときから、もう少し何とかしようがあったのではないかと私は思うんですけれども、この辺はどう考えていらっしゃるんですか。
#147
○国務大臣(森下元晴君) 西高東低という言葉がございまして、データはい文言われたとおりのような内容が出ております。そういうことで、この国保の医療費の地域格差がありますのは、年齢構造の違いとか疾病構造の違いなど各種の原因があると考えられますが、医療費の高い地域におきましてもレセプト審査は厳正に行われておるということでございます。国保連におけるレセプト審査につきましては万全を期するように指導しておりまして、今後ともそういう疑いを受けないように、この審査体制の充実を図ってまいる所存であります。
#148
○大川清幸君 レセプトの審査を厳正にやってきたと言わざるを得ないと思うんです、立場上大臣はね。ところが、私ちょっとメモをお渡ししましたけれども、五十二年、五十三年、五十四年、これは読売新聞の資料なんですが、表向き明らかになったデータを年度別にずっと集計してみたんです。東京なんか、全国平均が六万六千七百十二円の昭和五十二年に六万三千円ですから、三千七百円余り安い。その中で高井戸小児病院とかいろいろ何万点も水増し請求出ているんです。全国平均より低いところでこういうふうに出ている。しかも、近ごろの医療が進んだのか、お医者さんがうまくなったのか知りませんが、この事件を見ますと、とにかく死んじゃった人まで診療するんだから、幽霊まで診察するんだから、近ごろの医療というのは大変技術が発達したと思うんですよ。こんなことが行われていて厳正にチェックをしてきたと言っても、私は物理的に無理だと思う。そこで、先ほど言ったように、コンピューターを入れるなら、ただ集計その他だけではなくて全国平均で、先ほど言ったように最高のところと沖縄では半分ぐらいなんですから、全国平均を中心にしてもう少しデータ的に不純なものが入ってきたのをチェックできるような体制というのを工夫してもらいたいと思うんです、どうせコンピューター入れるなら。診療の中身についていろいろむずかしいことがあろうと思いますけれどもね。
#149
○政府委員(大和田潔君) レセプト審査にコンピューターを導入するという先ほどの件でございますが、これによりまして重点審査というものをさらに効果的に進めていこう、これにつきましては、統計的な資料をたとえば経営主体別あるいは診療科別と、一件当たり医療費、一日当たり医療費といったようなものをコンピューターでもって出していこうというようなことによりまして、重点審査がさらに進められるというふうに私ども考えております。その方向で積極的に進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#150
○大川清幸君 開業医の中にはまじめな方もいるしするんですが、こんなことが横行する、水増しなんか横行するようじゃ、これは良識のあるお医者さんが大変迷惑をするわけです。
 いままで明らかになった事件の中で二、三お伺いをしますが、五十五年度の医療給付調査の関係で、兵庫県立の病院では五歳の坊やに、何というか、注射も千四百回、これは勘定の仕方もいろいろあるらしいんですけれども。それから手術の処理料あるいは検査、これで千五百五十五万円ですか、たった一カ月、これは七月。六月が千九十五万、こういうようなケースもある。それから五十六年七月二十三日、これは東京都内の医療法人望友会三病院、これの不正事件。それから、三郷病院は最近さんざん新聞に出ていました。患者Aに対する心博監視テレメーターの使用、物理的にできないようなものを請求している、死後。死んだ人については、その検査の回数を生前に戻して改ざんしたりというようなことがあったんですが、これらの調査、これは刑事事件になれば警視庁の方だと思うんですけれども、医療を監督する厚生省としては、これらの推移についてはどのようになっているか御報告していただけますか。
#151
○政府委員(大和田潔君) 保険の立場から申し上げますと、先ほどの三郷病院につきましては、現在、県段階におきまして医療保険のレセプト等の関係資料、これを集めまして収集を行っておるところでございまして、準備が完了次第、立入調査を行って実態解明をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
 また、先ほども先生言われました聖友会につきましては、五十六年の五月と八月に監査を実施したところでございます。その結果、五十六年の十一月三十日付で行政処分を行ったわけでございます。いわゆる取り消しということで行政処分を行ったところでございます。
 以上でございます。
#152
○大川清幸君 時間がないから細かいことまで聞いておられませんが、ところで、お医者さんも診療の方の水増しその他これは一番よくないんですが、税金の方でも大分よくなくて、五十七年二月の二十六日に報道された資料によりますと、国税庁調査ですが、申告所得のワーストテンのうち九人までが診療所、個人病院、開業医、歯科医等になっています。このデータでは、一都三県、一千万円を超える所得があると指摘された医師あるいは歯科医百九十九人に達している、こういうことです。額にして五十三億。いろいろありますが、大変残念ですが、たとえば五十二年から五十四年までの東京都杉並区の鈴木医院ですか、あるいは北区の外科医吉田医院、それから元外科医の岡田光生さん、あるいは歯科医の杉原さん、これは杉並、それから昭島市の歯科医木内さん、それから外科医の足立区宮坂さん、歯科医の板橋区飯沼さん、これは新聞報道になっていますが、それぞれ懲役あるいは罰金刑になっている。これはそちらの方で罰せられたのはいいんですけれども、こうした犯罪事実というか不正が明らかになった医者に対する指導等はどのようにしておられますか。
#153
○政府委員(大谷藤郎君) ただいま先生お示しになりましたうち一名につきましては、すでに免許取消処分を受けております、これは医師法によりまして。他の六名の問題につきましては、現在関係方面と連絡して調査中でございまして、それが明らかになり次第、厳正に処理いたしたいと存じております。
#154
○大川清幸君 次に、医薬品の問題で一、二点お伺いいたしますが、五十六年十二月十五日、大手製薬会社によって栃木県下でやみカルテル行為の疑いがあったということで、公取で調査にお入りになっておりますが、あれから大分時間がたちました。いろいろ事情があって発表できない問題もあろうかと思いますけれども、明らかにしていただける範囲で結構ですが経過を御報告願います。
#155
○政府委員(橋口收君) 正確に申しますと、昨年の十一月の十日、十一日の両日、栃木県を中心として医薬品製造業者が医薬品の価格を維持することを決定し、または再販売価格の維持を図っている疑いで立入調査を行ったわけでございます。収集された資料を検討いたしましたところ、全国的に行っているという疑いが生じましたので、十二月十五日に全国的な規模で立入検査をいたしたわけでございます。立入検査の個所は六十五カ所、膨大な物証を収集いたしておりまして、いま整理をいたしておるところでありますが、それと並行しまして関係人からの事情聴取を行っておるところでございますが、何分にも全国的な規模でもございますし、関係者の数も多いという関係等もございますので、事件の処理にはいましばらくの時間をかしていただきたいと思います。
#156
○大川清幸君 委員長、公取の委員長からは、調査中だからあとの答弁はもらえないと思いますから結構です。調査が進行している段階ではこれ以上御答弁いただくのは無理だと思いますから。
 次に、これは会計検査院で、国立大学の附属病院二十七病院、薬価の高値買いをしているんじゃないかというようなことが、先ほどの公取の調査に入ったときに同時に明らかになったようでございます。これは何か検査院が調査に入るということになっておったのだそうですが、きょうはちょっと私うっかりして検査院をお呼びをしなかったので、文部大臣の方では調査へ入った結果がなんかお聞きになっておりますか。状況はわかっていませんか。
#157
○国務大臣(小川平二君) まだ調査の結果を聞いておりません。
#158
○大川清幸君 調査の結果を聞いてないと言うけれども、調査に入っていることは事実ですか。
#159
○国務大臣(小川平二君) 仰せのとおりでございます。
#160
○大川清幸君 それでは調査をしっかりやっていただくことにいたしまして、この薬価基準の見直しの件については、かつて園田元厚生大臣が、薬価基準の改定は年一回少なくともやるべきだという答弁、それから村山前厚生大臣も年一回必ずやりたい、このようなことをおっしゃっておりまして、これがきっかけだろうと思いますが、薬価基準のいろいろ調査を行うことが決まっておったように思います。特別調査、本調査、それから変動調査、これをやって薬価基準等の見直しをしたいということだったんですが、余りこれが進んでないように伺っておりますが、実態とうなっていますか。
#161
○政府委員(持永和見君) 先生御指摘の薬価調査でございますけれども、薬価調査は十一月に事前調査を行いまして、それで十二月取引分を対象として一月に本調査を行いまして、現在事後調査を行っておる段階でございます。
#162
○大川清幸君 それでは、御答弁によるといま変動調査を行っているわけですね。その結果はいつごろ出るんですか。
#163
○政府委員(持永和見君) いま申し上げましたのは事後調査でございます。本調査の後の事後調査でございます。こういったものをまとめて集計をすることになりますけれども、私どもできるだけ早く集計結果を出したいということでございまして、具体的にはいつごろかということまではまだお答えできる段階ではございません。
#164
○大川清幸君 これは私、制度がどっちがいいという意見を申し上げるんじゃないんですが、従来行ってきた九〇%バルクライン方式、これがいろいろ問題になっていまして、それは加重平均法とかいろいろありますが、どっちがいいとは言わないが、薬価基準を見直すのも結構ですが、これらの方式についても検討はしてみる必要があるんじゃないかと思いますが、どのように考えていますか。
#165
○政府委員(大和田潔君) お答えいたします。
 薬価算定方式につきまして、いま中医協に審議をお願いしていもところでございます。先生おっしゃいますように、やはり方式をどうすべきかということが中心課題になるというふうに考えておるわけであります。
#166
○大川清幸君 そこで地方の財政を見ましても、この五十五年度決算で見て、市町村の負担分は、これは国民健康保険料関係は大変負担が重くなってきています。これは五十五年度で赤字団体が倍にふえているなんていう実情を見ますと、これは対処をいろいろしていかなきゃならないので、いま言ったような薬価基準の問題等もきちんとしてもらわないと、まじめなお医者さんは、お年寄りが来て病気じゃないと薬をやらない、そういういいお医者も知っていますよ。ところが、そこは人気がなくて余り患者が来ないんですな。それから、落語のあれじゃありませんけれども、お年寄りが病院の待合室へ老人ロビーみたいに集まって、きょうはあの人来ないけれども、本当にどこか悪いんじゃないかという話があったというようなことを言っていますけれども、これは薬価基準、そういうふうなことが問題になるんであって、十分これは検討していただきたいと思うんです。地方財政もこういうわけで負担がだんだん多くなるわけですが、五十五年度の厚生省の調べでも、薬づけ、検査づけのデータがはっきりしておるので、そういうことを見ますと、コンピューターを入れたのならば、技術的、物理的に大変なところがあるだろうけれども、こういう薬づけ、検査づけが相変わらず行われるということについては十分対応してもらいたい。この五十六年度には九十何%ですか、患者に通知をする制度をとりました。大変いいことですが、しかしその通知制度をとったにもかかわらず薬づけ、検査づけ、五十五年、これはおたくの方のデータではっきりしているんですから、何とか対応する方法を考えておかないとだめだと私は思うんですけれども、これから、泥縄式になるかもしれませんが、考えていただけますね。
#167
○政府委員(大和田潔君) 実は五十五年五月のデータがこの間出ました、薬が三八%と。実はその後、五十六年の六月に薬価基準をかなり大幅に引き下げております。したがいまして、まだその後のデータが出ておりませんけれども、三八%という率というものは引き下げられておるというふうに私どもは考えておるところでございます。
 なお、今後とも薬価基準の改定ということにつきましては、やっていくことによりまして、先生がおっしゃいますように薬づけをやめていくというような方向に努力をしていきたいというふうに考えております。
#168
○大川清幸君 沢内村のように大変評判になったのでどなたも御存じですが、予防にも力を入れるようになって大変効果が上がっているということで、今回の老人保健法については予防の方に大分重点を置かれるので、これは一歩前進だと思うんですが、この中でちょっと細かいことで恐縮なんですが、老人医療の教育訓練ですね、こういうものについて従来もやってきたんですけれども、従来の形は国が二分の一で都道府県が四分の一で、市町村が四分の一負担だったんです。今回のあの法案を見ますと、国、都道府県、市町村、三者とも三分の一なんです。これは同じものをやりながら地方公共団体、多少は負担がふえる形になりはしませんか。どうなっていますか、これ。
#169
○政府委員(三浦大助君) 保健事業につきまして、参議院の方でこれから御審議いただくわけでございますが、これが可決されますとこの十月から実施になるわけでございまして、そのための事業費として私ども六十億ばかり計上しておるわけでございます。
 保健事業の費用につきましては、県、市町村ともそれぞれ三分の一ずつ負担ということになっておりますが、ただ従来、物によりまして、たとえば老人健康教育というのがございますが、これをいままでは二分の一でやってきたものもございます。それから、中には健康相談室なんかは三分の一、まあいろいろございまして、今度これが統一して三分の一ということになるわけでございまして、ある程度市町村負担というのはふえるかもしれませんが、これまた交付税の方でも御心配いただくことになっておるわけでございまして、私どもの方で十月から一挙にやるということは体制その他問題がございますので、五年ぐらいかけて、あるレベルに持っていこう、こういうことで市町村財政と見合いながらやってまいりたいと思っております。
#170
○大川清幸君 ところで、老人医療費が大変かかるので財政上大変なんですが、実はほかの地方公共団体でもやっているかもしれませんが、新宿区などでは出張所の二階なりのスペースを有効に使いまして、さっき言った病院のロビーへ来てあんな話にならないように、まあコミュニティーみたいなものをつくって、十八カ所でやっております。この利用者が二十五万二千八百七十四人おりまして、予算額が二億七千万ですから、一人千円ちょっとぐらいでやっておって、しかも簡単な、何と言うんでしょうか、リハビリなんかができる器具を置いてやっていまして、嫁さんの棚卸しなんかやらないで、みんなは大変喜々として毎日暮らしているんですよ。まあそういうような金のかからない方法を地方公共団体で自主的にやっているところもあるんですが、こんな新しい方法も考えてお年寄りの生きがいとそれから病院へ余り流入しない、足が向かないような方法も考えてみる必要があるんじゃないかと思いますけれども、それらも含めて、まあ厚生省というと医療だけですが、そちらの方も配慮してみてはどうかと思うんですが、いかがですか。
#171
○国務大臣(森下元晴君) お説ごもっともでございまして、老人の方々が病院を老人ホームのようなかっこうで使われるのは、まことにこれは先ほどの落語のあれにならないようにしなければいけない。それは決して老人ばかりの責任じゃございません。やはり老人の生きがい対策のために、いまお話しになったようなコミュニティー的な集会ができるような場所を提供する、そして生きがいを感じていただく、そして健康の喜びということをこれからもしっかりやっていきたいと思います。
#172
○大川清幸君 それでは次の問題に入りまして、近ごろは二百海里その他の問題があった久してなかなか漁業がうまくいかない。天然の資源も守らなきゃならないということで漁業も大変なんですが、最近の漁獲量、それから時代の要請で新しい産業として拡大していくであろう養殖業の生産量、これらについて御報告を願います。
#173
○政府委員(松浦昭君) お答えを申し上げます。わが国の漁業、ただいま先生御指摘のように大変むずかしい事態になっておるわけでございますが、幸い近年総漁獲量は大体一千万トン台で推移をしておりまして、昭和五十五年で申し上げますと、史上最高の千百十二万トンという状況でございます。このうち養殖生産業が百九万トンという状況でございます。
#174
○大川清幸君 ところでその養殖業ですね、なかなか大変なことがありまして、まあ過密養殖といいますか、種苗の広域的な移動、こういうようなことがあって、お魚の病気ですね、急病による被害が大分拡大をしているようなんですが、代表的な病名とその症状それから被害額等、わかれば御報告を願います。
#175
○政府委員(松浦昭君) 現在、急病の問題、非常に重要な問題になっているわけでございますが、まず病名の方で申し上げますと、養殖魚はプリ、これはまあ通称ハマチで通っておりますが、それからマダイ、食用コイ、アユ、ウナギ、ニジマスといったようなものが対象でございまして、代表的な急病といたしましては、ブリの連鎖球菌症、類結節症、それからウナギで申しますとえら病等がございます。これらはいずれも細菌によるものでございます。
 ブリの連鎖球菌症の症状でございますが、これは眼球内に出血が出まして眼球がはれ上がるというそういう特徴を持っております。類結節症の方は、内臓に多くの白い斑点が、つぶつぶができるという病気でございます。それからウナギのえら病は、えらが暗赤色にべっとりした感じになるという、いずれも大変な病気でございます。そのほかにもいろいろとございますが、以上の三つの病気が主なものでございまして、昭和五十四年度の調査によりますと、急病による被害総額が百九十億、このうち主な病気は先ほどのブリの連鎖球菌症では六十一億、類結節症が約三十億、ウナギのえら病が約二十億となっております。
#176
○大川清幸君 病気がいろいろふえておって、これまた薬の影響もあるらしいんで、大変恐縮なんですが、あれは五十六年でしたか、水産庁でワクチン開発研究委託事業、この一環として委託を受けた岐阜県の水産試験場が、カワマスですね、これを放流するについてワクチン注射をおやりになったんですが、その当時はどういうわけですか、どうもこれ漁協に断りなしにやった形跡があるんですが、聞いておりますか。
#177
○政府委員(松浦昭君) ただいま委員御指摘になりましたのは、恐らく昭和五十六年の十一月に放流いたしました長良川の件であろうと思いますけれども、降海性のアマゴ、これは放流カワマスでございますが、この資源を増大させたいということから、水産庁の養殖研究所と岐阜県の水産試験場が共同で放流をいたしまして、幼魚を川に放った。特にその目的は、せっそう病という病気がございますが、このせっそう病の回帰に及ぼす影響を調査するため、一部せっそう病の不活性のワクチンを使って、それを接種した上で長良川に放流したということだろうと思います。
 実は私どももすぐに調べてみたわけでございますが、その結果は、その放流をいたします直前に、五十六年の三月でございますが、九組合集めまして……
#178
○大川清幸君 五十六年の三月……
#179
○政府委員(松浦昭君) はい、五十六年の三月でございます。三月二十四日に九組合を集めまして、関係組合に試験の説明会をやっております。この中では、特に漁協の方も心配いたしますものですから、この菌自身は人畜に影響のない常在菌であると、かつまた不活性化したもので生ワクではないということも説明いたしましたし、またその不活性化に用いましたホルマリン濃度が製剤基準以下の〇・三%であるという点も説明いたしまして、また使用前に生理食塩水で三回洗浄するんだということも申しております。このようなことでかなり趣旨は徹底いたしたというふうに思っておったようでございまして、当然この種の実験でございますから、さような意味で組合の了承なしでやっているわけはないわけでございまして、その意味で説明会は口頭でございましたが、御了解は得たというふうに考えておったようでございます。
#180
○大川清幸君 いまの説明ですと、そうすると五十六年の三月に説明会を行ったことで、相手側なり関係漁協の皆さんとの了解を得たという解釈をしたという意味ですか。
#181
○政府委員(松浦昭君) 口頭で御説明を申し上げまして十分御了解いただけるようなお話を申しましたので、これで大丈夫であるというふうに思っておったということでございます。
#182
○大川清幸君 これね、五十六年十一月二十六日から二十七日に接種、十二月五日から十日に放流。ところで、これが後に問題になって、五十七年一月に。関係漁協の組合の方々と話し合いをして、了解合意済みになった。後また県の水産試験場の方でもいろいろあったものだから、種苗費は岐阜県で負担する、百三十二万円かぶるんだということになっている。手順から言うと、これはやっぱりおかしいんじゃないですか、どうなんです。
#183
○政府委員(松浦昭君) 先ほど申し上げましたように、十分に説明会を開きまして、特に問題もなかったので、御了承いただいたというふうに思っておったわけでございますが、これは口頭了解でございましたので、かなり明確ではなかったという問題もあったかと思います。そこで、不活性の試作ワクチンを接種して放流いたしました魚につきましては、その後、試験魚として岐阜県が買い上げるということにいたしたことは事実でございますし、また再度関係漁協の方にお集まりいただきまして再確認をしたという手続はございます。
#184
○大川清幸君 これで私論争する気はないんですが、国民の食生活を考えますと、健康と生命に関係あるわけだから、こういうワクチンで病気予防するのも結構なんですよ、やるんならもっと、説明をやったから了解したものだなんて、後でまた文句つけられて、一生懸命文書つくって了解事項にするようなことをやらないで、初めから手順を踏んできちんと正々堂々とやるような体制で今後臨んでもらいたいと思います。大臣いかがですか。
#185
○国務大臣(田澤吉郎君) この問題は確かに御指摘のような懸念もありますので、私たちとしては、水産、畜産、薬品等の各分野の学識経験者による急病対策総合検討会というものを設けまして、これについて検討してまいるということにいたしております。慎重に扱いたいと考えております。
#186
○大川清幸君 ところで、この水産用のワクチンの使用等薬品の使用量、現状ではどのような状況になっておりましょうか。
#187
○政府委員(松浦昭君) 現状で私ども調べたところでございますが、昭和五十五年の水産用医薬品の生産量は八百九トン、生産額が三十三億五千一百万円ということになっております。
#188
○大川清幸君 これは余り聞いてもしようがないので、次に、先ほどもちょっと触れたんですが、大変養殖漁業が盛んになるのは結構なんですけれども、やっぱり病気のことが何といっても心配だと、こういうことになっておりますが、最近は薬を使い過ぎて、いろいろ魚の病気に対しても効かなくなっていると、たとえばアユのビブリオ病なんかはもう薬がだめだというようなことになっていますが、こういう被害状況については掌握をしておられますか。
#189
○政府委員(松浦昭君) 一般的に、化学療法をいたしますところの薬剤の使用を続けますと、特に、菌に耐性が生ずるという問題がございます。養殖魚につきましても、一部の薬剤につきましては、私ども聞いておりますのは、たとえばブリの類結節症に使用しておりますところのサルファ剤につきまして、魚種によっては薬が効きにくくなっているということも聞いております。
 そこで、その対策といたしまして私どもは病原菌の薬剤耐性が生じないように、水産試験場とかあるいは急病指導総合センターにおきまして、まず菌の薬剤に対する感受性と申しますか、それを十分に調べまして、できるだけ強くない薬品を使っていくということも指導いたしておりますし、また魚の場合には、一たん耐性が生じましてもしばらく使用しない場合には再び耐性が消えるということがございますので、そのような点も十分に考えまして指導をいたしているところでございますが、今後ともこの指導は強化してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#190
○大川清幸君 これはしっかり体制を強化してやってもらいたいんですが、実はこれらのことについてもいろいろ問題があって、薬の使用については薬事法の関連等で省令をお出しになったようですが、この省令を出した後、対応はどのように、なさっておりますか。
#191
○政府委員(松浦昭君) 医薬品につきましては、特に水産用の医薬品の使用につきまして、昭和五十六年の四月から薬事法に基づく使用規制の措置を講じているところでございます。これは、その医薬品の使い方、それからまたその使う量、特に人体に影響を及ぼすと一大事でございますので、出荷前に一定期間この薬品を使わないという指導も含めまして、省令上決まりました措置を徹底的に養殖業者に指導をいたしているところでございまして、一つは巡回指導あるいは説明会等も開きますと同時に、また、このようなエキスパートと申しますか、専門家を養成するための研修会等もいたしまして、この徹底に当たっているところでございます。
#192
○大川清幸君 御説明聞いていると、万全みたいなんですけれど、省令が出て、いまの検査の人員なんか置いてやるというんですが、体制的にはなかなか全国的に無理なんでしょう、実際には。どうなんですか。
#193
○政府委員(松浦昭君) 体制は逐次整備されておりまして、数年前に比べますと、実は急病対策の予算は約十倍以上つけていただいております。
 それからまた、急病の先ほど申しました総合センターという中核になる施設がございますが、ここの設置個所も十三ヵ所までふえておりますし、また、ただいま先生おっしゃられましたこのような指導の効果がどうなっているかという点が非常に問題でございますので、私ども、いわゆる残留の有無を調べますための検体も相当とりまして残留を調べておりますが、幸いにして、今日まで残留は認められておりません。厚生省の方からもそのような意見を聞いております。
 また、当然このような指導体制を強化するということだけじゃなくて、やはり漁業者自身が薬の使い方を自分で考えて規制していく、自粛していくということが必要であろうというふうに考えておりますが、やはり最近の漁業者、特に元ほどの薬づけというようなことがございますと価格も落ちますし、またそれが出荷されないということになりますと大変でございますから、その点は漁業者も非常に意識が徹底してまいっておりまして、みずから規制するという機運も非常に大きくなってきているということも申し上げておきたいと思います。
#194
○大川清幸君 いまの御答弁も、ある程度主務官庁として期待を込めておっしゃっているんだろうと私は受け取らざるを得ないんですがね。この省令などがあっても、要指示動物薬、これは魚介類に使用する場合は指示書がなくてもいいんでしょう、いまの状況で言うと。省令に六種類は加えましたですね。しかし、養魚場の薬物使用の監視とか追跡なんというのは物理的にできませんしね、こういう点でも心配が残っております。
 それから、第四十九条の要指示薬、本来は指示を受けなきゃならない。ところが水産用ということであれば、これが実質的には外れてしまう状態にまだなっています。で、成分もいま七成分ですか、対象になっているのは。あと二十成分野放しで残っていますよ。それからさっきおっしゃった出荷の問題ですが、これについても、休薬期間なんかきちんと守ると言ったって、だれが監視するんですか。体制うまくできてないでしょう。どうですか。
#195
○政府委員(松浦昭君) 二つの点でお答えを申し上げたいと思いますが、一つは水産の医薬品が要指示になっていないという問題でございますが、この点につきましては、かつて当委員会でも御議論がなされたということでございまして、当時の亀岡大臣が、この点につきましては検討いたしますというお答えをいたしたはずでございます。それに基づきまして、実は先ほど大臣からお話のございました急病対策総合検討会にこの問題をかけまして、十分に御検討いただきました。この中には獣医の方々もいらっしゃいますし、それからまた公衆衛生の方も入っていただいて御議論を願ったところでございます。その結論といたしましては、現段階におきましては水産用の医薬品を要指示医薬品とする必要性は余りないという御回答でございました。と申しますのは理由がございまして、一つは、要指示薬とする理由には、投薬対象生物の副作用の問題がございます。いま一つは耐性菌の発生抑止の問題でございますが、この点につきまして十分御議論を願いましたけれども、魚の場合には、魚に対する副作用というものは、余り創業を使っておりませんので、そのような意味では人とかあるいは家畜といったようなものへの副作用を心配するほど魚へは問題はないのじゃないかという結論でございました。それから耐性菌の発生でございますけれども、この点につきましては先生十分御案内のように、お魚は体温が常に変わる動物でございます。人とか家畜とは違うわけでございまして、必ずしも家畜あるいは人につく病菌とそれから魚の場合は違うわけでございます。したがって、魚の方に耐性ができましても、人に直ちにこれが耐性を持った菌ができるというわけでもございません。さような観点から現時点では要指示薬にしなくてもいいのじゃないかというのが御意見でございました。
 ただ、この委員会でも非常に強く申されましたのは、第二点の残留については厳しくやれということでございまして、先ほど申し上げました五十六年四月から実施いたしました使用規制の措置はまさにこれに沿ったものでございます。で、追跡調査も現在相当やっておりますし、また現に追跡調査の結果は残留は全然出てきておりませんので、その意味では私どもとしては使用の規制は相当守られていると。逆に申しますと残留の方から使用の規制の状況を調べているということでございます。
#196
○大川清幸君 この問題、最後にもう一問伺っておきますが、薬事法あるいは獣医師法にも、診療対象動物に魚介類が明記されていませんからね。したがって、水産用薬品ということになるといろんな制限は外れちゃうわけですよ。したがって、ワクチンとかそんなものを使い過ぎて、アユのビブリオ病みたい、後は薬が効かなくなったとか、危険は起こっているわけで、残留物の検査もこれはきちんとやらなきゃいけませんが、こうした、まあ野放しと言ってはちょっと言葉は悪いけれどね、無制限で使える状態は先々、だれも気がつかなかったけれどもあの水俣病みたいなことになったりしたら、どこかで責任を負わなきゃならない。そういう意味からも、薬事法の四十九条の関連もありますし、まあこれは獣医師がやった方がいいのか、新しい産業の将来の発展考えたら無医みたいなものを考えてやった方がいいのか、対応はこれは考えておいてもらいたい、こう思うんですがいかがですか。これは大臣から御答弁いただけますか。
#197
○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど申し上げました検討会において十分専門家によってこういう点は話し合いをして、検討、研究さしたいと考えております。
#198
○大川清幸君 医薬品の問題のほかに、漁網ですね、養殖用に使う。この防汚剤として使われるTBTO――トリブチルすずオキサイド、この有機物ですね、これがいろいろ問題になっておるんですが、私どもの調べで大体いまのところ、これ掌握がむずかしいんだけれど、四千二百トンぐらい生産されているのではないかと推測されますが、状況は把握しておられますか。
#199
○政府委員(真野温君) 先生お尋ねの、漁網防汚剤の生産量でございますが、御指摘のとおりこれは統計が正確にございませんので、私どもの方が業界ベースでいろいろ調査したところ、大体最近におきまして四千二百トン強の生産があるという状況と了解しております。
#200
○大川清幸君 このTBTOの毒性については御説明願えますか。
#201
○政府委員(松浦昭君) 漁網防汚剤と申しますが、この中にTBTOという有機すずが含まれておるわけでございます。これは非常に一面では便利な資材でございまして、養殖業者あるいは定置漁業者等が、漁網の中に魚を飼っておくといったような場合、あるいは漁網そのものを使用いたします場合に、これが水中に長期に設定されております際には漁網に海藻が付着いたします。そういたしますとどうしても通水性が悪くなるという問題がございますので、この塗布剤を塗布いたしておきますと海藻がつかないという特性がございます。
 そこでこれがかなり使用されておるわけでございますが、何分にも有機すすは重金属でございますので、これが人体への影響というものは当然問題になるわけでございます。そこで水産庁としましては、実は昭和四十七年にすでに通達を出しておりまして、このような使用につきましては業界の中で自粛しながら使ってほしいということを申しておりまして、これを受けまして、全漁連あるいは全国かん水養魚協会が自主規制の使用基準を決めまして、これに基づいて使用を行っているという状況になっております。
#202
○大川清幸君 毒性についてお伺いしたら使用状況まで丁寧に説明があったのですけれども、毒性の点はもう少しきちんと御説明ください。
#203
○政府委員(松浦昭君) 毒性につきましては、実は所管は正確に申しますと私どもではないわけでございますけれども、私どもが聞いておるところで御説明申し上げます。
 この毒性につきましては、私どもさっき四十七年の通達をいたしまして以降に科学的な治験はいろいろと集めてまいりました。万一人体に影響がございまして、特に急性の毒性があってはいけないということで調べてまいったわけでございますが、幾つかの治験はございます。たとえば北海道の水産研究所が行いました調査によりますと、防汚剤を塗布した定置網から海水に溶け出す成分の量、これを調べてみましたが、さほど大きく検出できるようなものではないということを聞いております。きわめて微量であったということでございます。それからまた、大学の研究者からの治験も聞いておりますが、これでは防汚剤を使用した網主けすの魚類について、有機すずの含有量は高くかつ人体に有害でありという趣旨の結果は出なかったというふうに聞いておりまして、この点で、現在のところこの四十七年の通達をさらに強化しなければならないというようなことはないのではないかというふうに私どもとしては判断をいたしておるところでございます。
#204
○大川清幸君 これは、やっぱり養殖漁業が大分全国的に行われて過密化していること、それからいままでの検体を調べたり水溶液を調べて余り被害がないみたいだということを言うけれども、これは神経をやられたりいろいろあるんですね。学者によると、死の世界と隣り合わせだと、こんなものを漁網に使っているのは。それから、これは釣りの雑誌の関係で毎日新聞の元記者の方でTBTOの恐怖というのを書いていますが、千葉医大の第一病理の岩崎講師の研究によると、背骨の曲がったハマチ、これをミンチにしてマウスに食べさせたらマウスの骨も曲がってきたなんというようなことが出ていまして、いろいろこれは危険度が高い。しかもこの通達をお出しになってはいるのですが、業界に良識を求めるということですけれども、これしかもタイリョウなんというこの防汚剤使っておって業者はこれは危険だと、こう書いてあるんてす。新しい製品ができてこっちの方が危険が少ないからなんてみずから品質の中に危険性を認めているんですよ。ですから、先ほど申し上げたように、水俣病ではありませんが、過密化して使っていると、総量規制みたいなこともいずれは考えないと、いまのところ問題ないからいいですよといかない問題じゃないかと思うんですが、どう考えているのですか。
#205
○政府委員(松浦昭君) 確かに現時点では、私ども科学的な治験によりましてもさほどの問題は起きないであろうということを申し上げたわけでございますけれども、事はやはり食品の安全性にかかおる問題でございます。万全の配慮が必要であるという御指摘はそのとおりであろうというふうに思います。現在、私どもも実は使用の実態につきまして調査をいたしておるところでございまして、その結果も待ち、また厚生省の方とも十分連絡をとりまして、人体にかかわる影響につきましても調査いたしまして、その結果、万一問題があるというようなことがございましたならば、当然これは直ちに所要の措置をとっていくというつもりで今後とも対処してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#206
○大川清幸君 自粛通達をお出しになったというけれども、後は野放しなものですから、これは小さい写真ですけれども、現場へ行ってずっと撮ってきました。どこの漁協だなんて差しさわりがありますから……。現地で何ヵ所も調べてきました。山のように空き缶が積んであります。こんなに大量に使われているんじゃ危険なことはだれが見てもわかるわけです。したがって、先ほどの薬品、ワクチンの問題その他の医薬品、こうした防汚剤の問題、考えてみると危険はありながら野放しになっています。しかし、国民の食生活を守る上ではこの産業を拡大せざるを得ないだろう。こう考えますと、これらの問題を含めて今後どう対応していくかということについてはかなりきちっとした対応の姿勢、決心を持ってやっていただかないといかぬわけで、水産業の将来のためにどのようにこれは対応していかれるか、最後にもう一回大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
#207
○国務大臣(田澤吉郎君) いま水産業の置かれている現状は、先生御承知のように、二百海里規制の強化あるいは燃油価格の高騰等によりまして、いずれも沿岸漁業の整備を図ってまいらなければいけない、つくる漁業というものを振興していかなければならない。そういう面から言いますというと、やはり養殖漁業のただいまの御指摘のような問題に対しては、やはり十分注意をして今後対策を進めてまいらなければならないと思うのでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたけれども、急病対策総合検討会ということ、専門家を通じてもっと徹底してやはり進めてまいらなければいかぬ、現にいまその障害がないからということで安易に扱ってはいかぬ、こう思いますので、水俣病のようなことでも起きたら、やはりその時点に立って、大変な状況になりますので、私たちは今後十分この点は将来の面を考えながら検討してまいりたい、こう考えております。
#208
○大川清幸君 それでは次に、先般行われましたいわゆるダブル選挙、同日選挙に関連して二、三お伺いをいたしておきます。
 これはあの選挙が行われました直後、報道関係で見ても、日経の夕刊、七月十一日、衆議院と参議院の二院制のもとであのような選挙を行うことは、そのときにそれぞれ相当の期間を置いて行ってもらわないと、有権者の判断というものはどっちかへ偏ってしまう。期待されるような公平な意見の反映というものは行われないのではないか、いわゆる妥当ではないというような意味のことを論じておられます。それから読売新聞同じく五十五年六月二十四日、岡沢早稲田大学教授も一時点での民意を過剰に表出させてしまうので、二院制の精神を踏みにじるものだという見解。それから日経六月二十二日の社説では、同時選挙は今回限りにしてほしい、情報が多過ぎて余り過多なのは情報がないのと同様の効果をもたらす。読売新聞五十五年五月二十三日、これは外山記者の署名入りでございますが、二院制の精神からも同日選挙のような選挙の執行は事実行為としては可能であるとしても、良識を持って反省してみると前例とすべきではない。このようないろいろな批判がありますが、これらのことについてはもう大平さんいらっしゃらなくなったので、いまの総理に聞いていいのかどうかわかりませんが、御見解を伺いましょうか。
#209
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十五年の衆参同時選挙についてのお尋ねがございましたが、これは全く当時大平内閣としても意図してああいうことをやったわけではございませんで、たまたま不信任案が通過をした、わずか二週間足らずの間に二度も投票日に国民の皆さんに足を運ばさせる、煩わすというようなこともどうかというようなことでああいう結果になったわけでございます。いろいろそれにつきまして一長一短、御批判があるわけでございます。私どもは今後そういう御意見を十分踏まえまして慎重に扱っていかなければならないものと、こう考えております。
#210
○大川清幸君 それじゃ、時間がなくなりましたから、この問題もう少し無効票の問題や候補者にあらざる者に対する投票等はもうえらい混乱が有権者側にあったことは明らかでございますが、この論議をしている時間がなくなりましたので、また別の機会に譲りたいと思います。
 最後に、情報公開制度の問題で御所見を伺って塞ぎたいと思います。
 御承知のとおり、ことしの四月から全国のトップを切って、山形県の金山町では情報公開の条例を成立させるようでございます。時代の趨勢として情報公開、これはやっていただかざるを得ないと思うんですが、いままでの衆参両院におけるいろいろな答弁を聞いていますと、五十五年十月十七日の衆議院地方行政委員会では、これは自治省の砂子田行政局長の御答弁ですが、「主務大臣の指揮監督のもとにおいて、長の責任と判断において行われるべきものである」という答弁、それから中曽根行管庁長官は、五十五年十一月二十八日参議院内閣委員会で、「委任された方がある特殊の行為をやる場合には、委任した方の了解がなければできないのが筋である」という御答弁、ちょっとこの二つの答弁を比べてみると姿勢が違うように思うんですが、時代の趨勢として、特に国からの機関委任事務に係る情報公開、これは前向きの姿勢で対処をしていただく方がよろしいのではないかと考えますが、基本的な御見解を伺いたいと思います。
#211
○国務大臣(中曽根康弘君) 情報公開は時代の趨勢であると思っております。神奈川県やあるいは金山町等で率先して条例制定をやっておりますが、これは一種の試行錯誤で、これがどういう成果を生むか注目しながらわれわれも見ていきたいと思っております。
#212
○大川清幸君 総理は、この情報公開法の扱い、公開制度の扱いについて、特に機関委任事務についてはどのようにお考えですか。
#213
○国務大臣(鈴木善幸君) 情報公開の問題は、国民世論の動向等から見ましても前向きで対応をする必要があると、こう考えておりまして、政府におきましても、五十五年五月の閣議で情報提供に関する改善措置というものを決めたわけでおりますが、しかしこれでなお十分とは考えておりません。ただいま臨調におきましても御検討いただいておる問題でございますから、その答申を待ちまして、根本的なこれに対する政府の方針を狭めたいと、こう思っております。
#214
○大川清幸君 終わります。(拍手)
#215
○委員長(植木光教君) 以上で大川清幸君の総括質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#216
○委員長(植木光教君) 次に、安恒良一君の総括質疑を行います。安恒君。
#217
○安恒良一君 私は、国民のための行財政改革の推進問題にしぼって、かなり重点的にまずお聞きをしたいと思います。
 総理並びに行管長官には議事録を差し上げておりますが、私は昨年の行革国会の中で、特殊法人の改革が大事だということの論議を重ねました。そして私が指摘した問題に対しまして両大臣は、傾聴に値すると言われておりますが、その気持ちには総理並びに行政管理庁長官お変わりはございませんか。
#218
○国務大臣(鈴木善幸君) この前の臨時国会で安恒さんからいろいろ御指摘があり、また政府に改善措置の御要請がございまして、それを十分踏まえまして、まだあれから時間はそう経過いたしておりませんが、できるだけのことを進めたいと、このように考えておるところでございます。
#219
○国務大臣(中曽根康弘君) 変わりございません。
#220
○安恒良一君 その際両大臣からは、真剣に改善に取り組むと。しかもその際に私は、五十七年度から実施できるものについても指摘をしました。そしてそのことについては納得をし、約束をされたのでありますが、この約束の中で、五十七年度にどの程度実行されるような御配慮をいただいたのでしょうか、このことをお伺いいたします。
#221
○国務大臣(中曽根康弘君) 昨年の夏の閣議決定によりまして、特殊法人の役員の数を昭和五十九年度末までに二割平均して削減すると、それをいま現在進行中でございます。
 それから安恒委員が御指摘になりましたプロパー出身者と官庁の横すべり者との比率の問題でございますが、これも事態を改善するように各省庁に対して指示をいたしまして、これは各省は監督権限を持っておりまして、その権限で努力を進行させておると、こういう状況でございます。
#222
○安恒良一君 私との約束は、五十七年から五十九年の三年間で役員を二割削減、減らすこと、それからいま一つは、役員を整理するための基準を設けて合理的に行うこと、三番目は、官庁の植民地となっていることは好ましくない、また内部の士気にもかかわるので是正するように検討すると、こういう約束を総理と行管長官にしていただいたと思いますが、その約束を、その後の実行の手続はどんな方法でなされていますか、お教え願いたいと思います。
#223
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、安恒委員御指摘の線に沿って大いに努力したいと御報告申し上げたわけでございますが、大体、先ほど申し上げましたように、監督の権限を持っておりますのは各省庁の大臣等が持っておりまして、各省庁に指示をいたしまして、御趣旨に沿うように事態の改善方を求めておるわけでございます。
#224
○安恒良一君 それでは、これでは各省庁の大臣にお聞きしなければなりません。
 実は私は、特にこれは私が使った言葉でありません、植民地というのは中曽根行政管理庁長官みずからが言われた言葉でありますから。それらの是正問題につきまして、実は各省庁から資料を取り調べてみましたが、驚きましたことには、全く改める気配がないのであります。
 そこで、私は具体的にお聞きをしたいと思うのでありますが、私はこういう質問を用心深くやりました。「各省庁所管の特殊法人について役付職員の構成その他(官庁から出向)専従来の方針、運用を改めるか否か」、こういう質問状を出したのであります。私は用心深く従来の方針、運用とまで申し上げておきました。これから文部大臣、厚生大臣、環境庁長官、外務大臣、総理府総務長官、労働大臣、自治大臣、農林大臣、そのことをお答えください。
#225
○政府委員(鈴木勲君) 文部省所管の特殊法人の役付職員等の構成その他人事の問題につきましては、その事業内容に応じまして適切かつ有機的なものであるべきであると考えておりますが、その配置に当たりましては適材適所の観点から行われるべきものと考えておりまして、今後ともそのような方針で運用をしてまいりたいというふうに考えております。
#226
○政府委員(正木馨君) 厚生省関係は特殊法人七つございますが、先生この前の国会においても御質疑がございまして、私どもそれぞれの特殊法人の業務の性格の違い等がございますが、役付職員と一般職員との関係、あるいはプロパー職員との関係等々につきましてできるだけ御趣旨に沿った考え方で対処していきたいということで、特に年金福祉事業団等につきましては一つの方針のもとにこれから対処していきたいというふうに考えております。
#227
○安恒良一君 ちょっと待ってください。ちょっとあなたたち、私に文書で答えたところを曲げて答えたらややこしくなる。たとえば文部省ですね、事業運営の基本方針に変更がないために、役付職員の構成等その方針を改めることは考えてないというふうに書いてある。そして事業団のこと。ですから、その点はきのう質問とりに見えたときに、大臣の答弁が食い遣わぬように、ちゃんと大臣に教えておいてくれと、こう言ってありますから、いま言ったことでは私に出した文書と言うことが違う。困りますから、これから――各省ともきのう、それがためにわざわざ私はこの文書を出している。きちっと自分たちで答えたことを答えてください。なぜ私は大臣に答えさせるかというのは、大臣がその気になっているかどうかと思うから聞いているわけです。各大臣からお答えいただきます。
#228
○国務大臣(田邉國男君) お答えをいたします。
 北方領土の問題、対策協会でございますが、これは、北方領土問題対策協会は北方領土の問題の解決促進を図るために全国的な啓蒙、宣伝、また専門的な調査、研究、また北方地域の元居住者に対する援護等の事業を実施することとしまして、昭和四十四年の十月設立をされたものであります。かかる事業を実施するためには専門的な知識及び経験を有する人材が必要でございます。そのためには当該業務に関しまして知識、経験を有する職員が出向をして、プロパーの職員と一体となって業務の効果的な推進を図ってまいりたい。
 なお、現在総理府から出向しておる職員の数は二名、退職後就職した者は一名、計三名でございますが、役付職員数は十二名のうち三名ということでございまして、特に多いということはないと思います。私どもはこの程度の専門的な知識の者がいることは必要であろうと、かように考えております。
#229
○国務大臣(原文兵衛君) 環境庁所管の特殊法人は公害防止事業団と公害健康被害補償協会の二つでございますが、公害防止事業団につきましては、昭和五十五年度末現在で役付職員の総数は五十八名のうち官庁出身者が三十五名、六〇・三%、公害健康被害補償協会については、役付職員総数四十四名のうち官庁出身者は三十四名、七七・三%になっております。
 これらの法人は、御承知のように、設立が比較的新しいこと等、それぞれの特殊性もありまして、官庁出身者の割合が高いように見受けられますけれども、職員の養成に努め、できる限り内部登用の促進を図るようにすべきものと考えております。
#230
○国務大臣(初村滝一郎君) 労働省関係の役付職員の内部登用については従来から配慮してまいりましたが、今後とも適材適所、能力に応じて内部登用を図っていく所存でございます。
#231
○国務大臣(世耕政隆君) 自治省関係の特殊法人は四つございまして、この四つのうち一つ、公営企業金融公庫が職員数八十三人に対して役付職員数が三十七人で、プロパーがほとんどない。プロパーが少数で八%、三人である、こういうことでございますが、全般に大体自治省関係の特殊法人は設立が昭和三十年以降、三十年代で歴史がどうも浅い。それからプロパーから出てくる人材が少し少ない。こういうことで現況のような状況でございますが、今後人材が出てくれば、これは登用する機会を十分に考えなければならない、こういうことで思っておる次第でございます。
#232
○国務大臣(田澤吉郎君) 農林水産関係の法人は十三法人ございます。法人の性格がまちまちであります関係から、五〇%を超えるものがいま三法人ございます。
 また、プロパー職員の登用につきましては、特殊法人においてその業務の内容、人材養成の状況等を踏まえつつ、適材適所の観点から行っているものと考えます。
#233
○国務大臣(櫻内義雄君) 外務省は国際協力事業団と国際交流基金がございますが、協力事業団の方は五十六年で見ますと役付職員百六十六名、職員数九百七十九名。御承知のように協力事業団は相当広範囲にいろいろ仕事をしておる、特に海外関係が多いのでございまして、大体この程度はお許しがいただけるのではないかと思うのであります。
 国際交流基金の方は役付職員数は三十名で、職員数は百六名と、こういうことでございまして、これも国際的に広い範囲でやっておりますので、あちこち出歩く者に肩書きをつけるというようなことで、まずまずこんなところではないかと、こう思う次第でございます。
#234
○安恒良一君 総理、私の手元に来たのと、ここに出てくるのと、大分かっこうつけて違っているんですよ。たとえば環境庁は、特になし、改めるという意味はない。それから総理府も、五十七年度従来の方針を変える考えはない。労働省、特になし、五十七年度は現行体制でいくことにしている。自治省、現在は改める必要が認められない。農林省もそうですよ、農林大臣かっこうのいいことを言っているけれど、事業運営の基本方針に変更がないため、役付職員の構成等その方針を改める考えはない等、これは総理、全部率直に言って改める必要がないというふうにこれは言ってきています。
 そこで総理にお聞きをしたいんでありますが、総理と行管長官は、やはり植民地化について改めなきゃならぬと、こういうふうに、たとえば総理は真剣に改善に取り組んでまいりたい、こう言われています。それから行管長官は、官僚による植民地化の是正は実行しなきゃならぬ、特にかねがね苦々しく思っておったところだと、こう言われています。ところが各大臣の方は、全く改める気はない、これでは閣内不統一だと。私に答弁されたことと全く違っておりますから、これからの説明をするために、ひとつここで総理と行管長官が言っておられることと、各大臣が言っていること、五十七年度から改められる部分、改めなきゃならぬのでありますが、このことについてどういうふうにするか統一的な方針を示してください。これでは論議の展開のしようがありません。
#235
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政管理庁で各法人につきまして、あるいは特殊機関につきまして、いろいろ調査を進めております。それによりますと、大部分のものはわりあいにうまく改革が進んでおるようであります。いま御指摘になりましたようなものは、これはがん症状みたいな形で、なかなかむずかしい点もございます。大体、たとえば専売公社とか国有鉄道とか日本電信電話公社とか、こういうようなものはかなりよくできて、プロパー職員がかなり成長しておりますし、あるいは水資源公団以下各種の公団全部調べてみました。しかし、中には御指摘のように特殊の金融機関とか、あるいは試験研究機関、あるいは設立の日の新しいものとか、そういうものにつきましてはまだ遺憾な情勢にあるのもございます。また、任期が来ないためにやめさせるわけにいかぬと、そういうものもございまして、こういうものは時間を追うて適時改善していくように努めていきたいと思っております。
#236
○安恒良一君 私が言ったことの答弁になっていません。私は、いま役員のところで、任期のある役員の、いわゆる民間で言う重役のところをやっているわけじゃないんですよ。部長とか課長とか係長とか、それをやることを言っていまして、中曽根さんはやらしておると言っているが、各大臣は今年度やる気がないと答弁しているから、これを、閣内不統一だから統一してくださいと言っている。統一してもらわなきゃ困るな。
#237
○国務大臣(中曽根康弘君) やらないと言っているのではないと思うのです。
#238
○安恒良一君 言っていますよ、そんなこと、文書で皆。文書で皆言っているんですよ、やらぬと。
#239
○国務大臣(中曽根康弘君) もしそういうことであるならば、これはよくないことでありまして、総理やわれわれの言うとおり改善しなければなりません。その点は事態改善に努めます。
#240
○安恒良一君 了解できません、そういうこと。私と約束されて、やれることを私は言ってるのですから。それなのにほかの人は、いやことしはやる気ありませんと。私は特にいま指名したのはたくさん問題を持っているところの大臣を指名したのです。しかも、それは事前に文書でお答えをいただいていることですから、統一してください。だめです。
#241
○国務大臣(鈴木善幸君) この前の臨時国会で安恒さんからきわめて具体的に、象徴的に問題を提起されましたのが年金福祉事業団のことでございました。もう年金福祉事業団は設立後二十年近くにもなっておるのであるが、プロパーの職員が責任の地位についていない、わずかに係長三人というような状況である、これでは士気が上がらぬのではないか、こういう点について大いに改善を必要とするのではないかという御指摘がございました。この点は全くそのとおりでございまして、私からも行管長官からも、それは厚生大臣を通じまして、その改善方を強く指示いたしておるところでございます。
 最近のことにつきまして、まだ報告を私受けておりませんが、これは逐次役職にも登用するようにと、こういうような方向で取り組んでいきたいと、こういう臨調からの報告のあったことを、私承知いたしております。
#242
○安恒良一君 総理、私は具体例は年金福祉事業団を挙げましたが、これは氷山の一角で、他の公団も多かれ少なかれだと、こういうことで私もきょうは皆さんのところへ資料を差し上げているのです、他の公団もこうなっていますよと。それに対して、いわゆることし改善する意思があるかないかと聞いたら、改善する気がないというふうにみんな答えるから、あなたが言っておられることと、中曽根さんが言っていること一あなたは指示したと言う。指示したら、その指示に従うべきなのに従わぬ、反乱軍ばっかりなんです。反乱軍ばっかりだからこれをどうしますかと、反乱軍をどうしますかという、その統一見解をここで出してくださいと、こう言っているんです。――理事、これやってもらわぬとだめです。こんなことでは時間とるだけです、冗談じゃないですよ、あなた、反乱軍ばっかりで。
#243
○委員長(植木光教君) 速記をとめてください。
   〔午後二時二十八分速記中止〕
   〔午後二時四十三分速記開始〕
#244
○委員長(植木光教君) 速記を起こして。
 安恒君の質問は、昭和五十七年度から特殊法人の役付職員の構成について従来の方針ないし運用を改めるか否かという趣旨であります。この点について後刻内閣閣内の意見を統一し、各省庁から具体的に御答弁をお願いいたします。
#245
○安恒良一君 後刻御答弁を願うそうでありますから、その問題がないと特殊法人問題のこれからの議論は進みませんので、この点は私も保留をいたしまして、改めてその答弁をお聞きした後にさらに論議を深めたい、こういうふうに思います。
 次に、証券の民主化問題について御質問をしたいというふうに思います。
 まず、この五十六年の三月の中旬から約五ヵ月間でダウ平均が千円も上がった、また、この二、三日、急激な株価の値下がり、こういう問題がありまして、やはりある新聞が書いておりますように、わが国の株式市場の構造的ゆがみ、そういうところに問題があるというふうに私は考えます。
 そこで、きょうは時間の関係がありますし、すでに数年来衆議院の関係委員会で質疑されていますから、それに重複しない範囲でまず質問をしたいと思いますが、資料をすでにいただいておりますから、五十五年度、五十六年度等のいわゆる時価発行による増資額、これらについてまずちょっとお答えを願いたいと思います。
#246
○政府委員(禿河徹映君) お答えいたします。五十五年度におきますところの時価発行増資額は九千六十三億円、五十六年度、これはまだ三月終わっておりませんのでその分の見込みが入りますが、五十六年度が見込みで申しますと一兆二千九百九億円、この程度の規模になろうかと思われます。
#247
○安恒良一君 私は大蔵大臣に御質問したいのですが、これだけ財源が不足して深刻なときでありますから、わが国の株式市場の構造的欠陥を放置したまま四大証券の独占的な利益追求と、企業側で言いますと超低コストの時価発行を野放しにしてよいのだろうかどうか。私は、最低でも時価発行増資による資金調達分につきましては、たとえば一〇%前後の分離課税を徴収すべきではないかと思いますが、大蔵大臣の所見を承ります。
#248
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう大変実は議論のあるところでありまして、定説は、時価発行のプレミアムと言っても株主が出した資本そのものと同じだから、この資本に課税をするのはよろしくないというのが定説でございますが、資本に組み入れられて株主に配当所得を生むというのならそれはそれでいいのだけれども、問題は、組み入れられないでそのまま社内に滞留して何ら課税を受けないというところに問題があるのじゃないか。そこらのところを指しておっしゃっておるのかと思いますが、直ちに一〇%というふうな課税はとうてい考えられませんが、検討課題であることは事実でございます。
#249
○安恒良一君 検討課題であるということでありますから、大いに今後検討して、またいずれ聞きますので、具体案を聞かしていただきたいと思います。
 そこで、次にお聞きしたいんですが、四十八年以降今日まで、上場会社の中で公募増資後に倒産した会社がどことどこで、どのくらいあるのか、それを聞かしてください。
#250
○政府委員(禿河徹映君) 申し上げます。
 四十八年以降におきまして、公募増資を行いました会社で現在まで倒産をいたしました会社は七社ございます。社名を申し上げますと、日本熱学工業、東京時計製造、興人、瀬尾高圧工業、波止浜造船、永大産業、ウェル、以上の七社でございます。
#251
○安恒良一君 このような場合に、幹事証券会社は一般投資家に対して具体的にどういう責任をとっているのでしょうか。公募増資後半年もたたず倒産する例もあり、私は幹事証券会社が責任をとるのは当然だと思います。株式市場の構造的欠陥を放置して、大手証券を野放しに営業をやらせも意図は何でしょうか。こうした、今後予測されることでありますが、厳しい罰則を含めて幹事証券会社の責任を明確にすべきだろうと思いますが、この点いかがでしょうか。
#252
○政府委員(禿河徹映君) 御指摘のとおり、また先ほど御答弁いたしましたとおり、公募増資を行いました後でその発行会社が倒産した事例が散見されるわけでございます。
 そこで、幹事引き受け証券会社といたしまして、その責任上問題になりますのは、その引き受けに際しましての審査が不十分であったり、あるいはその会社が粉飾決算を行っておったということを知りながら隠蔽した事実がなかったかどうかとか、それが一番大きな問題かと思います。あるいはまた、増資に関連いたしまして株価操作に関与していたような事実がないかとかいうふうな点が問題となるわけでございますが、過去に倒産いたしました事例を見ますと、引受審査が不十分であった、あるいは故意に粉飾を隠蔽していたと思われるものは認められませんわけですが、発行会社による株価操作が行われていたものに関与していたという証券会社がございまして、これは営業停止の行政処分をいたしましたのが二件ございます。そういう点から申しますと、現在、行政上の措置として私ども対応しておるわけでございますが、法律上の規定といたしましては、証券取引法の二十一条に損害賠償責任の規定が設けられてございます。ただ、それには免責事由がございまして、有価証券届出書の記載が虚偽であり、または欠けていることを知らず、かつ財務諸表の記載内容以外の部分については、相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかった場合には免責される、こういうふうなことで民事上の責任の追及というのは現在のところございません。
#253
○安恒良一君 いま一般的な例を言われたのですが、あなたが挙げられた各社が倒産したことについてはどういうふうになりますか。
#254
○政府委員(禿河徹映君) まず日本熱学工業に対しましては、大蔵省といたしまして幹事証券に対しまして株価操作に関与しておった、こういうことで健全性省令違反ということで二日間の営業停止、それから東京時計製造に関しましては同じ理由を用いまして一日の営業停止……
#255
○安恒良一君 どこの幹事証券ですか、幹事証券を言ってください。
#256
○政府委員(禿河徹映君) 日本熱学は山一証券、東京時計製造は遠山証券でございます。そういう行政上の措置をとってございます。
#257
○安恒良一君 いま七つあるじゃないですか。何で二つしか言わないのですか。
#258
○政府委員(禿河徹映君) 残りの五社につきましては、証取法上に基づく処分というものはとられておりません。
#259
○安恒良一君 私は、昨年の三月の衆議院の大蔵委員会で誠備グループのときにいろいろ問題になった議事録を見ていますが、単にこの脱税問題というのは副次的な問題であって、証取法上の重要な問題が放置されているじゃないかということをわが党の同僚議員が質問しています。私は全く同感なんです。ですから、日興証券がいわゆる全社的に力を入れまして、その後自殺者まで出して積極的に営業をした場合、たとえば科研化学の五十三年一月二百九十円で同年十月十一日に四千円まではね上がった問題、こういうものについては何らとがめがない。ですから、検察当局は誠備グループの場合には非常に胸を張りまして脱税の温床にメスを入れ、証券界全体に警鐘を鳴らした、こう言って胸を張っているんですが、大手がやった場合には一つもそういうことをやらないのでありますが、なぜこういうことについて、大手証券だから検察当局は手をつけないのでしょうか。検察当局として四大証券のケースを調べたことがありますか。
#260
○政府委員(前田宏君) ただいまいわゆる誠備グループの事件につきまして、証券界全体に警鐘を与えたという、胸を張ったというような御指摘でございましたけれども、私どもはそういうつもりで実はおらないわけでございまして、あの事件は当初吉永こと金丞泰という人の所得税法違反、つまり脱税でございますが、それが告発になりまして、それを捜査し、起訴をした。その過程におきましていわゆる誠備グループのリーダー格と申しますか、中心的な立場にあった加藤という人の共犯関係が明らかになった。またさらに加藤本人の脱税が明らかになったということで、その面からの脱税事件としての処理をしたわけでございまして、先ほどおっしゃいましたようにいわゆる誠備グループ全体の関与をしたとか、あるいは証券界全体についてメスを入れたとか、そういうことではまずないわけでございます。
#261
○安恒良一君 私の質問に答えてください。いわゆる四大証券について検察当局としては調べられたケースがございますかと聞いているんです。
#262
○政府委員(前田宏君) お尋ねの四大証券について調べたかということでございますが、これも申すまでもないことでございますけれども、いわゆる犯罪の疑いがあるという場合に捜査をするのがたてまえでございまして、特にそういう具体的な嫌疑があったということでございませんので、結果的にそういうことがないということに相なるわけでございます。
#263
○安恒良一君 私は脱税だけじゃなくて架空名義使用による問題をいましているわけでありますから、まあこの議論はさておきまして……。
 そこで大蔵省にお聞きしたいのですが、五十六年五月二十九日午後四時より自民党本部七〇六室において、自民党の衆参議員十名、それから大蔵省小山審議官、東証の河本副理事長、証券業協会の森谷専務理事等を招いて証券に関する小委員会が開かれています。この中には、きょうここに御出席の議員もおいでのようでありますが、個々人の名前は差し控えさしていただきます。その会議の中のやりとりのメモを私は入手しました。それによりますと、某議員が架空名義による売買注文を受けない証券会社があるのか、私も架空名義で売買をしたことがあると発言しまして、森谷専務理事は架空名義はないとは言えない、小山審議官も、その話は以前から聞いている、こういうふうな発言のやりとりが自民党の先生方との間にあっています。これらの発言をわかりやすく解説しますならば、四大証券は国会議員等に対しても、架空名義の印鑑まで用意をして架空名義による取引を積極的に営業している、こういうことだと思います。それから東証も大蔵省もある程度承知をしている、ところが実態がつかみにくいという名前のもとで四大証券の場合には見送られている、誠備のような場合にはある程度取り締まる、こうなっておりますが、時間の関係上私は詳細なやりとりをすることはできませんので、この四大証券がやっている架空名義の利用の営業を調べる気があるのですかないのですか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
#264
○政府委員(禿河徹映君) 架空名義によりますところの証券取引はとかく顧客との間のトラブルが起こりやすく、また証券会社に対します社会的信用というものを低下させるおそれがあるということから、従来から私ども行政指導でいろいろやってきておるわけでございますが、残念ながらそれが根絶できていない、それは事実かと思います。
 ただ、これにつきまして、私ども今後ともその指導は詰めてまいりたいと思いますけれども、架名取引を全部悉皆調査してといっても、なかなか物理的に現実には大変むずかしいことでございますので、さらに証券界に対しましてこういう指導を推進してまいりたい、かように考えております。
#265
○安恒良一君 私は、この自民党の小委員会でも発言が出ておりますが、架空名義使用者から税を取り立てる努力をなぜしないのかということが自民党の中でも出ているわけであります。
 私は、たとえばコンピューターが今日発達しておりますから、名寄せということをやる気があればできると思います。また、いま証券法によって、年間の売買回数、一回の取引について引き下げ論も議論として出ているのであります。私は、こういうコンピューターによる名寄せをなぜやらないのか、やるべきだと思います。
 それと同時に、いま一つは、年間の取引伝票に基づきまして確定申告をさせる。そして、それに対して具体的に税金をとっていくというやり方も、私は、架空名義で売買をして利益を上げているわけでありますから、そういうことをやるべきではないかと思いますが、この点いかがでしょうか。――大臣、これは方針だから。
#266
○政府委員(吉田哲朗君) ただいま先生御指摘のように、税務調査の結果から申しますと、証券取引に架空名義が使われているケースがあることも事実でございます。
 それに対しまして、私どもどういうことをやっているかということでございますけれども、表にあらわれました資産管理状況あるいは代金決済の方法あるいは名義人に対する調査、その他各種の情報を極力収集いたしまして、そういうじみちな努力によりまして真実な所得者の把握に最大限の努力をしているところでございます。現実のやり方としましては、それが最も効果的であるというふうに考えているところでございます。
#267
○安恒良一君 私の聞いたことに答えてない。いわゆるコンピューター等を使って名寄せをする気があるのかないのかと聞いている。
#268
○政府委員(禿河徹映君) ちょっとこの場でコンピューターで完全な名寄せができるかどうかお答えはいたしかねますけれども、実際の名前がわかっておればこれは技術的に可能だと思います。ただ、架名取引の内容が、架空の住所、氏名とかというふうなことに相なりました場合には、実際上なかなかコンピューターといえども完全に名寄せをするということはむずかしいかなという感じがいたします。
#269
○安恒良一君 どうも答弁があいまいですから、これは宿題にしておきますから。私は、架空名義で取引が公然と行われている、自民党の先生でも自分でもやっていると、こう言われているのですから、これは一遍ぜひひとついま言ったコンピューターによる名寄せの方法を、これは大蔵大臣を助けているようなものです、脱税を防ぐのですから、ぜひ研究してもらいたいということでこの問題はこれで終わりたいと思います。よろしゅうございますか、大蔵大臣。
#270
○国務大臣(渡辺美智雄君) 研究をいたします。
#271
○安恒良一君 それでは、その次の問題で、屎尿処理の適正化問題についてお伺いをいたします。
 まず、国民のための行政改革推進の立場から、屎尿処理整備補助金が果たして有効的に使われているかどうかということをただしたいと思いますが、五十六年度はどういう金額になっておりますか。
 それから、屎尿処理の稼働率がきわめて低いと思いますが、稼働率はどのとおりになっていますか、お聞かせください。
#272
○政府委員(山村勝美君) 五十六年の予算の執行状況でございますが、所定の予算をほぼ緊急性、必要性に応じまして優先的に配分をいたしておるところでございます。
 なお、稼働率につきましては、おおむね海洋投棄を行っております市町村についてみますと、七〇%から一〇〇%の稼働率で、平均八〇%弱のものになっておりますが、中には低いものがございます。
#273
○安恒良一君 目立って低いのはどこでしょうか。
#274
○政府委員(山村勝美君) 千葉市と東京都と中部知多衛生組合が目立つようでございます。
#275
○安恒良一君 率。
#276
○政府委員(山村勝美君) 大体一部施設が休止していること等によりまして、おおむね四〇%程度になっております。
#277
○安恒良一君 千葉市は三四・八じゃないですか。
#278
○政府委員(山村勝美君) 正確に、細かく申し上げますと、千葉市は三四・八%、東京都が四四・七%、中部知多衛生組合が四三・一%でございます。
#279
○安恒良一君 海洋投棄を年間一万キロリットル以上やっている自治体の施設は二十六カ所で、平均稼働率は七八・九、こういうふうに伺っていいでしょうか。
#280
○政府委員(山村勝美君) そのとおりでございます。
#281
○安恒良一君 政府は、五十六年十一月二十七日に廃棄物処理施設整備緊急措置法に基づいて廃棄物処理施設整備計画を閣議で決定をされてます。これをごく簡単に、五十六年から六十年までの五カ年でどれだけ資本を投下するのか、こういうことについてお聞かせください。
 それから処理率を高めること。
#282
○政府委員(山村勝美君) 第五次廃棄物処理施設整備五カ年計画におきましては、一つには、屎尿の陸上処理を八五%から九一%に拡大すること。それから、海洋投棄を一万二千キロリットルから六千キロリットルに削減すること。総投資額、屎尿処理施設につきましては約二千九百億円を投資して二万二千四百八十キロリットルの施設をつくる計画でございます。
#283
○安恒良一君 ところが、東京都は稼働率四四・七%、一日千二百キロリットルを処理している江東区の砂町工場を全面閉鎖して海洋投棄に切りかえると言っていますが、これに対して政府はどう評価していますか。
#284
○国務大臣(森下元晴君) 東京都が予定するただいまお話の処置については、遺憾ながら厚生省の方針に沿わないものでございます。昨年来、東京都に対し厚生省の方針を伝えてきたところでございますが、安恒議員せっかくの御指摘もございますので、都に対し国の方針に従って計画を見直すよう改めて指示することにいたします。
#285
○安恒良一君 私が質問する次のことまで答えられましたから、改めて指示し、指導するということでありますので、ぜひ適切な指導をお願いをしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#286
○国務大臣(森下元晴君) はい、結構でございます。
#287
○安恒良一君 次に、公共交通の維持、整備と運政審答申、モータリゼーション問題について質問をいたします。
 まず、今後の産業活動の規模というのは非常に交通に関係をするわけでありますが、この運政審答申では五%前後を想定をしておりますが、本当に五%を達成できるのでしょうか。その根拠についてお聞かせください。
#288
○政府委員(石月昭二君) お答え申し上げます。
 運輸政策審議会の答申では、新経済社会七カ年計画、これは昭和五十五年度のフォローアップをした後での目標としております昭和六十年度までの年平均の実質経済成長率五・五%という計画や、そのほか産業構造審議会で検討されました年平均実質経済成長率五%強というような政府の計画、その他もろもろの政府計画等を参考にし、なおまた、当時出ておりました民間の計画等も勘案いたしまして、五%の成長を予想したわけでございます。
#289
○安恒良一君 私の質問に的確に答えてください。
 運政審がそんなこと書いているのは知っているのですよ。今日の現状でその五%が達成できるのかと。それはなぜかというと、交通は産業構造の変化や、景気動向に少なからず影響されますから、そういうのを受けてこういうふうにどう考えるかと聞いているのです。
#290
○政府委員(石月昭二君) これからの経済成長の見通しにつきましては非常に不透明な要素が多いわけでございますけれども、今後の人口の動向、それから産業の伸び、その他いろいろな資料をもとにいたしまして、私どもといたしましては、昭和六十五年度の国民総生産を二百兆から二百十兆円という目標を設定いたしまして、それに基づく経済成長率といたしまして、約五%の成長率ということで計算いたした次第でございます。
#291
○安恒良一君 たとえば、来年の成長率が幾らになるかという議論をたくさん聞いておられたと思いますね、そういう中で本当に五%ずつ伸びていくんですか。
#292
○政府委員(石月昭二君) 現在の経済状況その他から勘案いたしますと、六十五年までの状況の中には、いろいろな変動があろうかと思いますけれども、政策措置が適切にとられれば、五%の成長は確実ではないかというぐあいに考えている次第でございます。
#293
○安恒良一君 これで時間とるわけにいきませんから、それじゃこの点保留しておきましょう。
 次に、定住圏構想と中心都市の分布、空港の配置計画、こういうことで「定住圏の中心都市から一〜二時間程度で最寄りの空港又は新幹線」の云云と、こう出ておりますが、まずその配置計画を示してください。
 それから、この考え方は列島改造論、三全総の再現ではないかと思いますが、これによってだれが利益を受けると思いますか。また、このために地域交通にしわ寄せをされ、住民が犠牲になることは許されないのでありますが、この点はどうでしょうか。
#294
○政府委員(石月昭二君) 委員御承知のように、わが国の人口は昭和六十五年までには今後約一千万人の人口が増加するというぐあいに予想されております。限られた国土の中で、こうした増加する人口を定住させまして、経済社会の発展を図っていくためには、やはり総合的な交通施設を含む環境の整備が何よりも重要ではないかと考えている次第でございます。こういう考え方を踏まえまして、国土の均衡ある利用を進めていくためには、やはり交通体系が要る。その場合に国民の高速化指向という考え方も踏まえましてこういう高速交通体系というものを全国に均てんさせるというのが運政審の考え方でございます。したがいまして、この考え方は非常に妥当なものではないかと私ども受けとめておるわけでございます。こうした考え方を長期的な目標に置きながら、私どもといたしましては高速交通体系の全国的な均てんという考え方から、在来鉄道や、高速道路というようなものをうまく使いまして、空港、新幹線というような高速交通機関へのアクセスをよくする。また、今後空港を設置する場合にもそういう考え方に従って、できるだけ全国に高速交通体系の恩典が均てんするように、交通施設の整備を進めていきたいと考えている次第でございます。
#295
○安恒良一君 答えてません、私の質問に。定住圏とその中心都市の分布、空港の配置計画を示してくださいと、こう言っているのです。
#296
○政府委員(石月昭二君) この運政審の答申の考え方は、二十一世紀の展望を踏まえまして、今後の高速交通体系の整備の方向を示したものと私ども受けとめておりますので、今後、ただいま申し上げましたような形で、高速交通体系のアクセスの整備、それから空港の新設という場合に、この考えを生かしていきたいと考えている次第でございまして、そのための調査研究もこれからしたいと考えている段階でございます。
#297
○安恒良一君 そうすると具体案はないんですね。これから調査研究するのですか。
#298
○政府委員(石月昭二君) これから調査研究をするところでございます。
#299
○安恒良一君 いろいろ聞きたいことがあるのですが、時間がありませんからまたに譲りまして、それではこれは運輸省に聞きたいのですが、現在全国に四万四千系統、免許キロで十七万七千キロのバスの路線がありますが、そのうちもうどうにもならなくなっているいわゆる五人未満、三種生活路線が五千五百ほどあります。このうち補助を受けているのはわずか九百三十六系統でありますが、運輸省はこれらの補助を昭和五十八年度には打ち切ると言っていますが、実際に打ち切るのですか。それとも運輸省の独自の考えをお持ちでありましょうか。また、今後情勢の変化がある場合には、その考え方を変えられる気があるのですか。これが一つであります。それから第二種もそのとおりでありますが、二種に対する補助制度は今後どうする考えですか。二種生活路線はいま全国で二万四千八百系統あると言われていますが、モータリゼーションが激しくなってまいりますと、またこれが三種に落ちるのではないかというふうに考えますが、こういう点はどうでしょうか。
#300
○国務大臣(小坂徳三郎君) 地方交通、特にバス路線の関係の問題はなかなか深刻な問題がございまして、委員が御指摘になるような三種というものについても非常ないま困難に遭遇していることはわれわれもよく承知いたしておりますが、この助成金でございますけれども、五十七年度までと、その後は打ち切りということになっておるのでありますが、運輸省といたしましては、この三種生活路線につきましては、できる限り今後二種への格上げを努力をするとか、あるいはまた市町村による代替バスによって切りかえるとか、またそれが不可能な場合もあると思いますが、あらゆる力を、こうした第三種の生活路線については今後努力を重ねてまいりたいと思っております。
 それから、御指摘の二種につきましては、いま補助金を五十七年度で打ち切るという話になっておらないわけでございまするが、ただ三種につきましては、五十七年度で打ち切ることになっておりますけれども、われわれといたしましては、いま申し上げたような種々な努力が実らない場合もあるし、同時にまた地域社会の方々の強い要望もあるというような場合には、一応打ち切りということにはなっておりますけれども、今後の一年間のこれからの努力、その成果を見まして、将来の補助制度のあり方についても検討してまいりたい、そのように運輸省としては考えております。
#301
○安恒良一君 過日、いわゆるこの問題の全国的な集まりがあったときに、自民党の交通部会長がお見えになりまして、政権政党として責任を持ってそういうことはさせないと、こういうことで胸を張って答弁をされて拍手喝采を浴びて帰られた方がおいでになりますが、私はいま大臣がおっしゃいましたように、機械的にこういうことをするのじゃなくして、やはりこの三種路線の生活路線としての維持整備が必要でありますから、さらにこの問題について格段の努力をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#302
○国務大臣(小坂徳三郎君) もちろん財政的ないろいろな問題が現在あることはよく前提にしておりますけれども、いまわれわれの考えております第三種の生活路線については、十分地域の方々及び交通路線の今後の問題についての配慮を持って努力をしてまいりたいというふうに思います。
#303
○安恒良一君 大臣が努力をすることを約束されましたので、私はそのことを強く大臣にお願いをしておきたいと思います。
 次に先回の代表質問で、総理に自動車及び自動車道の増加抑制について質問しましたが、総理はいとも簡単に、自動車の生産販売に対し制限を加えることは適当でないと、こう答弁されました。しかし、これは私の質問の趣旨を十分お踏まえになってなかったのじゃないかと思いますので、若干再質問をしたいと思いますが、自動車が可住地面積当たりにアメリカの十倍、西ドイツの二倍になっていることはもう十分御承知だと思う。そこで、環境と健康の関係から研究されてますところの環境庁、それから五十五年度からふたたび増加傾向を示し始めました交通事故対策、警察庁。これは、現在四千万台、六十年にはいわゆる六千万台、五割ふえるわけですから、そういう観点を踏まえて、自動車の総量規制についての御見解を聞かしてください。
#304
○政府委員(久本禮一君) 交通事故の概況につきまして御報告いたします。
 交通事故の概況につきましては、先生御指摘のとおり、昭和四十五年を一〇〇といたしますと、五十六年においては六八というふうに一応漸減はしておりますものの、昭和五十二年をボトムといたしまして、その後五十三年から漸増の傾向にございまして、その抑止につきましては私どもも苦慮しているところでございます。また、死亡事故につきましては、幸いに、五十五年度に若干前年を上回りましたものの、五十六年度につきましては、まあ微減ではございますが減少でございます。しかし、減少傾向が壁にぶつかったという認識をいたしておりまして、これに対しましては、やはり同様に安全対策の推進の必要性を感じているところでございます。
 なお、具体的な対策につきましては、きわめてトラスチックなものを導入するということは、なかなかむずかしいわけでございますが、交通警察といたしましては、運転者教育、あるいは施設の増強に加えまして、交通の指導、取り締まり等につきましても、十分に安全の問題を強調して、その重要性を促すという見地から努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#305
○国務大臣(原文兵衛君) 自動車の台数は、御承知のように年々ふえているわけでございます。そういうことで、霞が関かいわいはもちろんでございますが、霞が関かいわいということにとどまらず、全国的に交通による騒音であるとか、あるいは大気汚染であるとかいうような、いわゆる交通公害につきましては、われわれとしても根本的な解決を図っていかなければなりません。そういうような意味で、現在中公審の交通公害部会におきまして、いろいろとこの対策について御審議もいただいておりますが、環境庁といたしましても、この交通公害という面から、交通体系の総体について、いろいろとまた関係方面と連絡をとりながら進めていきたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
#306
○安恒良一君 委員長、私の質問に答えていません、警察庁、環境庁とも。自動車の総量規制についての見解はどうだと聞いているんですから、どっちも答えていません。答え直してください。
#307
○政府委員(久本禮一君) 交通量の抑制につきましては、特に都市の場合におきまして、そういう問題があるという意識は十分に持っております。したがいまして、都市交通対策の中で、できるだけ交通量の肥大に対しては抑止できるような施策を講じていくという考え方で、特に都市における交通規制等を中心にいたします施策を進めておるところでございます。
#308
○国務大臣(原文兵衛君) 環境庁といたしましては、先ほどもお答えいたしましたように、自動車交通等による騒音の問題、あるいは大気汚染の問題等につきましてそれぞれ規制をしているわけでございます。また、環境基準等もつくっているわけでございますが、交通量の規制ということになりますと、いま私が申し上げたような大気汚染、あるいは交通騒音というようなものの基準を踏まえて、警察の方でもっていろいろといま御答弁がございましたように考えていただいているところでございます。
#309
○安恒良一君 交通量を言っているのじゃない。自動車の総量規制について環境庁はどうお考えになるかと言っているのであります。
#310
○国務大臣(原文兵衛君) 自動車の総量規制というのはどういう御意味でございましょうか。
#311
○安恒良一君 あなたがおらぬときにこういうふうに言ったのですよ。いま四千万台だと。昭和六十年には六千万台にふえる。五割ふえるわけですね。だから、そういう状況のときの環境と健康を守るために自動車の総量規制についてどういう御見解をお持ちでしょうかと聞いている。
#312
○国務大臣(原文兵衛君) 自動車がただ単に台数がふえるということじゃなくて、交通量がふえるかどうかということが、これが環境に非常に影響するわけでございます。したがいまして、交通量の規制というものにつきましては、これはやはり警察庁なり、あるいはまた関係の省庁といろいろと連絡をとりながら検討していかなければならない問題だと、こういうふうに思っておるわけでございまして、環境庁といたしまして、自動車の総台数をどうするということをいま私の方では考えてはおりません。
#313
○安恒良一君 そういう答弁を三百代言答弁と言う。なぜかというと、自動車が五割ふえて交通量がふえないことないでしょう。自動車だけ買っておって黙って車庫に入れておくばかおりますか。
#314
○国務大臣(原文兵衛君) 先ほども申し上げましたように、自動車の総台数と交通量、それは総台数がふえれば交通量というものもある程度ふえるでしょう。しかし、それは必ずしも一致したものではないわけでございます。それは私が申し上げたとおり。しかしながら、やはり交通量が非常に大きくなって、それによって交通公害が非常にふえるということは好ましくないわけでございまして、私どもはそういう観点に立ってこれからもやっていきたいと思っているわけでございます。
#315
○安恒良一君 それじゃ運輸省にお聞きします。
 いまの四千万台がいわゆる五割ふえて六千万台になったときに、どのくらい交通量がふえるでしょうか。
#316
○政府委員(石月昭二君) 先生お話しの四千万台が六千万台になったときにどれくらい交通量がふえるかという試算は私どもいたしておりませんが、運輸政策審議会の答申で将来の、自家用乗用車があとどれくらいふえるのであろうかという一応の推測をやったわけでございます。それによりますと、昭和五十四年が二千二百七十五万台でございましたが、これが昭和六十五年には二千七百万台から三千万台を超すぐらいのところまでふえるのではないか、大体、普及率にいたしまして一世帯に一台というようなところまでふえていくのではないかというぐあいに予測した次第でございます。
#317
○安恒良一君 この問題も、時間ありません、また改めてゆっくり一般でやりたいと思います。
 そこで、まず私は――私が言っているわけじゃなくて、自動車業界自体がいわゆる六千万台になると、こう言っているんですから、そういう場合に国民生活にどんな影響を与えるのか。特に乗り合いバスの表定速度が年々落ちていますが、東京の昭和三十五年と、それから五十四年における表定速度はどうなっていますか。
#318
○政府委員(飯島篤君) お答えいたします。
 東京の場合、三十五年度十五・三キロでございましたが、五十五年度では十二キロに落ちております。それから大阪の場合、三十五年度十三・二キロでございましたが、十一・三キロに落ちております。
#319
○安恒良一君 大都会では軒並みに表定速度が落ちていますが、これがいま言ったように、いわゆる業界が言っているように六千万台にふえた場合に乗り合いバスの速さはどういうふうになりますか。また乗り合いバスは大都会において機能を果たすとお考えですか。
 また、警察庁にお聞きいたしますが、交通事故死傷者、負傷者を含めますと約六十万人と言われていますが、六千万台になったときにこれを減らせる自信が警察当局にありますか。お聞かせください。
#320
○政府委員(久本禮一君) 努力はいたしますが、率直に言ってなかなかむずかしい問題だというふうに考えております。
#321
○安恒良一君 運輸省。
#322
○政府委員(飯島篤君) 先生がいま御指摘の五割ふえた場合にどうなるかという表定速度について、申しわけありませんが、きょうのところ作業をいたしたものを持ち合わせておりません。ただ、こういった都市におきまして定型大量公共輸送の整備ないしはこれの利用への誘導というためにいろいろ走行環境を改善していく必要がある。優先信号とか専用レーンあるいは優先レーン、場合によっては専用道、マイカーの駐車規制というようなことをやってまいりまして、公共輸送の円滑な効率的な輸送を確保してまいりたいと考えております。
#323
○安恒良一君 持ち合わせがなければ論争できませんから、この点も保留しておきますから、早急に作業をしてみてください。
 そこで、次の問題に入りますが、公共交通、健全にこれを守っていくためには、私は、必要不可欠な財源、いわゆる財投、補助に要する財源問題についてでありますが、運輸省といたしましては、いろんな意見が出ているし、過去におけるいろんな努力があったことも知っておりますが、今後検討の課題として何らかの具体策をお持ちにならなきゃいかぬと思いますが、何をどのように効果的に具体化するのか。それから公共交通優先の見地から政策展開があるべきだと思いますが、どうお考えでしょうか。
#324
○国務大臣(小坂徳三郎君) 財源問題でございますが、御承知のように過去において特別会計を設置したいということで議会に申し上げましたが、成立をしなかったような状態でございます。しかしまた、いま御指摘のような形で、どうしてもこうした財源措置を伴うような形での交通政策を再編成するということはやはり今日の時代的要請でもあるというふうに私は考えておりますが、いまさしあたってこれに対する財源措置をどうするということをここですぐ御答弁申し上げることは十分に用意をしておりませんので、さらに検討させていただきたいというふうに申し上げたいと思っております。
#325
○安恒良一君 どうも、これすべて質問通告してあるのですが、以上の二問もまだこれからこれからということで、これも審議の進めようがございません。
 そこで、この点も保留しておきまして、私は、最後に一つだけ運輸大臣にお聞きしたいのですが、六党の共同決議がございまして、それの実行が十分でないことは本会議で議論しました。さらに、市町村からたくさんの意見が出ていることも本会議で議論しました。私は、どうもやっぱり運政審の答申にはかなりマイカー中心というところに無理がある。だから私は、やはりこの運政審答申のマイカーに市民権を与えるとかマイカー中心というところを、これを白紙に戻して、そしてやはり六党の共同決議に基づくような角度からわが国の公共交通のあり方、特に地方公共交通のあり方をやっていかなきゃならないと考えるのでありますが、この点について大臣の御見解をお聞かせください。
#326
○国務大臣(小坂徳三郎君) 地方陸上交通問題に関する審議会が設置されておりまして、これには地方自治体あるいはバス路線経営者、労働組合の方々も、また利用者の方々も、学識経験者あるいは関連した各省関係者等に委員になってもらってそれぞれの地域でやっておりますが、私は、運政審の答申そのものが何も、マイカーにと申しますか、自動車により強い、高い市民権を与えているというふうにはもちろん考えておりませんし、また地域それぞれの審議会におきましても、当然私は、そのような考えではなしに、より地方の住民の方々や、そしてまた、そこに無理をして走らせておられるバスの将来性の問題等々について非常に深刻な、また強い御議論がなされていると期待をいたしておるわけでございます。先般も本会議におきましてマイカーの問題が出されましたが、われわれは運政審そのものがマイカーに市民権を特に与えたというものでないということはここではっきり申し上げまして、また今後の地方審議会の推移、そしてまた、われわれ自身もこうした問題を含めて幅広く交通全般の問題について検討を精力的に行うということを御答弁申し上げたいと思います。
#327
○安恒良一君 私は、あと五分ございますが、特殊法人問題、運政審答申問題は非常に重要で何点か保留いたしましたので、きょうはこの時間を残しまして他日答弁を得たい、こういうふうに思います。(拍手)
#328
○委員長(植木光教君) 安恒君の本日の質疑はこれまでとし、残余の質疑は後日行います。
    ―――――――――――――
#329
○委員長(植木光教君) 次に、山田譲君の総括質疑を行います。山田君。
#330
○山田譲君 私は、まず五十七年度予算案がいま出されているわけでありますけれども、これについて二、三重要なところを御質問申し上げてみたいというふうに思います。
 まず最初に伺いたいのは、臨調の答申を受けて今度の予算案ができているというふうに思いますけれども、最初に行管長官に伺いたいのですが、今度の予算が果たして本当にこの臨調答申どおりに編成されているかどうか、行管長官としてそういう意味で満足すべき予算案になっているかどうか、もし満足していないとするとどの辺が不満であるかというふうなことについて最初にお伺いをしてみたいと思います。
#331
○国務大臣(中曽根康弘君) 五十七年度予算の中におきましては、まず昨年六月にいわゆるゼロシーリングを設定いたしまして、それに基づいて、ふえるであろうと予想されておった約二兆四千億円の経費を節減したという点において大きな前進を示していると思います。普通の状態で二兆四千億円もの金を切るということは非常に困難な事態でございますが、臨調というものの力がありまして、それを受けて政府がそれを断行したということでございます。それから、行革関連特例法を昨年秋成立さしていただきまして、補助金について、特定の部分について大体六分の一の経費カットをやりました。そのほか、各省庁にある補助金の中で一割節減を断行いたしまして、こういう面からも経費の節減は実行した次第でございます。なお、その答申の中で人員の削減についても言及しておりまして、これも五十七年度を第一年度といたしまして五年間に五%削減するということを一歩前進し始めまして、ことしは実数において千四百三十四人のネット減を実現したわけでございます。
 なお、いろいろ御批判がございますが、御批判の中で臨調側から聞こえてまいりますのは、給与の抑制について必ずしも一〇〇%うまくいかなかった、あるいは補助金の削減について特定の項目を指示したものについてそのとおり必ずしも忠実に行わなかった等々の批判が聞こえますが、それらはわれわれも耳を傾けて今後やっていかなければならぬと思っております。
#332
○山田譲君 答申の中で「特殊法人からの益金納付」ということを言っておりまして、「現在、相当多額の利益剰余金等を有している特殊法人について、特例的な措置として益金の国庫納付を図る。」と、こういうところがございますけれども、これについてはどの程度実施されて今度の予算案に反映されているかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
#333
○政府委員(松下康雄君) 五十七年度予算におきまする特殊法人からの益金納付額は一兆三百四十四億円でございます。前年度に対しまして千三百二十七億円の増加を計上をいたしております。これらの増額は五十六年度におきまして講じました特例的措置、それが継続、平年度化いたしまして、五十七年度の納付金の増額になったもの及び既定分の見直しによる納付金の増加、そういうものが内容でございます。
#334
○山田譲君 ちなみに、政府関係金融機関、この状況を見ますというと、五十六年度の利益計上を予定しているのは、開発銀行の四百八十五億、輸出入銀行の百六十九億、そして沖縄開発金融公庫が三億円となっております。そして、その他の機関は皆一律にゼロになっているわけでありますが、この点についてはまだ改めて後で御質問申し上げますけれども、この一行――二つの銀行ですね。二つの銀行と一公庫の五十六年度の実績見込みはどうなっておりますか。
   〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕
#335
○政府委員(宮本保孝君) 開発銀行が四百八十五億でございまして、輸銀が百六十九億でございます。
#336
○山田譲君 沖縄はどうなっておりますか。
#337
○政府委員(宮本保孝君) 見込みでございますが、二十七億でございます。
#338
○山田譲君 この沖縄の三億円というのが、これが二十七億になっているのですか。
#339
○政府委員(宮本保孝君) 二十七億は貸し倒れ引当金の繰入額でございまして、利益自体はちょっといま手元にございませんので……。
#340
○山田譲君 そうしますと、いまの、まあ沖縄の方はまだわからないということですけれども、開発銀行とそれから輸出入銀行の益金ですね。これはどうなさるわけですか。
#341
○政府委員(宮本保孝君) 輸開銀につきましては貸し倒れ引当金を積みました後余った分につきまして国庫納付するわけでございまして、輸銀につきましては大体とんとんでございます。開銀だけが国庫納付を行っているという状況でございます。
#342
○山田譲君 開銀については何ですか、貸し倒れ準備金の方に入れるというんですか、それを。それからもう一つ、輸銀の方についてはとんとんというのはどういうことですか。いま利益があったというわけでしょう。その益金をどうするかという話なんで、とんとんだったら益金にならぬ。問題にならないはずじゃないですか。
#343
○政府委員(宮本保孝君) 開銀につきましては利益が出まして、その中から準備金を積むわけでございまして、その余った分につきまして国庫納付をいたすわけでございますが、輸銀につきましてはその利益の出方が少のうございますから、大体納付金につきましては出てこないという状況でございます。
#344
○山田譲君 細かいことを言って申しわけありませんが、開銀については貸し倒れ準備金というのはすでに百七十四億、五十六年度においてあるわけですね。これでもまだ足りないということですか。
#345
○政府委員(宮本保孝君) 法定準備額、全額繰り入れられるわけでございます、利益が出るものでございますから。その残った部分について国庫納付いたすということでございます。
#346
○山田譲君 要するに、国庫に納付はしませんと、こういうことですか。
#347
○政府委員(宮本保孝君) 開銀につきましては利益が出ておりますので国庫納付がございます。
#348
○山田譲君 幾ら納付されるんですか。
#349
○政府委員(宮本保孝君) 五十六年の見込みで百八十九億でございます。
#350
○山田譲君 百八十九億を国庫に納付するという意味ですか。
#351
○政府委員(宮本保孝君) 百八十九億を国庫に納付する見込みでございます。
#352
○山田譲君 いろいろ公庫というのはあるわけですけれども、それぞれいわゆる貸し倒れ引当金といいますか、滞貨引当金というか、いろんな言い方があると思いますけれども、これを持っているわけですね。そして、この点については前に国会でも問題になりまして、いわゆる積立方式から洗いかえ方式に変えた、さらにまた繰り入れ率も引き下げてきたというふうな経緯があります。これはつまり貸し倒れ準備金が非常に多く計上されておりますからこういった方式をとったのだろうと思うのですけれども、そして、洗いかえ方式にし、さらに繰入率も引き下げたと、こういう理由をもう一遍ここではっきりおっしゃっていただきたいと思うのです。
#353
○政府委員(宮本保孝君) 政府関係金融機関の貸し倒れ繰入金につきましては、五十年度から累積方式を改めて全額洗いかえ方式にしたわけでございますが、これはやはり民間の金融機関等につきましてもかなり引き下げが行われておりまして、それに平仄を合わせていくというような基本方針があるわけでございます。そして、五十六年度におきましては輪開銀の繰り入れ限度が千分の五から千分の三になったわけでございますが、これは都市銀行等が五十六年度中間決算から千分の三になっておるというふうなところに平仄を合わせております。
 それから、国民公庫、中小公庫、北東公庫等その他の政府関係金融機関につきましては千分の十一・六、千分の十から千分の六というところへ引き下げるわけでございますが、これは相互銀行が五十四年上期から千分の五に、それから信用金庫は五十五年度から千分の五・八に引き下げておるというところに平仄を合わせまして現在検討をいたしておるところでございます。これらにつきましては、民間金融機関の動向を見ながら政府関係金融機関につきましても適時適切に見直しを行っているというところでございます。
#354
○山田譲君 この千分の三とか千分の六とかいうのは、それだけやれという意味じゃなくて、これはその最高限度なんじゃないのですか。
   〔理事井上吉夫君退席、委員長着席〕
#355
○政府委員(宮本保孝君) おっしゃるとおりでございます。
#356
○山田譲君 ところが皆大体最高を貸し倒れ準備金に充てているというふうに思われますけれども、しかし実際の実績を見ますと、償却費というんですか、これを見るとほとんどゼロに近いわけで、問題にならない数字でございます、これは実際の実績が全部出ておりますけれども。
 たとえば開銀にしても、五十年から五十六年まで見ましても、五十年はゼロ、五十一年はゼロ、五十二年は十、五十三が十四、五十四が一、五十五もゼロ、五十六が一ということになっておりますけれども、それに対して、貸し倒れ準備金というのは、五十年が八百四億、それから五十一年が八百六十五億、五十二が二百一億と、こういうふうな非常に大きな額になって、余りにも開きがひどいわけでありますけれども、この辺はどうお考えですか。
#357
○政府委員(宮本保孝君) 確かに先生御指摘のとおり、実際の貸し倒れ発生額と貸し倒れ準備金の繰入額等につきましてはかなり差があるわけでございます。ただ、金融機関におきましてはやはり自己資本の充実ということが、民間金融機関についても要求されるわけでございますが、政府関係金融機関におきましても同様にできるだけ自己資本は積んでおくということもございまして、民間金融機関に合わせて準備率を決めつつあるということでございます。
 なお最近、先ほど先生御指摘のように最高限度額を決めているわけでございますけれども、実際の繰入率もそれぞれの各金融機関、政府関係金融機関の利益が上がらないというふうなこともございまして、場合によりましては赤字になっておるということもございまして、貸し倒れ準備金を食いつぶしてその赤字を埋めているということでございまして、徐々に実際の積立率は大変低い率になっているということを申し添えさせていただきます。
#358
○山田譲君 いま、言ったようなことで、ほとんどゼロに近いような状態であるにもかかわらず、最高の何百億というふうなお金を貸し倒れ準備金として準備する、これもちょっとおかしいと思うのですね。しかも利益金は全部――全部ではありませんが、ほとんどのところが、国民金融公庫にしましても住宅金融公庫にしてもあるいは農林漁業金融公庫にしてもほとんど利益はゼロになっている。そして実際に使われもしないような貸し倒れ準備金を何百億と準備している。これはやはり各公庫とも滞貨引当金を一つの隠れみのとしまして、そしてあえて利益金を出さないというふうな意図があるのじゃないかというふうに思わざるを得ないんですが、この辺はいかがでしょうか。
#359
○政府委員(宮本保孝君) 先ほども御説明申し上げましたように、政府関係金融機関でもやはり金融機関でございます。したがいまして、できるだけ不時に備えまして、これはまあ多く積む必要ございませんけれども、適正な率の内部留保、貸し倒れ引当金というものは積んでおくのがこれは金融機関経営の原則でございまして、したがいまして、民間に合わせまして準備率を積ましておるということでございます。
 なお、何度も申し上げますように、開発銀行以外の銀行につきましては利益が出ないものでございますから、過去に積んでおりました貸し倒れ引当金の額を食いつぶしまして、その赤字を埋め合わしているというふうな状況にあるわけでございます。
#360
○山田譲君 繰入率を引き下げられましたから、引当金の額が確かに前よりは少なくなっているということは実際事実でありますけれども、それにしても余りにも償却費と比べまして差があり過ぎる。ゼロに対して何百億というふうな引当金をどうしてやらなきゃならないかということなんです。ですから、最初に戻りますけれども、臨調の答申にもあるように、この際、財政危機のこの時期でありますから、五十六年度の決算が完了する時点からでもいいんですから、ひとつ実際の償却費の差額を全部国庫納付にするというふうにするお考えはありませんか。もしないとするとどうしてそれができないか。全部とまで言わなくてもいいんですけれども、とにかくこれだけ大きな差があるものを、やはりこの際ですから国庫に納付させるというふうな考えをとっていいんじゃないかと思うのですけれども、それはいかがでしょうか。
#361
○国務大臣(渡辺美智雄君) それも一つの考え方でございます。
 先ほど局長から言ったように赤字のところもございまして、そういうところは積み立てたうちから赤字補てんをやっている、だから納付する余裕がないということもございます。したがって、実際の貸し倒れが少ないのによけい積み立てておるというんだけれども、それが赤字補てんをしておるというところもあるが、そうでないようなものについてはこういうような時期でございますから、一遍厳しく検討をしたいと、そう思います。
#362
○山田譲君 確かに赤字であればこれは仕方ないけれども、全部が全部赤字というわけでもないと思うのです。そういうところにおいてはほとんどゼロに等しいような諸経費に対して何百億という準術金を準備すること自体がちょっとおかしい。しかもこういう時世でもありますし、臨調も言っていることでもありますから、ひとつそこのところは十分検討をしていただきたいというふうに思います。
 それでは次に参りますけれども、同じく臨調で遊休の資産を処分しろと、そしてその収入をできるだけ財源として確保を図りなさいと、こういう言い方をしておりますけれども、これについてどうですか。
#363
○政府委員(小幡俊介君) お答え申し上げます。
 行政改革に対しまする臨調の第一次答申、これにおきまして、ただいま先生お話ございましたように、都市及び都市周辺における処分可能な国有地等につきまして、できるだけその処分の促進を図るという趣旨のことが書いてございます。私どもの担当いたしております大蔵省所管一般会計所属の普通財産につきましては、臨調の答申におきましては、普通財産について、さらに売り払い等の処分の促進を図るということが書いてあるわけでございます。
 具体的に私どもの方の五十七年度予算においてどういうふうな措置をとったかということでございますが、五百四十七億円という国有地の売り払い処分の金額を計上しておるわけでございます。これは、五十五年度の予算におきましては、土地売り払い代が四百億というオーダーであったわけでございますが、五十六年度におきましてはこれを飛躍的に増加いたしまして、百二十八億円増ということで、五百二十八億円という大台に乗せました。
 それで、ただいまの臨調の答申で、さらに売り払いの処分の促進を図れと、こういうことでございますので、これにさらに十九億円上積みをいたしまして、五十七年度予算におきましては五百四十七億円というものを見込んでおるわけでございます。
#364
○山田譲君 これは私の資料が間違っていたら教えていただきたいんですが、私の読んだ限りでは、国有財産の売り払い収入というのは、いま五十五年のことを言われましたけれども、五十六年度におきましては予算として六百八十九億五千五百万円ということになっている。五十七年度の予算の内容を見ますと、六五二十二億四千万円ということで、むしろ五十六年度よりも低くなっているという、そういう計算になっております。そこら辺、どういう違いがあるんですか。
#365
○政府委員(小幡俊介君) お答え申し上げます。
 ただいま国有地のことを申し上げたわけでございますが、先生御指摘いただきましたように、国有財産売り払い収入ということになりますと、前年に比べまして五十七年度五十七億円の減というのが立っております。これはどういうことかと申しますと、五十六年度におきましては日本航空株の売り払い等の特別の措置を実はとったわけでございます。これは五十五年の十二月二十九日の閣議決定におきまして日本航空の株というものを、当時政府の持ち株の比率が約四〇%、ございましたけれども、この国策会社である日本航空につきまして三四%までの政府保有比率があれば特別の議決に対応できるだろうということで、その差額分の二百五十三万株というものを売り払いをすると、こういうふうな特別の措置がございました。五十六年度におきましてこういうふうに日本航空の株式の売り払いということをいたしましたので五十七年度にはこういうふうな措置がとれないと、したがってそういう点につきましては減にならざるを得ない、こういうことでございます。
#366
○山田譲君 これはつい最近出た朝日の記事でありますけれども、「国有地三百六十四万平方メートル大あくび 千六百億円超す 各省庁売却の勧告無視も」、こういう記事が載っております、これはごらんになったと思いますけれども。こういうふうにそれぞれ何か各省庁が自分の財産を持っていてなかなか手放さない。こういうことの結果、勧告を幾ら受けてもさっぱりそのとおり実行できないというふうな事実があると思うのですけれども、この辺はどういうものですか。
#367
○政府委員(小幡俊介君) ただいま先生御指摘になりました点は行政財産の問題でございます。これは私どもが昭和五十四年度におきまして、各省各庁所管の行政財産につきまして、その有効利用を図るという見地から実態調査を行ったわけでございます。その中で国以外に処分すべきもの等というふうなことで指摘をいたしましたものが、約先生御指摘いただきましたようなものがあったわけでございますが、これはその内訳ということを考えてみますると、いわゆる国立大学が移転をするその移転跡地でございますとか、あるいは刑務所その他の施設が移転をした跡地というふうなものがその主たるものでございます。
 国立学校の場合におきましては、これは国立学校特会の財産ということになっておりますし、またいろいろな刑務所その他の移転におきましては、これは特待会計の財産というふうなことに繰り入れられているというふうなことがございまして、これらのものの売り払いの促進を私どもは各省各庁にお願いをし、各省各庁でも真剣に御努力をいただいておるわけでございますが、これらのものが処分をされたといたしましても、これが直ちに一般会計の歳入になるということではございませんで、そのほとんどのものは特別会計の歳入になるというふうなものでございます。
#368
○山田譲君 各省庁の行政財産であるから、たとえ売ったとしてもその代金はそれぞれの特別会計に入ると、ですから必ずしも普通財産を売ったようなものとは違う、こういう話でありますけれども、いずれにしましてもそれは特別会計に入ろうとどこに入ろうと、要するにそういう土地があるならばそういう土地をもっと必要以上に売って、必要以上といいますか、あいたところは売っ払って、そしてこれを国庫に少しでも納めていくというふうな努力をすべきであるというふうに思うのですけれども、その点いかがですか。
#369
○政府委員(小幡俊介君) 大臣の前に一言お答えさせていただきます。
 ただいま申し上げましたように、大きな国立大学の移転跡地があるということになりますと、これはそれぞれの県なり市でもぜひそこを公園用地なり学校で欲しい。そういうようなことになりますと、その跡地を一挙に処理をするということがなかなかむずかしい。やはり数カ年にわたってそういうものが処理をされていくというふうなしとがございます。また、非効率な土地があるというふうに私ども指摘をした土地もございますが、これらの土地もそれを集約立体化をして移転をしていくということになりますと、やはりそれぞれに予算措置を伴うというふうなことで、一挙にはそれが歳入になってまいらないという点があるわけでございますが、私どもといたしましては、各省各庁に対しまして真剣に対応していただくというふうにお願いをしているところでございます。
#370
○国務大臣(渡辺美智雄君) 土地の問題は、黒い霧解散というのがありましてね、あのときからかなり規則が変わって、民間に売るということはもう余りない。要するに公共団体優先ということなものですから、受け皿の方の問題もあるわけですね。都とかやれ市とか町とかなんとかと。値段の問題もある。したがって、そこらに問題点はあるのです、実は。
 それからもう一つは、各省庁ともやっぱり自分のところでそれを売っちゃったら後で代替地なんかのときは困るとか、そういうことで渋っているということも事実です。しかし、あなたの言うように、それをいいことにして中には放さないというのも私はあると思うのですよ。だから、大蔵省勧告しておるわけですから。だから、これについてはやはりごもっともな点もございますので、今後とも再点検をして、それは売るものは売ると、それから民間にももう少し売れるように何かもう少し改正する必要があるんじゃないかと私も思っておりますが、これらも含めまして検討させてもらいます。
#371
○山田譲君 いずれにしましても、臨調もそういうふうに言っているわけで、そういう点を考えれば、さっきの公庫関係の引当金の問題にしましても、いまの土地の問題にしても、まだまだ財源が出る余地があるんじゃないかというふうに思われるわけです。そういう点でもう一段と努力をお願いしたいというふうに思います。
 その次は、石油代替エネルギーの問題に入りたいと思うのですけれども、石炭液化のための補助金等が、石炭液化プロジェクトが五つほどある。そしてそのそれぞれについて委託費、補助金、分担金というふうなものが出されております。その中の一つでアメリカと西独と日本の共同で行うことになっていましたSRCというものが、これは石炭液化技術開発分担金というものですけれども、これが来年度は、来年度といいますか五十七年度は予算計上されていない、ゼロになっております。そしてこの事業は失敗したというふうに聞いております。五十五年度に七十三億ほど計上する、そして五十六年度には百五十億ほど出して、そして約二百二十億ぐらいの金が出ているわけでありますけれども、五十七年度はそれがゼロになっている。これ失敗したというふうな話がありますけれども、これはどういうことですか。
#372
○政府委員(小松国男君) お答え申し上げます。
 SRCは日本と米国と西独の三国の共同の開発計画ということで続けておったわけでございますが、昨年非常に経費がかさむということで、レーガン大統領になった以降、米国としてもこの問題をどう考えるかという話がございまして、昨年の八月十四日に最終的に日米間の政府協定に基づきまして本件、この計画を取りやめるということになりました。それに対して西独側も同調いたしまして、日本としてはできるだけ継続を希望いたしたわけでございますけれども、両国間がそういう方針に決まったということもございまして、やむを得ず八月十四日でこの三国間の協定は一応手続終了ということになったわけでございます。ただ、先ほど先生からお話ございましたように、確かに五十六年度として百五十億、それから繰り越し分として五十億ぐらいの二百億近い予算がございますけれども、現在この手続を終了する過程におきまして、いままで続けられておりました技術成果、これを米国側からわが方にいろいろ送付されてきておりまして、これについての評価の問題、これを踏まえて最終的にはその成果を今後どういう問題に活用していくかということを考え、それからその成果についての評価をし、それから最終的にやはり日本側としても共同プロジェクトとしての負担がございますので、その負担について幾ら米側に負担するか、こういう問題を今後米側と協議しながら決めていく段階になっているわけでございます。
#373
○山田譲君 国費を二百二十億ばかり投入してあるわけでありますけれども、このお金はそうするとどうなっているのですか。
#374
○政府委員(小松国男君) 最初に二十数億円払ったわけですが、現在そういうことで繰り越しも含めまして二百二億円残っております。これにつきまして、先ほど申し上げましたように技術成果が送付されています。その評価の問題、それから最終的に分担を含めて一定額を負担し、残りはですから不用ということになるわけでございますが、これは現在石油及び石油代替エネルギー勘定の中にございますので、その中の全体の今後の見通しを含めながらその処理は考えたいというふうに思っております。
#375
○山田譲君 その不用額大体幾らくらいになる予定ですか。
#376
○政府委員(小松国男君) 先ほど申し上げましたように、現在その技術成果についての評価が幾らになるか、最終分担金を必ずしも確定しておりません。ですから、ここで正確な数字申し上げるわけにまいりませんけれども、まあ二百二億円のうち百五十億円程度は残ることになるのではないかというふうに考えております。
#377
○山田譲君 それでは、もう一つの石炭液化技術開発国際協力事業委託費、これも五十五年度が七億五千万円ですか、五十六年度が九億一千万円ほどかけている。そして五十七年度やはりゼロになっておりますけれども、この方の関係はどうなっているのですか。
#378
○政府委員(小松国男君) 先生からお話のございました件はEDSプロジェクトということで、民間の会社が国際的な研究開発に参加しているものに対する補助金だというふうに思いますけれども、これにつきましては現在まで計画が進められておりまして、実験プラントの研究操業が大体今年度で最終的に結了する、そういう段階に至っているわけでございます。
#379
○山田譲君 そうすると、これは五十七年度は要らないということですか、お金は。
#380
○政府委員(小松国男君) そういうものについて、ですからもういろいろ研究が終わったものは終わりました。ただ、それ以外の石炭液化といたしましてはサンシャイン計画に基づく三万式、さらには褐炭液化を含めて五十七年度は相当の額が予算としては計上されておるわけでございまして、ですから石炭液化プロジェクトの全体の計画といたしましては、五十六年度の二百三十四億円に対しまして、五十七年度は約百六十三億円計上いたしております。
#381
○山田譲君 その他豪州でやっているものがありますね。これはずっと続けて本年度から始めて来年五十七年度は百六十一億ほどさらに積み足すという計画になっているようでありますけれども、たまたま先週の土曜日でありますけれども、日経に、代替エネルギー開発を中断と、丸紅ですね、丸紅が代替エネルギー開発を中断、これは同じ豪州の話ですが、石油の値下がりが響くと、石炭液化や一般炭開発、投資すべて見送るという記事が載っておりまして、この石油の値下がりによって、こういうところに莫大な投資をするのは意味がないということで、丸紅がこれから手を引くという記事が載っておりました、ごらんになったと思いますけれども。そうすると、現在これからやろうとしている豪州の、まあ場所は違うようでありますけれども、この液化技術研究開発補助金ですね、この方は大丈夫ですか。
#382
○政府委員(小松国男君) 先生からお話のございました日経の十三日付の記事というのは私も読んでおりますけれども、これは純粋に民間の石炭液化計画への参加ということで丸紅が考えておったものを取りやめたという記事でございますが、これにつきまして私ども政府としてはその内容を十分承知いたしておりません。ただ、政府といいますか、NEDOを中心に、それからそれが豪州石炭液化ということで、日蒙協力で進めております褐炭液化のプロジェクトにつきましては、先ほど先生からお話がございましたように、今年度さらに来年度ということで今後の計画を進めておるわけでございまして、これは非常に褐炭の性格上褐炭はなかなか輸送がきかないわけです。これは発火その他心配があり輸送がきかないんですが、しかも埋蔵量は膨大なものがあると。しかも褐炭液化の場合にはほかの瀝青炭に比べまして炭化分が少ないので非常に液化もしやすいというふうな有利な点もございます。
 そういうことで日豪協力の一環として始めているわけでございますが、最近確かに先生おっしゃられますように石油の価格は低迷いたしておるわけでございますけれども、こういう状況が出ました原因も、各国が石油代替エネルギーの開発導入を相当進めておるというのが一つの影響の大きな要因になっているというふうに思います。こういう意味で、こういう代替エネルギーの開発導入というのはかなり先を見越した計画でもございます、研究開発でもございますし、今後石油の資源が非常に枯渇していくという問題に対応し、しかも石油の価格が異常に暴騰するものを抑えるというような効果もございますし、将来これが幾らのコストでどういう形でペイしていくかというのはもうちょっと研究成果を見ないとわかりませんけれども、いずれにしても、こういうことでエネルギー政策の基本としては代替エネルギーの開発導入、特に国際的なこういう研究開発を進めるということは今後とも非常に重要であるというふうに考えております。
#383
○山田譲君 重要なのは結構でありますけれども、そういうことで始まったアメリカのものが失敗して、撤退せざるを得なくなったという、この二の舞を踏むことのないように特に注意をしていただきたいというふうに思うわけです。いわばはやり物みたいで、石油代替エネルギー対策というふうなことでいろいろな補助金を出したり、交付金、分担金を出しているようでありますけれども、ぜひそこのところ注意していただいて、税金のむだ遣いにならないようにお願いをしたいと思うのです。
 そこで一つお聞きしたいのは、新エネルギー総合開発機構というものがありますけれども、ここに役員十人、職員が三百二十七人ほどいますけれども、この機構なるものは一体どういう仕事をやっているのか、教えていただきたいと思います。
#384
○政府委員(小松国男君) これは特に石油代替エネルギーの中でも新エネルギーの開発を総合的に行うということで、官民一体となって研究開発を進めるための中核的母体ということで発足したわけでございまして、先ほど申し上げましたような石炭液化の問題、それからさらには石炭の資源の開発の問題、さらにその他の資源エネルギーの開発について官民が協力していく場合の中心になりまして、その研究開発を進める中核母体というふうに考えております。
#385
○山田譲君 予算書を見たりすると、この新エネルギー総合開発機構なるものはあちこちに交付金を出すとか、それから分担金を出すとか補助金出すとかという、いわば中間のトンネルみたいなかっこうの機構であって、実際、機構みずからが何かやるということはやっているんですか。
#386
○政府委員(小松国男君) 研究開発はできるだけ民間の力を活用しなければいけませんですから、民間にそういう力のあるところには委託をし、または補助をし、さらに全体としての計画の整合性も図らなければいけません。それから、部門部門によって、強い部分は民間に委託し、特定の部分は政府の研究所で行う、こういうことで、それぞれの分野分野でやりますやつを集めまして、その中での計画の調整をやるとか、評価をするとか、それから今後の進め方についての方針を決定するとか、こういう問題が中心でございますが、いずれにしましても、個々の民間の機関とか政府のいろいろな研究機関を使いますけれども、総合調整、それから具体的な計画の推進、こういうことは全部総合研究開発機構がやっているわけでございます。
#387
○山田譲君 そういう機構であるとすると、この出資金を一体何に使うのかわからないのですが、五十六年度、五十七年度、六十億ずつ出資金をふやそうとしているようでありますけれども、これは一体どういうことに使うのですか。
#388
○政府委員(小松国男君) 先ほど総合研究開発機構のお話をしたのですけれども、これは実はそれ以外にも、石炭のかつての合理化事業団がやっておりました仕事をそのまま引き継いでおります。これは、石炭鉱業に対しましていろいろの意味での補助助成その他もここがやっております。それから、石炭の資源開発その他についてもやっておりますので、研究開発だけではございません。私、手元にいま数字を持っておりませんけれども、こういう形で石炭対策もやっておる、このための出資金が相当出されております。こういうこともありまして、いまのような大きな額になっておるわけでございます。
#389
○山田譲君 いや、六十億、具体的に何に使うか、何のために六十億に、するかという話を聞いているわけですよ。
#390
○政府委員(小松国男君) 先生の御指摘の六十億は、海外の探鉱、石炭の開発でございますね、そのための融資資金に充てられるということになっております。
#391
○山田譲君 そうすると、これはすべて海外に向けられるお金ですか。
#392
○政府委員(小松国男君) 海外の石炭の開発に融資する国内企業に貸し付けるという形になっております。
#393
○山田譲君 そうすると、これは全部企業に貸し付けるお金ですか。
#394
○政府委員(小松国男君) さようでございます。
#395
○山田譲君 これで代替エネルギーの質問終わりますけれども、何となく、いまや代替エネルギーの問題、非常に問題になっているだけにそういう点にお金を使おうとしていることはわかりますが、先ほどの話じゃありませんけれども、結果的に非常な国費のむだ遣いになるというふうなことにならないように、特に注意をしていただきたいというふうに思います。
 それでは先に進みますが、次に継続費ですね、継続費と国庫債務負担行為という言葉がありますけれども、具体的な話は一応別にしますけれども、最初に、継続費と国庫債務負担行為についての一般的な解釈をまずお伺いしたいと思います。
#396
○政府委員(松下康雄君) 継続費は財政法第十四条の二に規定されておりまして、国庫債務負担行為は財政法第十五条に規定されておる予算上の手続でございます。
 同席債務負担行為、継続費、いずれもその事業を完成いたしますのに二年以上要するものにつきまして、後の年度分の国庫負担となるそういう契約を締結いたす権限を付与するという性格のものでございます。完成までに何年もかかるものを、ある最初の年度で全部についてその契約をいたそうというものでございますが、両方の差は、基本的には、国庫債務負担行為は最初の年に事業の全部についての契約を行いまして、これを国会の御議決を受けます。その点は、継続費におきましては事業の進捗に応じまして後の年度にさらに各年度契約を行っていく余地がある、そういう点が一つの違いでございます。
 それからもう一つ、国庫債務負担行為は全体の契約権限、債務負担の権限を付与していただくものでございますが、最初の年の分だけは歳出の権限もあわせて御議決をいただきますけれども、二年目以後につきましては歳出の権限は付与をしていただきませんで、別にその年その年の予算で歳出の権限はいただくことになっております。
 継続費はそれに対しまして、後の各年の年割り額につきましても最初の年にあわせて国会の御議決をいただくということになっております。
 さらに、大変細かいことを申し上げて恐縮でございますが、その各年の歳出額につきまして、国庫債務負担行為の場合におきましては、それを繰り越しすることができるのは原則として一年、明許繰り越しに入れたとして一年でございますけれども、継続費の各年の年割り額は契約の最終年度まで弾力的に繰り越しをすることができる、そういう違いのある手続でございます。
#397
○山田譲君 その解釈大体わかりますけれども、私が特にお伺いしたいのは、そういう単純な解釈と同時に、要するに、単年度だけじゃだめだというものだと思うのですけれども、どういうものが継続費になり、どういうものを債務負担行為にするかという、ここのところを聞きたいわけです。
#398
○政府委員(松下康雄君) 実際の事例で申し上げますと、現在の予算上の慣行から申し上げますと、継続費を適用いたしておりますのは護衛艦、潜水艦、これらの建造をいたします場合に継続費の手続によって発注をするということが行われております。
 そのほかのいろいろな場合、これは千差万別でございますけれども、大きな公共事業を注文いたします場合とか、完成までに非常に長い期間を必要とする何らかの装備、備品のようなものを取得をしようといいます場合には国庫債務負担行為の手続によるということが行われております。
#399
○山田譲君 いや、そういう話じゃなくて、なぜ軍艦が継続費で、その他のものは債務負担行為ですかということを聞きたいわけです。
#400
○政府委員(松下康雄君) 護衛艦、潜水艦等の建造と申しますのは、実際の建造に四、五年を要するものでございますけれども、特に非常な特徴といたしまして、艦体機関というのは非常に簡単な一本の契約で発注ができますけれども、その上に各種の兵器類を搭載いたします。そのほかにいろいろの附属の施設がたくさんございまして、実は、一隻の護衛艦を建造するといいますのは、三百、四百というたくさんの契約を結んで、いろいろな契約の積み重ねとして一つの船ができ上がってまいるわけでございます。この契約を行いますのは、一番最初の年に全部あらかじめ計画をいたしまして、それを契約をしてしまうということではございませんで、実際には全体の進みぐあいに応じまして次々と逐次契約を進めていくというやり方で取得するのが常でございます。そういうやり方で建造いたしますのに継続費という手続は適当な、適した手続であるわけでございます。
#401
○山田譲君 継続費の、いまの護衛艦とか潜水艦の話わかりましたが、それ以外に継続費でやった例というのはどんなものがありますか。
#402
○政府委員(松下康雄君) これは、継続費の制度が採用せられました直後におきましては、大規模な公共事業を行います場合に継続費を用いました例がございます。たしか関門トンネルの建設は継続費によって行われたと記憶をいたしております。
 そういうことで、当初は大規模公共事業について継続費を用いておりましたけれども、その後いろいろと情勢が変わってまいりまして、公共事業の系統では特別会計ができ上がってまいりまして、各年の弾力的な長期事業の実施がやりやすくなったとか、あるいは公共事業の長期計画がいろいろとつくられまして、事業自身が長期的に見て安定的に実施することができるようになったとか、そういういろいろの事情があったようでございますけれども、その後だんだんと使われなくなりまして、今日では、先ほど申し上げました二つだけが継続費で建造せられております。
#403
○山田譲君 継続費については、たしか二十七年でしたか、二十六年ですかにこの制度ができた、そのときに国会で非常に問題になりまして、これは憲法に違反するんじゃないか、憲法の八十六条ですね。毎会計年度に予算を作るというふうなことに対する違反になりはしないかというふうな論議が非常に強く行われたわけでございます。それはもう申し上げるまでもなくおわかりだと思いますけれども、その中でとりわけ問題になっておりますのは、継続費というのは従来非常に、旧憲法といいますか、帝国憲法時代に軍事費のところでこれがやたらに使われた。ですから、今度継続費をつくれば、制度をつくれば、これは将来軍備拡張というふうなことになった場合に、必ず同じように戦艦や軍艦についてこの継続費がかつてのような形で行われるのじゃないかということがいわば議論の焦点になったわけであります。そのときに、木村禧八郎さんとか菊川孝夫さんという人が一生懸命そのことを指摘した。現在は余り問題ないかもしれない。しかし、将来非常に日本の軍備が大きくなっていって、そして戦艦をつくるというようなときにこの制度を使うのじゃないかということをしつこいくらい何回も何回も聞いているわけですね。そのときに、時の大蔵大臣池田勇人氏が、そんなふうな戦艦をつくるために継続費の制度をするのじゃないのだと。あくまでも、さっきお話出ましたけれども、関門トンネルとかそれから大きなダムをつくるとか、そういうときに使うための制度であって、戦艦をつくるとか軍備費に使うというふうなことは考えていませんということをはっきり国会で言っているわけです。もちろん二十七年ころの話ですから、その後情勢が変わったと言えばそれまでであるけれども、その当時の考え方がいつの間にか変わってしまっているのか。大蔵大臣池田さんがこの同じ場所でもってはっきりとそういう言い方をしているわけでありますけれども、ところが、当時の木村禧八郎氏あたりが心配したとおりの状態になっている。これは非常に問題じゃないかと思うのですね。非常に安易に縦続費あるいは債務負担行為というふうなことを使って軍備費をどんどん拡張していこうとしている。この点がやはり何としても、この制度ができたときの論議からしてもおかしいのじゃないかというふうに思わざるを得ないのですけれども、現在の大蔵大臣、池田さんのこの考え方は変わったというふうにおっしゃるわけですか。
#404
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私の聞いているのはちょっと違うんです。確かに昭和二十七年に木村禧八郎さんの質問に答えて、一月の三十一日か、池田国務大臣が、「継続費の期間の問題で、まあ昔は軍艦を造る場合が一番多かったと思うのであります。併し我々は今軍艦を造ろうなんていう気持は全然持っておりません。」と、こういうように答えた事実が記録に残っております。
 ところが、同じ池田勇人さんが、それから十年たった昭和三十七年の五月五日の決算委員会で、大森創造さんという人の質問に答えまして、いろいろあるんですが、「先ほどお話を申し上げましたごとく、昭和二十七年の初めごろ、日本が軍艦を作ろうというようなことは普通の人は私は想像していなかった、私も想像しておりませんでした。」という答弁をしておるわけでございます。
 したがって、昭和三十一年に潜水艦をつくることになって、その工程が非常に長いと。一定計画に従って、一定の進捗に応じて後年度負担になるという契約をしなきゃならない。いろいろなそういう事情から継続費制度を採用せざるを得なかった。したがって、昭和二十七年当時の継続費制度を採用した財政法の精神にはもとってはいないというようにわれわれは考えておるわけでございます。
#405
○山田譲君 とにかく憲法に違反するのじゃないかというふうなことを含めて相当議論があった。そのときに大蔵大臣が、まあそれは事情が変わったと言えばそれまでだけれども、とにかくそういうことで、軍艦のためになんか使いませんというふうに言っているわけですよね。それでもって、それじゃしょうがないでしょうというような形でもってこの継続費制度ができたわけであります。
 ですから、あくまでもその立法のときの論議というものは、中心にならなければおかしい。ですから、そう簡単にその考えを変えてしまうなら、もとの木村禧八郎さんはペテンにかけられたということになるわけですよね。
 ですから、つまり木村さんが心配したとおりの事態になっているということです。心配したときには、心配ないんだ、いいよということを池田大蔵大臣がはっきり言って、それで一応、これはいろいろな問題があるけれども制度が認められたという経過があるわけでありますから、そう簡単に継続費は戦艦に使ったって構わないんだというふうなことでは困ると思うのです。
 そこで一つお伺いしたいのは、五十七年度予算総括説明書という、これがあります。こいつの三十ページを見ますと、艦船建造費ということで、これが継続費になっている。もう一つ、国庫債務負担行為の内訳云々と書いてありますけれども、この国庫債務負担行為の内訳を見ますと、この中にも艦船建造というのがある。
 そうすると、継続費で、先ほども確かめたのはその辺だったわけですけれども、継続費でもって艦船を購入するところもあるし、債務負担行為でもやっている。しかも、この債務負担行為の内訳を見ますと、こんなものまで一々長年かけなきゃ買えないかというふうなものがいっぱいあるわけですよ。弾薬購入なんというのがある。こんな弾薬あれですか、そんなに何年もかかるわけですかね。そんなの考えられないわけであって、こんなものどうして債務負担行為にしたか、これをお聞かせいただきたいと思うのです。
#406
○政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。
 継続費と国庫債務負担行為の性格の差異は、先ほど大蔵省の方からお答えがあったわけでございますが、ただいま御指摘の自衛艦の建造につきまして、継続費によっているものと国庫債務負担行為によっているものと両方あるのではないかという御指摘でございます。
 これは、艦の種類によってそういう分かれ方ができておるわけでございまして、具体的に申し上げますと、自衛艦の中で、いわゆる護衛艦、それから潜水艦、これは継続費の制度によっておるわけでございます。それはなぜかと申しますと、建造期間が非常に長い、四年ないし五年というふうな期間でございますし、それから建造に当たりまして船体とか機関とか、武器とか需品とか非常に多くの契約に分割をする必要が多いわけでございまして、しかもそれぞれの製造工程に長短の差がございます。そこで、それぞれの契約を年度を異にして結ぶ必要があるというふうな問題がございます。それからまた、建造工程が比較的長い、したがって複雑であるというような事情から、場合によりますと、工程とか仕様に変更を生ずるようなこともございまして、年割り額の逓次繰り越しをする必要があるという事情もございます。
 これに対しまして、護衛艦や潜水艦以外の艦艇、たとえば掃海艇のようなものでございますけれども、これは構造が比較的簡単でございまして、工程も比較的短いというようなことから、こういった建造契約は一括して当該年度に済ませるというふうなことができるというようなことがございまして、また逓次繰り越しのようなことも必要性がないというので国庫債務負担行為の仕組みを使わせていただいておるということでございます。
 それからまた、弾薬とか通信の関係、通信機等の問題がございますけれども、こういったものもやはり防衛庁の特殊な事情がございまして、弾薬についてもそれから通信機なんかも複雑な特殊なものが多いわけでございまして、製造に相当の長期間を要するという事情がございまして、そういうことから国庫債務負担行為で二年以上の契約権限をいただいておると、こういう事情でございます。
#407
○山田譲君 どうも納得できませんね。
 この弾薬、いまの最後の話ですが、弾薬が二年も三年もかかるという話は、特殊な事情と言うんだから特殊な事情はどういうことか説明していただきたいと思いますけれども、あと武器購入だとか通信機購入だとか諸器材購入、何のことかわかりませんが、こんなものが果たしてそんなに二年も三年もかかるかということは常識として考えられない。しかもそれは一つ一つが債務負担行為になるのですか。これ全部一括して債務負担行為というふうになるのですか。そこのところも伺いたいと思うのです。
 それから、さっきの艦船の話は航空機についても同じことが言えるけれども、これも同じような考え方だというふうに考えていいのですか。
#408
○政府委員(矢崎新二君) 国庫債務負担行為といたしましては、たとえば五十七年度の予算で申しますと、防衛関係費の全体では九千九百億程度の額になっておるわけでございますが、それは武器購入とか弾薬とか航空機購入とか、それぞれ分かれておるわけです。実際に契約をいたします場合は、それぞれの機器を一つずつ契約をしていくという形になるわけでございます。
 それから、まあ航空機等についても事情同じかというお尋ねでございましたが、それはやはり航空機等も一定の計画を立てまして、それを一定の期間に製造をしていかなきゃいけない、しかも期間が非常に多年にわたるというふうな事情がございますので、防衛庁の装備品の調達には、こういった国庫債務負担行為等の制度を活用せざるを得ないというふうな事情があることについて御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#409
○山田譲君 弾薬が二年かかるというのはどういうこと、どういう特殊な弾薬なんですか、ちょっと教えてください。
#410
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。
 弾薬につきまして、特に特殊なものだから二年ということではございませんで、一般的に国庫債務負担行為で二年にさしていただいておりますが、その理由を申し上げますと、一つは価格につきまして非常に厳密な原価計算を行う必要があるということで、これに相当な期間を要するという事情がございます。それに加えまして、武器等製造法によりまして、弾体部分――弾体でございますね、弾の弾体部分と、それからてん薬、中に詰め込みます火薬、装薬でございますか、そういったものの製造メーカーが分かれておりまして、仕分けされているために、弾体メーカーがまず弾体を製造いたしましてから後、てん薬メーカーの方に持っていきまして、それで完成すると、こういったような手順がございまして、そういったようなことからもメーカー間の生産工程の調整、それから生産、輸送というものに多くの日数を要するということもございます。それからさらに、弾薬できました後で、領収用の場合ですね、領収用の場合に試験をさしていただくというふうなことで、さらによけいな時間がかかると、こういう事情でございます。
#411
○山田譲君 全然わかりませんね。私が聞いているのは、二年も三年もかかる弾薬は一体何だということを聞いているわけですよね。そういうことを、いまおっしゃったように、さっき特殊な事情と言ったけれども、いまの話じゃ特殊な事情じゃないんだということで言われたわけです。
 そうしますと、どうもこの弾薬、ほかの点も同じですけれども、とりわけ弾薬について私は申し上げるんだけれども、いまの説明ではどうも納得できないわけです。もう少しはっきりとわかるように、どういう弾薬を買うのだということをちゃんとここで教えてもらいたいと思うのです。
#412
○政府委員(和田裕君) 三年以上かかりますものにつきましては、ミサイルでございます。それから多くかかりますものにつきましては、備蓄用の弾薬ということで、いわゆる射耗用のやつにつきましては、これは単年度だけでやらしていただいております。
#413
○山田譲君 いまいみじくも装備局長笑って答えられた。これはもう余りにも自分の言うことが矛盾に満ちているから笑わざるを得なかったと思うのです。
 いずれにしても、これはもうこれ以上言いませんけれども、とにかくいずれにしてもこの継続費、債務負担行為、この二つはどういうときにどういうふうにするんだ。しかも継続費については、先ほど来言っているように大論議のあった結果できた制度です。しかもそのときに社会党の先生たちは、軍備費に使われるんじゃないかということを何回も何回も念を押して聞いていて、そうじゃないんだということでもって継続費制度ができたというふうなことになりますと、これははっきりと、継続費はこういうときのために使うのだ、国庫債務負担行為はこうですということをきちっと整理して、その基準的なものをはっきりと示していただきたいと思うのです。
#414
○政府委員(松下康雄君) 継続費と国庫債務負担行為の使われ方の違いにつきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、製造までの間の所要の年限が長くて、そうしてそれが非常にたくさんの契約から成り立っておりまして、それを最初の初年度に一括全部の契約を結ぶということが実情に合わず、二年目、三年目と進展に応じて追加の契約を結んでいく必要があるものという、そういう性格を持ちました契約が、継続費を用いて契約をされるわけでございます。したがいまして、それらの国庫債務負担行為、継続費の違いと申しますのは、どちらかと申しますと予算技術的なものでございますけれども、それら両方を総合いたしまして、いずれの場合におきましても、最初の年に予算でお決めをいただいたものの負担が後年度に残るという点は共通でございます。
 私どもは、先ほど御指摘ございました防衛費あるいはその他につきましても。やはり予算につきましては、後年度負担がそのために安易に約束をせられて過大になるということは、財政当局として非常に戒めなければならないものだと思っておりますので、継続費たると国庫債務負担行為たるとを問わず、やはり予算の策定に当たりましては後年度負担が過大にならず、また平準的になっていくように配慮をしておるつもりでございます。
#415
○山田譲君 さっき一般的な解釈なり、運用の方針を聞いたのはそのために聞いたわけです。ところが、そのとおりになっていないから私はいま聞いているわけなんですが、いまの弾薬の話がまさしくそうじゃありませんか。どうも、とりわけ軍備の問題については私はやっぱり乱用はいけないというふうに思うのです。どうもこれを見ていますと、非常に安易に国庫債務負担行為がやられている。そして、将来へ向かって軍事費のツケを回していくというふうな、こういうことにならざるを得ないわけです、この中身を見ますと。全体としてこれをセットにしてこいつを全部債務負担行為にしちゃうと、その中にはみそもくそもみんな入れて債務負担行為にやっちゃっている。ですから、一つ一つ見ていけばこんな一年、二年もかからないものまで全部込みにして入れちゃっている。そして、全体をこの債務負担行為でもって後回しにしていこうというふうな、そういうことではこれはどうも非常にわれわれとしては納得できない話であります。この辺どうですか、防衛庁長官、何かそこら辺の意見ないですかね。
#416
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 継続費や国庫債務負担行為等につきましては、大蔵省財政当局また防衛庁の経理局長等からお話があったわけでございますけれども、また、その中にもございましたように、防衛予算におきましては多額の継続費及び国庫債務負担行為が計上されておるわけでございますけれども、これはしばしば答弁を申し上げておりますとおり、艦船、航空機、武器等の調達には数年を要するということによるものでございます。
 ただ、各年度の予算編成に当たりましては、継続費等についても翌年度以降の予算編成を過度に圧迫することのないよう十分配慮をして、必要最小限のものの計上にとどめていることにしておりますので、御指摘のような継続費等によります装備の調達が防衛予算についての財政的歯どめをなくさせるというようなことにはなっておらないわけでございます。
 お答えいたします。
#417
○山田譲君 やっぱりわれわれとしてもはっきりした基準でも示していただかない限り、そのときそのときで適当に債務負担行為あるいは継続費でやられてはかなわない。しかも、この二つとも憲法の精神から言って非常におかしい制度なんですから、これについてのはっきりした歯どめといいますか、基準的なものを大蔵大臣、どうですか、考えていただけませんかね。
#418
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもうきちんとした歯どめがあるわけです。何があるか。国会という歯どめがあるわけでして、結局国会で決めるわけですから、最終的には。問題は、いまもお話がありますように、債務負担行為というのは支出権限までも与えるわけじゃありませんから、だから毎年毎年予算化をするという手続が必要である。継続費の場合は、総額についての債務負担とともに、後年度――原則五年以内といわれておりますが、後年度にわたる支出権限の付与をやはり求めておるものであります。なぜかと申しますと、たとえば、飛行機のようなものは三年とか四年たって、まあ財政事情が悪くなっちゃうとか、あるいは何かの事情で十機そろえるところをじゃ七機にしちゃえという話もあるわけです、それは。ところが、潜水艦とか護衛艦とか大きなものですね、四年も五年もかかる。そういうものはあらかじめ決めてもらっておかないと、途中でもうちっちゃくしちゃえと言っても、真ん中以上でかくて、後の方だけうんとちっちゃくというわけにはいかないわけですよ。そういうような問題がありますものですから手続上めんどくさい。めんどくさいけれども、そういうような事情もある。
 それからやはり、債務負担行為の方は一年、翌年度繰り越ししか認められませんが、継続費の場合は翌々年度までの繰り越しが認められる。したがって、そういうふうなことをせなければならないようなものを継続費にしているというように私は理解をいたしております。
#419
○山田譲君 国会で決めるのは間違いないわけです。国会で決めるために一つの基準が欲しいということを聞いているんですからね。そのお答えにならないし、もう一つ、継続費だって翌年また国会で審議するわけですよ。ですから、そのとき情勢変わればそれは安くすることだってできるわけでしょう。これはそのときの論議の経過でもそのことを言っておりますよ。だから、その点は大蔵大臣の言うことはちょっとおかしいと思いますよ。
 総理大臣、お聞きのような情勢ですけれども、いかがですか。とりわけこの防衛費の問題についてはっきりした基準的のものを、これは継続費にします、こういうものは債務負担行為にしますということをはっきり示すような基準的なものを何かつくってお示しいただけないかどうか、これは総理大臣にお伺いしたいと思うのです。
#420
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は先ほど来山田さんと財政当局の御議論を拝聴しておるわけでありますが、この継続費につきましては、これは予算法上、財政法上、特別なこれは特例を開いたものでございます。
 一方、債務負担行為の問題は、これはその都度財政支出は確認を、許可をとらなければならない、承認をとらなければならない、こういうようなことでございまして、その点は債務負担行為と継続費の場合は違うということを財政当局が説明をしておる点でございます。
 ただ、それをどちらをどういうぐあいに使うかという問題につきましては、私はこれは財政技術上の面も多分にある、こういうぐあいに私は先ほど来の論争を聞いておりまして受けとめたわけでございます。しかし、山田さんがおっしゃるように、具体的な事例についてもう少し明確にせよ、こういうような御趣旨のように思いますので、十分この説明がつきますように財政当局の方から具体的に御説明を申し上げたい、こう思います。
#421
○山田譲君 じゃ、後でもって――後といいますか、同じ国会の場ではっきりとしたいまおっしゃったような具体的な事例についての基準といいますか、そういうものをお示しいただけるわけですね。いつ出していただけますか。
#422
○政府委員(松下康雄君) 先ほども申し上げましたけれども、財政法十四条の二に規定いたします継続費にその要件がございまして、その要件は申し述べましたが、長期を要する契約でございまして、しかも各年追加契約の要るもの、そういうふうに申し上げているところでございます。それを具体的に予算の現在の多いろんな予算上必要な事業に当てはめてみますというと、この財政法十四条の二を適用いたしておりますものは防衛庁の予算の中の自衛艦の中の護衛艦と潜水艦、この二種類でございます。
 さらに、今後それ以上にこの継続費に該当するものが出てきますかどうかということは、その時点にならなければ私どもも判断いたしかねますけれども、現在予算の中ではこの二つだけが継続費である、その他のものは国庫債務負担行為によって調達をしておる、そういう違いでございます。
#423
○山田譲君 そのとおりに納得できないから私は聞いているので、しかも、総理大臣ですらそれは具体的な事例についてのはっきりしたものを示しましょうと言っているわけですよ。一般論を私聞いているのじゃないんでね。いま総理大臣の言ったようなそういう返事をいついただけるかということを聞いているわけです。
#424
○政府委員(和田裕君) 先ほどの答弁ちょっとわかりにくかったかと思いますので、補足させていただきます。
 弾薬につきまして二年国物、いわゆる二年国庫債務負担行為でございます。私ども二年国と呼んでおりますが、二年国物は対戦車誘導訓練弾、それから機雷、その他でございます。
 それから、三年国、いわゆる三年国債でございますが、三年国はAIM7F。これはスパローでございますが、AIM7F。それからASM1、これは空対艦のミサイルでございます。それからハブーン、その他でございます。
 それから四年国もございます。これはAIMgL、これはサイドワインダーでございます。その他、こういったような状況でございます。
#425
○山田譲君 とにかくどうも返事納得できませんですね。総理がせっかくあそこまで言っておられるのだから、その返事をいついただけるか、これを聞きたいと思うのです。
#426
○政府委員(松下康雄君) ただいままでの御議論を踏まえまして、それを書面に整理をいたしまして御提出を申し上げます。
#427
○山田譲君 いつまでですか。
#428
○政府委員(松下康雄君) 総括質問の終わるまでに御提出をいたします。
#429
○山田譲君 じゃ、それはひとつ保留ということで先へ進みたいと思います。
 次に、防衛産業の問題に入りたいと思いますが、四十五年の七月十八日、時の防衛庁長官中曽根康弘さんのときに、装備の生産及び開発に関する基本方針というものができました。これと同時に、防衛産業整備方針、それから研究開発振興方針というこの三つの大方針が出たわけです。
 当時の新聞なんかでもかなり大きく取り上げられていることはすでに御承知のとおりでありますけれども、この中で一番言っていることは、要するに、「国を守るべき装備はわが国の国情に適したものを自ら整えるべきものであるので、装備の自主的な開発及び国産を推進する。」ということ。それから適正な競争によって促進されなければいかぬ、「装備の開発及び生産には、積極的に競争原理の導入を行ない」、競争原理の導入を行うということを何回も言っておりますけれども、果たしてこのとおりになっているかどうか、考え方を承りたいと思います。
#430
○国務大臣(伊藤宗一郎君) 中曽根防衛庁長官当時の方針に従いましてただいまも防衛庁としては、わが国を守るべき装備は国土、国情に応じたものをみずから整えるべきであるということ、また、防衛産業の唯一のユーザーである防衛庁の立場、あるいはいまの自由競争の原理等、いろいろの御指針をそのまま踏襲して対処しておるところでございます。
#431
○山田譲君 踏襲していないから私は問題にしたいわけでありますけれども、この点は先ほどの債務負担行為あるいは継続費の具体的な問題と関連がありますので、この辺で質疑を終わらせていただきたいと思うのです。保留をさしていただきます。
#432
○委員長(植木光教君) 山田君の本日の質疑はこれまでとし、残余の質疑は後日に行います。
 明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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