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#1
第096回国会 建設委員会 第10号
昭和五十七年五月十三日(木曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     栗林 卓司君     三治 重信君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉田 正雄君
    理 事
                坂野 重信君
                谷川 寛三君
    委 員
                井上 吉夫君
                井上  孝君
                岩崎 純三君
                植木 光教君
                中村 啓一君
                堀内 俊夫君
                松本 英一君
                二宮 文造君
                原田  立君
                三木 忠雄君
                上田耕一郎君
                三治 重信君
                江田 五月君
   国務大臣
       建 設 大 臣  始関 伊平君
   政府委員
       国土庁土地局長  小笠原正男君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設省計画局長  吉田 公二君
       建設省都市局長  加瀬 正蔵君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田熊初太郎君
   説明員
       建設大臣官房官
       庁営繕部長    渡辺  滋君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○土地区画整理法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(吉田正雄君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十二日、栗林卓司君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(吉田正雄君) 前回に引き続き、土地区画整理法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○二宮文造君 一昨日の本委員会に続きまして、議題になりました法律の一部改正の問題について質問させていただきたいと思います。
 最初に大臣にお伺いしたいんですが、わが国の都市は近代的な都市整備の歴史が浅い、したがいまして、当然のこととして社会資本のストックが少ない、これは一昨日配付されましたあの建設省の資料にも、欧米諸国に比べて云々というデータが上がっておりましたが、このように社会資本のストックが少ない、それから土地利用計画が不十分なまま狭い可住地に各種の土地利用が競合してきた、また地価の適切な規制指導が、誘導がなかったという問題もある。さらには、都市化が世界に例のないスピードで進んできたというふうなもろもろの要因によりまして、まことに低質なしかも高密度の市街地形成が今日まで行われてきた。そのために当然の結果として、都市機能上あるいは市街地の環境上、さらには都市の防災上、または都市の景観の上からも、こういう大きなひずみをはらんでいるというのが今日の日本の都市市街地ということになろうと思います。したがって、将来を展望しまして、非常に大まかな表現で恐縮なんですが、大臣が目指します都市政策の基本的な方向をまず最初にお伺いして、議論を始めたいと思います。
#5
○国務大臣(始関伊平君) わが国におきまして戦後、特に最近において非常に急速に都市化が進展いたしておりますので、ただいま御指摘のございましたように、社会資本の蓄積が十分だし、居住環境なりあるいは都市防災、都市景観というようないろいろな点において問題が生じてきたことは御指摘のとおりだと存じております。しかも、今後二十一世紀の初頭に向けまして、国民の七割以上が、つまり一億人近くが都市に住むと見込まれており、国民生活における都市の重要性はますます高まるものと存ぜられますので、ただいま御指摘のございましたような諸点について、どのように対処していくかということは大きな問題だと存じております。
 今後の問題でございますが、これまでの人口、産業の大都市への集中抑制、また地方分散策というものを一面において堅持しながら都市計画を総合的に進め、都市を人間性豊かな生活の場、活力ある生産の場として整備することが重要になっておると存じております。
 都市の中に大都市と地方都市とあるわけでございますが、大都市にありましては高度の都市機能を維持しながら居住環境の改善、防災制度の向上等に重点を置いて都市整備を進めてまいる所存でございます。また、地方都市におきましては、定住社会にふさわしい都市機能と快適で豊かな生活環境を確保することによりまして、個性と魅力のある都市形成を図ってまいりたい、かように存じておる次第でございます。
#6
○二宮文造君 若干網を小さくしまして、市街地の整備開発に要する投資額というのは莫大な金額を要する今日の状況です。したがって、そういう中で投資効率を高めていくためには、まずそれぞれの市街地の態様に応じた規制、誘導、卒業に関する適正な整備手法を取り入れなきゃならぬ。それからまた、しかもその上に重点的、段階的な投資を考えなきゃならぬ。少なくとも事業実施時期を明確にするということを内容にしたいわゆる市街地整備プログラムといいますか、そういうものを策定する必要があるんじゃないかと考えるわけです。言わんとしますことは、これまでいろいろな手法が、またいろいろな行政の指導がありました。法律の制定もございました。前にどんどん進みますが、後ろに積み残していくものを知らん顔をしてどんどん前へ進んでいるその最大のものが、少なくとも事業の実施時期を明確にするということでカバーされるんじゃないかと思うのです。これらを含めた整備プログラムの策定が必要だろうと思うのですが、大臣、いかがですか。
#7
○国務大臣(始関伊平君) 資金の効率的な運用、また、都市計画を実施してまいります上において地権者等への迷惑を少なくするという意味におきまして、市街地整備プログラムというものを適正に決定いたしまして、それぞれの都市計画事業の実施の時期を明確ならしめることが非常に大事ではないかという御指摘がございまして、この点も二宮委員の御指摘に私ども全く同感でございます。
 都市計画は、もちろん望ましい都市の姿を実現いたしますために長期的な視点に立って定められるものでありますが、市街地の整備を進める上で、それによる投資額は多額に上っておるわけでございまして、都市計画の円滑な実現を図るためには、重点的にかつ段階的な公共投資を計画的に行うことが必要である、ただいま御指摘をいただいたとおりでございまして、これがためには、市街地の整備プログラムというものに裏打ちされたそういう都市計画を進めてまいることが必要である、全く御意見のとおりだと思います。
 このために、建設省といたしましては、すでに財政の見通し等を勘案した事業主体、それから事業手法並びに整備時期等を内容とする市街地整備基本計画というものをすべての線引き都市計画区域について策定いたさせまして、なお必要に応じて都市計画に定める整備開発及び保全の方針にその基本的事項を盛り込むというふうに地方公共団体を指導しているところでございますが、今後も一層その策定及びこれに基づく都市計画の円滑な実現を強力に推進してまいりたい、かように存じております。
#8
○二宮文造君 私が特に指摘いたしました、実施時期を明確にすることが必要ではないかということは、これはもっと具体論で言いますと、たとえば東京都の場合を考えてみまして、都市計画道路だとか都市公園で都市計画決定はやった、ところが二十年、中には三十年放置されたまま着手しいない、あるいは着手しても完了に至らない、その間に地権者は非常に迷惑をしている。
 もっと具体的に申しますと、これはいただいた資料からですが、これはちょっと古いんです、五十二年三月現在の資料を引っ張り出してきたんですが、東京都の区部におきます都市計画道路の場合、都市計画道路の総延長が千六百二十一キロメーター、未着手の道路が七百四十キロメーターで約四五・七%、約半分です。そのうちで二十年以上経過している延長が五百七十七キロ、計画の三五・六%。これは二十年以上放置されているというふうな状況。しかも、それを今度は金額で計算してみますと、たとえば甲州街道あたりでいま事業をしますと、一キロ当たりの建設費が大体百七億円。よろしいですか。それから放射十一号の足立区の地点を新設しますと、これはちょっと幅員が狭いものですから、キロメーター当たりそれでも四十七億円。また、放射三十六号の豊島区あたりでは、幅員が四十メーターの場合には一キロ当たりが百六十二億円。ですから、一番高い分でカバーしますと、何と東京都の区部の都市計画道路をやるだけで十二兆三千八百八十億円という膨大な金額になるわけです。
 これはもうとてもじゃないけれども何年という作業はできません。しかし計画は残っている。したがって、ここで私先ほど言った、次々と手は打ってきた、しかし、後ろに残ったことをそのまま手直しをしないで先へ進んでしまっているからそこに大きな問題が残っているんじゃないか。ですから、そこでこだわるようですが、実施時期等も明確に一つの視点を置いてプログラムをつくるべきではないかと申し上げたんですが、この点もう一度お伺いしたいと思います。
#9
○国務大臣(始関伊平君) 東京都はもちろんでございますが、私どもの住んでおります地域、身近なところにもただいまお話をいただきましたように道路の予定地が決まっておる。街路の予定地が決まっておる。そうすると公共施設、公園等の予定地も決まっておる。それがいまお話しのとおり十年、十五年、二十年前にも決まっておりまして、一向に手がつけられない。その間に……
#10
○二宮文造君 一緒になって愚痴を言っていたってしようがないじゃないですか。
#11
○国務大臣(始関伊平君) 中には、地元の反対のためにここに着工できないというような場合もございますが、これは行政側の不手際なこともないとは言えないと思うんでございまして、大変遺憾に存じております。
 こういう計画を決めます場合に、時期を決めればいいという点は全くごもっともでございますけれども、金の関係その他ございましてなかなかそうもまいりませんが、こういう点が公共事業の執行に伴いまして非常に大きな問題点であるのでございますから、ただいま御指摘の点を十分今後肝に銘じまして、余り世間に迷惑をかけないように、また、おくれ過ぎた建設にならないように十分に注意をしてやってまいりたい、かように存じますので、御理解をいただきたいと思います。
#12
○二宮文造君 この辺でもう質問しなければちょうどいいんでしょうけれども、少なくとも二十年以上も経過している、こういうものは何とかもう一遍、何がネックなのか、そのネックは解決できるネックなのか、できないものなのか、これらを地権者に納得してもらうという意味で公表してもいいんじゃないですか、こういうためにおくれているということを。その上でどうするということをコンセンサスをつくり上げていく。ただもう未着工です、申しわけありません的な、そういう抽象的な取り上げ方じゃなくて、一つ一つ具体的に問題を整理して、そしてコンセンサスを得るように問題を公表していく、そしてはしにも棒にもかからないといいますか、もうお金の問題でもありますから、近々にだめだということであれば、ここで一遍整理をするという考えもやはり答弁の中にあってしかるべきではなかったかと思うんですが。
#13
○政府委員(加瀬正蔵君) おっしゃいますように、数十年にわたって未着手でいる、計画決定したままで権利制限だけ行われているというような実態がございますことについては、望ましくないということは御指摘のとおりでございます。ただ、私どもが都市計画を決めます場合には長期的視点に立って決めなければいけない。その場合、土地利用とか交通等の現状あるいは将来の見通し等を勘案しまして、必要な用地を先行的に確保するために、土地所有者等に一定の範囲内での御協力をお願いしているわけでございます。この場合、財源的裏づけのある、あるいは事業化の見通しのあるものだけを対象とするのでは、現状から考えますと、都市活動を円滑に確保しまして良好な都市環境を保持するという上で十分でないことも御理解いただきたいと思います。
 御指摘のような、計画決定後長期間未着手のものがございますが、これについては当然必要な時期に見直しをするということはもちろんでございますが、建設省として事業化の促進に努めることはもちろんのこと、今後土地所有者等の意向を踏まえた適切な措置につきましても、前向きに検討してまいりたいと考えております。
#14
○二宮文造君 やがて具体論でまたお伺いしたいと思います。
 そこで、本法案について伺います前にもう少し前文を置きたいのですが、良好な市街地環境の形成という観点から、用途地域の見直しなどについて質問をしてまいりたいと思うんです。
 昨年の七月、住宅・宅地関係閣僚連絡会議において決定をしました「第四期住宅建設五箇年計画の的確な実施を図るため今後推進すべき諸方策について」、こういうプリントをちょうだいしておりますが、この中で、既成市街地における中高層住宅の供給を促進するという立場から、用途地域など地域地区の適切な見直しなどを行うとなっておりますけれども、この問題については現在どのような検討が進められておりますか、あらまし御説明いただきたい。
 なお、時間が制約されておりますので、なるべく私の質問に対して簡潔に御答弁いただきたいと思います。
#15
○政府委員(加瀬正蔵君) いま御指摘の点につきましては、市街地の再開発等の積極的な推進、あるいはこれに伴う特定街区高度利用地区等の活用、用途地域の適切な見直し、地区計画制度の活用によるきめ細かい土地利用規制の推進、あるいは合理的なかつ健全な高度利用を推進する観点から都市計画担当主管課長会議等の場を通じまして積極的に指導を行っておりまして、現在各地方公共団体を中心に作業が進められているという段階でございます。
#16
○二宮文造君 そこで、建設省並びに東京都では、都心部の老朽な住宅を建てかえまして中高層化するために、環状六号線道路内にある第一種住居専用地域を廃止して、第二種住居専用地域ないし住居地域にする方向で検討を進めていると言われておりますが、この点はいかがですか。
#17
○政府委員(加瀬正蔵君) 東京都におきましては、職住近接を図るという観点から、環状六号線の内側の住宅地等には積極的に第二種住居専用地域を指定するといった方針のもとに、昨年の四月から六月にかけて用途地域の見直しを行っております。この結果、第一種住居専用地域は東京都区域で約七百四十ヘクタール、これは五・一%に相当する減になります。それから環状六号線の内側では約二十ヘクタール、四・二%ほど減少しておるわけでございます。さらに東京都におきましては、昨年設置されました東京都長期計画懇談会におきまして、都心区部では原則的に第一種住居専用地域を二種住専に変更するということにつきまして検討しておりまして、当該地域における一種住専の見直しは今後とも取り組むべき課題であると考えているわけでございます。
 建設省といたしましても、高度利用を図るに当たっては道路等の公共施設の整備、細分化された敷地の統合といった問題が重要であると考えておりまして、地域住民や地権者の意向にも十分配慮しながら、適切な高度利用が図られるよう施策を展開したいと考えております。
#18
○二宮文造君 ですから、もしいま答弁いただきました環状六号線の中の高度制限が、一種から二種と緩和されるようになりますと、要するに千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷など十二区がすぽっとその中に入る。さらにまた、その後の問題として十年、二十年後には東京都二十三区内の一種住専地域を全部廃止する、それは人口の呼び戻しにもなるというふうな計画を持っているように伺いますが、時はそういう方向に来た、私も賛成でございます。それは種々の環境整備もしなきゃなりませんけれども、方向としては賛成です。
 さて、もう一つ今度は、国土庁では大都市圏の土地利用の高度化など国土を有効利用するというための長期計画づくりを始めまして、とにかく今度は、東京都区部などの超過密地域では一定以上の高さのビル以外は建設ができない、いわゆる逆高度制限を導入するという考えを検討される方向にあると伝えられておりますが、これらは大体いつごろまでにそういう方向を打ち出そうとお考えなんでしょうか。
#19
○政府委員(小笠原正男君) 大都市地域の既成市街地の土地の高度利用は非常に重要なことでございまして、現在建設省におきまして都市再開発方針の策定でありますとか、用途地域の適切な見直しでありますとか、高度利用地区の指定の推進等をやっていただいているわけでありますが、最近の住宅宅地需要が、いま住んでいるところが古くなったあるいは狭くなったことを中心とする住みかえ、建てかえ中心になってきたということと、それから最近、いわゆる郊外から準都心というようなところへJターンをするというような動きが見られるようになったということ。そういう需要面の変化と、それから都心十一区あたりの土地所有者の意向を調べてみますと、低層利用の方々が大半でありますが、何とかこれを高度利用しなければいけないと思っていらっしゃる方々もかなりある。
 こういったような現実を踏まえて、いままでの施策のほかに、大都市の土地利用はいまのような姿でいいのだろうか、あるいは土地所有権のあり方はこれでいいのだろうか、さらに土地所有者の意識の改革が必要ではなかろうかと、いろいろな意見が最近各方面で出始めているわけでありまして、私ども特に具体的に長期計画の策定でありますとか、逆高度制限の導入でありますとかということを腹案として持っているわけではありませんが、そういったような声も出始めておりますので、そういったような問題を含めて、この機会におおむね一年がかりで大都市の土地の基本的な課題につきまして、広く学識経験を有する方々の意見を聞きながら多面的な検討を始めたところでございまして、当面一年ぐらいをかけて、懇談会でいろいろな自由な議論を詰めていきたいというふうに思っている次第でございます。
#20
○二宮文造君 そこで、もう一点お伺いしておきたいのですが、東京都では都市計画道路の予定地で、一定の条件のもとに三階建ての建築を認める許可取り扱い基準を定めまして、建設省の了解のもとに昨年四月十日から適用しているようでありますが、その内容がどうかということを伺いたい。
 それから、面的な予定地を除きまして、都市計画道路の予定地に限定してこの基準を定めた理由はどこにあるのか。
 この二点をお伺いしたい。
#21
○政府委員(加瀬正蔵君) 東京都におきましては、先般特別区内の都市計画道路の全面的見直しを行ったところでございますが、これに伴いまして、建築許可申請者にその建築物を建築することを必要とする特別の事情がある場合にありましては、建築を許可する場合の基準の緩和もやむを得ないと考えて、先生御指摘のような基準を定めたというふうに承知しております。
 東京都の取り扱い基準は、その建築物が都市計画道路の当該区間の事業の施行が近い将来に見込まれていないというような要件、それから建築物の敷地のうち都市計画道路の区域外の面積が百平方メートル未満であるというような要件、さらに建築物の主要構造部分が鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類するものであること、それから建築物の階数が三、高さが十メートル以下でありましてかつ地階を有しないこと、それともう一つ、建築物の敷地が防火地域内かつ原則として商業地域または近隣商業地域内にある、こういった要件に該当しましてかつ市街地開発事業等の支障にならないと認められるときに、現在の法律で定められております最低基準を若干超えて許可をすることができるというふうにしたものと承知しております。
 それからもう一つ、これを道路だけに限定したのはなぜかということでございますが、東京都によりますと、今回の措置は道路事業の整備時期の見直しを含めた都市計画道路の全面的見直しに伴って、事業の実施時期あるいは都市の不燃化等の防災上の配慮、さらには土地利用の状況等を考慮した例外的なものでございまして、これはそういう際に考えた例外的なものであるから、一般的に計画制限を緩和するまでの考え方はないというふうに私どもは聞いております。
#22
○二宮文造君 これは大臣、十分レクを受けて御出席いただいていると思うのですが、霞が関一団地の官公庁施設の計画区域のあり方をめぐる問題について若干お伺いしたいと思うのです。聞いていただいていると思うので、余り時間をかけたくないわけです。
 私は、五十五年の五月十三日、渡辺建設大臣、それから同じく十月の二十一日、斉藤建設大臣、これで大臣が三代目になるわけです。同じ問題をお伺いして一つも進歩していない。きょうは進歩すると思います。
 まず、これは時間がかかってしようがないのですが、要するに四十三年の十二月に、永田町一丁目四番・五番官公用地指定解除既成同盟、旧三年町の住民の方々が五十三名の署名捺印を付して当時の坪川建設大臣に要求書を提出をしております。これは読んでいただきましたか。
#23
○国務大臣(始関伊平君) お話は聞いていますけれども、その文書は拝見しておりません。
#24
○二宮文造君 じっくり読んでください。非常に法律の制定当時のいきさつ、それから非常に苦慮しているということ、それがしかも十四年、ことし五十七年ですから、四十三年に住民からそういう要請が制定の経緯を含めて出ているということを熟読玩味していただきたい。それから十四年経過しているという時の経過も頭に置きながら、しかも、行政当局は何もしていないという現状を頭に置きながら読んでいただきたいと思うのです。
 ですから、時間がありませんので読んでいただくこととして、まず、法制定の経緯だけは大事な問題ですから申し上げておきたいのですが、昭和二十六年、いまから三十年前、昭和二十六年六月一日、法律百八十一号というのは、現在の官公庁施設の建設等に関する法律の前身である官庁営繕法のことでございまして、そして三十一年の改正があったわけです。三十一年の改正案は議員立法の形で、その提案の代表者は田中角榮氏でございます。そして、この改正案について三十一年の四月四日の本建設委員会で審議された際に、社会党の田中一先生が、要するに私権の制限という問題を取り上げまして、「直ちに行われるものじゃないということを確認してよろしゅうございますか。」と提案者に確認を求めましたところ、田中角榮氏はこういうふうに言っているわけです。
 私見の制限というものに対して明確な規定はご
 ざいません。もう一つ、土地収用の規定もござ
 いません。ございません場合はどういうことに
 なるかと申しますと、ありませんから、この法
 律で団地を指定するというだけでありますの
 で、指定は、実際問題としての問題と、純理論
 としての問題の二つに分れると思いますが、現
 実論としては収用規定がないのでありますか
 ら、いずれにしても国有地を対象にし、国有地
 以外のものは指定をしないということが考えら
 れるわけであります。要するに、網をかけるのは国有地なんだと、収用のあれはないから。
 ただし、理論的には、国有地以外には団地を指
 定しないということは書いてないのだから、そ
 の一部がどうしても民有地を必要とする場合が
 あり得る、この場合一体どうするのか、こうい
 うふうな議論になると思いますが、その場合は
 当然双方合意の協定に基いて買い上げを行うと
 いうことになるわけでありますから、指定をせ
 られても私権を大きく制限するというようなこ
 とは実際的に行われない、当時はこういう答弁だったわけです。
 いま振り返ってみますと、要するに一団地として網をかけるのは国有地です、また一部私有地があるでしょう、しかし御迷惑はかけないように双方が合意の上で買い上げます、これが三十一年なんです。それからこっち若干買い上げられました。しかし、実態としましては四十三年に先ほど申し上げた要求書が出るほど住民は困っているし、しかもそれからまたじんぜんと十四年間、今日まで経過をしているという状況です。したがって、ここで未買収地の面積は現在どうなっているのか、一応地区別に報告をいただきたい。
#25
○説明員(渡辺滋君) お答えします。
 霞が関一団地の官公庁施設の計画区域の中の未買収面積は、全体で約一万四百平方メートルございます。この計画区域の中は十九の地区に分かれておりますが、そのうち五つの地区に未買収地がございます。
 地区別の未買収地の面積を申し上げますと、永田町一丁目のH地区、ここには約四千四百五十平方メートルございます。同じく一丁目のM地区には約百七十平方メートルございます。また、永田町二丁目のI地区には約九百三十平方メートルございます。同じく永田町二丁目のL地区には三千四百四十平方メートルございます。さらに、千代田区隼町のO地区には約千四百平方メートルの未買収地がございます。
 以上でございます。
#26
○二宮文造君 いま一万幾ら平米あると言いましたね。最新の買収単価はどうなっていますか。
#27
○説明員(渡辺滋君) お答えいたします。
 昨年、昭和五十六年十一月でございますが、この買収実績によりますと、これはH地区でございますが、一平方メートル当たりでございますが約百二十二万円でございます。
#28
○二宮文造君 したがいまして、一万四百平米まだ残っているわけですね。そうすると、平米当たり百二十二万、これを単純に掛けますと百二十七億円になるわけです。ところが、五十七年度の予算案では各省庁の土地買収の計上額というのは、建設省で一億円、それから衆議院で一億五千万円、それからO地区ですね、関係があるのは、国立劇場の裏ですから、O地区の関係の文化庁はゼロと、こうなっております。私も前回、こういう予算の計上では買収できぬじゃありませんか、百何十億もかかるところが毎年一億円や一億五千万の計上ではだめじゃありませんかと申し上げたら、そうじゃありません、もし売ってくださるということでお申し出があれば、予算計上して買収いたします、こういうやり方のようでございますが、私は前回も申し上げたわけです。とにかく買ってくださいというなら交渉に応じましょうということじゃなくて、要するに、網をかけられてから三十年たっていますから、もう住宅は老朽化しています。しかし、三階は建てられない、地階はつくれないというような制限を受けています。建てかえも効率の悪いたてかえはできませんから、地権者はがまんしている。
 ついせんだって、衆議院の会館からおりたところで火災がありました。天竹さんの向かいです。原因を調べてみると漏電だというんです。それはそうでしょう、もう二十年、三十年たっているわけですから。しかし、効率の悪い建てかえをしたってもうできませんから、さりとて国の方から買収の交渉も来ないというようなことで、本当にどうしようもない。がまんして住んでいたら漏電で焼けちゃった。更地になった。もうしようがないというんで、建設の方へ買ってくれとこう話が来て、どうやら話が進むようでございますけれども。三十年もたっているのに各省庁の青写真もまだ固まっていない、予算措置もわずかだ、いつ買収が完了するのかその目途もない、したがって積極的な買収交渉もしない、しかも土地の利用制限だけは課しておくというふうなやり方は、大臣、これを称して蛇の生殺しと言うんじゃないでしょうか。ここまで申し上げて、大臣一生懸命うなずいて聞いていらっしゃるんで、ひとつ感想だけ聞いておきます。まだ後がありますけれども、一人でしゃべっても味がありませんから、途中で……。
#29
○国務大臣(始関伊平君) 官庁の施設の予定地をあらかじめ決めまして、それは都市計画で決めておるようでございますが、本当に何年たっても実際の官庁施設が施行には着手しない。しかもいまお話しのとおり、建てかえ等については厳しい制約があるわけでございまして非常に不合理なところであって、蛇の生殺しだという表現が適切に当てはまるというふうに存じております。要するに、これは非常に御答弁が申し上げにくい。ある意味では申しわけないような点もございますので、もうちょっと、どうしても解除できないものなら、あらかじめこちらが買収しておくというようなことで、必ずしも交渉に来るのを待つということではなしに、そういう趣旨を広く周知できるようにするとか、あるいはこちらからいろいろお話しするとかいうような事柄につきまして省内で検討してみたい、かように存じております。
#30
○二宮文造君 その場合に、これは大臣、先刻御存じのことなんですけれども、現行の都市計画法では、都市計画区域についてはおおむね五年ごとに見直しを行って、変更すべきものは変更するという規定があります。これがこの件に関しては空文になっているわけです。どうしても必要だ、それは必要でしょう、五十年か百年網をかぶせておきゃ国としては都合がいいかもわかりませんが、すでに半分近く、三十何年経過しようとするわけです。ですから、ここで態度を明確にすべきじゃないか。丸山さんは一生懸命そこでうなずいていらっしゃいますけれども、これは大臣にはお気の毒なんですよ。ですけれども、建設省がやっぱり腹を決めなきゃならぬ問題です。私は、方法は二つあると思うんです。
 一つは、もう一遍見直しをして、外すべきものは外す、早急にやる、これが一つあります。もう一つは、これは多額の出費にはなりますけれども、地権者に対して、国は買収の用意がございますと通達をする。お申し出ください、国は積極的に買う努力をいたしますと、地権者一軒一軒に買収の用意あり、直ちに交渉に応じますという文書を出す。このどちらかしかないと私は思います。官房長、いかがですか。やがて……新聞辞令は出ておりますが。
#31
○政府委員(丸山良仁君) 私は先生のお話をこれで三回承っておるわけでございますし、まことに申しわけないと思っております。いま大臣からも御答弁がございましたように、真剣に前向きで検討いたしたいと思っております。
#32
○二宮文造君 それが困るんです。私がいま二つ言った。一つは、煮詰めて、外すべきものは外す。もう一つは、どうしても外せないというのであれば、地権者一人一人に、国は買収の用意がございますのでお申し出くださいと通知をする。どちらかにすべきじゃないかと申し上げた。前向きに検討では私は引き下がれない。これは決して無理な私の質問ではない。ですから、もしあなたがそういうことを言っていると大臣が非常にまた後で答弁に困るんです。まず、やっぱり丸山さんの方から。
#33
○政府委員(丸山良仁君) ごもっともな御提案だと思いますから、どちらの方法がよろしいか、また、それで本当に実現できるかどうかということも検討しなきゃならないわけでございますから、ここで直ちにお約束はできませんけれども、先生の御趣旨を体して十分に検討してみたいと思います。
#34
○二宮文造君 気に入りません。前回も同じような趣旨のことをおっしゃっているわけです。早く買えばいいじゃありませんかと言ったら、お申し出があればいつでも買う用意はございます。予算の計上はしておりませんけれども、お申し出があれば直ちに要望に応じて予算の計上をいたしますとおっしゃっているわけです。前回の答弁を踏まえて私は申し上げているわけで、だから無理は言ってないわけです。地権者に対して、国は買収の用意がございますからお申し出くださいという通知をしてもよろしいじゃありませんか。これは前回の答弁を踏まえての話ですから、大臣、私の質問は無理でしょうか。これ以上はやっぱり大臣にお願いするよりほかない。
#35
○国務大臣(始関伊平君) ただいまの二宮委員の御指摘に対しましては、どうもおかしいという反論はできないと思うのでございまして、予算も伴うことでございますから、いま建設省内部でまず検討いたしまして、ただいまの御指摘にかなうような対策を早急に講じてまいりたい、かように存じております。
#36
○二宮文造君 四代目の大臣に同じ質問をしないでいいように、ひとつ大臣の時代にけりをつけていただきたい。
 そこでもう一つ、これは前回でもちょっと大体は感触を得ているわけですが、土地を売るときに所有者がいつも頭を悩ますのは税金なんです。これは国の都合でむしろ収用するようなかっこうでしょう。これは買収される場合は、その考え方で税金というものを考慮してよろしいんでしょうか。
#37
○政府委員(加瀬正蔵君) 一般の公共事業と同じように三千万の租税特別措置法によります控除があるわけでございます。
#38
○二宮文造君 そうですが、三千万ですか。
#39
○政府委員(丸山良仁君) いまお話しのように、公共事業で収用対象事業となるようなもので買収する場合は三千万でございますが、今度の税制の改正に伴いまして、居住用財産をお売りになってそれと同等なものをお買いになる場合には、その限度まで税金がかからないという措置が講ぜられましたから、住んでおられる方がそれを売る場合には、税金はかからないことになると思います。
#40
○二宮文造君 そこで、もし買収の用意がございますというふうに通知を出される方向ならば、税金の問題についてもこうこうでございます。念のためにと一言触れることが親切ではないか、ぜひそうしていただきたい。私のところへ相談に見える方も、売ってもいいんですけれども税金がと、もう役所の方ではよくわかっていますけれども、所有者の方々はそこまで疑心暗鬼なんです。これもひとつ踏まえてやっていただきたい。後段の私の提案はぜひやるべきだ。なかなかそんなことを言ったって、一遍に押し寄せて買ってくださいなんて、土地に対しての未練はみんなありますから、そんなに一遍には来ないんじゃないかなとも考えますし、しかし仮に来ても、国家予算の枠の中から考えると百何億というのはまあまあ、私は見たこともないですけれども、大したことはない。ぜひそういうふうにして、もうそろそろ問題を明確に処理していただきたいと思います。じゃ丸山さん、げたを預けておきますので、御確信のほどを。
#41
○政府委員(丸山良仁君) 先ほども御答弁申し上げましたように、買収するかどうかということにつきましてはもう少し検討さしていただきたいと存じます。と申しますのは、やはりいま先生からのお話もございましたように、百数十億の金が要るわけでございますから、全員が一遍に買収してくれというようなお話になりますと、いまの国家財政では、建設省ががんばりましてもとても財政当局との話がつかないおそれがございますから、その点は今後前向きで真剣に検討さしていただきたいと思います。いま先生から御提案のございましたように、もし買収するということを決めました場合には、税金その他につきましては、もちろんその点を明らかにいたしまして買収に応じていただく方には御説明いたしたいと考えております。
#42
○二宮文造君 大臣が席にいないうちに丸山さんに聞かない方がよかった。逆戻りしちゃった。国の財政の関係云々ということをここで持ち出すべきではないんです。三十何年間も財政の都合でほうりっ放しでしょう。そういう経緯というものを全く踏まえないで、あくまでもこの期に及んでも国の財政の都合なんてことを言っちゃ、これはもう話がぶち壊しになります。いままで大変御迷惑をおかけいたしました、ここは不要でございますから外します、こちらはどうしても必要でございますから国は買収の用意がございますから、もしお申し出がございましたら、こういう通知をしなさいと、その場合に、国の財政の都合なんてことはこれは私は持ち出す筋のものじゃないと思うんです、三十何年間も迷惑をかけているんですから。
 大臣、これはいかがですか、私はさっき二つ言いました。一つは、見直しをして不必要なものは外す、どうしても必要なものについては、国が必要でございますので、三十何年間たったけれども買収の用意がございます。お申し出くださいという通知を出す、その場合に、税金の問題はこれこれでございますから念のためとただし書きをして、地権者の方が安心するような方法で周知をする、この二つはぜひ近々にやっていただきたい、こう申し上げたわけです。この二点に限って大臣の確たる御答弁をいただきたい。
#43
○国務大臣(始関伊平君) 先ほど来私や政府委員から御答弁申し上げているとおりでございまして、御指摘の解決の方向は大変ごもっともだと存じますので、そういう方向に即しまして、今後全力を挙げて打開してまいりたい、かように存じております。
#44
○二宮文造君 よろしくお願いします。
 それから、時間がなくなってきましたのであれですが、もう一つ、良好な市街地環境の形成という観点からお伺いするんですが、市街化調整区域内の既存住宅団地に関する問題がございます。要するに、市街化調整区域となった際に、いわゆる宅地の駆け込み造成があった、調整区域が線引きしたときに。駆け込み造成をやって、そして買った。ところが家が建たない。猶予期間がありました。猶予期間がありましたけれども、造成が不良なために建築許可にならない。そのために未建築というような状況で、今日どうにも引くにも、猶予期間も切れちゃった。ですから、いわゆる歯抜け団地として首都圏だけでも相当なものが考えられる。五十五年の十月に埼玉県が千平米以上の市街化調整区域内の既存住宅団地の八百七十六団地、千二百ヘクタールを対象にどういう実態になっているか、実態調査を行ったようです。
 そこでお伺いしたいんですが、そのうち未建築のあるいわゆる歯抜団地が埼玉県だけでどのぐらいあり、またその区画数がどのぐらいあったと報告されているのか。また、これらの団地の開発の時期は大体おおむねどの辺に集中しているかということをお伺いしたいと思います。
#45
○政府委員(吉田公二君) 埼玉県が調査いたしましたいま御指摘のようなケースでございますが、歯抜け団地というふうに御指摘でございますが、四百一団地、面積は五百九十ヘクタールでございまして、総区画が三万四千四百四十六ございますが、未建築の区画は一万四千四百四十二区画というふうに報告を受けております。また、これらの既存団地というものの開発時期でございますが、団地数の大体半分が線引き直前の四十四、五年に集中しているわけでございますが、未建築地が多いという団地はむしろもっと前、三十九年くらいに開発されたものが多いという報告でございます。
#46
○二宮文造君 要するに、埼玉県だけで一万四千四百四十二区画、しかも調査の範囲も限定されている。その限定された中で一万四千四百四十二区画未建築がある。これはもし、これが建築できれば相当な建築の促進になりますね。その未建築区画のうちで建築可能区画というのはどれぐらいに計算されていますか。
#47
○政府委員(吉田公二君) いまの都市計画法に基づきます建築可能地というものは、大体合計いたしましてこの県の報告では三千百三十三区画というふうに申してきております。
#48
○二宮文造君 それはどうして建築可能なんですか。内容は……。
#49
○政府委員(吉田公二君) 都市計画法の二十九条の開発許可を受けたというものが百二十七区画ございまして、また、都市計画法の四十三条一項六号、いわゆる既存団地、既存宅地というふうに呼んでいる条文がございますが、これに該当するものが三千百三十三区画になっているということでございます。
#50
○二宮文造君 そうすると、ちょっと私がいただいた数学と若干細かい数字が食い違っておりますが、残りの大体一万一千何がしの区画は、どのような条件を満たすと住宅の建築が可能になるんでしょうか。問題は、いま議論している一万とか何とかいうのは埼玉県ですね。それから千葉もありましょう、首都圏の中には相当ございますね、あちこちに。ですから、その辺も考えるんですが、どのような条件を満たすと住宅の建築が可能になるのか。この辺はどうでしょうか。
 先ほどの、市街化調整区域の線引きがあって、その決定の日から起算して五年以内に建築が行われるべきものという制約がございましたね。これははるかにもう経過してしまっているわけですが、そうすると、この辺、いま宅地として不適当であるというふうな指摘を受けて、そのために建築ができないという場合も、もし五年以内にということがかたく指導されると、とてもじゃないけれども、この条件を整えてみたところで家は建たないということになるんですが、この辺はどう理解したらいいんでしょうか。
#51
○政府委員(吉田公二君) 建築を認める期間につきましては、これは都市計画法の三十四条第九号という条文がございまして、これは、すでに線引きが行われた際に、自己の居住または業務の用に供する建築物を建築する目的で土地を所有しているということについて、線引き後六カ月以内に届け出をした者というものがあるわけでございます。こういう届け出をしたものについても、これは五年以内に限って建築を認めるんだというような制度があるわけでございまして、こういうものとの整合性も考慮して、現在の運営といたしまして五年に限っているというわけでございます。
 なお、埼玉県のケースでございますが、未建築地の多い団地と申しますのは、県の報告によりますと、道路等についても未整備であり、たとえば道路形態が雑木林、草地状であるようなものもある、あるいは排水等の問題といったことで、災害の防止上も問題があるというようなところが多いようでございまして、こうした宅地として使い得るような一定の公共施設の整備水準に達していないところが多いようでございます。
#52
○二宮文造君 ですから、それをクリアしたらどうなりますか。
#53
○政府委員(吉田公二君) こういうものを宅地として使えるように整備するということが大前提と思いますけれども、現行の制度の総合的な均衡、それからその団地だけの問題でなしに、団地を含む周辺の状況でございますとか、地元公共団体そのものの意向等、総合的に勘案する点もあると思いますので、そうした御指摘の点につきまして、これは宅地の供給という意味からはかなり意味のあることでございますので、検討させていただきたいと思います。
#54
○二宮文造君 大臣、確かにいろいろ法の規制はあったわけですね。それからまた、法の上でもそういう人たちを救済する手段も講じてきたわけです。ですから、その時点においては確かに五年ということで救済期間を置いて、それで本当は処理すべきだったんです。ところが、造成された土地が、業者が悪質であったとか、あるいはまた買った人がその実態をよく知らなかった。いざ建てようと思ってみたら、とんでもない、建築許可なんかおりるような状況じゃなかった、で、もうそのままあきらめてしまった、あきらめてしまったけれども未練は残るという、板挟みみたいな、三すくみみたいなかっこうに現在なっている。しかし、われわれから見ますと、宅地が首都圏においてはもう猛烈な供給不足だという中において、景気振興の問題もありまして、これはこのまま草ぼうぼうと生やしておくというのはまことにもったいない話。そういうことで、一つは、買われた方は被害者だ、その被害者を救済をする。また、土地はあるわけですから、いま申し上げた埼玉ばかりでなくて、千葉もあるいは神奈川も、いわゆる東京の通勤可能地域にはさらに膨大な区画数がこういう形のまま放置されていると私は推測をいたします。それらが宅地として生かされれば相当な活力を発揮するんじゃないか、これはもうすぐ考えられることです。
 そこで、いろいろ個々のケースがございましょうけれども、いまるる申し上げたように、被害者救済とかあるいは宅地の不足、さらにはもう一つ住宅建築の促進というような三つの場合から見て、こういう団地の実態は早急に調査をされる、そして、個々の場合になってくると思いますが、個々に細かく、公共団体とも連絡をとりながら、宅地が有効利用できるように何らかの方法を考えるべきではないかと思うんですが、大阪、その方向性についてお伺いしたいと思います。
#55
○国務大臣(始関伊平君) ただいま御指摘のございましたような、すでに宅地があるかあるいは大部分完成しておる場所で、そこに住宅を建てようと思っても、これが調整区域内にありますために合法的な救済措置の方法が残っていないという場合の問題でございますけれども、ただいま御指摘がございましたように、まず調査をいたしまして実態の把握に努めてまいりたい、かように存じます。その上で、関係の権利者、それから地方公共団体がございますが、その意向等も十分に参酌いたしまして善処してまいりたい、一応その経度に申し上げまして御理解いただきたいと思います。
#56
○二宮文造君 ただ、いまいろいろ議論されておりますのは、調整区域の線引きの見直しというもの等も関連しまして、その辺にも若干の道が残っているんじゃないかと思いますし、ぜひひとつ、あるわけですから、それを過去の経緯にこだわらず有効利用する方向に目を向けて進めていただきたい。また、何といってもこれは実態を把握しませんことにはできませんし、さらにまた、線引きを見直しをするといっても、そういうことも含めながら線引きの見直しをやりませんと両方がマッチしませんから、そういうふうなことで進めていかれるようにぜひこれはお願いをしたいと思います。
 それから、ここで本論に入るわけでございますが、区画整理事業と申しますのは、要するに減歩と換地というわが国の独特の開発の手法で、しかも、市街地を面的に整備する手法としては最も主導的な役割りを今日まで果たしてきた事業だと私は理解をいたします。
 そこで、これまでの施行状況はどうなっておりましょうか。
#57
○政府委員(加瀬正蔵君) 土地区画整理事業は、昭和五十五年度末までに全国で約七千地区、面積にしまして約二十八万一千ヘクタールにおいて実施されてきております。このうち約五千五百地区、面積約十九万九千ヘクタールがすでに完了しておりまして、現在施行中の地区は約千五百地区、面積約八万二千ヘクタールでございます。
#58
○二宮文造君 いただいた数字を拝見しますと、施行面積というのが若干横ばい状況にも見受けられるわけですが、補助事業の採択基準では、施行地区の面積基準は一体どうなっておりましょうか。
#59
○政府委員(加瀬正蔵君) 地方公共団体等が施行する土地区画整理事業につきましては五ヘクタール以上、土地区画整理組合等が施行する土地区画整理事業につきましては、一般的には十ヘクタール以上、ただし特定土地区画整理事業にありましては五ヘクタール以上となっております。
#60
○二宮文造君 組合等の土地区画整理事業を施行する場合にどうして十ヘクタールに縛ったのか、これは公共団体並みに五ヘクタールに引き下げまして事業の拡大を図るべきじゃないかなとも思うんですが、この点はどうでしょうか。
 それからもう一つ、特定土地区画整理事業は三大都市圏に限られているわけです。それを三大都市圏に限らず対象拡大を求める声が非常に多いわけですが、これは検討する用意があるのかないのか。この二点。
#61
○政府委員(加瀬正蔵君) まず第一点の面積基準の緩和でございますが、市街地の整備は国あるいは地方公共団体等の責任のもとに計画的に行われるわけでございますが、地方公共団体の能力に一定の限界があるということが一つ、それから土地区画整理事業により整備を図るべき地域が膨大だということ、さらには、良好かつ低廉な宅地を大量に供給する必要があること等から、地方公共団体のほかに民間エネルギーの積極的活用を図ることとしているわけでございまして、この場合、土地区画整理組合による自発的な施行を推進する必要があるわけでございます。特に、新市街地向きにはできる限り組合施行ということが望ましいわけでございます。現状は、公共団体の場合には比較的既成市街地といいますかそういうところの事業、それから組合施行の場合には新市街地という観点から面積基準が決められていると承知しておりますが、今後御指摘の趣旨を踏まえて、補助の面積要件の再検討を含めまして助成措置の拡充というものに努めてまいる必要があろうかと思います。
 それから、もう一点の特定土地区画整理専業の対象地域の関係でございますが、特定土地区画整理事業と申しますのは、市街化区域のうち住宅地等として開発されるべき条件の熟度が著しく高く、早急に開発すべきであるにもかかわらず諸般の事情で開発が進んでいないという土地の区域につきまして、土地の所有者等に住宅地としての開発の義務づけを行う土地区画整理促進区域内におきまして行われる事業でございます。このように地権者に対しまして住宅地としての開発の義務づけを前提とする制度は、やはり人口、産業の集中によりまして深刻な住宅難が生じている、さらには住宅宅地の大量供給を早急に図ることが必要な地域について認められるわけでございます。現在までのところ、三大都市圏以外の地域におきまして、いま申し上げたような状況にまでは立ち至ってないというのが私どもの考え方でございますが、今後も地方におけるこれらの必要性の有無につきまして十分調査いたしまして、特定土地区画整理事業のあり方について検討を図ってまいりたいと思っております。
#62
○二宮文造君 要するに、かたいものではない、状況の変化に応じて随時手心を加えていくというふうな趣旨の御答弁のように理解いたしました。
 昨年の三月に、第四期住宅建設五カ年計画の始期に合わせまして、五十六年度から向こう十カ年間を対象期間とする宅地需給長期見通しをおつくりになりました。それによりますと、全国の宅地需給量は五十六年度から六十年度で六万二千五百ヘクタール、それから六十一年から六十五年で六万七百ヘクタール、このように伺っておりますが、このうちで区画整理による供給分はどれぐらい見込んでおりますか。
#63
○政府委員(吉田公二君) 宅地需給量のうち区画整理によります供給分につきましては、昭和五十六年度から六十年度までの五年間に一万九千五百ヘクタール、三一%になりますが、さらに六十一年度から六十五年度までには二万ヘクタール、これは三三%の供給を見込んでおります。なお、念のためでございますが、従来の宅地供給の推移から見ますと、全体として四十七年度をピークとしてずっと下降しているわけでございますが、区画整理によります供給だけは大体減らないできているという形でございます。
#64
○二宮文造君 いまの国の宅地需給長期見通しとうらはらの関係にあると思うんですけれども、昨年の十月に「都道府県宅地需給長期見通しの策定について」という題をつけて依頼通達をお出しになった。これは集計ができかかっているんじゃないか、あるいはできているんじゃないかとも思うんですが、この集計の結果はどうでしょうか。要するに、その中で区画整理による供給分が国の方とマッチできるのかどうか、この辺いかがですか。
#65
○政府委員(吉田公二君) 確かに昨年の十月に各都道府県にお願いをしたところでございまして、現在各都道府県においても作業を進めておりまして、相当数のところからはすでに資料が出てきております。ただ、全部そろっているという段階までは至っておりません。この中には当然、区画整理による供給見通しについても推計されているわけでございますので、これがそろいましたらまとまるわけでございますので、まだ出ていないところについてはなるべく早く出してもらうようにお願いしているところでございます。
#66
○二宮文造君 傾向としてはどうですか、大体予期した方向でまとまりつつあるということでしょうか。
#67
○政府委員(吉田公二君) 現在出てきておりますそれぞれの県では、私どもが考えていたのとおおむね合っているような内容でございます。
#68
○二宮文造君 次に、改正点に入りますけれども、これまでになぜ地方住宅供給公社に施行権能を付与しなかったのか、これはどうなんでしょうか。そしてまた、それとうらはらになるんですが、ここに至ってそういう施行権能を付与するという必要性はどういうことでしょうか。
#69
○政府委員(加瀬正蔵君) 施行権能を付与する、今回改正をお願いしている理由でございますが、地方住宅供給公社は、地方におきます住宅供給の実施機関の一つとして重要な役割りを果たしているわけでございますが、近年の宅地需給の逼迫に対しまして事業の一層の推進を図る必要があるわけでございます。従来、同公社所有地と公社以外のものの所有地が混在している場合には、組合施行あるいは個人、共同施行の形で事業を実施施行してたわけでございますが、組合施行あるいは個人、共同施行では、同公社以外の地権者が施行者としての責任を負うことを嫌う等の問題があったわけでございます。今回の改正によりやや遅きに失した嫌いはあるかもしれませんが、地方住宅供給公社が単独で施行した事業の責任を負って事業を行うことによりまして、こういった問題を解決し、同公社の目的とします居住環境の良好な集団住宅の用に供する宅地の供給を一層推進することとしたわけでございます。
#70
○二宮文造君 じゃ、そういうことをすることによって、どの程度の事業量の拡大が期待できるんでしょうか。
#71
○政府委員(加瀬正蔵君) 現在、私どもで持っている資料によりますと、六十五年までで千二百ヘクタールほどの宅地の供給が今回の改正によりまして可能かと考えておるわけでございます。
#72
○二宮文造君 助成措置を聞き漏らしましたが。
#73
○政府委員(加瀬正蔵君) 助成措置でございますが、三つほど大きく分けてございます。その一つは、土地区画整理組合、住宅・都市整備公団等と同じように、施行地区内の一定規模以上の都市計画道路を用地買収方式で整備する額を限度といたしまして、組合等区画整理補助事業、これは道路特会の予算の項目でございますが、この金で補助を行うことができるようにしたということが一つ。それから二番目に、住宅宅地関連公共施設整備促進事業による補助を行う対象とするということ。三番目に、住宅金融公庫の貸し付けの対象とする。大きく言いますとこういった三つの助成措置などが行われることとなるわけでございます。
#74
○二宮文造君 次に、第二の改正点であります「換地計画に関する専門的技術を有する者の養成確保」、これは第二点目の改正の目玉でございますけれども、五十六年三月末現在で千八百七十一の市町村が都市計画法の適用を受けております。このうち区画整理事業を経験していない都市というものの数はどのくらいでしょうか。
#75
○政府委員(加瀬正蔵君) 土地区画整理事業が未経験である市町村でございますが、これは土地区画整理事業が地権者の権利を大きく変換させるものであるために、事業に対する地権者の理解と合意を得るにかなりの時間を要することとか、あるいは換地減歩といったような独得な事業手法をとるために、地権者の啓蒙を図りながら事業化をしていくということに非常に高度な専門知識が必要だということが理由でございますが、現在未経験の市町村数は八百七十九というふうに承知しております。
#76
○二宮文造君 大体四〇%弱の市町村が都市計画法の適用を受けながら区画整理事業に未経験だということのように伺いました。これは細かいデータはいただいてないのですが、地域的に進んでいる地方とおくれている地方とこうあるんですが、これは差し支えなかったら方面方面でおっしゃって、細かい数字は要りませんが、どの方面は進んでいる、たとえば私は中部なんかえらく進んでいるというふうに聞いているわけですが、この辺は地域的にどうという判断ができましょうか。
#77
○政府委員(加瀬正蔵君) これもちょっと細かい数字は持ち合わせていないんでございますが、たとえば愛知、静岡あたりの中部地区は非常に進んでおりますし、山梨県等はほとんど区画整理事業がない。概して東の方に区画整理の未経験市町村数が多くあるというような傾向はございます。
#78
○二宮文造君 それは、先ほどもちょっと指導できる人がいないとか、それからまた効果が十分理解されていなかったとかいうような理由もおっしゃっておられましたが、現在都道府県及び市町村の区画整理担当職員はどれぐらいいらっしゃいますか。
#79
○政府委員(加瀬正蔵君) 現在、都道府県及び市町村の区画整理担当職員は、五十六年三月末現在におきまして全体で約一万七百人おります。
#80
○二宮文造君 それからもう一つ、組合等の指導助言をしている職員。
#81
○政府委員(加瀬正蔵君) 一万七百人のうち、組合等を指導助言している職員は約八百人でございます。
#82
○二宮文造君 そうすると、さっきのいわゆる既成市街地をつくり上げていくという長期の目標がございましたが、昭和六十五年ごろまでにはどの程度の専門家の養成が必要であると計算されていますか。
#83
○政府委員(加瀬正蔵君) 事業を行っているところあるいは計画中の地区に各一名ずっという前提で考えますと、六十五年までに八千人程度の専門家の養成が必要と考えております。
#84
○二宮文造君 そこで、これは区画整理士と呼んでいいんでしょうかどうでしょうか、仮称と言われていますが、五十八年度に第一回目の技術検定試験を行う予定のように伺っておりますけれども、どのような人たちが受験されますか。
#85
○政府委員(加瀬正蔵君) 私どもが現在期待しておりますのは、地方公共団体の職員あるいは公団の職員、民間コンサルタントの職員あるいは土地区画整理組合の役職員といった方々が技術検定試験を受験していただけるものと考えております。
#86
○二宮文造君 これはすでに質問があったかどうか、ちょっと私、先日おくれて入りましたのでダブるかもわかりませんけれども、受験資格とか試験科目とか、あるいはその試験の一部免除とかというようなことは、大体方向としてどうお考えになっていますか。
#87
○政府委員(加瀬正蔵君) 受験資格につきましては、学歴と土地区画整理事業に関します実務経験年数とを考慮して決めたいと考えております。
 試験科目につきましては、現在のところ学科試験と実地試験の二本立てとしまして、学科試験におきましては、土地区画整理事業に関する一連の学識の有無の判定、実地試験におきましては、事業の円滑な推進を図る上で必要とされます高度な専門的応用能力の有無を判定するということを考えております。
 それから、試験の免除でございますが、これは法案成立後速やかに、学識経験者あるいは土地区画整理事業の関係者から成る技術検定試験実施方法検討委員会、これは仮称でございますが、こういうものを設けまして検討を進めまして、ほかの資格をお持ちの方で一部試験免除をすることが可能な者等につきましては、そういった措置を講ずることを検討してまいりたいと思っております。
#88
○二宮文造君 そこで、土地改良法に基づきます農地の換地計画を作成する土地改良換地士という制度、制度というか、方がいますが、これは適当な名前かどうかわかりませんが、一応区画整理士と呼ばしていただいて、この場合はその土地改良換地士の宅地版だというふうに言われる向きもあるわけですが、宅地と農地にかかわる違いは別としまして、権能の違いといいますか、どういうところにあるんでしょうか。
#89
○政府委員(加瀬正蔵君) 土地改良換地士の場合には、農用地の集団化に関し専門的な知識、経験を有する方という位置づけで、土地改良区が換地計画を定めるに当たって、当該換地計画に対する意見を述べる権能を法律上付与されておるわけでございます。それに対しまして、今回提案しております技術検定制度につきましては、これは換地計画に関する専門的技術を有する方の養成確保を図りまして、もって土地区画整理事業の円滑な施行を進めるということがねらいでございます。その合格者に対しまして特に法律上の権能を付与することとはしておりません。したがいまして、独占、排他的な権能を法律で付与していないという点に大きな違いがあろうかと思います。
#90
○二宮文造君 いま説明ありましたように、土地改良換地士の場合は、換地計画を定める場合に換地士の意見を聞くということになっていますが、この場合にはその必要がない。しかし、土地の所有者が個人または共同で、あるいはまた組合をつくって区画整理事業を施行する場合に、区画整理士の意見を聞いて換地計画を作成すべきだとした方が進むんじゃないんでしょうか。なぜ区画整理士といま言われている人たちの意見を聞けというふうにされなかったんでしょうか。
#91
○政府委員(加瀬正蔵君) 今回の改正によります技術検定制度は、換地計画に関しまして専門的技術を有する者の養成確保を図って事業の円滑な施行を図るということを目的としているわけでございます。法律上権限を明確にしておらないわけでございますが、この合格者は、換地計画に関しまして資質の高い専門的技術者として建設大臣の検定を受けるわけですから、公認されるわけでございます。各事業の状況に応じて活用をされることが望ましいということをわれわれは期待しているわけです。
 それぞれの事業の段階で十分活用されるものと思われますが、区画整理士の意見を聞くことを義務づけることにつきましては、すべての個人あるいは組合施行者に一律に区画整理士の関与を義務づけることになりまして、技術能力がすでに十分である施行者についてまで手続が複雑化されるという面のデメリットがあるというような問題もございますし、事業の円滑な施行の促進という目的に照らしましてそこまでは考えなくてもいいということで、ただいまのような形での資格ということをお願いしているわけでございます。
#92
○二宮文造君 最後の問題は、これから区画整理をどんどん進めていく、そのためにいろいろな手法、こういう法改正までして進めていこうという意図はよく理解できるわけですけれども、区画整理事業施行済みの土地の市街化の促進がまたついて回ると思うんです。いただいた資料によりますと、三十七年から五十一年に認可されました土地区画整理事業を対象に、事業が完了した地区における五十六年末現在の未利用宅地の状況を調査した資料をちょうだいしておりますが、全国で六万六千百四十一ヘクタール事業を完了した、そのうち未利用宅地面積が約三五%ぐらいになりましょうか、一万八千三百八十五ヘクタールが未利用宅地になっている、こういうふうな状況の資料をちょうだいしております。
 特に具体的に、埼玉県朝霞市内の国鉄武蔵野線北朝霞駅と東武東上線朝霞台駅が交わる一帯の北朝霞土地区画整理事業の場合、四十九年度に事業が完了しているにもかかわらず市街化率が五三・六%、このように数字が出ておりますが、区画整理事業の地区内で市街化が大幅におくれている原因というのは一体どのように分析されておりますか。具体的にこの朝霞に限って説明いただいて、あと類推するということでも結構ですが、それらも含めて御答弁いただきたい。
#93
○政府委員(加瀬正蔵君) 土地区画整理事業は、全面買収事業と違いまして地権者の全員の協力のもとに事業を実施するために、実施済みの土地の市街化につきましては、本来土地所有者の宅地化の意欲いかんに係るところが大きいわけでございます。さらに小中学校等の公益施設や店舗等の日常利便施設といったものが整備されておりませんと、なかなか市街化は進まないという要素はございます。こういった関係から、通常区画整理事業地区内の市街化にはかなりの時間がかかるというのが実情でございます。
 埼玉県のいま御指摘の個所の場合には、おっしゃるような数字でございまして、順調に進んでいるとは言いがたい状況にございます。また、この地区におきまして市街化していない土地の利用状況を見ますと、ほとんどの土地が畑や駐車場等として利用されているわけでございます。こういった畑や駐車場等は、地権者の生活上の都合から急激な市街化が困難な側面もあると考えております。こういった地区を初めとしまして土地区画整理事業施行地区の市街化促進を図るために、埼玉県では、私どもがさきに出した通達に基づきまして市町村等を強力に指導するとともに、市街化促進のためのマニュアルづくりに取りかかっておるわけでございまして、建設省におきましてもこれに積極的に協力して、市街化を進めるように努めてまいりたいと思っているわけでございます。
#94
○二宮文造君 あと二、三点あるんですが、時間の関係もございまして、そういう意味で多少整理しながら質問させていただきますが、せっかく区画整理事業が完了した、ところが市街化の促進がいろいろなかっこうでうまく進まない。しかし、こいねがわくは、せっかくでき上がった区画整理事業でございますから、そこに新たに市街化が促進できるようにこれまでもやられてきたと思いますし、特に五十七年度からは、たとえば公共団体から手を差し伸べるとか、あるいは段階的に区画整理を進めて、三〇%ぐらい農地は残してもよろしいんだというふうな手法を取り入れたり、市街化促進策をとられているようです。しかし、段階的な土地区画整理事業ということについても、何かむずかしいんですが照応の原則というのがあるんですか、土質が同じで同じような条件でというような問題があって、これもなかなかおっしゃるようにうまく進まないんじゃないかとも思うわけです。特に市街化を促進する、住宅を建築するという側面からいいますと、こういう問題が出てくると思うんです。
 先刻御承知だろうと思うんですが、区画整理済みの保留予定地を購入して住宅を建築する場合に、金融機関から融資を受けたい。ところが、まだ保留地ですから登記してありません。ですから、その場合に保留地譲渡台帳の作成をして、そしてその書類をもって確かに将来地権者になるということで融資が受けられる、こういうふうな道をつくってあげるということで、保留地譲渡台帳の作成を施行者に義務づけるということは検討されたやに伺っておりますが、それが今回の改正では見送りになった。一体それで差し支えないのかどうか。これを義務づけなくても促進は可能なのかどうか。これをどうカバーされたのかという問題をお伺いし、あわせて、最後に大臣にお伺いしたいんですが、このように市街化の速度が大幅に鈍いということは、せっかく区画整理事業をやっても問題だ。したがって、施工完了後一定の期間内に市街化するように義務づけたらどうだろうとも思うんですが、この点についての大臣の答弁を伺って、質問を終わりたいと思います。
#95
○政府委員(加瀬正蔵君) 先に私の方から、いまの保留地予定地の関係の御答弁を申し上げたいと思います。
 保留地予定地の担保能力を高めるために、たとえば台帳等をつくるということによりまして金融機関からの融資を受けやすくするということが私どもとしても望ましい方策であるということを考えておりまして、検討をさせていただいたことは事実でございます。これにつきまして、今回の改正には検討が間に合わなかったわけでございますが、一部の地方公共団体におきましては、保留地に関する権利関係の変動を記載する台帳を実質的に設けまして、これを保留地譲渡台帳としまして、保留地に関係する権利者の便宜に供している実態がございます。もちろん、法律的な裏づけはなくて、台帳の記載に公の信用力がないわけでございます。
 建設省としても、保留地予定地処分から換地処分に至るまでの間、権利関係の変動を明確にするために、台帳制度というものの検討を引き続き行っているわけでございますが、これを法制度として実効あらしめるためには、登記簿のように少なくとも権利関係を公示する公の台帳として位置づけなければならないわけでございます。こういったことになりますと、民法あるいは不動産登記法の特例規定にもなりかねないということでございまして、その辺のことをさらに慎重に検討していくということで、今後の課題とさせていただいた次第でございます。
#96
○国務大臣(始関伊平君) 土地区画整理事業に対しましては国が総事業費の二〇%ぐらいのものを補助して行うわけでございますし、いろいろな手数をかけて各方面の協力のもとに土地ができたのに、それが未利用のままで長く放置されておる。もちろん余り感心したことではございませんで、自動車の駐車場に使うとか畑にするとかいうのならまだいいにいたしましても、草ぼうぼうと生えているというようなところもある。私どももしばしば見受けるところでございまして、こういったような状況は残念だと申すよりほかございません。
 ただ、しかしながら、いまお話しのように市街化に対する義務づけあるいは住宅をつくるという義務づけ、これを裏返して申しますと、休閑地のままでうっちゃっておくのなら休閑地税というようなものを課すべきではないかということも言いたくなるような議論でございますけれども、一方におきまして、区画整理事業というのは土地所有者、地権者の同意が前提となって行われるわけでございますから、余りその辺を窮屈にやりますと、区画整理事業の進行そのものが根本的に阻害される心配がないとは言えない。
 それから、なおまた、区画整理地域の中で畑なら畑をやるということと、その外で農業をやっている者とのバランスの問題もあるというようなことでございますので、ただいまの御指摘の点は一つの大きな問題点として十分認識をいたしておりますが、市街化を促進するためには、いわゆる誘導措置といたしましてショッピングをつくって生活に便利にするとか、官公庁の出先機関をつくるとか、要するに理想的な住宅街をそこにつくるための必要な諸条件を整備するというようなことが先行いたしまして、それに伴って宅地開発が促進されるというような方法をいま講じておるわけでございます。大変なまぬるい考え方でございまして、私ども遺憾に思っておりますが、いまのところではそういうような方法で間接的に助長していく、あるいは誘導化していくとかというような方法しかないというふうに考えております。今後とも検討してまいりますが、その程度でお答えといたします。
#97
○上田耕一郎君 本日審議しております土地区画整理法の一部を改正する法律案の最も大きな柱は、地方住宅供給公社に事業施行権を付与するということです。
 ここで、一つお伺いしたいんですけれども、住宅・都市整備公団の場合は、公団法にちゃんと一節を設けて土地区画整理事業が規定されている。地域振興整備公団の場合は、一条を設けて住宅・都市整備公団のその項目を準用するということになっておりますが、今回地方住宅供給公社の場合は、供給公社法の改正は行わずに土地区画整理法の中に入れてあるというふうになっておりますけれども、その理由は何でしょうか。
#98
○政府委員(加瀬正蔵君) 現在、市街地開発事業の手続規定は、土地区画整理事業以外の、たとえば新住宅市街地開発事業、市街地再開発事業等につきましては、公団法、公社法等の組織法ではなくて、事業法自体公団の場合でも定められております。地方住宅供給公社の施行する土地区画整理事業につきましても、こういった例にならいまして、事業法である土地区画整理法にその手続を規定することが妥当であると考えまして土地区画整理法の改正としたわけでございます。
#99
○上田耕一郎君 公社法の改正でもやれることはやれるんですか。
#100
○政府委員(加瀬正蔵君) 法律的には可能ではなかろうかと思います。
#101
○上田耕一郎君 じゃ、なぜ同じ住宅・都市整備公団の場合は公団法でやって、供給公社の場合にはこういう手法をとったのか。法的な意味は。
#102
○政府委員(加瀬正蔵君) 強いて法律的な意味を申し上げますと、住宅・都市整備公団あるいは地域振興整備公団の土地区画整理事業につきましては、両公団が市街地の整備を行うことを目的として掲げておりまして、しかも土地区画整理事業が市街地整備の中心手法として決められているという重要な事業であるという理由から、公団法で書く方が適当ではないかと考慮されたためではなかろうかと類推しております。
#103
○上田耕一郎君 担当者が類推しているというのはちょっと妙だと思うんですけれども、公社の場合は、公社自身が土地を全く所有していなくても、建設大臣が認めれば土地区画整理事業を施行できるんでしょうか。
#104
○政府委員(加瀬正蔵君) 土地を全然持っていない場合にはできないというふうに考えております。
#105
○上田耕一郎君 五十六の供給公社があるそうですけれども、二つの県、あるいは二つの市以上にまたがって区画整理事業をやる場合、その公社はよその県あるいはよその市になりますね。その区域まで事業をすることができることになるでしょうか。
#106
○政府委員(加瀬正蔵君) 地方住宅供給公社の土地区画整理事業は、都市計画法に定められた施行区域において施行することとされているわけでございますが、現状都市計画区域が都道府県の行政区域を越えて定められたという例はございませんし。当面考えられないので、御指摘のようなことは考えられないと思います。
#107
○上田耕一郎君 しかし、五十万以上の市の供給公社の場合、他市にもちょうど境のところで少しまたがるというようなことはないわけですか。
#108
○政府委員(加瀬正蔵君) そういった場合に、二つの区域にまたがって行政区域を越えて都市計画区域を定めるというような実態がございますれば、法律的には可能かと思います。
#109
○上田耕一郎君 やれないことはないということですね。
 さて、土地区画整理事業そのものについてきょう少し取り上げたいんですけれども、建設省にお伺いすると、こういう手法があるのは日本と韓国と台湾だけだということですけれども、なぜ欧米諸国にはこういう手法がないんでしょうか。
#110
○政府委員(加瀬正蔵君) 突然の御質問でございますので、ちょっとお答えが的確かどうかわかりませんが、もともとはドイツからこの手法を取り入れたというふうに私どもは承知しております。
#111
○上田耕一郎君 歴史の問題は私ももう少し調べたいんですけれども、もし私どもが聞いたように、日本、韓国、台湾だけでやっているということになると、かなり特殊なものだと思うんです。韓国、台湾というのはかつて植民地にしたことがあったんで、どうも日本がドイツから取り入れながら、日本がつくり上げていった手法じゃないかと思うんです。建設省編の「日本の都市」を見ますと、明治四十二年の耕地整理法からこの手法が始まって、関東大震災、それから戦争中の軍都整備、なかなかこわいですね、軍都整備、それから戦後の戦災復興、こういう特別都市計画法などという手法でずっと使われてきた。昭和二十九年に単独法で現行法が制定されたという歴史を持っているんです。それで答弁をお伺いしますと、既成市街地八十三万ヘクタールのうち約三分の一をこの手法で行ってきたというので、なかなか大変な役割りを果たしているというんです。
 それで私は、欧米でこういう手法が行われていないということには、やはり欧米の権利意識、これに非常に触れる手法なので使えないということがあるんじゃないかと思うんです。あるいは地域的に非常に日本ほど狭くなくて、こういう既成市街地を区画整理ですっかりひっくり返してやり直すというようなことが不必要だということもあるかもしれぬし、向こうは石づくりでなかなかぶっ壊せない、日本は木と紙でできていて、簡単に引っ張ったりなんかやりやすいというようなこともあるのかもしれないけれども、根本は国民の権利に対して非常に重大な侵害を行う。明治以来、上からの強権的な都市建設にとって非常に効率的で使いやすい法律であったということがあるのではないかと思うのです。
 もっとも、私もまだ全部研究しておりませんので、日本、韓国、台湾だけということをお聞きして、どうもなかなかそこら辺に大きな問題があるんじゃないかなというふうに感じたんですけれども、たとえばもう亡くなられましたけれども、有名な文芸評論家の平野謙さんは世田谷の区画整理問題でみずから会長になられて、こういう「区画整理法は憲法違反」という平野さんの本が一冊あるぐらいなことなんです。ところが建設省の方は、そういう平野さんがもう憲法違反だと言って一冊本を書かざるを得なかったこの区画整理事業について、都市計画の母と言われているとこの本にも書いてありますし、「区画整理」というパンフレットにも「都市計画の母」という大変高い位置づけをされているわけです。
 しかし、現実には私どものところにも区画整理事業問題での紛争、権利の侵害に対する訴え、その他たくさん持ち込まれてきております。加瀬局長は、今度の法案の中の専門的技術者養成の効用について衆議院の議事録を見ますと、その効用は三点あると。その三点の一つに「紛争の未然防止」ということを述べておられるんです。そうしますと、実態としては区画整理をめぐる紛争がかなり多く存在することも、建設省自身も認識しているということなのではないかと思うんですけれども、区画整理関係で行政不服審査だとか、訴訟だとか等々の紛争の実態はこれまでどのくらいになっているか、お答えいただきたいと思います。
#112
○政府委員(加瀬正蔵君) 土地区画整理事業に関しまして昭和五十五年度に建設大臣及び都道府県知事あてに提起されました不服審査申し立て件数は約一千五百件でございます。それから全国の訴訟提起の件数は二十九件でございます。
#113
○上田耕一郎君 年間千五百件の行政不服審査が出てくるというのはかなりの数だと思うんです。
 ところで、事業計画と換地計画の二つについては二週間の縦覧を行い、意見書を出せると。で、審議会で審議することになっておりますけれども、意見書はどのぐらい出てきますか。
#114
○政府委員(加瀬正蔵君) ちょっといま手元に数字がございませんので、後ほどお届けしたいと思います。
#115
○上田耕一郎君 なかなかこの意見書は、地方自治体施行などの数を全部集めていないようなんで、私どもがいただいた住宅・都市整備公団施行のものを見ますと、これは五十一年度から五十五年度まで、五十一年度三件、五十二、五十三、五十四がゼロです。五十五年度はたった一件という数字があるんです。これを見ると、とにかく意見書はどうも非常に少ない、しかし紛争は非常に多いということがあるんです。これは私はかなり根本問題があるように思うんです。実際にトラブルが起きる例を調べてみると、作風は事業計画が決まって二週間縦覧といっても、ほとんど、まるっきり知らない。そのうち説明会なんかあって、おお、そうかということになる。ところが、土地区画整理については皆さん余り知らないので、道路ができるそうだ、補償金が大分もらえるなとまず思う。説明会も来て、いや、ちゃんとその権利は保障しますとか何とかいう説明なので、余りよくわからぬ。
 そのうちに減歩が始まって、土地は出さにゃいかぬ、ありゃりゃということになって、それで減歩だけじゃなくて清算金で金まで取られる、これは話が違うじゃないかというので紛争に持ち込んでいる。しかし、そのときにはもう手続は全部済んでいて、不服審査を出すしかない、訴訟をやるしかないということになっちゃうわけです。だから意見書がどのぐらい出てくるかも建設省はしっかり、当然調査しておく必要があるんじゃないかと私は思うんですけれども、私の見た公団関係で、こんなに意見書がほとんど出てこなくて、しかし実際には紛争は、建設省のつかんでいる数字でさえ年間千五百件というとかなりのものになるわけです。
 これは私が申し上げたような、大体住民の意見をよく聞いてやるというたてまえにはなっているけれども、実際には住民の目の届かないところで形式的に計画が二週間縦覧される、この間は何も意見書は来ない、余りみんな知らないから意見識を出す機会もないし、知識もない。実際に事業が進んでいって、おやおやということで、平野さんなんかもそのケースだろうと思うんですけれども、反対運動の会ができて大運動が起きてくるというケースが非常に多いんじゃないかというように思うんです。住民運動は全国各地でできておりまして、区画整理対策全国連絡会議という全国組織まで生まれているわけです。
 それで、たとえば訴訟や行政不服審査の中身について、どういう問題が一番問題になるのか、どういう傾向になっているか、おわかりだったらお答えください。
#116
○政府委員(加瀬正蔵君) 紛争の大部分は仮換地指定処分及び換地処分を行うという時点で生じておるわけでございまして、そのうちの一部が不服申し立ての契機になっているわけでございます。そのほかに、土地区画整理事業の事業計画の決定時あるいは建物の移転通知時といった時点でも紛争が生じております。
#117
○上田耕一郎君 やっぱり減歩問題、それから仮換地問題、拠地処分ですね、それから清算金というのが多くの問題のようです。
 私は建設大臣に、おととしの八月十五日に行政不服審査の請求が出された東京豊島区の大塚駅前の区画整理問題を一つ実例として取り上げたい。これは新聞でも報道されてかなり有名になっているケースなんですけれども、東京都の戦災復興計画の一つです。それで戦後すぐ始まったんだけれども、うまく進まないので、昭和三十二年に三分の一に東京都が計画縮小する、十地区になって、その十地区のうち、たった一つまだ完成していないのがこの大塚駅前なんです。――換地処分が行われたので一応完成ということになりますかな。しかし、一応完全に終わるのは昭和六十一年と言われております。
 それで、大体これまでに、事業決定が昭和二十四年ですから、三十一年間かかっています。最初決定したときは三年間の計画だったのが、いままでに三十一年かかった。昭和六十一年完成ということになると、約三十六年かかる大変な事業になるんです。権利者数は二千三百名、施行面積が五十二ヘクタール、公共減歩率が二五・八%なんです。
 なぜ大問題になったかと申しますと、おととしの五十五年六月二十日に換地処分通知、減価補償金の通知を受ける。その減価補償金それから清算金の通知を受けてみると、一番多い人は千八百万円金を払えと。四百万、五百万円払えという人はかなりあるわけです。それで二五%減歩して土地を取られて、もう二、三十年たっているわけでしょう、それですっかり忘れたころ、さあ何百万円払え、一番多い人は千八百万円というのでびっくりしまして、勉強会を開いたり対策協議会ができたりした。しかし、法的にはもう一切手段がないというので、行政不服審査請求ということになったケースなんです。私どもも実態を調べまして、対策協議会の方々にもお会いして現地も調査したんですけれども、確かに法的には不備がないかもしれぬ、法的にも、後で述べますが、一つ私には重大な疑問がありますが、余りにひどいと思うんです。
 ちょっと実例を知っていただくために、この中で副会長の大杉留治さんという七十九歳のお年寄りの方の実例を挙げたいんですが、これは御本人が書きました地図なんです。(地図を示す)ここに昔私道があって、ここに三十坪の家があった、大谷石の塀だったらしいです。それでかわらぶきの家を持っていたんですって。これが、この私道がなくなって大きな通りになって、ちょっと動いたわけですな、それで大通りに面した。それで八坪取られて、つまり計算すると約二六%減歩です。それで四間三尺の幅が三間になった、ウナギの寝床みたいに長くなっちゃったんです。
 もとはここは私道で大変よかった、家も全部取り壊して動かした、もうかわらぶきの家は建てられなかった、移転補償はもらえなかった、この方がどういう通知になったかと申しますと、減価補償金は八坪減って十五万七千八百九円、清算額が四百八十六万。結局四百七十万四千八百九円払え、利子が七十万五千九百五円ついていて全部で五百四十一万五百十四円払えということになったんです。七十九歳のお年寄りで、お店をやっているわけでなくて、もとよりは悪くなった、それで狭くなって、そこへ五百四十万円払えという通知が来て大変びっくりした。売ってもうける余地も全くない。それで七十九歳にもなってどうしてこんな五百万円も払えるだろうかということで嘆いておられるんです。八坪減って、減歩というのはいつも問題になるのだけれども、減歩した上にこういう方が五百何十万円もいきなり払えということがくることについて、これは少し現状もお調べいただいたはずなんですけれども、法的にどうこうというよりも、こういうことで土地区画整理事業というのはいいのでしょうか、その点の見解をお伺いしたい。
#118
○政府委員(加瀬正蔵君) 御指摘のような個々の事案につきましては、現在不服審査請求も出ておりますので、ちょっと一般的にお答えさせていただきたいのでございますが、清算金といいますのは、換地相互間に不均衡が生じた場合に不均衡を是正するために施行者が、土地区画整理事業の施行による宅地の利用価値の増進が施行地区内宅地の平均増進率以上であるものから徴収するというたてまえになっているわけでございます。また、これを下回るものに対しては清算金を交付するということになっております。換地設計に当たりましては、こういった不均衡ができるだけ小さくなるようにしまして、清算金が多額となることを極力避けるということが望ましいわけでございますが、たとえば建築物が従前地いっぱいにあったというために、減歩率が地区の平均減歩率と比較して極端に小さくなった場合とか、あるいは規模が大きな宅地で、その評価額が高いといったような場合には多額の清算金が生ずることでございまして、一般的にはこれはやむを得ないんじゃないかと考えておるわけでございます。
#119
○上田耕一郎君 いや、一般的にはやむを得ないんじゃないかというのは、これは局長としては当然でしょうけれども、一般的にやむを得ないというやり方でやっていった場合にこういうケースが出てくると、このケースがもし問題だとすると、一般的なところも考え直さなきゃならぬというような一つの重要な具体例だと思うんです。
 なぜこういうことになるのか。これで考えられることは、一つは、当初昭和二十四年に事業計画を決めて、三年でやるつもりのものが三十年かかっている。もし最初のように三年ぐらいで済んでいたら、幾ら清算金を計算してもそう大した額じゃなかったんだろうけれども、その後の長期の事業のおくれによって地価の物すごい上昇があり、その結果、八坪取られた上に五百四十万払わなきゃならぬということになったんじゃないかと、まず常識的に考えられるんですけれども、そうなると、施行者側の事業のおくれがこういうことになると思うんです。この地価上昇は土地区画整理によるものじゃないです。土地区画整理による地価の上昇じゃなくて、東京全体のこの三十年間の地価上昇がこういうふうに清算金の計算にも出てくることがあるんじゃないかと思うんですが、その点どうなっているんですか。
#120
○政府委員(加瀬正蔵君) 土地の評価の問題になるかと思いますが、土地区画整理事業におきましては、路線価式評価方法が広く用いられております。これは、各路線ごとに標準的な間口と奥行きを有する標準的な宅地につきまして、その宅地自身が持っている価値、これは宅地係数と申しますか、その宅地が接する道路によって受益する価値、これは街路係数と申します、及びその宅地が近隣にある学校、駅等の施設により受益する価値、これは接近係数と言っておりますが、こういった係数等を総合的に評価しまして、標準宅地と比較することによりまして他の宅地を評価するという方式をとっております。こういったものにつきましては、一応私どもとしては路線価式評価方法は客観的、科学的なものと考えておるわけでございます。
 それからさらに、それの評価の時期の問題になるかと思いますが、土地区画整理事業におきましては、整理前及び整理後の土地の評価につきましては、路線価式評価方法等によりまして同一の時点で――時点のとり方は、通常は工事の概成時にポイントを置いているわけでございますが、そういった時期におきまして整理前と整理後の評価を同時に行うということでございまして、一般的な地価の上昇というものをそういう観点から除外しているというふうに考えております。
#121
○上田耕一郎君 このケースは、評価算出時点は昭和四十六年、工事概成期がですね。だから、そのときの時価でやったんだから、一般的な地価上昇は除外していると言われるかもしれぬけれども、昭和四十六年に算出したからそうなっちゃうんで、もっと早く、昭和二十何年に算出していればこんな額にならぬということはあるんじゃないですか。そうすると、その意味では、その時点では確かに施行前と施行後でその地価上昇を考えていなくても、やった時点がうんと違うんだから、この間の地価上昇というのは、たとえばこの人たちが具体的にどれだけ払わなきゃならぬということについては、どうしても影響が出てくることになるんじゃないですか。
#122
○政府委員(加瀬正蔵君) この事案のように、異例の長期にわたって事業が行われたということにまず問題があるのかもしれませんが、一般的にはこういった長期にわたって事業が行われることはないわけでございますので、工事概成時におきます評価のとり方については一応やむを得ないのではないかと思います。おっしゃいますように、非常に長期にわたって事業が行われた、その間に異常に地価が高騰したために、ことに地価の高いところで施行前と施行後の評価が行われるということによりまして、清算金の額に影響があるじゃないかという御指摘につきましては、若干そういう面もなしとしないと思いますが、事業を行っていく上でのやり方としては、このようにやるしか私どもとしては客観的、科学的にやる方法はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#123
○上田耕一郎君 局長のいまおっしゃったことは私は重要だと思うんです。やっぱり非常に長い時間がかかった異例なケースだということ、こういうふうに余りに異例に長期にかかった場合には、その算出時点によって地価の値上がりが算出金の金額そのものにある影響を与えることもなしとしないという点は重要だと思うんです。異例でこういうふうになったんで、私はこの不服審査請求についての異例なケース、一般的に問題ないとあなたは思われても、一般的な中には、問題ないと思われるかすかな問題が、異例に三十年にもなると非常に肥大化して、その肥大化されたことが御本人にとってはそれこそ一生の大問題になっちゃう。寝ても覚めてもこの問題をもうどうしようかという問題になっちゃっているケースなので、ぜひそういう点は考慮してほしいと思うんです。
 さて、私がこの問題を調べていて非常に首をかしげた問題は、換地計画と仮換地の問題なんです。これは私は土地区画整理法の最大の問題点の一つじゃないかと思うんですが、大体換地計画というものと仮換地の順序は、建設省のパンフを見ても、仮換地指定を先にやるんです。それから全部事業が済んじゃって、最後に換地計画を立てて換地処分をやるということになっている。お聞きすると、全部一〇〇%大体そういうやり方でやっているという話です。
 ところが、法律を読んでみますと、どうもそう読めないんです。第二節換地計画のところを読んでも、それから第三節仮換地の指定、九十八条を見ますと、「換地処分を行う前において、土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合又は換地計画に基き換地処分を行うため必要がある場合においては、施行地区内の宅地について仮換地を指定することができる。」となっている。つまり二つのケースがあるわけです。後者の方は換地計画を先に立てて、換地処分をやるために必要がある場合というふうになっている。どうも換地計画が先としか読めない。前者については、これは換地計画よりも道路をつくらなきゃならぬから仮換地を動かさなきゃならぬということになっているようなので、仮換地が前のようですけれども、法律は二つのケースがあるんじゃないですか。だから、換地計画を先に立てるケースがあってもいいはずなのに、このパンフレットを見ても、それから調査室がつくったこの表、これは建設省のものだということを私確認いたしましたが、これを見てもとにかく全部仮換地が先になっている。もう一つの例は全くないです。なぜこういうことになってるんですか。
#124
○政府委員(加瀬正蔵君) 仮換地の指定は、先生おっしゃいますように、法律的には二つの場合、すなわち土地の区画形質の変更または公共施設の整備工事のため必要がある場合、それからもう一つの場合としては、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合に仮換地の指定を行うようになっておるわけでございます。実情は、関係権利者の換地につきまして、一応換地計画の決定基準というものがやはり法令上明定されておりますので、そういったものを頭に置きながら仮換地指定を行いまして公共施設等の整備をやっていく、さらに事業が進んだ段階で最終的に換地計画を決めるというのが、事業を行っていく上で一番関係者の合意を得る上でも、また事業の遂行上も皆さんが御納得いただける形であるということから、このようなやり方が一般的になっているというように私ども理解しております。
#125
○上田耕一郎君 私は、なぜこの順序を問題にするかと申しますと、非常に重大なのは、換地計画については二週間の縦覧と意見書提出の機会と権利があるわけです。ところが、仮換地についてはそれがないんです。権利者たちは仮換地のときには通知を受けるだけです、審議会の意見さえ聞けばいいんだから。だから仮換地のときには意見書を出せないんです。それは、意見書を出せと言われても出す機会がないでしょう。ところが、仮換地をやられて、この仮換地というのはほとんど換地計画そのものなんです。将来多少変わるにしても、換地設計をやってそれに基づいて仮換地をやるんだから。そうすると、大体仮換地をやるときに、仮換地をやられてみんな動くわけです、あなたはここだよというので。そこで換地計画と換地処分というのは権利が決まるんだ。権利は動かないけれども、仮にお前動けと言うので家を引っ張っていったり、引っ張っていけない人はほとんど建てかえるわけです。そこへ行っちゃうわけだ。ほとんど事業はそこで済んでしまうんだ。ところが、それについては意見書を出す権利がない、機会がないんです。それで、意見書をいつ出すか。
 最初の事業計画のときに、これもろくに先ほど言ったように余り知らされないし、わからない。説明会がある、いよいよお金がもらえるかというと、お金はもらえないで減歩になる、すると仮換地です。通知が来る、しようがないから引っ越す。そのときには意見は出せない。それで全部事業が終わって換地計画が立って換地処分、さあ、二週間縦覧で意見を出せと。もう意見を出そうといっても全部済んでしまっているんですから、自分もそこに行ってしまっているし。それで、私は局長の言ったこと重要だと思う。その仮換地を先にやる方がスムーズにいくと。それから関係者の同意を得やすい、同意を得やすいわけです、意見書を出せないわけだから。意見書を出す機会がないんです。私はこういうところに非常に大問題があると思うんです。ここに明治以来上からの強権的な土地区画整理手法があるといった内容の一つがある。
 だから、本を読みますと、いまやっているかどうかわかりませんけれども、京都なんかは恐らく蜷川さんの時代でしょう、蜷川さんの時代には、仮換地のときにも住民の異議申し立てを認める余地をつくってそういう制度を実行していたそうです。いまは知りません。やはりそういうことが実際必要なんです。この点いかがですか。そういう順序になっており、住民が実際上意見書を出す機会はない、最後のときにもう意見書を出せと言ったってないので、結局不服審査請求と裁判です、それしかやる余地はないんです。いかがですか。
#126
○政府委員(加瀬正蔵君) 仮換地の指定に当たりましては、換地計画を定めない場合でありましても換地計画策定の基準を適用することとしております。それから指定につきまして、土地区画整理審議会の意見を聴取する等の措置も講じております。さらに、施行者におきましては地域の実情に応じて仮換地計画の策定、縦覧等の措置を講じているところもございます。また、説明会等を開催している場合もあるわけでございます。施行者がこのような手続を講じることは望ましいことでございまして、御指摘のように、地域の実情に応じまして仮換地計画の策定、縦覧を行うときの措置につきましては、いまのような順序で行う場合でありましても、住民の意見が反映されるような措置を講ずるように指導してまいりたいと思っております。
#127
○上田耕一郎君 指導してまいりたいと口でおっしゃっても、これだけの事態は変えることはできないんだし、覆い隠すことはできない。審議会の意見を聞くといっても、個々の住民は異議申し立てをするルートが、また権利も法律上も書かれていないんです。
 それでもう一つ、先ほどの大杉さんの場合は減価補償金ですね、さっき言ったように、八坪取られて十五万円です。この大塚の例では全体で十二億円になっていますね、それも割り振ったんでしょう、めんどうな計算なんでしょう。しかし、八坪取られてわずか十五万円しかもらえなくて、それで差し引き利子を含めて五百四十万円払わなければならないというケースなんです。先ほども申しました平野謙さんは、減価補償金というのは憲法違反だと思う、憲法は公正な補償なしにはということがあるのに、公正な補償なしに減歩というのは土地を取られる、これは憲法違反だと思うということを言われている。土地収用法第九十条には起業利益との相殺の禁止ということが決まっております。土地収用法の場合にはそれが決まっているのに、区画整理の場合にはそれを相殺して計算して差し引き金をもらったり取り上げられたりするということで、これは矛盾があるんじゃないかということも平野さんも、また学者も指摘をしておりますけれども、その点の矛盾について建設省としてはどういう解釈をしているんですか。
#128
○政府委員(加瀬正蔵君) 土地区画整理事業は、宅地の区画形質の変更及び公共施設の整備改善を同時に行う事業でございまして、これによります宅地の利用の増進の範囲内で減歩負担を求めていくものでございますので、個人の財産権を侵害しないその受益の範囲内であるというふうに減歩を私ども考えているわけでございます。
 一方、土地収用法の九十条につきましては、収用等による損失補償と収用残地の起業利益の相殺禁じているわけでございますが、これは土地収用法というものは一般的に付近地における起業利益の徴収制度を設けていないのに、たまたま収用対象者だけからそういう起業利益を吸収するのは適当でないという規定の趣旨でこういう規定が設けられているというふうに私ども理解しておるわけでございます。したがいまして、法律の性質上、両方でこういう規定を置いているわけでございまして、相互に矛盾するという考え方はとっておらないわけでございます。
#129
○上田耕一郎君 私は、土地区画整理法の百九条減価補償金と、それから土地収用法第九十条は明らかに矛盾しているというように思うんです。だからこの減価補償金という考え方は憲法違反でないかという平野さんなどの問題提起は十分な根拠があるんじゃないかというように思う。
 さて、もう時間が参りましたが、大臣に最後にお伺いしますけれども、おととし八十七名の方々から大塚駅前の東京都市計画第十三地区復興土地区画整理事業に関して行政不服審査請求が出たわけです。この方々も補充書などにも書いているのですけれども、三十一年かかってこういう目に遭っている、問題は非常に大きいので、ぜひ建設省は慎重にこれは審査してほしい、ただ東京都から簡単な弁明書をとって、さっとやって、これは法律はこうなんだから却下だという単純な結論を出してほしくないと。三十一年かかってこういうケース、一番多い場合には千八百万円、それから数十万円の方もおりますけれども、私が申し上げた大杉さんは五百四十万円なんです。減歩された上に何百万も取られる。この方は御自分で払えないと言うんです。払えないとどうなるかといいますと、国税徴収法に基づいて滞納分の財産差し押え、公売ということになるんです、みんなそうなるんです。それだけに本当に皆さん方は必死なんです。
 大臣、局長も先ほど、これは三十年以上もかかってしまって非常に異例なケースだと。そのために東京の大きな地価の値上がりが反映して、スピーディーに進んでいたらこの清算金もそれほど生活を破壊するほどの額にならなかったかもしれないのに、インフレーションと地価の値上がりの中で本当に生活を破壊するような莫大な額になってしまっているという非常に異例なケースだと思います。ただ同時に、この中に法律の持っている問題点、きょう私はそのうちの幾つかを申し上げましたけれども、そういう点をよく考慮して、少し時間をかけてこの問題を調査していただきたいと思うんです。それで救済をぜひお願いしたいし、もしこの問題を調査して土地区画整理法の中の問題点その他を発見したら、大胆に勇気を持ってその法律の見直しとか改善にも踏み切っていただく、そういう配慮をぜひ大臣にお願いしたいと思います。その点を最後に御質問して、質問を終わりたいと思います。
#130
○国務大臣(始関伊平君) めったにないような珍しいケースであるようでございますが、同時に、当事者にとりましては重要な、あるいは深刻な問題であるようでございます。その中に、めったにないケースであるけれども、一般的に問題として取り上げらるべきようなそういう要素がございますれば、これは土地区画整理の全体の問題として検討してまいりたいと存じます。
 それから、当該事件の処理につきましても極力慎重に、また綿密に調査いたしまして善処してまいりたい、かように存じております。
#131
○委員長(吉田正雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#132
○委員長(吉田正雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#133
○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、土地区画整理法の一部改正案に対して反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、明治以来の強権的な土地区画整理事業を引き継いだ現行法が、宅地供給を促進するという役割りを果たしている反面、施行区域内の土地の権利者を含む関係住民の権利を著しく侵害するものとなっており、これが今回の改正によってそのまま引き継がれたことです。
 関係権利者の財産的権利を初めとする種々の権利侵害が起きる場合というのは、個人や組合施行の場合ではなく、その多くは地方公共団体や行政庁、公団施行の場合となっています。今回、地方公社に区画整理事業の権能を新たに付与するというのは、こうした権利侵害が起きるケースをさらに拡大することにほかなりません。
 東京都施行の戦災復興事業として行われた大塚駅前の実例でも明らかなように、減歩という名目で憲法の規定する正当な補償なしに土地を取り上げられた上に、数百万円あるいは千数百万円もの清算金を徴収されるという関係権利者に対する財産的侵害のはなはだしいケースが少なくありません。過大な減歩と多額の清算金の徴収は、庶民に対する生活と権利を侵害する最大のものであります。
 このように、国民には犠牲を強制する一方で、幹線道路整備を中心とする計画など、開発優先を貫く姿勢が数多く指摘されているところであります。
 反対理由の第二は、今回の改正が行政側の一方的方針により、上から土地区画整理事業を押しつけるもので、地権者の権利侵害を多発させるとともに、都市計画、町づくりの非民主性をそのまま引き継いで進められるという点であります。
 地方公社がこれまで行ってきた方式は買収方式でありましたが、大都市における全面買収が困難になったとして、今回土地区画整理事業を導入したと言われております。しかし、これは行政側の一方的判断であって、都市計画と区画整理の二つの手続によって勝手に施行区域を決め、事業化してどんどん進めることが可能となることを意味しております。その間、権利者は意見書を提出するぐらいの参加しか認められておらず、この意見書でもそのほとんどは採用されず、事業は進むというのが実態です。しかも、事業の中枢部分である仮換地指定の際は、その意見書を提出する権利も認められておりません。地権者を初め関係権利者の権利、そこにずっと住んでいて町のことを一番よく知っている住民の町づくりに対する意見は、ほとんどと言ってよいほど取り入れる余地がない仕組みとなっています。
 こうした手続上、運営上の非民主性を持ったままの本改正案には反対であります。
 最後に、私は、土地区画整理事業の施行については、あくまで地元住民の生活と権利、営業条件の向上、住みよい町づくりを基本とし、徹底して住民参加のもとですべての資料、情報を公開し、審議会や評価委員会などの審議もオープンにした公開と参加を大原則としたやり方が必要であると考えます。
 特に、施行者側、公共施行の場合、都市計画法、土地区画整理法など専門的で複雑な法律用語で成り立っている事業内容について、一般国民にほとんど実態を知らせないまま事業が強行されていることに深く反省を行い、事業内容、特に権利問題がどうなるかということを官僚的ではなく、誠心誠意住民に説明することが必要であることを強調したい。トラブル発生の原因となっている事業計画と換地計画の縦覧のやり方、意見書の処理、換地指定や換地処分、清算金などについては、この際、抜本的な法律の見直しが要請されています。
 以上の点を強調いたしまして、反対討論を終わります。
#134
○委員長(吉田正雄君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#135
○委員長(吉田正雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 土地区画整理法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#136
○委員長(吉田正雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 坂野君から発言を求められておりますので、これを許します。坂野君。
#137
○坂野重信君 私は、ただいま可決されました土地区画整理法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    土地区画整理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 一、宅地の確保と地価の安定に努めるとともに、土地区画整理事業によって、国民に良質低廉な住宅、宅地特に公共住宅の供給が促進されるよう、地権者の意志を尊重しつつ事業終了後の未利用地の有効利用の促進に努めること。
   また、保留地予定地の譲渡の円滑化を図るため、その担保措置について検討すること。
 二、地方住宅供給公社は、地域の実情に即した住宅、宅地の供給の促進に努めるとともに、国及び地方公共団体は公社住宅の家賃及び譲渡価格の抑制に必要な財政的、金融的援助に努めること。
 三、事業の公正かつ適正な実施を図るための指導を十分に行うとともに、道路、公園等の整備に係る減歩の軽減のため、補助の拡大等に努めること。
 四、技術検定の実施に当たっては、その公正確保に努めるとともに、技術検定合格者に対し、排他的、独占的権限を与えるような指導を行わないこと。
   また、地方公共団体は、関係職員の資質の向上を図り、技術援助の要請等に応じるよう努めること。
 五、国は、地方公共団体等が既成市街地で行う事業に当たり、関係権利者の意見を尊重する等事業の公正な運営が図られるよう指導すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#138
○委員長(吉田正雄君) ただいま坂野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#139
○委員長(吉田正雄君) 全会一致と認めます。よって、坂野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、始関建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。始関建設大臣。
#140
○国務大臣(始関伊平君) 土地区画整理法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。
 審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいりますとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力してまいる所存でございます。
 ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
#141
○委員長(吉田正雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#142
○委員長(吉田正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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