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#1
第096回国会 逓信委員会 第3号
昭和五十七年三月三十日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     白木義一郎君     矢追 秀彦君
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     矢追 秀彦君     白木義一郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         勝又 武一君
    理 事
                長田 裕二君
                長谷川 信君
                前田 勲男君
                大森  昭君
    委 員
                小澤 太郎君
                亀井 久興君
                郡  祐一君
                志村 愛子君
                新谷寅三郎君
                高橋 圭三君
                成相 善十君
                西村 尚治君
                片山 甚市君
                福間 知之君
                太田 淳夫君
                山中 郁子君
                中村 鋭一君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  箕輪  登君
   政府委員
       郵政大臣官房長  澤田 茂生君
       郵政大臣官房経
       理部長      奥山 雄材君
       郵政省電気通信
       政策局長     守住 有信君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        酒井 繁次君
   説明員
       外務省情報文化
       局報道課長    寺田 輝介君
   参考人
       日本放送協会会
       長        坂本 朝一君
       日本放送協会副
       会長       中塚 昌胤君
       日本放送協会技
       師長       高橋  良君
       日本放送協会専
       務理事      山本  博君
       日本放送協会専
       務理事      武富  明君
       日本放送協会専
       務理事      板倉 孝一君
       日本放送協会理
       事        田中 武志君
       日本放送協会理
       事        海林澣一郎君
       日本放送協会理
       事        渡辺 伸一君
       日本放送協会理
       事        荒井 治郎君
       日本放送協会経
       営総務室長    片岡 俊夫君
       日本放送協会経
       理局長      青柳 保夫君
       国際電信電話株
       式会社常務取締
       役        児島 光雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(勝又武一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、白木義一郎君が委員を辞任され、その補欠として矢追秀彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(勝又武一君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に国際電信電話株式会社常務取締役児島光雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(勝又武一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(勝又武一君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。箕輪郵政大臣。
#6
○国務大臣(箕輪登君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十七年度収支予算、事業計画及び資金計画の提案理由につきまして、御説明申し上げます。
 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定に基づきまして、郵政大臣の意見を付して国会に提出するものであります。
 まず、収支予算について、概略を申し上げます。
 事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ四十二億六千万円増の二千八百七十二億三千万円、事業支出は前年度に比べ百五十四億円増の二千八百七十二億三千万円となっており、収支均衡を保っております。
 資本収支におきましては、テレビジョン、ラジオ放送網の建設、放送設備の整備等のための建設費として、三百億円を計上しております。
 また、債務償還に必要な資金の不足額を補てんするため、昭和五十五年度及び昭和五十六年度からの繰越金百十一億四千万円のうち、七十六億二千万円を資本収入に計上することにより、収入、支出ともに三百八十七億三千万円と均衡を保っております。
 なお、この繰越金のうち、残り三十五億二千万円につきましては、翌年度に収支の不均衡が生じた場合の支出に充てるため、その使用を繰り延べることといたしております。
 次に、事業計画につきましては、その主なものは、テレビジョン放送及びラジオ放送の全国普及を図るため、放送網の建設を行うとともに、放送衛星について必要な設備の整備を進めること、視聴者の意向を積極的に受けとめ、公正な報道と豊かな番組を提供すること、受信料負担の公平を期すため、受信料制度の周知徹底を図り、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努めること等となっておりますが、これらの実施に当たっては、極力合理的、効率的運営に努めることといたしております。
 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。
 郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。
 以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審理の上、御承認のほどお願いいたします。
#7
○委員長(勝又武一君) 次に、日本放送協会から説明を聴取いたします。坂本日本放送協会会長。
#8
○参考人(坂本朝一君) ただいま議題となっております日本放送協会の昭和五十七年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。
 協会の事業運営は、きわめて厳しい経営環境にありますが、昭和五十七年度は、昭和五十五年度を初年度とする三カ年の経営計画の最終年度として、所期の目標を達成することとしております。このため、収入の確保に全力を傾注するとともに、経営全般にわたり、極力業務の合理的、効率的運営を推進しつつ、視聴者の意向を積極的に受けとめ、放送の全国普及とすぐれた放送の実施に努めてまいる所存であります。
 次に、昭和五十七年度の主な事業計画について、御説明申し上げます。
 まず、建設計画につきましては、難視聴地域の解消を、より効率的に推進することとして、テレビジョン局の建設、共同受信施設の設置、中波放送局の新設、増力及びFM放送局の建設などを行うほか、放送衛星についても、必要な設備の整備を進めることとしております。
 また、テレビジョン音声多重放送の拡充に必要な設備の整備、放送番組充実のための機器の整備を進めるほか、老朽の著しい放送設備の取りかえ等を実施することといたしております。
 次に、事業運営計画について申し上げます。
 まず、国内放送では、高まる生涯教育への多様な要望にこたえて、幅広く魅力ある番組を編成するとともに、充足感のある特別企画番組を積極的に実施するなど、公共放送の使命に徹し、公正な報道と豊かな放送番組の提供に努めることとしております。また、ローカル放送についても、地域の特性に即して一層の充実を図ることといたしております。
 国際放送においては、放送を通じて国際間の理解と親善に寄与することとし、内外からの要請にこたえて、アジア地域向け放送及び一般向け放送を充実刷新し、あわせて受信の改善に努めることといたしております。
 広報及び営業活動につきましては、地域の特性に即したきめ細かい施策により、幅広い視聴者の意向を積極的に吸収し、これを事業運営に的確に反映させるとともに、受信料負担の公平を期するため、視聴者の生活態様に即した営業活動を積極的に推進して、受信契約の増加と受信料の確実な収納に努める所存であります。
 調査研究につきましては、放送番組、放送技術の向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、一般にも公開することといたしております。
 以上の事業計画の実施に当たりましては、業務全般にわたり、効率化を積極的に推進して、経費節減の徹底を図ることとし、要員については、事業計画の遂行に必要な最小限にとどめ、年度内百六十人の減員を行うこととしております。また、給与につきましては、適正な水準を維持することといたしております。
 これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げますと、事業収支において、収入総額は二千八百七十二億三千万円、このうち、受信料収入については二千八百十一億九千万円を予定しております。これは有料契約総数において、五十万件の増加を見込んだものであります。
 これに対して、支出は、国内放送費などの事業運営費、減価償却費、支払い利息など総額二千八百七十二億三千万円で事業収支において収支均衡を図っております。
 なお、昭和五十七年度の財政を安定させるため、昭和五十五年度及び昭和五十六年度から使用を繰り延べることとしている繰越金百十一億四千万円については、このうち七十六億二千万円を本年度の債務償還のために使用し、残余の三十五億二千万円を翌年度に収支の不均衡が生じた場合の支出に充てるため、その使用を繰り延べることといたしております。
 次に、資本収支は、支出において、建設費三百億円、通信・放送衛星機構への出資に三億四千万円、債務の償還に八十三億九千万円、総額三百八十七億三千万円を計上し、収入には、これらに対する財源として、減価償却引当金、前期繰越金、放送債券及び借入金等を合わせて総額三百八十七億三千万円を計上いたしております。
 以上、日本放送協会の昭和五十七年度収支予算、事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、一九八〇年代における公共放送としての果たすべき役割りがますます重要になっていることに思いをいたし、今後の事業運営に当たっては、協会の総力を結集して、協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
#9
○委員長(勝又武一君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○片山甚市君 ただいま議題になりました予算案について、若干の質疑をさしていただきたいと思います。
 公共放送としてのNHKのあり方について、まずお尋ねいたします。
 放送事業の現状は、民放が全国紙をキーとして全国的なネットワーク化が進み、民放番組の視聴時間量も大きな割合になっておると思われますが、一方、放送大学の発足やニューメディアが次々と実用化されるという状況のもとで、公共放送事業体としてのNHKの現状認識をまずお聞きをしたいと思います。郵政大臣、NHK。
#11
○国務大臣(箕輪登君) きわめてNHKの現況は厳しい状況にございますけれども、やはり国民の期待にこたえていくために一生懸命努力しなければならない、このように考えております。
#12
○参考人(坂本朝一君) ただいま片山先生御指摘のとおり、一九八〇年代を展望いたしますと非常にNHKを取り巻く状況というのは厳しいと、これは長期ビジョン審議会においても御指摘をいただいたわけでございますが、ただ、私ども多少口幅ったいことをお許しいただけば、それらのことを乗り越えてこそ公共放送としてのNHKの存在理由がむしろあるのではないか、そういうことで私はこの難関を何としても突破する決意を持っておる次第でございます。環境が変化いたしまして、視聴者の価値観が多様化しまして放送に対する要望がますます多様化してくる、こういう中で、自主性さらには不偏不党性を堅持いたしまして、公正な放送番組を放送して国民の多様な要望にこたえるということ、これが強くNHKに要請されていることではないか、そういう認識に立っておる次第でございます。
#13
○片山甚市君 NHKを取り巻く環境が複雑で厳しいということは、いまお話しのとおりです。それだけに視聴者の理解と協力が必要であるが、日本放送協会の国内番組基準の前文の趣旨を、この際、国民の前に明らかにし、一層の理解と協力を得るためにどのような努力を払っていかれるのか、会長から御所見を賜りたいと思います。
#14
○参考人(坂本朝一君) その点も片山先生御指摘のとおりでございまして、NHKは放送法の規定に基づきまして国内番組基準を制定いたしておるわけで、日常の番組はこの国内放送番組基準に照らして編成しておるということでございます。したがいまして、そういうことはあらゆる機会を通じて国民の皆様にお知らせすべきであろう、そう考えております。したがいまして、放送を通じあるいは番組審議会等を通じ、いろいろな折に触れてNHKのこの番組基準の中心的な考え方の御理解を得る努力をしておるつもりでございます。
#15
○片山甚市君 それでは、受信料不払いの対策についてお伺いします。
 私は、何よりもNHK事業は視聴者の理解と協力を得ることが大切であり、そのための営業努力は言うまでもないが、契約拒否者の現状がどうなっておるか、どのように対処しておるかについて、まずお聞きをしたいと思います。
#16
○参考人(海林澣一郎君) お答えいたします。営業担当でございます。
 まず、先生のおっしゃいました契約の現状でございますけれども、昭和五十六年度は五十五万ということを目標にしまして仕事を進めておりますが、確定した数字で、五十七年の一月末で四十二万三千、七九%、二月の末では、まだ最終的にはまとまっておりませんが、私の手元に五十万を超えたという数字が入っており、ことしの契約については順調に推移するというふうに思っております。
 それから対策についての、次の御質問でございますけれども、これは滞納の面から申しますと、現在、五十六年の上半期で九十九万六千という数字がございます。その内容でございますけれども、意識的に滞納しているという数はわりあいに少のうございまして、何としても、大都会におきます不在と申しますか、近年、特に総世帯の二〇%を占めます単身世帯、この方たちあるいは共働きの若い御夫婦、そういう方たちの増加で生活の態様が非常に変化しており、昼間行きましてもほとんどお会いできないというようなことで、結果的には契約できなかったり、あるいは契約をせっかくしていただいても滞納になるということでございます。
 先生御指摘のように、その対策でございますけれども、確かに、そのような経緯がございましても、結果的に受信料をちょうだいすることができないということは負担の公平を欠くことになりますので、夜でありますとかあるいは休みの日に、特別営業対策員というものを特に強化いたしまして、昨年百四十人でありましたのを十月に百九十人にするというような特別な対策をいたしまして、きめ細かい対応をする。さらには、一度契約していただきましたら口座にしていただいて、次に訪問しなくても口座の利用ということでお願いできるようにするというような諸種の対策を講じている次第であります。
 したがいまして、冒頭申し上げました滞納につきましても、五万、七万とふえておりましたのに対しまして五十五年度の増加数は七千と、先ほど御説明しました五十六年度の上半期まででは去年の年度末に比べて五千の増加、ことしはさらにそれが横ばいになるというふうに考えております。
#17
○片山甚市君 そうすると、もう一度お聞きしますが、契約拒否者の数の現状はどうなっていますか。
#18
○参考人(海林澣一郎君) お答え申し上げます。
 契約拒否は、現在で十万余りでございます。
#19
○片山甚市君 そこで、新規受信契約の獲得についても、収納方法についても、要員状況について若干のお知らせがありましたけれども、それで成果が期待し得るものとすれば、これらの努力を一層続けることによって他の徴収方法を検討する必要はないと思いますが、いががでしょう。
#20
○参考人(海林澣一郎君) 他の徴収方法ということでございますけれども、現在、三千万人おります受信契約者のうち年間大体二百万以上の方が移動している。特に五十五年は二百四十五万というような数字があるわけでございますけれども、それらを確実にフォローして未契約の期間をできるだけ縮めるということで未契約の数を減らしていこうということでございます。
 先生おっしゃいますように、その獲得の対策。いうことでございますが、何といたしましても、いま委託しております集金取扱者が全国で四千おります。この取扱者を中心にいたしまして、かつ先ほど申し上げた大都会における困難な状況がございますので、この辺に関しましては、専門の契約取り次ぎ要員二百六十名余りでございますけれども、この辺を投入いたしまして獲得策を講じていくということでございます。
#21
○片山甚市君 もう一度聞きますが、他の特別な徴収方法をつくらなくてもNHKの努力によって徴収は達成をしていきたい、こういうようなお答えでしょうか。
#22
○参考人(海林澣一郎君) 仰せのとおり、基本的にはNHK全体の番組を中心とします仕事の中で御理解を深めるということを基本にしながら、営業といたしましては、先ほどお答え申し上げましたような具体的な施策を講じて営業成績の確保を図るということでございます。
#23
○片山甚市君 わかりました。
 不払い者の一掃とか、増収とか、財政基盤の安定化ということのために、受信料の安易な徴収方法を考えたり、放送内容の質的低下を来すことがあっては、公共放送事業として今後ますます発展させていくための国民の理解と協力を否定するものでありますから、結果的には自殺行為に等しい。NHK自身の努力による放送事業維持こそ重要であると考えますが、大臣並びに会長から御所見を賜りたいと思います。
#24
○国務大臣(箕輪登君) 受信契約の増大及び受信料の確実な収納につきましては、基本的にはやはり経営主体であるNHKが努力すべき問題であると考えております。五十五年の受信料の改定後、現時点に至るまで受信料の収納状況が比較的順調に推移してきており、当分はNHKの経営努力に期待するのが適当であろうと考えております。
#25
○参考人(坂本朝一君) 五十五年度の受信料の改定後の経過は、契約収納面で視聴者の御理解を得る努力を一層努めました結果、おかげさまで滞納契約数の増加もかなり抑制することができた状況でございます。したがいまして、NHKといたしましては、今日までの実績の上に今後さらに、ただいま海林参考人が御説明いたしましたような諸種の努力を重ねまして、視聴者の理解を求めていくということにしたいと考えておる次第でございます。
#26
○片山甚市君 それでは、長期経営計画の基本構想についてお伺いします。
 民放の全国的系列化や放送大学発足、多重放送の実用化に加えて、社会における価値観の多元化、視聴者意識の多様化の中で、国民大多数の共通の要望にこたえる放送番組の提供は大変なことであろうと存じます。長期ビジョン審議会の調査報告を踏まえ長期経営計画の検討に入っていると思うが、基本構想についてどうお考えですか。
#27
○参考人(坂本朝一君) 先生御指摘のように、協会とすれば、一九八〇年代を見通してのNHKの経営のビジョンというのが一番現時点においては重要なテーマだという認識のもとに、長期ビジョン審議会からこの一月に御答申をいただきましたので、それをもとに協会がどう対応するかということが一番大きなテーマであろう。そういう認識で、私を長とする長期ビジョン検討会議なるものをNHKの中に設けまして、全役員をメンバーにいたしまして、鋭意その問題に取り組んでおる、そういう次第でございます。
#28
○片山甚市君 そこで、せんだって報告書が出まして、その九ページに、「まず、放送という、今後とも重要な機能を果たすメディアにおいて、時の政治権力や、社会的、経済的諸勢力から独立した事業体を有することは、わが国の民主主義の健全な発達にとって極めて有益かつ不可欠のものと考えられ、このような重要な使命をNHKが今後とも担っていくことが期待される。」、こう書かれていますが、これについての会長の御所見、初めに大臣の御感想を賜りたいと思います。
#29
○国務大臣(箕輪登君) 先生のおっしゃるとおりであります。
#30
○参考人(坂本朝一君) その点につきましても、冒頭申し上げましたように、そういういろいろな点にこたえていくということがNHKに与えられた使命である、そういう認識に立っております。
#31
○片山甚市君 そこで、NHKの巨大化についてとかくの意見があると思いますが、どのようなものでありましょうか。巨大化の弊害とは何か、まずお答えを願います。
#32
○参考人(坂本朝一君) 巨大化という御指摘につきましては、たとえばNHKの事業収入あるいは従業員の数というようないわゆる事業規模を、いま日本の大きな企業体から比較すれば必ずしもNHKが巨大であるというふうには言えないのではないだろうか。しかし、テレビ二波、音声三波の放送を全国にわたって放送している、そういう社会的影響力という点を考えますれば、御指摘のようにきわめて大きな責任があるということでございますので、私どもといたしましては、さような国民の要望にできるだけ幅広くこたえるよう努力いたしまして、不偏不党、公正な運営に留意いたしまして、その使命を果たしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#33
○片山甚市君 そうすると、NHKとしての経営規模はどの程度が妥当であるとお考えですか。
#34
○参考人(坂本朝一君) NHKは、放送法によって全国あまねく受信できるよう放送を行うことを目的といたしております。当初は中波放送のみでございましたけれども、その後、科学技術の進展等々によりまして、テレビジョンあるいは超短波放送、そういうものが開始され、現在、ただいま申し上げましたように、テレビジョン放送二系統、音声放送三系統、計五系統の国内放送並びに国際放送を実施しておるわけでございますが、NHK長期ビジョン審議会におきましても、この正系統の国内放送さらには国際放送、これはNHKが実施主体として担当することが適当であるというふうに御答申をいたしておるわけでございます。しかし、今後実現するニューメディアにつきましても、やはりNHKとしては国民の期待にこたえるために、計画的、継続的に利用していくということを積極的に検討することが望まれているのではないだろうか。現時点において固定的にNHKの経営規模を申し上げることはなかなか困難でございますけれども、今後、国民の要望を十分留意しながら効率的経営に責任を持って業務を一層推進したいというふうに考えておる次第でございます。
#35
○片山甚市君 もう一度お尋ねしますが、いまのお答えのように、今後、静止画像やファクシミリなど、いわゆるニューメディアの開発、実用化が図られると思いますが、これに対して積極的にNHKとしては取り組んでいく、こういうふうにお答えがあったと理解してよろしゅうございますか。
#36
○参考人(坂本朝一君) 私は、やはり前向きに対応をしていくことが視聴者の御要望に沿い得る道であろうというふうに考えております。
#37
○片山甚市君 それならば詳細は放送法改正案審議のときに譲ることにいたしますが、放送法改正案には全国で六十万から七十万人と推定される聾唖者に対する補完的利用をできるだけ多くするような訓示規定があるが、聾唖者向け文字多重放送について、公共放送としてのNHKの取り組む姿勢はどうでしょうか。
#38
○参考人(田中武志君) お答え申し上げます。
 御存じのように、文字多重放送につきましては、法制面での整備が行われた上で近い将来実用化ということになるのではなかろうかと理解しております。したがいまして、私どもといたしましては、この新しいメディアを利用した聴力障害者向けのサービスにつきまして、現在、部内でいろいろソフト面での研究開発に鋭意取り組んでいるというのが現状でございます。
 御存じのように、この文字放送の利用形態には、独立利用と補完利用と二つの面がございますけれども、私どもとしては、この両方とも聴力障害者向けのサービスとして役立つのではないかというふうに考えて、いろいろ勉強しているわけでございます。まず、独立利用について申し上げますと、これは御存じのように、利用者が希望するところを、いつでもニュース等の文字情報を呼び出せるということになっております。それからもう一つは、これも御存じのように、一般番組に文字をスーパーさせるという補完利用の面でございます。これにつきましても、現在、私どもすでにテスト版を部内でつくりまして、いろいろ問題点の洗い出し、検討等をいまやっているわけでございますけれども、この辺につきましては、現在やっております作業の中でいろいろの問題もあるというのが現状でございます。
#39
○片山甚市君 NHKが公共放送としての役割りを果たすためには、いまおっしゃられたような問題についてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 民放は、財源をスポンサー制度に依存しており、視聴者対策や採算上聾唖者向け文字多重放送の編成に多くは期待できないと考えます。そこで、大臣、不採算性の強いものはだれがどのようにやればいいか、これについてお答えを願いたいと思います。
#40
○政府委員(田中眞三郎君) 従来、テレビを見ておられました場合に、聴力障害者というのは非常に理解に不足するところがございますし、不便を感じていたわけでございますけれども、文字多重放送が開発されまして字幕放送を行う、非常に福音でございます。そうした場合に、テレビジョン放送事業者の責任であろうと考えるわけでして、経費も相当かかるわけでございますけれども、NHKはもちろんのこと、民放につきましても、やはり魅力のある番組につけて聴力障害者のための字幕放送を行ってもらいたいと考えておるわけでございます。
 その辺の経費についてはいろんな考え方があろうかと思いますけれども、やはり放送という公器を預かっている以上それなりの努力をしていただきたいということで、先ほど先生がおっしゃいました、ただいま私ども提案申し上げております放送法の改正のもので、第四十四条の第六項という形で、これは協会の規定でございますけれども、民間放送にも準用するという考え方で、本番組の内容を豊かにし、なおその効果を高めるような番組に努力してもらいたいという意味の規定をつけたいということで御提案申し上げておる次第でございます。
#41
○片山甚市君 何はともあれ、民放の御努力を願うと同時に、NHKは率先してその役割りを果たしてもらいたいと存じます。
 さて、中国残留日本人孤児の肉親捜しについて、日中間のテレビ中継を利用することが閣議でも了承されておるということであります。実施に当たりましては、中国に対する慎重で十分な配慮が必要だと存じますので、他人の家へ土足で上がり込むような、また敵性国の子供を育てた中国の人々に対する感謝の念や、中国における静かな生活を今後も保障する配慮がなければなりますまいし、特に衝動的、思いつき対策では問題があると存じます。来年度の取材方法や経費などについて、NHKとしてどのようにするのか。経過と今後の対策について、郵政及びNHKの御所見を承りたいと思います。
#42
○国務大臣(箕輪登君) 先般、閣議におきまして私が発言をいたしまして、技術的には、たとえば今回の中国残留孤児の肉親捜しにおきまして非常に効果が上がりました。国民に感銘を与えたわけでございます。これはやっぱり私はテレビの効果だと考えたのであります。いまなお、まだ九百人くらいの肉親を捜してくれという中国残留孤児が残っておるそうであります。厳密に言うと五千人とも六千人とも言われておりますが、肉親を捜してくれといって希望している人が九百人まだおるのだそうでありまして、これを今回のように六十人、六十人で呼びますというと非常に年数がかかります。十年あるいは十年以上かかってしまう。もっと効率的な肉親捜しができないものかな。それは技術的には、テレビの機材を中国に持っていってやればできるのだ、あるいはVTRを撮ってきてやるとか、あるいはまた衛星放送で二元テレビ放送をやるとかいうようなことはできるわけでございますから、閣議でそのような発言をいたしました。
 現在、厚生省が中心になりまして、中国残留孤児の問題懇談会をつくりまして、その中でいろんなことを考えていこう。いま先生のお話のように、これは育ての親があって、今日、残留孤児が元気で日本に来たわけですし、そういうことを考えますというと、その平和を乱してはなりません。しかしながら、私は、やっぱり何といっても、中国政府の御協力や、そういう育ての親の御協力がなければできませんので、その点を厚生大臣にも申しておりますし、また外務大臣にも申し上げております。先生御指摘の御趣旨に従って政府は対処していくであろう、このように信じております。
#43
○参考人(田中武志君) 今回の中国残留孤児の報道に当たりましては、私ども、昨年の夏からこの問題に取り組みまして、プロジェクトを部内でつくりまして、いろいろ計画を練り、取材をやってきたわけでございます。今回、約二十数本の関連番組を編成、放送いたしまして、積極的に取り組んだ結果、非常に大きな、いまお話しのように反響がございまして、NHKに寄せられた分だけでも約二千件近い反響がありました。これも特に反響がありましたのは、一番最後に放送いたしました、昨年の秋、私どもの取材班が現地の方へ行きまして、養い親等々の現地の取材を織りまぜた報道特集がきわめて大きな反響を呼んだというふうに私ども認識しております。
 これからの取り組みにつきましては、先ほど申し上げましたプロジェクトを中心にしながら、ひとつ今後の孤児問題の報道について、いままでの経験を生かして積極的に取り組みたいというふうに思っておりますけれども、いま大臣からお話がありましたように、たとえば現地の方で、政府の交渉によりまして、主な都市に孤児の方に集まっていただいて、われわれの方から取材に現地に赴きまして、いろいろ取材した素材を持ち帰って、そして国内で放送して、いろいろ親子の対面、確認等の役に立てたらというようなことも一つの方法ではなかろうかと、いろいろいま検討している最中でございます。いずれにいたしましても、この放送は、私どもNHK自身の自主的な編集のもとに行うという面もございますけれども、事前の準備等の面では、いまお話しのように、政府と政府との交渉の適当な部分がございますので、今後、十分いろんな各方面との連絡をとりながら、相談しながら、ひとつ積極的に取り組みたいというふうに思っております。
 なお、経費の点につきましては、事前の政府と政府との交渉にかかわるようなところなどについては政府において負担されてもよかろうというふうに思っておりますけれども、NHKの番組、その直接にかかります費用につきましては、あくまで私どもNHKで負担すべきものだというふうに考えております。
#44
○片山甚市君 NHKは、要員効率化の促進を図るとして、昭和五十五年から五十七年度の三年間で六百名、五十八年、五十九年度で六百名の削減と、業務量増大のため二百六十名の増員を五十七年度までに行うということであります。実質三百四十名の削減で、この削減は昭和五十四年度の要員の二・〇一%に当たるが、かなり高率と見られるが、それについての御所見を承りたいと思います。
#45
○参考人(武富明君) お答えいたします。
 私どもの立てております効率化計画は、先生のおっしゃったとおりでございます。確かに非常に手づくりの要素の強い放送の事業の中で、この二・〇一%の削減というのはなかなか厳しいことではございますけれども、しかしながら、われわれとしては、この効率化というのがやはり将来に対する基盤整備でもあり、また受信者からの要望でもあるということで、これはぜひともやっていかなければいけないことと考えまして、われわれとしてはどうしても実現をしたい計画といたしまして掲げており、今後ともその実現に向かってまいりたい、こう考えております。
#46
○片山甚市君 しかし、月刊文春四月号の記事によりますと、要員効率化は、単に人件費から業務委託費に振りかえただけではないかという批判がありますが、それにどうお答え願えますか。
#47
○参考人(武富明君) その記事につきましては、まことに心外でございます。まやかしの効率化というふうなことが書かれておりますけれども、自来、効率化というのはやはり何年計画かでもって立てて実現していくというのが、これが効率化の常道でございます。しかしながら、一方で必ず毎年業務量増というものが出てまいります。それに対する増というものを年度ごとに、事業計画が決まったときにできるだけ可能なしぼり切った人間でもって増員要素を加えていって、そして実際の実減員というのが出てくるというのが、これはNHKばかりでなくてどこの効率化についてもそのような手順を踏んでまいります。したがいまして、そのような指摘は、私はまことに心外であるとお答えをする以外にございません。われわれとしては、われわれの考えた効率化というのを確実に実現をしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
#48
○片山甚市君 いま言われたように、御指摘については正しく答えて、実際上実績を上げていただきたいと思います。
 そこで、ローカル放送の充実についてお尋ねいたします。
 NHKに対する視聴者の意見として、中央に集権された放送体制に問題を感ずる、もっと多くの時間を地方局におろし自主活動ができるようにすべきである、全国放送であると同時にローカル重視こそ愛されるNHKのあり方ではないかというのがありますが、それをどのように受けとめておられますか。
#49
○参考人(田中武志君) 公共放送としてのNHKにとりまして、ローカル放送というのは全国放送と並びましていわば車の両輪、欠くことのできない重要な柱だというふうな認識を持っております。特に地域社会におきます生活に必要な生活諸情報、それから文化、教育等にかかわる番組、そういったものについてのそれぞれの地域の視聴者のニーズというものは非常に強うございますので、私どもこういった要請に積極的にこたえていきたいというふうに思っております。特にこういった地域社会の中で魅力ある豊かな社会をつくるということに寄与する番組をいろいろつくっていくことは、NHKの存在理由にもかかわる大きな使命ではないかというふうに考えているわけでございます。
 こういった認識に立ちまして、現在、NHKといたしましては、ローカル放送につきましては県域を基本としながらも、最近の広がりの中で広域情報等も含めまして年々その充実に努力しているという状況でございます。五十七年度、この四月からの新しい番組の編成面の中には、特にこのローカル放送の充実ということにつきましては、現在、夕方のニュースの時間を六時四十分からやっておりますけれども、これを六時半からやるというようなこと、あるいはいろいろローカルの特別番組を編成するということ、それから最近それぞれのローカルの放送局で非常にいい番組が制作されておりますけれども、これをひとつ全国のネットに乗せるような編成を新しくつくったということ、それからラジオにつきましては生放送が非常にふえますので、朝から夜までの一日のうちに毎正時の主なところに、ローカルのサービスができる、ニュースとか生活情報が放送できる部分を新しく設けて充実を図るということ等を考えております。
#50
○片山甚市君 そこで、ここ数年の地方局、通信部の配置、要員状況の推移はどういうことになっておりますか。
#51
○参考人(田中武志君) 現在、全国的な報道取材体制の整備計画の一環として通信部等の配置について考えておりますけれども、最近の交通事情あるいは通信事情等々が非常に整備発達してきた状況の中で、私どもこの通信部の統廃合というようなものについての総合的な検討を加えてきております。その結果、十年前の四十六年に比べますと、通信部の置いてあります個所は約十四カ所、それから通信部の要員、通信員等合わせまして要員は現在は約二百六名ということで、十年前に比べて約三十人ほど減っております。
 しかし、こういうふうに集約いたしましたのは、先ほど申し上げましたように、地域におきます交通、通信事情がよくなったということで重点的に集約をやったという結果でございまして、その結果の人員等につきましては、地方放送局の取材体制の充実というような面、あるいは通信部の、いままでは大抵一人でございましたけれども、それを複数制にするとかいうようなところに措置を行いまして、それぞれの地域の著しい変化あるいは技術革新等に十分対応した報道取材体制の一環として有効にやっているというふうに認識しております。
#52
○片山甚市君 御説明を聞きましたが、要員の効率化ということで結局ローカル放送を犠牲にするということがない、こうおっしゃっておるんですが、それではこれらの合理化に協力した職員が待遇や労働条件上十分配慮されておるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
#53
○参考人(武富明君) お答えいたします。
 効率化は、先ほど御説明いたしましたとおり、経営のぜひやらなければいけないこととして推進しているわけでございまして、同時に、労働条件の低下ということなしにわれわれとしてはこの効率化というのをやってまいりたいと思い、労働組合とは話し合いを進めながらこれをやっているわけでございます。ただ、処遇その他につきましては、われわれとしてはいま協会の財政の中で許された最大限の努力をいたしながら、これに報いているつもりでございます。
#54
○片山甚市君 それでは、職員の賃金問題についてお伺いいたします。
 職員の賃金について同業他社との比較ではどのような傾向になっていますか。実態をどのように把握されていますか。
#55
○参考人(武富明君) お答えいたします。
 五十六年度の給与水準を比較をいたしますと、これはなかなか他社の給与というものはつかみにくいわけでございますけれども、われわれが入手をいたしておりますデータでは、基準賃金においてやはり在京他社からおくれをとっているということは事実でございます。また、この五年間を見ましても、その差が徐々に拡大をしているということもまた否定できません。
#56
○片山甚市君 協会の方は遠慮しておりますが、五十五社平均、民放では二十五万四千五百十円が基準賃金の平均です。NHKの場合は二十二万二千十円でありますから、そこで約三万ほどの相違がある。こういうことは年間についてどのぐらいあるかというと、平均的に言うと、二百万から二百五十万、月収にして五万円から六万円程度あるというふうに聞いておるんですが、そのような把握はどうでしょうか。
#57
○参考人(武富明君) 私どもが持っておりますデータもほぼそれに近い数字でございます。
#58
○片山甚市君 格差問題について、いままで逓信委員会で御指摘されたことはございますか、
#59
○参考人(武富明君) お答えいたします。
 逓信委員会で数回お答えをいたしております。
#60
○片山甚市君 今日まで合理化が職員の協力なくして推進できなかったと思いますが、どうでしょう。視聴者に対する企業努力と同時に、当該職員に報いるための企業努力も当然払わなければならぬと思いますが、二つの意見についてお答え願いたい。
#61
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。
 効率化というのは、決して経営だけでできるものではございません。労働組合と十分に話し合いをしながら、労働組合の協力を得ながら実現をしていくものと、私はそう考えております。しかしながら、この問題は大変微妙な問題でございまして、完全な意見の一致を見るということもなかなかむずかしい側面を持っております。したがいまして、私どもといたしましては、この効率化の目標というのは経営の必至のあるいは最大の目標と考えまして、何とか実現をしてまいりたいと思いますけれども、同時に、われわれの考えているところというのを組合にも十分に説明をし、理解を求めながら実現をしていこうと考え、今日までそのようにやってまいりましたし、また今後もそのようにやってまいるつもりでございます。
#62
○片山甚市君 放送事業は、単なる装置産業でございませずに、すぐれて人材にあると思うのでありますが、有能な人材を確保することが番組の質の向上と視聴者へのサービス向上、たとえば先ほど私から申しましたローカル放送の充実につながってまいると思いますが、いかがでしょうか。
#63
○参考人(武富明君) まことに御指摘のとおりだと思います。われわれとしても、このNHKの使命というものが大きければ大きいほど有為な人材というものの確保に努めなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。そこで、われわれに許された状況の中で最大限の努力をしてこれに報いてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
#64
○片山甚市君 抽象的にはこたえていきたいと言うんですが、このままでは同種産業における格差は拡大するばかりで、職員の士気に与える影響が憂慮されているのであります。合理化推進の必要性を強調すればするほど格差問題の解決の具体策を講じなきゃなりません。
 そこで、先ほど申しますように、民間の同種業者と比べて月収にして約五万円から六万円、年間にして二百万円から二百五十万円程度の格差があります。一般職員であります。そこで、計画的に年次的に改善策をとっていく。すなわち労働組合と話をするとしても、将来展望として格差が拡大をしないということについてのいわゆる展望を持って取り組んでもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
#65
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。
 NHKの予算は、ただいま御審議をいただいておりますように、年度ごとに審議をしていただき、国会の御承認を得て執行しているわけでございます。この中で人件費だけ取り上げて先取りをしていくということは、私はちょっと不可能かと思います。したがいまして、それぞれの年次計画の中で職員に対してどこまで報いられるかということを年度ごとに考えながら、その中で最大限の待遇をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございまして、計画的にということも、ただいま組合から格差是正の方法として一つ提案をされておりますけれども、われわれとしては、このような考え方で年次ごとにきちんと計画を立て、年次ごとにこれに対して格差の拡大というのをできるだけ防ぎたい、こういうふうな考え方で対処していこう、こう考えておるわけでございます。
#66
○片山甚市君 協会にお聞きしますが、今年度は、三年前に決めたときには協会の財政は赤字になる段階だと、ことしようやく収支プラス・マイナス・ゼロになったということでありまして、これは主として職員の関係の努力があったと思います。そういうことで、先ほど経営の長期計画について会長にお伺いしたら、これからやっていきたいと言う。職員の問題についても長期計画を立てて民間との間に格差がないようにする、そして格差を拡大させない、こういうことについて会長としての決意を聞きたいと思いますが、いかがですか。
#67
○参考人(坂本朝一君) 経営の責任を負います者として、当然、職員の待遇について心をするというのは先生の御指摘のとおりかと思います。ただ、現実の問題となりますと、いま武常参考人から御説明したそういう客観情勢もございますので、そこら辺のところをぜひ片山先生にも御理解いただいて、私の御答弁にかえたいと思うわけでございます。
#68
○片山甚市君 職員の協力がなければ、いい番組、いい放送ができないことは明らかでありますが、職員が士気を落とすようなことになってはならぬ。今日の状態の中では、同種産業と比べて、他社と比べて非常に劣悪な状態であることは数字上明らかであります。これについては、経営を預かるところの会長として全責任を持って具体的に計画を立ててもらいたい。公共性という場合、視聴者の納得が必要だというだけで、職員を犠牲にしてもいいと思いません。視聴者が大切だということで職員を犠牲にするということはできません。そこで、合理化の推進は当然職員と深いかかわりがある問題であり、同種産業の賃金格差問題を含め当該労働組合と十分協議をすべきであると思いますが、責任ある御答弁をもう一度願います。
#69
○参考人(坂本朝一君) そういう点については組合と話し合う場を常々設けておりますし、私も誠意を持って対応していきたいというふうに考えております。
#70
○片山甚市君 しつこい話ししますが、格差を縮小していく、なくしていくための計画的な努力、年次的な計画を進めていく、こういうことで理解してよろしゅうございますか。
#71
○参考人(坂本朝一君) 年次的に数字を示して相談していくということは現実問題としてはなかなか困難である、そういう事情も御了察いただいて――ただ、私の考え方としては、組合とそういう問題について話し合いをする、そういう趣旨は十分わきまえておるつもりであるということで御理解賜りたいと思います。
#72
○片山甚市君 了解はできませんが、このくらいにとどめますが、とにもかくにも人によって放送の質、サービスの内容が変わるのでありますから、そこの職員が沈滞をする、励む気持ちがなくなるということになれば大変だと憂慮する。設備はりっぱなNHKでありますが、人材が流出するようなことがあれば大変だと思います。会長は、うちのNHKの職員は大丈夫、そう言ってもおってくれると思いましょうが、これから拡大をしていく、悪くなっていけば人の気持ちはすさんでまいりますから、その点については十分に配慮をしてもらいたいと思います。
 さて、国際放送の強化の対策についてですが、国際放送の意義、経費負担のあり方など国際放送に関する基本認識について、まず郵政大臣の所見をお聞きしたい。また、交付金の算定根拠をさらに聞きたいと存じます。
#73
○政府委員(田中眞三郎君) 国際放送の目的でございますけれども、わが国の立場あるいはわが国の現状というものを諸外国に正しく理解していただくということが一つあろうか、あわせて海外在留の邦人に対しまして適切な情報を伝達する上できわめて有効な手段と考えておるわけでございます。今日のわが国の国際社会におきます政治的あるいは経済的な役割りを考えてみますと、ますます大きくなっておる。同時に、世界の各国の日本に対する関心も高まっておるということで、国際放送の果たす役割りは今後ともますます大きくなってきておる、こういう認識でございます。そういう観点からいたしまして、国際放送の充実強化については各方面からも強い要望を受けておるというふうに考えており、郵政省といたしましても、それの充実強化は喫緊の課題であるというふうに考えております。
 次に、算定根拠と申しますか、国際放送に要します経費、御存じのように政府がNHKに命じますいわゆる命令放送の分とNHK自体がその本来の業務としてやっておられる分というもので、政府の命令分につきましては三十五条の規定によりまして交付金をやっておるわけですが、その算定につきましては、政府の命令する放送は、時事、国策及び国際問題に関する政府の見解についての報道及び解説が中心になるわけではございますが、それを実施するために必要な経費を個々に算出いたします。個々にと申しますのは、番組制作に必要な経費あるいは送信に必要な経費等々に分けまして算出いたしまして、それらに基づいてその額を決定しておるという実情にございます。
#74
○国務大臣(箕輪登君) ただいま局長から答弁をさせたとおりであります。
#75
○片山甚市君 国際放送の役割りは、わが国の文化、産業など、同本の姿を正しく世界に紹介し、国際親善に寄与することであり、重要であるが、主要先進国の中での事業の規模は、日本としてどの程度のものでありますか。
#76
○政府委員(田中眞三郎君) わが国の現在の国際放送に使っておる送信設備の現状でございますけれども、百キロワットが八台、五十キロワットが二台、二十キロワット二台の合計十二台ということになっております。
 それからこの送信機のほかに、海外中継局といたしましてポルトガルのシネス送信所を利用しておるというのが実情でございますが、これを米、英、西独等主要先進国に比べてどの程度かということでございますが、送信機台数で申し上げますと、いずれもこれらの国は二十台以上で、しかも二百五十キロワット級ないし五百キロワット級のものが多くを占めておるというような実情で、しかもそれらの国は、大部分の国が海外中継局を幾つか持っておる。日本のように一カ所ではございません。また何方向という、言語数は幾らかというようなことで比較いたしてみますと、わが国の放送の場合、十八方向、二十一言語を使って、一同延べ三十七時間、過当なり二百五十九時間というような規模でございますが、いま申しました欧米主要国におきましては、使用言語数もわが国よりはるかに多い、一・五倍から二倍というようなこと、また放送時間につきましても三倍あるいは四倍、あるいはかけております経費につきましても四倍、五倍というような形の国が多いというような状況で、以上申し上げましたように、わが国の国際放送の現在の規模は、わが国の立場、あるいは欧米先進国に比べまして決して大きいとは言えないという現状にございます。
#77
○片山甚市君 決して大きいんじゃなくて、世界最低と言ってもいい、先進国の中で。世界のGNPの一〇%を占める日本の国は経済大国と言われているときに、そういうような文化に対する取り扱いが非常に軽視されておることは遺憾でありますが、昨年二月、鈴木総理がASEAN諸国を訪問したときに、国際放送のパワーアップ、海外中継基地の設置について郵政省としても努力するとの表明がありましたが、その後の状態はどうなりましたか。
#78
○政府委員(田中眞三郎君) ただいま先生が申されましたように、国際放送の充実強化の必要があるということで、各方面からの強い御要望も受けまして、私どもといたしましては、五十七年度に調査費を要求いたしまして、抜本的に見直すと申しますか、制度面、技術面からこの非常に御関心の深い国際放送の充実強化策につきまして至急調査検討を行いたいということで、そういう準備をしておるというのが実情でございます。
#79
○片山甚市君 国際放送はKDDの八俣送信所を専用していますけれども、送信機の能力は先ほどお伺いしたようでありますが、パワーアップは、条約上の制限は別としても、KDD側の協力が必要だと思いますが、どのようにKDDと協力しておりますか。
#80
○政府委員(田中眞三郎君) KDDの八俣の規模については先ほども申し上げたとおりでございますが、これの備えております機材は、事実を申し上げましてかなり古い、年代を経たものでございます。また、八俣の敷地につきましても狭隘、あるいは近所の方々に受信障害を与えるとか、あるいは職員の問題――職員の問題と申しますのは、現在、KDDがやっております短波の仕事というのはほとんど国際通信からはなくなりまして、この国際放送のための要員というようなことにしぼられているというようなこともございまして、要員関係等においても非常にKDDとしても御苦労いただいておるというようなことで、要する経費についても必ずしも収支が償っていないというような現状にあり、その辺のあり方も含めまして、NHK、KDDとの間にお話があるのは当然でございますし、私どももその辺の御相談を受けて検討しておるというのが。現状でございます。
#81
○片山甚市君 中途半端な御答弁は残念ですが、KDDにお伺いしますが、国際放送施設の運用にかかわる収支状況はどのようになっていますか。
#82
○政府委員(守住有信君) お尋ねのKDDの八俣送信所の収支状況についてお答え申し上げます。
 KDDの報告によりますと、この八俣の送信所の業務の収支状況は、昭和五十四年度で申し上げますと、営業収入六億八千七百万円に対しまして営業支出十四億八千二百万円で、七億九千五百万円の赤字でございました。五十五年度では、営業収入六億八千七百万円に対し営業支出十六億六千七百万円で、九億八千万円の赤字となっております。この点につきましては、もともとこの業務は、KDDの本来業務と申しますか、国際通信の乗務ではございませんで、附帯業務ということで郵政省の認可を受けてやってもらっておるわけでございますが、先ほど田中電波監理局長からも御説明いたしましたように、いわゆる国際通信の短波時代、以前は短波通信とあわ世でやっておったわけでございますが、それがなくなってきたという問題と、それから短波でございますので、周波数帯の関係で、時間帯により、季節によりいろいろ周波数は変えなきゃならぬ。そこで、ここで五十数名のKDD職員が働いておるわけでございますが、なかなか大幅な人員削減、効率化がとりがたい、そういう両面があるということのように認識をいたしております。
    ―――――――――――――
#83
○委員長(勝又武一君) 質疑の途中でございますが、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま矢追秀彦君が委員を辞任され、その補欠として白木義一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#84
○片山甚市君 そこで、NHKにお聞きいたしますが、KDDにこういうような負担をかけておることについては当然と思われていますか。
#85
○参考人(渡辺伸一君) KDDに対する料金の問題でございますが、すでにKDDからは、老朽更新を中心にいたしました料金の改定についての御提案がございます。私どももこれに対して検討案を考えているわけでございますが、その検討をいたしますにつきましても、これはいずれも交付金にもはね返ってくる問題でございますから、郵政省さんとも御相談を申し上げ、いま御答弁がありましたような状況になっておりまして、受信の状況の改善も含めてただいま検討さしていただいているところでございます。
#86
○片山甚市君 郵政省にお伺いしますが、KDDに公費の負担をさせてNHK放送をしておる、こういうことについては当然と思われますか。改善すべき、協議すべき事項と思われますか。
#87
○政府委員(田中眞三郎君) このNHKがKDDから借用いたしております料金につきましては、最近におきましても、五十一年、五十二年あるいは五十四年の三回に分けまして一〇ないし三〇%の料金値上げを行ってきたところでございますけれども、なお、五十五年度におきまして収支率はなお二〇〇%、つまりかかる費用の半分の料金というような形になっておるわけで、その改善は重要な課題になっておるわけでございまして、国際放送の拡張、設備の抜本的な改善の必要が叫ばれている時点において、料金はいま申し上げたような実情にあり、また設備自体もかなり古いものであるというようなことで、私どももその持つ業務の公共性に配意しながら、十分早急に検討をすべき問題であるというふうに考えておる次第でございます。
#88
○片山甚市君 積年の問題でありますから、十分慎重でなくて速やかに解決をしてほしいと思いますが、国際放送の経費負担についてでございますが、放送の性格からして、まず放送施設は政府が全額負担をし、さらに運用経費についても、人件費、回線料等は国際放送がNHKの本来の業務であったとしても政府が相当負担すべきだと思いますが、その見解について御所見を賜りたいと思います。
#89
○政府委員(田中眞三郎君) 御存じのように、NHKが国際放送にかけております経費が来年度の場合四十億、そのうちの二五%に当たる十億円を政府が負担しよう、こういう形の計画になっておるわけでございますが、先ほども御質問の中でお答え申し上げましたように、経費の割り振りにつきましては、それなりの積み上げ方式によりまして、政府命令分についてはそれなりの説明をつけた形で払っているということでございますけれども、基本的に慎重な検討を要する問題があろうかと思っておりますが、そのうちのある一部について政府が全額払うというようなことにつきましては、むしろ現在NHKがラジオ・ジャパンという名前においてやっておる、それがゆえにラジオ・ジャパンの信用といいますか、が高く評価されているという面もございますので、やはりNHKの本来業務の部分を含めて経費を両方で負担するといいますか、一応、その額のパーセンテージの当否は別といたしましても、いまのような形がやはり評価されてしかるべきじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
#90
○片山甚市君 先ほどから言いますように、KDDの負担額ぐらいは当然政府の方が持つ、こういうようなことはしなきゃならぬと思う立場で施設ということを言いました。非常に言葉がむずかしそうでありますけれども、これは国策上必要で設けたものでありますから、それだけの費用は出してもらいたい。
 国際放送に関する調査研究費として、郵政省は今度の予算で八百万円、外務省では二百三十万円が計上されておるようですが、先ほどのお話のように、調査をこれでやっていくそうですが、このぐらいのお金で、先ほど言ったシネスを含めてこれから中継基地をつくる、放送基地をつくるについての調査、これは十分できるのでありましょうか。
#91
○政府委員(田中眞三郎君) この経費は、いわゆる国際放送を今日の時点において抜本的に充実強化策を見出すための検討経費ということでございまして、このわずか八百万自体をそのまま改善の具体的な経費に充てるということではないわけでございます。私どもといたしましては、ひとつ大変むずかしいところで、何年来の懸案ではございますけれども、お知恵をおかりいたしまして、国際放送充実の制度面を含めての、あるいは実施主体等も含めての御検討をお願いするという趣旨の経費でございます。
#92
○片山甚市君 このぐらいのお金で調査していい結論が出るとしたら大変いいことでありますが、ざっとした調査の結果、余りりっぱでない結論が出されることについて心配いたしますから、私は油断をしないつもりであります。
 一部のマスコミでは、国際放送をNHKから切り離して政府の海外宣伝機関、いわゆる国営放送にしたいという意図が報道されておるんですが、国際放送が公正な情報を伝達していくことによって受信地域での信頼と協力が得られるのではないにろうか。沖縄復帰のときにVOA沖縄がどのような取り扱いを受けたか、国会で議論があったことも十分に御理解願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#93
○政府委員(田中眞三郎君) 先ほども申し上げましたように、日本が現在行っておりますラジオ・ジャパン、NHKがやっております国際放送を高く評価されておるというふうに私ども考えておる次第でございまして、その辺の事実を踏まえた上で国際放送の今後のあり方についても、そうした実情といいますか、実績を十分考えた上で御討議あるいは御議論いただくものというふうに考えておる次第でございます。
#94
○片山甚市君 大臣にお伺いしますが、国際放送の位置づけとしては、いま田中政府委員が言ったように、これはNHKがやっておるから信用があると言われたように、金は出すが政府としては口を出さないということについて今後も努力をしていただけますか。
#95
○国務大臣(箕輪登君) 十分な金ではございませんから何でございますけれども、金は出すけれども口は出さない、これはもちろんそうでございますけれども、なるべく国が少しでもよけい金を出して積極的な国際放送の充実強化に努めてまいりたい、こう考えております。
#96
○片山甚市君 大臣から国際放送についてできるだけお金を出すように努力をしたいということで、非常にありがたい言葉であります。日本の国の文化が外国に伝わっていくということは、世界平和のために大きな役割りでありますから。
 そこで、最後に、NHKの会長、大臣にお伺いするんですが、NHKは受信料で賄われておると思っておりましたところ、NHKの視聴者の立場に立っていると、現在、アンケートによると、国営もしくは半官半民だという者が五〇%のようであります。NHKは視聴者の立場に立ったものだと思ったんですが、視聴者のものであるものに対してアンケート調査の結果はそういうことになっておらない。そういうことで、現在の経営委員会を含め機能が十分でないのではないか。すなわち、皆さんの方は公共放送として、国営とか半官半民でないと思っておるけれども、国民の多くの人が、七割近くがいわゆる国営、半官半民、国からお金をもらっておる、こういうように思っておるようでありますから、その点についてNHKの事業体の国民に対するイメージは十分でないと思いますが、いかがでしょうか。反省をしてもらいたいと思います。
#97
○参考人(坂本朝一君) 先生御指摘のように、NHKが五十五年の十月に実施いたしました放送に関する世論調査で、調査した全体の三分の一程度にとどまっているということで、私も正直言ってはなはだ責任を感じた次第でございます。NHKとしてはその責務を十分に遂行していくには、何と言っても視聴者にNHKのことを理解していただくということが大前提だろうというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、視聴者本部等いろいろ組織上にも手を加えまして、そしてNHKの使命、性格について御理解いただくように努力しているわけでございます。しかし、先生の御指摘のような実態も片方にあるということは謙虚に受けとめまして、今後、一層視聴者との結びつきの充実に努力したいということを申し上げて、答弁にかえる次第でございます。
#98
○新谷寅三郎君 私は、ただいま議題となっておりますNHKに関する承認案件につきまして、質疑をしたいと存じます。
 総括的に申しますと、郵政大臣の意見書には全く同感でございまして、NHKは意見書の趣旨を体してあらゆる努力を払われることを期待する次第であります。
 ちょっと申し上げますが、私は座ったままで質問いたしますが、お答えになる方も座ったままでお答えくださって結構でございます。
 私は、今日までしばしばこの委員会でも論議をされましたし、また、ただいまは片山委員から詳細にわたって御質疑がございましたので、この際、なるべく重複を避けながら、当面きわめて重要であると考えます二、三の問題につきまして、自分の所見を交えて質疑をいたしたいと思います。
 まず第一に、いま詳細な御答弁、御質問がありました国際放送についてでございます。重複を避けますが、多少違った観点から私は質疑をしたいと思います。
 近年、わが国と世界各国との間にいろいろの国際的な摩擦が生じる諸問題が発生するに伴いまして、わが国の実情及び今後の動向、これに対する国民の考え方などをもっと諸外国に率直に誤りなく伝えて、言語、習慣等からくる誤解を解明する努力が、この際、非常に必要であると考えます。私は、この問題の対応策としまして、NHKの国際放送を充実することは非常に効果的であると思いますが、外務省は国際放送に対してどんな評価をしておられますか。また、今後のあり方についてどう考えておられますか。外務省の政府委員が来ておられますか。
#99
○説明員(寺田輝介君) お答え申し上げます。
 ただいま先生から御質問のございました点でございますが、第一点としまして、外務省としては国際放送をどう評価しているかという御質問だと存じますが、この点に関しましては、国際放送の問題に関しましては、御案内のとおり外務省は必ずしも主管官庁ではございませんけれども、国際放送の持っております重要性につきましては十分認識しております。したがいまして、私どもとしましては、外務省として可能な限りこの国際放送の充実強化のために、主管庁でございますところの郵政省、さらには実施しておりますNHKに対しまして協力する、こういう態度を基本的な態度としております。私どもとしましては、やはり国際放送としては二つの側面があると考えております。
 第一の面に関しましては、先生の御指摘がございましたように、日本の事情というものを正確に諸外国に伝える、このために国際放送等は非常に有益な手段である、これが第一の側面であろうかと考えております。
 第二の側面でございますが、これは時と国際情勢の動きに関連して生じてくる点でございまして、緊急事態が発生した際に、このNHKの持つ国際放送を通じ、わが国の在留法人に対して、その土地の実情、事態に対する対応ぶり等を東京、日本からお伝えする、こういう面があろうかと思います。そういう二つの側面がございますので、外務省としましては、国際放送こそきわめて重要なものであるというふうに位置づけしております。
 第二の質問の点でございますが、確かにこれは私どもが郵政省及びNHKから伺っているところでございますが、現在の国際放送に関しましては、やはり技術的な点で多々問題点があるという点は聞いております。
#100
○新谷寅三郎君 現在、外務省を初めとしまして、政府の関係機関がいろいろの方策を講じて国際間の交流を深め、そして相互の理解、認識を深めるための努力をしておられることは、これはもとより当然のことでありますが、私は、この際、国際放送を一段と充実させる必要があるという観点からいたしまして、自分の所見を交えながら、関係方面で現在取り組んでおられる対策について御意見を伺いたいと思います。
 具体的になりますが、まず第一には放送番組の問題であります。NHKは、放送番組の編成に当たって、番組基準に従って、なお番組審議会に諮って番組を編成しておられるのは当然のことでありますけれども、外務省や通産省、その他関係方面とはどんな連携をとっておられるのでありましょうか。この際、特に世界各国の状況、対日世論の動向などを踏まえて、直接または間接的にこれに対応するような番組を編成することが必要であると思いますが、他面、解説等につきまして、番組編成に当たっていやしくも国益に反するような放送があってはならないと思うのでありますが、この責任者である放送総局長は、具体的な番組の作成についてその内容を調整するような機能を持っておられるのかどうか。今日までそういった問題に対してどういう取り組み方をしておられるのか。番組審議会に全部任しておられるのか。それに対して何らかのチェックをするような機能を発揮しておられるのか。これは少し立ち入った問題でありますが、具体的にお伺いしたいと思います。
#101
○参考人(田中武志君) 私ども国際放送番組の編集に当たりましては、いまお話しのように、政府命令分を含まめして、放送法とそれに基づく国際番組基準というものにのっとりまして自主的にいろいろ放送をやっているというのが現状でございます。このいま御指摘の国際放送の中でのごユースが大体四一、二%、解説が約二〇%ほどありますが、こういった番組につきましては、NHKが国内の放送においてやっております報道番組の編集評価、国内の番組基準、そういったものにのっとりまして、ニュースの判断なりあるいは解説の範囲内なり、そういったものをベースにして同じような立場で編集しているというのが実情でございます。
 なお、いまお話しのように、国際放送におきましては、十分国策の面、相手国の実情等々、内外のいろんな問題を十分に把握して放送する必要性がございますので、そういった面ではそれぞれ政府のいろんな施策、立場等を取材もしております。独自に取材をして番組をつくりニュースを放送しているということで、いまお話の中にありましたような立場で、国際番組審議会、十四人の有識者で構成されておりますけれども、その中には外務省の情報文化局長も入っていただきまして、いろいろその立場でのお話等も十分伺いながら、月一回その識見等をお伺いして、番組もその作成に当たっているということでございまして、この国際放送番組審議会には私自身が出まして、いろいろ諸先生のお話、識見、御意見等々を、いま言いましたような点を含めまして十分把握して、それを国際局のそれぞれの立場の責任者に十分伝えてやっているというのが実情でございます。
 そういった意味合いで、現在の放送番組の中身は、先ほど若干御指摘がございましたが、特に最近、世界との貿易摩擦の問題について、ここ一、二カ月重点的にこの問題を取り上げております。二月、三月等々ではほとんどこの問題に集中的に放送しておりまして、この問題についての諸外国との理解促進、それからわが国の立場、主張というものの考え方を、十分国際放送の番組の中で放送しているというふうに私は思っております。
 なお、五十七年度からは、こういった問題をさらに広げる意味合いで、特に国内の一般視聴者の皆さん方の中から、こういった貿易摩擦等の国際的なかかわりのある問題の御意見をちょうだいして、これを国際放送の電波で紹介いたしまして、それを聞いた海外の視聴者の方から、またその貿易摩擦なら貿易摩擦の御意見を寄せていただくというような、これは「日本の主張・世界の声」という番組でございますけれども、これを放送いたしまして、こういった新しい番組等を通じまして、今後ともきちんと日本国民や政府の考え方、意見等をこういった番組の中で十分外国に紹介し、理解してもらうということに特に努めたいというふうに思っております。
#102
○新谷寅三郎君 いろいろお話があったので一応わかりますけれども、放送番組については、これは放送法でも、監督官庁である郵政省、郵政大臣を初め郵政省から番組の内容をこうしなさいということは避けた方がいいということで現在の放送法ができ上がっているわけですね。
 そこで、放送法によると、番組のコードがありますね。放送番組はこういったコードを守らなきゃならないんだというコードがあります。そのコードのとおりにやられることは、これは別に私はとがめはしませんけれども、国際放送につきましては特別に放送法四十四条の五という規定があるわけですね。それによると、これは皆さんも御承知のとおりでありますが、「わが国の文化、産業その他の事情を紹介してわが国に対する正しい認識をつちかい、及び普及すること等によって国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資する」ということが法律にも書いてあるわけです。
 ですから、端的に言いますと、国内放送の場合には、ある種の問題をとらえて、一方の意見はこうだ、それに反対する意見もあるんだ、それについてはこうだというように、両方の意見を出さなきゃいけないんだということが書いてありますね。ところが、国際放送については、そういうような方針で解説あるいはニュースを流されては私は国益に反する場合がないことはない、こう思うんですよ。ですから、放送法四十四条の五の規定どおりに、これは十分、放送総局長がもっと番組内容についてふだんから研究をされ、そして個々の番組についてもっと関心を持って、場合によってはそれをチェックするような方法をお考えにならないと、国益に反するような結果にならないとも限らない。こういうことを心配しますから、あえて申し上げているんです。放送総局長、その点についてはどうですか。
#103
○参考人(田中武志君) いま先生御指摘のように、私ども放送法四十四条の五の第一項に書いてございますことを十分に日常的に把握いたしまして、先ほど申し上げたような番組、外国に対する国際放送を通じてやる番組の中で、特にニュース、解説につきましては、その辺についてこの精神を外しまして十分にやっていきたいというふうに思っております。
#104
○新谷寅三郎君 これはぜひそうしていただかないと、一遍日本の国益に反するような放送が流れますと、これは国内のように取り消すわけにいかないんです。私はそういう点を憂慮いたしますので、これはもっと事前に、たとえば外務省とか通産省なんかの意向も入れて、そして番組編成はあなたの方の下部の機構でやられるんでしょうが、その場合に、大事な問題であれば事前に放送総局長が責任を持ってその番組内容を検討するというような姿勢をぜひとってもらいたい。これは希望しておきます。ぜひそうやってください。番組の問題はこの程度にいたしましょう。
 それから片山委員からいろいろお述べになりました八俣の送信所について、これは私よりも片山さんの方がよく知っていらっしゃるようでございますけれども、ちょっと私も各方面から資料をとりまして調べたものですから、繰り返すようですが、一応申し上げますと、これは本来は、私は、KDDが施設しているんだけれども、この国際放送の無線局はKDDが免許を受けていると思っていたんですけれども、調べてみるとそうじゃなくて、これはNHKが無線局の免許を受けておられるんですね。KDDは単にNHKと契約を結んでNHKが賃借をしているというかっこうのようです。これは私は、基本的にはこのやり方はいかがかと思うんです。これは電波監理局長からその事情を説明していただいた方がいいと思うんですが、先ほど片山さんがお尋ねになりましたように、KDDは毎年十億ぐらいの赤字を出しているということですね。しかも、施設の改善に当たりましては、そういう赤字を毎年出している点もあるんでしょう、きわめてこれ古い機械をいつまでもそのまま使っておるということで、世界各国から言うと、先進国のこれは本当に、強い言葉で言うと恥さらしのようなかっこうですね。これをどうするかという問題。私は、これは非常に大事な問題だと思うんです。先ほど御質問になって一応のお答えがありましたけれども、そういう場当たりの答弁じゃなしに、私は、これは早急に何とか解決をされないと大変な国益を害していると思うんですね。
 ことに、私は素人でよくわかりませんけれども、一九八四年ですか、再来年にはジュネーブで短波帯の主管庁会議があるそうですね。ここでいろんな短波の計画を作成をされて、場合によっては各国別の割り当ての短波というものを指定をする、協定をするということにもなりかねないということを聞いておるんです。もし、いまのような状態でおりますと、その後になってからパワーアップしたりあるいは放送機をうんとふやすといいましても、これは非常にむずかしい問題になると思うんですね。できるなら、なるべく早くそういう措置を決定をして、だれがどのくらいの負担をするのか、これはこれから申し上げるんですけれども、それは大事な問題として、国益を維持するためにはやっぱりこの主管庁会議にも堂々と日本が、現在、八俣の送信所ではこういう送信機をこのくらい使っておる、パワーもこのくらいだというようなことを堂々と言えるような状態にしておかないと、私はこれは非常な大きなマイナスになるということを考えるわけです。この点について、これは電波監理局長から、あなた専門家だからお答えください。
#105
○政府委員(田中眞三郎君) ただいま先生にいろんなことを御指摘いただいたわけでございますけれども、まことにそのとおりであると思います。まず、現在、NHKがみずからの施設を持たないでKDDから借用して、しかもその歴史的なものがあるわけでございますけれども、その施設というものは非常に古いという面もあると同時に、トータル的なパワー、先ほども話題になりましたけれども、いわゆる電力等にいたしましても諸外国の先進国に比べて数分の一というような施設でございます。その辺につきまして、国際放送の充実強化の必要性が叫ばれている時点において、早急にこの送信施設の改善あるいはNHK自体が持つかどうかというような問題も含めて充実策を検討すべきである、その辺の御指摘も踏まえまして、来年予定しております国際放送はどうあるべきか、あり方、実施主体あるいは技術的な問題その他についての御審議の際に十分考慮してまいりたいと思っておるわけでございます。
 また、先生、ただいま一九八四年及び八六年の二回に分けていわゆる短波放送の国際的な議題になっておるだろうと、まことにそのとおりでございまして、この会議は非常にむずかしい会議でございまして、あらかじめ一回の会議では解決つかぬだろうというようなことで、当初から二回に分けてやるというようなことも準備されておるわけでございますが、このバンドでは国際放送業務に分配された短波帯の使用計画あるいは空中線電力及び単側波帯と申しますか、SSB方式、いわゆる単純に申しまして周波数を二倍に使える方式の導入等が国際会議で議題になるであろうという形になっておるわけでございます。つまり時間がないということでございまして、私どもといたしましては、わが国の電波権益を守るという立場からも諸外国の動向等に目を離さないと同時に、この会議に向けて万全の準備をやっておく必要があるだろう。先生のおっしゃるとおりかと考えております。
#106
○新谷寅三郎君 電波監理局長ね、考えておるだけじゃないんだな。これは早く実行に移さないと非常な日本の損失になりますからね、後でまた申し上げるけれども、そういったことについてあなたが推進役になっておやりにならないといけないと思うんです。
 いまのKDDの八俣の送信施設を見ますと、最大の出力が二百キロ、それから送信機が十二台というんでしょう。これは私は素人だからそういうことを責任を持って言うわけにいかぬけれども、ヨーロッパでは五百キロぐらいのがやっていますね。その五百キロぐらいの出力で仮に送信機を五台ぐらいこさえるとすれば、それだけでもっていま百五十億ぐらいかかるそうです。百五十億ぐらいかかると言われているんですね。これは私は聞いただけだから正確には知りません。知りませんが、そう言われておるんです。だから、最小限度そのくらいのことは、そういう主管庁会議の前に日本から主張できるような素地をつくっておかないと、いまの最大二百キロ、それから中には百キロ以下の送信機が相当あるでしょう、そういう状態でこの主管庁会議に臨まれても、私はいい結果にならないと思いますからね。
 こういう多額の費用を要する施設の改善ですから、これをいまでも毎年十億ずつ損失があると言っているKDDに全部負担してやれと言ったって、これはもう困難なことはわかっているでしょう。それからそれなら、NHKは国際放送しなきゃならぬということが法律で決まっているんだからこれは当然NHKが負担しなきゃならぬというようなことを言っても、NHKにそれだけの余力があるかどうか、私はこれ非常に疑問だと思うんです。やっぱりこれは郵政省も外務省も関係各機関がお互いに連絡をして、そしてこれを実現するための資金を捻出して、そして早くこれを計画を立て、その計画を実行に移すという措置をお講じにならないといけないんじゃないかと思うんですね。これについては、お互いに困る困ると言いながら今日まで長い間ほうってあるわけですよ。
 さっき外務省から言われたが、国際放送というものが現在の国際社会において非常にこれは必要なものだということを外務省も認識しておるんですね。それは外務省ももっとそれを堂々と主張されればいいと思うんだ。外務省がいうんなパンフレットなんかを出しておられるのをわれわれも見て、これはよかったなと思っているんですよ。ああいうことをもっとやってもらいたいと思うんですけれどもね。同時に、日本の実情を誤りなく外国に伝えるための方策というものについては、これは政府全体がいまそれをやっきになって言っているんですから、この際、もう少し外務省も積極的にこの問題に取り組んで、郵政省や大蔵省、NHKとも相談をされて有効適切な具体策を講じてもらうというための努力を続けてもらいたいと思うんです。どうですか。これは外務省にも聞きたいしNHKにも聞きたいし、それから郵政大臣にも聞きたいと思うんです。
#107
○説明員(寺田輝介君) お答え申し上げます。
 国際放送の強化拡充の問題点等、外務省自体がさらに関心を国際放送の点については持たなきゃいかぬという点に関しましては、まさに先生のおっしゃるとおりでございます。われわれといたしましては、直接の当事者ではないという立場から、この問題に直接取り組んでおります官庁あるいは放送の実施主体であるNHKに対しましては、外務省としましても可能な限り全面的に協力いたすと、こういう態度をとっております。
 なお、放送の番組に関しましては、先ほど来御案内がありましたように、番組の審議会には外務省の情文局長もメンバーになっておりますので、その面からも番組の質的内容の向上のためにもいささかの努力も傾注したい、かように考えておるわけでございます。
#108
○参考人(高橋良君) NHKといたしましては、先生の御指摘のとおり昭和五十九年度の世界無線主官庁会議もございますし、それを目指しましてNHKのできる範囲において、特に現在やっておりますのは、各年度、たとえば申し上げますと、昭和五十六年度には中国の方に増力をいたしまして、普通の受信機でも十分に中国の方々がラジオ・ジャパンが聞こえるようにもいたしましたし、本年度も近隣諸国の特にアジア方面、そちらに対しましての増力増波、これについても現在、郵政省、KDDと打ち合わせ中でございます。しかし、抜本的には、ただいま先生御指摘のように、昭和四十六年製が一台でございまして、あとは送信機が昭和三十年代の製作でございますので、これの緊急整備をまず最初にやるということが有効でございますので、これを、KDDと打ち合わせしましてできました協議案をただいま郵政省と一緒になりまして検討している最中でございます。
 そういう事情で、あとは、昭和五十九年度に向けての先生の御指摘につきましては、特にSSB放送、単側波帯放送に変わるという考え方もございますものですから、これにつきまして郵政省を通じまして主官庁会議にコントリビュートするように、NHKといたしましては、特に海外からは日本に対しましてこのSSB放送になった場合の受信機の協力ということが求められておりますので、それに向けましてNHKとしましては郵政省に協力する。なお、さらに遠距離伝搬の場合が一番問題でございますので、それに一番ふさわしいような周波数を確保していただくというような計算をいたしまして、これも郵政省を通じまして、この主管庁会議の方に打ち出してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
#109
○国務大臣(箕輪登君) 先生御指摘のとおり、国際放送の重要性については全く同意見であります。これを拡充強化していく方向でいかなければならないと私も考えております。特に受信の改善、これが喫緊の課題となっておることも承知いたしております。このためには、御指摘の海外中継施設の設置だとか、あるいは改善だとか、あるいは国内送信所のパワーアップだとかいうようなことも大変必要であることは十分と郵政省も承知をいたしております。私どもは、五十七年度予算案が国会でお認めをいただく、そうすると、五十七年度予算の中に御承知のとおり国際放送の今後のあり方について八百万円の調査研究費がついておりますので、それを活用さしていただいて、先生いま御指摘のようなことを十分とひとつ検討さしていただきたい、そしてこの研究の結果を速やかに政策として実現していきたい、こう考えているところでございます。
#110
○新谷寅三郎君 いまの問題に関連しまして、もう少し具体的に私の意見を申し上げますが、この中継所の問題ですね、これは外務省もよく考えておいてもらいたいんですが、ポルトガルのシネスの中継所、これはよく機能していると思うんですね。ただ、残念なことは、持ち時間が、中継時間が一日に一時間でしょう。これでは非常に少ないんじゃないかと私は思うんですね。なかなか時間の割り当てがむずかしいかもしれませんけれども、何か方法を講じて、これはNHKやKDDも経済的な問題はその方に任して、とにかくシネスの中継所の持ち時間、割り当て時間をもっとふやすようなことを外務省もやっぱり先頭に立っておやりになる必要があるんじゃないか。
 それから同時に、私の乏しい勉強の結果ですけれども、短波の届かないところというとヨーロッパの一部分、それからアフリカ、それから南北アメリカの東海岸だと聞いておるんです。ところが、ヨーロッパの方は一時間でも曲がりなりにもこの中継所から放送が出ていますけれども、アメリカの方は全然ない。やっぱりいまそこでいろいろの問題が起こっていますね。日本との関係も必ずしもうまくいっていないという国があります。そういった場合に、国際放送でもっともっと効用を上げるというようなことは必要じゃないかと思うんですけれどもね。
 聞くところによると、何か日本と非常に友好関係の深いパナマあたりにシネスと同じような中継所をつくりたいとか、あるいはつくることについて交渉中であるとか、そういったことをちょっと仄聞するんですけれども、それはどうなっておるのか。これはしかしパナマに限りません。カリブ海のどこかにそういう中継所ができると南北アメリカの東海岸というものはこの放送の圏内に入るわけですから、いま申し上げたようなことが可能になってくるわけです、それについて、これはやっぱり外交交渉が要ると思うんですね。その相手国の主権に関係するような問題もありますから外交交渉が必要だと思うんですが、外務省がそういった問題についてもっと積極的におやりになる必要があるのではないかと思うんですけれども、この点は、外務省、どうですか。
#111
○説明員(寺田輝介君) お答え申し上げます。
 確かに先生のおっしゃいますように、国際放送を質的、量的に強化していく、このためには送信機自体の出力を強化するという措置がとられることは必要でございますが、これだけでは十分でないことはっとに先生から御指摘あったところでございますし、この解決のためには、確かに世界各地に国際放送のためのNHKのための中継所を設置するということが必要でありますことは論をまたないと思います。
 そこで、まず第一点といたしまして、確かに現在のNHKがヨーロッパ、ポルトガルにありますシネスで中継所を借用している、この状態は一日に一時間というぐあいに聞いておりまして、私どもとしても、このシネスにおける放送時間が延びる、延長されるということはきわめて必要であるというふうに認識しております。
 そこで、外務省はこういった問題にどういうことができるかというお尋ねでございますが、まず、シネスに関しましては、ただいま参議院の予算委員会で御審議を願っております外務省の予算の中に、若干のヨーロッパを対象とする調査費が計上されております。そこで、その中の一つの考え方でございますが、詳しい調査の対象等は予算が成立をした段階においてさらに詳しく検討をいたす所存でございますが、とりあえず現在考えておりますのは、たとえば西欧諸国に調査団を派遣した場合には、必ずポルトガルのシネスにも寄り、そこで外交チャンネルを通じてこのシネスにおける放送時間の延長というのは可能性がありやなしや、こういった点も検討することも一つの課題ではないかと思っております。確かに先生の御指摘にございましたように、シネスのみをもってしてはその他世界の地域をカバーできないのは当然でございまして、その観点からまいりますと、私どもの方で、外務省としましていま事務的な検討段階でございますが、考えておりますのはパナマの問題でございます。
 確かに、技術的な側面から郵政省及びNHKの専門家からお伺いしたところによりますと、パナマのロケーションから考えますならば、南米の他の地域をカバーし得ると同時に北米地域もカバーし得るという絶好の立地条件を備えているというふうに聞いております、そこで、パナマに対してこういう中継所の設置をするにはどうしたらいいかということについては多々技術的な問題がございますので、まず基本的に取り組む前に部内で検討していると、こういう段階でございますが、私どもとしてはやはりこのパナマのプロジェクトというものは実現する必要があるということを常々考えておるわけでございます。
#112
○新谷寅三郎君 総括して、最後に私の申し上げたいことを申し上げておきますと、この国際放送につきましては、いま調査費を計上してこれから調査をするんだなんというのは、そんないとまはない。そんな特別の調査はしなくても実情はよくわかっているわけですよ。これは郵政省も外務省もそうだと思います。いまはどこをどうしたらいいということはもう全部私でも把握しているんですから、よく事情を知っている皆さんではもっと正確に実情を把握しておられると思うんです。もうそういう調査とかなんとかいうことよりも、早くこれを実行に移すことですね。早く実行に移すことです。
 そのためには、先ほども申し上げましたが、郵政省、NHK、KDD、それから外務省、通産省等々が関係して、どういうふうにしてやれば実現が一日でも早くできるかということを具体的に計画を持ち寄って、その計画を決めて、それを少なくとも五十八年度予算には、これは日本としては非常に大事な問題ですから、ゼロシーリングかなんかまたあるかもしれませんけれども、その中でもこれは特別措置として実行されるような、実現し得るような方法をお考えになることが当面のこれは問題であるということを申し上げておきます。これ以上はこの問題について申し上げませんが、関係の皆さん、ひとつしっかりやっていただきたいと思います。
 それからまだ時間をいただいておるようですから、多少時間をいただいて簡単に質問いたします。
 放送衛星です。今度のNHKの予算にも、放送衛星についての負担金といいますか、そういったのが計上されているようでございます。一昨年以来、私は、この委員会で前大臣、前々大臣とも意見を交換いたしました。NHKは、この放送衛星に関しましては初めはいかにもこれは難視解消のために必要である、難視解消のために地上設備でいけば大体千億かかるんです、衛星でいけばそれよりももっと手軽にこれは解決できるんですというような、私から言えば場当たりの答弁をしておられたんです。私はもう少し結果を見ようと思っ人命日まで待ったんですがね。
 詳しくは言う必要はありませんけれども、今日の技術開発の程度では、放送衛星を打ち上げられて仮に難視解消に使うとすれば四十二万世帯に対しまして、一方では私が指摘したようにローカル放送というものをやめられない。そうなると、衛星ではローカル放送できないんです。ですから、やっぱり地上施設とこれは二重投資になるということは避けがたいでしょう。仮にその問題を置きましても、衛星を使ってやる場合には、予備機を入れますと二個の衛星を打ち上げなければならない。両方合わせまして、今日の時価でいつでも打ち上げ費用を入れると大体二個でもって七百億ぐらいの金がかかる。しかも、それは寿命はせいぜい五年だと。いまは三年でしょう。せいぜい五年だと、こういうことですね。一年間に平均してどのくらいかかりますかね。これはもう計算してみるとすぐわかるでしょう、七百億を五で割ったらいいんですから。
 それに対しまして地上施設でいきますと、その当時は千億と言っておった。今日また千三百億ぐらいかかるだろうと、こう言っているんですね、NHKは。しかし、これは耐用年数からいきますと十五年だと思いますが、平均しまして、いろんな機器類がありますから十二、三年。耐用年数で十二、三年としますと、大体これは百億以内で済むわけですよ。どっちがこれ経済的か。経済だけ言うんじゃありません。そういうことにならざるを得ないと私は思うんです。今日になると、NHKもそういう点について十分研究をし反省をしていただいていると思います。しかし、この問題をいまここでこのときにああ言った、こう言ったということを言うつもりはないんです。
 私は、この放送衛星を今後何で活用できるかということを考えてみますと、地上施設では届かないような小笠原とか南大東島とか、そういう非常に離れた離島、それから災害関係、こういったものは、これは衛星が非常に役に立つと思うんですよね。それ以外は、難視解消にも役に立てられるんなら、これは端末機、そういったものの開発をされて、安くなればそれを活用することも可能かもしれませんが、むしろこれについてのメリットはどこにあるかということを考えますと、これから皆さんで開発しようとしておられる新しいシステム、たとえば品位の高いテレビジョン放送でありますとか、あるいはPCMのステレオ音声放送でありますとか、そういった新しいメディアによって衛星放送を大いに国民に喜んでもらえるような放送として提供できるんじゃないかと、こう思っているんです。これについてのNHKの考え方を伺いたい。
 それから同時に、BS2がやがて実用衛星として打ち上げられますね。このときにニチャンネルはNHKがこれは使うんだ、こういう前提を、これは郵政省が決めたかどうか知りませんが、仮にそういったものを前提とした場合に、この二チャンネルを使って、これはやがて始まるわけですから、どういう構想でこの二チャンネルを国民の期待にこたえるような放送として実用化されるのか、これについてもお伺いしておきたいと思います。NHKからお答え願います。
#113
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。
 お言葉を返すようでございますけれども、前回の委員会におきましても先生から御指摘をいただいたとおりでございまして、この難視解消を目的として始めるということにつきましては、金額は先生御指摘で、妥当でないということであれば別でございまして、われわれの計算では、大体そういう形で考えまして、特に今後地上施策でもって難視解消をやるということになりますと、先生の方が御高承のように、図工作戦でやってみましても、二万二千地区ぐらいのところに小さい中継局をつくらなくちゃならぬという状況に立ち至っておりまして、非常に散在してきているわけでございます。したがいまして、それの増高してきた世帯単価というものの経費効率を考えての置局ということで考えてまいりますと、それよりは、現在でも六千五百でもって運用しているわけでございますが、さらに二万二千地区でございますから、掛ける二倍の四万局というものを運用するということになりますと、それのランニングコストの方が非常に増大してくる、保守をどうするかというような問題に立ち至ったわけでございます。
 したがいまして、昭和五十五年度からこの国会において先生方にも御審議賜りまして、BS2というものでもって経費的にも効率的に難視解消を図ろうということで、難視解消に放送衛星というものの計画を導入したわけでございます。ただし、先生から御指摘のように、前回の参議院の附帯決議にもございますように、難視解消以外、さらに非常災害その他、国民的視野に立ってその有効活用を図ることという附帯決議をちょうだいいたしましたので、われわれといたしましては、BSEを使いましてどんなものができるかということも実験してみたわけでございます。
 それによりますと、たとえば都市の受信障害が非常に増高しておりますが、これにも非常に有効である。それから国土庁の非常災害実験のときにも参加いたしまして、非常災害のときに地上局が壊滅した場合にこれの代替機能を果たす、それから辺地からいままで中継のできなかったところからも中継ができる、さらに申し上げますと中継回線の代替機能も果たすというような、多々の目的に使用できるではなかろうかということが判明したわけでございます。
 さらに、現在、御指摘ございましたように、今後新しい放送、たとえば西ドイツの場合は先生御指摘のとおりにPCMのステレオ音声放送をやる、というような計画を持っておるわけでございますが、高品位テレビジョンにつきましても、NHKの研究で開発したものが首尾一貫整いまして内外から非常に注目されておる。アメリカはそれでもって放送衛星をやるという計画もFCCに提出しているのは御承知のとおりでございます。
 そういうものをBS2の時代から、空き時間、特に深夜の場合はあいておるわけでございますから、そういうところで実験をしていただきまして、なお編成にも重点指向をした編成をやってもらいまして、BS3の時代には放送大学なども乗るというようなことも聞いておるわけでございますので、それまでにBS2の時代からNHKとしては各種の編成並びに実験を加味いたしまして、BS2の時代からBS3時代に向かって衛星の受信機の普及を図ってまいりたい。そうすることによって将来のBS3以降の放送衛星の発展に寄与するのではなかろうか、このような概略、方針をもちましてNHKは計画中でございます。
#114
○新谷寅三郎君 この問題についてはいろいろまだ意見もありますけれども、時間もありませんから、今後のお互いのこれは研究課題にしておきたいと思います。
 それから最後に、もう一つ。これはきわめて調子の低い質問になるんですけれども、どこでもNHKの減量経営の問題がやかましく言われております。私も全く同感なんです。そのうちの一つですけれども、これは私はもう十年以上、十何年もの間主張をし続けていたんですけれども、なかなかNHKは実行しない。それは何かというと放送学園です。これは坂本会長、あなたの前任者の会長、その前、その前から始まった問題で、私は、NHKが教育番組を充実するということはこれは当然の責務だし、それは大いにおやりになっていいと思うんです。大学といわず、高等学校といわず、中学校といわず、いまもそうなっているでしょう。
 しかし、NHKが自分の出した補助金で放送学園、教育機関を自分で経営するというような、そういったものはNHKの使命の中にどこにも入っていないんです。昭和三十七年以来そういったものが続いているわけです。しかもこれは、たとえばNHKの非常に得意のアナウンサーの養成であるとか、あるいは機器類の修繕のための技術者の養成であるとかいうことであれば、これは私は放送界全体のために大いに力を入れておやりになって、NHKのみならず放送事業全体のためにそれを提供されることは、NHKの公共機関としての使命にこれは非常に当てはまったものだと思うんですけれども、いまあなた方のやっているのは、これは普通高等学校なんですよ。普通高等学校です。その当時の高等学校への進学率と今日の進学率を比較しますと、問題にならないですよ。各府県とも非常にたくさんの普通高等学校を充実しているわけでしょう。何でいまさらこれを存続しなきゃならぬか。
 それは教育機関だから先生もいるし生徒もいるし、一遍にこれはやめるということはできないことはよくわかります。わかりますけれども、これをだんだんに縮小して、経費を毎年毎年五億ぐらい出しているんですから二十年たったら百億出しているわけでしょう、少なくとも。そういうNHKの本来の使命から逸脱したようなものをいつまでもこれを持っているということは、NHKが減量経営に力を入れていますとおっしゃるけれども、私は賛成できない。これをどうするんだということです。もっと具体的に言いますと、何年間かの期限内にこれを廃止するように計画を立てなさいということです。
 私がこういう質問をしますと、縮小します、その方に心がけておりますということをいつもおっしゃるんですけれども、この間もNHKのテレビを見ていますと、大々的に新入生の募集をやっているわけですよ。それでいいんでしょうか。私は、年間五億あると、もっとNHKが技術開発に力を入れたり、必要なところに経費を回すことができると思うんです。なぜその方向に向かえないのか、私は不思議でならないんですよ。これは沿革を言うと長くなるから言いません。私は、初めからそういう主張をして、国会でもそういうことをたびたび申し上げたことがある。それに賛成だ賛成だと言いながら、全然実行もしていない。私にはわからないんですよ。坂本会長のこれは明瞭な御答弁をお願いします。
#115
○参考人(坂本朝一君) この件については、私よりか先生の方が大先輩ですから経過を御説明するのも恐縮でございますけれども、日本放送協会学園というのは、いま先生がおっしゃいましたように、昭和三十七年に設立いたしまして、当時、逓信委員会でもいろいろな御意見、先生の御意見は当時から十分承っておるというふうに先輩からも聞いておる次第でございます。
 ただ、学園高校を開校いたしました当時の高校進学率というのが六六・八%でございまして、勤労青少年に教育の機会を提供して、全国どこでも、だれでも放送を利用して学習できるという、そういう高等教育を行いたいということのようでございまして、それでその経過、今日二十年になっているという状況でございます。
 そして、先生も御指摘の学園に対する助成金等につきましても、かなりここのところ割り増しをいたしませんで、むしろ据え置くというような形で助成しております。その実態は予算書にも提出しておるとおりでございますが、ただ、おっしゃるように、昭和四十年の後半から高校進学率が九〇%を超えるというような状況になりまして、その通信制課程の生徒が減少しているという、これも御指摘のとおりでございます。したがって、この問題をどうするかということは検討を必要だと考えまして、先般のNHK長期ビジョン審議会でも御指摘をいただいておりますので、やはりそういう点、十分配慮しながら、私、長期ビジョン検討会議の大きなテーマとして取り上げていく所存でございますので、この際、その点を御理解賜りたいと思う次第でございます。
#116
○新谷寅三郎君 これで最後ですが、いつもと同じようなことをあなた繰り返しているにすぎない。これはあなたの方がよく知っていらっしゃるだろうが、現在の普通高等学校の進学率は九四・三%ですよ、あなた方の方がこの高校、普通高等学校をやめても、これは進学する道はどこの地区にでもあるわけです。ですから、私はそういう実情をつかまえて言っているんです。その当時六〇%ぐらいの進学率だった、だから何かつくってくれと文部省から頼まれて、当時の会長が先走ってやっちゃったんですよ。それを急につぶしてしまうのもどうかということで、将来に対しては考えなさいよということで今日まで来ているわけです。
 それから二十年たったんです。毎年毎年あなた方NHKは同じ答弁しかしない、実際には実行しないというんですね。私は、それは研究しますじゃないんですよ、これでね。研究しますじゃなくて、早くその本来のあり方に立ち戻って、NHKとしては姿勢を正しなさいということです。私は、あなたがいき言ったけれども、教育番組を充実させることは大いにやりなさいと言っているんです。しかし、あなた方NHKが、普通高等学校のこの学舎を、学校を持たなきゃならぬということがわからないんです。それは全然次元の違った問題でしょう。教育番組を充実するのとあなた方が学校を持つということは、全然次元の違った題問です。それを根本的にお考え直しになって、来年のまた予算審議のときには問題にしますから、それまでにその計画をお立てになって予算を編成されるように希望しておきます。
 時間が来ましたから、私の質問はこれで終わります。
#117
○委員長(勝又武一君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十二分開会
#118
○委員長(勝又武一君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#119
○福間知之君 NHKの経営の環境を見てみますと、民放は多局化をいたしまして、またネット化を強めております。民放は経営の規模を著しく拡大をしておるわけでございます。また、国費による全国向けのいわゆる教育放送を行うところの放送大学も近く発足をすることになっております。こういう中にありましてNHKの財政を考えますと、いまこれから審議をするわけでございますが、まさに予断を許さない状況にあるのではないかと思います。しかも、放送の利用技術の進歩によりまして、音声多重あるいは文字多重、静止画放送など、各種の多重放送や衛星放送という新しいメディアが次々と開発され、実用化されようとしております。こうした状況の中におきまして、わが国唯一の公共放送機関として国民の要請にどうこたえていくか、今日、NHKは重大ないわば危機とも言える状態に直面しているのではないか、そういうふうに思うわけであります。
 そこで、最初に、私はNHK経営における重要な役割りを担うところの経営委員会や管理機能、今後の放送サービスのあり方、これを支える経営財源などを中心にして若干の質問を行いたいと思います。
 一つは、経営委員会でございますが、NHKの経営方針あるいは事業運営の重要な事項の決定はもとよりのこと、会長、監事の任命、副会長、理事の任命等、幹部役員の大事に関する権限も握っている、いわゆるきわめて重要な役割りをこの経営委員会は担うものとされております。それだけに経営委員会の委員構成や運営のあり方いかんによって、NHKの経営に必要である視聴者の意向の吸収あるいは放送への反映や、また不偏不党の政治的な中立性の確保、こういう要件に対して多大の影響を受けると思われます。
 そこで、まず現在の経営委員会の委員の任命、構成等について、郵政当局としてどのような考え方で対処をしておられるのか、冒頭にお伺いをしたいと思います。
#120
○国務大臣(箕輪登君) 日本放送協会の経営委員会は、協会の最高の意思決定機関としてその経営方針を決定するなど、きわめて重要な役割りを担うこととされております。経営委員会は、御存じのとおり十二人の委員構成であります。委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる広い知識と経験を有する者のうちから選任されることとされております。また、その選任は、教育、文化、科学あるいは産業など、いろいろな分野が公平に代表されるように行われなければならないこととなっております。さらに、十二人のうち八人の委員については、各地区に住所を有する者のうちから選任しなければならないとされ、委員の住所が特定の地域に偏ってはならないように配慮されているのであります。私どもとしては、このような現行制度の基本的な考え方の上に立って、できるだけいろいろの分野の有識者が経営委員会委員になって、各委員の幅広い意見が経営委員会の議事に反映するよう、委員の選考に当たって配慮してまいったところでございます。
#121
○福間知之君 政府は、いまの大臣の答弁にもありましたように、十二人の経営委員の任命について、特に地域代表といいますか、あるいはまた分野の代表といいますか、そういう面を、もちろんこの法律に基づいて考慮されているわけですけれども、どうも現在の、この資料によりましても、メンバーを拝見いたしますと、経営能力という面に何か重点を置いた選任方針といいますか、そういうふうな感じがするわけであります。昭和三十九年に出されました臨時放送関係法制調査会、略称臨放調と申すそうですが、ここの答申におきましても、あるいは去る一月に出されましたビジョン審議会の調査報告書におきましても、経営委員会が多様化した社会の中で本来の機能をNHKが十分に発揮するために国民の意向をさらに反映するべきである、そして大所高所からNHKの運営の基本を定め得るような制度や、運営上の改善を図るための検討を重ねる必要があると考えるというふうな報告を出しておるわけでありますが、そういう考え方の中では、いまの経営委員の選任における方針で欠けている点が、視聴者の代表を重視するという点がいささか欠落をしているのじゃないかと思うんですけれども、分野代表あるいは地域代表ということもさることながら、視聴者の代表という性格をもっとにじみ出させる必要があるんじゃないかと思うんですけれども、これはどういうふうにお考えでございますか。
#122
○政府委員(澤田茂生君) NHKの経営委員の役割り、経営委員会の役割り、先生も申されたように大変NHKの経営に関する重要事項、たとえば収支予算あるいは事業計画、資金計画、債券の発行あるいは借入金の借り入れ等々、経営に関する重要な事項についての審議をいただく機関でございます。こういった面でそういうような責務を十分果たし得るふさわしい人を選ぶということについても配慮をしなければならないと考えているところでございます。
 なお、同時に、視聴者の意見というものが代表されるような構成という点についての御意見を賜ったわけでございますが、NHKの放送は公共の福祉のためにあまねく日本全国に受信できるように放送を行うということを目的としているわけでございまして、現実に、その視聴者はあらゆる地域、またあらゆる分野の方にわたっているということが言えると思います。そこで、経営委員会の委員の選任に当たりましても、そのようなあらゆる分野の、またあらゆる地域の視聴者の意見をNHKの経営に反映させることができるという考えの上に立って、その選任について教育、文化、科学、産業その他の各分野が公平に代表されるということを考慮するとともに、委員十二人のうち八人につきましては、全国を八地区に分けまして、それぞれの地区に住所を有する方が各地区ごとに一人ずつになるよう選任をしているところでございます。NHKの経営委員につきましては、その任免に当たりまして両議院の同意を要するということにも照らしまして、その選考に当たりましては広く国民を代表することになりますよう、一層の配慮をしてまいりたいと考えているところでございます。
#123
○福間知之君 先ほども申しましたけれども、放送法における地区代表あるいは地域代表、分野代表という要件は、これは私も理解はできるんですが、臨放調は、八つの地区から選出するいわゆる地域代表といいますか、地区選出委員については分野代表という考え方をとるべきではない、むしろ地域の視聴者の意向を代表するような性格の委員が望ましいんだ、またビジョン審議会でもそれに似たような考え方だと私は理解をしていますけれども、その点、現在のメンバーを見てみましても、必ずしも分野代表とは言い切れませんけれども、何か私は、経営能力と先ほど指摘しましたが、そういう点にこだわりが強過ぎはしないのか、こういう感じがするわけですね。これは郵政当局もそうではないとこれは言い切れないだろうと思うんです、このメンバーを見ますと。だから、そういう点をこれからぜひひとつ改善をしていくべきではないかと思うんですけれども、重ねてこれは当局の御見解をお伺いしたいと同時に、NHK当局としてはこの点をどういうふうに、今日までの経営委員会のあり方にかかわってこられた当事者としてお考えになっていますか。
#124
○政府委員(澤田茂生君) 各いろいろな分野の代表の方あるいは各地区の代表の方、それぞれの分野代表であると同時に、その地域における視聴者の意見というものも代表して審議に当たっていただける方々という方々の御選任ということが一番望ましいことだというふうに考えておりまして、いろいろな分野から選任された代表の声が経営委員会の議事に均衡のとれた形で反映をされるよう、委員の選任に当たりましても今後とも十分配慮をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#125
○参考人(坂本朝一君) 私、経営委員会から任命されている会長でございますので、経営委員会の委員の選出その他についてお答えする立場にはないのではないかというふうに思いますので、その点はひとつ御容赦賜りたいと思う次第でございます。
#126
○福間知之君 しからば、ちょっと観点を変えますが、昨年四月からことしの一月まで経営委員会は十九回開かれていますね。原則的には月二回以上、こういったてまえであり、会長はこれは必ず出席をされまして業務の執行状況の報告、あるいはまた必要によって意見を開陳される、こういうことのようでありまするし、副会長、技師長、専務理事、理事等が出席してやはり審議に一応参加をしておられます。そういう状況でございまするし、一方、経営委員といわれる方たちはおよそこれ皆現役の方が多いですね。ある会社の社長さんであり会長さんであり、あるいは相談役さんである。ほぼ現役で、この厳しい経済環境の中でそれぞれの御会社の、あるいは団体の重責を果たしておられる。言うならばNHKの経営に関しては、むしろ経営委員会の政策決定あるいはまた論議のリードをされる立場にあるのはやはりNHKの幹部の皆さん方じゃないか、そういうふうに私は常識論として思うわけであります。もちろん経営委員会の権限なり性格なりというものをわきまえて、いま会長がおっしゃったような見識も十分持っておられるに違いないんですが、したがって私は、経営委員会を運営する重要なかなめは、やっぱりNHKの言うならば理事会といいますか、執行部だと思うんですね。そういう立場で、私は、いままでの経営委員会というものに対して当局としての御不満な点だとか、あるいはまたもう少し自分たちとしてもなさなきゃいかぬことがいろいろとお感づきだろうと思うんですけれども、そういう感想はいかがですか。
#127
○参考人(坂本朝一君) 私の体験で御報告申し上げれば、大変、経営委員会御熱心な御審議がございまして、私は、私どもの立場とすれば執行部でございますから、最終的な最高意思決定機関の経営委員会が十分機能を果たすように補佐するのがわれわれの任務であろう、そういう点にもし至らない点があってはならないというふうに自戒をしているわけでございますけれども、現状ではいろいろと経営委員会に対する世の中の御要望あるいは御意見等がございますので、非常に御熱心に御審議をいただいておるということは申し上げられるかと思います。
#128
○福間知之君 郵政当局にお伺いをいたしたいと思いますが、経営委員会のメンバーに政党の役員に関する条項がございますが、十六条の第四項、第五項ですけれども、要約すると、この経営委員会のメンバーに政党の役員、同じ政党、同一政党の役員が五人以上はだめ、四人までは許容される、こういうふうな規定でございますけれども、こういう規定は一体どういう背景で生まれて現存をしているのか、いささか私は理解ができてないんですけれども、おわかりでしたら御説明願いたいと思います。
#129
○政府委員(田中眞三郎君) 放送法の第十六条第五項によりまして、NHKの経営委員は「五人以上が同一の政党に属する者となることとなってはならない。」というふうにございます。この趣旨でございますけれども、NHKの経営委員の数は十二人でございますが、それとの関係において放送法で決められたものかと思いますけれども、いずれにしましても、先ほどから言われておりますように、経営委員会というのはNHKの最高の意思決定機関でございますし、その委員の任命のあり方につきましては、NHKの根幹にかかわるという問題として今後さらに検討と申しますか、慎重に検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#130
○福間知之君 私も、ここでその規定を急にどうこう世いという考え方を責任持って申し上げるいま見解は持っておりませんけれども、何かこう考えれば半分理解できて半分理解できないという感じがするわけです。これは不偏不党の立場をNHKはとるべきだ、こういうふうな観点から素朴な疑問が出たのでございますけれども、これは今後一緒にひとつ考えてまいらなきゃならぬかなと、こう思っておることだけ申し添えておきたいと思います。
 それから最近、経営委員がある政党の議員と会合をしたことが報じられておりますけれども、だとすれば、これは不偏不党という立場からNHKの最高意思決定機関とも言うべきこの経営委員会のメンバー、これが特定の政党と会合をするということはいかがなものかな、こういうふうにも思うわけですけれども、これは、郵政大臣、どのようにお考えですか。
#131
○国務大臣(箕輪登君) 特定の政党の国会議員であろうが、やはりNHKのこの厳しい経営情勢、そういうことを心配して将来の問題を含みながら経営委員と会ってNHKの経営の実態を聞くというようなことがたとえばあっても、私はNHKの不偏不党ということには関係しない、こう考えるわけでございます。
#132
○福間知之君 それは常識ですし、私もそれは否定しませんけれども、だとすれば、いずれにしても現在幾つかの政党がございますから、そういうそれぞれの政党がお会いをしたい、こういうことを申し上げてもこれは差し支えないんじゃないか、特段の事情のない限り差し支えない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#133
○国務大臣(箕輪登君) 私は、それで構わないと思います。
#134
○福間知之君 ビジョン審議会のこの調査報告によりましても、視聴者会議の設置あるいは視聴者懇談会等を持って視聴者の意向を受けとめていくという一つの制度といいますか、システムというものを考えることがいいんじゃないか、こんな提言があるように思いますけれども、これはNHK当局として、何かこのビジョン審議会の方向について具体的に検討されたことはございますか。
#135
○参考人(坂本朝一君) 先ほどもちょっと触れましたように、これらの御答申を中心にどう対応するかということを検討する、協会の中に私を議長とする長期ビジョン検討会議なるものを設けまして、そういうところでそれらの御提言にどうこたえていくかという検討をしようということで、具体的にいまそのことで行動を起こすというような状況ではございません。
#136
○福間知之君 次に、放送法二十六条四項によりますと、「監事は、会長、副会長及び理事の行う業務を監査し、その監査の結果を経営委員会に報告する。」という規定があるわけですけれども、この規定は、監事というのは会長、副会長及び理専の行う業務についてだけ監査するのでありまして、NHKの業務全般あるいはNHKの経理について直接監査することができないという、そういう意味であるのかどうか。だとすれば、これは監査機能の強化という観点から少なからず問題があると思います。確かに会長や副会長及び理事の業務を監査するということは、言葉をかえれば間接的にNHKの業務全体を監査しているんだ、こういうことも言えるのでございましょうけれども、たとえば電電公社における公社法二十条第五項によれば、「監事は、公社の業務を監査し、」、公社の業務を監査しですよ、総裁のあるいは副総裁の業務を監査じゃないんですよ、「公社の業務を監査し、その監査の結果を経営委員会に報告する。」と、こういうような規定なんです。明らかに文言上も違うんです。これは監理局長、こういうふうにはっきりされる必要があるんじゃないですか。
#137
○政府委員(田中眞三郎君) ただいま御指摘の放送法第二十六条第四項は、NHKの監事は、会長、副会長、理事の行う業務を監査する、こうなっておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、NHKの業務の執行は会長、副会長及び理事が行うということになっておりますので、そういう意味でNHKの業務そのものを監事は監査するのであるというふうに考えておる次第でございます。
#138
○福間知之君 当然そういう御答弁だと思うので私の方からも先に触れたわけですけれども、しかし法律上、公社の場合とそういうはっきり違いがあるんですね。だから、これは今後ひとつ検討課題として御研究を願いたい、そういうように思います。何も、いまのままじゃ監査が不十分だと一概に言っているわけじゃないんですけれども、同じ政府系の関係の機関でそういう違いがあるということですね。この点はなぜそういうふうに違いが出てきたのか、これも吟味をしなきゃならぬのかもしれませんが、そんないとまがありませんので問題点だけを指摘しておきます。
 なおかつ、この監事の監査結果は電電公社では公表されておるわけであります。それで、NHKの場合は口頭で報告するのか、文書でするのか、一体どういうことになっているのか。また、公表はされておりませんので、その点をどう考えたらいいのかということです。
#139
○参考人(坂本朝一君) 監事の報告は、口頭で経営委員会になされておる次第でございます。その取り扱い等につきましては、私がここで具体的に御報告する材料を持ち合わせておりませんので、経営委員会に御報告申し上げてお答えしたいというふうに思います。
#140
○福間知之君 電電公社も、いま大きな変革の中でいろいろと経営形態問題を含めて社会的にも注目をされております。その電電公社も、数千万の加入電話その他を中心にして、言うならば国民から料金をちょうだいして経営に当っている。NHKも言うならば似たようなかっこうでございますので、そういう立場で、この経営委員会に報告されるものは、私はある程度口頭というよりもやっぱり文書でなされ、またわれわれが見ようと思えば日につくというふうな姿をとってもらえないものか、こういうことを要望として申し上げますが、これは電監局長、いかがですか。
#141
○政府委員(田中眞三郎君) その監事の報告形式等、あるいは監事は現在のところ会長、副会長及び理事の行う業務を監査するということで、電電公社等とは文言の使い方が多少違っておるわけですけれども、その辺も含めまして検討させていただきたい。また、特別に私いまふぐあいがあるというふうにも考えませんけれども、なお相談させていただきたいというふうに考えております。
#142
○福間知之君 ちょっと先を急ぎたいと思います。
 先ほど同僚の片山委員が指摘をいたしました例の職員の給与、待遇の問題でございますけれども、NHKと民放との職員の給与を比較する場合に、根本的に経営の基盤が違います。したがって、その違いは認識するにいたしましても、たとえば社会的、一般的に賃金の水準というのは、同種産業、企業横断的に比較されるのが普通でありますね。産業別、業種別に横にらみするというのが普通だと思うんですね。さらに、最近は同じような職種でもって横にらみをしていく、こういう傾向がわが国社会でも普遍化しつつあります。そうしますと、先ほども言っていましたように、気持ちよく仕事をしてもらう、意欲的に仕事をしてもらうためにも、働く人たちにとっては生活の収入源の給与というものが他の放送関係当事者に比べてかなり劣悪であるということであれば、これは問題があるということは言うまでもありません。
 そこで、私は、さりとて民放のA社、B社、C社等々と比べる場合にも、単に勤続年数や平均年齢や扶養家族はどうだということだけじゃなしに、同じような職種の仕事をしているということで、その労働に対して適切な対価としてやっぱり給与が支払われる、給付が行われるというふうに考えます。それが妥当だと考えるんですね、そういう考えが。だとしますと、経営のいかんにかかわらず、おのずからその格差には限界的な妥当性というものを考えなければいかぬと思うんです。月に五万から六万も違う、年間で二百万から二百五十万も違うというのであれば、いかに経営形態が違うんだ、基盤が違うんだといっても、働いている人たちにとってはそれは納得がいくものじゃありません。
 そこで、私は、一般であれば、たとえば労働の生産性というものがA社とB社と比較してどうだとか、あるいは売り上げに対する一人当たりの貢献度合いがどうだとか、利益率がどうだとか、いろんな比較指標というものがありますけれども、NHKの場合には必ずしもそれがない。だから非常にむずかしいのかと思いますが、だからといって、先ほどの御答弁のように、これからかなり現存する格差を是正する展望といいますか、年次計画といいますか、中長期的な計画というようなものをすら持てないというのであれば、私は働いている人たちというのはかわいそうだと思うんですよ。
 そこからは他社からの引っこ抜きやらそんなことも出てくるでしょうし、余りこれは好ましくないのでありまして、そういう点で参考に聞いておきたいんですけれども、人件費の比率というのは、ここ数年どういう推移ですか。この資料を見ますと、大体三四・一とか二とかいうようなのが今年度であり前年度でございました。あるいはまた、ことしの人件費といいますか、給与の上昇率も五%強見込んでおられます。昨年は結果として七・何%ですね、これを見ますと。当然ことしも五%ではおさまらぬのじゃないか、こういうふうに私は思いますけれども、しかし、どだいベースが二十五万何千円、二十二万何千円と三万円から違いますと、アップ率が一・何%違いましても、これはずいぶん額は違ってくるわけでございますので、格差は圧縮しない、逆に拡大をしていく、こういう危険を感じますけれども、何をどういう指標で給与水準というものを正直なところ考えようとされているんですか。
#143
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。
 ただいまの先生の御指摘というのは、われわれ自身も非常に苦しみ悩んでいるところでございます。協会の職員の仕事と申しますのが、先生の御指摘のとおり最近の放送も非常に好評を得ております。これは職員が一生懸命に働いてくれたその成果だと思います。私どもとしても、同業他社との差というのはまことに残念だと思っております。できることならこれを埋めたいという気は重々ございます。本来、同じ職種でございますからできるだけ遜色のない状況というのをつくりたいとわれわれは一方では考えるわけでございますけれども、ただ、これもひとつ御理解をいただきたいと思うのですけれども、協会の業務の性格上受信料をもってうちの収入の大部分が成り立っているという状況もございます。したがいまして、うちの職員給与というものがやはり社会的な納得の得られるもの、たとえばその差を埋めるために突出したベアというものをやっていくということもなかなかむずかしいという一面もございます。そういう聴視者の一方で納得の得られる金額でありながら、なおかつ民間との差というものを圧縮したいというわれわれのひそかな願望を持っているわけでございます。その二律背反のような中でもってこの事態に当たっていかなければならぬというのが正直のところ実情なんでございます。
 したがいまして、われわれとしては、いまのところ計画を立ててこの差を埋めていくということは人件費の先取りということになりますので、年度年度の人件費というものを定め、その中でできるだけその格差を埋めるべく努力をしてまいりたい、こう考えているわけでございます。協会の給与というのは、そういう二律背反の中から協会の財政状況とかあるいは社会全体の状況というものを勘案しながら、労働組合と協議をしながら決めてまいるというのがルールでございますので、私どもといたしましては、先生の御指摘は私こたえるわけでございますけれども、われわれのとり得る方法諭としては、年間の事業計画の中で、先生方に御審議をいただいているこの予算の中で、しかもその中の人件費の中でわれわれは割き得る最大限の努力をしながらその格差を縮めてまいりたい、こういうつもりでおります。
#144
○福間知之君 この委員会で、この場でこの問題を余り議論する余裕はないわけですけれども、皆さん方の出されたこの資料によりましても、五十六年度でNHKの職員さんの構成内容は、平均年齢四十・三歳、平均勤続十六・八年、性別構成、男九三・七%、女六・三%、学歴構成、大学卒五四・五%、高等学校卒四五・五%、世間一般の企業に比べると大変高いわけでございます。マスコミ関係の中でもこれは高い方ではないかと思うんですけれども、違っていたら御指摘いただきたいんですけれども、それだけに平均賃金で仮に二十一万二千十円ですか、先ほど指摘されましたけれども、民間五十社平均で二十五万四千五百円、約三万二千五百円の差があるわけですから、これはひとつ、労働組合との話し合いはもちろんでございますが、経営の立場からも積極的に改善をするということに工夫と御努力を私はお願いをする以外にないと思うんですよ。NHKの将来のためにこれは非常に問題じゃないかなと、改めて今年度、私、感じた次第でございますので、申し添えておきたいと思います。
 次に、NHK財政の見通してございますけれども、五十七年度の収支予算を見てみますと、大体収支とんとん、こういうことになっているわけですが、資本収支では、債務償還に必要な資金不足額七十六億円を五十五年度及び五十六年度における繰越金百十一億円の中から補てんすることになっております。そして全体収支の均衡を図っておるわけでございますが、一方、事業収入の伸びを見てみますと、前年度に比して一・五%、事業支出の方は五・七%と伸びは大きい。こういう一・五と五・七というアンバランスがあるわけですが、この傾向は今後強まるんじゃないかという危険も感じます。だとしますと、五十八年度の収支はすでにこの予算書でも赤字、五十九年度は当然そうなりますと受信料の値上げが必要になってくるんじゃないか、そういうふうに推察をされるんですけれども、現段階で当局としてのお見通しはいかがですか。
#145
○参考人(山本博君) ただいま御指摘になりました問題、大筋といたしましては大体そのような傾向になっております。と申しますのは、ただいま御審議を願っております五十七年度予算におきましては、前の値上げをいたしました以降三カ年間の総合的な収支は相当な収入不足がございましたが、それをいわば内部で克服をいたしまして、三十五億円は五十八年度に繰り越しができるという形に五十七年度予算はなっております。これは余り類例のないことでございまして、NHKとしましては相当な収入不足を克服した上でのさらに三十五億円の繰り越しを五十八年度、四カ年目にいたしておるわけでございますので、これはそれなりに私たちは相当な努力をいたしたつもりでございます。
 しからば、五十八年度の見通しはどうかということでございますが、これは従来の傾向が非常に大きな変動がなければやはり約二百億前後、これは精密な計算まだできませんし、いたしてございませんが、二百億円程度の事業費の増が必要になってまいると思います。ただいま御指摘になりましたような人件費の問題もございましょう。物価高騰によるいろいろな経費の増高もございます。大体のいままでの傾向から見ますとそういう見通しになりますが、収入の方は一%ちょっとの増収しかございません。そうしますと、あとの部分につきましては、ただいま申し上げました三十五億円をここに振り向けられるのが一つございます。
 それから現在進行いたしております、大体終わりに近づいておりますけれども、五十六年度の財政状況というのがもう少しいたしますと決算という形ではっきりしてまいります。これも私たちなりの努力を相当いたしておりますので、ここにも何がしかの繰り越しということが可能になってくるのではないかというふうに考えます。また、五十七年度の予算は、ここ数日前の政府の物価の見通しも相当安定をしてきておるというような情報もございますので、今後の推移によっては五十七年度の予算執行の過程におきましてどういうような変化が出てくるか、これも多少見通しをしなければなりません。
 こういうものを総合的に勘案いたしまして、私たちは、五十八年度におきましては、前の計画、三カ年計画が終わりました四年目になりますけれども、これは五十一年度の受信料改定が三カ年間の改定でお願いをいたしましたが、五十四年度は受信料の改定をしないでこれを何とかしのいできたという過去の経験もございますので、五十八年度につきましては、現在のところストレートに受信料値上げたというような直接的な方法論にすぐ結びつけるのではなくて、いろいろな努力を今後しながら、最終的にはもう少し時間をかけて考え方を決めていきたいというふうに思っています。
 五十九年度以降につきましては、先ほど会長が申し上げましたように、ビジョン審議会でいろいろな問題の提起を受けております。したがいまして、そういう問題点を全体考えまして、受信料の改定も含めましてもろもろの案を検討いたしまして最終的な決定をいたしたい、こういうふうに考えております。
#146
○福間知之君 私も何も値上げを期待している立場でも何でもないのでございますが、やはりなかなかNHKの内部努力をされましてもはかばかしく改善をするということがむずかしいんじゃないかなと、いままでの経緯にかんがみまして感じまするし、ビジョン審議会でも副次収入を上げなさいなんというようなことを言っていますが、五十五年度で副次収入は総収入のわずかに〇・六%、十五億円弱でございます。これどんなに気張りましても知れているんじゃないか、こういうふうに思います。あるいはまた、これからの新しいメディアに対する新規サービスというものが出てきますと、コストはかかりましても収入の道がそれで並行してふえるというわけのものでもなさそうです。したがって、これからのNHKの財政的なゆとりといいますか、そういうものを生み出すために抜本的にどうしたらいいのかということではたと考えあぐむわけでございますけども、新しい何かサービスを提供する場合に新規の受信料というようなものを考えることが可能なのかどうか、そこらあたりの御見解はいかがですか。
#147
○参考人(海林澣一郎君) いま先生のおっしゃいますように、新しい経営財源を確保するということの何か考え方はないか。先生いまちょっとおっしゃいました新しいメディア、ニューメディアを導入した場合にどうだろうかということが直近のことであろうかと思います。これもそのニューメディアの放送の姿といいますか、先ほど冒頭で先生が多重のことをおっしゃいましたけども、その後、高品位であるとかあるいは衛星ということでありましょうが、そういう姿、あるいはその受信機がどういうふうに普及していくのだろう、あるいは視聴者の受けとめ方がどうであろうというようなことがございます。それらを勘案いたしまして、先ごろから出ております長期ビジョン審議会でも提言がございましたので、部内に設けました検討会議の重要な柱として、おっしゃいます新しいこれが財源として可能なりや否やということを議論しているということでございます。
#148
○福間知之君 ちょっと時間がありませんので、はしょらなきゃなりませんが、受信契約が、五十五年度の値上げをした年ということもありましたけれども、当初の五十五万件の増加件数の見込みがその後四十万件に修正されまして、決算面では三十一万件にさらに落ち込んでおります。今年度、果たしてその契約増加目標である五十五万件というものが達成できるのかどうか。十二月末で大体七〇%の三十八万件だ、こういうふうに聞いておりますけれども、この分ではなかなか五十五万件はむずかしいのではないか。しかし、三月も明日で終わりでございますので、ほぼこの実績が判明されていると思いますけれども、その点どういうことになっているか。あるいはまた、五十七年度の予算では目標を五十万件確保しなければならない、これは果たして実現可能かどうか。ここはひとつ会長の決意を伺っておきたい、そういうふうに思います。
#149
○参考人(海林澣一郎君) 先ほど先生がおっしゃいました五十五年は、料額改定をいたしまして、とにかく収納の安定ということに力点を置いたという形になりました。したがいまして、契約の増加ということはまさに御指摘のとおりでありますけれども、五十六年は、車の両輪、契約もいただき収納も的確に行っていくということで、おっしゃいましたとおり一月の末では五十五万の目標に対して四十三万三千、二月の末、まだ最終的なまとめはございませんけれども、私の手元に概算報告で参りましたのは五十万を超えました。したがいまして、五十五万の目標に対して順調に接近している。ただ、三月から四月にかけましては毎年の例で引っ越し、移動が多いものでございますから、最終的に若干の危惧を持っているということがございます。
 それから最後の御質問の五十七年度でございますけれども、これは三年間の計画の最終で五十万といたしました。実は、御承知の五十五年で国勢調査の結果が出ましたけれども、五年間の平均で世帯増が四十五万という数が出ました。そういう意味からすると、この五十万というのはかなり厳しい数字であろうかと思いますけれども、御報告申し上げております五十六年の順調な成績、これを踏まえながらいい放送を出す、全協会的な力を結集してこの五十万の目標に到達したいというふうに現在考えている次第でございます。
#150
○参考人(坂本朝一君) 会長の決意を聞きたいという先生のお話で、私も、いま海林担当が申しましたように、何としても五十七年度の増加目標は達成しなければいけないということで、その決意を新たにしているというふうに申し上げておきたいと思います。
#151
○福間知之君 そういう御決意で努力をされまして何とか収納をひとつ拡大していくという前提で、いわゆる、さしあたって受信料の支払い義務化というふうなものについてはNHK当局としては考える必要はない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#152
○参考人(坂本朝一君) 三十二条の支払い義務化につきましては、今国会に郵政省から提案された放送法の改正の一都にも含まれておりません。NHKといたしましては、いままでるる御説明いたしました客観情勢を踏まえまして、何とか視聴者の理解を得るという姿勢でいましばらく努力すべきであろうという認識に立っております。
#153
○福間知之君 ビジョン審議会の報告書を拝見いたしますと、今後ほぼ十年間余りを展望したNHKの経営ビジョンを示しているわけでございますが、多くは問題点を指摘していることにとどまっておりまして、具体的にはNHK自身における検討にゆだねられておるように思います。
 そこで、先月、NHKは坂本会長を座長といたしまして長期ビジョン検討会議を設けられて、その中に六つの小委員会を設置をして検討に入られたようでございますが、新しいメディアを含めました放送業界というものの変化が逐年早まってきております。来年は、御案内のとおり文字多重は一応実現する段階に入りますし、キャプテンシステムも実用化の段階に入ると聞いております。したがって、一刻も早くNHKとしては、そのビジョンを当面する必要なものから具体化していかなきゃならぬ、こういうふうな立場に立たされていると思うわけでございますけれども、どういう手順で乗り切っていかれようとされますか。
#154
○参考人(坂本朝一君) 先生御指摘のように、私、長期ビジョン審議会の御答申の中身にはNHKとしてそれぞれ対応する緩急があるだろう、したがって少なくとも急を要するものをまず一番先に検討していくべきであろう、そういうことで、少なくとも五十八年度の予算編成にかかわるようなテーマにつきましては何としても早く検討しようではないか。具体的に言いますと、夏ごろまでに何とか緩急の急の方は検討しよう、そして来年の一月ぐらいまでの間にいただいた長期ビジョン審議会全体に対する協会の経営の重点を練り上げようではないか、そういうふうに語り合っている次第でございます。
#155
○福間知之君 いまの御答弁の中には、五十五年から七年までのいわば三カ年計画の後における次期経営計画、そういうものが含まれている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#156
○参考人(坂本朝一君) おっしゃるとおりでございます。
#157
○福間知之君 郵政当局にお伺いしたいわけですが、先ほど来から申していますように、新しいメディアというものが陸続と出てまいるわけでございまして、さしあたって今国会におきましてはテレビの多重放送を本格化するための必要な放送法改正案が出されております。NHKのこの長期ビジョンの作成に当たりまして、多重放送の免許についての政策あるいは放送衛星の活用方策、これは大きく影響すると思われます。そこで、政府はこの多重放送をどのようなスケジュールで免許をしていこうと考えておられるのか、またNHKにはどの範囲まで認めようとされておるのか、お伺いをします。
#158
○政府委員(田中眞三郎君) テレビジョンの多重放送についてでございますが、当面、技術的に実用可能な音声多重放送及び文字多重放送について。実用化するという考え方で今国会に放送法等の改正案を提案しておるところでございます。
 どういうスケジュールになるかということでございますが、改正案をぜひ成立させていただきまして、その施行後、私どもといたしましては、関係の政令、省令、それから技術基準の制定等、私どもの立場上必要な準備を進めるということでございます。このためには、また事業者の番組づくり、あるいはスポンサーの問題、あるいは普及の観点からはメーカーのそれぞれの機械を出すというような問題もあろうかと思いますけれども、そういうものもできる限り指導しながら実現に持っていきたいということでございますが、NHKについてその文字多重をどうするかということでございますけれども、NHK自身が行うものについては民放の場合と同様に考えております。また、NHKの設備を第三者に利用させるということにつきましても、いろいろ議論があったところでございますけれども、第三者利用を認めるべきであろう、そういう形の提案をさしていただいてる次第でございます。
 ただ、その場合、第三者になりますとやはり一般放送事業者ということになるわけですけれども、NHKの設備を借りてやるということでございますから、それなりに、公共性といいますか、NHKの設備を借りるという意味におきましてイメージの尊重といいますか、イメージを損なうことがないような使い方というものを期待いたした上での第三者利用を認めてまいりたい、こういう考え方でございます。
#159
○福間知之君 電監局長の答弁も多少、前回の委員会で私はこの点ちょっと触れていますので、それに関連した中身を含んでおるように思います。
 時間がきょうありませんので、これはまた放送法の改正のときに少しまたやらしていただければと思っておりますが、ただ、一点、この多重放送を普及させるためには、技術的な基準あるいは標準方式といいますか、そういうものの確立がやっぱり必要だろうと思います。受信機を量産するためにも、そういう技術基準の早期な決定というものが私は望ましいと思うんですが、どのようにお考えですか。
#160
○政府委員(田中眞三郎君) 多重放送の技術基準でございますけれども、音声多重の技術基準につきましては、御存じのように、もうすでに郵政省告示をいたしまして実用化試験局の運用をすでに行っているわけでございます。
 問題は、文字多重のことかと思いますけれども、いわゆる電波技術審議会におきまして斯界の技術の権威を集めまして御審議いただいているわけでございますけれども、考えられる方式といたしましてパターン方式とコード方式があるということで、五十六年の三月にすでにパターン伝送方式については御答申を得ております。また、コード伝送方式についてでございますけれども、これにはいろんなパターンに比べてすぐれた特色もある、同時にまた検討すべき欠点もあるというようなことで、同じく、申しました電波技術審議会の審議におきまして昭和五十五年以来鋭意御審議をいただいておるところでございます。
 それで、私どもといたしましては、いま先生の御指摘のとおり、標準方式というものがちゃんと決まっておりませんと、いたずらに受信者、国民の方々に御迷惑をかけるということで、そういうことがあってはいけない、なお、しかも新しい技術のものについてはできる限り早く国民に還元すべきである、この両方の立場から電波技術審議会方式というものも早急に採択していただきまして、いずれにいたしても受信者に無用の負担あるいは出費を課さないような方式での採択ということが必要であろうというふうに考えておる次第でございます。
#161
○福間知之君 時間が迫ってきましたのでこれははしょりたいと思います。先ほど高橋技師長、与党さんの御質問で放送衛星のことで御説明がございまして、私はこれを積極的に推進をしていくべきではないかという考えを持つものでございますが、そういう立場で、これもきょうの議論にはちょっと十分できないので残念なんですけれども、電電公社におけるいわゆる通信衛星ですね、放送衛星に対する通信衛星に関して、これは電電が中心になって真剣に現在考えております。最近の情報によりますと、インテルサットが八六年になりますと約二・二トンの六号衛星をスペースシャトルで打ち上げるか、あるいは欧州共同開発に成るアリアンロケットを使って打ち上げるようであります。通信衛星の方はそういう国際的な趨勢にありますので、わが国においても電電の方はかなりピッチを上げて対策を樹立しなきゃならない。そこで、わが国の宇宙開発計画におけるロケットの技術水準とのかかわり合いが出てくるわけでありまして、当局としてこれを早急に方向づけをいたさないとならないんじゃないか、私はそう思うわけであります。
 放送衛星に関しましても、先ほど御意見がああいうようにありましたけれども、やはり世界の趨勢がそういう方向に向かっていくとすれば、私は放送に関しても当然そういう方向をとらざるを得ないんじゃないか。ヨーロッパでは地域衛星サービスというものがこれから拡大していくようでありまして、フランスだとかアメリカは積極的にそれに参入しようということで動いておるわけです。アジアにおけるわが国、何かヨーロッパとまた違った環境にあって余りのんびりしていますとこれはずいぶん技術的にもおくれをとってしまうというふうに考えますので、当局の方で通信衛星、放送衛星を含めたこれからの基本的な政策を早急に決めていただかないとならない、そう思うんですけれども、最後に、この点についての御見解を承って、終わりたいと思います。
#162
○政府委員(田中眞三郎君) 五十八年に予定しておりますBS2、あるいはその後予定されますBS3につきまして、ただいまお話がございましたように、ロケットといたしましてはNIIロケットあるいはHIロケットということで進んでおることは、ただいま先生がおっしゃったとおりでございます。
 問題は、その辺のBS3以後あたりについてどういうことになるのかということかと思いますけれども、これはやはり宇宙開発の場合、わが国としてロケットの開発というものがどの辺の重要性を占めるのか、宇宙開発政策等の中にあってロケットの開発がどういう立場を占めるのかということと、放送衛星なり通信衛星の需要のテンポがどういうテンポで進むのかということ及び経済性というようなことが絡んでこようかと思いますけれども、いずれにいたしましても、国の宇宙開発計画との整合性にやはり配意する必要があるということ、それから関係の機関となお調整を進めて詰めていくという必要があろうというふうに考えておるわけでございまして、その他、経済性あるいは開発のスピードと宇宙開発政策等との整合性というものをよく勘案しながら、関係の当局と話を詰めて誤りのないように進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#163
○太田淳夫君 それでは、きょう議題になっておりますNHK予算につきまして質問いたします。
 最初に、わが国は、現在、行財政改革を最大の政治課題としているわけでございますが、当然NHKとしても、経営基盤を確かなものにするためにNHK自身の経営計画を考えておみえになると思いますが、それを最初にお聞きしたいと思います。
#164
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 協会の事業全般につきましてはもとより、協会の財政全般につきましても、視聴者の理解のないところに成り立たないわけでございますので、来年度予算の編成につきましては最少の経費で予算を編成するということに心がけているわけでございます。特に今年度につきましてはゼロシーリングということで世の中が一段と厳しくなっておりますので、この辺の状況も十分五十七年度予算編成には吸収したつもりでございまして、三年計画の最終年度は収支赤字であっても三年間は均衡するということであったわけですけれども、五十七年度は、その結果、収入と支出は相均衡するというところで予算を組んだ次第でございます。
#165
○太田淳夫君 いまお話しのとおり、国の五十七年度の予算はゼロシーリングを基本として行われたわけでございますが、NHKもやはり特殊法人の一つとして位置づけられておるわけでございますから他の特殊法人と異なることは承知しておりますけれども、五十七年度予算策定に当たってそういった基本的な構想を念頭に置いて行ったということでございますが、五十八年度も、やはり厳しい情勢の中から、そういうような基本的な構想を踏まえながら予算編成をされるお考えでしょうか。
#166
○参考人(渡辺伸一君) いま申し上げました予算編成の基本的態度は、年度において変わるものではございません。
#167
○太田淳夫君 国の予算は、一般会計で対前年度比六・二%の増加があったのでございますが、一般歳出は一・八%に抑えられているわけです。しかしNHKでは、経常事業収入が一・五%増にもかかわらず経常事業支出は対前年度比五・七%増となっておるわけですが、支出が収入に比べますと、率だけで単純計算してみますと約四倍になっているわけですが、この点どのようにお考えでしょうか。
#168
○参考人(渡辺伸一君) まず、NHK予算の編成の基本的な考え方でございますけれども、確かにおっしゃるように収入は全体として一・五%の伸びではございますが、しかし、NHKに課せられた使命というものもまた大事な状況でございまして、これをやはり最少の経費でやっていくということを考えまして編成いたしましたのが五・七%でございます。なお、三年間の収支均衡という考え方をとりましても、年度によりまして収入より支出がオーバーするということは初め見込んだところでございます。
#169
○太田淳夫君 郵政省にお伺いしたいんですが、NHKのこのような予算の策定に対する考え方についてどのようにお考えでしょうか。
#170
○政府委員(田中眞三郎君) このNHKの五十七年度予算でございますけれども、五十五年度を初年度とします三カ年計画の最終年次でございまして、その事業の運営方針といたしましては、公共放送として真に必要な業務に重点を置きまして、その他については現在の事業規模の維持を前提としておるというふうに考えておりますわけです。したがいまして、ゼロシーリングという考え方は必ずしもとってはいないわけですけれども、極力事業支出については抑制した内容になっておるという評価でございますが、なお今後の財政事情を考えますと、基本的にやはり収入の伸びに比べまして支出の伸びというものが構造的にマイナス基調になっておりますので、やはりNHKとしてはさらに国民の理解を得るようあるいは納得を得るようそれなりに努力する、要員の効率化、経費の節減等の支出削減について今後とも努力してもらいたい、そういうふうにNHKの五十七年度予算を見ておるわけでございます。
#171
○太田淳夫君 先ほど渡辺理事の方からNHKの使命に見合ったという経営の方針をお話しになったわけですが、一部では、やはりNHKの経営方針が、収入に見合った経営をするよりか、むしろ経営に合わせた支出をする、こういう方向じゃないかという意見もあるわけですが、その点、国民の要望にこたえるに当たりまして財政をどのように考えてみえるのか、お聞きしたいと思いますが。
#172
○参考人(山本博君) ただいま渡辺理事から概略はお答えいたしましたが、三カ年計画を立てるときの基本の考え方、これはここで申し上げた点でございますが、NHKといたしまして三カ年間の経営をいたしますときに、その費用といたしましては大体物価の範囲内ということを基礎にいたしました。したがいまして、三カ年間の受信料改定の基礎としましては、三カ年間の物価の見通しの範囲内ということを基礎にいたしまして、いわば日常的な経費につきましてはこれは全部増を認めない、こういう基本を立てました。
 それによりまして、しかしNHKの仕事の性格上どうしても番組をつくる、これは放送法によりましても豊かでより質のよい番組をつくって日本の文化の向上、維持のためにその責任を果たすように規定もされておりますし、それからNHKの報道というものも、これは表現の自由なり民主主義を守るという立場を貫けということにもなっておりますので、番組の点で余り手抜きをするということは私はその使命に反するのではないか。したがいまして、たとえば非常に特別なイベントがございましても、これは物価に関係がございません。どうしてもこれは必要だというイベントにつきましては、これは三カ年間におきましてもそれなりの手当てをいたしてございまして、それで三カ年間の収支を見通しまして受信料の改定をお願いいたしたわけでございまして、NHKといたしましては、この三カ年間の総収入の中で総支出をいたしまして、その責任と使命を果たそうということでいたしました。
 なお、先ほど申し上げましたけれども、三カ年間の最初の年には、暫定予算その他受信料の不足いろいろありまして百億を超える不足が出てまいりましたが、これをいろいろな節減とか効率化とか、こういうことによって克服を何とかいたしまして、五十八年度に三十五億円の持ち越しということもいろいろ努力をいたしたわけでございます。基本的な考えといたしましては、私はもちろんNHKなりがもっともっと効率化をしなければならない、これは国民から見て効率化というものを非常に期待されておる、そういう責任もございますが、いい番組を出すという責任もございますので、そこいらのところをいろんな形でバランスをとりながら予算をつくっておるというのが現実でございます。
#173
○太田淳夫君 やや技術的な問題になりますけれども、五十七年度の収支予算は事業収支差金がゼロで三十五億円を五十八年度に繰り延べることになっています。しかし、三十五億円の五十八年度繰り延べは、五十七年度のカラー契約数二千七百三十二万件を獲得することが前提条件になっていますけれども、これが完全に達成され、そして三十五億円繰り延べ可能になるとお思いでしょうか、どうでしょうか。
#174
○参考人(渡辺伸一君) 先生おっしゃるように、五十六年度に予定しました受信者の獲得に重要にかかわっている問題でございますが、いま五十六年度の実施をつぶさに検討しておりますが、五十七年度の目標につきましては必ずしも楽観は許しませんけれども、まず予算の目標額については達成するであろうというふうに見込んでいるわけでございます。
#175
○太田淳夫君 五十五年度、五十六年度のカラー契約数を見てみますと、五十五年は予算が二千六百三十九万件で見込みは二千六百二十三万件、実績では二千六百十七万件、五十六年は予算が二千六百八十三万件で、見込みは二千六。百七十七万件、実績は予算作成時の予想よりも低くなっておるわけですが、そうしますと五十七年度の決算はマイナスとなる可能性があろうと思いますが、その点どうでしょうか。
#176
○参考人(渡辺伸一君) おっしゃいますように、五十五年の結果は五十七年度予算のときにはすでに見ているわけでございますので、決算結果については、いずれも減少しているものは見込んで五十七年度は予算積算をしております。
#177
○太田淳夫君 五十七年度は、五十五年から五十七年度にかけましての経営計画に基づく最終年度に当たっているわけですけれども、NHKの五十七年度予算は事業収支差金がゼロ、五十五年、五十六年の黒字から七十六億円を債務償還やって三十五億円を繰り越すことになっているわけですけれども、先ほど同僚の委員からもお話出ましたけれども、五十八年度予算は赤字が予想されて受信料値上げにそれがつながっていくのじゃないか、こういう心配しているわけですが、その点どうでしょうか。
#178
○参考人(山本博君) 先ほどもお答え申し上げましたが、五十八年度が全く赤が出ないかということですと、やはり現在の、先ほど申し上げました予算がうまく順調にいきまして三十五億円の繰り越しができた、あるいは五十六年度の決算によって何がしかさらに繰り越しの財源ができるのではないか、五十七年度の予算運営が非常に順調にまいりますことによってさらに何がしかの五十八年度とのつながりの財源が出てくるかなというような、いろいろなまだ未知の要素がございますが、私がここで五十八年度は予算編成に全く赤がないというようなことはちょっと断定いたしかねます。
 これはまだ未知の要素がございますし、先ほど申し上げましたように、二百億ぐらいの必要経費は見込まれますので、受信料の増も含めまして、全体から見ましてなお何がしかの赤字は予想されるのではないかと思いますが、そこの部分につきましては今後のNHKがストレートに受信料の値上げた、四年目だから、もう三年超えたので受信料そのものについては改定の時期ではないだろうかというようなストレートな判断をするのではなくて、これはいろんな数字が固まらなければ確定的なことは申し上げかねますけれども、われわれの努力としてそこのところを何とか克服できないかなと思って努力を今後してまいりたい。五十八年度につきましては、何がしかそういう努力の対象として考えるということを、一生懸命一つの課題としていまわれわれが考えておるというのが現状でございます。
#179
○太田淳夫君 この五十七年度NHKの予算に対しまして、郵政大臣は例年どおり意見書を付せられているわけですけれども、本年はその中で、「昭和五十八年度以降の協会の財政は極めて厳しい」と、このように予想をされているわけですけれども、五十八年度以降のNHKの財政について郵政省としてはどのように推測されていますか、お伺いしたいと思います。
#180
○国務大臣(箕輪登君) 五十七年度の収支状況から見まして、NHKの経営は五十八年度以降非常に厳しいものがある、そういう厳しい事態に立ち至ることが予想されているわけでありますが、この事態に対処する上で、安易に赤字即値上げという考え方は許されないと思います。NHKが徹底した合理化に努めるなど真剣な経営努力、これが求められることになると思います。具体的な方策については、第一義的にはNHKが考究すべきものでございまして、経営の長期的な安定に資する方策を早急に検討、策定することが望まれるところであろうと思います。郵政省といたしましては、このようなNHKの検討を待って判断してまいりたいと考えているところでございます。
#181
○太田淳夫君 先ほど山本理事からは、やはり相当な努力をされるというお話もございました。また、いま大臣からも、安易に赤字即値上げは許されない、真剣な経営努力を望むというお話もございました。会長として、やはりいろいろとお考えだと思います。われわれも受信料の問題につきまして、最近そういった不払い同盟等の方々もお触れになっている、単に値段等の問題だけじゃないと思いますけれども、安易な値上げということはこれは許されない状況になってくるんじゃないかと思います。そういった意味で、会長に御見解を一言お願いしたいと思います。
#182
○参考人(坂本朝一君) おっしゃるとおり、赤字になりましたから値上げしていただきたいというような安易な考え方、そういう経営姿勢が受信者の御理解を得られないだろうという御指摘は、私も十分承知しておるつもりでございます。したがいまして、そういう点についてどう対応すべきかということを、しばしば申し上げておりますように、長期ビジョン検討会議を中心に、私がリーダーシップをとりながら検討していきたいというふうに考えておりますので、御理解賜りたいと思います。
#183
○太田淳夫君 次は、それでは予算の問題は終わりまして、ちょっと話題変わりますけれども、せんだって予算委員会で郵政大臣が中国残留日本人孤児の肉親捜しにつきましていろいろと言及されておりましたけれども、その後どのような検討が進められておりましょうか。
#184
○国務大臣(箕輪登君) その後、総理から各省庁、関係のある人力は御協力をしてほしいという御発言も閣議の中でございまして、いま厚生省が、厚生大臣の私的諮問機関として中国残留孤児問題懇談会ですか、ちょっと名称が間違っているかもしれませんが、そういう懇談会をつくるそうであります。そこで、その中にはいろいろな学識経験者も入りますが、報道関係者、テレビ関係者も入りまして、その懇談会で技術的な問題やいろいろな問題を含めて勉強していただく、それでできるだけ早い機会にこれを具体化していくということであります。まだ具体的に、どういう方向でどういう勉強をしていくかということはまだ承っておりません。
#185
○太田淳夫君 NHKさんとしても、やはり公共放送の性格上いろいろと協力をされるようにお話しされておりますけれども、これからいろいろと具体的な問題等が詰められてくると思いますが、やはり相当な数、数千人の方がまだ中国には残っておみえになる、その中からの仕事でございますので、相当な日時あるいは相当な費用もかかろうかと思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
#186
○参考人(田中武志君) 私ども、今回の残留孤児の報道に当たりましては全力を挙げてやったつもりでございます。それといいますのも、昨年の夏以来、この問題に取り組むプロジェクトを私どもの中でつくりまして、早々と事前の取材なりあるいはその取り組みを策定しておったおかげだろうというふうに思っております。
 それで、いまお尋ねの点につきましては、私どもこのプロジェクトを中心に今後ともひとつ取り組んでいきたいというふうに思っておりまして、先ほど大臣がおっしゃいました、厚生大臣の諮問機関であります残留孤児問題懇談会にも私どもの方から代表が一人出ておりまして、いろいろ政治的な面での接触の面あるいは相談の面についてはこういったところで私どもといろいろ話し合いをさしていただいて、今後この問題に積極的に取り組みたいというふうに思っております。
 さらに、今回の報道の中で、私ども取材班を昨年の秋一カ月余り現地へ派遣いたしまして、いろいろ取材をしたわけでありますけれども、その成果は十分出たと思いますし、さらにその取材班の帰ってきてからの報告によりますと、現地でいろいろ取材をいたしますことによりまして、いろんな残留孤児の諸問題が十分に把握できて、これからもこういった取り組みをする上で大変効果があったというような報告もわれわれ聞いておりますので、今後ともこういった面も十分考え合わせながら、ひとつ積極的に取り組みたいというふうに思っております。
#187
○太田淳夫君 ぜひともお願いしたいと思います。
 それでは次に、最近のNHKの報道の中からちょっと一、二点気がつきましたことでお尋ねしたいんですが、せんだっての日航機の墜落事故、あのときに、報道のNHKと言われておるのでございますけれども、何となく報道の状態がおくれてきた。民放で放送しているので、当然NHKではやっているだろうと思ってNHKへチャンネルを回した方が相当多かったのじゃないかと思うんですが、ところがNHKでは大分おくれていたということで、内部的にもいろんな反省があったようで、テレビでも放映されたと伺っておりますが、そういった点、どのように今後その点を反省されていくのか、経緯を含めてお答えを願いたいと思うんですが。
#188
○参考人(田中武志君) いま御指摘のように、今回の事故の取材につきまして、初動の報道取材の際に地上からの映像の放送が大変おくれまして、これにつきましては責任者であります私、申しわけないというふうに思っております。
 この状況は、いまお尋ねの点でございますが、私ども直ちに中継用の車を出しました。それからまたビデオでいろいろ取材をするクルーも現場に出しましてやったわけでございますが、ビデオの取材のクルーの方は早く現場に到着したわけでありますけれども、この中継、映像送りをいたしますニュース中継車の方が羽田のところのゲートで規制にかかりまして、そこで相当時間規制を受けて、その前へ、現場へ行けなかったということが一点ございます。
 それからさらに、上からの取材、航空取材の方が、たまたまその日の朝の「ニュースワイド」の取材で石廊崎の方へ中継ヘリコプターが出動しておったということのいろいろ不利な条件が重なったという点もございますけれども、いずれにいたしましても、当初申し上げましたように、地上の映像が大変おくれたという点については、私ども、直ちに私を長といたしました対策委員会を部内に設けまして、いろいろ問題点の洗い出しをいたしました。
 その結果、私どもといたしましては、この緊急報道の初動態勢の強化につきましては、まず取材をいたしますカメラマンとそれから映像を送ります車、小型の車を一緒に最初のときに、初動の態勢のときに現場に行けるような小型の車を改装いたしまして、現在すでに今月の中旬ごろから、それが改装が終わりまして、すでにいろいろのニュースの面で活躍しております。さらに、現場からの映像の伝送体制の強化ということで、現場での指揮命令系統等を十分これからも訓練いたしまして、強力にその辺の指導を強化をいたしまして、今後とも二度とこういうことがないようにやりたいと思います。
 特に、今回の羽田沖の事故の一連のその日のニュースでは、報道番組では約八時間やりましたけれども、これにつきましてもNHKに対する視聴者の皆さん方の信頼感が非常に厚いということがいまさらながらわかったわけでございまして、こういう信頼感のあるうちに、私ども二度とこういうことがないように体制を整えるということでございます。
#189
○太田淳夫君 確かに当日、初動の面では多少のおくれはあったと思いますが、その後の夜のいろんな特集におきましてはNHKが一応他の民間放送のできないような一面が発揮されたと思います。
 いまいろいろとお話ありましたけれども、ある面では、先ほど同僚の委員がいろいろと質問されておりましたような職員の待遇等を含めたそういった人事管理上の問題、あるいはそこからくる意欲の減退の問題、あるいは技術上の面では、民放の方がはるかにハードの面ではいま優位に立っているとか、そういうことも言われているわけですが、そういった小型の優秀な機器がNHKには少ないんじゃないかという感じがするわけですが、その点はどのように今後改善されていきますか。
#190
○参考人(武富明君) ただいまの先生の御指摘の中に処遇その他でモラルが下がっているのじゃないかということがございましたけれども、われわれ、事一たび何か起きればこれを報道するのがわれわれの任務と心得ておりますので、その辺における影響というのは一切ない、ここでそのことは断言をいたしたいと思います。
 それから機材の点におきましても、これはいま拡充しつつございますけれども、決してその点でおくれをとるという状態はございませんので、ひとえに、先ほど放送総局長が御説明申し上げましたように、不運な一面があったということでございますので、今後必勝を期したい、こういうふうに考えております。
#191
○太田淳夫君 先ほどちょっと触れましたが、いろいろな報道特集番組につきましては高い評価が与えられているのじゃないかと思うんですが、たとえば「NC9」にしましても、そこに至るまでにはいろんな過程もあったと思いますが、これはNHKの財政危機というものが、経営危機と申しますか、七〇年代に入りましてからこれがだんだんと明瞭になってきたんですが、そういう中でやはりNHKとして皆さんが衆知を集め、結集された努力の結晶じゃないかと思うんですが、その点についてどういう経緯でこれが生まれ、そして今後どのようにこういった番組をさらに充実さしていくか、その点ちょっとお聞きしたいと思います。
#192
○参考人(田中武志君) いま先生から御指摘いただきました、当日の報道特集等を含めまして、私ども、五十七年度の新しい番組改定の中にも、今回、土曜日の夜のところにも新しく週単位の報道特集を毎週定時に組めるというような編成もいたしました。そういったところを含めまして、今後こういったますます多様化し、いろんな事故が起こってくるような中で、これに十分対応できるような体制を整えていきたいというふうに思っております。
#193
○太田淳夫君 今後、新しいメディアもどんどんと開発されて高度化していくでしょうし、視聴者の要望も多様化してくると思いますので、その点でのNHKとしての特性を生かすような努力をさらに続けていただきたいと思います。
 次に、ちょっと地元の問題になるんですが、細かい問題になって恐縮ですけれども、五十七年度から基地周辺、ここに住んでいる方々の受信料半額免除がなくなる、こういうふうにいただいた説明書にありますが、具体的にどういうことでございましょうか。
#194
○参考人(海林澣一郎君) お答え申し上げます。
 基地周辺に関しましては、現在まで政府から補助金という形で受領しておった、したがって免除の対象ということになっていたわけでありますけれども、防衛施設庁との長い折衝の結果、今回それを助成金という形に変える。中に防衛施設周辺整備協会、これが入られまして、そこで一切の半額免除に関する業務を行ってくださる。したがってNHK側から見ますると、現在まで免除していたということがなくなったという形をとった次第でございます。
#195
○太田淳夫君 そうしますと、これは具体的にどういうふうにして――まだ続けられることは続けられるんですね。防衛施設庁の関係でこれは続けられていく。視聴者との関係はどういうふうになっているんでしょうか。
#196
○参考人(海林澣一郎君) 視聴者の半額免除であるという形は、いままでと形としては変わらないわけでございます。
#197
○太田淳夫君 次に、ここに地方放送会館の整備として十一億五千三百万円を計上されておりますけれども、今年度はどういうような内容でございましょうか。
#198
○参考人(渡辺伸一君) 五十七年度につきましては、すでに着工しております新潟の放送会館を五十七年度中に完成するということでございまして、その他のものにつきましてはいま検討を進めているところでございます。
#199
○太田淳夫君 実は、名古屋に放送会館ございますけれども、やはり東京のすばらしいNHKの本部に比べますと地方都市の拠点としては非常にこの点が何となく、名古屋はもう古い建物でございますので、どうでしょう、そろそろ考慮していかなきゃならないのじゃないかと思うんですね。場所的には名古屋の放送会館につきましては所在の位置というのが非常にいいところにございますけれども、やはり視聴者に対してサービスを還元する立場からもこの点の早期の着工を、私たちとしては、地元としては要望するわけです。名古屋も、何と申しましてもオリンピックがいろいろ話題となって進んでいるときは多少の景気がありましたけれども、いまオリンピックも挫折しまして、その後何となく東京、大阪の間に挟まれて陥没状態でございますので、そういった意味で一つの地元の振興ということも考えて早期に計画を組んでいただきたい、こう思うんですが、どうでしょうか。
#200
○参考人(高橋良君) ただいま先生御指摘のように、名古屋の放送会館が若干老朽化してまいりまして、また狭隘になっておるという現状については経営としても把握しているわけでございますが、順序といたしますと、名古屋放送会館以前に、まだ福岡とかその他検討するところもございますので、順次、長期計画の中で検討している最中でございます。
#201
○太田淳夫君 ぜひとも進めていただきたいと思うんです。
 次に、NHKの長期ビジョン審議会調査報告について若干お伺いしたいんですが、この報告書は、NHKの長期的なビジョン、十年間ということでございますけれども、その後のNHKの経営のあり方あるいは受信料の姿というものについては提言されていないわけですけれども、この報告書に基づきました具体的な経営計画をNHKはすることになっているわけですが、将来に対するNHKのみずからの考え方は確立しているのか、あるいは、先ほどもいろいろとお話がありましたが、文字多重放送に対する受信料の考え方、これについてどのようにお考えでしょうか。
#202
○参考人(坂本朝一君) この長期ビジョン審議会は、御承知のように一昨年発足して一年半にわたりまして約六十回ぐらいいろいろと御会合いただいて御答申いただいたわけで、われわれとしては非常にありがたい貴重な経営の指針になり得る御答申だという、そういう判断をもとにいたしまして、問題は、それをどう経営が解釈し、理解し、どう具体的な施策に取り入れるかというところが一番大きな問題だろう、こう考えまして、ことしの一月に御報告書をいただいて、直ちに、先ほど申し上げました私を長とする長期ビジョン検討会議なるものを設けまして、そして現在六つの小委員会を設け、それぞれの委員長には各役員を命じまして検討させておるという現状でございます。
 そして、これまた先ほど申し上げましたように、この具体的なまとめ、これを一応来年の一月をめどとし、先ほど申し上げましたように、その中身の緩急を踏まえまして、急を要するものから順次検討し、急を要するものについては夏ぐらいまでの間に少なくとも具体的な案を立てようではないかという、そういう状況になっておるということを御理解賜りたいと思います。
#203
○太田淳夫君 そうしますと、来年の一月を目途にしまして緩急を踏まえながらこの報告書に対する結論を出す、こういうことでございますが、NHKの五十八年度予算及び事業計画には、そうしますと検討された結果については反映されるんでしょうか、どうでしょうか。
#204
○参考人(坂本朝一君) 五十八年度の予算の編成に当然間に合わなければならない部分があるだろうという判断で、夏ぐらいまでの間にその急ぐ問題を検討しよう、そう申し上げておる次第でございます。
#205
○太田淳夫君 NHKのやはり最大の課題は、ここにも指摘されておりますが、財政基盤の強化の問題じゃないかと思うんですが、テレビ放送の分野におけるNHKと民放との共存は、報告書にもありますように、国民としては、「放送は負担なく無償で視聴できるもの、」、こういう意識が確かに民放の出現以来広まっていることはこれは事実でございますが、この現実に対して報告書は、「受信料制度の維持が困難となるおそれもないとはいえない。」と言っているんですが、これに対するNHKの見解はどうでしょうか。
#206
○参考人(坂本朝一君) 報告書も受信料制度そのものはやはり維持すべきではないかということでございまして、私もそういう姿勢は崩すべきではないのではないだろうか。ただ、先生の御指摘のように、一般の国民の意識が、テレビはただだというようなそういう意識、認識が年ごとにふえつつあるという、そういう現実も目を覆うわけにまいりませんので、ただし、そういう中でもNHKも民放もそれぞれ違ったよさを持っているから両方あった方がよいという世論調査の結果が八五%を占めている。そういう現実も片一方にはございますので、そこら辺のところを十分踏まえながら、一層視聴者の理解を深めていただいて受信料制度を守っていくべきではないだろうかというふうに考えております。
#207
○太田淳夫君 また、報告書には、「現在、一部に意識的な受信料不払現象がみられる。これについても、まず、NHK自らの経営努力を行うことが必要であり、」と、こういう指摘をされているわけですが、NHKみずからが実施しなければならない経営努力とは具体的にどのようなことを指してみえるのか、検討されたことはございますでしょうか。
#208
○参考人(海林澣一郎君) まず基本的には、先ほどから出ております放送番組と申しますか、NHKに課せられている課題を忠実に行っていく、先生がおっしゃいましたNHK特集なり何なりで成果を上げておこたえをするというのが基本だろうと思います。さらには、視聴者会議であるとか視聴者懇談会というようなものでNHKを理解していただくというような運動も全局を挙げてやらなければいけない。
 私が担当しております営業におきましても、たとえば滞納につきましては公平負担ということを何としても守り抜かなければいけないということで、たびたび申し上げております特別営業対策員を五十二年からつくった。昨年はこれをまた五十人ふやしまして、東京、大阪、札幌に配置しておる。さらには、大都会がいずれにいたしましても滞納が多い。特に単身世帯あるいは共働きの御家庭というものが、いま申し上げている特別営業対策員が五十二年から五十五年までやりました実績を挙げましても、実にその訪問した件数が二百五十六万七千件というのでございます。それに対しましてお会いできた家庭が百六万八千、四一%ということであります。これは本当に朝七時から夜九時半、十時――十時ぐらいに行きますれば人権問題だというようなことを言われながらそういった対策を真摯に進めている。したがいまして、お訪ねすることだけでなしに、お手紙を出すとかあるいは電話をかけるというようなことで、ことしの予算でもそういったもの、たとえば文書については五百五十二万件の文書を出そうというような予算化をしているというようなことがございます。
 それからその前提としての契約でございますけれども、先生がおっしゃいました未契約、NHKのあり方についてある批判的なというような方、これはわりあいに少のうございまして十万余りでございましたけれども、こういう方たちに対しましてもできるだけお会いをしていく。最近でもそういう方の中で、たとえば中国引き揚げ孤児の放送を見て、長い間理解しておらなかったけれども、いい放送であったということで契約をしてくださったというような実例もございまして、私どもとしてはこれこそがNHKのやるべきことだというふうに思いまして、それらこれら総合的な視野に立って未契約あるいは滞納対策をしているというのが現状でございます。
#209
○太田淳夫君 いろいろと努力をされているようでございますけれども、この報告書の中で、「NHKは、視聴者の拠出する受信料によって運営されている点にかんがみれば、経営に関する情報は公開することを基本として考えるべきであろう。」と指摘されているわけですが、この点はどのようにお考えでしょうか。
#210
○参考人(山本博君) ビジョン審議会でそういう御指摘を受けましたが、実は、NHKはすでに経営公開――ビジョン審議会の報告書の中に二つ表現がございまして、「経営公開」という文言と、それから「情報公開」という文言と、二つございますので、同じ項目の中に両方書いてございますのですが、私たちとしましては、両方ともNHKの今後のあり方に関係して問題の提起があったと思っておりますが、経営公開の方は、すでに現在まで相当なお金をかけて国民一般の方にNHKの予算なり決算なり業務の内容なり、こういうものをお知らせする方法を講じております。
 これは一つの方法としては、テレビを通じましていろいろNHKの経営の内容をお知らせをする。それから決算なんかは官報に載せております。また直接的には、全国で視聴者会議とか懇談会とか、いろんな機会を持ちまして視聴者の方と接触をする会合を持っておりますが、この場合にすべてNHKの経営の内容についてお知らせをし御説明をしておる。これはたとえば各県でやっております視聴者会議とか、あるいはもっと細分化いたしまして千八百回ぐらいやっております視聴者懇談会、こういう機会に全部それを機会として活用いたしております。また一般の新聞、ローカル紙も含めましてNHKの予算、決算、全部新聞に出しましてお知らせをいたしておる。こういうような金がほぼ一年間に十二、三億かけましてNHKの経営の内容についてのお知らせをいたしております。またパンフレットその他も相当たくさんつくりまして、NHKの放送局その他を通じまして、いつでもお持ち帰りになり、お読みいただけるような機会をオープンにいたしております。またNHKの見学コースなんかにも全部そういう資料を整えておきまして、年間百万人以上の方がNHKに見学に来られる際に、そういうものも手にすることのできるような方法を講じております。
 さらに、経営公開と申しましても、中には、NHKが報道という仕事をしておることあるいは他の一般の企業と同じように企業の中において余り公にすべきでないと思われるようなもの、こういう問題についてはいたしておりませんけれども、一般的に社会通念上公開すべきであるというような経営の内容につきましてはそれなりの努力をいたしておりますが、ビジョン審議会での御指示もございますので、今後、なおさらにそういう面で努力をいたしたいというふうに思っております。
 情報公開につきましては、これはもう少し、社会一般のいろいろなこの問題に対する取り組み方もまだ区々でございますので、これも十分消化をした上で、先ほどから話がございますビジョン審議会のこれを具体化していく小委員会の中で何らかの方向を見つけ出していきたい、こう思っております。
#211
○太田淳夫君 一点だけ、ちょっと具体的な問題でお伺いしたいんですけれども、御承知のとおり国の予算書というのは、款、項、目と区別をして大臣の給与まで国民に公開しているわけですけれども、NHKの予算書には款、項の項目はありますけれども、目の項目はない。そういった目の項目までやはり公開すべきじゃないかと思うんですが。目の項目がありませんと、たとえば項である営業費の内容が何であるか全くわからないし、管理費も何にも内容がわからないということになるわけです。ですから、私たちとしてもいろんな予算の審議等でも実態は全くわからない状況でございまして、そういった点で御考慮をされる必要があろうかと思うんですが、その点どうでしょうか。
#212
○参考人(渡辺伸一君) いま先生のNHKの予算の詳しさのことでお話がございました。国の予算との比較でございますが、国とNHKの根拠法規が違いますので、一概に比較することはむずかしいかと思いますけれども、多少その予算の提出の仕方ということに触れてお話しさしていただきますが、ただいま御審議いただいておりますのは、放送法三十七条に基づきます収支予算、事業計画及び資金計画として、一体のものとしていま御審議いただいておるわけでございます。
 予算書の記載の仕方はどうかと申しますと、これは放送法を受けました放送法施行規則に科目表をつけて詳細に書いてあるわけでございまして、これは私どもの款、項、目別という区分で申し上げますと、款、項の高さで記載するようになっているわけでございます。それはそれとしまして、事業計画とそれにかかわる金とのかかわりを中心に展開されておりますのが、私どもの御審議いただいておる資料の特徴かと思います。
 なお、事業計画を細部説明いたします場合に、ごらんいただきますとおわかりのように、いわゆる予算の高さで申しますと、目レベルに触れて金額も明らかにしているつもりでございます。
 なお、四十七年、当委員会において少しでも予算の審議がしやすいようにという御提言がございまして、附帯決議がつきました。その後、私ども財政制度調査会というものを設けまして慎重に検討しまして、その結果ただいまのような科目になっておりまして、これもまた郵政省さんの方でも独自に検討されて、お答え申し上げました施行規則になっておるわけでございますが、それらの審議を踏まえまして、施行規則とは別に、私どもは自主的に、いま先生のお手元にあると思いますけれども、「収支予算、事業計画及び資金計画に関する説明資料」というのをつくっているわけでございます。これはまさに目レベルのものを前年度との比較において展開しているわけでございまして、事業計画を少しでもわかっていただこうということで、目レベルの前年比較というのを自主的に出しているわけでございますので、いま先生おっしゃいました目レベルが明らかではないということでございますと、お言葉を返すようでございますが、少なくも目レベルの前年比較まではその資料の中で読み取れるように工夫しているつもりでございますので、御理解いただきたいと思います。
#213
○太田淳夫君 次に、報告書の中では、寄附金、協賛金等による「国民の自発的な拠出は、基本的にはNHKの設立趣旨とも合致する」、こう指摘されていますが、このNHKに対する寄附及び協賛というのはこれは現在まであったんでしょうか、あるいは今後受け入れていく方針なんでしょうか。御検討はどうでしょうか。
#214
○参考人(山本博君) 審議会の過程におきましてそういう御意見が出たのは確かでございますし、それは将来の問題として、現在まであったということではございません、将来の問題としてそういうことも考えられないだろうかという、余り非常に重要な比重を持った内容ではございませんので、そこのところは今後NHKにそれを積極的に推進しろというような比重ではないと私たちは受けとめております。
#215
○太田淳夫君 それでは、最後になりますけれども、私たちはNHKに対しましては、NHKが公共放送としての立場、これを守られている以上は、私たちもNHKの運営に対してはいろいろと中立の立場でいきたいと考えております。したがいまして、NHKの予算に対しても基本的には賛成の立場をとっているわけでございますが、やはり今後、公共放送として不偏不党の立場を守っていっていただきたい、このことを要望しておきたいわけですが、そういった意味での公平さを常に忘れずに今後も経営に臨んでいただきたいと思うわけですが、会長の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#216
○参考人(坂本朝一君) たびたび申し上げておりますように、NHKが国民から期待されておりますところは、放送法にも示されておりますように、不偏不党、そして公正な豊かな放送内容を提供するという一点にかかっているのではないだろうか。それを守るために放送法でNHKの基盤を支えていただいているという、そういう理解を持っておる次第でございますので、今後といえどもその線はあくまでも守るべきだという考え方でおります。
#217
○太田淳夫君 最後に、坂本会長が御就任をされましたとき、いろいろな事件がございました、前会長のいろいろな行動が批判された点がございましたし、あるいはそれをめぐりまして、やはりNHKの公正ということを守るためにNHKからの会長を生み出したいということで、これは外部の方々のいろんな動きがありまして、わずか短時日のうちに約百三十万人の署名がその当時集まったということが言われております。それは直接的には坂本会長の選出にいろんな影響はなかったかと思いますが、やはりそういった国民の皆さん方のいろいろな意向ということを今後も忘れずに坂本会長としては臨んでいただきたい、このことを要望したいわけです。もう一言。
#218
○参考人(坂本朝一君) お答えは繰り返しになりますけれども、私個人の問題よりか、やはりNHKそのものに対する国民の皆様方の御期待と、それから使命は不偏不党というところにあろうかと思いますので、当然、会長である私はそれを守るべきだ、今後といえどもそうあるべきだというふうに考えております。
#219
○太田淳夫君 終わります。
#220
○山中郁子君 NHKの五十七年度予算の審議に当たりまして、初めに、最近、電波利用開発調査研究会実用衛星部会、あるいは放送の多様化に関する調査研究会議などの報告が相次いで出されて、改めて放送衛星問題がクローズアップされてきておりますが、この問題に関連して二、三お伺いをしたいと思います。
 具体的な問題は、放送衛星打ち上げとの関連での中継放送局建設、つまり受信障害解決の地上設備の問題です。現実の問題として共同受信施設設置費などが年々減ってきているわけで、五十七年度予算案のレクチュアのときにも私お伺いをしたんですけれども、お話としては、これは放送衛星打ち上げを見込んでの傾向であるというお話がありましたけれども、この点は、改めて、どういう立場でのこの建設費の減少ということになっているのか、この点を初めにお伺いをいたします。
#221
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。
 先生の御質問は、現在ございます地上における共同受信設備の今後の建設計画と放送衛星の打ち上げとのかかわりということだと思うのでございますが、先生御指摘のとおりに、現在、残存しておりますところの難視世帯は非常に散在してまいりまして、有線を使いました共同受信設備でもって建設していくということにいたしましても、すでにきょう現在、郵政省の方に承認をいただいておる世帯単価が十万を上回るようになってきておるわけでございます。それを十万以下に、まとまりのいいものをいまつくっておるという状況でございますので、今後は一世帯単価が、置局にいたしましても共同受信設備にいたしましても二十万から三十万に増高するという予測ができるわけでございます。
 そういう意味合いでもって放送衛星の計画ということを難視解消計画の中に導入した次第でございますので、今後、現在ございますところの地上施設の共同受信設備につきましては、これに衛星用の受信機のヘッドをつけていただきますと、衛星によっても十分、さらに現在以上にクリアな絵がごらんになっていただけるということもございますので、そういう方向についての指導はやってまいりたいと思っておりますが、先生御指摘のように、前回にも先生に御説明申し上げましたように、今後は、共同受信設備は現行の形のままでの計画は縮小してまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
#222
○山中郁子君 具体的な数字をいただいたんですが、五十五年度はテレビジョン中継放送局建設費、予算額十億七千四百万円、それから五十六年度八億四千万円、五十七年度七億八千万円ということで、戸数にしても五万四千世帯から三万五千世帯、二万七千世帯というように予算上の計画が減少をしてきているわけですね。いまお話にもありましたように、要するに放送衛星の打ち上げによってその分がカバーできるからということで対応していきたいという御意見だと思いますけれども、打ち上げ後の地上の難視解消というのは、やはり問題としてローカル放送や民間放送が残るわけですね。この点についての難視解消対策というのはどのような方策をお持ちか、お伺いをいたします。
#223
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。
 民放の問題につきましては別にいたしまして、NHKは、御承知のように放送法の第七条と九条四項に基づきまして全国あまねく受信の措置をしなければならない、また全国あまねく放送しなければならないという形の義務行為でもって難視解消を行っているわけでございます。
 先生御指摘のように、放送衛星が上がりましても、たとえば最近の都市の郊外における宅増が、ここ五年の実績で見ますと一年平均一万五千世帯から一万世帯ぐらいの宅増が起きているわけでございますから、その宅増の地域の方々には今後は衛星でもってごらんなさい、いままでの方は地上の施設でごらんなさいということは、これは住民感情に合わないということは十分われわれ承知しておりますので、こういう宅増地域につきましては、非常にまとまった形の宅増でございますから、ローカルの難視解消という形での建設は若干部分でございますけれども、これからも進めてまいらなくてはならないだろう。大体われわれの予測している置局の数といたしますと、年間十局から十五局ぐらいの予算計上はしなければならないのじゃないかと、いまの段階では判断しているわけでございます。
#224
○山中郁子君 問題は、いまあなたがおっしゃったような範囲に入らない難視戸数がやはり残るわけで、それが全中放送の場合には放送衛星によってカバーされるけれども、ローカル放送が享受できないという部分が残るわけですね、どうしても。その辺については、どのくらいそれでは残ってしまうのか。その分については地上設備の継続的な建設による解決という方策をやっぱり持つべきだと思うんですけれども、その点はもう一つはっきりしないんですが、いかがでしょうか。
#225
○参考人(高橋良君) お答え申し上げます。
 そのような散在しますところの地域というものは、われわれの予測にいたしますと、五十八年度でもって四十二万から四十五万世帯ぐらいが散在して残るであろうというふうに判断しております。これは先生にこの前も申し上げましたように、山間僻地に大体二キロから十キロぐらいの距離を置いた一軒家のサメーション、集積だというふうにお考えになっていただきたいと思います。そこに地上局を持っていくということを、先ほどもほかの先生にもお答え申し上げたのでございますけれども、図上的に検討してまいりますと、二万二千施設の地区があるわけでございますから、仮に、これを局数にいたしますと教育と総合でもって約四万局をつくらなくちゃならぬということになるわけでございます。そうしますと、きょう現在で六千五百局でもって、共同受信設備が一万強でもって難視解消しているわけでございますので、その置局の四万局分の運用費でございますが、六千五百局の運用費だけで本年度御審議賜っておる運用費は年間六十億でございます。これに対する今度は保守の要員とそれから運用費を四万局に換算してみますと、これはやはり衛星の方が安い。
 そうなりますと、今度は衛星でございますと、先生御指摘の四十四条のかかわり事項でございます。これにつきましては、私の方の組織で言いますと、管内担当局別ぐらいにはローカル放送をリレー的にこれを編成いたしましてこれに加えることによって、いままでのそこの地区の、非常に地方局と大体同等ぐらいのローカル放送はそれでもってがまんしていただきたい。ただ、新しく現在地上で起きていない現象といたしましては、きょう現在われわれは九州のローカル放送は東京で見えないわけでございますけれども、衛星によるローカル放送によりまして、たとえば東京のように全国の約一割の人口世帯のところで地方からたくさんお集まりになっている方が、東北の方は東北のローカル放送が東京でも見えるというような事態も出てきますので、そういう意味においてその方々には残念ながらがまんしていただくということになるのじゃなかろうかと判断しております。
#226
○山中郁子君 四十二万戸から四十五万戸程度の未解決戸数が残る、つまりそこについては未対策のまま放送衛星時代に入っていく、こういう状況で、その点の問題としてはひとつ認識をしておかなければいけないことだと思います。私どもは、放送衛星の意義をもちろん否定するものではありません。
 いまの問題と関連する問題なんですけれども、辺地に対するこれまでの難視解消、ずっと施策を続けてきましたね。それによって難視解消をされてきた戸数は、大体大ざっぱに言ってどのくらいになりましょうか。本当の概数で結構でございます。
#227
○参考人(高橋良君) ただいま正確な資料を持っていうっておりませんですけれども、法務省の世帯数で申し上げますと約三千四百万世帯とも言われておるわけでございますので、そのうちの約四十五万から五十万世帯ぐらいの方を残しては現在の地上局でカバーしておるというふうにお考えになっていただきまして大きい誤りはなかろうかと判断するわけでございます。
#228
○山中郁子君 そうすると、いわゆる地上施設によって難視解消を図ってきた戸数が数十万戸といりことでかなりな数に上るわけですけれども、今後、放送衛星時代に入っていって、これらの既設の地上施設がそれぞれやはり保守――維持ですね、維持や補修やあるいは更改ですね、更新、そうしたものが必要になってくるわけで、それらの問題についての手当てはどのように行われるのか、あるいはどのように考えていらっしゃるのか、お尋ねをします。
#229
○参考人(高橋良君) 現在、地上局におきますところの老朽の更新でございますが、法定耐用年数は六年でございます。それから共同受信設備につきましては十年でございますが、これを改補修をいたしまして、大体平均いたしますと十五年から十八年で老朽更新をしているというのがNHKの現在の老朽更新計画の実態でございます。それに基づきまして今後もやっていくわけになるわけでございますが、幸いのことに、地上における送信設備というものの技術の革新といいますか、特に固体化技術の導入によりまして非常に故障回数というものが減ってまいりまして、先ほど申し上げましたように六千五百局の保守の運用費にいたしましても、今年は年間六十億に減少することができるようになってきておりますので、さらにこの辺につきましての維持対策の技術の革新によりまして、さらに維持費は減少する方向でわれわれは努力してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
#230
○山中郁子君 そうすると、当然のことながら放送衛星による難視解消のカバーという方向と同時に、地上施設における引き続く並行的な難視問題の解決ということは恒常的に取り組まざるを得ないという問題として認識をされている、技術の発展などによってその数が減少していくという見通しは持てるというお話ではありましたけれども、その方策としては放送衛星、それから放送衛星でカバーし切れない問題の範囲を含めて地上設備の対策は並行的に進めていく、このように理解してよろしゅうございますか。
#231
○参考人(高橋良君) 先生の御質問、私、理解できないところが若干あったのでございますけれども、御質問は、現在の地上設備というものをいまの形でもって維持していくのが一つと、もう一つは放送衛星でカバーできないというお話があったのでございますが、放送衛星でわれわれは、先ほども新谷先生の御質問にお答えしたわけでございますが、三千万世帯全部はカバーできるという判断に立っているわけでございます。ただ、現在地方局で行っているようなきめの細かいローカル放送のカバーができないという御質問であれば、全くそのとおり私は理解できることでございます。
#232
○山中郁子君 そういうことです。
#233
○参考人(高橋良君) その辺につきましては、残念ながら、きょう現在でも、埼玉県の秩父の山の奥でも、東京でいま七波、八波のテレビジョンの文化に浴しておるという時代にまだ全然テレビの見れない方が東京のすぐ近傍にもおる、それから小笠原にもまだおいでになるということを考えましたならば、NHKとしてはとりあえず現在の総合テレビ並びに教育テレビ、それに対しまして各地方局のローカルニュースというようなものを加えた形で、まずとりあえずそれをお見せするのがNHKの使命ではなかろうかというふうに判断しておりまして、しかも、先ほど申し上げましたように、衛星を利用した方が地上局の今後の建設よりも一挙に解決できる、さらに効率的であるということを判断いたしまして、難視解消に衛星計画を導入したということを御理解賜りたいと存じます。
#234
○山中郁子君 いまも申し上げましたように、難視解消に放送衛星の役割り、これは大いに私、認めるところでありまして、これに異議を唱えているわけではない。
 素人風に簡単に言いますと、放送衛星を打ち上げても解決できないローカル放送――民放ありますけれども、これはいまNHKの問題としてローカル放送の問題で言いますね。さっきおっしゃいましたように、これは放送法によってもローカル放送の重要性という問題は異議のないところで、そういうことで今後、いま現在まだ対策が済んでいないところが全中は放送衛星で解決する、だけれどもローカルはそこの部分も解決できないわけですね。いままで難視解消でもって、地上施設でもって解決してきた数十万戸の戸数にとってみれば、それの更改だとか維持だとか補修だとかというものが続けられていかない限りは、またそういう問題が出てくる。十年なり二十年なり、さっき十五年から十八年とおっしゃったのは、それがその年限がどうであるかは別として、その事態がまた出てくるわけですね、そこで新たな投入をしなければ。その二つの問題が残るであろうということを私は申し上げて、その二つの問題をめぐってNHKとしては、地上施設による難視解消という課題、仕事、これを引き続き、程度の問題だとか、お金の問題だとか、いろいろおありでしょうけれども、重視をして取り組んでいかれなければならないであろう、こういうことで申し上げておりますので、おわかりいただいたならば、ちょっとNHKのはっきりした方針を述べていただきたいということなんです。
#235
○参考人(高橋良君) 先生のおっしゃることは十分わかるのでございますけれども、先ほどから繰り返し申し上げましたように、非常に散在している地域につきましては、現在の地方局でやっているようなローカル放送の地上設備をやるということになりますと、先ほど言ったように四万局をつくるということになりますので、とりあえずは、都市の近郊にございますような宅造の非常にまとまった効率のいいところは今後とも地上局でローカル放送をお届けしたい、それから非常に散在している四十四、五万の山間僻地の方々については放送衛星でがまんをしていただきたいということを先ほどから私は申し上げているつもりでございますので、先生にも御賢察賜りたいと思うわけでございます。
#236
○山中郁子君 だから、要するに地上施設と放送衛星による両方の解決の問題は、放送衛星上がったから地上施設による難視解消の努力はもう要らないのだということではないでしょうということを私は言っているんです。その細かい問題を、何万という、いままでの何百倍もの施設を機械的にもしつくると言えば、それをつくらなければならぬというようなことに私がいま立ち入ってお話ししているのじゃなくて、基本的な考え方として、放送衛星が上がったからもう難視はこれで済むんですということで、地上設備による解決の方策をあなた方がもうやらないんだということではなくて、並行した難視解消の努力を続けられていくべきでありましょうし、そうですねということを申し上げているんです。
#237
○参考人(高橋良君) そのとおりでございます。
#238
○山中郁子君 これは、いままで共同受信施設などに乗ってきた民放の問題もあるわけね。放送衛星だけの問題で解決できないということは、民放受信との関係でも出てくるということを、私はちょっとあわせて指摘をしておきたいわけです。
 それで、こういう点を、いままで共聴施設などに郵政省としても補助金を出すなど対応をされてきているわけですけれども、郵政省もぜひこういう点で配慮を、放送衛星の打ち上げとの関連で残されていく難視の問題についての引き続く配慮をしていっていただかなければならないと思っておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
#239
○政府委員(田中眞三郎君) いまNHKからもお答えしたような考え方でやはり難視の問題については当たるべきであるというふうに考えておる次第でございます。
 それからいま主に辺地難視の話が取り上げられたようでございますけれども、私どもといたしましては、都市難視もまた問題であるということで、含めまして難視解消の努力は払うべきである、こういうような考え方でございます。
#240
○山中郁子君 都市難視の場合、特に東京、大阪などでは市区単位で見ますと、いままでも問題にもなっていますけれども、五割以上の世帯が共聴施設に組み込まれているという場所もあるんですね。だから、この問題がなり重要な問題だと思っています。それで、いま郵政省からもその姿勢が示されたんですけれども、たとえば難視解消の制度化の問題、つまり立法化や、あるいは原因者責任主義だとか、基金制度だとか、いままで取り組まれてきているそうした問題について引き続き追求をされ、それの実現のために努力をされるということを明らかにしていただきたいと思うんです。つまり放送衛星が上がったから、もうこっちはいいわ、ここまでやってきたけれども、もうこういう問題はよろしいんだということでなく、制度的な問題だとか、いままで郵政省で研究をされてきたそうしたものは、実現方に向けて一層努力をされてほしいというふうに思っておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
#241
○政府委員(田中眞三郎君) ちょっと省略いたしましたけれども、都市受信障害というものは、それの発生する以前におきましては、いま問題になっておりますNHKの番組のほかに当然民間放送というものも見えておったわけでございますから、放送衛星から解消される面につきましてはさしあたり当分はNHKであるということで、先生おっしゃいましたように放送衛星だけで都市受信の障害が解消されるというふうには考えておるわけではございません。都市受信障害につきましては、前々から申し上げておりますように、原因者負担主義の原則ということでございますが、これにつきましては、もうすでに御存じのように、いろんな、実際問題としては原因者責任だけでは簡単にはいかないというようなことで、別途建築主あるいは受信者、放送事業者、地方公共団体、国等の関係者の協力という形で解決を図っていく以外にない。まだ顕著な成果を上げておるわけではありませんけれども、粘り強く、その辺の基金構想あるいは制度的な解消の可能性等も含めて強力に問題に取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#242
○山中郁子君 次の問題に入ります。
 これは具体的な提案であり、国民の要望を受けてお願いをするということなんですけれども、NHKが中心的にやっておられます国会中継ですね、これが国民にとって重要な課題が論議される場所であるわけですけれども、よく中継が途中で切れちゃうんですね。何時ですか、六時ごろになると予算委員会の質問なんかね。今度それは十一時過ぎになって十二時までずっと行われるということで、夜中に持っていかれるということがあるので、いつも私もいろいろ意見を聞くんですし、要望や苦情を聞くんですけれども、私自身もそう思うんですが、たとえばこれは高校野球なんかが切れると第三チャンネルに切りかわりますでしょう、ああいうことはとれないものだろうか、ぜひそうしてほしいという要望がずいぶんあるので、それはもっともな意見であるし、私もそういうふうに思いますけれども、ひとつ、この辺はお考えいただくことはできないでしょうか、いかがでしょうか。
#243
○参考人(田中武志君) 現在、国会中継の放送時間といいますのは、総合テレビとラジオの第一放送で、ともに原則として午前十時から十一時五十五分まで、それから午後は一時から六時までということで、その間、天気予報あるいはニュース等々が入っておるわけでございます。いま御指摘のように、六時以降につきましては、放送されなかった部分は午後十一時から録画と録音でお伝えしているということでございます。これを、いま御指摘のように教育テレビを利用して六時以降もできないかということでございますけれども、六時以降は、先生御存じのようにテキストを発行して年間計画できちんとやっております語学講座、講座番組、それからおけいこ番組、そういった等のものが数多くその後編成されておりまして、その後こういった語学講座等の後にはまた高校講座等もありまして、とても流動的な編成が非常にむずかしくて、計画的にあるいは継続的な視聴者の利便を考えまして、教育テレビの利用は大変むずかしいというのが現状でございます。
 なお、いま高校野球の例をお出しになりましたけれども、これは春休み、現在やっておりますけれども、それと夏休みといったようなことで、こういったような、いま申し上げましたような年次計画、あるいはテキストを発行してきちんとやっております講座番組がちょうどお休みとなっている期間、特別編成の期間に当たっておりますので、これはできるということでございまして、その辺ぜひ御理解いただきたいというふうに思っております。
#244
○山中郁子君 講座番組を便宜的に動かしてよろしいと言うつもりはもちろんありませんし、そこはNHKの側での知恵も出していただきたいということを前提にして、国会中継がNHKで行われて、それが多くの国民の皆さんに見ていただくということは、これは大変大事なことであるし、公共放送たるNHKの使命に照らして重要な中身でございますし、それが夜中になるということは、やっぱり普通の生活をしている国民の方たちが見られないという条件は大いにありますので、初めに申し上げましたように、実際の、いま現実の番組編成の問題にとやかく私は申し上げるつもりはありませんけれども、趣旨を理解されて、何かひとつ知恵を出していただきたいという要望については、会長、ぜひ積極的に受けとめていただいて御検討を願えないものでございましょうか。
#245
○参考人(坂本朝一君) 番組の編成のことでございますから、これはNHKが責任を持っていたさなければならないことで、そういう意味で責任の非常に重大さを痛感しておるわけでございますけれども、私は、国会中継のようなものはあくまでも総合テレビ、第一放送というチャンネルで放送すべき性質のものであろう、現状はまだまだ総合、教育の受信の対応等から考えましてそうあるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。ただ、先生の御指摘のようなその部分についての取り扱いについては、当然その間にニュース等もございまして、そういうところでの概略の報道ということもあわせてできるわけでございますから、そこら辺のところはぜひひとつ御理解いただきたい。ないがしろにしているということではございませんので、御理解いただきたい。
 ただ、なお一層、今後といえどもそういうふうに言わずに考えなさいというその御提言を、私はむげに退ける気はございません。引き続き検討すべきことは検討すべきであろうという判断には立っておりますけれども、現状、基本的な考え方はそういうところにあるということもあわせて御理解賜りたいと思います。
#246
○山中郁子君 何か、検討してくださるのかくださらないのかよくわからないんだけれども、要するに第一放送でとおっしゃるけれども、夜中にやられたのじゃ国民の人たちは見られないわけですよね。だから、そのことを私申し上げていますし、それは第一であろうと第三であろうと、国民が、視聴者が見やすいときに大事なそうしたものが保証されるということが大事なんであって、そういうことを申し上げておりますので、むげに退けるつもりはないとおっしゃいましたので、ひとつそのお言葉に期待をいたしまして、ぜひとも私の申し上げたところを酌み取っていただき、NHKにおいて知恵も出して工夫もしていただきたい、このように重ねて申し上げておきたいと思います。
 さて、長期ビジョン審議会の調査報告書が出されました。あと、私はこの問題に関連して幾つかの点についてNHKの考え方、それからまた具体的な取り組みなどがお示しいただけるならばと思って質問をしたいと思います。
 この長期ビジョン審議会の調査報告書、これは会長の個人的諮問機関として位置づけられていると理解しておりますけれども、この答申に関しまして、総合的にNHKがどう受けとめ、そしてまた答申の具体化というようなことについてはどういう関係でもっていま考えていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
#247
○参考人(坂本朝一君) 基本的な点は、先ほども申し上げましたように、これは協会の指針として将来の参考にすべきことである、そういう認識を持っております。それを具体化するという、そこが一番大事な点かと思いまして、私を長とする長期ビジョン検討会議なるものを局内に設けまして、現在、各役員が六つの小委員会の長になって検討を進めておる、そういう状況でございます。
#248
○山中郁子君 私は、この答申はもっともであり、結構なことであり、そうすべきだと考えるものももちろん多くあり、これはどういう問題がな、少し問題があるのではないかと理解世ざるを得ない点も幾つかあります。それらの点について二、三の質問をし、NHKの対応をお伺いをいたします。
 一つは、受信料制度の問題です。衆議院の逓信委員会あるいは本委員会においても幾つか論議をされてきておりますけれども、この答申では百十二ページ、「NHKと国及び国民との関係」の項の中で、「NHKが、昭和二十五年に放送法の規定に基づき設立をみて以来、NHKに対する公共的規制は、国会における予算の承認どこれに伴う受信料月額の決定、決算の国会提出、NHKの最高意思決定機関である経営委員会の委員任命の同意等、国会を中心とする規制方式の下に行われ、行政府による規制を最小限にとどめることが基本とされている。」と叙述されておりますけれども、こういう点を踏まえて積極的なこれらの意義に触れていると理解いたしますけれども、しかし展開が、じゃ、必ずしもそういう点を堅持して、受信料制度の問題についても堅持をしていくということがはっきり示されているかといえば、百十三ページになりますと、「今後、受信料額を物価等の変動に応じて定めるいわゆるスライド方式についてさらに検討を続けることとすべきである。」ということで、現行受信料制度の評価はかなり消極的になって、今後の対応を物価スライドというふうな方向で考えていかなければいけないだろうというふうな提起にもなっている。
 これは私、論理の上からも矛盾していると思いますし、物価の上昇というのが、国民の責任でないところで行われるという実態のもとで、これが自動的に、しかも受信料制度の根幹にかかわる内容を含みつつ問題が提起されているということは、やはりかなり問題点として解明しなければならない点だと思っておりますけれども、この点についてNHKの認識はいかがでしょうか。
#249
○参考人(山本博君) いまお尋ねがございました点でございますが、これは報告書の基本的な考え方は、受信料につきましては、単にこれはNHKの経営財源の手段あるいは調達方法というような受け取り方をいたしてございませんで、これはNKHの自主性なり主体性なりこういうものを保障する、放送法に保障されているNHKの地位というものを守っていくための基本的な制度である、単なる財源調達の方法だというふうには受け取っておりませんで、報告書としては、この点については繰り返し現在の受信料制度を守っていく努力をNHKにしなさいということを申しておるし、また私たちもそのように受けとめております。
 ただ、受信料制度を守っていくためのいろいろな角度からの手法というものについて触れておる点がございまして、物価スライド制につきましても、基本的に現在の受信料制度のあり方を損なわないということを前提にして、そういうことが可能なら考えたらどうだろうという提起だと私たちは受けとめておりますし、そういう角度で今後も検討をいたしていきたいというふうに思っております。
#250
○山中郁子君 私は、いま問題提起にとどめるという意味合いも含めてさらに指摘したいんですが、この文章を読みますと、百十三ページです。いまおっしゃいましたけれども、必ずしもそうも読み取れないんですね。それはちょっとそういうふうに読んでおいた方が都合がいいからということになれば別ですけれども、実際そうじゃなくて、百十三ページでは、「このように、現行の方式に代わるだけの合理的な方式を見出しえない以上、」つまり受信料制度に関して言っているわけですから、「見出しえない以上、基本的には現行制度を当面維持することとし、」と言っているのね。そして「今後、受信料額を物価等の変動に応じて定めるいわゆるスライド方式についてさらに検討を続けることとすべきである。」、こう言っているわけでしょう。だから、今後検討しなさいと言っている物価スライド方式というのは、現行の受信料制度に対置されるものとして、この文章上、日本語をちゃんと読めばこれはそうならざるを得ないんですよ。だから、当面、受信料制度は維持するものとするけれども、今後、将来の問題としては物価スライド方式も検討していくものとする、こういうふうに普通、素直に読めば読み取れる文章なんですね。どうですか、もう一回。
#251
○参考人(山本博君) そこの文章にくるまでの全体の構成の問題ですけれども、そこへくるまでの議論の過程は、NHKの予算の決定方式といいますか、これを総合的に議題として考えまして、国会との関係はどういう形であるのがよろしいであろうか、あるいは他の国鉄とか郵便料金とか、こういうものが行われているように国会の審議というものから外して主務大臣という形にすれば物価スライド制というようなことも可能になるのではないだろうか、いろいろな角度から御議論がございました。そのNHKの予算あるいは受信料の決定様式というものをいろいろな角度から検討されて、これはやっぱり他の方法ではちょっと無理ではないか、やはり現行制度が一番妥当ではないかという一つの考え方に落ちついた後で、なお、この問題については全面的に物価スライド制というものを考えないということではなくて、現行制度というものを守っていく上でなおこういうものをどういう形かで取り入れるというようなことが可能ならそれは検討しなさいというような文脈で御議論が進んでおりましたので、私たちはそのように受け取っております。
#252
○山中郁子君 いまおっしゃったように、このいま私が読み上げたものに先立って、「最近における公共的事業体の法定料金制緩和の動きや、これら事業体の予算、決算等の公共的規制のあり方に関する各方面の論議を参考とすることも必要である。」、こういうことも述べておられるわけね。そうすると、これは最初に、国会を中心とする規制方式のもとに置かれて、行政府による規制を最小限にとどめることを基本としているという、NHKの公共放送であるところからよって立つ基本的な抑え方にかかわるやはり提言の部分がかなり出ているということは指摘せざるを得ないところだと思います。NHKの受けとめ方はいまのお話でわかりましたけれども、余り恣意的に――恣意的にと言ってしまうといけませんけれども、都合のいいような受けとめ方でもってこの問題の本質をあいまいにするということがあってはならないというように考えております。
 それで、これに関連いたしまして、会長自身、最近の、ことしに入ってから二月の初めの新聞報道で、自民党の通信部会などでNHKの受信料問題で法定義務化についてはやらないということを述べたという報道がされておりますけれども、この点については当然なことだと私どもは考えておりますが、答申の具体化の問題も含めて、それからまた、少なくともNHKの方から、一つは、郵政省に受信料支払い義務制度を導入するような働きかけというか意思表示などは行われないと思っておりますけれども、その点についてのお約束をいただいておきたいと思います。
#253
○参考人(坂本朝一君) このことも午前中から諸先生から御指摘をいただいた点で、その際、御答弁申し上げましたように、今回、国会に郵政省から提案されました放送法の一部改正案には三十二条の改正は含まれておりません。NHKといたしましては、これまでのもろもろの状況を踏まえまして、特に五十五年の受信料改定後、契約、収納の面で努力を重ねまして、現在、滞納、契約数の増加もかなり抑制しているという状況なので、この問題についてはなおしばらくわれわれの経営努力で対処していきたいというふうに考えておる次第でございます。
#254
○山中郁子君 郵政省も、そういう受信料義務化制度の導入についてはとらないということを、あわせてお約束をいただいておきたいと思います。
#255
○政府委員(田中眞三郎君) 五十五年度に料金の改定があったわけでございますけれども、その後、現時点まで比較的値上げがあったにもかかわらず収納の状況は順調に進んでおるというふうに見ておるわけでございまして、私どもといたしましては、現体制におきます形におきましてNHKの、なお国民の聴視者の皆様からの理解と信頼を得るというかっこうで努力の行方を見守るのが適当である、そういう形で今度、放送法等の改正を提案いたしておるわけでございますけれども、その中にも義務化の問題等は取り入れていないということでございます。
#256
○山中郁子君 基本的な問題だというお話もありまして、これは再三論議されていることですけれども、やはり受信料収入の確保ということの面からだけの義務化ということを考えれば、やはり公共放送としてのNHKの失うものの大きさというものを心すべき、そういう基本的な性格のものだと考えております。
 次に、答申の中では、これまで視聴者の要求としてもあり、私どもも委員会の場で指摘もし、また要望もしてきたことについて取り上げられていることも少なくありません。百二十一ページに、「経営公開の方策」ということで、「受信料制度を基礎とするNHKに対し、視聴者が経営、財務について報告を求めることは、視聴者としての当然の要請である」ということを述べるとともに、このあたりの論議を展開しているわけですけれども、私も何回もそうしたことは当委員会でも主張もし、また要求もしてきたわけですけれども、現在、NHKがこれらの答申の指摘に関してどのような方策を持っていらっしゃるか、お考えになっているか、お伺いをいたします。
#257
○参考人(荒井治郎君) いま視聴者のかかわりで私どもの業務運営や何かやっている実態を、まず御説明申し上げてまいりたいと思います。
 いま、五十一年の十二月から視聴者会議というのを発足させまして、それから全国で五十三カ所、年三回を原則としてそういう会議を持っております。この五年間で約五千百八十八人ほどの委員の方に参加していただきまして、いろいろ御意見なり御要望なり私ども承っております。
 今年度は、全国で、延べで計算いたしますと百六十一回の会議を持ちまして、この視聴者会議に御出席いただきました委員の方でございますが、大体十一の分野から御出席をいただいております。たとえば農林漁業だとか、それから経済一般とか、それから地方自治とか、それから教育、社会福祉、それから婦人、消費者、労働関係、そういったようなそれぞれの地域社会のオピニオンのリーダーの方に御出席をいただきまして、幅広く御意見をいただいているわけでございます。
 なおまた、ことしは、その視聴者会議をさらに広げまして、全国の八つの地域でございますけれども、たとえば北海道だとか、東北だとか、関東甲信越、そういった八つの地区で視聴者会議のブロック会議というのを開きまして、それには特に経営委員の方にも御出席をいただきまして、その地域の生の視聴者の代表の意見を経営委員の方にも伺っていただくというようなこともしてまいりました。また、この会議を通じまして出ました意見とか御要望というのは、理事会や何かにも報告いたしますし、それから放送の現場や何かの、そういうそれぞれの放送の中での部門に迅速、的確に反映させまして、そういうぐあいに今日まで来ているわけでございます。
#258
○山中郁子君 答申でも、具体的に「NHK会長が問題意識を有する視聴者代表に経営状況を説明し、質問に答える形式の番組を制作し、放送することは、経営公開的な意味合いから有効であるとの意見もあった。」ということが述べられております。これは具体的な提起ですよね。私は大変有効な提起だと思っておりますので、こういうものはせっかく答申にも出されておりますので、ぜひ実現をされたいと思っておりますけれども、お伺いをいたします。
 あわせて、昨年のNHKの予算の審議に当たりまして、私はやはりこの当委員会で、番組批評番組をテレビで放映するようにしたらよろしかろうということを提起いたしました。会長の御答弁は、余り積極的な御答弁はそのときいただけなかったんですけれども、まずはとにかく承っておきます、こういう御答弁だったんですが、私は、やはりこの際、ぜひいま答申が提起をしたこういう内容、あるいは番組批評の番組ですね、そういうものを実現をする方向で研究するべき時期が来ているというように思っております。
 昨年も申し上げましたけれども、新聞なんかは新聞批評というので紙面にそうしたものがずっと展開されている。だから、いわゆるきれいごとの番組紹介ということではなくて、いろいろな放映される番組に、政治的な面からもあるいは芸術的な面からも、またあるいはドラマその他についてもいろいろ意見が出てきます。視聴者の意見というのは出てくるわけです。そういう視聴者の意見なり受けとめ方によってNHKは支えられるわけですから、だからそういうものもさらに番組として編成して公開していく、それがやはり開かれたNHK、国民のNHKという意味での支える一つの柱であるべきだと思っておりますから、ぜひこれは具体的に考えていただくように、この五十七年度予算の審議に当たりましては私はぜひお約束をいただきたいと思っておりますので、積極的な御意見が例えれば幸いです。
#259
○参考人(田中武志君) 私ども、番組をつくります際には、その内容が的確であり、公正であり、独善に陥らないようにということを絶えず心がけてつくっているつもりでございます。そういった上で、最近の視聴者の価値観が非常に多様化している、また社会も複雑化しているという中で、私どもはやはり私どものつくりました番組が視聴者の皆さん方にどのように正確に把握されておりますのか、反映されているのかということを十分につかみまして、それをまた次の番組制作に生かしていくというようなことを日常業務の中でやっていきたい、またやってきているつもりでございます。
 そういった意味合いで、いま御指摘の、アメリカの方にもいろいろそういったような番組が昨年以来できているというようなことについても私もいろいろ資料等を通じて知っておりますけれども、私どもも、こういった番組に類しまして、ことし一年を見ましても、昨年の六月には「NHKへの提言と期待」ということで、会長が作家の澤地さんと経済人の牛尾さんにいろいろ忌憚のない意見を承って、またこれにお答えしたという番組をやっておりますし、また十一月の末には、先ほど話のありました全国の視聴者会議の代表の方に全国四カ所に集まっていただきまして、そこで会長がいろいろ出たNHKの番組の批判、批評、そういった御意見に対して直接お答えするという番組をつくりました。また、ごく最近の例では、三月の二十二日に、NHKへ参りました番組への投書をもとに、そういった御意見、批評を、放送現場の、実際に番組を制作しております現場の人間がどういうふうにこれを感じ、これに対してこたえているかという番組、「NHKへの質問状」という一時間の番組をつくりました。これなど非常に反響がたくさんございまして好評いただいたというふうに思っております。
 したがいまして、私ども、NHKの番組の批評等々を含めましたこういったような視聴者からの疑問、意見、批判というものをいただいて、これに私どもがいろいろ答えていくというような番組を、今後五十七年度の新しい番組編成の中で、できれば月一回、日曜日の現在やっております午後九時三十五分からの「NHKの窓」の中で、毎月最終日一回ぐらいはこういったような中身の番組にしていきたいというようなことも考えております。
#260
○山中郁子君 NHKで考えていらっしゃることはそれでわかるんですけれども、あなたもわかっていらっしゃると思うんだけれども、私が言っているのは「NHKの窓」というふうなああいうものではなくて、もっと踏み込んだ番組批評番組をつくったらよかろうということを去年から申し上げているのね。そのことについてはなかなか踏み切ろうというお考えがないようですけれども、私はこれは大事なことだと思います。そういう点で、本当にNHKの放送と国民とのつながりというものを重視されるならば、ぜひともそこのところは、放送番組自体の生命力というか価値を高める上で欠かせない中身の一つだということを受けとめていただかなければならないと思います。
 放送番組に対する苦情処理の体制の問題についてお伺いをいたしますが、これはもちろん御承知だと思いますが、この答申にも、「苦情処理活動の充実に努めるとともに、諸外国の例を参考にするなどして、番組苦情処理体制の整備について検討することを望みたい。」と、こう書かれています。
 それで、文研月報の「海外の放送界」という報道がありますけれども、これらのところを見てみますと、イギリスでは一九七一年からBBC、IBAの苦情処理機構が発展的に一本化されて、昨年の六月、放送苦情処理委員会が設置されたということが紹介をされていますし、それからまたアメリカのABCニュースですか、ここでもテレビニュースなど報道番組に対する苦情や批判などにこたえる番組ビューポイントを新しく始めたという報道がされております。
 こうした海外の動向も参考にしということを答申が指摘しておりますけれども、放送番組に対する苦情処理体制を、NHKとしてどのように具体的なお考えをお持ちか、お伺いをいたします。
#261
○参考人(田中武志君) いま御指摘のように、アメリカの方でもビューポイントとか、あるいはアメリカのCBSの中でもいろんなニュース、報道等の苦情処理の問題などをやっております。また、いま御指摘のBBCの中でも苦情処理委員会というものがございまして、先日やりました私どもの教育テレビでの放送の中でも、イギリスのアナン氏がそういったような問題を取り上げておりまして、私どもも、おととし以来やっておりました長期ビジョン審議会の放送小委員会の中でこの苦情処理の問題をいろいろ取り上げて、先生方の御意見も承っております。今後とも、先ほどから話がありますように、私どものビジョンの検討会議の中の私の主宰しております小委員会の中で、この苦情処理の問題を今後どういうふうに具体化し、またどういうような問題点があるのか、その辺の洗い出し、議論をやっていきたいというふうに思っております。
#262
○山中郁子君 放送番組に対する苦情の処理というのは、やはり先ほど申し上げましたように、たとえば番組批評の番組をつくれということと基本を同じくする放送内容の生命にかかわる問題だというふうに思います。イギリスやアメリカで行われている実態をすべてよしとして申し上げているわけではありませんけれども、その本旨ですね、その苦情処理にどう対応するか、それをどういうふうに吸収し、どういうふうに放送に生かしていくかということの重要さということを指摘しておきたいと思います。
 最後の問題になりますけれども、五十三年度決算、つまり昨年十一月に行われました決算の審議に当たりまして、わが党の沓脱議員が、NHKの管理職の健康問題についてお尋ねをいたしました。その際、NHKの答弁や資料によっても、中堅職員、管理職になっている人の亡くなられる数が急カーブでふえているし健康状態についてもいろいろ問題があるという指摘もし、また、そのような実情の回答もいただいたんですけれども、五十六年については年齢別に亡くなられた数はお教えいただけますか。
#263
○参考人(武富明君) お答え申し上げます。
 いまちょっと細かい資料は持ち合わせていませんけれども、五十六年度の死亡者の総数というのは二十一人でございまして、そのうち管理職と申しますか経営職が三人、専門職が五人、それからあとの十三人が一般職、こういう配分になっております。
 ちょっと年齢の資料はいま持ち合わせていませんので……。
#264
○山中郁子君 やはりなかなか減るというふうにならないですね。後で詳しい年齢別の資料はいただくことにいたしまして、NHKの答弁でも、年次休暇が一般職が平均十八日とっておられるのに対して管理職は十日にも満たないという取得状況がありました。これらの指摘もいたしましたけれども、この管理職の方たちが有給休暇をとるということができるような対策をとっていただきたいということでしたんですが、その辺は何らかの対策をとられ、また事態が改善されているかどうか、お尋ねをいたします。
#265
○参考人(武富明君) 現在のところ、われわれとしては日常管理の中で十分にこれについて配慮をいたしたいと考えておりますけれども、まだ現在のところ数字が出ておりませんので、その数字の変化についてはちょっと申し上げかねるのでございますけれども、しかし、いま先生が十日に満たないとおっしゃったのでございますけれども、大体、全国平均でちょうど十日、本部で十二日くらいになっておりますが、これは決してほかと比べて、言いわけを申し上げるつもりはございませんけれども、千人以上の大企業のところでは大体年次休暇が十日というのが、これは私どもが持っております労働省の調査でもって私どもの調べにございます。それと比べまして、先生がおっしゃるように必ずしも悪くないわけでありますけれども、ただ、先生がおっしゃったとおり、一般職との差においては、確かに専門職あるいは管理職の勤務というのが、休暇の取得日数というのは減っております。
 しかし、この勤務管理につきましては、管理職の処遇を与えますと、経営職あるいは専門職ともに勤務というものはタイムカードその他でもって管理をいたしません。自主管理をさせることにいたしております。そういったことで、われわれとしては運営上日常の管理の中で指導するのでございますけれども、しかし一方、非常に働き盛りであり、実際の日常業務の中心となって働く者でございますので、その辺の旺盛な意欲というものもまたそこら辺に反映しているのではないかと思われます。しかし、われわれとしては、日常の指導の中で、休めるときにはできるだけ休ましてやりたい、こういう念願だけは持っておるつもりでございます。
#266
○山中郁子君 よそと比べて変わらないということは、ちょっとやっぱり安易なお言葉だと思いますよ。それで、特に番組制作部門での中堅管理職の人たちの労働状況というのは大変やはり厳しいものがあるし、何とか改善してほしいということを多くの人たちが望んでおられることはこれは事実です。私どももいろいろお話伺います。
 そこで、ちょっとお尋ねしますけれども、所定労働時間、たとえば通常平均たとえば八時間とか七時間とか、それを超えていわゆるオーバーワークです、超勤、残業、こうしたものについてはすべて、たとえば残業手当がきちんと支払われているのかどうか、それをお聞かせいただきたいと思います。伺うところによりますと、月に平均四十時間、五十時間、多い人で百時間からの残業をされている、オーバーワークをされている、もちろんそれに見合う残業手当が支払われていないという状況があると伺っておりますけれども、その辺はいかがですか。
#267
○参考人(武富明君) お答えいたします。
 基準外の時間数でございますけれども、一般職について申しますれば大体平均が二十五時間でございます。そして番組制作等非常に最前線にある部門で三十五時間から四十時間、こういうことになっております。これに対しまして、われわれ、いま主としてその分野で活躍しているのは専門職でございますので、その専門職に任用いたしますと、これは管理職の処遇をいたしますので、専門職手当というものを出しまして時間外は支給をいたしておりません。
 しかし、この専門職手当というのは大体三十五時間相当のものを考えております。そのほか、そういう事情もわれわれ多少は考えなきゃいかぬということで、最近になりまして、昨年から、勤務あるいは業務の著しく忙しいところにつきましては、深夜、休日、宿泊等の頻度によりましてこれに業務加算をいたすというような制度も取り入れまして、その辺は報いるべく努力をしているところでございます。
 もう一遍まとめて申しますと、専門職に対しては時間外は支給しておりません。手当というもので支給しております。それで、その手当というのは大体三十五時間分から四十時間、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
 それで、百時間以上というお話がございましたけれども、われわれとしてはそういうことはないように指導しているつもりでございますが、その辺またさらに調査をいたしたいと思います。
#268
○山中郁子君 最後になりますが、三十五時間ということだと、やはりその分を上回るオーバーワークが、百時間というのは例外的に少数だとしても、かなりあるというふうに私なんか聞いていますけれども、四十時間、五十時間、六十時間となれば、やはり実質超勤をもらうよりはうんと目減りしてくるわけですね。そういう問題があります。ただ、それはそれに見合うお金を払えばいいという問題じゃなくて、申し上げるまでもなくやっぱり健康の問題になってきますし、また放送の仕事というのは、特に番組制作のところは大変神経も使うし、さまざまなプレッシャーもかかる、そういう仕事ですから、そういう点で死亡者がまた多くなってくるみたいな事態も生まれてくるし、健康も損なわれてくるという事態も生まれてくるということがございますから、その点は、私がそう申し上げるのは管理職や中堅の方たちだけじゃもちろんありませんけれども、特にその層でのいろいろな不満というか希望、要望、そうしたものがあるということを踏まえていま申し上げております、一つは。
 それからもう一つは、やはりNHKの公共放送たる使命に照らして放送の現場というものが、制作の現場というものがやはり健康も留意される、それから民主的な自由な発言が保証される、そういうものによってつくられなければいけないという、そういう一つの基本的な要件でもありますから、そこのところはぜひともお考えいただいて、お金さえ近づいて渡せばいいということはお考えになっていないと思いますけれども、放送の基本にかかわる問題であるということを、NHKの使命の基本にかかわる問題であるという点から指摘もしておりますので、会長においてもぜひともそのようにお受けとめいただきたいということを申し上げ、最後に、先ほどの資料、幾つか事前に私お願いもしておきましたけれども、すぐにというわけにもいかないというお話もございましたので、お願いをした資料については後ほど御調査の上御報告をいただきたい、これをお願いいたしまして終わります。
#269
○中村鋭一君 朝から本当に御苦労さんでございます。会長、中塚副会長初め参考人の皆さん、大臣や電波監理局長、御苦労さんでございます。しばらく質問をさしていただきます。
 三カ年計画のことしは最終年度に当たるわけですけれども、その事業収支は均衡を失して、さらに五十五年度の値上げに際して一カ月の暫定をお組みになったわけですね。この暫定予算はどうしてお組みになったんですか。
#270
○参考人(渡辺伸一君) 先生の御質問は、暫定予算による減収もあるであろうに全体として三十五億を生み出した理由ということであろうかと思います。
 まず、三カ年計画の最終年度であります五十七年度でございますが、先ほどから御説明いたしておりますように、三ヵ年間、当初の計画の三年日と申しますのは事業収支でもって赤字もやむなし、しかし三年間で均衡ということであったわけですが、私どもは、先ほどからの経営環境の厳しさも十分に反映させまして、事業支出を事業収入の中で組んだということでございます。これによりまして五十七年度は少なくも事業収支では不足がないようにということを、まず配慮したわけでございます。これを入れました三年間を展望いたしますと、いま三十五億につながる要因を三つに分けて申し上げることができると思います。
 一つは収入でございますけれども、結果的には収入は百七億当初よりも減ったということでございます。それはどうして減ったのかということですが、いま先生おっしゃいますように、残念ながら五十五年度当初において一カ月暫定予算による減収がございました。これが金額にいたしますと四十四億でございます。そのほかに、五十五年度の受信契約者が当初予定したほど伸びなかったというような状況もございました。これによってまた収入が減ってくるわけでございますが、そういう減収に対応して私どもは副次収入を可能な限り増収を図ってまいりましたし、あるいは前納受信者の前受け金というものの運用につきましても十分に配慮をして少しでも利息を上げるようにという努力をしてまいりまして、結果的には三年間の事業収入が百七億減ったということでございます。
 一方、支出はどうかということですけれども、結果的には支出を百四億当初よりも詰め得たということでございます。なぜ詰め得たか。一つは、やはりこの間におきます物価の上昇を当時三カ年間では六%というふうに見ておったわけでございますけれども、三カ年間通算いたしますと五%台で終わりそうだという状況に助けられまして、これで三十四、五億の金が当初よりも浮いてきたわけでございます。そのほかに、これは五十五年度決算だけが明らかになっているわけでございますが、幸いにして予備費の支出が非常に少なくて済んだというような事務的なこともございまして、百四億当初事業支出予定よりも詰め得たということでございます。
 そうしますと、収入が百七億足らない、支出は百四億詰めたということでございますから、三億の不足ではないかということになるわけですが、もう一つの要因と申しましたのは、実は三カ年間の収支の中で五十四年度の赤字による借入金は全部返してしまうという計画でいたわけでございますが、五十四年度決算によりまして当初の赤字よりも三十八億ほど詰め得たわけでございます。したがいまして、五十四年度赤字補てんのための借入金を抑制できたわけでございます。これが三カ年間の効果としてあらわれました。つまり三十八億ほどの借入金に充当する原資が要らなくなった。先ほど収支で三億足らないと申しましたので、これをもって三十五億が期間中に生み出されたということでございます。
#271
○中村鋭一君 いまいろいろ教えていただきましたけれども、端的に申し上げましてNHKがそう潤沢にお金があるということではないと思います。挙げられました要因の中で受信契約が非常にスムーズにいった、あるいは契約件数が飛躍的にふえたというようなことはないわけですね。御確認を願います。
#272
○参考人(海林澣一郎君) お答えいたします。
 少なくとも五十五年度から五十六年度、この二年に関して申し上げれば、五十五年は契約数は伸びは五〇%台、五十六年、現在作業しているわけでございますが、これにつきましては契約はすでに二月の末で五十五万の目標に対して五十万を超えましたので九〇%を超えるということだと思っております。ただし、三月、四月に引っ越し、移動が多うございますので、多少その点では慎重に考えなければいけないかと思いますけれども、お答えすれば五十六年度においては順調に推移していると申し上げてよかろうかと思います。
#273
○中村鋭一君 増加見込みは順調に推移とおっしゃいましたけれども、現実にはその見込みは五十六年度に比べて五万件減少しているのじゃないんですか。
#274
○参考人(海林澣一郎君) おっしゃるとおりでございますが、実は、五十六年度現在の五十五万ということに対しまして、いま御審議願っております五十七年は五十万、おっしゃるとおりであります。ただし、これは昭和五十五年から五十七年度の経営計画を立てまするときに一応の指標としましては、当時出ておりましたのが昭和五十年の国勢調査である。その後の世帯数の増というようなことを勘案いたしまして、昭和五十五年に七十万ふえるであろう、五十六年が六十五万であろう、五十七年が六十万であろうというような推計をいたしまして、しかしこれも新しくできます、ふえる世帯が全部契約してくださるということではございませんで、全世帯のうちの二〇%は単身世帯である、単身世帯のうちの半分はテレビを持っていらっしゃらないというようなことがございますので、それらから推計いたしまして五十五は五十五万、五十六も五十五万と、しかし五十七年においては五十万であろうかという数字を積算したわけであります。したがいまして、世帯数の伸びと運動させながら、かつ、われわれの努力目標というものを付加いたしまして出した数字でございます。
#275
○中村鋭一君 この受信の契約者の増加見込み率ですね、これは何を根拠に策定されるわけなんですか。
#276
○参考人(海林澣一郎君) ただいまもお答えしましたように、基本は国勢調査によります世帯増、これを一応の基準にいたします。
#277
○中村鋭一君 旅館とか会社、事業所等のテレビにつきましては、一事業所といいますか、ホテルで言えば一室に一台でもある場合にはNHKとしてはこれは契約をなさらなければいけないんですね。
 現在、NHKが把握していらっしゃいます事業所、ホテル、旅館等の客室に備えられておりますテレビ受像機台数、その数をお教え願います。
#278
○参考人(海林澣一郎君) 先生おっしゃいますとおり、ホテル、旅館などは、一つ備えたことに契約するということでございます。
 ホテル、旅館のテレビの設置状況でございますけれども、実は、先生、立ち入り調査権というようなものがNHKには与えられていないということで、厳密に申して正確な把握ができないということを残念ながら御報告しなければいけません。しかしながら、NHKの独自に行いました実態調査の結果などで設置状況を推定しますと、五十五年度の末でおよそ四十一万でございます。これが見込まれます。これに対する契約率はおよそ三十六万をいただいているということが現状の推計でございます。
#279
○中村鋭一君 これは読売新聞の資料なんですけど、これによりますと大分NHKの調査と数が違うように思いますがね。やはりNHKの御自身の調査の数がこの読売の記事よりも正確だと考えていらっしゃるわけですか。
#280
○参考人(海林澣一郎君) いま申し上げましたように、私どもかなり緻密な調査を行いまして御報告した数字を出すわけでございます。他の機関との誤差がしばしばございますけれども、たとえば小さな旅館で玄関、入り口のところに一つテレビを備えているというような形が、事業所という角度から見ますとそれは旅館であるというカウントがございますけれども、われわれ集金関係者が行きまして契約をとりますときにはそれが一般の世帯であるというようなカウントになりまして、その辺の誤差が、いつもこういったと名に御質問に出ます他の機関の調査とわれわれの厳密に契約をとった実態から出しました数字との誤差になってあらわれてくるということがございます。
#281
○中村鋭一君 全体としてのNHKの現在の収納率は何%ですか。
#282
○参考人(海林澣一郎君) 九七%でございます。
#283
○中村鋭一君 事業所やホテル、旅館の収納率はNHKは何%と見ていらっしゃいますか。
#284
○参考人(海林澣一郎君) これは一般世帯との複合と申しますか、一緒にした数字で出しておりますので、いまここでお答えする正確な数字は持っておりません。
#285
○中村鋭一君 これもその他の調査ということになるかもしれませんけど、一般には六、七〇%じゃないか、こう言われているわけですね。私もこの数字は当たらずといえども遠からずだと思います。入るをはからなければいけません。正確かつ迅速な受信料の収納ということが要求されるわけですけれど、たとえばこのホテルや旅館について、収納率を上げるためにNHKはどういう努力をしていらっしゃいますか。
#286
○参考人(海林澣一郎君) これは全局的にということでございますけれども、なかんずくしぼって申し上げれば、最近では特に非世帯、部内的には世帯外を非世帯と呼んでおりますけれども、それら事業所、この関係については特別プロジェクトを設けまして、古参の管理職を中心に各事業所を訪問して契約をいただくというようなきめ細かい対策を現在行っております。
#287
○中村鋭一君 きめ細かいとおっしゃいましたが、そこには何らかの基準があるんでしょうか。といいますのは、先年、私が当委員会において決算の審査をさせていただきました。その翌日でございますけれども、大阪の私の事務所に早速ベテランの係の方がいらっしゃいまして、即刻契約を結んでいただきたいということでございました。それから再度またお見えになりましたですね。ですから、きめ細かいとおっしゃいましても、とにかくこれだけたくさん事業所なんかあるんですから、なかなかきめ細かくはまいらないと思いますけれど、たとえばあそこはテレビがたくさん置いてあったというような情報を得て、それでいらっしゃるというようなこともあるわけですか。
#288
○参考人(海林澣一郎君) ただいまも申し上げました特別プロジェクトは、最近のことで申しますと、たとえば二月に営業特別対策月間というのを設けた。これにつきましては、先ほどから申し上げております全協会的にということで、受信料の公平負担ということでありますれば一万六千人が全員でやるべきだということで、各人の知己であるとかというようなことまでお願いして調べる、きめ細かさという中の一つを挙げれば、そういうことまで含めまして施策を行っているということでございます。
#289
○中村鋭一君 この前の委員会でも私お尋ねしたんですが、地方局の局長さんですね、本来の局長としての業務以外に督励をされて、そういった契約をまだしていない人に対して契約をしていただくようにあなた方もしっかりと回りなさいというふうに言われているとお伺いしましたが、その状況は現在も続いているわけですか。
#290
○参考人(海林澣一郎君) これは協会の現場を預かる責任者としては当然の私は義務だと思いますので、継続的にそういった指導をしております。
#291
○中村鋭一君 この前に、たまたま苛斂誅求という言葉をお使いになりましたので、私が苛斂誅求とはいかがなものかと申し上げましたら、そのような心づもりでやっている、こうおっしゃいました。ひとつ、せっかく御努力をお願い申し上げたいと思うんですが。
 どうでしょうね、もうしかしテレビ受像機の普及率というのは頭打ちに来ているんじゃないでしょうかね。いま何%ぐらいですか。
#292
○参考人(海林澣一郎君) 仰せのとおり、世の中でテレビはもう頭打ち、どこの御家庭でもテレビを持ったではないかということが一般論としてはございます。しかし、われわれがデータを精緻に調べてまいりますと、確かにNHKの世論調査におきましても、一般の、つまり二人以上の世帯におきましては九八%所有しているという数字が出でございます。しかしながら、先ほどもちょっと触れました全世帯のうちの二〇%、これはこの間の国調の結果でございますけれども、二〇%を占めております単身世帯、この単身世帯の方々においては、いろんな角度から調べますと、まず五〇%前後ということ、特に勤労者の動向調査というようなものを見ますとそういった数字が出てまいりますので、それらを勘案いたしますと、一般家庭ではほとんど普及しているけれども、他の部分についてまだ頭打ちになっているとは言えない部分があるということでございます。
#293
○中村鋭一君 税金は当然ながら国民の義務として負担をする必要がありますね。受信料もNHKと契約している以上はこれは払わなければいけない、こう思いますが、それが税金と同じで取りやすいところから取る、取りにくいところはさわらずにほうっておくというのでもいけない、こう思いますけどね。現在、いわゆる未契約者といいますか、その未契約者にも、たまたま契約をして払っていない方、それから払いたいんだけども何となく払っていない方、それから明白に意思に基づいて私はNHKの受信料は払いたくないんだとおっしゃる方、いろいろあると思いますが、それらをちょっと数字的に教えていただけませんか。
#294
○参考人(海林澣一郎君) 最後の方からお答えしますと、NHKの放送について非常に問題ありということではっきり意思表示をされて、私どもが契約に参りましても契約してくださらない方は意外に少のうございまして十万余りでございます。それから世の中で三百万の未契約があるではないかというこの数字が、過去数年来ひとり歩きしているということがございます。実はひとり歩きと言いましたのは、移動世帯が実に多うございまして、年間二百三十万にも及ぶ移動世帯があるということで、たとえばきょう現在三月三十日を輪切りにしますと、確かに二百数十万という未契約がありますけれども、ここで引っ越しされて廃止して、今度はこちらへ来て契約されるということで輪切りにした部分が常に三百万近いという数字がございまして、その部分というのがかなりの量でございます。
 ただし、大都会におきましては、先ほどから申し上げております単身世帯が多い、あるいは共働きの若い御夫婦が多いという方にはなかなかお会いができないということでございます。特別営業対策員が五十二年から仕事をしておりますけれども、五十五年の末に集計いたしましても、お会いできる率が四一%というような数字でございまして、朝は早くから夜遅くまでかけて伺いますけれども、お会いできないというような実情がございまして、必ずしもそれがNHKを拒否するということの数字ではないということを御説明さしていただきたいと思います。
#295
○中村鋭一君 頑固な、受信料を払おうとしない方を何度がお願いに上がって契約に成功した場合、その契約に成功した当事者に対して手間賃といいますか、報奨金といいますか、そういうものを過去において払われたことはありますか。あるいは将来においてそういう制度を検討してみようということはございますか。
#296
○参考人(海林澣一郎君) これはやはり本来業務として位置づけなくてはいけないと思いますので、契約をとれば契約に対する事務費を出すということでございます。
#297
○中村鋭一君 全般としてその受信契約が頭打ちになった場合、対策としてはどういうものをお考えになっておられますか。
#298
○参考人(海林澣一郎君) 現在、協会としましては、何回か触れましたけれども、やはりいい放送を出すということを基本にしながら、先ほども御説明しました視聴者会議であるとか、視聴者懇談会であるとか、あるいは会長みずから出演いたします視聴者の方との対話であるとかというようなことを重ねながら御理解を賜っていくということを営々と重ねていかなければいけなかろう。その周辺についての全協会的な努力をますます深めていきたい。先ほど申し上げた昨年にしても、二回にわたる営業特別対策月間を行った、十一月には視聴者月間というものを初めて行ったというようなことで、積極的な御理解をいただく施策を講じているということであります。
#299
○中村鋭一君 いい番組、おもしろくてためになるいい番組をおつくりになるにこしたことはないんですが、NHKと民間放送の、これNHKの資料で結構でございますから、最近のベストテンといいますか、番組名、その視聴率、順位をお教え願えますか。
#300
○参考人(田中武志君) 私どもでは毎年年二回、全国の視聴率調査というのを放送世論調査所で実行しております。一番新しいところは昨年の十一月に調査いたしました分がございます。これは七歳以上の三千六百人の方を調査対象に面接で調査したものでございます。大体一%が私どもは約百万人ぐらいというふうな勘定をしております。その中で、いま御質問のNHKの番組の中でのベストテンといいますのは、一番目が、昨年の十一月でございますので、「おんな太閤記」でございます。それから朝の「NHKニュースワイド」、それから夜八時四十五分からの「名曲アルバム」、それから今度は同じく朝の「ニュースワイド」の八時に近い七時四十五分までの分。先ほどの方は七時からの分でございます。それから七時前の「天気予報」、午後七時の「ニュース」、「連想ゲーム」、「全国の天気」、これは七時の「ニュース」の後の分でございます。それから「ウルトラアイ」、それから「NHKガイド」、七時二十七分からやっている分でございます。これが私どものベストテンでございます。
 それからNHK、民放両方で合わせたベストテン。これは一応関東地区ということで限らしていただきますと、トップがやはり朝のNHKの七時の「ニュースワイド」でございます。それから二番目が「おんな太閤記」、それから三番目が、これが民放でありますが、「鉄ドン!良い子悪い子普通の子」、それから四番日が「八時だよ!全員集合」、それから「NNNニュース」、それから「日本歌謡大賞」、これは民放のものでございます。それから「くいしん坊!万才」、それから「フラッシュニュース」、それから「番組フラッシュ」、この辺までが民放でございまして、その次にNHKの朝の七時前の「天気予報」、というようなところがベストテンでございます。
#301
○中村鋭一君 いまおっしゃった中で、そうしますとNHKの番組の占めているのは何本になりますかね。三本ですか。
#302
○参考人(田中武志君) 三本でございます。
#303
○中村鋭一君 そうしますと、ベストテンの中で七本は民放がとっているわけですね。いまおっしゃいましたね、われわれは営々と努力をして、国民に愛され親しまれ好まれるいい番組を提供するために心肝を砕いて努力しているとおっしゃいましたが、いまお聞きしたところによりますと、心肝を砕いているにかかわらず、ベストテンの中で国民に支持されている番組はわずか三本しかないということですね。御確認願います。
#304
○参考人(田中武志君) 先ほども申し上げましたように、これは昨年の十一月の九日から一週間のところのものでございまして、たまたま民放の方ではバレーボールのワールドカップとか歌謡大賞とか、いろいろな特番がたくさん組まれておりましたので、私どもではこういうような結果が出ているというふうに思っております。
#305
○中村鋭一君 そうおっしゃいますけれどね、これは民放の方の調査を見ましても、何も十一月の一週間だけじゃなくて、年間を通じてすべての番組において常に圧勝をしているのは民放の番組であることは周知の事実であります。とすれば、真に国民によく見てもらうための番組をつくる努力をしなければいけない、こういうことになりますけれど、会長、その辺どのようにお考えでございますか。見てもらわなきゃ何にもならぬのですから。
#306
○参考人(坂本朝一君) 見てもらわなければ何にもならないというおっしゃり方、私も一面の真理だと思いますが、ただ、視聴率だけが番組の成果をはかることではないのではないだろうか。ことにNHKのように受信料制度でもって支えられております放送事業体とすれば、やはり視聴率だけが物差しではないのではなかろうかということはしばしば御指摘をいただくところでございまして、だからといって独善になってはいけないという、そういう戒めは片一方にございますが、私は、全部の番組の中のベストテンの中に占める割合だけでNHKが視聴者から支持されていないと判断するのはいささか早計ではないかと思います。
#307
○中村鋭一君 いささか早計ではないかとおっしゃいますけれど、それは会長、やはり一つのテンデンシー――傾向というものはあらわしているわけですからね。いまおっしゃいました独善に陥ってはいけない、だからといって、よく見てもらう番組がいい番組ではあるまい、これはやっぱりレトリックとしての表現としては成り立つかもしれませんけれど、やはりNHKとしては視聴率をアップすることが大切な目標だと思います。
 皮肉に解釈すれば、会長の言い方を聞けば、民放はなるほど視聴率は高い、わがNHKは視聴率は低いけれども、真に国民のニーズにこたえ得る良質な番組を提供している、したがって民放のづくっている番組は低俗、下劣なものが多いというふうに皮肉に解釈すればとれないこともないと思いますが、会長は、民放のいわゆる視聴率の高い番組は非常に低俗、下劣なものが多いとお思いでございますか。
#308
○参考人(坂本朝一君) どうも、この場に民放の責任者がおいでにならない際に、私が果たしてそれにストレートにお答えすることは必ずしも公平を期さないかと思いますから、その点は御猶予願いたいと思うのですけれども、私は、視聴率が高いから下劣だとか低俗だとか、そう短絡して物を考える気はございません。ただいま幾つか挙げられました民放の諸番組は、民放の一社ではございませんで、民放の三社ないし五社にわたる番組でございます。NHKは、少なくとも視聴率ということになりますと、やはり総合テレビの一波の中の、どちらかというと娯楽系の番組がそういうことの対応になるのかと思いますが、その点は残念ながら民放さんのその種の番組に必ずしも上越すわけにいかない面があるという、そういう点は大いに今後勉強しなければならないだろうというふうに考えております。
#309
○中村鋭一君 ひとつ、せっかく御努力をお願い申し上げます。
 先の委員会でも私、報道番組に力を入れてください、こう申し上げました。会長のお答えは――会長御自身は芸能局に長い間おられて、プロデューサーもおやりでございました。したがってNHKが報道ばっかりに力を入れていわゆる芸能番組に力を入れないということはいかがなものか、そういうお答えをちょうだいしたと覚えておりますから、せっかくのそういう御方針もあるわけですから、もっともっと視聴率を、私、単純明解に申しますけども、高める努力をしていただきたいと思います。
 特にラジオが、私は大阪ですけれども、これは電通あるいはニールセン、ビデオ・リサーチ、その他のいろいろな調査を見ても、ラジオの場合、ラジオは六月と十二月に聴取率調査をやりますけども、もうNHKは第一放送も第二放送も失速寸前の低迷状況で、これは民放のラジオ番組とNHKのラジオ番組は聴取率が大きな開きがありますから、これも高める努力をしていただかなければいけない、こう思うんですが。なぜNHKのラジオはあんなに聴取率が低いんでしょうね。どのように分析をしていらっしゃいますか。テレビどころじゃないですね。
#310
○参考人(田中武志君) 私ども、五十七年度四月からはラジオにつきましては、生活情報中心のものに大幅に衣がえをしたいというふうに思っております。現在もかなりの部分やっておりますけれども、今回は一日のうち十六時間ぐらいを生放送ということで、特に毎正時にはニュース、これは全中ニュース、ローカルニュース等も含めましてニュースが必ず入りますし、そのほか、あらゆる教養あるいは娯楽も含めまして一日の中でいろいろ生放送をやりまして、それぞれの地域の方のお役に立ちたいというふうに思っております。したがいまして、私どものこれからのラジオにつきましては、そういった面で全力投球をするつもりでございますので、これからはより一層視聴者の支持をいただけるというふうに思っております。
#311
○中村鋭一君 これからはより一層視聴者の支持をいただけるとあなたは理解をしていらっしゃるわけでございますけど、現実に、これまで長年の間NHKのラジオは民放に比べて余り聞いていただけないわけでございますから、私はそう飛躍的に、急にNHKのラジオが皆さんに聞いていただけるようになるとも思えない、だから努力をしていただきたい、こう思うんですね。
 私なりに考えますと、やはり民放の、特にラジオのディスクジョッキーとか、いわゆるパーソナリティーというのはそれなりに努力をしております。才能のある人が輩出しております。ところが、NHKはアナウンサーの方が、まあ私も視聴者の一人、リスナーの一人として聞いておりますと、どちらかといえば毒にも薬にもならないような話ばっかりして、あちこちからいただいたお便りを非常に上品にお読みになって、じゃ、この辺で一曲聞いていただきましょうというようなことをしていらっしゃる。
 ですから、幹部の皆さんはこの委員会においてはそのようにおっしゃいますけれど、現場はもっともっと努力をして、もっともっと活性化してもらわなければいけないと思います。現場が活性化して生き生きとしたいい番組つくるためには、幹部の皆さんがこれを抑えつけたり、NHKにはNHKのカラーがあるんだからこういうことを言っちゃだめだとか、ああいうことをしちゃだめだということを余り言わない方がいいと思います。現場の職制、プロデューサー、ディレクターに大幅に番組の内容については権限を与えて、自由にひとつ番組を展開するようにしていただきますよう要望をしておきたいと思います。
 一本当たりの番組の制作費、大相撲についていいますと幾らでございますか。資料がなければ私が申し上げても結構ですが。――私が申し上げますから確認してください。一本当たり八百五十二万八千円でよろしゅうございますか。
#312
○参考人(渡辺伸一君) 説明資料に記載のとおりでございまして、間違いございません。
#313
○中村鋭一君 この大相撲の放映時間は一日当たり何分ですか。
#314
○参考人(田中武志君) 三時間でございます。
#315
○中村鋭一君 三時間といいますと、大体取り組みは、放送が始まったばっかりのころはどの辺の取り組みから入るんですか。
#316
○参考人(田中武志君) 大体、幕下の方でございます。
#317
○中村鋭一君 先ほどからいい番組を一生懸命われわれ努力していると、こうおっしゃいましたが、一本当たり八百五十二万八千円の制作費をかけ延べ三時間、百六十九分でございますか、毎日大相撲の中継をなさる。それで幕下の取り組みから中継をされているわけでございますが、その幕下の取り組みのあたりの視聴率はどれぐらいあるんでしょうかね。
#318
○参考人(田中武志君) 現在、手元に資料がございませんので、後ほど調べます。
#319
○中村鋭一君 そう高くないと思いますよ。ですから、バランスというものが必要なんですから、さあどうでしょう。スポーツはいっぱいあります。なるほど相撲は日本の国技であります。ではありますけれど、毎日二時間幕下の取り組みから――NHK、お金がむちゃくちゃにもうかっているのならいい。この委員会でも受信料収納を上げようと、金がない金がないとおっしゃっているんですから、金がないのに八百五十二万八千円の金を毎日かけて、幕下の取り組みから延々と三時間大相撲の中継をやらねばならぬ必然性があるかどうか、その辺についての会長のお考えをお聞かせ願います。
#320
○参考人(坂本朝一君) 総合テレビの午後三時から大相撲の中継に入れるということでございまして、必ず三時からやっているわけではございません。重要な放送があれば四時、あるいは場合によれば四時半まで、他の重要なスポーツがあるというようなことで大相撲は四時半からというような、そういう編成も随時いたしております。
 ただ、基本的に総合テレビの午後三時の時間帯というのが、レギュラーの番組といたしましては再放送番組、大体娯楽番組を中心とする再放送番組を編成いたしておりますので、一部、受信者の中には将来の横綱、大関にもなり得るような逸材等の土俵も見たいというような御要望も片一方にはございまして、そして話題の力士がまだ幕下から十両になろうというようなところの相撲、そこら辺を放送するということはまた別の意味と意義があろうかと思ってそういう編成をいたしておるわけでございまして、そこら辺のところはひとつ御理解賜りたいと思います。
#321
○中村鋭一君 八百五十二万八千円の制作費の内訳ですね、これをお教え願えますか。
#322
○参考人(渡辺伸一君) お答えいたします。
 放送解説等の出演料に十八万七千円、それから美術費に四万一千円、それから中継、撮影等の関係で八百二十万という内訳でございます、
#323
○中村鋭一君 ですから、いまおっしゃった数字の中には、いわゆる放送権利料といいますか、相撲協会に払うお金がほとんどじゃないんですか、大分占めているんでしょうね、
#324
○参考人(渡辺伸一君) お答えします。
 一本当たり七百七十万相当で入っております。
#325
○中村鋭一君 これ国民の皆さん聞かれたら驚かれると思うんですがね。それは再放送の時間だから、そしてまた将来有望な幕下が期待されている取り組みがあるから、だからとおっしゃるんですが、一日当たりいま七百万とおっしゃいましたか、それだけの放送権料を相撲協会に払っているわけですね。何遍も言いますけれど、NHKお金がないんでしょう。だから非常に効率のいい番組をつくらなきゃいけないのに、現実にいい番組をつくるためのお金じゃないわけです、放送権料といいますのは。相撲協会に対して、相撲を映すためにいわば冥加金として払っているわけでしょう。相撲協会からしたら、これはもうNHK様々ですね。こういった莫大な金を相撲協会に支払って、全十五日間、毎日二時間になんなんとする中継をなさねばならぬ必然性があるかどうか。ひとつNHKとしても慎重にその辺を御検討の上、善処をお願いいたしたいと思います、金があるなら幾らやったっていいと言っているんです、金がないのに、現実にいい放送をつくるための制作費ではなくて、権利料としてNHKが莫大な金を払ってまでやらなければならぬ必然牲があるかどうか、その辺をお考え願いたいと思います。
 午前の質疑で新谷委員が質問をなさいました日本放送協会学園でございます。この学園、現在、生徒数は何人、職員数は何人でございますか。
#326
○参考人(荒井治郎君) 現在、在校生が五千五百人ほどでございます。それから職員数が百名ほどでございます。
#327
○中村鋭一君 新谷委員もおっしゃっていましたけれど、高校進学率も九〇%を超えてほとんど義務教育化しているわけですね。そこで、会長、やはり私は新谷委員と全く同意見でございまして、もうほとんど高校が義務教育化している今日、通信制で普通高校を維持しなければならぬ必要があるのかどうか。――ちょっと答弁の前にお尋ねいたしますが、この放送学園高校に対する助成金は年間幾らですか。
#328
○参考人(荒井治郎君) 年間の助成金は、いま四億七千五百万円支払っております。
#329
○中村鋭一君 会長、これ莫大な金だと思うんですけどね、その学校を、端的に言いまして、維持、存続すべき必然性はほとんど失われているわけです。午前の質疑でも新谷委員があれだけ懇切丁寧に、しかもきょうだけじゃないんだ、これまで毎回会長に対して言っているにかかわらず会長から明確な答弁がいただけないと、非常にそのことについて不本意の意思を表明しておいでになりましたけれど、私も新谷委員と全く同感でございます。その点について百尺竿頭一歩を進めて――年間五億円ですよ。六十人ですか、その先生方。その先生方のためにもし学校を維持しているのであれば、大胆にこれを廃止するという方向を打ち出してもいいんじゃないか、こう思いますが、
#330
○参考人(坂本朝一君) 午前中の新谷先生の御質問にも御答弁申し上げましたように、この放送学園の問題は御指摘のように協会として十分検討しなければならないテーマであるという、そういう認識には立っております。ただいまその助成金五億円弱の数字を申し上げましたが、ここのところむしろ減らしているというような状況で、いっときはこのままふえれば十億にもなるのじゃないかというような御指摘をいただきましたのをむしろ減らしているというようなことで、学園自身のいろいろな努力も要請しているという状況でございます。
 それからあそこは御承知のように生涯教育ということで、たとえば体の不自由な方とか、あるいは不本意で高等学校の卒業が得られなかったというような、かなり御高齢の方々なども通信教育によって高等学校の卒業資格を得るということで、卒業式に列席いたしますと、正直言って冒頭が熱くなるような、そういう感じも私自身体験しているようなわけでございまして、そういうような別の一つの有意義な仕事でもあろうかと思います。だからいいんだというふうにここでお答えするわけにはいきかねるので、十分検討させていただきたいというふうに申し上げて、一面そういう実態もあるという御認識も、できましたらちょうだいしたいと思う次第でございます。
#331
○中村鋭一君 それは実態は認識していますけど、何もこういった通信教育のシステム、学校制度というのは、NHKのこの放送学園高校だけじゃなくて、ほかにもそういう高校は幾つかあるわけですしね。現に生涯教育というならば、このごろは地方自治体でも、それぞれの教育委員会でありますとか、そういうところで一生懸命やっているわけですからね。たまたまお年寄りが一生懸命放送学園高校で勉強していらっしゃるから冒頭が熱くなる、だからという実態も理解してください、こうおっしゃいますけれど、やはりその投下する資本に対してどれだけの効果があるかということを経営者は常に考えなければいけません。何遍も申し上げますけれど、NHKはお金がないんですから、ないとすれば、入るをはかって出るを制す、それ以外にないわけでございますから、これは当委員会の大元老でもあります新谷委員のお勧めに従って、さらに積極果敢にこの放送学園高校につきましては、できれば学校をやめる方向に持っていっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 NHKの職員の平均給与並びに理事の皆さんの平均給与をお教え願いますか。
#332
○参考人(武富明君) お答えいたします。
 協会の職員の一般職の平均は二十二万二千円となっております。それから……
#333
○中村鋭一君 役員ですよ、役員。
#334
○参考人(武富明君) 大体七十五から八十だと存じております。
#335
○中村鋭一君 NHKにはたくさんの外郭団体がございますね。これは文芸春秋に出ていたんですけども、長沢泰治さん、NHKサービスセンター理事長、日本放送教育協会理事、日本放送出版協会、NHK美術センター、プリント・センター、全日本テレビサービス、共同ビルヂング、その他いろいろあります。時間がかかりますから省略いたしますけども、たくさんの肩書きを持っていらっしゃいますし、ゴルフ場のオーナー経営者でもある方ですね。
 長沢さん、この外郭団体にお出になる前はNHKにおられたんですね。NHKの最終の職歴は何でございました。
#336
○参考人(渡辺伸一君) 専務理事でございます。
#337
○中村鋭一君 NHKの外郭団体に理事以上の方で現在出ておられます方は、総計何人ぐらいいらっしゃいましょうか。大体で結構です。
#338
○参考人(坂本朝一君) 大体十名前後でございます。
#339
○中村鋭一君 外郭団体とNHKとは、本来、関係はないわけですね。
#340
○参考人(中塚昌胤君) 資本的には関係はございません。
#341
○中村鋭一君 仕事の上では密接な関係がありますし、幹部の方はほとんどがやはりNHKにもと在籍された方、こう理解してよろしゅうございますか。
#342
○参考人(中塚昌胤君) 役員は、大体NHKにおった者が大半でございます。
#343
○中村鋭一君 役員は、大体NHKにおられた方が大半ですね。資本的には何の関係もない、仕事の上はNHKと密接なかかわりがある。NHKで理事以上されていて外郭団体の役員にお出になる、それを実際に決めるのはどなたがお決めになっているんでしょうか。
#344
○参考人(中塚昌胤君) 形式的には、それぞれの団体の理事会なり評議員会なりあるいは株主総会、そういうもので決めておりますが、実質的にはNHKの会長以下のところで決めております。
#345
○中村鋭一君 実質的にはNHKの会長以下ということは、もっと具体的に言えば坂本会長と中塚副会長が中心になって、今度はここの役員にこの人に行ってもらおうということをお決めになっていらっしゃるわけですか、
#346
○参考人(中塚昌胤君) そのとおりでございます。
#347
○中村鋭一君 長沢泰治さん、これもこの文芸春秋を見ますと、五十六年度の収入が三千四百五十六万四千円ですね。ざっと三千四百五十万ぐらいですね、いまお伺いいたしましたNHKの役員の収入、平均して七十五万とおっしゃいました。会長はもっと高いと思いますけどね。仮に会長の月給が百万少しといたしましても、年収は一千二、三百万ということになりますね。そうしますと、NHKで一番トップにいらっしゃる会長の収入が年収にして一千二、三百万、やめて外郭団体にお出になりました方の年収が、たとえば長沢泰治さん三千四百万、ちょっとこれ差があり過ぎますね。世間常識で言いますと、長年勤め上げて退社をして別会社に就職をした場合、当然ながら収入というのは大幅に減らなければいけません。だれだってそうです。やめてよそへ行って収入が一躍ふえるという人はまあないと思いますが、NHKの場合は、何ですか、理事以上で、会長と中塚副会長が相談されて外郭団体の役員に送り出される、その方はNHKに在籍していたときよりも大体収入はふえているわけですね。
#348
○参考人(中塚昌胤君) NHKの役員をやめて外郭団体へ行かれた場合の待遇というのは在職当時の大体七割から八割程度ということでNHKの方で指導をいたしておりますし、社会的な水準あるいは退職時の報酬、そういうものを勘案いたしまして大体七割ないし八割程度ということで指導をいたしております。したがいまして、先ほど御指摘のありました方の年間の収入、これ文芸春秋に出ておりましたが、あれはどういう収入か、私は人のふところまで存じませんが、サービスセンターから払われている収入は、あの表にございました会長の収入の大体三分の二ぐらいでございます。その他の収入がどういうところから得られておるのか、私は関知いたしておりません。
 それからあの方が、いろんな関係団体の理事なりあるいは取締役なり兼務しておられますが、外部団体の兼務先からは一切報酬は出ておりません。無報酬でございます。
#349
○中村鋭一君 その辺につきましては、私も興味ある資料を持っていないわけじゃございませんが、時間もありませんので、そのことにつきましてはもうお尋ねいたしませんが、しかし少なくとも、たとえばサービスセンターの長沢泰治さんが三千数百万の年収があり、実に十八の外郭団体のうち十一の団体にかかわっていらっしゃる。いま中塚さん、サービスセンター以外は一切収入は得ておりませんとおっしゃいましたけれど、しかし現実にこれゴルフコースのオーナーもしていらっしゃいますし、やっぱりそれだけの収入があるわけですから、どこかからこれ金出ているわけでしてね。いずれにしても、七、八割としても相当な高給になるわけであります。
 で、NHKの理事以上の方は、坂本会長と中塚副会長が御相談になりまして外郭団体へお出になります。お出になれば、その理事時代の七、八割の収入が約束されるわけであります。これはいまお認めになったとおりですね。一方、職員の平均給与は二十二万とおっしゃいました。NHKの定年は、いま何歳でございますか。
#350
○参考人(武富明君) 満五十七歳の前日でございます。
#351
○中村鋭一君 五十七歳の前日に定年でおやめになりまして毎年たくさんの方が退社される、こう思いますけど、皆さんの再就職の状況はどうなっておりましょうか。
#352
○参考人(武富明君) お答えいたします。
 定年退職者は毎年四百名から四百五十名に及びます、したがいまして、われわれとしてはできる限りめんどうを見たいとは存じますけれども、とても手の及ぶところではございませんので、その中でやはり適材適所で、われわれの力の及ぶ範囲の中で精いっぱいお世話しているというのが現状でございます。皆さん、それぞれみずからの道を切り開いていっていただいているというのが現状でございます。
#353
○中村鋭一君 ということを言葉をかえて表現すれば、NHKの理事以上はしかるべき外郭団体に相当な高給をもって送り出す慣行があるけれども、五十七歳の満年齢の前日に退社をする一般職員については、おまえたち自助努力において、自分たちの努力においていわば勝手に職を探しなさい、NHKはそこまでめんどうは見られません、これが平均給与二十二万円で営々としてNHKのために働いてきた人に対する処遇として適当であるとお考えでございますか。会長、御答弁をお願いいたします。
#354
○参考人(武富明君) 所管でございますので、お答えをさしていただきたいと思います。
 決して、先生のおっしゃるような気持ちでやっているわけではございません。われわれとしては、外郭団体のますますの発展を図りながらその中に吸収していきたいと、そういう努力は続けておりますし、現実にそのような処遇をできる範囲の中でやっております。しかし残念ながら、われわれが持っております外郭団体というのは幾つもございません。そういう人間を吸収できるところというのは、五百何人も吸収ができるところというのはございません、年々出ていくわけでありますから。したがいまして、われわれとしては、先生の御指摘のような見方があるかもわかりませんけれども、われわれができる範囲の中で精いっぱいのことをやっているということをお答えを申し上げたので、全部われわれの方でめんどうを見ろと言われても、ちょっとめんどうが見切れる問題じゃないと、こういうことも先生に御理解をいただきたいと思うわけであります。
#355
○中村鋭一君 会長ね、本当に私、NHKの職員の皆さんが一生懸命仕事をしておられて、現実に、私、もっとNHKの職員の皆さん給料が高いと思っていたんですよ。民放と比べても大分低いようですよね。ですから、私、何も理事の皆さんが外郭団体へいわゆる天下りをされておやりになっていることがそう悪いとは思いません。それはプロパーマン、インプロプライアティーということでございますから、最も事業に精通した方が役員でお出になるのはそれはそれでいいんですけど、しかし、それはそれでちゃんとしておいて、本当に営々として努力した人が五十七歳まで勤めて報われないんじゃかわいそうだと思います。
 ですから、これはひとつ、人件費もかかって大変でございましょうけど、NHKの職員の待遇をもっともっとひとつ上げてくださいますように、才能を発揮して努力をした人が正当に報われるような給与体系全般としての賃上げもひとつしていただきたい、こう思うんですけれど、職員に対する待遇全般についての会長のお考えをお聞かせ願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#356
○参考人(坂本朝一君) 給与の問題につきましては午前中からも諸先生からいろいろ御指摘をいただいて、ただ、正直言って、限られた予算の中で、そしていま先生御指摘の民放その他との、同業者との間の格差をどうしていくか、いろいろいわば二律背反的な問題を抱えて、正直言って苦慮しておるところでございますけれども、総体的に言って私は誠意を持ってこれに当たりたいということを申し上げているわけでございますので、その点はひとつ御理解賜りたいと思うわけでございます。
#357
○中村鋭一君 終わります。
#358
○青島幸男君 話の流れのついでに予定を変えまして御質問申し上げますけども、本日も朝からNHKの職員の処遇につきましていろいろ御議論あったわけでございますけども、確かに職員の情熱に報いるためにそれだけのことを考えなきゃならぬというのも当然の話でございますけども、職員ばかりで放送が成り立つわけじゃございませんで、NHKの制作に関与なすって、あるいは協力してくださる外部の方々、特に最近、過酷な労働条件を強いられております下請の方のことを考えますと、それこそ胸の詰まる思いもするんですけども、放送作家の方あるいは音楽を担当していらっしゃる作山家、編曲家の方、あるいは出演なすっている俳優さんたち、そういう方々への処遇は年々スライド風に上がっているんでしょうか、それとも何年以降これは上がってないんだという資料がございましたら、お知らせいただきたいと思います。
#359
○参考人(渡辺伸一君) 放送にかかわる出演料、それから作曲でありますとか、そういう方々の要求につきましては、社会水準を見ながら毎年少しずつ上げて、一応のレベルのところまで到達するように配慮してございます。
#360
○青島幸男君 それにしても私の周りから入ってまいります情報によりますと、やっぱりNHKさんは、昔から言われておりますように薄謝協会の感じが払拭できない。NHKさんで仕事さしていただくのは大変に名誉であるけども、それにしては報われる金額が少ないという愚痴をかなり聞きます。やっぱり番組制作に直接関与する人間のそういう不満が番組の良否を決定する大きな力になるということも考え合わせますと、職員の方の処遇も十分お考えいただきたいのはもっともでございますけども、直接制作あるいは番組のよしあしに反映してまいりますので、その辺のところも他局とのランクなんかも勘案をされまして、NHKへ出たから、NHKの仕事したからといって特別安い、いやな思いをしたというようなことのないように御配慮いただいて、特にこの辺も重々お力を添えていただきたいということを要望申し上げます。
 その点、会長、一言見通しの明るいところで御返答いただきたいと思いますが、いかがなものでしょうか。
#361
○参考人(坂本朝一君) 多少、中には民放さんがお出し過ぎになるのじゃないかと思わない点もなくはございませんけれども、しかし、それはそれとして、NHKとしてはできるだけ番組を支えてくださる方々の処遇は改善しなければならぬ、そう思っておりまして、つい最近もJASRACと、かなり紛糾しておりましたけれども、その合意を見たというようなことでございますので、放送作家協会あるいは芸団協等ともいろいろ密接に話し合っておる次第でございます。
#362
○青島幸男君 御誠意を期待したいと思います。よろしくお願いいたします。
 さて、私、このNHK長期ビジョン審議会調査報告書を大変興味深く拝見いたしました。かなり重要な示唆にも富んでおるようにお見受けいたしました、中で、経営委員会の委員の選任についての問題はきょうもかなり論じられておりましたが、「地域から選出される委員について地域の意向を背景にした選任を検討することが必要であろう。」というようなことをうたわれておりまして、これが私かねがね言っておりますように、視聴者とそれから経営委員の間を上手に結びつける、そのことがNHKを一般の方々に深く理解してもらうことの重要な手だてだということを私、再三申し上げておりまして、ですから、地域の意向を背景にした人選というようなものがどういうかっこうで具体的になるかわかりませんが、こういうものが上手に反映してくると、地域住民の意向はもとより、視聴者の方々とNHKの理解が一層深まるのにかなり役に立つのではなかろうか、こう思います。
 最近の経営委員の選任について考えますと、どうも分野別の選任に偏っているように私は感じられるんですが、郵政当局、いかがでしょうね。たとえば四十一年に放送法の改正を提案なさっていますけども、これは流れておりますが、その中では、分野別の選任のあり方は適当でないからやめようというような方向の検討がなされたはずですね。そういう認識をお持ちになっておられながら、ずっとほおかぶりで踏襲してこられたということはどういうことなのか、ちょっと理解に苦しむのですが、その点お答えいただきたいと思います。
#363
○政府委員(田中眞三郎君) 経営委員の十二名の方のうち八名につきましては、いまお話で問題になっています地域別にするようにという規定になっているわけでございまして、そういう形で選んでまいったわけでございますが、結果的に見てみると、比較的分野別と申しますか、そういう形に偏っているのではないのかという御批判でございますけれども、これは四十一年の改正提案にその辺の考え方が出ておるわけでございます。今度、放送法等の改正に当たりましても、この辺のことも議論はされたわけでございますけれども、結果的には出た形にはなっておりません。
 それで、どういうことかと申しますと、経営委員会につきまして、委員の選出方法あるいは権限、運営方法、あるいは公選というような考え方、非常に議論が多岐にわたっておりまして、何分にもNHKの最高意思決定機関に関するものだということで、なお今後慎重に検討する必要があるということで、私ども引き続き検討を続けるべき項目として考えておる次第でございます。
#364
○青島幸男君 大臣の御意見を承りたいと思うんですがね。経営委員会のメンバーに対する一般の聴視者の理解というのが行き届いてないんですよね。この報告書にもありますけども、NHKというのは国でやっている放送なんじゃないかというふうな御認識を持っている方さえかなりまだおいでになるわけですね。ですから、NHKというのは本当にわれわれの受信料で運営されていて、しかも経営委員という方々が意思最高決定機関としておいでになって、われわれの意向を十分反映できるようにして公共放送として成り立っているのだという仕組みを一般の方々に十分御理解いただくために、放送受信料の受取をもって一票の権利として経営委員会のメンバーを公選にしたらどうだろうかというような意見をここのところ十年ぐらい前から歴代の大臣に申し上げているんですよ。
 そういうやり方をすることが果たして最高のことかどうかわかりません。しかし、そういう手だてを考えるとか、そういう方向で検討するというような考え方が、国民の方々にNHKを理解していただくために大いに役に立つのではなかろうか。結果として、もしそのことができれば、それは私どもが選んだ経営委員が重大決定をしている放送なんだという認識があれば受信料不払いなどもなくなるのではなかろうか。そういうことまで考えましてずっと提案申し上げているわけですが、郵政当局は公選のやり方はどうもなじまないだろうというような御意見をずっと言い続けておいでになられるわけです。
 それで、この報告書に、先ほど申し上げましたように、地域の意向を背景に選任をすることを検討したらどうかということも示唆されております。ですから、地方の方を選ぶというような場合には、あるいは公選でないまでも、準公選と申しますか、それに類した地方の有力者の方、その地方で信任の厚い方というような方が何らかの形で、視聴者が直接選ぶのでないまでも、意向が届くような選び方は考えられないものだろうかということを、この際、改めて御提案したいと思うんですが、いかがお考えになりますでしょうか。
#365
○国務大臣(箕輪登君) 私は初めて聞いたお話でございますけれども、通常の公職選挙法のように、経営委員になりたいといって立候補する人がいるのかどうか、地域とおっしゃいますけれども、だれに投票していいかわからない。隣の奥さんがいいのか、向かいのおばちゃんがいいのかわからないままで果たしてそういう選挙ができるものなのかというようなことも考えあわ世でみますと、なかなかむずかしいかなと思います。いまわれわれは、全国を八地区に分けて、その八地区から一人ずつ出すようなことを考えておりまして、学識経験者と申しましょうか、また経営の専門家だとか、そういうような人力に、ひとつなりたくないけれどもなってくださいというような形でやってもらっているわけですが、先生の御提言は大変おもしろい御提言だと思いますから、引き続き検討さしていただきたいと存じます。
#366
○青島幸男君 その公選制に類するものをお考えになったらどうだろうかというのは、いきなりそうしろということではなくて、今度そういうことを試みることになりました、つきましては、NHKはばっちり九十何%かカバーする放送網を持っているわけですから、そのNHKさんがそういう放送のメディアを通じてあるいはPRなさるとか、その他方法はかなりあると思いますけれども、そういうことの手だてを通じてNHKに対する理解を一層深めるということもあわ世でお考えいただいたらどうかということで御提案申し上げたわけです。
 で、この報告書にもあるんですが、NHKに必要な経費はほとんど国の予算で賄われていると思っている方が、この調査によりますと、やっぱり六、七%おいでになるわけですね。それでNHKの仕事に必要な経費はほとんど受信料で賄われているという認識をお持ちの方が半分しかおいでにならないわけですよ。NHKさんは盛んに受信者のためのNHK、国民のためのNHKといって最近は大変活発にPRなさっていらっしゃるのを、大変な熱意を持ってやっていらっしゃるのを私も見ております。かなりの成果も上がっているんだと思いますが、いまだにこういう状態ですね。これ大変、会長なんかがごらんになったら残念に思われているんだと思うんですがね。
 もう一つのアンケートによりますと、これを全く裏づけているんですね。受信料に対する感覚、どういう感覚でお支払いになっているかというと、新聞の購読料みたいなものだと考えているという方がやっぱり半分ぐらいですね。そのほか、税金だからしようがないだろうというような認識でお払いになっている方がやっぱり四分の一ほどおいでになるわけですね。この辺が大変に問題だと思うんですね。一方で、逆な言い方をしますと、お国でやってるんだから、税金みたいなものだから払わなきゃいけないんだと思って払ってくだすっている方もおいでになって、これが受信料徴収に大変、逆に無理解が役立っているというようなことになっているというケースもあるかもしれませんね。
 ですから、めったにPRしない方が集まりがいいんだという結論導きたくはありませんが、そういう考え方も成り立つような気がするんですね。ですから、そういう無理解がこうなっているということについてもっと積極的にお考えいただかないと、税金なのか賛助金なのか、あるいは受信料を対価として払っているのかという、いまだにこの辺の問題がすっきりしないということからしますと、やっぱりNHKに受信料を納めて、NHKからコンバーターを買わないと、あるいは借りないとNHKの放送が見られないというかっこうにすることが一番適切だということを私は御提案申し上げているんですが、これは技術的にはそんなにむずかしいことではなくなっています、いま。ですから、これができますと、もうそのことでトラブルはなくなるわけですよ、ですから、こういう方向で御検討くださいということを前回の委員会で申し上げたんですが、その後、御検討の方向はいかがなことに相なっておりますでしょうか。その辺をお答えいただきたいと思います。
#367
○参考人(海林澣一郎君) お答え申し上げます。
 前回も先生から、われわれが部内的に使っているスクランブル方式というのでございますけれども、御提言いただいたわけであります。ビジョン審議会におきましても、これが議論の対象になりましたことを御報告します。
 ただし、その機械を付加する、だれがするかとか、あるいは私、営業担当でございますので、NHKきり見られないという形のときにNHKのニーズがどのくらいあろうかとか、あるいは対価方式、先生がいまちょっと触れられたこの方式を取り込むことによって、現在の考え方が若干、見るから払うんだという対価方式に流れはしないかとか、二、三特徴を挙げますと、そういった議論がございました。いずれにいたしましても、こういうことが今後のビジョン審議会の小委員会の検討に任されるわけでございますから、議論をしてまいりたいということでございます。
#368
○青島幸男君 その点はどういうことになりますか、日進月歩で技術的なものはどんどん進歩しておりますからね。本当に小さいコンバーターみたいなものをちょっとつけるだけで、暗号電波といいますかね、局から出すのはスクランブルになっていて、それで暗号解読して絵が映るという形式のものはコストもそんなに高くなくできるはずだと思います。これを全く今後の検討課題にしておきますと、受信料というものはどういうものなのかと、この受信料の性格がいまのところまだあいまいな部分ありますね。ですから、この受信料の性格が非常に明確になってきて、そのために起こるあらゆるトラブルは一挙に解消するのではなかろうかという気がいたします。ですから、その辺のことも踏まえて御検討いただきたいと思います。
 それからNHKは、増収対策として放送番組の二次利用を挙げておられますけども、現在、どのような形態でこの二次利用が行われておりますか。また、この二次利用の将来に対するお考えなどをお聞かせいただきたいと思います。
#369
○参考人(渡辺伸一君) 副次収入の全体の額をまず申し上げますと、五十五年度決算を経た段階で申しますと約十五億ございます。しかし、これは受信料収入との比較で申しますと一%に満たないという程度の額でございます。
 どのような形態で上がっているかということでございますけれども、この十五億のうち番組関係で約九億でありまして、これは御案内のとおりの一回放送いたしましたものが、海外に、国内にいわゆる二次利用という形でもう一回放映される、その場合の提供料、あるいはNHKが持っておりました著作権の使用料。たとえば「シルクロード」の書物になったというような場合がこれに当たるわけでございます。そのほかにテキストの編集手数料、こういうものが番組関係で九億を構成しているわけでございます。そのほかに私どもが持っております技術関係の特許、これの実施料あるいは技術力を駆使しましたノーハウ、これでもってお手伝いしているわけですが、そういう関係で入ってまいりますのが約二億八千万でございます。この技術関係とホールの利用料等によって五億四千万ばかりのものが入っているわけでございます。
 さて、将来にわたってどうかという問題でございますが、いま申し上げますように、番組の二次利用ということと、それからNHKが視聴者の皆様方の絵をよくしよう、あるいは音をよくしようという技術研究所における成果を皆さんに使っていただくというところのいわゆる副次的な効果として出てくるものでございますから、そう大きくは期待できないわけでございます。できるだけその機会を多く持って利用するチャンスをふやすということについては努力をしておるわけでございますけれども、にわかに大きくふえて収支構造を基本的に改善するというふうな力を持っているものではございません。
#370
○青島幸男君 大体そういうようなものだと思います、これに余り期待をかけられないのは確かだと思いますけども。
 二次使用の場合の著作権とか、この辺の問題も、また大変に後で重大な問題を惹起してくると思いますし、いまも現に民放とあるいは著作者の団体なんかが訴訟問題なんかも起こしておりますし、二次使用については明確な規定をきちっと設けるなり、法的な裏づけのある何か、あのときはこうだったんだけれどもこのときはこうだというようなことのないように、一律きちっとする法的あるいは論理的な根拠を定めておく必要があると思いますし、それから特に今後ビデオディスクだとか、そういうものがたくさん出てまいりますと、NHKさんでつくったものをビデオディスクにして、それをまたよそへ売るというような業者も出てくるかもしれませんね。そうなると、その業者との間の契約だとか、その一々の伝わっていく間に全部著作権の問題が絡んできますね。そうすると、一体NHKで出した場合に一括どう払ったらいいのかとか、あるいは出版した部数によってやっぱり版権として補っていかなきゃならないのかと、さまざまな問題が残ると思いますね。ですから、NHKさんは、今度は自在に録画したり再生したりできるディスクまで開発されたということも聞いておりますし、そんなものが実際に現実のものになって私どもの家庭で使えるようになりますと、そういう問題がかなり出てくるはずですね。ですから、これは明確にしておいていただきたいと思います、その辺の御覚悟はいかがなものでしょうか。
#371
○参考人(田中武志君) 放送番組の制作に当たって行います著作権者との契約につきましては、原則、御存じのように放送限りのものであります。したがいまして、番組を二次的に利用するという場合には、別途に著作権等の処理をする必要がございます。NHKの場合、たとえば日本放送作家組合とか日本芸能実演家団体協議会、そういったような権利者団体と番組の二次使用に関しての基本契約を締結しておりまして、録音、録画利用の教材の発行、国内外の放送事業者への番組提供等について、利用の条件をあらかじめトラブルがないようにちゃんと決めてございます。また、こういったような、いま申し上げたような著作権利者団体に属していない権利者の方々とは、利用に際しまして個々に許諾をいただいております。こういったことで事務処理をしております。
 いま御指摘のように、今後だんだん科学技術の目覚ましい発展で番組の二次利用も多様化してまいりますので、私どもといたしましては、こういった場合の利用につきまして権利者の方々と今後十分協議して遺漏のないように、ひとつやっていきたいというふうに存じております。
#372
○青島幸男君 以上で終わります。
#373
○委員長(勝又武一君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#374
○委員長(勝又武一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#375
○委員長(勝又武一君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 大森君から発言を求められておりますので、これを許します。大森君。
#376
○大森昭君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び第二院クラブの各派共同提案によります附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
 政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
 一、放送の不偏不党を堅持し、放送による表現の自由を確保すること。
 一、協会は、公共放送機関としての使命を深く認識し、一層、視聴者対策を強めて受信料負担の公平を期するとともに、長期経営構想の具体化に努め、経営基盤の強化を図ること。
 一、経営委員会が、広く視聴者意向を代表し、協会の量高意思決定機関として機能しうるよう一段と配意すること。
 一、国際放送については、流動する国際情勢にかんがみ、送受信改善等充実強化を図るとともに、国庫交付金の増額にさらに努力すること。
 一、国民の多様化、高度化する放送需要に対処するため、多重放送、衛星放送など新メディアの多角的、効果的な活用方策の早期策定に努めること。
 一、協会は、厳しい経営環境をふまえ、一層効率的経営に徹し、極力視聴者の負担増を抑制するとともに、職員等の労働条件についても検討すること。
 右決議する。
 以上でありますが、この決議案は、本委員会における審議の経過を踏まえて作成したものであります。したがいまして、その趣旨につきましては、改めて説明するまでもないと存じますので、省略させていただきます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
 以上であります。
#377
○委員長(勝又武一君) ただいま大森君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#378
○委員長(勝又武一君) 全会一致と認めます。よって、大森君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、箕輪郵政大臣並びに坂本日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。箕輪郵政大臣。
#379
○国務大臣(箕輪登君) 日本放送協会昭和五十七年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚くお礼申し上げたいと存じます。
 これまでの御審議に当たりまして、各委員の提起されました御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
#380
○委員長(勝又武一君) 坂本日本放送協会会長。
#381
○参考人(坂本朝一君) 日本放送協会昭和五十七年度収支予算、事業計画、資金計画につきまして、ただいま全会一致をもって御承認いただきまして、まことにありがたく、厚く御礼申し上げます。
 この予算を執行するに当たりましては、御審議の過程でいろいろ御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書を十分生かしてまいりたいと存じます。
 また、ただいまの附帯決議につきましては、協会経営の根幹をなすものでございますので、十分に遵守いたしまして、執行の万全を期したいと考えている次第でございます。
 まことにありがとうございました。
#382
○委員長(勝又武一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#383
○委員長(勝又武一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次回は明三十一日午後一時四十分に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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