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#1
第096回国会 逓信委員会 第8号
昭和五十七年五月十一日(火曜日)
   午前十時三分開議
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十八日
    辞任         補欠選任
     宮本 顕治君     山中 郁子君
 五月四日
    辞任         補欠選任
     山中 郁子君     宮本 顕治君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     宮本 顕治君     佐藤 昭夫君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     大森  昭君     本岡 昭次君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         勝又 武一君
    理 事
                長田 裕二君
                長谷川 信君
                前田 勲男君
    委 員
                小澤 太郎君
                亀井 久興君
                郡  祐一君
                志村 愛子君
                新谷寅三郎君
                成相 善十君
                西村 尚治君
                片山 甚市君
                福間 知之君
                本岡 昭次君
                太田 淳夫君
                白木義一郎君
                佐藤 昭夫君
                中村 鋭一君
                青島 幸男君
   国務大臣
       郵 政 大 臣  箕輪  登君
   政府委員
       郵政省電気通信
       政策局長     守住 有信君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
       郵政省人事局長  奥田 量三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        酒井 繁次君
   説明員
       郵政省電波監理
       局放送部長    富田 徹郎君
   参考人
       日本放送協会会
       長        坂本 朝一君
       日本放送協会技
       師長       高橋  良君
       日本放送協会専
       務理事      坂倉 孝一君
       日本民間放送労
       働組合連合会中
       央副執行委員長  隅井 孝雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○電波法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆
 議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(勝又武一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(勝又武一君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 行政事務の簡素合理化に伴う関係法律の整理及び適用対象の消滅等による法律の廃止に関する法律案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(勝又武一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(勝又武一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(勝又武一君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に日本民間放送労働組合連合会中央副執行委員長隅井孝雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(勝又武一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(勝又武一君) 次に、放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#9
○太田淳夫君 それでは、ただいま議題になっております両法案に対しまして質疑を続けさしていただきますが、今回の改正の中にあります放送局の外国性排除の点につきましては、今回、上場会社等は、外国人等がその議決権の五分の一以上を占めることとなるときは外国人等の取得した株式の名義書きかえを拒むことができる、こうなっておりますけれども、この規定を設けた趣旨はどんなものでしょうか。
#10
○政府委員(田中眞三郎君) 御存じのように、電波法上、議決権の五分の一以上を外国人等に占められるということに放送会社がなりますと免許を取り消されることとなっておるわけでございますけれども、近年、資本の自由化に伴いまして外国人等の上場放送会社の株式取得も増加してまいっております。そうしたことから免許取り消しに至るおそれが現実のものとなってまいっております。そのような事態によりまして放送局の免許が取り消されるということが起きますと、国民に安定的な放送サービスを供給するという観点から問題であると考えたわけでございます。そこで、五十三条の二の規定を設けまして、そのような場合には当該外国人等の取得した株式の名義書きかえを拒むことができるといたしまして、安定的な放送サービスを国民に確保できるようにしたものでございます。
#11
○太田淳夫君 郵政省は、一般放送事業者の免許に当たりましては、その地域性を重視して役員やあるいは資本構成が当該地域社会に密接かつ公正に結合していることを要件としているわけですけれども、株式を公開して広く資金を集めるということは、地域密着性という免許方針には沿っていないのじゃないかと思うんですが、一般放送事業者が株式を上場していることにつきましては、郵政省はどのような見解をお持ちでしょうか。
#12
○政府委員(田中眞三郎君) 一般的には、多数の意思の集約といたしまして放送事業者に参画する、日本人の場合に多数の意思が参画いたしまして放送会社を形成するということは好ましいものであり、特に放送会社の基盤でございます地域に密着した方々が参画するということは歓迎すべきものである、このように考えております。
#13
○太田淳夫君 昭和四十一年に商法が改正されたわけですが、そのときに定款によって株式の譲渡制限ができるようになったわけですが、それ以後放送局の免許に当たりましては株式の譲渡制限の定款を作成することを条件としているようですが、最近の資料で、株式の譲渡制限をしている民放会社の数と、譲渡制限をしていないで、しかも株式を上場している会社数の実態はどのようになっておりましょうか。
#14
○政府委員(田中眞三郎君) 譲渡制限をしていない会社数は、五十七年三月一日現在三十社でございます。そのうち証券取引所に上場している会社は五社でございますけれども、一社、別にいわゆる店頭売買という社がございます。
#15
○太田淳夫君 いまのお話ですと、放送会社は百十五社あるわけですが、そのうち株式の譲渡制限をしていない会社は三十社で、そのうち上場している会社が五社、あるいは店頭販売しているところは一社ということですが、今回の措置はこの六社を対象に保護を図ろう、このように理解されるわけですけれども、行政というのはやはり公平でなけりゃならない、こう思うわけですけれども、ほかの放送会社はこの措置にどのような意見を持っているか、どのように把握されておりましょうか。
#16
○政府委員(田中眞三郎君) こういう結果になりましたのは、先生もただいまおっしゃいましたように、四十一年時点での商法の改正その他が経過的にあるわけでございます。それで、それ以前のものにつきましての一部広く資本を求めるという形で現実的には六社が問題になっているわけでございますけれども、三十社を除く大多数の社につきましては定款におきまして譲渡制限をしておるわけでございまして、また二十五社につきましても、意見を聞き、またこのような形にする今度の法改正の趣旨を説明いたしましたところ了解したというようなことで、特別に反対意見などというものは私ども聞いていないところでございます。
#17
○太田淳夫君 上場会社のうち数社が外国人によって株が買われているようなんですが、昭和四十一年に商法が改正された後では、株主総会を開いて特別決議で定款を変更する道が開けているわけですけれども、本来ならばこれでやるべきだというのが筋論だと思うんですが、こういう努力を今回対象となっている会社自身がしたのかどうか、その点はどうでしょうか。
#18
○政府委員(田中眞三郎君) その辺のことにつきましての議論といいますか、やるといたしました場合、そうした方法をとった場合の困難性その他については十分検討したところでございます。ただ、現実には非常に株主数も多く、その課せられている定款変更のための要件というものは実際実行しようとするとむずかしいものである、それ以上に安定的なサービスを確保するためにこうした方法、手当てが必要であると判断するに至って現在御提案申し上げている次第でございます。
#19
○太田淳夫君 いま困難性ということをおっしゃいましたが、確かに上場会社につきましては株主の数も多いし、しかもそれが広範囲に分布していることなどから株主総会を開きにくい点もあろうかと思います。したがって、その特別決議もできないということで今回この法律で保護しようとするものですけれども、それでは上場会社でない放送事業者の外国性の排除、これはどのように確保していくつもりでしょうか。
#20
○政府委員(田中眞三郎君) 先生いま問題にされましたのは二十四社と申しますか、そのことだと思いますが、そこらにつきましても関係の社をお呼びいたしまして御相談して十分手当てができるということで、改正のような提案についてそうした二十四社の御了解も得ているものでございます。
#21
○太田淳夫君 それでは、ちょっとお聞きしますけれども、この改正案によりますと、外国人等の取得した株式の名義書きかえが拒否されることになっておりますけれども、その拒否された外国人の保護はどのように考えておりますか。
#22
○政府委員(田中眞三郎君) 拒否されましても、いわゆる市場性はあるわけでございまして、投資の損失にはならない、市場があるわけでございますし、十分そうした投資家の利益というものは保護される、このように考えております。
#23
○太田淳夫君 今回の措置によりますと、一般放送事業者は郵政省令で定めるところによりまして外国人等の議決権の割合を公告しなければならないことになっておりますけれども、どのような比率になったときに、どのような方法で公告されていくのか。どうでしょうか。
#24
○政府委員(田中眞三郎君) 何%というようなことについては、今後の実際の運用に当たりまして、そうした事態が近づいた場合に、実際にやりますのは放送事業者自体でございますので、その辺と十分御相談しながら適切な措置をとりたい、このように考えております。
#25
○太田淳夫君 いずれにしましても、本当は自社の努力でいろいろしなけりゃならないところを法律で保護するということに問題があるのかと思うんです。
 次へ参りたいと思いますけれども、この今回の改正法によりますと、NHK及び一般放送事業者は、災害が発生し、または発生するおそれがある場合には、災害の予防または被害の軽減に役立つ放送をしなければならない、こうなっておりますけれども、このことは当然といえば当然なんですけれども、災害があって放送をしないようであればこれは視聴者の批判が当然出てくるわけですが、その批判を待つという言い方もあろうと思うんですけれども、今回あえてこのような規定を挿入した真意はどこにあるんでしょうか。
#26
○政府委員(田中眞三郎君) 今回の趣旨はあくまでも社会的責任をうたい上げたというようなことでございまして、あくまでも実際の放送は放送事業者自体が自主的に行っていただくことを予想しておるわけでございますが、そうしたもののためのいろいろな準備等々、あるいは技術的にもそうした工夫開発がなされまして、現在電波技術審議会の場におきましても、どういう方式が標準的であり、ラジオ、テレビ、FMあるいは短波を通じて最も有効的な標準的放送であるかというようなことも御審議いただいておるわけでございますけれども、当然といえば当然の規定でございますけれども、これによりまして放送事業者がみずから努力される場を規定したということで、緊急災害に備える体制が放送事業者自体におきましても整備しやすい、このように考えておるものでございます。
#27
○太田淳夫君 災害は当然といえば当然ということでございます、先ほど私もちょっと述べましたけれども。最初のいろいろな案の中には相当もっと進んだ、たとえば災害が発生し、または発生するおそれがある場合には、生命、身体の保護など秩序の維持に役立つ放送をしなければならないというような、そういった秩序の維持というような、いろいろな範囲が拡大されるような表現まであったというようなことも聞いておるわけでございますが、そういったことから一つの、放送事業に対して行政的な介入をこれからますます図っていくんじゃないかというおそれもされているわけですが、その点どうでしょうか。
#28
○政府委員(田中眞三郎君) ただいま御提案しているとおりの案文でございまして、私どもといたしましては、先生御指摘のような意図もございませんし、そうした心配はないものと、このように信じておるものでございます。
#29
○太田淳夫君 次に、NHKの出資に関してお尋ねしたいんですが、現在NHKの出資のできる範囲、対象は、法律によりまして宇宙開発事業団あるいは通信・放送衛星機構、有線テレビジョン放送施設者に限られておりますが、今回この出資の対象を拡大することとNHKの経営基盤確立とはどのような関係にあるのか、その点お尋ねしたいと思います。
#30
○参考人(坂本朝一君) ただいま先生御指摘のように、これまでNHKが出資できる範囲というのは法律において定められておるわけでございますが、われわれといたしましては、できるだけこの出資の範囲の拡大ということについて要望を行ってまいった次第でございます。
 今回の放送法改正に当たりましても、視聴者の受信料負担の軽減と申しますか、そういう趣旨と、それからそのための財源の多様化を図るということ、それから御承知のようにNHKが従来蓄積いたしておりました情報上のいろいろなノーハウ、そういうものの有効な活用によりまして国民の皆様への利益還元と申しますか、さらにはNHKの業務の円滑な運営というような視点から、できるだけNHKの業務に関連する事業に出資をしたいということを御要望申し上げてきたわけでございまして、今回の改正案によりましてNHKの業務に密接に関連する政令で定める事業を行うものに出資の道が開かれるということでございますので、私どもはこの点について適当であるというふうに考えまして賛成してまいったわけでございます。
 なお、先生御指摘の経営の基盤確立という点につきましては、十分この趣旨をわきまえて今後の経営に役立てていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#31
○太田淳夫君 NHKと文字多重放送の第三者とが問題なく放送を行うためにはNHKが第三者に出資することの方がうまくいく、このように考えておみえになりますか。
#32
○参考人(坂本朝一君) 第三者にNHKのいわば施設を利用させるということでございますから、当然NHKの本来のチャンネルイメージと申しますか、あるいは公共放送として視聴者の皆様からいただいております、そういう編集上のいろいろな基本的な条項、そういうものをやはり守っていただくということが必要であろう、そのためにはやはりNHKといたしましては出資をして、そしてそういう点についての指導と申しますか、そういうことができるだけ許されるような形態であるべきだろうというふうに考えたわけでございます。
#33
○太田淳夫君 NHKも特殊法人の一つでありますけれども、特殊法人につきましては臨調でいろいろと検討されて簡素合理化の方向に向かいつつあるわけですけれども、このようなときに、特殊法人の一つであり、他の特殊法人とはやや異なるとはいっても、NHKの出資の拡大というのは時代の趨勢に反するんじゃないかと思うわけですが、その点、郵政省はどのようにお考えでしょうか。
#34
○政府委員(田中眞三郎君) 今回、改正案によりましてNHKの出資対象の拡大というものを御提案申し上げているわけでございますけれども、これはNHKの持ちます豊富な経験、放送技術の広い面にかかわりますすぐれた技術等の活用を図ることによりまして、NHKの放送分野におきますいろんな蓄積の社会的還元等を図り、かつ、先ほど御説明申しましたように、NHKの経営の効率化にも資したい、こういう精神のものでございますので、最近言われております行政改革の精神にものっとるものである、逆行するものではない、このように私ども理解しておる次第でございます。
#35
○太田淳夫君 今回の改正案によりますと、民放の場合、多重放送の実施主体としては既存の放送事業者のほか第三者も利用できることになっているわけですが、しかし第三者は既存の放送事業者の放送設備を使わなければできないし、また放送設備を使用させるかさせないかは既存の放送事業者の自由意思となっているわけです。したがって、本当に第三者が利用する余地があるのかどうか疑問じゃないかと思うんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#36
○政府委員(田中眞三郎君) 多重放送、特に文字多重放送についてでございますけれども、現在のところ二H分といいますか、番組数で申しますと二十番組程度のものが送れるという形になるわけでございまして、一応すでにこの委員会でも御説明申し上げたかと記憶いたしますけれども、二Hあるうちの一Hを既設放送事業者自体が使う、それからもう一つにつきましては第三者といいますか、広く情報源の多様化を求める、こういう考え方でございますが、基本的に既設放送事業者自体の設備を使わしてもらえないと物理的に第三者が放送できない、こういう性質のものがありますので、多少の制限というものはあろうかと思いますけれども、やはり放送事業者に、その意図と申しますか、マスコミの集中排除というような考え方あるいは広く国民に対する情報の多様化、多元化を図りたいというような趣旨を御理解いただきまして、既設放送事業者と新しく計画する第三者とがよく円滑な話し合いのもとに契約を結び、そして国民のニーズにこたえていただく、そういう形のものを期待しておるわけですし、また事実実現ができるであろう、そのように希望もいたしておるものでございます。
#37
○太田淳夫君 今回の改正案によりますと、郵政大臣は一般放送事業者に放送設備をテレビの多重放送の用に供するための計画の策定及びその提出を求めることができる、こうなっておりますけれども、仮に既存の放送事業者が第三者に多重放送を実施するために放送設備を賃貸させないとする報告がされた場合には郵政省としては行政指導をするんでしょうか。
#38
○政府委員(田中眞三郎君) 話が具体になりました場合に、先生がただいまおっしゃいましたような既存の放送事業者、設備を持っておる事業者と新しくその設備を契約をして借用してやりたいという人との話がうまく合わないということはあり得ようかと思いますけれども、やはり話の合わない内容いかんにもよろうかと思いますけれども、話し合いはできるもの、円滑な話し合いができて円滑な放送が行われるということを私ども期待しておるわけでございまして、またうまく話し合いができないという内容にもよろうかと思いますけれども、ケース・バイ・ケースということもあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、精神をよく御理解いただいて円滑な多重放送の普及が図られること、それを深く希望いたしておる次第でございます。
#39
○太田淳夫君 情報の多元化を図ることからいえば第三者利用は大いに実施すべきだろうと思うんですが、第三者といっても新聞社、通信社となることも考えられるわけですけども、その第三者の資本構成とか、役員とか、それについてはどのようにお考えでしょうか。
#40
○政府委員(田中眞三郎君) やはり経験とか、実際に行われることになった時点における情報ソースを必要とする、また特に文字多重放送の場合かなりサイクルの速い情報等が有益でないかと思われるわけでございまして、既設放送事業者あるいは既設新聞社あるいは地方のローカル紙等々が非常に有力な第三者多重放送利用者になる可能性がある、実力もあるということは否定すべくもございませんけれども、やはりマスコミの集中排除というようなことから、適当な資本の出し方の割合、あるいは人員の構成の上での割合、あるいは地域性、どの程度その土地の出身者が多いかというようなことにおきまして適当な数字と申しますか、考え方はあろうか、このように考えております。ただ、たしか衆議院の段階だったかと思いますけれども、三分の一というような数字も御提案いただきまして、私どもといたしましては一つの御提言として承っておきたい、このような御答弁もいたしたわけでございます。
#41
○太田淳夫君 今度は電波法に関してちょっとお尋ねしますけれども、今回、第二臨調の答申もありまして、いわゆる市民ラジオについては免許を廃止することにしているわけですが、その理由は何でしょうか。特に市民ラジオにつきましては、今日まで郵政省はどのような監理を実施していたかもあわせてお伺いしたいと思います。
#42
○政府委員(田中眞三郎君) 電波法第四条によりまして、いわゆる微弱電波以外のものについてはすべて郵政大臣の免許を受けなければならない、こういう形になっておるわけでございまして、そうした意味におきまして、市民ラジオというのもかなり簡便であり、電力も小さく、また周波数も固定されておるということでございますけれども、非常に簡単にはしてございますけれども、特別他の無線局と異なった取り扱いはしていなかったわけでございますが、かねてからこの簡略化といいますか、そうした方向での検討というものは、無線局の増加に対応いたしまして、私どもの人員あるいは経費というものも限られておるわけでございまして、そうした当然の対応としてかねてからその辺の考え方を検討しておったわけでございますが、たまたま臨調の方からの御指摘もございまして、今回、技術基準適合証明制度という昨年の電波法改正において御決定いただきました方法によりまして技術的な基準を確保する、つまり他に与える混信等をそれによって排除できる、無線通信の秩序が維持できるという考えのもとに、その適合証明が得られれば郵政大臣の従来の免許はこれを省略ができる、こうした考えのもとに御提案申し上げている、こういうことでございます。
#43
○太田淳夫君 また、今回、相互主義に基づきまして外国公館に無線局の免許を認めることとしているわけですけれども、今日でも不法に無線局を設置しているものがあるようですけれども、この実態、あるいはこれに対する措置はどのようになっておりますか。あるいは今後、無線局を認めたとしても外国公館には外交特権があるわけですから、どのような監視をするつもりなのか、その点をお聞きをしたいと思います。
#44
○政府委員(田中眞三郎君) 確かに残念ながら先生御指摘のように、幾つかの国の在日公館が無線を使用しておるという事実は把握いたしております。その都度、私どもはその事実を把握した時点におきまして外務省、外交ルートを通じまして遺憾の意を表明しておるのが実情でございます。
 それから今後どうなるのかということでございますけれども、今後はこの手当てによりまして、そうした相互主義のもとにおいてでございますけれども、お互いに無線局を運用する道が開けたわけでございますから、より強力に新しい改正された法の秩序の中に入ってもらいたいということを強くアピールするとともに、また、いまいわゆる外国公館には外交特権というものがあるわけでございますけれども、電波でございますので、それが認められた周波数を守り、また認められた範囲内の電力で運用しているかどうかにつきましては、その領域に入りまして直接手に触れるという検査あるいは監督の方法をとらなくても十分に通信の秩序は維持できるもの、このように考えておる次第でございます。
#45
○佐藤昭夫君 ラジオ放送開始以来五十年余、テレビが三十年、この間、歴史はあらゆる面で大きく変わってきているわけでありますが、最初に基本的な点として、第一に、電波・放送というものは戦前と戦後でどのように変わってきたのか、第二に、現行の電波法、放送法制定の二十五年当時と今日とを比較して電波をめぐる環境はどのように変わってきたのか、まずこうした点でお伺いをしたいと思います。
#46
○政府委員(田中眞三郎君) 放送法、電波法の戦前の考え方ということでございますが、昭和二十五年に現在の電波法、放送法が制定されたわけでございますが、それ以前の無線電信法では、「無線電信及無線電話ハ政府之ヲ管掌ス」ということになっておりまして、航行の安全のため船舶に設置する無線局等に限りまして主務大臣の許可を得て一般国民も利用することができる、こういうようなことでございますが、簡単に申しまして非常に制限されておったわけでございます。これに対しまして現行の電波法でございますけれども、「電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進する」ということをその目的としているわけでございまして、広く国民に開放されていると言ってよろしいかと思います。
 ところで、その現行の放送法、電波法制定以来三十余年たっておるわけでございますけれども、御存じのように、この三十年間における電波・放送を利用する形態と申しますか、技術の進歩というものはまことに目覚ましいものがございまして、電波の利用分野も拡大し多様化しておりますし、無線局数も飛躍的に増加いたしております。たとえば放送で申しますと、中波ラジオ放送と申しますか、標準放送と言っておりましたけれども、それでありました放送につきましても、テレビジョン放送あるいはFM放送の出現あるいはそうしたものを多重する技術というようなことで大きな変遷があるわけでございますけれども、基本的な考え方としては、電波・放送というものは公共の福祉の増進のために役立てるのである、その制定の趣旨は変わっていないというふうに理解いたしております。
#47
○佐藤昭夫君 ただいまもありましたように、戦前と戦後との根本的とも言うべき大きな違い、そして戦後についても初期の二十五年前、そして今日時点と比べてみた場合に電波が非常に多様になってきている。きわめて限られた利用の機会、そこから、いわば有限から無限への変化と言っても過言でないような、そういう状況を迎えておる。したがって、電波の監理についても規制からより自由な方向へという基本的方向が今日の時代の流れになってきているんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、ところが、わが国の電波・放送行政をながめてみますと、こういった時代の流れの方向ではなくて、一貫して規制の方向、これがとられてきたということを指摘せざるを得ません。
 そこで、私は、今回の文字多重という将来的には何万もの番組提供というすばらしい可能性を秘めている、そういう点で共通性のある有線テレビジョンの問題について、最初に幾つかお尋ねをしておきたいと思います。
 先ごろ、都市の有線テレビに関する中間報告、こういうものも出されておりますが、現在の全国の有線テレビの施設数、加入者数、そのうち自主放送を行っている施設数、加入者数、その率、こういったものについてまず御説明を願えませんか。
#48
○政府委員(田中眞三郎君) 有線テレビジョン放送の施設でございますけれども、昭和五十六年三月末現在で、施設の数は二万八千百十三、加入者数は約三百万五千でございます。五十七年の三月末を出したいと思いましたのですけれども、五月締め切りになっておりまして、まだ手元に特に加入者数等集計されておりませんので、五十六年三月末の数字を申し上げました。そのうち、自主放送を行っているものの施設数は七十三で、全施設数の〇・二六%になります。なお、自主放送を行っております施設への加入者数というものは約十三万五千、五十六年三月末現在でございます。パーセンテージは全加入者数の四・五%、こういう数字になっております。
#49
○佐藤昭夫君 ただいまの数字にも非常に明瞭だと思いますが、自主放送はきわめて少ない。五十六年三月末の段階で率にして一%にも満たない〇・二八%、こういう状況で、かつて自主放送を行っていた施設がその後中止に追い込まれているというものさえあるということを耳にしておるわけでありますけれども、そこで、さっき触れました都市の有線テレビに関する中間報告、これは一言で言えば何を一体言っているのか。それは、有線テレビはまだ本格的な発展をしていない、そこで発展を加速する有効な方策として大都市の大規模なCATV施設による自主放送の発展強化を打ち出したということではないかと思うわけです。CATVが初めて日本に登場してきたころ、放送界の旋風とも言われたり、あるいは情報革命の一番手だとも言われて華々しく登場しながら、今日その現状がもう一つ芳しくない、中間報告がそうした指摘をせざるを得ないというのは一体なぜだろうか。どのようにとらえておられますか。
#50
○政府委員(田中眞三郎君) まず、いわゆる「都市の大規模有線テレビジョン放送施設に関する開発調査研究報告書」は何を言っているのか、あるいは何を目的としたものなのかということでございますけれども、都市におきます有線テレビジョン放送の効率的な設置、維持管理を図るという観点から、小規模の施設ではお金がかかるわけでございまして、合成しまして複数以上の施設をお互いにつないで大規模化しよう、そうすれば維持経費あるいは効率的な設置に役立つであろう、またその副次的効果といたしまして自主放送をやる基盤もできるであろう、こういうようなことで、その技術的な方法といたしましてマイクロ波あるいは光ファイバーあるいは同軸ケーブルというようなものを利用して技術的に可能であることを確かめたわけですし、ただ、それには経費がかかるというようなことで経済上検討すべき問題はどうであるか、あるいはまた大規模化いたしましたとして、その施設の利用形態としては地域的な自主放送のほか、非地域的な自主放送というものも考えられるだろうし、あるいは有料テレビサービスというようなものも考えられるという形で、これは中間報告でございまして、なお今年、五十六年度の研究成果をまとめた報告書をいただいておるわけでございまして、本年度も調査研究を続けていただく、こういうことになっておるわけでございます。
 次の御指摘の、非常に日本では余り普及されていないのではないのかということでございますけれども、私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、五十六年三月末現在で加入者がNHKの受信世帯数の一〇%、一割に当たる三百万を超えましたわけで、施設数も小規模なものが多いわけですけれども、二万八千という形でございまして、なお引き込み端子数別に申しますと、五百一端子以上あります大きないわゆる許可施設は三百二十四、それに加入している世帯数は五十一万、五百端子以下のもの、いわゆる届出施設その他が二万七千八百施設の加入者数二百五十万、こういう数字でございますけれども、私ども、ほとんどはいわゆるテレビの難視聴解消を目的としたものでございますけれども、有線テレビジョン放送法が四十七年の七月、十年たっておるわけでございますけれども、それなりに着実に発展しておるのではないか、このように考えておるわけでございます。
 ただ、私どもに非常によく情報の入りますアメリカとかなり発達形態が違っておるという御指摘でございますけれども、私どももかなり違っているなというふうには感じております。ただ、その理由というものをどう考えるかということでございますが……
#51
○佐藤昭夫君 答弁、簡潔にしてください。
#52
○政府委員(田中眞三郎君) はい。
 両国におきます放送局の置局状況の相違あるいは情報の提供に対する対価を払う両国民の習慣の差というようなものがあるのではないか、このように考えておる次第でございます。
#53
○佐藤昭夫君 長い答弁をされながら結論として有線放送はそれなりに発展をしている、こう言われましても、先ほどの数字が明瞭に示していますように、振り返って五十二年三月末の数字で見ると、全施設数に対して自主放送〇・二五%、五十六年三月末で全施設数に対して自主放送施設が〇・二六%、およそこの数字で見ても発展しているというふうには言いがたい、こういう数字であることは明瞭ですね。そういう上で一体、本当に鳴り物入りで出発をした有線放送であるわけですけれども、それが十分発展をしていくような施策がとられてきたかというここが問題だと思うんです。
 放送評論家の青木貞伸氏が今度の中間報告について、「まるで手足の自由を奪ったうえで、「運動をしなさい」と言っているようなものだ」と痛烈に批評をしておられるわけでありますが、周波数が限られている一般のテレビと違って、幾らでもチャンネルのとれるCATVだから全く混信のおそれがないにもかかわらず、それまでの届け出制を大臣の許可制にしてみたり、放送でないにもかかわらず放送法よりも厳しいような規制をかぶせる、文字どおり手足の自由を奪い、新しいメディアでの規制を強化をしてきたことにこそCATVの本格的な発展が進まない真の原因があるのではないかというふうに思わざるを得ないわけです。有線テレビジョン法の国会提出の際に、郵政省も二十数チャンネルはとれるとその可能性を示しながら、今日、施設と加入者のほとんど全部がそのうちの二ないし七チャンネルぐらいしか使用していないというこの事実はまことにもって大変なむだが起こっておるというふうに言わざるを得ません。豊かな可能性を持つメディアの芽を無残に摘み取り、国民の情報選択の機会拡大の道を閉ざしたのはまさに有線テレビジョン法であり、郵政省の行政、これがそういった芽を摘んできたというふうに言わざるを得ないというふうに私は思うわけですけれども、見解はどうでしょう。
#54
○政府委員(田中眞三郎君) 有線テレビをどういうふうに使うかということですけれども、日本の場合、ほとんどは既設の放送電波で行われておりますテレビの再放送という形でございます。これがいわゆる義務再送信も含めまして、あるいは地域外再送信もございますけれども、ほとんどでございます。特に、先生御指摘の自主放送が普及しないということでございますが、一言で言いまして、自主放送には大変にお金がかかるというようなことで、それまでのまだ機が熟さないと申しますか、ケーブルの費用その他も含めまして基本的に制作に大変にお金がかかる、テレビの場合特にそうでございます。地方のテレビ放送会社も百十幾つございますけれども、いわゆるキー局あるいは準キー局を除きますと、地方で自主的に番組をつくっておるというものはやはり非常に限られておる、やはり経費が相当大きな要素になっておると私どもは考えておる次第でございます。
#55
○佐藤昭夫君 アメリカと日本との事情は違うんだというふうに言われていますけれども、問題は、この電波行政の基本、その電波行政の精神を一体どこに求めていくのかという、これが根本の問題だと思うんです。アメリカではCATVが七〇年代後半から急速に普及して、ことしの二月現在で全米のテレビ所有世帯の二九%にも当たる二千三百七十二万六千世帯に達しているというふうに報告をされておりますが、その背景には、アメリカのFCC、連邦通信委員会ですね、ここがCATVの将来果たすより広範な機能、すなわちチャンネル容量の増大、低コスト化による非放送型番組の進出、加入者の応答機能、こういった面での新しいサービスを含めて発展する方向を求めてきた、この問題が背景として考えられると思うんです。
 ですから、アメリカのCATVは、自主番組の放送はもとより、一定数の非放送型チャンネルの確保を義務づけている。たとえば地域の住民が先着順、無差別に原則無料で利用できるパブリック・アクセス・チャンネル、教育用のアクセスチャンネル、地方自治体などの行政機関用のアクセスチャンネル、そしてパートタイムユーザーを含める有料リースチャンネル、こういったさまざまのものが保証されるようになっているわけでありますけれども、こうした日本とアメリカの大きな開き、これが今日のCATVの現状の大きな開きをもたらしていることは明白だと思うんです。
 そこで、お尋ねをしたいわけでありますが、郵政省としては、引き続きこの有線の問題を無線の従属的存在として有線テレビジョン法の枠内でその大きな可能性を封じ込めてしまうのか、それともあなた方も否定しがたい今日の時代の趨勢、そういう上に立って今日的時点での一遍見直しをやろう、検討をやろう、こういう気持ちはないのか、その点についてお答えを願いたいと思います。
#56
○政府委員(田中眞三郎君) いわゆるアメリカ国土と日本の国土の大きさといいますか、そうしたものを考え、また放送局の数、これは電波を使ったものですが、そうしたものを考えます場合に、ほとんど日本の場合、非常に事細かく、また難視聴解消の電波による努力をいただいておりますので、その辺の差があるのが一つと、それからやはり地域情報に対する欲望といいますか、それに対しましては、アメリカの場合と日本の場合を比べますと、日本の場合は単一言語であり単一民族であり、かなりその差があるというふうに思っておるわけでございます。そうした差であろう。それからやはり三百万世帯、私どもNHKの一〇%でかなりのそれなりの発展は遂げたというふうに考えておりますので、この辺になりますとやはり見方の違いというようなことで、私ども有線テレビも大いに発展すべきではあろうかと思いますけれども、かなり基本的に経費がかかり過ぎるのだなというようなこと、あるいはケーブルの引き方、これがファイバーオプチクスというようなものがだんだん出てまいりまして、十数年後になりますと花盛りの時代が来るのかもしれませんけれども、旗振れどもまだそこまではいかないという感じを持っておる次第でございます。
#57
○佐藤昭夫君 御存じのとおり、私ども共産党は、すでに有線テレビ法案がかかりました四十七年の国会でいち早くこうした点を主張し、規制の枠を外さない限り発展の道はあり得ないということを提起してまいりましたが、この指摘の重大性がいま事実をもって明白になってきているのではないかということをひとしお痛感をするわけです。
 さらに、このこととかかわってもう一つの問題は、現在の有線テレビの料金、いろんな地域で加入者との話し合いも十分やらないまま放送事業者が一方的に値上げができる、それも届け出だけでいいんだ、こういうことになっている事例が幾つか生まれています。
 実は、ことしの三月に、京都市の西京区にある洛西ニュータウンという地域、ここを対象に有線放送を行っています洛西ケーブルビジョンという会社がありますが、ここが「利用料金改訂のお知らせ」というチラシを新聞折り込みに入れて一方的に通告を住民にしてきた。この有線テレビの加入者は約七千五百世帯でありますが、料金一カ月四百円、年間一括払いをした場合には四千円にするという特典が従来あったのを、一カ月七百円に値上げをする、一括払いの特典も撤廃する、こういう内容のもので、びっくりした住民が会社側にいろいろ意見を持ち込んで、京都の市議会でも問題になる、そして現在値上げは延期という形で住民と話し合おうという方向に進み出してはおるわけですけれども、こういった問題。一つの例ではありますが、そういったことで郵政省に基本的な考え方をお尋ねをしておきたいと思うんですけれども、この種の値上げ問題については、事前に加入者、関係住民との話し合いに努力をしていくということがやられてしかるべきだというふうに私は思うのでありますけれども、大臣、どうでしょう。ずっとお座りになっておりますので、お聞きしますけれども。
#58
○政府委員(田中眞三郎君) ちょっと事前に御説明させていただきます。
 先生御指摘のような京都の洛西ケーブルビジョン株式会社について、御指摘のようなことは私どもも把握しております。ところで、有線テレビジョン放送の役務に対します料金についてでございますけれども、いわゆる義務再送信に対するものを除きまして、その料金の設定及び改定につきましては郵政大臣に対する届け出制がとられておるわけでございますが、仰せのとおり、その改定等につきましては施設者と利用者との間で事前に十分な話し合いが行われて実現すべきものだというふうに私どもも考えております。
 本件につきましては、近畿電波監理局へ料金改定の届け出があったわけでございますけれども、その後、利用者との間の話し合いが行われていない、十分な理解が得られていないという事情が判明いたしましたので、施設者を呼びまして、利用者の納得を得まして料金の改定等はやるべきであるというようなことで、近畿電波監理局におきまして施設者を指導しておるというのが実情でございます。
 なお、この契約約款の変更届というものは五十七年の三月五日に受理しておりますけれども、この届け出は取り下げられるという予定になっておるわけでございます。
#59
○佐藤昭夫君 大臣も、お尋ねするまでもなく、こういう問題についてはよく関係住民と話し合いを尽くすということが大事だという御見解でしょうね。
#60
○国務大臣(箕輪登君) ただいま局長が答えましたように、やはり放送事業者と地域住民が十分話し合って納得の上で決めるべきものであると考えております。
#61
○佐藤昭夫君 ところで、先ほど来いろいろ指摘しておりますように、政府が時代の変化、流れに逆行をして有線テレビの大いなる可能性を規制の枠に押し込めてしまっている、これと同様の問題が今回の放送法改正案にも強くあらわれているのではないかと私は思うわけであります。
 そこで、本日は、先般今回の放送法改正案にもかかわって批判的な見解を発表され、関係方面にも送付され、活動を進めておられます日本民間放送労働組合連合会のニューメディア検討委員会座長隅井孝雄さんに参考人として来ていただきました。早速ですけれども、これから少しく隅井さんにお尋ねをいたしたいと思いますが、発表されました見解の概括的な内容、そうした見解を打ち出されました基本的な考え方、これをまずお話しいただけませんでしょうか。
#62
○参考人(隅井孝雄君) 隅井でございます。
 最初に、誤解のないように申し上げておきたいと思いますが、私たちは、文字多重の問題などについて、聾唖者の皆さんから出ている要望なども考慮して、文字多重放送、テレテキストと申しますけれども、これが持つ利点をできるだけ早く活用するということを考えるべきだというふうに強く思っているわけです。しかしながら、文字多重放送を有用に活用しようということを考えた場合に、今回の放送法改正案は若干の問題があるのではないか、運用の仕方によっては、文字多重のメディアとしての有用性、自由な発展を場合によっては若干阻害するかもしれないという部分がありはしないかというふうに疑問を抱いておりますので、そういう意味で先般来各方面に対して問題提起をさしていただいているわけでございます。
 もともと、本来、文字多重放送、テレテキストと申しますのは、使い方によっては数百ページ、千ページあるいは数千ページのものを送り出すことが可能なわけですね。これは外国のもので恐縮でございますけれども、これはドイツのものですけれども、(資料を示す)イギリスではBBCがこの種のものを、これを一ページと申すわけですけれども、ページ数にしてBBCの一チャンネルが二百、2チャンネルが二百、そして一TVと申します民間放送の方が四百ページということですから、合わせて八百ページのサービスをロンドン地区で行っているというふうなこともございます。フランスでは十三種類のサービスが行われていますけれども、トータルいたしますとこの種のページ数が千ページに達するという、そういう状況のわけでございます。したがって、いまの現行の放送法とか電波法というのは、チャンネルが五つとか四つとか七つとか限定されたチャンネルしか使えない、それを国民が共有財産としてどう整理しながら使うかということでラジオやテレビを律してきたというものですけれども、そういう枠からははみ出るメディアがこれからは登場しようとしているのだというふうに思います。CATVも使い方によっては同じようなことが起こると思いますけれども、文字多重もそういう性格があると思います。
 先ほど、ちょっとCATVの問題が出ましたので触れさしていただきますと、アメリカなどではチャンネル数がたくさんとれるということと、契約する人が任意にお金を払って契約するということがありますから本を買うのと同じだというふうなことがありますので、既存の空中波とは違って、連邦政府が介入しない、地方自治体が免許といいますかフランチャイズを与えるというふうなかっこうをとっていますし、その中で市民のアクセスチャンネルを、自由に発言する、政治的な意見でも自由に発言していいんだというチャンネルを設けるというふうになっていて、放送法とか連邦通信法とは違うことになっているわけですね。したがって、番組内容についても連邦通信法の各種の条項はCATVにはアメリカでは適用されていない別の体系になっている。つまり言論、表現の自由を守るんだというふうなことで新しいメディアです。これはアメリカだけではなしに、フランス、イタリー、ドイツ、それからベルギー、オランダ、そういうヨーロッパ各国でも、状況の違いはありますけれども、市民のサイドの新しい情報としてこの種のメディアを使っていきたい、テレテキストなども使っていきたいということで非常に論議をされているという点があると思います。
 その点で考えますと、今度の放送法改正案では、既存の放送で無線局としての免許を与えているわけですけれども、それを使って文字多重をする場合にも改めてもう一度無線局としての免許をする、つまりいまの放送局を免許しているのと同じ方法でこの種の文字多重を流す対象を無線免許の対象にしたいということで枠をかぶせてしまうということになりますと、若干私どもは問題があるのじゃないか、文字多重のいわば自由で多様な発展というのを阻害することにはなりはしないかという疑念を持っているということを御理解いただきたいと思います。
 私は、この種のメディアに関してはたくさんとれるということがあるわけですから、できるだけ行政的な関与とか介入というのは、多少必要でしょうけれども、放送も空中波を使うわけですから全くなくていいというふうには申し上げませんけれども、可能な限り最小限にとどめるというようなことが必要だと思っているわけです。文字多重について野放しにしようと言っているわけではないのであって、たとえば放送局が使う部分については、これは当然その放送局自身の免許の枠がございますから、そういうことを前提として放送局が放送法の枠内で活用を図る、したがって放送局が出すニュースなんかは放送法第四十四条なんかも適用されながらやるということは当然あるのだろうというふうに思います。
 しかし、後でもう一度申し上げなければいけないというふうには思いますけれども、たとえば百ページ、二百ページ、五百ページ、千ページとれるようなこの種の画面を、私どもの考え方で言うと、一種のメディアアクセスというような考え方に基づいて、社会的ないろんなグループとか団体とか、個人というわけにはいかないと思いますけれども、いろんな組織が自由に活用できるように市民に開放するのだという考え方を、もし法改正をするのだったらば、ぜひ盛り込んでいただきたい。今回の独立利用を認めるという考え方の中にはあるいはそういう考え方も含まれているというような気がしなくもありませんけれども、現在の放送法をそのまま適用するということだけになってしまいますと、自由な文字多重の利用が阻まれるというふうに思います。
 もう一点、総括的な問題で申し上げますと、技術方式の問題でいろいろ論議があることは皆様方の方が詳しいのじゃないかというふうに思います。私は、いまここでどっちの方式が適当だとかなんかと言うつもりは全然ございませんけれども、文字多重の将来のためにどういう方式でいくのが望ましいかというふうなこと、あるいは視聴者の側の受信機の買いかえのような負担を軽減するために、やっぱり技術方式などについてももう少しオープンな論議が必要だったのではないかというふうに考えています。音声多重が実用化されましたときに、とりわけ放送法の改正ということを伴わずに放送局が行ったわけですね。ですから、文字多重を、実用実験と申しますか、実験のための主体、多分それはNHKや民放各局ということにもなりましょうけれども、場合によっては実験主体が第三者機関であってもそれは論議の過程では構わない場合も出てくると思いますけれども、そういうことで放送法の改正以前にそういう実用実験を十分行う、その中で技術方式だとか文字多重の使い方だとか送る内容をどうしたらいいかということについて視聴者が目に見える形で、ああ、これはこういうものなんだ、こう使えるんじゃないか、こういうふうにしたらいいんじゃないかというのとがオープンで論議された上で、最終的に新しいメディアポリシーができて法体系を新しく考えていく、そして放送法も新しくしていくのだということ、そういう手続のようなものを私たちは非常に望んでいたわけですけれども、そういうことが少し抜けたまま放送法の改正というところに一挙に行ってしまったというところで、今後の文字多重やニューメディアを考える場合に少し残念だったという気がしておりますものですから、若干今度の改正案については少しうなずき得ない点があるということをるる申し上げておるわけでございます。
#63
○佐藤昭夫君 ところで、今回の民放労連の見解においても文字多重にかかわって共同運営機構といったような考え方を打ち出されておりますけれども、その具体的なイメージ、考え方、それをもう少しお話し願えませんでしょうか。
#64
○参考人(隅井孝雄君) 文字多重というのは新しいメディアでありますけれども、私たちは、新しいだけに国民とか市民に開かれたものになるべきだというふうなことを強く主張してきているわけです。開かれたというふうに抽象的に申し上げていますけれども、具体的な意味としては三つあると思います。それはいたずらに商業主義的な営利的な利用というふうなことに走らずにそれを何らかの形で抑制する必要があるのじゃないか、これが一つですね。二番目は、中央集権的なメディアでなくてもっと小さな地域的なメディアとするということがイコール開かれたメディアの内容の一つになるというふうに思います。三番目は、何らかの形で、いままでの放送ではなかなか果たせなかったような市民参加といいますか、視聴者参加というか、そういうふうな三つのことを考えながら文字多重を実用化に移していくという考えが必要だというふうに思います。
 先般、衆議院の逓信委員会で若干の附帯決議がなされたというふうに伺っておりますけれども、この附帯決議に盛り込まれた内容は、いま私どもが申しておりますような主張と合致する部分があるので賛意を表したいと思いますが、ただ残念なことに、その附帯決議と放送法の中身自体には矛盾があるわけですね。開かれた市民参加にしていきたいというふうに言っても、それは放送法に基づく免許だというふうなことで郵政大臣の方で全面的に権限を行使されるというふうな内容になっていると市民参加の保証がどこにあるのかというようなことがあって、そういう点がちょっとちぐはぐですので、残念な気がいたしますが、そういうたぐいの問題があると思います。
 私は、文字多重が新しいメディアとしての何らかのメリットがあって、それを日本という社会が引き出すというふうなためにはどうしたらいいかということを、端的に言って国民各層、放送関係者、新聞関係者なども寄り合っていろいろ見つけていかなければならないというふうに思いますが、原則的に申しますと、何らかの文字多重についての法律を決めるとすれば、一番必要なのは文字多重というのは国民の共有の電波を使った共有の財産なんだ、しかもページ数が百、二百、千ととれるわけですから、そのチャンネルを、ページを、全部とは言いませんけれども、国民自身、われわれ自身も利用することができるのだという、一種の国民の側、市民の側の文字多重の利用権というようなものを法律の中に明記していくというふうなことが要るのじゃないかということを考えているわけです。これは文字多重のことだけではありませんけど、欧米諸国ではマスメディアがだんだん企業として巨大化していっておりますから国民の知る権利とかなんかということでいろいろ問題が起きる。したがって、マスコミ、マスメディアを国民の側が利用する権利とかメディアアクセス権などを確立する必要があるということがアメリカとかフランスとかドイツで定着をしてきて、日本ではちょっとおくれておると思いますけれども、それが反論番組とか市民のアクセス番組の自由利用というようなことで起こっておりますし、アメリカのCATVの市民が利用できる自由なアクセスチャンネルの設置というふうなことでも実ってきているというふうに思いますけれども、その延長線上で私たちは文字多重の問題を考えたいわけです。
 私たちが考えておりますのは、株式会社に一挙にしてしまいますと、どうしてもいまの日本の状況ですから、いまの民放なんかと重なりまして、NHKの場合ちょっと別だと思いますけれども、営利事業になります。民放のひな形の営利事業で、やれコマーシャルだとかスポンサーだとかいうふうなことになって、余りおもしろくないもの、動く画像と違いましてこういうものですから、これはコマーシャル化されたのじゃ国民が見ないということが起きますから、そうではない自由な活用の方法をしたらどうか。そのためには、いろんなところが結局この文字多重のために情報を提供しなければいけないわけですね。たとえば市民団体、消費者団体が消費者に関する情報をたくさん持っている。それを文字多重の中に投入していって、消費者団体自身がインフォメーションプロバイダー、IPと言いますけれども、情報提供者になって国民にそういう情報を伝えていくとか、あるいはそれが新聞社であったり出版社であったりというふうなことももしかしたらあるかもしれませんけれども、文字多重を使って情報を国民に伝えたいというグループなり企業なり団体というのはこの社会にたくさん存在をしておるわけですから、そういう団体とか企業とかグループが共同利用のための機構をつくったらどうかというのが私たちの提案なんです。
 ちょうど放送衛星の限られたチャンネルを利用するために放送局がプール機構をつくっているというのがありますけれども、あれと同じように、みんなが同じ円卓に着いて、こちらの端には市民団体の方もおられるし、出版社の方もおられるし、放送局の方もおられるし、あるいは場合によっては日本弁護士連合会が法律知識の普及を図りたいということで、これを利用したいというのなら日弁連の代表の方もおられてもいい。そのチャンネルの割り当てをどうするのか、お金の相互の分担をどうするのか。たとえば五千万円かかるのなら、じゃ百万円ずつ負担しようじゃないかとか、あるいは市民団体は負担から除外しようとか、いろんな方法があると思いますけれども、いずれにしても、そういう共同運営機構をつくって、営利企業ではない公的利用にも場所を与えるべきだろう。
 文字多重ですから、財政的な基礎ということになれば若干営利的な行為も必要だというふうにも思いますから、それを全く無視しようとは思いませんけれども、たとえばページ数が百なら百とれるとすれば、百のうちの五十は放送局が利用して、二十五は営利的な企業が利用して、残りの二十五はいま申し上げたような一般の市民なり社会的な活動をしている団体、ボランティアなんかでも結構だと思います、障害者の団体でも結構だと思います、そういうところはかなり経済的な負担を少なくしながら利用できるような、共同運営機構で非営利の公的な利用を、端的に言えば民間放送の側も図るべきじゃないか、NHKだけに任せるということではなくて。そういうふうにするべきだし、それは文字多重は全国的なメディアではありませんから、厳密に申しますと地域的なメディアですから、各県ごと、地域ごとにそういうものをつくっていって市民が十分利用できるようなものにしたいというのが私たちの提唱しております共同運営機構の設置という真意でございますので、今後の開発に当たってということになると思いますけれども、ぜひ御検討をいただきたい。その際に、現在の放送法の案で言うと多少そこで矛盾が出てまいりますから、放送法をもう一度改めるなどということも考えなければいけないというふうに思いますけれども、ぜひ御検討いただけたらというふうに思っておるわけでございます。
#65
○佐藤昭夫君 ところで、参考人は今日まで何回も諸外国を訪問され、多重放送やニューメディアについていろいろ調査研究をなさっていると聞いておりますが、その一端も、すでに少しお話も出ておりますけれども、そういう諸外国の実例についてわが国の今後にとっての教訓的な問題、ちょっと時間が詰まってきておりますので、ごくその中心的問題について何かお考えになっていることがありましたら、お話しいただきたいと思います。
#66
○参考人(隅井孝雄君) 総括的に申し上げまして、私、先月もちょっと半月ほどヨーロッパを回ってきたわけでございますけれども、ヨーロッパ諸国では日本で思われている以上にいわゆるニューメディア、先ほどもちょっとお話がありましたが、CATVとか文字多重が社会的に発達してきている、日本は、そういう意味では技術は進んでいるんだけれども社会的な開発が非常におくれているというのが私の率直な印象でございます。
 CATVというとアメリカのことばかり引き合いに出されますけれども、たとえばベルギーのブラッセルなどでは九〇%の家庭がCATVに加入して十六チャンネルのサービスを日常生活の中で活用している。しかもベルギーの場合には、民営ではなしにちょっとNHKのようなかっこうでございますが、公的なCATVということで市民のインフォメーションのセンターになっているというふうなこともございますし、テレテキストにしてもイギリス、フランスなどで広範な実用化が図られているというところを改めて私は見てびっくりしたというふうに思います。
 それは、原因は幾つかあると思いますけれども、やはりかなり長期にわたって実用的な実験を繰り返したわけです。ドイツではまだ四年目になりますけれども、依然として実験放送でこういう絵を出しているというだけでまだ実用化していませんが、イギリスですと七二、三年ぐらいから実験が積み重ねられて今日に至っておりますから、やっぱり実用実験で国民のニーズを見出していく、喚起していく、技術方式もクリアランスにしていくということでは非常に慎重な方法がとられた上で踏み切ったわけですから、社会的な活用が非常に活発になっているということは言えるとい、うふうに思います。
 いろんなあれがありまして、イギリスのBBCのシーファックスだとか民放のオラクルなどというのは、放送局が完全に責任を持っている体制ですから多くの説明の必要もありませんし、日本でも参考になるやり方だというふうに思います。しかし、実際には、先ほど申し上げたように二百、二百、四百、トータルで八百ページということですから、BBCや民放にしても、情報の提供そのものは放送局の中でつくるということではなしに、かなり外部のいろんな諸団体とか公共機関だとか通信社だとかに依存をしながらやっているということもまた現実であるということも申し上げておきたいと思います。
 ところが、フランスの場合にはまたちょっと違った活用の仕方がされておりまして、放送局とそう密接な関係を持っているということではないんですね。放送局の波の中で二種類の文字多重がありますが、一つはフランスIがサービスをやっている、三十ページぐらいのテレテキストサービスですけれども。同じ一チャンネルからフランス・アンテオープ・メテオという天気予報のチャンネルがございます。これなどは天気予報だけで五十七種類の絵を出しているわけですね。ですから、日本のテレビの天気予報とは全く違った形で非常に専門的な、農業をやっている人の専門的な農業チャンネルとか、いろんなチャンネルを使って総合的な専門的な天気予報をやっていて、東京の天気もフランスのパリですぐわかります。きょう何度か、晴れかどうかというのがわかるようなことになっていて、専門化が図られていて、企業的にもペイをしているということになりますと、総体的に言って、フランスの場合には放送局も協力をしながら全体として独立した利用ということでアンテオープの活用が図られている。しかも、千ページもあって社会的に非常に有用だという点などはわれわれとしても参考にしていいのではないかというふうに思います。
 もう一つだけ、デフサービス、聾唖者の対策の問題を申し上げますと、日本では聾唖者のための字幕を入れるとお金もかかって非常に手数がかかって大変だという議論があるわけですが、ヨーロッパ諸国ではこの辺はこういうふうに考えております。デフサービスそのものの字幕を入れるというのは一週間に何本か、大きなスペシャルドラマのようなものとか劇場映画に限られているわけですね。しかし、ヨーロッパの方々の話を聞きますと、テレビを通じて文字で情報が日中、終始いろんなチャンネルからたくさん流れているということ自体が、いままで情報から疎外されていた聾唖者の方々にとって非常にメリットがあるんだ、文字多重のメリットはこれしかないんだ、だから別にテレビの画面を全部転換するということを考えているわけじゃないわけです。文字多重を実施するということ自体が聾唖者にとってサービスだ、そういう考え方で私は民間放送もNHKもぜひ積極的に取り組むべきだ、番組の翻訳で手間が大変だというようなことを考える前に文字多重で情報を流すということを御検討いただいたらどうかというふうに私は考えているわけです。
 いろいろ申し上げたいことございますが、時間の関係がありますのでこの辺にしますが、最後に、やはり文字多重というのは今後のニューメディア、メディア多様化の入り口です。初めて私たちの目の前にあらわれた入り口だと思いますので、これを実用化するに際しては、大きく言えば日本の情報制度がどうなるかということと関係してくるし、日本の社会の将来ともかかわってくる問題なので、ぜひオープンな、開かれた慎重な論議の上で方式を決め、内容を決め、実用化を図っていくといくということを関係者の方にお願いしたいという気持ちでおるわけでございます。
#67
○佐藤昭夫君 いろいろとありがとうございました。
 ここで、少し問題が飛びますが、参考人を長い時間くぎづけにするのも御迷惑をかけますので、次に、災害放送についての質問に移ります。
 まず、政府の方にお尋ねをしますが、今回の改正案によりますと、第四十五条の二で、「暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害が発生し、又は発生するおそれがある場合」云々となっているわけでありますが、まず最初に、なぜこの条項を新設をしたのか、その理由、それからこの中に「大規模な火事その他による災害」となっているが、この「その他による災害」とは一体何か、説明を願います。
#68
○政府委員(田中眞三郎君) 今回、災害放送についての規定をした意図でございますけれども、放送の公共性、また放送事業者の社会的任務にかんがみまして、放送事業者が主体的に自主的に災害の予防または被害の軽減に役立つ放送を行うべき旨を決めることによりまして、先ほども申しましたけれども、その放送事業者が持っております施設の整備、あるいは災害に強い施設、あるいは災害時におきます報道体制をどうするかという整備など、自主的に放送事業者側の災害対策の整備の促進に資することができるという考え方で規定をいたしたわけでございます。
 それから「その他」ということでございますが、ここの「暴風、豪雨、洪水、地震、大規模な火事その他による災害」ということでございますけれども、私どもとしましては自然的なものを予想しておるわけでございますけれども、特別いまこういうものがありますということではありませんで、人に与える災害、あるいは財産に対する災害というものを含めたいということでございまして、特別の意図はございません。
#69
○佐藤昭夫君 「その他」ということで特に何かを考えているわけではない。
 次に、この条項が新設されることによって災害の場合の放送は現在と内容が変わるんですか。変わるとすれば、どこがどういうふうに変わるんですか。
#70
○政府委員(田中眞三郎君) 現在とと申しますのは、電波法の、いわゆる郵政大臣は、非常災害等のときに通信を使用することができ、また使用した場合にはその費用を払うという条項と違うのかということかと思いますけれども、ここにおきます、今度御提案申し上げております趣旨は、あくまでも自主的な放送事業者の、ここに掲げてありますような災害が発生しあるいは発生するおそれがあるときの社会的責務というものをうたい上げたものでございまして、その契機になりましたのは、たまたま技術的にも、たとえば最近地震等に対する国民の……
#71
○佐藤昭夫君 ちょっと、私の質問に即して答えてください。
#72
○政府委員(田中眞三郎君) はい。
 関心が非常に深いわけでございますけれども、寝ておるときに国民にそうした通知をするというような技術的な工夫も出てきた、電波技術審議会、技術者の関心も非常に深いというようなことが契機になったものでございます。要するに、特別の意図はないわけといいますか、社会的責務をうたい上げた、こういうことでございます。
#73
○佐藤昭夫君 何か心にやましいところがあるのか、意図はありません、意図はありませんとばかり繰り返されますけれども、私が聞いておるのは、現行やられていることと今度の法改正のこの条項によって何か変わるんですかと聞いている。
#74
○政府委員(田中眞三郎君) 変わりません。
#75
○佐藤昭夫君 何にも変わらないのであれば、なぜこういう条項を新たに設ける必要があるのか。何かあるならば、いままでやられておったことで問題があるんですか。問題点が発生してきているんですか。
#76
○政府委員(田中眞三郎君) 特に、地震等に対する関心が高まってまいりまして、放送事業者自体がみずから行う災害の際における自分自身の責務、社会的責務にこたえやすいということをうたい上げたものでございます。
#77
○佐藤昭夫君 私が聞いていますのは、こういうことが新設をされてきたというのは、いままで現にやられてきておる災害放送をめぐって、とりたてて問題になるようなことが何か起こってきているのかということを聞いているんです。
#78
○政府委員(田中眞三郎君) 同じことになろうかと思いますけれども、従来こういう条文はなかったわけですけれども、そのために何か不都合があったのかという御質問かと思いますけれども、繰り返しになりますけれども、今回の改正案は放送の公共性また放送事業者の社会的責務というものにかんがみまして、放送事業者が主体的に災害の予防または被害の軽減に役立つ放送を行うべき旨を定めたわけでございまして、これによりまして放送の施設の整備、災害時におきます報道体制の整備など、放送事業者側の災害対策の整備の促進に役立つもの、そのような考えでございます。
#79
○佐藤昭夫君 いろいろお尋ねをしたんですけれども、特にとりたてて問題になることが過去にあったというわけではない、またこの条項を新設することによってやられておることが特段変わるというものでもない、条文にこれこれ「その他」と出ておるけれども「その他」というのは何も念頭にあるわけではない、こういう形で一体なぜこういう法改正を提案をするのかということについてはますます理解ができないということがいまの応答によってはっきりしてきたと思うんです。
 そこで、大臣、よくお聞きをいただきたいと思うんですが、憲法と放送法は、政府、国家権力が放送の番組編集に介入することをかたく禁じておるわけでありますけれども、それは、戦前のマスコミが国家権力によって動かされて侵略戦争に国民を動員していくために使われたという苦い反省の上から、こういう今日の憲法、放送法というものがつくられてきたと思うんです。ところが、今回の災害放送の義務づけというこのことは、放送の番組編集の内容にかかわる問題でもあって、こうした憲法と放送法の根本精神に結局抵触をするという問題だと言わざるを得ないわけです。
 そこで、参考人にお尋ねをいたしますが、いま私が申し上げておるような立論、同時に、政府からのいろいろな答弁もありましたけれども、そういうこともお聞きになっておりまして、参考人としてはこの災害放送の規定についてどういう御意見をお持ちでございますか、お聞かせをいただきたいと思います。
#80
○参考人(隅井孝雄君) 私は、今回の放送法の改正案の中にございますいわゆる災害条項というものに関しては、これを新設することに反対の意見を持っているものでございます。
 もちろん、私は放送局が災害放送に取り組まなくていいなどということを申し上げているのではなくて、当然、災害が発生した場合には放送局ですから全力を挙げてこの取材、報道に当たるべきだ、それはまさにいまおっしゃられたような放送局の社会的な責務だというふうに思います。もし、そういうことを法律がないからといってやらないような放送局があれば、それは当然世論の批判を浴びるでしょうし、世論の批判だけじゃなしに、内部に労働組合がございますから、経営者の姿勢というのは内部からも批判されるでしょう。しかし、どうするかということについては、あくまでも報道機関の自主的な報道活動として展開されるべきだというのが私の考えでございます。
 災害対策基本法に基づいてやらなければいけないこというのがあるとすればそれは別ですけれども、それ以外の部分で行政機関の指揮とか、命令とか、あるいは法律的な措置による強制とか、そういうことによって災害の放送、報道に携わるというふうなことがあれば、それは放送局の自主性とか報道の自由の確保という、放送法の第一条にそういう規定もあるわけですが、放送の自律性、自主性、放送の自由の確保という概念、規定と相反することになるんだというふうに考えるわけです。
 もう一つ、私が懸念いたしますのは、この条項がある意味で拡大解釈をされて治安維持への放送局の協力を求めるというものに転化されはしないかというふうなおそれを持っておるわけであります。ちょっと古い話で恐縮でございますが、一九六六年三月に放送法の改正案が提案をされて、国会で審議をされて、結果的には審議未了、廃案になったといういきさつを持っております。そのときの条文で、「放送事業者は、災害その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合には、生命、身体若しくは財産の保護又は秩序の維持に役立つ放送をするように努めなければならない。」という条文がございまして、これは当時真っ向から賛否分かれまして、このことも一つの原因になって、これは治安放送の強制じゃないか、義務化じゃないかというふうな意見が出まして、そのことも一つの原因となって放送法改正が成立をしなかったというふうに私は私の体験から記憶しておるわけでございます。
 災害対策基本法で放送局、放送電波のやるべき定めが幾つかあるようでございますが、そういうことに明記されているわけですから、放送法でこの条文を入れるというのはやはり理解に苦しむところだというふうに言わざるを得ません。百歩引き下がって、もし条文があると仮定して、災害の発生のおそれというのをだれが認定するのかという問題はどうなんでございましょうか。それから予防とか被害の軽減に役立つ放送をすると言うんですが、だれがそういう決定を出すのかという問題も明確にはなっていないというふうに思います。もし、あるお役人さんかなんかがこの条項を盾にして、たとえばおまえのところはかくかくしかじかしろというふうな命令をするというようなことが起これば、これは放送への介入になるわけだし、そういうことがないという保証がこの条文の中では私はないというふうに思わざるを得ません。
 いろんな問題が、実務的にもこの条項を入れることによって発生をいたします。そのいずれもが、先ほど申し上げたような放送の自律とか報道の自由という問題と密接にかかわってくるだけに、ぜひこの災害条項を新設するかどうかということは慎重に審議をしていただいた上で結論を出していただきたいというふうに思います。結論を申し上げれば、私どもはこの条項が新設されることは非常に大きな問題なので反対だというふうに申し上げさしていただきたいと思います。
#81
○佐藤昭夫君 どうも参考人、いろいろとありがとうございました。お引き取りいただいて結構でございます。
 それでは次に、難聴者向けの字幕入り放送について幾つかお尋ねをいたします。
 まず最初に、この実施時期の見通しでありますが、NHKはいつから始めるつもりなのか、これはNHKからお答えをいただきたいと思います。
 それから、同じ質問ですので続けてですが、民間放送の関係ですけれども、四月の衆議院の逓信委員会で民放連の泉専務理事が、民放連の場合は経営上の問題もあってコード方式でなければ文字多重放送は実施しないというふうに述べられておりますので、こういった点にもかかわって民間放送の場合の実施見通しについてはどう考えているか、これは郵政省の方から。それぞれお答えいただきたいと思います。
#82
○参考人(坂倉孝一君) この文字多重放送を本格的に実施するということにつきましては、これはいまここでこの改正案の御審議がなされているわけでございまして、これが成立をし施行されるということになりますと、その後いろいろその必要な省令等の整備がなされまして、それに基づいて放送局の免許申請ということが行われるわけでございますので、そして免許を得る必要があるというわけでございますので、NHKの立場からはこれがいつから実施ができるというふうなことを申し上げる立場にはないわけでございます。ただ、私どもといたしましては、公共放送としてこれまでいろいろ技術的な面あるいは番組制作的な面で研究はずっと続けてきているというわけでございます。
#83
○政府委員(田中眞三郎君) 文字多重の実施時期の見通しでございますけれども、先ほどからお話の出ておりますように、聴覚障害者からの早期実施の強い要望もございますので、できるだけ早い時期に実用化したいと私ども考えております。改正法は、ただいま御提案しております法が成立した場合には、技術基準の制定、関係政省令の整備など早急に詰めたいということでございます。なお、実際に文字多重放送を利用した字幕放送等が行われますためには、放送事業者の側でのいろんな番組の準備あるいは勉強、あるいは専門家の養成、あるいは受信機メーカーの製造販売体制が整うという必要もあろうかと思いますけれども、今後約一年以上はかかるであろう、このように考えておる次第でございます。
#84
○佐藤昭夫君 NHKの方からの御答弁としては、関係機関といろいろ連絡、協議をしつつも、いつから実施できるというその見通しが立っているわけじゃないということでありますけれども、どうもちょっと心弱い、そういう感じがしてならぬわけですね。
 具体的に、その実施に向けての肝心のたとえば難聴者の方々に喜んでもらえるようなものをつくっていく、こういう方向に向けて難聴者団体、そういうところといろいろ意見交換をする、そういうことなんかもひとつやるつもりがあるのか。あるいはすでにこの試作品をつくったとも聞くわけですけれども、そういうものを難聴者の人たちに見てもらって意見をよく聞くということなんかをやるつもりなのか。今後のいろんな諸会議ですね、そういう諸会議に難聴者の団体関係者、そういう人にも加わってもらって、よく意見を酌み取って喜ばれるものをつくっていくという、こういう方向で努力をなさるつもりがあるのかどうか。この点はどうですか。
#85
○参考人(坂倉孝一君) いま先生の御指摘の点につきましては、NHKとしては公共放送という立場からこれまでも特にこの聴力障害者の方々に向けての番組というものは努力をしてきておりますし、現に「聴力障害者の時間」といったようなものも毎週設けてやっているわけでございますけれども、今度のこの文字多重放送につきましても、技術的な機器の開発の方は総合技術研究所の方で長年にわたって研究を進めてまいりましたと同時に、放送文化研究所におきましてもこの番組制作につきましてそういう多面的な基礎研究というものは積み重ねてきているわけでございます。そういった研究の実績を踏まえまして、すでに現場におきましても、こういう制作の方のプロジェクトを設けまして、そこで、いま先生お話のございましたようないろいろテスト番組の試作というようなものにも取り組んで実施に向けての努力を続けているわけでございます。
 いろいろ聴力障害者の方々の御意見等を十分参考にするかという点につきましては、これはこれまでも、先ほど申し上げましたような「聴力障害者の時間」というような放送につきましても、番組改定の前には必ずそういう方々と十分に意見の交換を行いながらやってきているわけでございますし、当然この文字多重放送につきましても、そういった方々の御意向というものを十分聞きながら取り進めていくつもりであるわけでございます。
#86
○佐藤昭夫君 さらに、この放送法改正案に関係をして、いわゆるこの第三者利用の問題にかかわっての告知放送の問題とか出資の問題とか等々、いろいろだだしたい問題がたくさんありますけれども、ちょっと全体の時間の関係がありますので、少し順序を変えまして電波法改正案、これに関する問題を先に質問をして、もし時間が余れば、もう一遍放送法の問題に戻りたいと思います。
 電波法改正案については、その内容は大筋賛成するものでありますが、どうしてもただしておきたい問題として、先月の十五日、衆議院の逓信委員会でわが党の村上委員が指摘をし調査を要求しました明らかに電波法違反と思われるいわゆるマルシップに関連する問題、これを私もお尋ねしたいと思いますが、村上委員は、海上における電波行政の体制が本当に十分か、その一つの例として、通信士が乗下船する際の選解任届の実態について触れて、その具体的あらわれとして韓国人の通信士が日本の郵政大臣が免許を出した船舶無線局に従事している、こういう事例を示してその厳正な調査の要求をしたわけでありますが、まず調査の結果について、長い答弁にならないように、ポイントをひとつお示し願いたいと思います。
#87
○政府委員(田中眞三郎君) 調査御依頼を受けましたのは、三十六隻の船舶局があったわけでございますけれども、そのうち十五局につきましては正規の無線従事者により運用されていると認められます。また十五局につきましては、すでに外国への売船等によりまして廃止されております。残る六局でございますけれども、適正な無線従事者が配置されていないというふうに私ども見ておる次第でございます。
#88
○佐藤昭夫君 六隻について適正な要員が配置されていないという、その六隻の会社名、それから船の名前、これを念のため、ひとつ言うてください。
#89
○政府委員(田中眞三郎君) 竹林汽船株式会社所属の来島丸、玉姫丸、登陽丸及び博陽丸。この博陽丸というのは、イタリアのジェノバ港で落雷のため火災を起こしたものでございます。それから晋久汽船株式会社所属の富陽丸並びに日洋汽船株式会社所属の「すい一りん」。この六隻でございます。
#90
○佐藤昭夫君 その六隻の会社名と船名のいま報告があったわけでありますけれども、その中の晋久汽船と竹林汽船、これは調べてみますと住所も電話も同じなんですね。だから、そういう点で六つのうち事実上五つ、これが竹林汽船の系統だということがはっきり言えるわけでありますけれども、そもそも三年前の衆議院の委員会でわが党の藤原議員の質問以来この問題を共産党が取り上げてきていますのは、船舶通信士労働組合からいろいろ御意見を伺っている中で、海上通信をめぐる行政上の不十分な面の一つの典型例としてこういった選任届が大変ずさんな形になっているという話を聞いてきた。そこで郵政省にこの問題を提起してきたわけでありますけれども、いや、きちっとやられていますという答弁が繰り返されながら、しかし実際はいまいよいよはっきりしてきたようなこういう事態になってきているわけですね。ここらの、いや、きちっとやられておりますと、こう言いながらなぜこういうことになったのか、この点についてはどういうふうに考えていますか。
#91
○政府委員(田中眞三郎君) この船に乗る要員につきましては、私どもの所管になっております無線通信士の者のほか、船を動かすためには機関要員、船長等いろいろあるわけでございますけれども、いわゆる船に乗ります必要要員に対します対応の仕方が、いわゆるマルシップというものに対する対応が、従来考え方の違いが出ていたのではないか、そして現在御提案申し上げておりますSTCW条約等に基づく近代の操船上の矛盾の解決というような形で、今後はそうした問題も少なくなるというふうに理解しておるわけでございます。もうちょっと別の言い方で申しますと、船舶無線通信士の場合、往々にして混乗といいますか、外国人の船長なり機関長あるいは乗組員の中にただ一人乗り込まざるを得なかった、日常生活上大変にやりにくいというような、そういう生活上の問題もあったやに聞いておるわけでございます。先ほど申しました選解任届等につきましても、ああした船に乗っておりまして、しばらく生活するとどうも混乗に耐えられないというようなことで下船したというような事実もあるように聞いておるわけで、そうした事実からいま申し上げましたようなふうに判断したわけでございます。
#92
○佐藤昭夫君 私どもが問題を提起しますと、いや、そんなはずはありません、きちっと選任届は出ているはずです、こう言いながら、しかし実際はそれをきちっと確認をしたわけじゃない、フリーパスというか、めくら判パスというか、こういう形になっていた。しかし、それがはしなくも露呈をしてきたということで、この竹林汽船の博陽丸の問題にしましても、昨年の七月十二日のあの火災事故があったからいよいよもって紛れもなくそこにどういう人が乗っておったかということが白日のもとに出てきたということであって、火災がなければ恐らくいまのいままでわからぬままで来ておったということじゃないかとさえ言わざるを得ぬわけです。
 しかも、いまの御答弁によりますと、大体船長以下みんな韓国人で、日本人が一人だけ通信士というので、いろいろ集団生活のやりにくさからおりたんだと。そうじゃない。船長は日本人だったということが新聞の報道でも出ておるわけですね。ということで、そういう説明というのは、恐らくあなた方の方がどこかから聞かれた説明だろうと思うんですけれども、その説明自身も間違っているということで、七月二十三日に郵政省が直接出かけて事情聴取をしているわけでありますけれども、その前日の朝日新聞に「通信士名義 無断で借用?」という大見出しで報道をされ、問題のこの竹林汽船が姫路市の船舶通信士の方の名前を勝手に使っていた疑いがあることが報道をされているわけです。
 この記事の中で、この通信士の方が検査官に、乗船は一日限りである、こう言って一緒に下船したとなっているのを郵政省にただしたところ、そんなことはあり得ないと言っているんですけれども、そこで再度私どもがいろいろ調べてみますと、聞いたところでは次のような話でした。住友金属の沖合いに停泊中の博陽丸にランチで行ったところ、近畿地方局の検査官が来た。たまたま韓国通信士もおり、双方確認をした。検査官は、それでは困ると言って、おかの事務所の方に行って話をした。会社の方は改善すると言っていた。そういうことなので別の通信士が乗るものと思い、その日は帰った。これが実際なんであるわけです。しかも重大なことは、この竹林汽船の、さっき言いました六つのうち五つまで、こういう持ち船すべてが、単にこの博陽丸一つだけじゃない、すべてにわたって電波法違反のそういうことが横行をしているんじゃないかという、このことに疑いを持たざるを得ないわけですけれども、すべてについてよく調べましたか。
#93
○政府委員(田中眞三郎君) そうした件につきましては、前々からいろいろ指摘もされ、また委員会でもお話もあったわけでございますけれども、私どもやはり検査に行きました場合に、ちゃんと本人がおりまして、郵政大臣の免許を受けた証明書も提示されるということでございますので、基本的に信ずるわけでございます。ただ、いま申しましたような特殊な事例につきまして、五隻もあるというようなことでございまして、私どもとしては要注意ということで今後とも常に注意すべき問題とは思っておりますけれども、一般的に申しまして、やはり検査に参りましたときに、当人がおり、写真をつけた証明書を持って提示ということになりますと、本当に出航までその人が乗っていくのかどうかというところにつきましては、このような特に注意すべきものについてはそういうことも必要かと思いますけれども、一般的にはそういうところまではやっていないということでございます。
#94
○佐藤昭夫君 一般的に信じています、そう言いながら、しかしそれとは全く違った状況が起こっておったということが露呈をしたわけでしょう。私どもが言っているのは、博陽丸という一つの例だけじゃないんじゃないか。同じ会社の所有の船が幾つかある、そういうところについても同じようなずさんなことが、あるいは法違反、単なるずさんで済まない法律違反ともいうべきそういう問題が横行をしているんじゃないだろうか、同じ会社だから。だから、その点を徹底してこれを機会に調べる必要があるのじゃないかと言うんですけれども、ひとつ、この点は大臣よく考えていただきたいと思うんです。
 そもそも、こういう事態を生み出すもととなっているのは、今日のもうけ優先の海運行政、ここにあるんじゃないかというふうに思いますし、この中でマルシップを是正するための一連の国内法整備、これがやられてきている、このことも評価しないわけではありません。しかし、そういう国内法整備をやりながら、果たして厳格にそれが執行される、そういうことで進んでいるかどうか、ここが問題なんであるわけであります。いわば電波以外は一切の通信が途絶をするという海上交通、ここにおいて無線電信の果たす役割り、無線通信士の存在意義というのは非常に大きなものがあると思うわけでありますし、そういう海上の安全を守るという立場からも、郵政省としては不断にこの無線通信士の役割り、位置づけ、これを高めるような努力が今日ひとしお重要になってきているんじゃないか。こういう点で悪質な違反をしている船会社に対しては厳正な処分を行う、そしてこのような見地から運輸省に対しても主張をすべき点はひとつ郵政省の側から提起をしてもらって、相協力をしてそういう海上安全を守るというこの立場からもきちっとすべき問題はきちっとする、こういうことではっきりやっていただきたいというふうに思うわけですけれども、こうした点で大臣の明確な答弁を求めたいと思います。
#95
○国務大臣(箕輪登君) 先生のお話を聞いておりまして、私は事実関係を余り知らなかったのでありますが、政府委員の答弁等を聞いておりまして、こういう違反事項については、もちろん海上交通の安全からいっても重要な問題でございますので、運輸省船舶局等とも綿密な連絡をとりながら厳正な対処を行っていきたい、こう考えます。
#96
○佐藤昭夫君 ぜひひとつ厳正にやっていただきたいというふうに思います。
 それでは、もう少し時間がありますので、もう一回放送法の問題に戻って、時間の範囲内質問を許していただきたいと思いますが、さっきもちょっと触れておりました第三者利用にかかわっての告知放送をめぐる問題です。
 ずばりと聞きますけれども、四月十四日の衆議院の逓信委員会で田中電波監理局長は、NHKの施設を利用する第三者のコマーシャル挿入を認めるかどうかの質問に対してこういう答弁をなさっている。「たとえば国の告知業務的な内容のことを多重情報として流しまして、それにふさわしい対価を得るというようなことはあろうかと思います。」と述べて、農林省の米やミカンの例まで挙げておられるわけでありますが、コマーシャルを行う第三者にNHKが貸すかどうか、国の告知放送を行う第三者にNHKが貸すというのはこれはきわめて重大な問題じゃないか。局長は一体どういう法律に基づいてこういう番組内容を示唆するような発言までされたのか、一例として例示するには余りにも重大な引用じゃないかというふうに私は思うんです。どういうコマーシャルにするか、これは基本的にはNHKの第三者が決める問題、それを郵政省の局長が、たとえばこういうことがありますよということまで例示をして、こういうことを発言をされるという、これについてはきわめて不穏当じゃないかというふうに私まず思うんですが、その点どうですか。
#97
○政府委員(田中眞三郎君) NHKの第三者利用のあり方でございますけれども、まず最初に、NHKの第三者としてどういうものがふさわしいか。受信料によって成り立ちますNHKの放送設備を利用するものでございますので、NHK自身の業務に支障を与えるようなものであっては困る、また国民の共通的理解の上に立っております受信料徴収に悪影響を与えてはならない、そうした観点から十分に配意した第三者を選ばれるべきであろうというのが基本でございます。
 ただ、財源についてでございますけれども、たとえば国とかあるいは地方公共団体等の公共的団体の有料告知、こうしたものについては、先ほど申しましたようなNHKの第三者としてNHKのチャンネルイメージを損なうものにはならないのではないだろうかというようなことで申し上げたわけですけれども、いまミカンというようなお話が出ましたけれども、そこまで申したといたしますれば、その例証については私ここで取り消さしていただきたいというふうに考える次第でございます。
#98
○佐藤昭夫君 もう一つだけ。
 坂本会長にせっかくずっとおいでいただいておるわけでありますので、最後に坂本会長にお尋ねをいたしますけれども、いまのことにもかかわって、そういう告知放送、コマーシャル放送、それがどうなるかいかんは、本来のNHKの受信料制度そのものに国民の御理解がはね返らないものでもないというようなえんきょくな表現でありますけれども、衆議院の逓信委員会でも御発言になっているわけでありますけれども、本当にそういうことにならないようNHKとしてもみずから線を引くべきところには線を引くという、こういう態度をひとつNHK自身としても明確にしてもらうということが、こういう法案が出てきておりますこういう時期でありますだけに大切だと思うんですけれども、その点の御決意をお尋ねして、質問を終わります。
#99
○参考人(坂本朝一君) 確かにこの問題は、NHKの受信料制度そのものとのかかわりの中でわれわれとして十分対応しなければならない、そういうポイントがあるという、そういう認識には十分立っておるつもりでございます。しかじ、第三者に利用させるという方向については私も賛成しておる次第でございますので、そこら辺の兼ね合いは、いま御指摘の点を十分踏まえて今後対応したいというふうに考えておる次第でございます。
#100
○委員長(勝又武一君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十三分開会
#101
○委員長(勝又武一君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法等の一部を改正する法律案及び電波法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#102
○中村鋭一君 今回のこの放送法の改正で、NHKはテレビジョンの音声多重放送それから文字多重放送を行うようになるわけでございますが、現実にはどういう番組で利用することをいま考えていらっしゃるんですか。
#103
○参考人(坂倉孝一君) 文字多重の番組につきましては、NHKといたしましては補完的な利用あるいは独立的な利用についてそれぞれの分野での試作番組等をいろいろつくりまして多角的に検討を続けてきているわけでございます。
 補完的利用につきましては、これまでの委員会でのいろいろお話にもございましたように、字幕スーパーをつける聴力障害者向けの番組といったようなもののほかには、たとえばスポーツ中継等におきましても必要な人にはそのルールが出たりあるいはデータが出たりといったような、そういう関連したデータ等が出る情報というようなものも考えられるのじゃないかというふうに考えているわけでございます。
 それから独立的な利用につきましては、これはやはり、先ほどもいろいろお話ございましたけれども、この文字多重放送としての特色といいます随時性といいますか、あるいは選択性、それからハードコピーといったようなこと等も加えれば記録性といったようなものもございますので、そういう文字放送の特性を生かすようなもの、中身といたしましては、ニュースであるとか天気予報であるとか、あるいはいろいろ経済上の情報であるとか、あるいはさらに趣味、レジャー、そういったようなもの等が考えられるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#104
○中村鋭一君 現実、具体的にその番組の編成はつくっておられるわけですか。
#105
○参考人(坂倉孝一君) 試作的につくっているという程度で、編成的にどういうふうな形にしていこうというような形の検討まではまだ入っているわけではございません。
#106
○中村鋭一君 民放にも免許を下すことになると思いますが、その点いかがでございますか。
#107
○政府委員(田中眞三郎君) そのとおりでございます。
#108
○中村鋭一君 このNHKのテレビ多重放送の実施主体はNHK以外の第三者にする道も開かれているわけですけど、第三者に実際としてやらせるわけでございますか。
#109
○政府委員(田中眞三郎君) そのように考えております。
#110
○中村鋭一君 その理由は。
#111
○政府委員(田中眞三郎君) テレビジョン多重放送というものを考えてみました場合に、その性格上電波のすき間を使うものであるというようなことで、本来のテレビジョン番組を補充する意味及びNHK自身が独立的な形でやる内容のもののほか、考え方としましては、情報の多元化という考え方、それから電波の有効かつ公平な利用を図るという考え方、その二つからNHKにつきましてもまた民間放送事業者につきましてもその設備を第三者に、契約等あるいは話し合い等によりましてそうした道を開くのが適当であるという考えのもとに、ただいま御審議いただいているような内容の法案の改正を御提案申し上げておる次第でございます。
#112
○中村鋭一君 NHKの多重放送の場合、その第三者にやらせる資格要件といいますか、それはどういうものを考えておられますか。
#113
○政府委員(田中眞三郎君) NHKの第三者でございましても、やはり一般放送事業者と申しますか、民間放送事業者となるものでございますので、電波法令上の放送局の審査基準というものを今後考えるわけでございますけれども、そうしたものに適合しなければならないというのは当然でございます。
 それで、ただNHKの第三者はNHKの設備を借りる、こういうことで、受信料によって成り立っておりますNHKの放送設備を利用するという性質上、当然にNHK自身の業務に支障があってはならない、またNHKの基盤でございます受信料、そうした受信料の徴収への影響というようなものがあるようなことでは困るわけでして、そうしたものにも十分配意した形で第三者の資格要件と申しますか、審査というものを考えてまいりたい、このように考えております。
#114
○中村鋭一君 もう少し詳しくお伺いしたいんですが、民放の場合、多重放送の実施主体である第三者の資格要件をもう少し具体的に、どのように何をもって定めるのか、教えていただけますか。
#115
○政府委員(田中眞三郎君) 民放の第三者利用についての考え方でございますけれども、電波法令上の放送局の審査基準というものをつくりたい、このように考えておるわけでございます。多重放送開設根本基準と申しますか、そういう名前はまだ決まっておりませんけれども、そうしたもので審査基準というものを決めまして、第三者利用とした場合にちゃんとした事業が継続できるかどうか、そういうような基準、ということは、既設放送事業者との契約等々に無理がないかというようなこともあろうかと思います。もう一つ、やはりいろいろ本委員会でも御指摘いただきましたように、人的あるいは資本的に見て多重放送の場合、非常にローカル性が強いし、またそれを重視すべきであるという御議論が多いわけでございまして、そうした地域中心に構成されたような事業者であるかどうか、それからマスメディアのいわゆる過度の集中にはならないものであるかどうか、民間放送の第三者利用事業者としてもそういう審査基準が適当であろう、このように考えております。
#116
○中村鋭一君 実施する場合に、同時に行われておりますテレビ放送との相関関係といいますか、その番組内容に関連したものが求められている、このように理解してよろしゅうございますか。
#117
○政府委員(田中眞三郎君) 私どもは、多重を行います場合に、既存のテレビジョン放送事業者が文字多重を行う場合と、それから既存の放送事業者以外の第三者が既存の放送事業者と適切な契約を結びまして新しく多重放送事業を行う場合があるわけでございますけれども、私ども考えておりますのは、既設の放送事業者あるいはNHKでございますけれども、その放送番組の編集に当たりましては、同時に放送されるテレビジョン放送の放送番組の内容に関連しという形でいわゆる内容を豊かにするような補完利用番組に努めていただきたい、こういう規定がございますわけでございますけれども、いわゆる第三者自体、他の放送事業者によって行われておる番組とは関連づけては考えていないわけでございます。
#118
○中村鋭一君 今回の法改正では、放送事業者はテレビ放送とテレビの多重放送との間に関連性を持たせる、これが原則になる、こう思うんですけど。ということは、例外的にテレビの放送と無関係な多重放送が可能であるということ、いまおっしゃいましたいわゆる独立的利用、これは可能なわけですね。
#119
○政府委員(田中眞三郎君) いわゆる補完的利用の番組をできる限り多くというような規定を設けたわけでございますが、したがいまして、先生ただいまおっしゃいましたとおり、いま申しました要件を満たす限りにおきましていわゆる独立的利用も他方可能である、こういう考え方でございます。
#120
○中村鋭一君 この原則的な独立的利用はどういう場合に許されるわけですか。
#121
○政府委員(田中眞三郎君) お答え申し上げます。
 改正案の第四十四条六項でございますけれども、いわゆる補完的利用に努めるべきことを既設放送事業者の責務として決めたものでございまして、そのために補完的利用の放送番組があって、かつ同時にいわゆる独立的利用を行える余地があることが特に文字多重の場合考えられるわけでございますけれども、そうした利用もできる、このように考えておるわけでございます。
#122
○中村鋭一君 だから、どのような場合にそれが許されるかとお尋ねしているんです。
#123
○政府委員(田中眞三郎君) まず、既存の放送事業者が一Hをお使いになるわけですけれども、いわゆるパターン方式でいけば一枚百二十字程度のものが十番組程度送れるということが言われているわけでございますけれども、具体的に申しますれば、その十番組のうち二番組あるいは三番組程度が本来のテレビで行われておりますものの補完利用、たとえば料理番組ですと、その各材料の計数をあらわしたものも印刷できる、あるいは別に読み取れるというような形で送ったり、あるいは聴力障害者のためにその文字を送ったりというような形で三番組を補完的利用に使うといたしますと、残りの七番組というものは本来のテレビには直接的な関係のない独立的利用というものもあり得る、このように考えておるわけでございます。
#124
○中村鋭一君 私は、そういうテクニカルな話じゃなくて、イデアをお尋ねしたつもりなんですけれども、結構です。
 音声多重が独立的に利用されるということになりますと、どうでしょうか、既存のラジオ単営局等に重大な影響を及ぼすおそれがあると思いますけれど、大臣、この点については考慮はなさっておいでになりますか。
#125
○政府委員(田中眞三郎君) 御指摘のとおり、その辺につきまして私ども十分考える必要があると思っているわけでございますけれども、ただ、テレビジョン音声多重の場合は御存じのように同時に放送できます番組数は現在のところ一つだけでございます。そして、その利用方法としては、御存じのように既存の放送事業者が、ステレオ放送とかあるいは二カ国語放送あるいはその他の補完的利用というようなもので本来の番組を充実するというのが適当であると考える。したがいまして、一つしかございませんので、これに使いますと他の利用方法はないということになるわけでございまして、そうした意味においてはラジオ局に対する影響もない、このように考えておる次第でございます。そうした方針をとりたいということでございます。
#126
○中村鋭一君 大臣ね、ラジオの単営局はほとんどの局が配当すらできてない現状であることは御承知だと思うんですね。今回、この委員会でも論議がされておりますけれど、テレビのたとえば音声多重あるいは文字多重等々について、ラジオの単営局の皆さんからすれば、テレビ放送ばかりに日が当たって、日進月歩の技術革新の波にラジオ単営局は取り残されて、しかも文字多重等が現実の日程に上って実施されることになりますと、それも独立的利用されるということになりますと、音声だけをテレビ局が取り出してやることは、一般の視聴者からすればこれはテレビ局がラジオの波を持つのと一緒じゃないか、われわれますます経営的にも苦しくなるじゃないか、こういう声があるわけなんですね。したがって、ラジオ単営局の皆さんは、ラジオ単営局にもひとつぜひFMの波を認めてもらいたい、こういう意見を再三郵政当局にもお出しになっていらっしゃることは御承知だ、こう思いますけれども、その点について大臣の御見解をお聞かせ願いたい、こう思います。
#127
○国務大臣(箕輪登君) 中村先生御指摘のとおり、ラジオ単営局が、比較的よくやっているところもありますが、経営的になかなか大変なところもあることは十分私も承知をいたしております。また、単営局の方々がFMをやりたい、あるいは単営局の方々がテレビをやりたいというような声も聞いております。そうした中で、そういう声を聞きながら、今後もFMのチャンネルプラン等をつくる際に十分そういう声を配慮しながら、また地域の経済性とかそういうことを加味しながら検討してみたい、こう考えているところでございます。
#128
○中村鋭一君 FMは、各地において多くの免許申請が出され、従来から当委員会においても何回もお尋ねし、免許を与えられているところもありますし、開局が予定されているところもあるわけですけれども、AM局、いわゆる中波の局の経営者や社員の皆さんがこういった谷間に取り残されて、われわれは一生懸命努力をしているのに、そしてまた大きな影響も与えているのにかかわらず、NHKと民放のテレビ局と新しく開設されるラジオのFM局にばっかり日が当たって苦労をしているんだ、そういう意識を持っていらっしゃることを郵政大臣初め当局にも十分にひとつ御認識を願って、たとえば文字多重放送等につきましても、これが現実に実施された場合、特に既存のAM局に影響を与えないような、この人たちを十二分に救済し得るような手段を講じつつ、技術革新の波を国民のニーズにこたえる形で日本全土に及ぼしていただきたいということを要望しておきた
 と思います。
 技術的な進歩でほかのいろいろな形の多重放送が可能になった場合、どうでしょうか、NHKに実施させる以前に民放にこれを許可する、実施させるということは考えていらっしゃいますでしょうか。
#129
○政府委員(田中眞三郎君) 今回の法改正では音声多重と文字多重に限ったわけでございますけれども、今後、実用化が可能となるいろんなニューメディアが考えられておるわけでございますけれども、そうしたものの実施をNHKにどこまで認めるかということにつきましては、国民の要望あるいは放送の普及発達に役立つかどうか等の点を総合的に勘案して検討する必要があるというふうに考えております。
 なお、新たな多重放送の新規サービスについては、NHK、民放を問わず、そういう区別よりも、その都度必要に応じて実用化の推進を図るための措置というもの、またそのメディアの特質に応じた措置が必要であるだろう、適宜対処していく必要がある、このように考えておる次第でございます。
#130
○中村鋭一君 NHKとそれから一般放送事業者に対しては、郵政省はいわゆるテレビ放送設備利用計画、これを提出させるわけでございますが、具体的にこの利用計画にはどういう事項を記載することになっておりますか。
#131
○政府委員(田中眞三郎君) ただいま考えておりますのは、まず、その事業者が多重についてどのような整備計画を持っているか、あるいはそれを使いましてテレビ事業者自身で行うたとえば文字多重の実施計画予定、それから第三者への貸付計画、あるいはどういう性質の第三者からアプローチがあったか、契約ができかかっているかどうか、貸付予定等というようなものを考えておるわけでございます。
#132
○中村鋭一君 ということは、それをもとにいろいろとチェックもし、また利用もされる、こう思うんですけど、どういう点に重点を置いてこの計画書を利用なさるおつもりですか。
#133
○政府委員(田中眞三郎君) 何分にも新しい業種というようなことでございますので、私どもとしてはひたすら、この取り上げました多重放送の普及というものが円滑にいくかどうか、そういう観点からお伺いしたい。そして、そうした方向に指導が役立つならばそれにこしたことはない。こういうあくまでも多重放送の普及に役立つかどうかという観点から判断してまいりたい、このように思っております。
#134
○中村鋭一君 どうですか、電監局長、実際に多重放送は普及すると思いますか。本当に、あなた、国民の皆さんがこの多重放送の早期実施をもろ手を挙げて歓迎すると思っていらっしゃいますか。
#135
○政府委員(田中眞三郎君) 大変むずかしい御質問でございますけれども、関心の度合いというようなことで、結局、直接関係する方は既設の放送事業者、NHKを含みましてそういう方々、それから特に文字を使うというような意味でいわゆる新聞、新聞も中央紙及びローカル紙がたくさんございます。そうした自分たちがすでにやられております新聞紙の延長という方々、あるいはこうしたものによりましてアダプターその他受像機の売れ行き等への関心を持っておられるメーカーの方々、いろいろその立場立場によりまして少しずつ規模と取り組みは変わるかというふうに思っておりますけれども、私どもといたしましては、せっかくこうした種類のメディアが使えるということになりましたので、そうした方向でいろんな工夫なり過程を経るであろう、それが爆発的なものなのか、かなり時間がかかるものなのか、非常にただいまの時点において予測することは困難でございますけれども、私どもといたしましては、せっかくのものでございますから、創意と工夫によりまして、やはりよかったのだなという形になることを希望いたしておる次第でございます。
#136
○中村鋭一君 ラジオが誕生して、それから戦後、日本でもモノクロームのテレビ放送が始まりましたね。これは革命的なことであったと思いますし、それが皇太子の御成婚を契機に今度はカラー化されて、いまや全国津々浦々にカラーテレビ受像機を持っていないところはないくらいになりましたですね。このインパクトと、今回こういったたとえば文字多重とか音声多重が現実に視聴者のサービスに供されるということのそのインパクトの差みたいなもの、私はやはり、いわゆるテレビが出現するあるいはそれがカラー化するというインパクトと、今回文字多重、音声多重が実用に供されるということとは大分開きがあるように思うんですけれど、郵政大臣、この点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#137
○国務大臣(箕輪登君) お尋ねの件につきましては、私も、どの程度利用され、どの程度発展するかということについてはちょっと予測がつかないのでございますけれども、もしも第三者利用を許されるならば、ぜひその第三者の放送事業者になりたいと考えている人方が私に申し述べているところを申し上げますと、将来、若干時間はかかるだろうけれども、かなり事業としては希望を持てるおもしろい事業だ、こういうことを言っておりますので、私はそうかなと考えているところでございまして、確かにカラーテレビあるいはモノクロのテレビが初めて出たときと比べてどうかという感じはするのでありますけれども、それを専門に考えている人方が以上のようなことを申し述べておりますので、私もなるほど考えてみれば、利用分野というものがかなり広くなりますから単に耳の不自由な方だけではなしに大きな期待をかけられる産業に発展するのかな、私はそのように考えております。
#138
○中村鋭一君 NHKの会長、いかがですか。NHKとしては一刻も早く視聴者の皆さんに対するサービスとして、音声多重はすでにやっていらっしゃいますけれど、文字多重も実用に供したい、それが国民の挙げて刮目かつ渇望しているところである、このようにNHKとしては理解をしておいでですか。
#139
○参考人(坂本朝一君) 経営の責任を持つ者といたしましては、やはりこういう技術革新に対して無関心でいるということは私は許されないのではないのか、どういう技術革新であれ、その技術革新にかなり積極的に対応するというのがNHKをお預かりする責任者の姿勢であろうというふうに基本的には考えております。
 ただ、現実の問題となって、しからばこの文字多重放送をどういうふうに発展させていくかということは、これはまたいろいろと問題がございますから慎重に対応しなければならない。一刻も早くといういまの先生の御指摘に対しては十分慎重に対応すべきであろうというふうには考えておりますけれども、決して消極的ではなしに積極的に対応すべきであろう。午前中の委員会でも御指摘のございました聴力障害者等の方々に対するサービスなんというようなものは、公共放送のNHKとしてやはり考えていかなきゃならないテーマの一つであろうというふうに考えておる次第でございます。
#140
○中村鋭一君 ということは、いま会長も、技術革新、これを無視することはできないとおっしゃいました。しかし、私考えますのに、この音声多重にしても文字多重にしても、はっきり申し上げて、たとえば金もうけの手段としてこれをやればもうかるだろう、そういう推測に基づいて、かつ技術革新の波に早く乗ってしまいたい、いわばバスに乗りおくれたくない、そういう観点が先走りをして、本当に国民がこれを待っているのかどうかということについては私は疑問を持たざるを得ないわけですね。とすれば、拙速よりもむしろ慎重にこのことに対処していく。たとえばパターン方式がいいのか、コード方式がいいのかということについても十分慎重に対処をして、万全の体制ができ、国民も、ああ、すばらしい新しいメディアができたんだなと十分に受け入れる余地ができてからこれを実施した方がいい、私はそのように考えているものでありますが、局長、この多重放送の免許条件を逸脱したときは罰則等は考えておられますか。
#141
○政府委員(田中眞三郎君) 免許条件を逸脱したときというお尋ねでございますけれども、テレビジョン多重放送を行います放送事業者も一般放送事業者として放送法上の規律を受けるべきであるというのが私どもの考え方でございます。したがいまして、そうしたものに違反した場合には形式的には法違反ということで、電波法七十六条にそうした規定がございますけれども、いわゆる運用停止処分等の行政処分を行うということも形式的には可能であるというふうに考えますけれども、違反の内容が問題かと思います。つまり放送番組編集の自由にかかわるというようなことになりますと、その取り扱いというものは特に慎重にやるべきである、具体的なケースに応じて慎重に検討してまいりたい、こういう考え方でございます。
#142
○中村鋭一君 繰り返しますけど、私は、こういった文字多重、音声多重は本当に慎重にやっていって、国民のニーズが高まったところで完全に自信を持ってから実施をした方がいいという、そういうまず前提を申し上げて少し技術的な質問をさしていただこう、こう思います。
 電波技術審議会でパターン方式については答申がございました。目下コード方式についても引き続き審議が続けられている、こう承っておりますが、このコード方式に関する技術基準の答申が出るまでにどれぐらいかかると考えていらっしゃいますか。
#143
○政府委員(田中眞三郎君) ただいま先生がおっしゃいましたように、電波技術審議会で五十五年以降このコード方式についての特に表示方式あるいは誤り訂正方式等の基本パラメーターの御検討を願っておるわけでございまして、私どもとしましては、その先生方ができる限り早く結論をお出しいただきたいという考え方でございますけれども、伺うところでは、その立場、その先生方がどういうお考えに立たれるかによりましても多少違いましょうけれども、私どもいろいろ伺ってみて大体三年は必要なのかな、このように思っておりますが、私どもとしましては、前々から申しておりますように、電波技術審議会の学者先生方あるいは関係の専門の方々からできる限り早く御答申をいただければその時点で考える、こういうことでございます。三年というふうに考えております。
#144
○中村鋭一君 いま三年とおっしゃいました。局長ね、それは十二分に御存じだと思いますけれども、いま世界の大勢は、文字多重に関してはコード方式を採用していますね。これはアルファベットですといわゆる文字ROMがすでにできているということもあるかもしれませんが、現実にヨーロッパではコード方式を採用しているわけですね。コード方式の利点を、局長の理解しておられる範囲で結構ですから、言っていただけますか。
#145
○政府委員(田中眞三郎君) まず、情報量が非常に豊富であるといいますかスピードが速い、五ないし十倍程度の情報が送れる、このように私は理解いたしております。
#146
○中村鋭一君 それだけですか。ほかにもっと利点はございませんか、パターンと比べて。
#147
○政府委員(田中眞三郎君) 私は、その程度に理解いたしております。
#148
○中村鋭一君 いまおっしゃったように待ち時間、つまり自分の欲しい情報を得られるまでの待ち時間がパターンと比べて十分の一ぐらいですね。その一点だけ取り上げても、何で先にパターンを認めてコード方式の採用をちゅうちょしておられるのか、その辺がちょっと理解しがたいんですが。
#149
○政府委員(田中眞三郎君) 私どもは、採用をちゅうちょしておるというよりも、将来形式といたしましては、コードとパターンの両方特徴がございまして、それぞれが共存形式になるというふうに考えておるわけでございまして、コード方式の採用をためらっているというようなこととはちょっと違うと思っております。どういう内容のコードを決めるのか、コードは当然入ってくる、このように理解しておるわけですけれども、どういう内容の基準に決めるべきか、まだ電波技術審議会の、私ども常に新しいものを採用する場合にはここの場にお諮りしておるわけでございまして、そこからお出しいただく、それを待っておるということでございまして、見通しといたしましては、パターンとコードそれぞれ特色があり、両方が併存する形になるのかな、それからまた、ここ二、三年なりの審議におきましてコードオンリーでいくべきであるというような技術審議会の御答申が得られれば、私どもとしましてはその内容をよく勘案いたしまして、そのとおりだということになればそれを採用するわけでございます。たまたまパターン方式というものが、日本の象形文字といいますか漢字というようなことで、それに現時点においてこれでいいでしょうという電波技術審議会の基準が決まっておるということで、それがいま時点だと採用できるということでございまして、私どもはコード方式を拒否しているわけでもないし、当然それぞれの特色があり、いわばコンパティビリティーと申しますか、併存された形になるのではないだろうか、こういうふうに理解いたしておるつもりでございます。
#150
○中村鋭一君 私、素人でございますので、いまの御説明がどうもよくわからないんですけど、コード方式の一つのデメリットとして、パターン方式に比べて膨大な数のいわゆるリード・オンリー・メモリー、ROM、漢字発生装置を各家庭の受像機に取りつけなければならない、この費用の負担の問題が一つあると思うんですよ。それからもう一つは、いわゆる字が化けるといいますか、誤字、脱字等がパターン方式に比べて出やすい、私はこれまでコード方式の欠点としてはそういうものを取り上げておられたと思うんですが、その点についてもう少し補足の説明をお願いいたします。
#151
○政府委員(田中眞三郎君) 私も、先生がただいまおっしゃいましたような範囲内の認識でございます。たとえばLSIというものが非常に大量に要る、ただし、これにつきましては非常に速いテンポでコストもダウンされておる、こういうようなことも聞いておるわけでございます。
 それから字が化けるということがある。パターンについては似つかわしい形で、ちょっとおかしいなという形に出るわけだけれども、コードの場合は全然似ても似つかないものになり得るポシビリティーがあるというようなことを聞いておりますけれども、それは結局先ほど申しました五倍ないし十倍のスピードというものをその半分ぐらいにして、その分を誤字訂正に使えば三倍ないし七倍ぐらいのスピードの犠牲でやれる、このようにも考えておるわけでございます。
 それで、ハイブリッドという形ですけれども、いろんな、たとえば一Hで十種類ぐらいの番組があるというわけですけれども、この十のうち、ある番組はパターン方式で送りましてほかの番組はコードを適用する、こういうようなハイブリッド方式もあり得るそうでございます。また、一つの番組、たとえばニュースならニュースですけれども、そのニュースを文字で送る場合に、ある少し複雑な場面につきまして、あるいは数字等が入っておりまして非常に間違えるとぐあいが悪いようなものについてはパターンで送りまして、あと、それほどでないというか、重要でないと言ったらおかしいですけれども、多少化ける可能性があっても大丈夫だというようなものについてはコード方式でスピードを上げて送る、こういうハイブリッド形式もあるやに聞いておるわけでございます。
#152
○中村鋭一君 あるやに聞いておるじゃなくて、実際あるわけですね。ですから、局長のおっしゃいますハイブリッド、このハイブリッドという単語の意味は、両用のとか、雑種のとか、混成の、あるいは合成、こういうような意味があるようですけど、局長の考えておられるハイブリッドというのは共用という意味のハイブリッドですか。いまおっしゃった中で、もう一遍確認いたしますが、二種共用という意味ですか。
#153
○政府委員(田中眞三郎君) そういうことでございます。たとえば白黒、現在カラーがほとんどでございますけれども白黒の受像機でも受けられる、こういうようなコンパティビリティーがあるという形で理解をいたしているわけでございます。
#154
○中村鋭一君 私の聞くところによりますと、民放で開発いたしました機器は、民放で言うところのハイブリッドというのはそういう共用じゃなくて、一つの機器で、たとえばほとんどの情報はコード方式で送れるけれども、いわゆる外字というのがありますね、たとえば一つの図式を送る、そういう場合はそこにパターン方式を使って十分でき得る、だから一つの機器の中にパターンで送り得る要素を込めた機器、これを民放ではハイブリッド、こう言っているわけですね。それを一緒にしたものをコード方式、こう民放では言っているわけでございます。それについての局長の理解は行き届いておりますか。
#155
○政府委員(田中眞三郎君) ちょっとお答えになりますかどうですかなんですけれども、私どもいままでのやり方では、常に電波技術審議会という場で技術的な御答申をいただいた上で、それをほとんどそのまま尊重申し上げて新しい方式なり何なりを決めていくという形になっておるわけなんですけれども、大変手短な言い方で失礼になるかもしれませんけれども、この電波技術審議会、特に放送の関係は四部会というところで審議されておるわけでございますけれども、ここにはNHKの方はもちろん入っておりますけれども、それと同時に、東京四社、また大阪四社、あるいは九州の技術局長、あるいは名古屋の技術局長、あるいは各大学の先生方、あるいはメーカーの方々、非常に網羅しておりまして、そうした場で十分フランクにいろんな角度からの御検討をいただいた上で、その御検討の内容を聞いて私どもは行政に反映しておるという形でございますので、民放方式とかNHK方式とかいう前に、私どもは電波技術審議会方式という形でいままでも参りましたし、今後も新しいものについては特にそうする必要があるだろう、それだけの権威と実績を電波技術審議会は十分お持ちである、このように考えておる次第でございます。お答えにならなければ大変失礼でございますけれども、御勘弁いただきたいと思います。
#156
○中村鋭一君 局長のお立場からすれば、私がどういう質問をしたって、学識経験者をもって構成した電波技術審議会というものがあり、この電波技術審議会の御答申をいただいているんですから、われわれはそれに準拠するほかはないというふうにとれますけれども、しかし電波技術審議会、あえて私申しますけれども、この構成のメンバーを見ると、なるほど学識経験者ではありますけれども、いずれもとっくの昔に現場を離れて、秒進日歩と言われております技術革新の波には少し乗りおくれている方がいらっしゃるんじゃないか、こう思うんですよ。ということは、いまから私、少し細かい話になりまずけれど、コード方式について――電波技術審議会がまずパターンでいきましょう、それからコード方式にはたとえばROMの費用の負担が高くなる、あるいは誤りが多い、こうおっしゃることがいかに誤りであるかということを申し上げてみたい、こう思うんですけれど。
 これをちょっと見ていただきたいんです。(資料を示す)これは民放で実験をしたパターン方式とコード方式の実際の受像の写真であります。ちょっと見ていただきます。
 委員長、よろしゅうございますか。
#157
○委員長(勝又武一君) どうぞ。
#158
○中村鋭一君 こちらがパターン方式ですね。こちらがコード方式です。非常に雑音の入る状況が上で、もっと雑音の強い非常に悪い状況の受信状況が下であります。こちらがパターンです。こちらがコードです。局長、見てください。コード方式です。こちらはパターンです。従来からこの委員会でコード方式は字が化ける、誤りが多いとおっしゃっておいでですけど、これほど雑音の多い状況で受信してどちらが化けていますか。どちらの受信状況がいいですか。もう答えは明らかだと思いますが。
 局長、その写真を見て御感想をひとつお教え願います。
#159
○政府委員(田中眞三郎君) ただいま先生からお示しいただきましたコード方式とパターン方式の状況二つございます。条件が、受信状態のかなり悪いところとさらに悪いところという形で、二つと申しますか、四つのモデルをお示しいただいたわけでございますけれども、この絵で見る限り、先生がただいまおっしゃいましたように、パターン方式の方がコード方式よりもかなり悪く出ております。ただ、こうしたものにつきまして、どういう条件、どういう場所、どういう距離、どういう送りの状況で、あるいは受信の問題がどうであったかというようなことで、やはりいま一応技術的に申しますと、このお示しいただいたものにつきましては、まさにいま私が申し上げたとおり、コード方式の方がかなりよく出ておるというのをお示しいただきましたわけですけれども、こうしたものも含めまして、電波技術審議会とばかり私申しておるようですけれども、そこの場において、分科会から作業班、分科会それから委員会といういろんな場において十分御審議いただけるわけでして、その辺の場において十分御議論いただく、またそれなりの時間もかけ、場所も提供いたしまして私ども御審議いただいておる、このように理解しておるわけでございますので、大変失礼でございますけれども、そのようなお答えにやはりならざるを得ない、このように考えております。
#160
○中村鋭一君 それは、民放が責任を持って全く同じ条件で、同じ雑音のときに、同時に撮影した写真なんですよ。ですから、局長、またもや電波技術審議会ということをおっしゃいますけど、私が指摘いたしましたように、電波技術審議会のりっぱな先生方はすでに現場を離れておられるわけです。そこへそういう資料をあなたは出されているだろうとおっしゃいますけど、出されているなら、そんなパターン方式をまず先行させて、おいおいコード方式も十分に審議をしてからこれの実施に移るんだというような、そういう併存の理論が出てくるはずはないんですよ。そのことを私は申し上げているわけなんです。そのこと一つをもってしても明らかにコード方式がパターン方式に優先しているわけです。従来コード方式は字が化けるというのがいかに誤りであったかということがその写真で証明されているわけです。局長は、たった一枚の写真を中村委員が持ってきたって信用するわけにはいかないというふうにおっしゃるかもわかりませんが、これは民放の責任において申し上げますけれど、ほかにも多数撮っている中の一枚なんですよ。ということは、はっきりしているじゃないですか。
 NHKは、技師長見えていらっしゃいますか。――いまの写真を見て、技師長の御感想もひとつお教え願いたいんですが、そのいわゆる字が化けるということについて。
#161
○参考人(高橋良君) 中村先生の御指摘でございますが、ただいま電監局長のお話にもございましたように、これはどういう条件で出したのかという数字的な条件が全然ないので、私はこの逆もあるということも、ここでもってもしも出せというのなら出せるということは申し上げることができると思います。
 それで、先ほど先生の方からコード方式というお話がございましたのですが、電波技術審議会でもパターン方式もコード方式もやっておりまして、これはNHKといたしましても、四十一年からパターンをやっておりまして、四十七年からコードもやってきたわけでございます。
 その段階をちょっとだけお時間をいただきまして御説明申し上げますと、パターン方式は、先ほど電波監理局長のお話のように、象形文字を使っておるということと、もう一つには、受像機の方も悪くない、それから放送局側も誤った信号を出していない、そのプロパゲーション、伝播の途中において事故が起きて誤りを来した場合にどうするかという問題が一つ考えられるわけでございます。
 もう一つは、御承知のように、外国の場合は全部アルファベット、数字、ギリシャ文字、そういうような文字でございますから、大体ROMが二百から三百あれば間に合う。ところが、日本の場合には、記者の方々が使っております漢字で申し上げましても大体三千から六千字は必要であろう。それ以外にアルファベット、数字、ギリシャ文字、そういうものを加えると約一万になるであろう。しかし、いま先生のお話のように、そういうROMも安くなっておることも事実でございますけれども、今度は逆に、現在ドイツでもって、EBUの今度の大会にもコード方式のこの誤り問題をどうするかということが提案されて、いま技術委員会でも検討している最中でございます。
 これのやり方はございます。それは一つには、先ほど電波監理局長から御説明があったように、情報量を少なくいたしまして誤り訂正を何回かかけていくという方式でございます。そうすると、いままで行っておりました百ページなり二百ページとれるというインフォメーション量が、誤り訂正をやればやるほど情報量は少なくなるという問題は先生御承知のとおりでございます。
 そういう意味で、昨年の十一月二十三日にNHKが発表しましたのは、先ほど先生の方から御指摘もございましたように、民放さんがコード方式オンリーと言っておったのに対しまして、大事なものはパターンも挿入できる、併用できるというハイブリッド方式というものを提案いたしておるわけでございまして、これは電波技術審議会でコードオンリーの場合とパターンの場合とこのハイブリッド、この三つをいろんな条件を加味して今後検討してまいるという形でまず技術基準の仮基準をつくりまして、これを野外において伝送いたしまして、それにその象形文字がどう変わってくるか。たとえば英語の場合のARMSTRONGの途中のRが抜けましても大体わかるのでございますけれども、象形文字の場合には高橋の高が抜けました場合と、高が中になったり小になったりした場合に大きい誤りが出てくる可能性が非常に大きいものでございますから、こういう意味でこれだけでもって云々ということは私は申し上げられないのじゃないかと思います。たとえばこれの逆のものを出せということを先生の方から御指摘あれば、コードの方が非常に誤りが大きいというものも出すことは可能であるということを申し上げたいと思います。
#162
○中村鋭一君 技師長、ここに写真があると、全く逆の例もあり得るとおっしゃいましたけれど、これは読売テレビですよ、はっきり申し上げて。読売テレビが全く同じ条件で多数の実験を繰り返して、その中の一枚を私抽出して持ってきているんですからね。なるほどそれはあると思いますよ。それはそうですわね。たばこを吸うことが肺がんの原因になるといったって、民社党の春日常任顧問は、十六歳から毎日百本以上たばこを吸ってわが輩は肺がんにはなっていない、こうおっしゃっているわけです。しかし、統計的数字に基づけばやはりたばこは肺がんの原因になるということはいま定説になっているわけです。同じ意味で、非常に多くの頻度で実験を繰り返し、その結果パターン方式よりもコード方式の方が雑音が入った場合の受信状態は良好である、字が化けることがない、その典型的一例として持ってきているんですから、逆のケースもそれはあるでしょうけれども、逆のケースの例がパターン方式よりもコード方式の方がはるかに少ないということを御認識願いたい、こう思います。
#163
○参考人(高橋良君) 技術的には私は認識できないと思います。というのは、理論的に申し上げまして、コード方式の場合といいましても、コード方式には何十種類もの方式があるわけでございます。そのときに、この方式でたとえば、先生にそれではいまお聞き申し上げたいと思うのでございますが、誤り訂正をやっているのかやっていないのか、誤り訂正を全然やっていないとしたならば、パターンの方は分解して送るわけでございますから当然誤りは少ないというのは数字的にもこれは証明できるわけでございます。多分、誤り訂正を何回かけているのか、かけて情報量をどれくらいにした場合にこういうことになったのかということも、これでもってまた変わってくるということを申し上げておるわけでございますので、その辺についても御理解を示していただきたいと思うわけでございます。
#164
○中村鋭一君 それは私は確認しておりません、その誤り訂正は。でも、私の得たデータによりますと、誤りの確率については全く両方式に有意差はない、こういうデータを私はちょうだいしてきているわけなんですね。私は、技術のことについては技師長のような専門家ではありませんので、やはり資料をいただいた方の証言を信用するほかないわけで、その証言の真実性を現実に目で実証するために写真を持ってきたんですから、それは見解の相違ということにならざるを得ないわけでございます。
 そしてまた、ヨーロッパの例をおっしゃいましたね、誤り訂正の問題について。これも私の得た資料によりますと、実際ヨーロッパでは実用化しているわけでしょう、文字多量は。それで、これまでに現実に困ったという例は一つも報告をされていないと私は聞いておりますよ。
#165
○参考人(高橋良君) 先ほども申し上げましたように、外国のデータを出せということでございましたならば、有線の場合でございますとそういうゴーストとか電波が弱くなるということはほとんどないわけでございますが、放送に限りましては電波が弱くなるという地域が必ず出るわけでございます。そういうところにおいて、現在たとえばオラクルの場合でございますと誤りが出る場合にはドットを出す、それからドイツの場合でございますとクェスチョンを出すという形で規制してやっておるわけでございます。それで、クェスチョンが出るかドットが出たところは誤りでございますよ、誤りがあるということで判読してくださいということをやっておるわけでございます。そのコード方式をどういう形で何回誤り訂正をやるか、またやればやるほど先生のお話のように情報量が少なくなりますから、情報量をふやしながら誤り訂正の一番いい方法はないかということを現在EBUの技術委員会で検討しているということは事実でございますので、申し上げておきたいと思います。
#166
○中村鋭一君 水かけ論になりますけれど、しかし、何遍も言いますが、私の得た資料によりますと、パターン方式、コード方式について有意差はない。現実に、いま技師長もおっしゃいましたように誤り訂正がかけられるわけです。送り得る情報量はコード方式の方がパターン方式よりもはるかに圧倒的に多いわけですから、仮に誤り訂正をかけて情報量が減ったって、その減った情報量はなおパターン方式を上回る、私はそのように理解せざるを得ないわけであります。
 それから次の、費用が高くつく、受信者に対して費用の負担を強いるという点について申し上げたい、こう思うんですが、これは日経産業新聞の昨年の十月十六日付でございますけど、超しSI時代の幕あけとともに登場した六十四キロビットRAM――読み出しメモリー――の価格が過去一年間に十分の一以下にまで下がるなど最先端技術製品の値下げ競争は底なしのすさまじさである、このように報じられているわけです。とすれば、局長、RAMが高いから云々ということはコード方式の場合もうほとんど問題とならないのじゃないんですか。
#167
○政府委員(田中眞三郎君) その辺の値段につきましてですけれども、私ども工業会の方にお聞きしまして得ておる情報といたしましては、日進月歩でLSIその他安くなっているのは事実のようでございますけれども、ごく最近得られました価格といたしまして、いわゆるこの文字多重を受信し得る受像機を備えた場合に、パターン方式では三万円プラス、ただしコード方式では七万円プラスこういうふうな、やはり前提条件いろいろありましょうけれども、同じような性能と申しますか、そういう形での工業会からの発表では私どもはそういう数値を聞いておるわけでございます。通産省の方がお見えになってそういう御答弁もしたように記憶いたしております。
#168
○中村鋭一君 ということは、いまNHKの技師長もおっしゃいましたように、コード方式の中でいわゆるハイブリッド、これをやればパターンの技術も併用できるわけですね。ですから、結局、私は何でパターンを先にやらなければいけないのか。先ほどから申し上げておりますように、誤りも少ない、そして情報の伝達量は比較にならずコード方式の方がいい。しかも、RAMにしてもこんなに物すごい勢いで値下がりをしているわけです。ということは、受信者の負担にもなりはしないか。であれば、冒頭に申し上げたように、慎重に対処をして、そして電波技術審議会もそうあわてて何もやることはないわけですから、十分にこれからも審議を尽くして、パターン方式をやめていわゆるハイブリッドにおけるコード方式の採用に踏み切るという方向に前進をされてはいかがか、こう考えているのでございますが、局長の御見解をお尋ね申し上げます。
#169
○政府委員(田中眞三郎君) ちょっとふまじめにおとりいただくと大変困るわけでございますけれども、通常、私どもは何の検討の場合でも非常に慎重検討ということでおしかりをいただく問題の方が多いわけでございますけれども、この際どうしてそんなに急ぐのかという形でございますが、いろいろすでに御議論もありましたように、音声多重のように実験局を経、実用化試験局という過程を経る、それによりまして音声多重を受ける受像機も普及しておるわけでございます。そうした形でなぜ文字多重の場合そういうステップを踏まないのか、こういうことかと思いますけれども、文字多重放送の場合は、やはり実用化試験局という形をとりましても、実用化試験局はそのまま実用局になるという形で、音声多重放送の場合とは違いまして第三者利用という形になる、そうするとスタートしてしまいますと無用の混乱を起こす可能性がある、こういう性格が一つあることでございます。
 それからもう一つ、いま時点におきましての予測を申しておるわけで、私ども説明の中においてパターン方式というものが先行するのではなかろうかということを御説明申し上げているわけでございますけれども、少なくとも法案に関する限りは別にパターン方式、コード方式、どちらを先行すべしという形で決めているわけではないわけでございます。それからこうした論議も、ただいま先生がおっしゃいましたような御論議、これを当然電波技術審議会の場にも十分御紹介していろんな角度での御議論がある、こういうことを踏まえた上で、なお電波技術審議会の場におきまして経済性その他、将来受信者に無用の負担を課すことがないかどうか、そういうようなことを含めまして、十分この委員会の場におきます御議論等も御紹介した上で研究もしていただくし、実験結果の判断もそうした立場でしていただく、このように私担当の電波技術審議会の場において、いわゆる主査とかあるいは幹事とかいう方がおるわけですけれども、そういう場においてもきょうだだいまのような御議論も十分御紹介するようにということで指導しておるわけでございまして、ひとつ御理解をいただきたい、このように思う次第でございます。
#170
○中村鋭一君 多々まだ申し上げたいことはありますけれど、同じことの繰り返しになりそうですからやめます。やめますが、やはりいつも郵政当局がおっしゃいますように、国民のニーズにこたえて最も良質なサービスを提供するという観点に立ち、そしてコード、パターン、両方式をそれこそ慎重に審議をして、三年先だなんということを言わないで、本日のこの委員会の論議もそのまま、いまおっしゃったように技術審議会に戻していただいて――私が申し上げたような点もあるわけです。決してコード方式はパターン方式に劣るものではない。化け方も少ないし、それからコード方式にせよパターン方式にせよ、整合した統一された規格の受信機を視聴者の方がお買いになることがむだな二重投資も防ぐことになるわけですし、それから冒頭に申し上げたように、いま文字多重放送、音声多重放送はカラーテレビの出現したときのように国民もろ手を挙げて革命的にこれを待望しているというものでもないと思います。それは待望はしているでしょうけれど、そのときほどに待望はしていないと思うんですよ。とすれば、十分に二者の長短を専門家の方が比較検討し、そしてメンツとか行きがかりにこだわらないで、従来はどちらかといえば民放側がコード方式、NHKの方はパターン方式で、先ほども技師長はやや色をなしておっしゃいましたけれど、メンツだとか、そういうことじゃなくてやっていただきたい、こう思うんですが、まず技師長、その点について、いま首をお振りになりましたが、いかがですか。
#171
○参考人(高橋良君) 色をなしたと言われて大変恐縮をしているわけですけれども、色をなしたつもりじゃなかったのでありますが、ただ技術屋から申し上げますと、NHKの方で四十七年からこのパターン方式もコード方式もハイブリッド方式も十分やってきたわけでございます。
 それで、先ほど電波監理局長からもお話ございましたように、電波技術審議会の場にNHKのデータも全部出してございます。それから民放さんの御意見も出ているわけでございます。それで、民放さんとNHKと工業会の皆さん方から構成している、なお大学の先生方もおいでになりますけれども、その審議会でもって今後そういうようなコード方式を含めましての技術基準の仮基準を決めまして、まず野外実験をやっていくという必要性を私は認めると思うわけでございますが、そういう意味で決して何もNHKもパターンにこだわっているわけでは全然ございません。コード方式のよさというものはNHKが最初に提唱しているわけでございます。ただ、この誤り問題だけは、放送局側に誤りがないのに、また受像機側にも誤りがないのに、途中の電波条件でもって誤りを来した場合の責任問題というものを放送局側は非常に大きく考えたものでございますから、まず早くやるならば、とりあえず象形文字としてはパターン伝送方式の方がよろしいのじゃないかということで、これは民放さんを含めまして、これの電波技術審議会の答申というものが大臣に行われたわけでございます。引き続きまして、このコード方式というものを何とか象形文字の国でも利用できないかという形で現在進行中でございますから、これは電波技術審議会の場で十分先生方の御意見というものも生かされながら今後検討されるべきであると思いますし、先生のような御意見というものは十分伝わるであろうと思いまするし、なお、われわれもそれも十分受けとめてこれから検討してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
#172
○中村鋭一君 大変心強い御発言をいただいて、私もすっかり安心をいたしました。
 私も、何も民放の利害を代弁して、何でもかんでもコード方式にしろと言っているわけじゃない。ただ、私の乏しい知識で専門家の御説明を受けますと、従来コード方式の欠点とされていたものが欠点ではあり得ないというふうに私は伺ったものですから、だから、それでなくても拙速主義で急いでやりますと、何遍も言いますけれど、視聴者に過大な負担を、アダプターを取りつけて、それで今度コード方式になったらまた受像機を買いかえる、そういう負担を強いるよりは、技師長、あなたがおっしゃったように、フィールドでの実験も十分重ねて、そしていまハイブリッド方式というのもあるわけでございますから、そういう整合された一つの方式ができるまでたとえばパターン方式の実施を延期するとか、あるいは三年先とおっしゃるのを早めるとか、そういう形で最終的には国民の皆さんが安く、役に立つ放送を受像できるようにしていった方がいいんじゃないか、これが私の結論でございます。それにつきまして、郵政大臣、いま席を外していらっしゃいましたけれども、御見解を伺っておきたいと思います。
#173
○政府委員(田中眞三郎君) 先ほどから先生にいろいろ御提言いただいておるわけでございますけれども、私ども誠意を持ちまして、こういう国会の場において審議が行われたということを私ども自身が承知すると同時に、また関係の外部の方々、あるいはいろいろな意味で御審議いただいている方々にも御紹介いたしまして、国民の方々に無用の損失をかけるというようなことはいやしくもないように、それぞれの立場の方に十分御紹介し訴えまして、誤りのないような道をとってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#174
○中村鋭一君 次の質問に移らせていただきますが、外国人の取得した株式の割合が五分の一以上になったときに株式の名義書きかえを拒むことができる、こうされているわけでございます。午前の質疑でも太田委員からこの点についてるる御質問があったんですけれど、電波法上の規定にさらにこの五分の一というこういう根拠をお与えになった、その規定を加えた真意といいますか、ねらいといいますか、意味はどういうところにあるんでしょうか。
#175
○政府委員(田中眞三郎君) 御説明申し上げます。
 電波法上、議決権の五分の一以上を外国人等に占められることに放送会社がなりますと免許を取り消されることとなっているわけでございます。
 ところで、近年、資本の自由化に伴いまして外国人等の上場の放送会社の株式取得も増加いたしてまいりまして、免許取り消しに至るおそれも現実のものとなってきたわけでございます。百十数社ありますうちのごくわずかの社でございますけれども、現実のものになってきた。このような実態によりまして、放送局の免許が取り消されるということになりますと大変な問題になる、国民に安定的な放送サービスを供給するという観点からも問題だ、こういう考え方でございます。
 そこで、御提案申し上げております第五十三条の二の規定を設けまして、そうした場合には当該外国人等の取得した株式の名義書きかえを拒むことができるとすると同時に、そうした事態に立ち至る前にあらかじめ予防的に公示等の措置をとる。いずれにいたしましても、国民にとって貴重な財産である電波資源、放送資源というものを保護することによりまして安定的な放送サービスを確保する必要がある、このように考えて御提案申し上げておる次第でございます。
#176
○中村鋭一君 次に、災害の場合の放送義務、これは従来災害対策基本法等にも規定がある、こう承知しておりますけれど、その上にさらに今回これをお定めになった理由はどこにあるんでしょうか。
#177
○政府委員(田中眞三郎君) 災害対策基本法等において規定がございます。それは、放送事業者の義務は地方公共団体等の要請等を受けまして放送を行ってもらいたい、こうしたいわゆる災対法の規定は放送局側から見ますと受動的な協力義務でございますけれども、私ども今回放送法の改正提案いたしておりますのは、放送事業者が災害等の場合に、いま申しましたように、他からの要請に基づいて受動的に協力するという形ではなくて、みずから主体的に平生から準備をしておきまして、設備等におきましても地震等に強い設備を準備しておくとか、あるいは予備の送信機等を考えるとか、そうしたことでみずから放送事業者自体主体的に災害の発生の予防あるいは災害が発生した場合にもその軽減に役立つ放送を行うべきもの、そうしたものを社会的責務として訴えまして、こうした形で施設の整備、つまり災害を予想した場合の二重設備とかあるいは地震に強い設備を備えていただくとかいうような形で、また災害が起きました場合にどういう報道体制をやるべきかというようなことを事業者自体で自主的にお考えいただく。そうした災害対策の諸準備の促進にも役立てば、それに貴重な電波を使っていただいておるという上からそうしたものを訴えまして放送事業者の自主性に基づく整備をお願いしたい。こういうようなことで、一言で申しますと、これは他からの強制に基づくものではない、協力、要請を受けた受動的なものではないということが災対法との違いか、このように考えておる次第でございます。
#178
○中村鋭一君 ちょっと最後のところがよくわからなかったんですが。ということは、災害時、緊急時に強制的に放送事業者に放送をさせるという規定はないわけですね。
#179
○政府委員(田中眞三郎君) そのとおりでございます。
#180
○中村鋭一君 少し時間がありますので、番外でございますが質問をさせていただきますが、キャプテン計画、このスタート時期はいつごろと考えていらっしゃいますか。
#181
○政府委員(田中眞三郎君) ちょっと所管が違うわけでございますが、聞いておるところでは、五十八年ということがキャプテンの時期だというようなことを聞いて記憶しております。
#182
○中村鋭一君 もし答弁できる方がいらっしゃらなければこれは結構ですけれど、私は、五十九年二月、東京二十三区からスタートすると伺っておりますが、それでよろしいんでしょうか。わかりませんか。
#183
○説明員(富田徹郎君) お答えいたします。
 キャプテン計画を推進しておりますのは郵政省の電気通信政策局でございますが、政策局の計画を仄聞しているところによりますれば、五十八年度、つまり五十九年の二月ごろから実用サービスとして推進していきたいという計画をただいまのところ持っておるようであります。
#184
○中村鋭一君 それは東京二十三区からですか。
#185
○説明員(富田徹郎君) 恐らくそのようになることだろうと想定しております。
#186
○中村鋭一君 文字多重は放送ですから一対多数になりますが、キャプテンは一対一ですね。その内容がこれまでわれわれほとんど知らされていないわけですね、キャプテン計画の具体的な内容について。ただ、仄聞するところによりますと、このやり方はコード方式を採用するというふうにも聞いておるんですが、それはどうなんでしょうか。教えていただけますか。
#187
○説明員(富田徹郎君) まだ技術方式については最終的な決定がなされていないというふうに聞いておりますが、一応有線系でありますと電話線を利用する、その電話線については時間によって料金がかかるという関係がございますので、時間が短くて単位情報の量が送れるというふうな観点もありますので、コード方式がその点においてもキャプテン方式においては有利かと思いますが、やはりそのターミナルの側におきましてROMを付加したキャラクターゼネレーターを置かなきゃいかぬ等々のいろいろな問題点がありますので、現在鋭意詰めておることだろうというふうに想定しております。
#188
○中村鋭一君 このキャプテン方式も端末はテレビ受像機ですね。
#189
○説明員(富田徹郎君) そのとおりでございます。
#190
○中村鋭一君 端末がテレビ受像機であるならば、文字多重放送もキャプテン方式も同じコード方式を採用する方が非常に整合性がある、このように理解をいたしますが、局長、どう思われますか。
#191
○政府委員(田中眞三郎君) ちょっと補足いたしますと、先ほどNHKの技師長も申されましたように、キャプテンというのは有線であるわけでございまして、途中の電波伝搬といいますか、無線の伝搬による変化というものはまずないわけでございます。そうした面におきましてキャプテンの場合にコードということは非常に考えやすいことでございます。だから、そのような意見も私聞いてもおります。
 ところで、いまキャプテンと今度はいわゆる放送による多重方式とのコンパティビリティーと申しますか、むだ遣いのないようにという形で先生がおっしゃいましたわけでございますが、私もそういうような意味において、やはりでき得べくんばキャプテン方式、あるいは放送でやる多重放送も両方使えるようにということは当然考えるべき問題だというふうに思っております。
 繰り返しますけれども、いわゆる放送の方におきましてもパターンだけを考えているわけじゃございませんで、コードができた時点においてそれを受け入れられるような、つまりパターンを先買いして損をしたというようなことにならないような形の方式、それが非常に大事なことである、また国会の場においても非常に厳しくと申しますか、大きな問題として取り上げられている、そうした議論を踏まえて御審議いただきたい、それからキャプテンとの整合性もございます、こういう形で少し電波技術審議会の場で十分御論議いただきたい、このように考えておるわけでございます。
 ちょっと長くなりましたけれども、当然やはりキャプテンとまた文字多重放送、端末としてテレビの画面、ブラウン管だけに限られるといいますか、共有部分は少し少ないようでございますけれども、それでもやはり受像者というものの利便というものあるいは経済性というものは十分考えるべきものだ、このように理解いたしております。
#192
○中村鋭一君 本日のこの委員会の審議を通じて私の感じております感想を最後に率直に申し述べさしていただきたいんですけれど、たとえば電波技術審議会がございます。このメンバーを見ますと、どちらかといえばNHKのOBの方が多くそのメンバーを構成しておられるように思いますが、それはともかくといたしまして、この電波技術審議会だけじゃなくて、いま大臣あるいはその省に附属してといいますか、たくさんの審議会、いわゆる諮問機関がございますね。大臣、私はどうも最近国会の審議を見ておりますと、どの委員会へ参りましても、いま審議会に諮問中でございます、学識経験のある先生方にいま答申をお願いをしております、この答申を待ちまして積極的にと、こういう答弁しか返ってこないわけですね。それは私、立法府としての国会の結果的に自主性を損なうものになりはしないか、同時に、国会で審議され採決された結果の法律案を国民のために実施する行政府もやや見識に欠けるところなしとしないのではないか、そういう印象を持たざるを得ないのであります。この電波技術審議会も、どうも局長の御答弁を伺っておりますと、遠慮ばっかりしておられて、遠慮をしておられるのか、遠慮をしていなければそれをむしろ隠れみのにして、明快、単純、率直な御答弁をいただけない。こういうことよりも、むしろやっぱり行政府として郵政省が積極的にこういった審議会等をリードして、国民の世論を、たとえばこの委員会等で審議されました結果を率直にそういう審議会に反映していって、むしろその審議会を引っ張っていくような方向に持っていっていただきたい、これが本日の私の、たとえばコード方式かパターン方式かを論議する上におきましても強く感じた印象でございます。どうか、その点ひとつよろしく御留意をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#193
○青島幸男君 今回のこの法案の審議に当たりまして、正直申し上げまして私は大変に困っております。と申しますのは、この放送法の改正の問題が特にそうなんですけども、実際に多重放送というものは、具体的なイメージとしてどうしても私の頭の中にわいてまいりませんで、それなのにこういう法案が出てまいりまして、賛否を明らかにしろというようなかっこうで臨まれますことに大変に私はちゅうちょをしておりまして、困惑をしております。どうしてもよくわからないわけですね。皆さん方の御審議を私としては大熱心に注意を込めてお伺いしているわけでございますけれども、どうしても明確なイメージがわいてまいりません。
 ただいまの中村委員の御質問を承っておりましても、コード方式にするのかパターン方式にするのか、それさえも明確でない。しかも双方に長短それぞれの特徴があって決断をいたしかねる。しかも国民の中に――現在、毎日、関東地方におりますと、早朝から深夜まで大体十八時間にわたって七チャンネルに乗る映像、音声を見ておりまして、AM、FMも加えましてこれだけ情報がある中で、なおかつ一つのチャンネルに十も二十もあるのをカチャカチャカチャカチャ見るということの要求が本当にほうはいとして国民の中に起こっている、だからそういうハードの機器もつくらなきゃならないし、法案も整備しなきゃならぬというような状況のようにはどうしても思えないんですね。そうなってしまってからでは遅いから、少なくとも基本的な考え方でも法律的に明らかにしておいた方がいいだろう、こういう御趣旨でおつくりになっているとも思えるんですけれども、それにしても余りといえば相手が漠然とし過ぎている。こういう状況の中で、何でこんなに急いでこれを法案化してしまわなきゃならないのかということについて大変に疑問に思っております。
 それで、局長のお答えを先ほどから伺っていますと、多重放送に関しては実験を繰り返していると第三者使用を許可しなきゃならないんだからむだな混乱をよけい招くかもしれない、だからやっぱりきちっと法制化して対処した方がいいんだというような御見解のようにも承りましたけれども、それも私は理由にならないような気がして、それなら第三者利用をむしろ許さないかっこうで実験放送なり試験放送なりをしてみるとかいうようなことを積み重ねて、国民の間に多少ともどういうものなのかという具体的なイメージなり何なりができて、これだったらこういうくくり方をして法律で決めてもらわなきゃならない、あるいはこういう使用の仕方もあるんじゃないかというようなことがもっと大きな規模で論議されて扱い方を決めていくというような方法が、少なくとも国民の共有財産としての電波、この重大な問題を扱うについてはそういう態度が必要なのではなかろうか、こういうふうに思いまして、この法案の趣旨がどうしてもわからないんですけども、その辺をわかりやすく御説明いただけるとありがたいんですが。
#194
○政府委員(田中眞三郎君) ざっくばらんに申しまして、私ども御提案申し上げるまでの中におきましても、私どもの中にもいろいろ意見はあったわけでございます、先生がただいま申されましたような点も含めまして。私のいま理解しておるところでは、ともかくも新しい技術が開発された、それがニューメディアの開発である、そういう技術の成果というものは希望する者があればできる限り早く国民に還元すべきであろうというのが一つでございます。
 それから文字多重というものを特に考えてみますというと、いろんな可能性が考えられる。現時点においてはテレビ受像機の性能等も含めまして二Hを利用できる、それで二十種類程度の番組を送ることができる。それもパターンであると百二十字程度であるけれども、コードの基準が決まればそれの十倍程度のものが送れるという非常に可能性があるわけでして、これをすべて既設放送事業者の既得権益として考えるかというと必ずしもそうではない。テレビジョン放送事業者にいまテレビジョンのチャンネルを割り当てているということは、免許をしておるということは、電波のすき間の部分に乗せるべき内容のものまで免許したわけではない。それで、マスメディアの集中排除というようなことからも第三者利用というものに道を開いて、特に義務化というようなことを考えなければ、マスメディアの集中排除の観点からいたしましても第三者利用に道を開くということについては大方の御理解がいただけるであろう。
 それといま一つ、非常に急ぐ問題、私ども早くと考える理由は、前々から言われておりますように聾唖者。一つの考え方として、テレビが出ましてからもう二十数年たっておるわけでございますけれども、聾唖者の方々はこの新しい文化というもののエンジョイの仕方が三分の一なり五分の一と耳のよく聞こえる人から見ればかなり楽しみ方が少なかった、こうした方に文字で提供するということについては非常に御希望が強いのではないか、事実私どもの方にもいろんな御要望が参っておる、これがやはり私どもやろうと言いまして御提案申し上げた大きな原動力になっておる次第でございます。
#195
○青島幸男君 それがまたわからないんですな。確かに聾唖者の方に十分な御理解をしていただくために補完的に多重を使うのは大変すばらしいことだと思います。それは主たる番組の補完として使うわけですからね。
 局長言われたように、一定の電波で映像と音声を送ることの許可はテレビ局に与えておるけども、すき間で何やるかというところまでは許可を与えていないんだから、そこをまた別途考えなきゃならぬというお考えですね。それを第三者が利用するとかいうのならまた別途考え方はありますけれども、その局がその放送を補完的な使い方をするために文字多重を使うんだったら、その放送局の持っておる権益の中にこれは含まれていると考えてもいいですわね。ですから、むしろ逆に、すき間については許可を与えた覚えはないんだから、一般の国民のコンセンサスがきちんと得られるまではこれをやっちゃいかぬ、はっきり認識ができてきたら改めてこれに対する法的な処理はつけようというお話をなさるならわかるんですよ。
 すき間まで許可した覚えはないんだから勝手なことはやるな、これは別途考えるぞ、だから、とりあえずすき間で放送をしてはいかぬ、やがては技術革新も行われ、いろんなものも安くなって皆さんが御利用いただけるようになったら、そのときは改めてこの問題については別途法的な考慮をいたしましょう、だからこれまでは何もやっちゃいかぬ、ただ聾唖者の方々のための補完的なサービスとして使うのはこれは例外として認めるという法律のつくり方をなさるのなら大変理解がいくんですよ。私も皆さんも大体御同感にお考えいただけるんじゃないかと思いますが、それを逆にマスメディアの集中排除というところまでまた結びつけられると、これまた後ほどお話ししますけれども、また話が全く違ったかっこうになりはしないかと思うんです。いま私申し上げましたように、すき間まで許可を与えた覚えはないんだから、その件に関しては何かやっちゃいかぬ、ただ聾唖者のための補完的な多重放送の使用だけは例外として認めるというかっこうになぜ前段としてそういう法案が出てこなかったのかということを、まずお尋ねしたいですね。
#196
○政府委員(田中眞三郎君) テレビジョン放送事業者には本来の、音声多重は別ですけれども、映像と音声一つ、これをおやりいただいているわけでして、文字多重と言われるようなものについては許可したわけではない、放送事業者の既得権益ではないという形ははっきりしておるわけでございます。したがいまして、かなり関心のあるところもありますけれども現在許可していないし、また今度初めてそうした方々が多重放送をやる場合にも新しい多重放送事業を行うものとしての免許が必要であるし、また第三者にも、財産権の問題はありますけれども、第三者と話し合いがつくならば、そうした人がテレビジョン文字多重放送を行い得るという形の考え方でございます。
 ですから、先生のおっしゃいますのは、同時にと申しますか、最近とみに放送の多様化と申しますか、多元化を求める声が多いということをおっしゃる方多いわけですけれども、そういう形に対応するという形で、あえて申しますれば、法的な裏づけと同時に、やろうとしておることが御理解が得にくいという、先生のおっしゃる御理解しにくいという形になっているのかなと思いますけれども、二つのことを同時にやったということをお認め願えれば御理解いただきやすいのかなと、そのようにも考える次第でございます。
#197
○青島幸男君 どうもよくわからないんですな。具体的には、この法案がもし通りまして、第三者の方がテレビ局と話し合いをして、その文字放送を利用して、営利目的か何かは別としましても、まず想定として考えられるのはやっぱり新聞社でしょうかね。新聞社が独自のニュースソースをそのパターンによって流して、その流したニュースソースにスポンサーをつけて、やっぱり広告収入を得て採算をとっていくというスタイルでしょうかね。
#198
○政府委員(田中眞三郎君) そういうことも考えられると思います。いろんな可能性はあろうかと思いますけれども、一つの形態としては十分そういうことが考えられる、このように思います。
#199
○青島幸男君 そうなりますと、いまテレビ局の各局の系列化、ネット化が進んでおりますし、それから新聞社と放送局の系列化も進んでいるわけですね。そうすると、その第三者の利用というのは、つまりはネットしている新聞社がその局の電波を使うということになりますと、情報の多様化ということではなくて、逆に独占に結びついてしまうのではないかという懸念があるわけですね。しかも、なぜこの法案がいまできてくるかといいますと、私の勘ぐりかもしれませんけれども、究極は、既存の新聞社が輪転機によって印刷された新聞紙というものを配達の方の手を経て各家庭に配達するということの煩わしさ、経費あるいはスピードの遅さというものを考えますと、各家庭にファクシミリみたいなものがテレビと直結してできる。そうすると、たとえば文字多重のパターンを局から新聞社がスポンサーによって送ると、そのまま家庭でスイッチ入れるとそのパターンが印刷物になって出てくるというようなハード機器もできることは容易ですね。究極、そこを新聞社が目的として、ついにはそういうかっこうになるだろう、将来、新聞の占める位置といいますか、かっこうというものは。そうなった場合におくれをとるといけないから、いまのうちから逐次権益を蓄積しておいた方がいいんじゃないかというようなかっこうで、新聞社からの要請によって推進せられているんじゃないかというような感じがするんですけど、それは違いましょうか。
#200
○政府委員(田中眞三郎君) 新聞社がその性格上、文字多重というものに非常に関心を持っておるというのは否定しようもございません事実でございます。ただ、先生がおっしゃいました将来ということになりますと、現在規定しておりますのは音声多重と文字多重というようなことで、コードになりますと相当スピードは上がりますけれども、いわゆる新聞にかわるというまでのものには文字多重放送ではなり得ない。チャンネル一つ専属させましたファクシミリ放送、これは別の私ども多重の方式だというふうに思っておりますけれども、それはその時点における技術の進歩その他で考えるべきであろうというふうに思っております。繰り返しますけれども、現在考えております文字多重の範囲内では新聞に取ってかわるというようなものではない、非常に小型の号外程度、あるいはある日のメーンの事件についての抄訳というような程度は果たすだろう。
 それからもう一つ、実際問題として第三者利用として新聞社が参画の希望を持っているということは、先ほども申しましたように否定のしようもございませんけれども、私どもといたしましては、審査基準等々といたしまして新聞社そのものに免許をするというようなことは考えておりません。むしろマスコミの集中排除といいますか、多元的な情報ソースを求めたいというようなことで比率等によりましてその辺は歯どめをかけるべきものである、ただ性格上、新聞社というものが入らないとは思えない、このように思っております。要するに、程度の問題であり、御指摘のような形でマスコミ集中排除の弊害をもたらさないような審査基準というもので歯どめをかけたい、このように考えておる次第でございます。
#201
○青島幸男君 その歯どめがかけようがないのじゃないかと思うんですが。
 そうすると、たとえば情報といいましても、これまた種類があるわけですね。純粋に天気予報みたいに物理的な主観の差し挟む余地のないような情報がありますね。何月何日何曜日は恐らく雨だろう、かつてそうだったというようなことについては私情とか思想も差し挟む余地はございません。それから何月何日にデパートでどういう売り出しがあるというようなことも文字多重であるいは行われるかもしれませんけど、それはそれでよろしいんですが、たとえばある意思を持った放送がなされるとしますね。そうすると、その意思はその契約を結んだ第三者の意思なんですけど、その局を通じて流れるわけですね、いずれにしても。その局の考え方と受け取られても仕方がないわけですね、一般の視聴者に。
 そこにそごが生じるということがあると思うんですけど、それを編成権で郵政省はその中まで立ち入るわけにもいかないだろうし、こういう思想の入ったものを放送されちゃ困るからということで、ある放送局が拒否をするとか、あるいは同調して割引をするとか、割引しないまでも有利な条件で受け入れるとかというようなことになりますと、ますます情報が偏るといいますか、一つの考え方によって推し進められる可能性が強くなるんじゃなかろうか。と言いますのも、資本の論理によりまして、民間放送というものは営利を目的として運営されておりますから、やっぱり利率の高いものの方へ、より条件のいいものの方へ流れる、これは当然の理屈でございますから。そうなりますと、ますます情報が一方に偏ってしまうのではなかろうかという懸念はどうしても出てくると思いますが、これはどういうふうに歯どめをしましょうね。
#202
○政府委員(田中眞三郎君) たとえば人的あるいは資本的構成におきまして仮に二〇%あるいは三〇%というふうな形の歯どめも考えられると思っております。それにしてもやはり三〇%というのは相当コントロールされるのではないか、こういう見方もあろうかと思いますけれども、一〇〇%ではない、三分の一ということは、三分の二は他の者が入る、他の資本が入る、こういうような形でやはり多少ともマスコミの多様化、多元化につながる。
 それよりも何よりも、貴重な電波のすき間が利用できるということになったその技術の成果で、その範囲内におきまして多様化に貢献し、また工夫と創意によりまして国民の希望に沿うような情報を提供されるような無限の可能性がある。無限のと言うと何ですけれども、いろんな意味での工夫の余地は出るもの、そうしたものはやはり一つの技術の成果といたしまして利用いたしたい。特に、繰り返しになりますけれども、テレビ本来の内容を豊かにするようなものにつきましては、これにつきましてはいわゆる印刷といいますか、プリントアウトというような機能も加えると、なおいろいろ、たとえば料理番組を見ておるけれども、その材料のグラム数などはすぐ出てくるとか、あるいは宝くじなど毎月のように出ておるそうですけど、その当せん番号などは印刷ですぐ出てくるというようなことのお話も聞きましたけれども、使い方を含めまして豊かな情報を提供できる可能性を提供いたしたい、このように考えておる次第でございます。
#203
○青島幸男君 ですから、国民の大事な財産にかかわるわけですから、そういう意味合いで国民の創意と工夫が国民の願っている方向に開花するようにすべきであって、海のものとも山のものともつかないうちに法律で縛ってしまうのはおかしいんではないか、こういうことを私は申し上げているわけです。確かに、いまのところはすき間については許可を与えていないんだから何にもやっちゃいけないということにはなっているわけですよね。ですから、いまのままそっとしておいて、ただ聾唖者のためのサービスについては例外的にこれを許すけども、ほかのところはいまのところいじるなと、このままにしておくわけですね、つまり現行法のままに。それで、やがて国民的なコンセンサスも得られ、コードにするかパターンにするかも何となく議論が集約されて、しかもハードの機器も業界の中で合意ができて、この線でいったらいいんじゃないかというものができて、しかもそれを新しく発売するテレビの機器の中に組み込んだものがそんなに高い値段でなくて一般の方々に利用できるというような具体的な事実が積み重なってから改めて法的な手だてを講じたらどうですかということを申し上げているわけですね。それをしないと、国民の皆様方のせっかくの大事な財産が、皆さん方の考えておられるような形に創意と工夫に基づいてみごとに開花していくというかっこうとは違ったかっこうで、ゆがんだものになってしまうということを私は恐れているわけですよ。
#204
○政府委員(田中眞三郎君) これはテレビでございますので、テレビの日本への普及の各段階におけるステップ、あるいは六メガ、七メガ論争というようなこともあったそうでございますし、カラー化するに当たりましてSECAM、PAL、NTSCといろんな方式もあったそうでございまして、それをどの時点まで待つかということにつきましては、こうした新しい技術の成果を取り入れようとする場合にはどうしても避けて通れない論点であり、議論の中心になるということは否定のしようもないと思います。
 この際、繰り返しになるかと思いますけれども、一応パターンという基準が決まり、それでコードというものも考えられるわけだけれども、仮に先行するとしても、お互いのコンパティビリティーといいますか、先に購入した方に御迷惑をかけないという方式もとれるということでございますし、何といいましても、第三者というものが入ってくる以上は、これは法で枠をつくりませんと少しも進まない。やはり現実に放送をいたしまして、それがいままでの形ですと実験局という形あるいは実用化試験局という形で進んできたわけでございますけれども、なぜそういう措置をとらないのかということですが、ほとんどがすべて実験局、実用化試験局というステップを踏んでまいったわけでございます。この際だけ文字多重について一足飛びにそういうステップを踏まないのはそれなりの理由があると申しますか、受け皿をつくっておかないと、一たんスタートいたしますと、その後ではすでに実用化でお使いになっておるものについて第三者のものだよという形で整理をするといいますか、受け皿をつくり直すということは大変にむずかしい。
 このように判断いたしまして、まず放送衛星その他についても早目に法の規制といいますか、枠をつくって進むべきである。いたずらに実験で既成事実をつくるということはぐあいが悪いというような御意見もあるわけですけれども、今度の多重放送については、ちょっと違って、やはり枠をつくって進めないと少しも進まないということ、あるいはいたずらに混乱を起こす、秩序が乱れる、多重放送の文字多重第三者利用という形についてはそういう枠づけがどうしても必要である、こういうふうに考えまして、実験局のステップ等を踏まないでただいま御提案申しておるような内容のものを御審議いただいておるというふうに私ども理解しておるわけでございます。
#205
○青島幸男君 せっかく局長に御丁寧に御答弁いただいているんですけども、私なおわからなくなっちゃうんですね。まず、どうして最初に第三者利用を考えるから混乱するから法基準を設けなきゃならぬという考えになるのかというのがよく理解できないですね。第三者利用なんということを大前提として認めなきゃならないというふうには納得できないんですけどね。まず聾唖者のための補完的な使用として実験してみようじゃないか、これを大前提として急がなきゃならないという理由の大きな柱になるんでしょう、一つは。ですから、この柱を重大に立てて、このことだけでまず実験してみようじゃないか、あとのことは後で考えましょうということで何の混乱も起こらないわけですよ、これを例外的に認めるだけだから。それを第三者利用を最初に認めなきゃならないという前提を置かれるから後々混乱するということになるわけでしょう。
 第三者利用なんというのはどこから出てきた意見か知りませんが、そんなものは後で考えればいいわけでして、第三者利用なんというのをまず考えないで、本当に、電波なんですから御利用になる国民の方々の至福、利益というものをまず大前提に考えれば、間へ入ってきて営利目的で何かしようとする第三者のことなんかは最初から配慮する必要はないと私は思いますけどね。それを配慮しなきゃならないから混乱をするんだというおっしゃり方をするんだったら、初めからそのことを配慮しない、そういうことでおやりになれば何の混乱も招かないと思いますがね。特にNHKさんの場合なんかは、第三者利用については受信料のたてまえからも大変複雑な問題を惹起しますね。ですから、NHKさんがまず聾唖の方々への重点的なサービスを文字多重で実験なさる、それから後、民放もそれにならう、やがて機器も普及してきてこれなら第三者利用もいいんではなかろうか、あるいはさまざまな考え方もあるじゃないかということが国民の方々の中に浸透してきたとき初めて立法すればいいわけであって、いまあらかじめ枠をつくっておくというのはどうしてもそれは納得いかない筋合いだと思いますがね。ですから、やっぱりもう一回この法案をお考え直しになった方がいいんじゃないかと私は思いますけどね。
#206
○政府委員(田中眞三郎君) 説明が下手で十分御理解いただけないのはまことに残念でございますけれども、いわゆる第三者利用というものを考えましたのは、いわゆる現在のところでは技術的に二H分でございますけれども、可能性として八H分程度は十分考えられる。そういう技術的検討もやっておるわけでございますけれども、そうした場合にパターンでも百二十字程度のものが十種類ほど送れる、それが八Hである。それがコード方式になると十数倍の情報量になる。この文字多重放送の情報量というものを非常に大きく考え、技術的可能性も含めまして相当な量である。それを既設の放送事業者の既得権益とするという考え方は一つあるわけでございます。だけども、学者先生に聞きますと、必ずしも現在テレビジョン放送事業者が持っておる免許の中にはそうした電波のすき間の分まで認めておるわけではないという学者先生の御意見が一つございます。
 それから仮にそうした技術の成果を実際に移す場合に、民間放送と同時にNHKというものがございます。特にNHKの場合、一つの例としてはわかりやすいと思いますので、NHKが第一放送それから第三放送と申しますか、総合と教育を含めまして八Hの分、非常に大きなマスメディアの集中という形が一つ考えられる。こうしたことから、いわゆるマスコミは集中排除すべきであるという柱が立ったといたしますと、第三者利用というものをこの際考えておかないと、中途半端にスタートいたしまして、本来の放送事業者が自分のHを八H、機械そのものはその放送事業者の機械を使わなきゃできないという基本的な制約があるわけでございます。そうした上で、なお文字多重の独立利用等を始めたとした場合にどうしても既成事実的になるであろう、そのある時点において、かなり華やかになった時点で新しく第三者利用という受け皿あるいは枠をはめようとしても非常に困難である、このように判断したのでいまの時点で第三者利用というものを持ち出した。また、聾唖者のためのサービスについてはこれは御説明する必要もないかと思っておる次第でございます。
#207
○青島幸男君 確かに、いまの放送事業者にすき間の分まで既得権としてとられるというのはちょっと考えものですな。それは何とかしなきゃならないとは思います。だからといって、それを第三者に利用ということを大前提に立てて法案化するということの筋合いにはならないと思うんですよね。たとえば、もっと平たく考えますと、先ほど中村さんもおっしゃっていたようですけども、そんなに要求といいますかね、先ほども申しましたように、七チャンネルで大体毎日十八時間オンエアされているわけですから、ラジオもありますし、その間で何の情報をわざわざ三万だか五万だかの機械を買ってですよ、しかも各局ニュース番組を流しているし、ニュースが欲しければ時間ずれてチャンネル回していれば、それぞれニュースだけ二、三十分見ているということも可能ですね。しかもビデオもあることを考え合わせますと、その間、すき間で何を見るのかという気がしましてね。
 たとえばプッシュホンなどもいい例ですけども、プッシュホンというのは大変便利だそうで、コンピューターにつながっていて、家庭にいながら操作の仕方によっては大変高度な計算もできるそうですし、新幹線の座席の予約なんかもとれるそうですし、まださまざまな使い方があるそうですが、そういうことを実際に利用している方というのは余りお伺いしませんね、最初珍しがっていろいろおやりになったそうですが。
 それから現実の問題として、音声多重がいま行われておりますけども、多重の装置のついた受像機が予測ほど売れていないそうですね。実際には音声多重であったりステレオであったりする必要を感じている方はそんなに高いパーセンテージじゃないんじゃないでしょうか。少なくともメーカーで予想した数は出ていないという愚痴は聞いておりますけどね。
 もう一つ、はっきり具体的にお伺いしたいんですけども、第三者利用の主なものは新聞社あるいは雑誌――新聞社関係というのはわかるんですけども、そのほかはどんなことが考えられるんですか。
#208
○政府委員(田中眞三郎君) いろいろおっしゃられましたけれども、音声多重はただいまたしか五百万程度ということで、これをメーカーがどう見ているか、多いと見るか、あるいは多重自体の受像機を買いたいというかっこうで五百万になっているのか、買ったものがたまたま多重がついていたのか、そういうことがあろうかと思います。ただ、いわゆる需要があってということが通常あるわけですけれども、技術の開発によりまして、テレビジョン放送という一つの電波資源に、なお文字多重として百二十字の二十番組というビラを、情報を配るだけの能力が開発されてきた、そして、それは使わなければ有効な形にならないで、むだと申しますか、利用の仕方が利用せずにおるだけ、こういうことになるわけでして、したがいまして、既設の放送事業者の了解が得られるならば、そしてまた第三者がおもしろいアイデアと申しますか、工夫と創意によりましてやりたいということであればそうしたものに機会を与えるという、そうした道を開くというのは私ども行政のやはり一つの責任である。技術開発の成果というもので、それが有効な電波の利用でもあろう。
 それから爆発的に使われるだろうかというようなことになりますと、これは人によりまして、私どもの中におきましてもいろいろ意見がございます。非常に積極的に言う人とそうでない人とあるようで、私自身は一応専門家の端くれぐらいになりますので、どう見ているのかというのは大抵間違えますので言いたくないわけでございますけれども、率直に言いましていろいろに考えます。白黒テレビからカラーの普及の度合いというようなものですね、そのときどきにおいてディスカスしたわけですけれども、かなり専門家が言ったのは間違っているというようなことが多いというふうに考えておるわけでございます。今度の場合どうするのか、いろんな予測の仕方があろう、台風の進路の予測みたいなところはかなりある、ふまじめにおとりにならないようにお願いしたいと思いますが、そのように考えております。
#209
○青島幸男君 確かによくわからないと思います。正直におっしゃられて、そのとおりだと思うんですよね。私もわからないで実は困っておりまして、この法案に対する態度の表明の仕方にも本当にまじめに困っているわけです、どうしていいかと思って。本当に熱心に皆さん方の質疑をお伺いしておりまして、いまも局長の説明を重々熱心に聞いたつもりですけども、やっぱり私の言っていることとかみ合わないようでして、全然理解がお互い違っているようでございますし、そのことで大変私も当惑しているんです。
 それからもう一つ疑念がありますのは、時間がありませんのでやめますけれども、四十五条の二の災害の問題ですけども、これも前に廃案になりました同様の文章の経緯を見ますと、どうも何かこのまま表でとったのじゃまずくて裏があるんじゃないかというようなうさん臭い感じを免れませんので、これは各局ともいままで、NHKさんを含め各民放とも災害については大変にシビアにお取り組みになっていらっしゃるし、改めてここで条文で規制するという筋合いのものでは私はないと思いますので、これはどうしてもやっぱり外していただいた方がいいんじゃないかという見解は持っております。
 そのことだけ申し上げまして、時間が参りましたのでやめます。
#210
○片山甚市君 いままでに相当時間をかけてお話がありました。疑問の解明が十分でない点もありますが、民放多重放送に関する一、二のことについてお伺いしたいと思います。
 改正案によりますと、郵政大臣の措置によって、既設のテレビ放送事業者に対し、多重放送に関する利用計画の策定及び提出を求めることができることになっております。この趣旨はどういうものであって、具体的にそれはどう発動するのかについてお答えを願いたいと思います。
#211
○政府委員(田中眞三郎君) 四十九条の三、計画の策定、提出を設ける趣旨は何かということかと思いますけれども、多重放送は新しい分野の放送でございます。したがいまして、どのような問題が生じてくるのか、事前に可能な限り動向を把握する必要があろうかと思います。また、この多重放送のためにはテレビジョン放送の放送設備を使わずにはできないという物理的特性がある。したがいまして、その普及に当りましては既存テレビジョン放送事業者のいろいろな事情あるいは意向というものもあらかじめ踏まえながら進めていくのが現実的である。こういう事情からいたしまして、テレビジョン放送事業者に対してテレビジョン放送の用に供するための計画の提出を求めるということで、計画の内容といたしましては、多重のための設備をどういうような形で既存放送事業者が用意されるおつもりか、それから御自分でおやりになる自主放送分、それは補完利用の分も独立利用の分もあろうかと思いますけれども、その辺の自社としての、そのテレビジョン放送事業者自体としての御計画を聞きたい。また、第三者から施設を借りたいというようなお話があるかどうか、あるいはお話があって実際に契約ができたかどうか、できつつあるのか、その辺についての記載をしていただくことによりましてこの多重放送の発展の資料にしたい、こういう趣旨でございます。
#212
○片山甚市君 そうすると、多重放送の実施主体に、先ほどからお話がありましたように、疑問がある第三者の参入方式ですが、これについては情報の多様化、マスメディアの集中排除の見地から必要だということでありますが、設備の利用関係は当事者の自由契約であります関係から、そのことについて既存のテレビ放送業者の恣意によって第三者利用の道は閉ざされることになろう。いわゆる第三者が利用できるように言っていますけれども、事実、放送事業者の意思によって左右されるということはないでしょうか。
#213
○政府委員(田中眞三郎君) 設備の利用関係でございますが、当事者の契約関係に任せざるを得ないということで、既存の放府事業者が設備提供の申し込みを受けても同意しないということもあり得ようかと思います。しかしながら、多重放送はテレビジョン放送の電波のすき間を利用するものである、したがいまして、その活用につきましてはどうしてもテレビジョン既設放送事業者の協力にまたざるを得ないということで、お説のような既存放送事業者の恣意によりまして第三者の道が閉ざされるといいますか、そういう可能性がないわけではございませんけれども、そうしたところで、私どもといたしましては計画を策定、提出いたしていただくというようなことで、そうしたことができるだけ文字多重放送の円滑な実施といいますか普及に役立つもの、このように考えておるわけでございまして、あくまでも既設放送事業者と多重を希望する者との間で円滑な話し合いが行われて多重放送が実施されるということを期待するものでございます。
#214
○片山甚市君 質問することはたくさんあるんですが、角度を変えて郵政大臣に、突然でありますが、御質問をしたいと思います。
 五月の八日、仲裁裁定六百号、同五百九十八号が、郵政、電電の対応する労働組合に対して出されました。一律二千六百九十円プラス三・二%ですが、いわゆる仲裁委員会の文書を見ますと、中西会長から「速やかに完全実施されるよう期待する。」と書かれておりますが、大臣の方ではどのようにこの問題についてお取り組みでございましょうか。
#215
○国務大臣(箕輪登君) 今回の仲裁裁定につきましては、先生も御承知の公労法第三十五条の精神を踏まえつつ、財源措置などについて慎重にただいま検討しているところでございますが、私といたしましては、裁定の趣旨を体してできるだけ円満な実施ができるよう努力いたしたいと考えております。
#216
○片山甚市君 大臣、それは少し言葉が足りないんじゃないですか。できるだけ円満でなく、完全に速やかに実施ができるように所官大臣としては御努力を願うのが公労法第三十五条の趣旨に合うのではなかろうかと思いますが、非常に失礼でございますが、もう一度決意のほどをお伺いしたいと思います。
#217
○国務大臣(箕輪登君) 早期完全実施に努力したいと思います。
#218
○片山甚市君 今回の仲裁裁定の実施については、郵政、電電ともに予算上、資金上問題がないと考えられる。所管大臣としてもそのような態度で臨まれるかどうか、お伺いいたします。
#219
○政府委員(奥田量三君) 郵政省の関係について、お答え申し上げます。
 今回の仲裁裁定を裁定どおり実施するといたしました場合、郵政事業特別会計におきまして本年度約六百二十三億円の財源を必要とするわけでございますが、予算に計上されております給与改善原資一%分約百三十七億円を充当いたしましても約四百八十六億円が不足することになるわけでございます。この不足額の財源措置等につきましては、省としましてもまた関係の向きと慎重に検討、協議しているところでございますが、郵政省といたしましては、ただいま大臣がお答えいたしました趣旨に沿って努力したいと考えているところでございます。
#220
○政府委員(守住有信君) 電電公社の関係でございますけれども、この仲裁裁定完全実施ということで本年度約六百九十五億円の財源を必要とするわけでございます。本年度の予算に計上されておりますところの給与改善原資は約百五十六億円でございますが、それを充当いたしましても約五百三十九億円の財源が不足することになるわけでございます。この不足額の財源措置などにつきまして、現在関係の向きと慎重に検討、協議をいたしておるところでございますが、その一方では、いま先生の御指摘のように、この問題が労使関係の安定、公衆電気通信事業の円滑な進展という意味でも非常に重大である、こういうふうに考えておりまして、この実施につきましてできるだけ三十五条の精神にのっとりまして努力をしていきたい、こう考えておる次第でございます。
#221
○片山甚市君 仲裁裁定そのものは労使双方を拘束し、予算上、資金上その措置がとれる限りはやはり無条件に速やかに実施される責任が政府にある、こういうことで先ほど大臣にお伺いしたところ、速やかに完全実施の努力をしたいとおっしゃっておるんですが、特に郵政大臣は、御承知のように四月の二十日でございますか、逓信記念日に壇上に立たれて、三十周年勤続の永年者に対して、諸君らの働きぶり非常にりっぱだ、郵便の諸君は犬にほえられ、いろんなことをしながらも泥まみれになってよく働いている、君たちの御労苦を多とする、こう褒めておられました。なるほどタカ派と言われるだけに郵政大臣は思い切ったことを言いおる、普通なら原稿を持つんでしょうが、原稿を持たずに堂々と言ってのける。ですから、私は郵政大臣の一面を見て、何としても現場で泥まみれになって働いておる、そしていろいろな苦情を受けながらも必死に働いておる諸君に対してこたえてもらいたい。
 そのことは、御承知のように、この仲裁裁定が行われてから、昭和三十五年以降ですと、実施をしないということがなくて、完全実施を大体してまいったのが現実であります。この一、二年不当な風が吹いておりますけれども、私は、大臣が現場の諸君のことを考えると同時に、長年大変苦労をした労使関係がようやく安定しているときでありますから、いわゆる労使関係の安定のためにも、事業は人なりと言われますから、その点で、何といっても財政の不如意をもとにして労使基本権に基づくこの仲裁裁定についての完全実施をゆるがせにしないように、ひとつもう一度大臣からお言葉をいただきたい。
#222
○国務大臣(箕輪登君) ただいま先生がお話しなさいましたように、郵政事業に携わっている方々、さらにまた電気通信事業に働く人々、非常によく最近はやっている、こう私は考えるのであります。
 余分な話でありますが、先般、私、北海道に帰りましたときに、ある農村の青年とお話を札幌でいたしました。出かけてきて私と会ったのでありますが、お役人であんなに民間に負けないで働くような役人がいるのかなと思うくらい郵便局の人方は働いている、こう言うのであります。駅へ行ってみても、同じ公企体と言いながら国鉄の人は余り働いていない、郵便局の人は、むしろ農協の人よりも銀行の人よりも一生懸命通ってきて郵便貯金をしてくれ、保険に入ってくれないかと勧誘をしている、民間に負けないで働く、それは郵便局以外にいないのじゃないだろうかということを言っておりまして、大変うれしく考えたのであります。
 そのように、郵政事業に携わる人も、また最近の電気通信の事業で働いている人々を見ましても、大変よくやっているなと思うのでありまして、これらの人と人の和をつくりながらやっていかなければならないことだけは事実でございますから、これらの働く人々にやはり私は報いてやりたいという気持ちが十分あるのであります。
 明日、九時十五分から三公社五現業関係の給与の関係閣僚会議が開かれる予定であります。同じような趣旨のことを申し上げてみたいと考えているわけでございますけれども、あすは新聞に出るのじゃないでしょうか。夕刊あたりに出ていますかね。
 本日、閣議が行われましたけれども、大蔵大臣から発言がありました。その前に、このような仲裁裁定がありましたという労働大臣の報告があったわけでありますが、報告だけで終わるかなと思ったのですけれども、大蔵大臣から、三公社五現業分でこの仲裁裁定をのむとすれば二千幾らかの予算増になります、一%が組み込まれておりますから、それを引いても千数百億円の金が不足いたします、大蔵省も非常に大変なときでございますからというようなお話もございまして、議決案件にしてくれ、こういう大蔵大臣から話がありました。私はすぐ、ちょっと待ってくれ、それならば明日、関係閣僚会議が行われるというので、そこでしゃべろうと思ったけれども、ここでそれじゃやるのですか、それなら言うこともございますよと言ったところが、いやいや、あしたあるのだから、あしたしゃべってくれということでございました。
 ただ、先生御承知のとおり、仲裁裁定がございましても大蔵大臣の承認を得なければならぬというやつが一項ありますものですから、私一存で決めかねることもあるわけであります。そういうところで、ひとつ働く人のことを考えながら私は早期完全実施という方向で努力をしたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
    ―――――――――――――
#223
○委員長(勝又武一君) 質疑の途中ですが、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま大森昭君が委員を辞任され、その補欠として本岡昭次君が選任されました。
    ―――――――――――――
#224
○片山甚市君 大臣のお気持ちはわかりましたが、実は従来から違法行為について取り締まることについて大好きな政府でありまして、何をやっても違法行為、近ごろは最高裁までがいわゆるワッペンをつけたらこれも労働運動でないなどという寝言を言う時代になりました。私は、先ほども申しましたように、行政府は法をきちんと守ってもらう立場でありますから、行政府である政府が、仲裁裁定は労使双方を拘束しておる、そして予算上、資金上やりくりがつかないのかという私は質問をしませんでしたけれども、それは従来からいえば郵政も電電もいわゆるかつて私たちが経験したとおり何とか融通ができるのでありますから、そういうところに対してまで拘束をする、そして支払わないようにすることが政府の役割りだとするならば法があってもなきものとなります。
 そういう意味で大臣のお言葉を私はいただいておきますが、大蔵大臣が、金があっても出さないかわりに、なかったら出さない、あったら取り上げる。特に電電の場合は、昨年から御承知のように国庫納付金という特別な制度をつくって働いてもらう。五十九年までの間四千八百億円、利子を含めて約九千億円の金を特別に巻き上げることになっておる。そして総裁は働いてもらわなければ節約しなきゃならぬと言っておるにかかわらず、基本的な賃金ですら引き下げるということになれば大変であります。特に、御承知のように歳入欠陥の問題がございます今日でありますから、景気を回復するためにはどうしても国民所得を引き上げなきゃならぬ。国民所得のうちでも公務員や公企体の労働者は賃金を下げてよろしいというわけになりません。保障しなければならぬ。
 そういう意味で、いわゆる実質所得を上げるためにも仲裁裁定は必要なことであるとともに、政府の五・二%のいわゆる経済成長を達成させるためにもこれは守らなきゃならぬものだと思います。私たちは、大蔵大臣が財布のひもを締めるのは御勝手でありますけれども、そのかわり民主主義というものを殺すひもになるということについてはよく御勘案されて、みずから国民に対して、あなたたちが言う違法行為と称する法を守らなくてもよろしいということを奨励される覚悟があれば、去年と同じようにいわゆる仲裁裁定を一年も半年も実施するのをおくらせる。あげくの果てに金を払ったじゃないか。大体金を借りておいて、利子も払わずにいわゆる四月から実施したじゃないかなどという寝言はやめてほしいと思う。金を借りれば当然利子がつくんです、四、五、六、七、八、九、十、十一と。そうすると、十二月に精算をされたとしても、その間利子をつければもっとお金がたくさん要るのであります。
 そういう意味で、来年度において昭和五十七年度のいわゆる歳入欠陥もあらかじめ予想される。五十六年度は御承知のように三兆円近くの赤字もある。こういうときに国民所得の基本である賃金について凍結することがないように。多くの人の中には公務員の人たちや公共企業体の人の首を切ったらいいじゃないかというようなことで臨調に賛成しておるようでありますが、首切りじゃなく効率化の問題であります。私たちは、いままでのやり方について特に箕輪郵政大臣に、国会の中で国民の生活を守るためにどのような措置をとるべきかということになれば、あなたの持ち前のとおり、三十五条の適用をして金の払えるところはきちんと払う、そして仲裁裁定の実施ができることによって一段と労使協力していわゆるこの難局を乗り切ろう、こういうふうにしてもらいたいと思いますが、もう一度、私の意見に対する御所見を賜りたいと思います。
#225
○国務大臣(箕輪登君) 先生のお考え十分承知いたしました。先ほどから申し上げておりますように、私といたしましては、早期完全実施の線で努力をいたしたいということをお約束いたします。
#226
○委員長(勝又武一君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#227
○委員長(勝又武一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 討論は両案を一括して行います。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#228
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、議題のうち放送法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 文字多重放送等の実施に当たって情報及び放送の実施主体の独占を排除し、文字多重放送等が真に国民に開放された放送メディアとして大いに活用されていかなければならないことは言うまでもありません。ところが、今回の法改正は、わが党がすでに委員会で指摘したように、このような見地にほど遠いものになっております。
 わが党が本改正案に反対する第一の理由は、文字多重放送等の第三者利用の道が事実上狭められていることであります。今回の法改正は、既存放送事業者の放送設備の賃貸について民法、商法上の私法契約にゆだねられ、放送設備を賃貸するか否かの選択は既存の放送事業者の自由意思に任されることになっております。これでは文字多重放送等の第三者利用が既存放送事業者の許容範囲にとどまり、マスメディアの集中、独占がますます加速されることは明らかであります。
 本改正案に反対する第二の理由は、災害放送に対する義務規定の導入、多重放送に対する計画策定の提出、さらにはNHKの出資に対する法定制緩和等々、郵政大臣の権限が非常に強まり、放送に対する行政の介入、干渉のおそれさえ出てくる内容になっているからであります。本来、放送に対する行政の関与は必要最小限にとどめるべきであることは言うまでもありません。
 以上、指摘してきたように、今回の法改正案は賛成できない多くの問題点を含んでおります。わが党は、聴力障害者を初め少なくない人々が持っている文字多重放送等の要望については当面実験放送などで十分対応できるものと考えており、委員会の中でも再三指摘してきたところであります。
 さらに、これまでの調査でも明らかなように、文字多重放送に対する国民のニーズもまだ低い段階で問題の多い制度、仕組みの決定を急ぐのではなく、実用化実験放送を十分行い、その中で国民のニーズ、技術基準、実施主体等々の検討を加え、真に国民的な合意の中で実用化に移っていくことが適切であると考えます。これは私が本委員会でも指摘したCATVの例を見ても明らかではありませんか。
 そのことが、将来、文字多重放送等を初めとしたニューメディアがCATVの二の舞にならない最大の保障であることを強く主張して、私の反対討論を終わります。
#229
○委員長(勝又武一君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#230
○委員長(勝又武一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 放送法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#231
○委員長(勝又武一君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 前田君から発言を求められておりますので、これを許します。前田君。
#232
○前田勲男君 私は、ただいま可決されました放送法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、第二院クラブの各派共同提案に係る附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
    放送法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたり、次の各項の実施に努めるべきである。
 一、テレビジヨン多重放送の実施にあたつては、放送の多様性、地域性を確保しうるよう、第三者利用の事業主体について適切に配意するとともに、極力、聴力障害者等のニーズに応える措置を講ずること。
 一、日本放送協会の出資の対象範囲を定めるにあたつては、同協会の公共的性格を十分考慮し、経営の効率化、事業運営の円滑化に資するよう配意すること。
  右決議する。
 以上でありますが、この附帯決議案は、本委員会における審議の経過を踏まえて作成したものであります。したがいまして、その趣旨につきましては改めて説明するまでもないと存じますので、省略させていただきます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
 以上であります。
#233
○委員長(勝又武一君) ただいまの前田君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#234
○委員長(勝又武一君) 全会一致と認めます。よって、前田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、箕輪郵政大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。箕輪郵政大臣。
#235
○国務大臣(箕輪登君) このたびは、慎重な御審議をいただきまして、ただいま放送法等の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 この委員会の審議を通じて承りました御意見につきましては、今後の行政の推進に当たり十分配意してまいりたいと存じます。
 さらに、ただいまの附帯決議につきましては、今後その趣旨を尊重してまいりたいと存じます。
 まことにありがとうございました。
#236
○委員長(勝又武一君) 次に、電波法の一部を改正する法律案の採決に入ります。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#237
○委員長(勝又武一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#238
○委員長(勝又武一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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