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#1
第096回国会 運輸委員会、公害及び交通安全対策特別委員会連合審査会 第1号
昭和五十七年七月八日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   運輸委員会
    委員長         桑名 義治君
    理 事
                井上  裕君
                山崎 竜男君
                黒柳  明君
    委 員
                江島  淳君
                梶原  清君
                木村 睦男君
                高平 公友君
                内藤  健君
                青木 薪次君
                広田 幸一君
                小笠原貞子君
                柳澤 錬造君
   公害及び交通安全対策特別委員会
    委員長         宮之原貞光君
    理 事
                山東 昭子君
                福島 茂夫君
                本岡 昭次君
                馬場  富君
                中村 鋭一君
    委 員
                石本  茂君
                梶原  清君
                関口 恵造君
                内藤  健君
                山崎 竜男君
                戸叶  武君
                村田 秀三君
                小平 芳平君
                中野 鉄造君
                沓脱タケ子君
                江田 五月君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  小坂徳三郎君
   政府委員
       内閣法制局第四
       部長       工藤 敦夫君
       警察庁交通局長  久本 禮一君
       環境庁大気保全
       局長       吉崎 正義君
       運輸省自動車局
       長        角田 達郎君
       運輸省自動車局
       整備部長     宇野 則義君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村上  登君
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       臨時行政調査会
       事務局主任調査
       員        吉田 俊一君
       法務省民事局第
       四課長      筧  康生君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
   〔運輸委員長桑名義治君委員長席に着く〕
#2
○委員長(桑名義治君) ただいまから運輸委員会、公害及び交通安全対策特別委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、私が連合審査会の会議を主宰いたします。
 道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしましたとおりでございますので、御了承のほどをお願いいたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○本岡昭次君 すでにもう運輸委員会において相当審議が進んでいますが、きょうは連合審査でございますので、まず基本的な問題から大臣にお尋ねをしていきたいと考えています。
 まずその一つは、今回の自動車の検査、整備制度の見直しについては、つまり道路運送車両法の一部改正については、一昨年十二月二十九日、「今後における行政改革の推進について」の閣議決定において「自動車の検査の在り方について、速やかに関係審議会等の意見を聴取して、検討を行う。」とされたことから始まっています。その後、運輸技術審議会への諮問が行われ、中間答申を経て本年一月に答申がなされております。一方、臨時行政調査会も第一次、第二次とそれぞれの答申の中で、自動車の定期点検整備及び検査について、国民負担軽減の見地から適切な措置を講ずべきことを指摘しているのであります。こうした閣議での決定、臨調、そして運輸技術審議会の答申等々に盛り込まれた趣旨が今回の法改正にそのまま反映しているかどうかという点について、私は疑義を持っております。
 そこで、大臣に、こうした閣議での論議、臨調、運技審の答申の趣旨と今回の法改正が一体どういう関係にあるのか、つまり、そうした趣旨が今回の法改正に的確に反映されていると大臣はお考えなのかどうか、その点についてまずお聞きしたいと思います。
#4
○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま委員から仰せられました諸点につきまして、私は今回の法改正にほぼ十分な形で盛り込まれておるというふうに考えております。
#5
○本岡昭次君 大臣は十分盛り込まれていると答弁をなさいましたが、私も、また私が接する多くの一般国民の皆さんも、大臣とは認識を異にしているわけです。私が再度ここで繰り返して述べるまでもなく、臨調なりあるいはまた運輸技術審議会の答申の趣旨というのは、行政の簡素化と国民負担の軽減、規制の緩和というところでありまして、それでは文字どおりその行政の簡素化が行われたのか、国民負担の軽減がなされたのか、規制の緩和がなされたのかという点になりますと、衆議院そしてこの参議院と、これほどまでに論議をしなければならぬというのは、要するにそうした趣旨が十分盛り込まれていないからだと、私はこう思っております。
 運輸技術審議会の答申にもはっきりと次のように書いてあります。「制度改正の実施までには、国及び民間における準備等にかなりの時間を要するものと考えられるが、国民負担の軽減等の観点から可及的速やかな実施が望ましい。」ということであって、可及的速やかな実施のそのポイントは国民負担の軽減の観点からというふうに述べてあるわけです。ところが、具体的にはなかなかそういうようになっていないし、しかも趣旨に逆行する過料制度が導入されるということにまでなっているわけでして、いま私が言いましたように、それでは一体行政の簡素化、国民負担の軽減、規制の緩和というふうな問題について、法改正の中身が国民にはっきりとわかるように趣旨に沿って出されてあるという点について、再度、大臣の方からお答えいただきたいと思います。
#6
○政府委員(角田達郎君) ただいま先生がおっしゃいましたように、まず第一点でございますが、運技審の答申には可及的速やかに実施することが望ましいと、こういうふうに述べられております。ただその意味は、私ども運技審の答申をいただきましてから、運技審の先生方とも接触は持っているわけですが、この制度改正によりましていろいろな影響が出てくるわけです。たとえば私どもの車検、登録の事務につきましても、新車初回の車検の有効期間を二年から三年にする、それから定期点検につきましては新車の六カ月点検を省略する、それからまた十二カ月、二十四カ月点検につきましては若干の点検項目を簡素化しなきゃならぬ、それから六カ月点検につきましては、おおむね技術的な知識を持っておられるユーザーであるならば自分でできるような項目にしぼるべきだというようなことがいろいろ盛り込まれておるわけでございまして、私どもの陸運事務所の事務の処理体制、それから整備業界、メーカー、こういったところがこれから準備を急いで、それでいろいろな各方面の準備が相整ったところでなければ法律にも盛り込まれているような事項が実施できないと、そういうことで、ただいま御提案申し上げております道路運送車両法の改正案の実施期日につきましては、この車検整備に関する部分はおおむね大体の事項につきましてこの改正案が成立し、公布されてから一年以内に政令で定める日と、こういうふうに御提案申し上げているわけでございます。
 ただ、公布の日から一年以内に政令で定める日と、こういうふうに御提案申し上げておりますが、運技審で言われております可及的速やかに実施せよというのは、その一年でありましてもできるだけ早く準備を整えて実施をしなさいと、そうすれば国民負担の軽減もそれだけ時間的に早く達成できると、そういう趣旨での御提言というふうに考えておるわけでございます。
 それから臨調なり閣議の決定でございますが、先ほど先生がお話されましたように、五十五年十二月の閣議決定につきましては二つございまして、民間車検を拡大しなさいということが第一点、それから第二点といたしまして、先生が申されましたように専門の審議会に付議して車検については検討しなさいと、これが第二点でございます。それで表現はそういうような閣議決定の表現でございますが、当然この中には国民負担の軽減を図るという趣旨がこの表現の中に込まれているものというふうに私どもは理解しておったわけでございます。
 それから、その次に出されました臨時行政調査会の第一次答申、これは昨年の七月に出ましたが、この中にははっきりと、国民負担軽減の見地から、専門的技術的に検討しなさいということ、それから定期点検整備についてはユーザーの自己責任であることを明確化すると、こういうような観点から専門的技術的に検討していただきたいと、これが昨年の臨調の第一次答申でございまして、第二次答申につきましては、これはもう第一次答申でそういうようなことが表明されておりますので、いま申し上げましたようなことは表現としては入っておりません。入っておりませんので、私どもが御提案している法律の中身がほとんど臨調の答申の中にも入っておるわけでございます。
 第一点は、新車初回の車検の有効期間を二年から三年にしろということ。それからもう一点は、新車初回の六カ月点検は省略しろということ。それから第三点につきましては、六カ月点検の検査項目を大幅に簡素化しろと、それからそのほかの十二カ月、二十四カ月点検につきましても点検項目の簡素化を図れということ。それから第四点は、整備事業の関係につきましていろいろな御批判が国民の側から出ております。整備料金が高過ぎるのではないかとか、過剰整備があるのではないかとか、あるいは手抜き整備があるのではないかという御批判が出ておりますので、それを踏まえて、臨時行政調査会の第四点の指摘といたしましては、整備事業者が国民の信頼を取り戻すような措置、たとえば料金の明確化、それから整備内容をよくユーザーの方に知らせると、こういうようなことをやって整備業界が国民の信頼を取り戻すようにというような御提言でございます。
 したがいまして、私どもがまず考えましたのは、そういうように国民負担の軽減ということで共通されたいろいろな閣議の決定なり臨調の答申があったわけでございますけれども、ただ、やはり安全の確保それから公害の防止というのは、定期点検整備なり車検の最大の眼目でございまして、この前提を除いて国民負担の軽減を図るということはこれはできない相談でございます。そこがこの閣議決定なり臨調なりの専門的技術的な検討をしろという意味ではなかろうかと思いますが、そういうことでございますので、この運輸技術審議会の審議におきましても安全の確保、それから公害の防止の水準を現在より以上に落とさないという前提で、しからばどういう形で国民負担の軽減を図られるかということに非常な苦心を委員の先生方に払っていただきまして、運輸技術審議会のことしの一月の答申で提案が出されたわけでございます。その提案を踏まえて私どもは今回の道路運送車両法の改正の御提案を申し上げた、こういうような次第でございます。
#7
○本岡昭次君 いまの話は私もよくわかりますし、私も文字どおりそのように受けとめているんです。
 しかし、いまの説明の中に出てきませんでしたが、問題は、そうした国民負担の軽減あるいはまた車の整備点検はユーザーの自己責任でという一つの視点。またもう一つは、大前提になる安全の確保とか公害の防止、そのために必要な車検、定期検査。そうした全体をながめて最後に出てくるのが、答申等に何もなかった過料制が、定期検査について街頭で指示を受けた場合、報告の義務を怠ると過料を科せられると、そのことがすべてのいま説明された趣旨そのものに反するのではないか。せっかくそこまで全体をまとめながら、最後のところで過料制度を導入をしてきたというところから、このユーザーの自己責任の問題についても、国民負担の軽減の問題にしても、何か全体の流れに逆行させてしまう、そういう意味をこの過料制導入というものが持っているということで、世上非常に論議が沸騰するということになっていると思うんです。十万円の過料が適当かどうかとか、過料を科すことが適当かどうかという論議はそれはそれとしてあるにしても、一連の今度の法改正の趣旨の流れから、なぜこの過料制度が導入されたのかということが多くの国民の胸にすっきりとおさまらない。私にもおさまらない。審議をすればするほどだんだんこの過料制そのものがわけがわからなくなる。これは後ほど一つ一つお尋ねをしますが。
 そこで、いま政府委員の説明の中にあった経過から何も出てこないこの過料制度の導入というものが、一体どういう経緯で、どの時点で、どのような理由で導入をされるようになったのか。そこのところをわかりやすく、具体的に時間かけていただいてもよろしいから解明をしていただきたいと、このように思うんです。
#8
○政府委員(角田達郎君) ただいま先生がおっしゃいましたように、この過料制度につきましては、非常に新聞なりそのほかの、また国会での御審議の過程におきましても、いろいろな御意見が出されたわけでございます。ただ、私どもがこの過料制度の導入を考えましたのは、これは何遍もいままで大臣なり政府委員が答弁しましたように、整備業界のためとか、そういうような観点ではないのでございまして、どうやって定期点検整備の励行を図るか、こういうことが最大の眼目であったわけでございます。
 と申しますのは、先ほど御説明しました運輸技術審議会の答申にもいろいろな改革案が御提言されていますが、たとえば新車初回の検査証の有効期間を二年から三年にする、それから六カ月点検につきましては項目を大幅に簡素化する、十二カ月、二十四カ月の点検につきましても項目を大幅に簡素化する、こういうようなことをやっていく上におきまして、これはもちろん国民負担の軽減の観点から、技術的に専門的にいろいろな検討を加えて、そこまでやっても公害なり安全の確保の観点から問題はなかろうといういろいろな分析をした上での結論でございますが、そういうことでいろいろな改革案が提案されたわけでございます。
 しかし、そういうような改革をするならば、同時に定期点検整備の励行の確保策を図りなさい、こういうことが強く同じ運輸技術審議会の答申の中で御提言をいただいておるわけでございます。たとえば、定期点検整備をやった車につきましてはステッカーを車に張りつけさせるとか、あるいは街頭検査を充実強化しなさいとか、たとえばそういうような方法をもって定期点検の整備の励行策を図りなさい、定期点検整備というのは非常に今後とも重要になってくるのでそういうような励行策を図りなさいと、こういうような御提案があったわけでございます。
 ただしかし、定期点検整備につきましては、これは昭和三十八年に道路運送車両法を改正いたしまして、義務づけをその際にやったわけでございますが、そのとき以来定期点検整備そのものには罰則あるいは制裁措置というものはつけられておりません。それはなぜかと申しますと、やはり本来的に自動車というものはそのユーザーが自分で自主的に保守、管理する責任を第一義的に持っているんだと、自分の便利のためだけじゃなくて社会のためにも車を持っているという責任を車のユーザーが第一義的に果たすべきであると。そのために定期点検整備をやるのであって、その定期点検整備というものは、罰則なり制裁で強制するんじゃなくて、ユーザーの自覚をまってその励行を促進する、こういう原則で三十八年に定期点検整備の義務づけがなされましたときから一貫して刑事罰なりあるいは過料というような、そういう制裁措置はつけていなかったわけでございます。
 今回この過料が入りましたのは、そういう原則を踏まえてなおかつ定期点検整備の励行策を図るにはどうしたらいいかということで、これは私どもの内部の事務的な検討を相当の長期にわたってやったわけでございまして、この中身が完全に固まって法案の形になりましたのが、閣議決定以前の一週間か十日ぐらい前に初めてこの案が固まったぐらいにいろいろな議論、論争、こういうものを経てこの過料制度というものを編み出したわけでございます。
 それでこの過料制度と申しますのは、もう先生御承知のように、定期点検整備の義務づけにつきましては、そのものにつきましては制裁措置は加えておりません。罰則、過料はつけておりません。
 それから定期点検整備記録簿の備えつけにつきましても、義務は課しておりますが、そのものには制裁措置は加えておりません。
 それから、定期点検整備をやっておるかどうかの街頭検査でのチェックをいたすわけでございますが、この街頭検査で、定期点検整備記録簿をたとえばお持ちにならなかった場合であっても、そのこと自体についての制裁措置はつけてないし、おやりになってないという方がおられましても、定期点検整備をやってないということ自体で過料というものが発動されるわけではございません。
 それで、その次の段階。定期点検整備記録簿をお持ちでない、あるいはお持ちでないしまたやっておられないという方に対しまして、それでは定期点検整備をやってくださいと申し上げ、これは法律上では「指示」という表現にいたしておりますが、この指示をいたしまして、それでユーザーの方から定期点検整備をいついつやったというような報告が所定の期間内になかった場合に初めて、報告をしなかったことについて十万円以内の過ち料をいただくことがあると、こういうような仕組みをつくり上げたわけでございまして、これは後ほどまた先生からのいろいろな御質問によりまして明らかになってくるわけでございますが、私どもといましましては、そういうような仕組みというものは、定期点検整備はユーザーの御自身でなさるんだ、自主的になさるべきである、こういうようないままでの大原則なりあるいは臨調の御答申なり、そういうものと相反するものではなくて、その定期点検整備をやってくださいという私どもの行政指導に根拠を与える、あるいは実効をあらしめるためにするというような、最低限ぎりぎりの仕組みとして私どもの内部あるいは関係省とのいろいろな議論の過程を経てでき上がった制度でございますので、その辺のところをどうか御理解いただきたいと私どもは念願しているところでございます。
#9
○本岡昭次君 昭和三十八年以来、この種の問題は罰則等で強行あるいは強制するのでなく、ユーザーが自主的に保守、管理の責任を果たすということを原則としてやってきたということなんですね。それで今回もその原則は変えていない。ただ、行政指導をより力あるものにするためにこうした過ち料というものがどうしても必要なんだと、こういうことなんですが、その原則を踏まえてやってきたけれども、それでは一体今日の状況はどうであったということなんですか。この行政指導をより力あらしめるためにこうした過料制度を導入しなければならないという、そこの間の動機のようなもの、理由のようなもの、極端に言えば定期点検をほとんど実施していなかったとか、いやその状況はどうだとかという、そこの間の経緯はどうなんです。
#10
○政府委員(角田達郎君) お答えいたします前に、ただいまの私の発言で、十二カ月、二十四カ月の点検項目を大幅に簡素化するというようなお答えをしたかと思いますが、その点は誤りでございまして、大幅に簡素化するのは六カ月点検の項目でございますので、訂正さしていただきたいと思います。
 それから、いまの先生の御質問でございますが、定期点検整備というのは本来ユーザーの責任である、この原則は三十八年以来崩してない、それなのになぜ過料制度をここで持ってこなきゃならないのかという御質問でございますが、詳しい数字等につきましては後ほど整備部長から必要があれば御説明させていただきますが、定期点検整備の実施率は大体五〇%から六〇%程度でございます。それで、私どもとしてはこの実施率を何とかしてその五〇なり六〇なりそういうようなパーセンテージから引き上げていきたい、こういうふうに従来からいろいろ考えて啓蒙、指導、これは整備業界なりメーカーなりの御協力も得ていろいろな啓蒙、指導をやってきたわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、この運輸技術審議会の答申におきましてもいろいろな国民負担の軽減から、車検の有効期間を新車初回につきましては二年を三年にする、あるいは新車の初回の六カ月点検を省略する、それから六カ月点検の項目を大幅に簡素化すると、こういうようなことをやりますならば、さらにいまより以上に安全の確保、それから公害の防止という観点から定期点検の整備を励行していただく必要があると、こういう強い御提言がなされておるわけでございまして、私どもといたしましては、従来やっておりましたようなユーザーに対する一般的な啓蒙運動というようなことだけでは今後は足らないのではないかということで、いろいろな行政指導をユーザーの方にやっていただかなければならない。そのための行政指導を私どもがやりまして、ユーザーに定期点検整備をやってくださいというお願いをするための一つの最低限のぎりぎりの制度として今回の定期点検指示制度あるいは過料制度というようなものを考え出した、御提案申し上げている、こういうことでございます。
#11
○本岡昭次君 まあ従来五〇%から六〇%程度の実施率しかなかった、だから今回はいろいろ緩和をするんだから、このままの状態では安全とか公害の問題について自信が持てない、こういうことで、励行をしてもらうためにこの過料というものを持ってきた、言ってみればこれはユーザーへの不信感というものが前提に立っていると思うんですね。ユーザーに対する不信を前提にして、この目的とするところのユーザーが自主的に保守、管理の責任を果たすようになってもらいたいということとは私は全然別だと思うんですね。ユーザーが本当に自主的に車の保守、管理の責任を果たして、そして交通安全の問題あるいは公害防止の問題、またみずからの命を大切にする、こうした車を持っておることに対する責任と義務を果たしていくということでそうした自覚、認識を高めていく場合に、不信感を前提にして過料を科すというやり方は、あなたが先ほど言われた昭和三十八年から持っておった原則というものをここでもはや変えてしまったということになると思うんですね。結局つかまれば運が悪かったと、何とか過料を科せられないような法の手をくぐる方法はないかというふうなことをまたそれぞれが考え始めるというふうなことになって、今回の法改正の目的と逆行するというふうにどうしても思わざるを得ないんです。
 だから、五〇%か六〇%の実施率を六〇から七〇へ、さらに八〇、九〇、一〇〇%へと引き上げていくという、定期点検をすることに対する努力を何によって求めていくかということの具体策、もうこれ以外にないんだというふうにおっしゃるのかしれませんが、しかし、この過料のところに、あるいは罰則のところに手をつければ、そのほかの案というのはもはや出てこない、こう思うんですね。そういう意味で基本的に今回の改正の精神と逆行してしまった、この過料制度を導入したことによって大変な法改正になってしまった、このように私は断ぜざるを得ないんですが、細かい中身はこれから論ずることにして、大臣、私の認識はやっぱり間違っていますかな。
#12
○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま委員の仰せられたことは私も大変よくわかる点でございますが、率直なことを申し上げますと、実は私は今度の法改正の中で、技術審議会で大変長期にわたっていろいろ検討してもらった中で、確かに日本の自動車は大変よくなっております、まあ国産車についてはですね。したがいまして、技術的なメカニカルな面では非常に私はもうりっぱなものだろうと思うんです。しかし、私はその審議の経過の報告を受けたときに一番の困ったなあと思ったことは、やはり公害でございます。時間の経過とともに自動車の持つ公害というものが意外に大きいというデータが非常に大きく示されたのでございまして、私は定期点検ということは確かにユーザーの自主的な社会的責任としてやっていただかなくちゃならぬ。そしてまた、それについては何ら刑事罰的なことを科さないということは、確かにこれは非常に信用して事に当たるということで結構なことだと思っておったし、またそういう方針が貫かれることは結構であるけれども、現在御承知のように物すごい数の自動車でございますし、そしてまた道路事情だって決してそんなにすぐよくなってはおらないから、確かに非常にメーカーその他の努力で排出ガスその他の規制は厳格に守られつつあって、総量においてもだんだんと減っているというふうに私は理解しておりますが、しかし、自動車そのものの使用の期間とともに、やはりどんないい車でも二年過ぎると相当な排ガスの値が出ているという、そうした運技審の報告が私は一番ショックでございました。
 そうした意味におきまして、どうしても定期点検をやってもらいたいし、やらなくてはいけない。そうしたようなことを踏まえたときに、公害対策としてもこれをどうしてもやってもらわなくちゃならない、一種の社会秩序、そしてまたユーザーの持っている社会的責任を果たしてもらうということをもう一歩ここで推進しなきゃならぬ。ただ、車検の期間だけを二年でも三年でも延ばせば延ばすほど人気はあるでしょうけれども、私はその延ばすということと定期点検とは別であるというふうに考えて、こうした過料というものがちょっとなじまないことはよくわかります。しかし、このなじまないということは、定期点検をやっていただいてユーザーが公害に対してそれなりの社会的責任を自覚してもらっていれば、この過料なんということは全く関係ないことでございますから、その方たちにとってはこの過料制度というものは全然あってもなくてもいいことであろうと思うんです。
 そしてまた、今日までの調査によると、五〇%程度の人しか定期点検をやっておらぬということでありますから、半分の方たちは全くそうした公害を自分で起こしていることに対して責任がない、その自覚が全くない、これはまずいことではないか。特にそうした面を中心にして考えたときに、それならば何が一番いいのかということでいま局長が御答弁申し上げました。私も聞いてみました。この過料という問題については実は一年以上前からやっておると言うんですね。私は去年の十二月から就任したものですからその前の事情は報告を受けただけでありますけれども、一年以上、どうしたら定期点検を励行をさせることができるかということで省内においては大変な議論をやってきておる。結局、それならば過料、秩序罰ということで御理解いただけないだろうかというようなことで法案をつくって出したのでございまして、これは何もユーザーを信用しないとか何とかいうこと以上に、私はやはりこの調査の結果で一番心配なのは、公害が時とともに、自動車はそれ自体持って大きくしていくんだということでありまして、これを防ぐということは、決して私はユーザーにとってのただ不信だとか、あるいはお上の権力意識だとか、そういうことではないというふうに考えまして御提案させていただいておるわけでございます。
 このことは衆議院段階におきましても、また今日までの参議院の運輸委員会におきましても、多くの方々から御指摘を受け、いろいろな御意見を承っておりまして、われわれといたしましては、この過料につきましてはそうした趣旨であるけれども、それを実施する場合には十分国会における御論議を体しまして、運営については、いま委員が御心配になるようなことにならないような形でやろうというふうに考えているわけでございまして、その点御理解いただきたいと思っています。
#13
○本岡昭次君 いま大臣がお述べになりました、公害に大きな影響を車が持っているということに着目しているんだと、そういう点をよく考えてほしいというお話がありました。それは後ほど御質問をさせていただくことにしまして、ここで過料問題について導入することをやめるべきだという論を展開しても水かけ論になりそうですし、私は、それは導入はやめるべきだという立場にあるということを明らかにした上で、具体的な過料問題の運用はそれではどうなるのかということについてお尋ねをしてまいります。
 そこで、運輸委員会ではこの問題についての論議も相当進んでおるようですし、一昨日の七月六日の当院の運輸委員会でも、具体的な問題について相当突っ込んだ質疑がされたようです。新聞にそのことが報道されております。私は運輸委員会に参加しておりませんでしたので、どういう論議がなされたのか、新聞を通してしか知る由はないわけです。そこで、新聞をもとにしまして、過料問題について幾つかお尋ねしてまいります。
 この新聞によりますと、内閣法制局の工藤第四部長、それから角田自動車局長ですか、このお二人の名前が挙がってそれぞれ答弁が書いてありますが、まず、工藤第四部長の内閣法制局としての見解なんですが、新聞に書いてあるとおりかどうか、まず読ましていただきますので明らかにしていただきたいと思います。新聞には、「「過料は報告義務違反に対する秩序罰なので、仮に点検を実施していないという報告があった場合、報告自体はあったことになるので罰則の対象にならない」との見解を明らかにした。」とあるんですが、このとおりですか。
#14
○政府委員(工藤敦夫君) 一昨日七月六日の参議院の運輸委員会におきまして、小笠原先生からの御質問に対しまして私が答えた点の御質問でございます。そのときにお答えしましたことを、もう一度繰り返してといいますか、ほぼ同様のことを繰り返して申し上げますと、まず、自主的に点検整備を行うということ、これは罰則は、先ほどから自動車局長の説明ありますように、罰則はついておりません。しかし、法律の四十七条あるいは四十八条で定められた義務でございます。そういう意味で、法律で定められた義務は当然遵守されるべきであると考えます。ただ、仮に、そのときの小笠原先生の御指摘のような点検整備を行わなかった旨の報告があったときには、報告がなかったとは言えないので、その報告が虚偽の報告でない限り、法律の百十二条一項二号、これには該当しないものと考える、このようにお答えしたわけでございます。
#15
○本岡昭次君 四月十三日の衆議院の運輸委員会の中で飯島政府委員が、これは当時の自動車局長ですか、このように、同様の趣旨の質問に対して答えています。「この点検指示制度は、街頭検査等に際しての行政指導を実効あらしめるものにしたいということから起案いたしたものでございまして、過料の額につきましては」云々と、こうなっているんです。それで、行政指導を実効あるものということは、先ほどの自動車局長の答弁にもあったわけで、報告義務というものは、いまおっしゃったように単に虚偽の中身でなければ、報告という形式が整っておればいいというふうなことには理解できないのです。ここに書いてあるように、その行政指導を実効あるものにという、要するにその指示に従って所要の点検を実施するということを期待しているという事柄がその報告義務の中身だと、まあ通常常識的に考えてそのように思うんですがね。だから、虚偽にわたらなければ、報告という形式さえあれば、私は実施をしませんでしたということがあっても、それは報告義務違反に問われないんだというふうな理解が通用するのかどうか。一方、そうすると報告義務違反という場合は、もう少しわかりやすく、どういう場合にそれでは報告義務違反になり、どういう場合にそれでは報告義務違反にならないのか。この質問は、実施をしなかったという報告を仮にした場合はどうかという一つ前提をつけての質問なんですがね。そういうふうに一般化すると一体どういうことになるんですか。
#16
○政府委員(工藤敦夫君) まず、現在御提案中の法律案の五十三条の二の第三項におきましては、「指示を受けた日から十五日以内に、」「指示をした陸運局長に報告しなければならない」というふうに書いております。したがって、考え方としましては、その講じた措置につきましてその内容が記載されている必要がある、一応点検整備記録簿の写しを添えて、そういう形で文書が提出される必要があります。全く関係のない事項だけを書いて、これで文書を出したといっても、報告があったということにはならないと思います。ただ、そういった疑念を払拭するためには、できれば数多くの立法例でございますように報告書の様式を定めて、その中の記載を見ると、こういうことが適当ではなかろうかというふうに考えております。
#17
○本岡昭次君 いまおっしゃったことと、それから、仮に点検を実施していない場合、仮に点検を実施していないという報告があった場合、報告自体はあったことになるのでその罰則の対象にならないということとの関係はどういうことなんですか。
#18
○政府委員(工藤敦夫君) ただいまの先生のお尋ねにつきましては、たとえば出張その他でできなかったという理由がつきまして、はっきりこういうことだということにつきましての記載があれば、これは報告ということも考えられるわけでございますが、全く関係のないことだけを書いてきて、文書さえ出せばいいということでは報告にはならないだろうと、かような意味でございます。
#19
○本岡昭次君 点検を実施できない状態にあった、たとえば出張のためとか、いろいろそういう、本人は点検をする意思はあったんだけれどもいろんな条件が整わずそれができなかったという報告があった場合には、報告自体はあったことになるので罰則の対象にならないと。それは幾つかのそういう条件があろうかと思いますが、そうした場合に、そういう報告を受けた陸運局はその後はどう措置をしていくんですか。
#20
○政府委員(角田達郎君) ただいま先生の御質問で、いろいろな理由がありまして、私は指示を受けましたけれども定期点検整備ができませんでしたと、こういう報告があったと仮定します。そうしますと、ただいま法制局の第四部長が御答弁申し上げましたように、定期点検整備に関してとった措置についての報告でございますので、これは法に基づいた適法な報告という形にはなるわけでございます。そこで陸運局としては、報告はそれでもう完了しておるわけで、過料を科すというような措置がとれないわけでございます。しかし私どもとしては、一応またその方に、それでは御都合のいいときに定期点検をやってくださいというようなお願いをするわけでございます。で、これは五十三条の二の規定に基づく法律上の指示ではないのでございまして、行政指導という性格を持った一つの措置でございます。そういう措置を私どもはとりまして、ユーザーの定期点検整備の励行策を促進していきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
#21
○本岡昭次君 いまの話の中で、きのうの新聞報道に述べていることで国民が誤解をするのは、読んだ人が誤解をするのは、点検を実施していないという報告があった場合ということじゃなくて、その点検が実施できなかったということの報告があった場合には、点検ができていなくても報告自体はあることになるので罰則の対象にはならないと。これ、点検を実施していないという報告があってもそれでいいんだということになれば、何の報告を求めているのかということになりますが、これどうですか、いまあなたの私の質問に答えて言われたことときのうの答弁に、これ食い違いがあるのかないのか、これはどうなんですか。ここもそうです。第四部長の答弁の新聞に書かれてある文章そのものの持つ意味と、いま私に言われた意味と相当違うように思うんですがね。
#22
○政府委員(工藤敦夫君) 新聞の記事につきまして私も読みましたが、たとえば見出しの「点検しても報告しなければダメ」「点検怠っても報告すればOK」と、こういうふうな非常に端的な結びつけ方はいかがかと思っておりますが。
#23
○本岡昭次君 それはあなたの答弁に関係して書かれた見出しじゃないでしょう。これは角田自動車局長の答弁に関して書かれた見出しなんですよ。だから、あなたの言っているのは、「点検を実施していないという報告があった場合、報告自体はあったことになるので罰則の対象にならない」と、これでは、何が一体目的なのかということがはっきりしなくなってしまうでしょう。
 あなたもおっしゃったけれども、「当該指示に基づいて講じた措置」ということが書いてあるでしょう。「当該指示に基づいて講じた措置について、」ということで、当該指示に基づいて講ずるというのは、点検もしくは整備をしなさいということの指示であって、「講じた措置」というのは、それに基づいてどうであったかということについては、できなかったというのは、確かに意思があって、十五日以内にこれこれの理由でできなかったというのは措置として認められるけれども、私はしなかったと、あなたの言うように。実施をしていませんという事柄は、「指示に基づいて講じた措置」になるというふうにあなたがおっしゃるんなら、それこそこの新聞に書いてあるように、ざる法とか、何のための一体これは秩序罰なんだということで、この法律そのものを制定することについて国民が、一般の皆さんが政府を信頼しなくなる、法律そのものに対する信頼性を失っていくというふうになるんですが、非常にこれは不注意というんですか、あなたはもともとがこういう過料を科すべきでないという立場に立って、いろいろこういう場合は科せられません、科せられませんという形の発言がこういう表現になったんだと思うんですがね、この点についてはっきりと再度あなたの見解を示してください。
#24
○政府委員(工藤敦夫君) 先ほどもお答え申し上げましたように、まず「講じた措置」につきましてその内容――内容といいますのは、当然点検整備をやりました場合にはその写しを添えて、かつ、たとえばどこでやったかと、どこでどういうことをやったかというふうなことも当然その内容でございますし、あるいはいまのような何らかの理由があってこういう期間内にはできなかったということまで書かれている必要があると考えております。ただ、全く先ほどの繰り返しになりますが、関係のない事項だけを書いたような、あるいは白紙で出してきたような、こういうものはやはり報告にはならないというふうに考えております。
#25
○本岡昭次君 要するにあなたのおっしゃりたいことは、十五日間に報告があって、その間に点検あるいは整備という指示自身が行われなくとも、直接的には罰則の対象にならないと、そういうふうにおっしゃっているんですね。
 そこで、それと関連して、自動車局長の方がまたその後を受けて、「過料は秩序罰であって刑事罰ではない。点検指示を受けて報告がなかったことに対する秩序罰なので、点検を実施していても報告しなければ罰則の対象になり、点検を実施していなくても報告があれば、秩序罰にはならない」と、ここの見出しに書いてあるように、点検ができていませんということがあってもそれはいいし、しかし自主的に点検しても何らかの状況で報告ができなかった場合は罰則になるということで、この点についても、先ほどの問題と関連して、読んで非常にわかりにくいし、一体何を考えているんだと、一体、こういう法律自身は認めがたいが、しかし、過料十万円というものにどういう効果を持たそうとしているんだということについて、全くこれはわからぬということになるんですが、自動車局長いかがですか、これは。
#26
○政府委員(角田達郎君) 確かにいま先生御指摘のような答弁をしたわけでございますが、過料と申しますのは、先ほど法制局の第四部長からも御答弁ございましたように、報告義務につけた一つの制裁でございまして、刑事罰ではない秩序罰という性格を持っております。それで、これこれかくかくの理由で点検をしなかった、あるいはできなかったという報告があれば、報告自体はなされているということで過料の対象にはならないということでございまして、また、指示に基づいて点検を実際はしておられましても所定の期間内に報告がなければ、これは私どもとしては、実際の行政上の措置としては督促を何度もいたしますけれども、法律的には報告がないことについてやはり秩序罰たる過料が科されると、法律的にはそう申し上げざるを得ないという御答弁をいたしたわけでございます。
#27
○本岡昭次君 いま、所定の期間内にということと、それから督促を何回もしてそれでも報告がなければということがありましたが、もう少し具体的に、いま、点検をしていてもその報告がなければ罰則の対象になるんだということにかかわっての所定の期間内あるいはまた、その過料に至るまでのその間督促を何回もするという言葉がありましたが、もう少しそこは具体的に、どういう経過がその中にあるかということを説明してもらいたい。
#28
○政府委員(角田達郎君) 第一点の所定の期間内にと申しますのは、これはいま御提案申し上げております改正法の五十三条の二の規定に基づきまして十五日以内に報告をしていただかなければならない、こういうような規定になっております。ただ、私どもの法律にはそうなっておりますけれども、行政上の運用といたしましては、十五日がたって報告がなかったらすぐ過料の手続をとるというようなことではなくて、やはり何らかのいろいろな理由があって報告が来ない場合もあると考えられますし、また、この過料の制度自体が、過料を取るということを目的とした仕組みではなくて、先ほど来御説明しておりますように、行政指導を実効あらしめるための一つのぎりぎりの仕組みと、最低限の仕組みと、こういうふうに私ども考えておりますので、十五日がたったからすぐ過料の手続きをとるというしゃくし定規の運用ではございませんで、何回か督促をいたしましてそれでもなかったときに初めて過料の手続きをとる、運用はそういうふうにしたいと、こういうことを申し上げておるわけでございます。
#29
○本岡昭次君 過料を取ることが目的でないということが大前提であるということですから、それはすべての運用の基礎にしてもらわなければなりません。そうなってくると、点検をしている者、していない者、それぞれ報告義務違反ということが過料の対象になると、こういう秩序罰の形式であるわけですから、そこのところは十分ユーザーに周知徹底をさせなければならないし、督促を何回もするというその督促のあり方あるいはまたいよいよ最終的にその過料の適用をせざるを得ないという最終段階、こういうところは非常に慎重にこれはやってもらわなければ、過料を取ることが目的ではないんだということで運用上の機微に触れる非常に大事なところだと、こう思うんです。そこのところについて再度確認をしたいんですが、どういう形でそうしたものを運用の段階で具体化していくんですか。いまあなたがここで答弁された、大臣もそのとおりだとうなずいておられるということだけではどうにもならぬと思うんですが、そういうのはどういう形で具体化されていきますか。
#30
○政府委員(角田達郎君) 確かに先生いまおっしゃられましたように、この運用というのは非常に大事だと思います。
 実際にこの運用をいたしますのは、私どもの第一線で働いております陸運事務所の職員でございまして、検査官あるいは検査官という身分でない検査担当の職員、全部で現在のところ全国で千五十八名ばかりおりますけれども、この方たちが現実にはそういう措置をやるわけでございますので、この運用が過ち――過ちといいますか、不適当な、あるいは不適切な運用がなされればこれは非常に問題になるわけでございますし、国民の方々にも御迷惑をかけるわけでございます。したがいまして私どもとしては、この法案が通りますれば、第一線のいま申し上げましたような職員の方々に対するこの点検指示制度の仕組みについての実際の運用マニュアルを記載した通達を流しまして、またよくその趣旨を本省などに集めて徹底させる等の措置をやりまして万全を期してまいりたい、こういうふうに考えております。
#31
○本岡昭次君 そこで、最終的に所定の期間内が過ぎても報告がなかった、督促を何回もする、したいということで、何回というのは通常五、六回と言っていいのか二、三回と考えていいのか、繰り返してやるということであろうと思うんですが、そして最終的にこれではどうにもならない、これは過料の制度を適用せにゃいかぬということで百十二条の発動をするその判断は、これはどなたがするんですか。
#32
○政府委員(角田達郎君) この定期点検指示、それから報告を求めるというような、こういう措置の権限は、いま御提案申し上げております改正法の中では陸運局長の権限、こういうふうに記載されております。しかし、この陸運局長の権限は政令で都道府県知事、つまり陸運事務所長に委任するような考えでおりますので、実際にはその権限は陸運局長から委任されました陸運事務所長、それで陸運事務所長の下で先ほど申し上げましたような職員が、検査官なり検査担当職員なりがその指揮のもとで運用していく、こういうかっこうになろうと思います。
#33
○本岡昭次君 だからそういう場合に、悪質であるとか悪質でないとか、いろいろ最終判断をする主観が働く、こう思うんですよね。何回もとおっしゃる何回が、いやもう一遍やらにゃいかぬとか、いやもうこれはだめだという、だから、そういうところの恣意が働いて運用上不公平というものが起こらないような措置というものを十分これはやっておいていただかないと、基本は過料を取ることを目的にしないと、こう言うんですからね、目的にしないと言うんだから。実効ある行為、過料を取ったからといって実効ある行為になっていませんからね。それは点検をさして、公害防止の上であるいは交通安全の上で必要な措置をとらせることなんですから、そこのところを間違いのないようにひとつ周知徹底をしてもらわなければいかぬ。だから私も、過料を取ることを目的にしていないということがそれでは運用上具体的にどういうふうに実効あるものになっていくのかということを今後これは見さしてもらわなければ仕方ないと、こう思うんですが、まあこの過料に至るまでの経過、以上で大体わかりました。
 その次に、また、一般自家用車が定期点検していなくとも整備不良でなければ点検指示は出さないというふうな答弁もここに出されているわけで、私がいまずっと話をしたのは、車両全体の問題なんですが、今度は車両の中で、一般自家用車が定期点検していなくとも整備不良でなければ点検指示は出さないという答弁があるわけなんですが、またその後続いて、それでは一体どういう車両に限定をしてやっていくのかという場合に、これは参議院の本会議でも運輸大臣なり行政管理庁長官の方からこれに似た答弁がありましたが、この対象車種は不正改造車、違法な行為をしている白トラック、ダンプカー、その他整備不良車を中心に限定するから、一般の自家用車にねらい撃ちするようなことはありませんから安心してくださいと、こういうことであったようなんですが、こうしたことは、それでは今後のこの法律を運用していく過程でどのように運用上明文化され、具体化されていくんですか。
#34
○政府委員(角田達郎君) いままでお話にずっとございました点検指示の運用の問題でございますが、これは先ほど来御説明しておりますように、過料を取るということを制度の目的として私ども考えたわけではないのでございまして、いま先生がおっしゃいましたように、定期点検整備をやっていただくというところに眼目があるわけでございます。それともう一つは、私どもの職員につきましてもこれ非常に限界がございます。先ほど申し上げましたように、陸運事務所の検査担当の職員はただいまのところ全国で千五十八というような数字でございます。それで、この職員が通常は車検場で検査をやったり、あるいは指定整備工場の監督をやったりしておるわけでございまして、毎日毎日こういう職員を街頭に立たせてチェックをするというようなことはできないのでございまして、春、夏、秋のいわゆる交通安全運動、この期間に警察庁の方と協力をいたしまして街頭検査をやる。その街頭検査をやる段階でいろいろな行政指導なり、点検をやってない車につきましては点検の指示をしていくということでございますので、非常に制約が、運用上の私どもの方からする制約があるわけでございます。したがって、やはり重点をしぼった運用をしていかなければいけない。
 それからまた、何度も大臣なり政府委員が御答弁申し上げておりますように、この運用につきましてやはり良識のあるユーザーに御迷惑のかかるような運用をしてはならないというようなことで、不正改造車とか違法な行為を行っている白トラやダンプカー、その他の整備不良車等を中心にこの点検指示の制度を適用させていくと、こういうふうに御答弁申し上げてきているわけでございます。
#35
○本岡昭次君 問題は、衆議院、参議院を通してこうして一番いま問題になっている過料問題の具体的な運用というものが、国民の疑念を、ユーザーの疑念をどう晴らすかということに私はかかっているんじゃないかと、こう思うんです。だから、とにかく今度は大変だと、過料を取られるぞということが前面に出て、そしてユーザーの自覚なりみずからの責任を確立していくというふうなことがなおざりになるということにならないように、私はこれ全体として行政上の配慮、運用というものを十分やってもらわなければならぬと、このようにずっといまの質疑応答の中で感じました。それでもなおかつそういうことであるならば、過料制度という問題に踏み切らずとも、行政指導をより実効あらしめる方法というものが専門家の間で検討できたのではないかというふうに思えて仕方がありません。結局最後は、何というんですか、いやがらせ、あるいはまたそこに強迫、あるいはまた不信、そうしたものがこの十万円過料というものからにおい出るし、また新聞で、大臣等は気を悪くなさるかもしれませんが、このごろ、こういうふうなものがもともとなかったのがこういうところに入ったのはある業界からの自民党に対する圧力なり、あるいは癒着関係からこういうものが入ったんだというふうなことも取りざたをされるという状況になってきているんじゃないかと、こういうふうに思います。その点をここで解明していただく必要はありませんが、過料十万円問題について、こうして質疑のやりとりをしながらもどうしても私は釈然としません。しかし、いまこの質疑をやっているんですから続けていきます。
 そこで、この改定の中で、過料の金額というのはもともと百十二条で一万円になっておったものが十万円以下と、十倍になっているわけなんですが、これは百十二条の過料だけでなく、百六条が十万円から五十万円、百六条の二が五万円から三十万、百七条、百九条が三万から二十万、百八条、百十条が一万から十万円と、それぞれこれ罰金なんですが、五倍、六倍、七倍、十倍というふうにずっと引き上げられております。過料もいま言いましたように、百十二条の一項が一万円から十万、今度は二項の方が三万から十万と、十万を最低にしてずっと引き上げられているわけなんですが、このようにして過料の金額を上げるということによって、おどかしというんですか、制裁というんですか、そうしたものをより効果あるものにしようというふうに考えたんじゃないかと私は思います。
 しかし一方では、全体の並びがこうなったんだからという理屈もあるんじゃないかと思いますけれども、これは法務省の方にお尋ねします。これが十万円というふうに最低を上げて、あとそれぞれ七倍、六倍、五倍というふうな形で二十万、三十万、五十万と上げていったその合理的な理由というものはどこにあるんですか。
#36
○説明員(筧康生君) 罰金とかあるいは過料の額を定める際、あるいはこれを改定する際には私ども法務省の方に御協議願うということになっております。私どもはその中の過料の額について各行政庁から協議を受け、その意見を言うという立場にあるわけでございますが、今回この過料につきましては、従前ありました一万円の額を十万円に、それから三万円の額を十万円にという形でおのおの改定をされております。この過料の額につきましては、もともといま問題になっております過料は、その過料を科することによって間接的に秩序を維持するという性格のものでございますので、その定められました額につきましても物価の上昇あるいは賃金水準の上昇、あるいは各種の家計支出あるいは国民所得等、国民の経済的な水準に伴いまして順次改定されていくべきものであろうというように基本的に考えているわけでございます。
 ただ、そう申しましても、立法がこの過料ないしは罰金のみを改定するという作業を行うというのはかなり困難なことでございますので、法律を改正する際、特にその法律を改正した際に新しい過料、罰金を設ける、あるいは従前ありました過料または罰金のどこかを改定する際には全体的な見直しをするということを各行政庁にお願いをしている次第でございます。今回一万円を十万円、三万円を十万円というように改定されましたのは、まず一万円が定められました時期が、一万円の方は昭和二十六年でございまして、三万円の方は昭和四十七年に定められたものでございます。そして、この昭和二十六年、昭和四十七年からのただいま申しました各種の指数、上昇的な指数というものを並べて見てまいりますと、おおむねこの十万円という改定の率というものに符合する範囲内にあるということが一つございます。
 それからもう一つは、罰金と過料というのは、同じ法律の中で設けられている場合には、これは相互にバランスがとられておるべきものというように考えておりますが、罰金等を定める際には、今日の国民の経済的な水準等を考えましておおむね十万円を最下限にする。これは上限の最下限という意味でございますけれども、それも罰金の一つの基準として意見を申し上げておるというような事情もございます。罰金刑につきまして、今回の改定を十万円にいたしましたその率を、従前のこの過料の改定されました時期をバランスよく比率を調整していきますと、この一万円も十万円、三万円も十万円という額におおむねなるということになりますので、この法律の中に設けられました過料ないし罰金の最下限を十万円にするということについても、私どもとしても特に異存がないという意見を申し上げた次第でございます。
#37
○本岡昭次君 そこで、百十二条の過料の対象となる各条項がずっとたくさん「第二十七条第三項、」以下、一号の中にまとめてあって、そして二号に「第五十三条の二第三項の規定による報告をせず、」と、こういうふうになっているわけなんですが、参考のためにこの百十二条の一号に一つにまとめてある各違反条項と、それから今度新しく二号を加えて、そして同じ過料というふうにしていったその何か妥当性というんですか、合理性というんですか、そういうようなものをわかりやすく御説明いただけませんか。
#38
○政府委員(角田達郎君) まず「第二十七条第三項、」というのが入っておりますが、この第二十七条第三項というのは、ナンバープレートの交付代行者の手数料、こういうものをナンバープレートの交付代行者はその事業場に掲示しなければいけない、こういう義務がございまして、その義務違反に対する過料でございます。
 それから「第二十八条第一項」、これは、ナンバープレートの交付の代行を行うものであるよという標識を、その交付代行者の事業場に掲示しなければならない、その掲示の義務違反に対する過料がこの二十八条第一項でございます。
 それから括弧いたしまして「(第二十八条の三第二項において準用する場合を含む。)」と、こういう規定を入れておりますが、括弧内の第二十八条の三第二項において準用する場合と申しますのは、具体的に申し上げますと、ナンバープレートをつけます際には封印をいたします。法律上は封印の取りつけというのは陸運事務所の登録の職員がやるわけですが、職員の数その他の関係から、封印の取りつけの委託をしております。それで委託を受けた者が、やはりその封印の取りつけの委託を受けた者であるよという標識をその事業場に掲示しなければならない、こういうことになっておりまして、その掲示の義務違反、これでございます。
 それから、その次の「第六十三条第四項後段、」というのがございますが、これは臨時検査というのを道路運送車両法でやる場合がございますが、この臨時検査をやります場合に、受検をしないという不受検の検査証、不受検の場合の検査証の返納義務というのがございます。この返納義務違反が第六十三条第四項後段でございます。
 それから「第六十九条第一項、」これは自動車を廃車いたしますような場合に、登録の抹消をやりますが、この抹消登録による検査証の返納義務違反、これが第六十九条第一項でございます。
 それから「第七十五条第三項、」これは型式指定車、新車につきましては一々その一台一台車の保安基準に適合するかどうかのチェックをいたすわけではございませんので、型式指定という仕組みをとっておりますが、この型式指定車の完成検査終了証の発行に係りますいろいろな義務がございますが、その発行の義務につきましてのいろいろな違反につきましてのこれは過料でございます。
 それから「第八十九条第一項」というのは、認証工場、これはいわゆる整備事業者でございまして、整備事業者が分解整備事業としての認証を受けて仕事をすることができるようになるわけでございますが、その認証工場であるよという標識を掲示しなければいけない。その掲示の義務違反でございます。
 それから、「(第九十四条の九において準用する場合を含む。)」というふうに括弧で書いてございますが、これは指定工場というのがまた別にございます。これはいわゆる民間車検を行う資格のある工場、これを指定工場と言っておりますが、指定工場であるよという標識をその店頭に掲示しなければならないという、その掲示の義務違反。
 それから、「又は第九十四条第二項」と、こう書いてありまして、この第九十四条第二項と申しますのは、優良認定工場、これは認証工場のうち、いろいろな設備とかそれから技能検定を受けた従業員を置いておりますが、そういうような認証工場のうちの優良なものにつきましては優良認定工場というような資格を道路運送車両法で与えておりますが、その優良認定工場の標識の掲示の義務違反、こういったようなことでございます。
#39
○本岡昭次君 いや、私は黙って聞いておったんですが、別にそれ全部説明してくれと聞いたわけではないんです。問題は、この一項と二項を同じように十万円と、こういうふうに並べて過料していく、そのことの妥当性というものは何かということを聞いたんですが、まあよろしいですわ、それで。
 そこで、それは後で答えてもらうことにして、ずっといま言われた、これも私はちょっと素人でよくわかりませんが、同じようにくくってある限りはその秩序罰と言われている性格のものだと思うんですが、この秩序罰に過去該当して過料を受けたというのはどのぐらいあるんですか、第一項の第一号関係で。
#40
○政府委員(角田達郎君) ただいまのそれぞれの条項に基づいての過料の手続をとった事例は、現在までのところございません。
#41
○本岡昭次君 それで、私が初め質問したその一項とこれと大分性格が違うと思うんですが、一つのところにまとめていった妥当性というのですか、そういうようなものは何かありますか。ただ同じ過料のものだからここに二号をつけたというだけのことなんですか。
#42
○政府委員(角田達郎君) 過料と申しますのは、先ほど来御説明していますように、行政上の一つの制裁ではございますが、刑事罰と違いまして、いわゆる秩序罰と言われているものでございます。刑事罰に比べまして反社会性が非常に薄い。行政上の目的に直接侵害を与えるというようなものではなくて、行政上の目的に間接的に違反をいたしまして、それで一つの秩序に違反をする、侵害を加えるおそれがあるものというようなのがいわゆる秩序罰ということになっておるわけでございますが、そのそれぞれの行政法上の目的がございます。ただいまるる御説明しましたような条項につきましては、その目的に対しまして違反といいますか、侵害するおそれがあるといいますか、その程度が皆、バランスをとって考えます場合に同じ程度のものであるということで、十万円ということでくくってあるわけでございます。
#43
○本岡昭次君 それで、過去この第一項というものがあって、新しく第二号が挿入されているんですがね、五十三条の二の第三項……と。
 そこで、この第一号にかかわるそれぞれの条項について過料は科すということになっているけれども、適用はなかったと、こうおっしゃるわけですね。それは、過料は、その過料を科す、過料を取ることが目的でなく、行政指導によってその目的とすることが実効あるようにさせるためにあるんだと、こういうことですから、当然過料はないということでいいと、こう思うんですが、それで、ないというのはそういう行為がなかったからないのか、あるいはいま論議している点検整備の問題の過料についても、報告義務を怠っても、報告しなさいよ、あるいは点検してくださいよということを繰り返し行政指導をやって、そしてそれを結局目的とする定期点検をやってもらうというところに持っていくわけですよ。だから過料がないと、こうなるわけですね。
 だから、過去のここの第一号に該当する分も、なかったというのは、そういう行政指導というものが繰り返し行われて、最終的に義務違反ということにならないようになった、だから過料がなかったと、こういうふうにここのところは理解していいんですね。なかったということは、その義務違反が全然なかったからというのか、そういう行政指導を繰り返すことによって結果としてその過料がなかったのかということです。
#44
○政府委員(角田達郎君) ただいま第一項の方でくくったいろいろな事例でございますが、認証工場なりあるいは指定工場なり優良工場なり、そういったところに監査に行きまして、たまたま場合によってはその認証工場の標識の掲示義務がなされてないというような事例はあったわけでございますが、何例、どのくらいの例であったか、私は詳しく存じておりませんが、あったことはあったわけでございます。しかし、過料の手続がとられてないということは、そこですぐ店頭に、そういうような標識の義務がありますから、標識の掲示をしてくださいという指導監督でそれが守られて、そういうことであるならばわざわざ過料の手続をとることはないと、こういうようなことでやっておるというふうに考えております。
#45
○本岡昭次君 百十二条のこの過料というものの性格が、いまのように、過料を科することが目的じゃなくて、その義務違反、あるいはここでは報告ですか、そうしたことが起こらないように最後まで行政指導を実効あらしめるためにあるんだと、こういうふうにここの精神を、まあ第一項の方からも理解をさしていただきたいと、このように思います。
 次に、公害の対策の問題と定期点検の問題について若干質問さしていただきます。
 大臣も、今回の法改正の目的は、いろいろあるけれども言ってみれば公害対策ということに私は非常に重きを置いているんだと、こういう答弁をいただきまして、それは法案の趣旨説明の中にもそうした言葉が入っておることから、当然であろうと私思います。
 しかし、「公害の防止」という言葉が一条の目的のところにも挿入され、後ずっと四十条から七個所にわたって公害防止という言葉が挿入されているんですが、どうも字句が挿入されているだけであって、具体的にそれではその公害防止を進めるための施策というんですか、そうしたものをこの法案の性格上盛り込めないんだと言われればそうかもしれませんけれども、どうも大臣の意図が、あるいはまた改正法案の目的のところに出ているその事柄が、内容的にこの法案全体に私は十分盛り込まれてないような気がして仕方がないのですが、その点について、大臣、いかがですか。
#46
○政府委員(角田達郎君) 今回御提案申し上げている法律のまず目的に、「公害の防止」という表現を入れております。その他数カ所に「公害の防止」という表現を規定の中に入れておりますが、これは道路運送車両法、昭和二十六年に制定されたわけでございますけれども、その制定当時から、自動車の騒音防止装置とか排出ガスの発散の防止装置とか、こういうものに係る規定と公害の防止を目的とした規定が、これは制定当時から入っていたわけでございますが、法律の第一条の目的のところにはそういうような「公害の防止」ということが入っていなかったわけでございまして、内容としては道路運送車両法に入っていた。またさらに、先生がおっしゃいましたように、公害の防止というのは非常に大事に、重要になってきたわけでございますので、目的にまず公害の防止というものをはっきりさせるためにその表現を取り入れたということでございます。
#47
○本岡昭次君 内容としていままでも入っていたと。ただ、それは目的のところになかったからということですけれども、道路運送車両法がこの公害防止の取り組みに関係が深いということは十分わかっているし、この道路運送車両法をもとにして、環境庁の方が自動車排出ガス量の許容限度の問題やら、あるいは自動車騒音の大きさの許容限度、こうした取り組みを担保する力として、この道路運送車両法の四十一条とか四十四条の保安上の技術基準とかいったようなものがあったということは私もよくわかっているんです。
 今度は、それぞれ四十条、四十一条、四十二条と、各項にわたっていままでなかった「公害防止」という字句が挿入されたわけで、その挿入されたことが、いままで、あなたがおっしゃったように内容として入っていたんだと。ただ、形式を整えただけだというのか。それとも、大臣も公害というものについて非常に強い認識を持っている、自動車というものは公害防止の上で非常に重要視していかなければいかぬ、自動車を持っている者も公害という問題についてもっと考えていかなければいかぬというふうなことを非常に強調されたわけですが、そのことと、いまあなたがおっしゃったように内容として入っていたんだと。ただ、用語をこの際整理したというだけでは、今回の法案改正の趣旨とか目的とするところ、また、大臣が意図されているところと何か非常に異なるように、公害防止ということが何か便宜上ここに使われたんじゃないかというふうなことさえ思うんですが、いかがですか。
#48
○政府委員(宇野則義君) 大臣が特に強調して御答弁を申し上げておりますが、現在、自動車に関しますところの公害問題は大きな課題になっておるわけでございます。従来、現行の道路運送車両法の中におきましても、先生御指摘のように、これまで規定等に織り込んで実施してきておったわけでございますけれども、この法案改正の機会に一層明確化するということをいたしまして、大臣からの御指示もございますが、今後とも自動車の排出ガス、騒音等の公害防止対策を積極的に推進してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#49
○本岡昭次君 環境庁の方からもお越しいただいていると思いますが、大臣は公害防止ということについて非常に力を入れて考えていきたいんだということで、その考えを明確化するために「公害防止」という言葉を挿入をしていったということなんですが、環境庁として今回の法改正をどのように評価しているか、その見解をひとつ聞かしていただきたい。
#50
○政府委員(吉崎正義君) 先生も御案内のように、自動車の排出ガスと騒音の規制につきましては、それぞれ大気汚染防止法と騒音規制法の規定に基づきまして環境庁長官がその許容限度を定めるわけでございます。これを受けまして、運輸大臣が道路運送車両法に基づく保安基準によりましてこれを確保するということになっておるところでございます。
 今回の道路運送車両法の改正に当たりまして、法目的等に公害の防止という観点が明確にされますことは、環境庁といたしましても、自動車の排出ガス及び騒音の規制を積極的に推進する上におきまして意義のあることと考えておるところでございます。
#51
○本岡昭次君 そこで、環境庁に関連して御質問しますが、環境庁が、最近、自動車騒音の問題についていろいろ調査をして大変な状況になっているということが調査の結果出てきているわけですね。騒音など特にこのまま放置できない個所が幾つもあるわけですが、ここでその個所の論議をする必要はありませんので、全体としてそういう状況があるわけで、その問題を論議を詰めていくと、いまありましたように道路の問題あるいはまた自動車そのものの構造上の問題等に突き当たって、環境庁だけではどうにもならぬということで、環境庁は調査だけやって大変だ、大変だということを言っているだけ、具体的な手が何も打てないという状況にあったわけです。
 私も公害交通安全対策の委員会の委員の一人としてこの問題を論議するときに、いつも歯がゆい思いをしておったんですが、そういう立場から、今回のこの法案改正の中で「公害防止」ということが挿入されたことに対して非常に力強く感じたわけなんですが、いま環境庁として、非常に意義がありますということだけでございましたが、具体的に自動車騒音の問題とか自動車排出ガスの問題等々について、こうした法案が改正されたことを契機にして、従来持っておりました問題をこの際積極的に取り上げて具体的な解決の方策を講じていただきたいということを私は強く思うんですが、そういう意味から、もう少し環境庁としての今後の公害防止に対する取り組みについて、この法案改正に際してもう少し前向きな積極的な考え、評価というようなものがあるはずなんですが、いかがでしょう。
#52
○政府委員(吉崎正義君) 御指摘のように自動車公害の問題はきわめて深刻かつ重大な問題であると私どもとしては認識をしておるところでございます。問題が複雑多岐にわたっておりまして、基本的には単体の規制でございますけれども、それだけでは十分ではないと環境庁といたしましても考えまして、中央公害対策審議会に今後の交通公害対策のあり方ということでお諮りをしておるところでございます。物流及び土地利用の二つの専門委員会を設置をいたしまして、審議会では精力的な御審議をいただいておるところでございます。御叱正をいただきましたけれども、私どもといたしましては、先ほど運輸省からも今後積極的に進めてまいりたいという御答弁がありましたけれども、私どもといたしましてもこの問題はきわめて重大でありますので総合的に対処する必要がございますので、運輸省を初めといたします各省庁とさらに連絡を密にいたしまして対策を講じてまいる所存でございます。
#53
○本岡昭次君 そこで、この「保安基準の原則」ということを決めた第四十六条というのがございます。この項目は四十条から四十二条まであるいはまた四十四条及び四十五条ですね、「保安上の技術基準」ということが従来の内容であったのを、そこに「公害防止上」という言葉を挿入したわけです。そしてこの「保安基準」というのは、従来の「保安」という概念の上に「公害防止」という言葉を入れて、その両方くくって「保安基準」と、こうなっているわけなんですね。そしてその後に「保安上」「(以下「保安基準」という。)」と。この「保安基準」というものはということで説明がずっと入っているわけです。「道路運送車両の構造及び装備が運行に十分堪え、操縦その他の使用のための作業に安全であるとともに、通行人その他に危害を与えないことを確保するものでなければならず、」というふうに、その「保安基準」とは一体何なのかというその原則というものが、ここに示してあります。
 ここに書かれてある原則は、現在ある法律の「保安上」ということについての原則でありまして、ここに公害防止ということを含めての「保安基準」ということになれば、「保安基準の原則」というのとはおのずから変わってくるのが当然ではないかと私は思います。つまり公害防止という考え方に立ったこの「保安基準」という中身がここに付加されなければ、公害防止を含めた「保安基準の原則」ということになって積極的に生きてこないんではないかということを私は思うんです。まあ法律について素人的な見方かもしれませんが、そのことが、初めに心配をしていますということを申し上げましたように、言葉だけ、用語だけが挿入されても、本当にそれでは公害防止ということが具体的にこれから強化されていくということの担保がないではないか、具体的なものがないではないかということを申し上げましたが、特にこの第四十六条についてはそういうふうなことを思うんですが、私の疑念を具体的に解明していただきたいと思うんです。
#54
○政府委員(宇野則義君) ただいま先生御指摘のように、この四十六条は「保安基準の原則」という条文でございます。今回の改正案によりまして、「保安上」という言葉で限定しておりましたものに対しまして追加して、目的に「公害の防止」という言葉を入れた関係上、この「保安上」というものに対応するものとして「公害防止上」という言葉が入ったわけでございます。
 先ほど先生の御指摘は、「公害防止上の技術基準」というこの追加があるならば、この後の方に出てまいりますところの「確保する」、その「確保する」の前に「公害の防止」という言葉を追加すべきではないかという御指摘でございますけれども、この「公害」をこの法案に入れるに際しまして私どもも法律的な議論をしたわけでございますけれども、「通行人その他に危害を与えないことを確保するものでなければならず、」という条文になっております。これは改正されておりませんけれども、この「危害を与えないこと」というところの読み方になるわけでございますけれども、生命または身体を損なうというふうに理解をしておるわけでございまして、「通行人その他に危害を与えないこと」ということにつきましては、通行人や沿道住民等の生命または身体が交通事故や排出ガス、騒音により損なわれることがないことという意味になるということでこれまで理解しておりますし、公害に関する原則が述べられてないということにはならないというふうに理解をしておるわけでございます。
 しかしながら、先ほど私からも御答弁申し上げましたように、運輸省といたしましても当然この公害防止ということは大きな課題としてこれから推進していかなければならない問題でございまして、保安基準の作成に当たりましては、公害防止上の観点にも十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
#55
○本岡昭次君 時間がありませんから、そこのところで議論をするもう余裕がありません。しかし、いまおっしゃったように、「通行人その他に危害を与えないことを確保するもの」というのは、どう読んでもこれは交通安全の用語であろうというふうに思いますが、まあいまのような解釈で従来からも公害防止のことをやっていったんだということ、それはそれなりに答弁として聞いておきますが、しかし、公害防止という問題が単に字句の挿入にとどまらず、これは大臣もおっしゃったように、自動車騒音あるいは排気ガス、こうした問題についてこの道路運送車両法の改正がより大きな力になるように私は期待をしている、またそのようにひとつ大臣も責任を持ってやっていただきたいということを申し上げます。
 最後に、この間、こうした委員会を連合でやっていただきたいという希望を持っておる立場から、公害交通安全特別委員会が視察に行きました。車両検査場あるいは指定整備工場の実態も見てまいりました、委員がそろって。そこでいろいろな実態を見てきたわけですが、今度のこの法改正に伴って指定自動車整備事業者のいろいろ話もそこで聞いてきました。そしてそこの会社の報告等を見ますと、五十四年、五十五年、五十六年とそれぞれ車検、定期点検、臨時整備、こうしたものの事業実績ということの報告もありましたが、数字的に見てもだんだんと内容が悪くなっているということはわかります。特に定期点検が年々減ってきているというのも数字で明らかになっているわけで、こうした業界全体が今度のこの法案についていろんな意味で強い関心を持っているということは事実でありますから、これは従来からいろいろもうすでに論議をされていると思いますけれども、最後に、こうした整備工場の業務量減少、あるいはまた再編成という事柄に関して、政府の対応あるいは助成措置、そうしたものについて現状どういう点にまでその点が進められているかという点をお聞きしまして、終わりたいと思います。
#56
○政府委員(角田達郎君) ただいま先生がおっしゃいましたように、現在でも整備事業の需要というのはだんだん減りぎみでございます。それからまた、今回の御提案申し上げております法律の改正によりまして、整備業界に与える影響というのは相当大きいというふうに思われます。私どもの試算では、もしこの法律が通りますれば、五十八年度のしかるべき時期から実施されるとして、整備需要が減ってまいりますピークの年度は六十年度になろうかと思いますが、その年度で比較いたしますと、現行制度でいった場合に比べまして売上高で約二千七百億円ばかりの減少になる、パーセンテージにいたしますと七・一%の減少というようなことでございまして、相当な整備事業に対する影響があるわけでございます。
 それで、ただいま申し上げました数字はマクロの数字でございまして、整備事業の方々それぞれ特色がございまして、マイカーを主体に整備しておられる事業者、それから、そうではなくて大きなトラックやバスや、そういうものもあわせて整備されているような整備事業者もございますので、これは、ただいま申し上げました数字はマクロでございます。地域的にも、それから車の取り扱い別にいたしましてもマクロな数字でございまして、地域的にあるいはその整備事業者の取扱車種によりまして、相当大きな影響を受ける整備事業者の方も出てくるのではなかろうかというふうに私どもその点では非常に心配しておるわけでございまして、その対策といたしましては、これは従来から中小企業近代化促進法に基づきます構造改善事業、こういったものをどんどん進めていかなければならないと考えておりますし、それから、需要が減りまして、どうしても整備事業からほかの事業に転換しなければならないというような事業者の方々につきましては、現行の制度といたしまして中小企業事業転換対策臨時措置法というような法律がございます。こういった法律に基づくいろいろな助成措置を中小企業庁と相談しながらやっていかなければならないと思いますし、また、そこで失業というような事態が万一出てまいりました場合には、雇用保険法に基づく業種指定というようなことも、これは雇用保険法は労働省の所管でございますが、労働省の方とよく連絡をとりながら、被害を最小限に食いとめるというような手を打っていかなければならないと思います。
 それから、いま申し上げましたのは既存の制度による救済措置でございますが、そのほかに新たに、私どもといたしまして、先ほど申し上げましたような六十年度の需要の減少のピーク時に、やはり整備事業は続けていきたいけれども、事業量が減って運転資金が不足するとかあるいは設備資金が不足する、こういうような業者のために運転資金の借り入れ、あるいは設備資金の借り入れのための債務保証というようなものも、これは業界自身の自助努力が前提になりますが、私どもとしても何らかそういうような対策を新たな対策として打ち出す必要があるのではないかということで、いま真剣に検討をしているところでございます。
 以上でございます。
#57
○委員長(桑名義治君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時五分休憩
    ―――――――――――――
   午後一時二分開会
   〔運輸委員長桑名義治君委員長席に着く〕
#58
○委員長(桑名義治君) ただいまから連合審査会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#59
○馬場富君 本連合審査会に付託になっております道路運送車両法の改正につきまして何点か質問いたします。
 本法の改正はいかなる背景のもとに実は立案されたか、この点について御説明願いたいと思います。
#60
○政府委員(角田達郎君) 午前中の委員の先生方に対する私の説明でも御答弁申し上げましたが、この車検の問題がまず行政改革の一環として持ち上がりましたのは、五十五年の十二月の行政改革に関する閣議決定の中で取り上げられております。それで、その閣議決定の中身と申しますのは、簡単に申し上げますと二点ございます。一点は民間車検を拡大しなさいということ、それからもう一点は専門的な審議会に付議して車検の問題を検討しなさいと、こういう二点でございまして、その専門的な機関に付議して車検を検討しなさいということの背景には、国民負担の軽減の見地から車検問題を専門的に検討しろと、こういうような御趣旨かと思います。
 それから、その後臨時行政調査会の御審議がいろいろございまして、昨年の七月に第一次答申が出されたわけでございまして、その第一次答申に出されました許認可等の関係の中にやはり車検の問題が取り上げられております。それで、その臨調の第一次答申の車検の問題に対します御提言は、一つは、国民負担の軽減の見地から専門的、技術的に検討をしていただきたいということと、それからその中に定期点検整備につきましてはこれはユーザーの自己責任に基づくものであるということを明確にするような観点から専門的、技術的に検討をしなさいと、こういうような御提言でございました。
 それから、その後ことしの一月に運輸技術審議会が答申を出したわけでございますが、当然運輸技術審議会の審議の過程におきまして、第一次答申に盛られましたような国民負担の軽減、それから定期点検整備はユーザーの自己責任に基づくものであるというような観点も踏まえまして運輸技術審議会でいろいろな審議がなされまして、その結果、運輸技術審議会では一月二十八日に答申が出されたわけでございます。
 その後二月に、臨時行政調査会の車検の問題に関する第二次の答申が出されたわけでございまして、その運輸技術審議会の答申の要点とそれから第二次の臨時行政調査会の答申の要点とは合致しておりまして、中身を簡単に申し上げますと、新車の新規検査の初回の有効期間は現行二年でございますが、それを三年とするということ。それからもう一つは、新車の初回の六カ月点検を省略するということ。それからもう一点は、十二カ月点検あるいは二十四カ月点検の項目につきましては若干の簡素化を図るということ。それから六カ月点検につきましては、これは点検項目を大幅に簡素化する。こういうような中身の運輸技術審議会の御提言があったわけでございます。
 それで、第二次臨時行政調査会の第二次の答申、二月の答申でございますが、それもほぼ同様の内容でございまして、新車の車検の有効期間二年を三年、それから初回の六カ月点検の省略、それから定期点検につきましては、六カ月点検の点検項目を大幅に簡素化するというようなことが同じように臨調の答申でも入っております。それからさらに臨調の答申では、整備業界に対しまして、整備料金をユーザーの方に明確になるようによく御説明をしろということと、それから整備の内容も適正なものとしてユーザーにわかりやすくすると、部品なら部品を交換しましたら、どういう部品を交換しましたというようなことをユーザーにはっきり御説明して、それでユーザーの信頼を整備事業者が取り戻すというような措置もやりなさいというような御提言でございます。
 で、そういうような閣議決定なり、臨調答申なり、運輸技術審議会の答申を踏まえまして、今回、道路運送車両法の改正を御提案申し上げておるわけでございますが、その中身は、いま申し上げましたようなところはおおむね道路運送車両法の改正案の中に含まれているというふうに私ども考えております。
 ただ、いままでの国会での御審議の中で、過料制度の問題というのが臨調の答申にもないのにこの法案の中に入っているではないか、しかもこの過料制度というのはいろいろ問題があるという御指摘があったわけでございますが、この過料制度を私どもいろいろと考えました背景には、ただいま申し上げました運輸技術審議会の答申の中に、いろいろと国民負担の軽減の見地から改善の提案をなされておると同時に、安全の確保それから公害の防止という観点から、定期点検整備というものが非常にこれから大事になってくると、だからその励行策を国としても真剣に考えなさいという御提案があわせてあったわけでございます。
 私どもは、定期点検整備というものは本来ユーザーの自主的な責任に基づいて行われるんだという原則を守りながら、なおかつこの定期点検整備の励行を現行より以上にユーザーの方々にやっていただくために、定期点検をやってない方に対しまして、街頭検査等で見つけた際に、点検をやってくださいという指示を申し上げる。それで指示を申し上げて、ユーザーの方が講ぜられました措置について報告をしていただく。報告が所定の期間内になかった場合に十万円以下の過料を科することがあるというような一つの仕組みをいろいろと事務的に検討した結果設けて、この改正案の中に御提案した次第でございます。
#61
○馬場富君 説明でもわかりましたが、本法の立案並びに改正の目的は、やはりあくまでもいま行革の推進の中で、第一次、第二次臨調答申とあわせてやはり運輸技術審議会の答申が主になっておると、このように答弁がございましたが、その中で特に、第一次臨調も運輸技術審議会も同じでございますが、行革としてこれを取り上げたという焦点は、国民負担の軽減というところに一つは焦点があるわけです。あなたのいろんな補足ですね、自動車の安全確保と公害防止という問題はございますけれども、そういうところに、最初から国民負担の軽減ということがポイントになってこの法の改正も動いてきたんじゃないか。だから、動くけれどもその動き方というのは、一つは自動車の安全確保と公害防止という問題もある。という点はありますけれども、やはり発動の起点というのは、行革の中で国民の負担の軽減ということが一つ大きいポイントとなってきておると思うんです。そういう点で、この臨調の答申の国民負担の軽減の内容がどのように一つは具体化され織り込まれたかということを、当局とあわせて、来ていただいていると思いますが、臨調の事務局からも答弁をいただきたいと、こう思います。
#62
○政府委員(角田達郎君) ただいま先生の国民負担の軽減は具体的にどういうようなところで生かされているかという御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、車検の有効期間につきましては、新車の初回の車検の有効期間は二年を三年に、それから新車の初回の六カ月点検は省略する、それから六カ月点検の点検項目も大幅に簡素化して技術的な知識のあるユーザーが自分でもできるような項目にしぼるというようなこと、それから、十二カ月点検、二十四カ月点検につきましても項目を若干簡素化するというようなことで国民負担の軽減に資するというふうに考えておりますが、これがやはり点検整備との関連でどのぐらいの費用でそれならば国民負担の軽減になっているかということで私ども試算をしたわけでございます。
 現行のまま推移した場合の整備事業の売上高と、それから今回御提案申し上げております改正案に沿っていった場合に整備事業が受ける、収受いたします売上高を比較した場合に、一番これが影響をこうむります年度は私ども六十年度というふうに想定しておりますが、この六十年度の時点で整備事業全体の売上高の総額で二千七百億円ばかりの減というふうに想定されております。パーセンテージで申し上げますと七・一%、それから実施してから五年間の累計で申し上げますと八千五百億円、パーセンテージで申し上げますと四・四%。そういうような売上高の減でございまして、これが裏返せばユーザーの方々が支払う整備料金がそれだけ安くなると、こういうようなことでございまして、私どもはそういう観点から今回の改正案を出しておるつもりでございます。
#63
○説明員(吉田俊一君) 臨調の指摘している点でございますが、先ほど運輸省から御説明ありましたように、三点ございます。まず一点が、新車の新規検査の有効期間、これを二年から三年。それから定期点検整備、これは新車初回の六カ月を廃止、かつ点検項目の簡素化。それから三点目は整備事業者に対してユーザーの信頼性の確保を図るため諸種の指導を行う。これらの点につきましては、今回の改正法においておおむね盛り込まれておると私どもは考えてございます。
 ただし、答申の趣旨が国民負担の軽減を図ることを基本とし、それから定期点検整備についてはユーザー自身の責任であるという基本的立場に立っておるわけですが、今回の改正法案では、定期点検整備の励行を図るという観点から、新たに点検の指示、それからこれに基づく報告に関する制度を設けて過料制度が入ってきたと、このことは当初の趣旨から見て若干問題があるということで、臨調としても遺憾の意を表明した次第でございます。
#64
○馬場富君 先ほど臨調の答申もしくは運輸省の答申に基づいた、そのままそれが織り込まれておると、その中で特に過科問題についてはるる言明がございましたが、やはりこの過料問題は多くの国民が納得しておりませんし、臨調の答申からいってもこれは理解できない問題です。よほどあなた方がしっかりと国民にこの問題は理解あるように示さなかったならば、これはやはり行革を根底から覆す問題になってくると、こう思うんです。行革は何のためにやるのかということになりかねない重要な問題だと私は思うんです。そういう点で、本法案が提出された段階で具体化したこの過料制度の理由と背景について、簡単に説明していただきたいと思います。
#65
○政府委員(角田達郎君) いままでの国会での御審議の中で私ども何回も繰り返して御説明しているわけでございますが、この過科の制度と申しますのは、私どもが定期点検整備をやっていただきたいという行政指導をユーザーの方々にいたします最低限の仕組みとして考え出したものでございまして、先生御承知のように、定期点検整備というのは昭和三十八年に道路運送車両法の改正がございまして、そのときに初めて定期点検整備の義務づけが行われたわけでございます。その際に、やはり定期点検整備そのものには義務づけはございましたが、制裁措置は加えられてなかったわけでございまして、それはなぜかと申しますと、やはり車というのはユーザー自身が第一義的には自分で保守、管理をするものだと、そして安全に、それから公害の防止も図りながら社会に迷惑をかけないように、自分の車は自分で第一義的には責任を持って整備していくものである、こういう基本的な原則に立って定期点検整備そのものに制裁措置を加えなかったわけでございます。
 それで、今回の運輸技術審議会の答申の中に、定期点検整備の励行をこういうような改革をやるんだから特にやっていただきたいという御提言がございまして、たとえば定期点検整備をやったらステッカーを張るというようなことを義務づけるとか、それから、私どもの約一千名の検査の職員が街頭検査をやっておりますが、その街頭検査を充実強化をしなさいとかというようなことを考えて、いろいろな施策を国で考えて定期点検整備の励行策を図りなさいという強い御指摘があったわけでございまして、そこで、片っ方に、先ほど申し上げましたように定期点検整備はユーザーの自主的な責任に基づくものであるということを踏まえて、しからばどうやって励行策を図るかということで、これは私ども事務的になかなか、最後の最後までそういう具体案を見つけるために議論に議論を尽くして組み立てた仕組みでございまして、したがいまして、定期点検整備そのものには過料はつけておりません。
 それから、街頭検査でチェックをいたしまして定期点検がなされてない車につきまして点検の指示をいたしますが、その指示違反そのものにつきましても過料はかからない。しかし、その指示に基づいてどういう措置をユーザーの方がとったかという報告を所定の期間内にやらなかった方に初めて過料がかかるという仕組みでございます。
 この過料というものは、先生御案内のとおり行政法上の一つの制裁ではございますが、刑事罰ではございませんので、いわゆる秩序罰という範疇に入る言葉でございますが、そういうような報告の懈怠に関してつけた一つの制裁措置といいますか、そういうものでございまして、ユーザーの自主的な責任に基づく定期点検整備と、こういう精神を損なわないで私どものやる行政指導を実効あらしめるための最低限ぎりぎりの制度として考えた次第でございます。
#66
○馬場富君 そこで、午前中も同じ角度の質問がございましたし、また六日の運輸委員会の質問の答え等も新聞等に出ておりますが、その面から見ましても非常にこの問題について、いま御答弁がありましたが、一貫性がない。たとえば六日の運輸委員会の質問の中で、街頭点検のときに点検指示を受けて、点検を実施しなくても報告すれば、過料は、報告義務違反に対する秩序罰であるから罰則にはならないと、こうあなたは答弁なさっています。この過料はあくまでも報告義務に対してのいわゆる秩序を守るための秩序罰だと、こうおっしゃっています。ここでは報告義務がはっきりと中心に出てきています。
 それから、同じくやはりその委員会の質問の中で、点検しなくても報告すれば済むならこれはおかしいじゃないかという質問に対して、あなたは、過料を取るのが目的ではない、定期点検の励行のための行政指導を実効あるものにするためのぎりぎりの策だと、こういうふうに回答しております。この答弁の中では定期点検の励行が中心になっています。
 報告と定期点検の励行と、明らかにあなたの答弁の中に食い違ったものが、同じ過料という問題で答弁がなされておる。ここらあたりは私どもはなはだ納得のできない点でございますが、この点はどうでしょうか。
#67
○政府委員(角田達郎君) 六日の委員会での御審議の際に私が答弁いたしましたのは、いま先生がおっしゃいましたように、この過料というものは定期点検整備の懈怠そのものにもついておりませんし、それから定期点検整備の指示自体にもつけておりません。指示に基づいてとった措置についての報告がなかった場合の過料でございますので、いろいろな理由でこういうように定期点検整備ができなかったという報告があった場合に、その報告は一応適法なものということで過料の徴収は法律上はできないと、こういうように御説明申し上げたわけでございます。
 ただ、私どもは、そういうことでございまして、この報告はそれでは定期点検整備の励行策にどう役立つのかというような御疑問があるかと思いますが、街頭検査の際に私どもの職員がチェックをし、定期点検整備をやられてないユーザーの方に点検をしてくださいという指示をする。それから、その結果どういう措置をおとりになったかを御報告くださいという、そういうような御報告を求めるということを一つの定期点検整備の励行の促進剤として、促進的な効果を持つものとして組み立てたわけでございまして、精神としては過料そのものを取るために私ども組み立てた制度ではないと、こういうように御答弁したわけでございます。
 それから運用につきましては、これはいろいろな御議論の経過も踏まえながら行政指導を実効あらしめるために私どもが御提案した制度でございますので、慎重の上にも慎重を期して、一般の良識あるユーザーの方々に御迷惑をかけないような運用をしてまいりたいと、こういうように考えておる次第でございます。
#68
○馬場富君 いま、二つの疑問を答弁で理解するのはむずかしいと思います。あなた方の答弁を聞いておると、もう報告を行えばいいということに理解されてきたら、やはり報告が表になってしまって、それをやることが一つはその過料から逃れる道だということになってしまって、定期点検の励行ということはこれは裏になってしまって、私はこれはやはりざる法だと言われる一つは根拠になると思います。
 それからもう一点。やはりその質問の中で、あなたが御答弁なさった中で、「点検指示制度の運用の対象は不正改造車、違法な行為をしている白トラ、ダンプカー、その他の整備不良車を中心に限定している」と、一般マイカーが定期点検を実施していなくても整備不良がなければ点検指示を出すことがないというような答弁をなさっておりますけれども、ここでは今度は点検整備の方が抜けてしまって整備不良ということが焦点になっています。そうするとここでは整備がしっかりしてさえおればあとは何でもいいということにも理解できるわけですが、これは私は一般マイカーを守るためにあなた方が一つは答弁で抜いてくださったと、そういうように思って、本当のものかどうなのかちょっと疑問に思うわけですけれども、こういうように本当に理解していいかどうかということ。
 こういうように同じようなことが過料の中で三つに見解が分かれてくるということは、これは今後の実施段階においては、結局過料に対する法の目的というものはどちらでもいいということになってしまう。点検に当たる人たちによってどういうようにもなってしまうということにもなりかねないような私は理解しか持てない。だからこんなことを、わざわざ過料まで科して国民の皆さん方に反対されながらなぜやらなければならないのか。こんなことをしなくたって十分効果は上がるんじゃないか。そういう点で、行政の方がもっと力を入れた対策を立てて、やはり行革の答申やあるいは審議会の答申等の趣旨にのっとられたような処置をあなた方が実行していけば、私はこの問題は過料というものはつくらなくたって解決していってしまうと思う。たとえば不正改造車とかあるいは白トラ、ダンプカー等については別の法律できちっと取り締まる方法があるわけです。あながちこんなことをして予備的なものをつくらなくたって、十分現行法でもできるんじゃないかと私は思うんですが、その点どうでしょうか。
#69
○政府委員(角田達郎君) ただいま先生、別の法律でもできるんではないかというお話でございましたが、これはたしか同じ道路運送車両法で規定しております整備命令のことだと思います。確かに露運送車両法で整備不量――整備不良車といいますのは、保安基準に適合していないかあるいは適合しなくなるおそれのある状態の車、これを整備不良車と言っておりますが、この整備不良車に対しましては確かに整備命令というものがございまして、整備命令に対しましてその措置を講じなかったユーザーに対しましてはちゃんとした制裁措置があるわけでございます。
 それで、私どもがこの点検指示の運用の対象といたしまして、違法な白トラとか違法なダンプカーとかそれから不正改造車とか整備不良車等を中心にしてこの点検指示の運用の対象といたしますというふうに御答弁申し上げましたのは、まず第一に、私どもの第一線の職員の体制に限界がございます。これは陸運事務所の職員、全国で約一千名程度ございますけれども、この職員は通常は車検場での検査あるいは整備事業者に対する指導、監査、こういうことをやっておるわけでございまして、こういう職員が春、夏、秋の安全運動の際に街頭の検査を警察の方々と協力いたしましてやるわけでございますが、そういうことでございまして、年がら年じゅうやるような人数はないわけでございます。出動人員の延べにいたしまして二千五百人程度でございますので、おのずからチェックの態勢に限界があるということ。
 それから、先ほども御答弁申し上げましたように、定期点検整備というものは、本来ユーザーが自主的におやりいただくということであるわけでございまして、点検指示制度をつくったわけでございますけれども、この運用というものは相当慎重にして、行政指導を主体にして、法律上の点検指示の発動はもう本当に限られたものにしぼっていく、こういう観点でいままで御説明してまいったわけでございます。
 具体的に申し上げますと、整備不良車が街頭検査でチェックされたといたします。そうすると、整備不良車に対します整備命令というのは、現実におかしくなった部位について直しなさいという命令でございまして、定期点検はそれと性格が異なりまして、六カ月点検あるいは十二カ月点検、数十項目の点検項目がございますが、そういう項目について点検をしていただきたいということでございまして、おのずから性格も違いますし、範囲も違うわけでございますが、そういうような整備不良車に対しましては、定期点検整備がやられていないおそれが多分にあるわけでございますので、そういう整備不良車に対しまして、もし定期点検整備がやられてない場合には、五十三条の二の点検指示制度の規定を使いまして、定期点検整備をやっていただきたいということを指示し、また報告をしていただく、こういうような運用を考えたという次第でございます。
#70
○馬場富君 それで、この街頭検査というのは、いままで私どもずっと見ておる限り、また調べた範囲では、ほとんどいままでは、あるけれどもやられた実例というのは非常に少ない。それで先ほどもそういう問題について罰則を受けた例は一例もないと、こう御答弁なさっておりましたけれども、これが今度の、罰則もできて法も強化されてくるということになってきますと、それでは、いままで全国でどれほどの人がこういう街頭検査の関係で動いておったか、今度の新しい法のもとにこれを強化していく場合にはどのくらいのやはり人員等が予定されておるか、御説明願いたいと思います。
#71
○政府委員(角田達郎君) いままでの私どもの第一線の街頭検査の職員というのは、先ほども御説明しましたように、約一千名の職員でございます。検査官それから検査官以外の検査を担当する職員一千名でございます。この一千名の職員が春、夏、秋の街頭検査に出動いたしまして街頭検査をやりました人数は、年間にいたしまして延べで約二千五百名程度と、こういうことでございます。
#72
○馬場富君 もう一つ、新しい法のもとに。
#73
○政府委員(角田達郎君) ただいま申し上げましたような人数につきましては、こういう非常に国家財政の厳しい折でございますので、定員その他が増がなかなか厳しゅうございますし、また私ども徹底的に街頭検査をやって取り締まるというより、むしろ定期点検整備を励行していただく、行政指導をお願いするということが主体でございますので、人員の増につきましてはいまのところ考えておりません。
#74
○馬場富君 最後に、いま何点か指摘しましたが、先ほど来のずっと答弁を聞きましても、そういう一つの過料を取るについてもさまざまな食い違いの答弁も出てきております。また、現場でのこの点検等につきましても、いままでのような状況で強化されたとしても、これはほとんどやったかやらないかわからないような状況で終わってきておるのが現場での私どもが見ておる実情でございますし、またそのように終わっていくと、こう思うんです。
 私は、このような苦しい答弁をし、事実なかなかやりにくいことを、なぜこんな過料をつけてまでも実施しなきゃならぬかというところに今回の非常に問題点があると思うわけです。そういう点で、大臣から、行革等の考え方もあわせまして、これだけはやはりこの法の中で失点じゃないのかと、こんな過料なんかつけてまでも、いま行革のさなかになぜこんなことを持ち出さにゃならぬかと。私はやはり、先ほど局長が言ったように、国民負担の軽減を一つは目的として行革をいま進められておるし、いろんな理由があるかもわからぬが、そういう理由、先ほど公害とか、自動車の点検整備を重視するならほかの方法でまだやる方法があるんではないかと、そこらあたりのところをひとつ大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
#75
○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいままでの委員のいろいろな過料に対するお考え、十分承っております。
 それで、衆議院段階におきましてもそうでございますし、また参議院の運輸委員会においても同様なことを申し上げておりますが、この問題につきましては国会の御論議を十分に尊重してまいりたいし、また国会の御論議によってこれをどうするということにつきましては、十分われわれは踏まえてまいりたいと考えておる次第でございまして、なお実施されるようになりましても、また、ただいままでの種々の御議論を十分に生かして、行政上落ち度のない体制で進ましていただきたい、そのように考えております。
#76
○中野鉄造君 午前中からいろいろと質疑が重ねられておりますが、私、重複を避けて少し具体的な面から御質問をいたしたいと思います。
 まず初めに、昭和三十八年の車両法改正の審議の折に、定期点検についての罰則については、当該運輸省の見解ということでその答弁がなされておりますが、その際に、「現在では自動車の保有者に対しまして整備の勧告をすることができることになっておりますが、これを発展させまして一定期間整備をすることを義務づけたのでございます。そういうふうな経過をたどっておりますので、この義務づけにつきましては、罰則は伴わないものでございます。」と、こういうように述べられておりますが、この見解と今回のこの過料とはちょっと矛盾するんじゃないかと思いますが、いかがなものでしょうか。
#77
○政府委員(角田達郎君) 確かに先生いまおっしゃいましたように、三十八年の道路運送車両法の改正の際に初めて定期点検整備について義務づけがなされたわけでございます。しかし、いま先生がおっしゃいましたように罰則はつけておりません。それで、その罰則がつけられなかった趣旨というのは、車の使用者は自分の車の保守、管理について第一義的に責任を持っているんだと、しかしながら、定期点検をやってその車の安全とそれから公害の防止、こういうものをしていかなければならないんだということで義務づけはしておりましたが、それそのものには罰則をつけてない、こういう状態でまいったわけでございます。
 それで、その原則は私どもも今回の車両法の改正で御提案申し上げておるいわゆる点検指示制度、これにおきましても崩してはいないつもりでございまして、したがいまして、定期点検整備の義務づけは当然残っております。それから、定期点検整備記録簿の義務づけもやっておりますが、そういうものに対して直接罰則は科しておりません。ただ、定期点検の励行を図るための行政指導を実効あらしめるものにするという観点から、街頭検査等で定期点検をやってない車を見つけたような際に定期点検をしてくださいという指示をいたす、それから、その指示に基づいてユーザーの方がとられた措置について報告をしていただく、その報告をしていただくことについての過料というものを、所定の期間内に報告がなされなかった場合の過料というものを設定したわけでございまして、私どもとしては、昭和三十八年以来の定期点検整備義務についての罰則はつけないという趣旨は貫いたつもりでこの仕組みをつくったわけでございます。
#78
○中野鉄造君 局長がどんなにそういうように説明されても、私はこの点はどうしてもこれは納得いきかねますが、それでは、第二臨調が今回のこの法案が出されたときに運輸省に対し遺憾の意を表明しております。それと時を同じくして呼応するような形で、各新聞の論調にも見られますように国民からの反発の声も非常に上がっておりますけれども、こうした臨調及び国民の声というものに対して運輸省はどのように受けとめておられますか。
#79
○政府委員(角田達郎君) 先ほど申し上げましたような趣旨で定期点検整備の指示制度あるいは過料制度というものを設定したわけでございますが、これに対しましていろいろな臨調初め御意見、それから国会での御審議の過程におきます御意見等は十分私ども承っております。そういうようなことでございまして、私ども十分承っているわけでございますが、この点検の指示制度そのものは、これは点検をやっていただいた方に新たな負担を課するわけではございません。定期点検をやっていただいた方は何も過料等がかかるわけではございませんし、また、定期点検整備をやってくださいという指示に違反しまして、いろいろな理由で定期点検整備ができなかったというような報告がなされた場合に、この定期点検整備の指示制度というのは報告につけた一つの秩序罰でございますので、指示違反そのものにはこの過料がかからないわけでございます。そういうようなことから、定期点検整備はユーザーの自主的な責任に基づくものであるということを念頭に置きなさいという臨調の御指摘にも私どもは違反しているというような考えでおるわけではございません。
#80
○中野鉄造君 午前中からの答弁から一歩も出ないわけです。
 それでは大臣にお尋ねいたしますが、この改正法案の目的というものは、交通事故防止と公害防止というこの二つの面を考えた場合に、どちらにウエートを置かれますか。
#81
○国務大臣(小坂徳三郎君) 午前中にも御答弁申し上げましたが、私はもちろん両面であると思うんですが、私が特に車検の期限の問題について関心を持ちましたことは、やはり自動車は時間とともに排気ガスその他で相当な公害が蓄積されていると申しますか、それをまき散らすという事実でございまして、そうした面から見ますると、やはり自動車を持っていること自体、また動かすこと自体が非常に大きな私は社会的な影響力、現実にそうでございますけれども、またその所有者あるいは運転者いずれもが、こうした公害の問題についていま以上の配慮とそれからまた害悪を社会に及ぼさないという心構えがきわめて重要なんではないか。そうした意味におきましての定期点検というものがきわめて重要な措置であると思っておりまして、そうしたことでこの定期点検を励行してもらうということは何もわれわれが要求すべきことではない、むしろ自主的にやってもらうのが当然のことだと思っておるのでございます。しかし、なかなか実績は半分ぐらいの人しかやってくれておらないわけでありますから、特に定期点検を励行するということをこの改正の中心に据えざるを得なかったという点を御理解賜りたいと思うのでございます。
#82
○中野鉄造君 定期点検の実施率を高めるということが一つの大きな眼目である。そして、さらにその使用者に対して公害防止に努めさせるという面からもこの定期点検の実施を励行さしていくということのようですけれども、しかし、仮にこの法案が通ったときに、先ほどからのいろいろな質疑の中でも感じますことは、その実態はこれはあるいは結果的には国民にお役所への報告をさせる、定期点検そのものということよりも、結果的にはただお役所への報告をさせる、しかもその報告の内容は問わずと、こういったようなことじゃないか、こういうふうにも理解できるんですが、これではもう何のことはない、お上への申し出を怠った者には相応の過料に処するといったようなことになれば、これはもう官僚主義の批判をさらに倍加するようなことになりかねないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#83
○国務大臣(小坂徳三郎君) われわれはいま委員の仰せられましたことも十分わかっておるつもりです。したがって、この運用につきましては、先ほど来局長が申し上げておるとおり、第一線の方々にまで十分わかるように、そしてまたこの取り扱いあるいは運用については十分な配慮をもって事に当たるようにということを万全の対策を講じながら進めてまいりたい、これは確とここでお約束を申し上げなければならぬ点だと思っておるところでございます。
#84
○中野鉄造君 では少し具体的に、街頭検査の場合のことについてお尋ねいたしますが、定期点検記録簿というものを備えつけておかなくちゃいけない、これは義務づけられます。そうすると、この街頭検査の際に、定期点検を実施しているかどうかを調べるために検査官が記録簿の提示を求めたときに、ドライバーがそれを断った、拒否した。持っているとか持っていないとかというよりも拒否したと。これは拒否できるんですか。
#85
○政府委員(角田達郎君) 定期点検整備記録簿の義務づけはしております。しかし、その義務づけの違反に対しましての制裁措置はこの改正案では御提案申し上げておりません。したがいまして、私どもが定期点検整備記録簿を見せていただきたいというのはこれは任意の行政指導の範疇に入りますので、一般のユーザーの方々は持っておられれば必ず見せていただけるとは思いますけれども、もし万一持っておられても見せるのはいやだという方に対しまして強制力を行使することはこれはできません。
#86
○中野鉄造君 それと、今度は検査官がその車をいろいろ調べるわけでしょうけれども、その定期点検簿を見せてもらえるもらえなかったにしても、その車の整備の可否を調べるわけでしょうけれども、果たして外観だけでわかりますか、しかも街頭で。
#87
○政府委員(宇野則義君) 現在も街頭検査をやっておるわけでございますが、現在やっております街頭検査では保安基準に抵触する部位があるかないか、あるいはそのおそれがあるかないかということでいわゆる整備不良の車をチェックする、こういうことが主体になっておるわけでございます。ただいま先生の御指摘のように、外観を見ただけで定期点検を実施したかどうかということについてはかなりむずかしい面があろうかと思います。ただ、整備不良個所が非常に数が多い、これが六カ月前に点検した車であったならこんな不良個所がないはずだというようなあるケースによっては推定のきく場合もあると思いますけれども、全面的にチェックすることによって定期点検を実施したかどうかということを判定するのはかなり困難な面があろうかと思います。したがいまして、そういうことの外観上のチェックをしながら判定するというよりも、そのドライバーが車の使用者であった場合には定期点検を実施したかどうかという質問ですね、お尋ねをしながらその実態を調べるといいますか、ただしていくような形でチェックするということになろうかと思います。
#88
○中野鉄造君 過般の黒柳議員の質問に対する御答弁にもありました、あくまでもユーザーを信用する以外にないというような御答弁だったですけれども、いまもそのようなお話で、一番問題になる交通事故につながるような、人身事故にもつながるようなブレーキの遊びがあるとかないとか、あるいは特に最近の暴走族なんというのはハンドルの遊びというものを全くなくしてあえて遊びのないハンドルにしているわけなんです。そういったような改造車というようなものはそれこそ乗ってみなくちゃわからない。ただ街頭で検査をして、定期点検やりましたかどうかと、そんなことでわかる問題でもないわけなんです。そういう面からいっても全くこれはざる法というか、やってもやらなくても余りさしたる効果のないような街頭検査に結果的にはなるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#89
○政府委員(宇野則義君) ただいまもお答え申し上げましたように、街頭検査は御承知のようにほとんど検査のための装置、器械、テスター等は使わずに、ハンマーを使う。ガスの場合には排ガステスターというのを使いながらやるケースがございますが、車検場でやるような検査をするわけにはまいりません。したがいまして、車の状態をチェックするときに一〇〇%整備不良個所を検出するというのはこれは非常に困難だと思います。しかしながら、そういう機会に定期点検の実施の有無について行政指導的に、定期点検記録簿をお持ちだったら拝見したいとか、あるいは定期点検を実施したかしなかったかというようなことをドライバーの方にお尋ねするということでもって、先ほど来、大臣、局長から御答弁申し上げておりますように定期点検の普及、徹底につきまして行政的な指導を強めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#90
○中野鉄造君 そうすると、定期点検記録簿というものの備えつけが義務づけられておりますが、この記録簿は全車両に備える、こういうふうなことですが、この記録簿の内容、そしてその様式ですね、またその記録簿の大きさ、こういったようなものは全国統一なんですか。
#91
○政府委員(宇野則義君) 今回定期点検整備記録簿を車に備えつけるという法案にいたしました関係で、その様式については統一をしたいということで基準をつくることにいたしております。その中身につきましては、この定期点検記録簿は街頭検査等でチェックするというために備えつけるだけではございませんで、定期点検の普及あるいは先般運輸技術審議会の答申もいただいておりますが、車の適正整備を実施するということから過剰整備の排除、あるいは整備履歴をその記録によって知ることによってその次行いますところの点検のときに適正な整備が行われるようにするというような目的もございますので、その記録の内容につきましては、ユーザーが理解しやすい、あるいは六カ月点検等でユーザーが記入する場合に記入しやすいような様式にしたいというふうに考えております。
#92
○中野鉄造君 そうしますと、その記録簿というものはどこがつくるわけですか。そういう様式、記録簿というものですね。それと、この法案にもありますけれども、いろいろな定期点検整備の手引きというものも配布するとなっておりますが、その手引きだとか記録簿の様式、これはどこがつくるんですか。
#93
○政府委員(宇野則義君) 現在も定期点検記録簿の作成義務がございます。それで実態的に申し上げますと、新車をメーカーがつくりまして販売店経由ユーザーに販売する場合に、サービス手帳のような形で、定期点検記録簿の様式をつけた形でユーザーにお渡しをしてございます。そういうものが現在車によって若干違うわけでございますけれども、今後こういう備えつけの義務もいたしますので、その新車販売のものについては従来やってまいりましたような形で車につけて出すというような形で指導をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから手引きにつきましてもほぼ同様に考えておるわけでございますが、この手引きにつきましては最初に運輸大臣が手引きを作成いたしまして公表いたしますが、各メーカーがつくります車は平均的な車ばかりではございませんが、車種により型式によりまして内容が違うものもございます。そういうものは個々のメーカーがそれに対応したような形でマニュアルを作成して新車につけて出すと、こういうことで指導してまいりたいというふうに考えております。
#94
○中野鉄造君 そうすると、くどいようですけれども新車のメーカー、そういうところがつくるということですね、新車の場合は。そうすると、中古車だとかそういったようなものの場合、それはどういうことになるんですか。
#95
○政府委員(宇野則義君) 現在四千万台の車が町に走っておるわけでございますが、この使用過程車につきましては、現状で申し上げますと定期点検記録簿は工場でやるのが通例になっておりますが、工場でその定期点検の記録を作成してユーザーにお渡しすると、こういう形になっておりますが、そういう形で進める方法もございますし、また別途紛失等の理由でもって新たに記録簿を起こさなければいけないというようなケースもあろうかと思いますので、その辺の細目につきましては若干詰めが残っておる点もございますが、メーカーからの手は離れておりますが、販売店、整備業界等々の協力を得ながら、手引きあるいは定期点検記録簿の用紙の流通についてユーザーの極端な負担にならないような形で円滑に仕事が進むように検討してまいりたいと考えております。
#96
○中野鉄造君 この法案を施行するといたしまして、先ほど言ったようなそういう細かな費用もさることながら、いろいろな検査官の新規採用だとかあるいは補充だとか、そういったような点もあろうかと思うんですが、大体どのくらいの予算を見ておられますか。
#97
○政府委員(宇野則義君) 新しい法律改正部分に関しましては、これから施行までの間にかなり準備をしなければならない問題が出てまいります。また、内部的に申し上げますと、いまコンピューターを使っておりますけれども、コンピューターのプログラムの改正等の作業も出てまいりますが、それからユーザー参加ということで、車検場にユーザーの方がみずから車をお持ちになるということについても、十分窓口を開いておかなきゃいかぬという御指摘もございますので、そのための車検場の整備等につきまして、現在その積み上げをやっておる最中でございます。
#98
○中野鉄造君 大臣は、先ほど私の質問に対して、交通安全、交通事故防止ということもさることながら、やはり公害に重きを置くといったような御答弁のように私は理解したわけですが、ではもう少し突っ込んで質問いたしますが、この定期点検は、車の所有者自身がやってもよろしいということはもう先ほどからおっしゃっておるわけですが、各ユーザーが、自分の車が果たして前回と比べてどれだけ公害をまき散らしているか、すなわち保安基準に適合しないようになっているかどうかと、こういうことを一般ユーザーがどうして測定できるわけでしょうか。
#99
○国務大臣(小坂徳三郎君) 私の見ましたのは、技術審議会のレポートでございまして、それによりますと、年月に従って大変に排ガスの組成が違ってきておるのでありまして、そうした細かい点につきましては、いま私ここで御答弁する資料もございませんけれども、そうした面から見まして、六カ月目程度は大したことはないようでありますが、それから一年たちますと、一年から一年半、二年というようになってまいりますと、非常に急速に排ガスの組成が悪化しているように出ておりました。そうしたような問題については、またわれわれとしまして十分検査そのものの方法とか、あるいはそれをユーザー自身がよく理解してもらう方法とか、等々を十分に配慮して施策を進めなければならぬというふうに思っておるところでございます。
#100
○中野鉄造君 そこで、この改正案の五十七条には点検整備の内容にかかわる手引きを作成し、公表すると、こういうことがありますけれども、いま大臣も御答弁になりましたように、排気ガスが非常に、半年そして一年と年を経るごとに多くなるということは、それは一応常識的にはそういうこともあろうと思いますが、そうしますと、そういう手引きというものができたとして、果たしてその点検整備のチェックポイントの手引きの中で、この排ガス規制に対する――規制というか、適合するように、どういうふうに点検をしなさいと、一つのこれは参考までに、その点はどういうふうに書かれていますか、そこは。
#101
○政府委員(宇野則義君) ユーザーに対します定期点検の励行方を促進するという意味も含みまして、今度の法律の中にも手引きを公表するということになっておるわけでございますけれども、その手引きにつきましては、まずユーザーの方々に、点検しまた必要な整備をすることの必要性、あるいは点検した結果、整備すると一般的に言ってこういう効果があるんですというような、一般的な啓蒙的な説明といいますか、そういうものを初めといたしまして、まず、ユーザーがみずから実施をするといいましてもおのずと限度がございます。点検のための装置、設備が要るとか、あるいは器械が要るといったようなものにつきましては、なかなかユーザー自身はできないと思います。したがいまして、ユーザーが技術的な知識のある方ならば、その気になればだれでもできるであろうと思われますのは、まず一つは運行前点検、これは現在仕業点検と申しておりますが、運行前点検、これはもちろんユーザーの方ができる内容になります。
 それから六カ月点検につきましては、ただいま申し上げましたように、全然知識のない方はこれはやはり無理だと思いますけれども、車に関する技術的な知識をある程度お持ちの方ならばできる程度の点検の内容になろうかと思いますが、そういう六カ月点検等につきましての、その点検の内容と実施の方法についての説明。それから、ユーザーが点検した結果、みずから整備をしても車の保安上あるいは公害対策上、そう問題のないような部位についての簡単な整備の仕方、こういうものも織り込みたいというふうに考えておりますが、点検はみずからやったにしても、整備は工場に持っていっていただきたいというような部位もあると思います。
 したがいまして、この手引きの概要につきまして、いま細目を詰めておりますけれども、柱的に申し上げますと、ただいま申し上げましたような項目を主に取り上げて作成をいたしたいというふうに考えております。
#102
○中野鉄造君 どちらかといえば御婦人は非常にメカに弱いわけなんですが、そういう女性ドライバーあたりにもわかりやすいようなそういう手引きというものが果たしてできるだろうか。しかもそれができたとして、果たしてそれが実施されるだろうかというところに私はきわめて疑問を抱くわけなんです。
 この定期点検の重要性というものは、これはもう十分私も認めるところでございますけれども、今回のこの法改正にあって最も大切な点でありますところのユーザーの自主性、自発性がむしろこれは損なわれる結果になりゃしないか。それは、先ほどからるる述べましたように、この法案がいわゆるざる法だと言われてもいたし方ない、そのくらいに結局抜け道だらけというか、車検整備の見直しの動きで国民は非常に経費負担の転減ということに対して期待をし、評価もしたわけですけれども、今度はそうした国民の期待を逆なでするかのようなこの十万円の過料という条項が出てまいりまして、行政と整備業界に対する不信と疑惑が、やっぱり国民の素朴なそういう感情が芽生えてくるんじゃないかと思うんですが、この点いかがですか。
#103
○政府委員(角田達郎君) ただいままでに私どもるる御説明したわけでございますが、臨調答申なりあるいは運輸技術審議会の答申の御提言の中身を、大部分いま御提案申し上げております道路運送車両法の改正の中に盛り込んだつもりでおります。
 ただ、いま先生おっしゃいましたように、定期点検整備につきまして指示制度、それから報告についての過料、こういう仕組みを私ども御提案申し上げておるわけでございますが、これはもう先ほど来繰り返して申し上げておりますけれども、定期点検整備の重要性をユーザーの方々にわかってもらいたい、そのために私どもがいろいろユーザーの方にお願いするよりどころにしたい、こういうことでこの制度を御提案申し上げておるわけでございます。
 ただ、そのほかにも車検の有効期間の延長であるとか、あるいは六カ月点検の項目の簡素化であるとか、あるいは新車初回の六カ月点検の省略であるとかというようなことで整備業界その他につきましてある程度の影響は、これは出てまいるわけでございますが、この整備業界対策につきましては、私ども既存の制度を十分活用し、また新たな措置が必要であるならば、その点についても前向きに検討していきたいと思います。
 それから、メーカーの方につきましても、車検の有効期間の延長、それから定期点検整備項目の簡素化というようなことで、メーカーがつくります部品の耐久性につきましても、これは運輸技術審議会で提言もされておりますが、メーカー自身も御努力をお願いしなきゃならない点が多々あるわけでございまして、こういうような総合的な施策をやりまして、車の安全の確保と公害の防止という点につきまして私どもこれから努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#104
○中野鉄造君 最後に一つ。
 これはもうどういうふうに言われても、この中身について私はざる法としか言いようがない。それはそれとして大臣に最後に一つお尋ねいたしますが、こうした中にあって、どうしてもこの十万円の過料というこの制度は、これはもうもう一遍考え直すというお考えはないのか、あるのか、その点だけお尋ねいたします。
#105
○国務大臣(小坂徳三郎君) るる申し上げておりますように、この過料制度がございましても、これ秩序罰であるということ、そして定期点検をやっていただいている方々にはこの過料は全く関係のないものであると考えておりますが、私、その点についてだれでもかれでも全部過料に引っかかるんだというふうにとられておるのではないかと思うんですが、そうではないのであって、定期点検の報告義務を怠った方が間々そういうことがあり得るというわけでございまして、気持ちは前々から申し上げているように、定期点検をちゃんとやっていただくことが車社会における一つの道徳であるというふうにも考えておるわけで、その点御理解を賜りたいと思っておるところでございます。
 ただし、衆議院段階におきましても、また参議院におきましても、委員会で申し上げておりますことは、この法案につきましては御審議を国会にお願いをしているところでございまして、国会の御決定に従ってわれわれは行動を決めてまいるということを申し上げておきたいと思います。
#106
○沓脱タケ子君 それでは、国民の中からも、また各方面からも大変な悪評の多い本法案でございますが、衆参運輸委員会で具体的にかなり徹底的な審議がやられていると思いますので、私、短い時間ですので、問題点にしぼって若干お伺いをしたいと思っております。
 現在、定期点検整備の実施率というのは五、六〇%、五〇%ないし六〇%だということでございますが、これを引き上げるために点検指示制度、報告制度、報告義務違反に対する十万円以下の罰則を設ける、こういうことですね。そういうことなんですね、簡単に言えば。
#107
○政府委員(角田達郎君) 先ほどからるる御説明申し上げておりますように、私どもがこういう仕組みを考えましたのは、定期点検整備の促進を図る、励行を図る、こういう観点から御提案申し上げている次第でございます。
#108
○沓脱タケ子君 それでは、この点検指示が行われるための検査というのは、マイカーについては街頭検査で、営業用車両については街頭と事業場で立入検査を行うというふうにされておりますけれども、この街頭検査などに出動する検査官、警察官などはいまどのくらいですか。これはごく簡単で結構です、数字だけで。
#109
○政府委員(宇野則義君) 現在、自動車の検査を担当しております陸運事務所の職員の絶対数は千五十八人でございます。年間、これまでの街頭検査の実績として申し上げますならば、年間延べ人員にして約二千五百人でございます。
#110
○沓脱タケ子君 運輸省は、過料の適用対象を不法なダンプとか白トラとか暴走族、不法改造車両などにしぼって運用をして、一般のいわゆる四千三百万ドライバーについては運用上の行政指導である勧告にとどめるという旨を再三御答弁になっているようでございますが、街頭検査でチェックをした車両の中でこれらの不法車両はどのくらいの比率ですか。
#111
○政府委員(角田達郎君) ただいま整備部長が答弁しましたような職員でございます。年間にいたしまして延べで二千五百名、その体制で私どもが街頭で検査した車の延べ数はおおむね一年間で十万台でございます。その中で、さらに街頭でチェックをする職員が、これは整備不良車両であるというふうに見つけましたものは約二万台でございますので、二割が整備不良車でございます。
 ただ、この整備不良車といいますのは、先生御案内のように、現在の道路運送車両法で整備命令に制裁措置がつけられておるわけでございますが、現実に道路運送車両法に基づく保安基準に適合していない、たとえば球切れであるとか、ブレーキがきかなくなっているとか、そういうような現実に保安基準に適合してない車か、あるいは適合はしているかもしれないが、もう目で見てわかるぐらいに適合しなくなるおそれのある車、そういったものを私ども整備不良車としてつかまえておるわけでございますが、その車が、いま申し上げましたように十万台のうち二万台、こういう状況でございます。
#112
○沓脱タケ子君 そうすると、いまやっておる約十万弱の街頭検査の中でいわゆる不法車両というのですか、そういうのが約二割で、しかし不法なダンプとか白トラとかというふうな不法改造車両ですか、そういうものはどのくらいあるかわからぬというわけですね。
 それで、いまやっておる十万足らずの街頭検査というのは何の根拠法に基づいてやっておられるんですか。――わからぬかったら警察庁に来てもろうておるんで。
#113
○政府委員(宇野則義君) 道路運送車両法の中で整備不良の車が町を動いているような場合、あるいは事業場内にある場合に、それに対して整備命令を発することができるという根拠規定に基づいて実施をしております。
#114
○沓脱タケ子君 この不法ダンプとか白トラとか暴走族、不法改造車両というのは、現行の法律では何で規制をしているんですか。規制の法令というのあるでしょう。警察庁ちょっと言うてください。
#115
○政府委員(久本禮一君) 警察といたしましては道路交通法六十二条の規定に基づきまして、いわゆる整備不良車両につきましては道交法違反として取り締まりを行っているところでございます。その件数でございますが、昭和五十六年におきまして十九万件の取り締まりを実施しているという現状でございます。
#116
○沓脱タケ子君 道路交通法の六十三条の、これは先ほども質問の中で出てましたね、整備通告というのがあるでしょう。これによると、車両の装置が整備不良のための道路運送車両の保安基準に適合しておらず、かつ交通の危険を生じさせ、または他人に迷惑を及ぼすおそれがある場合に交付されると。したがって、その場合には、整備通告書が交付されたときは、記載されている整備を要する事項について自動車整備工場等において道路運送車両の保安基準に適合するよう確実に整備を実施し、その後最寄りの警察署または陸運事務所に当該車両及び交付された整備通告書を提示し、整備を済ましたことについての確認を受けなければならないとありますが、これも指摘されたら、整備通告書をもろたら整備して、やっぱりちゃんと報告をするんですね。これはどこが、どこの所管でやっているんですか。
#117
○政府委員(久本禮一君) 道交法六十三条の四項に、警察官は、第二項の規定による措置をとりましたときには、運転者に対しまして整備を要する事項を記載した文書を交付をいたします。そして、当該故障車両等の前の見やすいところに標章を張りつけさせるということにいたしております。
#118
○沓脱タケ子君 だから、そういう車についてはいまでもちゃんと整備通告書というのを出して、整備をしたら最寄りの警察か陸運局へ届け出なければならないといってやっていますよね。もう一遍やるんですか、今度の法律では。この上にやるんですか。それはどないなっているのか、その関係は。
#119
○政府委員(角田達郎君) ただいま警察庁の方から御答弁ありました整備通告というのは、いま御答弁ございましたように、道路交通法六十三条に基づく措置でございます。
 それからもう一つ、それと若干似ておりますが、私どもが道路運送車両法の五十四条、現行の。五十四条に基づいて発します整備命令というのがございます。対象の車は、これある程度似ておるわけですが、私どもの道路運送車両法五十四条に基づく整備命令というのは、保安基準に不適合となるおそれのある車、それから保安基準に現実に不適合になっている車、こういうものが対象でございまして、警察庁の方でおやりになっておる整備通告、これは、不適合となっているおそれのある車というのはまずその対象の中に入ってこないわけでございます。現実に保安基準に不適合となっておって、それで交通の危険を生じさせる、あるいは生じさせるおそれがあるというようなものが整備通告の対象となっている、かような関係にございます。
 そういうことでございますが、今度の車両法の改正案で御提案しております定期点検整備、これは通常ユーザーの自主的な責任において、第一義的にはユーザーの自主的な責任において予備的に自動車のいろいろな点検をし、もし悪いところがあれば整備をする、こういうようなものでございまして、整備命令あるいは整備通告というものと性格の異なった、交通の安全の確保のため、それから公害の防止のためにとる予防的な一つの措置でございます。
#120
○沓脱タケ子君 素人が聞いているとわからへんですな。同じような車で同じように検査をすると言うんです。だから、どっちかをあんじょうやったらもう一つ法律つくらぬでもええし、仮にいまやっている法案が実効を果たしたら、道路交通法の六十三条によるこんな整備通告なんて要らぬようになるんですな。屋上屋の感じがしてしようがないから言うておる。それは立場が違いますという言い方になるんですが、まあわかりにくいですね。
 時間の都合があるから、そこで論議をしているつもりはないんですが、それから特に過料の問題に関しては、六日の運輸委員会でわが党の小笠原議員の質問に答えて、街頭検査等でチェックをされた点検指示の場合、都合でできなかったということの報告を十五日以内に、それも郵送して、それが虚偽でないという場合には過料の対象にならないで、報告義務が消滅をするというふうに確認をされたようですが、これはもう間違いないでしょうね。先ほどから繰り返し聞かれている個所だから、そのとおりなんですね。
#121
○政府委員(角田達郎君) 先生のいまおっしゃられたとおりでございます。
#122
○沓脱タケ子君 そうすると、何かの事情で点検整備ができなかったという報告で済むというと罰則はかからない。しかし、指摘をされたのでちゃんと点検をしたけれども、報告をするのを忘れたということになった場合はどないなるんですか。これはせっかく点検を、ちゃんと処理をしたけれども、報告を忘れたいうたら、これは過料の対象になりますか。
#123
○政府委員(角田達郎君) 通常の場合には点検をされれば報告をしていただけるものと思いますが、点検をされて、その報告をされなかった場合、法律の仕組みとしては一応この過料というのは報告義務違反につけている過料でございますので、報告をされなかった場合には一応制度上は、仕組みの上では過料の対象になります。しかし、運用上は所定の期間内、法律では十五日以内というふうに御提案申し上げているわけでございますが、その期間内に来ません場合でも何回かの督促を私どもはして運用をしたいというふうに考えております。
#124
○沓脱タケ子君 へんてこな法律の仕組みになってますな。都合悪うてできまへんでしたいうて報告出したら免責されて、ちゃんと言われたように修理しましたけれども、何かの都合で報告がおくれたか忘れたいうたら、法律的にきっちり言うたら報告義務違反でひっかかると。これはへんてこな法律と違いますかな。
 そういうことで私、ずっといままでの論議も実は拝見をし、あるいはきょうのやりとりの中もずっと拝聴していたんですけれども、非常に不思議だなと思うんです。昭和四十七年の参議院の運輸委員会で、当時の野村自動車局長がこういうことについての一定の見識を御答弁しておられますね。これはもうたびたび運輸委員会で出ておりますが、法律技術的に、どういう罰則をつけるかということがなかなかむずかしいと、これはユーザーの自覚にまってやるというべき性質のものであって、事柄の性質上そういう罰則になじまないと言っておられますね、四十七年のときには。こういうふうに、すでに運輸御当局、しかもその衝に当たっておられる自動車局長が明確にお答えになっているような無理なところへ罰則を押し込むということが、やっぱり相当無理があったから、これ、いまちょっと私がお聞きしただけでも大概無理があるというふうに思うんですが、大臣、これは無理があったと思いませんかね。大臣の御見解をちょっと。
#125
○国務大臣(小坂徳三郎君) お言葉でありますが、別に無理ではないというふうに思っています。
#126
○沓脱タケ子君 指摘されたけれども、何か都合があってやれまへんいうて報告したら免責されて、ちゃんとやったけれども、報告だけ忘れたいうたら過料に処されるという、法律的な仕組みはそうなっているんですよ。こんなあんたむちゃですがな。それでも無理でないとおっしゃるんですね。
 それで、過料設けた理由というのは、現在五、六〇%の定期点検の実施率を引き上げるためだというんでしょう。ところが肝心の街頭検査を実施する検査官の数は全国で現在四百三十六人、技官を合わして千五十八人ですね。おたくでもろうた資料も答えもそうだ。しかも、これ全部が街頭検査に出動するんではないんですね、毎日毎日。五十五年度の実績を見ても年間約八百四十回出動して、先ほどからの御答弁にもあるように延べ人数にして約二千五百人程度が出ている。それで、この人たちが実際に街頭検査をしている車両というのは、全国約四千万台の車のうち十万台足らずだというわけでしょう。しかも、その十万台弱のうち、過料の対象をしぼるというんですね。白トラとか不法なダンプとか暴走族、不法改造車両などというものにしぼるというんでしょう、十万のうちでもね。それならまあこれ何ぼぐらいやわからぬと先ほどおっしゃっていましたけれども、何ぼ多く見たってそういう種類の車は二、三割か、十万台の中で。そういうものでしょう。
 しかも最後に、街頭検査をされて点検指示を受けて、何らかの理由でできませんでしたいうて報告文書を郵送したら罰則が適用されない。それで報告義務も消滅をする。こうなったら完全なしり抜けと言うんですかね。何のために過料制度をつくったのか、存在意義というのは全くなくなるんではないかというふうに思うんですが、こういう無理な、実効性のない過料制度というのはやっぱり国民的批判が当然であり、直ちにこれは削除するべきではないかと思いますが、この点について、大臣いかがですか。
#127
○国務大臣(小坂徳三郎君) 先ほど来申し上げているとおりでございますけれども、この過料制度というのは何も急に降ってわいたように出たものではないようであります。私は昨年の十二月に運輸大臣になりましたが、その時点でこの問題が一応臨調からいろいろあるというので、内部の報告を聞きました。ところが、もう半年もほとんど一年も前から、こういうような車検制度の改正に伴ってどうするのが一番いいのかという問題で、先ほど来私が特に強調しておりますことは、公害対策と四千万台に及ぶ自動車の持つ社会的な重みと申しますか、こうしたようなことの地域の住民や市民に対するいろいろな公害の問題というものも大変な問題であることが一つの論点である。
 もう一つは、やはりこうしたことが定期点検をやることによってずいぶん防げるはずではあるが、実際にはまだ五、六〇%の人しかそれはやっておらぬと。これをどうして進めるかということについて、ずいぶん長い論議が省内では繰り返されておりまして、その時点でもすでに、私が聞きました時点でもやはりこの過料というか、一種の秩序罰というもの、これはちょっと国民を、先ほども御質問ございました、信頼しないのかというようなお話があって、そう言われるとちょっと答えに困るんですけれども、しかし、五、六〇%の方々しかやってない。逆に言うならば、車を持って動かしておるということ自体が相当な社会的に大きな影響力のあることなんであるから、そういうことをもっと進めるためには、どうしても行政罰というものじゃなしの秩序罰的なことでこの過料ということはずっと議論されているということを聞きました。
 私も、この過料というのは何かいかにもそぐわぬじゃないかということは何回も言ったのでありますが、結局いろいろな議論の末に、一つの行政府としては、政府としては、車の持つ公害という問題を何らかの形で規制するということにできるだけ近づけようじゃないかというようなだんだんの結論になったように聞いておりまして、私はこれがざる法であるという御批判も新聞で拝見しました。しかし、ざる法でいいんではないか。むしろそういうことが注意されて、国民の方々が自分で点検をしていただくということを進めてもらうならば、それ自体は社会にとって大変プラスではないかというふうに思うわけでございまして、ただいま委員から厳しく御指摘がございましたが、私はこの過料という制度そのものがいわゆる行政罰としてのものではないということがなじみづらいこともわかりますけれども、しかし、やはりこれは一つの社会的なことを進めていくための最低限度の歯どめじゃないかなというふうに思っておりまして、お答えを申し上げたいと思っております。
#128
○沓脱タケ子君 いや、定期点検をやることがよくないと私言ってないんですよ。やることは大いに大事だと思っています。これは車を運転する本人自身の安全及び社会的責任ね。社会的責任の中には確かに公害対策も含まれていることは事実ですから、そういった点で、車公害に悩まされているという立場から言いまして、そういった点は非常に大事だと思っていますよ。だから、それをユーザーが積極的に自発性を持ってやってもらえるように、どのように行政指導をするかというところが大事であって、過料を科さなければその成果が上がらないんだというのは国民を御信頼になってない証拠だと思うわけですがね。最終的に過料を科すよりしようがないということになったというお話を伺ってそう思うんですが、しかし、これはやはり社会でいろいろと言われておりますように、もっと国民を信頼されて、ユーザーの自発性を尊重し発展をさせていくというのがやはり行政の妙だと思いますよね。下の下策だと思うんですよ、ざる法でしかも過料を科すというのは。
 今度の法改正で、新車の点検期間を二年から三年に延長し、新車の初回の六カ月点検は廃止をし、定期点検項目の簡素化ということなどで、整備業界にどのくらいの影響が出ると試算されておりますか。
#129
○政府委員(角田達郎君) 一番影響が出ます時点が、この法律をもし五十八年の五月あるいは六月ごろ施行したといたしまして、影響が出ますピークの時点は六十年度、三年目の六十年度だろうと思います。その時点で、現行制度のままでいった場合とこの改正を前提としていった場合とで、整備業界の売上高で二千七百億円という数字が出ております。パーセンテージにしまして七・一%。それから五十八年度から、五十八年度といいますか、五十八年の六月あるいは五月ごろから実施したとして五年間の累計で八千五百億円、パーセンテージにいたしまして四・四%と、こういうような推計を私どもしております。
#130
○沓脱タケ子君 それで、この法改正で、整備業界の売上げがこの五年間の累計で四・四%、約八千五百億円の減少ということになるということで、これは当然その業界というのは大変な御心配になるのはあたりまえだと思いますが、同時に、自民党のいわゆる関係議員連盟があるんだそうですが、そういう方々もずいぶん御心配になっているようでございますね。たとえば、日整連ですか、これも御披露されて御承知だと思いますが、日整連のニュースの三月号の十四ページにはこない書いてありますな。二月八日に行われた三十六回目整連通常総会で、当会顧問で自動車整備議員連盟事務局長代理である梶原清議員がということで、こういうふうに書かれておるんです。
 全部読むと長くかかりますから主なところを言いますと、「今度、答申どおりに実施されるとすれば、私はおそらく実施率が格段に落ちるのではなかろうかと思います。」「予想されるような業務量の減少にとどまらずもっと落ち込むであろうと私は心配しております。整備業界の仕事量が落ち込んだ場合に果して救済が十分に行えるだろうか。既存の制度もいろいろあります。しかし、今日の非常に厳しい国の財政事情を考えますときに、きめ細かな行き届いた施策はなかなか期待できません。」「それじゃ梶原に何かの案があるのかということですが、一つは定期点検の実施率を向上させるために罰則を設けたいということです。そんな冒険ができるのかという意見もあるかと思いますが、」云々ですが、日本の場合はなかなかむずかしいので罰則を設けなければならないというのが私の考えですというふうにごあいさつがあったんだそうです。
 それで、この後いわゆる日整連が定期点検整備の実施を担保するために罰則をつけてくれということを政府に要求をしていった。こういう結果、街頭検査における点検指示、報告義務、罰則の導入というふうに決められていった経過があるように見受けられます。この間についてはいろんな報道機関でいろんなことが言われていますが、そういうことが明らかになっております。したがって、自動車の整備業界の減収を穴埋めをするために罰則をつけて定期点検整備の実施率を上げる、業務量をふやすということをねらったんではなかろうかということが、国民の中でいろいろと不信が出てくるというのはやっぱりそういうところにあるわけです。だから、ユーザーの負担軽減を図るかわりに定期点検整備で罰則を入れて強制的に実施率を上げようとしている、業務量の穴埋めをするというふうにしか思えないというふうなのが国民的な感情になっている。これは非常に政治不信につながるという点でまずいと思うんですよ。その辺はどうですか、大臣。
#131
○国務大臣(小坂徳三郎君) 私は、就任以来、整備業者の方々からそのような要求を受けたことは一回もございません。したがって私は、先ほど来申し上げたとおり、省内において定期点検の実施を進めるためにすでにずいぶん前からいろいろと議論されておったということを信頼しておるわけでございます。
#132
○沓脱タケ子君 時間がありませんので最後にお伺いをしておきたいんですが、国の車検業務を行うというのが――これずいぶん車数は多いんですね、八百六十万台ですか、実際にはもっと多いかもわからぬですね。その検査要員というのは、先ほどもお話伺いましたように、検査官が四百三十六人で技官が六百二十二人、合計千五十八人、これではやっぱり俗に言われている五、六分検査で六割チェック、手抜き検査なんてなことが言われますが、そういうことにならざるを得ないので、私はやっぱり保安維持のためにもこの分野というのはこれは強化をしていく必要があろうと思うわけですが、この分野が一つ、それからもう一つは民間車検でも非常にたくさんの、これは国の車検場よりもたくさん扱っておられますね。九百万台から一千万台。それの監査官ですね、これが大分ふえていますけれども、二百十人ですが、少なくともこういうところを強化するというところが今度の法律案を、本旨を実際に定着をし、前進をさせていく中身ではなかろうかと思うんですが、概算要求でこういった検査官あるいは監査官、こういったところの増員について御要望になる決意はいかがでございますか。
#133
○政府委員(角田達郎君) 簡単に御答弁申し上げますが、自動車の増加に応じまして検査の職員というのは、私どもいろいろな制約の中で大いに努力をして財政当局にあるいは定員の審査を担当している官庁に御要求申し上げて、それなりの成果はいままではあったと思います。しかし、先生いま御指摘のように、私どもこれから自動車の安全の確保、公害の防止に真剣に取り組んでいかなければなりませんので、必要な人員はこれは全力を挙げて御要求をしていかなければならない、かように考えております。
#134
○中村鋭一君 質問を用意しておいたんですけれども、朝からの連合審査、私も本委員会に参加をしておりまして、聞いておりますうちに、私がお尋ねしようと思った幾つかの点については繰り返し御質問もございました。私はこの委員会で、スコラ派の哲学といいますか、煩瑣な法理論を空虚に繰り返して全く誠意のない御答弁をいまさら伺おうとは思いませんので、通告いたしました質問は一たん御破算にして、二、三私自身の疑問の点をお伺いしようと、こう思いますが、自動車局長、マイカーとそれからいわゆる暴走族ですか、こういった車を、街頭で点検整備を指示する場合、見分ける基準はどこにあるんですか。言葉をかえれば、暴走族が乗っている車というのはどこで見分けるわけですか。
#135
○政府委員(宇野則義君) お答えいたします。
 車上の明確な定義はございませんが、いわゆる暴走族の使用する車あるいは使用されている車を暴走族と称するようなそういう車の実態を見ますと、一、二の特徴がございます。それは、一つは排気系の装置を改造いたしまして、せっかく保安基準に従って騒音規制に適合するようにつくられた車の、専門的に言いますとマフラーのはらわたを抜くというような形で、大きな音が出るような形に改造した車が間々見受けられます。それからもう一つは、車体にいろんな取りつけをしておるものがございます。スタビライザーだとかスポイラーだとかといったような形で、車の改造を含めました変形的な車、それからもう一つの一番のいい事例は、広幅タイヤをはいておりまして、ボデーのフェンダーからタイヤの回転部分が外に突出するようなタイヤをはいた車といったような車が見受けられるわけであります。したがいまして、そういう車を概念的に言いまして暴走族の車というふうに、車から見た場合に考えておるわけでございます。
#136
○中村鋭一君 ということは、その外見上の特徴で区別をされるわけですね。
 これまでお伺いしております範囲では、今回のこの改正された法律を適用するに当たってはマイカーは除外すると、白トラ、ダンプ、暴走族の車を主として摘発といいますか、点検整備を指示すると、そのように伺っておりますが、そう理解してよろしゅうございますね。
#137
○政府委員(宇野則義君) ただいま先生が御指摘されたような車を含めまして、マイカーといえども整備不良の車というのがございます。そういうマイカーの車であって整備不良が具体的に指摘されるような場合であって、さらに定期点検を実施しているかどうかというチェックをした結果、定期点検を実施してないということが判明する、その場合にはマイカーであっても点検を指示するということはあり得るわけでございます。
#138
○中村鋭一君 街頭でそれを見つけるのはどうやって見つけるんですか。白トラはトラックですからわかりますね、暴走族はいま言ったスポイラーをつけたり、幅広タイヤをはいたり車高を低くしたりしておりますから外見で見分けがつきますね。じゃ、マイカーの中でも整備不良の車はいまその対象に含まれるとおっしゃいましたけれども、現実に何十万台の車が街頭を走っていて、このマイカーはそうじゃないかという見きわめはどこでつけるんですか。
#139
○政府委員(宇野則義君) 街頭検査というのを実施しておりますが、これは必ずしも町を走っている車の中から整備不良の車を特別選び出してチェックをしておるわけではございません。非常に限られた場所で警察の御協力をいただきながら、陸運事務所の検査担当者が町を走っております車を適宜道路わき等に寄ってもらいましてその結果車をチェックするわけでございます。チェックした結果、これは整備不良の個所があるから整備不良車だと、それから整備不良の個所がなければそれは異状なしの車だということで区分けをしておるわけでございます。
#140
○中村鋭一君 私が言っておりますのは、暴走族だとかダンプカーは目で見たらわかりますよ、ほとんどの車はマイカーでしょう。それを、いまおっしゃいましたね、適宜道路わきに寄せてとおっしゃいましたけれども、それは大変なことじゃないですか、現実の問題として。しかも、原則としてマイカーは除外するとおっしゃっているんですから、このこと一つ取り上げても、今回のこの改正案が実に矛盾に満ちたものであることは十二分に市民の眼前において証明されるということになると思います。
 次に、この過料十万円ですけれども、十万円という価格といいますか金額はどこから出てきたんですか、どういういきさつでお決めになったんですか。
#141
○政府委員(角田達郎君) この過料の金額でございますけれども、これは過般事務次官等会議におきまして法務事務次官から罰金の額につきましての統一をしたい、こういう申し出があったわけでございます。それによりまして、それぞれいろいろな行政法規で罰金の額を決めておりますけれども、これを現在の物価とかあるいはそれぞれの法目的に照らして順次バランスをとりながら統一をしていく、こういうことをやっております。それで、それに伴いまして過料――これは刑事罰と違います、罰金と性格は違いますが、過料等につきましても同じような観点からバランスをとりながら、いままで五千円だったものを五万円にするとかあるいは十万円にするとか、そういうようなことを法務省で各省と協議しながらやっておるわけでございますが、この十万円につきましても、私どもは法務省と十分協議して他の行政法規とのバランス、あるいは道路運送法の中におけるバランス、そういうものを考えて十万円以下という額を決定したわけでございます。
#142
○中村鋭一君 いま十分協議してとおっしゃいましたけれども、国民の感じからすると、定期点検整備を怠って十万円以下と、以下はついておりますけれども、最初耳に入ってくる印象は、ああそうかと、おれは定期点検を怠ったら十万円、過料じゃなくて、国民の単純な理解としては十万円罰金を取られるんだと、いかにも高い、これが私、大方の世論というものだと思うんですね。一々これは罰金じゃないんだ、これは過料だとおっしゃいましても、十万円という金額はやはり不当に高過ぎるという印象を与えると思いますが、運輸省はその法務省と協議をされる段階で、この十万円以下、上限は十万ですね、十万円という金額が非常に妥当なものであるとお考えになりましたか。
#143
○政府委員(角田達郎君) 私どもは、この過料の金額、最後までこの金額にしてくださいと突っ張るような責任といいますか、権限といいますか、そういうものは持ち合わせておりません。したがいまして、これは法務省と協議の上決めた数字でございます。ただ、いま先生がおっしゃいましたように、常識的に十万というのは高いではないか、こういうふうにおっしゃいましたが、事務的に私どもが折衝を開始する時点ではいろいろな額のやりとりがあったわけでございまして、その結果、いろいろほかの行政法規の過料の額とのバランスというようなことでいろいろなやりとりの結果こういうふうに決まったわけでございます。
#144
○中村鋭一君 非常に説得力に乏しいですね。
 では重ねてお伺いいたしますが、大臣、参議院の運輸委員会のこれからの審議の中で、本来、この十万円の過料条項は削除したい、それが支配的であれば削除をすればいいし、それからこの十万円の過料というものが高いから、だからたとえばこれを五万円にしようとか三万円にしようという意見が出てくればその声に謙虚に耳をお傾けになって、この十万円以下の過料というのを改める御意思はおありでございますか。
#145
○国務大臣(小坂徳三郎君) 私の理解しておりますこの十万円は大変他律的に決まっておるんです。何か、いままで一万円の過料というのは全部切り上げられて十万円になったというわけでございまして、先ほど局長が御説明申し上げたとおり、次官会議においてそれは基本的に決まったということなのでございまして、したがって、そのような形で決まった十万円でございますが、この過料問題だけではなしに、道路交通のこの問題についての全般の御討議は、先ほど来申し上げているように、国会の御審議におゆだねしているわけでございますので、その結論に従ってわれわれは行動をいたすということを申し上げておきます。
#146
○中村鋭一君 このくだりは正確にひとつ議事録にとどめておいていただきたいと思います。
 ただいまも沓脱委員が梶原委員の発言を引用なさいまして、確たる証拠はありませんけれども、整備業者が車検を二年から三年に延長する、第一回目の定期点検もなくするということといわば引きかえに、何とかわれわれを助けてもらいたいと、だから運輸省では、こういう十万円以下の過料という、一見不当に高いような過料を条文に盛り込むことによって、現実に整備業者の収入をアップするよりもむしろメンツといいますか、われわれもこれだけやっているんだから、十万円以下という金額を設定して過料を取るようにしているんだからということでもしあれば、これは国民を愚弄するもはなはだしいと言わなければなりません。そのためにも、私はこの十万円の過料というものは――いやこれは証拠があって言っていることではございません。もしそのようなことがありとすればというサブジャンクティブ・ユースであります。したがって、私はこの十万円につきましてやはり削除が望ましいですけれども、できなければ、これは金額を改定することは私は一向差し支えない、こう思いますので、そのことをひとつ要望をしておきたいと思います。
 次に、今回のこの法改正の目的でございますけれども、たとえば道交法もあるわけですね、これも沓脱委員聞いておられましたけれども、道交法で十分じゃないか、私もそう思いますよ。にもかかわらず、今回こういう法律を改定なさるその目的をもう一度お伺いいたします。
#147
○政府委員(角田達郎君) 改正の目的でございますが、先ほど来るる申し上げておりますように、この道路運送車両法の改正の中身は大きく分けて数点にしぼられますが、一つは新車初回の車検の有効期間を二年を三年に延ばす、それから、新車の初回の六カ月点検、これは省略する、それから点検項目につきましても六カ月点検につきましては大幅に項目を簡素化する、この項目自体はどういうふうに具体的な項目を決めるか、これは省令の段階でこれから作業して決めるわけでございますが、大幅に簡素化するということ。
 それから、あと整備業界に対する対策も御提案しています改正案の中に盛り込んでいるわけでございますが、いろいろと整備業者の方々に対します御批判、整備料金が高いんではないかとか、あるいは手抜き整備をやられたとか、過剰整備をやられたとかいうような御批判も大分ございまして、運輸技術審議会の昨年の中間答申の中でも強く整備業界対策というものをやらなければいけないというような御提言もございますので、整備業界がしっかりしていただけるような遵守規定を具体的に盛り込むための根拠規定をこのたびの改正案の中にも盛り込んでございます。
 それからもう一つは、整備振興会という団体がございます。これは整備業者が会員になっておる団体でございますが、この団体の目的に整備事業者に対する技術指導なり、あるいは事業の運営の指導なりをしっかりとやらせる。そのために整備振興会の目的も業務範囲も広げるというような中身も入れておりまして、私どもはこの改正案が通りますれば、これに従って交通の安全なり公害の防止に十分な努力を傾けていきたいと、こういうふうに思っておるわけです。
#148
○中村鋭一君 その中で、この過料制度の条項の目的の一つは、大目的といいますか、やはりユーザーの皆さんに交通事故を減らしてもらいたい、整備のよく行き届いた安全な車に乗ってもらいたい、それは大目的としてあるんじゃないですか。
#149
○政府委員(角田達郎君) たびたび申し上げておりますように、確かにいま先生おっしゃいましたように、安全な車にユーザーが乗っていただくと、というよりむしろユーザー自身が第一義的には自分の車の保守、管理責任を持っているんだと。それで、これは車というのはもう私から申し上げるまでもなくユーザー自身の利便のためであると同時に、社会的にいろいろな影響を及ぼすものでございます。排出ガスであるとか騒音であるとか、それから交通事故であるとか、そういうことに対しましても、ユーザー自身がやはり自分の車を動かす以上はそういう自覚を持っていただかなければならないということで、そのために定期点検整備というものは従来以上に私どもはユーザーの方々に実施をしていただきたい、こういう考えのもとに先ほど来いろいろ御議論なされております定期点検整備の指示、それから報告、それから報告の違反に対する過料と、こういう仕組みを考えたわけでございまして、これはユーザーの自分の車に対する自主責任を尊重するという基本を前提に置きまして組み立てた制度であるわけでございます。
#150
○中村鋭一君 そういうふうにユーザーの自主性にまって、そしてなおかつ交通安全を徹底する、公害を防止する、そういう目的であれば、私は法律というのはやはり一人一人のドライバーの倫理観といいますか、モラルといいますか、交通教育とでもいいますかね、むしろそういうものを徹底する方向に重点を置いておくべきでありまして、罰則を設けたり、過料を取ることで私は交通事故が減るということにはそう結びつかないんじゃないか、こう思うんですけれども……。
 大臣、臨調の答申は、運輸省関係のものにつきましては十二分にこれを尊重なさる御意思はおありでございますね。
#151
○国務大臣(小坂徳三郎君) いつも私が答弁申し上げておりますことは、臨調の最終の答申が出ましたらば、十分それを吟味さしていただきまして、内閣全体としてこれを実施に移していくという方向を考えております。
#152
○中村鋭一君 臨調の基本は、やはり法律の数は少ない方がいい。いろいろな規定を設けてそうしてお役人の仕事をふやすということよりも、なるたけこれをすっきりしたものにしてお役人の仕事も減らすし、人件費も減らしていこう、そこに一つの眼目もあると思います。
 先ほどから伺っておりますと、この検査官といいますか、一千人をわずかに超える人数であるとおっしゃいましたね。この法律が改正されましてこれを実施いたしますと、やはり一千人余りの検査官では手が足りないということになりますね。その場合に、じゃ臨調の基本答申はお役人を一人でも減らそうじゃないか、よけいな仕事はつくらないでおこうじゃないか、そういう精神が一方にあるのに、この法律の改正案をフルに実行していこうと思いますと、逆にお役人の数を、検査官の数をふやさなきゃならなくなりますね。そういう点からも、私、こういうまさにこれざる法だと思いますけれども、こういう法律はつくらない方がむしろ国民のためになる、そう思わざるを得ないのであります。
 きょうの先ほど来のこの委員会の審議を伺っておりましても、たとえばこれはただいま沓脱委員も、それからせんだっての委員の質問にもありましたけれども、日本経済新聞に紹介されておりますような不条理がすでに存在しているわけですね。このようにたくさんの不条理が存在し、最終的に公僕として国民のサービスに徹することができないような、それに逆行するような交通安全を真に国民の自覚にまってどんどん高めていって、それは本来一人一人のモラルやそれに帰すべきものでありますし、局長も先ほどから何遍もおっしゃっているように、あなたはやはりユーザーの一人一人の自主性にまつとおっしゃっているんですから、こんなざる的な、屋上屋を架するような、しかも十万円以下というような過料を科すようなこういう法律は、私は本当にぐあいが悪いと思わざるを得ないのであります。どうかひとつ、勇気を持ってこの条項は削除に踏み切ってくださるように心からお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
#153
○江田五月君 点検指示の制度と過料については、本当に手をかえ品をかえ、寄せては返す波のようにいろいろと質問が繰り返されておりますが、私もちょっと質問してみたいと思います。
 この点、本当に何度も質問されているので似たような質問になるかと思いますが、現行法には過料というのはありませんね。これ、現行法の定期点検の制度ができた段階で、定期点検を実施してもらうために過料をつけた方がいいのかどうかというようなことは考慮はされたんじゃありませんか。されなかったんでしょうか、どうなんでしょうか。
#154
○政府委員(角田達郎君) 先生御承知のとおり、定期点検整備に義務づけがなされましたのは道路運送車両法の三十八年の改正のときでございます。それで、そのときの政府側の答弁、それからその後引き続きまして四十七年に軽自動車につきまして検査制度を導入いたしましたが、その際の政府側の答弁におきましても、この定期点検整備につきまして義務づけがなぜなされないのかというようなことにつきましての答弁がございます。それで、三十八年なり四十七年なりの改正のときの国会での御議論というのは、むしろ定期点検整備に罰則をつけて、それでもっとびしびし定期点検整備の実施率を向上したらどうだと、こういうような御質問に対する政府側の答弁でございまして、その際の答弁は、簡単に言いますと、定期点検整備というのはユーザーの自主性にまず第一義的に任せるべきだ、そういうことであるから、この定期点検整備に直接罰というのは、罰則というのはつけないんだと、こういうような趣旨の答弁でございます。
 それで、それならばなぜ今回の車両法の改正で私どもが定期点検の指示、過料という制度を御提案申し上げたかということでございますが、これも何遍も先生もお聞きになっておって……
#155
○江田五月君 そこまでまだ聞いてないんです。
#156
○政府委員(角田達郎君) なぜそういうような制度を設けたかということでございますが、これは、運輸技術審議会でも今回の一月の答申がございました際に、ほかのいろいろな提案と含めまして定期点検整備の実施を励行するための具体策を国としても真剣に考えたらどうか。たとえば、定期点検整備をやった車にやった印としてのステッカーの貼付を義務づけたらどうかとか、あるいは街頭検査の充実強化を図ったらどうかとか、こういうような御提言があったわけでございます。しかし、この定期点検整備をやった車にステッカーを張りつけるというようなことになりますると、つけなかった車に対してじゃどういうような仕組みをつくるのかということになりますと、罰則をつけなければやはりおかしいのではないかとかいうような議論にまた展開いたしますし、それから街頭検査の充実といいましても、これは、こういう財政状態の非常に厳しい折でございますので、定員をどんどんふやしていくというようなことも、これもなかなか困難な状況でございます。
 そこで、私どもがユーザーの方々に定期点検整備をやってくださいというお願いをする行政指導、このお願いをする行政指導を実効あらしめるための最低限のぎりぎりの仕組みというようなことで定期点検整備の指示、報告、過料というような一連の仕組みを考えた、こういうことでございまして、この定期点検整備自体には私ども過料をつけておりません。それから、指示に違反した方に対しても過料はつけておりません。その指示した結果について御報告がなかった場合に初めて過料という手続がとられる、こういう仕組みで御提案をしているわけでございます。
#157
○江田五月君 前に運輸委員会で聞きましたときもそうですが、本当に丁寧なお答えはありがたいんですが、私はいま、現行法に過料をつけなかったのは、現行法で定期点検制度を導入したときに過料のことを考慮しなかったんですかという質問をしただけなのに、延々と今回導入するに至った理由までお答え下さいまして本当にありがたいんですが、しかし、それにしてもはっきりしないんですね。行政指導を実効あらしめるために定期点検の指示に対する答えを何かの形で強制しなければならぬ、そのために過料をその部分につけたんだとおっしゃるわけですが、しかし、この定期点検というものをなるべくもっと励行してもらおうということには違いないわけでしょう。まさか、運輸省の係官が何か物を言った、それに対して答えをしてもらうことを、そのこと自体を目的として過料をつけるというのじゃない。やっぱりそれは、答えをしてくれということではなくて、さらにひいては、それが定期点検を励行してもらうことにつながっていく、だから過料というものをつけた、それは間違いないじゃないですか。どうですか。
#158
○政府委員(角田達郎君) もちろん私どもがこの制度を設けましたのは、定期点検の励行を図るための仕組みでございまして、報告をしてくださるかどうかだけに目的をしぼった仕組みではございません。
#159
○江田五月君 そうすると、定期点検の指示には従わなかったけれども従いませんでしたという答えをした場合には何にもならない。しかし、点検をしたけれどもうっかり答えをするのを忘れていた者は十万の過料になるというのはどうもおかしいということになるわけですけれども、それはそれとして、なぜ、一体、定期点検をそこまでがっちり励行をさせなければならないのか。
 いまユーザーが定期点検を六割足らずしか実施していないといっても、それは、皆さん方がどう国民をごらんになっているかわかりませんが、いろんな事情があるんだと思いますよ。たとえば、定期点検のときには持っていっていないけれども、すぐその前にきちんと、壊れたところがあって整備をしたから、ついこの前持っていったばかりだからいまわざわざ形式的に持っていくことないだろうとか、あるいは確かに期限は来ているけれどもそんなにしょっちゅう乗っているわけじゃないから、半年に一回って、ついこの間のことじゃないかとか、いろんな事情があるわけで、ユーザーがそれなりに、多少法律上命ぜられているそのままの義務の履行ではないかもしれないけれども、自分で判断して自分の車を安全に、しかも公害防止上も良好な状態で運行していくのにこの程度の管理をしておけばいいと考えてやっている。それがいまの六〇%までいかない程度の定期点検実施率だと思うんですが、それで、それほどいま車の性能上事故がどんどん起きるとか公害がどんどんふえているとかというような不都合があるんでしょうか。
#160
○政府委員(宇野則義君) 先生十分御認識のように、定期点検という考え方はそもそも車の予防整備という考え方に立って制度がつくられておるわけでございますし、また、事故が発生してからでは、あるいは故障が出てからでは遅いという観点からの定期点検という概念でございます。
 ただいま先生から御指摘がございましたように、やはりユーザーは、自分の車は自分が一番よく知っているということで適宜自分の車に合わした管理をやられているんではないか、こういう御指摘だと思いますけれども、定期点検の時期にならないときに適宜整備をしていると、こういう実態ございます。私どもはそれをまとめて臨時整備と申しておりますけれども、ふぐあい個所が生じた、あるいはふぐあい個所を感じた場合に整備をするということはこれ当然のことでございますけれども、必ずしも車の全体をチェックしているわけではないと思います。
 したがいまして、私ども、これからこの法律に基づきまして定期点検の内容も再検討し、大幅に簡素化するということになっておるわけでございますが、むだは排除しなければならないということから、必要最小限の個所についてチェックをしていただきたい。また、ユーザーの方々にそういう定期点検、予防整備という認識を高めていただくという見地から、この法律の中でも、手引きの公表というようなことで指導、啓蒙的な作業を私ども自身もやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、車の管理の仕方いろいろあるわけでございますけれども、走ることによって傷む部分、あるいは経時的、時間がたつことによって傷む部分等いろいろございますので、そういうものを技術的に勘案しまして、適正な定期点検項目というものを御披露しながら、事故防止、公害防止に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#161
○江田五月君 それはわかっているんで、皆さん方の立場からすれば、車の整備不良によって事故は一件も起こっちゃいけない、あるいは車がちょっと調子が悪くて黒い煙を吐くようなことは絶対にあっちゃいけないと。全然そういうことがないにこしたことはないですよ。ないにこしたことはないけれども、余り車というのは、全部常に保安基準に適合した状態で、公害を出すおそれはゼロでいつも走っていなきゃならぬというふうに完璧にしてしまうと、そのために完璧にさまざまな行政上の強制を加えていくということになると、それは臨調の趣旨と大きく外れてしまうんじゃないか。もっと国民の自主的な判断で、多少はふぐあいがあっても、ある程度のところで世の中全体にうまくバランスがとれて動いていくというようなことを考えていかなければいけないんじゃないか。
 そうすると、いま程度の車の整備の状況で一体そんなにまずいのだろうか。予防整備の考え方をもっと普及しなければとおっしゃるけれども、いまだってそんなに、皆、車というのは壊れたときに直せばいいんだというふうにだけ思っているわけじゃないんで、やっぱりいつも自分が乗ってこわいわけですから、どこかおかしくなって事故が起きたら自分がけがするんですから。あるいはそのために人をけがさしたら自分がさまざまなサンクション受けるのですから、やはり車をきちんと保持しておかなきゃならぬということは皆それぞれ思っているんじゃないでしょうか。これ以上に何か特に車を維持、管理をきちんとさせるようにしなきゃならぬというほど、いまの状態はひどいと御認識になっているんでしょうか。もしそうならば、どういう数字でそういうことが言えるのかというのを明らかにしてもらえますか。
#162
○政府委員(宇野則義君) 自動車の安全、公害につきまして、いま先生完璧主義というお話があったわけでございますけれども、私ども運輸省の立場といたしましては、先ほど来大臣も強調されておりますけれども、やはり交通安全、交通公害というものをできるだけ防止していくということが私どもの行政的に課せられた使命であろうかと思うわけでございます。
 そこで、どこまでやるかということになろうかと思います。これまでの一般のユーザーの方々の御批判は、これだけ車の技術が進歩して、現に車がよくなっている。しかも交通事故そのものは、車両欠陥事故にいたしましても整備不良事故にいたしましても、そうふえてきているわけではない。そこに絶えず従来のような形で定期点検をやり、あるいは定期の検査をやらなければならないのかという御意見が出てまいったわけでございます。そういう御意見を謙虚に受けとめまして、私どももそういう認識のもとに、これからの検査、整備のあり方ということを検討していただいたのが運輸技術審議会の答申として結論をいただいたわけでございます。
 実際町を走っております車の表にあらわれます車両整備不良によりますところの事故件数というのは非常に少のうございます。それから、ユーザーの方々が自分が事故を起こす、あるいは自分の車が故障を起こすということは非常に恐れているところでございますし、それなりの注意は払っておると思いますけれども、現に、事故に至らない状態での路上故障の実績等を調べてみましても、かなりの数字が出ておりまして、こういうものが都心部あるいは高速道路等におきまして交通渋滞の原因になっているという実態もあるわけでございまして、そういうものを踏まえながら車の技術の向上に対応した必要最小限の手入れをしていただこうということから定期点検の見直しということ、あるいはそれの車の両輪になっております国の行います定期的な検査の見直しということをやってきたわけでございまして、できるだけ合理的なシステムの中で交通安全、公害防止の考え方を達成できるように進めてまいりたいという仕組みに考えたわけでございます。
#163
○江田五月君 そうすると、この報告義務に対する過料をつけたら車の故障によって起きる事故は減るだろう、あるいは車両故障で故障車が道路をふさぐというようなことも減るだろうと、そういうふうに予測なさっているわけですか。
#164
○政府委員(宇野則義君) 同じ言葉が若干入りますが、交通安全、公害防止のための対策といたしまして、一つその定期点検の励行策というものがあるわけでございます。本日の委員会でも議論の中心になっております点検指示の制度もその一つでございますが、それだけが定期点検の励行策ではございませんで、この法律の案文の中にも入っておりますけれども、やはりユーザーの自主性、自主的責任を十分認識していただくということを私どもなりにPRをする必要がある、指導、啓蒙する必要があるということから、運輸大臣が車の点検整備の必要性について理解を深めるための手引きを作成する。それを公表するということも一つの方法でございますし、また先ほど来話が出ておりますけれども、街頭検査等の際に定期点検が実施されているかどうかということをチェックすることによって十分ユーザーの方に認識を深めていただくというようなこと、あるいは定期点検整備記録簿というものを十分ユーザーの身につけられるものとして、様式の統一あるいは内容の改正といったものを考えた上で総合的に定期点検の励行を高めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#165
○江田五月君 どうもお答えを聞いておりますとだんだん眠くなってくるような感じでありまして、聞いていることに答えていただきたいんですが、私はこの定期点検の指示の制度、さらにそれに対する報告を過料で強制するという制度を導入しても、いまの車の整備不良による事故の率あるいは故障車が道路で立ち往生してしまう割合、そういうものがそんなに大きく変わるようには思えませんが、しかもこの過料が、先ほどからいろいろお答えになっているように、余り国民の皆さんに迷惑をかけないような運用をしていくんだということになれば、ますますそうじゃないか。それならば一体何のために導入するのかという気がして仕方がないんですがね。
 しかも、この点検指示の制度は、新車の車検を三年に延ばして、そうするとパーツの交換の時期がちぐはぐになって、定期点検というものの重要性がいままでよりずっと増す、そこでこれをもっと励行してもらおうという、そういうことも前におっしゃっておったわけですけれども、そうすると、このパーツの交換時期の問題、パーツの耐用年数を一体どうするかということを本来考えればいいのに、それを考えずに新車の車検の期限を三年に延ばして、そしてうまくいかないからというので定期点検をあえていままで以上に国民の負担のもとに励行させようという、これもどうも臨調の本来のお考えとは違うような気がして仕方がありません。
 そこはもうちょっと置いておいて、さらにもう少し、ちょっと法律上細かな話かもしれませんが、車に保安基準に不適合な個所があった、定期点検もしていなかった、そういう場合に、整備命令と点検の指示と両方お出しになるという場合がありますね。で、その整備命令と点検の指示と両方出した場合に、そしてその点検の指示を遵守しなかった場合に、これはそれでも点検できませんでしたという報告をしなければ十万円の過料になる。十万円の過料によって点検をしませんでしたという答えを強制される。その答えは整備命令に違反しましたということを意味しているわけで、そうしますと、十万円の過料によって不利益な供述を強制するということになって、憲法違反というような問題出てきませんか。
#166
○政府委員(角田達郎君) 整備不良車の場合の点検の指示の問題でございますけれども、整備不良車の場合には、現在の道路運送車両法でも一種の制裁が加えられております。今回の改正によりまして、整備不良車であって整備命令を受けて、それでその整備命令のとおりの措置をしなかった場合には罰金が科せられるようになっております。点検指示との関連でございますけれども、その整備不良車が整備命令に従って保安基準に適合しなくなっているような部位を直したと仮定いたします。そうしましても、もしその車が定期点検整備をしなかった場合には、改正案で御提案しています五十三条の二の規定に基づきまして点検の指示を受けることになります。これは別個の措置でございまして、整備命令と点検の指示とは別個の措置でございます。当然そういうふうな二重のかかりが出てくるわけでございます。
#167
○江田五月君 二重のかかりが出てくる、どうもいまのちょっとお答えがよくわからないのですがね。たとえばライトが切れていると、定期点検は受けているけれどもライトが壊れている場合は、これは整備命令あるいは整備命令までいかなくても勧告程度で、しかしまあ法律上基礎となるのは整備命令ですね。それがあるから、いわば行政指導的に勧告で直させるというわけでしょう、そうすると、整備命令ですね。定期点検を受けている場合には整備命令があると。定期点検を受けていない場合には、それじゃ整備命令はなくなるのかというと、これはなくならないわけですね。やはり定期点検もあるわけでしょう。定期点検だけそれじゃ先に出して、それで点検に従って直していない場合にまた整備命令を出す、そういう意味ですか、いまの二重のかかりというのは。
#168
○政府委員(角田達郎君) 先ほども申し上げましたように、整備命令と御提案申し上げている点検の指示とは別個の仕組みでございまして、整備命令によって整備をしたから点検の指示がかからなくなる、こういうようなものではございません。
#169
○江田五月君 いや、ですから、定期点検もしていなくて、しかも保安基準に不適合な個所がある車が見つかったときには、少なくとも理論上は、あるいは法律の立て方から言えば、整備命令と点検の指示と両方を別個の制度として出せる、しかもそれは出す場合があろうと思うんですがね。そして、その整備命令と点検の指示にどちらも従わなかった場合には、点検の指示の方は従いませんでした、できませんでしたという報告をすれば、それで十万の過料はかからないわけですね。ところが、整備命令の方は、何もやりませんでしたと言うと、整備命令に違反しましたということを言うことになるんじゃありませんかと、そうすると、それは二十万円の罰金に係る犯罪事実についての不利益な供述を強制されるということになりませんか、それは憲法違反ではありませんかと、そういうことになるんですがね。それが困るならば、さあどういうふうにしてこれを回避するか、いろいろ知恵はあるかもしれませんがね。
#170
○政府委員(角田達郎君) 私どもは、そういうような場合に、不利益な供述を強制したということにはならないといま思っておりますけれども。
#171
○江田五月君 まあいろいろありましょうけれども、とにかくおかしいんじゃないですかね、この過料というのが。
 さあもう時間もなくなって、私はまだまだほかにちょっと、過料はもういままで何度も何度も聞いていて、こちらもそろそろ嫌になっておりますから、早くとにかく過料なしにして、気持ちよく新車の三年延長をやりたいんですけれどね。こんなことでやっていたら、これいつまでたってもらちが明かないという気がして仕方ありませんが、大臣、いまのようなお話で、一体それでもなお、まあ大臣は余り固執されないようなお答えなんですけれども、ひとつ、これはもう過料はいいじゃないかというような御意向をお漏らしになってはいかがでしょうか。
 それから、あるいはこれ通告が大臣の方まで伝わっているかもしれませんので簡単に伺っておきますと、この車検の制度に関して以前に私は塩川運輸大臣に伺ったことがありまして、一つは、せっかく車検の制度というのがあるので、車検のときにどの車はどういう欠陥がよく起こってるよとか、いろいろ車のウイークポイント、弱点というものを車検のときに知り得るわけです、運輸省は。そこで、そういう知り得たものを何かの形で次に今度また車の型式を変えるというようなときに役に立てていくとか、あるいはまたそういう知り得たものを国民の皆さんに公表してひとつ国民的な観点から車の性能の向上に資するようにやっていくとか、そういう車検白書といいますか、車検の結果を毎年国民の皆さんに知らせていくというような制度をつくってはいかがかということを提案をしまして、これは前の塩川運輸大臣のときには検討しますというようなお答えでした。
 それからもう一つは、ユーザーから見ると、車検の結果いろいろ直してもらって、どうも自分ではしかし納得できないということがよくあるわけですね。その場合、しかしユーザーの方は素人ですから、車検工場へ行ってごうごうといろいろ説明されたら、それでもう、どうもはっきりしない、ほかの自分の友だちなんかに聞いてもこれははっきりしない、やり過ぎじゃないかという気がするんだけれども、だけれども言われたらしようがないというんでどこにも苦情の持っていきようがない。まさか五万や六万で訴訟を起こすというのもとうていできることじゃありませんし、そこでそういう場合にたとえば車検オンブズマンというような、オンブズマンという名前が適当かどうかわかりませんが、まあ車検に関する駆け込み寺のようなものですね、こういうようなものをつくってはどうかということを提案をしまして、これも研究してみますというようなお答えだったですが、運輸大臣、ひとついまの過料の点とウイークポイントの公表の点とオンブズマンの点と、それだけお答えを願って私の質問を終わります。
#172
○国務大臣(小坂徳三郎君) 委員の御提案の前塩川運輸大臣に対する御提案は、ことしの十月から本省と東京、大阪、名古屋の陸運局にそうした機能を持ったオンブズマン制度を置きたいということでいま進めておるところでございます。
 また、いまおっしゃったウイークポイントなんかということも、これはなかなか製造メーカーには痛いんでしょうけれども、しかしわれわれはそれをやる方がいいというふうに考えてこれも進めてまいりたいというふうに思っておりますが、まだことしの十月からスタートするものですから、実績その他はいま御報告する段階じゃございません。
 それから、過料のことでございますけれども、これは本法案の問題でございまして、いま御審議をいただいている最中でございますので、いま私がここでそれをおりたと言うわけにもまいりません。いずれにいたしましても、委員各位に十分な御審議を賜りたいというふうに考えております。
#173
○委員長(桑名義治君) 以上をもちまして本連合審査会は終了いたしました。
 これにて散会いたします。
   午後三時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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