くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第096回国会 運輸委員会 第3号
昭和五十七年三月十八日(木曜日)
   午前十時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十七日
    辞任         補欠選任
     伊江 朝雄君     原 文兵衛君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         桑名 義治君
    理 事
                井上  裕君
                山崎 竜男君
                小柳  勇君
                黒柳  明君
    委 員
                江島  淳君
                梶原  清君
                木村 睦男君
                高平 公友君
                内藤  健君
                安田 隆明君
                山本 富雄君
                青木 薪次君
                広田 幸一君
                小笠原貞子君
                柳澤 錬造君
                田  英夫君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  小坂徳三郎君
   政府委員
       運輸省鉄道監督
       局長       杉浦 喬也君
       運輸省航空局長  松井 和治君
       運輸省航空局次
       長        山本  長君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村上  登君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    仁平 圀雄君
       運輸省航空局技
       術部長      長澤  修君
       労働省労政局労
       働法規課長    齋藤 邦彦君
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
       日本国有鉄道常
       務理事      吉井  浩君
       日本国有鉄道常  坪内 享嗣君
       務理事
   参考人
       日本航空株式会
       社代表取締役社
       長        高木 養根君
       日本航空株式会
       社専務取締役   野田 親則君
       日本航空株式会
       社常務取締役   萩原雄二郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○運輸事情等に関する調査
 (運輸行政の基本施策に関する件)
 (国鉄問題に関する件)
 (羽田沖における日本航空機墜落事故に関する
 件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(桑名義治君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会に日本航空株式会社代表取締役社長高木養根君、同専務取締役野田親則君及び同常務取締役萩原雄二郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(桑名義治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(桑名義治君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○青木薪次君 先に大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、二月九日に死者二十四名、負傷百四十二名、入院中の者現在五十三名というような不幸な事故が発生いたしまして以来、三十七日を経過をいたしているわけでありますが、事故の発生の原因究明もかなり進んでおります。片桐機長の異常な行動が今回の事故発生の直接の原因であったことが明確になってきているわけであります。この間にいろいろと対策も打たれてきたわけでありますけれども、機長に定期便の運航を行わせていた日本航空の運航管理体制のあり方、さらにこのような常識では考えられないような日本航空の運航管理体制を認めてきた運輸省の立場、こういう立場について、これはチェックすることができなかったということだと思うんでありますけれども、そういう立場で指導監督体制のあり方が問われているわけでありますが、現時点における運輸大臣の御所見をまず伺っておきたいと思います。
#6
○国務大臣(小坂徳三郎君) お答え申し上げます。
 先般の日本航空の事故、まことに遺憾なことでございまして、心から亡くなられた方々の御大福を祈り、またなお入院されている方々の一日も早い御全快を祈っておるのでございます。
 ただいま御指摘の諸点につきまして、先般、運輸省といたしましては、日本航空の管理体制全般にわたりまして七項目にわたる運輸省の意見を出しました。これに対して日本航空側は、今月中にその回答と申しますか、対処方針を明確にして報告をするように申しておるところでございます。
 なお、こうした事故が二度と起こらないようなことのために、特に今回の異常な事故に対処しまして、現在の航空身体検査証明の制度がございますが、これは従来、今日まで国際的な検査基準に基づいて運営しているものでございますが、今回の事故にかんがみまして、やはりこの制度並びに運用についてもう一度見直しをすべきではないかというふうに考えておるところでございます。しかし、何分にも操縦士の身体健康の状態というものでございますので、このことにつきましてはきわめて専門的な知識を必要とするということは御理解いただけると思うんであります。したがいまして、三月の十六日に航空局長を中心にいたしましての専門家の第一回の会合を開いたわけでございます。そして、この第一回の会合に引き続きまして、今後はこれらの問題についての見直しをどのように進めていくかということについての専門的な討議を進めて今後の対処策を決定してまいりたい、そのように考えているところであります。
#7
○青木薪次君 運輸省は、事故発生後日本航空に対して、運航管理や整備を中心といたしまして航空法に基づく立入検査を実施いたしました。現在、立入検査に対する結果をまとめたわけでありますが、現在の時点で明らかにしている問題点といいますか、こういう問題についていろいろ出ておりますけれども、新聞報道によれば、運輸省に提出されました片桐機長の航空身体検査証明書には、心身とも異常なしと記載されておるのであります。機長の心身症の病歴や航空身体検査証明書の必要事項となっている神経症について虚偽の報告が行われていた、片桐機長が、昨年暮れに航空法で義務づけられている乗務回数を消化できなくて機長資格を失う状況にありながら、運輸省には報告されない。片桐機長の機長資格に疑問が持たれている点等について事実の確認ができたかどうか、この際明らかにしていただきたいと思うのであります。
#8
○政府委員(松井和治君) まず、第一点でございますが、片桐機長の身体検査証明、これは六カ月ごとに私どもに提出をしていただくわけでございます。これはただいま先生の申されましたとおり、すべて異常なしという報告がなされております。これは明らかな点でございます。ただ、先生の仰せになりました日常の日本航空における健康管理におけるその六カ月の間の診断というものが、いわばこの身体検査証明に反映されていなかったということが、この身体検査証明制度というのは六カ月ごとのその時点での判断に基づく制度でございますために、私ども専門的な知識はございませんが、その間にある病気があっても、その身体検査証明を行った時点にはその病気は治っていたという医師の判断に基づくものであるのか、あるいはそこに本来記載すべきものが漏れていたのかということについては、私どもはっきりこうだと決めつける知識は持ち合わしておりませんが、いずれにいたしましても事実は私どもに参りました身体検査証明書上は異常がないという報告がなされていたということでございます。
 それから第二点の御質問の機長の資格の点でございますが、これは私ども立入検査をいたしまして調査をいたしました結果、ただいま御指摘のように、ある一時点で本来三カ月に三回以上の乗務をしなければいけないものが、現実には二回しか行われていなかったという事実は私どもといたしまして確認をしたところでございます。
#9
○青木薪次君 日本航空といえば国民が最も信頼している航空会社であります。政府もこれに関与いたしているわけであります。そういうことで他の追随を許さないくらい国民の信頼を集めてきたこの日本航空で、なぜこのような身体検査証明書なり、あるいはまた機長の資格に関するような問題について虚偽の報告をなしたのかどうなのか、その点について、大変忙しいところを出席願ったわけでありますが、高木社長からその点について簡潔にお願いいたしたいと思うのであります。
#10
○参考人(高木養根君) ただいま青木先生から御質問のありました点については、専門の野田参考人からお答えをさしたいと存じます。どうぞよろしく。
#11
○参考人(野田親則君) お答え申し上げます。
 現在の航空身体検査証明の制度によりますと、旭当のその資格を与えられた医師の説明によりますと、現在の規則に忠実に判定をしたと申しております。したがいまして、会社といたしましてはその医師の意見、見解を尊重するという立場から、規則に忠実に報告をしたというふうに会社の方も信じております。もう少し具体的に申しますと、たまたま六カ月ごとの検査を受けるべき時期に参りまして、それまで持っていた病気が非常に軽快になっておって、その時点で検査をすると規則に照らして合格をするという判断を指定の医師がいたしたわけであります。そういうことが事実でございまして、会社といたしましてはいまおっしゃいますように虚偽の報告云々ということでなく、そのときは確かにそうであったというふうに信じております。
#12
○青木薪次君 両参考人とも余り誠意ある回答とは思えません。法律には、航空法第三十二条に、「指定航空身体検査医が行なう航空身体検査証明を受けた者は、運輸省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を運輸大臣に届け出なければならない。」第三十一条には、「運輸大臣又は指定航空身体検査医(申請により運輸大臣が指定した運輸省令で定める要件を備える医師をいう。以下同じ。)は、申請により、技能証明を有する者で航空機に乗り組んでその運航を行なおうとするものについて、航空身体検査証明を行なう。」と、こういうように書いているわけですね。これが航空法によって皆さんが義務づけられている。で高木社長、これだけ問題になっておりましても専門の方から答弁される。専門の野田さんの答弁は、そのときは医者の言うことを信用したと、これだけなんですね。後で医者のことについてちょっと聞きたいと思いますけれども、これでは私は、いま大臣や航空局長から答弁をされましたけれども、虚偽の申請がなされておるということについて、あなた方は虚偽じゃないと、こう言われるんですか。その点ちょっとお聞きしたいと思います。
#13
○参考人(野田親則君) 具体的に申し上げますと、六カ月ごとの身体検査の時期は五月ごろに参ったと思います、五十六年の五月ごろ。この機長が発病いたしましたのが五十五年の十一月の末ごろ、前の年の十一月の末ごろから体調が悪いということがわかりまして、そして本人も近くの医師にかかったり会社の医師に相談をしたりということが始まったわけですが、その次に身体検査の時期が参りましたのが、いま記憶で申しわけございませんが、ほぼ次の年の五月近辺であります。それで、そのころに本人の病状がどうであったかということを申しますと、聖マリアンナ医大の精神科にかかりまして、そのときに五十五年の十二月ごろ診断書をもらったわけですが、次の年の一月の末ごろに、もう軽快して治ったから平常勤務よろしいという意味の診断をいただいております。それは外部の医療機関からいただいた状態です。その後、念には念を入れて会社の健康管理室の医師がいろいろチェックをいたしまして、外部の医療機関の判定をそのままうのみにしたわけではございませんで、付加的にいろんな観察を加えまして、大ざっぱに言いますと時とともにどんどん状態はよくなりまして、そして五月ごろ、その六カ月の身体検査の時期が来たわけであります。そのときにわが社の医師の判定は、六カ月ごとのチェックと申しますけれども、飛行の検査を受けるのに適した健康の状態にあるという判定を出しております。そのようなことで、六カ月ごとの航空身体検査を受けるころには健康状態が非常に回復しておったということを申し上げたのであります。
#14
○青木薪次君 この問題で余り長くやっているわけにはいきませんけれども、航空法の三十一条を私が読み上げましたのは、「運輸大臣又は指定航空身体検査医」、これは運輸大臣が指定した運輸省令で定める要件を備えた医師を言っているんです。聖マリアンナ病院ですか何ですか、そのことを言っているんじゃないですよ。そのことをあなた方は間違えちゃいけない。法律に基づいたことをやりなさいと、こういうことを言っているんです。ですから、その点については後でまた言及いたしますけれども、あなた方はそのことについて非常に国民の信頼を失ったということについて、率直にやっぱり反省すべきところは反省しなければ言いわけだけに終始している。こんなことじゃいけないと思いますよ。
 時間がありませんから次に移りますけれども、航空立入検査をいたしまして、そして数日が経過したわけです。現時点で日本航空にどのような勧告を予定したかについては、空航一六九号ですか、これで勧告をされたわけでありますが、これでまだほかに勧告を用意されておられませんか。
#15
○政府委員(松井和治君) ただいま先生からお話しございました三月九日付の空航第一六九号で、私ども日本航空に対して七項目にわたっての勧告をいたしました。その本文のところの末尾に書いてございますけれども、現時点で判明した事実に基づく勧告であるということをうたってございまして、現在航空事故調査委員会の手で進められております事故原因の究明等がさらに進んだ段階で、場合によっては追加勧告を行うことがあるということをお断りしてあるわけでございます。そういう事態になるかならないかということをいまの時点では確言はできませんけれども、一応可能性としては今後も追加的に勧告をすることもあり得るというふうに考えております。
#16
○青木薪次君 日本航空では衆議院の運輸委員会で、片桐機長と同じように心身症とか神経症といいますかね、そういう病歴を有する乗務員が十二名存在しておって、五名が乗務停止をしているということを明らかにしたわけでありますが、これらの十二名の乗務員の航空身体検査証明の記載はどのようになっているのか。新聞報道によりますと、これらの人についてはすべて異常なしと申告されていたというけれども、問題は、日本航空では問題ないとしておるけれども、このような姿勢は航空法の航空身体検査証明書制度の趣旨を有名無実なものとしていると思うのでありますが、この点いかがですか。高木社長にお伺いいたしたいと思います。
#17
○参考人(高木養根君) ただいま先生の御指摘がありましたように、過去の病歴を調べまして十二名の者が発見をされまして、そのうち六名は現在完全に治癒しておるということで現在も飛んでいるわけでございます。それから一名は、この事故の起こる前に、症状が芳しくないということですでにおろしております。飛んでおりません。その他の五名については、その後引き続き観察を続けておりまして、引き続きおろしております。それが現状でございます。
#18
○青木薪次君 私は友人に権威ある精神科医がございますので聞いてみました。この心身症ではこのような奇怪とも思われるような行為は絶対に起きない。それぞれこういう文明の時代になってくると、近代化病というかいろいろと精神的な症状というものは起きるものだ。しかし、うつ症とかなんとかというものについては、これはある意味では大変問題のある精神病であるというように言われているわけでありますけれども、どういうように御判断なさっていますか。
#19
○参考人(高木養根君) お答えをいたします。
 まことに遺憾でございますけれども、私、医学的な知識は持っておりませんので、私どもの健康管理室におりますところの医師、いわゆる産業医並びに嘱託医の診断というものを信頼せざるを得ないというのが正直のところでございます。
#20
○青木薪次君 国民の前で議論しているんですから、余り言いわけのようなことを言わないで、あなたともあろう人がこのことについて知らないわけはない。これだけまた議論をされてきているんですから、確かにその点については、もしおわかりにならなければ精神科医にいろいろとお聞きなすったはずだというように考えているわけでありますが、航空局長、日本航空以外の全日空とか東亜国内、南西航空なんかの乗務員の健康管理体制はどのようになっているんですか、その点についてちょっとお伺いしたいです。簡単で結構です。
#21
○政府委員(松井和治君) まず、全日空でございますが、全日空の場合には東京と大阪という二つの大きな基地がございます。その東京、大阪という基地ごとに乗員健康管理センターというものを設置いたしておりまして乗員の健康管理を行っております。それぞれ常勤医を一名置きまして、そのほか耳鼻科、眼科等各専門の分科の非常勤の医者を配置いたしまして健康管理を行っております。
 それから、東亜国内航空におきましては、東京、大阪、福岡、鹿児島という各支店に医務室を設置いたしまして、乗務員並びに一般職員に対する健康管理を行っておりまして、各医務室にはそれぞれ、これは常勤ではございません、非常勤の医者でございますが配置されておりまして、なお総合的な身体検査につきましては、別途の岩井診療所等の指定機関におきまして身体検査を実施しておる、これが実情でございます。
#22
○青木薪次君 私は、いま航空局長が言われたようなことが最低必要だ、まだ少ないというように考えているわけでありますが、先日もテレビなんか見てみましても、NHKで放送されたシベリア鉄道でも、ああいう地上を走る人であっても簡単ないろんな検査、運転に差し支えないという確証を得られるような身体検査をやって乗務していくというのが出ておりました。いま日航の秘書課からお伺いいたしますと、医者の数は、主席産業医が法律で決められている常勤の山口さんという先生がいる、そのほかに月曜日から金曜日まで交代で勤務している先生が十一名。これは慈恵医大。専門は内科が五名、耳鼻咽喉科が三名、眼科が三名、精神科に至ってはたった一名しかいない。この人が、先ほど航空局長のおっしゃったように六カ月ごとにちゃんと書類を提出させるというようなことができるのかどうか。運転免許証だって各警察ごとに二、三人の人はいるでしょう。それから専門の警察官だって数人いるでしょう。たとえば免許証を書くだけだってこれは大変なことだと思うんであります。そういう意味で、私はこの面における安全という問題についてなおざりにしてきやしなかったのか、この点についてひとつ高木社長にお伺いいたしたいと思います。満足であったのか、いままで軽視をし過ぎたのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
#23
○参考人(高木養根君) お答え申し上げます。
 私は、実はこの事故が起こりますまで、私どもの会社の乗員に対する健康管理体制について、前にも申し上げたことがあるんですが、満幅の信頼を置いておりました。しかし、現実にこのような事故が起こりまして、やはりこれは管理体制は万全ではない、これは改善を要するということを実は感じておりましたわけでございますが、そういうことで、会社としてもこれについては見直しをするということで方針を決定したわけでございますが、先ほどお話もございました運輸大臣からの勧告の中にも、健康管理体制については特に具体的にいろいろと勧告をいただいております。私どもはその線に沿いまして、この勧告をきわめて重く受けとめまして、早速管理体制の強化、改善ということに目下取り組みつつあるところでございます。言いかえますならば、過去の健康管理体制は万全ではなかった、改善を要するというふうに現在考えております。
#24
○青木薪次君 二千人の乗員に対してたった一人の、しかも随時交代でもって勤務するなんということについて完璧であったと思っていること自体がナンセンスといいましょうか、全くもって、いまの航空局長の話によれば、専門の人をあちらこちらに駐在さしているということがある半面、おたくでは全くこの点を無視しておったということについて、私は国民にわびる気持ちを持っていままでの不明を認めなきゃいけないと思うんでありますが、完璧であったと思っていたというようなことについては私は大変問題がある発言だと、こう思うんであります用語気鋭く私が申し上げるのは、人為的事故であるという立場に立って申し上げているわけでありますが、もう一度答弁してください。
#25
○参考人(高木養根君) 私は、私が実は信じておりました事実を申し上げましたので、確かにこういう事故が起こった、しかも健康に関連しての原因というふうに、まだ事故の原因そのものは現在調査中でありますけれども、そういうふうに推定をされるというようなことがありまして、私の考えておったことが間違っておったということを率直に私はお認めいたします。
#26
○青木薪次君 私はいまのような答弁があってしかるべきだと、これだけの重大な事故を起こしておいて、いままでは全幅的信頼をしておったけれども、あのような事故が起きたからこれから気をつけるということだけでは国民は納得しません。
 そういう立場で、私は警察当局に伺いますが、いままでの捜査の結果、問題点として上がってきているものについて二、三点挙げてください。
#27
○説明員(仁平圀雄君) 警視庁におきましては、その後も機長を初め乗員、乗客、会社関係者等に対する事情聴取あるいは事故現場や事故機に対する検証等、所要の捜査を中心にしておるわけでございます。
 これまでの捜査の結果は、先ほどからお話ございますように、今回の事故の原因は機長の操縦ミスによる疑いが強いということになってきておるわけでございますが、いまだ事故原因に関する事実関係が究明されたということではないわけでございまして、今後とも機長に対する取り調べを初め、会社側の機長に対する健康管理、運航管理等の状況、さらには今回の事故に対する予見、可能性等、事故原因に関する幅広い捜査を進めてまいりたいと考えて、目下捜査中でございます。
#28
○青木薪次君 いろいろと問題点が出てきているわけでありますが、片桐機長はやはりいままでもいろんな既往症があったんじゃないか。たとえば家の中に盗聴器が隠されているというようなことを言ったり、いろんなことが出ているわけですね。それから、あの二月九日に事故が起こって、そして片桐機長がカーディガン姿でバスに乗っていく、そのときに会社の者だと言ったと。それから、私どもも聞いたわけでありますけれども、日本航空は機長は死んだと、こういう発表も実はしているわけであります。これはただ単に私は機長の責任だけに負わせる問題ではないと思うのでありますけれども、そういった問題について広い立場から捜査をしていかないと、この問題は片桐機長だけが起こした罪だということだけで済まされないと思うのでありますけれども、その点、警察当局はどういうお考えですか。
#29
○説明員(仁平圀雄君) 御指摘のとおりでございまして、機長の刑事責任の追及はもとよりでございますが、あわせて会社側の管理責任、刑事責任の有無につきましても、これを明らかにしてまいりたいということで捜査しているところでございます。
#30
○青木薪次君 そこで、私は日本航空の皆さんにお伺いいたしたいと思うのでありますが、クリティカル・イレブンミニッツ委員会というものを組織いたしましたか。
#31
○参考人(野田親則君) 過去の事故、多分クアラルンプールの事故の後だったと記憶しておりますが、日本航空のみならず、世界的に航空事故が着陸前の八分間あるいは離陸後の三分間といった、地面に近いところで発生する事故が多いものですから、この辺を強化することが最も有効かつ必要であるという見地から、社内に危険な十一分間のことを改善するための委員会を組織いたしました。そこで非常に幅広い対策を立てまして、社内で実行に移してまいりまして、非常に簡単化して申し上げますと、当時出しました多数の項目のほとんどが毎日の業務に完全に織り込まれた状態になったということを確認して、その委員会自体はしばらく前に解散をいたした次第でございました。
 以上です。
#32
○青木薪次君 いまお話しの離陸後三分間、着陸前の八分間のいわゆるイレブンミニッツと言われる十一分間、この十一分間が一番危ないというような御指摘のもとに、クアラルンプールの事故以後にこの問題を中心として三つの問題点を私は議論をされたと聞いているわけでありますが、このような内容の事故が起こったことについて、いろいろと議論をされたと思うのでありますけれども、その議論の中心的な課題についてひとつ聞かしてください。
#33
○参考人(野田親則君) 具体的な項目が大変数が多うございますので、恐縮でございますが大分類で申しますと、第一番目には、第一分類としては人間関係、すなわち乗員というようなことを中心にしてたくさんの項目を挙げております。それから第二番目は、機械、すなわち航空機あるいは装備品、装置といったようなものでございます。これについてもそう項目は多うございませんけれども、数項目の具体項目を挙げております。第三番目は、環境と申したらいいと思いますが、飛行場であるとか気象であるとか、要するに航空の、飛行機の回りの状態、メディアと言っておりますけれども、そういう関係のものを、これも相当な項目を挙げております。それから四番目がマネジメントと言いますが、この際、飛行のマネジメントという意味でございまして、機長なり乗員が自分の担当している運航をやっていく上のマネジメント、そういう見地からまた数項目を挙げております。
 全体としては相当な項目に上っておりまして、強いて、その中で重点と申せば、第一番の人間というところと、第三、第四のところ、すなわちメディアというところとマネジメントというあたりが重点であったというふうに私は承知しております。
 以上です。
#34
○青木薪次君 わかりました。
 私は、一番問題とすべきは人間関係ということについて、やはり日本航空としては相当重要視していく必要があるというように考えているわけでございますが、いま野田参考人の言われましたことについて、どういうような措置をとってこられたのか、お伺いをいたしたいと思います。
#35
○参考人(野田親則君) 人間関係、いわゆる俗に言う人間関係という意味ではございませんで、乗員がどういうことをするかというような意味の人間の問題でございますが、たとえば、多くの飛行機が複数の乗員で運航しておりますので、その複数の乗員間の連絡協調が完全であるかどうかというようなこと、あるいは飛行機が多分に自動化されているとはいえ、ある部分は乗員が判断するという部分がございます。そういう判断の仕方についてとか、それから、複数の乗員が操縦席の中で業務を分担しております。その分担のやり方が合理的であるかどうかとか、それから、各飛行の前に乗員が十分に打ち合わせをするとか等々ございまして、そのようなことを、現状を再検討し、問題点を出し、それを改善をしたということをやったわけでございました。
 以上です。
#36
○青木薪次君 私も羽田にも行くしあるいはまた個人的にもいろんな知り合いもございますので聞いてみましたけれども、やはりピット内での確執があり過ぎる、こういうことが言われているわけでありますが、その点は絶対にないというようにお考えになっておられますか。あるというようにお考えになっておられますか。いま人間関係の問題が相当重要視されてきているというお話があったわけでありますが、いかがですか。
#37
○参考人(野田親則君) ひとり日本航空にとどまらない問題だと思いますが、操縦席で複数の乗員が連絡協調しながらある使命を達成するという中において、多くの航空会社が痛感しておることは、やはり指揮命令系統がはっきりするということがひとつ非常に重要なことである、そういうことがございます。ごく簡単に言いますと、操縦席内での仕事は非常に規律がはっきりしてないと問題が生ずる、そういうことがこの仕事の本質といいますか、特色であろうかと思うんです。そういうことがとりようによるといわゆる極端な縦社会というふうにとる、そういうことから別の問題が出てくるという面がございます。そういうことで機長に対して他の一人なり二人がそれぞれの立場で協力し合うわけですけれども、画然とした規律、指揮命令系統というのがなければいけないと同時に、それが副作用を生んではならない、こういうような一見相矛盾する問題を解決せねばならないということがいま先生の御指摘になっている問題のエッセンスかと存じます。
#38
○青木薪次君 先日の新聞にも載ったわけでありますけれども、機長が管理職についてはこれはもう絶対困るという声が圧倒的だと聞いているわけであります。ですから、機長と、それからたとえば副操縦士とか機関士とか客室乗務員とか、いろいろあるわけでありますけれども、とにかく機長それ自体が、この関係から機長の管理職制はいやであるという声が圧倒的に強いわけでありますが、この点について皆さんは、特に高木社長はどういうように御理解なすっていますか。
#39
○参考人(高木養根君) お答えをいたします。
 機長は、ただいま野田参考人からも申し上げましたようにきわめて重大な責任を負っておるわけでございまして、その指揮系統が非常にはっきりしなきゃいかぬということでございますが、責任と同時に大きな権限を機長は持っております。たとえば航空法上の地位について見ますと、他の乗員に対して指揮監督権を持っておる。あるいは航空機の出発決定権あるいはその確認義務というものが規定されておりますし、あるいは安全阻害行為等につきましては抑止権というものが与えられている。あるいは旅客に対しても命令権を持っている。危難に際しては献身義務がある。あるいは他の運航乗務員の違反行為に対しては機長も刑事責任を負うというような、ほかの乗員には見られない機長独特の法律上あるいは社会上の非常に大きな権限、責任があります。
 また、会社業務の上から見ましても、機長というのは指揮監督権あるいは安全確保の責任、他の乗員及び業務の統括指揮権、業務の調整権あるいは指導育成義務、他の者とかわることができないという不代替責任というような、きわめて大きな権限と責任を持っておりまして、わが社におきましては、先生もいま御指摘になりましたようにそういった機長の非常に大きな権限、責任というものを考えた場合には、これはただいま申し上げましたように法律あるいは社会的な地位からいいまして、そういう大きな権限、責任があるわけでございますが、これを社内で遇するにはやはり管理職にするのが適当である、こういう考え方で管理職にしておる、処遇しておるわけでございまして、私どもとしては、機長を管理職にしておるためにコックピット内での、あるいはその外での機長と他の乗員の間の意思疎通が特に阻害されておるというふうには考えておりません。で、実は事故後、二月の二十五日ですか、機長会との懇談会というものを行いまして、その席上で、確かに二、三の機長からは、この機長管理職制度に対する疑問というものが提起されました。しかし、大部分の機長諸君はむしろこの機長管理職制度を支持しておるというふうに私どもは理解しておりますし、この事故後、機長会として、今回の事故に機長管理職制度は関係がないということが機長会としての意向であるというふうに私は承知しております。
 以上でございます。
#40
○青木薪次君 その機長が管理職であることについては、いやだというのがこれが圧倒的に多いということについて、あなた方の前で、それは時間の制限もありますから、二、三の機長からそういう管理職はいやだという発言があった。何でもかんでもいいから自由に言ってみると言ったらそういう問題が出てきた。そうしたらある人が、そんなヒステリックな発言はするなと、こういうことも言ったということを聞いているんです。しかじかさように、日本航空の中で、あなた自身が会合の席上で、まず冒頭に、事故が起こった後で、物が言えない職場だと、そういう職場を返上しようじゃないかというようなことも含めてあなたは話を切り出しているんです。そういうふうなことから考えてみまして、ただ単に組合対策だけでもってこの問題を議論しておってはいけないというように私は考えます。
 そこで、おたくの事故は、昭和四十七年五月にDC8の羽田空港離陸失敗による事故が起こった。四十七年の六月にはDC8でニューデリーでまた事故が起こった。四十七年九月にはこれまたDC8が事故を起こしている。九月にもそうだ。四十七年の十一月にもモスクワで起こしている。五十年の十二月には、これはボーイング747ですか、アンカレッジ空港で誘導路より転落をしているという、これは機長の問題にも関係してくるわけでありますが、この事故なんかにおいては、もう横風が激しくて転落するということが大体わかっている、本社の方に問い合わせたところが、それでもひとつサービスのために操縦してこいということで、会社の命令を、ほかの乗員はこれは問題があると言ったけれども、機長が管理職であるために絶対服従しなきゃいけないということから、案の定やっぱりこれ重大事故を起こしているわけです。五十二年の一月にもこれまた起こしている。五十二年の九月にもまた起こしている。これは有名なクアラルンプールの事故でありますけれども、これもやはり問題としてこの機長管理職、絶対権限を持っているというように言われているわけでありますが。それで今回の五十七年二月の羽田沖事故と、こういうことになっておりまして、この大体十年たたないうちに九件の重大責任事故を起こしている。
 言いたくはないけれども全日空は昭和四十六年以来事故がないんです。東亜国内航空も昭和四十六年以来ないんです。そういうことについて真剣に反省しませんと、組合対策だけでもって機長に組合をつくらせないということがいいことなのか悪いことなのか、あなた方はそういう問題について、やはり会社の利益本位、あるいはまた従業員管理という問題だけでこの問題を律してはいけないというように私は思うんです。
 全日空でも東亜国内航空でも、あるいはまた南西航空でもあるいはまたアメリカの飛行会社でも、世界じゅうの飛行会社がほとんど機長も、一般にあの狭いピットの中におけるクルーのいわゆる友好関係、人間関係というものをしっかりとまとめていくという立場に立って、仕事上は第一指揮者が機長であり、第二指揮者が副操縦士であり、第三が機関士というようなことになっておったにいたしましても、それぞれ責任とやっぱり努力という、あるいはまた責任といろんな任務というものについてはそれぞれ与えられているわけであります。国民のとうとい生命、財産を負っているわけでありますから、あのクルーの中がしっかりまとまっていくという体制を守っていくための環境をつくってあげるということについては、これはやはり会社側の私は責任と義務だと、こういうように考えておるわけでありますが、前朝田日航社長あるいはまた今日の高木社長、お二方とも、組合に入っても差し支えないというような発言も聞いているわけでありますけれども、その点はいかがですか。
 もう少しやはりこの実態に合ったような形でもって、何でも意地を通すというごり押しということでなくて、あるいはまた頑固なかたくなな態度でなくてこの問題を律すべきときにきているのじゃないかと、こういうように思うわけでありますけれども、いかがですか。
#41
○参考人(高木養根君) お答えいたします。
 ただいま御指摘いただきましたように、過去において数多くの重大事故を起こしたということにつきましては、私どもとして本当に反省をしておりますし、今後こういうことがないようにあらゆる角度から努力をしたい、このように思っておるわけでございますけれども、この機長管理職問題につきましては、先ほどもお話がございましたように、あるいは私からも御説明申し上げましたとおりに、機長は、法律上他の乗員に対して指揮監督をする非常に大きな権限、責任を持っているわけでございまして、これは管理職であろうとなかろうと、機長の先ほど申し上げましたような法律上の権限と義務、これがあるわけでございます。そうしてそういう重大な権限と責任を持ち、本当にフライトの指揮者として何百人というお客様の御生命を預かって責任を持って仕事をする者、そういう者に対する会社の処遇としては管理職とするのが適当であるというのが私どもの考え方でございまして、決していわゆる労働問題というような見地からそういうことを考えたわけではございません。
 そうして、私としては、やはり管理職である以上は一般組合員になるということはなじまないと、このように考えておるわけでございます。
#42
○青木薪次君 日本航空だけそう言っているんですから、それはそれでもってかたくなな態度をとられるということについては、もうこれ以上あなたとやりとりしても仕方ないと思うのでありますが、労働省見えておりますか。
 この問題については、最終的には労働委員会の判断ということになると思うのでありますが、私はやっぱりここが一番のネックになっていると思っておりますし、また私が聞いて歩いたこの日本航空の乗員の皆さんについても、やはりそこが問題だと、こういうように言われているわけでありますが、その点も含めて御答弁願います。
#43
○説明員(齋藤邦彦君) お答えを申し上げます。
 一般的に申し上げまして労組法二条に言っております使用者側の利益を代表する者の範囲を具体的に確定すると申しますか、権限を持って判断をいたす機関は労働委員会だろうというふうに考えておりますし、またそういう意味で具体的に日本航空の場合の機長が、労組法二条ただし書き一号に言っております「使用者の利益を代表する者」であるかどうかということについての御回答は御容赦をいただきたいというふうに思いますけれども、いずれにいたしましても、飛行機の安全運航を確保するというためには、労使関係の安定なり、それからその間の人間関係なりの安定というものが重要なことであろうというふうに思うわけでございます。したがいまして、そういうような観点から、労使の間におきまして、この機長をどうするかということも含めましていろいろと労使間でお話しをいただいて真剣に考えていただければいいんではないかというふうに考える次第でございます。
#44
○青木薪次君 CEM委員会の結論としては、先日聞いたわけでありますけれども、モラールの問題は、いわゆる士気ですね、士気の問題は労務問題にかかわるものが多いというように言われておりますね。クルーの中のこのモラールの関係についてはフライトセーフティーに大きく影響する、安全飛行に大きく影響すると判断するに至ったのであるから、そういうような立場に立って、労務問題に関しては、組織の中で早期に問題点を摘出し、適切な処置がとられ、積極的に事態の解決を図ることが望ましい。そうすることが組織の信頼につながり、モラールの向上を招くものである。組合問題に関しても、フライトセーフティーの面から、コックピット内にはよきコーディネーション――チームワークの確執が持ち込まれてはならない。現実の問題としては避けられないようである。可能を限り避け得る方策を考えていく必要がある。これがおたくの社内の結論じゃないですか。
 そういう結論を持っておりながら、高木社長のような頑固な態度を持ってこれを一顧だにしない、会社の言うことについては意見を差し挟む余地がないというようなかたくなな態度を持っておったんでは、また将来第二、第三というような事故が惹起することを私はおそれている。それらの事故が多過ぎる。それから、モラールの点においてももちろんでありましょうけれども、おたくの中では自由に発言する機会というものがなさ過ぎるということが皆さんから言われているのでありますから、この点について虚心坦懐に、自分の意見をごり押しに通すのじゃなくて、やはり今日の問題点をひとつ何とか是正していく、その中に組合問題もある、機長管理職問題もあるというようにお考えになりませんか。
#45
○参考人(高木養根君) お答えをいたします。
 私は、やはり安全のためには、会社の中には先生も御存じかと思いますけれども四つの労働組合がございます。各労働組合と、使用者側、会社側と十分な意思疎通ができ信頼関係が成立するということがきわめて必要であるということは基本的に承知しております。そういうことで、実はこの新年に職員諸君に呼びかけたときにも、私は何とかしてこの労使間の信頼の回復ということを図りたい、そのために努力をしたいということを実は呼びかけたわけでありまして、その必要性については十分に承知しておるつもりでございますけれども、ただいまお話のございましたこの機長の管理職制度については、いわゆる機長と他の運航職員、副操縦士あるいはセカンドオフィサー、航空機関士との間の意思疎通を妨げるものではないというふうに私は確信しておりますので、ただいまの先生の御質問でございますけれども、私はそのように考えてきたということを重ねてお答え申し上げます。
#46
○青木薪次君 あなたがそういう態度をとっておられるなら、これはもう、きょうは時間がありませんけれども、第二、第三、第四とお聞きしていかなきゃならぬというように思います。
 これは客室乗務員の組合の方から聞いたんでありますが、機長に物が言えない。そもそも安全運航を守る上で最も重要な課題は、操縦室内で、機長は会社に対し、副操縦士と航空機関士は機長に対し、真に自由に物が言える雰囲気が確立していなければならぬことであるけれども、これがない。しかし、会社は、これは組合対策だけの問題じゃなくて、何としてもひとつ機長を管理職という、管理的立場にある組合員というのは全国どこにもあるわけですから、また全部の航空会社、世界もそうですし日本もそうですけれども、日本航空のような立場をとっておらないで、ひとつ自由に物が言えるようなムードをつくってもらうというようなことについていろいろと考えてきたけれども、やはりこの事故の背景をそういった立場で判断するという意欲には全く欠けているということで、自分たちの差し示した範囲内でしか物を言わせないという立場が今日も続いているというように私は聞いているわけであります。
 ですから、そういうことについては、私は、たとえばいままでも休養時間等の問題等についても、安全運航上独自の問題として解決しなければ、単なる勤務条件ではないと思うし、同業他社やあるいはまた客室乗務員に比べて短い点について、私はこの二点についてもお伺いいたしたいと思うんでありますけれども、まず休養時間から聞いてみたいと思います。
#47
○参考人(野田親則君) 現在の会社の実情を申し上げますと、客室乗務員と会社との間の合意、それと運航乗務員と会社との間の合意、技術的に多少の差がございます。
 具体的に申しますと、客室乗務員の方は、暦日ごとに区切って勤務時間と休養時間を適当に配分するという考えに立っております。それから運航乗務員の方は、暦日でなく任意の点から連続する二十四時間を任意にとりまして、その任意にとった二十四時間の中で勤務時間と休養時間が適当に配分されておるという原理で合意ができております。
 そういうやや違う制度が現在行われておるということでございますが、差はその点だけでございまして、一つの暦日もしくは任意の連続する二十四時間の中に適当な休養時間があるということについては、両者にそう大きな差はございません。
 以上でございます。
#48
○青木薪次君 そういたしますと、今回のこの東京−福岡間の関係につきましては、いままで、一月の宿泊地での休養十二時間以下の国内線の乗務パターンの比較をいたしてまいりますと、たとえば大阪へ最終便で二十時十分に着いた。それからいろいろな事務整理やその他があって、それで約二十分ぐらいかかる。それからホテルまでの通勤というんですか、帰りの時間が、車内時間が三十分かかる。ホテルには二十一時に着きました。そうして、それから食事をとる、ふろに入るというようなことになりますと、これまた三十分やその他はかかってくると思うんであります。そうして、完全に寝つくということになりますと、これはやっぱりまたそこでもって三十分や一時間かかるということになりまして、それで、あした十時の出発に七時にホテルを出なきゃならぬ、三十分の時間がかかるわけですから。そうして一時間前に空港へ着かなきゃならぬということになりますと、大体睡眠時間は五時間ぐらいじゃないかというように言われているわけであります。しかも、十二時間というOMの規定ですね、オペレーションマニュアルですか、その規定から外れている。あるいはまた、航空法上も大変問題のある休養時間というような点が非常に多いわけであります。
 そういう点から、やはり運航乗務員の関係等について問題が非常に多過ぎるんじゃないか。しかも、機長にはそのことについて一切、管理者ですから物を言えない。しかし、おたくの場合には、不審な行動でもあったらお互いに告発し合いなさいという制度になっている。こんな労務管理をしているところがございますか。全く前時代的労務管理であると言わなければならない。そのほか、他の全日空やあるいはまたTDAの場合等におきましては、十二時間を超して十四時間ぐらいの休養時間というものがたくさんあるわけであります。おたくが一番休養時間が短かい。一番労働条件、休養時間が劣悪だと。この現実についてどういうようにお考えになっておりますか、高木社長答弁してください。
#49
○参考人(萩原雄二郎君) お答え申し上げます。
 先ほど野田参考人からも申し上げましたとおり、当社における勤務につきましては、運航乗務員と客室乗務員とで違いがありますが、また他社との違いもございます。
 運航乗務員につきましては、国際線を主体としているということから、国際線につきましての規定をそのまま国内線に適用しているわけでございますが、それは連続する二十四時間における勤務の状況というものについて規定しておるということでございます。
 しかしながら国内線におきましては、先ほど申し上げましたとおり暦日でやっておりますのでそこに違いがありますが、連続する二十四時間の中の勤務時間というものをとりますと、それはたとえば飛行機がオーバーナイトする、夜間駐機するというところでの休養時間は短かくとも、基地を出発する前あるいはその後というものが、二十四時間の範囲内において長い時間がありますので、全体としては決して過酷な条件になっているというようなことはないわけでございます。
#50
○青木薪次君 私が申し上げているのは、全日空や東亜国内となぜこんなに待遇が違うのかという点を申し上げているんです。
#51
○参考人(萩原雄二郎君) 先ほども申し上げましたように、国際線を運航している会社は、比較的多くの会社が先ほど申し上げましたような連続する二十四時間の勤務というものを主体として決めておるわけでございますが、全日空さん、TDAさんは国内線が主体でございますので、そこにおのずから違いがあるということであろうかと思います。
 そういう意味では、日本航空における客室乗務員も、国際線と国内線とにはっきり分かれておりますので、その辺は規定の仕方が違うわけでありますが、やはり日本航空の運航乗務員につきましては、国際線と国内線をともに飛んでおるという関係からそういうふうな規定の仕方になっておるということが実態でございます。
#52
○青木薪次君 私は、大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、たとえば今回の勧告の問題について、運輸省の勧告の中に、安全運航等の問題については、特に機長管理職といったような問題等についてもやはり言及してもらいたいと思うし、あるいはまた、労使問題が多過ぎるということについても私はやっぱり指摘をしてほしかったのであります。
 しかも、二月十三日の組合との話の中で、高木社長が、社内で自由に物が言える雰囲気でないということを開口一番言っているんです。きょうの発言とは大変違っています。だんだんとのど元過ぎれば熱さを忘れるでもって、一般の遺族の皆さんは日本航空に殺されたと言っているんですよ。そういう中でのあなた方の答弁というものは意外に官僚的、形式的な答弁に堕し過ぎているという点について私は大変な不満を持っております。その中においても石川副操縦士は、着陸前の五秒前の一秒前から、すなわち四秒の間マイナス方向であったこの操縦桿をもとに戻すといったようなことを、相当抵抗をしてがんばっているというようなことや、あるいはまた、機長がずっとバスでもって待機しているときに、スチュワーデスの皆さんやその他の皆さんが大変な、自分の身を危険に置きながらがんばっているということについては、私はこの席上をかりて大変感謝を申し上げたいと実は思っているわけであります。
 しかし、いまのような物の言えない日本航空というような体制をとっていくならば、私は第二、第三の重大事故の発生ということを非常に恐れております。しかるがゆえに、十年たたないうちに九件も重大事故を起こしているんですから、そのことがすべてやはり、機長管理職とか、長年間長期にわたって缶詰にしておいて機長になるための資格要件をとるための養成をいろいろ続けているけれども、これも押し込み教育、押し込み精神教育というのが非常に多過ぎるというように私は考えているわけでございまして、そういうような問題を考えて、これからひとつ、特に労使関係等については、幾つも組合があって、これはまあ自由でありますけれども、労使問題にその点が端を発しているということを考えているわけでありますが、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
#53
○国務大臣(小坂徳三郎君) 一般的に申し上げますと、企業の内部の問題である労使関係に政府が関与したりすることは避けるべきだというように考えております。これはあくまでもその企業の労使関係の中で話し合いあるいは交渉、そうしたものを通じて積み上げていくのが本当のことだと思っております。
 ただいま御指摘の問題でございますけれども、われわれとしましては、航空運送業において最も重要なことは安全性の確保であるということでございまして、これは至上命題であると思っております。したがいまして、こうした至上命題が達成されるために、社内においてのいろいろな話し合いその他が、十分意見が交換できるような体制をつくっていくということも一つの重要なファクターであるということも認識しておりまして、ただしかし、そのやり方等につきましては、経営者と労働組合との間の話し合いというものに任せるべきだと思うのでございまして、ただいまの委員の御発言につきましては、十分私も御意図はわかるわけでございまして、今後はそうした意味においての社内の体制、そうしてまた話し合いのできる雰囲気、こうしたものが維持されることを強く希望、期待をいたしております。
#54
○小柳勇君 関連して大臣に一問質問いたしますが、航空法ができましたのが昭和二十七年。それから船員法というものがございます。これは昭和二十二年にできたんですが、この船員法によりますと、船長、それからその他の船員――幹部職員ですね、それから部員と、ちゃんと分かれて法律で船長の任務というのが決まっているわけですね。
 それから航空法によりますと、パイロットも副操縦士も機関士も、その権限がないんです。航空法では航空乗務員というのは別の法律がない。航空乗務員は国際的な問題もあります。それからその数からいきましても、今度船員法の改正で、あの大型タンカーなどでも十七、八人で全体を運航するようになりますが、数から言いましても航空乗務員、船舶職員、余り数も変わらない。船舶職員も外国に参りますしね、航空乗務員もやっぱり外国へ参るというような立場を考えますと、国として法律でこの航空乗務員のいろいろの処遇なり身分、権限なりを法的に保護する必要があるんではないか。でないと労使関係で、パイロットは管理者であるということになっている、そういうところに私は非常な無理があるのじゃないかと思う。たとえば列車乗務員も、鉄道などではあれで十人ぐらい大きな列車に乗っていますけれども、これには労使関係、管理者などというのはないですね。同じ乗務員でありますけれども、この鉄道の方は、これはもう管理者というのは事務所におけまして、あとは、現場の乗務員は全部職員になっている。これは国際的な関係ありません。ただ航空乗務員の場合は、社長がおっしゃったように国際的なものもあるから、近い将来、航空法だけではなくて、法律によってこの身分を保護するたとえば船員法などのようなものを考えなきゃならぬのではないかと思うのですけれども、大臣の見解を聞いておきたいんです。
#55
○国務大臣(小坂徳三郎君) いまさしあたって委員の仰せられるような航空法の改正、特に乗務員についての地位の明確化というような問題については現在のところまだ考えておらないのが実情でございますが、しかし、船員法その他に規定されておるようなことについても、なお御指摘のようにその乗員の数が非常に大きくなっていると、また今後ますますふえるかもしれないという事態の中では、あるいは航空法の中で機長の問題についてだけ非常に明確であるが、他の乗員についてのあれがないということは、やはりこれは考えていく必要もあるかとも思うわけでございまして、なお、このことは明確にお答えできませんが、委員の御指摘については今後検討させていただきたいというふうに思います。
#56
○広田幸一君 大臣が三十五分になったら予算委員会の方に行かれるということで、あと休憩をさしていただきたいと思っておりますが、まず、この間名古屋の駅で機関車が衝突するという事故がありまして、そのことについて若干ただしておきたいと思うんです。
 確かにあの事故は、国鉄にとっては一番悪いときに一番悪い事故が起きた、そういう感じがするわけですね。ですから国鉄の首脳部も全く弱り切った、そういうふうに見えたわけですけれども、私もあの事故があって以来、何人かの国鉄の職員に会いました。で、あの話をしたんですが、みんなが、本当に大変な事故を起こしてくれたともう深刻に受けとめておるわけですね。私はこれは現在の四十万ですか、全国鉄に働く、職場に働いておる人たちの大方の意見だろうと思うんです。若干その受けとめ方に差異はあったとしても本当にそういう気持ちであろうというふうに私は見ておるわけです。
 ところが、この間からの事故があって以来の最高責任者の高木総裁の言動というものは――それはいまたくさんの問題を抱えて総裁が苦悩されておるということは私もよくわかるわけです。しかしながら、何かあの事故が起こるべくして起こった、もうやむを得ないというような、あきらめに似たような感じがとれるような、そういう感じが私はするわけです。わかるんですけれども、しかしながら、いま国鉄の再建問題というのは、これはもう本当に国家的な重大な課題ですね。とすれば、今回のあのような事故を転機として、災いを転じて福となすという言葉がありますが、そういう言葉が今回当てはまる適切な言葉であるかどうかは別として、そういうことを転機として全職員が心機一転をしてやるんだというそういう気概というものを私は国民の前に示すべきであったと思うんです。そうすることで四十万の職員というものも、総裁はああ言っているんだ、おれたちもやろうというような気持ちになり得たと思うんです。どうもああいうことでは、これから大きな問題を抱えてやろうとするときに、私は、大変きつい言い方でありますけれども、やっぱりそのことを高木総裁に求めていかなきゃならぬ、そういう意味で、総裁のひとつ考え方をこの際聞いておきたい。
#57
○説明員(高木文雄君) 最初に、このような事故を起こしましたことについて深く国民の皆さんにおわび申し上げたいと思います。いろいろの事故が多種多様にあるわけではございますけれども、一番問題は、安全につながる事故を起こしてはならぬということはもう言うまでもないことでございます。保線の職員につきましても、あるいはまた電気の職員につきましても、そしてまたなかんずく運転の職員については、それが最大の使命であるということでやらなければなりませんし、やってくれているものと確信をしておったわけでございますけれども、酒気運転というようないわば論外の事故でございました。同種の事故は過去においてもそうあるわけでないわけでございまして、一番最近では五十三年の十一月に一度そういうことで、これは事故は起こしませんでしたけれども、運行が途中でとまったというようなことがありました。そのときにも相当、全国の運転区に対して強い点検措置をとったわけでございまして、ややどっかで抜けておる部分がありましたのを締め直したつもりでおったわけでございまして、しかるにまた今回このようなことになって、非常に申しわけなく思っておりますが、申しわけないということでは済まないわけでございまして、この種の事故の絶滅を期さなきゃならぬわけで、先般運輸省からも御注意を賜りまして、昨日でございましたか一昨日でございましたか、改めて全職場に通達を出しますと同時に、特に運転につきましては、個別にもう一遍ここを点検しなさいということの指導をいたしておるところでございます。
 何か私の言動について、どういいますか、のん気に構えているとかそういうふうなお受け取りのお尋ねでございましたけれども、私の自分の気持ちとしては決してそういうことはないわけでございまして、まさにこうしたことが最大のわれわれの基本姿勢として大事なことである、これをきちっとするということが大事なことであると考えている次第でございます。
 御納得いただけたかどうかわかりませんが、私は以上のような気持ちでおるわけでございます。
#58
○広田幸一君 後でなぜこういう事故が起こるようになったかという原因等について私は究明していきたいと思うんですが、大臣にこの問題でさらにただしておきたいと思いますことは、こういう事故があって、大臣が高木総裁に対して厳重な注意をしたとかそういうことが言われておるわけですけれども、まあ当然なことですが、私はなぜこういうような事故が起こるようになってきたかというそういう経過というものをやっぱり究明しなければまたこういう事故が起こる可能性もあると思うんですね。その辺について、大臣として、あなたもこの重要な問題を処理するという不退転の決意で運輸大臣をお引き受けになったと思うんですね。そういう意味で、今回の事故について、どのようなひとつ将来の展望に立って、どういうお考えを持っておられるか、お聞きしておきたいと思います。
#59
○国務大臣(小坂徳三郎君) いま広田委員仰せられましたが、今度の事故で全国鉄の職員が参った、これはいかぬという気持ちになったとあなたがおっしゃったのでありますが、私もそうであってほしいと思います。こういうような事故が、ただ勤務時間に酒を飲んだ、点呼が不十分だった、いろんなそういうささいなことだけが問題にされるんじゃなしに、いま国鉄が置かれている、日本の社会の中で問題になっている、問題視されているこうしたことが、またこうした事故が起こることによってさらに一層の注目を集めだということを国鉄の全職員の方々がみずから思って、これではいかぬと、そう思っていただくことが何よりも私は重要なこれからのスタートではないかと思うのでございまして、そういう意味におきまして、いま広田委員の仰せられたことは、むしろ国鉄の全職員がそう思っていてほしいという気持ちを持っております。これがすべての再建へのスタートではないかというふうに考えております。
#60
○委員長(桑名義治君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時三十分まで休憩いたします。
   午前十一時三十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時三十五分開会
#61
○委員長(桑名義治君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#62
○広田幸一君 さっきも大臣に言ったんですけれども、大臣は不退転の決意で運輸大臣をこの時期にお引き受けになったと思っておるわけです。
 そこで、この間の委員会で所信表明をされまして、十数項目にわたって述べられておるんですが、その中の主体をなすものは、現在進めておるところの経営改善計画というものを遂行するんだと、こういうふうになっておるんです。もちろんその中にははたくさんのものが含まれておると思うんですが、将来の展望に立った今後の国鉄の再建ということについてもう少し触れて御説明を願いたいと思います。
#63
○国務大臣(小坂徳三郎君) 国鉄の再建の問題は、言われるほど御承知のように簡単なものではございません。まず第一には、基本的な構造上の赤字の累積、そしてまた、年々排出する巨額な赤字、こうしたものをどうするかということ、私はこれは一つの大変重要なファクターだと考えております。それからもう一点は、現在の国鉄の運営の中から生じておる赤字、これは現業的赤字と申しましょうか、こうした二つの面がありまして、これが同時に解決をされることが最も望ましいことであると思いますが、やはり私は、これは「挙に解決し得るものとなかなかし得ないものとあるわけでございますから、ある程度段階的にこれの解決策を講じていくということが基本的にいま考えている線でございます。
 特に、一番最大の問題は、構造的な赤字と言われております中での年金の問題あるいはまた退職金の問題もそうでございます。そしてまた今日まで累積された十八兆に及ぶ累積赤字のこれをどのように処理して、この金利をどのように処理するかということなどが、これは広く日本の国家財政との関連において考えられなきゃならぬというふうに考えております。
 それからもう一つは、現場的な運営上のものでございますが、これは六十年までに幹線部門においては収支とんとんにし、さらに多少の利益を生むような努力をすること、そしてまたこれに対応しての地方交通線の整理も進めていかなければならない、さらにまた国鉄の過剰人員と称されるものに対しての対応、一応三十五万人体制と申しておりますが、こうしたものの実現、私はこれらの面につきましては、そしてまた将来の日本の国家財政との関連において解決すべき問題ともあわせまして、やはり世間が最も注目しておることは、先ほど広田委員が仰せられたような今度のような名古屋における衝突の事故、追突の事故と申しますか、酒飲み運転によって起こるようなこうした国鉄内部の職員間の規律の弛緩であるとか、そうしたような問題に対して、これを早く合理的に解決をするということ、そしてまず第一にはその実態を把握するということ、私はそうした問題を前提にして、いま申し上げた国家財政の中における解決と、一方においては現場的の現業の中で解決する問題というものを処理していく方向がいいのではないかと考えております。
#64
○広田幸一君 実は時間が大分縮減されておりますので、質問の仕方にもよりますが、ひとつ簡明に御答弁願いたい。
 最近、各界から国鉄の再建の方策について、まあ臨調を含めいろいろ言われておるわけですけれども、何か新聞等で見る限りでありますけれども、この臨調の考え方に対して国鉄側が、たとえばどうも臨調は国鉄の実態をよく知っていない、そういうようなことが国鉄の内部あるいは運輸省も含めてかと思うんですが、そういう不満があるように聞いておるわけですが、どの辺にそういう食い違いがあるのか。われわれの聞いておるところによると、総理大臣は、今度答申が出たならば、これを尊重する、忠実に実行するというようなことも予算委員会等で述べておるわけでありますが、答申が出て実際現場でやっておる国鉄との間に食い違いが出てきた場合は、大変な混乱になるんではないか、どういう答申が出ましてもそう簡単に実行に移すことは、今日のいろんな状況から見て困難であるにしても、やっぱりそういう食い違いが出てくるということになると問題があると思うんですが、その辺の関係を明らかにしてもらいたい。
#65
○国務大臣(小坂徳三郎君) 私は、第一点は、簡潔に申し上げますとこの国鉄の再建問題というごとは非常に大きな政治、社会的な問題も含んでいると思いますが、したがいまして、いろんな意見が現在出されているのは大変歓迎しているんです。これはわれわれが何も一つの立場、たとえば国鉄の公共性ということだけに立脚して物を考えてはいけない段階であることを認識しているからでございまして、そして、今日までほとんどなされてなかったような方々からいろんな意見が出ているということは、非常に私は歓迎しておるのでございまして、そうしたいろんな意見が出されてそれが公開され、それがいろんな方々の議論の端にのる、口にのる、皆が考えてくれる、こうしたことが非常にいいことだと思っておりまして、したがいまして、臨調がただ一方的な長期提案と申しますか、一方的な再建案を出すとも思っておりませんし、また出すまでには十分われわれとも相談があるというふうにも考えておりますし、その辺のところはそう私はかたくなに考えておりません、率直に申し上げまして。
#66
○広田幸一君 臨調が、臨調といいますか、いろいろ関係の人たちが言っておりますのは、現在進めておる経営改善計画というものが、六十年までの一つの見通しというものが立てられておるわけですけれども、どうもいまの調子からいきますと、とても計画どおりにいかないだろう。そうなってきますと大変なことになるという、財政的に見ても非常に危機感というか、このままいくと泥沼に入ってしまうんじゃないか、そういうことがいろいろ心配されてあのようないろんな意見が出ると思うんですが、実際六十年までの計画というものがどの程度いくのか、われわれの推測でも六十年には二十兆円を超す、繰越欠損を含めて二十三、四兆円のそういう負債というものが出るんじゃないか。われわれが去年この問題を審議した過程においてはそのような数字ではなかったかと思うんですが、その辺の見通しをひとつ簡単に御説明願いたい。やれるのかどうなのか。
#67
○国務大臣(小坂徳三郎君) いま二十四兆円というお話が出ましたが、事務当局の計算でもそうなっております。累積債務が二十四兆円になるだろう、六十年度までに。しかし、私はいまの経営改善計画そのものが不満であるということは、それじゃ赤字が消えないじゃないかという御不満と、それからもう一つはいまおっしゃったようにできないだろう、何もできないで六十年までいっちゃうんじゃないかという御不満と二つあると思うんでありますが、私たちは、いずれにしましてもこの再建計画を六十年度までに一方においては必ずやりたい。また国鉄総裁もそういうふうに申しておりますし、やらなくてはならぬ。そしてまたできることならば、この再建計画そのものをもう少し深度を深めていきたい。たとえば貨物輸送において非常に現在大きな赤字を出しておりますが、貨物輸送の改善につきましては、ことしの十一月のダイヤ改正でともかくスタートを切ってしまうというようなことを進めておるわけでございまして、いろいろと御批判いただくことは大変結構なことでございますが、努力をして何とかやり遂げるという決意で臨んでおるわけでございます。
#68
○広田幸一君 心配されますのは、いま言いましたように、臨調は答申を出す、まあ国鉄はそうはいかないと言う。しかし答申が出た場合には、これは政府のやることですから、国鉄もどういうふうになりますか、その辺を非常に心配するわけですが、どの辺に食い違いがあるか。私の質問わかりにくいでしょうか。どの辺に食い違いがあるか。もうだめだ、いまの計画じゃだめなんだ、思い切って早くやらないと時間的な問題だと、こういうふうな言い方がどうも臨調なんかの考え方としては非常に出てきておるというふうに思うんですが、その辺はどうでしょう。
#69
○国務大臣(小坂徳三郎君) 私は臨調の方と公式には話したことはないんでありますが、よく知っておる諸君でございますので、いろいろと向こうの気持ちも聞かせてもらっております。しかし、臨調の人が必ずしもいまやらなきゃだめだといってむやみに張り切っているようには私は受け取っておらないのでございます。ましてこの国鉄問題は、何もきのうやきょう始まったことじゃないんで、十年も昔から大騒ぎしている問題でございますから、この解決に時間がかかるなんということはもう常識的にわかっておるんではなかろうか。ただ、後の最終の決定と、それから六十年以降それがどうなっていくのかということについてのいろいろな考え方がまちまちであることは、私はこれはやむを得ないと思いますが、いまそれほどの大きな食い違いがあるとは実は思っておらないのでございまして、何かまたその点についてお気づきがありましたら教えていただきたい。
#70
○広田幸一君 一説には、現在国鉄が持っておるそういう重荷を、全部政府がめんどうを見て重荷を身軽にしてやる、身軽にしてやってこれから再出発するならば可能性がある。もちろんこれにはいろんな条件がつくと思うんですが、私は、そういう形でやっても、本来的な、基本的な、なぜこういうふうな赤字になったかという基本の問題をもっと追求して、それを排除していくという、そういう段階を経ないと、身軽にして再出発やろうといったって私はできない、同じことの繰り返しになるんじゃないかというふうに思うんですが、そういう説もありますので、この辺のことについては、大臣、どうお考えになっておりましょうか。
#71
○国務大臣(小坂徳三郎君) 何もしないで身軽に国が全部しようなんということは、これは問題にならぬと思います。やはり国鉄自身非常な努力をしてもらわなければだめだと思います。
 また、身軽になるということの後ろには公共性だということだと思うんですが、公共性だから全部国が税金で見てしまえというようなことも、これも私は乱暴な議論ではなかろうか、そうしたようなことを踏まえながら、国鉄は国鉄なりの国民の理解できるようなすっきりとした形、またすっきりとした将来の展望というものが打ち出せるような経営形態になっていくということが非常に求められる一つの節だろうと思っております。
#72
○広田幸一君 大臣も与党ですから――自由民主党の方の国鉄問題をやっておられる人たちの中間報告をこの間見せてもらったんですけれども、いまの国鉄を再建するためには労働問題だと、労使の問題だと、これさえ解決できれば再出発できるというようなことがずうっと書いてあるんですけれども、確かに、後で述べますけれども、労働問題のあることも私もよくわかっておるわけですけれども、そういう考え方では私はできないと思うわけです。なぜこういうふうな雪だるま式に赤字がふえたかという原因をまず究明をしなきゃならぬと思うんですが、その辺でどうもそういうところの原因の究明ということが余り出てこない、何か、臨調なんかのいろんなやりとりを聞いておりましても、新聞等ですけれども、どうもその辺が出てこないように思うんですが、そこで、これは大臣でも高木総裁でも結構ですが、なぜこんなに赤字が出たのか。三十九年以降すっともうたまりたまって今日二十兆円になるだろうという、そういう繰越欠損を入れた負債があるわけですが、なぜそういうふうになったのか、要領よくひとつ御説明願いたい。
#73
○説明員(高木文雄君) やはり一つは、赤字になりましたのは三十九年、これは償却後の赤字でございますが、償却前の赤字になりましたのは四十五年からでございますけれども、四十五年から今日までの十年の間にかなり加速して単年度の赤字がふえました。それはやはりオイルショック等によります物価変動に伴う人件費、物件費のコスト増が大きかったのに対して対応がおくれたということは否定できないと思うわけでございまして、私どもとしましてはその点を一つ反省しなければならぬと考えます。
 一面、設備に関連いたしまして、ずっと借入金で設備投資をしてきておるわけでございますが、安全の問題とか取りかえの問題とかいうことがありまして、なかなかその設備投資を後送りするわけにもまいりませず、それからまた新幹線の建設等も法律上求められておるところでございますので、一部ではどうも安易な借り入れをし過ぎておるんではないかと言われますけれども、実際問題として、確かにまずい点もありました、不適当な投資もありましたけれども、金額的にはそんなに大きなものがあるわけでないわけでございまして、この設備投資のあり方については、私どもとしてはやむを得ず借入金でやってまいりましたけれども、その点にも大きな一つの問題があると思います。
 それから、いま問題になっております年金なり退職金なりという問題については、かなり前から私どもの中の機関でございます諮問委員会等で御指摘を受けてきたわけでございますが、これをもうひとつ声を大にしてお願いするに至っておらなかったということも影響していると思います。
 他にもございますが、主要な点は、いまの三つが私は重要な要素ではないかというふうに考えております。
#74
○広田幸一君 私は総裁の答弁の内容を聞いておりまして、実際国鉄を経営するのは、最高の責任者は総裁でしょう。私はそういう立場から言うと、もっとはっきりと言うべきではないか。私は、今日こういうふうになった原因を大きく分けて言えば、二つあると思うんです。
 それは、三十九年から赤字になっておると思いますけれども、この間からいろんなものを見て勉強しておるんですけれども、鉄建公団ができたのが三十九年ですね。そのころは、もういわゆる所得倍増論あるいは高度経済成長というようなことで、とにかく新しい線をつくる、新幹線をつくる、複線、電化だということで、どんどんそういうものが政策的にも、制度面で先行したわけです、そう書いてあるわけですから。そういうときに、これじゃとても、そのツケが回ってくる可能性があるから国鉄としてはそういうことをやってもらっては困ると言ったんですね。言ったけれども、国鉄がやらなければ、それじゃ鉄建公団にやらせようということで鉄建公団にやらせた。結局、そのツケが借入金等でずっと蓄積されて今日になっておるわけですね。そういうふうに一つがあります。
 それからもう一つは、いわゆる高度経済成長の中でいろいろ経済構造も変わってきました。当然輸送構造も変わってきたわけです。自動車がふえる、自家用車がふえる、トラックがふえる。飛行機も伸びる、船舶も伸びる。そういう中で、国鉄の持つ特殊性というものをどう生かしていくかという、競争原理の中でどう国鉄が生きるかというようなことについては、口では言われながらも、実際は何一つできていないわけでしょう。そういうようなことが今日の積もり積もった制度的というか、政治が先行し、もうとにかく国鉄はついて来いと、こういうことが今日の国鉄のこういう大きな赤字を生む結果になった。赤字と同時に、いわゆる私から言えば総無責任体制というものになったと思うんですよ。何ぼ国鉄が言ったって、すぐどんどん変更してしまうんだから、そこに積極的な意欲というものがなくなった、企業性というものがなくなったということが今日の状態ではないかと思うんです。その辺は間違っておるでしょうか。大臣どうでしょうか。総裁でも結構です。
#75
○説明員(高木文雄君) いま御指摘の点は、もろもろの設備投資について採算を考慮しないで物事が進んでしまった、その後始末といいますか、でき上がったものが国鉄の方にしわ寄せが来たという御指摘だと思います。
 そういう意味では、私どもとしても確かにそういう、言葉は悪いですけれども、被害者的立場に立ってきたわけでございますけれども、これはしかし、ある意味においてはそのことの是非を論ずる余地はないように私どもの立場としてはなっておるわけでございまして、私どもに任せられた範囲内の問題もありますけれども、しかし、むしろそれ以外の全体の仕組みなりあるいは政治行政の姿というものから招来したものであるわけでございまして、その点は今後におきましてもぜひお願いすべき点はお願いしてまいりますけれども、しかし、あくまでいまの仕組みではわれわれとしてできることはお願いでございまして、これらの点については、今後ともむしろ各界において、現在までの足跡なり今後の進め方なりについて御理解あるお取り組みをお願いしたいという以外にないかと存ずるわけでございます。
 それから他の輸送機関がどんどん整備されたという問題も事実ではございますが、しかしそれはある意味ではむだなものが整備されたわけではなくて、飛行機にいたしましても自動車にいたしましても、お客様がそちらを選ばれるわけでございますから、私どもは、ある面では投資の進行スピードのバランスということについてはいろいろお考えいただきたいということは今日までも述べてまいったのでございますが、しかしまさにそのバランスをどうとるかは国の姿勢をお決めになる方々の御方針に従わざるを得ないわけでございまして、いたずらにわれわれが、お客様がそちらを選ばれておるという前提をやはり考えますと、ただいわゆる総合交通政策の欠如ということのみを指摘するわけにもまいらぬのではないかと考えております。率直に申しまして、われわれも時折そういうことは口にいたしますけれども、しかし最後は消費者、お客様が何を選ばれるかということでございますので、その点のみを問題点とすることは私は適当でないんではないかというように考えております。
#76
○広田幸一君 総裁、公共性と企業性ということが言われるわけですけれども、だんだんと変わってくるわけですが、何か総裁の、ちょっと私こっちの耳が余りよく聞こえないのであるいは聞き取りの間違いがあるかもしれませんが、企業性の面で何か責任を持ってやっていくという、そういうものが非常に欠如しておる。だから国民に対して、安くて安全性のある輸送をするというのが私は国鉄の任務だと思うんですよ。そういう意味からすると、もっと積極的に国鉄はこう考えておるということを言うべきではないでしょうか。何かそこに責任制というものがない。責任制がないようにしたのは、さっき言ったように国鉄ついて来い、銀行が何ぼでも金を貸してやる、こういうようなスタイルだったわけですよ。ですから、この二十数年の間、金がなくなれば、五百近い金融機関が国鉄とは関係を持っておるようでありますが、もう幾らでも金を貸してやると、そういう甘えがあったんじゃないでしょうかね。そういうものに対して、さっきも言いましたけれども、無責任体制というものができ、いろんなことが今日生まれていると思うんですが、もっとその辺で言うべきことは言うべきであったと思うんですが、その点どうでしょうね。時間がないから簡単に言ってください。
#77
○説明員(高木文雄君) これはいろいろなお考え方があると存じます。私のとっておりますスタンスについて非常に御批判をいただいているわけでございますが、しかし現在の公社制度というものは、歳出歳入とも基本的にはやはり国会でお決めになる、予算で決まってくるということでございますし、それから給与制度につきましても、調停委員会、仲裁委員会、国会議決ということで決まってくるわけでございますし、運賃につきましても、つい先般までは法律で賃率を決めるということになっておったわけでございます。もともとそういう意味におきましては、現在の仕組みの中で経営責任を全うするということが非常にやりにくいシステムになっておるわけでございまして、お願いはできますけれども、しかしそれによって決定、決断がなかなかでき得ないシステムになっておるのでございまして、その点はただいま、先ほどもちょっとお触れになりました臨調等でも御論議があるようでございますが、私どもも不十分であったことは認めますけれども、しかしどうしても限界があるという現行体制について、ひとつ高いお立場からいろいろお考え願いたいという気持ちもございます。
#78
○広田幸一君 大臣、いま予算もきちっと国会で決める、運賃もやっぱりそういうふうに決めるという形態で来たわけですが、聞いておりますとやっぱりそういう仕組みがあって、仕組みに従わなきゃならないということですね。ですから、総裁がこういうふうに経営をやっていこうとしても、そういう仕組みがあるから阻まれてできぬということになるわけですから、私は、その辺の仕組みというものを、制度といいますか、そういうものから変えてかからないといけない、そして国鉄に対しては経営責任を持たせると、こういうことにならなければその最終的な国鉄の再建というものはむずかしいんではないかと思うんですが、その辺、大臣いかがですか。
#79
○政府委員(杉浦喬也君) ただいま先生が分析されましたように、国鉄が自分で経営努力でなすべき分野と、それから一生懸命やってもなかなかどうにもならない、この分野と二つあると思います。
 今度の改善計画におきましてはこれを二つかなり明瞭に分けたつもりでございまして、国鉄がなすべき分野についての努力目標、これは最終的に六十年度でこうであるというふうな目標は掲げてございます。それからまた、そうでない分野、政府が責任を負うべき分野、この二つに分けて相ともに努力するということが必要であろうかと思います。国鉄は政府におんぶするばかりではなしになすべきことはやるべきである、またそれは可能であるということが今度の改善計画の中にはっきり書いてございますので、その辺は国鉄が努力をしていただきたいというふうに考えます。
#80
○広田幸一君 鉄監局長の言葉は、言葉でいけばすんなりとそういうように聞こえるわけですけれども、やっぱりそういうふうにならない二十年間の体質がしみついていますよ。精神論を言ったってなかなかいかない。国鉄の言うことがまともに通らないようないまの制度、仕組みになっておる。私はそういうものから反省をし、変えてかからないと本当の国民の期待する国鉄にはならない。時間がありませんからその程度にとめておきますが、要するに甘えなんですね。幾らでも銀行は金を貸してくれる、自分たちの給料はもらえる、そういうことがずうっと続いてきたんですよ。それがいろんなところで無責任体制というものになっておるというように思うんですが、その辺を解決しなければ私は本当の再建はできない。幾ら重荷をおろして、いろんな条件をつけてみてやったところで、私は国鉄の本当の再建はできないと思うんです。
 そこで、時間がないので、いま世上では、何か労働組合がもう悪玉のように言われているわけですけれども、私は確かに労働組合としても反省しなきゃならぬところもあると思いますよ。ただこの間、これはもう国鉄当局も見ておられると思うんですが、「国民のみなさんに訴える」というこの文書を配って、私も昨日見たんですが、これによりますと、現在のいろんな慣行で正すべきものは正していきますと、こういうふうにはっきり言っておる。ただ、労働組合ですから、団体交渉もあればいろんな協約があって、過去において、いろいろ内容的に現在において社会的な常識として問題があるものがあるかもしれない、しかしながらこれは労使の協議の中から決めたことであって、それをもってたとえば国鉄当局がいやそういうことは知らなかったとか、何か責任を逃れるようなそういう態度に対しては、われわれは非常に不満であると、こういうことが書いてあるわけですね。そして、最後の方にはわれわれは現状分析をして、やっぱり一番国鉄を知っておるのはわれわれである、そういう新しい観点に立ってやるというように書いてあるわけですね。何か労働組合の諸君が悪玉のように言われておるわけですが、この辺については、大臣、国鉄総裁、どうお感じになりますか。
#81
○説明員(高木文雄君) 問題は、正規の団体交渉なりあるいは協約なりで決められておりますことと現場における実態に大変乖離があるということではないかと思います。大変お恥ずかしいことでございますが、私どもも必ずしも現場の実態というものを一〇〇%把握できてないということ、私どもが把握できてないものが俗に言うやみ協定であったり、やみ休暇であったり、やみ給与であったりというように俗称されておるわけでございますが、このやみというものの言葉の意味は、私ども自身が把握できないでおったということであるわけでございますし、現場の労使間が必ずしも正常な状態でない場合におきましてそうしたものが発生してくるわけでございまして、いまお示しの文書にございますように、組合としても正すべきものを正すということは、これはむしろ当然のことでありまして、今日までもそうあったと思いますが、いま改めてそういう申し合わせといいますか、意見が発表されておりますことは、組合としましても正規の姿と実態との乖離が残念ながら現在存在するということを認めて、これを直していこうということであるわけでございまして、私どもの考え方も組合の考え方もさして大きな違いはない。
 ただ問題は、何が正規のものであり、何が正規から逸脱したものであるかということがなかなか表にはっきりいたしませんで、よってもってその解決がおくれているという点にあるわけでございまして、私は、決して本来あるべき姿ということについての私どもの認識と組合の認識と乖離があるわけじゃなくて、それから外れたものを直すことについての勇断が十分でなかったということを残念ながら物語るものだと思っております。まさにこうした点を大至急洗いざらい直していくということがいま職場をきちっとするすべての基本であると考えております。
 先般運輸大臣からもそれの是正方についての御指導をいただいて、いま、まずそのうちの実態の調査ということについて全面的に、全国的に、全現場にわたっていたすということに取り組んでおるのは、その足がかりをそこからつかんでいこうという意味でございます。
#82
○広田幸一君 総裁は、大きな図体だから現場の細かいところの報告は受けていないから私もわからぬところがあるからとおっしゃるんですけれども、組織の面から言うとそんなことは許されないんですよ。だから、問題になっておる現場協議というのも、現実にこれは何か中労委かどっかで当時問題があってできた制度なんですから、中身の問題は別として、そういう協議をして今日まで来たと、そういう事実に対してはやっぱり国鉄の現場においても認めなければいけませんよ。そして、内容についてはこれから直すべきところは直そうと言っておるわけです。その辺の責任を逃れるような言い方をしておるからやっぱり上に対する不信感が出てくるんですよ。私が午前中も言いましたが、今度の名古屋におけるあの事件を契機として、全職員がいま立ち上がっていこうという、そういうことをわれわれはたくさんの国鉄に働く人たちと接してみて感じるんですよ。だから、それを奮起させる、引き出す体制は、もっと上に立つ人がやらなければ、責任を逃れるようなそういうふうなスタイルではうまくいかない。そういうふうなムードにさした、それは私がさっきから言っておりますように、まあ国鉄やれと、全部あとは国が見てやるというような、そういう今日までの状態がそういうふうにさしたと思うんですよ。大臣、私の言っていることは間違いでしょうか。
#83
○国務大臣(小坂徳三郎君) いや、決して間違ったことを言われているとは思いません。
#84
○広田幸一君 時間がなくて若干粗い質問になったかと思いますけれども、私はいろいろいま国鉄が悪玉のように言われておりますけれども、しかしそうであったとしても、国鉄は毎日二万五千本の列車を走らしておりますし、それでも、客数にしても全体の輸送量の二八%、貨物でも八%、そしてそれが日本の産業経済発展のために非常に尽くしておるわけです。そして、国民生活にもそれなりに尽くしておるわけですから、私は国民全体の理解と協力を得て本当に国鉄を再建させなければならない、そういう一念に燃えて私も先般来からいろいろ勉強さしていただいておるのでありますが、臨調等のいろいろなこともあると思うんですが、ひとつ言うべきことはとにかく勇気を持って言う、そして、どうしたならば国鉄が再建できるかという、私はそういうところに向かって、せっかく小坂大臣がこの窮状を救うためにそれこそ起死回生の決意を持って臨まれたわけですから、本当にがんばってもらいたいと思うんです。
 言いっ放しでもいいんですが、最後に大臣のひとつ決意をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
#85
○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいままでの委員の御議論承っておりまして、全く私も胸に落ちるわけでございます。この国鉄再建は非常に重大な問題でございますが、しかし、やはりいま委員が強く指摘されましたように、見方によればやはり既得権というものをいまこの際見直そうということも非常に重要なことではないかと私は思っておりまして、先般の予算委員会におきましても、精神革命を労使ともにひとつやってほしいんだと、私はそうしたことを申したわけでございます。ただいまの委員の御発言は、国鉄再建に対しての非常に力強い御支援のお言葉としてありがたくちょうだいいたしました。
#86
○木村睦男君 せんだっての予算委員会での総括質問のときに、時間がなくて、国鉄関係の問題でお聞きしたいことがあったわけでございますけれども、そういうことで、きょうは山崎委員の質問の関連でやらしていただくことに委員長にお願いいたしましたので、よろしくお願いいたします。
 時間がございませんから、一つの点だけについてお聞きしたいんですが、それは、国鉄が事故を起こした場合の事故者の処罰の問題でちょっとお聞きしたいと思うんですが、その前に、そういう場合の処罰には軽い方から重い方までどのくらい種類がありますか。
#87
○説明員(坪内享嗣君) 処罰につきましては、一番重い免職から始まりまして停職、減給、そして戒告、訓告、そして厳重注意と、大まかに申しますとこういった種類がございまして、減給等につきましては何カ月という期間が、それぞれ種類がございます。
#88
○木村睦男君 そこで、処罰権限者だけの判断で処分ができる、もっと言えば、たとえば組合と協議しなければいかぬとかいうふうなこともあるだろうと思いますけれども、そういうものがあるかどうか、あるいは全部処罰権限者の判断だけで処罰ができるものであるかどうか、その点はどうですか。
#89
○説明員(吉井浩君) 処分の権限者につきましては、処分の対象となる者の地位によりまして総裁の権限あるいは管理局長の権限というふうに分かれております。ただ、先生おっしゃいましたように、これはあくまでも懲戒権者の権限において処分することでございまして、組合と相談する、ましてその了解を得るというふうなことは全くございません。
#90
○木村睦男君 たとえば東京駅の職員が不始末をしたと、そういう場合の処罰の権限者はだれになりますかね。
#91
○説明員(吉井浩君) これは原則として管理局長でございます。
#92
○木村睦男君 そうすると、管理局長が処罰をしたときに、管理局長は処罰をした結果は管理局長の胸におさめておくだけなのか、あるいは総裁まで報告をするのか、その点はどうですか。
#93
○説明員(吉井浩君) これも事の軽重によってでございますが、通常の場合は管理局長みずからが処分をして本人に対して通告をするということでございます。ただし、異例の場合あるいはきわめて重大な場合には当然本社と相談をいたします。
#94
○木村睦男君 たとえばこの間、名古屋であったような飲酒泥酔で事故を起こしたと、こういう場合にはどうなっていますか。
#95
○説明員(吉井浩君) 本件につきましては今後さらに調査の上、早急に処分をいたす所在でございます。過去に、数多くはございませんけれどもこのように飲酒をしたと、そのために運転事故を起こしてお客さんにけがをさしたというふうな場合には、懲戒免職の発令をいたしております。
#96
○木村睦男君 そうすると、いままでの例で泥酔によっていろいろ事故を起こした、これは運転事故もありましょうし出勤におくれる場合もありましょうし、いろいろあるわけですが、泥酔の場合の事故で一番重い処罰をしたのはどの程度のものがありますか。
#97
○説明員(坪内享嗣君) 最近でこのような似たような事故は四十六年に東北本線で起こっております。この場合は、当面の機関士は免職になっております。それから、関係者はそれぞれ減給あるいは停職等の措置になっております。
#98
○木村睦男君 たとえば管理局長の権限で、そういう事故を起こした場合に上部へ、本社へ報告する、そういうときに総裁がこれを聞く、あるいは担当常務理事がこれを聞いた場合に、その処分の内容について管理局長のやった処分の内容がどうかというふうに思われるような場合には、管理局長にどういう事情でそういう処分をしたのかということを事後に聞く場合がありますか、あるいは、聞くのが通例であるのか、あるいはもう処罰をしてしまっておるので、それに対して若干の意見はあってもそのままそれはもう言わないでおくのか、その辺はどういうふうになっているんですか。
#99
○説明員(吉井浩君) 先ほども申しましたように、管理局長といたしまして異例の場合であると、あるいは自分一個の判断で迷うという場合には本社に事前に連絡をしてまいりまして、私どもとしても十分に協議した上でかくかくしかじかの処分しかるべしと、こういう指示をいたし、管理局長はそのような処分をいたします。そのような場合でございません通常の場合には、管理局長はみずからの権限に属するものは、局の中にそれぞれ懲戒に関する委員会、もちろん局長個人ではなしに部長クラス等々でそのようなものを組織をいたしまして、これの意見も徴して発令をいたすというのが通例でございます。
 これまで管理局長が発令したものを事後になって訂正さしたというふうなケースは、ちょっと私いま詳しい過去の資料を持ち合わしておりませんけれども、記憶においてはそれはございません。
#100
○木村睦男君 総裁がおられたら聞きたかったんだが、たとえば総裁から管理局長に、この処分はちょっと軽過ぎると思うが君はどういう考え方でそういう処分をしたのかとか、あるいはこの処分はちょっと重過ぎる、酷だと思うがどういう考えだったんだとか、そういうふうなことを総裁が聞いたことがありますか、あなたの知っている限りでは。
#101
○説明員(吉井浩君) ただいま申し上げましたように、そのような疑いのある場合、通常、事前の連絡があるのが普通でございまして、管理局長がみずからの責任と自信において発令したというものにつきましては、当該事故につきまして余りこちらの方からそのような、もちろん事情といたしまして、これに何か事情があったかということを問い合わせることはございますけれども、余り批判と申しますか、それのたとえばやり直しをさせるというふうなことは私の記憶にはございません。
#102
○木村睦男君 常務理事のあなたが総裁から、どうしてこういう処罰をしたのかなというふうなことは聞かれたことはありませんか。
#103
○説明員(吉井浩君) 私自身もきわめて重大な事案につきましては総裁に報告をいたし、決裁を受けてやるということにいたしておりますが、ただ、これはこういう場で申し上げるのは大変お恥ずかしいことでございますけれども、たとえば昨年問題になりました、局長の権限で違法ストに対する処分を行ったと、これが実際には通告よりも下回っていたという事態につきましては、私どもも後刻それを知りまして、これは総裁からもどうしてこういうことが起こったかという厳しい叱責をいただいたことがございます。
#104
○木村睦男君 それから、事前に処分権限者の管理局長からあらかじめこういう処分をしたいと思うかどうかとか、総裁はどういう御意向だろうかというふうなことを聞く例もありますか。
#105
○説明員(吉井浩君) それはございます。
#106
○木村睦男君 そこで、これはことしのいつでしたか、正月ですか、鎌倉の駅で泥酔事故がありましたね。このときの事故の概要を簡単でいいですからちょっと教えてください。
#107
○説明員(吉井浩君) 鎌倉の駅、御承知のように正月三が日、非常にお客さんの出が多うございました。仕事が張りまして通常の要員だけではなかなか足りない。出札、改札を増設いたしますので、東京の南の管理局、こういう事態に対処するために機動隊というものを持っておりまして、この意中が元日の夜から明け方にかけまして勤務に従事すべく、鎌倉に派遣されたわけでございます。夕方まで勤務をいたしまして、夜半それぞれ所定の仮眠時間をとって翌日勤務につくべくというところを、夜間仮の宿泊所におきましてそれぞれ飲酒をいたしたということでございまして、うち三名は翌日の勤務につくことができない、こういう状況でございました。
 これに対しましては、その勤務につかなかった三名に対しましては減給以上の処分をいたしております。また、それ以外の者につきましては一応勤務に対する支障がなかったというふうに聞いておりますけれども、やはり飲酒の事実に対しましてそれぞれ訓告なり所定の処分をいたしたという事実がございました。
#108
○木村睦男君 いまの三人ですね、三十一人手伝いに行ってうち三人が、それから新聞によれば泥酔と書いてあったからへべれけに酔っ払ったんでしょうね。それで次の朝の勤務ができなかったという事故のように新聞にも書いてあったわけですが、この三人についてはどういう処罰をやったんですか。新聞によれば一カ月、俸給の一割、これをカットしたと、こう書いてありますが、そうですか。
#109
○説明員(吉井浩君) はい、そのような処分でございます。
#110
○木村睦男君 私も新聞でこれを読んで実は非常に感ずるところがあったんですが、総裁がおられたらそれも聞きたかったんだが、総裁にかわって常務理事に。三十一人応援に行ってそのうち三人が、みんな酒飲んだらしいが特に三人が、翌朝の勤務ができぬほどへべれけに酔っ払っておったということで、その事故のあったことを知ったときに、常務理事のあなたはこれは大変なことだと当然思われたと思うんだが、こういう最も規律を乱す、最も悪質なこういう行為に対してどの程度の処罰をすべきであるかということが、すぐ頭にあなた自身としては浮かんだろうと思うけれども、そのあなたが感じられたのは、どの程度の処罰がこういう者には必要だなということを感じられたのですかね。
#111
○説明員(吉井浩君) 私どもの処分の種類につきましては、冒頭坪内常務も申し上げましたような段階がございますけれども、やはり職員にとりまして厳重の処分というものは、当該月に対してその給料を減ずるというほかに、当然昇給ももちろん次回ストップをいたしますし、それに伴うもろもろの制裁を伴うわけでございまして、やはり減給という処分はわれわれ職員の中においてはきわめて重いものであるという感じを持ちました。したがいまして、この処分につきましても局長から当然事前に相談がございまして、私もやはり減給処分相当というふうに判断をいたした次第でございます。
#112
○木村睦男君 実は私はこれを新聞で読んで、大変なことだと思ったんですよ。いままでも飲酒による事故――運転事故は非常に人命にも影響がありますが、こういう駅の事務ですから人命には影響はないけれども、国鉄のいま一番必要なことは規律をいかに厳正にするかということが再建にも重大な関係を持っているときであるだけに、人命にかかわるかかわらぬは別として、駅でもって職員がへべれけに酔っぱらって勤務ができなかった、これは大変な厳罰を食らうのじゃないかなあとこう思っておったところが、新聞によると、俸給の、一カ月分じゃないんですよ、一カ月の一割をカットした。どうも常識として、酒を飲み過ぎてへべれけに酔っぱらって勤務ができなかったということに対して一カ月の一割の減俸ということで、一体、規律を厳正に保つ一罰百戒の意味も含めて、一体こういうことで部内の規律が本当に維持できるであろうかなあということを私はもうとっさに感じだんだが、常務理事はそういう感じは持たなかったですか。
#113
○説明員(吉井浩君) 確かに先生御指摘のように、飲酒のために職務に従事することができないということは大変に恥すべき事態でございまして、したがいまして、これに対する処分を厳正に行うべしということにつきましては私も全く先生の仰せのとおりであるというふうに感じます。ただ、受ける本人の何と申しますか受け方と申しますか、やはり国鉄職員として、先ほどございました免職、停職、減俸、この三つの処分はきわめて重い処分であるという受け取りを本人はもちろん周囲の同僚の諸君も身にしみて受ける、こういうふうに私感じておるわけでございまして、したがいまして、この処分は、もちろん本人たちに将来の重大な訓戒になる、同様に他の職員に対しましても、こういう事故の、このような過ちの恥ずかしさと申しますか重大さを知らしめることはできる、このように判断をいたしたのでございます。
#114
○木村睦男君 いま常務理事は、この処分が、本人が非常に大変なことをしてかしてこれは大変な重大な処分を受けたとこう思っておるであろうということを言われたけれども、果たしてそうでしょうかね。いま国鉄の職員が、へべれけに酔っぱらって勤務ができなかった、勤務を放てきせざるを得なかった、そのために派遣元の要員機動センターの助役さんがわざわざそのかわりにまで出かけて手伝いをしたというような非常に重大な事故を起こしておって、その処罰が俸給の一割をカットされたということでこれは大変な処分を受けたと思うような状態で、ずうっと国鉄は、いままで職員の気分がそういう程度の気分でおったとあなたは考えますか。
#115
○説明員(吉井浩君) これは受ける人間の意識といたしまして、やはり何せ処分を受けるということはきわめて恥ずかしいことである。また、特にその中で実際の給料を減額されるという処分そのものは大変に重い処分である。もちろん、さらに重い処分が停職もあり免職もあるではないか、こういう御指摘であろうと存じます。また、私どももまたこのような飲酒の事故、これはまた今回のような名古屋の事故につながったということを考えますと、飲酒に対する厳しさというものは、従来も持ち合わせたつもりでございますけれども、今後さらに強く持たなければならないというふうに感じておりますが、しかし、少なくも鎌倉のこの事案につきまして量刑を審査いたしましたときにも、やはり訓告、戒告といったようなものと違って減給処分の重さというものは十分に私どもも感じた上で発令をいたしたということでございます。
#116
○木村睦男君 そうしますと、この程度といいますかね、そういう感じがするんですが、この程度の処分で国鉄の職場の規律というものはきちっと守れるというふうにあなたは考えておられたわけですか。
#117
○説明員(吉井浩君) この処分というものの抑止力といいますか、他の者に対する訓戒の与える精神的な度合いという御質問であろうと思うんですが、私どもとしましては、やはりこれは他の者にとっても大変に、このような恥ずかしい処分を受けてはならないという気持ちを起こさせることはできるというふうに感じております。
#118
○木村睦男君 時間が少ないですからもうやめますけれども、私はその新聞記事を読んで、ごく一般人として常識的に、これは大変な事故だなあと。ことに国鉄の職場の規律が乱れておるということは、まあ私は関係が深いからより一層知っておるかもしらぬが、いま新聞で宣伝していますから一般国民も知っているんですね。その一般国民が読んで、これで乱れがちな国鉄の職場の規律がこういう処罰で確立するわいと果たして一人でも思った者があるだろうかということを私は反省してみた。
 そこで、私鉄でそういうふうな同じような事故でどの程度の処罰をしているかと思いまして大手の私鉄に二、三当たってみた。そうしたら、そのうちのある私鉄で全くこれとほとんど違わない事故があったということを私のところへ報告してくれまして、その私鉄はどういう処分をしたかといいますと、その本人を二階級降職さしたというんですね。これは聞くところによると退職の一歩手前の処分だそうですよ。同じような、全く同じてした、聞いてみるとその事故の内容は。それを退職一歩前の降職、二階級降職という処分をしたということを聞いたので、私は、りっぱだとは思わなかった、これがあたりまえだなあとこう思ったんですが、これだけ同じことをやった事故に対して、しかも同じ交通機関の職員が、片方では月給の一割をカットされた処分で済まされる、片方は退職一歩手前の降職、二階級降職というきつい処分を受けた、こうした大きな開きがあるんですね。
 そうしてみると、国鉄の管理者側の職場の規律を堅持するというこの態度と、私鉄の管理者側の職場の規律を堅持するというこの態度、心構え、考え方、これだけ違いがあるかということにいささかあきれたわけですが、大臣、聞かれてどういう感触を持たれますか。
#119
○国務大臣(小坂徳三郎君) 国鉄の内部の処分について私がコメントすることは不適当だと思っておりますが、実は新聞を私も読みまして、新聞もあきれたということを書いておりましたので、私は同感でございました。
#120
○木村睦男君 ひとついままでのことはいままでとして、今後さらに一層国鉄は職場規律を厳重にするというこの態度は、さらに一層堅持してもらいたいし、また、いまのようなこういう状況では、職場規律を堅持するべく努力をいたしておりますということはちょっと恥ずかしくて言えぬのじゃないかという感じがするわけなので、私は一つ事を責めるばかりが能だとは思っておりませんが、そういうふうな感じを持っておるのは私一人じゃなくて、いま国鉄の再建について非常な関心の深い、国民全体が非常な関心を持っておるときですから、私鉄よりももっときつい処分だったなあと、さすがは国鉄、この財政危機のときに悲壮な決意を持っているなあというふうな受け取り方ができるようにひとつ考え方を改めて再建に努力をしていただきたい、そのことをお願いをいたします。
 本当は総裁に聞いてもらいたかったんですけれども、常務理事の方からひとつ私の意のあるところを総裁によく伝えていただきたいと思います。
#121
○説明員(吉井浩君) もちろん、このような際にこのような事故が二度とあってはならないわけでございますけれども、ただいま先生からじゅんじゅんとお言葉をいただきまして、私どもも規律の確立に対して従来とはまた格段の決意を持って臨む覚悟でございます。そういったことをまた今後の厳しさの中に十分に生かしていくという気持ちでございます。
 先生の仰せは十分に総裁に伝えることをお約束をいたします。
#122
○木村睦男君 どうもありがとうございました。
#123
○山崎竜男君 二月九日の日航機の事故からもう一カ月以上過ぎておりますので、まことに時期がおくれたという感はないわけではないんですが、その間委員会を開くことができなかったものできょうになりましたが、その前に航空局長、この間の、同じ日航機ですが、与圧装置が故障して急降下をしたという、私ども理事はその経過報告を聞いておりますが、委員の先生方にはお聞きになっていない方があると思いますので、その御報告をお願いします。
#124
○政府委員(松井和治君) 一昨日、三月十六日に発生いたしました日本航空DC1〇型機の緊急降下事例についてのお尋ねでございますので、その事例につきまして御報告をさせていただきます。
 日本航空所属のDC1〇型機、羽田発札幌行き五一一便が高度約一万一千三百メートルで水平飛行を行っておりました。午後一時ごろ、宮城県松島の上空付近におきまして客室内の圧力が低下をいたしましたため、運航乗務員は会社の定めております規定どおり、直ちに飛行機を降下させるとともに、操縦室からの操作によりまして各座席前方の酸素マスクを使用可能状態にいたしました。
 飛行機が高度約七千九百メートルまで降下いたしました時点で客室内の圧力は正常に戻ったわけでございますが、操縦士は大事をとりましてさらに高度を下げ、約四千メートルまで降下をいたしました。
 当該航空機は、その後は手動によりまして客室内の圧力を制御しながら、午後一時三十五分、羽田空港に着陸をいたしました。
 搭乗者は、乗客百四十七名及び乗員十一名でございましたが、このうち乗客一名が耳に異常を訴えた、また他の一名が、酸素発生源の過熱部に手を触れまして、右千人さし指に軽度のやけどを負ったという、このお二人を除きまして人員の負傷等は生じておりません。
 羽田空港にこの飛行機が着陸をいたしまして後、当局の航空機検査官が原因の調査を行いました。客室圧力の自動制御系統中、電源供給部分の焼損が原因であるということが判明をいたしました。また、予備制御系統並びに手動制御系統も調べましたが、これは正常でございました。運輸省といたしまして、当該機におけるふぐあいの部分の交換及び作動試験に検査官を立ち合わせまして、機能が正常な状態に復帰したということを確認させた次第でございます。
 以上をもって御報告とさせていただきます。
#125
○山崎竜男君 それでは本論に入りますけれども、二月九日、不幸にして事故が起こってしまった、その事故が起こったという第一報はどこからどこへ一番先に来たんでしょうか。そして、それに伴って救助活動というのが始まったんでしょうけれども、これはどういうルートで行われましたでしょうか。
#126
○政府委員(松井和治君) 当日、たしか八時四十五分ごろ事故が起こったわけでございますが、事故直後、これは場所がたまたま羽田空港のすぐ近くであったということもございまして、直ちに私どもに、どの経路からだれにということをちょっといま明確にお答えいたしかねますが、きわめて事故発生直後に情報が入りまして、これまた羽田の警察の関係あるいは消防の関係、また海上保安庁の基地もございますというようなことで、直ちに救助活動が開始されたということでございます。
#127
○山崎竜男君 不幸にして事故が起こった、そのときに一番先に考えることは、生存者がおられればそれをどんなことをしても一番先に救助しなきゃならぬということだと思いますが、いままで一カ月以上たったんですから、いろいろ事故の原因その他運輸省並びに日航当局のそれに対する処置等が言われておりますが、この事故が起こったときに日航機の乗務員、クルーの方々がどのような行動をとられたかということが余りどこにも報告になってない。ただ、一部スチュワーデスの一人が自分の負傷を押して乗客の救出に活躍したというようなことを承っていますが、八人ですか、いらした、重傷者もおられるわけですけれども、その当時の日航機のクルーの事故の直後における救出活動がおわかりになっていたらお知らせいただきたいのです。
#128
○参考人(野田親則君) お答え申し上げます。
 御承知のように、胴体が鼻の部分で二つに割れましたものですから、中に残りました八名の搭乗員も二つのグループに分離されました。前の方は運航乗務員の三名と、それから操縦席の直後におります二人の客室乗務員、それが一かたまりになりまして、それから、後ろの方は残る三人の客室乗務員が大部分の胴体の中に残された、そういう状態でございまして、大まかに言いますとその二つのグループの行動が完全に分離、独立して行われました。
 前の方から申しますと、前の方には究極にはほぼ十一名ぐらいの人が集まりました、お客さんを入れまして。その中に運航乗務員の三名、機長と副操縦士と機関士と、それから二人の客室乗務員、それとお客さんが五、六人でございます。それぐらいの人が操縦席の中に集まって、その大部分の人たちは右側の副操縦士側の窓から機外に出たということが判明いたしております。それから、左側の窓から機外に出ましたのは機長一人だった模様であります。それから、前のグループに属していました一人の例外は副操縦士でありまして、副操縦士は自分のすぐ右側の窓から海の中に出まして、右側の海の中を通って右翼の方にたどり着いて、主として右翼の上で救助活動をやったと、こういうことであります。したがいまして、前のグループから一人だけが後ろのグループに合流したということが特徴的であります。
 それから前のグループの右から出た大部分の人たちは、推定時刻ほぼ九時半ごろ船に乗って岸の方に移動したようであります。これは昨日も各機関のお撮りになりましたビデオのテープ等を見まして、時刻を分単位、秒単位で明らかにしている過程の最中でございますので、後刻多少変化するかもしれませんが、大体九時半のちょっと前ぐらいに船に乗って岸の方に移動を開始したというふうに目下推定いたしております。ちなみに、搭乗者が機体のところから岸の方に移動をしました時間帯は、一番早い方が九時十二分に飛行機を離れております。それから一番遅い方がほぼ九時四十分に飛行機を離れております。その間にほとんど全部の人が飛行機から岸の方へ移動を開始したと、こういうことでございます。唯一の例外は、機体に挾まれて十二時過ぎまでかかったお客さんが一人おられました。この人が唯一の例外であります。
 そして、副操縦士は右翼の上あたりに位置して機外及び機内の脱出を指揮するつもりでおったようですが、下半身が不自由でございまして、まあ崩れるように翼の上につぶれた、倒れたというような表現の報告がございますが、翼の上からヘリコプターで岸の方に運ばれるお客さんの中に入れようとしたわけですが、これは自分は乗務員だからお客さんの方を先にしてくれということで、結果的には最後まで残りまして、二人の客室乗務員と副操縦士が最後に、地上から来た救助隊員に君たちが最後である、だから脱出せよという指示を受けて、最後に飛行機から離れたということでありまして、それが推定時刻九時四十分ごろであります。岸に着きましたのは九時四十六分とか四分とか、二つのボートに分かれて着きましたものですから、四十五分前後の時刻に岸壁の方に到着しております。
 機長に関しましては、単独行動になりましたものですから非常に動静がたどりにくかったのでありますが、目下の推定では、自分のすぐ右のドアから、多分警察のボートか何か小さなボートに一たん乗り移って、それから日本航空が準備しました三つの空気でふくらます大きなボートがありますが、そのボートの一つに乗って岸に到着しております。したがいまして、そういうことから推定しますと、機長がおかにたどり着いたのは九時三十分をちょっと回ったころと考えております。それから一人を除いて最後の人が岸に到着したのが九時四十六分ごろであるということであります。
 九時四十六分に着きましたボートに剛操縦士がおりましたものですから、会社の者が、機長はどうしたということを聞きましたら、それは生存しておる、ちょっと前まで一緒のところにおったということを報告を受けまして、これが本部に九時五十分ごろもたらされました生存の第一の報告になっております。機長は生存しておる模様であると、九時五十分ごろです。
 それから岸壁に上がりましてからは、乗務員は合計八名おりましたが、五つの病院にそれぞれ送られております。三名の者は岸壁から直接三つの病院に、別々の病院に送られておる。それから残りの五名は一たん軽傷者を収容する東急ホテルというホテルがございますが、その七階の大広間を軽傷者の一時収容所にしておりまして、そこに収容された後五名の者は結果的に二つの病院に送られております。したがいまして、ホテルを経由して病院に入った者が五名、それから岸壁から直接病院に送られた者が三名、そういう内訳でありまして、八名の者が経路は違いまして五つの病院にそれぞれ収容された、こういうことでございました。
 乗員の行動のあらましはそういうところでございますが、会社の方から一時機長の死亡の情報を流したという説がございますが、私が会社関係を調べましたところでは、当社といたしましてはそういう情報を出した記録はございませんので、これは社内の情報でなく社外の情報であったというふうにいまもって信じております。
#129
○山崎竜男君 高木社長は、事故の後亡くなられた二十四名の方々の御遺族初め負傷者の病院その他福岡まで行かれたり、御葬儀に出られたり、ずいぶん遺憾の意を表すためにあちらこちらお歩きになったというふうに承っております。それで私どもの世評では、さすが日航生え抜きの社長さんで、差しさわりはあるかもしれませんが、お役人さん出身の社長さんだったらああまでは細かいところに手が届くまいという御批評もあったと聞いておりますが、そこで、そういう負傷者の方々には万全の措置を講じておられると思いますが、事故が起こってから救助活動に非常な御尽力をされた民間の方々、その辺の漁業組合の方々もおられるでしょうし、いまの客室乗務員の方々もおられるでしょうし、そういう方々のことは、いまはまだ一力月余りで入院されている方もおられるわけですから、いますぐというわけにはいかぬでしょうけれども、そういう方に対する感謝の気持ちも大体事故が一段落したときに高木社長にお考えいただきたいと、私はそう思います。
 時間が余りありませんので私の聞きたいところに入りますが、社長は記者会見のときに、片桐機長が心身症であるということをおっしゃられた。実は私、心身症の専門家なんです。長いことその勉強をしてきたので、これはまずいことになったなと、その瞬間そう思ったんです。
 なぜかというと、先ほど青木委員がおっしゃったように、心身症というのは決して事故を起こすような病気じゃない。ところが、片一方では機長の関係で事故が起こったような話をしながら、たまたま機長が心身症であるということを御発表になって、お医者さんもそれを、内科のお医者さんですけれども、それを言われたので、どうも一般の人は、心身症というものは何かこういう重大な事故を起こすんじゃなかろうかというふうに受け取ったでしょうし、私はそのときに、果たして高木社長はこの心身症というものは事故を起こすような病気でないということをわかりながらお話しされたのか、それとも、もっと悪く言えばごまかしのためにこれを話されたのかというふうにそのときにびんときたんであります。
 というのは、いろいろその後の情報を聞いてみましても、この片桐さんという人は、これは明らかに平常ではない、異常な精神状態にあったわけです。どちらかというと精神病だと私は思っておりますけれども、これがその日突如として出てきたんでなくて、前からそういうような徴候があったんだと。それを日航の内部の方々は知っている人は知っていた。そこで恐らくこの片桐機長というのはいつかは航空乗務からおりてもらわなきゃならぬのじゃないかなんということを内部では考えていたんじゃなかろうかと、こう思っていた。ところが、事故が起きた。機長は片桐さんだということになって、日航の内部では、あれ、やっぱりそうなっちゃったかなあという、その内部的にはびんときた人がいたんじゃなかろうか。その中に私は社長さんもおって、そしてこれはどうも操縦士のミスである、しかも片桐さんという人はちょっと異常な状態がいままでもあった。そこで発表するのに、片桐機長は精神病であるといきなり国民の皆様に言ったんではこれは大変なことになりますので、そこで差しさわりのない心身症という病気の名前に隠して、オブラートで包んだような形で高木社長は、片桐機長は心身症であるというふうにあのとき言ったんではなかろうかというふうに私はそのとき邪推したのであります。
 後で、高木社長は全然そのことをそれまで知らなくて、そういうことを急に言われたものですから、これは国民の皆様に新しく知ったことを隠しておいちゃいかぬという意味であの場合にお述べになったということだそうでありますが、その真相はいかがなんですか。
#130
○参考人(高木養根君) お答えいたします。
 そもそも私どもは事故の当事者でございまして、先生御存じのとおりに、この事故の原因調査その他につきましては運輸省の航空事故調査委員会がいま懸命に究明しておるところでございまして、そういう意味で事故の当事者であるわれわれが事故原因に関連したようなことを本来申すべきではない、慎むべきであるというふうに元来は思っております。ただ、あれを発表したのは十二日でございましたが、その前日ごろにはマスコミその他からいろいろ会社に照会がございまして、どうだこうだということがございまして、私も実はそれまで知りませんでしたけれども、調べてみると確かに片桐機長の過去の病歴に心身症ということがあったということでありまして、もし引き続き沈黙を守れば世の中の誤解も招く、マスコミの誤解も招くということになるとこれはかえってまずいということで、正直に過去の病歴を発表する方がよろしいという判断に立ちましてあの発表をさしていただいたわけでございます。
#131
○山崎竜男君 時間がありませんからはしょって申し上げますが、その後運輸省の勧告によって健康適性委員会なるものをつくって、いままではどちらかというとこういう事故は余りありませんでしたので、乗務員の健康管理というと精神状態というよりも身体的な状態を検査するということが主だったということは、これはある意味では仕方がなかったと思うんですが、今度はこういう問題が出てきましたので、改めて精神状態も検査する必要があるということで健康適性委員会というものをおつくりになったということは、私は遅まきながらいいことであるというふうに評価をいたします。
 ただ、これなかなか精神病ということを発見しましても、精神病の特徴で本人はそう思っていないわけでありますから、周りだとか専門家が見てこれちょっとおかしいんじゃないかというので気がつく、まあその病気の種類にもよりますけれども、そういうのが多いので、しかもわかったときに、機長といえば、三十五歳でも年俸一千万を超すというくらいの高給取りでありますから、それをおろすということはプライドにも傷がつくでしょうし、また経済的な変化もあるでしょうしということで、なかなか決断がつけにくい病気でありますし、私どもの仲間でも、明らかにこれはおかしいというので精神病院へ連れていくのでも本人はなかなか行きたがらないし、家族も何とか在宅で治りませんかというようなことを言われることが多いんですが、そういうことで今回みたいな事故が起こったんでは大変なことですから、これは経営者としての相当な決断がこれから精神状態を調べるにおいては、お医者さんの決断もそうですけれども、経営者としての決断、しかもその決断は何よりも人命を尊重するという点に置いていかなければならないと、そう思うんですけれども、その点のこれからのお覚悟と言えば変ですが、やり方はいかがですか。
#132
○参考人(高木養根君) お答えをいたします。
 端的に申しまして、この点は非常に慎重に取り組まなきゃならぬ問題ではあると思います。そういうことで、軽々になかなか申し上げにくいことですけれども、いま申し上げましたように端的に申しますと、刑法では疑わしきは罰せずということがあると思いますけれども、このケースにつきましては、私は逆にやはり何百というかけがえのない貴重なお客様の生命をお預かりする仕事でございますので、疑わしきはおろすというような考え方で、いま申し上げましたように非常に慎重に取り組まなければならぬことでございますけれども、少なくとも精神的にはそういう気持ちで今後取り組んでいきたいと、このように思っております。
#133
○山崎竜男君 こういう病気に関しては泣いて馬謖を切るという決意もなければならぬことだと思っておりますが、心身症という言葉が出たので、いまは非常に、これハチの一刺しじゃないけど大変この話がはやってきたのです。おまえも心身症じゃないかとか、極端に言うと、私も聞いてびっくりしたんですが、おまえも片ぎってるんじゃないかと、こう言う。片桐さんのあれから、片桐さんみたいな病気じゃないかというんで、おまえも片ぎっているんじゃないかという言葉まで出たというぐらいで、心身症というのが非常な流行語になっているのです。
 先ほどの御報告の中にも、六名ぐらいは心身症ということで治療中ということですが、これはまあ専門的なことを言う時間はありませんけれども、決して事故につながったりなんかするものではなくて、心身症とか神経症、ノイローゼあるいは自律神経失調症なんというのは、本人は相当これで苦痛という点がありますけれども、本当の心の底は自己愛につながっている、自分の身がかわいい。ですから、どちらかというと日本語で言う病気、気が病むという字を書く。体が病むんじゃなくて気が病むというのが心身症という意味ですから、これは決して恐るるに足らぬものであるし、これが事故につながるとか、これでもって私は病人だからどうにもならぬとか、決してそういうものではないということをこの機会に、日航職員の方々ばかりじゃなくて、いま心身症に悩んでおられる方に私は申し上げておきたいと思うのです。そうしないと、何か自分はもうとてつもない重病に冒されたというような誤解をこの間の社長さんの話から持った方がおられると、私はそう心配しておるわけであります。そういうことで、心身症はこの際は事故とは全然関係のないものである、たまたま片桐機長が心身症と言われておったのでそれと事故と結びつけられたんだと、こういうふうに御理解をしておいていただきたいと思うのです。
 そこで、これからの事故対策その他は、航空局からいろいろな勧告がございまして万全になっていくと思いますけれども、ただ、私は今度の事故は非常に異常な、いままでに余りないことが一つあると思うのです。というのは、いままでの航空機事故というのは、事故が起これば大体は乗組員、乗客ばかりでなくてクルーの方が幸か不幸か亡くなっておられる。全部生存しておられる飛行機事故で死者がほかに出ておるという事故は余りないように私記憶しております。そうしますと、当然これは生存しておられるクルーの方々がこれから司直の手にゆだねられて裁判とか何とかということになる。これもいままで余り前例がないことだと思います。つい最近の新聞には片桐機長逮捕かなんということになっておる。そういういままでにない事態の航空機事故ですから、そういうこれからの機長、乗務員その他の、警察あるいは検察に、司直の手にゆだねられた今後の日航のクルーの方々のことに関しても、社長さんはひとつ万全の御理解を賜るようにお願いしたいと思っております。
#134
○参考人(高木養根君) ただいまの山崎先生の御指摘につきましては、私ども十分に対処していきたいと、このように思います。
#135
○黒柳明君 日航の問題ちょっとお聞きしたいと思いますが、衆議院でもまた参議院でも午前中審議を尽くしまして、マスコミでも相当報道されておりますので、いま社内的にそのアフターケアが大変なときだろうと、こう思います。
 まとめて三、四点お伺いしたいんですけれども、一点は、前の日も片桐機長の乗った機が異常行動があった、前月もそんなことがあった、こんなことが報道されていたわけですけれども、フライトレコーダーじゃなくて日記ですか、要するに機長の報告か何か、それをチェックする体制というのはどういうふうな改善策をとったんでしょうか。あるいは片桐機長の事故の前日の異常行動、あるいは一カ月前の異常行動についてどういうような管理をしたんでしょうか、それが第一点。
 それから第二点は、何かこれは組合側の意見が報道されていたんですが、これまた、何か機長が管理職なので非常にほかの乗務員と違和感を感ずる、言いたいことも言えない、こういうことが今回の事故に結びついた一つの原因でもあると、こんな意見も出ておりました。ここらあたりどのように感じられ、どういう処置をとられるか。
 それから三点目は、これも一部のマスコミに十日ぐらい前ですか報道されておりました、ほかにはちょっと記事になっておりませんでしたけれども。お医者さんの問題で、日航の嘱託医が、運輸省、政府に対するライセンスの医者と一緒になってたと。ここにも、内部的ないわゆる既往症と、運輸省に報告する異常なしと、この差があったと、こんなことですが、これについてどのような処置をとられたのか、とられるのか。
 それからもう一点は、片桐機長の先ほどの報告、推定というお言葉がありました。当然警察の事情聴取もあったわけでありまして、司直の手にという可能性もある時点でありますけれども、先ほどおっしゃった推定というそれ以上のことは全く日航側としての調査の中には出てこなかったのか。何かあのときには、日航側が隠したとか隠さないとか、こんなうわさもいまもって消えていないわけでありまして、司直の解明を待つというより日航としては手はなかったのか、そういう調査というものはしてないのか、ここらあたりひとつお聞かせいただけますか。
#136
○参考人(高木養根君) ただいま黒柳先生から四点について御質問がございました。その第二点につきまして私からお答えをいたしまして、あとの点については他の参考人からお答えをさせたいと存じます。
 機長管理職の問題でございますけれども、確かに運航乗員組合あるいは機長の中でもごく一部におきましては、機長管理職制度というものが、いわゆる私どもが言っているコックピット内、操縦席内での乗員同士の意思疎通、協力というようなことに障害がある、あるいは操縦度外、普通の意思疎通の面でも障害があるというような意見はございます。
 その意見は確かにございますが、午前中にも私から申し上げたんですが、機長と申しますのは法律上もあるいは社会的にも非常に大きな権限と責任を有しておりまして、しかも会社の職員としましては、私ども航空会社の本来の仕事は、社会に安全で快適な航空輸送サービスを提供する、こういうことがその仕事でございますけれども、その仕事の中心であるいわゆるわれわれフライトと呼んでおります発地から目的地へ航空機で飛んでいく、機長はそういう一番大事な中心的な仕事の指揮者でございます。指揮者でございまして、機材によりまして数名から多い場合は十数名の部下を指揮し、そして何百人というお客様の生命をお預かりし、現在では二百億に近いような貴重な会社の財産を預かってそういった非常に重要な仕事に従事する、こういう者については、会社の処遇としては管理職にするのが当然じゃないか。地上の課長とかあるいは調査役、あるいは現在では客室乗務員の中にもすでに数十名の管理職がおります。そういう航空従事者というのは、乗務をする場合にはすべて機長の指揮下に入るわけでございまして、そういう意味では会社の処遇としては管理職として処遇するのが適当であるというふうに私ども確信しておりますし、また機長を管理職にするために乗員相互間の意思疎通に非常に支障を生ずるということはないというふうに確信をしておりますので、私どもは従来どおりこのやり方でやっていきたい、このように考えておる次第でございます。
#137
○参考人(野田親則君) 先生の御質問の第一点、第三点、第四点に答えさしていただきます。
 まず第一点でございますが、事故前日の三七七便という福岡便の最終便において異常な飛行があったということが、運輸省の事故調査委員会の中間発表で行われております。そういう状態を一番ぴんと感ずることができる人は機長の隣に座っている副操縦士でございますので、副操縦士の当時の感じを聞くのが状況の判断に最も役立つという意味で、ただいままで副操縦士に聞くことができました範囲で申しますと、報ぜられた、羽田を飛び上がってから二百十度ぐらいUターンをして
#138
○黒柳明君 いや、書いたもの、報告ないんですか。書いた報告、書類か何か出す義務はないんですか。そういうシステムはないんですか。副操縦士の話はもう活字でどんどん読んでいるから
#139
○参考人(野田親則君) はい、わかりました。
 要点は、副操縦士がそれほど異常な状態と思ったかどうか疑問があるということでございます。それは、そういうことを副操縦士から聞いた範囲では、自分はとっさに修正のかじをしたと、まあこれは一種の機長のポカという程度に思いましたというような表現でありまして、非常に異常だと考えたら会社に報告をしただろうと思うのですけれども、その辺がその程度と本人が思わなかったのではないかと、まあそういうふうに判断をいたしております。
 もう一つは、客室乗務員が五人乗っておったわけですが、その五人に聞きますと、一人の人は、自分の経験から見ると明らかにいままで経験したことがない程度の深い傾斜であるということを言っております。他の四人は、特に異常という記憶がないということを言っております。したがいまして、これも人によって感じがいろいろである。それからお客様で、事故が起こりました二月十一日にリポートを出してくださった方がいらっしゃいます。その人は、やはり自分の経験から見るとかなり深い旋回であったということを述べておいでになります。
 そういうことですので、皆さんにいま大変御批判をいただいているのは、そんな異常なことがあったら報告すればいいじゃないかと、そういうことをおっしゃるわけですけれども、そのときに関係のあった人がどの程度に感じたかということをつかみかねておるということを申し上げたいわけです。
 それから第一点の後半の、フライト・データ・レコーダーというものが利用できないかと、こういうお話でございますが、まあこの記録計は主たる目的が事故解析用でございますので、一フライトごとにそれを利用して何かに使うということには向かないのでございます。しばらく時間がたってからそれを解析して何かの役に立てるという程度の利用にしか向きません。それが実情でございます。
 第三点の、会社の産業医という人が、同時に運輸大臣の認可を得ておる航空身体検査をやる権限を持っているお医者と兼ねておるという点の当否でございますが、この点は私どもがお答えするよりはむしろ航空局、運輸省の方から御判断をいただくべきことと思いますが、会社の立場から申しますと、いわゆる健康管理ということを一人の嘱託医の立場でずっと長いことやっておる、その方が航空身体検査をやるということは、航空身体検査の上でも十分な情報を持って判断ができるという意味でメリットだと考えております。この辺については、ただしこれは会社の立場で言っておるにすぎませんので、権威のある御見解は当局の方から伺いたいと思います。
 それから最後の、片桐機長は、先ほどのお話にもございましたように事故の原因を解析するのに大変重要な存在でございます。そういう意味で、私どもも今回は原因の究明が一般の航空事故よりはよくできる、正確にできるということを期待しております。
 ところで、現在法律的にはまだ当人は被疑者という状態ではないそうでございまして、いわば会社が社員を病院に入れておる、会社の管理下にあるという状態でございます。したがって、本人からいろいろ事故調査、原因に関することを聞きたいわけでありますが、一時そういうことをやったこともございますが、非常に本人が興奮状態になる等のことがありまして、特捜本部の方のお仕事に非常に支障があるということから、ぜひ協力をするようにということを言われております。当然のことですが、会社の立場としては公的機関のお仕事に十分御協力申し上げるという立場でございますので、現在としては会社独自の調査を機長からするということを遠慮しておる、そういう状態がまだ継続いたしております。
 以上でございます。
#140
○黒柳明君 冒頭申しましたように、アフターケアがいま大変だろうと、こういうことで、一番初めの点も、要するに副操縦士が、事故が起きて、いや実はと、こういうことですよね、そのとき重大に思ったか思わないか別にしまして。それからほかの乗務員も、そういう事故が起こって、そういえばと、こういうことでしょう。ですから、起こったことについて副操縦士が言ったからといって、これはもう事故はもとに戻らないんですが、そのためのやっぱりアフターケアをやらなきゃならないし、やっているわけでしょう。そうなりますと、そういう報告についてどういう義務をこれから課するのか、どういうふうな方向をとるのか、この点ですよ、私聞きたいのは。だから、そのときに事故が起こることを察知していたら、どんなことだって報告したでしょう。それで、機長の異常なことだって表に上がってきたでしょう。そこが悲しいところであって、起こって初めてあれもこれも原因があったんじゃなかろうかと、こうなるんですけれども。だからそれを教訓にしましてどういう体制をとるのか、とったのか、こういうことじゃないでしょうか。
 それから、三番目のお医者さんの問題にしましても、いわゆるいまおっしゃった利点もあると思うんですけれども、それがかえってうまくなかった、こういうことが結果的に出てきているわけでしょう、事故というものを境にしまして。内部的によく知っている、ですけれどもそれが裏目に出て、国に対しては異常なしと報告していたと、それじゃそれをどう対応処置をとったのか、とるのか、ここを聞きたいわけですよ。
#141
○参考人(野田親則君) 事故後、会社が独自に考えました安全対策という中に、健康管理体制の改善というような、大分類で申しますとそういう項目がございまして、その中に健康管理に関するいろんな点を改めようということがあります。それからもう一つは、乗務の前に乗務員が相互に心身の状態を確かめ合うというルールが現在もございますが、それが十分機能してないんじゃないかというような反省もございまして、これをどのように改めたらいいかということも一生懸命考えているところであります。
 そのような点は、航空局の立入検査をいただきました後の改善勧告の中にも全く同趣旨のことが入っておりまして、この点に関しては四月十日までの期限に会社としてこういたしますという案を持って御報告申し上げることになっております。したがいまして、きょう現在はこうこういたしますというところまで具体的なところを御報告できないので申しわけございませんが、そのいずれについても一生懸命これから許された期間内に案を立て、当局に御報告申し上げる所存でございます。
#142
○黒柳明君 ことしの占いの卦に、高木姓は凶と出ているらしいですよ、社長も総裁もね。そんなばかなことあるかと、私もちょっと気がちいちゃいもので、ところがこんなばかなことがあっちゃったなということで、ここにも高木さんていらっしゃったらひとつ注意した方がいいと思うんですけれども、まあこんな冗談は別にしまして、つかぬことをお伺いするんですけれども、今回の事故とは関係ないんですが、日航の管理職の方が給料を経営状態を勘案して自発的に辞退していると、あれはまだ続いているんですか。そんなことありませんか、管理職の方が。
#143
○参考人(高木養根君) いまの御質問の趣旨がちょっと私つかみかねますが。
#144
○黒柳明君 いや、お給料はそっくりもらっていますか。
#145
○参考人(高木養根君) もらっています。
#146
○黒柳明君 ボーナスも。
#147
○参考人(高木養根君) はい。
#148
○黒柳明君 いつかそういう時点あったですね。
#149
○参考人(高木養根君) 一時、一部いわゆる給料を返すという、一部ですね、そういう時代がございましたけれども、現在はすべてもらっております。
#150
○黒柳明君 総裁、いま給与のことを聞いたんで、いま国会議員がいろんなことでやられる、審議されている段階なんです、そういうものを含めまして。国鉄はまだ続いているんですか、管理職がなんかの交際費か給料のカットというのは。
#151
○説明員(高木文雄君) 私どもは、役員はボーナスを普通のルールの半分だけ辞退いたしております。これはもう三、四年続いております。
#152
○黒柳明君 役員というとどの範囲。
#153
○説明員(高木文雄君) 常務理事、副総裁、技師長、私ということになっております。
#154
○黒柳明君 役員が半分辞退している。これは当然いまの連続のこういう事態じゃなくて、国鉄の赤字再建のためと経営収支のことを考えている。
#155
○説明員(高木文雄君) ボーナスの半分です。
#156
○黒柳明君 ボーナスのですね。ボーナスの半分というとこれは相当のものになる。
 大臣、何も私は人のふところを別に気にすることはないんですけれども、こういう論理、これは確かに隗より始めよでありまして、すべてやっぱり責任者から姿勢を正すと。ですけれども、私、知っている人がいるんです。それで、要するに局長さんでも常務理事になると収入がたっと減っちゃうわけですわな。そうすると、常務理事になったところで、家族はやっぱり生活はお給料だけで生活しているわけですから、大多数の方は。非常にこれは大変だということで、偉くなるのは結構だけれども、国鉄の管理職に、常務理事にだけは絶対ならないでくれということもありまして、ところがやっぱりこれはなる人はなるのでありまして、もしそういう姿勢があるならば、これはいつまで続くのか。
 大臣あたり、省エネのときは、一日ノーカーデーなんということがありました。賛否両論ありますけれども、私はこれから国鉄のいまの一連の事故のことを聞きたいんですけれども、日航がかってそういうことをやっていた、国鉄がやっていた、いまもやっていると、こういうことで、偶然私の友達にそういう方がいて、その奥様から聞いた。国鉄に入りまして常務理事以上になったらこれはもう大変なんですと、こんなことを聞いたんで、ついでのことですけれども、もしこういうことがありますと、直接職務権限になるのは運輸大臣ですよ。運輸大臣もこれは責任をとらなければならぬ。いまのロッキード裁判と違いますから、職務権限があるかどうかで争われる問題と全然次元が違いますからね。
 どうなんでしょうか。自発的にもう四年も五年もやっているんです。それにいまの事故が起きた。私は前からこの点聞いていたものですから、いつかやっぱり発言しようかと思っていたんです。ですけれども、また事故があるから、当然姿勢を正さなきゃならないと、こういうつもりではいますけれども、やっぱりその当事者、しかも家族になってみますと、うちだけ何でそういう犠牲にならなきゃならないのかという経済的な事情は非常に多いんですね。もしそういう論理が当てはまるなら、もうこれは運輸大臣もそういう姿勢をとる、あるいは内閣としても膨大な赤字を抱えているんですから、これは歳費のダウンどころじゃありません、ボーナス返上あるいは歳費も十分の一カット、このぐらいな姿勢にもう出なければ、国家財政を預かる者の責任姿勢としてこれはどうしようもない。国鉄総裁だってなりたくてなったんじゃないんですよ、五年前。という感じがしますね。常務理事だって。
 こういうことについて、運輸大臣、何か私、先般の予算聞いていますと、また先ほどの木村先生の意見を聞いていますと、運輸大臣と国鉄、総裁とは言いません、何か違和感があるような、感じだけですよ、これはもう仲よくぴったりやっていると思いますけれども、何か違和感があるのかな、そんなばかなことあるはずないというふうな感じがしますんですが、もし運輸大臣として直接の指導権限を持つならば、こういう点についても、もうちょっと何か時期的に考え、こういう点こそ温かい指導をしてやれば、それこそもう先頭に立って  いまの労使問題なんかこれでいいと思っているんじゃないと思うんですよ、国鉄側も。労使問題だって改善しなきゃならないと、こう思っているんですが、それはやっぱり一番さらに頂に立つ運輸大臣が、そういう細かいところまで配慮して初めてその首脳陣も意気上がるんじゃないか。おかしな発想でしょうか、思いつきでしょうか。大臣、いかがですか、こういうこと。
#157
○国務大臣(小坂徳三郎君) 私も民間でやっているときは、えらい不況にぶつかりますと、職制者の諸君が自発的に月給の一部を取らないというふうなことがありまして、また役員もしたがってボーナスも半分以下にするというふうなことも何回も経験しておりますから、それはやっぱり日本的な経営の一つのスタイルであるのじゃないかと思います。国鉄がそういう形でボーナスの半分を最高幹部が辞退をしておられるということはいま伺ったわけでございますが、それはやはり非常に苦しい現場の中で大ぜいの人々の指導的役割りをする場合には、何らかそうした目に見えたことをする必要もあるのではないかと思うのでございます。これは別にわれわれが強制したものでももちろんないし、また国鉄の高木さん以下がそうしたことを自主的になすっていらっしゃるんだろうと思うのでございますが、しかし、それはそれとしてやはり一つの経営のスタイルではないかと思うのでございます。
 なお、また最近はだんだんベースアップが高くなりまして、役員の報酬が頭打ちになっておるものですから、むしろ役員になることを嫌う傾向もあります。また非組合員と組合員の関係も非常にむずかしいこともございますが、そんなようなことで、かえって役職が上がると月給が下がるとか停滞するとかいうこともまま一般民間企業にもございますが、それはやはりそうしたことを直すというのは、それぞれ企業体の経営の考え方あるいは組合との関係、そうしたものの関係で調整されるべきものではないかと思っております。
#158
○黒柳明君 総裁、これいつまで続けるつもりですか。
#159
○説明員(高木文雄君) いや、何といいますか、フルにちょうだいできるように早くなりたいと思うわけでございますが、ちょっといまのところ、いつになれば胸を張ってという見通しを申し上げられないのはまことに残念でございます。
#160
○黒柳明君 そうしますと、運輸大臣、確かに一つの形態ですよ。形態といったって、言うまでもなく民間と国鉄はもう全然パターンが違う。これ、国鉄のいまの事故からやるとすっきりするんですけれども、いま日航の方と連動しちゃったんで、何か国鉄を初めから擁護するようなことになっておかしいんですけれども、そうじゃない、連動しちゃったから初めにそういう質問になっちゃったんで、これは変なことで申しわけない。だけれども事実なんで、もしそういうことが許される、あるいは臨調なんかでまたこれ厳しい答申が出るわけでしょう。そうすると、総理大臣みずから臨調の答申を最大限に尊重して、分割とか民営とか、こうなるわけでしょう。そういうことだけあれして、それで国鉄の役員――擁護するわけじゃありませんよ、ありませんけれども、奥様あたりから切実な訴えを聞くとね、やっぱり何も管理職の奥さんの訴えは退けて、一般の職員の訴えは私たち受け入れるという立場じゃありません。事実は事実として、だれでも私たちはそれについてやっぱり耳を傾けなければならない。そういう立場から物を言っているのであって、そういう経営方式というならば、もっともっと国鉄について、運輸省や臨調あたりが大目に見るという点もある場合もなきゃいけないんじゃないですか。
 ところがそうじゃなくて、国鉄に対しては、それこそ臨調だって運輸大臣だって運輸省だって相当やっぱり監督権限をフルに発揮しながら、そういうことになると、いや一つの企業形態、日本の企業の中じゃあり得べきことだ。それじゃ政府機関どこがやっていますか、そんなこと。やっているところないです。そうなると、もうける電電の方はKDDみたいに使っていい、赤字の国鉄は管理職みずから日本の民間経営の一環で、そういうこともあり得るんだというパターンになりますか。そうすると逆に言うと、もうけた方は使っていいという潜在的意識も出てきちゃうんですよ。
 だからそこらあたり、予算もありましてね、運輸大臣が四十分にお出かけになるということですけれども、ちょっと運輸大臣、日本の民間形態のところ、そういうものがあるのだとか、自発的にやっているのだからそんなことはいいのだとか、確かに私もそう思っています。だから三年も四年もやっているわけですから。だれも関知しないわけですから。また大臣に言わせると、大臣だって、いや、ベースアップ分を抑制しているよと、こういうこともあるんです。ですけれども、ボーナス半分カットというのは莫大な額ですよ、個人個人にしますと。しかもこれは大臣職じゃないんですから、国鉄の管理職なんかそんな膨大な給料じゃありません。私が言うのは、そういう面もひとつこの厳しい国鉄運営に当たりまして、運輸大臣がやっぱりよくめんどう見てやっていただければ、国鉄の労使関係、こういう事故だって、決して国鉄側もこれでいいんだと思ってない。そうすると、首脳陣が先頭に立ってこういう問題をさらにメスを入れてくる可能性があるんじゃないか。こういう大臣の思いやり、大臣の心情、こういうものも首脳陣からかけてもらいたいと、こういう意味で言ったのでありまして、これは国鉄が自発的にそんなことやっているんだから、また、いつになるかわからない、胸張ってもらえる日までおまえたち待てと、こういうことですかね。日本的な発想だからそれはそれでいいんだと、こういうふうにおっぽっておきますかね、どうですか大臣。
#161
○国務大臣(小坂徳三郎君) 黒柳さんのいまのお話は、私がむしろ勧めてやらせているみたいなお話ですが、とんでもない話で……
#162
○黒柳明君 そんなことない。
#163
○国務大臣(小坂徳三郎君) 国鉄自身がそういうことを役員会で決めてなすっているんだろうと思うのでございまして、冷たい言い方のようでありますけれども、それをやめるのもやるのも私は国鉄の経営陣が判断すべきことではないかと思います。ただ、黒柳さんがおっしゃいました国鉄に対して少し風当たりが強過ぎるじゃないかとか、冷た過ぎるじゃないかと、余りそんなことをしていると、やれることもやれなくなるんじゃないかということについて、もう少し監督官庁である運輸省が配慮をし、温かい気持ちを持ったらどうかというふうにいまのお言葉を私は承っておりまして、そうした御意見につきましては、決して私は人後に落ちる者ではございません。その点につきましては、どうか御信頼をいただきたいと思います。
#164
○黒柳明君 大臣、向こうの時間みたいですから。
 総裁、いまの問題は日航から連動しちゃったものですから、一番最後に聞きたかったことなんですけれども。一連の事故なんですけれども、一昨日予算委員会で、五千ぐらいのいろいろ現場等があって、そのうち十分の一ぐらいがいわゆるマスコミ的なやみ給与ですか、そういうような発想のものがあるだろうと、こんな発言を私も耳にしたわけですが、これどうなんですか。当然調査もし、またいままでもある程度把握もしているかと思うんですけれども、パターンで言いますと、どういういわゆるやみ給与的なパターンがあるんですか。ブルートレインに乗らないのに乗っちゃったとか、いろいろマスコミに、きょうもまた出ていましたですね、連日のように出ているわけですけれども、いま国鉄が把握しているいわゆるやみ給与と、こういう感触の中でのパターンというのは、何十種類、何百種類もあるんでしょうか。その点どうでしょうかね。
#165
○説明員(高木文雄君) 実はその点も含めていま緊急調査をいたしておるわけでございますが、現在私が持っております感触で申しますと、一つは繁忙手当といいますか、現在の給与制度は率直に申しまして相当硬直になっております。それで明らかに、勤務時間は同じでございますけれども、たとえば出札なら出札にいたしましても、連続休む暇もなく仕事についてなきゃならない時期もしくはそういう役割りのものと、地方の駅のように汽車が来るときだけ、同じ出札の仕事であっても二十分なり三十分なりその仕事があって、次の汽車が来るまで間があるというようなところとのいわば差のつけようがないというようなことから、ある程度現場だけじゃなくて管理局でも相談に乗りながら何らかの手当てをする。その何らかの手当ての方法として超過勤務手当というもので処理をするという形のものが相当あろうかと思います。
 これは実は本来その種のものにつきまして、どこまでが給与、基本給の概念だけで処理すべきものであり、それを超えた部分について何らかの金銭的な対案があってしかるべきではないか。しかし、それがないために、形式的には超過勤務ということで処理されているというグループでございます。
 第二のグループの問題は、これはたとえばある職から別の職にかわりました場合に、現実的にはいろいろな形で給与が減るという問題がありまして、本来ならばいままでのところよりは栄誉ある職に移ったというかっこうになるんですけれども、逆に給与が減るという問題がありまして、こうした問題をやや安易にそうしたもろもろの手当等によって処理をしている例があるかと思います。
 その辺まではむしろ制度について考えなきゃならぬという問題があるわけでございますけれども、そのほか、実は本社におきましてもまたあるいは管理局におきましてもルールとしてはとうてい認めにくいというものについて、現場で、本来権限がない現場長と職員との間で、いろいろな形でどうもいろいろな給与に関するあるいは勤務時間に関する悪慣行というようなものが残念ながら見られるわけでございます。先般、予算委員会でどのぐらいかということを問い詰められたときに、約一割ぐらいかなという感じを申し上げたわけでございますが、実はその前にどこまでが悪慣行でありどこまでがやみ給与であるかということの分類基準が決まっているわけでないわけでございまして、いわゆる灰色部分が相当あるわけでございますので、その辺を十分整理いたしませんと、どのくらいの現場でどんな形になっているかということを明快に申し上げられないわけでございますが、残念ながら五%から一割ぐらいの職場においてそういう問題がどうもありそうだという感じを、私個人として全くの推測でございますが持っておるということで御答弁申し上げたわけでございます。
#166
○黒柳明君 そうすると、一番初めと二番目のこの二つの分類については制度上の問題だと。そうすると、これはマスコミ的に報道されているのはやみという形容詞が使われていますけれども、むしろその一、二については、国鉄側としては特別やみという概念じゃなくして、現場のいわゆる労使関係でうまくやっている、これがやみであって、これはむしろやみじゃないんだと。国鉄側として制度をむしろ改善しなけりゃやみと言う方が無理だと、こういうことなんでしょうか。先般、どこでしたっけね、マスコミで報道されたらすぐ現場から、国鉄労組の方から、そんなのはやみ給与じゃない、こういう反発が出たわけですけれども、いま申しました一についてはやみじゃないと。むしろ国鉄側の制度の改善がなくしては、これは組合にそのやみというイメージをなすりつけるのはうまくない。第三番目の問題がやみと言えばやみなんだ、こういうことでしょうか。
#167
○説明員(高木文雄君) 第一、第二の問題は、正当な支出であるかどうか、超過勤務手当なら超過勤務手当、旅費なら旅費としての正当な支出であるかということになりますと、必ずしも完全無疵、何ら間違いないものであるとはなかなか言い切れないというものでございますけれども、じゃ勤務の何らかの意味における実態があるかないかという点からは、勤務の実態があるという前提のもとに管理局等におきましてもこの分についてはこういう形式で当面処理をしようということにしておるわけでございますから、ある種の新聞に出ておりましたように、組合の方から言えば、それは公認されたものではないがそれをやみと言うのは少しオーバーな表現ではないかという気持ちを職員サイドが持っておりますのは事実でございます。
 でございますから、私どもは、問題はいま申し上げました第三については完全にこれはやめさせなければいけませんのでございますが、第一、第二の問題につきましては、内容も十分練らなければいけませんが、同時にもう少し形式をきちっとすることを考えなければいけないというふうに考えております。
#168
○黒柳明君 ただ、私ども必ずしも実態を十二分に知っているわけじゃないんですけれども、どうも何らかの勤務状態、何らかのものがあるにせよ、乗務してないものを乗務しているということになると、これは完全に何か制度の改革というよりも組合側のこれはいいんだと、こちらのしわ寄せがこちらへ来ているんだからということについてよりも、いわゆる国民的には、私たち大衆的な感覚としましては、マスコミのつけているやみという感覚の方に非常にやっぱり同調せざるを得ないような感じがします。
 ですから、いま総裁がくしくも組合側としてはと、こういうような言葉をお使いになりましたが、それをただ単に組合側としてはこういうふうに感じているということじゃなくしまして、本社もこういうふうなことでいいんだと、こういう前提がないと、やっぱり総裁がおっしゃる組合はそれをやみとして感じてないんだ、ある程度前提があるんだと、こういうことになりますと、やっぱり国民の受ける認識というのはやみというイメージの方が強くならざるを得ないんじゃなかろうか、こういうふうに思います。ひとつこの点ぜひ改善をと、こういうふうに思います。
 そうすると、いま当然、連日活字に先を越されているような状態なんですけれども、これはもう調査されていると思うんですが、これはどういうことなんですか。こういう状態というものを全くいままで国鉄管理局なりが知らなかったということでもないと、こういうふうに思いますけれども、これを吸い上げるのに相当時間がかかるものなんでしょうか。あるいは調査というものは、この際ですから、徹底的にやらなきゃならないから、簡単においそれといかないんだ、時間がかかるんだと。この調査の時間というのはどのぐらいかかるものなんでしょうか。
#169
○説明員(高木文雄君) 現在は、三月六日ですか七日ですか、その辺で、私から調査をするということについてのいわば指令を発しまして、今月中に現場からとにかく早く粗いものでもいいから出してこいということにいたしております。それを今度は区分けして、何がいわばやみであるか何が灰色であるかというようなところの分類になりますとまたちょっと時間がかかるかもしれません。とにかく出すのは今月中に出してこいということにいたしております。
#170
○黒柳明君 そうすると今月いっぱいに一応粗いものでも出てくると。それから四月からそれを取捨選択しながら、制度を変えるものあるいは実際で現場でひそかにやっているやみ、そういうものについて処置をすると、こういうことになるわけですね。
 その後も、私ここでいろんな先生方の意見を聞いていますと、現場でのやっぱりなあなあの問題があって、腕の管理職があるいは長が指揮権を持ってないから、こういう問題についてはそこは後にそういう問題を拾い上げて対処する中におきまして、そういう問題も当然あれですか、解決するという構えはあるんでしょうか。
#171
○説明員(高木文雄君) ちょっと御趣旨十分
#172
○黒柳明君 特に民社党の先生あたりから意見が出ましたですね、実際にその長になる、責任者になる人が権利持ってないじゃないか、それに対して国鉄がしっかりせい、こういうようなことですね。ですから、そこらあたり労使関係の協定でがんじがらめに結ばれちゃっている、そういうものの中でこれを解決するということなんでしょうか。あるいはそういうことも含めまして当然今後の改善方策をとらないといま言った問題までメスが入らないと、こういうことなんでしょうか。
#173
○説明員(高木文雄君) 現実問題といたしまして、現場の、ちょっと言葉は悪いんですけれども残念ながら力関係といったものがあり得るわけでございます。かなり全体としては職場の規律はよくなってきていると思いますけれども、まだ一部の職場につきましては、さらにある種の約束事につきましては、一挙解決し得るがし得ないかという問題は残ると思います。しかし、それにつきましても問題は管理局と現場の関係で、管理局が毅然たる態度をもって現場の指導に当たるという前提がないといけませんけれども、それらを整えまするならば、いま中間にはさまって現場の管理職が非常に悩んでいるといったような問題は、現状のような現状の中においては、つまり世間の御批判も大変厳しいという中においては、一〇〇%ということはかえって申し上げると無責任になりますけれども、かなりの程度にまで実態を把握し、かつそれを正常化することは可能であろうかと思っております。これはもう少しその調査の結果も見なければいけませんけれども、それをこの際一挙に正常化するということをいたしたいと考えておるわけでございます。
#174
○黒柳明君 経営計画のことやなんか、まあいろいろな問題があるんですけれども、当面その事故が連続しておりますので……。
 それから最後に、先ほど木村先生のお話、私も新聞読んであきれたわけなんですが、先般のお酒飲んだ職員が十分の一の減給処分を受けた、それについてどう思うかって。大臣は私もあきれましたと、こうおっしゃったんですけれども、総裁はどうですか。先ほど大臣が、総裁がいないときに、木村先生から意見はどうかと、こう出たら、大臣はね、あきれたと言うんですよ。私もあきれているって。だけど、国鉄内部のことだから私はどうしようもないけれども、この処分、新聞にあきれたって書いてある。あきれたと。ここらあたりね、やっぱりマスコミが逐次報道します。ですから、そういう報道というものについて当然、何も事実関係は国鉄側は隠蔽できるわけじゃありません。ですから、やっぱり世論というものは非常にいま国鉄に厳しいことは間違いないわけですよ。
 そういう厳しい中で、やっぱりいま日航の社長がおっしゃったように、疑わしきは罰せずということはあるけれども、日航の場合はそうじゃないんだと。疑わしきはもう残念ながらやっぱりおろすという精神的なものがある。これは調査の報告がこれから出てくるわけでありまして、いまの段階でどうこうということはないと思うんですけれども、日航さんの場合には、社長みずからそういう気持ちを持っている。この際、疑わしきはどんどんやっぱりおろしていく。機長、乗務員についてでしょう。そうすると、国鉄の場合には、いま言いましたように、何か疑わしきは疑わしいままだという、少なくとも国民が感ずるイメージは、いま大臣が私もあきれているとおっしゃった感覚に近いんじゃないか、こういうふうに私もあの活字だけずうっと読みますと感じるわけなんですけれども、吉井常務はそんなことはないと、もう職責を守って、ごりっぱな答弁をされたんですけれども、総裁どういうお感じを持っていますか。
#175
○説明員(高木文雄君) 最近の名古屋の問題のようなものにつきましては、いままでの慣例から言いましても、ほとんどの場合が免職というような行政処分上の最もきつい罰をもって臨むのが通例でございます。
 鎌倉の問題ということにつきましては、これは私も一応報告は受けております。何しろ処罰の問題でございますから、従来の処罰とバランスをとりながらやうてくれたものということで私も了承したわけでございますが、これは言ってみれば、執務時間中の問題ではなくて休憩時間中の問題でございますという点が基本的には名古屋の場合などとは全く違うわけでございまして、あるいは御批判があろうかと思いますが、私も何分、この処分の数は全国的に相当数、しょっちゅう残念ながらあるわけでございまして、やはりバランスということが一つ重要な要素かと思います。基本的には、過去の例に比べれば漸次、バランスとは言いながら、きつい処分に移っていかなければならぬと思っておりますが、そういう判断基準で、そういうことを審査する審査委員会もございますので、そこで判断をしてくれたものと思っておるわけでございまして、あるいは私の判断甘いかもしれませんが、それほどひどく甘いということではないんじゃないかというのが私の現在の感じでございます。
#176
○委員長(桑名義治君) 速記を中止してくださ
   〔速記中止〕
#177
○委員長(桑名義治君) 速記を起こしてくださ
 暫時休憩いたします。
   午後三時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時二十分開会
#178
○委員長(桑名義治君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#179
○小笠原貞子君 高木社長以下日航の方々に最初に申し上げたいと思います。
 四十七年のニューデリーの事故以来羽田事故に至るまで、死んだ人は二百十四名でございます。手は下さなかったけれども、二百十四名というとうとい人たちが亡くなったというその責任を十分感じられて、口ではなくて、誠意を持ったお答えを私はまず最初に求めたいと思います。
 最初にお伺いいたしますが、三月九日付、運輸大臣から勧告が出されましたけれども、その勧告について、会社としては検討し、そしてそれにこたえるというお気持ちでいらっしゃるかどうか、簡単にお答えいただきたいと思います。
#180
○参考人(高木養根君) お答えを申し上げます。
 私どもとしては、この三月九日にいただきました運輸大臣の業務改善に関する勧告につきましては、きわめて厳粛にこれを受けとめまして、その趣旨に沿いまして改善の計画を立てて御報告をしたい、このように思っております。
#181
○小笠原貞子君 七項目にわたって一つ一つ申し上げる時間がございませんけれども、まずきょうのところは、休養の時間の問題について、この勧告の中にも、「乗務スケジュールの中に、宿泊地における休養時間が十分とはいえない事例が見受けられる。
 従つて乗務割の基準中に、宿泊地における休養時間に関する規定を定め、その確実な実施を図る必要がある。」ということが取り上げられております。当然のことだと思いますし、いま社長は、これを厳粛に受けとめて考慮したいとおっしゃっているわけでございますので、ぜひその点について、それでは具体的にどういうふうにお考えいただけるのか、具体的なお考えをお示しいただきたいと思います。
#182
○参考人(萩原雄二郎君) ただいまの休養時間に関しましては、きょうの午前中の質疑におきましてもお答え申し上げましたとおり、国際線と国内線との運用のあり方が違っておりますので……
#183
○小笠原貞子君 午前中のは聞いてますから、どういうふうに取り組むかと私が聞いたんだから、具体的にそのことだけ。
#184
○参考人(萩原雄二郎君) 現在この勧告を、いま社長が申されましたとおり真摯に受けとめておりまして、この休養のあり方を国際線、国内線で別々にするかどうかということを含めて検討していきたいと思っております。
 したがいまして、それには組合との間の協定も問題になりますし、また運航規程等も問題になってまいりますので、それを総合的に勘案して検討していきたいというふうに考えております。
#185
○小笠原貞子君 十二時間休むということはいままで組合とも原則的にはそのことについてお認めになっていらっしゃるわけですよね。
#186
○参考人(萩原雄二郎君) 国際線につきましては、休養、宿泊地というものの考え方が少々違っておりまして、連続する二十四時間の間に、たとえば一回の着陸回数の場合には、乗務時間が九時間、勤務時間が十二時間ということになっております。したがいまして、その二十四時間の中に九時間、十二時間という規定があれば、その次のフライトに当たりまして必ずしも十二時間必要ないということになっております。
 この規定の仕方と、それから、連続する二十四時間ではなくて、一暦日でございますね、暦日と暦日の間に十二時間の休養を置くという規定の仕方とで異なるものがありますので、国際線については、先ほども申し上げましたとおり、多くの会社が連続する二十四時間というものをとっておりますので、その辺の運用の仕方をどういうふうに変えていくか検討をしたいということでございます。
#187
○小笠原貞子君 私、きょう取り上げているのは、国内線の羽田事故を中心にして取り上げておりますから、だから、国内線の場合を考えて申し上げているわけでございます。
 いま、いろいろと暦日制だ何だとおっしゃいましたけれども、原則としては十二時間、そして、いろいろおっしゃったことはただし書きを適用されているわけでしょう。
#188
○参考人(萩原雄二郎君) 正確に申し上げますと、このケースの福岡の場合は、乗員の宿泊地という概念ではないのでございます。宿泊地というのは、先ほど申し上げました連続する二十四時間の中において、たとえば、一ランディング九時間の乗務時間を超えてしまうという場合に、乗員を交代させなければならない。その交代させなければならないところが宿泊地なのでございます。したがいまして、厳密に言いますと、この福岡の場合には、これはその前連続する二十四時間の間に二時間足らずのフライトでございますので、それだけでもって交代させる必要はないのでございますが、したがって、これは交代地としてのいわゆる宿泊地ではなくて、休養地という考え方になるわけでございます。したがいまして、これは協定上も、また規程上もここで原則が外れているということではないのでございます。
 休養地でございまして、ただ飛行機がオーバーナイトします。深夜のカーフューがありますので飛行機が飛べないということで、飛行機をそこにステイさせる。そのためにそれまでの間は乗員が休養しなきゃいけないということになっておりますので、厳密に言いますと、先ほど申し上げたようなことで、これが原則を外れているということではないということでございます。
#189
○小笠原貞子君 いろいろとおっしゃいましたけれども、じゃ、端的に伺います。
 社長さん、二月の十四日に福岡いらっしゃいまして、お見舞いなすって記者会見なすった。そして、そのときに、最終便で来て一番機に乗るといった乗務パターンも検討するのかという質問に対して、それも検討課題だというふうにお答えになっていらっしゃるわけです。
 われわれ利用する側、そして、全体に言っているのは、宿泊地であるとかどうとか、その規定がどうとかというんじゃなくて、やっぱり少なくとも十二時間はゆっくり休んで次の一便に乗れるという体制が当然だと思うんですけれども、その辺についてはいかがお考えでございますか。
#190
○参考人(高木養根君) 私としては、確かにいま先生の御指摘がございましたように、福岡に参りましたときに、新聞記者会見でもそういうことを申しております。当然検討対象にはすべきだというふうにいまでも思っておりますが、まだ結論を出しておりません。
#191
○小笠原貞子君 あなた、さっき何言ったの。私、これ聞いたんですよ。これについて休養を十分にするように実施を図る必要があると言われている、大臣から。あなたはこれを十分に検討するとおっしゃったんでしょう。いま検討しないというのは一体どういうことなんですか。
#192
○参考人(高木養根君) 先ほど申し上げましたように、私どもとしては、この運輸大臣からの勧告を非常に厳粛に受けとめておりますということを申し上げまして、この勧告の中でも四月の十日までに報告をするようにということを言われておるわけでございまして、そういうことも踏まえまして、現在検討中であるということを申し上げているわけでございます。
#193
○小笠原貞子君 そうしたら、みんな巷間言われておりますように、睡眠時間が少ない。物と違いますから、ベットに入ってもすぐ寝られる人と寝られない人がある。疲れたり神経が立っていた場合はなかなか熟睡ということができないというような状態がございます。いままでのように、本当に七時間とか、熟睡する時間とすれば六時間くらいしかないというような状態があってもいいとお思いなんですか、逆に伺います。
#194
○参考人(高木養根君) その辺も含めて検討中でございます。
#195
○小笠原貞子君 その辺も含めなきゃわからないんですか。含めなくても、そんな短い時間で十分休養できなかったら次の航空に差しさわるということはみんなが指摘しているんでしょう。それ、あなた、自分の判断でわからないんですか。
#196
○参考人(高木養根君) 私としては、また申し上げますけれども、現在検討してもらっておるところでございます。
#197
○小笠原貞子君 変なところに、よけいなところに主体性を発揮して、大事なところにあなた社長として主体性何にもないですね。
 それじゃ、次質問していきますけれども、少なくとも全日空の場合は国内線は最低十二時間、十四時間というふうに決めていますよね。だれが考えたって、さっきからおっしゃったような乗務員十数名、そして客、考えたら大変な命を預かっているんですからね。だから、そういう意味では万全を期していただきたい、十分な休養ができるようにしていただきたいというのは当然のことだし、大臣の勧告にもそれが出されているのは当然のことなんです。だから、検討なさるなら、そういう問題を十分考えて検討していただきたいと思うんです。
 そして、二月を見ますと、十二時間どころじゃない。十時間以下だけを調べてみましたら、十時間以下しかないというのが五十便ございますね、二月に。そして事故が起こった。それで三月、三月に入ってずっとフライトを調べてみますと、三月で十時間切れる、十時間以下というところが、実に六十七回なんです。三月の方がふえているという回数なんです。だから、こういうことではもう日航さん心配で乗れないよということになってしまうわけなんです。これは乗れないよじゃ済まないわけですから。だからこういうことから考えても、十分休養がとれるというような問題を頭に入れて、またこういう事故が再び起きないように検討するということをお約束いただきたいと思います。いかがですか。
#198
○参考人(萩原雄二郎君) いま社長から申されましたように、検討するということについてはすでに検討を開始しているわけでございます。
 国際線の問題につきまして、うちの、日航の運航乗務員が国際線と国内線と両方乗っておる、勤務しておるということからこういう規定になっておるわけでございまして、まあこれを国内線と国際線に分けて規定するという方法も、いま御趣旨のような点から、検討した方がよりよかろうということで、その点は十分意識しております。ただ、この問題につきましては、昭和四十九年にもその問題が出まして、乗員組合に対しまして国内線は十二時間という休養の仕方をとるのがいいのではないかという提案を実は会社がしたことがございます。しかし、組合と会社との話し合いにおいてこれが解決がつきませんで、そのままになってしまったといういきさつもございますので、組合ともこの点よく話し合って解決をしていきたいというふうに考えております。
#199
○小笠原貞子君 組合の方が文句言うはずないと思うんですがね。まあそれはいいです、きょう組合ここには出てきていただかないんだから。
 それでは、国際線と国内線分けるとかどうとか、それはおたくの中のことですよね。私が言っているのは、十分に休養がとれて安全運航ができるという保証をするために、そういう立場で検討するということはお約束いただけますね、当然。
#200
○参考人(萩原雄二郎君) 安全性だけの問題から言いますと、先ほども申し上げましたように、連続する二十四時間の中の勤務形態というのが安全ではないということではないと思います。ただ、国内線の場合には、やはり時差というものがございませんわけですから、暦日で規定した方がよりわかりやすいし、また休みの実態というのにも関係すると思いますので、その趣旨も踏まえて国内線の場合にはそういう方向をひとつ検討してみたいと、こういうことでございます。
#201
○小笠原貞子君 あなた前段おっしゃること、へ理屈というんですよ、それは。私が言っているのは、これを守れば安全運航できる、一〇〇%だと言っていないんですよ。だけど、睡眠が十分とれないということは安全運航に支障を来す一つだから、少なくともこれは解決するように努力をしていただきたいと言っているんです。なぜ素直にそういう努力をしますと言えないんですか。ぐだぐだぐだぐだ、へ理屈ですよ、全く。素直にはっきり言ってください、簡単に。
#202
○参考人(萩原雄二郎君) 当時組合との関係で合意に達しなかった理由の一つには、十二時間にするということと、それからもう一つ、連続する二十四時間で二足の勤務時間を守ると、この二つのことを達成しないと組合としては理解しないと、こういうことに相なりましたためにいまの協定がそのまま継続しているということでございますので、その辺はもう少し、十二時間の方をとるのかあるいは連続する二十四時間の方をとるのかという問題も含めまして、労使間でもう少し話し合っていかなければならない問題であるという別の側面があるわけでございます。
#203
○小笠原貞子君 とりあえず、まあ時間もありませんから、検討するということでございますので、次に進めたいと思います。その後いろいろと見守っていきたいと思います。
 それから、管理職の機長の体制の問題ですけれども、午前中のお言葉ですと、会社の処遇として機長の待遇を管理職としてやりたいと、こうおっしゃっていたわけなんですけれども、そこで航空局の方に伺いますけれども、機長が最高の指揮権を持っておりますね。じゃ、その後どういうふうに継承されるんですか。それちょっとお答えください。
#204
○説明員(長澤修君) ちょっと聞きとれなかったんですが、最後。
#205
○小笠原貞子君 機長がその機内においては最高の指揮権を持っております。じゃ、その次はどこにいくんですかというこの継承の順位ですね。
#206
○説明員(長澤修君) ただいま先生の御質問のお答えでございますが、機長が航空法によりまして全体の指揮権を与えられております。そして機長は、その運航乗務員を指揮監督する権限がございます。それから、必要な場合には、あるいは状態によりましては、機長の権限をさらに次の副操縦士に任せるというようなこともできるようになっております。
#207
○小笠原貞子君 機長の次には副操縦士、そしてセカンドオフィサー、航空機関士というような継承順位になっているわけですね。
 先ほどから、チーフパーサーの先任客室乗務員の方が管理職でいらっしゃる、だから機長が管理職でないとぐあい悪いと、こういうふうにおっしゃいましたね。そういうことおっしゃいましたね。
#208
○参考人(高木養根君) まあ、いま先生のおっしゃったとおりではございませんけれども、確かに私どもは、数少ないんでございますけれども、コパイロットの中にも管理職がおります。それから航空機関士の中にも管理職がおります。また、ただいま先生御指摘のように、先任客室乗務員のチーフパーサーも管理職でございます。しかしいずれも、こういう管理職であっても、とにかく乗務のために機中に乗り込みましたらすべてが機長の指揮下に入るわけでございます。そういう意味で、私どもとしてはやはり機長は管理職として処遇するのが適当であると、このように考えておるわけでございます。
#209
○小笠原貞子君 機長は管理職として望ましいというのは会社の立場ですよね。機長が管理職であるかないかというのは、別に航空法的な根拠というのはないですね。そうすると、伺いますけれども、じゃ、機長が何か不測の事故があった、で、副操縦士になる、または、それでも事故があって、そしてその次の機関士というふうなことになりますね。そうすると、チーフパーサーの方は管理職ですね。そうすると、いまの理論で言うと、機長も管理職、こっちのチーフパーサーの方が管理職だからということになると、機長からチーフパーサーまで全部管理職にしなければならないという理論になってくるわけですよ。矛盾してきますよ。そういうふうな考え方ですか。
#210
○参考人(高木養根君) 私どもとしては常態を考えておりますので、危急の際の取り扱いということはこの場合考えておりません。
#211
○小笠原貞子君 理論的に言うとそういう矛盾が出てまいります。それだけ指摘しておきたいと思います。
 それから、管理職体制について先ほど一部の人がそういうことを言ったと、こういうふうにおっしゃっていましたけれども、この間、機長とそれから会社の方と懇談なさいましたよね。それからまた、組合でアンケートをとっているのございますね。で、御承知だと思いますけれども、これは千九百人の乗務員の中から九百四十八名が回答をしております。普通の場合だと五百人くらいしか回答がないのが九百四十八の回答がございます。そこで、「機長全員管理職制度は安全運航上、優れた制度だと思いますか。」という問いに対して、「そうは思わない」というのがトータルで九三・九%です。機長自身七六・六%がこの全員管理職制度は安全運航上すぐれた制度とは思わないと言っている。一部じゃないですね。九三・九%の人たちがそういう答えを出している。こういう機長たちの意見というものは、あなたの方は全然無視なさるつもりですか。
#212
○参考人(高木養根君) 組合の行いましたアンケートについて特に私どもからコメントするつもりはございませんですけれども、ただいま先生のお挙げになりました数字の中で私どもが了解しておりますのは、九百四十八部でございます。これ何人ということは必ずしも一致するかどうか存じませんが、一応機長からの回答が百三十二部と、こういうことと理解しております。その中の何%ということでございまして、日本人の機長は現在約五百三十名ばかりおりますので、私どもとしてはそういう意味では機長の大部分の意見であるというふうには受けとめておりません。
#213
○小笠原貞子君 九百四十八部というのは決して人数ではなくてというふうにいまおっしゃいましたね。それは確認なすったんですか、組合の人に。
#214
○参考人(高木養根君) 私は人数ではないと申し上げたんではなしに、必ずしも九百四十八部というのは九百四十八人ということになるかどうかはわかりませんということを申し上げたわけでございます。この「乗員速報」というのにそのまとめた数字が出ておりますが、これを見ましても九百四十八部というふうに書いてございます。
#215
○小笠原貞子君 機長だけではなくて副操縦士やなんかも入っているわけです。しかし、安全運航上いい制度だと思わないというのがトータルで九三・九%、機長だけ見ましても七六・六%あるんですね。これをあなたの方は認めないとおっしゃるなら認めなくていいですよ。あなたたちは機長の現場の意思を全く尊重する気がないんですか。意見を聞こうとする耳はないんですか。
#216
○参考人(高木養根君) 意見は十分に聞くべきであると思いますし、聞いてもおります。ただし、意見を聞くということは、お互いにそれぞれ考えがありまして、意見を交換し、納得し合ったところでその意見を採用するということでありまして、問答無用というつもりは毛頭ございません。
#217
○小笠原貞子君 二月二十五日、機長会と懇談会をなさいました。聞こうとする立場があるとおっしゃったけれども、そのときの状態を私は聞いています。事実を聞いていますよ。そうしたらその中で、とにかく何でも話してくれとおっしゃった。そこはよかったですね。だから機長が安心して、こういう全員管理職体制についてはいろいろと問題があると発言をされたんです。そうしたらどうですか、名前もちゃんと言っていいですよ、尾崎副本部長。こう言ったんですね、ヒステリックだ、心身症ぎみである、甘えるなど。こういうふうに言っているんですね。まさに聞く態勢がないというのは、おたくの方で聞く態勢がない。言おうと思ったら、そういう心身症だなどと言って、文句があるならやめていけとまでおっしゃっているでしょう。まさに聞く態勢がないということをはっきり言いたいと思うんです。
 それからまた投書が来ております。その投書も、名前は出せない、なぜなら、名前を出したら大変なことになるということで投書が来ております。これも私見せていただきました。物言えぬ一機長ということで投書が来ているわけですよ。一枚だけでありませ人でもう一つありますよ。また投書が来ている。内容はともかくよく発言してくれたというふうにおっしゃった。じゃこれなら話がわかるのかと思ったらつかの間、副本部長から、ヒステリーだの左翼だのの、そして甘ったれるなだの、全くひどい言葉で切り返されているんです。こういう体質がある限り――物言えない機長が投書までしているじゃないですか。それを変えない限り日航の体質は変わらない。あなたの方でもっと謙虚に、現場の第一線で苦労している機長の意見を率直にこれからは聞くということをお約束いただけますか。
#218
○参考人(高木養根君) 私どもは従来の経緯から、この機長管理職制度というものがきわめてすぐれたものであるというふうに確信は持っておりますけれども、意見は自由でありまして、その意見を聞くということは意見に従うということでは必ずしもございませんけれども、意見を聞くということはやぶさかでございません。
#219
○小笠原貞子君 当然やっぱり現場の意見を聞いて、そして一緒になって、こういうことが再び起きないようにという体制をとっといただかなければならないと思うんです。おたくの方もいろいろと組合の問題を抱えて大変でしょうけれども、組合の問題を抜きにして、安全運航、日航どうするかという立場に立ったら当然のことだと思います。ぜひそれを率直な形で意見が出せるように、そして意見は聞くだけ聞いたという立場ではなくて、その意見を、現場の意見なんだから、それを尊重して検討するという立場で、聞きおくではなくて、尊重してそれを検討していただくということを私は申し上げたいと思うんですけれども、それはいかがですか。
#220
○参考人(高木養根君) 尊重すべき意見は尊重いたします。しかしこれはその意見によりまして、われわれとして必ずしも現場の意見であるからすべてそれを受け入れるということはお約束いたしかねます。
#221
○小笠原貞子君 すべてそのままのみ込めというのではなくて、そこのところで組合ともお話し合いを十分なすっていただきたいというわけですから、それはようございますね。
#222
○参考人(高木養根君) 当然われわれとしては、組合とは、各組合とも十分に話し合いをしていくつもりでありますし、今後もそうしたいと思っております。
#223
○小笠原貞子君 萩原さんにちょっと伺いたいのですけれども、機長が管理職でない組合員の機長だとしたら、これは機長として安全輸送の立場から何か支障がありますか。
#224
○参考人(萩原雄二郎君) 機長が管理職であるか管理職でないかということが安全運航上直接大きな関係があるとは私は考えておりません。しかし、これは間接的にはあり得るかもしれません。機長が管理職であるというのは、やはり日本における人事制度というもの、それから日本航空におけるその他の職種との関連、こういうものも考えまして、管理職として処遇するのがきわめて妥当な制度であるというふうに考えておるということでございます。
#225
○小笠原貞子君 組合員機長であっても運航上は問題ない。だけれども、機長だから会社として処遇をしてあげたいという立場ですね、会社の立場としては。
#226
○参考人(萩原雄二郎君) 先ほども社長からも申し上げましたとおり、機長が常時非管理職であるということになりますと、それは間接的にはやはり一般職員が管理職を指揮するということでありますので、運営上は好ましくないということはあるということは事実でございます。ただ、機長というのはそれをもってしても、非管理職であっても指揮命令しなければならないという立場でございますから、それができないかどうかということになりますと、それはできないことではないと思います。しかし、運営上きわめてそれは間接的に好ましくない形態である、それが会社の人事体系であるというふうに考えておるということでございます。
#227
○小笠原貞子君 あくまでもそれは会社の立場での人事体系であると。好ましいか好ましくないかという客観的な根拠にはいまなっていませんね。みんなが言っているのは、その中で本当にみんなで団結して自由に物が言えるようなそういう人間関係が欲しいと、それを阻害しているのが管理職であり、管理職でない、管理する者、される者というそこのところにいままでいろいろ問題が出てきたわけですから、だからやっぱり、そういう会社の立場からすれば好ましいとか、会社としては自信を持っているとか、そういうことではなくて、客観的にみんなの意見も聞き判断できるという、そういう考え方で私は改善していただきたいと、そう思うわけでございます。この問題一番問題になっているわけでしょう、全員管理職体制というのは。ほかではどこにもないでしょう。世界に冠たる管理職体制なんと言ってらっしゃるけれども、世界に冠たる事故を起こしちゃっているんじゃないですか、いま。
 そこで、時間ももうございませんので、一つ最後に伺いたいんですけれども、これはおたくの方で、この事件があって三月三日付で、社長さんの名前で各労働組合あてに、慎重な言動を要請するというこういう文書、「翼とともに」というのをお出しになっていますね。私はこれを見て、ああこれが一口で言って日航の体質だとそう思ったんです。
 「今回の事故にかかわる一部ジャーナリズムは、当社職員にあたかも事故が繰返し再発するかの如き言動、あるいは安全対策について大きな不安があるかの如き言動があったやに報道しておりますが、もしかかる言動が事実とすれば、当社全役職員の願望と心情とを踏みにじるものであり、到底許容し得るものではありません。」つまり、これについて具体的に機長たちが不安だとか、こういうふうにやってほしいなというようなたくさんの問題を抱えているのをあなたたちが抑えてきているからそういう言葉が出てくるし、また客観的に見ても、一部ジャーナリズムなんという問題じゃないでしょう。すべてのジャーナリズムが、日航の体質はこの機長全員管理職体制にある、いろいろその他もありますけれども、これを問題にしているわけです。
 不安があるかないかということについて不安持っているというんです。不安を持ってたらその不安をなくすことをあなたたちがしなければならないのに、その人たちと話し合うとか対策を立てる前に、物言うなという、この箝口令をしていらっしゃる、ここに日航の体質が私は端的にあらわれていると思う。私は、こういう物言うなと言う前に、そういう物を言いたい人の意見を聞いて、それについて会社の対策はこうだと話し合うべきだと思うんですけれども、いかがですか、社長、どうですか。
#228
○参考人(高木養根君) 私は、その文書は出してしかるべきものだというふうに考えております。
#229
○小笠原貞子君 いや出してしかるべきだから出された、そんなこと聞かなくたってわかってますよ。だから、こういういろいろな不安を持ってたりというような人たちの不安を解消するために会社が努力するのが先決ではありませんか。それをしないでおいて箝口令をしくというのは物事逆さまじゃないですかと言っているんですよ。
#230
○参考人(萩原雄二郎君) その文書を出しました担当部が私の管轄下にございますので、私から一言お答えさせていただきたいと思いますが、その文書の趣旨は、たとえば日本航空が手抜き整備をしておるというような表現を使いまして、したがって、それはまた事故につながるというような発言を一部の組合の役員がしたというようなことがございまして、それは全く事実と反することでございます。そしてそのために、たとえばそのときの例も一つございます。ガルーダの整備を日航が引き受けた、これは正当な人員あるいは正当な業務処理によって処理でき得る範囲で引き受けたわけでありまして、それは日航の整備そのものの手抜き整備につながるものである、したがって、それが事故を生むかのごとき言動があったことにつきまして私どもは非常なショックを受けまして、そういうことを言うようなことは職員として慎まれたいという趣旨で申したわけでございます。
#231
○小笠原貞子君 これは各紙にも出されておりますけれども、会社の方たちが、本当にもしもそういうことが組合のだれかがけしからぬことを言ったとしたら、その人について具体的な事実でもって話し合いすればいいじゃないですか。それなのにそれをしないでおいて、物言うなというような、こういうことで締めつけるというのが私は考え方が逆立ちだと言っているんですよ。その逆立ちの姿勢そのまま持っていらっしゃればまた事故が起きますよ。
#232
○参考人(萩原雄二郎君) もちろんその組合にはその趣旨のことを別途言っております。しかし、ある一人の人が言ったからそれを後から追っかけてそういうことを言うなと言って済む問題ではないと思います。やはりそういうことがありましたら、全社的にそういうことのないように注意を出すということはきわめて自然なことであろうと思います。
#233
○委員長(桑名義治君) 時間が参りましたので、結論をお願いします。
#234
○小笠原貞子君 もう時間でございますので。もうこれはちょっとやそっとで済みませんね。私は炭鉱の事故だとかいろいろな事故をずっと扱ってきましたけれども、さっき言いましたように二百何十人という人たちが死んで、この間羽田で二十四人、はっきり言って手を下さないけれども殺されたんですわ、日航の事故によって。その人たちに対してどれだけ反省を持っているか。全く反省の色ございませんね。まさに居直りです、私がこうやって見ていると。これでは私はみんなが納得しないと思います。この委員会の質問を皆さんもしも聞かれたら、みんな憤慨すると思うんです。まさに逆立ちの姿勢でいらっしゃる。だから私は、この後引き続いていろいろ申し上げますけれども、一部ジャーナリストなんというものじゃないですね。一部新聞なんというものじゃないですよ。一斉に新聞も書いています。そしてみんなが不安に思っています。
 私はもう時間がありませんからこれ以上申し上げることはできませんけれども、ここではっきりと皆さんが、本当に皆さん自身の頭を変えなかったら、こういう事故は防げません。そして、ますます管理体制、管理体制ということで締めつければ締めつけるほど、犠牲者は出てくると思います。そして、ここにいみじくも書いてあります。そういうおしゃべりをする人がいれば、当社全役職員の願望と心情を踏みにじるものであると。あなたたちの願望を踏みにじるなんて、そんななまやさしいものでないですよ。人の命を預かる安全についてみんなが心配になっている、ここのところをどうして取り上げようという姿勢がないのか。まことに大変だと思いますが、きょうの皆さんの態度とお答えで、日航というのはただ者ではないということだけ私は認識させていただきました。
 これで終わります。
#235
○柳澤錬造君 予算委員会の方に入っていましたので、またあちらへすぐ行かなければなりませんから、余り時間もとっておれません。今回のこの日本航空の事故について若干お聞きをしてまいりたいと思いますし、最初に二十四名のとうとい犠牲者が出たんですが、その人たちの本当に御冥福をお祈りをして、若干の点質問させていただきたいと思います。
 第一には、あれだけの飛行機の事故というのは、私はめったにないような大変まずい事故だったと思うんです。ただ、そういう中で私なりに救いだと思うのは、あの事故の直後に高木社長が遺族の家庭を一軒一軒訪問された。大変につらかったと思うんです。それを乗り越えて社長がそういうことを即おやりになったということは、私はそれなりに敬意を表したいと思います。
 それから次には、あの直後、私も現地へも参りましたし、テレビも見ましたんですが、あのスチュワーデスの人たちが事故直後に率先して乗客の避難誘導をなさった。そして、その後のテレビでのあの記者会見のときにおける発言なんかを聞いておりまして、私がああいう事態になったときにあれだけ落ちついてあれだけのことが蓄えるだろうかと思うほど、私はあのスチュワーデスの態度はりっぱだったと思います。で、そういうスチュワーデスのやられたことについて、あの事故直後に乗客の皆さん方を救援する、避難をさせるということに、誘導なさって働いてくれたことについて、会社として表彰というか、何かそういうことをお考えになったのか。そういうことをおやりになったのか。そこからまずお聞きをしてまいります。
#236
○参考人(高木養根君) 現在、事故の原因調査その他のことが進められております。そういう段階では、私どもとしては、確かに客室乗務員よくやったと思いますけれども、またこれを表彰するというような時期ではないと考えておりまして、その処置はとっておりません。
#237
○柳澤錬造君 会社として正式に表彰するというのは、まあその事故の後始末も済んでないからという点がおありになるかわかりませんけれども、少なくとも社長が直接あのスチュワーデスの人たちに、よくやってくれた、御苦労さんだったぐらいの、そういう感謝の言葉ぐらいは言われたんですか。
#238
○参考人(高木養根君) 私は、お客様が録音されたあのテープを聞く前に実はその乗務員の病院も見舞いました。そういう意味で、あのまあ確かにりっぱな行為ですね、これを知る前のことでございまして、その後は実はまだ私会っておりませんので、そういう意味でのねぎらいは行っておりません。
#239
○柳澤錬造君 その辺が大変私は大事なことだと思うんです。後でまた触れていきたいと思うんですが、あれだけスチュワーデスがりっぱな行為をしたに反して、あの片桐機長の態度、それで、これも私は新聞でもって、一般の乗客と一緒になってこう誘導されるというか、救援されて出てくるところの写真が新聞に載せられたんですけれども、あれはどういうことかと思うんですよ。船の場合だって、船長であろうが艦長であろうが、それは乗組員が全部救助されるままでは残っておって、そして場合によれば船長や艦長というのはその船と運命をともにしていくというのは、これはもう昔からの伝統と言ってもいいような一つのしきたりだと思うんです。それが乗客と一緒にさっさと救援されて出てくるなんて、このスチュワーデスに比べたら機長としてあるまじき行為をした片桐さんについては、会社はどういう態度をおとりになったんですか。
#240
○参考人(高木養根君) 現在、病院に収容されておりまして、その後特に会社としてその行為に対してどうこうということは行っておりません。
#241
○柳澤錬造君 これはもちろん私は何らかの処置が伴うべきものだと思うんですし、まだそうやって入院なさっているというならば、それはそれなりのこともあるけれども、やはりその辺のけじめはきちんとおつけになることが私は必要だと思うんです。一生懸命になって、そうしてそうやってスチュワーデスの方たちみたいにやってくれた方たちには、本当に御苦労さん、よくやってくれたと言って褒めてあげるべきだし表彰もしてあげるべきだし、そのかわり機長としてとるべき態度ではないことをとったのならば、これは本当言ってその機長の資格剥奪ですよ、そんなことは。どれだけそのことによって、単に日本航空という会社がマイナスのイメージを受けただけではなくて、とうとい人命が失われ犠牲者が出て、世界じゅうに向かって、言うならば日本の飛行機というものがそういうまずいことをしたという、そういうマイナスといいますかイメージダウンをしたんですから、そこはきちんとしていただきたいということを私は会社へ申し上げます。
 それから次には、入院なさっている方がまだかなりいるはずです。一命はとりとめてけがだけで済んで、そういう形で入院なさっているんだけれども、この人たちも大変な犠牲を受けて、いまつらい思いをしているんだけれども、その人たちについての会社の処置はどの程度のことをしておりますか。
#242
○参考人(高木養根君) 私の記憶では、たしか昨日現在でしたか、依然としてまだ三十五名の方が東京及び福岡地区で入院しておられるわけでございます。その中にかなり重傷の方もたくさんいらっしゃるわけでして、私どもとしては世話役をお一人について一人ずつ決めまして、病院で治療されるについていろいろとお手伝いをするということをやらしておりますし、それからたとえば福岡の方で、まだ東京で入院しておられるというような方でお身内の方がごめんどうを見ておられるというようなことについては、宿泊とかあるいは交通とか、そういうことについてごめんどうを見さしていただいております。
#243
○柳澤錬造君 いまのお話だと、それなりに十分やっているように感じとれますけれども、本当にそこのところは心を込めて、自分の家族がそういう犠牲になったと思ってめんどうを見るということをよくやらせることが私は大切だと思うんです。えてして大きな会社ということになると、なかなかそういう点になると、すぐ規則がどうだとか何がこうだとかと言ってそういう規則に縛られたようなやり方をする傾向があるので、本当にそういうことのないように私はなさるべきだということを申し上げたいと思うんです。
 それから、細かいことを私は申し上げませんけれども、言うなれば機長の健康管理というんですか、ああいうことが今回の場合なんかもあのとおり問題になっているんだけれども、私は、これは機長に限らず、乗務員全部がそうだけれども、健康管理なり、それは会社の機構の中における人事管理なりというものは、これは会社の責任としてきちんとおやりになるべきことであって、医者がどうだとかなんだとかということは、そういうことはこれは理由にしちゃいかぬことなんですよね。全部会社の責任ですと言ってその責任とられて、そしてその上に立って、じゃ、ああいう機長さんとかなにかのそういう健康管理もどうあるべきかということを、そういう私が言ったような立場でおやりになっていたんですかいなかったんですか、そこのところ。
#244
○参考人(野田親則君) 乗務員の健康管理につきましては、多分航空会社として特殊な例と思いますが、乗務員専門の健康管理室というものを持っておりまして、常勤の嘱託医が、過去約十五年ぐらい同じ立場に継続してある人がおります。そういう関係で、かなり長い個人別の健康の記録を持っておりまして、その意味においては基本的な健康管理という点ではかなりの程度水準が高かたったと思っておりました。
 ただ、今回の事故にかんがみまして反省します点は、先ほどから御議論がありますように、心身症というような診断がおりるような状態でございましたけれども、そういうこと以上のものが別にあったんではないか、それがわれわれの健康管理の網目で見つからなくて、それが問題を生じたのではないかというようなことが一番の反省点でありまして、それをいかにして改善し得るかということがわれわれに課せられた今後の問題だと、そういうふうに考えております。
 そのような改善された健康管理のシステムをつくるためには非常に高度の専門的知識も必要としましょうし、この世界のいろいろな識者の方の御意見等もいただきまして、また、政府の方の御指導を得ながら将来にわたって心配のないものをぜひともつくりたいと思っておりますが、大変むずかしい課題であるということも片方では感じております。
#245
○柳澤錬造君 むずかしいって、よく考えていただきたいんですが、この間、国鉄が名古屋でもってああいうミスで機関車ぶつけて大きな事故起こしたわけですよ。あれなんかでも、きちんと、点呼とるときにそこへ行って――点呼とられたら起きなかったわけよね、それが、事故後に警察官が会っても酒のにおいがぷんぷんしておったんだというくらいなことなんですから、機関車に乗る前にちゃんと助役さんのところへ行って点呼とられていれば、おまえどうしたんだといってそんなことわかることだし、それから日常でも、皆さん方が自分のところの職員でもなんでも見ておったって、かぜを引いたらぐあいが悪くなるし、そんなものやっぱり顔ひとつ見ておったって、正常な健康の状態が、そうでない状態がということはわかることなんです。それが、えてしてこうやって科学が進んでくれば進んでくるほど、そういう医者なら医者の判断に任せてしまってそして始末をしてしまう。今回の場合もどっちかというとお医者さんのそういうふうな判断に任じておいたということの方が私はこういう形になる原因があったと思うので、いまいみじくも御答弁の中で、運輸省といいますか、政府の御指導もいただいてという言葉があったんですが、政府なり運輸省の指導を待ってじゃなくて、あるいはいただいてではなくて、日本航空みずからが、二度とこういう事故は起こさないんだ、そのためにどうしなくちゃいけないんだということをやっぱりおやりになっていただきたいと思うんですよ、それがもう一番大事なことなんです。
 それから、もう一つ大事なことは、おたくの会社の内部にいろいろなことがあることも私もいろいろ知っておりますけれども、何とかこれを機会に、そういうものについて一番大事な点は、私から言わしていただくとこれは人間関係なんです。いろいろと、法律とか規則とかそういうものでもって四角四面にぶつかっているとどうしたってぎくしゃくしてしまうのであって、どうやっていい人間関係をつくるかという、そういう気持ちになってお取り組みをいただきたいと思うんです。そういうことについて、お考えがあったらお聞かせをいただきたい。
#246
○参考人(高木養根君) お答えをいたします。
 いま先生から御指摘がありましたように、人間関係が一番大事だという御指摘につきましては私もそのとおりだと存じまして、そういう意味で、実はこの正月にも、社員諸君に語りかけましたときにも、私としてはやはり労使間のお互いの信頼感の回復と、残念ながら現在の状況は決してその点うまくいっていると思わないので、これは何とか回復する方向に努力をしたいということを社員諸君に呼びかけたわけでございますが、私自身その先生のいまの御指摘のお言葉を本当に胸に秘めまして、今後もそういう点で社内の人間関係をよくするという点については努力をしてまいりたい、かように思います。
#247
○柳澤錬造君 本当にやっていただきたいと思います。そうして、社長が一々職員の中に入っていってどうこうするわけにもいきませんからなんですけれども、それはほかの職員の、いわゆる労務担当なり何なりがそういう職員の人たちとよく話し合いをすること。それからもう一つこれも申し上げておきたいことは、当然もうこれは春だから賃金交渉なんかが始まると思うんです。皆さん方それとどうお取り組みになるか。
 私なりに言わせていただくと、いま日本航空は会社の内部でああだこうだやっている場合じゃないんですよ。あれだけの犠牲者を出し、あれだけいろいろ世間に御迷惑をかけた。それを外に向かって、皆さん方に御迷惑をかけ、またとうとい人命も失うことをいたしました、申しわけございませんといって――それはもう冒頭に言ったように、私は社長が即やったことは本当にその点ではよかったと思う。だからそういう面に対して、社内でああだこうだでなく、社内が本当に一つにまとまって外に向かっていって、今日のこの事故をめぐっていろいろと日本航空が受けた、そういうものを償うという形に向かって全社を挙げて取り組むべきだし、それでそういうものが一段落するまで、社内におけるそういう問題なんかは一時、棚上げしてでも外に向かっていっての始末というか、償いということをやるべきである。
 それで、このことについては、御答弁があればしていただくし、なければお聞きになっているだけでも結構です。あえて私は答弁求めませんけれども、災い転じて福となすということわざがありますけれど、そういうことわざを当てはめるについては余りにもとうとい犠牲です、今回の事故は。しかし、それだけにこの事故の重さというものをこの機会に感じて、本当に二度とこういうことは起こさぬ、そういう気持ちになって、どうか日本航空の社長以下全職員が打って一丸となってお取り組みをいただきたい。そういうことを私は申し上げて終わりたいと思うんです。
 御答弁はもしいただければ喜んでお聞きをいたします。あえて求めませんけれども、どちらでも結構です。
#248
○参考人(高木養根君) 私どもとしては、いまの先生のお言葉を本当に十分にかみしめまして、本当に全社が一体になってこのような事故を二度と起こさないという決意で取り組んでいきたい、このように思います。
#249
○柳澤錬造君 終わります。
#250
○委員長(桑名義治君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト