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#1
第096回国会 商工委員会 第5号
昭和五十七年三月二十五日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬雄君
    理 事
                岩本 政光君
                野呂田芳成君
                村田 秀三君
                市川 正一君
    委 員
                大木  浩君
                金丸 三郎君
                川原新次郎君
                楠  正俊君
                斎藤栄三郎君
                森山 眞弓君
                阿具根 登君
                井上  計君
                森田 重郎君
   政府委員
       労働省職業安定
       局失業対策部長  加藤  孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   参考人
       北海道大学教授  礒部 俊郎君
       産業研究所理事
       長        稲葉 秀三君
       石炭労働三団体
       政策推進会議議
       長        森田 久雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(降矢敬雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案並びに炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 本日は、参考人として、北海道大学教授礒部俊郎君、産業研究所理事長稲葉秀三君、石炭労働三団体政策推進会議議長森田久雄君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙の中を本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 ただいま議題となっております二法案につきまして皆様方から忌憚のない御意見を承りたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 なお、議事の進行上、まず参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分程度お述べをいただいた後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 また、発言の際は、その都度委員長の許可を受けることになっておりますので、あらかじめ御承知おきください。
 それでは、まず、礒部参考人にお願いをいたします。
#3
○参考人(礒部俊郎君) ただいま御紹介いただいた礒部でございます。御要望によりまして私なりの考えについて申し上げたいと思います。
 この石炭関係法案に関しましては、その以前には石炭鉱業審議会の中で慎重審議を重ねられて、それからそれが政府に答申された後に本議会にかかって、衆議院を通過したという話を聞いております。現在、参議院の審議中であるということを私、聞いているわけでございます。
 第七次石炭政策を石炭鉱業審議会で策定するに当たりまして、当時私もその石炭鉱業審議会の委員でございました。したがいまして、この第七次政策を骨子といたしました本法案に関しては多少の責任を感じておりますので、その点をもとにしてお話し申し上げたいと思います。
 第七次答申を通覧いたしまして、私自身が個人の立場として率直に感じましたのは、第六次答申と比較いたしまして余り新しみがない、したがってアクセントに乏しいというような感触がしております。ですから、第七次で一体何をしようかということになりますと、第六次のむしろアフターケアというような形でないかと考えております。第六次政策は私自身が関与いたしませんでしたので自由に論議させていただきますと、第六次政策は私は非常に高く評価しておりまして、しかし結局、第六次政策は絵にかいたもちで、何もしないままに第七次に流れ込んだというふうに考えております。したがいまして、第七次政策もその意味ではかなりの評価を感じております。
 以上が総体的な意見でございまして、まず合理化法の諸法の延長の問題でございますが、全体のことといたしましては石炭鉱業の現状、それからエネルギー需要の将来性、それから石油その他の新エネルギーに関する問題点、そういう点を考慮いたしますと、やはり現状段階でも石炭は捨て切れないエネルギーの重要な部分であると感じております。しかも、国内石炭産業を育成強化するという意味では、やはりそれなりに十分の意味を持っていると思います。その理由については後ほど簡単に触れておきたいと思います。したがいまして、その合理化法の延長に関しましては総体的に私は賛成でございます。
 ただし、合理化法の内容を検討してみますと、その中にはたとえば産炭地振興法とか離職者対策法とか、鉱害復旧に関する法律とか、そういったものが含まれております。これらはその合理化臨時措置法ができました当時は、確かに大きな意味を持っておりました。まあしかし、できましてからすでにかなりの年月を経過しておりまして、かなりの仕事をやっております。そのためにその地域経済その他にかなりの恩恵を与え、しかも立ち直りの気配を見せております。この辺でやはりこれらの問題はむしろ地域経済の問題、地域開発の問題といたしまして、一般会計の中に考えるべきではないか。そのために石炭会計の中でその部分に関するものを一般会計の中に繰り込み、残りを、いわゆる炭鉱自身の問題として扱う部分のみ石炭特別会計の中で処理すべきだと思います。石炭特別会計は千数百億まではいきませんが、千二、三百億の大きさを持っております。しかし、その半分もしくはそれ以上がそのようなことに使われておりまして、いわゆる石炭産業自身の前向き予算としては一部しか使われていない状態であります。一般国民から見ますと、石炭はこのような膨大な予算を使いまして、しかも何もやっていないじゃないかというような反論が出ることを恐れて、私はそのような処置が望ましいと考えております。
 三点目の国有化問題につきましては、私は原則といたしまして現在の民営、民有の形でもっと合理化すべき点はたくさんあると思います。したがいまして、もし国有化して現在の抱えております国鉄問題のような状況になったならば、果たしてその責任はどうとるべきかということを考えますと、国有化の問題については私は不賛成でございます。
 さらに、第七次政策の、これは目玉でないかもしれませんが、私としては目玉と考えておりますのは、地域近隣炭鉱の連合問題でございます。これは、ある地域に何社かの炭鉱会社が集まりまして鉱区を細分してそして不合理な開発をやっていると私は考えております。したがいまして、それらの問題を地域別に各既設の企業がジョイントいたしまして、そこに新しい会社を設立して、地域連合体として合理化された会社としてスタートをする。で、人事とかあるいは経理とかあるいは全体規模の開発の問題、重複投資、そういったものに対しての合理化を図るべきである。それの余力が次は新鉱開発に向かうものと考えております。
 現在も石炭産業、日本の炭田の中にはまだ新鉱として成り立つところはところどころにございます。それらを開発すれば二千万トンキープというのはそうむずかしい問題でないと考えております。したがいまして、それらを行うためには、これらの地域合同、これを推進すべきである。しかもそれは第七次政策の中、答申の中にうたっております。これがやはり六次の政策と同じような絵にかいたもちにならないように、何か一つでも実のあるものとして進める努力をしなければいけないと考えているわけでございます。
 それから、合理化の問題に関しまして、いわゆる安定補給金その他の傾斜配分という問題がございます。これらにつきましては、炭層傾斜、つまり自然条件、それから内陸炭鉱であるというような問題をもとにして、そして傾斜配分するやに聞いております。その内容については私はよく存じ上げておりませんが、そのように聞いております。ただ、これには炭質の問題が何か入っていないような気がいたします。炭質というのは、これは生まれつきでございまして、同じ努力、同じ資金をかけても出てくる製品というものは全く価格が違います。その辺の格差をどうするのか。私は農業のことは知りませんが、お米は、たとえばいいお米のとれるところの土地柄、気候によっていいお米がとれるのだろうと思います。それから、その土地柄、気候によってやはりいいお米がとれない場合があると思います。それらの格差をとういうふうにいわゆる農業問題としてとらえているのか。同じようなことを炭鉱の問題としても考えるべきではないかというふうに心ひそかに思っているわけでございます。
 そのほか、今回の夕張の事故にかんがみまして、やはり深部に対する保安研究の重要性ということに関しましてはもう一歩踏み込んだ考えを持つべきだ。現在はいろいろな予算でいろいろなことを政府も一生懸命やっております。われわれもそれに対して努力をしているつもりでございます。しかし、システムその他についてはまだ不十分でありますし、力を結集し得ないでいる点があると思います。
 そういう点に関しまして、今後、ここで申し上げれば試験炭鉱を付随する研究所、そういうようなものをいわゆる国の力で設立していく。やがて、先進国といえども、現在豪州とかあるいはカナダという産炭国といえども、そんなに遠い将来でなく、数十年あるいは二十数年ぐらいの後には日本と同じような状況のところを採掘しなきゃならなくなるだろうと思うのです。その前に、日本が先進国としての責務を全うするために技術を確立しておくということは私は大変必要なことだろうと思います。そういう意味で試験炭鉱を付随する研究所の設立という問題、これもやはり考えておくべきだと思います。
 以上、ちょうど約十五分弱でございますが、私のお話、一番最初でございましたのでなるべく後の人に時間を差し上げた方が有効かとも思いますので、これで終わらせていただきます。
#4
○委員長(降矢敬雄君) ありがとうございました。
 次に、稲葉参考人にお願いをいたします。
#5
○参考人(稲葉秀三君) ただいま御紹介を賜りました稲葉でございます。
 私は、終戦直後の傾斜生産政策当時から石炭政策並びにその背後にございまするエネルギー政策にかかわり合いを持って現在に至っております。そして昨年八月の第七次答申につきましても石炭鉱業審議会政策部会長といたしまして論議に参画をさせていただいた者でございます。本日はこのような立場から、これからの石炭政策のあり方につきまして、私が考えておりますことを申し述べさしていただき、後で先生方の御質問にお答えを申し上げたいと思っております。
 これまでのわが国石炭鉱業の歴史、特に第二次世界大戦後の歩みというものを振り返ってみますると、私はわが国のもろもろの産業の中で石炭産業は激しい変動の過程をたどった産業である、ちょっとほかに例が余りないのではなかろうかと、このように思う次第でございます。
 わが国石炭鉱業は、第二次世界大戦直後の数年間は傾斜生産方式のもとで、私自身もその方式をどのように推進するかということをプランをいたしましたり実際に行動いたしたりした人間でございますけれども、戦争により疲弊してまいりましたわが国経済の復興をするためにはどうしてもエネルギーの確保が必要である、石炭を増産しなければならない、そして鉄や肥料をつくっていかねばならない、このような観点から基礎産業として重責を担う、こういったような方向を推進してきたわけでございます。
 ところが、昭和三十年以降は一転をいたしまして、世界のエネルギー革今、このような中と、それから日本はいよいよ近代産業を中心に大きく発展をせしめて雇用を増大せしめていかねばならない、それにはどうしても安価なまた多量のエネルギーが要る、日本の石炭だけではとてもだめだ、このような観点から世界的なエネルギー革命というものの中で石油への切りかえとまた石炭産業の合理化、このような過程を推進していく、こういうような仕事をしてまいりました。
 ところが、最近になりましてエネルギー情勢には再び大きな変化が生じていることは皆様方も御存じのとおりでございます。御承知のように二度にわたりまする石油危機を経まして、石油価格は著しく上昇をいたしました。ほぼ十年間に二十倍上がってしまったわけでございます。石油供給の不安定性も増大をいたしました。そのために石炭をいまや世界的な規模で見直しをしていかねばならない、このようなことが進められている次第でございます。
 個人的なことを申し上げて恐縮でございますけれども、私は石油危機発生後、エネルギー問題に関する二つの世界的な会議に、日本の委員の一人ととして参加をする機会を得ました。一つは、エネルギー戦略選択ワークショップ、WAESと申しまするものであります。もう一つは、世界石炭研究会議、WOCOLという世界十六ヵ国から成る組織でございます。私は、これらの会議での欧米のエネルギー専門家との討議を通じまして、石炭の見直しが国際的な観点からいまや進められている、この点を自分の肌で感得をしたわけでございます。
 こうしたエネルギー情勢の変化、とりわけ第二次石油危機後の油炭格差の逆転といった中で、一昨年八月、石炭鉱業審議会は今後の石炭政策のあり方につきまして、通産大臣から御諮問を受け、一年間にわたりまして慎重な審議をされました。そして、昨年八月に、いわゆる第七次答申というものが取りまとまった次第でございます。
 第七次答申の策定に当たりましては、まず最初に、わが国石炭産業とこれを取り巻く環境について現状をどのように認識をしていくのか、また、将来の見通しをどのようにやるかということがやはり基本的な認識でございました。そのことを簡単に要約をして申しますると次のようになると思います。
 最近になりまして、内外炭、つまり輸入炭と国内炭の価格差が縮小基調になってまいっております。それは輸入炭の価格が上がっていく、その上に円が下がっていくと、こういったようなことによるわけでございます。そして、そのような過程で国内炭の需要も一般炭を中心に増勢を示しております。需給環境というものは好転をしつつあります。また、経理面ではこれを反映いたしまして、やや改善の兆しを見せておりますが、しかし、まだ石炭鉱業全体といたしましては、依然として赤字経営が続き、経営基盤が弱体だという事実は否めない次第でございます。
 したがって、今後につきましても、引き続きまして当分の間適切な対策の実施を要する状況にあるということが一般的な観点から言えるのではなかろうかと思っております。
 次に、これからの見通し、とりわけ需給環境をどのように評価するかということになりますが、力外炭価格差は、全体としてまだ解消するには至っていません。しかし、現在一部の需要者につきましては、国内炭の競争力が回復をいたしまして、どうも国内炭でもよいと、その方が安いと、このような傾向もあらわれている次第でございます。
 この点の今後の見通しにつきましては、審議会といたしましても二十数回にわたって検討が行われ、向坂検討小委員会委員長を中心に慎重な審議を重ねていただいた次第でございます。
 そのような結果、今後とも世界的に見てかなりの規模で石炭需要の増大が見込まれる一方、貿易商品としてまだ十分に成熟するには至っていない一般炭を中心にして、石炭の供給を増大するために産炭国におきまする炭鉱開発、それからインフラストラクチャーの整備等にかなりの投資と時間というものを必要とするということになっております。ですから、当面石炭需給は堅調ぎみに推移をするものと私は判断をしているわけであります。
 また、長期的には確かに不確実な要因は多いのでございますけれども、世界的な石炭需要の増大傾向、石油価格上昇の見通し等から判断をした場合、需給は現在よりは緩和する可能性はございます。しかし、やはり底がたい動きを示すものと考えられるのであります。
 したがいまして、今後の深部化、奥部化の進行による実質的なコストアップを、従来と同じように石炭企業の合理化努力とそれに対する政策助成とによって吸収をするよう努めていけば、国内炭の競争条件は次第に回復をしていくのではなかろうかと、このように思っております。
 その点におきまして、礒部先生のおっしゃった六次と七次とは余り変わりばえがないと、こういうことにつきましては、私は客観情勢とか、いろいろな経済の観点から申しまして、どうも石炭は相当変わろうとしていると、このように判断をいたしております。
 それから、長期間構造的な不況と赤字経営に石炭企業が苦悩してきたということは御存じのとおりでございますが、これも決定的ではございませんけれども、第七次答申を通じまして、その先行きに若干明るさが生じつつあると、このように私は思っている次第でございます。
 第二に、今後石炭利用の拡大をするに当たりまして、国内炭と海外炭の関係をどのように考えるかという問題が出ております。
 今後、将来にわたりまして、石炭需要の拡大を図るに当たりましては、需要の規模等から見まして、将来の供給の多くは海外にこれを求めざるを得ない次第でございます。と同時に、貴重な国内資源である国内炭は、産炭国の輸出政策とかストライキ等の不安定要因を抱える海外炭に比べて安定性を有しているということ、また国内におきまする雇用支えの効果、また国内炭を持っていることが海外炭の購入を有利にしている、このような事情から考えまして、私はこれを推進していくべきではないか、このように思う次第でございます。したがいまして、エネルギー供給の経済性と安定性の調和に配慮しつつ、国内炭の活用を図る必要があると考える次第でございます。今後の石炭政策は、このような考え方のもとで石炭鉱業の自立を目指すことを基本とすべきであると考えます。
 具体的な生産水準のあり方につきましては、赤字経営が続き、経営基盤が著しく弱体をしているわが国石炭鉱業の現状を考えますと、当面まず何よりも現在程度の生産水準を長期かつ安定的に維持する必要が第一の課題であると思っております。それを基調にして今後石炭企業の体質改善や石炭需給環境の好転等、諸事情の成熟に伴いまして、将来におきまする二千万トン程度の達成を目指すという基本的な考え方のもとに石炭企業労使の自助努力、政府の施策、需要業界の協力という三者の協調がなされるべきであると考えます。
 第三に、具体的な対策の中では、特に価格のあり方が重要な問題であると思っております。
 国内炭の価格を考えまする場合には、安定的な生産を維持するためには、石炭企業の収支が償うことが望ましいわけであります。それと同時に需要業界におきまする安定的な引き取りを確保するためには、市場環境にも十分配慮する必要があります。このため、国内炭の生産費と競合財の価格を考慮して基準価格を定める現行制度を続けていくのが妥当であると、このように考えております。
 なお、申し上げるべき点が保安の問題、それから生産費の問題等についてございまするけれども、すでに十五分という時間が参りましたので質疑のところで御報告申し上げますが、どうかということを委員長にお伺いいたしたいと思います。
#6
○委員長(降矢敬雄君) 若干伸びましても、短時間ですとひとつ御説明をいただきますか。――
#7
○参考人(稲葉秀三君) 簡単に御報告させていただきます。
 合理的な生産費というものを基礎にしながらどのようにしていくのかということが今後の問題でございまして、私は石炭鉱業審議会の需給部会長と、それからその基準炭価を決める部会の仕事もお手伝いをいたしまして、これが言うのと現実とがいかにむずかしいかということを身をもっていままで体験をいたしております。そのような価格設定とあわせまして現在立地条件及び自然条件の差異等もございまして、炭鉱ごとに損益面で格差が生じているということは礒部委員がすでにおっしゃったとおりであります。と申しまして、安定補給金を大幅に増幅をするということが目下の財政上なかなかできないと、このようなことからいたしますると、やはり安定補給金の傾斜配分と、こういったようなことが重要ではないかと思っております。
 それから最後に、これは後で先生方からいろいろ御質問があることでございますけれども、私たちは過去におきまして石炭生産につきましては保安の問題というものは最重点の問題だと、このような観点に立ちましていろいろ検討を進めてまいりました。そのような観点から申しますと、昨年十月の北炭夕張炭鉱のような事故というのは、その前にもいろいろ会社の資料をいただきまして経理審査会で検討もし、むしろ縮小ぎみ、安全体制をとっていくべきだということをいろいろ委員会として勧告をいたしました次第でございますが、不幸にしてあのような事故が起こったということを思いいたしますと、今後につきましては、そういう事故を二度と起こさない、こういう決意で事業が進められていく、このようなことを期待をしておりまして、そのような観点に立ちまして私は今回の法律改正案を支持いたしたいと思っております。
#8
○委員長(降矢敬雄君) ありがとうございました。
 次に森田参考人にお願いをいたします。
#9
○参考人(森田久雄君) 石炭労働三団体政策推進会議の森田でございます。
 本日は、炭労、全炭鉱、炭職協、炭鉱の三つの労働組合を代表いたしまして意見を申し述べる機会を与えていただいたことについて厚くお礼を申し上げたいと思います。
 私たち石炭労働三団体としましては、このたびの第七次石炭政策の答申案審議の過程で多くの意見を申し述べてまいりましたが、答申内容は多くの点で不満と不安を残したものとなっていると言わざるを得ません。しかしながら、答申案作成の段階で私たちの意見も何回となく聞いていただきましたし、答申案の中身として御理解をいただいた多くの点もあるわけでございますから、この際この答申内容を最低のものとして中身をより充実をしていただいて実行をお願いしたいと考えております。
 したがいまして、私たち石炭労働三団体としては、第七次石炭政策の実施に当たっては確実に、しかも責任を持って実行すること、そのためには関係法律の整備と予算の確保を初め諸対策の充実と強化が必要となると思うのであります。
 その対策の第一として保安体制の確立についてでありますが、いまさら申し上げるまでもなく、保安の確保は石炭産業を維持していくための基本となるものであり、おろそかにすることはできないと考えております。私たちとしても全力を挙げて取り組む決意であります。諸先生御高承のとおり、これからのわが国の炭鉱は深部化、奥部化の一途をたどることになり、石炭採掘現場が深く、遠くなることによってガス突出、山はね、自然発火等の重大災害発生が懸念され、ガス量、湧水量の増大、温度上昇などによる作業環境の悪化が予想されるため、次のことが必要と考えられます。
 一、国において保安確保に対する助成を拡大する等の諸対策を講じていただきたい。
 二、深部化、奥部化による保安技術の確立のために国において保安技術センターの強化、充実並びに研究開発費の拡充を図っていただきたい。
 三、石炭産業の安定的な保安、生産体制を確保するため、技術者及び熟練労働者が定年、自己都合退職等によって減少傾向にありますが、補充、育成を図るために既存教育機関の拡大強化及び国の養成機関を設置する等、対策を講じていただきたい。
 対策の第二として生産体制の確立についてでありますが、国際的なエネルギー事情によって石油代替エネルギーとして石炭の見直しが叫ばれてきましたが、このたびの第七次石炭政策の答申でも石炭の利用拡大を図り、国内炭の重要性を再確認し、二千万トン程度の生産水準を維持していくことになっておりますが、石炭労働三団体としてはこの数量表理は不満とするところであります。しかし、私たちとしてはこの数字は将来拡大生産を目指し、二千万トン以上ともなり得る基礎となるものと理解をしております。
 したがってそのために、一、各炭鉱坑内の広域化並びに深部化採掘に対処するため、坑内骨格構造の改善、機械化の促進、採炭掘進技術の研究開発等について、国による助成拡大、行政指導の強化を図っていただきたい。
 二、将来にわたって二千万トン体制を確立するために現有炭鉱の若返り対策を講ずるとともに新鉱開発の促進を図っていただきたい。
 いま国会で審議中の政府予算案では石炭資源開発調査委託費として十八億四百万円で北海道の陸上五ヵ所、九州で海底二ヵ所の石炭埋蔵量調査を行うことになっておりますが、もっと大々的に進めるとともに新鉱開発について国が積極的に行うべきであると思います。
 三、消滅鉱区の再開発については、国内資源の有効活用と深部採掘への意向を緩和するためにもぜひとも必要であり、いままでも一部消滅鉱区での採掘が認められてきましたが、今後は思い切った緩和策がとられるように法律の改正をお願いしたいと思います。
 対策の第三として、国内炭の優先活用と企業経営基盤の確立についてですが、石炭企業は国の手厚い助成を受けてきました。これがなくなった場合、一日として生き残れる炭鉱は存在しないと言っても過言ではないと思います。このたびの答申でも、企業の合理化努力、自助努力を前提としておりますが、石炭労働三団体としては、それなりの理解はしているつもりですが、いままでも私たちとして許容でき得る限りの合理化、その他について協力してきましたが、なおさらにと言われたときは、努力はいたしますが、非常に困難と言わざるを得ません。これ以上労働者の負担が大きくならないように配慮をしていただきたいと思います。
 そのために、一、総合エネルギー対策の立場から、国内炭優先活用の原則を確立するための諸対策を講じていただきたいのであります。
 二、石炭企業の経営基盤を安定させるため、生産費を償い再生産を可能とする炭価水準を確保することを基本とした炭価決定のルールを確立していただきたい。
 対策の第四として、ここからは労働省の所管事項となるかと思いますが、労働力の確保問題であります。
 石炭産業の安定的な保安、生産体制を確立するために労働力の確保を図る必要は当然のことではありますが、にもかかわらず、技術者、熟練労働力の減耗が増加傾向にあります。五十六年度五十五歳定年退職だけでも一千名ほどになっており、これを加えて二千六百名ほどの退職者がありました。新採用は二千百名ほどでしたので、差し引き五百名の減耗となっております。平均年齢も四十二・二歳と高齢化しており、このままでは近い時期に質、量ともに問題が生じ、保安並びに生産面において制約条件となることは必至であります。したがって、次の諾対策を講じていただきたい。
 一、本来、具体的な労働条件等については労使間の問題でありますが、石炭企業の経営基盤の安定を図り、将来展望のある石炭産業とするには、国の助成、行政指導の強化がまたれるわけであり、特に若年労働力の確保のため、地下産業にふさわしい労働条件、福祉条件となるように御指導をいただきたいと思います。
 二、これも本質的には労使間の問題であろうかと思いますが、石炭産業の労働時間が他産業よりも年三百時間も多くなっていますが、これは深部化、奥部化によって坑口から切り羽までの所用時間が平均八十五分もかかっているため、作業量消化の必要に迫られていることによりますが、ますます長時間労働となる現実を直視して、早急に労働時間短縮のための行政指導を強化していただきたい。
 三、技術者、技能者を養成するために、既存の諸制度を活用するとともに、鉱業学校への助成強化と新たな教育機関の設置などについて促進していただきたい。
 対策の第五として、炭鉱離職者対策としては、今日まで労働省初め自治体など関係方面の御努力によって、閉山のために生活の場を失った多くの労働者が救済されてまいりましたが、心から感謝申し上げます。いまだに九州、北海道を中心に多くの方々が苦労しておりますことに留意されて、炭鉱離職者臨時措置法の延長と離職者援護活動等に対しまして、必要な財源措置を講じていただきたい。
 次に、北炭夕張新鉱の再建問題についてお願いをしますが、昨年十月十六日に犠牲者九十三名という戦後三番目という大事故を引き起こし、関係する皆様方に多大の御心配、御迷惑をおかけし、全国民に大きな衝撃を与えたことについておわびを申し上げます。殉職された方々の御冥福をお祈りし、いまなお坑底深く眠る遺体を一日も早く御家族のもとに返すよう全力を挙げているところであります。今年に入りまして作業も順調に進んでおりまして、昨日まで三十一名の遺体を収容し、残り十八名となっておりますが、近日中に完了するよう全力を挙げてまいりますので、よろしくお願いをいたします。
 復旧再建のため関係者全員が死力を尽くしているとき、昨年十二月十五日、北炭経営者は突如として会社更正法適用を申請するという暴挙を行ったのであります。
 その後、政府、国会を初め関係各位の御努力にもかかわらず、夕張新炭鉱の危機的状態はなお続いているわけでございます。会社再建を図る当面の責任者となるべき管財人がなお決まらないのは、夕張新鉱の再建は非常にむずかしく厳しいものであるからにほかならないと思います。
 石炭労働三団体といたしましては、石炭政策上からも、また貴重な国内エネルギー資源を確保するためだけではなく、地域の崩壊ともなる閉山という最悪事態だけは何とか食いとめていただきたいと思います。夕張新鉱の復旧再建に向けて、私たちとして労働組合の立場からもでき得る限りのことはする決意であります。政府、国会において資金援助を含めたあらゆる対策を講じていただきたいと思います。
 以上、石炭鉱業合理化臨時措置法を初めとする関係法律案の整備、延長について、石炭労働三団体政策推進会議として簡単な意見を申し上げて終わります。
#10
○委員長(降矢敬雄君) ありがとうございました。
 以上で各参考人の御意見の開陳は終了をいたしました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○阿具根登君 お忙しいところ、お三方本当にありがとうございました。特に礒部先生は何か急ぎの御用があるそうでございますので、なるべく簡単に御質問申し上げたいと思います。
 御三方の御意見を拝聴いたしましたが、御三方とも第七次答申を中心にした造詣深いお話をいただきまして本当にありがとうございました。
 まず、礒部先生にお伺いいたしますが、今度の第七次答申の目玉であるというのは近隣鉱区の緩和であると、こう言われましたんですが、私は全くそれに賛成なんです。なぜかならば、朝日炭鉱というのがありましたが、これが閉山になります場合に、この鉱区が北炭の鉱区であったわけです。北炭の鉱区を譲ってさえもらうならば、朝日炭鉱は閉山せずに済んだんです。しかも、選炭機も新しい選炭機が据えつけられ、住宅も完備されておったわけで、これは通産省も、私らも中に入りまして、そして閉山すべきではないということを決めたのでございますが、鉱区を持っておる北炭がどうしても許可しなかった、だから残念ながら閉山のやむなきに至りました。その後掘るということもなく捨てられた形になっておる、そういう苦い経験を抱いておりますので、この近隣鉱区の緩和というのはきわめて私は、今後の出炭に対して希望の持てる線ではなかろうか、こう思います。しかし、たとえば住友の赤平の問題を考えてみましても、隣接鉱区には入られますけれども、炭層が違って相当な時間を要する、こういう点もございますので、これで安心だということは言われないわけです。
 さらにもう一つは、いま森田参考人からも言われましたが、皆さんにも一番御心配をいただいております北炭新鉱につきまして、炭鉱試験研究所をつくらねばならぬ、こういうことを礒部先生から言われました。これも全く賛成です。しかし、その前に、北炭の新鉱の今度の災害を見てみても、これは保安対策が万全であったろうかということを考えてみます場合に、決してそうだと言えないんです。これは当局の手で調査されますから私たちがここでどうだこうだということは避けますけれども、私たちの耳に入っておるだけでも大きな手抜かりをされておる。ガス抜きも完全にされておらなかった、しかも赤字に追われて何とか黒字に転換しなければならぬという焦りがありありと見えておる、こういう状態でございますので、この点も十分考えていかねばならない、こう思うのです。
 そこで、礒部先生は北海道の大学でございまして、特に北炭につきましては何回も現場に行っていただき、造詣がお深いので、かねがね感謝申し上げておりますが、きょうの新聞を見てみますと、石炭協会が新会社をつくるということを発表いたしております。
 実は私は、昨夜有吉会長にも会いまして、そして北炭の問題を御相談申し上げてきたばかりでございますが、それによりますと、今日この時点まで北炭の会社は平安八尺層から日産三千トン以上の石炭が出るという計画を立てられておるわけです。ところがもう、この石炭協会がきょうの新聞で発表しておりますのは、それすらもだめだと、二千トン出ればまあまあいい方だろう、こういうことを言われておるわけなんです。そうすると、これは相当な人員減少。あるいはこれに言われておるように、これの裏を考えてみるならば、もう北炭ではだめですよ、そのかわり新しい会社をつくって、そしてやりましょう、あなた方労使双方ではとてもだめだというようなにおいがするわけです。それで私は、新鉱に入ったことはございませんのでわかりませんけれども、まあ礒部先生のこの北炭再建に対するお考え方がございましたら、ひとつ御指導を願いたい、こう思っております。
 それから、稲葉先生に御質問申し上げますが、稲葉先生は確かにこの石炭問題についてはもう長年御指導していただきました。七次答申も私、感謝申し上げております。実際は一千八百万トンしか出ない。だから、一千八百万トンにすべきだという声が非常に強かったことも聞いております。それを先生方のお力で、とにかく会社にも組合にも力を与えてやらなきゃいかぬから二千万トンという名前だけは残しなさい、こういうことで二千万トン程度というのが答申された、こう伺っておりまして、これも感謝申し上げております。
 一、二の例を申し上げてみますと、たとえば先ほど申し上げました住友赤平、非常に急傾斜で、同じ労働条件でないために、どんなに苦労しても赤字が続いて同じ炭鉱の労働者でありながら、賃金も差をつけなければならぬ。こういう状態に追い込まれております。さらにこの空知地区はほとんど急傾斜でございますので、三井の砂川、芦別もそのとおり、どんなに働いても赤字から脱することはできない、こういう状態にあります。さらに三菱の高島もいまやっと、まあ平均的なところに来ておりますが、この十数年間というものは本当に赤字に苦しんできた山であります。そうしますと、各社がそれぞれきわめて深部になってきた。これは森田参考人が言われましたようにさらには急勾配、そうして十八億余りの予算が今度ついておりますのも九州二ヵ所ということを森田さんも言われましたけれども、これは全部海底の探査なんです。そういう状態の中でありますので、労使とも非常に私は苦労しておると思うのです。でこれに対しましても特別会計で一千二百億から一千三百億の補助金が出ておる。一企業にそんな金がどこに出ておるかと、こう私たちも自分に自問自答しながら、そうしなければやっていけないのが現実じゃなかろうかと、こう思って賛成もいたし、お願いも申し上げておるわけなんです。
 そういう点から稲葉先生の御意見の中で、一般炭について産炭国に対する考え方がというような御意見があったと思うのですが、日本はそういうふうで、日本で新しく炭を掘るというならどこだろうかということを考えてみます場合に、北海道に一、二はありますけれども、この法律のように、近隣の鉱区を利用するなら別として、新しく穴を掘ってやるとするなら莫大な金がかかる。そうすると、いまの事業形態の中でそういうことができるだろうか。そうするならば勢いそうじゃなくて、日本外の炭鉱に資本が流れていく、その方がやりやすい、こういうようなことになっていくかと思うのです。それをちょっと言われたと思うのですが、それも一つの策かもしれないけれども、私は日本の炭鉱を多少金がかかっても日本で開発し、持続させねば、いま安易な外国炭に頼るとか、日本でもいまはほとんどオーストラリアとか、カナダ等に投資しております。しかし、長い目で見る場合にそれが日本の経済に本当にいいだろうかと思う場合に、非常に心配をいたしておりますが、その点についてひとつお考えをお示し願いたいと思います。
 森田さんもせっかくお見えになっておりますが、これは組合からの要望でございますから、私もよく了解いたしております。それで森田さんに対する質問は、一応きょうはやめておきたい、こう思います。お忙しいところ、簡単で結構ですからお示し願います。
#12
○参考人(礒部俊郎君) ただいまのお話につきまして、私なりの意見を申し上げたいと思います。ただし御質問の趣旨は、北炭新鉱の保安は万全であったかということと再建についての考え方、それの二点のように承っておりますが、それでよろしゅうございますか。――それでは申し上げたいと思います。
 北炭新鉱につきましては、私あの炭鉱が全くまだできない以前、いわゆる青写真もまだ書かれていない以前からその企画に多少は参画をしておりました。そのときに、その企画に対しまして現在の坑内の骨格構造というものは三転も四転もしております。それらのすべての案に対して私は不賛成を唱えていたわけでございます。その後いよいよ開鉱するに当たりまして、当時石炭鉱業審議会の有力メンバーでありました、現在はおられませんが、土屋薫さんが――土屋委員会というような名前で呼ばせていただきますと、それが札幌に二、三回参りまして、私どもはその配下の委員といたしまして、北炭新鉱の状況につきましてどう考えるかというような開設のための意見を求められ、そこで大綱方針を決めるというようなことになったわけでございます。そのときに北炭のいろいろな説明がありました。それらに対しましても、これは私はほとんどすべて反対でございました。なぜかと申しますと、一つは炭層状況をよく調査しないままに非常に過剰な投資を行う、過剰な投資というより過剰な生産量を期待しております。その期待していた生産量に対しまして投資金額が余りに少ない、しかも工事期間が余りに短い、したがって、でき上がった坑内というものはきわめて不完全なものになってしまうでありましょう。しかも保安上、生産上いろいろな障害を持つ坑内ができ上がるでありましょう。言うならば、もっとどぎつい言葉を使って申しますと新鉱でなくて、新鉱ができ上がったと同時に古洞である、北炭古洞と名づけた方がよろしいというようなことまで申し上げた。しかし当時の相手は、当事者は北炭でございますので、それを強行したのがあの骨格構造でございます。したがいまして、それから後は数年の間ただの一回も目標生産を達成したことはありません。
 私、ざっと現採掘区域の面積とそれから炭層の厚さ、それを掛け算いたしましてほぼどのぐらいの炭量を、いまの事故を起こした区域でなくて、その上部に対して期待していたかということをざっと計算してみましたら、約八百万トンぐらい考えられます。その八百万トンの埋炭量に対しまして八〇%程度の実収率を考えたとしても六百万トン余の生産が可能だということになるわけであります。それに対しましてはぼ半分、三百万トンぐらいで、もはや深部に展開せざるを得ない。これはいわゆる鉱山保安法の恐らく第一条だと思いますが、保安の骨子というのは完全採掘ということをうたっております。それにまさしく反する事象ではないか。そのようなことがなぜ行われたか。これはやはり、技術というものは一体全体どういう意味合いを持っているのでありましょうか。そこに存在している宝物をいわゆることごとく地表に持ち出す最大の、しかも最も合理的な手段を選択することが技術ではないのか。いわゆる量さえ上げればよろしい、そして何とかその場をつないでいこうというようなことに対しての問題点が介在していたわけでございます。現在もいわゆる新鉱の西部方面では、一つの切り羽しか動いておりませんが、やはり三つぐらいの切り羽を動かそうという案がございます。しかもその一つの切り羽を動かすのにかなり多数の坑道を保持しなければならない構造になっております。もう少し考えると、大多数の坑道を整理いたしましてそうして坑道全体を合理化するというようなことが可能であると思います。
 これらのことは、よって来るところは何であるか。私は、やはり先ほど稲葉さんが申し上げましたけれども、一つは、石炭政策の策定に当たって技術というものを軽視した結果でないか。要するにここに炭量があればそれを掘り尽くせば次のステップでは深くなるんだということを技術は知っております。しかし、需給とか価格はその事実は知らないわけです、結果において知るだけであります。深部になったから研究せいと言うだけであります。技術はその場合に深部に展開する時期を知っております、それに対してどうしなければならないかということを知っております。それらのことに対して石炭政策は何らとは申しませんが、ほとんど考慮が払われませんでした。したがいまして、第七次案を策定するに当たって、向坂委員会の構成につきましては私は、役所のOBと、それからジャーナリストで集めた委員会では困る。それは少なくとも技術という問題を考慮の上に立たなければいけないということを再三申し上げましたが、結局取り上げられなかったわけであります。そういったいわゆるその体質構造、それが北炭に浸透してやはり一つの災害というものに、直接は結びついたとは思いませんけれども、しかし、結びつかないというふうに断言できるとは思いません。今後やはり日本の炭鉱の深部化というのは、そういったいわゆる技術を無視した政策推進の中でかなり大きな責めを負うべきであるというふうに私は考えております。
 それならば一体北炭の再建は可能かどうかということでございますが、私は再建は条件によっては可能であると考えております。どういう条件かと申しますと、現在採掘している上部部分にはかなりの残炭がまだ残っております。これらの残炭は自然発火の危険は多少はありますけれども、ほとんどガスは抜けております。それでガス突出等の危険はありません。坑道の配置がえさえ行えばそれらの採掘は可能であります。それらの残炭を整理して、その間において平安八尺層あるいは新北部に対する採炭と坑道展開を確実にやるべきじゃないか。それは二千トンであるか三千トンであるかいまだれが言えるのか。私は、そこで坑道を展開してみて、ボーリングをやってみて、炭量を押さえて、計画を立てて切り羽をつくってみて初めて二千トンであるとか三千トンであるとかという答えが出てくる。いま何をもって二千トン、三千トンというそういう数値を出したのか。平安八尺層を、私は前から採炭しなさい。どうせ立て入れに出ているんだから、いまのうちに採炭をしてそのたたずまいをつかんでおきなさいということは再三話しなけれども、幸か不幸か立て入れに出てきている平安八尺層の炭面が悪いためにそれは行われないで今日に至っております。いまさら新しく立て入れを切ったところが悪かったからそれはすべて悪いという断言はできませんから、やはり採炭がぜひ必要な問題であると考えております。
 私は、いわゆる坑内展開というもの、採掘というものは一種の包囲せん滅戦だと、すべての坑道によって炭層を確認して、その中に包み込まれた石炭を一トン残らず掘り上げる、これが技術であります。価格とか需給とか、それはその後についてきても構わない。必要がなければ掘らなきゃいいので、必要があれば技術の力でそれだけの量を掘り上げればいいわけであります。山を壊すのも興すのもまさに技術であります。
 したがって、その意味では、その北炭の再建は技術的に見れば可能でございます。
 以上でございます。
#13
○参考人(稲葉秀三君) それではお答え申し上げたいと思います。
 しかし、阿具根先生にまずお聞きをいたしたい主要点といたしまして、第一に、今回の第七次答申では千八百万トンの現状を二千万トン前後まで上げたい。そして、それを達成した上でいろいろな条件あるいは内外炭格差というものをもとにして、またいろいろ時間的な経過もありますから、二千万トンプラスアルファの方へ持っていく、こういう政策を答申をしているようだけれども、もっと国内石炭の安定性から言えば、その点に対する配慮が、決して全部否定をするわけじゃないけれども、もっと大きくすべきじゃないかと、こういうふうな御意見に対してお答えをいたすればよろしゅうございますか。
#14
○阿具根登君 はい。
#15
○参考人(稲葉秀三君) 確かに先生のおっしゃったような面があると思います。
 しかし、私たちは、初めおっしゃいましたように千八百万トンでいいじゃないかという現状を、だんだん日本としては石炭を使っていかねばならぬ、この点も御存じだと思うのでありますけれども、まあ三、四年前にエネルギー総合調査会でつくりました目標は、昭和六十五年に輸入炭を一億六千五百万トンといたしております。それに国内炭を合わせますと一億八千五百万トンの石炭を、日本は原子力もやる、ほかのものもやることと並行してやっていかねばならないと、こういうことになりますから、やはり筋から申しますと、国内炭は重要視をするけれども、やはり輸入炭というものを配慮しないでは、どうも日本のエネルギーの問題、石炭の問題というのは考えられないのではないかと、こういう見方、考え方を私たちは原則としてとっていって、そしてそれに対しまして、やはり条件も国際情勢も変わってきたから、ひとつプラスの方向へ進んでいこうじゃないか、こういったような方向が出たのではないか。
 また、そのような角度に立ちまして、先ほど先生のおっしゃいました、ある程度閉山鉱区につきましても、その一つが増産をしていくという場合において、これも認めていこうじゃないか、こういうことをやったわけでございます。
 そこで申し上げたいのは、実際は確定的ではございませんけれども、輸入炭が一体どの程度の量、どの程度の値段で入ってくるかということであります。これは国際会議でも私たちいろいろ議論をしたのでございますが、遺憾ながら一九八五年、一九九〇年、二〇〇〇年において一体どのくらいの石炭が各国から掘られて、そしてどういう形で輸入できるかということにつきましては、余りにもやはり専門家の間に見方、考え方の相違がございまして、やはり確定的には言えなかった。しかし私たちはそういうことを配慮をしながらある程度石炭への転換、こういったようなものをやったのが以上の数字でございますが、さらに、最近の状況から申しますと、現在私はそれに直接関係をしておりませんけれども、通産省ではエネルギーの将来を見直されまして、最近新しいもっと低い水準が公表になるということでございますから、その中で全体のエネルギー並びに石炭がどのようになるかということを別途ひとつ御論議を賜りたいと思っております。
 その次に、私たちは国内炭を増産するといたしますると、やはり赤字経営の会社、こういったようなことから申しまして何らかの形において外からの誘い水が必要ではないか、その点は先生の御指摘のとおりでございます。
 ところが、現状から申しをして実は過去のようにその石炭を新しく開いていくということに対しましてその誘い水がいまの日本の経済並びに財政状況から申しますと、なかなか出しにくいということも、また、これも、私よりここにおいでになる先生方も御存じのとおりであります。つまり、現在千四百億円弱のお金が石炭特別会計に出されているわけであります。そのもとは何かと申しますと、実は石油から取っているわけであります。確かに二十数年前にはエネルギー革命の結果、石油に転換をするから、石炭は高い、だから、ある程度石油からお金をいただきまして、そしてその差を埋めるということは、実は合理的な政策であったのであります。
 ところが、去年、今度は石油産業がまた潰滅しそうだということになりまして、私、それの委員長を半年ばかりやらされまして、そうしてもうつまり三兆円に上る石油からの税金負担というのは考え直してほしい、こういう問題が起こりました。
 もう一つ、これは先ほど礒部先生のおっしゃったことと関連をするわけでございまするけれども、千四百億円のうちで五百数十億円というのは、すでに九州では、松島とかそれから三池はまだ動いておりますけれども、ほとんどなくなりましたその石炭の埋没対策のために今後毎年やはり五百億円ずつ出していかねばならない、こういうことになっております。これはお調べになればおわかり願えると思います。それをできるならば私は一般会計に振り替ていただいてそのお金をひとつ傾斜性を考えながら進めていく、こういったようなことができるかできないかということが一つの問題点だと思いますけれども、実はこの問題はまだこれから真剣に配慮をしていかねばならぬ問題だと思っております。
 森田先生がおっしゃいましたところにも私は原則としてついていきたいと思いますけれども、やはりエネルギーのバランスとか財政のバランスというものを考えますと、そういう状況のもとにおいてどんどん石炭に出していくということがいかにもむずかしい。したがって、そういう現実的な状況を考えながらひとつ国内炭をふやしていくということに努力をさしていただく、これが私たちの行うべき任務ではなかろうか、この程度の考えしか申し上げられないので、まことに失礼でございますが、政策に直接間接関係をさしていただきまして以上の点を感じてまいったということを御報告申し上げたいと思います。
#16
○岩本政光君 参考人の諸先生におかれましては、大変お忙しい中御出席をいただきまして、いろいろとお話をいただきまして、私からも心から感謝とお礼を申し上げさしていただきます。
 時間も余りありませんので、私は、礒部先生、稲葉先生にお伺いをさしていただきたいと思います。
 冒頭に、私、実は北海道の出身であります。したがいまして北海道の立場から、この石炭問題について非常に関心を持っておりますし、日本全体にとっても、いまお話がありましたように大変大事なことだというふうに信じております。そして、今般出されましたこの七次石炭政策につきましては、それだけに地元としては非常な期待を実は持っているわけでございますが、残念ながらその後、先ほどお話がありましたように北炭夕張の事故の問題もありまして、一体これで石炭の将来性について救っていけるのかどうかという不安感がその後に出てきておるものですから、そんなことを踏まえまして、いまいろいろなお話がありましたから、二、三の点につきまして率直にひとつお伺いをさしていただきたいと思います。
 稲葉先生、ちょっと時間が必要だということなものですから、お先に大変恐縮ですが、お話を伺わさしていただきたいと思いますし、この機会に、稲葉先生はときどき北海道に来られまして、いろいろな将来についての御意見をいただきまして、感謝とお礼を申し上げさしていただきたいと思います。
 その第一は、やはりいま阿具根先生からもお話がありました、先生からもいろいろなお話がありましたが、私からもどうしても聞いておきたいのは、国内炭のやはり位置づけということが問題点でありまして、その中の問題で具体的にちょっと気にかかりましたことをお伺いいたします。
 その一つは、先ほどもお話がありました、非常に炭鉱が深部化といいますか、奥部化、もうとにかく千メーターラインという、北海道のラインが下がりつつある、こんな中でこの答申を読んでみますと、先ほどもお話がありましたが、経済面だとか保安面だとか、そういう点から非常な困難なむずかしい状態に入り込んできている。そういうことの中で、これからの先行きがどうなっていくのだろうか。特にそれに関連しまして、先ほど礒部先生からもお話がありましたが、いずれにしても合理化でもっていろいろなものをコストアップの点を吸収していきたい、こういうようなことが書かれているんですが、本当に合理化で吸収して生き残っていけるだろうかという、そういう不安がやはり具体的にありますものですから、率直な御意見をこの際お伺いさしていただければ非常に幸せだと思いますし、また、いままでに政策がいろいろとられてきましたが、実際には地元ではどんな政策をこの後用意してくれるのだろうか、そんな期待も持っていまして、これは当然政府、私たちがやらなければならないのかもしれませんが、先生の御意見をこの際聞かさしていただきたい。つまり、簡単に言いますと、一つの問題は、国内炭の展望と位置づけ、こんなところで御指導をいただければ非常に第一に大変幸せだと思います。
 それから二つ目なんですが、これも先ほど先生からお話がありましたし、阿具根先生からもお話がありましたが、何といっても国内炭価のあり方ということについて非常にやはり私どもは関心を持っているような次第でございます。七次の石炭政策の理念に基づいて企業が徹底した努力をしていく、こういうようなことについての期待も非常に大きいわけですが、そして、そういう中で早期に経済性を回復することが果たしてできるのか、非常に困難性があるのではないか、私はそういう点では非常に期待しがたいんではないか、炭価問題がやはり今後大きな政策のポイントだなというふうに考えるものですから、そんな中でちょっとお伺いしたいんですが、炭価を決めるときの炭価水準の問題につきまして、少し細かい問題になりますが、需要業界といいますか、そういうところの声などもいろいろ強く働いて、買い手ということになるかもしれませんが、石炭企業の経営の側に不安定になっているのだという意見がときどき地元であります、その買い手側の話がちょっと出てまいりまして、そういう問題でもちろん石炭業界の自助努力も非常に必要でありますが、これらの関係も十分考えていただいて炭価を決めるルールを定めるときの意見、そんなことで答申の中でどんなような配慮といいますか、審議会等でも意見が交換されたかどうか、この点につきましてもしお伺いさしていただければ非常に幸いだと思う次第でございます。
 なお、もし時間がありましたら例の大体定着したという電力用の石炭の問題の価格を除外されておりますが、これは本当に混乱が起きないだろうかどうかという不安も一緒に持っているものですから、その辺の考え方もちょっとお話をいただければ私としては非常に今後にとりましていろいろな示唆の対象としてがんばっていけるのではないかと思いますので、ひとつぜひその辺の内容についてお知らせを願いたいと思います。
 それから北炭問題につきまして礒部先生にいろいろと御指導いただきたいと思います。
 先生は北海道はもちろんのこと、日本の地下資源のことにつきまして大変な御指導と御活躍をされておると聞いております。きょうもこうしていろいろと御指導いただく機会をいただきまして心から感謝とお礼を申し上げさしていただきます。
 私もやはり一番関心事は、夕張新鉱の再建の帰趨がどうなるか、これは地元民も含めまして、先ほど来もお話がありましたし、前回にも対馬先生からもいろいろなお話があったところでありまして、管財人その他の問題が目下の急務でありますが、私といたしましてはそれはおきまして、また先生にこのことをお尋ねするにつきましては、災害の原因究明がまだ未了になっておりますから、こんな段階で聞くことは非常に申しわけないと思いますが、ぜひせっかくの機会ですから、先生の御意見を率直にひとつお聞かせを願いたいと思います。
 その内容は、先ほども少しお話があったんですが、問題は、あの炭鉱の自然条件といいますか、環境、少しお話があったんですけれども、先生は本当にどのようにほかの炭鉱と比べてお考えになっているだろうか、どういうふうにこの炭鉱を評価されているだろうか、率直に言いましてそういう基本的な問題をもしお聞かせ願えれば非常に幸いでございます。
 そしてまた、これらの条件の上に立ちまして先ほど若干お話がありましたけれども、再建の問題点、若干いま技術という先生からお話がありましたが、しかし技術のほかにももし先生がいろいろと考えられる点がありましたら、せっかくですからひとつ御披露いただきますと、私たちなりにまた議論をしていけるのではないか、こんなことを考えたような次第でございます。
 特に、阿具根先生からもお話がありましたが、保安という問題につきまして非常に大事だと、実は私たち委員会も視察に行ってそれぞれの現場も見せていただきました。集中管理装置のあの部屋の中の問題もあれでいいのだろうか、こういう問題もありましたし、先ほど研究所のお話がありまして大変すばらしい御示唆をいただき、御指導をいただいたのですが、とにかく急ぐことなものですから、そういうことで私は大変素人ですが、もっと自動化ができないのかとか、このごろロボットなんという話も出ておりまして、そんなことについてこういうものにもちろん電力を使えない、ニューマチックといいますか、圧搾空気を利用しなければならぬ、そういうむずかしい立場にあろうと思いますが、もし時間がありまして、その点もちょっとでも触れられれば非常に私どもとしてはこれからの近代化についていろいろと議論ができるのではないかと思う次第でございます。大変率直な質問の内容になりましたけれども、もしできればこの中で御指導いただきたいと思う次第でございます。よろしくお願いいたします。
#17
○委員長(降矢敬雄君) 稲葉参考人からお願いをいたします。
#18
○参考人(稲葉秀三君) それじゃ三点につきまして私の意見を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、国内炭のあり方でございますけれども、御存じのように昭和五十五年度の実績は千八百万トンでございます。しかも、その中には北炭のやつが入っておりますから、恐らく現実はそれよりは百五十万トンか二百万トンは下がる、それが率直に申しまして現実の出発点であります。そして私たちは、でき得るなれば、まず千八百万トンを早期に回復したい。しかし、先ほど礒部先生がおっしゃいましたように、二度と大きな災害を起こしたくないという点におきまして、いままでも経理審査会その他におきましては、技術を中心に、むしろ会社から持ってこられました案を縮小していただく、こういう方策をとっておりましたが、縮小ということが本音ではなくて、やはり安全性と技術というものを中心に、どのようにしていくのかということをやりたいし、その次の段階では二千万トンに到達をしたい。
 他方、やはり問題は輸入炭でございますけれども、輸入炭は、原料炭はいままで日本は余り重い原料炭がないものですから外国からどんどん輸入を認められておりまして、六千万トンぐらい入っております。ところが、一般炭は、国内炭を保護するという観点におきまして、実は輸入をしないというのをたてまえにいたしまして、特別の場合を除きましては輸入をいたしません、こういうことをいたしました結果、まあ現実に最近の時点でも昭和五十三年度は百万トンぐらいの輸入しかいたしておりません。それが、先ほど私が申し上げました客観情勢の変化というものもございまして、暦年ではございますけれども、去年の一月−十二月の間で一般炭だけで千百六十万トンの炭が入っているということは、やはり油が高くなって今度は石炭を使う、こういったようなところにいわゆる需要動向が向いてきたということであります。そして、需要動向が向きました主力というのは何かと申しますと、主として北海道を中心にして紙パルプがそちらへ行っていただくとかセメントが行っていただくとか、セメントにつきましては日本じゅうがほとんど全部石炭に転換をしていただくとかということになり、さらに私たちは将来一般炭の輸入の八〇%あるいは八五%は電力が使用するものだと思っております。しかし、電力の発電所をつくるには、実はこれに先立ちまして、すでに五十三、四年ごろから九州を中心に電力を使っておりましたが、やはり先ほど御報告申し上げました通産省のおっしゃっている火力発電、石炭発電の規模拡大というものをするためには、まだ急いでこれから石炭発電所をつくっていかねばならぬ、それもやはり環境の問題その他で時間がかかりまするので、やはりどうしてもずれがかかるであろうけれども、恐らく主力は電力用炭になるのではなかろうか、このように考えております。
 それから次に、価格でございますけれども、実は一般炭の価格は、私どもが石炭問題の検討をいたしました、たとえば一九七九年時点では四十ドルぐらいで日本に入っておりましたが、それが最近では約七十ドル、こういうふうに上がっております。そして、これもなかなか見当がつきませんけれども、だんだん上がっていくだろう。このようなことを考えますと、短期と長期と違いまするけれども、長期的にはやはり格差というものは縮まっていくはずじゃないか、このように考えております。しかし、これにつきましてはなかなかむずかしい問題で、見当はつきません。そのようなことを考えますと、主として私はやはり北海道を中心にしてまだ石炭を増産をしていただくという余地はあるんじゃなかろうか。そしてまた、ちょっとそういうことを皮肉なことだとお聞き取りになるかもしれませんが、昭和三十年時点で私たちが石炭対策を転換をする場合におきましても、何とか需要を増大をしていくために暖房用炭をなるべく北海道で使ってくださいと言ったら、煙が出るから嫌だから東京で使え、こういうようなことを私たちは言われたこともございまするし、現に炭住や石炭で生きておりまする市役所がやはり――道庁もそうでございますけれども、石炭をおたきにならないで石油をたいておられる、こういったようなことを考えますと、私はこれは将来すぐにとは申しませんけれども、漸時そちらの方の用途が開いていくと。
 それからもう一つ、私が国際会議に参りましていろいろ議論をいたしました場合に、日本の電力量の中で実は四%しか石炭から電気ができていない、これに対しまして、アメリカは四五%の電気を石炭から発電をしている、ドイツは五五%の電気を石炭から発電をしている、イギリスは驚くなかれ六五%の電気を石炭から発電をしている、こういう事実があって、そして恐らく日本はむしろこれから発電を石炭にもっと考えるべきではないかということをいろいろ強調されましたが、私自身は今度は日本の立場から、実は日本は環境問題が非常にむずかしいのでそう簡単にはできませんといったようなことをいろいろ申し上げましたが、やはりそういったような方向へ進んでいく可能性があるといたしますと、せめて、電力用炭は別にいたしまして、ほかの石炭需要というものは増加をしてくるし、またある程度、二千万トンプラスアルファでやっていく条件は私は将来において出てくるはずだ、こういうふうに考えます。しかし同時に、先ほど申し上げましたように、やはり調査のための費用とか、それから設備投資に対する費用とか、そういったようなものをどのように捻出をしていくのかということに対しまして、私たちも配慮をいたしますけれども、先生方も最終的にはやはりそれに対しまして御協力を賜らねばならぬ、こういうふうに思っております。
 次に、炭価の問題でございます。
 実は、先ほど申し上げましたように、石炭鉱業審議会に需給部会と価格部会と一緒になりましたものがございまして、一番むずかしい仕事でございますけれども、私はその方の部会長の仕事もいたしております。そして、原則として炭価というのは生産者と需要者サイドで決めていただくというのが私どもの本筋でございます。ところが、先生がお考えになりまする以上に、需要者サイドと供給者サイドの意見というのがなかなかまとまりませんので、通産省でありますとか、あるいは私たち数人の委員が間に立ちまして、そして何とか早く決めてください、こういうことをお願いをいたしまして、ときには年を越すといったようなこともございますけれども、いままで進んでまいりました。ただ、最近の傾向から見ますると、やや需要者サイドに国内炭をひとつ考えましょうという雰囲気が出つつあります。しかし、たとえば原料炭について申し上げますと、八百万トンの原料炭がいま国内炭として使われている、それがやはり千円上がるか上がらないかというのは、八百億円製鉄所が赤字を出すか出さぬかという大きな問題でございますから、なかなかやはりむずかしい問題です。それから電力につきましても、北海道電力さんが非常にがんばっておられるということは先生もよく御存じのとおりであります。それを輸入炭よりもプラスアルファでやはり引き取っていただくということが私たちの仕事であり、それが基準炭価の原則であります。そして、恐らく今年度につきましてもそういったような線で行われまして、大体私個人の頭では、少なくとも一年に特別のインフレが起こるということがなければ、一千円ぐらいの値上げというものは織り込んでいただきたい。それが八百円になることもあるし、千二百円になることもありますけれども、やっていただいて、そうしてその範囲でひとつ生産維持あるいは増強というものをやっていただきたい、こういうことをお願いを申しております。
 それから最後に電力用の石炭でございますけれども、これは世界的な傾向といたしまして、やはり一般炭は主たる使用者は電力でなければならないと、こういうことになりますから、やはり電力、それからまた電力界もそれを受けて立ってそういう共同部な措置をおやりになっているということでございますので、今回の七次答申におきましては、従来独立てやっておりました電力用炭の会社あるいはそれを引き続きましてエネルギーの事業団でやっておりまするものを、製鉄と同じような形でやりましても線は崩れないだろうという線で勧告を申し上げたということを御報告申し上げます。
#19
○委員長(降矢敬雄君) どうもありがとうございました。
 では、礒部参考人。
#20
○参考人(礒部俊郎君) それでは御質問の二点について申し上げます。
 まず北炭新鉱の自然条件ということでございます。北炭新鉱はほかの炭鉱と違いまして、陸上炭鉱にしては特異な自然条件の中に生まれた炭鉱でございます。その一番大きな点は、炭層が地表に一つもあらわれていない、いわゆる地下非常に深いところにあった炭層に最初に取りつかねばならなかったという宿命を持った炭鉱でございます。で、普通そういう地表にあらわれていない炭層のようなものを一般に鉱業用語で潜頭鉱床。潜というのは、いわゆる頭を沈めた鉱床。鉱床というのは、金へんの鉱に床という字を書きます。その潜頭鉱床でございます。その潜頭鉱床で、最初の深さがマイナス六百メートルといいますから海水準から六百メートル下を掘らなければならぬ。地表の高さが約二百メートル近くありますので、当初から八百メートルぐらい深部を掘らなければいけなかった。その上に、その上部を被覆しておりますのが幌内層と言いまして、非常に緻密ないわゆる泥岩が覆っております。これらは非常にガスを通しにくい地層でございます。そういうようなガスを通しにくい地層を普通われわれはキャップロック、帽子の岩と、こう言っております。そういうキャップロックの下にある炭層は非常なガスを持っているというふうに考えております。果たせるかな、非常に多量のガスを内蔵しておりました。
 それからもう一つは、ペンケマヤ背斜と言いまして、背斜というのは、ちょうど馬のくらのように、炭層が折れ曲がって山の尾根のように続いているその頂点を背斜と申します。そのペンケマヤ背斜というのがありまして、普通、石油でもその背斜構造のところにはガス及び油がたまりやすい構造になっております。したがって、今回も、前にもガスの異常湧出あるいはガス突出を起こした点を坑内で平面図の上に記してみますと、大体ペンケマヤ背斜の線に沿っているというような事実が地質学上見つかっております。
 それと同時に、今回のガス突出を起こしました付近にはペンケマヤ七号断層という断層がございます。この断層はやはりガスを内部に包蔵するタイプの断層であるということは地質学上考えられる断層でございます。これが坑内にだけ見つかっておりまして、坑外の方では地表からははっきり確認できない断層でありました。これが新しい北部を展開いたしました、以前にボーリングでは多少探っておりましたけれども、幾つかに分裂しておりまして、非常に複雑な構造を呈している。その付近はかなり自然条件としてガス突出の可能性の高いところであったということは言えるわけでございます。直接の原因その他にはまだ触れる段階ではございませんけれども、環境そのものはそういった状況でございました。これが第一の答えでございます。
 それから、先ほど技術のほかに再建の問題点はないかというお話でございましたが、いわゆる生産技術それから保安技術、ともにこれは技術でございます。しかも生産技術、保安技術ともに炭鉱をいわゆる経済的に立てていかなきゃいけない、先ほども何回も稲葉さんが繰り返してお話されましたように、炭鉱の経済的自立ということが多いままでの石炭答申のすべてを貫いてうたわれていることでございます。その経済性を持つ技術、これが本当の技術でございます。ですから、技術の中には必ず経済性は含まれておる。それがない技術は技術として取り上げるべきではないわけであります。ただ、その経済性がどこにどういう影響を及ぼすかということをやはりその技術担当者、それから山の管理者というものはそこまで見きわめて山全体の経済性を考えるべき性質のものでございます。したがって、その保安技術のために莫大な費用がかかるとしたならば、一体どのくらいの生産量で、それからどのような生産コストその他資材の切り詰めということが可能であるか、またそれによってどうしても可能でない分に対してはいわゆる国とか自治体に対してどんなような対策を要請すべきであるかということを見きわめてその問題を解決しなければならないはずであります。やみくもにやったんでは技術としては成り立たないと思います。
 ただ、深部になりますとまたいろいろな現象が出てまいります。それで千メーターぐらいの深部というものは研究がまだ進んでおりません。それから日本でも諸外国でもその辺をまだ掘っておりません。いまマイナス八百メートルといいますと、地表から数えますと千メートルぐらいになります。これらの深いところに対しましては従来の技術の上にさらに積み重ねが必要であります。その積み重ねに対して対処することができれば人を持っていっても可能かもしれませんが、もし人を持っていくことができなければ、そのおっしゃるように、ロボット化ということもこれは当然考えなければならない問題と思っております。ただし、そのロボット化のためにも、一体どういうロボットが必要であるか、それからどういうその自然に対してのいわゆる感知力を持ち、そしてその感知力に対してどういう行動を起こすロボットが必要であるかということもやはり実際の試験炭鉱の中でそれが行われ、製作され改良されて初めて本当の生きた現場に適用されるのじゃないかというふうに私は思っております。ですから、そういう立場においても、試験炭鉱の必要性は私は十分あると考えております。
 以上でございます。
#21
○岩本政光君 大変どうもありがとう存じました。
#22
○委員長(降矢敬雄君) 他に発言もなければ、参考人に対する質疑はこれにて終了をいたします。
 一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、御多忙の中を御出席いただきまして、大変貴重な御意見を賜りましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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