くにさくロゴ
【PR】姉妹サイト
 
#1
第096回国会 農林水産委員会 第3号
昭和五十七年三月二十三日(火曜日)
   午前十時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十日
    辞任         補欠選任
     山田  譲君     村沢  牧君
     山中 郁子君     下田 京子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         坂元 親男君
    理 事
                下条進一郎君
                鈴木 正一君
                宮田  輝君
                川村 清一君
                鶴岡  洋君
    委 員
                岡部 三郎君
                北  修二君
                熊谷  弘君
                藏内 修治君
                古賀雷四郎君
                田原 武雄君
                高木 正明君
                中村 禎二君
                坂倉 藤吾君
                村沢  牧君
                中野  明君
                下田 京子君
                田渕 哲也君
   衆議院議員
       修正案提出者   加藤 紘一君
   国務大臣
       農林水産大臣   田澤 吉郎君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        成相 善十君
       農林水産大臣官
       房長       角道 謙一君
       林野庁長官    秋山 智英君
       林野庁次長    島崎 一男君
       水産庁長官    松浦  昭君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       環境庁自然保護
       局企画調整課長  高峯 一世君
       文部省初等中等
       教育局小学校教
       育課長      熱海 則夫君
       林野庁指導部長  鈴木 郁雄君
       自治省財政局財
       政課長      持永 堯民君
    ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
○松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整
 備計画の変更について承認を求めるの件(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、山田譲君及び山中郁子君が委員を辞任され、その補欠之して村沢牧君及び下田京子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(坂元親男君) 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。
#4
○国務大臣(田澤吉郎君) 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 松くい虫防除特別措置法は、マツクイムシによる異常な被害の終息を図るために、特別防除、すなわち航空機による薬剤防除を緊急かつ計画的に推進する措置を講ずることを目的として、昭和五十二年に成立いたしました。なお、この法律は、本年度末までの五カ年間の限時法であります。
 農林水産省といたしましては、自来、この法律及び森林病害虫等防除法に基づき、特別防除の計画的な実施等の各般の防除対策を講ずることにより、マツクイムシによる異常な被害の終息を図るために、最大限の努力を続けてきたところであります。
 しかしながら、昭和五十三年夏季の高温少雨という異常気象の影響、特別防除の実施面での限界等もあり、その被害は、昭和五十三年度、五十四年度と激甚の度を加え、五十五年度においても、被害材積は約二百十万立方メートルに及んでおります。本年度においても、遺憾ながら、異常な被害が終息する状況にはありません。
 このような異常な被害の現状と松林の森林資源としての重要性にかんがみ、今後ともマツクイムシによる異常な被害の急速な終息を図り、あわせて、松林の有する森林としての機能を確保していく必要があります。
 このため、松くい虫防除特別措置法が、本年三月三十一日に失効するに当たり、これまでの経験も踏まえて、各般にわたるマツクイムシの被害対策を緊急かつ総合的に推進するため、所要の改正を行うこととし、またその期限を五カ年間延長することとして、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして、御説明申し上げます。
 まず第一に、法律の題名につきまして、各般にわたるマツクイムシの被害対策を、緊急かつ総合的に推進するための特別法という趣旨で、松くい虫被害対策特別措置法に改めることとしております。
 第二に、従来の特別防除に加え、被害木の伐倒とあわせて破砕、焼却等を行う特別伐倒駆除のほか、樹種転換等を含めたマツクイムシの被害対策を計画に基づいて総合的に実施することとしております。
 このため、農林水産大臣が定める基本方針及び都道府県知事が定める都道府県実施計画の内容を拡充することといたします。また、これに加え、市町村においても松林の所有者等による自主的な被害対策を推進するため、地区実施計画を策定することといたします。
 第三に、被害の蔓延している地域において、公益的機能の高い松林や被害の拡大を防止する上で重要な松林の防除の徹底を図るため、農林水産大臣または都道府県知事が、松林所有者等に対し、特別伐倒駆除の命令を行うことができることとしております。
 また、農林水産大臣または都道府県知事が、命令にかえて行う特別防除を引き続き実施することとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 なお、政府提案に係る本法律案につきましては、衆議院において、特別防除を行うべき松林に関する基準の定め方及び特別防除を行う者が配慮すべき事項等について修正がなされております。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(坂元親男君) 以上で趣旨説明を終わりました。
 次に、補足説明を聴取いたします。秋山林野庁長官。
#6
○政府委員(秋山智英君) 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提案いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。
 まず第一に、法律の題名及び目的規定の改正について御説明申し上げます。
 今後のマツクイムシの被害対策の計画的な実施に当たりましては、特別防除等の防除措置のほか、被害を受けた松林の樹種転換等をもその重要な一環として加え、これらの被害対策を総合的に推進することといたしておりますので、これに伴い法律の題名を改めるとともに、目的規定について松林の有する森林としての機能の確保という観点を加える等の改正を行うこととしております。
 第二に、基本方針及び都道府県実施計画の内容の拡充であります。
 農林水産大臣が定める基本方針におきましては、被害対策の内容の拡充に対応しまして地域の被害状況等に応じたマックイムシの被害対策を総合的に展開するための基本的な指針を定めることとするとともに、特別伐倒駆除、特別防除、樹種転換等についての基本的事項等を定めることとしております。
 また、都道府県知事が定める都道府県実施計画につきましても、基本方針に即して、マツクイムシの被害対策の実施方針、特別伐倒駆除、特別防除、樹種転換等の計画的な実施に関し必要な事項等を定めることとするとともに、新たに市町村が定める地区実施計画の指針となるべき事項を定めちこととしております。この場合、保安林その他の公益的機能が高い松林及び被害の拡大を防止する上で重要な松林並びにこれらの松林を含む特別防除の単位となる松林群については、マツクイムシの被害対策の計画的な実施に関し必要な事項を定めることとし、これら以外の松林または松林群については地区実施計画の指針となるべき事項を定めることとしております。
 第三に、新たに地区実施計画を策定することであります。
 市町村は、都道府県実施計画に基づいて行う公益的機能の高い松林等に係るマツクイムシの被害対策と調和を保ちつつ、松林の所有者等による自主的な特別伐倒駆除、特別防除、樹種転換等の被害対策の計画的な実施を推進するため、その対象となる松林の所有者の意見を聞くとともに、都道府県知事と協議して地区実施計画を定めることとしております。
 第四に、特別伐倒駆除命令の新設であります。
 被害の蔓延している地域におけみ公益的機能の高い松林等についての防除の徹底を図るため、農林水産大臣または都道府県知事は、特に必要があると認めるときは、公益的機能の高い松林または被害の拡大を防止する上で重要な松林であって被害の程度が高いものにつきまして、その所有者等に特別伐倒駆除を命ずることができることとしております。また、特別伐倒駆除命令の手続、代執行等について森林病害虫等防除法の規定を準用することとしております。
 以上のほか、地区実施計画を達成するため、松林所有者等は、地区実施計画に即してマツクイムシの被害対策を実施するよう努めなければならないものとするとともに、市町村長は、必要に応じ、計画を遵守すべき旨の勧告を行うことができることとし、また、特別伐倒駆除命令に係る損失補償、国の補助等について所要の規定の整備を行っております。
 また、この法律は、昭和六十二年三月三十一日限り、その効力を失うことといたしております。
 なお、政府提案に係る本法律案につきましては、衆議院において修正がなされております。
 その内容は、まず第三条第三項として基本方針で定める特別防除を行うべき松林に関する基準は、当該松林の存する地域の自然環境及び生活環境に対する特別防除による影響に配慮し、貴重な動植物の生存する松林等の特別防除を行うことが適当でないと認められるものが明確になるように定めなければならない旨の規定を追加するものであります。
 また、第八条について、松林群において特別防除を行う者は、自然環境及び生活環境の保全に配慮するとともに、地域住民等関係者の理解と協力が得られることとなるように努めるものとする旨を追加するものであります。
 以上をもちまして松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
#7
○委員長(坂元親男君) 次に、本案につきましては、衆議院において修正議決されておりますので、この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者加藤紘一君から説明を聴取いたします。加藤紘一君。
#8
○衆議院議員(加藤紘一君) 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正の趣旨を簡単に御説明申し上げます。
 修正の第一点は、第三条に係るものであり、農林水産大臣が定める基本方針において、特別防除を行うべき松林に関する基準は、当該松林の存する地域の自然環境及び生活環境に対する特別防除による影響に配慮し、特殊鳥類、天然記念物等の貴重な野生動植物の生存する松林その他の松林で特別防除を行うことが適当でないと認められるものが明確になるように定められなければならないものとする旨の規定を追加したことでございます。
 修正の第二点は、第八条に係るものでありまして、現行条文を「松林群において特別防除を行う者は、自然環境及び生活環境の保全に配盧し、薬剤の安全かつ適正な使用を確保するとともに、農業、漁業その他の事業に被害を及ぼさないように必要な措置を講ずるものとし、地域住民等関係者の理解と協力が得られることとなるよう努めるものとすること」に改めたことであります。
 なお、この修正は、自由民主党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新自由クラブ・民主連合の共同提案によるものであります。何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(坂元親男君) 次に、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。
#10
○国務大臣(田澤吉郎君) 漁港整備計画の変更について承認を求めるの件につき、その提案理由を御説明申し上げます。
 わが国においては、国民の必要とする動物性たん白質食糧の半ばを水産物に依存しているため、水産業は、きわめて重要な役割りを果たしております。この水産業の積極的な振興を図るためには、漁業生産の基盤であり、かつ、水産物流通の拠点である漁港の計画的な整備拡充を図ることが基本的な課題となっております。この趣旨から、政府といたしましては、漁港法に基づき、漁港整備計画を定め、国会の御承認を受けて漁港施設の整備を図っているところであります。
 現行の漁港整備計画は、昭和五十二年第八十回国会において承認を受けたものでありまして、当時の水産情勢を基礎とし、これに将来の水産業の動向を勘案して定められたものであります。しかしながら、その後における水産業をめぐる国際環境、経済的諸条件は著しく変化いたしております。このため、この計画を実情に即するよう全面的に変更することとし、国会の承認を求めることとした次第であります。
 次に、本件の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 今回の漁港整備計画は、漁業と漁港施設との現状を基礎とし、将来における漁業生産の確保、流通機構の改善、漁港の安全性の確保、地域社会の基盤強化等の観点に立って策定いたしました。
 計画内容といたしましては、沿岸漁業及び増養殖漁業の振興上重要な漁港、沖合い漁業の根拠地として重硬な漁港、遠洋漁業の根拠地として重要な漁港並びに漁場の開発または漁船の避難上特に必要な漁港について、それぞれその整備を図ることとしております。
 整備漁港の選定に当たりましては、指定漁港のうち漁業振興上及び地域振興上重要であり、かつ漁港施設の不足度の高いもの、事業効果の大きいもので緊急に整備する必要があるものを採択いたしました。その結果、昭和五十七年度以降六年間に四百八十港の漁港について漁港修築事業を実施することとしております。漁港修築事業の内容といたしましては、それぞれの漁港に適応した外郭施設、係留施設、水域施設、輸送施設、漁港施設用地等を整備することとしております。
 なお、以上申し上げました漁港整備計画につきましては、漁港法に基づき、漁港審議会の意見を徴し、妥当であるとの趣旨の答申を得ております。
 以上が、本件を提案する理由及びその主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
#11
○委員長(坂元親男君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 次に、補足説明を聴取いたします。松浦水産庁長官。
#12
○政府委員(松浦昭君) 漁港整備計画の変更について承認を求めるの件につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 まず、現行の漁港整備計画の実施状況は、予定しました総事業費八千八百億円のうち昭和五十六年度までに実施済みの事業費は六千三百八十億円で、その進捗率は約七三%となっております。
 次に、今回承認をお願いいたしております変更後の漁港整備計画に基づいて整備をしようとしております四百八十港の種類別内訳を申し上げますと、第一種漁港が百二十三港、第二種漁港が二百一港、第三種漁港が七十六港、特定第三種漁港が十一港、第四種漁港が六十九港となっております。これらの漁港を昭和五十七年度以降六年間に総事業費一兆二千億円をもって漁港修築事業により整備することといたしたいと考えている次第であります。
 また、現行の漁港整備計面に定められております整備漁港と今回の変更後の漁港整備計画に定められております整備漁港との関連を申し上げますと、現行の漁港整備計画から引き続き変更後の漁港整備計画に取り入れようとするものは、三百二十五港でありまして、新規に採択しようとするものは、百五十五港となっております。
 なお、現行の漁港整備計画の整備漁港のうち変更後の漁港整備計面の整備漁港とされていないものが百二十五港ありますが、このうち九十三港につきましては別途漁港改修事業により、三十二港につきましては必要に応じ漁港局部改良事業により整備することといたしております。
 さらに、変更後の漁港整備計画に採択されなかったその他の漁港についても、必要に応じ、漁港改修事業または漁港局部改良事業により整備することといたしております。
 漁港修築事業に漁港改修事業、漁港部改良事業をあわせた六年間の総事業費は調整費等を含め二兆百億円となっております。
 以上をもちまして、漁港整備計面の変更について承認を求めるの件の提案理由の補足説明を終わります。
#13
○委員長(坂元親男君) 本件に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#14
○委員長(坂元親男君) それでは、これより松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案の質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#15
○村沢牧君 わが国の風景の象徴とも言える松林、そして森林資源としても重硬な機能を持っている松が近年松枯れ被害の拡大によってきわめて憂慮すべき状態に置かれておるわけであります。
 昭和五十二年現行法制定の際、日本社会党は、政府案では抜本的な対策にならないことを指指摘をし、修正案を提出したわけでありますが、政府の理解するところとならず、現行法が成立をしたわけであります。その後、この法律に基づいて対策は講じたけれども、後ほど指摘をするように成果を上げておらない。この間、わが党は林業対策特別委員会の中に松枯れ小委員会を設置をいたしまして、私がその事務局長でありますが、全国各地の激甚地を調査をするとともに、その実情や地域の住民の要求を政府に申し入れて、改善策を求めてきたところであります。今回改正案の提出につきましても、従来の対策を改めて抜本的に総合的な法律にするように、法律案の要綱も示しまして政府に要請してまいりました。こうした経緯の中から、今回の改正案はわが党の主張を入れた面もあることは認めるものでありますけれども、しかしまだ不十分と言わざるを得ないのであります。
 そこで、大臣に伺いますが、松くい虫防除特別措置法を松くい虫被害対策特別措椴法に題名を変更して、五年間延長しようとするその背景、それから意図、期待、これはどのように考えますか。
#16
○国務大臣(田澤吉郎君) 村沢委員御指摘のように、昭和五十二年に特別措置法を制定して、自来マツクイムシ防除のために政府は積極的な努力をしてまいったのでございますが、御承知のように昭和五十三年の異常気象によりまして被害が非常に大きくなったわけでございます。また、特別防除実施の面での限界もございました。また伐倒駆除の効果の限界、いわゆる被害木の駆除の処理等に全きを得なかった等の関係で、今年度もその被害がますます拡大しているという状況でございますので、しかもいままでのこの特別措置法が三月三十一日で期限が切れるということもございまして、これまで五カ年閥のいろいろな経験を背景にしながら、総合的にマツクイ虫防除対策を考えなければならない。特に、いままでは特別防除のみに力を入れてまいりましたけれども、さらに加えて特別伐倒駆除も加え、さらには樹種転換、あるいは市町村の段階の防除計画等も含めて総合的にこの防除計画を立ててその対策を図ろうというために、特に法律の名前を変えて今回提案いたした次第でございます。私たちとしましては、過去の五年間のいろんな経験を踏まえて、新たなる態度でマツクイムシの終息のために努力をしたいという決意でおるのでございます。
#17
○村沢牧君 昭和五十二年第八十国会でこの法律案の審議の際に、政府はこの法律を適用すれば五年以内にマツクイムシ被害を終息させる、あるいはまた一%以内の被害にさせる、こういうことを胸を張って答弁をしておったわけであります。しかし、現状はこの期待と大きく食い違って、被害はますます拡大をしておる。なぜ当初の意図に反するような結果になったのか、法律を延長するからにはこの反省がなくてはならないというふうに思いますが、大臣はどう考えますか。
#18
○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに当時、この法案審議の折に、政府としては五年間にこのマツクイムシの防除を徹底して、その終息を図りたいという意気込みで進んだのでございますが、その当時のいわゆる駆除技術の面、あるいはまた当時のマツクイムシの状況からして、五年間で終息できるものとこう思いまして進めたのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、昭和五十三年の異常気象以来、特にそういう状況が大きな変化を来したので、それに対して大きな責任を感ずるとともに、今後新たなるいわゆろ防除技術を基礎にしながら対策を進めてまいらなければならない、かように考えているような次第でございます。
#19
○村沢牧君 先ほどの提案理由の説明を聞いても、あるいはまた、いまの大臣の答弁を聞いても、今日まで政府の進めてきた対策の分析と反省がきわめて不十分であると指摘せざるを得ません。不+分というよりも、異常気象や空中散布の限界にのみ責任を転嫁をしており、後ほど指摘をいたしますが、多くの金を使って成果を上げることができなかった、この責任について反省がない。また、松枯れ防止の基本方針とその対策が誤っていたのではないか、こういう政府みずからの責任についての反省が聞かれないんです。重ねてこの政府の責任はどうか、答弁を求めます。
#20
○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに五年間、私たちとしては最善の努力をいたしたのでございますが、当時のいわゆる防除技術の面からいって、それから先ほど申し上げました五十三年度の異常気象から以後のマツクイムシの現状というのは当時とかなり変化をいたしております関係から、新たなる対策を必要とするのでございますので、私たちは過去の五年間の結果については大きな責任を感じます。その責任の上に、今度はやはりこの五年間、これからの五年間で何とかこのマツクイムシの防除のために、また終息のために努力をしなければならない、かように考えておるのでございます。
#21
○村沢牧君 この五年間において、五十三年の異常気象によって当初予期しないような事態が発生をしたということでありますが、そのことはそのまま受けとめるにしても、そういう異常気象が発生をして、当初考えたような形の防除対策では効果をあらわさない。そういうことがわかったとするならば、五十四年、五十五年、五十六年、これらの対策についても政府は変更を加えるべきではなかったか、これはどうですか。
#22
○政府委員(秋山智英君) ただいま御説明申し上げましたとおり、五十三年に異常気象によりまして、従来被害が軽微でありましたところのたとえば茨城とか、栃木とか、静岡、愛知とかいうようなところに異常な発生を見たわけでございます。
 そこで私どもといたしましては、五十三年に予備費を約五億円ほど投入いたしまして、伐倒駆除に積極的に対応するとともに、さらに五十五年からは林種転換等の方法を導入いたしまして、この従来感染源になっている部分につきましては伐倒し、他の樹種に変えていくというふうなことも考えたり、さらには治山の対策等もとるというふうなこともしてまいったところであります。
 そこで、この五年間につきまして、森林審議会におきまして松くい虫対策部会を設置いただきまして、この過去五年間におけるところの被害の実態、それから対応等を踏まえまして、ただいま大臣から御説明申し上げましたとおり、従来の特別防除に加えまして、今回の法案で御審議いただくような特別伐倒駆除とか、さらには林種転換とか、さらにはこれは国と県だけではなかなかいきませんので、市町村、森林所有者挙げましてこの対策に総合的に、また総力を挙げて対応しなきゃならないという結論に達したわけでありまして、今回そういうふうなことを踏まえて新たに御審議をいただいているところであります。
#23
○村沢牧君 今日まで進めてきた対策がどうであったかということについては後ほどまた詳細に指摘をしてまいりますが、現行法制定の際、本院農林水産委員会は六項目にわたる附帯決議を満場一致で決議をしているわけであります。政府はこの附帯決議をどのように尊重し、実行に移してきたのか、各項目にわたって簡潔に述べてください。
#24
○政府委員(秋山智英君) 参議院におきましては六項目にわたりまして附帯決議をいただいております。
 まず第一点は、関係行政機関との連携、利害関係者、地域住民の理解と協力を得る実施体制の整備、中央及び都道府県森林審議会の委員の構成についてでございましたが、これにつきましては、まず特別防除の適正、円滑な実施を図るため都府県に松くい虫防除推進連絡協議会を設置するとともに、地区説明会の開催とか、あるいはパンフレットの配布などによりまして地域住民の方々にこの御理解を得るようにやってまいりました。また、中央森林審議会、それから都府県の森林審議会におきましても松くい虫対策部会を設置するとともに、地域住民の方々の意向が反映されるような委員構成に配意し、また配慮するように指導してまいったところであります。
 それから第二点の自然環境等の保全、危被害防止、防除従事者の健康管理につきましての件でありますが、自然環境等の保全、農業への被害の防止に十分留意するように基本方針並びに通達等におきまして指導を行ってまいっております。また、従事作業員に対しまして農薬の安全な取り扱い方、安全教育の実施、事故防止の万全を期するように通達をもって指導をしてまいっております。
 第三点といたしまして、薬剤防除安全確認調査、被害の原因究明、国家賠償法等についてでありますが、まず第一点の薬剤防除安全確認調査につきましては、特別防除の影響につきまして十県で実施をしてきております。それから、農業等の被害が発生した場合には特別防除を中止し、その原因の究明に努めるように通達をもって指導をしております。これまでの被害におきましては被害程度が軽微なものが多いわけでございまして、国家賠償法に基づくところの補償が行われました例はございませんが、被害の救済につきましては、特別防除の受託者等が被害の補償等を自主的に行うことによりまして迅速な救済を行っておるところであります。
 次に第四点の防除の徹底と被害跡地対策についてであります。被害の増大に対応しまして特別防除並びに伐倒駆除の強化に努めてまいったところでありますが、その被害地の復旧につきましては従来から一般造林事業等により植栽に努めてまいったところでありますが、五十五年度からはさらにマツクイムシ被害地緊急造林事業、マツクイムシ被害緊急対策治山事業を実施いたしまして被害跡地の復旧に努めてまいったところであります。
 次に第五点の枯損原因の究明、天敵利用、抵抗性品種の育成についてであります。
 まず第一に、個別林業試験場におきましてマツノザイセンチュウが生産する毒素の解明等を内容といたしますところの発病機構の解明の特別研究を行っています。
 それから第二点といたしまして、これまでの研究開発によりまして有効な天敵微生物の検出がなされておりますし、また新しい誘引剤の開発、さらには特に単木に対してでありますが、有効な樹幹に注入する薬剤あるいは土壌に施用する薬剤の確認等がすでになされておりまして、これらの成果の実用化に向けてさらに現在野外試験等を推進しているところであります。
 第三点としまして、抵抗性品種の育成についてでありますが、国の林木育種場が中心となりまして選抜育種並びに交雑育種の方法によりまして鋭意その推進に努めてまいっておりまして、現在一定の成果を得ておるところであります。
 それから第六点としまして必要な予算の確保、林業従事者対策についてでありますが、このマツクイムシ防除につきましては特別防除等の計画的な実施に必要な予算を確保すると同時に激害地の樹種転換等の促進にかかる予算措置をこれまでも行ってまいっておるところでございます。
 それから五十三年につきましては、先ほど触れましたとおり被害が急増いたしましたので、それに対処するために予備費も使用したところであります。
 次に林業従事者対策につきましても、林業事業体の経営基盤の強化を図りながら労働条件の改善に促進するための措置をこれまでも推進してまいったところであります。
 以上であります。
#25
○村沢牧君 いろいろ説明していただきましたが、この附帯決議が尊重されて的確にすべてが実施されたとは私は受けとめません。特に伐倒駆除と跡地対策の問題あるいは原因の究明、防除方法の開発、さらには予算の面、労務者対策等々多くの課題が残されておるわけでありますが、これも後ほど指摘をしてまいります。
 そこで、政府のいままで進めてきた対策を反省をして今回法律改正をする、この改正された法律に基づいて防除対策を実施をすれば五年間でマツクイムシ被害を終息させるという自信をお持ちですか。
#26
○政府委員(秋山智英君) 先ほど御説明申し上げましたとおり、マツクイムシの異常な被害が大変拡大をしてまいっておる情勢にございます。そこで私どもといたしましては、この被害対策を緊急かつ総合的に推進するためにやはり臨時特例的な措置といたしまして今回の法案を御審議いただいておるわけでございます。この森林病害虫の防除につきましては、恒常的、一般的に適用されるべきものでございませんので、五年間の時限立法といたしておるわけでありますが、過去五年間を振り返ってまいってみますと、やはり異常気象等がございます。今後につきましてもそういう異常気象のような不確定な要因はまだあるかもわかりませんが、私ども先ほども御説明申し上げましたとおり、過去五年間の経過を踏まえまして特別伐倒駆除とかあるいは林種転換、さらには市町村段階での防除計画を策定していただくというようなことを含めましていろいうの施策を総合的に推進いたしまして、このマツクイムシによりますところの異常な被害をできるだけ早く終息させたいということで五年間の行政目標を設定しまして全力を挙げてやってまいりたい、かように考えておるところであります。
#27
○村沢牧君 結論でいいですよ、自信があるのかないのかと。
#28
○政府委員(秋山智英君) したがいまして、私どもとしてはこの終息に向けましてあらゆる方法を総合的に実施しながらこの五年間で終息に向けたい、これは最大限の努力をしてまいりたい、かように考えてございます。
#29
○村沢牧君 きわめて抽象的で自信のないような答弁でしたが、このことは法律にもあらわれていますね。たとえば第三条には、現行法はその冒頭、五十二年度以降の五カ年間において被害を終息させるというふうにうたってあるわけですね。今度この改正案は、五十七年度以降五カ年間を後段に持ってきて、被害が終息するよう努力をすると、しかし、「五十七年度以降の五箇年間において実施すべき松くい虫の被害対策に関する基本方針を定めなければならない。」、きわめて法文上も、改正をしたけれども、自信のなさが法文上あらわれているんですが、なぜこの五カ年間に終息させるというのを後段にもってきたんですか。
#30
○政府委員(秋山智英君) 私ただいま申し上げましたとおり、過去五年間の実施経過を振り返り、また被害の現状等を考えてみますと、やはり不確定な要因も認識せざるを得ない状況もございます。そういう意味におきまして、五年間で終息することとなるよう基本方針を定めるとしませんで、今回におきましてはただいま先生御指摘のような言葉にしたわけでありますが、私どももこういう不測情勢がない限りは実質的にはこの五年間で何とか終息すべく最大限の努力を払うというつもりで考えております。
#31
○村沢牧君 大臣、法律を提案する大臣はこの五年間で終息させる、そういう自信をお持ちですか。
#32
○国務大臣(田澤吉郎君) いま林野庁長官から答弁さしたとおり、私としてはこの五年間で現在のいわゆる防除技術を基礎として、また過去の五年問の経緯等を十分踏まえながら、この被害の終息のためにこの五年間で何とか終息したい、こう考えております。そのための予算措置等についても十分配慮しなければならないへかように考えております。
#33
○村沢牧君 松枯れの原因なんですが、政府はマツノザイセンチュウそれからマツノマダラカミキリが松枯れの唯一の原因である、このように考えているわけでありますが、その他にも要因があるんではないかという学説もあります。つまり工場、自動車等による大気汚染、松林の手入れ不足による松林そのものの不健全状態が進化をしている、これが大きな原因だと言っている人もありますけれども、これらについてはどのように考えますか。
#34
○政府委員(秋山智英君) 松の枯損の原因につきましてはマツクイムシによる被害以外にもツチクラゲ菌というふうな菌類による場合あるいはマツバノタマバエ等の病虫害による場合あるいは風害等による場合いろいろとございますが、現在問題になっておりますような、何と申しますか、激害型の松の枯損につきましては、昭和四十三年以来林業試験場におきましてプロジェクトチームをつくりまして、分析研究してまいった結果、これはやはりマダラカミキリが媒介するマツノザイセンチュウによるものであるということが明らかになったわけであります。そこでこれまでに至る過程としまして、先ほど触れましたように四十三年から四十六年にわたりまして、たとえば根系の分布だとか、あるいは土壌の理化学性、気象災害などとの関連性はどうかとか、それから根に加害をするところのクロカミキリの調査、あるいは材を侵す青変菌等を接種した実験とか、さらに根系に見られるところの微生物の接種実験、あるいはその他の糸状菌菌類等、あるいは土壌線虫等の検出等いろいろの方法をとってだんだんと消去をしてまいりまして、最終的に達したものがこういう激害型の被害はやはりマツノザイセンチュウによるむのであるというふうに結論が得られたわけであります。そこで先生御指摘のいろいうの説がございます。たとえば大気の汚染説でありますが、大気汚染などによりまして環境が悪化することによりまして枯れるという場合もこれはないわけではありませんが、地域、立地条件、林齢等にかかわらず広域にわたりまして一斉に枯れるような松、具体的にはマダラカミキリが五、六月ごろに後食かいたしまして、わずか三、四ヵ月のうちに一斉に枯れるという、こういう激害型の松の枯れ方と申しますのは、大気汚染による枯死ないしあるいけ変色状況とやっぱりこれは違うものであるといふうに結論づけられております。
 それから、乱開発あるいは手入れ不足等の森林管理の問題であります。やはり激害型の枯損の有接の原因というのは、さっき触れましたようにマダラカミキリとマツノザイセンチュウの両者の加害によるものでありまして、これらの原因であhまして、手入れ不足等が枯損の原因になるというのは考えられないわけであります。ただ、昭和二十年の当時の激害そのものの鎮静化の情勢を見てまいりますと、やはり当時燃材として松を焼いたと、利用したと。燃材として利用した面が終息させる大きな原因になっているというふうに見られております。
 それからその他の、天敵の減少説その他ございますけれども、確かに現在マダラカミキリの天敵昆虫簿が幾つか見つけられておりますけれども、やはりこのマダラカミキリの密度の制御の要因としては余り大きな働きをなしていない。むしろ逆に産卵する対象木があるかないかという方が原因としては大きいというふうに言われております。その他土地の、何といいますか、条件がいわゆる肥沃になりまして、それによって植生変異をされるという例もございますが、これは長い期間をかけましてだんだんと陽性樹種のアカマツが陰性樹種の広葉樹その他に変わっていくということがありますが、非常に長期間を経ますので、激甚な災害発生とは結びつかないと思いますし、それから青変菌、黒変菌の説もございますが、これらも研究過程でいろいろと接種をして、その枯損の状況を調べてまいっておりますけれども、これらは強力な病原性としては結諭づけられておりません。それから、ツチクラゲ菌によりますところの海岸簿におけるたき火などで枯れる場合もございますが、これはやはりわりに局地的に限られていることもございまして、これまでの研究結果によりましても激害型の松の枯損につきましてはマダラカミキリとマツノザイセンチュウによるところの被害であるというふうに結論づけているところであります。
#35
○村沢牧君 この法律上、松が枯れても材線虫が枯損木に入っておらなければ駆除やあるいは助成の対象にしないのか。つまりマツクイムシの以外の松枯れの原因もいろいろあるでありましょうけれども、またいま説明のあったとおりでありますけれども、そこまで範囲を広げると財政的にも膨大な負担になるので、法律上はマツクイムシにしぼって駆除対策を講じていく、そのように理解をしていいのか、ひとつ答弁を願いたいんですが、長官の答弁少し簡潔にしてください、長過ぎるですよ。
#36
○政府委員(秋山智英君) 私どもの考え方は、先生御指摘のとおり、マダラカミキリ、材線虫による被害を対象としてやります。それから、あと一般の問題につきましては森林病害虫の防除法に基づきまして措置します。
#37
○村沢牧君 松が枯れること、あるいはマツクイムシを防除するということは、一つには松食いが予見をされる山林の保育林だとか、あるいは予防対策、早期発見、またその原因の究明、防除対策あるいは枯損木の処理、樹種転換など、山林所有者はもとより地域ぐるみで総合的に行わなければならないというふうに思いますが、大臣の見解はどうでしょうか。
#38
○政府委員(秋山智英君) 御指摘のとおり、あらゆる方法を現地の被害の実態あるいは体制その他含めまして効率的に組み合わせながら総合的に対処することが必要であろうと考えています。
#39
○村沢牧君 わが党は総合対策を講ずるように政府に求めてきましたが、改正法の目的に「総合的」という文字を入れたことは評価をするものであります。現行法が「計画的に推進する」となっていたものを改正法が「総介的に推進する」、こういうふうに改めたわけでありますけれども、内容は具体的にどういうふうに変わってくるんですか。
#40
○政府委員(秋山智英君) 予防といたしましては、従来効果のございます特別防除をもちろん実施するわけでありますが、特別防除だけでは、これはその被害が終息できませんので、まずは保安林あるいはその他非常にこの公益的機能の高い森林あるいは先端地域と申しまして、これから奥に被害を及ぼしちゃいかぬというような地域につきましては、これを特別伐倒駆除で伐採し、さらにそれをチップ化あるいは焼却するというような方法、それからまたそれ以外の地域につきましては、これは普通の伐倒駆除――伐採しまして薬剤を散布するというような方法、さらに普通林におきまして大変もう被害が出てどうにもならぬようなところにつきましては、むしろこの際森林の機能を回復しながら感染源をなくすために林種転換をするというような方法、またエロージョンその他におそれがあるところについては治山事業を進めるというようなこと、さらには実施に当たりましては従来のこの市町村段階での計画がございませんでしたが、やはりこの防除につきましては全体が一体的になるということでございまして、従来国と県とほかに今度は町村段階におきまして地区の実施計画をつくらせまして全体的体制の中で進めてまいりたいと、かようなことを考えておるところでございます。
#41
○村沢牧君 総合的に推進をするといっても、従来と変わるところは特別伐倒駆除を加えたこと、あるいは市町村にもその責任の一端を背負ってもらうんだと、いまの説明ではこれ以外しか新しいものは見受けられませんが、これをもって総合的と言うんですか。
#42
○政府委員(秋山智英君) 私どもといたしましては、いま申しましたようなことを被害の実態、松林の機能の状況その他を踏まえまして、よくこれを有効適切に組み合わせながらやってまいりたいということでありまして、私どもといたしましては、やはりこれらを踏まえ、しかもこれにつきまして基本方針を農林水産大臣がつくりますが、それに基づきまして都道府県知事が実施計画をつくり、さらにそれとの十分調整をとりながらこの地区の実施計画を策定して進めていくわけでございますので、私どもとしましては総合的な実施というふうに理解しておるところであります。
#43
○村沢牧君 マツクイムシを防除するためにその防除技術の開発研究も急がなければならないわけでありますが、先ほど林野庁長官の答弁で、いろいろ研究しておるという話があったわけでありますが、その研究をどのように実用化しているのか、あるいはまたさらに開発研究するための必要な予算枠というのは持っているのかどうか、その防除技術の問題についてもう少し答弁願いたいと思います。
#44
○政府委員(秋山智英君) 先ほどもちょっと触れましたが、新しい防除技術といたしまして、まずマダラカミキリを誘引するための誘引剤の利用開発、それから天敵の活用問題、さらには薬剤を立木へ注入するというふうな方法等につきまして大体めどがついたわけでありますが、テルペン、エタノール等を主成分とする物質が誘引効果が大きいというようなこと、あるいは天敵といたしまして細菌でございますセラチア菌とか、あるいはカビの一種でございますボーベリアバッシアーナ菌というふうなものが、これが非常に有効であるわけでございまして、これらを今後いかに増殖するかというふうな方法まで来ていますし、また樹幹注入剤としましてバイジットSO体というのが非常に効くわけでございますし、土壌処理剤としましてダイシストンというのが有効でございます。これらは現在いずれも実用化へ向かいまして現在野外試験を実施しておるところでございます。
 これらの研究開発を進めるに当たりまして、この林業試験場の予算でございますが、現在予算といたしましては、国立林業試験場におきまして四千七百万、それから公立林業試験場で四千万、合わせまして八千七百万の予算を計上していますが、これは五十二年度に比べまして約七倍の大きさになっております。
#45
○村沢牧君 研究していることは先ほど来答弁があったんですが、その研究をいつ実用化に移せるんですか、その見通しについて。
#46
○政府委員(秋山智英君) これにつきましては、現在野外試験を実行している段階でございますので、できるだけ早く実用をということでありまして、たとえば先ほども触れました薬剤処理の研究につきましては、すでに近々農薬申請をする段階にまいってきております。
 それから今後非常に有効であると申します。例の微生物の関係でございますが、これにつきましては人工、による大最増殖というのが前提になっておりますので、それらにつきましては若干試験研究期間を、時間が欲しいということを言っておりますが、私どもとしてはできるだけ早くその大量増殖まで持っていってもらいたいということで要請している段階でございます。
#47
○村沢牧君 防除技術は、いまの答弁ではいつ実行に移せるかきわめて不明確なんですけれども、近々というのは、たとえばこの五年間のうちに、そんなに遠くならないうちに新しい技術を開発して新しい防除対策を講ずると、そのように取り組んでいるんですか。
#48
○政府委員(秋山智英君) そのように現在鋭意努力をしています。
 それからもう一点、いま申し落としましたが、抵抗性品種の関係につきましては、交雑育種あるいは選抜育種で現在抵抗性品種が固定しましておるわけでございますが、これは五十九年ごろにまず海準林等に植えつけられるように現在鋭意努力をしております。
#49
○村沢牧君 いままでのマツクイムシの被害を見ると、法制定の五十二年には八十二万立方メートルであったが、五十四年には二百四十三万立方メートルになり、五十五年は若干減ったとしても五十二年の約二・六倍の二百十万立方メートルになっている。また面積で見ると五十二年には四十三万八千ヘクタールであったが、五十五年にはこの一・五倍の六十六万七千ヘクタールになっている。また被害のなかった県は五十二年には十県あったけれども、五十六年になると、北海道、青森、秋川の三県だけになったわけなんです。このように被害は拡大をしているわけでありますが、一体この間に防除のために使った国、県の経費はどのくらいになるんですか。またその防除費の内訳についても示してください。
#50
○政府委員(秋山智英君) 五十二年度以降五カ年間におきまして民有林にかかるマツクイムシ防除事業の実施に要しました国費の累計額は二百七十四億円でございます。これに伴いまして都道府県の累計額は百十一億で、合わせて計三百八十五億円になっています。――民有林にかかわるマツクイムシ防除事業の実施に要しました国費の累計は二百七十四億円であります。それからこれに伴いまして都道府県の予算といたしまして百十一億、合わせまして三百八十五億円であります。防除方法別に申し上げますと、特別防除が二百十二億円、地上散布が二十七億円、伐倒駆除が百四十四億円となっております。それからあと伐採土地の駆除その他が二億円でございます。
#51
○村沢牧君 国有林はどれだけ使っていますか。
#52
○政府委員(秋山智英君) 国有林におきましては二十九億でございまして、特別防除十五億、地上散布三億、伐倒駆除十億等でございます。
#53
○村沢牧君 五年間にいま説明のあったように、民有林、国有林を合わせると四百十数億円という国、地方の経費を使って防除を行ったわけでありますけれども、先ほど申しましたように被害は激増している。冒頭申し上げたんですけれども、この拡大原因は単に異常気象というだけでは済まされないものである。政府はどのように分析をするんですか。
#54
○政府委員(秋山智英君) やはり増大の原因につきましては、まず五十三年の夏の異常気象、高温少雨の影響によりましてマツクイムシの被害が急激に増加し、拡大したわけでありますが、それまできわめて微害でございました栃木それから茨城、静岡、愛知、島根というようなところにおきまして、非常に高温少雨というふうな、気象台でも過去まれに見るようなそういう結果からこういうところにふえておりますし、またそれまでに被害のなかった、先生も御指摘でございますが、群馬とか埼玉とか新潟、山梨、福井というようなところにおきましても拡大を見ておるわけであります。
 そこで、そういう非常に被害ができました一方、特別防除でございますが、やはりこれは予防上は十分効果があるわけでございますが、その実施に当たりまして、周囲への生活環境、自然環境への配慮あるいは農業、漁業の被害の防止というふうなことからやはりその実施面におきまして計画どおり実施できなかった面もありますし、また普通の伐倒駆除ですと一遍に多くの被害が出てまいりますと、やはり防除効果につきましても秋までに全部が駆除できない面もございまして、効果的にも若干問題が、効果が限界があったというようなことがやはり総合されまして被害につながった、かように見ておるわけでございます。
 たとえば、茨城県につきまして申し上げますと、茨城は五十二年に二万七千立米でございましたのが、五十三年に七十四万二千ということで、二十八倍の被害増でございまして、やはり従来防除体制につきましてもこういうふうな大きな被害が出るような体制にあり得なかった。さらには、茨城の場合には平地が多うございますから、森林と田畑との接する部分が非常に多うございまして、空中防除できなかったというようにことも大きな原因になっといるかと思っております。
#55
○村沢牧君 昨年までマツクイムシ発生の空白地であった長野県にもついに被害が発生をしたわけであります。被害県に囲まれて水際作戦やその他の防除対策を講じて注意を喚起してきたわけでありますが、この長野県の岐阜県境の山口村にも御承知のとおりいま被害が起こり防除対策に努めておりますが、これも異常気象というんですか。
#56
○政府委員(秋山智英君) 長野県につきましては、先生御指摘のとおり五十六年の七月に初めて確認されまして、二百五十立米の被害が出ているということの報告を受けております。この被害発生原因に対しどういう分析をしているかということでございますが、この隣接の中津川の方におきまして被害が比較的多うございまして、被害区域面積が七百ヘクタール前後ございます。そちらの方からマダラカミキリの飛来があったのかあるいはマダラカミキリの付着している被害木の移入があったのかどうか、これにつきましては、いろいろ県当局も調べておりますが、現段階ではまだ断定する段階に至っておりません。いずれにしましても、私どもといたしましては何としましても水際でこれをなくするように努力していかなければならぬ、かように考えています。
#57
○村沢牧君 この山口村では村を挙げて駆除対策に努めておるわけでありますが、隣村のたとえば南木曾町にも松枯れの徴候があらわれておると言いますけれども、林野庁はこの範囲がさらに拡大をすると見ているのかどうか、山林県でありますので、拡大をすると大変な被害になるわけでありますけれども、この辺についてはどういうふうな判断を持っていますか。
#58
○政府委員(秋山智英君) これは長野県も、先生御承知のように、大分松が多うございますので、何としても入り口でこれを防除しなければならぬということで、まずは入り口監視体制をとにかくしきまして対処すると同時に、やっぱし現段階では発生予察等も十分しながら入れないようにしていかなきゃならないというふうに考えております。
#59
○村沢牧君 入れないようにするように努力することは当然のことですけれども、やはり他に波及をしないためには初期の対策がきわめて重要だというふうに思いますけれども、これについては林野庁どういう指導をしていますか。
#60
○政府委員(秋山智英君) いまちょっと触れましたが、やはりこの被害木の移入につきまして監視をすると同時に、その出ました被害については徹底的に防除し、早期にこれを駆除し、さらには発生予察を進めながら入れないようにすることが目下最大の喫緊の仕事だと思っています。
#61
○村沢牧君 先ほど指摘をしたように、この村に限らず近村町村にも波及しているんじゃないか、すでにその徴候も出ていますから、林野庁としても県当局を指導するなり徹底した対策を立てるように強くこの際要望しておきます。
 そこで、マツクイムシの被害はこの最近年度に発生したものではない。明治時代にもあったし、大正年間にもあった。特に終戦直後の昭和二十三年には百二十三万立方メートルに及ぶ被害を出したわけでありますけれども、組織的な防除措置がとられた結果、以後被害はきわめて少なくなった。この当時には空中散布などはなかったというふうに思いますけれども、どういう対策を講じて被害をなくしたというふうに思いますか。
#62
○政府委員(秋山智英君) 先生御承知のように、戦後におきまして被害が大分ふえまして二十二年一二十四年の当時百万立米確かに超えました。そのために当時松の皮付き丸太の移動禁止などを各都道府県に指導すると同時に、被害木の伐倒、あのころは剥皮焼却――皮をはぎまして、そのはいだ皮を焼くというふうなことを徹底させまして、さらに二十五年には、森林病害虫等防除法の前身でございますところの「松くい虫等その他の森林病害虫の駆除予防に関する法律」というのがつくられまして、これによりまして徹底駆除を図ったわけでありまして、二十九年には四十万まで減少したわけでございます。
 なお、当時伐倒焼却せずに残りました材が、これがやはり燃料革命以前でございまして、燃料として、薪炭として非常に使われたことが非常に効果的であったと同時に、当時GHQによる特例によっての防除がなされたことも大きな効果があったというふうに私ども理解しております。
#63
○村沢牧君 そういう経験があるんだから、その経験に基づいてこの被害対策を講じたらどうか。昭和二十三年ころの被害の方がこれは法制定の五十二年の被害よりも大きかったんです。しかし、いま説明のあったように伐倒、焼却、移動禁止等によって被害を減少さした。五十二年のこの法律制定以来、安易な防除法、すなわち空中散布に重点を置いた。そしてこの五年間の防除費は四百数十億も使い、その七〇%は薬剤散布の経費である。このように特別防除に重点を置いたこの対策、長官は先ほど来成果があったというふうに言いますけれども、これは誤りではなかったのか、その反省はどうですか。
#64
○政府委員(秋山智英君) 私ども特別防除につきましても、これは計画的に実施したところにつきましてはその成果をおさめてまいってきております。たとえば静岡の千本松原であるとかあるいは佐賀県の虹ノ松原であるとかあるいは鹿児島県の吹上浜というようなところは徹底的に特別防除をし、一部枯れたところについては伐倒駆除をするというようなことでやってまいりまして、それなりの成果が上がっておるわけでございます。
 そこで、私どもとしましては、やはり予防とし、てこの特別防除をすると同時に、まけないところ等がございますので、そこには地上の伐倒駆除をするというようなことで、やはり両者をうまくかみ合わせながらやっていくことが非常に大事だろうというふうに考えております。
#65
○村沢牧君 私は薬剤散布の効果を全然否定する、という立場には立っておらないけれども、現地を調査してみて効果があったと言われるところでも、その内容は散布している期間においてのみ枯損の程度が幾らか減少した、あるいは全滅への速度が落ちる程度のものであって、本来求めておる役割りを果たしておらない。薬剤散布によってより効果を上げようとするならばこの松林を薬漬けにしなければならない、こういう意見が出てくるわけですけれども、こういう意見は林野庁としてはどういうふうに受けとめていますか。
#66
○政府委員(秋山智英君) 昭和五十二年以来特別防除を実施しておるわけでありますが、それと並行いたしまして、特別防除を実施しております県、三十二県でございますが、これにつきましてその定点調査をいたしまして以来、本日に至るまで経時的にどういうふうに被害率が変わってくるかということを現在も調査をしてまいっておりますが、その成果を見ましても、この特別防除をや
 った成果は被害率がだんだん減少してきているということではっきり示しておるわけでございます。したがいまして、私どもやはり予防の手段といたしましての特別防除は有効であるというふうに考えておるところであります。
#67
○村沢牧君 松枯れを発見をしたらマダラカミキリが活動する前に伐倒駆除をすればザイセンチュウも媒介者であるカミキリも同時に駆除ができる、枯損木の移動を停止すれば拡散は阻止することができる、こういうことを言われている学者もおるんですが、これに対してはどういう見解を持ちますか。
#68
○政府委員(秋山智英君) このマダラカミキリとザイセンチュウが松を加害する段階の一つの流れを見てまいりますと、やはり春におきまして松の新芽が出た当時、ザイセンチュウを腹に入れましたマダラカミキリが飛び出しまして、それでこの若芽を食べまして、そこからセンチュウが入り、枯れるという現象になっておるわけでございますので、この段階でやはり薬剤を散布しまして、その散布したところの若芽をマダラカミキリが食べることによって死ぬという、こういう予防の方法はやはり重要だろうと思います。
 しかしながら、一方におきましてやはり全域防除はできないわけでありまして、やはりそれ以外の地域につきましては、これは伐倒し、薬剤を散布し、あるいは今後の方法としましては、特別伐倒駆除でチップ化し炭化するというようなことで虫を殺すというのは、あくまでもこれは密度を少なくして、明年に至るところのマダラカミキリ、ザイセンチュウをなくすということにこのねらいがございますので、やはり両者を併用しながらしていくことによりましてマダラカミキリ、ザイセンチュウの密度を少なくし、それが明年度への被害の減少につながるというようなことでございますので、ぜひとも両者を併用することが必要であるというふうに考えております。
#69
○村沢牧君 地域によっていろいろ違うであろうけれども、林野庁の指導方針としては両者を併用する場合どちらに重点を置いて指導していかれるんですか。
#70
○政府委員(秋山智英君) この重点を置くのは、非常にこれは一概に申し上げられませんが、やはり各県における被害の現状あるいはその周辺の環境等もございまして、これらをうまくかみ合わせることが必要だろうと思っております。私ども、過去におきましての予算を見てまいりましても、特別防除の部分はほぼ横ばいで、伐倒駆除がだんだんと増加してきておるわけでございますが、この五十七年度におきましては特別伐倒駆除を新たに導入したわけでございまして、従来やってまいりました伐倒駆除と合わせまして四十万ヘクタールを予定しています。五十六年におきまして伐倒駆除は二十九万五千でございますから約三六%ふやしておるわけでございますが、特別防除につきましても予防的にきわめて意味が大きゅうはございますので、五十六年と比べましては一〇%減の十二万三千ヘクタールを予定しているわけでございます。
#71
○村沢牧君 私たちもこの法律に伐倒駆除を重視をすべきだという要請をしてきたところでありますが、そういう面から特別伐倒駆除を法文上明記をしたことはそれなりに評価をしますが、問題はその内容と予算であります。
 まず、その前に伺っておきたいことは、特別伐倒駆除を命ずることができる松林、つまり高度公益機能松林あるいは被害拡大防山松林は具体的に言ってどういう松林を言うんですか。また、被害の程度が政令で定める率以上であるということになっていますが、その率はどのように考えていますか。
#72
○政府委員(秋山智英君) 高度公益機能と申しますと、保安林等のやはり公益上きわめて重要な森林をわれわれは考えております。
 それから被害拡大防止と申しますと、先ほど先生御指摘ございましたように、これから先にはどうしても入れちゃならぬというようなところでございまして、それが入れることによってやはり被害が拡大するということがございますと、そこで防除帯と申しますか、それを設けまして進めてまいるわけでございますので、非常に激害の地域と微害の地域の間に設けられる場合があるいはあるかと思いますが、そういうようなところにおきましてこの被害率が一%を超えるところにつきましては特別伐倒駆除を進めてまいりたいと、かように考えておるところであります。
#73
○村沢牧君 そこで特別伐倒駆除を設けたんですけれども、今日までの調査の段階あるいは経過の中から特別伐倒駆除命令を直ちに出さなければならないと思われるような林分はどのぐらいあるんですか。
#74
○政府委員(秋山智英君) 十六万五千ヘクタールでございます。
#75
○村沢牧君 材積にして。
#76
○政府委員(秋山智英君) 二十七万立米でございます。
#77
○村沢牧君 そこで、特別伐倒駆除命令の対象になることによって、木材として価値のあるものまたは将来経済的な効用の高まるもので伐倒しなければならない事態も出てくるというふうに思うんですけれども、この被害拡大防止林について森林所有者に対する補償はどうなりますか。
#78
○政府委員(秋山智英君) これは材が売れる場合と売れない場合とございますが、売れる場合におきましては、私どもとしましては、重要な資源でございますので、なるべくこれを有効活用したいと思っていますが、売れた場合には、その売れた価格で差っ引いた伐倒処理費につきまして見てまいりたいと、かように考えてます。
#79
○村沢牧君 立木補償ですね、まだ切らなくてもいいと思われるところもマツクイムシ防止のためには伐倒しなければならない。そういう場合の立木の補償はどうなるんですか。
#80
○政府委員(秋山智英君) 生立木につきましては、私どもいま見ておりません。
 そこで、先生御指摘の非常に貴重な太い材というようなことになりますと、先ほど触れました個別の単木に処理し得るような薬剤がもう近々これは出てまいりますので、そういうものをなるべく利用していただくように、一般の方にもPRしてまいりたいと思ってます。
#81
○村沢牧君 予定している予算の中では、特別伐倒駆除に必要な賃金その他の経費であって、全然立木そのものについての補償は含まれておらない、そういうことなんですか。
#82
○政府委員(秋山智英君) 含まれておりません。
#83
○村沢牧君 その場合、命令が出れば山林所有者は命令に従わなければならないというふうに思いますが、補償なくして、松枯れでやられた松林ならいたし方ないとしても、全然やられておらないけれども、拡大防止林として伐採する場合に、全然補償なくして切っちゃっていいんですか。
#84
○政府委員(秋山智英君) 生立木につきましては、これは命令の対象から外しております。
#85
○村沢牧君 それは生立木に対して外していれば、生立木にはそれじゃマツノザイセンチュウが入らない、マダラカミキリがくっつかないということなんですか。
#86
○政府委員(秋山智英君) まずは、特別防除によりまして予防措置をとることは当然でございますが、具体的に現地で、今度は特別伐倒の駆除命令を出すものにつきましては、被害がかかっているものについてでございますので、生立木につきましては、これは駆除命令の対象にしておりませんから、これは残るわけでございます。
#87
○村沢牧君 たとえば、長野県には山口村の例にかんがみて、マツクイムシの侵入防止地帯、すなわち二キロくらいの範囲にわたって松を全部伐採して、防火線のような地帯をつくってくれというような要望もありますけれども、この場合は、この法律上駆除は何に該当するんですか。
#88
○政府委員(秋山智英君) そこが保安林である場合と、もう一つは先ほど触れました被害拡大防止林の対象になるかどうかということでありますが、これは、被害拡大防止林というのは、隣接地域が相当被害がございまして、奥地にそれを入れないというために設ける場合が出てまいるわけであります。その場合におきましては、やはりやり方としましては、特別防除によりましてそこに予防をし対処するわけでございますが、さらにその後におきまして被害が出てまいりましたならば、特別伐倒駆除で完全にこれはチップ化あるいは炭化することによってなくすというような考え方で進めてまいりたいと思っています。
#89
○村沢牧君 この被害拡大の予防も単に特別防除、すなわち空中散布だけでなくて、その地域にはマダラカミキリが入ってこないという、このような、いま申したような防止帯もつくる必要があろう、このように思うんですが、それが拡大防止林であるというふうに思うんですけれども、これについては、特別伐倒駆除の対象になるのかどうか。
#90
○政府委員(秋山智英君) その場合に被害の度合いということがやはり一つの基準になりまして、被害一%を超える部分につきまして、これは特別伐倒駆除をしてまいりたいと思います。
 それからもう一点、やはり対応として考えられますのは、やはりその感染源をなくし、その機能をより高めるという面から言いますと、林種転換という方法もあわせて考えるということが大事だと思っています。
#91
○村沢牧君 進入防止帯をつくれという、こういう要望に対しては、林野庁はどういうふうに思われますか。
#92
○政府委員(秋山智英君) 私は適切な防除措置の一つであろうと思っています。
#93
○村沢牧君 適切な方法であるとするならば、やはりこの法律運用の中でそのような要望が出てきたら、この法律に適用さしていく、そういうお考えは持っていますね。
#94
○政府委員(秋山智英君) 現地で具体的にこれにつきましては検討しなければ明確な答弁できませんが、考え方といたしましては、そういうことによりまして、これからまだ全然被害がないところにその被害が入らぬようにしていくことが大事だろうと思いますので、そういう面については具体的にまた検討してまいりたいと思います。
#95
○村沢牧君 そこで、伐倒駆除をするには、まず作業をする作業道が必要になってくるわけです。また、被害木を処理するために機械装置も必要になってくる。長野県ではモノレールを使って伐倒木を搬出する県単独の予算措置も講じておるようでありますけれども、このような作業道あるいは機械器具、さらには予察用誘引器、これらに対する助成措置はどうなりますか。
#96
○政府委員(秋山智英君) 被害の出てる度合いがこれは問題になると思いますが、やはり二、三本出てるところに作業道を設けるというのは非常にむずかしいわけでございますので、こういう場合におきましては、これからの研究事項でありますけれども、やはり伐倒し、薬剤散布し、徹底駆陰するという方法が必要だろうと思います。
 そこで、一般的に申しまして被害木の伐採、搬出その他につきましての助成でございますが、まずこの伐採、搬出するためには、被害森林整備資金というのがございますので、これですと一ヘクタール当たり百二十万まで無利子でお貸しできますので、こういうものを活用していただくと同時に、今度はその伐倒した材を利用するためには、林業改善資金の中に、炭化するための炭化炉、あるいは移動式チッパー等に対する無利子融資の仕組みもございますので、これを使ってもらうと同時に、また、その加工施設等の助成金もございますので、これらを有効活用するというような方法を現在考えておるところであります。
#97
○村沢牧君 被害が二、三本出てるのを駆除するために作業道をつくれなんて言ってるわけじゃないんですよ。被害がたくさん出てるから、それを伐倒するためには作業道も必要になってくる。あるいは薬剤散布もできない地域である。そうしてみるとどうしてもこういう道路だとか機械器具が必要になってくるんですがね。これをマツクイムシ対策の法の中でこれに対してどうして考える乙とができないんですか。
#98
○政府委員(秋山智英君) 私ども現在林道につきましては森林法に基づく計画に基づいてやってますが、これからのマツクイムシ対策はきわめて粛要でございますので、やはりその被害木の利用、樹種転換、林道等につきましても、これは被害対策が円滑にできるようにこれからもやはり工美し、どういう場合にはいれるか検討していかにゃならぬと、かように考えてます。
#99
○村沢牧君 そうすると、私がいま指摘したよろな問題についても今後検討して、助成措置ができるようにし、円滑な防除対策ができるようにしていくと、そのように努力レてくれますか。
#100
○政府委員(秋山智英君) 検討してまいりたいと考えてます。
#101
○村沢牧君 五十七年度のマツクイムシ被害対策予算の要求内容を見ると、依然として薬剤散布が六〇%近くを占めておるわけです。伐倒駆除は三二%程度であります。いま答弁のように、伐倒駆除に今後重点を置いていく、そうならばこの予算の内容も変更しなければならない。この内容変更についてはそのようにしていく用意をお持ちですか。
#102
○政府委員(秋山智英君) 私ども先ほど触れましたとおり、まずは予防をしないことには被害が非常に多うございますので、まずは特別防除によりまして予防をすることがやはり大事であろうと思います。しかる後にその被害が出た場合には、それぞれの地域の実態に応じまして特別伐倒駆除あるいは普通の伐倒駆除、場合によっては林種転換というような方法を講ずるわけでございまして、私は現段階としましては、先ほど触れましたとおり、まず特別伐倒駆除とその伐倒駆除で四十万ヘクタールを対処しようということで考えていますし、やはり特別防除につきましてもきわめて効果がございますので、こういう被害の激害型の場合におきましては、合理的な方法の一つとして予防措置の特別防除をやることがきわめて重要でございますので、この予算で、総額七十二億でございますが、進めてまいりたいと、かように考えておるところであります。
#103
○村沢牧君 従来の反省にかんがみて、総合的に対策を講じていくということを冒頭から言っているわけですがね、しかし、いまの答弁を聞いてみれば、依然として特別防除、空中散布の予算而に重点を置いておるわけなんですよ。予防といっても空中散布ばかりが予防じゃない、特別防除措置をつくって拡大防止のためにも特別防除を、命令を下すということになっているんですから。しかし、この予算の内訳の中身を変えていくというような気持ちがなかったらば、幾ら総合的に施策を行って伐倒駆除を重視していくんだと言ってみたって仕事にならないじゃないですか。
#104
○政府委員(秋山智英君) 先ほど触れましたとおり、両方の方法、あるいはそれ以外の方法もうまくかみ合わせながら進めでまいることが必要だと思いますので、私どもといたしましては、五十七年度はこの計画に基づきましてひとつ進めてまいりたいと、合理的に防除方法を組み合わせながら進めてまいりたいと、かように考えておるところであります。
#105
○村沢牧君 私は、五十七年度のいま予算審議も行っているとごろでありますが、五十七年度予算でマツクイムシ防除費七十一億八千三百万円ですね、この金額をここでふやせなんて雷っているわけじゃないんです。この中身になっているもの、このくらいは希望がいろいろ出てきたら変更したっていいじゃないかと思うんですが、全然この中身は変更する気持ちはないんですか。
#106
○政府委員(秋山智英君) やはり被害の実態に即しまして、効率的な執行方法に努力してまいりたいと思ってます。
#107
○村沢牧君 たとえば、被害の実態に即して効率的にこの施行方法を努力するとするならば、五十七年度の予算要求のこの中身ですね、特別伐倒駆除が二十七万五千立方、それから伐倒駆除が三十九万五千立方、これを予定しているわけですけれども、これは駆除の必要量を全部網羅しているのか、この法律に基づいて地方団体から伐倒駆除を希望する地域、あるいは事業最がふえた場合にこれに対応していくんですか、ことしは予算がないからだめですと言うんですか。
#108
○政府委員(秋山智英君) 現段階はこの予算によりまして効率的な実行に相努めてまいりたいと、かように考えておるところであります。
 なお、今後の段階で被害がふえたらどうするかという問題でございますが、これはその段階でまたひとつ検討しなけりゃならぬわけでございますが、過去におきましては、そういう場合には予備費を使った例もございます。
#109
○村沢牧君 どの予算を減らしてということは、これは申し上げませんが、せっかく特別伐倒駆除の予算ができたんですから、この希望がふえた場合には、たとえば薬剤散布の予算を減らしてもこちらの方へ向けていくと、その操作ができるのかどうかということなんです。
#110
○政府委員(秋山智英君) 特別防除につきましては、御承知のとおり五月から六月にかけましてのマダラカミキリが飛び立つ前にまくというふうな、そういう技術的な面がございます。したがいまして、これまでの被害状況を踏まえましてこの特別防除につきましては、まず春にこれを、二回でございますが、実行するということは、これは防除を計画的に進める上におきまして、これはもう欠かせないものでございますが、いずれにいたしましても、やはり防除全体につきまして、効率的に執行することがきわめて重要でございますので、その面からも検討はしてまいりたいと思ってます。
#111
○村沢牧君 今度の法律改正によって、マツクイムシ防除事業の国庫負担の割合ですね、これはどうなるのか、法改正によって総合的に駆除対策を講ずるとするならば、助成対策の範囲も広げなければならないし、また充実をしなければならないというように思いますけれども、その点はどうですか。
#112
○政府委員(秋山智英君) この特別伐倒駆除等につきましては、これは国から三分の二でございます。それから地区実施計画によりましてやる奨励防除については二分の一の補助でございます。
#113
○村沢牧君 そこで、時間がありませんから、一々内容を聞きませんが、国費の負担割合あるいは助成措置一覧表等を、後ほど文書で提出して武らいたいというふうに思いますが、よろしいですか。
#114
○政府委員(秋山智英君) 提出いたします。
#115
○村沢牧君 そこで大臣にお尋ねいたしますが、総合的にこの施策を行うといっても、五十七年度の予算は特別伐倒駆除を新設して、内訳として約十一億円くらいな予算を持っているわけですから、これを新設したんだから五十六年度予算に比べてこれを上積みしなきゃいけないけれども、他の内訳を、項目を減らしてここへくっつけていくと、こんな操作にすぎなくて、全体では五十六年度に比べて伸びたのは三億程度、五十七年度のう算が財政再建その他で厳しいことは承知をして公るわけですけれども、これからこの五年間で、先ほど大臣の決意をお聞きしたわけですけれども、マツクイムシを防除していくためには、かなりの予算も必要になってくるというふうに思いますけれども、今後予算拡充対策も考えておられるのかどうか、どうでしょうか。
#116
○国務大臣(田澤吉郎君) 松と病原体とその運び屋という三者のこの複雑な絡み合いというものが、ある程度理解されるようになった今日でございますので、私たちとしては、予防のための特別防除、これをやはり春二回、適期に行うということが一番だと思います。さらに、今回の法改正によりまして特別伐倒駆除あるいは樹種転換、市町村の実施計画等を進めるわけでございますが、私は何としてもこの伐倒駆除にさらに今後も力を入れていかなければいけない。これまでは、松材というものはやはり燃料だとか、薪炭材として使われてきました関係から枯損木がそのまま活用できたのでございますけれども、最近の燃料の変化等からこれはそのまま林立しているという現状でございますので、この伐倒木の駆除処理あるいはまたそれに対する対策等には、かなりの経費はかかるのじゃないだろうかと、こう思われますので、今後これからいろいろ進めてまいりまして、予算の必要が出てまいりますならば、私はこれに対してはできるだけ予算の措置をいたしたい。何としても私たちの生活の中の松の役割りというのは非常に大きいのでございます。ことに松は縁起のいい木としてこれまでも言われてきておりますし、日本のこの景色から松を失うということほど私たちにとってさびしいものはないのでございますから、そういう点から考えて、私はマツクイムシの被害の終息のためには最善を尽くしたい、かように考えております。
#117
○村沢牧君 自治省に伺いますが、マツクイムシの防除のために、先ほど説明のあったように、現在まで地方団体の使った経費も大きなものがあるわけです。この法律の改正によって都道府県、市町村の果たさなければならない役割りも明文化されてまいります。それだけにまた、地方自治体の経費も増大するわけです。したがって、この地方自治体の財政援助について国も配慮しなければいけない。具体的に言うならば、マツクイムシ防除費、これを交付税の対象とすべきである、こういうふうに考えますが、どうでしょうか。あるいけ特交でもっても配慮をすべきだというふうに思いますが、その辺について自治省はどういう見解を持っていますか。
#118
○説明員(持永堯民君) マツクイムシの防除の緯費でございますが、もちろん御承知のように、国の補助を受けて行うわけでございますけれども、地方が負担する部分につきましては、従来から、普通交付税と特別交付税と両面で措置をしてまいっております。普通交付税は、御案内のとおり、標準的な経費を算入いたしますんで、現実に各都道府県の必要な額と普通交付税の算入した額と合わない部分がございます。したがいまして、普通交付税で算入が足りない部分については特別交付税で算定をするというようなやり方をいたして治りまして、今回の改正法に基づきまして、新しく仕事が、始まる場合におきましても、従来と同様に措置をしてまいりたいと考えております。
#119
○村沢牧君 従来、必ずしも的確にそのような配慮がされておるということは余り耳にしないんですが、しておったんですか、今後さらに積極的にやるんですか。
#120
○説明員(持永堯民君) 従来から、いま申し上げましたように、普通交付税の算定の際には、森林病害虫防除費という項目の中でマツクイムシの部分についても当然算定をしておりましたし、特交につきましても、やはり普通交付税で算入が不足した部分については算定をしておったわけでございまして、従来からやっておりましたものを今後ともやっていきたいと考えております。
#121
○村沢牧君 次に、環境庁に尋ねますが、マツクイムシ対策として散布する薬剤はスミチオン、セビモールでありますけれども、これが自然環境や生活環境あるいは生態系に及ぼす影響は、環境庁としてはどういうふうに考えているのか。また、今日までこの薬剤散布によって被害が発生したようなことはなかったのかどうか。
#122
○説明員(高峯一世君) 空中散布によります自然環境、生活環境等に対する被害、これを私どもも非常に心配をいたしておりまして、この点につきましては、五十二年にマツクイムシに対する特別措置法ができました際に、林野庁に対しましてその基本方針につきましては、その実施に際して都道府県の環境担当部局とよく相談をしてやるというようなことをお願いをいたしております。
 それから国立公園等の重要な地域につきましては、空中散布の対象から除外するということをお願いいたしておりまして、それもそのとおり実施されております。そういったような方針に従いまして自然環境なり、生活環境なりに対する被害がないようにという体制をとっておるわけでございますが、現在、大きな被害が出たというような具体的な報告につきましては、私どもは接しておらない状況でございます。
#123
○村沢牧君 自然保護団体やあるいは関係住民の一部から薬剤散布はやめろと、こういう強い要望も出されておることも事実でありますが、環境庁のところへも恐らくいろんな要望が出されているというように思うんですが、どういうふうに受けとめているんですか。また、環境庁としては薬剤散布の規制はどうすべきかというように思いますか。
#124
○説明員(高峯一世君) 先ほど申し上げましたように、空中散布につきましては、これは林野庁の方ともいろいろ調整をとっておりますので、空中散布が自然環境、生活環境に被害がないような形で実施されるように再度いろいろお願いをしておるわけでございまして、そのシステムが十分に発揮できるよう私どもとしても十分関心を持って対処していきたいと考えております。
#125
○村沢牧君 農林水産省としては、このスミチオン、セビモールの役割りについてはどういうふうに認識をしておりますか。
#126
○政府委員(秋山智英君) 昭和五十二年に特別防除を実施いたしまして以来、この特別防除実施に伴いまして植生、昆虫類、鳥類、土壌、水質等に関する影響調査を実施するために十県におきまして調査区、これは散布したところと散布しないところと分けまして、薬剤防除安全確認調査というのを実施してまいっております。
 これによりますと、たとえば、昆虫類につきましては一時的に変化があるという事例はございますが、早いところでは一週間、遅いところでも一ヵ月後にはほぼ回復しておるというふうなことが報告されておりますし、鳥類につきましては、営巣、ふ化、巣立ちの状況等につきまして散布の影響が認められないというふうに報告がございます。
 また、薬剤散布の河川の水中残留につきましては、散布の直後には検出されますが、その後減少しまして、散布後二ないし五日後には検出限界値以下あるいはごく微量値となっておるという報告を受けておりまして、現段階では自然環境等に大きな影響があったという事例は出ておりません。
#127
○村沢牧君 私たちが現地調査をすると、現地ではいろいろな薬害があると言っております。
 たとえば、貴重な動植物への影響あるいはミツバチ、蚕に対する影響、ヒノキが枯れたと、こうも言っておるわけです。これらに対してどう説明しますか。
#128
○政府委員(秋山智英君) 私ども特別防除を実施するに当たりましては、この散布個所の選定作業を行うに当たりまして、松林周辺の自然環境あるいは生活環境の保全、さらには、いま御指摘の農業、漁業等に対する被害がないように十分配慮しながら行っているところでありますが、過去におきましては、被害の発生等につきまして年平均二十件程度の被害が出ております。
#129
○村沢牧君 被害がないとは言い切れないわけですね。そこで、私がいま質問いたしましたミツバチ、蚕、これは当然被害があると思いますが、ヒノキが枯れたという、こういう指摘に対しては専門家の林野庁としてはどういう見解を持っておりますか。
#130
○政府委員(秋山智英君) ヒノキにつきましては、スミチオンの場合にはやはりそういう被害が出ておりますが、セビモールの場合には、これは選択性薬剤でございまして、被害が出ておりませんので、薬剤をまく場合には地域の条件によって薬剤を選択するというような方法をとっております。
#131
○村沢牧君 それでは、ヒノキも薬剤によっては枯れるということも明らかになったわけですけれども、そこで、先ほど長官の説明の防除の対策の研究の中で、天敵だとかあるいは微生物、これらに対しても研究を進めており、あるいはその実用化を図っているというふうな答弁もあったわけでありますけれども、薬剤散布によってマツクイムシの天敵まで壊滅されてしまうようなおそれはないのか。
#132
○政府委員(秋山智英君) いまのスミチオンによるヒノキが枯れるというのは、これは一部にございまして、葉が落ちるものでございまして、やはりヒノキにおきましてもいろいろと全国各地の品種系統が異なりますので、枯れる場合が、例が一、二ありましてもほとんど葉が落ちるというようなことでございまして、ヒノキの何かの特定品種でそういう傾向があるということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 それから天敵関係でございますが、現在試験場等におきましてその調査をしておる中におきまして、たまたまマツクイムシ、マダラカミキリの天敵としてアリモドキカッコウムシあるいはオオコクヌストというのがございますが、これは木の皮の下に入っていまして、薬剤等の場合には被害が出ておらぬというふうなことでございますが、ただ、さっき触れましたようにこの昆虫は確かに天敵としまして効果があるわけですが、この二種類ともに捕食の対象としてマダラカミキリ以外のものも食べているようなこともございますので、現段階では、マツクイムシの天敵としての昆虫としては、薬剤によフて特に天敵としての昆虫類が被害を受けるというようなことはないというふうに試験結果言われています。
#133
○村沢牧君 いずれにしても、薬剤の空中散布ということは被害が全然ないわけではない。あるいは住民感情としてもいいことではない。したがって、他に有効な予防方法があるとするならば、空中散布なんということはやられぬにこしたことはないと思うんですよ。やむを得ず特別防除を行う場合にあっても、その基準は厳しく規制しなければならない。
 そこでわが党は、この特別防除についても明文上規制すべきだという修正案も衆議院に提出したところでありますが、これまた政府の理解することとならず、また他の党の協力も得られず、衆議院の方ではこれは否決になっているんでありますけれども、明文上このことを規制することがどうしていけないでしょうか。
#134
○政府委員(秋山智英君) 現在の法律のもとにおきましても、基本方針におきまして、特別防除を実施する場合、環境に悪影響を及ぼすおそれのある場合には、必要な措置を講ずることができない場合には実施しないということでございまして、自然環境あるいは生活環境等に対しまして十分配慮した基準を実はつくっているところであります。そこで、しかしながらその環境保全等に必要な措置を講ずるならば、特別防除をする方がベターであるという場合も当然あるわけでございますが、法律上一律に絶対禁止というふうな地域を設けることは、かえってこの区域の決め方によりましては必要かつ適切な特別防除までも困難にするというおそれがあるわけでございますので、私ども先ほど触れましたような形で実施をしたいと考えておるわけでございます。
#135
○村沢牧君 わが党修正案も、この特別防除を絶対禁止をする、空中防除を禁止をするという修正案ではないわけですね。ここに指摘してありますように、特殊鳥類だとか、あるいは天然記念物だとか、さらには家屋、学校、病院、水源地、これらの周辺の松林であって、生活環境保全のための特別防除を行うことが適当でないと認められるものと、こういうふうに言っているわけですね。他とめ共闘修正によって、基本方針にこうしたことをうたうという修正案が先ほど説明があったわけでありますけれども、修正案というか、衆議院で修正されたことが説明あったわけでありますけれども、こうしたことを法律上盛れないということはどういうことなんですか。
#136
○政府委員(秋山智英君) 先ほど触れましたように、一律に絶対禁止の地域を設けるということはかえって――私どもはいままで基本方針で十分配慮してこういうことをやっておりますし、その保全に必要な措置が講じ得ない場合には実施しないということで基準を定めておりますので、むしろ逆に決めることによって必要な防除までもできない場合が出てくるということでありますので、むしろ私は基本方針でそれを的確に決めてやる方がこのマツクイムシをできるだけ早く防除するためにはよりよいのではないかというように考えております。
#137
○村沢牧君 一律にとおっしゃるけれども、やってはいけないことはやっぱり一律に規制しなければいけないのじゃないですかね。場所によれば、特殊鳥類だとか、天然記念物だとか、家屋や学校、病院、水源地の周辺であっても特別防除をやってもいいということなんですか。これは絶対やってはいけないというところを法律上明らかにしようということなんでしょう。
#138
○政府委員(島崎一男君) いまおっしゃいました基本的な考え方については、私らもそのやってはいけないところについてはやはりやらないようにという基本的な考え方は持っております。ただ一つ、社会党の方で出されました案の中で、二号というのがございますが、その中で、「家屋、学校、病院、水源地等の周辺の松林であって」云々というのがございますが、こういう地域につきましては現在基本方針、それから実施通達等で、被害を及ぼさないような予防措置を講じて特別防除を実施する、予防措置を講じてもなお被害を及ぼすおそれがある場合にはやらないということで、実態判断を含めた対応措置になっておるわけでございます。そういうことで、客観的にはっきり決められる、社会党案でも一号にございます特殊鳥類、それから天然記念物、こういうのは法律制度もございますし、対象区域も明確でございますので、これは現行でも実施しないとなっておりますし、それから衆議院の先般の修正案でもこの点はそのまま取り入れられておるわけでございますが、最初に触れました学校とか家屋とか、こういうところは客観的に禁止区域ということになりますと対象が明確に定めがたい、しかもそれを定めてしまいますと予防措置を講じても実施できない、こういう問題が生じますので、これは基本的な考えは同じでございますが、基本方針なり実施通達等で実態判断を含めて対応すると、こういう趣旨でございます。
#139
○村沢牧君 家屋、学校、病院、水源地等の周辺の松林であって生活環境の保全のため、ということは、予防措置を講ずれば空中防除をやってもいいといういまの説明なんですけれども、現実、具体的にどういう予防措置をするんですか。
#140
○政府委員(島崎一男君) その場所の性格等にもよりますが、現在でも基本方針で、家屋、学校、病院、それから水道、井戸、水源等に薬剤が飛散流入しないように、まず実行に当たりましては風向きとか風速に十分注意する、それから住居のあるところにおきましては窓を閉めるとか洗濯物の取り入れをするとか、あるいは人が大ぜい集まる場合におきましては交通規制であるとか入場規制というような、対象地域に応じまして必要な措置をとると、こういうことをいたしております。
#141
○村沢牧君 それも不十分だと思いますね。不十分だからいろいろな問題点が提起をされたり、あるいはまた空中防除を絶対やってはいけないというような意見も出てくるんですよ。ですから、衆議院で一部修正をされたけれども、まだまだ私は不十分だというふうに思います。この問題については後日また追及いたします。
 それから、特別防除を行う者は特別防除によって被害を受けるおそれがある人たち、つまり関係者の同意を得るように努めなければならないというように思いますが、これはどういうふうに取り扱いますか。
#142
○政府委員(島崎一男君) 同意の問題になりますと、これは法律的に同意という表現を使いますと積極的に賛成するという意思表示を取りつけなければいけない、こういう問題が出てきます。その場合に、どういう範囲の人の同意を取りつけるかという、そういう今度は対象になる人たちの範囲を明確化しませんと法律的な手続が全うできないということと、それから同意と言いました場合に全員同意かどうかという問題がございます。多数決なら会議を開いてやるとかあるいは投票方式でやるとかいろんな手続が出てまいりますし、不在者はどうするとか、細かくいきますと一種の選挙法的な細かい規定まで法律論争としては出てまいるということでございまして、実態的に理解と協力を得ることは必要であると思っておりますけれども、法律上同意という言葉を使いますと非常に厳密な意味を持ってまいりますので、緊急かつ計画的に実施しなければいかぬこの法律体系としては実行上問題があるのではないか、こういう趣旨でございます。
#143
○村沢牧君 衆議院の修正でこの点は「理解と協力が得られることとなるように努めるものとする」というふうに修正されているわけですね。私たちは、やっぱり同意を得るようにしなければなかなか亜硬な問題がまた出てくるというふうに思うんですけれども、「理解と協力」ということは、仮に同意を得られなくても進めていくということにもつながってくると思いますけれども、この辺はどういうふうに解釈しますか。
#144
○政府委員(島崎一男君) そこは行政執行上の良識の問題であろうかと思っております。
#145
○村沢牧君 それでは法律の解釈にならないですね、良識の問題というだけでは。「理解と協力」、もう一回答弁しでください。
#146
○政府委員(島崎一男君) 少し短い言葉で結論めいたことを申し上げまして誤解を受けたかもしれませんが、この点は衆議院で修正されました「理解と協力」、それがら附帯決議等にもいろいろ書いてございますので、基本方針、それから実施通達、できる限り客観的に行政執行上の基準が明らかになるように行政次元で可能な限りの方針を明確化いたしまして、その方針に従って実行する際には最終的には行政執行上の良心に従う、こういうことではないかと思っております。
#147
○村沢牧君 そこでもう一点、この特別防除を行う場合には利害関係者の意見を尊重するとともに、実施時期やその他必要な事項を周知徹底しなければならないというふうに思いますが、これはそのことをこの法律上どこかで明らかにしているんですか。
#148
○政府委員(島崎一男君) これは、「理解と協力」を得るようにということで法律にございますから、その「理解と協力」を得るためには周知徹底が前提になりますので、八条の修正案を受けながら私らは周知徹底に努めたいと思いますし、それから附帯決議でもこれはずばり周知徹底が入っておりますので、それに即しまして、実行段階におきまして県なりあるいは逐次実施計画については市町村段階におきまして推進連絡協議会あるいは説明会その他、パンフレット、広報車というような形で周知徹底に努める、こういう考えでございます。
#149
○村沢牧君 この法文上のことについては質問を保留しておきますから、まだ日もありますから、後ほどまた追及してまいります。
 それから、今回の法改正に伴って樹種転換を積極的に行っていくというような形になってきたのですけれども、先ほど長官の答弁で、いろいろな樹種を検討しているというふうに説明があったわけですけれども、その樹種は実用化に向かって成果を上げているのかどうか。その場合の融資や助成措置はどうなるのか、これを簡潔に答弁してください。
#150
○政府委員(秋山智英君) 激甚の被害の地域によりましては、機能を確保すると同時に、やはり感染源をなくすという面で林種転換を今回積極的に取り組んでいこうと思っています。
 そこでまず、このマツクイムシ被害地の緊急造林事業でございますが、これを中心としまして現在の土地の条件に応じまして杉、ヒノキ、それからクヌギ等の植栽を行う場合、この場合には大体補助率も五割でございます。
 それからもう一つ、林木の成長が比較的悪いような立地条件の悪い林地につきましては、土壌条件等の改良を行いながら、ヒノキ、場合によっては肥培樹種を植えるというようなことで、これは特殊林地改良事業で実施しておりますが、これは十分の七の補助でやります。それからこの融資といたしましては、これは非補助と補助残と二つに分かれておりますが、この補助残の場合にはまず下刈り、植栽等につきまして六・五%でございます。それから非補助の場合には三・五%、それから償還期限も一般には三十年以内でございます。それでもう一つ、林種転換を進める場合の造林樹種等の指導はこれはAGとかSPに指導させるわけでございますが、今後の問題としまして松をどうしても植えなければならぬという地域につきましては、若干時間がかかりますが、五十九年ごろから選抜育種あるいは交雑育種によりますところの抵抗性の強い松を植えるように持ってまいりたいと、かように考えております。
#151
○村沢牧君 いずれにしても、林野庁の対応は非常に遅いですね、技術の開発にしても樹種転換にしても。もう少し促進をしなければならないというふうに思いますので、その点は強く指摘をしておきます。
 それから森林の病虫害はやはり樹勢の弱った林木や保育環境の不十分な人工林に多く出ていることはこれは御承知のとおりだというふうに思うんです。したがって、松枯れ対策を講ずるためにも、間伐だとかあるいは生産基盤を強める必要がある。さらにはもう一点は、この枯損木の処理ですがね、経済的な価値を、利用方法をやっぱり検討しなければいけない、そうすることによっていま重要な課題である国産材の自給率を高めていかなければならないというふうに思いますが、これらについてはどういう対策を講じますか。
#152
○政府委員(秋山智英君) やはり基本は、何と申しましても活力ある森林を造成するということが基本でございますので、そういう面からやはり積極的に間伐等をしまして健全な状態に持っていくということがこれは非常に重要な問題だろうと思っております。したがいまして、下刈り、除伐、間伐等を行いながら活力ある森林をつくるように、これはいま施策もいろいろ総合対策が出ておりますので、それで積極的に進めてまいりたいと思っております。さらに被害木については、有効に活用し得るような体制をつくることがきわめて重要でございますので、あわせてこの問題についてもさらに積極的に進めてまいりたいと、かように考えているところでございます。
#153
○村沢牧君 それから、この伐倒駆除ですね、あるいはこの林種転換、これらを進めていく実施体制をやはり整備をしなければならないというふうに思います。私は、そのためにこの森林組合に期待をする面が大きいわけなんですが、森林組合がこの対策の中核となって取り組むことによってさらにこの有効な措置を講ずることができるというふうに思いますが、また同時に、これが森林組合自体の事業の拡充にもなってくる、どのようにこの森林組合の活動に期待をしておるのか、森林組合の育成ともあわせて、このマツクイムシ対策についてひとつ見解を示してください。
#154
○政府委員(秋山智英君) このマツクイムシ防除に当たりましては、やはり森林組合の作業班、あるいは素材生産業の方々に負うところがきわめて大きいわけであります。最近、森林組合におきましても作業班の員数もだんだんとふえてまいってきております。
 それから現在の森林組合法におきましても、マツクイムシ防除はやはりこの森林組合の本来的仕事であるというふうに決められておりますので、さらに、私どもは組合に対する協力要請を行うと同時に、その活動を活発化するための措置も進めてまいりたい、かように考えておるところであります。
#155
○村沢牧君 そこで、森林組合の作業班の話も出たんですけれども、やはり伐倒駆除をするについても労働力の確保がいま重要になってきておるわけです。国内林業が不振の中で、民間労働者の雇用も深刻な状態に置かれているわけですけれども、こういう対策が雇用にもつながってくる、そういう指導をしなければならないというふうに思いますが、雇用対策と松枯れ対策について、どういう指導性を発揮しますか。
#156
○政府委員(秋山智英君) 現在も森林組合活動をより活発化するための予算もございますし、さらには最近はグリーンマイスターと呼んでおりますが、今後の林業従事者をより資格を持って積極的に当たるための措置もとっておりますし、さらには五十七年度からは作業訓練システムを新たに導入しまして、森林組合の林業に従事する皆さんの資質の向上もふやすべく努力をしておるところであります。
 いずれにいたしましても、このマツクイムシ防除をするに当たりましては、森林所有者の組織する森林組合の活動がきわめて重要でございますので、さらに一層この必要な労働力が確保できるように対策を進めてまいりたい、かように考えておるところであります。
#157
○村沢牧君 ぼつぼつ私の持ち時間が終わりになりますので、問題点を残しつつ質問を詰めてまいりますけれども、この法律が成立すると、農林水産大臣は基本方針を定め、都道府県知事はこの基本方針に基づいて都道府県実施計画をつくり、市町村ばこれを受けて地区実施計画をつくらなければならない、このようにいろいろと計画の作業が急がれるわけでありますけれども、ことしの場合、マツノマダラカミキリの活動する前にこれらの計画がすべて完成をするのかどうか、あるいは県の計画が国の基本方針に合致しない場合にはどういう調整をしていくのか、また、地区実施計画は地元の判断を重視しなければならないというように思いますけれども、これが国の基本方針なりあるいは県の計画との調和、チェックはどういうふうにして進めていかれますか。
#158
○政府委員(秋山智英君) マツクイムシ防除の時期が、やはり五月に入りますとこれは早急に実施しなければならぬわけでございますから非常に緊急を要するわけでございます。したがいまして、まずは私ども四月に入りまして、必要な段階になりましたならば、この中身につきまして十分徹底を各都道府県に対しましてすると同時に、各都道府県におきましても関係市町村につきましてこの防除の趣旨とやり方につきまして、基本方針から都道府県の実施計画、さらには地区の実施計画が十分連携をとりながら各種の防除方法が効率的になし得るように早急にそういう意味での会議等を持ちながら対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#159
○村沢牧君 実施計画を急ぐことは当然なんだけれども、地区実施計画をつくるについては、やはり先ほど来指摘をしておりますように、地元の関係者の意見も聞かなければならないし、地元の判断を重視しなければならないわけです。その場合、地区実施計画ができないから、たとえば特別防除もことしはできませんよというふうになるのか、地区実施計画はできなくても予定をしている特別防除等は進めていくのか、その辺はどうなんですか。
#160
○政府委員(秋山智英君) すでに全国で四百市町村につきましては、この法律はございませんが、やはり自主的にマツクイの防除の計画を立てながら進めていかなきゃならぬという体制で現在進めてまいっておりますし、各県でもそういう指導を進めておりますので、体制は順次できつつあるというふうに私ども理解しておるわけでございます。したがいまして、私どもはこれを実施するに当たりましては、期間は短うございますけれども、十分徹底をし、地区の実施計画ができるように指導しながら、連携をとりながらやはりその森林所有者自身がみずからが守るという御理解をさらに深めながら、ぜひとも各計画が連携調和をとりながら進めていくようにしてまいりたい、かように考えておるところであります。
#161
○村沢牧君 最後に、大臣に質問して終わりますけれども、過去五年間、現行法に基づいて対策を実施したけれども、当初の期待どおりに成果も上がっておらない、その反省について私はきわめて不十分だと思う。そしていま二時間、林野庁長官からもいろいろ答弁を求めたわけでありますけれども、林野庁の対応はいろいろな面でやっぱりおくれていると思うんですね。五年間いままでやってきたんだから、そして法律を改正しようとするんですから、もっと促進をしなければならないというように思いますけれども、この法律を制定して、ともかく五年間にはマツクイムシがなくなるように対策を積極的に行っていくということについて、大臣の決意をもう一回お伺いし、質問を後日に残しまして、私の本日の質問を終わりたいというふうに思います。
#162
○国務大臣(田澤吉郎君) これまで五年間、もちろん五十三年の異常気象というものが大きな原因で今日被害が拡大しているわけでございますが、私たちとしては、過去五年間の実績を踏まえて、今後特別防除あるいは伐倒駆除等の対策を徹底いたしまして、これからの五年間に必ずこの被害の終息ができるように努力をいたしたい、かように考えておりますので、今後とも御協力をお願いしたいと思うのでございます。
#163
○委員長(坂元親男君) 本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩をいたします。
   午後零時二十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十八分開会
#164
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#165
○鶴岡洋君 午前中の質疑に引き続いて午後の質疑に入るわけでございますけれども、最初に、今回の法改正について五十二年度にできた現行法から見ますと題名が変わるわけでございます。この変更について緊急かつ総合的に推進するための特別法という趣旨ということだが、この目的の範囲を広げる理由、そして具体的にどんな効果々ねらっているのか、その点を最初にお伺いいたします。
#166
○政府委員(秋山智英君) 現行の法律によりまして五年間実施してまいったわけでありますが、現行法におきましては特別防除を中心といたしまして、それに伐倒駆除という形でやってまいったところでありますが、この五年間の実績等を見てまいりますと、やはり特別防除を行うと同時に、被害を受けた松林の転換を含めまして総合的にその各般にわたるところの対策を緊急に実施しなきゃならないという趣旨で今回松くい虫被害対策特別措置法を定めることにいたしたわけでございますが、特にその中で重点となりますのは、マツクイムシの被害対策を計画的に総合的に実施するということで、そのために農林大臣が定める基本方針、それから都道府県知事が定める都道府県の実施計画のその内容を拡充いたしまして、さらには防除の完璧を期すためには森林所有者等の自主的な対策を進めるために市町村におきまして地区の実施計画を策定し、これに基づきまして自主的防除を推進してまいると、こういう考え方でございます。
 そこで、過去の実績にかんがみまして、やはり被害の蔓延している地域におきまして公益的機能の高い保安林のようなところ、あるいは被害の拡大を防止していくためにどうしても重点的に防除しなければならぬというふうな地域につきましては特別伐倒駆除という方法によりまして伐倒し、かつそれをチップ化あるいは炭化するというふうなことを考えておるわけでありまして、これらの方法を総合いたしましてできるだけ早く被害を終息に持ってまいりたいと、そういう考え方でこういう名前をつけたわけであります。
#167
○鶴岡洋君 過去の実績を含めてというお話がございましたけれども、防除では間に合わなくなった。したがって、よりベターな方法ということで反省の意味も含めてこの題名が変わったんじゃないかなと、こういうふうに推測するわけでございますけれども、この五十二年度の現行法の制定において、法第三条には五カ年間においてマツクイムシが運ぶ、いわゆるマツノマダラカミキリが運ぶマツノザイセンチュウ類による松林に発生している異常な被害が終息することとなるように云々と、こういう目的が掲げられておるわけです。このことについて当時の記録を見ると、本当にこの五年間でできるのかどうなのかという議論がたくさんされております。その議論の中で特別防除、すなわち空散をやって五カ年間でどうなるのかというこの問題については、政府の方は、記録を読みますと一貫して大体終息型になると、このよろに言っているわけです。たとえば五十二年の四月の七日の記録でございますけれども、ちょっと長くなりますけれども、記録を読ましてもらいますと、「五カ年間で完全にその目的が貫徹するという意味なのか、」と、こういう質問に対して、「私どもは、昭和四十八岸以来、空中散布によりましてマツクイムシの防除を実験的に実施いたしております。その結果によりますと、私ども激害地と称しておりますけれども、これは五%以上の被害が出ておる地域でございます。これは、大体三年まけば終息型になり得る。それから中害地、これは五%以下でございますが、一%以上のものについては二年程度まけば終息型になり得る。さらに微害地等におきましては、一カ年でおおむね終息型になり得るという実験データを持っております。」と、これは政府が言っているんですよ。「したがいまして、現在被害が出ております四十五万
 ヘクタール」これは五十二年時点ですね、「のうち、空中散布によりますものを約二十六万ヘクタール見込んでおりますけれども、それを重要なところから、緊急度の高いものから五十二年度から実施いたしまして、五十六年度にはすべて終わるという形で対応すれば終息型に誘導し得るというふうに考えております。」これが答弁です。これに対してさらに、それじゃ、「あなた方のこの計画が予想どおりいかなかった場合に、その後の対策はどういうことを考えておられるのか、どうしようとおっしゃるのか。」こういう質問が重ねてあります。これに対して政府の答弁は、先生方がおっしゃるように、自然、天然現象の中には予測し得ないものが起き得るかもしれません。しかし、私どもといたしましては、過去四年間やってまいりました経験をもとにいたしまして、それぞれ重要林地というものを見きわめながら対応していけば一応五年間ではおさまり得るという確信を持って今度の計画を出しておるわけでございます。こういう答弁になっておるわけです。しかし、あれから五年、現実にはどうかというと、たくさんの予算を使いながらいろいろ努力しているのは認めますけれども、現時点においては依然として被害は、おさまるどころかかえってますます進んでおるわけです。北海道、青森を除く全県下に蔓延しておるような状況になっておるわけです。このような状態までしたというのは、これは政府の責任ではないか。こういうことを言いながら、こういうふうになっているわけです。もちろん天然現象もあるでしょうけれども、この反省を大胆どうされているのか。林野庁長官、担当ですから、お二人の方にお答え願いたいと思います。
#168
○政府委員(秋山智英君) いま先生御指摘のとおり、五十二年の審議におきましてはそういう発言があったと記憶しておるわけでありますが、林野庁といたしましては、成立以来鋭意その防除に努力をしてまいったわけでありますが、このやはり五十三年の異常気象と申しますか、高温少雨というふうな予期せざる天然現象によりまして、やはり従来ほとんど被害がなかった地域に拡大するというふうなことやら、あるいはかつて軽微であった茨城、栃木その他の地域におきまして、爆発的にその被害が出てまいるというようなことが実は起きたわけでありまして、その後林野庁といたしましては、これらに対応しまして五一十三年には予備費を五億投入いたしまして伐倒駆除にそれを充当するというようなことやら、さらには被害の激しいところにつきましてこの感染源をなくし、あるいは森林の機能をより今度確保するために樹種転換をするとか、さらには災害防止のために治山事業を緊急導入するとかいうふうな方法を講じながら対処してきたわけでございます。
 しかしながら、一部におきましては計画的に――もちろんこの特別防除をした地域はこれはりっぱに現在、これは保安林等でありますが、保全されておるわけでありまして、その地域の皆さんからはそれなりの評価を受けておるわけでありますが、いま触れましたように、全体的に見ますと従来被害のなかった地域あるいは軽微の地域に異常に拡大をしてまいったという実態があるわけであります。また、特別防除につきましても、当初計画に対しましてこの実行が、当初二十六万三千ヘクタール計画したわけでございますが、自然環境、生活環境への配慮とかあるいは農業、漁業への被害の防止というような面から、実行が二十万ヘクタール弱に落ちたというようなこと、さらには異常気象による激害のために普通の伐倒駆除ではなかなかその効果が十分でないという面もございましたので、私どもといたしましては森林審議会の中にマツクイムシの対策のための部会を設けまして、今後これを終息に向けるためにはどうしたらよいかということをいろいろと論議を重ねた結果、先ほど触れましたような考え方で、今後鋭意あらゆる防除方法を導入しながら、被害の実態、林地の状況等も考えながら総合的に防除体制をしき実行して、できるだけ早くこの終息に持っていきたいと、こういう考え方でおるところであります。
#169
○国務大臣(田澤吉郎君) 五十二岸の現行法を制定した当時の事情につきましては、いま鶴岡委員御指摘のとおりでございまして、五十二年のこの現行法を制定する出時も、四十八年以来の五年間の経験を踏まえてのことでございました。しかし、その当時の防除技術とマツクイムシの現状から言って、五年間で終息できるという固い決意で農林水産省としては五年間これに取り組んでまいったのでございますが、まあ実態は五十三年の異常天候を契機にいたしまして、ますますその被害が拡大するという状態を生んだわけでございます。まあ実際五十二年以来五年間この防除対策を進めなかったならばもっと拡大しただろうと思うのでございますので、そういう点ではそれなりの私は大きな成果があったと思うんです。しかし、このいま特別防除、いわゆる予備体制だけではなかなかこのマツクイムシの現状というものは処理できない、被害を終息することはできないという現状に立たされたものでございますので、私たちは過去の五年間を十分責任を感じます。それだけに、その責任を果たすためにもこれからの五年間は、先ほど来長官から説明申し上げているようなもろもろの手段を講じて終息のために努力をいたしたい、かように考えているわけでございますので、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
#170
○鶴岡洋君 それでは、この改正法にも出ておりますけれども、第三条ですが、五カ年間に、終息するとともに、松林の有する機能が確保されることとなるよう、と、こういう条文がありますけれども、この新法による松林の保護はどの程度期待しているのか、この点をお伺いしたいと思います。
 いま長官がおうしゃったように、現行法、今度新法と変わるわけでございますけれども、特別伐倒とかきめ細かい実施計画とか、そういうことを言われておるわけでございますけれども、完全に終息できるという見通しをこの五年間持っているのかどうなのか。それとも前と同じように、五年間がんばったがその結果だめだったと、こういうふうに、そのときにはまた再検討しょうと、こういう二段構えでいるのか。この辺もう一度大臣のマツクイムシ防除の決意をお伺いしたいと思います。
#171
○国務大臣(田澤吉郎君) 私は、今日の防除技術を基礎にして、また過去五年閥のこのマツクイムシ被害の状況等を判断して、これからいわゆる特別防除、あるいはまた伐倒防除、あるいはさらに樹種転換、市町村のいわゆる実施計画等で市町村も参加していただくと、こういう総合的ないわゆる計画によりまして、私は必ず五年間に終息できるものと、こう思います。
 ただ、自然現象がまた新たなものが生ずるということも考えられますけれども、私たちは過去のいろいろな経験も踏まえながら、今後自然現象に対しても対応したいと、こう思いまして、今後できるだけ五年間で終息するように努力をいたしたい、かように考えております。
#172
○鶴岡洋君 それでは、数字の上から見ますと、私は松枯れの激発というのは終戦後ずっと見てみると何回かピークがあったように思います。まず二十一年から二十、五年、これが私は第一回のピークではなかろうか。その後、三十一年から三十三年、これが第二回のピークではなかろうかな。このときは数字の上から百万立方。それから四十六年にこのマツクイムシのいわゆるザイセンチュウ、これが発見された、これは大発見であったと思いますけれども。それから四十八年から空中散布が始まって、この辺が第三回のピーク。それから、いま大臣の言われた五十三年、五十四年と、これは天然の異常現象というのはあるとは思いますけれども、これがもう第四回のピークではなかろうか。こういうふうに見ていきますと、資料を見ると被害面積は五十年度三十八万八千ヘクタール、それから五十一年四十一万八千、五十二年が四十三万八千と、特別措置法施行後の五十三年度には五十五万八千ヘクタールと急増しておるわけでございます。
 一方、被害材積、この推移を見ても急激な増加になっておるわけです。ちなみに数字を申し上げますと、五十年度が百七万立方メートル、五十一年度が八十万立方メートル、五十二年度が八十一万、こうなっておりまして、やはり特別措置法施行後の五十三年度は二百七万立方メートル、五十四年度は二百四十三万立方メートル、こういうふうに五十一年度から見ると約三倍になっているわけです。その数字が示すとおり、被害面積、被害材積ともに脅威的な悪い方の伸びになっておるわけでございますけれども、これはどんな、――いま大臣がおっしゃるように当時といまとは空散の方法も違うでしょうし、またやり方ももちろん違うでしょうし、いろいろよりベターな方法でやると、こういうふうに言うておられますけれども、特別防除、この効果は余りなかったように私は感じるわけでございます。この点について、しつこいようですけれども、この特別防除の効果はどうだったのか、この辺はいかがでございましょうか。
#173
○政府委員(秋山智英君) 私ども特別防除の効果につきましては、三十二の都府県で実施しておりまして、五十二年以来この効果につきましては定点調査によりまして時系列にどう変わってくるかということをずっと連続して調べてまいっておるわけでありますが、その結果に基づきますと、被害率は年々効果があらわれまして低下してまいっておるわけであります。
 それから、一方具体的な個所で申し上げますと、特別防除を計画的に実施してまいりました保安林、たとえば静岡県の千本松原とかあるいは佐賀県の虹ノ松原とか、そういう特に重要なところにつきましては地域の皆さんが非常に協力的にこの特別防除に協力していただいておるわけでありますが、そういうところにつきましてはそれなりの成果を私は得、現在それなりの評価をいただいておるわけであります。しかしながら、やはりちょっと先ほど触れましたように、防除をするに当たりまして地域の環境保全等のため、あるいは農業、漁業の被害防止のために実行できなかったというような面もありまして、なかなか当初どおり計画できなかったところもあります。
 それからやはり異常気象につきまして特に触れたわけでございますが、まあ茨城、栃木、静岡、愛知、鳥取というふうなところにつきましては、確かに五十三年の高温少雨というのは測候所開設以来初めてというふうな例もあるぐらいひどいものであったわけでありますが、そのところにおきまして一茨城ですと五十二年にこれは二万七千の被害が五十三年に七十四万二千と、こういうふうな二十八倍にも及ぶ被害が出てまいっておりますし、栃木の場合には五十二年が五百立米が五十三年に二万四千立米というふうな被害が出ておるわけであります。
 空中防除の面積でございますけれども、これにつきましては茨城におきましては五十二年に二千、それから五十三年も二千三百、五十五年になりまして体制等ができまして七千四百ふえましたが、そういうふうに被害面積に対しては空散面積は非常に少ないわけであります。また栃木等におきましてもやはり空散面積は少ないこともございまして、これらも含めまして考えますと、茨城の場合には空中散布もできない地域も、何と申しますか、農業と森林が接している部分が多いどかいうふうなこともございまして、やはりこれからの防除の完璧を期すためには、これはやはり特別防除をすると同時に、地上において徹底した伐倒駆除を進め、しかもこれは地域の皆さんと一緒になりまして進めるというふうな体制をしなければならないという結論に達したわけでございまして、やはり空散の防除そのものはそれなりの私は成果が上がっているものというふうに理解しているところであります。
#174
○鶴岡洋君 この空散に関しては、いま申しましたように私はまだ疑問を持っているわけです。またこの点については自然を守る会という諸団体から、さらに学者等から、各方面からいろいろな意見が寄せられております。虫や病気を防ぐために薬を使い、効果があればいいと、こういうことでは私はないと思います。当然いま言ったように、自然の環境や人体に与える影響、これを慎重に考慮しながら実施すべきだと私は思っております。
 そこで、薬以外に松枯れを防ぐ有効な防除策はないのか、これももちろん研究されていると思いますけれども、たとえばカートリッジ方式だとか天敵だとか、いろいろ防除の方法はあると思いますけれども、この点については政府の方はどういうふうに研究を進めておられ、また、どういう考えを持っておられるのか、この点いかがでございますか。
#175
○政府委員(秋山智英君) 当面の防除の方法といたしましては、何としても非常に異常発生でございますので、予防的に特別防除をすると同時に、地上におきまして伐倒あるいはこれを焼却、チップ化というようなことをし、あるいは品種転換をするというようなことでやらなきゃならぬと思いますが、やはり長期視点に立ちますと、先生いま御指摘のとおり、やはりいろいうの方法を導入していかなきゃならぬというふうに考えております。
 そこで、いままでもそういう面で天敵あるいは選抜育種その他各般の方法を講じましてやっておるわけでありますが、その二、三の例を申し上げますと、まず、マダラカミキリがあるにおいによって誘引されるというようなことの性格を生かしまして、誘引剤を利用して集めて、それを撲滅するというような方法、それから天敵としましてけ昆虫もございますし、カビその他もございますので、そういうものを有効活用する、それから直接立木に薬剤を注入するとかその他、そういう方法もこの際長期の視点としてやっていかなきゃならぬということで、現在林業試験場においてやっておるわけでございますが、誘引効果の大きい物質も大体わかりましたし、また、天敵微生物、特にマダラカミキリの天敵微生物につきましては有効でございますので、細菌の一種としましてセラチア菌というような菌、これは細菌でございますが、それからカビの一種でございますが、ボーベリアバッシアーナ菌というようなのが非常にこれは有効である、これは増殖の可能性も非常に人工的にできますので、これらをやるとか、さらに樹幹注入剤としましてバイジットSO体というのが非常にこれは効くということでありますし、また、土壌処理剤としましてもダイシストンというのが有効であるということで、いずれもごれらの問題につきましては実用化の方向に向けまして野外試験を現在国立の林業試験場並びに公立の林業試験場等で協力体制をとりながらやっておるわけであります。
 それからもう一つ長期の問題といたしましては、やはり松を切った後に松しか植わらぬ地域もあるわけでございますので、こういう地域につきましてはやはり抵抗性の強い品種をつくり出さなきゃならぬ、こういうことで二つの方法を現在とっておるわけでございます。一つは選抜育種と申しまして、マツクイムシの被害が非常に激しい中におきまして被害を受けずに残っておるものを特に関西、四国、九州等から二万五千個体選び出しまして、それからいま、さらにザイセンチュウ接種なんかをやりながら、ようやく五百のクローンにおきましてそういうものが非常に有効であるとはっきりいたしましたので、これをもとにいたしまして将来抵抗性品種をつくってまいろう、こう考えておるわけでございます。
 それからもう一つ、これは交雑育種でございますが、日本の松と中国の馬尾松という松のFlが、これが非常に抵抗性が強いということがわかりまして、四十七年以来検討しているわけですが、ようやくこれにつきましても品種として固定できまして、まず当面はこれを五十九年ごろ海岸等におきまして植えていきながら、さらには将来はこれを採種林をつくって大々的に進めてまいろうというようなことで現在計画をしているわけでございますが、林業と申しますと、なかなか長期にかかる性格を持っている関係もございましてすぐには出てまいりませんが、私どもといたしましては、そういうふうな長期視点に立ちましての各種の防除技術も現在開発し、実行にできるだけ早く移せるように進めているところであります。
#176
○鶴岡洋君 先ほど大臣は空散をやらなかったらもっと被害がふえたんじゃないか、こういうふうにおっしゃっておりましたけれども、この五年間で蔓延した状況から見て松枯れ対策については完全に私は失敗したんじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、大体四十六年にマツノマダラカミキリ、これが運搬屋となって、そうしてザイセンチュウを運んでいわゆる松枯れが起きる、こういうメカニズムを発見したわけでございます。先ほど言ったように、これは大発見でもあり、確かにそうかもしれませんけれども、それから四十六年ですから、六年たって五十二年にこの現行法が制定をされた。それからさらにことしで五年たっているわけです。こういうことを考えてみると、本当に研究が私はおくれているんじゃないかなとも思いますし、やったこと自体について失敗したんじゃないかな、こういうふうにも考えるわけです。ましてこの五年間で合計二百七十三億二千三百万円、これにお金を投じているわけです。金の大小を私は論ずるわけじゃございませんけれども、いずれにしても三百億円近くの国費を使ってその結果が現在のような状況になっている、この点について防止対策に誤りがあったんではないか、こういうふうに私は思っているんですけれども、この点についてもう一回どのような反省をしておられるか、お聞きしたいのであります。
#177
○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど申し上げましたように、やはり五十三年の異常気象というものが被害を大きく拡大したと思うのでございます。それに加えて、やはり特別防除の実施の面での制約、たとえば、環境保全等に対してあるいは他の産業との影響等を配慮しますというと、特別防除も適期にやはりこれを実施しないとなかなか効果が出てこない。その適期を失しないように一番有効にやるということ等がある程度のやはり限界があったのじゃないだろうか。また、伐倒木の駆除処理についてもいままでは大抵燃料だとか、薪炭材に松はずいぶん使われたのでございますが、その後燃料の変化によりましてこの被害木の活用という面がかなり低下したと思うんですね。でございますから、そういう面もさらには拡大の要因に私はなったと思うのでございまして、したがいまして、今後私はやはり自然現象によって大きく拡大し、それに伴いますいろいろな限界が大きな被害を生んだと思いますので、こういういわゆる過去の経験というものを生かしながら今後の対策に当たりたい。したがいまして、当時の私は防除技術の面から言って、やはり林野庁が考えた計画というものはその当時としては実態に合ったものだと思うのでございますが、その後の自然現象が主たる原因になってそれに拡大のいろんな要素が加わって異常発生を見たということでございますので、確かにそういう点では私たちは責任を感じます。しかし、先ほど申し上げましたように、特別防除をもししなかったとするならば私はもっと大きな被害が発生したのじゃないだろうかと、こう思いますので、そういう点では、私はそれなりに特別防除は大きな効果があったと見て差し支えないと、こう思います。今後、私たちは責任は十分感じますので、その責任を今後の五年間に果たしてまいりたいと、かように考えておるのでございます。
#178
○鶴岡洋君 それでは端的にお伺いしますけれども、
   〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕
こういうふうに広がったのは天候の異常現象というようなお話もありますけれども、その根本原因は何だと、どういうふうに思っておられますか。
#179
○政府委員(秋山智英君) 松の枯損の原因につきましては、マツクイムシの被害による部分以外にも、ッチクラゲ菌とか、あるいはマツノタマバエ等の病虫害等があるわけでありますが、四十三年以来林業試験場におきまして、異常に爆発的に被害の発生する原因は何かということを中心にいたしまして、根の根系の方からのアプローチ、土壌の理化学性の問題、あるいは根を加害するクロカミキリとか、あるいは微生物の接種試験、その他各種の方法をやってまいっているんですが、いろいろこれらを消去していきながら最終的に結論を得たのが、やはりこういう異常爆発的な被害というのは、マツノマダラカミキリとザイセンチュウがもたらす被害であるという結論に達したわけでありまして、私どもやはり現在のこの被害状況にかんがみまして、できるだけ早い機会にあらゆる方法を使いまして、合理的な効率的な方法をかみ合わせながら、総合的に対処していくためのまずその対象といたしましては、このマツノマダラカミキリ、ザイセンチュウによる異常型枯損であるというふうに考えておるところであります。
#180
○鶴岡洋君 究極は、ザイセンチュウを運ぶカミキリが原因であると、こういうふうに農水省は思っておるようでございますけれども、一説によると、その前の段階として大気汚染によるとも言われているわけでございます。これも五十二年のときの議論の中にあったわけでございますけれども、当時は、いま総理大臣の鈴木総理大臣が農林大臣でありまして、そのときにおっしゃった答弁の中に、今後は林業試験場等の政府機関を総動員して研究、対策を立てていくと、こういうようなお話もございました。大気汚染ということもございますし、それから、一説によれば人間が運ぶんじゃないかと、そしてこの被害を拡大してるんじゃないか、こういう説もございます。その証拠に、ある学者が言うのには、幹線道路沿い、これが非常に被害が多くなっておる、東北方面は気候の関係で大体蔓延する速度がおそい、またなかなか蔓延しにくいと、こういう話もございますけれども、幹線道路沿いは確かに分布図を見てみると非常に多くなっていると。
 そういうことでお伺いしたいのは、今後もいろいろな環境によって、こういうふうになるわけでございますけれども、今後の対策としてどんな具体的に用意があるのか、これを確認しておきたいんですけれども、どういうことをされようとしておるのか。
#181
○政府委員(秋山智英君) 今後の進め方といたしましては、やはり総合防除という考え方でこれを立てておりますので、まずは、五、六月のマダラカミキリがザイセンヂュウを腹に入れて飛ぶころに特別防除によりまして、まずマダラカミキリが松の木を食べるときにそれを散布しまして、食べさせて殺すというような方法をとりまして、しかる後に秋になりまして、これは特別防除全部できませんから、その場合には、保安林あるいはそれに準ずるような公益機能の高い森林とか、あるいはこれから先被害を蔓延さしてはならぬというふうな先端地域につきましては、特に特別伐倒駆除をいたしまして、これをなくすと同時に、それ以外の地域につきましても普通の伐倒駆除で対応すると。その場合におきましても、やはり国、県、市町村、森林所有者の皆さんが一体となってやるような仕組みをつくって進めてまいりたいと思ってます。なお、普通林におきましてこの災害が相当ひどくて、このままですとほとんど木がなくなるようなところにつきましては、むしろ林種転換をいたしましてこの感染源をなくすと同時に、森林の機能を早期に回復するような手だても講ずるというふうな、あらゆる方法を駆使したりしまして、その地域の被害の実態、立地条件等に合った防除体制を進めてまいりたいという考え方でございます。
#182
○鶴岡洋君 まあ、あるところによると、空散に使用してる薬剤はマダラカミキリ成虫には効果がないと、そればかりか、自然界の生態系を破壊する意見もあることはあります。林野庁は林業試験場に対して、松枯れと大気汚染に関するいわゆる研究の中止を七一年に命令したと、こういうふうにも私聞いておりますけども、これは事実なのかどうなのか。七一年にいわゆる大気汚染に関する研究を中止した――中止したとすれば、出した理由はなぜなのか、この点はいかがですか。
#183
○政府委員(秋山智英君) 林木の生育に及ぼす大気汚染の影響等に関する試験研究につきましては、国立の林業試験場で現在も継続的に経常研究の一環としてやってまいっておりまして、中止をさした事実はございません。
#184
○鶴岡洋君 わかりました。
 過去五年間空散してきたわけでございますけども、予想を超える被害力全国各地で続発しております。新しい薬剤開発の研究に着手し、早急に対策を考えるべきだと、こういうふうに思いますけども、今後も空散にはいままで使ったスミチオン、それからセビモール、これでいくのかどうなのか、この辺はいかがですか。
#185
○政府委員(秋山智英君) いま、先生御指摘の薬剤は、現在特別防除に使ってるわけでございますが、これは農薬の検査におきまして薬効、薬害等につきまして厳重な検査を実施した上で登録され、実施されたものでございまして、十分その効果を私どもはあると確認しております。この特別防除の効果につきましては、昭和五十二年以来特別防除を実施しておりますところの三十二県におきまして、今日まで経年的と申しますか、にその被害が特別防除によってどう変わってきてるか、これは奥施したその被害率の調査におきましても、年々低下をしてまいっておるわけでありまして、事実また特別防除を計画どおり適切に実施してまいりました保安林、景勝林につきましてはそれなりの効果が十分上がっておるわけでございます。
#186
○鶴岡洋君 スミチオンの薬剤散布でございますけども、この効果っていいますか、二週間とか三週間とか、こう言われますけども、林野庁の方ではどういうふうに、どのぐらいの期間効果がある、このように思っておりますか。
#187
○政府委員(秋山智英君) スミチオンにつきましては一ヘクタール当たり一・五キログラムのこれは薬剤を六十リッターに薄めてまいてるわけでございますが、これが一ないし二PPmが残存していますと大体一週間で虫が死ぬわけでございますが、その効果につきましては約三週間というふうに見ております。
 また、セビモールにつきましては、五ないし一〇PPmの濃度で一週間で虫は死ぬわけでございますが、それも約三週間の効果があるというふうに実験結果から出しております。
#188
○鶴岡洋君 細かくなりますけれども、三週岡とおっしゃると二十一日間ですよね。マツノマダラカミキリの羽化という四月下旬から五月、六月ぐらいまでにかかって行えというこのデータが出ておりますけれども、日本列島は長いわけでございますし、沖縄から、いま青森、北海道はあかませんけれども、東北にかけて非常に――桜前線にしても大体二カ月ぐらい幅があるわけです。また、急に暖かくなったということもございますし、そういういわゆる較差があるわけです。さらに山と
 いうのは広範囲でございますから、山は低いところもあれば高いところもある、そういう標高の較差もあるわけです。したがって、大体まくのは二回と、こういうふうになっておりますけれども、その三週間から、出っ張るというんですか、そういう可能性もある。もしそうなった場合には三週間の効果というのはこれは効き目がなくなってくると、こういうふうになりますけれども、この点はどういうふうに考えておられますか。
#189
○政府委員(秋山智英君) 特別防除をするに当たりましては、発生予察事業というのがございまして、その地域地域、いま先生御指摘のように(九州、四国、中国とだんだん北に来るに従いましてその発生する時期が若干ずれてまいりますので、発生予察事業というのでその地域におけるところの発生の状況をまず把握いたしまして、それによりまして特別防除をするわけでございますが、いま御指摘のとおり二回それをまくことによりまして、大体その適期にまくように指導し、いままで実施してきておるところでございます。
#190
○鶴岡洋君 まだまだ聞きたいことはたくさんあるんですけれども、時間が参りましたので、また後、同僚に譲りますので、一点だけお聞きしておきたいんですが、最後に。
 近年マツクイムシによる被害がいま言ったように非常に猛威をふるっておりますけれども、この対策に政府は非常に苦慮しているわけです。それに加えて、一部地域では杉、ヒノキなどにもとび腐れ病が発生しているように聞いております。杉、ヒノキというのは、これは経済材というか良材というか、松に加えて効用の高い樹種であることはこれは間違いございません。ところが、この杉、ヒノキにとび腐れ、アリ食い、ハチ食い、こういう奇病が出ておりますけれども、地方によってはこれは深刻な問題にもなっているわけでございます。この被害状況について、ちょっと最後にお聞きしたいんですが、どういうふうになっておるのか。
#191
○政府委員(秋山智英君) 現在杉の害虫といたしまして出てまいっておりますのを申し上げますと、まず第一はスギノアカネトラカミキリというものの被害が全国で――全国と申しましても主として近畿、中国でございますが、三百三十七ヘクタール出ております。それからスギカミキリの被害が近畿、中国を中心にしまして六百十四ヘクタール出ております。それからスギザイノタマバエ、これは主として九州でございますが、一万七千四百九十三ヘクタール、これは五十五年度の被害統計でございますが、出ておるわけであります。これの害虫につきましては被害が外見ちょっとはっきりわからぬ面も――ちょうど形成層のところに実は入っておるわけでございまして、わからぬ、見にくい面も実はございますが、現在の防除方法としましては、まずこれは間伐によりまして空気の流通をよくし林分の健全性を確保することによりまして防除できるという面がございますので、当面は間伐等を適切にやるように指導してまいっておるところであります。しかしながら、一方におきましてはこの害虫の生態を含めましていろいろとやらなきゃならぬところが多々ございますので、現在プロジェクトチームをつくりましていろいろと杉等の穿孔性の虫害についての研究に積極的に取り組んでおるところであります。
#192
○鶴岡洋君 簡単で結構ですけれども、最後に、予算措置はどうなっていますか。
#193
○政府委員(秋山智英君) いまの杉の害虫に対する予算措置につきましては、これは森林病害虫等防除法に基づきまして予算を確保しておりますので、それに基づきましてその防除体制はしてまいりたい、かように考えております。
#194
○中野明君 けさほど来各委員からいろいろ質問が出ておりますので、極力重複を避けましてお尋ねをしたいと思います。
 まず第一点ですが、森林資源のわれわれの生活に及ぼす影響というものはこれは大変なものでありまして、非常に重要な仕事でございますが、マツクイムシの被害が全国的にほとんど蔓延するというふうな状況で、いまも議論がありましたが、現行法制定のときに五年以内に被害を全体として終息、微害の方向に持っていくと、このように政府は君明をされました。その反省に立って今回の法案を提案されたと、私どもこのように理解をしております。
 ところが、お話を聞いておりますと、非常に急激に発生した原因が異常気象ということに非常に比重を置かれて、手の及ばぬところであったというような責任回避のような答弁が非常に目立ったように私は思うんです。いままで私どもが理解しておりましたことは、このマツクイムシの被害、マツクイムシそのもの、これは気候温暖な九州から瀬戸内方面、そういう方面が多発するんで、比較的気温の低いところ、あるいは標高の高いところは広がらないだろうと、そのような考え方といいますか、見方が強かったように思うんですが、それがどんどん北上して今日のような状況になっておるわけですが、異常気象ということで、そのために発生したということになれば、この異常気象でない、もとに戻った現時点でまだ発生しているというのがちょっと私ども理解できにくいんです。結局、気候とは関係なくマツクイムシは広がると、このような認識にお立ちになっているんですか、その辺を林野庁ちょっとお答えをいただきたい。
#195
○政府委員(秋山智英君) このマツクイムシの被害と気温との関係につきまして、林業試験場で四十三年以来の研究開発の結果でございますが、まず、マツノザイセンチュウというのが元凶になるわけでございまして、これの生態というのが一番問題になるわけでございます。そこで、実験室での結果によりますと、摂氏九・五度以下ではザイセンチュウは発育をしないと。それから摂氏二十度以下の場合には松の樹体に侵入しまして発病しないと。二十度を超えてだんだん活発化してまいるわけでございますが、二十五度ないし三十度の付近で最もこれは活発に活動するということがはっきりしておるわけでありまして、一般的にはやはり気温の低い地域の発生は少ないと言えるわけでございます。しかしながら、先般の五十三年の被害におきましては、たとえば茨城で申しますと六月ないし八月の平均気温が例年に比べまして平均で二度以上も高い。ですから、異常高温でザイセンチュウが非常に活動する二十度なり三十度の時期も相当あったというふうに考えられますし、もう一つ、これを運びますマダラカミキリにつきましては、温度が高くなりますと活動がもちろん活発化するわけでございまして、それが一方松におきましては、やはりたとえば茨城の場合ですと、五十三年に、六月ないし八月の平均の雨量が年平均あるいは年にいたしまして九十九ミリか百ミリ少ないというふうに、非常に雨最が少ないと。そういうことで、マダラカミキリは非常に活発に活動するが、一方、松の方は蒸散作用と水分の吸収との関係がアンバランスになりまして上回ると。これらのことが相乗的に作用いたしましてこの被害が爆発的に、対前年比二十八倍にも及ぶような被害が出るというふうに私ども理解しておるところでございます。
#196
○中野明君 それで、私お尋ねしておるのは、異常気象で被害が出たと、それは一応わかるんですが、ところが、平常な状態に戻ったときになおかつ、一たん発生したら気温が下がっても被害が減らないということについて、気温とそれから材線虫の因果関係といいますか、これはもう考え方を変えなきゃならぬというふうに思っておられるのか、それとも平常の気温に戻ったら鎮静の方向に向くと、このように思っておられるのか、その辺お聞きしたいんです。
#197
○政府委員(秋山智英君) 一年の推移の中でもおわかりいただけると思いますが、やはり寒くなる冬季等になりますと材線虫もマダラカミキリも木材質部分に入るというようなこともございますので、単に外の気温が下がったから直ちに死ぬというふうにはならぬと思います。
 それで、ただ高温になりますと異常繁殖という、そういう傾向が出てまいっておりますが、やはり私ども、被害木についてはやはり徹底的に防除するということがまず大前提だろうと思います。それをし、かつ予防するということでマダラカミキリ、材線虫の生息密度を低めるということに相なりますので、やはり徹底的に防除する、また徹底的に駆除するということが大前提だろうというふうに理解しております。
#198
○中野明君 そういうことになりますと、また将来、異常気象が発生しないとも限りません。そういう保証はどこにもないわけですが、そうすると、現在青森と北海道、秋田ぐらいですか被害の少ないの、が。そういうとこら辺も将来はやられる心配があると、このように見ておられるんですか。その辺どうでしょう。
#199
○政府委員(秋山智英君) 非常にむずかしいところでございますが、現在マダラカミキリは岩手県まで生息していることははっきりしています。で、この被害は、マダラカミキリだけでは被害は発生せず、また材線虫だけでは発生せず、両者が合体することによって初めて被害が出るという、そういう仕組みのようでございますので、私どもといたしましては、やはり元凶は材線虫でございますので、材線虫を焼却その他の方法で殺すと同時に、やはり被害丸太を移動させることに対して監視をしながら、北に行かないようにするということが火事だろうと、いままでもやってまいっておりますが、さらに今後そういう方面の監視を重視しなきゃならぬと、かように考えております。
#200
○中野明君 私、いつも思うんですが、やはりこういう問題は、森林の所有者といいますか、この人が一番一生懸命にならなければ、監視をするとか、あるいは移動ささぬように見張るとか、いろいろありますけれども、最究極は、やはり森林の所有者と、そしてまた地域の人たち、国民全体が森林というものがいかに大切かということを認識することから根本的な解決になると思うんでありまして、それを補完するといいますか、それを応援するような形で法律というものもつくられているんじゃないかと、このように理解しております。
 それで、明治三十年に森林法が制定されたときには、森林病害虫被害の発見者の通告制度というのが創設されたように承知をしておりますが、現在の法体系ではこの通告制度というのはどういう形になっているんでしょうか。その辺どうでしょう。
#201
○政府委員(秋山智英君) 現在、この特別措置法の母法とと申しますか、一般法でございます森林病害虫等防除法の第十二条におきまして、「森林病害虫等が発生してまん延するおそれがあると認めた者は、遅滞なくその旨を都道府県知事又は市町村長に通報しなければならない。」と、こういう規定が実はございます。従来もこれによってやってまいったところでありますが、いま先生御指摘のとおり、最近マツクイムシ防除につきましても国または県が指導的にやってまいりますと、とかく森林所有者の方がそういう点おろそかになる点も確かにあろうと思いますので、私ども今後のこの法律実施に当たりましては、この面につきましても徹底的に指導と申しますか、PRをしながら御理解をいただいて、そういうシステムを生かしていきたいと、かように考えておるところであります。
#202
○中野明君 これ、これほど急に蔓延するということになりますと一種の伝染病でしょうから、これはよほどその辺のPRをまずしっかりしてもらうということがやはり解決の一つの原因になると、私どももこう理解しております。
 それから、一点申し上げておきたいんですが、五年間で被害を全体として終息さしたいという政府の強い決意の表明が前回の法作成のときにあったわけなんですが、先ほどの長官の答弁でも、国とか県、市町村一体となってこれからやりましょうと、総合的に、こういうふうに答弁になっているわけなんです。
   〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕
私は、前回法律をつくって政府がそこまでの決意を込めてマツクイムシの撲滅を決意された以上は、やはりせめて国有林だけでも見本を示してほしかった、国有林というのはこれは国が管理者ですから。ところが、国有林の資料をいろいろ見せてもらいましてもほとんど、民有林との比率からいって国有林が画期的な成果を上げたというような数字には読めません。だから、五年間でできなかったという反省に立つ以上は、やはりまず国有林が被害を食いとめる。率先垂範して初めて一般の森林所有者に対する指導力も発揮できる、自覚も持ってもらえる、こう思うわけです。
 なぜこんなことを言いますかといいますと、私の知っている範囲では、松山というところがあります。愛媛県に。あそこは名前が松山です。あそこの市長さんが、松山から松がなくなったら街がのうなると、名前そのものが松山だということで、松山市では松を絶対守るんだという強い決意で、職員も一丸になって、――確かに松山はやられてないんですよ。瀬戸内海で一番繁殖をするような条件のところでやられてないんです。もちろん栗林公園とか宮城前とかああいうところは、これは限られた地域で、そして管理が行き届いているからある程度守られたということは言えるかもしれませんけれども、松山市のような広い、そして一番被害の激しいそういう真ん中で厳然と松を守ったという、こういう事実を考えましたときに、国有林が民有林と同じ比率で同じようにやられましたと、そして五年で撲滅しますと言うた以上は、国有林はここまでやりましたと、こうなって私はしかるべきだと思うんですが、その辺、林野庁としてどういう認識に立っておられるか。その辺の反省はあるのかないのか、御見解をお聞きしたいんです。
#203
○政府委員(秋山智英君) マツクイムシの防除につきましては、国有林と民有林が一緒になりまして、虫はどっちも飛んでまいりますので、一緒になりまして、とにかくなくさなきゃいかぬということで、これまでも民有林と連携をとりながら鋭意やってきたつもりでございます。そこで、有名な保安林、景勝林等国有林相当多うございますが、これらの部分についてはほぼ成果は上がった形でまいってきています。ただ、やはり特別防除等ができないために、何と申しますか、途中で中止したところ等におきましては、やはり残念ながら現在被害が出ている例があちらこちらに見受けるところであります。そこで、私どもこれまでの経験を踏まえまして、やはり国有林、いま先生御指摘のとおり、国有林がまずは先頭に立ってやらなきゃならぬわけでございますので、特別防除をしなきゃならぬ地域につきましては、さらに一層地域の皆さんの御理解をいただきながら、また民有林と連携をとりながらやはり進めてまいらなきゃならぬというふうに考えておるところであります。まあ比較的国有林の方がそういう意味では現在被害率も低うございますけれども、やはりあるということが問題でございますので、さらに一層徹底した形をとるべく今後も努力してまいりたいと、かように考えております。
#204
○中野明君 特に今回あと五年間期限を延長してこの法律を提出されているわけですから、やはり国有林が最も熱心にこの病害虫被害、マツクイムシ被害に取り組んでやった結果が顕著にあらわれてきたと、こういう姿が出てきて初めて私はマツクイムシの被害も食いとめられるんじゃないか、こういうふうに思っております。だからせっかくの努力を特にお願いしておきたいと思います。大臣もそういう点ではやはり国有林ですから、管理者が国ですから、民間と同じレベルでやられていってると少しは率がいいかもしれませんけれども、絶滅を誓ったその政府が、自分の管理しているところの状況があんまりはかばかしくないというんでは、これは空中散布だけではだめだということで今回の法律も出てるわけですから、その辺大臣も一言決意を述べておいてください。
#205
○国務大臣(田澤吉郎君) いま長官からお答えしたように、国有林の被害は氏有林よりは確かに少ないんでございます。しかし、いま御指摘のように、国有林の被害を国としてやはり抑制するということが最大の課題だと思いますので、私は特にモデル地区を国有林にでも設定して、こういうこのいわゆる総合的な対策を進めますというと被害が終息できますよという形を示してまいりたい、こう考えております。そのことによって国民全体がこの総合的な対策さえ進めればやはり被害が終息できるんだということで、全体がこの被害の防除に当たることができるだろうと思いますので、そういう点には十分努力をしてまいりたいと、こう考えます。
#206
○中野明君 せっかくの努力を特にお願いしておきます。
 それから、農林水産省からいただいた参考資料の中でも詳細述べておられるんですが、この特別防除、いわゆる空中散布をした後の、あるいは薬剤を散布した後の結果の調査ですか、影響調査、これが出ております。これをちょっと私も読ましていただいたんですが、非常にこの調査の結果のような状態ならば、自然保護団体が騒いだりあるいは空中散布について反対が起こったりするようなことはないというふうに私は読み取れるんですが、これは非常にどういうんですか、被害がなかったやに、非常に少ないような調子のいいような書きようになってるんですが、本当にこういう甘い見方でいいもんだろうかと、こういうふうにちょっと心配をしてるんですが、この調査結果、一部には自然保護団体と一緒に調査をした地域もあるやに聞いてるんですが、そういう調査結果の報告というのは手元でまとめておられるんでしょうか。
#207
○政府委員(秋山智英君) これはお手元の資料でおわかりのとおり、十県におきまして五十二年以来実施しておるわけでありまして、中身につきましては詳細に実施要領を定めまして、地域の専門家の皆さんに調査をお願いしているわけでございまして、私どもはそういう意味におきましてこれはやはり今後御理解をいただく上においてもきわめて重要だろうと思っております。で、これはデータそのものをここに報告してあるわけでございまして、各県のやつはさらにこの細かい膨大な資料が実はございますが、その結果のこれは集約でございまして、一部の県におきましては、いま先生御指摘の方々が入って調査したところもあるようでありますので、私どもはむしろ今後御理解をいただくようにさらに進めてまいらなきゃならぬなというふうに考えておるところでございます。
#208
○中野明君 環境保護団体、自然保護団体の人たちと一緒にこの影響の結果を調査した、そういう所見といいますか、結果の資料がありましたら参考までに出していただきたいんですが、それはよろしいでしょうか。自然保護団体と一緒に調査して出た結果。
#209
○政府委員(秋山智英君) たとえば兵庫県におきましては、野鳥に関係しまして日本鳥類学会の方々が調査しておりますし、それから静岡県では昆虫類につきまして遠州自然研究会及び野路会と申しますか、というようなところと一緒にやられているというふうな、こういうふうなものがございますので、後ほど資料を提出いたします。
#210
○中野明君 それから空中散布のことでございますが、けさほども議論がありましたが、今回は修正案が出ております。この修正案によりまして、林野庁が当初計画をしておられた空中散布のいわゆる計画にある程度制約が出てくるといいますか、慎重にしなきゃならぬということも含めまして、計画どおりに運ばない面も出てくるんではないだろうかというふうに私も一応理解をしております。特に空中散布は地域住民のもう強烈な反対があればこれは恐らくできないでしょうから。そういうことになってまいりますと、予算面で私たちもこれは非常に疑問に思ったんですが、今回の法案の提出は、空中散布は全然やらないということではないにしても、特別伐倒という新しい方策、総合的な方策の中の一環として特別伐倒なんかも入れられて非常に一歩前進だという意味で私たちは評価をしているんですが、相変わらず予算面を見ますと、空中散布が表で、もう最重点で、いままでと同じような考え方でいかれるんじゃないかという疑念を持つわけです。だけれども、空中散布に強烈な反対があるということになりますと、これは予算が執行できない面も出てきますと思います。そういう面につきましては柔軟に対処されて、そして総合対策の一環として予算は確かに取っているでしょうけれども、執行できない分は特別伐倒とか、ほかの方面に対策の方に持ってきて活用すると、そういうお考えを持って当たっていただきたい、こう思うんですが、その辺どうでしょうか。
#211
○政府委員(秋山智英君) 今回の、これからの防除につきましては、まずこの被害を未然に防ぐというたてまえにおきまして特別防除を実施するわけでありまして、実施するに当たりましては先生御指摘のとおり、やはり地域の生活環境、自然環境に十分留意するように基本方針並びに通達で具体的な基準を示してやっておりますし、また薬剤の安全かつ適正な使用につきましてもそれぞれ基準に基づいてやってきておるところであります。それで、これは過去五年間いろいろの場合にぶつかったわけでございますが、私どもとしましては、やはり特別防除で予防しながら、かつこの九月以降におきましての間違いが出てまいりました場合には、重要な保安林等につきましては特別伐倒駆除、それ以外につきましては伐倒駆除というふうないろいろな方法を組み合わせながら進めてまいると、効率的な方法をとりながら進めてまいるということでありますが、やはり両者をうまくかみ合わせることが被害をできるだけ早い機会に終息に向かわせる方法であるわけであります。そういう意味におきまして五十七年度におきましても、この両者をかみ合わせた形で予算を組んでおるわけでございまして、四十万ヘクタールにつきましては特別伐倒駆除あるいは伐倒駆除におきまして、完全な防除を志して、一方におきまして、防除は十二万三千ヘクタール、特別防除によりましてやるということで、両者をかみ合わせながら進めてまいるということで、私どもやはり効率的な進め方をぜひともとってまいりたい、かように考えておるところであります。
#212
○中野明君 ここで一点だけ、私、いまだに釈然とせぬのですが、空中散布の被害で、香川県に仁尾町というところがありますが、これ太陽熱発電で現在は一躍脚光を浴びている地域なんですが、ここで数年前に、空中散布の影響ということで、養殖のクルマエビが二十万尾、一夜にして全滅したという事件があって、林野庁も承知しておられると思うんですが、非常にこれはミステリーで、二十万尾のクルマエビが死んだということなんですが、死骸が一匹も見つからなかったということで大騒ぎになりまして、香川大学の先生も現地に行かれたりなんかして、その先生も結局決定的なことを出せないで、ミステリーな事件でございましたというようなことで補償かなんかはしたらしいんですが、林野庁としては、こういうことについてどういうふうに報告を聞き、また、林野庁なりにどう分析をしておられるのか。やはり因果関係がはっきりしないのに、やたらに補償をするということも私はどうかと思われるし、その辺はどう認識をしておられるんか、この際、ちょっとお伺いしておきたいんですが。
#213
○説明員(鈴木郁雄君) ただいま先生お話の件につきましては、五十二年六月、香川県三豊郡の仁尾町におきまして、MEP剤を特別防除でまいたわけでございますが、養殖のクルマエビがその影響によって大量に死んだ、こういう申し出がございました。このため、県におきましては香川大学の農学部の鈴木教授、それから岡市助教授に依頼いたしまして、因果関係の調査を行ったところでございますが、因果関係につきましては明らかにされておりません。しかしながら、特別防除の影響が全くなかったというぐあいに断言することは困難でございましたので、当該地区におきまして特別防除を中止いたしまして、県、町、県森林組合連合会等が見舞い金を支払って解決したものでございます。
#214
○中野明君 死骸がのうなったということについては何か報告は聞いておられないんですか。死骸が全然なくなって、二十万尾もおったのが一匹も死骸がないというのは、私はどうもミステリーに思えてしょうがないんですが。それでも補償したと言うんですから、何かその補償の理由をこの際はっきりしておいてもらいたいです。
#215
○説明員(鈴木郁雄君) 因果関係は完全に明らかでございませんでしたが、死骸の問題については共食いを起こしたんではないか、こういうぐあいに報告をされております。
#216
○中野明君 いまだに私も釈然としませんのですが、共食いでも、食うたら濃後は一匹でも残るんじゃないかと思うんです。いよいよ何にもなかったという話を私は承知しております。
 そういうことで、やはり一つの問題があったときに、そういうことを徹底的に解明して、みんなが納得いくようにしておかないと、中途半端ですぐ補償だとかということでもまた限度がある、私もこう思っております。
 これは過去のことで、いまさら掘り返してもしょうがありませんが、こういうこともあります。よほどやはり、散布するに当たっては地域住民の納得と理解というものがぜひ必要だ、私たちもこのように理解をしております。
 それからもう一つは、やはり先ほど来議論になっておりましたが、廃材の利用ですね、マツクイムシにやられた松の廃材の利用、これがやはり道が開けなければ、これまた一つの対策に対する勢いがつかない、私はこう思います。
 とにかく燃料革命が起こって、もう斜陽産業になってしまったんだという、こういう認識ではしようがないんでございまして、斜陽産業であるかないかということは、これは周りががたがた言うんじゃなしに、やはりやっている人たちが決める問題だろうと思うんでありまして、どうも何か周りから斜陽産業だと言われたら、もう松はだめなんだとか、いや林業はだめなんだとか、そういうような主体性のない考え方では、その産業は発達しないだろうと思います。たとえどうあれ、いままで燃料に使われておったもんですから、それ存新たに研究をして、いま島根大学かなんかでそういう燃料を研究されているということも聞いておりますが、ちょうど愛媛県ではミカンの皮を固形燃料にしまして、そして重油にかえて、いまハウス園芸なんかに威力を発揮している。これはミカンをジュースにするもんですから、皮の処置に困った結果がそういう省エネ、代替エネルギーということで研究されて完成をした。こういうことも現実にあるわけです。ですから、ミカンの皮なんかが燃料になるということは、ちょっと普通の発想ではできないことでもやっているんですから、もともと燃料になっておった松の廃材がさらに力強い燃料として脚光を浴びるようなそういう研究ができないはずはないと私どもも思っておったやさき、島根大学で研究されているというふうなことも聞いておりますが、林野庁としては、その研究についての認識と見通しを持っておられたらちょっと聞かしていただきたい。これがやっぱり完成すれば、一つの大きなマツクイムシ対策の決め手になってくるんじゃないか、こう思います。
#217
○政府委員(秋山智英君) いま先生御指摘のとおり、今後マツクイムシの防除を促進するためには、やはりせっかく大きくなりました松材の有効活用ということがきわめて重要だろうと思います。
 そういう意味におきまして、私どもはいろいろと対策を練っているところでありますが、御指摘の島根大学におきましては、圧縮、固型化しまして燃料にする実験が具体化されておりまして、施設園芸の温度を高めるためにこれを使おうということで、これは米国で開発されましたおがくず、樹脂くずを高圧で小さな、たばこの太さの、長さ二センチぐらいの大きさになると思いますが、そういうふうな形に成形しましたペレット燃料を、重油用のバーナーを改良しまして自動供給装置をセットした加温器で燃焼させるということで、一応これは見通しを得たように聞いております。
 現在の段階では、若干まだコストの関係におきまして製造価格と重油の価格差の問題があるようでありますが、今後、重油価格等が上がってくれば当然これがまた経済的にも成立する見通しでございまして、現在は工場出し原簿価格がトン当たり五千円ないし六千円程度ないと採算がとれないというので、ちょっとそういう意味では、いまチップの値段が七千七百円ぐらいでございますので、いま非常にむずかしいと思いますが、将来の展望としましては、やはり資源を有効活用するという面がきわめて重要な私はこれは研究だと思いますので、今後注目しながら、また、これに対しましてどういうふうに活用するかにつきましても含めて将来の課題として積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
#218
○中野明君 そういうことは林野庁がやはりしっかり応援をしてやっていくことが非常に私大事だろうと思います。先ほども言いましたように、周りがどう言おうとそれに従事している人たちがおれたちは斜陽産業じゃない、これから開いていくんだという意欲が出てくるような方向に持っていくことが産業としては大事だと思います。ほかにもそういう例はいっぱいあります。斜陽産業だと言われておった産業が急に斜陽でなくして頭角をあらわしてきたという、これなんかを見ましても、やはりそれはそこに従事している人たち、その人たちに意欲を持たせるということ、また、その研究なり、それに応援をするという、これの方が大事な政策だろう、私もこのように思っておりますので、どうかひとつ力を入れて、これは大事な対策の一つだろうと思いますので、よろしくお願いしておきます。
 それから、時間も迫ってまいりましたのでこの機会に、前回の当委員会でも、過去に私どもも問題にしましたが、五十五年から小学校五年生の教科書から林業の項目が外されたと、抜けたと、これはどうなったんだと、林野庁はそれを知るのが遅過ぎたと、三年間も検討期間がある、それに教科書が使われる数ヵ月前に林野庁が初めて気がついたと、これ林業の政策そのものが教科書から抜けるということはもう林野庁の存立にかかわる問題だというんで当委員会でも私も含めまして各委員がやかましく言いまして、亀岡大臣も文部省にも話すということだったんですが、一たん教科書になって次の改訂というのはなかなか時間がかかるようで、何とかその間ということでお尋ねをしますと、去年の七月ですか、何か副読本のようなものをおつくりになったというふうにお聞きしているんですが、まずこの副読本、これはどういう形で、どういう配布をして、予算が幾らぐらいかかったのか。結局、林野庁がぼやぼやしているからこんなむだな金も使わなきゃならぬ、毎年どっかで天皇を呼んで植樹祭もしている、やっていることと全然国の政策も一貫しない、こういうことで私どももう非常に憤慨をしておるわけなんですが、その辺の状況と、文部省として――きょうおいでいただいていると思いますので、次の教科書には入るのか入らぬのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
#219
○政府委員(秋山智英君) 私どもも、小学校の学習指導要領から外れたという、まことにこれは残念なことでありまして、私どもこういうことがあってはやはり将来の児童生徒の教育、森林に対する、山に対する、あるいは自然に対する理解、情操教育上きわめて重要でございますので、これからも次回に対しまして積極的にひとつこれを働きかけるべく努力しているところでございますが、ただいま先生の御指摘ございました「森と木の質問箱」でございますが、これはまずは当面の措置といたしまして、これは林業関係団体が予算を出し合いまして、約六万学級にこれをお配りしたということでありまして、非常にいまでもお礼状を大分いただいておるようなことでありますが、私どもこんなことではいかぬわけでありまして、二十一世紀に向けまして森林、林業はきわめて世界的にも重要な時代でございますし、これから人間としてのかかわり合いはきわめて密接になり、文化が進むと同時に、より一層緊密化しなきゃならぬという現状にございますので、ぜひとも今後におきましてこのことのないような形で措置してもらうように積極的に働きかけをさらに続けてまいりたい、かように考えておるところであります。
#220
○説明員(熱海則夫君) お答え申し上げます。
 先ほど先生から、五年生で林業を外したというお話でございますが、これを完全に削除したとか、そういう意味ではございません。現実にいま教科書を調べてみますと、小学校の二年生で林業を取り扱っているのが一社、それから三年で一社、四年生で二社、それから五年生で五社、このように取り扱いの視点を変えたということで、六社のうち全部一応教科書の中では取り上げ方がなされております。ただ、記述量が減ったということでございまして、そのことをまず申し上げておきたいと思いますが、今回の改定で実はこの林業あるいは森林、こういったものの取り扱いは社会科と理科でやっているわけでありますが、この今回の改定の中で特に社会科の時間が、全体をゆとりあるものにするということで、四年以上が大体一時間ぐらいずつ減って、四時間やっていたものが三時間ぐらいになっている、そして内容の構成もやっぱり変えざるを得ない、小、中、高を通して重複しているような内存を整理したり、こういった形でやったわけですが、小学校については従来、産業を網羅的に取り扱っていた傾向があったんですが、今度は食糧生産と工業生産ということで、農業、水産業、工業という、産業面では大体こういったものを中心に取り扱って、林業についてはそれぞれの地域で必要に応じて取り上げていただく、こういうことになっておるわけであります。ですから、いま言ったように、教科書の面でも全く扱っていないということじゃなくて、それぞれの教科書の扱い方にいろいろ精粗が出てきている。多いところは十三ページやっぱり取り上げている、従来と全く変わりない、こういう取り上げ方をしている教科書もありますし、非常に薄くなった教科書、確かにございます。こういったことですので、われわれとしてはいろいろな機会にもちろん森林の重要性、これは大切でございますから、今後とも指導してまいりたい、こういうふうに思うわけであります。
#221
○中野明君 いや、いまお答えがありましたけれども、それはもう少し、小学校五年生の指導要領から抜けて――私も現実に教科書を見て、全部削除されているんですから、調べてみてください。亀岡農林大臣と一緒にずいぶん教科書を取り寄せて調べたわけですから、その中で抜けているからわれわれ問題にしたわけですので、調べていただきたいと思いますし、指導要領からこういう林業が抜けるということ、外すということが問題であります。
 それで、時間もありませんので、先ほど林野庁長官は非常に遺憾だというような言い方をしていますけれども、遺憾だというのはこっちの言い分でして、おたくが遺憾だというようなことを言っておったんじゃ話にならぬのです。われわれは遺憾だと言えますけれども、林野庁はこれ専門の役所でしょう。それが、指導要領から外されてまことに遺憾でございます。そういうような姿勢だからもう林業全体がやはり軽視されてしまう、そういう感じがしてなりません。マツクイムシの被害の問題にしましても、やはり全国民が一致して山を守ろう、森林を守ろうという、やっぱりそういう精神的な面からもPRをしていかないと、ただ被害が出たからそれ何とかせいというようなことで大騒ぎをしたからといって簡単になくなっていくものじゃありません。そういう点で、最後に大臣に、この教科書問題を含めまして林業政策全体に対する決意をお伺いして、終わります。
#222
○国務大臣(田澤吉郎君) いま御指摘のように、小学校の学習指導要領が五十一年の審議会の答申を経て五十二年に改正されたわけでございます。それで、五十五年の四月一日から実施されて、従前、小学校五年の社会科の日本の産業において、第一次産業として農業、林業、水産業が記述されていたのを林業が削除されたというのが実情でございまして、そういう点で、その後、いま文部省から御指摘がありましたように、三年、四年あるいは五年等で国土の利用等の項目で、ある程度教科書に林業を加えている面もございますけれども、全体として教科書にはこの林業の面が薄く扱われているということは事実なんでございますので、私は文部大臣にもこの旨をある程度お話をしておりますし、将来この点は閣議等においても発言をいたしまして、これの林業に対する扱いをむっと厚く重くすべきであるということを主張いたしたいと考えております。
 特に私は資源の少ない日本として、これから文化の積み上げというのは一体何なのだろうか、こう思いますというと、私は教育の積み上げによって人をつくる、もう一つはやはり植林、造林、森林資源を確保することによって日本の国土の保全を図り、やはり資源を守るということが私たちの日本の文化の積み上げだと思うんです。私たちは何年間かを振り返ってみて、日本はすばらしい文化の積み上げをしたなというときは、私は森林資源の積み上げが一番大きいものじゃないだろうか、こう考えます。また、森林の与えるわれわれの生活への役割りというのは非常に大きいわけでございます。特に松については、これまでももちろん生活を守るための防風、防砂林等もございますけれども、さらに松というのは私たちの心のいわゆる大きな支えになっているわけでございます。古くからやはり緑が多いよい木として言われておりましたし、また神が天からおりるのを待つ木という意味もありますね。それから祭り木ですね。それから松、竹、梅と、こう言いますというと、どんぶり物でも松が一番高いんです。こういうような面から考えましても、それから名勝は大抵松でございますよね。それから古典だとか、芸能だとか、絵画等には必ず松は主題になっているわけでございますので、日本と松との関係というのは非常に大きいと思うんです。私たち文化の中に松というものの存在というのは非常に大きいと思いますので、そういう意味では、私はマツクイムシの被害によって被害木が林立している状態というのは、私は本当に国民として恥辱だと思うのでございますので、これはできるだけ早い機会にこの被害を終息させなきゃいかぬ。少なくとも私は被害木の伐倒、破砕、焼却というものを早ういたしまして、そうして国土はすべて緑だという形を整えていかなければならないと思いますので、今後国民にやはり森林資源の尊さというものを理解して、御協力をいただかなければならないと思います。私はそういう意味で、今後とも森林資源の振興のために最善の努力をしてまいりたい。特にマツクイムシについては本当に積極的にこの被害の終息のために努力をしたいと考えております。
#223
○下田京子君 田澤大臣には初めての質問になると思うのですが、松くい虫防除の特別措置法に関して他の委員の質問に対する御答弁伺っておりますと、もう本当に大変な決意はうかがわれるわけです。私はその決意が具体的な事業内容あるいはまた予算的な措置、その他の対策にどう生かされるのかという点で以下質問をし、そして御答弁をいただきたいわけなんです。
 第一番目の問題なんですが、五十二年にこの特別法が制定されて、他の委員も皆さん言われておりますが、五十五年、そしてまあ五十六年と顧みますと、むしろ減らない、ふえてきている。面積もあるいは被害材積もふえている。その理由は何かという問いに対しまして、大臣も長官も何といっても五十三年のときの異常気象、高温、少雨という事態の中で起きたんだということをまず挙げられていますね。それからまた防除の限界あるいはまた伐倒等の駆除処理の限界、こう挙げられております。私はこれを全く否定するものではありません。ただし、逆に言えば、じゃまた来年大変な異常気象になれば、同じような形でいけば繰り返しという事態も考えられるんではないかと思うんです。根本的に考えてみなければならない問題として、以下私は次の点を挙げたいと思うんです。
 確かに天候に、異常気象によって松の木自体が弱っていた。ですから、伝染病に弱いような事態になるだろう、それはわかります。しかし、そろいう事態の中でも強い松の開発等はどうなのか。まだ確立されてないでしょう。それから松と病源体と運び屋という、このメカニズムがまだ明確ではないと。確かに一定の影響があるということははっきりしていますけれども、どこにどうしたら有効かというメカニズムはまだない。つまり逆に言えば、より有効な防除技術が全く確立されたんだと言えない、まだ未確立の部分が残されている、
 こう思うわけです。
 同時に、背景にはやっぱり松材の需要が減少しておりまして、高度経済成長のゆがみの一つとでも言いますか、松がなかなか利用されない、松林の管理が行き届かない、手抜きもされるというふうな、そういう全体的な中で私はこういう結果が出たんではないか、こう思うんですけれども、いかがでしょう。
#224
○政府委員(秋山智英君) 私ども、過去五年間を振り返ってみますと、いま先生御指摘の三つが大きな理由であるというふうに理解はしています。しかしながら、一方におきましてやはり防除を計画的に実施し、またそれにあわせまして伐倒駆除をしたところ、さらには特に重要な松林に集中的に対策をしながら、それから奥に持っていかないようにした、たとえば熊本県というようなところにおきましては、やっぱりそれなりの成果が上がっておることは事実でございます。
 また、いま御指摘の、将来長期視点に立ちましての対策となりますと、やはり抵抗性の品種の問題、あるいは材線虫そのものがたとえばどんな毒性を出すのか、またそれがどういうふうに枯損をさせるのかということにつきまして、現在まだ残念ながら研究開発の途上でございます。したがいまして、やはり短期と長期とに分けながらそれぞれの対策を練っていくわけでございますが、まず短期といたしましては、現在非常に異常爆発的な被害が出ている現状でございますので、特別防除で予防し、それができないところについては伐倒駆除をし、または特別伐倒駆除をし、さらには林種転換をする。国も、県も、市町村も、森林所有者も一体になってこういう方法でやるということでまず当面は切り抜けながら、一方におきましては長期視点の対応をしていくということに鋭意努力をしていかなければならぬ、かように考えておるところであります。
#225
○下田京子君 大臣、一言。
#226
○国務大臣(田澤吉郎君) いま長官からお答えしたとおりでございますが、私はやはりいろんな要素があろうと思いますけれども、それはちょうど五十三年の異常気象がやはり根本的な原因をなしていると思うのでございます。たとえば異常気象によって木がある程度水分の吸収が少なかったとか、あるいはまた管理体制もある程度最近の森林資源の不況からきて、ある程度管理も行き届いてなかった。あるいはまた特別防除実施に当たってのいわゆる限界もあった。あるいは伐倒木の駆除処理も、それは完全に異常気象の発生による以上に思うようにならなかったということが私はこういう被害を拡大さしたものと思います。したがいまして、私はやはり五十三年の異常気象が結局このマツクイムシの被害を拡大したものだ、こう思います。しかし、ではいままでの政府が進めた処理方法が全く効果がないのかといえば、私はそれなりに効果があった。もしそれ、この特別防除等をしなかったならばもっともっと被害が大きかっただろうと、こう思いますので、私はそれなりに大きな成果はあったと思いますけれども、根本は、私は基本的ないわゆる大きな理由としては、やはり五十三年の異常気象というものが大きく被害を拡大したものと理解しているわけでございます。
#227
○下田京子君 別に真っ向から対立するようなことではないんですが、根本的なこのマツクイムシの被害原因がどこにあるかという点では、大臣ちょっと考え方がずれていると思うんですよ。原因は、やっぱりマツノマダラカミキリだとか、それからマツノザイセンチュウがどんな毒性を出すか云々というところがはっきりしてないんだから、そこはきちっとやらないと、さっき長官が言ったように、そこを最低として今後の対応ということを私は考え、ていかなければならないんじゃないかということをあえて申し上げます。
 で、効果があったかどうかという点なんですが、全く効果がなかったということではない、それははっきりしております。じゃ、どういうふうにやればより効果があるかという点で、茨城県の例をちょっと私紹介したいと思うんです。
 これは私が言うまでもなく、大臣も茨城県に行かれてますでしょうし、林審にも行っているからいろいろおわかりだと思うんですけれども、茨城県の場合には、五十三年に被害材積が七十三万一千九百立米という形で大変ふくれ上がったわけですね。それが、五十五年に三十九万二千二百立米ということで減ってきています。で、じゃ減らすためにどんなことをやったかということなんですが、特に茨城の例でわかったことは、総合的な防除をやったという問題です。そして、特に伐倒駆除に効果を発揮した。それからまた、枯損木の処理なんかにも一定の力を入れてきた。しかも、予算もつけて短期間にやったということだと思うんです。
 その予算的な問題なんですが、茨城県全体の予算を見ますと、五十二年で一億五千百万円だったこの予算を、五十三年には十五億七千五百万円と非常にふやしたわけです。で、国は、この五十三年で茨城県に対してどれだけの予算を補助したかというと、四億五千百万円、つまり県単独で八億七千三百万から、これちょっと数字がずれていますけれども、かなりの予算をつぎ込んでいるということがわかるわけなんです。で、五十三年のときに、まあ異常気象だということで別会計で約五億ぐらいの予算を組んだんだと、こういう話なんですが、国が五億の伐倒駆除を組んでいるときに、茨城県だけでその伐倒のために十二億三千四百万円、五十三年単年度で組んでいるんです。だから、これだけの予算を短期間にやった、その結果、この異常気象の中で被害材積が約半減したというふうなことが言えると思うんですけれども、どうですか。
#228
○政府委員(秋山智英君) 先生茨城県の事例をお挙げなさいましたとおり、やはり激害地区、中害地区、微害地区に分けまして、これによりまして守るべきところは守る、伐倒すべきところは伐倒する、特別防除すべきところは特別防除するということで、五十二年、五十三年につきましても、特別防除はわずかに二千ヘクタールぐらいでございましたが、五十五年にはそれが七千ヘクタールまで増加しておると、また、伐倒駆除につきましても、いまお話しのように、県単も含めまして積極的にやってまいっておりまして、従来は、どちらかと申しますと、やはり体制が必ずしも十分でなかったわけでございますが、五十五年以降につきましては、特にあらゆる方法を総合しながら効率的に実行している成果が出てまいっている、かように理解をしております。
#229
○下田京子君 大臣ね、そこで、さっき一番先に申し上げたんですが、予算の問題です。それから、事業の中身なんですけれども、茨城の場合、いま話したとおりで、かなりの事業費を組んでいるということが理解されたと思うんですよ。
 で、お聞きしたいんですけれども、今度の法案の改正によって新たに計上される事業と予算は幾らですか。
#230
○政府委員(秋山智英君) 総額で約七十二億円でございます。
#231
○下田京子君 答えになってないでしょう。
#232
○政府委員(秋山智英君) 特別伐倒駆除は十一億でございます。
#233
○下田京子君 新たに興す事業とその予算は幾らかと聞いたんです。新たに興す事業は特別伐倒駆除だけですか。
#234
○政府委員(秋山智英君) 防除事業といたしましては、特別伐倒駆除と特別防除、地上散布、伐倒駆除その他でございますが、新たに行いますのは特別伐倒駆除でございます。
#235
○下田京子君 それだけですね。その予算が十億九千五百万円だと思いますね。予算全体では五十六年度と五十七年度の要求額とで総額にして幾らで、対前年比幾らの伸びですか。
#236
○政府委員(秋山智英君) 総額では七十一億八千三百万円で、五十六年が総額で六十八億八千一百万円でございますので一〇四、%でございます。
#237
○下田京子君 森林病害虫等防除予算総額では幾らですか。
#238
○政府委員(秋山智英君) 総額で申し上げますと、五十六年が七十四億百八十一万五千円でございます。五十七年度が七十六億五百四十一万二千円で一〇二・八%の伸びであります。
#239
○下田京子君 大臣どうでしょう、森林病害虫等防除予算全体ではわずか二・八%の増なんです。その中で、今度は事業では新たに特別伐倒ということで法律事項にも入れましたよ、破砕から焼却から含めてやりますよと言っても予算全体ではそんなふえてないわけです。そうしますと、それを今後五年間の中で本当に決意でお話になっているような方向に持っていくことが可能ですか。
#240
○国務大臣(田澤吉郎君) まあ、今回の予算につきましては、まず、特別防除を年二回、春に二回やると、これは予防としてどうしてもやらなきゃいかぬと。さらに、この法が通った後、やはり特別伐倒駆除というものも含めて全体の総合的な対策を考えようとしているわけでございますが、そのために、もしそれで、いま御指摘のような点で予算的に非常にさらに財政措置を必要とするならば、私たちは、それは十分考えて今後の対策に臨みたい、そのように考えております。
#241
○下田京子君 まあ、予算が通りますと、この国会が終われば直ちに五十八年度の予算の土台をつくられると思うんです。ですから、そういう中にあって、いま大臣がお述べになったことが具体的に生かされることを私は期待します。
 特に、その伐倒については大変な効果があるということは茨城の例でもうはっきりしています。ですから、今度も法案に特別伐倒駆除というのを入れているわけです。ただ、繰り返しますけれども、五十三年に大変な異常気象があった。そのときに県として、茨城県として組んだ予算が十一億二千四百万円ですからね。今度の法案で国が新たに全国で特別伐倒駆除として要求しているのが十一億円ですからね。その辺をよく考えて私は対応されたいと、こう思うわけです。
 次に、輸入の問題と国内資源の育成、活用の問題なんですけれども、数字を五十二年から見まして、松材の輸入と、それから国産松の供給と数字的にちょっとお示しください。
#242
○政府委員(秋山智英君) お答えします。
 松の供給で見てまいりますと、まず輸入量は、五十二年四百一万八千立米、それから国産松材が三百六十九万七千立米、合わせまして七百七十一万五千立米、それから五十三年が、輸入が三百五十二万一千、それから国産が三百六十三万五千、計七百十五万六千、それから五十四年が、輸入が三百二十九万、国産が三百七十三万一千、計七百二一万一千、五十五年が、輸入が二百九十四万九千、国産が四百二十一万、計七百十五万九千となっております。
#243
○下田京子君 今後の国際的な事情等あるいは国内の事情等考えた中で、国産松材の生産というのはどういう方向にいくでしょうか。
#244
○政府委員(秋山智英君) 今後の見通しにつきましては大変むずかしい面があるわけでありますが、これまでの傾向で見てまいりますと、特にここ一、二年につきましては輸入材が減少してまいりまして、国産材がふえる傾向になってきております。
#245
○下田京子君 一、二年の傾向ではそういうことだということですが、今後の見通しはなかなか厳しいお話ですね。
 そこで大事な問題は、一つは国内の松の造林をどういうふうに促進していくかということが大事だと思います。また、素材生産量をそういう中でどうふやしていくか、どう活用していくかということを考えなければならないと思うんですけれども、造林面積を見ますと、昭和三十五年当時六万七千ヘクタールあった松の造林が、五十五年にはわずかに七千ヘクタール、こういう状態になっていますけれども、今後はこの造林について、どういうふうな対応をされますか。
#246
○政府委員(秋山智英君) 本来、造林事業の推進に当たりましての基本的考え方は、適地適木主義で進めてまいるのが原則でございます。最近、松につきましては、先生御指摘のとおり、逐年減少してきておるわけであります。これは松材の需要問題もありますが、やはり松の被害の関係もあるわけであります。私どもといたしましては、基本的にはやはり適地適木でいくわけでございますが、松の被害の多い地域につきましては、やはり抵抗性の松の品種が出るまでは被害の感染源を抑止するという面で、むしろ林種転換を中心に進め一てまいりたい、かように考えているところであり一ます。
#247
○下田京子君 よっぽど本気になりませんと、大臣、三十五年からこの二十年間の間に約十分の一という形に減っているんですね。素材生産量も三十五年当時は一千百十三万六千立米だったものが、さっきの数字でもわかりますように、五十五年では四百二十一万立米ということで、もう物すごい激減ですね。そういう中で、輸入に頼っているチップ、この価格が一体どういう状態になっているか。これは金チップ連の会報にありました資料なんですが、見て驚きました。五十二年当時、米国産のチップが五十二ドルだった、それが五十七年の上期で何と百二ドルに上がっているわけですね。大変な急上界ですよ。ですから、もう時間が限られていて詳しくは述べませんけれども、そういう輸入チップが安いということで最初は輸入に頼った傾向があった。しかしどんどん価格が上がってくる中で、いま新たに国産チップの活用というか、そういうところに目が向いてきた、こういうことも言えると思うんですね。同時にしかし一方では、アメリカ側からまた丸太の製品はストップだと、製材で今度入れてくれと、理由はいろいろあるでしょうが、基本的には国内産業を保護するという立場だと思うんですね。そういう中で製品をどんどん日本にということになると、よっぽど腰を据えて国産材を活用する、育成を図っていかなければならないと思うんですけれども、そういう点にあっての基本的な対策を大臣はどのように考えていらっしゃいますか。政治的なことだから大臣に。
#248
○政府委員(秋山智英君) 事務的な問題を先にちょっと答えさせてください。
#249
○下田京子君 それからじゃ大臣に……。
#250
○政府委員(秋山智英君) 先生御指摘のとおり、五十五年にアメリカのチップが非常に高くなりまして、以降、やはり全体的には国内のパルプ関係その他も多角的な輸人方向をとると同時に、国産のチップを積極的に使っていこうという意向が見えております。したがいまして、私ども今後のマツクイムシの対策の一環としましては、国産材のチップがより有効に活用されるように関係団体とも考えてまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#251
○国務大臣(田澤吉郎君) 下田委員御承知のように、最近の景気の落ち込みが住宅着工率を下げまして、そういうことで国内の森林活動というものは非常に落ち込んでいるわけでございます。したがいまして、いわゆる造林あるいは間伐、伐採等が非常に不活発でございます。そういう関係から森林資源全体の落ち込みは確かにあるわけでございますが、幸いにして、戦後私たちは一千万ヘクタールの造林をすることができたわけでございますので、今後やはり森林資源の必要性というもの身主張してまいりますというと、必ず私はいま林野庁長官が御指摘のような計画に沿うてこれは進められるものと、かように考えております。
#252
○下田京子君 そういうふうに考えてくださるのはいいんですが、さっきも私、予算の問題で言いました。造林の面積が減っているだけでなくて予算がどうかと、この予算もまた減っているんですよ。造林ふやしていくと言いながら、予算を見てみたら五十六年と五十七年度で見れば九九・三%でむしろ減っているんです。ですから、精神的なことはだれでも言えると思うんですよ。具体的な対応が必要だということを重ねて私は主張しておきたいんです。
 次に、その問題でさっき根本的な原因に触れたわけなんですが、研究体制と予算上の問題です。同じように、これまた詳しく述べておる時間もないんですが、五十二年当時とそれがち現在ですね、研究の予算あるいはその人員がどうなっているのだろうか、こういうふうに私見ました。ところが、マツクイムシ防除の技術の研究開発に関しては、人的に言えば五十二年当時が国立林業試験場の全体の中で百二十六人だった。で、五十六年度では百二十五人、ですから同じです。そういう中にあって、経常経費、これは経常経費とそれからプロジェクトの研究予算を見ますと、予算全体ではわずかにふえていても、経常経費を減らしてその一部をこのプロジェクトの研究に回すとかというふうなやり方をとっているんですね。これでは私は基本的な松の抵抗力をどう強化するのか、あるいはカミキリの駆除、あるいは密度をどうしたら基本的に低下させることができるのか、また枯損木内のマツノザイセンチュウの駆除をもう薬剤散布であるいは物理的処理で、天敵であるいはそのほか発育阻止で一体どう有効にできるのかというふうなことが、長期的に見てと言ったってもうこれでは保証されないのじゃないかと心配するわけなんです。五年延長しただけですよ、いまのような体制と予算で、いま出されているような課題があと五年後にできるんですか。五年以内にできるんですか。あるいは、やろうということで今後いろいろ検討していかれるんでしょうか。
#253
○政府委員(秋山智英君) 研究スタッフの数は、先生御指摘のとおり五十二年が百二十六名、現在百二十五名で、行政改革で減員傾向化の中では私はそれなりの重要性を持ってこれに対応していると理解しておりますし、また予算につきましては、国立林業試験場につきまして五十二年が、これは人件費、光熱費を除きまして一千二百万のが五十六年は四千六百六十万ということで相当ふやしておるわけでありまして、私どもといたしましては、特にこの特別研究の中にこのマツクイムシ等の研究入っておりますので、これで鋭意努力をしてまいりたいと思っております。
 それから、先般の造林関係につきまして補足を申し上げますと、そのほかに一昨々年の冬に雪害関係がありました。その対応の造林費として別枠十一億ございますので、御理解をいただきたいと思います。
#254
○下田京子君 根本的な原因を解明しないで伐倒と――それは伐倒は必要なんです。しかも予算もないと。それじゃ、本当に心配されていますが、これは松というのは日本の心だ、文化の積み上げだと大臣おっしゃいますけれども、京都の天の橋立も、それから東北の宮城県の松島海岸でも出てきているわけです。まだ本数は宮城の場合少ないです。ですから伐倒でと、こうなっていますが、これは異常気象ということになったらまた大変な事態になるんですよ、異常気象だけの対策だけでは。そこをあえて重ねて言います。
 それから防除、駆除の影響と今後の対策の関係なんですが、他の委員からも何度も御指摘がございました。薬剤の即でスミチオンというのは普通物であり、またセビモールは、毒物及び劇物取締法によれば劇物に属するんだというふうな規定の中で、いろいろ影響がないようにやるんだと、こう言っていますけれども、政府の調査結果では、この五年間に被害の発生申し出件数が百二件ほどあったと思うんですよ。全体としては軽微な被害だったと、こうおっしゃっていますが、これは環境庁の委託業務報告書によりまして、「森林における農薬空中散布の鳥類及びその生息環境に及ぼす影響調査報告書」というのが財団法人の山階鳥類研究所に委託されているんです。それによりますと、もう時間になってしまったんで余り読めないんですが、農水省はこういうことを言っているけれども、単純じゃないと、そしていろいろ各地で影響が出ていますよ、こういうふうに答えているんです。そうしますと、同じ政府の中で、一定の予算の委託費等やりながら研究した報告によれば問題があると、こう言っているわけなんです。とすれば、私はやはりうちの修正案が主張しておりますように、第五条三項の中に地域住民の不服の申し立てということは明記してしかるべきではないだろうか、これが一点。
 それからもう一つは、こういう人たちの意見が十分に反映していくように、中央森林審議会の中一には代表の方がいるんですが、全国的に見ますと四県しか入ってないんですね。だからすべての県で、そういう計画やなんかを策定する際に当たって、あらゆる、特にこういう心配されている人たちの意見、メンバーが入るような御指導をされてしかるべきではないだろうかという点で、大臣の具体的なお答えと決意を聞いて質問を終わりたいと思います。
#255
○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど異常気象による被害が拡大したんだと。その基本は、やはり松と病原体とその運び屋の三者が複雑に絡み合っていると、こういうことなんでして、その対策のためには何としても松の抵抗力の強化だとか、あるいはカミキリ駆除、または密度低下だとか、あるいは枯損木内のマツノザイセンチュウの駆除、さらにまた松とカミキリの関係、松と線虫の関係、線虫とカミキリの関係等をやはり詳細に研究するとともに、その対策を進めていかなければならないということは当然なんでございまして、今後私は、予算の面はもちろんでございますが、研究等についても、あるいはまた今後、県、あるいは市町村の実施計面に当たっては、国民の広く理解と御協力をいただいてこの対策の万全を期したい、かように考えておりますので御理解をいただきた
 いと思います。
#256
○田渕哲也君 昭和五十二年に松くい虫防除特別措置法が制定されました。これによってマツクイムシが運ぶ線虫類による松林の激甚な枯損被害を早急に終息させるために薬剤の空中散布を中心とした防除方法を計画的に推進することにしたわけであります。しかしながらこの効果は上がっておりません。その理由は、先ほどからたびたび答弁されておりますけれども、マツクイムシ防除問題懇談会報告書によりましても、まず第一は予期せざる五十三津の異常気象の影響、第二は薬剤の空中散布、地上散布、被害木の伐倒駆除などの方法が種々め制約のために所期の成果を上げていない。第三は、被害木の移動制限措置の不徹底。第四が伐採、造林意欲の減退等から樹種転換が進まない。このようなことが挙げられておるわけであります。もちろんこの中にはやむを得ないもの、異常気象のようなものですね、これは天候でありますからどうしようもないわけでありますけれども、しかし人為的な面、対応が悪かった面もあろうかと思います。
 この対応が不十分であったものは何々か、お答えをいただきたいと思います。
#257
○政府委員(秋山智英君) 特別防除を実施するに当たりましても、やはり地域の自然環境あるいは生活環境等への配慮から実施し得ない面があったことも事実でございます。
 それから被害が従来比較的軽微であったところに対しまして、異常気象によって爆発的に出たために防除体制がなかなか十分にでき得なかったという面もあるわけであります。その点におきまして、また普通の伐倒駆除でございますと非常に被害が大量に出てまいりますと、駆除期間がやはり秋から冬にかかるというふうなこともございまして、そうしますとやはりその伐倒駆除の効果も必ずしも十分でないというふうな面もあったと思います。
 それからまた、従来の防除体制を見ますと、国、県が比較的中心になっておりまして、地域の森林所有者の皆さん等につきまして必ずしも一体的に防除体制が確立されていなかったという面がございまして、これらのことを総合して考えてみますと、あらゆる、いろいろと考えられる方法を地元の皆さんを初め、県、国が全体的に一体化して対応していかなきゃいかぬなということを深く反省しているところであります。
#258
○田渕哲也君 いま述べられたような人為的な対応がよろしくなかった面について、今回の改正案ではこれらの対応が十分になるのかどうか、お伺いをします。
#259
○政府委員(秋山智英君) 御審議いただいていますこの法案で考えておりますのは、過去五年間のそういう対応の不十分なところを反省いたしまして、まず国が基本方針をつくるわけでありますが、それに基づきまして各都道府県が実施計画を、さらに市町村におきましては地区の実施計画をこれらの県の実施計画等と十分連携をとりながら進めてまいる。特にこの段階におきまして考えられますのは、自主的に地域の皆さんが防除計画を立てて実施するというところにきわめて意味があると思います。
 それから過去の防除事業を実施する段階におきまして反省されますのは、やはりこの現行法におきましては特別防除を中心にし、それを補足的に、補完的に伐倒駆除という形をとったわけでありますが、やはり完璧を期すためには予防のための特別防除ももちろん必要でありますが、同時に実施し得ない面、これは生活環境あるいはその他の理由によりまして実施し得ないところ、さらには農業、漁業に対する被害の防止という面から実施し得ない面もございますので、そこについては、地上におきまして保安林等の重要森林あるいは先端地域の森林等については特別伐倒駆除という方法で伐採し、それ以外のところにつきましては伐採駆除を実施すると同時に、普通林地で今後感染源を断ちながら森林の機能を高めるためには林種転換をしなきゃならぬということも出てまいりますので、そういうふうなあらゆる方法をその地域の被害の状況あるいは森林の持っている機能の重要性等を配慮しながら組み合わせまして総合的にやっていくということがきわめて重要である、かように考えているところであります。
#260
○田渕哲也君 先ほども予算の話が出ましたけれども、私は少なくとも五十六年度予算と五十七年度予算を比較した場合に、法律を名前まで変えてやろうとするほどの飛躍的な相違が見られないわけであります。この予算の内容を見ましても、特別防除は五十六年度の十三・七万ヘクタール、四十一億。予算が四十一億から十二・三万ヘクタール、三十八億と減っております。地上散布についてはほぼ横ばいであります。それから伐倒駆除は、特別伐倒駆除というのが新たにできましたけれども、いままでの伐倒駆除の、五十六年度の対象は六十一万立米。今度は特別伐倒駆除と伐倒駆除を合わせましても六十七万立米、一割ぐらいしか対象はふえておりません。この程度で飛躍的な効果が期待できるものかどうかきわめて疑問でありますけれども、いかがですか。
#261
○政府委員(秋山智英君) 今後の防除を進めるに当たりましては、まず予防によりまして、特別防除によりまして今後の発生を防ぐと同時に、発生したものにつきましては、先ほど触れましたとおり、特別伐倒駆除あるいは伐倒駆除によって両若を相関連しながら進めてまいることとしておるわけでございます。
 特に今回考えております特別伐倒駆除につきましては、いまお話しのとおり二十七万五千立米でございますが、区域的に考えてまいりますと、ごの区域につきましては十六万五千ヘクタールに相当いたしますし、さらに伐倒駆除二十三万六千ヘクタールを合わせますと、四十万一千ヘクタールでございますので、従前の伐倒駆除、五十六年の伐倒駆除の二十九万五千ヘクタールに比べますれば、相当この伐倒駆除に力を入れてやっていこらという考え方が盛り込まれているというふうに理解をしているところであります。
#262
○田渕哲也君 予算の面で見ましても、五十六年度が総額六十九億円ですね。それが五十七年度け七十二億円、三億ふえております。しかし、これは諸費用の高騰等を加味しますと、余りふえていないのと同じである。いわゆる作業に要する作業量そのものはふえていない。ただその種類が若干変わっておる。特別伐倒駆除というものができヤということだけであります。それだけでそんな飛躍的な効果が期待できるものですか。
#263
○政府委員(秋山智英君) 五十七年度におきましては、ただいま申し上げましたような伐倒駆除をいろいろと特別防除を組み合わせながら効率的な運用をもってこの被害防除対策に努力したいと、かように考えておるところであります。
#264
○田渕哲也君 いままでのマツクイムシの被害発生状況並びにその対策ですね、これについて国有林と民有林との相違というものがありますかどらか、これはどうなっておりますか。
#265
○政府委員(秋山智英君) これまでも松林の防除に当たりましては、国有林、民有林連携をとりながら、計画に基づきまして対処し、また横の連絡協議会等で十分連携をとりながら進めてまいっておるところでありまして、特にこの接際部分というのがきわめて重要でございますので、十分連携をとり、今後とも進めてまいりたいと、かように考えておるところであります。
#266
○田渕哲也君 被害の内容ですね、量、それからその対策、それに対する防除対策、それについて差があるかどうか。
#267
○政府委員(秋山智英君) これまでのマツクイムシの被害推移を見てまいりますと、面積的には国有林におきましては、五十一年一万七千、五十二年一万六千、五十三年二万二千、五十四年二万六千、五十五年二万五千でありますが、民有林におきましては、五十一年四十万一千、五十二年四十二万二千、五十三年五十三万六千、五十四年六十二万、それから五十五年六十四万二千と、こういうふうな被害状況、これは区域面積でございますが、なっております。
#268
○田渕哲也君 農林水産省のこの資料によりますと、五十五年で見まして国有林の被害材積は十四万立米、これは全体の松林の材積の〇・六%と言われております。そしてこの数字は、国有林の場合はこの三十年ぐらい比較してみましてそれほど大きくふえておりません。三十年を通じて大体十万立米ぐらいの被害が出ておりますから、そんなに大きくふえてないわけです。ところが、また面積の方はどうかというと、三十一万ヘクタールの中の二・五万ヘクタール、約八%で、これはこの十年間ほとんど変わっておりません。民有林の場合はどうかというと、被害材積が百九十六万立米、これは全体の材積の中の〇・八%。ところが、三十年ぐらいの推移を見ますと、大体平常ならば五十万立米以下であるけれども、それが四倍ぐらいに大きくふえておるわけです。
 それから面積にしましても、これは全体の二百二十四万ヘクタールのうちの六十四万ヘクタール、約三割ですね。そしてこれは十年前に比べると七倍から八倍にふえております。国有林の方は被害がそれはど広がっていない。ところが民有林では爆発的に被害が広がっておる。これだけの差があるわけであります。
 ところが、これに対しまして対策の方はどうかというと、これは五十五年度で見まして国有林の場合は特別防除並びに地上散布は被害面積二・五万ヘクタールのうちの一万ヘクタールに対して行っております。約四割に対して対策を行っております。民有林の場合は六十四万ヘクタールの中で十四万ヘクタールにしか行っていない、二割にしか行っていない。それから伐倒駆除の方はどうかと言いますと、国有林は十四万立米の中で九・六万立米、約七〇%相当を伐倒駆除をしております。民有林の場合は百九十六万立米中五十三万立米、三割足らずしか行っていない。だから対策の方では国有林の方がうんとたくさんやっているわけですね。被害の方は国有林の方がはるかに爆発的に広がっておる。これは予算の面で比べても、国有林野のこれに使っておる予算とあるいは民間の予算とを比べても歴然とその差がしております。予算で比べますと、国有林のマツクイムシ防除対策は六・九億、五十五年でですね。民有林の場合は六十六億、一対十の関係です。被害面積は国有林一に対して民有林二十六、二十六倍。被害材積は国有林一に対して国有林が十四倍。だから明らかにこれは予算が非常に国有林に比べて民有林の場合は少ないわけです。それにもかかわらず五十七年度の予算はほぼ五十六年度と横ばいである。これで果たして効果が上がるかどうかきわめて疑問だと思うわけです。いかがでしょうか。
#269
○政府委員(秋山智英君) 国有林の場合におきましては、被害面積の約四割につきまして特別防除を実施しておりまして、さらにそれに加えまして伐倒駆除を進めているという実態でございます。で、今回の五十七年度の民有林予算におきましては、先ほど申し上げましたような予算の仕細みになっておりますが、私どもといたしましては、特別防除等地上での特別伐倒駆除、それから普通の伐倒駆除を総合しながら有効適切にひとつこれで対処して進めてまいりたいと、かように考えておるところであります。
#270
○田渕哲也君 これは五十二年の法律ができたときからこの対策に取り組んだわけです。初めのうちはその原因とか対策でなかなか試行錯誤もあったと思いますけれども、私はやっぱり初期の段階にうんとその予算をつぎ込んで抜本的な防除をやらなければ効果が上がりにくいんじゃないかと思うんです。これいままでのマツクイムシの被害総額はどれぐらいになっておりますか、最近。
#271
○政府委員(秋山智英君) ちょっと手元に被害総額につきましては持っておりませんので、後ほど出しまして申し上げます。
#272
○田渕哲也君 大体ここ二、三年は年間二百万立米ぐらいの被存が出ておるわけですね、材積で。立木の値段、概算、大ざっぱに一立米一万円と見ても二百億円、年間二百億円ずつぐらいの被害が出ておるわけであります。これは立木の値段を換算した費用だけでありまして、環境問題あるいは治山治水問題に果たす林野の役割りを入れた場合にはもっと大きな被害になるわけであります。こういうものが年々出ておるわけでありますから、これを防ぐためにはもっと思い切って予算を使い、もっと思い切った事業をやらなければだめだと思うんです。今回せっかくこの法律を改正してまでやろうというわけですから、少なくとも先ほども御指摘がありましたけれども、予算をもっとふやし、事業をもっとふやすべきではないか。全体の被害の中の民間の場合は二割にしか防除をやらない、あるいは被害木の中の伐倒駆除も三割しかやらない、こういうようなことでは、火事を消すにも一部に水をかけても火事は消えないわけです。大臣はどう思われますか。
#273
○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに御指摘の点は私たちも理解するわけでございますが、問題はいままで農林大臣あるいは都道府県知事のみで実施計面をつくっておるのを、今度は市町村が実施計画に参加していただくと。このことによって民有林の防除計画というものはさらに底辺を広めてまいりますので、そういう点では私はそれなりに大きな成果があるのじゃないだろうかと思うんです。それを基本にしながら、やはりいままでの、これまでの五年間のいわゆる体験を生かして空中散布についても適期にこれを実施する。私はリンゴの防除を経験しているんでございますが、いままでリンゴの薬剤防除というのは有機燐剤で一挙に回数を少なくして防除する方法がございましたけれども、最近の薬剤はやはり自然環境の保全という意味からできるだけ他の動植物に影響を与えないものということで薬剤の散布を進めているわけでございますが、そうなりますというと、やはり適期に散布をするということが非常に非常になってくるわけでございますので、その点にもっともっと重点、――カミキリの生態をよく認識して適期に薬剤を散布するというようなことに気を配る。さらにはまた、特別防除の実施の面でのいわゆる限界もあったわけでございますので、そういう点に対して、市町村を含めての実施計画の面でこれはやはり地元といろいろと話し合って、実施の面でもこれまで以上の成果を上げる、あるいはまた伐倒駆除につきましてもやはりこれまでは伐倒木をそのまま捨てておいたということがさらに被害を拡大したということもございますので、そういう点についてはできるだけ伐倒木を処理すること、そのためにはやはり被害木の利用の面ですね、単にチップだけじゃなく、さらに被害木の利用の範囲を研究し、その範囲を広めていくというようなこと等をしてまいることによって予算面以上の成果も上げられるものと思うのでございます。しかし、予算的にもこれから私たちはそういういろいろ対策を進める中で、予算、財政上の必要がある場合は私はそれにはできるだけ対応したい、こう考えておるのでございます。
#274
○田渕哲也君 大臣の言われるように実施の時期とかやり方とか、きめの細かな努力も必要だと思いますけれども、その程度の改善をするなら、わざわざこの法律を変えてまでやるほどのことはないんじゃないか。やっぱり法律を変えて本格的に取り組むんならもっと大々的にやるべきではないかと思うわけです。
 それから予算の話が出たついでにお伺いしますけれども、国有林の防除対策の費用というものは国有林野事業特別会計、事業勘定の中の事業費から出ておるわけですね。これは造林とか林道の一部は一般会計から補助が出ておりますけれども、このマツクイムシの問題はどうして一般会計からの補助が出ないんですか。
#275
○政府委員(秋山智英君) 現在の一般会計から国有林に繰り入れておりますところの費用の対象になりますのは、保安林等の造林、それから林道開設でございまして、現在のマツクイムシの対象の中で保安林に対する造林等がありますれば入りますが、一般造林の分につきましては特別会計の事業勘定の方から対応しております。
#276
○田渕哲也君 国有林の場合でも国や県から補助を出して防除をやっているわけでしょう。国有林の場合も同じじゃないかと思うんですがね。これは独立採算で特別会計つくってやっているならば、それは国が補助をすべきではないかと思いますが、いかがですか。
#277
○政府委員(秋山智英君) 現段階といたしましては、特に一般会計からの繰り入れにつきましては公益性の強い森林の造林に対してということで入れている関係もございまして、現在は入ってないわけであります。
#278
○田渕哲也君 現在入ってないから私がお伺いしておるわけで、入ってないということが矛盾していないかということです。
#279
○政府委員(秋山智英君) この問題につきましては、今後研究させていただきます。
#280
○田渕哲也君 国有林野特別会計もなかなか内情は苦しいようですから、やっぱり国として出すべきものはきちんと出してやらないと事業としての意欲にも影響すると思いますので、大臣よろしくお願いします。
#281
○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに特別会計からマツクイムシのいわゆる駆除費を出すということは一つの問題があろうと思いますので、私たちとしてはマツクイムシ防除のために積極的に取り組むという姿勢からいっても、やはり先生の御指摘が一つのいい考え方だと思いますので、今後検討さしていただきたい、こう思います。
#282
○田渕哲也君 それから五十七年度の特別防除について予算も減っておるわけでありますけれども、先ほどからこれは非常に効果があるという説明があるにかかわらず、予算も事業も減らしておるというのはどういうわけか。推定しますと、効果はあるけれども環境保全その他で危被害がある、そういう配慮から減らしたのでしょうか。
#283
○政府委員(秋山智英君) すでに卒業生と申しますか、防除しなくも微害で地上の伐倒駆除でできる地域等が出てまいったために減少さしております。
#284
○田渕哲也君 それから被害木の移動制限措置というものが非常に重要だということが指摘されておりますけれども、これは本当にその徹底が図れるのかどうか、その対策をお伺いします。
#285
○政府委員(秋山智英君) 先生御指摘のとおり、今後未発生地域でこれを完全に防ぐということになりますと、やはりマツクイムシの付着した被害木の移動を事前に食いとめるということがきわめて重要だろうと思います。これまでも各都道府県の森林害虫防除員が松林あるいは貯木場等へ立入検査をいたしまして、その制限あるいは禁止の措置と相まちましてこの監視体制をしいているわけでございますが、今後やはり何と申しますか、突発的に出るような被害の内容を見てまいりますと、やはりそういう移動によることも多々ございますので、今後さらにこの法案を施行するに当たりましては、森林害虫防除員の立入検査を徹底すると同時に、今回市町村の職員に対しましても被害材の移動状況把握のため、あるいは森林所有者、それから松材利用者等に指導の徹底を図る予算もつけておりますので、これらを有効に活用いたしまして、このマツクイムシの被害材の移動についての監視体制をより一層高めてまいりたい、かように考えております。
#286
○田渕哲也君 それから、天敵の利用とか誘引剤の開発その他について研究が進められておるようでありますけれども、この新しい防除技術の開発と実用化のめど、いつごろから実用化ができるようになるのかお伺いをします。
#287
○政府委員(秋山智英君) 天敵微生物の利用につきましては、ようやく現在具体的に野外実験に入っている段階でございます。また、これらの実験を踏まえてやるために何年度からというふうには断定をここで申し上げにくいわけでありますが、試験研究機関にはできるだけ早く体制を整えてほしいということを要望しております。
 それから薬剤の立木への注入でございますが、これももう登録申請の段階へようやくきております。
 それから、長期の視点に立ちました抵抗性品種の具体的な植えつけへの問題でありますが、現在ようやく選抜育種の方につきましては第一次の検定が終わりまして、これをまずは当面接種の検定を済ませながら海岸林等に植えていくのを五十九年度からというふうなことで進めております。もちろん大々的に採種園をつくりまして進めていくのは若干先へ行きますが、当面とりあえずそういう形で進めてまいりたい。それから交雑育種によりますところの抵抗性品種につきましても、大体五十九年度ごろから具体的に現地で植えられるような体制に持っていきたいと思っています。
#288
○田渕哲也君 時間が来ましたので、最後に大臣に一問お伺いをしたいと思います。
 このマツクイムシ問題は、確かに異常気象等の要因もありますけれども、私は根本的には林業政策上の基本的な問題を含んでおると思うんです。たとえば林業の担い手がだんだんなくなってきておる、そういうことでなかなか手入れが行き届かない、あるいは林業生産活動自体が衰退をしておるということが一つの大きな基本的な基礎的な原因となっておると考えられます。林業というのは、ただ単に木材を生産するという産業上のことだけではなくて、環境上の問題あるいは治山治水の問題、国土という問題から考えてもきわめて重要な問題であります。したがって、この林業の健全な育成のための施策がその根底としてなければならないと思いますけれども、この点について大臣の決意をお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。
#289
○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど申し上げましたけれども、最近のいわゆる不況によりまして住宅の着工率を非常に低下さしております。そのことで森林、林業の国内生産活動が停滞いたしておりまして、伐採だとかあるいは造林あるいは間伐等の作業が非常におくれておるわけでございまして、そういうことがやはりマツクイムシ等に対する対策にも大きく影響しているものと思いますので、私は今後やはり森林資源の重要性というものをさらに普及してまいらなければならない。特に日本は国土が南北に長くて災害の多い、いわゆる日本列島でございますので、森林資源によって災害の防除を私はいたしていると思っております。また、油は私どもの方にはありませんけれども、水というもの、資源を私たちはいわゆる神から与えられておるわけでございまして、これはやはり森林資源の育成にあろうと思うのでございますので、国土保全、自然環境の整備、あるいは水資源涵養の意味においてもやはり森林の役割りというのは非常に大きい、かように考えますので、今後とも森林、林業の振興のために努力をしてまいりたいと考えております。
#290
○委員長(坂元親男君) 本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
【PR】姉妹サイト