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#1
第096回国会 農林水産委員会 第4号
昭和五十七年三月二十五日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         坂元 親男君
    理 事
                下条進一郎君
                鈴木 正一君
                宮田  輝君
                川村 清一君
                鶴岡  洋君
    委 員
                岡部 三郎君
                北  修二君
                熊谷太三郎君
                熊谷  弘君
                古賀雷四郎君
                田原 武雄君
                高木 正明君
                中村 禎二君
                三浦 八水君
                坂倉 藤吾君
                村沢  牧君
                八百板 正君
                中野  明君
                藤原 房雄君
                下田 京子君
                喜屋武眞榮君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        成相 善十君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     小島 和義君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       農林水産省経済
       局国際部長    塚田  実君
       農林水産省経済
       局統計情報部長  関  英二君
       農林水産省畜産
       局審議官     船曳 哲郎君
   参考人
       全国農業協同組
       合中央会農畜産
       部長       遠藤  肇君
       ホクレン農業協
       同組合連合会専
       務理事      高橋 節郎君
       鹿児島県農業協
       同組合中央会会
       長        救仁郷義房君
       全国養蚕農業協
       同組合連合会理
       事        野口福太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○農林水産政策に関する調査
 (畜産物等の価格安定に関する件)
 (昭和五十七年度指定食肉および加工原料乳の
 価格算定等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 畜産物等の価格安定に関する件の調査のため、本日の委員会に参考人として全国農業協同組合中央会農畜産部長遠藤肇君、ホクレン農業協同組合連合会専務理事高橋節郎君、鹿児島県農業協同組合中央会会長救仁郷義房君及び全国養蚕農業協同組合連合会理事野口福太郎君の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(坂元親男君) 農林水産政策に関する調査のうち、畜産物等の価格安定に関する件を議題といたします。
 本日は、参考人の方々に御出席を願っておりますので、御意見を承ることといたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席をいただきましてありがとうございます。
 畜産物の価格安定等に関する件につきまして忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、議事の進め方について申し上げます。
 御意見をお述べ願う時間はお一人十五分程度とし、その順序は、遠藤参考人、高橋参考人、救仁郷参考人、野口参考人といたします。参考人の御意見の開陳が一応済みました後で委員からの質問がありますので、お答えをお願いいたします。
 それでは、遠藤参考人からお願いいたします。遠藤参考人。
#5
○参考人(遠藤肇君) 全国農業協同組合中央会農畜産部長の遠藤肇でございます。
 本日の当参議院農林水産委員会に参考人といたしまして生産者の立場から、昭和五十七年度の畜産物政策価格並びにそれとあわせまして御審議賜ります関連諸施策につきまして意見を申し述べる機会をいただきましたことを深く感謝申し上げます。ありがとうございます。
 私は、以下大きく三つに分けまして意見を申し上げたいと思います。
 まず第一に、わが国の畜産業をめぐる当面の諸情勢につきまして、特に畜産物を生産いたします畜産経営の置かれております今日の状況について申し上げることを第一点にいたしたいと思います。
 それを踏まえまして第二に、いよいよ決定を真近に控えます昭和五十七年度の加工原料乳保証価格と指定食肉の安定価格につきまして、現行の価格の引き上げを主張いたします私ども生産者の要求価格と、その根拠につきまして説明をさしていただきます。
 そして第三に、内外ともにまことに厳しい環境に置かれております畜産経営が、みずからの精いっぱいの経営努力が実を結びますように、政府にぜひ御援助いただきたい諸般にわたる畜産関連の行政施策のうち、当面特に配慮してほしい事項、すなわち生産者の立場からの政策要求の重点について申し上げたいと思います。
 先生方すでに御案内のように、さきの第一次石油危機を契機といたしまして例の畜産危機という一大試練を経験いたしましたわが国の畜産業は、昭和五十年代に入りまして今日まで文字どおり低成長の時代にさま変わりをいたしました。すなわち、国民の畜産物消費はもはやかつての高度経済成長期に見られましたような伸びをすっかり失いまして、牛肉を除きまして、畜産経営は飼養規模の拡大と飼養技術の向上等によりまして増大いたしました生産能力をフルに発揮できないような局面に追いやられておるわけでございます。そのためにすでに四十七年度以降、計画生産を実施してまいりました鶏卵に続きまして、生乳と豚肉につきましても、五十四年度以降生産者団体が中心になりまして自主的な計画生産と消費拡大運動に取り組んでまい。ました。しかし、こうした生産者側の需給調整の努力にもかかわりませず、海外からの畜産物の輸入が増加する一方でございまして、畜種あるいは時期によって必ずしも一様には申しませんが、総じまして需給は緩和基調で推移し、農家の販売価格は低迷を続けております。この間、畜産農家が購入いたします関連資材価格は、その中心をなします配合飼料価格が五十四年七月から昨年六月までの間に通算四二%も引き上げられましたのを初め、素畜や資材類など軒並みに値上がりする傾向が続いております。加えて金利や償却負担もかさみまして、私どもの生産性向上の努力が生産コストの低下に結びつきがたいという状況になっておるわけでございます。
 最近農林水産省から相次いで公表になりました昭和五十六年度の畜産物の生産費調査の結果を見ましても、各畜種とも収益性の水準はきわめて低く、畜産経営として自立することの困難さが浮き彫りにされておるわけでございます。そのため今日、米を初め他の農産物も過剰下に置かれまして、他の作物に転換することが非常にむずかしい状況にありながら、小規模経営を中心に畜産から足を洗う経営が依然として後を絶ちませんで、最近二年間で申し上げますと、酪農経営が二年間で一四%、肉用牛経営が七%、養豚経営になりますと実に一九%、つまり五戸に約一戸、養鶏になりますと四戸に一戸の割合でこの二年間に戸数が減少しておるわけでございます。しかしながら、過去に相当額の投資をして畜産の専業を目指しました階層におきましては、もはや経営の転換というのは一層むずかしゅうございまして、生産調整下にありながらも総所得をふやすためには規模の拡大の道を選択せざるを得ないと、そういう経営の対応が一般的なのであります。
 こうした事情を踏まえまして、各畜種とも飼養規模は拡大が続きまして、中小家畜のみならず、酪農におきましても、その平均規模だけで見ますと、すでにEC並みの水準に到達したと言われます。
 しかし、ずうたいが大きくなりましたわりに体力がこれに伴わないと申しますか、激しい市場競争を通じまして今日まで生き残ってまいりました畜産農家ではありますが、経営の基盤は非常に不安定で、かつ脆弱さを内包しておるのであります。それが今日負債問題として集中的に表面化しているのであります。すなわち、規模拡大を急いだせいもございますけれども、施設や農機具の導入あるいは更新の費用、さらに増大いたします素畜費やえさ代に要する多額の資金の調達を借入金に頼らざるを得なかった経営の中で、いざ頭数をふやしましても、計画生産で能力いっぱいに生産をふやすことができないと、しかも、コストに見合うほどの生産物の価格が実現していないと、こういう状況にありまして、当初期待したとおりの所得も上げられないで、償還期が来ても借入金の返済ができないと、そういう農家が北海道の酪農経営だけでなくて、そのほかの畜種におきましても全国的に増加しておるのが今日の状況でございます。
 私ども系統農協は、こういう事態を重視いたしまして、昨年来組織を挙げて昨年十二月末現在における負債状況調査を実施いたしました。調査結果がきちんと記入されておる一万一千戸の農家を集計いたしますと、負債額がその経営の年間の販売額の五割以上の農家、つまり一千万円の年間収入がございますと、一千五百万円以上の借金をしておると、そういうような経営が実に全体の戸数割合で三一%を占めておりまして、その一戸当たり負債額は実に二千五百万円にも上っておるのであります。特に肉用牛、次いで養豚、酪農でこうした問題経営が多いことが明らかになりました。現在畜産経営が抱える負債の大きさ、そのもたらす経営面の圧迫がいかに大きいか、先生方の御賢察をいただけるものと考えます。
 もちろん私どもは、全国七十八万戸を数えます畜産経営の中で、今日の厳しい経営環境に置かれながら、過大な投資のリスクを避け、周到な経営管理に努めて着実に所得を上げている健全な経営が全国的に活躍していることも十分理解しております。経営に不相応な多額の固定化負債を抱える畜産経営の中には、みずからの経営管理の面でずさんさがあった、あるいはまたこれを十分に指導できなかった農協の事業対応のあり方について、批判を甘受せざるを得ない一面もあることは十分承知いたしております。
 しかし、農水省の畜産物生産費調査の結果が示しておりますように、一頭当たりの物財費は固定投資の多い大規模層ほどむしろ高くなる傾向を見せ、所得に示されますところの収益性は規模の大きい経営ほど低くなっておると、こういうような傾向が、特に肉用牛と豚の肥育経営の場合明瞭にあらわれているのであります。生産の抑制、加えまして畜産物価格の低迷という状況の中で、多額の負債の累増に悩む経営につきまして、その責任をすべて個人に負わせることはいかにも酷だと、こういうふうに思います。彼らの多くが農業をみずからの職業とする数少ないわが国農業の中核的な担い手であるということを考えますとき、その経営再建に政策面からも援助の手を差し伸べていただきたい、このことをお願いしたわけでございます。
 次に、価格問題について意見を申し上げます。
 私は、以上述べましたように、今日わが国の畜産経営は、かつての畜産危機の再現を思わせるような危機的な状況に追い込まれていると、現状をそう判断いたしております。それだけに、今回の政策価格の決定に寄せる全国畜産農家の所得要求というものが近年になく強いものであるということでございます。そのことは、昨年の秋以降、主産地を中心とする農協段階における私どもの組織内討議の過程で、非常に強く痛感させられたことであります。
 昭和五十七年度の畜産物の行政価格について系統農協の要求する価格は、すでに先生方に要請書を配付さしていただきまして、お目通しをいただいておりますように、加工原料乳保証価格につきましては、現行より一〇・九%引き上げのキロ当たり九十八円五十四銭、指定食肉の安定価格について中心価格で申しますと、豚肉が現行価格より五・七%の引き上げ、牛肉は、去勢和牛肉が八・八%、その他去勢牛肉が三・六%の引き上げという要求をいたしております。いずれも私ども全国農協中央会が各都道府県中央会の協力を得て実施してまいりました生産費調査の五十六年の結果を用いまして、生産費及び所得補償方式に基づいて、五十七年度に修正評価がえをして計算したものであります。計算手続上の詳細は省略さしていただきます。
 昭和五十二年度に決定された加工原料乳の保証価格が、実に五年にわたって全然動かされない、しかも実質四年間も据え置かれてきたということは、わが国の農産物価格史上まさに異例のことでございます。この間、労賃と生産資材の価格水準の上昇を加味しますと、農家の手取り乳価の実質水準は、一七%もこの間低下しているのであります。そのしわ寄せが、酪農経営の採算の悪化、負債の累増となってあらわれ、今日日本の酪農基地として、第四次酪近計画によりますと、昭和六十五年現在において全国の生乳生産量の四割近いシェアか期待されております北海道の酪農家の生産意欲を減退させる結果になっておるということであります。
 昨年まで、保証乳価の引き上げを抑える最大の材料は過剰乳製品の問題でありました。しかし、この一年間にメーカーの過剰在庫は、需要の増大によってほぼ一掃され、昨年十一月時点で指定乳製品の価格は、バターを最後にしまして、すべて安定指標価格の水準以上に足並みをそろえることになりました。長年にわたる懸案であった乳製品の過剰問題は、完全に解消されたものと判断いたしております。
 したがいまして、保証乳価の対象となります限度数量の枠につきましても、この際ふやすことが妥当と考えます。その数量は、中央酪農会議が策定いたしました昭和五十七年度の生乳需給計画で見込んでおります特定乳製品向けの生乳需要量のうち、在庫放出分を控除した二百二万五千トンを限度枠の要求の目安に置いているのであります。
 もちろん私どもは、今日、生乳出荷量の六五%までを占める飲用乳の世界で、スーパーの安売りが常態化し、それが生産者乳価の引き下げにしわ寄せられているという事実を十分承知しております。しかし、この事実は大手スーパーと中小乳業者の間などにおきますところの取引面における力関係によって生じたものでありまして、現在の生乳全体の需給関係はほぼ均衡状態に回復していると、そういうふうに判断をしております。したがって、飲用乳市場の混乱をもって加工原料乳保証価格の引き上げを抑える材料にするということは、四年間本当に泣かされてまいりました加工原料乳の生産者にとって全く耐えがたいことであるということをあえて強調さしていただきたいと思います。
 保証乳価の引き上げに加えまして、限度数量枠の拡大を求める私どもの本当の切実なこの要求に対しまして、今日の国家の財政事情が確かに大きな壁には違いありません。この段階で私どもは、日本の畜産業の将来の健全な発展を配慮されまして、先生方の高度な政治判断を賜りたいと心からお願いする次第でございます。
 次に、食肉の安定価格の引き上げについてであります。
 申すまでもなく、食肉の価格安定制度は、食肉市場における自由な価格形成を前提にいたしまして、事業団の売買操作によって一定の価格の幅に市場価格を安定させることをねらいとしております。したがいまして、問題は市場で実現される実勢価格の動向でありまして、需給関係のいかんによってその水準は変わります。
 しかし、私どもの要求価格は、決して生産刺激的な価格水準とは毛頭考えておりません。肉豚及び肉用牛の肥育を営む標準的な経営が、畜交法で規定する再生産の確保が可能であるように、それに見合うような安定基準価格の設定を要求いたしておるわけでございます。
 次に、以上の価格要求に連動した政策についての要求を申し上げます。
 私どもは、今日多くの経営が苦境に立たされております畜産経営の安定とその体質の強化を価格の引き上げたけに頼っているわけではありません。それにも増して、個々の農家みずからの経営努力が成果を上げるように環境条件を整備するための諸般にわたる政策面の強化を願っておるわけでございます。こうした観点から、ここでは四つに問題をしぼって、特に時間の制約もありますので簡単に申し上げたいと思います。
 第一は、畜産物の輸入抑制対策であります。これについて二つあります。その一つは、現在発生しております日米間の深刻な貿易摩擦問題の解決策としてアメリカ側から強硬に要求してきております農産物の残存輸入制限措置の緩和について、輸入自由化はもちろんのこと、輸入枠のこれ以上の拡大についても絶対に阻止してほしいということであります。もう理由は一切省略いたします。
 それからもう一つは、自由化品目であるナチュラルチーズ、調製食用油脂、ココア調製品などの乳製品、豚肉、ブロイラーの輸入について、国内の計画生産に水を差すような事態を生じないように効果的な行政指導を強化することであります。生産の抑制で肉豚の出荷が前年より減っているにもかかわらず、豚肉の輸入が非常にふえまして卸売価格が安定基準価格を割った昨年秋のあの苦い経験を二度と繰り返してもらいたくない、これが全国の養豚農家のひとしい願いでございます。
 政策要求の重点の第二は、今日生じておる飲用乳市場の混乱を早急に回復させるよう、生乳取引の正常化、適正な乳価の実現のため、適切な行政施策を講ずることであります。さらにまた、原乳の正常価格による取引を拒否した場合に生ずる余乳について、安定販売による市場の混乱を防ぐように、生乳の販売安定対策というような措置を従来行われてまいりました生乳計画生産推進対策事業に新たに加えていただくことを要求いたします。もちろん生乳取引の正常化を図るためには、個々の酪農家みずからが計画生産、計画出荷を厳正にきっちり実施することが大前提であります。同時に、酪農家の利益を守るべき任務を持ちます農協系のプラントが相互に結束をいたしまして過当競争をしないようにすること、農協自身があらゆる知恵をしぼって取引の正常化に自主努力しなければならないみずからなすべき課題については十分承知をいたしております。
 政策要求の重点として第三に挙げたいことは、最初に述べました畜産情勢において言及しましたように、多額の固定化負債を抱える肉用牛経営や養豚経営等に対しまして経営の再建に資する大型の長期低利資金の融通措置をこの際ぜひとも講じてほしいことでございます。中身についてわれわれは一定の項目、貸付条件の要望もございますけれども、省略さしていただきます。
 四つ目の重点は、御案内のように、わが国の畜産業の最大の泣きどころでありますえさ基盤の決定的な弱さにありますが、それを強化するために一層の政策努力をお願いする次第であります。
 せっかくの機会でございますので、最後に重ねて強調しておきたいことが二点ございますのでつけ加えさせていただきます。
 その第一は、今日、日本の畜産業はきわめて数少なくなった農業生産の中核的な担い手によって各畜種とも生産のシェアの大部分が担われているということであります。ところが、後継ぎがすでに働く世代になっている経営、たとえば畜産経営の中で御主人が五十代に手が届いておる畜産農家について、その後継ぎが現在何をしておるか、そういう状況を見ますと、後継ぎの就農率は意外にも半分にも達していないという現状であります。少数精鋭化した現在の畜産経営とは申しましても、その前途は決して楽観できないと思います。私どもの今回の価格並びに政策絡みの諸要求は、日本の畜産業を守り、ひいては担い手を喪失しつつある日本農業全体に何とか活力を取り戻させたいという私どもの心からの願いが込められていることを先生方ぜひ御賢察いただきたいと思います。どうか、農業で飯を食っておる畜産農家に希望と勇気を与えていただきたいと、このことが一点でございます。
 もう一点は、私どもの系統農協の畜産対策事業のあり方についてであります。
 日常の営農指導を初め畜産営農団地の造成、家畜の預託、えさの購買事業、食肉センターを初め産地の関連施設の運営など現在系統農協が取り組んでおります諸般にわたる畜産関連の事業を見ますと、組合員である畜産農家の期待に必ずしも十分に沿っていない面が多々あることは事実であります。特に大規模畜産経営の間でいわゆる農協離れが進んでいる傾向も否定することはできません。私どもは、畜産経営の安定と強化のために政策要求とみずから取り組むべき課題を峻別し、この際、系統畜産事業全体について各段階ごとに総点検を行い、その強化策を見出していく所存であることを最後に申し上げたいと思います。
#6
○委員長(坂元親男君) ありがとうございました。
 次に、高橋参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(高橋節郎君) 御紹介をいただきましたホクレンの高橋でございます。
 本日の委員会におきまして酪農生産者の立場で意見を述べる機会を与えていただきましたことを感謝いたします。
 北海道として、加工原料乳生産地としての考え方を中心に申し述べたいと存じます。
 まず、生乳の生産状況について申し上げますが、加工原料乳の価格が昭和五十二年以降同一価格で現在まで推移しておりますので、これを頭に置いて最近五年間の動向を中心にして話を進めてまいります。
 私どもの酪農生産基盤の拡大と生乳生産の基本となったものは昭和六十年を目標とした第三次酪農近代化基本方針であり、この目標に向かって年度ごとには若干のでこぼこはございましたが、北海道に示されました年率七・三%の平均伸び率を確保すべく酪農家が総力を挙げて取り組んでまいったところでございます。五十三年までは何とか全体としてこの水準を維持し得たのでありますが、一方では、年間生乳換算二百五十万トンに迫る乳製品の輸入が定着し、国内生産の加工原料乳市場を極度に圧迫していたのであります。この結果、生産者団体による生乳の計画生産が開始され、みずからの手による急制動をかけ、平均七%台の生産増は一挙に一%台に落とさざるを得なくなり、経営自体に多くのひずみをもたらすことになるのであります。保証乳価の据え置きに加え、各種奨励金の打ち切り、集送乳費用の生産者負担、特に乳業メーカーの工場合理化による送乳の長距離化とその負担増があり、また五十五年には雪印乳業による十万トンに及ぶ受乳拒否が行われるなど、生産者に大きなリスクの負担があったのであります。さらに、生乳の需給均衡のため全乳哺育を実施し、本道生乳生産量の四%に及ぶ乳量を子牛に飲ませてまいりました。こうして輸入代替の役割りを果たし、飼料用脱脂粉乳の輸入量も目に見えて減少しているのであります。昭和五十六年度におきましては、五十五年度対比で七六%に減少しておるわけでございます。反面、一昨年は調製食用油脂が激増し、昨年はココア調製品が急増しているのであります。需給調整のための計画生産がこのようないわゆる擬装乳製品の秩序なき輸入によって残念ながらしり抜けになっており、生産者の努力を相殺している現状であります。生産者は計画生産を三年実施してきました。このことにより生乳の需給は正常化すると信じ、四年間の価格据え置きと三年間の限度数量据え置きにも耐えてきたのであります。
 酪農家の経営内容について若干触れたいと存じます。
 北海道信用農協連が農協窓口及び組勘から見た動向でありますが、酪農地帯の農家収入と負債の推移は次のとおりであります。
 すなわち、農家収入は、五十二年に対し五十六年は五年間で二八%の伸びでございますが、負債は実に六六%の増となっております。また収入に対する負債比率も、五十二年は一三五%であったものが五十六年は一七四%に達しているのであります。経営診断の指標とされているものは一〇〇でありますから、本道酪農経営が急速に悪化しているのがおわかりいただけると思います。所得率は五十四年の三五・一%から五十五年二九・〇%、五十六年は二五%に下降を続けております。
 このような経営悪化の要因は多く挙げられると思います。実質手取り乳価の減少と請負担の増加、生産調整による固定経費負担の増加、諸物価の上昇、所得の低下に伴う固定化負債の増加と、利子負担の急増、二年連続した冷災害による飼料作物の不作、購入飼料の増、一頭当たりの乳量の減少などが主なものであります。
 たとえば、昭和五十二年と五十六年を比較して、パリティの経営では一八・九%、家計では二二・一%の上昇、農村物価指数の農業生産資材一八・八%、生活資材二一・八%、それぞれ上昇しております。
 昨年の冷災害における粗飼料の量及び質の低下は、乳牛用の栄養量で十二万八千トンと推定され、配合飼料で百二十六億、乾牧草では百三億、生乳一キロ当たり五円ないし六円の支出増となったはずであります。
 いままで、私が数字をもって申し上げましたのは、北海道が抱えている酪農問題のほんの一端にすぎないのであります。むしろ、数字にあらわれない内部に大きな問題がございます。それは若い後継者が著しく意欲を失いつつあることであります。経営の中核となるべき青年が前向きに酪農に取り組んでこそ酪農技術の改善や革新が行われ、本道の酪農がECに追いつき、アメリカに迫れるのであります。確かに、農業発展のためには、価格政策よりも構造政策が重要でありましょう。価格政策が生産を刺激し、再び過剰を招くという意見も一面では正しいと考えますが、長期にわたる抑制が経営の基本である生産基盤そのものを後退させることになれば、長年投資を続け、巨大な国費などで築き上げた酪農はどうなってしまうのでありましょう。このことは米、麦を初め幾多の作物に先例があるのであります。計画生産をまじめに守っている中で価格引き上げが直ちに生産を増大することにはならないのであります。構造政策が生産の拡大を前提としながらコスト低減を図るのが目的であるならば、酪農経営の潜在生産力を維持し、経営悪化をこれ以上進めないためにも、ぜひとも乳価に配慮いただきたいのであります。これはひとり酪農家経済を支えるだけではなく、農村社会に活力を与えることになげます。
 先月末に、私どもの根室地方で、酪農民大会を開催しましたところ、約千名の参加者のうち、三百名以上が自治体、商工業者、一般家庭の人々で占められ、例年には全く経験のない大会となったのであります。
 今回の運動においても、常に自治体の首長や議長、商工会の皆さんが先頭に立ってがんばっております。離農がこれ以上進み、農村にこれ以上の過疎化が進行すれば急速に地方の崩壊を招くことになり、危機感を深めている証拠であります。
 ここで、私は、世界的な酪農プロジェクト根室新酪農村を抱えております別海町におきます所得税、町民税の課税状況に触れてみたいと思います。
 この町は、人口一万九千人、乳牛九万頭、酪農家千四百戸の道東の町であります。五十二年におきますこの町における所得税の納付農家が六百十七戸、五千七百万円、五十四年においては三百三十六戸、千七百万円、五十五年には三十二戸、百八十五万円、五十六年には実に三戸、十八万円でございます。
 また、町民税におきましては、五十二年、八百五十七件、三千五百万円、五十三年、六百五十三件、二千二百八十万円、五十四年、五百六件、千六百五十万円、五十五年、三十九件、七十六万円、五十六年、ゼロであります。これが酪農地帯の実態であります。
 次に、市乳の乱売が続いておりますが、生産者側は、その是正のために努力してまいりました。しかしながら、流通、販売段階における混乱の責任を生産者に求めることはいかがなものでございましょうか。諸物価の高騰、公共料金の相次いでの値上げ、賃金七%台の上昇の中で、五年間同一価格、いや実質値下げしているものがほかにありましょうか。工業製品と異なり、真に土地利用型の大動物を育てる農業を経営する私どもは、目先の情勢変化があっても単純に即応できない特質を持っております。これが本物の農業であると自負しております。
 けさの畜産振興審議会酪農部会に諮問されました保証価格引き上げの内容はわずかに〇・五六%、五十銭の引き上げであります。申し上げました酪農の現状を打開するためには余りにも少ない金額ではないでしょうか。五年間の努力とがまんをどうか評価していただき、希望の持てる酪農経営に専念できるよう、特別に御配慮をお願いをいたしたいと存じます。
 私どもも近代化への目標を近い将来に達成し、皆様の御期待に十分沿えるよう、さらに精進を重ねてまいります。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#8
○委員長(坂元親男君) ありがとうございました。
 次に、救仁郷参考人にお願いいたします。
#9
○参考人(救仁郷義房君) 鹿児島県農協中央会長救仁郷でございます。
 本日は、当委員会にお呼びをいただきましてありがとうございます。食肉関係について述べよとの御指示でございますので、かねて鹿児島県におきまして考えておりますことの一端を申し上げたいと存じます。
 鹿児島県では、地域農業再編ということで、地域の風土、資源を活用いたしまして、需要の動向に即応いたしました食糧、農業生産に取り組んでいるところでございます。水田利用再編対策を進めるとともに、畜産と野菜を結びつけました複合経営によりまして、農業所得の維持、向上に努めているのであります。その結果、畜産はこの十年間に大きく成長してまいりました。五十五年の数字で申し上げますと、農業粗生産額三千七百三億円のうちに畜産は一千八百三十三億円、四九・五%を占めるようになったわけであります。ニワトリ、豚の粗生産額はすでに米を大きく上回っておりますが、肉用牛も米と肩を並べるというところまで成長をしておるわけであります。飼育頭羽数を各県と比べてみますというと、肉用牛とブロイラーでは全国の第一位でございます。豚、採卵鶏は全国の二位という地位にございまして、畜産県といたしましての自覚を強めているところでございます。
 しかしながら、このように畜産への傾斜を強めてまいりましたので、わが国の畜産政策の動向は、即鹿児島県の農業全体を左右することになりますし、さらには、当面をいたしております農畜産物輸入自由化の問題は、これを絶対阻止しなければ鹿児島県の農業はたちまちつぶれてしまうという強い危機感を抱いておる次第でございます。
 このような立場から、本年度の畜産政策、価格要求運動に取り組んでいるところでございますが、私どもがきわめて重視しております点につきまして、若干意見を述べさせていただきたいと存じます。
 まず、その第一は、畜産経営の安定強化対策、とりわけ肥育経営の負債対策の問題でございます。これには、具体的施策といたしまして、負債整理を目的といたしました長期低利資金を創設していただくことが必要であると存じます。
 負債の実態について申し上げますが、鹿児島県におきまして、五十六年十二月末日現在で調査をいたしましたところによりますというと、畜産農家の負債総額は約四百九十四億円、そのうちの約一割の四十八億円が固定化負債となっております。中でも肥育経営の負債が約二百億円、そのうち固定化負債が約十五億円でございます。昨年は、畜産振興事業団を通じまして肥育経営安定資金が融資されまして、鹿児島県でも二十五億五千万円の融資実績となったのでありますが、固定化負債はなお多額のものが残っておるわけであります。
 内容をさらに堀り下げてみますというと、負債の総額約五百億円のうち約百億円は農協のプロパー資金でございます。これは、当初制度資金や国の特別資金であったものでございますけれども、返済期を迎えまして、農協のプロパー資金に借りかえられたものを含んでおりまして、実質的な固定化負債とみなされるものが相当あるというふうに判断されるのであります。このような形で農協プロパー資金の貸し出し増加が発生しておりますために、一部の農協におきましては経営が困難となりまして、せっかく成長してまいりました畜産に対する前向きの取り組みを阻害する一因ともなっておるのでございます。負債の実態を農家単位で見ますというと、一戸当たりの負債額は肥育牛におきまして二千百万円、豚におきまして一千二百万円であります。昨年の負債対策が打たれました酪農の八百万円に比べましても肥育牛の負債ははるかに大きいものになっておるわけであります。さらに五十六年の肥育経営を一頭当たりで見ますというと、粗収益から総生産額を差し引いた利潤は、一頭当たりマイナス六万から十万となりまして、したがいまして、家族労働報酬もないという悲惨な状態でありますので、負債は累増する一方でございます。
 以上のような負債累増の主な原因は、先ほど全中からもるるお話がございましたとおり、近年の素牛高あるいは飼料高、そして畜産物の低価格でありますが、特に最近は上物、中物さらに並み物という規格別の価格差がひどくなっておることも原因と見られます。もっとも個別農家によりましては、経営、技術管理、資金管理がずさんな例も見られるわけであります。したがいまして、農協におきましては個別経営を一つ一つ厳しく洗い直しまして、ことしからコンピューターを使ってデータを科学的に分析し指導を強化いたしておるところでございます。しかし何といいましても、五十三年の八月以来連続上昇に転じました素畜高、五十四年の五月には三十万円を突破し、九月には三十五万円を突破し、五十五年の十月にはついに三十九万円の突破を記録しておるわけであります。この三年間を平均いたしまして、大体三十二万から三十六万円という高値が続いたことと、次にはその同じ期間中に飼料費を初めといたしまする生産資材の価格が持続的に上昇をいたしましたこと、そして第三には、畜産物価格が消費動向や財政事情を理由にいたしまして低位に置かれたことが大きな原因でございます。
 この三年間に肥育農家が受けましたダメージはきわめて大きなものでありますが、牛は鶏等の中小家畜とは違いますので、一たん崩れ出したものの復元は不可能とも言えると思うわけであります。したがいまして、私が申し上げまする長期低利資金の償還期間は、最低十年以上の長期間が必要であります。なぜならばでございますが、従来五年物が出されておりましたけれども、十八カ月程度を一期といたします肥育経営では五年間に三回するわけであります。それではこのダメージを含めて三回転で軌道に乗せることは実に不可能に近いと思うからでございます。
 長期低利資金は当面対策として万やむを得ないと考えますが、実はこれはいわゆる後ろ向きの施策でございまして、不本意であるわけであります。したがいまして、いまひとつ長期的な前向きの施策を考えることが必要であると存じます。そのことは価格変動や素牛などのコスト変動に総合的に対応し得る安定基金をつくることでございます。国、県、市町村、農協、農家、場合によりましては実需者も含めて互いに拠出し合い、長期平均払いを可能にいたしまする安定基金制度をぜひ実現していただきたいと思うのであります。
 第二に、畜産物価格について申し上げます。
 近年、農畜産物価格は消費動向や財政事情を重視いたしまして、軒並みに低位に設定されているわけであります。生産コストの実態などが重視されて価格決定が行われておりますれば、先ほどから申し上げました負債問題もこれほどひどい形にはならなかったのではないかと思われ、非常に残念でならないわけであります。
 先般の農水省統計情報部の発表によりますというと、五十六年度も畜産生産費は上昇をしておりまして、生体百キログラム当たりの第二次生産費は、肥育牛におきまして一二・八%、子豚で七・七%、肥育豚で一〇・二%と、それぞれ前年より上昇をいたしておるわけであります。
 けさの報道によりますというと、ことしの畜産物価格は、政府におきまして据え置きで諮問をされまして、審議会におきましてやむなしという答申の発表がございました。生産費の上昇が発表されている中でも、なお価格は据え置きということでございましょうか。私は昨年の米価決定のことを思い出すのでありますが、あのとき食糧庁におきましても、生産費が上昇をしておるということ、さらには前年どおりの算定方式をとれば米価を引き上げなければならないということを国民の前に認めた上で、あえて据え置きの諮問を行ったのでございます。あれは私ども農民から見ますというと、まことに大胆不敵あるいはまた農民を無視した行為としか言いようのないものであったわけであります。今回の畜産物価格につきましてはそのようなことのないように生産過程を十分考慮いただきまして、農家の再生産が確保でき得るような適正な価格決定が行われることを強く御要請を申し上げる次第でございます。
 第三番目に、牛肉、豚肉の輸入問題について申し上げます。
 私どもは牛肉、オレンヂ、果汁を初め、残存輸入制限二十二品目につきましては自由化枠拡大を絶対阻止し、また自由化されておりまする豚肉、ブロイラー、乳製品等については国内需給を考慮して、厳に抑制するよう行政指導の強化を強く求めているのでございます。
 昨年は国内で需給調整の努力をしておりまするにもかかわりませず、輸入豚肉の急増などによりまして九月後半から豚価が安定基準価格を下回りまして、一時は何のために生産者の計画生産かという不満を爆発させたのでありますが、農水省の畜産局の懸命の行政指導によりまして何とか回復が図られましたので、その御努力に対して感謝を申し上げておるところでございます。しかしながら、自由化品目につきましては今後とも絶えず厳重な注意が必要でございますし、行政指導が手おくれにならないよう御要請を申し上げたいわけであります。
 私どもが最も心配いたしておりますのは、牛肉、オレンジ、果汁の問題であります。アメリカの要求がいかに不当なものであるか、私はいまさら申し上げませんけれども、肉牛生産の立場から自由化枠拡大は絶対阻止しなければならないことを申し上げたいのであります。
 世界的な牛肉不足が予想されております中で、わが国の肉牛資源を確保することはきわめて重要な意義を持っているわけであります。この資源は山間部の零細な農家によって守られているのであります。経営規模は多頭化の傾向にあるとは言いますものの、それでもまだ子取りの経営は一、二頭飼いが六五%を占めております。また、肥育経営も五頭未満が八割を占めておる現状でございます。広大な土地基盤に恵まれておりまするアメリカやあるいはオーストラリアとの差は歴然としておりまして、両者の競争力を比較すること自体がもともと無理な話であると存します。しかも、肉用牛生産は五十カ月から五十三カ月を一サイクルとしております。かつ年一頭しか増殖しませんので、一たん生産を縮小するといたしますというと、回復するのに相当の年月を要するのでございます。工業的生産方式の可能な中小家畜とは違います。きわめて農業的農業でございます肉用牛生産の事情を十分御理解をいただきたいものだと考える次第でございます。
 さらに、いまわが国の牛肉の七割を占めております乳雄に与える影響も非常に甚大であることは言うまでもございません。三月に入りまして鹿児島県におきます子牛市場の価格は二十五万円−二十六万円台に急激に低下をしておるわけでありますが、これは現在の自由化の動向が敏感に反映されたものであり、早くも油断のならない事態に直面いたしておりますことも申し上げておく次第でございます。
 自由化問題につきましては、四月から五月が勝負であろうと、かように判断をいたしておりますが、農林水産委員の諸先生の格段の御理解と御尽力によりまして、これを絶対阻止していただきまするようにお願いを申し上げまして私の発言を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#10
○委員長(坂元親男君) ありがとうございました。
 次に、野口参考人にお願いいたします。
#11
○参考人(野口福太郎君) ただいま御指名をいただきました全養連の理事をしております野口でございます。
 常日ごろわが国の蚕糸業の振興につきましては各先生方に多大な御協力と御支持、御指導を賜っておりますことをここの席をかりまして厚くお礼を申し上げる次第でございます。なおまた、今回はこのような会議にお招きをいただきまして、意見を申し述べる機会をちょうだいいたしましたことを重ねてお礼を申し上げますと同時に、まことに光栄に存ずる次第でございます。
 御承知のように、わが国の蚕糸業は長い伝統を持っておりますと同時に、それらの蚕糸業につきましてのいろいろな施策が講じられてまいっておるわけでございますけれども、最近におきます蚕糸業の情勢は非常に厳しい様相を示してまいっておりまして、このような実態が続くということになりますれば、日本の伝統産業であります蚕糸業もやがては崩壊につながるんではなかろうか。非常に厳しい現時点に立ちまして、先般蚕糸七団体が集いまして、どうしてもこの際ぜひともこれだけはこの蚕糸業の将来のために、ひとつ政府並びに国会の先生方にぜひお願いをして、この道を解決をして善処をしていただきたい、そのような問題を決議をいたしまして、それぞれ要請もいたしておるわけでございますが、その問題につきましてこれから申し述べさせていただきたいと思うわけでございます。
 問題は、まず価格の問題と需要の拡大の問題と生産の拡大の、この三点が中心であるわけでございます。特に蚕糸業におかれましては、繭糸価格の中間安定制度の堅持の問題が、まずもってこれからの日本の蚕糸業を健全に育成していくためにはこの制度が非常に大事な制度でございまして、蚕糸業にとりましてのプロテクターと申しても過言ではないと思うわけでございます。この制度の堅持を強化することこそ、われわれ蚕糸生産者の願いであり、振興のよりどころであるわけでありますけれども、しかしながら、最近の情勢は、制度は繭、生糸生産者を無視した低水準の価格運用により、蚕糸生産者は過酷な経営を強いられておるわけでございます。われわれ繭糸生産者が、この制度堅持とは、再生産可能な価格の維持と日本蚕糸業の存続し得る生産基盤の確保を大前提としての制度の堅持でなければならないと考えるわけでございまして、ぜひともひとつこれらの堅持をまずお願い申し上げますと同時に、それはあくまでも日本の養蚕蚕糸業が残るための基盤の整備拡充の施策も十分その中でお考えをいただきたいと、このように考えるわけでございます。
 特に蚕糸業におきます最近の実態を申し上げますと、昨年の農林省の統計情報部で発表いたしております繭の一キロの生産費は二千九百九十四円という発表が五十六年なされておるわけでございますけれども、昨年におきます養蚕家から出荷された全国の繭の平均キロ当たりの単価は二千五十円という、いわゆる保証価格で取引がされておるわけでございまして、九百九十四円いわゆるマイナスというような結果を生んでおるわけでございまして、非常に養蚕家の、そういう面からも意欲を大きく減退をしているような現状であるわけでございますので、ぜひともひとつ再生産の見合う繭価を実現していただくように、いろんな面のひとつ御努力を心からお願いを申し上げたい次第でございます。
 なお、これからいま置かれておりますこの日本蚕糸業の問題点でありますけれども、どうしても最近におきます絹の需要が減退をしている、そういう中で非常にいろんな問題が波及しておるわけでございますけれども、それらの問題を解決をいたすためにはどうしたらいいのか、そのような問題につきまして私どもの考え方をお願いを申し上げたいと思うわけでございますが、まず日本ではいま昭和五十五生糸年度におきます絹の生糸の需要は、三十六万六千俵ほどの絹の需要があるわけでございます。その中で日本の繭の生産量は二十二万俵の生産でございますし、それから外国から入ってまいります繭を加工いたしまして、合わせまして約二十五万俵程度の生産でございますので、その点から考えますと、どうしても十万余俵の国内での需要に対します不足を生ずるわけでございますが、この不足に見合うための輸入を、適切な輸入をしていただくことになりますれば、非常に日本の蚕糸業の安泰がなされると、このように考えるわけでございまして、ぜひともこれからはそういう需要に見合う輸入の問題につきましても十分御配慮を願いたいと、このように強く感じるわけでございます。でき得れば、ひとつまあこの際、できるだけいまの事業団の在庫が減るまでは輸入を停止をしていただくように何かの処置をとっていただいて、ひとつ先生方の特段な御配慮をお願い申し上げたいと思うわけでございます。
 なお、絹の需要の問題でございますが、輸入のいまの実態でありますが、御承知のように、二国間の協定は一元輸入の問題、四十九年から絹の一元輸入の問題が起きておりますし、また二国間の協定を五十一年からいたしまして、それぞれコンスタントな日本の絹の輸入をいたしておるわけでございますが、その後のそれらの問題につきましてのいろいろな国の政策の中で、需要に見合う以上の無計画の輸入がなされたというような問題が非常に波及いたしまして、御承知のように、現在事業団に非常に十五万余の在庫になっておるというような実情を示しておるわけでございますが、これらの問題を解決いたしますのに、この輸入の問題はもうこれ以上削減はできないんだと、その見合いには養蚕農家の生産をできるだけ調整をしてと、このような非常に見解が出ておるわけでございますが、これ以上養蚕家にそのような生産調整――現在もわれわれ団体自体がそれぞれ国のいろんな政策に基づきましてできるだけの自主的にそういう運動を展開をしておるわけでございますが、これらの問題を強くわれわれに要求をいたされるということになりますと、ますます日本蚕糸業が壊滅につながるような要因になるわけでございますので、ぜひともひとつ輸入についての問題については、十分ひとつ今後も事業団の在庫の軽減まで努めてひとつ輸入をしないようによろしくお願いを申し上げたいと、このように考えるわけでございます。
 特にまた、いま蚕糸砂糖事業団になっております在庫の軽減の問題につきまして一言お願いを申し上げたい次第でございますが、何かひとつこれらの問題の内容を分析いたしますと、日本の生産された絹糸はそのうち五万二千俵程度でございまして、外国の生糸が十万俵というふうな実態でございます。日本の蚕糸事業団の構成を見ますと、われわれ養蚕家も出資をいたしたり、政府も出資をいたしました中でつくられている制度でありますし、事業団であるわけでございまして、国内の絹のいわゆる需要調整、価格の調整を目的にしてつくられた事業団であろうかと思うわけでございますが、外国のものはいわゆる七割に近い、そういう在庫になっているという、それらの問題も十分ひとつ御賢察をいただきまして、輸入の問題に対しては一段の御配慮を心からお願いを申し上げたいと思うわけでございます。特に、減らすためには特定なひとつ抜本的な法改正等をお考えをいただきまして、いわゆるいまの市場の糸価に、実勢糸価に影響のない方法でこれらの事業団の在庫を軽減する一つの抜本的方法を御検討をいただければ非常に幸いだと思うわけでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思うわけでございます。
 なお、どうしてもいまのような実情で国内の需給も非常に減ってまいっております現実から考えまして、これから日本の蚕糸業を振興するためには、まず国内での需給の問題の拡大は当然でありますと同時に、外国に向かってもできるだけ絹の、いわゆるこの製品の宣伝を十分ひとつ御計画をなすっていただくような方策を立てていただきたい、このように考えているわけでございますと同時に、国内での絹に対する需要の拡大のためにはいわゆる非常にいまの絹の織物が高価だと。先般ある週刊誌に出ておりましたけれども、六十万の振りそでのもとは一万四千円、絹糸は一万四千円でございます。そのいわゆる加工その他が一〇%で、あとの六二%がいわゆる問屋さん、小売さんその他のマージンになっている。このような実態であるからなかなかその消費が拡大できないわけでございまして、ぜひとも今後はそういう消費拡大のために、いろんな絹の大衆的な消費を伸ばすためのぜひともひとつ国から十分の助成措置を講じて、それらの拡大に御助力を願うよう心からお願いを申し上げたい次第でございます。
 以上、私から、特に現在このような問題をぜひともお願いできたら、いま目下非常に混迷しておりますこの蚕糸業界が恐らく新しい方向を生み出していくであろう。そして日本の蚕糸業が長く健全な、安定的な体系に基づいてこれからも長続きがするであろう。心から私どももそういう期待と願いを込めて本日お願いを申し上げている次第でございますので、ぜひとも諸先生方の絶大なるひとつ御判断と御支持を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、私の意見を終わらせていただきたいと思います。
#12
○委員長(坂元親男君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳を終わります。
 それでは、これより参考人の方々に対し質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#13
○川村清一君 私は、高橋参考人に対しまして二、三点御質問申し上げて、ホクレンのお考え方をちょっとお聞かせいただきたいと思うわけであります。
 私以外にさらに同僚議員が限られた時間の中で御質問もいたしますので、お答えはぜび簡潔にお願い申し上げたいと思います。
 けさほど審議会に対しまして農林水産省から諮問案が出た模様でありますが、残念ながらまだ国会の方に御報告がありませんので私はわからないんですが、先ほどお話を聞くというと、保証乳価については〇・五六%ですか、金額にして五十銭引き上げたいということを伺いまして、余りにもわれわれや皆さん方の御要求とかけ離れた金額で非常に怒りを覚えて、そういう立場でお聞きしておるわけでございますが、第一点お尋ねいたしますことは、昨年据え置きになりました。その大きな理由は、在庫が過剰でありまして、需給が非常にアンバランスであるといったようなことから、どうしても上げるわけにいかぬと。そこで乳価の算式をそれに合わせるような算式をやりまして、大きく言って自作の地代を引き下げた。それから金利を引き下げた。この地代と金利の引き下げによって価格が据え置かれるような、そういう算式をとったわけでありますが、五十七年のことしは、先ほども全中の遠藤参考人からもお話がありましたように、需給関係が均衡とれたわけであります。したがって、昨年と様相が変わりましたから、当然算式の方法を五十五年度のベースに引き戻すべきではないか。引き戻すと当然三十銭や四十銭は上がってくるだろうと、こう考えておるわけでありますが、この点、ホクレンとしてどういうふうに判断されるか。これがまず第一点であります。
 第二点としてお尋ねしたいことは、これは北海道に限るわけでありますが、基準取引価格と保証乳価があるわけですが、基準取引価格の算定方式は、これは全国統一されたベースで基準取引価格というものは算定されているわけであります。ところが原料乳の保証価格は、北海道だけのベースでやるわけであります。したがって、この基準取引価格も、価格算定の全国ベースでいきますというと、これは北海道の乳業会社というものは非常に合理化されまして、生産コストが低いわけですね。したがって、北海道の乳業会社の基準取引価格という全国統一の価格でいきますというと、北海道の方は非常に有利になるわけですね、本当はコストが低いわけでありますから。
 そこで、私はこの基準取引価格算定のベースと、それから保証価格のベースは、これはやはり整合性を持たせるべきではないかと、こういうふうに考えます。この北海道の乳業会社の生産コストが低ければ、当然もっとこれは利益がうんと上がるわけですから、収益が多くなりますから、したがって支払い能力があるわけですね。これをまず考えなければならない。しかしながら価格は引き下がりますから、保証価格との差が縮まってくるわけですね。縮まってくるわけです、これは当然。そうすると、この不足払いの額、これが相当減るわけですから、今度は国家の財政当局といたしましては、この不足払いが減れば、減った分をこれは限度数量をふやすことに、当然そこに向けることができるわけですね。
 ですから、限度数量というものは、先ほどお聞きしますというと、百九十三万トンというのは昨年同様。これは昭和五十三年のときに、中川農林大臣のときに決めた百九十三万トンという限度数量がずっと来て、ことしはまた昨年と同様である。こういうようなことをホクレンとしては――これは私がこういうことを言っていることに対しまして、ホクレンとしてはなるほどそのとおりだというふうにお考えになられるか。もう一点は、北海道の加工原料乳のいわゆる生産能力から言って、どのくらいの限度数量というものを望まれておるかどうかということをお聞きしておきたいと思うわけであります。これが乳価に対する質問であります。
 今度は肉の方ですけれども、一点お聞きしますが、先ほど鹿児島の救仁郷参考人からるるお話がございました。鹿児島ももちろんそうでありますが、北海道は特に寒冷地でございますので、非常に生産コストが高くなってくる。特に乳雄なんかを育てるにつきましては、大変な苦労も要りますし、故障牛が非常に多くなりますね、寒いところでやるんですから。したがって、どうしても生産コストが高くなる。こういうようなことから、ぜひ高橋参考人にお尋ねしたいことは、これは全国一律に、私持っているのは全中から出されている要求書、それから北海道の農業会議から出されている、それから北海道の中央会から出されているものを見ますというと、全部肉価というものは同じなんでありますが、この全国一律の豚肉、牛肉安定価格というものに対して、北海道はこれじゃちょっとやっていけないのではないかと私は思うんですが、この点いかがなものか、以上、三点について、率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 以上でございます。
#14
○参考人(高橋節郎君) お答えいたします。
 まず、保証価格の内容についてでありますが、先ほど申し上げましたように、けさ私どもが、審議会に諮問される以前に自民党農林部会に出されましたところでその内容をキャッチしたところでは、限度数量百九十三万トン、〇・五六%、五十銭の値上げ、こういうことだけでございまして、資材、金利の関係がどういうふうにその中で位置づけられているかということについてはいまのところわかりません。ただ、先生御指摘のように、こういうところで操作をして、去年、数字を合わせたという経過がありまして、この点については、私どもはこの金額で納得するということになりませんので、そういう点は筋を通して、さらに政府に対しても要求をしなければならないと思いますが、この段階になりますと、これは先生方にお願いする以外にないというふうに考えておるわけであります。
 それから基準価格の問題でありますが、これは、保証価格も北海道だけの生産費で算出するのであるから、メーカーの工場操業上の経費も北海道の工場の計算で算出すべきではないか、こういう御指摘だと思うんでありますが、この点はまさにそのとおりだと私どもは考えております。当然議論としては、工場操業上の経費の算出の仕方も同様、生産上の経費の算出の仕方も同一ベースで出すべきでないかという考え方については御指摘のとおり考えますが、ただ、私ども要求する過程の中で基準価格についてはその内容について触れておらないわけであります。また、メーカーの方も保証価格云々ということについては触れてこないということで、私どもはあくまでも酪農の再生産を確保するために必要な保証価格水準をどうするかということで、保証価格をどうするかという要求だけにしぼって要求しておる、こういうことでございます。
 それから北海道におきます加工原料乳の生産能力でありますが、これは相当高い、潜在能力は相当高くある、このように考えております。ことし二百十万トンを目指して牛乳の生産を計画生産上進めてまいりましたが、残念ながら、五十六年度におきましては冷害、凶作等がございまして、約三万トン計画を切る、割り込むという数字になりそうでございますが、これは一体どれだけの生産能力があるのかということについては、少なくとも私どもは、現在の第四次の酪農近代化計画で示されております毎年の年率四%の増産する能力、これは十分にある、このように考えておりますが、ただ、需給上、全国の計画生産で北海道に割り当てられるものは、五十七年度におきまして、前年の計画対比率で二・四%でございますから、この範囲でしか牛乳を生産できないという悩みがあるわけであります。
 ただし、これは五十六年との計画対比でございまして、去年の実績がダウンしておりますので、実績に対比をいたしますと三・三五%程度の増産が期待できる、こういうことになってまいります。
 それから、牛肉の関係でございますが、これはきよう私に与えられたテーマが酪農の問題でございましたので、詳細に資料を持ってきてございませんが、牛肉、豚肉につきましては、府県と北海道の間にはその生産費の上でいささか相違がございますが、基準価格を要求するという考え方の中では全国統一的に要求する、こういう考え方で現在取り進めておりますが、特に全国の中でも北海道の牛肉生産上の固定費の負担でありますとか、あるいは頭数を急にふやしていった上でのリスク負担というものが大きな経営上の圧迫になって非常に大きな負債にあえいでいるという実態がございます。
 以上でございます。
#15
○村沢牧君 まず、遠藤参考人にお伺いいたしますが、時間がありませんから項目的にだけ申し上げますが、御承知のように肉の生産費は上がっている。全中の資料によっても昨年どおり計算しても上がっている。また、要求資料も上がっている。また、政府の資料によっても上がっている。こういうふうに生産費が上がっているにもかかわらず、据え置き諮問したということについて、全中としてはどういう受けとめ方をし、あるいはどういう要求をしておるのかということ。
 それから第二点は、ホクレンの高橋参考人にお伺いいたしますが、いま川村議員の方からもお話があったわけでありますけれども、ことしの加工原料乳の保証価格は、つまりメーカーの基準取引価格を五十銭上げて、したがって生産費も五十銭上げろということであって、政府の補給金そのものは全然これはふやしておらないわけですね。こういう方式でやっていくとするならば、一体、この制度そのものが将来意味をなさなくなってくるというふうに思うんですが、これについてはどんなふうにお考えになっていらっしゃるのか。
 それから、野口参考人にお伺いいたしますが、昨年は繭の生産が一一%も減った、これは政府は冷害や凍霜害の異常気象によるものだというふうに言っているんですけれども、私はそうばかりも思っていなくて、基準繭価を下げたことが養蚕家の意欲を失わせたというふうに理解しているんですけれども、これについて養連としてはどういう考え方を持っていらっしゃるのか。
 それからもう一つ、安定制度の基準価格や繭価を上げなくても実勢価格が上がればそれでいいんじゃないかという意見を言う人があるわけですね、政府もそういうことを言っているんですけれども。実勢糸価が上がれば、この制度による価格を上げなくてもよろしいのかどうか、その辺の見解についてお伺いをしたいというふうに思います。
#16
○参考人(遠藤肇君) 昨日諮問されました食肉の安定価格について、全中はどういうふうに受けとめておるかという御質問でございました。
 よく私ども価格論議をいたしますときに、食肉は自由市場である、問題は実勢価格であって農家の手取り価格を安定価格は意味するものでない、あたかも安定価格というものが何か農家の手取り価格と違うから問題が云々、そういう議論が常に行われます。これにつきまして、私どもの考え方というのは、やはり安定帯価格というのは一定の政策的配慮に基づいて市場で実現することが望ましい価格である。その基準価格というのは、少なくとも生産者から見ますと最低の保証価格、それに対応する市場で実現する価格である、こういうふうな理解でございます。
 もし、そういうふうな理解に立ちますと、昨日の和牛の基準価格千四百二十五円六十五銭というものを農家販売価格にこれを換算をいたしますと九百二十円ぐらいの計算になります。これは私どもの内部の試算でございます。
 ところが、先般公表になりました農林省の昭和五十六年の生産費調査の第二次生産費はキロ当たり千百五十三円でございます。そうしますと二〇%ほど基準価格が農家販売価格換算で安いということでございます。もちろん最近配合飼料価格の値下がりはございますけれども、従来の傾向を調べましても、現在政府が決定をいたしております安定基準価格というのは農家の再生産を保証する価格ではない、こういうような理解でございます。
#17
○参考人(高橋節郎君) いま御指摘の点でございますが、きょうの諮問の案によりますと、御指摘のように基準価格を五十銭上げまして、その分だけ保証価格五十銭上げて、政府の持ち出しは四百六十五億変わらずということでございますので、御指摘のようなことでございますが、安定市場価格がバターを除いてはそれぞれ脱脂粉乳の一〇三%、その他それぞれ上がっておりますから、そういう点ではメーカーに支払い能力ありと言いますか、基準取引価格を引き上げることができると判断されてこのようにしたことと思うわけでありますが、私どもの要求する保証価格は九十八円五十四銭でありますから、まだ非常に大きな値開きがあるわけであります。ですから、ここまでどうして近づけていただくかということを考えますと、これ以上のものは恐らく政府が負担していただく以外に保証価格を上げていただく道はないのではないかと考えますので、この点については先生方のお力でひとつ保証価格を政府負担で引き上げを願いたい。お願いいたしたいと思います。
#18
○参考人(野口福太郎君) ただいま御質問をいただきました二点につきまして御回答申し上げたいと思いますが、昨年一一%の減産をいたしたのの原因の問題でございますが、先生がいま御指摘をいただいたとおり、決していわゆる自然災害がすべてではない。価格の問題等の引き下げ、そのほか一般のいろんな諸般の情勢からの養蚕家に対する与えた影響も当然影響しているわけでございます。
 なお、この価格の問題でございますけれども、蚕糸の関係は御承知のように非常に価格構成の中でもデリケートな関係を持っております昨日でございまして、できるだけその基準糸価のみに頼ることでなくて、実勢糸価ができるだけ高くなるということが非常に望ましいわけでございます。それをわれわれは常に考え、念頭に置きながら、そのためには一体どういう施策をおとりいただくことが非常によいとか、そういうことをずいぶん考えておるわけでございますが、これも基準糸価の問題、基準繭価の問題、当然生産費等の問題もございますので、ある程度そういう実勢糸価をそれより下回らない体系の中でその辺の問題も十分御検討いただくということが非常に大事だと思いますので、よろしく御協力いただきたいと思います。
#19
○坂倉藤吾君 もう割り振られた時間が来ておりますので、一問だけ遠藤参考人にお聞きをいたしたいんですが、先ほどの説明の中で特に肉用牛経営それから養豚経営、この経営の関係についてすでに負債が大変な状況になっておる。これは実勢といたしまして結果的にはまだまだ一面では経営規模拡大等を含めた合理化の課題というのが残っておるわけでございますし、そういう状況からいけば、当然この経営改善強化に対してのいわゆる長期低利の融資制度、枠の問題、こうしたことが求められておるわけでありますが、問題は、今日の負債の状況から見ましても、もうすでに担保物件のある限り借りまくっているというのが実態ではないんだろうか。こういう状況からいって、経営規模というものが将来経営そのものに対して一体どういうふうな影響になってくるというふうに御判断になっているのか。
 それからもう一点は、合理化の課題と言いましても、結果的には生産調整を片方でやりながらいわゆる経営規模拡大という矛盾した面を持って進行をしていくことになっている。この辺の指導とのかかわりをどういうふうに受けとめられておられるのか、この辺が一つであります。
 それから、第一で申し上げました長期、低利の問題について、今後この負債を解消していくという立場の上に立っていまお考えになっているのは大体豚、牛、それぞれの畜種に基づいての期間設定あるいは利率の問題、特認の問題、こうしたことが昨日の集会の中でも特に強調されておるというふうに思うんでありますが、問題はそれに伴う担保とのかかわりは、明確に言って無担保融資、この関係の保証がきっちりできなければお話にならぬ話でありますが、ここのところについて具体的にどういう形をすればその問題が機能として備わるのか、ここの点についてのお考えがあれば具体的にお聞きをいたしておきたい、こういうふうに思います。
#20
○参考人(遠藤肇君) ただいま三点先生から御質問を受けました。
 まず第一点は、負債が非常に大きい経営、特に肉用牛経営の場合でございますけれども、これが今後規模拡大をしていく上において非常に大きな制約条件になっておるんじゃないか。ここら辺の問題の認識でございますけれども、まさに実態はそういうふうになっておると思います。で、私ども調べました結果を見ましても肉用牛と養豚、酪農あるいは中小家畜を見ますと、やはり長い間の市場競争なり規模拡大あるいは大量生産技術の成熟度、ここら辺を考えますとやはり中小家畜が一番先行している。特に鶏――養鶏でございます。それから養豚、それから酪農、特に肉用牛、乳用牛の場合は非常にまだ歴史が浅うございまして、ここら辺の大量生産に適応する管理技術というものがまだ十分にできておらないという中で非常に規模拡大を急いだと、これがやはり今日の負債問題の大きな原因になっておるんじゃないかと思います。しかしながら、やはり今日の牛肉生産を見ますと特に七割は乳用牛で占められております。こういうことになりますと、どうしても金融制度をもって、ともかくてこ入れをして、早く正常な状態の中で規模拡大ができるような条件整備をやはり政策面からも御援助を賜りたいと、こういう点が一つでございます。
 それから第二点といたしまして生産調整下における規模拡大についてのわれわれの指導の仕方でございますけれども、私は、先ほど申し上げましたように、やはり生産調整の中で規模拡大をするものは中堅以上の経営だという認識をしております。たとえば養豚経営の場合に子豚の生産抑制を五十四年から進めて、計画生産どおりに実行されておると言いますのは、実はその中身を見ますと、小規模経営が脱落して、それに浮いたスペースを大規模経営がもらって規模拡大をしておるというのが実態でございます。こういう姿が事実今後の養豚経営のあり方として正しいかどうかは別にいたしまして、いずれにいたしましても、生産調整をやる中でやはり経営者の努力が実を結ぶように輸入面で、水際で栓をきちんと閉めていただくならば一定の需要拡大もございますから、規模拡大が従来の高度経済成長期のようにはまいりませんけれども、やはり総所得をふやすためにはそういうことを選択せざるを得ないし、またそういうことができるような条件整備が生産調整の中でも私はでき得るんじゃないか、まだ余地があり得るんじゃないかと、こういうふうに考えます。
 それから三番目は、一番目の御質問とちょっと関連するわけでございますけれども、私、先ほど時間の制約で省略をさしていただきました農業信用保証保険機能の強化の問題でございます。これにつきまして私どもは、まず第一点として都道府県の信用基金協会に対する基金造成の助成、それから農業信用保険協会に対する助成、ここら辺をひとつてこ入れにしてやはり畜畜経営資金が円滑に融通されるようにするためには、これはもう絶対に裏づけになるわけでございます。そういうような中で、やはり負債を大きく抱えた経営が担保物件の制約から、欲しくても、資金需要がありましてもこたえられないというような点につきましては、やはりそういう信用保障基金機能の中でシステムをもう少し改善していただきたい、こういう御要望を申し上げております。
#21
○高木正明君 与えられた時間がわずかしかありませんので、簡単に高橋参考人に二点にしぼってお尋ねをいたしたいと思いますが、まず第一点は、農林省の畜産局がよく言う保証価格を引き上げるのには非常に困難だということの理由の中で、たとえば事業団に大量在庫があるということを一つ言ってますが、特に飲用乳市場で飲用向けの生乳価格が非常に値下がりしている現況の中では、加工原料乳保証価格を引き上げるのは非常に困難だということを常に畜産局は言っておりますが、これについてはどういうふうにお考えになっているのか、第一点。
 それから第二点目は、先ほどのお話の中に、北海道の酪農家の中で特に比較的若い世代の酪農業を営んでいる酪農家がやめているということをお話ししておりましたが、実態、現況はどのようになっておるのか、この二点にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。
#22
○参考人(高橋節郎君) ただいまの御質問でございますが、確かに私どもが政府に保証価格を上げてほしいという要請をいたしますと、ことしは市乳環境が乱れていてとても加工原料乳の保証価格を値上げできるような情勢にない。ということは、飲用乳の原料約四百五十万トン、十円ぐらい下がっているから四百五十円ぐらいもうただ捨てているんではないのかというようなことが言われるわけであります。一方でそういうようなことがあるから、こちらで三分の一の乳料の保証価格を値上げすることはできないんだ、こういうような話が強く言われるわけでございますが、私は、確かにそういう原因といいますか、飲用乳市場におきましては産地間の競争でありますとか、あるいはメーカー、プラント等の過当競争によるそういう問題があると思いますが、これは本質的に違うというふうに考えておるわけであります。
 加工原料の保証価格は、あくまでもその加工原料乳を生産する地域の酪農家の再生産を保証できる価格を保証するというのが法律上の原則になるのではないかということで、こちらで飲用乳の環境が乱れ、飲用乳に供給される価格が安くなっている例があるから保証価格が上げられないということは私は本質的に間違っているのではないか。ちょうど去年のいまごろ、政府の方は過剰乳製品があるから保証価格を上げられないということを強く言っておったわけであります。で、市乳環境の乱れは去年の三月もいまも全く変わらないわけであります。去年のいまごろもことしのいまも全く同じ乱れであります。しかし、去年のいまごろには過剰乳製品があるから上げられないということだけを言っている。一年間たって、その市中の過剰乳製品というのはほとんどなくなったわけです。農林省も私どもも、いわゆるメーカーのランニングストックさえ不足するぐらいの量しか市中の在庫はない、そういう事態になったら途端に今度は飲用乳の環境の乱れが保証価格の値上げをできない大きな理由に取り上げてきている。私は、これは値上げをできない理由をつくるためのすりかえではないのか、このように考えて、きわめて残念だというふうに思うわけであります。
 あえてこの機会に言わしていただくならば、私どもは、去年農林省が、先ほども申し上げましたが、畜産振興事業団の在庫以外に二十四万トンも在庫があるんだ、だから保証価格なんか上げられない、がまんしろ。私どもは、そんなに在庫がたくさんあるんならこれは値上げなんか言ったってとうてい無理だろう、がまんするものはしなきゃならぬということで、去年の三月には保証価格を上げてほしいということはほとんど言わないできたわけであります。しかし、ふたを開けてみたらその二十四万トンは十五万トンしかなかった。本当に酪農家はくやしい、何とも言えない思いにかられたわけであります。ですから、私は、政府の方でも一々そのときに都合のいいように問題をすりかえて言うんではなくて、素直にひとつ酪農家の窮状なり困難な事態というものを酌み取っていただいて、素直にどうしたら保証価格を――こういう状況の中では保証価格を上げてやらなければ本当に酪農を続けていくというのはむずかしいんだという内容を理解をしてほしい、このように考えるわけであります。
 それから酪農家の離農があるんではないか、それが若い人たちに起こっているのではないかということでございますが、これは確かに御指摘のように、私の地域における農協の事態を見ましても、最近は数年前と違いまして、若い中堅酪農家がある日突如として離農したい、こういう傾向が目立つようになってまいりました。これは、少なくても四年も五年も乳価を据え置かれ、そして計画生産が続いていくという中では、先ほど申し上げましたように、町の税収でさえほとんどゼロになるという状態の中では、どこに希望を持って酪農を続けていったらいいのかという、こういうところに私は大きな原因があるのではないか、このように考えるわけであります。
 先ほど、川村先生の御質問の中でも私は申し上げておるんでありますが、確かに北海道には潜在生産能力というものはございますが、その潜在生産能力を表に出すことができるかどうかということは、いま一にかかって保証価格を植上げをしていただいて、そして酪農家に本当に将来に向かって生産を続けていこうという意欲を持たせることができるかどうか、この一点にかかっていると思います。
#23
○鶴岡洋君 本日は御多忙のところ、四参考人には大変貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございます。時間の制約もありますので、何点かお伺いしたいと思います。
 最初に、中央会の遠藤さんにお願いしたいんですが、生乳の需要均衡を図るために、生産者団体は昭和五十四年度から厳しい計画生産に取り組んでいるわけでございますけれども、こうした懸命な需要均衡の努力にもかかわらず、乳製品の輸入は依然として高くなっているわけです。国内乳牛・乳生産の需要量の約二五%を占めているわけです。
 そこで、問題なのはナチュラルチーズでございますけれども、これは輸入の自由化品目としてそれこそ毎年増大しているわけです。これは私一つ大きな問題だと思うわけでございます。この国産ナチュラルチーズ振興はどんな程度にいま進んでいるのか。それと、この国産のナチュラルチーズ、一部商品化されている、こういうふうに聞いておりますけれども、将来の展望として全国各地に大型工場の建設はできる環境にあるのかどうなのか、この辺はいかがでございましょう。
#24
○参考人(遠藤肇君) 先生御案内のように、五十五年の七月に農林水産省の方から民間と団体合弁の形で基本構想が示されたわけでございます。で、私どもはこれに全面的に参加をいたしまして、できるだけそういう合弁構想で実現をさしたいと願ってまいりましたけれども、残念ながら乳業メーカーから反対が出まして、私ども実は独自に五十六年の四月に国産チーズ振興委員会を発足いたしまして具体的な詰めに入ったわけでございます。現在の進行状況でございますけれども、すでに運営の主体として北海道農協乳業会社、北農乳業がこれを担当するということで北農乳業十勝工場に併設するということで三月十一日にすでに地鎮祭を終えておると、こういう段階でございます。現在のところ、構想といたしまして、工場の規模は生乳処理日量で百トン、五年後におおむね二百トンと、こういうような処理を目指しておるわけでございます。ただ、現段階において私どもが十分にまだ固まっておりませんのは、これを実行していきます場合にやはり内外価格差という問題がございます。この点につきましては当初から私どもは国産ナチュラルチーズ振興基金というものを国と団体がお互いに金を出し合ってこれをつくって、今後の内外価格差あるいはその前提として関割り制度というのがございますけれども、これをフルに活用いたしましてこの基金をひとつ動かしていきたいということでございますけれども、残念ながら現段階におきまして畜産局当局の方からこの問題に対する一定の前向きの考え方なりまだ姿勢が示されておらないという段階でございます。先生御案内のように最近円高の傾向もございまして、また輸入の製品の価格あたりもかなり値上がりをしておると、こういうような状況でございますので、この基金の運営を具体的にどう動かしていくかという重要な問題がまだ宿題として残っておると、こういうような段階でございます。
 それから、御質問のございました将来のナチュラルチーズの伸び方でございますけれども、これにつきましてはいろいろな見方もございますけれども、やはり私ども非常に限られた乳製品消費の中でやはり人口増に加えまして一定の一人当たり消費の増加というものを見込みまして、やはり私どもがかなり将来性があるものだというふうに判断いたしております。なお、私手元にそこら辺の数字の想定を持っておりませんので、後日先生の方にお届けさしていただきたいと思います。
#25
○鶴岡洋君 それと続いてもう一つ遠藤さんにお伺いしたいんですけれども、先ほどの話の中で貿易摩擦の問題が出てまいりましたけれども、この問題はいま政府の方でも非常に苦慮をしているわけでございます。この日米貿易摩擦の解消については来月十二、十三日ですか、ワシントンで開かれる作業部会の協議においてアメリカ側は残存輸入制限の撤廃と、こういうふうに主張してくるだろうと、こういうふうに予想されるわけでございますけれども、またこの前の話からいろいろな問題がそこで検討されると思いますけれども、いずれにしても農産物を守るためにも全中としては、われわれもそうですけれども、これは反対であることは間違いございません。枠の拡大、また自由化阻止ということはこれは当然でございますけれども、この面について経営面において農家を守る総本山という全中として経営面において何か講ずる点はないかどうか、この辺はいかがでございましょう。
#26
○参考人(遠藤肇君) 御質問にお答えいたします。
 私が先ほど最後の第二点で申し上げましたように、私どもが今日政策要求の中で経営の安定と改善強化のための要請ということで十八項目を要請しておるわけでございます。そういう中で私どもが畜産経営の安定強化のために取り組むという問題意識というものは、これが即自由化阻止対策であると、そういうような位置づけを持っておるわけでございます。したがいまして、具体的に私どもはやはり営農指導事業というものを農協の事業展開の原体に据えまして、これを経済事業なり信用事業に連動さしていくという問題意識を中心に据えております。その場合に、従来、私どもの営農指導事業の面で個々の農協段階には非常に先進的な事例もございますけれども、総じて見ました場合に、なかなか現状において、営農指導員が現実に農協段階においていろいろな推進事業に駆り出される、あるいはまた行政当局とのいろいろな会議に奪われまして、本来の営農指導事業に従事する仕事ということが非常に限られておると、これが農協の実態でもあるわけでございます。したがいまして、先ほども最後に申し上げました点は、そういうところからやはり日常的に直していきたいと、こういうことを申し上げたわけでございまして、具体的に結論を申し上げますと、ともかく私どもとしては農協段階における営農指導事業というものを徹底的に強化していくと。その前提としては、やはり国の農政あるいは今後の農産物の需給という日本農業の総枠というものを具体的にもう少し展望を持てるような枠組みをつくってほしいと、こういうことを農政の面から私どもは基本対策として従来から要請した点でございます。
#27
○鶴岡洋君 もう一点、後継者の問題でございますけれども、先ほどのお話だと、将来、畜産経営に参加しようという、いわゆる後継者というのは半分にも満たないと、こういうお話がございましたけれども、畜産経営の活力といいますか、また希望と勇気を持たしてやらせることによって生産性を上げることができるし、また所得を増大することができるわけですけれども、この後継者の問題については、先ほどお話あったように酪農では一四%もいわゆる職種転換していると、それから食肉は七%ですか、養豚は一九%と、こういうお話、数字が出ておりますけれども、このままいったらどうなってしまうのか。恐らくこの数字はうんとふえると思いますけれども、予測はどういうふうに、もしこのままいったらどうなってしまうのか、この点と。どういうふうに手を後継者は打ったらいいのか、この点いかがでございますか。
#28
○参考人(遠藤肇君) 非常に日本農業全体にかかわる基本的な問題でございますので、若干私見が入る点をお許しいただきたいと思います。
 私が先ほど現在畜産経営におきましても御主人、つまり現在の経営者が五十代に達しておる者、具体的に申し上げますと、すでにその後継ぎは働き盛りの年齢に来ているわけでございます。そういうような農家の後継ぎの就業状況を見ますと、酪農で四八%、養豚では三五%という農林水産省の結果がございます。これを若干申し上げますと、現在、農林水産省の方でいわゆる中核的農家、中核農家というのが百三万三千戸、こういうふうに数えております。そしてその百三万三千戸の世帯主の年齢がランクされるわけでございまして、そのうちの五十歳代の中核農家の後継ぎの就業状況を稲作なり畜産なりに分けて見ました結果が私がいま申し上げたとおりでございます。私は今日のこの後継者問題を考えますと、えてして議論の中でUターン問題が挙げられてまいります。Uターンが一方にあると。つまり学校を出てもおやじさんがまだ元気なうちは社会勉強のため出すんだというようなことで、Uターンが現に年間において一万五千人なり、あるいはその程度の数があると言いますけれども、実は同じ年代の年齢の若い世代が一たん農業に就業して出ていく数がむしろそれを上回っておるということでございます。そういうようなことを考えました場合に、私はやはり日本農業が今日こういう形でもっておりますけれども、こういうような日本農業の置かれている環境の中で非常に限られた現在の農業後継者がやはり自信喪失をしてきておると。この問題を先ほども高橋参考人が申し上げたことは全国的によりひどい傾向で私は広がっておると思います。北海道ですからまだそれでとどまっておるわけであって、全国的にそういう傾向は私は広がっておると思います。したがいまして、こういう事態を直していきますためには、もちろん経営的な個々の努力もございますけれども、どうしてもやはり日本農業を将来どう持っていくかという日本農業の枠組みというものをもう少し理念的な問題でなくて、具体的に示していただきたいと思います。そして具体的に示していただきたいと言いますのは、自由化の問題もその一点でございます。やはり今日農民に勇気を与えますためには、農政の六十五年見通しについてももう少し具体的な経営問題までおりて、これだけのことをやればこれだけの所得が上がるんだと、こういう具体的な枠組みを示してもらいたいと、これは他人に、政府の方にお任せするような気持ちではさらさらございません。全中におきましても本年十月の第十六回大会におきまして自前の農業振興戦略づくりをやろうと思います。五十四年の十月の十五回大会で八〇年代の農協の対策をつくりましたけれども、残念ながらこの各論の詰めが行われてないわけでございます。今度はやはり外部からの農政批判について言いわけに終わらずに、やはりわれわれはこうするんだという自前の具体的な提案をしたい、そういうことを条件にして、政府にどうしてもこの際、こういうような問題をお願いをしたいということで、先生の御質問の答えにさしていただきたいと思います。
#29
○鶴岡洋君 最後に野口さんにお伺いしたいんですけれども、先ほどいろいろお話あったように、皆さん畜産にしても酪農にしても養蚕にしてもそれぞれ経営面においては厳しい状況、大変な状況に苦慮しておられるのはよくわかりました。
 そこで、養蚕の方ですけれども、在庫の問題でございます。この在庫七〇%が外国のものである、こういうお話ございましたけれども、この軽減について特段な抜本的ないわゆる方法、これを考えていただきたいと、こういうことでございましたけれども、まあ要するに、売れなければ生産意欲も出ないし、また採算もとれないわけでございますので、これは早急に軽減しなければならない、こういうふうに私思うんですけれども、原価が一万二、三千円のものが六十万になる、六十数万になる。もちろんその過程においては労賃もかかるし、いろいろかかるからそうなるんでしょうけれども、生産者側としてこの軽減の問題について絹の大衆利用といいますか、そういうことについてどうされたらいいのか、技術面もあるでしょうし、消費者に行くまでのいわゆる工程もいろいろあると思いますけれども、そちらの御意見としてどういう消費方法をとったらよろしいのか、何か御意見がございましたらお聞かせ願いたいんですが。
#30
○参考人(野口福太郎君) ただいま先生から御質問をいただきました事業団在庫問題の処理、これが一番いま蚕糸業のいろんな問題を誘発しておる大きな要因になっておるわけでございまして、何とかしてこの事業団在庫をいわゆる均衡のとれた平常在庫と申しましょうか、そういう在庫に減らしていくようにいろんな努力もあるわけでございますが、なかなか国内の生産調整の問題、あるいはまた輸入削減だけでそれを減らすわけには非常に問題がいま多いし、困難があるわけでございまして、ただ、それを抜本的な、私ども先ほどお願い申し上げましたように、法の改正等を生かしまして法律をつくっていただきまして、出していただく場合にもできるだけいまの市場に圧力のかからない形で、特に農林水産大臣がこういう面に放出してこれはこういうものに加工するんだ、それを加工した場合には、いわゆる市販、一般市況に影響の余り及ぼさない形での処置のできる方途をぜひひとつ御研究願って、そういう場合に限って放出ができる、そういう形の中で一つの道も開いていただければ、非常に事業団在庫の調整ができるんだろうと、そういうことによって蚕糸全体の新しい方向が出てくるんだろうか、このように考えておりますので、考えの一端を申し上げてお答えにかえさしていただきます。
#31
○鶴岡洋君 終わります。
#32
○下田京子君 参考人の皆さん御苦労さまです。時間が限られていますので、まとめてお尋ねしたいと思います。
 遠藤参考人なんですが、端的に申しまして、櫻内外相訪米の中で、さらにアメリカ側から牛肉、オレンジと輸入自由化問題等では不当に圧力が強まったと、こう思うわけです。この問題につきまして、先ほどから経営安定、強化という点でも、今後の農業の問題についても、これはもう中心的課題だと、こうおっしゃっております。
 そこで、お尋ねしたいその第一は、日米貿易不均衡の根本的原因はどこにあるというふうに御認識されていますか。それから、その是正の方向をどのように検討されておりますでしょうか。
 それから次に、高橋参考人、ホクレンでいろいろ御活躍の御様子をお聞きしております。過去四年連続、加工原料乳保証価格が据え置かれたという中にありまして、五十五年度で手取り乳価七十九円四十四銭と聞いています。五十六年の見込みは、手取り乳価幾らになると思いますでしょうか。
 それから二つ目は、かなり経営悪化の中で酪農からの離脱者がふえていると思います。さっきも一部お話がありましたけれども、具体的に数字等をもってお示しいただければと思います。
 それから救仁郷参考人、一点のみで恐縮ですが、豚肉輸入問題についてどう規制措置をされれば有効か、端的にお答えいただければと思います。
 それから野口参考人にお尋ねしますが、昨年五%引き下げという中にあって、ことしまたということになれば大変な出血になることは言うまでもありません。そういう中にあって、いま新たに事業団の生糸過剰在庫解消という中にいろいろ検討されていると。たとえば、いまの中間安定制度を崩しかねない危険が非常に大きい生糸放出の特例をいろいろ検討されている話を聞いているわけなんですが、そのことに対してどうお考えなのか、以上お願いいたします。
#33
○参考人(遠藤肇君) 日米貿易摩擦問題についてのことでございます。結論を最初に申し上げます。
 今日の日米の貿易摩擦問題が非常に深刻であるという理解を私どもも十分持っております。しかし、今日の貿易不均衡の問題ということに対して、日本の農林水産業はいささかも関係がないということでございます。もっとはっきり言いますと、日本の農林水産業はアメリカの国際収支に対して最大の貢献をしておる、こういうような理解に立っております。
 一、二数字を申し上げます。
 昨年一年間で、日本側から見ました場合の対米の貿易収支は、日本が百三十四億ドルの輸出超過になっております。これを農林水産物とその他に分けさしていただきます。農林水産物は実に九十八億ドルの輸入超過であります。工業製品を中心といたしましたその他のものは実に二百三十二億ドルの輸出超過ということでございます。その数字が裏づけになっておると思います。そこからいたしますと、今日の日米貿易摩擦問題の基本的な解決は、やはりアメリカ経済にもっとがんばってもらわなければならない、あるいはアメリカの経済政策のあり方を高金利政策にも見られますように、もう少しきちんと軌道修正をしてもらいたいということももちろんでございますけれども、日本側から見ました場合に、やはり工業製品の節度ある輸出、輸出の自粛ということを私どもは貿易摩擦問題に対処します基本的な主張の原点に置いております。その場合に私どもは、日本は少資源国である、貿易立国であるということは百も承知しております。ただ、一億一千万人の国民、五千万人の労働者に雇用の場を与える範囲において必要な輸入をする、その輸入に必要な外貨を稼いでくれればいいわけでございます。ともかく力が強ければ何でもやっていいということは、私は、いかに自由貿易であっても、今日国際経済の中で成立しないということでございます。したがいまして、われわれの対策の主張の基本点は、やはり日本の経済がもう少し内需を喚起して、それで五%なり六%の安定成長ができるような仕組みを今後の経済運営の中でつくっていただきたい。これは、農産物の問題では何らこういう基本的な貿易摩擦問題は解決できないということでございます。
#34
○参考人(高橋節郎君) 先生にちょっとお尋ねしてよろしゅうございますか。――いま数字をおっしゃった金額、もう一度おっしゃっていただけませんか、五十五年度の北海道の平均乳価を、ちょっと聞き漏らしましたんですが。
#35
○下田京子君 五十五年では七十九円四十四銭というふうに、これは農林省の統計の数字で手取り乳価が非常に保証乳価より下がっているということなんです。五十六年の見込みはどうでしょうかという質問です。
#36
○参考人(高橋節郎君) この乳価の構成については非常にむずかしい要素を持ってございまして、保証価格が八十八円八十七銭でありますが、飲用乳の場合には北海道で百二円六銭、道内の飲用乳についてはそうでございますし、府県向けの飲用乳については三・二%換算で八十八円八十七銭、その地向け乳価についても八十八円八十七銭という乳価を設定してございますが、その加工、飲用、その他学給向けの総平均の金額で、五十五年の三・二%では八十五円十五銭という数字になってございますし、これが五十六年では八十六円二十二銭程度になろうかというふうに考えてございます。保証価格は八十八円八十七銭でございますので、三・二%では少し割ると、こういうことでございます。
 ただ、この中では、たとえば六万トン以上ございます全乳哺育が三十二円で売られているというような内容のものや、あるいは五十五年では、先ほどもちょっと申し上げましたが、メーカーに断られた十万トンの牛乳が委託加工せざるを得なかったというような、そのリスク負担等もございまして、内容的には非常に複雑な内容でございますので、一々ここで御説明申し上げることがなかなか困難でございますが、いま申し上げたようなことが私どもの資料としては持ち合わせでございます。
 次に離農の関係でございますが、詳細な数字をいまここに持ち合わせてございませんが、北海道としては、五十五年から五十六年に向かいましておおよそ六%程度の酪農の離農というふうに承知をいたしております。
#37
○参考人(救仁郷義房君) 豚肉の輸入についてのお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、大変過剰の在庫の状態の中で自主調整をいたしたわけであります。にもかかわりませず、その間隙を縫いまして、輸入によりまして価格に大きく影響いたしたわけでありますので、今後ともやはり需要に見合う国内産の生産、それに不足いたします分だけの輸入は、これは当然やむを得ないと、このように理解をするものでございます。もちろん、現在豚肉につきましては自由化されておりますけれども、あくまでも国内需給の立場から、供給不足の分についての輸入にとどめていただきたいということを強く御要請を申し上げたい。
 以上であります。
#38
○参考人(野口福太郎君) 御質問にお答えを申し上げたいと思いますが、ただいま中間安定制度の、いわゆる事業団の放出による特定の法改正をすることによって安定制度の崩壊につながるのではなかろうかという御質問でございましたけれども、私どもの考えでおりますことは、あくまで中間安定制度の堅持のもとで適切な方法を講じていただきたいと。しかも市況にそれをやることによって影響のない方法を検討していただいて、特定な販路、特定な用途、方法、そういうものを御検討いただくような処置をとっていただけたらと、このような御要望でございます。
#39
○喜屋武眞榮君 ただいままで御四人の参考人の御要望あるいは御意見をお聞かせいただきまして、結論としては非常に深刻な問題であると、こういうふうに私受けとめております。それで皆さんから問題点いろいろ出ましたので、私は皆さんの御要望をまともに、深刻ないわゆる危機に直面しておると、こういう気持ちを持って二、三お習いという気持ちで申し上げたいと思っております。
 まず、遠藤参考人に対して、日本の畜産を左右する重大な問題に飼料問題がよく言われるのでありまするが、粗飼料の立場から飼料米のいわゆる需給現状、こういうことに対してどのように考えておられるか、また目標をどの程度に持っておられるか、これが一点。
 次に、高橋参考人にお習いしたいことは、特に流通機構の両から問題はないでありましょうかどうか、その辺の実情をお聞かせ願いたい。
 次に、救仁郷参考人にお習いしたいことは、複合農業、この面を述べておられましたが、豚と野菜を中心というお話でありましたですね。その面からお習いいたしたいことは、特に土づくりという面との関連において私も興味を持っておりますので、複合農業と土づくりの面からもっとお聞かせ願いたい。
 以上、三点それぞれお願いいたしたい。
 野口参考人には済みませんが、時間の関係がありますのでお許し願いたいと思います。
#40
○参考人(遠藤肇君) お米のえさ化といいますか、飼料米生産の問題でございますけれども、私ども全国農協中央会におきましては五十四年の十月の第十五回大会におきまして、百五十万トン、面積にいたしまして二十万ヘクタールを昭和六十年を目標にして実用化させるという飼料米構想を提案し、大会の決議をいただいております。現在まで二年半ほど経過しますけれども、現段階において具体的なまだ十分な詰めが行われておらないというのが、はっきり申し上げまして現状でございます。
 その理由は全く一点でございます。それはやはり現在の米価水準、それからまた非常に安い外国からの飼料穀物輸入価格、これの余りにも大きい内外価格差というものを埋める決定的な決め手を今日見出しておらないということでございます。しかしながら、昨年の末に日本農業新聞の方で、全国の農協組合長を対象にいたしましたアンケート調査によりますと、全国の農協組合長のうち大体二割弱はすでに何らかの形で試作なり実験なりを農家に頼んだり、自分のところでやっておる、あるいは来年計画を持っておるという答えが出てきております。そういうように、生産現場から考えますと、非常にこの問題を急がなければならないというふうに現在私どもは考えております。
 その場合に、この飼料米の問題でございますけれども、私どもはこういう理解に立っております。日本の食糧の安全保障というのはやはり稲作農業と日本の畜産業を飼料米の生産、供給を通じてパイプをつなぐことであると、こういうふうな理解をしております。言葉を変えて言いますと、三三%の穀物自給率を考えました場合に、私どもはどうしても飼料穀物の国内生産が本当にできるかどうかと、これがもうすべての問題の解決策なんじゃないかと思います。したがいまして、非常に時間がかかるむずかしい問題ではありますけれども、農林水産省もすでに多額のいろいろな技術開発費も計上されておるようでございますけれども、やはり私ども生産者団体自身がもう少し現地の農民の方々の期待にこたえるような開発、特に生産、流通面のシステムの開発というものを急がなければならないと、こういうふうに思っております。
 ただ一点、畜産問題と関連して加えさせていただきたいことは、現在まで飼料米の生産がもっぱら米の過剰、水田の再編政策の問題から提起されておるということでございます。やはり畜産経営の方からもう少しこの問題を提起して、両方をつないだ同じ土俵の場でやはり生産者自身も考えていく、そういう体制づくりもやはり必要なんじゃないか、こういうふうに考えます。
#41
○参考人(高橋節郎君) 牛乳について流通機構の上から問題はないのか、こういう御質問でございますが、加工乳につきましては非常に単純な流通でございますので、そう大きな流通上の問題はないと思いますが、飲用乳については御指摘のように非常に大きな問題がございまして、先ほども申し上げましたが、地域間の競争やあるいはメーカー間の競争、あるいはスーパーの不当廉売等、いろいろな問題がございまして、これらの問題を総合的に解決し、小売価格を是正し、生産者価格を建て値に戻そう、こういうような動きが昨年公正取引委員会の立ち入りということで、独禁法に抵触、警告なりあるいは勧告を受けた、こういうことで、この環境整備の問題については白紙に還元というようなことになったわけでございまして、いまメーカーあるいは農業団体相互の話し合いの中ではこれらの流通機構の問題と、価格の整備の問題については先に進まない、こういうことになってまいりまして、少なくとも行政指導、農林省の指導を含めてこの問題をどういうふうに検討するかということを現在相談をしている最中でございまして、できるだけ早い機会に相談を進め、具体的な方法をとっていかなければ、この環境の乱れというものが非常に大きな酪農家のマイナスにつながってくる、こういうことで現在話し合いを進めている最中でございます。
#42
○参考人(救仁郷義房君) 複合経営と土づくりの関係についてのお尋ねでございますが、申し上げましたように、水田再編二期対策の関係で、その基幹作目に、飼料作物、野菜さらに大豆、麦等、その他を一応転作作目に選んでおるわけでございます。鹿児島県の営農の基本方針の中で三つの方針を掲げておりまして、まず第一に土づくり、人づくり、さらには生産、販売の一貫体制、こういう三つの方針を立てておるわけであります。畜産県でございますので、先ほども申し上げましたように、再編対策の転換作目でまず飼料作物、さらには野菜、先ほども申しました各作目との関連で対応をいたしておるわけであります。そこで、最近、肉牛あるいは養豚、養鶏、これらの大型といいましょうか、大規模の畜産経営がふえておるわけでありますので、これから出ますふん尿を、農協等におきまして堆肥センターをつくりまして、これを土に返す運動を進めておるわけでありまして、複合経営の中で、それらの基幹作目との関連におきまして土づくりを進めておるということを一つの大きな目標に選んで対応をいたして、各連一体になりました指導を現在進めておるという段階でございます。
 以上でございます。
#43
○委員長(坂元親男君) 以上をもちまして、参考人の方々に対する質疑を終わります。
 参考人の方々に一言お礼を申し上げます。
 本日は、皆様には、御多忙中にもかかわらず、当委員会に御出席をいただき、大変貴重な御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 午後一時まで休憩をいたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時十三分開会
#44
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十七年度指定食肉及び加工原料乳の価格算定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#45
○川村清一君 原料乳価の問題について若干質問いたします。
 ただいま資料をいただいただけで、中身は読んでおらないのでさっぱりわからないんですけれども、午前中の参考人の意見を聞いている中に、参考人からお聞きしましたところが、けさほど自民党の農林部会の方に報告されまして、昨年に比べて〇・五六%上がったと。金額にして五十銭引き上げたということを初めてお聞きしました。それから、同僚の村沢議員から、これも質問の中で、基準取引価格を五十銭上げたと、その分だけ乳価に持ってきて五十銭上げたと、こういうことをお聞きしました。実は政府からは何にも聞いてないわけです。けさほど審議会の方に諮問されまして、それきりでございまして、どうもまあ与党ですから自民党さんに説明されることは当然といたしまして、野党でも国会議員でございまして、国権の最高機関の議員に対して何にも知らせない、そして質問の中で参考人から聞いたり、村沢さんは優秀な議員ですから、どこからこの資料を持ってきたのかわかりませんが、お聞きしまして、実は唖然といたしまして、何を質問していいかちょっとわからないんですけれども、こんなことを言っておったってしようがないし、相手が大臣でもございませんし、政務次官はそこにお座りになっておりますが、政務次官にお聞きしましても、あなたもわれわれと同じ参議院議員でありますから、困らせるようなことはやっぱりしたくないですから、この話はこの程度にします。
 そこで審議官、お尋ねしますが、五十銭引き上げた、〇・五六%引き上げた、これはこれなりに評価します。しかしながら、もう酪農民や、またわれわれ議員として絶対にこれは承服できない、こんなことでは承服できません。しかし、上げたということはわかりましたが、その上げ方がこちらの方に、メーカーの方の基準取引価格を五十銭上げておいたと、その分はそのままストレートに今度は五十銭乳価に持ってきて乳価を上げたと。
 そこで、政府のそれじゃ財政に影響を及ぼすものは幾らかというと、これは補給金の総額が四百六十五億円、これは前年度四百六十五億円、限度数量前年度百九十三万トン、全く補給金の総額も同じ、限度数量も同じ、乳価は五十銭上げたと、その五十銭はどこから持ってきたかというと、さっきも言ったこの仕組みの中から持ってきたと、実に大勝の手品みたいなことをされておられるわけですが、これはどういうことなのか、簡単でいいですから御説明願います。
#46
○説明員(船曳哲郎君) 御説明の前に、一言だけ冒頭に先生から御指摘のあった点についてちょっと述べさしていただきたく存じます。
 昨年も審議会に提出いたしました資料の取り扱いをめぐりまして先生からいろいろお話をちょうだいいたしまして、私どもも本年はそういうことがあっちゃならないということで十分留意したつもりでございます。
 そこで、資料につきましても本日早々に、審議会が始まる時刻ごろには取りまとめましてお届けしたつもりでございます。
 それから資料の説明につきましても、実は私ども昨日までこの委員会の場で御説明の機会を与えていただけるものと思いまして用意いたしておったわけでございますが、委員会の方のお指図によりまして私どもそのチャンスがなくなったということでございます。そこは何とぞ御了承賜りたく存じます。
 ところで、諮問の内容でございますが、私ども保証価格、それから基準取引価格、それから乳製品の安定指標価格、それから限度数量、この四つにつきまして私どもなりの案をつくりまして、きょう審議会にお諮りしておるところでございます。
 それぞれ、もう川村先生御承知のとおりでございますので、ここでくどくど申し上げませんが、保証価格は加工原料乳地域の生乳の再生産を確保する乳価水準を生産者に保証するということを旨として定めるということで、北海道の生産費を基礎にして私ども算出したわけでございます。
 それから基準取引価格は、乳業メーカーの支払い可能乳代として定められるものでございまして、主要な乳製品の販売価格から標準的な製造販売経費をきちっと算出いたしまして、その経費を差し引いて算出いたしたものでございます。この保証価格と基準取引価格、これはそれぞれの考え方に従いまして、法の定めるところに従って算出したつもりでございます。
 それから安定指標価格でございますが、これにつきましても五十六年度内の実勢平均価格といったものを基礎に置きましてバターは据え置きと、それ以外の三つにつきましては若干の値上げということで算出いたしておりますし、それから限度数量につきましては、最近の乳製品の需給事情等を念頭に置き、法律の定めるところに従って私ども算出したつもりでございます。
#47
○川村清一君 時間がありませんからまあ簡単にお答えください、私もここで長々と議論する気がありませんから。
 そこでお尋ねしたいことは、これは言うまでもなく現行乳価、この五十六年度までの乳価というものは五十二年に決まったやつがそのままきたわけですよ。その五十二年以来私はこの農林水産委員会に所属しておりますから、どれだけ議論したかは知っているんですが、五十二年のときの農林大臣は御案内のようにいまの総理大臣の鈴木さんです。五十三年は中川農林大臣、五十四年はいま大蔵大臣の渡辺さんが農林大臣、五十四年が武藤嘉文農林大臣、それで五十五年が亀岡農林大臣、全部私いるわけですよ。それで毎年議論しているわけですよ。それでこの間、もう全く五十二年で決まった乳価というものはそのままきているわけです。据え置かれてきている。それで毎年議論すると需給の関係がどうだとか、いろんなことを理屈を言っているわけですよ。それで算式がみんな毎年違うわけですよ。そこで、もう需給の関係がどうだとか、経済事情がどうだとか、それを勘案してということなんです、結論的に言うと。
 そこできよう聞きたいことは、五十六年の昨年に比べて算式が変わったのかどうかということ、これが一点。
 第二には、昨年一番大きな問題であった需給の関係がきわめてアンバランスである、いわゆる事業団の持っている在庫が非常に多いと、これ以上上げられないということで市価を操作したり、あるいは金利を操作したりして去年は据え置いたわけです。ことしはその辺がどういうふうな落ち込みになっているかということ。
 それからもう一点は、今度は乳業会社、これの収支状況は昨年に比べてどうなっているか。これは簡単でいいですから、いいのか悪いのか、この点。
 次に、酪農家の経営状態がどうなっているのか、どういうふうに把握されているのか。当然その中には負債の状況がどうなっているのか、よくなったのか悪くなったのかというようなこと。
 それから今度は、きょう参考人がいろいう言われておりましたが、そういう酪農を抱えておる地帯の、北海道の農協の経営状況がどうなっているかといったようなこと。
 それから今度は、その酪農地帯の地方自治体の財政がどうなってきているかということ。私が聞いておるところによりますと、いわゆる根釧のあの酪農市町村等におきましてはもう町村長に立候補するという人がいなくなったそうですわ。それから農協の組合長になるといって立候補する人がいなくなったそうですわ。そうでしょう。全然酪農から税収がないわけだから、税金を払う能力がないから、税収がないんですから、それで財政運営上とても町村はやっていけないから、町村長になる人がいなくなったということ。農協もしかり、とっても組合長になったって組合運営はできないというような状況になってきているということ、こういうようなことを御存じかどうか、この点。
 それから輸入乳製品というものがどうなっているのか。去年はいろいろあったんですが、多かったんですが、ことしは減っているのかどうか。それから、これから以後どういう見通しを持っておるのか。こういったようなことを勘案してやられたと思うんですが、いま幾つかのことを聞きましたから、これについて簡単でいいですから、よくなっているとか悪くなっているか、その動向だけちょっと説明してください。
#48
○説明員(船曳哲郎君) 一度にたくさんの事項をちょうだいいたしましたので、答弁漏れ等あろうかと思いますが、また御指摘賜りたいと思います。
 まず算式でございますが、これは五十六年度に使った算式そのまま使ってございます。
 それから次に、生乳なり乳製品の需給をどう見るかという点でございますが、この点につきましては、私ども昨年度に比べまして乳製品の民間の過剰在庫がなくなるというようなことでございまして、需給は回復してきた、こう考えております。ところで、乳製品の実勢価格を見てみますと、安定指標価格水準以上には上昇していないわけでございます。バターは安定指標価格水準に張りついたままでございますし、それからバター以外の指定乳製品につきましても、安定指標価格を掛ける一〇四の水準まではいきませんで、二から三の一〇二ないし一〇三の水準に横ばいの状態にあるわけでございます。それから、さらに飲用乳の市場が混乱しておるということは、もうこれ先生御承知のとおりでございます。それから、さらに畜産振興事業団にはまだバターが一万二千トン、約二・一カ月分でございます。さらに脱粉が四万四千トン、約四・二カ月分でございます。このような生乳に換算いたしまして四十五万トンの在庫がございます。それからそのほか、これは農家なり農業団体の方々に御苦労いただいているわけでありますが、計画生産によって需給の均衡を図らなきゃならないといったような事情もございます。これらの点を考え合わせますと、民間の過剰在庫はほぼ解消したんではないかと思いますけれども、全体として見ますと、需給はなお過剰基調にあるというふうに考えざるを得ないんじゃないかと思っております。
 それから三番目は、乳業会社の経営内容といったようなことだったかと思います。これは私ども大手の乳業三社について調べでございますが、利益率を売上高経常利益率で見てみますと、五十六年度上期には七、八月の好天候によりましてアイスクリームとかヨーグルトなどの売り上げが伸びたとか、それから乳製品の過剰在庫が減ったとか、それから先ほどもちょっと申し上げましたが、乳製品の価格が回復したとかいったようなことがあれこれございまして、売上高経常利益率は一・八%ということで、前年の同期に比べますと約二倍の水準になっておりますが、他の業種に比較すると低い水準にございます。で、乳業メーカーの経営は、経営の悪かった五十五年度に比べれば改善したということは言えると思いますが、収益の増加した分は主として二次製品部門、これはアイスクリームとかヨーグルト等でございますが、こういった部門でございまして、バターとか脱粉等については、価格が異常に低落いたしました五十四年、五十五年以前の水準に戻った程度と見られております。それから、メーカーの飲用牛乳部門でございますが、これは価格低迷のため依然として苦しいということもございますし、人件費の上昇等によるコストの上昇もあるようでございます。まあ、あれこれございまして、乳業も経営面において必ずしも好転したとは言い切れないんじゃないか、このように思います。
 それから酪農の経営でございます。酪農の経営につきましては、五十六年の直近の時点の経営状況につきましては公式の統計がないわけでございますが、農村物価賃金統計によりますれば、御案内のとおり、乳価の低下、それから飼料価格を初めとする資材費の上昇、それから小牛価格の低下などが見られまして、その影響によります所得の低下、それから一部農家における負債の償還の困難化といったようなことがあるのではないかと、このように考えております。また北海道におきましては冷害の影響があったことも承っております。
 このような農家受取乳価の低下につきましては、産地間の市乳化競争による飲用乳価の低下といったようなこともございますことから、最近における配合飼料価格の低下によって、経営の環境は、来年度は相当に好転するんではないかと期待される面もあるように思います。
 それから五番目でございますが、農協の経営でございますが、この点につきましては具体的な数字は持っておりませんが、酪農経営が苦しくなったことに伴いまして農協の経営も苦しくなったというお話は承っております。
 それから自治体の財政でございますが、この点につきましても確たる具体的数字は持っておりませんけれども、今回の乳価決定時期を控えまして、地方公共団体の方々が私どものところへも何度も何度もお見えになるといったようなことから、そのような御事情があるのではないかと、このように私ども考えております。
 それから最後でございますが、輸入乳製品の問題でございます。
 輸入乳製品の問題につきましては、国内需給に悪影響を及ぼさないようにその抑制に努めていくというのが私どもの考え方でございまして、今後とも引き続きその方向で努力していきたいと思っております。五十六年はこのようなこともございまして減少傾向にありまして、前年比八%の減少ということになっております。事業団の一元輸入品目の四年間にわたる輸入停止とか、それからその他の割り当て品目の、輸入割り当ての抑制とか私どもやってきておるわけでございます。そして、現在輸入されておりますものは、安価な輸入品を供給する必要のある、たとえば飼料用の脱粉とか学校給食用の脱粉といったようなもの、それから、そのほか国内生産が不十分なもの――ナチュラルチーズなど、それから国内生産がないもの――乳糖、カゼインなどが主でございます。このほか調製食用脂の問題がございますが、この問題につきましては、事前確認制の導入とか需要者及び輸入業者の自粛の指導、それから輸出国の自主規制といったようなことによりまして、前年比約一五%程度減っております。
 それから最後でございますが、例のココア調製品につきましては、チョコレート需要の増大に伴いまして、これはチョコレートとかココアとかいった特定の分野にしか使用されないものでございますけれども、前年対比一九%の増ということになっておりまして、私ども一層指導に努めてまいりたいと、このように考えております。
 以上でございます。
#49
○川村清一君 もう質問やめますから。――それで一点、あなたは農林水産省として、今度の措置がこれで妥当であったと、これで結構であったというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか。そして、酪農で一生懸命苦しみながらやっていって、もう離農寸前にある農民に対して期待にこたえたとお考えになられるのかどうか。このことによって、日本の酪農が振興すると、そういうふうにお考えになっておられるかどうか。この点はっきりしていただきたい。そう思わないなら思わないって、そう長いこと要らないですよ。
 それから、いろいろあなたはいま数字挙げて言われましたが、これ、農林水産省からいただいたこの資料の中に書いてるわけだ、ちゃんと。乳製品の輸入について細かく数字挙げて書いてある。しかし、この中ではっきりしてることは、いろいろ乳製品の輸入が減ってきたと書いてある。しかし、五十六年の総輸入量は生乳換算で百八十九万五千トン、これでも前年比九二%ですから、若干減ったと。しかしながら、生乳換算で百八十九万五千トン輸入しているということは、限度数量百九十三万トンに匹敵するんです、これは。これがなかったら何も生産調整なんかしなくてもいいんですよ。大変な苦労して、借金して、そうしてもう潜在生産力二百万トン以上の力を持ってる北海道の酪農民が、百九十三万トンの限度数量――そうすると、百九十三万トンというのは日本全国ですから、北海道は主産地ですから、仮に百七十万トンぐらいはいくでしょう。百七十万トンいっても、北海道で百七十万トンの限度数量を割り当たっても、生産能力が二百万トン超えるんですから、三十万トンはこれ捨てねばならないんだよ。こういうむだなね、せっかくもう莫大な借金を背負って、そうして施設して、牛を飼って苦労してる方がとってもやっていけない。ですから、こういう、当のあなた方は五十銭上げたからそれで評価するかもしれないけれども、私に言わせれば、酪農民におまえは死ねと、死刑の宣告を与えたようなものでないかということだけはっきり申し上げて、できればこの五十銭でなくて、最後に、最終的に決めるときにはもっと上げて、幾らでも、まあ罪滅ぼしの意味で少し上げて――五年も六年も苦しめてきたんだから、少しは罪滅ぼしの意味で、もう少し上げてやっていただきたいということ。ですから、答弁なかったらしなくてもいいから、それだけ申し上げておきます。
#50
○説明員(船曳哲郎君) 今回の諮問の数値につきましては、私ども、与えられた条件のもとで精いっぱい法の運用をやってきたと考えておりますが、価格対策だけで酪農の振興が図られるというふうには考えておりません。価格は価格の――これは申し上げるまでもないことで恐縮でございますが、価格対策とあわせまして、生産対策なり流通対策なり等々、諸般の対策に取り組んでまいりたいと、このように考えております。
#51
○坂倉藤吾君 きょうは私は畜産局をちょっと褒めようと思っておったんですがね、特に成相政務次官にお聞きをいただいておきたいんですが、いま川村理事の質問に対する答弁を聞いておりまして、ちょっとその気が変わってしまったわけであります。それは、実は私はきょう質問に立つことについて早くから委員部の方に言ってあったんです。したがって、まあ例に基づいて当然畜産局の方からは、たとえ何らかの形で質問の骨子ぐらいは照会があるのかなと、こう思って、きのうはまあ体をあけておったんですよ。五時二十五分までいましたっけ。ところが、全然、電話もなければ、顔も見せない、こういう状況だったものですから、畜産局ってのはずいぶんと成長をしたもんだなと、どういう観点から質問をしようとも、びっしゃり答弁できるだけ自信ができたんだろうと、少なくともこれは農林水産省各局に対してもそういう指導をとってもらいたいなと、実はまあこう思っておりました。大変結構なことだと。ところが、どうもいまの答弁聞いてますとはっきりしてないようでありまして、大変残念であります。まあこれは質問以外の話になりますからなんですが……。そこで、きょうの私の質問に対して、そういうことで明確な骨子通告がしてありません。そういう前提に立って、しかしまあ答弁は的確に行われるであろうと、こういうふうに期待をしつつ、質問を申し上げるところです。
 で、きょう、畜産振興審議会食肉部会、昨日の省の諮問に対して審議が行われておると思うんですが、昨日諮問をされました畜産局長の説明によりますと、価格は据え置きだという前提に立っているわけでありますか、今日価格を据え置くというその基本的な物の考え方なんですがね、私は今日まで省が畜産農家に対して指導をしてきた、こういう立場からいって、現状がどうなっているかということを十分に見きわめた上に立ってこうした諮問が行われておるであろうというふうに、合理的に言えばそういうふうに物を考えているわけですが、この局長説明によりますと、特に肉用牛の場合ですが、供給動向にいわゆる飼養規模の拡大、これは着実に今日進展を見てきたと、こういうふうに一つは評価をしておるわけでありますね。したがって、この肉用牛につきましても、今後引き続き拡大方針が省の指導方針として継続をされていくのかどうか。
 そこで、その問題の有無と同時に、農業観測によりますと、けさ方の参考人からも意見陳述がございましたが、たとえば豚の場合は、農家戸数自体が五十四年度から五十六年度までの間に一八・九%も減少しているというのを数字で明確に挙げていますね。それから肉用牛の場合にいたしましても、同じく年度内に七・四%の減少と、こうなっております。これはどういう理由で減少していくというふうにとらえられておるのか、さらにこの傾向というのはこれからどういうふうになっていくのか、減少が行われていくのか、拡大との関係についてどうとらえられておるか、ひとつ明らかにしてほしいと思います。
#52
○説明員(船曳哲郎君) 最初に、昨日手違いがございましてまことに申しわけないことをしたと、このように考えておりますので、お許しを賜りたいと思います。
 まず最初に、経営規模の拡大の問題でございますが、肥育経営の場合、確かに規模が拡大しますと生産性の向上といったようなことはございますけれども、どのような場合にでも具体的な条件を無視して規模の拡大ばかりを図っていくということじゃまずいんじゃないかと。それはやはり与えられた条件に応じて、専業経営として規模を拡大していった方がいいところはそのような方向で指導、援助すべきであろうし、それから複合経営といったようなかっこうで進めていった方がいいようなところはそういった方法で指導、援助すべきではないかと。それは、与えられた具体的な条件に応じてきめ細かく役所の方も対応していくべきじゃなかろうかと、このように考えております。
 それから、農家の戸数の減少の問題でございますが、これは従来は相当大幅なテンポで戸数の減少があったわけでございますけれども、いま残っております経営は、今後ともその分野で残っていこうということでがんばっておる経営でございますので、減少率といったものは従来のようなかっこうでは進んでいかないんじゃないか、減少率というのはやはり鈍化していくと、このように考えるわけでございます。
 そうして、いまもお話ございましたけれども、中堅農家の脱落の問題でございますが、その点につきましては、農家経営に占める畜産のウエートが小さい小規模経営層といったものが、いまも申し上げましたように、過去大幅に減少したわけでございますけれども、最近では、畜産のウエートの大きい経営の増大ということもございまして、全体として見れば飼養戸数の減少率というものは減少してきたわけでございます。特に最近は、畜産を取り巻く厳しい環境のもとにあっても、畜産を専業として営農を継続しております経営体は年々確実に増加してきておりまして、これらの経営が今後わが国の畜産を担っていくことができるように、私ども具体的に指導、援助に努めてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#53
○坂倉藤吾君 船曳さん、私がポイントとして聞いておりますのは、減少していったいわゆる小規模経営ですね、なぜ小規模経営がやめていかなければならなかったのかというところがですね、一体どう分析をされておるのかというふうに聞いているんですよ。これはいいですわ。
 しかし、いまお話がありましたように、いわゆる中核農家、中堅農家といいますか、そういう立場で、今日畜産農家というのは、私たちの目から見まして、何といいますか、きわめて今日までの厳しい条件を耐え抜いてきて、しかしこれはがんばらなきゃならぬという立場で、言ってみますと、農家の優等生だ。いわゆる経営手腕からいきましても、あるいは能力の問題からいきましても、大変な努力をしながら、しかも優等生が残っておる、これが今日の現状じゃないのか。そういう状況の中で、実際にその営に当たっておられる方々がこれからの先行きを見たときに、一体どういうふうにお感じになっているんだろうか。ここのところがはっきり認識をされているのかどうなのかというのが私は一番重大な問題だと。そういう上に立って、たとえば価格の問題にしろ、あるいは融資の問題にしろ、そうしたものが整っていかないと安心してこれやれないということになるんじゃないでしょうか、問題は。
 しかも、全部いまがんばっておられる方々も大変な負債を抱えておる。この全中の調査にあわせて、私の出身のところにいたしましても調査をしましたら、たとえば養豚の場合は、大体調査対象にして、あと縦横の合わないところは全部切り捨てておるわけですから、戸数にしまして十五戸の集計になると思うんですが、ここで四千二百四十四頭、一戸当たり大体二百八十三頭という数字になっていますが、ここで負債総額というのは一億七千六百八十四万三千円、総体でね。したがって、一戸当たりにいたしますと千百七十九万実は負債を抱えている。あるいは肉用牛にいたしましても十二戸で五百三十三頭、一戸当たり四十四頭なんですが、ここにいたしましても、たとえば預託に対するものを含めまして五億四百七十三万八千円という実は負債総額になっておる。こういう状況で実はがんばっているのが今日の状況なんですね。
 時間がありませんから詳しい内容は言いませんけれども、こういう優等生の農家に対して、これから価格低迷、同時に不況、それから輸入の増大、こういったものの形がもやもやしているわけですね。これを一体どういうふうに整理をしようとしているのか。私は、その根本に触れた対応というものが行われていかないといけないし、そしてその価格決定に当たっても、そういう要素を踏まえた上でいかにあるべきかということが諮問の対象にならなきゃならぬと思うんですね。ところが、今日生産費が上がっておっても生産費についてはもう全然お構いなし。あるいは家族の労賃にいたしましても、それらについてはもう余り見ない。むしろ触れない。そうして都合のいいところだけを取り上げてきて価格諮問をやるという形になってきているんじゃないのか。果たしてそういうようなことで農水省が期待をするようないわゆる畜産農家というものは育っていくのか。ここのところは、私はもう大変な問題だろうと思うんです。しかも、養豚の問題なんかにいたしましても極端な生産調整をやってきている。ところが、生産調整をやって価格が一定水準上がってきますと、そうすると輸入内がどんどん入ってくる。一体こういうかっこうをやっておって、日本の畜産政策というのは生きているのかどうか、私はきわめて疑問なんですね。ここのところを基本に、どういうふうに、――これは大臣がおると一番いいんですが、やむを得ません。それぞれの立場から、私はひとまず答弁をいただきたいと、こう思います。
#54
○説明員(船曳哲郎君) わが国の畜産は、過去の高度成長期には畜産物の需要の増大に対応いたしまして、急速な規模の拡大によりまして生産の増加を図って、順調に発展してきたところだと思います。しかし、経済の安定成長への移行に伴いまして、畜産物の需要の伸びは徐々に鈍化してきております一方、生産は肉用牛を除きますれば相当な経営規模に達しまして、需要の伸びを上回って推移してきております。したがいまして、いまもお話がございましたが、牛乳なり豚肉なり鶏卵等につきましては需給の不均衡が生じまして、現在生産者団体を中心といたしまして計画的な生産が推進されているところでございます。このような需給ギャップの発生と、それからこれを背景とする価格の低迷等がございまして、確かに経営をめぐる環境は厳しくなってきております。
 今後どうするかということでございますが、私どもといたしましては片一方において消費の拡大を図りながら、他方需要に見合った計画的な生産を進める。そして経営の合理化と体質の改善に一層努力していかなきゃならぬと思うわけでございますが、その際にはやはり長期的な基本法に基づく、たとえば酪農であれば酪農振興法に基づく近代化基本方針等を踏まえながら、それを各県、各市町村といった現場に具体的におろしていき、そして、それを踏まえて現場で具体的な経営指導等を濃密に行っていくべきじゃないか、このように考えておるところでございます。全国的な価格対策といったようなものと、現場は現場での具体的な条件に応じたところの経営指導と、両方かみ合わせてやっていかなきゃいかぬのじゃないか、このように考えております。
#55
○坂倉藤吾君 もうあと、交代をしなきゃならぬ時間になっておりますので、具体的なことを指摘ができませんが、簡単に、最後にしたいと思います。
 いま借金を抱えておる形態というのは明らかに自分の住んでおります土地、建物を含めまして担保に入っちゃってるんです。もしこれ倒れましたら、住んでる家も明け渡さなきゃならぬというのが今日の実態なんですよ。そういう状況の上に立って、そしてさっきの話じゃありませんが、局長の説明からいきますと、養豚経営等について具体的に出ているのは、今日までとってきた政府の方針ですが、一つはみずからの生産調整、これをやっているけれども、なお供給の余力があるので、もっとしっかりやれと、生産調整、これが一つですね。ところが、この生産調整まだまだ供給力があるから少しという話とあわせて、そうなったときに、いま具体的にはそれにかわって調整をした分だけ輸入がどんどん増加していることも、これまた事実ですよね。しかも、今日のように状況を見ておって断片的に輸入を図っていくという形じゃなくて、長期的に契約形態を明確にして、これから輸入しようとしている傾向に流れているわけです。そうなりますと、一体農家に強要している生産調整というのはどういう役割りを果たしておるんだろうかという、商社がよそから持ってくる肉をどんどん入れるための生産調整をやっているという話になる。国内の関係というのは全く踏んだりけったりの話になるんじゃないか。それらのところをきちっとやっぱり押さえるような指導というのが据えられていかなければ、これはなかなか物が言いにくいのかどうか知りませんけれども、余り明確でない。これが一つ。
 それから、冒頭申し上げましたように、担保をもう目いっぱいやっているという話になりますと、これからさらにコストを下げるための合理化をやろう、こういうふうに求められても手の出しようがない。あるいは従来のような形のあるいは融資制度、こうしたものを仮に持っていきましても、担保がないから貸せませんという話になっている。農協あたりにいたしましても、限度を超過したえさ代のストップは、そこへはもうえさは渡せませんよという話になってきている。これで、これからの何といいますか、経営数というものは余り減らないだろうというふうな見通しというのは、私はちょっといただけない。もう一遍、基本的に問い直すことを要求をしておきたいと思います。もう時間がうんと超過をしていますから、答弁は要りません。言いっ放しにします。
#56
○村沢牧君 私は養蚕問題について質問いたしますが、答弁する人はこれはひとつ、時間が余りありませんから、私も簡潔に質問しますから、簡潔に答弁してください。
 まず、五十七年度の繭糸価格は政府案がいつ決まって、答申を求めるのはいつですか。
#57
○政府委員(小島和義君) 本日中には政府の諮問案を決定いたしまして、明日の蚕糸業振興審議会にお諮りいたしたいと考えております。
#58
○村沢牧君 そこで、五十六年の繭の生産は前年対比、全国的では一一%も減り、私は長野県ですが、長野県では二〇%も減った。これは農林水産省は、この原因は豪雪だとか凍霜害、こうした異常気象によるものだという説明をしておるのですけれども、私はそのことは全然否定するわけじゃないけれども、それだけではないというふうに思うんです。なぜならば、昨年基準糸価を引き下げた。そのことによって養蚕家が意欲が低下して、もうだんだん減っていくんだというふうに理解をしておるんですけれども、たとえば昨年、基準糸価決定に際して、政府の資料によれば、繭の生産費は二千九百九十四円だけれども、基準繭価は二千五十円にした。しかも実勢の繭価もほとんどこの二千五十円前後で取引をされておった。したがって養蚕家の意欲が低下して繭が減産した。このことについてはどういうふうに考えますか。
#59
○政府委員(小島和義君) 繭の生産の減少につきましては、御承知のように長期的な要因、これは立地の移動でございますとか、担い手の老齢化というふうな、やや長期的な要因と短期的な要因があるわけでございます。
 短期的な要因の一つとして気象的な影響というものがこれは否めないわけでございますが、昨年の基準糸価の引き下げというのは、もう事業団の、何と申しますか、在庫調節機能だけでは支え切れないということで、国内供給量を含めて需給を改善しよう、こういう意図に出ておるわけでございますから、国内の生産農家の方々におかれましても、養蚕団体が自主的に計画的な生産をやろう、こういう意思決定をしていただきまして、官民一体となって需給改善に努めた、そういうことの効果も入っているというふうに考えております。
#60
○村沢牧君 基準糸価を下げたことによって養蚕家が意欲を失って繭が減産した、そのことについての答弁はいまなされておらないわけですけれども、私はその影響はきわめて大きいと思うんですよ。このことについては時間がありませんから指摘だけしておきます。
 そこで、農林水産省としては、わが国の養蚕というのをどういうふうに位置づけ、発展をさせようとするのか、あるいはもう養蚕は余り期待をしなくてだんだん縮小再編成をしていこうとするのか、そのことについて聞きたいんです。すなわち、基準糸価を下げたり、あるいは桑園の造成の面積を抑制したり、水田利用再編対策の中の対象作物から桑を除いたり、それから全養連、養蚕家に対しては生産調整を要請している。まさに縮小の方向を示しているわけですね。一体農林水産省としては養蚕を発展をさせようとするのか縮小させようとするのか、そのことについて簡潔に答弁してください。
#61
○政府委員(小島和義君) わが国の養蚕業は、これまでも歴史的に幾たびかの波を乗り越えてきたわけでございまして、生産が縮小する時期もございますれば、逆に生産が伸ばせる環境もあろうかと思います。農林省の掲げております六十五年の長期見通しては国内生産で三十万俵ぐらいに持っていこう、こういう目標もあるわけでございまして、決して縮小の一途をたどることが望ましいと思っているわけではございません。ただいまの需給事情に応じまして生産の縮小もお願いをいたしておりますが、長期の方向としては発展さしていくつもりを持っておるわけでございます。
#62
○村沢牧君 それは農林水産省としては縮小させますというようなことは言わないでしょうけれども、現実は縮小されるような政策をとっているんじゃないですか。いま答弁がありましたように、長期見通しによれば、生糸の需要は四十万俵で生産は三十万俵だと、したがって自給率は七五%ということになるわけですけれども、しかし五十六年度の繭の生産量から生糸の生産量を計算すると自給率は五五%以下だと思うんですね。一体この自給率をどのくらい程度に持っていこうとするんですか。この閣議決定による長期見通しは、必ずこういうことになるように努力するんですか。
#63
○政府委員(小島和義君) 六十五年の見通しては自給率を単独で決めたというよりは、四十万俵ぐらいの国内消費量というものを想定いたしまして、そのうち三十万俵ぐらい国産でもっていこう、こういうわけでございます。今日ただいま現在で申しますと、需要がこの数年間で急激に冷え込みまして三十万俵そこそこというのが実情でございます。その中で国内の生産だけをひとりふやしていくということになりますれば、結果的には事業団の在庫の重みが一層加わりまして、現在の事業団の果たしております糸価安定機能というものが崩壊するのではないか、こういう危機感から何とかして繭糸価格安定制度の健全性を取り戻そうということで、昨年大変つらい決定をいたしたわけでございます。
#64
○村沢牧君 重ねていま答弁ありませんからお聞きをいたしますが、国内生産でもってどのくらい自給していこうとするのか。その見通しありますか。
#65
○政府委員(小島和義君) 六十五年見通しにおきましては、四十万俵のうち三十万俵でございますから七五%を一応目標といたしておるわけでございます。
#66
○村沢牧君 その自給率に到達するように努力をするんですか。政策を持っていきますか。
#67
○政府委員(小島和義君) 先ほど申し上げましたように、これは自給率だけがひとり歩きということではございませんで、全体の需要を四十万俵ライン、これは過去の数字から申しますと決して大きなものではございませんで、基準年次の五十三年度を対比いたしましてもほぼ横ばい程度のものを考えておるわけでございます。現在残念ながら消費量としては三十万俵そこそこというところに落ち込んでおるわけでございますから、需要の増進と相まって国内生産の方もふやしていきたい、こういうことでなければならぬと思っております。
#68
○村沢牧君 需要の状況に合わして国内生産を考えていくということでありますが、五十五年度生糸年度で見れば、生糸の生産量は二十五万七千俵に対して需要量は三十六万三千俵、つまり国内生産では十万六千俵も不足するんですよ。ですから、外国からそんなにたくさん入れなければ、国内生産をもっとふやしたっていいわけなんですけれども、これはどういうふうにお考えなんですか。
#69
○政府委員(小島和義君) 確かに私どもも気持ちといたしましては、国産優先、海外からの輸入品は極力排除をいたしたいというのは同じような思いを持っておるわけでございます。ただ、生糸及び絹製品につきましては、かつて日本の生糸の国際競争力がありました当時にすでに自由化をいたしておりまして、いわゆるIQ物資ではございません。加えて、ある種の絹製品はもういわゆる鉱工業製品、通産物資でございます。したがいまして、生糸につきましては一元輸入制度という政府の需給調節機能がございますけれども、それ以外の物資につきましては事業団機能のような完全な供給の遮断というのができかねる状況でございます。
 ただ、自由貿易を標榜いたしております通産省としては大変珍しく、絹製品につきましては輸入品の防遏ということについて大変努力をしていただいておりまして、輸入貿易管理令によりますところの事前承認あるいは事前確認というふうな制度を通じまして、絹製品についてもなるべく輸入品をよけい入れないような施策を講じていただいておるわけでございます。ただ、IQ物資とは違いますので、相手国の意向を全く無視して輸入をゼロにしてしまうというふうなことはなかなかできなねる、そういう状況の中での需給調整であるということを御理解いただきたいと思います。
#70
○村沢牧君 私は国内の需要量に対して生産量が足らないんだから、輸入をゼロにしろなんて言っているわけじゃないんですよね。必要量以上に輸入しているから、こういうことになるんです。農林水産省は日本の農業を守るという立場に立って考えなければ、通産省と同じような立場では困りますね。
 そこで、次は統計情報部に聞くけれども、五十七年度の繭の生産費は幾らになりますか。
#71
○説明員(関英二君) 五十六年度産の上繭一キログラム当たり生産費は三千三百八円でございまして、先ほど先生もおっしゃっておりましたが、前年の二千九百九十四円に比べまして一〇・五%の増加でございます。また、桑園十アール当たりの生産費は二十七万七千四百六十四円でございまして、前年二十七万八千九十五円に比べまして〇・二%減少しております。桑園十アール当たり生産費が前年を下回ったのに対しまして、上繭一キログラム当たり生産費が前年を一〇・五%と上回りましたのは、低温及び凍霜害の影響で桑が不足したこと等から掃き立て卵量を減少させたために上繭収繭量が前年を下回ったためでございます。
#72
○村沢牧君 そこで、昨年は二千九百九十四円でしたかね、それが今度は三千三百八円も、一〇・五%も上がったと。これだけ生産費が上がったから、ことしの基準糸価については当然これは局長、上がりますね。
#73
○政府委員(小島和義君) 基準糸価につきましての繭糸価格安定法上の規定といたしましては、生産条件、需給事情その他の経済事情から見て適当と認められる水準、こういうことに法定されておりまして、必ずしも生産要主義ということには相なっておらぬわけでございます。ただ、糸価安定制度の目標とするところは養蚕経営の安定でございますから、できるだけ生産費というものを尊重していくという考え方は持っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、大変異常な事態のもとにおいてこの制度を維持していくというふうな視点から昨年の場合には基準糸価で七百円も引き下げをいたしたわけでございます。そういう需給事情についての基本的な認識という点になりますと、少しく状況が明るくはなっておりますけれども、基本的にはまだ余り変わっていない、こういう考え方を持っておりますので、必ずしも生産費だけをよりどころにして決めるというつもりは持っておらないわけでございます。
#74
○村沢牧君 この統計情報部資料による、前の生産費を基準として適用生糸の生産費をつくるわけですね。ですから、いままでと同じような考え方、様式でやったならば、生産費が上がったんだから当然生糸生産費も、繭の生産費も上がってくる、これは常識じゃないですか。
#75
○政府委員(小島和義君) 統計情報部の発表なさいます生産費というのが作業の一つのよりどころではございますけれども、それを直ちに採用して生産費といたしておるわけではございませんで、ある種のルールによるところの組みかえをいたしたものが生産費になるわけでございます。
 で、そのような生産費をもとにいたしまして、上下それぞれ一五%に開きまして、いわゆる異常変動防止の価格帯は決定いたしますが、中間安定帯につきましては、必ずしもその生産費中心の上下の開きということで従来もやってきておるわけじゃございませんで、昨年の場合で申しますと、中間安定帯については需給実勢方式というふうなものをベースに決めておりますので、そういう意味では、昨年と同じような考え方でやってまいりたいと思っております。
#76
○村沢牧君 先ほど審議官は、畜産価格についても、実は昨日まで、この委員会で説明をきせていただきたいものだと思っていたという答弁があったわけですけれども、それはあす諮問するんですから、局長、一体この諮問する基準糸価は上がるのか、どうするのか、据え置くのか、はっきり言ってください。
#77
○政府委員(小島和義君) 本日中に最終的に決定いたしたいと思っておりますが、現時点で私から、諮問の内容をこうしたいということを申し上げる立場にはないわけでございます。
 ただ、私の気持ちといたしましては、昨年さんざん苦労をいたしまして、また、養蚕家の方にも大変な御苦労をおかけいたしまして今日のようなやや明るい需給の環境を築き上げたわけでございますから、こういう環境を、政府の何らかのアクションによって変えるようなことはしたくないというのが本音でございます。
#78
○村沢牧君 昨年は基準糸価を下げたけれども、十二月ごろから、実勢糸価は若干上がってきた。じゃ、ことし、この基準糸価をそんなに上げる考え方はないとしても、実勢糸価だけは上げていくという保証がありますか、自信がありますか。また、農民に対して、そういうはっきりしたお約束できますか。
#79
○政府委員(小島和義君) 一番大事なことは、せっかくやや、何と申しますか、下げどまった需要の趨勢をどうやって維持していくか、さらには発展させていくかということが一番の決め手だろうと思っております。その意味では、需要の増進対策につきましては、通産省の協力も得まして、これまで以上に努力をしていくつもりでございます。
 幸いにして、需要の動向に大きな変化がなければ、国内の供給体制というのは昨年とさほどさま変わりということはなかろうと思っておりますので、そういたしますと、現在の実勢価格水準というのが何とか維持できるのではないか、かように考えておりまして、輸入の放出等につきましても、実勢の維持ということを念頭に置いて最善を尽くす所存でございます。
#80
○村沢牧君 いつの時期でも答弁は最善を尽くす、それは当然のことですよ、だってあなた保証できないでしょう。この基準糸価はそのまま置いても、実勢糸価だけ上げていきますという保証はできないでしょう。ですから、これは生産費も上がっているんだから、当然この基準繭価も、糸価も上げなきゃいけないと私は強く指摘をして、もう一回この基本的な考え方について、一体どうなんだと、据え置くのか、上げるのか、数字はいいですよ、まだ諮問しておりませんからね、いいですけれども、はっきりした答弁をここで聞かなきゃ、ともかくきょう決めるんだから、もうほとんど決まってるんだからね、言ってくださいよ。
 それから、需要増進についても話があったんだけれども、たとえば、六十万円の着物でも原料の生糸価格なんというものは一万三千円か四千円なんですよ。そこへ基準糸価を千円やそこら上げたって、二千円上げたってどれだけ需要の増進に響くんですか。あるいは在庫についてもそうですよ。在庫調整のためにやっていくというけれども、いまの政府のやり方では昨年というか、ことしになって若干在庫は減ったけれども、これも瞬間的なものだと思う。とても、もっと抜本的な対策をとらなきゃ在庫の整理にもならぬと思うわけです。これらについてもはっきりした答弁をしてください。
#81
○政府委員(小島和義君) 先ほど申し上げましたように、せっかく芽生えてまいりました需要の動きというものを、政府みずからの手によって何らかの変化を与えるということはいたしたくないというのが私の気持ちでございます。
 それから、まあ着物の価格の問題、お話ございましたが、確かに、非常に高級な呉服の中で、糸代というのはごくわずかでございますけれども、機屋さんないしはその前後のコストの中で見ますと、決して糸代というものもまたばかにならないウエートを持っております。最終的な製品というものの小売価格ということになりますと、流通マージンが非常に大きいとか、あるいは織物になってから以降の加工段階とか、いろいろ芸術的な要素も加わっておるようでございますから、単純に材料費だけで云々とすることはできないのでございますが、糸代がある程度安くなるということが機屋さんの反物の値段にも微妙な影響を与えるということは、昨年一年の経験を見てまいりましても、昨年の夏以降反物の値段がほんの少しながら下がった、そういうことがまた需要の下げどまりにかなりいい影響を与えたんではないかと、こう思われる前もございます。したがいまして、せっかく需要者もそういう気になってきておると、国民の総支出、消費支出も伸び悩んでいる中で、この種の絹製品が比較的底がたい動きをしてくれているという、こういう環境をぜひ維持したいと、こういうふうに考えておるわけです。
#82
○委員長(坂元親男君) 時間が来ましたから、質問は簡潔にお願いします。
#83
○村沢牧君 時間が来ましたから、政務次官に最後に一点だけ要求して、お願いしておきます。
 先ほど、統計情報部から話があったように、繭の生産費は昨年二千九百九十四円であったものが三千三百八円になったと、一〇・五%も上がっているんですね。これだけ繭の生産費が上がっているときに、この基準糸価をさらに据え置くということがあっては、これは日本農業の発展にならないと思うんですね。せめて、昨年は下げたんですけれども、昨年の一万四千七百円まで復元をさせる、このことを諮問は別として、農林水産大臣としてそのような方向に持っていくように私は強く要求しますが、同時に政務次官の答弁を聞いて質問を終わりたいと思うんです。
#84
○政府委員(成相善十君) 先生の御指摘のお気持ちは十分にわかりますが、いま局長から御説明申し上げましたように、繭糸については去年来のいろいろな努力によりまして、幸いその動向としてはこうした厳しい中ではございますが、状況は思った以上に現在は好転をしておるわけでございまして、そういった状況の中で、いま価格決定に当たりまして慎重にこれを検討いたしませんと、こうしたせっかく出てまいりました新しい芽生えというものに悪い影響があってはならぬということを大変心配をいたしておるところでございまして、そういったことを踏まえながら目下検討をいたしておるところでございます。
 なお、新しい需要喚起は非常に大事でございますので、新しい需要喚起については最善の方途を講じながら対策を講じてまいりたい、このように考えております。
#85
○高木正明君 時間がありませんので、私の方は簡単に具体的に質問いたしますので、お答えをいただきたいと思いますが、
   〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕
先ほど審議官のお話を聞いておりますと、諮問案を出すについては北海道から生産者あるいは町村、商工会、いろんなところからいろんな陳情を聞いていて、それらをしんしゃくしながらという話でありますが、諮問案を見る限りでは全く北海道の酪農の実態というものをよく把握していないのではないだろうか、私はどうもそう思えてならないのであります。もし実態を把握しているとするならば、再生産に必要な保証価格をどの程度に上げればいいのかということの結論はおのずから出されてくるはずでありますが、諮問実見る限りではなかなか私は北海道の酪農家はこれでは救われない。また、まさにこれでは北海道の酪農は切って捨てられてしまう、もう崩壊の寸前にあるわけでありまして、このような考え方で農民に対する説明では納得がいかないと思います。
 時間がありませんから、大臣にきょうは総体的な北海道の酪農に対する考え方を伺っておこうと思いましたが、政務次官に一言だけお伺いをしておきます。
 北海道の実態というのは、当局も御承知のようにきわめて深刻な状況にあるわけであります。たとえば町村財政が非常に逼迫をしておる、農林省にも私の方から資料差し上げておきましたが、別海町というところの農家戸数と、それから所得税、町民税の年度別に納めている資料は差し上げておるわけでありますからあえてこのことには触れません。また、二十日の日に私は中標津という酪農の地帯に入りましたときに、この中標津町ではことしの離農者は十三戸あるというのであります。しかも後継者がないために離農するという従来の事情と違いまして、もう将来の展望が開けないということで離農する年代が三十代、四十代に多いという話を聞きました。まだこれからこういう暗い状態が続くわけでありまして、これは中標津という町一つだけではありません。この間の二十一日の新聞にも出ておりましたから御存じだと思いますが、十勝管内の清水町というところでは、酪農経営の問題から夫婦のいさかいが起きまして奥さんがだんなさんを殺すという悲惨な状況まで起きているわけであります。さらにまた、きょうこの同じ農林水産委員に属しております私どもの同僚の北議員のところは、これは北海道で最も古い酪農家でありまして御子息は四代目であります。こんなに古い酪農経営でありながら昨年は三百万の赤字を出しております。したがって、まだまだ新しい酪農家であればこれ以上深刻な状況が続いておるわけでありまして、私はどうしてもこのままの状態では北海道の酪農は切り捨て御免という思想のもとに崩壊させられてしまうというふうに考えます。したがいまして、五十七年度の加工原料乳保証価格の決定についてどう配慮されておられるのか政務次官から簡単にお伺いをしたいと思います。
#86
○政府委員(成相善十君) 北海道の酪農が危機に直面しておられる、そういう実情につきましてはるる酪農民の方々、また諸先生方からも承っておりまして十分に察しておるわけでございますが、北海道の酪農と申しますと飼育頭数においても生産量におきましても全国に占める割合というのが非常に大きくありますし、またこの傾向はますます増大していくような傾向にございます。が、急速に経営規模が拡大されたというようなことからいろんなひずみが出てきておりまして、そういったことから大変今回いま直面しておられるような危機の大きな原因になっておると言えると思うわけでございます。ではございますが、今後、牛乳、乳製品の需要というものがいままで非常に順調に伸びてまいったわけでございますが、そういうような期待がどの程度持てるか、長期的に見ますと危惧する、心配される向きもあるわけでございますが、がしかしやはりいままでの一つの流れ、傾向から見ますと、牛乳、乳製品のわれわれの生活に密着する度合いというものは強くなっておりますし、安定的に伸びていくであろうということを見込んでおるわけでございまして、そういったことを基盤に置きまして、北海道の酪農も今後とも安定的に発展していくその基盤は十分に培われだし、現在もあると、このように判断していいのではないかと思います。そういうことから北海道の酪農につきましては、需要の動向に即したまず計画的な生産を図りながら経営の合理化と生産性の向上を進めることによって、生産効率の高い酪農経営の育成を図らなければならない。また一方におきまして、不足払い制度の適切な運営を図りまして、また他府県との酪農の調和ということも大変大事でありますので、そういったような調整を図りながら北海道酪農の発展を図ってまいりたいと、このように思っておるような次第でございます。
#87
○高木正明君 時間がありませんから、四点続けて御質問申し上げますからそれぞれお答え願いたいと思います。
 まず第一点は、保証乳価でありますが、保証乳価は生産費とその他の事情をしんしゃくされて決められるということになっておりますが、この生産費について試算内容が畜産局と農業団体との試算の間で非常に差異がある。いまここでこれを私は時間がないから論議はいたしませんけれども、そういう問題点について具体的に三点お尋ねをいたしたいと思います。
 その一つは、保証乳価は生産費及び諸事情をしんしゃくして決められているわけでありますから、本年度は酪農生産地の深刻な事情を十分配慮されているのかどうか、これが一つ。
 二つ目は、特に借入金利では生産者の実態と畜産局の算定には差があると言われていますが、これなどについては十分農業団体と協議されて生産者にも理解できる試算であるように取り進められたいと思うが、これはいかがであるか。
 三番目が、昨年は御承知のように乳製品の市場在庫などがだぶついておってとても乳価を上げてもらえるという環境にはなかった、農民はそれなりに納得したわけでありますが、しかしその後、市場在庫が二十四万トンあったというのが、ふたをあけてみたら十五万トンしかなかった。もう農民は非常に農政に対する、特に農林省に対する不信感があるわけであります。そういう問題も今日北海道の酪農民は抱えておるわけでありますが、ことしは畜産振興事業団の在庫のみであるという説明をされていて、この面では昨年よりも市場が好転していると私は考えますが、飲用乳関係で市場が混乱しているということを伺っております。生産者団体においても、御承知のように計画生産を実施しているにもかかわらず、このような事態になります原因について、畜産局はどのように分析をされているのか、さらにまたどのような対応を考えているのか。
 保証乳価についてはこの三点であります。
   〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕
 次に、酪農畜産経営の安定対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 酪農につきましては、経営安定対策として金融措置を講じていただきましたが、本年度は枠の拡大について特段の御配慮を願いたい。
 さらに畜産につきましては、肉牛飼育経営安定対策として二百五十億の措置をとっていただいておりますが、五年償還、一年据え置きでは非常に短期過ぎるので、何とか償還期間をもっと長期にしていただけないか。少なくともたとえば八年償還で据え置き期間を三年ぐらい置いてもらいたい、条件緩和措置をお願いしたいが、いかがでしょうか。
 さらに三番目が、配合飼料についてでありますが、年末から乳価決定時まで値下がりをし乳価が決まると値上げが行われるということが言われておりますが、五十二年以降どういう傾向であるか簡単に説明していただきたい。また、配合飼料原料は全量輸入といってもよいと思いますが、現在の価格の為替レートの試算は二百二十円ぐらいと聞いておりますが、本日の為替レートは二百四十三円五銭ということで、これだけでもすでに上がる要素になりますが、一部メーカーでは円安のため価格改定もあり得ると言われておりますし、全部輸入原料でありますから、相手国の作況や他の輸入国の事情、為替レートなどこれから先一カ年における変動要素はありましても、生産者もこの点を非常に心配をしております。保証乳価はこれから先の一年間の価格を決めるわけでありますから、これらについてどのように配慮をされているのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
 最後に農畜産物の自由化についてでありますが、御承知のように、昨年、米については減反をいたしてまいりましたが、ミカンなどについてもそれぞれ計画生産をいたしていると聞いております。また、牛肉生産につきましては、和牛以外は日も浅くようやくこれからというときであります。もし自由化となれば、今日の段階ではわが国肉牛生産は壊滅するのではないかと思いますし、またその他の農産物にいたしましても大変なことになろうかと思います。大臣がいらっしゃらないので、政務次官、農産物について十分配慮して対応されるということをこの間新聞紙上で大臣がおっしゃっておりましたけれども、現在もこの考えに変わりはないのか、政務次官からこの点をお伺いしたいと思います。
 以上です。
#88
○政府委員(成相善十君) 私から先に輸入問題についてお答え申し上げますが、大臣が常日ごろから申しております自由化の問題については、絶対に阻止するということについてはいまも変わりはございません。いま高木先生が言われますように、これらの残存輸入制限品目というもの、これは、まあいずれもわが国の畜産業の基幹をなす品目でございまして、自由化が困難だということは御承知のとおりでございますし、米国などの外国にもこの点は理解を求めながら、国内畜産業に悪影響を及ぼさないように対処してまいりたいと、このように決意をいたしておるような次第であります。
#89
○説明員(船曳哲郎君) 五十七年度の加工原料乳の保証価格の算定に当たりましては、私どもは法の定めるところに従いまして、生乳の生産条件とか、需給事情、それからその他の経済事情を考慮いたしまして、加工原料乳地帯における生乳の再生産を確保することを旨とし、さらに酪農経営の合理化を促進することになるようにということを念頭に置き、総合的に判断し、諮問案を取りまとめ、本日審議会に対し諮問し、御審議を煩わしておるところでございます。
 その際に、もちろん生産費調査の結果を踏まえまして私ども算定いたすわけでございますが、需給事情につきましては、先ほども申し上げましたけれども、民間過剰在庫がなくなるということはほぼ言えると思いますけれども、乳製品の実勢価格の面から見ても、それから飲用乳市場が混乱しているという面から見ても、それから事業団にはなお生乳換算で四十五万トンの在庫が存在するといったような点から見ましても、それからさらに農業団体の方々に御苦労いただいて、計画生産で需給の均衝を図らなければならないといったような事態にあるといったようなことから判断いたしまして、なお過剰基調にあると判断せざるを得ないところでございます。そのような判断に立ちまして、私ども、冒頭に申し上げましたいろいろな事項を総合判断して私どもなりの考えを取りまとめたところでございます。
 次に、借入金利の問題でございますが、私どもの方は統計情報部の生産費の補完調査というものの結果を用いまして利率を採用しておるわけでございます。これは、生産費の対象農家につきまして、借入先なり、それから借入金額なり、支払い利子額を調査いたしまして、そのうち酪農関係分の年利子率を算出しておるわけでございます。ところで、農業団体の試算の金利は、自己と、それから借り入れの区分をしないで六・六四%ということになさっておりますが、これは借り入れにつきましては、市中農協の貸出金利、それから自己資本につきましては定期預金金利を用いて、そして全畜種平均の自己資本、それから借入資本のウエートによって平均をされたものと理解をいたしております。酪農家の場合には制度資金による借り入れが相当多うございますので、このような格差が生じてきたんじゃないかと、このように理解いたしております。
 それから次に、市乳の乱れの問題でございますが、この点につきましては、いろいろと原因は考えられるわけでございます。生乳需給の緩和ということを基礎にしながら、産地間の市乳化競争、それから市乳プラントの過剰によるプラント間の過当競争、それから量販店との取引関係、いわゆるスーパーのバイイングパワーの問題等々あるわけでございます。このため、飲用牛乳価格の回復のための努力が必要となってまいりまして、私ども昨年来、あるいは計画生産と消費拡大対策の推進とか、あるいは飲用牛乳製造施設の新増設の抑制とか、それから農協プラント、中小乳業者の組織化の指導とか、それから量販店等との取引関係の正常化のための合法的な範囲内での関係者の協調の指導とか、いろいろやってまいったわけでございますが、最近特に生乳の価格にばらつきがございまして、飲用牛乳の安売りにつながっていると、このように私ども考えております。このことは、生産者にとっても乳業者にとってもともにマイナスであると考えられますので、特に秩序ある生乳取引の実現につきまして生産者間の協調なり、それから生産者と乳業者の間の話し合いを行っていただきまして、その中で乳価のばらつきの幅の縮小に努めるよう指導をしておるところでございます。
 それから融資の問題がございましたが、まず五十六年度の負債整理資金につきましては、昨年の貸付額は約百六十三億円でございます。五十七年次以降につきましては、六十年次までの毎年度の酪農経営安定計画を見直しまして、その都度貸付額を確定していくということにいたしておりまして、利子補給金の造成等もこれに合わせて行っていきたいと、このように考えております。
 それから肉牛の関係の資金の条件緩和でございますが、肉用牛の肥育経営では五十四年から五十五年にかけて素牛価格が高騰したということ等もございまして、五十六年度に経営安定資金の融通を行ったところでございます。肉用牛の肥育経営の収益性につきましては、その後素牛価格が高値を脱したということ、それから飼料の価格も昨年の七月とことしの一月に二度にわたって値下がりをしたというようなこともございまして、今後好転していくということが見込まれますが、生産者団体等から運転資金を中心とした固定化負債の累増を背景として経営安定対策を求める御要請が強いわけでございます。そこで私どもといたしましては、この対策につきましては資産なり負債なり資金繰りなりの実態とか、それから収益性の動向とかをできるだけ早く調査いたしまして、そして必要な汁策を検討してまいりたいと、このように考えております。それから……
#90
○委員長(坂元親男君) 審議官、簡潔に要点のみを答えてください。時間が大分超過いたしました。
#91
○説明員(船曳哲郎君) はい。それから配合飼料の価格でございますが、これは各企業の判断で決定されておるものでございまして、乳価決定との関係で政府が指導して決めることができるといったようなものではございません。それから配合飼料価格の今後の見通してございますが、配合飼料の原料の主体を占めますところの飼料穀物等は国際価格水準が低位にございますし、それから副原料も弱含みで推移いたしておりますし、それからフレート等も低い水準にございますので、確かに為替レートがどうなるかという問題はございますけれども、当面飼料価格は上昇するということはないのではないかと、このように私ども考えております。
 以上でございます。
#92
○中野明君 では最初に、この価格決定につきましての諮問ですが、いつも私ども新聞情報ということで、けさほど自民党には説明されたというごとなんですが、非常に時期がこういう時期で委員会もなかなか開けないというようなことで、毎年中途半端で終わっているわけなんですが、一応諮問を出されたんで、当委員会として改めてこの両諮問の骨子と、諮問をされた心境といいますか、この諮問を出された農林省の気持ち、これをちょっと簡単にお答えいただきたい。
#93
○説明員(船曳哲郎君) 私ども、この食肉なり生乳なりに関します諮問をいたします際には、畜安法なり、それから不足払い法なりの定めるところに従っていろいろ作業をし、そして総合判断をして一つの諮問案をまとめるわけでございますけれども、その際には当然いろいろな方から御意見をちょうだいいたしております。私どもといたしましては、そのような御意見も踏まえながら法律の定めるところに従って精いっぱいの案を取りまとめて御諮問申し上げたと、こういうつもりでございます。
#94
○中野明君 先ほど来議論になっておりますが、畜産農家の現状を考えたときに、法の許される範囲というふうにおっしゃっておりますが、一体農家の現状から考えて、今日の据え置きとかあるいはわずかに五十銭とかいうような諮問に対してどういう感じでおられるのか、胸が痛まれないだろうかと、それが痛まぬようなことでは、本当に担当省として、私は何かの制約があるからそうなっているんだろうと、こういうふうに思いますが、もう一度気持ちだけ聞かせてください。
#95
○説明員(船曳哲郎君) 私ども、もちろん生産条件ということで、生産費調査の結果等を踏まえ作業もいたしますが、あわせて需給事情なり、それからその他の経済事情なり、それから今後の畜産経営の近代化の方向なり、総合的に判断をいたしまして具体的な諮問案をまとめ上げているわけでございますけれども、まあ私どもといたしましては、価格政策は価格政策といたしまして法の定めるところに従って誠心誠意やりますけれども、それとあわせて、それですべてではございませんで、流通対策なり経営対策なり等々にも取り組んでいかなければならぬ、このように考えておるつもりでございます。
#96
○中野明君 それは価格政策だけではないということはそれなりにわかりますが、ほかのことも何もできていないから、こういう状態で現実農家が苦しんでいるということであります。私は、鈴木総理が就任されてとにかく総合安保というようなことをおっしゃってます。また、農林省も長期見通しあるいは方針の中で食糧安保ということも強力に打ち出しておられます。そういうことから考えまして、一体農林省としてこの日本の畜産というものをどうしようと思っているのか、食糧安保政策の上から。これは非常に疑問に思うわけです。先ほど自民党さんも質問しておられましたが、展望が何らないじゃないだろうか。もう成り行き任せで。こういう状況ですから、やりたい人はやりなさいと、やりたくない人はやめてもらって結構ですよと言わんばかりの政策にしかわれわれには思えないわけです。
 そうすると、食糧安保とか総合安保ということとの関係は一体どうなるのか。本気で日本の食糧の安保供給というものを農林省は考えているのか。こういう点について非常に疑問を持つわけです。特に鈴木総理は南北サミットに行かれて、そして全世界に向かって農業を魅力ある産業にするのはその国の政府の責任だと大みえを切っているわけです。だけど、どうでしょう。先ほど来の話で将来の展望が開けないというんで、若いもう中心になってやらなけりゃならぬ人が離農をしている。こういうことで、総理が言った魅力ある産業というふうに農林省は受けとめておりますかね。いまの畜産、きょうは畜産だけに焦点をしぼっておりますが、畜産業、畜産農業が魅力ある産業になっているのでしょうか。どういうふうに認識しておられますか。
#97
○説明員(船曳哲郎君) 農業は多分野にわたるわけでございますけれども、その中におきまして畜産は将来の需要の増大も、これは畜種によって違いますけれども、需要の増大も見込まれておる分野でございまして、過去におきましても御関係の皆様方の御努力により、国民の需要に対して安定的に畜産物の供給がなされてきたところでございます。そして今後の畜産の進め方につきましては、私ども一昨年の末に基本法に基づく長期見通し等も出しておりますけれども、この長期見通しを踏まえ、酪農については酪農近代化基本方針の定めるところに従い、それから肉牛につきましては私どもまた肉用牛振興地域制度等の見直し等も行い、計画的に、あるいは生産政策なりあるいは価格政策なり、あるいは経営対策なりを進めていくつもりでございます。その際に、何といっても経営を担われる方々が希望を抱けるようなかっこうで畜産が展開していかなければならないわけでございますので、私どもといたしましても十分留意いたしまして施策を進めてまいりたいと、このように考えておるところでございます。
#98
○中野明君 現在ですね、きょう大臣がおられたら私いろいろお話ししたかったんですが、総理が全世界に向かってそういったんかを切ってるその日本の国が、どんどん離農がふえる、もう希望を失って酪農もやめるというような状況、だからこういう状況を総理が言っている魅力ある産業とあなた思っておられるかどうか。現在の日本の畜産業、酪農も含めて。いまの状態でこれ魅力あると思われますか。
#99
○説明員(船曳哲郎君) 何が魅力ある産業がということでございますけれども、いろいろ具体的にはケース・バイ・ケースの御事情もあり、いろいろ受けとめ方もあろうかと思いますけれども、総体として見ればやはり農業の今後の拡大部門であり、また国民の要請にこたえて必要な畜産物が相当の価格で国内で生産してこられたといったことからいたしましても、農業の数ある分野の中でもやはり希望の持てる分野の一つと、このように私は理解いたしております。
#100
○中野明君 非常に苦しい答弁をなさっておるんですが、魅力ある産業であればこんなに離農がふえたり、あるいは経営状態、もう一戸当たりの借財の多さ、こういうことから考えまして、一体こんなに借財がたくさんできたその原因といいますか、その理由はどういうふうに受けとめておられるんですかね。
#101
○説明員(船曳哲郎君) まあ、過去は経済の高度成長に伴う畜産物の需要の増大に対応いたしまして、急速な規模の拡大を行って生産の増加を図って順調に発展してきたわけでございます。しかし、経済の安定成長期への移向に伴いまして、畜産物の需要の伸びは徐々に鈍化してきております一方、生産は肉用牛は別といたしまして、あるいは飼養頭数の伸びなり一戸当たりの飼養規模の拡大なり、まあ相当な水準に達しまして需要の伸びを上回って推移してきまして、そして牛乳なり豚肉なり鶏卵については需給の不均衡を生じて、そして計画生産を推進するという事態になったわけでございます。したがいまして、生産力はふえた、ところが計画生産はしなきゃならぬといったようなことで、経営にはあるいは負債の増大といったような事態が生じておることもあると思います。
#102
○中野明君 けさほど四人の参考人がおいでになって、いろいろ貴重な意見を聞かしていただいたんですが、この参考人の一致した意見というのはやはり輸入問題であります。結局国内で農林省が基本的に計画をしておる、そしてそれを進めている、それが結局輸入によって全部ぶっ壊されてしまうと、こういうことで非常に主体性のない農業の政策の展開になっていると、こういうことに尽きると思うんですよ。
 そこで、輸入について考えてみますと、現在の、大臣も先ほど政務次官も答弁なさいましたが、輸入は絶対に阻止するということなんですが、いまの政治情勢から見てどういうふうに判断されておりますか。政務次官ちょっと一言でもお答えいただきたいんですが、もう農林省の手の届かぬところに上がってしまったんじゃないか、こういうふうにも見れるんですが、その辺の感触、それとも農林省が、農林大臣が政治生命をかけてでもがんばればできるんかどうか、その辺の感想を。
#103
○政府委員(成相善十君) これにつきましては、先ほども申し上げましたように、残存輸入品目を自由化するというようなことになりますと、大変なわが国農畜種産業に及ぼす打撃は大きいわけでございまして、何としてもこれを阻止していかなければならぬわけでございます。われわれは御承知のように五十五年の東京ラウンドの取り決めというものは現在まで忠実に守って実行してきておるわけでございまして、先ほど御指摘がございましたように、これを繰り上げて見直しの交渉をしてもらいたいと、こういうアメリカ側からの申し出があったことも事実でございます。ではございますが、これも新聞報道等もありましたので御承知であろうと思うんですが、先般の日米貿易小委員会の場におきまして、そうした米国側の申し出に対しまして、わが方といたしましては、東京ラウンドの日米合意の枠組みから絶対に逸脱してはならないといったてまえから、繰り上げての交渉ということは拒否したわけでございます。と同時に、わが方としては、代案としてアメリカ側に申しましたことは、十月中に双方の都合のいい時期をということを提示いたしまして、これはアメリカ側も応諾をしたという経過がございます。でございますから、いま御指摘のように大きな波に押しつぶされてしまっているんではないかというふうな御意見でございましたが、決して私どもはそういうふうに受けとめておらぬわけでございまして、約束事は約束どおりやってまいりたいと、このように思っておる次第でございます。
#104
○中野明君 私は常日ごろから思っておるんですが、外交が成功するかせぬかはいろいろの理由がありましょうけれども、やはり国内の国論の統一というのが一つの大きな背景、力になると思います。ところが、農林省は、日本の国内で、特に財界なんかが農業批判を強めている、あるいは財界なんかがこういう問題について、かえっていわゆる貿易摩擦のいけにえに農産物を出しておけばよろしいというような気持ちになっているんじゃないかというような空気、非常に農林省がそれに対して一体どういう認識を持っているのか、どういう手を打たれているのか。財界から農産物の自由化に対して支持が得られない理由をどういうふうに農林省は考えているのか、いままでどういう努力をしてきたのか、この点非常に私じくじたるものがあります。やはり国論を統一して、総理は総合安保とかあるいは食糧の安全保障とか言って、口だけで、国内ではばらばらということになると、アメリカもますます高姿勢になってくる、こういうことが言えるんじゃないかと、このように思いますが、この畜産物だけじゃなしに、農水省全体の問題ですけれども、財界に対してどういうふうに理解をさせよう、認識させようというふうに日ごろから努力されているのか。その辺、何かありましたらおっしゃってください。
#105
○説明員(塚田実君) お答えいたします。
 まず、財界から農水省、あるいは農産物の自由化についていろいろ御意見が新聞紙上含めて御指摘のように出されておるのは事実でございます。そこで、私ども農林水産省といたしましては、そうした財界からのいわば提言というものが出るたびごとに、農林水産省は農林水産省なりに意見を財界の方に申し上げてきておるわけでございます。また、私どもの大臣といたしましても、たとえば農業団体と財界との間で懇談会が定期的に開かれておりますけれども、時には御出席いただきまして、農林水産省の立場を財界の幹部の方々に御説明してきているところでございます。
 しかしながら、私どもそういう議論を、私自身も聞いておりますけれども、残念ながら財界と私どもの意見が必ずしも一致するというふうにはなっておらないわけでございます。財界はやはり財界なりの立場、すなわち現在のたとえば貿易摩擦は輸出の振興に、たとえば大幅な輸出の増加というものによって起きているものではないと、むしろわが国は貿易立国であるから輸出を促進することが大事であると。したがって、輸入の促進を図らなければならないと、そういうことが摩擦の一つの解消策として有効ではないかという立場をとっておりますし、また私どもの方は、先ほども御指摘がありましたように、食糧の安全保障ということがわが国の国政全体にとっても一つの大きな重要な問題であると。たとえばいろんな計算の仕方がありますけれども、わが国の一億一千万を超える国民の一人当たりの摂取カロリーをとりますと、その五割弱がすでに外国産であるというようなことは、やはり食糧の安全保障上もきわめて重要な問題であるということを強く主張しているところでございます。
 このように、それぞれ観点は残念ながら現在まで完全に一致しているわけじゃございませんけれども、今後とも対話を深めて、できる限り、同じ国で議論しているわけでございますから、縮めていく努力を従来以上にやっていく必要があるし、またやっていかなければならぬというふうに考えております。
#106
○中野明君 この食糧の問題は、いまもお話がありましたように国の存立にかかわる問題ですから、現在でももう私は大変だと思っておるのに、これ以上緩めるということになるとこれはもう話にも何もならぬ、独立国としての自主性が全然なくなる、こういうふうに心配をいたします。特にこの貿易摩擦、また農産物が自由化されていないといっても、日本はもう世界一の食糧の輸入国になっているわけですから、これぐらい自由化しているという証拠でしょうし、こういう点をせめて国内にPRし、納得させるだけの運動というか働きがなければ、農水省というのはもう一体何をしているんだと、現在の農業の状態というのはもう八万ふさがりといいますか、いいところが何もない、こういうような現状にもなりつつあるということでわれわれ非常に心配をしているわけですが、そういう点、格段の努力をしていただいて、いやしくも国内からそういう声が出てくるようなことでは、それはもうアメリカはまさにかさにかかってくると思います。現在もうアメリカが言っていること自体が、貿易摩擦のかわりに牛肉とかオレンジとか、そんなことを言い出すということは無理難題と言う以外にわれわれは考えられない。そういうことすら説得できないようなことでどうして農民を守れるかと、農水省というのは命がけでそこのところはもう基本線を決めて、そしてがんばっていただかなきゃならぬと、私たちはこのように思っているわけですので、今後とも一層の努力をお願いしたいと思います。きょうは大臣見えておりませんが、次官が見えておりますので、私の申し上げている趣旨はおわかりいただけると思います。
 それで、ここで一つ関連しまして、輸入に頼っておると大変なことが起こるということの一つの例で、最近デンマークの豚肉が口蹄疫で輸入を禁止した、こういう報道もなされておりますが、このデンマークの豚肉輸入禁止について、いつごろまでこれが行われるのか、見通しと国内の価格に与えている影響、これについてお答えをいただきたいと思うんです。
#107
○説明員(船曳哲郎君) デンマークから入っております輸入豚肉でございますが、これは主として加工用に使用されております。中でもベーコン用の原料は、日本のメーカーとデンマークとの間で長年にわたりまして、規格を斉一化するといった努力が続けられたこともございまして、品質的に高い評価を受けておるわけでございます。
 他方、そのような品質面は別にいたしまして、量的に見た場合には、豚肉の輸入についてはデンマーク以外にも米国とかカナダとか台湾とか、輸入ソースが多岐にわたっておりまして、かつこれらの諸国の供給体制からすれば、品質面ではデンマークの豚肉よりは若干劣るということは避けられないと思いますけれども、量的な供給は可能だと、このように考えております。ただ一時的には、現在発注しておりますものがストップするといったようなことによりまして、一時的な価格面での影響が生ずるということはあろうかと思います。
 このようなことから、私どもといたしましては、デンマークからの豚肉の輸入禁止措置に対する過剰な反応によりまして、いろいろな混乱が生じないように関連業界を指導してまいるつもりでございます。
 それから、いつごろまでこの輸入禁止措置が続くかというお尋ねでございますが、このことにつきましては、デンマークにおける対応いかんということであろうかと思います。この段階でいついつまでにとは申し上げかねます。
 以上でございます。
#108
○中野明君 すでにもう変動が起こっているということもきょうは新聞その他で報じられております。ですから、その辺は特に敏感に反応していただいて、適切な指導をお願いしたいと思います。
 それでは、時間もありませんので、畜産物の価格決定につきまして先ほど来いろいろ議論が出ているんですが、やはり価格がすべてじゃないとあなたはおっしゃっておりますが、すべてじゃないにしても、価格というのはやはり畜産農家にとりましては、これはもう最重要な課題でありまして、そしてまた魅力ある産業にしていくという上から考えましても、生産農家の所得の補償と再生産が確保できる水準でなければなりません。ですから価格の決定について、現在とっておられる需給実勢方式というような考え方じゃなくて、生産費の所得補償方式でやるべきじゃないか。これは常識からいってそうだろうと思います。その点についての農水省の考え方、また、将来そういうふうにする気持ちがあるのかなないのか、その辺をお答えいただきたい。
#109
○説明員(船曳哲郎君) 現在私どもがとっております方式は、生乳なり食肉なりの生産条件、それから需給事情等を考慮いたしまして、それぞれの再生産を確保するということを旨として算定してきておりまして、今日まで、全体として見れば生乳なり食肉の安定供給が図れてこれたと言えると思います。
 そしてまた、現行制度によりまして、畜産経営の安定的発展といったこともいろいろ地域地域にありましては、農家の方々にも御努力願わなければいけないし、役所は役所なりに、また団体は団体として取り組まなきゃならない問題はありますけれども、全体として見れば安定的発展が図られてきたのではないか、このように考えております。
 したがいまして、現在の方式を変更するということは、いまの段階では考えていないところでございます。
#110
○中野明君 非常にお考えになっていることが、現場の人たちの努力というんですか、苦労を無視した考え方に聞こえてならぬのですが、やはりものを再生産していく上においては生産費を補償できなければこれは話にならないということは、どうだれが考えても当然のことでありまして、そういう考え方をどうして持てないんだろうか、私どもはいつも疑問に思っているわけなんですが、現状、これでみんな納得して、畜産農家の皆さん方がこの方式で納得して、喜んでやっているんだというような認識では困るんでありまして、その辺、先ほど来お話が出ておりますように、この経営の苦しい状態、厳しい状態。しかしながら、国内ではやはりそれだけのものはつくらなきゃならぬという長期の見通しも持っておられるようですし、国の基本方針としても、食糧というものの自給率を向上させよう、こういう強い政府の方針もあるんです。そういうことから考えまして、将来、一考をしていただきたいな、このように思っております。
 それから、その次の問題としましては、輸入の問題に絡みまして、口をそろえて参考人の皆さん方もおっしゃっておりましたが、輸入の問題に関連して擬装乳製品の輸入、これが現場の人たちにとっては耐えられない問題なんですが、この擬装乳製品の輸入規制というものについて、農林省としてはどういう対策、手を打っておられるんですか。
#111
○説明員(船曳哲郎君) 調製食用脂の問題とココア調製品の問題かと思います。これらはいずれもAA品目になっておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、できるだけ輸入の自粛といったことになるように努力してきておるつもりでございます。
 まず、調製食用脂につきましては、昨年いろいろ国会でも御議論を賜ったわけでございますが、五十六年度から事前確認制を導入いたしましたし、それから実需者なり輸入業者に対しまして、自粛するように指導もいたしておりますし、それから輸出国の自主規制によりまして、輸入の抑制がなされるように、輸出国に対しても働きかけをしてきておるところでございます。そのようなこともございまして、五十六年における輸入は前年に比べまして八四・八%ということになっておるわけでございます。
 ところで、無糖のココア調製品の方でございますが、これは結果的には五十六年に比べまして一九%増加しておるわけでございます。これは原因といたしましては、チョコレートの需要が増大したということに伴って、必要であるから輸入するといったようなことでございまして、このココア調製品の無糖のものはチョコレートとか、それからココア飲料といったような限られた分野にしか使用されないものでございますけれども、現実に相当量の乳製品が含まれておることもございますので、私どもといたしましては実需者に対しまして一層の自粛を今後とも指導してまいるつもりでございます。
#112
○中野明君 輸入規制の問題一つを見てみましても、非常にのんきなといいますか、安易な点があるように思えてなりません。
 先ほど来お話が出ておりますように、価格の問題じゃなしに、あらゆる問題に手を打って、そして畜産の振興を図っていく、こういうふうにおっしゃっているんですから、今後とも格段の努力をお願いしたいと思います。
 それでは最後になりましたが、畜産物の需給調整施策ですが、これはどっちにしても消費の拡大対策というもの、これをやはり推進していかなきゃならぬのですが、国内における消費の拡大、これについて農林省としてどういう対策を考えておられるのですか。
#113
○説明員(船曳哲郎君) 消費の拡大といったことは確かにこれは重要なことだと思います。
 私どもといたしましては、まず牛乳、乳製品につきましては、従来から一つは学校給食における牛乳飲用の推進ということをやっております。それから一般消費者を対象といたしました飲用牛乳に関する普及宣伝、それから消費者啓発ということもやっております。それかも、さらに畜産振興事業団の助成によりまして、幼稚園なり老人ホームにおける集団飲用の推進ということもやっておりますし、それから妊産婦の牛乳飲用の普及といったこともやっております。今後とも、私ども、わが国の酪農なり乳業の発展にとって飲用牛乳の消費拡大ということは非常に重要なことだと考えておりますので、積極的に取り組んでまいるつもりでございます。
 それから食肉の方でございますが、食肉につきましては、たとえば食肉等に関する知識のPRとか、料理講習会の開催といったような消費者普及活動の推進もやっておりますし、適正表示の推進といったようなことにも取り組んでおりますし、それから小売団体、生協等によります値引き販売の実施といったような特別販売事業も推進してきておるところでございますが、食肉につきましても、今後とも積極的に消費の拡大に取り組んでまいるつもりでございます。
#114
○中野明君 じゃもう一点だけ。
 けさほど参考人の意見の中にえさの問題が出ておりましたが、要するに、現在のえさ米とか、そういう問題は、お米の生産調整という面から強く起こってきているんだけれども、やはり畜産の面からえさの問題が起こってきて、そして両方が一緒になってやらなければいけないという問題提起があったわけなんですが、この点についてのお考えと今後の考え方ですね、それをお聞きして終わりたいと思います。
#115
○説明員(船曳哲郎君) 飼料の自給率を向上するということは、畜産経営にとってもそれから国にとってもこれは重要なことだと思います。したがいまして、私どもかねてより濃厚飼料、粗飼料を通じましていろいろな施策を講じてきておるところでございますけれども、またその一環として飼料用米の問題につきましても種々検討を加えておるところでございますけれども、飼料用米につきましては、何と申し上げましても、飼料米をつくる農家に支払わなければならない価格とそれをえさとして使う畜産農家の支払い得る価格との差が余りにも大きいんじゃないか、その辺をどのようにして埋めていくかということが一番大きい問題じゃないかと思います。そのほかにもちろん技術上の問題もあるし、品種の問題もあろうかと思いますけれども、今後積極的に取り組んでまいらなければならぬと思いますけれども、なかなか飼料米が大量に畜産農家の方へ流れていくといったようなことは簡単にはいく問題じゃないんじゃないかと、そのように思っております。ただその重要性は十分認識いたしておりますので、積極的にもちろん取り組んでいくつもりでございます。
#116
○下田京子君 最初に加工原料乳の保証価格問題でお尋ねいたしますけれども、本日、酪農部会に諮問されました五十七年度加工原料乳保証価格、これは前年比でわずかに〇・五六%アップということでキログラムにすればわずか五十銭でしょう。これを見ました北海道酪農民、何と言われているか御存じでしょうか。これくらいのアップで実際に引き上げたなどと言えるのか、これで希望を持ってやっていくことができるのか、たくさんの負債をどうして返していくことができるのか、現実、もう輸送コストの値上げ等がいろいろと取りざたされているという状態であります。まさにこれは現場の酪農民の気持ちを酌んだものでないということを私は最初に御指摘申し上げておきます。
 そこで、第一にお尋ねしたい点なんですけれども、今回の価格決定に当たりまして、算式は五十二年度から変えてないと、こういうことなんですけれども、算定要素はいろいろとこの間いじってきていると思うんです。で、五十二年度の同じ算定要素で計算した場合に一体何円の乳価になるのか。
#117
○政府委員(成相善十君) これは計算、事務的な問題にわたりますので、事務局の方からお答えさせます。
#118
○説明員(船曳哲郎君) 保証価格の算定は、加工原料乳地域の生乳の再生産の確保という不足払い法の趣旨に即しまして、各年度の事情に最も適合する方式で行うべきものだと考えております。したがいまして、毎年度機械的に同じやり方で計算をしていくといったような性質のものではないと、このように私ども理解いたしておるところでございます。したがいまして、五十七年度の保証価格を決定いたします際に、過去の、五十二年度に採用いたしました方式にいまの時点での要素を機械的に算入して計算をするということは、計算はやればできるとは思いますけれども、その数値が一体正しく理解されるかどうか、その辺いかがかなという感じがいたしておるところでございます。
#119
○下田京子君 理解するかどうか別なんですよ。私はもう頼んでおいたんです。五十二年度に当てはめて幾らになるかお答えください。
#120
○説明員(船曳哲郎君) いまのようなことを申し上げたわけでございますが、そのようなことも御理解いただいた上で試算の結果を申し上げます。
 五十二年度方式で計算いたしますと、二円八十三銭、そう細部まできっちりはやっておりませんが、重立ったところで申し上げれば二円八十三銭程度の上昇になると思います。
#121
○下田京子君 最初にそう答えてくださればよろしいんですよ。二円八十三銭上がるということは、五十二年度と同じような算定要素でやれば今度の保証乳価、これは価格はキログラム当たり九十二円二十銭になるということだと思います。さらに酪農経営の内容改善という点で毎回私たち言ってますけれども、労働費をどう評価するか、これは大事な問題だと思いますね。そういう点で飼料作物の生産における家族労働を、これは飼育労働費と同じように評価した場合幾らになるか。――お答えいただくとまた時間がないから、私の計算によれば四十銭さらにアップになります。こうやって見てみますと、最低九十円台に引き上げをという、そういう皆さんの希望にも沿い、しかも勇気と希望を持てるような酪農をと言われたあの生産代表の方々の期待にも沿うことになるんではないかと思うんです。つまり、いろいろいま審議官が言葉を濁しながらおっしゃいましたけれども、価格決定の際に需給事情だとか財政事情だとか、とにかく政治的に政策的に乳価を抑えてきたということがはっきりすると思うんですよ。
 そこで、今度は政務次官にお聞きいたしますけれども、さっきもどなたか、与党の先生おっしゃいました。いま責任政党の与党の先生までもおっしゃるんですから、一体になってこれはこたえてくださることが私は筋道だと思いますし、期待をしたいわけなんですが、お話のように去る二十日に、もう酪農経営に行き詰まって、もう御主人から何度もいろいろ言われていた奥さんがついに自分の御主人まで殺されると、そういうとてもじゃない、耐えられない悲惨な事態が起きている、自殺者もふえている。後継者はとても希望が持てない。こういう事態の中で、少なくとも先ほどから言っておりますようなそういう酪農民の、そして日本のこれからの酪農畜産の発展にきちんと責任持てるような価格決定をいまから検討される決意があるかどうか。
#122
○政府委員(成相善十君) そういう問題はもとより最重点のこととして現在考慮した結果がこうなっておるわけでございまして、ただ問題は需要の減退、特に需要の三分の二を占めるところの生乳価格が低迷しているというようなこと、それから消費者あっての生産でございますので、やはり価格の面におきます。そういった消費者の要請というものも無視できないわけでございますし、またいま下田先生言われますようにゼロシーリングといったような厳しい財政事情も当然考慮しなければならぬわけでございますし、またこの生産費についても、先ほど来るる申し上げておりますように、上昇しなければならぬ要因と、また生産性等が非常に上がってきたと、また飼料も値下がりしたといったような下げ要因もあるわけでございまして、そういったことを勘案しながら乳価というものは決定していかなければならぬのは当然でございまして、ただ問題はその生産費にいたしましても、借入金の利子は生産費に当然入ると思うんですれ。ところが、借り入れしたその原資そのものは計算に入ってこないというようなことで、一つの例を挙げれば、……
#123
○下田京子君 簡単に。
#124
○政府委員(成相善十君) 挙げれば、決算をしてみると黒字だと。が、しかしながら借入金の返済等で返す金がない、火の車であると、こういったようなこともあり得ると思うんです。そういったようなことをそれぞれ勘案しながら消費の動向等をにらんで秩序ある流通の問題も考えれば、生産調整も図っていくということで……
#125
○下田京子君 もう結構。
#126
○政府委員(成相善十君) 価格を決定してまいった結果がそれであると、このように御答弁申し上げます。
#127
○下田京子君 いろいろ言われておりますけれども、実態をよく見ていない。生活実感からいって、各種公共料金も、国鉄利用料、電気料、いろんなことも含めてもうやっていけないということで、負債もふえているわけです。そういう中で、実は過剰の問題をしきりに言われておりますけれども、一番過剰の問題の大きな原因になっているのは輸入問題だと思いますよ。
 輸入製品のことなんですけれども、政府資料を見れば、これは乳製品の輸入量は、対前年比で八・一%減っている、こういうことを言っておりますけれども、この中で減ってきた大きな理由というのは、生産者が生産計画の中で子牛に飲ませていったということで減ってきたのが一番大きなことだと思うんです。むしろ政府の輸入量の中に入っていない擬装乳製品の問題でありますよね、特にでん粉九割とココアがわずか一割というこの無糖ココア、この問題についてはさっきも答弁ありましたが、一九・一%も伸びている。生乳換算で十九万三千トンでしょう。このことについて自粛の指導をやってきた、こういうふうに言われておりますけれども、四十七年の輸入量が一万七千五百三十五トン、そこに抑えるんだということなんですけれども、一体どんな指導をされてきているのか、簡潔に。
#128
○説明員(船曳哲郎君) 実需者団体でございます日本チョコレート協会に対しまして、私どもの方の関係部局から自粛方指導をしてきておるところでございます。
#129
○下田京子君 自粛方指導してきたと言っておりますけれども、政府のその指導は無視されてきたというふうに言えるんじゃないでしょうか。
 さっき審議官こう言われましたよ、なぜふえてきたかということについては、チョコレートがふえてきたので、その原材料であるココア調製品の輸入がふえたんだろうと、そんなことはあたりまえのことなんですよ。しかし、それすらだって数字的に見ておかしいというところがありますよ。調査によれば、ちょっと数字的に挙げてみたいと思います。
 昭和五十年なんですけれども、チョコの生産量が十二万六千トンですよ。ところが、ココア調製品の輸入は、これは一万七千二百八十五トンです。五十四年を見てください。チョコの生産は減っています。十万八子トンなんです。ところが輸入量は一万八千九百八十六トンとふえているんです。全く政府が何を指導してきたのかと言われることになるんじゃないでしょうか。しかも、これは五十三年の三月二十三日なんです。私が質問したとき、当時の佐野審議官、現在は経済局長です。こう答えられております。輸入数量につきましては、「チョコレート業界からココア調製品の輸入の水準を四十七年水準でとどめるという自粛をしてもらうという一札をとっておりまして、「こう言っております。つまり、一札とってあるんだから心配しないで見ててください、ちゃんとやりますよと、こういうお話なんです。しかし、ふえてきているわけです。
 さっきお話になりました輸入業者の中のチョコレート協会の会長さんといいますか、どこの会社の方なんですか。あるいはまた、政府が一札とって指導してきたにもかかわらずどんどんふえている。それを輸入してきている業者はどこですか。で、またそれを使っている業者は大手でどこですか。
#130
○説明員(船曳哲郎君) まことに申しわけないんですが、そこまでちょっと資料を持ち合わせておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
#131
○下田京子君 通告もしておきました。しかも、指導していると言っているんでしたらば輸入にかかわることは重大な問題です。そのことの資料も持ち合わせないで当委員会に出てくるということはどれだけそれは真剣味がないかということの一つの明らかな例だと思うんですよ。ついでに申し上げますけれども、ココア調製品の輸入先なんですが、何と非酪農国のシンガポールが含まれているんです。で、しかもそのシェアが全体の二〇%という大変な大きいものなんです。これは日本の商社が日本向けの特別注文ということで第三国からシンガポールにでん粉を入れて、そこで生産してこちらに輸入してくると、こういう形態になっております。
 委員長、お願いがあるんですけれども、いま言った資料、後で理事会等で諮って正式に資料として御提出いただけるようにお願いしたいと思います。
#132
○委員長(坂元親男君) 政府側、出せますか。
#133
○政府委員(成相善十君) 出せます。
#134
○委員長(坂元親男君) 下田委員にお答えします。
 出します。
#135
○下田京子君 正式にお出しいただけるということですから、もう一度申し上げますけれども、チョコレート協会が、輸入されている輸入業者名と、それからそれを使っている大手業者名ですね、お出しいただけることをお約束いただきましたので、お願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、同じく養豚、肉牛肥育農家の負債対策、これも大変なものだと思います。時間の関係もありますから、生々しい実態を述べることができないんで残念なんですけれども、私も北海道はもとより全国各地のこうした方々と懇談を進めてきております。そういう中にあって、こういうお話が出ております。これは十勝地区の方なんですけれども、一生懸命に働いても年間一千六百万円の――ちょっと、よろしく聞いててください。――経営が赤字になると。これなら何も働かないで三百万円の借金をして生活した方が利口だと、働いて借金が出るんですよ。―なので要望として出されたことは、飼料費をさらに一〇%引き下げられないか、それから金利負担、現在八・二%物が三・五%、こういうかっこうにならないか。これが実現できれば約八百万円の赤字が減ると。さらに自助努力ということでもって七十円のコストダウンを図ることができるだろうし、あるいは牛肉価格のアップという中でまた負債を返していくこともできるということでもって負債対策といいますか、特に養豚あるいは肉牛肥育農家に対する長期低利の負債対策問題というのはいままでいろいろなことがやられておりますけれども、別途考えていただかなければならない、このことについての見通しと決意とをお述べいただきたいと思います。
#136
○説明員(船曳哲郎君) いまもお話がございましたとおり、私ども従来からその都度必要な措置はとってきたつもりでございますが、今回いろいろ関係団体等からも経営安定対策の一つとして融資対策を考えてほしいという声がございますので、私どもといたしましては、あるいは酪農等とは実態は違う面もあろうかとも思いますけれども、至急調査をいたした上、必要な対策を検討してまいりたいと、このように考えております。
#137
○喜屋武眞榮君 日本はいま重大な選択をせねばならない立場に直面しておることは御承知のとおりだと思います。それで、私先ほど来質問が繰り返されておりますが、追い打ちをかけるようにも思うんですけれども、事が重大であればあるほど私は気になりますので、追い打ちをかけるという気持ちでおとりにならないでいただきたい。
 ところで、時間の制約がありまして、詳しいことをお尋ねする時間がありませんので、本立ちて未興るという言葉がございますが、そういった気持ちで私は基本的な問題、二、三尋ねたいと思います。
 経済摩擦の問題、貿易自由化の問題をめぐって重大な選択ということでありますが、それに対してどういう答えを出しなさるかということをもう一遍お聞きしたいと思います。
#138
○政府委員(成相善十君) 農産物の自由化ということにつきましては、先ほど来申し上げましたとおり、この輸入制限品目というのはわが国農業の基幹をなす作目のものだけでございまして、これを自由化をするというようなことになりますと、わが国農林水産業の根本を揺るがすというような重大な結果になるということは十分に私ども認識をし、また理解をしておるわけでございまして、そうした意味合いからも、大臣もたびあるごとに申しておりますように、この残存輸入制限品月についての自由化は絶対に阻止するという決意で対応してまいっておるところでございまして、これは皆さん方の御協力もちょうだいしながら何としても守り抜いていかなきゃならぬというふうに考えておるところでございます。これはもちろん外国の理解も得なきゃならぬことでございますので、そういう努力もあわせながら最善を尽くしてまいりたい、このように考えております。
#139
○喜屋武眞榮君 いまの御答弁のように、いわゆる絶対という言葉を使っていただいたところに重大な意義があると思うんですわ。いかなることがあってもノーという答えなんですね。この答えの出し方によって、日本が本当の独立国であるのか、そして日本の農政が本当に確立するのか、そして日本の国会に政治があるのかないのか、こういった重大な意義を持つ私は問題であると思っております。
 ところで、そうあるべきだが、やっぱり気になることは何なのかと言いますと、櫻内外務大臣はアメリカでこういうことを述べておられますね。まあこれも結論だけ。国内状況を見合わせながら粘り強く一つ一つ開放していく、こういうことを語っておられますね。このことからしますと、どうも姿勢はそうだけれども、やっぱり外交問題の渦の中では必ずしもその絶対がまかり通らぬという危険もあるわけです。これは、過去の幾つかの事実も勘案しながら私は申し上げておるのでありますので、こういう厳しい現実が控えておるということをわれわれは再確認しなければいけない。で、その先頭は何と言っても畜産に関する限りは、また日本の農政に関する限りは農林省がその姿勢を敢然と頂いてもらわなければいけない、こういうことを申し上げたい。
 第二点は、午前中の御四名の参考人からいろいろと意見が述べられ、要望があったわけですが、私は、その中からまた日本の農林省に対する存在価値の評価が厳しく結ばれたということをここに指摘いたしたいのであります。
 それはどういうことなのかと言いますと、これもはしょって、このように言えると思います。日本農政の目標を明確にしてもらわなければいけない、いわゆる部分的な修正では、これまではそれで間に合ったかもしらぬが、もう現在及び未来に向けての日本の農政は根本的に発想の転換をしてもらわなければいけない、こういうことを述べておられました。
 日本農政の目標を明確に、ところが、明確という背景には、いわゆる総論はあるけれども、各論の具体的な詰めがないということ。それで、生産農家並びに関係者は戸惑いを感じております。こういったことを厳しく述べておられたということなんです。この日本農政の部分的な修理、補正ではだめなんで、思い切って発想の転換をしなければいけないのだ。こういう中で、総論はいつも聞いておる、その具体的な中身を持った各論が欲しいんだ。このことについてはどうお考えになりますか。
#140
○説明員(船曳哲郎君) 私どもといたしましても、国の段階で、全国ベースの具体的な施策を考えるわけでございますけれども、それが現地に具体的に適用されていくということは非常に重要なことだと思っております。
 したがいまして、国の施策が空回りすることがないように地方公共団体、それから農業団体とも十分連絡をとり、また農業者の方々の生の声もできるだけ聞いてまいりたい、このように考えております。
#141
○喜屋武眞榮君 そういうことの背景には、非常に距離がある。もっと距離を縮めて、そしてお互いに意見交換をしながら、対話を深めながら、本当の内容を持ってもらいたい、こういうことに私は受けとめまして、私からも強く申し上げたいと思います。
 それでは、具体的に入ります。
 日本の畜産を浮き沈みさせるのは、左右させるのは、まあ幾つかの要因がいろいろあるわけなんですが、何と言っても飼料の問題が私は日本の畜産を左右するものだと思っております。そういった立場から、この飼料の問題、飼料の安定的供給、提供、こういう面から、どういう計画をお持ちか。
#142
○説明員(船曳哲郎君) 確かに、飼料は畜産経営にとって非常に重要な問題だと思っております。そして、この場合、大家畜と中小家畜とに分けて考える必要があるんじゃないか、このように思っています。
 草食性の大家畜の経営、これは酪農とか肉用牛の経営になるわけでございますが、この経営に対しましては、申し上げるまでもないんでございますけれども、飼料作物の生産拡大、それから草地造成、それから最近いろいろ言われております穀実作物のホールクロップサイレージ化の推進といったようなことを通じまして、粗飼料の確保ということをまず第一に考えるべきだ、このように考えております。
 それから中小家畜の経営でございますが、これは濃厚飼料に依存する豚とか鶏の経営でございますが、これに対しましては、日本の国が土地資源の制約等から、配合飼料原料でございますトウモロコシとかマイロといったような飼料穀物の全量を輸入に依存せざるを得ない実態にございます。したがいまして、飼料穀物の安定輸入ということ、それから飼料穀物の備蓄対策の実施ということ、それからさらに配合飼料の価格の値上げの場合に、その一部を補てんするための配合飼料の価格の安定対策の実施といったようなことに取り組んでまいらなきゃいけない、このように考えております。
 とりあえず以上でございます。
#143
○喜屋武眞榮君 もっと飼料の面からもいわゆる粗飼料の栽培とかいろいろお聞きしたい面がありますけれども、一応この程度にとどめまして、私はここに飼料に関連した記事を持っておりますが、すでにお耳に入っておるかどうか知りませんが、科学飼料研究所で発行した「飼料添加物「テツビタ」」「養豚農家で大好評」という見出しで出ておりますが、このことについて御存じでしょうか、どうでしょうか。もし、御存じでしたら、そのことに対するお答えを、まだでしたらひとつ今後御検討願いたい。
#144
○説明員(船曳哲郎君) せっかくのお話でございますが、残念ながら私存じ上げておりませんので、勉強してみたいと思います。
#145
○喜屋武眞榮君 それでは、いまの資料ですね、私も十分に検討はいたしておりませんが、幸いに手に入りましたので、それを一応御参考に。――御存じであればそのことを質疑いたしたい、こう思っておったのであります。御検討をお願いいたします。
 次にお尋ねいたしたいことは、特に畜産に関連して、一番希望を持ちながらも一番不安な立場に置かれておるのが沖縄の畜産でございます。その沖縄の畜産振興についてはどのようなことを考えておられるか、お伺いいたしたいと思います。
#146
○説明員(船曳哲郎君) 畜産の振興を考えていきます際に、現地の実態に応じた具体的な対策を講じていく必要があると思います。
 沖縄につきましては、季候的にも肉用牛の生産基地と、このように考えられますので、その特色を生かしながら優良家畜の導入とか畜舎等の共同村用施設の整備とか飼料基盤の整備など、いろいろの生産振興対策を従来からも講じてきておりますが、今後とも現地の実態を踏まえながら、これらの対策を推進してまいりたいと考えております。
#147
○喜屋武眞榮君 時間があればいまの問題も掘り下げてまいりたいと思います。
 それで、このことをぜひ検討していただきたい。また、そのお答えをいただいて、私、最後にしたいと思いますのは、なぜあえて私が沖縄の畜産振興についてお尋ねしたかといいますと、畜産基地として、あるいは水産基地、農業基地という三基地を沖縄は季候、風土、地域性から非常に有望視されているわけでありますが、その一つの畜産について、牛と豚について、特に牛を中心に申し上げますと、畜産農家からしますと、生体のままに完全育成をして、五百キロなら五百キロに育成をして出したい。ところが飼料の問題、それから資金繰りの問題、生活資金の問題、そういう面からも飛ばっちりを食らって、泣く泣く七、八割程度で買いたたかれて、目減りをさせて出さなければいけないという、泣くにも泣けない、そういうことを訴えておるんです。そこには輸送の問題、飼料の問題、こういったことが絡みついているわけなんですね。そうして、できれば、その沖縄の畜産を一〇〇%解決していくためには、生産農家の満足のいくために枝肉にして出すことが本望である。ところが、枝肉で出そうと思うと今度は流通機構の問題、冷蔵庫の問題、それから輸送の問題、こういうことが壁になりまして、それで非常に希望を持ちながらも、そうして張り切って飼育しながらも、そういうトンビにさらわれるようなかっこうでみんな吸い上げられていくという、これがいまの沖縄の畜産の現状なんです。そのことを十分御理解の上、御検討を願いたいということを要望し、そして次官さんからまだ補足がありましたらお伺いをして終わりたいと思います。
#148
○政府委員(成相善十君) いま喜屋武先生から沖縄の畜産についての実態をいろいろお聞かせ願ったわけでございますが、そういうことを踏まえまして十分に検討さしていただきたいと思います。
#149
○委員長(坂元親男君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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