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#1
第096回国会 農林水産委員会 第5号
昭和五十七年三月三十日(火曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         坂元 親男君
    理 事
                下条進一郎君
                鈴木 正一君
                宮田  輝君
                川村 清一君
                鶴岡  洋君
    委 員
                岡部 三郎君
                北  修二君
                熊谷太三郎君
                藏内 修治君
                古賀雷四郎君
                田原 武雄君
                高木 正明君
                中村 禎二君
                坂倉 藤吾君
                村沢  牧君
                八百板 正君
                中野  明君
                藤原 房雄君
                下田 京子君
                田渕 哲也君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   田澤 吉郎君
   政府委員
       農林水産政務次
       官        成相 善十君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     小島 和義君
       農林水産省食品
       流通局長     渡邊 文雄君
       林野庁長官    秋山 智英君
       水産庁長官    松浦  昭君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       海上保安庁警備
       救難部救難課長  藤原 康夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整
 備計画の変更について承認を求めるの件(内閣
 提出、衆議院送付)
○砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○八百板正君 どうも皆さん御苦労さんです。
 短い時間をいただきましたので、本当に長距離電話の二通話ぐらいで、そんな気持ちでお話いたしますんで、御了承願います。
 こういう自然を相手の法律なんですから、臨時措置法とは言っても、やっぱり十年か二十年ぐらいを考えて何ぼ短かくともいくべきものだろうと思うんです。
 五十二年ですか、八十国会で成立いたしました当時の質疑応答、衆議院、参議院、一夜漬けながら全部目を通しました。また、松に関する単行本や専門の本なども、これまた一夜漬けに四、五冊目を通しました。大変、考えれば考えるほど、単純な問題でないということが私も幾らかわかりました。
 そこで、名前を変えることなんですが、名は体をあらわすというようなことを申しますが、いままでは防除特別措置法――「特別防除」としてあったものを今度は「被害対策」というふうに改めるというんでございますが、これはちょっと考え方がいただけないという感じがいたします。これは改正じゃなくてかえって悪くなるという考え方が含まれておるんじゃないか、悪くなるというよりもその場しのぎという考え方になるんじゃないか。しかも、そう言いながら改正の中身を見ますというと、大事なところでいわゆる「総合的に推進する」というふうに改めまして、大変前と違ったところを出そうとしておるように見えるんでありますが、名前からいたしましても被害対策という考え方と防除という考え方と考えて、どっちが総合的かと言いますと、私はやっぱり古い方がむしろ総合的だと思います。被害というのは、現に起こった災害なり災いなりを現実認めた形においてそれにどう対処するかという考え方ですから、まあ言ってみれば対症療法みたいなもんでありまして、そういう意味で、改正と言ってよくならないんじゃないかと思うんですが、この辺どんなふうにお考えでしょうか。
#4
○政府委員(秋山智英君) 私ども過去五年間にわたりまして、特別防除並びに伐倒駆除を中心といたしまして措置してまいったわけでございますが、この五年間の施策の結果を見てまいりますと、予防措置といたしましての特別防除も必要でありますが、さらには地上におきまして特別伐倒駆除あるいは被害地を別の樹種に転換する林種転換、それから従来の防除体制につきまして、町村も今度はその一環に入っていただくという意味におきまして、あらゆる対策を緊急かつ総合的に実施するということで、松くい虫被害対策特別措置法としたわけでございまして、各般の施策を総合的に実施するというところに非常に意味があるということでございます。
#5
○八百板正君 参考資料とか、いままでの質疑応答で伺っていることを私も一わたり目を通しましたから、決まり切った話はちょっとお聞きしても意味がないんです。
 それから、あした、あさってなんというこういう日限で参議院の最終審議に持ってくるなんという、こういう進め方は、こういう法律としては、ちょっとおかしいんじゃないですか。なぜこんなふうになったんですか。
#6
○政府委員(秋山智英君) 現行の法律が三月三十一日で日切れになることももちろんございますが、マツクイムシの防除につきましては、やはり春のマダラカミキリが飛び出す以降から、計画的にやはり各種防除を進めていかなきゃならぬわけでございますので、そういう意味におきまして、できるだけ早く御審議をいただきまして、この五十七年度の防除体制から万遺憾をないようにしていただきたいと、こういう趣旨もございますので、よろしくお願いします。
#7
○八百板正君 私の言うのはそういうことじゃなくて、なぜもっと早くこういうものを取り組めなかったかと、国会にも出せなかったかと、こういうことなんです。五年前からわかってるんですから。そして、五年前からわかっているし、五年間の成果にしても、空から毒物をまいて、結局空中毒殺をやっただけでしょう。だから、その結果はちっともよい結果が出てないんですから、わかってるんですから、だからもっとせめて一年前ぐらいには出して、十分に検討すべきじゃなかったかと思うんです。私も非常に残念に思うのは、一夜漬けで関係の資料全部目を通しました。しかし、現場を見て、どんな施策をやって、どんな結果が出て、どういう問題があるかということを現場で見る時間が全然ありませんで、その点残念に思っているんですが、そういう意味で、もっと早くこういうものを国会の方に出すべきだったと、こう思うんです。これは、そういうふうな点は心がけの問題ですから、応答したってしようがありませんから。それからまたこれ後に同じようなことになると思うんです。そうすると、そういう点考えまして、場当たりでやっつけてしまうというようなことでなくて、こういう自然の生態を相手にする仕事ですから、そんなにばたばたといくものじゃないですから、だから審議だって十分時間をとれるように対応してこられるべきだと思うんです。ことに、総合的なんてなふうに改めてここに、中身を少し目的のところを変えていくということになりますと、なお一層そういう感じがいたすわけであります。現にあれでしょう、五十二年当時の状況は、全国で、県内でザイセンチュウないというふうに見られておったところが十何県あるんだけれども、いまではもうほとんど一、二県しかないというようなふうに、むしろびまんしているというのが五年間の成果だと思うんです。ですから、そういう意味で当時林野庁長官、政府委員はかなり必ず五年内に、まあ全滅とは言わないけれども、終息させるというふうなことをも、国会の質疑でも繰り返し繰り返し言っておられるわけですから、それがこういう結果になっておりまして、後また五年を展望してこういう法律を出されるわけですから、その辺のところはひとつ謙虚に取り組んでもらいたいと思うんです。
 大体、今後五年後には、いままでの五年の結果はどっちかっていうと蔓延型になったんですが、今度の五年の措置でもって本当に当初言ったように終息型に持っていけるっていう自信をお持ちでしょうか、この辺はっきりひとつ見解を述べていただきたい。
#8
○政府委員(秋山智英君) 私ども、過去五年間の――当初特別防除を中心にやりまして、さらに途中で五十三年に異常気象等の高温少雨によりまして大変被害が拡大いたしまして、その過程におきまして予備費等をこれに導入しまして、既定の伐倒駆除をしのぎます伐倒駆除を進めると同時に、森林審議会にマツクイムシの対策部会をつくっていただきまして、防除体制についてどうすべきかという議論も大変していただきました。その結果今回御審議いただいてますように、予防といたしましては特別防除を実施するわけでありますが、同時に、保安林、あるいは先端地域と申しますか、これから先に被害を持っていくことはできないところにつきましては徹底的に特別伐倒駆除で、伐採し、これをチップ化し、あるいは焼却すると。さらに一般の地域につきましては伐倒駆除を進めると。また、この進め方といたしましては、国と県はもちろんでありますが、地域の皆さんも入っていただきまして、一体的にこれを防除し、また、これが防除できない部分につきましては林種転換をし、機能を回復するというふうな総合的防除でこの五年間の行政目標を掲げまして、徹底的に最大限の努力してまいりたいと、かように考えているところでございます。
#9
○八百板正君 私も先ほど申し上げましたように現場見てませんからぜひ見たいと思うんですが、いままで五年の間にどこでどういうことをやってうまくなかったと、余り成果が上がってないと、どこではこういうふうにやったが成果が上がってるというところをひとつ教えてもらいたい。それから、そこを現実にあんたは足を入れてごらんになっておるかどうか、あわせて。
#10
○政府委員(秋山智英君) 過去五年間におきまして特別防除を実施し、かつ、一部につきまして伐倒駆除を併用したところにつきましては、たとえば佐賀県の虹ノ松原、あるいは鹿児島県の吹上浜、それから静岡県の千本松原というふうなところにつきましてはそれなりの成果が上がっております。しかしながら、一方におきまして、この五十三年の異常気象によりまして、従来微害でございましたところが異常な被害が出てまいりまして、たとえば茨城県等におきましては、五十二年に対しまして五十三年が二十八倍も一遍に被害が出たと、こういうことでありますが、その中におきまして、私ども先般視察に参りました茨城県の筑波山におきましては、特別防除、さらに一部伐倒駆除を加えまして、現在いい状態で管理がされておるという実例がございます。
#11
○八百板正君 まあ、約束の時間は過ぎちゃったから、もうその点は後で事務的に伺います。
 それから、これは衆議院でも参議院でも両方でこの前の法律のときに附帯決議ができているんですが、余り附帯決議に対して本気になって考えておらないような感じがするんですが、これは単に抽象的に御意見尊重でなくてひとつ具体的に進めてもらいたい。五年間の過去と、これからまた何かいろいろな意見がつくでしょうから、そういうのを含めてひとつそういう心組みでやっていただきたいと思うんです。その中でやっぱり日本の在来種とも言うべきアカマツとかクロマツとか、比較的これ抵抗性が材線虫に対して弱いんですが、弱いということは、結局ザイセンチュウは日本に発生したものではないということを示したものだと思うんですが、そうすると外来のものの方がまず抵抗性を持っていると。同時に、ザイセンチュウのルーツは、その方に目を向けた方が正しいということになるだろうと思うんですが、そういう意味で、質疑応答の中でも答えておられまするし、附帯決議でも指摘されておりますが、抵抗性品種の選抜、交雑、そういうようなところをやるやると言ってきておるんですが、五年間に――もちろんこういう問題は五年、十年ですぐにどうという成果が出るものじゃございませんけれども、やっぱりどの程度までやったというようなことはあるだろうと思うんです。その辺のところを中間的に一言でいいから、どのぐらいまでやってきたと、ここをひとつお答えいただきたいと思います。
#12
○政府委員(秋山智英君) 抵抗性品種の問題につきましては、二つの方法でやってまいりました。
 第一点は選抜育種の方法でありまして、西日本の被害地から抵抗性の強い品種を選抜しまして、現在その中から約五百クローンを摘出しまして、これを現在林木育種場で増殖中でございます。これは五十九年から具体的に海岸地その他にまず植えていく、同時に二次検定をし、さらに採種園を造成するのは若干時間がかかりますが、当面五十九年から一部につきまして進めてまいりたいと思っております。
 それからもう一つ、交雑育種によりまして日本のクロマツと中国の馬尾松というマツの、これはF1が非常に抵抗性が強うございますので、これも現在鋭意増殖中でございますが、これもまずは第一次の検定を終えたものを五十九年から海岸林等に植えてまいりたいと。さらに、二次検定以後の問題につきましては若干時間がかかりますが、とりあえず一次検定が済んだものにつきましては現場に使ってまいりたいと、かように考えております。
#13
○八百板正君 やりたいという話はもう結構なんですが、ひとつどこでどの程度までやっているか、これも見せてもらいたいと思うんで、私見に行きたいと思いますので、どこで選抜育種をどの程度までやっているか、どこを見ればいいか、これひとつ、私見に行きますから教えていただきたいと思います。
 それから同時に天敵の研究も五十二年当時からずっとやるやると、こういうふうに何遍も何遍もおっしゃっていますし、附帯決議にもついております。これの方もどこまでどこでやっているか、これもちょっと教えていただきたい。
#14
○政府委員(秋山智英君) まず第一点の選抜育種、交雑育種につきましては、関東林木育種場で現在やっております。それから天敵の調査研究につきましては、これは筑波にございます国立林業試験場でやっておりまして、これにつきましては、微生物につきまして、特に、細菌でございますセラチア菌、あるいはカビでございますボーベリアバッシアーナ菌というのがございますが、これが非常に将来有望性があるということで現在人工によりますところの増殖をすべく検討をしておる段階でございます。
#15
○八百板正君 最初に申し上げましたように、何か被害に対して対策すると、こういうふうな災害対策とかいうふうな考え方、むしろこれは総合的でなくて局所的に考えるような考え方、そして空から薬をまいて毒殺すると、こういうふうなところに重点をぐっと入れているという考え方、この辺のところは、名は体をあらわすでもって、改正と言いながら逆に悪い方向に行っているんじゃないかという感じが強いんでありますが、何かシロアリ退治やゴキブリ退治みたいな感覚ではいけないのであって、そういう点を私は強く御指摘を申し上げまして、名前は変えるのはちょっと意味がないんじゃないかというようなことを申し上げておきます。とにかく、息の長い問題ですから、総合的というならば、余り空からやっつけるんだというようなところにとらわれないで、本当に総合的に対応していただきたいと思うんです。マツノマダラカミキリとザイセンチュウの関係を皆さんの御助力でかかわり合いを発見されたということは大変結構な評価すべきことですが、そういうふうな面の努力と対応の方がマッチしないというような感じがいたすわけであります。そういうところは一生懸命基本的に研究されておっても、さあ対応する段になるというと、飛行機で事業をまいてがらがらっとやっつけてしまうというふうなところに行ってしまったんではこれはお話にならないわけでありまして、こういうふうなところを一つの考え方として申し上げまして私の質疑を終わります。
 大臣も一言言ってもらうかな。
#16
○国務大臣(田澤吉郎君) 五十二年に特例法をつくって五年間やってまいったのでございますが、ちょうど五十三年に異常気象がありまして、そのことがマツクイムシの被害を大きく拡大したような気がいたします。それを契機に何か新しいいわゆるマツクイムシの対策を進めなければならない事態に私は立ち至ったんじゃないかと思いますが、その後ある程度の予算措置あるいはまたいろんな対策も進めてまいりましたけれども、やはり、特別防除実施のための一つの制約、あるいはまた伐倒に対する一つの制約等もございましてだんだん年々拡大するような状況になりましたものですから、それも、かつては被害木はかなり有効に活用できた時代と違い、最近は燃料として余り活用できないようになったことも大きな原因だと思うのでございまして、したがいまして、いま、そういう点を考えながら被害木の利用、活用というものを大いに考えていかなければならない、かように考えております。幸いにして、松と病原体とその運び屋の三者が複雑に絡み合っているという状況が理解できたものでございますから、そういうのを基本的に考えながら今後は予防として特別防除をする、一方は伐倒駆除を有効に活用していく、しかも市町村にも御協力をいただいてそれを進めていくようにいたしまして、特に私はこれから進める場合にモデルの地域をつくりまして、実際にこういう防除を進めますというと、確かに終息できますよという姿を部分的に見せていって、それでそれを全体に広げていこうという考えを持っておりますので、私は日本の国でやはり松が枯れている、松枯れの木がやはり林立している状況というのは好ましい状況でございませんので、これはできるだけ早い機会に終息して、こういう日本の姿を一日も早くなくしたい、かように考えておりますので、今後も一層ひとつこの面には努力をしていきたい、かように考えます。
#17
○坂倉藤吾君 時間がほとんどありませんが、私も一言ですね、参議院の院の性格から見て重要な法案ですから慎重審議をしなきゃならぬのが、政府の怠慢で日切れということでほとんど審議が尽くせないような状況になったことについてはまことに遺憾だということをまず申し上げておきたいと思うんです。
 答弁は簡単にひとつお願いしたいと思うんですが、松林の現況の中で人工林、天然林、それからその他、これに分けまして、一体どういうかっこうになっているのか数字を挙げてください。
#18
○政府委員(秋山智英君) 五十六年四月一日現在におきまして、全国の松林の面積は二百五十五万ヘクタールありますが、そのうち人工林面積百十九万ヘクタール、四七%、それから天然林の面積が百三十六万ヘクタール、五三%となってますが、五十五年の被害の松林の面積は六十六万七千ヘクタールでございますが、その中で人工林が十八万三千、約二七%、天然林が四十八万四千ヘクタールで七三%となっています。
#19
○坂倉藤吾君 それで現行法は空中散布それから地上散布、伐倒駆除、その三本柱で対応されてるんですが、空散と伐倒を並行して行った面積というのはどうなってますか。あるいは地散と伐倒。
#20
○政府委員(秋山智英君) 民有林におきまして五十五年度に特別防除と伐倒駆除を併用しました面積は五万三千ヘクタールでございます。それから地上散布と伐倒駆除を併用した面積は八千ヘクタールでございます。
#21
○坂倉藤吾君 そうしますと、ちょうだいをしました資料から見て、五十五年被害面積は六十六万七千ヘクタール、それから防除面積は空、地、伐含めまして六十七万八千ヘクタール、この差は一万一千ヘクタールですか、数字の面から見まして。いま説明がありましたように並行して行われたのが五万三千ヘクタールに八万ヘクタールですか……。
#22
○政府委員(秋山智英君) 八千でございます。
#23
○坂倉藤吾君 八千ヘクタール。ということになりますと、防除面積と被害面積との差の一万一千ヘクタールに近いのが、これが八千で、五万三千というのは全くこれ重複は重ねてやっておるんでしょうが、このことから考えますと逆に全然手の入らなかった被害地というものが存在をするんじゃないのか、こういうふうに思うんですが、その辺はどうですか。
#24
○政府委員(秋山智英君) 特別防除を五十五年に実施しました面積は十三万三千ヘクタールでございまして、そのうち伐倒駆除を併用しました分が五万三千ヘクタールでございますが、これは特別防除をしました周辺の地域はやはり隣接の被害地との関係がございまして、どうしても被害が出てまいりますので、そこに行ったものでございます。
#25
○坂倉藤吾君 いや、そうじゃなくて、松枯れが発生をしておっても手がつけられなかった面積というのがあるのかないのか、その辺はどうなっているか。
#26
○政府委員(秋山智英君) 五十五年に伐倒駆除を約五十万立米いたしておりますし、また自主的に伐倒駆除を町村がしていますのが四十万立米ございますので、合わせまして九十万立米は伐倒駆除されましたが、一部については御指摘のような面もございます。
#27
○坂倉藤吾君 また後で触れていきますが、実は一昨日、昨日も私兵庫の山の中へ入ってまいりました。ただ、入った目的は他の目的ですがね。ところが、その沿線はほとんど松枯れの、枯れたものが林立をしている。墓場へ行ったような状況、正直申し上げて。ほとんどそこは植林をされておりませんし、伐倒の跡もないという状況で放置をされている。これはもう各所至るところですね。加古川の特に西部の方へ行ってきましたが、そういう状況であります。ということになりますと、確かに面積的に見れば被害面積に対して全部手をこまぬいたようなかっこうにはなっているけれども、それは重複措置その他によってほとんど手のつけられなかったところも現実にあるんじゃないのか。そういう綿密な調査というものが林野庁としてきちっと把握されているのかどうか、ここがきわめて疑問なんですね。少なくとも現行法の中で五年間でいわゆる終息傾向に持っていくんだという決意は、事業の実施内容から見て、私はその熱意というのは一体どこへ消えてしまったんだろうかというふうに思わざるを得ないんですね。私はここは姿勢の問題としてきちっと林野庁が反省の上に立たなきゃいかぬだろう。いままでの審議経過の中で、うまくいかなかった一つの原因というのは、これは異常気象の問題とそれから空散が思うようにやれなかったという、その二つの理由が主な問題でありまして、私はそれよりももっとやはり真剣に取り組む姿勢というものが基本的に欠けておったんじゃないのか、ここのところの反省がなくて私はこの法律案の改正の意味は生きてこない、こういうふうに思うんですが、その辺はいかがでしょう。これは大臣。
#28
○国務大臣(田澤吉郎君) 五年間に、確かに五十二年の法制定の折にはあの当時のいわゆる防除技術をして、またあの当時のいわゆるマツクイムシの被害状況からして、五年間で十分終息できるものという目標で進められたのでございますが、先ほど申し上げましたように五十三年のいわゆる異常気象、さらに空中散布だけでは、予防のための空中散布だけではなかなか思うようにいかぬ。やはり伐倒、それをさらに伐倒したものを処理していかなければ本当の意味での駆除にはならないということがだんだん理解されてきているわけでございます。したがいまして、先ほど八百板先生にもお話し申し上げましたが、あの当時は松材の何といいますか、活用が相当できたわけでございますが、その後燃料等の変化によりまして被害木の活用というのがほとんどできない現状でございますので、そのまま林立していると。あれを伐倒することはそのまま労力と経費がかかるという状況になっておりますので、そのことがまたマツクイムシの被害の拡大の原因になっているというようなこともございますので、やはり被害を認識しながら、さらに総合的な対策を考えていかなければならないということでこの法律をお願いしているわけでございまして、私たちは何としても被害木のやはり伐倒、そしてその処理を何とか考える、一方では予防のための空中散布も十分適期にやるというような形でこのマツクイムシ被害に対応していかなきゃいかぬ、もっと真剣に私たちはこの問題は考えなきゃいかぬという気持ちでおりますので、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。
#29
○坂倉藤吾君 いま大臣言われましたけれども、松材のいわゆる価値観の問題は法律改正したって変わるものじゃありません。そういう状況の中での対策でありますから、その点はきちっと踏まえて対応してもらわなければいかぬだろうと思います。
 次に、空散特別防除につきましては、たとえば本院の附帯決議の中でも、途中で被害が出た場合等については中止をすべきと決議しているわけです。その点からいきまして、空散中に中止した件数、空散前、それから中、合わせての資料はちょうだいをしましたが、空散中に中止した事例というのがあるのかどうか、あればその件数はどれだけか、しかもその理由というのは一体どうなっているか。
#30
○政府委員(秋山智英君) 第一回の空散をしまして途中で中止した件数でございますが、これは五十二年から五十五年にかけまして七件ございます。五十二年に三件ございまして、これは桑園あるいはたばこへ被害が及んだというのがありますし、それから五十三年、岡山県二件、それから香川県一件でございますが、これも桑園またはたばこへの一部被害があったというのがあります。それから五十四年には鹿児島県に桑園への一部被害が出たということで七件、七百六十三ヘクタールございます。
#31
○坂倉藤吾君 発生被害について、国家賠償もこれまた附帯決議の中で明らかにしておるんですが、この賠償の関係は、いただいた資料からいくと国家賠償に移ったものは全然ない、ほとんどが当事者があるいは県等地方行政関係で代替をしているというふうに出ているんですが、なぜ国の国家賠償の規定の中まで上がってこなかったんでしょうか、この辺はどうでしょう。
#32
○政府委員(秋山智英君) 先生御指摘のとおり、危被害発生の申し出件数は五年間に百二件ございました。このうち七十件につきましては散布受託者等が損害の補償等を自主的に行ったものでございまして、これはやはり具体的にはその散布する過程におきましてのものでございまして、原因がわかっていますので、早急にそういう方法で対処したわけでございまして、国家賠償によるものは一件もございません。
#33
○坂倉藤吾君 いまの説明からいきますと、国家賠償というのは規定としてあるけれども具体的にはっきりすれば原因者が支払うということになってしまうので、そうしますと国家賠償を行う場合の例というのはたとえばどういうことが想定をされていますか。
#34
○政府委員(秋山智英君) これは、特別防除を実施した際に被害が発生しまして、国または都道府県に瑕疵があったということでその責めを負う場合がございますが、そういう例はいままでのところ出ておりません。
#35
○坂倉藤吾君 事前に調査しまして、さらに相当の綿密な注意をしまして、そうして被害がでるということは、原因究明をしていけば、たとえば技術的に悪かったとか調査が不十分だったとか、こういうかっこうになってくることは明らかですね。そうなりますと国家賠償というのはこれは棚の上の飾りでありまして、具体的には必要ないんじゃありませんか、その点は。ほとんどはこれは請け負った航空会社だとか、それらがやってしまうんじゃありませんか、そういう方針でこれからも進むんでしょうか。
#36
○政府委員(秋山智英君) 私ども特別防除を進めるに当たりましては、まずその対象地域につきまして十分検討を加え、さらにこの対象となる地域につきましては地域の皆さんに十分説明をしあるいはマツクイムシ対策協議会等で説明をし、御理解をいただくということで、そればまずは一番大事なことでございますので、徹底して行う。したがいまして、出てまいりましたのはいずれも軽微な問題ばかりでございますので、さように措置をしたわけであります。
#37
○坂倉藤吾君 いま訴訟になっているのが一件ございますね。これらの問題は訴訟に持っていくまでに話がなぜつかないんでしょうか。具体的に特別防除等の問題は、たとえば特別防除による薬剤が直接かかって云々ということよりも、そのことも一つの原因であるけれども、他にも要因があったという場合の複合的な原因に基づいて被害をこうむる場合が非常に多いんじゃありませんか。そうなってまいりますと、皆さん方の考え方の中に、薬剤散布に基づく被害ということが一〇〇%はっきりしないことには私たちは支払いをしませんと、それはそちらで片づけてくださいという姿勢があるんじゃありませんか。もしそれがあったとすると、私たちは何のために審議をしてきたのか、この辺のところがきわめて問題になるんです。ぜひその辺は、答弁要りませんけれども、姿勢の問題として具体的に検討をしておいてください。これは県の場合にいたしましても往々にしてそういうことになるんです。私は、空中散布でこれがもう直接一〇〇%の原因ですよというふうにわからぬ限りこういう手続をとらない、原因はほかにあったんじゃありませんか。距離的に見ても薬剤が散布をするような条件にありませんでした、他に原因があるんじゃありませんかとか、あなたに注意をしてあったのに、その注意についてあなたの方が不十分だったから、ミツバチが死んだんじゃありませんかとか、そういうふうに皆さん方はその被害の要因というものをむしろ被害を受けた方の側に押しつけたりしている傾向というのがあるんじゃありませんか。私はこれではもたないと思いますよ。
 それから時間がありませんから次に移っていきますが、さっきの答弁で、被害跡地の問題を私は質問を省略をしますが、跡地はほとんど処理されていませんからね。もっと積極的に跡地の対策、造林、これは樹種転換も含めて積極的にやってもらいませんと薬のまきっ放し、枯れっ放しのままで放置をされたのではこれはたまりませんよ、これではこの松枯れ防止の対策には、半分やって半分やってないんですから、やってない方がまだましたと思います。そのまま放置をした方がまだましなんです。
 次に、この薬剤の毒性の問題について少し聞いておきたいんですが、NAC、スミチオンが大体この薬剤散布の中心の薬剤ですね。
 ここでこの前資料を林野庁からいただきました。これは農林省の方の担当から出ていると思うんですが、セビモール、いわゆるNACにつきましてマウス経口、LD5〇値、これはキログラム当たり四百三十八ミリグラムと、こう出ているんですが、実は環境庁の方の「農薬の鳥類に対する安全性の評価に関する調査研究報告」、これによりますと、NACの場合はマウス経口、LD5〇はこれ四百三十八じゃありませんでして、三百四十七になっている。そうすると、同じ政府の、しかもこれ環境庁が鳥類に対してやってるやつで、文献等から世界的に求めてきたやつですが、これがキログラム分母にいたしましていわゆる三百四十七ミリグラムですね。それに対して林野庁の方は四百三十八ミリグラム、こうなっているんです。こうなりますと、同じ政府機関の中で、このことを評価をするのに、もとの数字が違っているということになりますと、一体どういうことになります。しかもここで急性毒性、慢性毒性についての問題なんですが、特に慢性毒性で発がん性、催奇形性は認められない、こう言っているんですね。この結論を導き出す段階は、たとえば動物実験あるいは植物実験その他を繰り返し、特に動物実験の中で発がん性があるか、催奇形性があるのかという観点のデータを非常に積み重ねてこの結論を導き出している。ところが、その研究データの中には催奇形性や発がん性の疑いのあるような要因も現に出てきているわけですね。たとえばこれは他の毒物研究なんですが、それにいたしましても、たとえば肝臓が、開いてみたところが黄変をしておったとか、あるいは出血をしておったとか、脳腔の中に血がたまっておったとか、いろんな症状というのがデータの中には流れてきているわけです。それを評価をしまして判定をする場合に、たとえば十人なら十人のうちで三人までがその疑いありというふうに主張しましても、七人がまあまあこれならいいんじゃないかという結論を出すといたしますと、たとえば慢性毒性の中で発がん性、催奇形性というのは、これはありません、安全ですよと、こういう数値が導き出されてるんです、そこの線とあわせて、結論が。これじゃこの薬は安心ですよという幾ら説明をされましても、基礎になる数字自体が違っておったんじゃ、これはお話にならぬじゃありませんか。これはもう重大な問題ですね。しかも最近の傾向は、あるいはヒノキ等についての影響を考えてスミチオンよりもNACの方が重点になってきているんです、散布剤としましてね。こういう状況では私はお話にならぬと思うんです。この環境庁からもらいました資料の中で、スミチオンについては一千三十です、あなたの方からいただいた資料と全く一緒なんです、数値は。NACについてはこれ百近く違っているんですね。これではお話にならぬと思うんですが、一体どこでこの安全性というのは確認をされたんですか。もちろんこれは厚生省なりが中心になっていることと思いますがね、この許可をしているのは。しかし、ここで安全だからということ、これを基準にしまして住民に対する説明、利害関係者に対する説明が行われておるとすれば、この結論自体が問題なんだから、私はとんでもないことをやっているというふうに言わざるを得ない。そういう危険なものをこれからも特別防除として、それのいわゆる主体としてやっていこうとするんですから大変な間違いじゃありませんか。しかも、特別防除自体が一つの範囲の中に限定をされてしまって、いろんな制約条件の中で限定をされてしまって、実際には完全な空散に伴うところの、特別防除に対するところの完全な防虫効果というものは上げられない。だから、一定の地域にまいたにしても付近が放置のままだったら、またせっかくまいたところに今度は集中的に虫に押し寄せられるという現象をやっておる。とすれば、私は空散を中心にしてやっていること自体がこの法律案の骨子、今度は特別伐倒駆除が出てまいりましたが、あくまでも中心は前の法律をそのまま継承したかっこうの中での、これは法律案の仕組みであります。そうしますと、私は根本的にこの問題についての考え方を変えて対応することの方が至当ではないのか、こういうふうに思いますが、いかがなものでしょう。この数値の違いとあわせてやってください。
#38
○政府委員(小島和義君) まず急性毒性のマウス経口のいわゆる五〇%の死亡率があらわれる数値が幾らか、これが急性毒性をあらわす数値でございまして、供試動物の違いによりまして体重キログラム当たりの数値は多少変わってまいります。環境庁からお出しいただきましたデータの内容、私ただいま持ち合わせておりませんけれども、農薬取締法上におきましてはマウス経口のLD5〇値、これをもとにいたしておるわけでございます。また、確かに多少の違いはございますけれども、これによりまして急性毒性のいわゆる毒物、劇物の扱いの違いが来すほどの数値ではない、かように考えております。
 それから慢性毒性につきましては、これはいろんな動物を使いまして、体重キログラム当たりいろんな数値を投与いたしまして、その結果どういう反応が動物にあらわれるかというものを二カ年にわたりまして調査をいたすわけでございます。その中には非常に大量のものを投与いたすものもございますれば、ほどほどのものもある。きわめてその与えました量の大きいもの、摂取量の多いものの中には、お話ございましたように、いろんな体内の中毒症状があらわれるものがあるわけでございまして、その許される量が幾らかということを決定いたしまして、その一日当たりの摂取量が、通常の防除方法によっては発現しないと、そういう摂取量にならない、こういうものについてはいわば低毒性の農薬ということで登録をいたしておるわけでございます。お話ございましたスミチオン、あるいはNACの低毒性ということにつきましては、FAO、WHOの合同会議におきましてもすでに確認をされておるところでございます。
#39
○坂倉藤吾君 これは質問ではありませんでして、いまの答弁では私はこれは納得できません、正直申し上げまして。それは大きい動物と小さい動物との比較をしてくればあたりまえの話でありましてね、なぜマウス経口でやっているのかという課題から論議しなきゃ話にならぬですよ、そういう話からいけば。そうじゃありませんでして、同じマウスを使ったデータとしてこの問題が提起をされている。しかも、わずかの相違じゃありませんでしてね、四百三十八と三百四十七ですから、九十一ミリグラム違うんですよ。九十一ミリグラムがキログラム当たりに違ってくるということは大変な数字じゃありませんか。それを多少の相違でごまかされちゃ話になりませんよ。これは納得できません。したがって、これは納得しないままに、委員長、何とかこれひとつ裁き方を改めて検討をいただきたい、こういうふうに思います。
 終わります。
#40
○川村清一君 もう時間ありませんから、私端的に大臣に数点お尋ねしますから、大臣にお答えいただきたいと思います。
 第一の質問は、この五年間特別防除を中心とする松枯れ対策を実施してきましたが、その結果、多くの教訓を得られたことと思います。政府が当時被害防止対策として最も適確な措置として行ってまいりました特別防除は実施上いろいろな制約があり、完全なものになり得なかったことは明らかに実証されました。したがって、この反省の上に立って今後は特別伐倒駆除、地上散布も重視して、これと特別防除を効果的に組み合わせた被害防止対策をしっかりやって、被害林の造林、治山対策等も含めた総合対策を実施していくという今回の法改正の措置は、従来のやり方から脱却して発想の転換の上に立った松枯れ被害を防ぐ決意の表明と考えておるわけでございますが、大臣の御見解をまずお伺いしたいと思います。
#41
○国務大臣(田澤吉郎君) 政府としては、日本の松林を何としても子孫に受け継いでいくことがわれわれの責務と考えております。したがいまして、御説のとおりこの五年間の経験を踏まえまして、特別伐倒駆除等を織り込んだ総合的対策を目的に掲げまして、新たな発想に立ってマツクイムシ被害を終息さしていく所存でございます。
#42
○川村清一君 次の質問は、松枯れ対策を実施していく上で最も重要なことは、国民各層、地域住民の理解、納得の上に立った協力が得られることが必要でございます。この五年間、遺憾ながら住民への健康被害や農業、漁業などに各種の被害が発生しております。このことが結果的には松くい虫防除特別措置法に対しての多くの国民の批判の原因になっておるわけでございます。つまり、生活環境や自然環境保全への行政の対応が不十分であったということのあらわれであります。したがって、今後五年間二度と再びこのようなトラブルが起きないため、いかような対策を講じていくのか、この際決意を明らかにしていただきたいと思います。
#43
○国務大臣(田澤吉郎君) 関係住民や農業、漁業を営んでおられる方々に被害が及んでいった事実があることについては、率直に受けとめます。今後、したがいまして特別防除の実施に当たりましては、関係地域住民や利害関係者の方々の意見も十分お聞きして、理解と協力を得るように努めて万全を期してまいりたいと、かように考えております。
#44
○川村清一君 ただいまの御答弁を聞いて納得できかねるわけでありますが、利害関係者の方々の意見も十分お聞きし、理解と協力を得るようと。私どもは、これは御承知のように衆議院において修正案を出しておりますが、理解、協力といったようなことは弱い、理解と同意を得るよう努めて万全を期すべきであると、かように考えておるわけでありますが、先般村沢委員の質疑の中にありましたが、「同意」という言葉を使うというと法律的にどうとかこうとかという、いわゆる官僚的なそういう答弁でありまして、私は法律的にどうだこうだと言っているんでなくて、当然理解していただき、そうしてみんなが同意――これはみんなが同意といったって、一人残らず同意という、これはなかなかむずかしい、できかねることでありますが、少なくとも同意を得られるように努力すると。それがどうしても聞き入れられないで、何としても「同意」という言葉を削って、そこに「協力」と。もう一歩進んで、本当に利害関係者、地域住民の意見を聞き、理解そして協力を得られるためには、当然同意を得るよう努めることがこれは常識的にも大事なことだと思うのでありますが、この際もう一度大臣のはっきりした御答弁をいただきたい。
#45
○国務大臣(田澤吉郎君) 先生のお言葉でございますけれども、私は、いま先生の御指摘になったことを十分踏まえながら、理解と協力を得られるように最大限に努力するという意味でございますので、その点どうか御理解をいただきたいと思うのでございます。
#46
○川村清一君 あと時間がございませんから、一点お聞きして質問を終わります。
 特に薬剤によって人の健康が冒されるようなことは絶対あってはならないことである、言うまでもありません。学校、家屋、病院、水源地等周辺の松林の特別防除は原則的に禁止区域として、その地域においては特別伐倒駆除を実施するという基本的姿勢がなければならないと考えますが、これに対する大臣の御見解を伺いたいと思います。
#47
○国務大臣(田澤吉郎君) 人の生命あるいは健康は何よりも優先しまして重要視されなければならないことは当然でございます。人の生命、健康を重要視するという御意見の趣旨を十分尊重しまして、計画実施に当たっては遺憾のないように指導してまいる所存でございます。
#48
○川村清一君 これに対しましても不満足であります。衆議院に修正案を出しました。その中にははっきりただいま私が質問いたしましたように、特に家屋、学校、病院、水源地等周辺の松林の特別防除を原則的に禁止区域とする、いわゆる人の健康が冒されるようなことに絶対相なってはならない。大臣は人の生命、健康は何よりも優先し、重要視されなければならないとはいま御答弁になられました。とすれば、当然人の生命、健康に一番関係のある家屋、学校、病院、水源地等周辺の松林の特別防除を原則的に、原則的に禁止区域とし、というわれわれのこの修正案は最も至当なことであると考えるのでありますが、この点、まだ大臣はこういうふうに言うことができない。なぜなのか、もう一度はっきりお答えいただきたいと思います。
#49
○国務大臣(田澤吉郎君) いま川村先生の御指摘になったことを踏まえながら、私はいままで御答弁申し上げているわけでございまして、したがいまして、生命、健康を重視する立場に立って、十分これに対応していきたいということでございますので、重ねて御理解をいただきたいと思うのでございます。
#50
○鶴岡洋君 前回に引き続いて、前回何点か残りましたのでお伺いいたします。
 まず最初に、法の第八条でございますが、「松林群において特別防除を行う者は、薬剤の安全かつ適正な使用を確保するとともに、農業、漁業その他の事業に被害を及ぼさないように必要な措置を講ずる」と、こういうことでございますけれども、具体的にどうするのか、基準はどうなのか、これが一点。
 それから空散は地上散布と違ってヘリがまくわけでございますから、範囲ももちろん広いし、また、何があろうとその空散する範囲内はすっぽりと空散にかかってしまうわけです。もちろん水源地もありますし、養殖の魚類もありますし、それからハチの養殖といいますか、そういうのもありますし、まあ細かいものはたくさんございます。そこで、ヘリが空散するわけですから、ヘリをチャーターする。この空散のチャーターされたヘリの会社、この業者に任せ切りにはしないと思いますけれども、技術的には非常にむずかしい問題も含まれておりますが、この指導監督はどうするのか。この二点について最初お伺いします。
#51
○政府委員(秋山智英君) まず第一点でございますが、衆議院で修正されました第八条の趣旨を踏まえまして、私どもは基本方針並びに長官通達におきまして、その旨を徹底して指導をしてまいることとしておりますが、特に特別防除を行うべき松林に対する基準につきましては、厳密に被害の程度が終息型の微害を超えていること、それから貴重な動植物の生息地が含まれていないこと、それから所在地から見まして薬剤の飛散、流入により周囲の環境に悪影響を及ぼすおそれがないこと、それから周囲の土地及び水面の利用の状況から見て薬剤の散布、流入によりまして農業、漁業その他の事業に被害を及ぼすおそれがないことということを十分明確にしながら進めてまいると同時に、自然環境、生物環境の保全につきましても貴重な動植物に悪影響を及ぼさないように措置をすること、それから、家屋、水源等に薬剤が飛散、流入しないように風向あるいは風速等に十分注意すること、さらには、交通機関、公園等の利用者等が集合する場所等の周辺につきましては交通規制その他の方法をとりまして万全を期すというふうなことも考えて対処してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
 なお、私ども各県に森林害虫防除員を配置しておりますので、この職員を十分配置させながら指導、監督をしながら万全を期してまいりたいと、かように考えております。
#52
○鶴岡洋君 そうすると、業者に任せっ切りということはないわけですな。
#53
○政府委員(秋山智英君) はい、そのとおりであります。
#54
○鶴岡洋君 次に、被害木等の移動の問題ですけれども、森林病害虫等防除法の第三条五項に被害木等の移動制限や禁止がございます。しかし、マツクイムシ被害木は全国にあり、広域に移動することも懸念されます。この前、私申し上げましたけれども、ある調査によると、幹線道路沿いに松枯れ状況が延びている、これは現実にあるわけです。被害木の把握を全部すべて行うということはむずかしいと思いますけれども、この移動についてもマツクイムシの被害を蔓延させる大きな要因ではないか。昆虫の天敵もありますけれども、人間の天敵と言っては失礼ですけれども、監視体制をしっかりしていかなきゃやはり蔓延するんではないかと、こういうふうに思われるわけです。そこで、この監視体制の充実、強力な体制、この点について特に必要だと思いますけれども、いかがお考えですか。
#55
○政府委員(秋山智英君) 先生御指摘のとおり、この被害材の移動という問題は、いままで被害のないところにもし発生したら大変でございますので、やはり蔓延防止という面から非常に重要なことだろうと思います。従来も都道府県の森林害虫防除員によりまして、松林、貯木場というようなところに立ち入り検査などをさせながら、都道府県知事命令によりまして駆除措置の行われていないところの被害材の移動については制限または禁止を講じておるわけでございます。さらに今後は、この新しい御審議いただいております法律に基づきまして、この問題につきましてはさらに一層強化すると同時に、今回は市町村の職員に対しましても、被害材の移動状況を監視する、把握する、松林の所有者の方々に指導を徹底するための予算もつけておりますので、これらによりまして徹底してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
#56
○鶴岡洋君 次に、特別伐倒駆除についてお伺いしますが、この特別伐倒駆除は今回の法案に初めて出てきたわけですが、五十七年度の予算で見ると、特別伐倒駆除事業費がマツクイムシのための予算の数字からいくと一五%、特別伐倒駆除は十億九千五百万ですか、こうなっておるわけです。パーセントでいくと一五%になりますが、空散効果を期待しないわけでもないし、また空散と伐倒駆除と両方兼ね備えて終息に力を入れるということも説明がございましたけれども、私は少なくとも、この特別伐倒駆除についてもっと予算を取るべきではないか、できれば五割から六割ぐらいこの伐倒駆除の方に使うべきだと、こういうふうに思うわけです。その理由は何かというと、昭和二十一年から二十五年ぐらいの間に一時大変被害がございました。その当時と現在はもちろん社会の環境も違います。これも承知しております。その当時は人海戦術で伐倒駆除をやったわけでございますから、いまそう言っても人件費の問題もございますしなかなかむずかしいということも承知をしております。それに加えて、松のいわゆる経済価値といいますか、この点も当時とはいまは大分変わっておる、こういうことも承知しております。しかし、伐倒し焼却しまたはチップにしてしまうのが私は一番マツクイムシの防除には適当ではないか、こういうふうに考えるわけです。先日のこの委員会で、予算は予算で、この点については変更はなかなかむずかしいと、こういうお話も私聞いておりますけれども、それならば、運用面でこれがどの程度まで可能なのか、運用面ならばいいんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、この点いかがですか。
#57
○政府委員(秋山智英君) 私ども、ただいまの被害状況から見てまいりますと、あらゆる防除方法を効率的に合理的に組み合わせてやっていくということが非常に大事だと思います。したがいまして、先生も御指摘ございましたが、まず予防として特別防除をすると同時に、将来特に重要となりますところの保安林その他の公益機能の高い森林とか、それから被害の先端地域の防除等につきましては特別伐倒駆除で徹底してやると。それ以外につきましては普通の伐倒駆除その他を導入して対処していこうということでございます。したがいまして、五十七年度予算におきましては、この特別伐倒駆除と伐倒駆除を合わせまして四十万一千ヘクタールを実は予定しておるわけでございます。で、やはり今後の被害対策につきましては、効率的に合理的にやらなければならぬわけでございますが、私どもといたしましては、現在の予算の考え方に対応しまして対処してまいるわけでございますが、地域の被害の実情等に応じましてやはり効率的な方法もさらに検討していかなければならぬと思っています。
 そこで、特別伐倒駆除は、先生御指摘のとおり、これは伐倒しチップ化するとか焼却するとかいうことでございまして、これはやはり、通常の伐倒駆除に比べますと松林の所有者に対しまして私権の制限をさらに伴うものでございますので、私どもとしては、やはり公益的な機能が高い松林とか被害拡大防止林というようなところで被害の激しいところをまず重点的にやるということが大事じゃないかと、かように考えておるところでございます。
#58
○鶴岡洋君 そういうことで私は特別伐倒駆除をたくさんやった方がいいと、こういうふうに考えておるわけでございます。全国的に被害の規模が拡大している中で、この特別伐倒駆除はそれならば被害材積の何%を目標にしているのか、これが一つ。
 それから、具体的に「高度公益機能松林」、それから「被害拡大防止松林」、こういうことを書いてございますけれども、この比率はどの程度になるのか、この二点をお伺いいたします。
#59
○政府委員(秋山智英君) 私ども、特別伐倒駆除を命令する対象につきましては、激害並びに中害の、先生御指摘の高度公益機能松林または被害拡大防止林でございまして、一%を超える被害が出た場合にそれを命令をし、実施してまいりたいと、かように考えているところでございます。対象としましては、十六万五千ヘクタールでございます。
#60
○鶴岡洋君 いま一%という話がございましたけれども、この被害が拡大している状況を見まして、伐倒駆除が遅いために蔓延する可能性が出てくると、こういうふうに思われるわけです。したがって、特別伐倒駆除というのは一%以上になった場合と、こういうふうになっておりますけれども、一%以下であっても伐倒駆除が実施できるような、こういうふうに検討したらいかがかと思いますけれども、この点はどういう見解を持っておられますか。
#61
○政府委員(秋山智英君) 被害率一%未満ということでありますが、これはやはり非常に量的にも少のうございますので、私は従来の伐倒駆除によりまして、この地域については徹底して行うことによりまして終息型に持っていけるという判断でございまして、したがいまして、特別伐倒駆除につきましては一%を超える部分についてやってまいりたいと、かように考えているところでございます。
#62
○鶴岡洋君 そうすると、一%以上になった時点で特別伐倒駆除をやれば終息に持っていけると、こういうことであると、こういうことですね。
#63
○政府委員(秋山智英君) そうでございます。
#64
○鶴岡洋君 次に、松枯れの原因について、先日もお伺いしましたけれども、再度確認のためにもう一度お伺いしたいんですが、農林水産省の、そちらの林野庁の御説明によりますと、マダラカミキリ及び対線虫、このマツクイムシが主な原因と、こういうふうに言っておられます。しかし、松枯れの主な原因というのは、マツクイムシだけではなくて大気汚染、それから環境破壊、これが複合し合って松枯れが進んでいるのではないかと、こういうふうに考えますけれども、この松枯れの原因について、農林水産省の見解をもう一度再確認したいんですが、いかがですか。
#65
○政府委員(秋山智英君) 松の枯損の原因につきましては、マツクイムシ以外にもツチクラゲ菌とか、あるいはマツバノタマバエというふうな病虫害、あるいはそれ以外の原因において枯れることもあるわけでございますが、四十三年以降、林業試験場におきましてこの問題について取り組んでまいりました研究成果によりますと、たとえば茨城県におきますように前年比二十八倍にもなるようなこういう激害型の被害と申しますのは、やはりマツノマダラカミキリが媒介するマツノザイセンチュウによるところのこれは被害であるというふうに言われておりますし、私どもも、したがいましてそこに重点を置いて対策を練っておるところであります。
#66
○鶴岡洋君 瀬戸内海周辺といいますか、一部地域では、松枯れの原因は大気汚染であると、こういうことで空中散布に対して反対をしているところが何カ所かございます、これは承知していると思いますけれども。まあいずれにしても、松枯れの原因のメカニズムについてさらに徹底的に調査することは私、必要だと思うんです。マツクイムシが原因であると、それだけに固執するんではなくて、やはりいろいろな問題が複合されて、それでいま言った瀬戸内海周辺の一部地域では空散に反対しているところもあるわけでございますから、その辺も考慮して、調査する考えはあるのかないのか、林野庁いかがですか。
#67
○政府委員(秋山智英君) 私ども、ただいま先生御指摘ございましたが、やはり松の発病に対するマツノザイセンチュウの生化学的な変化につきましてはまだ未解明な部分がございます。したがいまして、五十六年から特別研究といたしましてこの発病機構の解明ということで、発病に関与する理化学的な要因とか、あるいは毒性物質がどうつくられるのか、またその毒性はどうか、それからそれを制御する方法はどうかというようなことを目下究明している最中でございます。
 一方、経常研究におきましては、大気汚染とそれから植物の関係につきましては、これも進めてまいっておりますので、私どもやはり両面からそういう問題については検討していかにゃならぬというふうに考えておりますが、特に当面は、やはり対線虫を中心とした生化学的な側面、未解明な部分がございますので、そこに重点を置いていることは事実でございます。
#68
○鶴岡洋君 次に、空中散布の効果についてでございますけれども、有名な松、名松と言われる松が全国にたくさんあるわけです。具体的に申し上げますと、茨城県の信楽園の中にある羽衣松、これはもう一本でございますけれども、これについてはスミチオンを五十四年から六回まいたと。しかし、残念ながらこれは五十五年の六月には枯れてしまった。こういう例もございます。もう一つ、やはり茨城県の八郷町にある有明の松、これも由緒ある松、一本ですけれども。この松も散布を実施したが枯れてしまったと。こういう例もあるわけです。ほかにも、散布の実施はしたけれども松枯れが進んでいる、こういう有名松も数多くあるわけでございますが、こうしてみると、果たして今後空中散布及び地上散布の薬剤により松枯れを防げるのかどうなのか、こういうところを見るとそういう疑問も出てくるわけです。
 そこで、林野庁は全国的に数多くの、特に有名な松林被害状況を実態調査したことがあるのかどうなのか。あれば、この点についてどういう調査をしているのか。また、有名な松、これをどうしようかと、地元の人はこういうやはり由緒ある松ですから心配をしているわけです。この点を報告いただきたいんですが、いかがですか。
#69
○政府委員(秋山智英君) 全国の有名松林につきましては、その多くがやはり景勝地として、あるいは国民の保健休養の場として利用されているわけでありますし、また保安林といたしまして防風、潮害防備等の役割りを果たしているわけで、計画的に特別防除あるいは地上散布、さらには一部伐倒駆除を併用してやってまいりましたところは、現在それなりにこれが成果をおさめているわけであります。静岡の千本浜におきましては、これは四十九年から特別防除を実施すると同時に、地上におきましてやはり伐倒駆除を実施している関係上、五十二年度以降被害本数は百ヘクタールの中でわずかに百本以下というふうな成果でございます。それから三保ノ松原、静岡でございますが、これは三十七ヘクタールでございますが、これも五十年から特別防除を実施し、また一部地上におきまして伐倒駆除をしておりますが、これも五十二年以降被害は百本以下にとどまっております。そのほかに和歌山県の煙樹ガ浜と申しますがそれだとか、あるいは佐賀県の虹ノ松原、鹿児島県の吹上浜の砂丘等は、いま申し上げましたように特別防除を実施すると同時に、一部枯損が出てまいります分は伐倒をすることによりまして、現在その森林を良好な状態に維持しておるところでございます。
 それからもう一点、先生御指摘の草木でございますが、これ林業試験場の薬剤による草木予防法というのが最近ようやくこれがはっきりいたしまして、土壌処理ではダイシストンというのが有効である。それから樹幹に注入するバイジットSO体というのがありますが、バイジッドSO体については、つい最近農薬登録を完了したと聞いております。したがいまして、草木等につきましては、これはもちろん所有者自身がそれぞれされるわけでございますが、むしろ一般にそういう防除方法等につきましては、今後一層PRをし、理解をいただきながら万全を期してまいりたいと、かように考えております。
#70
○鶴岡洋君 先ほど申しましたように、空散にはまだまだいろいろな問題点もあるし疑問視する人もたくさんいるわけです。そこで私が申し上げたいことは、この空散の問題ですけれども、改正後のこれから五年間のうち、空中散布の実施は原則として周辺のマツクイムシの被害対策を十分実施して、同一松林においては三年程度とし、空散を中止するよう計画を立て、松枯れ対策に臨むべきだと、こういうふうに考えております。なぜならば、これは具体的に指摘しますが、空散により人体や環境にもかなりの影響が起こり得ると先ほどから申し上げているように心配するわけです。せめて三年程度に空散をとどめるようにしていただきたい。この点基本方針や大臣通達に明示をして、国は当然県にも指導していくべきだと思いますけれども、こういう考えはいかがでございますか。
#71
○政府委員(秋山智英君) 私どもも特別防除によりましてできるだけ早くこの終息型の森林に持っていきまして、この特別防除が済むように努力したいと思っておりますが、やはり周辺松林の被害が拡大してそれが感染源になりまして特別防除を実施した周辺の地域がやられまして終息できないという面が残念ながらあるわけでございます。で、私どもといたしましては先生の御趣旨はよく理解できるところでございますが、何といたしましてもやはりこの大事な松を守るということを基本にいたしまして特別防除等徹底した地上での駆除、伐倒駆除によりまして合理的な方法で終息できるように今後努力してまいりたいと思います。
#72
○鶴岡洋君 もう一つ提案ですけれども、空散や伐倒の防除実績、過去五年間いろいろな形で報告はありましたけれども、この防除実績を国会に何らかの形で報告できないものなのか。たとえば林業白書等にこういうふうになりましたということで、これは毎年出るわけですから、報告したらいかがかと、こういうふうに思うわけですけれども、この提案についてどうですか。
#73
○政府委員(秋山智英君) マツクイムシの対策につきましては、御指摘のように相当かなりの国費を使って実施しておりますし、またこの予算で、御審議をいただいたこの予算によりまして実施しているわけでございます。その結果といたしましての成果も決算という形で国会に提出しておりますが、さらに私ども毎年度林業動向及び林業に関しての講じた施策を年次報告で出しておりますので、この中で被害の状況あるいは被害対策につきましても報告をこれまでしておりますが、今後もそういう方向で進めてまいりたいと思っております。
#74
○鶴岡洋君 次に、松枯れの原因としていままで言われてきましたマダラカミキリ、材線虫、いわゆるマツクイムシももちろんこれは大発見で、考えられるわけでございますけれども、マツクイムシの一種であるマツカレハの卵に寄生する天敵、マツノクロタマコバチというのがあるわけですが、こういう虫というか、昆虫等についても調査をすべきだと私は思うんですけれども、理由としては茨城県の岩瀬町では空散の影響によりマツノクロクマコバチが死にマツカレハが大量発生し、そして松が著しく食害され松枯れの原因になったという報告が現実にこれあるわけでございます。このマツカレハについて防除方法、また対策についてどう検討されているのか、現時点においてどうですか。
#75
○政府委員(秋山智英君) マツカレハというのはマツケムシの一種でございまして、マツクイムシの昆虫とは若干違うわけでございますが、これは最近石川県、島根県、福井県、宮城県等で発生し、また茨城でも先生御指摘のように一部出ておるわけでございますが、これは現在防除方法といたしましては有機燐剤でございますスミチオンあるいはダイアジノンさらにはディプテレックスというふうな薬剤を春または秋にまくのが効果的でございますし、また草木的にはちょうど幹にわらを巻いて冬にそこに追い込んで後で焼却するというような方法をとっているわけでございますが、決定的な方法というのにつきましては、まだこれは検討する余地がございますので、林業試験場等で鋭意この問題についてもさらに取り組んでおるところでございます。
#76
○鶴岡洋君 これは大臣にちょっとお聞きしますけれども、松の有効利用についてですが、近年は松材のいわゆる需要の減退によって材価、特に築材の価格が低迷している、安くなってきていると、こういうふうになっているわけです。この数年の市場の値動きについてどのような価格変動があるか、五十三年から五十四年、五十五年、五十六年どこの推移と、その松材の需要開発について政府の方としてどういう方針をとられるか、これは大臣にお聞きしたいんですが、いかがですか。
#77
○国務大臣(田澤吉郎君) 御承知のように景気の低迷が住宅着工率を非常に低下さした関係から、いま森林、林業の状況というのは非常に低迷いたしているわけでございまして、そういう関係からこれに対してはやはりいま内需の拡大ということを基本にしまして、やはり住宅の百三十万戸を目標にこれを進めているということでございまして、これが実現いたしますというと、私はかなり森林、林業の活気が出てまいるものと思うのでございます。特に松材の利用につきましては、これはもちろん紙パルプあるいはチップあるいは家畜のいわゆる敷きわら等にも使われておりますし、またいま筑波の試験場では集成材というのを研究いたしまして、これ等にも活用いたしますというと、かなりの材としても利用できるものであろうと思いますので、一方ではできるだけ景気の回復を図る、内需を拡大していくということと、また一方、他方では松材の利用をできるだけ考えるという両面でこの対策をしてまいりたいと、かように考えております。
#78
○鶴岡洋君 いま大臣のおっしゃったのは、島根大学で研究しているウーデックスですか、これを言っておられるんじゃないかと思いますけれども、このウーデックスについて将来どうなのか。またこのたぐいの研究は外国では大分進んでいると、このように私聞いているんですけれども、外国の状況はいかがですか。
#79
○政府委員(秋山智英君) ウーデックスにつきましては、これはアメリカで開発されましたいわゆる本質系のペレット燃料と申しますか、たばこのような太さの三センチぐらいのものでございますが、これはのこくずとかあるいは樹脂のくずを高圧で小片状に成形したものでございまして、現在、日本でもこの技術を導入しまして、毎時百キログラムの生産能力を持つプラントを試験操業をしておる最中でございます。
 また、先生いま御指摘のように、島根大学の農学部におきましても施設園芸の温度を加えるための燃料としましてウーデックスを用いようということで、現在、一応の見通しがついているところでございます。
 また、林野庁におきましても、このウーデックスに関する試験研究ではございませんけれども、五十六年から、いわゆる本質系のエネルギー等を活用するための技術開発、実用化事業をやっておりまして、これは木の皮を利用しましてオガライトをつくるというふうなこと、あるいはオガライトの自動燃焼機械を開発するというようなことで現在取り組んでおります。
 いずれにしましても、こういう分野の開発を今後積極的にやっていかなきゃならぬと思っております。
 島根大学の農学部の実験等のデータを見てまいりますと、技術的には一応実用化の見通しを得ておるわけでございますが、価格問題におきまして、重油との関連でまだ若干問題がございます。現在、チップの価格が七千七百円ぐらいでございますが、これは工場渡しの原簿価格がトン当たり五千円ないし六千円というふうなことでございますので、現在は採算上いろいろ問題がございますが、将来のこれはやはり重要な一つの方向づけだと思いますので、私どもも積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
#80
○鶴岡洋君 次に、薬剤についてお伺いしたいんですが、この問題もいままでいろいろ論議されてまいりましたスミチオン、それとNAC、セビモール、これはFAO、それからWHO――世界保健機構、すでに国際的に評価された農薬である、こういうふうに言われておるわけでございますけれども、スミチオンとNACの毒性、それから残留性、もう一度農林水産省としての見解をお伺いしたいと思います。
#81
○政府委員(小島和義君) 農薬の登録に当たりましては、急性毒性、慢性毒性などにつきまして、十分安全性評価を行いました上で登録をいたしておりますので、今日使われております農薬につきましては、安全性については全く不安がないわけでございます。
 ただ、農薬であります以上、全く無害ということはないわけでありますから、正しい使用方法というものと並行してまいらなきゃならぬわけでございまして、登録及びその農薬の品質そのものに関する規制と相まちまして、正しい使用の指導ということに十分努力をいたしておるところでございます。
 スミチオン及びNACについて申し上げますと、いろんな試験の結果によりまして、発がん性及び催奇形性はもちろん認められておりませんし、それから、食品中の残留基準という点につきましても、スミチオンが〇・二ppm、NACが一・〇ppmと設定されておりまして、通常の使用によりましてこのような残留が出るということはまずないという、そういう農薬でございます。
 ちなみに、これらの農薬は、すでに過去二十年間ほどわが国の水田で使われておりまして、その間における大きな事故というものも発生いたしておりません。また、家庭用の防除薬、ハエとか蚊とかを退治するような薬剤にも広く使われておりまして、人間に対するその害というもののきわめて少ない農薬でございます。
 それから、残留性の問題でございますが、これらの農薬は、土壌中におきまして比較的短い期間で分解をいたしまして、無害な物質に変わってしまうわけでございまして、その半減期は一、二週間程度ということでございまして、農薬の中でも残留性の少ない農薬に数えられておるわけでございます。
 そんな意味で、これらの農薬の農薬としての安全性ということにつきましては、まず間違いないものと、かように自信を持って言えるところでございます。
#82
○鶴岡洋君 いまの答弁は政府の見解としてお聞きしておきます。
 先ほど押しましたように、FAOそれからWHO、これで国際的に評価されている、こういうふうに言われている農薬でございますけれども、毒は毒であることは間違いないわけです。そういったことで、いろいろな人からこのスミチオンの毒性については指摘されているわけです。人体に与える影響については北里大学の石川哲先生、徳島大学の三井幸彦先生、田村修先生、こういう先生方からたびたび指摘されております。
 私の手元にもいろいろ資料があるんですけれども、この資料から二、三点述べてみたいと思います。
 初めに、環境科学総合研究所年報で、京都府立医科大学微生物学教室、同じく京都府立医科大学衛生学教室、この共同研究で、スミチオンの毒性は急性毒性だけではなく、ウイルスに対する防御力の低下、いわゆるかぜが引きやすくなる、こういう可能性がある、こういうふうに指摘しております。
 それから二つ目には、日本水産資源保護協会月報で、鹿児島県水産試験場の実験では、海に流入した場合、たとえ微量であっても水産動物に多大の影響を与える、こういう報告もされております。
 それから三つ目には、海外においても安全性について数多く指摘されております。
 また、NACについても海外の学者がいろいろと指摘しております。これは英語でこの資料が来ておりますけれども、たとえばJ・F・ロベンスという方ですか、モルモットを使ってみると催奇形性を指摘しておりますし、それから二つ目にはH・E・スマレーというんですか、ビーグル犬でこれを検査してみると、妊娠率の低下であるとか、それから出産に異常を来すとか、それから奇形が出るとか、こういう指摘をしております。
 それから三つ目には、ドグハーティーというんですか、これは猿を使ってやっておりますけれども、猿を使った場合、流産の可能性が十分ある、こういう指摘をしております。
 これらの指摘について、スミチオンを使っているわけでございますから、農林水産省としてはもちろん研究もされておるわけでございますが、こういう指摘について、どう受けとめておられるのか、この辺いかがですか。
#83
○政府委員(小島和義君) これはいろいろな実験のやり方によりまして、先ほど申し上げましたように、何と申しましても薬剤でございますから動物などにいろいろな影響が出てくる場合があるわけでございます。
 お話一々反論がたすつもりはございませんが、たとえば犬を使いました繁殖試験の場合でございますけれども、これは大変な高薬量で投与をいたしましてわずかな繁殖率の低下が見られる、しかし全体として大きな影響が出てくるというものではないというふうに考えております。
 それから、モルモットを使いました催奇形性試験で半数致死量を超える大変な大量の投与をいたしました試験例がございますけれども、その場合に死亡する事例の方が多うございまして、それによって催奇形性を判定するというデータとしてはいかがかと、かようなものが多いわけでございます。
 もちろん、農薬の安全性ということにつきましては、現在、国際的にも利用し得る知見並びに方法というものに準拠いたしてテストをいたしておるわけでございますから、新しい知見が加わってまいりますれば、それによりましてさらに安全性を高めていく、かようにいたしたいと考えます。
#84
○鶴岡洋君 時間が参りましたので、最後に大臣に所見をお伺いしたいんですが、いま申しましたように、空散による人体への影響を多くの学者等が、研究者等が指摘しておるわけでございます。先ほど言いましたように、これは毒は毒ですから、快方に向かう薬ではない、やはり虫を殺す空中散布でございますから。そこで今後の空散の実施に当たって、人家の近くについてどんな配慮のもとに、松か人かと言えば、これは松も大切でありますけれども、人命が一番大切であることは間違いないわけです。そういった意味で、この配慮のもとにどういうふうに実施するのか、最後に大臣の所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#85
○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど川村先生にもお答えいたしたのでございますが、やはり人命と健康というものは一番大切でございますので、そういう点を留意しながら、やはり人体に与える影響、あるいは生活環境に与える影響、あるいは他産業に与える影響等を十分配慮しながら空中散布を今後進めてまいらなければならないと思いますので、今後国会等のいろんな意見をも尊重しながら、また町村の実施計画に当たってもこれらの点を十分配慮していただくように私たちの方からも指示をいたしまして、できるだけいま御指摘のようなことのないような形をとってまいりたい、かように考えます。
#86
○鶴岡洋君 終わります。
#87
○下田京子君 時間がわずかなので端的にお答えいただきたいと思うんですが、まず被害木の処理といいますか、最も有効な処理の方法というのはどういうことでしょうか。
#88
○政府委員(秋山智英君) 松資源を有効に活用するということになりますと、私はやはり現段階では被害が出た直後はこれは用材として使えますので用材に使えるように努力しますが、それ以外につきましては、チップ化ということでこの資源を有効活用することが大事だろうと思っております。
#89
○下田京子君 用材にして具体的に利用するに当たっても、まず伐倒しなければならないわけですね。被害を受けた松をそのまま放置しておくということは、これはまさにマツクイムシの発生の温床になる、とすれば伐倒というのがより有効な処置であるというふうに理解されるわけですね。
#90
○政府委員(秋山智英君) 被害が出ました木につきましては、伐倒し、薬剤処理、あるいはチップ化、焼却というふうな方法が必要かと存じます。
#91
○下田京子君 そこで、大臣に私重ねてしつこいようですけれども申し上げたいんですけれども、被害木を放置しておくということはまさにマツクイムシの温床である、これをなくすのには伐倒しなければならないんだと。その伐倒はいままでどのぐらいやられてきたかと言えば、五十二年から五十六年の見込みで被害材積が九百四十一万立米、その中で伐倒駆除は二百三十五万五千立米なんです。被害材積に対して伐倒したのは二五%、あと七五%は放置されているという事態なんです。ですから、ここをきちんとしなければ、本当に今回法律改正をし、そして終息に持っていくといっても意味をなさないわけなので、今回は特別伐倒駆除も入れたよといいますけれども、それも入れて、これは総体的に言えばわずか一〇%増という事態なんです。ここをよく考えて今後の予算措置や対応計画をやらなければならないと思うわけですが、改めてお伺いします。
#92
○国務大臣(田澤吉郎君) この法改正は、御承知のように、やはり空中散布による予防、それから特別伐倒駆除を加えたという点にあるわけでございますので、私もやはり特別伐倒駆除というものをかなり積極的に持っていかなきゃいかぬ。そのためには、初年度でございますので、確かに御指摘の面はございます。したがいまして、私としましてはいろんな、これから実施してまいりまして、その点に予算の面でも十分配慮してまいりたい、かように考えています。
 いま被害木を今年度一年で全部伐倒しなさいということはこれはなかなか不可能でございますので、しかしできるだけ私たちは特別伐倒駆除にも大きな力を入れて進めてまいりたい、そのための予算措置をできるだけ考えてまいりたい、かように考えております。
#93
○下田京子君 できるだけということですが、より効果的なんですから、五十六年度で六十万八千立米、五十七年度で特別伐倒を入れてなおかつ六十七万立米ですから、わずかに六万立米ふやしたのみということですから、大臣、重ねて私はこれを効果あるように期待をします。
 それで、被害木の利用の問題ですが、これも繰り返し言ってまいりました。もうチップであるとか、いろんな燃料であるとか、新たな研究も含めていまやられておりますが、実効あるものをどう保障していくかということが大事だと思うんです。
 それで、端的に申し上げたいんですが、一つは、五十五年度からやられておりますが、林業改善資金の中の被害木の伐倒あるいは搬出等の無利子のお金がありますよね。これをもっと有効に活用できるように御指導され、なおかつまたその金額も大いに実効ある方向で大臣にがんばっていただきたい。そして、なおかつまた制度融資なんかも総合的に活用できるような方向、同時にチップなんかにしていく際にパルプ業界に具体的な指導を図らなければならないと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
#94
○政府委員(秋山智英君) やはり資源の有効利用という面から、いま先生御指摘のとおり、林業改善資金等を使いまして被害木につきましては積極的にこれを利用してまいりたいということで、五十五年から被害森林の整備資金というのを追加しておりまして、これはもう五十五年が三億を五十六年五億にしまして、五十七年はこれを七億に充当しているわけでございます。したがいまして、私どもこういう面でより一層活用し得るように努力すると同時に、今度はその利用者側と十分話し合いをしながら有効、適切にこれが活用されますように今後一層努力していかなきゃならぬ、かように考えています。
#95
○下田京子君 そこで、さらに具体的にお聞きしたいんですが、茨城県が五十五年の三月、笠間市に被害木専門工場というものを誘致したわけなんです。誘致当時はかなりよかったんですけれども、その後倒産直前まで大変な事態になって、また最近持ち直してきています。それで、被害木専門利用工場とまでにいかなくとも、被害木を優先的に、そうした活用できるような工場とタイアップした、やはり何らかの特別な援助といいますか、それが考えられてしかるべきではないかと思うんですが、この点どうですか。
#96
○政府委員(秋山智英君) 私ども、まずは伐倒しチップ化するその生産段階で御相談をさせるべく助成をしておるわけでありますが、やはり問題はこの工場に流通が円滑にいきまして計画的に入っていくということがこれ重要なことだろうと思います。したがいまして、チップ関連業界と森林所有者とそれから行政機関とが入りまして計画的にその供給体制をつくり、それを、茨城の場合ですとただいま二つの工場がございますが、ここに適正価格で持っていくということにしますと、これはよく稼働すると思いますので、まずそういう面で努力してまいりたいと、かように考えてます。
#97
○下田京子君 現実にそうしたところに援助できるような振興資金のようなものないんですか。
#98
○政府委員(秋山智英君) 工場そのものにつきましては、私どもは現在そういう資金はございません。
#99
○下田京子君 国産材の振興というかっこうで活用が可能なような話も承っております。いかがですか。
#100
○政府委員(秋山智英君) 林業改善資金の中には、ただいま触れましたように伐倒段階での助成もございます。さらに移動チッパー等に対しましては、技術導入資金というのがございます。さらに間伐材等の総合加工施設の設置事業というのがございますが、これはやはり加工施設に対しましての助成等がございますので、こういうものは有効に活用していただけるという道はできております。
#101
○下田京子君 大臣、一言。いまお聞きのように、いろんな国産材振興のための、あるわけですけれども、それらを組み合わせて、もっと有効に利用し、そしてなおかつ実効が上がるような方向で、予算の審議が終わればすぐにもう五十八年度の予算の話になりますから、大蔵は――政府全体がでしょう、いまゼロベースだなんて言っている中で、本当にこれをどうやるかという点で大臣の決意を聞かしていただきたい。
#102
○国務大臣(田澤吉郎君) マツクイムシ防除につきましては、来年度の予算要求につきましても、もうちょっと積極的にやらなきゃいかぬと、こう考えておるのでございますが、まあしかし、いま法律を基礎にして、今年度どの程度進めて、今年度の実績をやはり踏まえてでのことでございますので、やはり全体、今年度ひとつどういうようなことで進められますか、そのことによってマツクイムシ全体の予算の要求等も考えられると思うんです。また、被害木の利用等につきましても、やはり今年度の実績を踏まえてやはり十分考えてみたいと、かように考えております。
#103
○下田京子君 大臣、私が言うまでもなく、被害の発生の機構というのがまだ解明されてないわけですから、そういう中にあって、一定の予防をするということで、空散を中心にやってきているわけですが、被害が出ちゃったらばそれはもう伐倒しなきゃだめ、伐倒したものをどう有効に利用するかという、そこがきちんとされていませんと、これは終息というふうにはなかなかならないということは重ねて言っておきたいと思います。
 それから、そこで特別防除の危被害の問題なんですけれども、この過去五年間の間に百二件の届け出が出されているというふうに聞いております。――時間がなくなっちゃったので、私の方から申し上げたいと思うんですが、この五年間で宮城県だけで三件中三件とも飛散による被害であったと。それかも福島県の場合には一件中一件、これが飛散。それから茨城は九件中七件が農薬の飛散によるもの。千葉は十一件中十件が同じく飛散によるもの、こう聞いておりますが間違いございませんか。
#104
○政府委員(秋山智英君) 御指摘のとおりであります。
#105
○下田京子君 そうしますと、さっきからもいろいろ議論になっておりますけれども、農薬だから一定の被害は認められると。しかし、人体や他の産業に被害を与えないようないろんな方策でもって指導していくんだと、こういうことなんですけれども、この飛散による被害ということを単純に風向きがどうだったからだということで終わらせないで、十分な調査と対策が必要だったと思うんですけれども、この点いかがです。
#106
○政府委員(秋山智英君) これはやはり今後特別防除を進めるに当たりましては、これまでもそうでありますが、地域に及ぼす、自然環境あるいは生活環境の保全、さらには農業漁業への被害を及ぼさないような点に配慮してきたわけでございますが、これからもさらにこの問題についてはより一層厳しくやっていかなきゃならぬと考えております。
#107
○下田京子君 厳しくやるということは調査してきちんとした対応を研究されるのかということです。端的に答えてください。百二件のうちの一番多いのが蚕さんなんですよね、三十四件。それから次がハチですよ、二十八件なんです。大事な問題ですよ。ですから。きちんと研究をして対策とるかどうか。
#108
○政府委員(秋山智英君) これらの問題につきましては、過去五年間の経過を踏まえまして、さらに調査等も十分してまいりたいと考えております。
#109
○下田京子君 調査するということですから、調査をし、対応を具体的にやっていただきたいと思います。
 そこで、この前も申し上げましたが、時間がなくってお答えいただけなかったんですけれども、環境庁が委託をして調査していただいた山階鳥類研究所の調査結果の問題です。検討されましたか。
#110
○政府委員(秋山智英君) 報告書を読ませていただきました。
#111
○下田京子君 御感想はどうです。
#112
○政府委員(秋山智英君) これはやはり調査結果、読ませていただきましたが、やはり調査期間が非常に短期間の、しかも限られた範囲でございますので、レポートでも十分な結論を得るに至ったものとは考えてないというふうなこともございます。
   〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕
しかし、これは非常に重要な問題でございまして、林野庁といたしましてもこの調査を参考の一つにしながら、これからもやはり薬剤防除の安全確認調査というのは進めてまいるわけでございますので、参考にしながらまた私どもも継続して実施してまいりたいと、かように考えています。
#113
○下田京子君 そうしますと、自然環境保護団体の皆さんの意見ということをかなり尊重していくということは有効でありますし、このマツクイムシ防除の基本にひとつ据えなければならない課題だと思うんです。そういう点で、県の審議会の中にもこうした関係者の皆さん方がお入りいただけるように具体的に御指導いただきたいと思うんですが、その点はどうですか。
#114
○政府委員(秋山智英君) 各県の森林審議会のメンバーを見てまいりますと、学識経験者を初め、専門家もありますが、さらにはこの自然保護の関係の団体の長が入っておられる県もございます。今後この問題につきましては、具体的に検討しながら万全を期す考えでございますが、その一環としてこの問題につきましても検討をさしていただきたいと思います。
#115
○下田京子君 最後に、大臣検討ではだめなんで、明快なお答えいただきたいんです。被害の発生が出ている、そしてそれをどういうふうにしてできるだけ少なくしていくかということで、そうした自然環境保護団体の皆さんがおやりになっている研究や、それから意見などもどんどんお聞きしていきたいと、こう言っているわけです。とすれば、その県の森林審議会の中にちゃんとこうした団体の方がお入りいただけるように、具体的に指導をいただきたいと思うんです。四県だけなんです、いま入っているのは。どうでしょうか。
#116
○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど長官から答えたように、やはり検討してまいります、その点については。
#117
○下田京子君 最後に、検討じゃだめなんですよ。そうした人たちが入れるように、きちっとしたやはり指導、いただきたいんです。指導するかしないか、検討するなんということもないでしょう。いままでのお話、ずうっと承ってきたら、当然こういう方々の意見というのは聞くべきじゃないですか。
#118
○国務大臣(田澤吉郎君) 指導するようにいたしたいと思います。
#119
○喜屋武眞榮君 私、前置きといたしまして人畜に被害を与えないように、しかも防除、防遏の目的を完全に果たしてもらわなければいけない、こういう期待を持って質問いたします。
 まず第一に、現行法ができた時点ではあと五カ年をすれば完全防除ができるという見通しを持って立法されたと思いますが、ところが皮肉にも現実は、その翌年からぐんぐん激増しまして三倍近くの発生になっておる、このことに一体、どうも矛盾を感じてなりませんが、これをどう受けとめておられるか、また責任を感じておられるか、大臣にお聞きをしたいと思います。
   〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕
#120
○国務大臣(田澤吉郎君) 五十二年の法制定の当時、やはり当時の防除技術あるいはまた当時のマツクイムシの現状、被害状況等から見て五年間で何としても終息しなきゃならないという決意で五年間これに対処してまいったわけでございますが、先ほど申し上げましたように五十三年のやはり異常気象というものが全体の環境を大きく変えたこと、そのことによってと、また特別防除に対する限界あるいはまた伐倒駆除に対する一つの限界等もございまして今日大きな被害を生んでいるわけでございまして、私たちはこれまでの過去五年間の責任は十分痛感いたします、そういう点では。したがいまして、この責任をやはりこれからの新しい法律の五年間によりまして何とかこれを終息したい、これが私たちの決意でございますので御理解をいただきたいと思うのでございます。
#121
○喜屋武眞榮君 次に、薬剤の効果は三週間ですか、三週間だと言われ、そしてそれを二回散布すると、こういうことになっておりますね。そうしますと、そこで問題は、マツノマダラカミキリの羽化脱出とのタイミングですね。完全にそれが乗っかからぬというと完全駆逐はできぬと、こういうことになりますね。その点どうお考えですか。
#122
○政府委員(秋山智英君) 先生御指摘のとおりでございまして、これにつきましてはこのマダラカミキリの発生消長調査というのを実施しておりまして、これは地域によって時期がだんだんとずれてまいるわけでございます。したがいまして、特別防除を実施するのは南からだんだん北へというふうなことでその発生の状況とうまくかみ合うような形で防除をせないかぬ、かように考えております。
#123
○喜屋武眞榮君 次に、マツノマダラカミキリの気温によって時期がずれますね、日本列島をずっと寒帯、温帯、亜熱帯と、こうなりますね。そうしますと本土では大体六月から七月の間ですね。ところが沖縄のように高温多湿の温度の高いところでは四、五と、こうかみ合わないわけですね。そういった気温によるずれをどうかみ合わしていくかということが非常に大事な問題であると思うんですね。その点からすると、仮に法はできても手続にまた相当時間がかかりますね。その時間のためにすでにもう発生しておると、追っかけていったんじゃ間に合わないのじゃないかと、こういう心配もあるわけなんですが、どうでしょうか。
#124
○政府委員(秋山智英君) 沖縄県におきましては、四月の中下旬から先生御指摘のように始めなければならないということで、これはできるだけ速やかに対応しその措置ができるように進めてまいらなきゃいかぬと、かように考えております。
#125
○喜屋武眞榮君 次に、もう時間がありませんから結論だけ問題提示をいたしたいと思いますが、沖縄の場合は他県と違いまして、これは特に防衛施設庁の立場も関連しますので、基地の中は米軍が、基地の外は日本政府がと、こういう立場があるわけなんですね。しかもそういう立場の中で今度はマツクイムシが間を縫うていくと、完全に普通の場合であってもその防除体制がうまくいかないというと抜けていく心配がありますが、いわゆる治外法権の基地の中でマツクイムシまでも治外法権の特権を持ってやりますというともう大変なことになるわけなんですがね、その点沖縄におけるマツクイムシの防除防遏体制についてはどのような対策を持っておられるか。
#126
○政府委員(秋山智英君) 沖縄県におきますところのマツクイムシの防除につきましては、沖縄県とそれから那覇防衛施設局それから米軍の三者の連携を図りながらこの被害量の把握あるいは防除方法、防除時期等につきまして随時連絡調整を図っておるところでございます。それで特に沖縄県知事それから那覇の防衛施設局長、米軍の四軍の調整官から成ります三者連絡協議会というのを開催しながら、この防除につきまして基地の立入手続の簡素化とかあるいは密接な情報交換等をやりながらこれまでも連携をしてまいっておりますが、さらに今後一層その辺の連携をとりたいと考えております。
#127
○喜屋武眞榮君 どうもそのような一応姿勢はよろしいと思うのですが、現実はこの二、三年来沖縄のマツクイムシが猛威をふるっておるということは御存じだと思いますね。それで本当にそういった完全な緊密連絡提携がうまくいっておらぬのではないか、こう思うわけなんですが、それで予算措置は米軍あるいは日本政府との関係はどうなっておりますか。
#128
○政府委員(秋山智英君) 五十七年度につきましては、米軍におきましても二億六千万町の予算措置をとられていると伺っています。私どもは、やはりこれは連携をとりながら密接に防除体制をとりませんと駆除できませんので、できるだけ早く再度連携をとりつつその体制について万全を期してまいりたい、かように考えております。
#129
○喜屋武眞榮君 米軍の予算どうなっていますか。
#130
○政府委員(秋山智英君) 百十五万ドル五十七年度に予定しておると伺っております。
#131
○喜屋武眞榮君 いまの百十五万ドルというのは五十七年度間違いありませんね。
#132
○政府委員(秋山智英君) そういうふうに伺っております。
#133
○喜屋武眞榮君 もっとお聞きしたいことは、米軍の態度はどういう態度ですか。
#134
○政府委員(秋山智英君) 沖縄県からのこれは報告によりますと、特にここ一、二年は積極的に防除体制を確立してやるというふうに予算的にも措置がなされてきておりますので、私どもといたしましてはさらにこれを十分な連携をとりながらやっていかなきゃならぬ、かように考えておるところであります。
#135
○喜屋武眞榮君 次に、この発生の経路ですね、発生の経路にはいろいろあるようでありますが、アメリカから来た松材が原因になっておるのだとか、それから製材所を中心として猛威をふるっておるのだとか、こういったこともいろいろありますが、どうなんですか。
#136
○政府委員(秋山智英君) このマツノザイセンチュウがどこが一番最初かということにつきましては、まだ学者間でははっきり結論は出ておりませんが、これにつきまして、わが国で発見されましたマツノザイセンチュウと同じものがアメリカにおきましても発見されたということは言われています。
 そこで、防除をするに当たりましてはやはり貯木場あるいは製材工場周辺というようなところには相当注意を払い、丸太の移動等につきましても監視をしながら、この制限あるいは禁止をするというようなことも大事でございますので、それらにつきましても今後市町村にもそういう予算もつけておりますので、県の森林病害虫等防除員と連携をとりながら対処してまいりたい、かように考えております。
#137
○喜屋武眞榮君 なぜ私がそれを念を押すかと申しますと、沖縄の場合こういう見方があるんです。米軍基地がその温床、こういうことで具体的に挙げたんですね。米軍基地、いわゆるアメリカの松材を米軍が基地内に持ち込んで、そこでいろいろな施設をやりますね。それが一つの経路になっておるんじゃないかということを、これは断定ではありませんけれども、そういうことは十分予想されるんですね。このことは、これは御存じでしょうか。
#138
○政府委員(秋山智英君) 情報としては読ませていただきました。断定はできませんが、今後やはり松材の移動等についてはやはり防除の一環として厳正にしていくことが大事だと思っております。
#139
○喜屋武眞榮君 重ねて申しますが、沖縄の特殊事情下においては、これはいろんな面で言えるんですが、いまマツクイムシという一例でありますが、基地と基地の外、そうして基地の特権がいろんな形で沖縄県民に被害を与えておるという、これをどう調和、調整していくかということを、たとえばこの問題については、これは農林大臣あるいは防衛施設庁の非常に重要な責任をこれは感じてもらわなければいけない、こういうところに漏れが出てくるんですね、こういうふうに出てくるんですね。これは大変な猛威をふるっておるわけなんです。
 そこで次にお尋ねしたいことは、たとえば沖縄に果樹の害虫としてウリミバエとかミカンコミバエがおりますね。それがこの数年来で一応駆逐が成功しておるんです。その一つに不妊化、こういうことがあるんですね。不妊化の問題がありますね。そういうことから思いますことは、天敵とか不妊化によってこれを駆逐していく、こういうことも考えられるのではないかと思うんですが、どうでしょうか。
#140
○政府委員(秋山智英君) いまの不妊化の問題でございますが、これは林業試験場におきましてもこれを追求したわけでございますが、その結果、マダラカミキリの雄の不妊化に必要な放射線量は一応コバルトでやってわかったわけでございますけれども、問題は雄バチを、これは共食いをするものですからなかなか増殖ができないという問題がございまして、さらに実用化まではいかないというふうな話がございます、現段階では。共食いをしてしまうと言うんです、虫同士でですね。
#141
○喜屋武眞榮君 最後になりますが、大臣にお聞きしたいと思いますが、沖縄の開発を考えた場合に、いろいろの障害が出てくるわけなんですね。人的、物的あるいは天敵、そういったいろいろの面があるわけなんです。そういった他県と違うこの特殊な事情を常に配慮してもらわぬというと、本土の物差してはそのまま当てても適用しないことがいっぱいあるわけなんですが、その点十分今後も配慮してもらわなければいけない。こういうことで、特に大臣の沖縄に対する認識、また第一次産業、国民食糧の資源生産地としてのこういった位置づけをいつも私強調するわけでありますが、そういう点から大臣の所見を承って終わります。
#142
○国務大臣(田澤吉郎君) 喜屋武先生には、さきに予算委員会においても御答弁申し上げたのでございますが、沖縄の農業の特殊性を十分考えながら今後積極的な農林水産行政を進めてまいりたい、かように考えます。
 また、ただいまマツクイムシの被害についても特殊な事情等もございますので、その点も十分配慮しながら今後対策の万全を期してまいりたい、かように考えます。
#143
○委員長(坂元親男君) 先ほどの坂倉君の質疑に対する答弁の補足がありますので、これを許します。小島農蚕園芸局長。
#144
○政府委員(小島和義君) 先ほど坂倉先生から御指摘がございましたNACの毒性データ問題につきまして、追加してお答え申し上げます。
 先ほど御指摘ございました半数致死量の実験データの体重キログラム当たり九十一ミリグラム分の相違でありますが、毒性判定の上から問題になるほどの数値ではありません。したがいまして、これにより散布農薬の希釈濃度等に影響を与えるものでもありません。その点につきましては、環境庁とも打ち合わせ済みでございます。
#145
○坂倉藤吾君 いまお答えをいただきましたが、問題は利害関係にある特別防除区域の近辺の方々の心配というのは常に大変なものを持っているわけでありまして、しかも過般といいますか、ちょうど昭和四十七年の六月の十六日に第六十八回の国会でありますが、自然環境保全法が成立をするに当たって、本院での附帯決議があるわけであります。それはその附帯決議の七項に「森林に対する薬剤散布については、環境汚染への影響にかんがみ、その毒性研究」あるいは「規制を強化する」、こういうことについてきわめて留意を呼びかけているわけですね。この附帯決議は御存じだろうと思うんですが、少なくともこれは、単に主管官庁が環境庁だというのではなくて、当然林野庁あるいは農水省あるいは関係の厚生省、こうしたところが大分この課題についてみずから取り組んでいくというこういう点を明らかにして進めなきゃならぬだろうと思うんです。ただ、国の予算の関係その他から見て、たとえば薬剤会社その他が出してくるデータについて、独自の判定ができるようななかなか研究というのは大変な資金を要するわけでありますから、そのとおりやれというふうに私は申し上げませんけれども、絶えず毒性の研究をする。そして、それに対する毒性の特徴をつかんで、それに対応した具体的な何といいますか、技術あるいは取り扱い上の注意、こうしたものについて当然、付近住民の方々にも十分納得のいくような説明をしていく、こういう配慮がきわめて重要であろうと思う。そういう意味合いでのチェックの仕方等について、さらに検討をしてもらうように要望し、一応いまの答弁についていろいろ異論のあるところですけれども、これはまたの機会にいたしたいというふうに思います。
 以上です。
#146
○委員長(坂元親男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認めます。
 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十三分開会
#148
○委員長(坂元親男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#149
○川村清一君 それでは、第七次漁港整備計画につきまして質問をいたしますが、大臣にまずお伺いいたします。
 わが国水産業は、二百海里時代のすでに六年目を迎えて、きわめて危機的な状況に置かれておることは御承知のとおりだと思います。海外漁場におきましては、漁業規制がますます強められておりますし、漁業用の燃油価格の高騰はとどまることを知らないというような状態であります。さらにこういうような情勢の中で、生産者価格というものは低迷を続けておる。そのため、西日本の以西底びき網漁船の減船を初め、大中のイカ釣り漁船の減船、さらには遠洋マグロ漁船の減船問題がいま大きな政治課題になっておりますが、これらの対策が現在強く求められておるところでございます。
 で、こういう情勢の中で、われわれは生産構造の再編整備のため、全力を挙げて取り組んでいかなければならないことは当然なことでございますが、同時にわが国漁業の基本的課題といたしましては、わが国の二百海里水域内での漁業の発展、つまり外国の影響を受けない沿岸、沖合い漁業の振興、このために全力を挙げていかなければならないと私は確信しておるわけでございます。
 そこで、沿岸、沖合い漁業を地場産業として発展させていくためには、漁港の機能的整備が非常に重要であることは言うまでもないことでございます。そこで現行の第六次漁港整備計画を一年繰り上げて、漁業情勢の変化に対応して新しい計画、すなわち、ただいま議題になっておりますところの第七次整備計画を策定されたものと思うわけでございますが、大臣の第七次計画を策定されました基本的な見解、私がいま申し上げましたが、こういう見解の上に立って第七次計画というものが策定されたと思うわけでございますが、これに対する大臣の御見解をまず伺いたいと思うわけであります。
#150
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま御指摘のように、いま水産界の環境は非常に厳しゅうございます。すなわち、二百海里規制の強化、燃油価格の高騰等大変な状況にあるのでございまして、しかしながら、その中でやはり水産物の安定供給を図る、そのためには、わが国の周辺水域の豊富な水産資源を活用してまいらなければいけない。そこで沖合いあるいは沿岸漁業の整備を図る。また一方、強力な漁業外交を進めることによって、遠洋漁業の整備を図るということが基本でございまして、そういう面から考えますというと、やはり漁港は漁業の生産あるいは流通の場でもあるし、あるいはまた、漁村等のいわゆる生活の場でもございますので、やはり漁業振興のためには、漁港の整備というものは非常に重要な役割りを果たすというような点を考えまして、特に最近の社会経済情勢の推移が、やはり六次から七次計画をせざるを得ない一つの大きな変化もございますので、今回この七次計画を策定いたしたわけでございまして、行財政の非常に厳しい中にこの計画を策定いたしたというのが実態でございます。
#151
○川村清一君 大臣の基本的な考え方は、私の考え方と大体一致しておると思うわけでございます。
 そこで、承認を求められている第七次整備計画でございますが、これは五十七年を初年度として六十二年に至る六カ年計画であります。事業費一兆二千億円に及ぶものであって、さらに、第七次の漁港整備長期計画の中に取り込まれている改修事業、局部改良事業を含めると、総事業費は一兆八千五百億円に及ぶ膨大なものでございます。総事業費はこのような膨大なものでございますが、さて、この事業予算というものがもし充足されなければ、せっかく策定されたこの計画も、全く画餅に帰すわけであります。財政再建が最大政策になっておる現在の厳しい財政状態の中で、この予算が獲得されることが果たして可能なのかどうかということに、はなはだ私は疑問を持っております。第七次計画を提出されている責任大臣として、どのような決意を持ってこの案件を国会に提出されておるのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。
#152
○国務大臣(田澤吉郎君) 御承知のように、昭和五十四年から六十年度まで、いわゆる新経済社会七カ年計画が策定されておりまして、その中の公共事業全体が、御承知のように二百四十兆円でございます。その後、経済動向等にかんがみまして、総枠の二百四十兆円はこれは変更しておりませんけれども、六十年度までに支出額を百九十兆円に設定いたしたのは御承知のとおりでございまして、このいわゆる新経済社会七カ年計画に沿ってこの新計画はつくられたものでございますので、政府としても、その達成には責任を持って努力をする考えでございます。
#153
○川村清一君 重ねてお尋ねしますが、ただいまの大臣の御答弁によって、第七次はこの計画期間内において完全に実施すると、こういう御決意であると、そう確認してよろしゅうございますか。
#154
○国務大臣(田澤吉郎君) そのとおりでございます。
#155
○川村清一君 それでは、私は具体的にお尋ねいたしますが、第一次と第二次は別といたしまして、第三次は、昭和三十八年から四十五年に及ぶ計画であります。第四次は、四十四年から四十八年までの計画であります。第五次は、四十八年から五十二年までの計画であります。第六次は、五十二年から五十七年までの計画であります。そして、今度の第七次は、五十七年から六十二年までの計画であります。
 で、このいま申し上げた計画全部通して見ますというと、必ず計画の最後の年次を次の計画に移してですね、いわゆる一年繰り上げて計画をつくるということが一つの慣習になっているようでございますが、これはどういうわけでございますか。
#156
○政府委員(松浦昭君) 確かに、川村委員御指摘のように、過去の計画を見てみますると、計画の完了の一年前に次の計画を策定しているという状況は事実でございますし、また、今回の第七次計画につきましても、一年繰り上げて新しい計画をつくるということにいたしたことは事実でございます。しかしながら、この考えは、何分にも計画期間が長い期間でございまして、その間に、大きな漁業の情勢の変化、たとえば漁船の隻数が増大したり、あるいは大型化したり、いろいろな変化を来しております。
 また同時に、たとえば二百海里の設定といったような事態であるとか、あるいは燃油価格の異常な高騰といったような周囲の変化というものもあるわけでございまして、かような状況にかんがみまして、第六次の計画では、その当初におきまして見通しが立て得られなかった、その状況を補正いたしますために一年繰り上げて第七次の計画を策定したという事情でございます。
#157
○川村清一君 それでは、さらに具体的にお尋ねしますが、第四次計画は四十四年から四十八年までのもの、そして、四十八年一年繰り上げて四十八年から第五次になっておりますが、その結果を見ますというと、第四次におきましては、第五次に移るまでの事業予算とその達成率、進捗率でございますが、全体で一千五百億の計画、これが千百六十三億円事業をやりまして、進捗率七八%、したがいまして、事業量の残りが三百三十七億円、全体で二二%、これがこの四十八年を繰り延べて第五次に移行しております。第五次の全体計画は四千八百億円、そして、その第五次の第一年度は、つまり四十八年、このときにつけた予算が五百十四億円、したがいまして、第四次全体を考えると、第五次の初年度を含めまして全体でもって一一二%いっています。つまり、第四次の残り三百三十七億に対して第五次の初年度で五百十四億という、残高をさらに超える予算をつけましたから、一一二%事業が達成された、これは高く評価するわけであります。
 ところが、第五次は、計画予算は四千八百億円、この達成率は四九%、すなわち二千三百七十一億円事業をいたしましたから、残は実に二千四百二十九億円、五一%残っておるわけであります。これだけを残して第六次に五十二年から始まりました。そして、第六次の初年度、つまり昭和五十二年につけた予算は九百二十七億円、したがいまして、残り二千四百二十九億円に対して九百二十七億円しかつけておりませんから、第五次の総事業量進捗率というものは六九%にすぎないのであります。これはおわかりのとおりです。
 次に、第六次であります。
 第六次は、五十二年から五十七年、ことしまでの計画、総事業量は八千八百億円、そして、遂行した事業は七三%の六千三百八十億円であります。したがいまして、残りは二千四百二十億円、二七%残して第七次に入りました。そこで、第七次の初年度はことしであります。ことしの予算は言うまでもなく一千四百三十五億円、そうすると、第六次で残っておるものが二七%で二千四百二十億円、二千四百二十億円を第七次の初年度のことしにそれをつけたとするならば、第六次の計画は満席にいったということであります。ところが、二千四百二十億円残っておるのに千四百三十五億円、つまり、第六次のこの事業達成率というものは八九%の七千八百十五億円であります。これが現実の姿であります。
 これを、先ほど大臣が言われた決意と比較して、どう御説明なされるのか、説明をお聞きしたい。
#158
○政府委員(松浦昭君) ただいま川村委員がおっしゃられました数字は全部そのとおりでございます。
 そこで、御説明を申し上げますと、確かに第五次の計画におきましては、昭和五十一年までの計画の達成率が四九%でございまして、第六次の初年度において九百二十七億円をつけましたが、それを加えまして、仮に五次がそのまま実施されたとしても六九%の数字はそのとおりでございますが、この年は御案内のように、きわめて異常な年でございました。まず、オイルショックが非常に深刻に日本の漁業を襲ったという、また日本経済全体を襲ったという年でもございますし、さらに加えまして、二百海里の設定があったというきわめて計画の実施に当たりましてはむずかしい条件が整った年でございました。
 また、第六次の計画につきまして申し上げますと、確かに昭和五十六年度までの達成率は七三%でございました。この七三%と申しますのは、実は私ども第六次の計画の昭和五十六年度までの進捗率として予想いたしました状況とは余り差はございません。しかしながら、昭和五十七年度予算、これは御案内のように行財政の改革によりまして、いわゆるゼロシーリングのもとにつくられた予算でございまして、この予算が大きく響きまして、先ほど第六次の最終年度を五十七年度と仮定いたしました場合におきましても八九%、約九〇%の達成率しかないという御指摘のとおりでございます。しかしながら、先ほど先生も御指摘ございましたが、第四次の計画におきましては、仮に一年繰り上げました状態につきまして、そのまま事業が完成されたと考えますと一一二%でございますし、その前の第三次計画は一〇三%という実施の状況になっておるわけでございまして、必ずしも従来まで計画が一〇〇%完成できなかった年ばかりではないということでございます。
 先ほど大臣の御決意にもございましたように、確かに行財政改革のむずかしい折ではございますけれども、しかしながら、今後の予算の獲得を最大の努力をもって行うことによりまして、この第七次の計画というものは完全に実施いたしたいというふうに考えている次第でございます。また同時に、この漁港の整備事業と申しますのは、ほかの公共事業とはやや違った要素があると思います。つまり、漁港は社会資本の中でも特に整備水準が低い状態にございますし、また、漁港は用地の取得等の問題が少ないために経済的波及効果も非常に大きいということもございます。さようなことで、かつての年次の中では一三〇%あるいは一四〇%対前年度増といったような予算がついている時期もございまして、今後の努力によりましてこの第七次の計画は達成しなければならないし、また達成できるものというふうにお考えになりまして、大臣が御答弁なすったと思います。
#159
○川村清一君 長官はなかなか答弁がうまいですからだまかされるんですが、確かにいい年もありますが、大体においていってないんですよ。オイルショックなんということをおっしゃった。それ以上に財政再建という、財政を圧迫する大きな要素がある、これからの財政で、第七次の一兆二千億というこの事業量を一体完遂することができるかどうか、はなはだ疑問でありますが、大臣が決意を述べられたのですから、これはまず信用しておきます。
 そこで、さらにお尋ねするのは、いまは一兆二千億という第七次の漁港整備計画についてお尋ねしているんで、そのほかに長期計画になりますというと、改修事業、局部改良事業があるわけでありますが、これもいまの第七次計画と同じであると、この予算についても大臣は責任を持って獲得に全力を挙げるという決意であるだろうと思うんですが、これを重ねて大臣の決意としてお述べいただきたい。
#160
○国務大臣(田澤吉郎君) 当然これは第七次計画の中に入っていることでございますので、責任を持って努力をいたしたいと考えております。
#161
○川村清一君 重ねて申し上げますが、これは、漁港法に基づいて、漁港審議会にかけて計画策定がされまして、もちろん計画策定のその計画の中では大蔵の了解も取りつけて、そして閣議決定して、国会の承認を求めるために国会に出しているわけです。したがって、国会でわれわれがこれを審議して承認した場合においては、第七次漁港整備計画に対しましては国会も責任があるわけでありますから、したがいまして、重ねて申し上げますが、この第七次計画、いま国会で議論しているこの計画が承認された暁においては、絶対にこれが完全に実現できるように努力されたいということを重ねて申し上げておきたいと思います。
#162
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま御指摘のように、漁港審議会の議を経ておることでもございますし、また先ほど申し上げました新経済社会七カ年計画にものっとっておることでもありますし、また他の長期計画と異なりまして、漁港整備計画は国会の議を経るという非常に重要な機関の決定を経ての設定に相なるわけでございますので、そういう点では、先ほども申し上げました、責任を持ってこの点は達成するように努力をいたしたいと考えております。
#163
○川村清一君 漁港関係整備事業に要する費用は国だけが負担するのではなくて、都道府県、市町村が負担しております。そのほか一部受益者団体が負担しておるところもあります。受益者団体とは何か。これは地元の漁業協同組合であります。そこで、昨年成立いたしました行革関連特例法で、財政再建期間中国の負担または補助の金額が縮減されることになっておりますが、こういったような関係で地方財政もきわめて厳しい状態であります。この計画実現に向けて地方自治体は財政的に一体対応できるかどうかということが心配であります。また、漁業協同組合などは、漁業不振から信用事業も不安定なために組合運営も容易でない状況でございます。このような情勢の中で、計画実現のためには、国が地方自治体財政確立のため相当な援助協力をすべきだと私は思うんでありますが、政府としてはどう考えでいられるか。
#164
○政府委員(松浦昭君) 確かに先生御指摘のように、地方の負担というものは、この漁港の整備計画を達成いたしますために非常に重要な要素でございます。ちなみに、まず地方公共団体の負担の方から申し上げますと、昭和五十六年度の漁港整備事業に対しますところの地方負担額は、都道府県分が約四百七十一億、市町村分百九十七億、合わせて六百六十八億と見込まれておりますし、五十七年度につきましては都道府県が四百九十九億、市町村分約百九十五億、計六百九十四億というふうに推定しておるわけでございます。これらの漁港整備事業に対しまするところの地方負担の財源としましては、もとより従来から地方公共団体自体の自主財源というものがあるわけでございますが、また一方で地方交付税なりあるいは地方債によりましてこれを満たしているという状況でございます。ただ、地方税収入の減少であるとか、あるいは地方交付税の財源でありますところの法人税等の減収によりまして、昭和五十一年から五十六年度までは臨時の財源対策ということで起債が認められてまいっておりました。ところが、この起債の充当率がだんだん下がってきておりまして、五十一年から五十四年度は九五%でございましたが五十五年が七五、五十六年が六〇というぐあいに引き下げられてきております。もとよりこれに対しまして、起債枠の減額に対しましてはその一部分について地方交付税の増額が図られてきておりまして、これを埋め合わせておるわけでございます。
 そこで、五十七年、ただいま先生もおっしゃられました行財政改革のもとにおいてどうなるかということでございますが、私ども最も心配しておりますのは、いわゆる行財政改革の一環としての財源対策債の起債枠の解消の問題でございます。これにつきましては、私ども自治省とはいろいろと話しておりまして、一つは地方税制の改正による増収措置、第二は地方交付税の増額措置というものがとられるというふうに聞いておりますし、さらに影響緩和措置といたしまして五十七年に限りましては起債枠につき特別の所要の措置をとるということを自治省の方と連絡をとりながらやっておりまして、さような対策を財政当局としてはとるということを聞いておるわけでございます。
 そこで、もとよりこれは五十七年だけでございますので、第七次の漁港整備計画の全体にわたりましても私ども自治省とは十分話し合ってまいりましたので、今後ともこの地方財源の調達につきましては遺憾のないように十分連絡を保ちながらその確保に当たってまいりたいというふうに考える次第でございます。
#165
○川村清一君 次にお尋ねしたいことは、第七次漁港整備長期計画の中に調整費として一千三百億円が計上されておりますが、調整費というのはどんな内容のものなのか、御説明をいただきたい。
#166
○政府委員(松浦昭君) 調整費は、いわゆる漁港整備長期計画に常に入っているものでございますが、これはその計画を実施いたします過程におきまして、計画変更に至るような重大な情勢の変化ではない場合でございましてしかしながら部分的には計画当初の予測と異なった情勢が生じた場合に、これに対処するための留保資金ということで、これを充当することによりまして事業の円滑な実施を図るというためにとられている財源でございます。
#167
○川村清一君 調整費という名目の経費が他の公共事業計画の中にも計上されていることは承知しておりますが、しからば漁港整備計画実施の中でこの調整費という予算が実行されたことがあるのかどうか、御説明願いたい。
#168
○政府委員(松浦昭君) 従来の計画では調整費を取り崩したことはございません。ただ、このようなことを検討いたしました時期はございまして、たとえば昭和四十七年に沖縄がわが国に復帰をしたとき、それから昭和四十九年に奄美群島の漁港整備が自治省から農林省に所管がえとなったとき、この二回につきましては検討いたしましたが、取り崩しまでは至らなかったという事情がございます。
#169
○川村清一君 非常に納得のいかない予算なんですが、過去の経過を見ますというと、第四次のときには二百億円、第五次のときには五百億、第六次でも五百億円、これが検討されたことは一回あるが使ったことがないと、そういうものが第七次では倍以上の千三百億円もここに計上されていることはどうも理解できないんですが、もう一度御説明ください。
#170
○政府委員(松浦昭君) 確かに第四次におきましては二百億円、第五次が五百億ということでございましたが、これ、パーセントに直して考えてみますると第四次計画は全体計画の中の八・七%でございます。第五次計画が六・七%、それから第六次計画は非常に小さくなって三・四%となっておるわけでございますが、大体六%が平均でございまして、今回の調整費は第七次の中におきまして全体事業費のおおむね六%ということで、比率としては大体同じであるということでございます。つまり全体の計画が大きくなりましたので金額としてはかさんでおりますが、おおむね従来の平均的な調整費をつけたということでございます。
 なお、ほかの公共事業力計画を見てみますると、その平均は全体事業費の七%程度でございまして、過去の漁港の整備計画あるいは他の公共事業の長期計画に比較いたしまして今回の第七次の計画の調整費はさほど大きなものというふうには考えていない次第でございます。
#171
○川村清一君 政府の方は、すべて公共事業等は前年比価%何%といった何%で言うんですが、私は何%よりもむしろ金額を言っているのであって、その使わない子三百億、まあこれは第七次ですが、第六次なら五百億円、先ほど申し上げましたように、第六次は八千八百億円のうち六千三百八十億円を実施して、二七%二千四百二十億円を残して第七次に移行したんです。ところが第七次のその予算は千四百三十五億で、これをプラスして八九%なんです。そこで、この千四百三十五億円に残ったこの五百億円をプラスすると大体二千億なんです。ですから、使わない予算ならばこの方に回した方がよほど効果的であると私はそう判断しているんです。そういうことを言っているのであって、何%だからいい、何%だから悪いなんということでないのであって、二百であろうと五百であろうと、千三百ならなおさらのこと残事業費があるわけです、残事業量があるわけですから、これにプラスしたらどうかと、使わないものなら要らないじゃないかということなんですが、他の公共事業費に皆あるから漁港事業もそうするんだということじゃどうも納得いかないから、もう一回答弁してください。
#172
○政府委員(松浦昭君) 確かに第七次の計画全体が二兆一百億でございまして、そのうちでの調整費は大きいようにお考えになりますけれども、実はその調整費等を除きました一兆八千五百億、この数字がわれわれの一番重要な数字でございまして、その数字の中において実際に第七次の計画が、たとえば岸壁をどのぐらいまで利用できるかといったような最終効果も測定いたしまして、ほぼ各県の需要を充足する状態になるかならないかということをいままで十分に検討してまいったわけでございます。そういうような観点から、一兆八千五百億という実質的な計画の事業量、これを目途として、果たしてこれで事業が実施できるかどうかということを計算してまいりまして、それで十分に実施できるという目安をつけましたので、それに調整費等を乗せて二兆一百億としたということでございまして、そのような意味から第七次の計画が、調整費が比率ではなくて額の面で、大きいからということでその事業が非常に困難になるということではないというふうに理解しておる次第でございます。
#173
○川村清一君 まあ、この質問はなかなか説明もできないし、長官にしてみれば一番痛い質問だろうと思いますから、これ以上お尋ねはしません。私はいささか納得いかないということだけ申し上げておきます。
 次に、漁港は言うまでもなく、沿岸、沖合い漁業を発展させて、国民の貴重な水産たん白食糧を安定的に供給する漁業生産活動の基盤であることは言うまでもございません。したがって計画実施に当たっては、漁港における機能の増進を図るため、同時に、水産庁で実施しております沿岸漁業構造改善事業あるいは水産物流通加工拠点総合整備事業等開運する諸施策との整合性を十分考慮していく、また第二次沿岸漁場整備開発計画、こういったものとの連携もきわめて必要でございます。この点、第七次計画策定に当たってはどのように配慮されてきたのか、これをお尋ねいたします。
#174
○政府委員(松浦昭君) 漁港の整備と、その上物になります施設というものがまさに一体に整備されなければならないということは先生の御指摘のとおりでございます。
 漁港は、防波堤あるいは荷さばき所あるいは補給施設といったような各種施設と総合一体になりまして、初めてその機能が発揮できるわけでございまして、これらの施設が有機的に結びついて機能が発揮されなければならないということでございます。
 特に、漁港施設のうちで基本施設あるいは道路、用地等の機能施設につきましては、これは漁港整備事業でやるわけでございますが、漁港施設のうちで冷蔵庫あるいは荷さばき所、給油施設といったような陸上施設につきましては、先生御案内のように、水産物流通加工拠点総合整備事業または新沿岸漁業構造改善事業によって整備されるということになっております。また、そのような観点から、漁港の持つ機能を有機的に発揮するためにも漁港整備事業が、これらの事業との有機的な連携を持つということが必要でございます。
 また同時に、先ほど大臣からも御答弁ございましたが、今回の第七次の計画というものは、特に日本の周辺の二百海里の漁業、日本周辺の漁場の開発あるいは栽培漁場の開発といったようなことと非常に関連を持ってまいっておりますので、沿岸漁場の整備開発計画あるいは栽培漁業の振興施設整備計画といったものともこの漁港計画とが整合性を持つということが必要でございます。
 さような角度から、従来におきましても十分に双方の調整を図っておるわけでございますが、さらに、基本的には都道府県の段階におきまして、これら他の関連事業等を十分に配慮いたしまして、漁港の整備計画をつくって申達するようにということで指導をいたしておりまして、さような点での整合性を保っているということでございます。
#175
○川村清一君 ただいまは漁業生産面からお尋ねしたわけでありますが、次に漁港は漁村集落の中心でもあることは御存じのとおりであります。漁村の生活環境整備はこれは農村に比べますと、遺憾ながら著しく立ちおくれていることは明白であります。したがって、漁民生活を豊かにするためには漁港整備事業とともに漁業集落環境整備事業、これとやっぱり整合性を持たせて、この集落環境整備事業は、第一次が終わって第二次に入るわけでありますが、これとともに強力に実施すべきであると私は思うんでありますが、この点の御見解を伺いたいと思います。
#176
○政府委員(松浦昭君) ただいまの先生の御指摘も全く同感でございます。
 漁村の生活環境が都市に比べましてかなり立ちおくれているということも事実でございますし、水産業の振興を図ります立場から考えますると、単に漁業生産基盤の強化をするということだけではなくて、生活環境の整備ということも非常に重要でございます。特に後継者を確保するといったような角度からもこれが非常に重要になってくるということは私どももよくわかっている次第でございます。このために、昭和五十三年から漁港施設の整備とあわせまして漁業集落環境整備事業を実施しておるわけでございまして、昭和五十七年度の予算案におきましても、事業費で三十八億、国費で二十一億ということで事業の計画も組ましていただきまして、御審議もお願いしているわけでございますが、事業の内容といたしましては、特に漁業集落道の整備であるとか、あるいは水産飲雑用水施設の整備であるとか、あるいは漁業集落排水施設の整備であるとか、あるいは集落の環境改善を目的とした用地の整備といったような非常に多種の事業がこれに組み込まれまして、生産のみならず、生活環境の整備をやっていくということになっているわけでございます。
 かような観点から、漁業及び漁村の健全な発展を図るということで、この事業を今後ともさらに推進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#177
○川村清一君 総論的な質問は大体終わりましたから、まだ若干時間が余っておりますので、今度は具体的な問題について若干お尋ねします。
 現実の漁港、日本じゅうに何千てあるんですから、その何分の一ぐらいしか見ておりませんけれども、しかし、北海道の漁港、これは大体二百何十港あるわけですが、大体一回は見ておるわけであります。
 そこで、その観点から具体的にお尋ねしますが、まず、私が不思議に思っておるのは、具体的に漁港の名前を言いますから、たとえば第三種漁港の三石、それから同じく第三種の様似漁港、第四種の庶野漁港、これらは大体昭和二十六年――庶野は二十八年ですが――に着工されておりますから、いまは昭和五十七年ですから、三十年たっているわけです。それが、第一次、第二次、第三次、第四次、第五次、第六次、第七次と全部やってきてもまだ完成しない。これはどういうことなんですか。三十年たっても完成しないならば、この間に漁業の状況がどんどん変わっていきますから、その都度やっていったら永久にこれは完成しない。私の生きている間にはこれはもうとても完成しないんではないかという気持ちもあるわけですが、これらのことは一体どういうふうに御説明になられますか。
#178
○政府委員(松浦昭君) 確かにただいま先生おっしゃいました漁港の例をとりましても、昭和二十六年から開始をいたしまして、いまだに、まあお言葉によりますと延々とやっておる事業でございます。
 ただ、確かに漁港の整備事業というのは、その計画に沿いまして漁港を計画的につくっていくということで、ある程度まで見通しを立てました一定の期間、長くもなく短くもないという期間を計画期間に定めまして、その間に実行可能な事業量を予定いたしまして、その実施を図っていくということになっております。そのために各事業計画が六年とかあるいは五年とか八年といったような形で実行計画が組まれてまいるわけでございますが、しかしながら一方で個々の漁港の漁業の事情というものを考えますると、その間に大きく変化してまいるわけでございます。
 たとえば、ただいま先生一つお挙げになりました様似漁港の港勢、こういった点を考えてみますると、昭和三十八年に利用漁船でございますが、隻数が八十三隻でございました。ところが、昭和五十四年は三百六十一隻ということで四・三五倍にも上っているわけでございます。しかも、どんどん船が大型化しておりますから、トン数では六百二十五トンというのが実に一万七百五十七トンまでふえてきておるわけでございます。トン数で申しますと十七・二一倍という非常に大きな漁船勢力の拡張になっております。
 このような長い期間において非常に大きなある意味では爆発的な港勢の拡張があるということを考えてみますると、やはり六年とか八年とかいったような、そういう単位ではなかなかはかり切れない変化というものが様似漁港においても起こったんではないかというふうに考えられるわけでございます。
 そういうことで、一たんこの計画が完成を見る時期になりましても、次の事態が発生しておりまして、その次の計画の中でこれを取り入れて、それでさらにこれを実態に合ったものにしていくということが必要になってくるというふうに考えられるわけでございます。
 そこで、また、一たんこのような計画が予定どおり完了いたしましても、その後の発展によってさらに拡充整備を図る必要が生じ、それがまた新たな計画の中に組まれていくということが必要になってくると思います。
 そこで、一方においては、一定期間内に実効ある事態をつくり上げるということ、一方ではその期間を超えた状態においてもなおかつ大きな変化が生じてくるという両方の調和を図っていくということが非常に重要でございまして、このような角度から漁港の整備計画はその発展の過程に応じまして数次に分けまして整備計画の中で連続して計画を立てていく、そうして最終的には、その港勢に合った状態にしていくということが必要になってくるというふうに思うわけでございます。
 このように様似漁港をとりまして港勢の変化を申し上げましたが、ただ単に、これはその漁港の漁業情勢の問題だけではなくて、周辺の状況の変化もございます。たとえば安全性の向上というような角度からより一層新しい技術のもとに漁港の整備を再整備をするということも必要になってくるといったような事態があると思います。したがいまして、確かに延々とやっておるわけでございますが、その区切り区切りにおいてはきちんとした計画の実施を図っていって、さらにその上に計画を連続させながらより充実した漁港をつくっていくということがわれわれの考えでございます。
 なお、一たん完成いたしました施設というのは、それぞれの時点でそれなりの効用を発揮するということでございまして、たとえばトンネルの工事のように、全部完成しなければその効用が出ないというものとは漁港は違っておりますので、さような意味でむだな投資はされていないというふうに考えておりますが、今後とも将来の漁業情勢につきましてはよくこれは見通し、また、周辺の状況の変化を見通しながら、このような計画をじみちに立てていくということが必要であるという点は御指摘のとおりであろうというふうに考える次第でございます。
#179
○川村清一君 長官のお話はわかるんです。そのとおりなんです。そのとおりですけれども、これは長期計画で六年なら六年、またやって十二年とすぐ計画があるんですから、多額の国費を使って計画を立てる以上、見通しというものがあるでしょう。そこの、いわゆる現在の生産に携わる漁船の総隻数、総トン数、そして生産がどのくらいあるか、現実の姿としてあるわけですね。これが一体この六年間なら六年計画の後にはどうなるか、十年後にどうなるか、この漁村のいわゆる漁家戸数がふえるのか減るのか、船が大きくなるのか小さくなるのか、小さくなることはないが大きくなりますが、トン数がどのくらいにふえるのか、生産量というものはどのくらいになるのか、こういう見通しも何もないままに計画を立てるわけではないでしょう。そうすれば、三十年たってもできないなんと言ったって、これはなかなか理解できないですよ。そういうことを一つずつ挙げれば幾らでもありますから、それは答弁要らないです。要らないですけれども、具体的に挙げろと言うなら十でも二十でも私は実際の港を挙げて、漁港を挙げて言いますが、たとえばこの一種、二種だっていろいろ問題ありますよ。まあ私の知っているところでは厚賀漁港など。二十六年にこれは着工していますから三十年たっておる。三十年の間、修築できたと思ったら、完成したと思ったら今度は改修になって、改修になったかと思ったら今度は第七次で修築に入ってくる、何をやっているんだかわからないといったようなことになりますからね、もう少し長期の見通しを持ってやっていただきたい。
 最後にお聞きすることは、北海道の宗谷管内に豊富町という町がありまして、その町の――漁村なんですが、稚咲内という漁港があるんです。この稚咲内という漁村は、戦後魚田開発ということで樺太の引き揚げ者がそこに入った集落なんです。北海道に二つありまして、一つは知床半島の方の宇登呂であります。宇登呂の漁港とこの稚内の近くの稚咲内と二つあるわけです。ところが、この宇登呂の方は非常にサケがとれるものですから、そして、最近は知床の観光地にもなりまして大発展いたしまして、もう御殿のような家がずっと並んでいる、漁村経済はきわめて豊かになったわけでございますが、この豊富に私は七、八年前に行ったところが、漁家戸数は三十数戸しかないんですけれども、全然港がないんです。ですから、船の揚げおろしはもう女、子供さんみんなが長い胴長というんですが、あれをはいて日本海の荒波の中に入っていって、そうして船の揚げおろしをやっているわけですよ。これはそこへ入って三十年たっている、何も自分の責任で来たわけではないわけですよ。戦争に負けて樺太から引き揚げてきて、国や道のいろんな指示があって、全く人一人いないさびしい砂原に入ったわけです。そこにはホタテがあるんだ、資源として。ところが港がないために、一年間で漁業操業ができる日数が七十日しかないというんですよ。ところが、これは漁業法で明らかなように、九十日以上漁業に従事しない者はこれは漁民じゃない、水協法に言うところの組合員になれないんです。七十日しか、しけのために操業日数がない、ホタテ資源があってもとれない、こういうようなことをまあ泣くがごとく訴えられてまいりまして、私は偉い政治家でないから、そう言われてもおれが必ず救ってやるといって胸張っては語れないけれども、組合長あなたの言っていることは必ず私は水産庁長官の耳にこれを入れるからということを約束してまいりまして、時の内村水産庁長官に申し上げましたが、こういうような状態、一方こういうところもある。まあ、あんなところは松浦長官行かれるようなことは絶対ないと思いますけれども、日本――広い国土にはそういうところがあるんです。三十年たっても漁港がない。しけの日本海の荒波の中に入って婦人や子供さんまで長靴をはいて船を揚げおろしやっておる、まことにもって情けがないと思う。しかし、この間調べてみたら第六次だかからやり始めると言うんでありますから、まあよかったと思っておりますけれども、そういうところに漁港行政の中には、もちろん一つの漁港つくるには何億という金がかかるわけですから、そこにいる漁村戸数が三十何月、そこから上がる生産は、その漁港をつくる総予算の本当に何分の一にもならないかもしれないけれども、そこに漁民がいるんだと、漁民が苦労しているんだということであるならば、人権上からもその漁民に大いに情けを持って、そしてせめて船着き場ぐらいつくってやることがあたりまえではないかと、そういう考え方で漁港行政に当たっていただきたいということを私は強く訴えたいんだが、長官の御答弁を聞いて、それから大臣の御決意を聞いて私の質問は終わります。
#180
○政府委員(松浦昭君) ただいま先生熱意を持ってお話になりましたが、私も水産庁に参りましてから、地方に出張いたしますると漁港の修築にかけております漁民の熱意のほどが本当に心を打たれるぐらいに感ずるわけでございます。特に、農林水産省のほかの分野では見られないことでございますけれども、御婦人の方々がたくさん来られまして、私の手を握ってぜひここの漁港をつくってくれということをおっしゃるわけでございますが、確かに婦人の労働が、朝晩あの船を揚げおろしするということは大変な労働でございまして、これが漁港が改修されますと本当に簡単に漁船に乗り移れるという、また朝夕の揚げおろしの労働がなくなるということで、これは大変なその地域の生活の改善になるというふうに考えるわけでございます。そういう意味で私どもできるだけ、生産基盤であり、また生活の基盤である漁港の整備というものに熱心に当たってまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、ただいま特にお名前をお挙げになりました漁港につきましては、一面の砂浜の地帯でございまして、なかなか港をつくるには技術的にむずかしいところであったようでございます。しかしながら、第六次以降私ども努力をいたしまして、個々の改修事業を続けておるわけでございまして、この場でまだどこをどう採択するということを申し上げる段階ではございませんので、その点は差し控えさしていただきたいんでございますけれども、事情は十分わかっておりますということだけは申し上げて、御答弁にかえさしていただきたいというふうに思う次第でございます。
#181
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま水産庁長官の答弁で尽きるわけでございますが、私といたしましても、漁民の実態をできるだけ把握して、漁港はもちろんその他の水産業行政のために最善を尽くしてまいりたい、かように考えております。
#182
○委員長(坂元親男君) 暫時休憩いたします。
   午後二時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時三分開会
#183
○委員長(坂元親男君) 農林水産委員会を再開いたします。
 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#184
○藤原房雄君 本日、漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件、このことについての質疑でございますが、最近漁業を取り巻く諸情勢が非常に窮迫を告げておるといいますか、いろんな言い方があろうかと思いますが、まず大臣の、漁業を取り巻く危機的状態といいますか、諸問題、どういう認識をお持ちなのかということについて、これはもう詳しく言うと非常に問題が山積いたしておるわけでありますけれども、概括的な御所見をお述べいただきたいと思います。
#185
○国務大臣(田澤吉郎君) 御承知のように、二百海里規制の強化、さらに燃油価格が非常に高騰しているという事情、加えて日米間の貿易摩擦の解消等の問題等がございまして、新しい秩序に対するいわゆる対応を考えていかなければならない時代だと、かように考えています。
#186
○藤原房雄君 日本の漁業、言うまでもなく動物性たん白質、日本民族のおよそ半分を賄ってきた、こういう経緯これありで、漁業は日本にとりましては欠くことのできない産業であることは論をまたないと思うのでありますが、二百海里問題が起きましてから、いままで周辺はもちろんのこと、海外へまで出かけまして一千万トンを超す大変な漁獲量を誇っておったわけです。その後、広げられるだけ広げた日本の漁業というものが国際環境の大変な変化によりまして縮小を余儀なくされたという、これはどんどん拡大するということは、高度成長の波に乗って他産業とともにそれはやさしいことなんですけれども、広げたものを縮めるということはこれは大変なことでして、今日まで担当の方々の御苦労というものは大変だっただろうと思いますが、現状に即した形にしなければならぬわけでありますが、やはり構造的にいままでの漁業の構造というものも大きく展開しなきゃならぬ。二百海里というのは、そういう意味では二百海里水域が設定されたとかオイルショックで燃油が高騰したとかいろんな要素はあるわけでありますけれども、漁業の構造改善を迫られている。このことにつきましては、省エネ型とかまた構造改善、こういうことについて何らかの対策を講じなきゃならぬということで水産庁は大臣初め御努力をいただいたんだと思いますが、通観するところ、当局のこの指導性というものが発揮されるよりも、どちらかというと漁業団体、またその成り行きを見守るという非常に消極的なものであった。それが他産業と違って、構造改善と言いましてもそう一気にはできない漁業の特殊性がございますから、それに輪をかけて今日に至ってもなおかつまだまだ問題が未処理のまま残されておる、こういうように思うんですね。ですから、もっとこのあるべき姿というものをとらまえて、それに対してもっと、急激にはこれはなかなかいかないことだろうと思いますけれども、その時に来たら何かでも対応するんだということじゃなくて、長期的な漁業のあるべき姿というものをやはり順次推し進めていくということが大事だろうと思います。また、いままでこの構造改善に対しましては金融対策が中心でしたですね。もっとこの構造的な根本的な問題についてこれは改革をなしませんとならないということが言われておりました。共補償というこのやり方も、まあ魚というのは農業とは違いまして、どれだけの面積にどれだけの収獲があるというある程度の予測、これは漁業の場合は、農業も異常気象とかいろいろなことで予測をするということは非常にむずかしいんですが、漁業はもっとむずかしい条件がございますね。そういう中にありまして、この共補償ということは非常に業界の中で当初考えていた。やってみると実際いろいろな問題が起きておる、いま借入金がおよそ年間の水揚げ高に匹敵するぐらい、こういう状況が続きまして、将来の漁業というものは一体、これはもう必要性というのは先ほど申し上げたとおりでありますけれども、現実問題としてこういう厳しい状況にあり、いまこそ積極的な取り組みがなければ蘇生できないだろう、それにつながります加工業とかいろいろな問題、業界の方々もいま非常に危機に瀕しておる、こういうことで構造改善、構造的な改革、また省エネとかいろんなことが今日まで施策としては叫ばれてまいりましたが、今後こういう問題に対してとことんひとつ積極的にやってもらいたいし、また現在はどういう取り組みをしておるのか、今後に対しての施策、こういうことについてまず基本的な物の考え方をひとつお述べいただきたいと思います。どうですか。
#187
○政府委員(松浦昭君) ただいま先生おっしゃいますように、日本の漁業を取り巻く環境は非常に厳しいものがございまして、先ほど大臣が御答弁なすったとおりでございますが、基本的に申しまして、私、考えまするに三つの大きな問題があろうかと思います。
 その第一は、先ほどお触れになりました世界的に、二百海里の体制が進行いたしまして、なおこれが進行しつつあり、現に二百海里を設定している国が九十カ国にも上っているという状況でございます。このために日本の漁業が漁場を外国において失いまして、遠洋漁業がなかなか振興できないという状況がございます。
 それから第二に大きな問題は、ただいまお触れになりました漁業経営が非常に悪くなっているという状況でございまして、二回にわたるオイルショック、これによりまして魚価が低迷いたしている中にコストだけ上るということから、あらゆる業種が非常に経営の困難に陥っているという点が第二点かと思います。
 それから第三点は、これはできるだけそういうことにならないように努力はいたしておるわけでございますけれども、何分にも魚に対する需要がやや低迷をしておりまして、魚離れといったようなことが聞かれるわけでございますが、この需要というものが将来どの程度まで確保できるかと、この三つの大きな問題が日本の現在の漁業を取り巻いている大きな問題かというふうに思います。
 これに対する基本的な対策として考えるべきことは、まず第一に二百海里の体制の中で処理をしなければならない問題は、このような苦しい環境の中にありましてもなおかつ海外の漁場を外交交渉によりましてできるだけ確保するということが一つございますが、また第二は、日本の周辺の海域、特に日本の二百海里内を見直しまして、特にとる漁業からつくる漁業へという方向に向かいまして、国民のたん自供給というものに対して遺憾なきを期するということが何としても重要な対策がというふうに考えるわけでございます。
 それから第二の漁業経営の対策でございますが、これはただいま藤原委員おっしゃられるとおりでございまして、このような危機的な段階を解消いたしますためには、何と申しましても経営の健全化が第一の要件でございます。このためには、現在の状況では需要あるいは資源の状態に見合わない相当な漁獲量と申しますか、漁船の隻数と申しますか、そういうものがございますので、業界の自主的な努力も相待ちまして、これに対して政府が援助をしながら計画的に、いわゆる生産構造の再編を図っていくということが必要であり、これがために諸般の金融対策その他の対策を五十七年度予算でも強化いたしまして、これに対処してまいりたいというふうに考えております。また同時にこの問題を解決いたしますためには、どうしても技術的な革新によらなきゃならぬという気がいたすわけでございまして、特に魚価は上げますると必ず需要の面にはね返りまして、水産物の需要を落とすということが最近の特に顕著な傾向でございます。さような面では魚価を上げないで経営の安定を図るためにはどうしてもコストを下げるということでございますので、このためには省エネルギー漁船あるいは設備その他、できるだけエネルギーをかけないという方向に向かってまいりまして、コストを落として経営を安定する、そしてまた同時に魚価を安定させて需要を確保するということが必要かというふうに考える次第でございます。
 また、第三点の需要の面につきましては、消費者のニーズに沿ったような形のできるだけ加工あるいは流通に持っていくことによりまして、需要の増進を図っていくということが必要かというふうに考えまして、かような基本的な対策のもとに漁業の政策を運営してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#188
○藤原房雄君 いろいろいまお話ございました。その一つ、一つにまたいろいろ問題もあって、これは時間もございませんから長いお話はできないのであります。いま需要の、三番目のお話ございましたけれども、確かに魚価が高くては、高い魚を食べるよりも肉をということでそちらへ移ってしまう、どうしても制約がある、こういう点で非常にむずかしい一面はあるわけであります。しかし、日本人はどちらかと言うとやっぱり魚を食べる民族であることには変わりないわけでありますが、しかし最近はだんだんだんだん高級魚と言われるものに移行しつつあるんですが、私の方にもたくさんの方々からいろんなお手紙をいただいているんですけれども、イワシを食わしてくれという、これはほかの魚のえさじゃないぞという手紙もたくさん来ておりますが、水産庁でもこれはいろいろ加工の仕方とか、研究していることは私どももよく承知しておるんですけど、やっぱり年配だから昔をなつかしんでということじゃございませんで、やはりテレビなんかでいわき沖でたくさんとれたと、処理に困っているんだみたいな報道される、じゃなぜ、われわれに安いそういうものが口に入らぬのかという、これは素朴な庶民の感情であり、これは流通ですね、工夫によっては、全国的に一様にとはいかないかもしれませんけど、ちょうど牛肉なんかでも輸入牛肉の安売りの日を設定するとか、店を指定とか、いろんなことがございますけど、お魚についてもこれはシーズン中いつもということではない、日を決めてそういうものが手に入るような工夫もこれは必要なことだろうと思います。いままでも御検討なさっていらっしゃるのかもしれませんけれども、こういう大衆魚というものに対しての庶民の何か声が大きいという……。
 それから、さっきもちょっと申し上げたわけですが、漁業の持つ特性ということから構造政策ということでこれを推し進める上においていろんな面で隘路がございますね。減船ということでも自主的にということですけれども、そういうことのためにこれはかえって共補償の負担が経営を圧迫するという、こういう問題が起きますね。漁業だけ特別な助成をということは非常にバランス的には問題になるかもしれません。バランス論から言うとそういうことかもしれませんけど、漁業の持つ特性から言いますと、これはどうしてもしなければならないやっぱり問題があろうかと思うんです。ですから、自主的減船ということだけではなくて、やっぱり助成措置につきましてもこれは考えませんと共倒れという、共補償じゃなくて共倒れになる。しかも、先ほどお話ありましたように、国際漁場においては競争関係にある外国の漁船が増強される、こっちは減船して少なくするんですけど、外国の方で船をふやしてどんどんとるということになりますと、そしてそれを野放ししておきますと、減船の効果というものは、結局魚を減らした分だけ買わなきゃならぬ。日本で買えばそれだけ、本当は共補償によって、減船によって構造政策の効果をあらしめようというものがそうではなくて別な形のものになっていく。こういうことで、競合する外国との交渉とか、秩序ある輸入の実現とか、これをきちっといたしませんと、減船しましても、もう水が漏れるみたいに、この効果というものは発揮できないのはもう自明の理だと思うんです。そういう上からいたしましても、これは国際環境がだんだん厳しくなっておりますので、構造政策というのはやっぱり早くに立ち上がっていくような施策をいたしませんと、漁業というのはこのまま参りますと、これは本当に大変なことになるんじゃないかと私どもは危惧をいたしておるんです。また、関係者の方々も異口同音に、いままでのこういうことを踏襲しておりますと、これはもう行く末は大変だということを言っておるわけです。
 二つの点について見解をお聞かせいただければと思います。
#189
○政府委員(松浦昭君) まず多獲性大衆魚の消費からお話を申し上げますと、確かに先生おっしゃいますように、イワシを例にとりますと、恐らく去年の漁獲は三百三十万トンに達したというふうに考えられまして、大変な漁獲量でございます。これがために多くの部分がえさ用にあるいは肥料用に回っているということは事実でございますが、間もなく閣議の御決定を経まして当委員会でも御審議を願います漁業白書を見ていただきますとおわかりでございますけれども、食用は決して減っていないわけでございます。むしろ非常に漁獲量がふえてまいりまして、多獲性の大衆魚がえさその他に回っているということが実情であるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、やはり食用にこれを回すということが何と申しましても基本でございまして、そのためには現在の若い方あるいは年寄りの方々にも全部向くような形で、いろいろな形の多角的な用途というものが多獲性大衆魚について今後開拓されるべきであるというふうに考えておりまして、実は水産庁もすでにここ数年にわたりまして補助金をつけながらこの多獲性大衆魚の加工を考えておりまして、たとえばかまぼこであるとかあるいはさつま揚げであるとかそういう既存のもののほかに、さらに多獲性大衆魚をより大衆が、消費者が好んで食べていただけるという加工形態の研究というものに取り組んでおります。
 それからまた、流通につきましてもただいま先生御指摘のとおりでございまして、できるだけ流通を、簡単な流通も含めまして多角的に流通を行い得るというようなことも考えておりまして、五十七年度予算をただいま御審議お願いしておりますけれども、その中でもそのような経費というものも考えておる次第でございます。
 それからいま一つの構造政策の面でございますが、確かに先生おっしゃられますように、共補償だけでやってまいりますと、これは非常な負担を背負っていただくことになるということもございますし、また従来からの経営安定資金その他の資金もございますが、この資金が非常にいま多額の資金になっておりまして、経営を圧迫しているということも事実でございます。そこで私ども考えておりますのは、先ほど申しましたように、単にお金を貸すという、そのような一次的なと申しますか、対症療法的なそういう考え方じゃなくて、やはり生産構造そのものを変えていただくということが非常に重要である、そのためには共補償も必要でございますが、何と申しましても、各漁業者が抱えておられる負債を整理していかないとこれはとうてい生産構造が改善できないということで、今回五十七年度予算では三百五十億の枠をもちまして実は漁業経営負債整理資金というのを新たに設けている次第でございます。これをぜひ活用していただきまして生産構造を変えていただくということをやっていただきたいと思っておる次第でございます。
 また、共補償資金は確かに公庫で低利の資金は貸しておりますけれども、これが負担、特に金利の負担が大変であるということもございますので、共補償の負担軽減対策の助成金というものを出しておりまして、五十七年度は二十億組んでございます。これは共補償の金利に対します一部国庫負担をよけいにするという形で、できるだけ低金利の共補償をできるようにということで考えている次第でございます。
 そのようなことで生産構造の改変ということは、単に共補償だけではなくて、このようなまず負債の整理、それからやめていく方々に対する共補償、その共補償に対するまた助成、さらに加えまして、残った船をどう処理するかということも非常に重要でございます。減船後の船につきましては、たとえば先ほどの負担軽減の対策の中で、廃船に対する処理というための経費も出すことを考えておりますし、それからいわゆる沿整事業、この中で魚礁に減船の対象になりました中古船と申しますか、古船を使うというようなことも考えておりまして、さような総合的な対策によりましてこの自主的な計画的な減船というものを助成していきたいというふうに考えている次第でございます。
 それからもう一つお尋ねのございました、たとえ国内で日本国が一生懸命構造の改善をやっても、外国が日本に対して輸出をふやしてきたのでは何にもならないじゃないかというお尋ねでございまして、まことにそのとおりでございます。そこで、目下この減船計画をもちまして生産構造の改変をやっている一番中心勢力はマグロでございます。そこでマグロにつきましては、特に韓国船が入りましてマグロを持ってまいりまして、わが国に対しまして輸出をいたしますと、まさにわが方の構造改善の計画が狂ってまいりますので、これにつきましては、自由化品目でございますので輸入制限はできませんけれども、しかしながら韓国と定期的に需給の事情を十分話し合いまして、一定の目標の輸入数量を立てまして、そこの中で輸入をしてもらうということで話し合いをしております。この計画はかなり守られておりまして、現在のところ生産の改変のためのわが方の計画に支障のない状態で韓国の方も運用してくれているということでございますが、先般ソウルにおきまして話し合いがございました実務者の会議の中でも、日本の減船の計画を韓国に十分話しまして、このような状況でやっているので、韓国が漁船勢力を増さないようにということも十分に向こう側に話している次第でございます。
#190
○藤原房雄君 ただいまも答弁あったわけでありますが、非常に厳しい環境の中にありますので、なかなかそこらあたりのかじ取りというのはむずかしいだろうと思いますけれども、十分にひとつ漁業、今日まで先人が築いてまいりました漁業のこの実績というものをひとつ守り通していきます施策を力強く進めていただきたいと思うのであります。
 せっかく共補償や何かありましても、輸入ということになりますと、しり抜けになるぞというお話を申し上げたわけでありますが、それに伴いまして、一つだけちょっとお聞きしておきたいのでありますが、時間もありませんから、基本的なことで日米水産物貿易問題ですね。これは二月には日米漁業協定改定交渉、三月には日米貿易小委員会及び日米漁業水産物貿易実務者協議、ここでアメリカからニシンの非自由化枠の運用の改善とスケトウダラの漁場買い付けの増枠、これが報道されておるんですが、私ども報道の範囲内しかわからないわけでありますが、これは北海道なんかのニシンにつきましては、沿岸漁民の刺し網、これが大変な影響を受けるわけでありますし、スケトウダラにいたしましても昨年は一万四千トンですか、これは四十万トンにということですね。現在もすり身の需要不振で市況が非常に軟化しておるという状況、しかもまだ漁場買い付けで大洋、日水、これは二社とも赤字になっておりますね。こういう中でアメリカからこういう強い要請があるということ。これはもう漁業だけにとどまらないわけでありますけれども、特に体質的に非常に弱い、先ほど申し上げたような現状の中で、これは漁業だけで判断できることじゃない、全体の枠の中での議論なのかもしれませんけれども、構造的に弱い漁業という水産物のこの貿易問題については、それなりの確固たる全体像の中できちっとした枠組みをつくって将来像を描いていきませんと、大臣も予算委員会で、農産物等につきましては断固としてという非常に強い意思表示はあるんですけれども、そういう意思表示だけでこれが進められるのかどうか、それなりの裏づけなり、またそれをわが方の状況、こっちの状況の説明だけで足りるわけじゃ決してないんだろうと思いますけれども、相対的なこういう論議というものが、理論構成というものがなければならぬだろうと私は思うんですけれども。漁業の非常に弱い体質的なものがあって、そこへこういう問題、今日降ってわいたように突然起きたわけじゃない、今日までもいろいろな徴候はあったわけであります。しかしながら他産業と違って一気に構造改善というのはなかなかできない体質、そういう中での苦悩はもちろんあるんだろうと思いますけれども、こういう問題がいま起きておりますので、これも日米水産物貿易問題についての事情ですね、現状ですね、どういうふうになるのか、またそれに対して水産庁として、大臣として、どのように基本的にお考えになっていらっしゃるのか、これをちょっとお聞きしておきたいと思うのであります。
#191
○国務大臣(田澤吉郎君) 日米の農林水産関係の特にアメリカの要求というのは非常に強うございまして、しかも水産物の要求も依然として非常に強い要求があるわけでございます。しかしいま残存輸入制限品目の中の品目は、水産振興上重要な品目でございますので、私たちとしてはできるだけこれは手を染めないようにしたいという決意でいまアメリカといろいろ折衝を始めているわけでございます。
 特にニシンの輸入問題についてでございますが、さきの日米小委員会で、日米の実務者協議、これは大体四月の中旬行われると思います。ここで十分わが方の主張をもいたして解決の策を見出してまいりたいと、こう考えております。
 またもう一つ、スケトウダラの洋上買い付けについてでございますが、これについての私たちの考えは、これはもちろん日米漁業交渉との関係でございますけれども、私たちとしては、この事業が採算ベースに乗ることというのをまず第一に考えなきゃいかぬと。もう一つは、洋上買い付けの実施により、わが国の漁船が減船等を引き起こさないようにしてまいらなければいけない。それからもう一つは、買い付け数量は米国漁船の能力あるいは漁場条件等を考慮すると。こういう三つの点を私たちは主張いたしまして十分理解を得たいと、かように考えているのが私たちの主張であり、また現状でございます。
#192
○藤原房雄君 四月の中旬ということのようでございますが、それまでにも多角的な、多方面なひとつ御検討をいただきまして、いずれにしましても、アメリカはやる気でやっておるんでしょうし、こちらの方は、対応といいましても、非常に構造的に弱い漁業ということでありますので、それなりに、御説明だけでは物事の解決にはならぬだろうと、ひとつ強くそういう面については今後主張し、またその実現をさしていただきたいものだと思います。これは予算委員会なんかで言わなきゃなんないことかもしれません。一次産業の多い地域というのは、地域発展、他産業とはどうしても比較にならないいろいろなハンディを背負っておるわけであります。そういう中で、先人が切り開いて今日までまいりました一つのものが、時代の推移とは言いながら、それが大きく変えられるということは、やっぱりこれは政治として見過ごしておいてはならないことだろうと思います。
 以上申し上げまして、大臣の御認識、漁業に対しての取り組みの基本的なお話をいただいたわけであります。
 ところで、この案件のことに入るわけでありますが、今度のこの第七次の整備計画につきまして、私どもとしまして、私ども公明党としまして、こういう時節にまた新しい観点で計画を発足させていこうという、そこにはいろいろな今日までの経緯、また今後に対してどういう認識の上に立ってこの計画がつくられたのか、いろいろ考えさせられることはありますけれども、いずれにしましても、新しい計画のもとにこの漁港整備計画を実施しようという、このことについては反対するものでもございません。しかしながら、細部にわたりまして一つずつ見てまいりますと、やっぱり何点か疑義もあり、もっと積極的な姿勢がとれなかったのかという問題点は何点があります。時間もありませんから、長々申し上げている時間もありませんけれども、何点かにしぼってその見解をお聞きをしたいと思うわけであります。
 最初、第六次の整備計画の進捗状況については、粗々私どももそれなりに聞いておるわけでありますが、非常に今日こういう財政窮迫なところであり、計画自体にもそれ相当の工夫といいますか、むずかしい面があったことは私どもも十分承知するわけでありますけれども、物価上昇というものを考えまして、当初計画、また前期の第六次の計画、これと比較して、現実的にどれだけのものが整備計画の中に盛られてこの計画が進むんだろうかという、こういうことをいろいろ試算をいたしてみたわけであります。
 漁港等についてのデフレーターがあれば一番よろしいんですけれども、それじゃ、公共事業に関しての「建設統計月報」の中の建設物価調査会で出したものしかないわけで、精密な計算というのはちょっと私どもできなかったんですけれども、第六次と第七次と事業費の実質的な伸びというものがどのくらいだったのかという、こんなことをいろいろ計算をいたしますところ、数値は、デフレーターのとり方でいろいろ資材や何か違いますからあれなんですけれども、私どもの試算では、およそ第六次と第七次では百億ぐらい第七次の方が少ないのではないかという数値が出ておるんですけどね、この数値が正しいかどうかはわかりませんが、いずれにしましても、大臣が相当漁業についての強い御熱意を持っていらっしゃるわりには、こういう財政事情ですから、それは横に置いたといたしまして、そう大きな進捗というものは余り期待できないのではないか、こんな感じがしてならないんですけどね、この計画をつくるに当たりまして、従来六次、それから今度のこの作成に当たってのこれらについて、どういう点に留意をし、そしてまた、金額だけでこれは見れるわけじゃないだろうと思いますけれども、今後の沿岸漁業のあり方として、漁港整備に対してのこの策定に当たって心した基本的なことについてまずお聞きしたいと思います。
#193
○政府委員(松浦昭君) 今回の第七次の計画を策定するに当たりまして私どもが最も留意いたしましたことは、現在の日本の漁業を取り巻いております新しい環境というものをできるだけ今回取り込んでいくと。それによりまして、特に日本の今後の漁業というものがこの漁港を中心にして発展していくということを考えたわけでございます。
 特にその中でも、先ほどもちょっと触れましたが、遠洋漁業というものは、これは外交努力もいたしてまいりますけれども、二百海里の規制というものが強化されていくだろうと、そういうことを考えてまいりますと、どうしても日本の周辺の漁業、特に沿岸あるいは沖合いの漁業というものを振興させていかなきゃならぬと、このために必要な漁港の施設というものを整備していくということが、何と申しましても今回の七次の計画の中心であるというふうに考えたわけでございます。また、そのほか避難のための漁港とか、その他につきましても十分考えたわけでございますけれども、さような点が今回の新計画の目標といたしまして特に配慮をいたしたわけでございます。
 そこで、このような計画の内容のもとに、第六次、第七次の漁港の整備計画の内容を比較いたしてみますると、漁港の修築事業といたしましては、第六次は四百五十港でございましたが、今回第七次は四百八十港ということで三十港ふやしております。それからまた改修事業につきましても、約八百二十港というのが第六次でございましたが、第七次が八百七十港ということで、五十港実質的にふやしておるわけでございます。
 そこで、先ほど先生お尋ねになりましたデフレーターを使用いたしまして第六次計画と第七次計画を比較するその場合には、計画規模は場合によっては小さくなっているというふうに御説明になったわけでございますが、確かに、投資規模を比較する場合に、デフレーターといったようなものを使いましてこれを比較いたしまして、御指摘のような点があろうというふうに思うわけでございますけれども、私ども水産庁といたしまして最も中心、必要と考えましたのは、計画の事業費を同じ年度の価格に換算いたしましてその投資規模を比較するということで、六次と七次を比較するという方法もあろうかと思いますが、一方におきまして計画内容、たとえば港数とかあるいは事業量というものを比較するということも大変重要でございまして、さような点で見劣りがしないということをわれわれとしては念願といたしたわけでございます。
 たとえば、漁港の機能という面から見まして最も重要なのは、一つの指標でございますが、いわゆる係船岸の充足率というものがございまして、現在の漁船が必要としている岸壁の長さ、これに対しまして、実際に今回の七次計画ででき上がってまいりますところの岸壁のでき上がりぐあい、長さ、これを比較したものが係船岸の充足率ということでございますけれども、これは第七次におきましては充足率を五〇%ということで実は考えているわけでございます。これは第六次の計画におきましても五〇%ということでございまして、漁船の隻数の増大あるいは漁船の大きさというようなものが拡大していくことを考えますと、事業の効果といたしましては、この五〇%を維持するということは決して並み並みのことでないわけでございまして、さような意味では七次計画は六次に対しまして、このような究極の目的、漁港の効果といったようなことから考えますると、決して見劣りはしていないというふうに考えておる次第でございます。
 また同時に、特にこれが完全な実施を図らなければならぬということは当然のことでございますので、国家財政きわめて厳しい折ではございますけれども、予算の確保に全力を挙げまして、このような目的が十分に達成できるように努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#194
○藤原房雄君 それから、もう時間もありませんから長いお話できませんが、この調整費ですね、これは第六次では五百億、七次では一千三百億という。私どもから見ますと、私どもというよりどこから見ましても、調整費というのは現実使われていない捨て企みたいなものであって、これは社会の経済変動とかいろんなことを勘案してこういうものが設けられたんだと思いますけれども、これは昔、古いころのはこれはなかったわけですね。しかも、最近のこの第七次においては一千三百億という、二・六倍というこんな大きな比率になっている。そんなに見込まなければならないのか。こういうこともやっぱりこれ全体の工事計画をダウンさせる大きな要因になっているんじゃないかと思う。調整費の性格と、またそれが全体の総事業費にどういう影響があるのかないのか、そこらあたりどうでしょう。
#195
○政府委員(松浦昭君) 調整費は、漁港整備長期計画を実施する過程におきまして、計画変更には至らないけれども相当な、重要な情勢が変化したというような、部分的に計画が当初の予測と違ったというような情勢が生じました場合に、これに対処する留保資金として常に公共事業の場合には用意しているものでございますが、確かに先生おっしゃいますように、いままでは、使うことをある程度まで検討したことはございましても実際には使うことはございませんでした。今次の計画では、第六次五百億から第七次千三百億ということでふえておるわけではございますけれども、実は調整費は、第七次におきましても、全体計画が二兆一百億でございますので、全体事業費の中のおおむね六%でございます。過去の計画は、四次が八・七%、五次が六・七%、六次がこれは低くて三・四%ということで、その平均が六・三%でございますから、大体この千三百億というのは六%前後という従来の平均的な調整費をとったものでございます。それからまた、ほかの公共事業を見てみますると、力計画平均で七%となっておりますので、この六%程度の調整費は他と比較して見まするとさほど大きなものでないというふうに言えるわけでございますが、私ども一番念頭にございますのは、この調整費等を除いた一兆八千五百億という実際に事業に使われますこの事業費というものが、これがどの程度まで実際に漁港の整備に充てられるかということを十分に頭に置いて検討いたしまして、地方とも十分相談の上でこの計画を決めておりますので、将来の漁港の整備に当たりましては、この程度の調整費を持ちましても実際上さほどの支障はないものというふうに考えている次第でございます。
#196
○藤原房雄君 その運用といいますか、調整費の性格、ほかの事業なんかでもバランス、平均値を、今日までの計画の中での平均値ということですけれども、これはパーセントは確かにそうなのかもしれませんけれども、今後の運用とかいろいろなことでひとつ実効のある姿にしてもらいたいということを私は言っているわけなんです。
 それから、もう時間ありませんのでこれ最後になりますが、全国の漁港大会に私ども何度か出させていただいているんですけれども、いつもこういう全国漁港大会がございますと、漁港維持修繕に対する国の助成ということについて決議がございますね。漁港維持修繕費に対する国庫補助制度の創設という項目が去年の八月、神戸ですか、三十二回の漁港大会でもございました。確かに完成した漁港施設の維持管理費用というのは大変なんですね。地方自治体の管理者として負担能力を越えるという、こんなこともよく言われております。そういうことから、「漁港維持修繕費に対する国庫補助制度を創設し、漁港整備事業と相俟って、真の基盤整備が図れるよう強く要望する。」という、これ毎回こういう地方自治体にとりましては特に頭の痛い問題として提起されておりますので、十分この問題については水産庁におきましても検討しておられることだろうと思います。そういう御検討の中でこの制度がなかなか発足できないという、これは財政事情やいろんなこと、こういう時点であることはもちろん、それは別にしまして、この制度がなかなか発足できないそもそもの原因というのはどこにあるのか。つくったものの運営、これはもう地方自治体によりましては漁業一本といいますか、漁業が主産業だというようなところにつきましては大変な負担増になるところもございます。この問題を一つ。
 それと、いま地方自治体の負担が非常に多いということを申し上げたわけでありますが、それに伴いまして、やっぱり今後の漁村の環境整備、これはいろんな事業がありますけれども、こういうことで、農業、漁業、林業、それぞれの立場はあるわけでありますけれども、漁業についての事業もいろいろ計画をされておりますけれども、こういうものと相まって漁業の振興策に対しましてもひとつ特段の力を入れてもらいたいということを申し上げて、この事業の、いろんな事業ありますから一々いま申し上げませんけれども、その他のことについて総括的にひとつ御答弁いただきたいと思います。
#197
○政府委員(松浦昭君) まず、漁港の維持管理費でございますけれども、私も漁港大会に出まして亀岡前大臣もお出になって十分に伺っておったわけでございますが、この維持管理費につきましては、漁港法の規定によりまして維持管理に充てる費用ということで漁港の利用者から利用料が取れるという規定がございまして、これによって維持修繕費は賄うんだといったてまえになっているわけでございます。それからもう一つは、地方交付税法に基づきまして交付税の算定につきましてもこの積算の単位費用の中に入れております。そこで、一応国としては、交付税を通じて見ているんだという、そういったてまえになっております。
 それから第三点は、やはり漁港の維持管理費について国が助成をしてほしいという御希望は十分わかりますけれども、一方におきまして、やはり財政事情が厳しい折からは、整備の現状等から見ましてまず漁港をつくり、あるいは改修するということの方が先決になりまして、どうしてもそちらの方に金が重点的にいくということが従来まで国が助成できなかった原因であろうというふうに考えるわけでございます。この点につきましては、今回の整備計画の中におきましても実現をしておりませんで、なかなか早急にこの点を実現することはむずかしいというふうに考えておりますけれども、特に交付税の算定の内容その他につきましては十分今後とも注意してまいりますので、できるだけ地方団体に、公共団体に負担がかからないようにわれわれも配慮してまいりたいというふうに考えております。
 それから集落環境整備事業につきましては、五十三年から漁業集落環境整備事業というものを実施しておりまして、生活環境というものは漁村の振興を図る上に非常に重要でございますので、この点につきましても今後とも努力をいたしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。さような点で、総じまして従来の漁港の計画の推進に当たりまして幾つかのむずかしい問題があるわけでございますが、今後とも私ども漁港というものが単に生産の場あるいは流通の場ということだけではなくて、生活の場でもあるということを頭に入れまして、漁港の施策の運営というものにつきましては十分に留意してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#198
○下田京子君 質問に先立ちまして、全体で十五分なんです、答弁簡単にお願いしたいということを申し上げます。
 で、第七次の漁港整備の長期計画というものは、とにかくその目的というのは、二百海里体制が本格化されてきたと、だから沿岸漁業あるいは増養殖、そういう漁業を重視していくんだと、こういうお話だと思うんです。
 で、お尋ねしたい点の第一点なんですけれども、この第七次の漁港整備計画が最終的に採択されたその結果はどのくらいの修築率になりますでしょうか。
#199
○政府委員(松浦昭君) お答えが、確実にお答えできるかどうかでございますけれども、第七次の修・改要望に対しまして実際決定された状態がどうかという、そういうお尋ねじゃないかというふうに思うわけでございますが、修築事業要望が四百九十に対しまして決定四百八十、それから改修事業は八百八十に対しまして八百七十……
#200
○下田京子君 いや、違う違う違う、そんな、もう時間ない、そんなこと聞いてない。
#201
○政府委員(松浦昭君) ということではないかと思ったんでございます。
#202
○下田京子君 あのね、全部、漁港数が第一種、第二種、第三種、特定三種と第四種と合わせまして二千八百七十九港ございますよね。それでもって第七次の採択数は四百八十でございましょう。ですから、それは全体でどのぐらいになるかと、こう聞いたんです。一六・七%かと思うんですが、間違いないですか。
#203
○政府委員(松浦昭君) そのとおりでございます。
#204
○下田京子君 全体でそういうことであって、特にその中で第一種については修築率どのくらいでしょうか。
#205
○政府委員(松浦昭君) 第七次におきまして、第一種の漁港が五・七%、第二種漁港が三八・七%、第三種漁港七九・八%、第四種漁港七四・二%でございます。
#206
○下田京子君 そうしますと、第一種というのは一番沿岸漁業やあるいは増養殖漁業の振興上重要な漁港だと思うんですね。それが長官ね、五・七%ということでしょう。そうすると、目的に対応する対策としては非常に不十分ではないかと、こう思うわけなんです。で、今後そういうことをどういうふうに図られていこうとしているのか。
#207
○政府委員(松浦昭君) 御案内のように、第一種漁港及び第二種漁港はきわめて規模が小さいものでございますので、修築事業という形ではなくて、改修あるいは局改でこれを対処するということがかなりの部分に上るかというふうに思います。したがいまして、修築の事業の方は五・七%でございますが、改修の方は採択したのが三〇%近くなっております。
#208
○下田京子君 いずれにしても全漁港数が第一種の場合には二千百五十八あると、そういう中でもって第七次の採択数は百二十三ですから、非常に少ないわけですね。で、そのほか別途対応をということなんですけれども、十分その点では不十分であるという点を御認識の上に今後いろいろと対応していただきたいと思うわけです。
 そこで予算規模の問題なんですけれども、大臣、この第七次の計画は、大臣は予算折衝の段階で最後までがんばったんだと、こうおっしゃって取ったわけですけれども、概算段階では五カ年で二兆五百億円だったと思いますね。それが実際には六カ年になりまして二兆百億円になりました。となりますと、年間概算段階では四子百億円でした。いま計画に出てきているのは年間で三千三百五十億円ということで一八%も出しちゃってるんですね。大変やっぱり当初の計画からもう後退していると思うんで、新たに決意を、見直しの決意でもってこの予算あるいは第七次の計画を十分にやり上げるように努力いただきたいと思うわけですが。
#209
○国務大臣(田澤吉郎君) さきにも御答弁申し上げましたとおり、この計画は新経済社会七カ年計画にのっとって策定されたものでございまして、したがいまして、この計画は政府としても実施に当たりましては、その達成については責任を持って考えていける計画であるということは、これは申し上げてよろしいと思うのでございますので、今後、そういう点で十分この計画の実施に当たっては責任を持って進めてまいりたいと、かように考えます。
#210
○下田京子君 責任を持ってやりたいと、その決意はよろしいんですが、さっきも言いましたように、概算からむしろ実際に予算計上、事業計上の段階では単年度にすれば削られているわけですから、そこのところをきちっと押えて始まりませんと、三カ年間国の財政再建期間だということでゼロベースだ云々だと、こう言われていますでしょう。何度も私はそのことを申し上げているわけです。具体的なことでそこでお尋ねしたい点なんですけれども、どうもこの事業の採択に当たっては、もう最初から枠がはめられているということを聞いております。その話はいずれまたやることにいたしまして、きょう具体的にこれだけは聞いておきたい、おかなければならないことなんですけれども、本当に沿岸で漁業が振興できるような施策をとるためには漁港の新しい指定の問題ですね、これまたひとつ重要なものではないかと思うんです。北海道でたとえば具体的にはお聞きしましたところ二十七港指定が出ているそうです。その中では伊達市の黄金だとかえりも町の東洋だとか様似町の旭それから豊浦町の大岸、函館市の銭亀あるいはこれは釧路の千代ノ浦というふうなところがありまして、特に釧路の場合に私は現地に行っていろいろ御要望も聞いてきたし、本当に重要だなということを感じてきたわけなんです。細かいことは時間がないので話すこともできないんですが、百六十九隻年間大体利用されていて十八億九千九百四十一万六百円の水揚げも五十五年度であるんだと、そういうところですので、本当に計画は地元から吸い上げて、漁港の新指定の問題も含めて、本当に先ほどから言われているような決意に沿った漁業振興がなされるように取り計らっていただきたいと思うんですが。
#211
○政府委員(松浦昭君) ただいま具体的な北海道の漁港の名前をお挙げになりましてその指定の状況でございますが、目下まだ手続中でございまして、七次の計画に関連した新規地区指定要望のうち三港につきましては、すでに御要望が上がってまいりまして、漁港審議会の答申を得て指定の告示のための手続をとっております。そのほかにまだ御要望のものが二十数港あるというふうに伺っております。三港以外につきましては関係省庁とも調整中ということでございますが、ただいまお話しになりました幾つかの漁港につきましても、まだ書類申請が北海道庁から上がってきていないが、四月の上旬ぐらいに提出をめどにしているというようなお話も聞いております。そこで、われわれといたしましては、この二十数港につきまして調整が整い次第申請がなされるというふうに考えておりますので、検討の上早急に指定のための手続をとるというふうに考えております。
#212
○下田京子君 そこで、これは緊急なことで御質問をしたいのは、三月の十九日ですか、パナマ船籍の貨物船アカデミースターという貨物船が救難を求めてきて、二十一日の未明座礁というふうな事態になっていることは御承知だと思うんです。
 海上保安庁にお尋ねしたいわけなんですけれども、離礁の見通しはどうなのか。それからまた、船主等との接触等いかがか、その辺をお答えいただきたいと思います。
#213
○説明員(藤原康夫君) 離礁につきましては、現在油の瀬取り、それから積み荷でございます粉炭の瀬取り、そういうことをやっておりますので、まあ当面鋭意それをやるという形でございまして、まだ離礁につきましては、そこまでちょっと及んでいないというのが現状だと思います。
 船主との問題につきましては、われわれとしましては船主側と密接に連絡を取り合いながら、こうした油の瀬取りとかあるいは粉炭の瀬取り等についていままでも指導してまいったわけですが、一昨日ですか、現地で現地の対策本部の人たちと会談が持たれたというふうに承っております。
#214
○下田京子君 船主と密接につながっているというお話なんですけれども、じゃ船主はどちらでしょうか。
#215
○説明員(藤原康夫君) 現在来日しておられる方は、船主の代理の方でクレスト・インベストメントというところの代理というふうに伺っております。
#216
○下田京子君 離礁の見通しがまだ立たないということなんですけれども、地元ではとにかく粉炭の回収を早くしてほしいし、それから座礁船の撤去ですね、そういったことについて速やかに対応してくれということで、もう本当に毎日気をもんでいらっしゃるわけで、そういった点で、海上保安庁としても関係するところと手を打ってその地元の要請にこたえられるように御努力いただきたいと思うわけです。
#217
○説明員(藤原康夫君) われわれも精いっぱい努力をいたしたいと思います。
#218
○下田京子君 そこで、水産庁にお尋ねしたいわけなんですけれども、もう一つ地元の皆さん方は大変油で漁場が汚染されているという問題で、原形復旧を何とかしていただけないか。あるいはその被害額が相当額に上るので生活のめどが立たないとか、あるいはまた補償は全面的にというふうなことでいろいろ出ておりまして、三月二十九日、きのうですね、第一回目、船主の代理の方と話し合いもついていることは御承知だと思うんですけれども、アカデミースター号が加入しているPI保険とかというところの金額がどうなっているかなんということもよくわからないという話を聞いているんですよ。となりますと、やはり政府がそれなりに積極的にアドバイス等も含めて地元の皆さんの要望にこたえていただかなければならないと思うんですが、その辺の対応いかがでしょうか。
#219
○政府委員(松浦昭君) パナマ船の座礁による漁業被害につきましては、実は事故が起こりましてすぐに係官を派遣しまして、土曜日には研究部長にも行ってもらいまして被害の状況をつかんでおりますが、まだ被害そのものは正確なところはわからないという状況でございます。
 そこで、この被害の補償問題でございますが、これにつきましては先生もよく御承知のように、いわゆる原因者負担の原則というものがございます。これは絶対に貫かなければならないことでございますので、被害漁業者側と船主側との交渉によりまして問題を解決してもらうというのが私どもの基本方針でございます。
 すでに昨日、関係当事者間で話し合いに入っているということを聞いておりますので、この話し合いがなるべく早急につきますことを期待しておるわけでございますが、水産庁としましては被害補償等に関する当事者間の交渉の推移を十分に見守りまして、必要に応じまして円滑に問題が解決するように千葉県庁等を通じまして指導してまいりたいというふうに考えております。
#220
○下田京子君 大臣に最後に一言だけこの問題についての御感想と御決意をお聞きしたいわけなんですが、確かに原因者負担なんですけれども、相手が外国船であるということで、そしてまた保険の金額等や何についても、私が事務当局の方にお聞きした時点ではわからないということなんですね。しかし、いま皆さん方はもうすぐ生活に困るわけですし、いろんなそういう融資の問題、いまの制度の中で政府として対応できることもあるでしょうし、それから補償全体になれば、その調査に基づいて相手側に折衝する段階でいろいろと国としても働きかけていただかなければならない側面も出てくるかと思うんで、そういった点で十分地元と御連絡の上、地元の皆さんの不安に一日でも早く具体的にこたえられるように対応いただきたいと思うわけです。
#221
○国務大臣(田澤吉郎君) いま水産庁長官から答弁させましたように、原因者負担の原則にのっとって当事者間で話し合いで進め各ということが原則でございますので、したがいまして、農林水産省といたしましてもできるだけ交渉が円滑に進められるように千葉県を通じて関係者に極力指導してまいりたい。その間にいま御指摘のような問題の処理等もいたしてまいりたいと考えております。
#222
○喜屋武眞榮君 海洋国日本、そうして海を生活の舞台とする日本にとって二百海里制限は大きな痛手であったわけですが、それに即応するいわゆも海の基盤整備の一つであると言われている漁港あるいは漁船についてはそれがどのように影響を受けてきたのか、また、それに対してどのように備えてこられたのであるか、そういった基本的な点をお聞きしたいと思います。
#223
○政府委員(松浦昭君) ただいま先生御指摘のように二百海里の海洋新秩序が次第に定着してまいりまして、さようなことから日本の遠洋の漁船というものが活動する場が制約されつつある現況にございます。
 そこで、やはり重要なことは沖縄県も含めまして日本の周辺の二百海里というものを重視していくという必要があろうかというふうに考えております。特に漁港の行政の観点から申しますると漁港につきましてはそれが生産の場であり、また流通の場であり、かつ同時に、これが漁民の生活の場であるということを考えまして、この日本周辺の漁場というものを今後振興していくために必要なそういう漁港政策の観点ということを取り込みまして実は第七次の計画をつくってまいったということでございます。
 かような観点から第一種あるいは第二種といったような、特に沿岸あるいは沖合い漁業に関係を持ちます漁港につきまして重点的な配慮を加えながら今回の計画をつくったというのがその経緯でございます。
#224
○喜屋武眞榮君 いまの対応が結果的にどうあらわれておるかということを対象的に取り上げてみたいと思うんですが、昭和四十四年から五十四年までの表によりますと、海面漁業の量は年次別にだんだん減っておりますね。それから内水面漁業の量は漸憎いたしておりますね、このこととはどういう関係にあるんでしょうか。
#225
○政府委員(松浦昭君) 総体といたしまして遠洋漁業の分野は二百海里の施行前におきましては大体四百万トンぐらいの漁獲量があったと思います。これが実は現在二百万トン台に落ちているわけでございまして、ただ、沖合い漁業の方はイワシ等の多獲性の大衆魚が相当にとれたという経緯から、かえって漁獲量、水揚げ量が増大しているという状況でございます。
 それから沿岸漁業の方は沖合い漁業ほど急速なふえはございませんけれども、漸次安定的にふえているというのが現在の水揚げの状況でございます。
 そこで、総体の漁獲数量の中で海面漁業、特にこれは遠洋漁業が海面漁業の中心をなしておるという関係でございますので、そのためにどうしても海面漁業の趨勢がやや弱いかっこうになってまいりまして、内水面漁業の方はこれはコンスタントに伸びておりますので、そのためにこのような内水面の方がふえる傾向が大きく、海面漁業が停滞的というような結果になったというふうに考える次第でございます。
#226
○喜屋武眞榮君 いまの結果に関連して気になりますことは、例の国際的に問題になっております鯨ですね、捕鯨の量がこの統計から除外されておりますね、鯨が。それはどういう意図なんでしょうか。どういうことなんでしょうか。
#227
○政府委員(松浦昭君) これはたまたま海面の漁業の中に本来鯨を含めて計算してもよろしいわけでございますが、この漁業につきましては、鯨は全体の趨勢から申しますとさほど大きな漁獲量というわけでもございませんので、たまたま落としているだけでございまして、別段他意があってこれを落としているわけではございません。
#228
○喜屋武眞榮君 次に、大臣にお伺いしますが、先ほど日米の貿易摩擦に関連して農林水産省の関連、お話がありましたが、日ソ漁業の面から何か問題点がありますか、あるとすればどういうことなのか、あるいはないのであるか、そういった点お聞きしたいんです。
#229
○政府委員(松浦昭君) 日ソの漁業の交渉は二つの交渉から成り立っておりまして、第一は、日本の漁船がソ連の海域で操業することと、それからソ連の漁船が日本の二百海里内で操業をしている。この二百海里内の操業につきまして日ソ、ソ日の漁業交渉というものをやっております。これは最近行われました交渉は、昨年の十二月に行いました日ソ、ソ日の漁業交渉がございました。
 それからいま一つの交渉はサケ・マスの交渉でございまして、特に公海を中心にいたしまして日本の漁船がソ連系のサケ・マスをとっておりますために、このサケ・マスの漁獲数量その他を決定するという交渉がございます。この交渉は来る四月の七日から交渉に入る予定でございます。
 この二つの交渉の系統がございますが、前者につきましては、実は特に日本の沿岸水域におきましてソ連漁船が活動いたします場合に、なかなか予定どおりの水揚げ量が上がらない、特にイワシがなかなかとれないということがございまして、そのためにもっと日本の周辺水域における漁獲の規制を緩和してほしいということを言ってきて、この前の非常にむずかしい交渉の経過になったわけでございます。しかしながら、わが方といたしましては、日本の沿岸漁業との関係もございますために、これにつきましては強く向こう側と交渉いたしたわけでございますけれども、最終的には、日本海のごく一部でございますけれども、一部海面をソ連のまき網船に操業を認めるということにいたしまして、そのかわり樺太の西岸及び東岸で日本の特にイカ釣り漁船のさらに漁場が拡大する、そういう交渉をいたしました。これによりまして、去年の日ソ交渉は交渉を終えたということでございます。総漁獲量はソ連側六十五万トン、日本側七十五万トンということで、全然変わりはございませんでしたし、それからまた漁船の減船等は起こらない形で交渉を終えだというのが去年の交渉でございます。
 それから、これからやります日ソのサケ・マスの交渉でございますが、これはまだ交渉をいたしておりませんので、その帰趨を予測するということはなかなかむずかしいわけでございますが、恐らく従来からの経緯から察しまして、ソ連の側といたしましては、総漁獲量あるいは日数、区域といったような規制につきまして、特に資源の観点からより規制を強化したいということを言ってくるのではないかというふうに考えております。ところが、私どもといたしましては、この水域で四万二千五百トンのサケ・マスをとっておりまして、これは過去四年間ずっとこれを継続してまいったわけでございますから、その漁獲量それからまた規制水域等につきましても先方に十分交渉いたしまして、現在のわが方の勢力というものを落とすことがないように十分に交渉してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#230
○喜屋武眞榮君 そうしますと、一応問題はないのではないが、全般的には何とかうまくいっておる、また見通しも大丈夫と、こう判断してようございますね。――それじゃ、今度は大臣にお尋ねしたいんですが、第六次の計画を一年おいて七次に切りかえるわけですが、そこでこの一応進捗率として七二%しかいってないわけですね。
   〔委員長退席、理事宮田輝君着席〕
それが第七次に乗っかかる。で、予算面では八千八百億から一兆二千億になったわけですね。そこで気になりますことは、いま時の行政改革、財政再建、この飛ばっちりをくらって果たしてこの計画どおり一〇〇%可能であると、こういう自信をお持ちでしょうか、また決意を持っておられるでしょうか、不安でしょうか、いかがでしょうか。
#231
○国務大臣(田澤吉郎君) 御承知のように、第七次漁港整備計画策定の大きな要因は、先ほど来申し上げておりますように、二百海里規制の強化あるいは燃油価格の高騰等で水産業界の環境が非常に厳しい。
   〔理事宮田輝君退席、委員長着席〕そういう中でやはり何としても沿岸、わが国周辺水域の資源の維持、培養が必要である。そのためには何としても沿岸漁業の促進をしてまいらなければならない。その中心はやはり漁港の整備であるということから、この大きないわゆる社会経済の変化に伴いまして新しい計画を策定したわけでございまして、いま御指摘のように、行財政改革のいわゆる非常に厳しい中でございますけれども、私たちは、特にこの計画を策定するに当たりましては新経済社会七カ年計画を基礎にしてこれが策定されているわけでございますので、すなわち六十年度までに公共事業全体を百九十兆円にいわゆる策定された、それを基礎にしてのことでございますので、これが実施に当たりましては責任を持ってこれを進めることができると、こう申し上げてよろしいと思うのでございます。
#232
○喜屋武眞榮君 こうして話を進めておる間にまた気になるのは沖縄のことでございますが、沖縄の漁港に対してはどのように認識しておられますか。
#233
○政府委員(松浦昭君) 海洋新秩序の定着に伴いまして、先ほどから申し上げておりますように、わが国の周辺水域の重要性というものが非常に高まってまいったわけでございまして、それには特に多くの島嶼から成り立っております沖縄の周辺漁場というものの重要性は前にも増して非常に重大なものになっているというふうに考えております。
#234
○喜屋武眞榮君 どうも気になることがあるんですよね。第七次の計画によりますと、いわゆる指定希望の数とそれを採択された数を比較しますと、全国の場合には一六・七%になっておりますね。ところが沖縄は一四・一%なんですね。採択率が落ちておりますよ。これはいまおっしゃることとうらはらなんですが、これはどういうわけなんでしょうか。
#235
○政府委員(松浦昭君) 確かに採択率をとりますと全国の平均に対しまして沖縄の採択率がやや低下しているということはございますが、これは事業の内容を見ていただきたいというふうに思うわけでございまして、私ども、第七次計画は特に離島が多い沖縄県の特殊性というものを考えまして、沖縄本島につきましては、北部、中部、南部それぞれ中心となる漁港を重点的に整備するということで考えてまいったわけでございます。特に沖縄の場合には県外船が非常に多いということもございますので、県外船の利用されます漁港につきましては、単に地元漁船のみを対象とするだけじゃなくて、県外漁船も対象にしましてその規模を決定するということをやってまいりました。それからいま一つ沖縄の非常に重要な特殊性は台風の常襲地帯であるということだろうと思います。この点につきましては、漁船の避難に関する配慮ということが非常に重要だというふうに考えておりまして、この要請にこたえますために、特に第四種漁港には非常に注意をいたしまして、個別につきましてはかなりの配慮を払ったというふうに考えております。
 また、第七次計画におきましても、仲里、久部良漁港を修築事業によって整備するほかに、他の第四種漁港につきましても改修事業、局部改良事業によって所要の整備を図りまして、県内船、県外船ともに避難港あるいは前進根拠地として、十分に整備ができるようにと考えておる次第でございます。
#236
○喜屋武眞榮君 時間も迫りましたので結びとして申し上げたいんですが、私が、なぜ沖縄の漁港に対してどのような認識を持っていらっしゃるかということに対しては、どうしても本土に、さらに特に漁港の面からも変わった特殊事情があるといいますのは、一般論としては、二十七カ年もアメリカ支配下にあって取り残されておったということ、これは一般論になりますが。ところが、このことをどうしても配慮してもらわなければいけない、こういうことが、離島県であって多島県であるということでございますね。島々が多いということが一つの特徴ですね。そして、今度は漁港としての任務もありますが、交通の港でもある、島から島との連絡のですね、こういう特殊性を持っておると。それから、本土の漁船が南方漁業へ行き帰りするときのその寄港地になっておる、よりどころになっておるんですね。餌料、燃料の補給基地。そういった、沖縄県の漁民だけの問題じゃないんですね。それから、南方漁業は、当然台風銀座と言われておる沖縄の、台風が多いと、あると、こういった立場から、特殊な避難港としての施設も大事ですが、それぞれの漁港にも避難港的なひとつ施設がどうしても必要なんだと、こういうことが他県の漁港と著しく変わる特色でありますが、そういう情勢の中で、さらに復帰十年ですけれども立ちおくれておると、こういうことをぜひ理解していただきたいということと、そして、最後に、漁港の機能を十分に発揮していくためには、どうしても関連として陸上の施設も充実さしていかないというと、漁港の十分な機能を発揮することができない。といいますことは、一例を申し上げますと、八重山の与那国の漁協に私行ったことがありますが、もうとろけるようなマグロがいっぱいつるされておるんです。驚いて、どうしてこんな、もったいないんじゃないかと言いましたら、島では消化できない、だからといって本島やあるいは本土にこれを持っていくこともできないと、こういう悩みを訴えておったんですがね。そこに大型冷凍装置、冷蔵庫の、こういうものの関連と流通機構の問題、みんな関連してくるわけなんですね。そういうことで、離島設備の充実、これも含めてひとつ長官と大臣の御決意を、御所信をお伺いしまして終わります。
#237
○政府委員(松浦昭君) 先ほどお挙げになりました沖縄県の漁港の特性につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおりに、第七次につきましてはその観点からかなり配慮いたしまして今回の整備計画をつくったつもりでございます。それから同時に、漁港の機能を発揮させるためには、特に陸上の施設が一体になっていなきゃいかぬということは御指摘のとおりでございまして、特に沖縄県の特性といたしまして冷凍冷蔵設備、これが一体になってなきゃいかぬということでございますが、これは沖縄県水産業構造改善特別対策事業というのを特に起こしましてこれは事業を執行してるところでございまして、特に亜熱帯地における沖縄県の地理的特性も十分に考えまして、五十三年から始まった事業の四年間の実績を見ていただきましても、製氷冷蔵施設の設置は十一件、事業費九億円ということで、全体事業費の四六%を占めております。このようなことで、冷蔵冷凍施設については特に力を入れてやっていくということでございまして、今後ともこのような、先生御指摘の沖縄県の特性というものを十分考えました上で漁港の整備に当たってまいりたいというふうに考えてるわけでございます。
#238
○国務大臣(田澤吉郎君) いま長官から答弁さしたとおりでございまして、私といたしましても、やはり離島であり、多島であり、しかも台風の常襲地帯でもある沖縄の特性を十分配慮して今後対策に万全を期したいと、かように考えます。
#239
○委員長(坂元親男君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#240
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。
 漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件を承認することに御賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#241
○委員長(坂元親男君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 川村君から発言を求められておりますので、これを許します。
#242
○川村清一君 私は、ただいま承認されました漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    漁港法第十七条第三項の規定に基づき、漁港整備計画の変更について承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
  漁港は、漁業の最も基礎的、かつ、重要な生産基盤の一つであり、漁業地区住民の生活とも密接な関連をもつ公共施設である。しかるに、その整備は、近年立ち遅れる傾向にあり、海洋新秩序の定着に伴う沿岸漁船勢力の増大、漁港への陸揚量の増加、石油ショック後の燃油価格の高騰等の漁業をめぐる情勢の変化に十分対処できないおそれが出てきている。
 よって、政府は、その整備を促進するため、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一、財政再建下での新漁港整備計画の発足にかんがみ、その期間内完全実施を図るため、必要な予算の確保につき最大限の努力を尽くすこと。
 二、新漁港整備計画の実施に伴う地方負担の増大に対処するため、地方交付税の確保等所要の措置について、遺憾なきを期すること。
 三、事業の実施に当たっては、漁港における機能の増進を図るため、沿岸漁業構造改善事業、水産物流通加工拠点総合整備事業等関連する諸施策との整合性を十分考慮すること。
 また、沿岸漁業等の振興のため、計画期間を同じくする第二次沿岸漁場整備開発計画との連携にも留意しつつ効率的な事業の実施を図ること。
 四、生活環境の整備が著しく立ち遅れている漁村の現状にかんがみ、漁業集落環境整備事業を引き続き実施すること。
  右決議する。
 以上であります。
#243
○委員長(坂元親男君) ただいま川村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#244
○委員長(坂元親男君) 全会一致と認めます。よって、川村君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田澤農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田澤農林水産大臣。
#245
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま御決議いただきました附帯決議の趣旨を尊重し、今後極力努力をいたしてまいります。
#246
○委員長(坂元親男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#247
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#248
○委員長(坂元親男君) 松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに質疑は終局しております。
 この際、本案の修正について、坂倉石及び下田君から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。坂倉君。
#249
○坂倉藤吾君 私は、本案に対し、修正の動議を提出いたします。
 提出します日本社会党の修正案の趣旨を御説明いたします。
 修正案は、ただいまお手元に配付のものでありまして、内容は簡明でありますので、骨子の説明は省略させていただきます。
 以下、修正の理由を申し上げます。
 第一点は、法律名称についてであります。
 政府提出案は、過去五年間の事業失敗の反省に立って、特別伐倒駆除を初め、樹種転換などを含めた総合対策に転換しようとするものであり、名は体をあらわすのたとえにもあるとおり、その法の目的、内容にふさわしい法律名称に改めるべきであります。これは単なる形式的問題ではなく、批判の大きかった現行法から大きく転換することを名実ともに明らかにし、国民の協力を得て、実効を上げるためにもきわめて重要なことと考えるからであります。
 したがって、わが党の松くい虫被害対策の総合的推進に関する特別措置法の修正法律名称こそ本法律の目的、内容にふさわしいものであります。
 第二点は、修正案第三条にかかるもので、生活環境及び自然環境保全上、特別防除を行ってはならない場合の必要最小限の定めを法律条項に明記しようとするもので、この点は、過去五年間行政指導にゆだねてきた結果、関係住民との間に多くのトラブルを発生させました。現行法成立の際の本院附帯決議第三項では、薬剤散布の経時的調査の実施とともに、被害を生じた場合の散布中止、原因究明並びに円滑、適切な損害賠償を政府に求めておるわけでありますが、その趣旨は生かされず、政府はもっぱら都府県に任せ、薬害実態すら十二分に把握されていないことはきわめて遺憾であります。したがって、わが日本社会党は、人体、生命等にもかかわる特別防除に起因するトラブルを再び惹起せしめないためのものとして修正を加えるところであります。
 第三点は、第八条についてであります。本条は、農業、漁業等利害関係者の薬害被害防止に必要な措置内容を規定するものであります。したがって、その措置に関し、当然のこととして関係農漁業者の協力を得ることが前提であります。しかし、今日まで、関係農漁業者等への協力の求め方に関し、質疑経過でも明らかなとおり、必ずしも適切と言い得ない実態にかんがみ、関係農漁業者等の生活権擁護の立場からも、薬害未然防止の立場からも、わが党修正案第八条の、「同意を得るように努める」のは薬剤散布当事者の最低の努力義務であり、きわめて妥当であります。また、それが本法の目的遂行上の原点でもあるからであります。
 以上が、修正の趣旨と主な理由であります。各党、各委員の御賛同をお願いをいたしまして説明を終わります。
#250
○委員長(坂元親男君) 下田君。
#251
○下田京子君 私は、日本共産党を代表して、本案に対し修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨について御説明申し上げます。
 日本を代表する樹木の一つである松が、全国各地でマツクイムシに荒らされており、国土と緑を維持する上で、この被害を終息させることが急務であることは言うまでもありません。
 わが党は、今回の政府案が現行法と異なり空中散布一辺倒のやり方を改め、被害木の特別伐倒駆除や、マツクイムシ被害に強い樹種への転換を法律に取り入れるなど、被害対策を総合的に進める上で一定の前進があることを評価するにやぶさかではありません。
 しかし、政府案は、松材の積極的利用を図る方策、松林の管理、保護を抜本的に強化する方途が非常に抽象的であります。特に、マツクイムシの被害を早期に終息させるために必要な総合的研究についての積極的計画が見られません。さらに、依然として薬剤の空中散布を行う際に地域住民の意見を尊重し、環境保全対策を重視する件については、衆議院において修正案が決議され、政府原案を若干補強されたとはいえ、なお不十分さが残っております。
 わが党の修正案は、こういう弱点を改めるとともに、マツクイムシ被害を一日も早く終息させるためのものであります。
 その概要は、第一に、マツクイムシの被害対策を総合的に推進するため、第三条の「基本方針」に、松材の利用対策の推進と発病機構の解明研究、抵抗性の育種の研究等を含む総合的研究の促進に関する基本的事項を定めることを明記することです。
 第二は、空中散布を行うに当たって地域住民の意見を尊重するため、住民の不服申し出を認めることとしております。
 第三は、自然、生活環境の保全対策を重視するため、空中散布にかかわる都道府県実施計画を定める際には、都道府県自然環境保全審議会の意見を聞くこととするとともに、空中散布を行う者が人の健康に被害を及ぼさないよう必要な措置を講ずることとしております。
 第四に、空中散布によって人の健康、農漁業などに被害が発生した場合には、直ちに空中散布を中止し、その原因を究明しなければならないこととするとともに、その被害について無過失責任による損害賠償規定を設けております。
 以上が修正案の概要です。
 委員各位の賛同をお願いして説明を終わります。
#252
○委員長(坂元親男君) これより原案並びに両修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。村沢群。
#253
○村沢牧君 私は、ただいまの坂倉議員提出の日本社会党の修正案に賛成する立場で討論を行います。
 日本社会党は、現行松くい虫防除特別措置法が昭和五十二年に制定されて以来、政府の対策では有効な防除策にならないことを指摘をし、抜本的対策を要求してきました。
 今回政府は、法律名を松くい虫被害対策特別措置法に変更して、五年間の延長を図ろうとしておりますが、当委員会の質疑を通じて明らかなように、政府は、今日までマツクイムシ防除の実効を上げ得なかった分析と反省が不十分であるのみならず、改正法に基づいて対策を実施すれば、今後五年間でマツクイムシ被害を終息させるという自信がうかがわれません。
 また、特別伐倒駆除制度などを設け、総合的対策を推進すると言っておりますが、しかし、その対策の重点は、依然として特別防除、すなわち薬剤散布に重点を置いており、この空中散布に対する規制はきわめて抽象的であります。
 すなわち、自然環境や生活環境に重大な不安と薬害を与える空中散布の基準は、法律上厳しく規制すべきであり、また特別防除によって被害を受けるおそれのある関係者に対しては、防除の内容の周知徹底や理解及び同意を得ること、そうした中でも被害を生じた場合は直ちに中止すべきことを法律上明記することも当然と言わざるを得ません。
 しかるに政府は、法律上の措置をとることを否定するのみならず、行政上の規制についてもあいまいな答弁を繰り返しております。
 したがって、日本社会党が法律名を「松くい虫被害対策の総合的推進に関する特別措置法」に改め、本法案の目的、内容にふさわしい抜本的対策を立てることは当を得たものであり、空中防除の規制も当然のことであります。
 以上をもって、私の社会党修正案に賛成の討論といたします。
#254
○委員長(坂元親男君) 他に御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより松くい虫防除特別措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、下田君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#255
○委員長(坂元親男君) 少数と認めます。よって、下田君提出の修正案は否決されました。
 次に、坂倉君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#256
○委員長(坂元親男君) 少数と認めます。よって、坂倉君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#257
○委員長(坂元親男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#258
○委員長(坂元親男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#259
○委員長(坂元親男君) 次に、砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田澤農林水産大臣。
#260
○国務大臣(田澤吉郎君) 砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 砂糖の価格安定等に関する法律は、変動する国際糖価の影響を緩和して国内糖価の安定を図るとともに、国内産糖と輸入糖との価格調整を行うことにより、甘味資源作物の保護育成と国民生活の安定を図ることを目的として、昭和四十年に制定されたものであります。
 その後、経済の成長の中で砂糖の需要は順調に伸び、昭和五十年ごろまでは、輸入糖も増加傾向を続けてまいりました。
 一方、価格面では、国際糖価が乱高下を繰り返してきたのに対し、国内糖価は、糖価安定制度のもとで、総じて安定的に推移してきております。
 この間、石油ショック後の国際糖価が高騰した時期に、日豪間の砂糖輸入の長期契約が締結されました。この長期契約の履行の問題を契機として、いわゆる砂糖の売り戻し特例法が制定されましたが、この特例法は、本年三月末に期限が切れることとなっております。
 しかしながら、砂糖をめぐる諸情勢は、最近に至り、大きく変化してきております。すなわち、近年において、一般的な甘味離れの傾向が見られます。その中にあって、でん粉を原料とする新しい甘味料である異性化糖が急速に増加し、砂糖の需要は大きく減少するに至っております。他方、国内産糖は、近年、北海道におけるてん菜糖の増加が顕著であり、全体として自給力の向上が見られます。このようなことから、輸入糖の数量は大きく減少しております。
 以上のような情勢の変化により、糖価安定制度上、次のような問題を生じております。
 その一つは、国内産糖の価格支持に関し、輸入糖の単位当たりの負担が急増していることであります。本制度の円滑な運営を図るという観点からこのような状況に適切に対処することが必要であります。
 次に、本法においては、国内産糖の売り戻し価格の決定に当たっては、市価を参酌することとされておりますが、さきに述べました情勢の変化に伴い、市価が低迷している場合における事業団収支の対策について適切な対応が必要となっております。
 このため、糖価安定制度について所要の改正を行うこととし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、新たに、異性化糖を蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買の対象とすることであります。異性化糖につきまして、一定の場合に、同事業団による売買を行うことにより、砂糖との価格調整を行うこととしております。この場合の売買差額の算定は、輸入糖の場合に準じた方法によることとしております。また、その水準につきましては、異性化糖が砂糖の価格形成に及ぼす影響の程度等を考慮して定めることとしております。
 なお、異性化糖の事業団売買に伴う収入の見込みに応じ、砂糖の売り戻し価格を修正することとしております。
 第二は、さきに述べました市価参酌措置を円滑に行うため、輸入糖及び異性化糖の蚕糸砂糖類価格安定事業団の売り戻し価格につきまして、その特例措置を定めることであります。すなわち、砂糖の市価がいわゆる形成糖価を下回っている場合等において、各企業につき一定の数量を超える輸入糖及び異性化糖についての売り戻し価格は、通常の売り戻し価格に一定額を加えた額とするものであります。
 この一定額は、砂糖の供給数量の増加が砂糖の市価等に及ぼす影響の程度を考慮して定めることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#261
○委員長(坂元親男君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 次に、補足説明を聴取いたします。渡邊食品流通局長。
#262
○政府委員(渡邊文雄君) 砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べましたので、以下その内容につき、若干補足させていただきます。
 まず第一に、目的規定の改正について御説明いたします。
 新たに、異性化糖を蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買の対象とし、砂糖との価格調整を図ることとしておりますので、目的規定について、異性化糖の砂糖との価格調整に関する措置を加えることとしております。
 第二に、異性化糖の砂糖との価格調整についてであります。
 輸入糖につきましては、平均輸入価格が国内産糖の合理化目標価格に満たないときは、蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買を通じてその価格調整を図ることといたしておりますが、異性化糖につきましてもこの輸入糖に準じて価格調整を行うこととしております。すなわち、異性化糖の製造者は、製造した異性化糖をその製造場から移出する場合、異性化糖の平均移出価格が異性化糖調整基準価格に満たないときは、その異性化糖を事業団に売り渡さなければならないものとし、同事業団は、その買い入れた異性化糖を当該異性化糖製造者に売り戻さなければならないものとしております。
 輸入糖の平均輸入価格に当たります異性化糖の平均移出価格は、原料でん粉の価格、異性化糖の標準的な製造販売経費を基準として定めることとしております。また、異性化糖調整基準価格は、国内産糖合理化目標価格を異性化糖の価格に換算して定めることとしております。
 異性化糖の売買差額につきましても、輸入糖に準じ、異性化糖の平均移出価格と異性化糖調整基準価格との差額に一定率を乗じて算出することといたしております。
 なお、売買差額の水準につきましては、異性化糖が砂糖の価格形成に及ぼす影響の程度等を考慮して定めることとしております。
 第三に、輸入糖の売り戻し価格の修正についてであります。
 新たに、異性化糖を蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買の対象として砂糖との価格調整を図ることとしたことに伴い、輸入糖の売り戻し価格について、異性化糖の事業団売買に伴う収入の見込みに応じて所要の修正を行うこととしております。
 第四に、輸入糖及び異性化糖の売り戻し価格の特例措置についてであります。
 国内産糖につきましては、蚕糸砂糖類価格安定事業団の売買を通じてその価格支持を図ることとしておりますが、その売り戻し価格の決定に当たりましては、砂糖の市価を参酌することとされております。このため、砂糖の市価の参酌を円滑に行うための措置として、輸入糖及び異性化糖の売り戻し価格について特例措置を定めることとしております。
 すなわち、砂糖の市価がいわゆる形成糖価を下回って推移し、または推移するおそれがあり、これにより同事業団が行っております国内産糖の売買業務に支障が生じ、または生ずるおそれがあるときにおきましては、各企業ごとに定める一定の数量を超えて事業団売買されます輸入糖及び異性化糖の売り戻し価格につきましては、通常の売り戻し価格に一定額を加えた額で売り戻すこととしております。
 この一定額につきましては、砂糖の供給数量の増加が砂糖の市価などに及ぼす影響の程度を考慮して算定することとしております。
 以上のほか、事業団売買をした後でなければ異性化糖を移出してはならないものとすること、異性化糖を製造しようとする者の届け出など所要の規定の整備を行うことといたしております。
 なお、異性化糖の事業団売買につきましては、昭和五十七年十月一日以降移出されます異性化糖から行うこととしております。
 以上をもちまして、砂糖の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
#263
○委員長(坂元親男君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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